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1958-02-06 第28回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月六日(木曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 荻野 豊平君    理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    伊東 隆治君       池田 清志君    薩摩 雄次君       高木 松吉君    徳安 實藏君       廣瀬 正雄君    堀川 恭平君       松澤 雄藏君    小川 豊明君       中島  巖君    長谷川 保君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設政務次官  堀内 一雄君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     南部 哲也君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君         建設事務官         (営繕局長)  櫻井 良雄君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 二月一日  委員小川豊明辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  小川豊明君が議長指名委員に選任された。     ―――――――――――――― 一月三十日  水防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一号) 同月三十一日  川内川改修工事及び鶴田ダム建設促進に関す  る請願三木武夫紹介)(第四八七号)  府県道米子石見新見線法勝寺地内道路舗装に関  する請願足鹿覺紹介)(第五四三号)  府県道法勝寺母里線を第一種改良工事により実  施の請願足鹿覺紹介)(第五四四号)  福成橋架替えに関する請願足鹿覺紹介)  (第五四五号)  土木事業に対する地元負担金軽減に関する請願  (足鹿覺紹介)(第五四六号)  国道改修費等に対する地元負担金軽減に関する  請願足鹿覺紹介)(第五四七号)  富士岡地区黄瀬川上流部改修に関する請願(勝  間田清一紹介)(第五四八号)  鹿児島、霧島間等道路整備に関する請願(上  林山榮吉紹介)(第六三四号) の審査を本委員会に付託された。 二月一日  交通頻繁地域道路改良工事失業対策労働者  使役制限に関する陳情書  (第一四三号)  地すべり対策に関する陳情書  (第一五四号)  東北地方治水対策確立に関する陳情書  (第一五六号)  治山対策確立等に関する陳情書  (第一  五七号)  災害復旧及び水害対策に関する陳情書  (第一六七号)  昭和三十二年七月二十五、六日の豪雨による災  害復旧等に関する陳情書  (第一六八号)  高速自動車道名古屋北端選定に関する陳情  書外一件  (第一六九号)  簡易住宅建設に関する陳情書  (第一七〇号)  日置町、枕崎市間の二級国道編入に関する陳情  書  (第一七二号)  富山、名古屋間二級国道の一級国道昇格等に関  する陳情書(第  一七三号)  七尾市、高岡市間の道路改良事業促進に関する  陳情書  (第一七四号)  海岸法に基き指定区域に対する国庫補助金増額  に関する陳情書  (第二三二号)  国土開発縦貫自動車道の滋賀県通過に関する陳  情書(第二四七  号)  国土開発縦貫自動車道の小樽市通過に関する陳  情書外一件(第  二四八号)  国道上田市、長野原田間路線路幅拡張等に  関する陳情書(第  二四九号)  道路整備十箇年計画推進に関する陳情書  (第二五〇号)  住宅対策に関する陳情書  (第二五一  号)  都市不燃化建築促進のための建築組合制度制定  に関する陳情書  (第二五三号)  昭和三十二年八月の豪雨による水害対策に関す  る陳情書(第二五五  号)  小災害国庫補助対象等に関する陳情書  (第二五六号)  都市改造及び都市計画事業予算措置に関する  陳情書(第二五七号)  仮店舗設置のための道路使用緩和等に関する陳  情書  (第二五八号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  水防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一号)  建設省関係重要施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  建設省関係重要施策及び昭和三十三年度予算概要について建設大臣より説明を承わります。根本建設大臣
  3. 根本龍太郎

    根本国務大臣 建設省関係昭和三十三年度歳入歳出予算案について、概略を御説明申し上げたいと存じます。  まず総額について申し上げますと、建設省所管一般会計予算といたしましては、歳入八億三千余万円、歳出千二百三億三千余万円でありますが、このほかに、予算計上所管は異なっておりますが、実質建設省所管事業として実施されます予定経費が、別途総理府北海道開発関係といたしまして、百四十九億五千三百余万円ございます。なおそのほかに。離島振興関係として三億四千七百余万円があり、労働省特別失業対策事業として二十八億八千二百万円が計上されておりますので、これらを合算いたしまして前年度に比較いたしますと、昭和三十二年度が千三百十億二千百余万円に対しまして、昭和三十三年度千三百八十五億千百余万円でありまして、差引七十四億九千百余万円の増加となっております。  次に、個々の事業予算について御説明申し上げます。  まず治山治水事業について申し上げますと、総額といたしましては三百十六億七千五百余万円でございまして、前年度三百七億円に比較いたしますれば、九億七千五百余万円の増額となっております。その事業別内訳といたしましては、河川改修等に百七十一億一千四百万円、海岸保全に四億五千百余万円、多目的ダムに七十六億四百万円、砂防に五十八億二千二百余万円、機械整備費に六億八千四百万円を充当いたしております。  このほか、直轄河川事業のうち、利根川外河川につきまして改修工事に付帯する橋梁、水門等工事及び大規模な用地買収等二ヵ年以上にわたる契約を必要とする場合に、これを合理的に処理するため財政法第十五条に基く国庫債務負担行為二十億円を予定いたしております。  治水事業につきましては、昭和三十一年度より実施して参りました治水事業緊急五ヵ年計画基本方針に基き、重要な河川事業重点を置くとともに、施行効率化関連事業との総合化をはかりまして、経済効果確保を期することといたしておりますが、昭和三十三年度においては特に特別会計による多目的ダム建設直轄河川改修並びに海岸保全事業促進をはかるほか、昨年各地に甚大な被害をもたらした地すべりにつきましては、新たに法律を制定し総合的な対策を推進するとともに、地すべり対策事業促進し、抜本的な対策を講じたいと考えております。  次におもなる事業内容を申し上げますと、河川改修につきましては、直轄河川としては継続施行中の利根川外九十河川及び北海道開拓事業に関連する特殊河川十一のほか、昨年甚大な被害を生じた本明川、六角川及び大井川の三河川及び北海道特殊河川一を新規に採択する予定でございます。また補助事業としては継続施行中の二百九十二河川促進重点を置いて施行するほか、緊急に改修する必要がある河川新規採択するとともに、隅田川の浚渫を行う計画でございます。  砂防事業につきましては、直轄事業として施行いたしております利根川外二十四水系継続実施いたしますほか、補助事業については直轄河川等重要水系工事促進をはかるとともに特に昨年甚大な被害を生じた地域砂防地すべり対策促進重点を置いて参りたいと考えております。  河川総合開発事業につきましては、昨年新設いたしました特別会計に対する繰入金増額多目的ダム促進をはかるほか、補助事業といたしましては矢部川外ダム継続工事に加えまして新規鮫川等ダム建設工事富田川等ダム実施計画調査を行いまして、国土保全河川開発に努める所存であります。  最後に海岸保全事業につきましては、補助事業として約五十カ所を予定し、有明海沿岸等堤防修築及び日本海沿岸等浸蝕対策重点を置きまして実施いたしたいと考えております。  次に災害復旧関係事業でありますが、災害復旧関係予算といたしましては、総額二百六十四億三千九百余万円で、その内訳は、災害復旧事業費二百二十八億二千余万円、災害関連事業費三十六億一千八百余万円であります。  災害復旧事業につきましては、直轄事業は三十三年災のみが残っておりますが、内地における直轄河川災害は全部を完了し、北海道関係については全体の約八O%を復旧する予定であります。また補助災害につきましては、過年災にかかわる三十三年度以降残事業のおおむね三分の二を復旧することを目途としておりますが、実施に当りましては二十六年及び二十七年災害についてはこれを完了し、二十八、二十九年災害は残りの平均約六〇%を実施し、三十年以降の災害については国庫負担法の趣旨に基き緊要工事についてはおおむね三カ年、その他の工事についてはおおむね四カ年で完了せしめるよう実施したいと考えております。  また災害関連事業につきましては、災害復旧工事の進捗と均衡をはかって実施することはもちろんでありますが、昭和三十三年度におきましては特に河川助成促進をはかるほか、海岸防災の見地から海岸保全とあわせて地盤変動対策事業促進をはかりたいと考えております。  次に道路整備について御説明申し上げます。道路整備につきましては、御承知通り昭和二十九年度以降道路整備五ヵ年計画実施いたして参ったのでありますが、この間においてわが国経済力は予想以上の発展を遂げ、道路輸送は飛躍的に増加し、現在では道路わが国経済発展の隘路となっておりますので、この際既定計画を改め、これを飛躍的に拡大いたしまて、昭和三十三年度以降五ヵ年間の総投資額九千億円を目途とする新しい道路整備五ヵ年計画を樹立し、昭和三十三年度より実施いたすこととしたのであります。  それとともに、新しい道路摂理計画遂行に必要な財源を確保し、この計画の円滑な実施をはかるため、新たに道路整備特別会計を設置したのでありまして、一般会計からの繰入金のほか、借入金を調達して道路整備画期的推進を期している次第でございます。昭和三十三年度道路関係予算額は、一般会計分で六百二十三億七百万円であって、前年度に比し六十九億六千万円の増、そのうち一般道路事業としては六百十八億七百万円で、九十四億六千万円の増となっておりますが、特別会計借入金を加えますと、道路関係として六百七十六億三千万円で、百二十二億八千三百万円の増、そのうち一般道路事業といたしましては六百七十一億三千万円で、百四十七億八千二百万円の増額となっております。  道路整備特別会計内容につきましては、後ほど御説明申し上げますが、一般会計には道路整備特別会計への繰入金といたしまして、建設省に四百九十四億九千余万円、総理府に、北海道開発関係として百三億七千八百余万円、同じく総理府離島振興関係として二億七千二百万円、労働省特別失業対策事業費として十四億六千七百万円、合計六百十六億七百余万円が計上されております。  なお、昭和三十三年度におきましては、一級国道のうち東京—大阪間その他の交通量の多い重要路線につき国が直轄道路維持修繕を行うことといたしまして、道路交通確保に遺憾なきを期したいと存じております。  次に日本道路公団有料道路について御説明申し上げますと、昭和三十三年度における日本道路公団資金といたしましては、道路整備特別会計からの補助金五億円に加えまして、資金運用部資金百四億円の融資を受けるほか、民間資金二十三億円及び外資四十六億円の導入を予定いたしまして、総計百七十八億円の資金によりまして、京葉道路外十三ヵ所の継続事業促進するほか、新規事業にも着手し、また高速自動車国道中央自動車道小牧—吹田線)及び高速自動車国道吹田—神戸線につきましては、第二年度として本格的な建設工事に着手することとて、公共事業とともにわが国道路網整備に寄与したいと考えておる次第でございます。  次に都市計画事業について御説明申し上げます。  昭和三十三年度におきましては、総額百八億円で、前年度八十七億百万円に比べ、二十億九千九百万円の増でありますが、都市計画事業の大宗である街路事業及びこれに関係のある土地区画整理事業九十七億八千万円が新設の道路整備特別会計に計上されることとなり、これによって戦災復興事業につきましては残額の九四%を実施し、昭和三十四年度において、すべて完了する予定であり、また将来にわたり都市計画に関して最も重要な事業一つであると考えられる都市改造事業については、前年度に引き続き事業を強力に推進する予定であります。  一般会計に計上されております都市計画事業費は、総額十億二千万円でありまして、前年度八億八千三百余万円に比べ、一億三千六百余万円の増となっておりまして、都市施設、特に下水道整備を推進いたしたいと考えております。  下水道関係予算は六億五千二百万円でありますが、地方債増額をもはかりまして、都市施設中最もおくれている下水道事業促進に努めたいと存じます。  次に住宅対策について御説明申し上げます。昭和三十三年度の住宅建設につきましては、現下の住宅難昭和三十二年度以降おおむね五ヵ年間で安定せしめる既定方針に基き、政府施策による住宅建設戸数は十九万九千戸を計画いたしております。この戸数は前年度と同じでありますが、昭和三十三年度は特に低額所得者のための公営住宅は前年度より一千戸増とし、かつ、第二種公営住宅は前年度より二千戸増といたしました。  また民間自力によって建設される住宅につきましては最近の実績より見まして、約三十二万戸程度の建設が見込まれますので、これらを合せて昭和三十三年度においては約五十二万戸の住宅建設を目標といたしております。  政府施策によって建設する十九万九千戸の内訳は、公営住宅四万七千戸、住宅金融公庫融資住宅九万二千戸、日本住宅公団建設する住宅三万戸及び厚生年金融資住宅等三万戸、計十九万九千戸といたしております。  これに対する予算措置公営住宅に対しましては、一般会計予算において百六億五千八百余万円を予定て、第一種住宅二万戸、第二種住宅二万七千戸、計四万七千戸の建設に対し補助いたすことといたしております。 住宅金融公庫に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金二十五億円と、政府低利資金二百四十八億円、総計二百七十三億円を予定いたしておりまして、これにより九万二千戸の住宅建設のほか、住宅用地の取得、造成災害による被災住宅復興地すべり区域内の住宅移築等に要する資金の貸付を行うことといたしております。  日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金三十七億円に加えまして、政府低利資金百七十五億円と一般民間資金百億円、総計三百十二億円を予定いたしておりまして、賃貸住宅二万戸、分譲住宅一万戸計三万戸の住宅建設及び宅地造成事業を行うことといたしております。  また都市における火災その他の災害防止をはかるため防火建築物建設促進するための助成金として、一般会計において、一億円を計上し、防火帯造成事業促進したいと考えております。  次に官庁営繕について御説明申し上げますと、官公庁施設建設等に関する法律の規定により建設省実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは十七億八千四百余万円でありまして、前年度の二十一億九千三百余万円に比べ、四億九百余万円の減額となっております。  その他昭和三十三年度予算中おもだったものについて御説明申し上げますと、道路事業画期的躍進に備えて本省道路局に二部を新設することとし機構の強化を行うとともに、北陸及び四国に地方建設局を新設して建設事業遂行に万全を期することといたしました。また常勤職員等の身分の安定をはかるため、四千五百五十三名を定員化することといたしました。試験研究機関につきましては、前年度に比べ六千万円以上増額いたしまして試験研究施設の充実をはかることといたしました。産業開発青年隊は前年度に比べ千六百万円を増加し、三千八百万円の予算をもって直轄三キャンプを新設し、その整備拡充をはかっております。  以上をもって一般会計予算説明を終りまして、次に特別会計予算概要を御説明申し上げます。  まず特定多目的ダム建設工事特別会計でありますが、本会計昭和三十三年度予算総額は九十一億二千八百万円でありまして、昭和三十二年度の六十八億七千六百万円に対しまして、二十二億五千二百万円の増額であります。  この資金内訳は、一般会計よりの繰入金六十億一千五百余万円、資金運用部資金の借入十一億三千五百余万円、電気事業者等工事負担金十四億一千五百余万円、その他五億六千余万円となっております。  昭和三十三年度における事業計画といたしましては、継続中の天竜川美和ダム外ダム促進をはかるほか、新規雄物川皆瀬ダム及び鬼怒川川俣ダム建設工事に着手し、また揖斐川横山ダム外ダム実施計画調査を行うこととなっております。  次に道路整備特別会計でありますが、本特別会計昭和三十三年度予算総額は、六百八十三億三千九百余万円でありまして、この資金内訳は、先ほど申し上げました一般会計よりの繰入金六百十六億七百余万円のほかに、直轄道路事業地方負担相当額として資金運用部資金よりの借入金五十三億二千二百余万円、附帯工事納付金受託工事納付金、雑収入及び予備収入十四億九百万円となっております。  事業内訳といたしましては、一般道路事業に五百四十六億一千五百余万円、街路事業に九十七億八千万円、機械整備に二十七億三千五百余万円、日本道路公団補助金として五億円、その他附帯工事受託工事予備費等に十四億九百万円を充当いたしております。  なお、この事業の中には、前年度に引き続き臨時就労対策事業として七十四億円、特別失業対策事業費として十四億六千七百万円を予定いたしまして、失業者の吸収をもあわせはかるほか、積雪寒冷特別地域に対する経費として機械費を合せて十一億三千四百万円が含まれております。  以上で昭和三十三年度の建設省関係一般会計及び特別会計予算説明を終ります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 西村直己

    西村委員長 次いで官房長より、ただいまの大臣説明に対する補足説明を承わります。
  5. 柴田達夫

    柴田政府委員 ただいま大臣から三十三年度関係予算の御説明をいたしたわけでございますが、お配りいたしました資料につきまして、ごく簡単に補足を申し上げたいと思います。  縦の紙の昭和三十三年度重要事項別予算一覧表というものを差し上げてございます。いま一つは横に長い紙の昭和三十三年度建設省関係予算総括という表を差し上げてございます。縦に長い方の昭和三十三年度重要事項別予算一覧表というのが、一番大ざっぱに建設省関係予算がわかりますような一覧表で作りましたものでございまして、第一枚目が予算の概況でございます。第二枚目が道路多目的ダム特別会計のごくあらましでございます。第三枚目が財政投融資関係一覧表でございます。  それで第一枚目の予算関係一覧表につきまして若干補足的に申し上げますと、ただいま大臣から一枚目の数字によりまして申し上げたわけでございますが、その中にも申し上げましたように、建設省計上予算のほかに、御承知通り北海道開発関係予算、それから本年から分れました離島振興、これは総理府計上予算、それから特別失業対策事業としての労働省予算、これがございまして、これらは実質上は移しかえによりまして建設省実施するということに相なっておりますので、この一覧表は狭い意味の建設省所管に計上されている予算だけではなくて、今申しましたような北海道関係離島関係特別失業対策事業等も含めまして、治水全体で実質的に見ましてどういうふうになっておるか、道路関係全体でどういうふうになっておるか、都市計画全体でどういうふうになっておるかという表にいたしましてまとめてある次第でございます。従いまして予算書等をごらんになります際の建設省所管分だけと比較なさいますと、この数字の方がそれらのものを含めるだけ多くなっておりますので、御承知をお願いいたしたいと思います。  治水関係数字は、ただいま大臣説明いたしまして、お配りいたしました中に書いてございますので、重複いたしますから一々申し上げませんけれども、一番左が前年度予算額でまん中の欄が三十三年度の予算額でありまして、その右が比較増減でございます。その右が昨年に比べました倍率を書いてあるわけでございます。治水関係内訳といたしまして河川海岸ダム砂防機械とあるわけでありますが、このうちのダムにつきましてカッコに書いてあります関係は右の方の備考に書いてございますように——カッコにしておらない本年度七十六億四百万円、前年度七十八億一千四百万円というのが予算の上で一般会計に出ておる金額でございまして、上のカッコの分は、ダムにつきましては、御承知通り多目的ダム特別会計借入金をいたしまして、実際の事業におきましては、それだけ事業をよけいやる関係になっておりますので、ダム特別会計借入金を加えまして、備考の欄に書いてございますように、三十二年度の借入金は九億七千八百万円、三十三年度が十一億三千六百万円というふうに借入金関係でもふえておりますので、この借入金も入れまして勘定いたしましたのが上のカッコの数でございます。またこの三十三年度七十六億のうちには、備考の二番目に書いてございますように、ダム特別会計入分ダム特別会計に繰り入れないで一般会計のままでやるダム事業と、二つあるわけでございまして、大体におきまして一般会計の方でやりますのは、補助関係ダムと思っていただけばいいわけでございます。直轄関係ダムは、三十二年度において一般会計でたくさんやって参って、終りましたので、主として多目的ダム特別会計直轄ダムはやることになっておるわけでございます。その関係で、ダム関係一般会計といたしましては二億一千万円の減になっておるわけでございますが、これは三十二年度まで一般会計直轄ダムをやっておった、それがもう竣工いたしますので、特別会計には入れなかったのでございますが、御承知通り鎧畑とか鳴子とか藤原とか十津川の猿ケ谷ダムというものが三十二年度に完了いたしましたので、その関係一般会計の方で大きく減が出て参っておるわけであります。ただし、二枚目であとで御説明申し上げますように、これからやって参る特別会計の面におきましては相当の増額になっておりまして、差引いたしまして一般会計で二億一千万円の減、借入金を合せますと五千二百万円のカッコの中の減ということになっております。ダムについては特別会計関係がございますので、それだけ申し上げておきます。  それから道路関係が、御承知通り三十三年度から新道路整備五ヵ年計画を樹立いたしまして、三十三年度を初年度として事業を大幅に拡張してやって参る、このために特別会計を作ることに相なったわけでございまして、道路関係におきましても、一般会計予算だけの比較をいたしますと、前年度と実質上の比較はできないわけでございますので、この表におきましては三十三年度のまん中の欄の道路関係六百七十六億三千万円というものは、一般会計の六百二十三億七百万円、これは備考のところに書いてございますが、この六百二十三億七百万円に、新しく特別会計に借り入れることになった五十三億二千三百万円を加えました額で実質上の比較をいたしておるわけでございます。その関係は、道路関係の右の方の備考をごらんいただきますと、三十三年度六百七十六億三千万円という道路関係費の財源別の内訳が前年度と対比いたしまして書いてございます。六百七十六億三千万円でございますが、そのうちのガソリン税収入は三十三年度は五百六十七億三千七百万円、前年が五百三億九千四百万円ということになっております。この五百六十七億三千七百万円中には、三十一度の決算の加算額十一億分を含んでおりまして、三百六十七億ということになっております。それから、一般財源といたしましては五十五億七千万円、前年が四十九億五千三百万円、その一般財源は、道路分といたしましては、ガソリン税以外の一般財源は五十億加えることにいたしたわけでございます。前年度が四十三億六千二百万円、約四十四億となっておりますが、今年は六億何ぼふやしまして五十億、このようにいたしております。そのほか街路に関係あります区画整理事業分を今回は特別会計の中に街路分とし入れてやることにいたしましたので、その分の五億七千百万円が財源といたしましてございまして、合せて一般財源といたしましては五十五億七千万円でございます。  以上が一般会計分でございまして、ガソリン税と一般財源を加えまして六百二十三億七百万円というのが一般会計に載っておる道路分でございますが、そのほか道路特別会計を作りましたので、この道路特別会計直轄事業の地方分担金相当額を、ダムの方式と同じように借り入れて事業を拡張してやるということにいたしましたので、その借入金五十三億二千三百万円を足しまして、合計六百七十六億三千万、これが実質上見ましたところの三十三年度の道路事業費でございます。  その次の備考の二に書いてございますように、一般会計分といたしましては六百二十三億円で、借入金が五十三億円でありますが、この一般会計分の六百二十三億円のうちに道路特別会計繰り入れ分六百十六億八百万円ということに相なっておるのでございます。七億ばかり特別会計に繰り入れる場合に減っておりますのは、北海道の分も一緒に特別会計に入れました関係上、北海道の人件費等の工事事務費につきましては、一般会計北海道開発事業費に残しましたので、七億は北海道一般会計に残して、残りの六百十六億八百万円を道路特別会計に繰り入れたということに相なっております。備考説明はそれだけにいたしまして、結局道路関係におきましてはそのような関係から、昨年に比べまして百二十二億八千三百万円の増額である。しかしこれは一般道路事業につきましては百四十七億八千三百万円の増額である。道路公団の補助金において二十一五億減らしまして、今後は道路公団の補助金継続分についてだけ五億の補助金をいたしまして、残りは出資金に振りかえていくということにいたしましたので、補助金の分だけを見ますと二十五億減になっておる。従いまして一般道路事業といたしましては、昨年比べて百四十七億八千三百万円の増、かようにお考えになっていただいていいのでございます。  それから都市計画関係カッコに書いてありますので、ちょっと申し上げておきますが、都市計画関係予算といたしましては、そのカッコの中にございますように、三十三年度は百八億でございます。前年度の八十七億に比べまして二十億の増ということになるのでございますが、街路につきましてはただいま申し上げましたように特別会計といたしまして、道路と一緒に上の道路関係分に計上いたしておりますので、街路分を除きますと、残りの都市計画事業が十億二千万円ということに相なるわけでございます。その都市計画関係内訳として、一般都市下水道と分れておりますが、一般都市につきましても、ここに書いてあります三十三年度の三億六千八百万のほかに、右の備考の二に書いてございますように、街路事業関係ある区画整理事業費として道路特別会計繰り入れ分五億七千百万円がある。先ほど道路のところの財源で申し上げましたように、性質上、一般都市計画事業になるものでございますけれども、道路特別会計ができましたので、一緒に街路分としてやる方が適当であるというところから、五億七千百万円は上の方の道路関係街路事業の中に都市計画分の区画整理事業費が加わっております。  それから下水道はこの通りでございまして、以下鉱害復旧関係災害関連関係災害復旧関係公共事業費の計等は大臣がただいま御説明した通り数字でございます。  行政部費の面におきましても、公営住宅関係、防火建築帯の関係官庁営繕費、雑件、すべてごらんの通りでございます。  右の方の下に住宅建設戸数を一応掲げてございます。これはまた住宅問題の際に詳しく御説明があると思いますが、住宅建設戸数といたしましては、三十三年度は、政府施策関係住宅のうちの建設省分は十六万九千戸でございまして、合計数といたしましては前年度と同じでございますが、内訳といたしましては先ほど御説明がありましたように、公営住宅を、一千戸ふやし、公団住宅を五千戸減らす。公庫住宅を四千戸ふやす。公営のうちでは第一種を一千戸減らして第二種を二千戸ふやすということにいたしまして、低額所得者のための住宅建設重点を指向いたしております。  第二枚目の表が特別会計一覧表でございまして、先ほど申し上げましたように、道路につきましては、およそ道路関係の財源をここに集中いたしまして、歳入歳出を明確にいたして参る。従いまして道路関係につきましては、災害復旧事業を除きましては、北海道の分も離島の分も特別失業対策事業も、ことごとくこの道路整備特別会計で一括してやって経理を明確にするということにいたしてございます。そういたしまして、直轄事業につきましての地方分担金の相当額をこの特別会計で借り入れることにいたしまして、そうして地方公共団体から特別会計にこれを償還するという、多目的ダムと同じような方式によりまして、事業を借入分だけさらに拡張いたしまして、六百八十三億三千九百八十六万五千円という特別会計の規模で仕事をやって参るわけでございます。  道路整備特別会計の一番左の欄が歳入でございまして、一般会計から受け入れますものが六百十六億。端数は省略いたします。これは一般会計の面におきまして、建設省のところには建設省からの道路特別会計の受け入れというものを計上いたしております。北海道のところには北海道のところに道路特別会計の繰り入れを計上いたしております。企画庁、これは経済企画庁で、離島振興関係でございます。それから労働省のところは特別失業対策事業特別会計に繰り入れるということで一般会計に計上してあるわけでございまして、その内訳建設省からの繰り入れが四百九十四億、北海道からの繰り入れが百三億、企画庁からの離島振興分が二億七千二百万、労働省からの特別失業対策分が十四億六千七百万ということに相なっております。  借入金は五十三億二千二百九十五万円ということにいたしておりますが、あとの財政投融資のところにも書いてございますように、借り入れ限度額といたしましては、この借入金の限度は五十四億に予算総則の上でいたしてあるわけでございます。  そのほか、特別会計になります関係上、付帯工事収入、受託工事収入、雑収入、予備収入というものを設けましてやっております。  それから歳出関係におきましては、道路関係全体といたしまして六百六十七億でございますが、内地分が五百四十一億、北海道分が百三億、離島振興が一億七千二百万、特別失対が十四億六千七百万、先ほど申し上げました都市関係すなわち街路に関係のある区画整理事業が五億七千百万、あと付帯工事受託工事、他会計へ繰り入れ、予備費等を合せまして六百八十三億ということに相なっております。  それからその右のさらに歳出内訳といたしましては、これは道路、街路、機械、公団補助金その他というふうに分けて参っておりますが、道路、いわゆる狭い意味の街路を除く道路事業につきましては五百四十六億、一級国道が二百二十四億、直轄維持修繕が三十七億、二級国道が百十二億、主要地方道が六十六億六千百万、地方道が七十九億九千七百万、雪寒道路が七億九千五百万、調査費差額と書いてございますのは、これはえらい端折った書き方でありまして、道路事業の調査費と、それからそこにぽつがあるわけでございまして、差額と申しますのは再建団体の法律によります前年三十二年の補助率の差額でありまして、これが十七億、以上が道路関係でございまして、街路事業は九十七億八千万、それから機械関係が二十七億三千五百万、公団補助金が五億、以上で六百七十六億、ほかに今の付帯工事受託工事等に伴いますものが十四億、合せまして六百八十三億ということになっております。この下に三角で引いてございますのが、これらの道路事業のうち、北海道工事事務費、人件費等で、工事事務費についてだけは、一般会計に残しました分約七億——六億九千九百五十八万五千円を差し引きましたものを特別会計にいたしまして、六百八十三億三千九百八十六万五千円の特別会計といたしておる次第でございます。この中で、雪寒道路が七億九千五百万と書いてございますが、先ほどの大臣説明では、これは機械の分の二十七億のうちから雪寒関係の分を加えまして、雪寒道路としては十一億三千五百万、雪寒道路関係といたしましてはそういうふうに御説明をいたしております。  それから下の欄が特定多目的ダム建設工事特別会計でございまして、これは御承知通り、昨年度からできましたので、前年度との比較にいたしてございます。特別会計の規模は三十三年度は九十一億二千八百万——一番下に書いてございます。前年度が六十八億七千六百万の規模でございますので、多目的ダム特別会計といたしましては、二十二億五千二百万の増に相なっております。内訳といたしましては、歳入では一般会計からの繰り入れが六十億、前年に比して十三億の増、借入金が十一億三千五百万、前年の九億七千八百万に比べまして、一億五千七百万の増、そのほか電気事業者等の負担金が十四億、前年の十一億に比べて三億の増、そのほか地方公共団体の負担金、これは昨年借り入れました分についての地方公共団体からの利子が返ってきておりますので、それが六千四百万、その他が四億九千万、前年に比して三億三千九百万の増ということになっております。歳出の面におきましては、建設費が三十三年度に七十九億六千万、そのうち継続ダムが七十三億六千万、新規が五億九千九百万、実施設計調査費が一億三千百万、その他が千億ということで、九十一億ということに相なっております。  それから三枚目に参りまして、三十三年度の建設省関係財政投融資関係一覧表を掲げてございます。財政投融資関係といたしましては、建設省といたしましては、日本道路公団住宅金融公庫日本住宅公団道路特別会計ダム特別会計、この五つに分れるわけでございます。財政資金民間資金に分けまして、一々読み上げませんけれども、財政資金の大要を申しますというと、日本道路公団におきましては三十三年度は百九億——上にカッコいたしまして百五十五億にいたしてございますのは、右の備考に書いてございますように、名古屋—神戸間と俗称いたしまする高速道路につきまして、外資四十六億を見込んでおります。この外資の分四十六億をカッコの中に入れまして、財政資金融資のところに、かりに道路公団についてだけ入れて勘定いたしましたのがカッコの中に入れてある分でございます。従いまして、道路公団の財政資金は三十九億の増だけれども、外資を加えますならば、八十五億の増である。民間資金は三十七億の逆に減でありまして、全体といたしまして、日本道路公団は財政資金民間資金の合計、三十三年度は百三十二億、前年が百三十億でございまして、外資を入れませんと、二億の増、外資を加えますと、百三十二億が百七十八億になりますので、四十八億の増ということに相なっているわけでございます。しかし実際の日本道路公団事業費といたしましては、このほかに自己資金、つまり料金収入や補助金の繰り越しという分がございますので、この外資を加えました百七十八億のほかに二十億の仕事ができるわけでございまして、百九十八億の規模で道路公団はやっております。これは財政投融資関係でございますので、自己資金の点は加えてございません。それから道路公団につきましては、出資金のところに便宜道路公団の補助金と書いてあるわけでございまして、補助金は先ほども申し上げましたように、前年度三十億が五億というふうに非常に減っておりますが、これからやり方を変えて、新しい五億は従来からの継続事業の分だけは補助金でいくけれども、それ以外の分は新規事業、あるいは名神間道路につきましては出資金で将来振りかえるように方式を改めるという関係で、補助金といたしましては減に相なっておるわけでございます。  それから住宅金融公庫におきましては、財政資金といたしまして政府出資金——これは産投の出資、それから融資、預金部資金や簡易保険等の低利資金等を加えまして二百七十三億でございまして、前年度の二百六十五億に比べまして八億の増ということに相なっております。  日本住宅公団におきましては、三十三年度は三十七億の出資金と百七十五億の低利資金、合計二百十二億に民間資金の巨億を加えて三百十二億の資金でやって参る。前年度の三百六十五億に比べまして五十三億の減ということに相なっております。これらはいずれも、住宅公団につきましても、自己資金につきましては勘定をいたしておりません。  道路特別会計におきましては、これは新設でございまして、先ほど申し上げましたように、直轄分担金相当額五十三億二千三百万を新たに預金部資金から借り入れるということでございます。借り入れ限度額は予算総則に五十四億ということにいたしております。  ダム特別会計におきましては、前年度の預金部資金からの借入額九億七千八百万が十一億三千六百万ということになっておりまして、借り入れ限度額は十三億ということにいたしております。  以上合計いたしまして、建設省関係の財政投融資額といたしましては、財政資金におきましては、外資を加えないと、六百五十八億、外資を加えますと、七百四億、前度の五百五十九億に比べまして、九十八億の増、外資を加えますと、百四十四億の増ということになっております。しかし民間資金においては、昨年の二百十億に比べまして、八十七億減になっておりますので、差し引き民間資金を加えました財政投融資関係といたしましては、外資を加えずに七百八十一億、外資を加えれば、八百二十七億、昨年の七百六十九億に比べまして、十一億八千百万円の増、外資を加えますと、五十七億八千百万の増ということになっている次第でございます。  以上お配りいたしました予算関係の三表につきまして、補足的に御説明を申し上げました次第でございますが、なおいま一つお配りいたしました中に、第二十八回通常国会提出予定法律案概要というものを差し上げてございます。これはまだ検討中の法案も入れて書いてございますが、成案を得ますれば、国会に提案をすることを目途といたしまして準備をいたしておるような関係の法案を十三件掲げてございます。この中で丸じるしがついておりますのが本年度の予算関係のある法案でございます。  一番下の欄に国会提出予定を大ざっぱに書いてございますが、鋭意準備を進めておりますので、途次御提案を申し上げたいと思っておりますので、御参考にごらんおきを願います。
  6. 西村直己

    西村委員長 ただいままでに建設省関係重要施策予算概要について大臣、並びに官房長から補足説明を承わりましたが、ただいまの説明に対する質疑は次会に行うことといたします。     —————————————
  7. 西村直己

    西村委員長 次に、去る一月三十日付託になりました内閣提出水防法の一部を改正する法律案を議題として審査に入りたいと思います。  まず本案の趣旨につきまして説明を聴取いたします。堀内政務次官。     —————————————
  8. 堀内一雄

    ○堀内政府委員 ただいま議題となりました水防法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  わが国が毎年災害により甚大な被害を受けておりますことは御承知通りでありまして、これが対策の一として、第五国会におきまして、水防制度を整備するため水防法が制定され、さらに第二十二国会において、同法の一部改正が行われ、水防活動の強化がはかられてきたのでありますが、さらに今回、水防事務の公共性にかんがみ、その一般的責任は市町村にあることを明らかにするとともに、水防事務の特殊性に基き、水害予防組合の区域について水防事務組合が設けられる場合の特別措置並びに水防事務組合の議会の議員の選挙及び経費の分賦についての基準を定める等所要の改正を行い、水防管理団体を実状に即するように強化し、その活発な活動に資することとしたのであります。  これがこの法律案を提出した理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。  第一点は、水防に関する市町村の一般的責任を明らかにしたことであります。現行の水防法によりますと、水害予防組合の設置されている区域においては水害予防組合が、水害予防組合の設置されていない区域においては市町村組合が、水害予防組合及び市町村組合が設置されていない区域においては市町村がその区域における水防を十分に果すべき責任を有するものとされております。市町村が水防について一般的責任を有していることは当然のことと存じますが、水防法にはその趣旨が必ずしも明確に規定されておりませんので、この際、市町村が水防に関する一般的責任を有する旨を明らかにするとともに、水防事務組合が水防を行う区域及び水害予防組合の区域については、従来と同様、市町村は水防を行うべき責任を免れることといたしたのであります。  第二点は、水防に関する事務を共同に処理する市町村の組合の設立について特例を設けたことであります。第一点について御説明申し上げましたように、水防に関する一般的責任は市町村が負っているのでありますが、地形の状況によっては、市町村が単独ではその水防責任を果すことが著しく困難または不適当と認められる場合が予想されますので、このような場合には、関係市町村は、洪水または高潮による被害の共通性を勘案いたしまして、共同して水防を行う区域を定めて、水防事務組合を設けなければならないものとして、水防事務の処理に遺憾のないようにいたしたいのであります。  第三点は、水害予防組合の区域について水防事務組合が設けられる場合の特別措置について定めたことであります。水害予防組合の区域の全部またはその一部について当該水害予防組合にかわるべき水防管理団体として引き続き水防事務組合が設けられる場合には、水害予防組合の廃止に関し、水害予防組合法の特例を設けるとともに、廃止される水害予防組合は、その廃止の日において有する財産のうち水防の用に供せられ、または供せられる予定となっている財産を新たに設けられた水防事務組合又は引き続いて水防を行うべき市町村に無償譲渡し、関係水防事務組合または市町村は、譲り受けた財産に伴う負債を引き受けることとしまして、水防事務の円滑な処理に支障を来たさないようにいたしたのであります。  第四点は、水防事務組合の議会の議員の選挙についての特例を設けたことであります。水防事務組合の議会の議員は、組合規約で定めるところにより、関係市町村の議会において、当該市町村の議会の議員の被選挙権を有する者で、水防に関し学識経験があり、かつ、熱意があると認められる者のうちから選挙することといたしましたが、水防事務の特殊性にかんがみ、数市町村にわたる水防上の特別の利害を調整する必要があると認められるときは、組合規約で定めるところにより、前述の資格を具備している者につき当該市町村の長が適格者として推薦した者のうちから選挙することができるようにするとともに、市町村の長が推薦した者のうちから選挙される議員の数は、それぞれの市町村の議会において選挙される議員の数の二分の一をこえてはならないものといたしました。なお、関係市町村の議会において選挙される議員の数は特に水防事務組合の行う事業による受益の割合及び防護すべき施設の延長を勘案して定めることといたしました。  第五点は、水防事務組合の経費関係市町村に対する分賦は、議員の数と同じく、水防事務組合の行う事業による受益の割合、防護すべき施設の延長の割合を勘案して定めることといたしました。  第六点は、水防上公共の安全に重大な関係のある水防管理団体として指定された指定管理団体の水防協議会の委員の数を、増加したことであります。近時町村合併の促進、水防事務組合の設立等の結果、水防管理団体の規模が大きくなったことに伴いまして、委員の数二十人以内を二十五人以内に改めることといたしました。  以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
  9. 西村直己

    西村委員長 本案に対しまする質疑は次会よりこれを行うことといたしたいと思います。  次会は公報をもってお知らせをすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時二十分散会