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1958-02-11 第28回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十一日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 荻野 豊平君    理事 久野 忠治君 理事 前田榮之助君    理事 三鍋 義三君       荒舩清十郎君    池田 清志君       木崎 茂男君    薩摩 雄次君       高木 松吉君    徳安 實藏君       廣瀬 正雄君    堀川 恭平君       松澤 雄藏君    山口 好一君       淺沼稻次郎君    井谷 正吉君       中島  巖君    渡辺 惣蔵君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)    南部 哲也君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 二月十一日  委員長谷川保君辞任につき、その補欠として下  川儀太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月六日  川内川総合開発に関する請願池田清志君紹  介)(第六八八号)  川内川河水調節ダム建設等に関する請願池田  清志紹介)(第六八九号)  九州地区直轄河川早期完成に関する請願(池  田清志紹介)(第六九〇号)  登米町内県道の舗装に関する請願内海安吉君  紹介)(第六九一号)  一級国道十三号線改良事業継続に関する請願(  松澤雄藏紹介)(第六九二号)  二瀬ダム建設事業促進に関する請願荒舩清十  郎君紹介)(第七四六号)  高速自動車インターチェンジ設置に関する請願  (草野一郎平紹介)(第七四七号)  国土開発縦貫自動車道建設に関する請願堤康  次郎君外四名紹介)(第七四八号)  台風常襲地帯に対する特別法制定に関する請願  (中馬辰猪紹介)(第七四九号)  県道加世田西市来線等の二級国道編入に関する  請願中馬辰猪紹介)(第七五〇号)  鹿児島、霧島間等道路整備に関する請願(中  馬辰猪紹介)(第七五一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設省関係重要施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  前回の委員会におきましては、昭和三十三年度建設省関係重要施策と、これが実施に要する予算の概要につきまして説明を聴取したのでありますが、本日はこの説明に対する質疑を行います。質疑通告順によって順次お許しをいたします。前田榮之助君。
  3. 前田榮之助

    前田(榮)委員 根本建設大臣に、建設行政に関しまして重要な点をお尋ねいたしたいと思うのであります。まず岸内閣重要施策といたしまして、道路政策を大きく取り上げられまして、世間ではいろいろ批評はあるのでございますが、ことに今度の三十三年度手算について、ずいぶんひどい悪評もあるようであります。予算編成に当りまして、各省がやっきになって自分の省の予算要求復活に非常な努力をせられた。そういう関係から、ぶんどり予算だとか、あるいは不統制が非難されておるようでありますが、しかしわれわれ建設委員といたしましては、建設大臣が非常な努力をされて、各省に劣らない――ぶんどったなどというような言葉は不適当だと思いますが、道路その他の予算復活に非常な努力を払われて、相当な予算がここに提案を見るに至ったことについては、大臣努力に対して敬意を払うものであります。しかしながら冷静にこれを考えて、岸内閣重要施策として国民に訴えられたほどに内容が充実しておるかどうか、こういう点になりますと、それぞれの立場においてはいろいろな見解があると思います。われわれ社会党の者といたしましては、そういう観点からは、この問題に対するいろいろな批判を加えなければならぬ立場になっておる。この点を一つ十分御理解を願いたいのであります。なるほど、たとえば建設省予算の中で最も力を入れられた道路予算にいたしましても、昨年の予算に比較いたしますると相当な増額が見られておるということについては、今申し上げましたようにわれわれも認めるのでありますけれども、果して国の予算全体から見て適当であるかどうかという点について、まず第一にお尋ねいたしたいのは、鉄道関係予算が、建設関係は大体において建設省道路関係の六百七十六億三千万円、これはもちろん失対その他のものも加えての事業量予算でありますが、これと国鉄建設予算とほとんど同額なのであります。岸内閣鉄道を重要視するということを看板に掲げておるならば、これは当然だと思うのでありますが、あれほど道路々々と言っておきながら、国鉄関係と同じような状態である。このことは、日本の今日までの政治の上において、道路というものと鉄道というものとの関連性日本交通運輸の支柱となっておるのでありまするが、これをいかに統一された計画的な建設をやるべきかということに何らの計画性がない、何らの連絡性がないような状態になっておる結果からきておるのではないかと思うのであります。私はこの前の大臣のときにも申し上げたのでありますが、道路というものは、かご屋通り牛馬車通りというような古い感覚道路では、近代的国家社会においては、もうこれは通用しないのであって、ことに自動車内機燃関発達に伴って大型化し、高速度化した今日に至っては、全く道路というものは一般交通の川に供するなんというような定義をもって判断するべきものでない。また人がてくてく歩くというようなことは、これは道路ではない。道路の上は人が歩くものではない。通路以外には人は歩いてはいかぬ、こういうのが近代的道路感覚であろうと思うのです。そういう感覚から考え道路政策というものは、もっと高度のものでなければならぬ。その高度のものでなければならぬ時代になって、日本経済あるいは日本国民生活から必然的に、もう必要に迫られて、追っかけられて、道路重点政策として取り上げなければならぬ時代に追い込められてきておる。その追い込められてきておる今日において、なお鉄道予算道路予算が同じような形でこれが重点政策だと言われるのかどうか。こういう点は、内閣の中に交通運輸の高度な計画性というようなものが、いろいろな意味で――このごろはずいぶん審議会々々々といっていろいろな委員会等を作られますけれども、そううものも作られておらないし、そういうような内閣の方針というものが明確にされておらないところから、ひいてはきておるのではないかと私は思う。従ってお尋ね申し上げたいのは、まず第一に、内閣交通運輸に関するところの、鉄道もあるいは内燃機関も、また一般道路政策をも総合したものを作って、これを鉄道道路との関係において非常に多角的に施策が行われなければならぬと思うのでございますが、その点についての御所見と、あわせて今申し上げました国鉄関係建設予算との比重の点において、残念ながら重点政策と言いながらも、真に重点政策という実質になっておらない点がありはしないかと思うのでありますが、この点に対する御答弁をまずお伺いしたいと思います。
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。前田さんの御意見、かつそれに関連する御質問の第一点は、現在政府において、運輸政策に総合的な政策ができていないじゃないか、いわゆる道路政策鉄道建設、これとの関連において十分な有機的な総合性を欠いているのではないか、これはどこでやっているのか、こういう点が第一点のようでございます。これは御承知のように、そういう総合的な輸送力バランス考えつつ、しかも国の経済成長力との関係を調整しつつ立案しているのが経済企画庁でございます。経済企画庁は御承知のように審議会がございまして、この審議会のうち運輸部会、これは鉄道道路の方もみな総合して考えております。そういう方面からいろいろ考えられた結果、鉄道に対する投資道路に対する投資等に対する一応の答申案が出ておるようでございます。基いて経済企画庁といたしまては、道路面におきましては一応、将来五ヵ年間に日本経済成長力等をも合せまして、道路に対する投資総額を六千五百億から九千五百億、大分幅の大きい数字でございますが、そういう程度投資が必要である、こういうふうな結論を出しておるようなわけであります。しかしこれはもとより今後五カ年間の経済実勢がどうなるかによって非常に弾力性があるために、そういうふうな幅の多いものが出たと思いまするが、今回の道路整備五カ年計画を設定するに当りましては、先般ちょっと御説明申し上げました通り、五カ年間に総投資額約九千億と見込んでやっておるわけであります。九千億で、地方単独、これが大体一千九百億程度、それから公団による有料道路が千五百億程度、残り五千六百億程度がいわゆる一般道路として、やっていく、こういうふうな構想をもって進めておるわけでございます。なお本年の全体の道路投資額が、国関係で約一千億になるということでございまして、これは今前田さんが言われた六百七十六億程度というのは一般道路に関しての御意見だと思いますが、いずれにいたしましても鉄道道路とのバランスのとり方には、いろいろ御見解の違いのあるところだろうと存じます。道路が今非常に混み合っておりまして、そのために、すみやかにこれを思い切ってやれというような観点から見るならば、これはまだ道路投資が本年は足らない、こういうふうに見られる御意見もございましょう。それから他の面から見まして、やはり何といっても現在の滞貨の状況を見ると、長距離輸送における鉄道重要性というものも否定ができない、そういう面において、ぜひとも鉄道にもう少し金をかくべきだという点から見るならば、当面の問題として鉄道改良方面に力を注ぐべきだ、こういう御意見もございましょうが、われわれといたしましては、大体鉄道道路との本年の予算バランスがとれておる、しかも重点を入れたといって今までやったもの全部やめて、道路だけに集中するというわけには参りませんので、われわれといたしましては、今年度の予算においては鉄道建設道路建設とのバランスは大体とれておる、こう思うのであります。しかし観点によっては今、前田さんの言われたように、一枚看板であるけれども足らないというふうに言われますれば、これはまたそういう観点もあり得るというろでございますが、しかし従来の実務から見れば相当の増額をしておるということのほかに、従来の五カ年計画を飛躍的に増大したのみならず、特別会計によってさらに財源の面においても十分にこれが確保され、将来に対する明確な見通しを計画的に国民に明示することができたということは一つの進歩であり、また日本道路政策推進のための一つ基礎的条件を確立したものと考えておる次第でございます。なお今後の運営について、もとよりわれわれは最善を尽す所存でございますが、社会党皆さんから、さらによりよき御注意なり方策をお示しいただきますれば、われわれは十分これを尊重いたしまして、今後の計画推進に当って万全の措置を講じたいと考えておる次第でございます。
  5. 前田榮之助

    前田(榮)委員 次にお尋ね申し上げたいのは、なるほど鉄道鉄道関係があり、長年の歴史を持っております。道路道路として建設省の従来の行き方等もありまして、ただいま大臣説明になりましたように、経済企画庁において両方の点を十分に勘案をした計画のもとにやられる、こういうことについては何の異論もないのでありますが、ただ経済企画庁が調査研究したことに基いて、果して建設省がそれで満足されるがどうかという点になりますると、必ずしも私はそうではないのではないかと思うのであります。それはっまり、前にも申し上げましたような近代的な道路感覚というものが、すでに人の通る道でなくて機械の通る道である。具体的に申し上げまするならば、レールを敷いた上に列車が通れば、これば鉄道なのでありますが、道路の上にレールこそ、敷いてないけれども、レール・ウエーと全く同じような性格を持って利用されるのが近代的道路であろうと思います。これがいわゆる高速自動車道となって、皆さん建設省の非常な努力を払われておられる点だと思う。従って今までの政策の上がら考えますると、高速自動車道というものは運輸省主管に置くべきか、建設省主管に置くべきかということが――今は共管になっておりますけれども、ほんとうの主管となるべきものは、道路という名前からくるところの考え方からいえば建設省である。しかしながらその上を通る自動車という運輸関係からいうと鉄道と同じ性格を持っておる、こういうことがいわれると思う。そこに道路政策というものが一転換期にきておるのじゃないかと思うのでありますか、内閣において、その点がどうも科学的に明確な発表か国民の前にされておらない点があるのではないかと思うのであります。鉄道について、占めるいは複々線といい、広軌というようなこともいろいろ計画されておるようでありまして、その点についても順次改善書されることについては何ら異存はございませんけれども、今後の交通政策というものは、それよりも高速度自動東道にたよるべき時代がきておるのじゃないかと思う。それは、たとえば広軌にせよ複々線にせよ、鉄道でありまするならば何ほかの間隔をおいて駅がございまして、そしてその駅でとまったり進んだりするのでありますが、高速自動車道はとまりっこはない。駅というものがかりにあるとするならば道路の外側にある。道路の中はとまってはいけない。だからその制限の仕方が違うし、運輸量というものも、異常な量を輸送する力を持っておるのは高速自動車道でなければならぬ、こういう時代がすでに日本にはきておるのであろう。これがいわゆる縦貫自動車道となって、四百三十人の議員が総力をあげてやろうという一つの大きな問題点であろうことは大臣も御承知通りである。従って鉄道改善を行われる将来の方向と、近代的道路改善が行われる方向というものについては、そこに適当な比重考えられなければならぬ。これらについても何ら基本的な審議等が行われておるとは考えられない。またこれが単なる経済企画庁の、悪くいえば属官程度の者にまかせて、これかでき上るものじゃないと思う。少くとも内閣に、閣僚中心とした最高度審議機関を置いて、そして日本交通運輸政策については、ます中心高速自動車道、それに従来から長年の歴史で、鉄道発達はこうだ、それからまた一般交通の用に供すると称される道路法に基く一級国道、二級国道、あるいは重要府県道はこうだ、こういう段階を明確にすべき時代がきておるのじゃないか、そういうことが行われておらない。従って五カ年計画をやり十カ年計画をやっても、そのことが国の経済全体を科学的に発注せしめるということについて不十分な結果になる。内閣がかわればまた変ってくる、大臣がかわればまた考え方が多少動いてくる、こういうことになるおそれもある。それはどうされるのか、そういうことについての質問を私は申し上げておるのですが、根本建設大臣の御所見をお伺いしたい。
  6. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま前田さんが言われた通り、これは日本経済再建あるいは日本国土開発、民生の安定の一番基本的な問題だと思います。その意味において、ただいまの御意見並びに御質問は、全く私も同感でございます。実は皆さんも御承知のように、各党の首脳部がみんなそれぞれ、あるいは鉄道建設審議会あるいは道路審議会あるいは縦貫国道審議会、こういうところに出ておられ、閣僚もみな出ておられます。従いまして、これは人情の自然のいたすところでありましょうが、鉄道をやられる人は鉄道オンリーでものを考えておる、一般道路の方は一般道路オンリー考える、それからまた縦貫国道の方は縦貫国道オンリーに集中してしまう、そしてそれがおのおの各省意意見を具申されて、これがまたいろいろと予算その他に動いてくる、こういうのが現状でございます。そのためにややもすれば、一つ一つとしては合理性を持っておるけれども、全体としては非常にむだな投資が行われておるじゃないかという例が出てくるわけでございます。そういう意味におきまして、実は私も就任間もなくでございましたが、日本経済情勢は決して多くの二重投資は許されない、港湾にしろ道路にしろ鉄道にしろ、もっと総合的に、体系的にこれは考えていかなければならぬじゃないか、けれども、どうも今の機構ではそれがなかなかむずかしいから、これは総理をチェアマンとするところの強力なる閣僚会議を設くべきだという意見を出しておるのであります。もちろん関係閣僚も相当これにみな共鳴されまして、近くこれは経済企画庁中心といたしまして成案を作りまして、運輸交通に関する総合的な最高一つ機構を作ってそうして整備したい、こういうふうに私は考え、また関係閣僚の御協力を求めつつあるわけでございます。これは全く前田さんの言われる通り構想を私も考えて、ぜひ実現いたしたいと考えておるわけでございます。  それからもう一つ、従来ややもすれば道路というものに関する基本的認識が違っていやせぬか、今までのように人力、あるいはせいぜい畜力によって割合に短距離の交通が行われておれば、それで道路という目的か達成しておる、長距離は船か鉄道に依存しておる、こういういう時代と、現在は陸上輸送の一番の重点はむしろ道路、しかもその道路というものは自動車道路、しかも漸次その自動車道路高速度かつ専用自動車道路というふうに変らなければ、現在の交通需要を満たすことができない、しかもこれは世界の交通政策実勢である、こういう観点に立って道路政策考え直すべきじゃないか、こういう御意見のようでありますが、全くその通りと私も考えております。これは、先輩の前田さんにこういうことを申し上げるのは少しおこがましいと思いまするけれども、大体日本道路が三十年、五十年おくれておると言われますが、私は百年以上おくれておるじゃないかとすらむしろ考えております。西欧諸国割合道路が早くから発達し、現在もまた特に飛躍的に発展しておるという理由は、ある意味においては、これは戦前からそうだと思いますが、お互いに陸地をもって国境を接しておるところの欧米諸国においては、道路即国防であり軍事道路であった。国際緊張がひどくなればなるほど、道路にもほとんど国力をあげて集中しておる。ところが日本は、海外に進出するというような観点もありましたでしょうが、軍事的、重点一間、観念的には言われておるけれども、ほとんどそれが顧みられていない。従って戦前、戦後を通じて、道路に関するところの国家投資が非常におくれておるということが一つの大きな原因をなしておるものといわなければならぬわけでありますし、また戦後におきましては、各国で国内開発、同時にその国の経済発展基礎として道路整備がとられておるときに、日本では公共事業に金を注ぐと、これはインフレになる、こういうふうな考えから、最も早く基本的問題として取り上げべかりし都市計画やあるいは道路が、もう全面的に後退しておる、これが今日に来たっておるという点が指摘されなければならぬと思うわけであります。しかしこれは過去の問題であって、それなればこそ、今回これはどうしても大きく取り上げなければならないということで、御承知のように、まず三十三年度を起点とする五カ年計画を作りまして、引き続いて第二次五カ年計画、十カ年くらいでとにかく一応日本道路関係を整備いたしたい、こう考えておるわけでございます。このスピードについてはいろいろ御議論もありましょう。またやり方についてもいろいろ御議論があると思いますけれども、この五カ年計画を出発せしめ、特別会計を設けてこれから実行しようとするその意図においては、全く前田さんと私とは同一意見に立っておるということを申し上げたいと存じます。
  7. 前田榮之助

    前田(榮)委員 大体進歩的な大臣でありますから、御意見は非常に理解できるのであります。そこで、この問題をただ理相思として考えることではなしに、政治として取り扱うのがわれわれの任務なんです。しかしながら今申されたこと、私の申したこと等は、そう簡単なものではないのでありますから、直ちに明日というわけにはもちろん参らぬことでありますが、そういう構想のもとに、実施可能のものから強力に進めていくという御意思のようでありまして、まことにけっこうであります。  そこでだんだんと具体的に進まなければならぬ順序になるのでありますが、たとえばそういうようなことになりますると、建設省運輸省やその他の官庁となわ張り争いなどするようなことを考えては、こんな高度な理想は達せられないということになるのであります。従ってそうなったときに相手方の、たとえばわれわれは建設委員であり、建設省中心とした政策を進めていこうといたすものでありますけれども、よく関連に出るのは運輸省でありますが、運輸省関係のものの考え方を否定いたしまして、建設省だけが都合のいいようなことを言ったのでは、これは話にならぬのであって、建設省みずからも犠牲になる場合においては犠牲になるということの気がまえがなければ、こういう高度な政策というものは実現できないということに相なるのであります。さしあたり考えられるのは、高速自動車道というようなものは、道路の上に自動車が走る、自動車道路というものは、ちょうど国鉄における列車レールとの関係なんです。そういうことの上に立つと、これを一元化すべきではないかという説が、すでに識者の中に出ておる。そうするのに一番ガンになるのは、建設省自動車も含めてやるべきだというような考えを持っておる。また運輸省の方では、むしろこの道路というものを、自動車道である限りにおいては、運輸省が管轄すべきである、こういうような情勢が生まれてきておるのであります。これは将来の仮定でありますから答弁を求めようとはいたしませんけれども、こういう点についても、あまり建設省はこだわらないという態度をとらなければいけないと思うのです。そこでこの日本道路政策の中で、すでに着手にかかった自動車道、これの所管は大体建設省所管をし、その道路の上を走るところの、不即不離の立場にあるところの自動車運行等についても一元化すべきであるという説についてはどうお考えになりますか、この点をお聞かせ願いたい。
  8. 根本龍太郎

    根本国務大臣 前田さんも御承知のように、国家行政は、これは縦割りするか横割りするかによって、いろいろに考えられます。とにかく人間の社会生活は非常に複雑でございますから、ある一点からものを見て、さらに裁断しなければならぬ場合もございます。今の交通問題から、自動車道、これは本来自動車を走らすためのものである、輸送のためだ、輸送関係をやっておるのは運輸省だ、しからばこれは運輸省にやっていいじゃないかという、まことに明快な三段論法もこれは成り立ちます。しかしながら、現実にしからばそれが走るために作っておるところの道路が、普通の道路とこの道路と全部分けて運輸省にやろうということになりますと、むしろ逆に今度は運輸省とか何とかいわずに、交通省というようなものを設けまして、これが建設から運輸行政から全部一緒にやれという議論もこれは成り立ち得るわけであります。そういう問題については、いろいろと行政機構の問題で将来あるでありましょうけれども、現在において、そのために非常にしからば障害を来たしているかというと、必ずしもそうでございません。御承知のように建設、補修、これは建設事業がやるべきである、なおこれの上を走る自動車そのものの取締り、あるいはその監督ということは運輸省でやっておるわけでありまして、そこに権限の争いということはないはずでございます。ただ両者の間に、十分な運用のために、補修維持というものと管理との関係における事務連絡は必要である、こう考えておりまして、今現実の問題としてはそういうふうな状況で、特に摩擦はございません。しかし将来の国家行政機構として、運輸省というものに一切の建設から何からやらすべきかどうかというような問題となれば、これはまた別個の問題として研究する価値があるだろうと思います。たとえば、御承知のように各官庁はすべて官庁自身の営繕が必要である。各省が独立している以上、一切のものを自分でちゃんと設計し、営繕をやればいいのだ、こういう議論も成り立ちます。しかしながら、同じ国家のものであるならば、一々、それは行政そのものじゃないのだ、作るということはやっぱり建設省に一切の各省の営繕をやらした方がいいのだということで、すでにこれは営繕に関する法律ができておるというふうに、建前々々において、これは国家の行政機能の分割の仕方があるだろうと思うのでありまして、この点は将来の研究課題として十分に研究すべきであると思っております。
  9. 前田榮之助

    前田(榮)委員 次にお尋ね申し上げたいのは、道路公団に関する機構であります。今御質問申し上げたようなことか、実情に基くとはいいながら、不明確な状態からきておるのではないかと思うのでありますか、道路公団は今度の縦貫自動車道路の吹田―小牧間の土地買収を初め、すでに本年度、三十三年度から工事にかかるという段階にきておるのでありまして、これが道路公団をして行わしめることになっておる。道路公団については、まだ私は具体的には詳細な、明確な方針というものを聞いておりませんけれども、ただ道路の施工ということのみならず、駐車場の関係から、そこに行われるところの給油事業等についても手をつけようとされておるやに聞いておるのであります。これはあながち全面的にやるということではないようには聞いております。全面的にやるということではないように聞いてはおりますけれども、いろいろなそういうことをやりたいという考えがあるのか、あるいはまた必要な個所に置きたいと思っても、一般民間業者では、利害関係のことでありますから、損をしてまでやるという者はおらないというようなこと等があったときに備えているのか、いずれにいたしましても、そういういろいろな傾向を見ておるということですが、こういう点についての建設省の監督をいかにすべきかということで、将来自動車等、運輸関係においても建設省が行うという建前に立ちまするならば、この道路公団はそういうところまでやってもいいということにもなるわけなのですが、それは運輸関係だ、道路公団は建設省所管の事業を行うのだということになりまするならば、これはわき道にそれるということになる。そういうことについても、明確を欠いては私はいかぬと思う。そういう点に対するところの大臣の方針を承わっておきたいと思う。  なおもう一つ、ついででございまするが、過般道路公団か背景となって、高速道路調査会というものを設けられたのであります。私はその発会式に招待を受けて参りました。そうしてその副会長は道路公団の総裁の岸さんがやられておる。しかもまたこの調査会が約一千万円からの金を集める、そうしてそれには、道路公団の吹田―小牧間の調査資料については、ほとんど重要なもを与えておる、こういうことは何の必要があってするのか。縦貫自動車道の法律に基いて、政府審議会の要求によって資料を提出しなければならぬ。そうしてその調査資料を出して、審議会が審議をした結果、道路線の設定を行うという法律に基いて、建設省自体が調査をしなければならぬ。その調査を、建設省の、国民予算をもって行うところの道路公団が、法規も何もない調査会へやらせるために、それは調査の内容についてはいろいろやり方もありましょうから、違ったやり方というようなことも聞いてはおります。聞いてはおりますけれども、それは建設省所管する調査の範囲外ではないはずなのであります。そういうことを道路公団が行うということは、ちょうど今日の国鉄が、鉄道一家というものを作っていろいろな汚職事件等を起しましたが、その二の舞と同じことなのであって、ただ鉄道は長い間の歴史で、自然発生的にいろいろなものができたので、これを急速に、それじゃここが悪い、あそこが悪いと言うことは、その言う人にも私は無理があろうと思う。しかしながら道路公団については、もう創立間もないことであって、今日発足間もないときに、いろいろな外郭団体を利用してやる。その外郭団体を利用するならば、同じような外郭団体については同じような待遇を与えるのかというと、そうではないらしい。調査会を道路公団の中へ設置しておる。それなら縦貫自動車道協会のようなものもあの中へ一緒に置いてやったらどうだ。そういうことは、お前の方の八田嘉明は許すけれども、片一方は許さぬということはおかしい。それがどこからくるかということをわれわれは今日において考えないと、この大事業をやる、日本の近代的な交通政策の重要な施策を行うところのものが、何が営利会社に毛のはえたようなものが寄ってたかってがたがたしょうというような格好に置くことは、これは絶対に禁物だと思う。そういうことを何ゆえに見のがしておるのか。根本さんはまさかそういうことを見のがすわけはないと思うのですが、どうなんですか。根本さんがお知りにならぬのならともかくですが……。私はこの間、堂々と工業倶楽部でたくさんの人を集めて創立総会をやられて、びっくりした。そういうことを道路公団に建設省がやらしめておるということは、私は建設省の重大な責任だと思うのですが、その点いかがですか。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一点からお答えいたします。第一点は、道路公団が現在のいわゆる名神国道の沿線において、本来の使命である建設事業のほかに、ガソリンとかその他いろいろの営業的な工事をしようとしておるではないか、これを許しておるのかどうかという意味の御質問だったと思います。これは道路公団の使命として、許してないわけでございます。道路公団は道路建設が主体であります。そのために必要なる工事をやらせるということであります。しかしあの高速自動車道路ができた場合に、ガソリン・スタンドをどうしてもどこかへ作らなければならぬ。あるいはまた簡単な施設も、その他付帯設備も必要とすると思います。そういう工事を別途に作らせるよりも、やはりこれを道路公団が作った方が、工事の一貫性からしても、それから設計の統一性からしても、いいという場合があり得ると思います。これについては十分考えてやってしかるべきだと私は思います。しかしそれを経営するということは道路公団がなすべきものとは考えておりません。しかし公団の事業としてそれをやりたいという意図があるいはあるかもしれません。またあっても決してこれは不当ではないと思います。たとえば道路公団が一つの公企業体であって、そこでできるだけ収益を上げて、しかもそれが決して他の民間企業を圧迫しないことであって、それによってどんどんやるというような気持を起すことそれ自身は、決して責むべきことではない。しかし、これをやらすべきかいなかということは十分慎重に考えなければならぬことでありますが、現在のところ、そういう申請はまだ聞いておりません。もし何かそういう方策があるとするならば、具体的にその意図並びに計画を見た上でこれは考えるべきだと思います。しかし現実にそういう問題が起っていませんから、今から私はそれに対して断定を下すわけにはいきませんけれども、そういうふうに考えております。  その次に、今のお話によりますと、財団法人の高速道路調査会が作られて、それが道路公団の中にあるというようなことでいろいろな疑惑を招くので、これについての所見を聞くということでございますが、高速道路調査会なるものが財団法人として設定されるに当っての申請を受けたことは存じております。これはその前に縦貫自動車道協会というものがございまして、これがだいぶ前から認可を要求しておったようであります。私の代におきましていろいろと事情を聞きましたところ、これは拒否すべき理由はないと私は判定いたしまして、これについてもいろいろ内部的な事情があったようでありますが、十分内部的な整備ができれば認可すべきだということで、さきに認可したのであります。それと相関連しまして、今度は大体似たようなことではあるけれども、財界の人々あるいはこれらに関係ある人々が、いろいろと今後の高速自動車道の発展並びにそのために必要なる基礎的研究調査をしたいということについて財団法人を作りたいということでありますので、事務的にこれを検討調査したところ、差しつかえないというので、それならば両方やらせていいでしょう、こういうことになっております。しかし今聞いたように、これが特別な利益を一つの協会にのみ道路公団が与えているというようなお話でありますが、そういうような状況は何らないはずであります。たまたま今のお話を聞きますと、その協会の副会長に岸道三君自身がなっておるということから、そういう問題が出たと思いますが、岸君自身はそういうえこひいきをする人物とは思っておりませんし、また岸道三君がその副会長であるということは、私は今初めて聞くような形でございますが、よくその点の事情は事務当局をして調べさせまして、間違いのないようにすることについては全く前田さんと同意見でございます。
  11. 前田榮之助

    前田(榮)委員 高速道路調査会、それから縦貫自動車道協会、こういうようないわゆる外郭団体と申しますか、民間団体において甲乙はつけない、一部のものに特別な便宜を与えるようなことはしない、こういうことでありまするが、当然そうあるべきものなのであります。ところがこの調査会というものは、作る初めから道路公団の岸さんのあいさつ状で、道路公団がやろうとしたのです。これはたまたま民間から、そういう自然発生的に要求があって、それが法人として団体になった、こういう自然発生的なやり方じゃない。道路公団の方からあいさつ状というものがちゃんと出て、ああしまったというようなことがあったらしいのですが、しかしもう現実に証拠も出て、きまっておる。そういうことから来ておる。だから、ものの発足は違うのです。従って、この道路公団が調査会で資料として出している印刷物等についても、相当なものが出ておるのでありますが、この印刷物そのものが直ちに金になるとか、いや一部の業者の利益になるとか、そういうものではないということは私もよく承知しておるのです。しかしながらそのことが、間接にはいろいろなこの調査会を構成しておるところの連中の営業のために、どういうような役割をするかということは、これはもうしろうとでもわかるような状態なのです。これが法律的に違反であるとか不当であるとがいうことは、それは言えないと思う。だから言い抜けばどうでもできるという状態でありまするが、こういう情勢が、果して正常なるところの政府の機関として行う、また国民の税金に基いた資本で行うところのこうした道路公団、こういうものがやるべきかどうかということが問題なのでありまして、ただ単にこのことだけを直ちに今日問題にすべきかということは、私はそれほど重要視せぬでもいいものの性質のようにも考えますけれども、この傾向か将来発展したときに、果してこの日本の――この日本というよりも、建設省というものの国民に対する責任というものが済むか済まぬかということです。こういうことが起ることは、建設省としては住宅公団もあるし、あるいは金融公庫もあるし、いろいろな関係がある、この大事な仕事を、他の団体はきわめて公正に、廉潔な行為を行われておるのにかかわらず、道路公団のこのことによって、将来いろいろな邪道に入る基を作るということになったら大へんじゃないかと私は思っておる。そこで、これが民間から自然発生的にできたそういう団体、たとえば縦貫自動車道協会のようなものであるならば、これは私は、それがたまたま多少便利を与えたということがあったって、これは国民が作っておるところの団体に対してサービスをするのはまた当然だと思うのですが、そうでなしに、この発足からいろいろな疑惑を招くようなことをやっておるのは、これは何か意図があるのじゃないか、こういうことが一つ考えられる。またこの問題と直接結びつけてよいか悪いかは、私にもまだ明確な判断は行われぬのでありますが、縦貫自動車道というものが国会審議の中で、四国会、五国会にわたり、いろいろな経過を経て、審議の過程においても、自民党は自民党、社会党社会党立場で、非常に苦労をしてきた法律なんであります。これをやはり依然として一部の中には、この立法の精神を曲げようとする傾向もないとはいわれない。縦貫自動車道というものは、いわゆる東京、小牧、吹田それから下関というようにずっと通っていく道路の中で、東海道線を通るか中央線を通るかという深刻な競争が行われてきた結果なんでありますが、そういう点についても、前の大臣も中央道を通るべきだということを本委員会でも明言されております。しかしあながち、腹の底から建設省はその方針を推進しているかどうか、そういう点については、私は今の段階においても疑問があると思う。それで果して立法府と行政府との関係が円満にいくかどうかということも考えられる。そういうこともからんで、この日本道路公団というものの中に、いろいろな動きが行われていると世間ではうわさされている。その道路公団、その道路建設の実施に当る道路公団が、この高速道路の調査会というものを、何ゆえにこんなものが必要であるのか、自然発生的にできたものでないものを何ゆえに作ろうとするのか。これは当然内閣審議会において行われ、そうしてそれに基くところの資料を作るためには、建設省運輸省等においてその調査を行う、こうなっている法律を、そのまま正直になぜやっていけぬのであろうか、こういう議論をしたくなる。果してそういうことであるかどうか、そこまでうがってよろしいのかどうかということについては、一応私も反省しなければならぬ点もあるかもわかりませんけれども、この調査会の創立総会にこの間私は行って、これでよろしいのかどうかということについて非常な疑問を持ったのですが、その点についての一つ大臣の御所見をこの際承わっておきたい。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、建設省としては、岸道路公団の総裁を信任して総裁の地位につかしております。今日までの岸君の業績から見ても、特別の意図をもって自己のために云々というような人物ではな。いと私は信じています。従いまして、こういうような調査会の中に入ったといたしましても、それは全く高速自動東道の今後の完成のために、またできてから後のこれが一般公共の福祉のために、できるだけ役に立つように、そういうような意味においてやっているものと私は信じております。しかしながら一面におきまして、本人の意図にもかかわらず、そういうような機構を作り、それにまた巻き込まれることによっていろいろな心配事が起るということも、これは過去にそういう例がないでもないというようなあなたの御心配も国会の審議過程において検討すること、これまた当然のことだと思います。従いまして今後は、今前田さんの言われるような御心配はないように十分に監督せしむるとともに、また本人にもぜひ、そういうふうな意味において指導することによって、万全を期したいと考えておる次第でございます。なおまたこの調査会ができたために特定の業者に特定の利益を、不法ではない、また不当ではないけれども、好ましい形にあらざるところで与えはせぬかという御心配があるならば、いろいろと御指示を得まして、そういう心配のないようにさらに注意することも、私はやぶさかではないわけでございます。
  13. 前田榮之助

    前田(榮)委員 最後に一点だけお尋ね申し上げておきたいのですが、縦貫自動車道は、前にも申しましたように、われわれ立法府としては非常な意気込みをもって、法律を全会一致をもつ、て通過せしめたものでありますが、いろいろな疑惑が起っておりますので、この際大臣の所信を明らかにいたしてもらいたいと思います。その点は、今お話を申し上げましたように、内閣は調査を行わなければなりません。一応法律の別表の中に経過地は示してはございますけれども、さて実施については、同じ経過地とはいいましても、その経過地の右にすべきが、左にすべきかというような技術的な方面の問題もございまするために、別表に置かれておるのでありますが、この調査の仕方というものが、実施案というものの作成に非常に重要な役目を果さなければならぬことに相なるのであります。そこで建設省は、従来のいきさつにとらわれずに、虚心たんかいに、法律の定めるところに基いて、この調査を行わなければならぬと思います。聞くところによりますと、第一の調査は、道路が別表の経過地の線へ行うことが可能であるかどうかということを調査するというような話も聞いておるのでありますが、これはおかしい話でございまして、可能であるかどうかということを調査するというような、そんな頭の置きどころで調査をしては相ならぬと思う。それは、技術的に調査をした結果が可能か不可能かということを決定するのであって、大体可能であるという前提に基いて、あの法律はできておるのである。それを行政府の方で可能であるかどうかということを調べるなんというような、そんな心がまえでは私はいかぬと思う。これはおそらく建設大臣の意図ではないと思う。そこで、この日本で画期的な道路でありますところの縦貫自動車道問題点であるところの、東海道線か、あるいは中央線かというようなことは、もうそういうことは問題ないはずなんです。しかし、技術的に調査した結果が問題になるということならば、これは別の問題だと思う。だから、これを積極的な態度で調査をせしめて、一日も早くこの完成に努力をささげるという御意図であろうと思いますか、この際、建設大臣の明確なるところの所信を披瀝いたしてもらいたいと思います。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今御質問の、中央自動車道の調査につきましては、本年も航空写真などでやっておりましたが、これをいよいよ実施するということになりますれば、本格的な調査をしなければならないということで、三十三年度に五千万円の経費をもちまして、現地について相当精密な調査をして参る、こういうことになっております。従いまして憶測あるいはその他いろいろありましょうけれども、決して今言われたように、可能かいなやを調査するということではなくて、おそらくやるということになりますれば、どれだけの経費がかかる、あるいはまたその場所をどういうふうにした方がいいか、これはいろいろ客観的に、何ら政治的な意図なき調査をするのが目的でございます。できた結果を、それじゃいつからどういうふうにするか、資金計画はどうかということは、その後に出てくる問題でありまして、調査それ自身に政治的考慮とかなんとかは全然ないのでありまして、大体そういう判断をする人間が調査するのではございません。これは全く技術屋が技術的に調査することでございますから、さように御了承を願いたいと思います。
  15. 西村直己

    西村委員長 三鍋義三君。
  16. 三鍋義三

    ○三鍋委員 大臣及び所管の局長その他に若干の質問をいたしたいと思います。前回の委員会におきまして、昭和三十三年度の建設省関係予算の概要の説明と、その建設行政構想について御説明を受けたのでございますが、この予算かでき上るまでに大臣が実に精力的に熱情をもって努力された跡を見まして、心からその努力に感謝申し上げるのでありますが、大臣は、このでき上った予算を見られまして満足しておられるのか、不満足なのか、大体この辺のところでやむを得ないのだ、こういったような観点に立っておられるのか、これをまずお聞きしたいのであります。その御質問申し上げるわけは、私は建設行政立場から、どうも行き当り、ばったりであって、全般を通じて一貫性、計画性がないといったような感じをこの予算を見て感ずるのでございますが、これに対して大臣の御所見をまず承わりたいと思います。
  17. 根本龍太郎

    根本国務大臣 三十三年度建設予算についてお前は満足なのか、不満なのか、あるいはやむを得ないのか、こう言われますが、端的に言いますと、これは全体の国の財政の面とそれから建設行政の必要とするところの予算との関連の、総合的な勘案で見なければならぬと思いますが、まあまあというところがほんとうじゃなかろうか、こう考えております。  その次に、今度の予算計画性、一貫性がないのじゃないかというような御指摘があったようでありますが、これは私はあなたの説に賛成はできないのであります。道路関係につきましても、すでに五カ年計画もあったようでございます。しかしながら、先ほど前田さんにお話し申し上げましたごとくに、現在の日本経済の現実の姿と日本道路のあり方、こういう点を勘案いたしまして道路政策考えてみる場合に、従来の観点を、さらに一層広い見地に立ちまして再検討すべきであるという結果、御承知のように、だいぶ前に当委員会におきましても申し上げたような道路十カ年計画なるものを私は策定いたしたのであります。しかしながらこれを実施する場合において、道路十カ年計画として実施するかどうかについて具体的に考えてみますれば、十ヵ年は少し長過ぎる、なおまた他のすべての計画が五カ年計画をもって実行しておりますので、それとの関連においても五カ年計画として、私の十カ年計画が全面的にここで生きてきた。従ってその点については行き当りばったりではなくして、少くとも十年の日本の将来の経済の姿と、それに対応する道路のあり方を勘案しつつ、そのうち前期五カ年の見通しを立ててこの計画を立てたというわけでございます。なお、しかもこれには財政上、そのつど毎年の状況によって変化してくるのでは大へん困りますので、そこで特別会計に基きまして、一般会計が不足の場合においては他の一般借り入れもでき得るという道さえ開きまして、しかもその事業計画についても五カ年の見通しを、立ててやったわけでありますから、その点は若干の進歩を見たものと考えておるわけでございます。  それから治水関係につきまして、これも御承知のように緊急五カ年計画と、いろいろございましたが、本来ならばこの治水関係についても、特別会計もしくは継続費の制度を作りたかったのでありますが、これはすべて私の言う通りにはならなかったのであります。しかしこの治水関係につきましても、従来の速度からすれば相当大幅に推進するだけの了解は、経済企画庁も大蔵省も認め、また御承知のように従来なりも、少くとも昨年よりは約十億の増を来たしておる。個所もふやし、さらにはまた関連災害等については、従来よりも改良的部分を相当見ておるという点も一つの進歩ではなかろうかと思います。  住宅計画につきましても、三十二年度の計画は相当、これは端的に申しまして従来よりも大幅にふやし過ぎております。この五カ年計画を従来のままでいくならば、本来ならば昭和三十三年度は現在の十九万九千戸より二十一万戸ぐらいにしなければならぬ速度でございます。けれどもこれは三十三年度の経済の発展の速度を三%程度に押えるという、いわば超均衡予算をとったというために、これは三十二年度と同等の額にいたしました。この点は、ある意味においては停滞であり、また積極的に見れば、数においては後退と見られるかもしれません。しかしながら質においては、これは従来当委員会皆さん方の特に主張されておりました点を十分勘案しまして、質的な向上は十分はかったつもりでございます。すなわち公営住宅に重点を入れた、しかも公営のうち低額所得者に重点を入れたという点については、これは数字に示している通りでございます。このようにいたしまして、私は必ずしもこれで非常に満足ではございませんけれども、現在の政府財政並びに国民経済の見通しからすれば、この程度でまずわれわれの計画が、完全ではないけれども、従来の計画が一応前進しておる、こういうふうに考えておるのであります。しかしながら経済の発展が、しかも堅実に日本経済再建ができるようになりますれば、さらにこの計画推進するという熱意については常に持っているということを申し上げたいと思います。
  18. 三鍋義三

    ○三鍋委員 大臣の御答弁によりますと、私の心配した点は払拭されたように一応御説明になったのでありますが、私は必ずしも大臣の御説明に納得できないのであります。たとえば道路整備の問題にいたしましても、五カ年計画が立てられて、二十九年から三十三年度までにこれを実施することになっておったのが、十カ年計画という構想、一兆九千億が出てきた。これはえらい馬力をかけて、道路行政の急激な進展ということからでもありますが、大へんいい考え方で、道路行政を進めていこうとしておられるこの意図に、私たちは非常に希望を持っておったそのやさきに、岸さんの御意向か何かで、そんなまだるっこいことではだめだから三カ年計画でやれといったような姿が一つ浮び上ってきて、新聞紙上をにぎわしたことは御承知通りであります。そういったいきさつから、最後に決定されたのは新五カ年計画ということになりまして、総予算九千億、こういう構想が出てきました。それは三十三年から三十七年までということになるのでありますが、ここら辺に何かぐらぐらしておった感じを受けるのであります。どうもネコの目のように変っていっておる。一つの線を出す過程においていろいろ審議、検討されていくことは当然でありますけれども、結論からいうと、これは新五カ年計画というよりも、前の道路整備五カ年計画とずっと通算してみると、私は九カ年計画道路計画である、こういったような感じを受けるのであります。それはいずれにしても、新聞紙上に出ておったのを取り上げてとやこう言うのではありませんけれども、岸さんの感覚ですね。ここに私たち納得のできない一つの問題がある。何か後世に自分の名の残るような仕事をしたいようなことを言っておられたと新聞で読んだような気がするのですが、自分の名前を後世に残すために派手なことを短時日にやりおおせようという根本的な考えのもとに、道路行政が転々として移り変る、こういうことになると、私は、先ほど前田委員が心配されましたように、果して計画性があるのか、他の交通機関と総合的な一貫したところの考えのもとになされた結果であるかどうかということに疑問を持つから、大臣に先ほどお尋ねしたわけなのであります。たとえば、小さい私たちの日常生活において目につく問題を一つ取り上げてみても、東京には名物が数々あります。その数ある名物の中で、一番世界的な名物は私はやはり道路工事だと思う。きのう竣工したものをきょう破壊している。こういった一つの身近な例を取り上げてみましても、私は道路政策一つ取り上げましても、どこに総合的、計画的なものがあるかというところに疑問を持たざるを得ないのであります。国民の税金が非常にむだづかいされているといった感じ、これは私たち日常身近に見るところの姿ではないかと思うのであります。おとといですか陳情を受けたのでありますが、あるいは大臣の手元にもきておるかもしれませんが、調布と府中の補助路線の問題、旧甲州街道というものがある。現在十八メートル道路ができておるが、それではどうも交通上非常に雑踏して困るから、補助道路をまた別にその付近に作ろう、こういうことであります。こういうことでも、一貫した一つ計画性かあれば、こんなむだなことをやらなくて済むのじゃないか。そこで今度は立ちのきとか補償とか、あるいは十八メートルの道路中心としたところのいろいろの住宅あるいは商店の経営、こういうものが全然むだになってしまって、自分たちの生活を脅かすというところに、こういう問題が陳情となって現われてくる。こういうこまかい問題を取り上げましても、この道路行政一つを取り上げましても、もっと真剣なる総合的な計画性というものが必要ではないか。もちろんそんなことはだれだってみんな考えておることでありますし、当然のことであります。それ以上に急激な経済発展によって、次々と初めの計画が間に合わないようになっていく、これは私は理解できるのでありますが、十年、二十年先のことを見通しできなくて、どこに道路行政があるかという、そういう考え方も当然出てくるのではないかと思うのであります。  次に、住宅問題にいたしましても、あれほど喧伝されましたところの住宅問題は、今やその姿は実にさびしい姿でふるえておるといった、そういう形が予算の上に現われてきております。ただいま大臣のこれに対するところの内容の御説明があったのでありますが、これは後ほどまた住宅局長その他に詳しくお聞きしなければならぬのであります。  次に、災害の復旧にいたしましても、三十三年度はどうしても四百十六億円の金が必要だ、こういうのが三十三年度の予算を構成される上における一応の考え方であった、こう思うのであります。これを言いかえれば、これだけはどうしても必要である、これだけはやらないとまた災害を生んで大きな損害を与えるというところに出てきた数字であると思うのであります。ところが実際の予算を見ますと二百二十七億五千万円と、昨年よりも四億二千万円も減っておるのであります。  私は以上二、三述べまして、何か一本のしっかりした筋の通ったものがないのではないかということを申し上げたのでありますが、しかしこの道路整備というものを三大施策一つに大きく取り上げられまして、そうしてこれに予算処置も、またいろいろのこれを運営していく上におけるところの処置をとられたことに対しましては、心から敬意を表するのでありますが、どうも全般的に見まして、私は現在の建設大臣がそういうことがあるというのではないのでありますけれども、何か政府としてのやり方は、ぱっと一つ目新しいものに飛びついて、人が一ぺん飛びついたものは、あとおれはもうそんな人の手をつけたものは知らないといって、また別のものを何か見つけ出して、それに飛びついていこう、こういった何か軽薄なものを感ずるのでありますが、私の考え方は間違っているでしょうか、大臣の御所見を聞かせていただきたいと思います。
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路政策につきまして岸総理が非常に強い関心を持たれておることは事実でございます。しかしそれはただいま三鍋さんが御指摘になったように、いわゆる自分の功績を将来に残すための種として興味を持ったのでないことは事実でございまして、総理も、御承知のように総理に就任されてから、欧米はもとよりのこと、東南アジアもよく見て参りまして、何としても日本道路のおくれを取り返さなければならぬ、これを非常に強く感ぜられましたがゆえに、私が申し上げました構想では、十年かかるのはちょっとおそきにすぎはせぬか、十年もたったらだいぶ状態が違ってくる、そこで三年なり五年でやろうとすれば一体どういうふうになるか、一つ研究してみてくれ、こういうことなんです。そこで私もいろいろ資料をもって研究してみますと、これは私もやりたいことはやりたいけれども、建設大臣であると同時に国務大臣でありまするがゆえに、予算のほとんど大部分をこっちに持ってくるというところまでは私は主張しかねました。同時にまた技術的にもかなり困難な問題がございます。道路は、先ほどあなたも御指摘になりましたごとくに、これは非常に便利であると同時に、これをやるためにはまた現在の私有財産に対して相当大きな変動を与えなければなりません。すなわち土地収用をしなければならない、こういうことになりますと、技術的に非常に困難な面が出てくるので、そこでいろいろ総理にもお話し申し上げまして、先ほど御説明申し上げました五カ年計画程度になったわけでありまして、これは何らネコの目のように方針なく変ったのではなくて、このおくれをいかにしてすみやかに回復すべきか、それにはどの程度の実際的な計画が必要であるかということの検討の過程において、新聞でいろいろ取り上げて、これをあるものはひやかしたり、あるものは激励したという段階でありまして、総理が道路整備にかつて見ない熱情を示したということでございまして、決して自分の功績を将来に残すとかなんとか、そういうけちな思いつきでは全然ないということは御了解願えると存じます。  その次に、内閣が変るとすぐに新しいスローガンで、前にやったところのものをだんだんないがしろにするではないかというような印象を受けるような御質問でありましたが、それはそうじゃございません。御承知のように、住宅政策は鳩山内閣で取り上げられまして、三十年から本格的に進みまして、そうして昨年石橋内閣において、さらにこれが従来よりもスピード・アップいたしました。これはどこに原因があるかというと、御承知のように石橋内閣における財政経済政策の見通しは、一時神武景気といわれたごとくに、昭和三十二年は相当の経済の伸展がある、外資の関係も決して心配要らない国内経済は順調にいく、にもかかわらず住宅の困難があるから、これに重点を入れるというので、従来の鳩山内閣におけるところの計画を、さらにスピード・アップいたしたわけでございます。ところが、御承知のような経済情勢の激変がございましたために、これを修正いたしまして、今日に参っているわけであります。その修正の部分だけ、本年はやはり一時足踏みするということでございまして、これは政策の変更ではございません。変更ではなくして、むしろ一般的客観的経済情勢、社会情勢の変化に応じて一時これをセーブした、こういう形でございます。  いろいろと御指摘になりました点は、われわれ政府が事業実施に当りましては十分に考慮いたしまして善処しなければならぬと思いますが、本質的には、決して総理が思いつくとかなんとかいうことじゃなく、むしろ非常な熱意をもって、建設大臣としての私を激励しておるという姿であるというふうに御了承していただきたいと思います。
  20. 三鍋義三

    ○三鍋委員 今大臣の御答弁をお聞きしておりますと、まことに、なるほどそうかなと、ひょっとこう思うような、誠意ある御答弁でござましたけれども、しかし私はやはり大臣の御答弁をそのままうのみにすることができないような印象を、この予算のうちからどうしてもぬぐい切れないのであります。経済の激変によって、それに対する引き締めが、ある程度の影響をその施策に与えておるということもおっしゃったのでありますが、その一例をとってみましても、一体経済の急激なる変化というものがどうしてわからなかったか。これに対しましては、あの三十二年度の予算審議の過程におきまして、社会党が、政府考え方は甘過ぎるということを指摘しておりましたことは、大臣も御承知通りであります。また住宅政策に対する嶋山前総理大臣のあの熱心なるお気持、それから現在の新道路整備五カ年計画に対する岸さんのお考え、みんなやはり何とか必要に迫られた、国民の要望にこたえるところの大きな関心と、海外を旅行された、その旅行の御視察の結果であるという、筋の通ったものであることは、私は了解するにやぶさかではないのでありますけれども、具体的にその推移を見ておりますと、どこまでほんとうに真剣にやろうとしておられるのかという疑問を持たざるを得ないので、一応それに対する私の考え方を述べまして、今後の施策の実行に当りまして誤まりなきを期していただきたい、このように考えるのであります。  そこで河川関係につきまして、河川局長に若干御質問申し上げたいと思います。この河川改修費を予算面で見ますと、九億四千万円の増ということになっておりますが、新規事業は直轄において三本、補助事業においては、中小河川では、緊急を要するものが全国に四十数河川あるのに、わずか二十二河川しか着工できないという形になっておると思うのであります。御承知通り、この河川改修というものは実に長い年月を要するのでありまして、十年から、場合によっては二十年もかかると言われておるのに、こういった状態で果していいのかどうか。最近災害が少くなっておりますから、ちょっとそこに心のゆるみが出てきておるのではないか、考え方が甘くなってきておるのではないか、こういった感じを受けるのであります。改良工事の必要な河川は全国で約三千本くらい必要だと言われておるのでありますが、一年に三十本ずつ新規工事をやるといたしましても、完成するまでには百年かかるのであります。そういたしますと、いわゆる災害は忘れたころにくるという、このありがたくない災害をまた受けるのではないか、そして多くの国土、人命あるいは家屋その他の財産を喪失するのではないか、こういうことを心配するのであります。直轄河川の改修、直轄砂防工事についての特別会計を設置したいということを、一応構想の上に盛っておられたようでありますが、この点は一体どのようになっておるのか、これを一つ河川局長にお聞きしたい。
  21. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 河川の改修事業につきましては、ただいまお話のありましたように、直轄河川事業におきまして三億五千万円余りの増額になっております。それから河川の改修費の補助は、国の予算におきまして、三億六千万円余りの増額になっております。こういう状況でございまして、お説のように新規事業といたしましては、直轄河川といたしましては、昨年非常に災害を受けました本明川等の三河川も採用いたしたいというふうに考えておるわけでございます。また補助河川におきましてもお説の通り、全国的には非常に新規着工の要望が多いわけでございますが、それらのうちから改修の急を要するものを内地におきまして二十本程度を採用いたしまして、改修に着手したいというふうに考えておるわけでございます。昨年度の災害等にかんがみますると、直轄河川等におきまして改修いたしましたところの部分におきましては非常に災害が少かったわけでございますが、特に昨年におきましては中小の河川におきまして、非常に災害が起っております。その観点に立ちまして、特に最近におきましては、補助事業は毎年減額されて参ったのでございますが、三十三年度におきましては、三億六千万円の増額をいたしておりますので、この点におきましては、事業費といたしますとこれの倍近くの増額に相なりますので、五億以上の増額に相なるわけでございます。この内容といたしましては、先ほど申しました中小河川の改修の継続中のものの促進、それから新規のものの採択というものが含まれておりますが、そのほかに局部的の改良事業――継続事業のほかに、非常に川の狭いところがあって、そこを直せば非常に効果が上るというふうな局部的の改良事業につきましても、国費にいたしまして四千四百余万円、事業費にいたしますと、これは三分の一の補助でありますが、一億五千万円の増額に相なる、こういうふうな事業を特に来年度は推進するというふうに力を入れたわけでございます。そういうふうな関係からいたしまして、特に昨年度あるいはこの二、三年災害が少かったのでありますけれども、特に被害の多いと想定されるような箇所に重点を置きまして、部分的でもいいから早く災害を除去してやろう、被害のひどいところから除去してやろうというふうな観点から、三十三年度は相当効果が上げられるというふうに期待しております。  それから特別会計の問題につきましては、先ほども大臣からお話を申し上げた通りでございまして、直轄の改修事業並びに直轄砂防事業におきましては、地方分担金の相当額を借り入れて特別会計を設定しよう、同時に継続費も設定しようということで、要求をいたしたのでございしますけれども、財政あるいは融資の資金等の都合上、その制度はやむを得ず退けまして、ただいま申し上げましたように、一般会計における増額によりまして緊急の措置をしようというふうに決定されたわけでございます。
  22. 三鍋義三

    ○三鍋委員 次に大臣にお尋ねしたいのでありますが、河川法の改正の問題であります。御承知通り、これは明治二十九年に制定されたのでありまして、当時の河川の役割の認識では、現行の河川行政に適合しないことは明らかなのでありまして、すでにこの改正草案というものも数年前にできておるのであります。そこで河川法の改正という問題を、ほかの大臣にお願いしてもこれはだめだと思うので、一つ根本さん、本腰を入れておやりになっていただけないか、こういう考え方を持つのであります。やはり水系主義に基きまして、一本の水系は国あるいは府県、市町村、いずれか一つのものが管理するといったようにして、この実績を効率的に上げていく、これに対するまたいろいろの意見もあるのでありますけれども、何とか河川行政を新時代に即応したところの方向へ改正していかなければならぬのではないか、この一番の問題は建設砂防と農林砂防、こういった関係が障害となっておるのではないかと思うのでありますが、現在この両者の間におけるところの関係の調整がどのようになされておるかということとあわせて、河川法改正に対するところの大臣のお考えを、もしお持ちであるならばお聞きしたいのであります。
  23. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、河川法の改正は長年の間の懸案でありまして、しかもこれにはいろいろと立場を異にする御意見が錯綜しておるようであります。従いましてこの問題の最後的決定は、法案ができます前にまず問題がたくさんあるのでございまして、今せっかく河川関係審議会の方に付託をして諮問いたしまして、その答申に基いて措置をきめたい、かように考えておる次第でございます。私といたしましては、でき得るならば今国会においてその諮問に対する答申を得ましてやりたいと思っております。それからどういう方向でやっているかということでありますが、これは法律の詳しいことは私あまりよく知りませんので、河川局長から答弁させたいと思います。
  24. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 内容といたしまして、河川法の問題点といたしましては、先ほども御指摘がありましたように、一本の河川は水系を一貫して管理しなければいかぬ。それから今は河川によりますると、適用しておる河川、あるいは準用しておる河川、同じく河川の中にもそういう河川がございます。また河川法を準用していないような部分もございます。そういうものを一貫して、重要なものについては国が管理するような方法がいいのではないか。それから今は、原則といたしましては、知事が国の機関の委任を受けまして管理をいたしております。その制度がいいか、どうか。数県にわたるような河川につきましては、特にそういう点が問題になってくるわけでございます。  それから各省関係といたしまして最も複雑な問題は、水利権の許可の問題でございまして、この点につきましては、各省とも利水関係を、やっておりますが、各省におきましては、中には、たとえば発電の水利権はその発電を所管する省がやるべきであるというようなことを言うところもあるわけでございます。建設省といたしましては、河川というものは一貫してこれを考えなければいかぬのでありますので、河川を預かるところの一省があって、各省の注文を受けてそれらの調整をはかってやるのが建前であるから、そういうふうにしたいと考えております。この点が非常に大きな問題であると思います。それから河川法は、御承知のように明治二十九年に作られたものでございまして、その後数回の改正は行われておりますけれども、当時におきましては、何と申しましても利水関係が非常に少かったわけでございまして、それに対する規定か法律の中にはっきりしたものがございません。従いまして、それらは政令であるとかあるいは省令等によって、それを運用しているというふうな点がございますので、それらを最近の法律体系に従いまして、法律の中に規定していかなければならぬ、というふうな問題がございます。  そのほかといたしましては、最近やかましくなって参りました水質の汚濁の問題等かございまして、これに対する規定も、河川法の中に規定はございますけれども、やはりもう少し具体的な基準等を作って行政をやっていかなければならぬというふうな問題もございます。それから砂利等の採取あるいは盗んで持っていくというような問題がございまして、罰則等が、非常に古いものでございますから、ゆるいというようなことで、府県において困っている実例もございます。  以上のような点が具体的の問題でございますが、一番やはり問題でありますのは、利水行政の中央機関をどうするか、あるいは県と中央機関との権限をどうするかというような点が一番大きな問題でございまして、これを解決することが将来の河川行政には一番重要な問題でありますし、また議論も多いところでございまして、それらの点がうまく調整できますれば、改正の意義も非常に大きくなるわけでございます。以上が大体の河川法の問題点でございます。
  25. 三鍋義三

    ○三鍋委員 局長からいろいろと必要性をるる具体的に例をあげてお答え願ったのでありますが、そうやってお聞きすればするほど、なぜこの問題がもう少し何とか早く解決がつかないのかという感じを一そう深くするのであります。何をいたしましても貧乏な、そうしてこういう急流河川が綱の日のように流れている中に生活しているところの国民の感情からいいましても、財産保護の立場からいいましても、この貧乏な日本の国の政治のあり方、その姿から考えましても、これはいろいろと問題がありましょうけれども、そういった従来の行きがかりを捨てて、何か一貫したところの一つの河川行政というものが得られないというと、いつまでたっても私たちはむだなお金を、非常に効率の低い形で常に使っていかなければならぬ、こういう状態になるのでありまして、先ほど大臣も、何とか審議会の結果が出たならば今国会においてという気持を、ほのかに述べられたのでありますが、こういう問題こそ、ほんとうにしっかりした腹がまえでやっていただきたいと思うのです。私は先ほど申し上げましたように、たくさんの大臣にここでお目にかかっているわけでありますが、みんな一応その必要性を考えておられるのであります。ところが実際は、いつの間にやら消えていってしまうのです。そういう観点から、今度の大臣こそ、ほんとうにこれを実行していただけるところの実力者である、こういった気持を強く持ちますゆえに、真剣に取り組んでいただきたい、このように要望する次第であります。
  26. 中島巖

    ○中島(巖)委員 関連して。時間もだいぶおそいのですが、今河川法の改正の問題が出ましたので、一言お尋ねしておくのです。  河川法の五十九条、六十条、それから計画局長もおられるのですが、都市計画法の二十五、二十六条、これが裁判所なんかで非常に問題になっているのです。たしか昭和が二十二年か三年だと思いましたが、例の行政事件訴訟特例法というものができまして、行政官庁の処分に対しては訴願前置主義、つまり訴願を行って、その裁決を経て、それから行政訴訟を起すということになっておる。ところが、ただいま申しました河川法並びに都市計画法においては、訴願を経ずに直ちに行政訴訟ができるということになっている。行政訴訟を許したものに対しては訴願を許さぬ、こういうことになっておる。そこで今各所からこの訴願が提起されて、建設省建設大臣あての、地方行政庁の処分に対する取消しの訴願が各所から出ているわけです。そこで私の聞くところによると、都市計画法によるところの行政処分に対する訴願を高松で行なったところが、高松の高等裁判所においては、訴願前置主義であるから、訴願を経て行わねばいかぬということで、直接その特例によって行政訴訟を起したのを却下しておる。そこで、建設大臣としては幾多の訴願を現在受けておるわけだが、これは訴願前置主義の新しい行政訴訟特例法で処理するものであるか、あるいは河川法もしくは都市計画法の特例によって処理しておるものであるか、この点をお伺いしたい。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私よくその点、具体的に実はわかっておりませんから、正確を期するために、事務当高より説明をさせます、
  28. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 河川法の特例になっておるわけです。
  29. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで河川法の特別は、地方行政庁の処分に対しては、上級官庁に対して直ちに行政裁判ができることになっており、行政裁判を許したものに対しては訴願ができぬ、こういう規定になっているでしょう。そこで、今まで建設大臣は幾多の訴願を受けておる、その訴願を受けた際に、なぜ訴願でなくして行政訴訟でいかねばならぬということを訴願者に対して知らせないのであるか。訴願者は、訴願をしたからいいということでおると、そのうちに、いわゆる知ってから六カ月以内の期間が過ぎてしまって、各所で問題が起きて、今裁判所なんかでそれを問題として扱っておる。もし河川法の特例でいくという建設省の方針であれば、これは直ちに行政訴訟を起すべきものだということを、受理したときなぜ言わないのであるか、その点をお伺いしたい。
  30. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 ただいまの問題は、訴願の裁決のときにそういうことを申すわけでございまして、事例によりますと、訴願の裁決がおくれているわけでございまして、その意思表示ができないでいるわけであります。
  31. 中島巖

    ○中島(巖)委員 河川局長答弁は実にこっけいの答弁です。あなたは今、行政訴訟に対しては河川法の特例でいくという御答弁をしたわけでしょう。従って河川法の特例でいくということになれば、訴願前置主義をとらぬわけなんだから、従って裁決すべきものでない、だからこれは行政訴訟法でやらなければいけないということを、受理したときに、言わなければいけない。それをなぜ受理したときに行政訴訟法でいくということを言わないか、こういう質問なんです。
  32. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 先ほどの答弁に申し上げましたのは間違いでございまして、お聞き違いだと思いますが河川法が特例になっておるわけです。
  33. 中島巖

    ○中島(巖)委員 河川法が特例になっておりますから、その特例は訴願ができぬことになっておるのですよ。行政訴訟を直接起すことになっておる。それを今河川局長は訴願を裁決してからということをおっしゃったけれども、訴願ができぬことになっている方針を堅持しておって訴願を裁決するんですか。
  34. 西村直己

    西村委員長 中島さん、あまり不明確なら、ここでいいかげんな答弁を受けるより、すみやかな機会にはっきりした答弁を伺いましょうか。
  35. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それでもいいです。
  36. 西村直己

    西村委員長 河川局長、時間もたちますから、これは法律問題ですし、なるべくすみやかな機会に明確な答弁をよく研究していただくことにいたしましょうか。
  37. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 まことに申しわけございませんが、次の機会にしっかりした答弁をいたします。
  38. 三鍋義三

    ○三鍋委員 少しこまかくなっていくので恐縮ですが、河川局長にお尋ねしたいと思います。  洪水予防のためにロボット水位観測所あるいは雨量観測所を毎年ふやしておられるのですが、これは来年度において、必要量のどれくらいまでこれを備えつけることができるのでしょうか。それからもう一つ、洪水の予報無線局の設置は二百八十一局ですか、そういうことになっているようですが、府県の水防組合でこれを設置しようとするときに、何かこれに対する助成方法が考えられているかどうか、この二点をお聞きします。
  39. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 洪水予報の無線局におきましては、従来も重要河川につきましては設置の補助金を出して参っておりますが、三十三年度におきましてもロボット無線局三局と、それから普通の無線局を五局ほど増設する予算を計上しております。それから府県が水防に際しまして無線機を設置したいという要望が強うございまして、三十二年度からその予算を計上いたしておりますが、三十三年度におきましても、府県の無線機を百台分整備するための補助金を計上しております。
  40. 三鍋義三

    ○三鍋委員 次に、河川の水質の汚濁調査費が今度ようやく取り上げられておるのでありますが、御承知通り、化学工業の発達あるいは下水道施設の発達等によりまして、農業、漁業に甚大な被害を与えておるのでありまして、こういう点から、適切な処置であると思うのでありますが、これに対するところの立法処置を何とか一つやってくれという声が非常に強いのであります。これに対するところの対策をどのように考えていられるか、一つお尋ねしたいと思います。
  41. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 水質の汚濁の問題でございますが、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、最近、河川並びにそれに流入いたします下水あるいは小河川等が汚濁いたしまして、漁業はもちろんのこと、飲料水等に非常に支障を及ぼしておるという点にかんがみまして、これについて何とか立法を考えなければいかぬという御要望が強いのでございますが、これにつきましては、この問題は各省にわたる問題でございますので、経済企画庁中心と相なりまして、総合立法をただいま検討中でございます。それに従いまして建設省も河川法の立場から、それに準拠いたしまして取締りを行なって参るわけでございしますが、とりあえず三十三年度におきましては、汚濁の状況の激しい全国の四河川につきまして水質の状況を調査するという予算を計上いたしております。
  42. 三鍋義三

    ○三鍋委員 これに対するところの立法処置についてどのように考えておるか、いま一ぺんお尋ねいたします。
  43. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 目下経済企画庁中心と相なりまして、立法を考えておるわけでございますが、その大体の内容といたしますところは、地域に応じまして水質の基準をきめる、この川のこの部分ではこういうふうな基準以上に悪い成分が入ってはいけないというふうな基準をきめる、それから地域指定をするということが、おもなる今の水質汚濁防止法の内容になっております。そのために審議会を置くとかというようなことがございます。その水質あるいは区域がきまりますと、それに応じて建設省、私どもといたしましては河川法の立場から、その基準に準拠して河川に注水する水の取締りをやっていく、あるいは下水道の処置をしていくというふうな建前になって参るわけでございます。
  44. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ぜひ一つそういった線でこの法案をまとめてもらいたいと思うのですが、今国会においてどうですか、出ますか。
  45. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 企画庁の方の問題でございますから、私から申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、目下各省とも連絡をいたしまして、早急にまとめるように努力中のように考えております。
  46. 三鍋義三

    ○三鍋委員 そうすると、今のところまだ出るとも出ないとも未定といった、こういうことでございますか、官房長どうですが。
  47. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 水質汚濁防止に関します河川法の改正は、成案を得ますれば提出いたしたいと思って、準備をいたしておるわけでございます。
  48. 三鍋義三

    ○三鍋委員 次に海岸保全の問題について、予算を通じて若干御質問したいと思います。建設当局の要求額は十五億五千万円、これに対して四億五千万円というものが組まれたわけでありますが、昨年度と比較いたしまして七千七百万円増、これは一けた間違いじゃないでしょうね。七億七千万円の増ではないでしょうね。かりに一けた間違っておると見ても、私はこれについては納得いかないのであります。直轄はどのようになっておりますか。
  49. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 海岸保全施設整備事業費というのは、河川等事業費の中に入っておるのが前年度が二億九千百九十四万円でございまして、三十三年度予算額は三億六千万円でございまして、六千八百六万円の増額に相なっております。この内容といたしましては補助事業が全部でございまして、ただ直轄の問題といたしましては、富山県、鳥取県及び兵庫県の海岸につきまして、おのおの約二百万円の事業費をもって直轄調査をするということに相なっております。そのほか海岸の事業といたしましては、災害関連事業の中に高潮対策事業あるいは海岸堤防の助成事業等が組み入れられております。
  50. 三鍋義三

    ○三鍋委員 御承知通り日本の地形を見ますと、ちょうどカツオぶしのような形になっておるのでありますが、ちょっと見たところでも細いのです。それが日本海沿岸は毎年削られていっておるのであります。富山県の例にいたしましても、一年間に二メートルから四メートルくらい削られていくといったような、そういう個所も至るところに見られるのでありますが、この日本海沿岸におけるところの海岸岸の侵食からくるいろいろな損害は、もう見のがすことのできない大きな問題であることは、すでに御承知通りであります。そこでその海岸災害はこうやって年々非常に増大していっておるのにもかかわらず、災害工事の額が、毎年一割は海岸の災害という工合になっておるのであります。ところが海岸の維持費というものは、この工事費に対しまして今日まで平均〇・七%にすぎないような状態になっておるように思うのであります。こういう状態でありますから、年々災害が起きるのでありますが、もう手をつけられなくて打ち捨ててしまっておるというのが地方の実情だと思うのであります。その結果といたしまして、また大きな災害が起ってきておる、こういう状態でありますので、この際、重大な海岸の保全を主として地方にまかせるような今までの行き方をやめまして、維持修繕にも国がめんどうを見るという方向に行っていただきたいと思うのでありますが、この点に対してのお考えをもう一ぺん明確にお聞きしたいと思う。
  51. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 仰せの通り海岸堤防の問題もございますが、特に海岸の侵食の問題は、先ほど申し上げましたように、富山県、兵庫県あるいは鳥取県等におきましては侵食が非常にひどくなりまして、特に人家等のある点につきましての侵食は、非常に地元の重大関心事になっております。そういう次第もございまして、特にこの三十三年度におきましては侵食対策に重点を置きまして、先ほど申し上げました六千八百万円の増額でございますが、そのうち特に侵食対策につきましては四千六百万円を増額いたしております。その結果、先ほど申し上げました分につきましては、三十二年度に比較いたしますると倍額近いくらいの事業費ができるつもりになっております。それからまたこの侵食の問題が、非常に技術的にもむずかしい問題でございまして、その点からも、ぜひこれは直轄事業にしてやっていかなければいかぬということを考えておるわけでございまして、その前提といたしまして、三十三年度はこの工事もやるけれども、特に直轄で二百万円ずつで調査をやろう、あるいはこれは試験的の工事になるかもしれませんが、あわせて一つ調査もやっていって万全を期していこうというふうに考えております。
  52. 三鍋義三

    ○三鍋委員 先ほど、河川法の時代おくれの点から、いろいろと河川行政を沈滞せしめておる点は私から御質問申し上げたのでありますが、それと同じように、この海岸保全の問題も、どうも一貫したところの行政か行いにくい形になって、これは法案成立の過程におきまして当委員会におきましても十分論議された問題でありますけれども、富山県の例ばかり申し上げてちょっと恐縮でございますが、具体的に一番わかりやすいから私は申し上げるのであります。とにかく建設省、農林省、運輸省、こういった姿になっておりまして、そうしてこの工事をやっていられる。実情を見ますと、これで一体どこまで本気にやっているつもりなのかと思われる節が非常に多いのであります。こういう点からいたしましても、何とかやはり建設省でこれを一本にしぼって、効果的なこの海岸保全の行政をやれないものか、このように考えるのであります。統一した行政を何とかしてやらなければ、どうもお金のむだづかいになっているような気がしてしかたがない。それから昨年の例でも、私非常に痛ましいくらいまでに思うのですが、どうやらこうやら予算がついて工事に着工して、そうして何とかかんとかその形だけ、これも全般から見るというと実に部分的な変なやり方なんですが、十月末ころにでき上った。ところがもうこの一月になったら、それが全部ひっくり返ってしまつている。吉原海岸の一つの例をあけましても、一メートルくらいの穴があいておる。ああ今のうちに何とかしなければならぬと思って、それから四日か五日たって行ったら、ずっとそれが崩壊してしまっている。地方の言葉で言っておりますから、専門的なことはわからないのでありますが、この護岸をやったら必ず――いわゆる波切り突堤ですか、専門的にどう言うのか知りませんが、これをやらないと護岸だけやったってだめなんです。波切り突堤をやるとちゃんと州ができてきて、これ自体がしっかり保護されるのです。そういう事態がわかっておりながら、どうしてこれができないのか。今度の一例をあげました私の住んでいる村の海岸の崩壊した問題でも、この波切りをやらない個所がいっているのですね。こういうことは県当局また建設その他の所管関係にいたしましても、こうやらなければこうなるということがわかっておって、予算関係か何か知らぬけれども、それができない。できないから、みすみすそれがまた崩壊していく。これではなんぼお金を持っておったって、いつまでたっても、海岸保全というものは効果が上らないのであります。こういう点をばらばらに各省所管して、ばらばらの考え方でやっておっては一貫したものができないのでありまして、大臣どうですか、これは統一して建設省あたりで一まとめにしてできないか。海岸法ができるまでには相当苦労してできたのでありまして、ああいうものが曲りなりにもできた以上は、これを何とかして実際の效果のあるようなものにしていかなければほんとうのものでないと思いまするので、これに対して大臣は、将来どのようにしていくべきであるか、そしてそれに対するところの研究とか対策を何かやっておられるとしますならば、それを一つお聞きしたいのであります。
  53. 根本龍太郎

    根本国務大臣 海岸保全の重要性と、それの現在実施中におけるいろいろの矛盾については御指摘の通りでございます。端的に申し上げまして、各官庁の所管につきましては、われわれ政治家から考えてみると実際あれだと思うほど、相当深刻なところまでやっておるわけです。しかも今度は委員会制度になりますと、本来大所高所からこれを統合すべき国会におきましても、やはり各委員会同上か所管のためにいろいろと摩擦を起すということは、これはお互いに反省しなければならないことだと私も考えております。と同時に、御承知のように、実は海岸の保全の任務をすべて国の直轄でやるというわけには参りません。どうしてもこれは地方で、自治体の仕事として本来やるべき性格のものに大体なっておるわけでございまして、それに対する政府の補助、助成、指導ということになるわけであります。しかしながらその被害が大きいために、とうていそれができないという場合においてのみ直轄でやるという関係上、ややもすれば仕事の一貫性を欠いておるという実情を、現在まことに遺憾に存じておりまするが、最近に至りましては海岸保全に対する必要性を各県とも相当深刻に認められるとともに、従来は地方財政が非常窮迫にしておるためになかなか積極的でなかったけれども、最近はようやく財政関係も見通しがついたということになって参りましたので、今後は各出先地建を指導いたしまして、県の計画と中央の計画をマッチせしめまして、さらにまた関係省との連絡をも事前につけてやらなければならぬと思います。従来は予算請求の場合におきましても、ややもすれば関係省が必ずしもその問題について協議せずして、ばらばらに要求してきておる、そのために、どうしても予算のつき方もまた非常にアンバランスが出てきておるという点がありまするので、今後は予算要求についても、できるだけ連絡をとって善処して参りたいと思っておる次第であります。
  54. 三鍋義三

    ○三鍋委員 海岸保全の問題は、地方自治体においてそれを保全すべきであるという建前は大臣の御説明通りでありますけれども、実際現場を見ておりますと、地方財政ではちょっとやっていけないのじゃないかと思うのです。地方財政もだんだん仕事がしやすいようになっていく情勢にあるとはいうものの、あのうまずたゆまず二十四時間寄せては返し、そうしてどんと押しているあの姿は、瞬間的に見たところは、荘厳な姿でありますけれども、四六時中やっておる自然の力というものは、地方の力ではちょっと及ばないのじゃないかと思うのです。日本海沿岸の各知事さんあたりから、何とかこれを直轄事業にしてくれ、こういう切実なる要望がきているのを見ましても、これは現場におられる人のほんとうの声だと思いますので、国の直轄施行という面でも、地方でやればいいのだ、若干は国でめんどうを見てやるのだ、こういったことでなくして、ちょっと地方では手におえないような状態にあるということは現実の姿でありますので、国の直轄施行という面につきましても、この上とも御研究と御努力をお願いしたいと思います。  私の質問は、河川関係は以上で一応終るのでございますが、あと住宅につきまして、若干やらせていただきたいと思うのでありますが、どうでありましょう、委員長時間は……。
  55. 西村直己

    西村委員長 次会に留保させていただきましょう。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二分散会