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1958-03-26 第28回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十六日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 齋藤 憲三君    理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君    理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君    理事 前田 正男君 理事 志村 茂治君       橋本 龍伍君    平野 三郎君       保科善四郎君    山口 好一君       石野 久男君    田中 武夫君       原   茂君    松前 重義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       吉田 萬次君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君  委員外出席者         科学技術事務次         官       篠原  登君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  駒形 作次君         参  考  人         (日本原子力研         究所総務部長) 柴沼  直君         参  考  人         (日本原子力研         究所会計課長) 和田  久君     ――――――――――――― 三月二十日  放射線障害防止技術的基準に関する法律案(  内閣提出第一四一号) の審査を本委員会に付託された。 三月十八日  科学技術振興に関する陳情書  (第六八二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放射線障害防止技術的基準に関する法律案(  内閣提出第一四一号)  原子力行政に関する件(日本原子力研究所の運  営に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 齋藤憲三

    齋藤委員長 これより会議を開きます。放射線障害防止技術的基準に関する法律案議題とし、まず政府より提案理由説明を聴取することといたします。吉田政務次官。     —————————————     —————————————
  3. 吉田萬次

    吉田(萬)政府委員 ただいま議題となりました放射線障害防止技術的基準に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  わが国における放射線の現状を考えますに、まず従来より医療面で大いに利用されてきたエックス線のほかに、最近急激に利用が行われるようになりました放射性同位元素及び放射線発生装置等による放射線があります。また、これらとは別に、外国における核爆発に伴う放射性生成物、いわゆるフォールアウトよりの放射線につきましても、国民は深い関心を払っているのでございます。さらに今後は原子炉等開発利用に伴いまして、これらから発生する放射線も増加してくるものと予想されます。従いまして、これら放射線による障害防止重要性は、日増しに高まってきているものと考えます。さて、これらの放射線障害防止に関する規制を行なっている法律の方を見ますと、たとえば放射性同位元素放射性同位元素装備機器及び放射線発生装置利用につきましては、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律で、核原料物質核燃料物質及び原子炉利用につきましては、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律で、医療用エッキス線発生装置利用につきましては医療法でというように、多くの法律放射線障害防止をはかっているのであります。  一方、放射線を受ける国民の立場から申しますと、おのおのの法律で異なった技術的基準により、障害防止規制を受けることは好ましくないのでありまして、政府といたしましては、これらの基準をすみやかに斉一ならしめることの必要性を認め、全放射線を対象とした放射線障害防止基準法的性格法律案を提出することにいたした次第であります。  このことにつきましては、去る第二十六国会における放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案の御審議の際、衆議院科学技術振興対策特別委員会から附帯決議の形で御指摘いただいておりますことは、すでに御承知通りであります。  以上の趣旨によりまして、この法律案は、すべての放射線による障害防止技術的基準策定上の基本方針を明確にするとともに、総理府放射線審議会を設置することによりまして、放射線障害防止に関する技術的基準斉一をはかるため、必要な事柄を規定したのであります。以下、本法律案概要につき御説明申し上げます。  本法律案においては、放射線障害防止に関する技術的基準斉一をはかるために、まず第一に、基本方針といたしまして、技術的基準策定するに当っては、放射線を発生する物を取り扱う従業者及び一般国民の受ける放射線線量を、これらの者に障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることとしなければならないと規定いたしております。すなわち、政府にあっては放射線障害防止に関する法令等の、また民間にあっては放射線障害防止に関する作業規定等技術的基準は、人体に障害を及ぼすおそれがないと考えられる線量以下となるような基準でなければならないとして、これを基本方針として定めたのであります。  第二に、総理府付属機関として放射線審議会を新たに設置し、関係行政機関の長は、放射線障害防止に関する技術的基準を定めようとするときは、この審議会に諮問しなければならないこととし、具体的に基準斉一化の確保をはかろうとしているのであります。  なお、放射線審議会は、放射線障害防止に関する技術的基準のみならず、核爆発に伴う放射性生成物等測定方法についても調査審議することとし、国民的世論にこたえようとするものであります。放射線審議会は、関係行政機関の職員及び放射線障害防止に関する学識経験のある者三十人以内の委員組織することとなっておりますが、人選に当っては、放射線障害防止に関する最高の水準の学識経験者委員に選任し、技術的基準策定に慎重を期する所存であります。  なおこの放射線審議会の新設に伴いまして、従来放射性同位元素による放射線障害防止に関する重要事項審議するため、科学技術庁付属機関として設置しておりました放射線審議会は、発展的に廃止することといたしたのであります。  以上、本法律案提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重なる御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
  4. 齋藤憲三

    齋藤委員長 以上をもちまして提案理由説明は終りました。本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員長 次に、原子力行政に関する件につきまして調査を進めます。  まず、日本原子力研究所運営の実状について調査を行いたいと思いますが、この際、お諮りいたします。すなわち、本件に関しまして、日本原子力研究所理事長駒形作次君、同総務部長柴沼直君、同総務部会課長和田久君、以上の方々を参考人と決定し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 齋藤憲三

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたします。  なお、参考人よりの意見聴取は、まず柴沼参考人より研究所運営に関する概要を承わり、引き続き質疑応答の形で他の参考人よりの意見を求めたいと思いますので、さよう御了承を願います。  それでは、柴沼参考人の発言を求めます。柴沼参考人
  7. 柴沼直

    柴沼参考人 日本原子力研究所運営の現況につきまして、簡単な御説明を申し上げます。  御承知通り日本原子力研究所は、その本部東京に置きまして、研究あるいは試験用原子炉の運転というようなことにつきましては、東海村に研究所を設置して実施して参っております。従いまして、本来から考えますれば、東京本部は純粋に本部的な業務だけで、研究の実体は全部東海村に置かれるというのが当然のことなのでございますが、何しろ設立以来いまだ二年未満でございまして、現地設備宿舎等もまだ十分に整備されておりませんために、東京におきましても若干の研究業務が残っております。従いまして、東京におきましては本部業務と若干の研究業務東海村におきましてはもっぱら研究に関する業務、このように二つに分れて進行中でございます。お手元に差し上げました参考資料の初めのところにも書いてございますが、研究棟の一棟、二棟が建設されましたのが昨年の七月でございます。その後それの整備にかかりまして、九月から、整備ができ次第、一定の日程によりまして、少しずつ東京から東海村への移転を開始して参りました。この二月までで大体七五%程度研究部門現地に移っております。しかしなお東京大学等研究室研究員を派遣しまして、東京での研究も若干やっておることに相なる次第であります。  全体の機構につきましては、十九ページに長い表をつけましてごらんいただけるようにしてありますが、私ども研究所運営して参る上に大別して三つのことを考えております。その一つは、いわゆる純粋の研究に関することでございまして、この部分が本体となることは申すまでもありません。しかし、研究部門だけでは実際の運営が困難になりますので、それを補助する部門が二つ出て参ります。一つは、事務的な補助をするいわゆる事務部門でございます。もう一つは、いろいろ技術的に援助して参る技術援助部門とでも申しまするか、たとえば工作工場を置きまするとかあるいは図書室を設けまするとか、そういう技術的な援助をする部門、大体三つにその性格を分けて考えておるのでございます。そして、研究部研究を実施する上におきまして、毎日いろいろ物を買うとかあるいは物を試作するとか、そういう必要が出て参りますると、それらの補助部門がその話を受けて、そういう物を購入する、あるいはそういう物を製作したりして提供してやって参るのでございます。しかし、東京にも一部研究業務が残りまして、東京事務部門におきましても、そういう補助的な仕事が、本社業務とでも申しまするか、そういうもの以外にありますところから、やや同じような組織が両方に分れておる点は、これは現下の状況としては否定できないのでございます。ある部門につきまして、たとえば、物を買いますにつきましても、東京にもそういう調達部門がなければならぬし、現地にもまたそういう調達部門がなければやっていけないというようなことが現実にございます。多少機構の重複がそこに行われております。しかし、現地はともかく一つ事務部というものを確立しまして、そこで全体を統轄して、一本の筋で事務運営できるようにいたしておりまするし、本部におきましても、総務部がその実際の実務の分をも受けてやりまして、それによって進行をはかっておるというような状況でございます。  実際に今までやって参りまして、研究所運営の上で最も困難を感じましたことは、いろいろな研究施設のできて参ります日程と、住宅その他の厚生施設を作って参る日程というものを、必ずしも同じ歩調で進めることができなかった面がございます。その時間的なズレのために、たとえば研究者をもっと早く向うへ移せたのではないかと思う場合でも若干それがおくれる、またいろいろな整備がおくれるために全体の日程に影響を及ぼして、その年度に予定しただけの事業が消化し切れないというようなことも若干出て参っております。しかし、何分にも事柄の性質上早急にいろいろなものを作って参らなければならぬと考えておりますので、私ども関係者は、実は、極端な表現で申し上げれば、夜も昼もなくそういう事業の進捗に努力をして参る、そういうつもりで参っております。実際問題といたしましても、建設の部門などは、正月三日休む以外は、ほとんど休みなしに動いておるのでございます。しかし、それでも今の日本の国情としましては、なかなかわれわれの希望する日数でそれを仕上げることが困難な事情があるように考えております。そういう点の、われわれの予定したもののでき上るのがやや食い違いを生ずるということが少しずつ克服されてきてはおるのでありますが、しかし、これをいわば創設期を脱して安定した形で動かして参るためには、なお一、二年の日数が必要なのではないだろうか、また、ことに外国のものを入れます場合には、これも当初の計画に、新しい研究でありまするから、製作の途中においていろいろ計画変更が試みられる、そういう関係から、日本にこれを持って参るのにやはり日数ズレが生じがちであります。この点も、やむを得ないと申せばやむを得ないのでありますが、もう少し世界的な意味原子力研究が進みますれば、私どももっと安心して仕事ができるのではないかというようなことを考えておるわけでございます。  なお、原子力研究所が発足いたしまして、先ほど申し上げました通り、まだ二年にならないために、先ほど例に引きました工作工場というようなものにおきましても、これを運転して参るのには、まだ十分な能力を発揮しておるというところまでは参ってりおりません。むろん相当なものを作って研究者に重宝がられてはおるのでありますが、われわれの希望は、もっともっとこれらを発展させていきたいという気持も持っております。しかし、そのためにはいろいろな設備費あるいは人間等ももっと必要になって参りますので、そう簡単にわれわれの希望を達成できるとも思いませんが、やはりある程度これらの完成に余裕を見ながら、しかし確実な前進をするという方針をとるより仕方がなかろうと考えまして、そういうことでいろいろな設備をいたして参っておるわけであります。なお研究者が大部分なものでありますから、勢い事務的な処理というものにはなれておらない者が多いわけであります。しかし、私ども、大部分を国の出資あるいは補助金、また一部分民間出資によって運営して参るわけでありますから、できるだけ研究部事務部の意思の疎通をはかり、また事務的にもお互いに援助し合うということを話し合いまして、折あるごとにそういう趣旨の徹底に努めまして、少しもむだ使いなどすることのないように、またできるだけ能率のいい施設を作り上げるようにというふうに考えておるのではありまするが、しかし、研究そのものにつきまして、いろいろ未解決の分野もあるように聞いております。研究者自身が相当いろいろ試行錯誤というような形で研究を進める必要に迫られることもございます。そういう関係で、いろいろ整備をしていく上におきましても、わきから御批判を受けます際には、あるいはよその研究所から見ますと、若干もののやり方についてもっと工夫の余地があるだろうということでおしかりを受ける点がないとは決して申せません。しかし、少くとも私たちの研究活動の上に、できるだけそういうようなことのないように話し合いをし、相談をし合っていることは事実でございます。だんだん原子力研究進行とともに、これらの点も十分に解決して参ろうではないか、かように考えておる次第でございます。  大へん概略的な申し上げようでございますが、一応以上御説明を申し上げた次第でございます。
  8. 齋藤憲三

    齋藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。  田中武夫君。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 今、運営について簡単な説明を承わったのですが、実ははなはだ失礼な言い方ですが、何か経理上の問題等について、若干うわさ等のあるということを伺っておりますので、ちょっとお伺いいたしたいと思います。  原子力研究所法の第二十六条と第二十七条とに、予算決算のことについて内閣総理大臣認可を得なければいけない、こういうようになっております。これは、できましてから一年たって、一回は認可を得ておるわけですね。総理大臣認可といっても、実際総理大臣自体がやるわけではないと思うのだが、そういう書類はどこで見、どこで検査をしておられるわけですか。
  10. 佐々木義武

    佐々木政府委員 それに関しましては、まず一番初めに、原子力研究所の方から、予算と申しますか、事業計画書類をいただきまして、これを原手力局で受け付けまして、十分検査をいたします。その結果、これであれば予算趣旨にもかない、あるいは決算の場合でありますと、間違いないという確信を得ました場合には、これを大蔵省に協議することになっておりますので、大蔵省の主として主計局の方へ参りまして、それを十分打ち合せをいたします。その結果、協議がととのいまして、それでよかろうといった場合には、それを大臣の決裁を得まして、総理の御許可、こういう手順になります。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、できましてから七月三十一日までということだから、三十一年度決算について、昨年に一回やったんだと思います。そのときに、いろいろなうわさ等がありますが、そういうことについて、昨年、少くとも三十一年度については、決算書をごらんになって、別に問題はなかったでしょうか。
  12. 佐々木義武

    佐々木政府委員 昨年度決算に関しましては、私ども認可いたしました件に関しましては、落度がなかったというふうに考えます。  なお、決算につきましては、会計検査院検査もございまして、その方の検査の結果も、別に批難事項もございませんでした。ただ会計検査院の方から、出資補助金扱い方等に関しまして、今後改善の余地ありという御忠告を受けた、そういう点は、三十三年度でございますか、本年度から改正するようにしたような経緯がございます。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、予算のときと決算のときですから、入口と出口、これを内閣総理大臣認可する、そういうことで、その中の運営については原研の方でやっておられる。そうすると、会計の問題についての常時の監査は、監事の方がやる、そういうことになっておりますか。
  14. 佐々木義武

    佐々木政府委員 常時の場合と申しましても、年間の予算に関しましては、ただいまお話ししましたような扱いになりますが、ただ、補助金あるいは債務負担行為等扱いに関しましては、一件々々大蔵省と協議することになっておりますので、年の初めに事業計画として総理認可を受けたからそのまま執行するかと申しますと、必ずしもそうじゃないのでありまして、その項目に従って、具体的に補助金あるいは債務負担行為を扱う場合は、一件々々大蔵省と想淡することにして扱っております。  なお、もし年度初めにきめました事業計画年度の途中で変更があったとかいう問題の場合には、これは先ほど申しましたようなことと同じ手続で、やはり原子力局審査をし、大蔵省相談の上協議いたしまして、それがととのった上、認可をするというような手順にしてございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 監事常駐ですか、常任監事ですか、常任じゃないのですか。監事の任務といいますか、もちろん会計その他の監査をやると思うのですが、定期的にはどういうように監事監査しておるのですか。
  16. 駒形作次

    駒形参考人 監事は、定款にありますように、日常業務監査をいたしております。これは、これにもありますように、監査規程を設けることになっておりまして、監査規程というものを作りまして、それに従いまして監査をやっていただいております。監事は現在二名でございます。中の組織といたしましては、監事室というものを作りまして、そこに若干名、その仕事を実際補佐する者をつけてやっておる次第でございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 監事二名は常任なのですか。
  18. 駒形作次

    駒形参考人 おります。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 常駐しておられるのですか。
  20. 駒形作次

    駒形参考人 常駐でおります。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、監事監査原研の法人内における監査だと思うのですが、それから先ほど局長からお話のありました会計検査院検査、それから決算査定に当っての審査といいますか、そういうものの関連はどういうことになりますか。
  22. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この監査は文字通り常時監査でございまして、常にいわゆる重役会議にも御出席になる。そうして、あの原研監査は、単に会計監査のみならず、事業そのもの監査というものも持っておりますので、いわゆる重役会議にも御出席されまして、そうして、一緒に日常仕事監査するような組織になっております。ただ、その監査は、監事監査したからその結果無条件かと申しますと、決してそうじゃありませんので、原研といたしましては、監事監査を経たものであっても、官庁といたしましてはそれを受けて、そうして官庁の独自の権限で検査をさらにいたしまして、そうして先ほど申しましたような手順を踏む、こういうふうな相互関係になっております。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、具体的にどういうことがあるかよくわかりませんが、会計経理の問題について、とかくのうわさが出たというようなことが新聞等にも出ておったそうですけれども、そういうことについては、何かそういう事実があったかどうか。
  24. 佐々木義武

    佐々木政府委員 私、とかくのうわさというのは実はわからないのですけれども、おっしゃる意味は、物品会計の問題に関する最近の新聞報道の事件がありますが、そのことでございましょうか。——これに関しましては、私どもといたしましては、昨年の十二月でございますけれども、御承知のように、今まで東京の各個所に分散して、それぞれの大学なり、あるいは大学付置研究所等に分散して研究をお願いしておりましたそれぞれの部門が、東海村の方に次第に集結して移転を開始する時期になって参りましたので、非常に膨大な予算のせいもありまして、移転する際に物品的に混乱を起してはいけないぞ、整々としてその受取り、あるいは整理等をしてもらいたいという点をあらかじめ原子力研究所の方に忠告いたしまして、そして間違いないようにしてもらいたいという注意を申し上げた次第でございます。これは別にそういう事実があるからという意味じゃなくて、住々にしてそういう危険性と申しますが、各機関にそういう移転や何かのどさくさのときにはあるものですから、そういう点を十分注意してもらいたいということを事前に監督官庁として御注意申し上げました。そのせいもあったのじゃなかろうかと思いますが、原子力研究所の方では、その後物品会計に関しましては非常に注意を払いまして、そして一件々々帳簿と現品とを照らし合せながら、監査と申しますか、整理を進めていったわけでございます。たまたま私の承知しているところでは、新聞報道にありましたのは、中間的な整理の段階の過程の報告のようでございまして、その後さらに整理が進みまして、もう三月の末になりますれば、その整理状況も一応一段落するのじゃなかろうかというので、その整理したあとの結果を楽しみにして、間違いないようにということを念じながら期待しておるのでございます。
  25. 齋藤憲三

    齋藤委員長 この際、関連質問を許します。石野久男君。
  26. 石野久男

    石野委員 ただいま田中君から質問になっております経理の問題もありますが、この原研運営の問題に関連しまして、最近原研保健物理部の方でいろいろと放射能研究をしておられます。原研周地に対して一回、二回にわたるところの調査をなさっておりますが、第一回の自然放射能だけの調査研究のときには、自然放射能だけの問題ではあまり大きな問題はなかったようでありますが、第二回の調査の結果としまして、相当程度第一回とは違った状態が出ておるように聞いております。特に測定は一キロ以内、または二キロ以内、あるいは六・五キロ以内というような地点での放射能の量が、原研周地からだんだん遠隔の地にわたって放射能の現われ方が違っておるように承わっておるわけです。こういう問題はあの地域において何かしら脅威を感じる問題になってきておる。これらの問題について、駒形所長の方からまず最初に事情を承わり、あと一つ大臣事情をお聞きしたいと思います。
  27. 駒形作次

    駒形参考人 保健物理部保健の面で環境という問題と取っ組みまして、気象、海流等を初め、放射能測定をやっているわけでございます。今のお話で、構内はもちろんのこと、一キロ、二キロ、それから五キロぐらいにモニタリング・ステーションを四カ所、今年度は設けまして、そうして常時観測をやっております。三十三年度におきましては、そのモニタリング・ステーションをもう少しく距離を伸ばす、なお三カ所ばかり追加をいたしまして、万全を期するような工合にいたしたいと考えております。  放射能測定結果といたしましては、これは構内におきまして、松林の中で、炉が動き出しましてから若干放射能が上った事実はございます。はっきりした数字を現在的確に覚えておりませんので恐縮でございますが、何割かの上昇があるのでありますけれども、もちろんそれは許容量ずっと以下でございます。しかも、ウォーター・ボイラーの近くで、松林の中で測定した事実でございますが、その後漸減しておるというようなことでございます。これにつきましては、その原因等その後研究をしてもらっておるのでございます。そういうわけで、私どもの方といたしまして、中で仕事をやっておりますものの保健上の問題ももちろんありますし、まわりの人々のこともあるわけでありまして、そういうことは十分調査をいたしておるところでございます。しかしながら、現在非常に危険な状態になっておるとか、そういうようなことは全然ございません。雨が降るとカウントが上るとかいうようなのは、ほかの場所でも上る範囲内のことでございまして、特別のことにはならぬ、こういうふうに現在なっておる次第であります。
  28. 石野久男

    石野委員 今、所長は数字を持っていないようでございますが、調査の結果としては、原子炉に近いものほどカウントの高いものが多いということがはっきり出ておるようであります。これらの問題について、自然的に降雨量だとか何かの関係から、その付近一帯が同じようなカウントの放射能の影響を受けるということは、原研そのものとは関係がないものだと思います。しかし、皆さんの方で御調査になったのが大体昨年の六月、七月の二カ月間と、九月から十二月に至るまでの二回だと聞いております。その結果、大体原研原子炉に近いものほどそのカウントが高いというようなことで、地方の人は非常にこれを不安に思っておるわけです。現状は、確かに言われるように人体に影響するというようなことはないことも承知しておりますけれども、しかし炉が活発に動き出して参りますと、こういう結果が漸増することを憂えるというのが、当然一般市民の気持であると思うのです。東海村あるいはあの周辺の人々のなにでは、これは一つには八月の臨界実験の際に、ウラン燃料を溶解するときの粉末が少しどこか外に飛んでおるのではないか、こういうような心配もしております。それからまた湯沸かし原子炉の運転に伴って放射能を持ってくる、目に見えない空気とか、目に見えないちりが換気装置から外に出ているのじゃなかろうかというような心配もしておるわけです。こういうような問題について、あなた方の方で、こういう心配は要らないんだというような結論が出ておるのか、まだそれは研究中なのか。それから、先に私どもが聞いておるところでは、皆さんの研究では、原研の近くから遠くにわたってカウントの量が違ってきている、原研の、特に原子炉に近い方が非常にそれが高いということを聞いているのだけれども、そういう事実であったのかどうか、その点はっきりしていただきたい。
  29. 駒形作次

    駒形参考人 今のそういうことが非常に危険であるかどうかということにつきましては、私そういう危険はないと実は考えております。そして先ほどの炉のまわりが若干高くなってきた原因は何かというお話でございますが、炉室に対しましては、そこから出る空気はモニタリングの装置をつけておきまして、そこから出る空気は一応そこでもって常時検査をいたしまして、外に逃がすような仕組みにいたしております。炉が動きましてから、確かに若干そのまわりが上っているというデータにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、十分研究いたすつもりでおりますけれども、今それがどういうことかということに対しては、ちょっとはっきりとこういう原因の結論が出ましたというところまでは、実は参っておりません。しかしながら、その限度が非常に大したことがない、ずっと許容量以下であるという事実から、私が先ほど申し上げましたように、炉が動いたためにそういう危険度が増したということは考えられない、こう考えておる次第であります。
  30. 石野久男

    石野委員 大臣は非常にお急ぎになっておられるようですが、この実験の調査の結果としては、そういうふうに炉の近くに、人体にはまだ障害を感じられるものではないけれども、自然的なものよりも多量に、漸次炉の近くから遠隔に行くに従って薄くなっているのであるが、そういう放射能のカウントの測定が行われていることは事実であります。こういうことは今はまだ炉の動き方もそう十分で活発でないと思いますけれどもで、今後いろいろあの地域で炉が活発に動き、また新しい炉を政府の方では入れるように聞いておりますけれども、そういう問題とからみ合せてこれは非常に重要だと思います。こういう問題については、われわれはやはりこの炉を平和利用のために十分使うということには何も反対しませんけれども現地においてこういう恐怖を持たせるような形で炉を動かすということについては、非常に問題だと思います。こういう問題については、あらかじめ法の設定とか、その防止措置をする前に、特にこれを管理しておられる大臣注意を十分にしていただくことが大事だろうと思うのです。こういう問題が現実にあるときに、大臣はそういうことの処理をどういうふうにして、実質的に障害を生じないようにしようとしておるか、そういう点について一つ大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  31. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほど駒形所長が御説明申し上げましたような事情でありますが、いずれにしても、その住民が不安の念を持っていることは重大問題でありますから、その点は不安を除くような方法で考究いたします。
  32. 石野久男

    石野委員 炉から出る放射能の問題については、ただ不安の念を持たないようにさせるということではだめなので、問題はやはりそれの原因がどういう点にあるかということを究明することにあると思います。すでに十二月までに及んだ実験の結果生じた原因が那辺にあるかということは、すでに研究所でも研究していることだろうと思うのです。それらの点について、所長としては、また所管大臣としては、それがどうなっているかということをここではっきりわれわれに示してもらう、そしてまた、それの研究の過程がどういう過程にあるかということを十分にやはり知らしていただくことが必要だと思うのです。その点について、一つ所長からもう少しはっきりした御説明を願いたい。
  33. 駒形作次

    駒形参考人 その後の結果は、一たんちょっと上りましたものがだんだん減ってきておる。こういう測定の結果を現在得ておるのでございます。炉を動かしますときに、ウランを溶かす操作をしたときに、何かほこりみたいな形で外に出たのじゃないかというお話も先ほどございましたけれども、そこら辺のことは現在としてはよくつかんでおりません。結果としては、はっきりとこの原因であるということを現在得ていないということを申し上げておる次第でございます。しかしながら、実態はだんだんと減ってきておるというわけでございまして、まわりの測定を現在進行さしておるというのがお答え申し上げる点なんでございます。
  34. 石野久男

    石野委員 今研究中であり、調査中であるということであるならば、これは今のところ御答弁いただくことはできないと思いますけれども、事実上減少してきておるということについても、われわれはそのデータをしっかり見なければ安心ができない。ことに、炉心部に対して、水位が上って水が入るというようなことも聞いておるわけです。これらのことは、実際はうわさなのかそれが事実なのかという問題とからみまして、この炉の設置のときにおけるいろいろな問題点がそこらに残っておりはせぬだろうか、地元では、少し水が出ると炉心部に水が入り込んでくるのだということで、大騒ぎをしておるということまで聞いておるのだが、それらのことはほんとうなのかどうか、そういう点をはっきり一つ伺いたい。
  35. 駒形作次

    駒形参考人 炉心部に対して水が入るということは実はないのでございまして、どういうことからそういうことが出てくるのか、私ども了解に苦しむのでございます。ウォータ・ボイラーは、現在非常に調子よく運転をいたしておりまして、私どもが初め想像いたしておりましたより以上、特性としては非常に優秀な炉であるということを申し上げることができると思います。水の問題は、おそらく若干建屋の一部に浸水をやったことがある、これも水が非常にたくさん出てきたといったようなものではございませんで、ごくわずかに、非常な豪雨の際にしみ出したという事実がございますので、それはその後におきまして建屋の方を手当をいたしまして、今後そういうことのないような状況に現在はいたした次第でございます。どうもどういうことからか、そういう非常に大げさなことが伝わるということに対しましては、どうも私どもも了解に苦しむ点があるのでありますけれども、そういう点御了承願いたいと思います。
  36. 石野久男

    石野委員 それでは一時水がしみ出してきたのだけれども、今手当をして、そういうことの弊害がないということがはっきり言えるわけですね。
  37. 駒形作次

    駒形参考人 それは炉には全然無関係なことでございまして、建屋のごくすみの一角の一部にちょっと水がしみ出してきた事実がある。炉はその建屋のまん中でございますし、炉自身に水が流れてきて、かかったとか何とかいう、そういう事実は全然ないのでございますから、その点一つ明らかにさしていただきたいと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、先ほどに引き続いて質問を続けたいと思いますが、先ほど佐々木局長は、物品の移管というか、物品を移す上についての若干の途中の問題が出たのに対して、そういうことのないように注意をしておるし、完全に行われることを期待しておる、こういうような御答弁であったと思います。それで、きょう参考人として見えておる中で、実際原研の内部においてそういう事務を担当しておられるのは、会計課長さんですか。
  39. 柴沼直

    柴沼参考人 東海村におきまして、実際に物品の管掌をいたしておりますのは、管理課と申す課が一つできておりまして、そこでやっております。しかし、私どもはむろん常時それに関与しまして、その実態を見ながら指導もし、監督いたしておるのでございます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、実際にいろいろの研究室等から物品を移しつつある、そういう事務の進捗の実情といいますか、あるいはそういうような若干の報道が出ておったという事実の問題等関連して、実際の現在の事務の進捗度合いと見通し、そういうことをお伺いいたします。
  41. 柴沼直

    柴沼参考人 東海研究所東京から移って参りますのは、数回に分けて順次これを移しつつありまして、先ほど申し上げました通り、現在人員で七五%は現地に移っております。物品で申しますと約三百点ぐらい東京に残りしてありまして、その他は全部東海村に移っております。ただし、昨年の十月から今年の二月までの人事の移動のために、二月ごろ移っておりますものは整理が十分でないために、この前新聞に載ったころには、まだ整理はできておらなかったのが実情であります。しかし、今日では多少事情が達ってきておりますが、あの当時はまだそういうものが研究室の中で整理が十分できておらなかった、こういう事実はございます。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、その後整理が進んで、ああいう新聞に出たような事実、そういうことについては間違いがない、こういうことですね。
  43. 柴沼直

    柴沼参考人 たなおろしは、私ども、昨年の十二月末以前に購入したものにつきましては三月三十一日までに大体終るようにというので、実は日程をきめて、着々と進行して参ってきております。従って、現在もまだ進行中でございます。あの当時、新聞には約八千点と出ておりましたが、実際に私どもが手がけるつもりでおりましたのは九千点余りでございます。そのうち大部分は終ったのでございますが、三月二十日現在の報告では、なおさらにつき合せを続行するものが七百七十五点ほど残っております。これを末日までに一応片づけたい。それと並行して、実は一月以降に購入したものも同時にやってきております。それから、消耗品の受け払いの状況も同時に整理しております。これらの整理が、三月三十一日現在でぴたりと押えることができますのは、四月の半ば過ぎになるかと存じております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、四月の半ばになればはっきりする、そういうことですね。  それから局長にお伺いしますが、原子力研究所法の第三十六条から第三十七条等にかけまして、いわゆる監督の規定がある。第三十七条では、必要があれば監督官庁として報告あるいは立ち入り検査ができることになっておりてますね。今のような、いわゆる途中であっても、デマか何か知りませんが、そういう情報が出るとか、あるいは整理の際に思わしくない状況がある、こういうことならば第三十七条による中間報告を求めるとか、あるいは必要があれば検査に行くとかいうことをやられたらいかがかと思います。もう一つは、今のお話では四月中ごろということですが、いずれにしても、四月の中ごろになれば済むということですが、局長は先ほど、三月末には整理が終る、そういう間違いのないことを期待いたしております、こういうことだったのですが、期待だけをせずに、第三十七条等によって報告を求めるとか、あるいは立ち入って積極的にそういう事実がないような指導監督をするとかいう必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  45. 佐々木義武

    佐々木政府委員 お説まことにありがとうございますが、第三十六条に基きまして、必要と認める場合には、監督上必要な命令をすることができるとなっておりまして、十二月に、自発的に、私どもといたしましては命令というはっきりした形ではありませんでしたけれども、先ほどのような状況でございますので、特段の会計に対しては注意を払ってもらいたいという忠告をしたのでございます。第三十七条に基きます報告あるいは検査の義務でありますが、これに対しましては、お説のように決して中間報告も聞かないのではありませんので、心配いたしまして、しょっちゅう中間報告を聞き出しまして、どの程度まで進んでいるか、どういう点が今問題になっているとか、そういう点をしょっちゅう報告を受けるようにしてございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 間違いはなかろうと思うのですが、一部に、そういった目で見られているというか、心配している、こういうことでございますので、原研当局の方も、あるいは監督の理事長の方も、そういう世間の疑惑を招かないように、ことに整理が済みましたら、はっきりとした、間違いないということを一般に公表するという措置をとってもらいたい。間違いないようにやっていただきたいということを申しておきます。最後に、これは理事長さんでも部長さんでもどちらでもけっこうですが、去年の秋でしたか、労働争議がありましたときに、労働組合側から、最初の約束と労働条件が違うというようなことを言っておったと思います。たとえば、住宅の問題とか、飲料水等の生活上の問題が、最初言っていたよりはうんと悪い。給与その他普通の労働条件以外の、環境から来るいろいろな問題についての希望が出ておったと思うのですが、その後そういった住宅とか飲料水とか、いわゆる生活環境改善の問題はどういうようになっておりますか。そういうことについての従業員の希望はいれられているかどうか。
  47. 柴沼直

    柴沼参考人 昨年の秋、労働組合と協約をいたしまして、環境の改善を約束いたしました。そして、それが完了するまでは、手当でそれを補うというような形できておったのであります。その後宿舎やいろいろな設備等もだんだん準行して参りまして、もうその代償として手当をもらわなくてもよろしいというところまで状況が変って参りました。先般いろいろ話し合いをしまして、そういうことは二月一ぱいで打ち切ろうじゃないかという話し合いがつきまして、一応解消した形になっております。ただし、組合の要望しましたことで、私どもがぜひそうしたいと思っていることが百のうち百までできたわけではございません。まだ三つ四つ残っております。しかし、それはたとえば食事の質を改善するというようなことでございまして、どうしたらよくなるか、組合と所側と相談して改善をして参るというような話し合いも今出ておりまして、大体あの当時の問題となりました環境は一応最近には改善された、こう申し上げてよろしいかと思っております。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 では、環境の改善の問題についてもうまくいっておる、そのための代償としての手当も、組合も了解して、なくしてもよいというふうによくなっておる、なお今後もそういうことについて従業員組合側の意向も聞きながらよくしていこう、こういうことですね。——では、けっこうであります。
  49. 石野久男

    石野委員 今のお話だと、住宅や厚生施設、現場手当の問題などが大体組合側の要望するところまでいっているという話でありますが、あの付近の地域的な関係からしまして、特に交通の問題が一つあると思うのです。こういう問題については、今どういうふうに処置なさっておられますか。
  50. 柴沼直

    柴沼参考人 あの場所は普通の農村でございますので、お話通り、交通機関は少くとも昨年の秋には非常に不十分だったのでございます。それで組合と話し合いまして、所の方でバスを出しまして、所員の必要な場合にそのバスを利用させるというようなことをやって参ったのでありますが、最近では国鉄も、地方の交通会社も、ほとんど競争的にバス路線をあの付近に作りまして、かなり交通が改善されてきております。むろん東京都内におるような意味では便利ではございませんけれども、かなりそういうものができて参りまして、現在では所から出すバスは、朝早く業務上の必要で乗るとか、あるいは夜おそく業務上の必要でおくれた者を送り届けるとか、そういう者以外は、組合側もあまり強く要望しないような段階にきております。しかし、むろん全然やめてしまったわけではございませんで、話し合いによって、われわれの方でほんとうに不便だなと思われるような場合にはそのバス等の利用は依然としてやっておりますが、ここ半年ほどの間にかなり現地事情が変ってきているということは申し上げてもよろしいかと思います。
  51. 石野久男

    石野委員 あそこで生活する者にとっては、いろいろな日常の生活と同時に子供の教育の問題などもあると思います。そういう問題については、特に地元なりとの連携はどういうふうにとっておられますか。
  52. 柴沼直

    柴沼参考人 教育の問題は、現地で解決することが困難な問題の一つでございます。それで、ただいま現地に行っております者のうち、学齢期の子供を持っている人は、大部分水戸市の方の住宅に住んでおります。東海村の方の住宅に住んでおりますのは、まだ数名程度の学童しかございません。それも小学校でございます。たしかこの四月になって初めて三名だと記憶いたしております。従って、東海村居住者の教育問題は、もう四、五年たったところで相当問題が出て参る、現在は水戸市の教育施設利用することによって解決しておる、こういうことになっております。
  53. 石野久男

    石野委員 最近原研の方で、ウランの廃液を海に流すことによって、海水汚染がどういうふうな状態になるかということを、茨城県の県当局と共同で調査されたようであります。その結果はどういうふうなものであるか、これをこの際ちょっと御説明願いたいと思います。
  54. 駒形作次

    駒形参考人 海流関係調査は、昨年数回にわたっていたしました。これは色素をある沖合い何メートルのところで流す、何百メートルのところで流すというような工合にいたしまして、その色素が流れ、拡散していく状況を調べて参ったのでございます。それで、岸に非常に近いところでありますと、岸の方にそれが拡散されてくる。しかしながら、五、六百メートルだと記憶いたしておりますけれども、それ以上でございますと、岸に拡散しないというような大体の結論を得ておるのであります。そして、流れは北の方へ行くというような、私どもの中心部の沖合いから流しますと北の方——北の方と申しますのは、久慈川の方に引かれていくというような形で流れて参っておるというようなことを確かめております。そういう色素でその流れを調べたという事情であります。
  55. 石野久男

    石野委員 現在の廃液を流しておるパイプの長さの問題ですが、その結果として、何ほどか外に出さなければならない状態になるのですか、それとも現状のままでいいという結果になっておりますか、その点をお伺いいたします。
  56. 駒形作次

    駒形参考人 パイプを外に出すことをやらないつもりでおります。それは、あそこは大体直線的の海岸でございまして、直線的の海岸からパイプ類を外に何百メートル出すことは非常に金がかかりまして、特に波打ちぎわのところの問題が非常に金がかかりますので、私どもの考えは、もし液体の非常に薄い者を処置しなければならないような状態になったといたしまた場合は、規定されております限度以下に薄める。これは久慈川の水を非常に大きなパイプで構内に引いて参っておりますので、これはいろいろな冷却装置その他を通って流れて、結局外に出しますから、その心配は全然ない。現在のやり方といたしましては、固体並びに液体の少し強度のものになりましたものは、全部構内に格納する場所を作って格納する、こういう方法でもってやることにいたしております。
  57. 石野久男

    石野委員 それでは、大体固体で格納するものと非常に薄めてそれを流すことと二通りするわけだということでありますね。その場合、特に固体の場合は、いずれどこかへ捨てるのでしょうけれどもあとの問題につきましても、薄めて流すことについては相当程度——やはりあの付近の地元の諸君、特に沿岸で漁業などやる諸君については、やはり自分の商売に関係してくることでもあるし、心配をしておるわけです。そういう点での心配のないように一つ御配慮をしてもらいたい、こういうように思います。それらの点についてできるだけ納得のいくようなお考えを一つ聞かせていただきたいと思います。
  58. 駒形作次

    駒形参考人 その点は私ども十分注意をしてやるようにいたしております。流すと申しましても、どんどん流すのかと言われますと、これはまた非常に困るのであります。国際的にきめてありますのが10−6μc/ccというふうになっておりますけれども、われわれの方といたしましては、それを一けたなり二けた上げたもので取り扱う、大体こういった考え方を持っております。今の御注意に対しましては、私どもの方といたしまして十分努力いたすつもりでございます。
  59. 齋藤憲三

    齋藤委員長 志村茂治君。
  60. 志村茂治

    ○志村委員 原子力研究所経理の問題について過日新聞に出ておったのでありますが、先ほどからいろいろ説明もありました。新聞に出ておるところでは、移転に当ってたなおろしをやってみた、そうしたらば、帳簿にある品物がなかったり、帳簿にない品物があったり、これはすこぶる経理の紊乱といわれても仕方のないような状態であったのですが、そういう事実があったのか。問題はたなおろしの場合に、一点や二点そういう食い違いがあることは経理上大目に見らるべきものであると思うのですが、それが相当の件数に上ったということを聞いているのです。どのくらいの件数に上っておったのですか。
  61. 柴沼直

    柴沼参考人 ただいまのお尋ねでございますが、二月十五日現在のたなおろしの進行状況が、大体七割程度までいっておったということなのでございます。帳簿に載っておったものがなかったり、あるいは帳簿にないものがあったという新聞記事なのでございますが、私どもは一万円未満のものを準備品と称しておるのでございますが、その一万円未満のものも全部帳簿に記入してございます。それがどうして二月十五日までやって七割五分だったかと申しますと、先ほどちょっと申し上げましたが、当時品物が東京から東海村に向って移行中だったわけでございます。従って、その梱包を解きほどいて研究室に使いいいように整理して、その上で品物に当るという順序になりますので、三月十五日にその品物について当ることができなかったものが相当ございます。従って、今日のように大体年度内に向うに移るべきものが移ってしまったあとは、そういうことが事実上解決されて参るわけでありまして、現在では私どもその点につきましては実はあまり心配しておらないのでございます。  現実のたなおろしのやり方を念のために申し上げますと、ある物品をある研究室からの請求で買ったことは帳簿の上ではっきり出ております。そうしますと、その帳簿で現品に当りに参ります。そのときに、一回その研究室に行っただけで必ずしも全部の品物に当ることができない場合もあります。たとえば、隣の部屋に品物を貸し付けてあるとか、よそからの品物が舞い込んでいるようなことも間々ありますので、そういう場合には、一回では帳簿の品物全部に当ることはできません。従って、こういうものがあるということを調査する者が紙に紀人いたしまして、管理課に持って帰ります。そうしますと、その報告を土台にして、もう一ぺん研究者の協力を得て整理し直して、現物に再度当りに参るわけです。そういうことで二度目、多くとも三度目くらいには、ものが解決しております。そういうことを繰り返しやって参って、今日では九〇%余りは全部済んでおりまして、約一割程度のものをこの十日間に仕上げてしまおうという段取りになっているところでございます。
  62. 志村茂治

    ○志村委員 ただいまお聞きしますと、梱包で移動中のものがあったから、照合がなかなかうまくいかなかったと言われておるのであります。そうしますと、移動を始めたとき、言いかえれば、一番突き合せの困難なときになぜたなおろしをやったかという問題が出てくる。やる以上は、最も品物が動かない状態においてやるべきであったにもかかわらず、なぜそういう時期を選んでやられたのかをお尋ねいたします。
  63. 柴沼直

    柴沼参考人 ただいまのお尋ねまことにごもっともでございますが、私ども三月三十一日の一番動かないときにりたなおろしをするつもりで現在もおります。それに至りますまでに、先ほど局長からお話もありましたように、移動等のために物品の破損とか紛失とかほかにまぎれ込むとかいうようなことで混乱を生じてはいけないというので、予備的にそういう困難なものについて特に品物に当って参ったわけであります。つまり、たなおろしと申しましても、現品を確認することでございますので、そういう際に確認しておきませんと、後になってからは、どういう原因で紛失あるいは破損したかなかなか突きとめにくくなります。そのため、特に局長の御忠告もあり、私どももまことにその通りだと考えまして、困難なときに一種のたなおろしの予備的な形で実施して参ったわけであります。整然としておれば、一万点程度の品物ですと、おそらくは現在の陣容から申しまして、三週間もあれば全部やり得る事務量だと思います。それをわざわざ三月もかけてやっておりますのは、そういう意味で、困難なときに、しかも大事な品物にできるだけ狂いのないようにというつもりで実はいたしたわけであります。
  64. 志村茂治

    ○志村委員 どうもそこの点理解できませんが、そういうふうに破損したりあるいはどこかにまぎれ込んでしまっては困るということでたなおろしをされるというならば、移動を開始する前にやって、初めて破損したりどこかへまぎれ込んでしまう事故を防ぐことになると思うのです。すでに移動を開始してしまってから、最も困難なときにたなおろしをやるということは、ちょっと理解できないのです。その事情を御説明願いたい。
  65. 柴沼直

    柴沼参考人 私の御説明の申し上げようが少し悪かったようでございます。東京から送り出すときには、実はこちらはこの帳簿の品物がどれだかということはわかっておるのであります。向うにいって店開きをするときに、たとえば研究部門などで組織の変ったところもございますし、あるいはまた研究員がその品物を整理するときに、それぞれ自分の都合のいいような並べ方をいたします。そうしますと、ある特定の器具は、特定の研究員でなければ名称も内容もわからないというものがあるわけでございます。そういうものを研究員に聞きながら、向うに移ったあと状況はどうかを当るのが一番の目的なんであります。しかし、それは実は移動中の物品だけのことでございまして、そのほかにも東海村で買いましたものが相当広い地域のところでありますから、現実にどうなっているかということを管理課の職員が毎日見届けることができません。それで、移動による物品の整理、同時に既存の東海村の物品の、所在管理と申しておりますが、所在の場所における管理を開始したのでございます。三月三十一日までほうっておきまして、それから一月なら一月かかって仕上げてもよろしいのでありますけれども、もし混乱がありますと、少しでも早い目に手をつけておきませんと、その原因なり理由なりがつかみにくくなりますので、万難を排して、早くから手をつけたいという気持で着手しておるのであります。
  66. 志村茂治

    ○志村委員 発送されているときには帳簿と合っておったんですか。そうしますと、結局発送されたときと移動後とが食い違っておったということになると思うのですが、帳簿と不突き合いになっておるということは東海村において不突き合いになったということなんですか。
  67. 柴沼直

    柴沼参考人 今まで申し上げておりますのは、東海村でのたなおろしでございます。本部のたなおろしはとうに済んでおりまして、本部関係の品物は一千何点全部異常ないことをすでに確かめてあるのでございます。従って、これを抜きまして、別途に東海村に行った物についてのみたなおろしをやって参っておるわけであります。
  68. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、私たちが新聞紙上で受けた印象とはまるで違う。新聞紙上では、経理が不始末であるために、原子力研究所にある品物が帳簿とは一致しないのだ、こういうふうに印象づけられてきたのですが、ただいまお話を聞きますと、移動前と移動後とにおいて品物が違っておる、帳簿とではないのだ、こういうふうになりますと大へん違っておりますが、どうしてああいう新聞紙上の発表になったのですか。
  69. 柴沼直

    柴沼参考人 私は、原子力研究所の帳簿が混乱しておるとか、あるいはつけ落ちがあるとかいうことは、絶対にないと信じております。ただ東京から向うへ持って参りますものはこれはある時期に時間を置いて一部分ずつ向うへ移って参つります。従って、そこに混乱を生ずるおそれができるのでありまして、ちょうど必要な研究所のところに必要な品物がそのまま無事に届いてくるものならば、何も問題はないわけであります。しかし、たとえば私どもの科学部門と申しますのは今三つの部に分れております。そういうところになりますと、物理化学の持ち得べき品物を、輸送の手違いで放射化学の方の研究室に持ち込んでしまう、そういうことがいろいろあるわけでございます。そういうことを一番私ども心配しておったわけでございます。そして、そういうことから帳簿を持って調べにいっても、たとえば隣の部屋にあるというような場合には、帳簿にある品物がなくなっているのではないかというふうに見られがちでございます。私どもは、なくなったのではなくて、所在がわからぬだけである、第二回目の調査には十分これは発見できるのだという考えを持っておりますから、そのつもりでさらにたなおろしを実行しておるわけでございます。従って、現在八千何百点も、帳簿と現品との照合は終っておるわけでございます。もしほんとうに紊乱しておったり、なくなったりしたものならば、そういうふうにたなおろしの進行によって帳簿と現品が順次合って参るということはできないだろうと思います。しかし、私どもは、大体三月三十一日までには突き合せをして、もし破損したものがあるならば、どういう状況の破損かということまで大体つかむことができるだろうという予想を持っております。
  70. 志村茂治

    ○志村委員 今までのお話で、東海村へ行って、物が帳簿と突き合せされるというお話ですが、これは実際帳簿の技術のことになると思うのです。東海村へ発送されるときにどういう品物を送ったか、そうしてその品物が東海村へ着いているかということでいいわけで、東海村へ行ってわざわざ帳簿を持っていって、帳簿と東海村へ行っている品物と突き合せるということは、なぜこういうことをされるのですか。
  71. 柴沼直

    柴沼参考人 帳簿と申し上げましたのは、実は話を簡略にして申し上げているのでございまして、実際にはその帳簿からカーディックスをとります。それを二通作りまして、一通は研究室の方に置き、一通は管理課が所持いたしております。その管理課のカーディックスと研究室のカーディックスとをまず照合させ、それから現品に一つずつ当る。当ります場合に、ただ無事に着いたか、品物と一緒にカードもこっちから送るわけでございますから、もし品物の数だけ勘定してそれで済ましてしまうならば一番簡単なのでございますが、しかし、それではちょっと私どもの管理する上で実は不十分なのでありまして、精度検査と申しておりますが、その品物の性能に狂いがあるかどうかまで研究者の助力を得て調べ上げて、それを修理するなりあるいはそれを破損品として使用しないものにするとか、そういう事後の処理まで実はいたさなければならぬわけです。それで大へん厄介なことですが、一品々々現実に当って参る、そういうことなのであります。
  72. 志村茂治

    ○志村委員 これはわれわれ実際に現場に当って見たわけでなく、新聞記事から受けた感じからお尋ねしたのです。ただいまのお話によりますと、引っ越しをして行ったならば、先でもって品物が見つからなくなったというような結果になるだろうと思うのですが、それも探してみればあとから出てくるものだ、こういうことになれば、ほとんど問題はないと思うのです。今度の経理問題についてわれわれがいろいろ聞きましたところが、原子力研究所のいわゆる研究あるいはテクニカル・サービスあるいは一般管理というふうに考えられるのですが、その経理をもまぜた一般管理部門の能率が低いのじゃないか、こういうような意見も聞いておるのですが、そういうことがあるのですか、ないのですか、それをお尋ねします。
  73. 駒形作次

    駒形参考人 私どもの管理の陣容を申し上げますと、やはり会社から来た人、政府の方から来られた方、いろいろありまして、その人、その人はかってのところでは非常に有能な方でありましても、これらの人が組み合わされて運転いたします場合に、少し歯車が一方が短か過ぎたり、あるいは長過ぎたりといったような場合が、やはり若干あるのではないかと私は考えております。そういう面に対しましては、十分私どもといたしまして注意を向けまして、スムーズに歯車が動くような工合に持っていかなければならない、かうに考えておりますけれども、やはり若干そういったようなことがいろいろな面で出て参る。決して能力的に一人一人が非常に低下しておるものであるということは私はないと思うのでありますけれども組織として動きます場合に、何にいたしましても、全体から見まして手薄でもありますし、仕事の量も非常に多いわけでございますので、とかくそういった面が出てくる。これはまことに遺憾ではございますが、今後私どもの方といたしまして、十分そういう点に特に気をつけまして、うまく合せていくような工合に指導して参りたいと実は考えておる次第であります。
  74. 志村茂治

    ○志村委員 今のことに関連いたしまして、私お尋ねしたこともあるし、またこの場でもお尋ねしたいと思うのですが、一般管理部門の人間の数、これの比率が、ここにあなたの方から出された科学技術振興対策特別委員会提出貸料としてあるものには、原研、アルゴンヌ、通研、電試というふうに出ておりますけれども、一般管理部門の人数の占める割合は決して少くない。研究部門が入っておるからですが、これを除いて比率を変えてみますと、決して少くはない。むしろ多いくらいだというふうにも考えられるわけです。しかし、この構成がどうなっておるのですか。ほかとの比較においては、いわゆる本部というものがあった場合には、これは別に考えなければならないし、原子力研究所の場合には、本部もこの中にまざっておるのだ、いわゆる管理部門に入るべきものは普通の場合には除外されておるが、原子力研究所の場合には一緒に含まれておるから、比率としては高いが、管理部門の人間が足りないのではないかということをいわれております。それから、もう一つ考えられることは、経理部門のことであると思います。原子力研究所で取り扱われる経費、特に一人が担当すべき経費の額は非常に大きいということが言えると思うのです。ここの中にも出ておりますが、原子力研究所が四十三億四千七百万円、これに対して電気試験所は八億四千九百万円、ところがこの管理部門の人数からいきますと、人数は大体同じくらいだということになりますと、一人当りの取扱い金額は五倍くらいに達するということが言えると思うのです。もちろん、これは件数にも関係があると思うのです。金額の高ばかりでは考えるわけにはいかないと思うのでありますが、その点について何かお考えがあったならば、お聞かせ願いたいと思います。
  75. 駒形作次

    駒形参考人 今、御指摘がありました点は、この数字から明らかなように、大体そういうことを表わしているんだと私も考えます。この第二表の、一般管理は三四%、通研が二三%、電気試験所一四%、これは御指摘にありますように、その他建設部門とかがある場合とない場合とでパーセントの全体の割合が若干違って参りますけれども、一般管理の割合というものは、やはりこういうふうに多くいたしてございますけれども仕事の経費の面で非常に多くなっておりますので、最後の三表におきましては終りから二番目の行でわかりますように、一人当りの取扱い金額が一億二千万円、終りから三番目の欄で、一人当りの取扱い件数は六百五十四件といったようなことになっております。ほかのところがどういう程度となるかということは、いろいろ調べていただくようにしたのでありますけれども、なかなかこういうことをはっきりしたことは、会社なり、研究所なりで出して下さらないものですから、ちょっとわからなかったのでありますけれども、おそらくほかのところと比べれば多いであろうということは、想像されるわけであります。  大体どういう考え方であるかと申しますと、今後の考え方といたしましては、仕事をなるべく、東京東海とで、それぞれに一元的に集中していくような工合にいたしたい、こういうふうに考えております。現在は、ともするとダブっていると面がありますので、人の面を有効にいたしますためには、やはり何としても集中的に一元化していくような工合にしなければならない。ダブらせないようにしていきたい。そのために、いろいろな研究の主体が東海にあります以上、事務の面におきましても、基本的の事務東海に持っていって、東京の方には、対外交渉的な、折衝的な事務を極力残すような工合にしたい。これは方針でございますけれども、なるべくそういう面で徹底させたいと思って、努力したいと考えております。もう一つは、判断的の事務は、これはもちろん人がやらなければいけませんけれども、それ以外の面におきましては、業務的の事務と申しますか、そういうものはなるべく機械化していきたい。こういうことで、人の面で能率的にやっていくような工合にしたいと実は考えております。集中的にやることと、機械化するというような面で、もう少し徹底的にやっていきたい。人数というものがきまっておりますので、その人数に対しまして、やはりやり方を従来のやり方から相当思い切って変えていくような工合にしたいと実は思っております。それから、研究者事務負担の軽減化をもう少しはかるようにしたい。これは研究部門に対して、事務的な補助というものをもうちょっと回してやるような工合にしたいと考えております。その他、なるべくマネージメントの原則に従いまして、近代的のやり方を取り入れるようにいたしまして、特にこれは内部のことを申し上げまして恐縮ではございますけれども、とかくまだ全体のコンミニュケーションが足りない。内部的に、いろいろなことが委員会というような形で行われ過ぎる。このためには、内部で報告制度というようなものを確立いたしまして、そういうもので、書面でお互いの状況がわかるような方法をとって、集まりましても、そう時間をかけて長くやらなくても済むような工合にしたい。これは先ほども申しましたように、かみ合せというものが、寄り合い世帯の発足の性質もあります関係上、十分でない。今後そういう点で十分やって、ともかく近代的のマネージメントで、有効に、能率的に仕事を持っていくような工合にいたしたい、こういうふうに考えております。三十三年度におきましては、人員が、四百五十名から七百五十名という定員になりますので、この際、その増員に伴いまして、今のような組織を徹底させまして、事務の面、研究の面におきまして円滑に事業ができますように、さらに努力をいたすつもりでございます。
  76. 志村茂治

    ○志村委員 いろいろ能率を上げるために努力されるということはけっこうでございます。しかし、現状においては、相当優秀な研究員であるべき人が事務方面をやらされているということを少し聞いておりますが、そういうことはありませんか。
  77. 駒形作次

    駒形参考人 今申しましたように、そういった点がやはり若干あるかと思いますので、研究者事務負担の軽減化ということで、研究者に対しましての事務補助者的のものを、何とかもう少しつけるような工合にやって参りたいと思っております。今、志村先生の御心配の点も私ども十分考まして、増員に伴いまして、実現するように努力したいと思っております。
  78. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、増員した場合には、一般管理の方をある程度比率的にふやそうというお考えなんですか、それとも、比率はそのままでふやして、それでやっていけるというお考えですか。先ほどのお話によりますと、違った仕事をさせられておるんだから、お互いの能率を百パーセントに発揮できないんだ、これはトライアルな期間を置いて、もう少し待ってくれというお話だったと思います。それからまた、せっかく最高の科学技術だから、事務の方も機械化、科学化しようというお話もけっこうだと思いますが、いずれにしても、事務などの間違いというものは、事務の負担が過重であった場合には必ず起きるものです。それで、整理するために二倍、三倍の労力を要するということは、事務系統に携わった方はどなたも御存じであろうと思います。そういうことのために、やはり無理な計画はどこまでも無理を生ずる。それがためにさらに多くのむだな労力を費さなければならない。また先ほど申し上げましたように、新聞に出たようないろいろな誤解を世間から受けるというようなことがあってはならないということが心配されるわけです。私は、一つの建設的な考えとして、ただいまのようなことを申し上げたのでありますが、いろいろ心配されております。いずれいろいろの理想案、計画はお持ちであろうと考えておりますが、しかし、現実に負担が重くあってはいけないということ、その重くあるかどうかということが中心でありまして、これを軽くするという努力はけっこうでありますが、現実において重くあるかないかということを一つお聞かせ願いたいと思います。
  79. 駒形作次

    駒形参考人 ここに数字が出ておりますような程度におきまして極力現在やっておるのが実情でございますが、先ほど申しましたような工合に、機械化をするなり事務整理をやりまして、一元的に集中するというようなことによりまして、実際に事務は円滑に行くような工合にできる。まあ三十三年度において四百五十名を七百五十名に拡大していただきますに際しまして、十分そういうことを考慮に入れまして、配置の面、仕事の分担の面プラス機械力というようなことで、円滑にやるような工合にしたいと思っております。
  80. 志村茂治

    ○志村委員 駒形さんはなかなか遠慮深くて、しいて政府に人員の増加を要求することを言われないのですが、その点、原子力局ではどういうふうに考えられますか。
  81. 佐々木義武

    佐々木政府委員 原研の方からの予算の要求に際しましては、初め相当膨大な数の要求があったのでございますけれども、いろいろ採用人員の実現性と申しますか、量の問題もさることながら、質の問題も考慮して、これを充実しなければならぬという点もからみ合せて考えました結果、当初の要求より若干減りましたけれども、しかし、今年度予算に対しましては、御承知のように物の予算もさることながら、やはり人の予算が本年度の重点だということで、人員の充実という点に非常に重点を置いておりました。初め大蔵省ともだいぶ意見の食い違いはあったのですが、最後には大体原子力局並びに研究所の考え方を取り入れてくれまして、ほぼ満足すべき定員を取ったのではないかというふうに考えております。
  82. 志村茂治

    ○志村委員 考え方によっては、だんだん規模が大きくなってくれば、一般管理部門は、研究所であってみれば、比率的には軽くなるということも一応は考えられます。しかし、研究者にはできるだけ研究に専念してもらいたいということをわれわれ希望しておるわけです。それが、事務のためにさかなければならないということは、研究者を殺すことになると思うのです。こうなったんでは、本来の目的というものは貫徹できないというふうに考えられるのであります。いわゆる少数精鋭主義ということが、いつも逃げ言葉に使われるのです。少くとも能力の高い人を持ってくれば間に会うのだということは、管理者の立場に立つ人が年中そういう言葉を使うのですが、それがそもそも大きな間違いだと私は考えております。ですから、まず第一に経理上過重な負担になって間違いが起きないように、第二には研究所員が研究に専念できるような制度を無理のない形で、一つの型ができているから、大蔵省が渋って言うことをきかないからということではなくて、十分所期の目的を達成できるように、原子力局ではめんどうを見てやっていただきたい、こう思うわけです。
  83. 佐々木義武

    佐々木政府委員 その点に関しましては全く同感でございまして、御趣旨に沿うように努力したいと存じます。
  84. 齋藤憲三

    齋藤委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、日本原子力研究所運営の実情に関する調査は、この程度にとどめます。  参考人各位には、御多用中まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本日の議事はこの程度にとどめます。次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会