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1958-02-25 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十五日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 足鹿  覺君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    井出一太郎君       奧村又十郎君    川野 芳滿君       吉川 久衛君    高瀬  傳君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       夏堀源三郎君    古川 丈吉君       前田房之助君    山本 勝市君      茜ケ久保重光君    有馬 輝武君       井上 良二君    久保田鶴松君       山崎 始男君    横錢 重吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 津島 壽一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       藤原 節夫君         防衛政務次官  小山 長規君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  大來佐武郎君         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (国税庁直税部         所得税課長)  亀徳 正之君         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         日本専売公社副         総裁      石田 吉夫君         日本専売公社職         員部長     三枝 正勝君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 二月二十二日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員辻原弘市君及び山崎始男辞任につき、そ  の補欠として春日一幸君及び横路節雄君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十五日  委員神田大作君及び田万廣文辞任につき、そ  の補欠として茜ケ久保重光君及び山崎始男君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員茜ケ久保重光君及び山崎始男辞任につき、  その補欠として神田大作君及び田万廣文君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十二日  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八二号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第八五号)  道路整備特別会計法案内閣提出第八六号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九一号)  たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提  出第九二号) 同月二十二日  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九六号) 同日  国民金融公庫増強対策に関する請願松浦周太  郎君紹介)(第一〇六一号)  税理士法の一部改正に関する請願藤枝泉介君  紹介)(第一二一七号)  検定試験合格者公認会計士第三次試験受験制  度改正に関する請願藤枝泉介紹介)(第一  一二八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件、及び国有財産に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。山崎始男君。
  3. 山崎始男

    山崎(始)委員 防衛庁長官に先にお尋ねを申し上げますが、去る十九日の大蔵委員会で私が質問をいたしました、旧連合庫が接収いたしておりました岡山県の日本原演習場が、たしか昨年の十月の十三日に一応接収解除になりまして、大蔵省返還なつた。その返還なつ演習場の件でございますが、たまたま本年の二月三日の中国地方国有財産審議会で、防衛庁へ移管すべしという結論が出ました。そういたしておりまするうちに、たしか二月十日ごろだと記憶いたしますが、ブルドーザーが現地に入り、請負師現地に入って、その審議会結論が出るや、早々庁舎建設工事に取りかかった、こういう問題に対して、これは違法ではないかということを実はお尋ねしたのであります。大蔵省管財局長の御答弁は、違法であるというお話であった。そのときに、あなたの部下である山下経理局長の御答弁は違法とは思わない、こういうようにまつこう正面に御答弁が食い違つたのであります。そこで、私は責任ある大臣の御出席願つてこの違法に対する見解を明らかにしていただきたい、こういうわけで、実はきよう大臣の御出席をお願いを申し上げたのであります。一つこの問題に対して、大臣の明快なる御所見をお尋ねいたしたい、かように思います。
  4. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問日本原演習場所管がえ、またこれに伴う正式の手続ということが済まない前に防衛庁庁舎建設工事を始めましたということはその間手続上において欠けた点があったと思います。このことは私としては遺憾に存じます。なお本件に関連しましては、大蔵省からは庁舎建設用地についての使用承認というものを、去る二月二十二日にいただいたわけでございまして、こういった意味において、この手続が欠けた点がないようにいたしておる、こういう状態でございます。
  5. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういたしますと、大臣とすれば、十九日に山下経理局長が違法ではないと思うと言うた言葉大臣の御所見では違法であるから遺憾であるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  6. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。ただいま申し上げましたように、この正式の手続が済まないうちに工事に着手したということは手続において妥当を欠いた点があったと思います。その点について、私は非常に遺憾だ、こう思っておる次第でございます。法理的の見解ばどうであるかという問題については、これはいろいろ見方もあると思いまするが、その間、私どものとつた手続がそこに妥当を欠いた点があったということを、私は遺憾であったということを申し上げておる次第でございます。
  7. 山崎始男

    山崎(始)委員 どうもちょっとわかったようなわからないような気がいたすのでありますが、結局そういたしますると、二月三日に地方国有財産審議会防衛庁へ移管すべきであるという結論を出された、それがゆえに、成規手続をとらなかったので、形式的には違法であるが、実質的には違法でない、こういう意味なのでございましょうか。
  8. 津島壽一

    津島国務大臣 実質的、形式的という点のお話でございましたが、この一時使用ということについては、二月十二日に手続をいたして、それによって了解を得たものと思って、現地では工事を開始したというように私は報告を受けております。従って、これが法理的に違法であるか、手続は進行いたしておりましたが、その正式の認可がなかった時分に着手したというところが、この問題点であろうと思うのでございます。
  9. 山崎始男

    山崎(始)委員 そうすると、二月十二日に大蔵省へ一時使用手続をなさった、かようにおっしゃる。それで、二月の二十二にその許可が来た、その間に工事に着手した。そこでいささか遺憾であり、申しわけがない、こういうような意味でございますか。
  10. 津島壽一

    津島国務大臣 一時使用申請に対して、正式の承認を得られないうちに、現地の者は、一応この手続によって了解を得たものというような判断をしたと思われます。それでやつたこの工事の着手でございまして、これは、手続上において私はその点において欠ける、妥当でない点があったということは認めます。そういう意味において、私ははなはだ遺憾であったと思って、この認可申請に対する正式の承認が去る二月二十二日にあったから、これから手続が完全になって、工事が進行できるようになつたということを申し上げるわけでございます。
  11. 山崎始男

    山崎(始)委員 ちょっと経理局長にお尋ねいたしますが、先日、私は資料といたしまして、あなたに御要求申し上げておきました。一体この工事請負入札は、いつやられましたか、そうして入札指名をなさつておられると思いますが、だれだれに指名をされましたか、その点を前会御要求いたしておきましたが、ちょっとここで御発表願いたい。
  12. 山下武利

    山下(武)政府委員 その後、私の方で取り調べました結果に基いて御報告をいたします。入札の月日は一月二十四日でございます。指名業者は、庁舎工事につきまして、十社でございます。給水工事につきまして、同じく十社でございます。これは、現地といたしまして工事急ぎました関係から、比較的早目に入札準備に取りかかった、かように承知いたしております。
  13. 山崎始男

    山崎(始)委員 どうも私はふに落ちないのです。今おっしゃったように、一月の二十四日に入札をされている、その指名者が十社ある。そういたしますると、それに対しては、少くとも一月二十四日、相当以前に指名通知を出していらつしやるのであります。ところが、広島中国地方審議会結論が出たのが二月の三日です。防衛庁が、岡山財務部を通じて所管がえの正式書類を出されているのが、一月の二十三日なんです。ちようど十日間あまりで審議会が開かれて、緊急提案のような形になって、二月の三日に審議会でこれが正式に——決議機関じやありません、諮問機関でありますが、防衛庁に移管すべきであるという結論が出た。ところが入札の日にちが一月の二十四日、それより以前に指名通知をされておるのです。この問題は国有地に移管すべきであるとか、せぬべきであるとかいう、かりにも国有財産法に基く審議会というものが設けられておりながら、実際をいいますと、それ以前にちゃんとおぜん立てというものができているのです。でありますから、まことにどうもこれはずいぶんむちやなことをやつておられるものだと、過日も私は申し上げましたが、これが十坪や百坪の国有財産じやございません。かりにも三百六十万坪からの国有財産の処理というものが、大蔵省防衛庁と、こそこそ話かひそひそ話か知りませんが、不明朗なうちに——これでは審議会というものがあつてもなくても、無意味なものなんです。ただ形式的に、そこの審議会にかけただけとしか私には考えられないのです。ずいぶん無理なことをして、国有財産所管がえというものはやられるものだ。これでは、審議会の信用も何もあったものじゃないのです。こういう点に対して、防衛庁長官は、昨年の十二月の終りごろでございますか、内閣委員会において、国有財産に対して、ややもすると防衛庁大蔵省と不明朗なうちに自衛隊演習場に切りかえるようなおそれが多分にあったのだが、一体こういうことに対しては、防衛庁長官としては、どういうふうにお考えになるかというわが党の茜ケ久保議員質問に対して、あなたは、決して防衛庁とすれば、演習場にほしいことはほしくとも、無理はいたしません。十分話し合つてやります、こういうふうに御答弁されているのです。ところが、あなたは直接御存じないかもしれませんが、あなたの部下は、ずいぶんこういうふうな無理をやつていると私は思うのであります。今も言いますように、二月の三日に地方国有財産審議会で最初の答申が出て、その十日前に、初めて正式書類岡山財務部を通過して所管がえの申請を出されているが、それ以前に入札指名ができておる、こういうことになっている。その前に指名通知がいっておる。これでは、何ら意味がないのではないか。でありますから、あなたは今違法であるかないかの問答に対して、手続上二月の十二日に使用許可書類大蔵省に出して、二十二日に大蔵省から認可があった、使用許可書類を出したままで、正式手続が完了しないうちからやつておるから遺憾である、こう言っておるのでありますが、今そんな手続の問題ではない。実際には、おぜん立てはちゃんとでき上っておる。この点に対して、防衛庁長官の御所見、お気持を明快にお聞かせ願いたい。
  14. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまの御質問になりましたところの、委員会における私の答弁のことを御引用になりました。その場合は十分に記憶いたしておりませんが、民有地を含んだ駐留軍施設返還といったような問題について答えたことを記憶しております。それはそれといたしまして、今回の場合に、請負に付するに当つて契約準備を進めたということが、まだ全部の正式使用承認手続が済まないうちにやつたのはどうか、こういうような御質問のように伺つたのであります。これは、この演習地使用を非常に促進したいという気持から、出先の者が準備を進める意味において、請負契約手続を進めたのだと思います。この裏には、これは国有地であり、大蔵省所管がえになって、また従来の経緯にかんがみて、これが自衛隊使用に供せられるということを期待しておそらく準備を進めたのだと思います。そういった意味において、これは準備を進めるという意味においてやつたことだろうと思います。もちろんお話しのように、手続に欠けた点があるということであれば、これば、促進のためにやつた手続が、正式の承認を待たないでやつたという点については遺憾であったと私は思います。
  15. 山崎始男

    山崎(始)委員 こういう日本原の問題において、今回のような具体的な事例がたまたま出たのでありますが、昨年の十月十三日に全国で約七カ所の米軍接収基地解除になっております。そのときに、現在解除になりつつある、下折衝をやつておる他の米軍接収地があと五カ所あった。そういうことがあったから、結局昨年の暮れに内閣委員会において、わが党から、先ほど言いましたように、国民は、これが十分国家目的に使われるようにやつてもらいたいという意味から、ややもすると、米軍が接収しておったものが右から左に持っていって、すぐ自衛隊のものにかわつていくというようなことではいけないというので、質問をしておるのであります。大蔵当局は、そういうこともいたしません、農耕地であるならば、十分農林省とも相談をいたしましょう、あるいは労務者の住宅地に適するなら、住宅用にもこれをいたしましょう、その他工場誘致に適するならば、そういう土地工場誘致土地にいたします、こういうようなことを答弁されておるのであります。今防衛庁長官お話では部下予想をして、従来の例から見ると、接収地というものは自衛隊演習場になるのだという意味を言外にあなたは言うておられる。  従って、部下予想をして早手回しにやつたので遺憾である、こういう御答弁のように聞くのでありますが、あなた自身の頭の中にも、いわゆる米軍接収解除になった土地はもうわしのものだ、防衛庁のものだ、こういう一つの先入主的なお気持がずいぶんおありになると思うのであります。今の御答弁の中に、多分にそれが出ておる。私は、こういうことでは、国会において、いわゆる信用ある言葉として吐かれておりますあなた方の国会答弁というものと、実際行われている行政というものと、全くあべこべの行政が行われておる、こういう点は、実に遺憾しごくだと思うのであります。今あなたがおっしゃったように、二月の十二日に使用許可手続をした。それが、二十二日に正式に認可がおりた。十二日に手続をしたけれども、その以前に、正式な認可がこないうちに工事に着手したので、それは遺憾であると言われますけれども、私は、そういうような小さな問題じゃないと思う。私はお尋ねいたしまするが、防衛庁がかくまでして、無理をしてまで工事を急がなければならない原因ば、一体どこにあるのでありましょう。なぜ工事をこのような非常識なことをしてまでお急ぎになるのですか。お急ぎになるためには、何か理由がなければなりまんが、どういう理由か、その点を一つお聞かせ願いたい。
  16. 津島壽一

    津島国務大臣 訓練関係からいえば、こういった演習地を引き継いで訓練を継続してやるということは、隊としては当然やるべきことだと私は思います。それで、本件の場合は、解除が三十二年の十一月一日に行われたのでございます。そこで、その地元の方々とも十分に話し合いをするという建前で、独断的にやるわけではございませんで、御承知かと思いまするが、十一月二十六日には、関係の町の代表の方方、また当方の担当者も寄りまして一応話がつきまして、これは防衛庁使用するというような確認を得たわけでございます。でありまするから、その間こういったような了解をとりつけながら、工事にも早く着手したいというのは、訓練の必要から言うわけでございます。その意味において、あるいは契約手続において、多少準備的に行動が先ばしつたという点はございまするが、この点は、どうぞ十分御了承願いたいと思うのでございます。
  17. 山崎始男

    山崎(始)委員 違法か違法でないかという問題は、前会の山下経理局長言葉を、責任ある防衛庁長官として御訂正願つたので、私はこの問題は一時ここでとりやめますが、今あなたは昨年の十一日の二十六日に、防衛庁地元との間に十分な話し合いができた、こういうお話でございましたが、防衛庁地元奈義町との間の十分な話し合いができたとおつしやいまするこの件は、大臣は、こまかいことは御存じないかもしれませんが、実際は、あなたの部下は、ずいぶんこれは無理をしているのです。非常な無理をされているのです。地元町長と町の二、三のいわゆるボス的の存在だけが、町民をどちらかというたらだましているのです。だまして防衛庁との間に確認書をかわしておるのであります。そうして、そのだました要点というものはどこにあるかというと、私は、この際大臣によく実情認識していただく意味におきまして、一言だけ申し上げておきまするが、この確認書の中には、演習場は、現段階においては拡張も縮小もしないという言葉がございまするが、この演習場という意味は、三百六十万坪の演習場の一番西の方面の百十万坪、これは、終戦後から米軍がときどき使つてつたのであります。この百十万坪を、地元の一般の人たち演習場という認識を持っておるのであります。ところが、広島でもって防衛庁所管がえになりました三百六十万坪といいますと、その西の方から東へ回って約二百五十万坪の演習場が拡大されていっている。防衛庁の御見解では、この演習場という言葉は、三百六十万坪全体の演習場だと思われておりますかもしれませんが、地元の者は今も申しますように、二百五十万坪は含まれておらない百十万坪、すなわち、終戦後から米軍使つてつたの演習場という言葉の概念に持っておるのであります。ところがふたをあけてみますると、三百六十万坪、しかも最近まで連合軍使つておりました演習場とは、鉄砲を撃つ位置も、鉄砲のたまが着く位置も今度はぐらつと変つております。これが最近わかったのであります。だから、防衛庁長官が今地元十分話し合いをしたと言われるのは、おそらくこの十一月二十六日の確認書のことを言われるんだと思いまするが、この確認書を十一月の二十六日にかわしました一カ月後の十二月二十五日にはこの確認書に判を押した町長が、大阪防衛庁建設部長あて電報を打っておるはずであります。演習場全面使用は絶対反対であるという電報を打っておるのであります。この確認書に判を押した町長が、一カ月後には、これがわかつて電報を打っておる。そのくらい現地においては、この演習場という言葉が、位置もきめてなければ反別もきめてない。ただ一、二のボスが、三百六十万坪ということを腹に持っておりながら、町民には、それをひた隠しに隠して、そうして現在までやつてつた演習場というふうに認識をさしておるところに、この問題の非常に大きなあやまちといいますか、錯誤があるのであります。どういうふうにしてこういうことになつたかといいますと、これは、政治的ないろいろ複雑な事情がございますから、私は、この場では御遠慮申し上げますが、とにかく一、一のボス町長をとつちめて、そうして十分県とも防衛庁は話をなさらず、十分農林省とも防衛庁は話をなさらず、ボスの力を借りて、そうしてその町長その他の一、二の者だけでもってこの確認書をでつち上げをしておるのであります。これが実態なのであります。今の工事のやり方といい、こういうふうなことといい、ずいぶん防衛庁というものは無理をなさるものだと、私は慨嘆にたえません。一体地元話し合いをされておるというのでありますが、これは、防衛庁長官でなくてもよろしい、事務的なことでありますから、山下経理局長からでも、どういうふうな理解に基いてこの確認書を作られた、これが唯一のあなた方の根拠だろうと思うのですが、どういうふうな御所見を持っておられますか、町民全体一致しての確認書だという認識を持っていらつしやるのか、ただこういう書類を作らしてやつたから、これさえあれば鬼に金棒だという御見解なのか、どういうふうな御見解を持って今のような工事の進め方なんかをなさったのか。結局、この確認書がありさえすれば何をしてもいいのだ、この観念から私は出発しておると思うのであります。経理局長からでもけつこうですが、あなたは事務上の責任者であるならば、この確認書事情は知っていらつしやるだろうと思うが、町民と円満にほんとうに話し合つた結果の確認書かどうか、あなたの御所見一つお尋ね出し上げたい。
  18. 山下武利

    山下(武)政府委員 今のお話しのありましたように、三十二年の十一月二十六日付をもちまして、防衛庁大阪建設部長岡山県勝田郡勝央町長、同じく勝北町長、同じく奈義町長、この四者の問に確認書が取りかわされておるわけであります。私、その後にいろいろ事情を聴取いたしましたところではこの会議には、以上の町長さんのほかに、町村会議議長さん、その他部落代表者が大勢参加されて、現実に図面について詳細に御検討に相なっておるということを伺つておるわけであります。十分に現地の意向を反映しておるものと、かように今確認をしておるわけであります。
  19. 山崎始男

    山崎(始)委員 部落代表者なんか入っておりません。いずれにしましても、これは、この委員会において、きようここで白いか黒いかを明らかにすることはできない問題でありますから、私は、一応地元のそういう実情だけを申し上げて、御認識を改めてもらわなければならない。一点だけ山下経理局長にお尋ねしておきますが、昨年の十二月二十五日に、この確認書であなた方が円満に話し合いがついたと言われる最高の責任者地元町長が、この確認書に判を押した町長が、大阪建設部長あてに、いわゆる演習場全面使用には絶対反対をするという電報町医長名において打っておることを、確認されておりますか、どうですか。
  20. 山下武利

    山下(武)政府委員 その事実は私は全く存じておりません。
  21. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういうことだからいけない。自分の都合のいい、円満に話し合いができたという書類のことだけは、あなたは覚えていらつしやる。書類をかわした相手が、いわゆる百十万坪だと思っておるのが、三百六十万坪だというにおいがしたから、これは大へんだというので電報を打っているのです。全面使用は絶対反対だという電報を打っているのです。一つ、十分これは出先の方にお問い合せをされまして、この問題に対する認識を改めてほしいのであります。十一月二十六日のこの確認書というものは、今の町の当局のボス的な連中が、ひた隠しに隠しておったのであります。それを、山陽新聞という地元の新聞の記事が、すつぱ抜きをやつた。それでびつくりしたのであります。そういういきさつもあるのでありまして、決して円満な話し合いではありません、町長自身もひた隠しにしておった。新聞記事が出て、町長自身も、町民の前にそれを初めて白状した。防衛庁との間にかわしたのは百十万坪だというふうに町民には思わして、これなら仕方がないからみんな納得せよというような押え方をして、実際は三百六十万坪——これは町長は知っておつたでしよう。ところが一般の地元の大衆は知らなかった。そこにこの確認書の魔術があったのであります。演習場という言葉でもって、一つもその範囲を限定していない。この点は、大臣はもとより、事務当局においても十分御認識を願いたいのであります。  最後に防衛庁長官に一点申し上げます。私は、この問題であなたに対する質問を打ち切るわけではございません。内閣委員会その他で、今後もお尋ねするつもりでおりますが、ここは大蔵委員会でございますから、この範囲にとどめておきますが、これはひとり日本原だけの問題でなく、こういう事例というものは、今後たびたび日本全国至るところの自衛隊演習場とからんで起つてくる問題だと私は思うのであります。従って、この際一点だけお尋ねしておきますが、あなたは、ただいま遺憾の意を表せられた。私は、こういうことが今後あつちやならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、今後地元の者と十分話し合いをしてやるというあなたの十二月の内閣委員会における御答弁について、いま少しこういう件に対するあなたのお気持を聞かしていただきたい。米軍の接収しておった国有地返還された跡は、直ちに当然わしのものだ、防衛庁演習場にすることはきまつているのだというふうに先ほどの御答弁は聞えたのでありまするが、この点、私はあなたの御所信をいま少し詳しく聞いておきたいのであります。
  22. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。駐留軍の接収した演習場等の返還に当りましては私はこう考えております。それに含まれた民有地の場合はもちろんでありますが、十分地元と協議、納得のいくように話し合いをすること。第二は、法令的の手続においても、妥当を欠くようなことをしないで、慎重に措置をいたしたい、こういうことでございます。そういった方針をもって——これは個々の場合に、条件、事情が非常に違うと思っております。どうしても防衛庁使用したいという場合もございましょう。また、ある場合には、そういう広大な土地も要らないという場合もありましょう。従ってそれの実際の適用実施については、それらの個々の場合を十分勘案して適当の対策を講じていく、こういう方針でございます。
  23. 横山利秋

    ○横山委員長代理 関連質問の要求があります。これを許します。茜ケ久保君。
  24. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大蔵大臣防衛庁長官ちようどいらつしやいますので、お二人の前で、ぜひ聞いておきたいと思います。これは大蔵委員会でございますので、国有財産の問題について、大蔵委員会の先輩諸君も聞いておいてもらいたいと思います。今も日本原の問題で、山崎君がいろいろお尋ねしたのでありますが、日本原だけでなく、たびたび申し上げますように、今後返還される日本の基地の事後処理が大きな問題となると思うのであります。現在アメリカが接収している基地は、国有地がおもであります。従って、大蔵省所管すべき国有地防衛庁に移管されることも、当然あり得ると思うのでありますけれども、先ほど来問題になっておりますように、地元の農民なり、住民なりの生活を基盤とした新しい方向への希望も相当あるのであります。そこで、昨年十二月十三日の内閣委員会における大蔵省管財局長の御答弁は、私は非常に当を得ていると思いますし、同席されました防衛庁長官からも、今山崎君が念を押したような御答弁があったのであります。具体的に、日本原でこういう問題が起きている。そうなりますと、国民はやはりいろいろな心配があるわけであります。そこで、大蔵大臣の前で防衛庁長官にお尋ねしたいのは、今後かなりの数に及ぶ返還演習場がありましょうが、その中で、現在防衛庁としてぜひ使いたいとお考えの演習場の数と、その地名がわかつてつたならば、一つ大蔵委員会の席上で御明示願いたいと思うのでございます。
  25. 津島壽一

    津島国務大臣 具体的の演習場のどこどこ、こういうことのお尋ねのようでございます。これは政府委員から答えさせます。
  26. 山下武利

    山下(武)政府委員 実は、具体的な場所につきまして、まだはっきりした見解を持っておるわけではございません。現在まだ接収中の財産につきましても、一時米軍承認を得まして、その管理権の以内で使つているものもあるわけでございます。これがいよいよ解除になりました場合は、その地元の方の十分な御了解のもとにやつていかなければならないということが、大きな前提になるわけでございまして、これは、また防衛庁一方だけの希望でもってきめるというわけにも参らない、かように考えまして、その場でもって十分に御納得のいくような措置を講じていきたい、かように考えておるものでございます。
  27. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 そういった答弁が私は非常に不誠意だと思うのです。おそらく防衛庁としては、陸上自衛隊演習場なり今後の部隊の編成、特に一万人の増員が予定をされておりますが、そういった中で、これはかなり具体的な要望があるはずなんです。なくちやならぬ。一万人の陸上自衛隊を増員するという基本方針の中で、さらに今方々で共同使用されている、こういった中で、まだ具体的に希望がないとかなんとかいうこと自身が私はおかしいと思う。そんなことを言っているから、日本原のように急に問題を起して、トラブルを起す。これは防衛庁長官、あなたはいわゆる三軍を指揮する長官として、そんなずさんなことでは、それはできませんよ。また国民も納得しない、私も納得しない。もしそれが事実ならば、あなたはどうして自衛隊の二十万の軍を統率し、演習をほんとうに国民が信頼できるような自衛隊に育てることができますか。それは、無責任というか、その場のがれのごまかしをしようとするところに、山下経理局長のこの間の答弁も私は出ておると思う。従って、もしですよ、もしこの場で御答弁できぬならば、あなたはやはり内閣委員会なり大蔵委員会へ、国有財産としていわゆる演習をされる場合の、使用をされようとする場合の希望の演習場くらいは、これは御明示になつた方がいいと思う。きようは、これ以上無理は申し上げませんが、ぜひ近い機会に答弁を得たいと思う。  そこで、次に大蔵大臣にお伺いするのですが、先ほど来お聞きのように、あなたの責任をもって所管さるべき日本原演習場が、防衛庁の一方的な処置によって、ブルドーザーが入り建設に着手した。これに対しては山崎君からお尋ねしますから、私は深く触れませんが、今後もあるのです。大蔵大臣、こういうことは起り得る。そこで大蔵大臣としては、たとい防衛庁と同じ国家機関であつても、管財局長がまことに当を得た答弁をされているように、自衛隊として使いたいのも私は当然と思うけれども、また絶対に使つてはいかぬとも言えません。これは、私どもの立場からすると自衛隊は否定しますから、絶対に使つてはいかぬと言うのは当然ですが、これは、私どもの一つの意見であります。しかし、自衛隊が使うことはあり得ても、その使う過程において、どうしても付近の住民が納得のできないような状態でなされるということが、今まで多い。日本原もその例なんです。そこで大蔵大臣は、この国有財産に対する責任を持っている委員会の席上で、今後幾つか返還され、幾つか自衛隊が使う希望を持つ演習場に対しては、管財局長が明快にお答えになっているように、ただ単に大蔵省防衛庁事務的な手続だけで、これを付近の住民や関係者の知らない間に転換されることがないような処置を願いたい。今防衛庁長官もお答えのように、先ほどは、何か確認書は、町村長と町村議長などの特殊な人の間でなされた。それについては、管財局長にはっきり念を押して言っている。もし町村議会が議決しただけで地元の意向としてやるのでなくして、やはり関係住民の心と申しますか、相当まとまつた世論ですが、個々のいろんな人たちの意見を十分聞いてもらいたいと言つたところが、管財局長はその点は十二分に調整をして、決して議長とか、あるいは町村長とか、あるいは議会の決議だけを私どもはあえてなにしないということをおっしゃった。これは、私はまことに当を得た趣旨だと思う。そういった意味で、大蔵大臣も今後起るであろうこういった問題に対して、一つそういう方針を堅持していただくだけの御決意があるかどうか。と申しますのは、端的に申せば、先ほど言つたように、大蔵大臣防衛庁事務的な手続だけで転換をするということがないように要望するのですが、ここで大蔵大臣の御所見を伺いたい。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 関係の住民の意向をできるだけ取り入れたいということは、これはもうその通りであります。さようにいたしたいと考えております。そういうふうな意味からしても、国有財産の処理については、特に地方に地方の処理審議会を設けて、いろいろな人の意見を徴しましてこれを処理するようにしてあるのも、その方針からきているのでございます。ただ、しかしそういうふうな地方の要請はやはり国家的あるいは社会的に見て妥当な要請でなくちやならぬことは、これはもう申すまでもありませんが、妥当な限り、これはやはり尊重すべきものと考えております。
  29. 山崎始男

    山崎(始)委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしまするが、今お聞きのように、日本原演習場の三百六十万坪の国有地防衛庁に移管になりましたのが——移管になりましたと申しますると、語弊がございますが、中国の国有財産審議会において、二月の三日に移管すべきであるという答弁がなされた。この問題について、私は大蔵大臣のお考えをこの際お聞きしたいと思うのでありますが、二月三日の国有財産審議会におきまして、実際のところは二十八人ばかり審議会委員がおりまするが、その中で日本原関係が直接ある審議委員と申しますると、岡山県知事と農林省の出先である農地事務局長、この二人でございます。いわばあとの二十六人の審議会委員は、直接は関係がない他府県の人であります。ところが、この二月の三日にその結論が出ますにつきましての大蔵省事務的操作たるや、二月の一日付をもって広島を発送いたしております。申し上げるまでもございません、十月前に審議会の各委員に議題がわかるように出されることが通例だと思うのでありますが、遺憾ながら、緊急上程というのか、二月一日に二十号議案として、日本原の件というので発送されているのであります。二月二日は、御承知の日曜日であります。二月三日に初めて岡山県知事も農地事務局長も見た、三月三日付で受け付けた、この二つの官庁ではそういうふうな処理をされている。ところが、二月三日には、審議会が開かれているのであります。実際問題とすれば、飛行機で行ってもおそらく間に合わぬ、汽車で参ります場合、四時間ないし五時間かかるのでありますから、実際は、この日本原の件の二月三日の広島審議会というものは、利害関係の最も深いこの審議委員が二人とも欠席しておるままに、この結論が出されたのでございます。今大蔵大臣は、茜ケ久保君の質問に対しても、地元の意向もあり、そういうふうな審議会というものは、それがために設けられておるのだ、こういう御答弁でございましたが、本件に関する限りは、遺憾ながら地元の直接利害関係者というものは、この二月三日の会合へ出席して意見を言うことができないままの、いわゆる欠席裁判を受けた形になって、これが防衛庁べ移管をすべきであるという結論を出されておる。こういうふうな運営の仕方というものは、大臣は直接御存じないかもしれませんが、現実には行われておる。この点に対して大蔵大臣は、こういう運営の仕方というものは正しいことなのかどういうことなのか、あなたの御所見をこの際一つお聞かせ願いたいのであります。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 詳しいことは、時日の点が多いようでありますから、政府委員から補足して答弁させますが、この審議会を開きまして、ある人が欠席しておるからどういうふうにするかということは、現地議長をしている方あたりが、その事情をよく勘案して考えなければならぬ点もありますが、欠席しておるからいつも議決ができぬということも、これはやはり審議会の運営として困難な点もあろうと私は思います。その辺は、実際に即して、しかし非常に急ぐようなときもありましようから、そういうときは、やはり早くしなければならぬ、こういうふうに私は考えておるのであります。そうして、この審議会委員になっておる方は、ある特定の払い下げの物件なり、あるいはまた土地については、それぞれ資料もみな出ておるのでありますから、みんな関心を持ってこれに意見を述べ、また決定をしてくれる、私はかように考えております。これは非常に具体的な実際のことでありますので、事情等については、管財局長から答弁させます。
  31. 山崎始男

    山崎(始)委員 管財局長には、十九日の当委員会におきまして、この点は大体お聞きしているのです。遺憾の意を表明されているのです。だから私は、責任ある大臣は一体——これはあなた自身が判を抑されるのです。今私が申し上げたことは、こまかいことは事務的なことに属するから、大臣とすれば御存じないかもしれません。しかしながら、一つの仮定でもかまいません、今私が言うたことが事実とすればという仮定でもかまいません。これは実際なんですから、あとでお調べ下さつたつて、これははっきりしているのですが、そういう仮定でもかまわないのであります。あとからお調べ下さい。これは事実なんです。これは五坪や十坪の国有財産の移管ではございません。しかも岡山県は、審議会において昨年の十一月には、農民のために開放してくれと言って、この演習場の内部の百町歩の採草地には、開拓団がたくさん入っているのですから、農林省としても開発計画を持っておるのであります。これは、前会の委員会で、農林省もここへ御出席されて、この開発計画をるる述べられておりまするが、岡山県自体としても、この開拓団のために、百町歩の払い下げをしてくれという申請書があなた方の方に対して出ている。また二月の三日の数日前の、たしか一月の二十五日付でありますが、やはり同じ岡山県の名において、七十町歩の申請が出されているということを、広島の財務局長が御存じないはずはないのであります。それなのに、いわゆる二月三日には、ただいまのような二月一日付で通知を出し、三日に開いて、欠席のままでこれをきめておるということは、行政の運営上、あなたの所管である国有財産法に基く国有財産審議会というものの運営上、これは適当な処置であるか、それともそうでないか、あなたの御所見をお聞きしておるのでありまして、事は私は明白だと思うのであります。
  32. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一般的なこととしては先ほど申し上げましたように、すべて審議会は地方の問題を取り扱つて実情に適応するような決定をしてもらいたいというのが趣旨であるのであります。従いまして、実情に応ずるような決定ができるような運営の方法をするということは私は正しいと思います。今回の広島地方の国有財産処理審議会の決定はそういう趣旨に基いて決定ができておるものと、私はかように信じておるわけであります。
  33. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういたしますると、今のような、大体十日前に議案を審議会委員には知らせるということが、あなたの方の事務の慣習においてもこれは一つ事務的な傾向だと思うのです。それが、万やむを得ぬときは緊急上程することができるという、法律上できるかもしれません。しかしながら、今のように二月の一日付で発送して、その審議会委員、しかも関係者が行こうにも行けないような通知の仕方で出している。その以前には、この国有地へ向つて、県の名において百七十町歩の払い下げ申請が出ているということを知りながら、そういうことを出先の審議会においてやられているということは審議会というものは、地方の民意を聞くというためにお作りになつたのだろうと思うのでありますが、その趣旨に合致しないのじゃないか。そういう意味から言うて、最高責任者であるあなたとすれば、そういうことは一体正しいことか正しくないことか、遺憾なことか遺憾でないことか、それぐらいの御判断はできるはずなんです。今の答弁ではチンプンカンプン、何のことやらわけがわかりません。再度お尋ねいたします。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは地方でいろいろ事情もあったと思うのでありますが、今お話しのような点がありますとすれば、これは、やり方が必ずしも完全であるとは申しません。その点は明らかにいたしておきます。
  35. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういたしますと、大蔵大臣は二月三日の答申に基いて、これを正式に防衛庁へ移管をいたしましたという御決裁には、あなたの手元ではまだなっておられないはずでございまするが、あなたが最後には御決裁をされる最高責任者である。私が、この際大蔵大臣の賢明なる良識に訴えて申し上げたいことは、これは、わずかな国有地じやございません。しかも地元においては、これは重大な問題なので、地元の百姓どもも騒ぎ、また農林省自体も、非常な開発計画をこの土地でしている。これは、ここ一年や二年の開発計画を持っているのじやございません。農林省とすれば、数年前から、この演習場接収解除なつたならばということで、これへ持っていって七億の農業の総合開発計画を実は持っている。そういうことも、あなたが御決裁されるまでには十分お話し合い願つて、あなたの最後の判を抑される決意の材料に御研究になる必要があるのじゃないか、かように思います。そこで、私は端的にお尋ねをいたしまするが、中国審議会においてそういうふうな答申がなされるまでの過程は、ただいま遺憾の意を表明されましたが、十分事務的に御調査、御研究になって、事実そういう遺憾な手続のもとにこの膨大なる国有地所管がえの答印がなされておるということがわかったならば、これを一応白紙に返すといいますか、もう一ぺん審議のやり直しをされるということは私は当然あつてもいいのじゃないかと思うのであります。国有財産審議会というものが、二十六国会において、国有財産法に基いてある程度の法制化された形が生まれておる、また審議会において取り扱つた件数もあまりたくさんございますまい。今後長くこの審議会の信用を保持する上から言うても、ただいま申し上げましたようなことによって、この国有財産というものが右から左にやみ取引のごときことをやられておるということでは、国民は安心してこの審議会を信用することができません。私は、この際大臣の賢明なる御良識によって十分御調査の上、もう一ぺんこれを白紙に返して審議のやり直しをする、こういうようなことが、私はこの際必要じゃないかと思うのでありますが、大臣といたされましてはどういうふうな御所見を持っておられますか。一書御所見をお聞きしたいのであります。
  36. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方の国有財産処理審議会の答申をやり直させる意思は私持っておりません。しかし、この演習場防衛庁演習場といたしますことは、方針としてきめておるのでありますが、しかし、今お話し農林省の開拓計画、これは十分私は尊重いたすのでありまして、それがために、所管がえもまだいたしておりません。農林省防衛庁、その他関係省で十分話し合いをして、その結末を見て、皆さんが納得のいくような明白な所管がえをしよう、こう考えておるわけであります。
  37. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういたしますと、今の大臣の御答弁は、私ちょっとふに落ちないような気がするのであります。この二月三日に不適当な手続のもとに行われたとしても、一応これを白紙に返して、再審議をさせるという意思はない。ただし、この農林省の開発計画というものは尊重されなければならないから、十分それは話し合つて、最後に自分とすれば判を押したい、かような御意思に今の御答弁は承わるのであります。そういたしますと、この三百六十万坪が一応所管が元の答申が出ておるが、その中でのいわゆる農地の適不適を考え、これを農業用にいかに使うかということは、一応農林省と話し合つて農林省としても求むるものがあるならば、それを与えて、いわゆる調整をとる、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。
  38. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農林省の開拓計画ば、ただいま申し上げましたように、私はなるべく尊重してあげて、そうして防衛庁農林省との間で話し合いができますことを期待いたす。これは、同じ政府でもありますし、また防衛庁としても、演習場としてどういう程度が最小限必要であるか、あるいはまた農林省としても、こういうところは耕地としてやりたいのだというふうにいろいろありましようから、それぞれ良識をもって話し合えば、適当な結論を得るだろうと私は思います。ただ、農林省の言う通りにいくとも限りませんが、それは話し合いですから、よく話し合つた上でやりたい、かように考えております。
  39. 山崎始男

    山崎(始)委員 だいぶわかったような気がするのですが、この点は非常に大切な点ですから、重ねてお聞きいたします。これは事務的な面も多少あると思いますから、管財局長でもけつこうですが、従来の農林省の開発計画も尊重して、三百六十万坪というものを、一応所管がえの答申ば出ておるが、その三百六十が坪の坪数の中で何ぼかの坪数は、農林省の意向を全部聞くというわけにもいくまいだろうけれども、農林省の意向というものが正しいならば、それは農林省への所管がえにするとかいうふうにして調整をしたい。話し合つてそれをきめたいとおっしゃる意味は、こういうことなのでしょうか、伺いたい。
  40. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この点につきましては、ただいま大臣の御答弁になりました通りでございまして、ただいま防衛庁農林省関係省の間において、具体的にどの程度農林省が開拓計画として必要とされるかという点につきまして、お話し合いを進めておる段階でございまして、そのお話し合いのきまりました結果に基きまして、一部を開拓計画の遂行のために使つていただく。残りの部分は、防衛庁演習場として利用していただく、こういうことにきめたいと考えております。
  41. 山崎始男

    山崎(始)委員 そうすると、私が念を押しました言葉の内容を大体お認めになつたように承わるのであります。今後農民のために開放する開発計画というものが、農林省の方からどういうふうにあなたの大蔵省の方ヘ出るかしれませんが、これは、私は十分お考えになって、現在の三百六十万坪を答申案通りに大臣が御決裁になるということであるならば、私は大へんな問題が地元では起ると思うのであります。今の答申が出たからといって、答申案通り大臣が御決裁になる必要は毛頭ない。もし今の諮問機関の答申通りに大臣が御決裁になるのならば、日本の社会保障制度なんかはうんと進んでおるはずなんです。そういう意味から言うて、この日本原演習場も、三百六十万坪の所管がえをそのまま大臣がうのみにされるようなことがあったならば、実は私は、大蔵大臣の御良識を疑わなければならない。今の御答弁での、大いに今後農林省話し合いをして云々という言葉は、私は心から期待をし、また大臣の御良識に対して敬意を表したい。これは、あまりに早く敬意を表し過ぎるかもしれませんが、一つよくお考え願いたいのであります。  それから最後に一点だけ……。先ほど防衛庁長官が、二月の十二日に工事の—現在中止命令が出ておりますが、一時使用書類を出して、二月二十二日に許可なつたというような意味防衛庁長官の御答弁が今あったのでありますが、それは、どういうことなんですか。それは事実なんでありますか、その間の経緯をちょっとお聞かせ願いたい。
  42. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど防衛庁長官からお答えがございましたように、所管がえに先だちまして、この庁舎を建設する用地について、使用承認をしてほしいという申請は、十二日に出されております。しかしながら、私どもはその土地につきまして、果して問題のない土地であるかどうか、あるいは地元の皆さんも、あるいは岡山県当局においても御異論のない土地であるかどうかという点を確認いたしますために、一時留保いたしましたのが、同じく十二日でございます。従いまして、その使用承認申請の結果をつける進行が一時ストップしたわけでございます。その後調査いたしましたところ、この土地庁舎を作ること自体につきましても、地元におきましても問題にいたされておりませんし、その地域につきましても、農林省も県当局も御異存がない土地であるということがわかりましたので、二十二日にこれを正式に承認いたしたわけでございます。
  43. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういたしますと、一時使用ということですね。そうであるならば、ちょっとおかしいのじやありませんか。大蔵大臣の最後の御決裁にならない間に、一時使用でもって、庁舎の建設が今後また二十二日以降に進行するということは既成事実を積み上げていくわけでございます。そういうことは、行政事務の慣習だと言われれば慣習かもしれませんが、これほど大きな問題が地元でも発展しておる際に、そういうふうな一時使用ということに対して許可をお与えになつたということは、ちょっとふに落ちないのでありますので、もう一ぺんその間の事情一つお聞かせ願いたい。
  44. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 関連して。一時使用ですから、測量とか、あるいは一時そこに荷物を置くということなら了解できるのです。しかし、庁舎の建設は永久なものでございますから、それでもあなたの方で、理屈を言えば言えぬこともございませんが、そういう点はよほど考えてもらわぬといかぬ。今山崎君も指摘したように、とにかく直接その場所に問題がないにしても、演習場として大きな問題を含んでおるときに、そこにあなたの方で許可をして、防衛庁が不法な使用をしたことに引き続いてそれが正当化されると、やはり地方の住民に与える影響も大きいし、われわれとしても納得いかない。そこで、そう長い期間ではございませんから、これは一応許可なつたことはなつたとして、やはりそのことは一つ一時保留にしていただいて、防衛庁も急ぐでしようけれども、そんな一年も二年も先に延びるのじゃないのですから、一応農林省地元防衛庁との話がつくまで、建設に対する一時許可も保留していただいて、問題の解決を早急にしていただくという方向にいっていただくことを望むのであります。管財局長、大蔵大臣、まずこのくらいは、あなた方を政治力か発揮していただいて、適当な解決をお願いしたいのです。これは、山崎君の質問と関連して御注意と要望と、さらにこれに対する大蔵省の決断を要請するわけであります。
  45. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま申し上げましたように、庁舎を建設いたします予定地につきまして、使用承認をとりあえずいたしたわけでございますが、この土地の最終的な全域の処理は、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、農林省との話し合いは進めておりますが、防衛庁に全然いかないということはあり得ないと考えるのでございまして、ただ地域について今話し合いを進めておるわけでございますので、われわれは、防衛庁がこの土地を演習に使われるという点につきましては将来もはっきり見通しを持っております。かたがた、防衛庁も、庁舎の建設につきまして非常にお急ぎになっている事情もありますので、問題のない土地であります限りは、今日承認を与えても一向差しつかえない、こういう判断のもとに承認をいたした次第でございます。
  46. 山崎始男

    山崎(始)委員 今管財局長は、防衛庁は急がれる理由もおありになるだろう云々と言われますけれども、あなたもお役人で、十九日、きようの委員会を通じて、あなたどういうふうにお考えになっているかしれませんが、私に言わせれば、防衛庁は急ぐ理由はありません。毎年二百億から三百億くらいの予算を防衛庁だけが繰り越しておる、年度末が近いから、多少でも使うておかないと、また社会党がワーワー言うから、早く多少でも使うておけ、これで急いでいるのです。国民にとつては、何ら急がねばならない理由一つもないのです。私は、端的に申し上げますが、ずいぶん防衛庁は無理をしておるぐらいは、あなた方だつておわかりになると思うのであります。それを、今茜ヶ久保君も言いましたが、これだけの問題を起している、建つ位置はわずか延べ坪五百坪ほどの建築ですから、五百坪の位置なら、防衛庁農林省話し合いの上には何らじやまにはならぬでしょう。しかしながら、それに対して一時中止命令を出しておいて、そういうふうな一時使用なんという目先の便法でこの際はおやりにならぬ方が、大きな国民感情の上からいっても適切なよい政治だと私は申し上げたいのです。それを、すでに二十二日にお出しになっておる。一時使用許可に対して判をおつきになっている。この点、私は実に遺憾です。こういう事例は、ひとり日本原ばかりじやございません。今後日本国じゆうにたびたび起つてくる問題であります。どうぞ一つ十分御注意をお願いをいたしたい。この点を御要望いたして、だいぶあとに質問者もあるようでございますから、他の問題は、また内閣委員会その他で申し上げるといたしまして、きようの私の質問は、これで終りたいと思います。
  47. 横山利秋

    ○横山委員長代理 有馬輝武君。
  48. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 私は、日本貿易振興会の問題について、一、二お伺いしたいと思いますが、通商局長がお見えになっているようですから、具体的な点については、通商局長からお伺いいたします。問題は、今度政府が立てられました新長期経済計画、この中で、貿易の伸展について一応の見通しを立てておられます。それによりますると、世界貿易の発展率を四・五%と見込んでおりまするのに、日本のこの計画に基く輸出振興については一〇・五%と約二倍に近い成長率を見込んでおられるのであります。ところが、一方この計画を立てられる際に、その性格として、経済の全分野にわたって詳細な計画目標を掲げ、その一つ一つについて厳格な実行を期待することは、この計画の意図するところでもなく、またわが国経済の実情にもそぐわないものと思われるという工合にうたつておられます。ここで、私が大蔵大臣にお聞きしたいと思いますことは、こういったことで野放しにしておいて、ただ傾向的な成長率というものを見てこの計画を立てられて、たとえば日本貿易振興会に対して、出資を二十億程度見込むというようなことで、この目標が達成できるか。本年度も三十一億五千万ドルの目標を掲げておられるのでありまするが、これについて一応目標を立てて、それに対して具体的な措置というものを考慮しないで、この目標が達成できるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思うのであります。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 輸出の三十一億五千万ドルの目標が達成できるかどうか、これは、今抽象的にいろいろ言っても、必ずしも意見が一致せぬかもしれません。それで、私若干具体的に申し上げますが、大体わが国の輸出は、最近の情勢をずっと月間にしますと、月に二億五千万ドルというのが、為替面での貿易の上の受け取りになっておる状況です。そうすると、年間にしまして三十億になるわけでありますが、あと一億五千万ドルという問題があるのでありますが、これは、今後の努力で一億五千万ドルを増加させることは——日本の貿易上の諸条件が、従来非常に整つておりません。貿易が増進するために打つべき手が、非常に残されておつたことを考慮する、それから東南アジアの開発等から考えても、あるいはまたその他の、たとえば中共というような貿易も私今後やはり伸びることと思います。いろいろ考えてみたときに、私は努力で十分達成できる、これが比較的具体的な話であります。今の輸出信用状の開設状況が、大よそやはり二億一、二千万ドルのところにきているわけです。そうすると、大体為替面では二億五、六千万ドル、こういうような傾向をとるのであります。私何も楽観をしておりません。それは、従来の実績ですが、しかし、毎年毎年の日本の経済の貿易面における伸びというものを考えてみる場合に、私は、具体的に考えても努力で達成ができる、かように考えておるわけであります。
  50. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 もちろんこれは、大臣も言われるように、抽象論に終るきらいがあるのでありますけれども、けさの新聞によりましても、東南アジアの貿易について伸び悩んでおる、契約破棄のごときもふえてきて、悪条件が重なってきている、これは、政情不安その他の問題もありますが、こういった条件の中で、今みたいな大蔵大臣の楽観論が、果してその通りにいくかどうかという点、非常に疑問に思うのであります。  それで、これと関連してお伺いしたいと思うのでありますが、御承知のように、わが国の輸出に対するアメリカでのいろいろな制約措置が、最近いろいろな形で出てきております。昨年も、私たち向うを回りましたときに、春日委員はワシントンに飛んで、これに対して向うの議員といろいろ話し合いをいたしましたが、そういった点について、大臣もしばしば向うへ行っておられるのでありますが、具体的にこれらに対する何らかの話し合いを、現在までどういう形で進められてきたのか、また今後どうしようとされるのか。これは、通産大臣所管の問題とも関連するのでありますけれども、一応大臣として、現在まで話し合いをしてこられた経過についてお伺いしたいと思うのであります。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 日本とアメリカとの貿易関係ですが、アメリカの最高首脳部も、私が会つた場合に、こういうふうに言っておりました、日本は貿易に依存する国、従って、国際収支がどういうふうな傾向をとるかは重大なことである、従って、アメリカとしても対日政策の上においてその点に十分考慮する、こういうふうな基本の点を明確にされておりました。さらに私は、そういうふうな基本の点を具体的に商務省あたりの首脳者と話しましたときに、そういう基本線があるが、しかし具体的の場合に、日本はアメリカから非常に輸入をしておるのだ、何億ドルというような買い越しになっておるにかかわらず、日本から若干の商品が出る場合に、すぐ輸入制限というような措置をするのはどうも納得できぬじゃないかということも、よく話し合つたのでありますが、これについては、全くその通りだ、それで、自分たちとしては、そういうことが具体化せぬようにあらゆる努力を政府としてはしておるのだ、であるから、大事に必ずしもいかないだろうというような、これは昨年の当時の話でありました。しかし、その後もそういう施策、方針は持続されておると考えるのでありまして、これは、当時の私の感じでありますが、通産大臣にもいろいろとお考えがあると思います。この間も、ナイフやフォークを作つておる新潟県の燕の方々が行っての話し合いで、今度は輸出量をある程度話し合つてきめて、その範囲なら関税引き上げということも起らずに済むだろう、こういうことを帰朝談に話しておったようであります。ああいうふうにやはり話し合いでいく、そして価格等においても、ある程度話し合つていくようにしたら、相当問題の解決に役立っていくのではないかと考えておりますが、これは通産行政になりますので、私からこれ以上いろいろ申し上げることはありません。
  52. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 やはり貿易が伸びていくためには、国内経済においても、その発展が均等に行われることが前提にならなければならないと思うのでありますが、これについて、先ほど冒頭で御質問いたしましたときに、貿易の伸びをはかるための特別の財政的、金融的な措置についてのお話がなかったのでありますが、これと関連して、私は次の点についてお伺いいたします。それは、たとえば設備投資等についても、部門別にこれを考慮する考え方があるかどうかということであります。通産省の調査によると、隘路部門、いわゆる電力石炭、鉄鋼、産業機械など、こういったものについては三十一年度の四二・二%から三十二年度には五六%に伸びております。それから新規産業部門は八%から九・二%。ところがその他の部門では四三・八%から逆に三四・八%という工合に減少しておる。これに対して何らかの手心を加えないと、均等な発展が望めないのではないか。特にわが国の産業基盤が、中小企業の部面にその大きな足を乗つけておる、こういう状態の中で、やはり手放しにする、さっきの新長期経済計画の性格でうたわれたように、ただ見守つていればよいのだ、何らの規制を加えなくてもいいのだということでいいのかどうか、いわゆる設備投資に対する部門別の配分率という問題について、大臣としてはどのように考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、規制をするということは考えておりませんが、しかし計画を与えるということは、政策としてぜひとも必要である。こういう意味におきまして、今後各業種別と、さらにできれば、基幹産業については会社別当りの事業計画と申しますか、少くとも年度を通じての投資計画というものを明らかにしていく。そうして、全部の業種についてそういう計画性を持つことは、私は困難だと思います。またそれをやれば、経済の統制に入らざるを得なくなるだろうと思うのでありますが、根幹になる産業について、言いかえれば、資金的にいえば、資金を最もたくさん使用するような、そういう根幹になる産業についての投資計画というようなものは、明らかにする必要があるだろう。同時に、中小企業については、これは日本の産業における重大な地位にもあるのでありますから、単に金融ばかりでどうするということは、必ずしも私は当を得ないだろうと思う。やはり本質的に中小企業というものを考えていく必要がある。中小企業のあり方は一体どうすればいいのか。これをやはり長期と短期に分けて考え、長期的に考えてみれば、中小企業に従事する人口を減すということは、私はやはり一番中小企業を育成していく基本になるだろうと考えておるのでありますが、当面は、中小企業自体の今日の姿をそのままに認識して、そしてその弱い点を企業自体で補強していく。同時に金融は、これにできるだけつけてあげる。中小企業に対する金融は非常にむずかしい。金融というよりも、むしろ零細企業については、非常に社会政策的な点があるのでありますが、これは中小企業に関する政府金融機関が特に活動をしなくてはならぬ。私はかように考えておるのでありますが、いかに金融をつけるかという立場に立ってもいいんじゃないかというくらいの私は考えで、金融についても今後考えていこうとしておるのであります。ただ、しかし金を借りれば何とかなるという考え方だけは、特に中小企業においてはやめてもらわないと、これは、中小企業をますます貧乏にすることに私はほかならないと思う。ただ一時を糊塗して何とかしていくという金融のあり方は、やめてもらいたい。そして、金融をすれば必ずそれだけ中小企業の基盤が強化されるという見通しをもってやる、かようなふうな考え方をいたしておりまして、今後いろいろと考えてみたいと存じております。
  54. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に、最初申し上げました、今度日本貿易振興会に特に二十億の出資をされた理由をお伺いしたいと思うのであります。法律案の提案理由だけでは、はっきりいたしませんので、この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 貿易振興につきまして、海外の事情を調査するとか、いろいろな問題があります。これは、外務省の官庁でやるよりも、こういう別働的な団体でやる方が私はいいという考えを持ちまして、それで、なるべくこの資金を強化したいという意味をもちまして、今回二十億の資金を入れたわけでございます。
  56. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 それだけの理由では、特に二十億を出資された意味がわからないからお伺いしたわけであります。  それでは通商局長にお伺いいたしますが、たとえば市場調査について、具体的に昨年度は、いつごろ、どのような調査を進められたか二、三の問題についてお伺いしたいと思います。
  57. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 三十二年度におきましては、ジェトロ、いわゆる民法上の公益法人の日本海外貿易振興会の海外市場調査事業でございますが、調査員が長期派遣員として二十名、それから現地の人間を十五名委嘱調査員として使つております。全部で三十五名であるわけであります。これらの調査員につきましては、常時いわゆる経常的に調査する事務があるわけでありますが、それは、一言で申しますれば、駐在する土地のいろいろ経済事情なり、あるいは本部からのいろいろ指令によりますところの商品の流通、配給状況、あるいは価格の推移というふうな一般的な調査事項ももちろんあるわけでありますが、そのほかに、先ほども御指摘になっておりましたような、アメリカにおけるいろいろな輸入制限というようなものもありますので、具体的に商品を指定いたしまして、いま少し一般的な調査よりも深く、商品の生産販売の状況を調査させておるわけでございます。三十二年度、本年度現在までのところは、アメリカにおきましては、特別の調査といたしましては、現地の専門調査機関を利用してやつておるわけでありますが、それらのものといたしましては、双眼鏡、ガラス製品、繊維二次製品につきましての生産、流通機構などについて、特別の調査としてやつたのであります。カナダにつきましては、玩具、測量機械、繊維二次製品について調査をいたしたのであります。なお農水産物につきましては特に三十二年度はマグロ、合板、ミカン・カン詰、カニ・カン詰等につきまして調査を実施し、まだ実施中であります。これは、三十二年度におきまする特別市場調査の大体の状況であります。
  58. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 局長の方では、ジェトロの方からの報告をそのまますなおに受け取つておられるのではないかと思うのですが、たとえば私の調べましたところでは、ベニヤ板の市場調査、これは決算期が間近になつたからというので、二月か三月ごろ、しかも業者を委嘱して調査させたという事例も聞いたのであります。そこで、これはベニヤ板の部門に限つてお伺いいたしますが、実際調査に当つたのは、どういう人がどういう調査をされたのか、その時期はいつごろであったのか、この点をお伺いしたいと思います。
  59. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 実は、私常時そこまでファローいたしておりませんので、まことに申しわけないのでありますが、今私の手元に持っておる資料によりますと、合板につきましては、スチュワード・H・シェウワー社というアメリカの会社を通して調査した、こういうことになっておるわけであります。
  60. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今一例を申し上げましたが、大体ジェトロでは、二百名近くの人員を擁しておつて、しかも海外に長期の派遣員を二十名も出されるというようなことで、そういった海外の会社に調査を依頼しなければならないのかどうか、あるいは業者に依頼しなければやつていけないのかどうか、そこら辺の運営面について、監督官庁である通産省は、ただ報告を待っておるというだけに終つておるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  61. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 先ほども申しましたように、三十五名の調査員を現在擁しておるわけでありますが、そのうち十五名といいまするのは、現地の委嘱調査でありまして、たしか月の報酬も二百ドルか二百五十ドルというふうで、実際向うで商売をしておる人を片手間に利用しておるということでありまして、これらの委嘱調査員につきましての調査というものは、ほんとうのことができないことはわれわれも了承しておるのであります。従いまして、三十三年度におきましては、そういう委嘱調査よりも、ほんとうの日本から派遣する長期派遣員に切りかえるということで、一部その長期派遣員の方を増員をしていただいたような次第なんでありますが、現在のところ、長期派遣員というのは二十名であります。広い世界に二十名ということになると、御了解願えますように、アメリカにおきましても一、二名しかいないわけでありまして、それらの者が、こういう商品の生産なり流通秩序までも深く入って調べるということは、不可能でありまして、かりにその品目だけ半年なら半年、一年なら一年かかってやれば、ほかのことは何もできぬということにもなるわけであります。従いまして、そういう専門的な調査は、やはり現地の調査機関を利用する方が合理的じゃないかというふうに考えておるのであります。従いまして、調査員としましては、彼らの駐在する地域における一般的な事情を調べる、そういう特別調査の場合には、その調査員等も若干協力をしてやる、こういうふうな状況であります。何分広い世界に二十人でございまするので、それに何もかもやらせるということは、これは実際問題として不可能じゃないか。われわれとしましては、漸次そういう有能な調査員がもっとふえるように、これは予算的にもお願いをしたいと思っておりますが、今までのところは、率直に申しまして、なかなかそこまで手が伸ばし得ない、こういう実情でございます。
  62. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 私は、ジェトロに恩も恨みもあるわけではないので、何もいやみを言いたくないのですけれども、さっきも申し上げましたように、とにかく年度末になってから申しわけ的に調査をやつておるような事態が多分にある。今局長がおっしゃるように、人員が足りないという面もありますでしよう。しかし問題は、やはりこの運営については、よほど目を通していただかないと、せつかくの資金というものが用をなさないのではないか。人員の足りない面だけじゃない。おまけに役員構成を見ますと、ほとんど専従的な人はいない。運営については、どのような話し合いが行われておるか、こういった面についても、私は多大の疑問を持たざるを得ないのであります。そういった点について、やはり今後十二分にこの活動ができるように目を通していただきたいと思うのであります。大蔵大臣が言われたように、二十億の出資をすることも大事でしよう。しかし、問題は、その運営が現在よほど考慮されなければならない状態にある。一億五、六千万の利子、年間利子が幾らになるか知りませんが、この運用をはかつてやる前に、よほどその運営面で検討しなければならない面が残つておることを、この際注意して申し上げておきたいと存じます。  次に、二点だけ大蔵大臣にお伺いしたいと思うのであります。先ほどの貿易の伸展の問題とからんでくるわけでありますけれども、現在日本輸出入銀行東南アジア開発協力基金の資金として、五十億も出されておる。そのほかに、つい最近大臣は、アジア銀行の創設についての意見を述べられたようでありますが、これについて、どういうところからこういった構想を持たれたのかという点について、お伺いしておきたいと思います。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、実は私ごく非公式といいますか、友人のようなつもりで、先般ある外国人と会談のときに話した程度なんですが、それでは、またお前はアジア銀行なんかというと、東南アジア開発基金というようなものと違うじゃないか、どうも政府部内は、ああも言い、こうも言うのがあつておかしいというような意見もありますので、私、実は今ここで何とか具体的にそういうことを考えておるかのようにはあまり申したくないのであります。ただ、しかしそういうような考えを私がなぜ持っておるかということは、説明に値すると思うのです。それは、こういうことからきておるのです。国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行、この資金を世界の各国、特に経済の後進国が要望しておることは、言うまでもないのであります。あの世界銀行の総会に行っても、日本はむろんでありますが、世界銀行に対しまして、東南アジアの代表者が口をそろえて唱えることは、アジアに資金を回してほしいという要請であります。こういう声がいれられまして、今日では相当ふえております。私、今明確には記憶しておりませんが、この両三年間に、世界銀行の全貸し出しの一割程度から二割程度くらいまでおそらく上ってきたと思うのです。しかしながら、世界を見渡した場合に、アジアくらいに資源があり、人口が多くて、しかも貧乏をしておる開発の急なところは私はないと思う。従って、世界銀行がこのアジアの現実を考えずに、世界銀行だから、世界各国にある比率をもって資金を出すのだというような形で世界銀行が運営をされると、アジアの後進性というものは、もうとても取り返しができぬ、これがアジアに住むわれわれにとつては非常な悩みで、そういうことをされておれば、アジアは常に政治上にも経済上にも問題が絶えない。そしてこういう大きな人口が非常に悩む。そこで私は、世界銀行に対してそれだけの要請があるなら、そしてそれだけアジアの後進性が特殊的であるというのなら、アジアには何かアジアの世界銀行というようなものがあつていいのじゃないかというのが、私の前からの考え方なんです。そういう考え方でいけば、これは別に基金とかなんとかいう政治的なにおいがせずに、ごく銀行の商業的なもので、しかもこの銀行には、アジアの諸国がみな出資をすればいいのだから、われわれの銀行というような形で——そうすると、ここにまたアジアという自覚が一つの地域的な関係において発生してくるだろう、アジア人はまずアジアという自覚を持つのがいいのじゃないか、こういうようないろいろな構想から、私はそういうふうな行き方がいいだろうと考えておるのであります。それで、私は常に世界銀行に対しても、あるいはまた国際金融公社に対しても、アジアに資金をと言っているわけで、そういうことから、ああいう考えを持っておるということを私ここに申し上げても差しつかえないのでありますが、今、それを多くの人に、具体的な案として呼びかけておるというわけではありません。おそらく形は違いますが、考え方自体は、いわゆるアジアの協力関係の機構、あるいは言葉は悪いかもしれぬが、アジアの開発基金といってもいいかもしれませんが、このアジアの協力関係を経済的にする機構の根本的な考え方においては、同じではないか、ただ、それを打ち出す形が、あるいは基金というような形で唱えられ、あるいはそういう銀行というような形がいいのじゃないか、いろいろ議論があるのじゃないかと思います。私も当初は、これはよほど政治的な見地がないと、なかなかそういう後進国の経済開発というようなことは困難だから、安い金で、場合によっては冒険的にもやらなければならぬから、基金的なものがいいんじゃないかといって、むしろアジア開発基金というものを私は唱えたこともあるのでありますが、それを私は捨ててもおりません。そういうこともいいでしようが、まあそういう商業的な基盤を持つ機構もあつてもいいんじゃないかという意味で印しておるのであります。これは、あまり大蔵委員会等でいろいろと御議論の対象になるだけ具体的なものではありません。ただ、私の一つの考え方という程度においてどうぞおとりを願いたいと思います。
  64. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 大蔵委員会であまり論議する対象にしたくないという話でありますから、深くはお伺いしませんけれども、今大臣がその構想の起りについて——はしなくも岸総理のいわゆる東南アジア開発構想というものが、御承知のような形で冷やかに見詰められておる。だから、政治的なにおいのしないアジア開発基金というものを考えたのだというふうにも受け取られるのであります。この点について、大臣としてはどうお考えになっておりすか。
  65. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、あまり論議を続けぬ方がいいと思いますが、そういうことはありません。何も、これは相反するものでも何でもありません。私は、アジアについては、資金の投入機関は幾らあつても多々ますます弁ずるんじゃないか。いわゆる憂えぬという考え方なんで、これを、あの手この手で一つ実現をはかりたいと考えております。
  66. 横山利秋

    ○横山委員長代理 横錢重吉君。
  67. 横錢重吉

    横錢委員 時間もだいぶ過ぎたので、大臣に、金融上の問題について数点お伺いしたいと思います。  一つは、現在の商業行為として行われている約束手形が、不渡りが増大しておる。それから融通期間が非常に長くなっておる。こういうような今日の行為を、手形法に定めるところの精神は、そのまま生かされておる、正常に運行されておる、こういうふうに大臣は見ておるのかどうか。この点を一つ
  68. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ちようど経済に対して調整期に入っております。従いまして、手形の期日が長くなる、あるいはまた不渡りが生ずるということも、これもあることでありまして、別に私、これを否定するわけではありませんが、しかし、こういう情勢は、やはり徐々に今後改善をされる、こういう期待のもとにおります。
  69. 横錢重吉

    横錢委員 徐々に改正されるというのは、一体あなたは、どこにその根拠を持っておるのですか。少くも戦後において、不渡りの増大ということは、逐月戦後最大、戦後最大というふうに増大をしておる。少しも状況がよくなっておらない。特に昨年の公定歩合の引き上げ問題から、日本の経済は非常な不況時代に入ってきておる。この不況時代に入ってからの現象というものは、やはり不渡りが増大する、それから期間が長くなる。この約束手形の期間は、手形法には、なるほど期間というものは明示をされておらない。しかし、大体の商習慣としては、六十日程度を限度として通用されてきたのです。その範囲の中で、四十五日であるとか、三十日であるとか、短かいほどいいものとして融通されてきた。ところが今日においてはこれが九十日、百二十日、半年の手形が融通されておる。これは、銀行においても、すでに六十日なんということでは問題にならないので、九十日のものをすでに割つておる。それから信用金庫等においてはさらにもっと長いものを割るようになってきておる。六ヵ月の約束手形を振り出しておるというのは、大体において大企業、だから支払いはどんどん延びていく。六ヵ月の手形なんてばかばかしいものは受け取りたくはないのだけれども、受けとらなければ、仕事が切れてしまう。そこで、こういう長いものもやむなく取るが、取つたものはその割引のしようがない。そこで中小企業というものは、どんどんと追い込まれていく。今度政府の方では最低賃金法を出した。最低賃金法を骨抜きのざる法として出した。そして、これがなかなか実施できない。実施できないというのは、最低賃金法だけ出しても、これに対して、中小企業が最低賃金を払えるような援護射撃というものを全然していないからです。もしも、政府の方でほんとうに最賃法というものを実施させるのならば、これは経済の面から大蔵大臣のあなたがもっと援護射撃をすべきなんです。少くともこれに対しては今日の約束手形の商行為というものを、正常なところへまで引き戻してくる努力というものが、そういうふうなあわせての立法なり、あるいは改正法なりが、行われなかったならば、これは最賃法もできなければ、今日の商業行為というものが正常に戻つてこない。あなたは、今いつの日にかできるというような楽観論を唱えておりますが、そういうような楽観論をもってしては、今日の日本経済の商行為というものは改まらない。もっとはっきりとした態度をもって手形法の履行、手形の商行為というものを正す、こういう考え方のもとに立つべきではないかと思うのだが、大臣、いかがです。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 経済の一般的な状況から見ました場合は、御承知のように、日本の経済が、本年の一—三というのが一番調整の頂点をなすと思います。大体三月ぐらい前後、若干はおくれるかもしれませんが、そういうところで生産調整も一応終つてくる、こういう見通し。これについては大よそ何人も異論はないだろうと考えております。従いまして、一—三の間におきまして、この不渡り等がやはり大きくふえる、大きくなる。ふえるということは、これは、私はあり得ることだと思っております。また手形の期日等が長くなること、はやはり生産調整が完了するまでは、ともすると製品ストックというものを、どうしても何とかして持つというような無理が起ります。従って、手形の長いものを出して何とか泳いでおる。ところが一—三等で生産の調整が進むに従いまして、製品ストックというものが市場へ出ていって、これが金になっていく。こういうふうなことから、一般的に申し上ぐれば、徐々に手形の期日等もだんだん是正され、不渡りもその後においては増加率をとめていく、こういうふうになるべきなんであります。また、そういうふうにしなくてはならぬと考えております。     〔横山委員長代理退席、黒金委員長代理着席]そうして、特に中小企業等に対して、大企業がいろいろな手形を渡しておる。こういうことは、私ははりなはだもって適当でないので、常々から、大企業自体が信用力も高いのだから、自分自身が金融を受けて、そうして自分自身で処理をつけて、中小企業にはしわを寄せないように、言いかえれば、大企業が自分の能力に応ずる事業をなすということにすれずよろしいのだ、こういうふうなことで指導いたしておりまするが、やはりさようばかりにもいきませずに、中小企業にしわが寄つていることも事実であります。従いまして、これは従来からも、政府としては中小企業金融というものに全力をあげて、そうして、力が弱いために経済的に不当な不利益をこうむるということを、是正する政策をとつておるのでありまして、今回もまた、最低賃金制度をしくことによって、中小企業等において経費はふえ、従ってまた資金需要がふえることも予想されます。それで、今回中小企業金融については特に私は信用補完制度を充実するという施策をとりまして、中小企業信用保険公庫を作りましたことも御承知の通り。なおまた、これに六十五億の基金を置きましたが、他面二十億を一般会計から入れて、これを各地方の信用保証協会に貸し付けて、この信用保証協会は、これを基金にして保証をする。そうしますと、これは数字は二十億でありますが、おそらく数百億の資金のもとになる、かようにも考えておるわけであります。なお、しかし今後及ばぬところは十分意を用いていきたい、かように考えております。
  71. 横錢重吉

    横錢委員 大臣は今一—三月の危機というようなことを述べられております。一般的にはすでにもう昨年のうちに、三月をこえるところの約手が支払われておる、だから、一—三月の危機なんというものは 一番小さいところにしわ寄せをされてきて、そういうところには一—三月の危機があるが、大企業の場合には三月をこえたところの手形の支払いが、もう十二月までの中にどんどん行われておる。こういう現実を無視して、今大臣は、信用補完制度で救つていこうというようなことを言われましたが、倒れそうになっている家に突つかい棒をかおうということばかり考える、倒れそうになっている家は、突つかい棒でささえるのでなしに、柱を取りかえなければならぬ。だから、そういう幾つかの制度をやるよりも、根本的には、現在の中小企業を苦しめているもの、それから商行為が正常に行われていないもの——それは、今の手形法の中に、期間を切るということがないからです。これが無効になる期間だ。そういうふうなものはいろいろあるが、約手がいつまでの期間だという一番大事な点が抜けておるから、こういう今日のような事情になっておる。従って、これは当然手形法を改正して、この中に、手形の流通期間をどの程度というふうに定めて、そうして、今日のしわ寄せが下の方に来るなんという条件、手形を悪用するやり方、そういうものを是正すべきだ。今日現実に行われている法律を悪用するやり方、法律の裏をくぐつているやり方、それが今日の商業道徳というものを乱しているのだから、それを正常に上せることが、金融によるところの政策ではないか、こういうふうに考える。もう少し大臣に積極的な答弁を願いたい。
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 手形の期日を限つて、長い手形が出ないようにすることも一つの道でありますが、しかし、それは金融的に見ると、私は非常にぎごちないと思う。経済的な観点から見ると、どうも私、それはあまり好ましくないのじゃないかと思う。それは、結局現金取引ということとだんだん変らなくなるおそれもある。これは慎重に考慮しなくちやなりません。私はそういうふうなところでは解決しないと思う。問題は、なぜそういうふうになるかといえば、これは中小企業と大企業との力の問題で、これは、手形の期日というような形式的なところで解決するのじやなくて、中小企業というものを大企業に対して社会的にどう強化していくか、力を強くしていくかというところに解決の道を発見しなくてはならぬだろう、こう考えて、そういう方向に行くべきだ。その間において、それは時間がかかるじゃないか、そういう点について、公正取引委員会というものもあるのでありますから、そういう力の関係で、社会的に特に不当な不利益をこうむることが見込まれれば、それこそ公取あたりで中小企業に対して手を差し伸べる、こういう行き方でいくのがむしろ適当でないか、かように考えております。
  73. 横錢重吉

    横錢委員 私も、大臣の今の考え方には賛成なんです。同じ考え方の中から、今度は方法において差異が出ておる。大企業と小企業と勝負をして、それをほかの問題でやるべきだ、それは確かにその通りだ。しかし、手形においてこういうふうな方法が認められている限りにおいて、この抜け道を直さなかったならば、これは悪用される一方でしよう、現実の問題としてですね。それで、手形によって払つていく場合、力のないものが、今金がないから三月先だ、半年先だというふうにやるのならわかる。これは、金のあるものが金を払わないでおつて、そうして半年先に延ばす。金のないものが、それをかかえて苦しんでいる。こういうふうな状態は、一刻も放置できない状態ではないですか。これを、今のままでいつまでもほうつておいたら、大企業と中小企業との関係は直らない。その他の問題でも、これを直したならばそれで全部関係が終つてしまうかというと、そうでない、これはどこへも、幾つも出ていくでしよう。出ていくけれども、今当面考えられているこういう点を正していくということ、抜け道をふさいでいくということ、そういうことが私は大事ではないかと思う。少くもこの法律改正に対して、大臣が積極的に行うということによって、今日の一つの点は改正されるというふうに見るのです。考え方は私と大臣と同じなのだが、いざやるということになると、あなたは現行法の上に立とう、大企業だけに今与えているような特典、そういうものの上にだけあぐらをかいていこう、そういう考え方から一歩も出ない。それでは、今日の乱れている商行為は正すことができない。この現実を見たならば、もっと積極的な手を打つべきではないですか。
  74. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、お気持はよくわかるのでありまして、気持の点については同じ気持と思います。しかし、それだからといって手形法を変えて、非常に短かい期日の手形ばかりにするということは、今日の手形、小切手というような法律は、国際的な性格も帯びておりまして、そう簡単に自分の方の具体的な経済情勢に応じてすつとやるというわけにもいきにくい点もあります。また、これがかりにそういうふうな短かい手形だけにした場合に、ほんとうに大企業がそういう手形だけ渡してくれればいいけれども、大企業も、何も好んで長い手形を渡すのではなくて、自分自身も何かの形で困ってのことと思いますから、そうすると、今度は手形を渡さずに、それなら払わずにおこう、こういう事態もなきを保しがたいのではないか。それで、私は、やはりそういうふうな手形だけでは解決せぬので、そういうふうな事態の起らないようにすることもむろんで、起つた場合には、実情に応じて解決していく。今日手形の長いのを——手形をもらえるのは、人の話なんかを聞いたところによると、手形は、長い手形でももらえればいい方ですよという人もあるくらいです。はなはだもってけしからぬ事柄でありますが、そういうこともありまして、これは、どうしてももう少し根本的な解決を考えていかなくては、やはり政治の問題になってくるのではないか、かように考えておるわけであります。
  75. 横錢重吉

    横錢委員 大臣に、そういうことを耳打ちするやつがいるとすると、これは、よほど世の中のあほ者だと思う。そういうような、手形を長くてももらえればいい方だなんていうのは、今の社会通念として通用していないですよ。そんな長い期間、手形をもらわないでほうつておくということができますか。これは、やむを得ないから、長期のものでももらつておるのです。こういうような現状に対しては、今すぐに大臣の方でも、改正しますとも言えないでしようが、この現実の問題に対しては、少し考慮をして、真剣にこの問題と取り組んでほしい。それから同時に、小切手についても同じ事態が現われている。小切手に対しても、少くも小切手というものは、銀行に金が積んであるということが条件で出される。短かい金でもって、現金と同じような通用をするものなんです。これがまた次第に長くなってきている。のみならず、小切手法の三条には抜け穴があつて、銀行に金が積んでなくてもいいという除外例がある。このことのために、金がないのだけれども、一時の苦しみのがれに小切手の乱発、不正使用をやる。これに対する取締りというものは、わずかに五千円というごく簡単な罰金しか課していないから、これを抑えることができない。外国においては、小切手に対しては、小切手を銀行に金がないのに不正使用した場合には体刑を課しておる。これはなぜかというと、約束手形の場合には、何カ月かの後において金を払うという約束をしたのだけれども、その後の経営や何かの都合でもって払えなくなつた、これはやむを得ない経済上の状態だから、これは犯罪ではない。しかし小切手の場合には、金があるということを承知の上で出されるものであるが、これがないのを出しておるというのは、普通の商行為の違反ではなくて、これは一つの犯罪行為である。こういう犯罪行為に対しては、どう対処していくかということが今の小切手法の中にはない。そういうような現在の欠陥について、あなたはどう考えておるか。
  76. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 小切手を振り出す場合に、これは銀行取引でございますから、銀行に当座預金があるということを前提とすることは、いうまでもありません。ただ、契約によって過振りを一定の限度で、また特別な金利のもとにおいて認めておる、こういうことはあるのでありますが、それ以上、初めから預金がないにかかわらず小切手を振り出すということは、これは、私法律は詳しくありませんが、場合によっては、やはりこれは犯罪行為になるんじゃないかと考えております。
  77. 横錢重吉

    横錢委員 それだから、何らかもう少し、今不正使用や何かが行われておるこの小切手法というものを、もっと改正をして、正常な商行為の上に乗せる必要があるのじゃないか、私は、これを聞いておるのです。たとえば千円札が一枚贋造が出たというと、これは日本銀行のものであるし、政府のものだから、贋造紙幣が一枚出れば、目の色を変えて騒ぐ。千円札一枚くらい何です。小切手あるいは手形においては、何万、何十万というものがどんどん書かれておる。それは、政府の直接の責任じゃないから、あなたは今のようなのんきな考え方を持っておる。これを民間の商業問題として見た場合、そう簡単にきめられる問題ではなくて、もっと政府が重視をして、これに対する対策というものを立てていく必要がある、私はこう思うのです。
  78. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も、別にそれは異論はありません。預金もないのに、それを承知の上で、しかし過振りという範囲を越えて大きな小切手でも振り出して、それを流通させようということを考えるということは、これは犯罪行為を形成していると思う。またそういうふうなことであれば、かりに法律を作つて、こういう場合に小切手を振り出すと、こういう犯罪になるということを明記しないでも、やはり犯罪行為だと思う。そういうことは悪いことだから、これはいろいろと研究しなくちやなりませんが、どういうふうに取り締るか、これをとくと検討、研究をいたしてみたいと思います。
  79. 横錢重吉

    横錢委員 今の小切手法の七十一条の罰則規定でありますが、これは、小切手の行為というものに対して、不正が行われた場合に対して軽過ぎるのです。軽過ぎるから、こういう点が出るのです。これは、諸外国の例もあることだから、もう少し政府として考慮してほしいということをやはり要望として申し上げておきます。  それからさらに、先日公定歩合の引き下げ問題について、大臣が下げると言うた、言わないというふうなことで、その後取り消しをされて、これは引き下げないということになつたわけですが、しかし、公定歩合の引き上げに伴つて、一般の金融機関の利子というものは、相当値上りをした。ほかの方では、上らないと一応大臣等も等介しておったのだが、現実には、正式に金融機関も金利が上って、これがまた非常に今日の金利のかさむ理由となっている。現在一般的な投資ブームを抑えるということには、すでに政府として成功している、金融引き締めということにも成功している、そうしたならば、残つている問題はこれに付随して、おぶさつたところの金利引き上げだけが今残つている。もうこの目的は達したのだから、金利引き下げということだけは、一般の金融機関に対して行なっていいじゃないか。そういう時期がきていると私は思うが、この点に対して、大臣のお考えを伺いたい。
  80. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 投資を抑制し、そのために金利を引き締めるということは、それ自体が何も目的でないのでありまして、それによって物価を安定させて、輸出をふやそう、そこに問題がある。従いまして、輸出が継続して増加する見込みが立って、貿易面においてはそう心配することはない、むろん努力は要るが、心配する必要はないという見通しが立たないと、またそういう見通しが立てば輸出超過ですから、国内的には必ず金融はゆるんできます、そして市場金利も下ります。そういう傾向、そこをいつと見るか、今のところでは先ほどからも、来年度の三十一億五千万ドルは見込みがあるのかないのかということが非常に論議されたように、まだまだ必ずしも——私たちはそれをやり得るデータも、先ほどから話しておるのでありますが、しかし、今後の努力、あるいはまた国際情勢をもう少し見きわめる必要があるというような点もありますので、そういう情勢を待って、まずその前に輸出を増大して、今日のいろいろなでこぼこを直していくというのが先決になる、かように考えております。
  81. 横錢重吉

    横錢委員 今各銀行の決算等も、中間的に出つつあるようですが、この金利引き上げによる収益というものが、非常に増大しているわけです。そこで日本の経済というものは金融引き締めによって、一般的には非常に萎縮をしてしまつている。これに対して金融だけが収益を上げてきている。その原因はどこにあるかというと、これは金利の引き上げによつたものです。従って、こういうような状態は決して正常なものではない。今大臣の言うこともわかりますが、そういうように、一般的な目的をもう達成してきているのだから、これに付随して、おぶさつて金利の引き上げだけが行われて、その金利高というものはまた経済を苦しめているのだから、これに対してはもうすでに考慮すべき時期が、これは公定歩合の引き上げとか引き下げとか、そういうふうなものとは関連をせずに、もう決定していい時期にきているのではないか、こういうふうに思うのです。その点についての大臣の見通しを、しからばいつごろこれがくるか、いつごろ行うつもりかについての御答弁を伺いたい。
  82. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 日本銀行の貸し出しが、なお五千億にも及んでいるという事態を一つつても、まだまだ金利を下げていいというようなときではないということはこれはきわめて明白であると私は思う。しかし、市場金利を下げるというふうな考え方は、私はよくないと思う。市場金利は下る。その下る環境をいかにして作るかということが問題でありまして、これは、結局貿易を拡大し、特に輸出超過によって円資金が国内に豊富になっていくと金利も下るので、この情勢を馴致して初めて可能である、かように考えているわけであります。
  83. 横錢重吉

    横錢委員 時間がないので、他の点に移りますが、生命保険の監督について、現在大蔵大臣としてどの程度関与されているか。ほかの団体に対しては、比較的監督を行なっているようだが、生命保険に対してはほとんど監督をしておる点が薄いんじゃないか、こういうふうに思われる。というのはたとえば火災保険の場合には火災の損害率や何かの関係からいって、どしどし自発的に料金の引き下げを行なっている。これは、われわれは見ている。ところが生命保険においてはこれをやつていないではないか。生命保険の方においては、税金の減税をしてやるということのために、三万円か、そのくらいのものを入れて優遇してやる。こういうふうなことをやつたり、あるいはまた戦後における人命の延びというものは、これは男が六十四、女は六十八というように、十年も伸びておる。こういうふうに損害発生の率というものは、相当大きく変つているにもかかわらず、料金の引き下げということは、あまり出てこない。これは、幾つかの生命保険会社にだけまかしておつて大臣がこれを客観的な立場から監督をしていないから、今日こういうふうな点が出ておる。こういうふうに思うのだが、大臣はどういうふうにお考えになっているか。
  84. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 生命保険について関心が薄いとか、監督が不十分とか、あるいは指導が足らぬ、そういうことはありません。これは、やはり金融機関として、生命保険についても、できるだけの考慮を払つておるのでありますが、なお具体的にどういうふうになっておるか、これは一つ政府委員に説明をいたさせます。
  85. 大月高

    ○大月説明員 保険会社の監督は、一般の根拠法といたしましては商法に基きまして、保険に関する一般の原則の規制がございます。これは直接大蔵大臣が監督いたしておるわけではございませんけれども、非常に厳重な規制がございます。まず保険行為、あるいは法律的な面におきましては、商法が第一段。第二段といたしましては、保険業法という法律がございまして、これは、大蔵大臣の主管でございます。ちようど銀行と同様でございまして、設立いたしますにも免許を必要といたします。それから、たとえば会社の定款を作りますとか、あるいは事業方法を作る、あるいは保険料を幾らにきめる、そういう点は、全部大蔵大臣承認事項になっておるわけでございまして、むしろ法律の規定から申しますれば、銀行よりもさらに厳重な監督をいたしておる、こういうことであります。
  86. 横錢重吉

    横錢委員 そういう関係はわかつておるのです。もっと具体的な問題、なまの問題で聞きたいのです。たとえば、先日生命保険の各会社においては、料金を引き下げるかどうかということの問題で、討議があったはずです。この中で、一社または数社というものが料金を下げる、その他のものは、払戻金でこれを行なっていく、こういうふうな点で話がまとまらなかったという。これは大臣がこれを監督しておるならば、もっと適切なものが、こんなけんか分れのような形でなくて、出てしかるべきものだと思うのです。戦後十年も、外部的な条件というものは、人間の命が延びて、損害の発生率が少くなって、それで料金の引き下げが行われないというのは、一体どうしたことですか。こんなばかなことはないのであつて、当然これだけ外部の条件が出たならば、これは、契約の条件だから、料率の引き下げになるべきだ。運転とか、経営の方法とか、そういうふうな問題の中から出てくるのはこれは、払戻金となって行われるべきだ。外部の客観的情勢の変化から出てきたものは、契約料の引き下げになるべきだ。こういうふうな点について、もっと大臣が監督していれば、適切なものが行われているはずのものを、監督していないのではないか。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 戦後におきまして、保険会社の業態が堅実になるにつれまして、保険料の引き下げも累次やつております。むろん今のお話のように、人間の生命も延びたような関係もありますので、保険料が下つていくという方向に向うべきことはこれは私も認めます。ただしかし、同時にまた保険会社でありますから、保険会社の内容を堅実にしていく、保険会社にもまたいろいろありまして、足並みが必ずしもそろわないでいるということもありますので、またあまり無理な引き下げも適当でないということもあります。そんなような点についてはそれならどういうふうに下げておるかということを、政府委員から答弁させることにいたします。なお引き下げと払い戻しの問題についてはそれらの全体的な見地から利害を検討いたしておる状況であります。
  88. 大月高

    ○大月説明員 現在の生命保険料は正確なる資料が今手元にございませんが、千円について大かた三十円程度の保険料になっております。戦前におきましては、各社ごとに保険料が違つておりまして、大体最高二十九円幾らというところでございます。その辺を中心にして散在している。そういう観点から考えますと、現在の保険料は、戦前に比べておおむね一円から二円くらい高いというところで、ほぼ戦前に近いところに返つていると御了解願つていいと思います。それで、生命保険料につきましては、御承知のように、戦後インフレーションが進行いたしまして、通貨価値に対する信頼感が非常に薄くなっており、生命保険のように、特に長期の契約におきましては、保険に入ろうという人が非常に少かったわけでございまして、ほかの金融機関に比べまして、回復率が非常に遅かったわけでございます。最近この一、二年来、ようやく生命保険に対する世人の信頼感が回復いたしまして、比較的伸びがいいようでございまして、本年昭和三十二年度におきましては大体八百億余りの純資産の増がある。三十三年度におきましては、千二百億見当の増加が見込まれるのではないかというような情勢になっております。しかし、戦前に比較いたしまして、資産の状況は、まだ非常に少いわけでございまして、生命保険のほんとうに安定するのは、今後のことだと思います。それから戦後における保険金につきましては、何分資金が少い関係で、経費がかさむ。資金量を分母に、経費を分子にいたしまして経費率を見るわけでございますが、経費率が非常に多い関係で、なかなか保険料が下げにくかったわけでございますが、先ほど申し上げましたような観点で、最近生命保険会社の資産内容が次第に充実して参りましたので、保険料も大幅に下つて参っているわけでございます。ただいま問題につでおりますのは、各社とも実質的な保険料を下げようということには、異存はないわけでございますが、これについては、高率高配主義と低率低配主義の二つの考え方がございます。高率高配主義というのは、保険料をある程度高くとつてつても、契約有配当をたくさん返すことによって実質をカバーしようじゃないか、それから低率低配主義は、保険料自体を下げておいて、必ずしも配当に頼らないようにしようじゃないか、こういう二つの考えがございます。先ほど御質問のございました点は、この点で、業界におきましても、どちらがいいかということを検討いたしておるわけでございます。その結論を見まして、大蔵省としても裁断を下したい、こういうふうに考えておる次第でございます。実質問には、保険料は逐次下つておるし、また今後も下げる趨勢にある、こういうことであります。
  89. 横錢重吉

    横錢委員 今の戦前に比べて一円、二円高というのは、死亡率の高さが十年くらい延びたということ、このことは、計算の中に入っておつてそうなるのでありますか、これは計算外になりますか。
  90. 大月高

    ○大月説明員 これは、対千円の比率でございますから、その寿命が伸びた分だけは、若干下つてもいい建前だと思います。ただ、今申し上げましたように、純資産の増加がまだ戦前まで回復しておりませんので、その点で、経費の方に食われて、まだそこまで及んでおらない。理念としてはさらに下つていいのじゃないかと考えております。
  91. 横錢重吉

    横錢委員 あなたの答弁を伺つてつても、これは当然相当下げるだけの幅がある。従って、今の大臣答弁では、あまりこの問題に対して関心は持っていないような答弁の内容だと思う。従って、今日国民の多数の者が生命保険に加入しており、生命保険で集めた金は相当重要な働きをしておるという今日の現状から見て、もっと監督を厳重にして、そして、料率も下げて運営されるように監督すべきだ。今の答弁の中から、下げるという線は一応出ておるようだが、しかし、もっと積極的に当局として一つ動いていただきたいという点を、要望として一応申し上げます。  それからもう一つ生命保険に残つておる問題は、生命保険の金は、一体どういうふうにして集められるか、失業者がほとんど犠牲になっておることは、大臣御存じだと思うのです。不況になってくると、失業者が出る、失業者がどこへ行くかというと、生命保険の外交になる、外交は、ほとんど大した身分の保障もない、そして、生命保険の勧誘員になって、自分の親戚やら知人やら回りの者を入れると、続かなくなってやめていく、そのあとに残つた契約は、入つた者と会社との関係だけが続いていく。こういうふうな関係になって、要するに今日の大きな日本の金融上の役割を果している生命保険の金は、一番悲惨な失業者の犠牲においてこれが集められ、運営されている、こういうふうな現状は、やはり放置すべきではないのだ。従って、この生命保険の問題を重視し、大蔵大臣の免許事業として監督するのであったら、末端に働くこの生命保険の外務員の身分の保障、生活の保障についても、何らかの対策を立てていくべき今日の状況だと私は思う。この点に対して、大臣はどう考えますが。
  92. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは大へんな問題なんで、ひとり保険の外交員に限らない重大問題なんですが、保険の外交員は、お話のような状況もありましょう。私なんかも、外交員の保証人なんかになっておりますけれども、外交員がそういうことを訴えていますが、しかし、外交員はその際に定給と同時に保険契約高に応じた歩合をもらう。そして、一応その契約と外交員との報酬関係は済んでおるわけでありますから、外交員はやめて、保険会社だけが何だか得をしているというふうに解釈をしなくてもいいんじゃないかと私は思っております。また、保険をやる外交員が、いろいろのところに出入りをする間にいい人を発見して、大へんいい職につくこともあるのですから、一がいに外交員が悪いとだけお考えにならなくてもいいのじゃないか、さように考えております。これは、いわゆる生活保障というようなことの全体に触れる問題ですから、慎重に検討を加えなくてはならぬと事柄だと思います。
  93. 横錢重吉

    横錢委員 大臣答弁ば、何を言っているかわからない。大臣の免許している事業に関係しておる人で、この生命保険の外交員ほど身分の保障が行われていないものはない。大臣認可、あるいは免許しておる銀行、金融機関、あるはまたその他の関係の団体、そういうふうなところを大臣が思い起されてもわかるように、大ていのところは、有利な条件のもとに働き、生活を保障されているのが今日の実情なんです。ところが生命保険というものは巨大な会社がこれを行なっておる、しかも収益をあげておつて、会社の内容がよくて、末端に働く者が非常に悲惨な条件で働かされる。だから、何年か続いた者は、外交員となり、その上の身分を獲得してやつていかれるようにすべきで、失業した人が、さあほかにやることはないから、保険の外交でもしてやろうというので飛び込んだ者は、例外なしに生活を保障されない条件で働いておる。大臣も、保険の外交の身元引受人になっているという話だから、ちゃんと御存じだろうと思うのですが、この問題は、やはり大臣の免許事業の仕事としても、政府が今日最賃法を提出しておるという現状からしても、やはり監督行政の中において、もっと適切に考えていく必要があると思う。その点について、もう少し大臣の誠意のある答弁をほしい。
  94. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 外交員の扱いをどうするか。これは、なかなか私はむずかしい問題じゃないかと思うのです。むろんむずかしい問題でありますが、私はやはり外交員は外交員をやめた後までも、会社において生活のめんどうをみる、そういうことはとうてい考えられない。外交員が外交員として保険会社にお勤めになっている間は、そういうふうな報酬関係が適正なりやいなや、これは検討する必要がある。いわゆる歩合率がどうであるかとか、そういう点は考えなくちやならぬと思いますが、やめた後までどうするということは、これは、私は今日の経済機構、あるいは経済組織の域を脱しておると考えております。なおまた保険会社も、歩合制度なんかにせずに、月給にしてやるということについては、やはり保険契約をとるという性質からして、歩合制度というのが双方に適当している、こういうことになるのではなかろうかと思っております。むろんこういう点については、業者において多年にわたる豊富な経験でやつておることでありますから、これについて軽々にこれを変えるということは、私は考えておりません。
  95. 横錢重吉

    横錢委員 この問題は、今打ち切ろうと思ったのですが、大臣の考え方が違つておるので、さらにもう一つ質問しておきたい。私は、やめた後までも保障しろというようなことを言うておるのではないので、一旦入つたものがやめなくても働けるような条件、就職した者がずっと続けられるような条件ができなければいかぬ、契約をどんどんとつていかれるという条件、あるいはまた身分が保障されるという条件、生活が保障される内容を言うているのである。今日の段階では一通り知っているところを回ると、あと回るところがなくなる、そうすると責任額が果せない、責任額が果せなかったならば、給料がもう自動的にこない、そこでやめざるを得ないというふうに、巧妙に今日の外務員の制度はなっている。この難関を突破して、二年も三年もずっと続けられるというものは、ごく特殊な人であつて、一般的には、なかなか続かないということが、会社の方としては保険の契約を得る最大の条件になっている。新しい外務員が出てくれば、その外務員は、必ず親戚やら友人やら関係者があるのだから、そういう者に泣きついて集めてもある程度はとれる、そういう方法で今日の保険が拡張され、伸びておると私は思うのだが、これは、支払い能力のないところならばまだやむを得ないとしても、日本の巨大産業であるし、巨大金融機関の一つであるところの生命保険が、こういうふうな方法でその末端が運営されているということはこれは正常なものでないと思う。従って、そういうふうな点について、これば保険業法自体を監督するとともに、その内容について、もう少し大臣自身が知ってしかるべきだと思う。
  96. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 問題の所在が明確になりました。要するに問題は、請負契約のような契約形式がいいのか、雇用契約によるべきかという点にあると思う。この点については、保険会社の堅実性が高まるにつれて、私としては、やはりなるべく雇用関係に持っていくというのがいいのじゃないかと思います。しかし、これは今後の保険業界の消長にも関係するかもしれない。あるいは、そういうことにおいて保険契約が非常にうまくいかぬというようなことがあればまた別ですが、そういうことがない限り、ごく便宜でものを見ていけば、私は、やはり漸次雇用契約に移していくのが社会のあり方だろう、かように考えております。
  97. 横錢重吉

    横錢委員 大臣答弁がどうやら型に乗つてきたのですが、その点で、先ほどの料率の問題とともに、今後監督をさらに厳重にされて、もっと国民の納得するようなものを打ち出してほしいと思う。  さらにもう一つ伺いたいのは、これは、私が数年来しばしば伺つてきたことだが、中小企業の振興策、あるいはまた中小企業を対象とする金融機関の振興策、そういうふうな意味から、日銀の代理店とか国庫の歳入代理店とか、こういったふうなものを相互銀行とか信用金庫とかにもう少し広げていくべきじゃないか、こういうふうな意味のことを、私数回大臣質問しておる。そのたびに、大臣は、その必要について考えるというようなことで答弁をされて逃げてきておるわけですけれども、今日相互銀行の地位も非常に重要になってきた、信用金庫も発展してきて、中小企業金融に対する価値というものも大きなものが出てきていると思う。にもかかわらず、まだまだ日銀の代理店とか国庫歳入の代理店とか、ほんの一部のものしか行わせない。特に信用金庫に対しては、全然行わしていない。こういうふうな現況は、あなたの政策として、これは銀行中心の片寄つた政策であつて、中小の金融機関に対する思いやりのない制度である。従って、これを逐次もっとその幅を広げていくべきだ、こういうふうな意味のことを私前々から申し上げてあるので、大臣の頭の中にも残つている点があると思う。この点、どういうふうに考えておりますか。
  98. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一般的に言って、日本銀行の代理店を広げることに、私別に異存があるわけでないのですが、いやしくも日本銀行の代理店である以上は、やはり堅実な、信用の高い金融機関でなくてはなりません。従いまして、日本銀行といたしましても、代理店をさせる場合は、相手方の信用状況をつぶさに検討を加え、その上で自分の代理店としてふさわしいという意味でやつておるのであります。従いまして、これはどの銀行ということではありませんが、今日は普通の銀行が多くて、相互銀行は、三行が代理店になっておりますが、そういう程度であります。今後とも相互銀行においていよいよりつぱな銀行になっていくにつれてふえていく、かように御了承を得たいと思います。
  99. 横錢重吉

    横錢委員 どうやら前の答弁よりも前進してきたようですが、しかし、私が質問してからすでに約三年になる。その間において、大臣答弁はしたけれども、現実には全然広げていない。そうして、今の大臣答弁の中でも、堅実だとか、信用度の高いというようなことを言っておられるが、信用金庫も相互銀行も、あなたが免許しておる、あなたが監督をしておる、その中に、信用度が低くて困るというふうなところが一体あるのか、あるとすれば、どういうところが信用度が低くて、代理店をまかすことができないというふうに考えておるか、この点、いかがですか。
  100. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは別にどうというのじやありませんが、やはり信用度には高いのと低いのと、いわゆる程度に差がある。これは貸借対照表等を取つて内容を見れば、はっきりするのでありまして、別に悪いという意味じやありません。これは世の中ですから、たくさん金持ちもあり、貧乏人もあるように、やはりいろいろな機関において、みながよければいいですが、段階があるということは、やむを得ない。それが、総体としてみなが堅実なりつぱな資産内容になることが望ましい、こういうことになると私は考えております。
  101. 横錢重吉

    横錢委員 それじや、その資産内容なんかでは、たとえば信用金庫が、地方銀行を凌駕するだけの力を持っておるものもあるし、相互銀行においても同様であつて、そういうような力をすでに備えているものが、いまだにまだこういうような道が開かれないということは、やはり客観的に見たならば、大蔵大臣行政として、銀行偏重の傾向があるのではないか。もしそうでなかったならば、こういう面に対しても、もっと窓口を広げて、国民の便宜をはかり、銀行の信用度を付与さしてやる、あるいはまた日銀との取引の問題を解決づけてやる、そういうふうな点は銀行行政として、年々逐次改善されていくという点が出るべきだと思うが、今のままでは、一定のところにくぎづけされておる感じがある。この点は、今の大臣答弁で満足いたしますが、さらにもう少し研究をして、積極的にこれらの手を打っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を打ち切ります。
  102. 高見三郎

    ○高見委員長代理 この際、横山委員より政府に対し、提案を予想されておりました国家公務員共済組合法の一部改正案の提出について、発言を求められております。これを許します。横山利秋君。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 大臣にはこれに関連して質問が三、四ありますから、しばらくお待ちを願います。  今委員長から話がありました、国家公務員その他の人々の年金制度について、すでに当委員会は、本国会の冒頭において、提出法案の一つとして予定されて報告を受けました。従いまして、当委員会としても、各党ともそれぞれ意見をまとめておるのでありますが、今日に至るまで、その法案が出て参りません。この分でいきますと、かりに出ましても、非常に問題があろうかと思います。そういう心配をしております際に、今松総理府総務長官から、反対であるがごとき意見の表明があり、本日は本日で、国民年金制度の委員会の国民年金委員会から、また別の角度で、農業協同組合役職員の年金制度に関し、あるいは中小企業政治連盟が言っております問題に関し、反対の意見がいわれておるのであります。このことは、私はきわめて残念に思うと同時に、政府部内において、意見の不統一がある、こういうふうに痛感をするわけです。従って、きよう大蔵大臣と、それから総理府から来てもらつて、意見、意思を明確に国会側ヘ発表してもらいたい。大蔵省として、政府としてすでに提出を予定をし、与野党並びに本委員会報告をしておる法案が、何がゆえに今日に至るも出ていないのか。聞くところによれば、もう法案はすでに準備をされて、あとは総理大臣の判断を待つばかりといわれておる。であるとするならば、なぜ総理大臣は早くその決断をつけないのか、諸般の事情を、まず大臣から承わりたいと思う。
  104. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今御指摘の問題につきましては、関係の省で検討、相談をいたしておるところであります。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことでは承知ができません。しからば、総理府に伺いますが、少くとも政府の部内で、国会ヘ提出さるべく予定されておる法案について、今松さんが真正面から反対をする談話を新聞に発表したのは、いかなる理由であるか、それを明確にしてもらいましょう。
  106. 藤原節夫

    ○藤原政府委員 総務長官にかわりましてお答えを申し上げます。総務長官の談話として、反対であるかのごときものが発表されたということでありますが、別に、今はっきりした案ができているわけでもありませんし、一つの考え方を述べただけでありまして、反対であるとか賛成であるとかいうことではなく、恩給を主管しておる総理府の立場として、新しい年金制度については慎重に検討しなければならぬというような趣旨を申したのであります。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 それは、あなたのお言葉とは思えない。問題が人事院から答申をされたのは、もうすでに二年前ですかにさかのぼつておる。そして答申をされて、各方面からの意見があつて、あなたはそうおっしゃるけれども、私の知るところでは、大蔵省は、法案の諸般の準備はもう済んでしまつているということだ。検討の何のと言つたつて、いつまで検討されるのか、私は今松さんの意見というものが、今白紙で、いろはにほへとで相談するならともかくとして、今日に至るもそういう抽象的な返事では受け取れぬ。どういうわけか、もう一ぺんはっきり、今松さんの談話の内容というものをここで発表してもらいたい。
  108. 藤原節夫

    ○藤原政府委員 人事院の勧告があり、あるいは公務員制度調査会の意見があり、また最近に至って、大蔵省の考え方というものも聞いておりますが、まだ政府の案として今きまつたものでもありませんし、内部的に、政府の内部で今検討をいたしておるところであります。一、二の新聞に、政府案がきまつたかのごとき記事も出たりしましたので、誤解を招いてはいかぬということで、案はまだ慎重に検討をしておるのであるという趣旨を申しただけであります。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことではありませんでしたよ。こういうものができたが、いかがなものであろうか、恩給というものは、もうすでに長年の伝統を持っておるものであるから、一朝一夕にこれがなくなるというのは、いかがなものであろうか等の内容に触れて、今松さんは反対の意見を表明しておられるわけです。あなたの今の答弁とは少し違うんです。だがら、私がここで明確にいたしたいのは、何がゆえにこの法案というものが出てこないのか。政府部内ではどういう意見があるのか、その意見を聞いて本委員会でも判断をしたいから、明確に言ってもらいたい、こう言っておる。今日軍人恩給を中心として、恩給に対する国民の目は非常に強い。軍人と関係なく、掛金をして恩給をもらつておる国家公務員の諸君も、そういうことであるならば、大蔵省が立案をし、すでに内外に発表されておるああいう行き方でわれわれも了承しようではないかというわけで、官公労の労働組合も、内容に多少の問題はあつても、少くとも恩給をなくして、共済年金一本でずっと進めるという大蔵省のものの考え方、大本について了承をし、この国会でそれが提案されるのを待っておる状況なんです。それを、やにわに、政府部内の一機関にすぎないあなたの方が、新聞談話を発表して、それに水をぶつかけるというようなやり方というものは、いかがなものでありましようか。ですから、私はほんとうは今松さんに出てもらつて、どういう資格でそれを言われるか。もしそういうことなら、堂々と国会で自分の反対の意見を表明してもらいたい。またそれに対して、大蔵省も無責任だと私は思う。大蔵省は、今松さんの返事を聞いて、本委員会に一体いつ出すのかと言って聞いても、何とも返事ができないのであります。どういうことで作業を進めておられるのか。確信と自信が大蔵省にないのか。あるならあるで、われわれに問題を報告して、国会の批判を求めたらどうなのか、こういう点について、両者とも私はまことに解せない、こう思っているわけです。  大蔵大臣に伺いますが、大臣は、この法案をどう思っておられるのか、出す決意があるのですか。それとも、総理府から言われると、ああそうですかと言って、宙返りをしてしまつて、一萬田さんともあろう者が、この重要法案を台なしにするつもりですか。大臣の確信のあるところを聞かしてもらいたい。
  110. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど御答弁出し上げましたように、関係の方々とただいま十分な検討と話し合いを進めて、政府案としてなるべくまとめて出したい、かように考えているわけです。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 出したいのは、来年でも再来年でも同じことでありますが、この国会に出るか出ないかということを、私は聞いているのです。
  112. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今話を進めているので、私としては、この国会に出したいと考えております。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 もしこの国会に出ないということになれば、私は奇態なことが起ると思うのです。聞くところによりますと、今日国民年金委員会でいわれております、たとえば農業協同組合職員の共済制度の問題、これは、もうすでに国会に提出されております予算案に、年金に関する予算が組まれているそうですね。それから公務員関係の共済組合の問題についても、国会に提出されております予算案の中に予算が組まれているそうですね。局長いかがですか。
  114. 石原周夫

    ○石原政府委員 特にこの分としての計上をいたしているわけではございませんが、もし共済組合がこの退職年金制度を行うことに相なりました場合、この施行時期、方法、いろいろなファクターがございますが、実行し得るような措置は可能であるというふうに考えております。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 そういう持って回つた意見は、私はどうかと思うのです。あなたの話によれば、本国会に出されている予算案の中に、これらの実行可能な予算が組まれているそうですが、それは幾らくらいですか。
  116. 石原周夫

    ○石原政府委員 今幾らということは、そういうようなものとして組まれているわけではございませんので、この金額が幾らであるということは、申し上げかねるわけであります。
  117. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますと、国会に提出されている予算案の中に、これが通ったら使える、通らなかったらどうなるかわからぬというような予算が包括されているというふうに理解してよろしいですか。
  118. 石原周夫

    ○石原政府委員 共済組合の関係で行います場合には共済組合の給与金がございますので、共済組合の給与金の内部の経理において措置が可能であるというふうに考えます。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 聞くところによれば、田中郵政大臣は、閣議で非常に熱心に、共済制度の郵政省職員についての特別な考え方について、主張しておられるそうであります。御存じの通り、三公社、国鉄、専売、電通においては過般の国会におきまして、特別なその業務の実態に合う共済組合法が成立をいたしました。業務の実態からいうならば、郵政省の職員もまた現業制度として、これが、独立した考え方もなし得るわけであります。従って、郵政大臣のおっしゃる方向というものは、ある程度もっともなところがあると思う。その点について、大臣はどうお考えですか。
  120. 石原周夫

    ○石原政府委員 制度といたしましては、退職年金の制度全体は、国家公務員の全部をカバーいたすというような建前になるのが適当かと存じますので、今検討いたしております幅は、国家公務員の全体を含めましたものとして検討いたしているわけであります。
  121. 横山利秋

    ○横山委員 この点は政府部内で閣僚の一人が、現状の三公社の共済組合の年金制度等について、そのバランスということも推しはかつて言うておられるのでありますから、一つ十分に考えてやつていただきたいと思う。  大臣に、もう一つ最後にお伺いしますが、きよう国民年金委員会で、農林関係、あるいは中政連関係のいうことを聞いたら、年金制度が分解するおそれがあるという警告を出しておるわけであります。私どもの社会党としても、年金制度というものは、総合的に行わなければいかぬという点においてはおそらくあなたと考えが一致しているのじゃないか。テンポと内容については議論がありますが、そういう方向については一致しておると私は思うのであります。ただ前進の過程における多少のジグザグがある。私の聞きたいのは、この国民年金委員会のいっている方向と、今日の大蔵省が計画し、そして出そうとしておる法案の方向とは、矛盾するものではないと判断しておるのですが、いかがです。
  122. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御質疑については、私どもとしては、矛盾しないように考えておるつもりであります。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますと、現在立案されておりますのは矛盾しない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  124. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 矛盾しないようにいたすつもりでおります。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 時間がありませんから、それでは次の質問に移りますから、総理府の方はけつこうです。  おととい大蔵大臣は、国際通貨基金のヤコブソンさんとお会いになつたそうですね。そうしてあなたの談話として、ヤコブソンさんと、国際経済の見通しについては意見の一致を見た、こういう談話を発表なさいました。けさ新聞に掲載されましたヤコブソン氏の講演内容を見ますと、きわめて示唆に富んだものがあるわけであります。私はこれを見て、大臣が意見の一致を見たということがどういうことなのであろうか、もしもこの講演内容とあなたとが意見が一致しておるとするならば、これの日本経済に及ぼす諸問題というものは、きわめて重要な点があると思う。全部を御質問したいのでありますけれども、時間がありませんから、恐縮ですが、差しつかえのない範囲で、あなたとヤコブソン氏と意見の一致を見た、原則的に、なるほどわしもそう思うと言われておられた点がありましたら、個条的でもけつこうでありますから、説明をしていただきたいと思う。
  126. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 意見の一致を見たというような表現は、適当かどうかわかりませんが、アメリカの今とつております景気政策の意義、これをどういうふうに見るかというような見方、それからヨーロツパ諸国の今日の通貨の状態、それから、そういうようなことをもとにして、今後世界の景気情勢は大よそのところ時期的にもどういうふうな動きをするだろうか、こういうふうな点も、実は意見が一致したというよりも、ヤコブソンさんのお話を聞いたということなんです。私は、何もこっちから話さないのですから。時間もありませんし、二時間ばかりヤコブソンの話を静かに聞いておつた。それが、私の考えておることとほぼ似ておるかなという感じを私自身が受けた、こういうことであります。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 私の聞いておるのも、そうであろうと思うのですけれども、ヤコブソン氏の言うておることをあなたが聞いておつて、そうだと思われたことが、新聞の報道するところによれば、この講演内容は、ほとんどあなたが了承されたというふうに理解されるわけであります。違いますか。
  128. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、講演内容を実はけさゆつくり読むつもりで、まだ読んでおりませんので、どういうふうに話されたか、承知いたしておりません。
  129. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、一つ、二つお伺いをしましょう。実は、この間私が本委員会で御質問をして、あなたが公定歩合の引き下げを七月以降やるかもしれぬと言うために、株が上つたり下つたりして、あなたは閣議に行つたり、新聞記者に会つて、いやそういうつもりじゃないのだというお話をなさいました。きようの日本経済を見ますと、二面にヤコブソン氏が言っていることが、一ぱい書いてあつて、しかも皮肉にも、その下に雑誌の広告が出て、ダイヤモンドは「公定歩合引下げは夏か秋か」、経済展望はまた「一萬田大蔵大臣答弁」、東洋経済は「金利低下ヘの背景」と、一斉にこれを取り上げておる。ヤコブソン氏の言わんとすることは、一言にしていえば、アメリカの経済に触れて、調整は本年じゆうに終るし、大体夏ごろからよくなると言っておる。そうして、イギリスの公定歩合に触れて、この引き下げは今すぐではまだ少し早い、けれども、ニカ月たつたら見なければならぬというふうに言っているわけです。従って、彼も、あなたと会つたときと講演と違つたことを言うはずがありませんから、こういう方向を考えてみますと、ほぼ一萬田さんのお考えのところがわかるような気がするわけです。この間、あなたはやや軽率だったというような話の仕方をされたのでありますが、もう一度、質問者である私に、公定歩合引き下げの条件というものを明確にしていただきたい。それによって、私どもはあなたの所信のほど、今後の経済政策の把握をいたしたいと思っておるわけです。
  130. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、日本の経済が今後どういうふうな進行をするのであろうかという形において御答弁を申し上げるのが、私一番適切ではないかと思うのです。私の考えでは今やつておる経済政策は、輸出を増加させよう、さらに三十三年度は、具体的には、三十一億五千万ドルの輸出で、一億五千万ドルの黒字を出そう、こういうのが政策の中心になっておるわけであります。そういうことを可能ならしむるような経済情勢を作り出すために、今諸施策が行われておるのであります。従いまして、今なすことは、何としても輸出を増大する、しかもその輸出が持続的に、いわゆる安定した形において、心配なく、たとえば、輸入を特に削るために。国際収支のバランスがいいのだというような意味でなくて、輸出も輸入もよくて、しかも輸出超過である、そういう形態を打ち出さなくてはならぬと考えておるのであります。そういうふうな状況になりますと、輸出の増大によって、日本の経済、特に金融関係は緩和していく、これはもう当然な成り行きであります。金融が輸出によって緩和すれば、市場金利も下つていく。そうすると、その市場金利が下ることによって、今日の日本の金利体系というものが正常化をしていく、こういうふうなことが、地ならし工作としてずっと行われていくわけです。そういうふうなことになつたときに、輸出が増大していくことによって、今度は日本の経済が伸びようとする、言いかえれば経済がよくなっていく。そうすると、そこにまた、将来において日本の経済が伸び過ぎるという危険性を持ってくる。そういうときに、私が先般言うたように、支払い準備制度も導入するがよかろうし、金利体系をここに確立した上で、マーケット・オペレーションも可能ならしむるようにするがよかろう。さらにまた、そういうふうになって初めて金利の、いわゆる中央銀行の公定歩合というものもほんとうにきいてくる。そういう事態になつたら、一つ景気の情勢を見て、上げるのも下げるのも機動的にやつたらよかろう、こういうような考え方であります。従いまして、私の考えではやはり輸出が伸びていくという確信ができるときでなくては、そういうことは考えられない。従って、今はそういういわゆる公定歩合を下げるということについて論議をすべき時期ではない、さように考えております。
  131. 横山利秋

    ○横山委員 論議をすべきでないと言われても、論議をせざるを得ぬのですが、ただこの間の私の質問は現実的な把握の問題があり、あなたもそれに触れられたわけです。今のあなたの答弁は、あなたの言うところの経済理論としては、そうなるのが普通だというふうにおっしゃったのですけれども、この間は、あなたは三つの時期に分けて、三月までと六月までと、それから七月以降に分けて、七月以降は少し景気が持ち直す、こう言われた。きよう私が質問した、ヤコブソン氏と世界の経済情勢について、あなたは意見が一致したと言われる——この間あなたの言われたことと、きようの新聞で見るヤコブソン氏の経済の分析とはそうは違わないわけですよ。ですから、私の言うのは、理論としてはそうであるけれども、現実把握としても、もしそうであるならば、夏ないしは秋ごろにそうなるのではないかという判断がされるのですが、どうなんですか。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、今そういうことも考えておりません。三十三年度、年度を通じて一億五千万ドルの黒字を期待いたしておる、これも相当な努力が要る、今後の国際情勢の変化も、やはりある意味において、大体の見通しとしては、私は必ずしもそんなに悪くならないだろうと思いますが、しかし、いろいろな今日の政治情勢その他の情勢からすれば、やはりはかり知り得ないのです。ですから、ほんとうに日本の輸出が伸び出した——何も急ぐことはないのです。伸び出したといっても、それが伸びるか伸びぬかを見きわめるには、時期的にまた何カ月かかかるのでありますから、それを、まだ伸びるか伸びぬかわからぬときから言うことはないのでありまして、伸びるようになって、ほんとうに伸びる情勢が出て、それからやはり何カ月かこれを考えていかなければならない。ですから、今私は何も言うべきじゃない。従って、七月からどうとかこうとか、いわゆる公定歩合ということに関連して、七月というような時期を私はとりません。
  133. 横山利秋

    ○横山委員 えらいきようは慎重ですが、公定歩合を引き上げるか引き下げないかという行き方が、あるいはあなたは答弁できないかもしれません。しかしそれを、その基盤をなす経済情勢をどういうふうに見るかという点で、この間のあなたの答弁と意見が一致したと言われるヤコニブソン氏の経済の見通しが、これまた一致するのではないかというふうに言っているわけです。いかがですか。
  134. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、従来から、大体の自分の考え方として、三月までくらいに生産の調整を済まして、そうして四、五、六というようなところで安定基礎を確定して、そうして七月くらいから、世界の情勢とも対応して、日本の経済を少しでもいい方向に向け得るように持っていきたい、こういうふうに考えております。しかしながら、これは、私がそういう一応の考え方でもって指導をしておるということにすぎないのでありまして、実際には世間がいうように、若干やはりそういうことも、きちきち割り切つてはいかぬかもしれません。伸びるかもしれません。しかし伸びるからといって、私が今こう言うけれども、だんだん食い違いができて伸びていくということは、指導の方針になりませんから、私としては、そういうような期間で事をやろうという方針をきめておる、こういうことにすぎないのであります。実際は、それより幾らか伸びることもあり得るかもしれない。これは、経済は何も一人の意思によって動くものではありませんから、そういうこともあり得るのであります。そういうふうに観じてみますると、今の日本の経済の状態においていつから何をなす、こういうふうなことは、とうてい言い得ることではないのでありまして、これを今日触れることは、百害あつて一利なしと考えております。
  135. 横山利秋

    ○横山委員 それじや、報道する大臣の意見と私の方は若干違いますけれども、きようは時間もありませんので、次の問題に移りたいので、一応この問題を打ち切らしていただきます。   ━━━━◇━━━━━
  136. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  137. 横山利秋

    ○横山委員 この法案の内容自体は、大したことはないのであります。まあいうならば、現在試行期間を六カ月を例とするという法律の内容がきわめて不鮮明であるから、こういう法案をお出しになるときに、基礎になる法律がきわめて不明確であつて実情に適しないということは、私ども痛感しておるわけです。ですから、こういうような六カ月の試行期間を例とする、六カ月をこえたら措置しなければならないという意味の不明確なものをいつまでも続けておいて、こういう法律案の出し方をなさるということは感心したことではない、こう思います。その点、専売公社として、これはこれとしてどう思っておられるか、今後改善する気持があるのかないのか、それだけ簡単に言って下さい。
  138. 石田吉夫

    ○石田説明員 新しいたばこを作つて売り出します場合には、そのときのたばこの売れ行きの模様、あるいは経済界の模様、いろいろな要素を考えまして、いつが適当な時期かということを判定しなければならないわけでございます。そのたばこを新しく売り出す前に、あらかじめこの法律できめて、それから売り出すということになりますと、なかなか適当な機会に売り出すことがむずかしゆうございます。それから、また一面、売り出しました場合に、せつかく国会の方の御厄介になりまして法律を直すという場合でも、やはり売れ行きのいいものを、これならば専売収入を上げるにも非常に役に立つというふうな見通しのついたものを法律に入れるという必要もございまして、そういう両面から、試製販売というふうな制度で、大体六ヵ月くらいは、法律になくても売れるというふうな制度になっておるのでございます。たばこが商品として売られるという実情から考えますと、この程度のゆとりのある法律の方がむしろ実情に適しているのではないかというふうに考えております。
  139. 横山利秋

    ○横山委員 そんなことを聞いておるのじゃないのですよ。要するに、この法律の基礎になっております現行の法律が、試行は六カ月間を例とする、こう書いてある。例とは何だ。それから、六カ月をこえたら措置しなければならないといっても、それが一体どういう措置なのか明確でない。そういうものを現行法でいつまで続けておく気持か、六カ月でいいのか悪いのか、それを改正する気持があるのかないのかということを聞いておるのですが、大したことでないですからいいです。これは考えておいてほしいのです。  それでは、この法案に関連をして、大臣に、専売公社の問題について二つばかりお伺いしたいのです。この間公共企業体審議会が答申を出して、専売公社の問題について、原則的に、他の公社よりも一そう民営に適する性格を持つのだ、その理由は、地域的独占性の色彩が薄い、取り扱う品物が嗜好品だ、全国的統一経営を必ずしも必要としない、労働問題処理の観点から見て、必ずしも公共企業体によることを必要としない、事業内容が、物の生産及び販売であつて、比較的企業採算に乗せやすい、だから、将来は原則的に民営にしろ、こう書いてある。以下二、三のことが書いてありますけれども、これはきわめて重要なことであります。大臣は、お読みになつたかどうか知りませんけれども、今日まで専売公社に公共企業体審議会から答申をしたことは、一、二にとどまらないのであります。私の言いたい第一点は、いつ答申を出しても、公社の人がそこにおられるので恐縮だけれども、公社の方は、割合にそれを実行しておる、ところが、政府にこうしろといったつて、政府はやつたことがない。それで、今度は将来民営だといっても、政府はやらないだろうと思うけれども、この専売公社に関する基本的な考えを、一ぺん大臣からお伺いしておきたいものだと思います。
  140. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 専売公社をどうするかということは、なかなか重大なことと私は思っています。民営に適する点もむろんあると思うが、同時にまた、民営でも困る点もあるので、これはむずかしいのです。それで、私としては、この扱いについては、しつかりした調査会でも作つて、ほんとうに今度やるのならやるという決意のもとで一つ調査をしてもらいたい、かように考えております。
  141. 横山利秋

    ○横山委員 調査会が答申したら、その答申によってまた調査会を作るのですか。さっき言つたように、今日まで公共企業体に関する答申というものは、何回も出ているのです。出ておつても、ちつとも政府に関することは、政府が実行しないと言っているのだ。今度また出た、将来民営にどうだといっているけれども、実行しないだろうと私はひやかしているのですよ。それを、また調査会を作つてもう一ぺんゆつくり検討しようというが、何べん調査会を作るのですか。だから私は、そんなことはやめなさい、大臣がこうだと思うことを一ぺんやつたらどうかと言っている。自分の勉強が不足だから、また調査会を作るというのは、答弁になりません。
  142. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、私も、ほんとうを言うとよく読んでおりませんけれども、その調査会の答申自体にも、やはり結論を出していないように思うのです。なおこれは十分検討を加えなさいという結論になっているように思うのです。それで、私はこれはなかなか事柄が広範で、やはり影響が大きいものですから、検討を加える機会を持つた方がいいという考えなんです。
  143. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは、正直に、あまり検討しておらぬのでわからぬとおっしゃるけれども、この際、大臣一つ専売公社のことを厳密に考えてもらう必要があると思う、私どもはこう思うのです。専売公社を民営にするということは、国家財政に及ぼす影響が莫大であつて、できやしない、これが言い得られる第一点です。第二点として、こういうふうな答申の中に現われる基礎になっているものは、専売公社にもう少し自主性を与えたらどうだということに尽きると私は思うのです。現行制度の中で、専売公社というものが自主的な運営ができるようにしたらどうだというのが、何回も各所で議論をした結果の共通点なんです。今専売公社を民営にしたところで、実質上そう大してかわりばえするものじゃないと思う。
  144. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この答申を読みますと、政府は、これらの諸点を考慮し、別途調査機関を設けて慎重に対策を立てるべきであるという答申になっているのです。ですから、この答申書を尊重しても、簡単にいかないのですよ。それは、今のお話のような点も重々ありますよ。しかし、それだからといって、たとえば財政収入に大きな影響を及ぼすことは、言うまでもありませんが、それなら、ほかの方法で財政的な歳入を確保できぬかというと、それは必ずしもそうでないかもしらぬ。これはいろいろありますから、私が大蔵大臣として、民営にするとか、そんな先ばしつたことは申しておりませんが、しかし検討を加えることはけつこうなことだと思っております。
  145. 横山利秋

    ○横山委員 私はこの調査会の答申それ自体もあまり感心してないんです。それから、こういう調査会を作ることをきめた政府の態度も感心してないんです。なぜならば、今日まで答申は幾つも出ている。出ておるのに、また去年の春闘のときに、労働争議をカバーする手段として調査会を作れと答申が出た。その答申がまた調査会を作れ、こういっているのですから、ばかばかしいにもほどがあると私は思っている。要するに、こういうことは、政府の腹がきまらないからだ。何か問題を処理するのに、調査会におつかぶしてしまつて、その答申がまた調査会を作れというばかばかしいことを、いつまでやるつもりかと私は言いたいのです。要するに、政府に実行する気があったら、第一回の答申をまじめに検討して、なぜ一体政府に関する部分ができないか、それだけ追及すればいいのではないか。事が起つたらまた調査会、答申が出たらまたその調査会、そういうことでは、無責任もはなはだしいと思う。だから、私が聞きたいのは、この専売公社のあり方について、人にまかせつきり、また調査会といわずに、専売公社のあり方をどういうふうにしたいのか、あなたの御意見はないのか、こういうことをきようは聞きたいのです。
  146. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵大臣が自分のなにで、おれはこうするといって実行に移されたのでは、場合によっては適当ではありませんよ。これはやはり民主主義ということで、皆の意見を聞いて、全知全能をしぼつてやることが必要だ。今いろいろ御意見がありましたが、よくそのお気持はわかります。やるというつもりで、やらずに調査会にかけるから、こうなるのでしよう。専売公社の処理を、こういうような結論が出ればやるのだという確定した態度でやれば、いいのではないか。あなたの御意見も、何回か調査会ができたけれども、ただ流している、それではしようがないではないかということだが、要するに、私は、こういうような形で大蔵大臣がやるよりも、大蔵大臣は何とかするのだから、いい案を出そうと、そこの決議でいい案が出されれば、案が生きてくると思う。そういう意気込みできめていただく委員を選ぶということは、やつてみていいと思う。
  147. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは、やるというのに、何をやるか全然わからない。あなたは、えらく張り切つて、やるという決意でやるというが、何をやるのか全然わからない。
  148. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 やるというのは、専売公社をどういうふうに、いわゆる民営にするか、現状に置くかということを、委員会の審議にかけなければならぬ。かけて、その結論を待ってやるぞという決意をすればいい。委員会を作り委員会にかけるが、それだけの決意がなくてやるから、委員会結論が出ても流れていく、実際に取り上げられない、あるいはその委員会の答申が必ずしも満足すべきものではない、こういういろいろな問題があると思う。しかし、政府自体が、ほんとうに今度は専売公社を民営に移すなら移す、あるいは現状に置くなら置く、委員会結論を待ってどちらに決するか、はっきりした決をつけるというような格好でやつてもらえば、相当できるのではないか、そういうような感じを持っております。
  149. 横山利秋

    ○横山委員 それはわかりました。ただはっきりしないことは、あなたは、民営にするか、国営にするかを委員会にかけて検討してもらうということに、根本的に間違いがある。実にこれは重大な政策ですから、民営にするにはいかがいたしたらよろしいか、これがあなたの諮問でなければならぬ。現状において改善すべき要素いかん、これがあなたの諮問事項でなければならぬ。どちらがいいかなんといっても、諮問委員会では、そんなことは腹はきまるはずがない。そこで、あなたはやるやると言っておるが、どちらかに割り切つて、専売公社をどうするのだという根本的な考え方があなたになくして、何でもいいから検討してちようだいということではだめだ。
  150. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 現状のままにおいて改善すべき事項いかんなんということなら何でもない。これはしよつちゆうやつておられる。それじや、今言う問題が解決しないではないですか。専売公社というものの性格から見て、民営がいいという人もあり、やはり公社制度がいいとか、あるいはまた一歩進んで、昔の専売局がいいという人があるのです。ですから、これはやはり多くの人の意見を聞く必要がある。その委員の選び方を注意する必要はあるでしよう。いつもまとまらぬということでは、ほんとうにそういうことを考えるような——必ずしも人数を多くを望まぬでも、ほんとうにやりたい。そうして、やはり一応そういう形で決がつくならつけないと、いつまでたつても議論になって進みません。結局現状で一番改善すべきところいかんということで、現状をよくしていくということに結局落ちつく。
  151. 横山利秋

    ○横山委員 結局は、現状を改善すべしというところに落ちつくのですか。
  152. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いえ、私の申すようにしないとです。
  153. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、逆説的にお伺いしますが、現状を維持する、現状を改善するためにはどうしたらよろしいかというくらいなら、いつもやつておる専門委員会を置く必要はない。そうすると、逆説的にいって、民営にするにはどうしたらいいかということの諮問事項にするという意味ですか。
  154. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 民営にするのがいいのか悪いのか、民営を可とするかどうかを諮問するということです、やれば。
  155. 横山利秋

    ○横山委員 それでいいのだ、あなたの答弁としては。そういう腹をきめたやり方でないと、諮問委員会というのは、何ぼやつても同じだ、これが、私があなたに第一に指摘したいところです。ただ第二点として言い得られることは、専売事業が民営に適するものであるかどうかというところです。これは、私に今追い込まれた格好になって、大臣はどちらを選ぶかというたら、そういうふうにおっしゃったけれども、これは、どうも大臣、少し私は軽率な気がするわけです。専売公社と大臣とそばに並べておいて聞くのは、やぼつたい話ですけれども、ここまで根本的な問題でありますから、専売公社に御研究を願つておると思うけれども、民営ではいけないという点、現状ではいけないという点、両者にわたって個条的に一つ言うて下さい。
  156. 石田吉夫

    ○石田説明員 われわれ直接専売公社の仕事に携わつておるものとして考えられる点を幾つか申し上げますと、民営にするかという場合に、まず第一に考えなければならないのは、現在よりもっと財政収入がふえるであろうかどうかという点が一つございます。それからもう一つ大きな問題は、葉タバコの生産関係、これが耕作者方面で、現在は、とにかく私どもの方で許可をいたしました葉タバコは、全部私の方で買つておりますが、そういう同じような制度を続けることができるかどうか、あるいは、そうでないとすれば、そういう日本の国内で生産される葉タバコを、どういうふうに処理するか、あるいは、現在はとにかくそういうふうに手持ちの葉タバコ全部を使つていろいろ製造しているわけでございますが、そういう場合に、かりに民営として考えた場合には、ある会社が、そのタバコは要らないというふうなことを言われた場合にどうするかというふうな、そういう観点の問題もございます。それからもう一つは、事業全体を専売公社がやつておりますために、取締りの面において非常に便利な点がございまして、ごく少数の人間で取締りをやつておりますが、かなり効果を上げていると思っております。これが民営になりました場合に、その取締りの効果というものはどういうふうになるだろうか、結局は、財政収入とつながる問題でございますけれども、そういう点でなかなか問題がございまして、私どもにも、どつちがいいというふうな結論が、前提がいろいろ変りますと、また数字の問題もいろいろございますので、なかなか結論が出にくいのであります。そういう点で、非常に困難な問題があろうかと思っております。  それからもう一つの問題の方の、現状よりもっとよくするにはどうしたらいいかというふうな点でございますが、これは、制度といたしましては、予算制度は一般の官庁と違いまして、かなり弾力性もあり、それからいろいろな科目の流用もできるというふうなことで、ゆとりのある予算制度になっておりますが、何といたしましても、一つの事業として考えました場合には、どういたしましても官庁的な予算のワクといいますか、予算の組み方といいますか、そういう点に、実際の民間企業なんかと比べますと、かなり不自由な点もございますので、そういう点がもう少し楽にといいますか、もっと企業的な運営がやりよくなれば、現在よりもっとやりやすく、それから効果も業績も上ってくるのじゃないかというふうに考えております。
  157. 横山利秋

    ○横山委員 その点は、大いに議論の余地のあるところでございますけれども、時間がございませんから、大臣確認したい点一、二だけにとどめます。この答申は、その前段として、本審議会は公共企業体という制度は、これを維持することは認めるが、その組織及び運営については、この際抜本的に民間的センスに切りかえ、その企業性と自主性を強化し、もつぱら能率的進歩的運営をはかるとともに、企業経営の責任を確立するため、次に掲げる措置を講ずべきものであると考える。そうして第一が、先ほどちょっとお触れになつた公共企業体管理委員会の設置をきめる。そのほか国鉄、電通、専売等についての具体的な議論をしておるわけです。大前提として、この前文にあります、公共企業体という制度を維持することを認めるということ、第二前提として、公共企業体管理委員会を設置すること、及びそのほか予算及び決算制度、監督、運賃、料金、給与等の勤務条件、役員の任免、執行機関等、政府に勧告されておりますことを、大蔵大臣として、大蔵省関係の問題をも含めて、結論が出ておりますか、また結論が出ておらなければ、今ごらんになつた点として御了解をなされ、賛成でありますかどうか、賛成であるならば、さしあたり管理委員会を設置をするという法案を御提出になるのかどうか、それをお伺いします。
  158. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは大へん重大な問題でありますので、関係当局と十分検討の上でお答えをしたいと思います。
  159. 横山利秋

    ○横山委員 この答申が出たのが十二月二十五日です。それで、この答申を大臣がごらんになつたのは、どうも初めてらしい。こういうところに、今日までの公共企業体に関する答申が全くなおざりにされておることは、明らかであります。繰り返して申しますけれども、何ぼこの答申や審議会を作つても無意味であります。それでもって、答申の中の現われる公共企業体に関する責任に関る部面だけが強調されて、政府は何らこれを実行しないというのが、今日までの通例であります。私は、公共企業体の今の管理委員会それ自体については、大臣所管だとは必ずしも思いません。しかし、事専売公社に関する主管大臣として、今日のような御答弁をなさるということは、まことに不見識きわまることだと私は思います。従って、この審議会に関する答申をどういうふうに政府は措置をするのか、あらためて文書をもって本委員会へ提出をお願いしたい。  第二番目に、同じく専売公社の問題で、今日重要な問題は塩の問題であります。本委員会は、先年来専売公社の扱つております塩についていろいろ議論を重ねて参りました。当時一年前、二年前には、流下式の塩田に改良するために、農林中金その他から莫大な金がつき込まれて、塩の生産に乗り出したわけであります。一年もたたないうちに需給調整をやる、流下式はもう古い、そうして新しい近代式製塩が発明され、今じや何とかしてこの塩を少くしようと思っておるそうであります。その間の事情は、一体どういうものであるか、これも簡明に専売公社から承知をいたしたい。
  160. 石田吉夫

    ○石田説明員 ただいま流下式が古いというお話がございましたが、別にそういうふうな考え方ではございませんので、御承知のように、内地でできます塩は、コストが非常に高い。ところが、塩の需要は、工業用塩として相当多量のものが需要されるわけですから、現在工業用塩として使われておりますのは、全部輸入塩でございまして、そのコストが非常に安いわけでございます。従いまして、国内でできます塩が安くできれば、工業用塩に何も輸入した塩を回さなくても使えるというのが、塩の問題の筋でございます。公社が当初予想しましたより技術の進歩が早かったものでありますから、国内塩は、国内の一般の食料用の需要を満たして余りある程度にできる見込みになって参りましたので、何とかしてコストを下げて工業用塩に回すことと、それから非常に能率の悪い塩田がございますので、そういうところを整備をいたしまして、塩の需給の関係が合うようにいたしたい、こういうのが現在の塩の当面している問題でございます。
  161. 横山利秋

    ○横山委員 今あなたのお話を聞きましても、塩に関する計画というものは、年々歳々時期おくれという感じがいたします。ある時にはたくさんの生産をしなければいかぬというわけで、国家資金を投入していって、少したつたら、もうその計画が時期おくれで、今度は需給調整だというようなことでは、どう考えても、専売公社に一任をしていくわけにはいかないのじゃないかという感じがするわけです。私は社会党の大蔵部会のみんなが一致した考え方として、塩に関する問題をもう一度総合的に検討するために、これは大蔵大臣大蔵省において一つ検討すべきことではないか、そのために必要な機関を作るべき段階ではなかろうか、これからも、まだ相当の国家資金なりいろいろなものを投入をして、製塩事業の改善をしなければならぬのでありますが、その製法といえども、日進月歩、驚くべき進歩でありますから、今までの計画から、一応新たなる見解に立ってやる必要がありはしないか。今副総裁のおっしゃる需給調整するにしましても、今の専売公社では、先般本委員会で問題になりましたように、整備いたされます塩田についての補償の措置が、どうもあまりにも乏しいようであります。これを実行するためにはどうしても政府で、総合的に新しい角度から製塩事業を検討する必要がありはしないか、こういうことが痛感されるわけであります。この点について、専売公社としてはどういうふうに今後の計画をお持ちなのか、まず伺いたいと思います。
  162. 石田吉夫

    ○石田説明員 ただいまお話しの中に、塩が余つたり、足らなかったりというお話がございましたが、実は、塩の専売を始めてから最近まで、この歴史の中で、常にいかにして塩を増産するかということが従来の大問題でございまして、塩専売初まつて以来、このことばかりを専売公社は考えてきたわけです。それが、約五十年目に、ようやく見込み以上のものができるようになつたというのが実情でございまして、そういう点から言いますと、専売公社が塩のことは一番よく知っており、また技術面でも、いろいろな研究を続けております。そういうことで、専売あるいは塩業関係以外の方々に参加していただいて、そのお知恵を拝借するということは非常にけつこうでありますけれども、やはり塩のことについては、現在のところ専売公社が一番よく知っているというふうな見方からしますと、かりにそういういろいろなことを考えるにいたしましても、外部の方の御参加を願うにしても、専売公社の中にそういう機関を置かれるということが適切ではないかと考えております。
  163. 横山利秋

    ○横山委員 専売公社が中心になることはわかる。わかるけれども、政府として考えるべき段階ではないか。だから、質問の矢面が少し違つたかもしれませんが、大臣、今私と副総裁の話を聞いておられて、どうお考えになつたか、それを承わりたいのです。私と副総裁と、若干ニュアンスの相違はありますけれども、製塩事業が非常に発達して、投入した資金は今だったらこういう方向に使うべきだったということが一方にある。従って、この際長期の構想に立って、製塩事業の今後について政府は考えるべきではないか、そのために必要な機関が置かるべきではないか、こういう見解を持っておるのです。いかにお考えになりますか。
  164. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 政府としても、十分検討を加えてよいと思いますが、それには、今後どういう点を問題にしていくべきか、そういう点を明らかにして、具体的に、たとえば委員会でも作つて考えていくかどうかということをきめてみたいと思います。
  165. 横山利秋

    ○横山委員 大臣はどうも公社の問題について、今まであまり関心がないようでありますから、先ほど答申についての政府のなすべき措置を、文書によって出していただくことにいたしましたが、その際、塩の問題について、一ぺんよく公社の実情大臣が承知されんことを望みます。  次は、主計局長にお伺いします。大臣、ぜひ聞いておつて下さい、もう少しですから。今年の専売公社の予算を見ますと、非常に奇怪なことがあるわけです。それは、職員計画というところがございますが、三十三年度は、職員計画で三万九千八百一人になっております。ところが、職員の給与の項を見ますと、三万八千二十六人で組んであるわけです。明らかにここで千七百人内外——職員計画、業務の計画としては、三万九千八百一人であるにかかわらず、給与では三万八千二十六人でしか組んでないわけです。私は、去年の仲裁裁定のときに、この問題については十分議論をいたしましたから、政府の考え方がわかつておるのでありますが、これは、あまりにも国会をばかにした数字の置き方ではないか、こういう気がするわけです。もしも百歩譲つて、給与を三万八千二十六人で組むならば、職員計画をなぜその通りの数字にしないか。去年の予算は、多い方の三万九千八百一人で組んで、仲裁裁定で問題になって、補正予算のときに、昇給分は減員しかいかぬというので、三万八千二十六人という数字が使われた。今の予算が、職員計画だけは去年の専売公社の定員と同じように置いておいて、給与は三万八千二十六人で置くというやり方は解せない、大蔵省としてあまりにもばかにしたやり方ではないか。実際職員が三万九千八百一人いるものならば、どうして去年通りの予算を置かないかということです。
  166. 石原周夫

    ○石原政府委員 横山委員もよく御承知でいらつしやいますように、昨年の仲裁裁定の場合におきまして、欠員の問題を洗いまして、現実の給与と人員との関係を検討いたしたわけであります。専売公社におきます職員計画というものは、一種の定員のワクのような考え方で計算してあるのでありますから、昨年の三万九千八百一人に対しまして、本年度も、計画ではそのワクに変更がないということをうたつてあるのが職員の数字であります。また予算の方におきましては、昨年の仲裁裁定以来のいきさつによって、現実の人員と現実の給与ということが問題になりますので、それで予算の計算をしておる。従いまして、予算の方の金額におきましては、今も申し上げましたように、三万八千二十六人という数字をベース計算として積算を出している、こういうわけであります。従いまして、両者が食い違うというよりは、職員計画の方におきましては、人員の一つのワクを示しておるのだというふうに御承知を願いたいと思います。
  167. 横山利秋

    ○横山委員 人員のワクとは、それではいかなる性格のものですか。二万九千八百一人要るということか、それとも三万九千八百一人までは使つてよろしいというのか、そのいずれかでございますが、いずれにしたところで、それだったら、専売公社はそれを実行するに必要な自主性がそこらにゆだねられていると見なければなりません。ところが、お金のワクだけは千七百人減つたところでやるということが、全く職員計画を無味乾燥な有名無実なものにしておるではありませんか、三万九千八百一人の性格の意味するものは何ですか。
  168. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど申し上げましたように、職員計画の数字は定員の一つのワクでございまするから、予算の積算に比べまして、たとえば新陳代謝というのがございまして、現実の実行単価が下るというようなことに相なりますれば、その場合におきましては人員が三万八千という数字には必ずしも縛られないということが、理屈の上で出て参るわけでありまして、そういうようなところに両者の食い違いがあるわけでございます。
  169. 横山利秋

    ○横山委員 去年とことしとえらい話が違いますね。現実の実行単価が上つたり下がつたりしてもいいというような意見。去年はそうだから、それはやみ給与だといって、あなた方は言うたではありませんか。そうして、やみ給与を征伐していって、そうして予算を三万八千二十六人分しか去年は組まなかったのじやありませんか。去年はやみ給与だといって、ことしは実行単価が上ってもいいということは何事ですか。
  170. 石原周夫

    ○石原政府委員 御承知のように、仲裁裁定のときには従来のあるべき姿に比べまして、現実の給与が違つておるということが問題になつたわけであります。それがいわゆるやみ給与。ところが、今日私が申し上げておりますことは現実に新陳代謝がございますると、そうするとベースが下るということがあるわけでございます。そういたしますれば、給与予算の額の範囲内におきまして、三万八千円という積算上の数字をこえることがあり得るんだということを申し上げているわけでありまして、再びまたこのワクの範囲内で、いわゆるやみ給与のようなことをやつてもよろしいとうことを申し上げているわけではございません。
  171. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの言いうあるべき給与というのは、どういうことですか。
  172. 石原周夫

    ○石原政府委員 これは、昨年の仲裁裁定のときに、補正予算の機会にお勇まして十分御説明申し上げたと思いまするけれども、前の給与改訂をいたしましたとき以来、月々の計算をいたしまして、こういう数字に持っていくべきだという数字がございまして、その数字と現実の給与との差が、いわゆるやみ給与ということで昨年問題になつた次第であります。
  173. 横山利秋

    ○横山委員 まことにあのときの結論というものは、あなたはまだ理解しないですね。最初のときの感覚を、そのまま持ちこたえられていることに驚き入るほかはないのです。あなたは、今やみ給与と何べんも言いましたが、政府の統一した見解として、やみ給与というものはなかった、これは、政府の統一した、労働大臣並びに大蔵大臣見解でありました。それにもかかわらず、実際担当者のあなたがやみ給与だと言われる。それからあるべき給与とは何だという質、問に対して、あなたは当時のその前のときの給与、仲裁裁定なら仲裁裁定の給与から、それから上つた分がやみだとおっしゃる。上つた分は、何によってできたか御存じですか。協約協定によって成立をした給与なんです。協約協定によって労働者の賛金はきまるのです。それ以外の何ものでもないのです。協約協定によって上がつた賃金を、あなた方が貨任を問うて、結局は、それは公社が悪い、そういうところへ持っていって、労働者には責任はないとなりました。しかし、公社も、協定協約に応ずべき当事者、適格者であります。当事者たる資格を持っている。政府部内における連絡がよかったか悪かったかは、それは別でありますけれども、法律的に、合法的に成立した賃金なんです。しからば、あなたがもう一つの基準とするこの予算の単価となるものは一体何であるか。これは法律上いかなる性格を持つものであるか。これは一つの基準であつて、あとは実行上は公社にまかしてある、ゆだねられているべき性格のものじやありませんか。いずれが正しいものであるか。片一方は、法律によってでき上つた賃金である片一方は、大蔵省が予算を組むときに、大蔵省と専売公社とが話し合いで、まあこの辺で予算の聴礎にしようといっただけであつて、天下に通るべき数字でありません。それを、今なおあなたが、この予算単価を基礎にして賃金を議論されては、驚き入るのほかは私はないのです。いかがです。
  174. 石原周夫

    ○石原政府委員 やみ給与という言葉は非常に語感の悪い言葉でございまして、前国会以来、そういうような言葉を避けて御説明を申し上げたと存じます。ただ、今横山委員から、そういうお言葉でございましたので、便宜非常にわかりいい言葉でございますので、そういうような言葉を使つたわけであります。現実には今横山委員御指摘のように、あるべき給与というものは予算ベースで見るものでございますから、従いまして、予算ベースと実行べースがどれだけ違つているかということを検討いたしまして、それがいわゆる予算べースと実行ベースの差額ということに相なっております。従いまして、今私が申し上げておりますのは、その際に、仲裁裁定の基礎といたしましたところのべース、それと現実の数字との食い違いというものがございまするから、今申し上げておりますのは、職員出計画の方は一つの定数のワクを申し上げ、それに対しまして、給与の実額の方は今申しましたような計算に基づきました給与の額を出している。従いまして、そこのところに、若干その人数におきまする差が出て参るといへことを申し上げているのであります。
  175. 横山利秋

    ○横山委員 三万九千八百一人というのは、専売公社に必要な人員として、予算害の中に職員計画として出してある。ところがあなたの方は三万八千二十六人で賃金を盛つてある。しからば、三万九千八百一人というものは使えないではないか。この差額というものはどういうものなのか。現実に三万八千二十六人分しか金が見積つてないにかかわらず、職員計画の方は、体裁がよく三万九千八百一人にしておく理由、積極的な理由がどこにあるか、これが明確になりません。
  176. 石原周夫

    ○石原政府委員 御承知のように、専売公社におきましても、年々相当な新陳代謝が行われるわけであります。従いまして、新陳代謝が行われますると、相当平均給与において下るわけであります。従いまして、今の積算をいたしておりまする金額に対しまして現実の給与が下りますれば、人員の三万八千というところの積算が限度になりませんで、今申し上げている職員計画が一つの限度になるということを申し上げているわけであります。
  177. 横山利秋

    ○横山委員 それでは職員部長にお伺いします。この差額は千七百人です。若干その数字上の相違が現われるかもしれませんが、今主計局区長が言うように、この差額分が、新陳代謝によって給与が下つてその人がふえる“ふえて二万九千八百一人になる、そういう可能性というものは本年度に一体あるのか。あなたの方の御意見をお伺いします。
  178. 三枝正勝

    ○三枝説明員 最後の三万九千幾らという数字をもう一ぺん——その御質問は、それでいいのですか、お確めしたいんですが、三万八千二十六人じゃないかと思うのですが……
  179. 横山利秋

    ○横山委員 三万八千二十六人でやつてある。それが、新陳代謝で給与が下つて人がふえると、こうおっしゃる、主計局長は、だから、人がふえたときに、三万九千八百一人分までいく場合があり得る、こういう観点のようなんです、主計局長は。だから、私は、そういう新陳代謝で人がふえて、給与の単価か減る、そうして人がふえた分が三万九千八百一人まで到達する可能性というものは、本年度に一体あるのかということを聞いている。
  180. 三枝正勝

    ○三枝説明員 新陳代謝によってベースが下るということはありますが、公社といたしましては、別に現実の人員計画を立てております。その人員計画において、今おっしゃったような千七百人もの人員が動くということはありません。
  181. 横山利秋

    ○横山委員 そうなりますと、これは全く主計局長、荒唐無稽というか、有名無実の数字じやありませんか。あなたが三万九千八百一人を職員計画の中に盛つていくという理由がどこにも見受けられない。この三万九千八百一人とここに書いてある積極的な理由がどこにあるのかわかりません。
  182. 石原周夫

    ○石原政府委員 職員の計画が昨年も出ておりますし、本年も三万九千という同一の数字で出ているわけであります。これは、先刻来申し上げておりますように、予算のベースと実行のベースの食い違いのために仲裁裁定という問題が起つたわけでございまするが、そこで、一応今出て参っております実行の金額を基礎といたしました、いわゆる三万八千という積算数字の方がございます。それに対しまして、今三万九千という数字を残しておりますのは、今申し上げたような現実の新陳代謝の結果どの程度の余裕が出るかということは、そのときどきのいろいろな見込みがございますので、必ずしも一ぺんにこの数字までいく可能性があるということを私申し上げたわけではございませんけれども、そこに一つの天井があるのだということの意味で、昨年もあり本年もあるのだということに御了解を願いたい。
  183. 横山利秋

    ○横山委員 大臣、こまかい問題でありますが、今お聞きの通りです。主計局長お話は、まるつきり当を得ない。要するに私はこういうふうに理解するのです。昨年の仲裁裁定の経緯を追つてきて、大蔵省としては、この給与をなるべく圧縮したい、圧縮するけれども、職員計画の定員を減らすということはどうも格好がつかぬ、どこかでものを言われそうな気がするというわけで、職員計画だけは三万九千八百一人にしておいて、給与の方だけは、去年の仲裁裁定の理屈にならぬ理屈をここで無理に当てはめておる、こういう気がするわけです。もしそうでないというなら、何べんでも私は議論をいたしますが、この予算の人員と予算単価とは、まことに荒唐無稽なものだと思います。もしそうでなくして、あくまで強弁して、三万九千八百一人に積極的な理由があるとするならば、これは、この予算の方の人員を直さなければなりません。こういう点にも、専売公社に対するあなたの方の理解というものがなさ過ぎる、ほうつたらかしにし過ぎておる。悪いときには常に議論がある。これは、公共企業体は全般的に私は同じような気がするわけです。せめてこのくらいのことは、あなたの方としては、善意と好意を持って見てやらなければなりませんよ。車箱のすみつこを突つつくようにして、だれが見てもおかしなことをやるよりも、このくらいのことはきちんと予算に見つくろつて、そしてつじつまをきちんと合わしておきなさいよ。そうでなければ、先ほどから専売公社の問題をいろいろ言うておるのですけれども、これでは、まるつきり働いておる人々が、専売公社にしても従業員にしても、こういうやり方をしたのでは納得がいきません。この点は、大臣が専売公社の諸問題について再検討をされることを私は強く望みたい。公社としてもそうです。公社としても、大蔵省は主管の省でありますから、遠慮もありましよう、あるいは従わなければならぬ場合もありますけれども、客観的に見て、こういうつじつまの合わぬことを承知してはなりませんよ。やはり筋道だけはきちんと立てていかなければなりません。どうしても大蔵省が三万八千二十六人だというのなら、大蔵省としても、なぜ職員計画をそこに合わしておかないのか。頭隠してしり隠さずというのは、こういうやり方であります。その点は、一つ専売公社としても、譲るべからざる点はきちんと筋を通して主張をなされなければならぬ、こう私は考えるのです。大臣は、このようなこまかい点については御存じもあるまいと思うが、公社の一連の問題に関連して、この際私は、強く大臣に御検討をお願いしておきたい。  大臣に関する問題はこれで終りまして、もう一つ、私は退職金の問題について国税庁に若干の時間質問いたしたいと思います。  時間がありませんから簡単に質問をいたします。先般本委員会で、敗戦後その企業からやめて、そうしてしばらくたつて再就職をした労働者の退職金について検討をお願いしておきました。私どもの主張するのは、敗戦前の勤続期間と再就職後の勤続期間とを通算してやつたならば、敗戦当時において投げ出された労働者の退職金の課税は、いかに恩恵を受けられるであろうか、まさにそれは、数十万の労働者の退職金問題に大きな福音を与えるものであろう、こういう観点で国税庁に一年間検討をお願いしておきました。承わるところによりますと、ここ数日前に、この改善措置がなされたそうでありますが、簡単にその要旨を説明して下さい。
  184. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 ただいま横山先生からおつしやいました問題の前提といたしまして申し上げますと、三十年でございましたか、通達を出しまして、特に官吏とか、あるいは満州に子会社を持っているというような会社につきまして——たとえばこれは戦前、またちようど戦争に関連して、満州なり外地にいろいろ出た事例が多かったわけでございますが、その際に、内地の職場をやめるときに何がしかのものをもらつて外地に勤めたとか、あるいは終戦になりまして、何がしかのものをもらつて、外地の職場を事実上放棄することになって内地に復職した、こういった場合に、現在の所得税法の考え方によりますと、退職所得を受けたならば、勤続年数は通算しないという考え方を原則的にはとつておるのでございます。ただ、終戦のどさくさに応じまして、あるいは内地から外地に行く、あるいは外地から内地に帰るというような場合には、必ずしも正規の退職金の支給規定とかいうものでなしに、いろいろ給付を受けた。しかし給付を受けたら、一種の退職金のようなものではないか、従って勤続年数は通算できないのではないかというような幸え方があるいはとれるのでございますが、ただ、太平洋戦争前後のああいった特殊の事情を加味するならば、退職所得の基礎になります勘続年数の算定をそのために打ち切るというのは、いかにもひどいではないかということで、それらを通算する通達を出しましたことは、横山先生御存じの通りでございます。なお、その際に、実は問題が残つてつたのでございます。それは、ただいまちようど横山先生が御指摘になりましたように、特にこれは軍需会社について事例が多いのでございますが、戦争に応じまして、従来から雇つております者のほかに、臨時工というような形で相当の人員をかかえておつたわけでありますが、終戦に際して、企業の合理化というような見地から一斉に解雇いたしまして、それから従来古くからおりました者は再雇用するというような問題を一体どうするか、しかも、その際に、ある程度退職金に近いものを払つているところもございますし、また一応正規の退職金給与規定に基いて支払われたものもある、しかし当時の規定でございますので、非常に微少なものしか支給されておらなかった、これが当時、先ほど申し上げました三十年の通達を出します際に、一体これも問題ではないかということになつたのでありますが、しかしながら、一応退職給与規定に基いて支払つておるので、これもまたすつぱり割り切るのはどうであろうかということで、実はその際の問題としては見送りまして、今日に至つたわけであります。けれども、先ほどの三十年の通達のような状況、あのように割り切りますならば、軍需会社が一斉に解雇して、一部の従来から勤めている者を再雇用して、しかも会社の退職金の規定の中でも、戦前の勤続年数も通算するというような規定が入っているような一措置をとつておりますならば、これら一  をやはり通算してもいいのではなかろうか。ただ、税法の基本的な考え方が別にございますので、あくまでもこの問題は、終戦直後の今申し上げましたような、軍需会社が一斉に解雇して一部の者を翌日再雇用するという特殊な問題に限定して、このような取扱いをすべきではないか。従って、基本的な税法の考え方の範囲内で、先ほど申したような程度であるならば、許されるのではなかろうかということで、今年の二月十一日に、さような処置をとるような通達を出したわけであります。
  185. 横山利秋

    ○横山委員 今のあなたのお話の中で、少しわからぬところがあるのですが、それでは一たん終戦後その会社をやめて、そうして新しくその会社に雇用された者については前とあととの期間を通算して税金はとらないというのですが、その間の期間はどのくらいまでを見ておるかということ。第二番目に、会社の規定で通算をすることになっておる者につきという条件が入っているようですが、これは労働協約が締結されておる場合には差しつかえないか、それから、今後会社の規定なり労働協約が新しくそのように締結された場合も差しつかえないか。その次に、会社の通算規定の中で、前の期間を多少圧縮している場合においてはその期間はどういうふうに税法上見られるか等についてお伺いをいたします。
  186. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 あるいは一部漏らすかと思いますが、また御指摘願つて、御説明申し上げたいと思います。  まず第一の、一たん一斉にやめさせまして、直ちにまた採用した場合に限るかどうか、あるいはその間に何年かの期間を置いたときに、それは相当やかましく切るのかどうかという点が御質問の第一点だったかと思います。この点につきましては必ずしも翌日採用でなければならないというほど厳格なものではないと思いますが、さりとて、われわれとしては終戦時のああいった特殊の事情に注目しました考え方をとつておりますものですから、十年なり相当の期間を経ましてその会社に採用になつたという場合はもうすでに特殊な条件からはずれておるものというふうに考えるべきではないか、こう考えております。一応この通達の考え方は終戦後二年以内というふうに考えております。これは実は理屈の上と申しますよりも、今申し上げました事例が非常に数多く私の方にも照会がございます。それを拝見いたしますと、やはり一斉解雇、翌日採用というケースが多うございます。少くとも一年の間に大体その処理が済まされておるようでございます。しかしまあ無難な手を打ちまして、二年以内に再採用された場合にはよかろうではないかということで割り切つておるわけであります。  それから、あとで労働協約その他で改正があったら適用になるかどうかという点でございますが、その点につきましては御本人の実際の状況が、終戦直後一斉に解雇されて、短かい期間の間に再雇用されたという条件に実質的に当てはまり、ただ、たまたまその会社ではこういった場合に、その人たちを救う規定を設けておらなかつ。ところがいろいろ考えると、そういった人たちの便宜もはかるべきであろうということで、規定を改正しまして、そういう人たちにつきまして、戦前の勤続年数を加算しようという考え方をとりますならば、これは当然認めていい、こう考えております。  それから第三点は、戦前の勤続年数を一部、たとえば十年勤めておりましたら七年に区切つて、七年分を加算したいというような取り扱いをしていた場合に、勤続年数をどう見るかという御質問であったかと思います。勤続年数につきましては実際の年限によって判定するという基本的な考え方をとつておりますが、今回のこういった措置はしいて言えば、法律上は退職所得が支払われたならば、勤続年数に見ないというところを、特殊の状況に応じて見るという特別な措置を講じたものでありますものですから、会社の退職給与規定の中で、戦前の十年は今後の七年に相当するということで、七年というふうに打ち切りましたならば、やはりその七年ということを前提にして考えていっていいのではなかろうか。実はこの前の通達もそのような考え方に従っておりますので、今回もそのように扱つてよかろうではなかろうか、こう考えております。
  187. 横山利秋

    ○横山委員 退職所得は合算をして、最終的に確定申告を出すのでしたか。
  188. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 退職所得税につきましては、一応扶養家族申告書のように、いわゆる退職金を払うについては、一つの申告書を出すことになっております。この申告書を出した場合にはこれは御存じのように、退職所得は分離課税しておりまして、源泉徴収額表にてきつちり税金は幾らあるということがはじき出されております。そのはじき出された税金で源泉徴収されるということになっております。また先ほどのような申告書を出されないような場合には二〇%で源泉徴収する。このように二〇%の源泉徴収を受けたような場合にはその人については、翌年の三月三十一日に確定申告の義務がございまして、必ず確定申告書を提出して精算する、こういう建前になっております。
  189. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの方で御調査になつたと思うのですが、つかめなかったかもしれませんが、該当者はどのくらいおるか、これによって減税される分はどのくらいになるか、予想はつきませんか。
  190. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 実は具体的な数字ははっきりしておりませんが、ただ私の方で、たとえばこういう事態を何とか解決してもらいたいという会社名はある程度わかつております。しかしそういう方々について、もしも今やめられればこの恩典にあずかるという対象の人は多いと思うのですが、現実にはやはりやめないで、そのまま勤めておられますから、さしあたつては、特に取り上げて申し上げるような数字にはならないと思います。ただ具体的に適用を受けた個人としては、非常に有利になろうかと思います。
  191. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次会は明二十六日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時散会