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1958-03-14 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十四日(金曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長代理 理事 森本  靖君    理事 上林榮吉君 理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君 理事 早稻田柳右エ門君       秋田 大助君    伊東 岩男君       川崎末五郎君    南條 徳男君       廣瀬 正雄君    粟山  博君       佐々木更三君    杉山元治郎君       原   茂君    松井 政吉君  出席政府委員         郵政政務次官  最上 英子君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         企画局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   首藤憲太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 三月十三日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として池  田清志君が議長指名委員に選任された。 同日  委員池田清志辞任につき、その補欠として南  條徳男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 森本靖

    森本委員長代理 これより会議を開きます。本日は委員長が所用のためお見えになりませんので、理事の私が委員長の職務を行います。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、審査を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。原茂君。
  3. 原茂

    ○原(茂)委員 会長一つだけ聞いておきます。きのう、会長答弁をお聞きしていましたら、現在出されておる三十三年度の予算次善の策である、最善の策としては料金値上げをしたいのだ、こういう御答弁をなさっておられました。私はこの点は十九日にまた大臣にもお伺いしてみたいと思いますが、会長の出された今回の三十三年度予算案というものは、次善の策ではない。本来値上げをしてやりたいのだ、そういう考えはあるが、値上げというものは現在の状況からいってすべきではない。こう会長が判断をされたので、値上げにかわるその他の赤字補てんの策を講じて出された最善の策なんだ、こういうふうに解釈していくべきだと思うのですが、この点会長ははっきり、次善の策であるがやむを得ない、こうお答えになったのです。そういう建前で、最善策があるのに次善の策でこれをやるのだ、こうおっしゃるなら、この議会における審議というものは、非常に態度が変ってくる。やはりこれは値上げにかわる何かの手段を講じて、最善もの考えて出すべきである、そうでなければいけないはずだと思うのですか。この点どうでしょう。
  4. 野村秀雄

    野村参考人 私三十三年度の予算を編成するに際しては、料金合理的改訂によって、いろいろの施策を行なっていきたい、かように考えましたけれども、客観的諸情勢がこれを許さないために、やむを得ず第二段の策としてこの予算案を提出したわけであります。第一案、すなわち料金合理的改訂ができない今日においては、あるいは今仰せのように、これが最善の策であるかもしれませんが、私としては次善の策と考えて、さように申し上げた次第であります。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたの論議を集約しますと、料金値上げをするのが最善なんだ。運用部資金運用、あるいは民間資金導入というようなことはよくないのだ、一番いいのは料金値上げなんだ、こういうことになりますが、そうですか。
  6. 野村秀雄

    野村参考人 さようでございます。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 もし会長がそういう建前基本にしていかれますと、これからこまかい審議に入るのですが、いろいろの数字内容にわたって考えていっても、値上げによるのが最善である、値上げをして、今五十億の赤字が出ようとしているものを全部まかなっていこうとする、このこまかい数字内容というものは、全部料金値上げによってまかなうのが至当だという考えになるのですか。その通りですか。
  8. 野村秀雄

    野村参考人 料金値上げの場合に基いて、いろいろの施策を考究いたしました。そのうちで必要欠くべからざるものをとらえて、この案を作ったわけであります。料金値上げができない今日においては、先ほど申し上げた通り、これが最善の案だと申し上げてよかろうと思います。しかし私の気持としては、これが次善の案であります。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 正直でいいのですが、しかし会長立場で、現在の放送受信料値上げというものを、これが金科玉条で最善の策なんだというふうな態度をおとりになっていることは、次に大きな問題を一つ含んでくるわけです。というのは、現在せっかく行いました赤字補てんのための資金運用というものは、私のこの予算を見たときの考え方からするなら、料金値上げを本来したかった。だが料金値上げ諸般情勢からすべきではない。これはいいことではないのだ。最善どころか、いいことではないのだ、こう判断なさった。そこで、いわゆる資金運用部資金運用とか、民間資金導入というもの考えられた。それで、これによって建設その他のある種の事業が何年か続く。たとえば来年、再来年もまだまだ資金不足を来たすかもしれないというようなことがあっても、本年度を上回らない程度でもし資金繰りができるならば、料金値上げというものはしたくないのだ。料金値上げということは、諸般情勢、あるいは現在持っている公的な機関という性格からいっても、みだりにすべきではない。だから三十三年度の予算も、他の手段によって資金運用をはかることにきめた。もし三十四年度、三十五年度においても、資金不足が三十三年度よりも、だんだんに少くなってくる程度不足であるならば、せっかく道を開いたこの三十三年度の資金繰りと同じ方途でどこまでもやっていくのだ、そうして値上げというものは避ける決意なのだという前提でなければ、本来値上げは一番最善であって、値上げをしようと思う、だがどうも今の情勢から値上げはむずかしそうだ、だから来年もし赤字または不足等が起きれば、そのときにはまわりの情勢がよくなればとにかく値上げをするのだ、再来年もそうなのだ、とにかくいつでもすきがあったら値上げをしていこうというのが建前になってきてしまう、値上げ前提とする三十三年度の予算だということになってくるわけです。私は、こう言って出してくる以上は、値上げ前提とする三十三年度予算ではなくて、ことし何らかの理由値上げというものはすべきではないと考えた、それにかわる運用面考えてきたのだ、それで三十三年度のこの運用の中から、もし三十三年度を上回る赤字等が三十四年度に予想できないようなときには、建設を同じ速度でやっていこうとしてもそう大きな赤字が出ないというときには、ここに道を開いた三十三年度の金繰りのやり方をもって値上げというものはどこまでも防いでいこうとするのだという建前でなければ、私はいわゆるNHKの本来の性格からいっておかしいと思う。どうもこの段階になってくると、物が足りない、予算が足らないから値上げをする、値上げが一番いいのだけれども値上げはいろいろな情勢からできない、だからことしはこうやって運用してごまかしておくが、来年になったら値上げをする、さらに再来年また値上げをするというような考え方になってしまうわけです。そういう考え方でこの予算が出たということになると、私ども立場からは、値上げというものはすべきでないという態度をとっておりますので、値上げをしないで五十億の赤字に対する対処策をきめてきたということはやむを得ない、当然だ、こう考えてこの予算書に対処しているわけです。そうでないと、あなたがどこまでも言い切っておるように、値上げが一番最善であり、不足が出るならばまた来年値上げをするのだ、こういう思想で押し切ろうとするなら、この予算に対しては断固反対せざるを得ない。この点でもう一度明快にこれに対する建前と心がまえ――放送料値上げというものは今はすべきでないと考える、現在出したこれが最善の策であると考えて出されているのだ、こういう御答弁ができるならば、これに対して私どもは慎重な審議に応ずることができるのです。こういう意味で御質問しているのですから、もう一度御答弁願います。
  10. 野村秀雄

    野村参考人 私は値上げはすべきでないと考えておりません。値上げができれば値上げをしたい、しかし情勢がこれを許さないために、やむを得ずこの案を編成して国会に提出し、御承認を求めておるのでありまして、私は一日も早く、できるだけ早い機会において値上げ実現を熱望し、これを念願いたしておるのであります。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 今の会長値上げをすべきだと考えているのだという建前でいくと、この予算次善ものである、やむを得ず出したのだ、本来値上げをしたいのだ、値上げが本筋なのだ、だからそのできるときが来たらいつでも値上げをするのだ、こういう思想になるわけです。そうでなくて、私の考えるのは、いやしくも公共放送性格からいっても、これ以上大衆に租税的な料金等を上げないという努力をこれからも惜しみなくやるのだ、ですから建前は、値上げをするのが建前ではない、値上げはすべきでないという建前をとります、今後もとっていくのだという思想でこれが出てこないとまずい、これではこの予算賛成ができないということを申し上げているわけで、やはり諸般情勢から三十三年度は値上げをすべきでないとお考えになって、そうして値上げにかわる最善ものとしてこの予算を出されたのだ、こういう御答弁がなされないと、どうもこの予算そのもの値上げ前提とした予算であるから、私ども審議に応ずるわけにはいかないという強い態度をとらざるを得ない、こう申し上げているわけです。もう一度お答え願いたいと思います。
  12. 野村秀雄

    野村参考人 先ほどから申し上げた通り、私は値上げ実現を希望しております。そうしてその実現努力いたしましたけれども客観情勢がこれを許さないので、やむを得ずこの案を出したのでありまして、私としては値上げ最善ものであるけれども、それができない今日においてはこれが最善として出したわけであります。私の気持としては、これは一昨日でしたか、この委員会において申し上げた通り最善ができなかったから次善である、しかし私の気持は今申したように、今日においてはこれが最善である、かように申し上げたわけであります。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 なかなか正直だし、年の割合にしんが強いので感心しております。(「それでいいじゃないか」と呼ぶ者あり)現在においては最善だとおっしゃったのは了解することにしてもいいわけですが、あなたの思想でいくと、時がきたら値上げするということになるのです。物価等は動いておるし、社会情勢も動いておるのですから、建設資金その他もどんどん安くなっていく、事実今下っていますよ。これがぐっと安くなっていって、来年へいって諸物価が非常に低下したときに、なおかつあなたは価上げをもってやるのだということにならぬとも限らぬと思うのです。社会情勢は動いておるのです。経済情勢も動いておるのです。その現実の上に立っても値上げをすべきだと考える、時期があったら値上げをするのだ、こういう思想がここに今表現されることはどうしてもまずい。ですから、そういう点は私の意見と同感だ、あなたは同じなんだ、こういうふうに私の方から押しつけて解釈をして先に進みます。そうじゃないと、これはちょっと進まないわけです。(「了承」と呼ぶ者あり)ほかの人が了承したんではしょうがない。会長が了承したもの考えます。  そこで、これは十九日に大臣が来られたときに逐条的にこまかく質問したいと思いますが、第二点にお伺いしたいのは言論の自由ということです。前委員会橋本さんから大臣あるいは会長質問をされました。そのとき言論の自由ということの中で、大臣答弁が一番ふるっていました。自由にものを書いたり、自由にものを言ったりするということが言論の自由なんだ、集約すると、そういうことを答弁されていた。私は、大臣はそれでも済むかもしれませんが、会長立場からは言論の自由というものをもう少しはっきりと、違った角度から信念的なものを持っていただかないと、非常に困ると思う。そうでないと、私どもは一党一派に偏し、圧力を加えられて、公共放送内容等が非常にゆがめられることをおそれる。これは全委員同じです。そういう立場から言うならば、言論の自由ということに対するあのような低調な答弁では困ります。会長はそういう点、はっきりした最後的な意思表示があのときございませんでしたので、会長から言論の自由ということに対するお考えをお伺いしておきたい。どういうふうにお考えにななっておりますか。
  14. 野村秀雄

    野村参考人 言論の自由については、この際くどくどしく申し上げる必要もなく、われわれの思想表現というものはどこまでも自由であって、いかなる権力にも、暴力にも、金力にも属せられない、そこに私ども言論の自由というものがあるのであると思っております。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 受け身の形でそういう御答弁をすることもけっこうですが、ではもっと具体的にお伺いしたい。言論の自由というのは必ず一つの形をとってくると思う。そういういわゆる公式的な受け身の形の定義を言論の自由と言っている立場は、公共放送をあずかる会長立場としては物足りない。実際に言論というものを自由におあずかりになって扱っておられる会長立場から、具体的にこういうことが言論の自由なんだという例をあげて言っていただきたいと思います。
  16. 野村秀雄

    野村参考人 具体的には先ほども申し上げた通り権力にも暴力にも金力にも屈せず、どこまでも自由に自分意思思想表現するものであると考えております。それは筆において口においてこれを言うこともありましょうし、あるいはまたしぐさにおいて、あるいは図のようなものによって表現することもありましょうし、それはいかなる場合においてもいかなる方法によっても、そこにわれわれの思想を闊達に率直に言い得ることを私は言論の自由と考えております。しかし私は、言論の自由にもおのずから自縛というものがありますし、自分自分を律する必要があると考えております。それは自分の良識であり、また世間の常識によるものでありまして、他の外部のによるものでない、かように私は考えております。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 それを具体的に言いますと、協会立場からいって一番大事なことは、時の権力に対する批判を自由にするということなんですね。言論の自由で協会が一番大事にしなければいけないのは、時の権力に対する批判を自由に行うということです。これは公共放送建前をとっていながら、ややもすると時の権力に対する自由な批判が欠けるおそれがある。その事例もあります。あまりにも自由に諷刺をしたり批判をしたために、どこからどういう制肘がいったのか知りませんが、その出演者協会からはじき出されたと思われるような事例も過去にあるのであります。そういうことを、そういうことがありましたとは皆さんの立場では言えないと思いますから、そのあったかどうかをお尋ねするのじゃなく、そういうふうに私どもには見られる節があった。従ってどんなことがあっても、協会側言論の自由ということの一番中心になるものは、時の権力に対する批判の自由だという信念でやっていかないと、協会基本的なイデオロギーというものはぐらついてしまうのですから、協会は常に一致した見解で、権力に対して堂々と批判するという態度を堅持しなければいけない、こう思いますが、この点どうでしょう。
  18. 野村秀雄

    野村参考人 私はNHKにおいて仕事をなす上においては、常に政治の上にも宗教の上にも偏せず、中正の道をまっしぐらに進んでいきたい、これを私の信条としてNHK仕事を進めて運んでいきたい、かように考えております。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 その点は私の意見を率直にお聞き願って、会長の御意見とあわせて協会言論の自由は守っていただきたいと思います。  建設の面で少しお伺いしたいのですが、もう約束の時間がございませんからあとは十九日に回しまして、最後に一点お伺いしたいのは職員給与関係の問題であります。給与関係に関しては、今まで職員組合協会との間で折衝をなされた結果、この給与構成内訳という予算内容が出てきたと思いますが、実際は月額でいうと、三十二年度二万一千八百四円が二万二千七百二十円という月額に変っておりますが、その増額は九百十六円です。諸手当等を入れますと全体で二千五百十円の増額ということになります。これが出されるまでには、組合との間に折衝が行われたと思いますが、組合との間にまあこれならよかろうという話し合いがついて出されたのかということが一点。もう一つは、この二千五百十円の諸手当を含めた増額に対して、郵政大臣は妥当であると総括的に意見を付しておりますが、郵政当局に対しましては、この組合との折衝の経過を率直に報告した上で、当局が妥当であるという認定をされたものかということをお伺いしたいと思います。最初の点をできるだけ詳細に会長からお話し願い。あとは当局から、この組合協会との間の折衝内容を報告されたとするなら、報告された上でなおかつこれが妥当と判断した理由一つ伺いしたい。
  20. 野村秀雄

    野村参考人 組合協会とのこの待遇問題に関する経緯については、いずれ他の参考人から申し上げますが、組合の要望に対し、協会としては、今日の段階においてでき得るだけのことをいたしたつもりであります。組合もこの点を了承して、組合としては不本意であり不満足であったかもしれませんけれども、とにかく了解してこの妥結を見たのでありまして、私としては、組合態度に対して敬意を払っておるものであります。
  21. 首藤憲太郎

    首藤参考人 後段の件についてお答え申し上げます。組合からは、本給を一割ベース・アップ、それから地域給改訂退職手当増額等要求がございました。一々検討いたしましたが、しかしもちろん全額をわれわれとして認めるわけにもなかなか参りかねる事情もございました。しかし趣旨はわれわれも一応もっともと考えておるわけでございますが、ただいまの財政規模その他の事情も勘案いたしまして、組合要求にはなかなか達し得ない状態でありました。結局組合と妥結いたしましたのは、諸手当といたしまして従来基準賃金の二五%を計上しておりましたが、これを五%ふやしまして三〇%というのを今度支給いたすわけであります。その旨郵政省とも協議いたしまして了承され、御了解を得てこれを予算に計上いたしたわけであります。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度申し上げておきますが、会長のおっしゃったように、組合との間に了解が成立してこれを出された、こういうことですね。
  23. 松井政吉

  24. 上林山榮吉

    上林委員 おととい会長質問をいたしたのでございますが、時間の関係で本日に延びたわけでありますので、一応お伺いをいたしておきたいと思います。  御承知の通りNHKは限られたる電波というよりも、むしろ国民の貴重な財産を割り当てられた上に、しかも聴取料聴視料を取って公共放送をしておるということは、これはもう言うまでもないことでありますけれども、往々にしてこの基本がぐらつくことがあるように見受けられるのであります。これは経営者としてもその他の関係者としても慎重に、この点を大前提として物事を考えていかなければならない、私はさように考えるのであります。そこで私は会長にお伺いいたしたいのでございますが、この前も本日も会長の御答弁によりますと、料金値上げをやりたかったのであるけれども客観情勢あるいは国の方針、こうしたようなものから一応見合せてこの次善の案を組んだのだ。しかし現段階においてはこれを最善だと思っておる、こういう大体の御答弁があったので、私はこの答弁はきわめて正直で非常に敬意を表して聞いておったのでございます。しかしながら料金というものをいつでも積極的に上げるのだというニュアンスをもし人に与えたとするならば、これは私は是正してしかるべきではないか、できるだけ上げるべきではないが、万やむを得ざる事情、たとえば職員の待遇の改善、あるいは設備近代化、あるいは公共放送の性質から全国あまねく設備の拡充をしなければならぬというようなこと、あるいは国際放送をさらに強化していかなければならぬ、こういうような点から考えて、万やむを得ざる場合にのみ料金値上げはするのだ、これは原則ではない、こういうふうにお考えになっていると私は思うのでありますが、表現がどうも十分でないので、今後誤解を受けてはならない、こう思いますので、この点をまず伺っておきたいのであります。
  25. 野村秀雄

    野村参考人 私の言葉が足らず、まずかったためにそういう誤解があったとすれば、まことに残念に思うわけでございます。ただいま仰せのようにできるだけ値上げはしたくないけれども、しかし今日のNHK現実は、またNHK使命責任を果す上においては、どうしても値上げをしなければならないと思いまして値上げ案考えたのであります。しかし先ほど申したように、客観情勢がこれを許さないためにやむを得ずこういうような、私としては不本意であるけれども不本意な案を作って、そうして国会の御承認を仰ぐことに相なったのでありまして、将来値上げを必要としない情勢ができたならば、あるいは値上げをしないでも協会使命責任を果し得る状態になれば、そのときはそのときに善処いたしたいと考えております。
  26. 上林山榮吉

    上林委員 それで大体了承いたしたのでありますし、次善の策といえども段階においては最善の策である、たとえば五十億くらいの金が建設その他をやる上において足らない、それを具体的には、たとえば簡保資金で三十億をまかなう、あるいはまた場合によっては、これはまだきまったわけではないが、政府交付金制度といったようなものの創設、ないしは低利にして長期の金融の措置、こうしたようなもの考えますと、これは公共放送建前をとっておるNHKとしては、努力いかんによって、あるいは情勢の変化のいかんによっては可能な一つ方法なんです。だからこういうようなもの考え合せて将来の経営というものをやっていきたいというのが、またいくべきであろうというのが、この予算を出した大臣やあなたの根本の趣旨であろう、こういうふうに私は了解をして、この予算案には原則として私ども賛成をしておるのであります。  そこでこの前の御答弁の中で、会長がこういうことを言われておる。料金やあるいは赤字の上にあぐらをかいてわれわれはNHK経営をやろうとは思わぬ、これはりっぱな態度です。そういうような建前から経営合理化あるいは経費節約、こうしたようなものをやらなければならぬと思うのだ、これも私は適切な考えだと思う。そこで具体的にお伺いをいたしたいのでありますが、経営合理化経費節約というようなものは、今度の予算では前年度に比べてどれくらいなされたのであるか、これをまず伺っておきたい。
  27. 野村秀雄

    野村参考人 その経営合理化経費節約の具体的な内容については、他の参考人から詳細御説明申し上げたいと思います。
  28. 上林山榮吉

    上林委員 項目と数字だけ、大まかでいいです。
  29. 首藤憲太郎

    首藤参考人 合理化につきましては、第一に人員の節減でございまして、極力人員を節減することにいたします。具体的には中継放送局でございますが、こういうのを漸次自動化いたしまして、その人間を節減するとか、あるいは集金関係の統計を機械化いたしまして、その人手を省くとか、また集金の受け持ち区域の区分をさらに研究いたしまして、この集金人の合理的な再編成をするとかいうことを考えておるわけでございます。また経費の節減につきましては、いろいろ機械類の保守、運用でございますが、さらにそういうようなものを研究いたしまして、そういうものの寿命を伸ばすとか、また物件費なんかにつきましても一そう節約を強行するというふうな考えでございます。
  30. 上林山榮吉

    上林委員 そういう方面に意を注ぐのもけっこうです。それで幾らくらいの節約ができたのか御答弁がないのでございますが、それは後刻でけっこうでありますが、私はそうしたような方面だけでなくて、もっと広範に積極的に経営合理化の上に考えを及ばす必要が私はあるのじゃないかと思うのであります。それはNHKが何も民放と競争をしたり、あるいはほかの新聞と競争したりする必要はないのです。私は英国のBBCのように、NHKのニュースは決定版である、ほかの民放は時を争うがために一部間違っておることもあるが、NHKの場合は少しニュースはおくれるけれども決定版であって、その情報は信憑性が非常にあるのだ、こういうところに公共放送としての性格からくる値打があるのだ、こういうように私は考えるのです。そこでなぜ私がこういうことを言うかといいますと、日本はりっぱな通信社を各国に国際的に持っております。そこに持ってきてNHK職員が、研究とか、あるいは一時的に駐在して、いわゆるいろいろな調査をするとか、こういうものは海外に派遣してもいいと思うのです。研究あるいは勉強、調査、こういう意味で、臨時にわずかの数の場所にそういうものを置くのも、あるいはいいかもしれぬが、通信社などと競争して、どこに支局を設けるとか、駐在員を置いて、何でニュースの競争をする必要があるか。国内においてもそうです。国内においても何も新聞社と争う必要もないし、ほかの民放などと競争する必要もない。NHKの権威のために決定版を出すのだ、この感覚に立たなければ、私は公共放送としての使命を果したものとは考えない。だからこういう方面の企業の合理化といいましょうか、経営合理化をお考えになっておるのか。それともほかの通信社や新聞社、あるいは民放などとこれからも競争する意味において、海外まで各方面に多くの駐在員や支局などを設けていこうとする考えであるのか。私はもう日本も、ぼつぼつ国際水準にこの方面も近づいていかなければならぬと思うのだが、これに対してどういうお考えを持っておるか。
  31. 野村秀雄

    野村参考人 私はNHK使命として、報道の敏速、正確を必要とすると考えております。従って報道陣の整備ということについては力を尽さなければならぬと考えております。ただ先ほどの海外の特派員の問題でありますが、この海外の特派員については、私は実はまだ十分検討いたしておりません。それが果して今のやり方でいいのか悪いのか、もう少しこれは研究さしていただきたいと思うのであります。内地の報道態勢についても、これもまだ詳しく承知いたしておりませんけれども先ほど申したようにNHKは報道の正確、敏速を期する上において、報道陣の整備はぜひやりたいと私は考えております。今仰せの海外の通信社の発達、あるいは国内の通信社の発達ということも、むろん考慮に入れておりますけれども、私としてはNHKそのもの使命責任から申して、十分な報道陣の整備が必要だと考えております。
  32. 上林山榮吉

    上林委員 報道陣の整備、強化によって、迅速にかつ正確に公共放送使命を果す、この原則は私も賛成なんですよ。だが経営合理化という点から、まじめに考えると、どの程度それが必要であるか、今やっておる方針がいいのか、あるいは反省の瀞期に来ておるのか、こういうことを聞いておるのです。なお迅速にして誤まった放送をやるよりも、少しおくれてもNHKものは決定版である。ほかのは少し早かったが間違っておった。NHKのは少しおくれるけれども正確だから、これを聞いてからものの判断をしなければいかぬというところにまで、公共放送というものは進んでいかなければこれはだめですよ。だからその意味においてあなたがわからなければいいが、今海外に派遣しておる人数、場所、あるいはこれからもまたふやそうとしておる考えがあるならその考え、それを事務当局からでけっこうですからお知らせを願いたい。私の言うのはほかのものと争わないで、そこからニュースをとれるものはもっと積極的にとって、調和をはかって経営合理化をしたらどうかということで、私ども将来の計画を見ておるのでございますが、NHKがそれくらいの態勢で、ほかのものを相手にして一切をやっていける時代というものは、そう二年や三年後には参りません。そういう点から考えますと、もっとこういう方面に考えを及ぼしていいのではないか。ただし先ほど言うように研究とか、調査とか、臨時の駐在員とか、こういう意味で派遣するのは大いに歓迎しておるのですよ。その辺をもう少しお聞かせ願いたいと思います。
  33. 前田義徳

    ○前田参考人 私から御説明させていただきたいと思います。幾つかの問題がございますが、簡単に申し上げまして海外特派員と申しますか、海外支局あるいは総局という名前で海外に持っている支局の場所は、現在アメリカには二ヵ所、ワシントンとニューヨーク。ヨーロッパに二ヵ所、ロンドンとパリ。それからソビエトをヨーロッパ圏に入れますと、ごく最近一ヵ所ふえております。それから東南アジア全体に対して一つ、バンコックにございます。その人員は、ワシントンが一人、ニューヨークが二人、ロンドンが一人、パリが一人、モスクワが一人、バンコックが一人でございます。これが大体常駐的な支局でございます。その他たとえば重要な日本と外国との交渉が起ったような場合、あるいは日本から見て非常に必要な事件が起った場合など、年間を通じて随時特派員を出しております。この特派員関係経費の総額は正確なところはまた調べて申し上げますが、大体九千万円余りでございます。その九千万円のうちの大部分が通信費になっております。支局員の待遇あるいは支局の維持費、その他の支局維持に直接必要な費用は、割に少額でございます。NHKといたしましては海外通信社もしくは共同通信社と競合して、ニュースの競争をしようという目的で海外に支局を作ったのではございません。海外支局を作りました当初の目的は、テレビ放送の開始に伴って、まず技術的な問題を処理したいという考え方で、最初二カ所しか置いておりませんでした。それはニューヨークとパリでございます。初代のニューヨークの総局長は技術出身者でございました。現在の支局の主たる任務は、ニュースを送ることと同時に、番組交換をいたすことでございます。それから本年度までの総予算に対する報道関係の費用は、これはこの前に御審議を願っておりますので、すでに御承知のことと思いますが、放送費は大よそ――この数字も正確な数字が御必要ならば、後ほど調べて申し上げますが、私の記憶では、大よそのところ放送費総額三十四、五億のうち、約四億以下が報道関係の費用でございます。報道関係の費用のうち、大きな部分が専用線通信費になっておりまして、人員的には、職員としては放送記者が全国に三百五十名余りおるだけでございます。従いまして、NHK放送法の命ずるところによって自家取材を任務とし、それによって行うわれわれの事業としては、最小限度のところでセーブしてやっておりますので、新聞その他と特別に競争するという考え方は毛頭持っておりません。それから新聞、ラジオによるニュースの聴取率は、NHKの文化研究所の調査によりますと、ラジオでニュースを知るというのが六割以上でありまして、新聞でニュースを知るという割合は一割五分程度であります。ラジオによってニュースが伝達され、それをお聞き下さる数が、新聞の読者を約四倍上回っているという実情から考えまして、全国組織のNHKとしては、やはり報道に相当な努力を払っていかなければならない、こう考えている次第でございます。
  34. 上林山榮吉

    上林委員 あなたの紋切り型の答弁はよくわかるのですよ。抽象的な御答弁はよくわかるのです。私は時間があればこの問題についてもう少し具体的に聞いてみたいのですが、あとに控えておるので、遠慮しておくわけですが、皆さんは英国のBBC放送を御研究になっているでしょう。ああいう大きなところでさえも、海外の支局を設けているのはわずか数カ所です。日本がよちよちとして、料金値上げをしてやっていかなければ経営が成り立たないというときに、しかも政府からあまりいろいろな金をもらったりすれば、それこそ報道の自由を侵されるからというような懸念を持つ方面もあるのだし、こういう際でありますから、私としては、そういうものは必要最小限度にとどめて、ほかのものを活用して、そして決定版的なものを国民に流すということが経営合理化なのだ、こう言うのです。私は単なる競争だけを取り上げて言っているのじゃない。私の質問趣旨は、経営合理化ということを盛んに皆さんが言うておられるから、どの程度のことをやっておるかということを聞いておるわけです。その観点から、海外の派遣員の問題について論及しているわけです。その一例を申し上げているのです。それがどれくらいの費用である、あるいはどれくらいの経営合理化を全体でしておるということが出てこなければ、かりに政府簡保資金を持ってくるにしても、あるいは万やむを得ず料金を上げる場合にしても、国民を納得させることはできないのです。そういう意味合いにおいて申し上げておるのです。こういう点は、御研究になっているならば、もう少しあっさり御答弁になる方がいいのです。最初、原君の質問やらわれわれの質問に対して、会長は正直に答弁された。あとで修正されたけれども……。やはりそういうような意味合いで御答弁になるのがいいのだと私は思う。そういう紋切り型の単なる答弁では、われわれは納得いかぬ。もっと御研究になった方がいいだろうと思うのです。  あるいは報道の自由についても、われわれの思想表現は自由であると、こう単に会長は言うておられる。それなら、報道の自由ということについては、NHKの報道の自由なのか。NHKに勤めている各個人の思想表現の自由なのか。見る人によっては、NHKは中立を守っていると見ております。またわれわれは、中立を守っているなと思ってみたり、たまには左翼偏向的な放送や番組が多いと考えたりしている。また人によっては、自由主義的な放送が多いと思っている人がいるでしょう。そういうように考えてくると、思想表現の自由即言論の自由ということは、NHKという組織の、いわゆる思想表現の自由ということになるのか。これは学問的にいえばいろいろ理屈もありますが、思想というものは、そういう団体が持っているとはいえないでしょう。各個人が持っているものでしょう。だからNHKというその組織体の、今言う表現の自由というのは使っておられるのか。各個人の自由なのか。各個人の自由であるとするならば、いわゆるNHKの第一線の記者が取材してくるものを、会長は目を通すことなくして、大体今放送しているでしょう。これが組織体であるとするならば、会長なりキャップに立つ人たちが、偏向的であるかないかということを、番組やら内容について検討して、偏向的なものでないものを放送させるべきでしょう。これは右から言うても左から言うてもそうなると思う。私は、第一線から争うがために持ってきて、ほかのところに負けてはならない、早く知らせなくてはならぬということに、実際は重点が行き過ぎて、必ずしもそうじゃないと思う。そういうふうに行き過ぎて、そして違っておった、またあくる日に訂正をした、あるいは一時間後にまた訂正をしなければならぬとなると、これは争うがためで、それこそ思想の自由の点からいっても、いわゆる報道の責任態勢という点からいっても、いかがわしいでしょう。どうですか。私どもはそう思うのです。この二つの問題についてさらにお答え願いたい。会長からでも今の人からでもけっこうです。
  35. 前田義徳

    ○前田参考人 先ほど言葉が非常に足りなかったかと思いますが、実情を申し述べて、それ以上は、御審議をいただいている明年度予算においてはその限度にとどめて、実際は計画としては数年間のいろいろな計画を考えているわけですが、その程度にとどめてあるということを御説明申し上げたわけで、その意味では、やはり明年度の予算は、一種の赤字予算であるという点で、報道の面でもかなり自制を加え、これを合理化し、不要不急のものは省くという考え方でやっているわけでございます。  それから言論の自由について簡単に申し上げますが、NHKの中で働いている者の思想表現の自由ということは、毛頭考えておりません。それから、これは御承知のことであるかと思いますが、会長からそれぞれ機構的に委任されている最高の責任者が、全力を注いで御期待に沿うように、これまでも努力し、今後も一そう努力いたしたいと考えております。
  36. 松井政吉

  37. 森本靖

    森本委員 私もこのNHK予算については、いろいろこまかい質問もありますけれども、残念ながら個人的な事由によって二日間質問することができませんので、きょう一時間程度、この予算内容について若干質疑を行なっておきたいと思います。  その前に私は、きのう私と大臣との質疑応答を聞いていただいて、会長としてはかなり感慨無量の感があったのじゃないかということをまず考えるわけでありますが、そういう観点からいきまして、今回の予算の編成に当って、会長が、NHK会長としての就任日の浅いときにもかかわらず、この予算の編成に対し非常に苦労せられたということについて、私は心から同情を申し上げておきたいと思うわけであります。これは特に会長の任命等について当委員会においても問題になったことがありまするし、あるいはまた予算委員会等においてもその内容等について質疑があったわけでありますが、そういう問題は伏せておくといたしましても、一応会長がかなりの抱負を持って今回就任をした。しかし会長がしばしばさっきから正直に申されておる通り、周囲の情勢客観情勢において思うような予算の編成ができなかったということについても、私は心から同情申し上げておきたいと思います。ただ今後私がおらないところの委員会において、もし会長があまり正直に言って、そうしてつまらぬことで質疑応答が引っかかるということになってもつまりませんので、私は会長にちょっと一言だけ申し上げておきたいと思いますが、やはり当委員会は当委員会として予算審議を行なっておりますので、筋道が通った形においての予算審議を行なっていきたい、こう考えております。要するに来年以降の問題等については、個々の委員はそれぞれの委員の見解によって質問をするわけでありますけれどもNHKNHK当局として、この予算がやはり最善の策であるとして上程をされたというふうに私は解釈せざるを得ないと思う。これは出したけれども、この案は私は気に食わぬのだ、他にもっといい案があったけれども、どうも工合が悪かったのだということでは、これは国会審議を行う場合にははなはだ妙な、ちぐはぐなことになるのでありまして、その辺は会長としても正直に答弁をせられるのもけっこうですけれども、十分に考慮せられて答弁に当られるようにお願いをしておきたいと思う。なお、そういう問題については他の委員質問をすると思いますので、私は省略をいたします。  そこで、まずこの予算案についての内容に入る前に、今回の放送法の改正にからんでこのNHK予算については非常に関連のある事項がありますので、それを政務次官でも監理局長でもどっちでもよろしゅうございますが、政府当局の方から御答弁を願いたいと思います。それは放送法の第七条は今回の放送法の改正においてもそのまま生かしておりますけれども、その第九条におけるところの改正において四項で「協会は、標準放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」こういう改正案が上程をされておるわけです。当委員会としては、今までの質疑応答においての第七条の解釈というものは、これはいわゆる中波放送も超短波放送もそれからテレビジョン放送についても協会は全国あまねく普及するところのものがある、こういうふうにわれわれは解釈をしてきておったわけでありますが、今回の放送法の改正原案を条文通り解釈をいたしますると、NHKは標準放送と超短波放送とのいずれかでありまするから、これは超短波放送だけをやるということになれば、あとの方は全国あまねくやらなくてもよろしい、あるいは中波放送が全国あまねくいけば、超短波放送は全国あまねくやらなくてもよろしい、こういう解釈になると思うのです。この解釈の仕方によっては、相当NHK予算の輪郭というものが変ってくるわけでありますが、この改正原案を出しておるところの郵政当局としての解釈はどういう解釈ですか。
  38. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 お答え申し上げます。現行の第七条の放送と申しますのは、仰せられる中波はむろん、超短波放送あるいはテレビジョン放送全部含むのでございます。しかしながらだんだん科学技術が進んで参りまして、またいろいろな情勢が超短波放送の実現を非常に要望し、またテレビジョン放送は御承知のごとく非常に発展して参る段階でございます。そういう意味におきまして、この単に放送というものはどういう意味かという疑問、質問が多いために、今回はこれを明確に表わしたというのでございます。しかしながらただいま御質問のように、今までの放送は、放送という名前でもって全国あまねくということをばく然と超短波放送にも中波の放送にもテレビジョンにもこれを要請してあるのであります。これはまだ想像にすぎないのでありますけれども、たとえば将来超短波放送が非常に普及しまして、中波はこれを漸次縮小していくというような情勢にもなる可能性があろうと思うのでありまして、あるいは中波は、あるいは超短波放送はという言葉がここに適用されるもの考えております。でございますから、かように三つに分けまして、それぞれ全国あまねく放送が実施されるように、NHK使命としてきめておくということが必要であろうと考えたわけであります。
  39. 森本靖

    森本委員 これは日本語的に私が解釈すると、先ほど言ったように、標準放送もしくは超短波放送のいずれかを全国あまねくやればNHKはよろしい、こういうふうに日本語的にとればれとますけれども、しかしここは委員会でありますので速記録に残りますから、ここは重大なところでありますが、大臣がおられませんので、あなたの答弁郵政大臣答弁と同様に聞いておきたいと思います。今のあなたの解釈では、これはこう書いてあるけれどもNHKは標準放送と超短波放送とテレビジョン放送との三つは全国あまねく受信できるように措置をしなければならぬ、こういうふうに解釈ができる、こういうことですか。
  40. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 その通りであります。
  41. 森本靖

    森本委員 その通りならばけっこうでありますが、これはそういうふうに解釈をしてこの条文はいいですか。この条文の書き方は非常におかしい。この改正原案を見ると、私も日本人ですから日本人らしく読むと、「協会は、標準放送と超短波放送とのいずれか」とあって、これが標準放送と超短波放送及びテレビジョン放送がそれぞれ全国あまねくと、こうあればあなたの解釈の通りになりますが、ここに「いずれか」という言葉が入っていることによって若干の疑義があるわけですけれども、それはどうですか。
  42. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 超短波放送は御承知のように、放送の進歩した形式であると思うのでありまして、私は中波よりも技術的に進歩した方法だろうと思うのであります。でありますので、将来超短波放送で全部置きかえるという可能性も想定し得ると思うのでありまして、そういう場合には超短波放送だけで全国あまねくということの使命達成が可能になることもあろうと思うのであります。そういう意味で、中波もしくは超短波放送というふうに表現したもの考えます。しかしそういうことは実際問題としてはなかなか急には起りません。当分の間は中波で全国あまねく放送せられる、そうして部分的にだんだん必要に応じて超短波放送が実施せられる、おそらく日本では両方が共存するという状態が長く続くだろうと思うのであります。そういう意味で中波もしくは超短波放送というふうに表現したと考えております。
  43. 森本靖

    森本委員 あなたのお考えが漸次明らかになって参りました。そうすると現在は標準放送、いわゆる中波放送でやっておるけれども、この中波放送がだんだん超短波放送にかわっていくかもわからない。とにかくとりあえず現在は中波放送において全国あまねく受信できるように措置しておる、将来超短波放送がだんだんでき上っていくということになった場合には、その超短波放送も全国あまねく受信ができるようにしなければならぬというのは、やはり協会の責務だろうと思う。しかしその場合に、現在のテレビ放送と同様に、民間放送に超短波放送というものNHKと並行して許可をする場合もあり得る、こういうふうに解釈をしていいわけですか。
  44. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 その通りでございます。
  45. 森本靖

    森本委員 それでこの条項についての疑問が解けましたけれども、そこで政府当局にもう一ぺん聞いておきたいと思いますが、その場合将来超短波放送が、今実験放送でありまするが、これが実用段階に発展をしていった場合、これは現在の中波放送の受信料と同じように解釈をして、同じような料金においてこれを課する、こういうようにお考えですか。これはちょっと大事な問題ですからお答え願いたいと思います。
  46. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 超短波放送を実施された場合におきましても、ラジオ放送の受信料としては中波以外にこれを徴収すべきでない、そう考えております。中波、超短波を問わず、ラジオの放送を受信する場合には同一の受信料であるべきである、こういう考えを持っております。
  47. 森本靖

    森本委員 そうすると将来超短波放送が全国あまねく行って、かりに中波放送もやっておるといたしましても、現在の中波放送の第一、第二の放送がラジオの受信料として徴収せられておる、それと同様に現在の中波放送の第一、第二、新しくできる超短波放送と、この三つをひっくるめて現在の六十七円という受信料で将来もやる、こう解釈をしてよろしいのですか。
  48. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 さように考えております。
  49. 森本靖

    森本委員 そうなって参りますると、この昭和三十三年度の予算と、それから最初にNHK考えておりましたところの八十五円案でありますか、それからもう一つ百円案でありますか、この二つの案は、一応郵政当局としては目を通したことがありますか。
  50. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 詳細にはございませんが、そういう案があるということを聞き及びました。
  51. 森本靖

    森本委員 聞き及んでおるということになりますると、まあその内容については御承知だろうと思いますけれども、それではNHKの方にお聞きをいたしますが、三十三年度の予算において、特にラジオ会計において、この今提案をせられておりますところの予算案と、それから当初の八十何円かの案と百円の案と、どういうところが重点的に違うかということをちょっと御説明願いたいと思います。
  52. 首藤憲太郎

    首藤参考人 おもな項目といたしまして、放送網計画でございますが、難聴地域の解消という面につきましては、いわゆる中継局の建設は当初考えておりましたところを予定通り実行しております。それから増力につきましては、いわゆる大電力は将来のことになりますので、さしあたり考えておりましたものはやはり今回の分にも盛り込んでおります。それから老朽施設あるいは陳腐化施設等の改善につきましても、百円という考え方のもとに考えておりました計画は実行できないのでありますが、それをやや緩和いたしましたいわゆる八十五円と申しますか、その辺のところで考えておりましたものを計上したわけであります。そういたしますと建設計画という面につきましては、八十五円程度のところで考えておりましたものが今回の予算にも計上されておるわけでございます。それから放送番組関係につきましては、教養放送の充実という面につきましては、百円あるいは八十五円案で考え通り実行することはできません。やむを得ませんので、その一部にとどめたわけでございます。また報道取材網の拡充とか、そういう面につきましても同様でございます。それからFM放送の実施につきましては、ただいま東京、大阪実験局でやっておりますので、別段の変化もございません。ただこれを実現するように努力いたしますので、それは計上してございます。なお国際放送につきましては、御承知のような事情もございますし、現在の三十二年度の計画をそのままに計上いたしたわけでございます。また研究活動の強化という面につきましては、実はいま一そう強化したいと考えまして、百円あるいは八十五円の際に持っておりました計画は遺憾ながら十分実行できませんで、今回は六、七千万円増額ということに相なったわけでございます。それから職員の待遇改善につきましては、非常に残念でございますが、先ほど御説明申し上げましたような線にとどまらざるを得なかったというわけございます。
  53. 森本靖

    森本委員 今回の値上げ問題については、これはラジオ会計の方でありますので、ラジオ会計の中でどういうことができなかったかということについて、まあ私に率直に言わしめますならば、この八十五円案というもの一つ参考資料として出してもらって、それと対照してここで首っ引きで審議をすればかなり詳細に審議ができたと思いますし、またその資料の要求もしょう考とえましたけれども、あまりにあなたの方に酷になってもいけないと思いまして、そういう資料は要求いたしませなんだけれども、まだ八十何円と今回のこの案との差というものが、今の答弁では私ははっきりしない。ただ今年は赤字会計である、そして会長に言わせますならばどうしても値上げを必要と認めますというふうに言われたけれども、その必要性は一体どことどことどこにあるのかということの具体的なものが、全然説明も何もされておらぬわけです。私が特にお聞きしたいのは、あれもこれもという意味でなしに、その中で重点的に一体何をやりたかったかということを、率直にお聞きしたいわけであります。ところが私が前に一度政調会にあなた方を呼んでお聞きしたときには、とにかくラジオ会計も百円に上げたいということをよく内容を聞いてみると、今までのラジオ会計でやりたかったことが積り積って、あれもやりたいこれもやりたい、そこで百円に値上げしなければならぬというような意向を若干聞いたような気がする。これでは値上げについてもあまり納得をさす理由にはならぬ。赤字会計赤字会計といっても、今までの全部のものをこの際一挙にやろうなんということは、これは計画に非常にそごがあるのじゃないかというように考えるわけであって、本年度これが非常にむずかしい格好になったということは、どれとどれがやれなかったかということを率直に言ってもらいたいわけです。そこでNHKとしては、今回の予算でやれなくても、将来はこれはどうしてもやらなけはばならぬ、その資金の調達については、これは値上げということを言われておるけれども、私の考えとしては必ずしも値上げだけが問題でないと思う。これは財政資金の融資の道もあろうし、あるいはまたテレビ会計とラジオ会計の合同ということも必ずしも考えられぬことでもない。そういういろいろな資金の調達は別として、NHKがどうしてもやりたかったけれども、本年やれなかったという最重要なものは何であるか、ちょっと御説明を願いたいと思うのです。
  54. 首藤憲太郎

    首藤参考人 第一にあげられますのは、いわゆる老朽しております設備でございます。あるいは陳腐化しておりますもの、これは戦前あるいは戦時中のものも多数ございまして、従来の受信料のワク内で十分な償却ができなかった。昭和三十一年度からこれを改定いたしましたが、それ以前の分につきましては非常に償却不足になっているものもございます。なお耐用はできますけれども、非常に陳腐化しておる。新しい技術に追いついていけないものもたくさんございます。そういうものの改善でございますが、これをいわゆる特別償却と申しますか、受信料でこれをやる必要があるのではないかと思います。実はそれができませんので、今回は借入金の形になっておるということでございます。それから番組の面におきまして、ラジオにおいても教育教養というものになお一そう重点を置く具体的な計画を持っておるわけでございますけれども、十分なことができなかった。しかしながらその一端をも果そうという意図のもとに、第二放送における教育番組を三十分延長するという措置をとった次第でございまして、大きな柱としてはこれでございます。あと従業員の待遇改善という面、ほかにもございますが、仕事の面から言った重点的な点はこの二つだと考えます。
  55. 森本靖

    森本委員 そのできなかったという分についての金額はどれくらいになりますか。要するに老朽施設改善、教育教養の方の拡充、それから従業員の待遇改善もできなかった。この三つが重点であると言われておりますが、この三つのできなかった総金額は、大体どの程度ですか。大体でけっこうです。
  56. 首藤憲太郎

    首藤参考人 いわゆる設備関係につきましては十九億でございます。それから番組関係といたしましては約十二、三億かと考えます。
  57. 森本靖

    森本委員 もう一つの従業員の待遇改善のできなかったという経費はどのくらいですか。
  58. 首藤憲太郎

    首藤参考人 実は待遇改善につきましてはいろいろの方法考えられるのでございますが、当初考えました線から後退いたしました姿で約一億三千万程度でございます。
  59. 森本靖

    森本委員 待遇の改善待遇の改善と言うと、社会党の議員の方が何か鋭鋒がそれるようになりますが、金額にすれば一億何ぼということになると、この総金額はわずかなものですから――これはあとでどうせ同僚委員予算総則の中で追及すると思いますが、それは別といたしまして、そこで問題になりました今のラジオの――今度の放送法の改正についても非常に関連がありますけれども、教育教養番組についてはやはりNHKが今後主導性を持ってやっていかなければならぬと思うわけであって、これはNHKの重大なる使命になっていると思います。その中で今年十二、三億もそれが足らなかったということですが、どういうものが足らなかったかということについて、具体的に明らかにしてもらいたい思うのです。
  60. 首藤憲太郎

    首藤参考人 その前にちょっと従業員の待遇でございますが、実はいろいろと考えが変って参りまして、従業員には十分よくしてやりたいのでございますが――先ほど一億三千万と申しましたが、約三、四億と御訂正いただきたいと思います。教育放送につきましては、実は時間を一時間ふやしたいと考えておったのでございます。それが不可能になりました。それからローカルのサービスを三十分程度はふやしたいものだと考えておりましたが、残念ながらこれも十分にとどめざるを得なかった。それから出演者の謝金でございますが、現在のところはあまりにも低いと考えますので、これも合理的なことを考えたいと思っておったわけでありますが、今回は取りやめになりました。それらを含めましていわゆる放送番組関係としましては十四億ということになるわけであります。
  61. 森本靖

    森本委員 この問題についてもさらに細部に入りたいのですが、時間がありませんで残念ですが、ただちょっとお聞きしておきたいと思います。NHKは薄謝協会と言われ、徳川夢声氏あたりに言わせますと、薄謝協会だけれどもNHKに出るとネオン・サインみたいなもので非常によいということで、薄謝協会という名目の地位を保っておるわけでありますが、本年度の予算では出演者に対する謝礼金は昨年度と同様の金額で組んでありますか。
  62. 首藤憲太郎

    首藤参考人 昨年度の据え置きにならざるを得ないと考えておるわけであります。
  63. 森本靖

    森本委員 個々の金額については別でありますけれども、一般の民放とNHKとの出演者に対する謝礼を比べた場合、大体どの程度の比率になっておりますか。
  64. 首藤憲太郎

    首藤参考人 これは個々の例としてはなかなかむずかしいのでございますが、いろいろな方のお話を総合いたしましても、われわれの方が非常に低いことは確かでございます。人によりましては四分の一だという方もございますし、また十分の一という方もございますし、いろいろございます。
  65. 森本靖

    森本委員 私が特にお聞きしておりますのは、芸能界とか娯楽界とかの人の謝礼については、NHKと民法とはその性格上ある程度の差がついても当然やむを得ないと思う。ただ将来教育放送、教養番組を重点的にやっていかなければならぬということになりますと、世のいわゆる識者の方々、学者あるいは技術者という方々の出演を相当願わなければならぬことになるわけでありますが、こういう方々の謝礼というものは必ずしもNHKと民放と開いておってけっこうだということにはならぬと思う。しかも今後のNHK使命考えた場合においては。だから個々の問題になって参りますとまことにむずかしい問題でありますけれども、娯楽という面とこの教育教養という問題については、出演者の謝礼というような点についても、私は相当考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思うのです。一般のスター並みにこれをつり上げていくという必要はありませんけれども、しかし普通の社会人として学者グループあるいは技術者の方々をお招きするという場合に、あまりにも名誉でない薄謝協会という名前は、こういう面から払拭していっていいのじゃないかというように考えるのでありまして、出演者の謝礼費も全部去年の据え置きということについては、そういうこまかい個々の問題については、やはり実行段階としては分けて考えてみる必要があるのじゃないかということをまず申し上げておきたいと思うわけであります。  そこで、今回教育教養という問題が出て参りましたけれども、一体NHKの番組として具体的に教育番組、教養番組というようなものについてはどういうもの考えておるのか。このNHKとしての考え方一つ御説明願いたい。
  66. 前田義徳

    ○前田参考人 NHKといたしましては、大体学校放送を中心とするもの、簡単に申し上げますとこれを教育放送、教育番組と考えております。それから教養番組といたしましては、一般社会人並びに学校の学生であっても、教科課程以外のものであって人間として吸収しなければならないないもの、これを総括的に教養番組と考えております。
  67. 森本靖

    森本委員 これは非常にむずかしい問題でありまして、放送法の改正の審議のときに説明を受けたいと思いますが、ただ私はちょっと政府当局に聞いておきたいと思いますのは、教育番組、教養番組という問題については相当論議の分れるところでありますが、NHKはこれは教養番組と考える、あるいはNHKはこれは娯楽番組と考える、ところが民放ではこれは娯楽番組でない、教養番組と考える、こういうような現在の番組に対するところの考え方が、NHK、民放それぞれのセンスによって違っているのじゃないか。ところが一たびこれを法律において教育番組、教養番組ということにいたしますと、これは民放、NHKを問わず、やはりこれは教養番組である、教育番組であるという水準は一緒になってくると思うのですが、この辺の見解というもの一つ詳しく説明を願いたいと思う。
  68. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 教育教養という名前の定義あるいは内容につきましては、非常に論議の多いところでございまして、今度の放送法の原案にありますような非常に簡単な定義はいたしてございますけれども、これを実施するに当りましてはむずかしいことを私も認めております。しかし仰せのごとく、かように法律をもって定義します以上、日本放送協会であろうと一般民間放送であろうと、同じ言葉が同じ内容について定義をされるべきであると考えておるわけであります。つまりNHKだからレベルが高いのだとか、民放であるから低くてもいいだろういうことは考えておりません。だから前田局長からお話がありましたように、教育と申しますのは、学校向けの放送あるいは学校の先生がせられるであろうようなお話、講義のようなもの、あるいはそれに類するもの、あるいはそれに関連の深いような番組を特に教育報組というふうに考えておることは御承知の通りであります。教養番組と申しますのは、これは最近では科学技術の振興についての必要ないろいろな番組であるとか、たとえば製造工場の内容を示すような番組であるとか、あるいは私の考えでは劇というようなものでありましても、歴史とか、地理とか、そういうふうなやがては教育効果を端的に現わし得るような、教育に非常に関係の深いような内容でありますならば、これは教養番組として分類してもよろしい。一がいに劇だからあるいは物語であるから、あるいは音楽であるからこれは教養番組でないというふうに断ずることは非常に困難でありまして、そういうことの判定にはやはり相当な時間と多くの人の批判、あるいは検討を経てだんだん固まりまして、やがて日本における教育番組、教養番組というものはこういうものだというふうに基礎づけがある程度時間を経て可能になるだろうと考えております。そういう意味でただいまここで教養番組というものはかくのごときものでなければならぬ、分類をあげて説明せよと仰せられましても、これは私には困難であるということをここに率直に認めざるを得ない次第であります。
  69. 森本靖

    森本委員 いずれこの問題についても詳しくやりますが、ただ私がきょうここではっきりお聞きしておきたかったのは、NHKであろうと民放であろうと法律において明示される以上は、今後はその水準がNHKと民放と違うということはあり得ない。民放であろうとNHKであろうと、教養番組という一つの定義ができれば、その定義の中で一緒になる。現在のように、民放ならこれは教養番組だけれどもNHKへくるとこれは娯楽放送だというふうなちぐはぐのことは、この法律が施行されていく場合にはあり得ない、こう解釈するかどうかという一点をはっきり聞いておきたい、こういうことであります。
  70. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 先刻申し上げましたように、全く同一のレベルのもとにおいて考えるべきものと思います。
  71. 森本靖

    森本委員 それからもう一つ、今回の場合にこの問題も非常にむずかしい問題でありますけれども、いずれ詳しくやりますが、NHKの御意見を聞いておきたいと思います。「善良な風俗」ということが今回の放送法の改正に入っておるわけでありますが、NHK当局としては、この「善良な風俗」ということについては一体どういうようにお考えになっておるか、ちょっとお聞きしておきたいと思う。政府はあとでまたゆっくり聞きますから。
  72. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもは良識のある社会生活、そしてその一つの行き方としてそれが客観的に大体大多数から是認されている風俗が、善良な風俗であるというように解釈して参りたいと思っております。
  73. 森本靖

    森本委員 NHKに今質疑応答を詳しくやって、直ちにどうしようこうしようというわけではないのでありますが、いずれこの問題についてはあとでこの法律の問題のときに質問いたしますけれどもNHKとしてもこれは抽象的なことでなくして、やはり具体的にこういう問題については、法律がこういう形になっていく以上は、政府はこう解釈をする。NHK公共放送として、やはり教育教養あるいは娯楽あるいはこの善良な風俗というような問題については、意見の統一、思想の統一というものNHK当局の中においても、ある程度議論を戦わして、その上においてNHKはこう考えるというふうな意見の集約は一つ十分考えておいてもらいたい。これはそのときまかせの答弁でなくて、他日日を改めてこの問題についての質疑応答があると思いますので、そういう点の意見はよくまとめておいてもらいたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、今回の放送法の改正についても、さらにNHK予算関係がありますけれども経営委員長がおられませんので、ちょっとこの問題についてはわかりにくいと思いますが、これははっきり申し上げますと、今回の経営委員の報酬については、この法律がかりに改正されていった場合、NHK当局としてはどういうふうにお考えですか。これは非常にこの解釈がややこしいわけでありますが……。
  74. 野村秀雄

    野村参考人 今度の改正によって報酬を受けることができるということになっております。報酬を出すということになっていないために、私どももこれは経営委員会とよく相談して決定いたしたいと思うのであります。
  75. 森本靖

    森本委員 その答弁が一番無難な答弁でありますけれども、私が具体的に聞きたいのは、もし経営委員に報酬を出すということになるとするならば、これは少くとも国会承認を経たところの経営委員である。その他の国会承認を要するところの委員との振り合いというもの考えていかなければならぬと思う。ただ今までは報酬というものを出さないということでありましたので、これはおそらく旅費と日当だけでよろしかったかと思いますけれども、もしこれを出すということになりますと、なかなか私はそう簡単にいくものではないというふうに考えるわけでありますので、特にお聞きしたわけでありますが、この問題についても追及はいたしません。  そこで会長にちょっとお伺いしておきたいと思いますが、今回の放送法の改正において、会長経営委員から除外をせられることになっております。このことについて会長としてはどういう御所見を持っておられますか。これは政府当局の説明によりますと、決議機関というものと執行機関というものを分離をする、こういう形がいいという考え方でこの法案を出すというふうに伺っておりますが、これに対するNHKとしての意見はどうですか。
  76. 野村秀雄

    野村参考人 経営委員会意思決定機関であり、会長は執行機関の長であります。そこで責任の限界が明確になって、会長が今後仕事をする上において大きなる責任を感ずると同時に、また仕事がしやすくなる、かように私は考えております。
  77. 森本靖

    森本委員 放送法の改正にからんでの質問はこの程度にいたしておきまして、次に私がお聞きしたいことは、受信料の問題であります。この受信料の問題はいつも問題になるわけでありますが、現在までこの受信料について、私はNHKの放送は聞いておらぬから払いません、こういう人に対する措置をNHKとしてはどういうふうにとられておるか、この措置についての御所見を伺いたいと思います。
  78. 首藤憲太郎

    首藤参考人 その仰せのような例はごくまれにはざいますが、そういう方に対しましては、われわれの方の係員が出向きまして、十分にわれわれの受信料の性格なり、あるいはNHK仕事を御説明申し上げまして、十分御納得いただいてちょうだいするという措置を講じておるわけであります。
  79. 森本靖

    森本委員 もうしばしばその答弁は聞いたわけで、聞き飽きておるわけでありまして、それでもどうしても払わぬというのが全国でおるはずであります。それでもどうしても払わぬという者に対してNHKはどういう措置をとっておるか、何らか具体的な措置をとらなければ、これはどんどん広まっていくのじゃないか。あなたの方ではないと言われるけれども、私の選挙区だけでも資料を集めてくるならば相当ございます。だから全国的にはかなりそういうものがあるだろうと思う。けれどもNHKとしてはそんなものをあまりがたがた言ってもらっては困るので、これは毎年々々減っていく中に入れてしまっておるのじゃないかという気がするわけでありますが、その措置をどうしておられるか、こういうことです。
  80. 首藤憲太郎

    首藤参考人 お払いにならない方にいろいろございまして、これは森本先生も御専門家でございますが、お金がないのでお払いにならないという方もたくさんございます。ほんとうに払う意思がないからお払いにならないというのは、いろいろお話しすれば、実はまれなんでございまして、お払いにならない方に実はいろいろな方がございますので、おしなべてそういう方には、われわれの方から参りまして先ほど申しましたように、いろいろ手を尽しまして、御納得をいただくように努力をしておるという現状でございます。
  81. 森本靖

    森本委員 その現状はよくわかりますが、どうしても払わぬというものについてはどうするか、このことを聞いておるわけですよ。どうしても払わぬというのがおりますから……。
  82. 首藤憲太郎

    首藤参考人 そういう方、あるいはほかにもどうしてもお払いになれないような方も中にはございますが、実は何回も努力いたしまして、どうしてもちょうだいできないような場合は、これはやはり一応未収金にいたすわけでございます。
  83. 森本靖

    森本委員 どうしても払わぬという場合は、これは未収金として処理するということよりも、ほかに方法はないのですか。それならどんどん未収金がふえていったらどうなりますか。これは私はそういう政治的な問題をからんで質問をしておるわけじゃないですから、誤解をされぬように……。実際に下部においては郵政省の職員がこれを集金する。何回行っても何べん説得しても、おれはNHKは聞いておらぬということで払わない。それで五回も十ぺんも郵便局の局員が行くけれども、払ってくれぬ。こういうことでどうにもならぬ。そこでたまたま私のところにこれはどうしたらよいかということで相談に来たから、それほど何回も行って払ってくれぬものは仕方がない、一応NHK責任だから、NHKにそういう付せんをつけて返してみなさい、こういうことで話をしたことがありますが、ともかくこれが漸次普及をするというような気配もありますので、一つこれについてははっきりどう考えるかということについて答弁を願いたい、こう思うわけです。
  84. 首藤憲太郎

    首藤参考人 郵政委託のものにつきまして、実は統計もとっておるのでございますけれども、前からそういうふうな意味で郵政からお戻しいただくのもございますけれども、これは実は件数の上でそう激増しておるという現象はございません。たとえば三十二年の三期末の数字でございますが、一応特定局からお戻しいただいたのは約四千件ございます。これは全体の比率に対しまして〇・一%でございます。その〇一%のうち、さらにわれわれの出先の係員が行きまして、郵政省にもさらに御協力願いまして、相手方を訪問いたしましていろいろと御説明して、あるいは御転居の場合に行き先をいろいろ調べるというような措置によって、そのうち約半分はまた払っていただくような状況になりますので、あらためてまた郵政省の方へまた戻しまして、取っていただいておるということになっておるわけであります。結局そういたしますと、最後にそういうふうなことで残りますのは、〇・〇五%くらいになるわけであります。このうち転居しまして行方不明になっている方もございます。いろいろな方があるわけでございます。大体数字はそんな関係になっておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  85. 森本靖

    森本委員 全国で四千件ということになって、その半分を返して、もう一ぺん再度請求せよといわれるから、実際に集金をする者は頭が痛くなる。払わぬ者はきまって払わぬ。そういう理屈を言う。絶対に払わぬと言うてがんばるのはきまっておる。それをまたNHKから善処してくれ、取ってくれというので、また行ってみる。取れぬ、また戻す。こういうことが重なるのが実例であります。そこでNHKとしてはこういうものについてはどうにもしょうがないが、何か方法がないかということです。法的に何か訴える方法があるかないか、こういうことです。
  86. 首藤憲太郎

    首藤参考人 われわれとしましてもやはり聴取者に納得していただいてちょうだいいたすのが趣旨でございますが、現在われわれがやっております努力を一そう続けたい、かように考えておるわけでございます。
  87. 森本靖

    森本委員 それはよくわかりますけれども、だからどうしても払わぬという者に対しては、何ともしようがないかどうかということです。何か特別にとる方法があるのか、あるいは何ぼ説得しても払わぬという者にはもうお手上げか、こういうことです。そのことをはっきり聞いておるわけです。訴訟があるというようなことも言われておりまするが、そういう方法があるかどうか。こういうことを聞いておるわけです。
  88. 首藤憲太郎

    首藤参考人 法律的には訴訟いたします方法がございますが、われわれとしましてはそういう方法はとりたくないと実は考えておるわけでございます。
  89. 森本靖

    森本委員 そういう訴訟の方法があるけれども、今までかって例がない、だからなるべく納得していただいてやっておる、こう言っておりますけれども、一ぺんこれをやってみたらどうですか。この問題については、もう一応何かはっきりしたけじめをつけるべきだと私は思う。あなた方上の方だからそういうことを言っているけれども、実際に下の方で集金をする者にとってはたまらぬですよ。それからこの問題がいまだにうやむやになって、もやもやしているのはここに原因がある。だからNHKは一回思い切って勝つか負けるか、訴訟をやってみたらどうですか。そうすると料金問題についてとやかくの意見があり、また批判があるけれども、その問題が明確になってくる。そういう点についてはどうですか。
  90. 小松繁

    ○小松参考人 この問題は、先ほどから数字を申し上げましたように、委託集金の約四百万くらいの数に対して、実際に取れない数というのはきわめてわずかなんです。従いまして、そのままでよろしいということは決して考えておりませんが、この問題については、われわれは先ほども申し上げましたように、非常に努力を重ねることによって、やはり納得いただけるという方法の効果が相当上っておりますので、そういう方法をとっておりますが、今森本委員の御質問の問題につきましては、私どもとしては十分検討いたしておりますが、さらに研究を重ねたいと存じております。
  91. 森本靖

    森本委員 なぜ私がこういうこまかい問題をしつこく言うかというと、これをこのまま放置しておくと、法律は国民に平等であるという建前がこわれてしまうのです。一方では、とにかく理屈を言い、理屈をこね回して払わなかったら、現実の問題として得だということになる。だからこういう問題をそのまま放置しておくということは、いかに全国で四千件しかないといっても、やっぱり私はおかしいと思う。だからこの問題については、去年もおととしもこの委員会で聞いておる。もう三年にわたって聞いたけれども、なるべく了解を求めて取るようにいたしますとしか答弁がない。だからこの問題についてはNHKも十分に検討するということでありますので、次にはっきりした返事をもらうことにいたしまして、きょうは私はこの質問については終りますが、もう一つ、集金にからむ問題でありますが、前から私が言っておりますところの委託集金を廃止をして、何かサービス会社的なものをこしらえて集金をするというふうな方法はありませんか。前から私は言っておるわけでありますが、各村々において町村民税を委託して集金をさして、けっこう成功をしているわけであります。ところが委託集金の問題で、郵政省の職員組合と郵政省とがやっさもっさ争っておると、肝心のNHKは静観をしておって、年に一回ぐらいシガレット・ケースを局長あたりに配ってごきげんをとるというのが現状でありますが、そういうことよりも、一つ根本的に、この集金対策については、この委託集金を廃止して、いわゆるラジオ・サービス・センターみたいな機構において集金をするというふうな点はお考えになりませんか。
  92. 小松繁

    ○小松参考人 今の問題につきましては、地方の末端局の方で委託集金をおやりになっておる方々から、むしろこの制度がいいという声もわれわれはじかに聞かされているわけであります。またこの制度は必ずしも最善ではないという声もあります。従いましてこの委託集金問題につきましては、私どもは各方面の意見も聞きいろいろ検討しているのでありますが、今のところこの制度がいいという意見と、もう少し研究した方がいいという意見と、半々に分れているように感じております。私どもは決して今の制度が悪いという結論には現在は実はなっていないのであります。しかし今森本委員のおっしゃいましたような面もありますので、研究はしておりますが、実はその結論は出ていないのでございます。
  93. 森本靖

    森本委員 これも三年前から私がこの委員会で言って、毎年予算審議のときに、研究をしております研究をしておりますということで、ちっとも結論が出ないわけであります。あなたがお聞きになったのはおそらく郵政省の管理者あたりから聞いて、そう問題がないというふうに言われるのかもしれませんけれども、実際に集金をする従業員にとっては、これを何とかやめてもらいたいという声が多数あるわけです。全逓で闘争を始めて、この集金の問題が持ち上ってくると、各放送局の局長が組合の方に行って、この集金のことだけは一つやめてくれ、こういうふうな要望も全国的にあるようであります。私はこういう問題についてはなるべく早く合理的に解決をつけた方がいいと考えておりますので、あなたの方でもおざなりに、検討いたします検討いたしますという答弁をせずに、具体的にサービス・センターみたいな組織についても、それが採算がとれるかどうか、一つ真剣に研究をしてもらいたい。ただおざなりの答弁を三年間も繰り返されておったのではわれわれもかないませんので、検討するなら一つ真剣にこの問題と取っ組んで検討してもらいたいと思うのですが、会長、この問題はどうですか。
  94. 野村秀雄

    野村参考人 私今初めて聞いたようなわけでございます。よく内部の事情も聞きまして、ほんとうに検討してみたいと思います。
  95. 松井政吉

    松井委員長代理 他に質疑がなければ、本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次会は来たる十九日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十八分散会