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説明員(
河野恒雄君) お答え申し上げます。
この問題につきましては、かねて
農協等団体側でもいろいろ
検討されておったのでございますが、従来の
検討等の
関係も
考えまして、
農林省といたしましても、一応とり上げて
検討いたしたいという
考えで、現在
調査を進めておるわけでございます。この問題は、
御存じのように、
農協職員が現在
農協の
経営をいたしておるわけでございますが、その
組合の
公共性等から
考えまして、
職員の
給与その他について十分でないというような点を考慮いたしまして、
年金制度なり、そういうものについて、ある
程度従来の
厚生年金その他
健康保険等に
関係しておりまするものの
給付の
内容を、もう少し向上いたしまして、安定した
経済的な
条件の
もとに、
組合経営に参加をしてもらうということが第一の主眼でございます。さような
観点から、種々
検討いたしておるのでございます。ただいままで、私
どもでいろいろ
調査をいたしております点から見ますと、現存の
農協職員の
平均給与は九千三百九十一円という
数字が一応出ております。これに対応いたしますものといたしまして、
市町村における
職員の
給与を見ますと、これが約一万二千円でございます。
相当そこに開きがあるわけでございまして、
戦前等の
状態から
考えましても、
市町村の
職員よりか、むしろ
産業組合等の
職員の方がよかったという
状況から
考えましても、そこに
相当の差がございます。従いまして、さような点が、先ほど申し上げましたように、ある
程度年金制度等によりまして、これらの点を安定した形でやってもらいたいという点があるわけであります。
考え方といたしましては、一応
農協職員を中心といたしまして、その他
森林組合なり、あるいは
水産業協同組合なり、また
農業共済組合、
土地改良区その他
農業会議というようなものも含めまして、できれば、そういう
団体に従事しております
職員を一応
対象として
考えてはどうであろう、全部加入するということも問題がございますので、まあ五人というような
程度を一応限りまして、五人以上のものは大体
強制加入、五人
未満のものについては
任意加入というような形にしてはどうであろうというようなことが第一点であります。それから、その他
組合会であるとか、あるいは
役員であるとか、あるいは具体的ないろんな
やり方等につきましては、大体
市町村の
共済組合なり、あるいは
私学等の
職員、教員の
共済組合なりというようなものを大体見習って作って参ってはどうかというような点について、
検討いたしておるわけでございます。問題になります点は、
給付内容の問題、従いまして、それに
関連して、
掛金の問題ということになって参るわけであります。
御存じのように、この
年金制度は、
相当長期にわたった
給付をいたすことになりますので、
収支の
見通しを
相当長期にわたって立てて、その
安全性をよく見通さなければならないという問題がございます。従いまして、
生命表でありますとか、あるいは
脱退、
残存表でございますとか、あるいはまた、
給与の変化の
状況でありますとかいうような承のを
もとにいたしまして、
給付の率と申しますか、
給付の
内容等の率を
出して参ります。
保険数理等によりまして、さような
数字を
出して参る。さような点を
基礎にいたしまして
掛金をどういうふうにするかというふうになって参りますことは、
御存じの
通りであります。従いまして、さような
数字について、
相当詳しい
研究をいたしたいというので、現在手をつけておるわけでございまして、まだ最終的な
数字の結論に至っておらないのでございます。一応
目標といたしましては、
短期給付、
長期給付を合せまして、
掛金率は、現在
健康保険なり、あるいは
厚生年金なりに入っておりますものの両方の
掛金率を合せますと、大体千分の九十五でございますが、千分の百工十ぐらいでやれるかどうかというようなことについて一応試算をいたしておるのでございます。一応、現在の中間的な
アクチュアリーの
計算から見ますと、汀五十ではむずかしいではないか、もう少し高くなるのではないかというような
数字が出て参っております。これは、どういう点かと申しますと、主として
整理資源率の
関係でございます。
整理資源率と申しますと、もう
皆さん御存じかと存じますけれ
ども、従来の
厚生年金に入っておりました者が、新しくもしできますならば、この
組合にかわって入って参るわけでありますが、その際に、従来、
厚生年金に
掛金をかけておりました年限を通算をいたしまして
計算をするということにいたしました場合には、
責任準備金全体といたしましては、
給付内容が違いますので、それだけ不出することになるわけでございます。従いましてその不足するものに対して、どういうふうに補足をして参りますかというのが、この
整理資源率でございまして、これが、
健康保険から、この
共済組合ができました場合に、移る者の数が
相当ございますので、そのような
関係から、そういう不足する度合いが非常に高いということになって参りまして、これが、やはり将来入って参ります
組合員と申しますか、この
組合に入る者の
掛金率に
相当影響を及ぼしてくるのではなかろうかというようなことでございます。従いまして、さような点について、さらに現在
検討を続けておるということでございます。
それから、もう一点問題になります点は、この
共済組合につきまして、たとえば、
厚生省等の
考え方といたしましては、
社会保障制度の
一環としてのこういった
年金制度が幾つもの形で分れておるということは工合が悪い、やはりこれは一元化さるべきである、従って、
農協職員等の
共済関係の
給付内容が、現在のままで不十分であるというならば、現在の
健康保険なり、あるいは
厚生年金につけ足して
考えられてはどうか、根本的にそれを別の
法律で作るとか、一元的に別の形でとりまとめるということについては、必ずしも賛意は表しがたいというような空気があるようでございます。これは、私
ども、まだ正式な案を作って
厚生省に折衝したという
段階には参っておりませんので、一応
打診程度の
話し合いのときにそういう話が出ておるのであります。さような点がございます。従いまして、この問題を解決いたしますには、まず、
収支の
見通しがどういうふうになるかということが
一つ、それから全体の
社会保障制度の中において、これをどういうふうに取り扱うかという問題があるように思われます。従いましてそのような点についてさように
検討をいたしました上で、どういうふうな取扱いをするか、決定をして参りたい、かように
考えております。現在の
段階におきましては、まださような点について十分な
基礎固めをしておるという
段階でございます。
予算の面につきましては、大体従来の例によりますと、
事務費及び
長期給付の百分の十五を国が助成をするということになっておりますので、さような点につきまして
率等は変えないで、一応そのままでいくという態勢で
計算をいたしますと、約四千万円
程度の国の
予算ということに
計算が一応なっておるわけでございます。もっとも、これにつきましては、
数字その他についてたとえば
組合員の数等がどういうふうになるかということについて、また、
給付の
内容をどういうふうにするかということについて、変更が起る
可能性がございますので、これだけあれば十分であるという確定的な
数字ではございませんけれ
ども、一応のめどといたしましては、約四千万円
程度のものを
要求いたしておるのでございます。現在の
段階におきましては、さような
検討の
状況でございます。一応お答え申し上げます。