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岡委員 今御指摘のように、
科学技術とは一体何かという問題に対する——私は
正力国務大臣は
閣議で孤軍奮闘かもしれないが、
内閣全体として認識が足りないというところに、この
会議設けて一体どれだけの実効を奏するのかという点に、私は非常な疑問を持ちたいと思うのです。なるほど
科学技術というものは自然界の法則を探究する、これを人間の生活や国家の経済に有用なものにするのが
科学技術というものなのです。だから
科学技術につぎ込む資金というものは、自然界の法則を探究して、これを人間の生活に有用なものに役立たしめるための投資です。その投資が四百四十億、国民総所得の大体〇・六%強ですね。ところがこれが他の先進国とでは、あるいは一・五%、二%、三%というふうに非常に
科学技術というものに対する認識が国
政府全体として高められて、非常な予算的努力をやっておる。これに一つ追いついていこうというのが
正力国務大臣の御抱負のように私承わるわけですが、そこでしかしながらこれまではその予算的努力が足らなかった。これからこの
科学技術会議ができるから、もう今度はそういう低調な予算では済まされないんだ、必ずやってみせるというあなたは御抱負を漏らしておられるわけです。しかし先ほど来申し上げたような格好で、
機構は
内閣総理大臣が
議長になり、また勧告を受ける、しかし一人の人間だから、多少勧告の
尊重のされ方も
閣議では違うだろうというような、単なる期待的な考え方で、果して
答申案というものが、予算的に
法律的に
政府の誠意ある実現が期待できるかという点に私は非常に疑問を持つのです。それはたとえば
科学技術庁長官としても、今度の理科学
研究所にしても、日本じゃなるほど国民全体の自然科学の水準が低い、だからこれを高めなければならぬ、その努力は今までのところほとんどなされておらない。次には基礎
研究にもっともっと力こぶを入れなければならぬ。ところが、基礎
研究は、
国務大臣御存じのくせに御努力になっていただけなかった。今度講座の主任である教授の
研究費は、自由に使える
研究費が二〇%上っても十七万円、戦前の五分の一です。戦前は三千六百円、今の貨幣価値で百万円くらいのものが教授が自由に使える金として
研究につぎ込まれた。今は十七万円です。そうして東大の工学部のごときは、そこにある設備といったってほとんど旧式の、大正年代のものが四〇%、明治年代のものが三四%もある。戦争以後の新しい設備なんというものは、二%にも満たない。だから、予算的にも何らの努力もない、施設が古い、しかも
定員で押えられて人が足らない。十分人もなく、金もなく、設備がなくて、基礎
研究の方に大幅な力こぶを入れるといってもできっこない。こういう面をただばく然と、
会議が設置されればできるんだという夢を与えていただくだけでは、私は納得できない。それならばあなたは当然やはり
国務大臣として、
閣議の席上でこういう問題についてはほんとうに声を大にして叫けんでもらわなければいかぬのだ。この点私はまだまだ非常にこの
会議がせっかくできても、ほんとうにこういう面において成果を上げるかどうかという点、
大臣の御決意を伺いたいと思います。