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1958-03-13 第28回国会 衆議院 運輸委員会陸運に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十三年三月十二日(水曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       有田 喜一君    生田 宏一君       河野 金昇君    塚原 俊郎君       濱野 清吾君    井岡 大治君       下平 正一君    中居英太郎君       松原喜之次君    眞鍋 儀十君 同日  有田喜一君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ――――――――――――― 会議 昭和三十三年三月十三日(木曜日)     午後一時三十七分開議  出席小委員    小委員長 有田 喜一君       生田 宏一君    永山 忠則君       濱野 清吾君    井岡 大治君       下平 正一君    中居英太郎君       松原喜之次君    眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  小委員外出席者         運輸委員長   赤澤 正道君         議     員 小山  亮君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     國友 弘康君         運輸事務官         (自動車局業務         部旅客課長)  黒住 忠行君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     岩崎  清君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部車両課長)  宮田 康久君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 三月十三日  小委員河野金昇君同日委員辞任につき、その補  欠として永山忠則君が委員長指名で小委員に  選任された。      ――――◇――――― 本日の会議に付した案件  陸運交通行政特に神風タクシー問題)に関す  る件      ――――◇―――――
  2. 有田喜一

    有田小委員長 ただいまより運輸委員会陸運に関する小委員会を開会いたします。  一言日ごあいさつ申し上げます。このたび小委員長に私が選任されたのでございますが、小委員会の運営につきましては、皆々様の御協力と御指導をいただきまして円滑に進めたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  これより交通行政、特に神風タクシー問題に関し調査を進めます。  この際お諮りいたします。小委員外運輸委員の発言につきましては、小委員長において適宜許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 有田喜一

    有田小委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。  それでは本日は主として運輸当局より説明を聴取することといたしたいと思いますが、警察部の方の御出席も求めておりますので御了承願います。それでは運輸大臣
  4. 中村三之丞

    中村国務大臣 いわゆる神風タクシーの問題は、社会問題として捨ておくことのできないことでございまするから、私は運輸行政監督の立場におきまして、去る十日東京における業界代表者運輸省に招きまして、この問題について業者警告を発し、善処方を要望いたしたのであります。これにつきまして業者側意見もありましたが、それらは自動車局事務当局よりメモを取っておりまするから、御質問に従ってお答えいたすはずでございます。いずれにいたしましても、神風タクシーの問題は運輸省として責任のあることでございます。しかしながらこれの関係各省に及んでおりまして、現に内閣には先年より交通事故対策本部というものが設けられ、またそれに対する要綱等も公表されております。この問題に関連いたしまして、特に自動車部会をその本部に設けて、至急成案を得て実行するという順序になっております。また運輸省自動車局におきましても、すでに対策は練られておりまして、逐次これを実行いたして参りたいと思います。衆参両院における運輸委員会に小委員会が設けられて、この問題をお取り上げになって、いわゆる神風タクシーを絶滅するということにつきまして、皆様方の御意見対策によってわれわれの実行しやすいように、どうぞ御鞭撻をお願いいたす次第でございます。
  5. 有田喜一

  6. 山内公猷

    山内(公)政府委員 それでは初めに私から、お手元に配付してございます資料に基きまして、東京都におきます現在の自動車概況について御説明申し上げたいと思います。  第一表は、東京都におきまする自動車の数でございます。駐留軍の軍人、軍属の私有車を含めまして、総数は三十二年十一月現在で三十三万七千両ばかりになっております。この表をごらん願えればおわかりになると思いますが、そのうち、乗用の中のいわゆる営業車というものがいわゆるハイヤータクシーの数でございまして、トータルは約一万二千五百両というのが現在変らない姿になっております。  次は第二表でございますが、第二表は東京都下自動車が第一原因になっております事故件数でございまして、これは警視庁の数字によったものでございます。年別推移によりますと、一般自動車事故といいますものは自動車数に正比例いたしまして、二十九年を一〇〇といたしまして、三十二年には一三六と上っておるわけでございます。ハイヤータクシーにつきましては、御承知のように三十年の十月に需給調整をいたしまして車両数がふえておりませんので、件数におきまして、二十九年を一〇〇として三十二年には八七と下っております。また死者は二十九年、三十年は資料がまだよくわかりませんのでブランクにいたしておりますが、三十一年と三十二年では死者は少し減っておる状況でございます。しかし傷者はふえております。  次に第三表でございますが、第三表は自動車を第一原因といたしました車種別業態別数字をそこに出してございます。これは三十一年と三十二年を対比いたしまして出しておるわけでございますが、そのうちハイヤータクシーにつきましては、乗用四輪の営業というのがそれでございまして、三十一年が総件数四千九十八件、三十二年が三千八百八十一件、死者が三十一年の百九人に対して三十二年は七十三人、傷者先ほどと同じように二千五百七十七人に対して三千二百三十五人と増加いたしております。  次の表は、車両欠陥事故につきましてどういう趨勢かというものを示した数字でございますが、これは全車両欠陥事故件数ハイヤータクシー事故件数というものを対比して並べてございます。全国におきましては、三十一年度と三十二年度、ちょっと年度が違うわけでございますが、対数換算ではそう違わないと思いますので、その手持ちの資料をお配り申し上げたわけでありますが、車両欠陥事故東京都におきましては全国より一%ばかり低いという数字になっております。全国が一〇〇に対して一・七、東京都は一〇〇に対して〇・七という数字になっておるわけでございます。  次に東京都下バイヤータクシー車両年式別平均車齢というものをお示ししてございますが、車齢平均は二・七一年ということになっておりまして、東京都下における車両はやはり比較的新しい車が走っているということを示しております。  その次の表は、人口の増加に対比いたします状態タクシーの事業の内容概況をおわかり願えるように数字的な表を作ってございます。人口は大体各年十二月一日現在の数字でございまして、これをとりました基本的な数字のもとは、東京都三百数十社のうちから六十六社を抽出いたしまして、その会社の分析をいたしたのがこの表でございます。人口はごらん願う通りでございまして、その次の一日一車走行キロは、三十年が三百二十八キロ、三十一年三百六十一キロ、三十一年三百七十二キロ、年間平均も逐次ふえておりまして、そこにお示ししてありますように、三十年を一〇〇といたしまして、一日一車の走行キロは一一三・七%というふうに延びておるわけでございます。その次は実車率でございますが、これは昭和三十年を一〇〇といたしまして、当時四四・三%のものが、三十二年の実績によりますと五四・三%、一二二・五と実車率は伸びる数値を示しております。それから一日一車の収入につきましては、三十年が六千三百五十一円、それに対しまして三十二年の年間平均は八千八百四十一円、数値にいたしまして一三九・二という数字を示しております。またこの営業成績を見るためによく使いますキロ当り収入というものもそこに示してありますが、これによりましても三十年に比べまして一二二・五、二十三円七十銭という数字を示しておるのでございます。  次は東京都のタクシー運転者給与体系につきまして申し上げます。この点につきましては先般当委員会におきましても一応御説明申し上げましたが、ハイヤーは一応その数字でごらんになるといたしまして、次のページにタクシーの百分率を示してございます。これによりますと、固定給が一7%、歩合給が七三%、皆勤手当等愛車手当無事故手当勤続給家族給努力賞というような諸手当が一〇%という構成比率をなしておりまして、この点が現在非常に問題になっている点でございます。  次に、運転者事故を起しました場合の負担の問題がいろいろ問題になっておりますので、その状況について陸運局におきまして調査をいたしました額を、ごく一部のものでございますが、資料としてお配り申し上げてございます。この点につきましては、昨年の第二・四半期より陸運局におきまして特に関心を持ちまして、監査の際に必ずその点に当って監査をいたしたものでございます。監査の対象の業者は、まだ全業者に及んでおりませんで、ここに並べておりますように二十一業者にすぎないわけでありますが、大体世間的に事故を起すとその負担は全部運転者というようなこともいわれておりますが、陸運局調査いたしましたところによりますと、この二十一業者のうち七七%は会社事故の全額を負担しておる。残りの二三%の会社は、事故に対して運転者責任程度その他を勘案して、その一部を負担させておるということがこの資料に現われております。以下はそれぞれの事例につきまして書き上げてあるわけでございます。  以上、大体概況といたしまして、東京都のタクシー営業並びに給与の一応概括的な御説明をいたしたわけでございますが、これに対しまして運輸省といたしましては、昨年来自動車局の中にこういう問題を検討する機関を置きまして、逐次陸運局に指令をしましてこういう資料の収集なり指導に当って参ったわけでございます。その一例といたしましては、たとえば厚生施設にいたしましても、監査の際に特に注意いたしますとともに、東京都におきましては特に全業者から厚生施設報告を求めまして、それもただ単なる報告だけではなくて、写真をつけた報告を求めたというような行政指導もやって参ったわけでございますが、ただいま大臣からのお話もございますように、特に東京におきます事故を防止し、絶滅するということにつきましては、各方面の関連が深い問題でございますので、内閣交通事故対策本部で正式に取り上げていただくということが最も適当であろうと思いまして、現在自動車部会においてこれらの審議をいたしております。その審議状況につきましては、まだ結論は出ておらないわけでございますが、この事故原因につきましては、たとえば道路の問題、その他交通規制の問題、いろいろあるわけでございますが、まず具体的に一つ一つ取り上げて解決するのがこれを防止する最も近道であるということでございまして、現在この給与の問題を中心に掘り下げて取り扱っておるわけでございます。これにつきましては近く結論を出すように各省努力いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、給与固定給歩合給状態が、諸手当を除きますと一七%と七三%という数字になります。これはあまりにも比率が広過ぎる、この比率をどの程度までに持っていくことがいいかどうかという問題、あるいはノルマといいまして一定基準働くことを強制されておるということが交通事故を起す一つ原因ではないかという問題も取り上げております。あるいは給与制度の中で特に問題にいたしておりますのは、累進制手当歩合給というものを出しておるところもあるようでございまして、こういうようにとにかく一日の走行キロを延ばすように働かせる給与制度というものは、この際何としてもやめさせなければならないということで、これらの点につきましては内閣に置きます本部でやりますとともに、要は業者が自主的にそういうことについて自覚をし、法規を守るということが望ましいので、われわれの方は各業界にも運輸省の――まだ経過的なものでございますが、業界自体におけるそういった努力を要望いたしております。先ほど大臣がお話しになりました際にも、業界も今回はそういう点について自分たちの方も十分に努力をするという言明をいたしておりますので、われわれも強制権を用いるのでなくて、業界自体がそういう法規を守り、事故を起さないという方向にいくことを行政指導としても現在やらせておるわけでございます。  以上、簡単に現在までの経過につきまして御説明申し上げました。
  7. 有田喜一

    有田小委員長 質疑の通告がありますからこれを許します。松原喜之次君。
  8. 松原喜之次

    松原委員 私は、まず内閣に置かれた交通事故防止対策協議会ですか、これがどういういきさつからこういうものができ、そうしてどういう仕事をし、その構成メンバーはどういう人であるか、それからでき上ってからの経過はどういう経過を経ておるかということをお伺いしたいと思います。
  9. 中村三之丞

    中村国務大臣 交通事故対策本部という名前で、総務長官本部長でございます。それらの機構、従来からの経過、これは自動車局長から答弁いたさせます。
  10. 山内公猷

    山内(公)政府委員 この機構はただいま大臣の申されましたように、内閣に常置の事故対策本部というものがありまして、これは各交通機関事故について全般を審議をする機関でございます。今度その中に自動車部会というものを作ったわけであります。その分担において言いますと、先ほど申し上げましたように、私どもの方も昨年来この問題についての介入をいたしておりましたが、自動車行政が各方面の官庁に関係するところが多くて、運輸省だけでも解決しにくい問題も相当あるわけであります。この際それぞれの省庁にお集りを願って、総合的な、そういう事故防止対策を進めたいという点について、この自動車部会内閣に設置していただいたわけであります。その部会長内閣総理大臣官房審議室長がなっております。部員といたしましては、警察庁の警備部長運輸省自動車局長労働省労働基準局長建設省計画局長でございまして、それぞれの局におります課長あるいは部長が参画をいたしておるわけであります。  この仕事内容といたしましては、ただいま御説明申し上げました労働条件改善あるいは経営方法改善、その他交通取締り面というふうに、各般の問題に今後進んでいかなければならぬと思うわけでありますが、先ほど申し上げましたようにとりあえず労働条件改善、その中で賃金制度合理化というものが現在一番問題になっておるので、これについて各省庁で掘り下げて研究をしていこうということで、現在作業を進めておるわけであります。
  11. 松原喜之次

    松原委員 私の承知いたしておるところでは、交通事故はこの数年各種の交通機関の間に相当に起っております。従ってこの交通事故防止対策政府において重点的に取り上げられるということは、今にわかにこれを作るという問題ではなくして、すでに海難も続々起ったわけでありますし、あるいは航空交通における事故もありますし、その他いろいろ交通事故に関して望ましくない現象が数年来起っておるにもかかわらず、今内閣にこういう機関が作られたということは、これはいわゆる神風タクシーとして新聞等をにぎわしたその際に、対策を講ずることは必要であろうけれども、しかし直接の原因は、東京におけるハイヤータクシー事故というものが大きくクローズ・アップされて、その結果としてこういうものが生まれたというふうに私どもは感ぜざるを得ないのでありますが、果してそうでありましょうかどうか。
  12. 中村三之丞

    中村国務大臣 内閣に設けられておりまする事故対策本部は三十年六月にできております。そうしていろいろの要綱によりまして交通事故を取り上げて対策はできておる。従ってその対策によって、たとえば踏切道事故、これなども取り上げられまして、すでに運輸省鉄道監督局長でしかるべく法案を出す、そういうところまでいっておるわけでございます。ただ自動車部会は、これは最近できたことは事実でございますが、いわゆる対策本部は三年前からできておるということを御了承願いたいのであります。
  13. 松原喜之次

    松原委員 それでその対策本部の設けられた経緯及びその仕事につきましては、私の思い違いであったようでありますけれども、少くとも自動車部会が作られ、そうして主としてその対策本部仕事が今自動車部会に向けられておるということは、私は否定することのできない事実であろうかと思うのでありますが、果してそうであるとするならば、これは運輸省自動車行政に対する一種の不信任的な動きではないか、こういうふうに考えるのでございまして、むしろ今聞きましたようなメンバーでこの自動車部会を作って、そうして事故防共方策研究まれるというよりは、これは運輸省中心になって、運輸省自動車局内においてこういうものがすでにできておったのでありますから、それを拡大強化して、運輸省主管のもとに、少くともさしずめの問題解決等ははかられるのが、私は順序でなかったかと思うのであります。そういう神風タクシーのために、バイヤータクシー運転手賃金をどうするこうするというような問題を、内閣対策本部の場でそういう人たちを集めてやられるよりは、むしろ主管であるところの運輸省自動車局中心としてやられる方が、本来の事実の真相を把握して、その上に適切な方策が立てられるということに対する最も適当なやり方ではなかったか、こう思うのでありますが、こういう点について運輸大臣どう考えられますか。
  14. 中村三之丞

    中村国務大臣 やはり交通事故全体は、広く関係各省とも影響し、緊密な連絡をとらなければならぬのでございますから、内閣交通事故対策本部を設けられておるということは、私は悪いものじゃないと思います。しかし今仰せのごとく自動車であるとか、あるいは船、列車、踏み切りもそうであります。それから航空も入れればときどき事故を起したりしています。それには何といったって、運輸行政責任をもってやらなければならぬのでありまして、この対策本部自動車部会ができでましても、交通の制限とかいう警察的な関係は各方面意見を聞きますけれども自動車会社というものは、道路運送法によって運輸省が許可をしている、一種の保護をしておる会社であります。こういうものの会社内容あるいは給与の問題は、一番運輸省がよく知っておるし、また知っていなければなりません。しかしやはり労働条件その他になりますと、これまた労働省とも協力して参らなければなりませんから、私はそういう連絡を密にする上におきまして、本部のできておるということは、悪いことはないと思いますが、事運輸行政に関する責任は、運輸省のおのおのの局が持っているということでなければならない。また私もその責任を持っていかなければならぬのでありまして、今神風タクシーの問題が社会に取り上げられて、皆様の御審議をわずらわさなければならぬということは、ある意味において私も非常に責任を感ずるばかりか、ある点からいえば、運輸行政は何をしておったとおっしゃられても、私は弁解の余地はございません。しかし起った問題に対してケース・バイ・ケースでこれを解決していくということが、現実の運輸行政当局者のなすべき仕事でございますから、世論の動向にかんがみまして、まず第一に、先ほども申し上げましたごとく、タクシー会社代表者、これは協会の形になっておりますが、これらの人々をお招きして、私は警告を発し、またわれわれの意見も申した次第でございまして、仰せのごとく運輸行政中心とする事故対策は、これはもう運輸省が全責任を負うてやらなければならぬのでありまして、もしこれが完遂をしないという場合になれば、世間から運輸当局責任を問われても私は甘んじなければなりませんが、しかしただ責任を問われて甘んじるだけではありません。対策を立ててこういうものを絶滅していく、それには国会の皆様方の御意見も、また立てられたる方策についても、これを承わって、私どももその線に沿うて実行していきたい、こういう意味で私は最初に御折導、御鞭撻を賜わりたいということを申し上げた次第でございます。
  15. 松原喜之次

    松原委員 私はこの点をあまり深く議論しようとは思いませんけれども、われわれの受ける感じといたしましては、どうも運輸委員会が何も知らぬうちにそれに関するいろいろの議論が他の方面でされておる。運輸省はみずから主管仕事でありながら、それのまことにこまかい運転手の給料の問題まで、他のところで審議されなければならないというような、そういうふうな場面を現出したということは、何と考えても、これは一方においては運輸省権威を傷つけるものであるし、二面においてはどうもしろうとが寄ってそういう議論してみたところで、これは運輸省のくろうとがほんとうにやる仕事から出てくるところの結論に、とても及ぶものではない、こういうふうな二つの心配を持っておるから実は申し上げたわけでございまして、できた以上はそれをぶちこわすわけにもいかないとするならば、今後こういうようなことが起らないように、たとえば各省の所管にわたっておる仕事というのは幾らでもある。そういうふうなものがどうも各省にわたっておるから内閣機関を作るのだといえば、あらゆる行政の各分野にわたって、内閣にそういうものを作らなければならないということに相なるわけでございます。従ってこういう世間の声に、にわか作りのそういう機関、少くとも自動車部会を作って、そこへ寄せて、運輸行政のディテールまで相談をし、話し合うということは、実は運輸省としての権威を傷つけることだから、今後はそういうことのないように私は望みたい、こういう感じをもって申し上げておるわけでございます。実際その点ではやはり運輸省が自覚してもらって、事こういうことになる前に、もっとしっかりとした対策運輸省みずから出すならば、おそらくは今日内閣にそういう機関を作られるようなことはなかったのではなかろうか、かように考えるわけです。  そこで第二の、しろうとが寄って、どうもやかましくなったからとりあえず間に合せのものを作って、一つ世間の声にこたえようなどというような、にわか作りの不用意な状態で、そうしてしかも結論を急いで出すというようなことになれば、これは非常に見当違いなことが起るのではないかということを私はおそれるから、その点も実は心配なのでございますが、まず第一番に事故数の問題でありますけれども昭和三十年から三十二年にわたって、これは少くとも問題になっておりますハイヤータクシーに関する限りは、ちっとも台数東京都でふえたわけではございません。また従業者の生活の安定の程度から申しましても、改善こそされ決して悪くはなっておりません。それから給与制度におきましても、もちろん現在のものがよいとは私は考えておりませんけれども、それにしても二十九年から三十二年にわたっては、多少改善のあとはありまするけれども悪くなったことはないと思うのであります。しかるにもかかわらず逆に事故数から申しますと、同じ台数自動車事故件数は減っております。またタクシーハイヤーだけについて申しても、やはり減っておるわけでございます。事枚数も、あるいは、傷者は別ですが、死者の数も減っておるようでございます。それが今にわかに事故の問題が非常に問題になってきたからというので、その原因が全部ハイヤータクシーの内部にあるのかどうかということについて、もう内部にあるのだときめてかかるような危険な分析では、とうてい適正な結論を得ることができないと私は思うのであります。すなわちこの事故件数がふえたということは、その真相を見ますると、昭和二十九年から三十二年にわたって、路上における交通の輻湊が非常にはなはだしくなってきた、実はほんとうの原因はそこにあるのであります。もちろん道路を歩いておる人の状態もほぼ同じくらいである、自動車の数も同じである、しかもハイヤータクシーにおける事故件数は減っておる、全体の自動車事故件数がふえておる、こういう点から考えてみますると、結局路上の全体の自動車が非常にふえたからである。ほんとうの原因はそこにあるのだ。ここから問題の解決を考えていかなければならない。単に運転者給与問題だけがいかにも唯一の原因であるかのように、その点にだけ対策を集中するようなことではいけない。むしろその原因道路と、道路の上を通っておるすべての交通機関あるいは通行者、こういう全体の交通との関係において事故がふえてきておる。従ってそれをどう解決すべきかということが一番の問題であると私は思うのでありますが、そういう点についてはどういう考え方をしていらっしゃるか、見解を承わりたいのであります。
  16. 中村三之丞

    中村国務大臣 こういう交通事故にはいろいろな原因がございまして、これ一つであるとは申しません。従って道路の悪いことも一つ原因でありますし、また悪いばかりか、その道路自動車道というものは、理想からいえば専門的にこしらえることも必要でございましょうから、道路ということも問題でございましょう。しかし少くとも神風タクシー中心とする問題から考えますならば、運転手給与の問題が心理的影響を及ぼして事故一つ原因になっておることは、これは否定することはできないと思います。そのほかにもいろいろ原因があると思いまするけれども、総合した原因、これをもって解決していかなければならぬ、またそれによって対策を立てていかなければならないと思います。また人をひいて、今の保険がわずか三十万円、こういうことも、私は近くこれを改正するようなことが起ってくると思います。要するに総合的にこれを見ていかなければならぬのでございます。  それから対策本部というのは、先ほど申しましたように三年前にできておりまして、これは全国交通全般にわたって、内閣でそれを統一してやろうという考え方であります。もとより自動車であるとか船であるとか、その他運輸行政関係いたしまする事故につきましては、運輸省が全責任を負わなければなりません。またそれに関するいろいろの資料も、また経験と申しますか、そういう業者に関する内容もよく知っておりますから、仰せのごとく運輸省がやらなければならぬことは申すまでもございませんが、事故対策という総合的な立場におきまして、虚心たんかいに関係各省意見対策を聞くことも、私は運輸省として幅の広い態度である、こう考えておるのでございます。
  17. 松原喜之次

    松原委員 どうも大臣のお話はばくとしておりまして、ほんとうにどう考え、どういうふうな方向に進めようという考えを持っていらっしゃるのかよくわかりませんが、さいぜん私が申し上げたのは――第二ページのハイヤータクシー事故件数のところを見てもらえば、二十九年の件数の指数は一〇〇であって、そして九四、九二、八七というふうに、神風タクシーで問題になっておるタクシーハイヤー事故件数は減っておりますね。ところが今問題になっておるわけです。もちろんこれはゼロになるまでは問題にしなければならぬことはわかっておりますけれども、少くとも減っておる。今にわかにふえてきた問題ではないのです。従って今問題になっておる神風タクシー事故原因ハイヤータクシーの内部にあるのではなくて、ほんとうの原因は、同じ台数ハイヤータクシー事故が減っておる点にかんがみましても他にあるのではないか。たとえば全体の数がふえたことももちろん第一の原因でありましょう。しかし道路がりっぱであればそんなことにもならないのですから、道路の不完備ということも大きな問題でありましょう。さらに自家用車が非常にふえた、あるいはオート三輪が非常にふえた、これは営業用と自家用とございます。こういうふうに、道路は大した改良もされていないのに、自動車数はトラック、二輪車まで加えて非常に数がふえて参った、こういうようなところに事故がふえておるほんとうの原因があるのではないかというふうに私は考えておるのです。そこでそういう点についてはっきりした認識を持たなければ、抜本塞源的な対策は立ちませんぞ。世間ハイヤータクシー神風タクシーを問題にして、もう事故といえばハイヤータクシーだ、そしてこのごろはどんどんふえてきたのだ、これではとても何らかの対策を緊急に講じなければだめなんだという感じを持っておりますけれども、そういう感じでものを判断し、結論を出しては誤まりますぞ。この数字が示しておるように、ハイヤータクシー東京における事故はむしろ減る傾向を持っておる。しかも全体の自動車事故はふえておる、こういうふうに考えてみますると、自動車事故ハイヤータクシーのみに集中して考え、ハイヤータクシーの内部の制度その他が悪いから、世の中の自動車事故がふえるのだというふうな、一足飛びに飛躍した考え方でものを判断されたら違いますよ、こういうことを申し上げておるのでありまして、この点に関して大臣はどういう考えを持っておられるか、お聞きしたいのであります。
  18. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は交通事故の全部がハイヤータクシーの全責任だとは申しません。しかしながら少くとも責任を持ってもらうのだ、なるほど死者は減っておるかもしれませんけれども、傷ついた者はふえております。だから私は、ハイヤータクシー死者が減っておることは喜ばしいことだと思いますが、しかし一面において傷ついた者はふえておる。ですから私はハイヤータクシーに全責任を負わしませんけれども、少くとも交通事故の一部分についての責任はなしとは言えないと思うのであります。しからばこれはどういうところに原因があるのかと言えば、それはあなたのおっしゃるように道路の問題もございます。あるいは交通違反に対する制裁がどこまで行われておるかどうかということもありましょう。しかし少くとも給与の問題もその一原因であることは、これはもう世論の示すところであるばかりか、われわれの検討いたしましたハイヤータクシー給与の構成から見ましても、私はあまりにも請負制というものと固定給――固定給は一面において保証給でございます、そこの幅が広いということは私は公平に見て言えると思うのであります。
  19. 松原喜之次

    松原委員 私はそういう議論をしているのではないのです。これは山内さんから一つ御答弁願いたいのですが、なるほど傷者は三十一年と二年では三十二年の方が多いけれども、二十九年も三十年も数字は出ておりません。そこでハイヤータクシー事故件数については、この件数全体を見る方が正しい判断がつくと思う。そうすると四千四百六十六から三千八百八十一に減っておる。死者の面についても三十一年と二年だけしか載っておりませんから、二十九年からのことは申し上げられませんけれども、ともかく相当に死者が減っておる、たまたま傷者が多少ふえておる、こういうふうな数字が出ておるのでありますが、私の申し上げるのはそうではないのです。私はあとで申し上げますが、中村さんがおっしゃるように、給与がいいとは決して申さない。そんな議論をしておるのではない。つまり自動車事故全体の原因がどこにあるかということをはっきり把握せねば困る。単に給与制度が悪いから事故が多いのだというならば、これはむしろ減っておるのでありますから、給与制度そのままでも減るかもしれぬ、もっと減るだろう、こういうふうな推定も下せるのですから、そういうことまで私は申し上げませんけれども自動車事故原因というものは自動車事故自体は一万三千五百八十二から、一万八千五百十九までこの四年間にふえておるのですから、しかもバイヤータクシーの方は減っておるのですから、そういう点にのみ力点を置いた、世の中が神風タクシーだというから、神風タクシーだけに目を向けて、その問題だけを究明して議論しておったのでは、ほんとうの適切な結論が出ないから、ほんとうの原因というもの、真相というものに対する正確な把握をしてもらいたい。ハイヤータクシーはこういうふうに裏故は減っておる、全体の自動車事故はふえておる。ハイヤータクシー事故の中にも、ここに第一原因とか何とか書いてありますが、もっと詳細に分析していきますと、このハイヤータクシー自体の事故の中にも、他の種類の自動車原因によっておることがたくさんございます。従いましてその全体の事故原因、ふえ方等に対する認識をはっきりしてもらわないと、適切な結論が出ないから、まず第一番にその点についてどれほどの認識を持っておられるかということを、実はお伺いしたのであります。
  20. 山内公猷

    山内(公)政府委員 事故の集計につきましては、お手元に差し上げております第二表にありますように、ハイヤータクシーにつきましてはわずかずつではありますが、漸次好転をしておるということは、実は私どもいろいろおしかりを受けておりますが、従来とてもこの事故防止について運輸省が熱心でなかったわけではないわけであります。常にその点について、われわれの方は努力をいたして参っておったわけでございます。ただ先ほどこの資料の御説明にも申し上げましたが、決して好ましいことではございませんが、自動車事故というものは、やはり自動車台数にどうしても正比例する傾向があるわけでございまして、その点ハイヤータクシーはふえていないというので、自動車が多くなったためにふえるという原因はない。その点である程度改善されたということにもなろうと思います。ただしかしわれわれといたしましては、別の見地からいいますと、自家用車が一日に走りますキロと、営業用車が一日に走りますキロとは違います。それで自動車一台当りの事故のふえる数からいいますと、大体自家用車の六倍くらいの事故がふえるわけでございます。自動車は車席に人っておれば事故は起らないわけでございますが、やはり走ることによって事故が起ります。そうしますと、特にこのハイヤー事業というものは公益事業でありまして、一般の人の持っておる車とはおのずから異にいたしまして、安全の上にも安全に走らなければならない使命を持っておるというふうにわれわれ考えておりますので、この数字をもって満足することなく、できればこの事故件数は、社会情勢において不可能だろうと思いますが、零にしたいという気持を持っておりますが、できるだけ少くしていく。それには事故の起るであろう原因を究明いたしまして、なくしていく。それには松原先生の申されました道路状況、これは非常に大きな問題でございます。それは今日すぐ直る問題でございません。長い努力をしてやらなければならない問題でございます。私の説明が足りなかったのでございますが、まず給与の問題を取り上げたということは、これで終るわけではありません。たとえば現在の東京都内におきますスピードのあり方はそれでいいのか、これも先般のこの委員会で御説明いたしたかと思いますが、事故の起ります大きな原因は、スピード違反が非常に大きなものを占めております。それと追い越し、割り込み、それから停止、徐行無視というようなものでございます。そのほか個人的な原因といたしましては疲労とかわき見とかいうものでございまして、逐次そういうものを具体的に究所をして事故対策を立てていきたいというのが、われわれこの事故防止対策本部自動車部会の問題にいたしておるわけでございます。そういう交通関係の取締りその他になりますと、どうしても警察庁、警視庁の分野でございますし、われわれもその点につきまして事業を監督している面からのいわば意見を取り入れてもらいたいということで、総合的な部会としているわけでございます。以上この数字につきまして簡単に申し上げましたが、ハイヤータクシーだけが事故が多いということの数中ではないわけでございますが、われわれといたしましては、とにかく公益事業として安全の上にも安全にやらなければならない事業でありますために、特にこの点についての事故に関心を持っているということでございます。
  21. 松原喜之次

    松原委員 私も現状でよいとは言わないのであって、あらゆる手段を講じて事故を防止しなければならないという考えを持ち、そのために私ども個人としても、あるいは公人としても、これに協力することに決してやぶさかではないのです。ただしかしながら世間でわいわい言うていることが、専門家から見て果してそれがそのまま受け取って正しいのかどうか、もっと実情を究明して、この内閣対策本部においても、この数字をよく見て、そうしてどこにほんとうの最大の原因があるかということを考えて、そうして道路行政にも大きな力を入れなければ、抜本塞源的にこれは解決がつかないのだ。それからまたハイヤータクシーは減っているけれども、さらに自動車事故というものはふえている。それは数がむやみやたらにふえるからである。そうするならば、道路改善せられざる限り、この数をむやみやたらにふやすことをほうっておくのかあるいは制限するのか、そういうような点に触れてこなければ、抜本塞源的な自動車事故の追放に役に立たないのだ。こういうことをよく認識させて、その上でやる。いわば一つの末梢である給与制度を唯一無二の大きな仕事のように思ってそういうことを研究するのは、見当違いもはなはだしいと私は考えておりますから、それでさようなしっかりとした認識を本部でもさせて、そうしてその上に立って抜本塞源的な対策を立ててもらいたい、こういうことなのでございまして、決して現在の事故をこのままでいいのだ、タクシーハイヤー事故が減っているからそれで満足すべきだ、こういう考えを持っているのではないのです。そうして給与についても、いわゆる固定給は三千円、四千円、五千円というような東京の実情が大部分でありますから、こういうようなものはもっと安定した給与制度に変えていかなければならないだろうし、またスピード違反をしないように営業面からもこれを制約できるような方策も講じなければならないであろうし、その他私はくろうとでありまするから、いろいろの方策は考えておりますが、しかしまずもってその事故状況、その真因、それの抜本的な対策はどこにあるかということをはっきり認識した上で、だんだんこまかいところまで及んでいったときに初めてそういう問題は内閣対策本部で協議せられるのであって、対策本部給与問題に一生懸命にまっ正面から取り組んでいるなどということはみっともない。まるで見当違いの話だ、それくらいのこまかい点は自動車局でりっぱにやっていけるのだ、そういうふうな考え方で一つ臨んでいきたい、こういうふうなことのために私は先ほどからくどくどと申し上げたわけでありまして、あなた方の対策に反対しておるのではないのです。問題の取り組み方が間違っていやしないか、こういうふうに私は考えまするから、かように申し上げておるわけであります。どうぞ一つ大臣その点で御見解を承わりたいのであります。
  22. 中村三之丞

    中村国務大臣 交通事故対策本部仕事は、自動車関係では自動車局がやります。自動車局が主導権をもってやらなければならぬことは申すまでもございません。しかし今申しましたごとく、道路とか交通関係するところが多いのですから、その本部意見を聞いてきめるということで、あります。それから給与の問題は、事故の一原因であると私は信じます。しかしもっと大きく言えば、自動車の需要供給ということもあるでございましょう。しかしながらこれ以上ふやしたらよけい事故が起るとも私は思いません。むしろ逆に事故が多いから自動車の数を減らせというようなことは私どもは言えないと思う。やはり需給のバランスはとらなければならない。しかし事故が多いから自動車数を減らせという議論には私はならぬと思います。むしろ運転手の技術が進歩し、需要給供のバランスをとらなければならぬということになりますならば、場合によっては許可をするということもあるでございましょう。しかし現在はストップの状態になっておりまするけれども事故の多いのは自動車が多いためだから自動車数を減らせという考えは私はとることはできません。
  23. 松原喜之次

    松原委員 それはめくらヘビにおじずという大へんな考え方です。それは一台当りについて見ればアメリカの自動車事故は日本よりも少いけれども、しかし台数が多いから事故の絶対数から言うたら、日本よりもアメリカの方がはるかに多い、絶対数からいえば非常に多い。そこで日本でも道路をそのままにしておいて、自動車の需要供給だからほしいものには幾らでも持たして、幾らふやしてもいいのだという考えであれば、先ほど自動車局長が言ったように事故がある程度比例してふえていくことは免れない、そこでそういうふうな問題をも加えて考えていかなければ、自動車という場合に、私はタクシーハイヤーの数だけを言うているのではない。全体の数と道路とどうバランスをとっていくかという問題を考えつつ私は申し上げておるのでありますが、それは野放しに何ぼでもふやしていいのだ、給与問題が解決つけば世の中の交通事故はみんな減っていくのだ、そんなのんきな考え方ではおかしい、だからこういう点については抜本塞源的に道路の方から改良していくか、あるいは事によれば自動車の大きさとか、あるいは自動車台数とかいうような、道路の割合に観光バスが大き過ぎて困るというような議論もありますから、そういうふうな点もあわせて考えていかなければならぬ、こういうふうに私は考えておるのであります。
  24. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は道路をよくする、ことに自動車の大きさについて保安基準を厳重にする、これはやっておることでありまして、そうむやみやたらに大きな自動車を日本の不完全の道へやられてはたまったものではない、あるいは防護策を完備するとか、あるいはそのほかのことをやらなければなりません。しかしながら私の考えますことは御了承願わなければならぬ、自動車をふやしさえしなければ事故は起らないという意見は、私はどうも考えることはできないのです。そういうことを言う人が一部にありますが、それは自己を保護するための口実でありまして、そうは私は言えないと思うのです。しかしながら別に私はむやみやたらにふやせとは申しませんよ。バランスをとらなければいけません。しかしながら現在東京には自動車が多過ぎる、これ以上新規免許するなという根拠にはならぬと私は思うのです。
  25. 松原喜之次

    松原委員 私は何も新規免許とかそんなことを言うているのではないのですよ。道路を改良しなければ、無制限に自動車がふえたら交通事故はふえます。だからこの点についてよく考えなければだめだということを申し上げておるので、ハイヤータクシーだけを申し上げているのではないのですよ。相当まじめに考えなければいけない、道路はこのままだ、自動車は無制限にふえる、それで各国では道路の改良をやっているのです。それをやらないでは道路はとても今日どうにもならない。それで自動車はふえてもよろしいのだ、これはとめるわけにはいかないのだ、こういう考え方だと問題は壁にぶつかってしまう、こういうことを申し上げておる。これはいやしくも交通行政を担当しておられるのですから、この点は根本的に考えてもらわなければなりません。
  26. 中村三之丞

    中村国務大臣 それはよく私も心得ております。だから総合的対策をやるために、内閣事故対策本部ができまして、運輸省だけで独占して対策本部をやることも考えておらないのです。従って今度の予算でも不十分かもしれませんが、道路もやろうと言っておる、ことに観光道路をやろう、道路を改修しよう、こう言っておるのでございますから、われわれといたしましては、松原君のおっしゃるように、総合的にやっておるつもりでございまして、何もハイヤータクシーに全部の責任を負わしてやるというような考えはございませんが、しかしながら少くともハイヤータクシー責任なし、われわれは一向関係はないと言えないというのが私たちの考えです。
  27. 松原喜之次

    松原委員 どうも話が何だか変にハイヤータクシーのところへ引っぱっていかれますけれども、私はそういうことをちっとも言うていないのです。あなたの言うのは、観光道路をやるとかあるいは国道をやるとかいう話、それと都会における輻湊した自動車交通とはあまり関係がないのですよ。これは従って道路行政が都会の道路にまで及んできてから、あなたの話はそれは一つの弁解として持ち出されてもよいけれども、現在の政府道路交通は、都会における交通輻湊に対する対策としての都会の道路拡張とか、あるいは根本的な計画とかいうようなものは一つもできていない、従ってその方は固定するわけです。それにこの交通行政をあずかっておる運輸大臣自動車を何ぼふやしてもよいのだ、都会の道路はしばらくこのままだ、これではほんとうに抜本塞源的な対策を生じてこないのですから、自動車は何でもふやしなさい、そのかわりそれを収容するだけの道路計画を立てましょう。あるいはその道路計画を立てるまでは、ある場合においては全体の自動車の数というものについても考慮しなければならぬ、こういうふうになってこそ、ほんとうの原因をよくお知りになって、その上でものを考えておられるということになりまするけれども、何ぼでもふやせ、これではどうもお考えが違うのではないかと私は思うのであります。
  28. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は何ぼでもふやせとは申しません。需給のバランスはとらなければならぬということを申し上げておるのでありまして、何ぼでもふやせというような乱暴なことは私は申しません。そこであなたのおっしゃる通りの道路のことは国のやることと党のやることとございまして、これは今後大いに道路はよくしていかなければならぬということは申すまでもないことであります。私はそこでその点は、事故自動車数さえ少くすればよいというだけではいかぬと私は思っております。この点は御了承願いたいのですよ。一部の人が言うように、いや事故の多いのは業者がふえるからだ、自動車数がふえるからだということは言えない、やはりバランスはとらなければいけない、だから需要の多いところは供給をふやしてもよいと思う。これは幾らやってもよいと思うのです。
  29. 有田喜一

    有田小委員長 先ほどから大臣とあなたの質疑応答を聞いておりますと、あまり相違ないですね。同じようなねらいを言われておるのだが、少し過度に言われるのじゃないかと思うのです。総合的にやろうという意見は一致しておると思うのです。もう少しお互いにすなおに言ったら一致するのじゃないかと思いますがね。
  30. 松原喜之次

    松原委員 大臣に申し上げますが、事故原因の大きなものは三輪車にあると思うのです。三輪車の運転手というものは割に法規に習熟していないし、運転もなれていないし、年も若いし、相当無理な運転をするためにみずから事故を起すのみならず、ほかの事故をも誘発するような点が相当あると思うのです。そして、そういう一般的な自動車の数と道路状況というものを考えなければ、事故問題の根本は解決つかないこのことを申しておるのであって、ハイヤータクシーの需給とかなんとかいうことはまた別の議論があるわけなんです。
  31. 中村三之丞

    中村国務大臣 大局的にあなたがそうおっしゃることは、だれが見たってそうでございます。だから交通事故対策本部内閣にあるというわけなのです。これは別に議論をする必要もない、おっしゃる通りでいいと思います。
  32. 松原喜之次

    松原委員 一番の主管大臣である中村さんが、何だか変な小さなところへ一生懸命に力を入れているような態度では、この対策本部の方向というものを誤まるから、運輸大臣道路自動車全体というものを考えて、よくそれに適切な方策が出てくるように認識してもらいたい、これが私の考えなのです。
  33. 中村三之丞

    中村国務大臣 よくわかりました。しかしながら少くともハイヤータクシー事故について責任を……(発言する者多し)これは私申し上げます。だから神風タクシーをとらえて、まず第一にこれを解決して徐々に他をやっていく。やはり現在世論がやかましいので、その世論に対して――あなたはしろうとだからわからぬとおっしゃるかもしれぬけれども、これだけ世論が沸いておるときに、政府当局としてはこれを取り上げて、これから一つ解決して全部に及んでいく、これは私の信念として御了承願いたい。それがおかしいと言われるならば、それは私は意見が違うと思いますが、やはり問題になっているところから解決していくということはやむを得ないことだと思います。
  34. 生田宏一

    生田委員 ちょっと関連したことでお尋ねしたい。対策という言葉で大臣松原委員との間でやりとりがあるようでございますが、規則を守ることによって事故を少くすることが、日本の現状においてはできるのかどうか。具体的に申しますならば、たとえば日本の東京や大阪のような自動車のはんらんしておるところと、もっと車の多い外国の例と比べてみて、車の数量に対する事故の率が、日本が多いのであるか、あるいはアメリカあたりが多いのであるか、それがわかれば事故に対する対策というものも出てくるはずです。どこに隘路があるかということが出てくるはずであります。それからもう一つは、交通のごとが議論に出ておるようでございますが、アメリカの例を見ても、ロスアンゼルスのように新興都市ならば、自動車道というものを当初から考えて都市を建設することができる。しかしニューヨークのように、自動車の発達しないときに町が大きくなったものであって、道路を大きくする、幅を広げる、あるいはハイ・ウエイを作る、そういうことが経済的にもすでにできなくなった都市においては、仕方がありませんから、古い町の形で交通をやっておる。最もいい例はロンドンあるいはパリがそうでございましょうが、そういうようにやっておる。そういう場合にたくさんの車両があるのであるが、しかしなおかつ交通規則が非常に守られておるから、それで事故というものは少くなっておるのじゃないかと思うのですが、諸外国の実態はどうなっておるのであるか。但しその場合にはその自動車の持つ速度とか、あるいは便利さというものがある程度減ってくる。そうして自動車の持つ時間に対する利便といいますか、そういうものが多少減ってくるかもしれぬけれども、しかし都市交通というものを事故防共の建前からそういうふうにやっているのではないかと思いますので、諸外国の例はどうなのか。もしそうであるならば、東京交通事故を考えてみて、もっと交通規則を整備する必要がありはしないか、たとえばパークなどについても東京都においても相当の対策を立ててやっているようでございますが、これについてももっと徹底した考え方はないものだろうか。それが単に自家用車のみならず、ハイヤータクシー、あるいはトラックにおいても、そういうようなことをもっと厳格にして、交通事故を防止する方法はないものだろうか、こういう問題が解決されるならば、松原委員大臣との間の御議論も具体的に解決できるのではないかと思いますので、はなはだ差し出がましいようでございますが、今の問題に対してにお答え願えたらけっこうだと思います。
  35. 山内公猷

    山内(公)政府委員 資料が少し古いので恐縮でございますが、これはアメリカ国家安全会議発行の一九五五年版によります一九五二年の自動車十万台当りの死者の数でございまして、これで概括的なことはわかるのではないかと思います。それによりますと、日本の状態におきましては、自動車一万台当り六十五人の死者数をあげておりますが、それに対してアメリカが七・二、イギリス一〇・一、フランス二二・ベルギー一三、オランダ一七・二というふうに、日本の死者の数が比較にならないほど非常に高い状態になっております。  それから後半の御質問でございますが、アメリカにおきます状態、たとえばニューヨークなどは東京に変らないような自動車の雑踏を示しております。的確な数字は持っておりませんが、事故は日本より低い。それはやはり一般の交通道徳の順守と自動車法規がよく守られているということにあるわけでございまして、これは道路面における解決の問題になりますが、一般的に言いまして、現在アメリカにおきましては四万一千マイルのフリー・ウエイ計画というものが作られております。その根本的な原因としましては、並行路線にフリー・ウエイが作られました場合には、混合交通よりもフリー・ウエイの事故は八割減るということで、人命尊重のために四万一千マイルのフリー・ウエイ計画があり、各都市でもそういう計画を作っております。ただいま御指摘のように、ニューヨークなどになりますと、御承知の通りあそこは岩盤でございまして、ここに非常に高層のビルが建っておりますので、路面を広くすることができない。どういう方法をとっているかと申しますと、都市におきます交通は、市内における交通と、市外から流れ込んで、それからまた市外へ行く交通と二つあるわけでございます。そのうちニューヨーク市あるいはほかの市を通過する交通につきましては、一般のフリー・ウエイを作ってできるだけいわゆるバイ・パスへ回していく、その面だけ交通量を少くしていくというのが交通的な常識でございまして、その点におきまして、これは建設省、運輸省ともに今努力しているわけでございますが、いわゆるそういう高速自動車道というものが大都市の通過車両というものを吸収しますと、東京におきましても相当程度交通量が緩和されるということでございまして、これらは根本的な交通対策の問題といたしまして首都圏の整備委員会でも十分取り上げて研究をいたしておりますし、政府におきましてもそういう点については将来の交通のあり方についての施策と実行について検討いたしておるわけでございます。
  36. 生田宏一

    生田委員 今の話を聞きますと、交通の緩和ということと事故防止ということとは決して同一ではないという気がするのですが、交通を緩和するということは大きなハイ・ウエイをこしらえるとか、今山内君がお話しになったようなやり方もありましょうが、また事故防止事故防止で、交通道徳ということが非常に大きくなってくるのじゃないかと思うのですが、こういう問題と真剣に取り組んでもらえば、日本の交通事故というものは確かに少くなるであろう。しかし一面松原委員が言われておったことにも、あるいは大臣が言われたことにも関連するのですが、産業及び経済の進歩の幅が大きくなっていくにつれてどうしても交通、特に自動車の量は多くならざるを得ません。そして自然に産業経済が発展するものを、またそれが必要とするものを、それはトラックにしてもバスにしてもハイヤーにしても、いずれの車種にしても経済の拡大が要求する面というものは、これは押えることはできまいと思う。ニューヨークあたりでも都心における雑踏というものは非常に大へんなものです。その大へんなものはやはり経済の発展の必然的な要諦によってやむを得ず出てくるものだと思うのですが、それはもう確かにその通りです。しかしその経済の発展にこたえるようなそういう車両の増加があっても、交通事故ができるだけ少くなるように交通行政方面で勉強してもらいたいというのがわれわれの気持なんです。おそらく大臣松原委員との間の御意見のあるところもそこにあるのじゃないかと思うので、それで関連質問したのですが、ぜひそういうように一つやっていただきたい。
  37. 山内公猷

    山内(公)政府委員 交通法規が守られることによりまして事故がなくなるということは、われわれももちろんそのように法規を作っておるわけでございまして、その点につきましてはもちろん順守の問題が一番大きな問題だと思っております。先ほど御答弁を落したわけでございますが、大体諸外国におきましては追い越し禁止がほとんど常態でございまして、これによって事故が非常に少いとわれわれは考えておるわけでございますが、それでは日本においてそれがすぐ実行できるかどうか、われわれは今後警察庁とも連絡して、できるだけそういう点について検討を進めたいと思っておりますが、日本の交通状態が諸外国におけるような状態ではありません。いわゆる緩速車と高速車とが相入り乱れておりまして、この間どういうふうに調整をするか、これは厳重な調整をいたしますことも必要でございますが、それによってまた交通が非常に混雑するという結果があってはいけないというような心配もございまして――日本にありますような三輪トラックというものは諸外国にございません。またスクーター、電車、人というものがこの狭い道路にひしめき合っているという状態でもないわけでございますので、この点は外国のデータ、実情を持ってきてすぐ日本に当てはめるというわけにもいかない面があります。それともう一つ、御指摘になりました一方交通の問題でございますと、大体二車線の場合に諸外国においては一方交通の例が非常に多いわけであります。ただしかし諸外国におきましても、新興都市でありまして、京都のように碁盤目のようになっておる都市ではそういう手が打ち得るわけでありますが、日本のように古く発達した迷路のような道路の場合に、一方交通、あるいは日本でございますと左折だけという交通の行き方をいたしますと、部分的に産業が麻痺するということもありまして、軽々にそれもとりえない。もちろんそういう方向に進まなければいけないと思いますが、それは十分調査した上で今後そういう手段をとって参りたいと考えております。
  38. 永山忠則

    永山委員 関連いたしまして。今松原委員が特に強調されました点は、わが運輸委員会でも非常に強くこれまで論議を続けられてきております。どうも幾分自動車輸送業者にしわ寄せをせられて、そうして道路整備をやっておるのではないか。しかも道路整備が計画通りにいかないというような状態が今後も続きそうなのでございますので、抜本的な対策をぜひ一つその面で強く推し進めてもらいたい。そうして一面あなたの言われるような事故防止の諸種の問題については、また真剣に取り組んでもらうというような考え方で、大体岡方の意見も一致しているかと思うのであります。私が特にこの場合関連質問で申し上げたいのは、昨年もそうでありましたが、結局揮発油税を上げるということは道路をよくするから、必ずしも反対をいたしたのではない。上げるならばそれに見合う、それ以上の一般会計からの繰り出しをもって、道路整備計画通りやってもらわなければいかぬということで、少くともガソリン税、揮発油税以上の費用を一般会計から出して道路整備をやるべきだということを、わが党においても強く声明をいたしておるのでございますが、事実上においてはほとんど九割以上、揮発油税あるいは軽油引取税だけを中心道路整備をやる。その結果といたしましては、計画の三分の一にも及ばないというような状態でございますので、日本経済の成長率に並行して自動車がふえておる、それに並行した交通整備ができないというアンバランスがそこに起きておるのであります。その根本を運輸省としては強く推し進めながら、やはり経営の健全化並びに給与体系その他についても徹底的に育成するものは育成する、取り締るものは真剣に取り締るという態度で臨んでいただかなくてはならぬということであると思うのであります。これはもう論議は尽されておるのであります。松永安左衛門さんの産業計画会議においても、国民所得の二%くらいは年々投じなければとても交通地獄になる、車をとめるというわけにはいかない、経済の成長率はとまらぬのだ、だからしてやはりそれには総合した道路整備が必要だということを言っておる。米国の道路調査団のワトキンス団長も同じような、千八百億円の金を十年間で投じて道路整備をやるべきであるということを主張しておりますし、それから鮎川道路調査会の道路整備における自動車輸送業者の受ける利益率は三四%ぐらいである。ゆえに少くとも揮発油税の半分以上を国費で出して道路整備をやらなければいかぬということは、同じような意見政府で出しておるのであります。それらの実行が非常におくれておる。のみならずできるだけ道路整備をしようという結果といたしましては、揮発油税を上げていく。さらに事故が起きるからそこで無過失損害賠償の強制保険をかけよう。それに対して政府の方では見るべきものがない。あるいは自動車は非常に表面的に収入が多いように見えますので取得税を取ろう、あるいは道路公団にその揮発油税を増した上えでさらに有料道路の料金も取ろうという工合に、営業の健全をはかって給与体系をよくしてやる。そして事故をなくそうという考え方とは逆に、いわゆる自動車輸送業者の方に強くしわ寄せをして、道路整備をしていこうというような情勢がありますので、この場合一つ運輸大臣にがんばってもらって、事故防止に対する強い指導監督、取締りは厳にこれをやる、同時に根本的政策の問題については閣議でしっかりがんばってもらいたいという観点において、話がお互いに両方進んでおるのであると私は考えておるのでございまするが、この点に関しての大臣の御所信を伺いたい。
  39. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は運輸省指定の業者の健全なる発展、またそれをある意味において保護していくということについては、これはもう同感でございます。ただ今の道路会計に揮発油税をというのは、これは今日としては目的のためにある程度やむを得ないだろうと思います。実際を申しますならば、これは一般会計から補てんするということがいいのでございますけれども、現在緊急整備の上からいって揮発油税によっても道路整備をまかなうということは、これはちょうど港湾においても受益者負担でまかなうという案を立てましたと同様やむを得ないことだと思います。しかし将来こういうことは過重の負担にならざるようにしなければならぬと思うておりますが、緊急整備の今日の事態においてはある程度やむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。それが大きな目的の道路改善になりますならば、私は間接直接に大きな利益になるのではないかと思っておる次第でございます。
  40. 永山忠則

    永山委員 大臣のおっしゃる点、われわれも同じでございます。道路を整備する場合において、揮発油税をもってやるということは反対をしていないのでございますけれども、しかし事実上計画の三分の一ぐらいしかできていないのであります。揮発油税の増徴によりました分でも六百億円でございますのに、政府はそれに対して六十億ぐらいしか一般会計から出しておりません。しかしそれは失対事業であるとかあるいは道路公団にやる分に見合うものでありまして、全部揮発油税でやるというにひとしいようなやり方、それでもけっこうでございますが、しかしそれでは結局経済の成長率と車の増加率とに並行した道路整備ができないので、そこで交通地獄がくるだろうということを米国の道路調査団長も言っておるのであります。そこでそれならばさらに今からガソリン税を上げてこれを十分整備できるかといえば、実際問題としては、それよりは今給与体系改善等に全力を上げて交通地獄を防がなければならぬのでありますから、その考えはけっこうでありますが、道路の整備をどれだけしなければならぬかということと、それに見合うガソリン税をさらに増徴できるかという負担の問題等をよく御検討されまして、受益が大局的には輸送業者にくるのだから、ガソリン税だけでいいのではないかというような考え方だけでなしに、広く一つ御検討をお願いいたしたいということを申し上げまして、私の関連質問を終ります。
  41. 松原喜之次

    松原委員 ここで誤解されぬように申し上げておきますが、私は事故防止対策はあらゆる面からやらなければならぬという考えを持っておる。また大臣は非常に気にしておられるようでありますけれども、需給というものをよく検討して、ハイヤータクシーをふやすべきときにはふやし、減らすべきときには減らすというだけの弾力性のある政策をもって臨まなければならないということも、私は考えておるわけであります。従いましてたとえば先ほど言われた一日何キロ走らなければならぬというようなノルマを作ることはいけない。固定給先ほど言ったように非常に少い。実際は三千円、四千円、はなはだしいところでは二千円の固定給があるところも知っております。従ってそういうような給与体系改善とか、やはり事故の撲滅に多少とも役立つものは何でもやっていくということには賛成であって、それについては後日詳細に私ども意見も申し述べますし、また対策本部ないし運輸省できまった案に対して検討をいたすのにやぶさかではないのです。進んで私はそのことをやりたいと思っておるのですけれども、ただ抜本塞源的にその対策を立てるためには、この事故の真因を把握した上でやらなければ、世間がやかましく言うからそれにこたえるというようなやり方では、運輸省としてあまりにも権威がないのではないか、こういう考え方を申し上げておるのでございます。少くともハイヤータクシー事故はやや減りぎみであるる、交通量はだんだん増加してきたけれども、はイヤー、タクシー事故は減っている、こういう認識をもあわせて持ちつつ対策を講じ、そうしてこれば満足すべきではないから、さらに減らすためにはどういう対策をとるかという考え方で一つやってもらいたいと思うのであります。  そこでもう一つ申し上げたいのですが、われわれは昭和七、八、九年ぐらいに実にハイヤータクシーで苦い経験を経ておる。実は私個人もその状況のためにタクシーに足を踏み込むような運命になったわけです。それは何かといえば、事実上一人一車の制度であった。それが非常に競争を苛烈にいたしまして、神風タクシーどころか、殺人タクシーになった時代があるのです。企業は不健全になりますし、乗客は迷惑するし、社会一般に迷惑をかけた時代がある。そこで直営タクシーという、つまり営業の免許を持った者が安定経営ができるような台数ということを目標に、今日のタクシーがどうやらその以前よりは改善されておる。その沿革をお知りにならぬ方が、実はこの閥も、二十年事故をやらぬでタクシーハイヤー運転手だった者に一つ免許をすればいいじゃないか。なるほどその一点だけ考えればいかにももっともらしいのです。従って大臣がそれは自分も賛成だと言われたということを新聞で見たわけでありますけれども、これは制度としてそういうことになると、所期の目標とは全く違った現象が起ってくることを認識してもらわないと、事故は非常なふえ方になって、事故防止どころか、大へんなことになる。総じて一般論から申しますと、企業が小さければ小さいほど悪いのです。大体一人の運転手に一台の車で営業を許した場合、必ずスペアをやっておる。そういう経済力を持ち、信用もあり、いい経験を持った人というのはそんなにたくさんおりません。約二万五千ないし三万人のタクシー運転手の中で、おそらく二百人か三百人なんです。ところが一台営業を許すとどういうことになるかというと、そのうちにやはり二台も三台も五台も持つ人ができ、途中で失敗して営業を投げ出す人ができるという現象が起きて、結局一人の学営業所が五人とか十人とかの運転手を雇うようなことが必ず出てくる。そういたしますと、一台持ち、スペア一台雇った場合に一番はなはだしいのですが、封建的な労務対策がここに起って参ります。現に東京ではやはり二十台、三十台の小さなタクシーが相当にございます。これはあまり好ましくないのです。今さら仕方がないといえばそうでありますけれども、それらのところでは労働組合を作ろうと思ったら頭からつぶされるのです。あるいは自分の縁故者を中に入れておき、あるいは特別関係の者を入れておき、そして労働組合を作ろうとすれば頭からぶちこわしてかかる。こういうことで、三百二十社のうち労働組合が名目だけでもできておるものは八十社足らずで、そのうち労働組合らしい労働組合は三十社くらい、こういう状況になっておる。これがまた自動車事故原因となるような労働条件を作っておるのです。そこで確固たる労働組合があって企業も安定しておる中で労働組合が活動して、営業者の勝手気ままなことをやらせないようにすることによって、事故防止対策も公正に講ぜられるような場が初めてできるのです。こういう意味で、営業者が小さければ小さいほどよくない。営業者が小さければ業者の数がふえます。その数がふえればふえるほど、これを統制して規制することがだんだん行政的にむずかしいわけであります。そういうことがございますので、こういう点しっかりとした認識を持った上で、今後たとえば新免を許すような場合にも関連するのですが、あまり零細な企業は大局的から見て許さぬ方がよろしい、こういうふうな考えになるのでございます。事故防止の具体策は、タクシーハイヤーにおきましてもこれは必要であります。他の面でも必要であります。これらの具体策については、先ほど申し上げたようにもっと研究しようではありませんか。われわれもそれに協力するにやぶさかではございません。しかしこの間の委員会で議論のあったように、零細企業を許すというようなことは、もう大へん悪い経験をすでに過去においてしておりますから、そんな経験をなめるようなおそれのある考え方で臨んでいただきたくない、かように考えておるのであります。この点は専門の自動車局長以下に大臣がお聞きになれば、私と同じような意見であろうかと思いますから、その点はよく研究されまして、考えを正しい方に是正してもらいたい、かように思うのであります。
  42. 中村三之丞

    中村国務大臣 松原さんの大局的にごらんになった御所見は、私も先ほど委員長の取りなしで言われたように、そう変りはないと思っております。衆参両院にこういう小委員会が設けられたということは、私も非常にありがたく思うのでございまして、冒頭に申しましたごとく、皆様の御意見によって、われわれは指導鞭撻を受けることは喜んでお願いをいたしたいと思う。個人営業一両持ちという問題、これも運輸省へ参りましていろいろ自動車局から聞いております。この間この委員会におきましてもお話が出ました。勤続十年とか十五年、こういう者に対しては、経験もあるから一両持ちをやったらよかろう。御趣旨は賛成であるということは申しました。しかしこれも大都会ではどうか、研究を要するということを申し上げておるのであります。この間も奈良電車のある小さい駅へ行った。これは一両持ちだという。そういうところならば私はよいということもお答え申し上げたのでございまして、この点皆さんの御意見と各方面の御意見に従って、私は考えなければならぬと思います。しかしながら日本という国は資本蓄積も弱いために、自動車にいたしましてもあるいは仕事にいたしましても、中小のものが多いのでございます。この点これを合併して独占会社を作れとも言えないだろうと思うのであります。ただ問題は、こういうタクシーとか自動車業の適正規模は幾らかということになってくると、こういうことも研究をしなければいかぬので、現在のところ数字を見てみますと、二十台から五十台くらいのものが一番多いようでございます。千台持っておるような会社一つくらいで、あとは五百台以下である。これを五千台も持たせ、一万台も持たせ、大きな独占的な会社をやる。その方は皆さん方の独占資本論、ここから承わっていかなければならぬのでございますから、現在の日本は、中小企業が適正規模においてできるだけその資本構成、経費を健全にしていくように、運輸省行政指導をやっていくことが必要だろうと思うのでありまして、その点よく株式も大衆に持たしたらよいではないかという声も国策会社であった。ところがそうしてやってみると、これがみんな吸収されてしまって、何にもならなかったということもあります。また同時に残っているところもございますから、その点は今後とくと研究いたしないと思う。この間眞鍋さんの御質問の一両持ちがいいじゃないか、勤続した者に持たせるという御趣旨に私賛成いたしましたことは事実でございます。
  43. 松原喜之次

    松原委員 この際大臣に認識しておいていただきたいことは、名古屋で十台の新免を許したのです。これは今景気がよいから何とかやっておるかもしれぬが、それでも非常に不健全です。ちょっと景気が悪うなるならば困るのです。名古屋、大阪、東京あたりでは十台くらいが適正規模というよりは、最低規模三十台くらいでなければいけないという私は理論的根拠を持っておるわけです。何も独占資本にやらせるという意味ではない。しかし理想を言えばそれは最低であって、東京あたりでは二十社か三十社で大体平均した台数を持って営業されることの方が、行政上から言うても対策の上から言うてもよいことである。  それからもう一つこの際お願いというか、私の意見を申し上げておきたいことは、労働省もやはり本部に入っておるのですが、労働組合をぶっつぶすということは、これは事実上労働法違反でありますけれども、こういうことが盛んにタクシー界では行われておることです。そこで指導する運輸省としては、これは健全な労働組合はむしろ育成すべきであるという方針をもって、ここに労働省と相談して臨んでもらって、そうして健全な労働組合を作ることによってこの防止対策が、もぐりのないようにうまく運営できると私は思うので、この点については特に一つ運輸省から主導して、この弊害を除去してもらいたいのでございますが、この点一つ伺いたい。
  44. 中村三之丞

    中村国務大臣 全今度の問題は労働省と大いに連絡をさしております。ただこれは、率直に申し上げますが、私も不思議なんです。自動車業界に労働組合というものはどういうふうに発展しているのか。実際給与の問題は団交でやるべきものじゃないですか。おかしいと思ったのです、私どもはこの間業者を呼んだときに。だから、私は自動車労働組合というものは各社に結成され、それがまた縦横の連絡になって、堂々と団体交渉においてやってもらったら、運輸省もそんなことを心配するのはちょっと越権だとぐらいに私は思うておるぐらいなんでございます。業者を呼んで給与の構成について考えろということは、私もはなはだ越権だと思う。これはどうぞ一つ皆様におかれましてもおのおのそういうふうにやっていただけばけっこうだと思う。しかし今のところ私はやむを得ませんから、会社を呼んで給料の構成について勧告をいたしたのであります。
  45. 松原喜之次

    松原委員 あの組織実態は、今申したように三百二十社のうちで労働組合らしい労働組合、いろいろの要求もできる程度の労働組合は二十三、四社しかない。あとはみんなできないかというと、できるのだけれども、もう準備すれば準備の段階においてこれをたたきつぶすという労働対策をやっているわけであります。この点ではなかなか改善しにくいのです。それで指導の任にある運輸省がいろいろの営業規制をやる際に、労働組合が必ず裏づけしますから、労働組合を持っているということは健全な行政をやる上において非常に必要なことなんです。その意味で、これは労働組合をたたきこわすということは、実は労働法違反なんだけれども、その違反を取り締られておらぬ。この実情は陸運局へ行ったらみんな知っておりますから、これは進んでそういう労働法違反をやらないように指導されることを望みたい、かように実は考えておるわけなんですから、この点は一つ御考慮願いたいと思う。
  46. 永山忠則

    永山委員 私も関連をいたしておるのでありますが、運輸省が企業の健全化と安全運行という点と、さらに労務管理の面について絶えずよき指導方針をお出しになっておるのでございますが、それが事実上行われていないのです。私は運輸当局が怠慢であるとは考えませんけれども、絶えず、指導方針はいいのでございますが、事実上においてこれが行われてないというところに、どこに欠陥があるか。今回この問題が持ち上った、毎年持ち上っておるのであります。毎年委員会で待遇の改善、労務管理、あるいは厚生の問題、これはもう年々持ち上っておる。しかも運輸省のその指導方針はまことにりっぱなものでありますにかかわらず、これがどうしても実行できていないのです。私はその原因がどこにあるかということ、この場合その根本原因をまず究明していかれるということが、せっかく内閣対策本部を設けられたので、一番大切なことではないかと思うのでございますが、この点についてはどこに欠点があるか、お考えをお漏らしを願いたい。
  47. 中村三之丞

    中村国務大臣 実を申しますと、自動車局も許可認可の事務に追われて――これはまあ局長以下御不満かもしれぬけれども、許可認可の事務に追われてしまって、ほんとうに経営の実態を把握しておらぬ、この点は私は率直に認めます。現に私のところにこういう数字を持ってこいと言ったって、なかなか把握ができない。しかし私が見たところによれば、これはやはりさっき松原さんとの質疑応答にもございましたごとく、規模によるのですね。だから七、八百台とか千台持っているのは、大阪あたりで日に一千万円の水揚げがあるのです。東京あたりも大きなハイヤータクシーは見てみますると、年に十二億ですから月一億の水揚げを持っておる。そういう大きなのと今言う四、五台のとでは、非常に水揚げが違うのでございます。それからまあ中くらいの四、五十台というもの、これがある程度中間的な経営をしておるのですが、問題は、自動車の経営というものはやはり私は運転手をうまく使うということだと思う、私はやったことはございませんけれどもね。大阪のある会社なんか、昔左翼運動をした人です。その人が非常に軍隊組織で経営をしておるわけですから、一方において非常に秩序整然としておるが、一方において修繕料なんかずいぶん持たされるという話です。要するに私はやはり自動車経営の中心は、まあ車体をいかにして安く買うかということもありましょうが、運転手を秩序整然、うまく使っていく、そうしてそこから水揚げを得ていく、これは商売は簡単なものだ。自分が商売するのじゃございませんで、一種のコミッション・マーチャントでございますから、適当な規模で適当な車を回し、適当な運転手を使って、そうして水揚げを多くしていくという、そこに余祿が出てくるのじゃないかと思うのでございます。
  48. 永山忠則

    永山委員 そのお考え方にはもちろん賛成をするのでございますが、私の問い方も悪かったのであると思いますけれども、こういう指導方針が徹底しないということに二つの隘路があると思うのでございます。その一つは、自動車局の持つ予算が少いということでございます。すなわち監査指導、取締りをしようとしても、物理的にやることのできぬ人員の配置、予算の状態であるということが第一点であると思うのです。第二は、すべて官僚でこれを監査指導、取締りをするということはもちろんできないのでございますから、やはり業界をよく指導するということであります。業界との協力態勢であると思うのであります。その業界の態勢が協力態勢になっていない、業界自体がばらばらであるということ、この業界政府当局が一体になっても、なおお説のごとく、個々の運転手が百万以上のものを持って、そして現金を収入して帰ってくる営業でございますから、なかなかこれが指導監督は困難なものでございますが、それにいわゆる政府当局の方の監査指導の面が弱い、業界の協力態勢もできていない、この二つが相待って今日の混乱状態を来たしておる、こういうようにわれわれは感じるのであります。従って今お言葉にございましたように、あらゆる調査がなかなかすぐ出てきておりません。確定的なものが出てきていないのであります。たとえて申しますと、事故が非常に多い会社の経営状態はどういう経営状態になっておるか、すなわちこれらは名義貸し、いわゆる個人持ちです。実体は会社ということで許可を受けておりながら道路運送法に違反して、会社経営でなしに個人の自動車をもって、そうしてスペアの運転手を使ってやっておる。これが一番事故が多いのでありますが、そういう名義貸しをしておる会社がどことどこであるか、またその名義貸しの車が事実上事故が非常に多いのだという点に対して科学的な調査ができておらぬ。これは保険会社の方で知っておるのでありますが、保険会社が強制保険にならぬ前には、あの会社会社経営が健全でない、個人持ちで名義貸しをしておるから、大きな事故を起すから、あの会社には保険契約をせぬといって拒んだものです。われわれはそういう実態を承知いたしておるのであります。ちょうど戦前におきまして今松原委員が言われましたように、個人持ちでやっていけばいかにも車を大切にして事故がないというのとは逆でございまして、何といっても個人というのは欲望を持っておるのでございますから、できるだけ多くの収入を得たいという欲望が非常に強く働きまして、過剰労務となり、また車を整備する場合におきましても、やはりできるだけ安く手入れをしようということになってくるのであります。利潤主義でいきますので、そこで非常に疲労をして大さな事故を起しております。これらの関係についての調査も十分できていないということは、これを監督指導、取り締まるところの部面が非常に弱体なんであります。それで自動車局長にお開きしたいのでありますが、関東一円のトラック、ハイヤー、タクシ―、バスの健全なる営業状態指導監督するところの指導者は、何人でやっておられるかということであります。
  49. 山内公猷

    山内(公)政府委員 東京陸運局の定員の問題になると思うわけでございますが、現在タクシー関係は十人でやっております。十名のうちこういった監査を主務としてやっておりますのは三人でございます。
  50. 永山忠則

    永山委員 事実上関東一円の自動車経営の状態について、運輸省改善命令も出し、指導もする、いわゆる健全経営で安全運行という目的のもとに、いろいろ監査指導するということになっておるのでありますが、事実上野放しで年一回の定期検査さえもでき得ないのであります。問題が起きた分だけを処理するのさえも困難という状態でございますので、この状態が続くならば私はいつまでたっても同じだと思う。もう一つ業界が自粛して協力するならそれでけっこうでございますが、この点もまだ少しも指導的な御方針がないのであります。そこでむしろ警視庁と陸運事務所とは発展的に一体になってしまう、語をかえて言えば、陸運局はそのままであっても、陸運事務所は地方庁へ移管して、そしてそこで監査指導、取締りをやってもらうということまで持っていくか、しからざれば予算をしっかり要求して、そしてこれが監査指導、取締りをやるか、いずれか抜本的な方途をお持ちにならなければ、何といってもトラック輸送は国鉄を含めた貨物輸送の七 〇%まで輸送している、こういうような国鉄に相並ぶだけの人及び貨物を輸送している陸運自動車事業の指導監督をやり、健全なる経営状態に持っていくというようなことをやるのには、今の状態が続く限りは私はどうしても物理的に可能でないというように感じておるのでございますが、この点に関しての大臣の所見を承わりたいと思います。
  51. 中村三之丞

    中村国務大臣 この点において人不足であるということは、私も非常に苦慮しております。陸運事務所の車検場あたりを見ましても、ずいぶん不足の点もあります。しかしああいうところは機械化するというふうにして、今度ある程度の予算は取りました。これも東京の一部分だけでございまして、ああいうものはだんだん機械化して人手を減らしていくということが必要であると私は思います。それから監督の人数が少いといいますが、今までは運輸省もその会社の内部まで進んで検討するというようなこともなかったと言うと、事務官諸君は何とか言うかもしれませんが、実際あなたのおっしゃるところは欠点があったと思います。その点は書面審理もこのごろやっているようでございますけれども、やはり実際行って調べるということがなければ業界の実情もわからぬと思います。しかし私は運輸省がそう深く立ち入っていくということよりも、貨物なら貨物、ハイヤーならハイヤーというものの協会が自主的に大いに発展をしてもらう、そしてその協会において経営なりあるいは勤務条件、管理といったようなものも自主的にやっていただくというのがいいのじゃないか、今後自動車業界がそういうふうに発展せられるように希望いたしたいのでありまして、むやみやたらに自動車局に予算を取って、そしてむやみやたらに監督強化をしていくべきものではないのじゃないかと思うのであります。
  52. 永山忠則

    永山委員 陸運局仕事は、警視庁よりはもっと高度な経営の健全化という指導面でございますので、幾ら指導しても監査しても私はいいと思うのでありますが、それは物理的にほとんどできないのでございますから、一つ監査指導、取締りの面に対する予算的な問題、あるいは機構の問題を一段と御考慮いただくことにいたしまして、今大臣の言われましたそれと相待って業界の協力態勢を強化すべきであるということでございますが、それに対してはどういうふうな構想を持ってお臨みになるわけでありますか。やはりこのままではいつまでたっても同じであります。政府監督指導面は弱体である。業界もばらばらであるということが、今日の混乱を来たしておるのでございますから、これに対しての業界の協力態勢強化のお考え、あるいは指導方針について伺いたい。
  53. 山内公猷

    山内(公)政府委員 自動車業界、特にハイヤータクシー業界が非常にこまかく分れておりまして、全国的な統一組織になっておらないということは御承知の通りでございます。これにつきましては、私も就任いたしましてから二回ほど業界にも統一を要請いたしましたし、単なる要請でなくて、幹部に会いましてお話も十分申し上げた上で要請をいたしたこともございます。業界の幹部もことごとく、そういう大勢の傾向であるということは御承知でございますが、まだなかなか機が熟さないという段階でございます。われわれといたしましては常に、業界がそういうふうに大きくまとまって、業界全体の正しい利益が全体の意見として支持されるような業界であってほしいということは申しております。ただこれは命令でどうすることもできない問題であります。業界におきましても、協力態勢が十分でないというお話もございましたが、実は昨今でございますと、相当まじめに経営しておられる業界の方々もありまして、実は本日お示しすることのできました資料も、それらの方々のまじめに出された資料に基きまして作ったわけでございまして、業界の協力が全然ないというわけではございません。また今回の問題につきましては、業界としても、先般大臣がお会いになりましていろいろ要請いたしました際に、謙虚な気持で大臣のお話も承わり、そういう世論の話も謙虚に自分たちは受け入れていきたい。それで業界におきましても対策を立てております。御承知の通り三団体が東京にはございますが、三団体それぞれ対策を立て、それらが連合会を作りまして、この問題については十分業界意見も一致して、自主的に解決すべきものはしたいという意見を申し述べております。またつけ加えまして、業界それ自体に対しましても、末端に対する浸透についてさらに行政上の指導も要請されておる状態でございまして、業界側も全然運輸省に協力をしないということではなくて、われわれとしても相当協力を得ておる。また今般の問題についても、最低賃金制の問題、あるいは固定給の問題にわたっても、業界自体も自主的にこれを解決したい意図を持っておるということを聞いております。私どもも、こういうことは強制をしてやるよりは、業界自体がわれわれの考えているようなことに納得をして、自主的にいくことが望ましいので、業界のそういった傾向について大いに今後ともその点で努力していただきたいというふうに申し述べておるわけであります。
  54. 永山忠則

    永山委員 私の言い力がちょっと悪かったのでありますが、業界はもちろん協力いたしております。精神的にも、あらゆる面で協力いたしておりますが、協力態勢組織の問題でございます。この協力態勢を強化するということに対しては、道路運送法の改正によって業界団体の一元化といいますか、あるいはアウト・サイダー命令が出るように業界努力いたしましても、内部の中にどうしても健全経営に協力せぬ人があるのであります。この指導者は非常に協力をいたしておりまするけれども、どんなに言っても、名義貸しはやめない、さらにノルマの問題もやめない。それならばそれを監督指導するという面も弱いという結果になるのでありまして、そこでそういう人に対しては、いわゆるアウト・サイダー命令を出すことができるか、あるいは強制加入によって、政府と提携してやれるか、いわゆる中小企業団体法との関連性をどう持っていくかということでございます。今日道路運送法を改正して、アウト・サイダー命令まで出すという考え方でいかれるか、あるいは中小企業団体法に準拠してこれが団体結成を指導していくか、いずれの方途をとっていくのであるか、なおこのままの状態で、ただ精神的に協力態勢をお互いにとっているということだけで進まうとするのであるか。今日あらゆる面で非常に協力されておって、指導者には私は敬意を払っているのでありますが、しかし事実上においてこの業界の言うような工合にならぬ不健全経営者が相当あるのであります。これに対しては当局が断固としたる処置をするといったところで、事実上は物理的にできません。監督自体ができないのであります。かりに関東一円でなくても、東京都のタクシーハイヤーだけを申し上げましょう。トラックは別といたしまして、それだけについて事業の監査をやっていくのに、一年かかったって物理的にできはしない。数年かからなければ事実できないという態勢において、ただ精神的な協力があるということだけでこれが解決するものではないのであります。運輸省の予算を強化していくのが困難だというならば、業界の協力態勢、それはいわゆる中小企業団体法によるものでいくか、あるいは道路運送法業界団体の項目をアウト・サイダー命令まで発展させていくか、そうして自主的に統制ができるように――今はどんなに指導部の方が言いましても、その自主的統制はできないのであります。その点が、今日りっぱな会社は非常に事故も少いし、またノルマも要求しないし、たとえば二、三日前に大臣が表彰されました事故のない数社、これらは歩合制はほとんどなく、固定給中心にしているような、そういう企業形態の会社があるのであります。逆に、非常に事故の多い会社に対しては業務改善命令をしたのだというようなことを言われているのでございますが、その業務改善命令をしようといたしましても、実態を把握せずして、観念的にはできないのでございますから、これらの点を業界の自主統制に待つことができるように持っていくという構想をお持ちであるかどうかでございます。
  55. 中村三之丞

    中村国務大臣 道路運送法でそれをやることはどうか、やはり今仰せになりました中小企業団体法でやって、いわゆるアウト・サイダーというようなものを、これは自由奔放になるというようなことがないように、やはりその組合のワクの中に入れて、そこで自主的にやってもらうということがいいのじゃないか。事業改善命令は、これは道路運送法にもありますが、しかしその事業改善命令の目標はどこかということになってくると、なかなかむずかしいのでございますが、私どもはやはり団体法で団結してもらう方がいいのじゃないかというふうに考えます。
  56. 永山忠則

    永山委員 道路運送法業者団体が任意組織でできるように、そうして許可制になっているわけでございます。それを改善をしていくという行き方がいいか、中小企業団体法にのっとる方がいいか、これを一つ研究を願いたいのであります。中小企業団体法でいくという考え方ならば、通産大臣との共管でございまして、この点に対しても、政令を今鋭意検討されておりますので、積極的に運輸省もその方途についての立場を表示されなくてはならぬと思いますので、この点を強く要望いたしておるのでございます。さらに私は、道路運送法に違反をして営業をしておるところのハンカチ・タクシーとか、あるいは書籍タクシーとか、無許可でやっておる営業者があるのでありますが、それらの営業者のナンバーをはずそうというような場合において、本人がどうしてもはずさないという場合においては、道路運送法でそのナンバーを排除できるのであるかどうか。この点を承わって、そうしてこれに対してはどうすればいいか、道路運送法は改正せぬでもいいのかどうかお聞きしたいのであります。
  57. 山内公猷

    山内(公)政府委員 領置をいたすことができるかどうかということでございますが、現在の道路運送法においては、任意提出を求めて、それで領置をすることになっております。それではその場合に、それに応じなかった場合にどうするかということになりますと、結局これは行政代執行の問題になるわけでございますが、その法律によりますと、行政的に個人のものを取り上げることはできないという法制局の解釈になっております。もしもそれに応じなかった場合には、法律的な手段をとりまして、告発をいたしまして、司法問題として処理しておるわけであります。
  58. 永山忠則

    永山委員 それで陸運局あたりでも困っているようでございますが、本人はそのナンバーを領置することは絶対に反対だ、また行政的に取り上げることもできないというような状態で、これを告発して、しかる後でなければナンバーを領置することができないというような状態でありまして、これが処置に非常に困難をきわめておるのであります。そうして今度はさらに他の車を利用してまたこれをやるということが続けられる状態にあるのでございますが、そういったような場合には運転手の免許状を取り上げるというようなことができるのでありますか、できないのでありますか。
  59. 山内公猷

    山内(公)政府委員 陸運局においては、運転手の免許証を取り上げるという権限はございません。
  60. 永山忠則

    永山委員 陸運局でなくても、そういう道路運送法違反の行為、すなわち自家用でもって許可を受けざる営業をやっておるというような場合において、その自家用車のナンバーをはずすということは、警視庁の手をかりなければなかなかできない。それではその運転手がまた他の自家用車でやっておる場合においては、また同じことが連続して行われる。そういう場合においてもその運転手の免許状は、もちろん陸運局ではできない。それでは警視庁ではできるのでございますか。その点はいかがですか。
  61. 山内公猷

    山内(公)政府委員 そういう事故が起りまして、陸運局で処分をいたしますと、所管警察署に連絡をすることになっております。それで警察の方で処置をするということになるわけでございますが、交通違反の場合でも免許証を取り上げるということは、なかなか警察でもむずかしいように聞いております。
  62. 永山忠則

    永山委員 さらにその免許状下付の条件は、前科等には全然関係なくして、ただ技術と学科ができれば無条件でいいということになっておるのでありますか。
  63. 山内公猷

    山内(公)政府委員 現在前科の関係は、昔と違いまして、戸籍法でもいたさない状況にあるのでございまして、前科があるから運転免許証がとれないというような規定にはなっておりません。
  64. 永山忠則

    永山委員 ドライブ・クラブにいたしましても、またハンカチ・タクシー、書籍タクシー、ポン引きタクシーというようなものが、なかなか跡を断たないのでございまして、これが取締りに対しまして、私はやはり適切なる処置を御研究をされる必要があると思うのでありますが、さらに運転手が、雨の降った場合等、あるいは交通盛んなところにおきまして乗車拒否をした場合における処置は、どういうふうにされるのでありますか。
  65. 山内公猷

    山内(公)政府委員 乗車拒否をすることは、道路運送法にきめられておるところでございまして、それぞれの法条の罰則を受けることになります。
  66. 永山忠則

    永山委員 そういうようなものを取り締るとかされたような事例がございますか。
  67. 山内公猷

    山内(公)政府委員 営業の一部停止とか、そういう事例は相当たくさん各陸運局であるようであります。
  68. 永山忠則

    永山委員 そういった面につきましても、警視庁側との強い協力をされまして、取締りの面にも協力を願わなければいけない情勢でございますので、これらの点をも勘案されまして道路運送法の改正点も見出されるべきではないかと思うのでありますが、さらに近ごろは非常に業界が自粛いたしましたので、煙突と称しましてメーターをつけずに走るものは非常に少なくなりましたが、しかし時刻が十時を過ぎる場合、あるいは盛り場等の場合におきましては、談合ということもないわけではないのでありますが、そういう場合における取締りは、何でできるのでありますか。運転手を処罰できるのであるか、あるいは業者を処罰することになるのでありますか。
  69. 山内公猷

    山内(公)政府委員 ハイヤータクシーの御質問でございますので、ハイヤータクシーの場合について御説明申し上げますと、ハイヤータクシーの運賃はメーターの表示で、距離比例で計算されております。ただいまのお話につきましては、メーターで取らないということで、その点におきまして違反になるわけでございます。そうしますと違反をいたしました運転手が罰則の適用を受けることはもちろんでございますが、経営者におきましてもいわゆる共犯関係、経営者が全然関係がなくて運転手だけがやった場合は運転手だけでありますが、経営者がともにそういうものを指示あるいは教唆というような問題が起れば、経営者もともに処罰されることになります。
  70. 永山忠則

    永山委員 そこで警視庁の方ではこれを取り締ることがやはり法的根拠がむずかしい。その間においてその料金を私したということの実態が出てこないと、横領ということ以外は取り締れないのでありまして、さらにそういう場合においては業者中心営業停止を受けるという形になっておるのでありまして、今の乗車拒否の場合においても業者責任となるというような状態でありまして、運転手自体がやったことでも業者責任があるのでありますが、それは必ずしも悪いことはございませんけれども、これらの取締りの面が警視庁とタイアップすることにおいて非常な不便があるようでございますので、私はこれらを総合して道路運送法の改正、取締りの面あるいは行政的の面で、警視庁と一体化していくべきではないかというようなことが論議をされることにも、大きな示唆があるということをこの場合申し添えまして、結局この事故防止の一番大きな問題は、もちろん基本的な問題もございましょうけれども、この取締り、監督指導という面が非常に弱い、同時に業者の協力態勢の面が十分法的に整っていない、なお取締りにおいても警視庁とのタイアップをする上において、幾多法的の整備をやらねばならぬものがあるのではないか、これらについて抜本的に検討をされることを要望いたしまして、また他の機会に譲りたいと思います。
  71. 有田喜一

  72. 眞鍋儀十

    眞鍋委員 私は神風タクシー運転手そのものについての問題に焦点をしぼっていきたいと思います。取締りの面でお話がございましたが、これはその道その道で私どもが別に推進力を加えるということは今日はいたしませんですが、もっと積極的の面で、この問題を根本的に解消するという案が立ってこなければならぬはずだと思う。わずかな小委員会委員同士が意見が分れるというようなことは外見上よろしくないと思うが、先ほど私の発言が問題になりましたので、一応その点にも触れていきたいと思いますが、私の平素の考え方である満四十才以上にして十年間以上の経験を持ち、無事故で通した優良運転手に対しては、その報奨の意味において個人営業を許したらどうかという説を固持するものでございます。この面は運転手に対して将来に対する希望を持たせるとともに、それが半面においては事故防止の一翼になってくると思いますし、もう一つは、既存業者があまりにも自分の権益を擁護するために、ことごとく個人営業をいかなる条件においても許さないというような感情を持たせることは、一般運転手に対しても決してよろしいこととは思わない。わずかな人数であろうと思いますが、そういう意味においてこの問題は先日の委員会において申し述べたのでございます。むろん私はしろうとでございます。その道その道の専門家もおられるでございましょうが、こういう意味合いで申し述べたのでございますから、御検討を願いたいと思う。  お話し申し上げて、御回答を得ようと思うものは三つしかございません。一つは、ただいま御提出になりましたハイヤータクシー交通違反検挙数というものがございますが、これはすべてこの事故原因神風タクシーなどの運転手が負わなければならぬものであるか、他の方法によって、この数は減少をされる道がないか、こういうことです。速度違反にいたしましても、非常な数を数えておりますが、現在よりもスピーディーな施設あるいは考案、こういうものがあれば、この件数もさらに少くなる可能性が起ってくるのではないか。ことに並進その他の問題についても私は後に申し上げるが、特に交通区分の違反の問題のごときは、これはちっと御反省になる必要があると思う。現在、渋谷の宮益坂の下りかけには、四カ所の安全地帯があるが、その安全地帯のどこを通ったらいいのか、何十年と東京運転手をしておる者でも迷うほど迷路ががんばっておるようでございますが、ああいうものも何とか整理をなされば、交通区分にお正ける違反件数も減少してくる一つの名案が呼んでくるはずだと思っておる。ことに追い越しの違反などに至りましては、コーナーを二つも三つも作って、順次スピーディーなものからのろいものの方へと流していけるような工面ができてくれば、この追い越しの件数もまた私は検挙数が減ってこなければならぬはずだと思う。  そういう意味においてお尋ねをしてみようと思いますことは、かりに芝口から上野に、昔の御成街道、今の昭和通りを通ったとしてみる。その間に花壇もあれば、自動車の駐車場もある。そのほかに全然使わない場所がまん中にとってある。せっかく三車進でいけるものを、ことさらにまん中の肝心なところに別なものをくっつけておいて、それでスピードを落させ、交通をことにひんぱんにするというような行き方は、長年御経験になっておるあなたの方ではもうちっと何かうまい工夫が出てこなければならぬのじゃないか。三コーナーを二コーナーにして使っておるしそれを三コーナーを四コーナーに使う工面はないか。今は三コーナーを二コーナーに使っておる。使っておる二コーナーを四コーナーにもし使える道がついたら、もう一本道路を作ったと同じじゃないか、このひんぱんな交通がこれによっていかに整理されるかということは、御想像以上のものがあろうと思う。二本に使っているのを四本にどうして使うか。ラッシュ・アワーによって、東から西に向いて行くこともあるだろうし、西から東に向いて行くこともあるだろう。東から西に向いて行く時間の場合には、まん中の道路をその方向に向って流す、それで退庁時なら退庁時に西から東に流れるというときには、そのまん中の今まで顧みられなかった一つのコーナーが、もう一本の新しいコーナーとして使えることにすれば、その一本のまん中に捨てられていた道路には二本分の価値が生まれてくるのではないか。それをそのままにして通ってはいかぬということで、あの交通ひんぱんな道路のまん中にわざわざ別なものをあぐらをかかせておやりになっておるようなことは、考え方によっては事故を減少するための一つの考案にならなければならぬはずだと思います。ああいう道路に対して、今三コーナーを二コーナーに使っているものを、朝夕のラッシュ・アワーには四コーナーの効果を上げるように振りかえることについて御研究はできておりませんか。
  73. 山内公猷

    山内(公)政府委員 ただいま御指摘の交通区分の問題並びに道路の量の問題というようなものは、官庁の権限を申し上げるわけではありませんが、東京都の問題であり警察の問題になるわけでございます。それで交通の問題でそういう点はもちろんいろいろ論議をしなければならないわけでございますが、そういった各省庁の関係の問題がありますために、われわれ各省庁で集まりまして論議をいたしておるわけでございまして、御趣旨はまことに私にもよくわかっております。特に宮益坂は私も毎日通っておりますので、非常に困っております。これは警視庁のお話によりますと結局交通標識の問題にも帰着するわけでございますが、交通標識が広告その他でよく見られないというのが、東京都内のほとんど大部分の状態になっております。それらの問題も警視庁から一つの問題として提起されておるわけでございます。また現在御指示のありました往復によって車線を変えるということも、諸外国ではよくやっております。しかし東京の場合のように交通量がほかの都市と違って平均しておるという状態であれば、画然とはなかなかいかないということもあると思います。しかし少しでも前進する際には、われわれ交通担当の者といたしまして十分朝夕のデータをとりまして、時間単位により分けることも考えられるわけでございます。御指示の昭和道路の問題は、現在駐車場の問題その他がありましてあれでございますが、また大阪におきましては御堂筋におきまして同じような状態になっておりますので、今後の交通量の増大につれまして、いかにして現在の路幅のままで車線をふやすかという研究もなされておるわけでございます。
  74. 眞鍋儀十

    眞鍋委員 それは一つ研究題材として提案しておきます。  なお私が常々感じておりますのは、わずか一本の道路であるのに、年じゅう水道が掘り返し、ガスが掘り返し、電気が掘り返し、下水が掘り返している。そういう一つも統一のない道路工事を年がら年じゅうやっておる。タクシー運転手を責めることも必要であるが、こういう問題のために急停車をして接触した、そういうものももし事故件数の中に入っておるとすれば、この行政上の不十分さと監将官の厳重な監督と、この間にはさまれている今の運転手に対して気の毒なような感じがする。これは救えるものならばこの面において救ってやる、運転手がなければいいかというとなければ済まないのであるから、済まないものであるならば、それに対して積極的な考案を加えてやらなければ、あまり運転手がかわいそうじゃないかという感じを私は持っておる者です。ですから、それは東京ばかりの問題でない、全国の問題でございますかう、一つ大臣方にも機会があったらお取り上げを願っておきたいと思います。  もう一つは照明の問題ですが、どこの国でも道路の照明については非常な関心が払われておる。タクシーそのものがヘッド・ライトを持ち、テール・ライトがあるのですから、それにまかせておけばよろしいかもしれぬけれども、私の知る範囲においては、道路の照明は諸外国に比してきわめて低調である。事故をなくするためにはもう少し明るい――私は決して莫大な費用がかかる問題を取り上げておるのじゃない、そう金のかからない問題でこういう事故が幾らかでも減少されることになれば、大へん営業者も従業員も助かりますが、照明について今後何か新考案をお持ちになっておりますか、現在のようなあり方でお見過ごしになるつもりですか。
  75. 山内公猷

    山内(公)政府委員 道路交通と照明の問題でございますが、諸外国におきます道路照明はお話のように非常に考えていたしております。この問題につきましては、特に私どもの方の役所が主管をいたしておりませんのでお答えいたしにくいわけでございますが、いろいろの会合でそういう話も出るわけでございます。主として東京の問題でございますが、東京都におきましてもそういう点は現在考えておるように聞いております。聞いておるだけで実はまだ確かめていないわけでございますが、なおざりにしておるわけではないというふうにわれわれも承知いたしておるわけであります。
  76. 眞鍋儀十

    眞鍋委員 もう少し明るかったら、歩行者もこの危険を避けられたかもしれないという場合が相当起っておるはずだと思いますので、御研究を願っておきます。  最後に一点だけお尋ねをいたしますが、大体東京のみならず、地方もそうですが、電車の軌道は石敷になっておるようでございますが、どうせまた掘り返さなければならないことを予想してはぎやすいためか、あるいは経済であるというようなことが関係があるだろうと思う。けれども、一枚はがれたその石敷のために、自動車がバウンドして故障を起すようなこともあろうし、大体電車軌道を自動車が通ることは原則的にはいけないのですかいいのですか。私よく知らぬのですが、教えていただきたい。
  77. 山内公猷

    山内(公)政府委員 これは私の所管ではございませんが、私の承知しております範囲においてお答え申し上げたいと思います。御承知のように運輸省でもっております軌道法というのは非常に古い法律でございまして、まだ自動車交通が現在のような状態でないときにできた法律でございます。それで線路の保守、軌道の保守というものは電車の経営者がやる、自分で負担をしてやるということになっております。その関係で原則として自動車はその軌道内に入ってはならないということになっておるわけでございます。しかし現在そういうことを推し進めますことは、東京におきましてはほとんど交通が途絶するということになりますので、そう強く言っていないわけでございます。また石敷のいわゆる軌道敏といいますものは、ただいまもお話のように修繕の便利という点も考えておりますが、使っておりますまくら木がやはり木材を使っております関係がありまして、水はけその他も考えてやっておるわけでございます。これは諸外国の場合でございますと、大体自動車交通が多くなっております都市におきましては、こういう路面電車というものはだんだん取りはずし、あるいはそれをトロリー・バスに置きかえる、バスに置きかえるという、そういった姿になりつつあるわけでございます。これらにつきましては非常に交通量の問題その他もございまして、都市交通の問題として将来研究していかなければならない問題だろうと考えております。
  78. 眞鍋儀十

    眞鍋委員 道路法の関係から御質問を申し上げておるのではなしに、その道路の上を交通するという交通政策の上からお尋ねしておるのですが、もし今の軌道が石敷から全部コンクリートにかえられてしまって、あの上を自動車交通が自由になるというような時期が来たら、交通上非常な便宜を得られると思いますが、そちらのお考え方はどうですか。
  79. 山内公猷

    山内(公)政府委員 現在の石敷をただ単にコンクリートに置きかえるということはできないわけでございまして、結局まくら木そのものをコンクリートにしなければならない。そうなりますと現在の電車の状態では相当騒音を発しますので、PCCカーを使うとか、非常な複雑な問題が起ると思いますが、そういうことは論外といたしまして、なめらかなコンクリートのものになれば、道路交通がある程度スムーズになるということは言えると思います。
  80. 眞鍋儀十

    眞鍋委員 自動車局長は少し古いと思う。東京では亀戸から実験用としてコンクリートで電車道路をたたいております。その上を実際に通った運転手からお聞きになれば、ただ問題は軌道の上を通ってならないという規則の面からじゃまになるだけで、それさえなければ私は非常な交通上の便宜が得られるものと思いますので、あえて私御答弁はわずらわしません。御研究をお願いしておきます。私の質問はこれだけです。
  81. 有田喜一

    有田小委員長 本日はこの程度にとどめ、次会には運輸省はもちろんですが、警察、道路、労働関係当局の出席を求めることといたします。来る十九日水曜日午前十時より開会いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十五分散会