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1958-04-14 第28回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十四日(月曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員    委員長 南  好雄君    理事 青木  正君 理事 古川 丈吉君    理事 井堀 繁雄君 理事 島上善五郎君       犬養  健君    亀山 孝一君       久野 忠治君    淵上房太郎君       眞崎 勝次君    山本 利壽君       中村 高一君    森 三樹二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙局         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙局         選挙課長)   皆川 迪夫君         通商産業技官         (公益事業局施         設課長)    三谷  昇君         日本電信電話公         社理事         (業務局長)  吉澤 武雄君         参  考  人         (東京電力株式         会社営業部長) 笹森 建三君         参  考  人         (電気通信共済         会広告課長)  小山 常次君     ――――――――――――― 四月十四日  委員大村清一君、菅太郎君、高橋禎一君、三田  村武夫君、森清君、松本七郎君及び横錢重吉君  辞任につき、その補欠として犬養健君、眞崎勝  次君、久野忠治君、亀山孝一君、淵上房太郎君、  中村高一君及び渡辺惣蔵君が議長の指名で委員  に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人より意見聴取  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五〇号)  公職選挙法の一部を改正する法律案島上善五  郎君外八名提出衆法第一一号)      ――――◇―――――
  2. 南好雄

    南委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び島上善五郎君外八名提出公職選挙法の一部を改正する法律案一括議題とし、審査を進めます  この際お諮りいたします。両案について、本日参考人として東京電力株式会社営業部長笹森建三君及び電気通信共済会広告課長小山常次君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  3. 南好雄

    南委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、この際参考人の諸君に委員長よりごあいさつ申し上げますが、本日は御多用中御出席をいただいて、まことにありがとうございました。本日の意見聴取質疑応答の形で進めたいと存じますので、さよう御承知いただきたいと存じます。なお、質疑に応じて答えをせられる場合は、委員長とお呼び願って、委員長許可を受けて、そのつど御発言なさるようお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  井堀繁雄君。
  4. 井堀繁雄

    井堀委員 参考人のお二人の方には、お忙しいところ大へん御迷惑でございましたでしょうが、実は、この委員会公職選挙法の一部を改正する法律案審議の過程におきまして、修正の重要なねらいは、選挙運動期間を従来二十五日のものを二十日間に短縮いたしますことと、さらにはポスタ一を従来よりは増加するという、この二点が参考人の方にお尋ねをいたしたい個所でございます。この関係によりまして生ずる選挙運動の当面いたしまする、ポスターをできるだけ有効に使用いたしたいという、選挙運動をやる方の側からも、また選挙民立場である、すなわち有権者の方の便宜をできるだけ効率的にという関係から、いろいろ審議をいたして参りましたところ、従来の経験からいって、一番ポスター貼付の上に便宜であり、かつ実用的であるというのは、電信電話の柱あるいは電灯線の柱をポスター展示場所使用することが最も適切だという見解が明らかになって参りまして、従来たまたまある場合には話し合いの上でそれを利用した例も数多いのであります。今回の場合は、電灯会社の方の管理に属しまするものと、政府事業でありまする電信電話公社関係との二つに分れるのではないかと思いまして、その両方とも全面的にその活用ができるようにわれわれはいたしたいものだ、かように考えまして、政府にその実現方をたびたび辿っておるのでありますけれども、実は、直接的にこの両者のお考え方を伺って、その実行に移る以外にないのではないかという結論に到達いたしましたので、ここであらためてお尋ねをいたすのであります。  まず、政府側の投資にかかります電電公社のいわゆる電信班話の柱を利用するということについて、古澤局長の御見解一つお伺いいたしたいと思います。
  5. 吉澤武雄

    吉澤説明員 私、電電公社業務局長吉澤でございます。今の御質問に対しまして、公社見解並びに従来とっておる方針をまずもって御説明申し上げたい、かように存ずる次第であります。  御存じのように、電信電話の柱は非常に電話通信につきまして電気的作用を及ぼすデリケートな役を果しておるのであります。この電柱が倒れたりあるいは破損するということは、電気的な作用にきわめて影響を与えるものですから、これの保存につきましては常に細心の注意を払っておる次第であります。しかし、先年来、街路及び道路におきまして電柱がある、しかも電柱につきましては、公けの機関であるけれども商業上必要なる広告活動というものが活発に展開されてくるに従って、こういうものについて一定制限のもとに広告を許してもらえないかというような一般の御要望があった次第であります。私どもといたしましては、この広告につきまして、やはり商業活動上必要であるという見解をある程度考慮いたしまして、その広告をなすについて、先ほど申したように、電話運営なり電話保守支障をきたさない、こういう厳格な条件のもとに電柱使用許可しようということで、今日、電柱使用につきましては、電気通信共済会という――これは公社職員が退職いたしまして、公社事業関係の深い業務を実行するための財団法人でございますが、それに一括しまして、この制限のもとに条件を付しまして電柱使用を許している次第であります。その条件を申しますと、きわめて厳格なものである。電柱によりますれば、ケーブルの立上り柱とか、あるいは配線函のついている電柱とかいうものは、これは絶対広告を許しておりません。それから、広告を許すにつきまして、地上何メートル、それから広告の巻き込みといいますか、あるいは突き出し広告といいますか、それぞれ所定の条件及び大きさ、太さというものを一定いたしまして、常に、広告をした以上は、共済会をしまして監視並びに見回り責任まで持たして実はやっている次第であります。  そこで、そのような電柱につきまして、公職選挙等の行われる場合におきまして、選挙ポスター、あるいは選挙委員会の公的な掲示というものを許してもらえないかという声はかねがねあったのでございますが、私ども広告をとっている電柱につきましては、えてして広告の主といいますか、これは一応その電柱についての限られた範囲内におけるところの広告をやっているのでございますから、ほかのポスターなりあるいは掲示そのものが張られますと、広告の価値を減殺するとか、支障があるとか、広告主から共済会に対しまして損害賠償を要求する、あるいは契約違反というような申し出が起り得る可能性が多いのであります。数年来もそのようなトラブルが全国にわたってあったのであります。そういうようなことから考えましても、広告をしている電柱、あるいは広告を許している電柱につきましては、選挙ポスターについても、これは張っていただかない方がいいということであったのであります。  第二の理由といたしますと、たとい広告がありましても、あるいはないにいたしましても、電柱の保持上常に障害が起ることを注意しなくてはなりません。ことに選挙期間でございますと、私どもの一番の責任は、電話の疎通あるいは電報の送達というものが確実に迅速に行われなくては、公社責任が果せないのであります。その意味からは、選挙期間中というものは、きわめて慎重に電話及び電報運営注意しております。そういう意味からいたしますと、この障害の修理あるいは保守見回りにつきまして、常に電柱に上りましたり、あるいは障害を修理するという立場から、選挙ポスターのような重要なポスターを汚損する場合が起り得るのであります。そういうようなときに、一度ポスターを張ってありますと、その候補者の方とかあるいは利害関係人の方が、たまたまこの工事上あるいは保守上汚損いたしましたことに対して、いたくふまんを漏らされまして、かたがたそういうためにトラブルが起りがちであります。そのようなわけでございまするからして、選挙の重要なことは十分私どもも承知しておるのでございますが、電柱につきましては、電柱広告をしているもの、あるいは電柱広告として許しているところの地域電柱につきましては、選挙ポスター貼付を御遠慮願いたいというような方針で、今日参っております。ただ、全然広告をさしてないという地域につきましては、これは、選挙管理委員会の方と電話局とにおきまして、一々掲示する場合の許可と申しますか、判をいただきまして、指定するということになっておりますが、その例は非常に少いというふうに考えております。今回の選挙法の改正に当りましても、重要性は十分わかるのでありますが、以上申し上げたような事情をどう解決するかと私ども考えております。なるべくならば従来の方針でやっていきたい、かように存じております。
  6. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたも公職選挙法精神については十分御理解のようでありますから、多く述べる必要はないと思いますが、言うまでもなく、公職選挙法日本憲法精神にのっとりまして規定された公けの、最も重要な制度を確立するための法典であることは言うまでもありません。ことに国会議員選挙は、わが国民主政治を確立する上の根本的な行為として、すべての国の機関はもちろん、主権者のためにフルにこれが使用されなければならぬことは、今さら言うまでもないのであります。しかも、その建造物が国の財産に帰属する場合においておやであります。もちろん電信電話がその使命を果す上に大きな障害になるようなことは許されぬことです。しかし、電信柱ポスターを張ることが、果して一体電信電話目的遂行の上に重大な障害になるかいなかということは、そう何も専門知識を持った者の間で論議されなければならぬほど危険があったり、あるいは障害が起るなどということは、われわれとしてはちょっと思い当らないのであります。そういう点について、もし、かくかくな事情ポスターを張ることによって電話障害が起る、あるいは電話の公正な管理の上にこういう危険があるというような点がおありでありますならば、一つこの機会にお聞かせいただきたい。  いま一つは、政府財産管理する当面の責任者は、郵政大臣の権限に属する事柄でありましょうから、もしあなたが、そういう点について、責任立場から大臣でなければ適当でないという向きがありまするならば、お聞かせいただければ、この委員会としては、大臣出席を求め、お尋ねするということも可能かと思います。いずれにいたしましても、あなたがはっきりお答えできる事柄であるかどうか、その点も一つ伺いたい。
  7. 吉澤武雄

    吉澤説明員 お尋ねの第一点でございますが、実は事例に乏しくないのでございます。必ずしもこの電話線が直ちに強電等のために生命の危険を起すという問題は、実はこの電信電話電柱にはございません。要は、電柱にいろいろなものを取り付けたりする場合に、どうしても電柱をたたいたり、あるいはそれにさわり、またはいろいろ塗りつけるというようなことは当然あることでございます。かたがた、ある一定の高さまで達する場合は、どうしてもはしごなどをかけてそこに上らなければならぬ。はしごに上る場合においては、上る場合の危険が当然伴うのでございます。また、やはりポスターといたしましては電柱に密着するようなものにしないとまずいのであります。それを張るような場合、張りつけるのりというようなものにつきまして相当な注意を与えないと、電柱そのものが腐食するという原因も招くのであります。そういうことをわれわれはおそれまして、本来の電柱というものにつきましての使命を完全にし、かつまたこの電柱保存上遺憾なきを期したいという意味から考えておるのでございます。それからまた、先ほど申しおくれたのでございますが、ここ二、三年来地方においてそういうことが行われておることがあったのであります。その場合に必ずあとではがしてきれいに原状回復をすることをお願いしておるのですが、なかなかそれをやってくれません。こういうことになりますと、過去においてなかなか実際に行われないことでございますから、約束はいたしましても、実際は公社職員あとぞうきんやあるいは清掃の道具を持って出かけなければならぬ。人手の足りないところに、相当な期間そういうところに振り向けるということも、これまた御存じのような公社の今日の事情としてはできがたいというようなことから、私の方といたしましては、なるべくそういう問題を起さないようにいたしたいというふうに考えておるのであります。  第二の点につきましては、今権限的なお話があったのでございますが、これは公社管理し所有する財産でございます。従って、郵政大臣の御意見は監督上の御意見としてまたいろいろございましょうが、公社当局としてこの電柱をどういうふうにするかということは、公社当局が一応きめる態度といいますか、それについては今日先生方お話もともとと伺いたいということで、私ども参った次第でございます。
  8. 古川丈吉

    古川委員 関連して業務局長にお伺いしますが、広告に対してどのくらい広告料を徴収されておりますか。
  9. 吉澤武雄

    吉澤説明員 ここ四年ほど前から、電柱一定制限のもとに広告を許すということにしたのであります。これは、先ほど申したように、電気通信共済会に一括してその地域々々の使用権を与えております。共済会は自己の従業員に直接広告業務を行わせる場合と、あるいは広告業者に下請させる場合、この二通りございます。その後におきましては、相当数がふえております。年間共済会といたしましては、広告業者からもらう、あるいは直接スポンサーからもらうものを合せまして、一億円ちょっとございます。そのうちで共済会の経費その他が相当要りますので、公社に納める使用料というものは大体半分と見ていいのですが、四千万円程度年間公社使用料として納めております。
  10. 古川丈吉

    古川委員 今局長お話によりますと、電信電話がその機能を十分維持するためには、ポスターを張ることはあまり好ましくないというお話でございましたが、広告すらも許されるのであるから、一定制限のもとに私は当然選挙ポスターぐらいは張らすべきものだと思います。ただいまの話を聞いておると、選挙は大事だとは言っておられながらも、考に方に非常に軽んじておられるところがあると思う。私は、選挙たびごとに、候補者としてポスタ―を張るところに非常に困るのが実情で、そういう必要性があるものであるから、そのことをまず第一に取り上げることが先で、広告を許して、広告に対して選挙ポスターを張らすために損害賠償の問題が起るということは、私は話は逆だと思う。これは、もしあなたの方で話がつけられなければ、国家として私はこの順位をきめられるべきものと思う。広告の賠償問題が起きたからといって、選挙ポスターを張らさぬというような国の根本の考え方が私は間違っておると思う。もしそういうような考え方で郵政省なりあなた方がやっておるのならば、広告は一切やめて、御破算にして、もしあなたの方で経営が成り立たないならば、これは国家機関でありますから、国家として考えるべきだと思う。まことに、公社局長ともあろう者が、その認識が私は非常に間違っておる、こう考えます。そして今、電信柱はしごをかけたりすれば痛めることがある、これは私もわかります。けれども一定の高さにして、そういうはしごをかけるような高いところに張ってはいかぬということをきめておいたり、また今のポスターあとはがさなければならぬ、そんなことはどうでもいい。張りっぱなしでもどうでもいい。ポスターが張ってあるためにきたないからどうのこうのという、そんなことは枝葉末節のことで、そんなことは理由にならぬのです。国会議員選挙というものは国の政治の中心を動かす大事なものだ。それで公社があなたのような態度なら、私は公社態度としてはもってのほかだと思う。あなたで話がわからなければ、これは郵政大臣自治庁長官関係して、この問題は解決せなくちゃならぬ。今申し上げた通り広告ならば、はしごをかけても場合によってはやっておるのでしょう。それで選挙ポスターに限ってなぜそれがいけないのか、その点を私は伺いたい。
  11. 吉澤武雄

    吉澤説明員 私多少言葉が不足いたしまして誤解を招いたようでございますが、実際の問題といたしまして、広告をやらしているものだから、そういうことは当然その範囲内でできるんじゃないか。それは私ども考えないわけじゃございません。事実問題を先ほど申したわけでございまして、一定条件電柱広告を許しておる。こういたしますと、スポンサーというものがついておりますので、なかなかこれはめんどうなことがあるわけです。月々幾らという使用料を納めておりますので、それを電柱一本についての広告個所というものに限って、それ以外は広告できない。そこへ広告している以上は、それだけの広告の許される範囲は全部を利用しておる。これはトラブルが起る事実があるのであります。そういうような点について、初めから広告というものを認めなければいいじゃないかという説になりますが、実は現実の問題を述べたのでありまして、共済会広告料をとられておる側としては、やはり一応文句を言うことは考え得るのであります。ことに、先年もそういう問題がありましたのは、相当条件約束いたしまして、選挙ポスターなどを張るということになったのですが、やはり、張る方の側に立ちますと、えてして現在広告をやっているところが一番見いいのですけれども、その上にべたべた張るというような事態が起りますと、これはまた現場その他においてトラブルがあったのであります。そういうような点を、一応実際に一番大事な選挙ポスターについて、いやしくも、張った以上、手をつけるとかあるいは汚損するということは相済まないことでありますから、そういうことが完全に行われるという前提が大事でございます。そういう意味において、完全に履行されるならば、私どもはやはりもう少し研究の余地があるとは存じますが、一応申し上げたのは、この前の方針というものがどういうような方針できたか、そうしていろいろのトラブルの起った現実から見ても、そういうようなトラブルは絶無にするということを、選挙管理委員会あるいは御当局なりがそういうお約束をするという前提に立っていただくならば、うまくいくのではないかと、こういうことで申し上げたのでありまして、よろしくお願いいたします。
  12. 古川丈吉

    古川委員 これは、電信柱広告をする前から選挙があるので、おそらく広告の方があとだと思うのです。その電信柱ポスターを張りたいという要望はすっと前からの話である。その要望を退けて、しかも広告だけとっておるというのが従来のいきさつだと私は思うのです。私は、今の現実の問題としては、一応広告として料金を取っておる以上、今局長の言われたような問題は起るだろうと思います。地方選挙のように非常に候補者が多く、べたべた張られては困るけれども、少くとも、国会議員ぐらいの選挙には、それを濃らすことは優先的に張らして、広告をする場合には、それを差しつかえない程度にして、広告の方を従にして、行き方を逆に考えるべきだと私は思っております。この問題はここであなたに質問をしても結論が出ませんから、われわれの方でもゆっくり考えまして、関係者と相談をしまして、結論を出していただくようにしたいと思います。  私の質問はこれで終ります。
  13. 青木正

    青木委員 関連して。  今いろいろお話を承わったのでありますが、基本的にはただいま古川委員の申し上げた通りだと思うのです。そこで、ただいまのお話を承わりますと、選管あるいは自治庁方面で、ある程度制限と申しますか、それを確約して、それが守れるならば考えてもいいというような口ぶりに伺っておるのであります。そこで、この問題は――私は埼玉でありますが、埼玉におきましては、前回の選挙で、選管とそれからたしか公社側だったと存じますが、話し合いの上、電話線だけは認められたのであります。その結果につきましては、私どもトラブルを聞いていないのであります。それから、電電公社の方ではトラブルということを非常におきらいになりますが、私ども候補者側の方から申しますと、あれに張ってはいかぬという規定になっておりますために、知らずに運動員が、これは全く悪意も何もなしに、見やすいということで、この運動員電柱に張る。ところが、そのことがそういう問題に取り上げられまして、そのために警察から電話がくる。選管から電話がくる。候補者側では、電柱に張ってはいかぬという規定があるために、非常にそのためにトラブルも起き、それから迷惑も受けておるのであります。これは電電公社の方でもいろいろ御迷惑かもしれませんが、候補者側としても非常に繁雑にたえぬのであります。電柱に張ってはいかぬという規定があるために、運動員の方々が――これは運動員と申しましても労務者でありまして、全くそういう法規上のことはわかりませんから、見やすいところに自然に張り出す、そのために公社の方で因るということがありますので、やはり、基本的な問題は、私が申し上げるまでもなく、よくおわかりと思うのでありまして、わずか二十日間の選挙運動期間でありますので、そのことは電柱に対してそれほど大きな障害は与えぬと思うのであります。国家としても、非常に大きな国の行事というか、先ほど来お話がありますように基本の問題でありますので、トラブルを起さぬように選管とはっきりと条件をきめてもいいと思うのでありますが、電電公社として国が選挙というものに協力するという形をとってもらう、そうすることがお互いにトラブルもなくやれることじゃないかと思います  そこで、伺いたいことは、どういうふうな条件なら、電電公社の方では選管自治庁話し合いができるのか、また、地域的に申し上げまして、すでに広告業者約束したところは絶対不可能なのかどうか、そういうことも、おそらく広告業者といえども電柱全部に権利を持っているとは思わない。選挙ポスターに限って、あるいはごく一部でもけっこうであります。契約条件を変えてもらいまして、選挙期間中だけは、そういう契約であっても、現に広告のないところへは二十日間だけ認めるというような条件を、広告業者契約することができるかどうか。この点を承わっておきたいと思います。
  14. 吉澤武雄

    吉澤説明員 実は、本日国会出席を促されまして、時間が十分ございません。従って、公社といたしまして最終のいろいろな条件その他はきまっておりませんが、私が午前中考えた考え方を申し上げたいと思います。  これはやはり一定の取りきめが必要でございます。ことに、広告するのは事業の上から絶対相ならぬという電柱があります。これは事業上やむを得ないのでありまして、それには一切手を触れてはいけないというふうにして、公社職員しか手を触れないという非常に大事な電柱は、いかなる広告であろうと、あるいは今回の選挙ポスターにしても、これは禁止していただかなければならぬと思います。その他にしても、一応広告をなし得る、あるいは広告のある電柱については、この広告のスペース及び広告のできる場所、それにじゃまにならぬ、そこに重複しないように、それから低さをどのくらいというような、おのずから張る場所の制限が必要だろうと思います。それから、張ったあとにおける問題、これは、先ほどちょっと申し上げた通り選挙期間が過ぎましても、その規則、約束通りなかなかはがして下さいません。そういうことにつきましては、選挙が済んだあとに、一定期間内に必ずもとの状態にするように清掃する。どなたがやっていただくかという問題に移りますが、私どもはどうしてもそういう確約を得たいと思うわけです。それから、張る場合におきましても、一応私ども地方機関であります電話局と当該地の選挙管理委員会の方々とのお話し合いで、やはり電柱ポスターを張られるという一点ごとの許可をしまして、判をいただくことになっておりますが、そういうふうにしていただくと、非常にその後において責任の所在がはっきりすると思いますが、そういうふうな措置をやっていただかないと、一括何枚、何村、何市に張るからということでは、うまくいきません。そういう点の十分なる連絡は当然やっていただくような責任ある機関が、公社当局の方と話し合いをやっていただくということが、当然必要だと思うのであります。  それから、なお、先ほど申したように、広告を現に許している広告主がいろいろな問題を言ってくるだろうと思います。そういう問題についての考え方としまして、実際に広告価債を減殺する。しかも広告をその個人に独占的に電柱に許しているというような場合がございまして、実損その他を言ってきたような場合におきましても、損害の補償というようなことは一体どうするか、こういう問題も一応考えていかなければならぬと思います。  それから、もう一つ大事なことは保守上あるいは障害の修理上、公社職員電柱に登ることがございます。その場合に、選挙ポスターをできるだけ汚損しないように心がけますが、かりに業務上やむを得ないという場合に、汚損しあるいは破損した場合があることは、これは一つお認め願わないとだめじゃなかろうかというように私どもは考えておりますが、なお、その点につきましてはまだ十分検討を得ておりません。  以上のような制限及び条件ということを確約し、なお責任機関がそれをはっきり監督していただくということが前提になろうかと思います。
  15. 井堀繁雄

    井堀委員 公社側とお話し合いをすることによって問題を処理できるという限界が明らかになっておりますので、一応その限界で質問を進めて参りたいと思います。  今あなたの青木委員質問に対するお答えによりますと、大よそ四つの条件を提示されてるようであります。一つは、既存の広告の妨害をしないこと、次には貼付したポスターの跡始末を完全にする、原形に復するということ、三番目には、そういう重要な工作物であるからして、責任のある相手方と公社当局との間で話し合いをして取りきめる、四番目には、業務職員がその工作物を使用する場合に、ポスターがあることによって作業の迷惑になったり、あるいはそういうことがあった場合に、ポスターが損壊されるようなことがあっても差しつかえないというような意味条件が成立するならば、というような御答弁であったようであります。そういう条件について今ここで私どもが取りきめるということは、本来の任務ではありません。私があなたにお尋ねをいたしておりますのは、公共の建造物であるだけに、私どもは私ども立場から御答弁を求めておるわけであります。というのは、もちろん、今あなたがあげられたような条件については、およそこれは常識であります。今日公職選挙関係して立候補されるような人は、およそそのくらいの良識は心得ておる。ただ問題は、短時間に勝負を争う激しい競争の中で行う作業でありますから、とかく約束が完全に果されぬというような事柄が起るかもしれません。しかし、私のお尋ねいたしたいことは、建造物使用目的がどこにあるか、その使用目的にポスターを張ることがどのように障害になるかということを、あなた方は国会に向って明らかにする義務がある。こういう事情だからポスターを張ることは困るんだという的確な根拠がありますならば、いかに公職選挙法に命ずる公けの任務が重くとも、これはやむを得ぬことです。何だかやり方によってできるようなことを言いながら、他面でには、公社の権限を一方的に行使して、そういう使用を拒むかのごとき――過去の経過はわれわれ承知しておりますので、それを明らかにしたい。くどい議論をしようとは思いません。だから、あなたは、公社側として、こういうものに対して明確な回答のできる立場であることを明かにされましたですから、絶対にいかぬならいかぬ、こういうわけでいかぬということを明らかにする義務がある。それでなければ、これこれのことについて条件さえ整えば――これはここできめなくてもいいのであります。それはあなたが指摘されるように、責任ある管理機関といえば、選挙管理委員会は公けの機関です。責任を持も得る機関です。その機関公社話し合いをすればいい。ここでめんどうなことは言わない。使えるのか使えぬのか、ポスターは絶対張らせないのか、条件さえ尽せば張らせるのか、この二つについて明快な御答弁をいただきたい。
  16. 吉澤武雄

    吉澤説明員 先ほど申したように、条件というものについては相当これは研究を要する問題があるだろうと思います。おっしゃるような常識的な問題でございますが、これはやはりある程度はっきりしておくということが、ポスターを張る上におきましても、また大事なポスターでございますから、私の方といたしましても、張った以上におきましては、はっきりそれについて責任を負う分野もございましょうから、そういう点について、条件というものをある程度おきめ願ったら、その張るということを私の方で承認いたしたい、こういうふうに考えております。従って、過去においての問題は以上のようなトラブルがありますから、非常に実はそれをおそれておるのであります。今お話しのごとく非常に大事なことであると思いますので、電柱その他の使用について非常に大きく取り上げられているということもよくわかります。従って、今後選挙管理委員会あるいは自治庁と話をしまして、その条件をよくじっくり双方話し合う、こういうふうにしていきたいと考えております。
  17. 井堀繁雄

    井堀委員 くどいようですけれども、明確に御答弁いただきたい。ポスターを張ることが絶対にいけないのか、条件さえ整えばいいのかということです。いいというなら、私がここで話をきめるという筋のものではない。あなたが言うように、責任ある自治庁でもいいでしょう。あるいは選挙管理委員会できめてもいいでしょう。条件をそのときにきめればいい。条件が整えばポスターを張らせるか、張らさぬか、それをあなたははっきりと御答弁しておく必要がある。そうすれば、あとのことはわれわれ自治庁話し合いもいたしましょう。それから選挙管理委員会の方とも話し合いをいたしましょう。何も今ここで個々の候補者の便宜をあなたに提供してくれというようなことを言っているのじゃありません。その点を、うやむやに、必要な条件さえ整えば――冗談じゃありませんよ。あなたに条件をつけてくれとお願いしているわけじゃない。できぬならできぬ、できればできるとはっきり言いなさい。そうすれば、その条件責任あるところと話し合いをしたい、こういうことをはっきり言っているんです。
  18. 吉澤武雄

    吉澤説明員 条件をはっきりいたすことによってやります。ただし、その条件について自治庁の方の関係もありましょうし、われわれの方の電気通信共済会の実際の業務をやっている、そういうところの意見も聞いて、そのお話し合いを進めていきたい、こういうように考えております。
  19. 井堀繁雄

    井堀委員 次に、通産省の公益事業局長お尋ねをしておきたいと思います。  以上の質疑応答の中で、ある程度おわかり願えたものりと思うのでありますが、多少公社側建造物と異なって、使用しておるのが、国の大きな金を導入しておるものではありますけれども、一応株式会社として事業をやっておるのでありますから、ある程度の点については公社と異なった性格もあるので、これはそうきめつけてしまうわけにはいかぬものと思っておりますが、一応、通産省の公益事業局は、電気工作物規程などによって、やかましい、めんどうな条件を付して監督しておるようであります。この点についても、こういう選挙用のポスターを短かい期間――今度は二十日になるそうですが、貼付をするということは、監督上の止揚から差しつかえが起るとお考えですか、差しつかえがないというふうにお考えですか。差しつかえがあるということなら、これから参考人の方にお尋ねをしてもむだなんだが、差しつかえないというなら、その上に立っていろいろお尋ねをしていくことは意味があると思うのです。その点を、簡単でけっこうですから、お答えをいただきたい。
  20. 南好雄

    南委員長 井堀委員にちょっとお断わり申し上げておきますが、通産省の公益事業局長の小出君がまだ出ておりません。かわりに施設課長の三谷昇君が来ておりますが、それで差しつかえありませんか。
  21. 井堀繁雄

    井堀委員 権限ある答弁があれば、それでけっこうです。
  22. 三谷昇

    ○三谷説明員 私施設課長の三谷でございますが、局長にかわって御答弁いたします。  ただいまのお話の問題でございますが、公益事業局で一般に電気工作物の監督をいたしております。そして、撰挙関係のいろいろなビラが電柱に張られるようなことに対しましては、私の方で直接的にそういうことをいけないという規則は別にありません。ただ、聞くところによると、いろいろ保安上にも支障があるので、電力会社の方で張ることを認めてないように聞いております。私の方として、保安上に支障ができることであれば、これはやはり張ることは困ると思います。具体的にどういうふうにということは、ある場合には保安上必要なことも考えられるのでありますが、規則自体として、必ずしも常に保安上支障があるということにはなっておりませんので、規則として禁止はいたしておりません。  簡単でございますが、お答え申し上げます。
  23. 井堀繁雄

    井堀委員 今のあなたのお言葉の中であいまいだと思いまするのは、保安上何か支障があるような場合はと言われたが、私は何も無制限に使わせろと言うのではない。二十日あるいは三十日と限られた選挙期間ポスターを張るということについて、保安上か何か知りませんが、電気工作物規程以外に、何かこういうものに対する規定がございますか。私の知っているところでは、これだけではないかと思うのですが……。
  24. 三谷昇

    ○三谷説明員 工作物規程以外には、その関係についてはございません。
  25. 井堀繁雄

    井堀委員 そのどこに保安上ポスターを張ると危険だということがございますか。
  26. 三谷昇

    ○三谷説明員 電気工作物規程の上では、ポスターを張ることが直ちに危険であるとは考えておりませんので、先ほど御答弁いたしましたように、工作物規程の上ではポスターを張ることを別段禁じてはおりません。
  27. 井堀繁雄

    井堀委員 ポスターを張るということが、保安上危険であるということが規程の中にないことが明らかになりましたので、次に、御出席いただいておりますお二人の参考人っ方のどちらに伺ってよいか私の方ではわかりませんから、どなたでもけっこうですが、私どもの気づかっておりますことは、すでに料金をとり、あるいはとることを約束して、広告を、すでに竜灯会社ですか、出しているところがかなりあるようであります。その上にポスター貼付するということは、いうまでもなくその広告の効用を妨げることになるわけでありますから、そういうことをむやみに許すことはいかがであろうかという心配は、われわれの常識としてわかります。しかし、広告を出している方の側の御都合がよろしければ、それも可能だし、あるいはそういうことを一々了解を得ることが困難だとするなら、その広告を全然してない電柱の上の方やいろいろあるようでありますが、そういうところで選挙に御協力下さる考えがございますか。
  28. 笹森建三

    笹森参考人 東京電力の営業部長の笹森建三でございます。  一応御説明いたしますについて、そのやっていますことを簡単に述べた方がよろしいかと思いますが、電柱広告につきましては、かれこれ三十年以上も前、昭和の初めからやっております。ちょうど電電公社さんがやっておられるように、電灯広告社というのが引き受けてやっております。これの契約は地上四尺から上の方六尺、つまりその範囲においてやることになっております。それから、もう一つ、高圧のケーブルの立ち上りといったような保安上危険なものについては、これは厳密な制限を付しておりまして、完全なる処置をしながら電力会社の立ち合いでやらなければならぬ、こういうようなことをやっております。結局、地上十尺以上といいますると、大体腕木がありましたり、それから変圧器の変台が乗っていたり、それには同時に腕木を張ってある斜めの金があったりしますので、地上十尺までを認める、こういうふうなことで三十年以上の期間やって参っております。従って、保安上の問題から申しますれば、そういうものに触れるところは、実際問題としましてやはり感電の危険性がございます。そういうことでやって参りまして、電灯広告社との間では、関東一円の電柱全部についてその高さの範囲内においての広告権を認めております。従って、地ぎわから地上四尺までの高さ、それから地上十尺以上の高さから上までというものは、もちろんこれは会社側に権利があるわけでございます。そういう実情になっております。
  29. 井堀繁雄

    井堀委員 そうしますと、電灯広告社というのに、あなたの方では、地上四尺までの間の広告についてはおまかせしているというふうにとれますが、そうですが。
  30. 笹森建三

    笹森参考人 それはまかしていない部分でございます。
  31. 井堀繁雄

    井堀委員 そうすると、まかしていない部分がかなりあるわけですね。その部分は選挙のときにポスタ一を張るのにちようど格好なところですがね、四尺というと。その広告してない部分を使用することには事実上何か故障がありますか。広告社と契約した以外の部分が残りましょう。その残っておる部分は、何か不都合があるから残してあるのですか、あるいは広告価値が低いから相手があまりほしがらぬのか、その辺はどうなんでしょう。
  32. 笹森建三

    笹森参考人 やはり、地ぎわから四尺まででございますから、これは広告価値がほとんどないと申してもよろしいと思いますし、どぶの多いところなんか、それこそはねもかかりますし、自転車もひっかかりますし、これは長年のいろいろなことで広告価値がないと認められておるところでございます。
  33. 井堀繁雄

    井堀委員 私ども、しろうとで、よくそういうことがわからぬのですが、とにかく、一見してかなり広告してない部分、余白があるようで、そういうところはポスターの張り場所としては一応考えられるとわれわれは思っております。そこで、それ以外の広告社との関係がどうなっておるかということをあなたにお伺いすることは、少し行き過ぎた質問になりますから、遠慮いたしたいと思いますが、一応その電灯広告社と選挙管理をやっておる方との話し合いがまとまれば、あなたの方は別にそれに対してはとやかく言わぬで済む、こういうふうに考えてよろしいですか。
  34. 笹森建三

    笹森参考人 先ほど電電公社さんからもお話がありましたように、私ども広告のことはじかには扱っておりません。電灯広告社が直接やる、あるいはさらに代理店やら下請にやらせる、そういうことになっております。そうして、結局はその収入の一定額は貸付料としてわれわれの方の収入額になります。広告料総収入の比率においてわれわれの方が貸付料をとっております。従って、その金額の問題は、会社の雑収入といいますか、会計処理科目は電気料収入ではありませんので、当然会社の収入としてあげておりますし、電気料金算定のときにも当然これは入っており上ます。電気料以外にそういう収入を入れて、従って、総括原価に対する収入の状況を見て電気料金というものが決定されております。そういう関係で、先ほどもお話がありましたように、すでに電灯広告社と広告主との間に契約がなっておりまして、契約に従って毎月広告代金が入ってきているという点から、その広告を阻害するということは、おそらく契約違反の形が出てくるということが考えられるわけであります。従って、今のお話から申しますれば、われわれ自体としても、そういう問題が、損害賠償かあるいは広青料収入が減ってくるというか、そういう問題がありますれば、やはり広告社だけにまかせるわけにはいかないから、もう少し研究しなければならない問題があるように考えられるのであります。  ちょうどこの席にお話のありましたのは、土曜日のお昼過ぎにあったそうでございますけれども、私ここに出てくる前に朝からまた用事がありまして飛び回っておりましたので、出てくる直前に話を聞いて出てきたわけであります。従って、電電公社局長さんともここで初めてお目にかかったわけでありますが、やはり同じ悩みがあるものだなと思いながら、今お話をお伺いしたばかりでありまして、やはり契約したものをそれによって阻害するという点が一つ、それから、作業をしますときに、どうしてもポスターを汚損するということがたびたびございます。われわれの方ですと、仕事をするときに、スパイク・シューズでひっかけながら上っていきます。従って、すべらなくても穴があく。すべればなおのことであります。ことに夜の作業が多いものですから、そういうポスターを毀損するチャンスが多いのであります。さらにまた、電柱立てかえの問題がかなりあるわけでございまして、大体一年間相当数とにかく立てかえております。あるいは腐った電柱を削って根継ぎをやっておりましたり、そういう作業の場合に、やはりポスタ一に対する損傷が起るという問題がございます。第三番目には、やはり過去の経験において、いつもあと掃除について非常に苦労しております。そのために一たん塗ったペンキがはげていくものがある。掃除ばかりでなく、さらにペンキ自体あるいはエナメル自体をいためるという事態も過去においてはたびたび経験しております。それから、やはりこれも過去において経験したことでありますけれども、一応ポスターを張ることを認めましたときにも、実際皆さんがおねらいになるのは、広告価値が多いところをおねらいになる。広告価値のないところは捨てて顧みない。そこで、おれが先だ、一体どっちが先だというごたごたを現実に経験したことがございまして、そういうときにわれわれとしては非常に困ったことがございます。茨城で支店長をしておりましたときに、茨城県内の選挙でそういうことをしみじみ経験したことがございます。いろいろそういうことを考えながら、実は本日の委員会の御趣旨もよくわからないで出席したような格好であります。従って、いろいろどうしたらいいかということについての研究はまだ足りないと思います。また同時に、これは私うちに帰って相談しなければならぬこともございますし、あるいは広告社との話もありますし、さらにもう一つは、公職選挙というような全国の問題でありますれば、私は関東地域だけの話をいたしておりますので、全国の問題であるというと、各電力会社等もおのおの違った契約――私つまびらかにいたしておりませんけれども、おのおのその地域において違ったいろいろなことがあるだろうということが考えられるのであります。そういうことで、実は本日出席します準備も足りません。よくお話もお伺いしまして、考えさせていただきたいと思います。
  35. 井堀繁雄

    井堀委員 電灯会社の方にはいきなりお呼び出しして、はなはだ失礼いたしたのであります。目的は、もう説明するまでもなく、十分おわかりいただいたことと思うのでありますが、事実上はなはだしい御迷惑をかけたり、あるいは建造物使用目的に障害が起るようなことについては、これはもちろん遠慮しなければならぬことだと思うのです。選挙法精神から参りましても、今回選挙法改正をいたしました重要な部分でありまする、莫大な国費を使って行いまする公けの行事でありますので、そのポスターをせっかくふやして選挙の目的を効果あらしめようとする本法案を審議しておりますこの委員会といたしましては、ぜひそういう建造物使用が合理的に行えるように願っておるわけであります。そういう目的に一つ十分御理解いただいて、御協力を願いたいと思っております。  この機会に通産省のお考えを明らかにいたしておきたいと思いましたが、大体以上のあれでよくわかりますので、あと自治庁の……。
  36. 青木正

    青木委員 関連して。  ただいま井堀委員からもお話がありましたので、それ以上蛇足を加える必要はないと思うのでありますが、東京電力側、また電電公社側、通産省側におかれましても、電柱ポスターに利用させていただきたいという議員側の考え方は、単に公職選挙法委員会だけの考え方でなくして、ほとんど全議員の強い要望なんであります。そこで、いろいろな従来の行きがかりもあると思うのでありますが、積極的に協力するというお気持で、条件なりその他御検討をお願いいたしたいと思うのであります。初めから、これはめんどうくさいからやめだというお考えで御検討になるのでなしに、何とかして協力するという積極的なお気持で御検討を願い、そうして関係方面とお打ち合せいただきたいと思うのであります。公職選挙法委員会だけの希望ということでなしに、これはほとんどもう全議員一致した強い希望でありますので、その点を十分お含みの上御検討していただきたい、こういうことを私は申し添えておきます。
  37. 南好雄

    南委員長 それでは、電気通信共済会広告課長の小山常次君が意見発表を求めておりますから、これを許します。小山常次君。
  38. 小山常次

    小山参考人 私は公社の柱を拝借して軍柱広告をやっておるものでありますが、この広告を始めるときには非常にやかましい制限がありまして、現在きめられた範囲以外のものは、絶対にいかなる広告でもつけちゃいけないということにきめられたのであります。ところが、先ほど、業務局長から、紙の宣伝ビラを張ったところで読む人はありはしないというお話がありましたが、これは、そればかりでなく、いろいろの客観情勢がからまっておるのでありまして、ここで申し上げるのは変ですが、都の方からも都市美ということで非常にやかましく常に言われておるので、そういう関係を含め合せて、公社の方から私どもの方に厳重な注意が来ておるかと思っております。最近東京都内には相当の広告がついておりますが、上下の関係はただいまの電灯会社の方と大体変りはないのです。これは、都の方の交通取締りという関係から、大体の制限が来ておるのであります。ただ、今までの例からいきまして、選挙のときに苦情が出たということは、現についている広告の上にやたらに張りつけられてしまう、これをどうするということで、私の方の下請からこれに対する損害の請求が出る。あるときには、ある代議士の関係の方とだいぶトラブルが大きくなりまして、訴訟を起そうということもありましたが、まあ訴訟を起さないでがまんしようということで、業者が取り下げたごともありました。広告の上にやたら張りつけられてしまうので、その広告は価値がなくなってしまうのです。私の方の契約は、一ぺんの契約じゃなしに、一カ年に契約しておって、業者の方は全部の柱が使える。ただいまのような立候補者の張り紙をするというときに、もうすでにスポンサーをとってしまってある。注文しておって、すっかり青板を作り上げて行ってみたら、立候補者ポスターが張ってあってつけられない、そういうときはどうするのだというようないろいろの苦情があるので、私が言うのは、ただこういう苦情があったということを御参考に申し上げる程度でありまして、柱を使っていいか悪いかという問題は私の方の権限には属しませんから、もし広告の上についた場合の問題がいかようにされるかということを御検討願っておけば、非常に幸いと思います。その程度であります。
  39. 井堀繁雄

    井堀委員 参考人の方には、どうも突然おいでいただきまして、えらい御迷惑をかけました。恐縮でございました。この委員会で今審議いたしております公職選挙法の目的から参りましても、まげて一つ御協力をいただかなければならぬ事柄だと考えております。もちろん電力会社並びに電気通信共済会の方々にはそれぞれ監督官庁との関係どもありますことは、われわれはよく承知しております。しかし、これは言うまでもなく、公法上の権限に属する以上のことをしいるはずはありません。そのことにつきましては、私どもの方でもそれぞれ法律の関係を調べておることでございますから、あなた方には直接その方面からくる御迷惑はかけないように処理をいたしたいと思っております。ただ、営業上の問題につきましては、これはわれわれが介入をしようとは思いません。しかし、公共の建造物もしくは公共事業令に基きます国の方針も法律で明らかになっております。ことに、電気に関する臨時措置の法律の中でも、それぞれ一つの国の意思というものが定められておるのですから、そういうものを曲げて、あなた方にいろいろなことをお願いするような考えは毛頭ございません。その範囲内で善処をいたさせる所存でお尋ねいたしたのであります。誤解のないようにお願いしたいと思います。しかし、ただこの機会に、公職選挙法の完全な遂行ができまするように、公けの意味において御協力をいただきたいと重ね重ねお願いをいたしまして、一応参考人に対する私の質問を終りたいと思います。
  40. 南好雄

    南委員長 ほかに御質疑がなければ、参考人に対する質疑はこれで終りたいと思いますが、御異議ございませんか。
  41. 南好雄

    南委員長 それでは、参考人の各位にはまことに御苦労さまでした。どうぞ御退席を願います。  速記をとめて。
  42. 南好雄

    南委員長 速記を始めて。  井堀繁雄君。
  43. 井堀繁雄

    井堀委員 自治庁長官にはっきりしたお約束を願わなければならぬ事態に相なりましたが、それは、今まで通産省公益事業局長電信電話公社業務局長参考人として東京電力株式会社営業部長笹森建三氏、電気通信共済会広告課長の小山常次氏の四氏にそれぞれ質疑をいたしました結果、電柱選挙用のポスターを張るということについては、もっぱら監督官庁と当該責任当局でありまするこの場合は自治庁もしくは選挙管理委員会との間に話し合いをすれば、一向に使用には差しつかえないという見解と、多少営業用にたとえば広告料を徴収しておりまする建前上、どのような手当をすればよいかとか、あるいは、広告以外の点では、それぞれの建造物を維持管理していくための使用の際にポスターをそこなうことなどの一、二の事例が明らかにされまして、そういうことなどについては、もちろんここで論議すべき事柄ではなくて、当事者同士の間で話を取りきめるものであると思われます。従いまして、せっかく多額な経費をかけてポスターを増加いたしましても、それが完全な機能を発揮いたしますことは、これらの諸条件が解決することによってその真面目を発揮することができる、ということも明らかになっておるところであります。以上のようなわけでありますから、早急にその方のお取りきめをいただきませんと、本案は単なるから審議に終ると思います。あなたの御答弁次第によっては、われわれはこの法案についてもう少しそういう結論が出るまで待たなければならぬ。明日、明後日と、そうあせるわけにはいかぬのではないかと思われます。あなたの決断を伺って、われわれの態度もきめなければならぬ関係も生じておりますので、この際あなたの明快な御答弁を願いたいと思います。
  44. 郡祐一

    ○郡国務大臣 それぞれの管理責任に当っております者が、選挙ポスターでありまするために、非常に大事をとってものを考える。従いまして、その責任を感じて慎重にいたす点は想像がつくのでありますが、しかし、国民の前に最も重要な選挙候補者を周知せしめるということは、すべてのことに優先することでございますから、そのような建前でこ強く急速に関係者と協議をいたしまして、来たるべき総選挙に御趣旨に沿い得るようにいたすことに努力していきます。
  45. 井堀繁雄

    井堀委員 お約束を実行に移されることを期待いたしておきます。もしその実行ができないようでありますならばという不安もありましたけれども、あなたがはっきり言い切りましたので、一応この問題は解決できるものと信じまして、私の質疑をこの点については一応終りたいと思います。  次に、せっかくお忙しいところをわずらわしております中川刑事部長に、一、二問お尋ねをいたしておきたいと思います。  今度の選挙法の改正については、十分御勉強いただいていると思いますが、承知しておりますか。
  46. 中川董治

    ○中川説明員 知っております。
  47. 井堀繁雄

    井堀委員 十分承知しているそうであります。ところが、今度の選挙法の改正によりまして、一つには、目睫に迫っております衆議院の解散による総選挙につきましては、今質議を重ねておりましたポスタ一やはがきの増加に伴う文書戦の拡大が予測できます。これはもっぱら形式犯に属することですが、今までは、形式犯のうちでも、こういう文書活動にどうやら興味を持って取締りをしているような地方的な事例もないではない。しかし、根本的な選挙の取締りを要望しておりますのは、悪質事犯と一般にいわれている貢収、供応などについて、現在の警察の取締りの違い――二、三の例から見ましても、どうも投げやりな傾向と言えば言い過ぎかもしれませんが、非常に消極的である。この理由を本会議でも私は総理に御答弁を求めたのでありますが、一向答弁をしなかった。これは、かつて選挙事犯で刑を執行されている者、あるいは執行中の者を恩赦にかける。これは、警察の立場からすれば、骨折り損のくたびれもうけです。それは恩赦ですから、恩赦それ自身を私は否定するものではない。およそこういう選挙違反などを恩赦に浴せしめるということは、他のものを全部恩赦にし尽して、それだけ残すのもいかがかというときに考えられます。また近く皇太子のおめでたも予定されているようであります。しょせんやったってまたあれでずるりと抜けてしまうのだからと、そういうことを、冗談でしょうけれども、口にする人が相当に出てきている。あなたにこういうことを聞くのはどうかと思うのですけれども、こういう傾向を改めさせるということは、一つには政府方針が明らかにされなければならぬと思います。これは、そういうことはありませんなんとあなたが答弁されると、またぞろ恩赦をやりますよ。だから、そこら辺が大事なところと思いますけれども、実は、あなたの経験をもとにして、ああいう恩赦によって受けた精神的打撃といいますか、業務上にも相当の影響があったと思いますが、この点に対するあなたの率直なお答えをいただきたい。
  48. 中川董治

    ○中川説明員 私どもは、法律のもとに忠実にやる立場でございますので、公職選挙法に掲げております犯罪は正確にこれを検挙していく、こういうことを根本精神にして選挙取締りをやっております。それで、いろいろ御批判を受けることはありがたいのでございますが、公職選挙法の犯罪が目的非であるために、立証上について大へん苦心している点もございますけれども、そういった隘路を克服して、各府県警察とも忠実にこの検挙に邁進すべきものだと考えます。  御質問の、恩赦法に基く措置によって公職選挙法に掲げる罪が大赦になる、こういった関係で君ら困るじゃないか、こういう御意見のように拝聴いたしたのでありますが、恩赦という一つの制度を考えるについては、いろいろ政策上政府として御検討願うべきものと思いますけれども、私どもそういういろいろなことをあんまり考え過ぎますと仕事ができませんので、ほんとうに警察の仕事は現行法のもとに忠実にやっていく、こういうことに一貫すべきものというふうに私ども考えております。
  49. 井堀繁雄

    井堀委員 自治庁長官選挙法の通過のためにいつも努力される立場ではありますが、恩赦のような場合には今度は閣僚として相当抵抗される立場に立たなければならぬと思う。これに対するあなたの見解をこの機会に伺っておきたい。
  50. 郡祐一

    ○郡国務大臣 お話の点につきましては、総理大臣からも今国会で何回か御答弁申し上げておるところでありますけれども事柄の性質から申しましても、最も正しく国民の納得いたします結果でありますれば、私も、国務大臣といたしまして、そういう結果を導き出しますように、考えの上で、また行動の上で十分現わして参りたいと思います。
  51. 井堀繁雄

    井堀委員 中川局長お尋ねをいたしますが、買収事犯を検挙するというのは、従来のあなた方の経験の上からいきますと、形式犯からだんだんイモづる式にあがっていく。というようなことから、形式犯にそういう犯罪の端緒を得るための手がかりといいますか――また実際そういうものらしいですな。最初からもうそのものずばり買収をあげるとか供応をつかむということは実際行えなかった。投書があったり、仲間割れがあったりして訴え出てきたりすれば別だが、大体そういうことは少い。大部分は形式犯からだんだん入っていく。そうでないと選挙違反はあがらぬという、古くからそういうお仕事をしておられる経験者のお話をよく聞くのです。ここは非常にむずかしい問題だと思うのでありますが、それをあんまりやられると、どうも従来の警察と違って人権を尊重しなければならぬ時代ですし、そういうたたけばだんだんほこりが出、そのほこりが大きなほこりで大物に入っていくというような道が一応断たれておるのです。ですから、氷山の一角というよりは、よっぽど連の悪い者が引っかかるというのが、今日の通り相場になっておると思います。こういう新しい傾向に対して、今の選挙法からくる悪質違反の取締りについて実際上研究したことがありますか。その点について、きょうはざっくばらんなことを聞かしていただきたい。そうして置かぬと、もうばかにしておりますよ。私がやるというわけではありません。そういう点で、今言うように、形式犯からイモづる式にやっていくというような古い刑事行政とは違った意味で、新しい選挙法に基いて、新しい憲法のもとにおける警察の選挙取締りというものが生まれてこなければ――そこだけが古く残っておる形のように、失礼な言い方かもしれませんが、私ども思われる。今度はこの点に対する斬新な方針をお立てになって臨まれるか、一つ伺っておきたい。
  52. 中川董治

    ○中川説明員 これは、いろいろ御意見もございますから、問題を分けてお答え申し上げます。  公職選挙法規定する犯罪に買収の罪がございます。お話のような形式犯と目される犯罪もございます。すべての犯罪につきまして、やはり国会でお定めになつた法律でございますので、この関係をわれわれ刑罰法令を適用する側からも協力すべきものだと考えるのでございます。形式犯だからばかにする、実質犯だから一生懸命やるという意味ではなしに、両方とも重要だと思います。両方とも重要ですけれども、一番困難を来たすのは買収、供応の罪であるということも事実でございます。買収、供応の罪のごときは、犯罪を行う側からいえば、なるべく見つからぬようにやる。見つかった場合におきましても、口実を設けてやる。これはすべての犯罪に共通でございます。こういった宿命を持つ犯罪に対しまして、捜査当局としてはその関係を明らかにする、これがわれわれの使命でございますので、これには努力するということを明確にお答えにいたしま入ヨ。  努力の方法ですけれども、ほかの殺人とか強盗のような場合におきましては、比較的物的証拠が多いのですけれども公職選挙法に定める買収の罪につきましては、物的証拠もございますけれども、殺人とか強盗の罪に比しては物的証拠が少うございます。それで、関係者、そこにおる人たち、それに関与する人々、目撃者、大きく申せば国民全部の御協力を得て、そこの供述を集積していく、こういう作業にならざるを得ないと思うのでございます。従ってそういういろいろのことがございます。うわさから始まりまして――うわさに基きまして直ちに逮捕するわけに参りませんけれども、うわさに基きまして関係者の供述を集積いたしまして、その集積に基いて関係者の犯罪を剔快していく、そういう作業を進めておるのでございます。これは犯罪統計で明確に出ておるのでございますけれども、警察が検挙いたしました犯罪は、公職選挙法の犯罪のうちでは買収の罪が一番多いのでございますけれども、われわれ買収の罪ばかりやっておるのではございませんで、いわゆる形式犯も選挙の公正を確保するために努力しておるのでございますけれども、買収について大へん努力しておるということは、数字の実績から見ましても御了得いただけるのではないかと思っております。犯罪の捜査のやり方といたしましては、物的証拠の比較的少い犯罪でございますので、関係者の供述を集積いたしまして――裁判では証人ということになろうかと思いますが、それを集積いたしまして、さらにそれに基く物的証拠の収集もいたしまして、買収の罪というものも相当検挙をいたしておるのでございます。皆様の目から見れば、存在する犯罪に比して検挙が少いのではないかという点もあろうかと思いますが、そういう比較的物的証拠の少い犯罪でございますけれども、国民の協力によりまして、関係者の供述を集積することによってこの犯罪は剔決することができる、こう思っておるのでございます。
  53. 井堀繁雄

    井堀委員 今度の選挙法の改正で二十五日を二十間にする。選挙運動期間が短かくなるので、そういう犯罪は、従来の傾向をそのままたどってくるとすれば、非常に効率化というか、短時間に行うのですから、むしろそういう犯罪の傾向はふえてくると見るべきなのです。それから、あなたもおっしゃっておりますように、物的証拠を選挙中に把握するということは、検挙ということはとにかくとして、選挙運動期間中に捜査がある程度完了していないと、ものにならぬのです。選挙が終ってしまって、当落がきまってしまうと、落選した方は案外処罰にまで行くが、当選すると別の圧力が加わってくるということも、ほかの犯罪捜査と違って、困難な事情一つであろうと思う。これは例をあげてお尋ねすればすぐわかると思うのですが、今の警察行政の中で、選挙取締りに関しては旧態依然だと思う。ほかのものは全部変ってきているのに、そこだけ取り残されているんじゃないか。先年私ども選挙関係の調査で山梨県に参りました際、当事者の述懐を聞いて、これはよほど考えなければいかぬと思った。たしか山梨県の秋山村といったと思うが、村長選挙で一村全部かかった。これなんかは旧態依然の捜査からくる一つ結論を報告したにすぎぬと思う。ちっとも新味がないんですね。科学的な捜査なんというものはもちろん入っていない。それから、民主化された日本のあらゆる機構が成熟したのにもかかわらず、警察だけは、旧態依然として、聞き込み、投書でしょう。どうしてわかったかといったら、これは聞き込み、投書なんです。仲間げんかなんです。そうして見つかったときには村中に蔓延しておった。僕は、選挙の取締りというのは、一つには、警察の捜査というものは、ただ犯罪を見つけさえすればいいということじゃなくて、事前に防止するという近代的な機能というものを警察行政の中に持たせることだと思う。ところが、警察の威力なんて問題にならぬのだね。最初からそんなものは違反だと知らぬわけはないのです。知っているのですが、法律を全然顕から無視して選挙をやっておる。それから、別の意味で、常時啓発の運動が浸透していないからということを選挙管理委員会では言っておりましたが、それもその通りなんです。しかし、そうじゃない。常時啓発というものは、何も選挙管理委員会自治庁だけの仕事ではなくて、警察行政の中にもやはりそういうものが同じように成長していかなければならない。それがちっともないんだね。こういう点何か今度新しいのを出しますか。
  54. 中川董治

    ○中川説明員 犯罪防止と検挙の関係でございますが、これはすべて共通することです。とりわけ、選挙につきましては、検挙ももちろんけっこうでございますが、犯罪防止の役割を果さぬのは無意味である。これはごもっともであります。ことに、選挙の罪につきましては、公職選挙法の六条にも規定がありますように、感発宣伝関係選挙管理機関が主としておやりになる建前になっておりますので、選挙管理機関と捜査に当る警察とが、そこに緊密な連絡をとりまして、啓蒙活動をやるわけです。ところが、公職選挙法六条の建前もございますので、なるべくは選挙管理機関の啓蒙宣伝にお願いする、そうして警察としては証拠を集めて犯罪捜査に当る、こういう建前でずっと一貫しておりますので、今後ともこれを徹底して参りたいと思います。
  55. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたはうまいことを言ったと思う。あなたの今の御答弁は今まで伺わなかったことなんです。確かに、選挙法の第六条の常時啓蒙並びに間知に関する問題は、これは警察と選挙管理委員会とが緊密な連絡をいたさなければならぬ重要な事項なんです。しかし、実際的にありますか。どういう形で今連絡をつけ、どういう形で有機的な捜査がそこから起っておりますか。具体的に一つ御答弁願います。
  56. 中川董治

    ○中川説明員 これは、御案内のように、公職選挙法の六条には選挙違反に関することを選挙管理機関がやると書いてあります。それで警察と選挙管理機関が具体的にやっておることを申しましょう。中央におきましては、自治庁とか私の方とか法務省とかそれぞれ会議をやっておりまして、個々の問題について打ち合せをしております。中央の打ち合せのほかに、各都道府県ごとに――衆議院の選挙の場合には都道府県ですが、都道府県ごとに、地方の都道府県警察とそれから選挙管理機関との打ち合せを常時やりまして、一般的な打ち合せもやっております。それからさらに、個々には犯罪らしきものを警察で見つける場合が比較的多いのでございます。そうして内容によりましては警察みずから検挙する場合もございます。ところが、犯罪としては立証上相当疑問がある、ただし、警告その他の措置によって、これを制止した方が好ましいという問題は少くございません。そういった場合号には、警察は選管の方へ通報いたしまして、選管の方から警告その他の措置をやっていただいておるのが現状であります。それは、過去もやりましたけれども、今後とも大いに徹底してやりたいと思います。  それから、さらには、公職選挙法が変った場合その他につきましては、いろいろな犯罪関係のこまかい点もございますので、警察と選挙管理機関とこまかい点も打ち合せまして、選挙管理機関の手から、候補者あるいは事務長の方々を通じて、選挙運動員の方に徹底していただくという措置を講じております。
  57. 井堀繁雄

    井堀委員 常時同じ屋根の下に大体地方はおります。県庁の建物の中ですから……。だから、廊下も通じておりますから、しょっちゅう会う機会はあるでしょう。しかし、具体的に第六条の精神を警察官がどのように把握して、どういうように警察行政の中で生かしておるかということについてはあなたは御答弁できるならしてみて下さい。やることは、お茶飲み話をやったり、あるいは、選挙中に警察でやるよりは、選挙管理委員会注意した方がいい。それはあり得ることです。そんなことは当りまえです。それは常時啓発と何の関係もありはしない。常時啓発というのは、今までは特に予算もなかったからろくな仕事もできなかったが、今度は予算も少しだけれどもついた。それでいろいろやっておるようです。なかなかこれは有効に金が使われておるようです。今までやっておる常時啓発の事業の中で、どういうふうに警察が連絡をとって、どういう形で動いておりますか。
  58. 中川董治

    ○中川説明員 選管と警察の関係を、問題を分けて考えてみたいと思います。常時啓発の中に、御承知のように、一般的に国民として、公民として選挙権を適正に行使する、そういった運動を展開するという面が重要な要素だと思います。それと、もう一つは、その重要な要素から派生する問題ですけれども、そういった事柄に対して、不幸にして違反らしい行為をやる人間がある、そういったことを消極的にチェックする。選管のやられる内審としてそういう二つの機能があろうと思います。  前段につきましては、これは警察も一般に協力いたします。警察官が行って講演するのもいかがかと思いますが、そういった点は、選管が中心になられまして、適当な人物をお遊び願って、公民としての自覚について啓蒙宣伝をやっていただく。これについて警察官が行ってやるということはございません。  後段の方は、そういう話を通じてうまくいけばすべて解決するのですけれども、不幸にして違反らしきものが行われる、こういった点については、その検挙と、一般的の啓蒙という分野があろうと思います。それにつきましては、個々の打ち合せによって、その問題を解決していく、その打ち合せをしょっちゅうやっておる、こういうことであります。
  59. 井堀繁雄

    井堀委員 それでは結論を伺いましよう。警察がどういう連絡をとっておるかということについては、私どもはお伺いすることはできぬものといたしまして、一つは、結果から見ますと、警察官は、選挙運動の取締りについては、一応刑事行政の中で常識として備えております。しかし、選挙についてさっき言ったように常時啓蒙というものは、警察官自身が民主的な選挙法に対する理解がなければ、そんなものは意味はない。常時啓蒙に関する選挙法の持つ基本精神について、警察官にもっと理解が深められた形が出てこなければ、そんなものは幾ら言ってみたって意味がないと思う。ちなみに聞いてごらんなさい。昔は、高等警察なんというて、その方ばっかり専門にやっておったのですが、時の権力者に対してほうかんのような者も出てきたのです。専門的に政治警察というものがあって、時の権力者の擁護のために、またスパイ活動のために大いに働いたものです。しかし、今日の新しい警察というものは、人民のための、すなわち有権者のための警察としての機能というものが、そういう杉において成長してこなければならぬはずだと思う。民主主義の発達しておる国においてはそうなんです。ところが、あなた方ここへ出てきてもらうときには、大がい取締りのやりそこなったのをしかられるくらいのところで、あるいは事件の起ったときに来ていろいろ説明を伺ったり何かする。何か警察の方で新しいのがありますか。一体、自治庁と肩を並べて、常時啓発に対する、たんのうした、また深い識見を持った方が養成されておりますか。
  60. 中川董治

    ○中川説明員 こういうことだと思うのです。お説をだんだん私が勝手に分類するのですけれども、本問題につきましては、公民としての、選挙有権者としての素質を啓蒙していく、こういう措置が一番最右翼だと考えましょう。最左翼が違反したものをどしどし検挙する。それで、最左翼と最右翼の中間に、違反らしい行為をやるものを制していく、こういう行為があるのです。その最左翼の検挙は警察の使命ですから当然やりますが、その中間の違反らしい行為をやるものを選管と連絡をして大いにやる。しかし、最右翼の公民としての一般国民に対する知識を普及していくという点は、警察も関係公務員の一人として大いに素養をよくするということは同感でありますが、国民の中に警察がもぐり込んでいくのはいかがかと考えるのでありまして、その中間の面につきましての連絡を緊密にやっていく。一般的な公民の啓蒙宣伝ということにつきましては、選挙管理委員会が、公けの機関の中心になりまして、民間活動とともにいろいろ普及していくということを大いにこいねがう、それが相当だと考えておるのであります。
  61. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたのお考えはよくわかる。それは、今の日本の警察が、自治庁選挙管理委員会のやっている常時啓蒙の運動、たとえていうなら話し合いの会など、公民館の館長であるとか、学校の校長先生とか、あるいは婦人会の会長とかいうような方が、いろいろ仲人をしたり、あるいは指導的あるいは助言者としての活動をしておられますね。そういうところに警察を入れたら、専門の警察は妙なことになってしまう。あなたは簡単に捜査だといっているが、日本の警察はそういうところに入る資格がないんですよ。それほど成長していない。そのことを言っているのです。それを今やったらあぶない。そういうことをやったらろくなことをしません。思想調査をしてみたり、何か人を見たらどろぼうと思ったり、人の裏を見ることしかやらぬことになっては大へんです。だから、問題は、自治体がまだおくれているところにあるのです。日本の警察というものは民主化されていないのです。そのこと自体を十分認識されて、取締りについても、そういうところから問題を取り上げてくるくらいの配慮がなければいかぬのではないか。その点に問題があるので、かなり距離のある議論になってしまうと思うのです。それを承知しないで、いかにも警察が民主化されて、選挙の取締りについては最善の防止活動をやって、しからざる後にやむを得ず捜査活動の網にひっかかったというような表明の仕方を混同されてきておる。そうでなく、おくれておるという事実を認められて――それはあなたが急速に幾らがんばってもできる問題ではない。日本の警察全体に問題がある。日本の警察は、せっかく、人民の名前において、警察の意思というものを、すなわち住民に奉仕する警察官にしようということで警察制度は変えられたけれども、ほかの民主的な形に比べますと、どうもなじまぬという点もあったでしょう。そういう警察法の改正で逆戻りをしてしまった。だから、自治警察が要するにああいう形になったということも、一つには日本の警察のおくれている姿を物語っているわけですから、そういうことをちゃんと承知していくべきじゃないかということを、あなたは御在じかどうか。まあ御存じでいろいろやっておられると思って聞いてみたのですが、これは大事なことなんです。あなたの御答弁でも明らかなように、それは、あなたが悪いのではなくて、日本の警察制度というものがあと戻りした。それを、しんぼう強く、ねばり強く、警察の民主化というところに原則を置いて進めていくべきだ。それができなかった。そうしたところが、片方の公職選挙法というものはやはり民主的な改革の中に一つの頭角を現わしておる。そして選挙管理委員会と公安委員会がずっとあのように系統的に流れておればいいが、警察官が出ていくからおかしくなるのです。公安委員会は、同じ制度でできて、それがちゃんと形作られておる。ところが片方はもとのところに戻しておる。そういうところに問題があるのです。それは、あなたをとがめたりしているのではなくて、そういうかたわになっている実態を承知の上でやられておるところに、選挙というものの取締りがどうも理想的に行いがたい一つのものがあると思う。警察制度はあと戻りした。片方は、漸進的ではあるけれども、民主的な組織や機能が成長していく。その食い違いはだんだんはげしくなってきます。だから、あなたに希望したいことは、日本の警察組織と選挙管理組織というものが食い違いがあるということを承知の上で、積極的な協力を有機的にしていくべきではないか、私はこう思う。これは私の見たままをずばり言っておるのですが、そういう点で、絶えず反省を強くしながら、かたわになっていることをはっきり認識しながら、なんぼあなたが選挙法精神に徹して厳正公平にやるといっても、厳正公平にやれないのです。警察権に閣僚がくちばしをいれるような警察ではだめですよ。片方は選挙管理委員長が独立しておる。それは調子がそろってないのです。あなたが動くと、とかく政治権力のかいらいにならざるを得ないような悪い地歩がそこに出てきておる。そういう点を認識されるべきでだということを私は強く警告をいたしておきます。これに答弁は要りません。選挙の取締りについては、よほど気をつけて、積極的な民主的な選挙のあり方に御協力を賜わりたいと思います。こう思いまして、私の質問を終ります。
  62. 南好雄

    南委員長 森三樹二君。
  63. 森三樹二

    ○森(三)委員 井堀委員の続きをちょっと中川さんに質問しますが、井堀委員からも非常に実質犯の検挙について強調されましたが、私はそれなくてはほんとうの選挙の粛正はできないと思う。巷間伝うるところによれば、今度の自民党の選挙資金というものは、たとえば、岸派では一人の候補者に二百万円の公認料を渡す、河野派では四百万円渡す、大野派では、これに負けないで、自分の派閥関係者には三百万円渡すというようなことが、新聞に堂々と出ているのです。私はここに持っております。この間も岸総理に対してそのことを質問した。ところが、法定費用というものは、御存じ通り選挙法上百九十四条によってきめられておるでしょう。各選挙区ごとに議員定数でもって有権者の数を割って、その数に七円を乗じたものが法定費用ですね。それはあなたも御承知の通り。従いまして、たとえば有権者が五十五万人あって、そうして定員五名という私の選挙区のごときは、選挙費用が七十七万円となっております。七十七万円あれば実際やれるのです。しかるに、実際は三百万円使う。四百万円使う。私は実際驚いているんですよ。自民党の諸君の中には一千万円くらい使う人がざらにあるというのです。古川君のようなそういう良質の人は法定費用でやるでしょうけれども、実際において一千万円も二千万円も使っておる。この間私はある新聞記者と話をしたら、森さん、どのくらい選挙費用を使うか。そうだね、僕は百万かそこらだろう。それはうそだ、そんなことは絶対ないと言うんだ。うそだと言うけれども、実際はそれでやれるのです。ところが一方は、とにかく単位はこちらは百万で、向うは千万だ。違う。明らかにそういう点から選挙違反という問題が起きているのですよ。井堀君が強調されましたけれども、あなた方はポスターとかあるいは文書の違反をあけるけれども、この事前に使われている莫大な選挙運動費用というものに対してメスを加えなかったら、選挙の粛正はできないですよ。どうお考えになりますか。ああいう膨大な資金を渡して選挙をやるということに対しては、あなたは新聞をごらんになっていると思いますが、とにかくもう公認候補に対しては二百万円渡すことは確実らしい。それでもう法定費用を超過しているのは確かです。現在選挙区に帰る者に対しては、自民党では少くとも二十万円ないし五十万円のものを持って帰らす。これでもって一つ選挙区の手入れをしてこい。年末にはもち代を三十万円ずつ渡している。議員はみな歳費をもらって、そうしてやっているわけでしょう。どういうわけでそういうようなことをさせるのかと、私はこの間も岸総理に言ったけれども、総理は、そういうことはやっていない、知らぬと言う。しかし、事実上そういう莫大な事前運動の費用がばらまかれる。これについてあなたはどういうようにお考えになっていますか。
  64. 中川董治

    ○中川説明員 私ども警察は、公職選挙法規定されております犯罪を、正確、確実にこれを検挙して参る、こういう建前で一生懸命努力して参っております。今後とも努力いたします。ところが、われわれは努力は大いにやりますけれども、方法にいろいろな端緒がありますけれども、個々の犯罪は、森委員御存じのように、具体的な事件を個々具体的に立前していく以外に方法がありません。それで、いろいろな方法を参考にしながら、具体的の事件を具体的に立証するということを着実にやって参りまして、困難な面もありましょうが、刑罰権の発動については適正を期したい、こういうように考えております。
  65. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこで、いよいよ選挙が始まるわけですが、事前運動の取締りということを今どのようにやっておりますか。事前運動で現在検挙になった者がありますか、どうですか。実際目に余るような事前運動をやっておるのだが、これに対してどういうような取締りをあなたの方でやっているか。現在そういうものであがってきているような者があるかどうか。
  66. 中川董治

    ○中川説明員 事前運動の関係はしばしばここでも申し上げたと思うのですけれども、事前運動の取締りはやっております。やっておりますが、各般のいろいろなまぎらわしい行為が各地方に一ぱいあるわけです。そういう点は選管でも御尽力願っておりますけれども、私どもは、捜査の面からして、そういう点の集積をしております。集積をして現在一つも検挙してないのかとおっしゃいますけれども、検挙するためには、森委員も法律の専門家なのだから恐縮ですけれども、個々の事件を、当選を得または当選を得る目的を持って――そういうようになりますと、立証上若干時間を要します。その点は一つ御子承おき願いたい。と申しますのは、事前運動の取締りは、刑罰権の発動という面は若干立証上おくれるということは仕方がない、こういう一つの技術上の欠陥があるということは、御了承おき願いたいと思うのでございます。
  67. 森三樹二

    ○森(三)委員 私の知っておる範囲では、その候補者の方は、今度は自分が非常に不利だ、だから、金はふんだんに使って、今のうちに――選挙運動期間が短縮になるのでありますから、事前運動に力を入れなければならぬ。現在もう選挙は中盤戦だといわれているんですよ。実際にまたそういうことがいえるんですね。選挙運動期間が短縮されればされるほど、事前に運動をしておかなければ選挙にならないわけです。だから、告示になってスタート・ラインに候補者がみな並んで、スタートのピストルが鳴った場合には、すでにもうそこでもってバンディキャップがついているんですよ。スタート・ラインについたときに、もう勝敗がある程度ついているようにしなければいかぬということを言っている。もう盛んに事前運動をやっている。ここでもって、名前を言うのははばかりますけれども、そういう状況です。極端にいえば、今度選挙運動期間が二十五日から二十日になるけれども、これが十五日になり十日になったらどうします。短かければ短かいほど、事前運動というものが活発になることは当然です。これは常識でお考えになればわかると思う。そういう問題も十分お考えになって、選挙運動期間が短縮になるということについては、そういう弊害も現に起きているということも十分お考えになって、いわゆる実質犯罪の供応、買収というような問題については、徹底的に一つ取り締っていただきたい、このように考えておりますが、この選挙運動期間の短縮と供応、買収その他の事前運動をどういうふうにあなたはお考えになりますか。
  68. 中川董治

    ○中川説明員 私どもの従来の経験に徴しまするに、事前運動で非常に犯罪が多くなるのは、比較的予定された選挙といいますか、たとえば任期満了または任期満了に近い選挙の場合に多い。選挙後わずかの期間で突然解散になった場合には、比較的事前運動が少いというのが、従来の例でございます。そこで、今おあげになりました事例のうちで、事前に金品を出して当選を得または当選を得る目的でということがはっきりした場合に検挙された例も、過去においては少くございませんので、今回もそういう事例があれば検挙させることになるだろうと思います。
  69. 森三樹二

    ○森(三)委員 今中川さんの例で、抜き打ち解散のようなものは少く、たとえば、予定されている、参議院のような任期がはっきりしているものは十分事前運動のことが考えられる、こう言いますけれども、しからば、私申し上げるけれども、もう今国会の解散ということは常識的になっているのですね。すでに十二月解散、一月解散といってだんだん押してきておりますが、現在今月の二十四、五日ごろに解散ということは一般の常識になっているのですよ。岸総理といえども何日にするということは言いませんけれども、四月中に解散をするということははっきり言明しておりますから、あなたのおっしゃるようなものではないのですよ、四月に解散ということは常識になっているのですから、今盛んに選挙運動をやっているわけです。議員諸君は、ほとんど国会にいないで、みな選挙区に帰っているじゃないですか。こういう実情を十分把握され、その点は十分お考えにならなければならぬ。抜き打ち解散といっても、もう現在解散の日がほとんどはっきりきまっているようなもんじゃないですか。私はこれについて郡さんにも質問するつもりですけれども、たとえば、市町村長の選挙とか、あるいは市町村会議員の選挙とか、あるいは県会会議員の選挙とか、あるいは参議院の選挙というように、日にちのきまったものについては、事前運動というものははっきり区別できるけれども、衆議院のようにいつ解散になるかわからぬものに対しては、非常にやりにくい点はあるかもしれません。けれども、今日のようにこれだけ切迫しておれば、これは取締りを厳重にやって差しつかえないのですよ。現に空気がそういう空気になっているじゃないですか。今日のこの衆議院の解散に対してあなたはどういうふうにお考えになりますか。
  70. 中川董治

    ○中川説明員 森委員御指摘のように、最近衆議院が解散をするということに関連するのだと思いますが、この二月前後以来そういう状況でございますので、私どもといたしましては、自治庁選挙管理機関ともよく相談いたしまして、二月十日だったと思いますが、二月十日付で、自治庁におかれましては、選挙管理機関を通じて、選挙の事前運動にまぎらわしい行為を抑制する方途について大いにやっていただく、こういう意味の通牒をお出し願ったわけであります。それに即応いたしまして、警察といたしましても、選挙管理機関と連絡を密にして、そうして事前運動として犯罪または犯罪類似のものの内偵を強化して、その犯罪の検挙に努力すべし、こういうことを各府県に徹底して、現在その措置に備えているわけであります。
  71. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこで、私は、選挙運動期間の短縮という問題は事前運動というものを必然的に活発ならしめるということを考えているのですが、これに対して郡長官はどういうふうにお考えになりますか。
  72. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私は、これを極端に現在一般の市や町村でやっておりますような期間の短縮をいたしましたら、問題の角度は別になるかもしれませんけれども、現に大正の末期にきめられました期間というのを、今日五日間短縮をいたす――二十五日間で参議院の全国区もいたしており、参議院の一県単位の地方区もいたしている、こういうような状態でそれぞれ選挙運動が行われておりますときに、二十日間という期間は私は必要であり、かつ十分な期間だと思います。従いまして、二十五日を二十日間にいたしましたがために事前運動が起り、あるいはそれを動機として事前運動が特に激しくなるというような工合には私は考えません。ただ、前にも申し述べましたが、二大政党対立のもとでは、政党の政治活動が平素においても活発であり、各候補者は、その所属の政党の政策のうち、いかなる点に自分は重点を置いていくかという点を国民の前に訴えるという傾向が出てきているように思うのであります。それでけっこうなことであり、また、さようにいたしますならば、二十日という期間で十分であろうと思います。今後の選挙運動が政党の活動に重点を置いて参るという移り変り方は、イギリスにしましても、アメリカにしましても、またこれからの日本にしましても自然な傾向であり、そう考えますならば、二十日は十分な期間だと思っております。
  73. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官は二十日が適当な期間だというお考えで改正案をお出しになっているわけでしょうが、私らは二十日間には反対している。反対する理由は、新人の当選を非常にはばむものであるということや、あるいは金がかからぬようにするという表面上の理由もいろいろありましょうけれども、何と言っても、従来二十五日であったものが二十日になるというので、期間が短縮される。それでもって選挙が始まると、あっという間に済んでしまう可能性があるから、できる限り事前運動に力を尽さなければならぬということが巷間流布されて、すでに選挙運動にかかっておるのです。私が先ほども申した通り選挙運動はもう中盤戦だといわれておる。告示になってスタート・ラインに候補者の顔ぶれが並んだときは、勝敗は大体決しているといわれているのです。従って、今日各議員諸君が選挙区に帰って選挙運動に大わらわになっていることは、争われない事実です。  そこで、私はあらためて解散の時期について長官にお尋ねしたいと思うのですが、河野経企区長官は、解散は大体二十四、五日ごろが適当だと思う、しかも、その投票日については、あえて日曜を必要としないと言ったというようなことが盛んに新聞に流布されておりますし、また、自民党の選挙対策委員長の大野伴睦氏は、解散は二十五日ごろが適当だというようなことを述べております。担当大臣としてのあなたは、選挙のあらゆる手続あるいは各選挙管理委員会等の準備の都合もあると思うのでありますが、そうしたことにつきまして、あなたは、閣僚として、しかも内閣の連帯性からいって――解散の決断については岸総理の断を必要とするでありましょうけれども、内閣の連帯性からいくならば、担当大臣としての郡さんに対して、総理としてもいろいろ相談があってしかるべきだと思うのです。それについて、大体解散のめどというものは――いよいよ切迫して、衆目の見るところ四月中に解散するとするならば、二十四、五日ごろというのが一応納得できるわけですが、長官はこれについて閣僚の一人としてどのようにお考えになっているか、一応はっきりしていただきたいと思うのです。
  74. 郡祐一

    ○郡国務大臣 当委員会の席上岸総理から申し上げました通り、有権者の立揚をも考え、最も適切な時期に解散が行われ、総選挙が執行されるのでありまして、私は、閣僚といたしまして、総理の意向をその通り是認すべきものと存じますし、また、それらの場合において、選挙の執行に支障のない手だては、主管大臣として十分講じておりまして、万遺憾なきを期しておる次第でございます。
  75. 森三樹二

    ○森(三)委員 万遺憾なきを期しておられることはもちろん必要であり、そうされなければならぬと思うのですが、解散の時期については、閣僚の一人である河野一部氏あたりがああいう発言をしておりますが、せんだって私は当委員会におきまして総理に質問をいたしました。総理は当初は五月十八日の日曜を予定しておったというようなことも新聞に盛んに書いておりましたが、せんだっては、これについて、投票日は日曜にこだわるものではないというような、非常に従来と違った考えを発表されておりました。長官は投票日を日曜にしたいとお考えになっておるのか、あるいはそれにこだわる必要はないとお考えになっておるのか、御答弁願いたいのです。
  76. 郡祐一

    ○郡国務大臣 特にどういう日でなければならないとは考えておりません。
  77. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうすると、大体せんだって総理が答弁したと同じような御意向のようです。農繁期を避けたいということは総理もこの間言っておられましたが、長官もそのようなお考えかどうか、これを一応お尋ねしておきたい。
  78. 郡祐一

    ○郡国務大臣 農繁期は努めて避けて参るべきものだと考えます。
  79. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、投票日が農繁期に入らないとするならば、五月二十日前後ということになりますから、それを逆算してくると、四月二十四、五日ないし六日ごろが最も解散の適当な時期とあなた方はお考えになっておるのではないかと私は思いますが、これはどうですか。
  80. 郡祐一

    ○郡国務大臣 先般総理が申し述べ、また私がただいまお答えいたしましたことも総理の言われるのと同じでありまして、あとは総理がそのような前提で判断される時期がけっこうだと閣僚として考えております。
  81. 森三樹二

    ○森(三)委員 それから、最初、自民党としては、盛んにメーデーに対しておそれをなして、メーデーは選挙運動期間中に入れたくないというようなことをいっておりましたが、どうも、現在の情勢も、私が感知するところによりますと、メーデーを選挙運動の中に入れるということは非常に不利だという判断をされておるようでありまして、告示はメーデーを避けるというようなお考えが非常に強いようでありますが、長官はどのようにお考えになっておりますか。
  82. 郡祐一

    ○郡国務大臣 この点も、先般総理が、労働者の祭典としてみんなで善ぶのはけっこうであろうという意味合いのことを言われております。私もメーデーというのはそういうものだろうと思います。それ以上に、それにどういう工合にかかったらいいとか悪いとかいうことは考えておりません。
  83. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官の答弁を聞いておりますと、大体総理の答弁されたことと食い違いのないような、非常に慎重な答弁をされておるのであります。大体これで私も解散の時期は二十四、五日ごろだと思うわけであります。  そこで、いよいよ選挙のいろいろの手配もできておると思うのでありますが、私は、今度政府が出されました改正案を見まして、せんだってから考えておったが、一つの大きな疑問が出てきた。しかも、これは政府案としてごまかしのものであるということを痛感してきたのであります。それは選挙費用の問題でありますが、先ほどもちょっと述べましたように、選挙費用というものは、各選挙区の有権者数を定員で割りまして七円をかけたものが、法定費用になっているわけであります。この法定費用というものは、衆議院選挙に要するところの実際の費用をいろんな方面から考えてきめたわけでございますが、それならば、今度はポスターも五千枚が八千枚になり、はがきも一万枚が一万五千枚になっておる。それだけ私は選挙運動に対する実際の費用が削減されてくることは当然だと思うのです。そうするならば、理論的にいうならば、選挙費用ももっと削減しなければならぬものだろう。それと同時に、従来の立法からいいますと、二十五日前に公示をするようになっている。今度は二十日前に公示することになりますから、明らかに五日間短縮されるわけです。五日間短縮されるとするならば、これも当然理論的にいって従来の選挙費用を五分の一だけ削る、こういうことを改正案として当然提出されなければならぬと思うのです。これを見落したということは、長官として私は大きなミステークだと思うのです。いわゆる選挙運動の公営ということをわれわれは多年叫んでおる。本来選挙運動に金のかからないようにすることが大切なんです。そこがねらいなんです。そうだとするならば、選挙運動期間を五分の一短縮したならば、当然選挙運動の費用も五分の一に短縮しなければ、私はこの法案としては全く大きなミスをしておるものだと思うのです。この点に対しての御答弁を願いたいと思います。
  84. 郡祐一

    ○郡国務大臣 確かに、日数に応じまして、事務所の借り上げ等に要します経費は、それだけ減って参りますけれども、御承知のように、現在の積算の基礎に労務者の食費などは一ぱいに見られておりません。少し不足いたしております。それから、大した額ではございませんけれどもポスターの印刷なりあるいはこれを貼付いたしまするのり代というようなものでも、結局三十日間に非常に白熱して行われる状態にある。そういたしますならば、費用においてそれほどの差はない。むしろ、七円を基準にいたしておりますために、とかく御指摘のあった労務者の弁当代というようなことを考えますると、二十日一ばい働いて、今までそうした十分見ることのできなかったものを正確に見積るということで、費用については手を加える必要がない、こういうふうに判断した次第であります。
  85. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官の答弁は、私は非常に苦しまぎれな答弁だと思うのですけれどもポスターがふえてのり代がふえる。三千枚のポスターとのり代だけじゃないのです。それからハガキの印刷代、この程度でしょう。実際選挙運動に一番何を使うかというと、いわゆる自動車の借り上げ賃、それから、たとえば自動車にしましても、候補者の乗る分と運動員の乗る場合と二台使えるのです。それから、マイクをつけて、許可証をつけて、そして歩く分は要らぬにしても、それ以外に候補者が別に乗って歩くこともできるわけですからね。それから、旅費が違ってきますし、宿泊賃が違ってきます。宿泊賃は非常に大きいのです。そんなのり代とか印刷代とかは問題にならないのです。一番要るのは宿泊代なんです。そういう面からいうならば、五分の一削減するのは当然ですよ。私は大きな手抜かりだったと思うのです。これに対して準備してあるというならば、兼子さんからでも答弁してよろしいと思いまするけれども、しかし、これは、何といっても、選挙公営という面から見るならば、今回期間を短縮しておきながら、何ら法定費用に対して手を加えなかったということは、担当の方々としても大きな手落ちだったと私は思うのです。もし御所見があるならば、これに対して答弁してもらいたい。
  86. 郡祐一

    ○郡国務大臣 こまかい点は政府委員からお答えいたしますが、私は、労務者の費用でも、宿泊にいたしましても、日数が詰まっただけそれが減ってくるものじゃなくて、むしろ初めから非常に集中的にものが行われるのじゃないかと考えるのであります。それで、必要な活動は、個人演説会にいたしましても、街頭演説会にいたしましても、私が当初提案理由に申し述べましたように、いろいろな交通の発達や何かで、途中の時間を省きましても活動されることは、私は何ら変りがないと思います。そういたしまするならば、むしろ、費用としては、ここでもお話が出ておりましたが、現在の法定費用は何と申しましてもできるだけ守るべき費用であります。それを守って参るようにいたし、しかしながら、今までの費用がそのままの割合で減らし得る費用じゃない。その間に集中して行われれば、十分あれだけの七円かけました費用だけは使って、決してよけいな費用を認めておるというような法定費用ではないと私は考えます。
  87. 森三樹二

    ○森(三)委員 これは長官として非常に苦しい答弁であって、自民党の諸君がわれわれにどういうことを言うかというと、二十日間にすると、なぜ君らは賛成しない、からだも楽するし、費用はよけいかからぬで済むじゃないか、こういうことをしょっちゅう言っております。あなたはそういうようにいろいろ説明されまするけれども、五日間の費用というものは、従来の二十五日の五分の一短縮されるのでありますから、あなたの言うように、数学的にはそのように滅らないかもしれないが、選挙というものは、どこで一番要るかというと、しまいになればなるほど要つるのです。だから、二十五日でいえば、最後の五日間に一番よけいかかった。今度二十日になると、おそらく最後の十五日、十六日から二十日ごろにかけて一番要ると思いまするけれども、あなたのおっしゃるようなのり代や印刷代なんかは問題でないので、あって、何に一番要るかということは、根本的に言うならば、宿泊賃、また自勤車を借りるとか、あるいはマイクを借りるとか、あるいは人を雇う金がかかるとか、そういう点がたくさんあるのです。それを五日間短縮しても、何ら費用を少くする必要がないとおっしゃることは、私としては納得できないのです。こういう点について一体最初からお考えになっておったか、ならないのか。もしお考えになっておるとするならば、私は非常に欺瞞的な法案だと思うのです。これは私はよ考えて今質問しているのですから、あなたもいいかげんなことを言われちゃ困るのです。
  88. 郡祐一

    ○郡国務大臣 これは、私は、決して見落しておったことでもなく、初めから法定費用そのものに手をつける必要はないと判断しておったのでありまして、ただ根本的には、法定費用というものが今のような工合でいいものかどうであろうか。法定費用全体を見直すということは一つの問題だと思います。一体最も普通の形で行われたときに、どれだけ要るだろうかというと、かりにどれだけ正要るのか、相当高くても、やたらに法定費用が高いということは私はいいことじゃないと思っております。しかしながら、全体として普通の形でどういう費用を見るならば、選挙として必要なものだけはまかなえるかという検討はしなければ相ならぬことだと思っております。そうした資料も可及的に集めるように努力はいたしております。しかし、このたびのポスターとかのり代は確かに問題にならない程度の額でありまするけれども、それ以外の活動というものは、これで使われる労務者なり、それの弁当代なり、それから動く人間なり、演説に要する経費なり、そうしたものを減らして、それだけ規模が小さくなるとは私は思わない。むしろ、御指摘のように、初めは比較的活動がにぶいのが、後半に至りまして非常に激しくなる。白熱する。その状態は今度は裡に早く始まるであろう。これを減らしますことは、候補者の十分な活動に差しつかえを来たす、そういう判断をいたし、また事務的にもそのような結論を出しまして、特にいじらなかった次第でございます。
  89. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官は、そういうことは考えておったけれども、特に減らさなかったというのですが、これは、前々回の選挙の際法定費用というものは引き上げたわけです。従来はかける算定の基礎を一人当り四円でしたか、それを今度引き上げたから、約倍近くなったのです。そういう過去の引き上げた例から言いましても、今回期間を短縮したならば、当然五分の一を減すべきであると思うが、言うなれば、法律上非常に困難を伴うから、ほおかむりをしてお出しにならなかったのだろうと思う。純粋に言うならば、ポスターをふやし、葉書をふやすというようなことも、選挙公営の趣旨からいってまことに私はけっこうだと考えておる。しかし、それならその分だけ削らなければならぬ。たとえば葉書を五千枚ふやしましても、一枚五円にして二万五千円だけ国費が出るわけです。ポスターにしたところで、五千枚が八千枚になると、ふえた三千枚の紙代は幾らになるか。一枚かりに五円として一万五十円、葉書の二万五千円とポスターの紙代一万五千円で四万円というものが国費で支弁されるわけです。そういう点から見たならば、あなたのおっしゃる点は逆になってくるのじゃないですか。国の費用を葉書、ポスターに四万円も出すのですから、それだけ選挙活動は徹底してくる。だからなおさら法定費用は減らさなければならぬのじゃなかったかと思うのですが、その点はどうですか。
  90. 郡祐一

    ○郡国務大臣 法定費用の問題は、先ほど述べました理由で手を触れなかったのでありますが、理屈の上から申しまして、また実際使います経費の上から見まして、私はこれが妥当であることは希望いたしますけれども、妥当であるからといってこれがふえていくことを私は喜ぶものではありませんから、十分将来検討はいたします。しかし、本年度としては、あの程度の日数の減らし方で、あるいはポスターや葉書を公営にいたしたからといって、その割にほかの活動を従来よりずっと小型になさるとは考えませんし、初めの第一日から活発な活動が打われ、縦横に選挙区を疾駆されることと思いますので、これを減らすことは候補者に酷であろう、こう私は考えております。しかし、そうじゃないのだ、現在の七円というのは非常に正しいところを押えており、かりにその割合に減らさないでも幾らか減らし得るという判断が十分つきました場合には、それはそのときに考えていいと思います。今卒然として減らすだけの合理的な理由は発見できないというのであります。
  91. 島上善五郎

    ○島上委員 関連して。  森君は大へんいい問題を提起してくれました。私は、ただいまの質問及び御答弁を聞いておりますと、この費用の点に関してはきわめておざなりで、どろなわ式で、合理的な根拠は一つもないと思うのです。どうも、今の長官の御答弁からしても、この点はもう一ぺん根本的に検討して、全日理的な基礎の上に算出することが必要であろうと思うのです。そういうことが痛感されました。幾ら解散を前にして法案の成立を急ぐといえども、国民の納得のできるような合理的なものでないと、われわれ怪々に賛否の態度を決することができないわけです。これは突っ込んで質問すると大へん時間がかかりますし、きょうは五時になりましたから簡単にしておきますが、集中的に今までより活発に運動をするとしますと、五日間の短縮によっても、たとえば労務者の数は変らないということが出てくるかもしれない。あるいはポスター、葉書をふやしたことによって、そういう方面の労力が今までよりよけいかかるということも出てくる。それはわかる。しかし、五日間の短縮でかなりその他の経費の節減が考えられるのです。経費の節減ということも提案理由一つになっておるのですが、そういうことの合理性も何らない。もう一つは、昭和三十年二月と今日とでは、労務者の労務費であるとか、食費、宿泊料、こういうものについてもやはり合理的な再検討を加えなければならぬと思うのです。労務者の基本給日給三百五十円内となっております。これは当時も議論されましたけれども、今、日雇い労務者の日当は三百九十円になっておるはずです。当時からもう数回上っている。三百五十円内というのは、日雇い労務者のA級の日当よりも安い、B級の日当よりなお安いということで、実情に合致しないということが出てきておる。こういう点も実情に合うように合理的に改正して、そこから七円が妥当であるか、あるいは八円が妥当であるか、六円でよいかという数字が割り出されて来なければほんとうじゃないと思うのです。当てずっぽうに答弁されている。午前の公聴会で、婦人の公述人が、どろなわ式の改正だ、こう言っておりましたが、まさにその通りなんです。私は、この日当、宿泊費等についても、三十年二月と三年以上経った今日とではどれだけ違うか知らぬけれども、一ぺん検討してみなければ合理的な数字は出て来ない思うのです。こういう点について長官はどのようにお考えになっておりますか。
  92. 郡祐一

    ○郡国務大臣 さきに主として参議院議員の部分の御改正を願ったのでありますが、三十日を二十五日にいたします場合に、一人区では一円七十五銭、二人区では二円六十五銭ですか、あれを手をつけませずに、まず五日間の短縮によっては差はないものであろうという考え方で、費用の点は従来通り据え置きをお願いした次第でございます。しかしながら、おっしゃるように、その間に数年を経て参りますときに、一つ一つについては費用の検討をすべきものもございましょう。それらについては十分検討をいたしますけれども、参議院議員の三十日を二十五日にいたしました場合の考え方と同じような事え方で、このたびの五日間の短縮は取り扱った次第でございます。
  93. 島上善五郎

    ○島上委員 時計を見ながら質問しているので、肝心な問題はまだ残りますけれども、少くとも合理性がないということは事実である。法定費用そのものをもっと根本的に再検討するということも必要です。しかし、物価の変動に伴う今私が指摘したような問題の検討が、根本的な検討でなくとも必要があると思うのです。たしか、けさの新聞か、きのうの新聞だと思いますが、法定費用を合理的に改正して、べらぼうに選挙費用を使うことを抑制する措置をとるべきではないかという投書が栽っておりました。今全国平均七十二万円ですが、七十二万円で選挙をやるものはごく少いと思うのです。これがつまり一般に常識化しておるようです。ですから、その七十二万円が少な過ぎるというのならば、今言ったように、日当から、実費弁償から、宿泊費から、その他の経費舞を合理的に計算をして、そこから割り出したものを出すというふうにして、根拠のある法定費用を出す。それで法定費用以外の支出については相当厳重に取り締る。こういうふうにしませんと、世間の常識は、法定費用は一応あるけれども、あれは守らなくてもいいものだといったような常識が、もう一般化しておる。これでは困るわけなんです。あってないにひとしい法文になってしまう。ですから、私どもは、法定費用はぜひ守る、また守らなければならぬ額、そのためには、合理的な基礎の上で算出して、運動する者も国民も納得できるようなものでなければならぬ、こう思うのです。御答弁を求めると、おそらく同じようなことを言うでしょう。しかし、私は先ほど来の長官の御答弁は納得しません。今合理的な根拠というものが何にもなくて、間に合せるための、この法律を成立させるための、どろなわ式の考え方であるということだけをはっきり申し上げておきます。もう御答弁はしいて求めません。この問題はなお十分に検対する必要もあるということだけを申し添えておきます。
  94. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は、これはもう自分で非常に考えた問題であって、現に、私自身が――私の選挙区では大体町村が七十くらいあるのです。ところが、選挙運動期間が二十日になりましたために、従来回っておったところを回り切れないところがたくさんできるわけです。五日間は、もう立合演説の回数だって減るし、個人演説の回数だって減るし、それから実際においてわれわれが回っておったところだって回り切れるものではありません。従って、それだけやはり抑えんとするならば、費用が節限されるというふうに私は一面考えておったのです。ところが、今郡長官の御答弁を聞いてみると、いや経費はそんなに減るわけはないというこことを言われてましたので、私は、自分の考え方と食い違った答弁が行われておるので、不思議に思っているくらいです。私は、先ほどからるる申し上げたように、ポスタ一も三千枚もふえる、はがきも五千枚もふえたのです。非常にわれわれは選挙がしやすくなったわけであって、それだけ結局二十日間に短縮されたことに対するところの埋め合せも、そこでもって多少はできるわけですね。と同時に、われわれは、従来回っておったところを結局阿り切れなくなるのだから、それだけ行けない町村がさらに増加するわけです。従って、一番私の選挙区でかかるところの宿泊賃というものは、それだけかからない。それからまた自動車を雇うところの費用もかからない。従って、応援弁士に対するところのあらゆる費用であるとか、あるいは労務者であるとか、そういうものも実際かかってこなくなってくるのであって、五日間の短縮ということは、五分の一削減されることは明らかです。従来二十五日であった場合においては、最後の五日間が一番金がかかるとき、今度二十日間になれば、おそらくその二十日間のうちの最後の五日間というものが一番金のかかるときと思うのでありますが、何といってもそれだけ私は経費というものは減ってくるのだと思う。従って、この法案について、私はそれだけの法定費用の改正という問題をここで取り上げることが当然であったと思っております。長官はこれに対してどういうお考えか、あらためて御答弁願いま
  95. 郡祐一

    ○郡国務大臣 法定費用については、先ほど島上委員御指摘のような個々の中身についての問題もございます。それでありまするから、衆議院、参議院を通じて、将来、十分実情にも合せまして、そうして検討することはいたしまするけれども、事務当局の話でありますると、参議院を三十日を二十五日にいたしましても、それぞれ届出等を見ましてもさして変りがない状態であり、果して減るものかどうか、これについてはもっと調査をいたし検討をいたした上できめたいと思います。
  96. 森三樹二

    ○森(三)委員 時間もありませんから、この問題につきましてはまたあらためて質問したいと思いますが、どの選挙を見ましても、日にちが減れば、それだけ運動費用が減ってくるのは当りまえであって、私は、長官の答弁にはどうしても納得できないので、またあらためて質問を続行することにして、本日はこの程度にしておきます。
  97. 南好雄

    南委員長 ほかに質疑がなければ、本日の質疑は終了いたしました。  次会は明十五日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十七分散会