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井堀委員 あいまいなことを言わぬでも、ずばり言ったらいいと思うのですがね。これはとにかく法の盲点だと思うので、われわれ立法府の
責任になるかもしれぬと思うのですよ。白を黒に言いくるめるような主張はしない方がいいんじゃないかとわれわれは思う。あなたが言うまでもなく、
選挙民が批判すると言うんですけれ
ども、そんなことは
選挙法と別個なんです。それは自由な意思でやるのですから、原則的に
現職を利用してやるようなのは批判して落されるだろう、そんなことはわかるもんか。そういう主張は、
選挙管理
委員会というものが、
市長の
選挙をするときには、
市長とは全然
関係のない独立した場合に言えることなんです。これは、今回始まったごとじやなくして、
前回もこれに類するような問題を取り上げて質疑をかわしてきたのであります。任免権を持っているものが、形式だけほかのものを作ってやれるなんということができるなら、そんなやさしいことはありゃしない。これは、今あなたが言うように、なんぼ公正にやれと言ったって、できぬものならできぬ。だから、この点は法の不偏なら不備だというように——あなたが一番
責任の地位にあるんだから、何だかこのままでもいいというようなものの言い方は、進歩をはばむと思うのです。これは議論にわたりますからやめますが、一番大事なことは、一方においては、いろいろな障害があって、
選挙管理
委員会というものは完全な独立が困難だ。先ほ
ども選挙管理
委員会の方から
陳情があったように、原則的には
選挙管理
委員会が被
選挙者の前に完全に中立で独立したものでなければならぬということは、議論の余地がないところである。ただ、常時そういう事務局を設置するとか、あるいは多くの
選挙管理
委員を置くとか、管理機構を設けることは、財政上できぬということが、実際上今までの審議の中で明らかになっている。予算措置さえつけば独立するに限るということは、たびたび明らかになったことである。その典型的な
一つの悲劇なんだ。それを
選挙民が何か判断してやるから心配がないなんというと、これは脱線すると思うのです。だから、
現職市長の場合は明らかに
選挙管理
委員会の独立を失うということは、大胆に認めてかかっていただかなければならぬ。これは、いずれ、この
委員会で、
政府も
選挙法改正のための諮問を
選挙の
調査会の方にしておられるようでありますから、出てくると
思いますから、そのときに協議をいたしたいと
思います。
次に、さっきの
質問の継続をいたしたいと
思いますが、問題は、当面しております
地方議会の議員の
選挙、都道
府県会議員の
選挙区のきめ方については、
一つには
市町村の合併に伴う地域の
変更ですから、これは割合機械的に
資料の提供もしてもらえると思う。またわれわれの判断もある程度しよい問題だろうと思う。しかし、今私
どもがこの
地方議会の議員の
選挙区を
変更しようとする場合には、きつき
自治庁長官に
お尋ねをしてまだ答弁をいただいておりませんので、
選挙局長の答弁を聞いておきたいと
思いますが、
一つには、
日本の
地方自治体、特に
府県会というものは、自治のうちでも重要な地位にある。むしろ、
市町村よりは都道
府県の方が、自治としての仕事の幅も、国民生活に影響を与える
行政の面からいっても大きいと思うのです。この点を重視いたしますならば、ことに学者の間でも定説になっておりますように、民主政治の基礎の確立は
地方自治の健全化にあるということは、あまりにも明確なんです。そこで、
地方自治を完成していくために、
選挙区の問題を
考える場合に、
一つには戦後大きな変化が起きておる。それは全体の領土が非常に狭くなってきており、それに人口が急速度に増加したこと、その人口の増加も、決して正常な配置でなくて、疎開とか、引き揚げとか、戦災に伴う地域の
変更とか、あるいは戦争と敗戦、終戦後におけるそういう背景で、必ずしもノーマルなものになっていない。漸次ノーマルなものに近づこうとする
傾向は見えるわけです。こういうときでありますから、
選挙でいえば有権者、自治民の
実態というものに目をつけて、
地方自治体の
選挙区の問題を
考えなければならない。もう
一つあげなければならぬことは、
地方自治の場合には国の政治と非常に違ってくるところがある。それは
経済の
関係だと思うのですが、
日本の
経済は、今言う人口の移動と同様の意味において、まだ安定の段階に入ってこないのじゃないか。たとえば、資源に非常に恵まれた
府県があるかと思うと、あるところは食糧の産地であったり、あるところには工業が集中しているとか、そういうようにいろいろな
経済の基盤というものが必ずしもまんべんなく普遍的に配置されてない。非常に片寄ったものになっている。こういう
関係ことに、
地方自治の場合においては、できるだけ自治を確立していこうとするためには、
地方の自治自身における財政なり、あるいは、もっと言うなら、税などについても独立税をできるだけ認めていくといったような、一方にはそういう説も出るようなわけでありますので、こういう点からいって、
選挙区の問題も、そういうものと全然かけ離れて
考えられない。これは統計を見れば非常にはっきりすると思うのです。
地方財政を左右する。たとえば、
地方税のようなものの税負担が、
日本の場合は跛行的なんです。これは、直接税だけに例をとってみても、国税一本だけでやっていくというのなら、これは別です。しかし、できるだけ
地方自治体に有力な財源になるようなよい税源を渡すということも一方においては主張されている。それができるか、できぬかは別として、それが現在行われていないので、附加税ないしは独立税というものもほんの申しわけのようなものです。それを許すことにいい点と悪い点と出てくる。たとえば、直接税についても、私、この間、ラフなものでありますけれ
ども、統計を見てみますと、非常にでこぼこがあるのです。国税で一番大きな収入を上げているところは東京都、一番悪いところは鹿児島県の例が出ておりますが、その最高と最低を統計で拾ってみますと、東京都一人当りの場合、国税を平均にならしてみますと、二十九年度の二万二千三百七十七円に対して、下位の鹿児島をこれに比較してみますと、千四百九十八円というべらぼうに低位なもので、
府県税がまたこれにならったような形になって、都道
府県の場合を見ますと、東京都の場合は五千百四十五円、鹿児島は四百六十四円、もちろんこれは県民の所得にも大きく左右されるわけでありますが、所得の点で今のような統計を見てみますと、一人当り平均東京の場合においては十一万四千七百七十九円、鹿児島はわずかに四万一千八十八円といったように、これが預金の点においても、またいろいろな面にこういう開きがある。こういうところで自治を完成していこうというのでありますから、
選挙法だけで
解決つかぬかもしれません。今度
選挙法を抜本的に
考えなければならぬというのは、私はこういうところにあると思う。そのほかに、交通
機関や教育
文化というものにも大きく左右されると思う。一々あげておりますと長くなりますけれ
ども、たとえば、飛び地を作ってみても、交通
機関の運営や、あるいは
文化の流れといいますか、そういうようなものについても、ささいなもののようでありますが、日刊新聞のようなものを一例にとってみても、どういう流れ方をしているかというと、今の
行政府の郡によって必ずしもきまってはいない。
市町村はやや
一つのものですが、山があったり、川があったり、地勢、交通
機関の
関係で、隣の郡や隣の県へまたがったりしているから、こういうものを自治と切り離して
考えてしまうということが一体許されるかどうか。私は、今回の
選挙法改正は、こういう点では、自治に対するやはり抜本的なメスを入れて、できるだけ合理的な
選挙区を選び、あるいは、その
選挙法についても、前から言っているように、
公職選挙法一本でまかなおうとするならば、多少
選挙法が複雑になるにいたしましても、これこれの場合はこういう特殊のケースが使われるということを
考えなければならぬようなものにしなければならぬと思う。
日本の自治に関するいろいろな制度を見ていきますと、
選挙法が一番立ちおくれているように思う。
選挙法は、今のところ、
地方の
府県会議員の
選挙法も、今言うように、
市町村長あるいは知事の
選挙、国
会議員の
選挙、みなどんぶり勘定で一緒にやっておりますから、いいところもありますが、弱点も出てきている。しかし一方には、やはり自治をできるだけ早く完成することによって、
日本の民主政治にぐっと筋金が入ってくるという
考え方を貫こうとするならば、私は、今が
選挙法をいじる際における一番大事な時期ではないか、こういう点まで検討されておるであろうと思うのですが、できるなら、一応、この機会に、
政府の
地方自治完成と並行して
選挙法改正を行わんとする抱負を伺っておきたかった。それで、前会、実は
自治庁長官に、用意されてきょう答弁のできるようにしてほしいと申し上げておいたのですが、あなたには御相談があったと
思います。長官が出て参りませんから、漫然と待つわけにいきませんが、長官が相談されたかされないか、されないとするならばあなたの御
意見でけっこうであります。