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1958-04-08 第28回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月八日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 笹本 一雄君    理事 島村 一郎君 理事 松平 忠久君       大倉 三郎君    神田  博君       久野 忠治君    小金 義照君       齋藤 憲三君    櫻内 義雄君       首藤 新八君    田村  元君       中垣 國男君    林  唯義君       福田 篤泰君    佐々木良作君       佐竹 新市君    志村 茂治君       田中 武夫君    田中 利勝君       多賀谷真稔君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小笠 公韶君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月八日  委員有馬英治君、川野芳滿君、櫻内義雄君、佐  々木秀世君、横井太郎君び多賀谷真稔辞任に  つき、その補欠として久野忠治君、林唯義君、  綱島正興君、小金義照君、田村元君及び片山哲  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治君、小金義照君、田村元君、綱島  正興君及び林唯義辞任につき、その補欠とし  て有馬英治君、佐々木秀世君、横井太郎君、櫻  内義雄君及び川野芳滿君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 四月七日  小売商振興のための法律制定に関する請願(加  藤常太郎紹介)(第二七三八号)  同外九件(林唯義紹介)(第二七三九号)  同外五件(門司亮紹介)(第二七四〇号)  同外一件(楢橋渡紹介)(第二八六七号)  同外九十三件(首藤新八紹介)(第二八六八  号)  小売商業特別措置法制定促進に関する請願(中  井徳次郎紹介)(第二七四一号)  同(大村清一君外一名紹介)(第二七九九号)  同(北れい吉紹介)(第二八〇〇号)  同(小西寅松紹介)(第二八〇一号)  同(高橋等紹介)(第二八〇二号)  同(田中正巳紹介)(第二八〇三号)  同(田中龍夫紹介)(第二八〇四号)  同(中曽根康弘紹介)(第二八〇五号)  同(中垣國男紹介)(第二八〇六号)  同(松田竹千代紹介)(第二八〇七号)  同(福田篤泰紹介)(第二八六四号)  同外一件(松岡松平紹介)(第二八六五号)  同(松本俊一紹介)(第二八六六号)  大多喜天然ガスガス料金値上げ反対に関する  請願千葉三郎紹介)(第二八六三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一四八号)  航空機工業振興法案内閣提出第一五三号)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。笹本一雄君。
  3. 笹本一雄

    笹本委員 石炭鉱業は、わが国経済健全化のために、常に安定した姿であることが望ましいのであるが、戦後十数年の動きを見ましても、常に激しい変動を示していることは、まことに遺憾であります。石炭鉱業においては、安定した時期よりも、むしろ不安定な時期の方が多いとさえ、いわれるのであります。私は、石炭鉱業健全化し、常に安定せしめることが、日本経済のかぎであるとの信念に立っているものでありますが、現状が、私の意思と異なる方向にあることは、まことに残念であります。政府は、昨年十二月策定の新長期経済計画の結果、近い将来、日本経済を拡充するために、最も障害になるであろうと思われるエネルギー部門を、急速に増強し合理化する等の必要性から、今回、エネルギー部門の大宗である石炭鉱業を合理化して、将来、増大するであろうエネルギー需要にこたえるため、生産態勢を確立するために、本法案を提出されたようでありますが、率直に申しまして、私は、この法案趣旨には賛意を表しますが、問題は、本法案の施行により、今度こそ石炭鉱業が永久に安定するかという点であります。以下数点、総合エネルギー政策について、質問いたしたいと思うのであります。  第一に、需給関係についでてあります。先日の委員会において、伊藤、多賀谷委員より、石炭に関する需給関係が非常に不安定であることを指摘されておりましたが、私も、この点、大いに心配するものであります。政府の資料によりますと、昭和三十三年度における石炭生産高を五千六百万トン、昭和五十年度は七千二百万トンと想定されておりますが、果してこれに見合うところの需要があるかどうか。私は、三十三年度の五千六百万トン、昭和五十年度の七千二百万トンの生産態勢を整備されるのであるというのであれば、まだ話はわかりますが、それならば、石炭鉱業を安定さすための方策考えてやるべきであると思うのであります。石炭鉱業は、基幹産業でありますから、常に需要以上の供給態勢をとらせて、その考え方の中で石炭鉱業を安定さすのが、一番望ましいと思うのであります。このような私の考え方に対しまして、大臣はどのように考えておられるか、その所見を伺いたい。  もう一つ、私は、石炭需給が、常に不安定である大きな原因の一つに、政府需要測定が甘過ぎるのではないかと思うのであります。政府長期計画を見ましても、今後の石炭需要が増大する産業は、第一に電気であります。しかし、電気には、御承知のごとく、水力と火力とがありまして、水力との見合いにおいて、石炭需要が左右されておるのでありますから、この水力発電量見方が常に過小であるところに、問題があるのではないかと思うのであります。需要測定の甘いという点について、これを是正される意思はないのか。業界は率直に申して、政府石炭政策については賛成でございますが、需要見方については、非常に消極的でありますから、本法案制定に当り、業界が納得する需要推定をなされるよう要望しますが、この点についての政府のお答えを承わりたいと思います。
  4. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 石炭需給の問題につきまして、根本的に、お話しのように、一方におきましては、需要が非常に変動をする反面におきまして、石炭自身生産につきましてはあまり弾力性を持たぬ、こういう点があります。しかし、その需要が、漸次日本経済が拡大していきますにつれて増加していくことだけは、間違いないところでありまするし、また先般のいわゆる長期五カ年計画、あるいはもっと昭和五十年に至るエネルギーに対する見通しということは、御承知のように、一応日本経済が六・五%というような成長率のもとに伸びていく。この六・五%は、外国の例からいいますと、かなり高い率ではありますが、従来、日本が進んで来ました足取りから考えますと、一応妥当な経済伸び方だというふうに考えておるわけであります。それによりますと、昭和五十年度におきましては、エネルギーの総需要量が二億七千六百万トン、これはエネルギーをすべて石炭換算にしたわけであります。昭和三十七年度におきましては一億六千万トンということになっておるわけであります。そうしますと、国内資源によってエネルギーをまかなっていくということは、いつにおきましても変らぬ鉄則だと私は思うのであります。外貨を節約する意味におきましても、あるいは能率の点から考えましても、まず国内資源でまかなっていくということであろうと思います。そういたしますと、長期計画におきまして策定いたしております、昭和五十年度には七千二百万トン、それから昭和三十七年度におきましては六千四百万トンという石炭需要は、これだけでありましたら、一応実際に生産可能だというふうに考えておりますが、エネルギー需要からいいますと、もっともっと必要であり、外国からの相当輸入エネルギーを使っていかなければならぬというような状況にありますので、長い目で見ます際におきましては、もちろんそれだけでも、需要をはるかに下回っておるわけであります。ただいま申し上げました石炭生産量に対する需要という点には、何ら不安はないというふうに考えておるわけであります。ただ、いずれの場合におきましても、足らぬがちになりますと、むしろ逆にいろいろな不安の問題が起りますし、また価格も、極力低廉にしなければならぬという際におきまして、ややもしますと非常に高くなる。どちらかといえば、少し潤沢に石炭生産しておくということが、望ましいわけであります。それにつきましては、ただ余り過ぎますと、逆に非常に石炭価格が下り過ぎるというようなことで、生産意欲を害し、あるいは非常な御迷惑をかけるということにもなりますから、われわれとしましては、その間の調整ということに、非常に心配をいたしておるのであります。これは、極力長期契約をやり、あるいは貯炭場を拡充しまして、そうしてそれに対しまして需給調整をはかるというようなことを考えまして、石炭を使います反面におきまして、その間の需給調整は、輸入重油なり原油というものによって調整をとっていくというふうな考え方をしておるのであります。次のお尋ねにつきましては、電力関係について、どうも見通しが甘いのではないかというような御意見であると思います。従来、豊渇水関係につきましては、最近の十五カ年の平均を見たりいたしておりますが、最近におきまして、この二、三年は豊水でありましたために、甘い感じをお持ちになったと思います。しかし、こういう豊水が、いつも期待できるというふうには考えておりません。しかし、まだまだ豊渇水統計等についての調査につきましては、十分なものとは言えませんので、われわれといたしましても、もう少し豊渇水に対する見方といいますか、あるいは調査を精密にいたしまして、あまり大きな狂いのないように措置をいたして参りたい、かように考えておるのであります。短期的にはいろいろな変動があります。もちろん、景気の変動とか、あるいは豊渇水気候変動というようなものに対処する方策考えますとともに、長期にわたりましては、極力経済成長率に応じて、その需要に応じられるように石炭増産をはかっていきたい、かように考えておる次第であります。
  5. 笹本一雄

    笹本委員 今、大臣答弁を拝聴しまして、将来の生産工業伸びからいって、このくらいの生産はしても、需要にはまだ足りないじゃないか。もっとも、そういうふうな見方がなければ、この増産計画もできないのでありますが、しかし、あとで電気について答弁がありましたが、やはり石炭鉱業の方からいきますと、この見方は、少し甘いのじゃないか。ということは生産が過剰になってくれば、炭価が安くなってくるというようなこともありますが、この点については生産者意欲を減退させないように指導していただきたいと思うのであります。  次に、買取機関についてお尋ねしたいのですが、この法案は、先刻申し上げました通りに、将来増大するエネルギー需要増にこたえるため、石炭増産態勢を確立する一方、石炭鉱業を安定せしめようという趣旨のものでありますが、それならば、万一計画増産を実施する過程において石炭が過剰となり、それが石炭鉱業健全化に非常なネックとなる場合も、従来までの石炭鉱業の歩んだ過程を見れば、おわかりになることと思います。そこでお伺いしたいのでありますが、一時的な過剰を調整するために、買取機関を設置することが望ましいことでありますが、この点について、大臣はいかなるお考え方をお持ちでありましょうか。  続いて、資金調達についてでありますが、石炭鉱業を安定せしめつつ増産態勢を確立する今回の政府石炭政策を遂行するに当って、大きな問題は、この膨大な合理化資金を、いかに調達するかということであると思うのであります。先日の伊藤、多賀谷委員質問においても、石炭鉱業は、少くとも企業としては、投資者が殺到するほどの利潤を上げることのできない企業であると指摘されておりますが、それだけに、よほど政府が力を入れないと、合理化資金調達は、困難であると思うのであります。しかも、資金については、量の問題ばかりではなく、いかに金利の安い資金を、長期支払い条件確保してやるかが、ひいては石炭価格の推移にも関係してくるのであります。わが国と非常に似ているようなフランスにおいては、わが国より二倍以上の資金を投入して、わが国より二倍近い出炭能率を上げているのでありますが、政府も、資金調達について特段の考慮を払うべきであると思うのでありますが、この点について、大臣はどのような信念をお持ちになっておりますか。金利の安い政府資金を大量に投入することが、石炭コスト低下になることは、きわめて明白なことであります。政府が、今回石炭政策を樹立した際に、この点について特段の決意をもっておやりになられるよう要望するのであります。  以上について、大臣答弁を承わりたいと思います。
  6. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 先ほど申し上げましたように、石炭は、短期に見ますと、気候関係あるいは経済変動関係で、需給が非常にアンバランスになってくるという懸念を持っておるわけであります。それにつきましては、極力長期契約の締結、あるいは貯炭場の増設というようなことによって、調整をはかっていくのでありますが、過剰炭の買い取りについて、一手買取機関を作ったらどうかというふうな御意見も、われわれ十分承知をいたしておるわけであります。これにつきましては、いろいろ検討すべき問題がありますので、所要資金調達がどうなるか、買い上げの限度がどうなるか、あるいは買い上げ価格をどうするか、あるいは法制上の問題としましても、独占禁止法との関係もあるというようなことでありますが、私としましては、極力こういうような買取機関も設置していきたいという気持を持っておりますので、そういう方向で今、慎重に検討いたしておる次第であります。  また、所要資金の問題につきましては、昭和五十年度考えますと、七千二百万トンの出炭目標を達成しますためには、約五千六百億の資金が必要だという見込みになっておるわけであります。また、もう少し短期考えましても、相当資金が必要だというふうに考えておるのでありますが、ただいまお話しのように、これにつきましては、極力炭価を下げていかなければなりません。またそのためには、金利の安いものを考えていかなければならぬ。また相当長期にわたるわけでありますから、長期資金でなければならぬ、こういう条件があるわけであります。それにつきましては、第一には、極力政府財政資金を投入するというふうに考えておるのでありまして、来年度におきましても、他の産業に比べまして、石炭につきましては、相当力を入れたつもりでありますが、今後につきましては、長期の、しかも低利資金を導入するという点につきましては、力も入れ、また、さらにいい方法といいますか、それらの条件についても再検討いたしまして、努力をする所存でございます。
  7. 笹本一雄

    笹本委員 今の買取機関についても、大臣考えとしても、これは推進して、将来こういう方向に進みたい、あるいは資金の問題についても、長期にして、しかも金利の安いもの、政府資金をなるべくその方へ投入していきたいという非常に力強い、熱意のある答弁でありまして、こういう決意をもってやれば、今度の合理化問題も、必ず成功するのではないか。業界においても、大臣がそれだけの決意を持っておれば、非常に安心して協力できて、この成果は上げられるのではないかと、今の答弁を非常に力強く拝聴したのであります。  次に、石炭価格についてお尋ねしたいと思います。石炭価格は、安いに越したことはないのでありますが、しかし、これも、資金調達の面より、いたずらに安くするというわけにもいかぬと思うのであります。現在、石炭鉱業合理化法標準炭価制度がありますが、どうもこの標準炭価制度運用か、うまくいっていないように思うのであります。私は、標準炭価制度は、実情をそのまま反映させるためのものか、それとも、かくあるべき炭価を指示するためのものであるか、明確にしほしいと思うのであります。政府は、標準炭価制度を、弾力性のある生きた制度にすべきであると思いますが、今回の改正に当り、本制度を改める意思があるかどうか。現在、鉄鋼については、建値制度がとられているのでありますが、建値制度のような制度をおとりになる意思があるかないか。この点について、大臣の御意見を拝聴したいと思うのであります。続いて、これは本法案に非常に関係のあることでありますが、未開発炭田開発についてであります。本改正案のうち、最も重要な規定は、未開発炭田開発についてであります。政府は、未開発炭田調査をして、開発計画を作ると言われておりますが、調査は、どのくらいの期間で、どことどこを調査するのか。またその調査は、国と民間と共同してやられると思いますが、費用の負担はどういうことになっておりますか。私は、このような費用は、全額国資金でやるべきものであると思うのでありますが、それに対して、どういう御意見を持っておられるか。次に、エネルギー政策について大臣にお伺いしますが、三月二十五日の閣議において、本改正案の決定に当り、今後の石炭政策については、炭主油従政策を打ち出しております。政府長期エネルギー政策において、昭和五十年には、石炭で換算して約一億トンの重油を必要とするのでありますから、簡単に、石炭の過剰するときは輸入エネルギーを切るという、こそく考え方は改めて、もっと合理的な考え方に立って、石炭と油が、ともにわが国エネルギーの双壁であるとの考え方に立って、石炭政策を樹立すべきであると信ずるのであります。ただ、石炭国産エネルギーでありますし、石油外貨を消費する輸入エネルギーであることは、申すまでもないことでありますが、この点の比重の強弱は、おのずからきまるものである、と申し上げても差しつかえないと思います。石炭石油について、いかなるお考えをお持ちであられるか、大臣にその点をお伺いしたい。
  8. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 まず第一に、価格の問題でありますが、石炭価格が、あらゆる産業コスト低下に根本的に必要な問題であることにつきましては、われわれも十分認識をいたしておる次第であります。そこで、従来できております標準炭価という制度考えるわけでありますが、この制度は、遺憾ながら、従来うまく活用をされておりません。この前に、佐々木委員の御質問がありましたが、全く、ひどい場合におきましては、年度末に標準炭価がきめられる。また昨年にいたしましても、私も最初の年でありましたので、はなはだうかつでありましたが、十二月にやっと標準炭価がきまっておる。こういうことで、むしろ逆に、ただいまお話しのように、実勢に従って標準炭価がきめられる、こういう結果になっておるのであります。これは、あくまで標準炭価は、その年の炭価の基準として、そうしてあるべき炭価を指導していく一つ標準であるというふうに考えておるのであります。従来は、コストの想定が、データが少いために困難であったというような、いろいろ事実上の問題があると思います。しかし、本来の標準炭価という意味において、私は、今後これを活用していかなければならぬというふうに考えております。もうすでに、いろいろコスト調査をいたしておりますので、ことしは十分早くこれをきめまして、そして本年度炭価標準として意味のあるものにしていきたい、こういうふうに考えておるのであります。もうすでに調査は始めておるような状況であります。  建値制度につきましては、これは鉄鋼の場合と異なりまして、生産者が非常に多いのでありまするし、また石炭については、銘柄も多岐にわたっておりますので、建値制度を円滑に実施することが、果してできるかどうか、一応の疑問がありますので、極力積極的な意味で検討をしておる次第であります。  それから、次の御質問の、未開発炭田調査につきましては、ただいま未開発地域としてわれわれが考えておりますのは、九州の有明地域、宇部の東部地域、北海道の釧路、石狩、天北地域であります。また、これをどのくらいの期間調査をやるかというお尋ねでありますが、実は、当初は三年間ということで考えておりました。全地域調査費が、約七億円くらいかかるのであります。遺憾ながら、ことしは初年度ではありましたが、四千万円ということに相なりました。最初計画しておりましたより、ややずれてくるというようなことになると思うのであります。私らといたしましても、来年度以降におきまして、予算を極力確保いたしまして、早く調査を完了したいと考えておるのであります。  次に、石炭石油関係でありますが、先ほど来申しておりますように、国内資源をまず第一に活用するということにつきましては、どなたも御異論のないところだと思います。従って、われわれとしましても、極力石炭によってまかない得るものにつきましては、石炭に依存していきたいということで、いわゆる炭主油従という意味で、まず石炭石油にいたしましても、国内石油資源を極力確保していくという立場にあることは、またこのことが、将来にわたっても変るべき筋合いのものでないことにつきましては、御異論がないと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、将来の昭和三十七年度あるいは昭和五十年度というようなときのエネルギー考えますと、とうてい石炭だけでは、エネルギーを充足していくということは不可能であります。むしろ、将来エネルギー需要が非常にふえて参りますために、輸入エネルギーの量が、むしろどんどんふえていくというような状況にあるわけであります。従いまして、海外からの石油確保ということにつきましても、極力考えていかなければなりません。これにつきましては、輸送の点をよほど考えなければなりません。スーパータンカーを作るとか、あるいはスーパータンカーを入れる港湾を修築するとか、あるいはまた、場合によりましては、油田の開発というようなことも考えて参らなければなりません。ただいま申し上げましたような意味合いにおきまして、炭主油従政策をとるとともに、また石油につきましても、強力にその確保の手段を考えていかなければならぬ、こういうふうに思っておる次第であります。
  9. 笹本一雄

    笹本委員 最後に、税制の問題について、お尋ねしたいと思うのであります。追加投資損金算入の問題は、長年の懸案であったのでありますが、昨年の四月、租税特別措置法改正の際、ようやく認められることになったのであります。私の聞いておるところによりますと、依然としてこの運用上の問題が残っており、実際には有名無実規定となっているように思われるのであります。もしそうであるならば、すみやかにこの改善の措置がとられるべきだと思うのですが、これに対する御所見をお伺いしたいのであります。鉱業税についても、一般産業並み事業税に切りかえてほしいということも、要望されておりますが、私は、長い目で見たならば、事業税に切りかえる方が、石炭鉱業にとって有利であり、安定にも役立つと思うのであります。この点どうお考えでありますか。  次に、固定資産税についても、一考を要する必要があると思うのであります。御承知通り石炭を掘り進むにつれて追加される坑道に対して、一般産業土地家屋等と同様に固定資産税をかけることは、まことに不合理であり、石炭鉱業の経営を、ますます苦しくするといってもいいのではないかと思うのであります。若干改善措置はとられたと聞いておりますが、法人税の場合と関連しまして、何ら改善の跡が見られていないのは、法制上、さらに行政上に、何らかの欠点があるのではないかと思うのでありますが、この点はどうお考えでありましょう。これは、自治庁との関係もございましょうが、要するに、政府が、石炭鉱業の合理化、開発促進を真剣に考えられておるのであれば、石炭鉱業の経営上、大きなウエートを占めておるところの税制の問題についても、特段の考慮を払うべきであると思うのであります。  以上の点について、通産大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  10. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 税制の問題は、今、お言葉のございましたように、非常に重要な問題でございまして、長期低利資金確保と相並んで、税制の問題は、従来とも、大蔵省と折衝を続けてきた問題でございます。その中で、ただいまの追加投資の問題は、幸いに本年度から、これを損金算入の話し合いが、大蔵省とつきまして、目下、具体的にどういうふうに適用していくかという通達を、各地方へ大蔵省から出してもらうように、話を進めておる段階でございます。  それから第二に、鉱産税及び固定資産税につきましては、これは、いずれも、従来から、石火鉱業としては、この軽減について、何回も陳情を受けている問題でございますが、これに対しまして、地方税の問題でございますので、具体的にどういうふうな軽減の方法がいいかということにつきまして、今、大蔵省と折衝中でございます。
  11. 小平久雄

  12. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣に、二、三点質問いたしたいと思います。  第一点は、長期エネルギー供給見通しにおいて、昭和五十年におきまして、石炭は精炭において七千二百万トン。しかるに、輸入原油は七千四百九十万キロリットルということになっております。そうして、石炭換算にして一億トンに及ぶところの輸入原油にこれを求めておる。そうして、輸入エネルギーが四八%という、きわめて輸入エネルギーに依存しておる。こういう状態でありますが、これは、原油をドルに換算いたしましても十五億ドル、日本の国際収支上も、きわめてゆゆしき問題であると思うのであります。そこで、なぜ七千二百万トン以上の増産計画をお立てにならないのか。日本には、少くとも二百二億トンの埋蔵量があるといわれておる。五十億トンくらいしか埋蔵量がないといわれておりますフランスにおいても、現在の日本以上の出炭規模をもって推進をされておる。でありますから、石炭政策も、よろしきを得れば、私は十分増産態勢ができると考えますが、大臣、どういうようにお考えでありますか。
  13. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまお話し通りに、昭和五十年度というものを考えます場合にはエネルギーが、石炭換算で二億七千六百万トンということであり、しかも、そうでありながら、一面におきましては石油なり重油の輸入が、エネルギーの四八%を占め、それが十五億ドルになるということにつきましては、先般の長期計画で、御承知通りであります。そこで、われわれとしまして、現在なし得る最善の努力をしていこうというので、一応昭和三十七年度におきましては六千四百万トン、昭和五十年度におきましては七千二百万トンという増産を、目標といたしたわけでありますが、これは、現実問題としまして考えます場合には、一応の目標はこの程度に置きませんと、実行不可能なことを言っても、いたし方がないわけであります。しかし、これで、もちろん、われわれ足れりとして考えておけではありませんで、ただいま御審議願っております合理化臨時措置法の一部改正につきまして、極力推進をいたしますと、大体昭和三十七年度におきまして六千四百万トンというようなことが、期待できるのではないかと思いますが、しかしそれ以上にふえましても、それを押えるわけでは、もちろんありませんで、むしろ、極力それ以上にふやしていきたい。それにつきましては、いろいろ合理化計画その他を、さらに検討して、極力ふやしていくというふうに考えておるわけであります。ただいまの一応の考えとしましては、こういうふうに考えておるわけであります。今後の推移いかんによって、さらにもっと強力な、あるいは、私個人の意見かもわかりませんが、鉱業法についての根本的改正ということも、考えていかなければなりません。また、フランスのミッションの勧告につきましても、いろいろ今後検討をいたしまして、さらに一段と画期的な合理化なり、あるいは増産計画を立てていきたい、かように考えておるわけであります。
  14. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣は、実行不可能なことをしいても仕方がない、こういうお話でありますが、なぜ実行できないのか。それはどこに問題があるのか。一体、大臣は、どういうように把握されておるか、これをお聞かせ願いたいと思うのです。と申しますのは、七千二百万トンというのは、結論的に言いますと、現在各会社において、昭和五十年度においてはこのくらい出炭するであろうというのを一応積算いたしまして、その積み重ねが七千二百万トンになっておるのであります。むしろ日本の埋蔵量その他からいいましても、十分私は、七千二百万トン以上の増産態勢ができるのだ。そのできないのは、石炭政策が確立していないから、できないのである、かように考えるわけです。なぜかといいますと、すでに五千六百万トンという昭和三十三年度の目標すら、新聞では、それがゆらいでおるといわれておる。業者も、そういうことを認めつつある。こういう現状において、足元からゆらいでくるのに、七千二百万トン以上の増産目標を立てておけば、非常に企業負担は大へんだ、こういうことで、全部景気の波動を一企業がかぶってはいけない、こういう考慮から、いわば、あつものにこりてなますを吹いておるような状態から、こういう計画しか出ていないのだと私は思うのです。そこで、その日本エネルギー、ことに石炭の場合は、一応上昇目標がありましても、御存じのように、その上昇目標に到達するには、大きな波動を描きながら上昇していく。この波動をいかにして少くするかというのが、やはり政策でなくちゃならない。そういういろいろな石炭政策の確立をもって、初めて増産態勢ができるのでありますから、一体、どこに隘路があり、それをやるためには、どういう政策が必要であるか、どういうふうにお考えですか。
  15. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 七千二百万トン、あるいは六千四百万トンの目標ということにつきまして、業界の方々の意見がそうだというわけでありますが、しかし、それにつきましては、特段な措置をやり、また企業家が相当な努力をしなければ、できないというものでありまして、今のままにしておいて、それが可能だというわけではありません。従いまして、ただいま申し上げましたように、われわれとしましても、このために、特段の措置をとりまた法律の改正をお願いいたしておるわけであります。その大きな隘路ということになりますと、一つにおきましては、それだけの資金なり、今後調達する資本の問題もあると思います。また、ただいまお話しのように、長期にわたりましてはそうでありましても、短期間を限って考えますと、いろいろ変動が強い。それにつきましては先ほど来申しておるのでありますが、極力長期の契約を結ぶ、あるいは貯炭場を設けるというような考え方によりまして、また極力石炭に重点を置いて、石油調整の作用をやるというような考え方に基きまして、安定をさしていく方策を、十分われわれとしましてはとっていきたい。かように考えておるわけでありまして、もちろん、ただいまの目標をもって足れりとしておるわけではありませんので、さらに、もっともっと根本的な問題にも触れて、今後の石炭増産計画を推進したいというふうに考えておるのであります。最も地道な考え方で、目標を一応そこに置いておるというわけでありまして、これをもって足れりという考え方ではないのであります。  また、隘路につきましては、極力、今後われわれとしましても、一つ一つ問題を片づけていきたい、こういうふうに考えておるような次第であります。
  16. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今、隘路を打開していきたいという中で、鉱業法の根本的な改正というようなお話がありましたが、そういたしますと、大臣は、今度未開発地域において、鉱区の調整に対して、いろいろ規定が設けられましたが、さらにこの趣旨を一般鉱業法にも十分考える、こういう意味でしょうか。そういうように受け取って、よろしゅうございましょうか。
  17. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 御承知のように、鉱業法の対象としておりますのは、石炭に限っておりません、ほかの鉱物についても、関係を持っております。また、石炭に関する部分におきましても、鉱区の調整ばかりではなしに、もっと鉱業権そのものについての根本的な考え方を検討しなければならぬ問題が、私はたくさんあると思うのであります。しかし、これは、かなりの検討期間を要するわけであります。われわれはこの未開発炭田の部分に関しましては、極力必要最小限度の鉱区の調整等の問題につきましての考え方を、一応出していきませんと、今後の仕事が運びませんので、そういう意味合いにおきまして、最小限度の考え方で、今回の改正をお願いしておるようなわけであります。
  18. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 未開発炭田については、必要最小限度ということでありますから、さらに今後の鉱業法の改正については、それらを一歩進めておやりになることを意味しておるのだろう、こういうように考えるわけであります。  さらに、鉱業権そのものにつきましても、この前、伊藤委員からも質問がありましたが、本来、国民のものである。それが、先頭主義によって、長い間私物化しておる。しかも、活用されておれば、これは国家の資源が活用されておるのですから、申し分ないわけでありますけれども、活用もされないで、長い間権利の上に眠っておる。こういうことは、やはり許さるべきでは心いし、また、道義上の問題は別にいたしましても、国の資源開発という面からいっても、私はやはり改正をする必要があるのではないか、こういうように考えるわけであります。ことに、未開発地域の鉱区調整の問題が出ておりますけれども、未開発地域以上に、既存鉱区といいますか、あるいはすでに稼行をしております鉱区間におきましても、一方においてはもう一年しか鉱脈がない、一方におきましてはまだ二百年もある、こういう鉱区が隣接をしておるというような場合もあるわけであります。でありますから、これはやはり私物化しないで、もう少し国の大きな見地から、当然鉱区の調整というものは行うべきである、こういうように考えますが、大臣もそういう考えでおられるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  19. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 従来の鉱業権というものが、私有権的な色彩を非常に濃厚に持っております。従って、ただいまお話しのように、国全体のための鉱物資源を、いかに最大限度に公益の要請にマッチしていけるかという点につきましては、私は、ただいまの鉱業法は、根本的に検討する必要がある、こういうふうに考えておるのであります。ただいまお話しのような考えを、私個人は持っております。極力これは早くその改正方向に向って推進すべきであるというふうに、考えておるのであります。先ほど来申しておりますような関係で、とりあえずこの未開発炭田について、これも根本的ではありません、必要最小限度で改正のお願いをしておる、こういう次第であります。
  20. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ぜひ一つ、根本的な改正考えていただきたいと思います。  その次に、この石炭政策が確立していない大きな問題として、やはり、この前からいろいろ述べておられます石炭企業需給需要に対する弾力性のないという問題、この問題は、単に私は、長期契約を結ぶとか、あるいは貯炭場を作るということだけでは解決できない、制度的な解決が必要ではないか、こういうように考えるわけです。それについて、大臣ほどういうお考えですか。とにかく、今七千二百万トンは必要だ、こういって、増産態勢に踏み込もうとする現在、この時点において、すでにことし計画目標でありました五千六百万トンが危ないというのですから、やはりこういった面は、長期的に、一つ制度的に考えなければだめだ。ただ相手方に長期契約を結ばそう、こういうことだけでは、解決し得ない。やはり制度的に、いわば法律的にこれを解決する必要があるのではないか、私はこういうように考えるわけですが……。
  21. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 法律的あるいは制度的、こういうお話でありますが、とりあえずは、われわれ、貯炭場の問題、あるいは長期契約の問題を考えておるわけです。お話の意味は、あるいは買取機関というような問題を含めてのお考えのようだと思います。私も、先ほど御答弁申し上げたのでありますが、買取機関というようなものにつきましても、検討いたしておるわけであります。いろいろ独禁法との関係の問題もありましたり、あるいは資金の問題、価格の問題、いろいろありますので、それらについても考えて、今後推進していきたいと思います。  また炭主油従政策につきましても、従来よりも、強力にこれを考えていきたいというふうに思っております。極力、この点は今後の一番大きな課題として取り上げ、それに十分なお答えのできるように努力いたす所存であります。
  22. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 炭主油従政策が確立したということが、言われておるわけでありますが、ところが、そういうことが確立いたしました今日において、もうすでに、昭和三十三年度の輸入外貨の割当を見ますと、昭和三十三年度の上期は、昭和三十二年度の上期にも、あるいは下期にもない大幅な割当がなされておる。さらに先般毎日新聞には「二カ月で早くも改定」「年間エネルギー計画」「主要企業の操短ひびく」ということで、国会明けを待って、もうこのエネルギー需給計画を変えようとしておる、こういう新聞記事が載っておる。これは、私が質問した翌日、こういう記事が載っておる。こういったことでは、私は石炭政策というものは確立し得ない、かように考えるわけです。そこで、なぜ重油外貨をこれほどふやしたのか。この前局長からお聞きいたしましたところ、どうもふに落ちない。正直に、外貨をふやさざるを得なかった理由をお述べになって、そうして、さらに一体——もうすでに新聞でうわさされておるが、年間のエネルギー計画を改訂するのかどうか、これをお聞かせ願いたい。国会が済んでから、改訂しようなどというのは、とんでもないことだと思います。
  23. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 炭主油従政策が、今度の外貨予算で、外貨の割当が非常にふえておる、炭主油従政策に反するのではないか、こういう御意見だと思います。それにつきましては、われわれとしましても、極力切るという考えでやったわけであります。ただ、消費は切りますが、昨年の状況は、御承知のように、石油につきまして外貨を極力切って、いわゆる在庫スリッページが非常に少くなり過ぎたというような点がありますので、外貨の面におきましては、そういうふうな一応の措置をとらざるを得なかったのであります。しかし、最終の需要量につきましては、実は、もちろん重油につきましても、あるいは、ことに原油の方につきましては、消費需要相当の増加になるというふうに見込まれておりますので、石炭生産計画に響かない限りにおきまして、そういう外貨の割当は表面上ふえておるという実際であります。従いまして、われわれとしましては、石炭との関係におきましては、極力重油なり原油を削減するという態度で強く臨んできたわけでありますので、その点は、御了承願いたいと思います。ただ、五千六百万トンの本年度の目標につきましては、われわれはそれだけの需要があるというふうに考えておりま関すので、それを、国会が済んだら直すのだとか、そういうような考え方では決してありませんので、もちろん、今後の経済の推移ということにもよりまして、貯炭が起き得ないという事態が起れば別でありますが、ただいまのところ、われわれは、あくまで五千六百万トンにつきましては、その遂行をしていただきたい、またそれに対するわれわれとしてのあらゆる努力をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、五千六百万トンの出炭目標を変更する気持はない。それから、石油は在庫が少いから入れたのだ、こういうことでありますから、五千六百万トンの出炭が確保されるように、もし五千六百万トンの出炭が、五千六百万トンの需要がなければ、これは当然石油の方で調整をする、こう考えてよろしいですか。
  25. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 極力そういうふうにいたしたいと思っておりますが、貯炭場の増設とか、いろいろあります。ただいまわれわれとしましては、お話しのような方向で、極力やっていきたいというふうに思っております。
  26. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、五千六百万トンは十分確保できる、もし五千六百万トンの需要がない場合には石油の方で規制をする、こう考えていいわけですね。
  27. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 大体数字的に、きっちりとそういうことがいくかどうかにつきましては、これはまた、石油の問題も考えていかなければなりませんが、しかし、極力そういう方向でいくという方針は、持っておるわけであります。
  28. 小平久雄

  29. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 二、三質問をいたしたいと思います。先ほどの笹本並びに多賀谷同僚議員の質問と関連するような形で、お答えを願いたいと思いますけれども、第一には、総合エネルギー政策の一貫としてのエネルギー部門の合理化方針に従ってこの法案が検討され、提案されたように聞いておりますので、この法案と直接関係ないかと思うのでありますが、うらはらになる意味で、総合エネルギー価格政策について伺いたいと思います。総合エネルギー、少くともエネルギーを総合するという意味での総合エネルギー価格についての、基本方針を伺いたいと思います。
  30. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 エネルギー資源につきましては、先ほど来申し上げました通り、あらゆる産業の基礎になるものでありますから、極力下げていかなければならぬと考えているのであります。もちろんこれは、個別のものによって極力下げていかなければなりませんし、また価格の安い方向に従ってエネルギーが使われる、こういう自然の法則は無視し得ません。従って、極力総体として金のかからぬようにということについては考えていかなければなりません。それにつきまして、われわれとしても、先ほど来申しておりますように、長期低利の財政資金を、極力そこに投入していくという考え方に上って、総合的にエネルギー価格というものを考えていきたい、かように思っております。
  31. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 どうも、質問が少しむずかしかったのかもしれませんが、私の実際聞きたいことは、この法案を離れてもいいのですけれども、そろそろ本格的に総合エネルギー政策が考案されていいと思うのです。もう長いこと、総合エネルギーという言葉が上げられて検討を進められ、総合エネルギー政策という言葉で、いろいろな問題が語られておりますけれども、実際にエネルギーが総合されて、一つの大きな基盤をなすというような意味での総合エネルギー政策というものが、まだできておらないような気がするわけです。ただ単に、石炭の今年の増産計画何トン、それから電力が何キロワット・アワー、それに重油が何キロリッター、それを合計してこれを石炭換算すれば何ぼ何ぼというような算術合計の問題と、それから本格的な総合という問題とは、全然違うと思うのです。最近におきまして、今のようなエネルギー源の総合をしなければならぬという感じは、ある程度、役所の中にも出ておられるように見えるわけであります。従いまして、先ほどお話が出ておりますように、炭主油従とか、油主炭従であるとかいう問題がある。私は、これに対しては異議を持っているのでありますけれども、そういう問題の出し方がされております。しかしながら、そういう問題の本格的な総合エネルギー政策というものが、検討されるならば、当然にそのエネルギー源の、おのおののエネルギー源を貫くところの価格政策に骨が通らなければ、総合エネルギー政策というものは、私はできないと思うのです。たとえば、原則として原価主義でいこうとか、あるいはそれに類する何らかの方針を立てなければ、総合エネルギー政策というものは、私は立てられないと思うのです。そういう意味で、そうややこしく食いつきはしませんから、考え方を、ほんとうにお述べになっていただきたいと思います。
  32. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 御承知のように、長期計画においては、エネルギーの総合的な増産ということについて、やっているわけであります。それにつきまして、ただいまお話しのように、価格の問題は触れておらぬかもわかりません。しかし、これはやはり根本におきましては、私は原価主義だと思います。原価主義ではありますが、その間におきまして、国内エネルギーを極力活用するという意味合いにおきまして、財政資金の投入とか、そういうような面について考えていかなければならぬという、それを織りまぜて今後の価格政策考えていくべきだ、こういうふうに考えておるのであります。
  33. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 おそらく方向としては、原価主義的な方向にいかざるを得ないだろうと思うのです。しかし、御承知のように、総合エネルギーエネルギー部門の最大なにない手でありますところの石炭、電力、石油の三つをとってみましても、電力の場合には、これは算術は、少し私はおかしいと思うのですけれども、一応厳密な合理主義をはっきりととっておる。それから石油の場合にも、ほんとうの山元のたれ流しになっておる原価というものは、それほど動きはせぬ。それを中心にして考えられるならば、私は原価ということでなくても、相当安定した価格が可能であると思う。しかしながら、フレートの非常に大きなものが加わるものですから、非常に大きな動きが出てきてしまう。その大きな動きを、そのまま現在の日本エネルギー政策ではとらえまして、それにほとんど規制も加えない形でこれに乗っかっておる。それから、今問題になっている石炭でも、生産の段階におきましては、いろいろな形で合理化資金をつぎ込むとかなんとかいうことで、安定化をはかられようとしておりますけれども、流通の過程が、ほとんどほうりっぱなしになっておって、流通の過程がほうりっぱなしになっておれば、原価に対しまして、政府でどのような制肘を加えられましても、当然に、それは需給によって、先ほどお話があったように、価格ができてきてしまうわけであります。従いまして、この石油に対するフレート問題、それから石炭の流通過程の動き、これに対しまして、ある程度の考え方がなされなければ、私は総合エネルギー政策というものは立てられないと思うけれども、大臣、御見解、いかがですか。
  34. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 その点は、先ほど来、ずっといろいろお話し申し上げてきておるわけでありますが、石油につきましてはフレートの問題が大きな変動の要因になっておりますことは、事実であります。それにつきましては今後スーパータンカーなどの増設、あるいはそれに対します港湾の整備というようなことを考えて、極力安定した姿で輸入ができるということを、やらなければならぬことも事実であります。また石炭につきましては、需給のアンバランスによって、価格が非常に変動しておる。これは実に日本経済の底が浅いのが、そのまま今まで現われてきておるわけであります。それにつきまして、先ほど来申しておりますように、貯炭場の増設とか、あるいは長期契約の締結とか、あるいはまた、さらに進んで買取機関の整備というようなことに、極力これを推進して参りまして、そうして、安定した合理的なコスト主義で価格がいけるようにということにつきましては、決してわれわれも、怠っておるわけではありませんし、また今後におきましても、そこに大きな重点を置いて推進したい、そのように考えておるわけであります。
  35. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 今のお話によりますと、そういう点に重点を置かれる考え方でありますように聞えますけれども、ほんとうは、そうではなくて、需給をもう少し正常化しようというだけの話で、つまり、需給が、非常に上ったり、下ったりしないようにしようというだけのお話でありまして、私の言うような生産原価を中心とする原価主義に基いて、三つのエネルギー源を総合させようという価格政策からは、ほど遠いような感じが私はするわけであります。その意味では、たとえば、先ほどから問題になっておりますところの標準炭価なら標準炭価という制度が、もう少し確立されるならば、この制度の確立に従って、需給の方を今度はバランスさせていくということの方が、私は筋だろうと思うのですけれども、どうしてこの標準炭価というようなものが、せっかくいい制度でありながら、ほとんど有名無実に終らざるを得ないのか。通産大臣の努力にもかかわらず、ことしも、やはりまた有名無実に終らざるを得ないのか。その辺の見通し、並びに、なぜできないのかということについて、お伺いしたいと思います。
  36. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 標準炭価の問題につきましては、先ほど御答弁したのでありますが、私、実は、昨年就任早々で、さっぱり当を得ない結果になりましたことを、おわびしなければならぬと思います。しかし、全く、標準炭価制度をもって活用しなければならぬのでありまして、従いまして、実はもうすでに調査は始めているわけであります。その結論は、そう遠くないときにきめたいというふうに考えておりまして、本年度におきましては、標準炭価が、相当今後の炭価の指針となり、指導をして参りますのに役立つものにしたいというので、極力今調査を進めているような次第であります。今後におきましては、十分私は標準炭価制度というものを活用し、また、今までのできなかった理由といたしましては、結局データがそろわなかったわけではないかと思います。しかし、あの標準炭価制度そのものにも、もし欠陥があるということが判明するなら、もちろん、その炭価制度についての改正も、含めて検討していただかなければなりません。ことしは、従来とはまるきり違った意味で、標準炭価制度を取り上げて実行していってみたい、こういうように考えているわけであります。
  37. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 現在の標準炭価制度で、ほんとうにやってやろうと思った場合に、資料が整う、整わぬというお話がありますけれども、資料の整うのを待っていては、いつまでたってもできません。これは、資料の問題ではありません。今の段階では、そんなに山元は原価主義にもなっていないのでありまして、むしろ、市場価格をどういうふうに規制しながら、ことしの炭価の筋道をつけるかということで、私資料というのは、そのときの言いわけの材料にしかすぎないと思う。そうではなくて、もう少し生きた経済の中で、炭価に主導性を持たせられて、物価政策の筋を通そうとされるならば、データの問題ではなくて、政治力の問題か、経済判断の問題ではないかと用うのですけれども、資料というのは、何の資料を理由にされているのですか。
  38. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 御承知のように、標準炭価につきましては、山元原価について調査をして、そうしてきめることになっているわけであります。すでに、その調査を始めておりますが、全然そのもとを調査せずに、ただ達観によってこれをきめるという建前にもなっておりませんし、それがよくないということなら、また制度改正考えなければなりませんが、ただいまの制度に従って、十分活用等をしていけるというふうに考えておりますから、ただいま、そういう山元の原価につきまして、各会社に委嘱して調査をやっているというのが現状であります。
  39. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私は、まだ内容をよく調べておりませんし、従来の傾向も、よく知らないのでありますけれども、そういう意味の原価データを調べるということは、これは局長さんの方がいいかもしれませんけれども、それは昨年度なら昨年度のデータを調べるということですか。
  40. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 さようでございます。
  41. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それが、ことしの炭価に、そんなに大きく要素になり得検ますか。つまり、要素にはなり得ると思うのですけれども、これまで一番石炭価格変動した理由は、昨年度の原価にあるのではなくて、たとえば、三十一年から三十二年へ動いたのは、全部外的事情によってあれだけ下ったり上ったりしているのですよ。その前の年の原価は、調べてみたところで、へみたいな話で、こんなことを調べようと思ったら、おそらく、石炭局長さん、あなたがちょっとやりさえすれば、適当な理屈の数字くらいは、いつでも出てくるはずで、それは確かに、通産大臣の言われるように、全然数字を持たずにやらぬというのは、違法でしょう。ですから、その辺の数字を集めるのは、適当に集めればいいと思うのだけれども、それが集まらなければ、それがまた、全部積み上ってでもこなければ、ことしの標準炭価がきま価にはなりません。これはむしろ、調べられるなら、現在の世界市場なり、現在の国内の物価状態なりを見て、それで適当な方針をやろうと言われるなら、ちっとはおくれたってやむを得ぬだろうと思うけれども、去年の炭価の実績、去年の生産原価なんか、幾ら調べられたって、私は大した値打はないものだと思いますけれども、大臣、いかがですか。必要な範囲でいいかもしれませんが、ナンセンスだと思います。
  42. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 先ほど来申しておりますように、これはやはり調査をし、それに基いてやらなければならぬわけであります。しかし、何もそれだからといって、例年のように、秋になってきめるというようなことでは、意味がありませんので、早い機会にそれを策定し得るというふうに考えておりますので、そう将来先に引き延ばすというものではなしに、それは、もちろん今後の方針というものも、織り込んでいかなければならぬことは事実であります。しかし、賃金にいたしましても、その他の原材料につきましても、一応調査をし、そして十分納得のいけるものを作らなければなりませんから、それにつきましては、従来とは違いまして、早くからその調査にかかっておれば、その調査を済まして、適当な時期に早く炭価をきめることができる、かように思っておりますので、そういう方針で進んでおるわけです。
  43. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 まことにおこがましいようでありますけれども、通産大臣に、私は申し上げますけれども、それは話が違っておる。電力料金のこの間の河野さんとの問答になったのも、あのときには、ほんとうのことを言うと、考え方は河野さんが違っておる。今度の場合は、通産大臣考え方が違っておる。そういう意味で、私は、先ほどから総合エネルギー価格政策を必要とすると、こう言っている。電力のときの原価を作る場合には、これは法律によって、原価をきめなければならぬということになっている。それに基いて、いろいろなものがきまっておって、そして積み重ねて今の原価は、昨年であろうが、一昨年であろうが、きめられているのです。その場合には、あくまでも計算でありますから、従って、これはいろいろな意味をつけ加えない方がいいのでありまして、なるべく率直に認めなければならぬ。原価主義をそのまま貫こうということになっておりますから、従って、そういう法制的な原価主義に基いた電力料金の昨年の決定に対しまして、低物価政策の必要から、ことしは上げる必要がないとか、上げる必要があるとかということを、企画庁の長官が言われるのには、全然別な意味の政治的理由があるならば、別でありますけれども、本来の原価主義の考え方とは違う。しかしながら、標準炭価の場合には、私はそういうふうに決定されておらないと思う。電力料金の決定と同じような方針で、標準炭価が決定されるものでありますならば、先ほど言われていましたような意味で、原価をずっと積み重ねて計算をされる、それを一番大きな基準として決定されなければならぬことは、当然のことであります。しかしながら、今言いましたように、石炭の方は、ほとんど実質的な自由価格でしょう。需給によって変動する価格が、現実に行われておるわけでありますから、従いまして、需給によって変動する価格を、なるべくなら、あまり変動しないようにしようではないかという、より政治的な一つ意味で、標準炭価という方針が出ているわけであります。従って、私は、標準炭価をきめられるそのデータの積み重ねの方針と、電力料金のような法定されているような原価の積み重ねの方針というものは、全然違う。ところが、役所でやられる作業というものは、大体似たようなことをやられている。しかし、その法制的な考え方が違うというところに、私は今エネルギー価格政策の困惑があると思う。河野さんのこの間の電力料金に対する考え方が、この標準炭価でいくのだったら、あの考え方でも、ことしはいいと思う。しかしながら、電力料金に対しましては、理屈からいうと、あなたの方が私は正しかったと思う。しかし、今度の標準炭価に対して、やはり似たような積み重ねをして、問題を算術でずっとはじき出されようとするされ方でありますならば、これは電力料金の法定されている原価主義と同じ建前をとられておるのであって、これは行政部内における了解としてはいいかもしれないが。判断の一つの材料に過ぎないのであって、私は全然考え方が違うと思うが、そうではありませんか。
  44. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 私は、決して積み重ねたもの、それだけによってやろうという意味ではないのでありまして、もちろん、法律におきましては、いろいろ石炭以外の、その他の経済事情を参酌してきめるというふうなことになっております。しかし、石炭生産費を基準としてということになっておりますので、一応の調査をし、それに対して、あらゆる要素を加え、そうして結論を出す。こういうことになっておりますので、やはり一応の調査に基いて、それに対して、どういうふうに取り扱うかという批判をしてきめるべきものというふうに考えております。一応の調査はやる、そして、これはもちろん、その調査で出たそのままをとるわけでもなんでもないのであります。いろいろな達観も加えなければならぬと思いますし、また経済事情も考えて、率直にいえば、来月にでもきめれば、十分ことしの問題の基準として役立つ、こういうふうに考えているわけであります。
  45. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 法定されているという意味は、私はそういう意味で言ったのではなく、電力料金というものの強制力と、標準炭価の強制力ということの意味を言っているわけであります。電力料金の場合、はっきりと強制されておる。その場合、仕方がないから、非常に厳格なといいますか、弾力性のない算術的計算だけを基準にせざるを得ない。今の石炭の場合におきましては、需給炭価ということが、ほとんど全面的に押し出されておりますから、それがあまり上ったり下ったりしないようにというところに、法の目的があるわけでありまして、この法の目的、標準炭価の法の目的と、電力料金の法の目的とは相当違う。このことははっきりと了承されなければ、標準炭価のうまみは出てこない。昨年の失敗はここにある。ことしも、ひょっとすると、それと似たような失敗を繰り返すのじゃないかと思う。だから、去年から言っているが、同じような話で、しかもデータ、データで、生産費を基準とするところのデータを、一生懸命求められようとするところに、私は生きた標準炭価制度が失われてきつつある原因があるのではなかろうかと思うのです。去年、勉強が足りなかっかとか、手続が云々ということでなく、標準炭価制度が、なぜ実施されないかというのには、その辺の考え方が、閣内でも統一されていない、あるいは、通産大臣はちょっとこんがらがっているのじゃなかろうかという感じがあるのです。違いますか。
  46. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、生産費を基準とするということは、やはり一応の建前を守っていかなければならないと思います。ただ、そのまま取り上げるのでもなんでもないのでありまして、もちろん炭価なり、その他のいろいろな経済事情を織り込んできめるべきものでありまして、私と佐々木委員のおっしゃっていることと、そう違っているようには思いません。ただ、需給関係だけできめるという行き方は、ちょっと法文の上から考えましても、今後のやり方につきましても、そうはいかないのではないか。結局、極力安定したものでいかなければなりませんが、やはりコスト主義という点につきましても、一応の敬意を払いながら、本年度炭価というものの基準となり得べきものを策定するということでありまして、私は、ただいま佐々木委員の言われる、需給関係だけできめるというようなお話にとれる部分につきましては、考えを違えておりますが、それ以外のお話については、全く同じような意見のように拝聴いたしておるわけでございます。
  47. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 需給関係だけできめろというのじゃなくて、需給による変動が大き過ぎるのを、セーヴするための目的を持ったのが標準炭価だ、こういうのですよ。ですから、その標準炭価をきめる要素が、当然に生産費にあることは私も了承するのです。生産費にあるけれども、もっと生きた需給関係で、あまり変動しないようにしろというところに目的があるのだから、そこのところをはずさないようにしなければならぬ。生産費を一生懸命調べている間に、需給が大きくなったり、小さくなったりして、とうとう一年過ぎてしまったのでは、何のために標準炭価があったのだか、わけがわからぬ。生産原価を調べることも、必要であろうけれども、目的は、需給によって大きく変動させないチャンスに、そういう値段できめるというところにある。商売の一番の取引は、タイムにあることは、あなたも御承知通りでしょう。従いまして、法律で強制される電気料金みたいなものだったら、あとから取ったっていいですよ、電気料金はきまっているのだから、あとから取ったって、何も需給に影響を及ぼさない。標準炭価の場合は、現在の需給を安定し、価格を安定せしめ、現在の取引を安定せしめるところに目的があるのだから、従って、生産費を調べたり何かしていることよりも何よりも、安定せしめ、タイムリーにきめることにある。目的はそこに置かなければ、ナンセンスになってくるわけです。どうですか、私、これはどんなにしたって、その目的に違えてくれたら困ると思う。
  48. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 それは、先ほど来申しておりますように、本年度の基準となるべき炭価でありますから、間に合うような炭価のきめ方でなければいけません。それにつきましては、従来とまるっきり違った早期にきめる、こういうことについては、何ら異論を申しておるわけではないのでありまして、昨年のように、十二月にきめるというようなことは、全然意味がない。従って、いつもでありますと、相当年度に入りましてから調査をしておるのが、もうすでに昨年度から調査をやって、そうして一応の調査を四月中にも終って、すぐ価格の策定をやりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。その点につきましても、佐々木委員のおっしゃることと、私は、そう違っておる考えと思っておらぬわけであります。
  49. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 まだ同僚委員質問もあるそうでありますから、あまり時間をとらないように、先を急ぎたいと思いますので、希望だけを申し上げて、今の問題を打ち切りたいと思います。大体、おわかりになっておるようでありますけれども、私は、非常に疑問に思っておるわけであります。それは、せっかく石炭鉱業審議会の一番中心みたいになってきめられた標準炭価制度というものが、全然意味をなしていないのです。今のところ、効果を持っていない。これが効果を持たなければ、ほんとうの自由企業であるところの石炭産業に対して、いろいろな法制的な制約を加えたりすることは、これはほんとうはおかしなことになってくる。そういう標準炭価制度によって需給を安定せしめ、そうして価格を安定せしめる方向に一歩々々前進するということでなければ、私はこの合理化法案自身、根がなくなってしまうと思う。そういう意味で、もう少しこの標準炭価制度なるものにつきましては、真剣に御考慮を願いたいと思います。先ほどから、お話が出ておりますけれども、この標準炭価によって決定されるのではなくて、これは自由価格需給価格の内容と、それから需給価格の内容リードして、需給価格を安定せしめようというところに、意味を持っておるわけでありますから、もう一ぺん、その内容をはっきりと再認識をされて、そうしてタイムリーに的確な価格をリードし得るような標準炭価を決定せられますように、特に私は強く希望をいたしておきたいと思います。  それから二番目には、最初の問題の出し方でありますけれども、もうそろそろこの辺で、そういう問題も含めた総合エネルギー価格政策を配慮願いたい。たとえば、片方には、電力料金のようなものは、もう木で鼻をくくったような、身動きもできないような原価主義になっておる。その原価主義の大きな構成要素であるところの燃料に対しては、今ほとんど野放しの自由価格になっておる。そしてまた、石油でありますならば、これはほとんど世界価格のようなフレートの動きをそのまま受ける。こういう価格政策の上に、石炭を五千六百万トン、それから電力を何百億キロワット・アワー、それに石油を重ねて、そしてそれを石炭に換算すれば何ぼになるなんて、それはもう役所で算術された遊びみたいなものです。現在の経済界ではナンセンスになる。総合エネルギー政策という言葉を言われましてから、もう五、六年たちます。この辺で、通産大臣も、おそらく、この次も通産大臣でありましょうと思います。従いまして、本格的な総合エネルギー価格政策について検討を加えられますように、エネルギー効果に対して、バランスを持ったような価格政策を、電力と油と石炭が、おのおの石炭換算して何ぼという格好で、日本の総合エネルギーの中で価値を持っているわけでありますから、その価値を持っておるのにちょうどバランスするようなエネルギー政策を配慮されるように、私は強く希望をいたしておきたいと思います。  それから三番目に、この間も出ておったのですが、今も問題になっておりますけれども、私は何としても納得いかぬのが炭主油従政策、これはほんとうにきめられたのですか。これは閣内で、今、炭主油従政策というものは、どういうふうな状態になっておるか、ちょっとお示しを願いたい。
  50. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 前段の、先ほどの御希望につきましては、全く同感であります。われわれとしましても、極力推進するつもりであります。  それから、炭主油従政策と言われておりますのは、結局、国内エネルギーに主眼点を置いて、そして極力国内資源を活用するという意味におきまして、これはだれも異存のないところだと思うのであります。極力まず石炭を使って、その足らざるところを海外の輸入で補っていくという考え方で、別に大してそんな変った問題でもなんでもない、われわれはそういうふうに理解し、だれしもそういうふうに考えておると思います。
  51. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 昭和五十年ごろまでの総合的なエネルギー需給計画といいますか、需給見通しみたいなものを、通産省が立てておられると思います。その辺になってきますと、エネルギーの総合のバランスというものは、非常に違ってきております。そして、今、われわれが現在の時点に立ちましても、国際エネルギー資源の中で、一番潤沢に余っておるのは重油です。それから、戦前のアウタルキー的な考え方でいったときにのみ、日本石炭というものが、非常にエネルギーの中に大きなウエートを持ってくる。そしてまた、原子力という問題を考えてみても、私は将来のエネルギーというものは、非常に大きく動いてくるものだと思います。私は、遠からず、世界じゅうのエネルギーの中心は、石炭から、むしろ重油に置きかえられてくるとさえ思っております。その中で、日本が、石炭を大事にし、石炭産業を中心にして考えなければならぬということは、ちょうど日本の農民が、米作りによって飯を食っておる、そういう意味で、農民政策としての米価政策というものは、非常に大きな重点を持つ。従いまして、炭鉱労働者あるいは炭鉱で飯を食っておる者への政策としての石炭産業政策と、全体のエネルギー政策というものとは、おのずから違ってこなければならぬと思いますけれども、この辺の配慮も十分された上で、通産大臣は、炭主油従政策という言葉を使われておるのか、承わりたいと思います。
  52. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 長期計画でもおわかりの通りに、将来は、極力石炭増産するといたしましても、輸入エネルギーの方が、非常な大きなウエートを占めるわけであります。従って、炭主油従政策というのは、何も石油政策考えぬという意味では、もちろんありません。また、五十年度まで一応の見通しをつけておりますが、それにつきましては、原子力の発展というような問題も考慮に入れて、それが実現する速力の問題も考えながら、一応できておるわけであります。ただいまお話しのような点も十分考えながら、いわゆる炭主油従政策で極力外貨を節約し、国内の資源を活用するという意味であります。もちろん、この計画通りに、なかなか昭和五十年の先まではっきり見通せるわけではありませんが、ただいまのところで見通し得るあらゆる要素を含んで、考えておるわけであります。
  53. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私は正直なところ、炭主油従政策という言葉は、非常に政治的に出てきたと思いまして、むしろ非常に嘆いております。最も経済的であるべきものが、政治的な用語によってゆがめられることは、非常に危険であります。その意味におきまして、軽々に炭主油従みたいな、それこそ下手をすると、石炭資本だけに奉仕しようというふうに見える形の言葉を使われないように、むしろ、そうでなくて、もう少し石炭産業に対しまして、もっとほんとのことを言うと、社会化しなければならないぞという責任を負わせるような形で、問題を推進していただきたい、通産行政を推進していただきたい、こういうふうに思うわけであります。言うまでもないことでありますけれども、こういう言葉で日本は損し、経済的にいろいろな問題が起きたことは、これまでたびたびあります。日本でできる製品は、外国から買っちゃいけないというような話、これはとんでもないことです。私自身も、ずいぶんそれでつらい目にあったことがあります。そんなばかな話はない。むしろ、日本が本格的な社会主義経済国家にいくならば、私どもが政権をとった場合は、話は別かもしれぬ。しかしながら、現在自由主義的な経済を最も建前としておりながら、アウタルキーみたいなものの言い方をすることは、私は慎しまれた方がいいと思う。そうでなければ、現在の国際経済の中で、非常にやりにくいと思いますし、同時に、たとえば、電力産業一つとってみても、あるいは鉄鋼産業一つとってみても、炭主油従政策という言葉にくくられてごらんなさい。それでもって、世界市場に太刀打ちができるような基本産業なり、あるいはその他の産業が芽生えるかどうか、とんでもない話であると私は思う。そういう方針が立てられるならば、鉄を作ったら、鉄の売り先に、大砲を持って売りに行くような政策がとられなければならぬ。アウタルキー的なそういう政策が裏づけにならなければ、理屈が合わぬようなことになってきはしないか。そういうことに発展することを、心配するものであります。従いまして、通産大臣は、仕方なしに、その言葉が出たことを出たままで認めておられるらしくて、これ以上言うと、むしろ悪いかと思いますから、やめますけれども、特に政局の変動のはなはだしいときに、こういう一産業資本に、何か非常に重点のあるような言葉は慎しまれたい、私はこういうふうに思うわけであります。  あと一、二だけ、こまかい点についてお伺いしてみたいと思いますけれども、これは局長でもけっこうであります。私、急にきょう出てきて、これを見ておるものですから、もし間違っておったら、お許し願いたい。この合理化法のときに、不良炭鉱の買い上げという問題があって、それは三百万トンでしたか、その辺で、もうそろそろ一ぱいになっておるのじゃないかと思いますけれども、その辺の事情、それからまた、不良炭鉱が残されるだろうと思いますけれども、今後の方針と、不良炭鉱買い上げについての事情と、見通しを承わりたい。
  54. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 ただいまの御質問は、この合理化法が昭和三十年に制定されましたときの合理化の目標として、整備事業団を設立いたしまして、整備事業団が、非能率の炭鉱を買いつぶしていくという問題に関連するわけでございますが、そのときに、ただいまお話がございましたように、年間出炭量三百万トンを目標として、買い上げていこうという計画でスタートいたしました。三月中旬現在におきます炭鉱の売り渡しの申し込みは百五十七炭鉱、出炭量にして三百六万五千トンに達しております。そのうち、すでに契約が締結されましたものが九十七炭鉱、出炭量にいたしまして百八十一万一千トン、残りの契約は本年度中には全部これを完了いたす予定でございます。言いかえますと、この法律制定趣旨でありますところの三百万トンの買いつぶしの目標は、これをほぼ達成した、こう申し上げてよろしいかと存じます。しかしながら、これは、先般の当委員会において、多賀谷委員からも御質問があったのでございますが、今後、こういったような非能率炭鉱が絶対に発生しないかということでございますが、これは発生することは、やむを得ないと存じます。それに対します労務対策あるいはいろいろな債務処理問題、それらの問題にかんがみまして、今後における買いつぶしを継続するかいなかということでございますが、この点につきましては、今回この一部改正をお願いいたしましたただいまの時点のところまでについては、はっきりした結論を出しておりません。従いまして、この改正案におきましても、整備事業団につきましては、当初法律が制定されましたときの決定通り、三十五年八月をもって、納付金の規定はこれを切ってしまう、こういう法律の定めになっております。しかしながら、今後起って参ります非能率炭鉱に対して、どういう対策をとるか、また現在の整備事業団は、非常にいい仕事をやってきておりますが、これを今後どういうふうな形において、何かそれにかわるべきもの、あるいはそれを存続させるかいなかということについては、あらためて御相談申し上げたい、こう存じております。
  55. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 法的手続は知りませんけれども、それをそういうふうに切ってしまって、あとのものはあとから相談するというようなことで、そういうふうに二段的に今分けてしまっていいのですか。この法律を通すときに、仕事の継続から見て、何らかの措置をしておかなくてもいいものですか。
  56. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 非能率炭鉱の買いつぶしの問題だけに限定いたしますと、できるだけ早くそういうものをきめておいた方が、いいかと考えられますが、整備事業団そのものの性格から申しまして、整備事業団のこういった買いつぶしの資金の財源は、御承知のように、出炭トン当り二十円という納付金と、さらに開発銀行からの約定金利九分と実際上の貸し出しの六分五厘の差の二分五厘は、同じように納付金として積み立てております。そういうふうな業界に対する一種の拘束を、法律の上で規定してやってきておりまして、当初の法律の制定のときに、三十五年八月までという時限立法でございますので、この問題は、あらためてもう一回業界とも十分相談いたしまして、その上でないと——今日までのところは、その結論は出なかったのでありますが、幸いにして三十五年八月まで期間がございますので、あらためて国会の方とも御相談する機会がある、こう存じております。
  57. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 最後にもう一つだけ……。往々にして、これまで石炭の合理化を推進するためのいろいろな行政府の諸施策が、どうも大手中心になりがちである。中小炭鉱についてはどうも手放しといいますか、ほうりっぱなしである。また中小炭鉱の方も、もうかるときにはわっといくけれども、ややこしくなったら今度は泣きつく一方だというような話を、両方から聞くのでありますが、この石炭産業の合理化を推進される段階におきまして、今のような不良炭鉱は別として、中小炭鉱に対する合理化の御方針を承わりたいと思います。
  58. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 中小炭鉱と一口に申しましても、実は非常な段階がございまして、中小炭鉱の上位のものは、優に大手の会社と匹敵し得るような優秀な炭鉱が多々ございます。また非常に小さいところになりますと、非常な零細企業でございまして、鉱害復旧の問題であるとか、いろいろな問題について、なかなかめんどうな問題も起っておるわけでございますが、通産省といたしましては、大手炭鉱と中小炭鉱との間に、何ら処遇の差を設けておりません。全然同じように、国家的要請であるところの出炭というものをになっておる企業として、同一の扱いを考えております。  合理化の指導の問題といたしましては、主として技術、経理、労務、この三つの面について、中小炭鉱を、より近代的な企業形態にするように、さらにまた、技術的にも合理的な採掘を行うように指導してきておるわけでございますが、その実績を申し上げますと、昭和三十一年度におきましては、四十五炭鉱に対して技術指導を行いまして、予算は大した金額でございませんが、三百五十九万円の費用を使ってやっております。昭和三十二年度におきましては、昭和三十二年度から新しくスタートした新規の技術指導をいたしましたのは、五十一炭鉱でございます。それから、前年度までに行いましたものを、さらにその後アフター・ケアと申しますか、引き続いてこれを行いましたものが二十七炭鉱、予算額にいたしまして、三百五万八千円を使って技術指導をいたしたわけでございます。この結果は、能率の向上その他に非常に大きな効果を上げております。今後も、このような経理、技術、労務、この三方面におきまして、中小炭鉱の合理化、指導を継続いたしたい。それに必要な予算も確保いたしております。  また、さらに金融の面でございますが、これは中小炭鉱につきましても、開銀の融資を可能な限り取りつけるように努力いたしております。さらに、中小企業金融公庫、これも現在の一口の貸し出しのワクが三千万円でございますが、これをさらに五千万円に引き上げるように、まだ結果を得ておりませんが、交渉中でございます。簡単でございますが、そんな実情でございます。
  59. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 希望を申し上げて質問を終りたいと思います。今の中小炭鉱問題は、ある意味では、石炭資本が一番生きているのは、中小炭鉱ではないかとも言える面があるのではないかと思います。それから労務者の問題等も、ここにまた、いろいろな大きな弾力性といいますか、いろいろな複雑な問題を持っているのは、中小炭鉱が非常に多いかと思います。同時に、石炭需給それ自身を大きく波立たせておる一つの理由も、中小炭鉱にあるだろうと思います。その意味におきまして、私は石炭産業の合理化促進の中における中小炭鉱の問題というのは、各面で非常に大きな問題を持っておると思いますので、従って、この問題につきましては、どうか政府におきましても、精力的な検討と推進を続けられるように、希望を申し上げたいと思います。  これで終ります。
  60. 小平久雄

    小平委員長 これにて質疑は終局いたしました。  引き続き討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  62. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  64. 小平久雄

    小平委員長 次に、航空機工業振興法案を議題とし、審査を進めます。笹本一雄君。
  65. 笹本一雄

    笹本委員 航空機工業は、きわめて技術水準の高い精密工業であり、航空機工業の発展は、わが国機械工業、電気工業及び化学工業の進歩発展に、大きな影響を与えるものであることは、御承知通りのことと思います。近い将来において、航空機が鉄道、自動車にかわり、輸送面の中心になることを思うとき、これを国産化するとともに、一歩を進めて輸出産業の花形としたいという今回の本法案趣旨は、きわめてけっこうであって、むしろおそきの感もするのでございます。そこで、以下数点について、本案について質問を行いたいと思うのであります。  第一には、現在世界各国は、航空機の試作研究及び国産化につき、国がいかなる援助及び施策を行っておるか、具体的な説明を願いたいと思うのであります。
  66. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 世界各国とも、航空機工業に対しましては、軍用機はもとよりでありますが、民間機につきましても、非常な援助助成をしておるわけであります。一番いい例は、オランダであります。オランダでは、政府が出資いたしました特殊の公益法人を作っております。オランダ航空機発達促進協会というふうな特殊法人を作りまして、この団体に、飛行機を試作する助成金を交付しております。このオランダ政府の努力が実を結びまして、最近フレンドシップという中型の輸送機の試作に成功いたしました。これは、現にアメリカでも、このパテントを買って、自分の国の輸送機に採用するという計画もあるようであります。  それから、フランスでも、政府が民間の会社の株を持ちまして、九九・五%というふうに、政府がほとんど唯一の株主だというふうな会社が二つばかりあります。そこに、いろいろな試作上の援助を行なっておるわけであります。  それからイギリス政府でありますが、イギリスにおきましても、例のジェット機でありますコメットあるいはブリタニアというふうな機種の試作につきましても、試験研究費を、巨額なものを出しております。また組み立て工場も建設してやっております。  こういうふうにして、各国とも民間輸送機の試作助成ということにつきましては、軍用機に劣らない熱心な努力を続けております。その結果、先ほど来二、三の機種を申し上げましたが、そういうふうに、現在の水準を行きます新しい機種の試作に成功しておるわけであります。
  67. 笹本一雄

    笹本委員 次に、戦後七年間の空白を置いてのわが国の航空機工業が、今後、欧米先進国と太刀打ちができるのには、相当の努力を払わなければならないと思うのでありますが、本法案の内容の程度で、果してその目的が達成できるかどうか。また試作とか研究等の国の補助金でありますが、いかにもこれは少いと思うのでありますが、この辺のところを、大臣からお答えを願いたいと思うのであります。また世界各国において、従来まで軍用機が進歩の推進力となって参ったことは確かでありますが、すでに世界の軍備態勢は、戦闘機よりもミサイル兵器に変りつつあることは、御承知通りであります。それゆえに、私は本法案のねらいを、民間輸送機の育成であるということを、はっきりさせるべきであると思うのであります。この法案が、軍用機の振興も対象としておるというようなことになりますと、国民に、思想的にも誤解を与えるおそれがあるのでありまして、御承知通り、戦後二十六年でしたか、二十七年でしたか、航空機産業が復活されましたが、その対象は、防衛庁の航空機製作とか、あるいは駐留軍機のオーバーホールということになっておったのでありますが、そういうことでありますと、ややもすると、軍備拡張とかいうような思想にとられるというので、これが遠慮がちであったという点がありますので、この点に対しては、力強く、国民に誤解のないようにすべきだと思うのであります。  続いて、お伺いいたしたいのでありますが、十一条の、国有研究施設を、時価よりも低い対価で使用させる点についてであります。試作研究には膨大な資金を投下せねばならないのでありまして、従って、本規定趣旨については、大賛成でありまするが、私は、さらに一歩進めて、急速に国産化を必要とするというのであったならば、航空機の試作研究のための国有研究施設の使用は、むしろ無償にしてもいいのではないかと思うのであります。  以上の点について、大臣から一つ所見をお伺いします。
  68. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 航空機工業の振興につきましては、おそきに失したかと思っておるのであります。しかも、今回の法案をごらんになりまして、まだまだ国が今後力を入れてやるべきではないか、そういうことについては、全く私ども同感に存じておるわけであります。ただ、今まで、遺憾ながら日本の航空機工業というものは、ほとんど終戦以来壊滅に瀕しまして、最近になって、ようやく飛行機を実際に作るというようなことになったのであります。しかし、何と申しましても、われわれは、輸送機を作って、将来は、日本国内の輸送機はもちろんのこと、国外にまで出すべきだというふうに考えておりますので、その第一歩といたしまして、この法案の御審議を願うことにしたのであります。今後におきましては、極力もっと国の保護を厚くし、ほんとうに航空機工業の振興に、国が相当な力を入れるのだということを明確にいたしたいと思うのであります。遺憾ながら、ただいまのところ最初のことでありますので、はなはだ不備であり、また十分でないものを出したことにつきましては、お許しを願いたい、かように考えるのであります。今後におきましては、もっともっと力を入れていきたい、かように考えておる次第であります。  無償の問題につきましては、これは無償でもいいわけでありましょうが、他の産業との関係におきまして、無償というわけにも参りません。また本来からいいますと、非常に安くきめられておることでありますから、ある程度の負担は、いたし方ないというふうに考えて、この法案を出したわけであります。この法案を実際にやってみまして、結果いかんによりましては、今後さらに軽減措置等について考えていきたい、かように考えております。
  69. 笹本一雄

    笹本委員 今の国有施設貸与に関連しての質問でありますけれども、私の選挙区の群馬県に尾島という町があるのであります。ここのもとのキャンプを、現在三菱電機が払い下げを申請しているのであります。これについて、きょうは管財局の人に来てもらって伺おうと思っておったのでありまするけれども、これはどの程度に進んでおるか。これは一般重工業を指導、育成する上においても、この過程を調べておいていただきたい。なお、私らの方の群馬県の小泉とか太田とかいうようなところには、キャンプとか施設があるわけでありますが、これが近く廃止されるというのであります。これを今後どのように活用していくか。これは民間企業の工場誘致その他があります。これは首都圏整備とか、あるいは管財局の関係もありますけれども、通産省としても、これに対して特段に留意して、その誘致指導に骨を持っていただきたい。言うまでもなく、このようなキャンプの廃止は、地方の失業者を続出させるのでありまして、地方自治の負担が非常に多くなって参りますし、またそれのみならず、これによって中小企業あるいは中小小売商業者のごときは、ほとんど休業状態になっておるというようなことであります。また、失業者に対する就職の問題であります。これは労働省にも、この法案審議の間に来てもらって、事情を聞くつもりでありますけれども、その現状はまことに容易ならないもので、住民がこれに対して非常に案じておるのであります。そういう工業生産の上に、りっぱに転用できる施設が現存しておるのでありますから、これらについては、生産省としての通産省は、極力留意いたしまして、工場の誘致とか何かについても、特別の配慮をしていただきたいということを要望したいのであります。  今日は、航空機工業が、いかに今焦眉の重要事であるかということで、質問のトップを切ったのであります。いずれ続いて、これについては各委員から質問があると思いますが、以上のことについての大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  70. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 軍工廠の転用の問題につきましては、われわれも極力有用な面に、それが円滑に有効に使われるようにということで、各省とも連絡をいたしまして、極力推進いたしておるのでありますが、具体的な問題につきましては、またいろいろお話、御相談がありましたら、われわれとしましても、極力努力をいたす所存でございます。
  71. 笹本一雄

    笹本委員 委員長に要望しておきますが、科学技術の振興ということは、もう日本の国是であります。そして輸出産業にも、それが関連するわけであります。航空機というものは、技術の面においては最高のものであるのに、これが七年間の空間がある。これは国としましても、一日も早くこれを育成して、さいぜん話しましたごとく、将来は、輸出の面においても、非常に外貨獲得のできるものでありますので、委員長は、すみやかに本委員会を通して、一日も早く実施できるように、特段の決意を持って進めていただきたい。なお、次会のときには、今申しました管財局であるとか、あるいは首都圏整備委員会であるとか、あるいは労働省の人たちの出席を要求しまして、きょうはこの程度で終らしていただきます。
  72. 小平久雄

    小平委員長 承知いたしました。  本日はこの程度にとどめます。  次会は明九日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会      ————◇—————