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1958-04-18 第28回国会 衆議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十八日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 久野 忠治君 理事 前田榮之助君    理事 三鍋 義三君       荒舩清十郎君    池田 清志君       木崎 茂男君    徳安 實藏君       堀川 恭平君    廣瀬 正雄君       松澤 雄藏君    井谷 正吉君       中村 高一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 吉岡 惠一君         総理府事務官         (首都圏整備委         員会計画第一部         長)      水野  岑君  委員外出席者         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    小林 忠雄君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 四月十五日  委員池田清志君及び堀川恭平辞任につき、そ  の補欠として井出一太郎君及び小西寅松君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員井出一太郎君及び小西寅松辞任につき、  その補欠として池田清志君及び堀川恭平君が議  長の指名委員に選任された。 同月十六日  委員堀川恭平辞任につき、その補欠として三  木武夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 同日  委員三木武夫辞任につき、その補欠として堀  川恭平君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員井原岸高君及び鈴木義男辞任につき、そ  の補欠として木崎茂男君及び中村高一君が議長  の指名委員に選任された。同日久野忠治君が  理事補欠当選した。     ――――――――――――― 四月十四日  首都圏市街地開発区域整備法案内閣提出第一  五六号) 同月十一日  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(西  尾末廣紹介)(第二九五六号)  豊平川南二十二条橋架設に関する請願正木清  君紹介)(第二九五七号)  東北縦貫自動車道建設促進に関する請願(愛知  揆一君紹介)(第三〇一一号)  県道谷地長瀞線押切舞台間架橋に関する請願  (松浦東介紹介)(第三〇七六号) の審査を本委員会に付託された。 四月十五日  台風常襲地帯における災害の防除に関する特別  措置法制定に関する陳情書  (第九五九号)  福島赤湯線の二級国道編入促進に関する陳情書  (第九八一号)  佐々川建設省直轄河川編入陳情書  (第九八二号)  佐々川上流多目的ダム建設に関する陳情書  (第九八三  号)  東京名古屋間高速自動車道建設に関する陳情書  (第九八六号)  鶴田ダム建設促進に関する陳情書  (第一〇一六号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  首都圏市街地開発区域整備法案内閣提出第一  五六号)     ―――――――――――――
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選挙を行います。  理事久野忠治君が去る四月十日委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。理事選挙は、その手続を省略し、委員長において指名するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村直己

    西村委員長 御異議ないものと認め、再び当委員になられました久野忠治君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 西村直己

    西村委員長 次に、去る四月十四日付託になりました内閣提出首都圏市街地開発区域整備法案議題とし、審査に入ります。まず、本案の趣旨について説明を聴取いたします。根本建設大臣
  5. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま議題となりました首都圏市街地開発区域整備法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、東京都を中心とした一都七県にわたる首都圏建設と、その秩序ある発展に寄与するため、市街地開発区域内において実施せられる宅地造成その他市街地開発区域整備に関し必要な事項を定め、市街地開発区域工業都市または住居都市として発展させることを目的としたものでございます。もともと首都圏整備法の第二十六条におきまして、「市街地開発区域整備に関し必要な事項は別に法律で定める」と規定いたしておるのでありまするが、本法案がこの条項に基くものであります。  首都圏中核地を形成いたしまする既成市街地へ向って流入する膨大な産業人口集中傾向を緩和し、首都圏地域内の産業及び人口の適正な配置を期しますためには、市街地開発区域、いわゆる衛星都市育成発展をはかり、ここに、首都へ流入しまたは首都から分散する産業及び人口を吸収定着せしめる必要があるのでございます。この市街地開発区域育成発展をはかりますためには種々の整備方策法律の裏づけをもって講ずる必要があるのであります。  以上がこの法律案提出した理由でありまするが、以下その要旨について御説明申し上げますと、第一に、市街地開発区域整備のために事業計画に基いて地方公共団体が実施する土地区画整理事業工業用水道の布設その他の事業に対しまして、国が必要な資金確保その他の援助に努めること、第二に、地方公共団体または日本住宅公団一団地宅地造成する場合には関係行政機関が、その宅地造成事業が円滑に遂行され得るように配慮を行うこととしたのでございます。  さらに首都圏整備委員会が、市街地開発区域発展に寄与するための鉄道軌道新設を行おうとする者に対し、また、市街地開発区域内に整備計画に照らして定める工場新設、増設しようとする者に対しまして、その建設資金のあっせんに努めること、あるいは市街地開発区域に立地して工業を経営する者に対しまして国有財産法の延納の特約を行い得ること等、市街地開発区域整備のために必要な事項規定いたしたのでございます。  以上が首都圏市街地開発区域整備法案提案理由及びその要旨でありまするが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決されるようお願い申し上げる次第でございます。
  6. 西村直己

    西村委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これをお許しいたします。中村高一君。
  7. 中村高一

    中村(高)委員 ただいま議題となっておりまする市街地開発は、首都圏整備いたしまする上において、付帯をいたしましてどうしても必要となってくることはよく了承することができるのでありますが、新しい衛星都市を作るという事業はまことに大事業でありまして、またこの市街地開発いたしまして、ここに新しく人口を注入するということも、計画はわかりますけれども、実際に実行をする上においては今後いろいろのめんどうな問題が起ってくると思うのであります。  まずお聞きいたしておきたいと思いますことは、ただいまの御説明によると、関東地方のいわゆる一都七県にわたってこれから新しい市街地開発区域指定をせられるのであります。これに対しては政府においてもすでに具体的な計画が立っておると思うのでありますが、この市街地開発については、一都七県のうちに衛星都市をどのくらいの数を今後指定せられようとするのであるか。それから、この市街地開発計画は、どのくらいの年数を要して完成をせられる計画であるか。またそれに要する予算はどの程度を目標にしておられるか。さらにまた本年度指定をする予定のものと、すでに指定をせられたものはどこであるか。また本年度のこの市街地開発に要し、通過をいたしておる予算はどれだけであるか。これをお答え願いたいと存じます。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 市街地開発区域、いわゆる衛星都市の将来のもくろみ、これは現に計画をしておる相模原とか八王子とか、ああいう都市につきましては、大ざっぱに申しまして、工業都市として開発することによって新しく約十万くらいの人口を将来吸収をしたいということを考えておるのであります。将来その他の都市について市街地開発区域として指定する場合に、どのくらいの人口を予想するかということになりますと、まだ十分の計画は立ってはおりませんが、かりに八王子相模原等の規模ということになりますと、およそ十万ということが考えられるのであります。また見渡したところ、およそあれくらい、あるいはもう少し小さいかくらいの都市でありますので、やはりいろいろな点から考えまして、およそ十万ということが一つ目安になるのじゃないか。従ってそれから考えますと、首都圏整備基本計画において、今後約二十年間に既成市街地外、つまり首都圏の中の周辺の地区に移します人口が約二百七十万と想定をいたしております。十万ということになると約二十七、私ども目安といたしましては、市街地開発区域は将来約三十くらいというふうに考えてただいまのところはやっております。  それからどのくらいの年数をかかってこれをやるのかというお話でありますが、基本計画において二百七十万の人口を二十年間に移すというわけであります。しかし実際にいろいろな条件を調査し、これが整備をはかることになりますと、将来のことにも属しますし、なかなか二十年間でそれだけのものができるかどうか疑問でありますが、なるべく指定くらいは二十年間に先ほど申しました三十くらいをやりたいというつもりでおります。従ってそれを整備いたしますためには、土地区画整理であるとか、あるいは用水、排水の問題等いろいろ施設をいたします関係上、少くともその最後のものは十年くらいは延びることになりますが、大よそ三十年くらいにはできるのではないか、こういう目安で進んでおります。しかしこれも国の予算の出し方その他で変ってくるわけであります。われわれとしてはなるべくそれくらいの年度にはあげたいというつもりでおります。  それから予算の話でありますが、三十三年度指定予定いたしておりますものにつきましては、これは各項目に入っておりまして、きっかりこれが市街地開発区域予算だという工合に取り上げにくいものもあるのでありますが、大よそのことを申し上げますと、国費で約三億五千万円、これは三十三年度予定をいたしているものであります。その他市街地開発区域既成市街地、また市街地開発区域相互間を結ぶ幹線道路整備のための国費を約三十億予定をいたしております。これは近く指定をいたそうというものに直接関連をしたものだけではないのでありまして、たとえば千葉の方へ参ります道路であるとか、あるいは茨城の方へ参ります道路であるとかいうものについても多少金を計上いたしておりますので、それが指定をする市街地開発区域に直接関連をしたものではないのでありますが、将来の市街地開発区域指定を予想して、そういうものにも費用をあげているわけであります。  それからこの市街地開発区域につきましては、御承知のように土地の問題が非常にむずかしいのでありますから、あらかじめ土地を取得して、それを将来参りますと工場に売る予定にしております。もちろんその金は返ってくるわけでありますが、土地買収費用として財政投融資で約十三億円を予定いたしているわけであります。  それから本年に指定をいたします市街地開発区域でありますが、相模原町田地区、それから八王子・日野地区の二地区につきましては、首都圏整備委員会の御審議を願いまして、その御答申をいただいておりますので、なるべく早い機会に正式な指定手続をいたしたいと考えております。  それから大宮浦和地区千葉五井地区、これについては大宮の方は土地買収手続住宅公団の方でやっております。千葉の方は埋め立ての問題でありますが、これもなるべく早い機会審議会にかけて市街地開発区域として取り上げたい、こういうふうに考えておるのであります。三十三年度におきましては一カ所くらいを取り上げることになると思います。そのほか二カ所程度の調査を進めたい、こういうつもりであります。
  9. 中村高一

    中村(高)委員 大体の構想はわかりましたが、今度は既成市街地の中から、ただいまの御説明によりますと大体二百七十万程度の人を新しい市街地に移そうという御計画であります。これはもとより計画として当然だと思うのでありますが、実際に新しい市街地計画された旧市内の人口が果して移動できるかどうか、それについては現在あるいろいろな施設をこれらの新しい市街地移動をするということがもちろん必要になってくると思うのでありますが、新しい市街地の中にはむろん新しい事業計画もあり新しい企業も生れてくるのでありましょうけれども、それだけではなかなか思うような人口移動をはかるということはできないと思うのであります。そうすると既成市街地の中のいろいろな施設を新しい市街地移動させるという問題も出てくると思うのでありますが、どんな施設をこの新しい開発地域移動させるのか、そうしてそういう場合の移動には相当の費用も要することだと思うのでありますが、移動に要する費用というようなものは一体どういう計画を持たれておるのか、当然これはそこまで政府計画を立てなければ、とても既成市街地の中からいろいろの施設移動するということはできないと思うのでありますが、具体的にはどういうことをやって、そうして既成市街地から移動をさせるか御説明を願いたいと存じます。
  10. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 二百七十万の人口を二十年間に外に移すということを申し上げましたが、これは実は説明が足りないのであります。将来既成市街地内にふえます人口のうち二百七十万くらいは外で定着してもらおう、こういう考えであります。つまりある程度既成市街地内においても将来ふえるのでありまして、それを抑えて二百七十万分くらいは外で職業にありつくようにしてそこで定着をしてもらうということを考えておりますので、既成市街地内から既設の施設を移すということは私ども考えておりません。将来既成市街地内に入ってこようとする施設を防いで、それがなるべく外へ行ってもらう、こういう考えをしております。具体的には人口の誘因になりますところの大学でありますとか、あるいは大きな工場、中小の工場につきまして制限することは適当でもありませんので、大きな工場大学というようなものに目をつけて、それが将来既成市街地内に入ってくることを制限をいたしたい、こういうことで、もちろんそれには法律が要るのでありまして、それについて準備をいたしておりますが、ただ既成市街地と申しましても、横浜、川崎等についてはまだ多少余裕もありますので、東京都の区部等を一応考えております。
  11. 中村高一

    中村(高)委員 現在の既成市街地状況人口過剰であって、あらゆる施設が行き詰まり、交通、衛生あるいは公安というような面について、むしろ既成市街地調整というものが非常にわれわれは必要だと思っておるのであります。新しいものは食いとめるということでありまするけれども既成市街地の中の非常な混乱をいたしておる状況は、当然新市街地開発とともに行われなければ、首都圏整備としては意味のないことであって、これでは新市街を作るということだけが主たる目的のようにも聞えるのであります。私たちは新しい市街を作るとともに、既成市街地整備ということの方がむしろ主であって、その必要のために新しい衛星都市を作るということでなければどうも意味がないように考えるのでありますが、この点についてはどういうふうにお考えでありましょうか。
  12. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 御意見通りでありまして、首都圏整備法目的といたしておりますのは、既成市街地整備、それからただいま申し上げました、率直な言葉で言えば人口を外へ移すための整備と、この二つがあるわけであります。既成市街地整備の方はそれぞれいろいろな住宅建設であるとかあるいは道路整備であるとか、あるいは交通機関整備等、それぞれ整備計画を立てて整備をいたすことにしております。ただいま首都圏整備委員会で立てました整備計画も、大部分は既成市街地整備計画でございます。
  13. 中村高一

    中村(高)委員 今回のこの法律によりまして新しい市街地造成をいたしまするということになると、当然起ってくるのが土地買収であります。この土地買収について二、三お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、もし土地買収するとしまするならば、当然農地買収対象になってくると思うのであります。この場合におきましては、現在農地法によりまして農地を保護し、食糧を増産する建前から、一方においては農地を壊滅させることを国は防止をするという建前農地確保をいたしております。ところがこの法律によりますると、新しく農地宅地化しまして、そうして工業用地もしくは住宅地にするのでありまするが、この辺のところは政府ではどういうふうにして調整をしていこうとせられるのか、これが一つ。  それから農地買収については、やはり第一段階は話し合い買収をしていかれることはもちろんでありますが、必ずしも計画をいたしました土地が、話し合いでばかり買収をたやすくできるとは考えられないと存じまするが、こういう場合に、もし話し合いがつかぬというような場合には、土地収用をかけることができるかどうか、非常に問題になると思うのでありまして、人によりますと、土地収用までやらなければ目的が達せられないのではないかという意見もありまするが、今回の法案の中に土地収用を除かれた根拠を同時に御説明を願いたいと存じます。
  14. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 農地の改廃の問題でございますが、これは農林省十分連絡をとりまして、市街地開発区域にいたします予定地域の中では、なるべく生産力の弱いところを選ぶようにし、それは農林省意見十分調整をし、あらかじめ話し合いをして農地の転用をはかりたい、こういうふうに考えております。それから土地収用強権発動の問題でございますが、もちろん最後話し合いがつかない場合には土地収用をやった方が便宜ではあるのでありますが、しかしこれは農民の大切な土地でもありますし、片方では、考えようによっては、多少積極的な利用に土地を供する、やむを得ないといえるかどうか、従来の土地収用という概念から考えまして、理論的に考えます場合に非常にむずかしい点があるのです。わえれわれそれが必要でないと考えておるのでありまするが、理論構成が非常にむずかしいのでありまして、もう少し研究の時日を要すると考えまして、今回の法律案提案の中には入れなかったのであります。
  15. 中村高一

    中村(高)委員 新しくこういう法律が適用せられまして、土地買収になるということになり、工場ができ、あるいは道路ができるということになりますと、非常に地価が上ってくることは当然でありますが、そこにいろいろの不公平な立場に立つ諸君が出てくるのでありまして、幸いにして相当な価格で買取が受けられますると、その諸君はいいけれども買収をされないところは非常にまた期待を失うという諸君も出て参りますし、また道路が新しくできることによって土地を失い、あるいはその場所から退去せなければならないという問題が出て参りまするが、同時にまた道路の正面に出てくるとか、あるいは新しい住宅地の近くになったために、急にそこの土地高騰をして参りまして、非常に恵まれる人も出てくる。中には退去せなければならないというようないろいろの複雑な関係が出てくるのであります。こういような場合に、土地区画整理法というようなものを施行して、買収を受ける人に対しては、ある点までは土地を提供をして、そして道路にその土地を一割なら一割出すというようなことをさせることも、やはり公平の原則からいって望ましいことであると存じますし、あるいはまた非常に土地高騰をしたことによって利益を受ける者に対しては、受益者の負担をさせるとか、そういうような新しい市街地を作る場合においては、不当な利益を受ける者と犠牲になる人との調整は、やはり十分に考えてやらなければならぬ、新しい市街地を作ることによって起るトラブルを、親切に解決してやるという気持がなくてはならぬと思うのでありますが、そういう点についてはどんな配慮をしてもらえるでありましょうか、御説明いただきたいと思います。
  16. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 新しい工場ができますとか、新しい施設ができます場合に、その近所の土地が将来上って、場合によっては非常に損をした者があるし、あるいは得をした者が出てくる、これはしばしば見るところであります。これは市街地開発区域設定等につきましても、実際の土地買収その他に当る実際の人に十分考えていただいて、ただいまお話しのような点が起きないように十分な配慮をいたしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  17. 西村直己

  18. 木崎茂男

    木崎委員 二つ三つ御質問したいのです。この法律が非常に画期的な一つの意義を持っておることはよくわかるわけでありますが、ただいま中村さんからも御指摘がありましたが、そういう画期的な意味を持つ法律内容といたしましては、非常に国の施策を進めるについて援助が不明確な点が多いと思うのでございます。もちろん事務当局はこの原案で満足をしておるというふうには私も考えておりませんが、将来さらにこういう事業推進に当って、もう少し強化をしなきゃならぬ条項が全般的にわたってあるように承知をいたしますが、その点政府当局はどういう考えを持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  19. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 木崎委員の御指摘通りでありまして、この法律は、実は大へん恥かしい法律なのであります。個々の措置内容につきましても、「援助に努めるものとする。」というような規定が非常に多いのでありまして、もっと具体的な国としての援助規定できればよかったのでありますが、関係省庁間の同意が十分得られませんでこういうような状況提出をいたしたのでありますが、これは今後、われわれは全力を尽しまして各省庁援助ができるように具体的に規定をいたしたいと考えております。
  20. 木崎茂男

    木崎委員 細部の点で二、三伺いたいのですけれども、先ほど中村委員からも御指摘がありましたが、市街地開発の大きな事業は、工場団地買収立地条件整備、それからそれに伴う住宅を初め必要なる整備を、市街地開発整備計画を立てて進めていこうということなのですが、その主体になるものはあくまで土地でなきゃならぬのですけれども一団地のそういう施設をやります場合に、住宅公団団地買収をやる、これは取得税対象から免除されておるわけでありますが、その隣で工業用地買収を同じ住宅公団がやる場合には、所得税は税法によってかかってくると思うのでございます。そういう事態になりますと同じ住宅公団住宅開発地域土地を買った場合と、その地続きの工場地帯用地を買った場合との間に、買収を受ける側の農家の立場というものは非常に私は問題が出てくると思いますけれども、その点をどういうふうに調整をされて土地買収取得を進めていかれる用意があるか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  21. 水野岑

    水野政府委員 ただいま木崎委員の御指摘ごもっともでございまして、工場用地の場合におきましては事業所得税が今のところはかかるというようなことになるわけでございまして、市街地開発区域整備事業推進ということにつきまして、非常に困った事態になっておるわけでございます。そこでこれを何とか住宅用地の場合と同様に事業所得税がかかりませんようにいたしたいということで、建設省との連絡をとりましてただいま国税庁と鋭意折衝をいたしております。私どもといたしましては、できるだけ住宅用地と同じように事業所得税がかかりませんように、できるだけの努力をいたしたい、こういうつもりでいるのであります。
  22. 木崎茂男

    木崎委員 できるだけ努力をしておられることはわかるのですが、大体お見通しは、法律改正をしなくとも行政措置によりまして大体措置ができるお見通しでございますか。
  23. 水野岑

    水野政府委員 ただいま鋭意折衝している段階でございまして、全然不可能というようなことはないかと思いますが、そう申しましてどうも確実に事業所得税がかからぬ、こういうことを現段階におきまして言明できる、こういうような時期にまで至っておらないのでございます。もう間もなく国税庁の方でもその結論を出していただけるというような時期に参っておりますが、現在のところまだはっきり事業所得税がかからない、こういうことが確実である、そこまで申し上げ得る時期ではございません。
  24. 木崎茂男

    木崎委員 住宅公団工場団地の隣に区画整理事業を行なって住宅開発を行うという場合に、区画整理事業の仕事の遂行に、その区画整理事業指定を受けた区域内の土地所有者が全部現物負担によって区画整理事業を行うということは、自主的な自治体の要請に基く区画整理事業というものと、政府の施策でこのような大規模な区画整理事業を行う住宅開発をやるという場合とは、私は性格上相当の相違があると思いますが、今度の法律の中で日本住宅公団の行う市街地開発区域内の区画整理事業について、補助規定というものが明らかになっておりません。この点は非常に私も不満でございますが、もし政府出資の住宅公団でございますから補助金が出せぬというような大蔵省の言い分だとするならば、このような長期回収を必要とする工場の敷地であるとか区画整理事業であるとかいうような場合には、これは政府出資を増額していくというようなことをやらなければ、住宅公団自体の本質的な住宅建設事業、低家賃政策というものにひびが入ってしまいやしないかという気がいたしますが、そういう点について政府は何か具体策をお持ちになっていらっしゃいますか。
  25. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今のお話、市街地開発区域整備するためにはもっともな御意見でございます。そういうつもりで折衝をしたのでありますが、なかなか了解が得られませんで、きわめてこの法律でははっきりしない表現をいたしております。そういうことのできるように具体的の話し合いを進めたいと考えております。
  26. 木崎茂男

    木崎委員 市街地開発区域指定政府がいたしまして、この法律によって不満足ながら援助をしていこうというのでありますが、市街地区域の指定を受けた自治体は、これから法律に基いた整備計画を立てていくことになると思いますけれども、その整備計画を立てます場合に、関係自治体の意見というものを首都圏整備法条項に基いて十分聞いていかないと、これは自治体の事業というものに徹底的な施策をぶってこういう仕事をやるのならば、私はそれも一つの手だと思いますが、現状のような法律施行で進めるということになりますと、固有の自治体の政治というものと、非常に不完全な国策的な市街地開発の施策というものがかち合いをいたしまして、自治体の固有の権限を侵害したりあるいは摩擦を起したり、計画は立てたが実際にそれがプログラムによって進まないというような事態ができると思います。整備計画の策定に当っては関係自治体と十分協議を遂げられ、なお財政の裏づけ、予算の裏づけというようなある程度見通しを立ててお進みになる必要があると思いますが、その点についてはいかがでございますか。
  27. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 市街地開発区域整備計画につきましては、国が立てる大体において市町村の計画でありますので、今お話の通り非常にわれわれとしては重要に考えまして、地元の市町村と十分話をして計画を立てる予定にしております。現に指定予定されております相模原につきましては、それぞれその整備計画を立てる調査をいたしているのでありますが、これらは地元の町村の方も呼んで十分打ち合せをいたしております。
  28. 木崎茂男

    木崎委員 関係の自治体が分担をする仕事というものは、工場が分散をされていくということが終局的に完成をしますならばその地帯から相当の税金も上ることでございましょうから、こういう仕事について自治体自体も本質的に要望している向きもあります。従ってある部分は自治体が負担をしても差しつかえないと思うのでありますが、ただ固有の一般財源によってこれをまかなうということは、今日の自治体の財政事情では非常に無理があると思うのです。この法律で自治体の分担をする面に対して、地方起債を確実に裏づけをしていくというような条項がやはり非常に不備であると思いますが、自治体の一般の固有の仕事を圧迫しないように、これはあくまでやはり起債、債券というような長期償還によって、しかも行なっていく事業によってあとから債券の償還ができていく、借入金の償還ができるというようか形で進まなければ、この仕事を進めますのに、自治体に過度の財政圧迫を加えたり、住民の負担を激増したりというようなことがあってはいけないと、思いますが、そういう点について、自治庁等との連絡は十分とれておりますか。
  29. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今お話の通り市街地開発区域は将来利益を受けるではないか、これが国が補助等を出さない一つ理由にもなっておる。その点から将来これらの区域について地方起債を重く考えてやらなければならぬということは、われわれ重々承知をいたし、まだ具体的に自治庁と話し合っておりませんが、話し合う予定にいたしております。
  30. 木崎茂男

    木崎委員 これでやめますけれども、この市街開発法律に直接関係がございませんで、関連の問題でございますが、やはり首都圏の問題として非常に重点的に取り上げられている問題でございますから、一つだけ念を押して、政府の答弁を願いたいと思うのですが、首都圏整備法に基く近郊地帯の自治体や、あるいは土地の所有者が、首都圏整備法に基く近郊地帯の指定を受けることによって、現在持っておる農地が永久農地指定を受けたり、あるいは転用できても、一割の建蔽率で押えられてしまうというようなことが盛んに巷間流布されておりますし、また現に近郊地帯内の反対同盟というような自治体の集まりでは、そのことを近郊地帯受け入れの反対の理由として鮮明にしております。私は首都圏整備法というものは立案の当時から参画をしておりますが、少くともこれは、マスター・プランである。都市計画決定のような全体的性格を持ったものではないのであって、もしかりに個人の財産権を侵害するような性格の法律であるとすれば、これは憲法に抵触をすることは必然でございますから、そういう点では、この建設委員会が当時審議をした考え方というものと、実際に政府の担当官等が現地に行かれまして実際にお話しになるお話との間に、あるいは食い違いがあるのじゃないかと思うのですが、そういう点は、最近の政局の様相から考えましても、大へん地元でそういう逆宣伝が出ているようです。そういう点について、この際政府の所信を明確にしていただきたい。実は首都圏委員長である根本さんにお出かけをいただいて明確な答弁を願いたいと思いますが、御出席がございませんので、事務局長から責任のある答弁をこの際お願いをいたしたいと思います。
  31. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 近郊地帯が、今お話のように、建蔽率一割の建築の制限があるのだというような間違った宣伝のために非常に誤解を受けていることを、私ども承知をいたしております。東京都そのほかにもなるべくよく趣旨の徹底をするようにということを強く申しておるのであります。近郊地帯の整備そのものが行政指導でいくという考えであります。近郊地帯は従来からも割合に人口密度は低いのでありまして、これらを発達させるのに、なるべく都市計画的に整備した格好で持っていけばいいので、何も個々の個人の建築を制限しなくても目的は達せられると考えますので、そういう誤解のないように、努めてわれわれも啓発の方にも十分力をいたしたいと考えております。われわれが参りまして説明をすれば十分わかるようでありますが、場合によっては逆に建築制限があるのだというような宣伝を、お話のようにやる向きもあるように伺っております。非常に遺憾だと考えております。
  32. 西村直己

    西村委員長 前田榮之助君。
  33. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私はごく簡単に二、三御質問申し上げたいと思うのですが、大体首都圏市街地開発区域整備を行うということは、われわれがこの立法に参画して以来当然やるべきだということでわれわれも考えておるわけでありますから、従って本法案は適当な処置と根本的には考えております。ただ立法技術の上や立法の内容の問題に実は不満を持っておるのであります。しかしながら現在の段階といたしまして、大蔵省やその他の関係との調整上やむを得ずこういうようになったのだというような御説明もあったので、その点は了解をするのでありますが、しかしそれは満足な意味で了解するのでないことを当局は十分に考えて将来に処していただきたいと思うのであります。  そこでお尋ね申し上げたいのは、今御説明されてあるように、工場地あるいは住宅地団地買収等のお話がございましたが、大体住宅地団地買収住宅公団が当ることは適当だと思うのでありますが、工場地その他の問題は果してそれが適当であるかどうかということも考えられるわけであります。大体計画的に開発を行う際に農地、山林その他の土地買収は公けの機関としては住宅公団が一応考えられますが、その他に公共団体やその他の団体の買収を行う予想あるいはそういう計画はおありになるのか、それをお聞かせ願いたい。
  34. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 私ども市街地開発区域指定をして参ります場合に、土地関係住宅公団も一応考えておりますが、もちろん地元の市町村も土地買収はやってもらって差しつかえないと考えております。住宅工場に付属いたしますところの住宅土地等につきましては、場合によっては市町村ではありませんが、市町村が出資をしたところの住宅公社等で買収をしてもらっておるような状況もあります。必ずしも住宅公団考えておりません。ただ市町村で買収いたします場合には、資金関係がなかなか窮屈のようです。実際においてなかなか地方債のワクにも押えられますし、市町村では資金関係でむずかしいのではないかと考えております。ただ買収の実際の事務につきましては、市町村は大いに協力をいたしてもらっております。
  35. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 本法案の第四条に、事業計画に基いて市街地開発区域整備のための土地区画整理事業あるいは工業用水道の布設については、地方公共団体資金確保をするように、援助に努めるように書いてございますが、本法の随所に、こういうような「努める」とか「しなければならない」というようなことを書いて、具体的な方法等が示されておらない。これは立法府として、われわれ議員がこういう法律を認めることは、立法府におるわれわれといたしましては非常に遺憾な問題であって、立法を行う場合においては、もう少し明確な規定をすべきのが国民に対するわれわれの義務だと考えるのでありますが、これも前に申し上げましたようなことでやむを得ないといたしますならば、そこで「援助に努める」ということをもう少し具体的にここで説明をしていただかないと——今の法律の文章の欠陥等をわれわれは立法の際に明確にしておくことが必要になってくるので、その点一つもう少し具体的な例証等をあげて御説明を願いたいと思うのであります。
  36. 水野岑

    水野政府委員 ごもっともでございまして、第四条の「必要な資金確保その他の援助」の具体的な説明でございますが、資金確保ということで私ども考えておりますのは、財政投融資確保、すなわち地方起債の確保、こういう意味でございます。その他の援助と申しますのは、財政資金援助する、つまり補助金を出す、あるいは技術的な援助、こういう解釈を私どもとしてはいたしておるのでございます。
  37. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 大臣がおいでになったので、大臣に一つお尋ねを申し上げますが、今東京都は約人口九百万を擁して、日本の全人口の一割が集まっておるわけであります。これは都市集中の傾向が極端に現われておる一つの傾向でありますが、日本全体の国民経済の計画性から申し上げまして、健全なる状態とはわれわれは考えられないのであります。そういう趣旨から東京都の計画考えてみると、この首都圏内に衛星都市を作って分散せしめる、今の説明によりますと、二百五十万か二百七十万の衛星都市を作るということ、このこと等についても当然だと思うのでありますが、これは首都圏だけでなしに、もう少し国全体を——いたずらに東京都あるいは大阪府、こういうところに集まる傾向があるのでございまして、もう少し計画性を持った都市計画というものを全体としてお考えになってはどうかと思うのですが、その点大臣の御所見をお伺いいたします。
  38. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま前田さんのおっしゃる通りでございまして、そうした過大都市の発生を防ぐということのためには、やはりそれぞれの立地条件に即したところの工場なりあるいは都市ができ得る基礎条件を作らなければならぬと思います。これが、すなわち道路整備ができますれば、あえて一つ都市に過度の集中をしなくともそれが十分達成できる、こういうような観点をも含めまして、先般皆さんの御協力によってできた道路整備計画がその一つ条件をなすと思っております。  それからもう一つは、各市町村と申しますか、むしろ、都道府県においていろいろ今後施策する場合におきまして、法律には何ら具体的な措置は講じておりませんけれども都市集中がなされないように、都市の近郊地区において都市計画を進めまして、そうしてこれが都市への流入を防ぐとともに、新たなる工業立地条件を具備しまして、そちらの方にだんだん新しい都市ができるように、こういうふうな構想を持ちまして指導申し上げたい、こう思っておるわけであります。ただしかし首都圏についてはすでに法律上の規定によってこれができるのでありますが、その他の地区については、現在行政指導の面においてこれを実施するというふうに考えておる次第でございます。
  39. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 お考えよくわかりましたが、そこでもう一つお尋ね申し上げたいのは、今事務局長にもお尋ね申し上げたのですが、本法の第四条に工業用水道の布設に融資、補助等の規定が設けられる、こういう規定は、何も首都圏内における都市だけでなしに、すでに日本の工業立国の建前から考えましても、日本の今の経済を工業発展に求めなければならぬ国情に置かれておる立場から考えましても、このくらいの法律は、もう首都圏だけではなしに、全国の都市に適応されることこそが必要な時代ではないか。ここで首都圏だけこんな法律を作るよりも、全国の都市に適用される法律が私はもう必要なのではないかと思うのですが、これをおやめになって、むしろ全国の都市に適応されるような制度を作るお考えはありませんか、お尋ね申し上げます。
  40. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ごもっともなお説でありまして、御承知のように、工業用水に関しましては通産省が今所管しておりまして、まだ事業を始めたばかりで、全国の工業用水道をどういうふうな規模に、どういうふうな運営をしていくかという、具体的な構想が私らの方に示されておりませんので、まだそうした基本的問題について協議はいたしておりませんが、今回ここに設けたゆえんのものは首都圏の範囲内におきまして過大都市の弊をなくするとともに、いわゆる市街地開発区域工場あるいはその他いろいろの施設を受け入れる基礎条件を作る、こういうことになりますれば、必然的にそういう地区に必要とされる工業用水道の設備ができてくるわけでありまして、そういう意味において、これは急を要しますので、この市街地開発区域整備法案に入れたのでありますが、工業用水全体に対する補助、助成と申しますか、こういう問題はお示しのように今後通産省とも十分連携をとりまして研究して、漸次その目的を達成するような方向に進んで参りたいと考えております。
  41. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 最後にもう一つ局長にお尋ね申し上げておきたいのですが、この開発区域計画は大体お立てになっておるんだと思うのですが、その計画の中に、現在農耕地として利用しておる土地がどのくらいあるか、農地買収は同僚の議員からも、農民の立場からも、今までたくさん問題になっておることは御承知の通なのでありまして、できるだけ現在使われておる農地等は避けるようにされるという御方針のようでありますけれども、実際にはどうなんですか。実際にはどのくらい計画の中に入っておりますか。
  42. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 農地の問題でございますが、市街地開花区域の整備の要綱はこれから立てるので、現在こういう項目について調査をしていくのだということを地元へ話をしておるところであります。その中で、ここは耕地として残す、ここは工場として整備をするということをはっきり区域の区画を立てて整備計画を立てる方針でありますが、まだ計画は立てておりませんので、はっきりしたととはただいま申し上げられません。
  43. 三鍋義三

    ○三鍋委員 関連してちょっと。この新市街地開発区域農地問題は、私たちはやはり非常に重要な問題であると思っておるのですが、こういった計画がなされようとする場合、過去において多くある事例でございますけれども、大体これが区域に指定されて、新市街地開発され、建設されるという予想のもとに、農地あるいはその他の土地を広範に買収いたしまして、これを高く売りつけるといったブローカーといいますか、悪い思想の手がまま具体的な問題として現われておるのであります。仄聞するところによりますと、相模原地域におきましても、すでにそういう事実があるということを聞いておるのですが、こういうことによって非常に地価が暴騰いたしまして、計画に大きな支障を与える、こういった問題があると思うのです。こういうものをどのようにして防ごうとしておられるか、その対策につきまして、大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
  44. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お示しのような現象が若干現われているという事情は確かに存じております。しかしながらこれは法律をもって一定の区域内の売買、所有権の移転を禁止するわけにも参りません。そこで行政指導といたしまして、大体市街地地域に確定されておるところにおきましては、でき得るだけ工場用地とかあるいは公共の用に供するところは一つ団地として取得し、これには当該自治体の協力を求めて、場合によっては自治体が持つことも必要でありますし、ある場合においては、御承知のように日本住宅公団土地造成並びに所得の任務を与えられておりますし、かつその資金を持っておりますので、そういうところで早く確保してしまいまして、以後計画を実施するに絶対必要な条件だけは確保しておく、その他、これに基いてその周辺が漸次値上りするというのはどうも防ぎようがございません。これをまた防ぐということになりますると、市街地地域指定されることを今度は猛烈に反対されるのでありますから、そこでただいま申し上げましたように、市街地開発のために必要なる絶対的条件ともいうべき場所並びに面積は、公団あるいは場合によっては当該市町村で買わして持っておる。そうしてこれを最も適切に分譲する、こういう方法が一番必要だ。それ以外の地区は自然的な現象にまかしておくというよりやむを得ないのじゃないかと考えておる次第でございます。
  45. 三鍋義三

    ○三鍋委員 大臣の御趣旨はまことにけっこうでございますが、地方自治団体に大きな公共性の責任を持って、できるだけそういった中心になって事業を遂行していくということはけっこうでありますけれども、今度のこの法律によりますと、そういう点が非常にぼやけておる、私たちはどこまで真剣にこれをやろうとなされておるかというところに疑問を持つのでございますが、これが出てくるまでには相当に難航してここまで来たということは一応了承いたしまして、今後こういった問題を、地方自治体が公共事業を責任をもってやり得る財政的な裏づけということも真剣に考えていただきたいと考えるのであります。
  46. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 あと一点だけお尋ねします。この衛星都市に十万程度都市を形成して、東京都内における人口の分散や計画的な都市建設を行おうとされるのでありますが、そうして衛星都市は一応計画区域が設定されて、だんだん計画通り進んだといたしまして、今度は中心部のその方に分散したらよろしいと思うものをどうして分散させるか。具体的にはいろいろ考えがあると思うのです。強制して分散きせるというわけにもいかないと思うのですが、その分散の方法はどうするのか。ただ都市区画整理を行なったことだけで分散するものでもない。ニューヨークあたりでは、よくいわゆる貧民街と称するものを全部ぶちこわして、市外にりっぱな十二階から十三階の住宅を作ってやっておりますが、これを別な法律を作って強制するようなことにするのか、どういう方法でおやりになるかということをお聞かせ願いたい。
  47. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 その点は先ほど御説明申し上げたのですが、人口を集めるもとになります大学でありますとか、大きな工場等については、将来制限の法律を出したいというつもりでおります。それからもう一つは、都内へなるべく住宅を集めて、通勤先と近距離のところへ住まうという方法を、住宅等の点で考えますと、大体住民がなるべく勤めに通うのに近距離へ住むという一般の観念になりますと、結局どうしても郊外に住まわなくなる。従って郊外、遠くへやるときは、むしろその近所の職業を探すということになるのではないか。これは一般的な人の考え方の問題でありますが、そういうようなあらゆる施策を講じまして、行政的には先ほど申しました強制的な方法、その他においては行政指導と申しますか、そういうことでなるべく外へ職場を求める。外には工場を作っていくということで、なるべく人口が分れていくというふうにしたいと思います。
  48. 木崎茂男

    木崎委員 重ねて御質問するのは恐縮ですが、大臣が見えましたから一言だけお伺いしたいと思います。  この法律に直接の関連はありませんが、首都圏整備事業推進させます上に、近郊地帯の整備に関しまして関係の自治体あるいは農家の皆様方が、近郊地帯の指定を受けたために、将来農地が永久指定をされてしまうとか、もし転用ができても一割の建蔽率に規制されてしまうとか、現在の憲法上認め得られない個人の財産権の制約が行われるがごとき心配が非常に出ておるのでございますが、今後そういうような単行法律あるいは行政指導等によりまして、そういうようなことはあり得ない、近郊地帯の整備は、あくまで計画的な田園都市化の整備を進めていくのだ、こういうことだと思いますが、その点につきまして、時局柄そういう面のお話が相当責任のある方々によっても、実は近郊地帯全般に出ておりますので、この際この事業の円満なる推進をはかりますために、近郊地帯の方々の心配しておられるようなことは断じてあり得ないということを確認していただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  49. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまの御心配のないようにいたす方針でございます。どうも最近市街地開発地域、あるいはまた首都圏整備に関しまして、勝手な揣摩憶測が行われまして、むしろこれをやることによって非常な強い所有権の制限、あるいはまた——構造物に対する若干の規制はありますけれども、それが個々の個人的な財産権を非常に侵害するというように思いすごして反対する向きもありまするが、そういうことではございません。根本の方針は、先ほど来各方面から申されたごとくに、健全にして、かつ最も環境のよろしい都市を構築し、これをもって住民全般の福祉の向上に充てるということ、これが趣旨でございまして、ただその場合におきまして、先ほど前田さんなり三鍋さんから言われたように、今度は、こういう施策をやることによって特定の人間が非常な暴利をむさぼるようなこと、これは一面においてやらない、この二つ条件のワク内においてやるということでありまするから、この点は明らかにしておきたいと思います。
  50. 西村直己

    西村委員長 他に御質疑はありませんか——御質疑がないようでございますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 西村直己

    西村委員長 御異議なしと認めます。これより本案を討論に付します。討論の御発言はございませんか。——御発言も別にないようであります。直ちに採決を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 西村直己

    西村委員長 御異議なしと認めます。これより、首都市街地開発区域整備法案を採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立をお願いいたします。     〔総員起立〕
  53. 西村直己

    西村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 西村直己

    西村委員長 御異議なしと認めます。  次会は定例日二十日火曜日定刻より開会することに公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五分散会      ————◇—————