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1958-04-01 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 足鹿  覺君    理事 淺香 忠雄君 理事 大平 正芳君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 横山 利秋君       有馬 英治君    井出一太郎君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       川野 芳滿君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    高瀬  傳君       内藤 友明君    夏堀源三郎君       古川 丈吉君    前田房之助君       山本 勝市君    石野 久男君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       横錢 重吉君    横路 節雄君  出席政府委員         総理府総務副長         官       藤原 節夫君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         議     員 森山 欽司君         参議院議員   杉山 昌作君         参議院議員   平林  剛君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社理         事         (生産部長)  西山 祥二君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 四月一日  委員川島正次郎君及び山手滿男辞任につき、  その補欠として平野三郎君及び戸塚九一郎君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員戸塚九一郎辞任につき、その補欠として  山手滿男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提  出第二号)(参議院送付) 同月三十一日  入場税法の一部を改正する法律案(第二十六回  国会衆法第二〇号、参議院送付)  国家公務員共済組合法案内閣提出等一五一  号)  国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第一五二号) 同月二十八日  生命保険料所得税控除額引上げに関する請願  (薄田美朝君紹介)(第二三八一号)  同(松浦周太郎紹介)(第二三八二号)  同(永井勝次郎紹介)(第二四四一号)  同(横路節雄紹介)(第二四四二号)  同(町村金五君紹介)(第二四四三号)  たばこ小売手数料引上げに関する請願(中村  梅吉君紹介)(第二三八三号)  ラムネに対する物品税撤廃等に関する請願(橋  本登美三郎君外二名紹介)(第二四四〇号) 同月三十一日  生命保険料所得税控除額引上げに関する請願  (伊藤郷一君紹介)(第二五四三号)  同(本名武紹介)(第二五四四号)  同(松浦周太郎紹介)(第二五四五号)  国の債権の管理等に関する法律の一部改正に関  する請願石野久男紹介)(第二五四六号)  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部改正に関する請願早稻田柳右エ門紹介)  (第二五四八号)  境川旧堤防敷地名義変更に関する請願早稻田  柳右エ門紹介)(第二五九三号)  国民金融公庫増強対策に関する請願外一件(福  田赳夫君外一名紹介)(第二六〇二号)  たばこ小売手数料引上げに関する請願(久野  忠治君紹介)(第二六五四号)  唐津市妙見神社被害補償に関する請願(保利  茂君紹介)(第二七〇〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  たばこ耕作組合法案竹山祐太郎君外三十五名  提出、第二十六回国会衆法第三四号)  たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提  出第二号)(参議院送付)  入場税法の一部を改正する法律案(第二十六回  国会衆法第二〇号、参議院送付)  国家公務員共済組合法案内閣提出第一五一  号)国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第五二号)      ————◇—————
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  去る三月二十八日参議院より送付されましたたば こ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号)を議題といたします。  本案につきましては、参議院におきまして修正されましたので、この際修正部分につきまして、説明を聴取することといたします。参議院議員杉山昌作君。     —————————————
  3. 杉山昌作

    杉山参議院議員 ただいま委員長からお話たばこ専売法の一部を改正する法律案につきまして、参議院修正した個所につきまして、大体の理由を御説明申し上げます。  修正の第一点は、たばこ収納価格を決定する場合の目標についての問題でございますが、この目標をどこに置く、べきかということにつきましては今日の葉タバコ生産から収納に関する制度の実際の取り運び方から考えまして、これは、耕作者が進んで耕作の許可を、申請してくる程度に、耕作者にとって現状に合う値段でなければならない。換言すれば、耕作者に適正な収益を得させることを目標としてこれを定めるべきものであると考えるのでありますが、政府原案には「適正な対価」という言葉が使ってあります。この言葉は、葉タバコ自体の持つ効用、または使用上の価値に相当する価格というふうな解釈にもとられまして、適切でないと考えましたので、これを「適正な収益」と改めた次第でございます。  それから修正の第二点でありますが、これは審議会意見を聞く云々という表現を政府原案に使っておりまするが、審議会答申を尊重しなければならないという気持が、どうもこの意見を聞く云々だけでは出てこないうらみがありますので、この審議会答申については、その議に服するというくらいにまでこれを尊重すべしという気持を盛り込む意味で、審議会の議を経る云々と改めたものでございます。もちろんこの改正によりまして、審議会の性質を、審議機関から議決機関に改めるというものでないことは申すまでもありません。  修正の第三点は、審議会委員の人数に関するものでございます。審議会委員中、耕作者を代表する者の数は委員総数の二分の一程度にしてよろしいということは、政府の言明しているところでございますけれども、それにいたしましても、委員総数が九人ということでは事情の異なっている多数の産地の実情を反映せしめるに足るだけの耕作者代表を出すのには、やや不十分でありますので、この総数九人を十一人に増加することに改正をいたした次第でございます。以上簡単でございますが、御説明を申し上げます。     —————————————
  4. 足鹿覺

    足鹿委員長 次に、三月三十一日参議院より送付されました入場税法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては去る第二十六回国会において本委員会提出し、参議院に送付いたしたのでありますが、その趣旨内容につきましては、よく御承知のことと思いますから、提案理由説明は省略することといたします。なお本案につきましては参議院において修正されましたので、この際修正部分について説明を聴取することといたします。参議院議員平林剛者。     —————————————
  5. 平林剛

    平林参議院議員 参議院における自由民主党、緑風会、無所属及び日本社会党各派共同提案による入場私法の一部を改正、する法律案に対する修正案修正理由を御説明申し上げます。修正案文につきましては、お手元に配付いたしましたので、朗読を省略させていただきたいと存じます。  すでに御承知通り入場税法の一部を改正する法律案につきましては、昨年三月、第二十六国会において、衆議院におかれましては歌舞伎、新劇、その他の純演劇につきまして、その入場税税率を軽減する必要を認め、全会一致をもって可決せられたのであります。自来参議院におきましては、継続審議により今日まで慎重審議いたして参ったのでありますが、その結果、次の二点について修正することといたしたのであります。  第一の修正点は、演劇文化性にかんがみまして、減税措置適用範囲を純演劇に限らず、軽演劇等を含む演劇全般に及ぼすこととしたことであります。この措置によりまして、演劇の普及、発達及び国民教養の向上が期待し得られますとともに、国民大衆に対し、健全なる娯楽を提供し得るものと考えるのであります。  修正の第二点は入場料金が三百円をこえる場合について、その税率を三割といたしたことであります。原案におきましては五割となっているのでありますが、三百円以下の場合との権衡その他を考慮いたしまして、このように修正いたしました次第であります。  なお、この法律案施行期日は、税務行政必要最小限期日を考慮して、昭和三十二年五月一日といたしております。  なお、本修正に伴い、平伸度において約四億五千五百万円、本年度において約三億七千九百万円の減収見込みでございますが、この点につきまして、国会法に基いて政府側意見を聞きましたところ、政府側は、これに対し善処するとのことでございました。  何とぞ全会一致の御賛成を得られますようお願い申し上げます。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員長 これにて修正部分説明は終りました。     —————————————
  7. 足鹿覺

    足鹿委員長 次に、昨三月三十一日本委員会に付託に相なりました国家公務員共済組合法案及び国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案の両案について、政府委員より提案理由説明を聴取することといたします。大蔵政務次官坊秀男君。     —————————————
  8. 坊秀男

    坊政府委員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法案及び国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びにその概要を御説明申し上げます。  まず国家公務員共済組合法案について申し上げます。  現行国家公務員共済組合法は、昭和二十三年に制定され、以来、約十年を経過いたし、この間、諸般の事情の変化もあり、共済組合制度全般にわたって再検討を加えなければならない時期に立ち至っていた次第であります。たまたま最近に至り、いわゆる五現業に勤務する恩給公務員に対しましても、共済組合長期給付制度適用する必要が生じて参りましたので、これを機会といたしまして、関家公務員共済組合法の全部を改正して、長期給川付短期給付福祉事業を通じまする制度全般にわたり所要整備改善を行うとともに、新たにいわゆる五現業恩給公務員に対しましても長期給付規定適用することとして、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一に、長期給付制度につきましては、一、退職年金退職一時金、廃疾年金廃疾一時金、遺族年金及び遺族一時金等の既存の給付につきまして、他の公的年金制度との権衡を考慮して、その支給額改善を行うほか、新たに再就職による組合員期間通算措置を講ずること、退職年金支給開始年令を、現行の五十才から五十五才に引き上げること等所要規定整備を行うとともに、二、五十五才以前において退職して年金支給を希望する者のため、新たに減額退職年金制度を設け、三、公務上の傷病または死亡による退職の場合にも、廃疾年金または遺族年金支給できることとし、また、四、退職年金廃疾年金及び遺族年金について、それぞれ最低保障額を定め、将来、他の公的年金制度との期間通算を行い得る素地を準備することとしたほか、さらに五、長期給付規定適用範囲に新たに印刷、造幣、国有林野アルコール専売、郵政の五事業特別会計に勤務する恩給法上の公務員をも加えることといたしております。  第二に、短期給付制度につきましては、一、従来の法定給付のほかに、新たに附加給付制度を設けるとともに、二、被扶養者範囲組合員資格喪失後の継続給付受給資格期間等について所要改正を加えるほか、三、昨年の健康保険法改正に伴う所要規定整備を行うことといたしております。  第三に、その他のおもな改正事項としましては、一、長期給付責任準備金の一部を資金運用部に預託して、その安全確実な運用をはかり、二、共済組合制度に関する重要事項を調査審議するため、新たに大蔵大臣諮問機関として国家公務員共済組合審議会を設置し、また、三、共済組合または同連合会事務職員も、今回新たに組合員にすることができる等の措置を講じることとしております。  なお、長期給付制度内容改正と、その適用範囲の拡大に伴う所要経過措置につきましては別途、法律をもって定めることといたしております。  次に、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  現在、国家公務員に対する退職給与としましては、いわゆる恩給公務員に対する恩給法による恩給雇用人に対する国家公務員共済組合法による長期給付並びに公務員全体に対する国家公務員等退職手当暫定措置法による退職手当の三つがあります。このうち、共済組合長期給付は、国と公務員との費用折半負担原則とする保険給付でありますが、恩給は、国の給与の色合いが濃く、同じく国の給与である退職手当と性格上相重複しておりました関係上、恩給制度をそのままにしておいて、退職手当実情に即したものに改めることができない事情にあった次第であります。ところが、今回、別に御審議をお願いいたしております国家公務員共済組合法案では、いわゆる五現業恩給公務員に対しては恩給支給せず、新たに共済組合長期給付支給することに改められますので、これを機会としまして、国家公務員のうち共済組合長期給付支給されるいわゆる五現業恩給公務員及び全雇用人に対する退職手当につきましては、これを実情に即したものに改定することが必要と相なった次第であります。このため、国家公務員等退職手当暫定措置法につき、所要改正を加える必要があると考えまして、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まずこの法律案は、国家公務員共済組合法案成立施行となりました場合にその長期給付に関する規定適用を受ける者に対し、普通退職の場合の退職手当その他一般退職手当に関する規定適用特例を設けようとするものであります。  その特例内容といたしましては現行退職手当は、退職事由分類に従い、その退職手当支給割合を異にしているのでありますが、その退職事由別分類について再検討いたしまして、その分類及びそれに応ずる退職手当支給割合を改めたものを適用することとし、この特例による退職手当最高限度額退職時の俸給月額の六十月分とするとともに、死亡による退職の場合に、退職時の俸給月額の四月分を加算する規定は、これを適用しないことといたしております。  なお、この法律施行の際に在職する職員特例適用を受ける者の退職手当の額について、特例適用のない場合の退職手当の額との調整をはかるため、所要経過措置に関する規定を設けることといたしております。  以上が、二法律案提案理由とその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員長 これにて提案理由説明は終りました。  続いて質疑に入ります。横路節雄君。
  10. 横路節雄

    横路委員 総理府の副長官お尋ねをしますが、この共済組合法案の七十二条の第二項で、長期給付に対する規定についてそこにあげてありますが、これは、従来恩給法適用を受けている者についても、国の経営する企業に勤務する職員給与等に関する特例法適用を受けている者も、今度は長期給付適用を受けるようになったわけですね。そうすると、最初に身分上のことについてお尋ねしたいのですが、今までの恩給法というのは、官になって初めてそのときから計算をして恩給法適用を受ける、こういうことなんだが、今度それを、雇用人にしろ、従前恩給法適用を受けている者であっても、全部それが七十二条の第二項によって長期給付を受けるようになった。そうなれば、当然恩給法というものは適用がされないのだから、従って、官というものは、この適用を受ける職員についてはなくなると思うのだが、この点の身分関係はどうなるのですか。
  11. 藤原節夫

    藤原政府委員 従来の公務員身分上の区別として、官吏雇用人ということがあったのでございますが、これは、現在の公務員法建前では、区別はなくなっておるわけであります。ただ今おっしゃいました通りに、恩給法適用があるかないかということで、官吏には恩給法適用される、つまり恩給法適用のある者は官吏であり、恩給法適用のない者が雇用人であるというだけの区別であったわけでありますから、ただいまおっしゃいましたように、その点については、区別はなくなるということであります。
  12. 横路節雄

    横路委員 そうすると、今のお話で、私も人事院任用局で、今の官とは何かということについていろいろ調べてみたのです。ところが、官というのは、従前規定によというだけで、今あなたの言うように別に定めはないのです。そうなると、今あなたのお話しのように、恩給法適用を受けているものと、それ以外のものとの違いだけということになれば、いわゆる官というのはないとは言っても、従前規定によって事務官技官ということで出ておったのです。その事務官技官という制度は残るのか。それも、今回全部共済組合法一本で長期給付の一適用を受けるのだから、私は、そういうものもなくなると思う。この点はどうなんですか。そういうように事務官だ、技官だ、雇用人だという差別は全部この際なくなる、従来もないのだから、今度はますますその点は明確になるのだと思いますが、その点はどうですか。
  13. 藤原節夫

    藤原政府委員 公務員法上の建前としましては、差別はなくなるわけであります。今おっしゃいますように、今回の法律改正によりまして改正を受ける範囲においては、恩給適用範囲から共済組合退職年金を受けるようになった点につきましては、区別はなくなるのでありますが、従来の官、あるいは雇というようなものの呼称及び扱いについては、従前の例によるということで来ておりますので、それは、やはり従前通り一応残るものと考えております。
  14. 横路節雄

    横路委員 今のあなたの説明は、これは、原則的な建前からいけば、私は筋が通らないと思う。従来でも官はなかったのだ。官とは何かと聞くと、人事院でもわからぬという。人事院任用局においても、これは是正しなければならぬのだ。だんだん調べてみると、従前の例によるということしかない。「なお、その例による。」ということだけで「前項の規定は、職階制実施に伴い、人事院の定める日においてその効力を失う。」こうなっておって、実際においては、官という規定はないのだが、ただ、従来恩給法適用を受けていた者について、事務官になったときから何年、技官になったときから何年、こういうことになっていたのだが、今度は、長期給付適用が一本になったのだから、私はそういう雇用人だとか、それから事務官だとか技官だとかいうことの差別は、この法律が通って施行されれば、本質的にはなくなったものだと思う。建前においてはそういうことはないと思う。なぜならば、従来恩給法だけでしか、官以外の者との差別がないのだから、従ってこれが施行されれば、私はその差別はなくなると思うのです。原則としてはそうでしょう。これはどうなんですか。
  15. 藤原節夫

    藤原政府委員 おっしゃる通り、この法律適用される範囲におきましては、確かに区別はなくなります。そしてまた、人事院の旧しておりますように、法律的には、官と雇用人との区別の差はないわけでありますが、ただ従前の例によって、その呼称とか、人事管理上の習慣的なやり方を、従来通り従前の例によって存置しておるというだけでありますから、おっしゃいますように、この法律適用範囲においては、そういう区別はなくなるということであります。
  16. 横路節雄

    横路委員 総務長官、これは非常に大事なんです。なぜならば、今でも官庁においては、官と雇用人ということで、なかなか制度上やかましいので、官とは何かと聞くと、官というものはない、ただ恩給法上の適用を受けていた者を、従前の例にならって呼んだ。そうすれば、今度は、恩給法適用を受けなくて、全部一本になったのだから、この法律施行されれば、官と雇用人との身分上の差別はなくなる、これは非常な進歩だ、これは非常に大事なことだと思うのです。その点は進歩であることを私は認めますが、今度は、定員法との関係はどうなんですか。この法律が通れば、官とか雇用人という身分上の差別はなくなる。そうすると、定員法との関係はどうなるのですか。
  17. 藤原節夫

    藤原政府委員 定員法では、官吏雇用人区別はしておりません。先ほど来申し上げますように、恩給法に関する限りの措置でありますから、その区別はないわけであります。
  18. 横路節雄

    横路委員 次に、大蔵政務次官お尋ねしたいのですが、実は、この法律ができるまで、非常にわれわれ長期にわたって大蔵委員会理事会で問題にしました点は、せっかく政府がここまで踏み切ったのだから、なぜ一体いわゆる非現業一般公務員についてもこの適用を受けさせないのか。初めずいぶん大蔵省は努力したのだ。またわれわれも、非現業一般公務員についても、同様にこの長期給付に対する規定を全部に適用するようにやれといった。なぜできなかったのか。
  19. 坊秀男

    坊政府委員 この委員会におきまして、いろいろその意見のおありになったことは私もよく存じております。しかし、この法律案を制定いたしますにつきまして、総理府等といろいろ相談をいたしました結果、非現業雇用人につきましては、今後なお研究するということになりまして、この法律案提出した次第でございます。
  20. 横路節雄

    横路委員 政務次官、そうではなしに、非現業雇用人については、こうなんだ。非現業公務員については、何か事情があるでしょう。ただ今国会には提案できなかったというだけでは、納得できないわけですね。何か事情がおありだったわけでしょう。政府の都合、どんな事情だったのですか。理由はどうですか。
  21. 坊秀男

    坊政府委員 事務当局からお答えいたします。
  22. 岸本晋

    岸本政府委員 ただいま横路先生お尋ねの点でありますが、今回の提案理由にも書いてありますように、国家公務員共済組合法全面的改正という時期に差しかかっておる際であります。たまたまその際に、五現業恩給適用者長期給付適用にも入れる、その点が具体化いたしまして、今回御提出申し上げることになったのであります。さらに進みまして、非現業官吏までこの長期給付規定に入れるかという点につきまして、当初この法案の作成をしております大蔵省といたしましては、そこまで入れた方が筋が立つじゃないかという気持で、各省お話し合いをいたしておったわけであります。その後、年金制度は、大蔵省だけが所管いたしておるわけでありませんで、各省の所管もございますので、いろいろ検討いたしました結果、この範囲にさしあたり限定いたしたわけであります。残された官吏の分については、早急に検討して、また国会提案して御審議をお願いいたす、こういう取扱いになっております。
  23. 横路節雄

    横路委員 政務次官非現業一般公務員については、来年一月一日から実施になるように予算を組んであるのです。予算を組んであるのですから、ほんとうからいえば、予算関係法案は同時に出さなければならぬ。しかし、来年の一月一日からですから、解散後の特別国会に出しても一応理由は成り立つでしょうが、特別国会には出すのですね。来年の一月一日から実施するように予算を組んであるのです。政務次官、どうなんです。
  24. 坊秀男

    坊政府委員 その点につきましては、慎重に検討したいと思っております。
  25. 横路節雄

    横路委員 慎重にというても、一月一日から実施するように、政府の方では予算を組んであるのですよ。だから、当然これは特別国会提案なさるのでしょうねと聞いているのです。慎重に考慮してでなしに、私は、提出の時期を聞いておる。一月一日から実施する予算を組んであるのですから、当然そうやるのでしょうね。
  26. 坊秀男

    坊政府委員 予算は組んでございますが、必ずしもこのための予算というわけではないのであります。慎重にその時期等につきましても、検討していきたいと思っております。
  27. 横路節雄

    横路委員 政務次官から、それは必ずしも一月一日から実施するという意味の予算ではないということになりますと、それは問題ですよ。一月一日から実施するように予算を組んであるのです。だから、これは、今国会で、この大蔵委員会修正すれば別ですけれども、しないということになりますと、政府側としては、当然特別国会に出さなければならぬのですがね。総理府の方では、非現業一般公務員についてははっきりしている。大蔵省が組合管掌でやるというのに対して、あなたの方は、どうしても国家管掌だ、そのことで意見が分れて、とうとう五現業についてのみ出たことは明らかだ。私は、あなたでなしに、総務長官に来てもらいたかったが、内閣の方に出ているということであなたにかわってもらったが、何べんも折衝してそうなった。あなたの方は、国家公務員共済組合法法案を当然国会に出すが、その場合、非現業一般公務員についての退職年金制度は、組合管掌はだめなんだ、どうしても国家管掌にするんだ、これは、あなたの方の一貫した方針ですから、どうしても国家管掌にしなければならないというはっきりしたあなたの方の理由を、ここで明らかにしてもらいたい。
  28. 藤原節夫

    藤原政府委員 この問題につきましては、現在なお関係各省の間で検討しておるのでありますが、一応私どもの考え方を申し上げますならば、公務員退職年金の問題は、公務員人事管理の一環として実施すべきものであるという考え方から、現職の給与と同様に、退職後も国家がみずからこれに当るべきであるという考え方が基本であります。諸外国の例等によりましても、おおむね国家みずからの責任においりてやっておるということであります。
  29. 横路節雄

    横路委員 そうすると、当然この場合は、特別会計等を設けてやるにとになるのじゃないかと思うのです。その場合に、一般の組合管掌ですと、組合員に対して貸付制度があるのですが、国家管掌で特別会計を設けた場合において、一般共済組合に加入している公務員について、特別会計から貸付ができますか、その点はどうなんですか。
  30. 藤原節夫

    藤原政府委員 積立金を特別会計にいたしまして、これを運用する場合、その運用の点において、公務員の福祉にこれを向けるようにしたいという考え方については、全く同感であります。これを特別会計にした場合も、できるだけそういう趣旨で運営をしたい、これは、これからまだ財政当局との話し合いも必要でありますが、不可能ではないと考えておる次第であります。
  31. 横路節雄

    横路委員 これは、大蔵政務次官お尋ねすべきですが、なかなかこまかな点ですから、あなたに御答弁いただいてもめんどうかと思いますので、給与課長の方にお尋ねいたします。  私どもが今まで聞いているところでは、特別会計ということでは、いわゆる一般共済組合に対しては貸付できないんだ、どうしても組合管掌によらなければ、今日施行されている三公社の共済組合法のように、それぞれの共済組合に対して貸付できない。特別会計ではできないんだというようにわれわれは聞いてもおるし、そうであろうと思うのですが、今のお話のように、積み立てて特別会計にして、その運用については、個々の公務員について貸付ができますか。できないでしよう。この点が、私は非常に問題だと思うのです。
  32. 岸本晋

    岸本政府委員 年金の積立金でありましても、特別会計に入れますと、いわゆる国庫金、国の金という性質を帯びて参るわけであります。国庫金になりますと、公務員福祉事業運用するということは、非常に幅が狭められてくる。これは国庫金の性格上、おのずからそう相なるかと思います。たとえば公務員のための病院を作る。これは、厚生年金特別会計でもやっておりますから、できるわけであります。この程度ならば、世間も常識的に、国庫金の使い方として納得していただけると思いますが、進んで公務員のいろいろな生活資金の貸付をいたしますとか、あるいは生活必需物資の売買の金を融資するとか、個々の組合員の生活に立ち入っての貸付、これは国庫金の性格上、おのずから非常に制約が出てくる、かように私どもは考えております。またその支出手続にいたしましても、これは国庫金でありますので、財政法会計法の関係上、そう楽にはできないと思います。
  33. 横路節雄

    横路委員 今、副長官お聞きのように、私もそう思っている。積み立てて特別会計にした以上は国庫金です。従って、これは厚生年金と同じように、病院を建てたりなんだりということはできるけれども、たとえば共済組合員が結婚したいから結婚資金を貸してくれ、越冬のために金がなくなった、石炭を買うのに金が足りなくなったから金を貸してくれ、こういうことは、組合管掌の場合には、三公社もやっているし、今度もやるわけだが、国家管掌になると、国庫金の性格からいって、それができない、これが一番の問題なんです。今あなたから、何とか工夫をしてやるようにしたいというお話のようにも聞えましたが、これは、おそらくやれないでしよう。やれるならば、あなたの方でどういうようにしてやれるのか、これが一番問題点なんです。どういうようにしてやれるのですか。今大蔵省側では、やはり特別会計として、国庫金ではできないのだ。私はやはりそう思う。それがなぜできるのか。現状においてはできないのだが、国家得業にしてもそれがやれるというためには、一体どういう法律改正をあわせてやるのか、その点はどうなんですか。
  34. 藤原節夫

    藤原政府委員 どの程度までできるかという問題もあろうと思うのでありまして、その点については、まだ財政当局と話を詰めてはおりませんから、今ここでどこまでできるか、どこまでできないということは申し上げかねますが、従来の国庫金の常識として、おのずからというようなことは大蔵省も言っておられます。それは、わからぬこともございません。しかし、運用の仕方につきましては、ただいまおっしゃいますように、組合員個々に国庫の金を貸すということは、あるいはできないかもしれませんが、その間に組合等が入るとか、何かの方法も考えられないことはないのじゃないか。また特別会計の資金としましても、従来全然なかった新しいものでありますだけに、これについて、特例を開くということも必ずしも不可能ではない、かように考えておりますので、その点は、ぜひそういう組合員の要望に沿うような行き方に折衝していたしたいと考えております。
  35. 横路節雄

    横路委員 今あなたがお話しの、組合員全部を包括するようなものについては出せるでしょう。病院等を建てるとか、そういう資金に回すことはできるが、一番問題の、個々の組合に対する結婚資金であるとか、越冬資金であるとか、生活資金の一助として回すということは、できないのです。これは厳としてできないのですよ。何とか頼んでやるようにしたいと言ったって、法律でちゃんとなっておるものを、それはできるわけがないのです。だから、私が今あなたに聞いておるのは、どういう法律改正しておやりになろうというのか。そうでなければ、ただ頼んでみたいといっても、これは、現に特別会計できちっとできないようになっておって、できないのですよ。これから頼んでみる、運用の面でやると言ったって、運用の面でできるものではないのです。これが組合管掌と国家管掌との大きな分れ目なんだ。それを、いかにもできそうなことを委員会で答弁すると、これは、あとになって非常なあやまちを犯しますから、はっきりとできないのですから、あなたが、ここでそういうようにできそうなことを言わないで、はっきりできないのだと言っておいた方がいいですよ。
  36. 藤原節夫

    藤原政府委員 新しい退職年金制度を作るわけでありますから、むろん法律でできないことを頼んでやろうというのではありませんが、その際に、必要があれば法的な措置を考えなければならぬと思っております。
  37. 横路節雄

    横路委員 そうすると、総理府の方では、国家管掌であくまでもやりたい。しかし、それは特別会計だとできないから、従って法律改正してやれるようにする、会計法についても、その他についても改正する。これはなかなか容易でないと思う。果してそういうことができますか。政務次官、できますか。法律改正をやって、特別会計から個々の組合員に結婚資金つや越冬資金や一時資金を貸すようなことが、やれるようにできますか。原則はできないじゃないですか。政務次官、一つその点、どうなのです。あとになってからごたごたしないように……。
  38. 坊秀男

    坊政府委員 現在のところは、横路委員の言われる通り、国庫金をそういうものに融通するということはできませんし、さような道を開くということは、目下のところは考えておりません。
  39. 横路節雄

    横路委員 それで、大蔵省の考え方がはっきりして、それでけっこうだと思う。大蔵省としてはそういう道を開くことはできませんと言う。そこで、総務長官お尋ねしますが、この法律の附則第十三案の第一項に、「第四章第三節その他の長期給付に関する規定は、当分の間、次に掲げる職員である組合員についても適用する。」第一号は、「第七十二条第二埴各号に掲げる職員のうち国の経営する企業に勤務する職員給与等に関する特例法適用を受けない者」こうなっておる。これも、今この法案が通れば、特例法適用を受けない者もまあこれは適用を受けるが、さていよいよあなたが考えている、この国家管掌によるところの非現業一般公務員についての法案が出された場合においては、ここの附則第十三条第一項第一号にかかわる職員は、一体この法律の方に残るのか、あなたの方でこれから出す予定の国家公務員退職年金法の方の、あなたがしたいという国家管掌の方にくのか、この点はどっちになるのですか。これだけははっきりしておいていただきたい。
  40. 藤原節夫

    藤原政府委員 その点は、ずいぶん問題だと思います。われわれ建前から申しますと、これは国家公務員、今のいわゆる非現業公務員適用する新しい退職年金制度ができたら、それに吸収すべきものと建前上は考えられますが、しかしこれは実施の面、実際上の人事運用の面のこと等もございますので、この点については、今後関係者の間でよく話し合ってきめなければならぬと思っております。
  41. 横路節雄

    横路委員 そうすると、同様に附則第十三条の第二号は、これは五現業以外の雇用人の点についてですね。第二号は、「第七十二条第二項各号に掲げる職員以外の職員のうち恩給法適用を受けない者」ですから、五現業以外の雇用人のことなわけですね。この点も、やはり非現業一般公務員法案国会に出されてくれば、国家管掌の方に移るわけですか、そういうことになりますね。
  42. 藤原節夫

    藤原政府委員 この点につきましても、前者と法律上は同じような建前になっておりますから、今後の研究によってきめるというわけでありますが、ただ雇用人、今日恩給法上の雇用人というものの立場につきましては、これは、一つは公務員法改正の問題でありまして、公務員範囲をどこまでにするかという問題が一つ大きな問題として将来にあるわけであります。これとも関連いたしまして考慮しなければならぬと考えておるわけであります。
  43. 横路節雄

    横路委員 今の答弁は、非常に私はあいまいだと思うのです。これは、どういうふうにあいまいだかというと、公務員制度全般についての改正等のときに考慮しなければならぬ、これはどういうように考慮なさるのですか。そういう不確定の要素を含んだままこういう法案として出されてくるのは、どういうものなのです。これはどうなさるのですが。公務員制度調査室長、いらっしゃるでしょう。これは、どうやるというのですか。そのときに考慮するというのですか。
  44. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま御質問の附則第十三条の第二号の職員の問題でありますが、これは、先ほどの御質問と関連がありますけれども、原則的にはいわゆる非現業官吏、今回この長期給付適用からはずされておりますいわゆる官吏と同様に考えるべき問題だというふうに思っておるわけでございます。すなわち今回の考え方におきましては、少くとも五現業におきましては、横路先生の最初の御質問にありましたように、官吏雇用人区別を撤廃して、一本の長期給付制度にいたしたわけでございます。それと同じように、今後考えられる新しい国家公務員退職年金法におきましても、現行法のように、官吏雇用人区別するといういわゆる二本立の制度は好ましくないというふうに考えておりますので、非現業の面におきましても、官吏雇用人を通じた一本の制度を当然考えなければならないと思いますから、この附則第十三条の第二号の職員につきましては、そういうことで、新しい制度を考えますときに官吏と同じように扱うということで私どもは考えておるわけでございます。
  45. 横路節雄

    横路委員 これは、今のお話しのように、非現業一般公務員適用している恩給法は、当然国家公務員退職年金法が別に出れば廃止になる。そうして、いわゆる従来の言葉をもってすれば、官吏雇用人という区別はなくなるわけです。しかし、問題は、やはりこの国家管掌と組合管掌のことが問題に残るわけです。これは、政務次官お尋ねしますが、片一方は組合管掌だ、片一方は国家管掌だ、この差別があっていいでしょうかね。しかも明らかに今日出された法案は、現業官庁についても、恩給法適用を受けていた者もあった。それを今度全部共済組合法一本にした。先ほど総理府総務長官からは、いわゆる恩給法適用を受けている国家公務員については、国が責任をもって人事管理をやるべきだ。しかし、今度の共済組合法案についても、やはり恩給法適用を受けている従前官吏と呼ばれている者、官と呼ばれている者がある。しかし、これは組合管掌の共済組合法の方でやる、非現業一般公務員の方は、国家管掌でなければならぬということは、私はふに落ちない。大蔵省としては、やはりこれは、組合管掌でぜひやりたいという気持はおありですね、その点、どうなんですか。
  46. 坊秀男

    坊政府委員 非現業一般公務員につきましては、いろいろ大蔵省でも考えまして相談をいたしましたが、総理府の方で、公務員制度というものを根本的に検討いたした結果ということにしたい、こういうことでございますので、大蔵省といたしましても、この制度の検討とにらみ合せまして考えていきたい、かように考えております。
  47. 横路節雄

    横路委員 それじゃ、公務員制度調査室長に聞きますが、これは、私はなかなか容易でないと思う。今まで国家公務員として恩給法適用を受けていた者は、それなりに一つの規制があったわけですね。しかし、今度はあなたの方でおやりになるのだろうと思うのですが、それは、やらなければやらないでいいのですが、国家公務員制度全般について、あなたの方で次の国会に出されるのではないかと思うのですが、その点についてもお尋ねしておきたいと思うのですけれども、その場合に、非現業一般公務員については、国が人事管理をやるんだ、だから国家管掌だ。そうすると、今度適用を受ける方にも、従来恩給法適用を受けていた通称官と呼ばれる者がある。そういう者は、これは組合管掌だから、今度は国の人事管理からはずすんだ、こういうことになりますが、これはどうなんです。
  48. 増子正宏

    ○増子政府委員 まず第一に公務員制度、いわゆる国家公務員法の改正の問題でございますが、これは、御承知のように、私どものところでかねてから検討を進めておるわけでございまして、現在におきましては、昨今のいろいろな情勢等も考慮いたしまして、その最終結論までは出していないのでありますが、できるだけ早く、この問題につきましては結論を出したいということで、段取りを進めておるわけでございます。なおただいま御質問にありましたのですが、私ども国家公務員というものを考えます場合には、いわゆる従前官吏とか雇用人という区別はなくして考えていきたいというふうに常に考えておるわけでございます。従いまして、今回のこの共済組合法によりましても、長期給付の面では、先ほど申し上げましたように、官吏雇用人区別をなくするという形でいっております。その点につきましては、私どもとしてあえて異論はないわけでございます。それから、いわゆる国の行います年金制度について、官吏だけについてそういうことを考えておるというふうに御理解にないったようでございますけれども、官吏という意味にこだわっておるのではないということを、御承知いただきたいと思うわけでございます。今後私ども考えますものにつきましても、官吏とか雇用人とかいうような区別はなく考えていきたい、かように思っておるわけであります。
  49. 横路節雄

    横路委員 これは、公務員制度調査室長お尋ねするか、副長官お尋ねするか、どちらか一つ御相談をして、答弁をしていただきたい。それは、退職金の、退職給与制度について、今までのいわゆる官という観念からはずれて、やはり民間の労働者に準じて、同じ立場において、私は全般的な改正をするものと思う。そうなると、これは、社会保障制度審議会答申の中にもあるのですけれども、現在の国家公務員法、行政機関職員定員法、公共企業体等労働関係法、国家公務員等退職手当暫定措置法、全部関連をしているわけです。そういう点からいけば、先ほど副長官から、非現業一般公務員の人事については国家管理でやるのだ、その建前からいって、これは組合管掌でなしに国家管掌だ、それを逆に裏返しをすれば、今回出された国家公務員共済組合法適用を受ける公務員については、これは、今までの国家公務員法その他でなしに、この際、やはり労働基本権の問題でも、政治活動の問題でも、そういう制限をはずしていくのである、私はさっき公務員制度調査室長に聞いたのは、そのことなのです。片一方は、国家が人事管理をやるから国家管掌だ、片一方の方は、組合管掌だ、逆な立場からすれば、必ずしも国家の人事管理ではないのだ、だから組合管掌なのだ、こういうことになれば、この法律適用を受けるものについては、やはりこれは労働基本権の問題ですね。その他の問題については、全面的に今までついていた制限は、これを全部取り除く、こういうことに、当然あなたが考えている公務員制度改正においては考慮されなければならぬ、副長官の答弁からいけばそうなる。これは、副長官でもけっこうですし、公務員制度調査室長でもけっこうですから、御答弁いただきたいと思います。
  50. 藤原節夫

    藤原政府委員 私は、先ほどの答弁に関連しますので、概略申し上げまして、足りないところは、室長から補足していただきますが、この附則第十三条の第一項にあります公務員につきましても、私が申し上げましたのは、人事管理建前から申しますと、これは一般非現業公務員と同じに扱うべきであるが、各現業の実際の人事の面等の扱いの上で、実際上の便宜からこの法律適用をすることにしたのである、こう申し上げたのであります。従いまして、今おっしゃいますような点につきましては、やはりこれを適用したから、公務員に対するもろもろの制限等をはずすという趣旨ではございません。
  51. 横路節雄

    横路委員 そうなると、先ほどあなたが私に答弁した、国家管掌にしなければならないというのは、公務員の人事については国家管理にするのだ、だから組合管掌ではだめなのだ、従って国家管掌だ、あなたの方で、この法律適用を受けるものについても、やはり人事管理については国がやるのだ、こういうことになれば、私はこの法律適用を受けるものは組合管掌なのだから、そういう点からいけば、非現業一般公務員についても、何も組合管掌であっても、国家が人事管理をしないということにはならないではないですか。そうすると、あなたが言う、これは国家が人事管理をするから国家管掌でなければならぬという根拠がなくなるのじゃないですか。私はそのことを聞いているのです。
  52. 藤原節夫

    藤原政府委員 横路先生は論理の展開が非常に巧妙でいらっしゃいますが、必ずしも逆は真ならずということもありまして、人事管理の必要上国家管掌にするということのすぐ裏が、そのまま組合管掌にするから、人事管理をはずすのだというわけでもなかろうと思います。
  53. 横路節雄

    横路委員 この法律の第二条の第一項には「一職員」とございまして、「常時勤務に服することを要する国家公務員国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定による休職又は停職の処分を受けた者その他法令の規定により職務に専念する義務を免除された者で政令で定めるものを含むものとし、臨時に使用される者で政令で定めるもの以外のものを除く。)をいう。と非常にややこしい規定をしておるわけです。これは、具体的にはどの程度のことをいっているのですか、どういうものは適用される、どういうものは適用されないというのですか、具体的に言ってもらいたい。
  54. 岸本晋

    岸本政府委員 法案の解釈でございますので、私から申し上げます。  前段の「休職又は停職の処分を受けた者その他法令の規定により職務に専念する義務を免除された者で政令で定めるものを含む」と申しますのは休職及び停職なり、あるいは職員団体の専従職員になりますと、国家から給料、が出ないわけでございます。掛金も払えない。そういう意味で、一応この法律の組合に入ってこないわけでありますが、しかし、御本人が掛金もする、またその掛金を確保することができる場合には組合員として認める、こういう意味でございます。  後段の臨時使用の方は、一応現在の定員法その他の建前からいいまして、組合には取り入れてございませんが、ただ林野庁とか特殊なところで、定員あるいは常勤労務者に入っておりません常用労務者というのは、全くこの就業規則の取扱いが常用労務者と同様なことがありまして、現在国家公務員共済組合に加入しておるものは、雇用契約として臨時でもこれに入る、こういう意味でございます。
  55. 横路節雄

    横路委員 今の前段の組合専従者等について、本人が掛金を納めることができるということであれば適用を受ける、それはそれでけっこうだと思いますが、その後段の、「臨時に使用される者で政令で定めるもの以外のものを除く。」ということになると、今あなたのお話では、林野庁等において常勤の労務職員ではないが、常用労務者ということになっている者については、一応考えられるというお話ですが、今日いわゆる建設その他いろいろな仕事がございまして、実際には高等学校や大学を出ている、しかし、それはいわゆる臨時職員だ、これが今日の公務員制度全般の上で大きな問題になっているのだが、この点については、林野庁の常用労務者だけは入れるというわけですか、その他についてはこれは全然入れないというのですか、これはどうなんです。
  56. 岸本晋

    岸本政府委員 一般定員法の規制を受けております国家公務員のいわゆる非常勤職員という名称の方々、これは、現在でも国家公務員共済組合には加入いたしておりません。と申しますのは、つまり非常勤職員として身分保障もない、あるいは給与の面でも一本の手当である、そうした一般の常勤職員の方とは異なった取扱いを受けております方を、この組合員に取り入れるということになりますと、これは、逆に定員法あるいは給与法の方にも影響する問題でありますので、ひとり共済組合の立場からだけではちょっと議論できませんし、給与法あるいは定員法といった、そういう面の所管省とも話し合いまして、この問題をさらに将来検討したいと考えております。
  57. 横路節雄

    横路委員 公務員制度調査室長お尋ねしますが、あなたは、制度だけを考えておればいいのかもしれませんが、今のお話のように、この法案定員法の問題、それから公務員法の問題、そういう問題にみんなからんでいるわけです。今一番大きい問題は、お話しのように非常勤職員と呼ばれている職員なんです。これは、高等学校も出ておるし、大学も出ておるけれども、実際には毎日勤めておるのです。今日これの定員化が非常に問題なんだが、定員のことはさておいて、私は、この点については、当然公務員制度調査室としては、今回の公務員制度改正に当っては、これら諸君を全部共済組合法適用を受けるように、何らかの措置をしなければならぬと思う。そうでないでしょうか。あなたのお考えはどうですか。公務員制度全般に関してのあなたの方の改正の場合にはこの点は当然考えなきゃならぬ問題だと思う。どうなんですか。
  58. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま御質問の点でございますが、問題としては、確かに国家公務員範囲やあるいは定員法の解釈、運営というものと関連してくるわけでございます。これらのいろいろな制度を勘案いたしまして最も実態に即した公務員制度としてはどうなるかということを、私ども検討いたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、これらの点を決定いたしますにつきましては関係する制度等も非常に多く必ずしも現在最終的な結論に達していない、いわゆる検討の段階でございます。従いまして、この大蔵省の案によりましても、いろいろ問題のある点はあるわけでございますけれども、今申しましたような角度から検討するということになりますと、現在この制度をとることも、時期的にはいかがかという問題も出てくるわけでございます。従いまして、この原案におきましては、いわば現状に即して一応運用上支障のない程度措置をしようということで出ているものと、私ども解釈いたしております。御説のように、いわゆる非常勤職員、特に常勤的な非常勤員につきまして共済制度適用させるのがよいかどうかという点につきましては、私どもから申し上げるよりも、大蔵省の見解を伺った方がよいかと思うのでありますが、私どもの考え方といたしましては、現在いわゆる非常勤職員というレッテルを張られておりましても、実態的には常勤であるという職員につきましては、できる限りその実態に即した扱いが望ましいというふうには私ども考えております。しかし一応制度上、あるいは雇用の形式といたしまして非常勤、いわゆる二カ月以内の期間で雇用されているという雇用形式というものが存在いたします限りは、なかなか制度的に一律に扱うということが困難であろうというふうに思われるのでございます。特にこの共済組合法におきましては、短期給付は別でございますけれども、長期給付におきましては、やはり本体として、ある程度長期に勤務する職員を考慮すべきであろうと思いますので、そういう意味におきまして、雇用の形式上二カ月以内で雇用されておるという場合には、そういう点で、若干問題があるのではないかと思うわけでございます。なおこれは、私の考えだけでございますので、大蔵省から御見解を伺っていただきたいと思います。
  59. 横路節雄

    横路委員 今公務員制度調査室長からお話がございました。名目は非常勤職員だが、実質上は常勤職員である、こういう者については、できるだけこの法律適用を受けるようにすることが望ましいのではないか、しかし、これは大蔵省から聞いてくれということだから、これから聞きますが、今あなたのお話しになった、非常勤職員については二カ月間の雇用だというが、これは形式なんですね。雇用を二カ月ずつ、即時その日に切りかえていく。これは、全くそういう意味では、公務員制度全般について、それこそあなたの方で早急に改正しなければならぬと思う。もっとひどいのになると、毎日毎日切りかえて雇用していく。こういうことは、今日の公務員の実態からいってそぐわないものだと思うのです。  そこで、給与課長にお尋ねしますが、どうですか、今公務員制度調査室長も言っておるように、形式的には二カ月間の雇用契約だが、実際は四年も五年も六年もやっておる。そういう者がたくさんいるわけです。この点について、私はある程度制限を付してもやむを得ないと思うのですが、たとえば非常勤職員であるけれども、二カ月ずつの更新だけれども、現に一年以上雇用されている者についてはこれを適用するとか、そういうことがなければ、私は、身分上について従前の官と雇用人という関係がなくなって、せっかく一本になってきた、組合もある程度負担をするけれども、長期給付についても受けられる、こういう者について、五年も六年も非常勤職員でぶつ飛ばされているということはこれは、定員法との関係もございましょうけれども、私は、これこそこの法律適用する場合の運用の妙で、たとえば一年なら一年以上雇用した者についてはこの法律適用を受けられる、こういうふうにしなければならぬと思う。今現にあなたは、林野庁においては、常用労務者等についてもそういう適用を受けさせると言っておるのですから、この点は、私はそういう非常勤職員であっても、一年以上の者については適用させる、こういうふうに一つここで答弁してもらいたいのです。給与課長、どうですか。
  60. 岸本晋

    岸本政府委員 この問題は、同じことを、形式的なことを申し上げて恐縮でございますが、制度面ばかりでなく、やはり定員法との関係もございますので、かりに定員がふえれば、そちらの方で当然こちらの方にも入ってくる、ちょうど境目の職員でありますから、因果関係職員である。それをどちらで拾い上げるかと申しますと、やはり制度というものは確立しておいた方がいいのではないか、これは、やはり恒久的に国に勤務する方のための職域保険でありますから、そういう方を対象とした制度をしっかりしておくということの方が先ではないかと思います。林野庁の方は、ちょっと申し上げましたが、私の説明が不十分でございまして、ちょっと誤解をされたかと思いますが、常用職員が入っておりますのは、現在の国家公務員共済組合範囲は、昔は非常にルーズでございまして、昭和二十八年ごろに、定員外と常用職員とに区切ったわけでありますが、その際に、常用職員であって、まだ共済組合に当時加入せられておる方が相当ありました。この方々は、経過的にやむを得ないので、ずっとそのまま組合員として残っております。それをさしあたり尊重して参る、こういう意味であります。
  61. 横路節雄

    横路委員 これは、給与課長に聞くのは無理かもしれませんね。やはり政治家である坊政務次官に一つお聞きしたい。これは、政務次官どうですか。実際に五年も六年も非常勤職員なのです。二カ月ずつ形式的に切りかえているのです。高等学校や大学を出ている人もずいぶん入っている。これは、制度全般についての欠陥だと思うのです。定員の中に組み入れない限りできないというけれども、これは今公務員制度調査室長も言っておりますけれども、考慮すべきだと思う。今の点については、これはどうですか。
  62. 坊秀男

    坊政府委員 横路委員の御意見は、形式的には非常勤であるが、実質的には三年も四年も勤めておるというものは、これはもう普通の公務員とみていいじゃないか。この法律においても、この法律適用をしていいではないか、こういう御意見でございますが、私も、筋といたしましてはそういうことであるべきだと思います。いずれにいたしましても、この法律適用するということにつきましては、やはり他の定員法とか、そういったようなものを、全然無視してしまうというわけには今のところはいかないと思いますが、筋としては、私は横路委員の御意見ごもっともだと思います。これは、今後他の法律といったようなものと両方を勘案いたしまして、研究をしていくべきものだ、かように思っております。
  63. 横路節雄

    横路委員 現在の規定からいけば、今の御答弁以外にないかもしれませんが、これは、一つぜひ公務員制度室長、今一番のガンなのです。今、内閣委員会において定員法の一部改正がかかっていても、なかなか審議が進まないというのは、この問題なのです。だから、あなたの方ではこの問題については、全面的な改正のときにはそういう立場を考えて、ぜひこれは改正すべきだと私は思うし、あなたもそういう考えなので、ぜひその方向でやってもらいたいと思います。  次に、これは副長官お尋ねしますが、第四十二条の給与額算定の基礎となる俸給、この点につきまして、今までは、これは最終の俸給を受けたものに対して適用をしておったわけですね。恩給法の場合もそうであった。それを、今度は給付をする事由が発生した月以前の三年間の平均とする、これは私はずっと退歩だと思うのです。どうしてこういうことをやるのですか。今までは全部最終に受けた俸給によってやっていたのを、それをわざわざ前に戻って三年間の平均だというのは、総理府がこういうことを認めるのはおかしいと思うのですが、どうしてこういうことをやったのですが。
  64. 藤原節夫

    藤原政府委員 どうしてやったかという点につきましては、これは、大蔵省からお聞きを願いたいのでありますが、今度の改正法律案によりますと、給付内容全体としてだいぶよくなっているようでありますから、基準俸給についてはこういうふうになっても、組合員にとってそう不利になっていないと考えておるわけであります。その理由につきましては、大蔵省の方から……。
  65. 岸本晋

    岸本政府委員 給付の計算の基礎を三年平均俸給といたしましたのは、これは、一つには今回の年金が、現行の共済法も同じでありますが、いわゆる費用折半負担原則とする保険制度であるということでございます。つまり各人が積み立てたもの、それに応じて国庫が負担したもの、これを積み立てにできるだけ比例してあとでもどすというふうにいたしたい。そういたしますと、一生を通じましてのいろいろな昇給経路の人は一つの保険グループの中に入って参りますので、あまり最終俸給だけにこだわりますと、非常に公平性が害されるという意味でこれを入れたのです。厚生年金あたりは、一生を通じての平均俸酬制度をとっておるわけであります。  それからもう一つ、最終俸給にすると掛金が非常に上ってしまうのです。二年平均俸給で四・四、五%程度のところだと思いますが、最終俸給にするともっと掛金が上りますので、これは、今日の職員の負担にはたえ切れない、そういう実利上の点も若干考慮いたしております。
  66. 横路節雄

    横路委員 今まで恩給法適用を受けておるものは、長いこと御苦労であったというので、最終の月にある程度俸給を上げて、それが積算の基礎になる、そういうことになっておるわけです。その点は、大蔵省の方ではいろいろ理由を述べておりますが、結果的には、この法律施行によって、最終的に俸給を上げて、それによって受ける金額が多くならないようにということであろうと思うのですが、この点については、私は従前のものよりはこの点だけは下っておると思うのです。  その次、同様に一時金の対象です。第八十条、一時金の対象、短期給付というものです。これまで現行では、六カ月以上のものでも支給していた。それから公共企業体関係の方は一年以上なんです。三公社の方はどうしてこれを三年以上にしたのです。この点ばかにけちくさいことをしたものです。こういう点は、せっかく大蔵省で組合管掌をしようというので、われわれも支持しようとして今まで進んできたのですが、こんなところでみみっちいことをして、三年以上でなければならないというのは、これはどういう理由です。
  67. 岸本晋

    岸本政府委員 この面は、一つには三年と区切りましたのは、今回恩給法適用者が、五現業につきましては適用対象に入って参ります。恩給法は、現在御承知通り二%の納付金を納めておりますが、一時恩給は三年経たなければできないわけです。そういう一時恩給者にとっては、三年というのは別に既得権の侵害でも何でもないわけです。雇用人の方々については、ある程度期待権の侵害と申しますか、年金面でのレベルは下るわけであります。しかし、別途退職手当は、短期採用者については現行の約倍くらいのところに参っております。年金退職手当を合せましたところでは、この一年、二年で退職される方の雇用への方の給与を合せてもほとんど下らない、こういうことにいたしておるわけです。
  68. 横路節雄

    横路委員 あなたの言う恩給法適用を受けておるものがこの中に入ってくるから、それはどうしてもいろいろな関係で三年以上でなければならないというのは、経過措置として入れればいい。今恩給法措置を受けておるものは、この法律を受けるものについては、三年以上でなければならない。しかし、新たに入るものについてまでこれを全部三年以上ということにしたことは、今まで六カ月以上、あるいは三公社についても一年以上という点からいけば、これはおかしいじゃありませんか。恩給法適用を受けるものがこの適用を受けることになったものについてのみ経過措置としてやるべきであります。その他については、新たにやるものについては、やはりたとえば三公社同様であるならば一年以上、こういうことにするのが、法律上の建前ではないですか。これを、全部今入ってくるものの恩給法適用を受けておるものを、その中に入れた経過措置のものを原則として、それを全部三年以上にしなければならないということは、これはふに落ちませんが、どうです。
  69. 岸本晋

    岸本政府委員 私の説明の申し上げ方が足りませんでしたが、基本的には、今度保険制度になる。保険制度でしかも年金というものに重点を置いて参りたい。年金は、今までよりもレベルが上っております。この上り方は、職員の掛金負担能力、国庫の負担能力、その限度を考えながら、年金をできるだけ上げるということが一つには必要なわけです。その場合に、退職一時金の場合、職域保険として、一、二年でおやめになる方は、それほど貢献されておらないわけですから、この面での退職一時金は遠慮していただいて、これは年金の方に回わしていただく、こういう考えであります。厚生年金保険の方は、五年たたないと、実は脱退保険金は出ません。しかも、それは五十五才まで支給しないというようにきびしい。財源をあげて年金の方に振り向けておるわけであります。私どもの方としても、年金を目的とする保険の方が保険制度として本旨でなかろうかということで、一、二年の方には御遠慮をしていただく、そのかわり退職手当でレベル・ダウンのないよう補充いたしていく、こういうことであります。
  70. 横路節雄

    横路委員 次に、この法案全体を通じて見て、国家管掌、組合管掌という論議をしていく中から、組合管掌にしたいきさつの中で、大蔵省の権限を非常に強化したものであろうと思うのですが、共済組合の積立金の余裕金は、私は、組合員の利益と福祉のために運用されるのが共済組合として第一義的なものであると思うのです。そういう建前からいけば、組合の資金の運用というのは、その組合の自主性を尊重すべきだと思うのです。これは、やはり大蔵省としては、そういう建前でいくのであろうと思うのですが、その点についての基本的な考え方はどうなんですか。
  71. 岸本晋

    岸本政府委員 年金の積立金の運用方針につきましては、現行制度におきましては、大蔵省としましては、省令でごく広い範囲運用規制を設けております。たとえば有価証券、あるいは組合員貸付金はどれくらい、あるいは不動産投資はどれくらいというように広い幅で制限を加えておるわけであります。このやり方は、今回もやはり踏襲するわけでございますが、ただ一点今までと違って参りましたところは、積立金の一部を厚生年金保険特別会計の積立金と同じように、資金運用部への預託をお願いするという点が違って参っております。この点の理由を御説明申し上げますと、国家公務員共済組合年金は、大体レベルといたしまして、厚生年金保険の倍以上のレベルに相なります。つまり厚年よりはるかに高い年金を労使折半負担で持ち寄っている。しかしその内容には、厚生年金保険に相当する部分がある。国家公務員共済組合法適用されていないとすれば、当然公務員も厚生年金保険に加入しておる、その積み立てたものは、当然資金運用部に現在いっておるわけであります。それと同じ考えで、共済制度年金はもらえますが、その基礎の厚生年金保険に相当する部分の積立金は、民間とのバランスを考慮いたしまして、資金運用部に預託して運用していただく、こういうことを一つ入れております。これは、給付内容におきましても、厚生年金保険法に匹敵するような最低保障額をつけるとかいうことで、民間の年金制度との一つのバランスを見ていくというために作っておる規定でございます。
  72. 横路節雄

    横路委員 今の第十九条の第二項の資金運用部に預託を希望する組合の場合、これはやはり国民年金実施の時期まで保留した方がいいのだ、こういう意見もあるのですが、この点は、どうなんですか。
  73. 岸本晋

    岸本政府委員 国民年金ということは、実は私の方で今非常に概念があいまいで、よくわからないのでございます。それにいたしましても、現実問題といたしまして厚生年金保険法が現にある、民間の使用者あるいは被用者が醵出した保険料が現在二千億も積み立てられているわけであります。それに見合う共済組合の積立金も、これは当然やはり民間とのバランスという関係からは、預託をお願いいたさなければならぬじゃないか、かように考えております。
  74. 横路節雄

    横路委員 政務次官にもう一つお尋ねしますが、どうも私は先ほどの附則第十三条の第一号、第二号の点については、非現業一般公務員についての退職年金法を出した場合に、そちらの方の適用を受けるのだ、それまでの暫定措置のようになっておる。そうすると、明らかにこの法律は、非現業一般公務員について退職年金法は出すということが前提になっておるんだが、それはいつ出すのか、もう一ぺんよく聞いておきたい。これはどうしてかというと、同じように組合管掌であれば問題ないのですが、総理府の副長官からは官管掌、特別会計だ、大蔵省給与課長からは、特別会計にすれば、国庫で融資対象にはならないというわけで、だいぶ違うわけです。そうすると、第十三条第一号、第二号、これは受けていた者はいいが、しかし、このままでいけば、いつまでたっても非現業一般公務員における官と雇用人との身分上の差別が残る、だから、身分上の差別を早く撤廃する意味からいえば、一本にすべきだ、こういうことになってくる。そういう意味からいっても、いつお出しになるのか、時期をはっきりしていただきたいと思う。もうだいぶ時間もおそくなりましたから、具体的に一つ御答弁していただければ……。
  75. 坊秀男

    坊政府委員 非現業一般公務員につきましては、これは、今日ここで明確にお答えすることはできませんが、できるだけ早くさように持っていきたい、こう考えておりますが、いずれにいたしましても、このイニシアチヴは総理府がとっておりますから、総理府ともよく協議をいたしまして、できるだけ早くそういうふうに持っていきた いと考えております。
  76. 横路節雄

    横路委員 もう一つ公務員制度室長にお聞きしておきますが、あなたの方でお出しになる公務員制度全般に関する改正といいますか、改革といいますか、これは、次の通常国会になるだろうと思う。今明らかになったことは、従前の例による官と雇用人との区別はなくする、こういうことはわかりましたが、そのほか公務員制度改正しようという大きなところはどこですか、その点、一つここでお述べいただきたいと思う。
  77. 増子正宏

    ○増子政府委員 従来から問題になっております点を申し上げますと、横路先生も御承知であろうと思いますが、公務員制度調査会の答申がございます。その答申におきましては、公務員の性格、範囲を基点といたしまして、給与制度なり、あるいは任用制度ないしは職階制度、さらに服務のいろいろな関係、労働権等も含んで参りますが、そういった面につきまして、それぞれいろいろ問題があるわけでございます。これらの問題をどういう形で結論を出すかということにつきましては、現在いろいろな案なり意見がございますので、まだ最終的にきまっていないわけでございます。
  78. 横路節雄

    横路委員 もう一つ大蔵省給与課長にお尋ねいたします。実は扶養家族の問題と遺族年金お尋ねしたいのですが、どうもふに落ちませんことはこの中の遺族年金のことで、組合員がなくなった場合における父母、祖父母については、廃疾年金を受けられる程度廃疾の状態にある者を除いて、五十五才に達するまではその支給を停止する、こうなっております。これは、今まではそうじゃないと思います。子供の場合には、あなたの方でも、十八才未満の者については同様に適用しておるのです。これは、いろいろ生計の状態によって違うのじゃないかと思うのですが、どうして父母または祖父母については廃疾年金を受けられる程度廃疾の状態にある者を除いて、五十五才に達するまでは支給を停止するというのは、どういう考え方でしょうか。現在は制限ないわけです。
  79. 岸本晋

    岸本政府委員 遺族範囲については、現在配偶者は、遺族範囲に入るが、支給停止を食うというわけです。父母、祖父母については、五十五才まで停止する、これは確かに現行にない規定ですが、今度の改正一般の社会保険というものの考え方が近づいていくという考え方もございますので、厚生年金保険との関連も考えまして五十五才、厚年の方もそうした年令制限がございます。それからもう一つは、死傷病の遺族年金は少し範囲が広がりまして、今まで二十年たって死んだ人の遺族でなければ、遺族年金は出なかったわけですが、それを十年まで下げる。さらに公務上の遺族年金も出すということになっております。つまり幅が広くなって、対象は、若干生活能力があると認められる方々には御遠慮いただく、こういう考え方になっておるわけであります。
  80. 横路節雄

    横路委員 政務次官お尋ねいたしますが、この法律をわれわれが委員会修正して、非現業一般公務員についても適用するのだとやったら、これは支障がありますか。この国会修正すればできる。その方が、今まで論議してみたところでは簡単でいいと思う。
  81. 坊秀男

    坊政府委員 御審議をお願い申しまして、政府といたしましては政府原案をお通し願いたいと思います。
  82. 横路節雄

    横路委員 私はこれで終りますが、大蔵省に強く要望しておきます。これは、やはり大蔵省側としては、ぜひ既定方針通り組合管掌でがんばってもらいたい。国家管掌なんという二本立にして、せっかく第十三条第一号、第二号の適用されておるものを、やがて非現業一般公務員に入れる。組合管掌の適用を受けておるものをわざわざ抜き出して、しかも身分上の関係からいっても、これは、先ほどお隣に並んでいる副長官から御答弁があったように、国家管掌にする理由は、人事については国家管理にする、だから国家管掌だ。そういうことを言えば、これは組合管掌なんで、この適用を受ける者は、国家が人事管理をしないのかということになりますので、そういう意味で、私は大蔵省は、既定方針通り組合管掌で早く非現業一般公務員も出してもらいたい。あまりもたもたしていないで、この国会でさっと修正して通しておいた方が、将来禍根を断つことになるのではないかと思う。その点は強く要望しておきます。
  83. 坊秀男

    坊政府委員 政府といたしましては、原案でお願いしたいと思いますけれども、国会の御審議国会の御判断によってお願い申し上げたいと思います。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後三時十二分開議
  85. 足鹿覺

    足鹿委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  たばこ専売法の一部改正する法律案内閣提出第二号)及びたばこ耕作組合法案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。神田大作君。
  86. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、たばこ専売法の一部改正案につきましてお尋ね申し上げますが、過般小委員会を作りまして、この問題等につきましていろいろと論議がかわされたのでございますが、その結果、専売公社といたしましては、相当考えるところがあったろうと思いますが、これについて、総裁並びに大蔵省関係官はどのような構想を持たれたか、お尋ねします。
  87. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 昨年来たばこ専売法につきましては参議院及び衆議院におきましていろいろ御審議をいただきました。その際いろいろ御意見のありましたところも、われわれ研究いたしまして、昨年通常国会町劈頭、参議院提案したわけでございます。ただ、われわれがいろいろな他の法令の表現技術その他から考えまして提案いたしました法案は、それから参議院大蔵委員会でいろいろその後審議されましたところ、さらに改善すべき点が、三点ばかりあるということで、本日杉山参議院議員から説明されましたような修正案が成立したわけでございます。  その第一点は、価格基準に関します規定でございまして、現在われわれは、政府の購入します農作物の価格政策の一環としまして、たばこにつきましても、他の農作物の価格と均衡のとれた価格ということを考えまして、現在のような方式を踏襲しておるわけでございますが、その表現としましては、対価というふうな葉タバコの使用価値を強調し過ぎるきらいのある表現を避けろというふうな修正、これにつきましては、われわれも、三党共同修正によって御意見の一致しましたところでございますから、妥当であろうと考えております。  それから第二点につきましては、審議会の構成割合及び委員の数でございますが、構成割合につきましては、法律そのものにはうたってございませんけれども、これも参議院大蔵委員会でいろいろ審議されましたところに従いまして、民主的な審議会の運営としては、約半数程度耕作者の代表を入れてもらいたいということで、われわれは、今後審議会の政令案を作成しまする場合に、その御趣旨を尊重してこれを実現いたしたいと思っております。  それから審議会意見を聞かなければならぬという表現について、さらに審議会の結論をより尊重する意向をもっと強く表現しろというふうなことから、議を経なければならぬというふうな修正になったわけでございますが、今後の審議会の運営におきましても、われわれといたしましては、もちろんわれわれの正しいと信ずる諮問案をこの審議会に御審議願うわけでございまするが、その審議会にわれわれの意図するところをよく御説明いたしまするとともに、公正な審議検討をいただきまして、その結論については、これは尊重いたしたい、こういうふうに考えております。
  88. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 たばこ専売法の一部を改正する法律案につきまして、参議院において、法文の上では三カ所、法文から出まする政令の関係において一カ所の修正があったわけでございます。  修正の第一点は、第五条第三項中、「耕作者が適正な対価を得ることができるように」とありまするのを、「耕作者に適正な収益を得させることを旨として」ということに改めることになったわけであります。政府原案の適正な対価という表現でありますると、とかく葉タバコの効用であるとか、使用価値を基準とするというような点が強調され過ぎるきらいがありまするので、生産者側の収入等の諸事情も考慮するように、表現を適正な収益修正されたわけでありまして、私としても、この修正は大体において妥当なものと考えておる次第でございます。  第二点は、第五条の第四項中、「その意見を聞かなければならない。」とありまするのを、「その議を経なければならない。」ということに改められたのでありまして、これは、提案理由説明を伺ってみますると、審議会答申については、これを十分尊重すべしという意向を表わすのには、この方が適切である、こういうような御意見に基いておるようでありまするので、この修正は妥当である、かように考えております。  それから第三点は、第二十六条の六の第三項で、審議会委員の数は「九人以内」となっているのを「十一人以内」に改めるという問題でございまするが、審議会の運営を一そう民主的ならしめるという意味におきましては、何も九人に執着しなければならぬということもございませんので、十一人以内に改めるということもけっこうなことだ、かように考えております。
  89. 神田大作

    ○神田(大)委員 この「耕作者に適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」というこの収益ということについて、この字句を、総裁並びに大蔵省の係官はどういうように考えておるか、この点を一つ伺いたい。
  90. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 収益という言葉がどういう意味であると考えておるか、これはなかなかむずかしいわけでございます。まあわれわれが普通法文上の言葉を解釈いたしまするときには、他の法令においてその言葉がどういうふうに使われておるかということを、いろいろ研究しなければならないわけでございます。私の今まで検討いたしました限りにおきましては、民法にこの言葉がよく使われております。民法二百六条の所有権に関する規定に、使用、収益処分するという言葉がございます。それから二百七十四条、二百七十五条の、永小作権のところにも「収益」という言葉がございます。二百七十四条におきましては「永小作人ハ不可抗カニ因リ収益二付キ損失ヲ受ケタルトキ」というふうな言葉がございます。それから二百七十五条には「小作料ヨリ少キ収益ヲ得タルトキハ」というふうな言葉が使われております。これらの言葉を考えますと、収益の中には、素収益及び純収益という二つの言葉の取りようができるわけでございますが、ただいま申し上げました民法の規定では、素収益というふうな言葉の意味が強いのではないかと思っております。ただ、この素収益と純収益との関係は、素収益から経費を引きましたものが純収益になります。これは、自家労賃とか資本利子というものに該当するものだと思うのでありますが、全体が適正であるということと、その部分が適正であるということ、いずれにいたしましても、問題はこの適正な対価というもの、適正な価格というものをどうしてきめたらいいかという問題になろうかと思うのでありまして、あの価格基準をきめました今度の専売法の改正案の中には、適正な収益なり適正な価格を得るための規定がいたしてございます。「生産費及び物価その他の経済事情を参酌し」というふうに書いてございますので、その生産費をいろいろ適当に勘案するとか、あるいは物価、他の工業製品の価格との均衡をとるとか、あるいは他の農産物価格との均衡をとるとかというふうな、その手段的な方法論におきまして、そのしんしゃくの仕方が妥当であれば、そこで得られます収益は、素収益という意味に解しましても、純収益という意味に解しましても、おのずから妥当なる線が出てくるのではなかろうが。その根拠をいずれの意味だ、こう言われますると、いろいろ検討しなくてはならぬ要素もございまするが、われわれが現在この一般法である民法の規定、その他で研究いたしておりますところでは、この収益という言葉は、素収益的な言葉を意味するのではなかろうか、こういうふうに解釈いたします。
  91. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 収益の解釈につきまして、ただいま監理官がお述べになったところと全く同じ考えを持っております。要は、公社としての通用の問題であると思うのでありまするが、葉タバコ価格は、具体的な計算といたしましては、法律にうたってありまする通り生産費、物価、その他の経済事情を参酌して決定することになるのでございまして、適正な収益というのは、これらの要素を参酌しまする際におきまして、特に耕作者の諸事情を十分考慮いたしまして合理的にきめる、こういうことであろうと解釈しておる次第であります。
  92. 神田大作

    ○神田(大)委員 大体抽象的な御答弁だが、抽象的に言いますれば、そのようなことだろうと思います。それで、具体的に申しますと、三十二年度のこの葉タバコ価格をきめる場合に、当然従来きめておった方式できめますと、ちょっと数字が違うかどうか、長いことだからわかりませんが、四・六%程度上るわけです。それを一・六%程度しか上げなかったその理由を尋ねましたところが、パリティ指数が上昇しておるにもかかわらず、タバコの収納価格を下げたという理由の中に、その中の基準として、繭の価格とかサツマの価格というように、現在農作物の中でも下りつつある価格を参考に入れてタバコの価格をきめたのですが、こういうようなきめ方は、いいことであるとお思いになりますか、これが一体耕作者の適正な収益を得ることを考慮に入れたと思われますかどうか、お尋ねいたします。具体的な問題です。
  93. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 昭和三十二年度の葉タバコ価格をきめましたときの算定方式につきましては、昨年夏にもいろいろわれわれの方がら御説明いたしまして、御了解を得たと思うのでございまするけれども、一昨年といいますか、昭和三十一年までの算定方式は、農業パリティを中心といたしまして、その他の要素といたしましては、対麦均衡と申しまするが、麦との均衡ということのみを考えておったわけでございます。昨年もいろいろ御説明申し上げたとおもいまするけれども、その後いろいろ研究をいたしまして、麦だけとの均衡ということは、タバコという農作物の置かれておる地位からは、少し片寄るのではなかろうかというこから、御存じのように、他の主要農作物と申しますか、米、麦というふうな、農村生活の中心となっておりますところの農作物価格の前三年比価、それからタバコと対抗作物になっておりますものの中で、政府がその価格決定に関与いたしておりますものとしまして、カンショ及び桑というものを対象といたしまして、これの前三年の比較ということを調整係数として乗じたわけでございます。確かにかンショ、桑というのは、その際も、いろいろ、こういう斜陽作物のみを相手にすることはいけないのではないかという意見があったのでございますが、もちろんわれわれといたしましては、タバコというものが均衡をとるべき他の農作物の価格すべてを考えるべきでありますし、またそうした係数もとってみたのでありますが、そうした係数をとりましても、かえって昨年われわれが乗じました調整係数よりは下るような結果になっております。われわれとしましては、米、麦という主要農作物という、ものと、それからタバコの対抗作物であって、しかも政府価格決定に関与しておるこの二つの農作物、合せて四つの農作物との均衡を考えておるということで、少くとも現在われわれがたどり得ました結論からいいますと、妥当ではなかろうか、こういうふうに考ております。
  94. 神田大作

    ○神田(大)委員 結果的には、これはタバコ耕作者に不利益を来たす結果になっております。そういうふうに、基準のとり方によってどういうふうにでも解釈のつくような、そういう問題がこの法文の中にあるわけです。そうすると、この価格をきめる場合に、物価とか、あるいは経済事情というようなものを適当にあなた方の方で解釈して、そうして、実質的には賠償価格が下るようなきめ方は、これは決して耕作者収益を与えようと努力しておるとはわれわれは思われない。何もことさらに、去年ああいうふうに、繭とかサツマのように下る価格を参考にしてきめる必要はない。われわれは認めない。そういうならば、ビール麦の価格は上っておる。あるいはまた、都会近郊におけるところの野菜というようなものも相当利潤をとっておるのだし、そのほか農産物の価格を参照にするならば、農民がもっと有利な立場に立てるような対価を取り上げて、そうして少しずつでも耕作農民を潤すという考え方が、私は正しいと思うにもかかわらず、去年私が申し上げました通り、ああいうような価格のきめ方に対しましては、われわれは大きな不満を持っておる。こういうように専売法が一部改正されるに当りましては、今後そういう問題に対しましては、われわれはそういう問題がありましたからこそ、耕作者に適当な収益を得させるということを、特にわれわれはここに強調したわけでございますから、この点について、十分尊重していただきたいということを一言申し上げまして、この問題については皆さんの方では私の言ったことをどうおとりになるが、とてもそういうわけにはいかぬとか、あるいは私が今発言したことに対しまして尊重されるがどうか、この点をお伺い申し上げます。
  95. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 昨年は、何と申しまするか、価格の算定方式が、従来とって、おりましたのと変更された年でございまして、しかもその伸び方が、耕作者の方々の御満足のいくほどでなかったということは、われわれとしては非常に不運な年であったわけでございまして、昨年いろいろ御質疑をいただきましたときにも、こちらから御答弁もいたしたと思うのでございまするが、われわれは、しいてこの耕作者の方々の価格を不利にするために、算定方式を変えたわけではないのでございまして、昨年とりました算定方式は、麦のみとの均衡を考えるよりは、むしろタバコが置かれておる農作物の地位からいうと、より妥当なのではないかというふうなことで、そういうふうな算定方式をとったものでございます。従って、今後当分の間、たといこの調整係数が今度は非常に有利になるかもしれませんけれども、そうだからといって、ただ単に耕作者の方々に不利になるために算定方式を変えるということはいたさない。ここ当分は、われわれが昨年到達しました現状において、は、やや好適と考えられる方式を続けて参りたいということを、その節にも御説明申し上げたっもりでございまするが、われわれとしては合理的な算定方式である限りにおいては、決して今後、それをことさらに耕作者の方々の不利のために変えるということは、いたさないつもりでございます。その点は、申し上げられるかと思うのでございます。
  96. 神田大作

    ○神田(大)委員 そういたしますと、この繭とがサツマというような比較的価格が安くなっていくであろうと思われるこういう作物を、今後も取り入れてやっていく方針でありますか。
  97. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 他の農作物との価格のバランスといいますか、そういう意味において、現在のタバコの価格を決定しまする際に、考慮に入れるべき他の農作物が、ほかにこういうふうなものの方がよろしいのだというふうな研究の成果でも出ません限りにおきましては、少くともタバコの対抗作物として取り上げましたこの二つの農作物は、政府がまたその価格決定に参与しておるということで、タバコと非常に類似であり、かつ非常に密接な関連性を持っておる農作物でございますので、この二つを将来除外するかどうかということにつきましては、現在のわれわれの研究の結果ではございません。
  98. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうなりますと、私はイモの価格とか繭の価格にこだわることはないと思う。それで、一つもっと広範な意味合いにおいて、農作物を取り上げてそうし御研究、御検討になって、そして適正な収益を得るように努力してもらいたい。一般的には、繭にいたしましても、あるいはイモにいたしましても、常識からいいますれば、これは年々価格は下っておるのでございますから、こういうものにのみだだわる必要はないと私は思いますので、その点、ぜひもっと広範な意味合いにおいて、収益を守る意味合いにおいて御検討を願いたいということを申し上げます。その点についてどう考えます。
  99. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 繰り返し御答弁申し上げておりますように、われわれとしてはタバコの価格を決定するために、合理的な他の農作物との均衡を得られるその方法論と、して、こういうふうな農作物の価格を取り上げて、それの前三年の比価を求めることがよろしいのだというふうな、そうした具体的な研究の結果結論が出ますれば、もちろんそれによるわけでございます。ただ全農作物の中で、タバコに有利な農作物だけを拾い上げるということも合理性がございませんし、またもちろん不利なものだけを拾い上げるつもりもございません。タバコが他の対抗作物との関連性を持っており、しかもその対抗作物が政府価格決定に参与しておりますというふうな、こういう条件がそろっておりまして、それが、しかも現在漏れておるということであれば、われわれとしては、もちろんそれを採用することにやぶさかでないと思います。全農作物というものを取り上げてもよろしいのでございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、昨年の指数から申しますというと、全農作物を取り上げますと一〇〇%切れるような結果になって、われわれが乗じました調整係数は、一〇〇・三六というプラスの調整係数でございましたので、その点が、むしろわれわれが大いに奮発して研究したのだ、こういうふうに考えます。
  100. 神田大作

    ○神田(大)委員 審議会でございますが、たばこ耕作審議会では、価格の問題だけを取り上げることになるのか、そのほかにも、葉タバコに関する問題、あるいはたばこ専売に関係する問題等を取り上げるかどうか、お尋ねをいたします。
  101. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 この審議会にはもちろん葉タバコ価格だけでなく、その他耕作に関する重要事項審議の対象にしていただくつもりでございます。従って、当初考えておりましたような収納価格審議会ではなくて、耕作審議会というふうに変えたわけでございます。
  102. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、これには耕作反別の問題とか、あるいはまた標本制定の問題とか、そういう問題も含まれることになりますか。
  103. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 耕作反別は、もちろんこれに入ると思っております。それから鑑定その他の問題につきましては、私はあまり技術的によく知っておりませんので、生産部長からも答えていただきますが、耕作に関する重要事項であれば、これはすべて入る、こういうふうにお答えできるかと思います。
  104. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいまお話のございました耕作審議会における審議事項の中に、標本の決定が入るかどうかという点につきましては、元来標本の内容が、その収納価格の等級とうらはらの関係にあるものでありますので、一面においては、当然審議会審議の対象になってしかるべきものと思うのでありますが、しかし実質的には、標本はいわば尺度でありまして、従来設備いたして参りました標本を変更する等の事態がない限り、それについて御審議を願うということは必要がなかろうかと考えておるのであります。
  105. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうしますると、鑑定に用いるところの標本の制定に対しましては、この審議会の議を経る必要はないというように聞きとってよろしゅうございますか。
  106. 西山祥二

    ○西山説明員 標本の設備が方針として変えられます等の場合においては、審議の対象となってしかるべきかと考えますけれども、通常の場合におきましては、標本そのものは、ただいま申し上げましたごとく、一種の尺度に相当いたしますもので、現在ありますものをそのまま踏襲いたします限り、審議を経る必要はないものと考えております。
  107. 神田大作

    ○神田(大)委員 この標本の制定に対しましても、この前の小委員会等においてずいぶん議論したのです。農民が鑑定に対しまして不服を感じて、再鑑定の要求をしましても、いつでも標本というものと実際鑑定したタバコとが合わない—なかなか技術的にむずかしいでしょうが、非常に標本の制定が実際に即しておらないで、高く標本ができておる。そのために、いろいろとそこに弊害を来たしておるんじゃないかということを、小委員会で非常に議論したのです。そういう点について、その後生産部長は、あの暑い最中に汗をふきつついつも答弁に立っておられたのですから、そのことはおわかりでございましょうが、ああいう議論の後において、標本の制定について何らかの工夫をしなくちゃならぬ、あるいは現在のようなやり方でいいかどうかというようなことについても、ずいぶんお考えになったろうと思うのでございますが、その後どういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
  108. 西山祥二

    ○西山説明員 鑑定の結果不服があった場合に、再鑑定を求めるという制度があるのでございますが、実際の場合において、その事例に乏しい。それは、元来標本は、一定の品位のそろったものを設定いたしておるのでありますが、収納品につきましては、ある程度品質の幅のあるものが混入いたしておるのは、やむを得ないのであります。従って、鑑定の基準といたしましても、ある範囲内においてはその混入を認めて鑑定を実施いたしておるのであります。従いまして、標本の性質はその等級の最低の品位を示すものでありますが、実際の収納品は、今申し上げました幅のある品質の混入品でありますので、耕作者から見ますとあるいは不満に思われましても、標本に照らしますと、実質的にはそれに及ばないというのが実状であります。従って、それを耕作者も認識いたしておりますので、通常の場合において、再鑑定の申し入れがないという事情でございます。
  109. 神田大作

    ○神田(大)委員 今までに再鑑定の申請があって、再鑑定の結果、再鑑定を申し入れた人の方が勝ったというような事例がありますか。
  110. 西山祥二

    ○西山説明員 古い昔の事実は存じませんが、ここ最近相当期間にわたりましては、再鑑定を求められた事例がございません。従って、その結果についても申し上げることはございません。
  111. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、非常に大事なことだと思うのです。農民は鑑定に対しまして多くの不平、不満を持っておるにかかわらず、年に膨大な買い入れをやっておっても、再鑑定の申請が一つもなかった、そういうようなことは、専売法そのものに根本的な何か欠陥が私はあるのではなかろうかと思うのでありまして、総裁並びに生産部長は、そのような再鑑定の申請のないことは、まことに穏かに、しかも公平にこの収納が行われるとお考えになりますか、それとも、何らかそこに欠陥があって、農民がおそれながらといって再鑑定を申し出るのに、何かはばかるものがあるようにお思いになりますか、その点をお尋ねしたい。
  112. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 葉タバコ収納に当りましては、公社としては適正に行われることを期しており、葉タバコ耕作の段階において耕作指導員が耕作指導に当って、懇切丁寧をきわめて指導をしておりますし、現実の問題としては、その指導した人が鑑定して収納する、こういうことになっております関係上、従来円満裏に行われておることと考えております。特にそれがために、非常に葉タバコ収納の事務が曲げられておるというふうには考えておりません。
  113. 西山祥二

    ○西山説明員 補足して申し上げたいと考えますが、葉タバコの鑑定につきましては、本来幾多の困難な点があるのでございまして、まず第一には、葉タバコの品質を鑑定するのに、いわゆる科学的な方法によってこれを実施することができない、また第二に、ただいま申し上げました実際の収納に当りましては、ある程度の品質の幅のあるもののまじりでありますので、立場の相違によって、いわば我田引水的にものを見るという場合があると思うのであります。また第三には、いわゆる売手と買手という立場において、耕作者が一種の心理的な作用を鑑定に持つということも、人情上避けられないところと思うのでありますが、それだけに、現在われわれが実施いたしております鑑定の方法は、今日の段階においては、でき得る限りの配慮をめぐらしておるつもりでございまして、これを食糧作物の検査法等と比較いたしましても、あえて遜色がないと考えておるものでございます。従いまして、実際において再鑑定の申し入れがないということは、耕作者といたしましても、よくその辺の事情を了解いたしまして、事例に乏しいと思うのであります。しかも反面において、普段にいわれておりますことは、一定の鑑定者に自分のタバコの鑑定をしてほしいという産地の強い希望であります。われわれが収納事務をできる限り短期間に終らせますために、場合によっては他よりの応援を求めてこの鑑定をしようといたしましても、多くの場合においては、従来信頼をいたしておる鑑定者の鑑定を受けたい、従って、他よりの応援者による鑑定を拒否するというのが実情でございまして、かような点等から考えましても、今日われわれがいたしております鑑定の方法が、あえて理想、万全を尽したものとは申し上げられませんが、今日の段階においては、よずやむを得ないものであろうと考えております。
  114. 神田大作

    ○神田(大)委員 生産部長としては、そういうお答えをすることが当然であろうと思いますが、これは、まことに全部末端の耕作者事情を十分おわかりになっての上のお答えであるか、それとも、公社におって、ただそういう帳簿の上やあるいは報告だけによるお答えであるか、私はよくわかりませんけれども、生産部長もだいぶ苦労もされておりますから、末端の事情を知りながら、耕作者の立場を守るために、そういうお答えをしたのだろうと私は善意に解釈します。もしそうだとすれば、どうか生産部長は、末端の耕作者ヘ、生産部長という肩書きじゃなしに、一つ水戸黄門が諸国を行脚したように、一人々々の耕作者のところへ行ってぜひ見てもらいたい、ぜひ聞いてもらいたい。果してそういうような気持耕作者収納に当っておるかどうか。あるいは多くの不満と不平を持っておるけれども、ここで不満と不平を言えば、タバコ耕作が減らされるのじゃなかろうか、あるいは安く買われるんじゃなかろうか、あるいはまた憎まれて、おれだけがつまらぬ目にあうのじゃなかろうか、そういうことを心に置いて、泣く泣く引き下っておる耕作者というものも数多くの中にはあると思う。そういう点において、これが専売事業だから、ほかへ売ろうと思っても売れない、公社へ納めるより以外ないのだ、自分で吸うわけにもいかぬ、捨てるわけにもいかぬ、食うわけにもいかぬ、作った以上は、専売公社に納めなければならぬ、そのためには、少しでも有利に納めようと思って、耕作者耕作者なりの苦心をするわけです。そこに、私は問題があると思うのです。今生産部長が言ったような標本の制定、それから鑑定の方法に特段の、もっと精密なる工夫を加えないと、そういうふうな苦労をする農民がたくさん出てくると思うのでございます。私は、こういうことを今度はあまり言いたくないのですが、しかし、これは、公社の責任ある人々は十分わかっておるんだろうけれども、やはり自分の立場上、そういう私の満足し得ないような答えをされておりますが、私は、この問題については、もっと工夫と創意をもって当っていただきたい。ただ従来のやり方でいいと思うのだというような答弁では、われわれは満足しないということを申し上げます。
  115. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいま神田先生の申されましたことは、まことにごもっともに存ずるのであります。先ほど申し上げましたごとく、現在われわれがいたしております鑑定方法が、必ずしも万全のものであり、最上のものとは考えておらないのでありまして、従来ともできる限りの検討、工夫はいたしておりますが、いまだ結論を得るに至っておらない現状でございまして、なお今後とも、またただいまの御意見も十分尊重いたしまして、できる限り改善に努めたいと考えております。
  116. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのほかに耕作審議会では、耕作面積の決定とか、そういう問題等について審議されることになっておるのですかどうですか、お尋ねいたします。
  117. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 御承知通り改正法律案の第七条第二項をごらんになりますと「第五条第四項の規定は、前項の規定によるたばこの種類及び耕作面積の決定について準用する。」ということになっておりますので、「あらかじめたばこ耕作審議会にはかり、」従来であれば「その意見を聞かなければならない。」今度の修正によりますれば、「その議を経なければならない。」こういういうことに相なると思っております。
  118. 神田大作

    ○神田(大)委員 今度このたばこの問題が大きく議会等において取り上げられ、問題になりました端緒は、専売公社でもって三年間の葉タバコのストックがある、だから、一割減反しなければならぬというようなことを表面に出して、そうして一割減反を計画された。これに対して、耕作農民が大きな不満を持って、今までは作れ作れといって作らし、そうして今度は公社の計画の一つの間違いによって、たくさんのストックができた、だから、お前たちの耕作反別を減らすのだという公社側当局の一方的なやり方によって、農民は、耕作反別を減らさざるを得なくなった。いわば労働者の賃金の切り下げとか、あるいは首切りに当るものです。農民が長い間苦労を重ねて作ってきたタバコを、今まで三反歩作っておったものを、二反五畝なり、二反歩、あるいは二反八畝なりに減らされるということになりますと、それだけ収益が少くなるし、経営上においても大きな誤算を来たす。それは、やはり労働者が賃金を安く切り下げられた、あるいは首切りされたと同じだ。こういう問題に対して、私たちは、やはり小委員会において、そういうような一方的なやり方は、あまりに悪いのではないか、専売法におきましても、よけいに作ったりなんかすると、ひっこ抜いちゃって、場合によれば罰金まで課せられるけれども、公社の都合によって減らされるときは、お前は減らすんだということで、一片の通牒によって減らされる、そういうことは、耕作者の生活を守る上においてまずいと考えたのであります。それに対して、公社側はその後どういうふうな処置をとられたか、あるいは今後そういう場合には、どういう方法をとられるかということをお尋ね申し上げます。
  119. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 昭和三十三年産の葉タバコ耕作反別をきめるに当りましては、ただいまお話がありましたように、公社側の事情といたしましては、葉タバコ在庫が、種類によっては三年分も手持ちする、こういうような状況に立ち至りました。この点につきましては、御指摘のように、公社が出来高を見誤まった、こういう御非難があるわけでございますが、これについては、弁解するようでありますけれども、一応公社といたしましても、従来の実績を参酌して、反別から推して、この程度葉タバコ収納量はあるであろうというふうに推定をいたしたわけでありますが、その場合において、技術の進歩ということがございます。これは、最近三年なり五年なりの平均を見れば、その点は反映するわけでありますが、一方において、日本は非常に災害が多い国でありまして、災害が一ぺん起りますと、収納量に相当大きな狂いがきます。災害ということを、三年とか五年とかいう期間の平均で見ることは、これまた誤まりのもとになりますので、ある程度長期間を平均した見方も取り入れなければならぬ。こういうことから、短期的な見方と長期的な見方を取り入れて見当をつけることにいたしておるわけであります。御承知通り葉タバコの植付、収納は、大体米と似たような時期に相なっておりますが、米が三年間豊作であると同様に、葉タバコについても三年間豊作が続いた。これは、一方において技術が進歩した結果でもありますけれども、豊作が三年続くことは、通常の資料からは予想できなかったことでございますので、ある程度御理解が願えるのではないかと存じます。そこで、減反せざるを得なくなったのでありますが、全く公社側だけの都合をもって農民に押しつけるということを極力避けるようにいたしますために、タバコの消費数量の増加、あるいは輸出等についても特段の力を入れて、着々その方の成績も上げつつありますけれども、それだけでは足りないので、減反をお願いしたのであります。この場合においても、できるだけ耕作農民の方々の御希望をいれ、その利益を害する程度が最小限度に済むような考慮は払ったつもりでございます。なお減反をいたしました割合は、きわめてわずかなパーセントでございますし、その減反をしたあとの畑は、他の作物に転換もできるわけでありますし、最近減反をせざるを得なくなったというのは、葉タバコが相当よけいできて、農民のふところ工合と申しますか、所得状況もそれだけよくなっている点もあるからというようなことを説明いたし、納得づくで減反をしてもらったという事情でございます。
  120. 神田大作

    ○神田(大)委員 いろいろの事情で減反せざるを得なくなった事情は、われわれにもわからないことはないのです。しかし、そうした減反をやる場合、少くとも公社は、これらのものに対して補償を出すべきだと思う。減反補償金というようなものを出して、農民に納得させるべきだと思う。何らのそういう補償もせずして、たとえば米葉の場合で言いますれば、農民は、米葉を作るために小屋を作ります、この小屋は、五年間年賦償還でもって返さなくちゃならぬ。三年作ればそれが返せるというのに、それまでいかない二年目に減反されたということになれば、今度は、小屋の金は、ほかの方法でもって返していかなくちゃならぬし、乾燥小屋の価値もなくなってくる。そういうものに対して当然補償すべきです。これは、具体的な例にすぎませんが、そういうことじゃなくても、もし公社側の都合によって減反する場合は、私はそれ相応の補償を行なって、農民を納得させるべきだと思う。専売公社は、とにかく相当専売収益をあげておるのでございますから、それとこれとは別だといえばそうかもしれませんけれども、しかしながら、人の首は勝手に切る、あとはお前ら自分らの力で何とかしろ、そういうことはどうも話が通らぬと思うのでございます。そういうことに対しまして、何らかの方策をとるかどうかということおを尋ねいたします。
  121. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 補償ということになりますると、なかなか問題はむずかしいのでございまして、御承知通り、タバコの耕作は今のところ毎年許可することになっております。そのことから、当然に減反の場合に補償を申し出る建前のようにはなっておりません。また一方、お話しがございましたように、乾燥室を作った、その乾燥室を償却をしておる、あるいは借金を返しておるという状態のもとにおいては、耕作反別が減る、従って収納量目が減って、所得が減るということによる影響があることは、否定できないのでありまするが、先ほども申しました通り、減反の割合がきわめてわずかな数量であって、全く廃作させた場合とも違いまするので、その程度のことであれば、何とかがまんしていただけるのじゃないか、かように考えまして、現地におきましては、大体の割合を指示しつつ、実際にこれを適用する場合には、自由廃作者があった分等も入れて全体の面積を合せるようにして、極力個々の耕作者に与える影響を少くする、こういう点もあわせ考慮いたしまして、実行に移しておる次第でございます。
  122. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは、どれだけの減反をしたがわかりませんが、なるほど一年きりの耕作だから、そういう補償の対象にはならぬと申されます。それは、そういう理屈も通るでしょう。しかし、たとえば現地におっては、小屋を建てる場合は、五年間、十年間あるいは十五年間その小屋を使うことを見越して、耕作反別の計画を農家では立てて、耕作反別を申請するわけです。従来はそれに対して、お前のところは何反を作ってもらうから、これだけの小屋が要るというようなことで指示されるわけですね。それによって建てるのでありますから、今度は減反するときに、お前のところは幾ら減反になってこうなんだということになれば、それだけむだができるわけです。ですから、一年きりの許可だから責任はないということは、なるほど頭のいい人たちが考えることですから、うまくちゃんとのがれるようにできておりましょう。しかし、実際において、作っている農民は、なかなかそうはいかぬ。実際においてはそれだけ損をこうむっておるわけです。そういうことに対して、親心を示して農民を納得させるのがよいのじゃなかろうかということを私は申し上げておるわけです。
  123. 西山祥二

    ○西山説明員 三十三年作の一部を減反せざるを得なくなりました事情、あるいはその原因につきましては、先ほど総裁より御説明があったのでありますが、その最も大きな原因は平年反収が、各種類を通じまして、ここ二、三年急激に激増して参ったというところにあるのでございます。これは、もちろん天候に恵まれた点もございますが、また半面においては、耕作技術の進歩耕作者の熱意等が相伴いまして、飛躍的な反収の増加を見ておるのであります。従いまして、ただいまお話のございました乾燥室の問題につきましても、むしろ最近一両年は、当初の収納力に対しまして、無理な作業をせられておった事情でございますので、これが若干減反によって収量は減りましても、著しく乾燥室の操業度を減す、あるいはまたこれがために乾燥室償却の負担を増すという程度のものにはなっていないと考えておるのであります。数字をもって少しく御説明申し上げますれば、平年に比べまして、反当収量では約言一〇%の増であり、収納代金におきましては六%の増収となっているのが最近の実情でございます。これに対しまして、若干の減反をいたし、従って減収を見ましても、御懸念になりますような、さようなはなはだしき累を耕作者に及ぼす程度のものではなかろうと考えております。
  124. 神田大作

    ○神田(大)委員 なるほど人間は年々歳々努力をしておりますし、いろいろの点において進歩しております。これはタバコばかりではありません。増収になったら収益がよくなるのは、米にいたしましても、あるいは工業生産品にいたしましても、著しいものがあると思うのです。収量が上ったから、収益がよくなったら、それだからお前らいいのだという理屈はないと思う。それは、やはり一年働いてそれだけの経験を得れば、それだけ技術もよくなるのですから、タバコもまくできるでありましょう。それだからといって、そういう減反をすることに対する補償の責任はないという理屈は私は成り立たぬと思う。こういう点は、私は今後の問題といたしまして、今後こういう問題ができた場合、今までと同じような、相変らずそういうことを言って、公社の都合でもって適当に減反をしてるのか、それに対して何ら責任も補償も何も考えずにやる気がどうか、これをお尋ねいたします。
  125. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 今後耕作面積を減少するかどうかということについては、何分昭和三十四年度産以降の問題でありますので、昭和三十三年葉についてさえ今のところ何とも見当がつきかねる問題でありますので、果して減反というようなことも、今後も続けて参るような情勢であるかどうかということは、今からの判断は非常にむずかしいのでありますが、先ほども申し上げましたように、今回の法律改正が実現いたしますれば、今後におきましては、タバコの種類と耕作面積は、審議会の議を経て決定するということになりますので、その場合においては、あらゆる資料、単に生産面だけでなくて、消費の面における資料、それから公社の収支の状況等もあわせて提出いたしまして、審議会委員の公正な御判断を得たいと考えております。  補償というようなことについては、目下のところ考えておりません。
  126. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、今後審議会の議を経て、十分考慮をして、そういう場合は対処する。しかしながら、補償というようなことについては考えないということでありますが、私たちは、この問題については、今後納得づくで、農民の立場も十分に考慮して、公社もやはり一つの事業をやっておるのでございますから、この事業をやっておるものが、自分の事業の都合によって相手方を傷つけないようにしてもらいたい。そのためには、皆さんは相当の人を使って、あらゆる計画を立てあらゆる方法をして、少くとも農民に迷惑のかからないような方法をとってもらいたい。もし迷惑がかかれば、当然これに対しては補償すべきだと思う。そういう点ははっきりとしてもらわないと、今後安心して耕作に従事するわけにいかないことでありますから、その点をぜひ今後御考慮願いたい。  聞くところによりますと、過般の減反等につきまして、相当耕作組合等からも反対が出まして、それで、減反の数量等も減らされたそうでございます。あるいはこれに対しまして、何か連合会に、それらに見合う資金が出ておるということも開いておるのでございますけれども、そういう点はどうなのか。あるいは今後三カ年間にわたって減反を続けていくというようなことも、われわれ聞いておるのでございますが、そういう点は、どういうお考えでございますか、お尋ねしたい、
  127. 西山祥二

    ○西山説明員 今回の減反に当りましては、お話のごとく、耕作団体より相当強力な異議の申し出を受けたのであります。しかしながら、公社の手持ち原料の需給の関係から、やむを得ざる事由のある点をるる御説明をいたしまして、これが御協力を求めたのであります。しかして、なお末端の産地の耕作者各位にも、その意のあるところを十分理解を求めますために、相当程度の金額を耕作者組合に支出いたしまして、懇談、了解の方途に充てた次第でございます。  なお今後の減反の見通しにつきましては、これもただいま総裁のお話のありましたごとく、全く今後の情勢いかんによりますので、今日われわれは、何ら定まったる見通し、計画を持っておりません。
  128. 神田大作

    ○神田(大)委員 末端農民に納得してもらうために、相当の金が出ておるということでございますが、幾らくらいの金が出ておりますか、お尋ねします
  129. 西山祥二

    ○西山説明員 今回の減反措置に対しまして、公社が耕作団体に支出いたしました金額は、千二百万円でございます。これらの金が組合において有効に利用せられ、末端耕作者の理解を求めるのに利用せられたと信じています。
  130. 神田大作

    ○神田(大)委員 なるほどうまいことを考えた、われわれの言うのは、末端のそういう不利益をこうむった耕作者に、補償金を出さぬかと言ったところが、あなたたちは耕作者の末端には補償金を出さないで、耕作組合に金を出して、まあ何とかなだめてくれというようなやり方をした。これのぜひは論ずると長くなりますから、私はあまり追及しませんけれども、一体こういう金は、どういうふうに使われておりますか、お調べになりましたか。
  131. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいま申し上げました金の使途につきましては、その目的は、今申し上げた通りでございますが、その実行方法については、地方によってやり方も相違いたしておると存じますが、おおむね各段階ごとに会合を設けて、それぞれ生産の現状を説明し、タバコ生産耕作者と専売公社と一体となって、長い目で見て事業の発展を期さなければならないという趣旨において、御理解を求めたのであります。
  132. 神田大作

    ○神田(大)委員 重大問題だ。専売公社が減反をやった、それに対して反対運動をやった団体に、まあまあといって金を渡した。これは、どうもわれわれ聞いておかしな話だと思う。専売公社自体が、そういういろいろと支出される理由を工夫することは、必要でありましょうけれども、減反に反対しておる団体に公社が金を交付するということは、これは労働者と資本家の、まあそういう一つの賃上げ闘争や、あるいは首切り闘争と比較するのはちょっとおかしいかもしれませんけれども、そういうときに、反対闘争をやっておる団体の幹部に、まあこれでもって一つがまんしてくれ。しかし農民は、私はそういうことは知らぬと思うのです。耕作農民は、何にも知らぬと思う。あなたたちは、減反に反対する団体の火の手を静めるために、いわゆるこれを取り静めるための手をそういう形で打つことに対しましては、私は何とも納得いかないと思うのでございますが、あなたたちは、それが妥当な、適当なことであったとお思いでございますか、お尋ねいたします。
  133. 西山祥二

    ○西山説明員 減反のための金の支出の目的は、ただいま申し上げましたごとく、公社の現状においてやむを得ざる実情にあるということを、十分耕作者の各位にも御理解を求めることが肝要であろうと考えまして、さような支出をいたしたのでありまして、決してこれによって反対の気勢を懐柔するというような、陋劣な意図に出たものではございません。
  134. 神田大作

    ○神田(大)委員 今たばこ耕作組合法の制定をするかしないかというような重要問題をやっておる、そうして減反を阻止しなくちゃならぬという熾烈なる末端農民の声が盛り上っておる、そういうさなかに、そのような手でもってそのような火の手を消すということに対しまして、これは非常に誤解を招くもとであろうと私は思うのです。こういうことに対しまして、あなたたちは、末端の耕作者がそれで納得したと思っていますか。一つも末端の耕作者は納得しません。またそういうことに対しまして、わかりません。なぜ専売公社は勝手に減反したのであろう、今後も減反しようとしているのじゃなかろうか、そういうことを、末端の農民は、いまだに不審に思っておると私は思うのです。それは、耕作組合連合会の人たちの、先頭切ってやる人たちはそれでおさまったでしょう。しかし、果して末端の農民がそれで納得しましたか。そういうことを、あなたたちは実情を調べましたか、それをお尋ねします。
  135. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 ただいまのお話でありますと、耕作団体は減反に反対を唱えておったのだ、それに金を与えるということは、金で反対を押えつけるというような手を講じたのではないかというふうにおとりになるのでありまするが、減反せざるを得ない事情については、先ほど来申し上げた通りでありまして、公社といたしましては、この事実を率直に訴えて、耕作団体並びに農民の方々の御理解を得ることが、従来葉タバコ生産収納について、公社、農民一体として成績をあげて参りました趣旨を貫くゆえんである、かように考えまして、まず耕作団体の方にもよくお話をしまして、私の了解するところについては、不満はもちろんございますが、大体やむを得ないというような事情をつかみ取ることができました。そこで、耕作面積の公示をいたすことになっておる関係上、減反を含んだ耕作面積を公示いたしたのでありますが、これを末端におろしまして、個々の耕作農民に割り当てるということの仕事が残っておるわけであります。その段階におきましては、やはり公社の方から、天下り的に幾ら減らすというようなことを押しつけると、先ほど来お話になっておったような農民の反感を買う、公社としても成績が上らぬ、こういうことになりますので、やはり物事は話し合いでありまして、公社が一方的である、こういう議論も成り立つけれども、どうしてこういう事情になったか、それから公社の方も、自分は何も損をしないのかといえば、公社の方も、先ほど申し上げました通り、消費数量の増加なり、輸出なりについても骨は折っておる、成績もある程度上っておるというようなことも説明申し上げ、がたがた数量もわずかだから、長い取引の関係もあるから協力してもらいたい、こういうふうに申し上げることがよろしい、かように考え、そうすれば、勢い説明のための集まりというようなことも開いてもらって、そこへ公社の耕作指導員なり、あるいは耕作技術者が行って懇切丁寧に説明する、こういうことになる場面が望ましい、かように考えたわけであります。そうして、そういう集まりをしていただくということになれば、会場費等も要るわけでありますので、そういう意味において、先ほど生産部長が申し上げたような金額を組合に支出したわけであります。あるいは公社が一方的にそうとっておるとおっしゃるかもしれませんけれども、大体了解を得て、耕作面積を公示して、その実施の段階において事を円満に運ぼう、こういうことのために金額を支出しておるのでありまして、その火が燃え上って、おる、反対しておる、それを消すために金をやって意見を変えさせる、こういうふうにとられることは、公社として非常に迷惑に思う。きまったことの実施面において、公社と農民は古くからの長いつき合いがあり、できるだけ円満な話し合いによってやっていくことが双方のためである、こういう点はことさら考慮して、わざわざそれだけの金を工面して出した、こういう点を、ある意味での親心というふうにおくみ取り願えれば、公社としては非常にありがたいと思うわけであります。
  136. 神田大作

    ○神田(大)委員 迷惑なのは、減反された農民です。ほんとうに皆さんが耕 作者を愛するならば、減反された農民にこそ、そのような親心を示すべきなんだ。ところが減反された農民は、どうも上から減らせといってきたから減らされたと思って、泣き寝入りしている。そうして、千二百万というような金が、何か話し合いで使われた、そういうように火の手を消すために使われた、そう思われることは、まことに迷惑だと申しますけれども、それは、そう思われますよ。耕作組合は一生懸命やっているのですから、これらの団体に適当な指導を円滑にするために、たくさん金を下さることはけっこうな話です。これは、われわれ常に言っているのです。あなたたちが指導監督をすると言っておりながら、ろくに補助金も出さぬ、耕作連合会が十分足りるだけの補助金を出さない。そうして義務だけを押しつけておる。これはまずいのじゃないかということは、前の委員全等においてもわれわれは指摘しておる。だから、連合会にそういう指導をするための必要なる資金を出すことはけっこうな話だ。けっこうな話だけれども、減反の問題はまた別です。減反において一番迷惑をこうむるのは、末端の耕作者なんだ。耕作者に対して何らかの手を差し伸べるべきなんです。それをあなたたちは、どうもお考えが変じゃありませんか。どうですか。
  137. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 耕作農民の方が迷惑というか、あるいは損害が全然ないとは申しておりません。ある程度困られたことと思うのでありますが、公社の方でも困っておるというので、損と申しますか、困難なことは持ち寄りで、お互いに公社も努力を、する、農民の方にも理解の上がまんしていただく、こういう方針のもとに話し合いで解決づけてきた、こういう事情でございます。
  138. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題は、あす委員会が開かれますから、あす大蔵大臣に来ていただきまして、私はいろいろとこれに関連した質問をしますから、そのときにいたします。私は、連合会にそういう指導をするために金をやることが、現在においては非常に少かった、これをふやせという主張は妥当であると思いますし、そうすべきだと思います。しかしながら減反だ。ところが耕作連合会は反対だ。そうしたら、お前らこの金を持っていって納得させないが、そういうやり方は、営利会社ならいいでしょう。少くとも公益法人としての立場にあるところの公社が、そういうことをやっていいかどうかということに対しましては、大きな疑問を持っておりますから、私は、この問題については保留しておきます。  次に、この法案に関連いたしまして、前渡金制度というのがあります。公社は生産者に対しまして、タバコを植え付けて、その植付検査が終了いたしますと、それに対して幾ばくかの前渡しをいたします。これは、どういうふうにして、どういうふうな標準とやり方でもって前渡しをしておるのか、質問をいたします。
  139. 西山祥二

    ○西山説明員 概算払いは、耕作者個人ごとに、所轄収納所の前三ヶ年の反当り年度平均収納代金をもとにいたしまして、その二割を限度として支給いたしております。
  140. 神田大作

    ○神田(大)委員 その前渡金を支給するについては、条件がありますが。
  141. 西山祥二

    ○西山説明員 葉タバコ生産を確保するために、肥料その他の資材の購入の資金を予定いたしまして、その目的のために支出いたしております。
  142. 神田大作

    ○神田(大)委員 この前渡金というものは、末端の農民に渡すということになっておるのでございますか、どうでありますか。
  143. 西山祥二

    ○西山説明員 建前として、耕作者個人ごとに支給すべきものでありますが、耕作組合、あるいは総代会において耕作者と話し合いの上で、場合によっては耕作組合が一括代理事業をいたしておる事例もございます。
  144. 神田大作

    ○神田(大)委員 一括代理事業をして、おるということを言われますが、これは、私の見るところ、大部分のものがそうじゃなかろうかと思うのです。これは、前渡金二割といたしましても、反五万円といたしますと一万円、二百町歩を作ると、二千万円、二千万円というような金が一括渡されて、それがどういうふうに使用され、そこにいろいろの問題が起きていることを私は知っておるのでございますけれども、こういう問題等についてあなたは公社の責任者として、この前渡金問題のいろいろの使い方、あるいは方法等についてつぶさに研究し、これを善処しなくちゃならぬというようなことを考えたことがあるかどうか、お尋ねいたします。
  145. 西山祥二

    ○西山説明員 概算払いに支出いたしました金は、建前といたしまして、明年度の肥料その他の資材の手当に使用するのでございます。従来多く地方に見られますのは、当年の肥料を、他の金融機関より金を求めまして買い入れをいたしておりますので、それが概算払いによって肩がわりをしておるという事例が相当多いのであります。しかして、お話の二、三の耕作組合において、概算払いの金の経理が適正に行われていないという話も仄聞いたしておりますので、目下調査中でございますが、かような事態をかもしますおもな理由は、耕作組合が、従来比較的小さい組合が多く、従ってその責任者、あるいは経理担当者に人を得ない、あるいはまた十分経理が行われていないままに見送られて参ったという点に原因が多いように考えます。これがためにも、今国会において審議せられております耕作組合法案が成立いたしますれば、公社は、その組合の業務を監督する権限と義務を与えられますので、今後そのような不正事態を未然に防止することができるであろうと考えております。
  146. 神田大作

    ○神田(大)委員 何も今度の組合ができなくても、あなたたちは組合に対して、補助金を出しておる、あるいは前渡金等も出しておる。そういうことは、この法案が何も通らなくても、それはできるわけです。それをできないからといって、そういう問題を指導監督できないということはない。私は、かつて農業共済資金がいわゆる一括払いをされまして、いろいろと問題を起したことを知っております。少くともこういう前渡金等を、公社が非常な親心を持って考えておる資金は、やはり農民に渡すべきだと思う。そうして農民は、それによって自由にタバコ耕作の発展のためにやはり使うべきである。連合会がぜひその金が必要であれば、一たん農民に渡してから、連合会がそれを受け取って、その使用に当らないと、そういういろいろの問題が起ると私は思うのです。この金がいわゆる特殊な業者との取引に利用され、あるいは特殊な金融機関に預けられて、そうして明細な報告もされないというようなことが全国の中には私はあると思うのです。こういう点は、あなたは知らぬわけはないのですから、十分お知りでもございましょう。秦野の問題等も、いろいろそういう点もからまっておるように私は聞いております。そういう意味合いにおきまして、この前渡金制度、農民が生活、あるいは生産資材を買うために必要な資金を、資材ということに限定せずして、もっとフリーな立場で農民に渡して、それを農民が自由な考えのもとに有効に使うようにすべきであろうと私は思うのです。また、この問題等について、あなたは現在やっていることがいいとお思いになるか、それとも改善の要があるとお思いになるのか。私は、前渡金そのものはいいと思うのです。それに対して異議を申しているのではない。そのやり方に対して、もっと明朗なやり方があるのではなかろうか、不明朗な温床がそこにできるのではなかろうか、そういうことは、あなたも専門家なんでございますから、十分承知しながら見て見ぬふりをしておったのか、それとも、これを改革しようという考え方を持っておられるのか、お伺いします。
  147. 西山祥二

    ○西山説明員 耕作組合の経理内容につきましては、現行規定のもとにおきましては、公社が支出いたします補助金、交付金の範囲に限って調査の権限を与えられておるのであります。その他のものにつきましては、正式に調査に立ち入ることは許されておりません。従って、資材等の関係につきましても、われわれは、残念ながらその多くを知っていない状況でございます。しかしながら、ただいま申し上げましたごとく、今回の法案が制定せられますれば、一般業務についての監督検査を実施できますので、これが未然に防止できるのではなかろうかと考えておるのであります。また、昨年来国会において、タバコ生産に関する種々の御検討が加えられております現状は、産地の末端にまであまねく伝わって参っておりますので、今後組合の運営等におきましても、格段の改善進歩を遂げるものと考えます。従いまして、従来ございました弊害は、相当部分除去し得るものと考えております。
  148. 神田大作

    ○神田(大)委員 その問題については、あなたは、今の制度でけっこうだというふうに受け取れるのですが、私は、末端の人たちは、何だか公社から前渡金が来るらしい、しかし、どうもおれにはさっぱりわからない。肥料やなんか、お前は尿素化成を幾かます使え、過燐酸を幾かます使えといってきて、それをただ受け取るだけだ。あと二年三年もたってから精算なんかされて、さっぱりどうもわからない。そういうところにも大きな不満を持っておると思う。こういう点について、私は前渡し制度というものはいいことだと思いますから、これをほんとうに耕作者がありがたがるようにしてもらいたいと思うのです。この点について、ぜひ今後御研究を願いたいと思います。
  149. 西山祥二

    ○西山説明員 御意見、ごもっともと思うところが多いのでございます。でき得る限り御趣旨に沿うように、今後も努めたいと思います。
  150. 神田大作

    ○神田(大)委員 この審議会の中に、委員を、選ぶことになっておりますが、この委員というものは、どういう人をどのような形で選ばれるのが、お尋ねいたします。
  151. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 審議会委員は、参議院修正を受けまして、十一人ということになっております。その半数程度を、耕作者の代表の方々になっていただきたいと思っております。十一人の半数程度でございますので、五人ということになろうかと思うのであります。耕作者の代表の方々につきましては、いろいろな推薦の方法があろうかと思いますが、もちろん委嘱者である総裁、公社当局と十分なる打ち合せが行われまして、また耕作者の団体の方々の自主性も尊重されまして、それぞれの地域、あるいはタバコの種類につきまして十分代表されますよう、そうした委員の選出がされることを私は希望しております。それから残りの学識経験者でございますが、これにつきましては、問題が専売制度でございますので、財政制度についての専門家、あるいは葉タバコによりまして、場合により価格も変るわけでございますので、国民経済、あるいは消費階級の利益をよく知っている方、そうした面からの代表者、あるいは、場合によっては、そうした大衆嗜好につきまして最もよく人の感覚を看取できるジャーナリズムの代表というようなものもよいだろうと思うのでありますが、ともかくも、そうした専売事業に当ります学識経験者から委員になっていただきたい、こういうふうに思っております。
  152. 神田大作

    ○神田(大)委員 農民代表でございますが、もちろん耕作組合連合会、あるいは中央会等はその対象になるでありましょうが、これらの団体が推薦するものを考慮するものか、またそのほかに、農民組合等の自主的な母体からも考慮して入れるのか、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  153. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 耕作者の代表の方々の委員の委嘱でございますが、過日の参議院における審議の際にも、そういうふうな質問がございました。われわれとしましては、審議会耕作者意見をよく代表していただくというふうなことからしますと、耕作者の方々の自主性をよく尊重したような形で選任して参りたいというふうに考えております。たとえば耕作組合中央会というようなところで、よく末端の意見も考えまして候補者を推薦していただき、それを総裁が委嘱するという方法もどうであろうかと考えております。
  154. 神田大作

    ○神田(大)委員 農民組合は。
  155. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 農民組合というのは、どういう意味か私によくわかりませんが、耕作者を代表する人々でございますので、耕作者を代表する人々を選任するのに最も適当なる団体の代表というふうに考えております。
  156. 神田大作

    ○神田(大)委員 なるほど耕作者を代表する耕作組合連合会、あるいは中央会等は、適切な団体であります。私もそれを認めます。しかしながら、今度のたばこ耕作組合法案の中では、専売公社の指導監督を受けるのがたばこ耕作組合であり、中央会である。こういう指導監督を受け、あらゆる問題について専売公社と一体になる形、悪い言葉で申しますと、今まではよく御用組合であるといわれておりましたが、そういうきらいがないわけではありません。公社の言うことを聞かないと、いろいろ都合が悪いではなかろうかという事態が、実際問題としてあった。これは、あなたもお認めであろうと思う。組合は、何もそういうことはしたくないけれども、公社のごきげんをそこなってはいけないというような含みがずいぶんあったわけです。これは、ないとは言えない。そういう指導監督を受ける組合の代表が、耕作農民の代表として審議会へ行って、どれだけの発言が保障できるか。これは、相当りっぱな人でもございますから、相当りっぱな発言をし、堂々と耕作者を代表して言いますけれども、最後は、指導監督を受けているあなたたち専売公社に、結局は折れざるを得ない。一人々々の農民のほんとうの心を十分わかってくれる人を推さなくてはならぬと、心の中ではわかっていながらも、最後には折れざるを得ないというような立場に追い込まれるのではないかと私は思いますけれども、あなたはどう考えますか。これは、あなたに聞くのはちょっと変なんですがね。
  157. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 従来たばこ耕作組合の代表の方々が、組合に対する監督権、指導権を持っておりまする公社との関係において、その発言がきわめてなれ合い的になるのではないかというふうなお考えのようでございます。私、あまり経験がございませんので、この点について断言いたすわけには参りませんが、従来少くともそうした方々と、一緒に議論をいたしました。これは、具体的に申しますれば、従来は、そうした耕作組合の代表の方々が、総裁限りで作っておられました葉たばこ収納価格審議会というもので、いろいろ従来の価格についての議論をいただいたわけでありまするが、その審議会に私が出席いたしました限りにおきましては、決して神田委員の御心配になるように、おとなしい方ばかりではございませんで、非常に活発な討論をしていただいております。従って、おっしゃいましたような弊があるかどうか、私としてはないと思うのでありまするが、しかし、問題は、結局耕作者を代表するものというふうに法律に書いてございまするので、耕作者の大多数がこの方法がよろしいというところについて、委員の方を選任していただき、推薦していただき、これを委嘱する、この方法が妥当なわけでございまするので、今後もし神田委員のおっしゃいますような弊害がございますれば、おのずから耕作者の方々から、別途の選任方法というふうな要求もあるかもしれませんし、またその場合においては、虚心にわれわれは耳を傾けたい、こういうふうに思っております。
  158. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、米価審議会等においても、活発な議論がなされておりますが、この米価審議会において活発な議論がなされておる大きな原因は、何ら農林省に制肘されないところの人たちが出ているからです。消費者代表、あるいは農民組合代表、政党代表、そういう人たちが出ておるので活発な議論ができる。ところがやはり耕作組合と公社、公社の指導監督を受ける耕作組合——その代表を悪いと私は言っておるのではありませんよ。それのみではまずいのではなかろうかと言うのです。それはりっぱに議論されます。私も速記録を読みました。堂々とやりました。やりましたけれども、結果はどうです。結果は、これは公社の言うことを聞かざるを得ない羽目におる人たちなんです。そういう点において、私は農民組合とか、あるいはもっと公社の指導監督を受けないで自由な立場に立ち得るような、そういう立場の農民を入れるべきではなかろうかと考えておるのですが、そういう点について、これはあなたに聞いても、あなたは監督する立場ですから変かと思うのでございますけれども、常識としてどうお考えになりますか。
  159. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 耕作者を代表する方々で、しかも公社と関係ない者ということでございますが、専売事業という広い仕事の中に、耕作者の方々も入っておられるわけでございます。そういう意味においては、いかなる意味においても、公社と全然無関係耕作者の代表ということは考えられないわけでございます。もしそうであれば、耕作者の代表者ではなくて、それは学識経験者ということになろうかと思うのであります。学識経験者の方々は、もちろん、これは公社から指導監督を受けているわけではございませんので、公社とは全く独立したその道の専門家でございまして、その中には、もちろん農政関係の学者の方々も入られるでありましょうし、タバコのみにとらわれない、農業政策全般に関する広い学識を提供して下さる委員の方々もおられると思っております。要するに、耕作者の代表者ということは、結局、耕作者が自分の利害関係を、その諮問委員会において十分に審議してもらうに適当だと認める方々のことでございまして、先ほど神田委員も言っておられましたように、世論のキャッチということはなかなかむずかしいのでございまするが、耕作者の方々の御意向を今後いれまして、正しい代表の方々の選任が行われますことを、私は希望する次第であります。
  160. 神田大作

    ○神田(大)委員 その問題は、われわれは、こういうような諮問機関では意味ない、これは、あくまでも諮問機関じゃなしに、審議機関というもので、専売公社の外局としてやらなければ意味ない、こう思うのです。総裁の諮問機関なんだから、文句を言ったって、この問題は根本的に問題が違うと思うのでございますが、ないよりもあった方がいいだろうというので、われわれも、これは参議院においていろいろと議論したわけです。そういう意味において、私は、基本的にはもっと権威のある審議会にすべきだと思うが、その点について伺いたい。
  161. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 まさにおっしゃいます通りでございます。私は、たばこ審議会は非常に権威のあるものであっていただきたいと思います。権威のあるものでありますれば、その答申に対して、公社も十分にこれを尊重するということになるわけでございまして、御説の通りでございます。
  162. 神田大作

    ○神田(大)委員 たばこ耕作組合に関することをお尋ねいたしますが、これをいろいろ尋ねますと、三日か四日かかります。(発言する者あり)大事なことを審議しているのだから、ゆっくりやらして下さい。皆さんに迷惑をかけるといけないから、五時までにやめようと思ったのですが、もう十分くらいで、あとはあすやらせていただきます。このたばこ耕作組合法の中でも、重要な点の二、三だけをお尋ねして、あとはあすに保留します。  この中の第三十七条で、役員の選出を代議員会でやれることになっておりますけれども、私は、役員というような重要な選出を代議員会でやるというのは、民主化を阻害するのじゃなかろうが、少くとも役員の選出は、総会でやるべきだと思うのでございますけれども、そういう点について、これは総裁にお尋ねいたします。
  163. 榎園光雄

    榎園説明員 ちょっと事務的な答弁を私から申し上げます。  今神田先生のおっしゃいました、役員の選挙は総会においてやるべきだという御意見は、もっともでございます。しかし、たばこ耕作組合法の条におきましては、総会にかわるべき代議員会というものを設置いたしているわけでございますが、本来は、代議員会は総会にかわるべきものでありまして、その範囲で、議決事項にどの程度制限を加えるかという問題になろうかと思いますけれども、最も民主的にと申しますが、やろうと思いますれば、役員の選挙も総会でやるべきだということは、御説の通りであります。しかし、代議員会が総会にかわるというような意味におきましては、この耕作組合法案におきましては、最も組合の根本であります定款の変更と解散、合併だけはできないというようなことにいたしております。これらは、森林組合法等のほかの立法例と並べておそらく立案されたんじゃないか。しかし、ほかの農業団体の農業協同組合法なり水産業協同組合法なりにおきましては神田先生のおっしゃる通り規定をいたしておるわけであります。
  164. 神田大作

    ○神田(大)委員 たばこ耕作組合法というものは、専売公社の指導監督を受けるので、そういう意味合いにおきまして、五十人か七十人のそういう代議員会で役員を選出するというと、どうしてもこれは、なれ合いになるおそれがあるわけでありますが、少くとも全部の耕作者が自分たちの役員を選ぶんだ、いわゆる組合の民主化を守る意味合いにおきましても、これは総会でやるべきだと私は思う。協同組合法におきましても、代議員会においては役員の選任をゆだねておりません。これは組合の役員というものを民主的に選ぶというのは基本でございますから、そういう意味合いにおきましても、私は代議員にこういう重要な役員選挙という権能を与えることは、行き過ぎじゃないかと思うのでございますけれども、提案者は、これをどう考えておりますか。
  165. 森山欽司

    ○森山欽司君 提案者といたしましては、この規定は、民主的じゃないとは考えておりません。民主主義は、選挙というものを基礎にする。その選挙というのは、直接選挙の形もあるし、間接選挙の形もあるわけなんです。代議員会において役員を選任するということは、間接選挙の形をとるわけでありまして、間接選挙の形をとったらそれは非民主的であるという議論には、賛成いたしかねる次第であります。
  166. 神田大作

    ○神田(大)委員 耕作組合は、やはり一つの農村における有力な団体であります。農村の民主化を推進する上においても大事な組合です。そういう組合でありますからこそ農業協同組合が今日非常に民主的に運営が行われておるのは、役員が総会において選挙されるということが守られているからです。そういう意味合いにおきまして、役員というものが少数の人にゆだねられるということになりますと、これは、そういよく組合の民主化を私ははばむおそれがあると思いますので、一つ今後の農村の民主化を推進する意味合いにおきましても、総会において、役員を選出すべきであるというふうになさるべきでなかろうかと思うのでありますが、この点について、森山君の意見はわかりましたが、総裁はどうお考えですか。
  167. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 役員を総会において選任するか、代議員会において選任するかということについては、立法論としていろいろな考え方があると思うのでありまするが、結局程度の問題でありまして、民主主義を達成する上において、代議委員会でもその目的は十分達し得るということで提案者が提案をし、ただいまも説明があったわけでありますので、公社としても、その説明に承服しておるわけであります。
  168. 神田大作

    ○神田(大)委員 タバコというものは、さっき申した通り、どこにも売れないのです。公社にしか売れない。ほかは買ってくれない。そういう一つの独占企業です。価格の点でも、専売公社が、審議会というものはありますけれども、その価格を握っておる。管理も公社が握っておる、いろいろ指導も握っておる、そういうふうにしている。公社が組合を指導監督するのですから、組合というものは、どうしても公社のいうことをきかなければならぬような立場に追い込まれる。そうすると、五十人くらいいる代議員だと、もっと言いたいけれども、あまりああいうことを言うとにらまれる。あとで、公社に協力しないからだめだというようないろいろな問題が起る。これは、私がここでいうと、西山さんなんか、神田君はどうも頭がどうかしているというように、あなたは思われるかもしれないけれども、これは、実際末端にいってよく研究して下さい。そういう状態です。だからして、そういうような独占企業が独占的な仕事をやらせる組合の役員を選ぶに当って、少人数で選ぶべきではない。それは見えざる力というものが代議員会の中にかかってくるわけです。これは、おわかりになると思うのですけれども、よく研究しますれば、だれもよくわかっておるのだろうと思う。けれども、そう言うと、いろいろ法案審議に差しつかえるから言わないだけで、西山さんも十分おわかりだと思う。そういう意味合いで、総会という大きなところで民主的に選べば、そういう弊害をある程度除去することができると思うのでございますが、総裁並びに西山さんは、どうお考えになりますか。
  169. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 ただいまだんだん御心配でございますけれども、世の中も進歩して参りまして、以前のような、公社限りで横車を押すようなことは、とうてい許されない時代に至ったのであります。従って、数多くの組合員の中から直接選挙でやるか、あるいは数を限った中間母体による間接選挙によるかということは、結局程度の問題であり、心配すれば切りがないことでありますけれども、良識をもって考えれば、そこまでの御心配は要らないのではないか、かように考えられますので、私は、原案でよろしいと思っておるのでございます。
  170. 西山祥二

    ○西山説明員 私も、ただいま総裁の申されましたことと全く同感でございます。今日の事情は、最近に至ります事態は相当進歩を遂げておりますので、今後の見通しといたしましては、神田先生の御心配になりますがごとき、著しき弊害は出ないものと見ております。
  171. 神田大作

    ○神田(大)委員 私が心配するような問題が出ましたら、あなたたちは責任を負いますね。
  172. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 そういうことは、万ないと考えております。
  173. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、われわれの見解と皆さんの見解はまことに異なる。協同組合でさえも、代議員においては役員の選挙をしないというような、民主的な団体がそうやっているのに、たばこ専売法によって独占企業を営んでおる、そのもとにおいて指導監督を受ける組合が、こういうような役員の選び方をしても弊害が起らないということを、あなたはこの重大な委員会の席上で言明されたのですから、そのときには、責任を負ってもらうことにいたしまして、われわれと見解を異にすることを申し上げておきます。  次に、第八条の問題でございます。第八条の、出資金を持たない団体が経済行為をやることについて、どのような御見解を持っておるか、お尋ねいたします。
  174. 西山祥二

    ○西山説明員 耕作組合は、出資金を持たない団体でございますが、その営んでおります事業は、限られた必要資材の融資の範囲に限られております。従いまして、それに必要なる資金も、あるいは概算払いによるもの、あるいは一定の金融機関より借り入れたものをもってまかなっておりますので、この程度の事業をいたしますのには、出資をいたさない耕作団体においても支障がないと考えております。
  175. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは、基本的な問題でありますので、こういうことが議論されないでこの法案が通ったというと、一体委員会は何をやったのだということで、後刻批判をされるおそれもありますから、私は、この点をはっきしておきたい。仕事をやるためには、いろいろと物を買ったり売ったりするために、元手というものが要る。元手のないものが商売をするということは、経済的な常識からいってもできないことです。いやしくも賦課金というものは、一年限りでとっていく。この賦課金というものは、一つの目的があるわけです。耕作の指導をやるとか、あるいは給料を払うとか、いろいろ目的があって、一年でなくなる。一年で消費されるやつが賦課金です。出資金というやつは、それを元手にして仕事をする。ところが、元手のないものが経済行為をするということは、経済論からいっても成り立たないことでありますけれども、それが成り立つとお思いですか。
  176. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいま申し上げましたごとく、耕作組合の営みます事業の範囲が限定をせられております。またそれに所要の資金も、特定の資金によってまかなっております現状に照らしまして、差しつかえないものと考えております。
  177. 神田大作

    ○神田(大)委員 部長の言うことは、特定な事業だから差しつかえない、そんな理論は通らぬですよ。どんなに小さい仕事でも、仕事には変りない、経済行為に変わりはない。そういう経済行為は、資本があってこそ初めてできるのであって、なくてもできますというようなこと、それは、前渡金でも商売はやれるというのですが、そうなると、またここに問題があるのです。前渡金というものは、ものを買う資金ではあるけれども、元手ではない。そういう点において、ここに大きな欠陥がある。これは、やはりあなたたちおわかりだと思うのでございますけれども、これに矛盾を感じないかということを私はお尋ねしておるのですが、いかがですか。
  178. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいま申し上げましたように私は考えております。
  179. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題も、あとの人がやるから……。私は、この問題は、今の答弁では全然満足しておりません。これは、何回言ってもあなたの答えがはっきりしませんから、時間の関係もありますので、それでは先に進みます。  この法案の中に、同一地域に一つの組合しかできないのだという問題があります。これもおかしいと思うのです。これはいかがです。同一地域の中に一つの組合しかできないのだ、あとは自由にできないということは、これは、憲法にも触れるのではないか、自由の原則を阻害すると思うのでございますが、いかがでございますか。
  180. 森山欽司

    ○森山欽司君 すでに小委員会において御答弁申し上げたところでありますが、同一の地区内に同種の組合ができますことは、組合員が錯雑、混乱することになりまして、組合の組織基盤が弱くなると考えるのであります。また組合員の負担等から見ましても、決して有利じゃないというふうに考えます。専売公社の側からすれば、生産指導をやっておりますから、この生産指導が徹底しがたい。また事業の指示とか、事務の執行等にも不便がある。こんな点から見まして、非能率、不経済となるというふうに考えますので、地区内は一組合にすることが望ましい。こういう考え方を、すでに小委員会において神田委員に申し上げた次第であります。
  181. 神田大作

    ○神田(大)委員 終戦後新憲法ができた。これは、いかなる人であろうとも結社、言論の自由を認められております。一地域に一つの組合しかできない。その組合に対して不満を持っておる。そういう場合に、脱退してあと組合を作ることができないと、非常な不利益もこうむるから、結局脱退もできない、不満であるけれども、その組合におらなくちゃならぬというようなことにもなるし、また一つの組合のみを認めるようなことになりますと、その組合がわがままをする、非常に横暴になるおそれも私はあると思う。そういうふうに自由の原則、この結社の自由——それから耕作者が五人でも十人でも集まって、そうして新しい組合を作ることについて、私はこれを押える理由はないと思うのです。これは、どうも憲法にも抵触するのじゃなかろうかと私は思うのです。一つの地域に一つの組合しかできないなんということは、東条内閣時代ならいざ知らず、今日の時代においては、私はいまだがつてそういう法律を聞きません。もちろん一つの組合が好ましいことは、私も知っております。一つの組合が好ましければ、一つの組合でみんなが守っていくような、そういう民主的な運営をすれば、分裂もしません。二つ組合を作る必要もありません。これは、すなわちその組合がりっぱに民主的に育って、いく大きな原則であると思います。それを、一つしかできないというふうに限定することは、これは大きな間違いであると思いますが、提案者は、これはどうお考えになりますか。
  182. 森山欽司

    ○森山欽司君 日本国憲法がうたっております結社の自由は、この種の規定を禁止する趣旨ではないと考えております。現に酒の組合などでは、一税務署に組合という立法例もございますし、それから農協等の場合につきましても、単位組合は別といたしましても、都道府県の連合会などは、やはり一組合というような規定になっておるわけであります。そういう意味で、この規定は、憲法の精神に反するものとは考えておりません。
  183. 神田大作

    ○神田(大)委員 公社は、一地区一組合にしておかないと、指導監督する上においていろいろ困るから、かういうような一地区一組合というような異例な法案を、あなたたちも承認しておるのだろうと思いますけれども、こういう点は、あなたはどうです。一地区に一つしか組合はできないのだということになると、かえって非常にまずくなる。わがままをする。わがままをしないためにも、自由に組合が設立できるのだというような自由の原則を守っていくことによって、組合がかえって民主的になり、強化すると思うのでございますけれども、いかがです。
  184. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 個人の自由というものを否定するわけではございませんけれども、やはりいろいろな目的から、ある程度の制限が加わるような場面があることもやむを得ない、かように考えるわけであります。  それで、組合を一地区に一つにした方がいいか、あるいは二つ以上にした方がいいかということについては、それぞれ一長一短があると思うのでありますが、公社の側から、考えますれば、同一の区域には一個の組合である方が望ましいということは、言えると思うのであります。それは、先ほどの御説明にもありましたように、二つ以上組合があるということになりますれば、組合員耕作しておりまして、大体同じような指示事項を受諾するという場合においても、同じような地域で二度以上会合を開いていかなければならないというような手数がかかります。また組合が小さくなるということになれば、その場合でも、組合の事務所とか雇い人とかいうような経費は、ある程度要するわけでありますから、勢い組合費が割高になる。こういうような点、必ずしも耕作者にとって有利であるとは言えないところも出て参りますので、どちらかといえば、同一区域は一個の組合の方が望ましい。たまたま提案者の御趣旨も、それらの点を考慮して、同一の区域を地域とする組合は一個とする、こういう御提案になっておるので、公社としても、それに賛意を表しておるわけであります。
  185. 神田大作

    ○神田(大)委員 一地区一組合であるのは好ましいというのと、一地区一組合でなければならないというのは、非常に違うのです。私も一地区一組合が好ましいということは、その通り、大賛成です。しかし、それだからといって、これが一つでなければならぬということになると、問題であろうと思うのです。それは、総裁も十分わかっておると思うのでございますけれども、便宜主義的なことでもってこういうような自由の原則を束縛しては、これは、私は大へんなことになると思う。そうすると、あなたは、ほかの組合で、最近こういう規定がしてある組合がありますか。
  186. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先ほどもお話がありましたように、酒造組合あたりは、一税務署に一組合を認めております。これも、やはり全く指導が重複しないとか、あるいは経費等を考えた結果であると思うので、異例かどうかということについては、御議論があると思うのでありますが、同一地区必ず一個であってはならぬという方の意見も出にくい、こういうふうに思います。一個でなければならぬという意見についても、それは議論が分れると思うのでありますが、そうすれば、公社としては、どちらかといえば一地区一組合とする方が望ましいということになって参りまして、たまたまこの立法者の趣旨と合っておる、こういうふうに承知いたしておるのであります。
  187. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは大へんな違いです。望ましいことは、私も望ましいと言っておる。望ましいからといって、一つでなければならぬということは、大へんな違いなんです。それで、こんなわかりきったことを、わざわざ東条内閣の戦争時代のようなところに持っていくような必要はないのです。これは、組合が民主的にできれば、その地区でもって民主的に組合が運営されれば、だれもよけいなものは作りっこないのです。そういうような意味合いにおいても、何も一つでなければならぬというふうに、上から一つにきめつける必要は全然ないのです。これは、公社がもしそれに賛意を表するならば、一つの組合にしまして、いわゆる独占的な企業をおろす上において常に便利であるというような立場から、あなたたちはこれを支持するのか、それとも、日本の民主主義を守る上において、人間の自由を守る上において、これが一つというようなことはまずいというふうにお考えになるのか、これは、非常に大事な問題だと思うのです。そういう意味合いにおいて、私は憲法の精神に違反するのではないかと言っておるのです。この点は、ぜひ御再考願いたいと思うのであります。  それから、これに関連していま一つお伺いいたします。過般専売公社は、各旧町村あるいは新町村になった地区を、出張所、支局単位に統合するようなことをいって、一つの組合で三千人も五千人もの組合を作って、そこでもって総会ができないような統合の仕方を、いつか私が質問しました当時現にやりました。いやだ、いやだというものを統合させて、総会もできない、だから代議員会できめる、代議員会で役員もきめれば収支決算もきめる。あとは、組合員はつんぼさじきに置かれる。こういうようなやり方をしたのでは、やはり組合の強化にはならぬ。私は、組合員の不満は、そういうところから出てくると思う。そういう点を、私は小委員会でも申し上げましたが、こういう点についても、その後公社の幹部の方々は御反省になっておるか、それとも、それが適者であると思っておるのか、それだけお聞きいたします。
  188. 西山祥二

    ○西山説明員 耕作組合統合の目的とするところは、一つには、耕作組合費の負担の軽減をはかるのがそれであります。いま一つは、統合することによって、経理その他の業務の実施面におきましても、真に責任の負える適任者を配し得るという利点があると考えるのであります。従いまして、われわれが今日考えておりますのは、大よそ公社の支局、出張所の範囲耕作者を対象といたしておるのでありますが、中には、例外といたしまして、非常に地域が広範にわたっておる。従って、指示の伝達その他指導の面におきましても、著しく支障を来たす等の地域に対しましては、特別な考慮をいたさなければならぬと考えております。
  189. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、あなたたちは、こういうふうに広範な組合合併に対して、適当であるとお思いになっておられるようでありますが、そうなると、末端の組合員が一年も二年もつんぼさじきに置かれて、代議員だけに相談されるということでもって、組合がスムーズに運営されるとお思いですか。
  190. 西山祥二

    ○西山説明員 代議員の選出は、組合の定むるところによりまして、三年ごとに改選をいたしておるのであります。従いまして、その間最も適当なる人物が選出をされて参ると思うのであります。また今日の社会情勢からいたしましても、いわゆる民主化の程度は、相当根強く地方にも浸透いたして参っておりますので、代議員制によりまして総意をくみとり、健全な運営をすることは心配ないと考えております。
  191. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、あなたのそういう考え方と非常に違っております。これを議論すればいろいろ問題が出てきますが、時間がないから、あとでまた適当な機会にやります。  ただ最後に、ある青年から私のところに手紙が来ております。それを読みますと、組合費が非常に高い、一反歩千円から千二百円取っている。一体あの金がどういうふうに使われているのか、そういうことを質問すると、収納代金とか、いろいろそういうものに響くだろうと思ってがまんして、みんな黙っている。しかし、どうかこういう問題も徹底的に、もっとみんなが納得のいくような運営にしてもらいたいという切実な手紙が私のところに来ております。私は、こういう問題は、ほんとうに組合の民主化、専売公社の民主化のために、あなた方が真剣になって考えるならば、そういう末端の組合員気持をもっとつかまなければならぬと思う。あなた方は、専売事業の上にあぐらをかいて、いつまでたっても、この黙っている農民——黙っているから、「ものいわぬ農民」という本も出ておりますが、農民は、洋服を着た人や、少しひげをはやした人だとものが言えない、黙っていろり端でもって、商いしている古着屋やさんにはいろいろ文句を言っているという本を、西山生産部長も読んだそうですが、よく読んでくれたと、私は感謝しておるのでありますが、そういうふうに、洋服を着たり、ひげをはやしたりしている人には、ものが言えない。そんな農民が大きな不満を持って、専売公社の民主化と民主的運営を願っておるということをあなたたちはよくお考えになって、今後ほんとうに農民を愛し、ほんとうに専売事業を民主的にして、そして国家のために役立たせようとするならば、もっと根本的に突っ込んでもらいたいということを最後に申し上げまして、非常に残念でございますけれども、この質問を終ります。
  192. 足鹿覺

  193. 石野久男

    石野委員 非常に詳細にわたって神田委員の質問がありましたが、私は、別の角度からちょっとお聞きしたいのですが、専売公社というのは、もともとその性格上、やはり競争者もないことですから、ただいま神田委員から言われたような、専売公社と耕作者との間におけるいろいろな問題が、何か権力的に圧力的に耕作者にかかってくるというような面が出ていると思います。しかし、それとまた同時に、専売公社が、一面においては予算の一部であるところの専売益金を予算に入れなければいけないという責任を、総裁は相当感じておるから、いろいろな無理も、そこに出てくるのだと私は思うのです。ここでお聞きしておきたいのですが、総裁は、毎年予算編成に当って、当然政府から、年度におけるところの収益を国庫に入れるようにという相談があることと思います。その際、あなたが一切の専売公社の運営と機能の発揮のための立場から、こういう政府からの要請に対して、常にどういうようなお考え方で、この予算編成に対する主張をなさっておられるか。またあなたは、そういう問題についての構想をどういうふうにお持ちになられるか、こういう点を、一つお聞かせ願いたいと思います。
  194. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 専売公社といたしましては、新しい年度の予算を組むに当りましては、事業会計でありますから、収入は収入の面、支出は支出の面で見積りを行うわけであります。この場合に、何を基礎にするかと申しますれば、大体予算編成時までの最近の実績を基礎とするということが、一方において常識的であり、またそれ以外の資料ということになりますと、非常に議論が多いものですから、大体最近までの実績を基礎にいたしまして、それに来たるべき年度の予想を加えまして、ある部分はふやしてみる、ある部分は減らしてみるというようなことによる個々の費目ごとの積み上げ計算をいたしまして、収入を見積り支出を見積って、その結果、公社の事業は三つの大きな柱になっておりますが、たばこ事業については収益金額が幾ら出る、それから塩につきましては、遺憾ながら黒字という見積りはできないのでございます。昭和三十二年度までは、予算を作ります際には、塩会計においては、大体収支とんとんになるように水準を合せておりましたが、むしろそれは、決算的に見ると、その通りにいっていない例が相当続きましたので、昭和三十三年度においては、先ほど申し上げましたような趣旨によって算出した結果、赤字が出るのであるならば赤字を出すというような方式のもとに、予算を組みました。ショウノウ事業については、大体において、先ほど申し上げたような方針で計算いたしますと、収支とんとんというところに出ますので、その方式で予算を見積って、その結果、国庫に納めます専売公社の納付金並びに地方公共団体に入りますとろのたばこ消費税を見積った、こういうわけであります。
  195. 石野久男

    石野委員 その場合に、公社としては、大蔵省からの予算編成に対するいろいろな要求もあろうかと思いますが、そういう大蔵省の要求と、あなたが今おっしゃられたそういう問題とのかね合いの中で、必ずしもいつもあなたの考えているようにばかり予算の編成がしにくいだろうと思います。そういう事態は、今まで起きていなかったかどうか、またそういう問題が起きたときに、あなたは、大蔵省との間にどういうような建前で交渉しておられますか。
  196. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先ほど申し上げましたように、予算編成当時におきます過去の資料を基礎にいたしまして、それに将来の見通しを加えるわけでありますが、この将来の見通しというようなことにつきましては、意見必ずしも一致しない。これは、やむを得ないことであると思います。見通しすなわち予測でありますから、強気な見方をする人もあれば、弱気の見方をする人もあるというわけでございます。その場合、正直に申し上げますれば、公社としては弱気な見積りをして、益金が少く出るような予算を組んでおく方が、実行に当っては楽だ、こういうことはいえるわけでありますが、大蔵省といたしましては、専売納付金なり、あるいは地方のたばこ消費税の増大することを希望して、強気な見方をする、こういうこともありがちなことであります。しかし、これらは話し合いをしまして、結局双方の意見を十分に述べあって、どの辺のところが合理性を持つかという合理性の判断、こういうことになるわけで、一方的な都合からのみ他方に押しつけることはよろしくないということで、公社の主張の方に近寄って認められている場合もあれば、大蔵省の主張に近寄って認められておるものもあるということで、これは、常に公社が大蔵省の言うことを聞いてばかりおるというわけのものではございません。
  197. 石野久男

    石野委員 予算の編成に当っての折衝は、それぞれの立場で意見があろうと思います。その場合に、総裁が公社の建前からいろいろな主張をなさるに当って、公社運営の、特に公社の収益の出どころである原価計算や何かの問題が当然頭の中にくるわけです。そのときに、いわゆる公社に働いておる職員の諸君、あるいはまた公社がやはり一番基礎に置いております耕作者等に対して、あなたが、その運営上どのような考慮を払い、またどういうような主張をなさっておられるか、一言伺いたい。
  198. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 専売公社の仕事は、申し上げるまでもなく公共企業体でありまして、公益方面と企業の面を二つございまして、この調和をはかるということがむずかしいのでありますが、さらに財政の面からの役割がございます。公社といたしましては、一つの企業体として考えました場合におきましては、原料を買い入れて、これを労賃を払って加工して、製品として消費者に売る、これが企業の実態といえば実態であります。その限りにおいては、民間の物品製造販売業者と似ておる、こう言えるわけであります。民間の物品販売業者であっても、原料を売る人からただ安くたたいて買えばいいというわけではない。それでは、やはり原料供給者も離れていってしまうし、これもお得意先として大事にしなければならない。それから自分の従業員にいたしましても、従業員の給与改善、労働条件の改善というようなことをはかることが、終局において企業の安定、発展をはかるゆえんだということは、申し上げるまでもないと思うのであります。それから製品を消費者に売り渡すについては、値段をできるだけ安くして、しかも品質のいいものを渡す、こういうことは、当然心がくべきことであると思うのであります。従って、これを公社の企業に移しましても、葉タバコ収納なり、あるいは塩の収納なりにつきまして、これは、コストの相当大部分を占めるものでありますから、その生産コストの上ることを防ぐということは、収益を確保する上において必要なことでありますけれども、いたずらに耕作農民とか、あるいは塩田業者というものを圧迫するということでは、やはり長続きいたしません。公社としても、必要な原材料が得られないということになるおそれがあるので、その辺の調和を得なければならないということは、申し上げるまでもないと思います。従業員の待遇にしても同様であって、待遇をよくするということになれば、能率も上るというのでありますが、これもかね合いの問題で、どのくらいの給与財源を確保するかということを最終的に決定する場合には、ただいま申し上げた面を考えなければいかぬと思っております。消費者に対しまする部分につきましては、専売であります関係上、民間の販売業者のように、コストが上ったというようなことで、すぐに値段を上げるということは許されておりません。値段の改正は、別途の方法で、法律改正と同様に、国会の御審議を願わなければならないのでありますが、品質あるいは包装等については、やはり消費者の感覚を考えて改善をはかって参らなければならぬ。それらを総合して、今度は益金にどう響いてくるかということを考えて、終局の益が予算的にきまって参る、こういう順に相なっております。
  199. 石野久男

    石野委員 時間の関係がありますから、これからはタバコは耕作者のことについての御答弁でけっこうであります。あなたが専売の事業を管理していく上に当って、公益性、企業性、あるいは財政面に対する考慮をいろいろと払いながら、特にあなたのところのたばこの事業の中で、耕作者の諸君が収納するタバコの代金というものが、生産コストの上ることを防ぐという建前からすると、そこらは当然やはりいろいろな衝突する事件が出てくると思うのです。この場合、総裁としては、今の答弁の中では、もしそれを無視すれば、原材料が得られなくなるということをおっしゃったけれども、実は、専売事業であるためにそういうことはないということは、また一面から言えると思います。これは、一定の計画で、しかも生産に対しては一定のワクをはめてやっていることですから、これは当然出てくると思う。問題は、そういう公社と耕作者の立場の力の関係と、それから企業のあり方の問題からくる力の、関係があると思いますので、総裁は、簡単に、もし耕作者に不利なような買い上げ方をすれば、原材料は得られないとおっしゃたけれども、実は、そういうことはないのだと私は思っております。そこで、私はお尋ねしたいのでありますけれども、生産者の作る葉タバコの納入価格の問題について、あなたの方から出されているものによると、今度の法案には「適正な対価」ということになっております。参議院の方では「適正な収益」ということになっております。これらの問題を通じて、耕作者が食っていけるように、やっていけるように、こういう建前を、どの程度総裁はお考えになっておるか。もっと端的に申し上げれば、耕作者生産原価というものに対して、買い上げの立場に立っておる専売公社としてはどういう建前でそれを見ておられるかということについての御意見を承わりたい。
  200. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 タバコの収納価格についての基準の問題でございますが、従来のやり方といたしましては、パリティ方式を中心にいたしまして、葉タバコ生産費、需給事情、他の農産物価格との均衡等を考慮して決定しておったわけでございます。その中にも、生産費という項目もございますので、その生産費の点を考慮に入れておることは事実でございます。今回は法律改正になりまして、価格基準を法律で明定することになりまして、その価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌してきめるということになっております。やっていけるかやっていけないかということは、生産費に関係があると思うのでありますが、生産費は参酌する事項の一つになっております。問題は、御指摘になりました通り原案は「耕作者が適正な対価を得ることができるように」と書いてあったのを、参議院において修正を受けまして、「耕作者に適正な収益を得させることを旨とし」ということに改まったわけでありますが、この間の事情及びその解釈につきましては、先ほど神田委員の御質問に対してお答えした通りでありまして、適正な対価とだけありますると、葉タバコの効用とか使用価値を基準とするというような点が少し強く出過ぎるきらいがあるのではないか。そこで、生産者側の収入等の事情をもう少し立ち入って考えるというようなためには、表現を改めて、適正な収益というような表現の方がいいのではないか、こういうような御意見がございましたので、参議院修正は妥当なものとして了承をしておる、こういうわけでございます。
  201. 石野久男

    石野委員 参議院修正については、それは適正なものだというふうに考えているという意見は、先ほど神田委員の質問に対してお答えを聞きました。私が聞いておきたいのは参議院での修正はそういうようになっておるが、本質的に申しまして、総裁としては、これらの耕作者がタバコを作っておって、ほんとうにそれでやっていけるような、そういう値段で買い上げてやるということにならないといけないわけです。従来米価審議会の場合も、あるいはまたここの耕作審議会の中でも、いろいろそういう問題も審議されるでありましょうが、こういう審議会というのは、いろいろあります。ありまして、またその説明は、非常に上手な説明がされております。けれども、現実に農民というのは、いろいろな計算の問題で、端的にいえばごまかされておる。ごまかされて、生産費を償い得るといった価格が、実は償っていないという実態が出ているわけです。私は、一番最初に総裁に聞きました、国庫に対して益金を納付するという問題と、それから耕作者に一応の——不当な利得をとらせなくてもよろしい、だけれども、再生産を償い得るような収納価格で買い上げてやるということぐらいは、しなくてはいけないのではないかこういう点が非常に重要だと私は思う。大きな企業体であり、しかも専売という特殊な企業の中でやっておるので、この事業において農民の諸君が非常に押さえられて、そこから大きな収益を国庫へ納入するというような形がきますと、国庫の財政面からいえば、収入が多くなるのはけっこうなことです。けれども、その反面において、農民が非常な犠牲を受けるということはこれは片手落ちであるということをわれわれは考えなければいけないのではないか、そういう点について、もっと農民諸君が納得のいくような線を考慮すべきである、これは、特に総裁がそういう点において考慮しなければならないのではないか、こういうように思いますけれども、総裁は、それはおれの領分ではない、こういうようにお考えですか、その点をお聞かせ願いたい。
  202. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 収納価格をきめること、これは、その年の葉をすぐその年使うわけでありませんので、結局それが公社のたなおろし資産になって、いつかそれが使われるわけでありますから、終局においては生産費に影響がありますけれども、収納の年には、すぐに益金の方に影響をするという関係が直接的には出ない。従って、益金をぜひ確保するためにたたいて買わなければならぬというほどのつながりに考えなくてもいいというのが、毎年の葉タバコ収納価格をきめておるときの実情でございます。農民がやっていけるようにするというような表現についてはごもっともなことでありまして、先ほど、農民が成り立たなくなるようになっても、葉タバコを作る数量は減らないだろうというお話がございましたけれども、やはり収納価格が不適当であるというようなことになりますれば、耕作意欲が減退いたしまして、割り当てました耕作反別が消化されないというようなことになりまして、公社としては、必要な原料が得られない、また必要とするところの品質の葉が得られない、こういうおそれもありまするので、原料の安定と申しますか、必要な品質、必要な数量を得るという公社の建前からも、農民と、言葉は当るかどうかわかりませんけれども、共存共栄というような考えに立つべきものである、かように考えております。再生産を確保するというようなお言葉がございましたけれども、その点については、国民の主食である米と、葉タバコのような国民の嗜好品の原料になるものとは違いまするので、価格基準も書き方を違えておるので、直接そういうような意味においての価格のきめ方はいたしませんけれども、農民が適正な価格、今度は収益という字で表現しましたが、それを得るということは、価格決定に当っての大方針といたしまして守って参りたい、かように考えております。
  203. 石野久男

    石野委員 これは、論争するわけではありませんけれども、ただいま言われた御答弁では、私はなかなか納得しにくいのです。といいますのは、たとえば、ことし収納した葉タバコですぐ収入が出てこない、だから、国庫に対する納付金と収納価格等との関係はあまりないのだ、こうおっしゃられたのでありますが、しかし、そうじゃないと思うのです。なるほどその年にすぐ収益にならないかもしれない。しかし、これは輪年で、少くとも二年か三年の後にはくるわけです。それで、あらかじめあなた方の原価計算の予定の原価の中に入っておるということが言えるわけです。それを無視しては、あなた方の事業計画は成り立たない。同時に、もう一つは物価の変動がある。物価の変動に伴って、タバコ価格の変動もやはり当然出てくるわけであります。そういう問題を考えますと、必ずしも国庫へ納付する益金と収納価格との関係は、ないというような簡単な理論で割り出すわけにはいかないわけです。これは、当然関係がある。ただ、その関係のランクがすぐに直接であるか、一枚どこか飛んでおるか、間を置いておるかというだけであって、当然関係があります。それからまた、非常に収納価格が減れば、耕作意欲が減ってきて、原料確保ができない。これは当然です。ただしかし、総裁の言われるようなことは、非常に極端な場合を言っておる。今私の言っておる問題は、その極端な場合ではなくて、ちょっと見ては生産価格を補っておるように見えるけれども、事実は、そこでわずかばかりの損が出ておる。——わずかではない、相当程度の損が出ておる。ただ、たまたまタバコ耕作者は、タバコ耕作だけ専業でやっておらないから維持できておる。別に本業としての麦も作れば、場合によれば稲も作っておる。主として山間地ですから、稲を作らない人は多いのですが、とにかくそうした他の作物によって生計を営むということがあって、現金収入のおもなものをここへ持ってきておるから、そういう点で、そういう欠点が出ていないだけであって、これがもしタバコだけの専業者だということになったら、当然少しでも問題が出てくるわけです。あなたのおっしゃるように、非常に極端な例を言えば、それは、あなたの言う通りになりますけれども、現実の問題としましては、こういうような多角経営をやっておる中でタバコ耕作をやっておる農民でありますから、若干の不満足な価格でも営農をやっていけるし、生計もやっていけるという事情にあるのですから、こういう点は、総裁、よく農民の立場を理解しなければならないと思います。それに対して、あなたが不当な価格であれば、もうやっていけないし、葉っぱという原料を安全に確保することができないというような理屈は、これは非常に一方的だと思います。私は、この御答弁の中から察知することは、相変らず専売局と耕作者との間のいわゆる力の関係が、はっきり出ていると思うのです。ここでは、耕作者意見はほとんどない。ほとんどは、専売局の一面的な立場だけからの意見しか出ていない。耕作者はどうあろうとも、専売公社としては、とにかく原料だけを確保すればいいのだという建前が出ておって、非常に不親切な態度が、総裁の答弁の中にあると私は思うのです。これは、改めてもらわなければいけないと思います。それから再生産の問題につきましても、これは主食の問題などとだいぶ違うことはよくわかっております。しかし、今日の農業は、別に米を作るとか、あるいは麦を作らなければ生きていけないというわけではなくて、農民は、今日一番大切な現金をいかにして取得するかという問題です。何を作ったっていいのですが、現金が収入できれば、米はどこからでも買える。だから、自分の投下した生産手段と自分のそこへ出したところの労働力が、いかにしてここで確保されるかという問題から、われわれは再生産を確保するということを言う。だから、そういう問題についても、総裁はもう少し考え方を改めなければいかぬと思う。そういう意見はともかくといたしまして、私は総裁にお聞きしたいのは、あなたは、耕作者組合と公社との関係をどういうようにおつかみになっておられるか、考えておられるかということについて御意見を承わりたい。
  204. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 耕作組合は、耕作者の代表と考えられます。専売公社といたしましては、葉タバコ生産に当りましては、耕作農民を指導、教育して参ることが、農民のためにも必要であり、また公社としても、必要な品質、数量を確保するゆえんでもありまするので、生産方面についても力を注いでおりますが、そういう場合においても、耕作組合と連絡いたしまして、指導の徹底をはかっておる、こういうわけでございます。また従来は、葉タバコ収納価格をきめる際は、葉たばこ収納価格審議会というものがございますが、この委員も、結局タバコ耕作者の代表から選ぶということが適当であると考えておるわけでありまするが、そういう場合においても、耕作者の団体の代表者に、葉たばこ収納価格審議会委員になっていただいて、これらを通じまして、耕作農民の意向をくみ取って、公社は、収納価格の決定の際の参考意見としておる、こういうわけでありまするので、公社にとりましては公社の仕事を円滑に実施、運営していきまする上において大切なと申しますか、必要な機関である、かように考えております。
  205. 石野久男

    石野委員 これは、時間がありませんので、その問題については、できるだけ一つ自分の下部機関であって、おれが指導するのだという立場だけで組合を見ないようにしていただきたいということです。むしろやはり下からの意見を、あなたの方の企業運営の中に十分生かすような建前で組合を見てもらうということが、非常に大事だろうと思う。従来、われわれが見ている組合に対する公社の考え方というものは、どうも上からの監督的な立場からだけものを見る、そういうような指導だけをやっておるというふうに見ておるわけです。これが違っておれば幸いだけれども、実は、そういう具体的な事例が組合の中に、その組合を運営する人たちに映ってきまして、組合の指導的立場に立っている人々が下部の大衆に対してはほとんど権力的な立場で、命令権を持っているかのごとき立場で運営しておるということにもなっておるので、これは改めなくちゃいけない、こう思います。こういうような点が、先ほど神田委員がいろいろ質問した内容になってくるものだと思うのです。私は、先ほどの御答弁の中で、西山部長さんからお話がありました、標本と収納価格の問題についてでございます。標本の問題は、審議会では、標本の規格を変えない限りは、審議会へはかけないのだという建前をとっておられる。ところが、耕作審議会というからには、当然やはり収納価格の問題が論議されるわけです。論議されるということになれば、論議される価格というのは、そのときの物価とか、その他のいろいろな経済的事情が入ってくることによって、その価格の決定が行われると思います。ただしかし、そういう場合に当然出てくるのは、一つの標本の中につぎ込まれているところの生産費、労力、こういう問題は、当然また年次によって変ってくると思うのです。たとえば、生産手段が非常に高度化するとかなんかすれば、やはりその一級品なり二級品なり、一等品、二等品という中に入るところのものも違ってくるし、またその時期における標本の決定との関係は、非常に緊密であると私は思う。ですから、私は、この標本の問題と価格の問題を分離した形で収納価格を決定するということは、どうも不十分ではなかろうか。もちろん一定の標本、標準というものが永久不変であれば別でございまするけれども、そうでない限りは、ただ変化するということだけでなしに、そのときそのときの経済事情の変化というようなものとの関連性の中で、収納価格とその標本との関係というものは、西山さんが言われたような簡単なものではないような気がする。これは、もっと緊密な関係があり、そして、常時それを考慮しなければいけない問題じゃなかろうかと思いますが、その辺について、西山さん、どういうふうに……。
  206. 西山祥二

    ○西山説明員 標本と収納価格の点につきましては、先刻申し上げましたごとく、表裏の関係にあるものでございますが、お話しのごとく、年々の経済事情あるいは耕作事情によりまして変動を考えますのが、収納価格であるのであります。従って、それに対する尺度となります標本は、それらのいろいろな変動とは一応無関係に考えて差しつかえないものと考えておるのであります。耕作技術が進歩し、品質が向上いたしますれば、上位の等級がそのために設けられておるのでありますが、二つの変数が同時に変りましては、むしろ適正な価格を把握することが困難であろうとも考えるわけであります。
  207. 石野久男

    石野委員 標本を決定するそれ自体のことについては、価格の問題とかなんかとは、別個に考えていいと思うのです。ところが価格を決定する場合には、そのときにおけるところの標本の内容になる生産技術とかなんかが、みな関係してくると思うのです。ですから、私は、標本をきめるということだけならば、これは一等だ、二等だということは、それでよろしいと思いますけれども、価格をきめる場合にははその標本の内容になるべき労働だとか、いろいろなものをどうしても勘案しなくちゃならないので、この関係はあるように思うのです。しかし、あとでもう一ぺん検討さしてもらいたい。  最近あちらでもこちらでも、タバコの耕作面積を減らそうというような意見が出てきているわけなんですが、この耕作面積を減らさなければならない基本的な原因は、どういうところにあるのですか。
  208. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 葉タバコができ過ぎるということは、少し語弊がありまするけれども、現実問題として、予定以上の収納の結果、一方において、需要量なりあるいは輸出量なりが予想以上と申しますか、生産の伸びた以上に伸びてない結果、公社の手持ち在庫というものが年々増加いたしまして、昭和三十三年度においては、平均して二ヵ年半分程度、黄色種のごときものは、三十ヵ月分をこえるような持ち越しになって参ったので、減反をお願いせざるを得ないような事情に立ち至った、こういうわけであります。
  209. 石野久男

    石野委員 総裁は、今タバコ専売の事業として責任づけられておる建前からして、今日日本で消費されているたばこの中で、外国のたばこと国産のたばことの間の比はどういうふうになっておるか、またそれに対して、公社企業を維持する上から、そういう問題をどういうふうにお考えになっておられるか、その点について伺いたい。
  210. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 現在公社のたばこ製品については、遺憾ながら全部内国産のみの葉をもって作るという段階に来ておりません。上質品と認められる製造たばこについては、外国葉を使っておるのでありますが、これは、特別なにおいなり特別な味なりを出すためには、日本の葉だけでは、そこまでの水準に達しない。たとえて申しますれば、ピースにいたしましても、内地葉についても、ずいぶん品質改良について改善努力を加えておるのでありまするが、気候、風土の関係上、においなり味なりについて劣るということのために、ピースを世界的水準だといって、売り出すためには、外国葉を入れておるという事情でございます。外国葉の使用量は、全体の葉タバコの使用量に対してはきわめて比率が低くて、三%から四%の間くらい、できればこれを内地葉に置きかえたいのでありますが、現状においては、その程度の使用をいたしていかないと、今度は製品の売れ行きの方が落ちる心配がある、こういうわけであります。
  211. 石野久男

    石野委員 公社がたばこ生産する上に、外国葉を使うということについては、一応理解できるのですが、私が先ほど聞いたのは、そうではなくて、現在日本の国で消費されているたばこの中で、国産のたばこと外国のたばことはどういうような比になっているか。
  212. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 国産のたばこのほかに外国の製造たばこを入れておりまするのは、きわめてわずかな数量で、観光客用といったような目的をもって、ホテル等において販売するために、特別の申請に基いて、主としてフィルターつきのキング・サイズものを入れておるというだけでございますので、その数量は、もうほとんど比率に載るほどの数字でもない、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  213. 石野久男

    石野委員 そうしますると、現在日本の専売公社がたばこ生産するに当って、外国のたばこがその生産に何らかの圧迫を加えるというようなところにはいってないというふうに理解してよろしいですか。
  214. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 大体御説の通りであります。ただ、駐留軍の外国たばこの横流しというものが、今日漸減の方向にはございまするけれども、全くなくなっておるというわけではございません。検挙件数も、一年にある程度の件数に上っておりまして、金額の見積りは、全くの見積りでありますが、公社側としては、最近一年間に、駐留軍の外国たばこの横流しによってこうむっている損害は、約二十五億円程度に上るのではないかと考えておりますので、その部分は、やはり外国たばこの影響といううちに入るかと思っております。
  215. 石野久男

    石野委員 これは、あとでまた考えなくちゃならぬことですが、大体推定で二十五億という数字が出ておりまするが、実は、もっと圧迫される面が大きいだろうと思うのです。それからまた、それがもしないという場合に、専売の事業の中には、もっと違った面が出てくるのじゃなかろうかと思うのです。それらのことが、たとえば、今日皆さんのところに収納した葉を非常に過剰な在庫高にしておるというようなことになっておるとすれば、これは、われわれとしても、やはり考えなくてはならぬ問題だと思います。そういうことのために、耕作者耕作面積を減反するという状態が出てくるということになるとすれば、専売という特殊の企業体の中で、すべてを捧げてそれに協力しておる農民にとっては、これはたまらないものになってくるわけでございます。そういう点からの危惧がありやなしやという点について、われわれ非常に心配するわけですけれども、総裁は、その点、どういうふうにお考えですか。
  216. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 外国のやみたばこの防止につきましても、監視部または監視課にそれぞれ監視員を置きまして、先方とも連絡をとって、厳重な取り締りを行なっております。漸次その反則件数が減りつつあります。ただ全く絶滅するに至っていないことは、先ほども申し上げた通りで、ある程度内地たばこの消費の妨げになっておると思うわけでございます。  一方公社におきましては、公社製品である製造たばこの販売促進のためには、販売促進の運動を起しまして、消費数量の増大をはかっております。一応たばこが国民に行きわたりましたので、著しい消費本数の伸びはございませんけれども、それでも、やはり毎年ある程度の伸びは見ております。最近ホープとか、みどりとかいうような新製品を売り出したことも、消費本数の増大には、ある意味での効果を持っておると思うのであります。  それから葉タバコの外国輸出につきましても、こういうような状態のもとにおいては、できるだけの努力をいたしまして、葉タバコの手持ち数量を減す必要がありますので、これについても努力いたした結果、昭和三十一年度に比べますれば、三十二年度は、二倍以上に葉タバコの輸出の面もふえております。これも今後ますます努力して、輸出数量をふやすようにして、一方的に耕作農民の減反のみにたよることなく、内地消費、外国輸出ともに消費数量の増大によって、幾らかでも減反の負担を軽減できる措置をとる必要があり、それは、公社として当然心がけねばならぬことと考えて、努力はいたしておるつもりでございます。
  217. 石野久男

    石野委員 先ほど神田委員からもお尋ねいたしたことですが、特に今後のたばこ耕作組合法の中で、地域の限定の問題、一地区一組合という問題についてでございますが、われわれも、なるべく能率をよく、組合が公社と協力できるような態勢をとることには賛成なんです。ただしかし、それが非常に膨大なものになって、公社の方は、いろいろ指導上あるいは諸関係を持つに当って有利にはなるでしょうが、耕作者の方が非常に不便を感じるということではいけないので、原案の方によりますと、大体支局とか出張所を一単位にするということを、公社の方は考えているようでございますけれども、この点については、少し広範囲にわたるきらいがありはしないかと思います。特に御存じのように、タバコの耕作地というものは、大体山間地であるとか、米麦の作地とは別個の形での、違った趣きを持った、また地勢的にも不便なところが多いと言えると思うのです。そういうところを広範囲に一地区々々々に固めるということになると、耕作者の方からすれば、そこに非常に重荷がかかってくることになる。従って、私は一地区一組合という一地区の考え方というのは、一地区をあまり大きなところで考えられると、これはとんでもないことになる。専売公社の方としては、あまりしゃくし定木的な、皆さんの方の都合だけで考えないで、むしろ経済的、地勢的関係をよく考えた地域というものを、ここではっきりお考え願いたい。それでないと、法律実施に当っておかしなことが出てくるんじゃないかと思う。そういう点について、総裁はどういうようにお考えになりますか。
  218. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 組合の区域は、地区のたばこ耕作組合にあっては、政令で定める区域ということになっております。要は、一地区一組合を希望いたして、先ほど申し上げたような答弁をいたしたのでありますが、問題は運営でありますので、政令で区域を定めます場合においては、お話しのように、あまり大きな区域をとりましたために、組合員意見が十分に伝達できない、組合の民主的運営ができないというようなことになっては、たばこ耕作組合法制定の趣旨も達せられないわけであります。一方、またあまり小さく分けるということは、経費の問題なり、人の問題なりの面も出てくるかと思うのであります。その辺、御意見もございましたので、政令を出します場合には、十分考慮して参りたいと思っております。
  219. 石野久男

    石野委員 この共同購入の問題について——これは、従来も組合がよくやっておることです。今度あっせんするということに、われわれは変えようとしておるわけでありますが、この場合、従来公社の方から組合を指導し、監督し、いろいろしてきたと思いますが、こういう資材とか肥料とかいうものを共同購入するに当って、特に肥料などにしても資材にしても、皆さんの耕作者に対する収納金の支払いがあるときに、大体翌年度の分まで、差し引いてするというようなことが、しばしば行われているわけです。こういうやり方は、今日の経済事情のもとで、特に農家における現金の働きというものが重要な意味を持っておる、こういうときに、来年使うものを、半年も一年も前に買い置きして、それを差し引きで計算してしまうということは、非常な越権行為だと私は思う、こういうようなことを、皆さんはどういうふうに見ておられるか。またそういう問題に対して、今後皆さんが、組合と公社との関係を非常に円滑に進めていくに当って、耕作者の生計状態もめんどうを見てやらなければならぬということを考える場合に、どういうふうに指導するか、あるいはまた対処するお考えでおられるか、御意見を伺っておきたい。
  220. 西山祥二

    ○西山説明員 概算払いの制度を開きました趣旨は、翌年度の肥料その他の生産資材の資金に充てるという点から出発いたしたものであります。その当時、主肥料とするものは、菜種油かすが主でありまして、これは時期によりまして、価格の変動が非常にはなはだしいので、最も価格の安い時期に入手するというためにも、翌年度の肥料を当年において手当をするということが、便宜であるのであります。この考え方は、程度の差はありますが、現在においてもなお言い得るところであります。従って、従来地方によりましては、明年度の肥料の手当のために、耕作者が自発的にある程度の貯金を積み立ていたしまして、その経費に充てるという方法をとっていたところもあるのであります。従いまして、この概算払い制度を多く活用するという趣旨から申しますならば、やはり明年度の資材の経費に充てるということが本筋であろうと考えますが、地方によりましては、当年の肥料の資金に追われておるというところもございますので、そういうところでは、むしろ概算払いが入手するまでのある期間は、他の金融機関より借り入れをして入手いたしておるという実情にあります。さようなところでは、この概算払いが借入金の肩がわりとなり、金利の負担を免れるというように活用せられておるのであります。これは、その地方の実情並びに耕作者の希望によって、適当に処置さるべきものであろうと考えております。
  221. 石野久男

    石野委員 肥料あるいは資材を先に買い取っておくということは、全く経済的な事由から来ていると私は思うのです。経済的事由ということになりますと、たとえばインフレが非常に上昇しているときであれば、今言われたことがそのまま適用されます。しかし、デフレ化に進んでいくようなときに、そういうふうにやったら大へんなことになります。もしデフレのときにそういうふうにやって——それでは現実に、翌年度ものすごいデフレになったという場合に、公社は、その損失のめんどうを見てやりますとか、あるいは収納価格の点で、そういう点についその損失に対してめんどう見るだけの御意志があられますか。
  222. 西山祥二

    ○西山説明員 御懸念のごときデフレ下における事態の節等は、公社においてこれを補償するということは、不可能であります。もちろん組合の理事者が、当時の経済情勢を勘案し、また組合員の総意をくみ取りまして、適当に措置すべきものであろうと考えております。
  223. 石野久男

    石野委員 今の点が非常に重要になってくるのですが、非常なデフレ化のときには、公社はとてもめんどうを見れないということになると、結局、組合の理事者なり役員の方の、状況の見誤まりということの責任になってしまうわけです、そこで問題になりますのは、そのとき、耕作組合がそういう行為をして出した損失のしわ寄せは、全部耕作組合が持たなければならぬことになります。ここで重要になってくるのは、そのときには、その組合には資金がないわけです。組合自体としては何にも資金を持っていないわけです。そうすると、これは、まともに自分の生活に食い込んでくることになるのですが、あなたの方から、今概算払いがそういう便宜を与えておるから、それはそのままでいきますけれども、しかし、概算払いで与えても、翌年はその問題についての責任はとらないのだから、当然負担だけは全部耕作者に来るので、大事なことは、ここで資金のない組合がそういうことをやったときに、責任の所在はその理事者というけれども、結局、組合の末端の一人々々の耕作者に及んでくるという問題を、あなた方は、公社の立場からどういうふうに御指導なさいますか。
  224. 西山祥二

    ○西山説明員 組合に損失を生じました場合の処置でありますが、従来の任意組合におきましては、その責任の所在が必ずしも明確でありません。しかしながら、今回御審議になっております組合法が成立いたしました後においては、理事者の責任が明確に規定せられておりますので、従来ありましたごとき事態を防止することができると考えております。
  225. 榎園光雄

    榎園説明員 ちょっと補足いたしたいと思いますけれども、ただいま審議願っております耕作組合法案の第十一条におきまして、組合員の経費の賦課のことを規定いたしまして、その第三項をもちまして、「組合員の責任は、第一項の規定による経費の負担に限る。」というようにうたっておりますので、組合員自身につきましてそういうような損失が生じた場合の負担ということは、今後の場合は、全然起り得ないということを言い得るのじゃないかと思います。
  226. 石野久男

    石野委員 組合員に及ばない——その必要な経費の限度に限るということになりまするけれども、しかし使った金というのは、今のような共同購入とかいうことに使った金のことをいうのでしょう。結局その範囲の負担がくるわけです。負担がくるというその辺のところに問題があるのです。相当多額のものを、そういうふうにして先へ買い込み、そして、しかもそれが損失が出てきたという場合の負担をどうするかということを私は聞いているわけで、それ以上のことを聞いているわけではない。それだから、今あなたのおっしゃったことには、私は満足できないということが一つ。  それから、そういう買い、取りをせなければならぬということは、従来の耕作者組合というものはそういう慣行を作ってしまったから、今はそうせざるを得なくなった形になっている。しかし、現在の需給の関係からすれば、翌年必要な時期にその肥料あるいは資材を買い取ることもできるわけなんですね。ただ問題は、買い取るときの現金の形をどういうふうにするか、まるまる現金を持って行かなければ買えないということばかりでもないと思う。もちろん現金で買い取ることによって、一定の価格よりも割引して買えるという便宜もあるがもしれません。あるかもしれませんけれども、デフレのときなんかは、その割引以上の値幅が出てきますから、そういうことなどを考えましたときに、資金を持たないところの組合がそういう作業をしたときの損失の負担というものが、非常に違った形で出てくるし、またこの問題を非常に大きく広げていくと私は思うのです。そういうことは、やはり十分基金を持たしたところで、その基金とのにらみ合せの中で仕事をさせなければ、皆さんの監督の立場から——あなた方は、組合を監督するということになるかどうかわからないが、あなた方の関係の上からいって、よくないことじゃなかろうかと私は思うわけです。皆さんの端的な考え方を一つ聞かしてほしい。
  227. 榎園光雄

    榎園説明員 概算払いをどういうふうに使うかという問題でありますが、それは、先になって、ちょうど肥料を購入いたします時期に借金して買って、それを次の収納時期に精算した方がよろしいのか、あるいは概算払いをもらいましてから、そのとき安い肥料が買えるなら買った方がいいのか、そういうような肥料等を購入いたします場合、価格がどう動くがという問題、それから、あるいは借入金をする金利等がどうなってくるかという問題等を、前渡金を使う場合と前渡金を使わないで借入金によって先に決済する場合と、二つの場合に起きまして、個々の農家が肥料を買う場合の単価が幾らになるかということをそれぞれ比較してみまして、いずれか有利の場合に決定するのが正しいやり方じゃないかと思っております。それで、現状におきましては、法律が要求いたしますのは、品質を向上し、または生産の数量を確保する場合に初めて概算払いをやるんだというような概算払いの目的が掲げてあります関係上、われわれといたしまして、そういうような指導なりをいたしておるわけで、ありますけれども、最近におきましては、先生が先ほどおっしゃいましたような、生計資金等に振り向けるというような地帯も一部出て参っております。しかしながら、これはほんとうにそうした方がいいかどうかということも、組合の代議員会なり組合の総会等において決議いたしておりますし、公社が概算払いを支払いますときには個々の耕作者なり、あるいは耕作者が委任いたしました耕作者組合長に一括払いいたしておりますので、その後の使用につきましては、組合の自主性を尊重して、指導してやらしておりますけれども、公社としては、現在は、当初の方針よりは、個々の農家、耕作組合の持っております資金の運用につきましては、若干後退したような線で行われているのが実情のように、調査の上ではなっておるわけであります。
  228. 石野久男

    石野委員 概算払いについての問題は、そのときの価格の問題も一つあるし、それからもう一つ重要なことは、募金を持たないところの組合に対して、皆さんは、結局作業をしておるから、やがて収納するんだからという見合いで概算払いをするわけです。この概算払いはけっこうなことだと私は思います。別に悪いことじゃないのです。ただしかし、国の企業としての専売が概算払いをするに当って悪いことじゃないけれども、もっと信憑性を持ち確実性を持ったところへ、また特に危険負担を十分背負い得る態勢のところに概算払いするのと、そうでない場合とでは、非常な違いがあります。私どもがしばしば言っておるように、基金を持たない組合にこういう経済行為をさせるということは、あまりよくないことだと思うし、これは、経済の常識からいっても、そういうふうに思う。そこで、農民としてのタバコ耕作者が、その地域におけるところの農業協同組合とか、そういうところで基金を十分持ち、しかも経済行為に十分耐え得るような、その組織の中でそういう仕事をされておる、そういうところへ皆さんが概算払いをしていかれる。別にほかの人に使わさなくてもいいと思うのです。農業協同組合の中の耕作部なりタバコ部とかいうところへ、それを引き当てにするとか、そういうことにしていく方がむしろ安全性があるのではなかろうか、またそれの方が、金の使い方にしても、また時期を見るについても敏であり的確性を持ってくるのじゃなかろうかというよりに思います。ただ、公社としては、特にタバコの耕作組合にそういう金を阻止的に出そうというような考え方を持っておられるのは、何か理由があるのかないのか。農業協同組合とタバコの耕作組合というものを、一体の考慮の中でそういう資金を概算払いで流していくという形をするのがよくはないかというような考え方を、われわれは持ちますが、それに対するお考え方を聞かしていただきたい。
  229. 西山祥二

    ○西山説明員 概算は、タバコの収納代金の一部を前渡しするのであります。従いまして、これを受領する耕作者が組織しておる耕作組合が、組合員の意思によって事業の資金に充てるというのが、最も自然なあり方だろうと考えておるのであります。従いまして、今後組合が健全にこの事業を運営いたして参りますならば、御懸念のごとき点は、まずあるまいと考えております。
  230. 石野久男

    石野委員 それについては、私はまだ意見があります。また問題としましては、組合に基金を持たないで経済行為をやりますと、いろいろな不測な事態が出てくるし、そのことを中心にして、またいろいろな違った面に問題が発展することも懸念されるので、われわれは、そういう点に非常に注意をしなければいけないと思います。その点は、またあとで、われわれはもう一度考えてみたいと思います。今御答弁のありましたことについては私はまだ十分納得していないわけです。要するに、われわれがこれらのことをいろいろとお尋ねしておることは、公社と耕作者組合との間における関係の問題で、民主的に対等の立場で話ができるようになれるかどうかという問題を、一つ問題点として考えておること。それから、なお従来の耕作組合と違ってわれわれがこれから新しく民主的に作っていこうという耕作組合というものは、内容的にもっと合議が活発に行われて、そしてその中でほんとうに組合員の闊達な意見が出てこなければならぬということだと思うのです。その結果が、当然あなた方の経営される専売事業の中に反映して出てこなければならない。それは、結局これらの耕作者に対して、十分な生産費を償い得るような収納価格での買い取り方ができてこなければいけないということだと思っておるのです。それができれば、非常に明朗になってくる。ところが、今までは、やはり公社の方が、自分の経営の都合によっていろいろなものを押しつけておるということが、しばしば神田委員からも言われておるように、各所に出ておるわけです。その点は、一つ総裁以下、公社当路の方々が十分注意してやってもらいたいというように私は思いますので、そういう点について、一つ最後に、総裁から御意見なりを聞いておきたい。
  231. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 今回たばこ耕作組合法が新たに制定されようとしております。それを機会に、従来のたばこ専売法の一部改正案も提出されて、御審議を願っておるわけでありまして、いずれこの二つの法律案は、両院の御審議を経て成立すると思っておりまするが、やはりたばこ耕作組合法ができるとか、あるいはそれを機会に、その内容になるべきたばこ専売法改正が行われるということはこれは、時代の大きな一つの動きだと思うのであります。こういうことがなくても、時代は、公社の一方的な押しつけによって専売事業が運営されるというようなことはなかなか許されないで、公社の企業の健全な発達のためには、私が先ほど申し上げましたように、双方の立場の利害を調整していく、こういうことによって伸びていかなければならないのでありまするが、今回は、さらにこういう法律改正が行われるのでありまするし、また国会においても、その機会において、いろいろ御論議があったことでありますので、われわれといたしましては、法律改正の趣旨並びに国会における御論議の趣旨もよく体しまして、今後の専売事業のあり方については、慎重の上にも慎重を期していきたい、かように考えております。
  232. 足鹿覺

    足鹿委員長 この際緊急な問題について、私から一つだけ公社のお考えを聞いておきたいのです。  すでに御存じだろうと思うのですが、三月二十八日から三月三十日に至る三日間、非常な寒冷が訪れまして、全国的に雪害、凍霜害等が発生しておるようであります。その被害の状況はつまびらかではありませんが、農作物あるいは果樹等に対して甚大な被害を与えたようであります。まだタバコは苗床にありまして、抵抗力もなし、私の手元に来ております鳥取県の情報によりましても、苗床は全滅の状態にあるように伝えてきております。きよう午前中農林水産委員会は、理事会において、政府より被害状況の説明を求め、すでに対策を講じつつあるようでありますが、公社には、この被害状況について、どういうふうに全国からの報告が集まっておりますか。また調査はどういうふうにしておられますか。生産期を前にして非常に重大であろうと思うのであります。この被害に対する対策も、早急に樹立していただかなければなりませず、また被害の程度によっては、耕作者に対する救済等の措置も必要であるように思います。その点について、万全を期してもらいたいと思いますが、この際御所信を承わっておきたいと思います。
  233. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 三月末に異例な寒冷な気候が出現いたしましたために、各地において一般農作物、また葉タバコについて被害が起きたであろうということは、十分想像されるところでございます。今日までのところ、公社の方に十分の報告を得るまでに至っておりませんが、これは公社から地方局なり出張所なりに指図するまでもなく、当然報告は出てくると思いますが、全国的な問題でもあり、非常に重大な問題でもありますので、本社において積極的に資料を徴する、こういう措置をとりますとともに、現地において応急対策をできるだけ講ずる、かわりの苗が得られるとか得られないとか、できるだけ三十三年産の葉タバコ生産に及ぼす影響を少くするような措置を講ずる指示はいたしたい、かように考えております。なお被害の状況が非常に大きいということの結果、農民が損失をこうむりました場合におきましては、罹災補償の規定もございますので、それらの措置につきましては、お言葉にありました通り、万全を期したいと考えております。
  234. 足鹿覺

    足鹿委員長 できる限りすみやかに実情について御調査になり、当委員会にも適当な機会に御報告をお願いいたしたいと思います。その上で、十分なる対策を講ずる必要があれば、当委員会としても措置したいと思いますし、積極的に、至急に対策を講じていただきたい。強く要望いたしておきます。     —————————————
  235. 足鹿覺

    足鹿委員長 連合審査会開会の件についてお諮りいたします。ただいま本委員会において審査をいたしておりますたばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号)及びたばこ耕作組合法案の両案につきまして、農林水産委員会より連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾し、連合審査会を開会するに御異議ありませんか。
  236. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決します。  なお連合審査会は明二日、午後二時より開会することといたしますから、御了承願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後六時四十八分散会