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1958-04-10 第28回国会 衆議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 加藤 清二君       有馬 英治君    大倉 三郎君       菅  太郎君    櫻内 義雄君       佐々木秀世君    首藤 新八君       竹内 俊吉君    綱島 正興君       中垣 國男君    楢橋  渡君       福田 篤泰君    横井 太郎君       井手 以誠君    佐竹 新市君       田中 武夫君    田中 利勝君       多賀谷真稔君    帆足  計君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         通商産業事務         官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    稲益  繁君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月十日  委員川野芳滿君、田中彰治君、松岡松平君、伊  藤卯四郎君及び水谷長三郎辞任につき、その  補欠として綱島正興君、竹内俊吉君、楢橋渡君、  多賀谷真稔君及び井手以誠君議長指名で委  員に選任された。 同日  委員竹内俊吉君、綱島正興君及び楢橋渡辞任  につき、その補欠として田中彰治君、川野芳滿  君及び松岡松平君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 四月十日  水洗炭業に関する法律案楢橋渡君外二十六名  提出衆法第一九号)の審査を本委員会に付託  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)(参議院送付)  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第二  五号)(参議院送付)  計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する  法律案内閣提出第一二七号)(参議院送付)  水洗炭業に関する法律案楢橋渡君外二十六名  提出衆法第一九号)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず輸出保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)委員 今国会における、おそらく私の最後質問、つまり遺言のつもりで御質問いたしたいと存じます。従いまして、その声や全くよしでございまするので、答弁の方もそのおつもりで、この誠意にこたえて御答弁をお願いしたいと存じます。  まず、輸出保険法の一部を改正する法律案について、お尋ねしないと存じますが、さき委員会で私が要請いたしましたところの資料でございます。この法律案を審議するに当っては、どうしてもその資料を必要といたしますので、至急御提出方を願いたいのでございますが、これは一体どうなっておるのでございましょうか。
  4. 小平久雄

    小平委員長 出ておりますよ。
  5. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の手元へは来ておりません。  もう一度申し上げますと、戦後米国から輸入されました輸入映画の本数、割当外貨金額米国取得金額蓄積円の一覧とその合計、ここから上る収益の税収の金額徴税法、これだけお願いしておいたはずでございますが、抜けています。抜けている分につきましては、至急御提出をお願いいたします。  次に、同じくこれに関連いたしまして、さきに私は、繊維機械輸出振興について、当局にお願いしておいた件がございます。すなわち、国内繊維不況は、やがて機械メーカーにも及びました。この機械メーカーの状態を維持、発展させるために、いろいろな施 策が約束されているはずでございます。すなわち、繊維工業設備制限法を通過させるに当りまして、繊維機械内地の販売をスムーズにさせると同時に、輸出を振興させる件が、附帯決議与野党一致、決議されておりますが、その中に、特に今後は、後進国に対する繊維機械輸出振興について、特段の考慮を払い、努力をする、こういうことに相なっているはずでございます。ところで、先般インドとの間にクレジットが結ばれましたが、その中に当然繊維機械が入り得るだろう、こう予想しておりましたところ、繊維機械 及び車両は入っておりません。その理由とするところが、私にはわからない、のでございます。そこで大蔵省に、いかなる理由でその繊維機械延べ払い為替損失補償の恩典に浴していないのか、この点を特に承わりたいのでございます。御承知通りインドは、日本に数多くの種類の品物を求めておりますが、その中に繊維機械がございまして、紡機が大体六十万錘から八十万錘、織機は一万二、三千台でございます。すでにこのことは、繊維機械の代表が去年インドにわざわざ参りまして、調査の結果明らかになったところでございます。ところが、これを買うに当って、インドとしては、現金がない、急に払うことができない、そこで、ぜひ何らかの方途を講じてもらいたい、こういう要望があったはずでございます。それについて、業界からも、あるいはその業に携わる勤労者の仲間からも、それぞれの陳情が通産大臣大蔵大臣にあったはずでございます。ところで、その結果は、半年の余たちましても、なお芳ばしい結果でございません。一体、何がゆえに、このように繊維機械だけが取りこぼしにあわなければならないのか。政府は、あげて繊維不況対策をとると言うております。繊維不況対策は、やがて貿易にまで及ぼうとしております今日、何がゆえに繊維機械だけがまま子扱いにされているのか、この点を、まず大蔵省から、はっきりと承わりたいのでございます。
  6. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ちょっと私の方でかわって答えさせていただきます。実は、円クレジット交渉が始まります以前に、御指摘のように、たびたび調査団が行かれ、交渉をされまして、ほぼまとまっておったのがこの繊維機械であります。従いまして、円クレジットの中に入れますよりは、いわゆる通常ベースによる延べ払いでやる方がよかろうということで、先方側も、大体そういう考え方でありましたので、円クレジットの外におきまして、通常ベースで認めることになったのであります。大体、条件につきましても、先方日本側とでも意見が一致し、政府部内でいろいろ相談いたしました結果、大体了承できるということになって進んでおるのであります。
  7. 加藤清二

    加藤(清)委員 異なことを聞くものでございます。特に大蔵省からこの件について……。
  8. 稲益繁

    稲益説明員 ただいま通商局長からお答えがありましたことと、私ども考えも同じでありますが、実は先般円クレジット交渉が始まります際に、その以前からいろいろ延べ払い輸出の話が何件かあったわけであります。この繊維機械につきましても、その一つであります。円クレにつきましては、インド側としては、いろいろこの中に、はめ込みたいと申しますか、円クレ日本から物を買いたいというものが、予定としてたくさんあるわけであります。そういたしますと、それ以外で、従来から話があるもので延べ払いで買うことができるようなものは、その方式で続けていきたいというのが、向う希望であったように、私は承知しておるわけてあります。従いまして、繊維機械については、延べ払い方式で話をまとめようということで、実は話がまとまった。ただ、現在それが最終段階には参っておりますが、動いておりません点は、保証の問題であります。先方ではSTCという、いわば公団みたいなものでありますが、その保証延べ払い買付をしたいという希望であったのであります。これは日本におきましては、輸出入銀行初め、それだけの保証では困るということで、インド国立銀行保証か、またはSTC保証政府保証をさらにつけてもらう、連帯保証にしてもらうということで、先方から参っておりましたラル次官補も、その旨を了承してインドに帰って、今、先方での国内の手続を進めている、これが近く動き出す、という段階にあるわけであります。さよう御了承願います。
  9. 加藤清二

    加藤(清)委員 口を合せてうそを言っていらっしゃるのですが、そんなことで私が引き下るなどと思われたら、とんでもない大間違いです。しからば、まるで円クレに入れない、為替損失補償はしない、こういう精神が、まるでラル言い分のようにおっしゃっていらっしゃるけれども、それは、何を隠しましょう、大蔵省意見なのです。それで、あなたが、なおかつそういうことをおっしゃるならば、お尋ねしますが、ラル最初にそういう申し入れをしたのですか。ラル石田会長との会談の内容を、ここへ発表していただきたい。これはいずれ繊維審議会で出る問題でございますから、ここでうそ言ったって、出ますよ。
  10. 稲益繁

    稲益説明員 ただいま御説明いたしました点は、円クレ繊維機械が入らなかった、という事情を申し上げたわけでありますが、お尋ねの点が、円クレに入らなくても、通常延べ払いとしてポンド建でやった場合には、例の設備等輸出為替損失補償法にかかるという問題があるわけであります。この問題になりますれば、私どもといたしましては、かねてこういう法律がございますが、本来であればこういう延べ払いにつきまして、もし為替リスクがあるという場合には、買手がそのリスクを負担するというのが、商売上の建前であるわけであります。そう申しましても、なかなか輸出競争がはげしいというような事情で、やむを得ず日本側でそういうものを負担してでも商談をまとめなければならぬという場合があるわけであります。そういう場合に備えて、設備等輸出為替損失補償法というものがあるわけでありますが、一応通産省並び大蔵省指導といたしましてはできるだけ一つ日本側——政府といい業者といい、日本側がそういう為替リスクをしょい込むということは、極力避けるように商談を運んでもらいたい。なおかつ、どうしてもやむを得ない場合に、日本側為替損失補償政府保証いたしましょう、こういう建前法律を運用いたしているわけであります。そういたしますと、そういう行政指導の間におきまして、いろいろ先方とやりとりがあるわけでありますが、お尋ねインド向け繊維機械の場合におきましては、先方でも、そういう事情であれば、わかった。——当初ドル建ということを申したのでありますが、ドル建は困るということでありまして、しからば、われわれの方といたしましては、輸出業者は円で一定の価格が保証されればいいというわけでございますので、円建で取引をしたいということで、話が円建円払いということでまとまった。そのまとまりましたのは、本年のたしか二月であったかと思うのでありますが、契約ができているような次第であります。
  11. 加藤清二

    加藤(清)委員 答弁は、先ほども申し上げましたように、私はきょうは遺言だと思ってやっているのですから、最後ですから私の質問に答えて下さい。  私の第一の質問は、繊維機械輸出が非常に難渋している。ところが、これは政府としては、さき繊維工業設備制限法の折に、附帯決議によって、輸出を振興いたします、その具体策を練ると、こう約束しているわけです。その約束に従って、一体繊維機械輸出振興に当って、どういうことをなさったか。やってくれないから、業界みずからがインドへ行った。それで、インド約束した結果は、現金がないので、ルピー勘定では困る、ドルポンドで行きたいのだが、せいぜい円まではしんぼういたしましょう、こういうことになっている。それも一時には払えないから、延べ払いにしてもらいたい、こういう約束をしてきている。約束というよりも、申し入れを聞いてきている。その後、政府に対して、再三再四、その要請をされたはずだ。ところが大蔵省としては、依然として円クレの中へは入れないのだ、繊維機械はそうしなくても売れるのだ、従ってこれは為替損失補償はしないのだ、こういう紋切り型の答弁。それではやむを得ないので、と言うて、石田会長がちらっと漏らされたことを、為替局長と課長とが寄ってたかって、あなたがそうおっしゃったからそれでいいのでしょうと、こういうことで追い込んできたはずだ。このことは、やがて繊維審議会において出る問題ですから、そのときは、辞表をふところに入れて出ますから、それで私は聞いている。うそを答えてもらっては困る。形式論を答えてもらっては困る。ほんとうの事実を聞いている。そこで、私は最初質問したように、なぜ円クレの中へ入れないのか、なぜ為替損失補償を、繊維機械に限ってはしないのか。輸出振興を特別にはかる、はかると言いながら、なぜしないのか、それが一点。  第二点は、そうしなくても繊維機械は売れていくと、こういうものであるならば、その売り先の国を教えてもらいたい。なぜかならば、繊維不況は、繊維労働者に対して帰休、首切りがきておると同じように、繊維機械の方は、より一そう多くの首切りがきておる。三千人の工場に対して、七百五十人程度は軒並みなのです。しかし首を切られるそのことよりも、やがて内地で行われなければならぬところの合成繊維の増産の場合に、このことは非常な悪影響がくるということなのです。どうしてくるかといえば、この機械は熟練を要する。特に科学の進んだ今日といえども、勘でいかなければならぬところがたくさんある。なぜかならば、これは鋳物であるからだ。これが一つ間違えば、形だけは同じものができても、そこから生ずる糸はネップが非常に多くなる、こういう憂いが十分にあるわけです。さればこそ、この工場では、急に養成することができないので、新制中学高等学校の卒業生を養成工として入れる。十年、十五年かかって、ようやく一人前の人間ができる。しかし、最も鋭敏な部門については、二十五年以上の熟練工でなければできない。そのことを、政府も知っておればこそ、住友金属あたりで十分できるピアノ線を、わざわざ輸入させて、あのスプリングのところを作らせておるという状況です。スピンドルあたりは、特別に特許庁まで応援して特許を許している、こういう状況なのだ。それが、次々と首を切っていかなければならないようなことに相なりますならば、新しく繊維機械を要望された場合に、輸出すればクレームが出たり、あるいは値引きをされなければならぬような機械しかできなくなるおそれが十分ここにあるわけだ。そこで、しばらくのつなぎとして、インドにそれを求めたわけですが、政府はこれに協力しないという結果が生じてきておるわけです。  そこで、私は、もう一度要点をしぼってお尋ねしますが、こういう状況にある繊維に対して、それをやりさえすれば命がつなげるというそ円クレを、為替損失補償を適用しないのか、こういうことを聞いておるのです。余分なことを言わぬでもいい。
  12. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先ほどお答えをした通りなのでありますが、円クレジットと申しましても、金額は無限でありませんで、わずか五千万ドル、これも三年間ということになっておるわけであります。従いまして、インド政府としても、外貨の少い際に、これを活用して、できるだけ自分のほしいものを買いたいという希望が、一方にあるわけでございます。それと同時に、繊維機械につきましては、五千万ドル円借款の話が、相当前から進んでおったわけであります。これは、支払い条件通常ースと言いますと、円クレジット条件と違いまして、たとえば、最初に二割払うとか、一割五分払うとか、それから期間も円クレジットほど長くない、あるいは五年とか六年とかということで話が進んでおったわけであります。従いまして、日本側の利益からいきましても、外貨の獲得ということからいえば、円クレジットよりも、通常ースでいった方が有利にもなるし、向う側も、五千万ドル円クレジットではこういうものを買いたい、従って、前から話の進んでいる繊維機械につきましては、通常ベースで買おうと、こういうことを申しておったために、われわれの立場としては、五千万ドルも大いに出したい、通常ベースでも大いに出したい。何も五千万ドルだけが、インドヘの延べ払いの全部じゃないわけであります。従って、輸出を多くするために、両方を活用するためには、普通のベースでいけるものまでも、円クレジットベースに追い込む必要はない。従いまして、向うもそう希望しており、こちらもその方が有利だということで、さように外でやる、こういうことになったわけであります。ただ、為替損失補償の問題は、先ほど稲益調査官から答弁をいたしましたように、若干の経緯はあるわけでありますが、これも程度の問題でありまして、どうしても向うが了承しない場合には、為替損失補償という問題も考えなければいかぬのでありますが、幸いにして、円建ということで向うが了承してくれたわけでありますので、それならば、リスク日本側は負担しなくてもいい、こういうことになったわけでありまして、決して繊維機械輸出について、力を入れていないということではないわけであります。われわれとしましては、できるだけ延べ払い条件を活用しまして、繊維機械のみならず、一般の輸出についても、伸びるように念願もし努力もしているわけであります。
  13. 加藤清二

    加藤(清)委員 やはり真相に触れることをおそれていらっしゃるようでございます。それでは、次に進みますが、大蔵省も、これについては、意見が再三変ったようでございます。私、じきじき為替局長に会って話をしましたときには、ごもっともであるから、でき得る限りあなたの希望に沿うようにいたしましょう、しかし、全部いれるというわけには参りませんので、ケースバイケースでいきましょう、ということを答えておられるのでございます。ところが、その後、ただいま調査官がおっしゃったように円建円払いにしていくのだ、これがSTCラル言い分である、こういう先ほどの御答弁でございました。しかも、そのようにしたのだ、こういうことでございます。  そこで、大臣お尋ねいたしますが、繊維機械輸出は、今各国で難渋をいたしております。たとえば、南米アルゼンチン輸出をいたしましたあの豊田の機械、これは、御承知通り内地が不振なので、やむなく、少々の無理を承知の上で輸出をしたのでございます。これはプラント輸出でございますが、工場の建設はうまくいきましたけれども、外交上の問題で、ついに失敗に帰した。すなわち、投資しただけで、権利はほとんど全部向うにとられてしまった、こういう結果に相なっております。またOKKがイラン、イラクに輸出いたしました機械、これも、御承知の、ただいまかかっております保険料率の問題で、失敗に帰したわけでございます。まあ結果からいけば、失敗といわざるを得ない。しかし、それに対する政府補償とか援助とかいうものは、ほとんど見るべきものがありません。かくのごとくにして、日本繊維機械は、海外市場において輸出競争に負けまして、難渋をいたしております。そうなりますと、結果は、内地制限々々できております。輸出はどこがよろしいかといっても、今お尋ねしても、局長級は、特別な措置をとらなくたって売れるのだ、こういうことをおっしゃるだけで、しからばどこの国に売れるかと尋ねたら、返事がない、お聞き及びの通りです。一体繊維機械は、つぶれてもいいというのか、それとも、大臣において、何か具体策があるのか。ありましたらお伺いしたい。
  14. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 繊維機械につきましては、先ほどインドの問題につきましても、何も、うそをついているわけでは決してありませんで、私は石田氏にもお目にかかりましたし、向うでのお話を聞きますと、その後の問題は、日本国内交渉するということであります。そう無理して今度の条件に持ってきたわけでもありません。またアルゼンチンの問題につきましても、ただいまのお話でなしに、何か向う条件の不履行とかそういうような問題があったように聞いておるのであります。もとより私は逃げているわけでも何でもありません。これも、率直に事実を事実として聞いていただきたいのであります。もとより、一方におきましては、輸出を伸ばしていかなければなりません。また一方においては、御承知のように、焦げつき債権を作ってはいかぬ、こういう問題もあり、極力国の負担にならぬような努力もしていかなければなりません。しかし、他の国との競争考えていかなければなりません。どうしてもそうでなければならぬという場合においては、現在あります補償の制度も活用し、延べ払いも極力考える、こういうことで、やはりケースバイケースに従っていかなければなりません。輸出を広げていかなければならぬということと、国家が損失なり焦げつきにならぬようにという要請、この二つをマッチさせながら、最大限度輸出振興ということをはかっていきたいと思います。私は、その他の個々ケースについては、詳細を聞いておりませんが、いつでも、お話があれば、御相談に応じておるつもりでありますし、今後においても、個々の場合につきましての御相談に十分乗って、輸出振興要請にこたえるという覚悟を持っておりますので、その点は、もし具体的な問題で御指摘がありましたら、それについての私の考えを申し上げたいと思います。
  15. 加藤清二

    加藤(清)委員 生ぬるい湯に入ったようなもので、満足のできない答弁ばかりでありますが、時間の関係上、次へ進みます。輸出保険法改正に当って、保険料率考えられたことがございますか。輸出保険法を利用している者の側から考えますと、どうも料率が高過ぎる。私企業で保険を営んでいる場合と比較しても、なお政府のみずからやっている輸出保険料率は、必ずしも安くない。こういう声が、保険加入者の間に満ち満ちておるわけでございますが、これに対して、大臣はどうお考えですか。
  16. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 輸出保険に関する料率につきましては、すでに輸出保険の改善、そうしてそれに対する料率を引き下げるという努力をいたして参りまして、この前にも輸出代金保険の料金でありましたか、十銭引き下げた。こういうことをして参り、今回も、今度の普通保険改正によりまして、直接引き受けに改めることによって、一割二分くらい料率が下ることになります。こういうことでぜひお願いしたい、かように考えているわけであります。もちろん、これは損失補償ではありません。保険でありますから、独立採算でいっていることは事実であります。しかし、その間において、政府が何ももうける必要は全然ありませんので、立っていくことであれば、そこまで引き下げるという態度で、従来から努力して参っているわけであります。料率が特に高い、あるいはまたこれを民営でおやりになったら、さらに安くなるというふうには考えておらぬわけであります。
  17. 加藤清二

    加藤(清)委員 輸出保険法の非難をするというか、批判をする人は、こんなものはまるで存在価値がない。こういうふうに極言する人もございます。どうしてかといえば、かりに私が輸出したとする。そこで、保険にかかろうとしてお願いしに行きますと、リスクの多いところは、かかろうとする希望者も多いわけです。そうなりますと、いつも、予算のワクがない、もう締め切りでございます、こういうことなんです。また危険の発生の見込みが多くなつた国が生ずると、受付は停止なんです。こうなると、困ったときの神頼みにならないのです。大臣、これは一体何がゆえにそうなっているのですか。
  18. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 御承知のように、輸出保険は逆選択になっているわけです。従ってこの前輸出保険限度をオーバーしたことがあります。それにつきましても、その限度臨時国会で引き上げを願いまして、その間つなぎに、あるいは多少停止というわけでもありませんが、ごしんぼう願ったようなことがあるかと思います。それから、ある時期におきまして、非常に危険が強くなりまして、というより、これがやはり投機的な要素に使われる場合があるのであります。従って、投機的なような場合におきましては、ある程度押えるということをいたしておりますが、しかし、確実なもの、たとえば信用状があるとか、ライセンスがとれているというようなものについては、もちろん停止も何もいたしておらぬのであります。ときに、ただいま申し上げましたように、投機的なことに使われ、逆に弊害が出るという場合には、そういう弊害のないようにという配慮はいたしておりますが、決してまじめな輸出の問題について、阻害するようなことをやることは、絶対にないのであります。その点については、御了承願いたいと思います。
  19. 加藤清二

    加藤(清)委員 ワクが少いから、私か申し上げましたような欠点が出ている、こういう話です。それから、投機的なこと、こう言ってお逃げになりましたが、投機的であるかないかは、政府がちゃんとよく御承知の上で、朝鮮に対しても、あるいはインドネシアに対しても、すでにちゃんと制限が行われているはずです。政府輸出の強化をしておき、それに対して輸出をしようとするときに、なおこの保険をかけようとして届出に行くと、今、私が申し上げましたように、この国は危険だから、もうだめだ、あるいは、リスクか多くて希望者が多かったから、もう予算のワクがないからだめだ、こういうふうに言われているわけです。それで、政府は、外国に対して輸出許可をした以上は、当然のことながら、この割出保険希望があれば、つけてしかるべきだと思いますが、そのために全部希望を入れるだけのワクがないというならば、ワクを拡大したらいいじゃないですか。とにかく、政府輸出なり輸入なり貿易の許可をしている国に対して、そこに貿易をしようとするものが、この保険にかかりたいというた場合に、もっと、より、かかりやすくし得る用意があるかないか。すなわち、ワクが少なければ、ワクを拡大する用意があるかないか。
  20. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 大臣にかわりましてお答えを申し上げます。実は、この保険契約の限度というものは、予算総則で毎年きめられるわけであります。しかしながら、このワクは非常にゆっくりときめてありまして、過去の例におきまして、一、二回限度一ぱいになり、補正予算でもってワクの増額を願ったことはありますが、そうワクがないがために、保険の受付をとめたということは、全然ありません。また特別のワクも、全然ございません。ただ、先ほど大臣からお答えになりましたように、ある国におきましての関税引き上げが、非常に切迫してきたという場合には、逆選択が起りますので、そういう場合には、一時事前協議というような制度でやり、また受付をとめたということもございますが、これも、できるだけ最小限度にとどめまして、善意の輸出業者に、そういった迷惑をかけるといったようなことは、全然いたしておらぬつもりであります。  それから、日本側輸出許可を受けたもの云々ということでありますが、もちろん許可制度下にあるものは、許可を受けないと、まず事態が確認されませんので、一応許可を受けることが一つ条件になりますが、許可を受けた以上、これを保険に受けないということも、全然いたしておりませんし、一たん政府が許可したものを、ある事情のために輸出停止をしたというふうな場合には、もしそれが保険がつけられておるものならば、全部保険金の支払いもいたしてきておるわけであります。先生、御指摘の点は、若干何か誤解ではなかろうかと私は思うのでありますが、具体的な事例がございましたら、お出し願いたいと思います。
  21. 加藤清二

    加藤(清)委員 何でも誤解で片づけようとしておる。そういう答えが出るだろうと思ったから、私は最初に、遺言だから、いい声で鳴くから、あなたの方もそれに答えてもらいたいと言うて、切り出したわけです。ワクが少くなる理由を、あなたたち、御存じでございましょうが、その前に、大臣お尋ねしたいのは、今、局長が言うた通りになっておるなら、こんなことを、私はここで言う必要はない。しかしここで答えられる局長の言葉と、実質に窓口でやっている具体的事実とは、大きな相違があるということに気づいてもらいたいのです。そこで、局長の言われたことか、ほんとうに事実であるとするならば、その事実を窓口に徹底させるようにしてもらいたい。親の心子知らずなのだ。親は議員の前で、議員の質問に対して、うまく切り抜けさえすれば、それで事は足りると思っていらっしゃるかもしれませんけれども、この問題は、具体的に生きて一年間動くのだから、そのつど、そのつど、その窓口においてそういうトラブルがあり、そのトラブルの結果は、うらみとなって、こんなものはあってもなくても同じことだ、必要ないじゃないか、こういう声になってくるわけです。大臣は、親心が窓口に近く徹底するような方策をとる用意がありますか、これだけははっきり御答弁願いたい。
  22. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 保険の性質から申しまして、当然ただいま通商局長お答えした通りであるべきであります。窓口にしましても、私はそういうふうにいっておると確信しておりますが、もしそういうことがなかったら、これは私のところにおいでになれば、いつでも解決し、当然そういうふうにやっていかねばならぬ、かように考えます。
  23. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣のところまで行けば、今の局長の言った通りにする、まことにその言たるやよしです。しかし、この命たるや、私と同列なんだ、あと一週間か十日の命です。そこで、この大臣遺言を守って、局長は代理を勤められる意思があるがないか。
  24. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先ほど私か申し上げましたのは、これはほんとうのことを申しておるのでありまして、保険のワクが少いからとめたという事例は、かつて全然ございません。これは、ここに関係の課長も、事務官も来ておりますから、そんなことがあるかと聞いてみましたが、全然ないということを言っておるのであります。その点は、一つ御了解願いたいと思います。ただ、関税引き上げ、あるいは最近におきましては、たとえば、エジプトにおきまして為替管理制度を急変したというふうなために、非常に思わくの契約の殺到があったというふうなことで、若干事態のおさまるまで、一部の契約の受付の停止をしたというようことは、もちろんあるわけであります。そういうことが、あるいは誤まって、何かワクがないからとめたのじゃないかというふうな誤解になっておるのじゃないかと思います。先ほど来由しておりますように実行をしておりますし、今後も実行していくことは、変りはございません。
  25. 加藤清二

    加藤(清)委員 ワクの問題で、もう一点だけお尋ねいたしますが、銀行にLCを依頼いたしますと、これをつけろと、こういうことです。ところが、その国は、輸出保険をつける必要のない国である。つまり、保険をかける必要のない相手国に対して、貿易をする場合に、銀行側は、貸付の条件としてこれを利用している、こういう向きがございます。そういうことをするものですから、安全地帯に、なお安全を祈ってこれをつける。従って、ほんとうに危険地帯の場合ですと、銀行までが手を引いてしまうということになりますと、この保険の使命というか、保険の目的がどこかへ喪失されてしまう。危険があればこそ、保険に加入しようとする。危険がなかったら、何も保険の存在は要らないはずです。銀行側では、この保険の必要のない国の貿易であっても、ぜひ保険にかかっていらっしゃい、そうすればLCを開設してあげましょうと言う。必ず貸し出しの条件にこれをくっつけてくる。そこでワクをみな食ってしまう。つけなくてもいいところでワクを食ってしまう。だから、ワクが足りなくなる。こういう結果が生じてきておりますが、大臣はこのことについては、あなたの古巣の仕事であり、ホーム・グラウンドのことですから、よく御存じのはずでございます。これについて大臣から……。
  26. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 やや為替の具体的な事務に関しますので、かわりましてお答えいたします。  実は、LCが参った場合に、銀行が保険をかけろというようなことは、これはないのではないかと思うのであります。ただ、先生のおっしゃっておる御趣旨は、少しわからないのでありますが、多分LCのこない場合、すなわちDP、DAの取引の場合におきまして、銀行がその輸出の金融をいたします場合に不安がある。そこで、銀行は手形保険にかけるわけでありますが、その保険料のチャージを輸出業者に負担させる、その問題をおっしゃっておるのではないかと思うのであります。しかしこれは、銀行が金融をいたします場合に、LCでない場合におきましては、取り立ての責任を負うわけでありますので、DP、DAの場合におきましては、安全のために、銀行が保険に入るのも当然でありますし、またその保険制度があればこそ、銀行としては輸出金融に応じてくれておるのであります。従ってDP、DAで輸出する、保険はかけちゃいかぬ、あるいは保険制度がないということになりますと、銀行としては、危なくて金融をできぬということになるのでありまして、われわれは、輸出金融を円滑にするために、そういうような手形保険制度というようなものをやっておるわけでありますので、それを一つ十分御了解願いたいと思います。どうも少し誤解をなさっておられるのじゃないかと思うのであります。
  27. 加藤清二

    加藤(清)委員 ゴカイじゃないのです、二階か三階程度なんです。あなた言葉を気をつけて下さいよ。  そうすると、この輸出保険というのは、輸出業者のためでなくて、金融業者の安全のためにこれがある、こういうことでございますか。
  28. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 御存じのように、輸出保険も、いろいろ種類がございます。従いまして、普通輸出保険ならば、あるいは代理保険というものならば、これは輸出業者保険をかけるわけでありますが、手形保険は、いわば、DP、DAの場合におきます銀行の金融を円滑ならしめるための保険であって、銀行が保険に入るわけであります。しかしながら、その利益は、輸出業者に及ぶわけでありまして、輸出金融ができなければ、輸出業者が困るのは当然であります。輸出振興のために、要するに、輸出業者のために、制度として銀行を相手とする保険になっているというだけのことであります。これは、いずれも受益者は、貿易業者ということになるわけであります。
  29. 加藤清二

    加藤(清)委員 全部お答えが公式論で、不満足でございます。委員長に聞きますが、何時までやられるつもりですか。
  30. 小平久雄

    小平委員長 一時に本会議の予定ですから、一時までけっこうです。
  31. 加藤清二

    加藤(清)委員 答弁はきわめて不満足でございますけれども、時間に制約がございますので、次に進みます。  優先外貨の割当状況、経過を承わりたい。その意味は、輸出振興が、目下の日本の命である、経済の命である。こういうことを、大臣は申し述べておりますけれども輸出奨励の意味でつけられておりました優先外貨が、だんだんと削減の傾向にあります。つまり、輸出意欲というものが逐年低下しつつある、こういうことでございます。私の考えでは、外貨割当が、輸出したものに割り当てられるのではなくて、輸入するものに割り当てられる、こちらにウェートが傾きつつある、こういう状況ですが、これは、為替帳じりが黒字であり余っている場合ならいざ知らず、足りないがゆえに、金融引き締め、その他その他で内需を引き締め、その結果、これに関係しない中小企業にまで悪影響を及ぼしている今日では、むしろ外貨輸出で稼いだ人、つまり輸出に貢献のあったものに与える、こういう基本線の方が正しいと思うわけでございますが、一体大臣としては、どのようにお考えでございましょうか。
  32. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 先優外貨につきましては、極力輸出を振興するという意味合いで、活用すべきだと思っております。ただ、御承知のように、これを広げるということにつきましては、諸外国、ことにIMF等におきまして、かなり強い反対の意向があるようであります。ただいまのところ、これを大きく拡張するというわけには参りません。しかし、これは後退させる考え一つもありませんので、極力その現状と思われる程度におきまして、その内容におきましては、極力充実していこうということで、やっておるのでありまして、それらのことにつきましては、今後におきましても、なお検討いたして、これをどうして充実していくかというふうにいろいろ考えて実行したい、こういう考えでございます。
  33. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に、為替貿易制度の簡素化について、お尋ねいたします。これは法律でなくして行政措置として大臣の権限で行われるようでございますが、この制度を近々のうちに変更される用意がございますか、ございませんか。
  34. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 為替制度の簡素化につきましては、従来から、非常に各方面から要望が強いのであります。いろいろ検討して参りましたが、結局、銀行で認証するという制度自体を廃止いたしませんと、大きな簡素化はできない。ところが、御承知のように、信用状主義といいますか、LCベースでやっておりましたものを、それを廃止しますと、過当競争が生まれないかという議論が、出て参っております。これはわれわれの真意を御了解願わぬ結果だと思っておるのであります。結局、われわれとしまして、LCベース信用状主義を廃止しようというわけではないのであります。ただ、銀行認証という行為自体を廃止しよう、そうして過当競争の面におきましては、自主的協定、あるいは場合によりましては、承認品目制度を活用いたしまして、その面はその面として是正していけばいいのではないか、こういう考えを持っております。従いまして、その趣旨なり、われわれのやらんとするところを十分御了解願えば、了解していただけると思っておるのでありますが、十分な御了解なしに、ぽんとやるということにつきましては、私としましては、この際とるべきでない、かように考えております。十分その点も周知し、納得してもらって、できるだけ早い機会にやりたい、こういうふうに考えております。
  35. 加藤清二

    加藤(清)委員 貿易為替管理制度の簡素化という名目によって、このたび改正をされようとしているところの要点及び時期を承わりたい。
  36. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいま大臣からお答えになりましたことを繰り返すようになりますが、まず第一が認証制度の廃止であります。その次が、一部LC原則の緩和であります。これにつきましては、いろいろ誤解か生じておるのでありますが、たとえば機械、金属、あるいは化学薬品等のごとく、国際競争におきまして、LCということをいっておったのでは、国際競争に負けるというようなものにつきましては、LC原則を見ていくべきではなかろうか。それから繊維あるいは雑貨のごときものにつきましては、過当競争の点も考えてLC制度を続けていくべきではないか。ただ、その方法といたしまして、決済規則というようなものでやりますか、あるいは輸出入取引法によりまして、業界の自主的な規制によってやるかは、今後業界とも十分相談をして、その方法論については研究して参りたい、こう思っております、次には、輸出承認品目の整理であります。御存じのように、現在のところ、輸出承認品目としまして、共産圏向けの戦略物資の輸出承認制度、それから需給の関係からくる輸出承認制度、それから、特に対米関係等に多いのでありますが、過当競争の防止あるいは現地における輸入制限に対する対策として、輸出調整をいたしております。その輸出調整をいたしております手段としての輸出承認制度、こう大きく分けて三つあろうかと思いますが、一番最後の、過当競争の防止のための輸出調整につきましては、今後ふえこそすれ、減らないかと思っておりますが、前二者につきましては、できるだけこの際再検討いたしまして、品目は縮小して参る、こういうふうに考えております。その他、決済通貨につきまして、いま少し範囲を拡充し、世界の現状に即すように決済通貨を拡大して参るというようなこと、そういう点が大体大綱であります。実施の時期につきましては、先ほど大臣から御説明がありましたように、業界にも十分説明をし、御了解を願った上で実施をしたい。まだ早急にというふうには考えておりません。
  37. 加藤清二

    加藤(清)委員 いつごろですか。
  38. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 まだ今のところ業界の準備態勢がどうなるかにもよるわけでありますが、まだしばらく一、二カ月、あるいは二、三カ月ではなかろうか、こういうふうに私自身は考えております。
  39. 加藤清二

    加藤(清)委員 要約いたしますと、今度の省令の改正の要点は、貿易手続の簡素化、標準決済規則の改正、ハウス・ビル及び委託輸出をも標準決済とする。それから手持ち外貨の増額及びその使途の制限撤廃、撤廃までいかなくても、今これをもっと幅を広げる、こうおっしゃったのですが、大体これに要約されるわけですか。  それでは、それについてお尋ねいたしますが、すでに私は本委員会におきまして、再三政府に要望し、政府もそれを承知されたことでございますが、それがいまだに行われておりません。その一点は、日本の貿易を振興させるに当っては、どうしてもやらなければならない一点が欠けている。すなわち、専門商社の指導育成ということでございます。専門商社の指導育成という具体策が、政府にはいまだかつてございません。具体的に、近ごろそういうものができましたら、一つここで御発表を願いたい。
  40. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ちょっとかわりまして、答えさせていただきますが、実は輸出振興策につきまして、特に専門商社というものを対象にする施策というものは、非常にむずかしいのであります。われわれといたしましても、雑貨品等の輸出振興のためには、やはり総合商社でやるよりも、そういう専門商社でやる方が、能率的でもあるし、こまかいところに手が届きまして、輸出振興上、効果があるというふうに考えているわけでございます。しかし、そうかといって、これというきめ手になるような対策がないのであります。特に申し上げますならば、海外の支店、出張員の派遣を認めます場合に、できるだけ専門商社を育成するという立場から、その海外へ出ることを認めておるのであります。その他もう一歩進んだような対策はないかということで、いろいろいたしておるのでありますが、なかなかこれについても実は名案はないのであります。名案があれば、一つお聞かせ願いたいと思うのであります。今後、ジェトロを特殊法人化されますと、このジェトロ等とも一体になりまして、できるだけ専門商品を扱う店の拡充をはかるすべをいたしたい。最近一、二の例としましては、デパートが海外へ進出されるようになっております。御存じのように、高島屋がニューヨークでデパートをやるということになっております。ああいうふうな格好も、一つわれわれといたしましては力を入れて参らなくちゃいかぬのではないか、こういうふうに考えております。
  41. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が専門商社の指導育成を長年強調して参っておるゆえんのものは、決して社会党なるがゆえではございません。国家の貿易、特に日本の貿易、なかんずくアメリカ貿易を、より伸展させるには、当然のことながら中小の専門商社の指導育成なくしては、これを行うことができないのでございます。御承知通り、たとえば、繊維にいたしましてもさようでございますが、サージであるとかあるいは細布であるとかという、簡単なものにして技術加工をあまり加えないもの、特に手先仕事を加えないものは大きな紡績で作り、大きな商社にまかせてけっこうでございます。ところが、それにだんだん加工をしていく、特に手先仕事を加える。たとえば、先年とかくの問題を起しましたワン・ダラー・ブラウスにしても、あるいは別珍、コールテン、ギンガムにいたしましても、これはほとんど手先仕事で行われる。特にそれに捺染とか注染とか型染という染加工を加えまする場合におきましては、こんなものを大工場で一度にたくさん作ったならば、そんな柄は売れっこありません。各社の別々なアイデアによっていろいろな柄を作ってこそ、ネクタイも売れ、あるいはこれから夏に向いまするゆかた地、あるいは夏の洋服地等々も、売れていくわけでございます。その手工業でやるところをほんとうに指導するのは、だれかといえば、専門の商社以外にはございません。二社五綿あるいは船場七社というようなところは、実際はそのまた上のピンはねをして、これをやっているだけのことです。手工業に直接つながるものは、専門商社でございます。陶器にしても、しかりでございますが、御承知通り、クリスマス・プレゼントに行われますところのあのおもちゃなどは、大きな貿易商では、とうていできることではございません。ところが、政府の打たれまする施策というものは、常に大商社にのみ厚く、中小ないしは専門の小さい商社をだんだん圧迫する傾向にあるわけです。具体的に申し上げますならば、ただいまあなたのおっしゃいました手持外貨の増額及びその使途の制限の緩和、これは一体だれにやらせるつもりでございますか。ただ貿易の手続の簡素化という美名のもとに行われれば、普通新聞に出れば、一般全部に行われると解釈する。ところが、先般行われました商社の外貨保有は、一体だれに許されたか、三社五綿と、ようやくそれにかけ込みで追いついたところの船場七社だけなのです。しかも、それはどうかといえば、一千万ドル以上だとか、あるいは外国に商社を持っているものには、なお交互計算を許すとか、こういうことにされたわけです。その結果は、相手国のインポーターや、あるいはエージェント等は、その外貨保有を許されたもの、交互計算を許されたものは、これは政府保証があり、政府が援助している商社だと見る。ところがそれにはずれた数多くの中小及び専門商社は、政府から保証されていないと見られる。従って、その結果は、それまで専門の陶器輸出業者にあった注文まで、大きな総合商社に発せられる、こういう結果になってきた。その結果、大きな総合商社は、そういう技術やこまかい点に心をいたすことがわからないし、経験がないので、結局はどうかというと、今まで行なっていた専門商社に下請をやらせるということなんです。ついに専門商社は、下請に転落しなければならぬ。その結果、輸出の場合の値段を上げることもできないので、ついに、これは工場において加工している人の加工賃にしわ寄せがくる、こういうことでございます。一体政府としては、なおかつ今日手持ち外貨の増額及びその使途の制限撤廃、こういうことを言っていらっしゃいますが、ほんとうに専門商社にもやらせる気がありますか。総合商社のみでございますか。具体策があったら、お聞かせ願いたいということでございますが、私はここにりっぱな具体策がある。ただ目こぼしになっているだけです。大きいもののみの権利を許すけれども、小さいものにはその権限を許さない、こういうことでございますか。そうすれば、専門商社や中小の商社は、永久に浮び上ることはできなくて、だんだん転落の一途でございます。それでもよろしゅうございますか。それでもって日本の陶器、雑貨は捺染、注染その他の技術加工したところの繊維は、伸びるとお考えでございますか。これは、大蔵省にも大きに関係がありますので、ほんとうは大蔵大臣にも聞きたいのでございますが、通産大臣大蔵省お尋ねいたします。
  42. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 外貨保有制度につきましては、今、御指摘になりましたように、現在のところは、大手商社二十社程度に認めているのでございます。しかしながら、これは外貨事情の許す限り、拡大をさるべきものだというふうに考えております。ただしかし、専門商社の育成というのと、少しそこが違うのではないかと思うのでありまして、外貨保有ということは、やはり現地で店を持っていないと、外貨は要らぬのであります。現地におきまして、日本からの物を余分にとって在庫をしておくということであります。従いまして、中小商社で現地に支店をお持ちにならぬところには、外貨保有といいましても、実は使い道がないわけでございます。従いまして、先ほども申しておりましたように、専門商社あるいはデパートのごときものが、輸出をしていくということになりますれば、またその許可につきましても、できるだけ専門商社の育成という見地から、総合商社よりも優遇をするというような措置をとっております。従いまして、その出ましたものが、現地で活動しやすいように、事情の許す限り外貨保有の方向にいくべきだというふうには考えておりますが、これは、あくまでも現地に店を持ったものについての話でありまして、店を持たないものにつきましては、外貨保有ということも、効果がないわけであります。われわれは、できるだけ専門商社の育成という立場から、外貨保有の制度につきましても、もう少し拡大するというか、そういう方向で考えたいと、常々通商局では考えておりますが、まだ大蔵省とは、具体的に話し合いをいたしておりませんけれども、今後そういう方向で話し合いをしまして、目的を達するようにいたしたいと思います。
  43. 稲益繁

    稲益説明員 商社の保有外貨の拡大、使用制限の撤廃というお話でございますが、今、通商局長からお話がありました通り、私ども、まだ正式には——懇談会でもいろいろ要望はございましたが、今回の簡素化でそういうことをやるというふうには、まだいたしていないわけでございます。将来為替事情が許すようになりますれば、通産省でも当然お考えでありましょうし、その際はだんだん範囲を広げたい、これは当然のことだと考えております。
  44. 加藤清二

    加藤(清)委員 外国に商社を持つところの、いわゆる総合大商社の権限なりあるいは自由なりを拡大させる、それをいけないと言っているのじゃございません。ところが、それにはそういう恩典を与えておきながら、内地の中小以下の商社に対しては、全然与える恩恵がない、こういうことを恨んでおるわけでざいます。兄貴に百円やれば、せめて弟に、ミカンの一つぐらいやったって、ばちは当らぬと思う。そういう施策が講ぜられてないということを、私は恨んでいる。それを、中小の商社は非常に恨みに思っておる。ところが、長年、弟にたった一個のミカンをやりなされ、こう言うても、その具体策は行われないのみならず、せっかく与えられていたところの優先外貨なるものが、だんだん削られておる。だから、私はここが言いたかったから、先ほど優先外貨をふやす意思があるかないかと言うたところが、ないという話だ。一体、中小の連中に与える恩恵は何ですか。ミカン一個を、半分に削っているじゃありませんか。どうする大臣
  45. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 先ほど申し上げておりますように、優先外貨について、これを縮小するということは、何もやってないわけです。縮小はいたしておりません。むしろ私としては、極力内容を充実していこうというので、就任以来は、縮小もいたしておりませんし、むしろ拡充するように努力をしてきておるわけであります。
  46. 加藤清二

    加藤(清)委員 拡充するというその言葉が、ほんとうに実行されれば、もう私はこんなことを言う必要はありません。ところが、優先外貨は終戦後どういう状況になってきておるか、私はだんだん減っておる、こういうふうに承知いたしております。
  47. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 御承知のように、優先外貨につきましては、外国との関係があります。従って、過去において縮小されてきたことは、事実であります。しかし、今後において、外国に対しましては、縮小する方針ということは、おそらく言われておると思います。しかし、われわれとしまして、現状の日本においてこれを減らすという考えは、毛頭持っておらぬわけであります。また、もっとこれが有利に活用しやすいようにということを、心がけておるわけであります。
  48. 加藤清二

    加藤(清)委員 うまく逃げたつもりだろうけれども、だいぶ時間がたっておりますから、次に進みましょう。あえてこの際私は申し上げておきますが、今、申し上げておる繊維、雑貨、陶器等の輸出は、特に陶器においては、ほとんど材料が内地のものでございます。しかもなお、これに加える技術というものは、中小企業及びそれにまつわるところの多くの労働者を救うことになり、この結果は、大都会中心の工業を、やがて農村にも持ち込むゆえんになりますから、ぜひ私はこういう工業を発展させたい、こう念願しているのでございます。ところが、これが唯一の輸出振興策でございました優先外貨の割当というものが、終戦後だけをながめてみましても、だんだん減ってきている。輸出奨励策というものが、どんどん削られてきておる。その上、なお専門商社が——専門商社というのは、メーカーの実情をよくわかり合った間柄の方々でございます。これらが行えば、うまくいけるものが、だんだん大商社の圧迫によって、うまくいけなくなっている。その大商社の圧迫とは、今言うところの外貨保有、あるいは交互計算等からくる外国為替の信用度が変ってきたというところに、大きな原因があるわけでございますので、この点、大臣とくと留意なさい。  次に、LC制度をDP、DA制度に切りかえると、先ほど大蔵省の方はおっしゃいました。それで、繊維機械輸出の場合に、何がゆえに延べ払い為替損失補償を適用しないかと言いましたら、そういうワクが少いから、そういけないのだという意味のことを言われました。ところで、このたびLC制度を、だんだん、DP、DA制度に変えることになりますと、延べ払いとか、為替損失補償ということは、だんだんふえるわけです。繊維機械のように、当然のことながら、これをやれば、今、目の前に輸出が伸びる、救われるということがわかっているものを制限しておいて、一体何を広げる考えでございますか。DP、DA制度は、何に適用する考えでございますか。
  49. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 少し話がもつれているのではないかと思うのであります。御存じのように、戦前におきましては、こういうLCでなくては、取引はしてはいかぬというようなことを、政府が指示をしておったことはないわけでございます。世界各国においても、こういう例はないわけでございます。ところが、占領時代におきまして、めくら貿易であって、DP、DAの制度では危険が伴うということで、LC取引ということになったわけであります。LC取引とは、一口に言えば、現金を持ってこい、そうしたら取引をしてやるというようなことであります。ところが、世界の情勢の変化に伴いまして、そういうかたいことを言っておったのでは、内地においても、いろいろ掛け売りがあると同様に、一般の原則が大体DP、DAになっているわけであります。日本だけがLCと言っておったのでは、取り残されてしまう状態になっているわけであります。そこで政府がLCでなくちゃいかぬと言うことは、この際やめて、個々業界の自主的な判断でやってもらうべきではないかというのが、根本的な考え方なのであります。現在のところ、大よその業界意見といたしましては、先ほど申し上げましたように、機械、金属あるいは化学薬品類につきましては、DP、DAでなくては国際競争に負けるから、ぜひそうしたいと言われますし、繊維及び雑貨につきましては、LCベースでやりましても、国際競争力があるから、何もここで好んでDP、DAに切りかえる必要はないという意見であります。従いまして、その方向で処置しようということを申し上げたのでありまして、何もこの際全部LCをやめるようにするのだということは、全然考えていないのであります。実際問題といたしまして、一、二割がDP、DAになりまして、大部分がLCを望むのであります。ただその方法論だけが、決済規則というようなことでいきますか、輸出入取引法とか、あるいは輸出貿易管理令というようなことでいくかの差異で、若干業界と話し合いをしているという状態であります。  それから、一部の商品についてDP、DAでやることと、それから延べ払いの問題でございますが、今、インドに対しまする繊維機械延べ払いというのも、広義のDP、DAかとは思いますが、いわゆるわれの観念でいうDP、DA以上の延べ払いでございます。従いまして、国際競争関係で、そういう方向に動いておるわけであります。また繊維機械延べ払いについても、先生は、えらく制限をしておるとおっしゃいますが、そうでなしに、実情に沿うて認めることにしておるのであります。それは認めないということならば、おしかりを受けるのはやむを得ぬかと思いますが、認めることになっておるものを、矛盾しておるということはごうもないわけであります。いわゆるDP、DA制度にいくものもあれば、LCにいくものもある、延べ払いも大いに活用しなくちゃならぬということで、延べ払い活用の一つとして、インド向け繊維機械が今取り上げられておる、こういうわけであります。
  50. 加藤清二

    加藤(清)委員 うまく逃げたつもりでございましょうが、もう時間もだいぶ迫りましたので、本件に関しては、繊維審議会においてふたたび相まみえる、こういうことにいたしまして、次に進みます。  DP、DA制度が行われるということは、結局どうかというと、延べ払いその他の関係、あるいは銀行の信用度とか、いろいろな問題が生じて参りまして、資本蓄積のある商社、すなわち大きい商社はそれがやりやすい、こういうことになりますが、小さい商社においては、そういうことはなかなかにやろうとしてもできることではございませんし、また銀行がLCでさえも、なかなか許さない今日におきまして、中小の商社がDP、DAの制度によってやろうとしたときに、第一、政府がよろしいといっても、銀行が許さない、輸出保険まで入れても銀行は許さない。そういう結果が生じて参りますと、先ほど私が申しましたように、政府は上に厚く下に薄い、中小の商社を助ける、指導育成すると口に言いながら、具体的事実は、それと逆行する方向にどんどん進みつつある。こういうことになると思います。そこで、私は聞くのだ。一体DP、DA制度を、どの品目に当てようとしておるのか、相手国は、一体何国の場合にこれを当てようとなさるのか。ただLC制度を雑貨、繊維等に残すと、これだけ言われただけでは、満足ができないのでございます。またこれでは、国民が納得いたしません。選挙前の国民に、あなたの言うことを受け取って演説をしたって、それは何の効果もないのでございます。はっきりとこの際おっしゃっていただきたい。
  51. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 現在のところ、機械、金属及び一部の化学薬品、こういうふうに考えておりますが、その辺のこまかい分類につきましては、十分業界とも相談をしてやりたい、こういうふうに考えておるのであります。  それから、大企業と中小企業の問題でありますが、何も政府が、DP、DAでやらなければならぬというておるわけではないわけでありまして、そういうこともできる。政府がLCでなくちゃならぬという点を、はずすだけのものでありまして、おそらく大商社といたしましてはLCでなくちゃならぬという人も、もちろんあろうと思います。それはそれぞれの判断においてやればいいわけでございまして、同一の方式を強制しようというわけではこうもないわけであります。  いま一つ、DP、DAになった場合の金融の問題でありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、手形保険制度を活用するということによりまして、輸出金融は何とかなっていくのじゃないが、こう思うわけであります。現在のところも、たとえばアメリカ州におきましてもカナダ、中南米、あるいはヨーロッパ諸国におきましては、DP、DA方式を採用しておるわけであります。今残っておる地域は、米国とアジアとアフリカの一部ということでございまして、それだけの地域が、どっちにころぶかというだけのことでございます。
  52. 加藤清二

    加藤(清)委員 やはり私の懸念しておりましたいわゆる中小商社が相手国といたしておりますところが、問題になっておるようでございます。そこで、今度は大臣にぜひ承わりたいのでございますが、御承知通り、LC制度においても、なお貿易する場合に、商社は銀行から責められておるのでございます。なかなかその開設さえ許されないのが、実情でございます。さてまた、このたびあなたの手元で行われようといたしておりますこの、DP、DA制度を行う場合において、中小がこれを行いたいという場合、なぜそうなるかといえば、大きな商社が同じ商品を、同じ国に対してDA制度あるいはDP制度を行う場合に、いいえ、私のところは現金制度のLC制度でなければ困りますと言ったら、こっちは上ったりになるのは当然でしょう。しごく簡単な原理ですね。片方は延べ払いでいきます、やりましょうと言うと、小さい方は、今まで長年のお得意さんであったけれども、あなたのところは、現金制度でやったらごめんこうむりますと相手がくる。その折に、やむなく中小は銀行に行って、DP、DAのためです、こう言うて金融を依頼した場合に、銀行は、LC制度でさえもちゅうちょしているような相手に対して、果して許すか許さないかということは、自明の理であります。そうなると貿易金融において、中小商社は窒息状態に追い込まれるということが、はっきりしてくるわけでありますが、この点一体どうお考えでございますか。あなたの専門の点でございますから、一つ、はっきりとお答え願いたいのでございます。
  53. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 その点は、私の専門ではありませんので、何でありますが、いずれにいたしましても、われわれとして、中小をいじめるとか、そういうことは毛頭考えておりません。もちろん、その種目々々について考えていかなければならぬと思うのであります。中小企業者が非常に困るということでありましたならば、それはやるべきではない。ただいま通商局長の申しておりますように、機械類とかその他の問題につきましては、そういう心配がないのではないか。これは、さらに検討しなければならないが、そういう意味で、そういう点をはずしていこう、こういう考えであります。繊維あるいは雑貨、そういうようなものについて、中小の方々がお困りになるようなことのないように、十分配慮していくつもりであります。ただ、これはやらなくてもいいのではないかということになると、結局、手続の簡素化はできないということになって参りますので、その点も、それでいいということになれば、しいてやらなければならぬというほどのものではないのでありますが、手続の簡素化も、極力進めていきたいというふうに考えておりますので、十分その点は検討して、中小企業の方が困らないようにということは、十分考えてやるつもりであります。
  54. 加藤清二

    加藤(清)委員 それだけでは不満足です。先ほど松尾局長は、中小の専門商社に対する名案があったら、教えてもらいたいとおっしゃいました。そこで、ここが問題になる。これを一つおやりになりさえすれば、一つの妙薬です。万能薬ではないけれども、とにかく妙薬です。というのは、中小の商社が困っておるのは、何かといえば、金融難です。輸出金融のLC開設の場合にも、銀行が協力しないということです。特に中小貿易のごときは、よけいにこれがはなはだしいわけだ。そこで今の問題に返りますが、あと払い方式になるということは、よけいに金が要るということです。よけいに金が要るということは、蓄積のない者にとっては、銀行をたよるよりほかに、手はないということです。銀行にたよる場合に、短期貸しでさえも、なかなかできなかったものを、あと払いという結果からは、長期に借りなければならないということになってくるわけです。その際に、大臣としては、輸出振興、中小商社を助けると口に言っていらっしゃるのだから、銀行に対して、輸出の場合に限ってひもつき融資をするとか、あるいはLCの開設でも、あるいはDP、DAでもよろしゅうございますが、その際に、銀行に対して、あなたは、輸出振興の立場から、これはやってやれという、ひもをつけられる用意がありますか、ありませんか。それなくして、土俵が広がるから大いにけっこうだというて、ワクを広げなさるならば、これはとんでもない結果になって、弱肉強食がここに生じてくる、こういうことになりますが、大臣、どうです。
  55. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 そのDPかあるいはLCかという原則論をいたします場合には、先生のおっしゃること、ごもっともでありまして、われわれも、常にそういうことを考えながら、措置をしておるわけであります。従いまして、ここで、ただ正対的な議論ということになりますと、そういう中小金融も考えてでなければできないということ、これはもう当然のことであります。ただ、先ほど来申しておりますのはごく一部の商品について、世界競争の必要上、業界の要望もあるので、DP、DAが望ましい、こういう意味で申し上げたのであります。従いまして、そういう業種につきましては、比較的中小企業の問題は少かろうと思いますが、御存じのように、今、八種類の保険の中で、輸出手形保険というのがあります。輸出手形保険というのは、何をやっているのかと申しますと、現在認められておりますDP、DAに対する金融をつけるための保険制度であります。年間に二、三百億円になっております。従いまして、この手形保険のワクも、三十三年度におきましては、非常に多くとられておりますので、その保険制度の活用によりまして、金融がついていくだろう。現在も、大体そういうことになっておりますので、そうなるであろう、こう申し上げておるわけです。ただ、全面的に、DP、DAということになりますれば、今、先生の御指摘の問題は、われわれは十分考えて、別途の措置を考えなければならぬと思いますが、今のところは、まだそこまで至っておりませんので、今の一部の商品についてならば、その手形保険制度で何とかやっていけるだろう、こういうふうに申し上げておるのです。
  56. 加藤清二

    加藤(清)委員 皆さんをあまり長いことお待たせしても、恐縮でございますので、これで、本件に関しては、もう一度あらためて承わる、質問をする、こういうことにして、最後に、ついせんだっての委員会に、大臣が早期退出なさいましたので、その折に聞き漏らした点がございますから、その点にしぼって申し上げます。  御承知通り、映画フィルムの輸入の問題でございますが、これがマッカーサーの残していきました落し子、その通りになっている。その落し子が、だんだんと成長いたしまして、ここにもやはり日本のそれを業とする商社を圧迫して、アメリカのいわゆるメトロとか、あるいはフォックスとか、パラマウントとかいうものにつながる外国の商社のみが、ひとり大きく肥えていく。こういうことが、そのまま継承されると同時に、もっとますます発展の傾向にある。その結果は、蓄積円が多くできまして、この蓄積円は、やがて内地のプロダクションをますます圧迫している、こういうことに相なっておる次第でございます。本件に関しては、大蔵省としても、特別委員会を設けて善処する旨を答弁いただいているわけでございますが、大臣としては、どうお考えでございましょうか。私は、ここに、大臣に特に訴えたいことがございます。それは、占領中にできた憲法は、アメリカから与えられたものであるから、これを改正しなければならない、こういうことを盛んに言われるのでございます。もし、それが事実であるとするならば、ここにマッカーサーの落し子がそのまま成長して、それが内地業界を圧迫しているという事実、これを見れば、憲法改正よりも、これの改正の方が、簡単にできることでございます。まず憲法改正の精神の実行の手初めに、これを行われる意思がありやいなや。特に道徳教育が必要なおかげで、修身教育をやろうということでございます。もし、ほんとうにそれが子供の教育のために行われるものでありとするならば、子供の、青少年の悪化ということが、輸入フィルムにより、また内地のフィルムも、輸入フィルムの悪影響によって、そのイミテーションが制作される。それがやがて青少年に大きな悪影響、道徳的な悪影響を及ぼしておりまする今日、道徳教育を学校でやりたいとおっしゃる内閣の一員であるあなたたちは、まず、この映画フィルムの内容を、貿易の立場から制限ないしは、これを禁止するの策に出られる方が、一そう緊急なことではないかと存じます。この点、さき委員会で、大蔵省からは承わりました。通産大臣は、途中退席でございましたので、御高説を承わることができなかったことを、遺憾に思っております。ぜひこの際、大臣のこれに対する御所見と、この輸入フィルムに対するところの具体策を承わりたいのでございます。
  57. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 輸入フィルムの外貨の割当について、いろいろ非難のあることは、私も承知いたしているのでありまして、ただ貿易上の見地からも、またいろいろ教育上の見地から申しましても、好ましくない点が多々あると思います。このことは、大蔵省の専管には属しておりますが、われわれも貿易に関係をし、あるいは外貨関係をいたしておりますものといたしまして、すでに大蔵省に特別委員会も設けられていることでありますから、極力従来の弊害を改めていこうということに協力もし、努力もし、主張もしていきたい、かように考えております。
  58. 加藤清二

    加藤(清)委員 それについて、もう一点だけ。  貿易の問題につきましては、外貨割当のことは、ほとんど通産省で行われているはずでございます。ところが、フィルムに限って、所管が大蔵省になっております。その結果は、貿易業者にとっては、いろいろな支障がある。通産省にもお伺いを、立て大蔵省にもお伺いを立てる、こういうことなんです。そこで、何がゆえにこうなっているかということを、先般大蔵省お尋ねしたら、これは貿易外収支の問題だからということでございました。冗談言っちゃいけません。フィルムは、貿易外ではなく、貿易内でございます。そこで、貿易内のことであれば、所管も当然のことながら通産省の傘下に入れてしかるべきだと存じますが、あなたは、大蔵省のことも通産省のこともよく御存じです。どちらが正しいとお考えでございましょうか。どちらをより愛していらっしゃいますか、大臣の心根を聞きたいのであります。
  59. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 私は、そういう詳細なことを存じませんのですが、いわゆる貿易外だということでございますが、結局問題は、要するに権限の問題よりも、実質の問題であります。よく検討もし、また他のことも勘案して、今後考えていきたいと思っております。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 貿易手続の簡素化ということが今問題になって、私は今まで長々とお伺いしたわけであります。もし、ほんとうに貿易の簡素化ということをやりたいと思ったならば、まずこのフィルムの窓口の簡素化をやってもらいたい。それは、何かといえば、大蔵省から通産省に持ってきてもらいたいということです。しごく簡単なことでございまして、業界からは、拍手をもって迎えられると思いますので、至急簡素化をお願いするわけです。
  61. 小平久雄

    小平委員長 これにて質疑は終局いたしました。  引き続き討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
  62. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、輸出保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  63. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  64. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  65. 小平久雄

    小平委員長 次に、計量法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案につきましては、他に質疑はないものと認めます。これにて質疑は終局いたしました。  引き続き討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
  66. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、計量法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  67. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際、笹本一雄君外六名より、本案に対し両派共同提案にかかる附帯決議を付したい旨の提案がなされております。笹本君の発言を許します。笹本一雄君。
  68. 笹本一雄

    ○笹本委員 私は自由民主党、社会党両党を代表いたしまして、計量法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付することを提案いたしたいと思います。  まず、その案文を朗読いたします。    計量法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、計量器の店舗外販売制度の運用にあたっては、計量の安全の確保と販売事業の健全な発展に留意するとともに、計量に関する制度については、社会状勢の推移を考慮の上、適切な措置を講ずべきである。  簡単にその趣旨を申し上げますが、店舗外販売制度につきましては、委員会の審議の際、種々質疑が重ねられたのでありますが、運用のいかんによりましては、計量器の安全が阻害され、また販売事業の販売活動を混乱させることが懸念されるのであります。従いまして、政府は、計量器の普及を推進されることは、まことに時宜を得たものであると思いますが、普及の措置に伴いまして、計量法の尊厳を冒すことのないよう、十分配慮されるよう望みたいのであります。  さらに、計量法には、なお幾多の問題を残しているようでありますから、今後、政府において、社会情勢の推移を考慮して、法律改正の必要や、運用上改められるべき点等について十分検討され、計量制度の円滑な運用が期待できるよう、措置されることを望みたいのであります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  69. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。本案に、ただいま御提案の通り附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  70. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、前尾通商産業大臣より、発言を求められておりますので、これを許します。前尾通産大臣
  71. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいま計量法の一部を改正する法律案に対しまして、適切な附帯決議を付せられました。政府といたしましても、これに対しまして十分な配意をいたしまして、適切な措置を講ずる所存でございます。
  72. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  73. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  74. 小平久雄

    小平委員長 次に、計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案につきましては、他に質疑はないものと認めます。これにて質疑は終局いたしました。  引き続き討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが御異議ありませんか。
  75. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  76. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  77. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  78. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。本日、本委員会に付託されました楢橋渡君外二十六名提出水洗炭業に関する法律案を議題とし、審査に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
  79. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、水洗炭業に関する法律案を議題とし審査に入ります。  まず提出者より、その趣旨の説明を求めます。笹本一雄君。     —————————————     —————————————
  80. 笹本一雄

    ○笹本委員 ただいま議題となりました水洗炭業に関する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。  炭鉱地帯なかんずく九州北部の炭田地帯におきましては、いわゆるボタを水洗選別して石炭を収集する水洗炭業者の数は相当数に上っておるのでありまして、これを福岡県の例について申し上げれば、昭和三十二年五月末現在におきましては、業者数五百五十三、水洗個所五百六十一、該当市町村三十九、従業員数六千八百六人、推定月産トン数七万八千百六十四トンに達しております。この意味におきましては、水洗炭業は、低品位炭の供給と失業者の吸収という面において、貢献するところも少くないのでありますが、他面、その施業により、河川道路等の公共施設を損壊し、あるいは洗炭汚水により田畑等に損害を与える等、社会公共の福祉を著しく阻害している実状であります。  これらの水洗炭業者の施業により、発生する被害の態様は、掘採のための陥没等によるものを除きましては、中小炭鉱の鉱害と類似し、場所的にもこれらと競合することが多いのであります。しかるに、炭鉱の鉱害にあっては、被害発生の防止につきまして鉱業法、鉱山保安法等により国家の監督について、法的な根拠が与えられ、被害者保護のためには、炭鉱の無過失責任等も認められておるにもかかわらず、水洗炭業者につきましては、何らの法的な措置も講ぜられておりません。現在市町村といたしましては、条例の制定等により取締りを行なっており、また河川法適用河川等につきましては、河川法の運用等により、これを規制しておるのでありますが、炭鉱の被害とその取扱いが異なるため、これと比較して、被害発生の防止並びに被害者の保護の点において完璧を期することが困難であり、種々不合理が生じている実情であります。  もとより水洗炭業は鉱業ではありませんので、これに鉱業法を適用することはできませんが、その施業によって発生する被害の防止と被害者の保護のため、必要な限度においては、鉱業法と同様に国の法律による規制措置が必要であります。従いまして、本法律案は、水洗炭業者に対しまして登録制度を採用し、かつ被害発生のおそれの多いものについては登録を拒否することを得ることとし、また施業中の者に対しましては、都道府県知事が改善命令をなす等によりまして、極力被害の発生を防止することができるよう規定いたしまして、これにより水洗炭業の健全な運営が確保せられることを期待いたしますとともに、水洗炭業者に対しまして、鉱業法に準ずる無過失賠償責任と保証金の供託義務を課し、被害者の保護に万全を期することといたしたのであります。  以下、本法律案の内容につきまして主要な点を御説明申し上げます。  第一は、水洗炭業者の登録制度の採用についてであります。すなわち、この法律案におきましては、水洗炭業は、都道府県知事の登録を受けなければ、これを営むことができないことといたしますとともに、登録の実施に際しましては、その施業により公共の福祉を害するおそれのあるもの等につきましては、都道府県知事がその登録を拒否し得る道を開き、これより、被害を発生せしめるおそれの多い業者はこれを登録しないことができることとしておるのであります。  第二は、事業改善命令に関する規定についてであります。登録せられた水洗炭業者につきましても、その施業が公共の福祉を阻害しまたは阻害するおそれの大なるものにつきましては、被害発生を未然に防ぐため、当該水洗炭業者に対し、都道府県知事が事業改善命令をなし得ることといたしますとともに、これに違反した者に対しましては、その事業の停止を命令し、ないしは登録を取り消し得ることといたしまして、被害発生の防止に遺憾なきを期しております。  第三は、水洗炭業者の無過失責任の規定と保証金の供託に関する規定についてであります。水洗炭業の施業により発生するやむを得ぬ損害につきましては、その態様が鉱害に類似しており、これと競合する場合が多い点にかんがみまして、水洗炭業者に対して鉱業法に準ずる無過失賠償責任を課することとし、なおその損害賠償債務の履行を担保するために五十万円以内において都道府県知事の定める保証金を供託せしめ、これについては被害者に優先弁済を受ける権利を与える等により、被害者の保護に万全を期しております。  第四は、融資のあっせん等に関する規定であります。水洗炭業者がその施業による被害を防止するために必要な施設を行おうとする場合におきましては、都道府県知事が必要と認めるときには、水洗炭業者に対し、融資のあっせん等の措置を講ずることができることとし、水洗炭業者がその施業に際し被害を防止する設備を十分に行い得るように配慮しております。  第五は、水洗炭業審議会に関する規定であります。水洗炭業に関する重要事項を審議するために、都道府県知事の諮問機関として水洗炭業審議会を置くことができることとし、都道府県における本法の実施が円滑に運営せられるよう万全を期することといたしました。  以上が、水洗炭業に関する法律案の提案理由並びにその概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。
  81. 小平久雄

    小平委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩