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1958-01-16 第28回国会 衆議院 大蔵委員会税の執行に関する調査小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十二年十二月二十三日(月曜 日)委員長指名で次の通り選任された。       淺香 忠雄君    大平 正芳君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       川野 芳滿君    高見 三郎君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    横山 利秋君 同日  淺香忠雄君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 会議 昭和三十三年一月十六日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席小委員    小委員長 淺香 忠雄君       大平 正芳君    高見 三郎君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       横山 利秋君  小委員外出席者         大蔵委員長   足鹿  覺君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      金子 一平君         大蔵事務官         (国税庁税部         所得税課長)  亀徳 正之君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    中西 泰男君         参  考  人         (日本税理士会         連合会弘報委         員)      加納  清君         参  考  人         (全国青色申告         会総連合会税制         委員長東京青色         申告会連合会税         制委員長)   原   國君         参  考  人         (全国法人会総         連合会長)   増田 顯邦君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 一月十六日  小委員神田大作君同日辞任につき、その補欠と  して平岡忠次郎君が委員長指名で小委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税の執行に関する件      ————◇—————
  2. 淺香忠雄

    淺香委員長 これより会議を開きます。  税の執行に関する諸問題について調査を進めます。  本日は、お手元に配付いたしました名簿の通り参考人方々出席せられております。参考人各位には、御多忙中を御出席いただきまして、まことにありがとうございました。実は参考人の方にちょっと御了解をお願いしたいと思いますが、大蔵委員会の中に、昨年税の執行に関しての小委員会が生まれ、今日まで東京国税局名古屋大阪等へこの委員の者が出張いたしまして、現地におているろな資料に基づき事実調査を行って参りました。第一番に査察の問題、それから特別調査、あるいは協議団関係等を中心にきょうまで調査を進めて参ったのであります。つきましては、本日御出席いただきました皆さん方は、税制に日ごろから関心を持っておられ、また税の問題については非常に明るいお方々ということを承わっておりますので、私ども今日まで調査いたしましたものを基礎に、皆さん方のたっとい御意見をお伺いいたし、すみやかにこれが結論をつけていきたい、こう考えております。どうぞよろしくお願いいたします。  それから会議の進め方なんですが、従来こうしてお越しをいただきますと、その方々それぞれのお立場から公述を願うことになっておったのですけれども、こうして印刷物も私どもの方に配付されておりますので、委員の方から一問一答のような形で、えらい御無礼ですが、こちらの方からお尋ねをいたしますから、それにつきまして御答弁をお願いしたいと思います。ではこれより質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 先ほどからいただきました文書を拝見しておるのですが、非常に貴重な御意見をいただきまして、敷衍をして記録にも少し残しておきたい点もございますから、お尋ねをいたしたいと思います。  今委員長が申しましたように、最初の重点は、査察、あるいは特調、あるいは協議団というところに置かれておるのです。東京大阪名古屋といろいろお役所意見と直接納税者意見も聞きまして、私どもとしては、一言に申しますと、税をより民主的に、科学的に、合理的にするためには、権力的な支配、権力的な背景というものをなるべくなくしていきたい、こういう観点から、直接に納税者意見も聞いたのですけれども、相当深い意見やあるいは実態というものが明らかになったわけです。そこで、たとえば税理士会連合会から出ております「査察責任者に対する罰則規定制定を望む」それから「秘密保持査察ブローカーの排撃」「関連事項重複課税の声」それから「査察の顛末の公表を望む」、まず査察の面を取り上げますと、こういう点が重点的に連合会から出ておるようです。まず具体的になっておりますこの四点について一ぺん御意見伺いたいのです。たとえば第一点の、査察の結果が白であった場合には、損害が補償されるとしても、精神的な打撃はいえないから、査察原始責任者に対する罰則規定制定を望むというようなことなんですが、具体的にはどういうことになるかということが一つ。それから二番目の、査察をやると、納税協会筒抜けになる、その点はほかのところでも出ておったようでありますけれども、この納税協会実態、それから三番目、四番目についても多少敷衍をして、まず加納さんからお伺いをしたいのです。それに関連して、原さん、増田さんからも御意見があれば、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  4. 加納清

    加納参考人 第一点の、査察責任者に対する罪則規定制定の問題なんでございますが、現在の査察制度を存続していいかどうかについては、私はこの際意見表明を差し控えたいと思います。ただ現状の点について、いろいろとわれわれの周囲の声を判断いたしまするのは、どうも切り捨てごめんの傾向があるのではないか。国家賠償法なり、刑事補償法規定があるにしましても、査察を受けた本人にいたしますると、切りっぱなしにあっては、どうも自分としても精神的にがまんができないのだ、ついては原始責任者、これはだれになるのか、終局的には査察部長になるのでありましょうが、そういったことでなしに、あるいは係長なり、その下の方なりにありまするが、罰則規定刑事罰行政罰か二つあるのでありますが、願わくば刑事罰まで持っていってもらいたい。納税者をやっつけておいて、しかもそれが白であった場合に、それっぱなしであるということは納税者の感情に合わないのではないか。これは行政罰は当然の問題ではありましょうが、できれば刑事罰まで持っていってもらいたいという気持参考人は持っておるのであります。  それから第二点の、秘密保持の問題でありまするが、これは関西の某国税局の場合で、納税協会の構成の問題になるのでありまするが、この協会は相当歴史のある会でありまして、大体局の幹部職員の方でやめられた方、並びに管内税務署長でやめられた方がこれの幹部になっておる、いわゆる納税協力団体ではありまするが、国税局外郭団体であるということにわれわれ承知しておるのでありますが、とにかく査察が入ると——この協会があるためでありましょうが、これがすぐに筒抜けになってしまう。筒抜けになった場合に、この協会関係者方々が、いわゆる査察当路者とわたりをつけるという弊害が現われておるのだ、こういうことなんでありまするが、一体こういうことであっていいのかどうか。しかもこれについては、税理士法の違反といった問題が当然に付随されるのでありまして、しかも官の秘密が漏れるということについては、どうも納得ができないのである。  第三の関連事項になるのでありますが、この協会納税者に対して——納税者法人と個人とでありますが、これに対して、納税協力団体である協会に積極的に加入を求める、この場合に、しかも税務署長納税協会との連名でもって、封筒の裏にもちゃんと両者の名前が刷り上っておるのであります。どうぞわが会に入りたまえ納税者の方にしますと、入会を心理的に強要されるという傾きがあるのでありまして、これは、現在の制度からいって、納税団体がかりにいいにしても、入会を強要するということについてはいかがかと思う。同時に、東京の場合でも、いろいろと申告用紙その他について批判の部類もあるのでありますが、東京なんかでは、税務署からもらった用紙のほかに、足りない場合は税務署にもらいにいっても無償でおおむねはくれるのでありますが、大阪の場合には、行きますと、納税協会で買いたまえということで、いわゆる有償で買わされる。しこうして、有償で買わされる場合に、紙価が、少くとも妥当な値段あるいは以下であればいいのでありますが、それがどうも普通の値段よりも高い、というと、ことによらなかったならば、入らなくていい納税協力会に納める会費と、今の用紙を買わされるということについて、つまり民間団体に対して別に税金を払うというような、いわゆる二重課税という声が地元に数年来あるのであります。これは何とかしてお考えをいただいていいのでないかということと、もう一つは、この納税協会は、管内の各税務署支部が設けられておりまして、その税務署によりましては、堂々と看板が出されておるのであります。それはそれといたしまして、最近の事例でありますが、A税務署署長納税協会名前をもちまして、納税者に対して直接に、あなたのところに関与をしている税理士は一体だれでありますかという質問、並びに報酬は幾ら払っておるかというようなことを、官である税務署に対してであれば別でありますが、そうでなしに、納税協会に知らしてほしい、納税協会というのは民間団体であります。一体こういう通知義務があるということがちょっとおかしいのでないか。  第四番目には、実は一番初めに申し上げました、査察制度現状のままあっていいのかどうかということについて、私は意見表明を差し控えたのでありますが、そのいわれは、実は私寡聞にしてよく実態がわからないのでありますけれども、この査察の結果によって、更正する場合もあるでありましょうし、決定する場合もあるでありましょうし、また同時に団に対する審査請求をする場合もあるでありましょうが、一体査審の結果、徴収状況がどうなっておるのか、世間には、往々にして大きな査察事件は、しり切れトンボになっていいかげんになっておるという声も、実はないでもないようでありますが、査察事件によって起った結末が一体どうなっておるのか、一体税金は納まっておるのであるかどうかといったことを、一つ適当な機会に適当に公表していただくことにより、査察という制度がはっきり国民に理解できるのでないであろうか、こういったような考え方で、以上四点を概略お答え申し上上げる次第であります。
  5. 横山利秋

    横山委員 原さんと増田さんにお伺いしたいのですが、今加納さんのお話しになりました点について、あなたの方ではどんなお考えでございますか。
  6. 増田顯邦

    増田参考人 今の加納さんのお話は、大阪でのお話でございますが、私の方の全国法人会総連合会というのは、全く自主的にでき上っておりまして、今お話しのようなことはこれには適用はないのであります。全く自主的に記帳の研究とか納税への協力、いわゆる納税円滑化を期して作った団体でありますから、おそらく今のお話は、大阪における協力会お話ではないかと思うのでありまして、それ以外の全国的にわれわれの所属しておる団体においては、さようなことはございません。さようお答え申し上げます。
  7. 横山利秋

    横山委員 あなたの方の団体を聞いておるのではないのです。今お話があったのは、納税協会が問題だとおっしゃっておるのですが、あなたの方の会から見て……。
  8. 増田顯邦

    増田参考人 実は大阪納税協会も、われわれと一緒に一つ合同してやってくれと一応二年ほど前に勧誘したことがあります。それでも、今のお話のような事情があるのでしょう、なかなか入会されなかったのです。今でもり全然連絡はありません。今お話しのようなこともたまには聞いておりますが、おそらくこれも事実であるかもわかりませんし、その点はっきりいたしません。
  9. 原國

    原参考人 私からもお答え申し上げます。実は青色申告会連合会が発足したときに、東京都の連合会社団法人にしようといたしましたところ、大阪のそういう団体があるために、これを何とか処分しなければならぬというような考え方から、東京連合会社団法人は見合してくれということでありました。全国に総連合が生まれましても、大阪だけがこれに同調されないので、非常に弱っております。そこで、今税理士会の方からお話があったようなことも耳にしております。結局世俗の言葉で言うならば、役人の姥捨山だ。そこで強力に役所つながりを持って、われわれの自主的に作った青色申告会連合会に、和歌山、京都、兵庫、奈良、これらすべて同調されるのに、大阪だけがなかなか同調されないところを見まして、はなはだ遺憾に思っておる実情でございます。以上お答えいたします。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 今、途中ですが、委員長がやむを得ない用事で去られましたので、私が職務を代行いたします。  それから一応正式に速記をとっておりますので、委員会におけるような応答方式をとっていただきたい、このことを一つお願いしておきます。
  11. 横山利秋

    横山委員 加納さん、この納税協会というのは、全国的な組織を持っておるのですか。
  12. 加納清

    加納参考人 お答え申し上げます。これは大阪納税協力会ということに私は限定をいたします。
  13. 横山利秋

    横山委員 ほかの地域にもこのような組織はあるのですか。
  14. 加納清

    加納参考人 関東の場合には、こちらの御両会がおありのようでございますが、私全国的な模様を存じないのでありますが、とりあえず大阪のことだけを申し上げたのであります。
  15. 横山利秋

    横山委員 それでは専門員の方で、ここにいらっしゃったお三方は、それぞれ私どものよく知っておる諸団体ですけれども、今申し上げた納税協力会ですか、協会ですか、これの組織、目的、業務役員等を一ぺん次会までに調べて下さい。
  16. 春日一幸

    春日小委員 国税庁にお伺いいたしますが、この徴税行政機関協力会との関係といいますか、連絡、そういうものがあるならば、どういう工合につながりがあるのか、これを一つこの機会にお答え願いたい。
  17. 亀徳正之

    亀徳説明員 こういった納税者団体指導その他は総務課所管こなっておりますので、あるいは不十分な説明になろうかと思いますが、まず第一に、納税協会というのは、大阪だけでございます。それから大体私たちの気持としては、現在は特に所得税関係で例を引かしていただきますと、青色申告会というものがあるわけでございます。これと国税庁とのつながりといいますものは、当初から、納税者の自発的な団体として、特に青色申告会補助金を与えるとかいうような格好で結びつくというようなことはおもしろくないのではないか、むしろその意味では自発的な団体として、そこに青色申告をますます勧奨して、いい意味の自主的な団体として育っていくように、こう念願しておるわけであります。  大阪納税協会性格は、実は非常に前からの関係りがあるようでございまして、私も当初のことは正確には記憶しておりませんが、一番初めは、何か源泉徴収に関連しまして、いろいろな用紙配付、その他そういった仕事をお願いしたというような関係でそういった機関があり、それがそのまま残って、いろいろな形になっておるというふうに聞いておるのですが、ただ庁として大阪納税協会をどう引っぱっていくかというような点につきましては、実は私としてはちょっと責任を持ってお答えしかねるし、むしろ所管総務課長からお答えしていただいた方がいいのじゃないか。実は私もちょっと納税協会の確実な性格というものを的確りに申し上げにくいという点は、大阪にも青色申告会支部もございますし、納税協会に入らなければ全然だめだというような指導は、少くともわれわれの立場ではやっておりません。ただ用紙配付というようなお話もございましたので、あるいはこれは一部やっておるかと思いますが、この協会に入らなければ身動きができないというようなところまでの指導はやっておらないかと思うのでございます。なおこの点は、私正確な情報をキャッチいたしておりませんので、その点は差し控えさしていただきます。  なおこれはほかの所管でありますが、たとえば査察の話が納税協会幹部にすぐ漏れるというような点は、あるいはまた誤解がいろいろあるのじゃないか、少くとも建前として、そういうものが漏れるべき筋合いでもないし、そういう事実があれば、あくまで究明して糾弾していかなければならぬ性格のものだ、こう考えております。
  18. 春日一幸

    春日小委員 こういうことが考えられると思うのだが、国の行政機関のむろん下部機構ではないわけだが、やはり一つの政策の浸透機関として、創意に基いてできたであろうと思う任意団体に、国が国の業務ではないけれども、それに類するもの、たとえば税務署が当然配付すべき用紙配付を委託するとかなんとかいうようなことは、現実に行われておるのですか。
  19. 亀徳正之

    亀徳説明員 申告書は、やはり納税者方々に、たとえば確定申告書でございましたら、納税者に直送しております。源泉関係のいろいろな用紙も、税務署が直接全部配付しております。おそらく今おっしゃったお話は、なおそれで不足があるとか、あるいはいただいたけれども、ほごにしてしまってだめになったが、もうすっかり用紙配付済みで足りないというようなときに、その協会で刷っておって、便宜同じような様式を配付するということも、あるいはやっておるかもしれませんが、建前は、あくまでも税務署で全部申告書配付し、また源泉徴収関係の諸用紙配付しております。大阪だけ特にその配付の基準を足りなくするとかいうようなことはいたしておりません。従って、もちろん、あくまでも建前税務署配付すべきものであるし、また税務署においでになれば、無料で申告書配付する、こういう建前大阪でも同じだと心得ております。
  20. 春日一幸

    春日小委員 この際特に申し上げておきますが、とにかくその会員である者と会員に入っていない者との間に、徴税行政上みじんたりといえ差別の待遇があったら、これはゆゆしい問題だと思うのです。御答弁によりますと、そういう心配はないということでありますが、なお調査の結果、もしそういうようなきらいがあるような面があるならば、これは緊急に一つ改正願いたい、このことを強く要望しておきます。
  21. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 ちょっと加納さんに伺いたいのですが、「某国税局査察部査察を開始すると、いち早くこの情報局内にある納税協会筒抜けに伝わって、」云々とあるのですが、局内とはどこのことですか。
  22. 加納清

    加納参考人 これは大阪国税局の中に、民営であるところの協会が存在して、官の電話をじゃんじゃん使い、官の施設もじゃんじゃん使っているということであります。
  23. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 その点、亀徳さん、今のような御答弁ですと、国税庁機構がどうなっているのかわからないということは、庁舎の中にあって電話使い——おそらく電話をじゃんじゃん使うということなら、もっとそれ以上のことも行われておるだろうが、半ば官の機関のごときふるまいをしているのじゃないかと想像できますが、あなたで答弁ができなければ、その実情を知っておられる人が見えておられるならば、明らかにしたらどうですか。
  24. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 総務課長は来ておりますか。
  25. 亀徳正之

    亀徳説明員 課長では私一人です。  私、どうも直接実務の方ばかりタッチしておりますので、こういった協会の動きには、直接にはタッチしておらないわけであります。少くとも査察事件を、今公述の方のおっしゃったように、ルーズにすぐ漏れて、それを納税協会でじゃんじゃん電話連絡するというようなことが黙認されておるということは許しがたいことで、これはまた別個に、われわれもその事実を単なるうわさであるか、現実であるかということも、こちらとしても究明したいと思います。なお私は、所得税課長立場で来ておりますから、その点はどうもちょっと——あくまでも所管外にわたることでございますから、少くとも私は、その立場に立てば、当然そういうことをせざるを得ないという表現で、一つお受け取り願いたいと思います。
  26. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 今総務課長を一応呼びましたから、その点につきましては、後刻またお尋ねいただきたいと思います。
  27. 横山利秋

    横山委員 亀徳さん、ついでですから言うておきますけれども、この前、三局を調査しました結果というものは、これに関連する問題としては、残念ながらあなたのお話通りではないかということです。ここに加納さんのところから出ている査察ブローカーといいますか、そういうものが存在しているということが、納税者側からの各種の意見でわかる。これは機会をあらためて十分に究明したいと思いますけれども、御注意を十分になされなければいかぬことだと思います。  次の問題として……。
  28. 亀徳正之

    亀徳説明員 ただ委員長、その問題は非常に重大な問題でございますので、その所管の少くとも調査査察部長なり何なりに正式に釈明なり説明をする機会を与えていただきたいと思います。私自身は全然そういったことを——そういうことが簡単に信ぜられているということ自身は、非常に問題だと思いますので、所管部長から正式に答弁をさす機会を与えていただきたいと思います。
  29. 春日一幸

    春日小委員 査察ブローカーが存在しているということがもし事実であれば、これはまたとんでもないことなんで、これは本委員会責任において真相を明らかにしなければならぬ問題でありますが、その前に、少くとも特定少数者団体に国の機関を利用せしめ、調査を利用せしめ、国の電話を利用せしめ、またそれに付随する数々の便宜を供与するというようなことは、許されてはならぬ事柄であろうと思います。いわんやそんな査察ブローカーがあったり、査察情報がその機関をパイプとして流れ出るというようなことは、当然重大な刑事罰に処せらるべき問題で、疑義はないと思うのだが、しかし行政上の疑義として、国の調査特定少数者団体に利用せしめた、しかもさまざまな付随するところの便宜供与が行われるということ自体が、これはやはり重大な問題をはらんでいると思うので、私は、この機会に緊急に国税庁長官出席を求めて、これら一連の疑義について直相をただし、非違があればすみやかにこれを直さなければならぬ。これを委員長に強く要望いたします。
  30. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 その手続をとります。
  31. 増田顯邦

    増田参考人 ただいま加納さんからお話のありましたのは、大阪局協力会の問題についてのお話であることを、一つはっきりしておいていただきたいと思います。ほかの団体と混合しないようにしていただきたいと思います。全国法人会総連合会では、そんなことはないことを一つはっきりしておいていただきたいと思います。
  32. 原國

    原参考人 全国青色申告会も、大阪納税協会のようなことがないことを、この際はっきりここで申し述べておきます。
  33. 横山利秋

    横山委員 ついでに三団体にお伺いしたいのですが、三団体それぞれ独自の存在の御理由がおありになって、今日までやっていらっしゃると思うのですが、私地方で納税者のいろいろな話を聞いてみますと、署長さんとか何かの御転勤とか、いろいろなときに、送別会やいろいろなことが行われるようでございます。場所によっては寄付をする、餞別を出すというようなことが間々あるように思うのでございますけれども、そういうお話はいかがですか。
  34. 原國

    原参考人 青色申告会に関する限り、寡聞にして私はさようなことを耳にいたしておりません。
  35. 増田顯邦

    増田参考人 青色申告会同様、法人会では、なかなか会の運営さえ困っているような状態なので、さようなときに余裕がありませんし、寡聞にして聞いておりません。また厳にお互いに慎しんでおります。
  36. 横山利秋

    横山委員 亀徳さん、あなたが今ちょうどここにおられるから何だけれども法人会青色申告会も、もちろん税理七会も、年度の予算では、そんな金があろうはずがないと思います。だから、そういう場合に、臨時に有志相つどい相語らって、送別会や餞別を出しているという事例は、幾多枚挙にいとまはないと私は思うのです。こういうことはなるべく——まあなければけっこうでありますが、自粛自戒をしていただきたい。私は、会の会費とか予算の中にあろうはずがないと思う。随時そういうことが行われるやに聞いておりますので、一つ自粛をしていただきたいと思います。  話をかえまして、査察のてんまつ、これはいらっしゃってからでけっこうです。協議団のあり方について、三団体のうちでやっぱり税理士会から出ておりますが、税理士会のおっしゃる、「協議団国税庁と同格に」、「構成員に民間学識経験者を加えたい」、「審査決定例集の公開を望む」、「苦情相談所、納税相談所及びPRの不足について」、四つの意見つが出ておりますが、その中で、よくわかりませんが、協議団国税庁と同格にというのは、全体的の構想から言うとどういうことになるかということと、それから構成員に民間学識経験者を加えたいということは、現在入っております、もうお役人になられた人のほかに現職としての——現職といいますか、実際に今民間でおられる人を加えたいと、こうおっしゃるわけですか、第一の問題からお聞きいたします。
  37. 加納清

    加納参考人 お答え申し上げます。  第一点の国税庁と同格にという意味は、現在の協議団に対する国民の信頼性というものが、一体どの辺にあるのかということから出発するのであります。一言で言いますると、同じ穴のムジナ、非常に下品な言葉で申しわけないのでありまするが、局で調べたものを、納税者に不服があって協議団に持ち込む。協議団というものは局に隷属するものであるといった場合に、自分が自分を批判するのでありまするから、当然に協議団方々は、局の主管部の意見を尊重せざるを得ないという一つのれっきとした、何といいますか、ここに事実関係があるのでありまして、これではどうも納税者の方に納得ができないのだ。要するになるべくもとの処分官庁でない機関によって判定してもらいたいということが、納税者の希望であるのだ。しかるにこれが同じ官庁であっては困るから、できれば現在の制度を同じ——協議団の将来の方向としては、タックス・コートまでに持っていくことが望ましいのでありまするが、行政機関の範囲では、これを一つ内閣なり、そういった方のいわゆる大蔵省管轄以外のところでもってさばいてもらいたい。そうすることが、結局協議団の声価を高からしめるゆえんであるし、同時にこれに信頼性を置くことになるのだ。従って現在の大蔵省の中に置くのであれば、国税庁と同格のものにしてもらいたい。少くとも現在のわれわれの考え方では、協議団は、たとえば局の場合には、どうも直税部なら直税部の意向に右向いたり左を顧みるという、何となしに遠慮気がねのあることが少くともわれわれには見えるのでありまして、それを突き破るために別格のものに、少くとも同等なものにしてもらえば、局の鼻息をうかがわずに済むのじゃないかということ、これが第一点であります。  第二点の構成員に民間云々でありますが、これは、現在でも協議団ができた当座に、民間からお役人として、協議官として相当数のお方が採用になられておることは存じ上げておるのでありますが、この場合には、協議団は少くとも行政機関のワク内でやることでありまするから、現職でない、いわゆる協議官になりきってしまわないで、民間人からいわゆる何といいまするか、官吏でない資格において一つこれに学識経験者を加えていただくことによって、現実に即した、いわゆるあたたかい判定というものが下るのじゃなかろうか。こういった気持で、現職に採用してほしいという意味でなしに、いわゆる学識経験者として一枚加えてほしいという気持が第二点であります。  以上、お答え申し上げます。
  38. 横山利秋

    横山委員 そうすると、たとえば局長と局の協議団長と同格ということになりますかね。そうすると、その二人の意見が合わなかった場合においては、中央の協議団長へ持っていくことになりますか。団長と国税庁長官意見が合わなかった場合には、どういうふうにお考えですか。
  39. 加納清

    加納参考人 これは、気持はやはり団の独自性を持っていただきたいということにあるのであります。これはやはり裁判官みたいに——まあ取っつけにはできませんのでありますが、現在は、極端にいいますると、団がいかようにきめても、局長なり長官は、自分の意思でもってこれを配意することができるのだ、こういうことができない姿が、ほんとうの姿ではないかと思うのであります。
  40. 横山利秋

    横山委員 決定権は団長にある、こういう意味ですか。
  41. 加納清

    加納参考人 そういうことであります。
  42. 横山利秋

    横山委員 この点は、原さん、増田さんはどうお考えですか。
  43. 原國

    原参考人 できるならば、やはりそういう方向に御指導願いたいと思っております。
  44. 春日一幸

    春日小委員 その問題は、もう一回私から承わりたいのだが、現在の機構では、協議団は、いうならば身体の中の反省神経みたいなものだろうと思うのだ。だから、反省することによって、ときに行動を変更せしめることがあるだろうけれども、反省しながら、そのままそれをのみ込んで、なお従前の行動を続けていく場合もあると思うのだ。現在の協議団の機能というものは、あたかもそれに似たような限界を出てはいないと思うのです。だから私は、この反省神経というものは当然必要ではあるけれども、しかし真に誤まった行動を変更せしめるという効果を確保するためには、やはり五体の中からぬきんでたところの第三者的立場において、また別個の立場においてそれに対して意思表示を行わしめるための組織的な仕組みというものが必要になってこないかと、このことを考えて御質問申し上げるわけです。そこで今横山君がお尋ねになったことになるわけですが、そうすると、地方の国税局の本部長協議団意見を取りまとめて国税局長に述べる。そうすると、国税局長がこれをそのまま承認する場合もあるし、それを否認する場合もある。否認した場合においては、国税局長の決定が最終決定に現在なっておるのですね。それだから、私が今おぼろに構想しておるのは、地方における本部長国税局長との意見が合致しない場合は、これをさらに中央の協議団長に未決定のまま両者の意見を持ち込んでくる。そうして東京の団長と長官との意見が合致しない場合に、これをさらにどこかへ持っていく。それは何らかの国の機関、審議会を作るとかですね、あるいはこれを行政裁判とかなんとかいうようなふうにかけるのはふさわしくないでありましょうが、最終的の諮問機関をもって第三者判定を待つ、そういうふうにしないと、現在では——それは、あればあるだけの効果は現実にあることは私は認めるのだが、必要なる限界にまでその機能が確保されていないことを遺憾に思っておるのです。私のこの考え方等も含めて、横山君の質問にお答えになる方は、一つ一緒にお答え願いたいと思うのです。ではどうぞ一つ……。
  45. 加納清

    加納参考人 今の春日先生のお話なのでありまするが、現実に地方の局長の意見と本部長意見と合致しない場合というのでありますが、すでに現在地方の協議団の本部長は、局の直税部長、いわゆる部長さんと同じクラスでありますので、現在の制度では少くとも圧服されてしまうと思うのです。上まで持っていかれないと思うのです。少くとも局の場合には、本部長は局長の下のお役人さんでありますから、それが事実上できないのではないか。前提としては、どうしても同格に持っていってもらいたい。従ってその場合に、現在の制度からいきまして、協議団長の本部長意見がまとまった場合には、局長はそのままのんでもらうという姿でやっていただければ、これは調整できるのではないか、私はかように考えます。
  46. 春日一幸

    春日小委員 僕は、協議団の本部長なる者の身分がなお国税局長に従属しておるということ自体は、やはり一切の構成がそうなっておるのだから、下の者の決定に上の者が服するという構成は、これはあやまちを犯していく形になろうから、それはいけないと思うのです。だから、身分を高めるに従って、その下部機構もやはり充実していかなければいけないことなんでしょうが、そういうことを行うことが過渡的段階として容易になし得ないとすれば、これは大変動を必要とすることであり、大へんな、機関を大増員しなければできぬことだろうから、そういうことができ得ずして、なおこの協議団の機能を充実、確保するということを今テーマとして考える場合、やはり下僚であっても、あるいは審査の能力が国税局長ほど高いものでないという想定のもとに今のような形になっておるのでしょうが、そうであったとしても、その決定をそのまま国税局長が否認するということができ得ない態勢にして、それは制度として、国税庁の取扱いでどうにでもなっていくだろうから、そういう場合は、両者の意見をそのまま上級機関に持ち込んで、長官と協議団の本部長との間でさらに合議を行なって、それからその合議が、なおかつ両者とも譲らないで結論が出し得ないような場合においては、第三者の意見を問う。そうしてその結果、その意見があらゆる角度から十分検討されて、そうして妥当な結論が出る、そういう態勢を作るということなら、これは大きな機構の大変動なくしても、とにかく当面何らかの補完措置が講じ得ると私は考えるが、この点についていかにお考えであるかということですね、ほかのお二方の御意見はいかがですか。
  47. 増田顯邦

    増田参考人 私は、やはり協議団の方には関連がないものですから、一向はっきりいたしませんので、意見を差し控えます。
  48. 原國

    原参考人 これは、やはり専門家の加納さんのおっしゃる方が正しいと思っております。
  49. 横山利秋

    横山委員 ついでですが、この前協議団の審査決定例集の公開について聞いてみましたところが、われわれのところにすぐ持ってきましたから、そう秘密にしていない。ただ個人の名前だけは隠しておりましたけれども、これはそう非公開じゃないらしいですよ。
  50. 加納清

    加納参考人 これにつきましては、ことしわれわれの方の高橋会長から北島長官にお願いして、今後公開にするということなんですが、現実は、昭和三十一年税務行政運営方針の中に、公開するというお約束になっておるのです。しかしながら、三十一年から少くともきょうまでは、民間には公開になっておらない。部内にだけは印刷してあるのです。われわれは、裁判の判決例を知りたいのと同じで、具体的に名前をどうのこうのということは、納税者関係もあって、そんなものはわれわれはほしくない。これは、なぜ国税庁協議団の審査決定例集、判例集を公表しないかということをわれわれ掘り下げてみますと、これは、どうも協議団が主管部の意見に気がねしているというふうに了解しておるのです。率直に申し上げますが、現在民間には、協議団の判例集は公表になっておりません。
  51. 横山利秋

    横山委員 これはどういうものですか、公表という意味は、役所がほしいものをだれにもやるというわけにも参りませんしね。たとえば、それをどこかで増刷をして、あなたのところに一冊もらわれたら、あなたのところで増刷をして差しつかえない、そういう意味ですか、それともただくれというのですか。
  52. 加納清

    加納参考人 いいえ、ただくれという意味じゃ決してないのです。一体こういったケースがあった場合に、役所から印刷物を見せてくれさえすればそれでよろしいのです。印刷物をただくれとかなんとかいうことではなしに、ちょうど司法判例集がどこそこに行けば簡単に手に入るという姿にしていただけばけっこうなんです。
  53. 春日一幸

    春日小委員 僕は、ちょっと今の意見について異なった意見を持つのだが、判例集なるものは、それは地方裁判所、下級裁判所の判例集もみなあるのだが、それ自体は、公判の過程からことごとく公開なんですね。ところが税務署調査から国税局調査、あるいは協議団調査、ことごとくそれは公開において行われるということになっていないわけなんだな。そういう公開で行われていないものを、結論だけ公開にするということ自体に、一つの行きがかり上、公開する心構えというわけではないけれども、その態勢では調査されていない。だから、結果だけを公開する形になると思うのだが、それに、いろいろな結果には相当の経過というものがあるので、これは危険が生じやしないかということと、それから協議団自体の決定というものは——裁判所ならば、これは公開しておるし、弁護士の意見もあるし、検事の意見もずっと入ってくるわけだから、少くともこれは、それはそれなりに相当大きな権威を持った結果が出ておると思うのです。しかもそれは、言うなれば印刷に付して一つの判例として基準たらしめる、基準にとるだけの一つの権威を持つというふうには考えられると思うのだが、今の協議団の段階で取り扱った決定を印刷に付して、これを全部の基準にするというか、参考にするという形になると、現在徴税機関そのものですら、区々の取扱いをしておる、たとえば企業組合は、この間まあ一応調整されたとはいえ、ついこの間までは、各局とも相異なったやり方をしていた、現に相異なったやり方をしているものは枚挙にいとまないのですね。そういう事態において、印刷に付してこれを全国的な基準にするとか、関係者の参考にするとかいう形にすると、これは一つの紛淆を生じてきやしないかと私は思うのだがね。だから、秘密保持の問題と、それから公開することによってそれを一つの前例として参考にするという問題とは、一体不可分の関連を持ってくる。秘密保持は必要でないけれども一つの前例としてこれをオーソライズするという形になってくる場合に、これは紛淆を生じないかと思うのだな。
  54. 横山利秋

    横山委員 その点は、春日さんの意見ではあるけれども、われわれが見せてもらった審査決定例集は、このくらいの一センチか二センチぐらいの判例集になっていて、そして部内の関係者がそれを全部見ており、一つの基準になっておる。そうして何か税務署の学校なんかでは、一つの参考書みたいにして使っておる。だから、税務行政が区々であるということは事実そうであるけれども、それを、まん中の水準か、上の水準か、下の水準か、適用の仕方については議論があるけれども、ある程度税務行政が統一化されていくということは必要ではないか。税務署の職員がそれを見ておって、そうして一般の受ける方が全然知らないというところに、やはりあれはこうだ、これはこうだとかいう問題がある。そこで、僕はそれに関連して、青色の原さんにも意見伺いたいのですが、原さんのところから出ています「第四、秘密通達行政をなくすべきこと。」という点にも関連があるのです。「効率、標準率を公開し、その運用を改善すべきである。」それから「青色申告の取り消し基準を公表すること。」こう二つ言って見えるのですけれども、これを一つ原さんから、これがどうしても必要なのかという理由と、亀徳さんから、もし御返事ができたら、これがどうして公表できないかという、一つお二人から理由を述べていただきたい。
  55. 原國

    原参考人 今ここに要旨を書いてあります通り、現場においては、最終的にはこのいわゆるものさし、効率、標準を事実において適用されておるのであります。そこで、私たちは、この問題をかねがね亀徳さんにも個人的に、二年前でしたか、何ゆえに今公開できないのですか、しかも、これは民間団体がこれを印刷している、事実において、十二月早々大体三千円くらいで売られているのです。今ごろやはり三千円くらいするでしょう。三月十五日を過ぎると、五百円くらいになるらしい。そこで現実にこれが民間に、どこで出しておるかわかりませんが、売られておるのにかかわらず、秘密だ、秘密だと何ゆえにおっしゃっておるのか。そうして実際問題としては、これを実際納税者にあてはめておられる実情考えまして、これを公開してほしい。  青色申告の取り消しの問題ですが、これらも納税者が了解、納得しないで、一方的に取り消される、その理由をはっきり示してもらいたいということから、これを要望しておるのであります。以上、お答えいたします。
  56. 亀徳正之

    亀徳説明員 実は標準率、効率の公開の問題を特に青色申告会の副会長の原さんからおっしゃるというのは、ちょっと実は私ども解せないという率直な感じを、一つまず持っております。  それから一般論として、効率なり標準率なりというものをわれわれの作業の中でいろいろ使っておりますことは、事実でありますが、これは、あくまでも標準のあれでありますし、特に標準率の問題は、青色申告のように帳簿をつけておられる方々については、問題のない話であります。帳簿をつけておられないという方々、なかなか経費も一々明細につけておられないというような方々につきまして、ある程度推計がついたというときに、大よその所得がどのくらいであるかという、こちらの方も調査をするわけですが、なかなかそれだけでは、帳簿もないことで不十分だというときに、ひどく誤まりを犯さないような一つの目安という感じで、われわれはこういったものを使っておるのでありまして、標準率そのものが絶対であれば、むしろ公表すべき性格のものであろうかと思うのでありますが、千変万化するいろいろの納税者実態に応じて一律の率というものはあり得ない。むしろそういうものを公表することは、たとえば青色申告方々がそういう率にくっつければ、税務署に是認してもらえるのではないかというような非常に間違った方向にこういったものが使われるのではないか。むしろわれわれの真意は、ほんとうの青色申告者の誠実な記帳を通じて、むしろそういったわれわれが青色申告者以外の方々にやむを得ずして適用するような場合の標準率をいかに出していくかという方向こそ考えておるのであります。これを一般的に公開することによる弊害といいますか、またわれわれのねらいは、その率でなければならないという性格のものでは本質的にはないので、特に青色申告をしておられる方々については、あくまでも帳簿をもととして申告をしていただくということが基本的な姿ではないか。  また一般に町に売り出されておる云々というお話でございますが、むしろこれは、特定の一部の団体秘密名前を隠してやっておられるので、われわれとしては、その根拠と申しますか、現場をつかまえることができれば、大いに突っ込んでいきたいのですが、なかなか現在のように言論出版の自由な時代になって参りますと、どうもわれわれ秘密にしておきたいという点が、必ずしも十分に徹底できないという一つの欠陥をおつきになっただけで、本質的な性格論を議論いたしましたときに、これはやはり公開をすべき性格のものではない、こう考えております。  それから青色の取り消し基準の通達の公開というお話でございますが、これはむしろ青色申告の、たとえば帳簿を正確につけておられないというような場合に、全然つける意思のない方については、これは取り消しといいますか、おやめ願うという場合もあろうかと思うのですが、ただ一つ問題は、ある程度われわれの税務の執行上、ある局がばかに強く、ある局がばかに弱い、その強さ弱さをそのまま放置しておいていいかどうかという問題があるわけであります。これらについて、ある程度歩調を合せていかなければならないという分野は、あくまでも行政指導の分野でございますので、こういったところまで全部洗いざらいはだかになっていいかどうか。それからまた、昨年からこの青色申告が相当伸びまして、だいぶ青色申告には税務署は徹底した調査をやるのではないかという声が強くなってきておるわけであります。しかしわれわれの真意は、やはり正しい青色申告者をいかにしてふやしていくかという基本線は、決して変っていないのでありまして、最近の情勢をごらんになりましても、非常に極端な人について取り消しが行われておると思うのでありますが、全般的に、大きく今までの青色申告者が相当減るというような現実にはなっておらないのでありまして、その辺は、何と申しますか、おまかせ願っていい分野ではないか、むしろそういう点に御懸念になるよりも、やはり正確な記帳をしていかれるという機運を一そう醸成していただきたいという点を、逆にわれわれの方からお願いいたす次第であります。
  57. 原國

    原参考人 今、亀徳課長お話、上級の方々お話を承わりますと、まことにもっともらしい。ところが具体的に申しますと、この秘密書類が特定の業種の方々に入って、これに合せて作った税率だとみんなパスする。そこに、末端に行くと非常な不公平がある。この効率、標準率に合せた決算書を作れば、スムーズにぱっと行く。あの先生に頼めばいいのだ、こう納税者は言う。そこで、現実にそういう問題が行われておるのであるから、これは公開なさってもいいのではないか、こういうふうに私たちは思うのであります。
  58. 春日一幸

    春日小委員 ちょっと、これは亀徳さんに申し上げておきたいと思うし、また重要な問題だと思うのですが、去年の二十六通常国会で、本委員会は池田大蔵大臣と一間一答いたしまして、そこでお知らせ制度を廃止した経緯については、御承知の通りだと思うのです。その当時賦課徴収制度がやめられて、申告納税制度になった。これは最高度に重視されなければならぬ。従って、その商売、それから販売、仕入れ、その他ことごとくこれは自由経済が行われておるのだから、商売の上手下手、品物のよしあし、お得意のよしあし、その地域その他によって収益率というものが千種万様なんです。従って、一定の収益率の基準を持つということが、これは適切なことではないという意見を強く述べたことがあると思うのです。そういうわけで、本年度からはお知らせ制度はないのです。その場合において、今亀徳課長意見を述べられたところによると、標準率を現実に持っておるという御意見だけれども、その標準率を行使されるということは、これは慎重に願わなければならぬ。私は、むしろそれは有害無益なものではないかと思う。ということは、本人たちが申告をしてくるのだから、その申告を尊重して、それを資料として、違っておる分を税務署としては明らかにしていくべき任務を負っておるのだが、それ以上のこと、それ以外のことは、その執行を許されてはおらぬと思うのです。それだから、標準率をもって臨むということはいけない。五割もうける品物も、三割もうける品物も、五分しかない品物も、一分しかない品物もいろいろあろうし、また同一の業種の中においても、地域的にお得意関係においてみな違うのです。だから、そういう論議の過程、特にお知らせ制度が廃止されたその理由等も十分考えられて、そんな標準率を秘密にするとか、公開するとかという論議は私は必要ではないと思う。大体標準率自体を持っておることがいかぬことだと思うのです。それは、個々の業者が個々にどういう収益をやっておるかは、その個々について調査すべきものであって、第三者が機械的に律すべき性質のものではない。またそういうことを許されてはいない。さればこそ、お知らせ制度が廃止になったのだから、私は、経過的に標準率をお持ちになっておることは、これはむろん個々のバロメーターであるから、完璧に越したことはないけれども、しかしそれは、完璧を期するということは事実上不可能だ。だから、不完全なバロメーターではかるということは、ことごとくあやまちを犯さしめる形になる。僕は、本年度の申告も、三月十五日にやがて迫ってきておる。だから、本年度の徴税にあたって、特に標準率などというものに対しては、私は慎重にやっていただきたいと思う。もし誤まったことになれば、国会として私は重大な発言をしなければならぬ、そういうものを公開する、非公開ということは問題でない。大体そういうものを行使することがいかぬと思う。このことを強く申し述べておきます。
  59. 横山利秋

    横山委員 増田さん、先にお帰りですか。
  60. 増田顯邦

    増田参考人 十一時二十分にいかなければならぬところがありまして……。
  61. 横山利秋

    横山委員 それでは、増田さんにいろいろお伺いしたいこともあるけれども、時間がありませんから、特にお宅の方で今まで出た以外、ないしは出たことでもいいですから、ここでお話を願っておきたいことがありましたら、どうぞ一つ……。
  62. 増田顯邦

    増田参考人 お手元に大体出しておきましたことで尽されておるのでありますが、大体私どもの会の運営からみますと、納税が順調に非常にうまくいっておりますので、問題は、減税を国会で一つ取り上げていただきたい。二%程度じゃどうにもならないのでありまして、とにかくもう少し高率に減税の方を一つ御考慮願いたい、こういうことが根本であります。減税が行われれば、すべてもろもろの障害が全部解決するわけでありまして、この点において、諸先生にお願いしておきたいというだけであります。これで一貫しております。
  63. 横山利秋

    横山委員 特に一つだけ増田さんと原さんにお伺いしたいのですが、今の青色の取り消しの問題ですね。お宅の方からも、原さんの方からも出ていますけれども、青色の取り消しは、税理士会にも出ていますように、通知書に必ず更正の理由を付記しなければいかぬことになっている。これは大蔵委員会で前々長官も、もしそういう理由を付記せずにやったようなことがあったら、その取り消しの取り消しをする。これは、管下税務署へ全部通知を出すというふうに約束を願っておることですが、それが実際に行われていない事情というものを、現にお聞きになったことがあるかということは、いかがですか。
  64. 増田顯邦

    増田参考人 顕著な例は、今のところありません。
  65. 横山利秋

    横山委員 ほかの方、そういう事例はありませんか。理由を明示せずに、帳簿の間違いを指摘せずに青色の取り消しをしたという……。
  66. 原國

    原参考人 一昨年葉山にあったということだけを聞いておりますが、ほかにございません。
  67. 横山利秋

    横山委員 加納さん、お聞きになりませんか。
  68. 加納清

    加納参考人 これは、二つ問題があるのでありますが、今、横山さんの青色の更正通知の理由を付記しなければならない。これは、法律に書いております。それから青色の取り消しをする場合には、理由を付記しなければならないというのは、法律にないのです。ここに、第一にあれがあるのですが、私の取り上げるのは、後段にその通知そのものが載ってありまするけれども、理由の付記、いわゆる更正の方でございますね、これは、現状においてだいぶ改善はされておりまするが、現在いまだに更正通知の理由のない通知書が横行しているのが、全国的なケースに私は見受けております。
  69. 横山利秋

    横山委員 待って下さい、これは所得税法、法人税法の問題ではないのですか。
  70. 加納清

    加納参考人 その問題なんです。それの方が励行されていないのが現実なんです。だいぶよくはなって参りました。こちらのあれは、青色取り消しの理由では、これは実は法律に書いてないから、あるいは明記しないのかもわからないのです。法律にきまっていないのです、こいつは。
  71. 金子一平

    ○金子説明員 今のお話の前段の問題ですが、更正の理由は、これは必ず付記させることに私どもいたしておりますし、やかましく言っております。全国的に横行しているといわれると、私どももその事情をもう一度よく調べてみたいと思います。おそらく間々間違っている場合があるいはあり得るかと思いますが、全国的に横行しているような事実はないと思います。  それから後段の問題は、これはやはり一つ問題だろうと思いますが、法律には理由を書けとはありませんけれども、法律に定まった理由に基いて実際上は取り消しを行なっておる、しかも御本人に対しては、一応私は説明をしておると思いますが、なおその点は一つ十分注意をいたします。
  72. 横山利秋

    横山委員 増田さん、お帰りになってけっこうです。  それでは先ほどの続きですが、総務課長さんは……。
  73. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 総務課長は見えないのだけれども、金子部長がかわりまして、一切答弁されるということで出席されております。
  74. 横山利秋

    横山委員 先ほどの話では、税理士会から出た意見なんですけれども査察についても秘密保持と、査察ブローカーの排撃、それから関連事項として、ごらんになっておると思いますけれども協会税務署長と連名の文書を出したり、あるいは局内納税協会が存置されて便宜供与を受けておるというようなことについて意見の交換がありまして、これは、特定の団体に特定の便宜供与をしておるとするならば、それはいかがなことであるか、それから秘密保持が守られていないとするならば重大ではないか。私ども前に東京大阪名古屋調査いたしました際にも、そう思われる節がないでもないという点がありまして、さっそくおいでを願って事情を聞こう、こういうことになったのであります。いかがですか。
  75. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 具体的に一つずつ質問してもらいましょうか。
  76. 横山利秋

    横山委員 そうですね。では納税協会から聞きましょうか。
  77. 春日一幸

    春日小委員 それは、納税協会なるものに大阪国税局の庁舎を利用せしめておる理由いかん、こういうことです。
  78. 金子一平

    ○金子説明員 所管外でございますが、ちょうど長官、次長がやむを得ぬ会議に出ておりますので、私からわかる程度申し上げたいと思います。  これは、従来から青色申告会法人会源泉徴収関係等を総合したような税に対する協力団体として、戦後できたようであります。そういった沿革的な歴史的な理由から、従来税務署の庁舎を利用してきておったということは、事実のようでございます。それで、昨年の秋だと思いますが、無料で役所の事務室を使用するのはいかぬ、また役所電話を無料で使用するようなことはいけないということで、それぞれ処置するように、庁といたしましては局の方に厳重に通達してございます。
  79. 春日一幸

    春日小委員 その結果、現在どうなっておりますか。
  80. 金子一平

    ○金子説明員 その点は実は私、所管外でございますから、確認ができませんでしたので、いずれ後刻御報告申し上げたいと思います。
  81. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 それは、家賃とかを有料にすればいいという考え方ですか。そこに置くこと自体が反省されたかどうか。
  82. 金子一平

    ○金子説明員 先ほどもちょっとお話のございましたような、情報が案外そこから漏れるのじゃないかというような疑念を外部の方に抱かせるような結果になってはまことに申しわけがない。事実そういうことは、私はあってはならないと思いますし、またないと信じておりますけれども、そういった疑惑を、かりに一部の方にでも持たれるようなことになってはいけませんので、私は、やはり税務署と別の建物に行っていただいた方が望ましい姿じゃないか、かように考えております。
  83. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 そういう通達ではないのですね。前段のお答えでは、有料にせいという通達ですね。
  84. 金子一平

    ○金子説明員 ええ、そうだと思います。
  85. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 それなら、竿頭を一歩進めて、有料とか無料とか以上に、退去させた方がいいかどうかということを吟味されて、そうした通達を出すべきだと思うのですが……。
  86. 春日一幸

    春日小委員 これは、あなたの手元にもいっておると思うのだが、本委員会に対して出されておる意見書の中に、第二項目かに重大なことが掲げてある。私は非常にがく然としておるのだが、大体情報がこういう機関に流されて、しかも査察ブローカーというようなものが暗躍をする、こういうような事態を、少くとも特殊法人日本税理士会連会合が公文書をもって本委員会に提出しておる。これは重大な事柄であろうと思う。しかもその構成メンバーは退職官吏、退職税務署長、これらがこれによって職を得ておる、生活をしておるというようなことなんです。局の外郭団体であるとここには述べられてある。こういうような事柄は、少くとも徴税機関の本拠にこんなややこしい団体があって、しかもそれが調査機関にまたがってそういう活動をしておる。しかも今述べられたところによると、昨年の秋、公文書をもってそういう指示が与えられておる。もし本日調査せられて、昨年の秋に発せられた長官の通達に対して、国税局がそれを実施していなかったならば、一体どういう処分をされるつもりであるか。一体それはどういうことになっておるのですか、この点を伺いたい。
  87. 金子一平

    ○金子説明員 この点は、私どの直接あれではございませんので、結果を確認しておりません。また帰りまして、今お話の点もありますので、調べまして、所管の次長から御報告を申し上げたいと思います。
  88. 春日一幸

    春日小委員 大体委員長から連絡をいたしましたのは、特にこの問題にかかっておる長官と総務課長責任において、その真相を確かめたい、すなわち本委員会は、税の徴収に関する実情調査する機関である。当然あなたが出てこられるのであったら、大阪なんか即時通話なんだから、そんなものはかければすぐわかる。その実態がどういうことになっておるか、そういう答えを持って出てこられてしかるべきである。しかし、あなたがそういう御答弁であるということは、調べられた結果、現存するから、答弁ができないから、まあ君うまく頼むということでやられたのじゃないか、われわれはそういう疑念を持つのだが、こういうことは、ほんとうにゆゆしい問題であると思います。少くとも徴税機関というものに対して国民の眼がどういう形で見詰められているかということは、当然御承知のことであろうと思いますが、その内部に、こういうような何ら法律によらざるところの団体の介在を許しているということは、かりにそれが許されるならば、私も協力するのだと言ってきたら、ことごとく許しますか。全国の各局において、あるいは大阪だって、二つでも三つでもそういう協力団体が出てきて、協力しますからちょっと貸してちょうだい、電話を使いますからということになったら、ことごとくそうなってしまう。国民は法律の前にも行政の前にも平等でなければならぬのであって、そういうところだけ許して、ほかに許さないということにはいかぬ。大阪だけ許して東京を許さないというわけにもいかない。もうこんなことをやっていてはめちゃくちゃになってしまう。こういうようなあいまい模糊とした事柄というものが許されてはならない。本委員会は、秘密委員会でもないのだから、これは重大なことであるから、すみやかに御調査を願って、それを是正するはもちろん、その責任を明らかにしておいていただきたい。委員長から、後日その処置の御報告を求めます。
  89. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 承知いたしました。
  90. 中西泰男

    ○中西説明員 ただいまこの書面を拝見いたしまして、実は私も非常に意外に思うわけであります。少くとも査察事務につきましては、その機密の保持という点については、最も厳格に私ども気を配っておりまして、これが情報が外部に漏れる、あるいはまたそれを起因として、査察ブローカーといいますか——こういうような言葉も、実は私初めて拝聴したわけであります。こういうような点につきましては、そういう事実はないと私どもは信じております。機密の保持、特に情報関係につきましては、最も厳格な管理を行なっております。こういう情報が漏れるというようなことはないと信じております。一言申し上げておきます。
  91. 春日一幸

    春日小委員 それは、査察部長がそういう御答弁をなさることは当然のことであって、そんなことを許したら刑事問題ですよ。そんなことは、行政管理者として当然な事柄であるけれども、私の特にあなたに警告いたしたいのは、これは、町で雑談的に述べられた意見ではない。少くとも法律に基いて結成されておる特殊法人である日本税理士会連合会が、文書をもって本委員会に提出しておるその中に、この文字が使ってあり、しかもその事柄が述べられておる。だとすれば、今ここで事実のないことを述べられてはおらぬとわれわれは思うが、かりに質問して、それぞれの事実を述べられるということになれば、これは大へんなことになると思う。われわれは、そこまで立ち入ったことはしませんけれども、ただないと信じておるというような御答弁をされるべきではない。信じておられるにもかかわらず、こういうふうな文書が本委員会に陳情されるということこそ、あなたとしては、自戒自粛を必要とすべき事柄ではなかろうかと思われる。だから、信じておったならば、このようなことがあれば事実に基いて調査をする、このような事柄があれば法に照らして処分する。今後こういう心配がないようにするという御答弁が望ましい。ただないと信じておるということではそれなら、一つでも二つでもあったら責任をとるかということになるから、この点は厳重に申し上げておきます。
  92. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 中西さんは、あとからおいでになったのでおわかりにならぬと思いますが、査察制度に関しまして、加納参考人から四点にわたって具体的なことが指摘されております。それは速記に載っておりますから、後日それをごらんになりまして、具体的に一つ調査をしていただきたい、かように考えます。
  93. 中西泰男

    ○中西説明員 承知しました。
  94. 横山利秋

    横山委員 ただここに書いてありますもう一つの具体的なことは、二ページの三番のうしろの方にありますが、協会は本部を局内に、支部管内税務署に置き、堂々と文部の青板が出されている、またA税務署では、署長協会連名で管内納税者に対し、関与税理士の氏名、住所、報酬等を協会に報告を求めている事実があるということですね。協会については、先ほど部長からちょっと話がありましたけれども、こういうことは、実際その協会税務署との関係として妥当なことなんでしょうかね。どんなもんですか。
  95. 金子一平

    ○金子説明員 横山先生、事実を一つ調べます。私も初めてこれを拝見したのですが、必ずしも穏当じゃないようですね。
  96. 横山利秋

    横山委員 それから原さんの第一の問題ですが、最近の所得税行政法人行政に準ずる方向にある、理屈はわかるけれども、税務行政だけが先行し、税制がこれに伴わないという第一項について、ちょっと御説明をしておいてくれませんか。
  97. 原國

    原参考人 と申しますことは、一昨年より税の行政面が事後調査方式に切りかえられました。このこと自体は、なるほど申告納税制度でございますから、申告を出して、そのあとにその申告書類を調査するというやり方はわかります。しかしながら、行政面だけは、そうした法人と同じような取扱いを受けておりながら、たとえば決算期の選択の自由も許されていませんし、いろいろな面で、個人の場合は非常な不利を来たしておる場合が多いと思いますので、税法の上においても、やはりそういう方面に改正してもらいたい、こういうことをここに述べたわけであります。
  98. 横山利秋

    横山委員 これはちょっと私の記憶間違いかもしれませんが、法人にあっては事業概況書が提出されるようになったんですが、個人に対して、それに類するようなことが最近行われましたか。
  99. 加納清

    加納参考人 個人に対しましては、法人の概況書と同じようなものを、一部はことしの一月末日、あとは三月十五日までに、確定申告書に添えて出させます。損益計算書のほかに、資産負債調べというものの提出を求められた、これはバランス・シートであります。これについては、またいろいろとあるのでありますが、概況書と若干性格は違いますけれども、同じ趣きのものであるのであります。ちょっと厄介で、納税者には相当手数を食うしろものでありまして、これを、青天のへきれきのごとくに、いきなり三十二年度から出すのであります。こういう実情になっております。
  100. 横山利秋

    横山委員 それは、事業概況書の実施と同時でしたか、そのあとでしたか。
  101. 加納清

    加納参考人 会社の場合には、事業概況書は、昨年四月一日以後に始められた事業年度です。それから個人の場合には、三十二年度の確定申告、今の問題です。
  102. 横山利秋

    横山委員 わかりました。それで、国税庁にお伺いしたいのですけれども、私、去年二回にわたって、本委員会で事業概況書についていろいろとお尋ねした結果、強制はしない、あるいは出さないからといって、それを罰にすることはしない、出さないからといって、俗に言えばおどすようなことはしない、これは、税務上どうしても必要なものだというような御答弁があったわけです。それで、すっと税務署を見てみましたけれども、利用率は少いですね。おそらくたなの上にしまっておいて、必要なときだけそれを見るというお気持かもしれませんけれども、あれだけ利用率が少いものを、どうしてそんなにやれやれとおっしゃるものか、その辺、発足当時の考え方とだいぶ違うのじゃないか、こう思うわけです。今も加納さんにお伺いしたのですが、さらに個人についても、同じようなものをやれというようなことで、お出しになったそうですが、納税者に対して、利用率に比べて非常に負担が強いと思うのです。どうしてもそれをやらんならぬものか、一体今後どういうふうになさろうとしておるのか、それをちょっと聞きたいと思います。
  103. 金子一平

    ○金子説明員 横山先生の今のお話でございますが、法人の事業概況報告書、これは、第一線の税務署でよくごらんいただいたようですが、やはり署によって若干まちまちでありまして、内容の充実したものを出していただいて、利用しておる向きも相当ございます。ただ何と申しますか、非常にティミッドというか、慎重にかまえて、御注意の点もありまして、やりました関係で、必ずしも全国的にレベルの高いものが出そろって、それが十分活用できておる段階だとは私は申しません。御指摘のような点がまさしくあると思います。今後これをどういうふうに持っていくか、さらに慎重に検討いたしまして、なるべく簡素なもので効果が上るようなもの、その方へ極力持っていきたい、かように考えます。  それから個人の問題は、実は法定の仮決算書として出してもらう様式がございます。それ以外に、今お話しのようなものを参考としてもしお書きいただければ、書いて下さい。しかし、これは法定のあれではございません。大体税務署の方で、こういったものを書いていただければ、ある程度調査の手間が省けると思います。そういう意味におきまして、御協力をいただきたいという趣旨を付記いたしまして、簡単なもの、これは法人の概況報告書と違いまして、非常に内容は簡単でございます。ここにお目にかけてもいいと思いますが、こういうものを出していただけないかということで、関係青色申告会にも御相談を申し上げまして、この程度の簡単なものなら、しかも強制しないのならいいんじゃないかというようなことで、これは特に注意書をつけております。今申しましたような点を繰り返し申し述べまして、御協力をいただいておる格好でございます。これは、個人の事業者全部からちょうだいするわけではございませんで、青色申告納税者の方だけに、できれば一つ書いて出していただきたい、こういうことでお願いしておるわけでございます。
  104. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 金子部長法人の事業概況報告書は、フォルムは全国画一的なものでございましょう。
  105. 金子一平

    ○金子説明員 さようでごさざいます。
  106. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 ただ税務署によってニュアンスが違う……。
  107. 金子一平

    ○金子説明員 それは、記載事項、記裁の内容が——納税者方々に非常に御協力いただいて、フルに埋めていただく、それから、これはわからぬから、わかったものだけ書くということで、内容に精粗がございますという点を申し上げたわけでございます。
  108. 平岡忠次郎

    平岡委員長代理 内容の精粗があっても、それを追及しない税務署と、そうでない税務署があるのですか。
  109. 金子一平

    ○金子説明員 フォルムは全部同じであります。記載事項に精粗がございまして、実は昨年の暮れから始めたばかりでございますので、活用の調査の時期がずれますから、それをもって納税者方々に臨むその時期にずれがございますので、十分活用ができてない向きもあるだろうと思います。それをじかに持って、使っておるところもあるかもしれないので、結果は、今どうこうということは、結論的に申し上げられません。なおしばらく推移を見まして、妥当な結論を出したい、かように考えます。
  110. 横山利秋

    横山委員 この前も申し上げたのですが、確かに今後の営業上、大へん便利な資料となりますので、事務的に提出していただくつもりはありませんが、なるべくこの調べを作成するようにお勧めいたしますと、まん中どころにちょいと書いてありますけれども、何といっても、納税者にこれを書いてもらえませんか、出さなければ出さぬでいいですよ、そういうことなんですね。これは、言葉の上ではそういうことなんだが、実際問題としては、そうはいかぬと思うんです。出さなければ出してもらわぬでもいいんですよということだったら、初めから頼まぬ方がいいのじゃないか。出さなければ出さぬで話がすむというなら、税務署には便利だということだけだったら、法律上の提出義務のないものは、これは税務署としてお願いしないという立場に立つことがいいと思うんです。大体税務基本原則というものは、背後に一つの国家権力があるのですから、国家権力が陽に現われる場合においてはいいのですけれども、陰に現われるということは、厳に私は慎しまなければいかぬと思う。そういう点では加納さんの方からは、今気がついたのですが、会社概況書と個人資産負債調べの提出義務と、性急な当局の態度というのですか、そういう言葉に現われておる提出義務ではないのだけれども、これは、おそらく加納さんの方も、精神的なという意味で言っていらっしゃると思うのですが、実情はどんなことになっていますか。
  111. 加納清

    加納参考人 横山先生の大体つけ足しになるのですが、お手元の、今度のこれから問題になります資産負債調べには、確かに裏面の記載要領をよくお読みの上、おわかりになるところだけ書いて下さい、こういう表示になっておる。これが第一線でどうかといいますと、すでに概況書の場合でも、その顕著な例が出ておるのでありますが、り第一線では、この程度のものが書けなければ、青色は失格するのだといってどうかつされておるのが現実なんです。それが一つと、もう一つは、資産負債調べは今後の問題でありますが、概況書の問題は、出さない場合には、これを出さないと会社の税務署の格付が悪く  るのだということがはっきりいわれておるのであります。これは、われわれの会報にも、全国からアンケートをとったプリントがございますので、専門員の方にお渡ししておきますが、法律に基かないものを納税者におっつけるという——われわれは概況書にしても、資産負債調べにしても、趣旨については、反対というよりもむしろ賛成なんですが、現在複式簿記のいわゆる記帳程度の引き下げ問題も、七十万円とか八十万円とかいうことがぶら下っておるやさきに、個人の場合に、いきなりむずかしいバランス・シートを書けという、法律に基かないものでも、どうしても書けと言われれば、出さなければ損だということが納税者の心理なんです。これを私は切にお訴えしたいのでありまして、いかにも当局が、御自分の税務調査に都合のいいことを、納税者の負担においてせっかちに強要する傾きがあるのではないかということを強調したいのであります。以上であります。
  112. 横山利秋

    横山委員 実際問題としては、納税者が書いておりますか、税理士さんが、こういうものを書いておりますか。
  113. 加納清

    加納参考人 概況書の場合を申し上げます。概況書は、国税庁説明によれば、これは税務書類ではないのだ、単純な参考書の、つまりメモなんだというようなお考えのようであります。しこうして国税庁のお考えは、納税者に書いていただきたい、税理士が書かないでいいのだというお考えのようであります。現実には、先般の中小企業の法人の座談会なんかに出ますと、書くのに一体幾日かかるのか、概況書の場合には、一週間かかるというのが民間の零細業者の声なんです。税務署で言えば、一日か二日あれば書けるのだと言うのでありますが、しかし現実問題としては、税理士がこれを書いておるのです。書かなくていいのだといっても、納税者が書くのだということをいっても、納税者は、現在の概況書の場合には、資金繰り書というやっかいなものがありまして、この面をこしらえるのには、相当帳面が整備しておっても、専門人をもってしても、われわれの経験では、一日半は十分かかるのではないかというのが、まず一般の定評であります。
  114. 横山利秋

    横山委員 時間もだいぶたちましたから、私の質問はこの辺で終ることにいたしますが、加納さんと原さんに、今までいろいろ御意見伺いまして、ありがとうございましたが、今まで議論にならなかった点、ないしはなった点でもけっこうですが、お言葉の足らなかった点、こういう点だけは申し上げておきたいという点がありましたら、最後にお二人からお伺いしておきたい。
  115. 加納清

    加納参考人 私は、第三の特別調査について、若干御報告申し上げたいのであります。実は、特別調査の方法の問題なんでありますが、実例をもって申し上げますと、昨年の十月末、十一月、十二月にかけて、新宿の伊勢丹の近所で大がかりな繁華街調査、これは特に大体中心が法人のようでありますが、これについて、納税者に相当な不満が見られた。どういう点が一体不満なのかということは、年末かき入れの時期を目ざして大がかりな調査をやられた。やはり税務調査については、納税者の方の仕事の繁閑期、いわゆるひまなときを目ざしてやっていただくことが親切ではあるまいか。この新宿の繁華街調査の場合には、きょう調査に来る、またあした来る。来ないかと思うと、また翌日来るというようなだらだらした大がかりな調査なんであります。繁華街調査性格上、当然でありましょうけれども、大っぴらに調べるぞといって、一定の地区を投網をかけたような調べ方自身がいいのかどうか、これは、批判されていいのではあるまいかということは、特別調査の第二段階の、先般も十一月一日に出ました日本経済新聞の、例のお気の毒な事件にしましても、これは、われわれの方も新聞でも報告してありまするが、調査の結果、一体どこが納税者に工合が悪いのか、これは、担当官の御調査の方法については、特に非難すべきものはなかったように私は感じております。ただどこがいけないかということについては、日本橋の事件につきましては、その調べられた方がごく狭い店でもって、表に人通りがある、お茶屋と駄菓子屋さんで、お茶の看貫までなされておる。大っぴらに税務署で調べられているんだということは、通りがかりの人、そこを訪問したお客様にわかっておる。それを御主人公がえらく気に悩んだということを、未亡人なり、おばあさんの述懐で私ども聞いておるのでありますが、税務調査については、少くとも納税者気持になって、何も税務調査を受けるということは、別に一向恥かしいことでも何でもないのでありますが、現在の段階においては、何とかやはり納税者の身になって、税務署が調べているような様子を現わさないような仕方で調べていただくのが適当でないか。こんな工合に考えまして、今の繁華街の調査と関連しまして、その点だけを申し上げたいことと、それから最後には、一体今の税務署には、現在の税法、法律を無視するよつうな傾向があるのではないか、いわゆる理由の付記にしても、法律には、通知書には理由を付記しなければならないと書いてある。しかして税理士法第三十四条の場合にも、いわゆる税理士に委任状のある場合には、その税理士に対しては、調査の日時及び場所をあらかじめ通知しなければならないと書いてあるにもかかわらず、これが励行されておらない。しかしてこれについては、法律に制裁規定がいずれもないのであります。しかしながら、私つくずく思うのに、特に官吏の方々は、罰則がないからといって、法律を軽く見るということはあってはならないことじゃないか。いわゆる税務署長、第一線の方々に、少くとも法律を軽く見るということのある現段階は、はなはだわれわれとしては納得ができないのである。ぜひ法律に従ってもらいたいということを、当りまえのことでありまするが、これをつけ加えて、私の陳述を終りたいと思います。
  116. 原國

    原参考人 私は、本委員会で述べることが妥当であるかどうかわかりませんが、別表の参考資料が出してありますが、横田先生にも先般の全国大会にお出ましを願いましたが、三年前から、中小企業の団体である全国六十一万の青色申告者の年平均所得が、三十八万だといわれておりますと。ところが昭和三十二年度の税制改正でも、御案内の通り、免税点が二十万五千、青色申告にして、一人の専従者があって二十七万、給与所得者が二十七万五十九円、そういたしますと、ことしの内閣統計局の発表によりますと、四・六人の家族で、生計費が二十八万七千四百九十九円かかるということです。そこで、先般の税制改正は、少くとも五十方以上の高額所得者には減税になったかもしれませんが、青色申告のような中小企業じゃない零細企業者には、それは及んでいないのであります。むしろ運賃の値上げ、ふろ代の値上げ、その他の物価の上昇によって減税どころではない。そこで、本委員会においてわれわれの別表の要望書をぜひお取り上げをいただいて、零細企業者もかような恩典に浴するように、何とか御配慮願いたい、こういうことをつけ加えさせていただいて、私の陳述を終りたいと思います。
  117. 加納清

    加納参考人 一言だけ申し添えさせていただきます。私の一番最終に、一貫性を欠く青色行政、これは例がありますので、簡単な例を一つ申し上げたいと思います。個人の場合に、専従者給与というものがある。現在、昨年、一昨年あたりからの税務調査の段階を拝見いたしますると、納税者の専従者給与というものは、年額八万円頭打ちでありますが、当然か不当然かは別としまして、従来納税者が八万円ずつ認められておった専従者給与が、昨年、一昨年あたりから、これを値切られておるのが現実であります。これは、非常に多いのであります。法律はちっとも変っていないのであります。受ける方にしますと、二十五年の青色申告はやっており、八万円ずつ毎年認められておったにもかかわらず、それがいきなりここへ来て、八万円は多過ぎる、六万何千円にしろとか、幾らということです。法律が変っておるならば別ですが、法律が変らないでこういった取扱いというものは、ちょっと納税者にはいただけない。一慣性がないのじゃないか。ことに初めのころには、青色をできるだけしろという御勧告といいますか、非常に普及されておったのでありまするが、昨今の情勢では、青色申告をしたいと個人が言った場合に、税務署においては、青色承認申請書の用紙さえも簡単にはくれないのが現実であります。こういった、初めはどんどんふやし、ここへ来ては、もういけないからぎゅっと締めるのだというやり方は、少くとも納税者の税務行政に対する信頼感を裏切るおそれがあるものだと私は考えておるのでありまして、終りに一貫性を欠く青色行政一つの例としては、若干そんなものがあるのだということを御報告申し上げます。以上であります。
  118. 横山利秋

    横山委員 私は、そのことに関して質問しますが、今加納さんから話が出たように、一人の専従者控除も削られるという事例は、相当全国で私も聞いており、私の地元でも聞いているのです。あれは、一体あなたの方として、何か一貫した通達が出たとしたならば、それはどういう考えでなされたものか、それを聞いておきたいと思います。
  119. 金子一平

    ○金子説明員 横山先生から今御指摘の点は、法律では、八万円なら八万円と一応最高のワクがきまっております。実際問題として、専従者の専従の度合いがどうなっているかという事実認定の問題がからむわけです。その認定の問題で、とかく納税者の方とトラブルが起きる場合があるということは、事実でございます。しかし、奥さんがときどき自宅から店へ出て来て、すわって、すぐ引き揚げる、あるいは息子が学校へ行って、片手間に店にすわるというだけでは、八万円の最高限を認められるかというと、それはやはりむずかしい。そういった場合に、事実認定の問題として、今お話しのような点が出てくるのじゃないか、こう思います。
  120. 横山利秋

    横山委員 それがほかの、率直にいって、たとえば所得をごまかしておったというような問題と、この青色申告の、確かに最高限度というふうにはなっているけれども青色申告の八万円という意味は違うのです。私どもは立法の担当者として、そして当時から今日までの経緯の一つの常識として、青色一人最高八万円の最高という言葉はないというふうに理解をしているのです。少くとも、これは理屈の問題じゃありません、世間一般が受け取っている一つの印象ですよ。二人、三人、四人、五人ともなれば議論もあるでしょうが、最初の一人というものについては、少くとも青色申告の特典としてこれは付与されておるものなりという理解、これは一般的なものです。しかも、今日八万円というふうにやっておいて、最近それが非常にきつくなっている。そこで、各所でけんかを起しておる。この間も、自分の選挙区じゃないんですけれども、よそから言われて、遊説に行ったときに聞いたんですが、けんかをしてしまったというんですよ。まともにけんかをした人は、税務署も、事実認定の問題ですから、これはいつも家で見ているわけじゃないですから、まあそうだろうということです。そうなりまして、その入は八万円になった。けれどもある人は、結局削られてしまったのです。そういうことを最近特に全国でやかましく言うようになってきておるのですが、これは、法律の精神として、青色申告の特典を今ここで剥奪したり、あるいは取り消しを結果として推進しておったり、あるいは理由を付記しなければならないのに、さっきの問題もあって、青色申告全体に関するあなた方の御指導が、大蔵委員会でも常に言われるように、育成指導の段階から監督の段階に移ってきておるような気がするわけです。私は、今日もなおかつ青色申告をあなたの方がほんとうに指導し育成するという基本方針を曲げるべき段階ではないと思っておるのです。かって志場さんとここで論争したのですけれども、志場さんのお考えの中には、青色なんかいいかげんなものだ、あんなものを信用せずに、現地調査をいきなりした方が話が早いということをあるものにお書きになったので、それがこの委員会で論争になり、長官及び部長から取り消しを願ったのですが、その精神が国税庁にもあり、それが流れて税務署で無用のトラブルを起し、せっかくの青色申告の特典が剥奪をされるという現況は、私は断じていかぬと思うのです。
  121. 金子一平

    ○金子説明員 今お話し青色申告に対する庁なり局のものの考え方なり方針という点について申し上げますと、これは、全く先生のおっしゃる通りであります。私どもといたしましてはやはり長い目で育成の方向に持っていきたいという気持は毛頭変っておりません。ただ御承知のように、一部には、税金をのがれるだけだという格好の青色申告のものもあることは、事実でございます。しかし、それがために、大部分の方がそうだから、抑制せなければいかぬという気持は毛頭持っておりません。そういった特にひどい向きに対しては、やはりある程度締めるというか、取り消しをやるという方向に持っていくことが、青色申告全体の育成策として、やはりこの際考えなければならぬのじゃないかというようなことで、昨年あたりから、若干目に余るものを締めてきておるのは事実でございます。
  122. 横山利秋

    横山委員 お言葉の途中だけれども、一部の目に余るものを締めていないで、全般をそういうふうに見ている。あなたがもしそうほんとうにお考えだとすれば、あなたの意思が下部に徹底していない。私は、各所でそれを聞いているのだが、あなたが、目に余る一部のものだけはやらなければいかぬとおっしゃるなら、もう一ぺんはっきり青色申告指導方針を流しなさい。この話は方々で出ているのだから、そうでなければいかぬのです。
  123. 金子一平

    ○金子説明員 今の点は、私は重ねて局長会議部長会議の際に十分注意を喚起いたしますが、庁の方針としましては、今私が申したようなことでやっております。ただ事実問題として、さっきの認定の問題等で、若干従来甘過ぎて、これはいかぬというようなことでやっている向きが相当ございましょう。それが行き過ぎがあって、御指摘のような点があるいは出ておるかもしれませんが、なおそういう点につきましては、十分注意をいたします。  それからもう一つ、繁華街調査の時期を選べ、これはまことにごもっともなので、十二月の末ぎりぎりにやらせるというような気持は毛頭ありませんが、ここで例にあげておられるのは、法人となっておりますので、法人を年末ぎりぎりにやる必要があるかどうか、これは疑問に思いますけれども、繁華街等で、やはり各商店のバランスを見るというような必要もございましょうし、それから特に個人ですと、やはり十月から十一月、十二月にかけて年間所得をつかまないと、どうしてもいかぬわけです。八月、九月に行ってみましても、もう一度やはり行ってみなければいかぬということになりますので、年末ぎりぎり、一番忙しい最中に納税者の方に御迷惑をかけるようなことは、極力避けたいと思いますけれども、繁華街調査はいかぬとか、あるいは十二月は絶対来てくれては困るということでは、ちょっと調査がいたしかねる面もございます。なお、慎重にこういう点に検討してやりたいと思います。御了承を得たいと思います。  それから税務署長の法律軽視というお話が出ておりますが、事実こういう問題はどの程度あるか、私はないと思いますけれども一つ厳重に取り調べまして、特に前段の更正通知、これは先ほど申しました通りでありますが、なおよく調べてみます。
  124. 加納清

    加納参考人 今の法律無視でありますが、これの理由の付記の問題については、一体その理由を付記しなかった場合に、その通知書は無効か有効か、取り消し得べきかどうかの解釈について、これは、われわれの方で両三年前から争っておる問題で、これは、第一審で、昨年、一昨年横浜税務署が負けております。それに対して、現在国税局東京高等裁判所に控訴されております。その中に、やはり同じことを言っておるのです。書かなければならぬと法律には書いてあるけれども、あれは訓示規定で、書かなくても有効だというのが、現在の国税庁の正式解釈、これを裁判所に行って言っておられるのです。この考え方が、私には納得がいかないということです。
  125. 横山利秋

    横山委員 それではおかしい。それは、私初めて聞いたのですけれども、これは前の阪田さん、それからそのときの直税部長の村山さんですか、そのときに、本委員会で法律上理由を付してというふうになっておる、それを押してなおかつやった場合においては取り消します、そしてそれを管下税務署全部に通知をいたしますと言われ、私はその実績を見たのです。
  126. 亀徳正之

    亀徳説明員 今のお話は、ちょっと問題の角度を二つ取り違えて御議論願っているのではないか、更正の理由をやはりつけるようにということは、庁としては当然やっております。今おっしゃっておるのは訴訟になっておる事件で、それは、そういうような事態もありましたから、われわれの方としては、必ず更正の通知理由を付託するように指導しておるわけであります。やはりその理由の付記がないから処分が無効であるかどうかということについては、われわれも疑義がありますから、訴訟の面では、あくまでも付記がないから、それで処分そのものが無効であるという考え方には服さないということと、そういったことまでやはり法律の考え方としては付すべきであるのは当然なので、そして当然付していくようにわれわれは通知をし、その指導をしておるわけであります。これは、一つの訴訟でございますから、やはり元が無効になったのでは話にならぬので、考え方としては無効ではないということで、これは古い処分について争っているだけで、そのことが同時に、庁は理由の付託について忌避しておる、こう解釈されるのは筋が違うのではないか、こう考えるわけであります。
  127. 横山利秋

    横山委員 これは、大蔵委員会で長官と部長がお約束になったことですから、その点だけは一つお忘れないように……。
  128. 淺香忠雄

    淺香委員長 それでは、本日はこの程度で会議を終ります。  この際参考人方々に対して一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には、御多用の中を長時間にわたって御出席をいただき、有益かつ忌憚のない御意見によってこの委員会調査に多大の便益を与えられましたことに対し、小委員長より厚く御礼を申し上げます。  なお、さらにおわびを申し上げなければなりませんのは、本日与党の委員がきわめて出席が悪かったことで、せっかく参考人としてお出まし願った方々に対して、非常に申しわけなく感じております。御承知のように、ただいま予算の編成中で、かかることを見越さないではなかったのですが、運悪くきょうあすという最高潮のときに遭遇いたしたわけなのであります。従いまして、与党の委員が全部それぞれ担当の方へ出向いておりまして、かかる不始末をいたしました事情を御了察されまして、お許しをいただきますよう、私からもおわびを申し上げます。  なお、本日問題となりました諸点につきましては、さらに調査の上、後日あらためて小委員会を開き、論議を進めることといたします。  なお、国税庁においては、答弁を留保されました点は、すみやかに調査するよう要望しておきます。  これで散会いたします。     午後一時二分散会