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1957-11-11 第27回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月十一日(月曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員仲原善一君及び田中茂穂君辞 任につき、その補欠として高橋衛君及 び近藤鶴代君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            田中 啓一君            田中 茂穂君            堀  末治君            堀本 宜実君            河合 義一君            戸叶  武君            千田  正君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    大蔵省主税局税    制第一課長   塩崎  潤君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害襲地帯における災害防除特別  立法措置請願(第一九号)(第四  二号)(第四九号)(第二一七号)  (第三〇九号)(第三一〇号)(第  四四八号)(第五五九号) ○酪農業振興に関する請願(第二四  号) ○水源林造成事業施行に関する請願  (第三四号) ○農地改革による犠牲者救済請願  (第三五号)(第四七一号) ○産繭流通秩序確立に関する請願(第  三六号) ○高知県中村市等の崩壊地復旧事業特  別措置に関する請願(第四六号) ○農業協同組合役職員厚生年金制度実  現に関する請願(第五〇号)(第五  四二号) ○凍霜害防止対策措置法制定に関する  請願(第七一号) ○乳価安定に関する請願(第七二号) ○優秀乳用種雄牛拡充に関する請願  (第七三号) ○園芸振興法制定に関する請願(第七  四号) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補償の暫定措置に関する法律の一部  改正に関する請願(第一八八号) ○予防治山事業拡充等に関する請願  (第一八九号) ○岡山県吉備高原を農業開発地域に  指定するの請願(第四〇五号) ○国有農地無償払下げに関する請願  (第四五六号) ○市町村有林事業資金融資措置に関  する請願(第四六七号) ○地方競馬民営移管等に関する請願  (第四七七号) ○継続調査要求の件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林水産物資輸出に関する件)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。本日、仲原善三君が辞任され高橋衛君が選任されました。
  3. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 請願議題といたします。  今国会中当委員会に付託された請願は二十六件でありますが、前例に従って、ただいまから懇談によって調査員から順次調査の結果をお聞き取り願い、御審議の上その取扱いを御決定願うことにいたしたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) そのように御了承をお願いいたします。  懇談にいたします。    午後一時三十八分懇談会に移    る。      ————◇—————    午後二時六分懇談会を終る。
  5. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。  ただいままでに御審査を願いました第十九号、災害襲地帯における災害防除特別立法措置請願外二十一件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと、決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。   —————————————
  8. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) なお、お諮りいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、従来より調査を続けて参りましたが、会期も切迫し、会期中に調査を光了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、継続調査要求書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  なお、要求書内容及びその手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。    午後二時八分速記中止      ————◇—————    午後二時二十三分速記開始
  11. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。  農林水産物輸出の件を議題にいたします。  今国会に政府から、輸出振興に資するため、輸出所得特別控除制度拡充する目的をもって、租税特別措置法の一部を改正する法律案が提出され、これは農林水産業にも関係を持っておりますが、藤野委員等からの御要求もあり、この法律案内容について大蔵当局から説明を聞き、続いて農林水産物輸出事情について御審議を願うことにいたします。  まず、大蔵当局より法律案内容について説明を求め、続いて農林当局から農林水産物輸出の現況及び今後の見通し等についての説明を聞くことにいたします。
  12. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ただいま議題になりました租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げたいと思います。  法律あるいは要綱で申し上げましても非常に複雑なものでございますから、一つ計算例で御説明した方がおわかりいいのではないかと思いますので、計算例を持って参りましたので、一つこれを御配付していただきまして、これで見ていただくことにいたします。  まず、数字に入る前に、現行制度概要について申し上げます。  昭和二十八年の八月一日から租税特別措置法改正になりまして、輸出につきましては、当時西独において行われておりましたような制度が入れらわたわけでございます。現在もその基本的な制度は維持されておりますが、その制度概要は、今から申し上げるわけでございます。  まず第一に、昭和二十八年八月一日から輸出取引を行なったものにつきましては、輸出取引額商社ならば一%、メーカーならば三%、これは昭和三十年からの改正でございますが、メーカーのうちプラントでございますと五%、この金額輸出所得から控除することができるという制度になっておるわけでございます。ただし、昭和二十八年の八月一日からは、輸出所得の五〇%が最高限度となっておりましたけれども現行制度におきましては、輸出所得の八〇%程度でとどまる、八〇%が最高限度である、かようになっておるわけでございます。これが現行制度概要でございます。  ところで、今度、御承知通りに、去る六月十九日の輸出改善のための総合対策がとられましてから、輸出を大いに増進したい、こういうことが強く言われまして、その一環といたしまして、この輸出所得控除制度につきまして何らか政策的な減税を与えて輸出に大いにドライブをかけたい、こういうことが要望されまして、それに基きまして、改正案が出されておるわけでございます。  改正案大要は、こういう今から申し上げますような大要になっております。  まず、昭和三十二年八月一日から三十四年十二月三十一日までの期間に輸出が行われました場合におきましては、前一年の輸出取引金額の半分、これを基準輸出金額といっておりますが、これをこえるものにつきましては、先ほど申し上げました現行制度の一%、三%、五%の五割増し、商社ならば一・五%、メーカーならば四・五%、プラントならば七・五%の金額控除することを認めると、しかもまた現行制度におきましては輸出所得の八割でとどめることになっておりますが、その前一年の輸出取引金額をこえる部分につきましては、それに対応する輸出所得の全部まけてもよろしい、こういうことに改正しようとするものでございます。一方、今申し上げました前一年間の輸出取引金額の半分、これを基準輸出金額といっておりますが、この半分のもの以下につきましては、これは現行制度の一%、三%、五%、輸出所得の八割で最高限度とする、こういうふうにとどめる、こういう考え方をとろうとしておるわけでございます。  このねらいは、御承知通りに、現在の緊急対策が、ことしよりもなお輸出をふやしたいのだ、できるだけ輸出をふやしたいのだ。輸出を伸ばしたものに恩典を与えたいという趣旨で、前一年間に比べまして、輸出がふえたものに対して恩典を与えたい、こういう趣旨一つあるわけでございます。しかし、前一年だけの輸出金額をとりますと、たまたまいろいろな事情で前一年輸出金額が非常に多かったというものもございますれば、前一年輸出金額が少なかったものが出て参ります。これは内需の方が旺盛でございますから、輸出の方を努力しなかったというものもございます。そんなようなことで、前一年をそのままとりますと不公平な面も出て参りますので、そこは不公平をならすという意味で、前一年の輸出金額の半分を基準輸出金額といたしました。これも、もう一つ考え方といたしましては、まあ過去三年の平均くらいという考え方もございまするけれども税務執行面におきまして過去において輸出取引があり、しかもそれがどの程度免税を受けておったかということを、一々引き出すと非常に繁雑である。やはり前一年をとることがいいという考え方で、前一年をとる。今申し上げましたたまたま輸出が多かったもの、あるいは輸出の方をサボったもの、これらのバランスがございますので、半分をベースといたしまして、半分をこえるものにつきまして、今申し上げました五割増しの恩典と、最高限度につきましては、対応する輸出所得金額全額まで免除する、こういう改正案を準備いたしたわけでございます。  非常におわかりにくうございますので、ただいまお配りいたしました計算例で御説明申し上げれば、この点ははっきりいたすのではないかと思います。ただ、計算例は非常に数が少いので、いろいろな計算例が出て参りますが、普通あり得るものとして、この程度のものが多いのではないかという意味におきまして出したわけでございます。  まず、現行制度を見ていただきます。現行制度によりまして、今度の改正案が実施されないといたしますと、当年度輸出金額が一万となっておりますが、単位は幾らでもよろしゅうございますが、千万円といたします。メーカーも千万円、商社も千万円という意味でございます。ところが、取引基準額と書いてございますが、これは、先ほど申し上げました現行制度によりますと、メーカーなら三%、商社なら一%の基準でございます。そういたしますと、2によりまして、商社ならば、一千万円の一%の十万円輸出所得から控除される。メーカーならば三%でございまするから、三十万円控除されるということになるわけでございます。ところが、先ほども申し上げましたように、現行制度ならば、輸出所得全額控除するというようなことではございません。八〇%で頭打ちということになっておりますので、取引基準所得基準か、いずれか少い方になるわけでございます。輸出所得金額を求めまして、その八割をはじき出さなければならない。それが所得基準額でございますが、まず輸出所得金額は、どういうふうにしてはじき出すのかといいますと、普通商社純益率というものは大体〇・五%程度でございます。それをかけまして、商社ならば五万円であり、メーカーならば五十万円である。その八掛は、商社ならば四万円で、メーカーならば四十万円である、こういうふうになるわけでございます。そこで、この2と4とを比較いたしますと、商社の方は非常に純益率が低うございますから、取引基準の一%は控除し切れないわけでございます。利益は、十万円控除するときは五万円しかございません。そこで、十万円控除が、五万円から控除し得るのは十万円ではなく、所得の八〇%、四万円だけ控除するということになります。これは、5の欄の四万円、これが現行制度でございます。メーカーならば、純益率が五%高うございますので、取引基準はゆうゆうと引いて参れます。輸出所得の八〇%が四十万円でございます。三十万円は引けますから、これは商社の場合と違いまして、取引基準の方が控除金額になって参ります。こういうことになります。それが現行制度で、改正案か出されなければこんなようなことでいくと。そこで、改正案によりますとどうなりますかというのが、2の改正案のところでございます。  まず、当年度輸出金額、今までの通り千万円と計算いします。そこで、当年度はこうであったが、前一年の基準取引金額幾らであったかということを、その次に求めるわけでございます。これは2の欄のカッコ書きにございますが、前一年の輸出実情は八百万円であった。その二分の一の四百万円が基準輸出金額となりまして、それを上回る分が国からのボーナスと申しますか、今度の減税恩典が参る、こういうことになります。基準輸出金額はこの場合、八百万円といたしますれば四百万円、こういうことになる。そこで、まず当年度輸出金額を、この基準輸出金額を上回る部分とそれ以下の部分とに分けるわけでございます。そういたしますと、マルマル4の欄にございますが、割増控除適用を受けます分が六百万円になる。通常控除分が四百万円、これは商社メーカーも同じ金額でございます。  その次は、そこで取引基準だけではございません、輸出所得金額を出すということになります。これはあとで八割、全額との関係でぜひ出さなければならぬものでございますが、そこで輸出所得金額は、現行制度で御説明申し上げますと、純益率の同じ〇・五%と五%をもちまして、商社の場合は五万円、メーカーの場合は五十万円で出て参ります。そこで、今申し上げましたように、上積み下積み分と私どもは申しておりますが、割増控除適用を受ける部分とそうでない部分とを、所得において区分けする必要が出てくるわけでございます。これはやはり輸出所得金額を六、四で分けるということになるわけでございます。上が、割増控除分が六百万円、下、通常控除分が四百万円でございます。六、四で分けます。そうなりますと、五万円は三万円と二万円に分ける。五十万円は三十万円と二十万円に区分できるわけでございます。  そこで、その次は、いよいよこの改正案が実施されますと、どの程度損金算入になるかというのが、損金算入額の欄でございます。マル8から御説明申し上げますと、割増控除適用分幾らになるかということになるのでございます。マル8を見ますと、取引基準は一・五%に商社は上って参り、メーカーは四・五%に上って参ります。そこで商社の場合は、六百万円に一・五%かけまして、九万円でございます。メーカーの場合は、六百万円に四・五%かけまして、二十七万円になる。で、これが割増控除上積み部分適用されるところの取引基準でございますが、しかし、何といっても所得全額こえてまで引いて、損金に算入するということは、税の性格から見ましておかしい。繰越損を認める趣旨ではございません。そこで、所得基準額を見るわけでございますが、所得基準額というのは、この対応する部分、六・四に分けた部分の六の部分は全免となっておりまするから、所得基準をそのままとったらいいのでございます。マル6の欄を持って参りまして、商社は三万円、メーカーは三十万円でございます。それがマル9の欄でございますが、マル10の欄を見ていただきますと、マル8またはマル10の低い方の金額になりますと、商社は依然として取引基準の額が多いのでございます。所得が小さいものでございますから、所得全額でやって参る、三万円でございます。マル10の欄のメーカーの方は、依然として所得が多いのでございますから二十七万円は引ける。取引基準そのままはじきまして、まだ所得基準ゆとりがあるわけでございますが、取引基準でこの方は頭打ちする、こういうことになります。割増控除適用を受ける部分商社は三万円、メーカーは二十七万円。  その次は下積み部分と申しますか、通常控除現行制度適用のある部分であります。そのうちのマル11は、取引基準部分でございまして、マル4かける一%というマル4を見ていただきますと、通常控除に該当するところの六、四の四の方所でございます。四百万円に一%かけまして四万円、メーカーならば四百万円に三%かけまして十二万円で、この次は所得基準を見るわけでございます。この下積み部分の方は、現行制度と同様でございますから、所得の八割で頭打ちする。この方の部分恩典が少いわけでございます。そういたしますと、マル12の欄にあります通りに、所得は六、四で分けましたマル7の欄の二万円に対しまして、八掛の一万六千円、これは商社でございます。メーカーならば、二十万円に対しまして八掛の十六万。このマル11またはマル12のいずれか比較いたしまして、低い方を控除する。商社ならば、先ほどから申し上げたのでありますが、所得が一万六千円で、所得の方しか控除できない。メーカーの方は、まだ八掛にいたしましてもゆとりがございます。十二万円をまるまる引ける。そこでマル10とマル13を足しましたものが、改正案実施後の通常控除適用部分割増控除適用部分との控除額の合計でございまして、商社の場合は、現行制度ならば四万円であるべきものが四万六千円である。メーカーの場合は、三十万円が三十九万円になる。こういうのが改正案概要でございます。  3の損金算入額増加割合というところに、その割合がおのおの書いてございます。これは参考までに、今まで申し上げましたことを数字で整理しました。どの程度増加割合がふえるというのが上の欄でございますし、ふえた分だけの増加割合適用したのが下の欄でございます。  以上が概要でございます。
  13. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの説明並びに輸出状況一般について、大蔵並びに農林当局に対して御質疑の方は、御質疑をお願いいたします。
  14. 堀末治

    堀末治君 これは、今塩崎さんの詳しい御説明がありましたが、ことし二十九億何千万円と。そうすると、この改正したこれによって、税金が総額でどのくらい違うのですか。
  15. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) お答え申し上げます。これによりましての減収見込額のお尋ねのようでございますが、来年度二十四億円、今年度におきましてはずれがございますが、約三億円と見ております。
  16. 堀末治

    堀末治君 それは税収限度を言うたわけでしょう。総額で何ぼに対して何ぼとおっしゃっていただけませんか。
  17. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 現行制度減収額をはじいて参りますと、七十六億円が現行制度によりますところの減収額でございます。それが二十四億ふえるわけでございますから、三割ちょっと減収額がふえて参る、こういうことに一なります。
  18. 千田正

    千田正君 関連して。その減収額といえば、それはあれでしょう、現在の取引総額が、来年度もこうであれば減収ということなんだが、しかし国内においてこういう処置をすることによって、かえって輸出伸びるかもしれない。仲びると。私ども伸びさすために、こういう控除をやるのでしょう。ことしと来年も変らなければ、今のような三十何億減収になるかもしれませんけれども、こういうあなた方の国内処置をうまくやったことによって輸出伸びるとすれば、総額において逆に来年は輸出伸びるものとした場合においては、あなたの方ではどのくらいの伸びがあるものと予定しておると思いますが、その点はどうなのですか。
  19. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) この措置によりましてどの程度輸出伸びるかということを、私ども当然いつも気にいたしておりまして、研究はずいぶんしたことがございます。なかなかこの制度によりましては、どの程度伸びるかということは推算がつきませんので、一応減収計算といたしましては、企画庁が立てておりますところの三十三年度の輸出目標、これをもとにして計算したのが、申し上げた数字でございます。
  20. 東隆

    東隆君 これは、商社とそれからメーカーと考えるときに、農業協同組合連合会なんかが直輸出をする場合、そういう場合はどうなりますか。
  21. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 現行法によりまして、商社メーカーと俗な言葉で申し上げましたが、製造行為をやらずに直接輸出する場合は、商社と同様の待遇を与えられることは当然であります。商社という表現は使っておりません。  それからまた、協同組合が製造いたしまして、メーカーに販売するという場合もございましょう。そういう場合には、商社の方は一%でございますが、メーカー的な立場に立てる協同組合につきましては、メーカーと同様に三%の控除をする、こういう形になっております。
  22. 東隆

    東隆君 例をとってみますと、たとえばハッカのようなもの、取卸油から脳を製造する、そしてそれを輸出する。こういうふうになりますと、メーカーですね。
  23. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ええ。
  24. 堀末治

    堀末治君 今あなたの御説明、あまり早くて簡単にのみ込めないのだが、そこで私お尋ねしたいのは、今この処置をしたために、今年の総額でいえば二十四億税収が減ると、こういうわけでしょう。ところが、千田君が尋ねたのは、これあったがゆえに来年度伸びがくるということになれば、どうなるかということですね。その御説明がどうも明瞭でないようだけれども、しかし、この処置をすることによって、どれほど輸出伸びるという大体の見通しを立てているのではないですか。
  25. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 私がお答え申し上げましたのは、この税制だけの措置によりまして輸出幾ら伸びるかということは、なかなかむずかしい。いろいろな要素が働きまして、輸出伸びるわけでございます。これは衆議院でも問題になりまして、御質問がございました。簡単にこれだけで伸びるということは、これはあるかと思いますが、数字的に計数的にこれを申し述べるというのは、なかなかむずかしいことでありまして、資料として要求されました際にはこういう資料を出しました。昭和二十五年度以来の輸出金額の推移、昭和三十三年度までの輸出金額、それから輸出所得控除制度の沿革と、それからその当時各年に対応いたしますところの減収額を出したわけでございます。これでどの程度伸びたか一つ見ていただくつもりでございましたが、これによってだけ伸びたと私は思っておりません。  お許しを得ますれば、三十二年度と三十三年度の数字を申し上げますと、三十二年度の輸出見込金額は二十八億二千万ドルに見ております。三十三年度におきましては三十一億五千万ドル、こういう数字に見ております。もう少しさかのぼりますと、三十一年度は二十四億九千四百万ドル、三十年度は二十億四千五百万ドル、二十九年度は十六億三百万ドル、二十八年度、これは特別措置ができましたときでございますが、十二億四千四百万ドル、こんなふうな、数字がずっとしり上りに上っております。上ったこと自体が、この税制によりまして上ったのと全部見ていいのかどうか、そこはなかなかそうでないと思いますし、どの程度がこれによって伸びたのかということは、客観的に数学的には出ないのじゃないか、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  26. 堀末治

    堀末治君 今の三十一億五千万ドルというのは三十二年度ですか。
  27. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 三年度です。
  28. 堀末治

    堀末治君 これは見込みですね。
  29. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 見込みでございます。
  30. 堀末治

    堀末治君 そうすると、もう一ぺんお尋ねしますが、三十一億五下万ドルで、旧法と新法とで税収の差がどのくらいございますか。
  31. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) これもきょうお手元に差し上げればよかったのでございますが、大蔵委員会の方には差し出してございます。三十二年度の改正案がなかりせば、あるべき減収額は七十六億と先ほども申し上げました。それから三十三年度は八十億と、こういうふうに見ております。ただ、割合にいたしまして伸びませんのは、申告が非常にずれるとか、あるいはこの特典の適用のありますのは、青色だとかこんなような関係もございますので、簡単に輸出の状況と減収額がパラレルに動かない場合も相当あるわけでございます。税務の申告の実際から私どもが推定いたしましたのが、今申し上げましたような数字でございます。
  32. 千田正

    千田正君 そこで、今堀委員も同じような御質問をやっておりましたが、私、関連して御質問いたしますが、今の計算でいくというと、税金だけでは非常に国内的にいい処理をやるというつもりでやっておられると思う。見通しをつける上からいえば、物価指数ですね、賃金の増加とかというものとのバランスの上において、この税率の差し引いた分と、それから物価が上ったりあるいは賃金が上ったりした部分とのバランスがどのくらいになるのですか。将来ですよ、三十三年度どういう予定のもとに考えておられるのですか。
  33. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 今御質問の趣旨がちょっと私のみ込めなかったのでございますが、賃金あるいは物価の状況がこの収入見込に影響するのではないかと、こういうお話でございましょうか。
  34. 千田正

    千田正君 問題は、貿易や輸出は、要するに国際マーケットにおけるところの各国との競争になると思う。各国との競争になるがゆえに、現存と同じ価格によって進んでマーケットを確保できるものとすれば、国内においてこうした税金の措置をやることによって、それだけある程度国際マーケットの競争に勝てるわけだ。それがまた大蔵省の方針でもあるわけです。ところが、それだけ恩典を与えてやっても、恩典をそれだけもらっても、その他のいろいろな原因によって、マーケットが決して競争しても勝てるというところまでいかないかもしれない。それを見通しをつけていなければ、貿易業者なり輸出業者としては、国際マーケットにおいて戦えない。だから、その見通しは、税金はこれだけ引いて恩典を与えてやるのだが、それではその他の賃金であるとか原料高というようなものによって、来年度のべースが国際マーケットにおいては今よりも安く戦っていけるか、あるいは同じくらいの価格でやっていけるのか。それによっておそらく国際収支の見通しというものをつけなければならぬのです。その点はどうなんですか。
  35. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 仰せの通りでございます。私どもは、そういう輸出見通しにつきましては、何分しろうとでございます。そこで、経済企画庁の見通しを採用いたしまして、減収計算をしておるわけでございます。ただ、純益率あるいは所得率、このあたりにつきましては、過去の実績を参考にいたしておりますので、現在のような状態が続いたらという前提が一応とられている、こういうことは申し上げられると思います。輸出価格がどういうふうになり、あるいは国際市場における競争がどういうふうになるかというようなことは、私よりもむしろ企画庁の方から御説明があった方がより権威があるのじゃないか、かように考えております。
  36. 千田正

    千田正君 ただ、大蔵省としてはもちろん、それだとすれば、税制の面においてこれだけの恩典を与えてやるのだから、現在の価格でいけば輸出は当然伸びるという考えで恩典を与えている、それの改正というわけなんだ、こういうわけですね。
  37. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 大体そんなような考え方に立っておると見てもけっこうじゃないか、かように考えております。
  38. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 大体全体的なお話を承わったのでありますが、この税制改革によって、恩典によって、農林水産物輸出に及ぼす影響、平易な言葉で言ったならば、輸出は、農林水産物はどの程度伸び見込みであるか、またどんな事業が、品物が伸びるのか、この点お伺いしたいと思います。
  39. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 私の方の輸出のベースにおきますところの見込み、それから減収額、主税局でございますので総体計算でございます。大体過去の実績から、これくらい減収になっておる、そういたしますと、来年度の輸出がこれくらい伸びるから、突っ込みでこれくらい伸びるであろうという、ごく大ざっぱな計算でございますので、はなはだ不勉強でございますが、輸出農産物がこれによってどの程度伸びるかという計算までいたしてございません。農林省の方からでもお聞きになっていただければいいのじゃないか、かように思います。
  40. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 今大蔵省からお答えになりましたが、結局これを品目別に今の所得の計算をするというわけにもいかないのであります。従いまして全体的に推定で考えるより仕方がないのでありますが、先ほどお話がありましたように、輸出総額は三十年度が二十億で、三十一年度が二十五億、三十一年度が二十八億というふうになっております。その中で農林水産物関係を見ますと、三十年度で二億五千、三十一年度で三億約五千、三十二年度の計画としましては三億七千を計画しておったのであります。これはもう少し伸びる。計画を少し変更しまして、もう少し増しておりますが、そういうふうな状態でありまして、この制度輸出促進の材料になっておることはいなめないのであります。輸出増加の何%がこの制度による増加であるかということは、算定できません。
  41. 千田正

    千田正君 今の藤野委員の御質問に関連して私はお尋ねいたしますが、これは大蔵省に質問したことをあなたの方で研究しておるかということですよ。たとえば、大蔵省においてはこういうような改訂税率において国内輸出向けの生産物並びに業者に対しては恩典を与えておるのだ、そういうことになった場合に、あなた方あげた項目の中で、たとえばベニヤならベニヤは、来年度も今年度と同じ原料価格で取引ができるとか、賃金もそういうコストでできるのだということであれば、大蔵省で減税してもらった分、それが輸出業者なり生産業者のプラスになって、利益となってくる。ところが、原料が高くなる。たとえば原料が、輸出カン詰なら輸出カン詰の場合においては、カン詰のカンの値段が高くなる。賃金が高くなる。加工賃が高くなる。そうして輸出した場合は、減税された分ととんとんになるのだということになれば、三十一年度あるいは三十二年度の輸出における利益と、三十三年度の利益も大体同様にしか見られない、こういう観点に立たざるを得ない。あなたの方の見方からいって、これによって、特に三十三年度においては一応の輸出が進出するのだ、これとこれはたとえば国内が物価高になろうが、賃金が上昇しようが、とにかく税率の改訂によって輸出伸びるのだ、こういう目安は一応ついておるのだろうと思いますが、おそらく藤野委員の御質問も同じような重点にかかっておると思うのですが、その点はどうですか。
  42. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 今のようなお説でいかれますと、輸出金額伸びたが、原材料、労賃等の関係所得はそれほど伸びていない、その場合にどうなるかということでありますが、それは措置法の現行制度にございますように、輸出所得額と輸出収入額と両方比較して、いずれか低い方、こういうことでその点はカバーできることになっておるのじゃないかと思います。お話の、それにしても材料、労賃等が上って所得が少いものだから、生産者なら生産者はあまりもうかっていないじゃないか、こういう問題は出てくるのじゃないかと思います。これと今の所得控除関係とは、ちょっと問題を別に考えなければいかぬのじゃないかと思います。これは原材料その他を安くするのは、また別の制度で考えなければならぬ。この税金では片づきません。
  43. 千田正

    千田正君 それはあなたの言う通りだが、それとは別個に考えることで、どうも生産者は、こうやっていただいても、十分にすぐ金額伸びていく、仕事はある程度発展したけれども、実際の所得においてもちっとも所得伸びないのじゃないかということがあると、この改訂案に対してもわれわれは要望しなければならぬ。せっかくやってもらったけれども、この三対二の割合ではとうてい生産者は利益はあがらないのじゃないか、もう一%上げてもらいたいということは、農林委員会として大蔵当局に、やはりその集約した結論を持たなければならぬ。だから、そういう結論を持つための資料としての見通しとして、私はあなたに聞いているわけです。だから、今の段階でいけば大体輸出金額伸びるし、所得金額伸びる、こういうまあ観点に立っておられるわけですか。
  44. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 伸ばしたい、こういう考えであります。これはむしろもう一つのファクターは、海外市場の景気といいますか、購買力の問題がありますから、同じ状況ならば伸びるのだけれども、今の海外市場の景気は必ずしもこちらで考えるほどよくない、悲観的なものが多いのでありますから、そのマイナスのファクターが働きますれば、まあ希望通りいかない場合が出てくるのじゃないかと思います。
  45. 千田正

    千田正君 そうしますと、私は将来これは、今は御説明の段階ですから、特に私は一応聞いておきたいのは、そういう場合に一律の改訂料率でいいかどうかということですよ。たとえば、業種別によってこの率をかけるかどうかということです。たとえば生糸であるとか、製品で出す場合と、それから半加工品で出す場合、それにかけるところの率によってまた違ってくる。大蔵省としては、今提案されたこの改正案というものは一律に考えておられるわけですか、そういうことは技術的な問題になりますけれども
  46. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 現行制度は、先ほど申し上げましたように、三分類になっております。輸出商社、それから製造業者、しかも製造物品のうちでプラントだけにつきましては、取引基準が五%と高めてございます。この趣旨は特別に考えられました、三十年特別に考えられたのでございますが、プラント輸出ならば、どんどんあとから輸出が続くであろう、こういう政策的な判断から特別な割増控除が設けられたわけでございます。  今申し上げましたように、三分類いたしましてやっておるわけでございますが、この趣旨は大体所得率というものが頭にあるわけでございます。商社の方は一%といたしておりますのは、商社純益率というのは低い、これはたまたま西ドイツが一%であった沿革もございまするけれども、そこで取引金額の一%引いても所得から結局引き切れぬ、所得で頭打ちということになっておりますので、取引基準の方であまり上げることは適当でない。ところが、メーカーの方は、純益率が高いものでございますから、三%でもまだまだ余裕がある。先生がおっしゃいましたように、今後原価がだんだん上って参りますと、取引基準は相当高めであっても、結局所得で頭打ちすることになるのじゃないか。そうすると、今まで所得はまだゆとりがあって、相当恩典を受けると思っておったのか、所得基準の低い方で頭打ちしなければならないから、これを何とかしなければならないと聞いたのですが、個々のメーカーについて所得率は千差万別、いろいろな業態によって違うわけでございます。これを頭に置いて取引基準の率を作ることは、非常に繁雑であろうという気がいたしますので、簡単にそういうことがとり得るかどうか。よほど慎重にいたしませんと、それがあまり複雑になりますし、また客観的な基準も失われるという場合があると、こういうことを心配するような次第でございます。
  47. 千田正

    千田正君 大蔵省の方の御説明はわかりますよ。それは一律にやることは、あなたの方では繁雑を防ぐ、繁雑を省く。めんどうじゃないわけです。徴収技術からいってもその方が楽なんですけれども、ところが、一方メーカーからいえば、あるいは生産者からいえば、同じような輸出の仕事に従事していながら、うんと苦労してこれしかもうからないものと、さほど苦労せずによくもうかるものと、同じ税金の控除であっては、きっと生産者からある程度不平が出てくるのじゃないかと、前から私は杞憂を持っておる。そういうものに対して対処する方針を何か考えておるかということを、私は御両者に大体御質問したが、大蔵省当局は、なるべく技術的にうるさくないような一貫したものでやっていきたい、経済局長の方は、それでもとりあえず満足して、それでやっていこう、一応やってみなければわからぬ、こういうわけですから。
  48. 島村軍次

    ○島村軍次君 この措置をおとりになったことは、基本的に西ドイツの例をとったのだ、こういう御説明があったのですが、この一%か三%というような率も、ドイツの例にならって……。私が聞きたいと思いますのは、特にこの臨時国会輸出増進をやられるということは、きわめて必要なことであるだけに、その基準をここにとったということに対しまして、一体非常に有効なものかどうかということは、しろうと的に考えますと、もっと突き進んで何かしろうとわかりのするようなものを、こういうふうな輸出伸びがあったのだ、あるいはまたドイツあたりの例からいってこうだ、あるいは昭和二十八年の例からいってこういう点だというような、しろうとわかりのするような説明が、法律提案になりました理由として、もっと突き進んで御説明される材料がありますか、それを一つ伺いたいと思います。
  49. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 非常にむずかしい御質問で、私どもも当惑するわけでありますが、大蔵委員会の方には、先ほど申し上げましたように、輸出の状況と、輸出所得控除制度の沿革と減収額と対比したものを出しております。必要に応じて、あとからお届けしてもいいわけでありますが、そんなような資料を出しておりますが、これによって幾ら伸びたかということは、なかなか私ども推算ができないわけであります。  ドイツは、御承知通り、一九五一年からこの制度が設けられまして、非常に輸出伸びました。しかし、一方この制度につきましては、イギリスあたりから相当な批判もございましたし、またかてて加えまして、ドイツはあの程度輸出状況に行って、一九五五年に廃止いたしております。そのドイツの率をとりました、そのドイツの率が参考になったと私ども聞いております。  これは二十八年の国会の修正でとられました制度でありますから、そこの際に、私ども先生の御意見とちょっと角度が違うかもしれませんが、そのときとりました商社一%、メーカー三%という率は、これはドイツの所得率が頭にあったのじゃなかろうかということが、ときどき批判されるわけでございます。と申しますのは、この表を見てもおわかりの通りに、商社の方は所得で頭を打ってしまう、一%が。だから、結局高いのじゃないかということになる、逆に申しますと。ところが、メーカーの方はまだ、所得純益率が高いものですから、三%じゃゆとりがある。従って、メーカーの方は取引基準が低いのじゃないか、こういう批判がときどきございます。そんなところを、今度半々で、緩和いたしまして所得全額控除してもよろしい、と言いましたのは、そういった面にもこたえたつもりで、私ども改正案を御提案申し上げているような次第でありまして、このあたりの率につきましては、なお検討すべき余地があろうかと存じます。  しかし、今度は臨時国会でもありますから、そういう根本的なところまで直すのにはどうか。ことに商社所得が小さいというのは、日本独得の商社の過当競争のせいであって、従って純益率が低いのだ。ドイツあたりになりますと、一%でも十分引き切れるということになっているのじゃないかというような見方もございますが、今も申し上げましたようなところは、なお検討すべきところだろう、かように私どもは考えております。
  50. 千田正

    千田正君 島村先生の御質問に関連いたしますが、大蔵省じゃ、輸出ブローカーの問題は考えておりませんか。これは、あるいは生産者はあなたの方には、輸出の額はこれだけだと、一千万なら一千万と。ところが、生産業者は今三百万くらいのやつは、中に輸出ブローカーが入ることによって、生産者の利益が十分になくて、中間マージンによって逆に生産者が頭打ちされることが多い、日本の場合においては。ドイツの場合には、そういう危険というか、リスクはないか。そういう点の比較はどういうふうになっておりますか。
  51. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ドイツとの所得率の比較は、私どもなかなか資料もございませんので、今申し上げましたようなところから判断しておるところでございます。確かにメーカーのところの利潤、そういうところで、そういうブローカーあたりのところで少くなっておる面もございましょう。しかし、それによりまして、メーカーが特に所得が低いというのは、逆に商社の方が所得率が低いような、今までの実績ではさようになっておりますので、むしろメーカーの方がまだ所得率についてはゆとりがあるから、もう少し控除率を上げてくれとの要求が、私どもの耳に入ってくる状況であります。しかも、現在の輸出控除制度は、直接輸出いたしました商社と、それに販売するメーカー、その前のずっともとまで免除するというような体制でございませんので、ブローカーあたりのところは、それが直接輸出しますと免税になりますが、商社に売る販売業者には免税になっておりません。そんなことでその弊害は救われておるのではないかと、かように考えております。
  52. 千田正

    千田正君 しかし、生産価格か、輸出価格か、いずれかの面において、中に入った輸出ブローカーの利益というものが、どっちかの価格に存在するわけですね。
  53. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 仕入れ価格の形で存在するわけです。
  54. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、あなたにお聞きすることはどうかと思うのですけれども、この間の農林委員会で、輸出増進に関する話が出たときに意見を申し上げたことは、農産物に関することは、全体の率からいえば、輸出価格からいえば少いのだけれども、それが伸びないという理由には、つまり鉄鋼とか大きな輸入物資ですね、輸入物資の、大量でもうけの多いものの輸入をたくさんやる。製造業者というものは自分の製造したものだけでしょうけれども、大きな商社というものは、輸出と輸入とかねてやっているのだ。そういうことが非常に将来の輸出関係するので、まあせっかく輸出特別措置法をお考えになるならば、そういう問題については検討を加えられたかどうか。つまり、あなたは税の方の関係だけかもしれませんが、大蔵省内において考えるということは、やはり商社というものの所得の計算という場合には、これはこまかくなるようですが、今申し上げましたような問題が当然私は検討の段階にあったのじゃないかと思うのですがね。それ、何か一つあったら、お聞かせ願いたい。
  55. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 御承知通り、私どももそういうことを十分検討いたしまして、結局は改正案としましてはこんな形になったわけでございますが、御承知のように、商社は輸入分はもうけが多くて、輸出分は非常に少いわけでございます。ところが、輸出所得の計算の方は、総所得輸出とその他と分けまして、それで按分いたしますので、輸出所得という中に輸入の利益も入り込むのではないかということが言われております。そうなりますと、一%の率自体が、まあドイツでは適当であったかもしれませんけれども、日本の場合は果してこれでいいのであろうかどうか。むしろメーカーの方が不利ではないか。先ほど申し上げましたようなことを議論したわけでございますが、今度は臨時国会でございますし、半分超過分については、輸出所得全額を免除するというようなことで、今までメーカーが救われなかった部分は今度は相当救われるのではないかというような形で、私どもは考えてきたような次第でございます。
  56. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この法律を作った結果、たとえば新農村建設とかなんとかということで、園芸作物が非常に多くなる。ミカンの栽培がふえる。そういうようなことからすれば、ミカンのカン詰の販路の拡張ということもしなくちゃいけない、また生産物の販路の拡張というようなこともしなくちゃいけないが、そういうような方面に対して、この法律の結果がどのくらい好影響を与え、また政府の方ではそういうふうな方面にどのくらい力を入れようというお考えであるか、承わりたいと思います。
  57. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 先ほど来申し上げますように、これだけでは全部の輸出奨励の手段というわけにいかないのであります。この方法も一つの方法でありますが、それから先ほど千田さんから御指摘になりました、特に農産物については輸出価格と生産者価格の開き、それは中間のブローカーが入るとか、あるいは出荷の調整がうまくいっていないというようなところから来るわけですが、そういうことを排除することによって農家の手取りを多くする、こういうこと、またそとの市場の状況等をつぶさに見てやらなければいかぬのじゃないか。このものだけで非常なはっきりした、輸出伸びの何%が加わるということは、従来申し上げますように、算定することはできない、こういうように考えます。
  58. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、現在の日本の状態からすれば、どうしたって農林水産物というものはある程度輸出可能のものは輸出するような方法を立てなくちゃならないのでありますが、この法律改正と同時に、どんな方法で将来輸出の増進をはかろうと計画しておられるか、承わりたいと思います。
  59. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま申し上げましたようなほかに、もう一つの理由といたしましては、農林水産物は、まあ合板等のごとくある程度年中生産できるものと、あるいは生産制限、生産の調整がやろうと思えばできるものと、魚であるとかあるいはくだものであるとか、そのほか、ほとんどの農林水産物は生産時期が片寄っている。貯蔵はきかない。もし貯蔵がきいても、貯蔵すれば相当の費用がかかる。こういうふうな関係がありますので、やはりその面に相当のウエートを置かなければいけないのじゃないか。たとえば、海外市場の価格を安定さすためには、輸出共販というものは絶対に必要なことになってくると思います。もしそういうことをすれば輸出共販で平均売りの可能なものは、平均売りができるように、ある程度農産物を共販においてかかえて、海外の市場を見ながら出していく。そのための融資であるとかいうことによる費用とか、それからもう一つの点は、海外市場がよくなると、それに応じて国内の市価が、現にもう国内のミカンが輸出時期に来ておりますが、需要供給の関係国内の市場が少し窮屈になり、ミカンがなかなか輸出価格と引き合わない、こういう問題があります。ところが、うんと豊作になれば遂に国内価格は下ってしまう。しかし輸出は、下ったわりに伸びない。これは水産物についても同じようなことが言える。その関係を、輸出価格と国内価格の調整をはかっていく。  従って、生産がたくさんできて、輸出価格に比べて相当取得価格のマージンがある場合には、これを積み立てて、輸出価格と国内価格が逆ざやになった場合にそれを使う、こういうような仕組みも考えなければならない。そのためには、場合によればそういう輸出分には税金上の恩典もやってもらわなければいかぬ、こういうようなことも言えると思います。まあ工場生産と違いまして、個々のものから集めてきて、それをまた世界じゅうに分散している市場に出すわけでありますから、やはり伸ばしますのには、それに相応の手段が必要じゃないか、こう思います。
  60. 千田正

    千田正君 私、また大蔵省に伺いたいのですが、農家の場合は、生産者の団体というようなことをやるようですね。今、参議院では、商工委員会で中小企業団体法で右往左往しておる。議論をやっておるのですが、あなたの方の関税の恩典に対しては、個々の商社も団体も同一に見ているのですか。同一に取り扱うというのですか。
  61. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 現行税法、租税特別措置法によりますと、個人でありましても、法人でありましても、免税の恩典に浴するということになりますし、また法人のうちには協同組合が入ることは、もう当然私どもの税法では規定しておりまするから、そういう協同組合でも、あるいは個々の農民でも、税法の五十五条ないし二十一条に該当いたしますれば、控除恩典は受けられる、こういう意味でございます。
  62. 千田正

    千田正君 私は、これはまあ相当議論の余地はあると思いますが、たとえば海外の市場におけるところのダンピングなんかという問題が、しょっちゅう起きてくる。クレームの問題なども起きてくる。そういう意味からいえば、私はやはり団体、たとえば輸出協同組合であるとか、輸出水産業協同組合とかいう、一つの海外における市場価格を守るためには、品質の向上というような輸出振興の立場からいえば、個々の業者に与える恩典と、そうした組合なりあるいは団体を介して与える恩典なるもの、その差を多少考えなければ私はうまくないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  63. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) そもそも、この輸出所得の課税の特例は、相当政策的な、税の理屈で申し上げますると、負担の公平から見まして必ずしも好ましくない制度でございます。政策的に輸出が必要だということでとられた制度でございますから、先生のおっしゃったような政策がもしもいいとなれば、そんなようなことを考えても、その考えは入らないことはないと思っておりますが、ただ、現状におきまして、輸出組合あるいは調整組合的なものは、事業を行うのではなくて、むしろ調整的なことで、現実には取引を行わないというようなことになっておりますので、現実の問題といたしましては、個々のやはり商社あるいは個々のメーカー恩典を受けるのがまあ大部分ではないか、そこを頭に置いて書いておる次第でございます。ただ、現実におきまして、そういう協同組合的なものについての優遇措置というものは、こういう措置で与えるのがいいのか、たとえば現在の法人税法では普通の法人ならば三五%、四〇%の累進税率、協同組合のような特別法人ならば三〇%、軽減の税率、こんな制度もございますので、しかも利益もおのおのそういう普通法人と特別法人と違っておりますから、そのあたりよほど考えてみないと、控除あるいはその他でアンバランスの面が出てくるおそれはないかという気がいたしております。
  64. 千田正

    千田正君 これはきょうお聞きしたってしょうがないと思いますが、非常にやはり慎重に研究する必要があるのじゃないか。たとえば、今の岸内閣としては輸出というものに政策の重点を置いていくと同時に、また、ただいま問題になっている中小企業団体法というようなものを、これを育成強化しようという政府の意図であれば、私が今言うような議論も成り立つと思うのだ。それはいずれ、きょうじゃないときにやりましょう。
  65. 島村軍次

    ○島村軍次君 これに関連して、この前輸出増進に関して農林省の大体の考え方を承わったのですが、今どのくらいどういうふうに進行しておりますか、販売体制というものに対して。
  66. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) やっと私の手元では原案が出まして、これから各局相談し、省議にかけて、今月末までには農林省の案として出したい、こう考えております。
  67. 島村軍次

    ○島村軍次君 内部で、何というか、販売流通何とか審議会というものをお作りになったのです。それに各局も加わってやったのじゃないかと思いますが、それはどうなのですか。
  68. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは案ができましたらば、御説明申し上げたいと思っているのでございますが、一つの面は、品目一つ一つ拾っていきますと、現在の制度で相当の部分まで解決できるのです。それを今度は、たとえば加工施設とか貯蔵施設にどういうふうに金融をつけていくか、それから輸出の伸ばし方について新しい部面はどうか、こういうような問題がありますが、いずれも委員会で各局から代表を出していただいて議論をしておりますが、各局としましては、今までいろいろ議論をして頭を壁にぶつけておる問題で、幾ら制度はあっても右から左へ解決ができないような問題があり、実は委員会としましてはそう白熱した議論が出なかったのでありますが、そこで私も方針を変えまして、一応私がとにかく委員会の委員長でありますから、私の案としてまとめて、これはもう一ぺんそれぞれの担当局の最高の責任者に、この程度でいいのか、あるいはもっとこの際突き進んで壁を打ち破る決意をしなければならぬか、こういう反省を願わなければならぬ、そういう意味で、できれば今週中に省議にかけたいと思いまして、一応中間報告の形で出して、それによってまた直すところがあれば直し、なければいい、こういうふうに考えております。
  69. 島村軍次

    ○島村軍次君 この前のときに、輸出農産物会社の問題を一応取り上げて、従来の例からいってどうかとお聞きをしたのですが、構想の中にお入れになっておるのですか。
  70. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは、輸出取引法なりあるいは中小企業安定法なり、今度できるとすれば団体法の関係、そういうものでやれば目的を達するわけです。先ほどお話がありましたように、総合的な輸出農林水産物の共販会社を作る、このことに関しましては、総合的なものはちょうど戦争中にできました輸出農林水産物販売会社と、経済的なあるいは制度的な場所が違いますから、総合的なものにはすぐには乗り移れないのじゃないか。おもな物資別にやる。ものによれば二つ、三つ合したものができるかもしれませんけれども、何よりも、まず、こういう方法があるだろう。そうすれば、どういう道があるだろう。それだから、輸出を伸ばすのには、それぞれの品目については輸出共販なら輸出共販、輸出組合なら輸出組合、そういうものが必要であるという認識を持せることが、まず先ではないか。これは戦争中のときのように、ある程度官で案を作って、業者の方へこれでやれ、こういうことで片づくならば簡単でありますが、皆さんの御意見を聞きましても、そういうところまで行きますには、実態の認識を、行政庁の方で各方面を説き伏せて、どうしてもこの制度が必要であるというところまで持っていかなければ実効的でない、こういうふうに考えます。
  71. 千田正

    千田正君 私は、今のお話の例において、とにかく国内におけるアウトサイダーの問題ですね、これは将来やはり日本の輸出農産物を輸出するのには影響すると思うのですが、たとえば一例をあげれば、ベニヤの輸出というものは、一応アウトサイダーというものは、ある程度価格を下げさす面があるし、いろいろな面において利害必ずしもどうとも判定がつかないような問題があります。ところが、今度の中小企業団体法とかなんとかができてくると、あれは五十五条が一つのネックになっておりますが、あれが通過した場合においては、輸出農産物に相当の影響を及ぼしてくると思う。これに対して農林経済局長はどう考えておるかという問題と、  もう一つは、アメリカにおいて日本の商品の排斥運動が起きております。それで関税引き上げ運動が起きております。これに対してどういう手を打っておるか。外務省や通産省というようなところにばかりまかせておらず、実際の問題に取っ組んでこれは考えなければならぬじゃないか。生糸の面においても、ベニヤの面においても、あるいは冷凍のマグロにしろ、カン詰にしろ、そういう問題で、アメリカがどんどん関税の障壁を高くして、日本の輸入品に対するある一定の制限運動をやっております。こういうことの打開をどういうふうにあなたの方は考えるか。これは外務省とか、出先官憲ばかりにまかせないで、もう少し農林省としてはこういう点を考えておかなければならぬ。  この二点です。今の中小企業団体法が通過した場合、五十五条というものがそのまま通過した場合において、輸出農林水産物の生産者にどういう影響を及ぼすかという問題、外国の市場を開拓するのにどういう手を打つかという、この二つの点について伺いたい。
  72. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) どこの国でも、現在はほとんど輸出入がフリーである国はないと言っても、過言でないと思います。従いまして、海外の市場を開拓するためには、やはり海外市場の価格の安定、急激な変動を防止することは、絶対要件だと思います。これは最近の例で、去年のミカンにしましても、今御指摘の合板でも、そうであります。ですから、応急にそういう事態に対処できるような機構を国内的に持っておることが、絶対必要じゃないかと思います。  しかし、そうかといいましても、先ほど申し上げましたように、業者の自立性といいますか、業者のそれぞれの立場を、強圧的にどうこう行政庁であれすることはできないわけでありますから、説得して、どうしても統制破りがないように、そのために話がつけば、今の五十五条を適用して、そしてそれに準拠してやっていく。ミカンの例では完全に成功したのです。従って、ミカンは去年の滞貨七十七万ケースを全部売り尽して、ことしは注文が殺到しているのだけれども先ほど申し上げましたように、国内価格が高くてむしろ逆の場合になっている。これを少いからといって上げれば、この次は消費が伸びないわけでありますから、ある程度犠牲を払っても出さなければならぬ、こういうことになるわけであります。経済局としましては、合板の場合にも早く共販体制を作って、そうして企画を新しく考案して、今まで約束して出さないという、企画の裏をかいて、向うの市場をくずしていくということが起らないようにといって、林野庁と相談しておりますが、なかなかアウトサイダー規制まではいかないのであります。しかし、これはどうしても輸出振興の建前からは、ある一定の段階に来れば、どうしてもそこに皆さんの意思を統一しなければならぬ、こういうふうに考えております。  それから海外における日本商品の輸入防遏策、関税障壁とか、これはお話のように、外務省あるいはジェトロ、そういうふうな弱いものでは不十分だと思います。向うの業者はそれぞれ、商売の見地から反対している。日本の業者もやはり日本の業者の立場から、当然それに対して対抗的な処置をとるべきだ。それにしましても、どうしても業界の輸出振興体制なり、業界の何といいますか、そういう事態に対処してまとまった意見が早急にでき、そしてその活動費なら活動費の捻出等についても相談が容易にできるという仕組みになっておらなければ、結局役所の機構としましては、外務省なりあるいは通商の別動隊であるジェトロを通じて、一応やらざるを得ない。その上に農林省なら農林省が出ていってやれといっても、それだけの外へ行く金がつかない。そのうちにだんだん、だんだん向うの方が勢力が増してくる、こういうのが今までの傾向じゃないかと思います。  従って、私の方では、一つは農務官を、今勘定しますと十三、四にまでなっていると思いますが、外務省等の経済知識のない者でなしに、農林省から農務官の身分で外交官の特権を与えた者を、それぞれ必要の地に出している。これを増加しようと思っております。それからジェトロの中の農林部の予算も増し、それからジェトロの駐在員の駐在個所も増すということをやっております。しかし、何と申しましても、業界がまとまって、直接それぞれのカン詰ならカン詰の業界の代表を出す。それができなければ、国内的なそれぞれのまとまりで、総合商社を通じて海外の市場において対抗措置を講じてもらう、こういうことをやらなければならぬのじゃないか、私はこういうふうに考えます。
  73. 千田正

    千田正君 向うで反対しているのは、われわれと同じように、生産者団体なんです。向うの輸入業者、貿易業者じゃないんです。アメリカで反対しているのは、農民であり漁民であるのだから、その実態をつかんで、対処する方針を十分つかんでいただきたいということを申し述べて、私の質問は終ります。
  74. 堀末治

    堀末治君 さっきの説明によりますと、三十二年度は二十八億二千万ドルだ。うち三億五千万ドルが農林水産物……。
  75. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 三億七千万ドルです。三十一年の実績が、暦年ですが、三億五千万ドルです。
  76. 堀末治

    堀末治君 そこであなたに伺いますが、三十三年度は、今の塩崎君の説明によると三十一億五千万ドルだ。そのうち農林水産物はおよそどのくらい見込んでいるのですか。
  77. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) まだ最終的な案はきめておりませんが、やはり相当伸ばしたい、こういうふうに考えております。
  78. 堀末治

    堀末治君 そうすると、おかしいじゃないですか。企画庁で、さっきの説明によれば、来年度三十一億五千万ドルと見て、そうして一切の税を計算をしている、こう言っているのだから、あなたの方でもどうしても、このうち農林水産物はなんぼだというくらいの見通しがなければ、三十一億五千万ドルという集計が出てこないと思うのです。
  79. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは、私の方で四億三千万ドルというような案を出しておりますが、三十一億五千万ドルというのに合せたやつはできていないわけです。最終的には、まだできていないのじゃないかと思います。
  80. 堀末治

    堀末治君 そうすると、大体あなたの方では四億三千万ドルを見込んでいるわけですか。
  81. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 一応の試算として出しております。
  82. 東隆

    東隆君 輸出振興させる方法として、輸出水産業振興法というのがありますね。その法律程度内容を考えておられるのですか。
  83. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 大体そうですが、今まだ最終的な案になっておりませんが、輸出準備金制度ですか、そういうものはまだないわけでありますが、これは準備金を積んでおいて、年間の価格の変動——国内価格と輸出価格等の変動を調整していこう、こういうものでありますが、そういうところは、多少今まで実施されている現行制度よりは進んだことを考えております。非常にむずかしい問題がありまして、積立金の帰属とか、積立に対する持ち分をどこに帰属させるかというようなことは、法律の問題になってくるわけでありますが、まだ最終的な案になっておりません。もしできれば、そういうことになってくると思います。
  84. 東隆

    東隆君 もう一つは、アウトサイダーの問題はお話しになったのですが、貿易業者が抱き合せでもって農産物を輸出する、こういうような場合に、非常に影響が大きいと思います。抱き合せ貿易ですね。それで、そういうものを規制するためには、輸出業者と輸入美音というものを完全に分けるよりほか手がない。そういう点はどういうふうにお考えですか。
  85. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これはいい意味の抱き合せと悪いのと、両方あると思いますが、単独商社と総合商社と私らは分けておりますが、たとえばミカンのカン詰業者が直接輸出しようとすれば、先ほど説明しましたように、国内価格は高くなっておっても、何か見返りに有利なものを輸入すれば、その利益で国内の原料仕入れ高をカバーできる。これはいい抱き合せになるわけであります。それから、そうでなく、逆にダンピングに農産物を使う場合には、ダンピングの資源として輸入による利益を回す場合は、これは悪い抱き合せになるわけです。これらは結局商売の当然の例として、もうけるものと損するものとを総合的に、会社として利益を出せばいい。こういうことを否定するわけにはいかないのじゃないかと思います。  しかし、それによって海外市場に悪影響を及ぼすとか、あるいは国内生産者に迷惑を及ぼすとか、こういうことがあっては困るわけでありますから、そういうものを防止するためにも、おもな品目についてはやはり共販制度なり輸出調整組合の制度がなければ、そういうものを悪影響を他の部面に及ぼすことなしに防止することはできないと思いますから、これはどうしてもわれわれは、今申し上げましたように、この調整組合制度拡充していきたいと、こういうふうに考えております。
  86. 堀末治

    堀末治君 もう一つ、あなたにお尋ねしておきますがね。きょう御返事いただかなくてもいいのですが、これで見ると、三十二年度は三億七千万ドル、それから来年度はあなたの方では四億三千万ドル、ちょうど六千万ドルふえると言っておる。そして、さっき言う三十一億五千万ドルからやるというと、要するにこっちの率が非常に多いのですね。全体で農林水産物を六千万ドル引くというと、全体が二億七千万ドルふえる。全体の額が三十三年度二億七千万ドルと見て、あなたの方は農林水産物ということで六千万ドルふえるというわけですが、何か農林水産物のあなたの方の見込みの率が非常に強い。果して企画庁がこの四億三千万ドルそのまま採用したかどうかということは、今のあなたの説明でよくわかりませんが、これはあなたの方の見込みは三億七千万ドルで四億三千万ドル、六千万ドルふやすのに何を主としてふやすということを農林省でお考えになったのか、その結果企画庁でそれをどう調整してあるのかということを、急ぎませんから、一ぺん調べてその数字を出して下さい。
  87. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 私の方は四億以上の数字を出した場合には、輸出総額はもっと大きいはずです。それを海外の状況、それから現在の国内物価の趨勢等から見て、それを圧縮しているわけです。その中で農林水産物がどのくらいの金額を占めるかということは、平均に圧縮したのではなしに、また再検討してやっているはずですから、それはあとで調べまして……。
  88. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) この件は、本日はこの程度にいたします。  ちょっと速記をとめて。   [速記中止
  89. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時四十五分散会   ——————・——————