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1958-03-12 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十二日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員   委員長 片島  港君    理事 上林山榮吉君 理事 小泉 純也君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君    理事 森本  靖君       秋田 大助君    伊東 岩男君       川崎末五郎君    粟山  博君       小松信太郎君    佐々木更三君       杉山元治郎君    原   茂君       松井 政吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         日本電信電話公         社理事         (業務局長)  吉澤 武雄君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  米澤  滋君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         企画局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   首藤憲太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月十二日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として福  田赳夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福田赳夫辞任につき、その補欠として南  條徳明君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十一日  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一八号) 同日  千代川郵便局移転昇格に関する請願田中伊  三次君紹介)(第一八一二号)  竹之浦簡易郵便局の無集配特定局昇格に関する  請願有馬輝武紹介)(第一八一三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣  提出第二四号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一八号)  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  まず公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題として、審査を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 この公衆電気通信法の一部改正についての、この地域団体加入電話についてはいずれ聞くことといたしまして、過日、加入電信の問題について、当委員会として正式に国際電電中央電信の二ヵ所視察をいたしまして、大体内容がわれわれとしてものみ込み得たわけでありますが、その加入電信について若干疑義の点がありますので、地域団体加入電話あとに回しまして、加入電信の点についてお聞きをしたいと思います。  まず第一番目に、この加入電信についての現在の料金をお聞きしたいと思いますが、現在の料金はどうなっておりますか。
  4. 松田英一

    松田政府委員 お答え申し上げます。加入電信は現在試行的にやっておりますために、試行料金として公社あるいは会社で取っておるわけでございますが、公社で取っておりますものの詳細はまた公社の方から説明をしてもらいますが、大体月に基本料を八千円取りまして、それ以外に通信料としまして、同じ市内、たとえば東京の中、大阪の中、名古屋の中というふうなところでは、一通話時三分でございますが、二十円、それから市外市外で、それぞれ東京—大阪東京—名古屋というふうにきめまして、適当な料金を取っております。詳細は公社からお答え申し上げます。国際の方の問題につきましては、大体対米、対欧州ともに、最初の三分間が九ドルでございます。国内的には試行でございますので、実は今までやっておりました託送サービス国際会社がやっておりましたが、そのサービスしているものを、加入電信についても試行的にやらすという格好でやっておりますので、本制度がきまりましたときに、正式に料金は取りたいというわけで、その部分については今まで事実上サービスをしているような形であります。
  5. 吉澤武雄

    吉澤説明員 ただいま監理官から大体の料金の体系について御説明申し上げましたが、なおこまかい点について補足的に私から御説明申し上げます。加入電信と申しますと、この前現場設備をごらん願いましたが、ああいうふうに中電交換機があるわけであります。それから加入者宅内テレタイプライターというのがついております。その他付属設備宅内にあるというので、創設費が相当かかるわけであります。大体宅内一個につきまして、交換機設備まで負担いたしますと、百四十万円ぐらい創設費がかかるのであります。そこで、加入電話その他の専用線の場合もございますが、大体新たにその当該利用者のために設備を要する場合、負担法の示すところによっていただいているのが普通でございますが、加入電信につきましては、初めに当りまして創設費をちょうだいするのは、今後の普及について相当支障を来たすであろうというので、創設費は社債なり負担金をちょうだいしない方針でやっております。従ってまず加入料としまして、一加入電信ごとに三百円いただく。それから装置料といたしまして、一加入電信ごとに六千円をちょうだいする。この装置料と申しますのは、宅内の諸経費でございます。人件費その他の消耗品費、こういうものを六千円ちょうだいする。それがまず入るときの負担でございます。それから入った後における負担というものは、月々使用料としていただくのでありますが、その使用料基本料通信料二つに分れておりまして、基本料と申しますのは、通信をするしないにかかわらず加入者としておる以上はちょうだいする料金、これが八千円でございます。なおこの加入電信の場合、テレタイプライター以外に鑚孔機というものを特に必要といたします。そういう場合には二千円の鑚孔機料としての月額の料金をちょうだいする。大体現在の加入者鑚孔機まで持っておるのが普通でありまして、それで一万円というものを基本料負担をしていただいております。それから通信料でございますが、今も監理官の方からお話があったように、通信料市内通信料市外通信料二つございます。市内通信料通信ごとに二十円、市外につきましては、一通信、すなわち三分ごとに、その当該区間市外通話普通料金、こういうものをいただくことになるわけであります。以上がこの料金内容でございます。
  6. 森本靖

    森本委員 その市内通話の三分間の三十円というのは、これは市内相互間の加入電信が行う通話料ですか、それともその他のいわゆる電報局との間に行う通話料金ですか。それから市外通話料金というのは、どういう意味ですか。
  7. 吉澤武雄

    吉澤説明員 市内通信料金というものは二十円ということを申しました。これにつきましても、やはり三分を通信時間の単位といたしております。従って市内加入者相互、たとえば東京加入者相互間でやる場合には二十円でやるわけであります。それからもう一つ託送ということが当然考えられます。東京でいえば、中電の局に加入者から電報を打つ、それを一般加入者でない電報として託送する場合、それも同じように二十円ちょうだいする、これが市内通信料内容でございます。
  8. 森本靖

    森本委員 市外というのはどういう料金になっておるのですか。
  9. 吉澤武雄

    吉澤説明員 市外と申しますと、電話のシステムと同じに考えております。この市内通話は今の普通加入区域相互間の通信市内、それ以外のものか市外通話になります。現在でありますと東京から大阪名古屋、こう三都市間が実際にやっております。その場合に東京から大坂の料金はいかほどか、こういうことになるのでございますが、東京—大阪の距離によりまして今市外通話料が定められております。至急でもなければ特急でもない、普通の通話料金をこの市外通信料として三分間でやっております。
  10. 森本靖

    森本委員 そうすると、局へ送る場合の現在の普通の託送電話料というのはどのくらいになっておりますか。
  11. 吉澤武雄

    吉澤説明員 これは現在電報を打つ場合に、電話加入者託送をする場合でございます。その場合におきましては託送料として一通ごとに五円ちょうだいいたしております。これが普通でございます。それからもう一つ、今お話商社銀行のようなところは非常に電報をたくさん打つために、特に電報局商社銀行との間に専用線を持つ場合があります。これは別にまた専用線料金というものをいただいております。これは託送料ではございません。
  12. 森本靖

    森本委員 その専用託送料金の場合は幾らですか。私の質問の要点は、この加入電信市内の三分二十円というものと、一般電話託送によるものとの料金の差を聞いておるわけです。それから見ると、この加入電信市内託送というものは非常に安いのではないか、こういうことが言えるわけです。三分間で二十円ということになりますと、私の勘定でもこれは、千百二十五字ということになって、かなりの電報通数になるわけです。ところが片方の託送料金の場合は、これも非常に高い。これでやると、私の聞いたところによりますと、加入電信というものを、加入電信本来の目的に使わずに、実際電報局電報を送るのみにほとんど一使用しておるという加入者もあるやに聞いておるわけです。それですからその点の料金の差はどうなっておるか、こういうことです。
  13. 吉澤武雄

    吉澤説明員 お答え申します。今の一般電報につきまして、先ほど申しましたように、一通信送るための託送料が五円、さらに東京ごときは度数電話を使いますから七円、結局五円プラス七円、こういうものが一通送るための一般託送料負担になる、こうお考え願っていくことなんでございます。そこで今度の加入電信についてはどういう考え方を持っておるかというと、実はいろいろ試行の過程をたどったのであります。今後今の一般電報託送について七円と五円、両方取る方がいいかどうかということは、実は問題があるのでございます。従って今後の行き方といたしましては、電報電話で送るというのは当然こちらがサービスすべきじゃないかというので、託送料というものは廃止の方向に考えていきたい。従って今後の考え方といたしましては、七円という度数料だけをちょうだいするだけで、電報を送る託送料は廃止していきたい。実はこういう考えのもとに将来の料金合理化にその案を考えつつある。従ってこの加入電信について同じような考え方をあてはめますと、ここに電話度数料部分、それから託送するところの作業料なりあるいは手数の料金、こういうものがいずれは二つに分解できるわけです。そこで将来の電信の立て方にある程度合わすために、今回は二十円というのが一つの基本的な度数料に当る部分というので、二千円をちょうだいする、こういう考え市内通信料は二十円ということにきめたわけであります。  そこで現在の加入電信加入者市内通信を使い過ぎているのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、実はこの加入電信全般につきましても、まだ加入者が全国的に三百五、六十でございます。かつまた通信できる都市東京大阪名古屋、こういうような地域的にも狭い範囲でございまして、市外通話の量というものがあまりのしておりません。従って便宜な意味であり、当然利用されます部分として、市内部分加入電信というものが相当な通数を増している。こういうことは自然の現象かと思います。ただ料金が安いから、その方に向いてくる、こういうふうな意味ではなかろうかと思います。
  14. 森本靖

    森本委員 ただ度数制の問題についてはこれから変更するといっても、この法律が通ったならば、この料金については試行料金というものが正式の料金になるわけです。だから今私が申し上げた矛盾については、これはやはりはっきりとした解決をつけるというめどをつけてやらなければ、この加入電信電報局との間だけの通信に利用するということになると、加入電信意味が全くないのじゃないか、そういう気がするわけであります。そういう点でこの料金の問題について非常におかしいと思います。  さらに私はちょっとお聞きしたいと思いますが、たとえば東京管内におけるところの搬送電信回線が一体幾らあって、そのうちの加入電信専用回線公衆回線の比較をとってみますと、私の調べたところでは専用回線が五百八十七回線公衆回線が百十一回線ということで、加入電信の方に対しては非常にサービスが過剰になるという程度のものじゃないかという気がするわけです。こういう点を考えてみると、電電公社電信赤字というこことについて頭にきたというわけじゃないのですが、何とか赤字を克服しなければならぬということで、無理やりにあわててこれをやろうというような気がまえが、妙に私の感じではするわけであります。そこでお聞きいたしますが、この間あの場所に行ってみた場合に、この加入電信加入者電報局にそのまま託送する電報が非常に多いということになりますと、これは電報局でそれを中継用配分をして、各通信機械室配分をしなければならぬということになると思いますが、その場合、これは貼付か何かでやっているのですか、そのままでやっているわけですか。
  15. 吉澤武雄

    吉澤説明員 この前は時間がありませんでして、現場を御案内することができなかったのですが、通信室に特別の加入電信加入者からの託送用機械を設置しております。東京中電におきましてこれがたしか七台くらいかと思います。そこで各加入者から一般のものに対する電報託送を受けまして、それを一般電報と同じ取扱いによって中継受信をやるのであります。
  16. 森本靖

    森本委員 だから、あの機械で見ると、細長い紙がきておるわけです。これをもう一ぺん中継室に配る場合は、あれをそのままやっておりますか。それともテレタイプみたいにこれを貼付してそういった各回線に配っておるわけですか、どういう取扱いをやっておりますか。
  17. 吉澤武雄

    吉澤説明員 この加入電信機械には、貼付でなく、御存じのように横にずっと字が現われております。そのままのものが今の通信室託送を出すときに着信になるわけです。それを今度は各回線の方に配分をして、それで中継紙を打っておると考えております。
  18. 森本靖

    森本委員 実際現場仕事をするにはそれが一番大事な点ですが、私があそこへ行って係に聞いたところによると、これくらいの長さになってくるのですね。普通の電報中継紙はこれくらいの幅になってくるわけです。ところがあれが活字が非常に小さい。そこへもってきてさらに中継用の紙が非常に小さいということになると、これは各回線配分する場合に非常にやりにくいということを係の者が言っているわけです。私もその通りだと思いますが、この点はどう考えますか。局長現場仕事をしたことはないかもしれませんが、あなたも官練出だから現場で一応仕事をした経験もあろうと思いますが、こういう点をよく気をつけてやらぬと、現場労働者としては非常に困るのではないか。私も昔オペレーターをやっておって、これはまことに不便な機械だなという気がしたわけですが、その点はどうですか。
  19. 吉澤武雄

    吉澤説明員 実は私も現場の方の経験があまりないのでございますが、この加入電信を始めるにつきましては、努めて実際のオペレーター作業について疲労のないように考えていこうという方針のもとに、一応ただいまのような扱いをしておるわけでございます。これがだんだんふえて参りますと、おっしゃるようにこれが作業なりあるいは通信の送達というような意味で、非常に改善の余地が出てくるだろうと思っております。従って加入電信につきましては現場通信局、本社が共同いたしまして、今通信作業及び機械操作の一貫した研究をやりつつあるのでございます。今御指摘のようなことについてはわれわれも現場の意向を十分体して、改善していきたいというふうに考えております。
  20. 森本靖

    森本委員 それと、これは私もあそこへ行って気がついたわけですが、一つ一つこれを加入電信相互間の通信をやるのは比較的問題がないとしても、電報局で中継する場合、たとえば料金計算をするにも、この字数をはかるについても三十字ぐらいのさしを持ってきて一つ一つやっておったのでは、これは私は担当の係はなかなか厄介だろうと思う。これは料金計算にも非常に困るということを言っておりました。それから特にあの活字一般のタイプから見ると、非常に小さい。これはいわゆるオペレーターがそういう面からしてもなかなかやりにくいということを、現場でわずかな時間でありましたけれども、ちらっと聞きましたが、そういう点は、一つ公社はこれを完全に施行する場合にそういう小さなところまで気をつけて、万遺憾なきを期してもらいたいということを、私はこの際特に要望しておきたいと思います。  それからもう一つは誤字の点であります。一般局内における訓練局内の者で訓練をするので、そう大して問題はないと思いますけれども、加入者に対する訓練というものはどういうふうにやっていますか。
  21. 吉澤武雄

    吉澤説明員 加入者に対する訓練につきましては、公社の方で実は訓練をお引き受けいたしましてやることになっております。現に加入電信を始める場合におきましても、各加入者会社銀行からその従事する方を公社講習室といいますか、訓練室へ来ていただきまして、現物によってたしか一ヵ月ないし二ヵ月訓練したことはございます。今後といえども新しく入る方、及び新しく開設する地域におきましては、こちらの方で十分なる設備なり、あるいは訓練の教師なりを用意いたしまして、その点は遺憾ないようにやっていくことになっております。
  22. 森本靖

    森本委員 あなたはそう簡単に言われるけれども、あの機械はちょっと見ると、やはり印刷電信と同じくらいに訓練が必要じゃないかと私は思うのですが、一ヵ月ぐらいであれが十分に操作できますか。私は背印刷電信をたたいたことがありますが、一ヵ月や二ヵ月、印刷電信をたたくのに一人前にはならぬですよ。少くとも通信課にあって一年ないし一年半はたたかなければ、印刷電信については一人前の人間にならぬ。ところが、あの機械キー位置もちょっと違っておったように見ましたが、あれは一カ月やそこらではなかなか訓練が行き届かぬのじゃないか、私はこう思うわけですが、その辺はどうですか。
  23. 吉澤武雄

    吉澤説明員 実は今こまでの加入者の四百加入の大部分は、現在本店、支店を持ちまして、大体あれと同じようなキーによってたたくところの、テレプリンター仕事にある程度習熟している方が多いのであります。従ってこの新しい機械そのもの内容なりを知りますと、大体一ヵ月くらいで十分であるわけであります。なおその点について、全然新しい人という問題につきましては、何も期間を一ヵ月に限るということではなく、事前に、電信局にそういう部屋がございますから、御希望によっては、十分習熟するまではこちらの方で御指導なり協力するということにいたしております。
  24. 森本靖

    森本委員 ところが、その訓練があなたが言うように、一年間は二人までは無料訓練をするけれども、あと訓練者一名について何ぼというふうな料金を取って、公社の方では訓練をしておるようですが、全部こういう訓練無料でできませんか。
  25. 吉澤武雄

    吉澤説明員 一定の期間につきましては無料でやっております。それ以上の場合におきましては——実はこれは料金というものではございません。訓練に必要なる一部分の実費をちょうだいしておる程度でございまして、そう大した負担にはなっていないというふうに考えております。
  26. 森本靖

    森本委員 その負担になっていないと言われるけれども、実際には負担になっておるようでありますが、そのことはあまりこまかいことでありますので、そう追及はいたしませんけれども、この訓練についても、万遺憾なきをぜひとも期してもらいたい。そうしないと、ああいう機械ですから……。ここに一つ統計が出ておりますけれども、たとえば鑚孔の事故率の多いものは、一万字当りで一・五字の誤謬率加入電信はやはり九字の誤謬率が上っておる。これは中央電信ではっきりした統計が上っておるから、加入電信が非常に誤謬率が多いということは事実であります。これはやはり訓練の不足に原因をするということもはっきりしておるわけでありますので、訓練については加入者も十分に考えてもらいたいし、その点については、公社指導の万全を期してもらいたいというように考えるわけであります。それと同時に、この加入電信加入者オペレーター資格というもの、これはたしか私がおった時分には一級、二級、三級というような資格を、有線においてもきめておったと思います。加入電信についても、そういうふうな一応の級をきめて、そうして三級以上の資格がなければ、通信に携わることができないということぐらいはやはりきめないと、公社技術水準と、一般加入者技術水準というものは著しく違ってくるのじゃないかということを考えるわけです。昔は電信局とそれぞれの商社とが、実際の通信を持っておった場合でも、ほとんど電報局なりあるいは通信局の実際の従事員が、その商社商社員としてかわって行ったという歴史があるわけであって、それを今回のように、商売気に、加入電信というものはなかなかいいものです、しろうとにもすぐできますから、一つ加入電信に御加入下さいということを言って、加入を奨励して、そうしてせっかくでき上っても、実際問題としては今言ったようないろいろな隘路が出てきおる。特にこれの検定試験というようなものについては、ぜひ私は考えるべきではないかと思う。PBXでもそういう資格問題がやかましい折でありますので、この点はどういうふうにお考えですか。
  27. 吉澤武雄

    吉澤説明員 御趣旨のように、目下研究中でございます。PBXごときは、法律ではっきり資格認定規定がありますが、これは法的根拠がございませんけれども、目下どういうふうな考え方にすべきかということで検討中でございます。
  28. 森本靖

    森本委員 何でも答弁目下検討中、善処いたしますという答弁が、一番いい答弁でありまして、それ以上いい答弁はないわけでありますが、局長の言を信頼いたしまして、その検定試験の問題についても、将来加入電信をあなたの方が二千台にもふやすということを考えていくならば、この点は非常に重要な点だと思いますので、これはおざなりの答弁でなしに、この点については一つ真剣に考慮願いたい、こう思うわけです。  ついでにちょっとお聞きしておきたいと思いますが、あの加入電信機械の様式については、一通りですか、それとも二通りでありますか。
  29. 米澤滋

    米澤説明員 現在のところ二通であります。
  30. 森本靖

    森本委員 これは同じ機械でありながら、どういうわけで二通りにしたのでありますか。はなはだおかしいように考えるわけですが、その理由を一つ……。
  31. 米澤滋

    米澤説明員 従来新しい方式を入れます場合には、一つではなくて二つ入れまして、相互に品質の改良であるとか、あるいは方式改善といようなこともありますので、二通りにいたしました。
  32. 森本靖

    森本委員 二通りでやってみて、その中のいい方を一つとるということなら、まだ話はわかりますが、最初から二通りやって、将来もずっと二通りでやっていくということになりますと——その前にちょっとお聞きいたしますが、その二通りというものは、キー位置は全部同じですか。操作は……。
  33. 米澤滋

    米澤説明員 大体運用の方面においては一緒であります。
  34. 森本靖

    森本委員 それでは何が違うわけですか。
  35. 米澤滋

    米澤説明員 結局、中を分解してみますと、その部品の配置であるとか、あるいは全体のこまかい部分が違っておりまして、取扱い上は変っておりません。
  36. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、キー位置その他についての取扱いは同一であって、その機械の内部構造、要するにこれを保全する方面が違ってくる、こういうことですか。
  37. 米澤滋

    米澤説明員 その通りであります。
  38. 森本靖

    森本委員 私はそれ以上調べておらぬのでわかりませんけれども、加入電信機というものは、特に神鋼、沖、この二つ通信メーカーに注文をして作ったということだそうでありますが、下手な想像をいたしますると、一つ会社で作るのがほんとうだけれども、あっちにもこっちにも顔を立てなければならぬということで、両方に作らせたというようなことも想像ができるわけです。想像は勝手ですから……。それはそれといたしましても、われわれがはたから見ておりますと、これは何もこういうようにややこしく二通りの機械を作らなくても、同一の規格であれば、取扱い者においても便利だというふうに考えているわけでありまして、この点についてははなはだ理解に苦しむのでありますが、神鋼、沖という二つ会社に注文したのは、何か特別の理由があるわけでありますか。なければけっこうでありますが……。
  39. 米澤滋

    米澤説明員 別に特別な理由はないのでありまして、たとえばほかの例をあげますと、搬送装置あたりを作る場合にも、必ずしも一社でやっているわけではありません。三社にやらせるということは今までたびたびやっておりますので、別に特別な意味はございません。
  40. 森本靖

    森本委員 これは公社ではございませんけれども、公社に関係がありますが、電電公社加入電信のものが、国際電信加入電信のものと通信をする、こういうことがこの公衆電気通信法が施行されたら出てくると思いますが、そういうことはできますか。
  41. 松田英一

    松田政府委員 電電公社加入者が外国の加入者といいますか、つまり国際電電加入電信を扱っております相手国の加入者と話をしたいというときには、その間に転換装置を置きまして接続をして外国の加入者通話ができるというふうになっております。しかし国内的に国際電電加入者電電公社加入者が話をするということはございません。
  42. 森本靖

    森本委員 今言った公社加入電信が外国の加入電信と直接の通信をするというのはまだやっておりませんか。今やっておりますか。
  43. 松田英一

    松田政府委員 直接つながるというのはまだやっておりません。多分四月ころから始められるだろうという話を聞いております。現在は一応国際のところへ、何といいますか託送の格好になりますが、国際のところまでは国内の電信が通じまして、そこで国際電電電報託送し、そこから別に電報を打つという格好で、直接にはつながっておりません。
  44. 森本靖

    森本委員 その場合の料金の計算はどうなりますか。
  45. 松田英一

    松田政府委員 料金の問題につきましては実はまだ国際電電電電公社の間において取りきめがきまっておりませんので、確実なことは言えないのでございますけれども、電信加入者ということから申しますと、電信加入者国際の方にそれでつないでもらうというときにも、結局は外国との間に取りきめております何と申しますか、先ほど大体九ドルと申し上げましたが、国内でいえば三千二百四十円の料金でございますけれども、それだけに多分なるだろうということであります。
  46. 森本靖

    森本委員 かりにこの法律が通って施行することになったら、四月からやるというのに、まだ取りきめをしておらぬということはおかしいようなことになりますが、そういうことなら、この法律はずっとあとへ回してもいいことになりますが、それはそれとして、その料金は九ドルだけになりますか。たとえば電電公社加入電信国際電電まで行く間の料金はどうなりますか。国際電電から向うへ行く九ドルというのはわかりますけれども、電電公社国際電電との間の料金はどうなりますか。
  47. 松田英一

    松田政府委員 実は私ども決してこの法律をのんびりとかまえているわけではございませんで、鋭意検討は進めておるところでございまして、なるべく早くお通しをいただきたいと思うのでございますが、その問題は、今国際電電公社の両方の問で考えている問題と関連するのでございまして、一応は電電公社の方から国際の方につながって外国とつながるという場合に、その電信加入者から国際のところまで頼む分につきましては、九ドルの中に含まれると申しますか、国際テレックスの一環として、その中に入っているものとして考えなければならぬだろう。しかしその場合に、では国内の加入電信の方が、国際に直接入っている加入電信の方と国際との関係のように、たとえば途中でいろいろ問い合せをするとか、いろいろな場合に、同じような動き方ができるかということになりますと、これはやはり公社加入電信でございますので、結局先ほど申し上げましたように九ドルの中に含まれてしまうということにいたしましても、公社はその機械を使われるわけですから、その金を当然もらわなければならないので、従って国際電電は自分の作業の中の一部というふうに考えて、実はその部分については公社に金を支払うということになるわけです。そうすると、あんまり変なやりとりがございますと、公社に払う支払い分がふえて参りまして、妙なことになりますので、その関係をどういう程度に取り扱っていくべきかということについて、両方で検討している次第でございます。
  48. 森本靖

    森本委員 大臣もお聞きの通り、法律は中身を提案しておるけれども、この法律の施行に従っていろいろ行われけなればならぬ細部の問題については、まだまだ検討を要する点が多々あると思うのです。今申し上げた料金の問題一つをとってみても、私のしろうと考えでいきますならば、国際電電に行くまでの料金は私は電電公社が取ってしかるべきだと思う。それからあと国際電電料金の九ドルについては国際電電が当然取ろうかと思いますけれども、公社加入電信国際電電の線につながってそこから向うへ行くわけですから、その分については公社自体が取り立ててもけっこうじゃないかという気がするわけでありますが、そこら辺はおえらい方々が話をしてもなかなか話がつかぬそうであります。それにいたしましても、この加入電信の問題については——あとの議事がありますので、私の質問は本日は一応打ち切りといたしますけれども、今まで私がいろいろ質問をいたしましたように、この内容については、料金の問題にいたしましても、あるいは訓練の問題にいたしましても、あるいは契約の問題にいたしましても、あるいはまたこの要員の配置あるいは国際電電、あるいは中央電信局の内部における操作のやり方、そういう問題についてもまだいろいろ批判すべき点が多々あると思います。私がいろいろ質問した中で明確に回答ができずに、今後検討いたしますという答弁も二、三あったようでありますので、いずれこの法律案をいよいよ上げなければならぬというふうな段階になりましたら、私はもう一回納得のいくまでこの加入電信についての質問を行いたいと思いますので、次にこの公衆電気通信法の改正を審議する際には、きょういろいろの問題を宿題的に出しましたけれども、それについては今度は、検討いたしますということでなしに、こういうふうに行いたい考えておりますという態度を明らかにしてもらいたいということをつけ、加えて、私はきょうは公衆電気通信法については加入電信の問題だけにとどめておきたいと思う次第であります。
  49. 松田英一

    松田政府委員 ただいまの問題につきましては、私どもも検討を進めましてこの次にはそういうふうにいたしたいと考えておりますが、現在でも決して——問題がまだ具体的な結論にまではいきませんけれども、何もやっていないわけではないのでございまして、たとえば先ほどの料金の問題にいたしましても、電話の場合にいたしましても、これは国際通信というものの観念といたしまして、日本の国のどこから出ましても、とにかく日本からの通信料金ということでもって統一的に扱って、同じ料金で扱っております。そういう関係もございますので、その端の方は公社の取り分、それからきまっている料金国際の取り分といたしますと、各加入者から取る料金がばらばらになって参りますので、結局公社が、自分の方が扱った分は当然もらわなければならぬのだと申しますから、それは国際電電の方から公社に払っておるわけであります。しかし加入者には同じ料金をを取っておるということになっておりますので、加入電信の場合もやはり電話の場合と同じような観念でいかなければならぬだろうという原則は考えておるわけであります。しかしその間に若干の違った様相のところもございますので、具体的にはもう少し固めてからにしたい、こういうことであります。
  50. 森本靖

    森本委員 僕は質問を打ち切ろうと思ったけれども、あなたが意見を言われるからややこしくなったと思うのです。国際電電の場合は九ドルを取って、その中から今度は電電公社に払うということになると、公社国際電電という二つ公社会社というものがそれぞれ独立をした機関であるということになりますと、ちょっとおかしいと思うのです。だから、その場合は公社公社分の料金を取り、国際電電国際電電分の料金を取るというのがはっきりしたやり方じゃないかと思う。国際電電がもうけているから、そっちの方からちょっと取ってやったらいいじゃないかという考え方なら、これは別ですよ。しかし国際電電電電公社というものは、それぞれ違った一つ  の経営形態を持っているという考え方に立つならば、公社公社料金国際電電国際電電だけの料金を取るという考え方が正しいのじゃないかと考えるわけですが、これは十分検討して、次の質疑応答のときに明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。     —————————————
  51. 片島港

    片島委員長 次に放送法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を行います。  まずその趣旨について説明を求めます。郵政大臣田中角榮君。     —————————————     —————————————
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明もうしあげます。  放送法の施行後、わが国における放送事業は、一般放送事業、いわゆる民間放送が発足し、きわめて顕著な発展を示しつつあるほか、日本放送協会および民間放送を通じて、テレビジョン放送の飛躍的な普及を見ており、その発達はまことに著しいものがあります。従いまして放送が国民生活に及ぼす役割、影響力もまた重大なものとなっており、しかもこの傾向は将来さらに増大するものと予想されます。右の事情にかんがみまして、日本放送協会につきましては、公共の福祉のため、放送及びその受信の進歩発達をはかるように、一そう積極的な活動が要望されますので、その業務の範囲を拡大し、機構を整備し、及び財政能力を充実いたしますとともに、放送番組の編集及びその放送の適正をはかるため、その指標を明確にし、内部に放送番組審議会を設けることとし、また一般放送事業者につきましても、放送番組の編集及びその放送の適正をはかる等、所要の規定を整備いたそうとするものであります。  この改正案のおもな点について申し上げます。  まず日本放送協会に関する事項について申し上げますと、その第一点は、日本放送協会の公共的な性格をより明確にし、その活動を活発にさせる措置として、その業務、機構及び財務等について、次のことを規定しております。  その一といたしまして、現在の協会の行う業務の範囲は、協会の放送に関することに厳格に限定されておりますが、本改正においてはこれを広げて、放送協会のだけにとどまらず、わが国の放送全体の進歩発達を目的として、放送及び受信の研究調査を行うことのほか、一般放送事業者に対する番組等の提供等を行うことができること。  その二といたしまして、経営委員会は、協会の経営方針その他業務の運営に関する重要事項を決定する機関、すなわち協会の意思決定機関たる性格を明確にし、その委員の数は、現行八地区から選出される者八名のほかに全国を通じて選出される者四名を加えて計十二名とし、さらにその欠格事項を若干緩和して適材の選出を容易にし、また委員には現行法による旅費その他業務の遂行に伴う実費のほかにその勤務の日数に応じて相当の報酬を受けることができるようにすること。  その三といたしまして、会長は意志決定機関たる経営委員会に出席して意見を述べることができることとし、その議決には加わらないこととしております。これは協会の役員の権限と責任を明確にする措置であります。その他業務の範囲及び規模の増大に伴う措置として、理事を五人以上十人以内及び監事を三人以内置くものとし、また補欠会長の任期も前任者の残任期間とする現行の制度を改めて、任命のときから三年として、役員の任期が同一時期に始まり、かつ終ることによって生ずる不都合を除去する措置を講じること。  その四といたしまして、業務の範囲規模の拡大に伴い、放送債券の発行限度額を純財産額の三倍以内に拡張し、また毎事業年度の収支予算等が国会において閉会その他のやむを得ない理由で承認を得ることができない場合の臨時的措置を講じることといたそうとするものであります。  第二点は、放送番組及びその放送の向上及び適正をはかる措置として次のことを規定しております。  その一といたしまして、協会が放送番組を編集するに当っては、現行法第四十四条第三項に規定するもののほか、善良な風俗を害しないものでなければならないこととし、特別な事業計画によるものを除き、教養番組または教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならないこととなし、教育番組についてはそのよりどころを規定していること。  その二といたしまして、協会はあらかじめ放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならないものとなし、これを公表しなければならないこと。これは放送番組の編集については、協会の自主的規律にまかせようとするものでございまして、言論を統制しようとする意思のないことは、これをもってしても十分御納得がいただけるものと存じます。  その三といたしまして、協会は放送番組の適正をはかるために放送番組審議会を設けなければならないこととし、放送番組の編集の基準及びその基本計画を定めようとするときは、会長はこれに諮問し、その意見を尊重して措置をしなければならないことといたそうとするものであります。なお放送番組審議会は、会長の諮問に応じて答申するばかりでなく、放送番組の適正をはかるため必要があると認めるときは、会長に意見を述べることができることとなし、会長はこれを尊重して措置をしなければならないことといたそうとするものであります。  このほか協会は、政令で定めるところによって、放送番組の内容を放送後において関係者が確認することができるように措置をしなければならないこと、及び郵政大臣は放送法の施行に必要な限度において、協会に対し、その業務に関し報告をさせることができることといたそうとするものであります。  次に一般放送事業者に関する事項について申し上げます。  その第一点は、放送番組及びその放送の向上及び適正をはかる措置について規定した点であります。この点につきましては、さきに申し上げました協会の場合と全く同じでございまして、番組基準の制定、変更及びその公表等、もっぱら攻送番組編集の自主性をとうとびその自律にまかせ、言論統制とならないように十分意を用いた次第でございます。  なお協会の放送番組審議会と一般放送事業者が設ける放送番組審議機関と異なるおもな点は、構成員の数が協会の場合は十五人以上でありますが、一般放送事業者の場合は、十人以上である点及びその構成員の三分の一以内は、当該放送事業者の役員または職員をもって充てることができることとした点等でございます。  第二点といたしましては、一般放送事業者について、その放送の健全な進歩発達をはかり、その業務の運営に当っての準則を設けるため、次のことを規定しております。  その一といたしまして、学校向けの教育番組の放送には、業務に関する広告を含めてはならないこと。その二といたしまして、一般放送事業者はその名義を他人に放送事業のため利用させ、または他人にその名において経営させてはならないこと。その三といたしまして、一般放送事業者は受信者から放送の受信の対価を受けてはならないこと。その四といたしまして、一般放送事業者が放送番組の供給に関する協定を行うに当っては、特定の者からのみ放送番組の供給を受けることとなる条項及び放送番組の供給を受ける者が、その放送番組の放送の拒否、または中止を禁止することとなる条項を含んではならないことといたそうとするものであります。  なお、放送内容の確認のための事後整理等に関する事項及び郵政大臣の報告徴収権等につきましては、協会の場合と全く同じでございます。  そのほか以上の改正に伴う罰則その他の条文の整理を行い、及び所要の経過規定を設けようとするものであります。  以上簡単でありますが、この法律案の提案理由及びその内容の概略を御説明申し上げた次第でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたす次第でございます。
  53. 片島港

    片島委員長 なお、ただいまの説明についての質疑は後日これを行うこととし、本日は説明聴取にとどめます。     —————————————
  54. 片島港

    片島委員長 次に放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題とし、審査を行います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。橋本登美三郎君。
  55. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 きょうは十分な時間もないようでありますから、総括的な質問にとどめて、後日具体的な問題についての質問をやることにいたしまして、質議をいたしたいと思います。当然これは放送法と関連がありますので、放送法改正とも関連しての質問に相なると思いますが、まず第一に今回の放送法改正が上程されまするや、この中で問題によくせられるのは、この放送法改正は言論の自由を圧迫するものではないか、こういうような世論の一部に批判があるわけであります。そこで基本的な言葉ですが、言論の自由と憲法上にいうところの表現の自由、この相違について大臣の御所見を承わりたい。
  56. 田中角榮

    田中国務大臣 憲法に規定してございますように、言論の自由を侵してはならない、特に放送法第三条に、番組については法律、命令の定めるものを除いては何人からもその自由は侵されないと明記をしてございます。言論という憲法でいう意味は、口で言うこと、文章で書くこと、いろいろございますが、今までは特に言葉をもって表現をすること、それから活字にして新聞、雑誌等としてこれを社会に公表すること等が問題になっておりましたが、昨今は電波を通じての放送そのものが言論ということで非常に重要視をせられてきております。もちろん言論としての放送も基本的にはその自由を侵してはならない、こういう大原則は一向変らないということで間違いないと思います。ただきのう総理大臣も申しましたように、電波を使って放送をする放送は、新聞や雑誌のように無制限に何人もがこれを発表し、この事業を営むことができるものと違いまして、国際的にもまた国内的にも限られた波を特殊な人たちが特殊な状態においてこれを運用するのでありますから、もちろん公けの立場で、ある意味においては全く公共的な立場に立ってこれを運用しなければならないのでありますから、広い意味において新聞その他というものに比べて、表現そのものに対してある種の制約が求められるということは当然のことだと思うわけでございます。
  57. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 非常に言論の自由、表現の自由ということは——社会的進歩に伴って表現の自由という言葉にも変ってきたが、その内容において相違がない。従って表現の自由を守ることは、当然言論の自由を守ることである、こういう大臣の御言明であって、われわれも大体その御方針であると思います。そこできのうの本会議でも問題になったのですが、ラジオ、テレビは許可事業である、なおまたそれは要するに使用といいましょうか、電波の数に制限がある、こういうことからして当然これは何らかの形でこれを規制するといいますか、そういうような意味での法令が必要である、これも原則としては当然だと思いますが、そこで新聞の場合はややもすれば、この新聞とラジオ、テレビとを区別して考えられまするが、新聞におきましても私は発行の自由はありますけれども、普及の自由というものは必ずしも今日においては十分じゃないと思います。外国の例でいえば、ヨーロッパあるいはアメリカ等では新聞を発行し、これを販売する機関というものを十分持っておらない。大体において立ち売りが中心であって、配達というものはせいぜい一割かあるいは二割にすぎないだろうと思います。従って新聞のごときは欧米の例でいいますれば全くだれしも発行の自由があるわけでありまするが、日本の場合のように完全なる販売網を持っている、そうして好むと好まざるとを問わず、一カ月問の契約をすれば毎朝毎夕配達せられて見ざるを得ない。こういう日本の現状から見ると、新聞及びラジオ、テレビ等におきましてもある一種の制限、事実上の制限というものは同じに考えても——もちろんこれは完全に同じとは言えませんが、かなり類似の傾向を持っている。従って新聞に対しては何らの制限措置がない。それに反してラジオ、テレビ等に対しては放送法等によって一つの規制が設けられる、こういう関連についてはいかように大臣はお考えになっておられるか御答弁を願います。
  58. 田中角榮

    田中国務大臣 私は個人的な見解を申し上げてはなはだ御無礼でありますが、新聞、放送というものに対しては、基本的には言論の自由を侵してはならないということを明確に考えております。またそうしなければならないというふうに考えております。新聞にはかつて新聞紙法というものがございましたが、戦時中のいろいろな紛争、まずい経過に徴して、戦後新聞紙法は現存いたしておりません。新聞を規律するものは一切ございません。新聞や雑誌は何人も発行できますし、また対価を払って何人もこれを自由意思であがなうこともできますし、またあがなわないこともできますから、私は現在の新聞紙法を廃止せられておる状態でけっこうだということを考えます。しかし新聞紙法があるからないからというよりも、新聞や雑誌その他のものといえども、法律にはないけれども何人からも自由を侵害されないからということをもって、公共の福祉に反したり、社会の安寧秩序を乱したりするような発行をやってはならないことは、言を待たないと思います。ただ法律でこれを規制するかどうかという問題でありますが、これは規制しない方がいい、また規制すべきものではない。少くとも発行する人、編集する人の自律に待って、社会のためになるようなものを発行せらるべきだという考えでございます。しかしラジオやテレビジョンというものは、新聞や雑誌と比べてその影響力が非常に大きいというような実際的な問題からではなく、国際的に日本に割り当てられる波というものは、御承知の通り数がもう限られておるのでありますし、しかもこの波を使用して放送をしたいという人は国民の中にたくさんあります。国民の要求通りに波を割り当てることができないのであります。九千万人に全部波が与えられるのであれば、法律で律することはもちろんいけないのであろうと思いますが、非常に少い波を多数の希望者の中で特定な人を限って運用せしむるということでありますから、新聞や雑誌と違って、少くとも電波を扱う放送業者は、ある意味において新聞や雑誌よりも強い規制を受ける、精神的にも実際的にも強い規制を受けるということは、当然と申してもいいのではないかと私は考えます。放送法第三条の「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」この第三条は戦後は非常に強く言われておりますし、またこれもいいことだと思ってはおりますが、この主文にもございまするように、法律に定める権限に基く場合を除いては何人からも干渉せられない。ちょうど国会議員の不逮捕権と同じでありまして、別に法律に定める場合を除いては開会中は逮捕せられないということと全く同じ規定だと思うのでありまして、新聞と雑誌と同じように、放送さえも法律で一切律すべからざるものだとは考えておらないわけであります。しかし、間違うといけませんから申し上げますが、その大前提として流れるものは、言論でありますから、できるだけ法律その他で律しないように、特に番組や表現の自由は侵さないように留意しなければならないことはもちろんであると思うのであります。
  59. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ちょっと私の質問がまずかったので大臣の答弁がそっちに回っていったのかと思いますが、私の質問しておるのは、言論の自由を確保する、表現の自由を確立する、そういうことは新聞あるいはラジオ、テレビ等でも根本的には変りはない、こういう大臣のお考えにはもちろん同調いたしますが、その中にある番組審議会あるいは予算等というものはそういうものに全く関係なく、いわゆる数が制限されておるから許可事業になっているのであって、これは技術的な問題である。いわゆる言論統制とか言論規制を行うために法律ができておるのではない、こういうふうに解釈しておるのです。従って許可事業であるということは、電波の数が限られ、かつまた勝手な放送が行われることを防ぐためで、そういうことは主要な問題ではない。要するに技術的に見ても当然これは許可事業とせざるを得ない。こういうことからして、第三条の番組の自由というのは積極的な規定であって、言論に干渉してはいけないという言葉を別の言葉で表現しておると考える。もし番組の規制をこの法律の中に入れなければならないという意味で番組規制に関する法令がありとすれば、それは一般ラジオ・コードといわれておる条件だけであります。それ以外には番組の内容を規制する法律はないのであります。従って、ここにいう番組に干渉してはいけないという規定は、積極的に番組の内容について政府あるいは監督官庁、あるいはその他の第三者が干渉をしてはいけない、こういう意味に解釈すべきと考えているのですが、その点大臣はどうお考えになりますか。
  60. 田中角榮

    田中国務大臣 原則的にはお説の通りであります。
  61. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 予算の問題に関連しますが、今回の予算の立て方は、六十七円という基本料金というか、受信料を基礎にしての予算の立て方ではなくして、形式的にはそうなっておりまするが、実際的には約五十億に近い——まあこれはテレビ関係の問題も入っておりますが、それを除きますれば大体二十億くらいでありましょうが、少くもこの二十億という借入金によって全体の経営費及び建設費がまかなわれておる状況であります。一部の人はこれに対して、特に政府が資金的にはめんどうを見るという話し合いを聞いて、この資金自体政府のひもつきであるのではないか、いわゆる監督強化の端緒なり糸口になりはしないか、こういう危惧を持っておる。これに対して大臣のお考えを率直にお述べ願いたい。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知の通り、提案いたしました三十三年度のNHKの予算は、三十二年度に比べましてラジオにおいて十四億、テレビにおいて三十二、三億ふくれております。そういう意味赤字予算、ある意味から言うと赤字予算を組んでおることは、値上げもできないならば、ちょうどよいことでもって、政府が金を入れ、その面から政府管掌にするのではないかというような議論が一部にあるようでありますが、これはもう当らずもはなはだしいというよりも、どうもためにせんがための議論ではないかと私は思うのです。なぜならば、衆参両院でいつも議論されることは、大衆課税にならぬように、大衆負担にならないために、少くともNHKに対しては政府はもっと金を出さなくちゃいかぬということで、こうした議論が過去において相当あったことは御承知の通りなんです。ところが政府から低利の金や交付金を出すと、どうも公社や政府関係機関の色彩が強くなるということをおそれて、放送法の中に明足した方がよいという聴取料の性格さえも明定しないで——明定した方が取りやすいというのを、明定すると電波税的なものになるので、現在より少しでもNHKの性格やそういうものを変更することはしないようにということで、明定しなかったくらい慎重に考えておるのでありまして、政府が金を貸せることによって政府管掌にしようとか、政府が干渉しようとか、NHKに対する一つの道を開こうとかいうようなことは、もう金を借りると銀行に抑えられるという考えと同じことであって、そういうことは考えておりませんし、政府自体も、また私自体も、初めから足らない面に対して政府の金を入れようという考えではないのであります。NHKの自主的な立場で資金の導入等も考えてもらうのでありますが、御承知の通り三十三年度は一般の民間資金も相当窮屈な状況でありますので、そういう場合、NHKの要請があれば、そのときになってわれわれが金の手当もできないということではいけないから、何らか財政資金等によって三十三年度の予算通りの需要が執行できるように考えなければいかぬじゃないかということでございますので、この予算が国会で審議をせられて承認を受け、NHKが自分の力で市中から低利な金融が受けられ、政府資金、財政資金等が不必要であるならば、もちろんわれわれはそれを押して財政資金等を投入する意思などは毛頭ないのでありますから、いろいろな状況をお考えになっていただいて——財政資金を入れろと、国会でそういうふうなお考えでずっと議論をされ、当然大衆負担になるような場合には、政府は交付金や低利で長期なものを貸しても、NHKの業務を拡大しなければならないという基本的な考えに立っての措置でございますので、その際、ただいま言われたような意図が全然ないということを明確に私も申し上げますが、そういう誤解は解いていただきたい、そう考えます。
  63. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 一つには、そういう誤解といいますか、起きます理由は、今の大臣の説明でもまだ不十分と思いますが、いわゆる財政資金といいますと、ややもすればこれを狭義に解釈して、財政資金すなわち資金運用部資金であるというように、道路特別会計に対して資金運用部資金が貸し出されるような考え方で受け取るところにもあやまちがある。そこでもしNHKに対して財政資金を提供する場合においてはどういう形で行われるか、その点が明らかであれば、そういう誤解も一掃せられるのではないかと思うので、その点について御説明を願いたい。
  64. 田中角榮

    田中国務大臣 資金運用部資金を投入しようという考えは三十三年度においてはございません。これがあるならば今国会に提出御審議を願っている昭和三十三年度予算の財政投融資計画を修正しなければならぬのでありますから、そういう考えはないのであります。なお簡保の運用金をもって行うということは、NHKが昭和三十三年度の予算執行に当って民間資金その他いろいろな措置をしても、どうしても財政資金が幾らか必要だという場合には、三十三年度の簡易生命保険の運用金の余裕がまた少しございますから、そういう意味でNHKの放送債券を引き受けてもよろしい、こういう考えを持っておるわけなのでございます。これは幅の広いことでございまして、民間からはとても仰げない、高利にはたよれない。またアメリカにでも行ってというような電電公社のような考えを持たれるときには、アメリカから借りることがいいのかということになると、余裕がありますから、現在のところでは郵政省が自分で免許をしておるのでありますから、簡保の金をできるだけ低利にこれを貸し付けるということの方がいいのではないかと思います。貸し付けるというよりも、放送債券を引き受けるというような行き方をしたいという考えでございます。
  65. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今大臣が言われたように、借金を引き受けるというのじゃなくて、放送債券を買い入れる。従来一般のシンジケート銀行が放送債券を引き受けておったのであるけれども、三十三年度のNHKの予算においては、相当多額に上るのであって、従ってシンジケート銀行が放送債券を全額引き受けることができないのであろう、かつまた民間金融を圧迫することになるからして、その放送債券の一部分を簡保運用金、いわゆる簡保運用法に従ってNHKだけが特にこれを引き受けることができる、こういう規定があるからして、この規定に従って放送債券を引き受ける、こういうように明確に解釈してよろしいかどうか。
  66. 田中角榮

    田中国務大臣 その通りです。
  67. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そこで基本的な財政問題はそういう方針で郵政省と協議の上行うようでありますからして、これは会長並びに大臣にも関連してお答え願いたいのでありますが、本年度値上げを行うべき段階であったにかかわらず、値上げをせずして、借入金制度で行うのですが、まず第一として、本年六十七円の受信料ではやっていけないその根本の理由と、なおかつ二十何億に近い相当な借入金をラジオ関係においてはしなければならぬ、それには何か積極的な理由がなくちゃならぬと思うのです。その積極的な理由、この二つについて、一つ会長からお答え願いたい。
  68. 野村秀雄

    ○野村参考人 NHKはNHKの公共放送としての使命を達成する上において、どうしてもこのときに教育放送、ローカル放送の充実、また報道の完備、さらにFM放送の実用化促進ということと、さらに研究方面においてなおなさねばならぬ幾多の仕事があります。その上自然増による経費が必要であります。またNHKの職員の待遇の改善ということは国会においてもぜひ必要であるという御決議があったにかんがみて、われわれはできるだけのことをいたさねばならぬ、かように考えましたところ、自然増によってのまかないということはなかなか容易でありません。われわれはこの使命を達成する上において、何とかできるだけのことをやりたいと思いまして、経営の合理化ということも考えました。経費の節約ということも考えました。しかしこれにも限度があります。よってこのNHKの使命達成の積極的施策を実現する上においては、どうしてもある程度の受信料の合理的改訂というものが必要であるということを考えたのであります。しかし今の社会経済情勢から見て、この受信料の値上げというものはなかなかできない。現実がそうである以上は、この際六十七円の現行受信料のもとに計画を立てねばなりませんが、先ほど申し上げたように、積極的の施策はどうしてもNHKとしてなさねばならぬということを痛切に考えまして、ここにその積極的施策をなす上においての道として、ある程度の借入金はどうしてもなさねばならぬ、この借入金によってこれをまかなっていくのほかはないという結論に達しまして、昨日申し上げた通りの予算の計画を立てたわけであります。この機会において私は申し上げて皆さんに御了解を仰ぎたいと思うのでありますが、元来NHKの経営というものは最小の経費をもって最大のサービスをすることである、NHKは資本を蓄積したり、あるいはまた利益を留保するようなことをするものではない、その年の受信料によってその年のよいサービスをすることであるということを私は考えております。このNHKの性格から申し上げても、どうしても受信料によってまかなう以外はなすべきことではない、かようには思いますけれども、今の使命から申してやむを得ず借金をすることにいたしたのであります。私は過日中央放送局長会議並びに労働組合との経営協議会次においても申し述べたことでありますが、受信料の上にあぐらをかいておることも許されないが、さらに借金の上にあぐらをかいて安逸をむさぼることは絶対に許すべきことではない、どうしてもいっときも早くこの赤字を解消しなければならぬ、この受信料の合理的改訂というものは、必ずやNHKの現実を認識して下さる政府並びに国会においては、これを実現することに御協力下さるものと信じておるけれども、それはわれわれが信じておるだけのことであって、それに依存するいわゆる他力本願的気持はきれいに払拭しなければならぬ。われわれは受信者大衆が六十七円では安い、八十五円も高くない、百円を出しても惜しまぬ、こういう気持をもってNHKの放送を高く評価せられ信頼せられて、そうして受信料値上げに受信者大衆がみずから盛り上げてくれられること、それがわき起るようによい放送をしなければならぬ。これがNHKの全職員が努力しなければならぬ大きなる任務である、かようなことを申したのでありますが、私は実際経営の責任者としてこの赤字の予算を組んだことはまことに不本意である、申しわけのないことである。しかし一方から考えると、公共の福祉を増進し、文化の向上をはかる上においては、積極的施策が今日において緊要であるということを痛切に考えたために、かような予算を組んで、そうして国会の御承認を仰ぐに至った次第であります。この点御了察の上、御承認を賜わるように切にお願い申し上げます。
  69. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今会長からの説明はよくわかりました。郵政大臣の意見書を拝見しましても、「日本放送協会の事業計画の中において言及している計画概説は、協会が今後数箇年にわたり行う事業の計画を表明したものであるが、この種の長期計画は協会の使命にかんがみ協会経営者として当然に持つべきものであると認める。」こういう大前提で意見書が出されております。この「当然に持つべきものであると認める。」ということの内容は、今野村会長お話しになりました公共放送として教育放送等を中心にする、あるいは全国普及のことも含まっておりましょうが、これらを中心にする積極的な施策を当然やるべきである、またやらなければいけない。こういう観点に立って事業計画に対してはこれを当然に持つべきものであるという郵政大臣の認定であろうと思うのです。その認定のもとに立って今回の予算を見ると、残念ながら今会長お話しになりましたように、受信料六十七円をもってしては不可能である。従って三十数億の赤字を積み重ねて、その上に立ってこれらの事業計画を行わんとしておる。これをやかましくいえばこの考え方には非常に無理があります。これは会長も無理があることを承知して言われておる。そこでこの問題を大臣が御承認になったという前提に立っていうならば、この事業計画を遂行するためにはこれだけの予算が必要である。しかしながら第二段においては、これに対して収支の均衡がとれておらない。現下の状況から見てやむを得ないが、収支の均衡がとれておらないということを指摘し、かつまた次の段においては将来の収入及び財源について格段の考慮を払う必要がある、こういうことを言われております。大体この意見書の内容はこの三つから成り立っておると思います。従ってこの赤字はそのまま将来の受信料収入をもってこれをまかなうことができないということも、郵政大臣は認めておられる。そうなると、現在の赤字を積み重ねていくということは不可能でありますからして、三十三年度の予算に限ってこういう承認を与えられたと思うのであります。従ってこの財源措置については、将来受信料の改訂あるいはそれに見合うだけの政府の交付金を支出する。こういう二つの方法があるわけであります。この意見書にあるところの将来の収入及び財源について格段の考慮を払うべきであるという大臣の認定は、いかなる方法でこの赤字を将来に是正していくかということについての一応のお考えがあろうかと思いますが、この点についてのお考え方をお示し願いたい。
  70. 田中角榮

    田中国務大臣 お答え申し上げます。御承知の通り、私も三十三年度のNHKの予算に対しては、計画は進めなければいけない、財源は不足である、何らか財源的な措置をしてやらなければならない、これは国会議員としてでありますが、そういうことを十分考えたわけであります。その過程において、現行のままでいけば受信料の値上げということになるし、受信料の値上げということが社会的に国家的に及ぼす影響は非常に大きいという場合にぶつかった場合には、何らか別な方法でも事業が行えるような財源措置をしてやらなければならないということは衆参両院の委員会でしばしば言明した通りでございます。ところが現行放送法によりますと、NHKの予算はNHKが郵政大臣に提出し、郵政大臣は意見をつけて、すべては国会の審議に待つという形態になっておることも御承知の通りであります。NHKはそういういろいろな問題を考えられた末に、今会長が言われたように諸般の情勢を勘案し、理想的ではないがやむを得ない措置として、一面赤字予算ともいうべき予算の提出になったわけであります。私もいずれにいたしましてもNHKが三十三年度に出した予算の総額は必要である、こういう認定をいたしておりますから、予算の立て方としてはいわゆる赤字予算であって、理想的な姿ではない。しかし現実として現段階におけるNHKの状態としては、こういう予算を組まなければならないだろうというふうな意見をつけておるわけであります。  その三番目の、ではどういう措置をするかという問題でありますが、三十三年度は先ほども申し上げた通り、NHKが自主的にいろいろな金融操作をやるでありましょうが、その場合でも市中金融の混乱を起さないように、またNHKがとうてい応じられないような高利でもってものを借りるというような道を開いてはならないということでありますから、要請があれば簡保資金等をもって放送債の引き受けもやろうということを申し上げておるわけであります。端的に申し上げますと、三十三年度の予算案をなぜこのような姿で、出したものをそのまま私が意見を付して国会に出したかという問題に対して申し上げたいと思いますが、NHKの経営委員会及び会長も十分考えられたことでありましょうが、いわゆる政府の物価政策は、物価というものは横ばいもしくは下降するものだ、また下げなければいけないという大きな物価政策をとっておることは御承知の通りであります。でありまするので、昨年末に値上げを行おうとしたところの新聞各社も一応値上げを見合せた状態でありますし、私鉄、電気その他の料金制度に対しても一応すべてのものが抑えられておるということであります。これは大きな国家目的を達成するためにはやむを得ないというのでありまして、現在の状態ではいつの日にか近い将来に物価のでこぼこを是正しなければならないという現実にぶつかっておりますが、現在の段階ではでこぼこの是正さえも抑えておるというような事情でございまして、その事情をおくみ取りになって、NHKもこういう予算をお作りになったわけであります。私もその事情を了といたしたわけでございます。もう一つ掘り下げて申しますと、NHKというものは一体受信料だけでまかなっていいのかどうか。今はペイ・ラインにあるといたしましても、全開あまねくということになりますと、ぺイ・ラインに、乗らないところまで放送法はNHKにやれということを明確に言っております。もちろん民放に先行してやらなければならないという法律的な制約から見ますと、一体合わないものまでNHKがやらなければならぬというときに、受信料だけでやれるのかという根本的な問題が一つございます。受信料を無制限に上げていいということになれば別でありますが、現実問題としてなかなかそれは許されないことであります。受信料だけでまかなえないということになれば、一体ほかにどういう道があるか。先ほども橋本さんが言われたように、政府交付金制度の創設をしなければならないか、または財政投融資のワクに入れて低利長期の金融をするということになりますか、前会長の当時、NHKを一つ会社にしてもらって、ある時期まで政府も出資したり、民間からも株式を集められるようにしてくれないか。これは理化学研究所がそういう組織でもって戦後やってきました。この国会に株式会社理化学研究所法になりましたが、ある時期まで一般の金をもう少し借りて——受信料だけでもってまかなっていくということよりも、新しい道が開けないかというような問題がありますので、こういう問題もあわせて真剣に考えなければならぬ問題だ、こういうふうにも考えているわけであります。しかし受信料をもってやることが一番簡単であって、一番筋が通っておりますが、政府交付金制度を作るという場合を除いて、株を集めるということ、財政資金でも、いかに低利でもただではないのでありますから、そういう資金を借りても一体返せるかということが問題になるわけであります。返せないとは考えていないのであります。この三十三年度の予算の大前提になる問題でありますから、明確に申し上げますと、大体ラジオが三ヵ月二百円で、千六百万台までは上るだろうという考えを私は個人的に持っております。現在千四百五十万台でありますが、大体千六百万台までは上げ得る。大体これが限度だろう。そうしますと、NHKの収入はおおむね百二十億でございます。テレビの問題が山だと考えるのでありますが、テレビが現在の七十五万台ないし八十万台というものが、大体五ヵ年間では四百万台になるだろう。十ヵ年後には六百万台には十分なる。ある時期には制限一ぱいとしても九百万台ということも考えられない数字ではない。これは世界的な例がたくさんありますので、そういう例から徴しまして、大体五年後には、現在のままで行っても二百六十億くらい、ラジオ、テレビあわせての収入がある。それら四百万台になりまして、大体三百億をちょっとこすと思います。三百二、三十億。六百万台になる場合には四百億ないし四百三、四十億くらいになるだろう、こういう数字も出るのであります。もしそうであるならば、NHKが金を必要とするのはこの五ヵ年、六ヵ年で、今がちょうどその非常に施設をしなければならない、非常につらい時期にぶつかっておるわけです。だから三十三年度は民放の免許とあわせて考えますと、NHKは三十三年度に最もつらい五ヵ年計画の第一年次に踏み入った、こういうふうに言っても過言ではないわけであります。そういう意味で申し上げますと、受信料の値上げをして五年後に下げることができるか、また下げることがいいのか、それとも現行の受信料でいって、ぺイするまでは政府交付金及び低利長期のものを投入しておいて、五ヵ年ないし六ヵ年後に受信料だけでまかなえるのか、そういう原則的な問題を国会で御審議になっていただいて、NHKというものはこうすべきだという結論が出るまでは、受信料の値上げでもって、ただ一本で押し切るということは妥当でない、こういう考えでありましたので、一切は国会の審議に待つ、非常に慎重を期したということで、NHKが提出をした三十三年度の予算案をそのまま認め、理想的ではないがやむを得ないだろう、こういう考え提出をいたしたわけでございます。
  71. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今この大臣の御説明は、一応納得のできる点もありますが、ただこれは大臣も御承知と思いますが、当委員会においてはかねてからラジオ、テレビの建設勘定は、これを区分してやっております。今大臣の御説明でありますと、ラジオ、テレビの収入は一括収入して、プールして、その後においてやっていくという考え方のようであります。この点が従来の郵政省の考え方とは違っておりますから、この点についての変化といいますか、これはこれからの問題ですから、これも一つお述べ願いたい。かつまた協会側といたしましては、この赤字を解消するために、今の政府の言うところのプール計算でやっていけば、将来においては当分の間赤字を積んでいってもやっていけるという考えかどうか、あるいはまた先ほど大臣もお話があったように、全国普及の義務あるいは教育放送等の全く収入にならない事業をやっていくにかかわらず、金はかかる。こういうようなためには、政府が一種の交付金制度もあわせて考えていただきたい。必ずしも受信料改訂だけではないという大臣の考え方のようでありますが、協会当局としては、この問題に関する考え方及び赤字予算を出した将来の処理の仕方、これについての見解をお述べ願いたい。
  72. 田中角榮

    田中国務大臣 橋本委員の御質問に対しては、この予算は赤字でありますが、値上げをもってまかなうべきである、でありますから、この国会でもって値上げはしなくても、次の国会では当然値上げが必要である、こう私が明確に答えてしまえば一番簡単でございますが、政府として、なるべくNHKの自主性を侵さない、こういう立場もございますので、非常に回りくどい御答弁をしているわけであります。一つ分けて御答弁を申し上げてみます。ラジオ、テレビというものをプール計算しないということは、これは今までの原則であったのです。ラジオの値上げをしてテレビの施設をやってはいかぬということは、これは当りまえでありますし、国民から得たものはそのまま国民に返すのであって、必要やむを得ざる限度以外に聴取料を値上げしてはならないという原則に立って、そうしたプール計算をしてはならぬというのですが、将来の問題を考えますと、どうしてもプール計算しなければならないという状況になると思うのです。世界の例を見てもわかるのですが、テレビが六百万台ということになりますと、ラジオは大体減るだろう。NHKの考え方では、千六百万台ないし千六百五十万台までラジオが行っても、テレビの普及によってラジオは減ってくる、千四百万台まで減るのではないか、もっと減るだろう、千二百万台というような強い意見も出しておりますが、私はNHKの事務当局が言うほど減るとは思いませんが、いずれにしても世界の通説であるところのテレビの普及によって、ラジオがペイ・ラインから後退してくるということは、これはいなめないと思うのです。それから現在まで長い歴史を持ってきたラジオの聴取料で、テレビをまかなってはいかぬということは原則でありますが、テレビがペイ・ラインに乗ってくるときには、その余剰金をもって、ラジオの聴取料は据え置いてなお老朽施設の改良等をやらなければならぬ、またやって悪いということにはならないと思うのです。これは少し先の問題でありますが、理想的に考えて、テレビが発達したら、ラジオもテレビもやはりプールして、値段を出すことがいいのではないか、私はそういう考えを持っておりますし、特にそうしなければどうもNHKはうまくいかない、放送法通りうまくやれないという考えに逢着しますので、今のところは私個人としてはそういう意見を持っておりますが、これは一つ皆さんの御意見を千分拝聴して適切な結論に達しなければならぬ問題であると、こう考えます。しかしプールするということが実現しても、少くともテレビがもうかった場合に、ラジオが減った場合にプールしてもいいじゃないかということでありまして、ラジオの聴取料を上げてテレビの施設をやって、一つもうけてプールしようという考えでございませんから、ここは一つ明確に御承知をいただきたいと思います。現行の聴取料、すほわち受信料の問題でありますが、私は現行の一ヵ月六十七円、三ヵ月二百円という受信料が適切妥当なものとは考えておりません。もう一つ可上げをしないでも済むのだという考えではございませんから、そういうものをあわせてお考えいただきたい、かように考えます。
  73. 野村秀雄

    ○野村参考人 ただいま大臣からのお話の通り、私も同様に考えております。
  74. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今このお考え方は将来の問題だと言いますから、ここではあまり論議の中心にはしないようにいたしたいと考えます。大臣の立場からして、将来の財政処理についての考え方をはっきりと申し述べられることに、根本的に困難性があることはわかっております。しかし協会側としては本年度のこうした二十億という赤字を来年も積み重ねていく、あるいは政府の交付金によってこれをまかなう、こういう考え方であるかないか。もちろんこれは世論に聞かなくてはなりませんが、少くとも健全財政を考えなければならぬ、こういう予算を出す以上は、こういうような意図がなければならぬと思う。これはもちろん国会の承認あるいは郵政大臣の承認を経なくてはなりませんから、これがその通りに実現できることはないにいたしましても、ぜひとも協会としては将来こういう財政の処理をしていきたい、またこれは国会あるいは世論の了承を得たい、こういう考え方がなければ、こうした案は提出せられるはずがないと思うのですが、その点に関する考え方を伺いたいと思います。
  75. 野村秀雄

    ○野村参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げますが、私の気持は先ほども申し上げた通り、ことしの予算は全く非常措置でありまして、これをまた来年も続けるという気持は全然持っていません。私はどうしても来年度は赤字の解消、そうして健全な予算を組んで、受信者大衆の満足を買うようにいたしたいと思います。それには来年度においてはぜひ国会の御承認によって料金の合理的改訂をいたしていただきたい、かように私は念願いたしておるのであります。
  76. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの野村会長の御希望といいますか、信念が真相であろうと思います。そこで、この意見書の中にもありますが、今回のラジオ関係の予算において老朽施設の改善のため十四億一千五百万円が計上されておる、また予算書を見ますと、減価償却が三〇%減らされておるわけであります。これだけの老朽施設があるにかかわらず、一方においては三〇%も減価償却を減らして、そしてこれを一般の会計といいますか、経理の方に向けなくてはならぬ。これは理論的に言えば、矛盾した措置が講ぜられているわけであります。しかしながら実際問題として減価償却を減らし、そうして一方において老朽施設の改善をやらなくてはならぬとような措置が実際においては必要であるとは考えられますが、その間においての——これは会長でなくてもけっこうですが、協会側の担当責任者から御説明をお願いします。
  77. 首藤憲太郎

    ○首藤参考人 仰せの通り非常に苦しいことをいたしたわけでございまして、明年度の事業計画を切実に実行しなければならないことを要請されておりますもののうちの二部でも実行いたしますために、ここに何らか財源を求めなければならないことになりました。従いまして、その財源をやむを得ない措置といたしまして、減価償却の三〇%切り下げによって求めたわけでございますが、一方老朽施設、陳腐化設備の改憲と申しまするものもこれは喫緊の要事でございますので、これに対しましては、建設費として約十九億計上いたしでございますが、そのうち十四億を借入金に求めておるわけでございまして、申し変えますと、減価償却引当金がそのまま百パーセントにこれが行われました場合には、それが建設費の一部に充当されるわけでございますが、三〇%だけ不足いたしておりますので、これだけやはり建設費における借入金がふえざるを得なかったという結果に相なったわけでございます。
  78. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の説明をお聞きしましても、非常に苦しい予算の組み方をしておることはよくわかったわけで、NHKの経理、財政状況が非常に悪化していることはわかるわけであります。そこで教育番組等が今回相当に拡充せられて、そういう方面に費用が投ぜられるわけですが、そうなりますと、これらの教育番組の拡充あるいは待遇改善というような経営費に借入金が使われておる。従って当然三十四年度において、あるいは本三十三年度の下半期用においても何かの確定財源の道があれば講じていきたい、こういう考え方だと思うのです。先ほど来三十四年度には受信料の改訂をお願いいたしたいという会長お話でありますが、この借入金を見ますと、相当多額の借入金です。昨年度の放送債券の消化は大体五億円というように聞いております。五億円程度の放送債券しか消化できなかったのですが、今回の長期借入金のうち、郵政省にお願いして借り受けようとする金額及び一般金融界に対して引き受けを求めようとする放送債券または長期借入金、これらに関する内容の区別をお示し願いたいと思います。
  79. 首藤憲太郎

    ○首藤参考人 明年度の借入金といたしましては、テレビジョンの建設計画といたしまして約三十二億円、それからラジオの建設計画といたしまして十四億円、それに明年度償還期が参っております放送債券の乗りかえ発行が四億円、合計いたしまして約五十億円の外部資金を必要とする次第でございますが、このうちできるだけ多額のものは郵政省からある適当な方法で拝借するということをお願い申し上げたいと思っております。残りにつきましては極力市中で借りることに努力したい、かように考えておるわけであります。
  80. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 どうも答弁がはっきりしません。適当な額とか、適当な方法とかいうような言葉で、はなはだ明確を欠いておるわけですが、郵政省から借りる方法は、大臣が言われたように簡保運用資金の中で放送債券をもってやるということじゃないないかと思いますが、適当な方法とは何ですか。私は大臣からそう聞いておりますからそうだろうと思うのですが、要するに簡保運用資金の中で放送債券を引き受けてもらうということだろうと思う。ほかに適当な方法があればお示しを願いたい。かつまたそれはどれくらいの金額を考えておられるか。すでに事務的に話し合いがなければ、この予算はできないということになる。事務的にそういう話ができておらないでこういう予算を組んだとしたならば、予算編成上はなはだずさんだと思いますが、大体どれくらいは簡保運用資金から放送債券を引き受けてもらうことができる、従って残りの二十何億あるいは十八億というものは一般金融界から、一部この程度のものは放送債券、他は長期借入金でいく、こういうことが具体的にわかっておらなければこの予算の編成ができないはずなんですが、その点をもう少し明確にお述べ願いたい。
  81. 田中角榮

    田中国務大臣 私からお答えいたします。おおむね五十億でございますが、おおむね五十億という借り入れは、NHKとしては大へんな金題でございます。郵政省として簡保の運用金で引き受けら回るものとして一応考え、NHKの要求に対して通知をしてありますのは三十億でございます。そうしますと一般市中から二十億借り入れなければいかぬということでございますから、これも三十二年度に比べるとなかなか楽なことじゃないと思います。まあ市中金融でなるべくやってもらう、またやることがHKの主体性を侵さないことだと考ええておりますが、そうかといって高利のものを借りたり、非常に無理な金融をしたりすることば私どもも困ります。特に市中金融を混乱に陥れてまで金融をされるということになると政府としても困りますので、場合に、よればそれ以上幾らかの、また政府部内で話し合いをして、できるだけ三十億以上郵政省で一つめんどうを見ようという考えでございます。
  82. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今大臣の説明でわかりましたが、五十億のうち三十億はとりあえず郵政省として放送債券を引き受けるという考え方である、二十億円は一般金融債から放送債券及び長期借入会をもってやっていく。まあ二十億という金額は、今大臣がおっしゃったようになかなか相当の金額であります。三十二年度の予算においては放送債券及び長期借入金を合せて十億円程度だろうと思う。その倍額でありますから、今後金融界外がどういう工合に立ち直るかわかりませんが、それにいたしましても現状であってはなかなか困難だろうと思う。大臣はなお二十億円の金額のうちで借入金が困難であった場合は、簡保運用資金等でこれを考える、従ってこの予算の実行は可能である、こういう建前で御承認になったのか、二十億円ができなければそれだけ予算を細小して仕事をせよ、こういう意思でお考えになっておるのか、いや二十億のうち千億くらいはできてあとの千億が残った場合は何らかの方法でというのか、簡保運用資金なりあるいは大臣のあっせんによって影響の少い方面から金を借り入れさせて必ずこの予算は実行せしめるのだ、こういう建前の御承認ですか。
  83. 田中角榮

    田中国務大臣 私も法律に基いてNHKから提出した予算に対して意見を付して国会の審議を仰いだわけでございますから市、中金融その他でまかなえないものは郵政省ができるだけめんどうを見て、また積極的に応援をして、これが事業計画が円満に遂行できるようにいたしたいという考えのもとに、意見書を付し国会に提出したわけでございます。
  84. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 もう一つお聞きしたいのは、やはり関連しておるのでありまするが、今申したように二上億円というものは市中金融にたよっているわけですが、本年度内においてNHKが補正予算を提出した場合——もちろんこれは受信料の改訂を前提にすることになると思いますが、そういう場合を予想しておられるかどうか。あくまで三十三年度はこの予算をもって執心し、三十四年度において初めて受信料の改訂を行うのだ、こういう考え方でおられるのかどうか、あるいは将来適当な時期があって、必要があれば、協会等から申し入れがあれば、これについては検討するという考え方でおられるのか、その点もあわせて伺いたい。
  85. 田中角榮

    田中国務大臣 現在提出いたしております予算案をもって一一十二一年度はまかなおうという考えでございまして、補正予算を提出するような意向を持っておりません
  86. 上林山榮吉

    ○上林山委員 関連して。今までの大臣並びにNHKの会長との質疑応答を伺っておりますと、結局双方とも、最善の予算ではないけれども、次善の策としてやむを得ずこれを出したのである、こういうふうに受け取れるのでありますが、前提としてそう見ていいのであるかどうか、まずこれを伺っておきたい。
  87. 野村秀雄

    ○野村参考人 さようでございます。
  88. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。最善のものではございません。しかし現状やむを得ざるものでございますから、次善の策としてやむを得ず出した、こうお考えになっていただいてけっこうです。
  89. 上林山榮吉

    ○上林山委員 そこで申し上げたいことは、最善の策でないから三十二年度だけはこうしたような組み方でいくが、三十四年度になったならば、新しい構想によって、たとえば料金値上げという原則的なものを含んだ予算書をNHKとしては出す、もしそうしたような予算書が郵政省に回ってきた場合言は郵政大臣としては適正なものなりとして国会に対して出すことが最善であろう、こういうふうにお考えになっておるのか。大臣は三十三年度の予算を一応やむを得ないものとして別途に、ただいま橋本君からも質問がある通り、五十億の借入金のうち三十億だけは簡保から出す、あるいは市中の金融機関の低利のものをあっせんする、こういうふうに言っておりますが、そういうふうにお考えになっておるのであるかどうか。
  90. 田中角榮

    田中国務大臣 お答え申し上げます。現行放送法で申上げますと、全く私が意見を申し述べるのではなく、NHKが出してきたものに対してこれに意見を付して国会に提出し、国会は承認か不承認か、こういう法律の建前であります。もうそういう形式論をやっておられるような状態ではないのであります。だから実際問題としてはこの予算を御審議願う過程において国会で、NHKは将来こうあるべきだ、そのためには財源措置は、受信料でまかなうとしたならば受信料は改訂をしなければならないという意見にきまるでしょうし、いやまた別に政府は交付金制度を新しく作るべきだ、しかし現行の料金でも五年後にはこういうふうになる見通しであるから、低利のものをやった場合はこうだという問題は、いろいろな審議の過程において出ると思うのです。私はそういう意味で、ある場合口においては新しく法律を制定する必要が生まれてくるかもわかりません。その場合には——現行法によってはただNHKが出してくるものをどうするというだけでございますが、もっと広い立場からNHKというものは将来一体どうしなければならぬという問題は、三十四年度の予算を組むまでは当然国会の意思として決定してもらわなければならないという段階だろうと思います。そういう意味で、現行法の建前上からいいますと、NHKが合理的な予算なりという予算を出してきましたら、私もそれを十分精査をして国会に提案をするわけでございます。でありますから現在の状態から申しますと、三十四年度はNHKもまだ出炭して参りませんから、原則的にもっと財源措置を合理的にきめなければいかぬ。こんな赤字予算というものを二年も三年も組むものではない。三十三年度以外はもう少し筋の通った恒久的な予算を組まなければいかぬという原則論だけを申し上げます。
  91. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大臣の意見は率直で私は了承するのでありますが、橋本君の御意見の通り二十数億の赤字の予算を出して来年度もまたこれを積み重ねていくということになれば、これはNHKがあまねく放送をし、しかももうからない公共的放送をしなければいかぬという性質上、三十四年には当然大きな問題が起るのであって、なるほど現段階においてはわれわれは三十三年度の予算を三審議しておりますから、あまりこれを拡張して質疑をするのはどうかと思いますので、この問題はこの辺でとどめますけれども、これは今大臣も率直に言われた通り、国会においてそれこそ慎重に検討しなければならぬ大きな問題だろうという意味で、私は宿題だけを提起しておきたいのであります。
  92. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 これで一般質問を終りますが、この予算書の中にNHKのFM放送の今出国普及ということがありますが、これは第一放送、第二放送、第三放送という考え方でこの予算を組まれておると見てよろしいか。教育番組等は今王国的を必要とするのでしょうが、そうなる場合においては必ずしもFMだけでなくとも、他の第一波なり第二波のラジオを使ってもいいわけです。いずれにしてもこの教育放送は全国普及という考え方でなければいかぬと思いますが、これを前提にするとFMを入れて第一波、第二波、第三と波、こういう考えで当局は見ておられるかどうか、その点についてお尋ねしたい。
  93. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。FMのチャンネル・プランを決定するまでには、まだ幾多の問題が残っておることは御承知の通りであります。ラジオの中波帯の混信の問題もございますし、FMをどの程度動かさなければならぬか、また動かさないでも済むのかということがありまして、まだ問題はございますが、NHKは現在第一放送、第二放送に合わせてFM放送をも免許して、将来は全国的に教育放送はNHKを主体にしてやろうという考えでおりますここは、事実でございます。
  94. 森本靖

    森本委員 関連して。私は簡単の大臣に質問をしておきたいと思いますが、大臣は受信料の値上げについては、値下げをすると言明したことはございませんと本会議で言い切っておりますけれども、これは確かに大臣の固有の権限ではありません。ありませんことを今こまでしばしば新聞紙上を通じて言明してきておるわけであります。あなたははっきり受信料の値上げについて言明をしておらぬということを言っておるけれども、私は直接あなたの日から聞いたこともあるわけであります。そこでこの受信料の値上げについては社会党としては反対でありますけれども、しかしこの予算の組み方その他からいった場合においては、大臣がもっともっと政治的な責任というものを感じた態度を当委員会に示してもらいたい。なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますると、大臣は確かに新聞紙上その他でそういうことを言った覚えはないと言いますけれども、私ははっきり記憶いたしております。それは隣におります松井前委員長と一緒に永田会長の追悼式が品川の一一番有名なホテルであったとき、これには阿部経営委員長、石井副総理以下全部関係者がそろっておったわけでありますが、そこであなたが長口舌一時間半ぐらい追悼の演説をやられたことがあります。その中で、永田会長の霊前に私は誓うと言って、この値上げについては政治的に私は相当の責任がある、このことを故人はよく一つ銘記してもらいたいという演説をした。私ははっきりそのときのことを記憶しておるわけであります。それは確かに委員会とか、あるいは新聞記者を前にしての正式の公言でなかったにいたしましても、当日は相当この放送界あるいは逓信委員の関関係者がみな招待されて来ておったわけであります。そういう点を考えた場合、大臣がいろいろなことを言って言いわけをするのはけっこうでありますけれども、この料金問題についてのあなたの政治的なセンスと申しますか、政治的責任と申しますか、そういう点については率直に態度を表明願いたい。
  95. 田中角榮

    田中国務大臣 私がきのう申しましたのは、国会の本会議での質問でありましたから、そういうことを申し上げたことはない、こういうことを明確に申し上げました。これは衆参両院の委員会においても、NHKは昭和三十三年度から五ヵ年計画の第一次年次ともいうべき予算を組まなければならないということであるから、必然的に事業量が増大するので、現行の受信料をもってしてはまかない得ないだろうという意味からいうと、法律的には私には権限はないが、聴取料の値上げをもってまかなうか、財政投融資資金を投入するか、政府が交付金制度を設けるか等の、新たな財政措置を講じなければならぬでしょうということを申し上げておりまあすから、新聞には、田中郵政大臣は八十五円に値下げということを表現されても、連結録を見ていただけばわかる通り、そういうことは申し上げておりません。今あなたが言われたことを思い出しましたが、それは水田さんの追悼会の席上だったと思います。そのとき私はどういう表現をしたかよくわかりませんが、値上げをすると私が言ったように言われるならば、これはきっと新聞で値上げをすると思われるようなことに対して非常に敏感になっておりましたから、そういうことはもう少し別な表現で申したのではないかと思います。委員会の席上で議員としての発言でありますので私の真意を申し上げますと、先ほども申し上げましたように、NHKのラジオ聴取料は妥当でない、改訂を必要とするという個人的な見解も今なお変っておりません。できるならば、三十三年度にこんなつじつまの合わない赤字予算を出すよりも、値上げして合理的なものにしたいという個人的な考えであります。しかし閣僚の一人でありますので、政府全般として日本の物価政策という面やいろいろなものを考えると、NHKもそういう事態を察知されて、今年度だけはやむを得ずこういう予算を拠出いたします、それに対して私の方でも三十億程度の財政資金でめんどうを見よう、こういうことまで考えたのでありますから、私個人としては、霊前にどういう表現をしたかわかりませんが、一向その当時の考えと変わっておらないことを明確に申し上げておきます。
  96. 森本靖

    森本委員 私はこの問題だけについて深く大臣の責任を追及しておきたいのは、野村会長任命のときのいきさつを考えてみても、あなたは往々にして法律にないことをやりかねないということは事実なんであります。この前の予算委員会分科会において、川崎秀一委員の質問に対して、あなたは率直におわびしたのではないか。速記録にちゃんと残っておる。私はその速記録を残してある。野村会長任命のときにあなたは間違った手続をしたがどうかという川崎委員の質問に対して、あなたは、まことに人事の不手ぎわで申しわけないと言ってあやまった。野村会長の任命のときのいきさつからこの受信料の値上げ問題がきているということは、野党としてはっきりわかっておる。あなたは今言ったように、あのときの追悼式においてすらそういうことをはっきりと言明しておる。あなたの政治的センスと申しますか、政治的責任をもう少し深く考えるべきである。少くとも郵政大臣として、このNHKに対する予算の承認を国会で審議をするということは、一つの大きな仕事であります。その仕事において、自分の政治的なセンスと内閣との意見が相違をする。明らかにあなたは今そう言ったわけです。内閣全体の意見とあなたの個人的な意見が、受信料の値上げの問題について、さらにはNHKの拡充その他について相違を来たす。そういう場合におけるあなたの政治的な責任のとりょう、考え方というものをもう少し率直に、この委員会においてぶちまけてもらいたい。われわれはそれを深く追及してあなたを不信任すると言っているわけではない。もっと謙虚な態度で今回の問題について大臣は臨むべきである。こういうのが私の積極的な考えなんです。大臣はどうとかこうとか言って言い抜けたら、とにかくおれの責任は終りだというような考え方に立っておるのではないかという気がするのです。私は当初はこうこう考えておりましたけれども、今の内閣の状態においてはまことにやむを得なかった、私の力が足らずしてこういう態能になったことについてはまことに申しわけがない、このくらいは言ってもいい。今度のNHK予算については、そういう謙虚な態度を大臣は示してもらいたい。こういうことを言っておるのです。
  97. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。私は誠意を持っております。責任を回避しようというような人間ありません。これは性格上、人の責任までかぶろうという人間でありますから、そういうことは絶対に一つ考えにならないようにしていただきたい。このNHKの予算の問題は、私も慎重を欠いた発言をしたようでありますが、これはそういうことを質問されても、私が当時、努力をいたします、こうでありましょうと言うことが正しいことであって、私が言ったことができないからみんな責任じゃということになると、何も言えない。考えます、慎重に善処いたしますということだけになって、これは民主主義政治下における大臣として、私は正しい行き方ではないと思う。私の当時の考えを率直に述べて、こういう状況もございますと言うことは、一向差しつかえないのではないかと思います。もう一つは、NHKの三十三年度の予算案に値上げを骨子とするものを出してこない、こう言われますが、私は現行放送法にそう書いてございますからというような四角定木論をやるのではございませんが、NHK自体も、私の方で値上げは認めない、値上げはだめですよということを前提にして出してきたわけではないのです。私も値上げということが正しいか、交付金を出すことが今年度はいいかという問題に対しては十分考えて、NHKから提案されてくるときの状況に対処すべく努力したわけであります。努力したわけでございますが、根本的に聴取料金の値上げでやるのか、交付金制度を創設する方がいいか、借入金で五ヵ年間まかなって実際うまくいくのかという最終的な見通しがつかないのであります。そういう段階において、NHKが今年度は私鉄や新聞も全部押えた現状に徴して、物価政策その他の大きな立場から、こういう赤字予算をお出ししますと言って出してきたのでありますから、私自身は、できるならば改訂を行なってもっと筋を通したものにしたい、こういう考えであっても、政治情勢を見きわめてだめな場合には出してもしようがないという考えと、NHK自体が政治情勢を察知されてお出しにならなかったのでありますから、私の政治責任がそこにあるということはあまりお問いにならないで、現実は十分御承知でありますので、ぜひ一つ今度出してございます三十三年度の予算案をよろしくお願い申し上げたいと考えております。
  98. 森本靖

    森本委員 きょうは時間がありませんので、他日日を改めて私は深く追及したいと思いますけれども、この問題について大臣は、やはりまだ何とかかんとか言って言い抜けをしようとしており、率直な態度が足りぬと思うのです。今言ったようなことを二カ月なり三カ月前にあなたが言っているなら了承できる。十二月の初めごろ、公然と、NHKの受信料は値上げしなければならぬ、そうしなければNHKの将来は憂慮にたえない、それに似たような発言をしばしばしているわけである。そういうふうな考え方によってあなたは運動をしてきた。ところが自民党の政調会の内部かあるいは内閣方針か知りませんが、その方針と違ったからここにやむを得ずこの案を出した、こういうのが経過だと思う。だから、この問題についての政治的な責任と申しますか、あなたのセンスと申しますか、そういうものについて大臣はもっと率直にはっきりと表明を願いたい。なるほど法律上においては、あなたはこの問題について責任はない。これははっきりしておるわけです。しかしこれは毎毎私が言うように、この予算を編成するに当っては、NHK当局と電波監理当局とが事前に話し合いをして、これに対して郵政省が半ば承認をしたという形において提案せられるのが慣例であります。だから、法律的な言いわけは別として、実際的には私が今言っている通りだと思う。だからその通りと率直に大臣も了承して、確かにこれは申しわけがないと言われても、これは決して過言ではないと思う。そういうことは絶対に言わぬというならば、今までの経過を十分調べて追及してもよいと思いますけれども、きょうはこの問題に対する大臣の追及はこれだけにしておきます。
  99. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたしますが、私も誠意を持っておるのでありますから、追及などはぜひごかんべんを願いたいと思います。そうして、これはNHKが法律的にどうこうという四角張った議論をやっているのではないということを前段でも申し上げておりますし、特に超党派的に御審議願っておりますから、私もそういう木で鼻をくくったような御答弁を申し上げようと思っておりません。しかし、この実情は十分御承知だろうと思っております。私も誠意をもってやっておるのでありますから、その誠意は一つくんでいただきたい。しいて私が申し上げられるとすれば、この委員会にお世話になっている各法律案もほとんど超党派的にお願いしているのに、社会党は絶対反対だということになると、これはもう全く不承認ということにもなりかねないので、NHKもなるべく通りやすいものを出してくれればよいと思っておったら、今度は一年はあきらめようということになりましたが、将来のことは十分考える。しかも不幸にして赤字予算を御審議願うということでありますから、この問題に対しては全力をあげてやろうということで御審議を願っておるのでありますから、事情ぜひ一つ御了解を願いたいと思います。
  100. 片島港

    片島委員長 次会は明後十四日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会