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1957-11-06 第27回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月六日(水曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    加藤 精三君       川崎末五郎君    楠美 省吾君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    今村  等君       加賀田 進君    北山 愛郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         自治庁政務次官 中島 茂喜君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   吉浦 淨真君         総理府事務官         (自治庁財政局         財政課長)   柴田  護君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      奧野 誠亮君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 十一月六日  理事鈴木直人君死去につき、その補欠として徳  田與吉郎君が理事に当選した。     ————————————— 十一月五日  町村議会事務局設置に関する請願外九件(赤澤  正道君紹介)(第一号)  同外十九件(淡谷悠藏紹介)(第二号)  同外三件(大石武一紹介)(第三号)  同(大倉三郎紹介)(第四号)  同(加藤高藏君紹介)(第五号)  同外八件(亀山孝一紹介)(第六号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第七号)  同(高岡大輔紹介)(第八号)  同外一件(高木松吉紹介)(第九号)  同外十六件(千葉三郎紹介)(第一〇号)  同外十四件(内藤友明紹介)(第一一号)  同(中垣國男紹介)(第一二号)  同外一件(橋本登美三郎紹介)(第一三号)  同(福田赳夫紹介)(第一四号)  同(保科善四郎紹介)(第一五号)  同外十五件(堀川恭平紹介)(第一六号)  同(松井政吉紹介)(第一七号)  同(芦田均紹介)(第六二号)  同外二件(淺香忠雄紹介)(第六三号)  同外十九件(有田喜一紹介)(第六四号)  同(井出一太郎紹介)(第六五号)  同外三件(植原悦二郎紹介)(第六六号)  同外八件(大平正芳紹介)(第六七号)  同(大村清一君外一名紹介)(第六八号)  同外一件(大村清一紹介)(第六九号)  同外七件(河野正紹介)(第七〇号)  同(木崎茂男君外一名紹介)(第七一号)  同(小笠原三九郎君紹介)(第七二号)  同外五十八件(小牧次生紹介)(第七三号)  同外十件(小島徹三紹介)(第七四号)  同外二件(佐々木更三君紹介)(第七五号)  同(重政誠之紹介)(第七六号)  同外三件(下平正一紹介)(第七七号)  同(杉山元治郎紹介)(第七八号)  同外一件(田中稔男紹介)(第七九号)  同(田中武夫紹介)(第八〇号)  同外七件(中馬辰猪紹介)(第八一号)  同外一件(中曽根康弘紹介)(第八二号)  同外一件(西村彰一紹介)(第八三号)  同外五十八件(原捨思君紹介)(第八四号)  同外二件(長谷川保紹介)(第八五号)  同外二十四件(古井喜實紹介)(第八六号)  同外六件(福田昌子紹介)(第八七号)  同外三件(穗積七郎紹介)(第八八号)  同外一件(松浦東介紹介)(第八九号)  同(松原喜之次紹介)(第九〇号)  同外一件(松井政吉紹介)(第九一号)  同(山崎始男紹介)(第九二号)  同外七件(柳田秀一紹介)(第九三号)  同外六件(吉田賢一紹介)(第九四号)  地方交付税率引上げに関する請願今井耕君紹  介)(第一八号)  地方税法の一部改正に関する請願八田貞義君  紹介)(第一九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  地方交付税法の一部を改正する法律案北山愛  郎君外十名提出衆法第一号)  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 それではこれより会議開きます。  この際お諮りをいたしたいと思いますが、本委員会理事鈴木直人君の御逝去に伴いまして、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任をいたしたいと存ずるのでございます。これは前例によりまして、委員長に御指名することを御一任願えれば非常に幸いだと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 門司亮

    門司委員長 御異議がないものと認めまして、理事には徳田與吉郎君を指名することにいたします。
  4. 門司亮

    門司委員長 昨五日、本委員会に付託になりました北山愛郎君外十名提出にかかる、地方交付税法の一部を改正する法律案議題として、まず提案者より提案趣旨説明を求めます。提案者北山愛郎君。
  5. 北山愛郎

    北山委員 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表してその理由を御説明申し上げます。  地方財政は、一昨年来の諸施策と税収増加によって若干の改善を見ておりますが、その反面赤字解消のための著しい行政水準の低下が行われ、また公債費の増大や財源の偏在による貧富の差がいよいよ拡大をして参りまして、まだその状況はきわめて不安定な現状でございます。昭和三十二年度地方財政計画を見ましても、道路橋梁維持費不足は約百六十億円、学校校舎敷地買収費国庫補助職員単価不足国民健康保険会計への繰り入れ等、たくさんのものが財政計画算入漏れとなっておりまして、その結果として教育やあるいは消防の住民寄付へのしわ寄せが、最小限百八十億円にも達しておる、こう言われておりまして、地方団体住民とに依然として重圧を加えておるのであります。さらに明年度は、昇給財源公債費増加人口増加に伴う諸経費増加は、四百億円以上と見込まれ、税収に若干の増収があるとしても、その大半は一部の大法人事業関係の好況、設備拡張によるものであって、地方財政全体としては、依然窮乏の域を脱しないのであります。  かつまた昭和三十二年度にとられた、公債費補填のための地方交付税特例措置を恒久化する点から見ても、地方交付税の大幅の増額が必要となって参るのであります。なおこの改正案は、過ぐる第二十六回国会におきまして、与党野党がそれぞれ党議で決定された既定方針であり、地方団体に対する公約でもあり、来年度予算編成を目前にして、すみやかにこれを立法化し、公約を実行すべき段階であると信ずるものでございます。  一昨年第二十二国会におきまして、今はなき鈴木直人君が自由党を代表して、地方交付税を二八%に引き上げる提案趣旨説明を、当委員会でなされたことを想起をいたしまして、同僚諸君とともに、いまだその実現を見ないことを、深く遺憾に思う次第でございます。本改正案は、以上のように多くの論議を要しない既定方針に沿うものであり、すみやかに満場の御賛成を得て、地方財政確立のために寄与されるよう期待し、以上簡単でありますが提案説明といたします。  なお所要経費を百八億円と書いてありますが、その見込みは、本年の国税三税の収入を基準とした場合の所要額でありまして、もしも明年度税収がかりに八千億とするならば、約百二十二億円程度になる、この点を御了承願いたいと思います。  以上をもって提案説明を終ります。(拍手)
  6. 門司亮

    門司委員長 これにて提案趣旨説明は終ります。     —————————————
  7. 門司亮

    門司委員長 これより地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。中井君。
  8. 中井徳次郎

    中井委員 明年度予算編成につきましては、ぼつぼつ政府におかれても準備をされておると思うのでありますが、ただいま自治庁からでございますか、「昭和三十三年度予算編成関連する地方行財政制度及び運営に関する措置要領」というふうな参考資料をちょうだいしたのでありますが、こういうものに関連して二、三点、これまでの経過からかんがみまして大臣にお尋ねしたいと思うのです。  今ちょっと拝見しただけで、詳細なことは検討してからお尋ねしますが、根本的な問題として、毎年々々地方財政計画というものがこの委員会に出されますが、その場合にいつも問題になりますのは、本委員会で審議をいたしまする地方財政計画というものと現実決算というものとの間には非常な開きがある。大体、少くとも一割以上の開き方です。こういうことでは困るじゃないか。現実の問題といたしましては、それは私どもは各府県市町村予算のこまかいところまで干渉をしたり命令をしたり、そういうつもりは何もございません。従いまして、差異はあるのが当然のことでありますが、しかし毎年一割ずつも決算においては多い、こういう問題があるのです。そうして例の非常な問題となりました地方財政赤字というような問題も、これは一年でぽかっと五百億、六百億の赤字が出たというのではございません。これは大臣もよく御案内の通り、大体一年百億程度で五、六年で六、七百億になった。こういうことになりますると、実際の赤字は全国の都道府県や市町村予算の総計の比率から考えますると一%程度であります。それが重なってあれだけの赤字になった。そして政府国会に報告しなければならぬという義務を持っておりまする財政計画においては、一年で千億の相違がある。私は、ここに非常な問題があるのじゃないかと思うのであります。そこでこの要領を拝見しましたところが、一向そういう問題については触れておられません。私は、やはり予算決算との間にそう一割もの差があるようなことをそのままほっておくということは、正常な姿ではないと思いますので、基本的な問題でありまするが、この点についての大臣の率直な気持を伺っておきたい。それから、こういうものについてどういう措置をとられていくつもりであるか。大蔵省との折衝においてあまり大きな数字を出すと工合が悪いとかいいとかいうような、いろいろ技術的な問題もありましょうけれども、しかし五年も十年もこれだけの差があるということになりますると、これは天下周知の事実になっておるでありましょう。そういう意味からいって、もう少し実情に合ったものでなければならぬと考えまするがゆえに、この基本的な問題について大臣の見解を伺っておきたい。これは予算編成の基本的な態度として、私は重要であると思うのであります。
  9. 郡祐一

    郡国務大臣 仰せの通りでございまして、財政計画に可及的正確な見込みを織り込んで参るということは必要だと存じます。それで決算等につきましても、市町村等についての見込みがとかくおくれがちでありますために食い違いを生じておりまするけれども、一応そのような輪郭を作りまして、おっしゃる通り財政計画というものが大事なめどであり得ますように実情に合せたい。従いまして、第二、第三の作業ではもちろん若干の決算との相違というのは起るはずでありまするけれども、そういう開きはなるべく少くするように、従いまして従来よりも作業は綿密に今後何回もいたして参ろう、このような工合に考えておる次第であります。いい御注意をいただきましたし、私自身も考えておる点でありまするから、御趣旨に沿うようにいたします。
  10. 中井徳次郎

    中井委員 この点、大臣のお気持もわかりましたが、どこにそういうふうな食い違いが出ておるか、その原因について、これは政府でわかっておると思いますので、ちょっと伺っておきたいと思うのであります。  今、大臣予算委員会に呼ばれているそうでありますので、それでは私の質問を保留しまして、あとだいぶありますから、お済みになったら……。
  11. 柴田護

    柴田説明員 数字のこまかい点でございますので、私から便宜御説明申し上げます。  地方財政計画現実財政がいろいろ食い違っておる。その中で理由の明確なものにつきましては、それはそれでいいのでございますが、理由の明確でない食い違い、あるいはまた逆に明らかに間違っておるといったようなものがある。こういうものは直していくことが必要なのでございますが、一つ現実財政との大きな違いは、給与費につきましては大体直って参りましたし、ごく一部の特殊な団体給与差というものが財政計画決算との差となって現われてきているのが実情でございます。けれども、非常に大きく違いますのが維持補修費、これは去年の昭和三十二年度財政計画の御説明の際にもまだ足らぬということは私たちも申し上げておったのでありますが、これがどうしても足りません。これは明白であります。  それから第二点といたしましては、投資的経費全般につきまして、非常に財政計画上の計上の仕方が足らない。それが現実におきましては過重な寄付金あるいは負担金といったような形において実行されている。決算面に現われて参りますのは、それは投資的経費増加と、歳入面におきましては雑収入の増加という形でその点が現われて参っております。  それから第三点は、国庫補助負担事業につきまして継ぎ足しの問題がいまだに消えない。一番はなはだしい事例は国庫補助負担職員石炭手当寒冷地手当の問題でありますが、この石炭手当寒冷地手当というものが国庫補助基本単価に入っていない。われわれは入っていないと思うのでございますが、主務省に言わせますれば全体として入っているというようなことであります。この間の争いは水かけ論になっておりますが、単価全体として見ました場合には、何としてもその間に非常に大きな開きがあるということは、やはりそれは基礎に入っていないということであります。そういうようなものの国庫補助負担事業継ぎ足し分が、決算面におきまして財政計画上のずれとなって現われて参っております。こういうようなものが大体おもなものじゃなかろうかと考えております。
  12. 中井徳次郎

    中井委員 今の説明大体想像通りでありますが、特に一番最後に柴田君の言われた国庫補助職員に対する国の経費計算の仕方が足りない、あるいは落しておったというふうなことについては、全く私は皆さんの怠慢といいますか、事務的な欠陥といいますか、こんなものは早急に修正をしてもらいたいと思います。それから第二の投資的経費については、これは意見の分れるところではありましょうけれども寄付金を取ったり負担金を取ったりして仕事をするということについては、ここ二、三年間特にこういうことはだれもやりたくないことはわかり切っておりながらこれをやっておるのでありますから、必要という面においては、私はかなりの重要度のものばかりであろうと思うのでありまして、こういう点につきましてもはっきりとしてもらいたいと思います。  それから大臣来られませんから、その間にちょっとこまかい点で事務的な点を伺っておきます。当面の問題として年末手当の問題がある政府は〇・一五だけふやすということ、これは仲裁裁定ですか、人事院の勧告ではっきりといたしております。これについて地方公務員は、もとより国家公務員との間に区別をつけるべきでないという大原則から言いまして、当然政府としては財政措置をすべきものであると私は思います。官公労その他の組合、団体におかれましては二ヶ月分を今要求されておる。この中にあって、せめて〇・一五の点については当然に国がめんどうを見なくちゃならぬということになっておると思いますが、今どういう折衝経過でありますか、その辺のところを事務的に一つお答えをいただきたい。
  13. 柴田護

    柴田説明員 お手元に配付いたしております資料通り、〇・一五カ月分の期末手当を増額いたしますに要する経費交付、不交付団体を突き込みまして、一般財源で三十三億四千五百万円、交付団体で二十五億七百万円でございます。この経費につきましては、先般の閣議決定では大体政府職員につきましては、節約によって支弁をするという方針決定されました。地方団体につきましても同様の方針で極力節約によって支弁するということになっておりまして、そういう方針でこの際はやっていきたい。ただし勘定書き勘定書きでありまして、これは財源計算の方におきましては、財源計算に入れて参らねばならないものでございますので、将来におきまして財源計算に入れまして始末をする、こういうことで現在進んでおります。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 柴田君に聞いてもしょうがないんだが、今の地方財政節約せいというが、何に節約の余地があるのか。何を言っておるのですか。これはもう問題になりませんな。これは大臣が来てからもう一ぺん聞きますが、それだけははっきり言っておきます。  次に再建整備関連の問題でありまするが、再建整備については私ども社会党といたしましては、あのような苛酷な条件ではいけないというので、修正案を毎国会出しておるわけでありまするけれども、どうもやはり現実の動きを見るというと、再建団体につきましては昇給の個々の問題についてまであれこれ非常な干渉を中央がする。中には少し金が余ったからよけい再建債を償還しようというと、ちょっと待て、返しちゃいかぬ、それはまた別途積み立てておけというようなことまでやる。一体右を向いたり左を向いたりして、一向どうも、この辺についての考え方の統一はない。赤字になった根本原因はいずれにありやということについても、これはほとんど今日国の責任であったということは明らかであります。そういたしまして、まあそればかりではない、多少当該の団体にもあるということにいたしましても、そういう責任は特に職員あたりには何もないはずであります。そういうことに関連をいたしまして、再建団体昇給あるいは旧に復するという形、これはまた非常に押えられておったのを、せめてもというような形、こういうものについてことごとく干渉して、そして一向にまだ昇給率やあるいはベース・アップというものについては決定を見ておらぬという面が非常に多いように思うのでありますが、こういう点についての実情を調べておったら一つまず伺っておきます。現在どういう情勢にあるかということを御説明願いたい。
  15. 柴田護

    柴田説明員 所管が若干違うのでありますが、かねて私が承知いたしておりまする限りのことを申し上げますると、財政再建団体につきましては年度の中ごろ、九月ごろから再建計画変更をそれぞれ持っております。この変更に際しましては、旧来の財政再建計画の中で本年度なお赤字が出る、再建計画上当然に予定された赤字があるわけでありまして、この赤字解消というものをまず考える、それから増加いたしました一般財源につきましては、前に御説明申し上げたことがあろうかと思いますが、大体四割、六割の線を一応原則として実情に応じて修正をして参るわけでありますけれども、それを原則として財政再建計画変更を承認する、こういう線でやって参っているわけであります。なかんずく、本年度におきましては給与改訂が行われましたので、給与改訂によって財源がどう動くかというので非常に大きな因子になっておりますから、その点も再建計画変更に際しましては十分慎重に検討をしておるのでありますが、全般的に申し上げますと、今までの財政再建計画変更につきましては、大体従来の計画で非常にしわが寄っている部分、たとえば宿日直手当が非常に低いとか、あるいは超過勤務手当が十分に出ていないというようなものにつきましては、これは可及的にそれを復元すると申しますか、正しい姿に持っていく、こういうような格好で再建団体の方も留意いたしておりますし、また再建計画変更に当りましてもそういう点に留意をして、審査をいたしておるわけでございます。給与改訂につきましては、給与改訂の結果、つまり俸給表の結果というものがどういう工合に将来に影響を及ぼすかというような問題と、給与改訂の本筋というものから考えまして、その再建計画が将来どういうような影響を及ぼすかということでもって審査をして参っておりますが、この点に関しまして団体間においていろいろ問題が起っておりますことは御承知の通りであります。ただ全般的にながめて参りますと、再建団体全般につきまして、いろいろ一人前の自治団体として十分な財政面運営ができるかどうかという面につきましては、なお問題が残っております。再建団体におきましては、財政再建債の償還ということの別途の問題があるわけでありまして、勢いそういう部分にはある程度しわが寄るということはやむを得ないのでありますが、全般的には去年立てました財政再建計画と比べますと、非常に財政的には中身はよくなってきておるということがいえるかと思うのでございます。しかしもちろんまだ完全に正常な団体としての復元はできてはおりません。この点につきましては財源の増強と相待って、将来これをすみやかな機会に直していくという方向をとって参る。こういう方針財政再建計画の現行の審査に当っております。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 大臣がいませんから私この程度にしまして、全部、今御質問を申し上げた年末手当の問題、再建団体職員の処遇の問題等についての質問は保留をいたしまするが、一つだけ、この再建団体のやり方について、私もあの法律は反対でありましたのであまり詳しく読んでもおりませんが、どうなんですか、昇給なんかについて一々自治庁がああせい、こうせいと言っておりますようでありますが、地元の府県知事あるいは市町村において勝手にどんどんやっちまったら違法になるのですか。私は別にかまわぬと思っておるのですが、どうなんですか。その点だけちょっと伺っておきます。
  17. 柴田護

    柴田説明員 昇給そのものにつきまして、昇給中身まで再建法が一々規定するわけではございません。ただ昇給した結果が財政的に、財源的に再建計画をオーバーする支出になったという場合におきましては再建法違反になります。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 みんなそういうものをオーバーせぬという自信を持って私はやっておるのだろうと思うのです。それを勝手にオーバーするに違いないとか、そんなことするとこうなるだろうとか、全くどうも、今も委員の中で柴田君はあれは大蔵省の人かといって私に聞いた人があります。これは非常にのんきなことを言うておるようでありますが、私は本質をついておると思うのです。これだけ申し上げて、大臣が来てから私また質問を続けます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 私も二、三事務的な問題をお伺いいたします。先ほどの質問にありました本年度の年末手当の〇・一五の財源の問題ですが、先ほどの柴田さんのお話ですと、地方財政計画変更はやるのだ、こういう趣旨にとれるのですが、財政計画変更をやるのかどうか。あるいはまた別に国の方から財源措置をしないでかりにやるとするならば、特別交付税の算定上考慮するというような措置も一応考えられる。そういうことをやるのかこうか、この二点についてお伺いいたします。
  20. 柴田護

    柴田説明員 財政計画が直りませんと、特別交付税でかりに見るにいたしましても見る用意が出て参りません。特別交付税財源配分上考えるということならば、金額が非常に少い場合はまあいい。たとえば薪炭手当のように、予算が二、三億というようなものならば、その間につっくるみ計算ということも可能でありますが、年末手当のように大きな額になって参りますとそういうわけには参りません。従いまして財政計画を直して財源手当をして計算をしていくという手続をとらざるを得ないと思うのであります。先ほどちょっとお答え申し上げましたように、現在は国家公務員につきましても経費のやり繰りでやるのだから、地方公務員につきましても同様な方針をとる、ただし勘定勘定でありますから、勘定書きは明確にする、将来の機会においてその財源手当はする、こういう方針でやっておるのでございます。
  21. 北山愛郎

    北山委員 次に明年度地方財政計画ですが、普通であれば大体前の年の九月ごろには大体の概算というものが発表されたのが従来の例でございます。ことしはどうもその点がはっきりいたしておりません。それで一体来年度の新しい財政需要額というものはどの程度になるのか、どういう項目がどの程度になるのか。特に公債費問題等についても、資料によるといろいろな数字が出てきておるわけであります。われわれも判断に苦しむ場合もあります。ことに地方財政再建促進法による再建債の償還、これが始まるわけでありまして、この金額がどの程度になるか。そういうような来年度の新規財政需要額というものが、各項目について大体どの程度に見込まれておるか。これは政府の公共事業費なりそういうものが確定をしなければ結論が出ない。あるいは税収等の関係もあるでしょうが、今明らかになっておるその新規財政需要というものはどういう項目であり、大体どの程度の金額であるかということを御説明を願いたい。
  22. 柴田護

    柴田説明員 昭和三十二年度計画に対する増減額、ごく大ざっぱな、まことにあらい見込み額を、私たちの方で今頭にあります計数を申し上げます。  その前に財政計画、収支見込みを従来は早く出しておったのに、ことしはおそいではないかというおしかりでございますが、一つは経済がいろいろ変動しておりまして、税収入の見通しがつきません。これが一つの大きな原因でございます。その関係から計画の立てようが実はなくて困っておるというのが実情でございます。本年度財政計画を基礎にして経費を推算いたして参りますと、今のところ給与関係経費と恩給費とを合せまして大体二百二十億程度のものが出る。ただしこの中には現在問題になっております恩給制度の調査会、これによる文官恩給のベース是正という計算は入っておりません。これがかりに一万二千円ベースから一万五千円ベースくらいに上げるということになりますと、そこに二、三十億の財政需要が出てくるのではないかという心配をいたしております。  それから公債費の増につきましては、これも詳しい積算を、今各地方団体現実について調べております。大ざっぱに言いまして八十億程度いくんじゃないか、これには財政再建債の償還は入っておりません。財政再建債の償還につきましても現在調査中でありますが、これは元利合せまして七、八十億程度のものが別にあるのではないかと思っておりますが、これは詳しい積算は目下いたしておりません。  それから先ほどの提案理由の御説明にもありました道路、橋梁の維持補給費でありますが、これにつきましては、本年度計画で御説明申し上げましたように、全部の道路の六〇%程度に年間三センチ程度の砂利をまく、こういう最小限度の維持補修費でありますが、この計算をいたして参りますと、なお百六十億円程度足らぬというのが出て参りまして、これはどうしても直さなければならぬ経費であります。  それから人口増加に伴う経費、来年は八十万くらいの人口がふえますが、それに伴います物件費、高等学校の生徒の増、こういうものを計算いたしまして、法令改正、これは主として戸籍の関係でありますが、こういうものを入れて参りますと約四十億くらいのものが出てくる。  それからPTAと消防でありますが、この二つの税外給付金、税外負担金中身をいろいろ洗いますと、たとえばPTAの負担金のようなものはPTA自身の会費めいたものもありますし、その団体が必要をこえて、つまり学校経費ではありますけれども、通常の水準をこえてやっておる、任意にやっておるもの、こういう経費をふるい落しまして大体百億ちょっとのものがかかります。消防の給付金、これは全然わかりません。今調べておりますが、この関係で二、三十億のものが増、こういうふうに考えておりますが、この二つの税外負担はどうしても解消せざるを得ない。そのほかに下水とか屎尿処理——下水につきましては十カ年計画があります。屎尿処理につきましては、例の東京湾と大阪湾の海洋投棄の禁止という問題があります。こういうものにつきまして地方負担を計算して参りますと、まあざっと大ざっぱに申しまして、百五十億程度のものが要るじゃないか。それから道路十カ年計画の中には単独事業というものが入っておりません。一応の見込みとして道路十カ年計画に立てられました単独事業、つまり道路の十カ年の修築計画から単独事業を引いたものが、これが道路十カ年計画として建設省で策定されておりますが、その十カ年計画で引かれた単独事業というものが、四千五百億くらいあります。これを十カ年に割りますと、年間に四百五十億くらい要るということになります。このものを基礎にいたして計算して参りますと、やはりその関係の道路、つまり国庫補助の対象にならない、いわば一級、二級国道、及び主要地方道以外の道路、この道路の維持補修費なりが、相当の額に結局なるわけでございます。そのほか高等学校の改築のような経費もありましょうし、そういうようなものを合せまして、大体二百億程度のものは要るのじゃないかという考え方をいたしております。  なおそのほかに期末手当増加、これは既定計画に入っておりませんので、その関係が先ほど申し上げましたように、三十三億あるわけであります。そのほか生活保護費とか、公共事業費とかいったようなものの地方負担の増があるわけでありますが、これはどの程度になるかわかりませんので、国庫補助負担事業決定を待ってやる、こういう格好になろうかと思うのであります。現在わかっております大体の経費のあらましと申しますのは、その程度でございます。なお精査検討して参りますと、この計数も相当動くものというように考えております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 それではその問題はできるだけ早く、来年度地方財政の需要額がどの程度になるかということについての作業をお進めを願うことにいたしまして、次に国民健康保険の財政状態について、自治庁は調査の結果を発表したわけでありますが、それによりますと、たしか五十億くらいの赤字があるのだというような結果が出ておりまして、しかも一般会計の方からは、昭和二十八年度は十一億、二十九年度は二十五億、三十年度は三十一億、三十一年度は三十三億というように、累年一般会計から国民健康保険の一般会計に繰り入れる額が増高して参っておるわけであります。この面からの地方財政に対する負担もばかにできないという数字が発表の中に出ておりますが、特に結論が書いてありますが、国民皆保険の実施に関連して、いわゆる療養の給付というものを現在の五割から七割に引き上げるということにいたしますと、これはえらいことになるのだ、地方団体の純負担というものは、さらに百億くらい増加するのだ、こういうことであるからというので、この国民健康保険の現在の財政状況、赤字の状況、こういうものを解決しない限りは、国民皆保険もむずかしいのじゃないかという否定的な見解を述べておられる。ことに五割から七割給付に上げるという点については、非常に困難な見解を発表されておるわけでありますが、一体市町村がやっておる国民健康保険の財政について、これを厚生省といいますか、担当の厚生省側のいわゆる国庫補助金によってやらせようとするのか、あるいはまた地方財政における一般会計等においても、ある程度にはこの国保の会計について補完的な役割、現在やっておるような役割を認めていくのか、こういう点については一体、先ごろの発表と関連して、政策的な問題もあるかもしれませんが、部内における見解はどうなっておるのか、その点を承わりたいのです。
  24. 柴田護

    柴田説明員 この間発表いたしました「国民健康保険事業の現況と問題点」という刷り物は、過般来実施いたしました国民健康保険実施市町村国民健康保険会計の実態を取りまとめたものでございます。この結論の書き方があるいは誤解を招いたかもしれませんが、国民健康保険を中心にして皆保険を実施していくということにつきまして、私たち別段異論を持っておるわけでもございませんで、けっこうなことだと考えておりますし、また給付率も上げるなら上げるのもけっこうなことだと考えております。ただ国民健康保険の性格から申しまして、これは本来北山先生とは意見を異にするかもしれませんけれども、やはり国民健康保険の給付会計については独立採算制でやるべきではないかという見解を私たちは強く持っておるわけでありまして、そしてまたそれが絶対不可能かといいますれば、不可能ではないと考えるのであります。国民健康保険を全般的に全市町村にやるという段階に達しますれば、またここでおのずから別の考え方も出るかもしれませんけれども、現在の普及の段階におきましては、やはりまず国民健康保険を健全な運営基礎に立って、これを全市町村に普及させるというのが今一番大事なことではないか。そのためには、この際に給付率の引き上げだとかいろいろなものが入って参りますと、かえって国民健康保険会計の基礎が混乱しやせぬか。今最も大事なことは、まず国民健康保険会計の基礎を確立することだというように考えておるわけでございます。従いまして、この点につきましては、厚生省の事務当局ともたびたび話をしておりますし、その基本的な考え方につきましてはそう異なっておりません。ただ具体的に小さな問題になって参りますと、いろいろまだ折衝の余地が残されており、話し合いの余地が残っておりますけれども、現在におきましては、この調査の結果を一応基礎にして話し合いを進めておりまして、何とか来年度こそは国民健康保険会計財政基礎を確立して、そうして来年度以降においては、もう単年度一般会計から繰り入れるといったような事態は不必要だというような状況にしようじゃないかということでもって話し合いを進めておるわけでございます。なお付言して申し上げますと、実態調査の結果は、一つは事務費の単価が非常に低い。構成と申しますか、実際上の建前は全額国庫負担といいながら、実際に国から出ております金は六割程度しか出ていない。これには中身を検討して参りますと、あるいは事務のやり方、つまり職員配置でありますとか、あるいは保険税あるいは保険料の徴収といったような問題にも問題があろうかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、現在の被保険者一人当りの単価はあまりにも低いじゃないか、これをやはり正しい姿に直すことがその一つだ。それからその次には、国民健康保険事業に対する給付会計の国庫負担金、この国庫負担金の配り方にやはり一つの問題があるのじゃないか。この配り方が比較的画一的にやられますために、給付費と国民健康保険税というものとの間に、市町村によっては非常に較差がある。国民健康保険税を非常に高くとりましても、なおかつ療養の給付費というものをまかない切れない市町村があるのじゃないか、こういう市町村をやはり対象にしていきますためには、この給付費の国庫負担金というものについて、やはり独特の調整措置が要るのじゃないか。これが一般会計の調整機能によって救えるものでございましたならば、一般会計の持つ機能でもって救えるのでありますけれども、国民保険事業という事業の建前から申しまして、国民健康保険会計自体でもってまかなうという建前に立つのが当然だと思うのでありますが、その建前に立つ以上は調整機能はどうしてもこの国庫負担金に求めなければならないのではないか。厚生省は明年度は調整交付金というような構想を持っておりますが、この構想は私たちは非常に賛成をしておるわけであります。  それから第三点の問題は、保険料の徴収について保険者徴収という制度は問題がある。むしろこれは一部でやっておりますような窓口徴収というものを中心に考えていくという方向にいくべきじゃないか。でなければ、医療機関の欠損を保険者がいたずらにかぶることになりはせぬか、そういうやり方についてなお問題がないかというふうに思うのであります。なお国民健康保険税の徴収成績は最近上って参っておりますけれども、滞納繰越金の徴収成績がまだ悪いのでありまして、この方の徴収を適正化するということが必要であろうと思うのであります。  大体そういうのが実態調査をいたしました結果の結論であります。赤字が幾らあるか、赤字の見方等について厚生省となお若干意見の相違がありますけれども、今申しましたような結論につきましては、厚生省とそう大きな見解の相違はありません。
  25. 亀山孝一

    亀山委員 関連して。ただいま北山委員の御質問財政課長からお話がありましたが、国民健康保険の実態調査その他につきましては、北山委員も私もたびたびその報告を願っておるわけであります。しかるに公表されたというものをまだこの委員会に報告せられないということは、どうも私は——きょうは柴田君は悪日かもしれぬけれども、少し怠慢だと思う。今のような説明をされるのなら、ちゃんと報告を出されて、われわれによく話をしてもらいたい。きょうはなんだが、この次にはこちらにまず説明すべきなんです。きつく要求しておきますから、さよう御了承願います。
  26. 柴田護

    柴田説明員 私たちうっかり、と申しますと、失礼かもしれませんけれども、次の機会に——実は今私が申し上げましたのは、先般新聞などに出ました非常に荒いものであります。詳しい資料を今印刷しておりますので、それについて御説明をいたす機会を得たいと存じます。
  27. 亀山孝一

    亀山委員 これはなかなか大事な問題ですから、済んだことはしょうがないとして、精細な調査ができたら、いち早くこの委員会に詳細に説明してもらいたい。
  28. 北山愛郎

    北山委員 私もただ新聞等に報道されたものを基礎にしてお伺いしているので、いろいろ不明な点がありますので一つ正式な自治庁の報告をいただいてやりたいと思います。ただし政務次官もおられますので要望を申し上げておきますが、国民健康保険というのはほかの企業会計と同じように、特別会計で独立採算でやるのだという考え方は、私は検討していただきたいと思う。これは地方自治体、市町村の保健衛生事業の一部だと考えてもいい。そういう役割を果している。もしもこういうものがなかったならば、保健衛生の行政の中でやらなければならぬという面がたくさんあると思うのです。それを保険税という形で各戸から保険料をとって特別会計でやっているということは、ただ計算上明確にするためのものである。これは水道やその他の収益事業と違って全然特別会計であって一般会計はあずかり知らぬということでは、実際問題としても現在の保険財政というものは円滑に運用されない。この点は一つ再検討願いたいと思うのです。  それからなお厚生省とも交渉があるようでありますが、今御説明のあった補助金の交付の方法についても非常に煩瑣であって、翌年度に相当額が繰り越される。たしか本年も昨年の未精算がまだ十数億あると開いておりますが、そういうふうに補助の精算がおくれますと、その金は現実に払うのですから、その金の借入金の利子という点から見ましても、そうでなくても苦しい保険財政というものをますます圧迫するということになるわけでありますから、厚生省に交渉される場合においては、補助金の配分の方法についてもっと円滑に、簡易な方法で、しかもすみやかに交付をされるようにというような点を要望をしていただきたいと思うのです。  その他についてはまた報告をいただきましてからお伺いしたいと思うのですが、行政局長もお見えになっておりますので、お伺いするのですが、最近の新聞によれば、政府地方公務員法の改正案というものを次の通常国会に出したいというような御意向に報道されております。しかもその内容は停年制も含んで出すのだというふうに伝えられております。果してそういうような考えのもとに自治庁としては作業をやっているのであるかどうか。この点について行政局長から、あるいは政務次官からでもけっこうでございますが、お伺いをいたします。
  29. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 先般ある新聞で地方公務員法の改正案を通常国会に出すように準備している旨の報道がなされたのでございますが、この点現在のわれわれの考え方、態度というものをあからさまに申し上げてみますと、停年制の実施を主軸といたしまする地方公務員法の一部改正につきましては長い問いろいろ御審議をいただいたのでありますけれども、ああいうような経過で審議未了ということになって今日に至っているのであります。その後停年制を実施しなければならぬ、また実施してもらいたいというような要望は多方面から受けております。またこれに対しまして停年制というものを実施すべきではないという意味の陳情も随時受けているのであります。私たちといたしましては、現在のところは通常国会地方公務員法の改正案というものを出すということは決定いたしておりません。私たちといたしましては、仄聞するところによりますと、国家公務員法自体につきましても御承知の公務員制度調査会の答申がございまして、これを受けて政府におきましては全般的な検討を現在やっているのであります。国家公務員法自体の改正案を今度の通常国会に出すかどうかということも、いまだ決定を見ておりません。現在の段階におきましては、われわれとしては国家公務員法の改正の動向ということもにらみ合せまして、全般的に一つ慎重に検討をいたしたい、かように考えておりまして、目下のところでは次の通常国会改正案を出す出さぬというような点は考えておりません。この点はっきり申し上げておきたいと思います。
  30. 北山愛郎

    北山委員 これはまあ政策的な問題でもあり、さらに地方公務員法の改正案は、停年制のみならず地方公務員の政治活動を制限しようという意図もあるやに聞いておりますので、いずれ大臣がお見えになってからでもお伺いしたいと思うのです。  次に地方制度調査会というのが府県制度改革についての答申案を一応出したわけです。これに基いて自治庁はどういうふうな措置をするのか。伝え聞くところによりますと予算を一千万円ばかり要求をして、自治庁の中に府県制度調査室ですか、そういうものを設けたいというような計画があるようでありますが、そういうことになれば今後の地方制度調査会というものは一体何をやるか、こういう問題もあろうかと思うのです。従って地方制度調査会というものを、一体今後とも存置をしてやっていくようなことになるのが。一応府県制度改革の答申が出たのであるから、あとは一つ自治庁の中で調査室を設けて調査、研究をしていくということになるのか、これらの点について、もしも自治庁の内部においてお話が出ておるならば述べてもらいたいと思います。
  31. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 地方制度調査会の委員は先般任期が一応切れたわけでございます。今後地方制度調査会をどういうふうにやっていくかということについての御質問でございますが、現在のところでは直ちに新たにまた委員を御選任申し上げ、その御審議をお願いするということは考えておりません。地方制度改革に関する答申は先般御承知のような格好で出まして、今お話がございましたように、自治庁当局といたしましては来年度以降府県制度改革準備室という式のものを作って、そこを中心として答申案の内容、これを実際に適用した場合にどういう利害得失、問題点が出てくるかというようなことを中心点といたしまして、慎重な検討を続けて参りたい、かように考えておるのであります。ただその場合におきましても、将来この府県制度の改革をどういう構想で取り上げて参るかということは、今のところまだきまっておりませんが、その場合にはあるいは区域の問題をどういうふうに合理的に策定するかというような点について、あるいはまた調査会の御審議、御活動をお願いしなければならぬというような面が出てくるかもしれない。またさらに先般の答申にもございますように、大都市制度の問題あるいは事務配分の問題、さらには首都制度の問題というような事柄が、今後の府県制度の問題と関連をして派生的に当然起きてくるということも予想をせられるのであります。そういうような問題が起きて参りました場合に、必要に応じて地方制度調査会の御審議をわずらわさなければならぬ面が出てくると思います。その他私の方の所管ではございませんが税財政関係等につきましても何らかの御検討をいただかなければならぬような時期がくるかもしれない。そういう点で地方制度調査会を廃止するという意向は持っておりませんが、さればと言いまして、今直ちに新しい委員を御任命いたしまして、その活動をお願いいたしますという段階ではございません。しばらくこのままの状況に推移いたしまして、そのうち情勢が変って参りますればその情勢に応じて御活動をいただくということに相なるのではないか、かように考えます。
  32. 北山愛郎

    北山委員 地方制度調査会はしばらく冬眠状態に置かれるということでございますが、次にこまかいことですけれども地方自治法に関連した問題点もいろいろ残っておるのじゃないかと思うのです。昨年地方自治法の大幅な改正をやりましたけれども、多少この問題が残っておる。たとえば小さいことでありますけれども、町村の議会に事務局を置けるように認めてもいいのではないか。これは町村議会の団体の方では大いに陳情をいたしておる問題であります。あるいはまたこの前の地方自治法の改正のときに、地方職員に対するいろんな給与が法定主義になった結果として、いろいろな問題が派生をいたしました。  そのうちの一つとして同一市町村内における地域級なり、あるいは寒冷地手当というようなものが同じ市町村の中にありながら級地が違う、給与が違うというような実際上の不便があって、それを市町村限りでもって調整をしておったことが、あの自治法の改正によって不可能になってしまった。いわゆる法律によらない給与は出してはならないということになりましたから、従来やっておったことができなくなってしまったために、いろいろ給与上の不合理あるいは不便が出てきたわけであります。こういう問題については自治庁としてはどのような措置をお考えになっておるか、級地の変更、不合理の是正、こういうことをやればいいのですが、なかなかこれは進まない。いまだに合併後の市町村の中には地域を異にすることによって職員の給与が変ってきている。非常な不便なのです。小さいことのようでありますが、そういう問題もあるという点について、地方自治法の改正を通常国会に出すようなお考えを持っておるかどうか。また今例を申し上げた点については、自治庁としてはどのような御見解であるか、これをお聞かせ願いたい。
  33. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 自治法の改正問題につきましては、昨年の改正におきまして大体大筋のことは一応一段落をしたというふうにいわれておりますし、大体そう見てよいと思うのでありますが、ただ問題点が随所にまだまだ残っていることは事実でございます。当面の問題といたしましては実は自治法の別表にそれぞれ都道府県、市町村、あるいは都道府県、市町村の機関が処理しなければならない事務というものを列挙いたしておりますが、この点はどうも法律技術的な問題もございまして、法律ができまするその際にあわせて一緒にやればよろしゅうございますが、なかなか思う通りに参りませんで、おくれて参るという点も出て参っておるのであります。先般の国会通りました法律に伴いまして別表についても追加をしなければならぬ、あるいは改正を行わなければならぬというものが若干出て参っております。こういうような点につきましては目下私たちの方としても準備をいたしておりまして、最小限度こういうような点につきましては、通常国会で御審議をいただかなければならぬのじゃないかというふうに考えているのであります。ただその他の各種の問題点等につきましては、われわれといたしましても事務的にいろいろ検討は続けております。検討は続けておりますが、そういうような点を織り込んだ地方自治法の改正案を通常国会に出すかという点につきましては、まだ私たちとしては成案を得ておりません。また方針も今のところは決定をいたしておらないのであります。  ただいま御指摘になりました二、三の具体的な問題でございますが、なるほど問題のある事項でございまして、第一には町村の議会について事務局を置いてくれという要望が、特に町村議会側から非常に熾烈にわれわれの方にも出されているのであります。この点につきましては、町村合併の結果町村の人口等も非常にふえて参りまして、議会の事務自体も実質的には小さな市とあまり変らないという事態も出て参ったような点から、何とか市並みに、何も置かなければならぬというふうにする必要はないが、任意設置で置きたいところは置けるような法的根拠を持たしてくれてもいいじゃないかということで、それ自体は別に不合理でも何でもございません。十分筋の通ったことではないかというふうに考えておるのであります。ただ一般的に機構をなるべく簡素化しなければならぬという要請があって、その面の改正が行われました後でもございますので、この点だけを取り上げてやることがほかに対してどのような影響を及ぼしてくるかというような点も、一応考えて参らなければなりませんし、われわれの手元で調べましたところを見ますると、もちろん市については議会事務局はほとんど設置せられております。町村につきましては、専任職員を置いております町村を調べますると、これが六百五十ヶ町村でございまして、全体の町村数に比較いたしますると一九・三%、約二〇%くらいのところがようやく専任職員を置いておる。あとは、一般の町村長の執行機関の部局の職員がそれぞれ兼任をして事務の処理に当っておるという状況に相なっておるのであります。ただ法的の根拠はありませんが、事実上事務局の看板を掲げておる町村が、これは鹿児島のみの事例でありますが七十三ヵ町村ございます。そういう状況でございまして、果してこの段階において議会事務局を置き得るのだという根拠を法体制でやる必要があるのかどうかというような点を、実態論とにらみ合せてみても、考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思っておるわけでありますが、いずれにいたしましても、一面、先刻申し上げました町村議会側からの要望というものも、むげに理由がないということでしりぞけるわけにも参らない面も、実は多分に持っておるのであります。そういう点等の利害関係につきましていろいろ比較検討いたしまして、結論を得たいというふうに考えております。まだ現在のところでは、次の通常国会にこの点についての改正案を出すという方針決定をいたしておらないのであります。  それから給与の法定主義の結果、勤務地手当の点で、同一市町村内で級地が変って、その点いろいろ不利不便を招来いたしております点も御指摘の通りでございます。この点につきましては、前の国会で前長官が、この点の是正については一つ何とかできるだけの努力はしてみたいという旨を言明しておられまする経緯もございます。私たちといたしましてはそこにもう少し何とか改善措置を講じてやりませんと、実際問題として、大都市等につきましては、特に学校教員、義務教育職員の人事交流、転任等につきまして事実上非常な障害が起きているというような事例もあり得るわけであります。また、新市町村というものが新しくできました際に、その内部にいろいろ級地の紛淆があるということにつきましても、それが新市町村の一体性を確保いたします面から言っておもしろくない面もあることは事実でございますので、そういう点には何らか改善の措置を講じたいと思っておりますが、この点は、今お話にもございましたように、国家公務員との対応の問題もございます。また、勤務地手当についてなるべく格差を少くしたいということで暫定手当制度に切りかえられて、現在までの無級地に対しても、一番下の級地に当りまする手当を支給するというような措置も講ぜられたときでもございまするので、なかなかその実現性については困難が多いと思います。これは率直に認めざるを得ないというふうに思っているわけでございますが、ただ、級地が変っていることによって起きて参っておりまするいろいろな弊害というものは、これは事実でございまして、何とかこれはしなければならぬのじゃないだろうかというふうに考えております。今後ともその線に向って大いに努力はしてみたい、かように考えておるような次第でございます。それらの点、そのほか財務規定などの点につきましてなおいろいろ改善を要する点がございますので、われわれ事務当局で目下いろいろ検討中でございます。この取扱いをどういうふうにして参るかということにつきましては、現在のところまだ確たる方針を樹立いたしておらない状況でございますので御了承を賜わりたいと思います。
  34. 北山愛郎

    北山委員 そのあとの地域給あるいは寒冷地手当等については、これは地元の関係から人事院等には再々陳情等をしているわけでございます。ところがなかなか人事院も動き出しません。そこで自治庁の方も一つ人事院の方に勧告をして人事院の勧告を出させる、少し回りくどいようでありますが、そういう点も、市町村行政というものを円滑にする意味におきましても一応御考慮を願いたいと思うのであります。  なお、もう一点、自治法に関連いたしましてお伺いをしたいのは、自治法の第八条のいわゆる市の要件であります。それにははっきりと、「市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。」として、人口は五万以上なければならぬ、それから中心の市街地を形成している区域内にある戸数が、全戸数の六割以上でなければならぬ、商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する人口が全人口の六割以上であること、こういうように市の要件をきめてあるわけなんです。ところが、町村合併後における新しい市は、遺憾ながらこの第八条に違反している市が現実にたくさんあると思うのです。それで、一体自治法の方はこのままにしておいていいものであるか、あるいは現在市の名前を持っているが、この自治法の市には当てはまらぬような市の方をどうするか、どちらに考えているのか。これは一つの残っている問題でありますが、あえて差しさわりはないようなものでありますけれども、ともかく自治法違反が現実に行われている市というものをどこへ持っていくか、どういうものであるとするのか、この第八条をどうするか、これらについてはどういうお考えですか。
  35. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 八条は、市の人口、戸数、その他市となるべき要件を規定いたしておるのでありますが、今お示しがございましたように、新しくできておりまする市の中には、具体的な認定に当りまして、若干この要件に適合しておらないのではないかというような疑いの起きるような市があることは事実でございます。しかしこの点につきましては、われわれといたしましては、まず第一に、市の要件というものは八条に規定をいたしておりまする大体の線というものが妥当なのではないかというふうに考えておりまして、市としての資格を持つためには、少くともこの程度の列挙いたしました要件を具備いたすことが必要であろうというふうに考えておる次第であります。八条自体に手を加えるということは現在のところ考えておりません。ただ御指摘になりました新しい市等について若干どうも要件に適合しないと思われる節の認められるものがあるのではないかという点でございますが、この点につきましては、これはわれわれ事務当局といたしましても、申請書が出て参りますならば、人口要件でありますとか、あるいは連担戸数の問題でありますとか、都市的施設の問題であるとか、あるいは業態の問題でありますとか、そういう問題につきましてはやはり資料を徴しましてこれを精査検討いたしておるのであります。その資料に基いて要件に適合いたしておると認めるものについて、市としての設立をいたします手続を進めておる次第でございます。従いまして現在できております市につきましては、八条に規定をいたしております要件に違反いたしておるというものはないはずであるというふうに考えております。
  36. 北山愛郎

    北山委員 委員会の公式の答弁としては今おっしゃるようなことになると思いますが、ざっくばらんにいって、これに当てはまらぬようなものがたくさん出てきておるのです。それは自治庁資料によっても、市街地の人口が六〇%以下であるもの、こういう資料がはっきりある。そしてそれが市になっておるのですね。問題は町村合併を急ぐ余り、自治庁自体が市というものの点数を甘くして、自治法の第八条を軽く見て、とにかく合併を促進しろ、こういうことで八条に合致しないような市を乱造した、率直なところこれが現実じゃないかと思うのです。  それは過去のこととしていいとしても、やはり市と町村というものを分けてある。市というものは何である。町村というものは何である。ところが人口五万以上の町で市と性格的に一向変らぬようなものが町になっておったり市になっておったり、どうも市町村という中には、ただ一つでもって市町村というものをすべて兼ねておるというような形態が出てきておる。これは自治法の方を直すのか、現実市町村の実態というものをどういう方向に持っていくのか、これはやはり重大問題であろうと思うのです。今まで出てきた申請書はこの法律に基いて検討しているというようなことでなく、今後ともこの問題は内容的、実質的に十分検討していただきたいということを申し上げて、一応私の質問はこれで終ります。
  37. 門司亮

    門司委員長 永田君。
  38. 永田亮一

    ○永田委員 この前の国会で判定されました国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律、この法律についてちょっと御質問したいのでありますが、この法律の実態がほとんど全部政令にまかされておる。この政令が今作られつつあるということでありますけれども、この前の休会中の委員会でも亀山先生から熱心に御質問があったのでありますが、一体今どういうふうになっておるのか、まずその経過のようなことを御説明願いたいと思います。
  39. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 基地交付金に関します政令の制定がおくれておりますことは、まことに遺憾に存じておる次第であります。しかし幸いにいたしまして調達庁、防衛庁、大蔵省自治庁四者間の協議も大体まとまりまして、来週の火曜日あたりには閣議決定ができるのではないだろうかというふうに考えております。一番議論のわかれておりましたのは、交付対象の固定資産の範囲をどうするかという問題、もう一つ地方交付税交付団体交付金を交付するか交付しないかという問題、この二点であったわけでございます。来週早々に制定しようと考えております政令案の内容を概略お話させていただきたいと思います。  総額のうち十分の八の額は価格に按分して配分したい。その場合に飛行場と演習場につきましては、アメリカ合衆国の使用しておりますものも自衛隊の使用しておりますものも土地の価格に按分したい。その他の用に供しております固定資産につきましては、土地と家屋と工作物の価格に按分したい。かように考えております。その際に交付税の計算におきます財源超過額が基地交付金の総額をこえるような団体現実的には、基地交付金の総額といいますと五億でありますから、これをこえるような団体は東京都だけだという現状でございますが、こういう団体につきましては若干の減額をしたい。そしてその減額した額を他の団体に再配分したい。減額する場合にも算出されました額の二分の一の額を下るようなことはしない。少くとも二分の一の額はそういう団体でありましても交付したい、かように考えておるわけでございます。価格は国有財産台帳に登録されております価格を用いますが、都道府県知事からの報告に基いて決定をいたしたいと考えています。残りの十分の二の額は、原則として飛行場、演習場、弾薬庫のあるようなところに割増しして交付するような方法によりたい、かように考えておるわけでございます。
  40. 永田亮一

    ○永田委員 今の御説明大体けっこうでありますが、問題は今説明された十分の二にあると思うのです。五億円のうち四億円については今のやり方で一律に配分交付するというのでけっこうだと思うのでありますが、残りの十分の二の六について特に私は関心を持っておるのでありまして、この一億円についてはこの法律の助成交付金という中の助成という意味がこの中に盛り込まれなければならないと思っておるわけであります。この前の二十六国会で、前の田中長官にお尋ねしたときに、やはりそういう意味でもってやることには大賛成だという御答弁をいただいたのでありますが、長官かわられましたけれども、この点は前の長官と同じ方針だと思うのでありますが、政務次官いかがですか。それでよろしいですね。
  41. 中島茂喜

    ○中島政府委員 前の長官の方針通りにやっていきます。
  42. 永田亮一

    ○永田委員 けっこうであります。それでたとえばその中で呉市などのように、法律が制定されるまぎわに撤退したというようなところがあるわけなんです。こういうのは法律通りにやるとまことに気の毒なことになるので、こういう呉市のようなケースは、特別に考慮をされるのがいいのではないかというふうに考えるのであります。それからもう一つ、旧軍港のような特別に膨大な施設を提供しておって、それがまだ民間への転用が完全でない、そういうために依然として市の財政が独立財源が枯渇のままで重圧を受けておる、こういうような都市に特別にウエートをかけてやるのがいいのではないかと思うのでありますが、そういう点について御所見を承わりたいと思います。
  43. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 前の委員会でお話になっております点、われわれもよく覚えておるわけでございまして、そういう点につきましては十分の配慮を加えなければならぬと思うのであります。ただ具体的にどういう計算方式をとって、どういう額にするかというようなことについては話し合いをいたしておりませんので申し上げなかったわけでございます。御指摘のように撤退をいたしました当座におきましては、当該の町村の財政の上にも相当な影響を与えるわけでございますので、そういう点は十分配慮しなければならないと考えております。また今までは駐留軍が使用しておって、駐留軍が撤退して返されたけれども、しかしながらまだ他の用途がきまっていない、そういう間におきましては固定資産税はなお課されませんし、しかもまたその間失業対策の事業その他によりまして、かえって当該市町村財政負担も重くなるわけでございますので、そういうことの顕著な団体につきましては、御指摘のような方法で考慮をすべきものだと考えているわけであります。
  44. 永田亮一

    ○永田委員 旧軍港都市は前は海軍助成金の交付を受けておったわけです。辛うじてそういうことで財政の均衡を保っておったわけでありますから、こういう都市には特別に配慮をするのがいいんじゃないかと思うわけです。  それから、最後に一つだけ大蔵省の方と両方にお伺いしたいわけですが、これは本年度は五億円で、それから平年度で十億円ということが、この法律を作ったときの約束であります。しかし大蔵省の方では最近米軍の引き揚げなんかに便乗して、こういうことは再検討する必要があるのじゃないかというような、ちょっとけしからぬことを聞いておるのでありまするが、こういう点は大蔵省はどうなんですか。
  45. 相沢英之

    ○相沢説明員 初年度五億円、平年度十億円というようなお話は別に文書にはなっておりませんが、口頭のあれとしまして確かにありました。その後、と申しましても六月ですか、七月ごろですか、相当大幅な駐留軍の部隊の撤退があり、ないし見込まれておった。大体施設の評価額にしましてどのくらいが返ってくるかという点は、目下調達庁等におきまして検討しておりますが、二割以上になるんじゃないかと思われておるのでございます。相当私どもが考えておりましたよりも多い数量の施設が返還になって参りますので、そういう状況においてもなおかつ十億円を計上せねばならぬか、これは検討の必要がある。つまりこの駐留軍五億、十億の話をきめました際に、そのような大幅の駐留軍施設の返還があるということは全然予期されていなかった事情であるから、事情変更原則に従い、本件についても検討する必要があるのではないか、こういうことを自治庁に対して申しておった次第でございます。ただこの問題は、もともとこういう国有提供施設に対しまして、固定資産税相当額を交付すべきであるというようなことから発しておりますので、固定資産の計算されました税額と、それから現在問題になっております助成交付金の形での交付金額のバランスということも当然考えなければなりませんから、総額が二割から三割を割ったら、直ちにその分だけを減らすことができるかどうか、この点はなお十分に検討したいと思いますし、また自治庁当局とも話し合ってみたい、こういうふうに考えております。
  46. 永田亮一

    ○永田委員 明年度予算編成に際しては、ぜひとも初め約束した通り、十億にやってもらいたいと思うのでありますが、自治庁はこの点についてどうですか。
  47. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 今も大蔵省の側から話がありましたように、国有提供施設に対しまする固定資産税相当額を地元市町村交付するというような問題から始まった措置でありますし、そうした場合に当時三十数億というような金額も算出されておったわけであります。そういう金額から考えて参りますと、かりに相当な撤退が行われたにいたしましても、なお十億という金額が大き過ぎるという問題はあり得ない。こういうような考え方を私どもとしては持っておるわけでございます。
  48. 亀山孝一

    亀山委員 幸いに大蔵省の相沢主計官がおられますので、あなたに答弁を求めませんけれども一つ関連してわれわれの希望を申し上げたい。それは交付公債の利子の減免問題です。御存じのように今五百四十億に上る交付公債を持ち、この交付公債の税率は御存じの通りです。本年度あたりもおそらく利子の支払いは三十五億を下らざるものと思っております。これは私は当然利子は減免してしかるべきものだと思い、この前の委員会においても申し上げた。当時自治庁はこれに努力すると言いながら、いまだ何らの成果なく、しかも今度の配られた地方行財政制度及び運営に関する措置要領というのを見ますと、IIの3のところに、「地方団体が国の直轄工事に対する分担金を納付するために発行する交付公債はこれを無利子とする。」と麗々しくあげておられる。これは今までの大蔵省との折衝経過柴田君からまず伺って、それで満足がいかなければ、相沢主計官に御答弁を願いたいと思います。
  49. 柴田護

    柴田説明員 今までの経緯を御説明申し上げますが、この前の本委員会におきまする決議もございますし、私どもといたしましては、その線に沿いまして大蔵省の方にお願いをいたしております。実はこの法律大蔵省の所管の法律でありまして、大蔵省からそういう法律を出してもらうということでございますので、私どもといたしましては、改正法律案の素案のようなものを実は書きまして、理由を申しまして大蔵省の事務当局の方にぜひお考えを願いたいという話をして参っております。現在までの大蔵省の見解は、ここに相沢主計官がおられますが、交付公債の分担金というものは、すぐ納めるやつを延滞をするのではないか。延滞をするのに利子がつくのは当りまえじゃないか、こういったような御見解のようであります。私たちは性格論に対しまして、そういう延滞利子ではないということを強く申し上げておるのでありますが、まだその段階で話が煮詰まっていない。両者見解を異にしたまま折衝を進めておる、こういう段階でございます。
  50. 亀山孝一

    亀山委員 そうなればやむを得ませんから一つ相沢主計官に、大蔵当局の御見解を伺いたい。
  51. 相沢英之

    ○相沢説明員 交付公債の利子を全部まけてほしいということは、今柴田課長から答弁がございましたように、文書をもって正式に大蔵省に申し入れがございました。目下事務当局において検討しているところでございます。ただしただいま財政課長から答弁がございましたように、私どもといたしましてはおよそこういう形におきまして国が当然受け取るべき金をいわば、分轄納付するというような形をとっている以上、延納分につきましては利子をちょうだいするのが当りまえじゃないか。たとえば国有財産の払い下げをいたしました場合に、分納を認めております。その場合延納分につきましては当然その利子をちょうだいしております。また税金もそうでありまして、日歩何銭といったような利子をいただいております。そういったことのバランスからいたしましても、これは建前が一時に納むべきものであったのでありますから、それについて分割をして延納することを認めている以上、その延納期間に応じまして利子をちょうだいするのは当りまえのことではないか。特にこの点についてひどい制度をとっているわけではないというふうに解釈しております。またこの点は、直轄事業に対しましてその地方負担分が公募公債になっておるわけでございますが、これが補助事業で行われた場合に比較してみますと、補助事業の場合は地方の負担率が高く、しかもそれは地方債の形をとって、まかなわれておるわけであります。地方債は御案内の通り政府資金でも六分三厘、公募債におきましてはそれ以上の利子を払っておるわけであります。補助事業の方が地方の負担率が高く、しかもそういった金利負担も高いのに、地方負担の少い直轄事業の利子を全部負けるというのは非常にアンバランスではないか。しかも直轄事業と補助事業とは厳然たる区別がついておるわけではありませんで、補助事業が直轄事業になることもしばしばあることであります。そういったことからしましても、公募債の利子を全部負けるということは非常にアンバランスではないだろうか、こういうふうに感じております。なおこの点につきましては、部内において今後慎重に検討いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  52. 亀山孝一

    亀山委員 よく両方の御主張はわかりましたが、こうなれば一つ政務次官の政治手腕によりまして、これを希望通り解決するように御努力願うことに要望いたしまして、質疑を終ります。
  53. 門司亮

    門司委員長 午後は二時から開会したいと思います。  この際一時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩寺      ————◇—————     午後二時四十一分開議
  54. 川村継義

    ○川村(継)委員長代理 休憩前に引き続き会議開きます。  門司委員長は午後所用がありますので、私が委員長の指名により委員長の職務を行います。地方自治地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。中井徳次郎君。
  55. 中井徳次郎

    中井委員 午前中に地方財政計画のことにつきまして大臣に御意見を伺ったのでありますが、大臣はそれにつきましてはできるだけ実情に即するようにするというふうなお気持で御回答があった次第でありますが、退席されましてから事務当局の意見を伺ってみましたところが、大体この一千億に余る計画と実績の差というものの内容が、どうも大体わかっておるようでございます。これはわかっておるのがあたりまえでありますが……。そういたしますと私はこの予算決算を近づけるということはそんな非常にむずかしい問題ではないということになってこようかと思うのでありますが、ことしあたりから一つはっきりとされるお気持があるかどうか。と申しますのは、これは非常に事務的な質問をいたしておるような面があるけれども、二、三年前に国会の本会議においてもそういう意見を述べておいたのでありますが、どうも日本の今の一国の財政計画を見ました場合に、ここ数年の間は重点を国家財政に置きました結果、国の収支が黒字であるというふうなことでもって日本の健全財政を誇っております。しかしあにはからんや、それは地方財政の方で非常なしわ寄せになっておったということが数年たって明らかになった。私どもはその当時からやかましく言っておったのでありますが、そういう次第でありますから、私は問題は数字じゃなくしてその奥にある思想の問題だと考えておるのであります。そこでこの問題に関連して、さらに一つ意見を聞きたいのでありますが、いつも通常国会の冒頭には大蔵大臣予算説明があります。それに関連をいたしまして、私は少くとも自治庁長官は地方財政についても一応の説明をなさるべきである。それでないのならば大蔵大臣は単に日本国の予算だけではなくして、各府県市町村を通じた総ワクについても私は説明がなさるべきである、かように思うのであります。そうでありませんことには、一国の財政が健全かどうか、あるいは道路が非常に今荒廃して、この道路問題が今の内閣でもようやく取り上げられておりますけれども、これを解決するにいたしましても一国の財政だけではとうていこれはできる問題ではありませんので、この点は私は日本の国会一つの盲点だと考えておるのであります。そういう意味から関連をもちまして先ほどお尋ねした次第でありますが、今の内閣は今度の通常国会にそのような意思がおありかどうか、私はあって当然しかるべきものだと思うのでありますが、今日の状態において郡さんのこの問題に関する率直な意見をこの際伺っておきたいと思います。
  56. 郡祐一

    郡国務大臣 お話の通り私も、とかく国民所得に対比して考えますものは国の財政でありますけれども、むしろ問題は国の財政と相並んで地方財政、さらに申しますならば政府諸機関の財政、これらのものを全部一つにしまして、そうして国民所得の中でどういう状態に相なっているか、それがまた国民全体にどういう影響を及ぼしているかということを考えなければならないと存じ、従ってさような意味合いで地方財政はきわめて重視いたさなければ相ならぬと思います。国会の演説の扱いにつきましては、私はむしろ総理の施政方針演説等において、地方財政について従来のような扱いでなく、深くこれに触れて参るというような方法がよろしいのではないだろうか、そんな工合に考えておりますけれども、またお話の点はよく考えてみさしていただくことにいたします。
  57. 中井徳次郎

    中井委員 この点は一昨年も問題になりまして、総理はこれを取り上げるということでありましたが、現実は総理の演説の末端において三十秒ばかりやっただけであります。そうしてこれは理論的にいいましても、どうしても私はおかしな話だと思う。そこで私は総理大臣、大蔵大臣それから経済企画庁の長官がいつも演説をやっておりますが、その中においてもこれはなさるべきものである、さらにはっきりそれはやはり自治庁長官としても関連性をもってやるべきである、こういうふうに考えているのでありまするが、総理の演説ということになりますと、やはり財政の問題についてそこまで入りきれないだろう。総理が予算の大綱を話しするということになればこれはとにかくでありますが、それは大蔵大臣にまかされている。大蔵大臣大蔵省所管の国家予算だけを説明するというのでは、どうもその辺に調節の余地はないように思います。今のお話で研究するということでありましたが、どうも郡長官の腹の中ではあまり熱意がないように私は拝察したのでありますが、もっと積極的な意味で、私は理論的にも当然やらるべきものであるという建前で、この点を推進してもらいたいと思います。実は社会党におきましては、これは参考までに申し上げるが、ことしから財政金融の委員会その他におきましては、もう地方財政と国原財政とをひっくるめたお尋ねをやることにいたしております。これはやはり社会党の方が皆さんよりも一歩前進している証拠であろうと思うのでありまするが、どうも今の御回答では十分私どもは納得いたしませんが、いずれにいたしましてもこの問題は皆さんの側のことでありまするから、十分に研究を一つしておいて積極的に進めていただきたいということを要望いたしておきます。  それからあと四、五点ごく概括的にお尋ねするのでありますが、先ほどちょっと年末手当の問題について事務当局にお尋ねしましたところが、政府がきめました〇・一五についてさえも地方自治体の節約によってやるということでありまして、節約によってやるという柴田君の回答を聞き、みんな笑いました。これはもう皆さん大笑いをいたしました。このことは一体どういうことであるか。年末手当わずか三十三億四千五百万円というようなことで、今ここに資料をいただきましたが、こんな問題さえほうっておくということであると、国にとりましてはわずかな金でありますが、地方におきまして特にこれは不交付団体においては重要な問題であろうかと思うのであります。大臣は、これについて、先般も北山君の、組合費の天引きのことについては、内閣の方針でありますから従っていくという、行政運営の非常にこまかい面まで御指示をなさるのでありますが、この財源の問題をそのまま放置されるという手は絶対にない、われわれはそんなことは絶対に信じられない、かように思うのであります。そこで今の政府の見解を伺わせていただきたい。
  58. 郡祐一

    郡国務大臣 節約を第一にいたして期末手当を払って参りたいという考え方は、どこまでも土台にいたしております。しかし、これは、団体個々に見まして、いろいろ様子は違おうと思いますけれども、自然増を持てる団体もあるように考えます。とにかくそれぞれの団体で、建前はただいま申しましたような建前をとりながら、期末手当を支給いたしますのに支障を生ずるようなことのないように、期末手当が出せなかったということがないようには十分指導をして参りたいと思っております。その後の財政計画全体について私どもの方もよくめんどうを見まして、きまっておりますものだけは支給できるように措置して参りたいと思います。
  59. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁では一向わからぬのですが、どういうふうに具体的に指導するのですか、その具体的計画を聞かせていただきたい。
  60. 郡祐一

    郡国務大臣 節約なり自然増なりで相当まかなえると私は思います。それから年度内にまた財源措置のできる機会もあり得るかもしれませんし、これも御説明申し上げたと思いますが、どうしても金繰りのつかぬところには短期の融資もいたしまして、そしてとにかく所期するところの手当だけは出せますように、大体の見込みでございますけれども、私の方は可能であるという見当でいたしておるつもりでおります。あるいは財政局長からさらに申し上げることにいたします。
  61. 小林與三次

    ○小林政府委員 年末手当の問題は、御心配ごもっともでございます。これは今大臣から申しました通り、例年いつも問題になることでございますが、国が新たに補正予算を組まずに既定経費のやりくりでやる、こういう建前になっております場合には、地方も建前はそれに右へならえをする、こういう仕組みで従来参っておるのでございます。しかし個々の団体においては、そんな余地があるじゃないか、ないじゃないかという問題が、すでに今までもあったのでございます。幸いにいたしまして、去年の実情を見ましても、従来から見れば地方財源も多少よくなっておるものだから、去年もおおむね支障なく支給いたしております。どうしても困っておるところは一時借り入れ等の世話をして、ともかくも現実には職員みんなに入るようにしたい。しかし、それにつけましても、地方財政計画上、その金は見ておらぬじゃないか、これは事実でございます。それでございますから、機会があれば当然財政計画も是正をいたしまして、そうなればそれに伴う財源も考えてこれを補てんするという必要は当然出てくるだろうと私は思います。ともかくも今のところは政府としてまだそこまで考えておりませんので、現状を基礎にして差し繰って、ともかくもポケットに入るようには指導いたしたい。特に御心配なのは再建団体だろうと思います。再建団体につきましては、どうせ再建計画変更の問題がございまして、われわれといたしましても、その点は遺憾のないように計画変更上も配慮をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  62. 中井徳次郎

    中井委員 まあ何とかして、せめて〇・一五でも出すという気持はわかるのですが、今の説明では具体的な数字がさっぱりあがっておりませんが、節約する余地があるというならどれくらい余地があるのか、政府としてそれを世話するならどれまで考えておるのであるか、そういう問題はいかがでございますか。たとえば節約するといったって、そんなことは各自治団体においていろいろ議論があろうと思いますから、全部政府がめんどうを見るとしても三十五億くらいあればいい、こういうことになってくるならば、三十五億まではもう確保いたしておるのでありますか。そういう点をちょっと伺っておきたい。
  63. 小林與三次

    ○小林政府委員 ただいまの所要額は、今お手元にある資料通りの額が総体として言えるわけでございます。それでございますから、それだけの金は何かの形で出さなくちゃ始末がつかぬのでありますが、その団体におきましてそれぞれどれだけの額が節約に期待し、どれだけつなげていくかということまでの計算はいたしておりませんけれども、それぞれの団体におきまして既定経費のやりくりの問題もあれば、団体によっては相当税の伸びのあるところももちろんございます。その税のないところで、交付税に依存しておるところは困るじゃないかというところがあり得るのでございますが、そういうところにつきまして、どうしてもやりくりのつかぬところは、とりあえずつなぎ融資で、ともかくも峠を越してもらう。そうして自治庁といたしましては、できるだけ早い機会財政計画を是正し、これに伴う財源補てん措置も考えなくちゃならないというふうに考えておるのでございます。具体的の金額がどれがどれだけかというところまでは、今のところ資料はございませんが、要するに個々の団体でどうにもやりくりのつかぬところは、つなぎ資金の心配をしてやらなくちゃなるまい、こう考えております。全部の団体がその必要があるかといえば、現在の大勢を見れば、その必要のある団体はそれほど多くないだろう、そういう見当を私はつけてはおります。
  64. 中井徳次郎

    中井委員 今のつなぎ融資の話でありますが、まだ数字が正確でないということでありますが、積極的に何とかするということでありますから、これはそうといたしまして、これまでの実績を見ますと、そういうつなぎ融資をいたしました自治体にとっては赤字になる、公債になるものがその年度で始末されずに、二年、三年と残っておった、これは自治体の運営を非常に阻害しておるように思います。従ってそういう問題が起りました場合には、今回は少くとも昭和三十二年度中に跡始末はきちっと政府責任をもってするということでありますか、一つ念を押しておきたいと思います。
  65. 小林與三次

    ○小林政府委員 政府はどうするかという問題は、これは結局予算を補正するかせぬかと、こういう問題になるかと思いますが、国家公務員につきましてそういう建前をとっておる以上は、地方公務員につきましては今の段階ではそれに準じて贈るということを、自治庁として申し上げるよりしょうがないと思います。しかしながら、機会があれば、自治庁といたしましては、是正すべきものは当然是正いたしたい、こういう考えでおります。
  66. 中井徳次郎

    中井委員 私の言うておるのは、そういうつなぎ融資をやった場合に、ことしじゅうに片をつけるか、こういうことであります。今の御答弁とちょっと違う、質問の趣意はそういうのじゃありません。
  67. 小林與三次

    ○小林政府委員 今申し上げました通り、ことしじゅうに片をつけるということは、結局地方財政について予算措置で補てんをするかしないか、こういう結論になると私は思います。それはとりもなおさず予算を補正するかしないか、こういう問題でございまして、これはわれわれ事務当局の者として今とやかく申すことはできませんが、要するに国家公務員についてそういう前提をとっておる現状においては、地方公務員はそれに準じてやるより仕方がない。しかしながらことしじゅうに何らかの機会があれば、われわれ自治庁といたしましては、財政計画も是正し、財源的にも措置をすることはあわせて当然やるべきものだ、こう思います。
  68. 中井徳次郎

    中井委員 この点は私しつこく聞くのは、承わるところによると、三公社などにおきましては、自己財源でもって適当に融通してやれというようなことに一応なっておるようであります。この点は今後の問題でありましょうが、しかし地方自治体と三公社を一緒にしてもらっては、まことに私どもとしては仕事の性格、団体の性格からして違うのでありますから迷惑でありますので、念を押しておるのであります。どうぞそういうことでありますから、くどいようでありますが、これは過去の二、三の非常に苦い体験がありますので、必ず私は予算措置をされるものと強く期待をいたしておきたいと思うのであります。  次に一つ、これは非常に大きな問題でありますが、私どもはきょう午前交付税率の改正につきまして一・五%上げるべきであるという法案を本委員会において付託になりまして説明を了したわけであります。これにつきましては自民党と政府の内部におかれて、ここ二週間くらい前から非常に活発な動きがありまして、大臣あるいは本委員会の各委員のまことに熱心な御努力によって、一応格好がついたというふうに承わっておるのでありますが、その経過等について一応大臣からお答え願いたい。また将来三十三年度予算編成する場合、これと関連をいたしまして私どもが率直にいっておそれますのは、一・五上げるとそれなら一つこっちでしっぺい返しをしてやれというふうな旧態依然たる根性でもって、この窮乏した地方財政が、形だけはよくなったが実質は一向変っておらぬというようなことがあっては、まことに心外でありますので、この辺について大臣から率直にこの際意見を聞かしておいてもらいたい、かように思います。
  69. 郡祐一

    郡国務大臣 交付税率の引き上げにつきましては、さきに前国会で両院の地方行政委員会における御決議の次第もありますし、またその御決議の意味合いは、国の財政の都合によりまして、はなはだしいものは給与に当りますものまで公債で持たす。失業対策、学校の建築、一般の公共事業等、国では考えられないようなものが地方では公債によって処理しておる。これでは地方財政が立て直らないのは当然であるからという意味合いで、今年度は特例的な措置を講じましたが、交付税率の引き上げによって公債費対策というものを完結しようという御趣旨で御決議があり、その御決議の趣旨に従いまして交付税率の一・五の引き上げをいたすべきものと存じております。自民党におきましても、その前提のもとに所要の立法措置は通常国会において講ずるということを党議をもってきめまして、党全体がこの問題について非常な熱意を持っております。かつ私どもはそれ以外に従来も本委員会で御説明申し上げました三十三年度のいろいろな要求いたしております案件は、それぞれの理由をもって主張いたしておりますことで、これが交付税率の引き上げとからみ合うというようなことは絶対にいたさないように十分注意をいたしておるところであります。またそのような話し合いめいたものは全然ございません。そのようなつめをかけるようなことは一つもさしてはおらないのであります。もちろん地方財政のうちでさらに節約すべきものがあれば節約すべきことは当然絶えず心がけておることでありますけれども、それと昭和三十三年度計画しておりますことは全然別のことでございますので、私どもは今中井さんのおっしゃった御趣旨は、幸いにして与党たる自民党もその点は十分了解しておりますので、率は引き上げる、それ以外の各種の問題につきましては、それぞれの必要性に応じて処置をして参りたいと思っております。
  70. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して……。長官にお尋ねいたしますが、本日衆議院の予算委員会におきまして、石村議員の質問に大蔵大臣が答えまして、地方交付税の税率の三十三年からの引き上げにつきまして、予算編成の一環であるがゆえに三十三年度予算編成の構想や、その内容たる事項を一つずつ小出しに発表するわけにいかぬというような答弁があったので、私たちは大へん不満に思ったのでございますが、その前提に何らかの考え違いがあるのじゃないかと思っておるのでございます。交付税率の問題は、交付税法に規定しているところでございまして、国内におきまして公けの税金として取ります国税、地方税というものの、税を取る領域の配分の問題でございまして、公けの税金のうちどの程度までを国税として取るか、どの程度までを地方税として徴収するかという問題に関連するので、一つの税制の問題でもあると思うのでありますが、これを毎年度地方財政計画として取りまとめまして、全国数千の地方団体財政運営を、各団体運営しやすいように、こっちでその措置を講じているわけでございますから、そうした面におきましては国民の所得の中からどれだけ国税としてとって国が直接使う、また地方団体を通じて使うというそうした問題は、国の事務配分と直接関係が出てくる財源配分の問題だと思うのでございます。しかもそれは単年度予算に関するものでなしに、また単年度地方財政計画に関するものでなくて、大きな財政規模の立場から、国の直接使う財源地方財政において使う財源との配分を検討して定められるものだろうと思うのでございます。それでそうした意味で従前の地方交付金の場合とは意味が違うのでございまして、地方財政の単年度の需要が単年度の収入よりも少い場合に、それを目当てに交付金を設定しまして、国から地方に補給するという従来の地方財政交付金の制度とは制度が違っているはずでございます。そうした深い問題を単に三十三年度予算編成だけとして片づけられたところにわれわれの不満があるのでございます。一たび地方交付税の税率が定まりますると、よほどの激変がない限り、すなわち地方交付税法の第十条ですかに定めた地方団体の需要が地方交付税の総額に著しく違ってくるという特別の事情のない限り、数年間はその税率が変らないということになっており、また同時にある年度で三国税の地方交付税率で乗じました金額が予算に定むるところよりも剰余を生じたときには、翌々年度におきまして地方交付税として地方交付することになっているというようなことも、這般の消息を伝えるところの有力なる証拠でございます。そうしたような深い意味のある地方交付税制度というものを十分に頭に入れておられるならば、本日の大蔵大臣のような答弁はあり得ないと思うのでございますが、その点につきまして政府、ことに地方行政を担当せられる長官のお考えを端的にお漏らしいただくことができれば幸いだと考えております。  なおついでにこまかいことでございますが、さっきの中井委員からの質問関連いたしまして、年末手当その他の率の変更関連しまして、第六条の三の第二項によりましての税率の修正ということが問題にならぬかどうか、また二六%にきめてから、第六条の三の第二項に関連のあるような地方財政上の需要や収入にいかなる制度上の変化があったかという問題について、ちょっと事務当局にお尋ねしまして、もし年度内にあるいは予算編成に当っては、現在の一・五%の問題以外にそういうことをなお主張しなければならない立場があるのでございましたら、それをお聞きしたい。なお給与の関係につきましては、これは昭和二十五、六、七、八年ごろにわれわれが地方団体に奉職しておりました時分も非常な苦しみを地方団体がなめておりますので、これらの措置につきましてはもし第六条の三で解決する癖をつけておきましたら、地方団体理事者側も安心して財政運営できることだろうと考えますので、その点も御考慮の上御答弁をお願いいたしたいと考えております。
  71. 郡祐一

    郡国務大臣 交付税の性質から申しまして国、地方財源配分の問題でありますることは、加藤さんのお話の通りでございます。本日の予算委員会におきまして初めに麦の価格の問題等もありましたために、その辺が少しぼんやりいたしましたが、私は自由民主党がこの問題を特に現在の時期におきまして党議で決定いたしましたことも、加藤さんのおっしゃる通り交付税の性格から財源配分の問題は予算に先行する事柄であるということを前提といたしまして、さように方針をきめたものと考えております。しかし政府部内におきましてそういう点について意識してかしないでか、あいまいにいたすような節のあります場合には、私も十分その点お話のように注意をいたしてこれから善処して参りたいと思います。
  72. 小林與三次

    ○小林政府委員 加藤委員のお尋ねは〇・一五のような新しい問題が起ってきた場合に、第六条の三の二項の交付税を変更するという条章に影響があるかないかという御趣旨のようでございます。これは今の交付税率を一・五引き上げるという問題を決定する場合におきましては、今度臨時国会に出て本年度末の期末手当〇・一五上げるという要因が全然考慮に入っていないことはもう明白な事実でございます。それ以後の新しい事態としてそういう問題が起ってきているわけでございまして、これについて地方財政上どうするかという新しい問題として検討をしなくてはならぬと思います。中井委員のお尋ねもそういう問題と関連していると思いますけれども、これにつきましては結局財政計画をしかるべき機会に——本年度既定経費の差し繰りという建前になっておりますが、来年度以降は当然法律の条章でぴしっと理屈なしにやらなくちゃならぬ建前にもなりますので、そういうものを新しい来年の財政計画の要因として、はっきり財政計画上始末をしなくてはならぬと存じます。それはおそらくは税なりあるいは交付税なりの自然増でまかなえるものであるかないか、とてもさばきのつかぬような大きな額であるかないか、そういうことを総合的に考えて来年度財政計画を策定いたすべきものだと考えております。直ちに率に影響があるかないかということはもちろん断言できませんが、要するに新しい要因として、来年度の全体の財政計画策定の場合には当然計算に入れて計画を作るべきものだと存じております。
  73. 中井徳次郎

    中井委員 他の問題に移ります。実は臨時職員の問題でありまするが、地方団体にも臨時職員が相当たくさんおりまして、これを将来どういうふうに扱っていくかということについては、この財政の問題がまだまだ十分ではありませんが、おそらく一応の目安がつくということになれば、その次に起ってくる問題だろうと思うのであります。本日はそのうちで——地方によりましてはもう臨時職員でなくなっておるものもあろうと思いますが、例の学校の給食婦の問題であります。学校の給食につきましては文部省とも関連があり、文教委員会とも関連がある問題でもありましょうけれども、理論的に見ますと、これは、児童の保健衛生に非常に関係のある、教育そのものでもございませんので、これに対する経費は全部市町村が持っております。この給食婦の問題をここ数年来どうも国は放置をしておられる。はなはだこれは遺憾だと思うのであります。従いまして私はもう最も近い機会にこの給食婦の問題は、基本的に仕事の種類も一定をいたしておりまするし、はっきりとしておるのであります。いまだに地方によってはPTAや何かの会費によって半分くらいその経費を出してみる。安い人では月に三千円くらいだというふうなことで、鼻水たらして食事を作っておるというふうな姿は、これはどうも初めの政府の大きな趣旨と全く相反しておることになる。はっきり言いますると、学校給食に対する跡始末が全然ついておらない。地方財政にこれもしわ寄せる、こういうことであろうかと思うのであります。この点は自治庁が今まで放置しておかれたのはまことに私は怠慢だと思うのでありまして、この点についての大臣の見解を一つ伺っておきたいと思います。
  74. 郡祐一

    郡国務大臣 一応単位費用の中にも組み入れておりまするけれども、問題は中井さんのただいまお話のように身分がはっきりいたしておらない点にあると思います。これは中には給食についての経営形態自身が明瞭さを欠いている点もあろうとは思いまするけれども、しかし私どもが現在PTA等で負担をいたしておりまするものを何とかこの際解決をいたそうということ、これにはお話のような事柄が当然解決をいたさなければならないことと存じておりまするし、また事実非常に大事な仕事をしておりながら身分が明瞭でないという点は、御指摘のように現在の大きい一つの欠点だと思います。これを急速に改めまするように十分努力をいたします。
  75. 中井徳次郎

    中井委員 これはやりようによりましては非常に簡単に私はできるものであると思う。皆さんの熱意いかん、政府の熱意いかんにかかっておるものだと思います。また今ちょっと大臣からもお話があったが、その運営の形について必ずしも一定してない、これもごもっともです。私も存じております。これもこの際きちっと整理をして一緒にやってもらいたい。これを強く要望いたしておきます。  それから税務局長が来ましたから、税金の関係ですが、財源関連をいたしまして、来年あたり地方税の問題についても、あるいはまだ政府においては最後的な決定はなされておらぬだろうとは思いまするが、この際ここ数年来非常に問題になっております木材引取税でございますが、木材引取税に対しまして、自治庁は一体どういう考え方をいたしておるか。率直に一つ現在の状況判断を聞かしてもらいたい。第一この問題は大体われわれが取り上げましたときには年間十九億とか二十億とかいっておりましたが、少し問題がやかましくなりますると急に金額もふえてきました。     〔川村(継)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、実際に現実に木材の産地へ行って聞いてみますると、どうもあまり十分的確に把握がなされておりません。まことにどうも、これは税金としていかがなものかとも思います。これは徴税の面からいっても、税の性格からいってもまことに妙な税金だと思うのであります。この際政府は木材引取税については抜本的な考え方をする時期に、もう機は熟しておる、かような見解を持つものでありまして、そういう意味からいたしまして、一つ今の税務当局の見解をお尋ねをいたします。
  76. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 木材引取税についてはこれを廃止したいという動きもあるわけでございましてそういう意味で、この存廃がしばしば議論になるわけであります。これに対しましては従来からもお答えして参っておりますように、非常に古い沿革を有しておる税であるということ、またこのような税収入のあるところにおいては、他に税源がなくて、しかもこれがそれらの市町村においては主要な財源を構成しておること、同時にまた山林の所在によりまして、山林消防の問題でありますとか、あるいは林道の問題でありますとかいうような財政支出も相当の額に上っているので、山の木を切ったような機会にはある程度財源を、地元の市町村に与えてもらいたいということ、そういうようなところからやはり山林関係から何らかの財源を地元市町村に得させるようにしていきたい、かようにお答えをいたして参ってきておるわけであります。その際も立木に固定資産税を課することによって木材引取税を廃止することにしてはどうか、こういう御議論もございます。これに対しましては、立木に固定資産税を課するというような措置をとった場合、立木は年々増大していくわけでありまして、それに伴って固定資産税の負担がふえてくる。その負担をまかなうために、まだ十分成長していない立木を伐採するというようなことになって参りました場合には、治山治水の見地から考えて好ましくない傾向があるから、そういう意味で立木に固定資産税を課することは避けたい、かようにお答えをしてきておるわけであります。同時にまた木材引取税のような課税の形式をとらないで、立木伐採税というような形をとったらどうか、あるいはまた他の輸出税のような形式をとったらどうか、こういう御議論もあるわけでございます。これに対しまして私たちは素材に限定をして課税していきたい、薪炭木のようなものはなるたけ課税からはずしていきたい、そう考えた場合には、素材の引取りに課税する今の形式の方が穏当じゃないだろうか、こういうお答えをしてきて参っておるわけであります。しかしながら立木伐採税のような形式あるいは木材輸出税のような形式の方が課税をする場合に都合がよい、的確に把握できる、こういう問題もあるわけでございまするので、市町村がそういう形式を希望いたします場合には、できる限り市町村の実態に沿うた課税の形式を認めたい、こういうような運営の仕方をして参ってきておるわけであります。
  77. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁を伺うと、税務当局はこの問題について一歩も前進いたしておらぬ。私に言わすと、あなた方ははなはだ研究の不足で怠慢であると私は思う。私は何も木材引取税のために特に研究に行ったわけではないのでありまするが、先般来山林業者の非常に多い山村に二、三他の用件があって入ってみました。あなたの今のお話であると、そういうところは税源がないから木材引取税でやるのだ——それならばまことに熱心に木材引取税を厳格に取っておるであろうと想像されるのであって、皆さんもそういうふうに考えておらなければ今のような御答弁は私はなかろうと思うのですが、現実は一体どうですか。現実一つ私は伺ってみたいのだが、今木材引取税の税率は五分でしょう。三分になりましたか。
  78. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 従来標準税率が五%で制限税率が六%でありましたのを、さきの国会で今年度から標準税率を四%、制限税率を五%に引き下げたわけであります。
  79. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁のように五%が四%になった、こういうことでありますが、それならば非常に簡単なんです。一億円の木材の売買がある。その村の駅から東京や大阪に出ておる材木をちゃんと調べたらすぐわかる。一億円あるということになれば、少くとも四百万円の引取税がなければならぬ。また村内で費消しておるものもありましょうし、あるいはトラックその他で最近は大いに出されておるという状態を見ますると、そういうことは当然言えるのであります。現実はどうか。私は村長に会って聞いてみました。ここは非常に木材の多いところだが、一年どれくらい取引がありますか。まあ五億円と言われておりますが、中井さん、実際は十億あるかもしれませんな、こういうのであります。五億円の三%なら幾らになりますか。千五百万円でしょう。あなたのところの木材引取税は一年幾らですかと言ったら、二百三十一万円だと言う。これは私は現実の一割だろうと思います。そういうところは各地にあるのです。これは、それでは村長が怠慢であるか、決してそういうものではないのです。現実にとれないのです。非常に困難ないろいろな事情がありまして、たとえばそういうふうにとるならば、その村からは買わないとか、あるいはもう業者が寄りつかないとか、いろいろな関係がありまして、単に村長だけの怠慢ではない。またそういう山村に入りますると、最近の傾向といたしまして、木材の所有者は大きな村で大方十軒くらいが山林を持っておりまして、非常に勢力があって、半分くらいは村会議員に出ておるというふうな形で、力関係などがありましてとれないのです。そして、どうですか、こういうことになるのじゃありませんかと言ったら、それはよくわかっておるのですが、現実にはとれません、何とかこれを他の方法で考えていただけぬものだろうか、こういうことであります。これは木材業者もそうでありますし、それから山林の所有者もそういうことであります。私はこういう面について、もっと政府が積極的に調査をやってもらいたいと思う。そういたしますると、この引取税がいかに悪税であるか、またでたらめな税金になっておるかということがわかってくると私は思うのであります。私が行きました村のごときは、もし引取税を厳格にとりましたならば、地方交付税のごときはもう要りませんと言う。地方交付税は幾らかと言うと、二千万円近い、こう言っておりました。そういうような日本の内政というものは、これは他に及ぼす影響も非常に多いのでありまして、奥野さんのいつまでも相も変らぬ答弁では、私はどうも満足できない。それから、あなたは立木のことについて、なかなかむずかしいというお話であったが、それもあなたは森林組合の幹部やそういう人たちに少々ごまかされていやせぬかと思います。本日はあまり言いませんが、これはたとえば土地が非常に広大であって調査が困難である。私は村に行って聞いてみましたら、そんなものはすぐわかります——税務署ではわかりませんけれども、私どもは子供のときからここで育っておるので、委員会でも作ってもらえば、すぐわかります。そう言いまして、森林業者も頭をかいておりました。面積は、私どもではコウボウ面積という言葉を使っておりますと言う。コウボウ面積というのはどういう名前だ——コウボウというのは広いという字と茫漠の茫という字でも書くのだと思って聞きましたら、弘法大師の弘法であるということであります。(笑声)これはもう千年も前にきめてあって、それをそのまま使っておるのだということですが、まことにどうもずさんきわまるものでありまして、航空写真でもとれば一ぺんにわかる。これを今まで自治庁がほうっておかれたということはその村のためにも、また森林を持っておる人のためにも非常にうらまれております。これは所得税につきましては、森林業者は五十年、六十年の成果を一年で上げるのであるからというので、特別にまた減免をされておる。いろいろ考えてみますると、どうも引取税はいけません。どうしても私は立木税のようなものを、その率は、これは予言をしておきまするが、今の固定資産税の——どうでしょうかね、一割くらいの率でも相当な金額になるのではないか、これは私の勘でありまして、責任をもって言う言葉ではありませんけれども、こういう点について、あるいはまた固定資産税のために山を切ってしまわなければならぬ——冗談ではありません。今あなたこれくらいの杉が一本幾らするか御存じなんですか。一本切ったら数万円というような木が数千本もあるところの固定資産税がわずか二、三万円であるというふうな政治は何としても私は不公平だと思う。この点について、どうも奥野君も森林の最も豊富な奈良県の御出身で、あるいは持っていらっしゃるかもしれぬが、(笑声)これはあまりどうも研究がずさんのように思う。私その点で大臣にも一つ伺っておきたいのだが、税法の改正の問題は、まだ最後決定はなかろうと思いまするが、もし地方税に手をかけられるならば、私はこの問題、あるいはまた、私どもはしょっちゅう言っておりまするが、自転車荷車税であります。これは社会党が天下をもらってからやった方が党派的には効果があります。しかし国民の側から考えると、まことにこれも困った税金でありまして、事務当局は先ほどの引取税と同じように、歴史的な税金であるから残しておく、このようなことでは私は税体系の正常な正しい姿が出てこないと思いまするので、この木材引取税の問題等について、一つ思い切って来国会からやめる。やめると、しかしそれだけ財源がなくなる、それに対する措置を考える、こういう気持で私は御検討が願いたいと思うのだが、いかがですか、大臣の見解を伺っておきたい。
  80. 郡祐一

    郡国務大臣 引取税必ずしも理想的な税であり、またその運営が万全に行っておるとも考えません。しかしこれを直ちにやめるべきかどうかということについては、少し慎重に考えなければ相ならぬと思っております。あわせておっしゃいました自転車荷車税などは確かに今の税としていつまでも置いておいていい種類のものとは、どうも私自身も考えておりません。地方税全体について、これを維持する考え方はそれぞれ理屈はつくでございましょうが、全体に住民の立場に立ってものを考えてみることにいたします。
  81. 中井徳次郎

    中井委員 今の大臣の後半の御答弁はけっこうでありまするが、(笑声)前半につきましては、私は毒つきましたけれども、ほんとうに慎重に私は研究をしてもらいたい。木材引取税をこれまでここの委員会でいろいろ討論をした印象でありまするが、何といっても財源ということのためにひっかかるわけでありましょう。そうなりますと非常に零細な金額ですね、全国的に見まして……。各地域によっては、あるいは一割になり五分になるかもしれませんが、全体としては五十億以下の税金というふうなものは、もうこの際やはり整理をする段階ではないか。一億でも二億でもそれは必要であるといえばそれまででありまするが、いつもそれの、みのに隠れまして、どうも大衆に納得できない税金を残しておくというふうな傾向にありまするので、この引取税の問題は今の御答弁では私は満足はいきませんが、まあ十分研究をしてもらいたいと思います。  最後に、ちょっと問題は変りまするが、実は部落問題であります。この部落問題は、ときどきこの委員会で議論にはなりましたけれども、総括的な議論としては、いまだ取り上げられた記憶はありません。それは日本が敗戦後いろいろな事情のために、そこまで手がまわらなかった。戦前におきましては大いにいろいろな形でやりましたが、現在終戦後十二年間は一応たな上げのような形でありました。厚生省あるいは文部省あたりで多少こういう問題について補助金その他の形を出しておるようでありますが、現実にはこれは日本全体の問題ではありません。おもに京都、大阪、奈良を中心にいたしました関西から以西の問題でありますが、先般もある雑誌で大きく特集されましたように、これは非常に根の深い重要な問題であります。特効薬はないかとも思います。思いまするが、根本的には私はやはりその裏に経済問題が横たわっておると思うのであります。そういたしまするならば、私は自治庁におかれましても日本の内政を一手にひんにぎるという大きな見方からいたしまするならば、これは放置できない大問題であります。今現実には府県並びに市町村において表面に出せる問題と出せない問題、いろいろ事情がありまするので苦慮をいたしておりまするが、この際思い切って私は部落問題に自治庁が手をつけられる時期ではないか、かように考えております。つきましてはさしあたりの措置といたしまして、私はそういう部落関係のたくさんありまする府県、あるいは市町村について、特別交付税その他の形において、これはその日暮しの人たちをその日暮しのまま助けるというのではなくて、もっと基本的な立場から五カ年計画あるいは十カ年計画を立てられまして、都市計画の問題もあります、家屋の問題もあります、不就学児童の問題もあります、そういうことについて自治庁が中心になって、もう手をつけられる時期ではないかと思いまするので、その問題についての政府の考え方を今日ちょっと伺っておきたいと思います。
  82. 郡祐一

    郡国務大臣 部落対策につきましては厚生省の部落対策に、自治庁といたしましても衛生、経済というような面を考えて、特別交付税の際にもそのような点の配慮はいたしておるのであります。私ども実際地方の総合的な融和ということが一番大事なことでありますることはよく承知をいたしております。この扱いについて非常にデリケートな部分——事柄をある形で取り上げることそのことのよしあしでございますが、これは私自身二十年以上前に京都府に勤務いたしましたときも、そのころとはだいぶ事情は変っておるでございましょうけれども、非常にまじめな真剣な気持で取り上げましたこと自体がかえって問題をむずかしくしたような経験も持っております。現在でもなかなかむずかしい面があると思いますが、私どもの行政なり財政なりを動かして参ります土台に一つ最も間違いのない方法で、この問題はもちろん厚生省もやっておることでございます。私どもも取り上げ方、また取り上げるとすればどういう工合に進めるかという点は一つ皆様のお知恵も拝借しながら、私ども真剣に考えてみたいと思います。
  83. 中井徳次郎

    中井委員 今大臣から特別交付税の中に入っているというふうな御意見でありましたが、ほんとうに入っておりますか。どういう形で入っているか……。
  84. 小林與三次

    ○小林政府委員 これは数年前からそういう特殊な事情が特殊な団体についてあるということで、同和事業という名目を出しまして、特別交付税を算定する場合には、一応算定の基礎には入れております。しかし今大臣が抑せられました通り、それを入れておるのは大した金ではございません。共同浴場とか衛生施設をどうするとか、そういうものの事業費を基礎にして一応は算定はいたしております。
  85. 中井徳次郎

    中井委員 この問題は、私質問をするのにも十分考えて申し上げねばならぬというふうな、過去においては、そういう事情もありましたし、大臣は二十年前の御経験のお話もありましたが、実はその後二十年たちまして事情はずいぶん変って参りました。その点は前進を続けておると思うのであります。従いまして、もうそういろいろなことに気を使われずに、積極的に政府が施策をなさるべきであるというふうな考え方をいたしておる。現に農村方面にもそういうものがたくさんございましたが、これは農地解放以来現在でもございまして、あるいは農地解放における小作の反別が非常に少くて困っておる部落もたくさんありまして、部落解放といたしましてはそれも取り上げねばならぬのでありますが、中には非常にたくさんの小作地が自分のものになったというので、その後十年間の経過を見てみますと、実際ほとんど区別がなくなっておる。要はやはり経済力だろうと思います。そうしてその経済力の誘い水でありますが、誘い水のやり方について私はもっと慎重にやってもらいたい。厚生省というふうなあわれみをたれたまう、そういう考え方ではだめであります。もっと積極的に経済力のない地方であるから、やはり政府交付税その他において大幅に見る、こういう形でなければならぬ。少し脱線をいたしますが、失業対策の問題でありますが、失対の問題で非常に奈良県、大阪、京都等困っておりますのは、東京あたりの失対事業はどんどん人がかわります。就職をしてどんどんかわって参りますが、関西方面の失対は、失業対策事業に就職をしておるというのが現在の形であります。これを直さないといかぬ。失対事業ではございません、裏から見ると。そういうものを今までほうっておるということは、私は政府はどうかと思うのです。もっと積極的な手を打たれますならば、教育の改善と待ちまして私はこの問題はそう長い将来までかからないという実は自信を持っております。どうぞ政府におかれましてもこれまでのようなおっかなびっくりの態度ではなくて、積極的にやってもらいたいということを一つ要望いたしておきます。  それからこれに関連して、現実には奈良県の町村合併等におきまして、非常に私は錯綜した事情があったように伺っておるのでありますが、行政部の関係の方、きょうはお見えになりませんか。実情一つお聞かせいただきたいと思います。
  86. 吉浦淨真

    ○吉浦説明員 奈良県の合併につきましては相当おくれておったのでありますが、最近に至りまして合併の進捗状況に相当目ざましいものがあるわけでございます。特に南部の方の五条町を中心とした大合併も実現するような運びになっております。まだ問題はかかえておりますけれども、逐次好転をいたしております。具体的にはそれぞれの地区に若干まだ問題があるようでありますが、全体といたしましては相当程度進んでおります。
  87. 中井徳次郎

    中井委員 その際地方におかれては、私は先ほどから申し上げたような部落問題についてはまったく白紙の態度で、客観的に冷静な判断をして指導をされておるものだと私は確信しますが、どうでございますか。
  88. 吉浦淨真

    ○吉浦説明員 当初におきましては若干受け入れ側の町村について、受け入れを渋るというふうな状況もあったのでございますが、本年の三月末知事が勧告する最終期限におきまして、その差別をつけることはかえって好ましくない。受け入れ側について問題があるけれども、その問題は十分に納得せしめて受け入れさせるようにという配慮から、すべての未合併町村につきましては、三月三十一日、他と同様の立場におきまして勧告を出したわけでございまして、その後引き続き円満に処理するように持っていっておるわけでございます。
  89. 加藤精三

    加藤(精)委員 臨時国会委員会がきょうだけだというお話でございますので、もし開会されないと悪いから、急を要すると思う問題だけを、二、三申し上げます。  第一番目は地方財政再建整備の問題でございますが、これはどうも再建整備促進法の趣旨が非常に誤まり伝えられたり、またわれわれ同僚の間にもその評価は一定しないのでございますが、私といたしましては、現在地方財政が非常に窮屈であって、貧困であって、その限界効用が非常に大きい団体がある。すなわち、もうちょっと財源があれば、行政水準の引き下げとか非人道的な問題を解決するために施設をすることができるというようなところがあるのです。そういう場合、二十九年度年度末の赤字債だけに対して低利債を供給するという建前になっております再建整備促進法を、三十年度、三十一年度末の赤字のあったものに対しても適用し得る余地があるというふうにしていただいたらどうかと考えておるのでございますが、私たち東北におるものにつきましては、現に青森県が相当苦しいと思うのでございます。また各町村にとりましては、現にわれわれが相談を受けております町村も、あのときに再建整備の指定を受けておけばよかったと思っておるところもございます。しかしながら、これはその限界の経費の捻出につきまして、交付税の一割引き上げということが若干恩恵になっておるわけでございまして、それによって当初の考え方を緩和されて大きな声を出さないところがあるとも思われるのでございますが、この点につきましては、たとい大きな声がなくとも、声なきに聞くのが政治の要諦だろうと考えておりますので、自治庁当局におかれましては、それらの事情を御調査の上、再建整備法の改正についてお考えをいただけないものだろうか。事は何千という地方団体実情に関係しておりますので、事務的にそういうところがあるかどうか、あってもそういうふうな措置をとらないでやっていけるかどうかということに関する問題でございますので、事務当局から意見を聞かしてもらいたい、こう考えております。
  90. 小林與三次

    ○小林政府委員 これはごもっともな話でございまして、再建法は一応年限を限定して、適用期間も縛って発足いたしましたものですから、いわばバスに乗りおくれた——最初は、えらいことだが、やはり受ければよかったというようなところがあり得ると私は思うのでございます。ただ率直に申しまして、その後財政状況もだいぶ変ってきて、事情もだいぶ変っておるという一面もございます。そこでわれわれの方といたしましては、今三十一年度決算を集計中でございまして、昭和三十一年度決算の実態をよく見まして、なお今後の財政の見通しも考えまして、個別的に——もう動きがつかねというところはそうたくさんないとは思いますけれども、事実あるかもしれません。そういうものを三十一年度決算上具体的に一つ検討いたしまして、その問題に対する措置もわれわれは考えなくちゃならぬ、こういうふうに存じております。
  91. 加藤精三

    加藤(精)委員 何だか大へん早く終った方がいいようなんで申訳ありませんが、どうも本日の論議によってあまり急に地方税制が変ると大へん困りますので、木材引取税等も、ことに個々の非常に財源不足市町村がその財源を得る制度が確立した後に廃止の改正をしていただきたいと思うのでございますが、その点に関連しまして、いつでも申し上げて恐縮でございますが、固定資産税、これは現在の固定資産税の創設者が事務当局におられるわけなんで、どうもあまり私の説に共鳴していただけないのでございますが、固定資産税というものは非常に共産主義的な税だと思っているのでございます。景気がよくても悪くても、もうかっても、もうからぬでも、何でも財産の一部を徴収するというのは、私は共産党の政策に賛成してない関係から、どう考えてもおかしいと思っているのでございますが、技術上のことは非常な複雑な説明をされますと、また非常に長い間の論議を重ねなければならぬ事項のようでございまして、課税技術にも関係するじゃないかとすぐ税務局長は言われますが、これは財産があって所得のないものは——現に私の郷里でもあったのでございますが、村の名家であって、滞納するということはお上に済まないから、それで二年さきの固定資産税が納められぬので、どんどんうちを売っていくというような悲惨な例もございます。そういうものを見ますと、確かにこれは共産主義的な租税だと思うのでございます。しかしながら、そういうふうな税でありながら、しかもあまりに山林には寛大過ぎるのでございまして、町村合併の結果、十何ヵ町村というようなものを合併したところでは、従前の中心都市とか中心の町が、相当面積の広い山奥までの町村を合併することによって、道路とか学校とか、それらの施設を平準化、均衡化しなければなりませんので、莫大な経費が要るのでございます。しかもその村には数億、数千万の山林資産を持っている金持が非常にたくさんおりましても、それが全然市町村の税金にならない、こういうばかなことはあり得るはずはないのです。これがどういうものか、所得税が徴収されますときに、何か五分五乗というような方式がありまして、そうして分割して処分するならば非常に税の控除が高くて、そうして実際上その伐採さえもあまり地方税収にならない。これらは大金持が最後に財産を子孫に分けるときには、山林というものを買って分けるというような便法があるかもしれませんけれども、これらは何十人に一人というような人の利益でございまして、公共的に見て正しいことではないと考えるのでございます。また治山治水の上から申しましても、これを治山治水の目的をも達し、また同時に個人の造林その他森林経営の意欲を落さないようにするためには、法律も変りまして、村も部落も個人も分収契約を国と結ぶこともできるようになっておるので、その道もありますし、この際立木を固定資産税の対象にしていただきまして、非常に徴税費のよけい要る、そして課税方法のあいまいなこの木材引取税等を廃止するという方に思い切って踏み切っていただいたらどうかというふうに考えるものでございます。もとより固定資産税というものの税の性格、建前を改良していただくということについては、これは決して持論を捨てないのでございます。固定資産税は国会が割れるような騒ぎをしてそうしてできた。このできた税金はいい税金だからといって、もうその性格論やその弊害について忘れてしまっているということが、日本の政治のどこか不確実、不健全、不勉強なところだと思っておりますので、この問題につきましては税務当局におかれまして十分研究していただきたい、こう考えております。特に予算編成前に考えていただきたいという希望を表明いたします。
  92. 加賀田進

    ○加賀田委員 もう四時も経過いたしましたので、簡単に一点だけ……。実は三十一年、三十二年と行政措置に基いて処置されておる問題ですが、公営住宅の問題として家賃に転嫁されないという立場に立って二年間行政措置が講じられてきたわけです。前の田中長官のときには、三十三年度はそういうことは抜本的に改正するということを言明されておりますが、三十三年度ではどういう方針が立てられておるか、あるいは研究されておるか、この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  93. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 三十三年度以降の公営住宅の問題につきましては、主として建設省におきましていろいろと考慮を重ねておるわけでございます。その際に出ております意見といたしましては、金利の負担をできる限り軽減をしていきたいということでありますし、また付随して家賃調整の問題も起っておるわけでございますけれども、これはやはり相当な問題がからんでくるというふうに思っております。従来からの経緯もございますので、ただ従来の公営住宅につきまして交付金相当額がそのまま加算されるというようなことばできる限り避けたいという考え方は、従来通り今日もなお持っておるわけでございます。
  94. 加賀田進

    ○加賀田委員 それに関連して公団住宅ですね、これは本年度通達が流されて、固定資産税の半額というのが大体の自治体において施行されておるのでありますが、これは本年度だけですか、それとも将来もそういう計画が立てられていくのかどうか、この点を……。
  95. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 新築住宅の固定資産税につきまして、二十坪未満の家屋につきましては、十五坪以下の部分について三年間二分の一程度に軽減をする、こういう指導をいたして参っております。住宅公団の住宅も十五坪以下のものでございますから、三年間二分の一に負担を軽減するという措置をすべての市町村がとっておるわけでございます。
  96. 北山愛郎

    北山委員 一点だけお伺いしておきたいのですが、それは地方財政再建促進法の再建団体の今度の給与の改訂に関連をする計画変更についての自治庁干渉の問題です。これは現在再建団体のみならず、二十数県の府県においては地方の給与条例をきめて、議会の議決も経ておる。ところがそれが気に食わぬということで、自治庁がそれを改訂させる、こういうことは大問題だと思うのです。私ども地方財政再建促進法の審議に当ってこの点を非常に憂慮したのです。地方団体の自主性を奪うのではないか、その団体再建計画のワクに縛られて、しかも自治庁干渉を受けて手も足も出なくなってしまうのではないか、自治体としての自主性がなくなってしまうのではないかということを、盛んにその当時質問をしましたところが、当時の自治庁長官の川島さん、現在の与党の幹事長ですが、あるいはまたここにおられる小林政府委員、それから当時の後藤財政部長、それぞれみな、いやそういうことではないのだ、再建計画というものは、給与は幾らだ、あるいは消費的経費は幾らだ、投資的経費は幾らだというふうな大ざっぱな額についての計画を作ればいいのであって、個々の行財政運営について自主性を侵害するというようなことはやらないのだというような答弁をはっきりしておるのです。その答弁によって多少私どもは安心をしておったのです。ところが実際に促進法を運営して参ると、そうではなくて、一つの仕事をやるにしても、給与条例の給与表を作るについても一々自治庁干渉しておる。ですから、再建団体は何をきめるにしても、新しいことをやる場合には自治庁にお百度を踏んで、その御指示を仰がなければできない。その極端な場合が、今度のようにせっかく県の方が条例を作って議会の議決を経て正式に決定をした条例すらも、これを自治庁長官の命令でもって直さなければならぬというようなことは、これは鳩山内閣当時の促進法の説明とはまるっきり違うのではないか、私はこういうことはあってはならないことだと思うのです。特に長野県の場合のごときは、ことしの六月とかに条例をきめたそうでありますが、その条例をきめる前に自治庁は内諾を与えておるというような話である。内諾を与えて、そうしてそれに基いて条例をきめたところが、これはいかぬ、直せ、こういうことになっておるらしい。私の方の岩手県においても、一応条例をきめたところが、今度はそれを修正しろということで、十二月の県議会で一たんきめた条例を直さなければならぬ、こういうようなことは大きな行き過ぎじゃないか、自治体が自主的に自分の意思決定ができないのだ、こういうことでこれは大きな問題だろうと思うのですが、自治庁長官は一体どういうふうにお考えですか。
  97. 郡祐一

    郡国務大臣 決して再建団体でもその自主性を束縛するというつもりはありませんし、運営について十分その点気をつけておる事柄でありますけれども、給与につきまして国家公務員並みにするというこの一つの考え方と申しますものは、これはどうしても再建団体の現在の状況では一応これを建前といたさなければ相ならぬことでありまして、従いましてもちろん知事等も十分考えてしたことではございましょうけれども、また再建団体そのもののめんどうを見るという自治庁の立場といたしまして、このたびこれを扱いました段階では、こういう点は直してほしいという点を申しますることは、再建団体全体の財政や何かを見ていく上にはやむを得ないことと私は考えております。
  98. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、地方公務員の給与というものを国家公務員と同じにする、こういうふうな御方針なのですか。ところが、従来はそういう御方針ではないようなんです。その地方団体には、まあいろいろ県や市町村によって給与には相当なでこぼこがあるわけです。大体の基準はあるにしても、でこぼこがある。これを今までほったらかしておったが、今回は新自治庁長官は、国家公務員並みになさろうとする。それならば全部そうやりなさい。今の町村においては、給与の非常に低いものがある。二十九年当時のベースアップすらも、最近まで出てないものがある。家族手当なんか出さないところもある。超勤も出さないところもある。そういうものを全部国家公務員並みにするという御方針ならばこれはわかるのです。そういうふうにするのですか。
  99. 小林與三次

    ○小林政府委員 再建法の運用の問題にからんでの御質問でありますので、私より先に答弁させていただきます。われわれといたしましては、再建計画の運用につきましては、今北山委員もおっしゃいました通り、これはいわば当初からワクの法律であって、ワクは再建計画を達成するまでは、どうしても収支のバランスを合せ、並びに収支の中身において財政構造の健全性を保つという必要がございますので、ワクは厳重にやる。しかしワクの中における個々の運用は、これは自治団体の自主的な配慮を最大限に尊重すべきだ、こういう考え方を持っておりまして、それで実は一貫して来ておるつもりでございます。今度の給与改訂の問題は、結局その給与のワクをどう動かすかという再建計画変更の問題でございまして、そういうことが基本になって、給与条例のいかんというものは、当然今後の給与費影響があります。そこでそのワクに影響のある問題につきましては、こちらとしても、給与が合理的に動くような仕組みで意見を述べざるを得ないというのが実情なのでございます。その場合に給与費をどう考えるかという問題でございまして、給与費につきましては、御承知の通り地方団体の給与につきまして高いとか低いとか、いろいろな議論がありましょうが、自治庁といたしましては、ともかくも国家公務員並みの給与は保障してやらなければいかぬ。それであらゆる場合に財政上それが可能なようなことを確保するということが基本的な方針で、今までも一貫して参っておるのでございます。しかしながら一面におきましては、地方団体におきまして給与費が非常に大きな比重を占めておるのでありまして、この給与費のいかんが、団体財政運営に至大な関係がある。再建団体につきましては、一部今まで給与を押えつけておるじゃないかと、いろいろ議論がありますが、逆に給与費がふくれ過ぎておるから非常な重圧になっておる、こういうものがあるのは事実でございまして、給与はやはり財政措置に見合ったような合理的なワク内にきめなかったら、なかなか再建団体の運用はできないのでございます。そういう意味で、基本的に国家公務員のワク内で給与の運営をやっていただく。この基本原則を確立して、計画変更に当りましては措置をいたしておるのでございます。そういたしますと、個々の市町村にはそれより低いものがあるじゃないか、これも当然上げるように積極的に指導したらいいじゃないか、こういう御趣旨だろうと思います。これにつきましてはわれわれも、市町村職員構成その他で、多少実際の額は違うかもしれませんが、そういう前提におきましても、国家公務員と同じ基準で動くようになるようにむしろ私は、人も質も考える。そして給与もある程度合理的にやる。こういう仕組みの方が市町村の行政が合理的に動くゆえんだろうと考えております。そうでございますから、そういうことになるように、質的量的に改善されるということにつきましては、われわれも特に意を怠っておるわけではございません。そういうふうに逐次なることを期待して運用しておるのでございます。
  100. 北山愛郎

    北山委員 ですからお話しのように、問題はあくまで財政上の問題だと思うのです。個々の団体によっては事情も多少違うし、またそれぞれの団体の人事構成も違うし、従ってとてつもなく食い違うというならば別なんですが、でこぼこが多少ある。これは従来も認めてきたし、現実に認めてこなければ地方自治などというものはあり得ないのです。それぞれの再建団体にしろその他の団体にしても、それぞれの事情があるのだから、多少のでこぼこというものはある。しかし大体の基準は今まででもあるのです。地方公務員法にもある。だが多少の出入りというものはあると思う。それを認めないで今度のように、せっかくきめた条例まで、はみ出した分は修正しろ、国家公務員並みにしろというならば、これは財政上のワクという問題は別にして、地方公務員国家公務員と同じようにしろということなんです。自治体が一たんきめたものを、またもとに返して直させるという強い態度をとる以上は、しからば地方公務員の給与を一律にさっと全部やるならそれでわかるのです。それならば給与が国家公務員よりも低いような市町村等の公務員についても、条例を直させるように指示しなさい。そうでなければ筋が通らないのです。今局長のお話しのように、これは財政上のワクの問題だということはわかる。ただその範囲の中でそれぞれの団体の多少の出入り、しかもこれは時間的な面もあるでしょう。今は上っておるがまた将来はこれを調整できるとか、一律一体に皆一つの線できちんとするなどということは、これは考えられないし、そういう趣旨自治庁が考えておるとは私は思いません。だからこそ今の一、二の府県において、一応県議会できまったものまでひっくり返して、条例を直させるということは行き過ぎじゃないか。そこまであくまで地方公務員の給与を国家公務員並みにしようという決意があるならば、低いものも市町村等に勧告をして直させる、そうでなければ筋が通らないじゃないですか。ある程度の弾力性を認めるという御趣旨ですか。それとも一律に直させる、一定の基準にやらせる、こういう御方針ですか。その点を承わりたい。
  101. 小林與三次

    ○小林政府委員 個々の団体職員現実の給与は、今の職員構成なりなんなりによって、全部違うと思います。われわれといたしましては、給与の制度というものは、これは一つ国家公務員の基準でやってもらおう——こういう給与条例という制度をどうするかという問題と、現実の給与をどうするかという問題と私は二つあろうと思います。給与の制度につきましては、御案内の通り、今日まで数十年間みんな国家公務員の給与に準ずる建前をずっと一貫してとってきておりまして、現実に高い低いは人の構成その他で当然私はあり得ると思うのであります。今度の給与改訂におきましても、それと同じ式で、地方も給与条例を変えるということは私はあたりまえだと思いまして、それに準ずるような給与改訂が行われることを当然に指導して参ったのでございますが、給与条例そのものが国家公務員よりも特別によくなるということになると、しかもその地方の給与制度の基本にも影響するだけでなしに、地方の給与予算と申しますか、人件費の運営に至大な影響がある。それですから制度は少くとも一様にしてもらいたい。市町村につきましても、もちろんそういう格好で給与条例は国家公務員に準ずる形で指導しておるのでございまして、それより低い条例を作っておるようなところはない、私はこういうふうに考えております。そういう条例を作ったあとでも、現実の個々の職員の給与が高いとか低いとか、こういう問題が別に私はあろうと思います。それは私は現実国家公務員より低いようなところがあれば、財源の許す限りこれを国家公務員並みにまで上げるように努力するのが当りまえで、そのためにはそれは人的構成を樹立するという意味からも、そういうふうに努力するのが当りまえだと考えておるのでございます。
  102. 北山愛郎

    北山委員 給与制度として地方団体が大体国家公務員並みの制度になるということを期待するということであれば、現在の町村なんかで給与制度の低いものは上げるようにやらなければおかしいんじゃないですか。私のいろいろ聞いているところでは、むちゃくちゃな町村も相当あるわけなんです。現実の給与が低いばかりでなく、給与制度としても、全国的にやったような給与ベース改訂のときにもやらなかったり、あるいは当然出すべき超勤手当を出さなかったり、いろいろ制度が違うのですよ。そういうものを直せと言わなければ、私はバランスがとれぬじゃないかと思う。今度のような給与改訂にはみ出した分だけは、せっかくきめたものまで撤回させてやり直させるという以上は、やはり全国的な均一化といいますか、そういうことを制度としてやらなければ——財政の許す範囲とかなんとかいうこととは別ですよ。おそらく各県の当局は条例を作るにしても、あるいは組合との折衝にしても、やはりその県の判断として、財政上可能だという範囲内において条例を作ったに違いない、それをも放任するならばそれはそれでいいのです。しかしそうじゃなくて、その県の財政が許したとしても、制度としては認められない、こういうことですから、問題にならないほかの市町村についても、制度として国家公務員並みになっておらないところは、そうさせるように強く指示しなければつり合いがとれないのじゃないか、こう申し上げておるのです。方針はどうなんです。
  103. 小林與三次

    ○小林政府委員 自治団体の全部の給与制度をどうするか、こういう問題ですが、これは御案内の通り国家公務員を基準として自治団体がいろいろ自主的にきめる、これは北山委員おっしゃる通りの仕組みになっております。われわれといたしましては、国家公務員の制度が変ればそれに準じて変ることを期待して、そういう一般的な指導をやっておるわけでございます。個々の団体の条例自体をどうこうするという権限は自治庁にないことは、われわれは百も承知をいたしております。そこで問題は自治庁と個々の団体との間に問題が直接的に起るのは再建団体でございまして、再建団体につきましては、少くとも再建計画を合理的に達成させる、こういう基本原則は動かすことができないのでございます。そこで再建団体再建計画を合理的に達成させるためには、特に給与費というものは大きな比重を占めておるのでございまして、その絶対額がどうなるかということもあれば、給与費とほかの各種の経費との合理的なバランスという問題もあるのでございます。そういうところにおきましては、最小限度、つまり国家公務員並みの給与を保障してやることは、われわれとしても、ぜひ考えたい、またそうすべきだと思うのでございまして、財政の許す範囲においてそれを考えるとともに、その団体再建計画を合理的にやるためには、不当に給与が高くなってはこれまた支障があるのでございます、特に給与条例などというものは恒久的な給与制度として、将来の給与費に大きくひっかぶさっていくだけでなしに、これが基礎になってあらゆる人件費がみなきまってくるのでありまして、だから基本的な給与条例というものは国家公務員並みの財源しか保障されていない、だからその財源のワク内において運転することを考えなかったら再建計画上支障がある、こういう基本的な考え方に立ちまして、国家公務員並みの基準で一つ運営をしてもらう、この原則を確立して指導いたしておるのでございます。
  104. 北山愛郎

    北山委員 時間もおそくなるから切り上げますが、要するにそうすると、そういう方針で給与条例のできたところでも、自治庁としては直させる、こういうことですか。それともそれは認めるというのですか。どっちです。
  105. 小林與三次

    ○小林政府委員 これは議会できめたからそれで動きがつかぬかということになれば、定員条例の問題だって一般予算の問題だってこれは同じ問題がございまして、やはり再建計画を達成するために合理的でないというものがあれば、是正を私の方としては求めざるを得ない、こういうふうに考えております。
  106. 北山愛郎

    北山委員 それはやはり一番最初の地財再建法の審議の際に、当時の川島長官やそれから小林さんの説明したこととは非常に違うじゃないですか。その当時の説明とは非常に違って、いろいろなワクをはめて、そうして指導をしている。たとえば一般会計から個々の会計に対して繰り入れば減らせとかなくせとか、そういうことは何もないはずなんです。一つ団体が再建ができるワクの中で行財政運営をして、ある程度できるだけ自主的にやらせるという当初の御説明通りであれば、いろいろなごたごたは起きないと思う。今度の条例にしても、やはり人件費あるいは物件費のいろいろなバランスがあるでしょう、あるでしょうが、やはりそこのところがきちんとしたものさしにはならないのですよ。全体の団体が多少のでこぼこを認めて時間をかけてこれを調整していくということでなければ、そんな性急に、出した条例をすぐ変えろなんていうことは、当初の再建法の審議の際には、少くとも当局の説明にはなかったはずです。それが変ったということなんですな。
  107. 小林與三次

    ○小林政府委員 当初の説明にも、要するに再建計画をこちらが見るのは、大ワクのところを扱うという、そのことを申し上げたわけでございまして、その再建計画予算のワクでございますから、ワクというものは総体のものとある程度再建計画を合理的に達成できる中身のワクと、いろいろあろうと思います。しかもその大ワク、小ワクというものはある程度筋道を立てなかったならば動きがつかぬ、そのワクだけは確保せざるを得ないと思います。ただそのワク内における個々の仕事の運用は、これはもちろん個々の仕事をとやかく言うわけではございませんから、そういう考えはわれわれも差し控えたい。だが人事の問題については、とやかく言うわけではなしに、人件費の部分に関係のある給与費だから、これは場合によっては文句を言わざるを得ない、こういうことなのでございまして、その点だけは御了承を願いたいのでございます。
  108. 北山愛郎

    北山委員 今の問題は再建団体のみならずその他の団体においても、やはり給与の改訂についての指導は同じようにしておられるようであります。そうなりますと、先ほど申し上げたように高いものだけは文句を言って直させる、低いものはそのままにほおっておく、ただ財政的に考慮してやるのだということじゃおかしいじゃないか。直接に給与制度として個々の団体にそう指示する以上は、やはり個々の団体の低いものについても自治庁が指示をしてあげるように、条例を直させたり超勤手当を出さぬのには出すように指示したり、そうしなければおかしいじゃないかと思うのですが、そういうことはおやりにならぬのですか。
  109. 小林與三次

    ○小林政府委員 一般の団体につきましては、私の方では一般的な指導、運営をやっておるわけでありますから、一般的に国家公務員に準ずるように、高いものにつきましても低いものにつきましてもこれは言っておるのでございます。ただ個別的に、お前の団体はどうこうしろというような問題は、一般の団体につきましては自治庁としてそこまで踏み込む気はないのでございます。ただ再建団体につきましてだけは、もう再建計画にあずかっておる建前上言わざるを得ない。あとはもう一般的な指導運営の問題として、国家公務員に準ずる適正な給与が行われることを期待し希望し、勧奨いたす——勧奨という言葉は語弊があるかもしれませんが、そういうふうに地方に申しておるわけでございます。
  110. 北山愛郎

    北山委員 今の話ですね、長官に一つ最後にお伺いしたいのですが、先ほど長官は地方公務員の給与を国家公務員並みの線にやりたいというのが趣旨であるというお話であった。ところが今の小林さんのお話を聞くと、そうじゃなくて再建団体についての財源上の措置である、こういうお話である。その点非常に食い違いがあると思うのですが、どうなんでしょうか。低いものは上げろというようなことは言わないのですね。高くなったものだけは文句をつける、こういう自治庁方針ですか、その点を確めておきます。
  111. 郡祐一

    郡国務大臣 再建団体につきまして私ども考えておりますのは、とにかく今の段階で、先般の給与改訂で、そうして知事がいたしましたそのままでは、多少のという程度じゃなくて、やはり再建団体財政上、条例そのままにしておいては無理であるという種類のものに相なりまするので、この際は給与の改訂に当っては国家公務員並みのところで、とめてもらわなければ困るのだということが、再建法をこの場合運用しておる考え方でございます。もし給与の著しく低いもの、これは町村等については私はないとは思いません。しかしながら、これは町村というものは、行政そのものはかなりに簡単なところがあって、実際に見ると、それほど実情にそぐわないというようなことではないのじゃないかと思います。思いますけれども、これは全般的な問題として、著しく人間を使っていくのに安過ぎるというのがありますならば、これは当然考えなければならぬ問題だと思います。
  112. 北山愛郎

    北山委員 もう一つ、先ほどちょっと申し上げたのですが、長野県の場合においては、自治庁は県が条例をきめる際に内諾を与えておる。そうしておいて、できたところが文句を言って、直せ、こういうことではおかしいのじゃないかという説があるんです。そのことはほんとうかどうか。特に本年の五月ころには、自治庁の鈴木次長は、給与の切りかえについては、地方の自主性を認めるというようなことを言ったはずだし、あるいは給与改訂に伴う再建団体計画変更についても、一応事前協議はしないであとでやるというようなことで、多少初めの方針地方の自主性を認めるやに見えた。それが急にあとになって、手のひらを返したように自治庁方針が変ったのではないか、こういうような疑いがある。少くとも長野県についてはどうなんですか。それからまた自治庁が給与の切りかえについては、地方の自主性を尊重するということを言明したことがあるかないか、これを伺っておきたい。
  113. 小林與三次

    ○小林政府委員 給与の切りかえにつきましては、自治庁の名前になっておると思いますが、通牒を出しておるのは事実でございます。これは国家公務員の給与の切りかえが四月一日を基礎にして行われますから、切りかえはわれわれもすみやかに行わせたい。そこで要するに国家公務員に準ずる財源措置がしてありますから、国家公務員に準ずるような給与の切りかえを行うのなら事前協議は要らぬ、こういう趣旨の通牒を出しまして、国家公務員並みの切りかえだけは、一日も早くさせてやりたいという考えで通牒を出しておるのでございます。それはあくまでも国家公務員並みの切りかえが前提で、それはそっくりやってよかろう、こういう趣旨のことを申しておるのであります。それでありますから、国家公務員以上の大きなことを自由勝手にやってもいい、そういう趣旨の考え方とかいうものは初めからございませんで、国家公務員に準ずる措置という前提で、常に指導して参っておるのでございます。
  114. 北山愛郎

    北山委員 長野県の問題はどうですか、真偽のほどは。
  115. 小林與三次

    ○小林政府委員 長野県とか、それから切りかえをだいぶ前にやったのは、ほかの県もあろうと存じております。新潟県などもたしかあったはずだと思います。これも国家公務員並みに準ずるという前提で、予算変更措置を認めておるのでございます。
  116. 門司亮

    門司委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会