○世
耕委員 私の聞くのは、人権を擁護する建前と、もう
一つは、
世論のつまらぬ批判を受けてかえって司法権の尊厳を傷つけるような
行為はなるべく避けた方がいいんじゃないか、こういう意味で、むしろ端的に言えば権力を悪用せぬことを注意願いたいというのが私の今の質問の要旨であります。
さらに、もう一点伺っておきたいのは、この間
法務大臣もおっしゃったし、検事総長もおっしゃったと思いましたが、逮捕あるいは証拠調べをだんだんして、最後に起訴なり逮捕の形をとっていくという経路を御
説明になつたと思いますが、たとえば眞鍋君の事件をかりに想像してみますと、もう一カ月くらい前から、逮捕される逮捕されるという
新聞記事が盛んに出ておったのです。まあ
犯罪人じゃなくても、そういううわさがたつと、もう証拠隠滅をはかるくらいのことは、人情として
被疑者としてありがちなことだと思うのです。眞鍋君の例を
一つとっては失礼になるのですが、実例として申し上げますならば、もう一ヵ月も前から逮捕するぞ逮捕するぞと言うておったくらいだから、十分証拠資料を集めておったのではないか。集めておったんなら、むしろ逮捕、勾留する必要はないんじゃないかというふうに実は考えられるのです。そういう点はどういうふうに判断していいのか。逮捕それ自体が、証拠隠滅ということを防止するための逮捕勾留であるなれば、かえって人権をじゅうりんした形という結論が出るのではないか。この点はどう判断していいか。これも世間に
一つの誤解を起しておる。ただ単に突然逮捕されるというならいざ知らず、
新聞では一ヵ月前から逮捕されるだろうということが盛んに書かれて聞くところによると、
新聞記者から追い回されていたようにも、ラジオであったか何かの座談会で本人も言っております。むろんそうだと思います。それが事実だとすれば、検察庁側は相当の資料をすでに収集されておったのではないか。その上に逮捕しなければ証拠隠滅のおそれがあるというようなことは、考えられないのである。
国会議員としての地位を持っておる人を扱う上において、その点が少し軽率ではなかったかというふうに実は私は考えられるのです。また
世論もそういうふうに見るのでありますが、この点はどういうふうに……。私は
捜査内容についてお聞きしようと思わないが、過去にとった扱い方について少し行き過ぎた点があるのではないか。あるいはどうしてもそうしなくちゃならなかった何か特別な事情があるなら、これはいたし方ない。この点について、少し人権上の建前から御
説明をしておいていただきたい、こう思うのです。