運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-03-28 第28回国会 衆議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十八日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 久野 忠治君    理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    池田 清志君       木崎 茂男君    薩摩 雄次君       徳安 實藏君    廣瀬 正雄君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  尾村 偉久君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部水道課         長)      田辺  弘君         建設事務官         (計画局総務課         長)      志村 清一君         建 設 技 官         (計画局下水道         課長)     岩井 四郎君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 三月二十七日  委員堀川恭平辞任につき、その補欠として夏  堀源三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員夏堀源三郎辞任につき、その補欠として  堀川恭平君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  下水道法案内閣提出第一四六号)      ――――◇―――――
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  下水道法案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますからこれを許します。前田榮之助君。
  3. 前田榮之助

    前田(榮)委員 下水道法案は、都市近代化による画期的な法案ともいうべきものだと思うのでありますが、この法律は、ただ現在の都市下水道状態をいかに管理するかということだけのように考えられるのであります。この法律は、国民のために法律を作ったのか、行政官庁行政を行うために法律を作ったのか、こういうようなことを私は考えざるを得ないように思うのであります。ほんとう市民のために法律を作ったのであるならば、この法律国民に納得、理解ができるように作らなければならぬと思うのでありますが、この法律を見ますると、不十分な点があるので、まず第一にその点からお尋ね申し上げておきたいと思うのであります。  下水道法という名前がつけられ、定義が与えられておるのでありますが、この下水道公共下水道都市下水路二つ区分されておるのでありますが、この区分片一方下水道という名前を使い、片一方下水路という名前を使っておる。下水道という限りには、一般市民常識でも理解ができるような都市下水道とか、あるいは市街地下水道とか、何とか名前つけようがありそうなものにかかわらず、下水道法であるにもかかわらず、片一方下水路片一方下水道、こういうことは、いわゆる従来の行政を行なっておる用語的な関係から起っておるのだと思うのでありますが、行政のために法律を作るのでなくて、法律国民利益を与え、便宜を与えるために法律を作らなければならないと思うのであります。何ゆえにこういうことをされたのか、まず第一にその点をお尋ね申し上げます。
  4. 町田稔

    町田政府委員 下水道等に関する法律は、一般民衆人たち利益を与える趣旨において制定すべきであるという御意見でございますが、私たちもそういうように考えておるのでございます。一般民衆人たち下水道を普及いたしまして、容易に利用させるように規定いたしますことが、いわゆる下水道法を通じて民衆利益をはかることになると思っておるのでございます。そういう意味におきまして、今回の下水道法公共団体による下水通の事業の促進が容易にできるようにと思って各種規定を設けたのでございます。ただいま御指摘のございました名称の点でございますが、特に都市下水路についてこういうわかりにくい名前をつけることは、一般にとっては不親切な規定の仕方ではないかという点だと思うのでございますが、実は、従来から都市下水路に当るものといたしましては、都市水利という言葉が使われておったのでございまして、なお、一般下水路と申しますと、この都市下水路考えておりますようなことを一般の人も観念をいたして参ってきておるのでございます。そこで、従来の都市水利あるいは従来言いならわしております下水路というようなことをとりまして、都市下水路という名前にいたしたのでございます。都市下水路と続けてこの名称を用いておりますのは、今回の法律が初めてでございますが、それほど従来からなじまない新しい名称であるとは私は考えないのでございます。なお、それ以外に改良下水道公共下水道という名前にいたしましたのは、一般民衆といいますか、公共が利用をするという意味と、それから、なお公共団体管理主体であるという意味におきまして、公共下水道という名前をつけたのでございます。
  5. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私が質問を申し上げておるのは、公共都市との両下水については、その区分について別にお尋ね申し上げておるのではなくて、片一方水道といい、片一方水路という、立法技術の上からそういう名前をつけなければならない理由がどこにあるのか。都市下水道公共下水道と、同じ水道法のもとにおける水道であるから、そういうふうにだれでもあまり考えないで理解できるようにすることが、立法の上からも、国民のために法律を作るという建前からいって正しいのではないか。都市下水路というのを都市下水道という名前をつければ、公共下水道との分界点が不明確であるなら、市街地下水道とかなんとかいう名前において行われていいと思うのであるが、どこかに支障があるのか、文法上正しくないのか、この点を明らかにしないと、われわれはこの下水道法という法律を批判しておるのではなくて、われわれは立法府なんですから、この法律をわれわれが作るべきなんです。われわれにかわってあなた方が案を出しただけなんですよ。ここで審議しておるのは、われわれがこの法律を作る建前なんです。そんなことが理解もできず、そういうことが不明確なままでわれわれがこれを決定するわけにはいかない。だから聞いておるのだから、その点を明確にしてもらいたい。
  6. 町田稔

    町田政府委員 特に都市下水路と申しましたのは、都市下水路は人口的に新たに設置をして下水道をつける場合はほとんどないのでありまして、従来の自然水路下水に利用するということがおおむねの場合でございますので、特に都市下水路という名前にいたしました。それから公共下水道の場合は、特に下水道とはっきりいたしましたのは、これは人工的に設置をする。人工的に設置をする場合には、上水道におきましても下水道の場合におきましても、従来から水道という名前を使っておるのが慣例でございますので、特にこちらの方は公共下水道といたしたのでございまして、今申し上げましたように、都市下水路自然水路を主として利用しておるという意味でこういうふうにいたしたのでございます。
  7. 前田榮之助

    前田(榮)委員 今の御説明でも十分に明確になっておらぬと思うのでありますが、普通の場合においては、従来流れておる水路でも、これは水道と言っておるのじゃないですか。これを何も水路と言わなければならぬことはない。だからといって水路という言葉を使うことを不当とは思いません。水路と言っても水道と言っても、それは何も不当な日本語とは言えないと思うのですが、水道法であるから、支障のない限りは水道という名前をつけるべきだ、こう私は理解しておるのです。その水道という名前をつけるのは不当である、そういうことは文法上からも立法技術の上からも適当でない、こういう理由が成り立たない限りは、水道という名前を使った方が国民にも理解がしやすいのではないか。どこかに支障があるという、文法上かあるいは立法技術の上かに何かあるのか、こういうことを尋ねておるのですが、その点はいかがですか。ただ、そういうことはないけれども、そういうように水路々々と言う方が言いよいと思ったからやったというのならそれでもいいのですが、どこかそこらに支障があるかどうか、こういう点なんです。
  8. 町田稔

    町田政府委員 これは都市下水路都市下水道といたしましても支障はございません。ただ、先刻申し上げましたように、言いならわしとしてはこういう言い方が普通あるように私たち考えておるのでございまして、それでつけたのでございまして、文法上どうしても下水路下水道としては悪いという点はございません。ただ、そういうニュアンスを多少下水道下水路によって表わしたというつもりでございます。御了承をいただきたいと思います。
  9. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そういうように御説明がありまするならば、この点は、これ以上はわれわれがどちらを採用してこれを決定するかという判断を下すのみでありまして、この点は、これ以上の質問をする要はないと思うのであります。この水道区分については、なおお尋ね申し上げたい点があるのですが、これはあとに譲りまして、文字の点について、ついででありますからお尋ねを申し上げておきます。  第十一条の、これは条文そのものではないのですが、条文の見出しに、「排水に関する受忍義務等」とあるのですが、受忍というのはどういうことなんですか。私は手元に大きい辞書がございませんから――小さい辞書であったのかどうか知りませんが、私のところにある辞書には受忍という言葉はないのですが、受忍という言葉は私はいまだかつて聞いたことがない。これは法律用語なんですか。受忍義務なんて、こんな字を使うことはわれわれには全く理解できないのですが、これはどういう意味受忍という言葉を使ったのか、伺いたい。
  10. 志村清一

    志村説明員 受忍義務に関しまして、ほかの立法令をちょつと私は今覚えておりませんが、たとえば民法の相隣関係などにおきましては、学者などはその関係についてお互いにがまんし合うというような意味において受忍というふうな言葉を使っております。その言葉をこの機会に一応使わせていただいたわけでございますが、従来の下水道法においてもわれわれは普通受忍義務というふうに言っております。
  11. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そういうことがほんとうに、一般国民のために法律を作るのか作らないのかということなんです。一般常識一般国民常用語には受忍という言葉はないと私は断言してはばからないと思う。ただ、たまたま法律の一部にそういう言葉を昔使ったことがあるという程度だと思うのです。現在の法律語は、何々すべからずというのではなしに、何々ということはしないこととか、読みかえるものとするというようなことでも、常用語法律語に大部分とっている。そういう時代に、「排水に関する受忍義務等」というようなことでなくて、新しい、何か一般に使える言葉をここに使うべきじゃないかと思うのですが、ほかに言葉がないのかどうか。これはやはり建設省の方で一応起案され、そうして法制局へ回されて、法制局の方でも適当だということになったのだと思いますけれども、私はこういう言葉はできるだけ使うべきじゃないと思っているのですが、ほかに用語はないのですか。その点御研究になっているのかどうか、もう少し明らかに御説明を願いたいと思います。
  12. 志村清一

    志村説明員 確かに受忍義務という言葉は多少固い傾向がございます。この点につきましては、法制局におきましても、われわれ自体で立案する際におきましてもいろいろ検討いたしたのでございますが、適当な言葉がございませんで、受忍義務という言葉に落ちついた次第でございます。
  13. 前田榮之助

    前田(榮)委員 その次にお尋ね申し上げたいのは、都市――都市といいましても、町村合併促進いたしました今日の都市はかなり広範になっておりまして、あながち市街地ばかりではないのであります。都市における下水道政策というものを将来をおもんぱかって立法を行うといたしますならば、あながち市街地ばかりが都市ではなくて、いわゆる緑地帯やその他住宅地帯関係等考えますと、今日の町村合併促進はあまりに広過ぎるともいえなくて、これこそがやはり近代的な都市の行き方と見て正しいんじゃないかと思う。そういう考えから見ますと、今日の都市の中に、流れておる水路といいますか水道といいますか、これらに類似するものは、かなりいろいろなものが流れておると思うのであります。その中にはこの法律適用を受けるべき公共下水道あるいは都市下水路、そのほか専用のもありましょうし、それから専用でない、この法律適用外に置かれておるところのいわゆる小さいもの、あるいはまた現在灌漑その他の用水に使うための水道、こういうものもあるのでありますが、せっかく画期的なこの法律を作るといたしますならば、一応これらも規定をし、これらの所管管理というものを明確にいたしまして、水道行政というものに一貫性を与えるべきじゃないかと思う。これがなされておらないというところに、非常にりっぱな画期的な法案であるのでありますけれども、物足らない感じがするのでありますが、その点何ゆえにこういう状態になったかという経過を、一つ御説明願いたいと思います。
  14. 町田稔

    町田政府委員 下水道を作る際に公共下水道都市下水路以外に、およそ専用下水道等も含めて全般的な下水道に関する規定を置くべきではないかという御意見と承わったのでございますが、まことに御意見もっともでございまして、当初私たちもそういう建前立法をすることにつきましていろいろ研究をいたしたのでございます。しかし公共下水道都市下水路等からはずれます下水道のうち一番おもなものといたしましては、工場等が直接河川その他の公共水に流し込む下水道が、一番大きなこの下水道法以外の下水道でございまして、これらの下水道規制いたします際に何を規制する必要があるかと申しますと、主として水質に関する規制をすることが必要になってくるのでございまして、個々のこういう下水道については必ずしも構造規模等を一律に規制する必要はない。対象となるのは水質ということになります。そしてこれらの工場についての水質の問題は、公共下水道がだんだん区域が広がりまして、工場等単独でやっております地域も排水区域にいたして参りますことでだんだん解決をしていくという部面が一つございますことと、それから都市と全く離れて設置されております工場についての水質基準水質規制等の問題は、むしろ下水道法規制するよりも、公共水汚濁防止の観点から規制をする方がより一そう適切ではないか。実は各工場が出す水の種類はもう千差万別でございまして、これを水質的に基準を作って規制をいたしますことは、今後なお検討を要する点がございます。そういう点もございまして、それを除いたのでございまして、そういう意味でこの下水道法が網羅的になっておらない点がございます。  また公共下水道都市下水路に類するものでも規模の小さいものを特にこの法律から除きましたのは、この法律規定した主たる内容が構造その他の事項でございまして、そういう規模の小さいものは、この法律規定しておるような規制をすることが実情に沿わない点もございますので、それを除いたということでございまして、こういうふうに公共下水道都市下水路下水道法規制することによって、下水道のおもなものはほとんど統制と申しますか、規制をすることができると考えたので、こういうようにいたした次第でございます。
  15. 前田榮之助

    前田(榮)委員 この法律のらち外に置かれておる水道に流れておる水質問題云々のお話もございましたが、しかし現在流れておる水道にどういうものが流れてくるかということは、明確にいろいろ種別をこの法律に書くわけにもいかないし、またほかの法律でも技術的な問題もありまして、それらを直ちに管理上の対象として法律に作るということは事実上困難であります。そういう場合においては政令等によって行うという規定のもとに法律は命ずることができると思うのであります。そういう建前から考えまして、そういう都市下水通に対するところの管理義務規定をこの法律で明確にすべきではないかと思うのであります。もちろんこの法律の中心は構造という点に置かれておることもわかりますけれども、日本の都市の、建設省近代的都市を作り上げるために行うところの下水道法であるならば、やはりそこまでこの法律対象として行うのが正しいと思うのであります。従来水道法が早く、新しくでき上るべきであったのが、いろいろ厚生省の所管あるいは建設省所管、また工業用水等関係からくるところの通産省の所管灌漑用水等からくる農林省の所管、こういう関連があって、なかなか一元化された立法が困難であったように私は見受けておるのであります。現在灌漑用水等に対する除外等はそういう関係からきておるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがなんですか。
  16. 町田稔

    町田政府委員 灌漑用水に関しましても、御指摘のようにこの下水道法から除かれておりますが、これは御承知のように灌漑排水下水の場合と違いまして、それらの水を農業に使うという部面もございます。この下水の方では、もっぱら要らない水を排除するという建前から各種規定ができておりますが、灌漑排水の場合には灌漑に使う、それからまた要らなくなった水を外に出すという二軍の用を兼ねた施設ができるわけでございます。そこでおのずから構造も違って参るのでございまして、灌漑排水の場合にはむしろ疎通をゆっくりする必要がある場合もございます。下水の場合はもっぱら疎通をなるべく早くする、早く排除するという点もございますので、下水道法灌漑排水をも規定することはちょっと性質上無理であるという点が一つございます。それから管理主体におきましても、下水道管理主体灌漑排水管理主体は必ずしも同一でない場合が多いのでございます。そういう意味もございまして、下水道法からはこれを除いたということでございまして、必ずしも今仰せになりましたような各省間の所管の違いによって特にこの下水道法から除いたというようなことはございません。
  17. 前田榮之助

    前田(榮)委員 都市を流れます水路については、あながち灌漑用水とはいいましても、純然たる灌漑に使う水路と、やはり汚水や不用の水を流す水路と区別のつかない水路も当然できるのでございまして、そういう場合においては都市の将来を考えて、やはり管理規定を設けて管理を明らかにし、その中に汚物やその他の不当のものが流れるという場合においては、ふたをするとか、あるいはまたそれを不衛生な状態に置かないような規定を設けるとか、それが直ちに条文に明確にできないという技術的な関係があるならば、そういう処置管理者であるところの市町村が行うべきであるという、また行うことをなし得るとかいうようなことをこの法律において規定をすべきではないかと思うのですが、そういうことは不必要だとお考えになるのですか。
  18. 町田稔

    町田政府委員 ただいま御指摘のございました点はごもっともでございまして、従来灌漑排水施設に設けられておりました水路が、実はもう灌漑排水の用をほとんど失って、都市下水路的なものになっておるというのが非常に多くございます。そういうものにつきましては関係者と十分水道管理者が協議をいたしまして、都市下水路に指定をしていくという方法で規制をして参りたい、こういうふうに考えております。
  19. 前田榮之助

    前田(榮)委員 その次にお尋ね申し上げたいのは第九条の点でありますが、第九条には供用開始公示規定が設けられておりまして、「地方公共団体事務所において一般縦覧に供しなければならない。」と規定されております。これは市町村単独管理者である場合においてはよろしいのでございますが、市町村二つ以上またがったりいろいろな関係で、この法律に定められてあるように、都道府県において管理する場合においては、県庁もしくは地方事務所において公示を行い、一般縦覧に供するということになるのでありますが、そういたしますと住民の居住市町村に流れておる水道の問題で、わざわざ県庁所在地まで行ってみなければ縦覧ができない、こういうことはきわめて不親切なことに相なるのであります。従ってそういう場合においては、その水道所在市町村及び管理者たる県庁所地にというように縦覧を命ずべきではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  20. 町田稔

    町田政府委員 第九条では、地方公共団体事務所において一般縦覧に供するというように規定をいたしてございます。これは県の場合には県庁という意味ではないのでございまして、県の場合におきましても最も関係市町村に便宜なところにある県庁の何らかの事務所縦覧をさせるという趣旨でございます。特に第九条におきまして公示の手続を規定いたしませんでした理由は、当該地方公共棚体条例でそういう点は規定をすることが適当であると考えたからでございます。地方公共団体事務所というのは、県の場合に県庁という意味ではございません。
  21. 前田榮之助

    前田(榮)委員 県庁という意味でないといたしまするならば、県の機関であるべき地方事務所というようなことに相なろうと思う。それから、県の地方事務所でない、たとえば土木出張所というようなことになりますと、これはもう不明確になってくるのでありまして、一応この第九条に、受益者たる市町村事務所において縦覧をさせると書いてあるのでありますから、この点が明確にしてあるにかかわらず、都道府県管理の場合明確でない。それは地方において便宜な処置を行うというたのでは、この法律の改正が適当なものであるとはいえないと思います。やはり都道府県がやる場合にも、その水道所在地市町村役場で書類を縦覧に供すべきだ、こういうふうに明確にしなければ、つり合いがとれないのではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  22. 町田稔

    町田政府委員 この点は、従来公示をする必要のある場合の規定にならったものでございまして、普通公示をいたします際には、各地方団体がその公示の様式を条例で定めます。それでこの場合には、どこの事務所公示をするということが条例ではっきりわかりますから、明瞭を欠くことはないと思うのでございます。この点につきましては自治庁等とも十分相談いたしまして、あまり確定的に、どこで公示をすべしというようなことを法律に書くよりは、むしろ地方条例にまかしてもらった方がいいという意見もございましたので、こういうようにいたしましたが、運用に当りましては、ただいま先生の仰せられました通りの運用をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  23. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そういう運用するからということでなくて、私が言っておるのは、表示した図面を事務所一般縦覧に供するというのですから、それをどことどこで行うか、法律で明確にされ、それが国民に知らされておって、国民は県が管理しようが、市町村管理しようが、管理される水道の流れておる所在地利害関係を持った国民は、その計画がどういう計画であるか、その所在地市町村事務所に行けば見られるんだと、これが法律で明確になるべきものであって、市町村管理をする場合においては明確にされておって、都道府県の段階では明確にされておらないで、行政措置において不便を与えないんだこういうことでは、法の体制は整わぬと思うのであります。しかしこの点はあとに譲りまして、今大臣おいでになりましたので、私の大臣に対する質問は簡単なのでありますから、大臣のおられる間に一つお尋ね申し上げたいと思うのであります。  大臣おいでになる前に事務当局に尋ねた一点といたしましては、この水道法というものは、都市における国民生活を守り、文化生活の向上をはかるために近代的都市を作るという建前に立って水道法を新しく作られる。従ってこの水道法国民のために作るのである。ただ事務当局国民に対して行政を行うためにこの法律を作るのではないはずでございます。そこで大臣は、お聞きになったかどうか知りませんが、この中で公共下水道都市下水路という名前がつけられておる。片一方水道といい、片一方水路といって、同じ水の流れるものが水路といい水道といっておる。これはもっと常識の上に立って立法をすべきじゃないか。ただ事務当局考え方といたしましては、従来行政を行う場合において、慣例といいますか、こういうことが多かったのでありますから、これは私は事務当局を責めようとは思いませんが、大臣は、いわゆる国務大臣として政治を行うのでありますから、政治を行う上に立って、こういうような立法はできるだけ避けるように、国民常識にぴったり合うような立法をすべきじゃないか。  もう一つ、第十一条に、これは法文そのものではありませんが、見出しとして「排水に関する受忍義務」という字が使ってあります。義務規程というものが古い法律にあるそうでありますが、受忍というのは一般にめったに使わないし、普通の簡単な辞書なんかにはありませんよ。新しい法律は口語体で作られるのでありますから、国民に早わかりのするような法律を作るという建前に立たなければならぬと思うのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  24. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御質問の第一点であります定義の問題でございますが、公共下水道都市下水路、こういうふうに分れているのは、あまりに事務的な処置であって、本来ならば一つにしていいじゃないか、こういうような御議論でありますが、その前提条件といたしまして前田さんが御指摘のように、日本で非常におくれておる下水施設を整備いたしまして、都市生活を営んでおります一般国民に対して、よき環境を作ってあげるという意味においてなされるものであるから、その精神においてすべての施策がなされなければならない、こういう御議論については全く同感でございます。この定義の問題につきましては、御承知のように、従来一般都市下水路というのは、現在まで公共団体管理しておりますところのいわば開渠になっているものをいうのでありまして、これはある意味においては自然に存在するところの下水路を称しているのでございます。それから公共下水道は、これは新たに下水溝を設けまして原則として暗渠にしてやっておる、こういうような意味において、特別な政策上の違いによってできているのではなくして、従来ありましたものを、しかも従来通りの名称を使った、こういうふうに御理解を願いたいと存じます。  その次に、十一条の一番前にありますところの「排水に関する受忍義務」という用語、これは本来法律一般国民にでき得るだけわかりやすくというような趣旨からすれば難点があるのじゃないか、こういう御議論でありまして、まことにごもっともな議論でございまするが、これはいわゆる法律学者の方々がこういう正確なる表現をした方がいいというような、用語の定義がそういうふうになっておりまするので、さようにいたしたわけでありまして、特別の政治的の意味はございません。ただし今後法律を作成する場合に当りまして、政府全体として法律的な用語の正確さは当然守らなければならぬけれども、でき得るだけこれが一般国民にわかりやすい言葉で表現するということについては、今後とも努力しなければならぬと存ずる次第であります。
  25. 前田榮之助

    前田(榮)委員 大臣から今後立法に当っては国民にできるだけわかりやすく理解のできるような、いわゆる民主的な法律といいますか、そういうような方向に進むというような意味の御説明がありましたので、一応これを了とする次第であります。  その次に大臣にお尋ね申し上げたいのは、この法律を施行するからといって、別に昭和三十三年度の予算は変っておらないと思うのです。しかしながら、この法律を施行することが直ちに予算に重大な影響があるとは私も思っておりませんが、少くとも近代的都市を形成し、この法律を積極的に進めるとなりまするならば、相当な費用が要ることは当然なのであります。ただ当然だといたしますると、下水道料その他の関係で、その都市受益者ともいうべき市民の負担が増大すると思う。しかしながらこれはすぐ初年度から増大するのでなくて順次増大するのでありますから、直ちに三十三年度予算を増して下さいとかどうとかいう要求はいたしませんけれども、将来やはり市民の負担が増大するか、あるいはまた国の助成というものを積極化するか、いずれかの方法をとらない限りはこの法律が死文になるおそれがあるのであります。従って今の状態で幾らりっぱになるからといって、受益者の負担が増大するようなことは、立法府におるわれわれ議員といたしましては賛成しかねる点が多いのであります。そこで大臣にお尋ね申し上げておきたいのは、市民の負担の軽減をはかるように将来行う所存があるのかどうか、これは受益者が負担するのは当然だから、この法律適用する上においても特別にそういうことには考慮を払う必要はない、かようにお考えになっておるのか。またこれを推進するため将来の国家助成についてどういうようにお考えになっておるか。一つ大臣の御方針をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  26. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま前田さんが御指摘の通り、現在の公共下水道の普及率はまことに貧弱なのでございまして、現在着工中のものも含めまして百四十一都市にすぎません。市街地面積の一二・八%の状況であります。これを促進いたしまして、政府といたしましては長期計画を立てまして、昭和四十二年には少くとも大体市街地面積に対してその四分の一程度の下水の整備をはかりたいと思っております。そういたしましすれば、これは相当の経費がかかりますから、その経費の調達に当りまして、受益者負担だけに重点を置いてやるということではいけない、どうしてもこれについては国庫の補助金あるいは地方債等の政府のめんどうを今後大いに重点的に入れなければならない、こういう御趣旨のようでありまして、私もさように考えております。そういう方針をもって今後進みたいと思っております。  なお参考までに申し上げますれば、昭和三十二年度の下水道建設事業費は約三十五億円と想定されておるのでありまして、これに対しまする国庫の補助金は建設省計上分が五億五千万、地方債は約十四億円であったのであります。昭和三十三年度におきましては、国庫補助金は建設省計上分が六億五千万円、地方債は四十億でありまして、その他の財源を含めて約六十億になるのであります。従いまして昨年度の約二倍の財源措置をいたしたわけでありまするので、このような状況は昨年に比較しますれば相当躍進しているのでありますが、全体の事業が非常におくれておりますために、今後さらに一そうの政府の助成並びにいろいろの面からこれは協力して、地方における下水道事業の推進に当りたいと考えておる次第であります。
  27. 西村直己

    西村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時二十八分散会