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1958-02-21 第28回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十一日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 菊池 義郎君 理事 櫻内 義雄君    理事 須磨彌吉郎君 理事 森下 國雄君    理事 山本 利壽君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       伊東 隆治君    高岡 大輔君       野田 武夫君    松田竹千代君       松本 俊一君    大西 正道君       岡田 春夫君    田中 稔男君       西尾 末廣君    福田 昌子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         外務政務次官  松本 瀧藏君         外務事務官         (経済局長)  牛場 信彦君         外務事務官         (条約局長)  高橋 通敏君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 二月十九日  委員松本七郎君及び森島守人辞任につき、そ  の補欠として勝間田清一君及び辻原弘市君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十日  委員小坂善太郎君、勝間田清一君及び辻原弘市  君辞任につき、その補欠として北澤直吉君、松  本七郎君及び森島守人君が議長指名委員に  選任された。 同月二十一日  委員大橋忠一君及び八百板正辞任につき、そ  の補欠として千葉三郎君及び岡田春夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  松本七郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 二月十九日  日本国とパキスタンとの間の文化協定締結に  ついて承認を求めるの件(条約第五号)(参議  院送付)  日本国とエティオピアとの間の友好条約締結  について承認を求めるの件(条約第六号)(参  議院送付)  政府間海事協議機関条約締結について承認を  求めるの件(条約第七号)(参議院送付) 同月二十日  通商に関する日本国インドとの間の協定の締  結について承認を求めるの件(条約第八号)(  予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  通商に関する日本国インドとの間の協定の締  結について承認を求めるの件(条約第八号)(  予)  日本国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間  の通商に関する条約締結について承認を求め  るの件(条約第一号)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより開会いたします。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。理事松本七郎君が去る十九日に委員辞任され、再び当委員に選任せられました。右に伴い理事が一名欠員となっております。この際理事補欠選任を行いたいと存じますが、慣例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。
  3. 床次徳二

    床次委員長 御異議がないようでありますから、理事松本七郎君を指名いたします。     —————————————
  4. 床次徳二

    床次委員長 次に、昨日予備審査のため付託になりました通商に関する日本インドとの間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府側より提案理由説明を求めます。松本政務次官。     —————————————
  5. 松本瀧藏

    松本政府委員 ただ今議題となりました通商に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この協定に関しては昨年末ニュー・デリーにおいて交渉を続けて参りましたところ、この交渉インド側担当者であるラル商工次官補日印間の円借款問題とも関連して来日しましたのを機に東京において最終的交渉を続行いたしました結果、二月四日に東京藤山外務大臣とジャー駐日インド大使との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定はいわゆる通商協定規定事項である関税及びこれに関連する事項輸出入等についての最恵国待遇のほか、入国滞在事業活動、船舶に対する原則的な最恵国待遇をもあわせて規定しており、わが国東南アジア諸国との間で戦後初めて締結する広範な通商協定でございますので、単にインドとの通商航海関係緊密化に資するのみならず、今後わが国東南アジア諸国との通商航海に関する協定締結容易化に役立つこと大きなものがあると期待されるわけであります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  6. 床次徳二

    床次委員長 これにて提案理由説明は終りました。本件に関する質疑は次回に譲ることといたします。     —————————————
  7. 床次徳二

    床次委員長 これより日本国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間の通商に関する条約締結について承認を求めるの件を議題として質疑を許します。通告がありますので、これを許します。戸叶君。
  8. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約に関しての大臣に対する質問を私は保留いたしまして、事務的な関係を二、三伺いたいと思います。  まずソ連との通商協定を結んでいる国はどことどこでございますでしょうか。
  9. 松本瀧藏

    松本政府委員 政府委員よりお答えさせます。
  10. 高橋通敏

    高橋政府委員 お答え申し上げます。現在約二十ヵ国と結んでおります。そのうちおもな国といたしましては、フランス一九五一年、デンマーク一九二三年、オーストリア一九五五年、フィンランド一九四七年、英国一九三四年、スエーデン一九二四年、イタリア一九四八年、ベルギー一九三五年、トルコ一九三七年等でございます。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうな通商条約を結んでいる国は結んでいない国よりも貿易が盛んに行われているでしょうか。
  12. 松本瀧藏

    松本政府委員 少し個々の資料をまとめて後ほど御説明させていただきたいと思います。ちょっと補足的に政府委員から……。
  13. 高橋通敏

    高橋政府委員 詳細はまたあと資料で御説明申し上げたいと思いますが、大体通商条約締結している国は、少くとも輸出入関係において最恵国待遇を受けておる次第でございます。従いまして通商条約に関する協定をしていない国はその待遇を受けませんから、その点において、ソ連に対する輸出入に関して、ソ連側において差別待遇を受けているという事実があることを聞いております。
  14. 戸叶里子

    ○戸叶委員 大体どのくらいの差があるかあとからまた資料で伺いたいと思うのです。  そこで日本と今度通商に関する条約を結びますと、当然日本との間の貿易の拡大ということが考えられると思うのです。しかし実際問題として日本がすでに自由主義陣営との間の貿易を盛んにやっております関係上、その割当等におきましてどうしても優先的に自由主義陣営の方に割当をやって、そして割当制限というようなものをソ連の方に行うような傾向があるのではないかということを私どもは考えるのですが、この点はいかがでしょう。
  15. 高橋通敏

    高橋政府委員 ただいまの点でございますが、条約条文によりますと、第七条で、輸出入の「禁止又は制限で、同様の産品のすべての第三国の領域からの輸入又は同領域への輸出に対して同様に課していないものを課してはならない。」すなわち輸出入に関しまして禁止または制限は平等に行わなければならないという規定がございますので、この規定の拘束を受けて、差別待遇はできないということになっております。
  16. 戸叶里子

    ○戸叶委員 その条約通りであればいいですけれども、たとえば石油なんかの問題あるいはその他の鉄鋼材なんかの問題です。ここに一例をあげてみますが、自由主義陣営カルテックス——そういうような石油割当なんかもたくさん持って、そうして貿易をしている場合に向うからのそういう申し入れがあったときに、それに対してもすでに自由主義陣営とのこれだけの割当があるからということで、制限をされる可能性があるのではないかということを心配するわけですけれども、そういうことはこの条約によってはないわけでございますか。
  17. 牛場信彦

    牛場政府委員 お答えいたします。このたびソビエトに対して約束いたしましたのは最恵国待遇ということでございまして、それでソビエトとはポンド取引をすることになっております。従いまして日本外貨予算建前ポンドを使って輸入する際に与えられる待遇ソ連からの輸入に均霑させるということでございます。ただしこれは商社の間の取引をどう規制するかということとは別問題でございまして、ポンドワクを与えられた商社ないしは製造業者がどこから買うかということはその商社なり製造業者なりの自由になっているわけでございます。従いましてたとえば石油などの問題でありますと、従来一定の取引先があって、そこから買っておる会社にとってみますと、新しくソビエトからも買えるという状況にはなったわけでございますけれども、直ちにソビエトに切りかえるかどうかということは、採算その他の事情がございますので、必ずしも言えないということでございます。それから特別にソビエトのためにワクをふくらますかどうか、これは主として日本の内地の需給状況からきまることでありまして、これは大蔵省通産省などの方で考えることであろうと思います。
  18. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そのことはわかるんですけれども、ただ自由主義陣営との今までの取引関係上、もしソ連との通商協定が結ばれても、何らその進展を見られず、ある程度ワク制限が行われるのではないかということを私ども心配しているのですが、その点はいかがでございますか。
  19. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはあるいは通産省の方からお答え申した方がいいかとも存ずるのでございますが、私どもの聞いておりますところでは、たとえば木材のごときものはソビエトとの協定ができますと、おそらく北洋材というものがむしろ日本輸入する木材のうちの主要な部分を占めるということになると思います。石炭につきましては粘結炭につきましてはもちろん問題ないのでありまして、値段が合い、かつ品質が悪くない限りにおきましては幾らでも買えるという状況でございます。これはむしろただいまドルを使って買っている石炭が多いので、政府といたしましてもおそらくできるだけドルを使わないで済むことを考えているのでございますから、問題は少いと思います。ただ石炭にしても一般炭と申します普通の炭は御承知通り国内でただいまやや過剰生産になっている状況でございますので、非常に入れにくいということがございます。石油はおそらく非常に入りにくいということはあろうと思いますけれども、これはただいまのところソビエトの方は極東からは出せないということを申しておりまして、出すとすれば黒海の方からでありまして、これは特別の思慮を払って下さらない限り、運賃などの関係で高くなるというおそれがございます。しかしこれにつきましても、できるだけ日ソ貿易を容易にしようという観点から、通産省の方でいろいろ考えているようでございます。その詳しいことは私はちょっと存じませんので、通産省の方からお答えしたらいいかと思います。
  20. 戸叶里子

    ○戸叶委員 大体わかりましたけれども、そうすると今の御答弁では石油などは非常にむずかしいけれども、ほかのいろいろな材料を買う場合には制限されずに、また物によってはさらにほかよりもたくさん買い得るという可能性がある、こういうことだったと思います。  そこで次に伺いたいのはこの条約によって通商代表部が置かれることになるわけですけれども通商代表あと二人が大体外交上の特権を認められて、あと勤務員両国合意において置くことができるということになっているのですけれども、そういうふうな勤務員に対する特権はどの程度までお認めになるのでしょうか。
  21. 高橋通敏

    高橋政府委員 その点につきましては第三条に特権内容規定いたしておりますので、ここに規定された以外の特権は供与しない、具体的に申し上げますと、通商代表部代表及び二名の代理以外は、これはもちろんソ側公務員でございますけれども、その所得税だけの免除ということになりまして、その他は普通の外国人待遇、しかも外国人公務員待遇ということになるかと思います。
  22. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると人数などには別に制限とかそういうものはあり得ないと思うのですけれども、ちょっとお伺いしたいと思います。
  23. 高橋通敏

    高橋政府委員 お答え申し上げます。人数も双方の合意によりまして何名かに限ることにいたすことになります。
  24. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ソ連国営貿易でございますから、代表部というものを特に置くわけですけれども日本の場合はだれか事務官大使館にいて、そうして各商社がその間に入って取引をするということになるだろうと思うのですけれども、その場合に、日本ソ連側通商代表に与えているような特権に見合うような何らかの考慮が、そうした人たちに与えられるものかどうか、これを伺いたい。
  25. 高橋通敏

    高橋政府委員 その点につきましては通商関係につきましてはソ連におきます日本側大使館通商関係担当官を配置しておりまして、それで十分やっていけるのではないかと考えております。それからほかの方の商社の場合は実はまだ通商代表部に見合うような特権またはその職務を行うような特権その他を考えておりません。現在のところ大使館の職員で通商代表部に対応する職務を十分やっていけるというふうに考えます。
  26. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本の方から大使館に、この通商関係を特にやる人は幾人ぐらい派遣されることを考えておられますか。
  27. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいま通産省及び大蔵省からも一人ずつもうすでに着任いたしております。将来さらに必要がございますれば増員することは考えられると思います。それからただいまの条約局長の御説明をちょっと補足させていただきますが、日本商社向うにおきまする待遇の問題はこれはソ側から来ます貿易公団代表者日本における待遇の問題とむしろ見合う問題でございまして、これはいずれも民間人として普通の取扱いを与えるということになりますのでそれらの不権衡はないと思います。
  28. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと今までに二人貿易関係担当官が行っているから、この通商協定を結ばれても別に専門家はやらない、こういうふうに了解してよろしいわけですか。
  29. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいまのところそれ以上に増員する計画はございません。しかしこれは貿易が伸びますればいずれ考慮することになると思います。
  30. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約によりまして代表部支部日本へ置くことができるようになっているようでございますけれども日本のどこへ置くように今のところ考えておられるでしょうか。
  31. 高橋通敏

    高橋政府委員 支部は「日本政府の事前の同意を得て、その支部を他の都市に設置することができる。」と一応支部設置可能性規定はいたしておりますが、現在のところどこに支部を置くかまだ考えておりませんし、またそのような予定もいたしておりません。
  32. 戸叶里子

    ○戸叶委員 あと大臣が見えられたときに質問いたします。
  33. 床次徳二

    床次委員長 次に松本君。
  34. 松本七郎

    松本(七)委員 この通商条約を見ますと、通商に関する全般的なものではなくて、ちょうど関税協定に近いような感がするのですが、日本とノルウエーの通商条約あるいは日米通商条約のように、もっと具体的な内容とすることはできなかったのでしょうか。
  35. 高橋通敏

    高橋政府委員 確かにこの内容関税協定と申しますか、それより少し広範囲で船の待遇とか、そういう場合のことも規定いたしております。しかし一般の考えられます通商航海条約に比べますと非常に範囲が狭く、なかんずく出入国だとか滞在、旅行その他事業活動という重要な部面が抜けております。ただこの点に関しましては実はわが方の現在の状況に照らしまして、日本側ソ側に行ってそのような事業活動をするというふうなことも、可能性と申しますか、なかなか予想もつかないと現在のところ考えられますので、この程度条約にしぼった次第でございます。
  36. 松本七郎

    松本(七)委員 現状から判断すれば、そう活発な事業活動は予想されなくても、日米通商条約のような広範囲にわたる条約をここに作ることによって活動の刺激になるというか、準備態勢のさそい水の形で、むしろ事業の活発が予想されなければされないだけに——相手が非常に小国なら別だけれども、これから非常に大きく伸びようという国を相手にする場合には、そういうときにこそ、通商条約はもっと広範囲なものを結んでいくことが、国策という点から言えば、むしろ重要じゃないかと思うのですが、そういうところは論議の問題にはならなかったのでしょうか。
  37. 牛場信彦

    牛場政府委員 もし今お示しのような状況にだんだんなって参りましたら、もちろんその際にはこの条約を改めまして、そういう条項も入れるようにいたしたいと私ども思っておる次第でございます。ただ、ただいままでのところでは、ソビエトがほかの国と結んでおります条約にもやはりそういう条項は落ちております。大体この程度向うもやっております。従いまして向うから出してきました草案では初めからこの程度のものしか入っておらないということでございます。もちろん日本としましてもほかの国のまねばかりしているわけではないのでございますから、いろいろな点で、入国、居住、滞在あるいは事業活動というようなことにつきまして、新たに取りきめを結んだ方が有利だと思いましたが、その時期が参りましたらそのときに考えたいと思っておる次第でございます。
  38. 松本七郎

    松本(七)委員 そうするともうその点ではすでに最初から日ソの間には合意がなっておったのか、それとも最初交渉のころは意見相違があったけれども、結局日本意見に落ちついた、こういうわけですか、その経過はどうなんです。
  39. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは私初めから交渉関係しておりましたので、はっきり申し上げられますが、初めからそういう問題は起らなかったのであります。従いましてこの条約範囲につきましては日ソ両国の案と申しますものは一致しておったわけでございます。
  40. 松本七郎

    松本(七)委員 それでこの条文にちょっと入りたいと思いますが、第三条ですが、これとは逆に、産品が直接でなく外国領域を通過して輸入された際に特殊な関税が課されるということが一体あり得るだろうか。それをやらないと書いてある。それでわざわざこういう規定をしているところを見ると、後段の事項はよく理解されるのですけれども、ただ通過したという貨物が、そういう理由で高い関税が課されるという事例があったんでしょうか、またあり得るのでしょうか。そういうことを予想されるからこれを禁じているのだろうと思いますが。
  41. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは実は念のための規定と申してもよろしいものでございまして、ただいまお示しのようなことが起り得るということはほとんど考えられないわけでございますけれども、たとえば貨物ソビエトから出ましても、途中で日本最恵国待遇を与えていない国を通過したような場合、その国からの直接のものには日本では高い関税をかけているというような場合に、理論的に申しますとその高い方の関税がかかるのではないかという疑念もございますので、そういう場合におきましても、やはり最恵国待遇を与えていくのだということを念のために規定しておくという趣旨でございます。
  42. 松本七郎

    松本(七)委員 それから第四条で、輸入された産品でそれが国内販売段階にある場合にも、なお最恵国待遇を与えるという約束になっておるようですが、この段階になっても、これもちょうど今のように逆に考えて、そういう国内販売段階になってもまだ差別待遇が与えられるような場合が予想されるのでしょうか。
  43. 牛場信彦

    牛場政府委員 四条の規定は似たような規定ガットにもございますので、ここまできめないと、関税だけの最恵国待遇では税関を通ったあと国内における取扱いによって、その最恵国待遇が実際上無になってしまうというおそれがあるというので、こういう規定が入っているわけでございます。それからただいまお示しのような場合は、普通の場合にはほとんど考えられないのでございますけれども、はっきり申しますと、経済的に非常に後進国などにおきましてそういうことがあった例も実際あるのでございます。そこでそういうことをしてはいかぬということがガットなんかにもはっきり入っておる状況でございまして、その趣旨に従ってこの規定を置いたわけでございます。
  44. 松本七郎

    松本(七)委員 ソ連輸入貨物に対して資本主義諸国と同じような関税を課している例がありますでしょうか。ソ連貿易建前から言えば完全な国営貿易ですから、必ずしも資本主義諸国でやっておるようにそう高い関税をかける必要はないわけです。その点どういうふうな実情になっておりますか。
  45. 牛場信彦

    牛場政府委員 ソビエト連邦輸入税率制度は最近この条約交渉と関連いたしまして資料をもらいましてわかったのでございますが、商品別最高税率最低税率との二種の税率がございます。最高税率というのはソビエト政府以外の国民ないしは外国私人あるいは法人によって輸入されるものにかかるわけであります。最低税率と申しますのはソ連国家及び公共団体及び企業及び機関によって輸入されるものに対して適用されるということになっておりまして、両方とも一本関税になっておりますけれども、しかし最恵国待遇を約束した条約のない国からのものに対しましては、場合によって一本税率を越えたような高い税率もかけられるということになっております。税率の二、三の例を申し上げますと、たとえば機械類でございますが、これは最低税率、つまりソビエト国家及びその機関輸入いたしますときは一%でございます。ところが私人輸入いたしますときは最高税率がかかりまして、これは三二%ということになっております。それからケーブルなども最低税率が一%、それから最高税率が七五%、電気器械なんかは最低が一%、最高が六〇%という非常に差ができておりまして、これは普通の国の関税とはやや性質が確かに違っております。やはりそういうような一種の政府課徴金輸入に対してかけられるということになっておりますので、これに対して最恵国待遇を確保していくということは実益があるというふうに考えております。
  46. 松本七郎

    松本(七)委員 そのソ連関税で一番高いものは何に対するもので、どういう率なんですか。
  47. 牛場信彦

    牛場政府委員 絹及び人絹の織物、これは二〇〇%でございます。これは最低税率で二〇〇%。最高はないことになっておりますが、おそらく私人輸入することは制度になっておらないのかもしれません。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 それと関連してくるのですが、ソ連ガットに加入していない理由はどこにあるのでしょうか。事実上ソビエト経済体制からガットに入っても意味がないということからなんでしょうか。どういうふうに判断されておりますか。
  49. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいま共産圏の国でガットに入っておりますのは、御承知通りチェコスロバキアだけでございまして、その後ポーランドなんかにもガット加入の動きがあるようには聞いております。しかしソビエトに関してはそういう話は今までのところ聞いておりませんので、おそらくやはり経済体制の違いということが理由じゃないかというふうに想像いたしております。
  50. 松本七郎

    松本(七)委員 ソ連は今までにダンピングをやったという事例がございますでしょうか。
  51. 牛場信彦

    牛場政府委員 ソビエトがよその国に対してダンピングをしたという非難が起ったという例はあまり聞いておらないのでございますが、しかし最近のいろいろな後進国に対する援助の際などに、ソビエトというのは経済原則を無視したような値段を出し得る国だからというようなことが申されたことはございます。しかし具体的な事例といたしまして、いつどこでどういう品物についてダンピングをやっていたというようなことは私ども聞いておりません。
  52. 松本七郎

    松本(七)委員 それからその次は、第六条に特典、軽減、特権免除こういう用語があるのですが、これは法律上の用語としての相違はどういうところにあるのですか。どういう理由でここに四つ並べて掲げてあるのですか。
  53. 牛場信彦

    牛場政府委員 これも実は第二条から第五条でもって大体尽されているような問題につきまして、さらに念のために設けた規定でございまして、実際にどういう理由があるかということになりますと、なかなかむしろ発見するのに困難を感ずる次第でありますけれども、第二条から第五条までに規定した事項を逆の面から見て、念のためにしるしたという趣旨でございます。
  54. 松本七郎

    松本(七)委員 これの法律用語としての相違はどうですか。
  55. 高橋通敏

    高橋政府委員 これは一般的によく特権だとか、免除だとか、軽減だとかいうような言葉を使っておるのでございまして、そういうふうに落ちがないように、大体似通ったことを実は並べた次第でございますけれども、たとえば厳密に申し上げますと、特典というのは権利に至らない程度のフェーヴアーと申しますか、それから軽減はそれを軽減する、それから特権の方は権利としてはっきり要求し、また与えるというもので、免除は特定の手続もそれから実体的ないろいろな問題についてこれを免除するものというふうなことになるかと思います。
  56. 松本七郎

    松本(七)委員 この貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する議定書ですね、これは通商条約締結されるまでの暫定指置として定められたものであるわけですが、今度の条約締結によってこの議定書は消滅するのですか、あるいはこの条約もなお暫定的なものだ、さっき言われた将来もっと広範囲にわたる本格的な通商航海条約を結ぶまでこの相互許与に関する議定書を存続するのですか。
  57. 高橋通敏

    高橋政府委員 この条約が発効しますと、議定書は当然失効するものと考えております。
  58. 松本七郎

    松本(七)委員 この条約ができてからわが国の商船が入港、停泊し得る港はどこにありますか。それからまたソ連船がわが国の港に入る場所を……。
  59. 牛場信彦

    牛場政府委員 わが国に関しましては、これは別にどこという指定は政府としては行わないように聞いております。これは運輸省所管でございますけれども政府としてはどこの港にソ連船が入れるかということは特に指定はしないというふうに伺っております。それからソビエト側につきましてはこれは今後の定期航路開設の際の交渉によってだんだん明らかになってくるわけでございまして、将来必要に応じましては政府としましても向う側に聞いてはみるつもりでおりますが、ただいまのところは黒海の港、それから極東においてはナホトカというようにソビエトでは大体申しておるようでございます。
  60. 松本七郎

    松本(七)委員 日本の方の港はソ連から希望は言ってきておらないにしても、日本側としては大体もう予定がきまったのですか。
  61. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは船会社の採算その他を考えまして、運輸省と相談してきめて、向う側と交渉するということになるわけでございまして、政府として積極的に指定をするということはいたさないように伺っております。これは運輸省の方で所管いたしております。
  62. 松本七郎

    松本(七)委員 未確定ですか。
  63. 粟澤一男

    粟澤政府委員 お答えいたします。日本側の港につきましては外国船の入る場合の海港がきまっておりまして、海港以外のところへは自由には入れない、こういうことになっております。それから日本側の船がどこの港から出るかということはただいまのところ自由でございます。ただもちろん自由でございますが、どこの港を通ってどういう経路で行くということは出荷その他の面をも見まして会社がいろいろと計画を立ってやる、こういうことになっております。
  64. 松本七郎

    松本(七)委員 商船乗員の上陸はどうなっておるのですか。これは相互主義がまたはこれに関する最恵国待遇というようなものがあるのですか。
  65. 高橋通敏

    高橋政府委員 ただいまの件は第八条の第二項の末段にございますように、これは最恵国待遇で第三国の商船及びその乗組員と同じように扱わなければならないという規定でございます。
  66. 松本七郎

    松本(七)委員 それから第十二条で、経済活動を行う者の身体、財産の保護についての規定をしているわけですが、これはいわゆる条約承認活動であると考えていいのですか。
  67. 高橋通敏

    高橋政府委員 この規定事業活動に関する規定ではございませんので、その事業活動をする場合における身体、財産の保護という点だけを規定している規定でございます。
  68. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、このソ連領域内で経済活動を行うときのこの経済活動はいわゆる条約承認規定の概念とは違うのですか。
  69. 高橋通敏

    高橋政府委員 ただいまのは条約においてそういうふうな規定がございまして、条約の上の権利としてお互いに相手国で活動する場合、すなわち条約承認でございますが、その場合とは違う規定だと考えております。
  70. 松本七郎

    松本(七)委員 ソビエト代表部ですが、これは国際法上どういう地位に立つことになるのですか。附属書第二条によりますと、代表部大使館の構成部分である。こういうふうに述べられてあるのです。この大使館の構成部分であるということは、代表部大使館と併存すると考えていいのか、あるいは大使館の一部というか構成部分ですから、一部ということになるのでしょうけれども大使館がかりに何かの都合でなくなるというような場合でも、代表部は別個に残り得るものかどうか、いわゆる併存し得るものかということを伺いたい。
  71. 高橋通敏

    高橋政府委員 この通商代表部と申しますのは、御承知の通り、ソ連側国家貿易独占という体制から生じました制度でありますので、その限りにおいては、私は非常に特殊な制度であろうと考えております。従いまして、ソ連側も諸外国とはいずれもこのような特別な通商代表部というような存在につきまして、特別のこのような条約を作りまして、初めてその条約によってお互いに承認しているというような形になっていることは御承知の通りでございます。そこで、ここに構成部分というふうに書きましたのは実は通商代表部というのが置かれましても、当然その代表と二名の代理に特権免除を与えるという根拠はないわけでございます。すなわち外交官でも領事館員でもなんでもないわけでございますので、通常考えますれば、ソ連のそういうふうな国家貿易の体制上、そのような国家貿易に従事する公務員が、日本活動するだけの問題でございますので、従来特権免除を与えるという根拠は通常の考え方からいけばないわけでございます。そこで大使館と何らかの関連を持たせるという必要上、ここに構成部分というふうな考え方を置いたのであります。従って大使館と全く同一ではないけれども、そのような関連性を持っているというふうにわれわれは考えております。従いまして、もし大使館がなくなったというふうな場合はやはり通商代表部も別個に独立して存在するということは私はちょっとおかしいのじゃないかというふうに思っております。
  72. 松本七郎

    松本(七)委員 それは事実問題としては、おそらく別個に残るというようなことはあり得ないと思うのですが、概念上代表部大使館と併存するというか、ソ連の今国営貿易ということから出てくる、そういう国の役人としての代表部の概念でくる以上は、極端な場合を考えれば通商だけは残る。そしてその必要上代表部だけは残るということも、理論的には考えられると思うが、それも絶対にあり得ない、こう考えていいでしょうか。
  73. 高橋通敏

    高橋政府委員 実際問題といたしましては、大公使館とは別に通商関係が行われ、その事務を処理するための、このようなこれに類似の機関が存在するということは、考えられることであろうと思っております。ただこの規定上は、ソ連大使館の構成部分とするというふうに関連を持たされておりますから、どうも通商代表部だけが存在するというふうには規定上または理論上の仕組みにはなっていないというふうに考えております。
  74. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、この大使館の構成部分とするという規定を設けたのは、これは設けないと、実際に代表部代表と代理二名に外交上の特権その他を与える根拠がないので、そのためにこういう表現でもって、代表部員も大使館員並みに扱う便宜を与える道を開いた、こういうわけですか。
  75. 高橋通敏

    高橋政府委員 最も主たる理由はそうでございます。そうして各国も条約で同じような言葉を使っております。
  76. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、これはそういう意味で作ったのであるから、あくまでも構成部分の一つであって、大使館と併存するものではないのだということを、はっきり両国の間に合意されているのでしょうか。そこに解釈の相違が起るおそれはないでしょうか。
  77. 高橋通敏

    高橋政府委員 その点は私疑いはないと思っております。
  78. 松本七郎

    松本(七)委員 それから通商代表部の人員は、何名に合意が成立しておりますか。
  79. 高橋通敏

    高橋政府委員 実はまだそこまで話し合いが進んでいないのでございます。
  80. 松本七郎

    松本(七)委員 この一般の職員の給与については、免税の特典を受けることになるわけですね。そうすると、特典はそれだけであって、他の事項については一切わが国の管轄権に服すると理解していいですか。
  81. 高橋通敏

    高橋政府委員 普通の構成につきましてはそのように解釈いたしております。
  82. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、慣習的外交特権というものが準用される部面はありますか。
  83. 高橋通敏

    高橋政府委員 その点はないと思っております。
  84. 松本七郎

    松本(七)委員 それから付属書の第三条によりますと、この代表部を経由せずにソビエトのある団体が直接に商事契約を締結することができることになっているわけですが、これはたとえて言うと、どういう場合が該当するでしょうか。
  85. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはソビエト貿易公団代表がこちらに参って契約を締結するというような場合でございます。
  86. 松本七郎

    松本(七)委員 それも実際代表部を経由しないで、そういうことをやる、そういう事例がたくさん出る見込みですか。
  87. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはそういう事例は非常にたくさん出る可能性はあると思います。むしろ代表部が直接契約するよりも、そういう公団の代表が別に契約する、その公団が代表部の部員に代表権を与えて、代表部の部員が公団代表として契約書に署名するということも起り得ると思います。そちらの方がむしろ数が多いということをソビエト側は申しております。
  88. 松本七郎

    松本(七)委員 第四条で、日本国領域内で締結され、また保証された商事契約についての紛争における管轄が述べられておるのですが、もしソビエト領内で契約されたものに対しての紛争の管轄権はどうなるか、これはこの規定から言うと、当然ソビエトに管轄権があるというふうに類推できると思うのですが、この点いかがでしょう。
  89. 高橋通敏

    高橋政府委員 この四条の「仲裁又は他の裁判管轄に関する留保がない限り、」とございますので、留保がない場合はソ連の裁判管轄権だということになります。
  90. 松本七郎

    松本(七)委員 さっきの牛場さんの御説明にありましたソビエト外国貿易団体というのはどういうものがあるのですか。少し数をあげて下さい。
  91. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは物資別になっておりまして、大体二十数個ございます。数にいたしまして二十以上ございます。たとえば船舶の輸入公団でありますとか、木材の輸出公団でありますとか、そういうような工合に物資別に分れております。
  92. 松本七郎

    松本(七)委員 そういう貿易団体の公団が代表部を通じないで直接契約した場合に、その契約以後に生ずる一切のことには代表部はノー・タッチだ、こういうふうに理解していいんですか。
  93. 牛場信彦

    牛場政府委員 保証してない限りはノー・タッチでございます。
  94. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、日本側がその団体についていろいろな照会をしたい、契約は直接だが、その以後のいろいろなことについての照会でもする場合に、代表部を通じてやってもらいたい、そういう希望を持っておっても、これは規定上からいうとできないということになりますか。
  95. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは条約の付属書の第一条の、代表部の任務の中に、たとえば「日本国ソビエト社会主義共和国連邦との間の貿易を容易にし、かつ、助長すること。」というようなことがございまして、その条項によりまして、もちろんそういう問い合せを日本側から代表部に対していたしますれば、代表部といたしましては当然やってくれるというふうに期待していいと思います。
  96. 松本七郎

    松本(七)委員 それから今度は別表のことですが、この表によります一年間の買付がかりに百パーセント履行されたと仮定いたしまして、その金額はどのくらいになりますでしょうか。
  97. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはほんの試算でございますが、私ども通産省とも協力いたしまして、試算いたしましたところでは、最初の年は大体片道で二千七、八百万ドルから三千万ドルどまりじゃないかというふうに考えております。
  98. 松本七郎

    松本(七)委員 この金額は第一表と第二表とは大体同水準になるようになっているのでしょうか。
  99. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは大体同水準になるような工合に品目を並べたのでございますが、もちろん実際の取引に当りましてはいろいろ問題がございますが、ただいまのところではむしろ輸出の契納の方がぐっと多くなっていくという状況でございます。
  100. 松本七郎

    松本(七)委員 それから定期航路の開設ですね。これは交換公文があるわけですが、さしあたり定期航路はどういう航路が予定されておるのでしょうか。
  101. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 大体日本海方面はナホトカだと思います。それからこれはあの辺の港に入るのは、きのう認めました三社において各自の採算において日本海あるいは北海道の港と交通すると思います。それからオデッサ、黒海方面でございます。大体荷物の動きから見れば、最初はそうひんぱんじゃないだろうと思われますが、今申しましたように、日本海方面はナホトカ、黒海はオデッサ、こういうふうになっております。
  102. 床次徳二

    床次委員長 運輸大臣の時間の都合でもって岡田春夫君に質問を許します。
  103. 岡田春夫

    岡田委員 二、三お伺いをしたいのですが、定期航路の開設に関する交換公文というのが今度の通商条約に関連して出されているわけですが、今御答弁を伺うと、ナホトカの航路とオデッサの航路と二つある、こういう話ですが、オデッサの航路についてはどういう船を使うことになっておるか、それからナホトカ航路の関係はどういうようになっておるか、運輸大臣にまずその点から伺いたいと思います。
  104. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 きのう発表いたしました船会社と、極東海運公社と訳しますか、そういうようなものとおそらく話し合いをこれからしていただくということになると思います。
  105. 岡田春夫

    岡田委員 日本の方はどういう関係になりますか。
  106. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 日本の船会社でございますか。
  107. 岡田春夫

    岡田委員 そうです。
  108. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 日本海方面は山下、飯野、川崎、これは一種のジョイント・サービスでやってもらう、こういうふうに考えております。オデッサ方面は、申請が二つほどございましたが、日本郵船にやってもらう、こういうふうに昨日きめました。もとよりこれは法律によっておるのではございません。行政の指導でやっておるわけでございます。
  109. 岡田春夫

    岡田委員 そこでお伺いしたいのですが、私たちが聞いておる限りでは、日本関係の航路は荷積みの関係でなかなか採算が合わないのではないかという話を聞いておったのですが、その点はいかがですか。
  110. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 海運局におきまして、あの協定による品目などを土台として月間どれくらいの荷物が動くかということを推算をいたしたのでありますが、雑貨などは一月二千トンくらいの程度でございます。それからその船が帰るという場合には、あるいは石炭であるとかクローム鉱を積みますようでございます。これが大体七千トンということであります。従いまして最初の荷動きは少かろうと思います。従って会社は自己の採算において行動してもらう、この三つの会社が協調した話し合いをしてもらうというふうに私は考えております、ただ今後のソ連との交渉——ソ連というよりも、極東海運公社との話し合いにおいてどうなりますか、私どもはその推移にまかせておる次第であります。
  111. 岡田春夫

    岡田委員 運輸省としては、日本海航路については、採算が、赤字でないにしても非常につらい、あまりいいもうけにはならない、場合によっては赤字になるかもしれないというようなお考えですか、どうなんですか。
  112. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私は赤字になるかならないかはわかりませんが、そう大したもうけにはならない、しかし日ソ貿易に寄与していくという上におきまして、私は船会社の奮闘を祈っておるのであります。
  113. 岡田春夫

    岡田委員 ことしの春、大体一月の末ころまでにきめるという話であったのですが、その後において、三月一ぱい——これについてはいろいろ調整する必要があるといって、航路の指定、船会社の指定を延ばすというような話があったのですが、急に昨日に至ってきめたのはどういういきさつですか。
  114. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 別に早くやる必要もないのでございまして、三、四月まででいいのでございます。そして日本海などの航路は、天候の都合によって五月から十月ころが一番いい時期でございます。おそらく四月ころに日本側ソ連の極東海運公社との話し合いが進められるのではないか、こういうふうに考えるのでございまして、今お話の一月とかいうようなことは、これは私の方は三月を目標といたしておったのでございまして、急にきのうきまったということはやはり船会社につきましてもいろいろ準備もあるだろうと思います。それでそう長く引っぱっておくこともできませんから、大体どの汽船会社をどこへ配船するかということのいろいろの調査が完了いたしまして、昨日決裁をいたした次第でございます。
  115. 岡田春夫

    岡田委員 先ほど大臣の御答弁では、日本海の航路についてはまあいい商売にならぬだろう、赤字にはならないけれども、いい商売にはならぬ、こういう御答弁であります。いい商売にならないのに三つの船会社に対しジョイントでやらせるということは、ますます採算が合わないことになると思うのですが、三つの船会社に一緒に指定したという事情はどういう事情なのですか。
  116. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 ちょっと私の申したことは誤解を受けたようでございますけれども、それは最初はそう多額なもうけはないかと思いますけれども、次第に日ソ貿易が発展をして参りますならば、私は採算はとれていくだろうと思うのでありまして、またその運賃の問題もこれからいろいろきめなければなりません。私は大局的に見て、決して不採算なものではないということを申したので、この点に御了承願っておきたいのであります。  そこでこの三つにしたということは、これは三社とも戦前におきましても戦後におきましても、日本海方面における日ソ関係を持ち、また実績も相当あるのでございますから、その意味におきまして三者のジョイント・サービスということに決定をいたしたのでございます。
  117. 岡田春夫

    岡田委員 しかし先ほどの御答弁を伺っていると、あまり採算はあわないだろう、こういう話なのに三つの船会社が参加する、しかも話に聞くと一月交代でやるということになると、ますます採算が合わないということになってくると思うのですが、採算が合わないという点は全然考慮されないで、三つの会社をきめられたのですか、どうですか。その点が一点。  第二の点は、かねて伝えられるところによれば、二つの船会社の名前は出ておったが一般には三つの船会社が一緒に指定を受けるなどは実はゆめにも考えておらなかったようです。ところがきのう急に三つの船会社の指定をされたといういきさつがどうもわれわれのみ込めないのでありますが、三つになった事情、それから今お話しのように、そうでなくとも日本海の航路は採算が合わないのに、その上に三つの会社でやるということになると、ますます採算が合わないことになると思うが、この点はどうなのですか。
  118. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 二つとか一つとかいうことはそれは伝えられておったのでありましょう。大体向うの申請は八つあった。この八つを全部やるというということはできない。これはもう非常識な話でございます。しかし今申しましたように、船会社の資力、信用、その経験、またその港の関係、そこらの実績を考えまして、私は三つがよろしかろうという判断をしただけでございます。
  119. 岡田春夫

    岡田委員 それではこの点はどうなのですか。三つで一緒にやっても採算が合うというお考えなのですか、どうですか。
  120. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 船会社が就航いたします以上は船会社自身も採算ということを考えるでありましょう。しかしその三つの会社の間で私は話し合いもしてもらわなければならぬと思いますが、全体としては三つの会社は自己の採算がとれるということにしてもらいたい。またそういうふうに将来なると思うのでありまして、何分にも最初は、私はざっくばらんに言えば、もうかるというところまでいくかどうか、しかし何といいましても、日ソ貿易そのものはこれから大いに発展していかなければならない、ことに私は北鮮などにも将来交通があるだろう、中共は今やっておりますけれども、これもまた将来この貿易が発展していく、こういう点を見まして、私は三つの会社に御依頼申し上げたわけでございます。
  121. 岡田春夫

    岡田委員 今ちょっと御答弁になった点で、北朝鮮との問題もあるだろうというお話ですが、たとえば北朝鮮との貿易が具体的になって参りました場合に、運輸省としてはその船を寄港させるというお考がありますかどうですか。
  122. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 将来その場合になったならば考えなければなりません。しかし今のところは北鮮とのあれはないようでございます。将来そういう道が開ける場合、これは日本海に彼らは根拠を持っており、また経験を持っておるのでありますから、これは優先的に考えてあげなければならないと思います。しかし今この三社を私は就航せしめるのだとは申しません。将来その希望はつなぎ得る、こういう意味でございます。
  123. 岡田春夫

    岡田委員 先ほどの御答弁を伺っておりますと、今のところは採算は合わなくても、将来ということを考えるならば、国家的見地に立って三会社の船を一緒に就航させた方が、日本国家の将来のためにもいいのではないか、大体そういうお考えで三つの船会社の就航を認めた、こういうことになるだろうと思いますが、いかがでございましょうか。
  124. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 この三つの船会社の資力、信用、その経験、これらから見まして、これらの人のジョイント・サービスによって日ソ貿易に寄与する、今おっしゃった国家のために寄与すると私は考えておるわけでございまして、この点におきまして私は三社に対して信頼をいたしておる次第であります。
  125. 岡田春夫

    岡田委員 実は採算の問題をいろいろ伺うのは、実はこういうことなんです。採算が合わないから日本の港になるべく寄る数を少くする、こういう動きが会社で出ておるようであります。そういうようになってくると、船会社が三つになればますます寄港するところを減らしてしまう危険性があると思うので、こういうような場合には運輸省としてはどういうような御勧奨をされるつもりでおりますか。
  126. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私の判断によれば三つおのおの特色があるのであります。それはあなたもお認め下さると思う。その特色を生かしていきたい。それがために三社が自己の方針によって日本海方面の港のどこに寄る。これは御承知のように今日開港場でございますから、どこへ入ってもいいのです。しかしたとえばある港は従来ソ連との木材取引をやっておった。ある港は石炭とかクローム鉱などの取引やっておった。そこへ船を着けておったということになれば自然そういうことになるだろうと思います。また京阪神あたりの背後地というものも考えなければならないと思います。ある汽船会社のごときは、あるいはソ連との航路に対しましては、おそらく京浜とかいうようなところへ持って来るかもしれません。これは会社の判断によらなければなりませんが、従来の実績から見まして、私は全然離れた港、何もないところへ船は着けますまいと思います。これは日本海の港をごらんになりますならば、岡田君もその判断ができると思うのであります。私はどこへ船会社が着けるのか、今ここで申しませんが、そういう意味から申しまして彼らは採算の上において、また従来の実績の上からいって適当な港へ着けるだろう。繰り返して申しますごとく開港場でございますから、どこへでも入り得るのであります。
  127. 床次徳二

    床次委員長 岡田君、関連質問でありますし、大臣の時間もありますから……
  128. 岡田春夫

    岡田委員 わかりました。今のところ採算は合わないかもしれない、しかし将来のために国家的見地に立ってやらせるということならば、現在の場合、たとえば採算が合わなくてもそういう開港場があるならばそういうところに寄るべきであるということを運輸省として進めるのが、運輸省が指定をした立場を具体化する道ではありませんか。どこに寄るかなどということはおれは知らない、しかしともかく国家的見地に立って採算が合わなくても今のところ三会社にさせたのだ、しかしその船がどこへ寄ろうと会社にまかしておくのだということになれば、あなたの国家的見地ということと相反する場合も出てくるのではないでしょうか。
  129. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 しかし一応は船会社にまかしておかなければなりません。その船会社が勝手なことをする場合には考えますけれども、今から君の会社の船はどこへ着けいと、指定ということは今考えておりません。
  130. 岡田春夫

    岡田委員 委員長から注意がありましたから、もっと具体的に話を進めますが、この航路の場合に、今言ったように、国家的な見地に立つならば、従来の実績を考慮されておられるとするならば、現在採算が合わなくとも、たとえば具体的に例を申し上げましょう。北海道の函館なら函館というものを例にあげた場合、函館というのは戦争前において実績がある。現在においてはあなたが言われたように採算が合わないかもしれないけれども、将来において見込みがあるというならば、採算が合わなくとも函館に寄るべきじゃないかという内部的な勧奨をするということは運輸省の任務じゃないか。そうでなければ三会社にまかしたというのが、国家的見地に立つという観点がそういう点に貫かれないことになるんじゃないか。
  131. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 どこそこの港に寄れ、今あなたがおあげになった港に寄れということは、私は今から干渉がましいことは考えておりません。しかしこの船会社が日ソ貿易の発展、また内地との経済交通関係において必要とあれば、私は日本の開港場に入っていくだろうと思うのでございまして、この点日本海、北海道方面の港というものは日ソ貿易が発展いたしましたならば、いずれも有望であると私は考えております。
  132. 岡田春夫

    岡田委員 私今言った勧奨という言葉で、二つの言葉の違いを——運輸大臣はカンショウという場合に干渉するの干渉と言ったのだと思いますが、私はカンショウというのは勧めるという意味なんですよ。勧奨は勧め努めると言ったんですよ。ですからやはり勧め努めることは私は必要だと思うのです。そこで具体的に伺いますが、最近特に三つの会社になったために、寄るべきところも寄らなくなったんじゃないかという非常な危険が出てきている。そこで三つの会社に指定したけれども、従来運輸省で考えている方針と変わりがないという点を明らかにしていただけるかどうかという点が一つと、それから今御答弁のように、北海道はソビエト側と従来の関係からいってきわめて重要であるとするならば、これは具体的に小樽とか、こういうような場合は運輸省としてお答えになるのが無理ならば、大臣個人の意見としても、小樽なんかは寄らすべきであるとお考えになるかどうであるか。この点は先ほど三会社に指定したということによって小樽にも寄らないのではないかというような懸念が生まれてきているのでありますが、この点はいかがですか。
  133. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私は干渉だと思いましたから、そう申し上げたので、これは私の誤解で、勧告でございますね、アドバイスというのですか、アドバイスということならば、これは運輸行政の指導の上において、私はあえて辞しません。しかしあなたの勧奨を私は強くとったものですから、それは私の誤解でございましたから、その点は訂正をいたしておきます。アドバイスなら、これは運輸行政の指導の上において私は一向辞しません。そこで、どの港ということはこれはごかんべんを願いたいのです。今のところどの港へ着けるとか着けぬとか、また私が個人的の意見をここで申すことは差し控えたいと思います。しかし三社だからと申しましても、この三社はおのおのさっき申しましたごとく、従来の関係、その実績というものがございますから、従来全く縁のないところへは入らないだろうと私は思います。従って日本海、北海道方面におけるその実績、あるいは従来からの関係からいえば、入るべきところへは入っていく、私はこういうふうに考えております。
  134. 床次徳二

    床次委員長 岡田君に申し上げますが大臣は時間がありませんのと、もう一人通告がありますから……。
  135. 岡田春夫

    岡田委員 最後に伺っておきますが、三つの会社に指定したために、従来の運輸省の方針に変更があったのではないか、こういう点を考えている向きがだいぶある。大体内部的にいろいろ運輸大臣のお話を私は知らないわけではないのでありますが、そういう点についても変更がないということをはっきり言っていただけるかどうか。その点だけ伺っておきます。
  136. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 いろいろな案があったのであります。これはあの航路を開始するについて当局においていろいろ考えて案を検討いたしました。私は、日本海方面はジョイント・サービスでいく、大体三つか二つの程度にいくということに決心をいたしまして、きめたわけでございまして、いろいろな案があったことは事実でございます。しかしながら何らそこに圧力があるとかいうようなことはございません。その点は私はいろいろの案を公平にしてジョイント・サービス……。(岡田委員「私の言うのは、従来寄っていたが、この三社になったら……。」と呼ぶ)従来寄るとか寄らぬとかいうことは正式にきめておりません。(岡田委員「あなた自身内部的に言っておられた……。」と呼ぶ)いや、私は別に公けの場所においてどの船をどこへ寄らすというようなことは申しておりません。しかしおのずから帰結はあると思います。これは一つ御了承願っておきたいと思います。
  137. 岡田春夫

    岡田委員 変更はないんですな。
  138. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私は正式にこの会社の船をどこへ寄らせるというようなことは言ったことはございません。研究はいたしております。しかしながら私自身が今度こういう会社を認可してその船をどの港へ寄らせるというようなことは公けの場所で申したことはございません。
  139. 床次徳二

    床次委員長 関連質問がありますから、高岡大輔君。
  140. 高岡大輔

    ○高岡委員 今大臣は三社にそれぞれ特徴がある云々というようなお話でございますが、運輸大臣のおっしゃる通り三社にはそれぞれ特徴がございます。特徴はございますが、先ほど外務省の経済局長の御答弁では北洋材が相当入って来るだろうというような話がありました。この北洋材が入ってきますと、当然植物検査が必要になると思うのであります。北海道並びに日本海の方にどこに植物検査所がございますか。これは農林省関係かしれませんけれども、これは運輸省としても十分お考えを願わなくちゃならないということで、その点を一つお伺いいたします。
  141. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 現在材木がいかだで入っておるということがございます。これは高岡君も御承知だろうと思います。やはりそういう港に私どもは入っていくだろうと思うのでございまして、これが私が今申します従来の会社の信用、資力、実績だと、こういうふうに申し上げておるのであります。
  142. 高岡大輔

    ○高岡委員 私の今お尋ねしましたのは、確かに植物検査所が必要になるのじゃないかという気がするのであります。それは農林省関係になるだろうと思うのでありますが、植物検査所をどこへ置くかということも、一応運輸省としてはお考えを願いたいということが一つ。  それからもう一つは、今大臣がおっしゃいましたように、北洋材がいかだで来る場合が多いのでありますが、いかだで来ました場合に、御承知のように、北海道から日本海は非常に海洋が荒れます。それで風浪のためにいかだのなわが切れてばらばらになりました場合に、非常な危険が起るということは、運輸大臣もよく御承知だろうと思います。従ってそういう場合を考えまして、港については指定港というものは今考えてない、従来のところへ寄るだろうということをおっしゃいますけれども、今後シベリア開発とかいろいろなことになってきますと、その量は将来は非常に大きくなってくるだろうと私は思います。従ってそういう場合のことを今から考えまして、一つその港湾の受け入れ態勢とでもいいましょうか、港湾の増改築ということに十分御考慮を願わなくちゃならぬと思うのであります。それらの点について運輸省としてはどれだけの構想をお持ちでございますか、この際大臣の御所信を承わっておきたい。
  143. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 今事務当局から聞きますと、材木は大体不定期船で積んでおります。  それから港のことでございますが、今度予算で御審議を願っおりますごとく、日本海の港に対しましては、あるいは岸壁を延ばす、あるいは浚渫をする、また地盤沈下のおそれがあるところ、現に沈下になっているような港に対しましては、今度も予算をとりましてこれが対策を講ずるということでいたしておるのでございまして、単に日ソ貿易のみならず、日本の港、ことに発達のおくております日本海方面の港の近代化をはかっていきたいというので、相当港湾予算として要求をいたして、それが多少は査定は受けましたけれども、現在提出いたしております予算に載っておる次第でございます。
  144. 高岡大輔

    ○高岡委員 もう一つお伺いしますが、これは大臣のことですからそつはないと思うのですけれども日本海における海図——これは日本の帝国海軍があったころのものはございましょうけれども、われわれが必配していますのは、浮遊機雷がだいぶあるようにも聞かされております。御承知のように、日本海の気象関係は相当荒れます。従って、先ほど大臣は大体ソ連日本との貿易は、航路の関係上五月から十月ころだろうということをおっしゃったのですけれども、それにしてもなおかついろいろな航路の上の危険性が出るだろうと思うのですが、その気象関係ないしは浮遊機雷、またはそれらの問題と関連した海図というようなものに対してはどこが責任を持っておるのか、その点をお伺いしたい。これは相当軍事的にも関係があるでしょうから、ソ連の方で全部そういうふうなことをはっきりさせておるのかどうか、その点の危険性がないかどうかという意味であります。
  145. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 今御指摘の点は両国におきましてお互いに交換し、情報を知らせ合うということはいたさなければならぬし、いたすようになっております。  そこで日本海の気象、これは運輸省の所管でございます。日本海にも気象台がございます。レーダーの設備も持っておるところもございます。これは完全にいたしたいと思います。  それからなおあの辺のいわゆる沿岸保安、これは海上保安庁がやるのでございます。できるだけそういう点は保安庁において努力いたしたい。(高岡委員「海図はどこ」と呼ぶ)今保安庁が持っておると思います。水路部がございますから、水路部などではそういうものを持っておるはずでございます。  なお海図のことは外務省から一つはっきり答弁していただきましょう。
  146. 高橋通敏

    高橋政府委員 このたびの定期航路の開設に関します交換公文の点で、交換公文の(ロ)でございますが、そこで一応双方の関係海運公社または海運会社との間で協議をいたしますけれども、その際「その他の事項政府間で協議を要するものがある場合は両政府関係官が協議を行うことが希望される」というふうに道は開いておるつもりでございます。従いましてそういう点につきましても、日本側だけで不十分な場合は双方で十分協議をしてやることができるかと思います。
  147. 高岡大輔

    ○高岡委員 私の聞いておりますのはソ連の方の沿岸か海図のはっきりしたものがございませんと、航行するのに危険だと思う。しかしソ連の方で、軍事上の問題があるので、果して正確な海図をくれるのかどうかという点が心配になっているのですが、果して今運輸省はソ連からそういう海図を手にしていられますかどうか、協議の際にそういうことを十分に気をつけて交渉してなければ、今後十分気をつけて交渉していただかなければ、これは海図の正確なのがないと船は非常に危険なんでありますから、そういう点の御準備ができているかどうか、できてなかったら、今後の折衝において十分そういう点をお気をつけ願いたいということなんです。  それから今条約局長がおっしゃいました、今後日本の海運会社とソ連の海運公社とのいろいろの話し合いをなさるとのことでありますが、その際は政府が必要に応じてはその間の話し合いに入るというようにここに書いてございますけれども、おそらくこれはこのたびのソ連との交渉が、今あります漁業問題にしましてもなかなか容易のことではないと思いますので、政府が相当本腰を入れてこれらの問題を処理なさいませんと、ただ気楽に商社が行ってそろばんをはじいて話し合いをしたら話がまとまるだろうということには、私はならないのじゃないかというような気がしますので、運輸大臣としては、この日本商社向うの海運公社との話し合いを見守るのではなくして、相当本腰を入れてこの交渉を見守り、かつ助言ないし、これは先ほど岡田委員がおっしゃったようにアドバイスの意味で勧奨して、一つやっていってもらいたいということなんであります。どうかそれらの点を十分お考えいただきませんと、これは命がけの仕事にある場合はなるのでありますから、十分その点の御配慮をしていただきたいと希望申し上げます。
  148. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 ナホトカと日本海の諸港との間を往来するのでございますが、これは御承知のように興安丸も引き揚げで行っておりますし、また不定期船もときどき行っておるようでありますから、あの航路につきましては日本の船主というものは、また船長も、相当経験があると思う。しかし仰せのごとく、あの辺の正確な海図を今後日本にも提供してもらうということは当然やらなけりゃならぬことだろうと思っております。
  149. 松本七郎

    松本(七)委員 この定期航路がいよいよ開設になれば、これは日ソ両国ともにそれぞれの寄航地に出張所なりあるいは事務所を設けなければならなくなると思うのです。それらの点についてもすでに相互了解がついておるのでしょうか。
  150. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 これは今、日本側の船会社と極東海運公社との話し合いにもよらなければならぬと思います。私は、どこに事務所をどうということは、まだ聞いておりません。またこれは外務省とも相談をしていかなければならぬと思いますが、そこは便宜いろいろの手段はあると思います。今の点、私はそこまで聞いておりません。
  151. 床次徳二

    床次委員長 大臣は時間があるから簡潔にお願いします。
  152. 岡田春夫

    岡田委員 ナホトカ航路の場合、樺太に寄るのですか、どうですか。
  153. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 今のところナホトカ——日本海諸港ということになりまして、樺太は今考えておりません。あるいはそれが将来話し合いになるかもしれませんが、今のところはナホトカ、それから日本海諸港、こういうふうに、それも二回とか一回、一回の場合もあるかもしれませんが、二回、あるいは物があればそれ以上行くだろうと思います。
  154. 岡田春夫

    岡田委員 今大臣に私が伺っていたのは日本の船の話なんですよ。この交換公文によると、日本だけではなくて両方から船が出せることになる、私が樺太の問題を伺ったのは、向うの船は樺太から来て、たとえば北海道の小樽に寄るとか、そういうような話し合いが出ておりますか、どうですか。
  155. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 それは海運会社と日本の——今私どもが、かりに指名と申しておきます、指名いたしましたものとの話し合いになるだろうと思うのでございます。それがために四月ごろには話を進める、こういうことになると思います。
  156. 岡田春夫

    岡田委員 私の伺いたいのは、それじゃソビエトの船は出るのですか、出ないのですか。
  157. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 それはソビエトの船は日本へ出てくるでありましょう。ソビエト日本の開港場いずれでも入り得るのでございます。しかし話し合いによってどうするかということに私はなると思いますが、今のところどこに寄る、どこをどうするということは、私の方ではわかりません。ただその日ソ航路に従事する船会社を、行政指導の意味において私が指名をいたしただけでございまして、将来の両者の交渉に待たなければなるまい。おそらくそういうふうになると私は判断をいたしておるのであります。
  158. 岡田春夫

    岡田委員 これは大臣、あまりずばり言うとうまくないのだが、大臣、どうもこの交換公文を読んでいないのではないかと思うのですが、これによるとソビエトの船も寄れるのですよ。しかしここにあるのは定期航路として両国間においてそういう話をきめるということになっておるのです。この定期航路という場合には日本の船の話は今出ておったけれどもソビエトに所属する船が定期航路として入って、そういうような航路を作る考えが向うから出ているのかどうか、こういう点を私伺っているわけです。ですからそういう点を、おれは知らないのだと言われるならば、これは大臣の任務として不十分だと言わざるを得ないです。これは定期航路の中には、ソビエトのものも入っているわけです。両国間の打ち合せによって云々となっていますから……。だからそういう点については何か話し合いがあったのですか、それについて日本側として何か交渉されるおつもりがあるのですか、その点はどうなんですか。
  159. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 今のところ私は存じません。しかしソビエトの船が来ること、これは当然なことです。そのソビエトの船は、日本の開港場いずれでも入り得るのです。しかし極東海運公社はどこへ入れるか、向うの判断によらなければならぬと私は思います。
  160. 岡田春夫

    岡田委員 どこへ入ってもいいのですから、これは定期航路の話なんです、交換公文というのは……。だからその指定航路について話し合いをする場合に、当然ソビエトの方で定期航路をやるつもりがあるかどうかということを聞かなければ——その点がどうなっておるのかということを聞いているのです。  それから、時間がありませんから、これで終りますが、その点はまだお聞きになっていないようですが、やはり先ほど大臣のお話によると、どんどん交流をすることが必要だというお話ならば、船も日本から行くばかりじゃなく、向うからも定期航路を開設するように、日本政府として申し入れられる考えがあるかどうかという点が第一点。  それから第二の点は樺太の航路をやるということについて、日本側交渉する御意思があるかどうかという点が第二点。この二つだけ伺って、私終ります。
  161. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 向うからも船が来ますから、それだから私の方もこの指定をしまして、そして話し合いをしてもらうというのでございまして、これは当然のことだと思います。  樺太のことについては、今私は考えておりません。しかし、これが両者の間に話が出るか、また外務省も御関係があるのですから、そういう場合は私どもは外務省と話し合いもしますし、また船会社に対しましても話をしていく。今のところまだ私何も聞いておらぬのです。これは私正直なところを申し上げるのです。
  162. 床次徳二

    床次委員長 大臣けっこうです。それじゃ松本君。
  163. 松本七郎

    松本(七)委員 さっきの寄港地における出張所、事務所設置の相互了解はついているのですか。そういう話し合いがなされているのですか。
  164. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは相互了解はまだついておりません。ただ一般の、普通の民間の代表ということで参る場合には、これは一般普通の取扱いということでいくだろうと思います。
  165. 松本七郎

    松本(七)委員 それからこの支払協定の第一表を見ますと、映画フィルムを相当輸入することになっておるようですが、年間どのくらいが見込まれているのですか。
  166. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは今のところまだ見通しが立ちません。この映画の輸入につきましては特別の割当をしているわけでございまして、その中でどのくらいロシヤの映画に対する需要があったかということはまだはっきりしておらないのでございます。
  167. 松本七郎

    松本(七)委員 これは米国の占領時代に、この映画の割当は完全に向うさんの方が握っておったわけですが、CIEでやっておりました。それが講和になってから、独立してからこれを完全にやりかえておればよかっただろうと思うのですが、そのまま以前と同じような実績本位でやっておるものだから、ソビエト映画の輸入の希望が国内の業者に相当あっても、実際には今の割当制からいうと、アメリカ映画以外のフィルムの割当というものは非常にワクが狭いわけです。だから新たに、ソ連映画を輸入しようという希望があって、需要があっても実際の割当がもらえないという実情ですから、これはどうしても、ソ連の映画割当については、根本的に割当制度を改めなければならぬ時期にきている。これはもうずいぶん前から問題になっておったことですが、この機会に、ソ連の映画需要がどのくらいあるかわからないということではなしに、相当需要は見込まれておるのですけれども、それとは別にやはり割当制度そのものの不合理をこの機会に直す必要があると思うのですが、こういう点にはどのような方策をもって臨まれるつもりでしょう。
  168. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは実は大蔵省通産省所管の事項でございまして、私から申し上げるのは非常に不適当なんでございますが、私の知っております範囲を申し上げますと、ただいま国別の割当というのは一切いたしておらないわけでございます。ドルの割合と非ドル割当とございまして、そのワク内で、その指定された通貨に従って、どこから買うかということは割当を受けた会社の自由ということになっておるのでございます。従いまして、ソビエトは当然非ドルワクの中でもって自由競争ができるという建前になっております。そのほかにまた輸出をしました会社に対しましては、ボーナスとしてある程度よけいな映画の輸入も認める、ないしは特に優秀な映画を作りました会社に対しても、やはりそういうボーナス制度があるということになっておりまして、そういう場合には通常の割当を上回る数の映画の輸入もできるということになっております。こまかいことは大蔵省が一番適当だと思いますから、そちらからお答え申し上げた方がいいと存じます。
  169. 松本七郎

    松本(七)委員 割当制は御指摘のようにドルと非ドルとに分けてあるのだが、そういうやり方自体をこの際再検討する必要がないかということなんですね。ドルと非ドルと分けてあるが、ドルの方が非常に多い、圧倒的に多いわけでしょう。非ドルの方は今言うようにこっちで非常にいい映画ができて向うに入れば、また向うのものも入れられるという余地はありますけれども、しかしこれは日本の方でいい映画を作って、初めて交換してまた一本入るというような状態なんです。やっぱりドルと非ドルで分けて、しかもそれが圧倒的にドルが多いということ自体を再検討する必要があるのじゃないか、この点については通産省にいずれは質問しますけれども、これから協定を結んで商売を始めようというときに当って、こういう点は、外務省としては根本的に再検討する必要を認められないかどうかという点を聞くわけです。
  170. 牛場信彦

    牛場政府委員 確かに映画の割当そのものは昔からのしきたりでやっておりまして、ある程度不合理なところもあると存じますので、この問題につきましては、私どもといたしましても主管の官庁とよく話し合いまして、不合理な点を直して参りたいと思います。この協定できまりましたことは要するに差別待遇をしないということで、法的には差別待遇になっていないということで御了承願いたいと思います。
  171. 岡田春夫

    岡田委員 今の問題ですが、牛揚さんは実は不合理な点から直していくと言われたけれども、この間予算の分科会で一萬田大蔵大臣が、割当問題については根本的に再検討するという答弁をしている。ですからそういう趣旨に基いて、外務省でも矛盾があるというお考えならば、この際一つお考えを願いたいということを特に希望しておきます。  それからその次ですが、質問を続けますけれども、これは条約局長に伺った方がいいか、あるいは牛場経済局長の方に伺った方がいいか、どっちかわかりませんが、定期航路という概念は、これはどういうことなんですか。
  172. 牛場信彦

    牛場政府委員 第一点としましては、これは純然たる民間の話であるということでありまして、第二点としましては、これはスケジュールをきめまして、一カ月に何回というようなことで、その民間の会社同士で合意したラインを歩くということになると思います。
  173. 岡田春夫

    岡田委員 しかし定期航路という場合には、大体北緯何度を通ってくるというようなことは、定期航路の問題でしょう。違いますか。
  174. 粟澤一男

    粟澤政府委員 定期航路は港、寄港地、起点、終点をきめまして、スケジュールをきめてやる航路でありまして、これは海上運送法できめておりますが、ただその場合に、その港と港とを歩く場合に、海図の上に赤い線を引っぱって、その線の上を走らなければいけないというようなことではありませんで、大よその航路はきまっておりますが、そのときの気候と状況によりまして、運航航路自身は変更する場合もあります。
  175. 岡田春夫

    岡田委員 私の伺いたいのは地図に線を引いて、その通り歩くかというようなことを聞いているわけではない。港に入るのでしょう。
  176. 粟澤一男

    粟澤政府委員 仰せの通り港、寄港地を定めてやるわけでございます。
  177. 岡田春夫

    岡田委員 そうすると、定期航路の開設ということは、当然政府が議定すべき権限のものであると私は考えますが、いかがですか。
  178. 粟澤一男

    粟澤政府委員 一般の場合には定期航路の開設につきましては、特に政府がきめるということではございませんで、大体自由にやっております。ソビエトの場合にも大体そういう方針をとっております。
  179. 岡田春夫

    岡田委員 しかし定期航路の開設ということは、これは交換公文で政府間の議定なんですね。そうすると定期航路をきめるということになれば、これは政府のやるべき仕事なんでしょう。民間のやる仕事ではないでしょう。議定書をあなたはお読みになっただろうと思うのですが、この点はどうなんですか。
  180. 粟澤一男

    粟澤政府委員 開設を約束しましたところまで政府がやっておりますが、どういう定期航路をどういうふうに開設させるという具体的な定期航路の内容につきましては両方で指定した会社同士で話し合いをしてきめる、こういうことになっております。
  181. 岡田春夫

    岡田委員 もっと問題はあるのですが、きょうはもう少しほかの問題があるから、先へ進めます。これは貨物の輸送が主になっていますが、人の輸送はどうなんですか。
  182. 高橋通敏

    高橋政府委員 条約上はその点区別いたしておりません。
  183. 岡田春夫

    岡田委員 それでは区別がないとするならば、これは貨物船ではなくて、定期の客船、あるいは貨客船でもよろしいわけですか。
  184. 高橋通敏

    高橋政府委員 その点別に区別いたしておりませんから、どれでもけっこうだと思います。
  185. 岡田春夫

    岡田委員 それでは政府としては、客船すなわち人を輸送するという場合でも、当然この条約に基いて認められると解釈してもよろしゅうございますか。
  186. 高橋通敏

    高橋政府委員 第五条で最恵国待遇を約束しておりますから、当然できると思います。
  187. 岡田春夫

    岡田委員 それではその次に条約の問題に戻りますが、この条約によると、ココムとの関係はどういうようになりますか。
  188. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは第十三条の規定で、「この条約のいかなる規定も、いずれか一方の締約国がその重大な安全上の利益の保護を目的とするいかなる措置をも執ることを妨げるものと解してはならない。」ということでございまして、この条項によって、日本政府といたしましては留保いたしておるということに解釈いたしております。
  189. 岡田春夫

    岡田委員 それではココムは生きている、こういうように解釈するわけですね。
  190. 牛場信彦

    牛場政府委員 つまり、この十三条の趣旨に沿う範囲内におきましてはココムの制限日本としては留保いたりしておるということでございます。
  191. 岡田春夫

    岡田委員 ところがこのココムというものは前から再三質問をして伺っているのですが、別に条約でも何でもないのでありますから、ココムに反して禁止された品物を輸出したからといって、条約上の違反にもならないと思うし、その点はあまり心配がないと思うのですが、この点はいかがですか。
  192. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはお示しの通りでございます。
  193. 岡田春夫

    岡田委員 条約上の違反でないということがはっきりいたしましたが、たとえばそういう点が留保されておりましても、ソビエトとの貿易において、その禁止された物資を輸出しても、これは条約上違反にならないし、違法にもならない、国内法上はともかくとして、国際法上の違法にはならない、こういうように解釈しますか。
  194. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいまココムでもって話し合いをして、日本側として共産圏に対して輸出をとめておりますのを、もしソビエトに輸出しましたとしても、ほかの国に対して条約違反だという問題は起らないというお話でございましたが、それはその通りでございます。ただココムの制限と申しますのは、要するに自由諸国間で協調してやっていくということが、国連の決議の趣旨にも沿いますし、また日本といたしましても、現在の貿易の利益、並びに貿易と非常に密接な関連をしております国家の安全上の利益から考えて得策であると考えてやっておるのでございます。その限りにおきまして、日本のとる措置はソビエトとしても認めるというのが、この十三条の趣旨になっておるわけでございます。
  195. 岡田春夫

    岡田委員 条約上違反にならないならば、十三条で留保する必要はなかったのじゃないですか。
  196. 牛場信彦

    牛場政府委員 それはちょっと問題のあれが違うのでございまして、十三条の留保と申しますのは、ソビエトに対して輸出入の上では差別待遇をしてはならぬという規定がございます。それにもかかわらすココムできまっておるところに従って、日本ソビエトに対して輸出を制限するということはそういう最恵国待遇を約束しておる条項の違反になるのでございます。その違反にならないようにするために十三条を置いたわけでございますので、ほかの方との関係でやったわけではないのでございます。
  197. 岡田春夫

    岡田委員 それではココムの問題で、アメリカと日本との関係において、何らか制約されるところがありますか。
  198. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはもちろん条約上の制約はございません。しかしアメリカには例のバトル法というものがございまして、もし日本がココムで話し合っております以上のことを共産圏に対して行うということになりますと、いろいろな経済援助とか、あるいは借金とか、そういうことが非常にアメリカから得にくくなるということは、これは予期されるわけでございます。
  199. 岡田春夫

    岡田委員 今バトル法のことをお話しになったのですが、その点は日本とアメリカとで結んでいるMSA協定関係のことを言われたのじゃないですか。その中に付属書D項というものがあるのですが、そのことをお話しになったのじゃないですか。
  200. 牛場信彦

    牛場政府委員 MSA協定付属書D項、これは国際協約になっておるわけでございますけれども、そのほかにバトル法というアメリカの国内法がございまして、これによって規制されておる。ですから、先ほど私が条約上の違反にならぬと申しましたのはちょっと言い過ぎだったと思います。
  201. 岡田春夫

    岡田委員 条約上の違反にならないということは言い過ぎではないと思う。これは日本とアメリカとの二国間条約の問題であって、私のさっき伺ったのは、ココムという制限それ自体の問題であって、あなた自身の御答弁はそれで私は正確であったと思う。それじゃ言い過ぎだというお話ならば、このMSA協定の付属書D項とココムとの関係はどうなんですか。条約解釈でもけっこうです。
  202. 牛場信彦

    牛場政府委員 この十三条は、「いずれか一方の締約国がその重大な安全上の利益の保護を目的とするいかなる措置をも執ることを妨げるものと解してはならない。」従いまして、たとい条約上とかいろいろな義務は負っておりますが、この十三条に関する限り、国の判断において個々の物件について安全上の利益の保護を目的とする措置をとらなければならないかどうかというふうな判断によってきまる問題であるというふうに感じております。
  203. 岡田春夫

    岡田委員 十三条の場合は日本ソビエト関係でございますね。私の今伺っているのは日本とアメリカとの関係で付属書D項という問題があるわけですね。それからもう一つは、条約上の規定なしにココムというものがあるわけですね。端的に結論から先にいえば、実はそういう関係を伺ったわけです。そこで先ほど牛場さんの言われた通りに、日本とアメリカとの関係に反してこういう規定があるにもかかわらず——ココムそれ自体は条約上の何らの関係がないとするならば、十三条の規定にかかわらず日本の国の中でココムによって禁止されている品目を輸出しようとしても、これは輸出することができるし、これは条約上の違反ではないし、これはアメリカとの関係においても、ココムとこの付属書D項に関係がないとするならば、アメリカの条約にも違反しないということになるではないか、こういう点を伺っているわけなんです。
  204. 牛場信彦

    牛場政府委員 ここに書いてございますのは、要するに「日本国政府は、共通の安全保障のため、世界平和の維持を脅かす国との貿易を統制する措置を執ることについて、アメリカ合衆国その他の平和愛好国の政府と協力するものとする。」ということでございまして、これはそういう貿易を統制する措置をとることについての協力の内容といたしましては、やはりこれはココムの戦略物資輸出統制を実施することであるというふうに解釈いたしておるわけであります。従いまして、アメリカとの関係におきます限りは、このココムの輸出統制を日本が守らないということは、このMSA協定付属書Dの条項に反するようになるということになると思います。
  205. 岡田春夫

    岡田委員 ちょっとわからないのですが、付属書D項とココムとは不可分の関係にあるのですか。ココムと付属書D項に何らの関係がないとすれば、実体においては違法であるということが問題になるにしても、条約上これが違法であるということにならないんじゃないか。
  206. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは要するにMSA協定付属書D項というものの解釈の問題になると思います。一番妥当な解釈といたしましては、貿易を統制する措置をとることによって平和愛好国政府に協力するというその措置と申しますのは、ココムによって定められております輸出統制をやっていくというふうに解釈されるわけであります。従いまして、これはやはり関係があると考えます。
  207. 岡田春夫

    岡田委員 牛場さんには大へん意地の悪い質問をするようでなんですが、それではこれと不可分の関連にあるとすれば、今ソビエトとの取引はココムの適用を受けるということになるわけですね。とすれば、ソビエトはここに規定されておる平和愛好国政府ではないということになるのですか、どうなんですか。——これは御答弁ができないようですから、続いてもう一つ伺いますが、付属書D項がココムと不可分の関連にあるとするならば、「共通の安全保障のため、世界平和の維持を脅かす国との貿易を統制する措置」、そうすると、たとえばソビエトあるいは中国がこの対象になるとするならば、カイロ戦争において世界の平和の維持を脅かしておる国であるイギリス、フランス、これは統制の対象になるかならないか。そうして共通の安全の保障のため、カイロ戦争に対してこれを中止させようとしてアメリカも日本も共通の安全保障のためにやったのだが、イギリス、フランス、この付属書D項の対象になるのですか、ならないのですか。
  208. 高橋通敏

    高橋政府委員 ただいまの御質問でございますが、いろいろ具体的な問題として御提起になった次第でございますけれども、その条約上の文面を見ますと、そのように日本またはその関係国に私は判断の自由が与えられておると解釈いたします。そこで「安全上の利益の保護を目的とするいかなる措置」、すなわちどういう場合が安全上の利益を害するかどうか、これは個々にその場合によってわれわれこの条約に従って判断していっていいのであると考えております。従いましてMSA協定の方も「共通の安全保障のため、世界平和の維持を脅かす国との貿易を統制する措置」、このような措置について協力をする。従いまして、具体的に世界の平和の維持を脅かす国がいかなる国であるか、その貿易統制の措置をとることについてどのような協力をするのであるか、そのようなことは、やはりその判断に待つことだと思っております。従いまして、それではこの両者が条約的にまたリダクション的に直接の関係があり、直接一方が他方に違反するという問題ではなくて個々の場合における判断の問題となるその判断を実際適用する問題になってくると思います。条約上は……。
  209. 岡田春夫

    岡田委員 これは条約解釈でいろいろお話がありましたが、要するに結論として、その国自身の判断になる、こういうことになると思いますが、そうすると、その国自身の判断ということは、これは条約局長経済局長のいわゆる実務担当の方よりも政務次官なり政治的な人々が判断をすべきである。  そこで伺いますが、アルジェリア戦争が今ごたごたやっておる。これに対してアフンスが一方の方でいわゆる世界の平和の維持を脅かす国になりつつある。それから共通の安全保障のために日本の国連大使があの問題について仲裁の提案をした。アメリカもイギリスもこういう点について仲裁のための、世界の安全保障のための行動をした、こういうことになれば、アルジェリア問題について、フランスが世界平和の維持を脅かす国として判断して、今条約局長が言われた通りに、こういう付属書D項に基いて、日本政府としてはフランスに対していわゆる戦略物資等の輸出につついてこれをやらないという判断を政府としてはすべきであろうと思う。それがこの付属書D項を忠実に守るゆえんだと思うのですが、その点は政務次官どのようにお考えになりますか。
  210. 松本瀧藏

    松本政府委員 政府の態度といたしましては、できるだけ摩擦を少くいたしまして、平和と安全の方向に持っていきたいというのが、われわれの終局の目的でありますので、従ってここでフランスに対していろいろ批判をしたり、あるいはこうであるとか、ああであるとかいうことを申しますと、かえって今仲裁の労をとっております松平大使としてもやりにくくなると思いますので、はなはだ微妙な点ですから意見を差し控えさしていただきたいと思います。
  211. 岡田春夫

    岡田委員 それじや具体的に伺いますが、付属書D項の平和愛好国の中にフランスは入るのですか入らないのですか。政務次官……。
  212. 松本瀧藏

    松本政府委員 それも非常に微妙な点でして、ただ小さないろいろな問題とか、あるいはローカル・ケースを取り上げまして、ここに線を引いてはっきり片方はこうである、ああであるということはちょっと意見を差し控えさしていただきたいと思います。非常に政治的に微妙な段階でございますので……。
  213. 岡田春夫

    岡田委員 それではこれで終りますが、一線を画してはっきりとすることは困るというお話ならば、ソビエトに対しては平和愛好国でないという線をはっきりつけることはかまわない、しかしフランスについては平和愛好国ということについて線をはっきり引くことは微妙なことであるからこれは困るのだ、付属書D項についてはそういう解釈はできないというのが政務次官の御意見だろうと思うのだか、こういう考えではやはり日ソとの関係というのはうまくいかないと思う。平和条約、安全操業の問題、漁業問題等も、そういう政府の思想であるからうまくいかないのですよ。それで私はここで言いたいのは、要するにこういう意味のないココムというものはやめてしまってはどうですかということを最後に言いたかったわけなのです。というのは、さっき言った点でフランスのような国が該当する、あるいはソビエト共産圏物資のココムの対象になるというような点から見てもおかしいではないか。一方において平和愛好国でない国というような規定をしておきなから、片方においては貿易をやりましょう、取引をやりましょう、いろいろな交渉はやりましょうというような二元外交のあるところに、日本政府の矛盾な点があるし、日ソ間の友好関係に非常に遺憾な点があるので、この際はココムなどはやめてもらった方がいいと思うのであります。これはおそらくいろいろまた御意見の差として答弁があるのであろうと思いますから、私は意見だけ申し述べて、この程度にいたしておきます。
  214. 床次徳二

    床次委員長 ほかに質問ありますか。——きようの質疑はこれでもって一応打ち切りたいと思います。次会は公報をもって御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十四分散会