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政府委員(
松尾泰一郎君) 本日閣僚
審議会におきまして御決定になりました三十二
年度上期の外貨
予算の概要を申し上げます。全部申し上げますと時間がちょっとかかりますので、ごく概要を申しておきます。
予算の編成の方針といたしましては、従来とほとんど変りはないのであります。一言に申しますと、国民経済の健全な発達に即応しまして、必要な輸入
需要を充足する
予算規模とするということでありまして、貨物
予算といたしましては、
予備費の一億五千万ドルを含めまして二十二億三千六百万ドルということになっております。これを前年の同期と比較いたしますと、三億ドル以上の
増加になっております。なお、品目別の
予算の算定に当りましては、鉱工業の原材料、生活必需物資等につきましては、十分な金額を計上する、特に当面の隘路部門につきましては、この隘路打開のために必要な輸入を特に
推進する、それから不急不要の物資につきましては、通商協定等の特別の必要ある場合のほかは、輸入をしないという従来の方針を継続しております。また自動承認制の拡大につきましても、通商上及び産業上の諸問題との調整をはかりつつこれを実施する。それでまた自動承認制の適用品目につきましては、国際収支上の理由により、外貨割当制に偏向しないこととする従来の方針はこれを堅持するというふうな方針をもちまして、
先ほど申しましたように二十二億三千六百万ドルの貨物
予算を編成したわけであります。その結果国際収支におきましては、上期においては若干の赤が出るのではないかという数字になっております。
なお、輸入貨物
予算の内容を主要物資について大きなものだけを申し上げますと、たとえば食糧でございますが、食糧の上期の全体の金額は二億五千九百万ドル百万ドル——以下は四捨五入して申し上げたいと思います。四捨五入しますと、二億五千九百万ドル
程度になっておる。このうち大きなものは米と小麦と大麦、砂糖、大豆ということになっております。米は、大体年間としまして五十万四千トン買う、上期におきましては原則として買わないで、下期にほとんど買おうということでありますが、この三十一
年度で諸外国と約束をしておったものでの買い残し分の七万四千トンだけを、上期で一応買おうということであります。それから次に小麦でありますが、
年度間二百十九万二千トンで、上期におきましては百万五千トンの買いつけを見込んでおります。大麦につきましては、
年度間を八十八万トン、上期は四十万七千トン買います。砂糖は
年度間百十五万トンないし百二十万トンを買うことにいたしまして、上期において五十八万トンを
予定しております。これは三十二
年度の粗糖
需要量を百十六万トンという推定に立っております。それから次に大豆でございますが、年間を八十五万トンと見まして、上期に大体四十万トンの
予定であります。
それから次に、専売物資は合計五百六十六万四千ドルでございますが、そのうちの大きいものは塩でございます。
年度間に二百六万七千トン、上期は百十三万トンを買うという
計画であります、
それから次に、繊維原料は
総額三億七千八百万ドルの
予算でございますが、そのうちの原綿は、綿糸生産を二百六十四万七千コリと推定いたしまして、非紡績用を含めまして、上期百三十四万七千俵、
年度間としましては二百八十九万七千俵の
予定でございます。原毛は、三十二
年度上期におきまして四十八万俵、それから
年度間は百三十万俵でございます。それから次は肥料及び肥料原料でありまするが、これは二千百万ドル若干でございます。そのうちのカリ塩は、上期におきまして二十四万五千トン、
年度間で五十二万トンという
予定であります。それから肥料の中の燐鉱石は、今期までは割当制であったのでございますが、これは自動承認制物資の方に移しております。
それから次が
鉄鋼原料及び
鉄鋼製品でございまするが、
総額二億八千八百五十万ドル
程度になりますが、そのうち銑鉄は、上期におきまして二十九万八千トン、
年度間は五十万七千トン、鋼材は上期におきまして六十九万二千トン、
年度間で百十万トンを買いつける
予定であります。これは三十二
年度の普通鋼材の
需要を千三十六万トン、こういうふうに
予定しておるわけであります。高炉銑を六百七十万トン、普通鋼鋼材を九百九万トンと生産を見込んで、なお不足になる銑鉄及び鋼材を、今申し上げた数字のものを輸入するのであります。次に、以上のような生産見通しに立って、鉄鉱石、石炭、くず鉄のいわゆる原料の輸入
計画を予想しておるのであります。
鉄鋼原料といたしましては、
鉄鋼くずを上期におきまして百三十八万トン、
年度間で二百九十二万トン、それから原料炭は、上期におきまして二百八万トン、
年度間は四百十二万二千トンでございます。鉄鉱石の方は、全地域が現在自動承認制の品目になっておるのであります。
それから、この原料炭のほかに、一般炭としまして、上期に三十万トン、
年度間百万トンの石炭を入れるという
予定をしております。それから石油につきましては、三十二
年度の石油製品の
需要を、揮発油は三百九十四万百キロリッター、重油が八百三十九万キロリッター、原油の精製量は日産二十六万一千バーレル、こういう前提に立ちまして、原油は、上期におきまして四千三百六十八万三千バーレル、
年度間で九千三百二十万一千、バーレル、それから重油は、上期におきまして八十二万八千キロリッター、
年度間で二百十七万九千リットル、それに小量の航空用の揮発油を考えております。
それから機械類の輸入は、上期は一億九千万ドル
程度の
予算を計上しております。
これがおもな物資につきましての数量でございます。若干この
説明が前後したかもしれませんが、
先ほど申しました石油を金額で申しますと、石油は一億九百二十四万六千ドル
程度になっております。そのほか、もちろん化学品、
医薬品、加工貿易原材料、あるいは求償取引物資、あるいは雑輸入の品目というものも掲げ、それから自動承認制の金額といたしまして、四億九千八百万ドル
程度を上期の自動承認制の金額に
予定をし、通常
予備費は一億五千万ドル、合計、
先ほど申しました二十二億三千六百万ドルということになるわけであります。
申し上げるまでもなく、現在の生産の伸びを十分に盛り込みまして、数量につきましては、それの達成可能なように、ゆとりのある
予算にし、この価格につきましては、
先ほども申しましたように、スエズ運河問題の影響が漸次さめつつあるちょうどその途中の
段階でありまして、非常に単価のはじき方がむずかしいのでありますが、一応事務的に予想し得る先行きの価格をとりまして、必ずしも今日現在の運賃、あるいは単価でなしに、若干こう下るであろうというふうな要素も加味しまして、算定をいたしております。また九月末におきまする在庫量なりスリッページの量につきましても、三月末現在の在庫なりスリッページを基準といたしまして、
鉄鋼原料なり油類につきましては、かなり在庫をふやすという気持で編成しておりまするが、食糧等につきましては、いろいろの問題もありまするので、やや在庫を現在に比べますと、九月末では減らせるというような気持でやっております。その他のものにつきましては、大体三月末の在庫でもって適正在庫に復帰したという前提のもとに、九月末におきまして同様の在庫量を保持するというような考え方でやっております。