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1958-04-02 第28回国会 衆議院 大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二日(水曜日)     午後二時四十五分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 足鹿  覺君    理事 淺香 忠雄君 理事 大平 正芳君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 井上 良二君 理事 横山 利秋君       奧村又十郎君    川野 芳滿君       杉浦 武雄君    高瀬  傳君       内藤 友明君    古川 丈吉君       山本 勝市君    石野 久男君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    竹谷源太郎君       横錢 重吉君  農林水産委員会    委員長 中村 寅太君    理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君    理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       大石 武一君    大野 市郎君       小枝 一雄君    永山 忠則君       松浦 東介君    松野 頼三君       赤路 友藏君    稲富 稜人君       久保田 豊君    中村 英男君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席政府委員         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君  委員外出席者         議     員 志賀健次郎君         議     員 高橋 禎一君         議     員 竹山祐太郎君         議     員 森山 欽司君         議     員 山下 春江君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部農         業協同組合課         長)      尾中  悟君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社理         事         (生産部長)  西山 祥二君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君 本日の会議に付した案件  たばこ専売法の一部を改正する法立案内閣提  出第二号)(参議院送付)  たばこ耕作組合法案竹山祐太郎君外三十五名  提出、第二十六回国会衆法第三十四号)      ————◇—————     〔足鹿大蔵委員長委員長席に着く〕
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより大蔵委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  私がこの連合審査会委員長の職務を行いますので、御了承を願います。  たばこ耕作組合法案及びたばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号)の両案を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————
  3. 足鹿覺

    足鹿委員長 質疑の通告があります。これを許します。細田綱吉君。
  4. 細田綱吉

    細田委員 この両法案を通覧して適切に感じることは、申し上げるまでもなく、タバコ耕作農民にとって重大な収入源であり、また作物であることは申し上げるまでもございません。従って、農民の非常に関係の深い農業協同組合耕作組合はどういう関連を持たせておるか、この点の御説明一つお願いしたいと思います。
  5. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 私は、御審議をお願いしております提案者の一人でありますから、ただいまの御質問にお答えをいたします。  お話しの通りタバコ耕作に関する組合でありますから、全般的な農民組合である農業協同組合とは、従来も非常な密接な関係において仕事をして参っておりますから、今回の法案においてもそのことを十分考慮をいたしまして、両方相協力して農民のためになるようにという考え方で、立案をいたしたつもりであります。
  6. 細田綱吉

    細田委員 ところが、今提案者から、十分連絡協議とかいうお話があったのですが、この条文では、一応何かのついでにちょっと相談すれば、それで条文上の義務は果せるというようなことになるんだが、私ちょっと条文の記憶がございませんので、恐縮ですが、協議の上決定しなくてはならないとか、協議しなくてはならないというふうな条文文言でないと、一応通告でもよいし、話のついでにちょっと話した程度でもよいということになるおそれは、現行条文文言ではありはしないか、その点、一つ意見を伺っておきます。
  7. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 その点は、十分考えまして立案をいたしたつもりでありまして、実行上においては、これで支障はないと考えておりますし、実際その点は、両方団体においても、十分理解はついておると私も理解いたしております。
  8. 細田綱吉

    細田委員 提案者は、理解がついておるというのですが、さっぱり理解がついていないのですよ。これは、私が申し上げるまでもなく、たばこ耕作組合の方が独走して起るというのは、まぎれもない事実です。従って、このたばこ耕作組合について、農林大臣はどういう責任を負うのです。共管というようなお考えは、条文の中に織り込まれているのか、あるいはいないのか、その点を一つ……。
  9. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 前段のお話でありますが、確かに初めのころは、世間に誤解もありまして、いろいろ意見食い違い等もありましたが、その後十分連絡し、理解を深めることによって、今日では、さようなことはないと心得ております。それから第二段のお話でありますが、これは、権限上は別に共管ということにしないでも、実際の話し合いをいたしていくことによって、従来もやって参りましたから、今後もそれでいくものだというふうに心得ております。
  10. 細田綱吉

    細田委員 竹山さんは、官僚生活はなかなかエキスパートの方ですから、よく知っていますが、従来はうまくいかなかったが、これからはそういう話し合いがついているからなんといったって、官僚セクショナリズムというものは、われわれ人民が想像するようなものではないので、あなたが一番よく知っている。そこで、今までの形を、大蔵省農林省がさらに一歩緊密な状態に持ち込むということは、条文上はっきりしておかないと、そんなことは官僚セクショナリズムであり、特にあなたは、農林省として苦心の経験も十分あるのですが、大蔵省なんというものは、農林省を問題にしはしませんよ。場合によっては、大蔵官僚は、大蔵省農林局くらいにしか思っていませんから、問題にしませんよ。その点の御心配は、あなたの経験からどうお考えになっておるか。
  11. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 大へん古い経験で恐縮でありますが、今の官僚は、昔とはだいぶ違って、ものわかりもよくなっておると思います。それから今の御心配の点は、これは心配をすれば、あるいはさようなことがないとは理屈の上では言えぬかもしれませんが、これは、お互い政治家もついておることでありますから、法律そのものけんかの種に出したつもりではないので、現状を守って、両方とも法制化してよくしていこうということから出発したことでありますから、これによってけんかを増すなんということは、少くも官僚がさようなことをすれば——これは政府、政党の良識をもって、一つそういうことのないようにお互いに注意をいたしていけば、決してさようなことにはならぬ。また提案いたしましたわれわれとしては、さような心得、信念で参りたいと思っております。
  12. 細田綱吉

    細田委員 これは、もう釈迦に説法ですが、立法者意思が必ずしも法律意思ということにはならないのです。竹山さんは、そういう御心配とそういう御趣旨提案されたのでしょうが、条文文言によって、法律内容というものはきまるのです。この点は、あとは議論でございますから、さらに提案者においてお考えを願いたい。  そこで、この点は公社の方に伺うのですが、肥料が非常に高い。もちろんあなたの方で特別にこしらえられた特殊な肥料というものは、ほかで買おうとしたってないような場合があり得ると思うのだが、一般のものより高い。農業協同組合よりもはるかに高い。これは、あなたが例をあげろとおっしゃれば、はっきり例をあげますけれども、もう長い間高い。これは、どういうところに原因があるのでしょうか。それで、あなたの方で、ほかのことでちょっと触れますけれども、あまり文句を言うやつがあれば、来年から作らせないぞというおっかない目が光っているものだから、高くありながら、農民は、同じ村で農協で安いものがあるのに、あなたの方の耕作組合——これはあなたの方じかではない、耕作組合ですけれども組合で買う。農民特有自分の手間というものを見ないものだから、まあ反収が多いから、何とか作らしてもらおうというところで、農民はがまんしておるのだが、どうして高いのですか、この点は、あなたの方においてもおわかりだと思う。ところが、依然として現在まで改善されていないのだが、この点に対して、どうしたら改善されるかという点も、一つ公社の御意見を伺いたい。
  13. 西山祥二

    西山説明員 タバコ肥料は御承知のごとく、タバコ嗜好性作物であり、従いまして、その品質を非常に重要視する性質のものでございますので、これに使いますタバコ肥料も、他作物とは別個の特殊な肥料を施用いたしております。すなわち従前は、タバコ肥料と申しますと、ほとんど菜種油かすを専用いたしておったのでございますが、菜種油かすは、御承知のごとく価格そのものが高いのみならず、季節的に価格変動が非常にはなはだしいものでありますので、河とかこれを化学肥料によって一部を代用し、タバコ肥料代を低減いたしたいとかねがね公社は研究して参っておりまして、その結果、ようやくタバコ専用尿素化成というものを考案いたしました。それの特質は、尿素を主体といたしておりまして、これは、御承知のごとく非常に肥料ききめがおそいのであります。それが、菜種油かすと共通する点でありますが、その方がタバコに非常に向いておる。また尿素化成を創製いたします場合に、特に分解吸収をおそくするために、粒状の形のものをこしらえさせます。こういった尿素化成は、他にはあまりないように考えておりますが、しかも、その尿素化成成分のうちには、また硫酸カリを使用いたしております。これは、他作物肥料におきましては、多くは塩化カリを使用いたしておるのでありますが、タバコにおきましては、塩素分を極度にきらいますので、あえて高価につく硫酸カリをその原料にいたしておるのであります。かような特殊な尿素化成を導入することによりまして、従来に比べますと、相当肥料価格の軽減を見ておるのでございます。従って、一般肥料と比較いたしまして、タバコ肥料が直ちに高いと申すわけには参らないのであります。この点については、御了承いただきたいと考えます。
  14. 細田綱吉

    細田委員 尿素化成をあなたの方で勝手に使わせているということも、よく私ども承知をいたしておりますけれども、それでは、タバコ尿素化成だけで、ほかには使いませんか、使わなくてもいいものですか、この点を一つお伺いしておきたい。
  15. 西山祥二

    西山説明員 尿素化成創製の目的は、ただいま申し上げました通りでありますが、それにもかかわらず、化学肥料のみでタバコを栽培いたしましては、とうてい品質の良好なものを生産することができませんので、ある程度菜種油かすその他の無機質肥料を併用いたします。従って、菜種油かすを使いますと、肥料の三成分の割合から、それ以外に硫酸カリあるいは過燐酸石灰等の他肥料をも併用いたしておるのであります。
  16. 細田綱吉

    細田委員 それだから、私は言っておるのですよ。あなたの方で、尿素化成耕作組合の方でこれだけかかったといっても、あまりに例のないものなんだけれども、併用しているほかの肥料が著しく高いのです。そこで、これから見ると、尿素化成もずいぶん高いんだなとわれわれは考える。まるでその高さの標準を援護するような説明には、だれも納得できませんよ。そこで、どうしてそういうところが高いのだ。あなたのように、尿素化成は特別な処理をするから高いと言えばなるほど、はいと言って聞くよりしょうがないが、全部併用するものがほかの協同組合より著しく高いのです。その原因はどこにあるかということを、私は伺っているのです。
  17. 西山祥二

    西山説明員 ただいまのお言葉でございますが、一般肥料価格につきまして、特にタバコに使用いたしますそのものが割高であると、一がいには申せないかと考えておるのであります。もちろんその肥料代のうちには、これは、耕作組合共同購入をいたしておりますが、その際、肥料資金耕作者が手持ちいたしません場合には、他の金融機関より融資を受けまして購入をいたしておるのであります。そういった場合の金利が、肥料代のうちに加算せられる場合もございます。また着地渡し価格で受けました後においても、末端に配給をいたします場合に、それの小運送の経費、あるいは一時組合が受け入れをいたしまして農家に配給いたします間の倉敷料等の分も、加算いたされておるのであります。これが、農協の場合におきましては、農協組合費等が利用せられますので、タバコの場合と相当違う点があるのではないかと考えております。
  18. 細田綱吉

    細田委員 農協の場合はどうして違うのか、もう一度説明して下さい。
  19. 西山祥二

    西山説明員 農協は、自己施設を利用いたします場合がありますので、タバコの場合と違うことがあるかと考えます。
  20. 細田綱吉

    細田委員 私は、ここへたくさんのデータを持っていますから、一々説明しろといえば説明しますが、一つの例だけ申し上げましょう。日産と三共のたとえばDDT、これは一番わかりやすい例ですが、たとえば耕作組合の方では、去年の例は八十六円、ところが農協の方では七十五円です。こんなに違うのですよ。共同施設を使うというのは、どういうことなんです。耕作組合だって、共同施設を使っているでしょう。共同購入といったって、農業協同組合だって共同購入でしょう。同じ村で同じようにものを作っておって、どうしてこんなに違うのです。あなたの御説明じゃ、私はまだ納得できません。あなたたちの先輩が立てこもっている高砂商事から、こういうことを言っては悪いが、高いコミッションをもらって一手から買うから、こういうことになるのじゃないですか。それは別として、あなたの立場からいえば、どうしてこんなに違うのです。共同施設だってわからないな。  それから、こんなに違うのに、耕作組合は前に代金を払って、その金利市中銀行に払う。そんなに高い金利を払ってまで市中銀行から借りて、高砂商事の力へ——高砂商事だけを申し上げては大へん失礼だけれども肥料会社に、そんなに高い利息まで払って前もって借りて、半年も前に払っておかなければ耕作組合の方は手に入りませんか、その点、一つ説明願いたい。
  21. 西山祥二

    西山説明員 タバコ耕作組合共同購入いたします場合には、ただいま申し上げましたごとく、これが保管をする場合の倉庫等倉敷料も含まれております。また肥料資金につきましては、建前といたしまして、公社概算払いによって収納代金の一部前渡しをいたしております。これが肥料代に振り向けるのを建前といたしておるのでありますが、多くの場合は、当局の肥料代に追われておりますので、概算払いが入手できますまでの期間を他の金融機関から借り入れまして、概算払いを受けた際に、それに肩がわりをして返済をするという事例が多いのであります。尿素化成等は、季節的な価格変動はわずかでございまして、年を越してからのものと、その前において若干の値段の差を設けておるようでありますが、菜種油かすその他の有機質肥料、あるいは配合肥料等につきましては、それの入手の時期によりまして、価格が非常に変動いたしております。ことに夏八月以降、菜種油かす価格変動が激しいものでありますので、なるべくそれの価格の安い際に入手いたしますのが、結局において相当の利益になるという関係から、明年の肥料を夏以降の時期において手当をいたす。これがために必要な資金を借り入れておるという事情でございます。
  22. 細田綱吉

    細田委員 どうも生産部長お話を聞いていると、だから、公社で配給する肥料は、こんなに農協よりも安うございますという結論にならなくちゃならないのじゃないですか。逆に高いでしょう。あなたも、かつては優秀な大蔵官僚であっただろうと思うが、大蔵官僚は、なかなか秀才が集まっているところだというが、あなたの説明を聞いていると、私のような頭の悪い者にはさっぱりわからない。だから、肥料はこんなに安くならなくちゃならないじゃないかという説明なんです。ところが、逆に高いのです。その原因を私は聞いている。どうしてこう高いのです。そういう想像をしては大へん恐縮ですが、半年も前に、前年度の十月に市中銀行から利息のついた金を借りてきて、そうして前金を払って、そんなにたばこ耕作組合というのは信用のない組合とも思えないが、とにかく現金を先に払ってやる。そうして、あなたの今の御説明によると、価格変動肥料にはあるから、安いときをねらって買われるだろうと思うけれども、それが高いのです。たまたま高いのならいいが、これは毎年なんだ。そうすると、半年も前に利息のついた金を借りてきて、いつが高いのか一生懸命にらんでおって、一番高いときに買ってくるようにわれわれは考えるのですね。だから、これも大へん恐縮な表現ですが、ある県のあなたの方の出張所長は、農協なんかに金を預けるやつは、来年からもうタバコを作らせない、こういうことを言っている。現実の名前を言ってくれといえば、私は言いますよ。公社出張所長が、要らぬことじゃないですか。農民農協へ預けるのは当りまえです。市中銀行へ預けようとどこへ預けようと、お世話は要らぬことだ。そこに何かがあるということを——ないかもしれないが、われわれは感ずるんですね。そうして、一生懸命で今度は肥料会社のために、市中銀行から高い利息のついた金を借りてきて、いつが一番高いのだかと一生懸命でにらんでおって、一番高いときに買ってくるというような結果になっている、私はそう思う。あなたの御説明じゃわからぬ。こんなことをやって、たばこ耕作組合法律裏づけをした組合にしておいたら大へんですよ。どうしてこんなにあなたの方の肥料が高かったかということを、もう一度頭の悪い私に、わかりいい御説明をして下さい。
  23. 西山祥二

    西山説明員 私の頭がよくありませんので、どうも御説明が至って届きませんので、何とも恐縮でございますが、ただいまお話のうちにありました農協系統肥料代が安いという点につきましては、いろいろの場合があろうかと思うのであります。具体的に伺いませんと、私どもといたしましても、直ちに比較はできかねるのでございます。聞いておるところによりますと、その逆の場合もあるように聞いております。ただいま一、二の例をもって全般を御類推いただいても、いささか困難に感じます。
  24. 細田綱吉

    細田委員 それから、これは提案者に伺うのがいいかどうかわかりませんが、あるいは公社の方から御答弁願った方がいいかと思うのですが、公社の方から見て、代議員にその年の役員をきめさせるというような条文があったことを拝見しておるのですが、それで、たばこ耕作組合民主化していくとお考えになりますか。たとえていうなら、神奈川県の泰野、あるいは茨城県の石岡、ああいうむちゃなことをやって、組合員がさっぱり知らなかったということも幹部独裁だからで。著しく幹部独裁なんです。たばこ耕作組合ほど幹部独裁はありませんよ。いろいろ組合がある。また農村民主化していないので、ずいぶんあなたまかせの運営をしているが、しかしたばこ耕作組合ほど独裁的な、そしてまた一方的な収奪の激しい組合はないのです。そうして、総会を持たないで、代議員だけに役員をきめさして、たばこ耕作組合民主化が行われるとお思いになるか、その点も一つ伺いたいと思います。
  25. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 いろいろ先ほどからの御質問に対しても関連があると思いますので、私から申し上げます。  現実の問題としては、従来御承知のように、法律の根拠のない組合でありましたから、いろいろ地方によって、それを主宰する個人的な取扱いがまちまちであったということは、認めざるを得ないと思うのです。しかし、必ずしもそれがすべて悪いとかいいとかいうことにはならぬと思いますが、まちまちになりやすかったということはあり得ると思うのです。そこでわれわれは、やはり今日の民主化の時代に沿うように、ほかの農村団体と歩調を合せるように、法律によって世間に実態を明確にしていこうというのが、今度の立法の目標でありますから、今までいろいろ御指摘のような、かりにそういう事実があったとすれば、なおさら今度の法制化によりまして、そういうことの起らないようにして参りたいというねらいでありまして、あるいはやり方等については、いろいろ御議論もありましょうが、私は現実段階としては、この程度のところが一番実情に合っているのじゃないかというふうに考えて、提案をいたしたわけであります。
  26. 細田綱吉

    細田委員 法律裏づけがあるから民主化されるというのですが、これは、竹山さんがなかなか答弁がお上手なんだが、心からそう思われているのなら、農業共済組合なんか、法律裏づけがあるけれども、さっぱり民主化されていないことは御承知通りでしょう。はなはだしいですよ。だから、その御答弁ではちょっとわれわれは納得いかぬのです。法律裏づけがあるからといって、法律裏づけボスだけがその年の幹部を出すことになっちゃったら、なおひどい。だから、役員だけは少くとも無記名投票というような形において総会で出すことだけは一つ建前にしておきませんと、これは、たばこ耕作組合を通じて、いたずらに組合ボス農村収奪がひどくなるだけです。あなたのいう法律裏づけがあるというなら、現在あなたが一番よく御存じなんだ。今もって苦労している農業共済組合なんかのあんな運営の仕方、また農林省があんなに金をつぎ込まなくても、もっといいはずなんだ。だから、あなたの言う法律裏づけがあるからということは、現在における農村実情には私は合わないと思う。それよりも、もっと法律裏づけで、役員の改選は総会で行え、しかもそれは、無記名投票だというようなことをはっきりうたっておくことの方が、私は農民のためであり、耕作組合を民主的に将来運営する基礎でないかと思うのですが、さらに御意見を伺いたい。
  27. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 農村問題に御精通の御意見でありますから、尊敬をして伺っておりますが、今度の立法は、やはり現実組合をできるだけ法で合理化していこうというところでありますから、一気に非常な変革をするわけにもいきません。しかし、今度の趣旨は、現在の農協と同じような大体の建前になっておりますから、それよりも非常に強い制度にするがいいかどうかは、御議論としては尊敬して伺いますが、私は、今の段階としては、この程度で一番実情に合い、しかも、現状より進歩した法の裏づけによって正当な組織ができてくるというふうに考え立案をいたしたわけであります。
  28. 細田綱吉

    細田委員 その点は、公社の方はどうお考えですか。
  29. 松隈秀雄

    松隈説明員 ただいま御提案になっておりまするたばこ耕作組合法案におきましては、御指摘のように、役員総会において選任するほか、代議員会でも選任し得る、こういう建前になっておるようでございます。組合員全部の無記名投票によって総会において選挙するということになれば、それは、おっしゃる通り一番徹底はすると思いますが、要は程度の問題であり、代議員会において選任したのでは必ずうまくいかないと断定するわけにも参らないかと思うのでありまして、終局するところは、耕作農民の方々の自覚、それから、この組合をどう運営して自分らの業績を発展していったらいいか、こういう点にかかるのではないか、かように公社としては考えております。
  30. 森山欽司

    森山欽司君 ちょっと提案者から。実はきのうこの問題について、神田委員から御質問があったのであります。直接選挙でやったらどうか、こういうお話でございます。その方が民主的じゃないか。そこで、私がお答えいたしましたのは、民主主義とか民主的にやるという場合に、役員の選任は選挙による、その選挙には、直接選挙の制度と間接選挙の制度と両方ある、だから、間接選挙だから民主的じゃないということは当らないんじゃないか。こういう意見を申し上げたわけでありますが、それで、問題は農協との対比でございますが、農協の場合には、直接選挙制または選任制というのを認めておるわけでございます。選任制というのは、選考委員会で役員の候補をきめまして、そうして総会でもって、これはどうだ、こういうやり方が認められておるわけです。その点、現在提案しているたばこ耕作組合法では、代議員会がない場合はもちろん直接選挙、代議員会がある場合には間接選挙、すなわち、代議員会役員の選任ができる、こういう形になっておるわけであります。そのほかに、指名推選制度を認めておるわけであります。しかし、この指名推選という制度は問題が起るかもしれぬから、一つ考えてみたらどうだというお話も野党の方から出ましたので、提案者たる与党側といたしましては、その意見には十分耳を傾けよう、まあこんな気持になっておるわけでございます。もしそうなりますと、役員の選任制度が、代議員会のある場合は間接選挙である、こういう形になって、それ一つしかなくなるわけでございます。ところが農協の場合には、なるほど直接選挙制はとっているが、選考委員会によって選考した者の選任制というものを認めておるわけです。ですから、そうなってくると、一体どちらが民主的だという御議論は、必ずしもその辺の甲乙はつけがたいのではないかと思うわけです。これをさらに農協と同じように、直接選挙制しか認めないということになって参りますと、農協法よりも役員の選任制が非常にきつくなるわけでございます。そこまで進むことはいかがと考えております。少くとも代議員による間接選挙制ということは認めたらいいのじゃないか、それを直接選挙制と、農協と同じような線まで持っていって、半面選任制というものを認めなければ、非常にやりにくいことになってくるのではないか、こういう考えを今持っておるような次第でございます。
  31. 山田長司

    ○山田委員 関連して。ただいまの森山さんの御説明について、ちょっと伺いたいと思います。あなたも耕作者のことばよく知っていらっしゃるが、われわれの郷里における耕作者実情お話ししますと、おそらくこの法律ができても、大体旧来と同じような形で役員の決定がなされると思うのであります。少くとも法律上に選挙でやるというくらいのことはうたっておかなければ、そうでなくても、今度はどの部落のだれにやってもらおうというので、大体話がついてしまっているのです。そういう形が、幾ら法律ができても、たびたびなされるということになると、耕作者自身に少しの希望もわいてこないと思うのです。そういう点で、かなり耕作組合に対する情熱を持っておっても、若い人だったり、作っている反別が少かったり、今までの実績があまりよくなかったりすると、意見を持っておってもそれが重要視されない。大体収益が上らなかったといっても——今の実情は、公社の人によく聞いてもらいたいのだが、公社の人とつながりのあるような人は、大体顔で収益が相当上げられて買われているのです。これが実際なんです。この点を知らなければ……。収益があがっていないからといって、必ずしもその人の作られている品種が悪いわけではない。そういう点で、やはり希望を持たせる意味においても、役員の選挙ということはうたっておくべきが至当ではないかと思うのです。でないと順番順番で、うたったって、今の農村実情から言えば、次はたれがなるということはきまっておると思うのです。そういう規定ぐらいはうたっておかなければ、私は希望がわかぬと思うのですが、どうお考えですか。
  32. 細田綱吉

    細田委員 関連して。今山田委員がおっしゃったのですが、私も全く同感です。あなたの方が私が説明しなくてもよう御存じなんですが、農民というのは、無記名投票ということにしておけばそうなるのです。ところが、あなたの言う代議員による役員の選出、あるいは農協の指名推選というようなことになりますと、二、四、五、今年はこういうようにしようじゃないかということできまって、押しつける。押しつけるとはじいてくる力のないのが農民です。農協には推選制度がある、こっちは代議員制度だなんといって、目くそ鼻くその例を比較しなくてもよい。そういう例が農協にもあるから民主化しないわけです。だから、われわれ農協より民主化するために、農民組合法が必要だと長く主張しているのですが、その実現がまだできないわけです。そういう推選制というようなことが法律にあると、全体がそうなってしまう。あなたは例外として代議員制度を認めると言っているが、例外が全体になってしまう。それが遺憾ながら現在の日本の農村実情なんです。これだけは譲る用意があるというようなお話があったから、あえて申しませんけれども、目くそ鼻くその例をとるようなことはお互いによして、農協にしても耕作組合にしても、もっと明るい建設的方向へ持っていきたいとわれわれは考えているのです。御意見を。
  33. 森山欽司

    森山欽司君 明るい民生的な農村を作るということは、全く同感でございます。従来の組合に、もし先ほど来お話がありましたような弊害があるといたしましても、今後はだいぶ様子が違ってくるではないかと思います。というのは、一つは、従来は旧町村単位というようなものであったわけでございます。非常に小さかったわけであります。今度は、これもいろいろ問題があるのでございますが、実際問題として、組合の単位がかなり広くなります。出張所単位が一つのものになった。そこで、なあなあでやるようなことは、前よりできにくくなってきた点は、お認め願えるのではなかろうか。今度の法案によりますと、総会が三年に一回は開かれ、ここで全耕作者がその意見を述べる機会があることにもなっており、従来と事情が違うのではなかろうかと考えているわけであります。ただ、提案者の一人として考えますことは、現在のたばこ耕作組合法は、代議員がない場合は直接選挙、ある場合は間接選挙、そのほか指名推選という制度を用いている。指名推選については、いろいろ問題があるではないかというので、私どもの方でもそれは考えようということで、実は内々の話は進んでおるわけであります。それを、間接選挙も全部直接選挙に変えてしまえということは、現在の農協法でも、直接選挙であるが、別に選任制が認められている。農業協同組合法において、昭和二十九年に新たにその改正がつけ加えられたというような事情もあるわけでありまして、現在の農協より直接選挙制に徹するということについては、提案者の一員といたしまして、総体的に見て、農協と同程度のものにしたいものだ、そんな考えを持っておる次第でございます。ですから、農協の場合は直接選挙制をとっているが、同時に選任制という一つの便法も認められている。たばこ耕作組合の場合は、面接選挙制だけでもって、他に一切の便法を認めぬというのは、いささか実情というようなものから考えて、その程度のことは認めていったらどうか。そういうことを勘案いたしまして、代議員会による間接選挙制というようなところまででほぼいいのじゃなかろうか、こういう感じを持っているということを申し上げたい次第でございます。
  34. 細田綱吉

    細田委員 それは、農民を皆さんの手に——手といってはおかしいが、お力によって一つ政治的な水準を引き上げる、言いかえれば民主的な教育を徹底させるということは、ほんとうに容易なことではないと思う。そこで、あらゆる場合に自分たちの組合、従って自分たちが直接選挙をやるんだというくせをつけておきませんと、なかなかその便法だけでは、法律の体裁の上では窮屈なものじゃないか、こういう便法もこしらえておいていいじゃないかという御意見も、われわれ全く同感です。法律の体裁の上ではですよ。ところが実際は、その希有でなくちゃならぬ例外が全般に行われてしまう。それでも農民は黙ってしまう。こういうのが、実際の日本の長い間独裁下というか、封建治下に生活した日本の農民の現在に至るまでのくせなんです。そこで、私は、農民がほんとうに自分組合という情熟をたぎらすためには、そういうチャンスにやはり直接選挙ということが、農民の関心をより高めることになる、一面農村教育をしながら、耕作組合運営をよくしていくという一石二鳥の手であって、私は、どうしても何とかしてこの手は一つ皆さんの御同意を得て、御採用を願いたいと思うのです。  それから、私も次に質問しようと思っていましたが、あなたの御答弁もありましたが、総会が三年に一度というのですね。これはどうなんですか。あなたの県なんかはどうか知らぬが、茨城県なんかは、毎年品評会というのをやるのですよ。一等になると、一人じゃおみやげを持って帰れないほど——いやほんとうなんですよ。これは、おそらく全国同じだと思うのです。一等二等になったら、それは一人じゃ持って帰れない、荷車を持ってこなくちゃ……。それが手なんです。それで、そういうことを毎年やっていながら、総会だけは三年に一度なんという必要はないですよ。品評会は毎年やる。だから、毎年これはやってもらわなくては——総会をですね。総会だけは三年に一度、品評会は毎年やるなんて、これはおかしいです。こういう点も、一つ提案者において御考慮の余地がないかどうか。
  35. 森山欽司

    森山欽司君 私の表現が悪かったのでございますが、この代議員制をとっておりましても、その代議員を選ぶために少くとも三年に一度は総会を開かなくちゃならぬ。しかし、必要があれば、その間何回開いてもいいわけでございまして、三年に一回しか開いちゃいかぬということではないので、代議員選挙との関係において三年ということを申し上げたわけでございますから、三年に一回以上開いてはいかぬということを申し上げた意味ではございませんので、御了承願いたいと思います。
  36. 山田長司

    ○山田委員 今の三年に一ぺんより開いてもいいとか悪いとかいうけれども農民は、過半数の人たちの署名をもって総会を開いてもらいたいなんということを出すなんということは、よほどの人でなければそれはあり得ないことなんです。これは、農村実情をあなたが知らぬはずはないと思うのだ。こんなことを言い出す農民なんというものは、よほどのところでなければないのですよ。大体、私はどうも今の議論を聞いていると、がまんができないから申し上げるのですけれども、これは竹山さん、保守党の基盤を——こんな話をしては大へん申しわけないと思うけれども、申し上げておかないわけにいかぬと思う。これは、保守党の基盤というものを、ゆるぎなきたばこ耕作組合というもので確保しておこうという考え方ですよ。基本的に流れるものは、どうしてもやはりこれは一年に一ぺんぐらいずつ総会を持つ。しかも、かなり大きな地域にわたって耕作者というものは今度広がるわけでありまして、その場合などは、ほとんどこれは、今までの状態で考えれば、委任状で総会が開かれるような結果になるですよ。そういう危険が多分にあるのです。そういう点でやはり一つの希望を持たせれば、総会は大ぜいの人が出てくるような結果になりますし、毎年毎年きまったような形で、役員がほとんどこれは任命されるようなものですよ。耕作者の古株の人に任命される結果が出てくると思う。旧来の町村合併で一緒になったというけれども、各町村における耕作者というものの、悪い言葉でいえばボスですよ、ボスの顔ぶれが全部わかっている、こういう人たちが集まって役員を推薦をするというようなことになれば、これに幾らもう選挙制度がうたわれたって、無記名投票で行うようにはなっているけれども、実際は、そういう姿が出てこない。私は、どうしてもたばこ耕作者というものに希望を持たせるためには、やはり選挙でいくという点を、強くこれはうたっていただきたい、こう思うのですが、一つ竹山さんにお答え願います。
  37. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 いろいろ御意見は、まことによく理解がいきます。決して保守党のためとかどうとか、今日の農民は、決してそんな自主性のないものとは私も考えておりませんから、これは、純粋にたばこのための組合ということを考え立案をいたしたわけでありますから、農民の将来のことを、そんな簡単にわれわれは考えておりません。  それから今の役員の選任の方法につきましては、多少こう感覚的に食い違いがあるような感じがいたしますが、原則としては、組合員によって選任をされるという原則を決して押えているつもりではないのでありまして、ただ、それにかわる制度も併用ができるということを、今日の農村団体はいずれもとっていることでありますから、私は、まあこの程度のところが実情に合った制度であって、なお将来農村がまた変ってくれば、そのときに実情に合うように修正をすることは、一向われわれは固執をするつもりではありませんが、農協その他現存の農業団体の姿から見て、耕作組合だけが非常に進み過ぎた形をとらなければならぬという理屈も、私はなかろうと思う。ただ、お二人の御意見は、立場の相違であって、これは、私は御意見としてはまことに尊敬をいたしますけれども、われわれは農村現状考えて、この程度のところが適当ではないか、かように考えた次第であります。
  38. 細田綱吉

    細田委員 あとは意見の相違ですから、これはまああと御相談ということに……。まあ無記名投票という一本では窮屈だ、たまにはするという例外規定が全体になっちゃう。無記名投票なんというのは、全国でどこにもなくなってしまう。だから、農協の例で御説明申し上げなくなってよくわかる。ですから、これは、例外規定必ずしも例外じゃないのです。まあほんとうに原則規定になってしまう。法律建前は例外だけれども、全般的にこれが行われるということになるので、とくとこれは一つ御考慮をどうしても願いたい。  いま一つ伺っておきたいのは、最近御承知のように、この国会で農協の職員の共済年金の制度ができます。たばこ耕作組合の方は、組合員諸君は、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 これは、われわれの希望としては、この法案提出いたしましたときは、このことが決定的な問題でなかったので、法律にはもちろん考えてなかったのでありますが、御承知通り、皆さんの御協賛を得て農村団体——法律によって成立をしておる農業団体は、年金制度がしかれることになりましたので、同じ農村のために働く農業団体である以上は、これも一つお加えを願いたいという希望を今日は持っておるのでありますが、すでに国会の審議に入っておりますので、われわれとしては、さような希望を今日持っておるということを申し上げておきます。
  40. 細田綱吉

    細田委員 答弁質問からそれてしまったのだが、この法律通りますと、公社の方で実際半年も前に現金を払っておきながら、買ってくる肥料農協より高いのだ、これは現実です。そういうところもあるかもしれぬようなことを言っているけれども、これは、あなたの方で、各地から去年の実績をずっとお調べになったらすぐわかる。この法律が通ったら、そういうことがないように、あなたの方で指導に責任が持てますか、その点を一つ念を押しておきたい。
  41. 西山祥二

    西山説明員 ただいま御指摘の点につきましては、申し上げるまでもなく十分の指導をいたしまして、御懸念の必要がないように努めます。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員長 山田長司君。
  43. 山田長司

    ○山田委員 数点伺いたいと思うのであります。今度は公社の方に伺います。外国から葉タバコを買って、日本の耕作者というものを常に脅かしておりますが、一体これからも、公社は続けて買うもりでおるのですか。
  44. 松隈秀雄

    松隈政府委員 現在製造たばこに、外国葉タバコを使っておるのでございまするが、これは、いわゆる上級たばこのために特別なかおりと味を出しますために、やむを得ず外国葉を使っております。従って、その使用割合は、最小限度にとどめるように努力しておりますので、最近の実績においては、全体の葉タバコ使用量の三%ないし四%にすぎないものであります。従って、この程度のものは、今後も使用を続けて参る見込でございます。もちろんその間に、内地葉タバコの栽培技術の改良、あるいは葉タバコ収納後におけるブレンド、その他調理上の工夫によりまして、できるだけ外国葉タバコにかわるものを作りたい、こういう努力は続けておりまするが、全部なくするというようなことは当分望みがたい、かように思っております。
  45. 山田長司

    ○山田委員 かおりを保つ意味において、外国タバコを買って、日本の製品の中に調合して使われるというが、かおりを保っている年度というものは、二年間ぐらいしかかおりを保たないといわれる。外国から買っているタバコは、三年を経過していると言っているが、これはどうなんです、事実ですか。
  46. 松隈秀雄

    松隈政府委員 葉タバコは、御承知通り、収納の年において直ちに使わず、大体二年くらい置いて使うのが最も製品に適するということは、御指摘通りであります。しかし葉タバコの本来の性質というものが、日本の葉タバコは、気候が多雨多湿であるということのために、かりに外国の種を入れて日本で栽培いたしましても、どうしてもその性質が中性的な性質を持って、におい、味の点についての特色が出しにくい、そういう葉タバコばかりでありますと、たとえばピースの場合において、世界水準に達したというようなことはどうも言いがたいのです。二年間置きまするけれども、そのことは事実でありまするけれども、本来持っている性格が、気候風土の関係で、味なりにおいなりについてどうしても外国葉タバコほどの特色が出ない。これは、輸出の面についても同様でありまして、日本の葉タバコは、海外に出ていますけれども、結局増量用として、中性的な性質で買われているが、日本の葉によって特別な味をつけたいとか、特別なにおいをつけたいといって外国で葉を買ってくれているという事実はない。この事実からしても、日本の葉の性質ということについては、大体御了解願えるのではないかと思います。
  47. 山田長司

    ○山田委員 専門的なお話をされますと、われわれはそのタバコの葉を実際に見ていないですから、どうも理解ができませんけれども、今あなたは、多雨多湿であるというようなことを言われておりますが、そのくらいのことは、日本の乾燥技術で何とか処理できているものと、私はしろうとながら考えているわけなんです。そういう点が処理されずにおる日本の技術なのか、日本の乾燥の実情というものは、そんなに何年もやっているほど専売技術が貧弱な状態であるのですか。
  48. 西山祥二

    西山説明員 技術的なことでございまするので、私から申し上げたいと思います。  タバコ品質を支配いたしますのは、いわゆる立地条件が最も大きいのでございますが、その中で、土質の点につきましては、日本のタバコの産地におきましても、アメリカの産地と匹敵するところもあるのでございますけれども、気象条件においてアメリカと著しく相違いたしております。と申しますのは、タバコの葉の生育最盛期が、たまたま日本独特の梅雨期に相当いたしておりまして、従って、育ちました葉の内容、成分も、米葉に比較いたしますと、きわめて貧弱な内容にとどまっておるのであります。これを技術的に何とか改善し、善処いたしたいと思って、常にわれわれは試験研究官を督して努力いたしておりますが、何分にも先天的な影響が強くありますので、今日の段階におきましては、まだ向うの品に匹敵するものを生産し得ない事情でございます。  なお、貯蔵期間につきまして、日本のタバコとアメリカのタバコの違いにつきましては、今申し上げましたごとく、葉っぱの内容、成分が相当懸隔を持っておりまして、日本のタバコは、内容が貧弱でありますので、比較的短期間にこれが悪変をする。ところが、あちらのタバコは逆でありまして、相当期間置きましても、ますます香味が高まって参ります。味も好転いたして参ります。相当期間貯蔵することが何ら妨げにならないで、むしろ品質を向上する面もありますので、一がいに期間の長い短かいによって比較することは困難でございます。これは、実物についてごらんをいただきますれば、一目瞭然だと考えます。
  49. 山田長司

    ○山田委員 そうしますと、日本の旧来の葉タバコ産地の大体のでき工合というものは、地味に適する形の産地であったということが専門家の立場から見て言い切れますか。
  50. 西山祥二

    西山説明員 御承知かと思いますが、今日わが国で栽培いたしておりますタバコの種類は、大別いたしまして数種類に分れておりますが、従来からの在来種と申しております国内産につきましては、長年の試練を経まして、それぞれその立地条件に適したものが生き長らえて参っておるのであります。しかるに、今日生産数量の六割以上を占めます黄色種、これがアメリカ産のそれと同じ性質のものでございますが、これにつきましては、今申し上げましたごとき立地条件において、残念ながらアメリカのそれに劣っておる、従って生産葉においても、品質が低下いたしておるというのが現状でございます。
  51. 山田長司

    ○山田委員 昨年あたりのタバコの買収価格実情から、耕作者の間で疑念を持ってわれわれに質問する理由のものは、最近北陸一帯——富山、新潟、山形、秋田、こういう新たな耕作地帯ができたために、タバコは新たなる生産を生じてきておる。さらにその輸入によるものとで、去年の暮れのような買収価格になったのだ、こういうように、低い買収価格にあった人たちが異口同音に言っておるのですよ。一体、新地の開拓によってそういう結果が生まれてきておるのですか。
  52. 西山祥二

    西山説明員 裏日本の砂丘地帯に黄色種を栽培するに至りましたのは、近年のことでございます。これにつきましては、その当時以来現在に及びまして、いわゆる中級品の原料、ただ味を緩和する、あるいはかさ増しするという目的の葉の生産が総体の割合においてはいまだ十分でありませんでしたので、これを緩和するために裏日本の方にタバコを入れたのであります。黄色種全体の収納価格をここ一両年引き下げましたのは、その耕作事情、あるいは生産等の点から比較いたしまして、比較的に恵まれておる価格の決定でありましたのに対し、在来種、バーレー種等の種類におきましては、いささか遜色を示しておりますので、不利であります種類を優遇いたしまして、黄色種の価格を一部において引き下げをいたしまして、それによって価格体系の均衡をはかった次第であります。
  53. 山田長司

    ○山田委員 あなた方は、価格体系の均衡をはかったというふうに簡単に言われるが、農民にとっては死活問題なんです。実際重大な問題で、それは、やはり希望を喪失しないためにも、前もって、買入価格にはこういう変化が起るのだぞということを、耕作させるときに話しておくべきだと思うのです。この点を、私は伺おうとしておるのではないのですが、こういうことは、かなりこうした地帯に欠けておって、農民耕作意欲を失っておるのではないかという面がずいぶんあるのじゃないかと思うのです。  次に伺いたいことは、今日まで大蔵委員会に付託されてかなり論議されてきておって、今私がここで発言することによってどれだけの変更が作り出していただけるものが、私は疑問に思っているのですけれども、一応聞いておきたいから申し上げるのですが、今度の規定によりますと、買収価格の決定に当る審議会は、参議院の方から修正されてきた意見によると、十一人の人をもって構成するというようなことを言われておりますが、この審議会の十一人の選定基準というものは、一体どういうところに置いておるのか。やはりこれは非常に重要な問題だと思うのですけれども、どういうふうな基準によるのか、その基準を一つ明細に教えていただきたい。
  54. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 昨日も同じような御質問でございまして、お答え申し上げたのでございますが、十一人の委員につきまして、その構成につきましては、政令をもって定めるつもりでございますが、中の半数程度、五人は耕作者を代表する方々を委嘱いたしたいと思っております。それからあとの六人につきましては、学識経験者ということになるわけでございます。専売事業というものは、いろいろな方面に関連を持っておりまするので、財政制度に関する専門家とか、あるいはたばこというふうな、こうした国民の非常に普遍的な嗜好品につきましては、いろいろそうした方面の民意をキャッチするに非常に敏感なジャーナリストの方とか、あるいは農業政策一般に関する造詣の深い方というふうな、国民経済とか、あるいはたばこに関するいろいろな知識を持った方とか、あるいは財政制度に関する専門家というふうな方々から委嘱いたしたい、こういうふうに考えております。
  55. 山田長司

    ○山田委員 ただいまのお話は、聞けないことはないが、これは、中央だけの考え方ですか。それとも各府県の専売局のあるところで、そういう形で設けようとしているのか、あるいはまた収納する個々の専売出張所ごとに設けるつもりなのか、この点、いかがですか。
  56. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 今度の改正案におきましては、総裁の諮問機関でございまするので、中央に一つ置くだけでございます。
  57. 山田長司

    ○山田委員 この点、中央にどういう形で耕作者の代表を選び出すのかわかりませんが、中央に五人ぐらいの耕作者の代表を集めてみたところで、これは、おそらく都道府県の連合会長ぐらいが出てきて、葉タバコ一枚いじったことのないような連中が出てくるにきまっていると思うのです。こういう点、実際に葉タバコを手にしている農民の中から選ぶつもりなのか、あるいは連合会の会長などといって、地方のいわばたばこ耕作組合組合長から選び出されてきて、タバコのことなどさっぱりわからない人たちが出てくるのか、この点、どうなんですか。
  58. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 私、そういう連合会の役員の方が、葉タバコを一枚いじったことがないというようなことは、あまりよく存じませんのですが、参議院でも同じような問題がございまして、参議院の委員の方々に御審議を願いましたときには、耕作者を代表する者である、結局法律の精神を生かしますためには、耕作者をほんとうに代表する方々を選んでいただくわけでございますが、その場合に、耕作者と申しましても、全国に四十数万の方々がおられるわけでございまして、その皆さんの御意見を比較的反映しやすい団体の方々の自主性を尊重しまして、もちろん委嘱する総裁、すなわち公社との間にもいろいろな話し合いが行われるでございましょうけれども、そういう自主性を尊重して、そうした団体の推薦する者を委嘱するという形にしたらばよいのではないかという御意向がございまして、われわれも、そういうことがこの法律耕作者を代表する者という委員の選出方法として最もよろしいのだということでございますれば、御意見は承わってよく尊重いたしましょう、こういうことを申し上げておるわけであります。
  59. 山田長司

    ○山田委員 方向転換して、やはり公社に伺いたいのですが、実は、これは一地方に起っている事件ではないのです。たばこ耕作組合の連合会の建物というのが、最近各地に新しく作られています。この連合会の建物というのは、ことごとく、本人が好んでいるか好まないか知りませんが、耕作者に反別割で、たばこ収納時期における価格の中から、本人が知ったか知らないうちに引き抜かれて、耕作組合連合会の建築の経費に充てられている。こういうことについては、公社も相当収益を上げているのですが、農民にだけ金を出させないで、公社でも少しめんどうを見てしかるべきだったと思うのですが、この点は、公社としては、こういう場合にどういうふうな取り計らいをして、しかも公社所有の土地の上に建物を建てるという事例があるわけでありますが、こういう場合、公社の方にも相談はどういうふうにかけられているものですか。
  60. 西山祥二

    西山説明員 耕作組合の事務所はところによっていろいろでございますが、従来は、ともすれば町村役場の一部を借り、あるいは公社の出帳所の一室を使う、あるいは収納所の建物の一室を使うというような場合が相当でございます。しかしながら、組合自体といたしましては、できる限り自己の事務所を持ちたいという考えを持ちますのも当然かと思うのであります。われわれの希望しますのは、できる限りその建物が簡素にして、経費の多く要しないたぐいのものをこしらえてほしいことを、機会あるごとに申しておるのであります。しかして公社に便宜の供与を求められました場合には、事情の許す限りそれに努めておるのでございまして、たとえば公社の建物で、すでに廃棄すべき年限のたっておるものを便宜払い下げて、これを使用させる、あるいはまた、出張所の前の馬繋場が、現在においてはほとんどその用を果しておりませんので、それの一部を貸し与えて建物をこしらえる等の便宜ははかっておるのでございますが、建設費の一部を公社から支出するということは、今日許されておりませんので、その事例はございません。
  61. 山田長司

    ○山田委員 あなたは知っていてそういうことを言っているのか、知らずに言っておるのか、事例がないなんということじゃだめなんだ。ちゃんと事例があるから私は言っているので、公社の敷地内に建物ができているところがあるから私は言っているのです。そういうことは許さないということであるならば、これはまた問題が新たに発展するわけなんですけれども、どうも理解ができないから、私は質問しているのです。知っていて言っているのか、知らずに言っているのか、もう一ぺん伺います。
  62. 西山祥二

    西山説明員 ただいまお話しの具体的な事例を私存じません。何とも申し上げかねるのでございますが、この収納所、出張所の前の馬繋場等が今日ほとんど使われていないところで、便宜供与して使用させるという事例は承知いたしております。
  63. 山田長司

    ○山田委員 別にそのことを詮議だてしようとして私は言っているのではないのですから、事実あるのだけれども、今ここでその問題については、これ以上つかぬですけれども、私は、根拠があって伺っておるのですから、やはりそういうことについては、当局でも、監督の衝に当る人たちがもっとつぶさに調べておかないと、将来もこれに類似する形において、敷地を無償で提供しなければならぬというような事例が起りますから、この点については、真剣に一つお取り調べになっていただきたいと思うのです。  もう一つ伺いますが、これは竹山さんに伺うのです。私がどうしても理解ができないのは、町村合併によって、今度あなた方が提案されたたばこ耕作組合法によりますと、かなり遠距離のところからたばこ耕作組合の総合などに出なければならぬような事態が起ってくる。そういう場合に、ほとんど委任状によって出てくるような結果が生まれると思う。そうしますと、せっかく規定を設けられても、役員選挙という一番重要な問題になってきて、実際村の旧来の有志の人たちが委任状を持って出てきて、有名無実の総会が行われてしまう結果があり得ると思う。そういう場合に、委任状を許さないでやるつもりなのか。それとも委任状で、これは結果的に見て、必ず数十人しか集まらないような総会が行われると思う危惧の念で伺うわけなのでありますけれども、そういう場合に、どんなふうに会を最も民主的におやりになるつもりであるか、伺っておきたいと思います。
  64. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 これは、町村合併等で、お話しのような場合があるかもしれぬと思います。それは、区域等もよく実情に合うように運営してもらいたいという希望を持っております。従って、またお話しのような、初めから無理を承知のようなことにならぬように、しかし委任状の制度というものは、これはまたほかの団体すべてにつけられておることでありまして、この団体だけの問題でありませんので、これを全部禁止することもいかがかと思いますから、その点の御注意は、よく一つ実施の場合において注意をいたさせたらどうかと考えております。
  65. 山田長司

    ○山田委員 最後に、もう一点伺いますが、今日の耕作組合というのは、どこの耕作組合も、相当な金を持っておると思います。それは、反別によってかなりの金額を差し引いておりますから持っておるわけでありますが、このことが、もしこういう状態で、三年目ごとのような形で役員の任期がなされるということになりまして、しかも組合員の数が非常にふえて、組合費がほかの団体などから比較すると高い、そうすると、かなりだぶつくと思うのです。私は、そんなことをなぜ聞くかというと、公社の人も知らないでおるだろうと思うのですが、栃木県に起っておる事例で、終戦の直後、たばこ耕作組合連合会が一人について一着六百円ずつで軍服を買ってやるということで、栃木県じゅうの耕作者から金を千六百万円集めました。私の村だけは、そんなばかなことでいまだに品物が戻らぬということであれば、承知ならぬということで、私が連合会にどなり込んでいったので、私の村だけ全部の金が返ってきました。これは、いまだに栃木県では結論が出ずにいます。公社は、それを知っているかどうか知りませんが、こういう事例がありますから、今度の場合でも、三年目ごと三年目ごとなどにしないで、しかも会費はたくさんである、これで民主的にりっぱな組合の責任者が選ばれればいざ知らず、そうでないと、これは必ず問題が起る種を作り出すようなものだと思うのです。そういう点で、総会は少くとも一年に一ぺんずつやってもらいたい。こういうことはできるのかできないのかということがまず一点、それから、たばこ耕作組合組合費というものを、一つ思い切って従来よりも安くすることができないものか、この二点について伺いたい。
  66. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 御指摘のような例はどうかと思いますけれどもお互いにそういう問題が起らぬように、一つ法制化によってはっきりしていく。従って、非常に金がだぶつくなんということは、農民を相手の団体で私はあり得ないと思いますし、必要最小限度の負担をかけるのでもなかなか大へんなことだと思いますから、決してそういう余分な金が出るようなことをやらせる必要もないし、またそういうことの絶対にないように、はっきりした団体でやって参りたい。従って、御趣旨のように、総会をできるだけ開くということや、会費はできるだけ軽減ができるようなことについては、私はもうあなたの御意見と全く同感で、そういう方向に努力すべきだと考えております。
  67. 山田長司

    ○山田委員 参考までに伺っておきますが、今私が話した栃木県のたばこ耕作組合の軍服の事件は、公社の人は知っておりますか。
  68. 西山祥二

    西山説明員 ただいまお話になりました件については、私承知いたしておりません。
  69. 山田長司

    ○山田委員 参考までに、栃木県の連合会に公社が連絡して、この結論がどうなっておるか、一つ調べて御報告願いたいと思うのです。
  70. 細田綱吉

    細田委員 最後に、ちょっと結論が出なかったので、竹山さんに伺います。先ほどの、たばこ耕作組合農民団体だから、職員の年金制は新たに考慮したい、こういうお話。これは、申し上げるまでもなく、農林漁業団体の職員の共済年金です。そうすると、どうしてもたばこ耕作組合は、農林大臣と大蔵大臣の共管でないとまずいと思うのです。従って、この耕作組合は、御提案になった当時はまだ具体化していないし、御考慮されないのは当然だと思いますが、新しい事態に直面して、両大臣の共管でよいのか、それとも年金の事務だけは農林大臣共管で、他の耕作の方は大蔵大臣の専管だ、こうお考えになっておるのですか、その点、どうですか。
  71. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 その点は、一つどうかこの制度につけ加えてもらうことをわれわれは希望しておるわけでありまして、行政上の所管等については、一つ当該委員会と政府とよくお話し合いを下さって、適当なところにおまとめをいただくことを希望しておるわけで、特に私の方でどうこうという注文をつけることはいたしておりません。
  72. 細田綱吉

    細田委員 共管でも異議はない、こういうわけですね。
  73. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 その点は、一つどうか委員側と政府側と、よくお話し合いを願いたいと考えております。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員長 これにて連合審査会を終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会