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石谷政府委員 先ほども
石山先生のお尋ねの中にもあったのでございますが、私
どもといたしましては、やはり本来的な
需給の不均衡を極力その幅を狭めて参るという努力は長年にわたって今後も続けていかなければならないと考えておるわけでありますが、何と申しましても与えられた山林
地域というものはもうすでに限界があるわけでございます。それから先般も御
説明申し上げましたように、よく二千五百万町歩の
森林といいながらも、人間の手で植栽し培養して参るということの可能な
森林はそのうちの四割五分、一千百万町歩しかない、こういうことでありますので、どうしても今までのような
考え方でやっておりましたのでは
需給の本来的な不均衡はもちろんのこと、さらにその幅を縮める努力というものもなかなかむずかしいのではないか、このように考えるわけであります。そういたしますると林地の合理的な利用をもう少し積極的に取り上げていく
考え方のもとに仕事の再検討をいたして参る必要があるというふうに考えるわけであります。従って従来植栽林を仕立てる場合においては、三十五年ないし四十年が一周期、これは絶対かかるのだという一種の宿命的な観念からみずから離れて、できるだけ短期間に林地が回転するように、今後の
木材利用の動向は、従来通りに、必ずしも質をとうとぶ方向ではなく、量的な
生産に主目的を置くということになっておる現況からいたしましても、そういうことが可能になって参ったのであります。従って三十一
年度からは新しくおくればせながらも林木の品種の改良事業等も予算化して、量の拡大とあわせて質の問題の解決をはかって参る。できるだけ一林地の
生産期間を縮めて、いわゆる短伐期育成
林業が可能な
地域に対してはその達成を考えていく、こういうことを民有林対策の中でも進めようとしておるわけでございますが、そういうことにあわせて
国有林野事業そのものの中にも、それと同じ
考え方によって再検討いたさなければならぬものがあるわけであります。従って私
どもは、この機会に北海道といわず全国の
国有林についてそういうことの検討をいたし、経営の方針等について改むべきは率直に改めて、時代の要請にこたえるような
措置をいたす、こういうことでかねてから検討をしておるわけであります。北海道は
昭和二十九年の秋にあの大風害が発生して、その冬以来
計画的にこれを処理するということで、二十九年から三十二年に至る四
年間計画のもとに、大体本
年度をもって終るわけであります。従ってこれが終った
あとを一体どうしたらよいかということが差し迫った問題として登場してきたわけであります。北海道
国有林においては、天然力を利用して伐出をする方式が長い間とられておったわけであります。従って冬の雪上
伐採をして、春の雪解けを利用して下流にこれを流して参る。要するに水流を利用して伐出をする。ところがこういうようなことに主たる
生産手段を依存しておったのでは、あの膨大な処理はできないということからいたしまして、あの期間中に相当組織的、しかも
計画的な陸送手段の開設に努めたわけであります。同時に従来は
生産の八割五分までは冬山
生産ということであったのでありますから、夏山の労務の経験もなく要員もないという
状況であったのでございますが風害の整理期間中に夏山の労務も確保できる、さらに夏山の事業というものにも習熟して参る、さらにこれらを行う
意味においてかなりの機械化も進んで参るということでございますので北海道
林業を今後考える場合の
生産量の基礎づけというふうなものは、風害前と今日とでは大きく様相が変っておる。こういうものの上に乗って
林業経営の今後の方針をさらに近代化する、高度化して参る必要があるということが、北海道の林木増強面からながめた
一つの客観的な基礎でございます。あわせて北海道の
国有林は二百三、四十万町歩のものを持ちながらも、わずかに造林というべきものは四、五万町歩しかない。
あとの九十数%は全部天然である。ところがあの風害によって二十五万町歩の裸地というものが生じたのであります。それはそのまま人工植栽をもって埋めるというわけに参りませんが、その中の約半数に近いものは植栽でもって埋める。要するに北海道の山自体に対しても積極的な増林事業が推進されなければなりません。またし得るということに基きましてそういう要素をもとにいたしまして、今後北海道の
国有林経営の仕組み方を再編成をしようというのがいわば問題の骨子でございます。そこで大きく変って参りますることは、北海道の
国有林に対しましてやはり
目標といたしましては、あの天然林の四割までを、一応今のような一風吹けば何千万石もひっくり返るような老齢過熟なものから成長の豊かな若いものに切り換えていこう、要するに従来は択伐天然更新ということにいたしまして、抜き切をしながら自然の力で次の代の
森林を長い間かかって育成していくという
やり方をしてきたのですが、そういうことではなくて、できるだけ開発作業、開発作業と申しましまても必ずしも大面積の開発という
意味じゃありません、やはり方式といたしましては開発をしていく、すなわち人工植栽をするということで、全体の
目標は一応四割を
目標にしている。それから従来林道の開設をいたしまする場合、あるいは機械の導入をはかりまする場合に、あまりにも小単位の伐出事業というものが行われておったわけでございまするが、これらもできるだけ集団化いたしまして作業の能率化運営というものが可能なような仕組み方を与えていきたい。
伐採につきましては、あるいは植栽につきましてはそういうことを基本にいたしまして、必要な機構の整備もはかりますると同時に、要員の充実をはかりまして、今日でも北海道内の
木材需要というものがぐんぐんふえていますので、これに対しまして
国有林としても十分対応する力を発揮してもらいたいということが、今御質問のありました北海道の
林業増強というものの一応の骨子であります。