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1958-03-20 第28回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 笹本 一雄君    理事 島村 一郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松平 忠久君       大倉 三郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    齋藤 憲三君       櫻内 義雄君    首藤 新八君       福田 篤泰君    南  好雄君       村上  勇君    山手 滿男君       横井 太郎君    佐竹 新市君       中崎  敏君    八木  昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         中小企業庁長官 川上 為治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衞君            委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十日  委員戸塚九一郎辞任につき、その補欠として  山手滿男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山手滿男辞任につき、その補欠として戸  塚九一郎君が議長指名で委任に選任された。     ————————————— 三月十九日  小売商振興のための法律制定に関する請願(小  川半次紹介)(第二〇五五号)  同(南條徳男紹介)(第二〇五六号)  同(菅野和太郎紹介)(第二一二七号)  同(小川半次紹介)(第二一六八号)  特許法改正反対に関する請願足鹿覺紹介)  (第二二〇一号)  小売商業特別措置法制定反対に関する請願(片  島港君紹介)(第二〇九六号)  同(井岡大治紹介)(第二二〇二号)  同外十件(原茂紹介)(第二二〇三号)  東北電力株式会社電気料金値上げ実施延期に関  する請願石山權作君紹介)(第二二〇四号)  計量器販売制限撤廃に関する請願神田大作  君紹介)(第二二〇五号)  同(戸叶里子紹介)(第第二二〇六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本貿易振興会法案内閣提出第八八号)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。まず日本貿易振興会法案を議題とし、審査を進めます。質疑を継続いたします。中崎敏君。
  3. 中崎敏

    中崎委員 貿易振興は、日本経済維持発展の上に、なさなければならぬ最大の使命であるのでありますが、ややもすれば、最近輸出の不振が憂えられ、あるいは外貨事情などにも、幾多の憂慮がされておるというふうな状況にあるのであります。従いまして、こうした問題の打開には、幾多施策があわせて行われなければならぬということは、言うまでもないことでありますが、ここに、国内産業合理化を前提として、さらに物価国際水準に適合するような態勢が、あわせて必要かと思うのであります。従いまして、こうした産業合理化見地から、通商産業の問題を考えてみたいと思うのでありますが、産業合理化の点について、さらに輸出振興するためには、今いかなる条件にあるのか。さらに、産業合理化というものは相当進んでおって、輸出振興する上においては、大して支障がないというようにお考えになるのか。あるいは、さらに産業合理化を徹底して、物価などの点についても、あわせて調整を加えて振興させる必要があるというふうに考えておられるのかを、お尋ねしたいのであります。
  4. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 輸出振興の根本は、よい商品を低廉に作るということにあるのは、仰せの通りであります。従って、それには、何と申しましても、お話しのように、合理化をはかっていかなければならぬということであります。従来から、御承知のように、通産省におきましても、産業合理化審議会というような審議会を活発に運用し、その結論を常に実施に移すという方針で参っておるわけであります。ただ、一朝一夕に簡単にやり得るというものではありません。また、合理化の面におきましても、あらゆる面でやっていかなければならぬと思います。現在、各種目について、またことにエネルギー資源の問題と鉄鋼の問題、この二つが、いわゆる基幹産業として一番重要なことだと思います。この基幹産業に関しましては、御存じのように、従来から、また本年度におきましても、五カ年計画に沿いました財政資金の運用というようなことなり、資金について、十分な考慮をいたしまして、そうして将来の輸出なり、また現在の合理化という面で、いろいろ努力をいたしておるのであります。ことに本年も、来年度におきましても、税制における特別償却というような問題につきまして、御審議を願っておるようなわけであります。  さらにまた、輸出の六〇%を占めておるといわれております中小企業の製品につきましては、従来からやっております設備近代化補助金制度についても、これを拡充いたしますとともに、その内容におきまして、輸出品というもの、従来は、御承知のように、繊維品中心になって参りましたが、今後におきましては、その他の機械工業等につきまして重点を置いていかなければなりません。それに即応して、近代化をやります対象も検討を加え、新しい品目を加え、輸出振興ということを中心考えていきたいと思っておるのであります。  また科学技術の面におきましても、中小企業輸出振興という意味合いで、各府県の研究所に対しまして、技術向上のための補助金を出すのでありますが、これまた輸出品というものに重点を置いて、まずそこを整備して技術指導に当らせる、こういう考え方を持っておるのであります。また企業診断にいたしましても輸出振興ということを中心考えておるのであります。あらゆる面におきまして、輸出振興ということを中心にして、産業合理化ということを、われわれも常に考えていますし、今後におきましても、特段にそのことを中心にして考えていく所存でございます。
  5. 中崎敏

    中崎委員 ただいまの大臣の答弁によりまして、輸出振興させるがためには、合理化はさらに必要である。それがためには、エネルギー源鉄鋼などの基幹産業を初めとして、中小企業についても、さらに積極的な施策を講じ、科学技術についても、さらに努力をして、中小企業中心として積極的に施策をやる。そういうふうな方法によって、合理化経済力を涵養して、そうして積極的に貿易の推進をする考え方であるというふうに解釈していいのかどうか、お尋ねしたい。
  6. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 そういう意味で、先ほど申し上げた次第であります。
  7. 中崎敏

    中崎委員 そうすると、まず、エネルギー源の問題について、申し上げてみたいと思うのでありますが、ことに、その中で電力については、かねがね政府としても、相当国家資金を初めとして、税制措置など諸般の施策を講じて、これが確保並びに質的向上にも、努力をしておられると思うのでありまして、また実際において、このエネルギー源の、ことに電力確保は、国民生活国内産業並びに輸出産業に非常に重要であるということは、申し上げるまでもないのでありますが、そうであるならば、もう一歩進んで、電力行政全体に対して、どういうふうにメスを加え、そうして大きい高い角度からこの問題に取り組むかということについて、もう少し真剣な腹がまえがされていなければならぬと思うのであります。これについて、過般来国会でも問題となっております七人委員会の経過を見ても、あるいは通産大臣のとっておられる態度を見ても、どうも何だか知らぬが、奥歯に物のはさまったような、きわめて不徹底、あいまいな態度に終始しておるように考えられる。ことに、この問題を考えるについて、一体機構をどうするのか、電力の基本的なあり方をどうするのか。いたずらに現状維持の上に立って、広域運営というような美名に隠れて、九電力会社を依然として温存しているというような、なまぬるい姿でいいのかどうかということが、この際、高い角度から検討されなければならぬと思う。それが、ことに東北北陸電力会社などに見るがごとく、現実に電気料値上げはしなければならぬ。これが輸出産業並びに国内産業国民経済にいかに悪影響を及ぼすかということは、火を見るより明らかであるのであるが、こういう問題について、もう一歩取り組んで、このエネルギー源の問題と国の産業国民生活あり方というものを律していかなければならぬと思うのであります。この点について、通産大臣の所見をお聞きしたいのであります。
  8. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 私は、従来からいろいろ申し上げておるのでありますが、問題は、要するに、実行をどういうふうにしていくかということにあるのであります。ただ単に理想だけを申しまして、実行し得ないということであってはなりませんので、一日も早く実施に移して、合理化をはかっていくということについて、考えていかなければならぬのであります。従いまして、広域運営ということも、速急に実施に移して、そうして次の段階を踏んでいく。それは私は決して根本的な検討を怠っておるわけではありません。七人委員会も、会社の自主的な申し出に対する批判をお願いをし、そうして、この際としてとるべき、実施し得る案についての批判をお願いしたわけであります。根本的には、料金制度調査会というものも設けまして、これはもう根本的に検討していただく、こういうことになっておるのであります。私は、広域運営だけで、今後の問題が解決するとも考えておるのではありません。しかし、とにかく広域運営をまずやっていただくということが肝心でありまして、いいことは極力早く実施に移していく。さらに、今後におきまして事情の変化、ことに原子力発展も、実施に移されるということも、これは遠い将来ではありませんので、それに応じた形態も、常に考えていかなければならぬ。ただ大きな理想だけを掲げて、実行が進行しないということであってはならぬ。かように考えておりますので、これは漸進的に、何にいたしましても、いいことは実行に移したい、こういう考え方で、積極的に進んでいくつもりでおるわけであります。
  9. 中崎敏

    中崎委員 まず、七人委員会は、すでにあの顔ぶれを見たときに、これはもう結論は初めから出ておるというのが、国民の見ておった一致した見解じゃないかと思います。従って、そうしたところの結論をも、初めから予想した通りに出てきた程度だと考えておるのであります。そこで問題は、政府で五カ年計画を策定して、今後、国の産業経済財政あり方、そうして国民生活あり方を律していくということを言っておる。ところが、この重大なエネルギー国民生活、国の経済に重大な根本的なつながりのある、関係の深いところのこの問題が、ただ広域運営という行き当りばったりの、依然として九電力会社温存の姿の上に立って、あなたは結論を出されようとしておる。それでいいのか。五カ年計画を、一体どう持っていくかという基本問題を、まずこの電力問題から、またそのあり方から始めなければならぬと思うのであるが、第一、早急にこれを実現するために、まず広域運営でいくとするならば、それでは、次の段階は、いつどういう時期においてこれを行われようとすのか。おおよその輪郭は、どういうふうに考えておるかということを明らかにしてもらわない限りは、ただその場限りの、その場のがれのああしたようなことでは、国民は納得できないと思う。そこで、通産大臣は、こうした問題を、もう一歩進んで、その次には一体どう考えておるのかということを、一つお示し願いたい。
  10. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 今までは、広域運営でさえ、なかなか実現しなかった。四月一日から広域運営を発足させる、こういうふうに私は考えておるのであります。それによって相当大きな合理化ができるというふうに考えておりますが、その実際の運営も見まして、次の段階を踏んでいくというふうに考えておりますので、そう何も二年、三年後を考えておるわけではありません。これは絶えず検討し、そうして、一歩漸進的に実行に移していくという考え方を持っておりますので、何もこの段階が済んだから、これは当分それでいいのだというような考えは、一つも持っておりません。これは絶えず検討し、そうして、よりよい方法考え、次の段階を踏んでいきたい、かように考えておるわけであります。
  11. 中崎敏

    中崎委員 それではお尋ねしますが、電気料金並びに電力料金が、漸次引き下げる方向にあるべきだということは、当然なことでありますが、この電気料金並びに電力料金が、今後どういう見通しの上に立つのか。まず当面、たとえば東北北陸方面において、値上げを予定されておったのだが、これをやらないなら、やらない。そうしてまた、今度全国的にその次にくるものは、またその値上げが従ってくるのではないかと心配されておったのだが、これが値上げをしないなら、しない。そうして逆に今度は、これらの料金値下げ方向にあるべきことを期待しておったのだが、一体これはいつどういう段階において、この値下げ方向の希望が持てるのか、また事業を行う上において、そういう見通しを持てるのかどうかということを、具体的にお答えを願いたいと思います。
  12. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 東北北陸電力料金は、すでに昨年の七月にきまった問題であります。私は、既定の方針通りにいきたいと考えておるのであります。ただ、今後におきまして、もちろん豊富、低廉な電力を供給しなければならぬことは当然であります。ただ今後におきまして、電源開発をしていきますと、御承知のように、だんだんコストが高くなってくる、こういう問題があるわけであります。従って、むしろ趨勢として考えます場合には、電力料金は上っていくのであります。しかし、これを少くとも上げぬようにしていくのには、どうすればいいか。と申しまして、電源開発をやめるわけにはいきません。五カ年計画に従って、電源開発をやっていかなければならぬ。それにつきましては、一方におきまして極力合理化をはかりますとともに、コストの安い資本をつぎ込んでいくということも、考えて参らなければなりません。また一面におきましては、石炭あるいは石油という問題につきまして極力安くして、電力の安定した料金で、しかも、できるだけ安い料金で供給していくということを考えていかなければなりませんとともに、電力料金の中で、また合理化もはかって参らなければなりません。非常にまちまちであり、しかも地域によって非常に違いがあるのであります。それらの点につきましても、根本的に検討していかなければならない、かように考えておるわけであります。
  13. 中崎敏

    中崎委員 それでは、電力料金は、今後むしろ値上りの方向にある、こういうふうに解釈していいのでありますか。言いかえれば、値下げについては、もう国民が夢にも期待できないものだ、こういうふうに考えていいかどうかということを、お尋ねしたいのであります。
  14. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいま申し上げましたように、今後開発されます電源というものは、水力につきましては、漸次高くなっていくということは、言えると思うのであります。ただ、火力の点におきましては、そうそう上っていくわけではありません。それらのコンビネーションをうまくやり、また、いわゆる電気につきましては、量ばかりでなしに、質のいい電気というようなことも考えていかなければなりません。それらの点を考えていきますと、水力については、コストは上っていく。しかし、今後は、片方におきまして石炭の価格なり、あるいは石油の価格を極力安くしていくというような面、これらをあわせて、今後、できれば下げたに越したことはないのでありますけれども、なかなか今よりも全般的に下げるということは、非常に困難な状況にあると私は思っております。
  15. 中崎敏

    中崎委員 今度の広域運営によって、電気料金がある程度値下げになるというふうな見通しの上に立ったところのものであるかどうかを、お尋ねしたいのであります。
  16. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 広域運営によって、いろいろ電力調整をいたします。しかし、この点は、全国的に考えますと、別にコストが変るわけではないのであります。地域間のいろいろな点では、合理化されていくと思いますが、全国的に見まして、電気料金全体のコストが下るというわけではなしに、要するに合理化をはかっていくということ。それはある地域につきましては安くなると思います。また今までのでこぼこを調整する、こういうような意味合いでありますと、またむだをなくするという意味では、これはもちろん全般の料金の引き下げに役立つことは事実であります。しかし、ただいま申し上げましたように、それよりは、むしろ合理化し、全国的な合理化をはかっていく、こういうことが中心になると思います。
  17. 中崎敏

    中崎委員 あるものから取って、あるものに回すのだというふうな程度の、いわば融通程度にすぎないということであるならば、これは先ほど申し上げましたように、きわめて不徹底なものであって、広域運営考え方をもう一歩進めて、全体の中に、いかに合理化し、いかにむだを省き、積極的に値下げなどのこういう方策を講ずるということでなければ、最終的な解決にならぬということは明らかであります。お互いに寄ってたかって取り合いをやっておる、こういう状況下においては、九つの電力会社が、お互いにその地域に立てこもって、独立の立場を持って自己を主張しておる限りにおいて、外部の圧力から多少の譲り合いはあるとしても、最終的な問題の解決にならぬことは、火を見るよりも明らかだと思うのであります。そこで、そうしたような問題を根本的に取り除くためには、高い国家的見地から処理しなければならぬ。会社側に立っては、どうしてもこの問題は解決つかぬと思うのであります。  そこで、大臣考えておるように、むしろ電力料金値上げ方向にあるというような無為無策考え方でなしに、もう一歩進んで、とにかく下げるのだ、それにはどうするかということを考えていかないと、現状はどうにもならぬから、どうにもならぬのだという考え方では、私は誤まりだと思う。ただ石炭石油の値段の調整、あるいは多少安い方をこっちに回すとかいうふうな方向によって、使用量の増減によって、ある程度のあんばいはできても、最終的には、もう一つこの根本的な問題と取っ組んで解決しなければならぬと思うのだが、この問題について、ほんとうに取っ組んでやる考え方を持っておるかどうかを、通産大臣にお伺いしたいのであります。
  18. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 今後におきまして、電源開発をしていかなければならぬことは、申し上げておる通りでありますが、これは、やはり合理化によって、できるだけ安い電源開発をしていくということになりまして、これは今後の広域運営という問題につきましても、いい結果をもたらすと思います。しかし、現在の電力料金全体を引き下げるということになりますと、結局、もっと安い資金を供給するとか、何かそういうことが中心になるのであります。もちろん、電力部内の合理化をはかることは当然でありますので、ただいまのところ広域運営でやり、また次の段階考えていく。しかし、総体としましては、今申し上げましたように、極力安い資金を提供するということ以外にはないと思います。ただ問題は、この数年後におきましては、いわゆる原子力発電というような問題が起ってくると思うのであります。これが実用に供せられるようになりますれば、画期的な新しい問題として提供されるのではないか。それが安いコスト電力が提供されるということになりますと、ただいまも申しましたように、非常に大きな革命になると思います。これも極力進めていかなければなりませんが、そういうような点を考えませんと、電力料金を今後引き下げていくというようなところまでは、なかなかいかないのじゃないか。ただいま申し上げますように、今後豊富な電力を提供するということになると、今よりは、みなコストが上ってくるわけであります。従って、これにつきましては、別個な方法があればいいのでありますが、安い資金を提供するという以外に、方法はないと思うのであります。もちろん、税制の問題とか、そういうようなことは考えられるかもわかりませんが、それにしましても、大して大きな期待はできない、こういう現状にあると思います。
  19. 中崎敏

    中崎委員 きわめて不徹底でありまして、ただ国の金なりあるいは税制、金融、そのほかあらゆる面において持っていって、継ぎ足してやるということだけ考えて、その反面、国家公共的な事業であるという面についての国家の力といいますか、こういう類のものを行う上においては至って憶病である、こういう考え方でありまして、納得がいかないのでありますが、この問題をあまり繰返しておったら、時間の関係で次の問題が進みませんので、一応これ後日に残して、次の問題のに移りたいと思うのであります。  輸出に関するいろいろな問題もありますが、まず当面しぼって、今回出されているジェトロの問題を中心とする振興会の問題についてお尋ねしたいのでありますが、今日までジェトロの果したところの役割と、そうしてまたこれが与えたところの弊害といいますか、ジェトロの功罪を、一体どういうふうに評価しておられるかを、お尋ねしたいのであります。
  20. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ジェトロは、御承知のように、最初海外市場調査協議会とか、あるいは見本市の協議会とか、あるいはもう一つ貿易斡旋所協議会、こういう三つの協議会を合併いたしてでき上ったものであります。そうして、その最初におきましては、もちろん輸出関係の業者の方が中心になったわけでありますが、さらに府県寄付金その他によって、自然発生的にできて参ったのであります。もちろん、国も、従来相当な補助金を出しておったのであります。ただ、そういう府県中心になって参ったのでありまして、これも意味はあるのでありますが、しかし私は、輸出という問題は、少くとも国全体の問題だと思うのであります。むしろ国中心となってやる、と申しましても、役人仕事ではいかぬ仕事であります。これは国全体の機構にし、そうして、それが大きな働きをやり得るようにするということが、今回の改正をお願いしているゆえんであります。しかし、従来も貢献をしなかったとは、私は決して考えていない、相当貢献をしておりましたが、しかし、この機構を拡大し、もっと輸出振興事業を強力にやってもらいたい、こういう考えでありますのと、一つは、府県中心でありますために、また、府県のいろいろな寄付金等にもたより過ぎておりましたために、ともすれば、いわゆるひもつきと申しますか、全国的な考え方でやり得ない、こういうふうな弊害も、確かにあったのじゃないかと思います。少くとも、国全体の事業としてやっていくべきだということを、私は考えておりまして、今回の機構改正は、そういうところに発足しているわけであります。
  21. 中崎敏

    中崎委員 従来、政府では、日本貿易商社に対して、海外支店などの施設を設置する場合においては、助成金を出しておったように思うのでありますが、その成果はどうであるか。また、どういう程度にこれをやっておって、さらに、今後一体これをどうする考えであるのかを、お尋ねしたいのであります。
  22. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいままでに、商社支店設置について補助金を出したことは、ないのであります。ただ、ジェトロにおきましては、御承知のように、貿易斡旋所というのを現在四カ所設けておりますが、これをさらに二カ所ふやし、海外支店のあるような人は、またいろいろ宣伝もやりますが、そういう支店網を持たぬ中小企業者の方々に対しまして、貿易斡旋所が活発に海外であっせんをする、こういうことを考えているわけであります。
  23. 中崎敏

    中崎委員 政府は今回二十億の出資をして、そうして新しい法人を作ることになっているようでありますが、この金は、いわば基本金として残されるものと思うのであるが、一体どういう場合にこれが使われることになるのかを、お尋ねしたい。
  24. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 基本金、これは出資金でありますので、原則としては、手をつけるべきじゃないと思います。これを預金部に預託するのでありますが、これの収入が常に活動の源泉になる、こういうことであります。もちろん、大きな赤字が出れば、それを食い込むということになりますが、実際問題としては、そういうことはないと思います。二十億は、必ずしも私は十分でないと思っておりますが、今後におきまして、さらに極力この出資金もふやしていきたい、かように考えております。
  25. 中崎敏

    中崎委員 この出資金が、単に利息かせぎの元手であるということならば、私は、この二十億も、出す必要はないのじゃないか。これだけで、一切の財政をまかなわしてやっていくのだというならば、これはなるほどそうであるかもしれませんけれども、実際においては、必要な金の大部分は、政府の委託事業費として、あるいは補助金としてやっておるのである。毎年々々一つ事業計画を立てられて、その収支をにらみ合せてきて、足りない分は、原則として補助金として出しておるのだから、別にこれだけの出資金を置く必要がないのじゃないか、そう思うのでありますが、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  26. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 いかなる場合にも、法人として基金を持っていないということは、安定性を欠くわけでありまして、御承知のように、従来も基金はあったわけでありますが、ごくわずかであります。従って、働いております職員にしましても、その基金が、すぐ赤字で飛んでしまいはしないかというような心配もある。また確固たるものでありませんと、利用者負担金をとるにつきましても、あるいは会費を寄付金という形でとるにしましても、その信用力が欠けておる。国が二十億の出資をしておるということによって、むしろ、最近私の聞き及んでおりますところによりますと、民間側におきましても、従来の寄付金をもっと増していこうじゃないか、あるいは会費ももっと負担していい、こういう声も出てきております。これも、やはり国が形の上で出資金というものを出して、そうして強固な基盤を持って、単に一時的にやっておるものではないということを、はっきりさしておることによって、大きな力を与えておる、私はかように考えておるわけであります。
  27. 中崎敏

    中崎委員 多々ますます弁ずで、多ければ多いほどいいということは、あるいは言えるかもしれませんが、今言ったように、特殊な法人として、全額は国家の責任においてやるのだという建前でできた法人であるならば、それ自身が一つの信用力を持ち、従業員もそれで満足するのだ。これが同じ法人でも、独立採算でやっていくのだというならば、これは、なるほど出資金の額がより多く、心理的にも作用するかもしれませんが、言いかえれば、ほとんど全額丸がかえで、国が足りない金を持っていって年々の経費に引き当てるのだという場合においては、ただ預金部に預けて利息かせぎの元手であるならば、その必要はない。出資金が全然ゼロというわけにはいかないけれども、たとえば五億でも十億でもいいのじゃないか。ことに、商工中金のごとき、あれだけ全国の中小企業者に対して高い金利で貸しつけなければならぬという状況下において、その金さえ渋っておいて、ただ見せ金、言いかえれば、見せ金をこれだけに出さなければならぬという根拠は、どうしても私は考えられない。であるから、この点について、私はもう一度通産大臣の意見を聞きたい。
  28. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 資本金とか、基金とか申しますのは、いわゆる最終の担保力であります。またそういう物的担保力を持っておるものでないと、ただ国補助金を出しますからといって、その補助金に見合って寄付金なり利用者負担をするというように、これは民間も応じてこないわけです。そこに、やはり大きな最終的な担保力を持っておるという必要は、確かにあると思うのであります。全く基本金を持たぬ特殊法人ということで、ただ単に権力的なものだけでこの事業がやれるとは、私は考えておりません。それに相応した担保力を持たせることが必要だ、かように考えておるわけであります。
  29. 中崎敏

    中崎委員 私は、通産大臣みずから、この法人の本質を忘れておると思う。言いかえれば、この法人は、ほとんど人件費と事務費と、あとは博覧会費、それだけのものです。であるから、民間の信用とか担保とかいうものは、一体どこに必要があるか。必要なだけは一切国から、人件費も補助金でまかなっておるのであるから、それからパンフレットを出すとか映画を作るとか、そんなものは、信用も何もありはしません。何にも担保力は必要でない。だから、一文も資金がなくても、やれるわけです。国が一カ年間の事業計画を見て、これだけの金が必要だ、それなら、それだけの金を裏づけとして出してやるのだから、担保力も何も必要ではない。だから、大臣は、この法人の性質を取り間違えておると思う。二十億は必要ないと思うが、もう一度、その見解をお聞きしたいのであります。
  30. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 事業全体に対して、ただいまお話しのようなことではなしに、もっと自主性を持ってやってもらわなければならぬと思います。また、同じ見本市を開くにしても、自主性を持ってもらわなければいかぬ。ことに見本市についても、赤字が出る場合があるわけであります。それで、わずかな赤字で動揺するというようなことであってはならぬわけであります。それには十分な、やはり一億二千万ですか、それだけは使い得るわけであります。さらに大きな失敗なりがあるということになれば、二十億の基金も手をつけていくわけであります。それだけの保証がなければ、活動はできない。これはもういかなる場合においても、基金は必要である、かように考えております。
  31. 中崎敏

    中崎委員 初めから聞いたのですが、この基金は、一体どういうような場合にくずして使えるかということを、お尋ねしたのでありまして、継続的なもの、そういうものが、一時的にも引き当てられる性質のものであるのか、あるいは今みたように、予算が超過したような場合においては、別個にこの処理をされるようなものであるのか、それを一つお聞きしたいのであります。
  32. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 この二十億の資本金は、貿易振興会という特殊法人が、営利事業をいたす法人ではないわけであります。そこで、先ほど来、先生の御意見もありましたが、この資本金は、法律の性格としては、資本金そのものは使わない建前で、金利だけをいただくことになっておるのであります。もし、かりに資本金を使うとすると、だんだん減ってしまうような格好になるわけであります。普通の株式会社と違いまして、営利事業をいたしませんから、ものをやっても、収支償うとか、もうけが出るとかいう仕組みのものでないのであります。今、御指摘の、二十億をどういう工合に使うかということでございますが、今のところは、この補助金の交付がおくれるとか、民間あるいは地方庁からの醵出金の集まり工合がおくれるということが、予想されます場合には、どうしても借り入れをいたさなければならぬと  いうことになるわけであります。今の予算のテクニックの言葉でいいますと、繰りかえ使用といっておりますが、この二十億の中から、そういう民間の銀行等からの借り入れをやる必要のある場合には、この資本金を借りて、いわゆる市中銀行からの借入金をせずに済ますということはできるという場合が、唯一の使用の場合ではないかというふうに考えております。
  33. 中崎敏

    中崎委員 そうすると、この金は預金部へ預けるのではなくて、民間の銀行に預けて、それの見返りに金を使うという考え方であるのかどうかをお尋ねしたい。
  34. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 二十億円は、預金部へ預けるわけであります。従いまして、預金部から借り入れをする、こういう格好になります。
  35. 中崎敏

    中崎委員 預金部は高利貸しじゃないのだから、預金部がこういう事業に対して金を貸す必要がある。これは国家事業であり、全面的な国家機関であるのだから、そういうことはできるはずであって、二十億の担保があるから、それで足りないときに一億か一億の金をそれに貸す、こういう性質のものじゃないと思う。これを民間の銀行にでも預けられて、それを見返りにして普通の銀行の金を貸すというのなら、これは考えられる。ところが、預金部にこの金を預ける、そして利ざやかせぎ六%で一億二千万円の金利が入ってくる。それだけで足りないから、別につなぎ資金を一時的に預金部から借りるということになって、これが担保になって役に立つという考え方は、間違いであると思う。であるから、先ほども言うように、三十億のこういう膨大な金を、中小企業者中小企業金融公庫とか、ほんとうに苦しいものに、金利の少しでも安いものを貸してやる。十億でも何ぼでも、こういうふうなたくさんの業者の苦しい場面を救う意味において回してやるのだ。それだけ余っている金なら、そういうふうにやるべきだと考えるのだが、通産大臣に、もう一度お尋ねしたいと思うのです。
  36. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 預金部資金の性質は、御承知のように、郵便貯金が大部分でありまして、それの運用としては、有利確実な場合に貸すというのでありまして、ただ政府の都合で、たとい回収がどうであろうと貸すのだという建前は、とっておりません。やつぽり担保力を持ったところに金を貸すという建前になっておりますので、たとい預金部から金を借りるにつきまして、それに見合う担保は、十分必要なわけであります。その点は御了解願います。
  37. 中崎敏

    中崎委員 それでは、このピークにおける借り入れは何ぼになるのか、その借り入れ書画もあるはずです。たとえば、この一カ年間に十数億の事業をやるのだから、補助金を国からどんどん出す。そして地方からある程度金が入ってくるにしても、そのつなぎ資金は、期別に割ったら知れたものだ。そうすればピークは五億も十億もあり得ない。そうすると、かりに五億の出資金であっても、これが一ぺんに見返りだということはあり得ない。国の機関だから、信用がないなどと考えるのは大間違いである。国自身が、自分から信用がないということになる。そんなことはあり得ないと思うが、かりに通産大臣の言う通りにしても、三億か五億もあれば、たくさんだと思う。それを、二十億もなければならぬという理由は、どうしてもわからない。それをもう一度お尋ねしたい。
  38. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 基金は、一つには利息収入というものがあるわけであります。これは、利息収入が中心になりますので、私は二十億でも少いというくらいに考えておるのであります。また、先ほど来担保力と申しておりますが、結局、あらゆる対外信用ということを考えます場合に、やっぱり相当な資金なり基金も持っておるということでありませんと、活発な事業活動はできない、かように考えております。
  39. 中崎敏

    中崎委員 どうも至って納得のいかない答弁ですが、時間の関係があるので、この程度にしておきましょう。  ところで、いよいよ全的に国家の金と責任においてこの新しい法人が出発することになるのでありますが、さて、従前のジェトロのようなああした人事には、どうしても私たちは納得がいかない。きわめて心配なんです。そういうふうなその日かせぎの、手段を選ばないような、こじきみたような連中の寄り集まりで運営されておるような、こういう人間が、この機構にそのまま乗り移るのでは、私は非常に不満足であり、国家のために心配なんです。これを一体どういうふうに刷新して、そうして今後国民の納得のいくような運営をされるのか、それをお尋ねしたい。
  40. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいままでのジェトロの人事につきまして、とかくの批判があることは、私も十分承知いたしております。もとより、そのままの姿でいくという考えは、毛頭持っておらぬのであります。どうしても人事の刷新は、やっていかなければならぬ。これはしかし最も適当なりっぱな理事長を迎えまして、そうしてそのもとに、今後の運営陣が最も円滑に行くような、また活発に事業活動のやれるような機構になり、また適材適所に新人も登用していくということにいたしたいと考えております。
  41. 中崎敏

    中崎委員 これは通産省に限らぬと思うのでありまして、いわゆる事業官庁につきまとうおそれのあることでありますが、ややともすれば、古ダヌキの連中は、いつまでもそこに根を張っておって、そうして、これがあの手この手でだんだん悪くなって、コツを覚えて、そうして民間に対しても、いろいろな要求をしたりして、非常に腐らかしてしまう。腐敗堕落の責任は、政党そのものにもあるし、内閣の高いところにも、もちろん大きな責任はあると思うが、さらに下って、事務官僚の中に相当こういう悪の根源が根ざしておる。であるから、こういう類の古ダヌキの連中を、どうしても征伐して、掃除して、刷新していかなければ、国民は、この政府そのものに信頼が置けない。そういう意味において、通産省全体の人事の上においても、そうしてまた、これにつながるところのジェトロの人事のはめ方、あるいはまたその運営においても、一つ最善の努力を払うというふうな考え方が必要だと思うが、大臣、どういうふうにお考えになるか。
  42. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 あらゆる機構について言える問題であり、通産省におきましても、あくまで適材適所、人事を刷新していくということは、当然のことであります。また、しかも、今回特殊法人にいたしたのでありますから、それにふさわしい人事の刷新をやっていくということについては、今後、もちろん私も十分な決意をもってやるつもりでありまするし、その点は、皆さんの御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  43. 中崎敏

    中崎委員 もう一つお尋ねしたいのでありますが、一つ産業行政上の問題として、映画に対するものの考え方であります。これは日本産業は、必ずしも高水準にないので、ことにフィルムの問題とか、あるいは映写機械の問題などについても、そういうことがいえるし、国内の映画産業に対する態度の問題についてもいえるのでありますが、単なる商業映画、ミーちゃん、ハーちゃんを相手にして、もうかりさえすればいいというふうな商業映画、それからニュース映画などというふうな、こういう一つの社会性を持った新聞と何ら変らないようなものと、性格的に、本質的に違ったものがある。これについて、通産行政のあり方から見て、ややともすれば混同しておる。ただ、ある映画会社の有力な人たちのいろいろな圧力というか、連絡というか知りませんが、そういうものに、いろいろ気がねしておることもあるようだけれども、ややともすれば、ニュース映画などについて、これを軽く扱うというような傾向もある。こういうふうな点たとえばこの外貨の輸入のランクにしても、こういうものを同じレベルに置いて、そうして商業映画並みにニュース映画を扱っているが、近代的な新しい感覚を持ってやらなければ、事業は支障を来たすということがたくさんある。これを通産大臣はどういうようにお考えになるか、お尋ねしたい。
  44. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 御指摘のような点もあろうかと思うのであります。何分映画というものにつきましては、同じく作られるものでありましても、たとえば、鉄だとか、機械だとかいうようなものと、性質が違う関係もありまして、非常にわれわれの方でも知識が乏しいのであります。従いまして、若干その認識におきまして、十分でない面もあるのではないかと、絶えず反省しておるような次第であります。今後、ニュース映画に関連する輸入外貨の割当につきましては、今御指摘のような点も十分考慮に入れまして、研究さしていただきたい、こう思っております。
  45. 小平久雄

  46. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 関連しまして御質問申し上げたいのは、バナナの輸入の件でございます。昭和三十二年度下期輸入外貨予算に基く台湾バナナの外貨割当は、三月の四日午後五時に行われたそうでありますが、今期差益率の決定に際しまして、政府は、業界が一致して差益金引き上げに反対していたことを御存じであったかどうか。また各団体から、非常に陳情書が多くわれわれのところまで出されておったのでございましたが、おそらくこの陳情書も、政府の方へ出されておると思うのですが、その点も御承知であったかどうか。  次に、今回の発表によると、特別輸入利益金の率は一一七・七%、すなわち三千百七十七円九十銭であるが、この算出の根拠について、御説明をしていただきたい。  その次は、現行の差益徴収方法は、当該時期の浜相場が幾らくらいになるかを予想して、事前に徴収する方法をとっているわけであるが、今期は、政府は浜相場をどのくらいに想定したのか。それから、政府が浜相場を想定する場合、専門業者の意見を聞いたかどうか。  次に、バナナは、生鮮果物であるからストックできない。また一回限りの勝負であるから、浜相場いかんでは、危険率がきわめて高い。従って、一般貿易品より若干利益率が高くても仕方がない。国内の果実でさえ、八分の利益率を認めているようである。しこうしてバナナの浜相場は、数量、天候、気温、国内果実の需給関係等に強く支配され、専門業者ですら、一ヵ月先はおろか、二、三航海先の相場の予想であっても、なかなか困難である。いわんや半年間の価格など、専門業者でないお役所で想定することは、不可能に近いのではないか。もちろん、そのために、担当の事務官が、過去の実績などの統計から、割り出そうとしている努力は認めるが、過去の実績からわかることは、バナナの相場は、統計などからなかなか割り出しにくいことを物語っている。従って、専門業者でも不可能なことを、お役所だけが、過去の実績を基準とし、勘で推定した浜相場をもって差益決定の唯一の足場として押しつけることは、民主的行政とは言いがたいのではないか、この点どうか。まして現行のやり方では、一旦徴収した差益金は、たとい当初予想した浜相場に反して、業者が欠損をした場合でも、いかなる理由でも返還されない。こういった事件が生じた場合、政府はどうする心がまえがあるか。たとえば次期差益を安くするとしても、前期の損失をカバーするほど利潤を上げることは、現状では、理屈で考えられても、実際的には不可能である。またバナナ屋というのは、中小企業者であることからして、損失を出しても、金融面からもビクともしないほど、余裕はないはずである。このような過酷な差益金の徴収は、業者をしてますます危険負担を高め、それがますます業者を投機的な心理に追い込み、バナナ貿易の正常化、安定化などは、まるで夢物語になってしまいはしないか。あるいは、政府が一銭でも多く取るために、弱小業者などは倒産をしてもかまわない、そういうような考え方はないでございましょうけれども、そういうふうにも考えられるではないか。  実際問題としては、差益金が引き上げられれば、業者としては、自分が損をしてまで安く売ることは考えられない。従って、価格も当然高くなる。そうすると、結局差益金引き上げのしわ寄せは、消費者に集まるわけである。このような結果になるのであるから、政府は、こうしたことを考慮に入れて、なおかつ今期のごとき差金の引き上げを行なったのか。  バナナが不急物資であり、過去の需要が一部特殊層に限られていたことをとらえ、バナナを食べるような金持ちは、幾ら高くても買うということを言っているようだが、最近、物価の安定と前回差益金の引き下げ及び順調な入荷もあって、小売価格は確かに安くなり、一般消費者の需要も高まっているという点、それからバナナが不急品であるといって、需要の特殊性を強調しながら、一方では都市偏重の需要を調整し、山間僻地の住民にもなじみ深いバナナを、機会均等に食べさせようという趣旨の人口割を採用していること、これは明らかに矛盾している。不急物資だから、消費価格の高騰など考慮しないでもいいというのは、全く言いのがれと思わないか。  また特定物資輸入臨時措置法の立法精神について聞きたい。昭和三十一年三月十四日、第二十四国会の本委員会において、本法案が審議された際に、前の次長が、首藤委員の質問に答えて、次のように述べられているということであります。次長が述べたことが出ているわけであります。この点については、読まなくてもわかりますから、御答弁をしていただきたい、こう思うのであります。  また、もう一つは、最近の発表の日、三月四日に、すでに参議院において本件の質問が行われている最中、一方では委員の質問には言葉を濁しておった。そしてこれを抜き打ち的に発表したということは、どういうのだ、こういうように苦情が並べられているわけでございます。こうした不合理は、徴収方法が事前徴収であることに、無理があるからと思うのだが、この点、業者が欠損をした場合、事後に調整を行うなどの現行徴収方法改正する御意思はないであろうか。こういう御質問でありますから、それに対して、局長さんから御答弁をしていただきたい。
  47. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 お答えします。  まず第一に、業界から一致して差益金引き上げに反対していた事実を知っていたかどうか、また団体から陳情書が提出されていたことを知っていたかどうかという点でありますが、この点は、三十二年の上期は七三%の差益率であったのであります。その七三%の差益率に維持してくれろというような陳情は、私は聞かなかったのでありますが、あまり引き上げては困るということ——巷間、どういうわけか知りませんが、差益率を役所は一三〇%にするのじゃないかというようなうわさが飛びまして、それは高いというような陳情を受けたことは事実であります。だから、問題は、差益率の引き上げの程度についての問題であったかと思うのでありまして、引き上げは絶対反対だという陳情は、私は受けたことは覚えておりません。  それから第二の、先般発表いたしました。バナナの特別輸入差益金の率の算出根拠であります。これはその次の御質問と関連をいたすのでありますが、これは非常にむずかしいのであります。御存じのように、バナナというものは、シーズンによって非常に値が違っておるのであります。上期に割り当てましたものは、大体冬場に入ってきますし、今割り当てましたものは、この春から夏にかけて入ってきまして、いわゆる浜相場が高くなるのが過去の通例であるのです。そこで浜相場を六千七百円と想定をいたしまして、一一七・七%という率を決定をしたのであります。その率をきめる場合に、専門家の意見を聞いたかどうか、あるいはどの程度の利益率を見込んだかという問題でございます。もちろん、われわれは専門家の意見も聞いたのでありますが、過去の実績から判断をいたしまして、大体この辺のところがよかろうではないかということで、従来きめておるのであります。先ほど来、いろいろ御指摘になりましたように、これはなかなか科学的にきめ得ないものでありますので、過去におきまして何万かご入ってきたときにはこの程度であった、あるいはまた、その次の期において何万かごのときにはこうであったというのを基準といたしまして、最近におきましたは、年間台湾から六十万かごを輸入しておりますので、それらもにらみ合せまして、六千七百円という浜相場ならばそうむちゃな価格ではないのではないか、合理的な価格であろうというふうに判断したわけであります。これは業界から見れば、安いほどいいということになろうかと思うのでありますが、法の建前もございますので、法を忠実に施行しなければならないわれわれの立場といたしますれば、一応理屈のつく価格でなければならぬわけであります。私たちの心がまえとしましては、決して理不尽な高利貸し的な高い差益率を取るという考え方は、従来からもごうもいたしておりません。あるいはそう申し上げると、若干法律の施行に忠実でないということになるかもしれないと思うのでありますが、どうしてもわれわれ通商局といたしましては、助長行政を中心にやっております関係上、表現は悪いのでありますが、あまり税金を取るような気持ではやっていないのでありまして、一応過去の数字等から判断をいたしまして、この辺ならば会計検査院からもおしかりを受けないというふうなもので、合理的と思われる点をやっておるわけであります。従いまして、過去の例から言いますと、われわれが想定した浜相場よりもおおむね高くなっております。上期におきましては五千五百円という浜相場を予定いたしまして、七三%の差益率を決定いたしたのでありますが、現在の浜相場は七千二百円になっているというふうな状況でありまして、率直に申しますれば、われわれが想定した価格よりも、浜相場はかなり上になっているというような実情であります。一面から言いますと、そういう価格できめたことは、かえって安過ぎたのじゃないかという非難を受けはせぬかということを、実はおそれているような状況であります。  それから差益が高いことが、価格が高くなり、消費者にしわ寄せになるのじゃないかという問題でありますが、これは、全然ないとは言えないのであります。これまでのところは、差益率よりも、やはりそのときの輸入量いかんによって、相場は決定されるような状況になっておるのでありまして、いわば、需給の関係できまっているのであります。需給関係できめられるもののうち、ある程度の差益をいただいているというのが、過去を振り返った場合の現実の姿になっておるのであります。  そこで、バナナを不急物資扱いにして、価格の高騰は考慮していないのじゃないかという御指摘の点でありますが、この点は、不急物資でないとも、ちょっと言い切れないわけでありまして、とにかく緊急度の低い物資であるということについては、御異論はなかろうと私は思うのであります。しかしながら、価格の問題につきましては、現在、台湾との間の通商協定によりまして、年間六十万かご、四百五十万ドルということになっており、その量を入れる程度では、どうしてもこういう価格が出るのもやむを得ないではないか。われわれは、差益率のせいではないというふうに考えております。  一例を申し上げますと、現在の浜相場が七千二百円、卸の相場が九千円、小売が一万三千円、こういうふうな状況になっておるのであります。従いまして、われわれは、相場を下げるという趣旨からいいますれば、協定のワクをふやすということも考えなければならぬのじゃないかというふうにも考えるのでありますが、これは、今、台湾で交渉いたしておりまして、いろいろ交渉の関係もありますので、率直に申しにくいのでありますが、私個人的に考えますれば、ある程度の増額をすることもやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。  それから、最後に、当時の樋詰次長が、差益の額を千七百円くらいを基準にして考えられるということを言っております。その当時、千七百円どんぴしゃりが基準となって国民の口に入るかどうか、必ずしも保証はされませんということを申しておるのでありまして、上期におきましてちょうど五千五百円といいますと、大体樋詰次長が申したような差益率になっておるのではないかと思うのであります。従って、その当時と、事情はそう変ったといいますか、差益率を非常にむちゃに上げているとは、われわれは考えておりません。  それから、参議院におきまして本件の質問が行われておる最中に、抜き打ち的に輸入発表したのはどうしたことかという御質問でありますが、この点は、何も抜き打ち的にやったのではないのでありまして、差益率はどうするのだ、それでいつ発表するのだという御質問があったのであります。それに対しまして、私は、いろいろ議論がありますが、いろいろ研究しました結果、浜相場六千七百円、一一七・七%程度を今合理的と考えております。発表は、三月一ぱいにこの差益徴収その他の事務を、関係上非常に急いでやらなければなりませんので、今明日中に発表する予定になっておりますということを、率直に申し上げたにすぎないのでありまして、決して黙って発表をいたしたのではないわけであります。  それから一番最後の、御指摘の、事後の徴収にできないかという点でありますが、現在の法律では、事前徴収ということに実はなっておるので、この点につきましては、事後の方が合理的でないかという御批判は、全然まだいただいておりません。今回初めてこういう御批判をいただいたのであります。われわれも、十分研究をしてみたいと思いますが、事後徴収ということも、かなり困難ではなかろうかという感じがいたしますので、少し研究をさせていただきたい、こう思います。
  48. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 ちょっと関連して。このバナナの問題は、一昨年の本委員会におきまして、相当河野農林大臣が、要するに市場法まで改正して、そうして全芭連の福田某にやらせた。これは、今の通産大臣や松尾局長は、あまり詳しいことを御存じないと思うので  すが、そのときに、かようなバナナの輸入の仕方ではいけないのじゃないかということで差益金をとるようになったわけです。しかしながら、われわれから申しますと、なお今日バナナの問題については、あのとき相当問題がや  かましかったから、もうあまりいざこざはないだろう、こういうように思っておりましたが、今の長谷川君のどなたかの陳情にもありましたように、差益金なんかをむやみやたらにとると、結局商売人ですから、損をしたくないから、いろいろ操作をしまして、結局国内の値上りになるようになってくるわけです。商売人が損をしてまでやろうとは思わぬ。入れれば、必ずもうなければ商売にならぬのですから、そうすると、このバナナには、またバナナとしてのくろうとの輸入の方法もありますし、また台湾の買いつけの方法もありますし、それからシッバーの関係と申しまして、やはり商人が通産省の方から許可をもらって、それで直ちに台湾に直接ルートを持ってバナナを入れるというのでなしに、第三国人が関係いたしまして、台湾の人が向うに行って買いつけしたり、いろいろなことをやりますと、またそこで相当な利益を得るわけです。従いまして、われわれがあのときにやったことは、無秩序にほったらかしておいたらいけないのじゃないか。そうすると、いろいろ政治家が介在したり、また通産省の役人が介在したりして、いろいろな問題を起すから、そういうことをしてはいけないということで、私がやかましく言って、特に今経済企画庁長官になっておられる河野さんのごときは、市場法までむちゃくちゃに改正して、そうしてやって問題を起した。従いまして、私は、原則としては、やはりバナナはバナナを取り扱う業者にやらせるということであってほしい。またどこでどうなったのか知りませんが、今度人口割というような問題が出て、それにまた割り当てられるということになっておる。しかしながら、やはりこういうようになりますと、道中のこやしに非常に金がかかるわけです。いろいろな手数とかなんとかで、さやを抜くということになれば、結局その上に差益金を多くとるということになれば、国民は高い物を買わなければならぬということになる。それだから、やはりバナナはバナナを扱うところの者にやらせれば、長年の経験と勘とによって商売をするのです。また神戸まで持って入った、入ったところはいいけれども、陸揚げしようとすれば、それが相当腐食しておる。今度台湾でそれをやるときには、水増しをしてやったということで、全芭連は、遂に無為替輸入というようなことで、関税法違反で検察庁に回された。こういうようなことになって、問題を起しておる。これらのことは、いわゆる輸入の業者が扱っては、そういうことはないわけです。もう長年の商売ですから。そういう一つの輸入の秩序を確立するということ、それがためには、やはり業者は業者としての良心がありますから、むちゃくちゃにあっちこっちにやらすのではなしにやらす。そのかわりに、差益金においても——今まで私が委員会で主張するまでは、なかったのです。それが、国があれだけの収入が得られるようになったのは、この委員会で私が言ったから、とれるようになった。とれるようになったというのでむちゃくちゃにとるということで、国民の消費も何も考えないというやり方は、私はいけないと思うのです。だから、もう発表されたということを言われると、私はそういうことを知らないのですが、発表されても、やはりこれは商売ですから、事前にライセンスをしたからそれでとっていくということでなしに、やはりいろいろなくだものの出回りの多いときには、バナナは値段が下るのですから、その時期をねらって入れるというようなことも、商人の中にはあるわけです。従って、このごろ、もうぼつぼつ入れる時期に入ってきておる。バナナは安いから損をするということになる。そういうようなあんばいもやはり見て、国内の消費価格との関係を見て、あなた方の方で取り扱われないと、問題は解決しない、私はこういうように思うのです。  この機会に、もう一つお尋ねしたいのは、バナナは、そういうふうだけれども、ノリの問題でも、依然として何かもやもやしたものがあるのです。バナナをやるのだったら、ノリも差益金をとったらいい。これは通産省も、よほど考えなければならないと思う。局長は、あまり詳しいことは御存じないのですが、下僚の辺でやっておることを、私は全部知っておるのです。非常に不明朗なことをやりおる。またこれは、商工委員会の中には、そういう人はおられませんが、商工委員会でないわきの方から、これは何といいましても、ノリのことですから、農林省との関係もありますし、またノリの生産業者との関係もあるし、いろいろな関係があって、ノリを入れるについては生産者に影響しないようにというので、年間一億枚ということで、協議会  の方で話し合いがついた。しかし、去年、日韓問題等に制約を受けていないときに入れさせたところが、それがまた問題を起して、とうとうことしまで持ってきた。これらのごときは、何でがたがたするかというと、要するに、国民の消費の面には、ノリは一つも下っておらぬ。ことしなんか、国内も、非常に暖冬気候でもってノリができていない。従ってノリがべらぼうに高い。八十セントでライセンスを出しておいでになりますけれども、そんなことはない。倍もはね上っておる。国民がそれをみな負担しておる。そういうものだったら、バナナと同じように差益金をとったらいい。もうかるものに差益金をとる。そういうような片手落ちのことを、あなた方はお考えになっておるのですが、こういう点に対して、通商局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  49. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 まずバナナの割当の方法でございますが、これは確かに先生の御指摘のように、いろいろの意見もありまして、実はわれわれ事務当局としましては、一番困っておるような問題であります。実は、人口割を採用すべしというあのときも、われわれ事務当局としましては、どうも問題点もあったのでありますが、参議院におきましても、衆議院におきましても、人口割をやれという請願を採択されておるわけです。で、採択をしておいてなぜやらぬか、請願を採択したのを無視するかということで、御意見が非常にありましたために、われわれとしましても、そういう採択の趣旨を尊重しないというわけにもいきませんので、一部人口割の思想を取り入れたのであります。私は、個人的に申しまして、まだふに落ちないというか、はなはだ変な言い方でありますが、ああいうことでよかったか悪かったか、まだはっきりしないようなわけであります。今後の割当につきましては、そういうことも一応からめまして、やはり輸入実績でやるということにつきましては、異論はあろうと思いますが、輸入実績を基準にして考えていくというのが、今の輸入割当の原則ではなかろうかという精神で、次の割当について根本的に考えたいということで検討いたしております。  それから、差益金率につきましては、いろいろ御議論があるのですが、これは結局程度の問題でありまして、率直に申し上げますならば、一一七%の差益率も高いという人も、もちろん今でもございますが、いろいろ陳情に見えました輸入協議会の会長も、発表しましたときは、あれでようございましたということで、心からのお礼ではなかったかもしれませんが、皆そろってお礼に見えたような状況でもあります。あの率は、そうむちゃに高い率ではないというふうに考えております。われわれの方も、常時率につきましては、反省をしまして、そうむちゃなことは絶対にすべきじゃない、合理的なところでいこうということで、その点は非常に気を配ってやっておるわけでありますが、業界から見れば、一%でも何%でも、安い方がいいということで、いろいろおっしゃるわけであります。われわれといたしましては、いろいろの点を考えながら、決して無理はしないということでやっておりますので、この点は一つ御信頼をいただきたいと思うわけであります。  それから、ノリの問題につきましても、いろいろ御指摘の点がありましたが、差益の物資とするかどうかという問題につきましても、われわれも、かねてから研究いたしておりまして、品質の差もございますので、技術的にも非常に困難な点もあるのでありますが、どうも今われわれの事務的な考えとしては、いろいろ技術的な困難はあっても、いっそのこと差益物資にすべきじゃなかろうかという気持で、まだ何も決定をしておるわけではありませんが、そういうつもりで、今研究させておるという状況であります。
  50. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 今あなたは本委員会で何か人口割をしたというようなことを言われましたが、参議院がどうしたか知りませんが、私は人口割そのものに反対するのじゃないのです。  要は、バナナをやっておる八百屋さんは小さいでしょう。全国的にいえば、非常に小さく割り当てるのです。一戸心々が申請して、市町村長の証明をとってやっておるが、そのものが、果してどういうようになっておるかということを、あなたは御研究になったことがありますか。それは、結局みんな集めるのですよ。個人が二カゴや三カゴや十カゴくらいもらってきても、台湾に注文できはせぬのです。全芭連のような加工者でもそうであった。これはみんなのものを集めて、そうして金融工作をして、シッパーでもって固めてやつておった。人口割々々々というが、全国の八百屋さんが、全部われわれにやってくれというて書類を回したから、やった。しかし、今度買うときはどうかというと、十カゴ、五カゴのものを一軒の八百屋さんがもろうて、台湾に注文できますか、注文できぬでしょう。できぬから、新宿にある青物屋さんの会長の柴田さんが衆議院へ陳情した。参議院へも陳情して政治的にやった。こういうようにやって、それへ通産省がいろいろなことをやって許可がおりてしまったというようなことになっておるのでありますが、その結果、入ったものの値段が下るかといえば、輸入業者から入れたより高いのです。だから、そこらのところは、よほど検討してやられぬと、一昨年私が長い時間を使って本委員会でやったのも、バナナ問題でがたがたしておったので、一つ輸入秩序を確立しようというのが骨子であった。そこで差益金を取ろうということになったのであるが、それがまたぞろそういうことになっておる。しろうとが二カゴ、三カゴ、十カゴせり合って、これを集めてある特定の人がシッパーになって、いわゆる利益があるか知らないが、またこういうようなことでごたごたすることを繰り返しておってはいかぬ。やはり業者はいろいろなものを見はからって、くだものは端境期にはどういうようにやったらいいかというような調節をとってやる。それをそういうようなことをして秩序を乱されることは、通産行政として窓口が悪い。もう差益金を取るようになれば、差益金を取れるだけ取るというようなことをするのはいけないのです。差益金は、いろいろな問題がありましょう。あるけれども、もともと一つも取ってなかった。それを私がやかましくここで言って、取るようになった。国はそれだけ利益しておる。だから、そういうような点では、ノリに対しても取りなさい。ノリくらいめんどうなことはありはしません、がたがたしておる。これはノリについても、取ったらいいじゃないですか。なぜノリに取られぬのですか。私は、ノリのことは詳しいですよ。ここで言うてしまえば、おかしなことになるから、言わぬけれども、私はよく知っておる。だから、要するに、ノリでも差益金を取る意思があるがどうかということを、大臣がおれば、大臣から言ってもらうが、おらぬから、局長さんにここで言ってもらいたい。バナナで取って、ノリでどうして取らぬ。ノリはうんともうけておる。一億枚、二億枚入れて、国内の消費価格を下げるならいいか、一億枚を限度にしておる。そして生産業者も問屋も、みなぐるになってノリの値段を上げることばかり考えておる。一つ国民は安いものを食っていない。それに通産省も引きずられておる。農林省からがたがた言われれば、すぐびくびくする。そんなことで、通産行政の主体性が保てますか。私は、あんまりむちゃくちゃだと思うのです。結局、生産業者だというてやっておる。それを入れずにおって、国内でできないと言う。国内でできぬときは、よけい入れたらいい。そうすれば下がる。それを入れさせないで、少いものを、貿易業者と生産業者と協議会なんか作ったって、どうにもならぬ。入った輸入ノリは、たたき上げておる。ことしは八十セントでよかったが、去年なら六十セントまでたたかれた。それでみんなぐるになって、国民に高いノリを食わせようとする。そんなことを、あなたの方は平気でやらせておる。それなら、もっと差益を取ったらいいじゃないですか。取る腹があるのですかないのですか、どうですか。
  51. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 ただいまも申し上げましたように、ノリにつきましては、差益金を取るという方向で研究をしておるということを申し上げたのであります。ノリにつきましては、今、佐竹先生の言われたことは、実は私も同感であります。しかしながら、われわれの不徳のいたすところで、またいろいろ反対の御意見も非常に強いために、なかなかうまくいっておらぬのであります。一つ今後御支援を願いまして、ぜひすっきりさせたい、こう思っております。
  52. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 とにかく、取る方針でおるということは、だめです。今度の割当で、差益金を考えるか考えぬかということです。こういうものがあると、とにかく妙なもので、ノリも何も知らぬ連中が、あっちこっちから行ってやるのですよ。それから、私は悪いことは言わぬから、とにかくそういうものは差益金を取りなさいよ。それだからといって、差益金を取ったって、今のところからいえば、国民としては同じ値段です。国がもうかるのだから、何もほかのものにもうけさせないでもいい。われわれはこれだけやかましく言っているが、これは相当もうけている人がある。これはあっせん収賄罪でもできたらどうか知りませんが、そうでなければ、法律にも何にもかかりはしない、みないいことをしている。だから取りなさいよ。三十三年度の割当から、取るということをやってみなさい、ごたごたせぬようになりますよ。朝鮮の全南漁連だって、取ってくれる方が喜んでいる。持ってきて、それから値引きをせい、何だかんだで、生産者が反対しているのが、裏の方では一緒になっている。そうして農林省ががたがたやったり、あっちこっちたたいてたたいてたたきおる。そうして正規のルートで入ったものを、横の方から入った安いものでぴしゃっとやって、それへもっていって外貨を割り当てている。そうして入ったノリをみな集めてしまう。そういうようなことをやらせずに、ぴしゃっと差益金を取りなさいよ。そうすれば、文句はなくなるですよ。それだから、三十三年度から取るか取らぬかということですが、国がもうかることだから、あなたは反対ではないでしょう。三十三年度から取るか取らぬか、答弁しなさい。
  53. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 私の気分は、さっき申し上げた通りでありますが、関係各省との関係もありまして、その方向一つ研究いたします。
  54. 小平久雄

    小平委員長 これにて質疑は終局いたしました。  本日はこの程度にとどめまして、次会は来る二十五日午前十時十五分より開会する予定であります。  これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会