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1957-12-17 第27回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月十七日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————    委員長     森田 義衞君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            中野 文門君            内村 清次君            大河原一次君            坂本  昭君            北 勝太郎君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省主計局主    計官      松永  勇君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○審査報告書に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (昭和三十三年度河川及び住宅関係  の予算編成方針に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日の委員長及び理事打合会について御報告いたします。本日はまず昭和三十三年度河川及び住宅関係予算編成方針について政府当局質疑を行い、その後審査並びに調査未了報告書の御決定を願うことに意見の一致をみました。なお次回の委員会は二十日午前十一時に開会することに決定いたしました。以上御報告いたします。
  3. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それでは建設業法の一部を改正する法律案公営住宅法の一部を改正する法律案、及び住宅公社法案につきましてこの際お諮りいたします。以上三法案につきましては、まだ審査を完了するに至っておりませんので、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会審査未了の旨の報告書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 次に建設事業並びに建設計画に関する調査についてお諮りいたします。  本件につきましては、いまだ調査を完了するに至っておりませんので、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会調査未了の旨の報告書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお以上の報告書内容及びその手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
  8. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 次に昭和三十三年度河川並びに住宅関係予算編成方針について質疑を行います。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  9. 田中一

    田中一君 最初に今提出されている資料について河川局長からでも御説明願いたいと思います。
  10. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまお手元に差し上げてありまする資料につきまして、三十三年度の予算についての建設省考え方予算要求方針を御説明申し上げます。  最初に、提出申し上げてある資料は、横とじの三枚の資料と縦とじの十枚ぐらいの資料二つになっておりますが、この十枚ぐらいの資料につきましては、この前の委員会で御説明申し上げたのでございますが、最初に三枚つづりの横とじのものについて御説明申し上げます。  これは昭和三十三年度の治水対策費と、災害復旧対策費要求額並びに前年度の予算対比を示しておる表でございます。  まず一般会計でございますが、一般会計といたしましてはい治水対策費といたしまして、その内訳といたしまして、河川海岸多目的ダム砂防河川建設機械という内訳になっておりまするが、それぞれに対しまして、三十三年度の所要額といたしまして要求しているものが河川が三百二億七千万円、海岸が十億五千万円、多目的ダムが百二十七億、砂防が百三十二億、建設機械が十九億でございまして、それらの計が五百九十一億二千万円と相なっております。  その内訳といたしましては、国費一般会計からの支出分が五百三十三億二千万円でございまして、財政投融資に期待するものが五十八億と相なっております。それを前年度にはどうであったかという数字がその次の欄に書いてございますが、河川が百六十一億八千万円、海岸が三億七千万円、多目的ダムが八十八億一千万円、砂防が五十六億六千万円、建設機械が六億八千万円でございまして、合計いたしまして三百十七億でございます。その内訳国費が三百七億円、財政投融資、これは多目的ダム特別会計におきまして財政投融資を受けておりますが、約十億円と相なっております。  それらを前年度と比較いたしてみますると、河川におきまして百四十億九千万円の増額で一・八七倍、海岸が六億八千万円の増額で二・八三倍、ダムが三十八億九千万円で一・四五倍、砂防が七十五億四千万円増額で二・三三倍、機械が十二億二千万円の増で二・八倍、これらを合計いたしますると約二百七十四億二千万円の増で、一・八七倍の要求をいたしておるわけでございます。  次は災害復旧対策費でございますが、三十三年度の要求額といたしましては、対策費全部で四百三十一億九千万円、前年度が二百六十六億六千万円でございまして、百六十五億三千万円の増額要求しております。倍率は一・六二倍と相なっております。その内訳といたしましては、災害復旧が三百六十九億で昨年に対しまして一・六倍、災害関連が六十二億九千万円でございまして昨年対比一・七八倍、そのほかに鉱害復旧対策費、これは一般鉱害でございまして、特別鉱害は終っておりますが、一般鉱害分といたしまして六千万円、前年対比一・二倍でございまして、それらを総合計いたしますると千二十三億七千万円の要求でございまして、前年度五百八十四億一千万円に比較いたしまして、一・六五倍の要求と相なっておる次第でございます。  以上が全貌でございますが、先ほど申し上げました財政投融資等関係から、特別会計を設定するという内容予算要求をいたしておりますが、特別会計といたしましては、すでに今年度から実施しております特定多目的ダム建設工事特別会計といたしまして、三十三年度は一般会計から八十九億七千万円、財政投融資で十六億一千万円、この一般会計繰り入れ財政投融資は、先ほど申し上げました一般会計の中に申し上げました分に入っておりますが、そのほかに電気事業者等負担金を十九億八千万円、その他予備支出等を六億九千万円見込みまして、全体といたしましては百三十二億五千万円を要求しておりまして、前年度はそれらの合計が六十八億八千万円でございますので、前年度に比較いたしまして約倍近い六十三億七千万円の増額要求しているわけでございます。  それからもう一つは三十三年度から新しく特別会計を設定しようといたしまして、直轄治水工事特別会計要求しております。これは前年度におきましてはなかったのでございますので、三十三年度新規といたしまして一般会計よりの繰り入れが百八十七億円、財政投融資が四十三億三千万円、この二つは先ほど申し上げました一般会計のところの説明の中に入っている数字でございまして、その他といたしまして十二億七千万円、これは委託工事であるとか、あるいは当年災等予備金の収入を見込んでおりまして、それらを合せまして二百四十三億円を要求しているわけでございまして、これは新規の項目に相なっている次第でございます。  以上が来年度要求概要でございますが、参考といたしまして、次のページには治水事業の緊急五ヵ年計画進捗状況が表になっております。これは例の昭和二十八年の大災害のあと、治山治水緊急基本対策要綱が決定せられまして、その中から緊急のものを拾い上げまして、約工事量にいたしますると二五%、事業効果にいたしますると約四〇%の効果をねらいまして緊急五ヵ年計画を策定いたしたのでございまするが、それらの緊急五ヵ年計画内容河川ダム砂防海岸機械等を合せまして、国費にいたしまして二千六百二十六億九千万円でございます。事業費にいたしますると約三千二、三百億の事業量になりますが、それらの実施状況は三十一年度、三十二年度二ヵ年で六百億九千万円でございまして、その進捗率は全部平均いたしますると二二・九%でございます。従いましてこの分で進みますると、治水緊急五ヵ年計画も約十年近くかかるというふうな結果に相なりますものですから、三十三年度以降におきまして、ぜひこの緊急五ヵ年計画は三十一年度以降五ヵ年で仕上げたいということで計画いたしましたのが、三十三年度以降計画額でございまして、三十三年度といたしましては国費で五百九十一億二千万円、この線に沿いまして先ほど御説明申し上げました三十三年度の要求をいたしておるわけでございます。  次の表は災害復旧対策でございますが、これは災害復旧事業進捗状況及び昭和三十三年度の災害復旧費所要額所要額というのは要求しておる額でございますが、それの一覧表でございます。ここに書いてありますように、これは補助災害の分でございまして、このほかに直轄災害がございますが、これは非常にわずかなものでございますので、大部分はこの補助災害でございます。これでごらんになっていただきますように、二十六年災害からまだ残額があるわけでございまして、二十六、二十七から三十二年度までの災害が残っておるわけでございますが、これらにつきまして三十二年度までに支出された額が左から四行目の欄に書いてあります。それだけの支出をいたしまして三十二年度末における進捗率は、二十六年災害が九四・一%、二十七年が八七・七%というふうな工合になっておりまして、総計いたしますると七八・五%に相なっております。従いまして三十三年度以降の残国費補助災害で三百九十八億七千万円、直轄もございますのでそれを合わせ考えますと、残国費が約四百七億二千万円に相なっております。そういうふうな残事業状況でございますので、三十三年度におきましては、三十年災害以前のものは全部一つ完成したいということで要求しておるのでございますが、それらの総計が三百六十九億の要求に相なっております。  そういたしますると三十三年度末の進捗率といたしましては、三十年災害までが一〇〇%、三十一年が九〇%、三十二年が六五%と相なるわけでございます。そういうふうにいたしますると、三十四年度以降の残国費は一番右の欄にありますように、四十二億五千万円だけの残国費と相なってくるわけでございます。これは例の災害復旧国庫負担法改正によりまして、三十年災害以降の分は緊要工事は三ヵ年で完成するという線に合わせますると、当然こういうふうな災害復旧を行わなければならぬという考えのもとに要求しておるのでございます。  もう一つ資料は、昭和三十三年度治水対策及び災害対策関係予算概要でございましてこの分につきましては先般御説明申し上げましたことでございますので、もし御必要がございましたら御説明申し上げたいと思いますが、簡単でございますが、以上概要を御説明申し上げた次第でございます。
  11. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 以上の政府側に対しまして御質疑のある方は御質疑願いたいと存じます。
  12. 田中一

    田中一君 きょうは伺うところによりますと、委員長名をもって大臣あるいは主計局長出席を求めておるのですが、予算編成も大詰めにきて御多用とは思いますけれども、白井政務次官出席をみたわけですが、委員長要求されている政府側の人は、今言うように主計局長または大蔵大臣になっておりまするけれども、その間の経緯はどうなっております。出席できないのですか、出席いたしますか。
  13. 白井勇

    説明員白井勇君) 御要求がありましたのでいろいろ手を尽してみましたが、御承知通り今丁度予算編成期でありますので大臣も伺いかねましたので、それにかわりまして主計局長というお話でございましたが、これもまた今申し上げました事情にございますために、実際その方面の仕事を責任をもって担当いたしておりまする松永主計官を同道いたしました次第であります。よろしく御了承願いたいと思います。
  14. 田中一

    田中一君 白井政務次官にとくと申し上げておきますけれども、今後とも、参議院として必要だから出席を求めておるのであって、たとえば五分でもあるいは十分でも出るのがこれは常道なんです。むろん大蔵大臣大蔵大臣としての行政面の職務がありましょうが、まあ飯を食うでしょうし一ぱいもやるでしょうし、他の会合にも出るでしょうが、少くとも参議院委員会から正式に呼ばれた場合には出る習慣をつけていただくことが望ましいと思うのです。そこで、これはきょう始まったことじゃございません。前回も出席を求めておりますけれどもおいでがないということになりますと、まあ参議院建設委員会を軽視されたという非難も生まれるのではないかと思いますので、十分に政務次官から大臣並びに主計局長あるいは次長に対して当委員会意思をお伝えおき願いたいのです。そうして、なお時間がありますから、その間中に出られるならば出られるような措置をとっていただきたい。最初にこれだけお願い申し上げます。
  15. 白井勇

    説明員白井勇君) よく承知をいたしました。重ねて申し上げておきまするが、正直に申し上げますと、予算編成基本方針というようなものがきょうあたりからも党の方で進めておりまするし、それに呼応いたしまして私の方でもいろいろ作業をしておりますので、非常にめんどうな時期にありましたので、いろいろ御期待に沿い得なかったことはまことに申しわけなかったと思います。決して今田中委員のおっしゃいますように、当委員会を軽視しておるというような考え方は毛頭ないわけでございまして、御承知通りに、建設関係は来年度におきまして相当重要な予算がいろいろと組まれる構想がありますので、決して田中さんのおっしゃるような意味合いで参らないということじゃありませんので、その点は一つ誤解のないように願いたいと思います。
  16. 田中一

    田中一君 今からでも、もしも今の状態で出席できるならばできるような手を打っていただきたいということが一つ。その点は、もうそういう手は打ちませんという御答弁なんですか。
  17. 白井勇

    説明員白井勇君) よく了承いたしました。できるだけ手を尽してみたいと思います。
  18. 田中一

    田中一君 今河川局長説明されたように、過年度分災害復旧が、これはむろん今示されたものは緊急工事を示しておりますけれども、三・五・二の比率をもって三年間で全部完成する。むろんその間には原形復旧のみならず、改良をも含めた施工を完成するのだというように、これはまあこんなことを申し上げてはおかしいけれども、白井次官も議員としてはよく御承知のはずなんです。そこで大体この本年度の河川費と申しますか、治山治水費に対する大蔵省考え方というものを、どういう工合に基本的に持って予算折衝をしておったか、最初にその点を伺いたいと思うのです。
  19. 白井勇

    説明員白井勇君) まだ私の方は全体を通じまして作業中でありまするので、私から申し上げる段階にないと思いまするが、実際事務をやっておりまする松永主計官出席しておりますので、その方からお答えいたさせたいと思います。
  20. 松永勇

    説明員松永勇君) 今田中委員の御質問は、今までどういう考えでやっておったかという御趣旨のように承わりました。災害復旧につきましては、先ほど河川局長から申し上げました通り、三十年度より緊急なものを三ヵ年でやるという国庫負担法改正が出まして、三十二年度までその方針に沿ってやってきています。それから一般改良と申しますか、災害関連としまして災害と合併施行いたしますものにつきましても、これはその災害復旧と合併施行いたすものでございますので、そういう考え方に合せて全体の調和のとれるようにやってきたのが現状でございます。また今後もそういう方針に沿っていきたい、こういうふうに考えております。
  21. 田中一

    田中一君 そういたしますと、今河川局長説明された過年度分、二十六年から三十年度までは三十三年度で残工事を全部完成するという考え方は持っておったわけですね。
  22. 松永勇

    説明員松永勇君) 過年度のものについては国庫負担法は実は適用がないのでございます。国庫負担法の今の三・五・二のその改正条文適用は三十年災からでございます。過去のものについては適用が実はないのでございます。今後これをどういうふうに完成するかということは、三十三年度の予算としてこれを考えなければならないというので、現在の予算編成方針にこれをどういうふうにするかというのが、ただいま政府の方で検討されている状況でございます。
  23. 田中一

    田中一君 従来通り過年度災がたなざらしになりますと、工事の打ち切りというのが行われておりました。そこでこれは事実そういうことが実行されておったために心配するのですけれども、あなた自身として折衝過程において、二十六年度災もあと少い残工事でありますけれども、これらのものは当然もう六年か七年たっておりますから、三十三年度には全部完成すべきだというお考えに立っておるか、あるいはそういうものはまた打ち切るのだというような考えに立っておるか、その点はどうですか。
  24. 松永勇

    説明員松永勇君) 実は田中先生のおっしゃるように、打ち切るということは……しかし私実は前のことをよく知りませんものですから、たとえば昨年三十二年度予算に計上いたします際にも、これは昨年二十五年災は一〇〇%完了するということで三十二年度予算編成されたわけでございます。その際にも二十五年災が終っているから何か打ち切るとか、そういうような考えは三十二年度予算計上の際にはございませんでした。二十五年災は全部完了するということで三十二年度予算編成いたした次第でございます。
  25. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いますが、二、三年前にありましたね、過年度災を打ち切った例は。
  26. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点につきましては私も的確には記憶しておりませんが、再査定をいたしましてその線によりまして必要工事は、あるいはその後の状況によりまして川等におきまして、状況が変化したために不必要になった工事というものをやめた例はございますが、必要なものを切り捨てたということはないというふうに記憶しております。
  27. 田中一

    田中一君 むろんそうですよ、必要なものを切り捨てては、これはえらいことになりますから。そういう意味じゃなくて、私の言っているのは必要であるか必要でないかということの内容は、あなた方はよく御承知なんだけれども、一応査定され、そして補助工事として地方としても当然予算裏付があれば施行しようと考えているものが、一方的にあるいは合議の上に立ってか、工事を打ち切ったという例が私はあったように記憶したのですが。
  28. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点に関しましては、当初に考えておった分を不用になったためにやめた例はございますが、必要なものは全部やっております。
  29. 田中一

    田中一君 松永さんに伺いますが、そうすると三十一年度から三・五・二の比率で、三ヵ年で基本的な緊急なものは完成するという線は今日でも全然くずれておらぬ。従って三十一年度並びに三十二年度に対しては、今のような比率予算を計上したいというように理解してよろしゅうございますか。
  30. 松永勇

    説明員松永勇君) 私たち事務的にはさよう考えております。
  31. 田中一

    田中一君 ここで私はこれからきめようとする予算に対する注文をつけるわけでありますけれども、昨年は大体過年度からみる場合には比較的大きい災害がなかった。また大きい災害というよりも額として比較的少なかったということは言えると思うのです、これはことしにしても去年にしても。だから治山治水費というものは後退するという考え方はこれはあってはならぬと思います。それで大体今過年度災に対しては、これからどこまで完成するかということを考えるという考え方を示しておりますけれども、現在河川局から要求されている要求額というもの、これに対してどういう態度をもって今まで折衝しておったか。たとえば今の三十一年度からの三・五・二の比率緊急工事が完成するのだというこの基本線はくずしてはおらぬ、よくわかりました。それから過年度分に対しましても、また現在の要求されている内容については、いろいろ折衝はあったと思うのですけれども、そういう点の私どものここで承知していいような面の折衝過程一つ説明願いたいと思うのですが。
  32. 松永勇

    説明員松永勇君) 現在三十三年度予算編成方針及び編成の計数の整理というものを現在やっている段階でございまして折衝過程をここで逐一御報告申し上げるというようなふうにまだなっていないので、三十三年度予算のとりまとめをいたしましてから御報告申し上げたい、かように考えます。
  33. 田中一

    田中一君 大体道路予算は相当伸びるというような新聞報道もあり、また建設大臣もどこかの会合でそういう表現をしておりますが、限られた予算の面で考えられるのですから、一方が伸びれば一方が縮むのはあり得ると思う。われわれが考えているような防衛費というものをうんと縮めると言えば予算もうんと出てきますけれども、これまた縮めないでふやそうという考え方がある以上、やはり各省各庁の従事している職員の面からみても、事業の面からみても、そうよその役所にのみ食いついて予算を持ってくるということはむずかしいのじゃないかと思うのです。そうすると結局道路予算を伸ばすということは、一面河川行政費治山治水費というものは縮まるのじゃないかというようにわれわれは考えざるを得ないのですけれども、そういう点については基本的にはどういう態度をもって臨んでいるかを伺いたいのです。これは松永さんあなた責任があるとかないとか言っちゃ困るだろうからなくてもいい、しょうがない。
  34. 松永勇

    説明員松永勇君) 今田中先生からおっしゃった通りでございまして、いかなる点に予算重点をもっていくかということが予算編成の一番重点になるわけです。それは現在政府として来年の予算編成方針を現在練りつつあったのであります。三十三年度予算には一そういう諸般の情勢を考えた上の予算が提出されることと、かように考えております。
  35. 田中一

    田中一君 どうも白井さん、これじゃ今の答弁で尽きちゃうんだな。もう少し親切に答弁してもいいと思うのだな。少くとも、松永君は官僚であろうけれども白井君は政治家なんだから、むろん考え方はわかると思うのだが、これは今の質問白井政務次官に伺いますから、政治的な答弁でもけっこうでございますから一つ答弁して下さい。
  36. 白井勇

    説明員白井勇君) ただいま事務当局からお答え申し上げましたようなことでありますが、御承知通りに、大体今の予算作業状況といたしましては、事務的にそれぞれ固めをいたしておりまするわけでございますが、あした大体経済の見通しというようなものを公表をされると思いまするし、それに基きまして来年度の予算編成方針というものをまあ二十日ごろまでには何とかいたしたい、こういう考え方を持っております。従いましてそれによって重点がどこに行くかということが出て参りますのでありましてその後具体的に、その線に沿いましての割り振りというものを、その後に省議を開きましてやるというような段階にあるわけであります。従いまして、道路重点になるから河川は引っ込むのだと、こういうふうに必ずしも私はこの段階では言えないと思います。せっかく建設委員会専門家皆様方のお集まりでございまするから、きょうは御趣旨のありまするところをよく体しまして今申しましたような作業に間に合うように十分御意思のありますところを汲んで参りたい、こう考えておる次第であります。
  37. 田中一

    田中一君 こまかい点を伺いたいのですけれども、伺ってもおそらく答弁が同じじゃ困るのです。今のように、まあ政策的な面がまず打ち出されてそれによるところの裏づけの予算考えるからと言われると、なるほど二十日に召集をされておりますけれども、まだ何らの三十三年度の政策は打ち出しておらないわけですから、これはそれまで待つ以外にないと思うのです。しかし白井さん、あなたもかって参議院において、災害復旧に対する、あるいはあらゆる臨時立法をもって治山治水、災害復旧の問題を論議したのは、御承知通りです、参議院においてですね。今、われわれの考えておる考え方というものを十分に反映しよう、伝えようという意思表示がありましたけれども、この点はいいかげんでは困るのです。この治山治水の問題に対しては一、二年いいからといって手を抜きますと、必ず来るものなんです。ことに宿命的に日本はもう台風圏に入っておりますから、年々災害というものはないことはないわけなんですね。従って、私が社会党の立場としてここでこんな質問をあなたにするのは、実はおかしな話なんです。与党の諸君が当然建設委員として言わなければならない問題なんですよ。そういう点もあなたよく御了承願って、あまりこまかい点を言っても、今言うように、政策が出ましたらばそれについて説明すると言われると、もうどうにも質問ができなくなりますから、十分一つ将来においても連絡してわれわれの意思というものを伝えていただきたいと思うのです。
  38. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 今の白井政務次官からの答弁は、まあ一種の公式論のようにとれるのですね。今の田中委員質問に対する御答弁は、結局この空気を察して今度の予算査定の際におきまして伝えると、こういうお話なんですが、それはまあけっこうなことなんですが、ただお伝えになる場合において、あなた自身がこの治水事業に対して、どれだけの熱意をお持ちになるかいかんによって、反映が非常に大になりあるいは小になると、こういうように考えるのですがね。だから伺いたいのは、白井さんは農林関係のエキスパートであるし、だからこの治山治水という問題については、相当造詣の深い方だと思いますが、そこでこの治山治水に対する考え方、あるいは方針といいますか、あなた個人の一つ御意見をこの際において発表してもらいたいのですがね。
  39. 白井勇

    説明員白井勇君) 私も、今岩沢先生からお話がありましたように、もともと農林関係やら、災害関係というようなものに関係のありまするような仕事を担当して参っておりました。ことに国会に参りましてからも、二十八年のあの災害以来、ずっと私は特別委員等の関係で出て参っております。いかに治山治水関係の重要でありまするかということは、十分私も了承いたしております。今まで党なり政府の間におきまして、いろいろ論議をされました場合におきましても、まあ普通に言われておりまするように、今年度はある程度財源があるじゃないか、しかも最近は割合に災害が少いじゃないか、こういう場合においてこそ、ある程度の投資をいたしまして、あらかじめ防災設備というものを完備しておく必要があるじゃないかというようなことは、非一常に強く論議をされておるわけでありまして、私も全くそういう点につきましては同感であります。ただ、きょうの段階におきましては、先ほど申し上げましたような過程にありまするものでありますからして、ここで必ずこれだけのものは投資するからというようなお約束ができないというようなことでありまするからして、この点だけは一つ御了承を願いたいと思います。
  40. 田中一

    田中一君 今こまかい点をちょっと一、二伺ってみますから、一つその点を御答弁願いたいと思うのです。原則的に災害復旧過年度災に対しては、逐次三十一年度から緊急工事に対する三・五・二の比率で復旧するというもの以外のもの、こういうものも工事の打ち切り等はしないで、状況の変化によって打ち切られるものは打ち切られると、これはむろん地元並びに建設の方の話し合いの上に、納得づくで打ち切られるというものがある。しかしながら原則としては、そこから完全に予算の裏づけをして仕事を済ましていくという点は今伺いましたが、そこで新しく要求されておるもののうち、海岸の問題がありますが、これは相当大きぐ要求されておりますが、海岸法ができてから十分な対策が出ておりません。ことに今まで別の面で地盤沈下対策とか、いろいろな面が出ておりますけれども、総合的に海岸線の保護といいますか、保全といいますか、こういうものが今日まで立法化されるまでは、派生的な問題のみに集中して対策が立てられておったわけです。昨年度はごく少い金額を要求しておりますが、約二・八三倍、十億五千万円の要求が出ておりますけれども、こういうような問題に対しては、どういうような論議をされておるか。これは白井政務次官に伺うよりも松永主計官に伺った方がいいと思うのですが、海岸保全という面、海岸法ができて以来の海岸保全という面について、今まで政府要求と——政府というか建設省要求大蔵省の査定というものが、非常に食い違いがあると思うのです。それは、認識の点だと思うのです。ことに新潟県下における新潟市内の地盤沈下等も含めまして、緊急に対策を立てなきゃならぬという問題が多いと思うのです。そこで、海岸保全の面について、大蔵省はどういうような見解を持って立っておりますか、それを一つ伺いたいと思うのですが。
  41. 松永勇

    説明員松永勇君) 海岸法が制定されまして、海岸というものを重視しなきゃならないという機運が高まりまして、三十二年度予算におきましても、海岸について、重要な地点につきましては、十分な考慮を払うというような措置を講じて参ったのでございます。海岸というのは、全般的に申しまして非常に広い延長を持っておりますし、これをどういうふうにやっていくかということは、経費の量とも関連いたしまして、相当問題でございます。私たちもその重要な地点の海岸侵食その他につきましては、今後も十分な措置を講じていかなきゃならないと、かように考えております。なお、先ほどちょっとお話がございました新潟の地盤沈下の問題にしましても、これも実は最近そういうはなはだしい地盤沈下が起って、海岸からの浸水があるということがわかりまして、それに伴う原因の探求というものが十分まだなされていない段階でございます。三十二年度一からその調査も実は進めておるわけでございますが、現在もまだ正確なる原因が探求されていない。で、ことしの地盤の沈下は、たしか三十センチ近く、ひどい所へいきますと、それ以上でございましたのですが、それくらいの沈下を来たしているという、その沈下が今後とまるのかとまらないのか、いかなる原因によってそれが生じたのかというようなことが、まだ十分突きとめられておりません。対策といたしましても、その原因を探求し、それから今後どの程度に沈下していくであろうというようなことも考え合せて対策を立てなければ、十分なる対策とはならないわけでございますので、目下、これは主として運輸省の方の海岸地帯、港湾地帯になりますが、そちらの方で原因探求並びに対策を検討されている状況でございます。このように、海岸一般海岸と申しましても非常に都市とかあるいは日本の国富の相当集中している地区という所に、こういう海岸侵食あるいは沈盤沈下ということが起きます場合には、そういう地区をやはり重点的に措置していくということは、十分考えなきゃならない、今後の予算におきましても、そういうふうな考え方で取り上げていきたいと、かように考えております。
  42. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いますが、ことしの西日本の水害並びに単独で起った地すべり対策ですね、地すべりの問題、これは何か単独立法化をはかるというようなことを考えておるように聞いておるのですが、その点はどうなっておりますか。
  43. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点に関しましては、現在法律案建設省といたしましては作りまして、農林省と打ち合せ中でございます。近く結論をつけまして、大蔵省とも、内閣の部内で打ち合せをいたしまして、政府提案で出したいというふうに考えて、作業を進めております。
  44. 田中一

    田中一君 松永主計官に伺いますが、ここにその地すべり対策を含んだ…十三年度予算要求が、前年度五十六億六千万円、それが百三十二億という計数で要求されておりますけれども、常に心配するのは、こうして直接にそういう災害があった場合には熱を上げますけれども、それが単独立法化されるということは、その事態に対する対策を強力に推進するという意味を含んでいるものと思うのです。従って五十六億の前年度の実績の上に、百三十二億というものを要求しておりますけれども、これらに対しては大幅な予算の裏づけをしようという考えに立っているか、建設省は農林省と相談して、当面のそうした現象に対する対策だけを打ち出すのだ、しかも、それも今言う根本的な原因がケース、ケースで違うと思うのだけれども、それに対する対策というものは、一応建設省は立てているから立法化が上っているのですが、この要求に対しては、どういう見解を持っていますか。
  45. 松永勇

    説明員松永勇君) 地すべり対策につきましては、従来も建設省それから農林省双方で実はやって参っております。今回これをまあ単独立法して促進したいという御趣旨の提案が、建設省並びに農林省から出ております。目下法案その他については、両省で協議いたしておるような次第であります。来年の予算といたしましては、これに対してどういう対策で進めるかということは、目下種々検討中でございます。建設省の御要求の御趣旨も十分検討いたしまして、来年の予算に必要なものを計上いたしたい、かように考えております。
  46. 田中一

    田中一君 それは検討するのは当然ですからいいのです。検討を十分していただきたいのですが、ただ、現在要求されているもの、こういうものに対して、大蔵省の認識はどういう程度のものを持っているか。
  47. 松永勇

    説明員松永勇君) これは目下十分法律的にも、それから事業計画としてどの程度やるべきかということも、検討中でございます。従来は砂防法に基く一環の措置としまして、地すべりというものをやってきております。それとの関係におきまして、今後これをどの程度進めるべきかということを、目下検討している次第でございます。
  48. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 松永主計官にちょっとお尋ねするのですが、大体、従来大蔵省のこういう問題についての考え方というものは、災害が起ったものに対してのみ応急的な措置をする、そいつをもっと改良的にして、対策的な性格のものに対する金は、非常に出し惜しみをしているような傾向がある。たとえば災害復旧にいたしましても、あれはたしか昭和十一年から、関連事業的な性格で、大蔵省と内務省と協議してやったのですが、現在においてもその関連事業というものを災害と同時に認めておることは非常にけっこうなんです。ところが、災害復旧そのものについては、非常に府県なりあるいはその他の努力によって非常に進捗が早いですね、ところが、大蔵省折衝過程におかれておる関連事業の費用というものは、どうも出し渋るのですね。従って、今年度その災害復旧をやって、しかも関連事業を同時にやれば、来年度における水害は防げたというのにかかわらず、関連事業の経費の支出がおそいために、またやられるというようなことが、非常に全国的に多いのですがね。だから、どういうわけでこの関連事業に対する費用の支出を渋るのですか。何か大蔵省でそういう考えがあるのですかね。ただ名目は関連事業をやるのだというだけにして、実質はこれに伴わないというような気がするのですが、どうなんですか。
  49. 松永勇

    説明員松永勇君) 災害関連につきましては、私たちそんなに必要なものを渋っているというふうには考えておりません。災害関連の中にも、まあ災害助成と一般災害関連というのと、二つございます。災害助成というのは、金額が相当張るもので、一般の中小河川その他よりももっと大きいようなもの、そういうようなものを災害助成といたしておりますが、これは、相当金額も張りますしいたしますので、規模も非常に大きいということで、これにつきましては、多少時間をかけ検討するというようなことはいたしておりますが、一般災害関連につきましては、これは災害復旧費の一定の率の範囲内におきまして、大体このくらいの災害が起れば、それに伴う災害関連というものはあり得るはずだということで、当年の災害の復旧費の予備費の古出と同時に、災害関連も予備費をもって直ちに措置する、こういう考え方で行っております。考え方としまして、災害関連を特にいじめるとか出し渋るという考えには立っておりません。
  50. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 今の関連ですね、関連は、今のお話しの通り渋らないというのですが、助成にしても、災害助成は昔はほとんど金額は無制限で、必要なものだけはみな認めておったというのですね、このごろ聞くところによると、やはり災害関連と同じような、その災害の費用の五割以内をもって災害助成にする、特に必要な場合においては多少の上回りがあるけれども、大体その関連と助成というやつが、実質的に予算的措置の上からいっても、ほとんど同じだというように見えるのですが、今あなたの説明では、災害助成は根本的に中小河川の改修の一部を負担するほどの大がかりのものを、災害助成の範疇の中に入れるというお話で、あなたの説明と実際の取扱いと、ほとんど変っておるのですがね、関連事業と助成というもの、ほとんど同じですが、そういったあなたのような説明ならば、今後災害が起った場合においては、昔の、今、私が申しました昭和十一年から災害助成というものが起ったのですが、その昔の精神に返って、助成と関連というものを画然と区別してもらいたい。こういうように思うのですが、その点はどうなんですか。何ゆえに災害助成というものをいまだに置いておるか。それは一本にした方がいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  51. 松永勇

    説明員松永勇君) 予算の中でいろいろ事項を立てて議論をいたしますのに、どういう事項を立てるかということは、これはもう目的を達成するための手段でございまして、どういう事項を立てたがいいかということは、常に検討してみる必要があろうかと思います。先生のおっしゃるように、一般災害関連と、それから災害助成と、一つにした方がいいかどうかということについては、なお私たちも十分検討いたしたいと思います。
  52. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ちょっと私から先ほどの田中君の質問に関連いたしまして松永主計官にお聞きしたいのですが、新潟の地盤沈下対策について、さっきお話があったようですが、当委員会でも先般取り上げまして、この問題について参考人を呼んだりして聞いたことがございますが、こういった一部の問題を、特に私これだけをやれということを申し上げるわけじゃないのですが、こういった新潟の地盤沈下について、相当沈下の程度がひどい。たとえば運輸省関係になりまするが、海岸堤防の突端の方は一メートル七十も沈下している。しかも、私も見て参ったのですが、上の方のブロックが見える程度であって、全然その下の部分はなくなっている。ことしの冬、もし波がくれば、新潟臨港の埠頭の方は、直接波に侵食されて、船の安全が期待できない。もしそういったときに事故が起れば、アンセーフティ・ポートとして世界的な新潟港の利用が、何といいますか、忌避されるといったような事態も起りかねないといったような事態になっているように、私は見て参ったのですが、こういったことで、運輸省なりあるいは建設省も、現地を大臣が御調査になっている。その関係から見ると、相当その対策のための費用を来年度に御要求になっているだろう、私は、一々そういった場所に大蔵省がお出かけになる絶対必要があるとは認めません、でありますが、こういつたように各県が真剣にこういった問題を取り上げて、来年度予算として御要求になっているものについては、十分この対策を掲げてもらわなければいけないような問題が、新潟ばかりじゃありませんが、ほかにもあるのではないか。ただ大まか的に、たとえば道路予算のために河川局関係が少くなった。そのために、こういったような地点の緊急対策に対してしわ寄せがいったのでは、問題が大きいのではないかということをおそれるわけであります。そういった点で、私は、運輸省なり建設省の、これまでの災害対策が少しに鈍かったのではないかと思いますことは、先ほどもあなたからおっしゃったが、基本調査をやるのだ、やってきたのだ、しかし根本原因がまだわからないから、それを待たなければ基本的対策は立たぬと、そういうことではないのでありまして、もちろん基本的対策は御調査を願いまして、その基本対策を立てていただきたいのでありますが、その前に、現実の状態と調和しながら、やはり根本原因を調査することなくしては、現実に新潟の港が海の中へ沈んでいく。すでに私の見た目では、臨港の埠頭は約一メートル程度の防潮堤を作っております。ポンツーンが昔は岸壁とちょうど同じ高さにあったのが、そのかさ上げしました防潮堤と同じ高さになっておりまして、約一メートルもすでに沈んでいるのではないか。でありまするから、その背後地帯は信濃川の支流に沿って水が上っていく。上っていく所は下水を通してさらに町に浸水する。あるいはもっとひどいのは、特に海岸に三菱金属鉱業とそれから昭和石油の工場がございますが、すでに昭和石油のタンクの二台は、海の中に没しております。またその前に、接岸作戦と申しまするか、背水の陣を敷いて波と戦っておるというような状態になっております。この港を捨てるなり、あるいは工場を捨てるならけっこうですが、少なくともあの地帯にあれだけの重工業が発展して、日本の産業の相当な中心地帯をなしているということであれば、民間企業でおやりになる力があればけっこうですが、半面国として援助しなければならぬ面が相当あるのではないかといったような感じがするわけでございましてそれには、どうしても緊急対策といいますか、応急対策といいますか、そういったことが必要ではないか。そのことは、当然私は建設省も運輸省も要求していいのではないか。そのことは、やはり十分そういうようなこまかい地方の事情を考慮した上で、運輸省関係建設省関係の、こういつたような予算の考慮を願いたい。ただ大まかな査定でもって何億河川関係を削るのだ、これしかないのだということでは、地方の事態が済まないのではないか、そういったことを考えますので、そういった点につきましての、一つ大蔵省側の御意見をお聞きしたい、各省の私は責任を持った御要求に対しましては、十分誠意を持って考えていただかなければ困るという意味合いにおきまして、この御答弁を願いたい。
  53. 松永勇

    説明員松永勇君) 新潟地区につきましては、各省からの要求も、根本対策と、それから先ほど委員長がおっしゃったような、暫定と申しますか、当面の対策というふうにして予算要求がなされております。私たちも、その要求趣旨に沿うてこれを検討いたしております。それから全般的に、そういう予算の効率的使用と申しますか、重点予算を使用するということが全般的にもございますし、また、そういう個所的なものでも、特に経済性の高い地点を重視して予算を投入する、こういうこともございます。私たちも、できるだけ限られた予算を最も有効に使うように工夫していきたい、かように考えております。
  54. 田中一

    田中一君 石井君から聞いた方がいいかもしれぬけれども、隅田川の沿岸の住民から、隅田川の汚濁の問題を何とかしてくれという陳情が、建設省にも大蔵省にも行っていると思うのです。もう一つは、砂町地区の埋立地区の地盤沈下の問題、これなんかも、相当強い要求として大蔵省にも陳情があったと思うのですが、これらの点については、首都圏の事業として取り上げていこうとするのか、あるいは別の面、たとえば、一般河川行政の面から見ていこうとするのか、これは、一つこの問題について、河川局長考え方と、それから大蔵省の三十三年度予算編成に当っての考え方を伺いたいと思うのです。
  55. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまの隅田川並びに江東地区の地盤沈下の対策の問題でございますが、この点につきましては、首都圏ともよく打ち合せております。首都圏におきましても、重要な事業であるからということでいっておりますし、私の方といたしましても、特に、地盤沈下対策の問題につきましては、本年度から新規に入れたわけでございまして、それに引き続きまして、事業を増大して実施していきたいというふうに考えております。それから隅田川の汚濁の問題でございますが、本年度におきましても多少の仕事をやっておりますけれども、その程度では、とても現在の汚濁の問題を解決するわけにはいきませんものですから、全般的水質汚濁の問題に関連いたしまして、川に現在堆積している土砂を早く何とか掘りたい、掘って、環境衛生とか、その他用水の問題等にも支障を来たしておりますので、推進していきたいということで、特に汚濁対策ということで要求をしておるわけでございます。
  56. 松永勇

    説明員松永勇君) 砂町地区のいわゆる東京恒久高潮対策というのは、比ほど河川局長から申し上げました通り、三十二年度からこの事業に着手いたしております。運輸、建設両省合せると、約七十一億ぐらいのものになると思うのでございますが、三十三年度以降もその線に沿ってやっていきたい。それから隅田川の汚水対策というものにつきましては、今年新規要求でございまして、これを今後どういうふうにしていくかということは、建設省とも十分協議いたしまして、政府対策を作っていきたい、かように考えております。
  57. 石井桂

    ○石井桂君 私は、この際、住宅対策について、二、三の質問をしたいと存じます。  御存じのように、十二月七日に、千代田区の主婦会館において、住宅建設推進全国大会というのが催されまして、住宅に非常に困窮している方々並びに住宅関係者が集まりまして、今、政府でも重要施策の一つとして住宅対策は取り上げられておるのでありますけれども、ややもすると、軽視されがちな傾向にあるじゃないかということを心配されまして、いろいろな決議をしております。そこで、現在建設省計画せられておりまするところの住宅対策を見ますと、これは、十分とは言いがたいが、相当に昨年よりも進捗しておると思います。そこで、大蔵省御当局は、住宅問題は現在相当に解決されておるかどうか、その御見解を承わりたい。白井政務次官でもけっこうでございます。松永主計官でもけっこうですが、どういうふうにお考えになっておるか。
  58. 松永勇

    説明員松永勇君) 住宅につきましては、今回、経済五ヵ年計画の一環といたしまして、住宅の対策をその一環としてこれに含めるように、経済審議会でございましたか、答申が現在出ておりまして、それによりますと、三十三年度以降五ヵ年間に、民間自力百八十五万が期待できる、それから政府対策としては、百十万ないし百二十万戸を建てるように努力されたい、こういう趣旨の答申がなされております。これにつきまして、政府では、目下この答申に基いて、経済五ヵ年計画の一環として住宅対策を練ろうということで、近くその成案が出るのではないかと考えます。
  59. 田中一

    田中一君 ちょっと関連して。これは、池田大蔵大臣時代から、三十二年度から五ヵ年計画でやると言っているんで、今、松永主計官は、三十三年度からと言うけれども、三十二年度からすでに実施しているはずで、公営住宅三ヵ年計画のほかに、三十二年度から五ヵ年計画の初年度はもう足を踏み出しているというのが現状なんですが、やっぱりその点は、三十二年度が三十三年度に変更されたのですか。
  60. 松永勇

    説明員松永勇君) 経済五ヵ年計画は三十三年度からになっておりますので、住宅は、昨年、三十二年度からということで計画を立てたわけでございますが、今回審議会の答申には、三十三年度以降五ヵ年計画の一環にそれが取り入れられているということで、ただ、時期のとり方が経済計画一般に合わせたということで、ズレているというだけで、特に実質的な意味はないのだ、かように考えております。
  61. 田中一

    田中一君 住宅局長、答弁して下さい。
  62. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 三十二年度から始まりました住宅建設五ヵ年計画は、既定の方針通りに推進する予定でございます。御承知通り、五ヵ年計画は、五ヵ年間に概成するということに相なっておりまして、その残りは三十七年度にも続くわけでございます。従いまして、経済計画は三十三年から三十七年までの計画でございますので、政府が三十二年度に始めました住宅建設五ヵ年計画の最終年度分を含めまして、若干三十七年度に尾を引くものを含めたものが、ただいま松永主計官から申しました計画でございます。
  63. 田中一

    田中一君 どうも植田君、妥協したような答弁ですが、そんなことはありませんよ。これは池田大蔵大臣答弁しているのですが、三十二年度から五ヵ年間において住宅難の解消をするという答弁をしておるのですよ。従って、私の理解は、三十二年度からもう出発しておるものだという工合考えておりますけれども、松永さんどうですか。
  64. 松永勇

    説明員松永勇君) 三十二年度からスタートいたしました住宅建設五ヵ年計画は、その通り推進するわけでございます。しかしながら五ヵ年計画の最終年度であります三十六年度におきましては従来概成という言葉を使って参りまして、大部分は解消しましたけれども、まだ三十七年度でも若干やらなければ数字が合わないことになっております。その三十七年度まで尾を引くものも含めまして、三十三年から三十七年までの政府の住宅建設計画を百十万ないし百二十万と計画しておるわけでございます。従いまして経済計画の答申そのものには入っておりませんけれども、その基礎になりました交通建設部会の答申におきましては三十二年度からスタートいたしました住宅建設五ヵ年計画は、この期間中に達成できるということを明白に記述いたしておるわけであります。
  65. 田中一

    田中一君 そうすると、経済審議会の答申の住宅政策は三十二年度から六ヵ年計画になるわけですね。六ヵ年計画に修正されたわけですね。
  66. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 五ヵ年計画でありましたが、五ヵ年計画で完全に解決するという案ではございませんで、概成という考え方でございます。
  67. 田中一

    田中一君 ですから六ヵ年計画ですね。
  68. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 六ヵ年計画になりますると、それで完成ということになるわけでございます。
  69. 田中一

    田中一君 主計官どうなんです。五ヵ年計画が六ヵ年かかるというようなことはない。それは六ヵ年計画ですよ。五ヵ年計画は五年間かかるから五ヵ年計画だし、六ヵ年計画は六年間かかるから六ヵ年計画なんでしょう。しかし政府はそういうような計算の仕方をするものですか。もっともそういうようなものが多いけれどもね、今まで……。十ヵ年計画というと十八ヵ年ぐらいかかるのだし、どうなんです。
  70. 松永勇

    説明員松永勇君) 今、私の申し上げましたのは、経済審議会の答申のお話を申し上げましたので、政府としてはこれをどういうふうにするかということはまだきめられてないわけであります。近くきめられるだろうと思います。
  71. 田中一

    田中一君 石井委員質問は、経済審議会の計画を聞いたのじゃないのです。政府の施策を聞いたんですよ。従って、あなたが言葉をそんなにごまかすと、われわれは間違えるわけですがね。石井君は、政府の施策を聞いたわけなんです。
  72. 石井桂

    ○石井桂君 ちょっと関連して。私の質問を続けますが、先ほど私のお伺いしたのは、われわれは住宅問題はまだ未解決だと思っております。そこで大蔵省御当局は……とはっきり言っておりますが、建設省の方は非常に必要だというので、大きな予算を出しておる。それでも、われわれは不十分だ。そこで大蔵御当局は、住宅問題は相当に解決しておるとお考えですか、どうか、御見解を承わりたい、こう言っておるわけで、あなたの御答弁は、経済審議会の答申はこうだ。ですから、それに乗って十分やります、こういうのだろうと思って私は聞いたのですが、それとは違うのですか。よその人が一う言っておりますと言っただけなんですか、どうです。私は頭が悪いからはっきりしなかったのだけれども……。
  73. 松永勇

    説明員松永勇君) ちょっと途中でしり切れトンボになりまして失礼いたしました。経済企画庁の方で、現在住宅対策の成案と申しますか、三十三年度以降五ヵ年間の対策を練りつつあるわけでございます。政府の三十三年度予算案というものをもって、その企画庁で練られつつある政府の住宅対策というものの線に沿うように措置していかなければならないと思いますので、実際まだ大蔵省として、企画庁のその五ヵ年計画考え方が、企画庁と申しますか、これはおそらく閣議決定になるかと思いますが、それがまだきめられてない段階でございます。そういうものも十分検討いたしまして、三十三年度予算の住宅対策考えたい、かように考えております次第でございます。
  74. 石井桂

    ○石井桂君 私は、住宅問題は相当に解決されておるかどうかという御見解を聞きたい、それによって大蔵省御当局は相当に効果を上げている。もう手を打たしてもいいということだと、予算の出し方がはっきりしてくる。ところがこれはまだ大へんな量が残っているというお考えならば、力を入れて、それは経済審議会の答申は参照されることもあるだろうし、松永さんが命をかけて盛り込むこともあるかもしれない。どっちなんだか、まあ政府方針がきまってから、それに従って出すのだといえばそれまでですけれども、その心がまえです。実際の住宅問題の進捗したのをどう評価しておられるか。
  75. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 今お話を伺うと、企画庁の計画を基礎として、それが実施に熱意を傾けたいというお話であるが、企画庁と建設省の住宅五ヵ年計画とはどんな関係を持っておりますか。
  76. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 三十二年度からスタートいたしました住宅建設五ヵ年計画をそのまま経済五ヵ年計画に取り入れてもらうように努力いたしまして、その通り経済計画の中には盛り込まれているわけでございます。
  77. 石井桂

    ○石井桂君 私の質問には御答弁がないようですが、御答弁ができないのですか。しないのですか。したくないのですか。
  78. 松永勇

    説明員松永勇君) 三十二年度末の、なお住宅不足戸数は約二百万戸と推定されますので、現実にこれだけの住宅戸数の不足はございますし、そういうものに対する政府対策は進めていきたいと、かように考えます。
  79. 坂本昭

    ○坂本昭君 どうもきょうは先ほどから中野委員大蔵省をなかなか激励しておられたし、また石井委員も、与党があまり激励されるものだから、主計官非常にお困りになって、返事がしにくいのではないかと思います。実は与党でさえもこれほど不満なのですけれども、野党はなお不満なのです。ことに今住宅が二百万戸ぐらい足りないから一つやるつもりだ、そんな御返答を大蔵省の主計官からいただこうとはわれわれ各委員露ほども期待していませんでした。はなはだそれは不見識きわまるものだと思う。もっともっと熱心に、今までの委員会でも与党がこんなに政府事務当局を攻撃したととはありません。ということは、つまりこの住宅問題がいかに深刻であるかということを与党の人みずからがお述べになっている事柄なんです。実は数回前のこの委員会で私は建設大臣と大分議論したのです。そうして建設省考えているところの住宅政策で大臣はもうよろしい。私はよろしくない。結局水掛け論になって、それならば今度は各地方へ行って演説会をやるときに大いに私は建設大臣を攻撃するというところで、水掛け論で別れたのですけれども、与党の人でさえも建設大臣でさえも満足しているものがまだ不十分だということをお互いに感じている。さらにわれわれから見ればもっと不満を感じているわけです。特に、先ほど小山委員からも、経済企画庁との関連を言われましたけれども、私は従来低所得層に対する住宅問題について厚生省と建設省とがきわめて連絡が不十分だと思う。その連絡の不十分な間隙を縫って、大蔵省責任を回避して、厚生省が低所得層に対する住宅の政策を立ててくると、住宅問題は厚生省のすべきことじゃない、これは建設省でやったらいいのだと言って、厚生省の予算をすっぱり切ってしまう。建設省では低所得層に対する予算を十分出していない。結局いつまでたっても低所得層に対する住宅問題は具体化されていない。そういうことで、建設大臣は、ことしからそういうことはしないと言われたのですが、実はこの問の説明を聞きますというと、辛うじて公営住宅が若干戸数がふえたことと、それから生活保護の対象になる人を公営住宅の中に入れてもよろしい、入れるように法的な措置をとる。この二つぐらいが来年度に見るべき新しい政策じゃないかと、そういうふうに私は感じたのです。それ以外に進歩が一つもない。ことに、私は一番考え一ていただきたいことは、今二百八十万から三百万戸ぐらい私は不足していると思うのですが、それを毎年政府及び民間で五十万か、六十万ぐらい、それで結局五ヵ年で解消しよう解消しようと、まあ言っていますけれども、非常に大事なことが忘れられている。たとえば、このごろは結婚する人も多いのです。結婚をした、世帯を持った人たちは、おやじのところにおらないで、できるだけ独立家屋を営みたい。主計官、あなたのお嬢さんもいずれ結婚すればおやじのところにいたくないでしょう。そういう結婚が毎年七十万ぐらいある。そうすると、三十五万組ぐらい新婚の家庭ができる、その半数が新しい住宅を希望するとしても十数万戸要る。こういう計算は政府の——建設省にはありません。いわんや大蔵省なんかは露ほどもそんなことは考えておらないと思う。そういうところから見ると、年間五十万か六十万の計画では五年か六年では住宅問題は解決されない。ことに固定資産税の問題では、先般来住宅公団に問題が起ってきました。そういうのを通じて、もっともっと主計官が熱心に、深刻に、真剣にこの問題に取り組んでいただきたい。先ほど来石井委員がずいぶん質問されますけれども、まことに石井委員自身も御不満でありましたようですけれども、私たち聞いておって歯がゆかったのであります。こんなに与党の方が政府事務当局質問されることはないのでありますから、この際われわれも与党に味方しまして……大蔵省当局の一つ御決意のほどを承わりたいと思います。
  80. 松永勇

    説明員松永勇君) 御鞭撻をいただきましたが、私たちも三十三年度の問題といたしましては、今ここで幾らどうするということはなかなか申し上げがたい事情にございますので、その点まことに申しわけないと思っています。住宅につきましては、戸数の問題もさることながら、先ほど来話も出ましたように、低所得者の問題、それから世帯分化の問題、その他いろんな点がございますし、また一面住宅の不燃化、高層化という都市計画上の問題もございますし、その点も十分検討いたしまして三十三年度予算に対処したい、かように考えておる次第です。
  81. 石井桂

    ○石井桂君 まあそういう御決意でも、これはないよりは非常にいい。ただ私の心配するのは、松永主計官並びに白井政務次官にさらにお尋ねしたいのですが、経済五ヵ年計画に住宅政策が盛り込まれて、大体五ヵ年で見通しをつけるようにしたい。こういう趣旨の御答弁だったろうと思うのですが、一体住宅問題というものは、これは外国の例を見てもおわかりになるように、イギリスなどは住宅政策が非常によくできている、しかし何十年も続いて、いまだになおかつ住宅問題に取り組んでるわけです。ですから、大体のめどはつけることができましても、住宅問題というのはずいぶん長く尾を引く問題だと思うのです。そこで経済五ヵ年計画で果してできるお見通しになっていらっしゃるかどうか、この点は建設省にもお伺いしたいと思うのですが、その熱意でやってはいただきたいと思うのだけれども、実際お見通しがあるのかどうか。これはぺーパー・プランならばだれでもできます。三ヵ年にしようが、二ヵ年にしようができますが、実際住宅問題というものは泥沼のような問題で、真剣に取っ組んでもなかなか効果が上らないものです。そこで量の問題、質の問題、いろいろありますが、経済五ヵ年計画で取り上げるのに内容を十分御承知だと思うのですが、五ヵ年計画でほんとうにまじめに解決できるお見通しかどうか、との御見解を承わりたい。これは政務次官の問題かもしれませんが、大蔵省の方がいいのですよ。あとで建設省、言って下さい。
  82. 白井勇

    説明員白井勇君) 先ほどから住宅問題につきまして、いろいろお尋ねがございますが、これはだれが考えましても、住宅が十分に整っておるなんということは常識的に考えられないのであります。ただ一挙にこれをやって参りますることもできないわけであります。これは十分建設省あたりの御計画に基きまして予算化をして参るということになっておるわけでありまして、今、石井委員からお話のように、ただいま立てております五ヵ年計画が参りまして、それで住宅の問題を解決するというふうにも、これは考えられぬのでありますし、それはやはり今こちらからもお話がありました通りに、若い方々は昔と違ってそれぞれ一家をなすのでありまして、そういうような社会情勢の変化等に応じまして計画も変えていかなければならぬ、こう思っております。決して大蔵省といたしまして今の状態でもって住宅は足りるというような安心感をもって対処いたしておる、こういう考え方は毛頭ないことを申し上げます。
  83. 石井桂

    ○石井桂君 白井政務次官の真撃な御答弁非常にけっこうだと思いますが、どうぞ一つ全力を尽して御協力を願いたいと思うのです。  そこで、私はさらに御質問したいと思うのですが、この住宅建設推進全国大会には、あの日は建設大臣もお見えになっており、各党も代表者を出していろいろ激励しておりました。その際の決議は、大体六つの事項にしぼっております。それをここで披露して逐次指摘していきたいのですが、まず第一には、政府計画住宅を大量に建設してくれ、こういう要望がまず第一にありました。第二には、特に低収入のもののために公営住宅に最重点を置いてくれ、これは一番大きな問題だと思うのです。それから三番目には、政府計画住宅について低家賃を維持するために適切な措置を講じてくれ、これは家賃保護の問題であります。それから四番目は、今の住宅難のネックは宅地入手難にある、宅地対策をさらに強化してくれ、宅地造成とか、そういう以外にさらに何か抜本的に方策を立ててくれ。それから五番目は、都市の住宅の不燃化、再開発を強力に推進してくれ。それから六番目は、住宅の平均規模を引き上げて、家族構成に応じたも のにしてくれ、この六つはいずれも重大なことでございますが、このうちで特に公営住宅に最重点を置く、住宅問題のネックになっておる宅地対策を確立しろということと、都市の不燃化を要望しておることは、私は住宅対策の一番大きな点だと思うのです。こういう点について建設大臣は、その席において大いに協力する旨を演説しておられましたから、私はもう建設大臣にはそれをお聞きしなくてもいいと思うのですが、大蔵御当局は一体その決議のうちで最も重要な三つについてどういうふうにお考えになっておるか、これは松永さんからでもけっこうですから……。
  84. 松永勇

    説明員松永勇君) 住宅対策につきまして、そのうち公営住宅に力点を置けという点は、家賃の関係から出てくることだと考えます。私たちも家賃ができるだけ下るように、これはまあ公営住宅ばかりでなく、公団、公庫の住宅も家賃ができるだけ高くならないようにということについては細心の努力を払って参ったつもりでございます。今後も当然それはやるべきだと思っております。公営住宅を来年どの程度の戸数にするかということは、ここでは先ほど来しばしば申し上げましたように、正確に申し上げることができないのでございますが、この委員会の御要望並びに全国大会の御要望も十分承知いたしまして、建設省当局ともよく協議いたして、三十三年度予算編成いたしたい、かように考えております。
  85. 石井桂

    ○石井桂君 松永さんの御答弁でやや私は安心するわけですが、別に戸数は私は聞いていなかったのです。公営住宅に最重点を置けと、こう言っておるので、まあ住宅対策重点を置いて一つ予算編成に御努力願いたい意味なんです、私は。だから戸数はどうということは具体的に聞かなくてもいいのですが、しかし少くとも住宅対策に与党なり政府が非常に熱意があるということは、反映する結果が出ないといけないわけですよ。そこでその気持が答弁に現われるかどうかを顔を見ながら診察しているわけです、評定をしているわけです、こちらから。ところが、まあ非常に落第ではない、まあ及第のような答えのようでありますからけっこうだと思います。  最後に、あまりこまかいことをお聞きするのもどうかと思いますが、先ほどやはり治水治山のときに御質問があったようですが、今回は建設大臣、陣頭指揮で大いに働かれた結果か、道路問題は大きく取り上げられて、やはり相当に伸びるようであります。そうすると、限られた予算でありますから、ゴムまりを押すようなもので、一方がふくれ上れば一方はへこむにきまっております、これは。その場合において、なおかつ住宅対策にしわ寄せをもってこない、そして今あなたが御答弁のように重点を置いて尊重していただけるかどうか、こういう点を、これは大事なことですから松永さんにも白井さんにもお答え願いたいのです。
  86. 白井勇

    説明員白井勇君) 御趣旨の点はよくわかりましたので、申し上げるまでもなしに、先ほど御要望のありました公営住宅方面にはどこまでも重点を置いて考えなければならぬと、こう考えております。
  87. 田中一

    田中一君 ではこまかい点を質問しますが、これはもうあなたがた予算の規模に関係ございません。今まで決定された政策の点ですから御答弁願いたいと思います。逃げないようにしてもらいたいと思います。中高層建築の予算を相当大幅に計上したい、要求したいというのが建設大臣からの御意見でありましたからその線に沿って伺いますが、中高層建築の実施とともに、現在単行法であるところの耐火建築促進法によるところの予算の裏づけというものは常に少いのです。さっきも言っている通りに、地すべり対策の立法化をしても予算の裏づけがない。ただ国民をだますだけになっちゃ困るのです。そこで耐火建築促進法ができても今までに非常に僅少な予算しかつかない。たとえば昨年度は一億六千万円ですか、五千万か六千万の程度です。三十三年度はどのくらいのことを考えておるかですね。これは結局、この助成金というやつは国民に対する意欲の問題です。意欲を起さすために補助するのであって、金を貸せばいいのだということは、金を借りるという場合には、金を返すということが前提です。従って金を返してもらえないものには貸さないのです。助成金はやりっぱなしです。やりっぱなしということは、この思想は意欲を盛り立てさせるということであって、三十三年度はどのくらいに考えておるか。建設省は十三億程度のものを要求しておりますけれども、これは十三億くれば申し分ございませんが、今までの例から見れば相当な政治的な手を打って、この辺で勝負をしよう、ばちんばちんと手を打ってきまったような例もありますので、三十三年度どういうような考えを持っておりますか。これは白井政務次官に伺うよりも松永君に伺った方が早いと思いますが、どういう考えでおりますか。
  88. 松永勇

    説明員松永勇君) 三十三年度予算につきましては、まだ、先ほど来申し上げますように、ちょっと今の段階では申し上げかねることでございまして、そのうちに予算編成方針もきまりまして、それに伴う予算措置を講ずる、かようになると思うのでございます。その点御了承を得たいと思います。
  89. 田中一

    田中一君 では、こうして耐火建築促進法という法律があるのですから、この裏づけになる予算は多少でもつぐというように考えていいのですね。
  90. 松永勇

    説明員松永勇君) 先ほど申し上げた通りでございまして、三十三年度の予算につきましては今申し上げかねる状態でございます。
  91. 田中一

    田中一君 根本建設大臣に伺いますが、今のような答弁で、要求しておる十三億というものがゼロ回答になってもやむを得ないという弱い大臣でないと思うのですが、大臣の見解を一つ承わりたい。
  92. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 中高層の問題については、われわれはその必要性を認めて予算要求をしておるわけでございます。まだこれについては具体的に大蔵省から何ら回答してきておりません。しかしながら、先ほども政務次官並びに主計官が言われたごとぐに、これに対する認識を持っておる上、ゼロ回答などはあり得ないことと私は考えております。
  93. 田中一

    田中一君 中高層の問題に対して大体これから聞こうと思っておったのですが、私が言っておるのは防火建築帯の造成の助成金です。今、住宅局から十三億くらい要求しておるように聞いておりますけれども、昨年は一億六千万円、そのうちの五千万円程度のものは二つの地区の耐火の対策として出しておる。この助成金の問題はどういう工合考えておるのか、建設大臣ちょっと考え違いしておるようですが……。
  94. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 耐火建築についてもこれはゼロ回答などはこないと私は信じております。
  95. 田中一

    田中一君 断然承知せぬということですね。
  96. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) それは政治的発言としてはいろいろの表現があると思いますけれども、今御承知のように、日本においても火災による住宅の損耗が非常に多いということで、先般もこれは厚生大臣からの発言がございましたが、簡易水道並びに水道の強化ということがこれは同時に防火対策として必要であるという旨を強く言っておられたわけであります。これに関連しまして、われわれの方といたしましても、問題は火事が出てから消防で消すよりも、火災がたとえ出ましてもそれが延焼しないというような措置をすることが非常に必要であると、こういう観点からして、すでに当委員会からも非常に強い御指示がありまして、現在、防火地帯の設定、あるいは耐火建築の助成ということを進めておるわけでございます。その方針に従ってわれわれは大蔵省に最後まで予算折衝を続けたいと考えておる次第でございます。
  97. 田中一

    田中一君 これは白井さん、松永さん相談して返事して下さい。公団住宅に対しての固定資産税その他の公租公課の賦課によって家賃が高くなるという問題は、相当長い間闘争しておりましてどうやら一応建設大臣は仲介しないというし、公団側の一つの声明で一応落着しました。そこで、建設省は今、これに対する現行の利回りを四分一厘程度になっておるのを三分二厘五毛程度に引き下げようというような折衝が行われておるように伺っておるの  ですが、それは大蔵省としては承知をしており、かつ、それは認めたのでございますか。あるいは、もっと国民の要求から見て三分二厘五毛じゃなくて、三分くらいにとどめようというような積極的な考え方を持っておるのですか。
  98. 松永勇

    説明員松永勇君) 建設省から金利コストの引き下げについての要求が出て参っておることは事実でございます。私たちも、金利コストを下げるということは家賃を下げるということになるわけでございますが、来年度としてどの程度の金利を妥当とするかということも建設省と十分協議してきめたい、かように考えております。
  99. 田中一

    田中一君 公団の入居者が希望しておる安い家賃にしてくれということは、よく納得しておられるのですか。従って、低家賃にもっていこうという意欲はお持ちですか。
  100. 松永勇

    説明員松永勇君) 現在以上に家賃を安くするということは、これはなかなか金利コストを下げるという点も非常に困難な点でございますし、これはもう一つには、用地費の問題、それから建設コストの問題、そういうものが全体としてからまってくるのでございまして金利コストのみでこれを論ずるわけにもいかない。来年として特にこれ以上に家賃を下げるかどうか、三十二年度の家賃よりもさらに下げるという政策をとられるかどうかという点にかかるわけでございます。そういうことは、三十三年度の予算編成方針として十分検討された上で結論が出る。かように考えておりますが、現在私たちの作業段階では、まだそういう全体的な方針というものがはっきり出ておりませんので、そういうものの方針に照らし、また、建設省当局とも十分協議いたしまして三十三年度予算をきめたい。かように考えております。
  101. 田中一

    田中一君 根本さんに伺いますが、御承知のように、三十三年度の予算編成に当っては、公営住宅三ヵ年計画の第三期に入るわけです。今、建設省考えておられる三ヵ年の戸数はどういう程度のものを考えておられますか。
  102. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 事務当局から答弁させます。
  103. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 私どもは、先ほど石井委員からお話しのありましたように、公営住宅に重点を置くという線で予算要求いたしておるわけでございますが、三十三年度の計画は、第三期三ヵ年計画の第一年度に当るわけでございます。三十三年度予算要求しておる根拠からいたしまして、ただいま十九万三千戸という案を持っておるわけでございます。しかしながら、この十九万二千戸につきましては、まだ大蔵省当局とも十分打ち合せが済んでおりませんので、来年度の予算の決定とほぼ同時にこの三ヵ年計画の戸数も具体的には決定いたしたいと、かように考えております。
  104. 田中一

    田中一君 松永さんにあまり聞いてもしようがないのだけれども、あなたは、政策がきまらなければ何とも言えませんという答弁に尽きてしまう。しかし今ここで申し上げているように、国民は低家賃でよい住宅を求めているということはこれは間違いないのです。白井さんもさっき石井君の質問に答えて、はっきりとそういう方向に向うように努力するという御答弁をしているから、まあその程度にしておきますけれども、少くとも具体的な形が三十三年度の予算に出なければ、また自民党の内閣というものは国民をだましたということになるのです。これはもうだれも、今まで鳩山さんが内閣を組織して以来というものは、住宅々々といいながら住宅が完全にできたことはないのです。これはもう、一つの国民の思想ですよ。またか、ということになるのです。そこで、根本さんは相当政治力も強いから今度はだまされんだろうというので野党でありながらその考え方、政策に対してわれわれも協力をしておるんです。ところが、一面、新聞で見ますと、三十三年度の自然増によるところの剰余金ですか、三十一年度来から持ち越されているこの約一千億のうち、四百三十六億は財政調整資金にとっておこう。そうしてそのあとのものを道路整備に使うと、これははっきり言っている。道路整備に充てる。それから中小企業対策に充てよう。それから科学技術振興に充てよう。こういう三つの柱を打ち出しておるのです。緊急な住宅対策として、鳩山内閣ができて以来というもの——これは根本さんも官房長官として二年間歴任したのですから責任が大いにあります。そうしていながら、ここにもう一つ公営住宅も建てるのだという柱くらい立ってもよかろうと思うのです。それが出ておらない。なるほど、道路問題も根本さんの方の主管でありますから、片一方のほっぺたはほくそ笑んでいらっしゃるでしょうけれども、もう一つのほっぺたの方もほくそ笑まなければこれはだめなんです。これは、ことに根本さんの責任です。鳩山内閣が大きな数字をあげて国民にアッピールし、そうしてだまされたのは国民だ。この際四百三十六億というものを財政調整資金としてとっておこうなんというようなけちな根生を捨てて、そうしてどうか一つ、もう一つ道路整備という第一の柱に続いて、第四の柱に公営住宅というような面を打ち出すことができないかどうか。これは大臣に伺います。
  105. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 住宅政策に重点を鳩山内閣が指向し、引き続いて石橋内閣においてもこれが推進されて参っておるわけです。これに比べますというと、道路関係が非常におくれておりまして、日本の経済発展の険路であるのみならず、当面、問題になっておりまする輸出振興の面におきましても非常にこれは大きな険路になっております。こういう観点からして、道路政策を強く打ち出し、幸いにいたしまして政府与党においてもこれが認識されて、これに重点を置くということになってきたのでありますけれども、これは決して他を犠牲にするという方針ではないと私は信じております。公営住宅の問題についても、すでに前から決定しておりまする方針に従ってこれ一は漸次年度別に充実していく。こういう方針でございますので、この方針によって明年度の予算要求に当りましても従来よりは公営住宅、特に低額所得者に対する施策をさらに強化して要求していきたい、こういう次第でございます。
  106. 田中一

    田中一君 松永さん、今、大臣答弁を聞きましたね。そこで三十三年度予算編成に当っては、根本建設大臣考え方を相当尊重するつもりですか、つもりでございませんか。(笑声)
  107. 松永勇

    説明員松永勇君) 予算は内閣においてきめられ、閣議で決定されるのでございまして建設大臣もその一員としまして方針がきまるわけでございます。私どもは内閣の方針に従って作業をいたすものでございますので、内閣の方針通り予算編成いたしたいと、かように考えております。
  108. 田中一

    田中一君 もう一つ根本さんに伺いたいのですが、先ほど石井委員が読み上げた住宅建設促進大会、この大会の六つの決議事項というものは、社会党が二十六国会において提案しておりますところの法律案を自民党がのんでくれますと、これは全部完全に実施されるというものなんです。そこで臨時国会でも、二十六国会でも申し上げたように、社会党は少数だから社会党の政策はどうでもいいんだというふうにお考えにならずに、低額所得者に安い家賃の家を提供するんだなんというけちな考えをやめて、国民全部が生活できる収入にして、そうして機会を均等に与える、収入が少いから低い家賃だなんというきめ方をしないで、国民全部が安い家賃の家に入れるんだというような政策を打ち出すことが一番正しいものだろうと思います。これには社会党が提案しておりますところの法律案を十分にお読みになって、これは植田局長も……、われわれ社会党としては何も住宅政策というものは社会党の専売特許ではございません。鳩山内閣の専売特許でもないのだから、よいものはよいのです。で、三十三年度でいろいろな政策をお出しになると思いますけれども、その中でも社会党のいいものは取り上げて、勇気をもって実施するような意欲が望ましいと思うのです。今、石井さんが読んだこの決議というもの、これを具現するには社会党のわれわれが出しておりますこの法律案も自民党が賛成して、そうしてこの法律改正によって政府がやれば完全に解決するのです。これは決して問題はございません。同時に、白井大蔵政務次官も、松永主計官も、社会党が出しておりますところの公営住宅法の一部改正という法律案を十分に御勉強になって、そうして納得して、これはいいじゃないかということを一萬田さんにも話をして下さい。そうすると、根本さんの非常に苦しみ、そうして完成しようと思っている住宅対策というものはいち早く完成されるものだと思うのです。根本さん、社会党の出しておりますところの法律案に対する御見解はいかがですか。
  109. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 社会党において出されておる案は、国会においてこれは十分に検討されることと存じます。政府といたしましては住宅政策につきましても、先ほど申しましたような方針をもちまして、これはでき得るだけ住みよい安いものを提供するという方針には変りございません。しかしながら、これは国の財政の観点からして、たとい私が要求しても、これは個々の立場において合理性がありましても、全体の予算の問題については総額のワクが、これは限度がございますので、その間においてどう調整すべきかということが、今後予算閣議において十分に検討されて結論を出されなければならぬと、かように考えております。
  110. 田中一

    田中一君 予算措置といっても、四百三十六億という剰余金を持っていらっしゃるのだから、これを使えばいいのです。あえて自衛隊をふやすのだとか、自衛隊を減らすのだとかという公式論は申しません。現に四百三十六億という金がある、これは国民が知っています。財政調整資金というものがどういう形で使われるかは存じませんが、こういう財源があるならば、これは根本建設大臣は住宅行政をつかさどっているという点からいっても、勇気をもって進められるべきだと私は考えております。
  111. 石井桂

    ○石井桂君 先ほど田中委員質問と同じようなことなんですが、防火帯の建築補助というのはゼロ回答でないかというような心配をなさっておる御質問でしたが、私の経験によりますと、昨年はどうやら大蔵省でもその重要性を考えられたのですが、一昨年とその前は続いてゼロ回答だったのです。で、このことは、大蔵省が昨年少しでもつける意思になったということは頭の進歩だと思うのです。私は非常に、象牙の塔から出てきた学者のように、実際をよく熟知したものだと思うのですが、願わくはこの防火帯建設を促進するための防火建築促進法による建築補助というものは、これは先ほど根本大臣の御答弁にもあったのですが、火災の予防というのは建築物を耐火にすることが一番早道だと思います。私はなぜこれを主張するかといいますと、大正十二年のあの震災のときに、私の家族の大半は焼け死んでしまったのです。そこで私は一生、これは町を耐火にしたいということで今日までまじめに努力してきたわけです。死ぬまでそのつもりでおります。母親や兄弟みんな焼け死にました。そういう思いの、そういう悲しい境遇にに都市の住民を今後一人でもしてはいかぬという信念で、私はこれは必要だと思って主張するわけでありますから、幸い大蔵省が昨年防火の促進のために予算を幾らでもつけたということは、私は進歩だと思います。それをさらに御研究下さって、そうして都市が少くとも災害にたえ得るように一つお骨折りを願いたい、これは希望でございますが、最後に申し上げておきます。
  112. 内村清次

    ○内村清次君 建設大臣大蔵省関係にお尋ねいたします。二点ありますが、最近私は予算委員といたしまして地方に出張したわけですが、調査視察の項目の中に、道路整備の問題も含めて、栃木県、それから茨城、群馬、この三県におきまして知事の意見を聞いたわけです。今回政府の方で、特にまた建設大臣考えておりますこの道路整備の問題、この計画に対しまして、一級国道やあるいはまた二級国道、これを整備するために軽油引取税の譲与税、それを国家移管にするということは、地方ではどうも強い反対が述べられておるのが一点、税の面ではその点です。  それから第二点では、現に県の方で、国道の舗装、一級道の舗装、その他二級道、県道というような整備の関係で技術者が相当おる。その技術者をどうやって国はこれを使用しょうと考えておるのか。この点に疑心暗鬼があるからして、これに対して反対だというような空気が相当強かったのです。で、私も今回帰ってきて、だんだん予算の時期が近まって参りまして、地方の空気あたりを見ておったら、この問題については明らかに自治庁長官も譲与税の国家移管に対しては反対のような態度を出しておられる。これは、今あなたの方と、それから自治庁関係とは、政治問題として当然今後政策を遂行する上について、しかもまたこの特別会計も設けて整備をしようというのですから、この問題を処理しなくちゃならぬと思いまするが、これに対する大臣はどういう自信があるか、この点が第一点。それに対して大蔵省は、これもまた大蔵大臣の政治的な問題にはなるだろうと思うが、大蔵省としましても、一体これはどういうふうにお考えですか。この点を一つお尋ねしたい。  それから第二点は、先ほどからこの公営住宅の問題については、非常な熱意ある各委員の御希望が出されておったわけですから、私もまた同意見です。これは先年の予算委員会でも特に私はこの問題は強調しておったのですが、当時その南條大臣の御答弁では、府県の方ではどうもこの公営住宅に対しては熱意がない。すなわちこの予算——自分の方のですね——国費に対して府県もやはり予算をつけなくちゃならぬのですからして、それで熱意がありませんから、自然こういう少い数字になっておりますというような答弁でした。そこで、私も本年度の府県のその公営住宅に対する希望数あたりをだんだん聞いておりましたし、しかもまた最近行きました県につきましても、また私直接関係のある郷里の県からも相当数の希望数が建設省の方には出してあると私は思っておるのです。それが一体どれくらい大蔵省が査定をするのか、また建設省がそれに了解を与えるのかというのが私たちが今後決定した予算を見て、一つ論議を集中していきたいと、こう思っておったわけです。たまたまきょうはまだ予算査定の前ですから、各委員の御熱意がここに表われたと私は思っているのですけれども、それに対してそういう地方、いわゆる府県の熱意というものがどうあるかどうか、それがほんとうにないのかどうか。この点は一つまあ事務当局からでもけっこうですから御答弁をしていただきたいと思います。以上。
  113. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 道路整備を促進するということについては、これは各方面とも非常に熱望し、また政府与党においてもこの基本方針は了解を得ておるわけでございます。これが実施に当りましては特別会計を設定し、その財源といたしまして従来のガソリン税のほかに軽油引取税をその中に入れるべきだという主張をわれわれはしておることは事実でございます。これに対しまして、地方、あるいはまた自治庁において反対の意向があるということは仄聞いたしております。これは御承知のように、現在の国道にいたしましてもこれが維持補修に当りましては、後ほど事務当局から詳細に説明させる必要がありますればいたさせまするが、ほとんど維持補修については半額国庫負担、地元が半額という状況なんです。そういう財政上の点からみまするというと、これが全部国庫で直接に維持補修をするということになりまするというと、その分が減るわけであります。従いまして、軽油引取税とバランスをとってみるというと、むしろこれによって地方財政の方はむしろプラスになるのじゃないかとわれわれは考えております。ところが、おそらく地方自治体、あるいは自治庁におきましては、それはまるまる全部政府一般会計のうちから出すと、この軽油引取税という財源は別個に地方の方において使いたいと、こういう観点から、あるいは地方財政をできるだけ豊富に自己財源を持っておきたいという意味において、あるいは御反対になっておるかもしれません。しかしながら御承知のように、現在の交通状況を見ますというと、むしろ軽油を使っておる大型トラック、あるいはバスによる道路の損耗が非常に大きいと、将来ますますこの傾向が強くなるじゃないか、してみますれば、道路整備を国策として重点的に整備するという場合になりますれば、これはむしろ軽油引取税もこの中に入れて全面的に推進した方が維持補修費も安くなるし、かつ道路が整備される。こういう意味においてわれわれはこの主張を貫きたいと考、えておる次第でございます。  それから道路整備に当って、現在各自治体において技術者を相当持っておる。これをどういうふうに活用するかという問題でございまするが、政府道路十ヵ年計画を推進するに当りましてこれが一級国道の直轄施工維持、あるいは補修ということになりますればそれに必要なる人員がまた増加されなければならぬのであります。これを政府の定員として受入れてやるか、あるいは原則として政府直轄で仕事をする場合におきましても、現在でも一部地方庁にこれを委託するという方法もあります。これはケース・バイ・ケースにおいて決定しているのでありますが、そういうことも将来において研究しなければならぬと思いまするが、政府直轄建設、維持補修するために地方の仕事がなくなる。それで人員整理をしなければならぬというような羽目には絶対にならないと考えておる次第でございます。従いまして、こういう点が漸次理解されれば、反対というものはだんだん減っていくだろう。私も実は就任以来各地を視察しておりまするが、そのつど実はこの道路整備に関連いたしまして一級国道の直轄維持管理という問題を知事並びに地方の自治体の首脳者に聞いてみますというと、これは私が聞いたからということかどうかわかりませんが、ほとんど賛成でございます。むしろこの際強力にそれを推進してほしいという意見が強いようであります。ただし、今の財源はできるだけ自分の方に残しておいて、そうして一般会計から出すようにしてもらえばなおけっこうだ、こういう議論がございまするが、そういうような状況でございまするので、これは国策として道路整備を重点的にやるということになりますれば、その認識に立っておのずからこれは解決されていくであろうということを私は期待しておる次第でございます。
  114. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 先ほどの内村先生の御質問にお答え申し上げます。現在政府施策住宅といたしましては、三十二年度におきまして御承知通り十六万九千戸持っておるわけでございます。これは建設省関係の分だけでございます。これは公営住宅と公庫の融資による自分の持ち家、あるいは給与住宅、それから政府出資による公団住宅、この三本建でやっておるわけでございます。この政府施策住宅が始まりました当初のように、公営住宅一本やりで参るということでございまして十六万九千戸というものを全部やる、あるいは大部分を公営で実施するということになりますれば、これは中央財政関係もありまして困難かと存じますけれども、現在三本建でやっております範囲内におきまして、公営住宅を少々伸ばしましたところで、それがために地方財政の理由で実行不能になることはあるまいと考えております。また現に、現在に至りましても、各地方団体から、本年度の割当戸数に余裕があるならばぜひ回してもらいたいという陳情を私ども受けておるような状況でございます。現在手持ちもございませんので、そういう御要求がございましても応じ切れない状況でございます。従いまして、公営住宅は三十二年度四万六千戸でございますが、これを三十三年度において一万戸以上も増加いたしましても、これが消化において地方財政上の理由で困ることはあるまいと考えております。
  115. 白井勇

    説明員白井勇君) 道路重点に取り上げるという考え方に基きまして、ただいま建設大臣からお話がありました道路整備特別会計の設定の問題、それに関連しまして、軽油引取税移管の問題につきましては、大蔵省としましては、予算編成全体と関連をいたしまして目下検討を加えておる最中でございます。
  116. 内村清次

    ○内村清次君 まあ検討は確かに加えていらっしゃるのでしょう。ただ、大蔵大臣や、特にまた主管大臣の根本建設大臣は、これは一つ押し通していくという決意ですな。自治庁の方とももちろん政治折衝もありましょうが、その建設省方針を押し通していくという自信があるかどうか。もちろん、これは大きな問題になると私は思っておるのです。また、国会に特別会計道路整備に対するところのいろいろの法案が出されると思いますが、これに対しましても、国会内におきましても相当な政治問題化する問題だと私たちは思うておりますが、しかし、根本としては、とにかく大蔵省の意見や、あるいはまた根本建設大臣の意見を押し通していくという自信があるかどうかですな、それまでの過程に。この点をもう一ぺん一つお伺いしておきたいと思う。
  117. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 私は、ただいま申し上げたように、押し通すとか押し通さないという表現の問題よりも、これは、現実に国策の重点として道路政策が取り上げられた、しからばそれを実施するためには、従来のいろいろの経緯があっても、それを最も能率的に、かつ、これが円満に遂行されるためには、いかなる施策をとるべきかということにおいてこれは話し合うべきだと思うのです。私は、今の段階においては、これは地方財政法及びいろいろの観点もありまするが、決してこれによって地方財源を圧迫するということにならない、総合的に考えるならば、むしろこれはプラスになる、そういう意味において御理解をいただきたい。これはできるだけその方針で進めたい。こう考えておるのであります。しかしぜがひでも押し通すとかいうような表現を今とることは私は適当じゃないと思いますから、これは十分に、予算編成に当りまして関係閣僚の方々とも十分に話し合いをして、私の構想が実現できるように最善の努力をしたい。かように存じます。
  118. 田中一

    田中一君 そこで根本さんに伺いますが、北陸地建、四国地建ということも、その決定後において考えようというつもりなんですか。根本さんの考え、現在の段階では……。
  119. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 北陸地建、あるいは四国地建は、ぜひこれは設置したい。こういう考えを現在私は持っておりまするが、それをいつ提案するかということの問題のようでございまするが、これは予算が決定いたしまして……これは設置法の改正ということになりまするので、そう早くというわけにいかないと思います。やっぱり予算の全体の見通しがつきまして、しかる後決定したいと考えております。
  120. 田中一

    田中一君 むろん、一級国道の国家管理という話し合いができてから後の問題と考えていいんですか。
  121. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 必ずしもそれが設置法改正の条件とは考えていません。それがなければ、一級国道の移管がきまらなければこれは出せないというものではないと思いますが、しかしこれがきまってから出した方が、これはどこに設置するかその範囲、それから事業量等、これが非常に設置する場合における機構、人員、これに関係いたしまするので、その意味においてこれはその後にいたす方がより適当ではないかと考えていますが、それがなければ出せないということではないと思います。
  122. 田中一

    田中一君 論理的にはそうでしょうけれども、実際においては、その問題が了解点に達しない場合には提案は見合わすという前提に立っているのか。それがもし調整がとれないでも、二つの地建は、必ず設置法の改正を提案するのだということに立っているのか、どっちですか。
  123. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 私は、現在のところそれが解決しなければ提案しないという気持は持っておりません。これは一級国道の政府移管の問題のあるなしにかかわらず、現在の状況からすればこれは提案した方がいいという考えを捨ててはおりません。
  124. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 他に御質疑はございませんか。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十七分散会    ————・————