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1958-03-19 第28回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 坂本 泰良君    理事 井原 岸高君 理事 關谷 勝利君    理事 田中伊三次君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 神近 市子君    理事 吉田 賢一君       松岡 松平君    淡谷 悠藏君       小川 豊明君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      河井信太郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      小島要太郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    松岡  亮君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 筒井 敬一君         通商産業事務官         (通商局通商参         事官)     長橋  尚君         参  考  人         (元大蔵事務         官)      河野 一之君         参  考  人         (元大蔵省為替         局長)     東条 猛猪君         参  考  人         (元横浜税関         長)      今泉 兼寛君         参  考  人         (元農林事務次         官)      平川  守君         参  考  人         (元通商産業事         務次官)    平井富三郎君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件      ————◇—————
  2. 坂本泰良

    坂本委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件につきましては、前会に引き続き調査を進めます。  本日は右件につきましてお手元に配布いたしてあります通り、七名の参考人を予定いたしておりますので、ただいまより参考人各位より実情を聴取することといたしますが、参考人江上龍彦君及び花井忠君より公務のため出頭できない旨書面をもって申し出があり、本日は出頭いたしておりませんので、この際御報告しておきます。  参考人各位にはご多用中ところを当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  まず委員長から各参考人に総括的に実情を聴取することといたします。  河野参考人にお伺いいたしますが、昭和三十年二月以降三十一年当初まで大蔵事務次官をやっておられましたかどうか。その際に財団法人立川研究所から役務に関する契約及び決済に関する許可申請があったかどうか。ありましたならば、その概略について、簡単にお伺いしたいと思います。河野参考人
  3. 河井信太郎

    河野参考人 私が大蔵事務次官をいたしておりましたのは、昭和二十八年の八月から三十年の七月まででございます。本件につきましては、私全然記憶がございません。おそらく役務契約に関する事項許可につきましては、大蔵省職制におきまして、為替局長委任になっておると思います。そういう関係でもあると思いますが、私全然記憶がございません。
  4. 坂本泰良

    坂本委員長 次に東条参考人にお伺いしますが、ただいま申し上げました昭和三十年二月以降三十一年当時まで大蔵省為替局長をやっておられましたかどうか。その在職中に、昭和三十年二月十日財団法人立川研究所から役務に関する契約及び決済に関する許可申請が出ておりまするが、この許可申請についての決裁その他について簡単にお伺いしたいと思います。東条参考人
  5. 東条猛猪

    東条参考人 私は昭和三十年の二月から昭和三十年の七月まで為替局長であったわけでございます。正確に申し上げますと、為替局長の始期は昭和二十七年の八月でございますが、終りは昭和三十年の七月でございます。昭和三十年の二月ごろ委員長が今お話立川研究所から役務に関する申請がございまして、その処理をいたしました記憶がございます。
  6. 坂本泰良

    坂本委員長 さらにもう一点お伺いいたしておきますが、これについては昭和三十年三月一日に許可になっておりまして、その後一回延期になっておりますが、さらにその後の延期のときは在職でなかったようですが、第二回目の延期には期限が切れて許可が取り消しになっておるわけですが、その点のいきさつを御説明願いたいと思います。
  7. 東条猛猪

    東条参考人 第一回の昭和三十年の三月に立川研究所に対しまして許可がございましたことについては記憶がございます。しかしその後期間延長につきまして許可が行われましたことは、実は私記憶がございません。あるいは不意でございますから、私の記憶に間違いがございますか存じませんが、自後の期間延長につきましては、ちょっと記憶がございませんので、そのことだけ申し上げます。
  8. 坂本泰良

    坂本委員長 次に平井参考人にお伺いいたしますが、前記のような昭和三十年二月ごろから三十一年当時まで通産事務次官をやっておられましたかどうか。その在職中に無為替輸入に関することですが、昭和三十年の十月砂糖約一万トンがドミニカ国からアリストテレス号横浜港へ入港いたしておりますが、その無為替輸入砂糖処置について簡単にお伺いしたいと思います。
  9. 平井富三郎

    平井参考人 私は昭和二十八年の十一月から昭和三十年の十一月まで事務次官に在任いたしております。立川研究所技術輸出並びにそれの見返り砂糖による決済という案件について処理いたした記憶はございます。ただしドミニカ糖が三十年の十月ないし十一月に到着したということについては、ちょうど私が退任するまぎわのことでございまして、その点については記憶はございません。
  10. 坂本泰良

    坂本委員長 次に平川参考人にお伺いいたしますが、平川さんは昭和三十年二月以降三十一年初めごろまで農林事務次官におられたかどうか、その在職中に無為替輸入の、ただいま前参考人に聞きましたドミニカ糖が無為替輸入で入っておりますが、その入りました砂糖処置について、農林省として処置されたことについてお伺いいたします。
  11. 平川守

    平川参考人 私は昭和二十九年の十二月から、三十一年の六月まで農林事務次官に在任いたしました。ただいまの御質問案件につきましては、三十年の春ごろと思いましたが、当時の食糧庁長官清井君から、通産省大蔵省の方において、無為替による砂糖輸入の計画がある、それについて農林省の方にそれが入った場合においては、通常の方式によって割当をしてもらいたいというような御依頼があったということの報告だけは、受けた覚えがございます。その後のことについては全然記憶がございませんし、事実報告も受けておりませりん。
  12. 坂本泰良

    坂本委員長 それでは今泉参考人の件はあとに回しまして、これより参考人各位に対して、質疑応答の形で実情を聴取することといたします。発言の申し出がありますから、順次これを許したいと思います。吉田賢一二君。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず河野さんに伺いますが、あなたの在職しておられました大蔵事務次官当時の大蔵省行政のあり方につきまして、大蔵大臣大臣命許可をする貿易に関する事項につきましては、事務次官は関与をなさるのでございますか、いかがでしょうか。
  14. 河井信太郎

    河野参考人 事務次官事務当局最高統裁者でございますから、いろいろな問題に関与いたしますが、事の軽重によりまして、職制上そういう事項につきましては為替局長あるいは銀行局長、それぞれの委任事項がございます。その範囲内におきましては、当該の局長大臣の代理といたしまして、大臣委任を受けてその権限を行使するという格好になっております。ただしもちろん重要な問題につきましては、局長次官の、あるいは大臣指揮を仰ぐという建前になっております。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 価格三億六千万円以上の物資を外国から無為替輸入する案件については、委任事項であるなしにかかわらず、重要事項のように思われますが、その点を一つ伺いたい。
  16. 河井信太郎

    河野参考人 金額の多寡によって必ずしも重要とかなんとかいうふうに即きまるわけでもないと私は考えますが、為替局における行政におきまして、次官あるいは大臣指揮を仰いでやっておられる事項は、たとえば通商協定の問題であるとか、あるいは目勘定、つまり大蔵大臣勘定の運営の問題であるとか、あるいはレートの問題であるとか、あるいは外国為替銀行の指導であるとかいったような、大綱に関することについて指揮を仰いできめております。個々案件につきましては、これは個々為替許可なり、あるいは役務に関する契約許可なりという問題につきましては、これは大蔵大臣総括的委任がございまして、原局において処理しておる状況でございます。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでにあなたも新聞ないしは別の方法で、この委員会におきまして過般来取り扱って調査しておりまする、最終的にはドミニカ糖一万トンの輸入に関する案件——当初におきましては京都の財団法人立川研究所が新虎木綿と称する繊維製造に関する特許権利台湾商社への譲渡、その代金は百万ドル、これの見返りとして一万トンの砂糖を受け取る、こういう趣旨におきまして、役務の提供に関する契約大蔵大臣萬田氏によって許可されております。これは形式的には今お述べになったところでは、三億円であろうと十億円であろうと、金額によって事の大小軽重をきめるべきでないというお話でありますけれども、しかし台湾日本との国交関係ないしは貿易関係、あるいは当時における砂糖需給関係重要性関係、こういう点から見まして、あなたが全然関与しないということは、それはわれわれ、大蔵省行政事務実情に若干触れておる者から見まして、少しけげんに考える。あるいはそれは関与したけれども、今忘れておるというのなら、事はまた別でありますけれども、どうもお話によりましてはその点納得いきかねるのであります。かなりその後も紛糾をし続けた問題であります。次々といろいろな問題が起ったことであります。あるいは刑事事件として、東京地検特捜部が捜査したという案件まで派生した問題であります。通産省の当時の課長が検察庁に呼ばれて取調べを受けたという事実もあるのであります。こういうようにその後いろいろな経過をたどっておりますので、さかのぼって今申しました案件について、具体的に言うならば、三十年三月一日一萬田大蔵大臣命によって、財団法人立川研究所に対し、役務に関する契約及び決裁に関する許可書を交付しまして、これが基本になりまして、今申しました特許権売買に関する国際的契約ができた、こういうことになっておるのであります。全然知らない、もしくはあなたが関与すべき筋合いのことではない、こういうことはどうも考えられないのですが、いかがですか。
  18. 河井信太郎

    河野参考人 役所行政につきましては、いろいろ個々的な問題と政策大綱に関するものといろいろございまして、こういうことであるならば結果的に統裁すべきであったというような点は、あるいはそういうお考えもあるかとも存じますが、こうした契約あるいは為替許可というのは、非常に多数の件数でございまして、それを一々——事軽重にもよりますが、次官が統裁して、あるいは大臣決裁をいただくというようなことは、非常に煩瑣でもありますし、またかえって事務の渋滞にもなるというようなことで、為替局の設置以来そういう案件につきましては、原局において大臣委任のもとにおいて処理するという建前になっておった、と私は考えます。そういうことでございますので、私全然この問題について記憶がございません。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東条参考人にお伺いいたしますが、われわれの見るところによりますと、これは単なる事務当局だけで一切を判断し、一切を調査するということには少し問題が重要過ぎると思う。もちろん権限はおありでありますけれども、やはりこの問題については、大臣名で出す許可書でもあるし、あとに影響する幾多の問題もあることであるから、やはり次官に相談されてしかるべきだと思うのだが、今のお話によれば、あなたに当時委任されてある事項として、しかも多数にこういう案件もあるから、そのうちの一つとして一々次官大臣が直接関与しないというようなお話なんです。こういう問題はそれほどざらにある事件ですか。現在の事務当局に聞けばきわめて希有なケースであるという御説明であります。今の河野さんのお話とは全く違うのでありますが、あなたは当時この問題について、上部との御相談、協議全くなしにやられたことであるのかどうか、その点聞いておきたいと思います。
  20. 東条猛猪

    東条参考人 理由につきましては御質問に応じてまた逐次申し上げますが、先に結論を申し上げますと、この件につきましては、委任事項でございましたので、為替局長限りで処理をいたしたと記憶いたしております。従いまして大臣次官には御相談いたしてございません。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば主として東条さんに伺うほかはありませんが、役務とは一体何をさすのですか。
  22. 東条猛猪

    東条参考人 申請人の持っております産業技術上の専門的な知識、そういうものを台湾特許を受ける権利を譲渡するということの内容に伴いまして、申請者たる立川研究所におきましても各種の債権債務関係が発生するという意味におきまして、役務に関する許可が要ると考えております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺うのは具体的なんですが、それならその特許を受ける権利は、日本においてはどういう状態にあったのですか。
  24. 東条猛猪

    東条参考人 明確な記憶はございませんが、日本におきましての人造繊維に関する権利あるいは考案は非常に技術的にとうといものだという判断がなされまして、その方面役所の力からもある程度の推薦があったように記憶いたしております。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その方面推薦というのはどこですか。
  26. 東条猛猪

    東条参考人 明確に記憶いたしておりませんが、科学技術関係をやっております当時の科学技術庁あるいはスタッフ、そういう方面推薦があったように記憶いたしております。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 日本で技術的にとうといものだとの推薦があったというんだが、一体日本特許権を持っておったのかいなかったのか、どれほどの経済的価値があったのか。大体これは百万ドルで売るんですからね。日本においてはその実質はどうなんです。そのことはあなたの方では無為替輸入前提条件を設定なさった官庁として、当然十分御調査になってしかるべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  28. 東条猛猪

    東条参考人 特許権があったかどうかということについて明確な記憶が今ございません。それからこの点につきましては、そういう日本でも相当有効な発明、考案ができて、それは台湾の方の商社との間で取引をする相当値打のあるものでありましょうから、そういう契約がなされておるという大きな考え方に基きまして、非常にこまかく、たとえば通産省特許番号が何番であってどういうことだというところまでの検討が行われたかどうかは、私には実は記憶がございません。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体あなたはきょう御出席になるのに、何を尋ねられるかということを全然知らなかったのですか、大体見当がついておったのか、どうなんです。
  30. 東条猛猪

    東条参考人 私がきょうこちらに出頭を命ぜられるにつきましては、委員部の方から砂糖問題について聞くからというお話がございましたので、大蔵省に参りまして砂糖の問題についてどういうことが問題になるであろうかということを聞きましたところ、多分立川研究所の問題であろうというお話でございましたので、私、参考人として出るにつきましては、自分としては立川研究所に関して当時の責任者として、記憶している限りのことをできるだけ申し上げるというつもりで出て参ったわけであります。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 百万ドルで台湾人特許を受ける権利を売ったということが案件の基礎なんです。これに伴う技術供与についての契約につき、大臣にかわってあなたの方は決裁しておるのであります。そんな重要な点について、特許があったのやらなかったのやら忘れてしまったとか、記憶がないとか、どれほどの価値があるのやらわからぬとか……。一体価値であったらどうなるのです。無価値のものを大蔵大臣技術供与についての契約許可をするということは、とんでもない失政であります。やはり客観的に相当価値がなければならぬ。相当価値があるというためには、日本に登録した特許権かどうかということくらいは調査をしなければなりらぬ。そういうことをやった記憶も全然ないのですか。経済的価値、当時の市場価値はどのくらいあるかへそれも知らぬのですか。
  32. 東条猛猪

    東条参考人 私は、今日は自分が今日記憶している限りのことを当時の責任者として正直に申し上げるという立場でよろしかろう、こう思って出て参ったのであります。私は記憶いたしております限りのことは正確に申し上げるつもりでございます。当時は相当客観的に立川研究所虎木綿に関する考案経済的価値があると私は考えました。ただ一体お前は当時それが幾らくらい値打があると考えたのかということにつきましては、客観的に相当値打のある考案台湾との間の取引に上っておる、しかも取引でございますから、当事者間においてその価格は話し合いの上できめられるということであるならば、役所といたしましてはその当事者契約をできるだけ尊重して考えて参るということでよろしかろう、こう判断したように思っております。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 冗談じゃありません。当事者の利益のことだけを考え——いやしくも貿易事務のきわめて重要な行政の仕事を大臣にかわってなさるというのに、これはとんでもないことです。次官に伺いますが、今日は次官でおありにならぬのでこんなことを言うのは失礼かもしれませんが、今日は実は当時の大臣をお呼びするというのが大体のわれわれの意向であったのですけれども、事務次官ないしは局長の方々において一切の責任を持ってやられたと見るべきであるから、その方において詳細はわかるであろう、こう思ってわれわれはお呼び申し上げた。ところが今東条さんのお話を聞けば、値打幾らやらわからぬ、相当価値がある、相当価値とは一体何ほどですか。いいかげんにこういうことはおっしゃっては困るのであります。かりにも、科学技術院ですか何かの権威者推薦したかどうか知らぬけれども、そんなことでこの場合は進めるべきじゃありません。現に立川研究所のこれの担当者がこの委員会において、当時特許権があったということを具体的に説明ができないのであります。あったのやらなかったのやらわからぬ、だまされたとすれば、とんだことであります。あなたの方の許可書を見れば、台湾において特許を受ける権利を譲渡するということになっておる。日本において特許がないようなものが台湾において特許を受けられるかという批判すら出ておる。一体これはほんとうにどれだけの価値があったかなかったかということさえいろいろと疑念を抱かれておるのであります。そういうことを、河野さん、幾らあなたは関与しなくても大臣権限為替局長委任しておったということであれば、そういう重要な事項調査すべき事項に該当しないのですか。
  34. 河井信太郎

    河野参考人 職制上からいいまして、個々取引につきましては為替局長大臣にかわりましてそのときそのときの判断において決裁する仕組みになっておるわけであります。こういうことになればというお考えもあるかと存じますが、建前としてはそうなっておりまして、為替局長が自己の判断大臣あるいは次官にかわりましてやられたものだと考えます。またそれで至当でなかったのじゃないかと思います。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 御判断の以前にそういうことを調査して、きちんとしておくことが必要ではないかということがお尋ねの趣旨であります。  東条さんに伺いますが、これはやはりあなたの方の大臣名許可書によれば、百万ドルで譲り受けるという契約金額も書いてあるのですが、一体百万ドルの価値があったものですか、どうです。その決済につきましては、一体どういうふうにお考えになっておったか。
  36. 東条猛猪

    東条参考人 非常に私の言葉が足りなくて、おしかりを受けている点があると思いますが、私は相当客観的に値打のあるものだ、またこれについては技術的な専門家からも推奨があったものと、こう記憶しております。そこで一体百万ドルに当るかどうかという点でありますが、先ほども申し上げましたように、外国との取引におきまして、相手方が百万ドルなら百万ドルで買おうという場合に、私の役所立場といたしましては、それが不当に安い、ある一つ権利外国に安く売られるということでございますれば、またそれが非常に明瞭な場合におきましては、当事者の反省を求めるということも考えなければならぬと思いますが、相応な値段で取引が行われておるという場合におきまして、それをぜひとも是正させなければならぬという根拠がございません場合におきましては、まず当事者のそういう契約を尊重してよろしいのじゃないかというのが、おしかりを受けましても、当時の考え方であったように思います。  それから次に決済についてどういうように考えたかという点でありまするが、これは当時台湾との間のオープン協定がありましたわけでございまするから、これで百万ドルの対価をもちまして特許を受ける権利台湾側に譲渡せられるということでありますれば、当然これはオープンアカウントを通じまして、為替送金が行われるというのが普通の取引の形態であると存じます。しかし私の記憶いたしておりますところでは、当時台湾政府の方で、この考案に関する権限オープンアカウントでもって決済するということにつきましては、再三交渉が行われましたけれども、難色があった、こう承知いたしております。もし何らかの形において、台湾からの輸出に役立つようなやり方であるなら、この取引について許可しようというのが当時の台湾政府側考え方でございまして、従いまして、オープン決済を通ずるキャッシュ取引でなくて、物による、砂糖によりまするところの決済が行われることになった、こう記憶いたしております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方では、東方貿易行という買い主調査しましたか。
  38. 東条猛猪

    東条参考人 私は東方貿易行という取引相手方について、大蔵省調査した記憶はございません。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省は、このような重要な許可を与える場合には、買い主が買う資力があるかどうか、そういうものが実在するのかどうか、そういうようなことについて、つまりこの契約の客観的な妥当性とか、ないしは履行の確実性とか、あるいは価格決済等についての法規、経済貿易政策等との関連とか、そういうことも一連の関連においてよく知っておかねばなるまい、私はこう考えるのであります。東方貿易行というものは、御調査になった事実もなく、どういう資力があって何をしておるのやら、受け入れ態勢の準備があるのやらないのやら、それが果して砂糖を百万ドル相当のものを台湾において手配できる能力があるのやらないのやら、そういうことも何もわからずにあなたの方は許可を与えておるのですか。
  40. 東条猛猪

    東条参考人 大蔵省で直接タッチいたします面といたしましては、御承知の通りに、砂糖輸入の問題と申しますよりは、台湾において特許を受ける権利を譲渡するという契約を結ぶこと自体に関する許可でございます。その結果といたしまして、通常取引通常決済手段が行われます場合においては、何ら、たしか大蔵大臣許可は要らないと思います。この場合は通常キャッシュ取引によらずして、物による形でもって決済が行われるということにおきまして大蔵大臣許可が要るわけでありますが、その場合に、果してどういう品物でもって決済するかという物資の輸入関係は、大蔵大臣関係ではない、これは御承知のことと思いますが、念のために申し上げたわけであります。  そこでそういう物の関係はかりに第二義的になっても、海外との間の契約をやる場合に、相手方の信用状態というものを役所が調べるべきではないか、こういう御趣旨のように承わりましたが、それはいろいろ考え方はあると思いますが、個々取引の場合に、内地の当事者がこういう相手方取引をしたいということを言ってきました場合に、個々案件について、役所相手方の信用状態、資力ということまで調べるということは、実際問題として多くそういうケースはない。やはり申請をいたしてきました人の申し立てというものを一応役所は信頼いたしまして、信用があるからそういう契約ができたであろう、こういう前提のもとに考え事務をとっておりますのが実は通常でございます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は一般通常の場合ならば、くどくどとあなたの方へこんな質問をしないのであります。けれども、これは一万トンの砂糖為替輸入という希有な事例なのであります。この希有な事例について、その前提である一般契約決済等についての許可を与えておるという、こういう事案でありまするので、それで伺うのであります。一般的にはあなたのお話通りであるいはいいかもわからぬ。一々商売に介入ということもしないで、できるだけ自主を尊重するということも、それは考えられますけれども、このような無為替輸入については、相当慎重な態度で臨まれるべき筋合いであろうと私は思う。だから当然これは聞かねばならぬこと、お知りにならねばならぬことであろうと思うのです。ことにあなたの方は、その後二回にわたって有効期限を延長しておる。有効期限を二回も延長するということを大臣がするというゆえんのものも、何ゆえに有効期限を延長せねばならぬのか、どういう事情があるのか、その必要適切な理由があるかないか。理由の有無を判断せずして、勝手に恣意に延長するということがあったならば、やはりあとにドミニカ砂糖輸入をめぐって、いろいろと暗い事件が起ってくるので、そんな巻きぞえを食って、あなたの方がめくら判を押してやりおったのではないかという疑いを生ぜざるを得ない。こういうことなんです。だから二回もこうやって延長することについても、延長の理由、何ゆえに延長を必要とするか、延長をすることが妥当であるかどうか。三回目には延長を許しておらぬのであります。どうして許さなかったのか。次に直ちに砂糖が入ってきておるのです。そういうことについても、砂糖の買付手配ないしは相手方買い主の状況、契約関係、そういうものを全然知らずして、めくら判を大臣名によって押しておった、こういうことになるとすれば大へんなことであります。大蔵省の過失がこのような事態を引き起したということもあるいは推論せざるを得なくなるのであります。こういうふうに二回も有効期限を延長しておるというようなことについても、その後適切な相当な理由というものをあなたの方は把握しておったのか、しないでやったのか。形式的にやはり判を押したのですか、判こ行政をやったのか。こういうことを伺わざるを得ないのであります。
  42. 東条猛猪

    東条参考人 先ほどちょっと申し上げましたが、私六月に為替局長をやめておりますので、あるいは今吉田委員のお尋ねの時期とずれておるかと思いますが、どうもはなはだ恐縮でありますが、期間延長について明瞭な記憶がない、こう申し上げざるを得ないのであります。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと元の為替局長にお尋ねします。あなたの方で特許を非常に重視されますが、この特許は、たとい特許が受かっても、二年以内にほかから異議が出ると、この特許に対する非常な裁判問題が起きたり、あるいはそれを訂正しなくちゃならなかったりして、いろいろな問題があると思う。もちろん特許を許す前に告示がありますけれども、特許を受かってからも、二年以内に異議が出るといろいろな問題が出るのですね。それでその特許許可になったのは、いつごろかということをお調べになりましたか。
  44. 東条猛猪

    東条参考人 特許関係がどういうふうになっておるかということを当時調べた記憶もございませんし、自後私個人といたしましても、この委員会へ伺うに当りまして特許関係がどうなっているかということは調べておりません。それからこれははなはだ脱線いたしますけれども、たとえば日本外国輸出契約が行われる場合におきましても、必ずしも外国で正式に特許をとったものだけが日本へ譲り受けられておるのではなくて、たとえば通常ノー・ハウと申しておりますが、正式の特許は受けてなくても、事実上経済的にあるいは産業的に非常に役立つような新規の考案は、特許がなくてもそういう権利を受けるという事実はあるわけでありますので、正式になぜ特許番号を調べておかなければならなかったか、その点は私多少疑問を持っております。
  45. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは少しおかしいと思うのです。あなたの方でもってこの砂糖輸入を許した、契約を許したということは、特許を売ったその代償として許したのでしょう。それは今あなたの言っているように特許というものでなく、使用権利だとかこういうものだとかいうことは別ですよ。しかし契約書にはそれと同じ特許台湾で願ってもいいということになっている。その権利の売買の代償が砂糖なんですから、特許は重大ですよ。あなたのおっしゃるのは、そういう実例もあるでしょう。たとい特許は受けなくても、君のところでやって登録の年限は切れていてもいいから、僕のところで使わせてくれ、それを君のところではやめないか、そうしたら私はそれをつないでいく、金は何百万円やる、そういうことはいいですよ。そうでなくて、砂糖を許されたということであります。日本で受けた特許と同じものを台湾で願ってもいいというこの権利によってやられたのだから、やはり特許をお調べになっておかないと、もしその特許が途中で取り消されたとか、日本で異議が出て内容が変ったとか、まねする者が出たということになると問題になる。  それからもう一つ、非常に私どもが疑惑を持つのは、日本で受けた特許と同じ内容のものを台湾で願ってもいいということによって売買したという、これは砂糖を取るための便宜上の架空な契約だと思うのです。なぜと申しますと、日本でこの特許は受けてあるんだ、台湾でもこれと同じ内容のものを願ってもいいということを言っても、台湾でそれと同じものを先に願ってあったらどうするのですか。台湾でそれと同じものが、類似するものが願ってあったとすれば無効なんです。願えないのです。またまねもできないのですよ。今あなたはこういうものは特許にならなくても有効であればこうだとおっしゃいますけれども、もし日本特許を願うようなものであれば、台湾だって願ってないとも限らぬ。台湾で先に願っておった——そういう許可を願うものを持って行ったが、先に願ってあったからまねもできない、願ったものが却下されたということになると、架空なんです。だからこういう特許なんというもので砂糖なんかの許可をされるときには、非常に慎重にお取り調べにならないといけないのです。今特許を願う人たちは、特許許可されても発表しないのです。二年なり二年半黙っておいて、二年たつともう異議が出ない、それからそれを売ったりまねして作ったりするというようなことが今一般の特許を願っている人にはやっているのです。注意深い人はこういうことをやっているのです。だから今あなたの言う通り——われわれはこの特許に対して偽造のような非常に空虚なもののような感じを持つ。こういうものを特許を願うのだと言って願いを出して——これは特許でなくて出願中だと聞いておるのです。出願だから、おれが願ったやつを君がやってもいい、なるほど理屈は通るのです。出願中であれば、それがいいものであれば、理論は役人さんが通す気なら立つのだけれども、台湾においてそれが願ってあったときには無効なんです。架空のものを契約したことになる。砂糖は重要な物資です。普通の人、お菓子屋さんなんかが外国から来た砂糖を分けてくれと言ったって分けてもらえない、相当統制みたいになっておる重要な物資です。それを架空なもの、偽造にひとしいものと取りかえたことをお調べにならぬでおやりになったということは、何とおっしゃっても軽率なんですよ。それですから、あなたの方でいっそのことそういうことをそのまま——だれが運動したのかどうしたのか知らないけれども、投げ出されて、むしろ委員会で解決した方がいいのじゃないか。私は特許権について聞いておるのです。ところが特許が何だとか——ここにおられる参考人が何と言われたって架空なものだ。たとえばここで願ってあったら、この特許を売ったらいいのですよ。日本特許を願って、日本特許許可になった、台湾特許許可になっておる、フランスの特許許可になっておる、その権利を売ったならまねできない。これは言われた通り特許というものは相当価値があるかもしれません、内容がよければ。ところが自分が願って許可をとってあっても——出願中だったらなおさらのこと、それと同じ内容のものを台湾で願ってよろしいというこの権利は、台湾で先にだれか願っておった、同じようなものがあったということになったらまねもできない、何もできないから、これは空虚なものだということになる。ここをあなた方がよくお考えにならぬと、ただ特許々々で、これは大きくも踏めれば、小さくもなる、無価値にも何にでもなるから、それを利用されて特許々々と言われることになると、この特許は無価値なものだ、台湾で調べたら何にもない、無価値なものだ、そうでしょう。こういう点で砂糖が一万トン入ってきたということになると、——聞けば三万トン入ったのを二万トン流した。そして一万トンは保税倉庫に取られてしまったのだ、そういうことになったら大へんですよ。だからこういう点もよく良心的にお考えになって研究されて答弁されぬと、特許なんというものはわれわれはほとんど問題にしておらぬ。問題にしておらぬものを問題にして許可をとって砂糖を流して、それでいろいろなところへ無理な配給をしたというところにこの問題があるのですから、その点をよくお考えになって吉田委員に御答弁された方がいいと思う
  46. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 関連質問。あなたは今吉田委員田中委員質問にお答になって、あながち特許というものを考えないという意味合いのことをお答えになりましたが、お答えの趣旨は精一ぱい私も善意に解釈をしまして、特許はどうであれ、実質的にはこれはりっぱなものなんだ、役に立つものなんだというふうなお考えのもとにお答えになったものと思うのであります。しかりといたしますれば申し上げますが、当委員会質問もいたし、また諸般の角度から検討いたしました結果、立川研究所のこのものは全く無価値なものでございます。無価値であるという証拠には、現在日本の繊維工業界のどこの工場でもこれを実施いたしておりません。いうところによりますと、非常に権威のあるものであるように立川研究所を中心として言われておるのでありますけれども、当委員会で幾日かにわたりまして、各委員質問もし、検討いたしました結果、ここに露呈せられましたものは全く無価値なものでございます。たとい特許があるにいたせ、ないにいたせ、現在日本の繊維工業界のどこの工場でも実施されておらない、使われておらないということを立川研究所自体も述べております。日本の繊維工業界の生産設備において、これが役立ないものであるといたしますならば、いわんやあなたの御承知の通り、繊維工場の生産設備の程度におきましては、台湾の方は日本よりはるかに劣っております。従ってこういうようなものを実施する工場というものはあり得ないわけでございます。また今田中委員お話を伺っておりますと、何かそういう全く無価値なものが権威づけられてきたような感じもいたすのでございますが、これは特許をとるために台湾へ持ち込まれたのではございません。これは日本特許が確立しておる。日本特許局において、特許を許される官庁において、権威ある特許をなしたものであって、その特許の実施権を向うに売る、その代償として砂糖が来るということなんでございまして、あなたが先刻何か言い違いをなすった、そういうふうに受け取れるのでございますけれども、向うへ持っていって特許をとる権利を移譲する、その代償として砂糖をよこすのだ、これはどうも私の聞き違いかどうかわかりませんが、そうだといたしますと、これは全く陳腐な事柄になってしまわざるを得ません。と申しますことは、砂糖一万トンと申しますと、日本でお菓子を作つている全国のお菓子屋さんに、日本の食糧庁の食品課で割り当てられます一年分の原糖の二倍の数量、膨大なものでございます。二年分の数量というのが一万トンでございますから、これは膨大な数量です。従って金額に直しましてもおわかりの通りでございます。そうすれば、この特許を売るのでなかった、実施権であったということを聞いてすら、私ども驚いておるのに、あなたが今おっしゃったように、いやそうじゃないのだ、台湾政府特許をとるという権利のためなんだということになったら、これは驚かざるを得ないことでありまして、さいぜんから伺っておりますと、申し上げにくいことではございますが、吉田委員にお答えになったことも伺っておりますと、何か終始一貫あなたは詭弁を弄しておっられるようにしか伺えないのでございますが、もう少しまじめにお答えになるようにお願いいたします。
  47. 東条猛猪

    東条参考人 私はこういうように理解しております。台湾におきまして特許を受ける権利特許を受けた以上はもちろん移す権利というふうに考えております。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一度伺いますが、あなた方は現職ではないのでありますが、事は二年前の出来事であります。そこでみなそれぞれ当該官職を去っておられる。だんだん伺っておれば、どうも大臣まで協議は届いておらぬらしい。次官も知らない。為替局長委任事項としてやった。その為替局長ももうそういう事実はないし、もしくは記憶もない。そういうことになりますと、その退職した官吏に対しまして、当時の行政事務上の事項について国会が究明するというときには、課長とか課長補佐とか係長というところへ押しつけてしまって、それで一体いいのだろうか、こういう印象を受けざるを得ないのであります。一体役人というものはそんなものですか。あなた方は今日政府関係機関の重要な役職についておられるわけです。あなた方はみな恩給を受けておられるはずであります。一体そういうものなんですか。今お聞きすれば、知らない。聞いたこともなければ、相談も受けたこともない。委任事項として局長がやったのだ。局長も知らない、もしくは忘れておる。一体そういうことであれば、国会は過去の事実を退官した役人に聞くということは不可能に陥ります。そんなめちゃなことが一体ありますか。あなた方も良心があるならば、きょう出てくるときに、われわれが三日かかるものでも一時間もあればこんな事項はすかっとわかるのですから、十分に御調査ぐらいして出てきてほしい。知らぬ存ぜぬ、大臣はわしゃ知らぬ、委任した局長がやったのだ、局長はもうおらぬ、どこかの銀行に行ってしまった、そんなことになりましたらどうなりますか、そういうことになりますれば、国政について自後追及ができなくなります。この点だけをあなたに聞いておきます。
  49. 河井信太郎

    河野参考人 私は下僚のもとに責任を押しつけるとかなんとかいうようなことを考えておるわけではありません。私は当時の職責からして、こういうような運営になっておった。そうしてその際に私は存じなかった。私の記憶を申し上げておるわけであります。私の在職中の仕事につきまして、大蔵省行政に関する限り責任があるということは当然でございます。役所をやめましても、もちろんそれは責任であろうと私は思います。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きょうは河野さんと議論をするつもりはありませんけれども、きょうは裁判所の証人で過去の記憶をたどって証言して下さいというのとは違うのであります。事は国政の調査であります。従って今日におきましても、事実は御存じなくとも、やはり何らかの関係がなければならぬ。  そこで平井さんに伺いますが、あなたは一切の責任を当時おやりになったらしいのだが、そうして局長まかせとは言われない。あなたは自分でやったとおっしゃっておる。この点非常に私どもは愉快に感じます。そこで伺いたいのでありますが、これも、いや私はそんなこまかいことは知らぬのだ、今えらい民間人になっているのだから、そんなことは下僚がやったのだから、われわれは知らぬとお言いになるならば、今河野さんと問答をやったと同じような不愉快なことに陥るのであります。だからせっかくの機会だから、そんなことのないようにしてもらいたい。  第一に伺いますが、一体あなたの方で無為替輸入を承認なさっておるのだが、無為替輸入というものはそうざらにあることなんですか、どういうものですか。大体どういう場合に許すということになっているのかどうか、こういう莫大な量の砂糖の無為替輸入ということは、希有の事実のようにわれわれは考えるのですが、これらの点についてまず御説明願いたい。
  51. 平井富三郎

    平井参考人 無為替輸入につきましては、対外支払い機関として外貨を使わないという典型的な無為替輸入につきましては、通産省といたしましては、通商局限りで処理いたすのが原則になっております。ただし本件につきましては、単純な無為替輸入ということでなくて、一種の技術の輸出に伴う案件でございますので、通商局長から私のところに、こういう事情であるということで相談に参った、こういう記憶になっております。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通常の典型的な無為替輸入でない、技術を輸出するという特殊なケース、こういうことはかつてなかったように思うのですが、この点はいかがですか。
  53. 平井富三郎

    平井参考人 技術の輸出につきましては、私どもとしてこれが一番通商上有利な輸出体系である。プラント輸出よりも、通常輸出の商品よりも有利な、外貨手取り率百パーセントというものでありますので、これを承認したいという気持がございましたが、従来の日本技術輸出というものは、プラント輸出に伴って相当海外に出ておる例もございますが、技術のみの輸出というものは、あまり例が少かったのではないかというふうに考えております。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それほどあなたが重要視された技術輸出一体技術輸出はどういうふうに持っていって、どういう受け入れ態勢があったのですか。
  55. 平井富三郎

    平井参考人 本件につきまして、私どもが砂糖輸入による決済ということを認めましたのは、本件が技術輸出一つのティピカルな例であるという観点からでございます。そういう意味からこういう特例を認めたわけであります。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 伺うのは、いわゆる技術輸出とおっしゃっているのだが、その技術輸出というのはどこへ輸出して向うは何をしようとするのか、台湾ではどうしようとするのか、そういうことについて、ただ輸出といったところが、空へ打ち上げる輸出ではあるまいし、やはり台湾へ持っていって現実に経済的に役立たしめるということになるのですから、それはあなたの方はどういうふうにおつかみになっておったのか、それを伺いたいのです。
  57. 平井富三郎

    平井参考人 私どもといたしましては、まずこれの取引によって日本の技術が輸出できる——単にこれは特許権あるいは特許を受ける権利輸出ということでなくて、工場建設に伴ういわゆるノー・ハウの関係も含んでいる、こういうふうに私は考えています。そういう意味で、それに伴うこの契約によって日本側の砂糖輸入の全体の体系がどういうような関係になるか、輸入体系に異常はないものかどうか、あるいはその輸入されました砂糖の代金がどういう形で立川の方へ渡るのかどうか、主としてそういう点に検討の考慮をいたしたわけであります。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方が無為替輸入を承認いたしましたのは、それは一体技術を輸出するというのが主になっておるのか、あるいは特許権を向うで実施するというのが主になっておるのか、砂糖を持ってくるというのが主になっておるのか、一体主はどこに置いておったのですか。
  59. 平井富三郎

    平井参考人 砂糖輸入をするために技術の輸出をするという考え方ではございません。技術の輸出に伴って、その決済手段として例外的に物による弁済が認められるかどうか、こういう点にこの問題の検討点があるというように考えます。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体技術輸出とおっしゃるのだが、だれが向うへ行くというのです。人間が行くのか、人間が行かずに何か文書だけいくというのですか、方法だけ向うへ渡るというのか、それはどういうことを意味するのですか、具体的にお答え願いたい。
  61. 平井富三郎

    平井参考人 私の記憶では、これはノー・ハウを含むというふうに記憶いたしております。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは一体この技術の内容を御承知なのですか。また立川研究所というものの実体、もしくはこれを指導しておるもの、内地においてこれが研究の実情、あるいは日本における特許出願といっているのだが、その特許権利実情、そういうものは御調査になっておるのですか。
  63. 平井富三郎

    平井参考人 立川研究所の技術の価値につきましては通商局その他の局に十分調査するように命じたつもりでございます。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなた自身がそれらについて十分に把握せられることなくしては、これはやはり許されるべきものではないはずなのです。今伺えば、よく御承知でないらしい。ほんとうに御承知でなかったというなら、これもわかります。ほんとうは御承知でなくして、下僚まかせで、あるいは半ペラのような一枚の大蔵大臣許可書にたよった、そういうことが真相ではないのですか。これは一つ、証人ではないのだけれども、あなたの御陳述は非常に重要な価値があるとわれわれは考えておるのであります。だから大事な点はあなたが知らなんだというなら、それもわかります。知らなかったのか、忘れておるのか、それとも下僚にまかしてあるから下僚を信じておったのか、技術については大蔵省の方で承認したのだから、許可しておるのだから、もうそれでよろしいというのであるのか、その辺について、もっとはっきりとしたあなたの当時の御確信のほどを聞いておきたい。
  65. 平井富三郎

    平井参考人 私どもとして、この措置の形態が異例でございますので、いろいろ通商局長から話も聞き、それらの点につきまして事務当局として調査いたしました結果、立川研究所のこの技術については相当価値ありという報告を受け、私はそれを信頼したわけでございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体百万ドルの価値があるということはどういうところから出てきたのですか。
  67. 平井富三郎

    平井参考人 具体的に技術の評価は非常にむずかしいわけでありますけれども、当事者同士においてそれだけの価値ありと認めたということであればそれでも差しつかえないのではないか……。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらもし砂糖輸入ということが主であって、そうして技術輸出とか特許を受ける権利輸出とかいうようなことは、それの価値いかんということとは別であるという観点に立ちますと、これはやはり砂糖輸入というものにそごを来たすおそれがある。現にそごを来たしておるじゃありませんか。現に二回も有効期限を延長しなければならぬことになっておる。台湾には砂糖が山のようにありながら、砂糖は一俵も入っておらない。こういう事実についてはやはり相当価値があったかなかったかの関連におきましても、あなたの方はしっかりとした事実の関係をつかんでおかなければならぬと思うのです。百万ドルの値打があったかどうか、下僚まかせで私は知らなかったというのでは、やはり自後こういうような、ともかく一種の疑惑の起る案件の起ってくる要素がそういうときに発生するのであります。台湾において砂糖が山のように実在しながら日本に入ってこなかったということについて、あなたはどういうようにお考えになりますか。
  69. 平井富三郎

    平井参考人 台湾から総体の輸入する砂糖の量はおおむね入っておるわけであります。この砂糖の措置を、こぶつきの砂糖輸入の仕方をいたしませんで、やはりその年度における砂糖輸入計画の一部として処理いたしたというふうにしたつもりであります。
  70. 神近市子

    ○神近委員 関連して。通産省からお出しになっておる許可書ですね。それの条件としては積出港もあるいは産地も指定してないのです。それはどういうわけなんですか。
  71. 平井富三郎

    平井参考人 私その積出港その他については今記憶がございません。
  72. 神近市子

    ○神近委員 砂糖十六万トンは台湾からいつも入っていた。そのうちの一万トンを控除しておいてこの立川研究所に許したということになっていますね。台湾にこれを許すときに、台湾の産地と積出港とを指定しなかったというところにもうすでに何かあなた方がその後に起ることを予期されたような印象があるのです。いつでも砂糖を割り当てるときに産地の指定、あるいは積出港の指定は一切なさらなかったのが常例なんですか。
  73. 平井富三郎

    平井参考人 現実の許可書の内容がどうなっておりますか、実は通常許可書にどういう形でどういうことが要件になっておりますか記憶がございませんので、ちょっとお答えしかねるのでありますが、本件に限って特別なそういう措置をしたという記憶はございません。
  74. 松岡松平

    松岡(松)委員 ちょっと平井参考人にお尋ねしたいのですけれども、先ほどから話を伺っておると、この問題は普通の無為替輸入ではない。要するに技術輸出に伴うものである。こうなってくると実質上の交換関係になる。技術というものが一つ価値で有価物、砂糖はもちろん国際価格のあるもの、少くとも台湾がこの技術を買う以上は砂糖と同等の価値があるという見地に立たない限りは向うは砂糖を出さないのです。砂糖はだれだって買手があるのです。何も時期を過ぎると買手がつかないからあわてて売らなければならぬというものではない。そうするとこれは客観的な価値がなければならぬわけですね。またほんとうに技術を買うならば、何も砂糖を出さなくてもドルで払えばいいのですから、ドルで払うという技術輸出をあなたが言っておられるなら納得できるけれども、技術輸出とは名のみで、砂糖を入れるのが目的ではないのですか。どうも私らには不自然に感じられて仕方がない。先ほどの田中彰治君からの質問もそうだ。これは技術といっても、たとえば原子炉の問題でもそうでしょう。アメリカから入れるか、イギリスから入れるか、もう一年以上も行ったり来たりやっているのですよ。あれがほんとうの技術輸入ですよ。一体虎木綿技術輸出について、それだけの見当が向う側にあったとは、今話を聞いただけではわからないし、またあなたが下僚から報告を受けたといって、一片の言葉であしらっておられるけれども、果してその技術が百万ドルの値打があるということの客観的な裏づけがあったかどうか。はっきり裏づけをおっしゃっていただきたい。少くともあなたのお言葉では、対価関係を認めておられる。技術と砂糖との対価関係というものは、不均衡では成り立たない。なぜそういうちゃちなことまでして砂糖を入れなければならなかったか。日本砂糖を生産する量は、一体何ほどあるか。九九%以上外国から輸入しておるのに、なんてそんなことをして一万トンの砂糖を入れなければならなかったか。あなた方はともかく無為替輸入だ、為替局長権限だ、こう言っておられるけれども、私らが聞いただけではそれは納得できませんよ。おそらく国民がこれを毎日の新聞で見て、納得しているものがありますか。砂糖外国から買い付けっておるのに、たまたま、ちみもうりょう的な虎木綿の技術というようなものを台湾輸出した。それの対価として砂糖を入れたんだと言っておるけれども、この虎木綿の技術なるものは、百万ドルの値打があるという裏づけをどうして得たか、あなた方の今までの説明ではわれわれは納得できないのですよ。あなた方は果して納得できるとお考えになりますか。もしこれが納得できるとお考えになったら驚くべきことですよ。少くともここにおる人は、経済的にはみな無知じゃないのです。また国民は経済的無知じゃないですから、そういうことで納得できるでしょうか。またそういうことまでして、日本はちゃちな砂糖輸入をしなければならぬ客観的な情勢があったのかどうか。あなた方は先ほどから聞いていると、当事者同士だとおっしゃっておるけれども、一体貿易は自由に放任されておるのですか。貿易は管理されておるのですよ。為替は管理されておるのですよ。その網の目をくぐってこれが行われておる。一つの変態形式だということは、だれが見たって、今のお話を伺っていればわかるのですがね。私には了解できません。そしてしかも百万ドルの技術は台湾にいって、特許をとろうがとれなかろうが、価値があったがごとく思っておった。技術輸出は奨励しておった。ほかにこういうケースがあったのですか。それではほかにこういう砂糖が一万トンでも五千トンでも入った実例があったらおっしゃって下さい。どうぞおっしゃって下さい。
  75. 平井富三郎

    平井参考人 私どもはこれを検査するに当って、立川研究所の技術ということにつきましては、通商局当該局として調査をいたしておりました。その報告によってこの虎木綿の技術が、先ほどお話に出ましたように、内地においてはあまり認められておらない実情ではあるが、諸外国においては評価があったというような報告もございますし、技術者の意見といたしましても、この方法についての価値を認めておったのであります。従って私どもとしてはそういう報告に基きまして、技術的な価値ありということを見たわけであります。砂糖輸入につきましては、わざわざむずかしい方法を使う必要のないことはおっしゃる通りでありますが、ただこれの対価として、当時の台湾政府あるいは台湾経済界の実情といたしまして、現金決済ということは不可能でありますし、オープンアカウントによる決済につきましても、当時の勘定じりは大体におきまして台湾の方が入超であります。従いましてオープンアカウント輸入につきましても、台湾政府として計画的な輸入をいたしておるわけであります。そういうふうな関係で、これが砂糖輸出によっての物による決済が一番早道だ、こういう向う側の事情であるというふうに聞きまして、許可いたした次第であります。
  76. 坂本泰良

    坂本委員長 この際委員長から各参考人の方に申し上げます。各参考人は公務員として、しかも各官庁の枢要な地位にあられた事務次官であり、局長であるわけであります。しかもその枢要な地位にあって取り扱われたことについて、本日は参考人としてお聞きしておるわけでありますから、普通の参考人とも異なるわけであります。さらに今決算委員会が国民の代表としてここに審査を進めておりますことは、各委員からいろいろと御質問もありましたように、無為替輸入とか役務契約、その他が虚偽によって、そうして砂糖輸入がされたのではないか。さらにその期限が切れた後に、実際上一万トンのドミニカの砂糖が参りましたのを配給のルートに乗せておるに際して、いろいろととかくの問題が起きておりますから、その真相究明のために、本日は枢要の地位にあられた当時の役職としての事実について、参考人としての聴取をいたしておるわけでありますから、皆さん方はその職務とその地位にあられたということを自覚されて、率直に当時の状態を、各委員の御質問に対してお答えあらんことを希望いたしておきます。
  77. 松岡松平

    松岡(松)委員 今ほど平井さんのお言葉の中に、一つのニュアンスが出ておると思います。やはり砂糖輸入が重点なんですよ。技術の輸出ではないんですよ。もし技術の輸出であったとしたならば、あなた日本が今、先ほど言った原子炉の形式を入れるについて一体どれだけの費用を使ってアメリカへ行ったりイギリスへ行ったりしているのですか。高い安いももちろんのことながら、技術の有望性ということを論議しているのじゃありませんか。それはあなた方も、いやしくも次官の職におられたりっぱな方なら、おわかりでしょう。いわんや虎木綿の技術を台湾輸入するということになれば、百万ドルというのは、そうなまやさしい金ではありませんよ。あなたは下僚の報告だとおっしゃるけれども、日本でははやらぬということをあなたは認めておられるのじゃありませんか。そうすれば、台湾でそれを有価物として百万ドルの金を払ってもいいというその裏づけというものは何もないじゃないですか。台湾においてそれだけの値打があるということを認めておったというところの何の証拠もないじゃありませんか。むしろ逆に、日本内地においてはそんなものは問題にされておらぬ。日本で問題にされておらぬものが台湾において問題にされておるということになると、はっきり申し上げますが台湾日本の文明の尺度というものは一体だんち違うのですか。よほどあれは野蛮人の生息でもしておるところだとお考えになっているか。日本で相手にされないような虎木綿の技術が台湾で百万ドル払われて受け入れられておるということを納得されるということは私は了解できない。あなたの言っておられることは、要するにそれはいいかげんな言葉だ。私には了解できない。私が了解できないということは、少くとも国民の多くの人が了解できないということなんですよ。そうして、そういう変態で入れた砂糖は、一体どういうふうにしてその代金を吸い上げるのですか。この砂糖は自由売買できるのですか。配給ルートに乗せなければ需要者の手元に落ちていかない。砂糖はどこから代金を取るのですか。この虎木綿の技術というものが、ちみもうりょうだったとしたら、国際的にどんな結果を招くのですか。日本貿易上に占める重要な役割というものをあなた方御存じでしょう。もしこの技術がインチキだったとして、砂糖だったとして、砂糖だけぱくり上げて、それを配給ルートへ召し上げられた結果は一体どうなるのですか、考えられないでしょう。どうもあなた方が先ほど言っておられることは全部、何かそこにちゃんと腹の中に考えていることがあって、この場だけ過せばいいとお考えになっているのではないか。あなた方の先ほどからの説明では納得できない。これはあなた自由に売れるものではないんですよ。立川研究所が持ってきて、砂糖の安売りをするから集まれ、みな売ってやるから代金を持ってこい、こうはできないんですよ。百も二百もあなた方知っておられるのではないか。砂糖の買付をきめるのは、あなた方がやっているのではないか。毎年日本幾ら買うか、八十万トン買うか九十万トン買うか、みな割当がきまっているのではないか。こういう変態の砂糖を一万トン入れたということは、何かそこに魂胆と影があるということが言われているのですよ。わかりますか。これをあなた方が解明して下さい。一つも解明になりません。しかもその技術はちみもうりょうとしかわれわれには了解できない。有価物とは思われない。日本内地で実施されない、台湾でこれを実施して金科玉条として工場を開いて、生産の態勢に移すという実績はどこにも見出せない。そうだとしたら、ただ一片の図面を持ち歩いただけだ。日本役所を通過する方便にしかすぎない、こういうことになってくるじゃないか、どうですか。その点をもっと納得するように説明して下さい。あなた一人に限りません。河野さんも東条当時の為替局長もしかり。あなたが大臣から委任を受けて権限を持っておったとおっしゃる。自分権限において決裁した。砂糖権限はあなたの権限じゃない。少くとも大臣次官みな寄って最終決定をなさる。これはわかっているじゃありませんか。ひとりこの砂糖だけはのけものにして為替局長委任をしてやらしめたと言ったら、ますます奇々快々だ。もう一ぺんおさらいのつもりでやってと下さい。承わります。
  78. 平井富三郎

    平井参考人 その場限りのつもりで答弁しているということは一つもございません。当時の私の記憶にありますことをそのまま申し上げておるわけであります。虎木綿の技術的価値につきましては、それぞれの専門家の意見も聴して、通商局から報告がありましたものであって、おっしゃるような評価というふうに私ども当時として考えたことはないのであります。相当価値あり、こう判断した次第であります。日本における普及の程度あるいは外国の評価、それぞれその技術に対する考え方は違うこともあり得ることでありますし、繊維関係専門家の意見が相当価値あり、こういう報告を受けておるわけであります。
  79. 松岡松平

    松岡(松)委員 それは内地関係じゃないのです。向うが技術……。
  80. 坂本泰良

    坂本委員長 ちょっと待って下さい。さっきの質問は三人でしたから、元大蔵省事務次官だった河野参考人
  81. 河井信太郎

    河野参考人 私も先ほど申し上げましたように、この問題につきましては、私は全然記憶がございません。為替局長委任事項として処理されておった関係で存じておりません。
  82. 東条猛猪

    東条参考人 私は当時虎木綿に関する考案は、相当経済的な価値がある、こう考えておりました。それでそれを台湾において特許を受けて、台湾において実施する、権利を譲り受けたり、また譲り渡したいという契約につきましては、何ら信憑性を疑うことなく、国際的な取りきめといたしまして許可するのが至当であると考えたわけであります。
  83. 松岡松平

    松岡(松)委員 東条さんに伺いますが、当時その虎木綿の技術というものは、日本においては特許の出願中であって、特許権というものはいまだ得ていない。そうじゃありませんか。この点どうなんですか。
  84. 東条猛猪

    東条参考人 この点について恐縮でございますが、先ほども申し上げましたように、私は特許関係がどうなっておるというところまで確認はいたさなかった、いかなかったと記憶しております。ただ当時のスタック関係、技術関係をやっておりました官庁方面におきまして、この考案相当経済的な効果が高いという推薦のようなものを受けた記憶がございます。なお私どもといたしましては、専門的知識が実は十分ございませんが、そういうものを信頼いたしたのであります。
  85. 松岡松平

    松岡(松)委員 どうも要点にいくとあなた方は自然長い役人生活で答弁はうまいんだ。うまいことを言って言いのがれすればそれでいいと考えておられるが、一体特許出願中かどうかわからないと言っておきながら、台湾において出願して、それを実施したい、こう言っている。そうしたら、日本関係を調べないでその判断が出てくるわけがないじゃありませんか。どうですか。おかしいじゃないの。日本においてさえもしっぽのわからない魚を台湾においてどうしようというのですか。特許になっているのかなっていないのかということは重大なところなんですよ。日本において特許にもならないようなものが、百万ドルの値打ちありというのは大へんです。あなたは確認いたしましたか。だれが推薦してきたのですか。推薦人をおっしゃい。
  86. 東条猛猪

    東条参考人 私は台湾でもこういう新しい技術を取り入れて、人造繊維の仕事をしたいというまじめな、そういう純経済的な判断のもとに、この契約が行われたという判断をいたしたわけでございます。それから当時の役所の名前、あるいは正確でないかもしれませんが、科学技術行政協議会というような、総理府に協議会のようなものがございまして、そこあたりの推薦があったと記憶しております。もし間違っておりましたら後刻訂正いたします。
  87. 松岡松平

    松岡(松)委員 科学技術調査庁あたりの推薦があったように記憶する、そこで内地の関係はようございますよ。台湾の方からだれがあなたのところにたずねてきて、大へんりっぱなものでございます、百万ドル払っていいものだ、いや技術を受け入れしまして工場をやるのです、と何か言ってきた人があるのですか。それを承わりたい。
  88. 東条猛猪

    東条参考人 私は本件につきまして、台湾関係の方から何ら話を聞いておりません。先ほど申し上げましたように、当事者間のそういう契約が成り立っておるということで、そういう契約というものがあるということを信頼して判断いたしたのであります。
  89. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうするとあなたは信頼した。内地におけるその筋の専門家から推薦があったから、有価物だと自分は思った。そういう技術が輸出されていけば、日本のために利益だ、こう考えられた、これはわかります。もしこれがちみもうりょうであって、砂糖輸入する変態的な企てであったとしたら、あなたはどうだということに気がつかなかったのですか。この技術がもし怪しいという場合には、こういう方法をとるということは大へんな問題なんだ、この点についてあなたは疑点をお持ちにならなかったか。
  90. 東条猛猪

    東条参考人 当時私はこの契約が虚偽のものである、あるいは今仰せのような非常に疑問の多い問題であるということは考えませんでした。この契約関係は、信頼すべきものだという判断のもとに措置がとられたわけであります。
  91. 松岡松平

    松岡(松)委員 この入ってきた砂糖をどういうふうにして処置するというふうにあなたは理解しておられたか。
  92. 東条猛猪

    東条参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、これが通常の現金決済による取引でないという意味におきまして、大蔵大臣許可が要ったわけでありますが、それが現金決済でなくて、品物で入ってくるということは大蔵省関係でございまして、それ以上どういう品物でどういう処分方法が行われたかということは、これは通産大臣権限の問題でありますし、それについては、通産大臣の適正な行政処分が行われなければならないという条件を許可書につけた記憶がございます。
  93. 松岡松平

    松岡(松)委員 東条さんのお話を聞くと、あなたは為替関係でそれを処理しただけで、砂糖処置については、結局通産省の方で適正な処置をすべきであるという意見をつけた記憶がある、その書類は残っておるとお考えになりますか。
  94. 東条猛猪

    東条参考人 突然のお呼び出しで、実はどうなったのか存じませんが、当然書類というものは役所に残っておるし、お調べになればあると思います。
  95. 松岡松平

    松岡(松)委員 その書類の探し出しについて、参考人は御協力願えますね。
  96. 東条猛猪

    東条参考人 当時の責任者として当然のことだと思います。
  97. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは平井さんにお尋ねしたいのですが、通産省当局として、入ってきた一万トンの砂糖をどのように処置するお考えであったか承わりたい。
  98. 平井富三郎

    平井参考人 輸入されました砂糖の配給につきましては、正規のルートを通じて、通常の方法によって精製業者の方に配給をされるという計画を立てまして、これは通商局から農林省の当該局の方に協議、相談をいたしまして、一つの方法を決定しておるものと考えております。
  99. 松岡松平

    松岡(松)委員 これが正式配給ルートに乗りますと、私は砂糖屋じゃないのですから、その辺まで詳しくないのですが、それで承わりたいのですが、一体その代金はだれが受け取るのですか。代金の決済、受け入れ、そういう点について一つ説明願いたい。
  100. 平井富三郎

    平井参考人 代金の決済といいますか、入りました砂糖のCIFの値段に相当する金額立川研究所特許権の代償として立川研究所に入るわけでございます。それから輸入されたときの価格と当時の砂糖の実際の値段の間に差益があるわけであります。この差益につきましては、ジェトロと俗に申しておりますが、海外貿易研究所ですか、このジェトロの方に積み立てる、こういう措置をとります。砂糖自体は農林省の指示に従って精製業者の方に配給されるわけであります。こういうふうに記憶いたしております。
  101. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、配給を受けた人たちはその代金を直接立川研究所に払うのですか。それとも政府指定の機関に払って、その機関から立川研究所に、CIFの価格相当する金を払われるのですか。どちらなんです。
  102. 平井富三郎

    平井参考人 こまかい点については私記憶ございません。従ってここでこうだと申し上げるあれがないのでありますが、おそらく通常輸入商を経由して、その金の配分といいますか、金の支払いを代行する、こういう形がとられたのではないかと存じますが、その辺まで私は当時の記憶がございません。
  103. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、立川研究所にこの金がこの砂糖一万トンの当時のCIFに相当する価格として入っていくわけですね。その関係をあなたにお伺いするのですが、百万ドルに相当する砂糖が入ってきて、砂糖の金はもらった。そしてその輸出したという事実はその後どうなったのですか。これをお伺いしたい。
  104. 平井富三郎

    平井参考人 まだ輸入が実行されておりませんので、立川研究所にもどこにも金はまだ入っておりません。これはその後の進行状況によりますと、当事者契約締結の期間が切れまして、所定の期限の三十年の十月でございましたか十一月でございましたか、それまでに実施ができませんで、立川研究所より、本件については一切御破算にするという申し入れがあったというように聞いております。
  105. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今のその点からお聞きします。立川研究所では一切御破算にすると言ったとあなたの方では言っていますが、この前の委員会立川研究所の立川参考人は、三度目の延期をしてほしいということを願い出たと言っているのです。そうすると延期を一応認めておいた。ところが十月二十三日にあなたの方では延期は許さないということになった。ところが二十四日にはドミニカの船が向うを出ているのです。これはあなた方の方でもわかっているだろうし、立川でもわかっているはずです。だから、立川の方では三度目の延期をしてほしいということを願い出たと言い、あなたの方では立川の方から打ち切っていいと言ってきたと言うのですが、これの食い違いはどういうことなんですか。
  106. 平井富三郎

    平井参考人 立川研究所で御破算にしたということにつきましては、通商局からそういう報告があったのであります。私が通産次官を退任いたしましたのはちょうど十一月の中旬ごろだと記憶いたしますが、その前後の事情について私自身直接立川研究所なり何なりから報告を受けたことはございません。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今あなたの方では立川から断ってきたと言われたでしょう。立川では延期してほしいということを申し入れたと言う。そうすると二回は延期を許しておきながら、船が出港するのを知っていて三度目の延期を許さなかったのはどういうわけか。それを、お聞きしているのです。
  108. 平井富三郎

    平井参考人 通商局の方に立川研究所からそういう意思表示があったというふうに私は聞いております。私直接立川研究所にはタッチして参りません。それから一回延期いたしまして、再延長の願いが参りましたのがいつであったか、私は記憶がございません。おそらくこの問題の折衝は、私の退任前後すでにあったことかもわかりませんが、私としては聞き及んでおりません。
  109. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから東条さんにお尋ねしますが、無為替とか無関税とか、これは私は宗教団体とか慈善団体とかそういうものが日本へ物を持ち込んでくる場合なんかに許されるケースだと思うのですが、この場合には、その特許の性質がどうであるか、特許の内容がどうであるかは別として、特許の実施権を向うへ譲るということで、その対価としての百万ドルの砂糖となっておる。従って純然たる経済行為ですね。こういう経済行為に対して、無為替許可するという例はあったのですか。たくさんあるのですか。
  110. 東条猛猪

    東条参考人 私当時のことを記憶いたしておりますが、この話を聞きましたときに、私はできればこれは現金決済で金を取れないかということを、立川研究所に直接ではありませんけれども、部内で会議をいたしましたときに、相当強く立川研究所に聞かした記憶がございます。しかし当時の事情といたしまして、台湾政府側が現金決済ということは認めない。台湾輸出の奨励になるということならば、この権利を譲り受けることを許可してもいいけれども、現金決済台湾政府側がどうしても認めないのだということを立川研究所からの報告として聞いたわけでございます。しからばこういう場合に、現金決済が受けられないから、この契約は認めるわけにはいかないという行政措置をとるのが適当であるか、あるいは現金が取れないにしても、何か日本のために役立つものであるならばやむを得ず認めるということが適当であるか、私どもといたしまして相当検討いたしました結果、通産省の方で国民経済的に適当だと思うものが見返りとして入ってくるということであれば、せっかくこういう契約ができておるということであるならば、許可するのが行政措置としてむしろ至当ではあるまいかということで、私は相当異例なことだと思ついますけれども、本件を許可したという記憶を持っております。
  111. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 こういう経済行為に対して無為替許可するということは、今もおっしゃったように異例なことだ、こういうことになりますね。そうすると、異例のことまでしなければならないというのは、今あなたの御答弁では、日本の国民経済に大へん役立つからということでやったとおっしゃるのですが、一体こういうケースをとって、あなた方には権限があって——しかしその権限というものは法律や規定によってやはり制約されておるわけです。それを自由に解釈してそういう異例の措置をとっていいのか。この場合そういう措置をとることが、あなたはいいと思っておったとおっしゃっておるけれども、果していいのかどうか。こういう純経済行為を無為替でやるということ自体私は非常な疑問があるのです。この点はどうなんですか。
  112. 東条猛猪

    東条参考人 できれば現金決済が望ましいが、現金決済は諸般の情勢上むずかしい。従って現金のかわりに日本にも役立つ品物の輸入が行われるということであるならば、私はいわゆる行政上の自由裁量と申しますか、そういう範囲内において行なってもよろしいことである、こう考えたのでございます。
  113. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点伺っておきますが、この一万トンの砂糖は結局は台湾から入らなくて、ドミニカから入ってきたわけですが、台湾から入ってくるということが予想されて——これは食糧庁の方で割当てているのですね。内示という形で割当を発表しておるわけです。その後において、その内示をした割当はまた変更されておる。この経過というものが私どもにはわからない。入ってこない分、入ってこないから内示したのだ、その内示をまた変更しておるところに何か不明朗な疑問の点が出てくるが、この点はどうなんですか。
  114. 平川守

    平川参考人 私は、これを予定して割当をしたかどうかということについては、全然報告も受けておりませんし、存じません。ただ一般の場合に、ある程度輸入の見通し、計画が立ちますると、ある程度内定的に割当の準備をいたすわけであります。それがどの程度に、この場合におきまして業者に対して示されたのか、そういうものが食糧庁において立案されたか、その点につきましては、全然本件について報告も受けておりませんし、記憶もございません。要すれば、食糧庁の方で調べればわかると思います。
  115. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは一万トンは割当している、内示しているのです。内示しているところを見ると、この一万トンの砂糖というものは、台湾から入ってくるという確信のもとにやられたと思う。そうしてその内示したものを、また違う方に変更されている。あなたはそういう報告を受けていないというが、おかしいのは、一万トンの砂糖輸入というのは、外貨の割当を受けて入れるのが当然でしょう。この場合には、外貨の割当というものは受けていないのです。従って、この一万トンの輸入というものは日本砂糖輸入のワク外になって出てくる。そういう点は、あなたは当時農林次官をしておったが、この一つの計画の割当外に、これに乗っかってくる、これはどういうことになりますか。一万トンというのは聞くところによると、一万トンを割当内で、あるいは外貨を割り当てる、それ以内でやることは業者は非常な反対をした。ところが割り当てて、追加というような形で一万トンは別ワクとしてよけい入ってくるから業者はこれに賛成したのだ。それほど食糧庁というか、農林省が業者の圧力の前には非常に弱かったということの、これは一つの実例じゃないかと思いますが、この点についてのあなたの考えはどうなんですか。
  116. 平川守

    平川参考人 ただいまの具体的のことについては、先ほども申し上げましたように、そういう点について全然報告も受けませんし、記憶もございませんが、ただこの無為替によって輸入される砂糖というのは、期別輸入計画の総量のワク内であるということに報告を受けたように記憶しております。
  117. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ワク内じゃないんじゃないですか。ワク外じゃないですか。そういう外貨の割当をしていないのだ。していないのだから、ワク外だ。
  118. 平川守

    平川参考人 これは通産省の方で輸入を期別に何万トンということをおきめになるわけであります。ただいまの無為替輸入分というのは、無為替で入りますけれども、やはり輸入でございまして、期別の砂糖輸入計画量のワク内である。これは前通産次官もそう言っておられますから、その通りであると思います。
  119. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、為替なしに入れたのは、為替のワク内にどういうふうにして入れたのですか。
  120. 平井富三郎

    平井参考人 私から便宜お答えいたしますが、この無為替輸入許可いたしましたときに、私の方として考慮いたしました一つの点が、ワク内かワク外かということでありまして、ワク内として処置する、こういう原則で貫いておる、かように思います。
  121. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 ちょっとこの点について平井さんにお尋ねをいたしますが、当時の農水産課長はあなたと違っておる答弁をしておるのです。おわかりになりますか。ここではあなたはワク内でとおっしゃったですけれども、そのワクを一万トン保留して、とそう言っておるのです。保留して——これは記録に残っておるのです。ですからあなたの答弁と食い違うのです。当時の日比野君という農水産課長は、ここで証人として証言されておる。それがまた問題になったのです。よろしゅうございますか。あなたと食い違いますよ。よろしゅうございますか。
  122. 平井富三郎

    平井参考人 私の記憶では、ワク内として処理されておる、こういう記憶を持っております。
  123. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それは完全に食い違いますよ。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 無為替輸入につきましては、まれなケースであるということが、大体各位の御答弁によって明らかになったのですが、そこでこの場合平井さんに伺いますが、台湾から台湾砂糖日本輸入する場合には、台湾の政府が輸出許可するということが必要じゃないかと思われますが、その点については何か証拠書類でもあったのであろうか、もしくは前後に何か条件付にでもなっておったのでしょうか、もしくはそれは必要なかったのか、それを伺います。
  125. 平井富三郎

    平井参考人 具体的に許可証があっかたどうか、私は記憶がございません。しかし両方の政府の許可を要するというような事項は、本件に限らずいろいろあるわけであります。通常輸入についても起り得るわけであります。その際に当然それは条件になっておる、こういう考え方をしておることもあるわけであります。具体的にそういう証拠書類をとったかどうか、私記憶がございません。
  126. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっと河野さんに伺いますが、いろいろ御答弁の中で考えますのは、無為替輸入というものに対する比重が、委員の側の方では非常に重大に考えておりますが、あなたの方では案外軽く見ておられる。これは為替局長もあなたも、これは委任事項だから、局長でやっていいのだというふうに考えておられますが、だんだんやってみますと、これは非常に異例の事実である、こういうことが漸次明らかになってきております。     〔委員長退席、神近委員長代理着席〕 現在でもまだあなたは、無為替輸入という今回の事件は大したものじゃない、こうお考えになっておりますか。われわれは別段個人々々をいじめるというわけではなく、日本砂糖行政全般が乱れておりまして、これがおよそ最近の日本の汚職の根をなしておる、これを抜本的に粛正したいというのが当委員会の意思なんであります。こんな重大な問題をあなた方がそう簡単にお扱いになるのであるならば、これは大臣に出てもらって、その真意をただす必要があると思いますが、どうですか。その点お扱いになった当時に……。
  127. 河井信太郎

    河野参考人 貿易はやはり現金決済でいくのが私は常道だと思います。ただ無為替輸入にもいろいろケースがございまして、これは為替局長をされた東条さんがおっしゃるのが至当だと思いますけれども、ことにオープン協定などをやっておりますときにおきましては、こういうふうな例が出てくることも相当あるんじゃないかと思います。本件につきまして、結果論としてはいろいろ御異論があるかと思うのでありますが、その当時におきましては、為替局長判断で無為替輸入の問題について処理させても差しつかえないというふうに考えてやっておったものと思います。
  128. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この無為替輸入に関しまして、このような事実が現われて参っております。こういうふうな為替のワクの割当あるいは砂糖輸入の割当というものは、単なる委任事項として局長のところで全部が決裁される、こういう砂糖行政のあり方が果して今後このようなケースを生むおそれがないかどうか、今度の事件にかんがみてどう思われますか。
  129. 河井信太郎

    河野参考人 この点は私とかくの意見を申し上げるわけにはいきません。現在の大蔵当局がどうお考えになるかという問題だと私は思っています。
  130. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき、もとの為替局長東条さんのお答えでは、通常の例でないから大臣許可を得たのだ、こう言っております。そうするとこの大臣許可を得たというのは、本件に関する最終責任の帰着点はあなたにあるのですか、大臣にあるのですか、確かめておきます。
  131. 東条猛猪

    東条参考人 あるいは私の申し上げ方が足りなかったかと思いますが、通常決済でなくして、物資の輸入による決済であるということで、なぜそうしなければならぬかということを慎重に検討いたしたということを申し上げたわけであります。許可書はいずれの場合におきましても、大蔵大臣名をもって出るわけでございます。そうして大蔵大臣名の許可書が出る部内の手続といたしまして、役務に関する契約為替局長限りで決裁してよろしい。つまり為替局長決裁すれば大蔵大臣名の許可書が出る、こういうことに相なっておるわけでございます。従いまして大蔵大臣名の許可書が出ることにつきましては、やはり事務の執行に当りました為替局長が第一義的には責任を負わなければならぬ。もし為替局長に落度がございますれば、あるいは監督上の責任大臣次官に出るかもわかりませんが、あくまでも当該行政処置につきましては、委任事項を受けた範囲にございますから、たとえば大蔵大臣名の許可書でございましょうとも、為替局長にある、かように考えております。
  132. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この事件に対してあなたが特に大臣許可を受けたというのは、どういうわけなんですか。さっきそういう御答弁があった。
  133. 東条猛猪

    東条参考人 そう申し上げたのではございません。いずれにいたしましても、委任範囲の問題でございますから、特に私限りで、部内で慎重に検討してやった、大臣名許可書を出した、こう申し上げたつもりでございます。間違っておりましたら御訂正申し上げます。
  134. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さらに、あなたはこの立川の虎木綿特許台湾特許を受ける権利を売り渡すんだ、こう言っておる。ところがこの特許の実施権を売り渡したと立川は言っているのです。この特許を受ける権利特許の実施権というものの違いは一体どこにありますか。
  135. 東条猛猪

    東条参考人 私はこういうふうに記憶いたしております。台湾において特許を受けまして、その特許台湾を区域といたしまして実施する権利立川研究所から台湾相手方に譲渡すると、いう契約の内容であったと記憶いたしております。あるいは私の記憶違いかわかりませんが、私は、当時の申請書では、台湾において特許を受ける権利というふうになっておった、こう記憶いたしております。
  136. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと特許を受ける権利というのは、結局は特許の実施権と同じものだというお考えですか。
  137. 東条猛猪

    東条参考人 実質的にはさようなことになると思います。
  138. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっきのあなたの御答弁では、特許の内容がはっきりわかっていないようにおっしゃった。それを、立川研究所特許の内容というものは、非常に客観的の価値があるものだ、日本では認められていないが、諸外国ではこれは認められているというような御答弁があったように思われます。この諸外国立川研究所のこの研究の客観的価値が認められておるということは何によって立証されますか。立証することができますか。
  139. 東条猛猪

    東条参考人 諸外国において認められておるということは平井参考人がおっしゃったと思います。私が申し上げましたのは、私は当時申請書を処理する場合に、特許関係までは明確に調べなかったのでございまするけれども、当時の産業技術関係をやっておりまする専門官庁の方で、この人造繊維に関する考案値打があるものだという推薦状と申しますか、証明書のようなものがあったような記憶があるということを申し上げたのであります。従いまして私といたしましては、相当客観的に経済的な価値のあるものだという前提のもとに、本件を処理したと、こう申し上げたわけであります。
  140. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたはこの特許につきまして、立川研究所関係の人に確められた事実がございますか。
  141. 東条猛猪

    東条参考人 三年ばかり前のことでございますし、為替局長といたしまして大ぜいの人に面会いたしますので、はっきりした記憶はございませんけれども、私はこの立川研究所の問題について、どなたか利害関係者にお目にかかった記憶は実はございません。
  142. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それじゃこういうことはだれに確められたのですか。あなたは間接に確めただけで、無為替輸入に関するこの問題を、ほとんど間接な取調べだけで許可したと、こう考えてよろしいのですか。
  143. 東条猛猪

    東条参考人 申し上げるまでもなく、役所の組織といたしまして、局長みずからいろいろ申請者を呼んで取り調べておる事例もございますけれども、今度の場合、課長その他自分を補佐してくれる人に、いろいろ人に会ってもらったり、事案を調べてもらうということが多いわけでございます。立川研究所の問題につきましては、私は申請者申請関係者に直接会った記憶はございません。当時の管理課長あるいはその下の人に、十分本件について審議してもらいまして、その結果をいろいろ相談した、こういうふうに記憶いたしております。
  144. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 当時具体的にこの折衝に当りました人の名前をお知らせ願いたい。
  145. 東条猛猪

    東条参考人 私の下に管理課長江上君がおりましたので、江上管理課長が主として当ったのじゃなかろうかと、これは推察でございます。
  146. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大へん失礼な言い方でございますが、あなたは現在の職業は何をやっておられますか。為替局長をおやめになってから、どこにおられますか。
  147. 東条猛猪

    東条参考人 為替局長昭和二十七年の七月までいたしまして、それから昨年の六月まで銀行局長をいたしまして、ただいまは日本輸出入銀行の理事をいたしております。
  148. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたの下でいろいろこの事務に当られました管理課長からの報告では、立川研究所の実体というものはどういうふうに、あなたはおとりになっておりますか。どういうふうな機構で、何をやる会社で、どんな実力を持っておるか。この点のお調べを間接的にでもあなたはなされましたか。
  149. 東条猛猪

    東条参考人 恐縮でありまするが、はっきりした記憶を持ちません。そうして立川研究所は、この虎木綿の問題については、技術関係考案はしたが、当時日本では工業化せられておらないという事実を聞いたことは記憶いたしております。
  150. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この無為替輸入は、さっきからいろいろお話がありますが、非常な危険をはらむのです。たとえばあなたが最初主張されたという現金決済が行われるならば問題はない。けれどもこれが砂糖で入ってきた場合、この砂糖の代金が向うに払われるのじゃなくて、そこに若干のマージンが残るのです。利益が残ります。ここにねらいがつけられまして、この問題でさまざまのことが行われました。そうするとわれわれの予想されますのは、この特許実施権というものはほとんど価値がないものであっても、砂糖さえ入ってくれば、そこに若干の利益を食うものができるということはこれは想像されますが、そういう点まであなたは為替局長としてお考え及ばなかったでしょうか。
  151. 東条猛猪

    東条参考人 私は当時これが現金決済で行われれば一番いい、しかし台湾の政府側の意向で、台湾からの輸出に適するような決済方法でなければならないということでございましたので、現金決済のかわりに物資の輸入でもって決済が行われる、これは一番いい方法ではありませんが、本件契約成立のためにやむを得ないということであるならば、行政措置としては許可するのが適当であろうと考えましたわけであります。自後これが砂糖で入る、あるいは入った砂糖の処分がどういうふうに行われるべきであるか、あるいはそれによって生ずる代金関係あるいは差益関係はどうなるべきであるかということは、それぞれの所轄の役所において処理せられるべき問題になりまして、為替局長としてはそこまで立ち入って考えぬでもよろしい、そう考えたわけでございます。
  152. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 為替のワクをとるには砂糖輸入業者が非常に苦しんでいるということを聞いている、少くともこの一万トンの砂糖の代金、数億に及ぶこの代金のワクをとるということは、輸入業者にとってはこれは大へん利害の深い問題なのであります。それをこのように立川研究所というものの実態も確められずに異例の措置を許されたということは、どうも受けとれないのですが、あと報告書等もいろいろございますそうですから、これについてまたあらためてお伺いすることがあるかもしれませんが、ここで平井さんに一つお伺いしたい。この砂糖輸入は、もしも特許実施権というものが架空のものであるならば非常に大きな弊害を起すようにわれわれ思いますが、この特許権が実際に価値のあるものである場合と価値のない場合と、この砂糖輸入はどういうふうに変るとあなたはお考えになっていますか。
  153. 平井富三郎

    平井参考人 私どもといたしましては、この技術が価値ありという専門家報告、通商局の調査の結果に基きまして、そういう判断をいたした次第であります。
  154. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その価値ありとあなたに話をされた方の氏名をお知らせ願いたいと思います。
  155. 平井富三郎

    平井参考人 通商局長の板垣君から報告を受けております。
  156. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この報告は書類によったものですか、口頭によったものですか。
  157. 平井富三郎

    平井参考人 調査は各方面になされたと私は記憶しておりますが、板垣君からは口頭をもって報告を受けました。
  158. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それじゃもっと詳しくその内容をお話し願いたいと思います。書類ならば書類を見せてもらいますけれども、口頭で、あなたが通知をされまして、これだけの大きな無為替輸入許可されたということになるならば、もっと詳しく通商局長の話をお伝え願いたいと思います。
  159. 平井富三郎

    平井参考人 この点の技術の価値につきましては、本件が通商局に参りましてから、通商局として相当の期間をもって各般の調査をいたした次第でありまして、技術関係の官庁なりあるいは繊維関係の技術者その他につきまして調査した結果、技術価値ありという結論に達した、こういう報告局長より受けておる次第であります。
  160. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 じゃあなたがこの立川の特許権価値があるという認識を持たれたのは、通商局長の口頭によるあなたへの報告じゃなくて、そうした通商局内の報告書類によってなされたのですか。大事な点ですからはっきりさせておきます。
  161. 平井富三郎

    平井参考人 本件は通商局の所管事項でありますので、商通局長を通じて話を聞いております。
  162. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はその話の内容を聞きたいと言っているのです。話をそらさないであなたの聞かれた話の内容をお知らせ願いたい。
  163. 平井富三郎

    平井参考人 話の内容は先ほど申し上げましたようなことを記憶しておるのでありまして、各方面専門家の意見も聞いた上で、この技術については価値ありという判定を下した、こういう報告を受けておるわけであります。
  164. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは通商局内の各種の報告書などでこの実際はわかりますか、今はもう調べるに由なきものですか。
  165. 平井富三郎

    平井参考人 これは通商局について一つお聞き取り願いたいと思います。
  166. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこであなたにもう一つお聞きいたしまするが、この砂糖がワク内、ワク外ということが今相当問題となっております。これは一体どちらがほんとうなのですか、ワク外ですか、ワク内ですか。
  167. 平井富三郎

    平井参考人 私の記憶ではワク内と承知しております。
  168. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ワク内でございますと、ドミニカの砂糖が実際にきた場合には、このワク内に入って特別な措置を講じなくても配給のルートには乗るはずでございますが、このワク内であるはずの砂糖をめぐってさまざまの事件が派生しましたのはどういうわけですか。ワク内で入った砂糖がワク外の措置を受けたのですか。
  169. 平井富三郎

    平井参考人 当初の計画につきましては、砂糖輸入代金をもって立川研究所技術輸出代と申しますか、特許代と申しますか、対価を払う、こういうことで無為替輸入になったわけであります。立川研究所の研究が御破算になりました自後のことについては、私何も聞き及んでおりませんので、お答えいたしかねるわけであります。
  170. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一回延期をした事情をあなたは知っておりますか。十月二十三日まで延期をされた事情については知っておりますか。
  171. 平井富三郎

    平井参考人 現実の砂糖の買付契約がおくれたということのために一回だけ延長する、こういうことは報告を受けりております。
  172. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その場合の砂糖はどこからくるという報告でございましたか、ドミニカですか、台湾ですか。
  173. 平井富三郎

    平井参考人 砂糖の種類については別段聞き及んでおりません。ドミニカという具体的な砂糖の名前も記憶はございません。
  174. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたは許可を与えるに当ってはどこの砂糖を予定されておったのですか。
  175. 平井富三郎

    平井参考人 契約の当初の内容につきまして、台湾産の砂糖——砂糖には限らないのですが、台湾産の物資ということで通商局で長く当事者と検討しておったような経過を聞いております。
  176. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 台湾砂糖以外の物資というと何になりますか。
  177. 平井富三郎

    平井参考人 通商局の審議の過程の中間的な報告を受けた程度のことでありまして、はっきりした記憶はございません。ただバナナ、パイ・カンとかいうものが当時台湾から輸入されておりましたので、そういうものもおそらく研究の対象になったのではないかと考えますが、台湾からの無為替輸入という線で話を承わっておりました。
  178. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 立川研究所の嘱託をしておりました勝間氏の証言によりますと、最初米と塩が予定されておったのだが、それがだめになって砂糖にかえたという話がございますが、そういう話はお聞きになりましたか。
  179. 平井富三郎

    平井参考人 当初砂糖ということでなく、他の物資ということを通商局で研究したということを聞いておりますが、具体的に米、塩あるいはバナナであるか、そこまでは私記憶にございません。
  180. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ここに通商産業省の通商局から回っております輸入の承認書がございます。これによりますと、はっきり台湾砂糖とは書いていないのですが、どこでもいいというふうに書いてあるらしい。これはさっき神近委員からも出た通りなんです。こういう記憶がございますか。
  181. 平井富三郎

    平井参考人 どこからの砂糖でもいいということではなくして、問題は、入ってくる砂糖が、台湾の、輸入計画のワク内として無為替で入ってくる、こういうところに重点があったのではないかというふうに考えておりますが、詳細な点は一つ通商局からお聞き取り願いたいと思います。
  182. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき為替局長にも伺っておったのですが、この特許権が実際に現金で支払われない場合と支払われた場合と、輸入された砂糖の利益の重点が変ると私は思うのです。特許権の金が入ってくればこれはいいのですが、特許権がむだなもので、砂糖だけ輸入した場合でもこの片貿易による利益が出てくる、これはあなたは承認のり当時お考えになりませんでしたか。
  183. 平井富三郎

    平井参考人 この技術について相当価値もあり、しかも工場建設につきまして特許を、供与すると申しますか、技術指導を行う、こういう契約内容になっておりましましたので、本件についてはスムーズにいき得るものだ、こういう前提で考えておった次第であります。
  184. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それではもしその特許取引が不可能になった場合は、あなたはむろんこの輸入はお許しにならぬつもりだったのですか。
  185. 平井富三郎

    平井参考人 そういう場合におきましては、その砂糖が内地に輸入されましたあと処理については極力弊害を少くするという方途を講じたであろう、こういうふうに考えます。当時におきましてはその事後の処理についてはどういう処置をとるということを考え記憶はございません。
  186. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 平川参考人にちょっとお伺いしたいのですが、あなたはさっき清井食糧庁長官からこの入ってきたドミニカの砂糖の正規のルートによる処置を頼まれたようなお話でございましたが、もっと詳細にその辺の事情を明らかにしてもらいたい。
  187. 平川守

    平川参考人 これはドミニカの砂糖ということでなしに、春ごろであったと思いますが、今通産省大蔵省において台湾から無為替砂糖輸入しようという計画が進んでおる、そうしてそれが輸入された場合においては、その砂糖を正規のルートで農林省において配給をするようにしてもらいたい、こういう申し入れが通産省からありました、こういう報告を受けたわけであります。
  188. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この無為替で入ってくる砂糖が実際に入ってしまってから何か長官から話がなかったですか。
  189. 平川守

    平川参考人 その以後は全然話がございませんでした。
  190. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ドミニカの砂糖が入ったことを参考人は御承知ですか。
  191. 平川守

    平川参考人 当時は全然そういうことを聞いておりませんでした。
  192. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたはたしか三十二年の六月までおられたように記憶いたしますが、その通りでしょうか。
  193. 平川守

    平川参考人 その通りでございます。
  194. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、このドミニカの砂糖が入ってきた、これを正規のルートに載せることについていろいろ動きがあったようですが、これはあなたの関知せざるところですか。また職務権限上からいっても関知すべからざるところなのですか。
  195. 平川守

    平川参考人 これは入って参りました砂糖あとの配給割当等につきましては、食糧庁長官に全部大臣権限委任してあるわけでございます。ただ当初無為替輸入するということで、それについて正規のルートに乗せてもらいたいということを通産省から依頼があったということに関して報告があったわけでございまして、その以後何ら報告がございませんでした。あとで聞いてみますと、それが無効になったということを最近初めて聞いたようなわけでございまして、当時はその後の報告は全然ございませんでした。
  196. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 事務次官のあなたに報告がないというのですが、政務次官にはどうだったでしょうか。これはやはり当時非常に大きな問題になっておったことでもあるし、もう知らぬ存ぜぬでは済ませないことだと思いまするが、次官としてあなたに話がなくともその当時の政務次官には話があったのじゃないか、お聞きになりませんか。相談を受けたこと、がありませんか。
  197. 平川守

    平川参考人 それは私全然知りません。
  198. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 平井さんに伺いますが、さっきの続きですが、台湾政府から台湾糖を本件の反対給付に日本輸出するということになつたとすれば、これは確実に日本へ到達すべきだと推定するのですが、どうですか。
  199. 平井富三郎

    平井参考人 ちょっと聞き取りにくかったのでおそれ入りますが……。
  200. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さきに伺いました場合、台湾政府側において、この場合立川研究所のいわゆる技術輸出ですか、これの対価として砂糖相当量が日本輸出せられるということは、当然台湾政府がその輸出許可するものと思う、そういう御趣旨の御答弁があったと思いますが、台湾の政府が日本へ重要な食糧物資である砂糖をこの場合特許権の対価として輸出するという許可を与える限りは、確実に日本輸入されるということはたやすく想像し得るところなんでありますが、あなたもそういうふうにお考えになっておりませんでしたか。
  201. 平井富三郎

    平井参考人 台湾政府といいますか、台湾側の事情で砂糖をもって決済する、こういう話が進行しておるというふうに聞いておったわけであります。従いまして、特許権の本件が許可になりますれば、正常な進捗状況をもってすれば、台湾政府許可も受けられるのではないかというふうに考えておりました。
  202. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局、台湾糖を台湾の政府の許可を得て、本件の場合日本輸出せられる、こういうことに間違いないのでございましたね。
  203. 平井富三郎

    平井参考人 台湾への技術輸出の対価を物をとって決済をする、こういう許可であり、その内容は台湾糖の輸入計画の範囲内とする、こういう原則だと考えております。
  204. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、台湾糖の日本への輸入計画の範囲内とすれば、それは特別な理由がない限りは、確実に日本に到達すべきだ、こういうふうに考えられるのですが、その点についてのお考えを聞きたい。
  205. 平井富三郎

    平井参考人 私どもが聞き及んでおりますのは、台湾糖のワク内の輸入、こういうふうに考えておりましたので、砂糖輸入は円滑に行われるのではないか、こういうふうに考えておりました。というのは、日本側の事情でございまして、要するに、このために特別に従来の輸入計画にプラス一万トン、二万トンという砂糖をよけい輸入する、こういう考え方は持っておりませんでした。
  206. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 台湾砂糖台湾の政府がこの場合日本輸出するという許可を与えるならば、これは当然日本に来るということはたやすく想像されますが、その点は御答弁の御趣旨も同一だろうと考えるのであります。ところが現実におきましては台湾から来なかった。それはまた一体どういうことに政府は考えたんでしょうか。政府は無為替輸入、これを代金を払わないで一万トンの砂糖日本に入ってくるということならば、経済的に大いに有益なことであるというようなことも手伝って、無為替輸入の承認をしたいきさつにかんがみまして、当然入るべきものがなぜ入らなかったか、こういうことについて第一疑念を持たなくちゃならぬ。どうして入らなかったというふうに当時御判断になったのであろうか。入るべき時期に入っておらぬ。しばしば期限の延長まで行われねばならぬ事態に立ち至った。これはどうしてそうなったんだろうということについて、通産省相当考えになってしかるべきであったと思うのでありますが……。
  207. 平井富三郎

    平井参考人 本件の処理につきましては、通産省といたしましても、通商局は非常に慎重に調査を進めたものと思います。従いまして、相当の期間を要して許可をしておるわけでございます。そういう関係から現実の契約関係がおくれて参ったのではないか、こういう程度の記憶しかございません。
  208. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 おとといの当委員会における立川関係の代表者勝間証人の証言によれば、やはり輸入承認書を添付して、そして他人との間に砂糖の売買契約をしたということを認めておるのです。よろしゅうございますね。さすれば、やはり台湾から砂糖が入ってくることは、あなたの御答弁とも照らし合して、これは確実なものであるとだれも考えます。ところが現実においては入ってこない。契約相当時間がかかったので、入ってくるのがおくれたのであろうというのは、ちょっと筋違いのお考え方であります。ともかく近い台湾から入ってこない、入ってこないので、期限を延長した、しかも三ヵ月間二度も延長した。こういう事態に立ち至っておる。これは大へんなそこであると思います。そもそもこういうそごを来たすのはどういうわけであるか、実はそこを糾明したい。あなたのお説によれば、台湾の政府が砂糖日本輸出することを認める、許可を与えるということであれば、これは日本へ確実に入ってくるべきが入ってきておらぬ、これは重大なことである。重大な異変が生じた。異変が生じたのはどういうわけだ。しかも漫然と二回も延ばしておる。これもわからぬ。結局台湾から入ってこない。政府が関与して輸出許可するものが、どうして入ってこないかということはきわめて重大な現象であります。政府はどう考えておったか。
  209. 平井富三郎

    平井参考人 本件の処理につきまして、いろいろ無為替輸入の点、砂糖が入って参りましたあとの流し方、あるいはそういう問題については、私ども慎重に通商局から聞いておりますが、遅延いたしました事情につきましては、詳しく聞いて、ここでこういう理由で、延びておったのだ、こう申し上げるほど記憶がございませんので、御了承願いたいのであります。
  210. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あとでドミニカの砂糖が入ってきてからの問題はちょっと別個の問題である。延長ではありますが、また、観点によりましては別の問題になるのであります。無為替輸入許可なさったその趣旨、その経緯について私は聞きおるのであります。当然確実に入ってくるものが入ってこない現象が生じたならば、これは大へんだろうと私は思うのです。相手の政府が、相手の東方貿易行の所在する台湾政府が、日本砂糖の入ることを許可して、当然入ってくるべきものが実は入ってこない。しかも二度も延長する。結局入ってこなかった。きわめて重大なことであり、そんなことはあり得ようがないと私は思うのであります。その段階においては、通産省は、あなたは記憶していないかもしれませんけれども、今でもそれはまことに不思議なことです。そんなことはあり得ないというふうにお考えになりませんか、今日におきまして。
  211. 平井富三郎

    平井参考人 本件につきましては、当時の通商局長なり通商局からお聞き取り願いたいと思うのでありますが、本件の許可に当りましては、私もこういう異例な措置でございますので、通商局長から相当詳細に報告をとったわけでありますが、その後の措置につきまして、はっきりした記憶がございませんので、通商局からお聞き取り願いたいと思います。
  212. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはりこれは通商局または何とか課長輸入課長というふうに転々と下僚に責任が転嫁する、またその危険があるのであります。私が明らかにしたいことは、このような異例の措置をとられた場合、重大な異変が生じて、反対給付が日本に確実にこない状況に立ち至っておる。こういうときには、直ちにその原因、真相を調査するというところまでいかるべきが至当ではないか、こういうふうに思うのであります。通商局長から聞いてくれとおっしゃれば、それもそうでありますけれども、当時の事務次官としまして、相当これは重大な事項としてお扱いになったはずであるから伺っておるのでありますが、全然これは、そういうことはお調べなくてもいいということになるのでしょうか。
  213. 平井富三郎

    平井参考人 そういう意味で申し上げておるのではないのでありまして、本件処理に当って、先ほど申し上げましたように、これは形式的には局限りで処理できる事項でありますが、特異の例であるという関係で通商局長からも詳しく聞いたわけであります。自後の処理につきましては通商局に大体まかしておったわけであります。従いまして詳細の点につきましては、当時の通商局からお聞き取り願いたい、こう申し上げたのであります。
  214. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事実関係はそうといたしまして、今日あなたのお立場からして、前後の事情から判断して、次官のお立場として、処理なさった責任者として、このように政府許可を要するような物資の日本への輸入が不思議にも来なくなり、二回も延期しながらなお日本に渡って来ない。こういうことはともかく不思議なことだというふうにはお考えになりませんですか。
  215. 平井富三郎

    平井参考人 私としては、延期はたしか一回だという記憶なのであります。
  216. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 延期のことは、文書もあるのですから、私は間違いは申しません。二回であります。延期しておりますのですが、あなたのお考えだけ聞いておきたいのです。お考えとしまして、台湾の政府から来なかったということについて、これはともかく不思議である、ないしは理解がしにくい、ないしは何か特別な事情がなくちゃならぬ、こういうふうにお考えになりませんか。
  217. 平井富三郎

    平井参考人 当時の事情としては、砂糖輸入につきまして、いろいろ当事者間の契約にも問題点がございましたでしょうし、許可自体の事務が、当初向うが予定した時期よりも相当おくれたことも事実でありますので、そういう事情もあったのではないか。ただその程度の記憶しかありません。
  218. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 記憶を聞くのでなしに、今日、私があなたに申しましたような事実であるならば、あなたとしましては、これはやはり相当理解がしにくいようにお考えになりませんかと、こうあなたのお考えを聞く。
  219. 平井富三郎

    平井参考人 当時そういう程度の報告を受けまして、いろいろな手続関係の遅延によっておくれておる、かように考えておったわけであります。従いまして、その内容について詳しく聞いておらなかったのであります。
  220. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもあなたはお答え下さらぬのでありますが、当時のことでなしに、今から伺いましても、さような場合に、確実に到着すべき条件が整っておるはずであるにかかわらず、確実に台湾糖が日本へ来なかったということについては、あなたとしても理解がしにくいのじゃないかというふうに、ただいまの御感想を聞いておるのですから、その点だけ述べていただきます。
  221. 平井富三郎

    平井参考人 抽象的に申し上げるわけにもいきませんで、当時の許可した事情、それから立川研究所なりその代理人なり、あるいは相手方等との具体的事情からそういう遅延が来た、こういう報告を聞いておったわけであります。通常の場合であれば、契約ができますれば、大体所定の期間内にやり得るものと考えられます。
  222. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば伺いますが、台湾から日本砂糖を持ってくるのには、大体所要日数はどのくらい要するのです。
  223. 平井富三郎

    平井参考人 そのときの船便その他の都合もございましょうが、一月ないしは二月あれば到着すると思います。
  224. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 無為替輸入の承認を与えましたのは昭和三十年三月二十三日であります。二回延期しまして、有効期限の最終日は同年の十月二十三日であります。六ヵ月かかっておるのであります。一月あれば台湾から来るはずの台湾糖、政府が許可するような台湾糖が日本へ入ってくるのは当然であろうと思う。だから確実性があると思う。確実性があればこそ、あなたの方では無為替輸入を許しておるのであります。しかるに来ない。二度も延期して、来ないということは、何らかの異変がなければならぬ。何らかの理由がなければならぬ。そういう理由について、今でもやはり、それは当然のことであります、あるいはそういうことは何とも考えません、感じません、こういう御答弁では、私は元事務次官としてのあなたの御責任を疑いたくなる。やはりあなたとしても当時誠実に事務をやって下さったのであるから、今日におきまして、こういう事実に対する御質問については、何らかの感想がなくてはならぬ。何ともお考えにならぬのですか。
  225. 平井富三郎

    平井参考人 私としては、当時相当な注意をもって処理いたしたと確信しておりますし、また通商局の事務担当者としても、相当な期間をかけて調査いたしたことと私は信じておるわけであります。従いまして、そういう経緯で本件が処理されましたので、現物の到着遅延ということについて、私として当時非常に掘り下げて調査する必要もあるまい、かように考えておったわけでございます。
  226. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもこの点はあなたは答弁を避けなさる。私は答弁を避けなさる必要はないと思う。やはり今日からお考えになれば、当時においても何とか調査すべきであったくらいのことはお考えになってしかるべき事態である。事態の推移は、そういうせんさくをする価値があると私は思うのであります。一月で来る台湾糖が六ヵ月間も待ってなお来ない。ついに中米からやってきた、こういうようなことになっておる。  そこで、無為替輸入にして、その中間においていろいろと荷主の関係が変化しておるのですね。荷主の主体が変っておるのですが、こういうことはあっていいものか、その辺のいきさつないしはその辺についてのあなたのお考え方を聞いておきたいと思います。
  227. 平井富三郎

    平井参考人 自後荷主がしばしば変化したということについて、私はあまり詳しいそういう報告を受けておりません。従いまして、それについてどうとも申し上げるわけにはいきませんが、望める形態としては、許可を受けるときには、すでに契約もでき、台湾政府許可も受け得る状態にあればこれは非常に望ましいのでありますが、そういうことでなく、現実の問題として荷主が変ったという点については、契約担当者としての手違いその他については遺憾に考えておる次第であります。
  228. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東条さんに聞きますが、途中でこういう場合荷主が変って、その理由を調べることなくして期間延長を許すのですか。
  229. 東条猛猪

    東条参考人 貨物の関係でございますと通産省の方の実は問題でございますので、大蔵省関係しておった者といたしまして、かれこれ申し上げるのは適当でなかろうかと思いますが、今吉田委員お話は、大蔵省関係許可書についての関係でごさいましょうか。ちょっとお聞かせいただきたいのですが……。
  230. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この有効期限を延長したのは大蔵大臣になっております。そこで最初は昭和三十年三月一日に許可し、その次に蔵為二〇七七号として許可条件変更の許可書、そうして大蔵大臣から三十年五月三十一日付で有効期限を六ヵ月間伸長する、こういう許可書が出ておる。
  231. 東条猛猪

    東条参考人 わかりました。役務に関する大蔵大臣許可書と、無為替輸入に関する通産大臣許可書と、おそらく許可書が二つございまして、今お話しのものは役務に関する大蔵大臣の方の許可関係であろうと存じます。大蔵大臣許可の方の関係といたしましては、荷主あるいは荷受人がどうという関係ではなくて、むしろ本件に関する権利台湾側に譲渡するというその期間に関する延長の問題ではなかろうか、こういうように存じますか
  232. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら当初の許可書によれば、権利の売買の当事者の名前も書き、代金も書き、決裁に関する許可ということも全部記載されてある。しからばこの場合貿易上の荷主関係もありますが、前回の勝間証人によれば、立川の代理人として台湾人、中国人との間に砂糖についての売買契約があらかじめせられ、それが輸入承認書を貼付せられて動いているのであります。従って当初のいろいろな書類によると、荷主ないしは売買の当事者と、その後出てきまする関係者はそれぞれ違っております。そのように違ってくるのは、やはり荷主の関係ないしは売買契約上の当事者関係の変更というようにわれわれは今日は推定しております。幾多変っておる。こういうようにいろいろと重要条件が変っておるにもかかわらず、期限の延長を許可しておるということでありますから、今の荷主並びに当事者関係の変動は相当生じておると思うのです。こういうことにもかかわらず許可しておるのはどういう次第かということです。
  233. 東条猛猪

    東条参考人 大蔵大臣許可書の内容といたしましては、立川研究所台湾東方貿易行との間に、本件に関する役務提供に関する契約が結ばれるということの内容でございまして、その対価をどういう品物で決済する、あるいはその品物の荷送人、荷受人がどうこうということは、大蔵大臣許可書とは関係ないわけでございます。そこで大蔵大臣許可書延期ということは、あくまでも、立川研究所東方貿易行との債権債務発生に関する、役務契約の期限の延長の問題でございまして、この許可書に関する限りは、今お話のような荷送人、荷受人の関係は、許可書の内容ではない、かように心得るものでございます。
  234. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 許可書の内容は簡単であります。しかし実質的に当事者が異動し、ないしは現われていない当事者が現われてきて、署名捺印するということが行われておるのであります。こういうことになって参りますと、荷主の関係相当変化し、ないしは二重になってくる、こういうことさえ考えております。あるいは表と裏とは違う、形式と実質は違うというふうにさえわれわれは考えております。これは業務上の代理関係になっておるのか、雇われ、雇い関係になっておるのか、ないしは普通の委任関係になっておるのか。全く隠れたものが実質上の権利者であるというのかさえ明らかでございません。ございませんけれども、重要な証人の証言によりますと、その辺の変化と変動が見られます。そういうことをあなたは知らぬはずはない。役務に関する許可書は簡単ですけれども、これが基本になっておるのです。役務に関する契約というものがもとになっておる。砂糖を入れるのが主じゃないのです。役務が主だというのです。特許権輸出が主だというのです。それが主だというならば、砂糖を対象にした売買の契約ないしは荷主の関係、こういうものの変動を生じました場合に、簡単にどんどん延ばしていくということは、少くとも軽率ではないか。これはそもそも無為替輸入というものの、主観、客観のあらゆる条件、要素を十分に御検討になって、その上であらゆる先例もお調べになって許可するという方針に出ておらずに、いろいろな点についてまだ十分に調べもしないで、実態把握しないで許可したので、こういうふうになってきたのではないかと今日は考えられます。もしあなたが真実に、たとえば立川が提供すべき将来の特許権ないし技術なり実施権なり、そういうものを十分に把握する、受け入れの東方貿易行が受け入れる態勢が十分あるかないかを把握する。財産、信用、実力、誠意、そういうものについてお調べになったか。私はただいま契約書を持っておるのですが、そういうものが確実に履行されたかどうかについても、大蔵省側で確実に把握して、この技術提携についての契約を許す、こういうふうに出ておられるのなら、今日のことはあるいは起らなかったかもしれぬ。ところが、あなたに聞いても、それはわからぬ。こちらから給付するものも、向うから受け取るものもよくわからぬ。向うから受け取るものについては、通産省では、向うの政府の許可があるものだから、確実に来るだろうということをお信じになっておる。しかしながら来ておらぬ。一ヵ月で砂糖は来るはずだというけれども、六ヵ月来ていない。台湾には砂糖幾らもある。来るはずだが、台湾から来ないで、中南米から飛んできたという事態になってきておりますので、こういうような点は、要するに無為替輸入について必要なあらゆる事況を確実に把握しておらなかった結果、こういうことになっておるんじゃないかと思うのですが、それを漫然と延ばしていっている。漫然と延ばしていくということも、当初の許可と同じような不確実性があったわけです。こう判断せざるを得ないのです。それをあなたらによってしかるべく明らかにしてもらいたいのがきょうの趣旨なんです。少くとも私は無為替輸入に関する限りは、立川側の出すものと、向うから取るものと、その関係、変動、産地の、積み出し地の変更とか、荷主の変更とか、あるいは売買契約の変更とか、そういういろいろな要素がだんだん変っているにかかわらず、あなたの方ではこれを延ばし延ばしして、結局は、台湾から来ておらずに、とんでもないところから来ておるという、こういう事件が起っているというので、その以前の段階を全部究明したいのが、きょうの私の質問の大体の趣旨なんです。ところが、平井さんによっても、東条さんによっても、お聞きする点は明らかにされない。これは実に遺憾でありますが、まあ午前の質問はこの程度にいたします。
  235. 東条猛猪

    東条参考人 いろいろごもっともな仰せでございますが、今の許可制の延期関係につきましては、はなはだ技術的でございますけれども、大蔵省としては、立川研究所東方貿易行との関係でございますし、砂糖の積み出し関係については、ほかの主管庁の関係でありますことだけを、申し上げておくにとどめたいと思います。
  236. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 平井参考人に一点だけ、簡単に伺いたい。砂糖輸入される場合に、為替のワクを取りますね。このワク内に入っておりますと——かりに無為替輸入砂糖がワク内に入ってきた場合は、一万トンの砂糖に対するワクだけは、為替関係で余るのじゃないですか、この点はどうなんです。
  237. 平井富三郎

    平井参考人 為替金額自体、外貨自体としては余るわけです。
  238. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 余りますね。この余ったのは、一体どっちに回るんです、この問題は別として……。こういう場合に、無為替輸入砂糖為替一万トン分余った場合に、この余ったものはどうなるか。
  239. 平井富三郎

    平井参考人 当初の砂糖輸入計画が妥当であれば、そのまま外貨として繰り越されるわけであります。
  240. 神近市子

    ○神近委員長代理 この際しばらく休憩いたします。午後は、本会議終了後再開して、引き続き質疑を行うことといたします。     午後一時二十四分休憩      ————◇—————    午後三時三十九分間議
  241. 坂本泰良

    坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りすることがあります。すなわちただいまの緊急理事会で御協議を願ったのでありますが、本件につきましてさらに調査を進めるために来たる二十日午前十時に松平守弘君及び杉本喜三郎君を証人として出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認めます。よって規則第五十三条により、議長を経由して出頭を求めることといたします。  次にお諮りをいたしますが、本件につきまして大石武一君、綱島正興君、稲富稜人君を参考人として同じく二十日午前十時に出頭を求め実情を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  244. 坂本泰良

    坂本委員長 それでは午前中に引き続き発言を許します。吉田賢一君。
  245. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今泉参考人に伺いたいのであります。あなたは横浜の税関長をやったようでありますが、いつからいつまでお勤めになっておりましたか。
  246. 今泉兼寛

    今泉参考人 私は昭和三十一年の二月一日から同年の六月二十四日まででございます。
  247. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昭和三十年の十一月十八日に横浜港ヘアリストテレス号によって砂糖一万トンが入港して、その後保税上屋に収納された事実があるのでありますが、この点について御承知でありますか。
  248. 今泉兼寛

    今泉参考人 ありていに申し上げますれば、私の退任前にこれが初めて輸入許可がありまして、通関手続をやりましたのが六月の末でございます。そんな関係で、いろいろな砂糖横浜の港に着いているということは承知いたしましたが、ドミニカ糖という、今問題になっているような砂糖が私の着任前からこういったところに着いているという具体的な問題については、私、退任前に通関手続をやりましたとき初めて知った、そういう状況でございます。
  249. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら幾多の参考人、証人などの御答弁によりますと、このドミニカ糖一万トンをめぐりまして入関手続その他正規のルートに上して割当を受けたい等のいろいろな運動が殺到しておったように聞いておるのでありますが、さすれば当然税関の方にも、みずからの所管事項ではないでありましょうけれども、ともかく付近の倉庫に在庫しておる物件でもあるし、またその後六月に至りまするまで八ヵ月間も倉庫に貯蔵されておったような事実もあるのであるから、あなたの方では何かと聞き及ぶ事項があっただろうと思うのでありますが、その辺について聞かしてもらいたい。
  250. 今泉兼寛

    今泉参考人 実は私、こういう問題があるということは、今度新聞に出て初めて知ったようなことでございまして、今度参考人に呼ばれるにつきまして、勉強するために、その当時の事情、特にこの砂糖が入りましたのが前税関長のときでございましたが、その間のいきさつ等をいろいろな人から聞きまして、初めてこういうものがあって——入ったのは前税関長の在任当時の三十年十一月の十八日でございます。それから、それが横浜港に陸揚げされまして、まだ輸入手続を得られませんので、私設の上屋に陸揚げされておった、こういう状況でございます。従って通常の貨物でございますと、大体輸入許可のあったものにつきましては、そういう上屋に置いて、十五日間を経過して引き取りがなければ、税関においてそれを収用することができるというような規定になっております。しかし本件については輸入許可のない品物でございます。従ってこの輸入許可のないものを収用するということになりますと、これは手続上といたしまして、収用してから四ヵ月間これの公告をいたしまして、さらにその四ヵ月以内のうちにまだ引き取りがないということになれば、税関側としては公売に付しなければならぬのであります。そうしますと正規の輸入手続を経ずして公売して、しかもその公売代金は諸掛りとか税金とかを差し引いたあとは供託という名前において荷主に戻すことになります。そうしますと、こういった正規の手続を経なくて、しかも輸入の実際の効果をあげられるということになりますので、こういう品物についてはみだりに収用してはいけないという通達が、すでに大蔵省の方から昭和二十九年の十一月の基本通達ということで出ております。従って私どもの着任以前でございますが、部課の方といたしましては、そういう収用延期願が出ておりまして、延期を認めたわけでありますけれども、そうでなくても、収用延期願がかりに出ないといたしましても、こういうものは正規の輸入手続をさせるかあるいは積み戻しをさせるか、こういうのが普通の状況でありまして、不当に収用してそれを公売して輸入の実績をあげることは適当でないということで、収用は見合わしておる。——形式的には収用延期願が出ておりますけれども出ないにしたところでこの基本通達からいいますと、収用すべからざるものであるということで収用を見合わせておった、こういう実情のようでございます。私がその翌年の二月一日に拝任したわけでありますが、過ぎてみればこういう問題になった砂糖ということはあとから知ったわけでありますけれども、その当時としてはそういう問題のない、しかも収用をしていないという問題でございますので、収用すればちゃんと相当税関長まで——そういうことは税関長限りでもできませんし、吟味して本省の方に伺わなければなりませんので、収用するとすれば私どもの手元までそういう問題が上ってきますが、収用しないで置かれるという状況でありました。実は私は六月の末にそれが輸入許可が得られて正規の通関手続になったときに、初めてそういうドミニカからの砂糖があるということを知っただけで、その間の事情は私には報告もありませんでしたし、あとでそういう砂糖横浜に眠っておったのかということを知ったような状況であります。
  251. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは税関ではそもそもだれの荷物なんですか。何人の所有する荷物ということになっておりましたか。
  252. 今泉兼寛

    今泉参考人 これは最初東方貿易行が輸入したようなことになっておりますが、一番最後に通関するときの荷主としては、最後的には香上銀行東京支店でございます。
  253. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東方貿易行が最初荷主であって、最後に香上銀行が荷主になるというのは、これはどういう経緯からさようになるものでありますか。
  254. 今泉兼寛

    今泉参考人 私もその間の事情はわかりませんが、最初の荷主がだんだん変って、最後にやはり権利が香上銀行にいって、その間何人変ったかということは私もちょっとまだそこまで突き詰めておりませんけれども、何回か変って、最後に香上銀行がこの権利一切を引き継いで荷主になって、そして最後番上から国内のいろいろな業者に売買された、こういう結果になっております。
  255. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 荷主というのは必ずしも所有者という意味ではないのでございます。
  256. 今泉兼寛

    今泉参考人 送り主は最初やはりシッパーでございますが、シッパーは必ずしも一緒でないことがあると思いますが、本件については荷主と所有者は同じじゃないかというふうに私は考えておりますけれども……。
  257. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東条さんに伺いますが、このシッパーというのと所有者というのとは、どういうふうに違うのでございますか。
  258. 東条猛猪

    東条参考人 今泉参考人から申し上げた以上、私はちょっと申し上げる準備がございませんが、荷送人は要するにシッパーでございますから、何らかの意味で外国へその荷物を発送したということであろうと思うのでございます。通常の場合は売買契約当事者が荷送人になる。従って取引契約の完了せぬ場合には荷送人が所有者ということが多かろうと思いますが、はなはだあいまいなことを申し上げて恐縮であります。
  259. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今泉参考人の調べたところによれば、当初東方貿易行が荷主であった。それから通関の当時は香港上海銀行が荷主であった。なおその中間において荷主があったのでありましょうか、その変遷の事実を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  260. 今泉兼寛

    今泉参考人 ちょっと私もその辺が複雑になっておりますので、当初の荷受人は立川研究所で、それから最初のシッパーは何か二口になっておるようでございます。
  261. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 区別して言って下さい。一口は……。
  262. 今泉兼寛

    今泉参考人 一口はカンパニー・アズカレラ・ドミニカル・C・ポラというのが一口で、それからもう一口はセントラル・ロマナ・プロダクション・オブ・ドミニカル・リパブリック、こういった向うのドミニカの方の名前でございますが、この二口になっておるようであります。あて名は当初は立川研究所、こういうことになっております。
  263. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと当初の二口とも受取人は立研であって、二口になって、今お読みのようなドミニカル・リパブリック、ドミニカル・アズカレラ、いずれもちょっとはっきりいたしませんけれども、これはやはり人格といいますか、COが違うのでございましょうかね。それはどういうことになりますか。
  264. 今泉兼寛

    今泉参考人 私もこれはきょう横浜の方から積荷証書を調べてもらってわかったのでございまして、その間の事情はまだ詳しくわかっておりませんけれども、あて先は先ほど申し上げた通り立川研究所になっておりますが、これはおそらくこの三社ともドミニカの会社の名前のようでございます。従って向うの送り主がこういったドミニカではあるけれども、会社が二つになっている。同じ船できてあて先は立川研究所、こういうふうに了解してよろしいかと思います。
  265. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その次に、通関以前はこれは変更はないのですか。——ちょっと私の質疑をし直します。最初は東方貿易行が送り主であった。それからドミニカの二社が送り主になった。それから通関当時は香港上海銀行になった、こう三段に変遷しておる、こういうふうに理解したらいいですか。
  266. 今泉兼寛

    今泉参考人 最初に東方貿易行の名前になっているというのは、私はさっきのあれは間違いでございまして、やはりシッパー、荷主はさっき申し上げたドミニカの二社であって、あとで荷主が香上銀行東京支店に変っている。こういうのが正規の——内部のあれはいろいろに変ったようでございますから、その間のあれはわかりませんけれども、正規の変り方は、税関に対する申請その他のあれは、最初こういった、さっき申し上げたドミニカの二つの会社、それからあとで正規に輸入手続をしたときの荷主は香上銀行東京支店、こういうことになっております。その間の中間のあれがどういうふうに変ったかということは、正式の書類として私の方には受理しておりません。
  267. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今お聞きしていると、荷受人は立川研究所だ、これは間違いありませんね。
  268. 今泉兼寛

    今泉参考人 当初のあれは間違いございません。
  269. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 午前中の平井さんの御答弁では、これはやはり完全に立川は切れてしまっているのだ、こういう答弁であったのです。そうすると、十月二十三日に断わって切れてしまっている。それは関係はないのだという話なのです。これはずっと今までの論議の経過からも、質疑の経過からもそういうふうになっている。ところが今お聞きすると、立川が荷受人になっている。これはどういうわけですか。これは平井さんの方へお尋ねします。
  270. 平井富三郎

    平井参考人 先ほど申し上げましたように、三十年の十月の下旬でございますか、期限が切れまして、同時に立川研究所から、この件については御破算にするという意思表示が通商局に参ったということを私は聞いておるのでありまして、それ以後どういう経過になりましたかは、私は存じておりません。
  271. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それ以後のことはわからないというが、経過というものがあるでしょう。そうすると立川は十月二十三日に自分の荷を受ける権利を放棄してしまった。立川の方では継続してくれと申し込んだそうですけれども、放棄したと答えておられます。だから立川にドミニカのものが来るということはおかしいじゃないですか。それで、あなたじゃないが、今までに参考人として出られた方々は、立川というものは立ち切れてこの事件関係はないんだ、このドミニカのものには関係がないんだということを再三言っているんです。であるにもかかわらず立川が荷受人になって入ってきているということは、私には解せない。
  272. 今泉兼寛

    今泉参考人 これは私着任以前のことではっきりいたしませんが、私の想像で申し上げますと、無為替輸入の有効期限を延ばしたあとで切れましたのが、三十年十月二十三日でございますね。それから先ほどちょっとどなたか、ドミニカを出たのが十月二十四日であった、一日違いますね。ですから私の想像では、おそらく向うで船積みするときには二十三日、前日に切れているというようなことが向うではわからぬで、そうして一日違いのことでございますから送り先を立川研究所にしたんじゃないか、これは以前のことで私の想像でございますが、御参考に申し上げます。
  273. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき今泉参考人から収用延期願が出たという話がありましたが、収用延期願はだれの名前で出ておりますか。
  274. 今泉兼寛

    今泉参考人 荷主といたしまして香上銀行東京支店、それから取扱者といたしまして鈴江組、こういうことになっております。そうして両者の連名で出ております。
  275. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、あなたの方では立川研究所が受取人であるということについて、何か税関関係で立川側から通知とか連絡とか接触の機会はあるんですか。
  276. 今泉兼寛

    今泉参考人 少くとも私に関する限りはございません。それから私こっちに参る前に本件について前税関長それから税関の幹部とも打ち合せまして、そういう陳情その他があったかということを確かめて参りましたら、そういう陳情は聞いたことはない、こういうことでございました。
  277. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 税関行政といいまするか、そういうものを通じて、あなたの経験に徴して、受取人は不確定もしくは架空の者で荷を送ってくるということもあり得るのですか。
  278. 今泉兼寛

    今泉参考人 私もこういう砂糖取引等についてちょっとつまびらかにしませんけれども、何かこういう砂糖等の国際的な商品は契約がちゃんときまって、そうして積出港から積み出されるという場合もありますけれども、相当国際性のあるものは船に積んでから初めて契約が行われるということで、いわば見越しみたいでございますけれども、必ずしも悪い意味の見越しというものではなくて、船に積んだ上で商談が行われ、日本に持っていけば売れるだろうということで船上で商談があったり、もしもいけなかったら途中で仕向地を変える、かりに日本へ陸揚げしておってもよその方へ持っていくということは、国際性のある品物にはままそういうことがあり得るということは聞いおります。
  279. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この委員会におきましては、代表者の立川正三という方も発言し、この東方との契約を担当した勝間という方もいろいろとお述べになっているのだが、少くとも十月二十三日後は立川はそんなに表に出ておらないということにも解され、あるいはまた立川は最終まで関係があるということにも思われる。実は今のところ私どもなお判断に迷っている実情にあるのですが、この点は、これは慣例としてままそういうことがある。たとえばすでに失効したような場合に、過去の相手方をなお相手方として、受取人として届け出ておく、その受取人は実は知らない、そういうことも実際はあるというふうに——これがそうかどうかは一応別といたしまして、実際はそういうことはあるわけなんですね。
  280. 今泉兼寛

    今泉参考人 そういう実例はあり得るというふうに聞いております。
  281. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 平井さんに伺いますが、どうもそういうことになりますといろいろと故意に計画をして、人の名前も使って、たとえばこの場合に受取人がどういう義務が発生するかはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、法律上の義務を生ずべき関係から離脱しているようなことに、実際がなっておるとするならば、ここにも非常に奇怪な事実が発生しているといわねばならぬのでありまして、三億数千万円の代価相当のものとして輸入されたものが、そういうあいまいなことにしておかねばならぬということはどうも正常な姿でない、こう思われるのでありますが、そういう点につきまして、あなたはどういうふうな御所見を持っておられるのでございましょう。
  282. 平井富三郎

    平井参考人 当初許可いたしました後の経緯、特にドミニカ糖の発送、それからそれが着きました当時の状況、これは私ちょうど切りかわりの時期で、記憶はございませんが、通産省としてこうだとはっきり説明できる材料がないように思います。
  283. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やむを得ませんから、これには当時のさらに具体的責任者に伺うほかなかろうかと存じます。  そこでこれは東条さんに伺う方が適切かもわからぬが、ともかく当初の無為替輸入の当時のシッパーは申請承認書によれば東方貿易行だったようであります。それからさらにドミニカ糖の到着後、ドミニカの商会が二口に分れて荷主になり、さらに通関当時は香港上海銀行になる、こういうことは無為替輸入の段階におきましては特別といたしまして、通関当時になると、そこの経過がどうなりますか、時間的な経過と事実の関係がどうなりますか、ちょっとはっきりいたしませんが、いずれにしましても、送り主、荷主がこういうふうにだんだんと変遷していくということは、これは何の制限もなしに行われていることなんでありますか。
  284. 東条猛猪

    東条参考人 大へん恐縮でございますが、貨物関係の問題なものですから、私為替局長としては全然タッチしておらないわけなんです。それでございますから、今御質問の点は非常に大事な点と思いますので、私がいいかげんなことを申し上げるのは適当でないと思いますが、おそらく通産大臣が御許可になるときに、一番大事な点は、無為替でございますれば、輸入許可を受ける人、それから有為替の場合でございますれば、為替の割当を受けまして、その為替に基いて通関手続をとる人、輸入する人というのが、許可証の非常に大事な、当然動かすべからざる条件だと考えますが、荷送人がだれであるかということは、もちろんその申請のときの参考事項としては記載がある問題と思いますけれども、果して荷送人が変りました場合に許可証が無効になるほど大事なものであるかどうかという点につきましては、私は責任ある御答弁ができません。ただ推定いたしますれば、それが変っても、有効な許可証自体が無効になるというものではあるまい——これは想像でございますので、ほんの御参考までに申し上げます。間違っておればもちろん訂正いたすべき事項でございます。
  285. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうも税関長においても、東条為替局長においても、平井元通産次官におきましても、はっきりしないのは遺憾でありまするが、もちろん荷物は砂糖が来るはずであった。そのときは無為替輸入許可があって、現実に来たときは、無為替輸入の当時の許可を受け取ったものと送り主がだんだん変ってきて、どうも実物そのものは最初の目的を追求しているように思われる。しかしその支配者といいますか、直接の送り主か所有者かはどうも転々している。こういう関係が何の制限も受けずに行われるということ自体が、われわれから考えますと、輸入秩序とかあるいは為替管理の秩序とか、そういうものとの関連において非常に奇怪に感じられるのであります。無為替であるとするならば、為替はないのであります。有為替ならば為替があるはずでありますから、従って為替管理法等のいろいろな条件も受けなければなるまいと考えるのであります。その辺が、シッパーがだんだん変ってしまって、物そのものは一つの目的を追求してずっときておる。そこに何らの制限もないということになると、これはいろいろと錯覚をする人間が発生してくることはやむを得ないことじゃないか、こういうふうにも考えられるのでありますが、この問題は平井さん、どういうふうにお考えになりましょうね。
  286. 平井富三郎

    平井参考人 無為替輸入あるいは有為替の場合に、許可した条件というものは重要な要件になるわけであります。ただいま東条君が申し述べましたような事情もあろうかと思いますが、本件につきましては、あくまでも技術輸出と無為替とが混合されたものでございますので、砂糖だけの一種の輸入権といいますか、そういうものが転々ところがるということは、私どもの常識ではちょっと考えられないのでありまして、普通の有為替の場合には、あるいは輸入権というものが事実上転々する場合も考えられるわけでありますけれども、今回の場合には技術の輸出とそれに対する代物弁済という形でございますので、輸入権だけが転々とする、これはちょっと私には考えられないのです。
  287. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まあこの点は、お互いに推測論を交換するだけで、有益でないかと思いますから、別の機会にもっと政府当局の準備を得て、そして次には大蔵、通産、農林各省の事務の最高責任者に一切の準備を願って質疑をする、こういうことにして、この点は保留します。  ただ私が思いまするのに、立川研究所が、技術か特許か何か存じませんけれども、そういうものを外人に売る約束をして、その約束をしたものが、無為替輸入の有効期限があるときに切れてしまった。そして切れてしまったにかかわらず、物は依然として対価として日本に向って送られてくる。同時に人は依然として目的達成のために努力は継続しておる。しかし無為替輸入許可がこれだけはとれてしまったというところに、やはり一つの大きな事実の変化と、変化しない事実と、適用すべき法律、すなわち無為替輸入の適用と、有為替輸入でなければ処理できないという制限というようなものがこんがらかっておるというところに、私はこの問題の一つの土台があると思うのです。しかもそれが三億数千万円の代価相当のものとして動いたという以上は、経済的利害が非常に大きいのでありまするから、またこれをめぐっての明暗、いろいろな動きがあるということ、これも容易に考えられるのであります。でありまするので、これは今すでにその地位を去って、直ちに準備をもって御答弁できないあなたらにずっと追究することは意味のないことでありますから、私はこれはこの程度にしますけれども、どうもそういうふうに考えざるを得ないのであります。ですからどこまでいきましても、不可解なことばかりが並んでおって、そして貫いて、そうだというふうに解明されないということにだんだんなっていくのだと思われます。  そこで今泉元税関長には、あなたは就任期間が短かったので、関与の事実も非常に制約されておりますから、これは聞いても意味がありませんが、なお一つだけ伺っておきます。  このような場合、つまりどうもはっきりしない目的の数億円の価値のあるものを、長らく収用処理もせずに、公売処分にも付せす、そして収用延期になってきて、そこでぽかんとして手をこまねいて見ておるという法はどうもないような気がするのです。なるほど事前に、お述べのごとく二十九年に処分制限の通牒が大蔵省から来ておるという御説明でありますけれども、それは一般の場合でございましょう。本件の場合においては、何かもっと適切な行政措置をとらなければ、経済的に非常に不利でもあるし、また法律秩序、行政秩序を乱されるのではないかというふうにどうも考えられるのですが、やはり何か積極的に手を打つべきではなかったでしょうか、その点伺っておきます。
  288. 今泉兼寛

    今泉参考人 問題は、十一月にそういった正式の輸入許可がなくて陸揚げされたこと、これはしかし輸入許可がなくても、持ってきた以上陸揚げして上屋に入れるとしいうことは、もうこの品物だけではございませんで、ままほかにもある例でございますし、これは本件だけの異例の措置ではございません。ただ八ヵ月もそういったように私設上屋に入れられて、その間税関が何か適切な処置をやるべきじゃなかったかというお話なんですが、普通のいわばしろうと筋といいますか、何でもかんでも税関がそういうものを処置するんだというふうに考えている方でであれば、税関に来てあの品物をどうしてこうこうしているということを言いますけれども、くろうと筋であれば、これはもう通産省輸入許可がなければ通関というものはできないということが通念でございます。従って税関以外のところで何かいろいろなそういう話し合いなり何なりをされたということは事実であろうと思いますけれども、私どもの方としては、そういった正規の輸入許可がないものは通関はできません。従って私どもの方に通関してくれということはこれは通らない筋でございまするから、そんな意味において、私どもの方の耳にも全然そういったことは入らなかったのであろうと思います。しかしその輸入手続を正式の輸入として、外貨割当なり輸入承認をとるということについては、いろいろな動きがあったんじゃないかというふうに私には想像されますが、私どもに関する限りにおいては、もう正規の輸入承認がつかない限りにおいては、通関ということはできませんし、また反対に正規の輸入手続がとられまして、そうして輸入承認を得て税関の方に通関してくれと言えば、これはもう書類が完備しておれば、税関側としては当然通すべきものでございます。ただ八ヵ月といった際に、それじゃどういったことが考えられるかということになりますると、もしもこれが何かそういう私設上屋にあって腐敗するとか、荷物が非常に輻湊して、そういう私設上屋の収容能力もなくなってしまうとか、いろいろな公益上の都合で置くことが不都合である、またそれを国民経済上からいっても非常に不都合ということになれば、税関としては積極的な手を打たなくてはなりませんけれども、問題はそういうこともなくて、私設上屋にあって、そうしてどこにも逃げ出すというものでもございませんし、そういった点で、期間としては八ヵ月というのは長い期間でございますが、そういう前例で私もちょっと調べて参ったのでございますが、以前何かそういった例がなかったかということで、実例を実は聞いて参ったのでございますが、最近の実例で、二つほどある例を聞いて参りました。一つは、これは横浜の例でございますが、ほしブドウが二十八年の九月に入って、二十九年の八月まで、これはやはり見越し輸入でございますが、置かれてございます。約一年でございます。金額にして二万八千五百ドルほどの金額、これはとうとう最後には収用になりました。それからもう一つの例は、二十八年の七月に入って三十年の八月まで置かれた例、これはオレンジ・ジュースでございます。金額にして八千四百三十一ドル、こういう実例もございまして、これより長くおってと言っては語弊がありますが、そういう私設の上屋に蔵置されておかれたという例は、前例がないわけではございません。そういったわけで、公益上、国民経済上、何か非常に積極的な悪い影響を及ぼすというようなものがあれば、これは税関側としてもほうっておけませんけれども、税関側から見て、そういった点は、別に本件については考えられなかったわけでございます。
  289. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは平川参考人に、ちょっとさっきの私の質問につけ加えてお聞きしておきたいのですが、清井食糧庁長官から、この砂糖を正規のルートに乗せてほしいという要求のあったのは何年の春です。
  290. 平川守

    平川参考人 三十年の春ごろだったと思います。
  291. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そのとき、この砂糖というのは、問題のドミニカの砂糖の意味だったでしょうか。これはどうも、三十年春としますと、まだ砂糖が出てこないときのように考えられるのですが、それはどうなんですか。
  292. 平川守

    平川参考人 先ほど申し上げましたように、通産省の方から、技術の輸出関連して、無為替台湾から砂糖が入るということをやりたいと思うので、それが入った場合においては、正規のルートで配給してもらうように、割当をしてもらうように、こういう依頼の手紙が来た。それについて農林省としては、要するに期別の輸入予定の数量が入ればよろしいことであるから、それが有為替であろうと無為替であろうと、農林省としては関知したことではない。そこで、それでよろしいということを——入ってくれは正規のルートで割当をいたしますということでよろしいと思うがどうかということの相談があったわけでありまして、従って今の、正確に時期を記憶いたしませんけれども、大蔵、通産の方で、当初に無為替許可をされる前の話であったと思います。ドミニカとは関係がないのであります。
  293. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、このときはやはり立川研究所が清井食糧庁長官の方に頼みに行ったらしいのですが、このときは確かにこの承認は立川研究所にあててなされている。そうすると自然そこで立川研究所からそういうふうな手配があったものと思われますが、どうでしょうか。
  294. 平川守

    平川参考人 その点は私は全然清井君からもそういう報告はございません。要するに、食糧と庁長官としては、通産省の通商局長の方からそういう手紙が来たので、その無為替輸入することの問題については、農林省としてはタッチをしない、またするべき事柄でない、要するに自後もし台湾から砂糖が入れば、それは正規のルートで割当をする。こういう趣旨でありまして、立川という名前は、その技術の輸出立川研究所というものがするのだということはその話の中にありましたけれども、立川から頼まれたとか、そういうことは全然聞いておりません。
  295. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それから平井参考人にちょっとお伺いしたいのですが、三十年の三月二十三日に承認を与えたとき、これは無為替で入ることがわかっておった。この砂糖は三十年度の割当に入るわけですか、あるいは三十一年度の割当のワクの中に入りますか。
  296. 平井富三郎

    平井参考人 はっきり私は記憶しておりません。何年度ということもはっきり記憶しておりませんが、三十年の三月というと、ちょうど二十九年度の終りと三十年度の初めと引っかかりますので、あるいは二十九年度分という処理かもしれませんが、はっきり記憶がございません。
  297. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この件に限らず、三十年三月二十三日承認を与えるということになってくると、法規上は何年度に入りますか。
  298. 平井富三郎

    平井参考人 二十九年度ではないかと思いますが……。
  299. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっきのお答えでは、無為替輸入があった場合は、その年の砂糖輸入ワクに変化がなければこの為替は余るといったような御答弁がありましたが、この無為替輸入砂糖一万トンきまった場合、余ると見越して為替はそのままにされておったのか、あるいは為替のワクを減らしたのか、その点はわかりませんか。また減らすべきものでしょうか、そのままにしておくべきものでしょうか、法規上から見まして……。
  300. 平井富三郎

    平井参考人 ワク内で輸入をいたす場合には、輸入計画の一環として輸入いたすわけでありまして、従って砂糖輸入計画自体に変更が起らぬという場合には、そのまま外貨として繰り越さるべきものだと思います。
  301. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただしその場合、一万トンは無為替です。従って砂糖のワクは変らないとしても、外国為替の割当が変化すべきはずなんですが、その手続は何かなされておりますか。
  302. 平井富三郎

    平井参考人 その事後措置については私は記憶はございませんが、輸入計画通りに数量が入って参りますれば、計上された外貨を使ってしまわなければならぬということはないのでありますから、その分は当然翌期の方に繰り越されていくわけです。
  303. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうすると、これがもし二十九年度であれば、その点ははっきり書類上に現われているはずですね。一万トンがワク外であったかワク内であったかは、書類の調査によってはっきりいたしますね。
  304. 平井富三郎

    平井参考人 通商局の為替勘定の整理にはっきり出るものと思います。
  305. 神近市子

    ○神近委員 さっき平井参考人から、この問題は立川の技術ということに対するお役人方のあんまり簡単な承認がもとになっておる。そうしてそのことが問題を非常にこんがらかせていまして、結果として結局立川はもらっていない。そこでいろいろな疑惑を生んでいるのです。さっき平井参考人が、この問題の扱い方で、技術の輸出ということと、それから砂糖はどうせ日本に必要なもので輸入しなくちゃならぬ、これを外貨を使わないで日本に入れることができるならば、そういう言葉ではなかったかと思うのですけれども、有益ではないか、そのティピカル・ケースとしてこれを扱ったとおっしゃったのですね。それで技術輸出と、皆さんのお話を伺っていれば必要以上の信頼をして、あるいは私どもから見ればろくに調査もしないで、特許がしてあるかどうかということも確めないで、あわててこれをお許しになったというところに大へんこの疑惑が生まれているのです。結果としては立川の砂糖はその当時から立川の砂糖、立川の砂糖ということで業者の間に流布されて、ああいう結果になったということでいろいろ疑惑が出てきているわけで、私どもきょう東条参考人平井参考人お話を伺っても、まだほんとうはつかめないのです。つかめないのがほんとうで、相当隠していらっしゃるのじゃないかと思うのですけれども、その三つの、あなたの御決定のときの柱である技術の輸出と、砂糖輸入、それからティピカルなケースとして、一つやってみよう、いわば多少冒険的な、とにかくこれがうまくいけばというようなことで、結果としてこういうことになったということに、どういうことを感じていらっしゃいますか。
  306. 平井富三郎

    平井参考人 本件の取扱いの一番重大な点は、先ほどおっしゃいましたように技術の輸出の点でありますが、砂糖輸入につきましては、再々申し上げたように、本来であれば現金決済あるいは台湾の場合であれば、オープンアカウントの勘定を通じてやる、こういう通常の経路で輸入をいたします。輸出輸出で伸ばしていく、この形が一番簡単でいいわけであります。ただ本件の場合におきましては、台湾側の事情としてオープンアカウント決済、現金決済が困難である。現物をもって弁済することならば可能であるという結論に到達いたしましたので、技術輸出の点に重点を置きまして特例的に許可したということで、為替が要らぬから無為替を奨励したという気持は決してございません。  それから技術の評価の点でございますが、この点も再々申し上げましたように、通商局といたしましても、結局技術の評価という点が一つの基礎をなすものでありますので、相当方面の意向も徴して、技術的な評価を決定いたした次第でありまして、はなはだずさんな基礎でやったような記憶はないのでありまして、通商局としては相当方面の意見も聞いて回ったように記憶いたしております。
  307. 神近市子

    ○神近委員 前にもとの通産省通商局の農水産課長の日比野さんという方が、一回は参考人で二回目は証人で出て、いろいろ御事情を聞いたわけなんですけれども、あなたが最もその意見をお聞きになったのは、この日比野さんを通じた省内の集積した報告で、そういうようなものを信頼されたんじゃないですか。
  308. 平井富三郎

    平井参考人 私が相談を受けましたのは、通商局長から相談を受けて、通商局長報告に基いておるわけであります。
  309. 神近市子

    ○神近委員 どうもけさからのいろいろの問答で、大蔵省通産省とどういう関係だろうかと考えてみますと、これはさっき東条参考人は無為替でやることはよくない、異例なことはやるべきでない、そのセンスは非常にけっこうなセンスだったんですよ、東条さん、そうおっしゃっていましたけれども、だけれどもそれがどういうわけでよろめいたのか、どういう心境の変化であったのですか。あるいは外的な、通産省から出せ、出せというふうにやられたのか。その心境の変化のところが私たち一番疑問だ。これはあなたが無為替ではやるべきでないという最初の筋を立てておおきになったら、非常にすっきりしたものだったと思うのです。その意見をかえたというのは一体どういうことだったのですか。それは個人的な陳情や何かで取り巻かれたのか、それともお役人同士で、通産省の通商局あたりからわいわい言われた、それは言いたくないでしょうけれども、ここははっきりと言っていただかないと、私どもはもっと疑惑を深めます。
  310. 東条猛猪

    東条参考人 先ほども申し上げましたように、やはり技術の輸出でございますので、現金決済ということが最も理想的な形でございますし、一番自然なことでございます。そこで本件を審査いたしました場合におきまして、現金決済ということはできないかということを、再三申請者にも聞き、先方と交渉をさした記憶がございます。ただ台湾政府側の意向として、本件については何らかの意味において、台湾側からの輸出を伴うという決済方法でなければ、台湾政府側において、本件を許可しないということを、私ども回答をもらったわけでございます。しからばそのときに、これが現金決済じゃないから、この取引契約というものは御破算にしてしまえ、この商売はだめだということが果して適当であるか。あるいは現金でなくても、見返りの物資がそれぞれの所管省の判断の目から見られまして、日本経済に役立つという場合においては、現金でなくて物資でもいいのではないか、つまり現金でなければもうだめだとまで言うことは、私は行き過ぎではなかろうか。見返りのものが日本経済に役立つならば、これはやはり一つの商売であり、取引でございますので、そこまで大蔵省といたしましても譲歩と申しますか、そういう特例的な措置を認めるのが適当である、私は部内の者と相談いたしましてそういうふうに実は判断いたしたわけでございます。  けさもちょっと申し上げたと思いますが、立川研究所の問題につきましては、私は陳情めいたものを受けた記憶は一切ございません。それから管理課長あるいは役所部内といたしまして、もちろん通産省の方では無為替輸入許可が出ます。私どもの方では役務関係から、相互の意見交換はもちろんいたしますし、それから連絡いたすことは当然でございますけれども、少くとも私は部内で相談をいたしまして、今申し上げましたような結論に到達いたすにつきましては、民間側の陳情でございますとか、あるいは通産側の意向によって、よろめいたというようなことではないことを、これははっきり良心にかけて申し上げます。
  311. 神近市子

    ○神近委員 これは前の参考人からでわかっていたのですけれども、立川の所長の立川工学博士は要するに輸出するということに重点を置いて、アジア方面にはあまり希望しなかったそうです。それを勝間敏雄という人が、たくさんある引き合いの中から台湾を選んで、そして一生懸命台湾の問題をこね上げたのか、あるいは尽力した、こういうことをここで自分ではっきり言っておられました。これは立川研究所の雇い人でも何でもなく、顧問だとかあるいは企画部長だとかそういう名前を一時使ったというような関係の人らしいのですけれども、立川自身は一つも希望していない。どうも私どもから見ますと、勝間敏雄という人が何らかの意図を持ってこの問題を作り出した、立川博士は希望していなかった、アジアにこれを広めるという何か信念のようなものを持っていたというわけでもなさそうなんです。どうもそこらがはっきりしないのです。それで、為替許可を下す、これはどっちが先に決定なさるのですか、通産省が先に決定なさるのですか。そして為替を無為替で許すという許可を同時的になさるのですか、どちらが先に決定なさってのことなんですか。
  312. 東条猛猪

    東条参考人 本件のように両省の権限にまたがる両大臣許可の要る問題につきましては、同時に相談をいたしまして、同時に役所としての意思決定をいたさないと方針が二途に出出ます。従いまして日付の前後というものは手続の関係もございますし、また申請者申請書の早いおそいということもございましょうから、私は日付の前後ということは当然あることと思いますけれども、本件について役務契約許可をしよう、またそれに伴う物資の輸入というものが行われる、そうしてその物資の輸入が行われるというところまでは大蔵省としても意思決定をいたすわけであります。そしてその物資がどういう物資であってどういうものであるかという、無為替輸入の方は通産省の方で意思決定をなさる。これは私をして言わしむれば、具体的な意思決定というものは同時でなければならない、手続的な前後はあろうと思います。本件のような場合は実際問題といたしまして大蔵大臣許可証の日付の方が先ではなかろうか、かように記憶しております。
  313. 神近市子

    ○神近委員 大体わかりました。でも両省でお話し合いをなさる場合に、完全に五十、五十のところまできてここで出会うということは想像できない。どっちにより多く決定の度が強かったかということが私が聞きたい一点でございます。こう伺っていればどうも通産省の方が傾いていらっしゃる度合いが強かったのじゃないかと考えられるのです。そういうことまではあなたはおっしゃれないかと思うのですけれども、いかがですか、それは平井参考人東条参考人どちらでもけっこうです、御一緒でもお二人それぞれでもけっこうでございます。
  314. 東条猛猪

    東条参考人 私の当時の主観的な考え方といたしましては、決して通産省側で無為替輸入がいいじゃないかということを主張せられたという記憶もありません。こういう場合できれば現金決済ということは通産省といえども大蔵省といえども同じ気持だったと思います。また同じ気持でございました。しかし台湾政府側の意向によりましてどうもこういうことでは契約が成り立たないということでございまして、やむを得ず物によろうということになったのが当時の実情であった、と私はさように記憶しております。
  315. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 東条参考人はかつては議会答弁の名手として非常なチャンピオンだったわけです。きょうは久しぶりで政府委員におなりになって、昔の席でレクリエーションのような感じで非常に陶酔されながら答弁を楽しんでおられるような御回答でございますけれども、本件はこれはもう最初から仕組まれた、何といいますか、輸入暗躍ブローカー、あれこれ屋の仕組んだものなんです。その当時は私の方で善意に解釈して知らずじまいのうちにでっち上げられていた。今日ここへおいでいただきたいという手紙を御呈示して、むしろあなた方はおやっと思われたかもしれない。これは極言しますと、台湾、香港、日本をまたにかけた国際詐欺団のしわざと言っても過言じゃない。私はそう判定し切れるという自信を持っている。なぜならば、それじゃ平井さんに伺います。私はあなたには恩怨は何にもない。御交際でもあなたに悪い印象は私はかつて一つも経験したことがない。けれどもおっしゃっておられることは——この件の中心人物である当時の農水産課長、あなたの報告をお受けになったという通商局長の下にいる所管の課長、すなわち農水産課長であった日比野君が参考人としてあいまいなことを言い、証人としてまたあいまいもことしてわけのわからぬようなことを言い続けている。ところが実態はあそこが中心なんです。農水産課で線が出てこなければこれはどうにもならないもので、そんなことはあなたは百も御承知なわけです。その農水産課長の日比野君が先刻も申し上げたように、ここの記録において台湾から入れる原糖一万トンを留保してという言葉を使っておるのです。これはワク外だと言っております。しかるにもかかわらずあなたはこれはワクの中で、とこうおっしゃっておるのです。もしワクの中でとするならば、日本砂糖関係商社、メーカーは承知をしなかったはずです。それから無為替というものは、これはあなたにこんなことを申し上げるのは釈迦に説法というたぐいのものになりますけれども、一番わかりやすい説明を申し上げますと、たとえば結核患者を救わなければならない、その施設は国の予算をもってしては生まれてこない、しかしこれはどうしてもやらなければならないんだというふうな場合に、砂糖なりバナナなり持ってきた場合にそれを売って、それから生まれ出た利益をもってこういうふうな施設をするんだといったような場合に、無為替輸入は許されてきたかのようにわれわれは思うのです。もしそうでないとすれば、あなたは職をお退きになっておるのですけれども、今の事務次官なりあるいは通商局長なり、いやそうじゃないんだ、だれでも申請できる、無為替は一万トンであろうが二万トンであろうが十万トンであろうがだれでも申請できるんだと言うなら、われわれは無為替輸人の申請をきょうにでもやりたいと思う。けれどもそんなことはできっこないことはあなたは百も承知をなすっておられる。それですからワクの中でなんということはあり得ないし、これは無為替で入れるべき性質のものじゃないのです。有為替でなければならない、そういうことなんです。今日吉田委員なりその他の委員が百語を費してお尋ねしておるにもかかわらず、とにかくあなた方は往年の政府委員の御答弁のように答弁それ自体を楽しんでおられるような結果しかない。とにかく終日そういう結果しかお生みになっておらない。それでは国民の疑惑というものは全く解けない。本委員会においてはこれをやろうということではなかったのです。そもそもは歳入歳出の状況から見て砂糖行政の運営が是であるか否であるかということに多くの疑点ができてきたから、これを解明しようということが本筋であったわけです。ところが虫様突起のようにこれが降ってわいた。私はそんな一万トンの問題などはとうから知っておりましたけれども、私はそれに触れようとしなかったんだが、それがひょう然と現われ出た。ところがそれが非常にクローズ・アップされて、ことほどさように世間の注目の的になってしまったということは、国民がこれに対してどんなに疑惑を集めているかということなんです。でございますからもう一ぺん平井参考人にお尋ねをいたしますが、あなたはほんとうに今日言い続けられたワクの中であると言い切ることがおできになりますか。
  316. 平井富三郎

    平井参考人 私が当時記憶しておりましたのはワク内で処理をいたす、こういう原則だったと記憶いたしております。
  317. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは東条参考人にお尋ねをいたします。これは、こんなことをお話したらあるいは国際問題が起るかもわかりませんけれども、台湾の政府部内においても、この暗躍ブローカーによってろうらくせられた傾きがあるのです。当時あなたはこの役務契約に関する判定をお下しになる前提として、対象となった中に、台湾政府から来た手紙がございますか。
  318. 東条猛猪

    東条参考人 私の記憶によりますれば、台湾政府から直接台湾政府自身の文書というものはなかったんではないかと思います。台湾政府の意向はこうこうこういうことであるという東方貿易行の連絡であったように記憶いたしております。
  319. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 台湾政府において手紙が製造されておるのです。これは明らかに台湾政府の明確な印証も押されてある手紙をその当時ブローカーが振り回してるおのです。それを現に見ておる者があるのです。いつでも証人に立つと言っておる者があるのです。これは言いかえますと、先刻も申し上げましたように、台湾政府をろうらくし、日本政府をろうらくした詐欺団の行為なんです。立川研究所のああいう特許権なんというものは問題じゃないのです。こういうことで仕組まれたといつでも証言をするということを言っている人がおります。これは台湾政府でなければろうらくはできない。だから立川問題を台湾に持って行ったら、あにはからんやそういう手紙が製造できた。そこで日本に持って帰ったんだ。ところでここでしばしばその経緯が物語られておりますように、そのやつは結果においては、成功しなかった。しかし一たんそういうふうに口火を切っておいて、そうして実際は最初から台湾糖を入れるという考えではなかったんだ、こう伝えられておるのです。そしてこれはキューバーの砂糖を入れる、それはそうでしょう。台湾砂糖というのは高いのです。そこに食糧庁の方がおいでになるようですからおわかりでございましょう、台湾砂糖というのは高いのです。従って今でも台湾糖の輸入量というのは少いはずなんです。初めから台湾糖を入れようという考えではなかった。ところでだんだん明らかになって参りましたことは、最初は言を左右にして言っておられた政府関係委員会に対するお答えも、最初はこの立川の特許権と言っておったが、しまいには特許権の実施権と暴露されてきた。その特許権の実施権に対する代償として、台湾政府台湾糖一万トンを日本に送ることを許諾するであろうという手紙なんです。そういうふうに運んでいった。ところがそうじゃないということがわかった。それとこのドミニカから参りました原糖一万トンとは全く別なものであるというふうにしまいには明らかになって参りました。そこでますます国民の疑惑が高まったということは、特許権なりあるいは特許権の実施権なりを台湾に売って、その代償として一万トンが入ってくるのである、こう考えておった。ところがそれは片づいてしまった。事実片づいてしまって、明らかに線が引かれて別個のものになってしまって、そうして今度はあらためて無為替輸入の対象として入ってきたのがこのドミニカから参った一万トンである、こういうことになってしまったんです。でございますから、あなたはこのドミニカから参った無為替輸入糖の一万トンに対して、先刻来伺っておりますと、これはあなたがどんなに答弁技術がお上手に、また昔に返り咲いたような答弁技術をあやつられて終日お答えになっても、これをもってしては国民の疑惑を解くことはできないと思うのです。そうしてあなたの話はいや通産省がどうで、どこがどうで、しまいには一緒に相談してやるんだ、こう言っておられまするけれども、実際問題としてこいつをおやりになったときには、あなたの下僚であるところの管理課長がおやりになったんでございましょう。また管理課長の下の課長補佐なりあるいは係長の方がおやりになったのかもしれないけれども、今の御心境として、今はもう役所はお退きになっておられるのでありますから、淡々としてお答えになれるはずでございます。いやこれはやりそこなったんだ、実は今になって考えると、あいつは手違いだったんだといったようなお考えにはなれませんか。
  320. 東条猛猪

    東条参考人 これは根も葉もない話で、国際的な詐欺の結果なんだというお話を実は今初めて伺ったわけでございます。ここへ出て参りますまではやはり正常なる取引が行われ——少くとも当時行われるつもりで関係者は努力をしたのだ、またそれを信頼して役所といたしましては許可をしたのだ、こういう一心で今までおったわけであります。もし何か役所側に非常な手落ちがございまして、そういう国際的な詐欺のいわば謀略的なことに不注意の結果乗せられたということに相なっておるといたしますれば、まことに手落ちのことは私としておわびいたさなければなりませんが、当時本件につきましてはそういう技術の輸出が行われ、それの見返りといたしましては、日本経済に役立つ品物が持って参られるということで、そういうつもりで本件の処理をいたしたわけでございまして、今日その前提をひっくり返してしまって、これは全然間違った、お前は謀略に乗せられたんだから、お前はあやまるか、こういうことでございますと、ちょっと今何と申し上げていいか私も気持が乱れますけれども、われわれの手落ちの結果非常にたくさんの方に御迷惑をおかけしているということでございますれば、これはあやまらなければなりません。しかし私は率直に申し上げまして、今日ただいまでも役所といたしまして手落ちがあって、そういう謀略に乗せられたんだというふうには実は感じておりません。
  321. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 あなたをお責めしようとするのでもございませんし、また今さらあなたをお困らせしょうという考えは毛頭ございませんけれども、国民の疑惑はどうにかして解かなければなりません。きょうあなたは重大な発言をされておられます。それはあなたは田中委員質問にお答えになりまして、あながちしも特許というものに重点を置いて、それを対象とする場合だけではあり得ない、こういうような意味合いのことをあなたは言っておられます。つまり外国特許外国で受けた特許が、日本に入ってきた場合に、日本の国内の特許がなくてもという意味合いのことをおっしゃったものと思うのであります。従って日本特許をとられたものが、台湾政府特許をとっておらぬものでも、実質的に権威のあるものであるならば、これは対象とするのであるという意味合いのことをあなたはおっしゃっておられます。そうすると、これは台湾特許権のあるなしは別問題、それから日本特許のあるなしは別問題である。事実という権威に基いて、権威のある事実という実態に基いて、それを対象としてというふうにも聞えるのでございます。しからば実態とは何ぞやであります。実態とはあなたは御承知ないでございましょうけれども、日本の国内においてあの当時も、数年後の今日におきましても、日本の繊維工業界のどこの工場もこれを実施しておりません。いわんや日本の繊維工業界の生産設備よりもはるかに程度の劣っておりまする台湾では、立川研究所の言っておりまするような高度な権威のある特許権を実施しようという生産設備はないのであります。ないということは初めからわかっていた。従ってここでは非常に苦しい答弁を立川の責任者がしておりますが、要するにアジアには自分の発明をした特許権を実施する程度の高い工場はないのである、従ってこの程度の高い国の生産設備でなければこれは適合しないからということを裏づけるかのようなことを数回にわたってここで言明されております。事実においてあなた方が本件をお取り扱いになった当時も、日本のどこの工場でも実施されておらない。あれから数年たちました今日においても、なおかつ日本のどこの工場でもこれを実施しておる工場はございません。これは、立川研究所の生産部長であるとか何とか部長であるとか嘱託とか言っておる勝間という人の証言においても明らかであります。しからば、あなたは何を対象にしておやりになったかということであります。
  322. 東条猛猪

    東条参考人 私が申し上げております趣旨は、内地における特許関係というものは、当時の事務手続としては確認をしなかった。しかし立川研究所考案されました技術というものは、役所内部のいろいろな専門家判断等によりましても、客観的に値打のあるものだというふうに私どもの方としては承知をいたしたわけであります。申請書によれば、台湾において特許を受けてそれを実施する権利を譲り受けたい、さようなことが申請の内容になっておりまして、また私さように記憶いたしておりますので、記憶のまま申し上げた、かようなことでございます。
  323. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 平川参考人にお尋ね申し上げます。あなたは非常にりっぱな事務次官としてわれわれも尊敬しておった方でございます。あの当時の食糧庁長官は清井君であったと思いますが、その通りでございますか。
  324. 平川守

    平川参考人 その通りです。
  325. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 さすれば、あなたは食糧庁のことは清井君を御信頼になって、特に清井君はあなたもお認めになりますようなりっぱな官僚であって、後にはあなたのあとを襲って事務次官におなりになった方であります。ですからおそらく清井食糧庁長官を御信頼の余り全部おまかせになっておられたと思うのでありますけれども、これはここにおいでになる食糧庁の二部長にお尋ねをしましたところが、これは通産省関係であって私たちの方には関係がないのだという意味合いの御答弁から始まりまして、だんだんに当委員会が解きほぐして今日のような事態に立ち至りましたが、これは特殊なケースであるからというようなことで、あなたには清井食糧庁長官からはしさいな御相談でありますとか、あるいは配分の関係について何かお話し合いはございませんでしたか。
  326. 平川守

    平川参考人 先ほど申し上げましたように、通産省の通商局の方から無為替台湾から砂糖を入れたい、これは立川研究所の技術の輸出とからんで、無為替で入るということを通産省の通商局の方で御相談中のようである、入るまでのことについては、農林省としては無為替云々のことは直接関知するところではないので、われわれとしてはそれに対して意見を述べる筋合いはないが、入った場合に入った砂糖を正常のルートにおいて割当をするということについては、食糧庁の方でも異議のないことであるから、そういうことは認めますということで、格別農林省所管という意味においては特殊のなにでもないということで、比較的そう重い話でなしに報告を受けたような次第でございます。
  327. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは表面は無為替であろうが有為替であろうが、砂糖の足りない時代でありますから、こういうものが入ってくるということに対しては農林省としてはお喜びのはずでございます。しかし実態は現在の食糧庁と精糖工業会のあり方を見てもわかります。たとえば百二十万トンの原糖を輸入するという通産省の仕組みに対しまして、そのうち百十万トンは精糖工業会によって壟断されておる。ところが精糖工業会はその百十万トンを輸入せずして、年間七十万トンないし八十万トンであとはスリッページをこしらえるというようなことをやる。さらにまた輸入されたものを溶かして国民の需要に応ずることをがえんじないで、この砂糖の値段をつり上げておる。従って、これはもう申し上げるまでもないことでありましょうが、世界じゅうで一番日本砂糖価格というものは高い。今日そのことは明らかに事実の上で証明されたとも解釈しなければならないと私は思います。なぜならば、これは横道にそれますが、一斤八十三円ないし八十四円いたしておりました砂糖が、今日では七十円です。当委員会においてこのドミニカ糖の問題が取り上げられ、砂糖行政の誤まれる方向を是正しようという声が当委員会において取り上げられますと、立ちどころに糖業界に影響して相場が二割近くも下っておる。こういうようなことをもってしても、実際あなたは事務次官をおやりになって、その当時全体の農林行政の運営をごらんになっておって、おわかりにならなかったといえばそれまでのことでございますが、この精糖工業会とつながる食糧庁の食品課におきましては、無為替であろうが有為替であろうが、輸入というものに対する感覚は実に鋭敏でございます。従って一万トンの輸入も必ずしも喜ぶものではない。こういうようなことがあり得る、というよりはあるのでございます。でありますからこの問題に関しまして、あなたはこの輸入糖の配分をどういうふうにやるかということについて、実際の相談はお受けになっておりませんでしたか。
  328. 平川守

    平川参考人 砂糖の割当につきましては、先ほども申し上げましたように、食糧庁長官の委任事項になっておりまして、私は個々の会社にどういうふうに割り当てるかということについては一々相談を受けません。食糧庁長官はエキスパートでもありますし、私は実は食糧庁の経験は一回もございませんので、全部個々の割当については食糧庁長官にまかせております。今回のものについても、一般のやり方でやるのだという話でありましたから、それでいいでしょうということでやったわけであります。
  329. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それはあなたのおっしゃる通りです。食糧庁長官も十分御承知ないことが多いのです。これは第二部でお取り扱いになっておる。第二部は精糖工業会の出店です。これはもう明確に申し上げておきます。あなたは御承知ないのが当りまえです。知らされないのですよ。事務次官はおイモの煮えたも御存じないのです。そういうような配分は御承知ない場合が多いのですから、御無理もございません。それはそれでけっこうです。参考人の方々はこれを御承知ないのですから、もうこれ以上専門的なお尋ねを申し上げても無理だと思いますから、参考人に対する私のお尋ねはこれでけっこうであります。  そこで資料の要求をいたしますが、先般来しばしばお願いいたしておりますこの精糖会社の納税に関する問題その他の資料がなかなか出そろって参りません。本日は限定をいたしまして、さらに御催促の意味で、ただいままでに要求いたしました資料につけ加えまして、委員長から適切なお手配を願うために資料の要求をいたします。  昭和二十八年度から昭和三十二年度において、精糖工業会所属の名古屋精糖及び日新製糖両社の各月別移出数量、決定消費税の額並びに納付税額——これは所管の税務署の納付証明書を添付してほしい。ただし延納があります場合は、所管税務署の同上額についての証明書を添付していただきたい。同上証明書の写しでけっこうでございます。  第二点は、昭和二十八年度から昭和三十二年度の間において、右両社の中で関税延納の事実の有無、関税の延納があるかないか。もしありとするならば、品目、数量、関税金額、時期、その理由。  第三点は、名古屋精糖、日新製糖及びこれらの直接関係する傍系会社、つまり名古屋精糖とその傍系会社、それから日新製糖とその傍系会社、これらで政府資金を利用しておりますが、その借り入れの年月日、その年月日ごとの額、金利、条件等に関する資料。  それから別項で、これは名古屋精糖の場合です。七十五万ドルに相当する遠心分離機を輸入をいたしております。この納税証明。どこの税関で通関しておるかということを明確にするところの資料を要求する。  それから名古屋精糖の神戸工場の土地が私有地でありますとか、国有地でありますとか、いろんな風説が伝えられております。しかしこれは聞くところによりますと、元港湾局の所有地であったとも言われるのでありますから、これは国有地であるといたしますならば、どういう条件のもとに払い下げられたものであるか、これに関する資料。  これらの資料を要求いたします。
  330. 坂本泰良

    坂本委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  331. 坂本泰良

    坂本委員長 速記を始めて。
  332. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 業務第二部長にお尋ねを申し上げます。現在行われている原糖の輸入関税、これが両三年前に引き上げられましたね。あれは何年の何月から実施されておりましたろうか。それを伺いたい。
  333. 松岡亮

    松岡説明員 あれは昭和三十一年の四月一日からであったと思います。
  334. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 ありがとうございます。それでけっこうです。
  335. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は無為替輸入の承認の経緯とか具体的事実とか、あるいは承認の条件等につきましてはなお疑問が晴れませんので、聞きたいことは相当あるのでありますけれども、これは事務当局を交え、かつ当時の大臣等も交えまして、なおあらためて聞くということにいたしまして、本日の参考人に対しては私はこの程度でよろしゅうございます。
  336. 坂本泰良

    坂本委員長 以上をもちまして参考人よりの実情聴取を終ります。参考人各位には御多用中のところを、長時間当委員会調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。退席されてけっこうでございます。
  337. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 委員長に申し上げます。きょうは資料要求の催促をいたしましたけれども、これはいつかな委員長御承知の通り現われ出ません。食糧庁においてしかり、国税庁においてしかり、黒田専門員のお話によりますと、食糧庁から両三日中に現われ出るといっておりますけれども、両三日中に現われ出るということはずいぶん前にも聞いたお話でございます。よって催促をするという意味合いで資料の要求をお願いしたわけでございます。しかし吉田委員等のお話もございましたからけっこうでございますが、しかし吉田委員の今の御発言で受けます私の印象は、現在やっておりまするこのドミニカ糖の無為替輸入の問題をいいかげんに切り上げようという意図のもとに、こういうものを横っちょから飛び出させるというものではございません。やがてドミニカ糖も終末を告げるでございましょう。これをまた三百六十五日も三百年も続けて吉田委員がおやりになろうということは——私はその権威ある吉田委員の発言を伺っておってよくわかりますので、やがてこれも終末を告げるであろう。しからば本質街道の砂糖行政の方式に関する問題を取り上げていくべきものである。そういうところに立ち返らなければならない。それには現在出そろっておらない資料の要求をお願いする必要がある、こういう考えでお願いしたものでありまして、決して当委員会の目下進みつつあるドミニカ糖の懸案を途中で打ち切ろうという意図は毛頭ございません。さよう御了承を願います。
  338. 坂本泰良

    坂本委員長 委員長としてもよく了承いたしましたから善処したいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十三分散会