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1957-12-11 第27回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月十一日(水曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員安部キミ子君辞任につき、そ の補欠として小林孝平君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            秋山俊一郎君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀  末治君            河合 義一君            北村  暢君            小林 孝平君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      河野 恒雄君    水産庁長官   奧原日出男君    水産庁漁政部長 新澤  寧君   参考人    東京都副知事  佐藤  基君    東京中央卸売    市場長     飯田逸次郎君    東京中央卸売    市場業務部長  石井 孝義君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林漁業組合職員年金制度に関  する件)  (漁業共済に関する件)  (中央卸売市場に関する件)  (農林水産基本政策に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林漁業組合等職員年金制度の件を議題にいたします。この件について、島村委員から質疑の御要求がありますので、この際、御発言を願うことにいたします。
  3. 島村軍次

    島村軍次君 かねて政府では農協職員年金制度について御計画があり、かつまた、来年度の予算にこの年金制度事務費補助費について予算要求をされておるようでありますが、その内容についてどういうシステムでお考えになっておるか。また、今日までのその経過について、まず御説明をお願いいたしたいと思います。
  4. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) お答え申し上げます。  この問題につきましては、かねて農協等団体側でもいろいろ検討されておったのでございますが、従来の検討等関係考えまして、農林省といたしましても、一応とり上げて検討いたしたいという考えで、現在調査を進めておるわけでございます。この問題は、御存じのように、農協職員が現在農協経営をいたしておるわけでございますが、その組合公共性等から考えまして、職員給与その他について十分でないというような点を考慮いたしまして、年金制度なり、そういうものについて、ある程度従来の厚生年金その他健康保険等関係しておりまするものの給付内容を、もう少し向上いたしまして、安定した経済的な条件もとに、組合経営に参加をしてもらうということが第一の主眼でございます。さような観点から、種々検討いたしておるのでございます。ただいままで、私どもでいろいろ調査をいたしております点から見ますと、現存の農協職員平均給与は九千三百九十一円という数字が一応出ております。これに対応いたしますものといたしまして、市町村における職員給与を見ますと、これが約一万二千円でございます。相当そこに開きがあるわけでございまして、戦前等状態から考えましても、市町村職員よりか、むしろ産業組合等職員の方がよかったという状況から考えましても、そこに相当の差がございます。従いまして、さような点が、先ほど申し上げましたように、ある程度年金制度等によりまして、これらの点を安定した形でやってもらいたいという点があるわけであります。考え方といたしましては、一応農協職員を中心といたしまして、その他森林組合なり、あるいは水産業協同組合なり、また農業共済組合土地改良区その他農業会議というようなものも含めまして、できれば、そういう団体に従事しております職員を一応対象として考えてはどうであろう、全部加入するということも問題がございますので、まあ五人というような程度を一応限りまして、五人以上のものは大体強制加入、五人未満のものについては任意加入というような形にしてはどうであろうというようなことが第一点であります。それから、その他組合会であるとか、あるいは役員であるとか、あるいは具体的ないろんなやり方等につきましては、大体市町村共済組合なり、あるいは私学等職員、教員の共済組合なりというようなものを大体見習って作って参ってはどうかというような点について、検討いたしておるわけでございます。問題になります点は、給付内容の問題、従いまして、それに関連して、掛金の問題ということになって参るわけであります。御存じのように、この年金制度は、相当長期にわたった給付をいたすことになりますので、収支見通し相当長期にわたって立てて、その安全性をよく見通さなければならないという問題がございます。従いまして、生命表でありますとか、あるいは脱退残存表でございますとか、あるいはまた、給与の変化の状況でありますとかいうような承のをもとにいたしまして、給付の率と申しますか、給付内容等の率を出して参ります。保険数理等によりまして、さような数字出して参る。さような点を基礎にいたしまして掛金をどういうふうにするかというふうになって参りますことは、御存じ通りであります。従いまして、さような数字について、相当詳しい研究をいたしたいというので、現在手をつけておるわけでございまして、まだ最終的な数字の結論に至っておらないのでございます。一応目標といたしましては、短期給付長期給付を合せまして、掛金率は、現在健康保険なり、あるいは厚生年金なりに入っておりますものの両方の掛金率を合せますと、大体千分の九十五でございますが、千分の百工十ぐらいでやれるかどうかというようなことについて一応試算をいたしておるのでございます。一応、現在の中間的なアクチュアリー計算から見ますと、汀五十ではむずかしいではないか、もう少し高くなるのではないかというような数字が出て参っております。これは、どういう点かと申しますと、主として整理資源率関係でございます。整理資源率と申しますと、もう皆さん御存じかと存じますけれども、従来の厚生年金に入っておりました者が、新しくもしできますならば、この組合にかわって入って参るわけでありますが、その際に、従来、厚生年金掛金をかけておりました年限を通算をいたしまして計算をするということにいたしました場合には、責任準備金全体といたしましては、給付内容が違いますので、それだけ不出することになるわけでございます。従いましてその不足するものに対して、どういうふうに補足をして参りますかというのが、この整理資源率でございまして、これが、健康保険から、この共済組合ができました場合に、移る者の数が相当ございますので、そのような関係から、そういう不足する度合いが非常に高いということになって参りまして、これが、やはり将来入って参ります組合員と申しますか、この組合に入る者の掛金率相当影響を及ぼしてくるのではなかろうかというようなことでございます。従いまして、さような点について、さらに現在検討を続けておるということでございます。  それから、もう一点問題になります点は、この共済組合につきまして、たとえば、厚生省等考え方といたしましては、社会保障制度一環としてのこういった年金制度が幾つもの形で分れておるということは工合が悪い、やはりこれは一元化さるべきである、従って、農協職員等共済関係給付内容が、現在のままで不十分であるというならば、現在の健康保険なり、あるいは厚生年金につけ足して考えられてはどうか、根本的にそれを別の法律で作るとか、一元的に別の形でとりまとめるということについては、必ずしも賛意は表しがたいというような空気があるようでございます。これは、私ども、まだ正式な案を作って厚生省に折衝したという段階には参っておりませんので、一応打診程度話し合いのときにそういう話が出ておるのであります。さような点がございます。従いまして、この問題を解決いたしますには、まず、収支見通しがどういうふうになるかということが一つ、それから全体の社会保障制度の中において、これをどういうふうに取り扱うかという問題があるように思われます。従いましてそのような点についてさように検討をいたしました上で、どういうふうな取扱いをするか、決定をして参りたい、かように考えております。現在の段階におきましては、まださような点について十分な基礎固めをしておるという段階でございます。  予算の面につきましては、大体従来の例によりますと、事務費及び長期給付の百分の十五を国が助成をするということになっておりますので、さような点につきまして率等は変えないで、一応そのままでいくという態勢で計算をいたしますと、約四千万円程度の国の予算ということに計算が一応なっておるわけでございます。もっとも、これにつきましては、数字その他についてたとえば組合員の数等がどういうふうになるかということについて、また、給付内容をどういうふうにするかということについて、変更が起る可能性がございますので、これだけあれば十分であるという確定的な数字ではございませんけれども、一応のめどといたしましては、約四千万円程度のものを要求いたしておるのでございます。現在の段階におきましては、さような検討状況でございます。一応お答え申し上げます。
  5. 島村軍次

    島村軍次君 この問題については、ただいまお話のありましたように、社会保障制度一環としての考えを持つ場合に、一元化する必要があるということについては、一応そういう考え方もあると思うのでありますが、しかし、御承知の通りに、市町村職員共済組合があり、私立学校共済組合法があり、かつまた、役人の恩給あるいは年金等の問題は別といたしましても、三公社五現業等におきましても別途に考えられておるのであります。それで、ざっくばらんに、この問題を強く推進していくのには、ぜひともこれらの問題との間の調整をうまく考えるということと、それから先ほどお話しになりました農協公共性という問題についてのことが、重要な要素になると思うのでありますが、この公共性に関する理論的の根拠について、現在まで検討されました政府考え方を、一つ率直に聞かしていただきたいと思います。
  6. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 農協公共性という問題につきまして、どう考えるかという御趣旨の御質問であったと思いますが、この点につきましては、私からあらためて申し上げるのもいかがかと存じますが、市町村公共団体におきましては市町村行政を担当する、また、農協におきましては、農民の経済的な基盤の養成ないしは防衛ということを担当いたしておるという意味合いにおきまして、農協公共性というものについては非常に高いものがあるというふうに考えられます。また、従いまして、それらの農協再建整備なりあるいは健全なる経営の維持のために、国といたしましても、祖業の国費を投じて今日までやって参っておるわけでございますから、それらの組合が安定をした健全なる経営を運営するために、農協経営を担当しておる職員の身分の安定なり経済的な条件安定確保ということが重要な要素でございますので、さような観点から見ますれば、これらの法律等がもしできますれば、それによって安定させ得るならば、農協の本来の使命を達成させるためには、相当有効な力になるというふうに考えられるわけでございます。従いまして、かような趣旨においては、私どもとしては、この考え方そのものが決して現在の段階におきましては無理なものではなかろうというふうに考えております。しかしながら、先ほど話が出ましたように、また一方制度というようなものから考えますと、いろいろな観点からの見方もあろうかと存じます。従いまして、かような点についてどういうふうに調整をしていくかということは、やはり今後の問題として、さらに検討をいたさなければならぬ。かように考えております。
  7. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、厚生省で扱っておる社会保障制度一環としての考、え方は、元化するというような考えがあるようでありますが、現在の岸内閣におきましては、これは、歴代の内閣一つ政策一環であった社会保障全体に関する制度を強化して参りたい、国民の皆保険にまで及ぼしたいというような考え方が非常に強いようでありますが、そういう点から見まして現に長い問いろいろな点で考えられた個々別々の共済制度というものと、それから社会保障一環としての、たとえばまず老齢年金制度をやろうというようなことも、新聞紙上で見るのですが、そういうものとの関連における理論的根拠をはっきりしておかねばならぬと思う。私が、なぜこういうことを申し上げるかということは、おおよそこの農協共済制度については、大体関係者の間には意見の一致を見ておると思うのでありますが、なお先ほど申し上げました公共性の問題、あるいはまた社会保障制度一環としての考えを強化していく上における考え方、あるいはまた、他の私学その他の共済制度等関連におけるこの位置というような問題になりますというと、相当議論があることだと予想されるのであります。そういう問題については、農林省において強く推進していただく上からも、この際、そういう問題のはっきりした見解を堂々とお出しになる必要があると思うのでありますが、そういう問題についての一応のお考え一つ承わってみたいと思います。
  8. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) ただいまの問題は、実は大へんむずかしい問題でございます。私どももさような点について、いろいろ考えをめぐらしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、まず第一に、さような問題と同時に、収支見通しと申しますか、この共済組合がかりにできたといたしましても、将来長きにわたって、たとえば二十年後の年金というような問題も出てくるわけでございまして、相当長期にわたりました収支見通しというものを立てて、ある程度見通しができませんと、とにかくものは言えないということに相なるのでございまして、まずさような点でどうなるかということを現在検討いたしております。ただいま御質問ございました事項につきましても、考えをめぐらしておりますが、まずもって数字的な問題について明らかにいたしたい、ということで、さような点を検討いたしておる次第でございます。
  9. 島村軍次

    島村軍次君 そうしますと、数字の点がはっきりすれば、これは最初の方針通りに、この通常国会においてなるべく早い機会に御提案になるという十分な御用意をお持ちになっておるかどうか。お出しになるとすれば、いつごろやる予定か、こういうことを御説明願いたいと思うのです。
  10. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) ただいまも申し上げましたように 数字につきましては、現在アクチュアリー専門家数字をはじいていただいておるわけでありますが、できるだけ早い機会にさような数字をはじき出しまして、見通しを立てていきたいというふうに考えております。しかし、何月何日までにその数字ができ上るということは、ちょっと現在の段階で申し上げがたいと思いますが、できるだけ早い機会にさような点をはじき出してみたいと思います。そういうものができませんと、対外的に、農林省といたしまして、さような数字に基いてこの制度を実施するというふうな考え方をかりに整理いたしましたとしても、さようなものができませんと、対外的にいろいろ話し合うということがむずかしいのでございます。従ってただ急にいろいろ話し合いをするというわけにも参りませんので、まずもってそういうものを作りまして、それがまあわれわれの了承できますようなものができ上りますれば、それをもとにして、いろいろの考えをさらに発展さして参りたい、かように考えております。従いまして、数字ができ上っていっこの国会に必ず提案するかどうかという御質問につきましては、規正の段階では、まだ確定的に申し上げかねる状態でございます。
  11. 島村軍次

    島村軍次君 一般的に——一般的にといってはおかしいですが、世間に知られておるところによりますと、法案要綱は一応経済局協同組合部でおまにとめなり、そしてその要綱に従って数字検討しておると、こういうように伝えられておるのでありますが、ただいまの説明によりますと、数字がはっきりしてから提案するかどうかということはわからぬというお話ですが、これは数字はそうむずかしい問題でないのです。現状を把握していけば、すぐわかるわけなんで、その現状に従っての数字からいけば、ただその問題はその掛金をどうして長い間に給付の方法をどうするかということにかかるので、基礎数字がはっきりして参りますれば、それはいかような案でも出てくると考えられるのであります。そこで、私は特にその問題についての促進方をお願いを申し上げると同時に、さしあたり新聞紙等の報ずるところによりますと、当面の問題は、農協について考えて、漸次他の団体に及ぼす。こういうふうにもいわれておるのでありますが、その点についてはどうなんですか。
  12. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 当面に農協対象とするというふうな考え方新聞等に出ておるがどうかという御質問でございますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、一応法律等で定められておりまする農業団体というようなものについて、包含的な考え方をしてはどうかというような観点もと検討をいたしております。しかしながら、現在いろいろな数字的準備その他の点から見まして、まずもって発足し得るとすれば、農協が一番先になるのではなかろうか。その他の団体につきましては、いろいろ数字的な、たとえば給与状況とかあるいは脱退等関係、こういったものの数字的な根拠が明確になりませんと、なかなか計算ができかねまするので、まずもって準備のある程度できておりますものから出発してはどうだろうかというような考え方をいたしております。しかし、制度そのものといたしましては、農協以外のものといたしましても、そういう準備が整えば、漸次それに入っていくというような形にしてはどうであろうかというような点で検討いたしております。
  13. 島村軍次

    島村軍次君 そこで希望を申し上げたいことは、これは、ただひとり農協それ自身の職員の間にこういう問題を切実に感じておるということではなくて、ただいまお話になりましたように、現在の農協の置かれた立場等から考えて、使命の達成の上に、職員の安定が農村の経済の安定を期する重要な要素になるというような考え方もとに、この点を強く要求申し上げたいと思うのであります。  それからなお、農協の実体から考えますと、今お考えになっておるのは、職員だけの問題ですが、あるいは役員としても常勤の役員で多年にわたって奉仕的にやっておるという人、あるいは参事は、職員の中であろうと思いますが、役員の専務とか常務とかというような人で、長い間この仕事に携わってしし営々として働いており、しかも薄給に巨んじて働いておるという人が、相当あると思うのでありますが、役員についてはどうお考えになっておりますか。
  14. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 役員等につきましては、一応対象としておりますが、非常勤の役員については、一応除外的な考え方をいたしております。
  15. 島村軍次

    島村軍次君 以上、諸点の希望を申し上げまして、すみやかに基礎的数字をへて国会に提出されるように希望を申し上げ、かつまた、予算折衝等については、十分大蔵省との間に強く要望されまして、来年度この制度法案の提出と同時に、予算を提案されるように希望を申し上げまして、私の質問を終ります。
  16. 北村暢

    北村暢君 そこで、短期給付長期給付合せて千分の九十五もしくは千分の百五十ということが出ておりましたが、これは政府国庫負担を含めた数字ですか。これは、そうしますと今考えておるのは、国庫負担とそれから組合負担との率は、やはり三分の一ということになって、国家公務員と同じような……。
  17. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) その点につきまして、現在考えておりまするいろいろな点を申し上げますと、現在の健康保険、いわゆる短期給付は、掛金の率が千分の六十五でございます。それから厚生年金の方のいわゆる長期給付というやつは、千分の三十でございます。これを現在一応の荒っぽい目標でございますが、大体短期給付を千分の七十、長期給付を千分の八十という程度目標を置くとすれば、大体千分の百五十になるわけですが、この場合には、いずれにいたしましても、事務費及び長期給付額の百分の十五というものが国から出るという前提を一応立てて、計算しておるわけであります。もっとも、事務費につきましては、従来の例を見ますと、なかなか、かかりました事務費全額国負担するというふうにはなっておらない実情でございます。しかし、その辺がいろいろ研究対象になるかと思いますが、一応国が事務費を見るという前提計算をいたしますと、従来通りの、大体ほかの私学なめ、市町村なりに対して国が出しております程度のものが出るであろうという前提計算をいたしますと、一応の目標といたしましては、千分の百五十というところではどうだろうかというような、およその見当をつけて、その辺で児比べておると、そういう状態でございます。
  18. 北村暢

    北村暢君 そうすると、実際に無期長期を含めて、組合員負担する分というのは、千分の百五十の半分と、こういうふうに見ていいですか、
  19. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) これはいろいろ考え方があるわけでありますが、一応半々というふうに見れば、さような計算になります。
  20. 北村暢

    北村暢君 市町村の例は半分になっておらないです。
  21. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 私立学校教職員共済の場合を見ますと、長期短期合せまして千分の百二十になるわけでありますが、そのうち事業主負担が大体二分の二というふうになっております。それから市町村の場合を見ますと、短期長期と相違がございまして短期は千分の八十三・八のうち、市町村負担が千分の五十二・七、それから長期につきましては千分の百三のうち、千分の六十五が市町村負担というふうなことになっております。
  22. 北村暢

    北村暢君 それで、まず農協職員の大体の数ですね。それから千分の百五十とした場合の大体国庫負担予算の額というのは、どのくらいになりますか。
  23. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 職員の数でございますが、組合数が一応一万二千八百六十七という数字をはじき出しております。そのうちで、先ほど申し上げましたように、五人未満のものをかりに任意とする、それから五人以上のものを強制加入とするという計算をいたしますと、強制加入になるものが一万八百五組合、それから任意になるものが二千六十二組合、そういう計算に一応なるのでございます、それから員数にいたしますと、農協につきましては、総数十七万八千人という数字が一応出て参るのでございます。そのほか、たとえば森林組合であるとか、水産業協同組合であるとか、農業共済組合であるとかいうものを合せますと、およそ二十四万九千八百人程度ということになるのではなかろろうかという推算をいたしております。  それから国庫補助の問題でございますが、事業費に対する補助、これは約千九百万円、それから事務費に対する補助二千三百万円、合せまして四千二百七十万円という数字を一応出しておるのでございます。しかし、これは計算の仕方によってまた若干変るかもわかりませんが、一応こういう数字出しております。
  24. 仲原善一

    仲原善一君 ただいま御当局からの御説明で、大体本制度内容はわかりましたですが、その必要性についても十分われわれ共鳴するのでございますが、ただいまの御説明で、問題点として指摘されました掛金の問題、給付の率の問題でございます。それからもう一つは、本制度の社会制度との関連においての問題でございますが、その第一点の方の掛金の方の問題は、これは島村委員からよく指摘されましたように、事務的な問題で努力されれば、これはいつでもまとまるものだろうと思います。現在全中等でも相当の資料を集めていろいろ協力態勢にあろうかと思いますので、そういうものをよく御検討になって、この数字を至急に取りまとめて、態勢を整えていただきたい、これは希望でございますが、これを申し上げておきます。  それから二番目のこの社会保障制度一本として考えるという考え方、これに対して、特に協同組合関係共済制度を作るという分離して考え考え方、これの考え方が非常に立場の上で今後相当重大な問題になろうかと思いますが、この点も先ほど畠村委員から御指摘の通りに、組合公共性という立場をよく理解した上で、よく理論的根拠を作らねばならぬと思うのですが、その点、先ほどの御答弁の中にはなかったのですが、農林省として、特に農協を離して、独立してこの制度を確立していこうという考え方の理論的な根拠がもしありますれば、もう少し具体的にお伺いいたしたいと思うわけです。まずこの点を最初にお伺いいたします。  特にもう一つ加えて申し上げますと、私立学校の方の関係は、すでにできておるわけでありますが、それとの相違点というのはどういう点にあるのか。本制度がなぜできないのか。その点、関連性を持たした上で、私立学校制度との関連性において御説明いただければ幸いでございます。
  25. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 実はその点につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ考えをめぐらしておるわけでございますが、私立学校の場合に非常に強調されました点は、これは教育基本法と申しますか、さような観点から見ましても、いわゆる国の教職員私学の教職員とは、区別される理由はないんではないか。しかるに、国の場合には共済組合法ができ、て年金なり短期給付なりというものについて制度ができておるのに、私学についてはないと、かような点については当然同等のものができてしかるべきであるという議論がなされたようでございます。さような点につき、まして農協考えますと、同じ公共性とはいえ、さような意味の、何と申しますか、キャッチ・フレーズという、言葉は非常に表現が悪いかもしれませんが、さようなものがなかなか見出しがたい。しかし、一般的に公共性ということは十分に言えるのではなかろうか。市町村等と対比いたしましても、一つ市町村の地区がありまして、市町村職員はいわゆる行政事務を担当しておる。農協職員はもちろん自治的な組織とは申しましても、農民の経済一般について、組織としてこれを基盤として防衛をしようとしておるという意味におきしましてその公共性はやはり相当強いものがあるというふうに考えられるのではないか、従いまして、最も対比されるべき市町村等の職員については、共済組合があって、すでに制度として運営されておるのでございますから、さような意味からいきましても、農協職員についてあってしかるべきではなかろうかというふうな感じはいたすのでございます。先ほど申し上げましたように、しかし制度全体といたしましてこれをながめる場合に、いわゆる社会保障制度というものの将来の考え方、あるいは今後の持っていき方というような問題について、それぞれ考え方があろうかと思いますので、さような点についてどういうふうにこれとかみ合っていくかということにつきましては、なお、私どもといたしましても検討をいたさなければならない。かように考えておる次第でございます。
  26. 仲原善一

    仲原善一君 ただいまの理論づけの問題につきましては、やはり会後衆知を集めてよく御研究を願いたい。これはようぼうしておきます。  それから千分の百五十という掛金率お話がございましたが、そういうものでできるのではなかろうかというので、研究しているというお話ですが、この内訳の、短期長期との内訳は、どういうことになっていおりますか。
  27. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 先ほど申し上げました千分の百五十というのは、一応のめどでございます。ほかのもの、たとえば市町村でありますとか、あるいは私学でありますとか、国家公務員でありますとか、そういったものの制度から見まして、この辺がどうかと一応のめどとして見ておるわけでございまして、実際の給付内容などは、私学との掛金になるかということを、現在はじいておるわけですが、それでいきますと、この千分の百五十をオーバーするような形になります。しかし、しからばその給付内容のかげんと、それから掛金の率のかげんと、どういうふうにそれをかみ合わせていくかということが、今後の研究課題になろうかと思います。そこで、百五十と申しあげました内訳は、短期給付が七十、長期給付が八十という大体の数字でございます。
  28. 仲原善一

    仲原善一君 これは、大体の実態から申しますと、短期の方の率が多い方が運営は非常にやさしいという具体的な末端の組合の実例でございますけれども、そういうことがありますので、最終的におきめになる場合には、その百五十があるいはもっと上回ることになろうかと考えますが、内訳を短期の方でもう少し優遇してもらうような考を集めてよく御研究を願いたい。これえ方を特に御考慮願いたい。  それからその次に、現存予算を組んでおられます百分の五十の問題でございますが、約四千万円の問題でございますが、これは、現在厚生省関係に組んである予算をこちらの方へ持ってくるということになるのですか。あるいは全くそれとは別に、農林省新規という形になるのですか。その点はどういうことでございましょう。
  29. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 形の上で、予算の形といたしましては新規の形になリますが、実質的には、それだけ今度は向うの負担が減るわけですから、実質的には肩がわりの分が出てくるわけでございます。しかし、全部肩がわりというわけじゃない。
  30. 東隆

    ○東隆君 実は恩給制度年金制度にかえるというだいぶ話が進んでおるのでありますが、それで、もしそういう考え方に出発いたしますと、私は、この際、官吏あるいは農協あるいは市町村、それからそういうような一連の関係において、たとえば交流人事というような関係、そういうようなことが行われると思うのです、それで、おそらくこの制度を確立して、交流人事が行われないというようなことがあるとするし、これはもう非常に職場が私は固定したものになってしまって、そうして集約された業績等は行われないと思う。従って、創設をする場合でありますから、一応考えなければならぬと思うのですが、大望の有史の時分と、今の民主主義の憲法のもとにおける地方自治体、その間の開きという、ものは、私はそうないと思うそれから地方自治体と、それから農協という一つの民主主義の団体、しかも営利を追求しない団体との間における開きというものは、これは一つ強制加入、それから農協においては任意加入、このくらいの開きしかないと思う。それで、利潤も追求いたしませんし、公けの性格を持っておる、こういうような点で、私は交流をしても一向さしつかえない中身じゃないか。ここで市町村の方から、かりに役人になっていく、こういうような道がある場合もありましようし、また逆の場合もある、そういうような場合に、かりにいろいろな制度が切れるとすると、これはその人間をその職場にくぎづけにしてしまう、こういうような問題がこれは非常に起きてくると思う。これは非常に残念なことですから、そこで少くとも国あるいは地方自治体あるいは農協、そういうような一つの民主主義の団体、そういうようなものにおける基盤を作っていかなければならぬと思ういこれは、制度をこしらえる場合における非常に考えなければならぬことだろうと思いますが、この点はどういう考え方になっておりますか。
  31. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) ただいまの御質問は非常にむずかしい問題でございます。それで、さような点についても確かに、私、問題があろうかと思います。現在社会保障制度と申しますか、かような年金制度について元化ということを厚生省が言っておられるのは、まさにその点ではなかろうかという感じもするわけであります。従いまして、さような点についてはいろいろ問題があり、どういうふうに調整するかという点は、確かに問題でございます。一つの問題としては、市町村なり農協なりというものの年金制度が同じ形で行われておれば、あるいはその間の融通はつくのではなかろうかという感じがいたします。また、公務員の共済組合と同じ形のものであれば、あるいは公務員との関係の融通はつくのではなかろうかという気もいたします。しかし、こまかい点を見ますと、市町村職員共済組合につきましても、国家公務員共済組合につきましても、やはりそういう点があるようでございます。従いまして、さような点について、全く同じ形でやり得るかどうかという点については疑問がございます。従って、さような点についてどうするか、その問題をどういうふうに考えるか、またそれとも、駐在の農協職員共済制度というものを、ともかく出発させるということが先であるか、その辺の問題については、なかなかむずかしい点があるのでございまして、いろいろとまだ考えをめぐらしておるというところでございます。
  32. 東隆

    ○東隆君 私は、今お話しになったが、たとえば、これは変遷期ですからやむを得ないかもしれませんが、国の官吏が、地方自治体ができたときに切りかわりました。その場合に、ちょっとしたことでもって通算されない、こういうような目にあった人が相当ある。従って、今でもこの問題は非常に大きな問題になって残っておると思います。それで、国とそれから地方の県庁に在職しておった者との間においても、すでにそんなような問題が起きておる。それは同じ形でもってやっておりながら、しかもそういう問題が起きている、こういうようなことを考えたときに、もっと交流人事が将来行われると、地方自治体にいた者が中央に移る場合も出て参りましょうし、それから今度は地方自治体におった者が市町村に行く場合もありましょうし、また、市町村の者が農協その他に行く場合もある。あるいは農協の者が市町村その他にまた入ると、こういう交流人事というものは、これは十二分に考えていかなきゃならぬと思います。これを考えないで、固定したものの中に人間をとじ込めていくということになると、有能な者は外へ出てしまうということになる。それから、いたずらに悪い者ばかり一つ所にとめなきゃならぬと、こんなような問題が出てくると思います。これは非常に重要な問題だと思うので、少くとも、先ほどから公共性という問題にキャッチ・フレーズとか何とかというふうに厭われて、私学と公立の学校との間の関係、こういうふうな問題についてお話があったのですけれども、私は、やはりこの関係ならば、私学と公立の学校との関係よりも、もっと農協とか、あるいは市町村、あるいは中央の官庁、そういうようなものとの関係は、かえって近いのじゃないか、そんなに隔たりがないと、かえって私学の場合は、アメリカのシンクレアという人が、まるで資本主義の経営だということを言っていますから、常利を目的とした学校——といいますと語弊がありますけれども、かえってそういうふうにとられる節もある。そういうふうに考えてくると、協同組合など、それからこういうものを含めたもの、そかれら自治体とのつながり、こういうようなものは、かえって私学と公立の学校の近似性よりも、まだまだ近似性がある、こういう理論が成り立つと思うのです。これは、大いに一つこの点を強調してもらってそして有利に展開さしていただきたいと、こう思うわけです。その点、一つよろしくがんばって下さい。
  33. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 最後に、私から根本的な問題をお尋ねいたしますが、本日の議題となっておるのも、農林漁業組合等職員年金制度の件となっておりますが、今、部長の答弁によると、農協職員のこの制度を第一にやって、あとは暫定的にやると、協同組合部で取り扱っておる農業共済の団体、すべての農林水産団体職員は、この制度を非常に勧迎、希求しておる。団体収支が確実になるのを、今、農協団体において検討しておる。私どもは、農業協同組合は最も確実性があると思っておる。また、農業共済の団体も最も確実性があるものと、こう思っているのですが、この暫定的ということはどういうのですか。そういうことになると、まあそういう事務が共済組合の方では収支の確実件がまだわからないから、次に回る、従として取り扱うことになる。こういうことになると、これは農業共済団体に従事している職員は、非常な不満を持つわけです。ただいろいろな計算の結果が早く出る。それからそういう計算をどれからやったと、協同組合から先にやったというそういうために、非常に不利な結果を起す。もちろん農林漁業団体、いろいろな団体がありますが、収支の確実件があるかないか疑問の団体もあるでしょう。しかしながら、大体において収支が確実であると客観的に見たものに手をつけて私は振興犬すべきだと思うのですがね。その暫定的ということが、それは農協組合部長としての御答弁とすると、ちょっと多少言い過ぎじゃないかというような感じがするのですがね。この暫定的というあなたの考えのいかんによっては……、この点を一つ御答弁願いたいと思います。
  34. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) 私の表現があるいは適切でなかったかと思いますが、私の申し上げたいことは、この組合を作りますについての基礎的な数字のまず検討をいたさなければならない。その際に、現在出ておりまする数字は、農協職員のたとえば給与の総額、それから給与の動き方、それから農協職員の在職年限あるいは脱退の仕方等について——そういう数字が出ている。それをもとにしていろいろ検討いたしているということでござざいまして、森林組合なりあるいは水産業協同組合なり、その他土地改良区にいたしましても、そういうものができますれば、それに数字基礎ができますれば、逐次それに入っていくというふうにしてはいかがというふうに考えているわけでありまして、そういうものができさえすれば、どんどんこの組合の中へ入っていく。従って、組合としては単に農協組合ということではなくて、全体としての組合にしておいて、そういう準備が整いさえすれば、それに入っていくという態勢にしてはいかがかというふうに考える結果でございます。従いまして、そういう準備ができさえすれば、どんどんこれに入っていくという態勢でいいのではないか。意憾ながらまだそういう数字ができておらないようでございます。従いまして準備の整い次第、農協と足をそろえてやっていくということにしてはどうかというふうな趣旨を申し上げたのでございます。
  35. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) その点了承いたしましたが、しかし、団体によっては非常にあるいは水産庁なり林野庁なり局が違うのでありますが、少くとも農業共済団体だけは同じ経済局でやっているのだから、これは同時にそういうふうに明らかになっておられるならば、しかも農協に次ぐ大きい団体であるし、だから急速に事務を進めて、頭からそういう農協一番に、そういうふうに、あげて他はその次にそういう数字をそろえるというような考え方でなしに、一つ事務をとってもらうことを要請しておきます。
  36. 千田正

    ○千田正君 この問題には、まだ私はきょうは発言はしませんけれども、慎重に、もっと理論的な問題については伺っておきたい点がございます。きょうは私は農林省には聞きません。なお大臣の意思も確かめておきたいと思います。まだ非常に理論的なことについては、私は論議すべき点はたくさんあるのです。私はあらためて機会を得さしていただきたい。
  37. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) この件については、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  38. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 漁業共済の件を議題にいたします。  この件について、千田委員から質疑の御要求がありますので、この際、御発言を願うことにいたします。
  39. 千田正

    ○千田正君 時間もありませんから重点的に水産庁漁政部長にお伺いしますが、これは先般の十月九日、十一日のこの農林委員会におきまして、農林大臣、水産庁長官予算課長に対しまして、来年度予算の編成についての質問の際に、特に私から発帯円いたしまして、漁業共済予算についての質問に対しましては、農林大臣及び長官からは十月末か、ないしは十一月早々追加概算要求をするから御了承願いたいという言明があったのでありますが、その後、この問題についてはどういうふうになっておりますか。
  40. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 追加概算要求の点でございますが、ただいま水産庁と官房と、内容につきましていろいろ話し合いをいたしております。近日中にその内容が固まって、大蔵省へ提出し得るようになるんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  41. 千田正

    ○千田正君 これは衆議院の農林水産委員会において非常に論争された点でありますが、本年度の予算は十八県にとどまっておる。その性質においてもまだ農林関係が、今もあなたをそばに置いてお伺いしておる通り農業団体はどんどん的確な立場を築き上げて向上している。しかし漁業は相変らずよたよたしておって、何もやっておらぬと言っても過言ではないほど、漁業というものはおくれておる。そういう意味からしまして、三十三年度予算におきましては、この漁業共済については、本年度の十八県から拡張して、水産関係の全県に及ぼすということで、衆議院の農林水産委員会においても、かつまた本院のこの委員会においても、政府がそれを言明しておる、しかし、なおまだ予算の提出の時期が辿っておるにかかわらず、もたもたしておるような状況では、どうにもならぬと思うのですが、一体これは三十三年度においては、全国一律にこの制度を普及するという考えを持っておるのかどうか、その点はどうなんですか。
  42. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 今御質問がございました通り、本年度におきましては試験的実施という意味合いで、県の数を限って、実際的には十八県の実施をしていったのでございますが、明年度におきましては、この県の数を十八県にしぼるということは——もう少し範囲を広げていきたいというふうに考えております。少なくとも漁業的に重要な県につきましては、全部網羅的にしていきたい、こういうふうに考えております。  なお、本来ならば漁業共済規定というものは認可になっておるわけでございますから、建前上からいえば、共済会の行為能力としましては、全国的にしてもいいわけでございますが、何分にもまだまだ制度内容において熟しないところがありますので、私の力の指導といたしましては、やはり着実に伸ばしていくという建前でやっていかざるを得ないのではないかと、こう思っております。ただし、実施県の範囲におきましては、ただいま申し上げましたように、来年度は本年度よりもずっと広げまして、重要な水産県につきましてはやれるように、そういうふうな構成で予算要求をいたしたいというふうに考えております。
  43. 千田正

    ○千田正君 予算要求すべき範囲を、大体区分して、二つくらいになるのですが、たとえばただいまのところは、まあ発足して間もないことでありますから、ある程度において支払いについて不足な分については、やはり支払準備金のような、調整準備金のようなものを一応確立しておく必要があるというのですが、かつまた事務費補助という点も考えていかなければならない。こういう二つの考えをもって予算要求をしなければならぬと思いますが、水産庁としては、そういうことをもちろん考えておることと思いますが、大伸そういう見積りはどのくらいになっておりますか。
  44. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) お話のように予算の大きな内容といたしましては、共済の支払いに事欠かないような福岡をとろうということと、それから実施——想定される規模に相応した団体に対する助成と、こういうふうに二つに分れておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、来年度におきましては実施県を拡張いたしまして、それに見合っての加入率を想定いたしまして、それに対する支払いが責任を持てる形においての予算的措置、それから助成、こういうものを二つ見て考えていきたいと思っております。
  45. 千田正

    ○千田正君 間もなく通常国会が開会されるだろうと思いますが、同時にまた、農林省としての全般的予算説明をわれわれも要望しますが、その際に、当初におきまして、水産庁の予算の中に、もちろんいろいろ私も質問しますけれども、この漁業共済予算内容は、はっきり通常国会開会と同時に、農林省として政府の意向を発表する前に、あるいはあなた方から説明をお願いしなければならぬと思いますが、そういう準備は十分できておりますか。
  46. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) もちろん追加概算という形で一般提出予算よりおくれて出すことになりましたけれども国会予算として提出される場合には、もちろん共済関係予算は、当初から組まれておりますという形にはなるわけでございます。
  47. 千田正

    ○千田正君 最後に、これは私から言うまでもなく、あなたも御承知の通り、全国の漁民が要望しているところの、一つ公共性を持った制度でありますので、この確立によって漁民がよたよたしながらも、農業と並行して日本の基礎産業のベースを組んでいただきたい、こういよ、強い要望があるのです。拡張という意味におきましても、われわれから言えば水産を持っているところの全国の都通府県に一律にやるべきだという主張を曲げないのであります。しかしながら、あなたの今おっしゃる通り、内部的に検討すれば、着実に育てて進めていかなければならぬ点もあるとおっしゃるのですから、一応のところはあなた方の考え方も私は了といたしますが、大体何県くらい出すつもりですか。
  48. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) ただいまのところでは、むしろ大部分の県に実施するというふうにお考えをいただいてけっこうかと思います。もちろんこれは今後大蔵省との折衝の結果きまっていくわけでございますが、われわれとしましては、漁業的に比較的ウェートの少い数県は次年度以降に考える、少くとも相当規模の大きい漁業の行われておる県につきましては、漏れなく考えていきたい、こういうような気持で今予算を組んでおります。
  49. 千田正

    ○千田正君 十分了といたしますから、これを早く、全国の漁民も待っておるし、そしてまた、当然皆さんとしても、作業を確実にしていただきたい。この点を要望いたしまして漁政部長に対する質問は終ります。  それで、委員長にお伺いしますが、水産行政の重点であるところの日ソ漁業の問題等につきまして、私は水産庁長官よりもむしろ農林大臣に一応農林漁業等に関する私なりの考えの重点的な質問をいたしたいと思いますので、農林大臣が出席する機会に、発言の機会を与えていただきたいことを百要望して、私の質問は終ります。
  50. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) きょう午後農林大臣が出席する予定になっておりますので、もちろん時間の許す限り御発言をお願いいたします。  この件については、本日はこの程度で、休憩いたしまして、午後一時から開会いたします。    午前十一時五十一分休憩    ————・————    午後一時三十三分開会
  51. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会を再開いたします。最初に、委員の変更について御報告いたします。本日安部キミ子君が辞任され、小林孝、平君が選任されました。   —————————————
  52. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 中央卸売市場の件を議題にいたします。この件については、かねて当委員会において問題になり、特に去る十月三十日農林大臣に対して当局の善処方を申し入れ、年内に問題の解決が要請されていたのでありますが、この件について、その後当局においてとられた措置及びその結果等について、当局の説明を求めることにいたします。ただいまの当局並びに参考人の出席は、東京都副知事佐藤君、東京中央卸売市場長飯田君、東京中央卸売市場業務部長石井君、政府農林省農林経済局長渡部君。  なお参考人におかれましては、毎回お差し繰り御出席をいただき、ありがとうございます。まず、農林当局の説明を求めます。
  53. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 十月三十日に当委員会から中央卸売市場に関する申し入れをいただきました。神田丸東事件の善後処理については、たびたび御心配をおかけいたしまして、ありがたく存ずるとともに、ごめいわくをかけてきておることを遺憾に存ずるのであります。申し入れを受けて以来、私の方では開設者たる東京都と相談をいたしましたが、現在まで次のような状況になっておるのであります。まず神田の残存卸売人から処理金額として一億を出していただく、これはおおむね五カ年間に出していただく、その受け入れ先は、東京都の歳入に対する指定寄付ということにいたしました。東京都はこれを別途の機関を作って整理をさすことにいたしまして、それに都から支出する、こういう手続をすることにきめました。それから、その集まった金は荷主、従業員の給料、退職金の一部、それから市場信用保全上、または卸売業務改善上、特に東京都が支出を適当と認められるもの、そういうものに出すことにいたしております。これは見舞金という形で出すことにいたします。この案をきめまして現在残存会社にこの案で御協力を願うように話を進めております。相当お話は進行しておりますが、たとえばその中で、いわゆる丸栄、全販連等は、団体の性質上見舞金を出すことによって会の運営上たとえば背任罪とか何とかいう、そういうことにならないように、法律的な手続をはっきりしたいというので、そういう点を整理しております。それぞれの残存会社においてもまたそれぞれ内部的に検討しているのであろうと思います。本日までにはっきりした返事をいただこう、こういうふうに考えておりましたが、はっきりした返事はまだきておりません。私たちの方では大体この案で落ち布くもの、こういうふうに存じているのであります。以上簡単でありますが、経過を御報告申し上げます。
  54. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの説明並びに参考人に対して御質疑の向きは、順次御質疑を願います。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、どのくらいの進行になっておりますか、進行の程度は。何かお話の筋をお聞きしていると、これは見舞金ですか、一億円は。その点はどうですか。
  56. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 見舞金であります。あと手続上の問題で、それぞれ法律上後になって疑義が起らない、そういう点を整理しているわけであります。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 都ではどうです、今の段階で。
  58. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) ただいま農林経済局長さんから経過の概要について御説明がありましたが、大体その通りでございます。段階といたしましては、われわれとしては今までいろいろ苦労をいたして参りましたが、折衝のあれとしては、もうすでに峠を越した段階であると確信をいたしております。ただし、その内容等については、いろいろ今後の話し合い関係等もありまして、ここではっきりと御説明をすることを差し控えたいと思いますが、いずれこの数日の間にそれぞれの会社なり団体が、しかるべき機関におはかりをせられてから、正式の御回答があるものとわれわれは確信しておるのであります。大体そのような段階にまでいっておると思います。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、まだ確定して承認を得ていないのですね。それぞれの会社というのは幾つくらいあるのですか。幾つかということと同時に、会社の名前は何というのですか、何社に出させるということなんですか。
  60. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 確定してないので、もう数日お待ち願いたいと、こういうことであります。神田の残存会社は、全販連——丸栄、それから東印——東京青果株式会社、それから丸一——東京丸一青果株式会社、この三社であります。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、東京青果というのはこれは前からあったのでしょう。
  62. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それは東京神田青果であります。正確には東京青果株式会社というのがいわゆる東印、それから東京丸一青果株式会社いわゆる丸一、それから全販連丸栄東京青果株式会社。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 この三社ですか。
  64. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そうです。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 出資内容はまだわかりませんか、その見舞内客。
  66. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 先ほど御説明申し上げましたように、荷主に対する出資金、未払い給与あるいは退職金、それからそのほかの市場の信用保全上、あるいは卸売業務改善上に東京都が出資を適当と認める債権、こういうことであります。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 この三社の見舞金の額などは、まだきまらないのですか、大体のところ。
  68. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 大体取扱い分母に応じてきめたい、こういうふうに考えております。
  69. 堀末治

    ○堀末治君 今、見舞金々々々というけれども、見舞金じゃなくて支払金じゃないのですか、売掛金の支払いに充当するのじゃないですか。見舞金と支払金とだ、いぶ性質が違いますがね。
  70. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは常業取り消しになった東京神田青果の仕切金の未払い金であります。それをほかから持ってきた財源によって他の機関が代って払ってやるから、これを見舞金と私の方では称しておるのであります。
  71. 千田正

    ○千田正君 どうも非常にそれはややこしいと思いますが、そこで、私は根本的なことをはっきり聞きますが、この問題を当初において丸東が経営不能になって、営業取り消しになった、この再建の方法をどうするかということは、農林省並びに東京都は考えたでしょう、新しく会社を設立されることによって、あるいは新しく経営することによって、この問題が解決の曙光を見出されるかという一つの問題、一つはそういうのを探しても今速急にこれを救うへき道はない、それで、残存の会社に了解させて、そうしてこの整理をかねて物事を運んでいこう、今度とった処置はあとの処置なんですがね、あなた方は後段の処置をとっていらっしゃるのですが、将来において、新しくそごに相当の資本投資と基盤を持った新会社を設立させるという意思は、全然あなた方はないのですか、どうですか、今はっきりその点は伺っておきたいと思うのです。
  72. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 現在のところ、私どもの方では、新しく会社を許可する考えは持っておりません。
  73. 千田正

    ○千田正君 それで、今の問題、たとえば堀委員からのお尋ねがあったのですが、政府の方では、一応の資金を出してやる、それでいわゆる見舞金という名目のもと出してやる以外には処置がないのだ、それで了解を債権者に求められるかどうかということなんですが、そういうことで話を進めておる、了解を求めているのですか、そうして相手方は承知をしているのですか。
  74. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そういう方針で三社に話しまして、三社は手続を内部でそれぞれの機関にはかっておる、従ってその最終的返事はまだきていない、こういうのが現段階であります。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは東京都が幾らか出すのですか、農林省も幾らか出すのですか、会社のほかに。
  76. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 農林省出しません。東京都……。(参考人飯田逸次郎君「見舞金は東京都は出しません。」と述ぶ)
  77. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 今発言を許しておりませんよ。
  78. 千田正

    ○千田正君 今、清澤委員質問に対して、東京都が見舞金としては出さないと。農林省はどういうことなんですか。
  79. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 農林省は出さないのであります。
  80. 千田正

    ○千田正君 だれが出すのですか。
  81. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 東京都も出さないのです。
  82. 千田正

    ○千田正君 そこをはっきりして下さいよ。
  83. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 最初の堀委員質問から関係してくるわけですが、そのときにお答、えしましたように、それから千田さんが御指摘になりましたように、支払い方法は、その債権を、だれかが債務を引き受けてそうして払う、その方法としては、合併するなり債務そのままをだれかが引き受けて払う、こういう格好が出るわけですね。ところが債務を引き受けてそのまま三社が払うのは、法律上背任になるかどうかというような疑義がある。それからまた、そういう金を出すことにして、その個々の会社が出すのであれば、それは利益の一部とみなされて、税金に取られるおそれがある。それからまた、社内で相談するにしても、何のために他人の債務を引き受けるのだ、こういうことで説明がしにくい、従って、生産者仕切金に払う金は、どうしても処理せねばならぬ、残存会社は丸東が営業取り消しによって、それだけ荷扱いがふえる可能性がある、それからまた、売り場もそれだけ有利になるという可能性がある。そうするならば、その実質上の利益は期待できるのじゃないか、それならば、それに相応する金は出しても、神田の市場の信用保持のためには仕方がないのじゃないか、こういうところまで言えるわけであります。そうしますと、今度は、今最初にお話しましたように、法律上支出可能あるいは税金で損をとらないとか、そういうことを正当化する手続が考えられる。そのために東京都に指定寄付をしてもらう、そうして東京都が直接開設者としてこれを産地に支払うのも一つの方法だと思います。そのかわりに特別の機関を作りまして、そこへ東京都から今の指定寄付で受けた金を渡しまして、その特別の機関で丸東の債務者に支払っていく。で、その支払う場合にその機関が丸東の債務を直接引き継いだのでありますれば、あるいは債務の肩がわりということで名称を直接使ってもいいかもしれませんけれども、そういうふうにいろいろな観点から手続を複雑化しましたから、この金は見舞金という名称で出していこうと、そのことが結局出す方もわれわれが出した金は直接は出した人と関係ない丸東の金を直接しょったのでもない、公共的な目的に使うのだという説明をした方が楽だと、率直に申しましてそういう手続を踏んでおるのであります。
  84. 千田正

    ○千田正君 だから、僕は最初にお伺いしたのは、残存会社はあなたのおっしゃるようなんだったら、丸東が営業ができなくなったために自然に業務を拡張し、また利益もふえていくと、それだからお前たちは出してもいいじゃないかという議論は、お前たちが引き受けなかったならば東京都に別な会社を作らせるんだという腹がまえがなかったら僕はそういう話し合いが出てこないのじゃないかと思うのですよ。そこで解散してしまったら当然自分らの方にくるべき商売だ、それをあえて強制づけられて、見舞金を出したり、支払いの肩がわりをしなくちゃならないという責任はないはずだ。だから、もしもそういうことが十分に成功しなかった場合は、農林省なり東京都がこの問題の解決のために新会社を作ってやるという意図がなければ思い切って出せないのじゃないですか。そういう見舞金に対する了承なんというものは、それはどうなんですか。
  85. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 理屈はまさにその通りになるのであります。ただ、卸売市場の中における卸売人の数はまた別の見地から検討せねばいかぬので、少くとも神田の市場で今まで業務規程で認められた定数六人は私は多いと思っております。従って今のような、君たちが聞かなければこれは新しく作ってやるのだ、こういう手は直接私の方としては使えないのが実情であります。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで東京都は、こういう三社がかりに分担金だか何か名前はどうでもいいが、金を集めて出す、その場合一銭も出さないと、こう言うのですか。何か話を聞きますと、相当額出そう——その名目はどうでもいいですよ、見舞金という言葉で出すかどうかは知らぬけれども、何か東京都も出す、こういう話があるのですか、それはどうなんです。
  87. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 見舞金としてはもちろん今のところは出すという考え方は持っておりませんが、あるいはこういうことをわれわれが計画しておることがお耳に入っておるのじゃなかろうかと思いますが、それは今回の丸東事件にかんがみまして将来全市場についていわゆる支払準備制度というようなものを作っていきたいというような考え方を実は持っておるわけであります。それには一つの財団法人を作って、そしてそれに取り扱わせるというような実は考え方を持って参っておるのでありますが、その財団を設立するための基本財産というようなものは、その財団の事業の公共性にかんがみて、何がしかの金を東京都としては基本財産として出資するというようなことをかつて考えておったことがあるのでありますが、あるいはそれのことかと存じます。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のこの問題に対してはどうなんです。それは一応考えたと、こう言うのでしょう。これはまだ確定したのじゃないでしょう。今現在のところの方針としては経済局長が発表せられた通りの形で協力して進んでいられるのでしょう。それに違いないのですか。
  89. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) ただいま農林経済局長さんがおっしゃった通りでありまして、東京都は残存会社からの指定の寄付を受けてそれを東京都の歳入に計しまして、それに見合う同額のものを歳出に計上して、それを別途支払機関に交付するという構想でございまして、それにプラス東京都が幾らという考えではございません。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 重大な問題ですが、集まった分と同額のものを東京都が一般会計に入れて出す、こうおっしゃるのですね。
  91. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 残存会社が協力をしていただけることになりまして、東京都に寄付を、指定寄付という形で納入されるわけであります。それと同額のものを支出にいたしまして、そうして別の支払機関を作ってそこに流してやる。いわゆる通り抜けの形になるわけでございます。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 局長、今のお話でいいのですか。あなたのおっしゃったこと方のは。
  93. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) その通りでありまして途中で説明せられた、特別の財団を作ってもっと恒久的なこういうものに対する準備制度を作ろう、その場合には都も出資金として出そう、こういう話があったのであります。しかし現在は、今のとりあえず丸東だけの問題を速急にしようじゃないか。そういう恒久的なやっとからみ合ってやっておっていたずらに時期を遷廷しては困るじゃないか、こういう意見もありますので、現在はその問題は未定になっておるのであります。
  94. 清澤俊英

    清澤俊英君 局長は未定になっておる。あなたの方じゃそれでいくのだ。それで、かりにあなたの方のやつで進んでいったとしまするならば、副知事はどうです。議会の方はそれで通りますか。かりに一億円の寄付金があったとする。同額のものを都会においては承認して出すというようなことは大体目安がついておりますか。
  95. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいまの点につきましては、東京都議会の経済委員会において市場長が今までのような事情を話しまして、大体同意を得ております。従って正式になる場合にも可能だと存じます。
  96. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、今予想し得られる、集められる額というものは、残存会社から集められる額というものは、大体どれくらいを予想しておられるのですか。
  97. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) ただいま農林経済局長さんから御説明がありましたように、われわれの案といたしましては、大体総額一億、それでその一億を五年間ぐらいの間に取扱い高、売上高にできるだけ比例をいたしましてそうして東京都の方に納入を、指定寄付というふうな形で出して参る、こういう考え方でございます。ただし今の内部的な問題、今の一億をどういうような按分にするかというようなことにつきましては、大体取扱い高というものを基準に考えておりまするが、やはり会社の負担能力とか、それから受益の限度というようなこともございましょうので、これは若干そこに高低の差が出てくることが出てくるかとも思います。
  98. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、もう一度はっきりさしておきたいのですが、会社の方から一億円を四カ年の中で集めて債務に回わす。そうするとこれに対する同額の埋め合せとして東京都が一億円か出し、全部で二億円のものでやられる。こういうことなんですか。五千万円は集めて五千万円を東京都が持つ、こういう形になるのですか。その一億円の内容はどうなのですか。
  99. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) これははなはだわれわれの言葉が足らないために御理解をいただけなかったかと思いますが、一億の寄付を受けましたらそれだけでございます。それだけ歳入に入れてそのまま歳出を通すだけでございますから、歳出は一億でございます。入ってくるのが一億ならば出るのも一億円、東京都はそれに一億をプラスするものではございません。
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきそれで聞いたのですよ、私は。私の聞きようが悪かったのかもしれないが、東京都が何がしかを持つ、だからそれは都会の承認を得ておるのか、こういう質問をしたのです。そうしたら、それは経済委員会の方では承認しておられる、こういうお話だと思っておったのですが、東京都は一銭も出さぬ、こういうことなのですか、これができ上った際に……言い方が悪いかもしれませんですけれども……
  101. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 経済委員会に話をして大体の了承を得ておるというのは、今言いましたような東京都の予算を通ずるというということであって、その寄付があるものと同額の都費をさらに持ち出すという意味の了承ではございません。
  102. 田中啓一

    ○田中啓一君 大体内容はわかりましたが、お話いただきました範囲においてはわかりましたが、これは前に破産をしました会社が青果物を出荷しまして、結局まあそっちからいえば売掛代、会社からいえば買掛代が滞ったわけですが、それの確定額というのはおわかりでございましょうか。それをどちらからでもいいですからお伺いします。
  103. 石井孝義

    参考人(石井孝義君) 丸東が業務停止しました七月三十一日付で丸東の書類から出てきたものは、前回の委員会で御説明申し上げました通り八千三百万円でございます。しかし、これらの実態につきましては目下精査確認するところの事務を進めておるわけでございます。一応丸東の諸帳簿から摘出隻計した額は八千三百万円、かようなことでございます。
  104. 田中啓一

    ○田中啓一君 さらにお伺いしますが、その大体八千三百万円という見当は精査の上もおそらく大差なかろうというぐらいのお見込みでありますか。精査すれば大へんに違うかもしれぬと思っておられますか、どうですか。
  105. 石井孝義

    参考人(石井孝義君) 目下御案内の通り、この丸東の売買取引を通じて仕切りに粉飾があった、こういうようなことで警視庁で諸帳簿を押収して取調べを進めておるわけでございます。しかしながら、実は各県からいろいろ自主的にこれだけ自分の方の県では荷主の未払金があるといって出てきたものと、われわれが先ほど申し上げました通り、丸東の諸帳簿から集計した各県別の集計と合せてみますと、必ずしも一致はいたしておりませんが、その差はきわめて僅少でございます。従いましてこの八千三百万円が精査確認した場合大幅に変ってくるというようなことは予想をしておりません。
  106. 田中啓一

    ○田中啓一君 続いて、そこでこの八千三百万円の代金の滞りというものもこれはだいぶ年数がたっていると思う。それから今後残存会社が寄付金を出すのはおそらく五年間に均等いたしますと、五分の一ずつしか払えないと、いうことになるわけであります。一体相半長い売掛代の滞りで出荷人というものはずいぶん私は金融に苦しみ抜いていると思うのであります。従って高利の金でも借りて仕事を続けなければならぬということになっておるのが実情であろうと思う。従ってこれには利子を一体付するつもりであるかどうか。これは付することになっておればそれまて、でありますが、どう思うかということについては農林省東京都の両方からお考えを伺いたいと思います。
  107. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 利子を付するつもりはありません。
  108. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 東京都におきましても利子をつけるという考え方は今のところ持っておりません。
  109. 田中啓一

    ○田中啓一君 これはなぜかということをお聞きしなければならぬ。これは、先ほど見舞金という名前を問題になすっていらっしゃる方もあったのであります。名前は見舞金だけれども、実質はこの青果の代金だけはどこかで肩がわりをするような、そういうような思想のような説明に聞いたのです。それは私は当然じゃないかと思うのです。これは、出荷人の方は大へんな苦しみですよ。だけれども、できたことは仕方がない、まあがまんしてくれという話も出てくるでしょう。そういうことも考えられるでしょうが、しかし私は根本的に中央卸売市場というものが、先ほど補償財団でも作ろうかというお話も出ておったのでありますが、これはどうしてもやはり補償しなければならぬ。そのかわりに妙な逃げきりなどやらないで損はかけぬが、できるだけ青果の流通の経費というものは少くいって、生産者と消費者が双方いいように努めるというのが根本的な機能であるはずなんですね。でありますから、そういう根本的な思想にもつながり、どうも私はこれは利子を付すべきものでないかと思うのでありますが、付するまでにはとてもいかんという実情その他いずれお考えがあっての今のようなお話だと思いますから、もう一つそこは当委員会にも納得のいくような御説明を両方からお願いしたいと思います。
  110. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 最初に各委員からお話があったときに申し上げましたように、なぜこれに払わすのだ、こういうのが当然出てくるわけであります。われわれが市場を考え、市場を監督していく上において丸東のような会社ができたことは監督官庁のミスであるということは言えると思いますが、しかし今の法律の建前から言いますと、会社がどういう借り入れをしょうがどういうことをしようが、役員を変えるとか、あるいはもっと徹底した手直しをするという手がないわけです。で、法律の規定から言うと、法律に違反しているとか、業務規程に違反するとか、あるいは公益を害するというような場合には業務の停止か、あるいはいきなり取り消しにいってしまうわけです。この市場の場合には業務の停止ということはまあほとんど取り消しにつながるのじゃないかと思います。従って取り消しということは簡単にはやはりやってはならない。これはこの前の委員会のときにも申し上げましたけれども、私の方も非常に慎重にこの取り消しに踏み切ったのであります。丸東の場合を見ますと、この会社は設立以来主管人制度であるとか、あるいは昭和二十七、八年ごろに非常な問題がありまして丸東の営業方法というものは、これは生産者にも業界にも非常によくわかっておったことじゃないかと思う。従ってそれと取引するのにはある程度のリスクを考えると同時に、それと取引をすることは何かいいことはあったのじゃないか。従って業務取り消しをした場合に、そこにそういうものがあったのであれば、これと取引した人が取り立て不能になったということに対して、相当程度の責任はやはり持ってもらったらいいじゃないか。こういう意見が一面において非常に強く出てきておるわけであります。これはまたわたしらにはもっともだと思うのであります。そういうこともありますし、何しろ大きい金であります。それからほかから、清澤委員お話しになりましたように、それなら東京都なり、政府から穴埋めの金をぽかっと持ってくるというならいいのでありますけれども、ほかの人に迷惑をかけるのでありますから、やはり百パーセントの補償というものは、生産者の方にもがまんしてもらわなければならない、こういうのが私ども考えであります。
  111. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 東京都の考え方も利子を今のところ付するということは考えておりません。その理由といたしましては、ただいまの経済局長さんの御説明通りでございます。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 今はだいぶこの構想でまとまるという前提で田中さんなんぞも話しておられるようであります。聞きますと、この九日の日にもこの三社が相談してお断わりしたという話なんだが、それはどうなっておりますか。こういう構想ではお引き受けできませんといってお断わりしたという話があるのだが、そういうことはないのですか。それと同時に、今までのお話を聞いていると、これで確定してこの構想でまとまってもう大丈夫という線がまだ出ていないのだ、大丈夫と言い切れますか。この二つ。
  113. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 九日の日にこれを断わってこられたということは私聞いておりません。それから、これで確定かというようなお言葉でありますが、先ほど渡部局長さんからも御説明ありましたように、また私からも補足して申しましたが、これによって確定したということをここで申し上げる段階まで至っていないのであります。しかしながら、われわれの今までの交渉の経過から見ますると、まずまずわれわれの交渉としては峠を越して、そして来た、それで近き将来にそれぞれ協力をせられる方々がそれぞれの会社のしかるべき機関にお諮りになってから正式に御回答があることを深く期待しておるということでございます。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 期待しているだけなんですか、期待ができなかったときはどうなるという問題はあとに残りますが、その前にお伺いするのは、私どもの聞きたいことは、こういう構想をうたって三社に交渉せられた、どの会社とどの会社は一応了承したが、どの会社はどういうような主張をしてこれに反対してそこに困難があって、もうじんぜん二カ月もかかってもまだ目鼻がつかない、目鼻がつかないといったっていいでしょう、あなたの言う期待しているというだけのお話なんだから。十分期待が持てるか持てないかは、それを聞かなければわれわれは承認ができない、その経過をいま少し詳しく都の責任者からお伺いしたい。どの会社はどういう態度をとつたか、どの会社はどういう主張をしてきたか、どの会社はどういう主張をして、そこでまだ期待の範囲であって確信ができない、これは決定するわけにいかない、こういうことが聞きたいのです。それが開きたいのだ。
  115. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 経過の概要につきましては渡部局長から御説明を申し上げた通りでありますが、その具体的な内容になりますると、これは非常に今後の話にも重大な影響がくるおそれも多分にありまするので、その点はここではっきりと申し上げることは差し控えたいと存じますが、重ねて申し上げまするように、われわれとしては相当の期待をを持ってここまでこぎつけて参ったのであります。いずれここ数日の間に各社ともそれぞれの機関にお諮りになって御返事がいただけることを期待いたしているのであります。
  116. 清澤俊英

    清澤俊英君 それなんですよ。私らが情報として、情報というのはおかしいですけれども、新聞やその他のことで入っているところからいいますと、おそらくまとまるまい、こういう方が多いのです、強いのです。それをこの前のときも五日間くらいでまとまるとか、年内にきめますとか、もうじきできますとか、じんぜん日をかせいでいるだけのことで、何ら処置がない。もしだめだったらどうするという決心がありますか、もしこれがだめだったら、さっきも千田君が言うように、何かの方法をもって都が経営するとか、あるいは全部墨田青果でやって、あれは結局すれば裁判所が業務代理をして、従業員にこれを管理さして、そうしてその管理が非常に成績がいい、がわがいろいろなことを言っているけれども、成績が非常によくて、だんだん好転している。しかしてみますならば、この丸東の自身のものを整理する上に残存組合をしてこれを代行せしめて、借金ができるのは、それくらいのものは一時やるくらいのことは両方とも考えていいと思う、農林省考えるがいいし、東京都も考えればいい。それまでの線が出れば、またうちの線も出ると思う。またそこにあります、市場にある何か建物等の跡地とでもいいますか、現に丸東が持っておった権利というようなものが競売等にすれば相当の価格にもなるという話を聞いております。一面そういうものを整理することを前提として、そういうやり方でやったら二年くらいで片づくのじゃないかと思う。それくらいのことをばちんと間違えばやるのだという腹がまえをはっきり出されるならば、私はもっと片づきが早いと思う。ただ今言ったようなことをいってやっておったら、ここでだけは期待します、希望します。希望と期待だけは幾らしても、相手があることなんだからできるかできないかわかりませんよ、あなたの期待通りになるということは、ただ一人有力な人が中に入っているからおそらくはするであろう。二カ月か三カ月後にはそういうことにあるいはなるかもしれない、こういう話を聞いている。そういう話も聞いています、だから全然ないとは僕も言い切れないと思っている。もしそういうものが、その人でなったとしたならば、あとへまた災いを残すのじゃないかと思います。人の名前は言いません。そういうことをわれわれは考えている。何かこれがどうしても何日までにだめならこういう方法でやるという代案をお考えになっているのですか、どうですか、あるでしょう。墨田では、現に何ら弁護士なんというものは……、それはなるほど墨田青果というものが卸権を持っている、それを裁判所が代行を命じたからといって、何ら経験のない者がやっている。現実にやっているのは東京都が監視しているだろうと思う。東京都が監視して、従業員がやって、成績がだんだんよろしいというならば、丸東の従業員だってできないことはない、なぜ同じことをやらせないのか、それくらいのことはできそうなものだ。それ以外に政府もハチの頭もない。整理期間中これをやらしめる、何かそういう法律の順序は私はできるのじゃないかと思うのです。もし整理会社に関するそういう条項がないならば、今度の通常国会に臨時立法でも何でもやったっていい話なんだ、重大問題ですよ。そうしてあとに残った財産は相当私は疑問がある財産だと思うから、それだけの権限はあとの三社に競売で売るとか何とか、相当の価格に売れるだろうと思う。それくらいの構想を持てるのか、持てないのか、持てなければ私は期待なんということはほとんどしかねます。
  117. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 今御指摘になりましたように、従業員であとを管理させれは取り消しまでに至らなくてもよかったのじゃないか、こういうお話でありますか、そうは簡単にいかないのでありましてその当時、負債四億、その中の八千万円が仕切金の未払いでありますが、その金が払えないからこの法律に照らして業務停止を食わしている、そうして業務停止を行なって、そうしてその金の準備ができるか、できないかということを二月近く待ったのであります。その最低八千万円の金ができれば、あるいはその全部でなくても、仕切金の未払いが解消する可能性さえ出れは、何も取り消しをする必要はなかったのであります。そのめどが全然つかなかったから、これは丸東の役員に何回となく私も……、具体的にどういうことをやるんだ、いろいろな人が出てきたり、いろいろなところから金が出るんだと、こういう話でありますが、何しろ大金でありまして、ちょうど金融引き締めの非常にきつく及んだときでありますから、とうていそういうことはできない。これを一日もじんぜんとやっておればますます問題を複雑にするだけだ、そういう関係で取り消したのでありまして、御指摘の、ほかの方の会社とはちょっと状況が違うのであります。取り消しの経過は、ほかに方法がなかったからやったというふうに御了承願いたいと思います。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 その話はよくわかりました。わかるが、あとの卸売の整理ですね、清算社員の整理、それから労働賃金、この二つだけが主点として現われたのでありますが、こういう立場に立って一応の整理をつけてみるという際に、一応会社は解散してないのですから、東京都がそういうやり方てもってこれを出してきたらいいのじゃないですか、そういう方法はできないのですか。そうすると、ほかの債権者にこれはからみ合ってきますね、会社は向うにまだあるのでしょう、業務は停止されていたって丸東株式会社は残っているのでしょう。それはそのほかの者が引き受けてやればいい。市場としては、そういう会社が勝手気ままに借金したものまで考える必要はないだろうと思う。だがしかし、委託生産者に対する支払いと労働者に対する支払いだけはこれはしなければならぬ、その分だけの整理を今言ったような格好ではできないのですか。
  119. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ちょっとよくお話がわからないのですが、ほかから金を持ってくる方法はないか、こういうことでしょうか。東京都なら東京都、農林省なら農林省が金を出したらいいのじゃないかと、こういう……。
  120. 清澤俊英

    清澤俊英君 いいえ違います。私の言うのは違うのです。かりに東京都がこれの整理をするという立場をとって、そうして従業員なら従業員に今の場所を預けて仕事をさせる、墨田がやっているんだから……、ただ墨田は法律によって弁護士が管理をしているというだけの話です。だからそれでうまくいっているのですから、何も会社がなくとも、従業員を非常に監視してやればやれるということは考えられるわけです。そういうやり方で東京都がやる意思を固めれば、何とかうまく早く片づくのじゃないか。
  121. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それは先ほど申し上げましたように、とにかくすぐ、あした一応八千万円の仕切金の手配ができなければもう不可能なのでありまして、その手配ができなかったから取り消したのであります。その八千万円の金がもしできたとすれば、従業員でなくても、ほかの会社でも、あるいはその会社役員にかわりましてほかの人がやってもできたかもしれないのです。そのめどがつかなかったから、もう現に七月の終りに生産者に対する仕切金がとまっているわけです。仕切金がとまれば業務も停止しなければならぬ、こういう業務規程になっている。ですからその金をいかに工面するかということで一月半ばかり苦心したけです。そのめどがつかなかったから取り消したわけです。ですから、今お話のようなことは丸東に関する限りなかったわけです。
  122. 清澤俊英

    清澤俊英君 丸東というものは消えてないのです。私の言うのは、今ここで新たにその残存三社に、寄付行為によってそれを東京都の一般会計の中に一応繰り入れて、それから見舞金という形で出すのだ、こういうめんどうなことをやっていても、寄付するか寄付しないか、これはなかなかめんどうな問題なんです。今言うている通り、期待する期待するというだけの話で、期待が期待になるかならないかは、これはわからない。いろいろ聞くところによれば、なかなか期待はしかねるという情報の方が多く入っている。それを期待する期待すると言っていつまでやったって同じことなんです。だから、そういう機関と同じような形で、新たに一つ東京都が中心になって、そうして従業員にこれを経営さして、東京都が丸東なきあとの機関として一つ常業をやるんだ、これは卸売の分だけを東京都がこれこれでやっていくんだとはっきりさせたらよろしいと思う。整理会社という別なものを東京都が考えられるのか、こういうことなんです。
  123. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) その点はとてもできないと思います。それは既存の会社があって、営業継続中で、それで資金が相当潤沢に回る、こういうことがあれば、今の御指摘の墨田の問題と同様にこれはできるかもしれませんが、一ぺん常業許可を取り消し、あるいは営業許可を取り消す前でも同じですが、その事業をやるのには未払金をほうっておいては、そこに荷物が寄りっこないわけですから、その未払金を解消するための金を持ってくるのには、わしがその会社を継続するから、あるいは丸東の従業員がその会社を管理するからほかの第三者に金を貸せといっても、これは貸しっこない。でありますから、今のお話はできないのです。
  124. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこまでいくと内容の妙なことになりますけれども、墨田はあなた知っている通り、資本金の四倍も借金がある、未払金も相当あるというのです。それが品物がずんずん集まってきている。何で奥まるか、そうしなければ会社がつぶれて未払金が取れないから出している。自分の仕切金がほしければ、しかも東京都がうしろについてそうして従業員をしてこれを行わしめる、こういうはっきりしたものが出れば、品物がかえって集まってくると思うのです。現実に墨田はそういうふうにやっているのです。出さぬ場合はそれで協力して出さしている、これは市場一般における話なんです。できないことはないだろうと思う。だからそれくらいのところまで考えてやらなければ問題にならぬのじゃないか、こういうことを言っているのであります。ただ話し合いでして三社に非常にこびておられる。私はそう何もその三社というものに非常にこびて頭を下げて事を処理しょうとしていられるところに問題が出てきているのだと思う、もっときぜんたる態度で指導のなにをやったらいいと思う。ということは、結局すればあなた方には政治的責任は十分あるのだ、全然ないことじゃないでしょう、場長さん、考えて下さい、政治責任は免れませんですよ、これだけの問題を起して政治的責任がないといったら、おかしな話です。ただ民事上の責任がいろいろの関係上、あるかないか疑問だからそれをあまりつかないだけの話なんだ、そうしてみれば他を顧慮することなくもっとまっすぐづけに片をつけるという方面に向って最善の策を尽されるのがほんとうだと思う。私はそうじゃないかと思う。おっしゃっていることがどうもここだけでは非常に、今もこういう話し合いが出てだんだんうまくいっております、期待しております、期待が持てると思います。その範囲で少しも進展していない。そうしてその内容がどこにあるのだ、こうお伺いすれば、これは今重大段階だからお話ができません、こう逃げておられる。われわれが聞いておることと全然違ったことを報告しておられる。その後形勢はどう変ったかしれぬけれども、だめであろうというのが大体一般の見方であろう。だめだったときはどうするという第二案が用意してありますか、ないですか、それだけお伺いします。
  125. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) まあわれわれの観測といいますか、期待というものが非常に甘過ぎるのじゃないかというようなお言葉のようでありまするが、まあわれわれといたしましては、やはり残存の会社が今までから相当の期間にわたって折衝をいたしてきておりますが、いずれもやはり協力するという点については何ら変りはないのでありまして、われわれは全然でき上らないということについて考えられない、やはりあくまで、その言葉を信頼し、また最近の段階からいってできないというようなことは実は考えていないのであります。
  126. 東隆

    ○東隆君 私は今進められておる案について、少し疑問がありますので伺いますが、残存会社が見舞金として東京都に五カ年間でもってやっておる、そこでそれを東京都が受けてそれに相当額を支出するのだと、こういうお話であります。そこでそういうことがきまればべんで東京都は荷主、あるいは職員、その他の支払いを一度でおやりになるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  127. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) もちろん民間の今の残存会社が一度にそれを納入してくれれば、もちろん一度で払うわけでありますが、おそらくそういうことは無理でありまして大体五年間くらいはかかると思います。ただし、われわれとしては前々からも申しあげておりまするように、この五年間にでも荷主の未払金、それから社会的な面からも皆さん方の御要望がありますので、従業員の未払金等につきましてはできるだけ優先的に支払いを早くするような形に持っていきたい、ただし東京都が一時全額を立てかえて支払うというようなことは今のところは考えておりません。
  128. 東隆

    ○東隆君 その解決でやりますと、開設者としての東京一つも責任を感じておらないと言ってもいいと思う、残存会社が、かりに見舞金として出しましてもこの分はおそらく卸機関としての、会社としてあがったところの利益から払っていく、従ってそれは消費者の方面にしわ寄せになるか、あるいは生産者の方面にしわ寄せになるか、これは明らかであります。その中から支払われるということであって、決して何にも、この妥協案——何といいますか、この解決案に対して開設者としての東京は何らの支出もしない、責任を果すという点は一つもない。そういうふうに私は理解をいたしますが、責任をどういうふうに感じられているのか、その点を一つお話を願いたいと思ます。
  129. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 開設者としての責任につきましては、われわれとしては深くその責任を感じているのであります。従いましてこの問題を何とかして一つ円満に解決のできるように及ばずながら努力を続けておりまするが、ただ金銭的な意味においての責任の貧打ということはいたしませんけれども、何とかしてこの出題を円満に解決するように日夜苦心をいたしているのであります。
  130. 東隆

    ○東隆君 東京都にお伺いをいたしますが、私はこの場合に見舞金がくるという前提もと東京都が一時に支払うと、そうして将来に向ってその金利その他については東京都がこれを支払うのだ、この程度のことぐらいは私はこの解決に当ってやらなければ、これはもう何らの誠意がないと、こう言われてもいた仕方がないのじゃないか、こう思うのでございますが、そういうことはできないのですか。東京都という大世帯を持っているものが将来に向って五カ年なら五カ年間分の金利、そういうようなものを支払っていく、その程度のものくらい持たないで開設者でございというようなことは言えないのじゃないか、こういうふうに私は簡単に常識的に考えるのですが、どういうようにお考えですか、お伺いをいたします。
  131. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) まことにごもっともな御意見でありまするが、われわれの今計画をいたしておりまするのは、先ほど経済局長さんが御説明をせられたその案によって進めているわけであります。それでただわれわれうなことは、やはりいろいろの面、ほかの行政面との振り合いの関係上われわれ今考えておりません。ただし、年末に差し迫りまして若干、今の見舞金ですか、それを繰りしげて支出するようなことが何とかできないかどうかというわけで、こういう意味の方針さえきまりますれば若干の融資を受けて、これはもちろん都が受けるわけにいきませんので、これはしかるべき支払機関を通じまして、若干の資金でも融資を受けまして、そうして一部の未払命の前払いと申しますか、何と申しますか、そういうようなことを考えたいということでございます。
  132. 千田正

    ○千田正君 関連して。今の東委員の御質問に対してのお答えに対して私は関連して質問したいと思うのです。  見舞金ということは、東京部も農林省もこの点については、先ほどから、債権の支払いじゃないのだ、もちろんそれに対して債務の履行ということじゃないのだが、名品は見舞金として出すのだ こういうことですね。しかしその債権者がそれを見舞金として出された場合に、債権と相殺するという納得付でなければ、これは意味ないことなんです。そうでしょう。そうしますというと、一部の債権を見舞金で出して、あとの残りの血も——残りがあり得る。それに対しては、今の東委員、先ほどの田中委員のお説の通り、これは今後、今、東京都の説明によると、五カ年かからなければ決済ができないじゃないかというお話であるとするならば、少くとも二年以後に、今年は別として、将来、三年なり四年に持ち越すところの債権者に対しては、最低の利子くらいは負担するのが当然であって、その負担がなかったら、おそらく見舞金としての了承はしないのじゃないか。私がかりに債権者だったら、私が地方一の出荷者であったら承知しませんよ。さっき田中委員の言うように、やっぱり、無理して出しておってそうしてそれが決済できない。それを見舞金で相殺しようじゃないかと、一千万円あったのを、三百万円ことし出すから、あとの七百万円は五カ年で払うから待ってくれと、こう言った場合、それでいいかということに対して、その了承をはっきりとらない限りは、この問題解決っかないじゃないですか。それに対しては最低の利子を付して、五カ年間に支払いを決済しますから、見舞金ということについて了承してくれという、そういう納得付でなかったら承知しないのじゃないですか。どうなんですか、その点は。
  133. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) だんだん細かいことになるのですが、そういう問題があるからなかなかむずかしいのであります。これ結局、取り消しにまでさかのぼって、取り消ししなかったら、じゃ、この債権は取れなかった。取り消したから、役所も介入され、見舞金という格好であれ、出して、利子をつけなくても、何とかやろうというのであります。もしこれを取り消さずにおいたら、それじゃ取れたかと、こういう点をお考え願いたい。それかららまた、さかのぼれば、丸東なるものが、これは公開状を見ると、年々大きい赤字を出しているわけです。これもやっぱり役所の責任かありますが、監督の責任が……。検査をして赤字があるならば、もっと早く処理したらいいじゃないかとこれはこの責任は逃れません。しかし取引している間、相手方はこれは百も承知なんです。だからそれを今のように法律構成をされて、債権は残る。債権は丸東からこれ取り立てなさいと、こう言われた場合には、これはまた困る問題が出てくるのじゃないか。それぞれの点を全部勘案して、私の方にも、取り消した責任がある。監督不行き届きの責任もあるから、できるだけ取れるものは取るようにしたい。こういうのが考え方でありまして、法律上議論しますと、非常に複雑になりまして、実に弱ったのですが、これは……。結局、今申し上げますような案で、関係方面がこの実情をそれぞれの立場で了承になって折れ合っていただく以外にはないのじゃないかと、こういうのが今の線になっているわけです。それで先ほどからお話しがありますように、役所の責任なり、開設者の責任はどうするかと、こういう点が残る。これは最後まで残ってくるのじゃないかと思います。
  134. 千田正

    ○千田正君 そこで私はさらに、東京都は責任上、都議会を通じて、特定の機関を設けて、そうして予算をもって、それで払うと、その実際の機関は、支払いの組繊機関というものは、一体、別に作るのですか。それとも丸束のいわゆる清算機関というものを、そのまま残すのか。あるいは東京都に対しては、この問題に対して今後の支払いの機関というものを、一つはっきり作って、そうして対処するのですか、どうなんですか。
  135. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは先ほど来申し上げますように、特別な機関を作るわけです。そうして先ほど来申し上げます債権に見合った見舞金を一応払っていく、こういうことになるから、丸東の整理数丸東の整理としてこれは全然別個に行われるものである。従って御指摘のように、この見舞金が百パーセントやればこれは黙ってくれると思いますが、法律的には百パーセントもらっても、これは全然別個のものでありますから、そこにはっきりした了承をとらなければ、丸東に対する債権は法律上当然残ってくる。そこに手続がない限り残ってくると、こういうふうに考えます。
  136. 千田正

    ○千田正君 大体の結論が出てきていますがね。そこで私はさらに質問したいのは、これは今生産者、出荷者、十分承知の上で出しているのであって、もしもあれを業務停止でもしなかったらおそらく債権がとれなかったのだ。だから、利子も何もつなかなくても見舞金でがまんしろ、こういうおっしゃり方ははなはだ失礼な話で、あなた方の一方的な押しつけじゃないかと思う。かように私は思う。それはなぜそういうことをいうかというと、あなた方の監督機関でありながら、農林省東京都も監督機関でありながら、じんぜんとして今日に至るまで放置しておったというのは、あなた方の責任じゃないかと思う。そういうことからいえば、私は利子もつけないでがまんしろというのじゃなくて、利子くらいはわれわれの方も考えるから、われわれに協力してくれという方がはるかに問題の解決点が近くなってくるのじゃないか。それをあなた方はそれはおれたちがやらなかったら取れなかったのじゃないかと、今取れるのだからがまんしろ、こういうことははなはだけしからん言い分だと思う。
  137. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) でありますから先ほど来、長年の監督不行き履き、あるいは取り消しに対する行政責任というものは、これは最後まで残ってくると思うのです。しかし今の市場法の姓前からいえば、そういう場合にどう処置するかという規定がないのでありますから、新しいやり方で解決する以外にない。その場合にはその諸般の情勢を考え、それぞれの立場から、百パーセントいけばいいことだけれども、それはがまんしていただく以外にはないのだ、こういうことを申し上げたのでありまして、私も市場法というものが非常にむずかしくて、非常に不備で、最後の責任を開設者が負うなら食う、あるいは最後は国が負うなら負う、そういう規定が抜けているのであります。それは抜けているままで、ものを解決しなければいかんのでありますから、どうしてもそのやる方法に無理が出てくるのはこれは免れないのであります。それによって行政上の責任を免れるということはできないと思います。その点も御了承願いたいと思います。
  138. 千田正

    ○千田正君 もう一点だけ。それでその支払機関ですね、債権が残りますね。当然残りますよ。今のお話だというと五カ年かかるというのですか、そこに責任を負うて払うべきところを機関として東京都は考える。これはあくまで今お伺いするというとトンネル機関ですわ。トンネル機関にすぎないわけです。丸東に対する債権というものの肩がわりするというはっきりした法的根拠がなかったらば、これはあくまで見舞金としてにすぎなくなってしまう。法的なあれはどういうふうにやるのですか。
  139. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは見舞金を交付する際に、その限度においては丸東に対する債権はお断わりするという一札を、受け取りのかわりにいただけば、その限度においては了承を願えるのじゃないかと思います。それ以上の残る分は、丸東という会社がほかの仕事で継続すれば、それに対する債権、あるいは清算に入りますれば、清算法人に対する債権として所定の手続で整理するまで残っていく、こういうふうに思います。
  140. 千田正

    ○千田正君 もう一点。もう一点は、それから従業員のことについては、一応残存会社に引き受けてもらったらそれで片づく問題じゃないですね。一応就職さしたからそれでいいのだというわけじゃないのだから、過去においてやっぱり働いた勤労に対して、それぞれの退職に対する方途を考えなければならない。これに対してはどういうふうに考えておられますか。
  141. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 見舞金を出す対象としては、荷主未払金、従業員の未払い給料及び退職金の一部と、それからそのほかの東京都が必要と認める債権と、こういうふうになっておりますから、当然その分も入っておるわけであります。
  142. 北村暢

    北村暢君 先ほどから大体問題ははっきりしてきましたけれども東京都が三社から見舞金という寄付を受けて、そして特別の支払い機関と言われたが、そうすると、この特別の支払い機関というのは、支払うのではなくして、見舞金を分配する機関と、こういうことのように理解していいわけですね。あくまでも荷主一見舞金を受け取るのであって、支払金を受け取るのじゃない、こういう形をとる。これははっきりしておきたいと思うが、それでいいですね。
  143. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 前に千田委員にお答え申し上げましたように、その受け取った限度においては当然丸東に対する債権を消してもらいたいと思います。そういう手続を要すればとらなければいかぬと思います。
  144. 北村暢

    北村暢君 それから見舞金を出す方なんですが、これは話がまとまれば五年間くらいでもって寄付をしてもらうのだと、こういうことですが、先ほど東委員からもこの点について質疑をしておるのですが、私はやはり五年間の見舞金としての寄付の保証というものは、強制力というものは持っておらないか。もし今後の各会社の運営状況からいって見舞金が出せないというようなこと、もしかりに話がついたとしても、その後の五年間における会社の経理その他においてそういうことができないことが——これは絶対にできるという約束はないのではないかと思う。それで、先ほど言っておるように、一時東京都が融資のあっせんをして、この残った残存三社にまず負債として借りてそうしてこの一億何がしの見舞金を処理してしまう。処理してしまって、その後においてこの三社が負債を処理していくのだったならば、これは私は保証というものができるのだからいいと思うのだが、今後五カ年にわたって約束だけでもってやるといっても、その後においていかなる方法においてそれを実行させるのか、方法があるのか。あくまでも私は道義的なものしかないのじゃないか、それを強制する農林省東京都も何らの方法がないのではないかと、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  145. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは一億を限度として各社にその限度が満つるまで毎年取扱い高において出してもらうと、こういう契約を東京都と三社と結んでもらうかと思います。それにしても、お話のように、場合によると、ある会社が常業状態が左前になって解放しなければいかぬというような場合日があるかもしれ威せんが、そのときのことは考えておりません。そのときは、契約が残っておるわけですから、ひとりだけの契約でなしに、三社と東京都の契約でありますから、おのずから解決の方法は期待できるのじゃないかと思います。また私どもの方は、まだあと二社あるわけでありますが、これは営業状態がおもしろくありませんから、一応見舞金を出すことは考えておりませんが、今の三社は、何と申しますか、そういう事態が起らないものと——これもしかられるかもしれませんが——期待しておるのであります。そこまでは突き詰めることができないのであります。
  146. 北村暢

    北村暢君 もう一つ、この三社の中に全販の丸栄が入っておるわけです。全販というものは、直接の営利を目的とした団体ではもちろんない、農民が自主的に作っておる、こういうふうに理解しておる。これで、丸東といういわば個人の会社の債務を、農民団体である全販が簡単に二重に負担を受けるようなことを、これは全販として簡単に受けるのか、受けないのか。私はどうしてもこれは全販のいろいろな機関において簡単に承認が得られるのかどうかということを非常に疑問に思う、従って、三社の了解は得られるような期待を持っておられるというけれども、丸栄がそう簡単に——農民は非常に憤激しておりますから、そういうようなことで受けるというようなことは私は考えられないのではないかと思うのですけれども、これをほかの二社と比較して何らか全販に対する考え方が別個なのか、または平等に残った三社と同じような形でもってこの見舞金を出してもらおうと、こう考えておるのか、そこら辺のところはどのようなお考えですか。
  147. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは神田市場における卸人としての立場は、ほかの二社と全然変りありません。内部関係がどうであろうと、これは極端に言えば、ほかの会社だって株主があるのですから、同じことであります。従って、この本件に関する限りは、取扱高においてそれ相当のものを醵出していただきたい、こういうふうに話しております。従って、その中の内部手続は、これは株式会社と協同組合とがそれぞれ違った手続があろうと、それは所定の手続に従ってやっていただけばいいと、こういうふうに考えております。
  148. 北村暢

    北村暢君 最後に一点、先ほどの融資の点でございますが、あくまでも先ほど来道義的な責任で、責任は免れない、免れないということでずいぶん言っておりますけれども、私はやはり融資をして、東京都なり、あるいは農林省がこの利子補給くらいやって、そうしてこの五年間といわず、すみやかに仕切金の未払いだけは解決する、こういうことが全然不可能なのか、もうやる意思がないのかどうか、この点をもう一度確めておきたい。
  149. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは先ほど千田委員にもお答えし、東京都からもお答えがありましたが、現在のところは全然考えを持っておりません。これはやはり市場の本質論、市場の卸人の単複問題、あるいはそういった損失ができるような状態にそれを置くことを改めぬ限り解決できない問題でありまして、この本件に関してそんなに——これまた千田委員にしかられるかもしれませんけれども——込み入った考え方をする段階ではないのではないかと、もっと市場のあり方については根本的な問題を片づけなければならぬ。それからまた農産物の共販体制につきましても、これは農家自身がもっと考えなければならぬ問題ではないか。先ほどの説明関連しますけれども、とにかく向うはわかっておっても、目の先に金を突きつけられればすぐにそこへとびついてくる。こういう状態が現出するような市場制度というものに、やはり検討を加えなければならない問題があるのじゃないか。非常に私どもも弱っておるので、そういう点から検討を加えたものであります。
  150. 田中啓一

    ○田中啓一君 もうこれで約二時間ばかり、神田市場の問題につきまして討議をいたしたわけでございますが、それぞれ人によりまして若干そこのニュアンスは異なるのでございますが、希望的意見も申し上げ、農林省からは政務次官もおいでになり、東京都からは佐藤副知事もおいでになってよくお聞き下さったことだと思います。まだ実は、関係者に対して御折衝中の段階であって、ほぼ確信を持って進んでおられるように見受けられるのでありますが、そのような、段階で詳細洗いざらいにここで皆話してしまうというのも、かえって今後の折衝に円満を欠くようなこともあり得るかと思いまするので、ただ、この夏破綻を来たして以来でも相当長いし、もうすでに丸東が問題になってからはだいぶ長い話でもありますので、これは至急一つ、はっきりした解決の決定をわれわれは見たいと希望するわけであります。  でありますから、私は、皆様に御了承を得たいと思うのでありますが、近く通常国会も開かれるわけでありますから、当然農林委員会を開き、やはりわれわれは非常に旧がたつのをおそれておりますから、しばらくここ数日間は猶予をいただきましてそして通常国会早々にでも、委員会をお開き願って、今日後の経過を御説明を願う。そういうようなお取り計らいを委員長はしていただいたらいかがかと、かように思いますので、皆様の御了承を得たいと存ずる次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  151. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  152. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。
  153. 清澤俊英

    清澤俊英君 二カ月も賃金が払われていないということは、この師走に来てちょっと農民たちよりまた深刻だと思うのです。このくらいのものは東京都で何とか考えてやれないのか。わずか二カ月分くらいのものだ。退職金から何から全部今こんな状態の中から払えというようなことは問題だろうけれども、実際一日体を売っている人間の賃金がどうもできないというようなことでは全く気の毒なことだと思う。それくらいのものは東京都で何とか考えてやっていただけないですか。それに一つ幾らか市場長いろいろ動いてみたことがあるのですか。しかもこれを聞いておりますと、労働賃金の管理者、かりに今言うておられるような抗争がまとまったとしても、幾らか払うというようなことを言って、そこに差額がついている。考え方がどうもおかしいと思う。農林大臣はこの間は労働賃金と未払賃金の支払いは同額に見てそれは差別をつけません、こう農林大臣ははっきり言っておられる。それがほんとうだと思うのです。それをいま一歩進んで、この師走を迎えて何とかするくらいのものは考えられないですか。都議会等にそれこそ諮ってみてもいいと思う。人権問題ですよ。そういうお考えはありませんか。副知事どうです。あなたは非常に同情心の強い人なんだが……。
  154. 佐藤基

    参考人佐藤基君) お話よくわかります。それだからこそ今まで市場長農林省の御協力のもとに一生懸命働いております。もう少し待っていただけば何とかなると私は思っております。
  155. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) この件については本日はこの程度にいたします。過日の申し入れに従ってなお問題のすみやかな解決を重ねて強く、要望いたします。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  156. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。  農林水産基本政策に関する件を議題といたします。  この件について、農地の問題に関して小林委員から、麦数対策及び余剰農産物の問題に関して東委員から、一対策に関して清澤委員から、また、漁業問題に関して千田委員から、農林大臣に質疑の御要求がありますので、この際、順次御質疑をお願いいたします。
  157. 小林孝平

    小林孝平君 最初に、質問に入る前に、農林大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、わが国の農地改革が、敗戦日本に課せられた最大の使命である日本の民主化、特に農村民主化の基盤であるということを農林大臣は御確認をされますかどうか、それは、あらためてお尋ねをするまでもないことであるのでありますけれども、念のため、質問に入る前にお尋ねをいたしておきます。
  158. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話通り、敗戦日本といいますか、これは、敗戦前から相当考えられたことでもあろうかと思います。御承知の通り、昭和二十年の敗戦の直後、当時憲法は明治憲法のときでありましたが、農地調整法の改正案で、松村農林大臣のときに、土地解放という問題が赴きてきたのでございます。それが少し手ぬるいということで、手直しをされたようであります。その結果、二十一年からの自作農相談という形で土地解放が行われたのであります。日本の民主化のために非常に役立っておると、こう考えております。
  159. 小林孝平

    小林孝平君 農林大臣も御確認になったように、日本の農村の民主化の基盤であり、また、現在における最大の農政問題の一つでありますこの農地改革の問題が、その後しばしば、この改革の成果を帯抜きにしよう、あるいはその精神に背馳するようないろいろな動きがあるのであります。農林大臣としては当然、こういう動きに対しては、ただいまの御見解に基いて阻止し、あるいはそういう動きを未然に防止せられるのが当然であろうと思うのでありますので、これに関連いたしましてお尋ねをいたしたいと思います。この問題に関連いたしまして解放農地に対する補償の問題が従来から強く一部から要求が出ておりまして、いろいろ紛争の極をまいておったわけであります。これがまた、農村に重大なる影響を与えまして、生産力の向上をはばむ一つの大きい理由になっておることも御承知の通りであります。そこで、本年の三月の十四日、参議院の予算委員会におきまして、私は、総理、大蔵、農林の各大臣にこの問題についてお尋ねをいたしました。その結果、この農地の補償の問題については、総理大臣は、すでにこの問題は解決済みであって何ら補償をする法的の義務がないということを確認されました。さらにその後、内閣の一部には、多少補給金とか、あるいは給付金とか、そういう形で補償をやるかのような動きも見られたのでありまするけれども、私の質問に対しまして総理大臣は、最終的にこの補償の問題については、給付金でもあるいは補給金、そういう一切の形において解決をする必要はないということを、する意思がないということを確認さ、れました。また、池田大蔵大臣も、財政当局としてこの問題について全然今後補償する意思はないということを確認されました。農林大臣ももちろんであります。このようにして今の自由民主党の内閣といたしましては、最終的に、この農地補償の問題は一切行わない、あらゆるいかなる形においても補償並びに補償に類するような措置はとらないということを確認されたはずであります。もちろん、農林大臣もこのいきさつは御承知のことと思います。しかるにその後、こういう内閣の言明にもかかわらず、自由民主党の内部にも、この院外の強い要望に引きずられて、いろいろの関係議員が会合され、あるいは調査会を作られるという形で、一般の世間には、再び自由民主党の選挙対策の一環としてこの問題を取り上げるのではないかという感じを与えておることも、農林大臣御承知の通りであります。従ってこの際、農林大臣がどういうお考えを持っておられるのか、またどういうふうにしてあなたが最初に言明された見解に基かれてこれを阻止されようとしておられるのかということをお尋ねいたします。  まず第一には、今、自由民主党の内部に、農地問題調査会というのができております。この農地問題調査会というのはいかなることをやるのでありますか。その問題についてお尋ねいたします。
  160. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今のお話のように、国家補償をしろという要求があることは、私もよく知っております。しかしこの問題は、かつて憲法違反であるか法律違反であるかというような問題も起きまして、昭和二十八年十二月でしたか、最高裁判所で、憲法二十九条による正当の代価であるという判決で一応片づけておるのであります。その後なお、今のお話のような問題が出てきております。そこで第一に、今のお尋ねの、自由民主党の党内に、地主の土地解放に対する国家補償の調査会ができておるが、どういう性格のもので、どういうふうに動いておるかということでありますが、私も、党の一員でありますが、実際にその中に入っておりませんので、詳しいことは申し上げることはできませんけれども、私が聞き及んでおることでは、最初に調査会を設ける場合に、三木政調会長が、これは国家補償を前提とする調査会ではない、そういう意味において調査会を設けて、いずれにしても、検討はするというようなことであったと私は聞き及んでおります。でありますので、調査会を設けたから解放農地に対する国家補償を直ちにするんだという結論的なものでは私はないと承知しております。
  161. 小林孝平

    小林孝平君 それは、それをやるかやらぬかということを前提にして作られたものではないけれども、ともかくそれが補償の問題を調査することは明らかであります。今の農林大臣の御答弁でもそうであります。また私は、農地問題調査会と言って質問をいたしたのに、農林大臣は、わざわざ農地補償問題調査会と、こういうふうに御説明をなさったところをみても、この調査会が補償問題を研究する調査会であることは明らかであります。そこで、私は申し上げたいのは、この三月十四日の参議院の予算委員会におきまして、総理大臣、大蔵大臣、農林大臣が強くこの補償の問題について言明され、この問題は自由民主党とし、内閣として一切考慮しないと、こういうふうに言町されたのであります。そこで、私は、農林大臣にお尋ねをいたします。当時の農林大臣は井出一太郎君でありますが、私は農林大臣にお尋ねいたしました。あなたはそういうふうな答弁をされるけれども、あなたの内閣の政務次官である八木一郎君は、先般記者会見において、自由民主党の中にこの農地補償問題に関する調査会を作るという説明をされておる。これは明らかにあなたと意見が全然違う。あなたの関係するその内閣の方針と全然違うことを言っておられるじゃないか、この点はどうなんだ、むしろこの八木君を適当なる措置をする必要があるのではないかという質問を私がいたしましたところが、井出農林大臣は、これに対して、この八木君の言明は間違いである、八木君は自分と同じ考えを持ち、同時に、その際に、内閣に、自由民主党の内部に調査会を作ることはいたしません、作りませんということを言明された。しかるに、その後自由民主党の中に、農地問題調査会なるものができて、この参議院の予算委員会における答弁と全然相反したことが行われておるのであります。そこで私は、農林大臣にお尋ねいたしますが、自由民主党という政党あるいはこの衆内閣というものは、こういうふうに、国会において正式に、そういうことはやらないと言肥しても、その数カ月後には行う政党である、あるいは内閣であると、そういうことをお尋ねしたい。こういうことが行われれば、きょうあなたがいかにこれから私が御質問するのに対してお答えがあっても、それはここだけの話だ、こういうことになるだろうと思う。こういうでたらめなことが行われるなら、これに対して私は、質問の仕方も違いますから、その点を切らかにしていただきたいと思う。
  162. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど党に設けられておる調査会の名前を、私詳しく覚えていなかったのですが、農地問題調査会ということのようでありまして、補償の調査会というような名前で言わなかったようでありますが、それは改めて言っておきます。それから、予算委員会や、あるいは内閣として補償は行わないと言っておりながら、党の方に調査会が置かれるのはけしからんじゃないか、こういう趣旨のお尋ねかと思います。私どもは、内閣といたしまして、補償はしないということにいたしておりますが、御承知の通り、党の方といたしまして、政策あるいはその他の点におきましても、情勢の変化によってはある程度の変り方はあると思いますが、それに対しまして私どもが、前と少し変ってきたからといって、これを押えるということができないのは、小林さんの党の方でもそういう関係はあると思うのです。それはそれといたしまして、私の方では、補償はしないとこういうことにしてあるのですが、党の方といたしましては、補償を前提とするものでないけれども調査会ができておるのは事実でありまして、それに対しまして、私どもといたしましても、党の方の幹部に対しましては、私といたしましては、そういう補償をするということに党の力で持っていかれることは農林大臣の立場としては反対の立場にあるし、因ると、こういうことを申し上げておるのでありますが、私が押えるというわけにもいかないような実情でございます。
  163. 小林孝平

    小林孝平君 名前はどうでもいいのです。名前はどうでもいいけれども、これは、補償の問題を研究するものであることは、今あなたがおっしゃった通りなんです。そこでこれは、自由民主党の党内に作るということをやられるのがおかしいということを質問したのです。内閣でなくて、自由民主党の内部に、そういうものを八木政務次官が言われたので、それは、今の総理大臣あるいは農林大臣の言明に反して異なった動きをされておるではないか、それがおかしいという質問をしたのに対して、党にそういうものを設けないということを言明された。だから、その点は、農林大臣の今の御答弁と違うのです。それは情熱の変化といってそれから間もなく……。これはこれ以上追及いたしませんが、あなたは農林大臣として、そういう党の方でやることは仕方ないのだ、政党内閣でありますからね、そういうことでは困る……。大体この程度のものでしょう。(笑声)そこで、それはいいとして、この調査会が最近、今後農地補償の問題に関していろいろの調査をやる、その調査費を一億円なり二億円なりを政府予算に計上するということを強く打ち出されておるようであります。この問題に対しまして、このあなたの今までの政府の正式な、公式の言明あるいは方針にこれは反していると思う。そこで、今後農林省予算にそういうものを組むように要求があった場合に、あなたはどういう態度をとられるか。
  164. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 党の方で調査費等を置くというような話があるということは聞いておりますが、内閣の方に連絡がまだありません。官房長官にも連絡ありませんし、連絡がないのであります。でありますので、正式に話は聞いておりませんけれども農林省といたしましては、調査費を置くという意思はありません。
  165. 小林孝平

    小林孝平君 それは、連絡は正式にはないかもしれないけれども、そういうことは現実に強く要望され、新聞にも大きく報じられた。農林大臣としてそういう問題を連結が承るまで漫然と待っておられるという態度もおかしいのであって、かりにあなたがそういう態度であるならば、それでもいいけれども、もしそういうものが強く打ち出されて、農林省予算に組むべきであるというあれがあった場合はどうされますか。農林大臣は、当然これは拒否されるのが当然であろうと思う。どういうふうにおやりになりますか。
  166. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今、そのことはお答えしたはずでございますが、予算を計上してくれというような話があっても、予算を計上する意思はありませんということを申し上げた通りであります。なお、捨てておくのかということでありますけれども、閣議においても、そういうことは避けるべきだということは、私はしばしば言っておるのです。重ねてお答えしたわけであります。予算調査費を計上する考えは持っておりません。
  167. 小林孝平

    小林孝平君 これは、幸いに農林大臣がそういう御見解であるのですから、農林省予算に計上は、あなたが拒否されればだめだということで、これは、場合によっては、ほかの、厚生省なり何かに調査費を計上するという動きに変ってくるかもしれないと思うのです。これは、厚生省のことだから、私は知らぬというわけには参らぬと思うのですが、あなたは、厚生省予算にこれが計上されるということに対しては、もしそういう動きがあったとしたならば、あなたはどういうふうになさいますか。
  168. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 厚生省のかりに予算を組むということならば、厚生省に糾むだけの理由があって組むだろうと思います。しかし私は、この間晦は理屈が立たぬといいますか、理論が立たない問題では予算を計上するというようなことは納得いきませんから、耳生名の方に予算を組もうという場合がありまするならば、どういう理由でそれを細むのか、確かめた上で、納得ができないということでありまするな品ば、私は、閣議の席上でも、納得できない予算でありまするならば、やあた方がよかろうというこうを言いたいと思いますが、厚生省の方でどういうふうな考えでおるのか、予算を組もうとするのか、今、小林さんのお話も、かりにのお話でありまするから、まだその点突きとめておりません。
  169. 小林孝平

    小林孝平君 これはあなた、そういうお話は、無責任な立場にあるならそれでいいと思う。あなたもさっき確認されたように、最大の農政問題でありますこの問題に関係して今の問題が起きてきた。しかもこれは、あなた初めあなたの内閣の多くの筋の通った考え方をされる人は、こういう補償の問題はおかしい、取り上げるのはおかしいと言っているにもかかわらず、総選挙対策なり、あるいはいろいろの関係で、この問題を外部の圧力に屈して取り上げられようとしておるのです。だから今、厚生省であるいはそういう問題を取り上げられようとしたら、よく聞いてみてなんということはのんきすぎると思うのです。これは、農地改革それ自身の成果に直接影響を及ぼす問題であって、こういうことを取り上げることは、すでにこの農地改革の成果を乱す問題であろうと思うのです。あなたは、いかなる形においてもこういう問題を取りしげるのはおかしいということを当然発言されてしかるべき問題であろうと思うのですが、あなたの御見解はどうですか。
  170. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農地解放の補償として予算を組むということなら、どこへ予算を組むとしても、これは私は賛成しかねまするで、お話のように、厚生省から組むということになれば、どういう理由で組むのか、これは厚生大臣としての考えがあるかと思うのです。しかし、この補償というような形、あるいはそれを変えたような形で組むというなら私は不賛成ですが、まだ厚生大臣の話を聞いていないのです。向うには向うの責任者があるのですから、どういう理由かわからないうちから、いかなる理由においても、これに関係した予算は拒否するというわけには、これは申し上げられないことは御了承願えると思うのです。農地補償という形、あるいはそれの変形で、私が納得できたないことでありますならば、ほかの省の関係でも、私としては計上しない方がいい、こういうことを言いますけれども、その内容が、これはまあ仮定の問題ですから、わからないうちから、今にわかに断言するということは困難であろうと思うのです。
  171. 小林孝平

    小林孝平君 そういう御答弁は、それは局長ならそれでいいのです。私は、わざわざ赤城農林大臣に御出席を願いまして、御多忙のところ、あなたにお尋ねしようというのです。局長ならそれでいいのですけれども、国務大臣としてそういうことはおかしいと思うのですこの問題は、すでにこの自由民主党の中のこの委員会で、補償を前提として調査費を組もう。そこでこれは、農林省として組むとあれだから、厚生省の方にしよう。補償を前提として組もうという話なん外す。それをあなたにお伺いした。これは仮定の問題だから、答えられないなんということは、それは、吉田総理大臣の御発言としては、御答弁としては、これはあいきょうもあっていいですけれども、農林大臣がそれは吉田さんのまねしたってだめです。仮定の問題に答えられないなんということは、それは吉田総理大臣のあいきょうでございます。あなたが、このまじめな農林大臣としてそういう御答弁は、非常におかしいと思うのです。しかしまあ、これ以上私は申し上げません。  もう一つは、やはり今の調査費の問題と関連して、今度は内閣調査会を作ろうとする動きがあるのです。これに対してあなたは、それも聞いておらない。そんな何もかにも聞いておらない農林大上臣なら、それは要らないじゃないですか。どうなんですか。そういう動きは現実にあるのですか。しかもこれは、自由民主党の中に調査会を置く話があるが、それはおかしいじゃないかという御質問を、先ほども繰り返すように、三月十四日に出しましたら、自由民主党の一中にそういうものを作りませんと言明したにもかかわらず、そういうものができた。今度は内閣にそういうものを作ろう、こうされておるのです。そこであなたは、この調査会の問題に対してどういうふうにお考えですか。聞いてないなどという御答弁なら、聞かないでもよろしい。
  172. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 聞いてないというわけじゃない。連絡が正式にないということを申し上げたのです。連絡がないから、議題にはあまりしなかったのですが、率直に言えば、この間閣議のときにそういう話を聞いておるから、内閣調査会を置くのは私は不賛成だということを内閣で言っているのです。どうもなたが少しはっきり言っていただけば、たとえば厚生省予算を上げるかどうか、それは社会保障費として上げるのかどうかということでこれは聞かれれば、これは、社会保障一環として、困った者があれば、別の体系の中ではいいかもしれないけれども、それは、地主なるがゆえに、農地解放で困っているから、社会保障ということは私は言いかねるのです。それをもう少しはっきり言っていただけば、私の方も答弁のしょうがあるのですが、何もかりにかりにといって……どういう形で——厚生省なら厚生省予算を組もうとする場合に、農林大臣としてはどう考えるか、こういう御質問をいただけば、私の方でも非常に答弁がしやすいのです。また、農地補償の分として厚生省に計上するということもあり得ないと思いますから、厚生省予算を計上するということなら、その厚生省としての体系が、いかにももっとものような形であるいは計上する場合があり得るかもしれませんが、そういうことでありますから、厚生省の意見も予算計上するなら聞いてからということであります。責任を逃れるとか、あるいはかりにかりにというような、そういうようなふざけた気持で申し上げておるのじゃありません。この点御了承願います。
  173. 小林孝平

    小林孝平君 内閣調査会を置くということは、あなたはさきの閣議において反対された。今後も、それはもちろん反対をされると思いますから、さらに強くその態度を持していただきたい。  そこで、今秋は、あなたにお尋ねをいたしたいと思うのです。赤城さんなら、そのくらいのことは御存じだろうと思ってお尋ねをしなかったところ、あなたもずいぶんお考え違いをされているのじゃないか。社会保障制度としてこの農地補償の問題を考える。そういうことで計しするなら、そういうこともあり得るというようなお考え、今お話しになりましたけれども、私は、社会保障制度というものはそういうものじゃないと思う。農地の解放を受けたから困る。これは社会保障制度で救済する。そういうものは社会保障制度でないと思う。こういう考え方は、あのそつのない岸総現大臣もそういうお考えを一時されておる。こういう答弁を衆議院の予算委員会においてされました。社会保障制度一環としてこの問題を考えたい。考えることがあり得るかもしれない。参議院においても、初めはそういう御答弁がありましたので、私は申し上げた。社会保障制度というものは、根本的に、いかなる原因によって困窮した、そういう困窮の原因に基いてやるというものでないと思うのです。これはどういう形で、貧乏になる、生活に困る、あるいはいろいろの医療の扶助を受ける資格のあるような状態になることがいろいろあると思います。そのうち、特定なる原因でなるものだけを救済する、それを社会保障制度一環として考えるなどということはあり得ない。私は、岸さんにそれをお話申し上げた。岸さんも率直に、最終的には、社会保険制度としても地主の問題については考、えないということを言明されました。念のために、当日の速記録を、釈迦に説法に類似していますけれども、念のためにお話を申し上げます。いろいろ繰り返し繰り返しやっておりましたが、岸さんは、「私は特に旧地主であったがゆえに特別の社会保障制度を、それだけの社会保障制度考えるという気持はございません。」ということを言われておるのです。これは、最終的に言われましたけれども、私と質疑をかわしているうちに、明らかに、当初の考え方を変えられて、社会保障制度として考えるという考え方は間違いであるということを確認されているのです。今、農林大臣も、厚生省で組む何らかの理屈があれば、それもよかろうというようなお話であるけれども、そういうことはあり得ないのです。これは、全く釈迦に説法のようなものでありますけれども、おそらく農林大臣も、いろいろ政治的な考慮をされて発言されたのじゃないかと思いますが、私は、根本的に、この問題は、いかなる形においても、補償を前提として調査費を組むということはおかしいと思うのです。従って、正式に話し合いがあるのを待ってやるとか、そういうことでなくて、積極的に、この問題をあなたは間違いであるということを発言されてしかるべきでないかと思うのです。農林大臣の今後の御見解を一つお尋ねをいたします。
  174. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) どうも、私の言葉が足らないものですから、話が長くなるようでありますが、社会保障として組むというような意味のことを申し上げたのじゃないのであります。今のお話通り、地主なるがゆえに、農地を解放したがゆえに、すぐ社会保障制度で救済するというのは筋が通らない、旧地主のうちでも、生活困窮だとか何とかいうことで、社会保障の中に組み入れられる場合があることはあり得ると思うのです。そういう意味で申し上げたのであります。旧地主たるがゆえに、解放したがゆえに、これを社会保障制度としてやるのは筋が通っていないということは、今のお話通り、私も十分に承知しています。ただ、かりにと言うと非常におかしいようですが、厚生省予算を計上するということであるなら、それは相当の理由があった場合だろうと思うのです。私は、今のところ、そういう理由を発見できないのですけれども、そういうことを一応聞くというか、見る必要もあるのじゃないかということをただ申し上げただけであります。厚生省で計上する理由というものも、私から見れば、薄弱であり、あるいはないじゃないかと思いますけれども、もしも計上するなら計上する理由があるだろう。その場合には、その理由というものを聞いてみたいということを申し上げただけで、決してそれを肯定するという意味ではありません。それからまた、この問題は、農林省が直接関係はしていますが、農林省よりもっと大きな問題だと思います。でありますが、私の方といたしましては、先ほどから申し上げましたように、農地改革の成果というものを維持していきたい。また、それをくずしていくべきじゃない。従って、農地補償、こういうことはとるべき方策ではないし、私といたしましては、これには不賛成の態度を堅持しておる。従って、私の方の管轄でない場合で、内閣調査会を置くというようなことに対しましても、農林大臣の立場としては、これには賛意を表することはできないということも、何日でしたかの閣議でも発言をしておるような次第でありまするから、農地改革の成果等については、堅持して行くつもりであります。
  175. 小林孝平

    小林孝平君 農林大臣が強くこの問題に対して言明をされ、その態度を明りかにされたのは、はなはだけっこうばことでありますが、あなたのそういう態度、あるいは内閣の今までの正式の言明にもかかわらず、数多くの全国の地主は、それでもなお、この農地の補償は行われるのではないかという期待をかけ、多額の金を集めて運動をやっておるわけです。全国の数万の地主が東京に集まって、デモ行進をやったり、その一部は農林省に闖入してテロ行為に及んで、農林省の責任ある地実害があればこれは取り締る、ただいまのところは、まだ静観をする段階である、こう言われましたが、その後、先ほど申し上げたように、農林省における暴力行為等も起っておるわけです。こういう点からいろいろ考え合せて、あなたは、もっと積極的に、この問題に対する態度を明確にされたらいかがでしょう。幸いに、有力なる農林大臣としてあなたは閣内に迎えられたので、もっと積極的におやりになったらいかがかと思いますが、農林大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  176. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私の考え方においては、先ほど申し上げたように、一貫しておりまするし、地方の新聞等にもそういうことが出ておりますので、だいぶ押しかけて来られていますが、ただ、党の方にどうこうということでありますが、これは、私の方の党の内部のことでありますから、私もやっておるのでありますが、一つおまかせ願います、ほかの団体等につきましても、外部の団体等につきましても、私どもといたしまして、あまり期待を持たれるというようなことで運動されては困る、補償というものは困難である、できないというふうなことは、私も再々会って話しております。私の方の自由民主党内において大いにやれということでありますが、しかるべくやってはおるのでありますが、私の党のことでありますから、一つその点は、私におまかせ願います。
  177. 小林孝平

    小林孝平君 非常に心強い御発言で、やや安心をいたしましたが、私は、やはりその日に総理大臣にお尋ねしたのです。現実にあなた方がいかにそういうことを言明されても、外部では、やはり補償が可能なんではないか。あるいは選挙を通じて自由民主党に圧力をかけて、そういうことを可能にしようということをまた考えて動いているわけです。そこで、こういう動きを封殺し、そうしてはかない期待をかけてむだな金を使うことをやめさせるためにも、岸内閣として正式の声明、書を発表されたらどうか、こういうことを総理大臣にお尋ねしたら、そういうことも一つの方法であるけれども、ただいまのところは、声明書を発表する段階ではないと言われた。ところが、その後ますますそういう動きが強くなってきた。赤城さんの非常な御努力にもかかわらず、ますますそういう勢いが強くなっている。この総選挙、解散含みの今の政局からいたしまして、ますますこの動きが活発になっておることは、あなたもご存じの通りです。従って、この際声明書を発表して、こういうことはやらないのだということを言明されたらいかがかと思うのです。これに対するあなたのお考えを——やはりそういうことをやると、選挙などにも影響するから、今の段階では時期尚早ですか。
  178. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私は、農林大臣としては、もうすでに何回もそういうことを声明しております。新聞等を通じても世間で知っているように、話しておるわけであります。ただ、党に対しまして私がそういうことを干渉するといいますか、命令するといいますか、そういうことはちょっとむずかしいと思います。党には党のそれぞれの機関がありますので、私の立場は説明いたしますけれども、党が相当な機関を持って動いているものに対しまして、私の方からそういう声明を出せというようなことはできかねます。
  179. 小林孝平

    小林孝平君 声明は党でないのです。岸内閣として声明を出されたらどうか、そういうわけです。党は、それは党だから仕方がないというのも、これもおかしいと思うのです。あなたは党内の有力なる幹部であられるのだから、党のことは知らないというのは、これはおかしいと思うのだけれども、それは今、党のことは別といたしまして、私が声明を出せと言うのは、この岸内閣として、そういう動きはむだなことであるということをはっきりされたらどうか、こういうわけであります。それくらいはできると思うのです。次の閣議に御発言をなさる意思はありませんか。
  180. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) その点につきましては考慮いたします。御指導を仰がないでも、私、考えていることもありますから、適当に処理していきたい思います。
  181. 小林孝平

    小林孝平君 そういう考慮をするとか……、私は岸内閣として声明を出されたらどうかというのです。それに対してあなたはどういうふうにお考えになるかということをお尋ねしているのです。
  182. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私が総理大臣ならばですけれども、総理大臣でありませんから、ほかの大臣の意向もありまするし、また、いろいろな情勢もありましょうから、声明を出すか出さないかということについては、研究をいたしますが、今ここでお答えする段階ではないと思いますので、御了承願います。
  183. 清澤俊英

    清澤俊英君 最後に大臣、この問題は、ただ補償とか何とかということばかりじゃないのだ。だいぶ元気がよくなったために、目的はやはり農地改革をあと戻しするという動きが強いのです。従って、実際問題として、香川県に起きているような、集団的の土地の取り上げというようなものが現実に起きているんですからね。今言うたような、農地補償の問題とか、あるいはこれを社会問題としての保障にするという問題だけでない、現にそういう実害が起きつつある。香川のごとき集団的な代表的なものでなくとも、地方にいくと相当そういうものが起きつつあり、なお、今、未墾地買収をしておりまする山間地の開墾等に着手する点等でも、必ずその団体の干渉のもとに、それがうまくいっておらない。こういう実情がある。きのうもこの農林委員会で、新農村の建設のいろいろな建議案がありますが、これが第一に確保したいということは、新しき土地を確保したい、こういうようなことを基本にして陳情も出ております。詳細にそれを阻害する現実の動きがある。こうしましたらば、これは全く等閑にしておれない重要性を持っておると思うのです。これは、やっぱり小林君が言う通り、農林大臣としては、決定的な一つの立場に立ってこの問題を解決していくといいますか、そういうことはむだなことなんだ、こういう線を打ち出されることが、私は日本の農業のために非常な重要な寄与をすると思うのですが、一つ、格段の御努力を希望して、私の質問を終りたいと思うのです。
  184. 東隆

    ○東隆君 私は、麦と、それから余剰農産物に関連をしてお伺いをいたしますが、麦の問題、余剰農産物に関連をして、この前の委員会で、実は、せっかく小麦のハードを輸入をする、こういうお話だったものですから、ある程度了承をいたしておりましたところが、それは間違いで、ソフトを輸入する、こういうことになりまして、この前の委員会における私のかちとったつもりでおったことがゼロになってしまいまして、そんな関係もありますので、きょうは、はっきりと一ついろいろな点でお答えを願いたいと、こう思うわけであります。私は、まず最初に、畑作振興を非常に強調されておるわけでありますが、もちろん寒地農業あるいは酪農、これに関連されての畑作振興、こういうことになろうかと思うのですが、農林大臣は、畑作振興に対する心がまえは、どんなところから出発をされるのか、それを明らかにしていただきたいと思うのであります。
  185. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 第一は、食糧の自給態勢を強化しようというとが考えられます。というのは、私から申し上げるまでもなく、米麦の輸入というものは、なるたけ少くしていくのが日本の経済全体としてもとるべき方策だ、こう考えておりますので、そういう点から考えますならば、国内の食糧の総合的自給対策を進めていきたい。そこで、もちろん稲作農業につきましても、これは進めていくつものでありますけれども、この水田の方の稲作の増産につきましては、御承知のように、非常に進んでおりますが、畑作の振興ということについては、立ちおくれのきみであると思うのです。そういう点から考えて食糧自給態勢を確立していく上におきまして、生産の伸びについては、畑作の方に相当期待をかけられるのじゃないか、こういう点から考えまして、今までとかくおろそかにされておった畑作の方に力を入れていきたい、こういうことが一番大きな問題であります。農家の経済から見まするならば、農家の収入の約五〇%近くは、これは米作によって収入を得ているのが、統計上から見ましての全国的な数字になっております。しかし、米のみに頼って、あるいは水田のみに頼っておるということでは、金銭収入等についても、農家のふところ工合がますます他の産業に比較してまずくいくという傾向もありますので、畑作によって収入を増していく、こういうことが考えられる第二点だと思うのであります。そういう点から考えまして、畑作の振興ということに力を入れるべきだということになりまするというと、たとえば基盤の問題にいたしましても、畑作の土地改良といいますか、そういうものは、水田よりも非常に立ちおくれておりまするので、区面整理とか畑地灌漑とか農道とか、畑地の土地改良、こういうようなものも考えられなければなりませんし、また、土壌の改良というようなことも、生産基盤として改良されなくてはならないのではないか。そういうことになりまするというと、今のお話のように、どうしても畜産と強い結びつきを持っていかなければ畑作の振興はできない、こういうふうに考えております。それに従って営農関係、作付関係等も変えて指導していきたい、こういうふうに考えております。
  186. 東隆

    ○東隆君 一番最初に言われた、食糧の自給体制の確立、輸入を減す、こういう考え方でありまするが、私は、その点で、農林省が麦に対する考え方は非常に間違っておるのではないか、こう思うのです。それはなせかというと、水田の裏作における麦の栽培も、これは畑としての麦なんでありまして、水を張ってそして麦を植えることはないわけです。従って、麦を中心にして畑は考えるべきである。米は水田を中心として考えるべきである。そういうような考え方からいって、畑作振興の場合に、国内において生産をせられるところの麦に非常に中心を置いて考えなきゃならぬと思う。ところが、巷間伝えられるところによると、国際価格に左右されてそして農家からの買上価格を安くする、ひどいのは、二割も安くするのだろうというようなことが、ちょうど作付時期にそういうことが発表されておりまして、私は非常に遺憾に思ったわけでありますが、麦に対してどういうような増産の心がまえがおありですか。これが一つ。  それから、私は、畑ということになると、畑で生産をされたものがいかにして市場に多く出るかと、こういうことを考えなきゃならぬと思う。それは、農家の自給の面は、自給関係から参りますると、これは、農家の自給部面がふえれば、国内の食糧問題の解決ということに役立たない。できるだけ市場に川されて、そうしてそれと耕作をしない消費者との関係、これを考えなければほんとうのものにならぬ。従って、農家が麦をたくさん作っても、その麦が市場に出ない限りは、国内におけるところの農林大臣として食糧問題を解決する方遂にはならぬと思う。だから、麦の作付面積がいかにふえても、それが農家の自給部面にみんな使われてしまって、そうして市場に出ない、こういうことになる。これは食糧問題の解決にはなりません。相変らず輸入をしていかなければならぬ。こういう態勢が出てくるのです。いかにして市場に多く出させるか、この方法ですれ。どういうふうにお考えになっているか。
  187. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 麦の増産対策でありますが、やはり麦は、もう私から申し上げるまでもなく、非常に自給肥料といいますか、堆肥やその他の肥料を必要とし、また土壌の改良ということが大事な問題だと思いますので、麦の増産に対しましては、土壌の改良を進めていかなくちゃならぬ。これがやはり細作振興の一つの方法でもあり、麦の増産に寄与することにもなると思います。同時に今、麦の輸入との関係お話がありましたが、何といたしましても、小麦と麦とは国際的な農産物でありますので、国際的に価格の圧迫を受けやすいのも、申し上げるまでもないと思います。そういう事情にある麦でありますので、流通力価へより多く出すということは、お話通り必要だと思いますが、自給の方面でも、自給がそれだけふえて、ほかの米などが出るということであれば、これも食糧自給に役立つと思いますが、しかし、麦だけについて申し上げますならば、今お話通り、市場へ多く出るというようなことも必要だと思います。そこで、国際的な穀物でありますからこれを国際並みに持っていくということは、これは日本の立場として取るべき立場でないと私は思っております。でありますので、極力、国際的に安いものでありまするが、日本の麦が食糧自給に役立つものでもあり、また、農家としてもやらざるを得ない作物でありますから、国際価格と同じようにするという考えは持っておりません。価格の面においてもこれを支持していきたい。こう考えております。ただ、国際的な関係もありますので、麦の生産費を低くしていくような指導はぜひしていきたい。価格は支持すると同時に、麦の生産費が低くなってもやっていけるという方向へは指導していきたい。こう考えております。
  188. 東隆

    ○東隆君 生産費を低くするということは、これは非常に大切なことなんでありますが、私は、やはり労働当りの生産コストというような、一人当りの生産というようなことよりも、やはり反収をふやすということにいくよりほかに手がないと思う、日本の国の場合は、そういうような問題を考えてきたときに、今お話になったように、生産をふやす、こういうために基盤を、土地条件を整備していく、こういうことか非常に大切だと思うのですが、私は、との点について畑作を振興する場合に考えておかなければならぬ問題があると思うのです。それはローテイションである。それで畑作の場合に麦がとれるし、それから北海道へ行けばミートがとれる、こういうことになりますると、これはもう第一条件の範囲になる。それで府県の方の、関西へずっとかけての水田の裏作におけるところの麦の栽培というものは、これは私は見ようによっては無地農業と同じだと思う、冬季間に作るのですから。従って麦というものは、これは全般からながめてみますと、暖地の作物ではなくて寒地の作物である、こういうふうに言ってもいい。従って麦を中心にして考えたところの畑作振興というものが、これに当てはまるところの条件は、これはやはり寒地農業と同じような条件であるわけです。そこで、私はローテイションの問題を考えなければならぬと思うのですが、その場合に一番必要なことは、農家として市場は、肥料と飼料と食糧と、この三つの何といいますか、三料関係、この関係をよく考えなければ市場には出ないと思います。そこで、たとえば畑作振興の場合における大豆を一つ取り上げてみても、もし農家が必要ならば、大豆は肥料になってしまう、それから家畜がおればこれはえさになってしまう、それから食糧になる、こういうふうに大笠というもの、か交代されてくる。そこで大立は、肥料が豊富であれば飼料になるし、飼料が豊富であれば食糧に司される、こういう形ができてくると思う。これが私は、畑作関係におけるところの根本をなすものである。農家が肥料を十分に持つと飼料はおのずから市場に出てくる、飼料が豊富になれば食糧がふえてくる、従って市場にたくさん食糧が出る、こういう態勢ができてくるならば、これはわかり切ったことになる。これは畑作経営というものを考えて、そしてそれをどういうふうにして供出さしたらいいか、こういうことで悩んだ、私どもはよくその間の関係を承知しておるわけであります。その当時、国でもってやった方法はどういうことをやったかというと、米麦を中心にしてあくまで作れ、そして飼料作物、それから肥料の面を減してそしてやったのが、これが戦時中のやり方なんです。そのために食糧不足というような問題が出てきた。私はそういうような苦い経験をよく承知をいたしておるのであります。たくさん市場に麦が出るためにはどういうことをやらなければならぬか、こういう問題をまず根本的に考えなければならぬ。そうすると麦の価格というものをそうやたらにいじるわけにいかない、それから麦そのものがどういうことになるかというと、これは先ほど大豆のときにも申しましたが、大麦を取り上げてみても、これは藁稈も十分な肥料になるわけです。それから実は飼料になるのだし、それから食糧にももちろんなる、こういうような非常にいろいろな多方面のものを持っておる。その場合に、これは飼料の方に向くのだ、そういうことで大麦では一つ奨励をしよう、こういうようなお考えも多少あるようであります。しかし、これもやはり価格をある程度維持していかなければ、決してそう市場に出るというようなことは考えられない。そこで私は、麦の生産について、非常に麦の価格というような問題を中心にして非常にまだ研究を続けられておるという段階だそうでありますけれども、一体どういうふうにお考えになっておるか。麦をやはり安くするのか、こういうお考えか、これを一つはっきりお輝きいたしたいと思います。
  189. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) この前にもお尋ねがあったと思いますが、麦の価格を引き下げる意思はありません。でありますから、今度の予算を作るに当りましても、三十三年度の予算において麦の価格を下げるという意思は持っておりません。
  190. 東隆

    ○東隆君 そこで、余剰農産物の場合でありますが、国内における生産、ことに水田の裏作としてできる小麦はこれはほとんど全部ソフトであります。一つこれを十分生産させ市場に供出をさせるためには、これは外国から輸入するものは日本にできないハード、これを輸入すべきである、こういう考えであります。農林省の力でソフトをあえてお選びになっておるところの理由はどういうことでありますか。聞くところによると、アメリカではハードの方なら出すけれども、ソフトの方は出せない、こういうようなお話ですが、それから交渉の結果、交渉ができそうでなかったので、あるいは余剰農産物はさたやみだ、こういうことになって、おりましたが、最近は復活しまして進めておるようでありますが、その経過とそれから先ほどのソフトをなぜ選んだか、その理由をお聞きしたい。
  191. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 余剰農産物につきましては、前にもお話し申し上げたと思いますが、今度の予算においては十億ドル計上してあるわけであります。その後、河野企画庁長官もアメリカへ行きまして余剰農産物の受け入れについて交渉をし、向うの局長ですか、ガーネット氏とローマで会って話をしたのであります。一方、私の方でベンソン農務長官が参りましたので余剰農産物についての話し合いをいたしたのであります。その際の一話では、十億ドルの予算の範囲内においては、すでに二十五カ国以上の申し込みがあって日本に余剰農産物として刷り当てる考えは大体考えていないのだ。しかし、いろいろ事情も聞いてみたので、一応ワシントンとも相談してみるというようなことで帰ったのであります。その後、来年の一月に追加予算を五億ドル追加して十五億ドルの余剰農産物の予算ができる予定で閣議でも五億ドルの追加というものが決定しておるから、それの範囲内において日本へ余剰農産物を送ることができるような話も、直接ではありませんが、あったのであります。ところが、最近の情報によりますと、正式なアメリカからの回答ではありませんけれども、外務省を通じての話によりますと、前の予算の十億ドルの範囲内において、日本は金にして四千七百五十万ドルの余剰農産物受け入れの申し入れをしたのでございますが、十億ドルの範囲内において、三千万ドルは日本に割当ができると、こういうふうに非常に前の話と変ってきた話しといいますか、情報が外務省を通じて人っておるのであります。それで、その種類でありますが、小麦、大麦、綿花というものの余剰農産物としての買い人れを私どもでは要求いたしておるのでありますけれども、これはあまり正式な話でありませんから確定的なものではありませんが、大麦、小麦、トウモロコシというようなもので、金額といたしましては、今の三千万ドルにおいて日本の申し入れに応じたいという意向のようであります。小麦の種類につきましては、私の方では日本の食生活からいってソフトの方を希望して前には申し入れたのでありますが、向うの事情からはハードの方を入れるというような情勢であります。こまかい条件等についてまだ話し合いを進める段階に入っておりませんが、ただ 河野企画庁長官がガーネットと話してきたときに、十二月の二十日までに正式の返答をほしいということを話し合ってきておりますので、正式な返事はそのころに来るんじゃないかと思いますが、今は外務省を通じて大体向うの意向を聞いたのでありますが、その結果が今のような話であります。で、そういうことであるならば、今直ちに断わるということでなくて、なお継続するといいますか、今まで話を全然してありませんでしたベンソン長官が来たから、話しておりませんでしたが、話を進めてみようじゃないかと、外務省を通じて話を進めてみょうじゃないかということは、経済閣僚懇談会ではそういう方針をとっておるわけであります。しかし、今申し上げたように、二十日までに正式に回答をほしいということになっておりますので、それを待って話し合いをまた具体的に進めるということになると思います。
  192. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  193. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を起して。
  194. 東隆

    ○東隆君 簡単に申しますが、今の、ソフトは食生活の云々と、こういうなんですが、どうも赤字対策のような気がして仕方がないんですが、かえってハードを入れて、そして国内におけるソフトの生産を助長するような考え方に立つべきじゃないか、それが全体としての正しい考え方じゃないか、こう思うんですが、ハードを向うは入れたいと言うんですが、ソフトと、それからハードの麦の価格に開きがあると、ソフトの方が私は安いと思う従って、安いものを入れて、国内における生産に圧迫を加えると、こういう考え方よりも、国内で生産の少ないハードを入れて、国内のソフトの生産を高めると、こういう考え方に農林大臣としてはなるべきじゃないか、こう思うんですが、その点はどうですか。
  195. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 小麦の点におきましては、先ほどから申しあげておるように、需給関係相当まだ不足をしているわけであります。でありますので、需給関係と今のお話のような生産の方も、もうかる方も……、こういう方とを適当に考えて検耐を続けていきたいと思います。
  196. 清澤俊英

    清澤俊英君 簡単にお伺いしますが、今年の豪雪に対して農林省でいろいろ御尽力いただいて、撒土消雪費、保温苗代同保温紙のような資料等に対しましては、非常に御尽力をこうむりまして、いろいろ要求の全額を満たしていただきましたので非常に喜んでおるのでありますが、たまたま当初この対策のときに農機具を、撒土消雪のような結果の不明確のものよりも、結果のはっきりした撒布機に多く金を出すことが一番有効であり、やったあともはっきりしておるからというような御趣旨説明もありましたが、たまたま対策要綱の中にそれが抜けていたというような話もありますが、現地におけるいろいろ責任者の説明等でそれは確認されておった。その後、そういう事情でありますので、従って、三十年の豊作時に、今の豪雪地帯の一部分が冷害とともに非常な虫害を受けて、部分的な部落で全滅状態に入った、こういうような例もあります。従って、冷害のあとに必ず起きる虫害の予防、病虫害の予防のための農薬の撒布機をまあ町村長が非常な熱意を持ってこれを買わした、約千台ほど買わしたから、どうか一千万円ほど補助を願いたい、こういう話をしましたが、いろいろの事情があって、それは全額できないということで、まあ県も中に入っていろいろやりくりして、それを四百七十台かに減らして四百七十万円だけ何とかしていただいたと、こういう話がありまして、その後、それくらいのものは何とか大蔵省でも、農林省関係の方が非常に努力していただいて、まあ何とかしよう、こういうお話で安心していいというので安心しておりましたが、最近になりまして、いろいろの事情があってまあ百五十万くらい、百五十台くらいのものは何とかできるが、それ以上のものはもう少し待て、もう少し待てということで、もう年度がわりに入ると、こういう事情で非常に町村長が皆境に立っておる。私はこの際、農林省考えていただかなければならぬことは、あの場合、農薬の撒布機をもって積極的にこれが防除に当りましたことが、あの冷害地帯の豊作を見ていったと思うのでありまして、もしこれを放棄しておったとすれば、三十年のような結果になったんじゃないか、こういう結果がはっきり出ておりますことは、当時の冷害が出ましたとき、たまたま昭和九年のこれの処置と、それから戦争中の昭和十六年の冷害に対する処置のデータ等から見ましても、放棄した場合と、これをめんどうを見て誘導した場合とでは、秋の結果において非常な大きな差がデータでは出ておるのでありまして、こういうことを考えていただくと、わずかあとの三百万円くらいのものは何とかいろいろやりくりもっけていただけるんじゃないかと思うし、ことに今年はいろいろ問題になっております通りに、予算相当の額の余剰金も出てきて、その余剰金の処分等でだいぶ問題も出てきているほど余っておるのでありますから、これは農林大臣の考え方一つでこれぐらいのものは処置していただけるのではないか、こう思いますので、いろいろ今、前の官房長、現在の振興局長、現在の官房長等々が非常に熱意を持ってやっていただいておりますし、また大蔵省の各係官も非常にいろいろ御苦心していただいておるようでありますが、まだきまらないでは、実際町村長の立場がないと困っておるのですが、農林大臣から特別な一つ政治的考慮でもって御折衝を願って、せめてこの二十日ぐらいまでには片がつくように一つ御努力をお願いできないかどうか、一つお伺いしておきたいと思うのです。
  197. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今お話のように、新潟県における雪害対策につきましては特別の取り計らいもいたしたようなわけで、共同土取設置とか、田畑の除雪促進、水稲健苗育成促進施設費、水稲水口の被害防止等で、お話のように二千三百万円ほどの補助金がすでに内示済みであります。さらに防除機等についてのお話がありましたが、これにつきましては、私どもといたしましても補助を出そうというようなことで大蔵省に強い要求をしております。期限をどうこうということを申し上げるわけにはいきませんが、せっかく努力中でありますので、御了承を願いたいと思います。
  198. 清澤俊英

    清澤俊英君 重ねて言うようですが、これは立場上町村長が困っておる。金は、それぐらいのものを出しても、災害をこうむってあの地帯が全部凶作だったというようなことになれば、それ以上のものを出さなければならぬ、そういうことを考えたら問題はないと思うのです、これは。そうして防除機ですからこれがまたあとへ残るのです。残って生きていくのであります。県でも市でも最大限の御無理を願っておるのだから、譲歩という言葉はおかしいですけれども、それらの点を遠慮して言われる通りお願いしておる、これ以上どうもできない、もう百がきけないと言って、町村長は、ありがたいですが、どうもこのままにしていられると、私どもは今度農民にこうせい、ああせいということを勧められません、こういうことを言うのですが、農林大臣、わずかな金のことです、一つ大蔵大臣と談判して……大蔵大臣は出すと言ったのですよ。ですからこれを特別に考慮して二十日までに一つ片をつけていただきたい。
  199. 千田正

    ○千田正君 だいぶ時間もないようですから、私はきわめて短かい時間のうちに重点的にお伺いをしまして、それにお答えを願いたいと思うのです。特に私の質問は国際漁業に関する問題でありますが、たびたび水産庁長官をお願いしてお答えをいただいておりましたけれども、この際、はっきり当該所管大臣としての赤城農林大臣から所信を十分に伺っておきたい。  まず第一は、ただいま問題になっておりますところの日ソ通商条約に基いて通商関係によって取引されるところのうちで農林関係のもの、特に漁業に関して将来相当影響を及ぼす点が二、三あるのであります。それは、昨日もあなたの方の部課長の方々が来て御説明されましたが、このうちにソビエト側の要求であるところのニシンあるいはサケ、マスのカン詰工場をソ連側の要求によって日本側からプラント輸出をする、おそらくソ連側は、これは北洋に近い将来にカン詰工場を設けて、それを生産するだろうと思います。それがソ連の中の需要を満たすだけの問題ならばともかくとして、おそらく将来は世界の市場に向ってこの製品が出てくるだろうと思う。同時に、その生産のベースをなすものは北洋におけるところの漁獲物である。この漁獲物を通じまして、来年の一月開かれるところの日ソ漁業委員会において、相当ソ連側は別な角度から日本側に対しているいろいなことを要求してきている。そういう意味からいいましても、今度の日ソ通商条約を中心としまして、日本の水産業、特に北洋の漁業に対する将来の見通しは、決して安易なものじゃない、私はこう考える。きのうのあなた方の部課長側のお答えをいただきましたときも、どうも好ましくない要求であるけれども、やむを得ない、こういうお答えでありました。そういうことでありますが、大臣としては、これは当然条約だからやらなくちゃならないというふうに考えておるのかどうか。それからもう一つは、外交上のかけ引きの問題にこの問題が当然日本側の外交がもしも今までのような拙劣さであったとするならば持ち出される。こういう問題を覚悟して、間もなく行われるところの日ソ間の漁獲に対する量の制限あるいは量の解除、こういう問題に表裏を合せまして日本側を有利に導くような方法を考えなくてはならないのじゃないか、この点を私は一つお伺いするということと、それから本年の日ソ間において協定されたところの漁獲物とは違ったところの要求を最近ソ連側が言ってきている。これは新聞で御承知の通り、サケ、マスという大幅な名前のもとに範囲を広げたいわゆる漁獲のベースをきめたのでありますが、向う側の要求は、今度はニシンはどれほど、白ザケはどれほど、マスノスケはどれほど、タラはどれほどと、北洋におけるところの漁獲に対して一々その名柄に対しての漁獲数量に対する制限要を求してきている。これに対して日本側の態度は十分に徹底しておらないようであります。こういうふうにソ連側の外交折衝というものは、常に何らかの要求を持って取引することを外交のかけ引きとしておる。これは将来において日本の漁業の重要な北洋漁業に対する影響がこれまたあるところの問題であると思いますから、この際、大臣としてのはっきりした腹がまえを聞いておきたい、かように思うのであります。
  200. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ただいまお話がありましたが、ニシン工船については引き合いがあるわけであります。カン詰工場のサケ、マスのカン詰工場等につきましては、なお具体的な問題にはなっておりません、通商条約についてはなっておりません。しかし、コンマーシャル・ベースの問題ですので、特にソ連について拒否するわけにはいかないと思いますけれども、その動向について十分に注意していきたいと思います。  それから日ソ漁業交渉のことについての見通しが安易なものではないということにつきましては、私も御同感であります。すでに御承知の通り、日米加の問題につきましても、なかなか交渉がうまくいかなかったのでありますが、これにつきましても、日ソ交渉に入らない前に、アメリカあるいはカナダ等から、特にアメリカから勝手なことを言われても困るということで、これを引き延ばしてきたのであります。日米加の問題にいたしましても、そういう状態でありますから、ましてソ連との関係におきまして安易でないということにつきましては、私どもも御同感でありますので、十分に用意をして強く当りたいという準備をいたしております。  なお、魚種でありますが、別に今向うからニシンとかベニザケとかサケ、マスとかマスノスケとかタラとか、そういう魚獲について、どれはどの程度の漁獲高というようなことを、まだ正式には言っておりませんが、御承知の通り、ことしの日ソ交渉におきましても、ソ違棚からは、魚種別に漁獲量をきめようという提案があったのであります。しかしながら、私どもの方といたしましては、魚種別に漁獲高をきめるということは強く拒否いたしまして、わが方の主張が通ったのであります。そういういきさつもありますので、ことしの交渉においても、当然ソ連側から魚種別の漁獲量という提案があると私どもは予想いたしております。しかし、これにつきましては、ことしの日ソ漁業交渉のいきさつもあり、これは拒否するという態度を持っておるわけであります。
  201. 千田正

    ○千田正君 私は、今の大臣のそういう考え、まことにけっこうだと思いますが、実は今朝の朝日新聞の一面のトップにおいて、ソ連側の要求事項として、先ほど私が申し上げました通り、魚種別にするところの漁獲の制限を要求するということを通告しておると、こういうことが新聞に発表されております。あなたのおっしゃる通り、昨年のように、サケ、マスというような単なる種類にかかわらず、何万トンということでやりたいというのは、これは日本側の要望でありましょう。しかしながら、本年の漁獲の成績を見ましても、大部分の漁獲というものはベニザケであった。こういうことの観点から、向う側が強くそういうことを要求しておる。それで、果して大臣がおっしゃるように、日本側はそういう魚種別については絶対反対である、それで押し切っていけるかどうか、押し切っていける自信があるかどうかということをあえて私は伺いたい。
  202. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 相手方のある交渉でありまするから、ここでどうこう言うわけにはいきませんけれども、私どもの主張といたしましては、昨年も魚種別に漁獲高を制限するということに反対した根拠、理由を相当持っております。その根拠、その理由によって強く当るということを申し上げておきたいと思います。
  203. 千田正

    ○千田正君 間もなく開かれるから、特に私はこの際、大臣及び水産庁長官がおられますから、日本側の要求を強く押し出してもらわなくちゃならぬ点がある。昨年の交渉の際にも、日本側は豊漁年において、あるいは不漁年においてというようないろいろな話し合いがあって、十二万五千トンというものが確定した。しかしながら、向う側が調査するとか、日本の漁船の漁獲量というものを、はっきり策定するということをやっておる。ところが、ソ連側は一体何ぼとっておるのか、わが国の話し合いは、ソ連側に対しても漁獲を明示させるはずであった。日本側は調査の手をちっともつけない。あっちは十万トンとったかもしれないし、あるいは五十万トンとったかもしれない。日本側だけが十二万五千トンと押えられて、そして向う側が幾らとったか調査ができないということは、これは独立国としての外交としては最も拙劣なるものと思う。そういう意味からいたしまして来年一月の日ソ間の漁業のこの問題については、日本側も堂々と調査船を出して、あのソ連の沿岸でどれだけとったのか、どれだけソ連側がとっておるのか、その率をはっきりきめない限りは、日本側がいつもばかを見なければならない。その点を強く押すだけの材料と、その押しの一手でやるだけの資料を持っておるかどうか、持たなければならないということを、私は特に大臣に申し上げて、この点の腹がまえも一つきめていただきたい、かように思うのであります。
  204. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これも御承知のはずでありますが、昨年も漁場の共同調査をすることになって、私どもから要求したのであります。拒否されたのであります。そこで、昨年の日ソ漁業交渉のときには、向うの漁獲高も、こちらの漁獲高も、相当判明いたしております。それでその基礎の上に立って交渉いたしたのであります。ところが、ことしはソ連の漁獲量は、向うで隠しているといいますか、今のところでは正確にこれを調べる方法がないのであります。そういうことでありますけれども、これはことしは来年の一月にはソ連のモスクワで会議が開かれるわけでありますから、向うの漁獲高の資料というものを強く要求して明らかにさしたいと思います。その要求に基いて、またそれが正しいか正確でないかという微妙な問題も検討しなくちゃならないと思います。それに伴ってまた漁場の調査というようなことも、ことしの日ソ漁業協定の中には付属書としてそういうことが書いてあります。拒否されましたけれども、これにつきましても、当然わが方といたしましては、技術者等による実態の調査ということは、今度の交渉についても、お話のように強く、要求する腹を持っておりますということを申し上げておきます。
  205. 千田正

    ○千田正君 今、大臣がおっしゃられたのですが、あの付属議定書には、共同調査ということが載っている。重ねて私は言いますけれども、ソ連側は自分の方でとったことは、何ぼとったということは言いません。そうして日本側だけが、これだけ以上とっちゃいけないと、これはやはり国際法の立場からいっても、公海自由主義の立場からいっても、お互いの国が一カ年の漁獲がこれこれだから、日本側はこの割合で何%、ソビエトは何%と、お互いにはっきりしたデータを出し合って、そうして決定してこそ、初めて国際の条約が軌道に乗ったというのであって、向う側は自分のとったことは発表しないで、日本側だけにこれだけしか毎年やらないという、そういう片手落ちの漁業条約であってはならないと思うのです。だから、来年の一月の漁業条約においては、よほど腰をしっかり据えてかからぬというと、また本年の条約と同じような二の舞のことがあったのでは、国内にしても、今の漁業行政の上において、大臣の責任は相当重大化してくるということが予想されますので、特にこの点を御注意願いたいと思います。
  206. 堀末治

    ○堀末治君 だいぶ時間もおそくなり、はなはだ恐縮でありますが、一言お聞きしておきたい。きのうから説明を受け、今も千田君からソビエトとの協定、この中に今お話しになったニシン工船というのが二隻ある。これは注としてあるのですが、これはもう注文を受けたということですか。
  207. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ただいま造船所の方にソ連側から引き合いを出しているということは事実であります。まだ話か妥結するまでには至っておりません。
  208. 堀末治

    ○堀末治君 ニシン工船ということは、ニシンをとる船ですか。それとも何かそれを加工する船ですか。
  209. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) とりましたニシンを加工する船でございます。
  210. 堀末治

    ○堀末治君 とって加工する……。
  211. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) はい。
  212. 堀末治

    ○堀末治君 それお伺いいたしますがね、だれよりも大臣はおわかりでしょうし、それから特に長官もおわかりになると思いますが、この北海道のニシン沿岸漁業がだんだんとれなくなって、いわゆる沿岸漁業者の困っていることは、あなた方御承知の通り、ことに最近になって、沖合い漁業がこのニシンをとっているので、沖合い漁業と沿岸漁業者とは非常な競争いをしていることは、あなたも御承知の通り、そんなときに、要するにこういうふうにして、向うが今までやっておらないようなのをあらためてやるということになると、これはニシンの北海道漁民に対しては非常に大きい影響があると思うのですが、これに対して、どういう方針をおとりになるおつもりですか。
  213. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ニシンの漁獲に関しましては、おそらく海況の変化によるものと考えられるのでありますが、海岸に網を立ててニシンの来遊を待つという漁法ではもはや成り立たない、沖刺し網を用いまして、沖で漁獲をするという漁法に転換しなければならない、こういうことから北海道におきましても、目下沿岸の小漁業者の沖刺し網転換ということを強力に進めておる次第であります。また北海道の底びきが相当ニシンをとっております。これは沿岸との間に若干摩擦を起しておるということも御承知の通りであります。そこで、今後のニシンの漁獲は沖合いでとる、しかも、今のニシンの好漁場はカムチャッカの西部の沖合い、従って、日本の底びきも大型化いたしまして、そしてその方面べ出漁するということに漸次誘導していくということが必要なのではないか、かように考えておる次第でございます。
  214. 堀末治

    ○堀末治君 大体お話はわかるのですが、北海道の沿岸漁民は、これはニシンに依存しておったのがほとんど困っておることは御承知の通りです。そして沖とりにだんだん変っていくということもあり得ることだと私は想像しておったのですが、そうすると、要するにこれの転換といいますか、やり方を変えることについては、漁業政策としても非常に大きい問題であると思うのですが、きょうは時間もございませんから、いずれ何らかこれを、今後御研究の御方針をきめて私どもにお示しを願いたいと、かように思います。きょうはこの程度にとめておきます。
  215. 千田正

    ○千田正君 委員長、ただ一点だけ、最後に。これは長官にはたびたびこの委員会に来ていただいて御説明願ったんでありますが、これは大臣として、非常に大きな問題であり、考えようによっては小さい問題であるというのが、ラッコ、オットセイの補償の問題であります。当委員会は最初から、考えてみれば小さい漁業のようなものであって、そうして外に向っては国際の信義を守らなくちやならないという、それを守らなかった場合においては、農林大臣の責任ばかりじゃなく、日本政府の責任であるということがはっきりしてくる問題である。この問題に対する漁業転換の問題が今まで遅々として進んでおらないということは、金融というベースに乗せてやろうとするからなかなかむずかしい。ああいう零細漁民が金融の対象にはなかなかならない。金融の対象になる漁船というものはきわめて少いのであります。百七十一隻のうち、その三分の一も金融公庫の対象にはならない、実際。しからば、その条約を守り得ない人たちというのはどういうのか、あすにも食えないという連中がやむを得ないから鉄砲かついで持っていって結局ラッコ、オットセイをとる。だから農林省、いわゆる水産庁の対象というものは、金融のベースに乗るところの業者じゃなくして、金融のベースに乗らないところの、あすからも食っていけないという人たちがやむを得ずしてそういうような国際的な信用を失墜するような行動に出るおそれがあるから、それを主体として考えなければならないということは、われわれはしばしば水産庁長官に向って要請しておるのであります。間もなくラッコ、オットセイは南下して参ります。食えなかったならばこの零細漁民は必ずおそらく禁を破って国際信用を傷つけるようなおそれが十分に現われてきておる。一日も早くこの問題を解決してもらいたい。しかも、これに対する漁業転換の資金は、日本の国民の税金によってまかなわれるところの、いわゆる大蔵省からの一般支出でもなければ、特別会計でもないのです。そういうことをやってはいけないというので、アメリカ、カナダ、イギリス、ソ連から特に皮代として一五%日本によこす、その金を何も出し渋っていることはないのです。零細漁民の犠牲によってそういうことを、日本は禁漁をして、しかも、その人たちが禁を破らないようにというので、外国の方は何とかして日本の漁民の人たちは別な方向に行ってもらいたい、そのために皮代として一五%よこすのを、何も政府なり大蔵省が押えて そういう人たちの転換に役立たせないということはないのです。その点を十分考えていただいて 一日も早くこれを善処しなかったならば、あなた方が思っているようなこととは逆な方向に進みつつあるということを私は忠告いたしまして、早くその処置をしてもらいたい、この点についてはどういうふうなお考えですか。
  216. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話のように、非常に資力のない者が相当あると思います。これにつきましては、転業あるいはまた新しい漁業の方に漁場を発見するというようなことで極力転換をはかる、それについては補助金を出すということで、目下大蔵当局とも強く交渉しております。また新しく船を作る能力のある者につきましては、財政融資という面で金融の道を附いていきたい、その方面につきましても大蔵当局と交渉しておりますので、近く御希望に沿うように行くだろうと、こういうふうに思っておりますので御了承願います。
  217. 千田正

    ○千田正君 重ねて申し上げますが、これは今までのような普通の農林水産業が船を作るために金を借りるとか、あるいは網を作るために金を借りるというような国内処置でやったような処直とは事が違うのでありますから、もし一たん誤まったならば、日本の政府が責任を負わなければならない、外国に対して。その責任の国内的処置は、農林大臣、あなたが背負わなければならないのですよ。でありますから、従来のような普通の金融公庫の対象であったような金融の処置では間に合わない。一発でもそのたまが当っておれば、ソ連なりアメリカが、これは日本の漁師が撃ったたまではないかと、直ちに証拠品を突きつけられて、日本に対する信用というものは一日にして失墜するということを考えなければならない。それだけ大臣としても、大蔵当局にも十分日本の国の責任上やらなければならないということを認識さしていただいて、一日も早く解決していただきたい。これで私の質問を終ります。
  218. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話趣旨をよく考えまして、大蔵当局に強く交渉するよう努力いたします。
  219. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本件については、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  220. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、調査未了報告書に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、いまだ調査を完了するに至っておりませんので、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会中調査未了の旨の報告書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書内容及びその手続等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十九分散会    ————・————