○
田中(彰)
委員 それは少しおかしいと思うのです。あなたの方でもってこの
砂糖の
輸入を許した、
契約を許したということは、
特許を売ったその代償として許したのでしょう。それは今あなたの言っているように
特許というものでなく、使用
権利だとかこういうものだとかいうことは別ですよ。しかし
契約書にはそれと同じ
特許を
台湾で願ってもいいということになっている。その
権利の売買の代償が
砂糖なんですから、
特許は重大ですよ。あなたのおっしゃるのは、そういう実例もあるでしょう。たとい
特許は受けなくても、君のところでやって登録の年限は切れていてもいいから、僕のところで使わせてくれ、それを君のところではやめないか、そうしたら私はそれをつないでいく、金は何百万円やる、そういうことはいいですよ。そうでなくて、
砂糖を許されたということであります。
日本で受けた
特許と同じものを
台湾で願ってもいいというこの
権利によってやられたのだから、やはり
特許をお調べになっておかないと、もしその
特許が途中で取り消されたとか、
日本で異議が出て内容が変ったとか、まねする者が出たということになると問題になる。
それからもう
一つ、非常に私どもが疑惑を持つのは、
日本で受けた
特許と同じ内容のものを
台湾で願ってもいいということによって売買したという、これは
砂糖を取るための便宜上の架空な
契約だと思うのです。なぜと申しますと、
日本でこの
特許は受けてあるんだ、
台湾でもこれと同じ内容のものを願ってもいいということを言っても、
台湾でそれと同じものを先に願ってあったらどうするのですか。
台湾でそれと同じものが、類似するものが願ってあったとすれば無効なんです。願えないのです。またまねもできないのですよ。今あなたはこういうものは
特許にならなくても有効であればこうだとおっしゃいますけれども、もし
日本で
特許を願うようなものであれば、
台湾だって願ってないとも限らぬ。
台湾で先に願っておった
——そういう
許可を願うものを持って行ったが、先に願ってあったからまねもできない、願ったものが却下されたということになると、架空なんです。だからこういう
特許なんというもので
砂糖なんかの
許可をされるときには、非常に慎重にお取り調べにならないといけないのです。今
特許を願う人たちは、
特許を
許可されても発表しないのです。二年なり二年半黙っておいて、二年たつともう異議が出ない、それからそれを売ったりまねして作ったりするというようなことが今一般の
特許を願っている人にはやっているのです。注意深い人はこういうことをやっているのです。だから今あなたの言う
通り——われわれはこの
特許に対して偽造のような非常に空虚なもののような感じを持つ。こういうものを
特許を願うのだと言って願いを出して
——これは
特許でなくて出願中だと聞いておるのです。出願だから、おれが願ったやつを君がやってもいい、なるほど理屈は通るのです。出願中であれば、それがいいものであれば、理論は役人さんが通す気なら立つのだけれども、
台湾においてそれが願ってあったときには無効なんです。架空のものを
契約したことになる。
砂糖は重要な物資です。普通の人、お菓子屋さんなんかが
外国から来た
砂糖を分けてくれと言ったって分けてもらえない、
相当統制みたいになっておる重要な物資です。それを架空なもの、偽造にひとしいものと取りかえたことをお調べにならぬでおやりになったということは、何とおっしゃっても軽率なんですよ。それですから、あなたの方でいっそのことそういうことをそのまま
——だれが運動したのかどうしたのか知らないけれども、投げ出されて、むしろ
委員会で解決した方がいいのじゃないか。私は
特許権について聞いておるのです。ところが
特許が何だとか
——ここにおられる
参考人が何と言われたって架空なものだ。たとえばここで願ってあったら、この
特許を売ったらいいのですよ。
日本の
特許を願って、
日本の
特許が
許可になった、
台湾の
特許も
許可になっておる、フランスの
特許も
許可になっておる、その
権利を売ったならまねできない。これは言われた
通り特許というものは
相当の
価値があるかもしれません、内容がよければ。ところが
自分が願って
許可をとってあっても
——出願中だったらなおさらのこと、それと同じ内容のものを
台湾で願ってよろしいというこの
権利は、
台湾で先にだれか願っておった、同じようなものがあったということになったらまねもできない、何もできないから、これは空虚なものだということになる。ここをあなた方がよくお
考えにならぬと、ただ
特許々々で、これは大きくも踏めれば、小さくもなる、無
価値にも何にでもなるから、それを利用されて
特許々々と言われることになると、この
特許は無
価値なものだ、
台湾で調べたら何にもない、無
価値なものだ、そうでしょう。こういう点で
砂糖が一万トン入ってきたということになると、
——聞けば三万トン入ったのを二万トン流した。そして一万トンは保税倉庫に取られてしまったのだ、そういうことになったら大へんですよ。だからこういう点もよく良心的にお
考えになって研究されて答弁されぬと、
特許なんというものはわれわれはほとんど問題にしておらぬ。問題にしておらぬものを問題にして
許可をとって
砂糖を流して、それでいろいろなところへ無理な配給をしたというところにこの問題があるのですから、その点をよくお
考えになって
吉田委員に御答弁された方がいいと思う