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1957-03-29 第26回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)    午前十時四十九分開会   ————————————— 三月二十八日予算委員長において、左 の通り分科担当委員を指名した。            泉山 三六君            苫米地義三君            中野 文門君            西田 信一君            前田佳都男君            安井  謙君            海野 三朗君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            豊田 雅孝君   —————————————   委員の異動 本日委員中野文門君及び西田信一君辞 任につき、その補欠として小山邦太郎 君及び関根久藏君を予算委員長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      豊田 雅孝君    副主査     岡田 宗司君    委員            小山邦太郎君            苫米地義三君            前田佳都男君            安井  謙君            海野 三朗君            佐多 忠隆君   国務大臣    国 務 大 臣 宇田 耕一君    国 務 大 臣 小滝  彬君   政府委員    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁教育局長    事務取扱    都村新次郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    経済企画政務次    官       井村 徳二君    経済企画庁長官    官房長     酒井 俊彦君    経済企画庁長官    官房会計課長  塚本  茂君    経済企画庁調整    部長      小出 榮一君    経済企画庁計画    部長      大來佐武郎君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    経済企画庁調査    部長      淺野 義光君    外務政務次官  井上 清一君    外務大臣官房長 木村四郎七君    外務大臣官房会    計課長     中川  進君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務参事官   服部 五郎君    外務省条約局長 高橋 通敏君    外務省国際協力    局長心得    森  治樹君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    防衛庁装備局管    理課長     竹田 達夫君    外務省アジア局   賠償部業務課長  武藤 和雄君    外務参事官   稲垣 一吉君    外務参事官   加藤 匡夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十二年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十二年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十二年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔年長者苫米地義三君仮主査となる〕
  2. 苫米地義三

    ○仮主査苫米地義三君) ただいまより予算委員会第二分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして不肖私が年長のゆえをもちまして、正副主査選挙を管理さしていただきます。  これより正副主査互選を行います。互選は投票によらず便宜選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 苫米地義三

    ○仮主査苫米地義三君) 御異議ないと認めます。  それでは主査豊田雅孝君、副主査岡田宗司君を御指名いたします。それではどうぞ。   —————————————    〔豊田雅孝主査席に着く〕
  4. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 皆様の御推薦によりまして私が主査ということに相なりました。御協力をいただきまして、これより本分科会運営を行なっていきたいと存じます。よろしくお願いいたします。審査に入ります前に議事の進め方につきましてお諮りいたします。当分科会昭和三十二年度一般会計予算回付別会計予算及び政府関係機関予算総理府のうち防衛庁経済企画庁外務省通商産業省及び郵政省所管について審査をいたすわけであります。本員は経済企画庁外務省及び防衛庁所管につきまして審査をお願いいたし、明日は通商産業省及び郵政省所管について御審議を願う、といった方法で進めて参りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  6. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) これより審査に入ります。まず昭和三十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係械関予算中、総理府経済企画庁所管店議題にいたします。本件につきまして政府より説明を願います。
  7. 井村徳二

    政府委員井村徳二君) ただいま議題となっております経済企画庁予算案について御説明を申し上げます。歳出予算要求総額は九億四千二百八十三万二千円でありまして、これを前年度予算額九億五千六百五十八万二千円に比較いたしますと一千三百七十五万一千円の減額となっております。次に経費内訳を申し上げます。第一に、経済企画庁の項では、要求額は二億四千五百七十三万円でありまして、前年度二億五千五百五十四万二千円に比較いたしますと九百八十一万一千円の減額となっております。この減額となったおもな理由は、前年度に比較し国富調査に要する経費が三千六百八十五万一千円減額となったためでのります。この要求経費内容を御説明申し上げますと、人件費一億七千五十五万五千円と、事務費七千五百十七万五千円であります。この事務費は一般庁務の運営経費、並びに次に申し上げる内容のものであります。  わが国経済に関する長期計画及び年度計画の策定、国際経済協力の推進、基本的経済政策企画立案、並びに経済審議会運営に要する経費が六百八十二万九千円であります。  わが国内外の経済の動きを的確に把握し、また必要な統計指標作成する等、経済動向調査分析に必要な経費三千八百十七万五千円であります。この経費には定期的な月報類経済白書国民所得年次報告書等印刷に要する経費が含まれておるのであります。また海外諸国における経済事情調査を充実するために、この経費は前年度に比し若干増額計上しております。  国富調査については、前年度調査表作成は完了いたしましたので、本年度はこれを取りまとめて報告書作成公表するために要する経費が六百九十三万二千円であります。  経済施策を立てますには、将来の景気動向をできるだけ的確に把握することが必要であります。このためこれに関する指数を作成するほか、企業経営投資消費等動向について科学的な調査を行うこととし、これに必要な経費が一千七十四万五千円であります。  第二に、国土開発調査費の項では、要求額は一千五百九十七万四千円でありまして、前年度二千百六十七万六千円に比較いたしますと五百七十万二千円の減額となっております。この経費は、国土総合開発法電源開発促進法特殊士ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法離島振興法等の各法律に基きまして、それぞれ災害防除生産力発展を促進せしめるための諸施策を樹立するために要する経費、及び国土総合開発審議会電源開発調整審議会特殊土ょう地帯対策審議会離島振興対策審議会運営に要する経費であります。なお、東北地方については、資源の総合的開発産業立地適正化を促進して、その発展をはかるため、諸万策を早急に樹立する必要がありますので、このため東北開発審議会を設けますとともに、事務費と合せ、新たに四百万円を要求しております。  第三に、土地調査費の項では、要求額は一億八千三百十二万八千円でありまして、前年度一億七千九百三十六万五千円に比較いたしますと、一百七十六万三千円の増額となっております。その内容を申し上げますと、基準点測量におきましては、四等三角点新設点数を一千百九十点と予定し、これに要する経費として四千二百二十二万四千円、国土調査法の規定によって、地方公共団体土地改良区等が地籍調査を行いますときの補助金として一億三千万円、土地分類調査水調査についての委託調査費として五百四十万円となっております。  第四に、国土総合開発事業調整費の項で五億円を要求いたしております。国土総合開発法に基く特定地域及び調査地域、並びに東北地方における開発事業は、各省各庁によってそれぞれ別々に実施されるため、密接な関連のある開発事業進捗状況に不均衡を来たし、または調査相互間に重複や不統一を生じて、総合的な効果が発揮せられない場合があります。このような場合に経済企画庁がこれを調整いたしまして、総合開発効果を上げようとするものであります。  以上で経済企画庁予算説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。
  8. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) これより質疑に入りますが、井村政務次官のほかに酒井官房長小出調整部長、大來計画部長植田開発部長淺野調査部長が見えております。御質疑の方は御発言を願います。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 まず第一にお伺いしたいのは、この事項別内訳表の第六の景気動向調査の点であります。これは重要なことは申すまでもないことでありますが、ことしからこの項が設けられて、そうして一千万円ほどの予算が計上されたのでありますが、これの本年行おうとする計画、それを概略御説明願いたい。
  10. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 景気動向調査につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、一千七十四万五千円の予算が取れまして、その内容投資関係予測をやるという調査と、それから消費動向調査であります。投資消費の将来の予測を業者から取ってくるという調査、それから次は投資実績調査、あるいは機械受注調査というようなことをやる考えでおります。それから次にデフュージョン・インデックスあるいは景気動向指数という調査をやる考えでおります。さらにビジネスサーヴェイを若干やるということになっております。  そこで簡単にその内容を御説明申し上げますと、投資予測及び実績調査につきましては、予算額投資予測及び実績両方合せまして六百二十万九千円でございまして、投資実績の方は年一回千五百社の法人について調査をする。それから法人投資予測につきましては、年二回千五百社ほどのものにつきまして、設備の投資が将来どういうふうになっていくかということを、法人から申告させまして、調査を進めていきたいというふうに考えております。  それから次に機械受注調査につきましては、六十三万八千円ほどの予算でございまして、これは従来とも経済企画庁の方でやっておりました機械受注調査を拡充いたしまして、大体機械メーカー五百社から年四回ほどエア・メール等によりまして、機械受注等調査していきたい、こういうふうに考えております。  それから消費需要変動調査につきましては、二百八十七万円八千円でございますが、それで都市の大体四千二百ぐらいの世帯を選びまして、年二回ぐらい、投資先行きがどうなるかという調査をやると同時に、もう一つ総理府統計局にお願いしまして、所得消費関係がどういうふうなパタンになっているかというようなことを調査して参りたいと思っております。  それから次にビジネスサーヴェイというのがございますが、それは大体四十九万七千円でございまして、大体主要企業千社ほどにつきまして、年二回、投資だとかあるいは売り上げその他利潤というようなものを調査して参りたい。向う半期にどれぐらいのもうけがあるか、あるいはどれぐらいの投資をやるかというようなことを調べていきたい。  それから最後のデフュージョン・インデックス、これはちょっと英語の翻訳で非常にわかりにくい調査でございますが、われわれはこれは景気動向調査といっておりますが、経費といたしましては五十二万三千円でございますが、われわれとしましては、経済指標を大体三百か四百ぐらいいろいろなものを選び出しまして、大正八年と昭和十四年、あるいは昭和二十六年と三十一年のものにつきまして、それらの指標によりまして、景気の波と一緒に動く統計指標、あるいは景気の波に若干おくれていく指標、あるいは景気の波に若干早回って山が出てくる指標、こういうような指標をふるい分けいたしまして、そしてそれでいろいろな総合的な指標を作って、景気先行きを迅速に判断していこう、こういうふうに考えて、明年度からその作業を進めたいと思っている次第でございます。大体以上でございます。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 この方式は、大体アメリカで今行われているのをもとにしてやることになるのですか。
  12. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 大体投資予測消費需要デフュージョン・インデックス等につきましては、それぞれアメリカ勉強をしておりますので、そういうもの等を参考にいたしましてやっていこうと思っております。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 今までアメリカでやっております方式は、景気予測をやりまして、これは当るとか何とかいうふうな表現がいいかどうかわかりませんけれども、どの程度確実に見通しがつくのか。
  14. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) これは新聞等で見たわけでございますので、はっきりしたニュースではないかもしれませんが、デフュージョン・インデックスというのは、大体これはアメリカ国勢調査局ミッチェル博士あたりがやっているものでありますが、一九五四年から五五年へかけての景気の上り、そこのところを若干早くこの指標で見つけ出したということで、非常に自慢している調査らしいのでございます。  それから投資予測調査につきましては、アメリカでは証券取引委員会あるいは商務省あたりがやっているわけでございまして、最近の景気動向がどうなるかという際に、盛んにこの調査を使ってやっているような状況でございます。  消費需要の方も、これはミシガン大学で、アメリカ連邦準備局委託調査しているものでございますが、これも相当将来の予測等をやる際に使われているものでございまして、その効果はある程度当っているのではないかというふうに、われわれは考えている次第でございます
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは私どもは非常に重要な問題と思うのですが、一千万円くらいで、えらい少いように思うのですが、一体当初どのくらい要求したのですか。
  16. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 当初要求は、大体二千九百万くらい要求しました。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは私どもとしては非常にいい企てであるし、またこれのいいものが出ることを期待しているのですけれども、どうもこれだけやるのに一千万円で、あまり十分にできそうにもないように思いますが、これは大蔵省の方とだんだんふやしていくようなことの約束でもできているのですか、取り付けてあるのですか。
  18. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 別段大蔵省の方とだんだんふやすという約束を取り付けているわけではございませんけれども、二千九百万というのは相当ぜいたくに考えた数字でございまして、一千万ございますとまあまあ最小限度このくらいでやるのではなかろうか。もちろんもう少し、多ければ多いほどよろしいのでございますが、まあしかし一千万でも、一体確率からいいますとかなりなものができるというふうに考えております。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんな正直なことを言うと大蔵省あと出さなくなるから、そういうことは言わない方がいい。  それで、僕は景気予測ということは重大な問題だと思うのですが、これとそれから一つ経済政策との関係ですが、これは経済政策を行う上に役立たせるというつもりであろうと思うのだが、とにかくどうも統計政策というもの、政策を行うということと離れ離れになるという傾向がある。日本の場合特にそういう傾向が強いのじゃないか。この投資予測企画庁の方で企画されて、自身非常に必要と感じておられるわけですか。他の方でも相当必要である、これは今後の経済政策を遂行する上に、基礎資料として必要である、という認識を持っておるのかどうか。
  20. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 特に投資実績調査等につきましては、統計審議会等にお願いしまして、指定統計でもっていくという作業を進めておりまして、諸先生方も非常に乗り気でございます。それから予測の方につきましても民間団体等これはまだ十分には聞いておりません、それから消費予測につきましても、民間あたりマーケット・サーヴェイ等をやっておりますので、ああいうものの補完とというような意味でも、民間の方でも相当興味があるんじゃないかと思っております。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 政府の方で経済政策を行う上に必要を痛感しておるのかどうか。企画庁の方はこれをやるのだから痛感しておることはもちろんだけれども
  22. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 大蔵省の方も非常に乗り気でございまして、新規予算として要求いたしましたのですが、先ほど申し上げましたように二千七百万要求したのですが、とにかく新規予算でございまして、一千万をつけていただきまして、大蔵省査定当局も非常に熱心に支持していただいたと思うのであります。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 第一回の発表はいつごろになるのですか。
  24. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 大体今の期限でございますが、今サンプル設計その他につきまして勉強中でございますので、ディフュージョン・インデックス等につきましては、今年末くらいかあるいはもう少しおくれるかもしれません、いろいろな研究を進めなければなりませんので。それからビジネスサーヴェイ等につきましては、第一回はやはり今年の八月くらい、これも予測でございますが、八月くらいには第一回くらいのところは出せるんじゃないかと思っております。その他大体におきまして六、七月ころに調査を始めますので、その結果が二、三カ月くらいで出てくるというふうな考えで今進めております。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 どういう形で発表されますか。
  26. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 形はわれわれの方のパンフレット等印刷しましてやると同時に、新聞等にも発表するというような形でもっていきたいと思っております。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 一千万円のうちにはそういう発表に要する経費は入っておらぬのですね、パンフレット作成とか。
  28. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 印刷費も全部入っております。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうもありがとうございました。  それでは次に5の海外経済調査、これも前年よりもふえておる。これは非常にけっこうなことだと思うのですが、この海外経済調査についてはおそらく外務省でもだいぶやっておられると思うのです。それからまた通産省の方でもやっておるでしょう。これらとだいぶダブる面があるのじゃないですか。
  30. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 私の方でやっております海外調査につきましては、国内経済との関連でなるべく一体となりまして調査をやる。そしてやはりその機構も私の方の調査課というところで国内経済動向を調べると同時に、海外経済も調べるという形でやっておりますので、やはり国内経済事情をはっきりさせるという観念のもとに、総合的に海外経済動向を的確に調べようというふうに考えて進めておる次第でございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはそうすると主として海外諸国景気変動調査、そう解釈していいのですか。
  32. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 大体そのような大局を押えるということと、さらにこまかいところも若干はいるかと思いますが、大きなところはそういうところになるのじゃないかと思っております。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 それからこの国土総合開発事業のところの五億円の問題ですが、三十一年度五億円組んである。これの三十一年度実績といいますか、効果というか、どういうふうに使われてどういう欠陥というか、欠陥を補うことに役立っておるのか、その点を一つ説明願いたい。
  34. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのお話にございましたように、三十一年度からこの予算を計上されております。国土総合開発というものは文字通り総合的であらねばならぬわけでございますが、所管が別々に分れておりますために、どうしても各省間の予算つけ方アンバランスが出て参るわけでございます。これの解決方法としては根本的に申しますれば、事業主体の一元化とかそういう問題もあろうかと思いますが、現在の行政機構ではそれはなかなかできないわけであります。最小限、そういったばらばらに事業主体がありましたために起ります弊害を、できるだけ少くするのがこの予算の目的でございまして、三十一年度実施に当りましては、五億円の内訳を四億七千万円を事業調整費に充てまして、三千万円を調査調整費に充てたわけでございます。そこで事業調整でございますが、相互関連をつけなければ解決つかない事業で、一方がおくれておりますために、せっかく始めました総合的な事業効果が上らないようなものに補完いたすと、こういう場合もございます。また一つ関連します他の事業実施されないがために、他の重要な事業実施が困難になるというふうな事態もございますので、そういうときには関係省予算のついていない所に調整費を回しまして、その問題の解決をはかってやる、こういたしておるわけでございます。  一つの例で申し上げますれば、三重県の四日市工業用水予算がついたわけでございます。それで農林省の方にも、その町屋川から引きます井せき統合予算がついておったわけであります。ところが井せき統合取水堰工業用水取水堰よりも上流になっております。ところがこの統合される井せきの方の予算のつき方が、工業用水予算のつき方よりもおそいものでありますから、地元農民としましては安心できない、工業用水ができるときには、統合された上流井せきから、自分たちの農地に水を引けるように、水路実行もぜひやってもらわなければならぬ、こういうようなことがございました。農林省予算ではそこまでも見込んでおりませんので、農林省の方に若干の調整費を持って参りまして、その問題を解決しましたために、四日市工業用水水利権の問題が比較的スムースに片づいた、というふうな問題もございます。  また千葉県の一つの例で申しますと、両総用水幹線水路が、農林省ばかりでなく、一部は中小河川を利用することになっていますが、この栗山川という中小河川予算は、建設省所管でございますので、両総用水の仕事とマッチしてついてきた。そうしますと栗山川の方に思い切ってつけなければならぬわけでございますが、河川局予算ではやはり県内の河川とのバランス等もございまして、そこまでつけていくわけにはいかない。従って調整をやっていったわけであります。一々申し上げれば相当個所数もございますが、大体事業の設定はこういう線でやったと、いうことで御了解を願いたいと思います。  次に調査調整でございますが、最近の各種の公共事業は事前に各省連合調査しなければならぬという性格のものが、割合に多くなってきているわけでございます。これは他の事業の場合と同じように農林省で関心を持っている事業でございましても、それに関連する建設省調査の方ではあまり調査費が計上されておらない。従ってあるいは計画実行段階で、調査の不十分のために問題が起らないとも限らない。こういう問題があるわけでございまして、そういった場合に不足している官庁の方の調査費で補完いたしまして、他の省との調査相互調整をはかる、こういうふうなことをいたしておるのであります。たとえて申しますと利根川の下流の土砂浚渫計画と、この土砂を利用して土地改良をするということは、これは並行して調査すべきものでございますが、これが双方の調査費予算の間にアンバランスがございましたので、それを調整いたしました。調査の費用を出しますと自然と経済企画庁がその調査に深く入り込みまして、調査結果の取りまとめにもある程度関与して参るようにいたしたいと思っております。  なお大きな問題といたしまして琵琶湖の開発、あるいは有明海の開発、宍道湖の開発、こういったものは当然各省連合調査をいたしますので、そういう際に各省予算の不足する分を補って参っております。三十二年度も同様な運用をいたしたいと思っております。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの説明で二つの面をあげられたわけでありますけれども、そういうふうな調整をした件数はどれくらいございますか。
  36. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 事業調整の箇所は二十カ所ございます。調査調整の個所は九カ所ございます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは五億円なら五億円というものを計上してあって、他の予算みたいに内容をこまかくすることはできないと思います。が、これはまあ三十二年度になりましてからそういう問題が起ってきたために、このうちから金を支出する、そういう性質ですか。
  38. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのお話の通りでございます。従いまして現在五億の金をどこに使うという指定はございません。四月、五月になりまして各省予算実行的にきまって参りまして、そのときにアンバランスが生じましてから補完して参るわけでございます。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 この中の調査費と、その前にある国土開発調査費と重なるような点があるように思うのですがね。
  40. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 国土開発調査費はその内容をごらんになりましてもおわかりかと存じますが、電源開発調整審議会国土総合開発審議会離島振興対策審議会特殊土壌地帯対策審議会、こういう審議経費でございます。若干の事務費もございますけれども、いわゆる一つ公共事業的な事業調査をするというものではございませんで、むしろ予備調査的な軽い事務的な調査費用でございます。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 海外経済調査というのが(イ)の5番目にありますがこれと(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)の一に内外経済事情調査経費と、これはどうして項目の似寄ったやつが二つも出されておるのでありますか。海外経済調査というところに約四百九十万、それからまた内外経済事情調査経費というここに四百三十万、  これはどうなんですか。
  42. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) これは後ろの方はミスプリントでございまして、国内経済事情調査経費、こういうことであります。
  43. 海野三朗

    海野三朗君 内外じゃないのですか。
  44. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) さようです。
  45. 海野三朗

    海野三朗君 国内ですか。
  46. 淺野義光

  47. 海野三朗

    海野三朗君 国内と内外とはだいぶ違うですね。これはこういうふうな間違いは大へんな間違いですよ。  それからこの経済統計作成経費というのですね、これは五百万円ほどあげておられますが、これと東北地方総合開発促進経費というのが四百万円あげてありますが、この内容をちょっと承わりたい。
  48. 淺野義光

    政府委員淺野義光君) 経済統計作成経費五百六十万三千円というのは、調査部の所管のものでございまして、たとえば英文の日本経済統計月報とかあるいは主要経済指標、日本経済指標海外経済指標、その他指標印刷経費でございます。  あとの方は開発部長所管であります。
  49. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発の調整費でございますが、このうちの百万円は新たに設けることにいたして提案いたしておりますところの東北開発審議会経費でございます。他の三百万円は、東北開発の今度新たに東北開発室を設けますので、それに要する事務費でございます。
  50. 海野三朗

    海野三朗君 東北地方総合開発促進経費となっているが、これは四百万円ばかりのお金で、あなたの方では相当おやりになられるような自信をお持ちになっておるのですか。
  51. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 御承知の通り、またこの表にごらんになりますように、前年度予算に促進経費といたしまして一千万円の計上になっております。これは三十一年度三十二年度と両年度にわたりまして、一千万円の調査費を計上いたしまして調査してきましたので、三十二年度からは実施段階に相成っておるわけでございます。従いまして経済企画庁といたしまして持っております予算はこれだけでございます。他に御承知の通り、東北開発会社に対する出資は社債の元利保証、あわせまして二十五億の資金が別途計上になっております。また北海道東北開発公庫には東北開発分としまして、四十五億の経費が計上になっており、また他の各省におきましては各省予算の中から開発に、各種の事業に支出することに相なっております。そういった他の所管に計上されております予算等を総合調整いたしまして、東北開発の実効が上るように東北開発室において運用して参るつもりでおります。
  52. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの東北開発二十五億と言われましたが、この経済企画庁は評判が悪いのですよ。県庁に言ってやって、県の方で大へん金を使わされている。実際貧乏神なんです、経済企画庁なんというのは。そうなんですよ。東北の方の貧乏な県にこういうことを調べて下さい。ああいうことを調べて出せといえば、その経費は全部各県の負担ですから、それでここにわずかに四百万円、鼻くそほどの金を出して私はどうかと思う。これで東北開発、ちょっといわゆるお座なりにここにお出しなさったのかもしらぬけれども、実際その各県ともそういう評判があります。こういうことを調べて下さい、ああいうことを調べて下さい、それに大へんな金を使っているのですよ、各県が。そういうことをあなたの方でよく考えておられない。実際に即していないように私は思うのですが、その辺あなたのお考えはどうなんですか。どうも経済企画庁から言われれば、金がかかって困るといってもしかし出さぬわけにはいかぬしね。そういうふうな評判は一つの県ばかりじゃありません。これは東北の赤字で悩んでおる県の方で、もう声を大にしては言われぬけれども実際に苦しい状態なんです。それだのに東北地方総合開発に四百万円といって大きな顔をしているのは、僕はどうかと思うのです。どうなんですか、お考えは。
  53. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私どもの方には、あるいは遠慮してかもしれませんが、そういう話を聞くことはないのでございまして、また企画庁からも最近それほどの大きな資料を県に対して要求したこともございません。また東北開発の仕事は経済企画庁と各県が共同してやる仕事でございますので、ある程度の御迷惑をかけることもあろうかと思いますが、そう大きく費用をかけさしておることはあるまいと考えております。
  54. 海野三朗

    海野三朗君 それはあなたの方に対しては言いませんよ。ネコにネズミですから、県庁なんというのはもう経済企画庁なんというのは神様のように思っているのですがね。ちょっとでもごきげんを損じたらいけないと思っているから、それは言われないのですよ。あなた方の耳に入るはずはありませんよ、それは。そうしてこういうことを出せと言われるのでしょう。ところがそれに対しては調査したりなんかするところの経費は全部県が負担するわけです。そういう面をお考えにならぬと、経済企画庁というところはどうもひんしゅくされるようになるのじゃないかと、こう考えておるわけですが、あなたがお聞きにならぬということは、あなたの耳に入らないのであって、東北開発促進経費のうちの事務費とおっしゃるのは、大体どういうことにお使いになるのですか。
  55. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発計画を今回作ることになっておりますので、その各種の経費がございます。また係官に調査せしめる場合もございますので、そういう旅費に充てるものもございます。ただいまのお話のございましたように、特に県にはあまり迷惑をかけないように従来も運営して参りましたつもりでございますが、今後もできるだけそういうことのないように運営して参りたいと思います。ただいままでそういう批判を私どもさして知らなかったのは不明でございますが、そういう要望が各県にあるといたしますれば、私どもよほど注意いたしまして、今後県の負担をできるだけかけない方法で資料作成に努めて参りたいと考えております。
  56. 海野三朗

    海野三朗君 この事務費と申しますのは、お役所だけのテーブル・ワークの分なんですか。
  57. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) これは役所だけで使う事務費でございます。
  58. 海野三朗

    海野三朗君 このうちには出張旅費は入っているのですか。
  59. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 出張旅費も入っております。
  60. 海野三朗

    海野三朗君 これで出張旅費はどれくらいにお考えになっているか。何人の人にお使いなさるお考えか。東北と申しましても岩手県だけでも四国よりも大きいのですよ、岩手県一県だけでも。その調査費にどうも総合開発促進経費、最も必要なところに四百万円ばかりのものを組まれることはあなた方の認識不足じゃないかと思う。東北というのは小さなものじゃないのですよ。岩手県だけでも四国全部より面積は大きいのだ。どうなのか。そういうことに対してもあなたのお考え一つ伺いたい。
  61. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 旅費といたしましては四十万円計上いたしております。まあ役所の経理から申しますと、東北地方に対する出張旅費だけで四十万というのは、これは割合によく大蔵省がふんばってつけてくれたものと考えております。旅費の金額も少のうございますが、出張に際しましてはできるだけ能率を上げまして効果の上りますように使って参りたいと考えておます。
  62. 海野三朗

    海野三朗君 私この際強く要望いたしておきたいと思いますことは、あなたの方から、はがき一本出してやればネコにネズミなんです。地方なんというものは、県庁なんというものは経済企画庁を恐れている。何よりも本省だから。はがき一本でどんなことでもやりますよ。それが困るのですよ。地方の赤字のもとなんです。だからもう少し認識を新たにしていただかなければならぬ。あなた方は本省におって机の上で仕事をおやりになるのだろうけれども、はがき一本で県庁から誰でも出てくるのですから、部長でも誰でも。従ってその地方の経費というものをよくお考えになっていただかんと、東北のような貧乏県はますます貧乏になっていく。私はそういうことに対してはあなた方が認識不足だと思うのです。それで大蔵省ではよくその旅費をたくさんくれたなんということをいいまするが、ちゃんちゃらおかしい。四十万円で何人がいけますか。県に割り当てると七県ありますよ。東北に。
  63. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) これは出張いたします職員の等級によっても違うわけでございますけれども、二十八回程度出張できることになっております。
  64. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますると七県でありますからして一つの県に四回ですね。一年間に四回。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 例の経済自立五カ年計画ですね。あれはまあ改訂することになったのですが、あれのまあ作業ですね。いつごろ新しい計画発表する見込みなんですか。
  66. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) ただいま御承知の七%モデル作業というので基本の数字を整理中であります。それで国会の予算通りましたら政府委員にみな余裕ができるだろうと思いますので、四月に入ったらそれの作業に積極的に入っていきたいと、こう思っております。その仕上げの時期は八月一ぱいはかかるのではないだろうか、九月にはもう仕上げに入りたいと、こういう希望で作業を進め中であります。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度改訂されるのは去年の経済事情をもとにしてやられることになるわけですが、本年になりましてからまただいぶ様子が変ってきておりますですね。それで昨年変えなければならんというふうに考えられたときと、現在これはまあ世界の景気も若干変化を示しているし、特に海外収支のバランスはだいぶ予想と違っておるから、去年変えなければならぬと考えられたときと、そして現在と、だいぶまた考え方が変っているのですか。
  68. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) ただいまの国際的な経済状況から見ますると、一次的ないろいろな変化は見られます。特に最近ヨーロッパの共同市場の問題なんかが非常に具体化して参りましたから、こういうことの影響を、どういうふうにこの中に取り入れるかということは、これは当然新しい検討の対象かと思います。それからたとえば中共との貿易におきましても、第二次五カ年計画が今進行中でありますから、第二次五カ年計画がどういうふうに策定されるかによって、われわれは今後の五カ年計画の中には、これは非常に影響の大きい内容になってくるかと思いますから、それも十分検討して参らなければならないと、こういうふうに思っております。  そのほか、現象的な目先の変化がありますけれども、その他の国に対しましては、非常な、今まで考えておったことと違うようなことは起らないのじゃないか、とにかく小変化はあるとは思う面がありますけれども、全体として非常に大きな変動があるのじゃないかというような材料は、今のところないのじゃないかと思っております。ただ、ただいま御指摘のように、国際収支のバランスはこの二月、三月の傾向は、昭和三十一年の見通しとかなり違った面があったことは、揚超ないし輸入超はありました。そしてこの傾向は四月にもなお続くものと見なければならぬと思っております。しかし三十二年全部を通観してみますると、必ずしもこれが当初のわれわれの計画というものが、非常に修正されなければならぬかどうかというと、それほどにも考えなくていいのじゃないかと、こういうふうに思っております。従って昭和三十三年を第一次年度とする今後の五カ年計画を作る場合には、国際関係の変化は大いに見なければならんと思いますけれども、ただいま申し上げましたようなことで、七%モデルでわれわれが考えておるような内容から見て、非常な特別な変化の起る、五カ年計画に従来考えておるよりも、非常な修正をしなければならぬという点が顕著なものがあるかというと、それほどにも思っておりません。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の新しい計画によって、やはりどうも私は鉄とか石炭とか輸送とかいうものが隘路であって、これなかなか拡張することは困難ではないかと思うのです。特に鉄はどうも国内で原料がないのですから、鉄鉱石にしろ粘結炭にしろ外から輸入しなければならぬ。そういうことを考えると、これは果してその新しい計画にマッチきせるだけのものを、確実に入手できるかどうか疑問じゃないかと思いますが、特に鉄の問題ですが、あなたは専門家なんだから見通しを伺いたい。
  70. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 鉱石の特に輸入計画、これを現実にどういうふうに軌道に乗せていくかということは、非常に重要な問題で、しかもスポット買いによって、これをまかなうということに、ただいま事実なっております。従って、原材料の獲得というものは、非常に不安定なものと私は思っております。それは御指摘の通りと思います。従って、これに対しては経済外交とか、いろいろの根本的な対策を立てて、長期契約をしていかなければならぬものだと思います。この点については、中共との関係は非常に重要な私は実効条件だと思います。特に海南島の開発あるいは青島付近の鉱石、石炭、特に中共の持っている石炭鉄鉱資源と、どういうふうに日本の経済を結びつけるかということが、次の五カ年計画の非常に大きなウエイトじゃないかと、私はそう思っております。いずれにいたしましても、御指摘のように、スポット買いで日本の基本の鉄鉱政策を推進していくということは適当でない。もう少し長期の契約のできる、そうしてできましたら共同開発をして、こちらの発言権の強いものでなければいけない。一番好ましいのは何といったところで距離の近いところの、そうしてパーセンテージの非常に高いものにこれはいくというのは当然、自然の原則であると思っておりますから、その点についての見通しと努力、これは非常な今後の課題と思っております。それを五カ年計画の中でどういう見通しをつけるかというのは、もう少し検討いたしたい。特に中共の第二次五カ年計画を拝見したいと思っております。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 この五カ年計画の問題で、たとえば今度国鉄で五カ年計画を出しましたね。あれを今度また修正をされて、若干規模が大きくなっているのですが、今度経済企画庁で立てられる五カ年計画をマッチさせる場合に、また改訂を要するのじゃないかと思うのですが、あれは経済企画庁の方から見ると、なお不足しているんじゃないですか。
  72. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) ただいまの点でございますが、実は今こういう経済自立五カ年計画が、だいぶ目標が小さいために、大体この三十二年度で主な目標を実際については達成してしまうということでございますので、ああいう国鉄の計画などに必ずしも使えない状態になって参りました。鉄道輸送力の伸びも今の計画では年率二六%と見ておるのでございますが、それでは低すぎる。実はこの鉄道輸送と電力の計画の改訂、昭和三十二年度経済計画作成、そういうようないろいろな問題がございまして、本格的な改訂を待っていては間に合わないというような問題が二、三出て参りましたので、昨年の暮から今年の初めにかけまして、先ほどちょっと大臣が申し上げました七%モデル、これは一応部内作業でございますが、今の経済計画経済規模の拡大を年五%と見ておりますが、それを七%と見た場合に、主な鉱工業生産なり、エネルギーの需要なり、貿易の規模及び輸送力の需要がどうである、かという試算をいたしまして、その試算で輸送力の全体の需要をはじいて、それを鉄道とトラック、国内の海上輸送、この三つの主な輸送機関別に従来のデータ、将来の見通し等を入れて割り振りまして、国鉄の輸送量をトン・キロといたしまして年率四・五%、そういう見通しを立てたわけでございまして、実は今度の国鉄の修正五カ年計画は、この輸送力の伸びを使って鉄道当局で内容をこまかく作り上げたものでございますので、正式の改訂計画に結びついてはおりませんけれども、今のような暫定的な措置を講じております。秋に改訂案が、本式に五カ年計画の方ができ上りましたときには、今のこの七%モデルなどより少し変ってくるかもしれませんですが、大きな規模としてはそうひどい狂いは起らないのじゃないか。従って特別の事情がない限りは、今の国鉄の修正五年計画は大体あのままでいけるのではないか、というふうに考えておるわけでございます。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 エネルギーの方の問題について、これはまたやはり相当拡大しなければならぬと思うのですが、まあ石炭の方はこれからなかなかむずかしくなってくるわけですが、一体今度の新しい五カ年計画の終りには、どれくらいの国内出炭量の見込みをお立てになっておるか。
  74. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 実は今度の新しい五カ年計画は、まだ確定的ではございませんが、大体三十三年度を初年度にいたしまして三十七年度に終るというようなことになるかと思っておりますのですが、三十七年度についてはまだはじいておりませんで、この七%モデルというのは、三十五年の目標を修正するという形でやっております。それでは出炭量五千五百万トンと見ております。しかし、最近の情勢によりますとまあ六千万トン掘れるという説も出ておりますし、もう少しこの三、四カ月の間によく検討いたしたいと考えておりますが。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 その六千万トンとか六千三百万トンという説が出ているのですが、これはまたそういうことになりますと、ほかの面に対する影響が非常に大きい。六千万トンというようなことになると、これは相当な資本の投下もしなければならない。鉄材もまたうんと要るだろうし、機械類もたくさん要るということになると思うので、これはまた鉄道の方に響いてくる。そうあめみたいに引き伸ばすわけにもいかぬものだと思っておるのですが、しかし実際問題として、エネルギーの石炭の方はそういう六千万トンに一挙にいくというようなふうにいかぬだろうし、水力の方も百万キロワットぐらいずつ出していってもなかなか追っつかぬ。水力発電の方もそうそう拡張できぬというようなことになると、原子力発電の問題も出てくるわけですね。これはやはり、なんですか、原子力発電については、相当今度の計画においてこれを計算に入れていかれるつもりですか。まあ三十五年度は問題にならぬけれども
  76. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 三十五年ではまだ実は入っておりませんが、まあ三十七年が最終であるということになりますれば、一部顔を出す可能性があるかとは思いまするし、ただいま原子力局あるいは通産省の公益事業局等と、事務当局でいろいろ研究を重ねておる段階でございます。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、これはまあ衣類、繊維の方の問題になってくるのですが、合成繊維が予想以上に拡大してきておる。これは今後日本にとっても、この傾向は伸ばしていかなければならぬ重大な問題ですが、これと綿花あるいは羊毛の輸入量との関係は、これは漸次縮減していく方向か、消費が増大しているから大体維持していくという方向になるのか、そこいらはどういうふうになっているのか。
  78. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 綿花と羊毛につきましては、三十年度の輸入量が金額にいたしまして綿花三億七千七百万ドル、羊毛一億七千万ドルということになっておりますが、いわゆる今の七%モデルで試算いたしましたものでは、綿花が三億六千百万ドル、つまりわずかばかり減ります。それから羊毛が二億三千二百万ドル、一億七千万から二億三千二百万にややふえるということでございまして、天然繊維原料の輸入は横ばい、羊毛は一部ふえるというような考え方で、消費の増加部分の大部分は人造繊維関係でまかなうという考え方になっております。
  79. 海野三朗

    海野三朗君 この海外市場調査というので、つまり企画庁から出ていますか、外国に駐在しておる所がありますか、どこか。
  80. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 外国に駐在するという経費は含んでおりませんし、現在もそういうことはございません。
  81. 海野三朗

    海野三朗君 そんなことで状況がわかるんですか。たとえば、私はちょっと話が古くなったけれども、あのアメリカの国会において絹羽二重の輸出禁止法が通ったときに、半年も過ぎてからわかってくる。ところが通産省の方から向うの大使館に行っておるはずだ。ところがその人たちは何しておるのかということを私は思う。その当時もずいぶん私は国会でもやかましく言ったのでありますが、そういう経済企画庁からもやはり重要なる所の、少くとも東南アジアに一、二カ所とかあるいはアメリカ、イギリスあたりに置く必要があるのじゃないですか。どうお考えになっておりますか。
  82. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) いろいろそういう御意見もあろうかと思いますが、現地に外務省関係経済を担当していらっしゃるいろいろの専門の方もいらっしゃいますし、そういう方面からの資料は外務省等を通じていただいております。そのほかに、ここで海外経済調査のために若干費用を増額していただきましたのは、今まで実はいろいろな出版物等が割合に何といいますか、おそくにしか入手できませんでしたので、これをできるだけ航空便でたくさん取って、先ほども御質問のありましたように世界経済の変動というようなことを中心に、あるいはまた各国の経済計画といったようなものを中心に資料を集めていきたい。まあ現在ではその辺のところで国内の経済調査とからみ合せて日本の景気動向を観測していきたい。大体そんな考えであります。
  83. 海野三朗

    海野三朗君 それだから私は経済企画庁の仕事が地につかないと思うのです。たとえば先ほど岡田委員から言われました鉄鋼や石炭の問題にいたしましても、石炭が六千万トン、数だけ上げるならわけないですよ、山元でよくこれを洗うなり何かすれば四千万トンでも間に合う。実際の炭質のいいやつを、つまりボタとかそういうものをよく洗って持ってくるようでさえあればいい。トン数を上げるだけならボタをたくさんぶち込んだらいいんです、トンは上る。しかし実際の利用効果は少い。そういう方面については企画庁はどういうようなお考えを持っておるか。それから鉄鋼につきましても、今スポット買いをやっておる、これでは全然なっていないと思うのだがどうですか。その辺についてはあなたはどういうふうにお考えになっておりますか。
  84. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 実は非常に具体的な問題になりますと、たとえば鉄鋼なり石炭なりの問題は、それぞれ通産省に所管の部局がございますので、私どもとしては比較的全般的な問題を扱っておるわけでございますが、ただ今回の計画改訂の際に、特に基礎資源の確保という問題には、相当力を入れて検討したいということで準備を進めておりますので、今後経済の規模が拡大するに従って、日本の主要原料は海外依存度が高くなって参ります。その点で、ことに鉄鋼原料とか今のエネルギー原料の取得の長期の見通し、これは五年ということでなく、もう少し長期の十年ないし十五年の見通しというものを、計画改訂に並行してやってみたいということで現在準備中でございます。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど大臣にお伺いした鉄の問題でございますけれども、原料入手には長期計画を立てなきゃならぬ。一面においては、まあ長期の計画による買付の方法もあるし、もう一つはやはりこちらでも開発に協力をするというか、共同経営の形で供給を確保していく、これなんかについての構想ですね、そして何かそういうことについて政府としても業者とはかって、ぼつぼつ計画的にお進めになるおつもりをお持ちになっておるか。またすでに若干各地において開発計画なんかの話も聞いておりますが、それらをその計画の一部としてやられておるのか。それともただ業者が自発的にやっておるのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。
  86. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 鉄鉱資源の獲得につきましては、スポット買いを避けて長期契約にしたいと、こういうわけでありますが、たとえば中共、フィリピンあるいはマレー、インド、この付近の大体の鉱石のある場所はわかっておりますから、それと交渉を始めるわけです。今それぞれ国情が違い政治的な傾向がみな違いますから、外務省ともよく連絡をして、民間で話をするところは民間で話をする、あるいはわれわれが直接政府の連絡で投資方法考えるところがあればそれを考える。こういうふうなわけで相手国によって必ずしも一律にできない。従って国で一単位で投資機構を作ってそうして一本にまとめていこうというのが実情に沿わないんじゃないかと、こういうふうな考えになりまして、鉄鋼連盟等を通じて、特に鉱石を必要とする大手の三社を中心として案を立てたと、こういうのが根本原則になっております。中共には私たちはまあ直接向うへも参りましたし、向うからこっちへ迎えて話をいたしましたが、そのときにはいずれにいたしましても長期の契約をしようじゃないかということは向うは申しておりました。ただ中共関係は見返り物資がどうしてもココムにひっかかる条件があって、残念ながらその点で話が行き悩みでありますから、これはもうどうしてもココム、チソコムの関係一つ今後大いに努力しなきゃならぬと思っております。これに対する開発機関をどうするかという関係はまだ具体的な話にはならない、こういうことでございます。それからララップその他あるいはマレー等につきましてなるべく一本にまとめて、そして能率のいい開発計画を立てていく。そしてスポット買いを避けて、むしろ技術あるいは設備を継続的に持ち込んでいくのがよろしいと、こう考えておりますが、向うの政情等があってフィリピンあたりも必ずしも簡単にいかない事情もあります。そういうふうなわけで、事実は一本にまとめてはっきりした具体的な開発機関が持てるという環境でない。いずれにいたしても各国別にそれぞれの状況に応じて民間でやっていかなければならぬ面もある。あるいはもっと公的な機関を作っていくのも差しつかえないという所もあります。そういうわけで、どっちかというと新しい五カ年計画を立てるためには、もっと政府部内でまとまった計画的な獲得方法考えなきゃならぬものと思っております。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 くず鉄の確保が非常にむずかしい問題で、今度もアメリカへ使節団がおいでになるのですが、まああれでもなかなか実際輸入はむずかしくなるんじゃないか。今後やはりむずかしい傾向は続くと思うのです。ことにこっちの需要も増大してきますから、それに対してなるたけくず鉄を少くする方向へいかなきゃならぬと思います。それらの計画についてはどういうふうにお考えですか。
  88. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) くず鉄に頼るということはどうしても限界点にきておりますから、そういう意味でどうしても高炉に頼らなければならぬ。転炉でもうまく使ってみましても、いずれにいたしましても、くず鉄というのは限界にきておりますから、これは応急処置である。またヨーロッパ・マーケットを見ても、アメリカが日本にたくさん回すはずはないと、こういうふうに思いますから、何といっても高炉へ重点をおきまして、そしてくず鉄はアジャスティングに使うという程度以上にはいかないと思います。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に原子力発電の問題ですが、見通しはなかなかむずかしいのですけれども、けさの新聞を見ましても、電力会社が寄りまして、原子力発電をやるんだというようなことを言っておるのです。一体政府としてはどういう形で、たとえば電源開発の方にやらすのか、それとも各電力会社にやらすのか、あるいはまた別に原子力発電公社を作るというようなことでやらすのか。これはなかなかむずかしい問題だと思うのですが、大臣は今から何か構想を明らかにされておかぬと、あっちでも計画する、こっちでも計画するというようなことになって参りますので、形態をどういうふうにお考えになっておるかお伺いしたいと思います。
  90. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) この問題はとりあえずはイギリスのコールダー・タイプというものが、一番日本に好ましいものだと言われておりますから、それをもう一ぺん調査員を派遣して地震による影響等非常に重要な未解決点を取り調べていきたい。それとあわせましてコストの問題もありますが、これを購入する代金の決済が非常に問題になってくるはずであります。国家の責任において買い取ってということになりますと、かなりまとまった金が要るんではなかろうか。最近イギリスからの報告を見ますると、十四万キロベースというよりも三十万キロベースの方が効率が高い。従って今度マクミラン内閣発表した数字によりますると、六百万キロを昭和四十年までに仕上げる、十九地点においてこれを行う、そのときに三十万キロベースのものを考えておるのだという報告があります。従って十四万キロ二基という今までの石川報告がありますけれども、それよりも三十万キロの方が能率がいいということになると考え直さなければならぬかと思います。そうすると、それに所要する資金は四百億程度のものじゃないかと思うのですが、こまかい計算は向うと交渉してみなければわかりませんが、そういうようなものを政府の財政支出の中で求めていくということはなかなか容易ではない。また財政投融資の関係考えてみても、むしろ向うから、普通の電力会社が火力発電の設備を買っているのと同じ形式をもって、向うの金で求めてきて、そして長期にわたって低金利で支払っていくというのが好ましいことになるかもわかりません。そういうような資金関係から見ると、これは管理方式をどうするということは、今から決定しがたい条件があるわけでして、そういう意味で第二のミッションを至急に出しまして、そして管理の中で危険防止の意味あるいはアイソトープの利用の意味、また資金の運営の意味等をあわせて、もう一ぺん管理方式を検討をし直しておかなければならぬかと思っております。従いまして至急にミッションを出して、少くともこの五カ年計画の策定の終る時期までには、こっちの方針がきめ得るようなデーターをそろえたい、そういうふうに考えております。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはまあ資金の面からそういうむずかしい点があることはよくわかりますけれども、やはりたとえば電発にも政府の財政投資というものでうんと金を注ぎ込んでおる。これをやはり民間の電力会社にまかすのは僕らの立場から言えばどうもおもしろくないので、これはやはり国家が公企業としておやりになる方が、まあ将来のためにはいいのじゃないかいうふうに考えられるのですが、これは意見の相違ですからまあ今後の御研究に待つこととして、次にお伺いしたいのは、貿易じりの問題で、本年度も輸入三十億ドル、輸出が二十八億ドル、こういうような状態ですけれども、それを特需等で埋めて行くのですが、この特需については、もちろん今後国内のアメリカ軍の消費にもよることもありましょうし、それからまあ例の域外買付による点もあるのですが、この特需の将来をどういうふうに見ておられますか。そうしてまたこの特需のうちでまあ国内のアメリカ軍の消費等と、それから域外買付はどういうふうに変化すると見ておられますか。
  92. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 特需の中で今御指摘の域外買付の問題、また国内サービスの中でも、たとえばトラックであるとか建築であるとか、そういうサービスの数字を見てみますと、むしろ特需の減少によって国内消費関係で見合う条件がありますから、国の経済としてはこの掲げてありまする特需収入が減る場合に、それに見合う経済条件はごつちがプラスになる面もありますから、そういう意味で経済全部として、非常な特需が減ることによって、大きなバランスの穴があくという面は少いと思っております。域外買付等も本質的にはやはりこれは貿易の一つというようなものです。域外は買付は貿易と見ていいのではないか。またサービス部門の中にもむしろ貿易と判断して差しつかえないものがあるのじゃないか。いわゆる特需というわれわれの観念の中に入れるべきものの数字というものは、非常に大きな数字ではないように思っております。それに見合うところの物資の供給等が解除されるならば国民経済の全般から見ると特需の影響というものは割合に少いものである、そういうふうに考えております。それで特需収入として一本で掲げております勘定科目の立て方は、もう少し、先般御指摘もありましたから考え直さなければならないのではないか。分類をもっと合理的にして、そうして貿易内容に合うものは貿易内容に入れる。貿易内容と見るのは都合が悪いのじゃないかと思われるものは別途の整理をして、そうして純国際貿易の収支勘定の帳じりが的確にわかるような方法考えなければならない、こういうふうに考えております。それは大蔵省等とよく打ち合せてみたいと思っております。
  93. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど岡田君から質問がありました鉄鋼の問題でありますが、それに対しては経済企画庁としてはどういうふうなお見通しがありますか。過日永野護君が中国に行って帰っての話に、粘結炭も鉄鉱石も蒋介石が幾らでも出してやるという話をしておった。それでこれは実に耳寄りな話であるといって永野君が話をしたのを私は聞いた。そうしますと、この値段はトン当り約十ドルほど安くなる、粘結炭はアメリカから持って来るのからみると。それから鉄鉱石も約十ドル近く安くなって来るという話をしておりましたが、その話はたしかお聞きになったことであると思いますが、海南島もありますし、またもう一つは過日も私が申し上げてあったかと思いますが、あのセイロンの鉄鉱石、鉄鉱山、そういう方面を調査するとか、政府同士の間で何かここに長期契約のグラントを作っておかないと、その日の米を買って食べて行くというような状態では、これはほんとうに日本の経済上ゆゆしき問題じゃないか、こう思うのでありますが、その点に対して長官はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。その中共及び中国セイロン、コアから今持ってきている鉄鉱石よりもはるかに近いそういう方面に対しては、どういう御構想をお持ちになっていらっしゃいますか。
  94. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 今のお話の中の蒋介石等の関係は、やはり粘結炭とか鉱石の関係で向うからとるものがあるのでしょうか。
  95. 海野三朗

    海野三朗君 それはあなたお聞きになりませんか。最近台湾に行ってきました永野護君からお聞きになりませんか。
  96. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) そういう問題については永野さんからまだ聞いておりませんが、台湾に関する調査はわれわれはあそこに鉱石があるということは初めて今承わりました。粘結炭にいたしましても台湾にそんなにまかなう対象になるようなものがあるというようなことは、私は今自分の資料の中にありませんから、それはいずれまあ後日に譲りまして、永野さんからお聞きしてからのことにいたしたいと思います。台湾等にそういうものがあるということを今初めて承わったわけでして、日本の物動計画からいうと、それはおそらく真実に遠いのじゃないかと思います。われわれの今考えておりますことは、何と申しましても粘結炭では開灤を中心として北支炭を考えております。それから鉱石は何といったって海南島が世界的な常識と思っております。近距離で、アメリカ炭とどこが違うかというとそれはフライトの問題だと思います。結局近い所からヴォリュウムの多い原材料を多くとるべしという原則に従えばいいと思っております。国交調整は別問題として経済問題としては、それでいいと思っております。それからただ中共炭は石炭として非常に弱点があります。アッシュが多い、われわれいつも中共との交渉をする場合にアッシュを二〇%、一七%ないし二一、二%の間でありまするが、このウオッシングができるかできぬかという問題だろうと思います。それさえできれば中共炭は好ましい。アメリカ炭のアッシュは五%とか四%であるから、炉へ入れた場合出銑率は全然違いますね。日本みたいに炉の少い所は出銑効率の高い粘結炭を使いたいというのは、これは技術屋の、何といっても白米を食べたいことと同じでありますね。そういう意味でわれわれはアメリカの鉱石を無視することはできない。粘結炭もアメリカのやつをもって来て中共炭と混炭をして、そうしてうまく中共炭をわれわれが活用するということに技術的にはなる。釈迦に説法かもしれませんがそういうことですね。それで石炭に関する限りは、私は中国との関係は、非常なウエイトの高いスポーット買いが円滑にできるように、外交交渉をしていただきたいと経済常識からそう考えております。経済企画庁計画の中にもそういう考えを織り込みたい。そういう一連の経済外交というものをお願いしたいと思っております。それから鉱石につきましては何といってもそれはインドだと思います。インドに対してどういうふうなわれわれがインヴェストメントをやるのか、これはこれからのインドとの外交関係だと思います。そのほかに補充されるものとしては、まあ海峡植民地、マレー付近のもの、それからフィリピンは賠償交渉と相並んでこの問題を解決しなければならぬ。世界的にもこういう鉱石はどこもなくなってアメリカもイギリスも距離の遠い所に取りに来ておりますし、インドにも手がかかってきておりますから、鉄鉱関係に関する限りは日本が非常に悪い地位にあるとは思わない、世界的なレベルと肩を並べて来始まったものである。ただこの一番残念なのは、やっぱり中国との国交の調整がうまくいかないことで、これは重工業については将来非常に大きな問題である。そうしてそれを補うものは何といってもインドの開発であって、むしろわれわれの希望するところはインドそれ自身が溶鉱炉を何本も建てて、銑鉄を日本に供給してもらえるようなことになりましたら、経費は船腹の関係からいえば一番好ましいことではないかと思って、そういう面で、ヨーロッパ共同市場ができるように、われわれも共同市場をアジアのグルーブで作り得ないだろうか。こういうことも考えます。けれども経済企画庁が五カ年計画の中でそういうことを申し上げたところで、まだ現実に遠いということになるでしょうから、インドとかマレー半島諸国それからフィリピンに対する対策、それから中国との関係、それで足りないところをただいまのようにアメリカその他から求めてくる、そういうふうなことで鉄鉱政策の基本原料は確保したいと考えております。
  97. 海野三朗

    海野三朗君 セイロンはいかがですか。セイロンの鉄鉱石も山をイギリス人が調査しておりますね、それに対してはどうなんですか。そういう方面には考えを及ぼしていらっしやらないのですか。
  98. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) セイロンの基礎調査は、私の方の手元には非常にウェイトが高いという報告はまだ十分持っておりませんから、お説のような点がありましたらもう当然われわれは調査をいたしたい、そうして純度の高いものでしたら当然われわれは話を開始すべきものと考えております。
  99. 海野三朗

    海野三朗君 セイロンの地質調査をやりましたのはイギリス人ですが、あそこに相当な鉄鉱山があります。ただその港湾がとうなっておるか、それは私存じません。しかしセイロンのフォンセカ大使もそういうことを言っておった。どういうことを言っておったかといいますと、日本に対してはほとんどセイロン全土がもう無条件でやる、あくまでもこの日本に対しては誠心誠意をもって接しているから、いずれ山の方に対しては日本で調査をして見てくれないかということを、東京のセイロン大使館のフォンセカ氏が私に言っておるのでありますが、そういたしますとゴアなぞから持って来るよりもずっと近いし、また御承知のようにセイロンという国は入超で苦しんでおる。品物がない、すなわち出す物がない、出す物というと鉄鉱石、私は鉄鉱石をねらうべきじゃないかとこう思うのです。そういう方面に対して将来調査を進めていこうというお考えが長官におありなのかどうか。  それからもう一つは、溶鉱炉の問題でありますが、溶鉱炉は、もうこの鉄の不足するということは今から数年前からわかっていたはずであります。ドイツやイギリスの経済事情を見てもわかるし、その鋳物銑の使い方は世界各国鋳物の方に転換しつつあります。どうも鋳物銑が足りないということは今から数年前からわかっていた。それに対してはっきりした具体的な政策を現在の政府がお立てにならぬから、鉄材に困ってそうしてスクラップをもらいにアメリカまで出て行かなければならない、というようなこういう状況は、溶鉱炉をもう少し以前、もう三、四年前に着手しておればでき上りますよ。そういうようにしてスクラップを入れなくても、わずかなスクラップでやっていけるように、先の見通しを立てて今日までこなければらなかったのじゃないかと私は思うし、また今後も五カ年計画の中にそういうことは一体織り込んでおられるのか。鉄が困ったら外国から買えばいいじゃないかというお考えであるか、その辺どうですか。私はあくまでも自立していくべきであると思う。東南アジアにおける鉄鉱石は日本が使うだけで、ほかに持って行ったら運賃が高くなるから間に合わないのだ、あれは。これは日本に与えられたるほんとうに天与のものであると思うのでありますが、その溶鉱炉増設というようなことに対しては、あなたはどういうお考えでいらっしゃるのか。今後鉄材の不足することはもう火を見るよりも明らかなんであります。私はそう思うのですが、どうなのでしょうか、長官はいかがでしょうか。
  100. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 前段のセイロン島の調査につきましては、外務省その他を通じて至急に調査一つ入りたいと思いますが、科学技術庁は、そういう点につきましては、なお技術員も連絡によっては派遣をいたさなければならないと思います。それから溶鉱炉はもう当然増設すべきものと思います。溶鉱炉なくしてこのスクラップで当面を処理するといったところで、それはとうてい限界点に参っておりますから、もうとてもこれではまかない切れるものではないから、そうしてアジア諸国には非常に富鉱が各地にありますから、それをわれわれは目当てにして、そうしてやはり日本の鉄鋼自立経画というものは、アジア諸国に対する供給源としても、これは軌道に乗せなければならない。特に最近の貿易の帳じりを見てもわかりますように、機械の輸出の伸びというものは非常に大きい。そうしてその中で造船部門なんかは世界第一の地位にあります。そしてこれが労働力を吸収する力はエンジンとかその他の各部門を見てみても、かなり系列傘下の中小企業の労働条件において、大きな寄与をするところがあるように思いますから、そういう意味で、どうしても溶鉱炉は新設、増設をして、そしてその面から基本的に日本の鉄鋼政策を不動なものにいたさなければならぬ、こういうふうに思います。
  101. 海野三朗

    海野三朗君 それから先ほど岡田委員からも原子炉について言われましたが、米英カ三国に対しての燃料協定を結ばなければならぬ。あとの残っておるものに対しては買うようにするか、それには条約を結ばなければならないということになりますが、米英カ三国だけに話合いをするということでなく、私は国連の関係から考えましても、東南アジア二十七カ国、それにもし共産圏が合流するならば日本の方は国連の過半数を占めることになる、そういう見地から考えましても、この原子炉の問題というものはもう単にアプリケーションの方面にあらずして、もう国際的な意味を持っておると思うのであります。従って米英カ三国だけに話をかけるということでなしに、広く東南アジア及びソビエトにもドイツにもフランスにも、それからインドにも、そういう方面に話しかける必要があるのじゃないかと私は思うのでありますが、長官はその点はいかようにお考えになっておりますか。米英カ三国だけでは狭いし、また国連の関係から考えましても、もっと手広く、日本はソビエトとの国交回復をした今日、そういう方面にも話しかけて、やはりリポートをもらうなり、この原子炉については相談を持ちかけるべきものではないか。こんなふうに思うのでありますが、長官はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。
  102. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 本日の閣議で、原子力のジェネラル・アグリーメント、一般協定を米英カと交渉を開始すること、それから欧州各国、北欧諸国、ソビエトを含む、インド、東南アジアの必要と思われる国、こういう諸国に対しても一般協定を結ぶということが可能であるかどうかということの判断を、出先官憲に外務省を通じて求めるということに、閣議で了解を得ました。そういうことでございますから、お説の通りと思います。
  103. 海野三朗

    海野三朗君 私はどうしてもそういうことが必要だと思う。日本が米英カだけにしないでやはり全般に呼びかけるということが、非常に私は国連における日本の地位ということを考えますと、必要であると思うのです。またもう一つは、原子炉につきましても、受け入れ態勢が私はどうかと思って非常に危ぶんでおるのでありますが、受け入れ態勢はよろしゅうございますか。受け入れ態勢と申しますると、その従業員。アメリカでは専門学校以上出た者が全国で八万人おるそうです、それがほとんど原子力の方面に働いておる。そういう点から見ますと日本ではまず第一に人物が足りないし、そういう方面の受け入れ態勢についてはどんなふうでありますか、それを一つ長官から伺いたい。
  104. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 受け入れ態勢については非常な欠陥があります。技術的に欠陥があることは御指摘の通りでございますから、原子力研究所、あるいは各大学を通じて技術員の養成に全力をあげる、そうして受け入れ態勢の技術的な人事の面から、欠陥が起らないように配慮いたしたいと、こういうことを考えております。
  105. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ私はお伺いしたいのでありますが、過日、日立の方からこっちに回されておった人間を、日立の方から帰してくれというので帰した。ところが帰したとたんに首になったという問題ですね。あれはどうしたのですか。聞くところによりますと、原子力研究所のある理事の芸当であると言われておることを聞くのでありますが、どうなんですか。そういうことでは科学者が研究できないですよ。
  106. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 経済企画庁予算とこれはもうちょっとはずれることで、もう人事に関することで、ちょいと申し上げにくいことがあるのです。決して私は秘密にしたいとは思いません。思いませんけれども、若い青年の前途に対して、やはり公開して申し上げるよりも、海野さんに私はお話した方がいいと思います。経済企画庁外ということにして一つお許しを願いたい。
  107. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 他に御質疑はございませんか。……御質疑はないようでございますから、総理府のうち経済企画庁所管についての質疑はこの程度で終了したものと認めまして御異議ございませんか。……御異議ないと認めさように決定いたします。   —————————————
  108. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 次に外務省所管議題といたします。政府側から説明を願います。
  109. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 外務省所管昭和三十二年度予算について大要を御説明申し上げます。予算総額は八十億六千七十五万三千円で、これを大別いたしますと、外務本省二十九億七千八百二十八万四千円、在外公館五十億八千二百四十六万九千円でございます。ただいまその内容について御説明いたします。  第一、外務本省一般行政に必要な経費が五億九千四百六十二万三千円ございまして、これは外務省設置法に定めます本省内部部局及び附属機関の一般事務を処理するための職員一千二百二十八名の人件費及び物件費等であります。第二、外務行政連絡調整に必要な経費一億九千二百十七万二千円は、本省と在外公館との事務連絡のための電信料、郵便料及び旅費等でございまして、前年度に比しまして三千三百二十七万四千円の増加となっておりまして、これは在外公館の増加と連絡事務の増加に基因するものであります。第三、外交文書編集公刊に必要な経費四百四十三万円は、明治以来の日本外交史実を編集しまして、公刊するための経費であります。第四、外交電信に必要な経費三千四百五十二万六千円は、在外公館に対しまする電信事務の的確なる処理及び通信施設の改良整備等に必要な経費であります。第五、外交運営の充実に必要な経費一億八千万円は、諸外国との外交交渉によりまして、幾多の懸案の解決をはかり、また各種の条約、協定を締結する必要がございますので、これらの交渉をわが国に有利に展開させるため本省に必要な工作の費用でございまして、前年度に比しまして一億九千八百万円の減少となっておりますが、これは在外公館に四億二千万円を区分して計上したためでございまして、全体をひっくるめますと約六割の増加ということに相なっております。第六、アジア諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費千二百九十三万九千円は、アジア諸国に関する外交政策企画立案、その実施及び賠償実施政策の樹立並びに在外公館等借入金の整理事務を処理するため必要な経費であります。第七、アジア諸国との経済技術協力に必要な経費一億五千七百三十六万九千円は、アジア諸国との経済協力に関する企画立案及びその実施の総合調整に必要な経費と、コロンボ計画に基く技術者の派遣、研修生の受け入れのための技術協力実施委託費八千二百七十八万六千円、財団法人国際学友会補助金千七百二十万円、社団法人アジア協会補助金三千八百四十六万二千円、財団法人日華学会補助金三百万円及び国際建設技術協力促進補助金千五百万円であります。前年度に比しまして三千九百二十九万三千円の増加は、技術協力実施委託費及び国際建設技術協力促進補助金等の増加によるものであります。第八、賠償実施兼務の処理に必要な経費三百二十二万九千円は、賠償の円滑かつ統一的な実地をはかるための事務費等であります。第九、欧米諸国等に関する外交政束の樹立に必要な経費千六百三十五万一千円は、北米、中南米、西欧、ソ連東欧、中近東、アフリカ及び英連邦諸国に関する外交政策企画立案及びその実施に必要な経費であります。第十、日米合同委員会日本側事務局事務及び国連軍協定実施に関する事務処理に必要な経費百八十八万六千円は、日本安全保障条約第三条に基く行政協定の実施機関であります、合同委員会の日本側事務局としての事務及び国際連合軍との協定実施に関する事務に必要な経費であります。第十一、国際経済情勢の調査並びに資料の収集等に必要な経費六百十六万七千円は、世界経済動向を正確に把握いたしますため、内外の資料文献を広く収集整理するための経費であります。第十二、通商貿易振興に必要な経費六百九十二万八千日は、通商利益の保護増進をはかるため、通商貿易に関する調査等のため必要な経費であります。第十三、条約締結及び条約集編集等に必要な経費二千八百七十二万四千円は、国際条約の締結、加入及び条約集等の編集、条約典型の作成、条約、国際法並びに内外法規の調査研究のため必要な事務費等であります。第十四、戸籍法及び国籍法関係事務処理に必要な経費二百八十六万八千円は、在外邦人の身分関係事務及び二重国籍者の日本国籍離脱に関する戸籍法上の事務処理に必要な経費であります。第十五、国際連合への協力に必要な経費九千五百八十四万八千円は国際連合各機関に参画しあるいはその調査研究等に必要な事務費と、財団法人日本国際連合協会、補助金九百九十五万一千円、財団法人日本エカフエ協会補助金五百万円、後進国経済開発技術援助拡大計画拠出金三千二百四十九万二千円、パレスタイン難民救済計画拠出金三百六十万八千円及び国連児童基金拠出金三千五百二十八万円であります。第十六、情報啓発事業実施に必要な経費三千百九十六万四千円は、国際情勢に関する資料の入手、海外に対する本邦事情の啓発及び国内啓発等のため必要な経費でありまして、前年度に比較いたしまして千三百十万二千円の増加は、宣伝啓発活動強化のための映画作成費及び購入費等の増加によるものであります。第十七、国際文化事業実施に必要な経費千五百九十七万一千円は、文化交流を通じまして国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝資料の作成、購入の経費と日本文化の海外紹介の事業を主として行います、財団法人国際文化振興会に対する補助金三百十八万九千円、在パリー日本会館補助金百二十三万六千円、財団法人東方学会補助金七十万円及び本年九月東京で開催されます、世界ペンクラブ大会のための日本ペンクラブに対する補助金五百万円であります。第十八、海外渡航関係事務処理に必要な経費千五百九十五万五千円は、旅券の発給等海外渡航事務の経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための委託費五百七十七万八千円でありまして、前年度に比し三百四十一万二千円の増加は、渡航事務庁費等の増加に基くものであります。第十九、国際会議参加及び国際分担金支払等に必要な経費六億六千九百七十二万円は、海外で開催されます諸種の国際会議にわが国の代表を派遣し、また本邦で国際会議を開催するに必要な経費とわが国が加盟している国際機関の分担金でありまして、前年度に比し三億八千六百三十三万六千円の増加は、国連分担金等の増加によるものであります。第二十、旧松方コレクション受入に必要な経費千四十八万六千円は、フランス政府から返還されます旧松方コレクションを受け入れるため必要な運搬費等であります。第二十一、日伯文化会館設置費補助に必要な経費二千四百十七万四千円は、日本国とブラジル国相互の文化交流の増進をはかるため設置される、日伯文化会館の設置費の一部を補助するため必要な経費であります。第二十二、旧外地関係事務処理に必要な経費六百五十五万八千円は、朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官署職員の給与、恩給の支払その他残務整理に必要な経費であります。第二十三、旧外地官署引揚職員等の給与支給に必要な経費三千八百万円は、三十二年度中の旧外地官署引揚見込み職員六三名、未引揚職員四〇二名の留守家族に支払う俸給その他諸給与等であります。第二十四、移住振興に必要な経費七億九千六百十五万二千円は、中南米等に移住する者九千人を送出いたしますための旅費、事務費と渡航費貸付金六億二千五百六十三万三千円、日本海外協会連合会補助金五千九百五十七万二千円、移住者受入機関補助金六千五百万円、実習生移住補助金百十二万五千円及び農業労務者派米協議会補助金千五百二十二万二千円等であります。前年度に比しまして一億一千六百三十八万三千円の増加は、送出移住者の増加に伴います渡航費貸付金、移住者輸送監督旅費及び日本海外協会連合会補助金等の増加によるものであります。第二十五、移住あっせん所業務処理に必要な経費三千百二十四万四千円は、移住者の本邦出発前における健康診断、教養、渡航あっせん等の業務を行うため必要な経費であります。第二十六、在外公館事務運営に必要な経費四十五億四千七百四十七万八千円は、既設公館八十三館一代表部五百五十五名と三十二年度新設予定の在マレー大使館、在パナマ、イスラエルの二公使館及び大使館に昇格する予定の在ペルー、チリ、ドミニカ、ヴェネズエラ、キューバ、コロンビアの六公使館のために新に必要となった職員十二名、既設公館の職員の増加四十二名計六百九名の給与、旅費、事務費及び交際費であります。第二十七、外交運営の充実に必要な経費四億二千万円は、諸外国との外交交渉の有利な展開を期するため在外公館において必要な工作費であります。第二十八、対外宣伝及び国際文化事業実施に必要な経費五千六百七万九千円は、わが国と諸外国との親善に寄与するため、わが国の政治、経済、文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するための資料作成費、講演謝礼及び事務費等に必要な経費であります。第二十九、在外公館営繕に必要な経費五千八百九十一万二千円は、在ジャカルタ公館公邸の新営工事、並びに在外公館の事務所及び館長公邸建物の修理費等であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和三十二年度予算の大要であります。なにとぞ御審議のほどお願い申し上げる次第であります。
  110. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) これより質疑に入りますが、ただいま政府側からは森国際協力局長心得、高橋条約局長、木村官房長中川会計課長が御出席になっております。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 この説明の第六項の、アジア諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費千二百九十三万九千円ですか、これはまあ至って僅小なんですが、その中に説明をされておることを見ると、なかなか大へんなんですが、これだけの経費で一体どんなことをやるんですか。
  112. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ただいまお尋ねの、第六の、アジア諸国に関する外交政策の樹立に要する経費千二百九十三万円の内訳を申し上げますと、おもなるものは、賠償実施をいたしますためのいろんな諸計画をいたします、そういうための事務費と、それから在外公館等借入金の特別円関係の諸般の事務を遂行いたしますための事務費でございます。
  113. 岡田宗司

    岡田宗司君 それだけだと、ここに書いてある二行のこととちっとも変らないので、それの内容をもう少し聞きたいのです。
  114. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これは一つ会計課長から御説明申し上げます。
  115. 中川進

    政府委員中川進君) 御説明申し上げます。この内容は、常勤労務者、非常勤労務者というのを御承知の通りに官庁で雇いますが、その二十人分が二百五十五万円入っております。それから公館長会議がアジア諸国で行われるわけでございますが、そのアジア地域公館長会議、まあことしは東京で行われましたが、明三十二年度予算の構想といたしましては、その公館長会議にアジア局の職員が出かけていく旅費が百七万円。それからアジアに限りませんが、特にアジア地域に多いのに送還される本邦人がおるわけでございます。たとえば漁夫がつかまったとか、あるいは出先で困窮に隔って帰る金がなくなった、それらの人の送還旅費五百八十四万四千円というものが入っておるわけでございます。そのほかにいろいろないわゆる一般的な事務費、国内旅費でありますとか庁費でありますか、それらのものを合せまして三百四十六万九千円、以上合計いたしましたものが千二百九十三万九千円。こうなっておる次第でございまして、一見この千二百九十三万円は、アジア地域をかかえて非常に少いではないかという印象を確かに与える次第ではございますが、しかしその経費の流用費的なものは、むしろ次の第七の項にたくさん入っておることになっておる次第でございます。
  116. 岡田宗司

    岡田宗司君 今私が聞いているのは、そんな常勤の何が幾ら、かにが幾らだとかということじゃなくて、一体、そのアジア諸国に対する外交政策企画立案ということはどういうことなんだとか、そういうことをお伺いしているのです。
  117. 井上清一

    政府委員(井上清一君) アジア諸国に対する外交政策企画立案は、これはもちろん大きな問題で、外務省としまして常時やって参ることでございますが、特に先ほど会計課長から申し上げましたような諸費の、いろいろな事務についての企画立案のための事務費、それを処理するための事務費でございまして、特にその企画立案経費ではないわけでございます。
  118. 岡田宗司

    岡田宗司君 内容は何もお話にならないのだから、もう聞いてもしようがないから聞きません。  それじゃあその次に賠償実施政策の樹立とあるのですが、賠償はビルマにしてもフィリピンにしてもだいぶずれていますねおくれている。それでこの実施政策の樹立ということなんですが、実施政策の樹立ということの内容はどういうことなんですか。
  119. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 賠償協定ができますとその実施細目ができますわけで、実施細目を作る実施計画を作りますわけで、その実施計画を作りますためのことをいうわけでございまして、たとえばビルマの賠償でございますと、初年度にはどんな金額をどういうふうにして、その金額の中でどういうものを何するか、ということをいろいろ具体的にきめていく、で、そうしたことのための費用を言っておるわけでございます。それからもう一つは、そのための海外への旅費だとか、あるいはまた職員の費用というようなものをここでみておるわけであります。御質問は実施計画……、費用の問題じゃないですか。
  120. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一ぺんあらためてお伺いしますが、たとえばビルマの賠償がおくれておるでしょう、どうしても本年度なら本年度にそれを促進するということになりますね。そのために必要な経費なんだが、一体それじゃビルマの賠償はどの程度おくれていて、そして本年度はどの程度これをやる計画なのかということです。
  121. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ビルマの賠償は、昨年度はまあ初年度、こういう関係上非常におくれまして七十二億の予定のうち五十二億だけが実施された、それで本年度、といいますか、三十一年度には、比較的順調に推移をいたしておりまして、おそらく予定計画が百三十億でございましたか、これが遂行される見通しでございます。なお、また三十二年度以降におきましては、本年度と同様に順調に計画通りいくものと、かように考えております。
  122. 岡田宗司

    岡田宗司君 何でも順調にいくようでけっこうなんですがね、大体本年度のビルマの賠償の実施内容は。
  123. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 細目につきましては賠償担当官からお答え申し上げます。
  124. 岡田宗司

    岡田宗司君 第八にも「賠償実施業務の処理に必要な経費」というものがあるのですね。「賠償の円滑且つ統一的な実施を計るための事務費等であります。」どうもこっちと同じようなんですが、どうしてこういうふうに二つに分けて計上してあるのです。こんなのは一括にならぬのですか、その方がどうもわれわれが聞いてわかりやすいのです。別に計上しなければならぬような内容を持っておるんですか。
  125. 中川進

    政府委員中川進君) お答え申し上げます。  第六の「アジア諸国に関する外交政策企画立案、その実施及び賠償実施政策の樹立」ということは、機構的に申しますと、何と申しますかアジア局の一般事務局でやっておることでございまして、非常にオーバー・オールな計画であります。それから第八の賠償実施業務と申しますのは、機構的にアジア局の中に賠償部という部がございまして、そして賠償実施部と言った方があるいはわかりがいいと思いますが、それの賠償部の使う費用が第八にみてあります。第六はアジア局の事務費というふうに予算はなっておる次第であります。
  126. 岡田宗司

    岡田宗司君 通商貿易振興に必要な経費というのがありますね、六百九十二万八千円。それでこのうちに「通商貿易に関する調査等のため必要な経費であります。」こう書いてありまするが、これはなんですか、国内でやる経費なんですか、それとも海外の公館なんかに配賦して使う経費なんですか。
  127. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これは国内におきまして、主として本省の経済企画において使います経費でございます。
  128. 岡田宗司

    岡田宗司君 通商貿易振興ということなんですがね、一体外務省で通商貿易振興ということをやるについて、具体的にどういう方法をとられるのです。
  129. 井上清一

    政府委員(井上清一君) お答え申し上げます。かねがね現地在外公館の職員に対しましては、通商貿易ということについての見方を、通商貿易ということにまなこを向けるように絶えず指示しておるわけでございます。従来在外公館がどうも通商貿易ということについて努力が足らぬじゃないかというおしかりを、しばしば国会の方で受けておるわけでございます。最近は訓令を出しますと同時に、岸外務大臣就任以来、経済外交というようなことを強調いたしておりまして、在外公館員の関心を、経済通商というような方面に向けるように、極力努力をいたしておるようなわけであります。それで現地におきますところの経済事情、あるいは貿易事情等についての調査報告というものも十分に一つやらせる、また在外公館の館員に、これはもちろん領事館員等にも、できるだけ一つ貿易のために渡航をいたします人たちに対して、十分一つ親切に接触をして、そして現地のいろいろな事情その他について十分一つ紹介をし、かつまたいろいろなあっせんその他について努力をするようにというふうにやらしております。また中央におきましては、各在外出先公館からの諸般の報告に基きまして、通商貿易に関しましてのいろいろな国の政策をきめるにつきましての通産省との連絡を保持しますと同時に、絶えず通産当局との間の連絡をもって、いろいろな政策をきめる場合に、ともに一緒になってやっておるというようなわけでございます。で、ここに書いてあります六百九十二万八千円というような経費は、そうしたことのための人件費とか事務費、あるいは会議の費用、在外公館からいろいろ情報を収集いたします費用というようなものが、これに含まれておるわけでございます。
  130. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじゃ貿易振興じゃないのですな。要するにあなたの御説明だと、今の外務省の官吏はどうも経済のこと、貿易のことはあまり頭がないから教育してやる、とかいうようなことがおもなようですね。ほんとうに貿易振興のための具体策というものじゃないのですね。そういうものは外務省にはないのですか。
  131. 加藤匡夫

    説明員加藤匡夫君) 通商貿易振興と申しますと、非常に広い範囲にわたるのでございますが、まず外務省といたしまして、通商航海条約を締結するとかあるいは各国と通商貿易協定、あるいは支払い協定を締結いたしまして、各国の日本品に対する輸入制限を緩和させるとか、そういう国家間の政府交渉によってやります通商振興もそうでございすし、それから各在外公館を通じまして各国の経済事情というものを調査して、そして現地の商社、銀行その他の民間経済活動に資するためのいろいろなあっせんその他、それから今年度から各在外公館に外務省本省からのみでなく、通産省、大蔵省農林省その他の各官庁からも、経済担当のために在外公館に派遣されております、そういう経済担当官を各地域ごとに集めまして、経済担当官会議というものを在外公館長会議と並んで開催する費用が、本年度から認められております。  それから何と申しましても国家間の交渉のみでなく、いろいろな民間の機関等を通じまして、日本品の宣伝、日本の経済事情の啓発等を行うことも、これは通商振興の重要なる一つ事業となっております。  それからこれは通産省の方の予算でいわゆる通商振興費というのがございまして、この大部分は御承知のジェトロを通じていろいろやっているわけであります。海外のこういうジェトロの活動等も在外公館長の指導監督に服するということで、在外公館におきます経済担当官、出先のジェトロというものが密接に共同して、そういう調査とかあるいは見本市を開催する助力をするとか、そういう活動もこれまた通商振興政策一つであります。  それから各国との協定のほかに、いろいろな多数国間の協定がございます。たとえばガットもそうでありますし、それから国際砂糖会議あるいは国際小麦会議というような、いろいろな国際経済機関等を通じて、わが国の経済利益の保護増進をはかる、これも通商振興の重要な一つの項目になっております。  それから御承知のように共産圏に対する輸出、これも多数国間の統制がございまして、これを通じて不必要な戦略統制を緩和せしめる、こういう努力も通商振興の一つ。  いろいろ数え立てればきりがないくらいあるのでありますが、具体的にここにあげております通商貿易振興に必要な経費というものは、のちに出て参ります国際会議及び国際分担金支払いに必要な経費、この六億六千九百万をあげております。この中に外務省経済局でやっております国際会議というものがございまして、それは先ほど申しましたガットあるいは砂糖会議、小麦会議あるいは通商航海条約、多数の国と今交渉しておりますが、こういう経費、それから貿易支払い協定、それからある国が日本に対してガットの三十五条を引用している。そういう国と二国間で交渉する。あるいは米国における輸入制限運動が行われている、そういう場合にこちらから人を派して、現地の公館と密接な連絡をとってやると、こういうのが全部国際会議の経費として上っているわけであります。それとうらはらをなすのがこの通商貿易振興に必要な経費、ちょっと言葉が少し大げさ過ぎるようにも思いますが、このうらはらをなす国際会議の国内分のいろいろな経費がございます。これはたとえば一国と交渉を始める前に関係各省とたびたび会議を開きまして、その目的、交渉方針というようなものを打ち出すわけであります。そのための会議費とか、あるいは米国の綿製品輸入制限運動というものが起きますと、関西等へ人を派して紡績業界といろいろ協議をする、そういうための国内旅費とか、そういうものがあがっておりますと同時に、いわゆる国際会議とは申せない、たとえば先ほど申しました経済担当官会議がありますと、今度は四カ所で開くわけでありますが、本省からやはり人を出して国内の経済事情等も詳細に説明する、そういう経費もありますし、それからパリのココムの会議なんかございますと、その前にやはり関係各省と打ち合せをしておく、こういう経費もあがっておるわけであります。大体そういうことを一括してまあ通商振興というのでありますが、ここの項目で通商振興と出すのはちょっとおかしいということは私も同感でございます。
  132. 岡田宗司

    岡田宗司君 わかりました。そこで今ジェトロは何カ所設けられておりますか。
  133. 加藤匡夫

    説明員加藤匡夫君) ジェトロは通産省の所管でございますが、貿易あっせん所というものが四カ所いございます。これはニューヨークとサンフランシスコ、トロント、それからカイロと。この貿易あっせん所と申しますのは、ちゃんと事務所を作りまして、そこにあっせん所長以下職員が常駐いたします。そのほかにいわゆる派遣調査員というものがございまして、私の記憶でたしか二十カ所ぐらいでございます。そのほかに現地人をいわゆる現地採用いたしまして、現地人であることが多いのでございますが、そういうものがやはり十名くらい。ですから貿易あっせん所を加えまして大体三十五カ所ぐらいにジェトロの出先が出ておるという格好になっております。
  134. 岡田宗司

    岡田宗司君 ジェトロの出先ですね、貿易あっせん所以下ですが、これはどの程度効果を上げていますか、なかなか測定はむずかしいでしょうが。
  135. 加藤匡夫

    説明員加藤匡夫君) これは実は通産省の所管なんでございまして外務省からこれをとやかくいろいろ批判めいたことを申し上げるのは多少差しさわりがあると思いますが、ジェトロのほかに、先ほど御説明を申し忘れましたが、いわゆるプラント協会というのがございます。それから海外建設協会という、これもやはり各省補助金をもらって出ておるいろいろな貿易振興、並びに経済協力振興機関というのがございまして、ジェトロはそういう次第で、重機械あるいは大きなダムの建設とか、そういう関係以外の商品の宣伝をやる。それからおもな、一番ジェトロでやっておる中で大きな事業は、調査、見本市、これはああいう機関がないととうてい在外公館だけではできないのでありまして、この見本市の事業、こういうものは相当大きな効果を上げている。それから最近東南アジアに出ました機械の巡航見本市、これは機械輸出組合がやったのでございますが、こういうのにやはりジェトロが参画いたしまして側面援助する、こういう方面でも非常に効果を上げているというように考えております。
  136. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは今貿易あっせん所は四カ所ですが、さらに本年度ふやす計画が通産省の方で立てられておりますか。
  137. 加藤匡夫

    説明員加藤匡夫君) 私の聞いておるところでは、貿易あっせん所は来年度増設の計画はございません。
  138. 岡田宗司

    岡田宗司君 それからただいまのココム、チンコムの制限の問題ですね、あの委員会の現在の構成、それから一体日本からどれくらい入っておるのか、それをちょっと。
  139. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ただいまココム、チンコムの問題につきまして御質問がございましたけれども、この内容とかその取りきめとかいう問題につきましては、もう外部に出さないということに実はなっておりまして、ここで特別に発表いたしかねるわけでございます。お答え申し上げかねます。
  140. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはそういうなにはあるでしょうけれども、それでは日本から何名ずつ委員が入っておりますか、それくらいはいいでしょう。
  141. 加藤匡夫

    説明員加藤匡夫君) ココムは正式な国際機関という格好をとっておりませんので、いわゆる常設の委員というものがないのでございます。それでパリの日本大使館から常時ココムがあるたびに館員が会議に臨むという格好になっておりまして、何名というような委員の定員のようなものはないわけでございます。常時パリの経済担当の参事官、書記官等がココムの会議のたびに出席しております。
  142. 岡田宗司

    岡田宗司君 チンコム同じですか。
  143. 加藤匡夫

    説明員加藤匡夫君) チンコムも同じです。
  144. 岡田宗司

    岡田宗司君 会議の内容等については発表されないのですけれども、特認のいろいろ問題がありますね。あれなんか一体委員を通じてやるのですか。委員が会議のときに主張してそれがやられるのですか、単に事務的に処理されるのですか。
  145. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 主として委員を通じまして必要な主張をしておるわけでございます。
  146. 岡田宗司

    岡田宗司君 この委員会は定期的に開かれておるのですか。
  147. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 定期的ではございません。必要ある場合に開かれるわけでございます。
  148. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは日本側で要求して開かすことができるのですか。
  149. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 可能でございます。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、今度のように日本が今後中国との貿易を発展させていかなければならぬ。あるいはこれから東西貿易を発展させていかなければならぬ。特に日本の場合においては最初の手初めとして特認をとらなければならぬということもあるので、相当積極的にこっちから要求をしていかなければならぬ。どうも今までいろいろ話を聞いてみると、えらいおっかなびっくりなんですね、チンコム、ココムに対して。前に私は、中国で見本市が開かれる前に、中国に持っていっていけないという見本のことについていろいろ話を伺ったけれども、まことにおっかなびっくりのように思うので、あれはもう少し何ですな、チンコム、ココムに対してあまり御遠慮なさらぬでもってどんどんやるようになさったらどうかと思うのですが、その点についての御意見を一つ承わっておきたい。
  151. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ただいまチンコム、ココムに対してお話がございましたけれども外務省といたしましては、この問題について決して、はれものにさわるようなことでやっておるわけではございません。主張すべきことはどしどし主張しておるわけでございまして、中共に対する輸出禁止の問題につきましても、昨年はわれわれの主張というものを非常に強く訴えまして、そうして強く主張いたしまして、相当特認が拡大をされておると私どもは信じております。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 特認の問題ですがね、どうも主張が足りないのじゃないかと思うのは、たとえばイギリスだとかほかの国と比べて、どうも日本の中国に対する輸出品がずっと品目が少い。向うへ行ってみるとイギリスあたりの品物が入ってきておる。日本の方でまだ禁止されておる時代に、イギリスの方の乗用車がどんどん北京を走っているような状態だしするのだけれども、ああいうのは一体どういうことなんですか。
  153. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 要するに、具体的な問題については詳しくは存じませんけれども、どうも、どういう経路に基いて英国製品などが中共へ流れ込んでいるかということについても、私どもは詳しく知らないわけでございますが、しかし、少くとも現在、昨年この特認制度を拡大することについて、政府として非常な努力を払った。その結果、現在におきましては、英国、日本とも中共に対する輸出の問題につきましては、そう径庭のない、全然差別のないところまできておるということを私は申し上げたいと思います。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも外務省がしり込みをしていて、通産省の方なんかにけつをひっぱたかれたりなんかしてやっとやっているという感じがするのだね。これは一つもっと努力をしてもらいたいと思いますが、それはまあそうと、例の禁止品目ですね、これはしょっちゅうそれぞれ年とともにだんだん違ってきているのです。あの禁止品目の発表ということはどういうことになるのですか。
  155. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これは一つどもとしてはできるだけ特認制度を拡大していくことについて、今後努力を払わなければならないし、またこれまでも払ってきたつもりでおります。お説のようにこうした点については、思い切って私どもやらなければならぬ、利益を主張しなければならぬ、こういうふうに存じております。特認の内容につきましては、これはもう厳格な極秘事項ということに相なっておるわけでございまして、またその内容の分類等につきましても、実は国際的にも極秘扱いということになっておりますので、ここで一つ申し上げることを遠慮さしていただきたいと、かように存じます。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 極秘扱いかどうか知らぬけれども、どれが特認になった、どれが特認になったということ、だんだんわかってきているのだし、それからどれを出しちゃいけないということも、だいぶ実際上ぶつかって、それがだめだったということからわかっているのですがね。一体、内容はそれじゃ聞きませんがね、今のところ何種類ぐらいの品物が禁止になっておるのですか。それはまあココムとチンコムで違うでしょうけれども
  157. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これは数について、実は何がどんなものか、何が何ということをはっきり申し上げることは、実は私今資料も持っておりませんし、私どももただ見たらすぐそれを返しまして、一つの厳重な保管をいたしております関係上、実は頭の中にも入っていないわけでございます。多分私の記憶によりますと、百前後じゃないかと思っております。
  158. 岡田宗司

    岡田宗司君 去年中国の見本市がありましたね。日本から品物を持っていった。あれは包括的に売るという問題でだいぶやかましい問題が起って、持って帰ってこいとか何だとかいったのですが、一体ああいうことを一々やかましくないと、あとまたぎゅーっとネジを締められるのですか。
  159. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 実は中共の見本市の問題につきましては、だいぶいろいろ世間を騒がしましたが、実はある問題は、最初は全部持って帰るということの約束のもとに私ども実は持っていったというようないきさつもあり、その後現地の要望もありまして、若干のものについて残してきてもいいというようなことであったわけなのであります。そして、いろいろその間のあるいは行き違いの考え方、将来の思惑についての、将来どうなるかというようなことについての見通しについての、あるいは認識の相違などもあったかと思いますが、そうしたことでいろいろごたごたが起きたわけでございます。しかし、結局は最初の約束通りにやって参りませんと、今後いろいろな事態を円滑に持っていくということのためには、やはり困難を感じましたので、あの場合も約束通り一つやるということで御了解を願ったような次第であります。
  160. 岡田宗司

    岡田宗司君 見本に持っていった品物というのは、たくさんあるわけじゃないのだし、それがどうも中国の戦力を増強するとも考えられないのですがね、あのくらいのものでごたごたすると、かえってごたごたする方がおかしいように僕は思うのだが、やはり何ですか、あれを置いてきたらばネジを締められるだろう、どこかから強い文旬が出てくるだろうということをおそれて、そっちの方の顔色を見ながらああいう処置をとられたと僕らは考えるのですが、そうでしょうか。
  161. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 別にどうも顔色を見ながらやったというようなわけでもございませんが、特認を正式な話合いによってできるだけ拡大していくことが、日本の貿易のために私どもは非常にけっこうなことだと思っておりまして、やはり正面から堂々とやった方が、ココムなりチンコムなりにおける輸出制限の問題を割合に有利に解決する一つの道だと、わずかなことでトラブルを起すよりも、というふうな考え方でやったことは事実でございます。今後もできるだけ一つ制限の緩和、品目の増大ということについては努力をしていきたいと、かように考えております。
  162. 岡田宗司

    岡田宗司君 ココム、チンコムの委員会においては、事実上アメリカが一番強大な発言権を持っているのですね、どうですか。
  163. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 事実上そうだと思います。
  164. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで、結局そこに気がねをするということになるのだと思うのだけれども、向うでちらちら、何ですか、お前の方はどうも特認を求め過ぎるぞとか、あるいはどうもお前の方はあやしいぞというように勘ぐられると、今度は経済援助をしないぞといっておどしをかけられるというようなことがおそろしいのですか。
  165. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これはただどこどこに気がねをするとか何とかいうことではなしに、自由諸国お互いがお互いの貿易を自発的に一つ制限をやって足並みをくずさずにおこうじゃないか、ということが本来の趣旨でございまして、ですからそういう点でまあ足並みを乱すことをそれぞれ防止をしていこうということが主眼なわけでございまして、気がねするとかしないとかいう問題ではなしに、日本としても、ほかの国から、隣国である中共に対して、非常な他国の利益を侵害する輸出をしては、日本自体としても、日本のために、あるいは一時的にはいいかもしれませんけれども、遠い将来を考えますと、やはり他の諸国と足並みをそろえていくことが大事であろう、約束約束、国際的な信義を守っていく。しかし国際的な信義を守りつつも、その中に日本の利益を増していこう、こういうのが私どものとっている方針でございます
  166. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのくらいにしておきまして、次に国際文化事業とかいろいろ文化事業のことがあります。それからまた海外宣伝のこともいろいろ出ておりますけれども、実際向うへ行きますと、まあ日本の海外宣伝ときたら全くお話にならぬ、日本におけるよその国の宣伝活動はなかなか目ざましいものがあるのです。これはもう少し何とかならぬものですかね。
  167. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ただいまも岡田委員から御指摘になりました通りに、対外宣伝啓発費の少いことはまことに同感でございますが、アメリカとかあるいは英国などと比較いたしまして、実にけた違いでございますし、またその他の国にいたしましても、日本の使っておりますそうした方面の金というものは実に微々たるものでございます。絶えずこうした方面の増額を私どもは主張しておりますけれども、なかなかやはり国家財政多端でございまして思う通りにいっておりません。しかし本年度は相当乏しい中にも増額してもらっておりますし、またいろいろ報償費などというような部門にもそうした含みをもって予算を計上されておりますので、相当の増額になっております。乏しい中におきまして、できるだけ一つ有効なる宣伝活動をやっていきたい、こう思っております。
  168. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  169. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 速記を始めて。一応ここで休憩をいたします。再開は二時半ということにいたします。    午後一時三十二分休憩    —————・—————    午後二時四十八分開会
  170. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) それではただいまから再開いたします。  休憩前に引続きまして外務省所管審議を行います。
  171. 岡田宗司

    岡田宗司君 賠償の問題について、賠償の実績というか、施行状況、それをお伺いしたいのですが。
  172. 中川融

    政府委員中川融君) 賠償の実施状況につきまして簡単に御報告申し上げます。  まず、ビルマとの賠償実施でございます。御承知のように一昨々年にこの協定はできたわけでございまして、この実施細目を作るのに若干手間がかかりまして、約半年間それで時間がかかったわけでございます。実施を始めましてから大体まる二年になるわけでございますが、初めのうちはなかなか従来経験のない事柄であったこと、またビルマにおける受入態勢が整備しなかったこと等に基きまして、この進行がおくれておったのでありますが、最近に至りまして非常に進捗いたしまして、大体総額にいたしまして百四十億円程度のものはすでに契約ができておるのでございます。まる二年間で百四十億でございますから七十二億が毎年の平均額でございますので、大体百四十億ということで、全部平均額程度はこれで契約ができておるということになってきております。順調に進んでおると申してよいのではないかと思います。なお、ビルマに関連いたしましては経済協力の問題があるのでございます。この経済協力につきましても、最初のうちはこれがほとんど進まなかったのでありますが、昨年の秋にビルマの工業大臣が参りまして、日本政府との工業大臣が参りまして、日本政府との間に詳細な話合いをいたしまして、経済協力に関する方式につきまして、日本側を意見の一致を見ましたために、それに基きまして目下繊維工場等を合弁事業で作るという話が、ビルマとの間に進んでおることは御承知の通りでございます。  フィリピンとの賠償協定は、現在が第一年度でございますが、これの方はビルマの場合とは違いまして、賠償協定ができるに先立ちまして、相当詳細な先方との間に具体的の話合いまでいたしまして、協定が施行いたされますと、引続いて実施細目、実施計画が作られまして、それに基きまして目下これが着々進行しておるわけでありますが、これの内容は年間九十億円に相当するものを賠償として出すわけであります。  第一年度計画におきましては、この九十億円のうち大体五十億円見当が日本の生産物、四十億円が役務ということになっております。九十億円のうち生産物の約八割、つまり四十億円程度のものは、すでに日本の業界との間に話合いが進行中でございます。従って、これも今年度中には、これは七月が要するに賠償年度の締切りになるわけでありますが、本年度中には予定通り進行すると、かように考えます。  なお四十億円の役務のうち約半分は沈船引揚げの代価に充当することになっております。沈船引揚げはすでに三年前から始まっておるのでありまして、これが今まで払いました経費をこの本年度の賠償額から差引くということでありますから、役務のうち半分はすでに費されておるわけであります。あとの半分につきましても、目下種々話合いが進行中でありますので、この分も今年本賠償年度が終るまでには、順調にこれが大体漸次使われるということになろうかと考えております。  なお、フィリピンとの経済協力につきましては、これは必ずしも今回の協定を待たず、すでに業界同士の話としてフィリピンとの間にはいろいろの経済協力実施中でございます。従って、今後は賠償協定に付属する経済協力協定に予定しております金額の中に、こういう民間業者で行われている話が自然に算入されるという結果になるわけでございまして、これの方も漸次進展しつつあるというのが状況でございます。  なお、それ以外の国との賠償は、御承知のようにまだ片づいていないのでございます。
  173. 岡田宗司

    岡田宗司君 ビルマとの金額の方はいいようでありますけれども、その内容ですね、大体どういうものが主になっておりますか、この百四十億のうち。
  174. 武藤和雄

    説明員(武藤和雄君) ただいままでにビルマが買いつけました一等大きなものは発電機械でございまして、これはビルマで八万キロの水力発電所を建設する計画がございまして、総額にいたしまして約百四十億くらいの膨大な工事でございまして、そのうち日本から持ち込みます機械、工具その他が、合計いたしまして八十億程度に上る予定でありまして、これは送電線工事とか、付帯工事とか一切を含んでおりますが、そのうち現在まで五十億程度のものを向うは買いまして、引取り中であります。まだ三十億ばかり残っておりますが、これはもう少し工事が先に進みましてから必要になりますので、現在必要なのはすべて手当いたしまして、それが今までビルマに供給いたしましたものの一番大きな額を占めております。それ以外に大きなものは鉄道車両でございまして、これは千両あまりの貨車、客車を買いまして、ビルマの総鉄道車両の保有量が約二、三千両と言われておりますので、それで今回賠償で新らしく千両買いますのは非常に大きな買付ということになります。それ以外は、従来イギリス等から買っておりました電気機械器具とか、それから中小のプラント類、機械類というようなものを、これは非常に雑多になりますが、いろいろ買っておりまして、その合計額が、先ほど局長から申し上げました約百四十億程度になる、こういうことでございます。
  175. 岡田宗司

    岡田宗司君 ビルマの方は三十二年度はどういう計画になっておりますか。
  176. 武藤和雄

    説明員(武藤和雄君) ビルマの賠償年度計画と申しますのは、従来は日本の会計年度に合せまして四月から始まりまして三月に終るということにして組んでおりましたが、最近それを変えまして、ビルマの会計年度に合せまして、十月から九月までということにいたしまして、従いまして次年度は本年の十月から始まる、こういうことになっております。まだだいぶ先のことでありますので、具体的な計画は出ておりませんが、大体従来の引続きということになるかと思いますが、まだ詳しいことはわかっておりません。
  177. 岡田宗司

    岡田宗司君 フィリピンの方ですが、フィリピンの方は日本から生産物として五十億ばかりいくことになるということになっておりますが、ビルマの方でもそうだし、フィリピンの方でもそうでしょうが、だいぶ消費財をほしがっていたのですが、この消費財は側かの形でこのうちに入っておりますか。
  178. 武藤和雄

    説明員(武藤和雄君) ビルマにつきましては、当初ビルマ側では消費財をほしいということを一時申しておりましたけれども、いろいろこちらが説明いたしました結果、あまりその要求を最近は出さなくなりまして、現在までに消費財として出しましたものは、カン詰がございまして、これは昨年向うで食糧が非常に値段が上ったということで、緊急物価対策ということでカン詰を約二億円ばかり要求して参りまして、わが方では特例だ、特別の援助措置だということで認めました。これが純然たる消費財賠償にいわば相当するわけであります。それ以外に亜鉛鉄板とか、家庭用電気器具というようなものを出しておりますので、これも見方によりましては消費財でありますが、私どもは必ずしもそうは考えませんで、やはり一種の機械類として、消費財という範疇には入れておりません。  フィリピンにつきましては、初年度政府用の建設資材だけに限定されておりまして、消費財は入っておりませんが、向うは若干の消費財をくれないかと打診したことはございますが、あまり強い希望は出て参っておりません。
  179. 岡田宗司

    岡田宗司君 フィリピンの方は主としてどんなものですか。
  180. 武藤和雄

    説明員(武藤和雄君) フィリピンで初年度に組みましたのは、すべて政府用の機械材料でありまして、これはフィリピンで公共道路あるいは灌漑、治水、水道、公共建物、港湾といいますような、いわゆる建設省と申しますか、向うの公共事業者で必要としますものが全部であります。従いまして品目といたしましてはセメント、鉄鋼が主力になっております。そのほかに、向うでは農村に小さな学校を作りまして産業教育を施したいということで、たとえばヤシの皮むき機械というような簡単な機械を各学校に据えつけて、そして技術を覚えさせるという、そういう機械類が計画に入っておりますけれども、これはまだ買付に入っておりません。
  181. 岡田宗司

    岡田宗司君 賠償に出す品物ですね。これの買付のやり方とか支払の方法ですね、これは最近の状況、それからトラブルが起きているかどうか、それが起きた場合にはどういう処置をしているか、これを一つお聞きしたいのですが……。
  182. 武藤和雄

    説明員(武藤和雄君) 支払い方法につきましては、これは実はこの賠償を始めます際に、非常に私ども苦心いたしたのでありますが、と申しますのは、従来、これはビルマの例でありますが、ビルマ政府が普通の商業買付をしておりました当時、非常に支払いが遅延いたした例が多かったのでありまして、従って賠償の場合にも、物は取ったが、金は払わぬということになりますと、いろいろトラブルになりますので、そこをいろいろ工夫いたしました結果、現在では日本の市中銀行を経由しまして、そこの市中銀行で普通の信用状ベースと同じように、船積みの書類を持っていけばすぐ金が取れるという形にいたしましたので、この支払い関係は現在非常にスムーズに行われております。同様の方式をフィリピンでも採用いたしております。
  183. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから買付の方法は。
  184. 武藤和雄

    説明員(武藤和雄君) 買付の方法は、ビルマもフィリピンも賠償使節団というものを日本に置きまして、それが一手で買付を行なっておりまして、多少向うも不なれでありまするし、人員も少い関係上、なかなか商談が当初に進みませんでしたが、最近は非常になれて参りまして、順調にいっておるというように聞いております。フィリピンにはすでにセメントが到着しておりますし、ビルマには大小の機械類が到着しておりますが、現在までクレームの出たものは一件もございませんので、非常に好成績に今のところは過ぎておる、こう考えております。
  185. 海野三朗

    海野三朗君 今のお話のビルマに対する賠償ですね、一昨年でありましたか、日本から農機具を輸出するので、その農機具を向うにおいて堅持してやるという、いわゆる何といいますか、貿易のセンターを設けるということで通産省が予算を取った。ところがその後まだ去年までぐずぐずしてそれがととのわないでおった、というようなのは、外務省として何かその方面についてお話をお聞きになっておりませんか、外交関係において。向うで土地を提供してもらうということに対しての交渉がうまくいっていない、非常に円滑を欠いておるということを私は聞いたのですが、どうなっていますか。
  186. 井上清一

    政府委員(井上清一君) この問題につきましては、前にどなたからかお尋ねがございまして、私ども取り調べたことがございますが、ビルマのラングーンでございましたか、ラングーンの郊外に土地を物色いたしまして、機械の見本市を開きたいというような計画が通産省にあったやに聞いおります。主として農機具と思いますが、ところがその後いろいろ計画が変更になり、現地における農機具の需要というものが、どの程度であるのか、そしてまたどんなものが必要なのかというような点についても、調査も不十分であったような関係で、一たん話がさたやみになったということを聞いております。まあしかしこういうものができることは、私どもとして非常にけっこうだと思いますので、将来十分研究いたしました上で、これに対する措置を考えたいと、かように思っております。
  187. 海野三朗

    海野三朗君 そういう際に、やはり外務省がどの程度までお入りになるのですか。
  188. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 機械の見本市——会館を作るといろいうなことは、これは通産省でおきめになることでございますが、もしそうしたことがきまりますれば、土地のあっせん等を初め、そういうものを設置することについて、現地の政府当局と十分一つ連絡やとって、それが円滑にできますように、側面的に御協力を申し上げるつもりでおります。
  189. 海野三朗

    海野三朗君 それは円滑にできていないのですよ。円滑にできていないので、今度農機具を向うに出そうといって、その内地の業者が大阪まで船で積み出すばかりになった。ところがそれがきまらないためにストップを食った。その倉敷料は莫大な金を取られたということで、業者が非常に困っていた。そういうことは、つまり外務省として、そういうようなときにあっせんをしないのか、どういうふうになっておるかと私は思うのですが、それについては通産省が予算も取ってあるのです。前年度において取ってありますよ、予算は。予算を取ってあるのですが、実際にこれを実行する段取りに至らないということについては、外務省はどういう今までの折衝の経過であったか、その辺をお伺いいたします。
  190. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 実はこの問題について、どうも業者の側からの外務省に対する折衝と申しますか、話し合いの分はあまり十分じゃなかったように私は聞いておりますし、もしこれが通産省の方が主体になってお作りになっておるものでございますれば、外務省の仕事は十分一つ協力を初めからしなければならない筋合いのものでございます。いずれにいたしましても、民間であろうが政府であろうが、ともかくそうした企ては、やはり私どもとしてうまくでき上ることが非常に望ましいことであり、わが国の貿易の発展の上からきわめて大切なことだと思いますので、こうした問題は十分一つ計画の慎重を要しますと同時に、一たん作りました計画というものは、ぜひとも実現させるということに、私どもは今後とも努力を払っていきたいと思っております。今度の問題はどういういきさつか私は存じませんけれども、とにかく役所として十分その間の経緯については知らなかった接触が十分なかったということは、私はこの問題の行き違いの起りじゃないか、かように考えております。
  191. 海野三朗

    海野三朗君 それについては、明日私は通産省によくただしてみますが、先ほどのチンコム、ココムの問題でありますが。チンコム、ココムの会議というのは議長はだれがやっておるのですか。チンコム、ココムの会議を開くという……。
  192. 井上清一

    政府委員(井上清一君) チンコム、ココムの会議をいたします場合は、議長は各国持ち回りでやるわけでございます。そのときに持ち回ってでございます。現在はイタリアがこの議長になっております。イタリアのウンガロという人だそうでございます。
  193. 海野三朗

    海野三朗君 副議長は……議長だけですか。
  194. 井上清一

    政府委員(井上清一君) この会議は議長だけしかないようでございます。
  195. 海野三朗

    海野三朗君 一昨年ありましたが、カーボン、ブラックを中共から、五百トンほどもらいたいという交渉がありました。その際に、そのカーボン、ブラックはただいま日本はアメリカから入れておる、品質のごく上等なやつを入れておる。日本内地で作るものは品質が悪いから、それでそれとは関係ないのだから許してくれということを通産省に私が追って、これは業者を救うためじゃないかということを私は力説した。そのときに直ちに外務省がココムの方にカーボン・ブラックを免除されることを申し入れて、要請した。そうしたところが、よろしいということになってきたのは約十カ月もかかっておる。それで、ココムから許可がきたからして、今度は輸出しようというて中共に言うてやった。ところが中共の方から、もう要らないという断わりがきた。その間約一年です。これらは外務省として、このココムのことについてははなはだ微力といったらいいか、不熱心といったらいいか、どうも私はその辺釈然としないものがあるのですが、そういうことに対しては外務省は直ちにその手を打っておられるのですか、どうなんですか。
  196. 井上清一

    政府委員(井上清一君) こういうような話し合いがあります場合には、外務省としてはできるだけ迅速に処置するつもりでいろいろやらしております。ところがカーボン、ブラックは御承知のように戦略物資でありまして、ただまあこれはある限度以上は輸出禁止ということに相なっておるわけで、そういうことで、まあ数量的にこれだけの数量がいいか、これだけの数量は悪いか、具体的な問題になってきます、なかなかそう簡単には解決しないわけです。そういう点で相当戦略物資であり、ある限度まではということでそれをまあ出します場合には、相当微妙な関係がございますので、時間的にも比較的長くかかるということは事実でございます。しかし、問題はなるべくこうしたことは迅速にやることが業者に対するあれでもありますし、また行政事務といたしましてもそういうふうにやるのが当然のことでございますので、今後ともできるできないというようなことについては、できるだけ速く決定したいと思います。ただ、やはりできない分でも各方面の要望によって、できるだけできるようにしたいということをいたしますためには、やはり相当の時間がかかることもやむを得ぬのではないか。かように思います。
  197. 海野三朗

    海野三朗君 それは戦略物資と見ておるのでありますけれども、あれはつまりインキの材料ですよ。それをタイやなどに入れるだろうという点から考えると、これは戦略物資になるのでありましょうが、あの品物は、カーボン・ブラックは、日本内地の生産なんです。ところがそれが品物が悪いために余っておる。それを中共から買い取りに来たというときに、急いで外務省に頼んだ。ところが返事がきたのは約十ヵ月後なんです。結局するところ要らないというわけで断わられた。どこから入ったかとだんだん探ってみると、イギリスあたりから行っているのです。香港を通って。私から申し上げるまでもなく、この大東亜戦争がどこから起ったかというと、中共における、つまり日本のこの物資の侵略にイギリスが耐えかねて反日をあおったというのが根本であります。一番初めの起りの反日はそれで、私はイギリスのやり方を考えると、どうもそこに釈然たらざるものがある。常に日本に対して制肘を加えようというような傾向が見られる。そういう点に対しては外務省としてはたとえばこういう理由でもってこれをはずしてもらいたいというようなときには、やはり迅速に誠意をもってやってもらいたいと、こう思うのですが、そういう点からいきますというと、出先機関の方ではやはりココムとかチンコムとかの関係というものに対しては、先ほど岡田委員の言われたように、おそろしいものにさわるように、おっかなびっくりしたような態度でおられるのではないかというように思うのですが、どうですか、外務省の出先機関の、あなたが差し向けなさるその在外公館の連中はどうなんですか。
  198. 井上清一

    政府委員(井上清一君) いろいろお説を伺いました。まあそうしたふうな批判もあったかと思いますけれども、しかし、外務省といたしましては、出先には通商関係を扱います優秀な人物を配置いたしておりまして、こうした点には十分留意をすると同時に、日本の利益を守るということのためには、一つ積極的にどんどん仕事をやるようにということを、絶えず言っておるわけでございます。チンコムの場合に、いろいろ説はございますけれども、他の国よりも日本は悪い条件にはないということだけは、私ははっきり申し上げれるところでございますし、また今後とも日本の利益を伸ばしていきますために、これがまあ当面と申しますか、あの制度をできるだけつ活用していくことに努力を進めて参りたいと、かように考えております。
  199. 海野三朗

    海野三朗君 それが、ただいま政務次官のお話しの、ほかの国より悪くないというのは、ほかの国よりも悪いのでしょう、実際は。
  200. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 一時どうもそういうふうなうわさがあったことはあります。しかし現在におきましては、他の国とは同じ条件でございます。
  201. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の問題ですがね、どうもひが目か何か知らぬけれども、悪いように思われるし、それからどこを通じてどう入っているのか知らぬけれども、中国にはよその国の品物がずいぶん入っている。外務省もある程度の情報網は持っておられるだろうと思うので、たとえばイギリスだのイタリアだの、ほかの国から中国へ入っていく品物が、どういう経路で入っているかということは、若干はおわかりになっているだろうと思いますが、どういう経路で一体入っておるのですか。
  202. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ただいまの御質疑の点でございますが、先ほどもお話しがあったように、たとえば北京でもって英国製の車が走っている、どうだというようなお話しなんかあったわけです。実際問題としてこれはなかなかどこからどこまで入っているかということは、もう国際的なまあ信義を破ったとまで言い得ないかもしれませんが、いろんなルートでもって入っているわけなんで、たとえば東欧諸国からもずいぶん入っているらしいのです。
  203. 岡田宗司

    岡田宗司君 東欧のやつは当り前なんだ。
  204. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ところがこれは御承知のように東欧諸国を通じて入る、つまり東欧に対しまする輸出制限と、中共に対しまする輸出制限との間に、ある種の段階があるわけでございます。そういうことで、そこの間隙を縫って東欧から入っていくということが相当あることが考えられるわけですし、また実際にそのようでございます。しかし私どもとしては確実にあのルートからこれだけのものが入ってきた、これはここから入ったということを指摘することはできない、この点はまことに私も遺憾に思います。
  205. 海野三朗

    海野三朗君 そこです。私の伺いたいのは。在外公館の人たちをおやりになっておるけれども、一体何をしておられるのですか。私は、一例を申し上げまするならば、先ほどもちょっと申しましたが、アメリカの国会であの軽目羽二重が禁止せられて、それが気がつくのは半年も過ぎてからだということを聞くに至っては、実に在外公館の連中はサボタージュしておるとしか思われない。ただいまの話も、探りようによっては幾らもルートがわからないはずがないと私は思うのですが、結局在外公館の人たちの待遇問題になってくる。一体何ぼ月給をやっておるのか、どの程度勉強しておるのか。私はどうも在外公館へ一年とか二年、とか行っておるのは、まるで遊んででもくるようなつもりでいるのじゃないかというふうに悪く思われるのですが、その点はいかがなものでしょうか、待遇はどうなっておりますか。
  206. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 日本の公務員、特に海外に行っております公務員の待遇というものは、私はそんなに悪い待遇はしていないと思う。これは世界のやはり各国の出先公館といろいろ並べられて考えられるわけでございますし、それから向うにおける生活程度に適応するような生活もやっていかなきゃならぬ、またそれ相当の日本の国を背景としてのやはり体裁というようなこともございますし、向うへ行ってひけ目を感ずるようなことでは、外交官としての仕事はできませんので、相当の、ぜいたくじゃもちろんございませんし、まあ向うの中産階級の下ぐらいなところの程度は、これはおしなべてでございますよ、まあ生活が維持できる程度の待遇はしているつもりでございます。まあ一つ、もし国家財政が許しますれば、もう少しは私どもも優遇したらどうかというふうに思いますが、まあまあこの程度で一つがまんしてうんとやってもらいたい、こう思っておりますのが現在の俸給でございます。
  207. 海野三朗

    海野三朗君 いや私は、それじゃ待遇もいいとすれば、つまりサボっておるのじゃないかと私は思うのです。これは向へ行っていれば、それはいろんな所からして品物がどういうふうに入っているかぐらいはかぎつけなければいけないのですよ。いわゆる日本から言えばスパイですね、一種の。それくらいのことはやらなければ、高い月給を払って公館にいてもらう必要はない。それをもし足りないとすれば、これはふやしてやらなければならないし、もう少し勉強しなければいかぬと私は思うのですが。このカーボン・ブラックについてもそうでありますが、鉄板などについてもそうですよ。香港を通ってずいぶん行っておるのですよ。どうも知らないのは日本だけです。いや国府の問題があってだめだとかいっている間に、お先に失礼してずんずん流れ込んでおります、鉄板なんか日本からやらなくたって。そういうところははっきりかぎつけてもらわなければいけないし、かぎつけるのには金が要るのだから、もう少し働ける程度に金をやらなければならない。金をやっておるとすれば、みんなサボっておるのじゃないかと私は思うのですが、どうなのですか、その辺は。
  208. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 大へんおしかりを受けましたが、一生懸命やっておると私ども考えておりますし、また実際よくやっております。ただ、密輸とかあるいはまたココムの制限を破ってやろうとするのは、やはりなかなか好智にたけた連中がやるので、これを追っかけるということも、なかなか外務省の諸君だけの力では、やはり手に及ばない点が多々あると思います。しかしおよその見当というものもまあ全然つかぬこともございません。先ほどお話がございましたように、香港経由でもっていろんなものが入っていることも、われわれとしてもいろいろ承知をいたしておりますが、何分現認してこれがこうだという、つまり現行犯を押えるというわけにはなかなかやはりいきかねるのでございますし、また密輸その他の方法によって出ているのもずいぶんあるわけでございますので、こういう点につきましては、今後いろいろ関係の出先をもう少し督励をいたしまして、いろんな、ただ表通りだけの情報じやなしに、裏通りの情報とかいうようなものもできるだけ収集をするように、またそういう方面に勉強し、努力をするようにということは、よく徹底させたいと思います。
  209. 海野三朗

    海野三朗君 私はそういうところにこそ機密費を使わなくちやいけないのじゃないかと思うのですよ。実際はそういうところにこそ機密費を使ってよく探らなければならない。今までの戦争以前の在外公館のあり方というものと、戦後の在外公館のあり方というものは、全然変っておると私は思う、時代の変遷とともに。でありますから、昔は一等国の大使、公使といえば、ふんぞり返っていてよかった。ところが今日ではそれではいけないのです。やはりある点はスパイのように調べたり、そういうことをして日本の経済を助けていくという方向に頭を向けなければならないのじゃないかと思うのですが、ついては政務次官にこういうことをお尋ねしてはなんでありますが、在外公館を何カ所お回りになりましたか、政務次官は。
  210. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 私はまだ向うに行っておりませんので、今後一つできるだけ行きたいと思っております。
  211. 岡田宗司

    岡田宗司君 今、日米合同委員会で懸案になっております事件はどのくらいあるのですか。
  212. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 日米合同委員会においての懸案事項、これは種類、大小その他いろいろあるわけでございますが、まあ一件と言うに値するくらい大きな問題を数え上げてみますると、約二十件と了承しております。
  213. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのおもな二十件のうちで、どういう問題があるというふうに、ちょっと分類を……。
  214. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 分類と申しますと、どういう種類の……。
  215. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば施設の問題とか、そういうふうないろいろなケースですね。
  216. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 施設の問題は、合同委員会の下に施設専門委員会というのがありまして、これは調達庁長官があれになってやっておるのですが、その施設の問題は非常に件数で参りますと相当たくさんございます。それからその他の小委員会を作ってやっておるのがたくさんあるわけですが、そういう問題まで数えますと、先ほど申し上げた二十件では済まないわけですが、本委員会で取り上げるのは、そういう小委員会でどうしても解決のつかないようなもの、そういうものが上に上ってきて合同委員会でやっておるわけです。
  217. 岡田宗司

    岡田宗司君 ですから、その種類、その二十の……。
  218. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 今問題になっておりますのは、施設関係の問題で上に上ってきたものがやはり七、八件ある。それからまだ合同委員会にも表面上は出てきていませんけれども、たとえばこの間の相馬ケ原の事件とか、ああいうようなことは、合同委員会レベルでもある程度話しております。そういう被害関係のようなものも五、六件ございます。それから立川の水道の汚水の問題とか、あれもやはり施設関係でございますけれども、あれは施設委員会では解決しないで、上に上ってきておる。そういう問題も二、三件ございます。
  219. 岡田宗司

    岡田宗司君 この合同委員会はそういう問題解決のために定期的に会合しておるのですか。
  220. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 定期的に会合しております。二週間に一ぺん定期的に会合しております。しかし事件のあるたびに常時委員長に会いに行ったり、担当の陸海空の関係官のところへ常に連絡しております。電話でもしょっちゅう連絡はしております。
  221. 岡田宗司

    岡田宗司君 施設の問題について、これは立川なんかの問題なんかについては、その内容については聞きませんが、近ごろアメリカの方では、空軍の基地を拡張するために、その施設をさらに日本に提供を求めてきておりますね、土地その他を。そういうような傾向ですね。それはこの間五つですか、基地についての拡張を求めてきたのですが、そのほかに最近求めてきておるものがありますか。
  222. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) それは施設委員会でいつも……施設委員会は一週間に一ぺんずつ開いておりますが、そこへ請求がありますので、私の方へは連絡はありますけれども、今何件ということは記憶しておりません。
  223. 岡田宗司

    岡田宗司君 何件とかどこかということは御記憶にないとしても、最近新たに求めてきた。これは空軍の基地か、あるいは陸軍か海軍かはそれは別として、そういう傾向がやはりあるのですか。
  224. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 傾向としては、大体今返還の方が非常に多いのでありまして、それから向うの軍の移動によりまして、新たに必要な施設も相当あると聞いております。しかし傾向としては返還の方が多いというふうに承知をしております。これは施設委員会の方で具体的にやっておりますので、合同委員会としては今具体的には記憶しておりません。
  225. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし報告は受けておるのでしょう。それで私ども問題にするのは、施設の返還は、大体陸軍の系統がだんだんに減っていく、そういうことから北海道だとか方々の施設の返還がある。それからたとえばゴルフ場だとかあるいはビレットだとかそういうものの返還もあるというので、件数は相当返還の方は多いわけですけれども、本質的につまり軍施設、これの新たなる要求が、やっぱり向うも今言った大型のジェット機を飛ばすためとか大型の輸送機を飛ばすために、土地を提供させるように求めてくるというような意味の、つまり新しい軍施設の要求があるように聞いておりますがね、それはやっぱり相当あるのですか。
  226. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 先ほど申しましたように、具体的には実は調達庁の方でやっておりますので、傾向として先ほど申し上げましたように件数のみならず坪数その他も減少の傾向にあるのですが、具体的に今どういう新たな請求があるかということは、私今ちょっとそらでは記憶しておりませんから、御了承願いたいと思います。
  227. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは行政協定の運用の問題とも関連するし、ひいては日米安全保障条約の問題とも関連するのですね。やっぱりこういうような傾向がどっちを向いているかということは、これは私どもが重大な関心を持っている。やはり合同委員会の方でも、施設委員会でやっているのだから僕の方は別にそこまで詳しく知らないでもいいんだというようなことでなく、これはつかんでくれなきゃ合同委員会の役をしないんじゃないかと思うのだけれども、そういう点、あなたの関係者も来ているだろうと思うから、十分に御注意を願いたい。  それから相馬ケ原の例の犯人のあの裁判管轄権の問題が、今あなたの方のサブ・コミッティでやっているわけでしょう。どうですか。あの問題について合同委員会の方では話したことないですか。
  228. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 合同委員会の方では正式には取り上げておりません。ただ、あの分科会を開くことについて、いろいろ合同委員会の事務局と向うの合同委員会の事務局との間に、あの分科会を開くことについての打ち合せその他の情報の交換はいたしております。
  229. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれは何回開いたのですか、まだ一回ですか。
  230. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 分科会は二回開いたと思います。その後まだ連絡を受けておりませんから、正確ではないかもしれません。
  231. 岡田宗司

    岡田宗司君 どういうふうな進行か御存じないですか。
  232. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 大体の方向は聞いておりますが、むしろ分科会委員長からお聞きを願った方が正確かと思いますから……。
  233. 岡田宗司

    岡田宗司君 見えていますか。
  234. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) いえ、分科会委員長は法務省の津田秘書課長です。一
  235. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは別な機会に聞きますが、法務委員会で聞こうと思いますが、今あなたの御存じの大体の傾向はどういうふうになっておりますか。
  236. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 問題の焦点は、公務内であったか外であったかということに焦点があるようであります。それについてこちらの委員長から向うの委員長に日本側の見解を述べ、向うはそれを考慮中のように聞き及んでおります。
  237. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで、これは早急にまとまる見込みですか。あるいは非常に長くなる見込みですか。まだそういう見通しはついておりませんか。
  238. 稲垣一吉

    説明員(稲垣一吉君) 見通しはまだ私からは個人的な見解しか述べられませんし、津田委員長からお聞き願いたいと思います。
  239. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に移住振興に必要な経費ですが、本年は中南米等に約九千人を送り出すということになっておりますが、まあだんだんふえてくるので、私どもけっこうだと思っておるのですが、この九千人の内訳は、大体ブラジルに幾らどこに幾らという予定ですか。
  240. 井上清一

    政府委員(井上清一君) この九千名の内訳は、北米、中南米が五千五百名、それからカンボジヤが二千名でございまして、これの家族を入れまして、全部で九千名という計画をいたしておるわけでございます。中南米では主としてやはりブラジルそれから。パラグァイ、ボリビア、ドミニカというような所がおもな受入地でございます。
  241. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近農業移民だけでなくて、今度はいわゆる工業移民というか、そういうようなものを出そうというので、外国からお金を借りたり何かしてやるわけですが、それはこの計画のうちに入っているのですか。
  242. 井上清一

    政府委員(井上清一君) この計画の中に入っております。
  243. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは主としてどこへ向けることになり、またそれは大体どういう業務が主になっておりますか。
  244. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 主として農業がおもでございますが、たとえばブラジルだとかあるいはまたアルゼンチンというような所では、相当日本の、何と申しますか、技術と申しますかを要望しておる向きもございます。従いまして、プラント輸出をいたしまして、そのプラントと一緒に若干の工業移民というものがそれについていくというような場合が出てくるのじゃないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  245. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは三十一年度から始めているわけですが、具体的にどんなのが出ているのですか。それから三十二年度には具体的にどんなのが出ることになっているのですか。
  246. 井上清一

    政府委員(井上清一君) ブラジルでは、具体的に申しますと紙の工場が一つございます。その中に、実はこの間から相談にあずかっておるので、伸銅の工場を持って行きたいというので、いろいろ今計画を立てて、ずっと話し合いが進んでいるのもございます。
  247. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだその二件くらいのものですか。
  248. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 石油の産出するクェートで、たとえば自動車の修理工場をやるという計画も相当進んでおります。そのほか、先般御承知のようにエチオピアの話もあるわけでございますが、これは農業移民のみならずほかのものもということでございますが、まだこれは政府には深い連絡がございませんが、現在向うの政府からこちらの個人と折衝をいたしておりまして、何人かいろんな技術者を入れる移民を考えているようですが、これが非常に成功いたしますれば、相当政府としてこの方面に力を入れることも大事じゃないかと、こういうように考えております。
  249. 岡田宗司

    岡田宗司君 農業移民については、農林省のいろんな教育機関というものができて、訓練なんかやっているようですけれども、まあ工業移民、これは始まったばかりですから何ですけれども、どうです、これに対してもやはり訓練といいますか、教育機関といいますか、そういうものを作る御計画ですか。
  250. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 工業移民につきましては、まだどうもほんとうに軌道に乗ったとは言い得ないと思うのでございます。まあ大体行く者は内地におきまして相当工業の技術を修得した者が行くわけでございまして、訓練というとまあ向うの風俗、習慣になじませるか、また向うの言語を教えさせる。また日本国民として向うへ行って恥かしくないようなある程度の教養を積ませるということに力を入れていかなければならぬと、かように思っております。
  251. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういう者について、何か今特別な訓練とか教養とか施しているのですか。
  252. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 神戸と横浜に移住あっせん所がございますが、あそこで向うに渡航いたします前に、若干の期間収容いたしまして、そうした点でやっておりますが、まあ最近は行く人の心がまえもだいぶ前とは変って参りまして、ほんとうに真劍に新しい天地を開拓していきたいという気魄に燃えて行っているようであります。今後は相当私は期待ができると思っておりますし、本年度は九千人の計画がございますが、これがだんだん軌道に乗り、いい成績をおさめて参りますというと、相当、何というか、移住の仕事というものは将来活発になってくるのではないかとこう思っております。
  253. 岡田宗司

    岡田宗司君 南米とか中米の方に五千五百人ぐらい行くのですが、これに対してカンボジアの二千人というのは割合に数が多いのです。中南米の方はなれているので、勢い出す方も受け入れの方もまあまあ何とかやっていけるが、カンボジアの方は全然初めてなんです。今年二千人出すということになると、これは受け入れ態勢との関係もあるし、相当むずかしい問題があると思うのですが、どういうふうな計画で二千人出ることになるのか。またそれらに対してどういうふうな訓練を施して送り出すことになるのか。
  254. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 実はカンボジアの二千人と申しましたが、まあ少し私もこれは岡田さんのお説のように、やはり少し多い数だと思います。実際は。ただ、まあ東洋は何といっても距離が近い関係で、農業移民なんかも割合行きやすいということは、これは言い得ると思う。まあカンボジアの場合は、私どもはぜひとも一つ日本の移住者をカンボジアにおいて成功さしたいと、私も深く考えております。カンボジアでは日本の農業試験場を初めに作りまして、そこでカンボジアに適する農業の種類、そしてまた農業のやり方というものもやって、そして着実な基礎のもとに農業移民というものをうんと一つやらしていきたい。カンボジアは非常に日本の農業技術を受け入れることに対して、非常な期待と希望を持っておりますので、私どもは、これは一つ初めでございますからうんと一つ農林省とも相談いたしまして、技術的な面においてはもとより、行きます人間の人選、そしてまた行きます人の精神的な訓練というような面におきましても十分やって、一つ将来大いに伸ばします下地をとにかく作っていきたいと思っているのです。先ほど御指摘の二千名というのは、実は昨年その計画で出したのでございます。私ちょっと三十一年と三十二年と間違えたのです。三十二年度はもっと下回った計画をやっております。
  255. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうするとカンボジア二千名は三十一年度においても実現できなかった。三十二年度はもっと下回った計画だと、しかし実際は向うに農業試験場とか何かを作ってそれからだということになると、こういうように大量の移民はこれから先のことになるのですね。そうすると一体こういう予算をここで計上したというのは、まことにおかしな話なんですが、一体どうなんですか。
  256. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 実は私はさっき二千名と申し上げましたが、これはちょっと取り消さなければならぬので、ちょっと去年のやっと今年のやつを間違えて答弁をいたしまして、はなはだ申しわけないのですが、本年度の九千名の内訳はカンボジアの件は取り消したいと存じます。ブラジル五千名、パラグァイ千二百名、アルゼンチン二百十名、ボリビア千名、ドミニカ千百七十名、コロンビア百二十名、アメリカ三百名という計画であります。そのほかにできるだけ一つカンボジアの方に送りたいというふうに考えておるわけであります。
  257. 岡田宗司

    岡田宗司君 この移民の問題ですが、今言ったように、やっぱり今年も主として中南米に行っている。それで結局アジアの方面は少いのですが、最近アジアの方面へ、特にインドであるとか、セイロンであるとか、ビルマであるとか、カンボジアであるとか、とにかく日本の農業技術を学びたいというので、向うへ招かれて行っている人もあるのですが、これらは私どもの聞いているのでは、なかなか成績を上げているようです。こういうような一種のこれも技術員でしょうが、これは海外に対する技術者の派遣という程度かもしれませんが、移民とまでいかぬかもしれませんが、これは外務省では積極的なんですか。これはおれの方じゃない、農林省の方だとか何とかいうようなことで、あまり積極的でないように思います。が、これはどうですか。
  258. 中川融

    政府委員中川融君) 東南アジア各国におきまして、日本の農業技術をぜひ導入したいという希望は非常に盛んなものがございます。岡田委員が御指摘になられましたように、インドでありますとか、セイロンでありますとか、あるいはビルマ、またインドシナの各国等におきましては、すでに相当日本からの農業技術の導入ということで、日本の農家の人もあるいは試験的に入り、あるいは日本の農業技師を招聘いたしまして、日本式農法の伝授を受ける、そういうことによりまして、従来の農作成績を倍にも、あるいは三倍にも上げて増強しておるという事例が相当あるのでありまして、今後もこういう要望は続いていくことと思うのでございます。これに対しては、農林省のみならず、外務省も非常に積極的にこの傾向を助長していきたいと考えまして、たとえばコロンボ・プラン等を通じまして、これにつきまして、あらゆる援助をしておるのが実情でございます。しかしながら、岡田委員が御指摘になられましたように、これはあくまで農業技術の導入あるいは教えを受けるということが主たる目的でありまして、このために相当まとまった数の日本の農家を現地に移住せしめるということには、なかなかいかないのでございます。一定期限が過ぎれば、伝授が終れば、それらの人も帰って来るということになるのであります。しかしそれにもかかわらず、われわれとしては、できるだけこの勢いを奨励していきたいと思っております。これによって日本の単に農業ばかりでなく、その他あらゆる方面における日本技術というものに対する現地の認識を深めしめるということで、非常に効果があると思いますので、そういう勢いを助長していきたいと考えて、このようなつもりで努力しております。
  259. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは三十二年度にはどれくらい出すようなことになりますか。
  260. 中川融

    政府委員中川融君) これは、日本が実施いたします際には、やはり単に農業技術と限定されませんで、あらゆる方面におきましての日本技術の進出ということで考えております。従って、三十二年度に大体八十名程度の日本からの技術の人を現地に派遣したいということで、コロンボ・プランの予算を計上してございますが、この中で農業の専門家を何人というふうには区分けはいたしておらないようでありますが、これは御承知のように、各国からの要望を待ちまして、その予算の範囲内で各種の工業技術者、農業技術者等をそれぞれ派遣することになるわけでございます。
  261. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近アジア方面の国からの留学生のなにがふえてきております。これらに対する処遇の方法が非常に足りないように思いますが、もっとたくさん来てもらう方がいいんだし、またこちら側としてできるだけ便宜を与えた方がいいと思いますが、これらの予算が私少し少いように思います。これはまあ外務省だけの問題ではないので、文部省関係のものもあるし、それからまあ民間のいろいろな団体等のものもありますけれども、これらについて、外務省ではどういうふうなお考えで、今後どういうふうにやっていこうとお考えになっておりますか。
  262. 井上清一

    政府委員(井上清一君) アジアの各国との文化の交流、技術の交流と申しますか、主として日本の事情を見てもらう、日本のことを勉強してもらうために、日本に留学してもらう。また日本に来て、日本の工業なりいろいろなものを見てもらうということは、非常に望ましいことでございます。実は最近も一つの例がありますが、ベトナムから来た日本視察団が、これくらい日本の工業技術というものが進んでいるということは知らなかった……これは大へんベトナムの知識階級であり、そしてまた指導階級の人であるわけでございますが、そういう人ですら、日本の現状というものはよく知らなかった。でございますから、日本に大いに一つ来てもらいたい。それからまた日本の進んだ学問、文化というものを勉強するために、ぜひとも一つアジアの各国から日本に留学してもらいたい、こう思っております。まあそれのためには、いろいろ日本としてのできるだけの便宜をはからなければならない。あるいはまず住の問題が一番大事だと思うし、あるいはまた学校の設備とか、教育の設備とかいうことも非常に大事だと思います。こういう方面につきましては、どうもこれまで割合力が入っていなかったということは、実際私ども遺憾に思うのであります。最近は招待外交というような名前で、相当各地からいろいろな人に来てもらって、日本の実情を見てもらっております。これは大へん私は効果があると思う。外務省予算をいろいろやり繰りいたしまして、そういうことをやっております。それからまた、アジア各国の留学生に対しましては、第七にございますように、国際学友会とか、あるいはアジア協会とか、あるいはまた日華学会とかいうような団体に補助金を出しまして、この団体でもってそうした留学生のお世話ができるように一つやらせたい、こういうことでいろいろ計画もしております。それからまたそのほかに住の問題でありますが、住宅公団が向うから来ております留学生のために住宅を、現在住宅金融公庫から金を出してもらいまして、こうした団体が主体になりまして、住宅を作るというようなこともいろいろ計画をきしております。しかし、何分限られた予算でございまして、思うような活動ができませんが、こうした経費こそ、今年度はこの程度でごさいましたが、将来はうんと一つ力を入れていきたい。今年度はまあ手始めみたいなものでございますが、これをもとにして、一つ力を入れていきたい、こう思っております。
  263. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは一つぜひふやしてもらいたいと思うのですが、まあここにある一億五千七百万円ではどうにもしようがない。従ってこれをふやしていくことが必要だと思うのですが、現在学生として来ておるのは何人くらいなんですか。
  264. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 国際学友会関係でありますが、現在参っておりますのは東京に百十人、関西に二十五名、そのほかに日華学会で、中国関係が二十名おります。
  265. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると中国を除いた百三十五名のうちで、大体国別はどという工合になっておりますか。
  266. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 今正確な数はまだこちらへ持ってきておりませんので、いずれ調べましてお届けをいたしますが、タイとインドネシアが圧倒的に多いようでございます。
  267. 岡田宗司

    岡田宗司君 賠償等の関係もあるのですが、賠償費の一部をこういう方面に使うというようなことはできないのですか。これはビルマとかフィリピンとか、そういう賠償関係の国だけに限るのですが……。
  268. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 私は非常にけっこうだと思います。前に北清事変のときの賠償金を中国の留学生の費用に当てまして、現在の中華民国にいたしましても、中共におきましてもへその指導者ことに日本で教育を受けた指導者はほとんど北清事変のときの賠償金によって来ておるというような事例から見ましても、そうしたことを賠償を受けます国が承知してもらえば非常にけっこうじゃないかと思います。しかし何分相手のあることでございますから、そうこちらばかりも言えませんので、その点はまことに残念に思います。
  269. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは予算との関係もあるのですが、これらの来ておる学生に、何か月謝を補助するとか、あるいは生活費を補助するとか、旅費を見るとかそういうことをやっておるのですか。
  270. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これは私ども関係はございませんが、文部省の方で若干の補助を出しておるようでございます。
  271. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは文部省の方かもしれないけれども、逆にまた外務省の方としても積極的に進めるとすれば、相当相手の国と話し合いもあるのだから、外務省の方で積極的にやらぬことには、来た連中に対して補助するというのが文部省の方になるから、外務省の方としてもっと積極的にやるというなら、外務省の方で教えるというのはおかしいですけれども、向うに話して、送るようにするための具体的措置を講じてやらなければ来ないじゃないですかね。
  272. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 同感でございます。まあ今のところは実際に金を出しておるのは文部省の方だということをお答え申し上げたのでありますが、ぜひとも私どもといたしまして、国内の受け入れ態勢が伴っていかなければなりませんので、そうした点と並行いたしまして向うの政府に呼びかけまして、できるだけたくさんの学生が日本に来るように今後とも努力を払いたいと思います。
  273. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはこの予算とは関係はないけれども外務省の庁舎ですね、あれはいつ建つんですか。
  274. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 外務省の庁舎につきましては、ただいま昭和三十一年度でもって土台の工事費用をお認めいただきましたのですが、三十二年度にも庁舎の費用を計上いたしてございますし、御承認を願えますれば、本年度とまた来年度にも費用を計上いたしまして、三十三年度予算をもちまして全部の完成をするようにいたしたい、かように考えております。
  275. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど沈船の話がありましたが、スクラップはどうなっておりますか、沈船引き揚げの問題……。どこに持っていっていますか、スクラップは。
  276. 中川融

    政府委員中川融君) フィリピン賠償に伴う沈船引き揚げの問題だと思いますが、あれはフィリピンとの間に当初協定ができました際に了解がありまして、少くとも三分の一は日本に売る、揚げたスクラップは三分の一は日本に売るということになっております。たしか引き揚げましたこのスクラップの量が八万トンほどであったと思いますが、そのうちの三分の一はすでに日本に売却されてきておるのでございます。
  277. 海野三朗

    海野三朗君 日本ではどういう方面にそれが流れておりますか。
  278. 中川融

    政府委員中川融君) 日本の製鉄会社、製鋼会社が、三社あるいは四社でしたか、これが一まとめにスクラップを買うという手はずになっておるのでありまして、すでに契約はできておるのでございます。引き渡しはまだ済んでおらないそうでございます。
  279. 海野三朗

    海野三朗君 三分の一にいたしましても、その三分の二はどうなっているんですか。この東洋のスクラップはほかに持っていっちゃ引き合わないはずだと思うんで、どうなんですか、日本でみなもらっちゃう……。
  280. 中川融

    政府委員中川融君) 三分の一は日本に売ったのでございますが、最初から日本は三分の一以上、もしできれば全部も買いたいということであったのでありますが、フィリピンも自分の国で製鋼業を興しておるから、それに原料として使いたいということで、三分の二はフィリピンが留保しておるのでございます。現状では揚げたもののほんの一部をフィリピンが消化した程度でございまして、まだ積み上げられたままになっておるのであります。日本は、こういう積み上げたままでおりますと、せっかくのスクラップがむだになってしまうから、これは日本に売ったらどうかということで話を進めておりますが、まだ話はついていないのが実情でございます。
  281. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど岡田委員が触れられましたが、留学生の問題ですね。ビルマからは何人ぐらい日本に来ておりますか。
  282. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これはちょっと今手元に数字がございませんので、いずれ全体の数字をまとめまして、書面をもってお答えを申し上げます。
  283. 海野三朗

    海野三朗君 この東南アジアからの留学生については、非常に私は冷遇しておるやに聞いておるんですが、非常に困っておるようですね。それでその寄宿舎なんぞも単に民間にまかせておるようですが、一体どうなっておりますか。留学生の現状はごらんになったことありますか。
  284. 中川融

    政府委員中川融君) 先ほどからしばしば御指摘のありましたように、日本に来ております留学生が困っておるということも、ある面では事実でございます。ある面ではと申しますのは、日本に来ておる留学生には、大体三種類ございまして、一つは日本の政府が金を出して招聘しておる国費留学生でございます。これは月の手当が二万円しか出ていないのでありまして、予算関係上いかに折衝いたしましても二万円しか今のところ出ていない。この部分は確かにこれは待遇が二万円では、なかなか外国人の学生として日本で暮すのに苦しいのでございます。これが先ほど政務次官の申されました文部省が金を出して呼んでおる学生というのに当るわけでございます。第二の種類は、先方の政府が金を出しまして日本に留学せしめておる学生でございます。これは国によって待遇はそれぞれ違うわけでございますが、二万円よりは多い金大体三万円ないし三万五千円程度の金を出しておると了解しております。第三の種類は、これは主としてタイあたりに多いのでありますが、自分の金を出して日本に来て勉強しておるグループでございます。これはやはり相当金を持っておる家庭から来ておりますので、これもやはり三万五千円程度の金は使っておるのではないかと思います。従って最初の、日本政府が呼んでおる国費留学生が、これが生活が苦しいわけでありまして、これの待遇改善につきましては、毎月の補助金二万円というのをふやすのが、いろいろの事情で困難でありますので、昨年度からでございますが、昨年度といいますか、今三十一年度からでございますが、文部省では自分で会館を作りまして、ここにそういう国費留学生を収容しようということで、大体三千五、六百万円の予算を計上しております。三十二年度におきましてもその大体同じ程度の額を計上しておりますので、これが建ちますると、ある程度これらの学生は安い寮費でここで暮すことができる、そういう方法によってこの待遇を改善していこうというのが、ただいまの政府考え方でございます。
  285. 海野三朗

    海野三朗君 私が一昨年ビルマに参りまして、向うのミョウマ・スクールの校長に会っていろいろ話を聞いたんですが、日本の軍人の落し種が約三万人ビルマにおるんです。学校に行ったときにその学校の生徒たちが私の所にわんさと寄ってきまして手を出すから、校長にその意味を聞いた、そうしたところが、日本のじいちゃん握手をしてくれと言う、その顔つきを見ると日本の子供です。そこで非常によう似ていますねと言ったら、いやこれは日本の兵隊さんの子供であると言われたんだが、一体どれくらいビルマにおるかと言ったところが、約三万人おりますと、ミョウマ・スクールの校長さんが私にそう言った。それは十三、四才になっておる、この三万人の子供たちは、必ず将来とも日本に父を探しにやってくるということは想像にかたくないんです。そういう場合に対する、つまり外務当局のお考えはどうなんすか。
  286. 中川融

    政府委員中川融君) 日本軍が戦争中に滞在しておりました各国におきまして、いわゆる落し種と申しますか、現地人との間に混血児が相当におるいうことは想像にかたくないのでありまして、御指摘のビルマの例も三万人という数が果して正確であるかどうか、これはわかりませんが、相当の数の混血児がおるのではないかと思います。カンボジア等におきましても、混血児がおることは現地調査に行った人が現に見てきておるのであります。インドネシアにおきましてもこれは相当数の混血児がおる、フィリピンまたしかりであります。これらの混血児の現在の待遇と申しますか、あるいは環境はどうかということになりますと、父親はほとんど皆あるいは戦死、あるいは内地に帰って来ておるということで、母親だけで育てられている。あるいは母親もいなくてみなしごになっているというケースが相当あるのでありまして、いかにも気の毒な状況であります。予算が許すならば、われわれもこういう現地における混血児に対して救済の手を差し伸べたいと思うのでございますが、ただいままではそこまで行っておりませんし、また調査も十分行き届いていないのであります。しかしこれらの混血児は、おおむねその性質は非常に優秀であるというのがやはり衆目の見るところでございます。今後相当これらの混血児の人々が、いろいろな方面に結局発展して活躍するのではないかということも期待するのでございます。もしこれらの人々が内地に来て、父親を探したいという事態が相当発生するというようなことでありまするならば、われわれは在外邦人救恤の一環といたしまして、何とかまた考慮してみたい。これは御承知の通り中国からは、現地で中国人と結婚した婦人の一時帰国ということにつきましてもある程度の補助をいたしておるのでありまするから、何かそれに準じたようなことを将来考えてみたらと考えております。
  287. 海野三朗

    海野三朗君 これはぜひすばらしい熱意を持って外務省がやっていただきたいと思います。あまり遠い将来ではないと思うんですが、これらの子供たちがしかも非常に優秀なんで、私は驚いたんです。正確ではないが約三万人おると言っておりました。しかしどれも成績がいいのであると、こういうお話でありましたから、これに対しましては、外務省は本気に力を入れていただかなければならない、そうすることがやはり日本の発展になるんではないかと思いますから、特に力を入れていただきたいと思います。  次に、私はこの間もちょっと質問を出しておいたのでありますが、インドが仏陀二千五百年を機として、ガヤ地方に二千エーカーばかりの土地を無償提供するということを言ってきた。全日本仏教会の方へ言ってきました。そういう際には、やはり外務省が片棒をかついで、そういう所に、表面は寺院でも何でもいいから、とにかく日本人の足だまりを作るということが必要ではないかと私は思う。その反面に、日本とブラジル相互の文化交流云々もありますが、私は最も近い東南アジアにおいて近いところのインド、そのインドがそういう態度でもって言うてきておる、そういう際には、やはり外務省がほんとうに一はだ入れて、そうして一部分にお寺でもかまわない、あとは寄舎のような日本人のたまり場所を作るということが私は最も必要じゃないかと思うのですが、外務省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  288. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 御質問の件につきましては、全日本仏教会の方でいろいろ御研究されておるように承わっております。また例の土地の問題につきましては、海野先生非常に関心を持たれまして、御熱心にこれが実現を見るようにということで御尽力になっておるように私ども承わっておるのでありますが、何分多額の経費を伴う問題でございますることと、まだ具体的な問題にはなっておりませんものでございますから、実はそのままになっておるようなことで、一つまあいろいろ話が進んで参りました場合に、われわれは考えなければなりません。実は、国家としてお説のような施設に対して金を出すというようなことについては、まだ若干研究しなければならぬ点があろうかと思っております。セイロンに対しましていろいろこちらとしてやりましたことについて、先般御引例があったわけでございますが、あの場合と今度のインドの場合と、いろいろ向うの国情によっても違い、またそれのいろいろな計画の具体的な問題につきましても問題の性質が若干相違をいたしておりますような関係があります。で、インドの問題につきましては、政府といたしましては全日本仏教会と十分一つ連絡をとりまして、将来の研究課題といたしたいと、かように考えております。
  289. 海野三朗

    海野三朗君 この第七にもアジア諸国との経済技術協力に必要な経費となっておりますが、経済協力といっても、私はインドあたりに対してのことは、やはりお釈迦様を中心にやっておるのであって、そういう点においては日本と一脈相通じるものがあるし、向うでは仏陀二千五百年を記念して土地を無償提供する、それだからそこに日本のお寺でも建てなさいということを向うから言ってきておる、そういう際には、やはりこちらで一つ力を入れて、何とかこれを補助をしてやって、表面は全日仏でも差しつかえない、しかし内実はやはり外務省として一つ在外のそういうような建物を建てて、一つ足場を作るということが、最もこれは大切なことじゃないかしらんと私は思うのですが、こういうことに対しては、つまり政府としては、どの程度の熱意を持っておられるのでありましょうか、ちょっともう一度私政務次官からお伺いいたしたい。
  290. 井上清一

    政府委員(井上清一君) お説の点につきましては、十分一つ熱意を持って研究さしていただきたいと、かように思います。
  291. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) ほかに御質疑はございませんか……、御質疑はないようでございまするから、外務省所管についての質疑は、この程度で終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。
  293. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) これより総理府のうち、防衛庁所管議題といたします。  まず、政府側より御説明を願います。
  294. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) それでは私からまず昭和三十二年度防衛庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十二年度防衛庁歳出予算の総額は千十億円でありまして、これを昭和三十一年度歳出予算額千二億円に比べますと、八億円の増加となっております。このほか国庫債務負担行為として、航空機の購入について百二十五億千九百四十三万三千円、器材の購入について三十一億七千三百二十五万千円、施設の整備について二十三億千九百七十五万六千円、艦船の建造について二十億四千九百五十万円、計二百億六千百九十四万円、さらに継続費として昭和三十二年度甲型警備艦建造費総額三十六億六千九百八十八万円、うち昭和三十三年度以降の年割額二十九億三千八百六万円を計上いたしております。なお昭和三十一年度予算に計上された継続費潜水艦建造費総額二十七億千八百万円につきましては、年割額を改訂することとし、昭和三十二年度は十一億八千二百五十二万円を歳出分に計上いたしております。  まず、予算編成の前提といたしました職員の定数及び各自衛隊の勢力の概略について申し上げます。防衛庁昭和三十二年度予算上の職員定数は、自衛官二十万四千百五人、自衛官以外の職員一万九千三百九十七人、計二十二万三千五百二人でありまして、これを昭和三十一年度予算上の職員定数に比べますと、自衛官において六千九百二十三人、自衛官以外の職員において千五百七十五人、計八千四百九十八人の増加となっております。  以下、これを組織別に申し上げますと、長官官房及び各局、統合幕僚会議、防衛研修所、防衛大学校、技術研究所、建設本部並びに調達実施本部の職員定数は自衛官三十四人、自衛官以外の職員二千八百四十二人、計二千八百七十六人でありまして、昭和三十一年度に比べますと、自衛官において二人、自衛官以外の職員で二百五十一人、計二百五十三人の増加となっております。この増加は、主として防衛大学校、技術研究所及び調達実施本部の定員増加並びに霞ケ関庁舎管理要員を防衛庁内部部局に組みかえたことによるものであります。  陸上自衛隊につきましては、昭和三十一年度に引続き自衛官十六万人、自衛官以外の職員一万千九百十七人、計十七万千九百十七人をもって二方面隊、六管区隊、三混成団並びにその他の部隊及び機関を編成いたしております。  海上自衛隊につきましては、昭和三十二年度に増勢を計画している艦船といたしまして、新たに建造に着手する甲型警備艦二隻三千六百五十トン、駆潜艇二隻、中型掃海艇三隻、小型掃海艇二隻及び特務艇二隻千八百七十四トン、計十一隻五千五百二十四トン、米国より供与を受ける甲型警備艦二隻、中型掃海艇二隻、小型舟艇十二隻、計十六隻五千二十四トン合計二十七隻一万五百四十八トンを予定いたしております。この計画が実現いたしました暁におきましては、保有艦艇は四百三十四隻十一万千三百九十四トンとなる予定であります。このほか、昭和三十二年度中に増加する航空機として、米国からの供与を期待している対潜哨戒機及び練習機百一機を予定しておりますので、昭和三十二年度末の海上自衛隊の保有航空機は百七十四機となるわけであります。以上の艦艇及び航空機の増加並びにこれに関連する陸上施設の拡充に伴いまして、自衛官千四百三十人、自衛官以外の職員五百七十一人、計二千一人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、海上自衛隊の職員定数は、自衛官二万四千百四十六人、自衛官以外の職員千九百十六人、計二万六千六十二人となります。  航空自衛隊につきましては、昭和三十二年度において、米国より実用機五十一機、練習機四十三機の供与を受けるほか、実用機百四機、練習機百二十六機を購入いたしますので、従来の保有機数と合せ、昭和三十二年度末の航空機総数は、実用機三百十六機、練習機五百五機、実験機四機、計八百二十五機を保有することとなります。さらに昭和三十二年度においては、航空集団司令部の新設、二航空団の増設及び北部航空司令部訓練隊の新設等を予定いたしておりますので、以上の拡充に伴い、自衛官五千四百九十一人、自衛官以外の職員八百五十六人、計六千三百四十七人を増員することといたしております。従いまして航空自衛隊の職員定数は、従来の定数と合せ、自衛官一万九千九百二十五人、自衛官以外の職員二千七百二十二人、計二万二千六百四十七人となります。  次に予算見積りの概要について申し上げます。長官官房及び各局並びに統合幕僚会議の運営に必要な経費は(項)防衛庁五億八千万円でありまして、昭和三十一年度に比べますと、一億八千六百万円の増加となっております。(項)防衛庁の増加は、昭和三十一年度までは陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に計上いたしておりました外国旅費を、昭和三十二年度より長官官房各局に組みかえ計上した一億三千万円がおもなものであります。  附属機関すなわち防衛研修所、防衛大学校、技術研究所、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は、(項)防衛庁二十三億三千五百万円、施設の整備に必要な経費は、(項)施設整備費三億五千三百万円、施設整備の付帯事務に必要な経費は、(項)施設整備等付帯事務費五百万円、計二十六億九千四百万円でありまして、昭和三十一年度に比べて(項)防衛庁において一億三千三百万円、(項)施設整備費において三千四百万円、(項)施設整備等付帯事務費において百万円、計二億六千八百万円の減少となっております。(項)防衛庁の減少は、主として技術研究所におけるジェット中間練習機第二次試作を航空自衛隊の国庫債務負担行為に組みかえ計上したための減少一億九千万円、防衛大学校の初期整備が完成したので、これに伴う学校備品の減少等によるものであります。(項)施設整備費の減少は、防衛大学校の新営工事が一応完成したためであります。  なお以上経費のほか、技術研究所に国庫債務負担行為として、器材購入一億七千九百万円、施設整備二億円、計三億七千九百万円を計上いたしております。  次に、陸上自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛庁四百八十八億三千二百万円、施設整備に必要な経費は、(項)施設整備費十三億九千二百万円、施設整備付帯事務に必要な経費は、(項)施設整備等付帯事務費二千百万円、計五百二億四千六百万円でありまして、昭和三十一年度に比べて(項)防衛庁において二十一億四千七百万円、(項)施設整備費において十五億六千六百万円、(項)施設整備等付帯事務費において六百万円、計三十七億二千百万円の減少となっております。  以上の経費内容を簡単に御説明申し上げますと、昭和三十二年度職員定数自衛官十六万人、自衛官以外の職員一万千九百十七人、計十七万千九百十七人の通年維持費は、(項)防衛庁として人件費約二百八十七億六千二百万円、旅費約七億五千三百万円、庁費約三十一億二百万円、器材費約七十四億八千四百万円、医療費約五億千九百万円、被服費約十八億九千七百万円、運搬費約三億円、糧食費約五十五億百万円、任用満期の到来する隊員に対する特別退官退職手当約十一億八千七百万円、予備自衛官月平均約八千人に対する予備自衛官手当約九千八百万円、その他約二億二千四百万円、計四百八十八億三千二百万円を計上いたしております。次に(項)施設整備費は、前年度国庫債務負担行為の歳出予算化分四億六千百万円のほか、既存施設の腐朽に伴う立てかえ改修等に約五億四千百万円、演習場等買収のために約一億三百万円、飛行場、通信、教育施設等として約一億七千万円、官舎一億千七百万円、計十三億九千二百万円を計上しております。また、(項)施設整備等付帯事務費二千百万円は、以上に申し上げました施設整備に伴う庁費及び旅費であります。  このほか陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為に器材購入九億三千八百万円、施設整備五億六千四百万円、計十五億二百万円を計上いたしております。  次に、海上自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛庁百五十七億七千万円、施設の整備に必要な経費は、(項)施設整備費九億三千九百万円、艦船の建造に必要な経費は、(項)艦船建造費三十二億百万円、潜水艦の建造に必要な経費は、(項)潜水艦建造費十一億八千二百万円、昭和三十二年度甲型警備艦の建造に必要な経費は、(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費七億三千百万円、施設整備等付帯事務に必要な経費は、(項)施設整備等付帯事務費九千九百万円、計二百十九億二千五百万円でありまして、これを昭和三十一年度に比較しますと、九億二千九百万円の減少となっております。このうち、(項)防衛庁において二十億五千三百万円の増加、(項)施設整備費において三億七千四百万円の減少でありますが、昭和三十一年度までは(項)防衛庁施設費の中に計上いたしておりました艦船建造費を、昭和三十二年度よりその目的を明らかにする必要上、(項)艦船建造費、(項)潜水艦建造費、(項)昭和三十二度甲型警備艇建造費の三項を立て経費を計上いたしましたので、これを合計した艦船建造費としては二十六億千二百万円の減少、(項)施設整備等付帯事務費四百万円の増加となっております。このほか、海上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為に器材購入五億六千九百万円、施設整備一億三千七百万円、艦船建造二十億四千九百万円、計二十七億五千六百万円、また継続費の昭和三十三年度以降の年割額として二十九億三千八百万円の甲型警備艦建造費を計上し、あわせて、昭和三十一年度において議決を経ました潜水艦建造のための経続費につきまして、工事の進捗状況等を勘案し、この際、年割額の改訂をはかっております。   以上の経費を現態勢維持に要する分と増勢に要する分とに区分いたしますと、現態勢維持分は、(項)防衛庁百四十四億八千三百万円、(項)施設整備費二億四千四百万円、(項)艦船建造費十九億五千九百万円、(項)潜水艦建造費十一億八千二百万円、(項)施設整備等附帯事務費三千七百万円、計百七十九億七百万円であり、増勢分は(項)防衛庁費十二億八千六百万円、(項)施設整備費六億九千四百万円、(項)艦船建造費十二億四千百万円、(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費七億三千百万円、(項)施設整備等附帯事務費六千二百万円、計四十億千七百万円となります。   この内訳を現態勢維持分の経費から申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十一年度末までに計画した建造または引き取り予定の艦船を含め四〇七隻、これは雑船を含めておりますが、十万八百四十六トン、航空機七十三機、自衛官二万二千七百十六人、自衛官以外の職員千三百四十二人の維持に要する経費は百七十九億七百万円であります。そのうち(項)防衛庁百四十四億八千三百万円の内訳は、通年維持費として、人件費約五十六億千八百万円、庁費約三億八千三百万円、旅費約一億二千六百万円、艦船、航空機の燃料、修理費及び通信機等の器材費約六十九億六千四百万円、被服費約二億千万円、糧食費約八億千七百万円、医療費約一億二百万円、運搬費約千万円となっております。また(項)施設整備費は約二億四千四百万円でありますが、そのうち一億四千七百万円は昭和三十一年度国庫債務負担行為を昭和三十二年度において歳出予算化いたしたものであります。次に艦船建造関係として、(項)艦船建造費は十九億五千八百万円で、うち一億三千九百万円は同じく国庫債務負担行為を歳出予算化いたしたものであり、(項)潜水艦建造費約十一億八千二百万円は昭和三十一年度継続費の年割額であります。さらに(項)施設整備等付帯事務費約三千七百万円は、以上の施設整備及び艦船建造関係経費に伴う庁費及び旅費であります。   次に増勢分の経費内容を申し上げますと、昭和三十二年度において増加を予定いたしておりますのは、艦船二十七隻一万五百四十八トン、航空機百一機、自衛官千四百三人自衛官以外の職員五百七十四人でありまして、これに要する経費は約四十億千七百万円でありますが、そのうち初度費は約三十四億五千九百万円、初年度維持費約五億五千八百万円となっております。初度費のうち(項)防衛庁は約七億二千八百万円で、その内訳は、初度庁用備品費約六千三百万円、被服費約三千七百万円、警備艦及び中型掃海艇供与に伴う防錆被覆除去に必要な経費として四億五千五百万円、航空需品一億五千七百万円等であります。このほか右に述べた航空需品の歳出予算関連いたしまして、昭和三十三年度に支払いとなる金額を国庫債務負担行為に三千百万円を計上しております。また施設の整備に必要な経費として計上した(項)施設整備費六億九千四百万円の内訳を申し上げますと、航空基地の整備約四億四千八百万円、官舎約四千五百万円、弾薬庫約七千八百万円、港湾、燃料施設約五千四百万円、水中防備施設その他で六百万円でありまして、このほか右に述べました歳出予算関連して国庫債務負担行為に一億三千八百万円を計上いたしております。次に、艦船の建造に必要な経費として(項)艦船建造費約十二億四千百万円を計上いたしておりますが、その内訳は、駆潜艇二隻三億八千二百万円、中型掃海艇三隻七億千二百万円、小型掃海艇二隻九千二百万円、特務艇二隻五千五百万円でありまして、建造工程が昭和三十三年度に及ぶ駆潜艇、中型掃海艇、小型掃海艇については、国庫債務負担行為に十三億三千五百万円を計上しております。(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費二隻については、その完成までに三カ年を要する予定でありますので、昭和三十二年度歳出予算に計上して約七億三千百万円及び昭和三十三年度十八億九千四百万円、昭和三十四年度十億四千四百万円、合計三十六億六千九百万円を継続費として計上いたしております。(項)施設整備等付帯事務費としての六千二百万円は、右に申し述べました施設整備および艦船建造関係経費に伴う庁費及び旅費であります。次に、増勢分の初年度維持費といたしまして、(項)防衛庁五億五千八百万円を計上いたしておりますが、その内訳は、増員される自衛官千四百三十人、自衛官以外の職員五百七十四人の平均六ケ月人件費一億四千四百万円、増加予定の艦船及び航空機の運行に要する燃料、修理費等の器  材費三億二千六百万円、その他八千八百万円であります。  次に、航空自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛庁二百三十四億三千二百万円、施設整備に必要な経費は(項)施設整備費二十億八千六百万円、施設整備等付帯事務に必要な経費は(項)施設整備等付帯事務費三千四百万円、計二百五十五億五千三百万円でありまして、これを昭和三十一年度に比較しますと、総額において五十五億三千三百万円の増、(項)防衛庁において七十五億千百万円の増、(項)施設整備費において十八億六千四百万円の減少、(項)施設整備等付帯事務費において二千五百万円の減少となっております。このほか、航空自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に、航空機購入百三十六億五千万円、器材購入三億五千四百万円、施設整備十四億千七百万円、計百五十四億二千三百万円を計上いたしております。   以上の経費を現態勢維持分と増勢分に大別して申し上げますと、現態勢維持分は、(項)防衛庁百七十二億四千八百万円、(項)施設整備費六億七千四百万円、(項)施設整備等附帯事務費千二百万円、計百七十九億三千四百万円でありまして、増勢分は、(項) 防衛庁六十一億八千四百万円、(項)施設整備費十四億千二百万円、(項)施設整備等付帯事務費千二百万円、計七十六億千八百万円となっております。  経費内訳を現態勢維持分から申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十一年度末における航空機五百十八機、自衛官一万四千四百三十四人、自衛官以外の職員千八百六十四人の維持に要する経費は    〔主査退席、安井謙君着席〕 百九十九億三千四百万円でありまして、このうち(項)防衛庁百七十二億四千八百万円は、右に述べた職員の人件費約三十三億二千六百万円、旅費約一億五千六百万円、庁費約一億九千七百万円、航空機の燃料、修理等の器材費約四十八億六千四百万円、被服費約一億三千六百万円、医療費約五千百万円、糧食費約五億千万円、運搬費約三千七百万円、航空機購入の国庫債務負担行為の歳出化分約七十八億千七百万円、その他約五千四百万円であります。このほか右に述べました歳出予算関連して国庫債務負担行為に四億八千六百万円を計上いたしました。また(項)施設整備費六億七千四百万円のうち、三億四千九百万円は昭和三十一年度国庫、債務負担行為を歳出予算化いたしたものであります。(項)施設整備等附帯事務費千二百万円は、施設整備に伴う庁費並に旅費であります。  次に増勢分の経費内容を申し上げますと、昭和三十二年度に増加いたしますのは、航空機定数二百八十七機、自衛官五千四百九十一人、自衛官以外の職員八百五十八人でありますが、これに要する経費は七十六億千八百万円でありまして、さらにこれを初度費と初年度維持費に分けますと、初度費約五十六億五百万円、初年度維持は約二十億千三百万円となっております。初度費のうち(項)防衛庁四十一億七千百万円の内訳は、航空機購入費としてF86戦闘機、T33練習機の前渡金二十一億三千八百万円車両購入費五億三千百万円、通信機購入約三億二千九百万円、訓練用備品費約一億八千九百万円、修理用備品費約三億三百万円、その他の器材費約二億百万円、被服費約二億三千万円、航空機等の購入に伴う運搬費約一億千三百万円、庁用備品約一億二千三百万円、その他千四百万円となっております。このほかF86戦闘機百二十機、T33練習機三十機の継続国産計画のために、昭和三十三年度及び昭和三十四年度において国庫の負担となる契約を昭和三十二年度において結ぶため、国庫債務負担行為百七億三千七百万円を計上いたしております。また施設の整備につきましては、(項)施設整備費十四億千二百万円を計上しておりますが、その内訳は航空基地施設約五億九千七百万円、補給施設約八千二百万円、操縦学校四カ所分約三千三百万円、海上自衛隊との統合教育施設約八千八百万円、レーダーサイト用地費約八千万円、通信施設約一億六千三百万円、燃料施設約二億九百万円、官舎約七千三百万円診療所の増設約二千万円でありまして、右に述べたところと関連して航空基地施設に三億四千二百万円、学校施設に三億七千百万円、レーダーサイトの設に一億八百万円、通信施設に六千六百万円、燃料施設に二億八千万円、病院施設に一億五千万円、高射大隊施設に一億円、計十四億千七百万円の国庫債務負担行為を計上いたしております。(項)施設整備等附帯事務費二千二百万円は、以上申し述べました施設整備に伴う庁費及び旅費であります。以上は初度費について申し上げたのでありますが、初年度維持費といたしまして、(項)防衛庁二十億千三百万円を計上しております。その内訳は、増員される自衛官五千四百九十一人、自衛官以外の職員八百五十八人の平均五ケ月分の人件費約四億七千七百万円、増勢の航空機の燃料、修理費等の器材費約十一億六千三百万円、糧食費約一億千三百万円、その他約二億六千万円であります。  最後に以上申し上げましたことを要約いたしますと、歳出予算に計上いたしました千十億円は、これを現態勢維持分と増勢分とに区分すれば、現態勢維持分は八百九十三億六千三百万円、増勢分百十六億三千六百万円となりますが、このほか、国庫債務負担行為に器材費百五十六億九千二百万円、施設整備費二十三億千九百万円、艦船建造費二十億四千九百万円、計二百億六千百万円、また、継続費の昭和三十三年度以降年割額として二十九億三千八百万円を計上している次第であります。  以上をもちまして防衛庁予算の概略の説明を終ります。  詳細は御質問によってお答え申し上げます。
  295. 安井謙

    主査代理(安井謙君) 順次御質疑を願います。
  296. 岡田宗司

    岡田宗司君 防衛庁長官がおいでになっておりますから、まず伺いたいのですが、本年度は陸上自衛隊の方はふやさないということになっておりますが、航空自衛隊並びに海上自衛隊の方はどのくらいおふやしになるのか、これは行き当りばったりでおふやしになっておるのじゃないと思うのですが、何らかのめどがあっておふやしになると思うのですが、その年度割か何か……。これは大体の計画があっておふやしになると思うのですが、どうですか。
  297. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) これは御承知のように、私どもの立場から申しますと、さらに質的、量的に増強しなければならないという考えを持っておるのでありまして、防衛庁限りとしては一つの試案も持っておるわけであります。そこで、実は私どもの方では別の方もふやしたい希望を持っておりましたが、一般の予算編成の方針によりまして、本年度は大体昨年度程度に防衛費をとどめるということになりましたために、特に今年度は質的な方面に重点を置いて、陸軍の増強ということは繰り延べるということにいたしたのでありまして、御承知のようにはっきり、した確定的な計画はございませんけれども、われわれはそうした目途のもとにこの予算を計上した次第であります。
  298. 岡田宗司

    岡田宗司君 その予算の面からの問題ではないのですが、つまり、防衛計画というものは、まだ発表はされておらないけれども、前にも六カ年計画とかいうものが伝えられておったと思うのですが、何べんも練り直されておるのですが、それに従って毎年増強されておるのですが、ただ行き当りばったりに増強しておるのじゃないと思うのですが、素案があるでしょうね。
  299. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 防衛庁といたしましては、陸、海、空三つの幕僚部がございまして、いろいろな行政いろいろな一応検討をいたしておるのであります。しかし、大きな目標といたしましては、この前作りましたいわゆる防衛六カ年計画というものも一つの目安になっておるわけであります。しかし、情勢の変化によって、それは修正しなければならぬ点も出て参ります。そこで、それぞれの年度において、日本の経済予算の面などを考えて、われわれの目標としておるところの範囲内において、適宜あんばいをして毎年度計画をきめる、こういうような順序で進んでおるわけであります。
  300. 岡田宗司

    岡田宗司君 経済の面につきましても、経済自立五カ年計画というようなものを作り、情勢が変ってくるとまたこれに対して修正を加えて、その規模を拡大しておるわけです。何かやっぱりあれがなければならぬ。さっき言った六カ年計画なるものが、おそらく今の増強の基礎になると思うのですがね、それが何ゆえにはっきりしたものにならないのか、その理由はどうでしょうか。
  301. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 私、就任前のことでありまするけれども、これはただ単に防衛庁だけ、この防衛上の必要だけから考えましても、それだけに国策としてはなかなかきめがたい、いろいろ防衛生産の能力であるとかあるいは経済力とかいうようなもの、言いかえれば、各省との関係も十分にらみ合せまして確定しなければならぬ、そういう関係で時間がたっておりましたし、その後国防会議法というものが成立をいたしまして、またその以前において、こういう重要な計画というものは、国防会議にかけるべきものである、ところがこの国防会議法の成立までに、相当時日も要しましたし、そういういろいろな関係でおくれて参ったわけであります。しかし、いよいよ国防会議ができましたので、こうした計画というものは、さらによくこれを検討して、ぜひ国防会議にかけて確定したものにいたしたいという希望を持っておったわけであります。実は、本日も閣内で話しまして、かりにすぐ一度の会議で確定しないまでも、できるだけしばしば国防会議を開いて、そしてこうした問題を検討し、政府としてのはっきりした防衛計画を立てようということを話し合ったような次第でございます。
  302. 岡田宗司

    岡田宗司君 国防会議に付議するための作業はもうおやりになっておるのですか。
  303. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) これは始終、その面を担当しておりまする限り続けなければならない当然の任務でありまするから、そういうことを検討いたしておるのであります。
  304. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、国防会議はいつごろ開くお見込みですか。
  305. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) ここで確約はできないのですが、今朝も私ども話し合ったような次第でございまして、できるだけ早い機会にと考えております。現にその幹事会のようなものは随時開いておりますので、一応の草案でもできましたら、きわめて近い機会に開きたい、こういうふうに考えております。
  306. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、岸総理大臣がアメリカを訪問されるのと私は関係があると思うのですが、その国防会議に防衛庁で作りました案を付議して確定して、それを岸総理大臣が向うへ行くときに持っていくということでございますか。
  307. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 私どもの希望としては、岸総理がアメリカへ行くとか行かないとかいうことにかかわらず、一日も早くこうした計画を確定いたしたいと考えております。岸総理が行くについて、もちろん私はきょうこの場でも、そうした計画を持っていたいのですが、それまでにはっきりと国防会議できまるかきまらないかということは、今のところ何とも申し上げかねます。
  308. 岡田宗司

    岡田宗司君 国防会議に付議する案が、今作業されておるわけですが、従来まできまらなかったのは、まあ予算関係もあろうし、今言った各省との関係もあろうし、また防衛産業との関連の点もむずかしい点もあろうし、そういう点できまらなかったと言われておるのですが、そのほかに、アメリカ側との関係においてきめかねている面があったのじゃないか。たとえばアメリカの方が最近原水爆だの、あるいはまた例の誘導弾だのというものが発達してきて、戦略が変り、従って戦術を変える。それと同時に、対ソ戦略全体の検討を行なって、それでアメリカ協力する関係にある国々との戦略なり、あるいは防衛体制なり、それに見合う、何といいますか、隊の編成なり武器なり訓練なり、そういうものが変ってくる、その根本をなすアメリカ自体の戦略なり戦術なりというものがまだほんとうに確定しないということから、従って日本の方の計画もなかなか確定しにくいということが原因じゃないですか。
  309. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) これは岡田君の立場からはそういうふうに御想像になられるかと思いますが、実は私どもの方では、始終共同防衛という立場から、情報の交換はいたしております。またさらに率直に申しまして、日本の自力だけでは幾ら自主的な防衛といえどもでき得ない部分があり、いろいろ新しい技術というようなものについて欠けているところがありまするから、そういう点について向うの力を借りなければならない場面もあるので、そういうような面についての情報の交換というものはありまするけれども、この計画を立てるについて、アメリカの方の戦略体制がかわるかもわからぬ、それにマッチしたものをやろうというような意味からおくれているのでは、これはそういうことでは絶対にございません。むしろ日本側のこの防衛力増強の限度ということがわかれば、重々その方が都合がいいかもしれません。ただそれは先ほど申し上げましたような理由で、おくれているという次第であります。
  310. 岡田宗司

    岡田宗司君 陸上自衛隊について見ると、この陸上自衛隊の増強計画と、それからアメリカの日本におります軍隊のうちの陸上部隊を、だんだん日本から減らしていく計画、こういうものと相互関連があると私どもは思うのですが、そういう点から見てもそうじゃないかと思います。それから海上自衛隊あるいは航空自衛隊等の増強計画について、向うからの艦船の供与あるいは弾薬の供与あるいは飛行機の供与というものとまた関連を持ってきている、こういうような面から見ると、やはり向うの計画とどうしても密接な関連があって、それでこちら側としてはなかなか立てにくいのだというふうに思われるのですが、そうじゃないのですか。
  311. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) お説のように、日本の自衛力が増強すればすぐに向うの駐留軍は減らそうと、これは非常に向うが希望しているところでありまして、こちらの増強のテンポにあわせて、向うがちょうど一対一に減らすということではなくても、漸次減っていくということは、われわれの期待するところであり、これまでの話によりましてもその点は明らかであります。また対空について、特に日本としては自力で守れない点もありますから、向うの供給能力というものを、われわれの頭には考えおかなければならぬと思います。しかしアメリカといえども、一応国防当局はいろいろ案を持っておりましても、年々の予算において、どれだけ日本へ供与し得るかということは、それぞれの年度前におけるコングレスの決定によるものでありますから、はっきり確約できるものでもないわけであります。そういう意味からいたしまして、お互いに計画は持たなければならない、しかし必ず一方の方の力をたより、ないしはその計画に沿うてやると申しましても、向うにこれは予算上の制約もあって、はっきりした確約をすることはできぬという関係もあるので、決してそれを必ずやらなければならないというわけではない。さっきから申し上げたように、情報の交換というようなものは行われておりますが、それに制約されたためにおくれたというのではなく、岡田君も御想像のように、今まで内閣も再三かわりましたし、そこで今日まで確定し得なかったと、まことに遺憾なことですが、実情は今申し上げた通りでございます。
  312. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の年次計画のうちに、陸上自衛隊がふえてない。これはアメリカの会計年度と、日本の会計年度が食い違っている、従って三十二年度の日本の会計年度においては、陸上自衛隊は増加しないということになっておりまして、従ってそれに伴う武器の供与等も行われぬ、ところがアメリカ側の方は一九五八年度の会計年度が七月から始まるわけです。そうすると三十三年度予算の始まるときに、たとえば一万なり幾らなり陸上自衛力がふえるということになると、アメリカの一九五七、五八年度のところにマッチすることになってくるのです。そういうことで今度の一万は延ばされる、来年でもよろしいということになったのですか。
  313. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) そういうような想像も行われておりまするが、しかしこれはさっき申しましたように、やはり予算編成の関係で延びておるのでありまして、防衛庁としては前から一万の増強を要望しておったところであり、できれば今年やりたかったのが延びたということになりますので、それは来年の初期においてそうならば——実際増強し得るならば、その年度にあてはまるということになるでありましょうが、これは一にかかって国会の御審議によって予算がどう通るかということによりまするので、その点は何にも申し上げられません。
  314. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあそれは形の上の話ですが、実際前に石橋内閣ができましたときに、当時のアメリカ大使のアリソン氏と石橋氏、岸氏と会談がありましたね。その際に、向うの方からは日本の自衛隊の増強を強く要望しておる。しかし、まあ海、空の方にことしは主力を置いて、陸上の方は延ばしたというのは、そういう関係で向うが延ばすことを承認したのではないかと伝えられておるのですが、そういうことがあったのでしょうか。
  315. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 私はあのときの会談の詳細は存じませんけれども、もちろん双方にいろいろ情報の交換が行われただろうと考えます。しかし、どういう約束をしたとかあるいはそれだから承知したという関係でなしに、こういういきさつを説明すると同時に、できるだけすみやかな機会にさらに増強したい希望を持っておるということは、あるいは言われたのかもしれませんが、それ以外の何ものでもなかったと想像いたします。
  316. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の防衛庁予算を見ておりますと、防衛庁計画においても、だいぶアメリカからいろいろなものを供与されることになっておりますね。たとえばこれで、この供与物品供与期待額等調というのを見ますというと、三十一年度の供与期待額が陸上自衛隊が二百十四億五千八百万円、それから海上自衛隊が七十二億円、航空自衛隊が二百二十億円、計五百七億円ほどのものが供与期待額になっておる。で、三十一年の十二月までに受け取ったものがその約半分、二百五十九億八千四百万円になっておりますが、その後の進捗状況からいいましてどうなっておりますか。
  317. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま集計して持っておりますのは、お示しいたしました十二月末でございまして、最近までの実績は実はまだ集計いたしておりません。
  318. 岡田宗司

    岡田宗司君 おそらくこれは全額はこないのでしょうな。
  319. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 若干ズレるように承わっております。
  320. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、このズレたものは三十二年度に回るわけですか。
  321. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございます。
  322. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、この表にある三十二年度の新規供与期待額が総計四百十二億になるのですね。これにズレたものが加わると、こういうことになりますか。
  323. 北島武雄

    ○)政府委員(北島武雄君) さようでございます。
  324. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、このうち見ておりますというと、たとえば弾薬類が陸上自衛隊でもって百四十四億期待額がある。ところが実際に受領したのは僅かに四千四百万円。で、来年度は期待額がゼロ、こういうことになっております。この弾薬類の方は、これは海上自衛隊でも航空自衛隊でもえらい少いですな。この残りは三十二年度に供与になるのかどうか。あるいはこれは打ち切られて、これは日本の方で、防衛庁で、自分の金で買うようになるのか。この点は防衛庁予算を見ますというと、弾薬費は前年度予算が一億五千六百万円ぐらいですが、今度は約千億になっているのですね。これらから見ると、弾薬類の供与はだんだん打ち切られてくるということを意味するのですか。
  325. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 海上自衛隊の分につきましては、艦艇に伴いまして大体初度の弾薬類は今後も供与される見込みでございますが、陸上自衛隊の分につきましては昭和二十九年度から三十年度にかけまして約十二万四千トンの大量の供与がございまして、それ以後実は供与が非常に減ってきております。今後の見通しといたしましても、陸上自衛隊の弾薬類につきましては、供与されることがおそらく、きわめて減少、あるいは絶無に近くなるのじゃなかろうか、これは情勢の変化によってわかりませんが、かように考えております。
  326. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、この弾薬費が一億五千万円から十億円にふえておるのは、この陸上自衛隊の弾薬費が増加するということなんですか。
  327. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 大体におきましてさようでございます。
  328. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカ軍から供与された十二万何千トンの弾薬というものは非常に膨大な量であると思いますが、これはなかなか自衛隊の演習だけでは使い切れないといたしますと、まだずいぶん残っているはずなんです。それに今これを加えていくということになると、相当膨大な量のものを保有するということになるのですが、そういうことですか。
  329. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 米国から大量の供与を受けまして、陸上自衛隊に現在約十二万四千トン程度保有いたしておりますが、これはたまの種類によって非常にアンバランスなのであります。一口に十二万トンと申しますと、平時の訓練から申しまするならば十何年もつのじゃないか、こういう一応数字は出るのでありますが、たまの種類によりまして非常に不均衡でありまして、あるものにつきましては、部隊で平時定数として持っておかなければならない程度の分にも欠けておるというのが実情でございまして、そこで昭和三十二年度におきましては、このような現在保有いたしております弾薬のうち、量の少いものにつきましては昭和三十二年度の一年間の訓練に使う銃弾等を見込みまして、約千百四十五トン程度のものを三十二年度において発注を計画いたしております。その金が九億一千万円計上いたしております。
  330. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは一面においては何ですか、今まで日本の弾薬を製造しておる会社ですね、これが朝鮮事変のときは、アメリカ軍からの注文がたくさんあって、非常に好景気だった。その後ずっと注文はなくなるし、不況に陥ったというようなことで、こういうふうな発注をすることによって日本の弾薬類を作る工業を育成、維持していくということもこのうちに含まれておりますか。そういう計画も含まれておりますか。
  331. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 防衛庁といたしまして、弾薬製造設備が保有されることが望ましいことは事実でございますが、今回九億一千二百万円計上いたしまして弾薬の発注をいたしますのは、目的はそれではございませんで、ただいま申しましたように、たまの種類が非常にアンバランスがありますので、その少いものにつきまして発注しようということでありますが、その結果、反射的にはこの発注を受ける産業につきましては、合計たしまして九億一千二百万円の金が入る、こういうことになるわけであります。なお銃弾設備の維持につきましては別途通産省関係で約七千万円の経費が計上いたしてあると思いますが、防衛庁の発注は、その銃弾設備の維持を目的にしているのではございません。ただ反射的にはそういうことになろうかと思います。
  332. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから次に海上自衛隊の艦船供与ですが、三十一年度には四十五隻、二十六億四千八百万円の金額、三十二年度は四隻で五十一億九千九百万円、こうなっておるのですね、これは非常に大型のものですね、警備艦が二隻入っておるということなんでしょうが、そうですが。
  333. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 昭和三十二年度におきまして供与を期待されまする艦艇は二千五十トン型の駆逐艦二隻、掃海艇中型三百三十五トンのもの二隻が中心でございまして、あとごく小さい雑船が十二隻ございます。
  334. 岡田宗司

    岡田宗司君 この駆逐艦ですがね、これは大型で今度の海上自衛隊の主力になるべきものだと思うのですが、これは日本の国内で発注されて、そしてアメリカが買い上げてそれを日本側に渡す域外買付の形になるのですか。
  335. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま御指摘ありまして、私御説明いたしました分につきましては、既存の米国の駆逐艦並びに掃海艇等の供与があるのでございまして、ちょっと後半でお話ございましたのは、これは目下新聞で伝えられております今後供与さるべきものを日本で発注しようと、こういう問題かと存じます。
  336. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本で今度作るべき警備艦ですね、これは三年がかりになるわけですが、これらはもうすでに設計ができておるのですか。
  337. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 昭和三十二年度予算に計上いたしました甲型警備艦二隻の分につきましては一隻は三十年度艦と同型、一隻は三十一年度艦と同型のものでございまして、三十年度艦につきましては、もう契約いたしております。三十一年度艦につきましては、今後の契約ではございますが、その設計が確定いたしますと、そのままそれが三十二年度計画いたしております甲型警備艦二隻に適用される、こういうことになっております。
  338. 岡田宗司

    岡田宗司君 この甲型警備艦というのは、大体幾隻くらい、まで増加するつもりなんですか。
  339. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 警備艦をどの程度ふやすかということにつきましては、実はまだ検討しておるのでありまして、御承知のように三十五年度目標が艦艇十二万四千トン、その中で警備艦をどのぐらい持っていくかということは、綿密に今検討いたしております。
  340. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に航空機ですが、航空機は大部分供与されることになるのですが、この三十一年度の供与が海上自衛隊の場合二十機、それで今度新しく三十二年度に供与を期待されるものが八十一機、金額にすると六十五億、非常に膨大なものですが、これらはどういう種類のものが供与されるのですか。
  341. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 三十二年度海上自衛隊に供与を予定されておりまする航空機の種類でございますが、ただいまのところP2V対潜哨戒攻撃機十機、S2F対潜哨戒攻撃機二十八機、SNJ練習機三十七機、SNB練習機二十六機計百一機の予定であります。
  342. 岡田宗司

    岡田宗司君 ことに大型のP2Vの問題ですが、これはアメリカの方の金額にすると二千万ドルぐらいになるのですか。
  343. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 米国の海軍が発注いたしておりますP2Vの価格はたしか一機当り百三十万ドル程度のように私は承知いたしおります。
  344. 岡田宗司

    岡田宗司君 これを受け取りましてこれをどういうふうに処置していきますか。アメリカ側の方から供与される航空機をこちらで受け取る中には、これをそのまま使うものもありましょうし、あるいはこれと同型のものを日本側でさらに作るというものもできてくるでしょう。日本側はこれを受け取って、これと同じようなものをこれから作るのですか。
  345. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 御承知のように現在大型のP2Vが参っておるのは六機でございます。三十二年度に十機供与されるのを期待しておるのであります。現在きておる六機は鹿屋に配置してあるが、これは現在訓練に使っておるわけであります。ただいまお話のこれにならって新しくこれを国産にするのではないかというようなお尋ねであったかと思うのですが、P2Vを国産にするかどうかということは、実は現在検討しておるのであります。いろいろの点から考えてみて、適当であるとこう考えられるならば、これを国産に移したいと、こういうふうに考えておるのですが、まだその点決定いたしておりません。
  346. 岡田宗司

    岡田宗司君 いつまでもアメリカの方の供与にたよらないとすれば、これは日本で建造していかなければならぬ、これは艦船にしても航空機にしても同じでしょうが、その際に国内におけるジェット機の生産ということが、日本における新しい航空機の生産に拍車をかけることになるのですが、防衛庁としては、国内における航空機製造の発展をはかるために、単に練習機とか初期のジェット機でなく、こういうP2Vというようなものを作り出していきたい、そういう考えを持っておるわけですか。
  347. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 現にジェット機ではF86とかT33をやっております。ところがこの機種によりまして、いろいろ費用のたくさんかかるものもある、そこで日本の独力でそれを計画のもとにどの程度までやり得るか、これは予算等の関係もありますし、また会社側の受け入れの関係もあります。これはたとえば、今、岡田君の御質問はP2V十機も来たら、それをまねて作りやせぬかというお考えのようなんですが、そうではない、こういうものは技術契約もしなければならないし、これを日本で国産するということになれば、あるいは投資関係をどうするかという、いろいろな問題がありますので、これは今くるのを実際に使うのは、そういうことをやるということになれば別個の考慮をしなければならぬわけであります。日本の民間航空用の飛行機を作るという考えもありまするから、そういう意味じゃ今御指摘の機種などは、そういうものを作る技術を習得する上にも有利だろう。ただ、今申し述べました予算の面とか、あるいは今後の一体防衛力というものをどこまでして、航空機についてはどの程度継続性があるかというようなことも考えなければならぬ。ただ一時的に注文があっても、そのあとが続かぬのでは困るというような、いろいろな面がありますので、さっき防衛局長が答弁いたしましたように、せっかく検討中であるという事情でございます。私は方針といたしましては、でき得るものであって、そうして日本で国産化でき、将来性のあるものは、それはできるだけの考慮を払って国産いたしたい、こういう考えで進んでおります。
  348. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、本年はF86とT33だけで、このP2Vは作る計画はないと、こういうことでございますか。
  349. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) いずれにいたしましても、そういうものを作る予算も持っておりませんし、またそういう計画はできましても、すぐ生産せられるのでなしに、その準備にどうしても二年くらいかかりますから、本年度については、かりにこれを作ると決定いたしましても、さっそくそれを生産するんだというわけには参らないわけであります。
  350. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のお話だと、準備はされるんですか。
  351. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) その点を検討しておりますので、相当な価格の高いものでありまするし、作って実際に経費もかかるので、いろいろな面を検討中であるというわけで、決定した次第ではございません。
  352. 岡田宗司

    岡田宗司君 ついでに潜水艦の点についてお伺いしたいんですが、アメリカ側から供与される方は、やはりアメリカ側で使っておるものをくれるわけですか。
  353. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 潜水艦につきましては、現在まで米国から供与を受けたものは一隻だけでございます。「くろしお」という名で運用されておりますけれども、ただいまのところ、これ以外に潜水艦の供与を受ける予定はございません。
  354. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、今度作るのは純然たる日本の設計に基いて日本で作るということですね。そうすると、この新らしい潜水艦はアメリカから技術援助を受けるんですか。
  355. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 潜水艦の設計は、御承知の通り戦後長い間の空白期がございますので、非常にむずかしい問題でございます。目下、海上幕僚監部及び技術研究所におきまして鋭意設計に努めておりますが、なお、米国の現在の潜水艦の設計方面も十分やっぱり参酌する必要があるということで、海上幕僚監部の者がアメリカヘことし参ったことがございます。なお詳細の設計につきましては、十分最新の米国の技術も取り入れて、いい潜水艦をこの二十七億千八百万の中で作ろう、こういうふうに計画いたしております。
  356. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはやはりシュノーケルですか。
  357. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございます。
  358. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にこれは長官にお伺いしたいのですが、まあ予算の面では防衛庁の方になるが、例のアメリカの軍事顧問団です。今三百人くらいですか、あれは全部防衛庁にいるのですか、国内にだいぶ配置されておるのですか。
  359. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 大部分は竜土町のいわゆるハーデーバラックにおるわけです。富士学校には一人、札幌に一名、防衛大学校に一名です。
  360. 岡田宗司

    岡田宗司君 この軍事顧問団はだんだん減っておるのですか、最初は約五百何名、六百人近くおったようですが、これはだんだん減っておるのですか。
  361. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 一昨年から昨年、きわめて最近においては特に減っておるというわけではなく、主として、例の向うから供与品を受けるというようなことについての連絡、その他ただいまMSA協定に規定された関係の仕事をしておる人であります。
  362. 岡田宗司

    岡田宗司君 この軍事顧問団の職務というか、機能というか、これは大体どういうことになっておりますか。
  363. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 相互防衛援助協定の七条に軍事顧問団の任務が書いてありますが、ちょっと読んでみますと、「日本国政府は、アメリカ合衆国政府の職員で、この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちょく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。」、これが軍事顧問団の任務でございます。
  364. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはまあ武器の監督というようなことが主になっておるのですけれども、なおこの武器の使用の方法だとか、いろいろなことも監督して、これは直接向うへ報告するわけですね。これは国防省に直属しておるわけでしょう。これは国防省直属ですね。
  365. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 身分といたしましては、米国大使館館員でございます。
  366. 岡田宗司

    岡田宗司君 身分は米国大使館館員ですけれども、職能の点から見れば、これは報告等は国防省へすることになっておるわけですね。
  367. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 軍事顧問団としても当然そういう仕事をいたしておると私は思います。
  368. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは何ですか、単に今日本へ来ている武器についての使用状況なり、何とかということを監督するだけじゃなくして、今後、日本の防衛計画を進めて行く場合に、幾ら日本で今後武器を必要とするか、まあそういうことについてやはり向うの方に報告しているのじゃないですか。
  369. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいまの顧問団の話ですが、先ほどお話がありましたように、任務としましては、向うから供与された装備がいかに使われておるか、あるいはどういうふうに使うかというような点でいろいろな世話をし、監督をしておるわけでありますが、わが方で毎年供与の申請をする、その場合にやはり顧問団を通じて要請する。そういうわが方で要請する装備の世話をするということもやっておるわけであります。
  370. 岡田宗司

    岡田宗司君 この軍事顧問団はやはり陸海空に分れておると思うのですが、今のところ陸軍関係が一番多いのですか。
  371. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 仰せのように陸海空、三部に分れておりまして、陸軍が一番多いと思います。
  372. 岡田宗司

    岡田宗司君 この軍事顧問団は、まあ日本側でアメリカに対して武器の供与を申請する際にもちろん相談をして、そしてこれを通じて出すことになっておるのですが、この軍事顧問団は日本側が武器を受け取ったときに、またはそれの使用について監督を受けることになっておるのですが、さらにまたその使用について、向うから日本の自衛隊に対していろいろ指示があるのですか。
  373. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 指示と申しますのはどういうのか知りませんが、要するに武器の世話をする、あっせんをすると、要請をしたものについて、これをやはりその旨本国に連絡し、また向うから、それはよかろう、これはだめだというような点をこちらに連絡する、そういうような、中に入って世話をするという役目を持っておるのであります。これはどういうふうに使わなくちゃいかぬ、この部隊はこういうものを使わなくちゃいかぬというような指示はないわけであります。もちろん新らしい武器が参りました場合には、その使用方法等については教えてくれるという点はあるわけであります。
  374. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえばですね、今度まあ中型、小型の誘導弾兵器を供与を受けるように申請していると思うのです。これらが来た場合、それらの使用については、この軍事顧問団の指示を仰ぐということになるわけですか。
  375. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 防衛庁で供与を要請いたしております誘導弾が、まだくるかどうかわかりませんが、かりに参りましても、この当初の誘導弾は、防衛庁におきましてこれを研究の材料にするわけでありまして、分解し、装置等いろいろ検討するわけでありまして、これを直ちに使用するということではございませんので、あるいはかりに誘導弾の供与がありましても、誘導弾関係の専門の人がくるということは、これは差しあたりはないのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  376. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度供与を申請して、誘導弾がまあこなければ別問題でありますが、くるとすれば、分解して研究するということは、今後やはり日本で誘導弾を作る準備をするということでしょうか。
  377. 林一夫

    政府委員(林一夫君) これを研究しまして、将来は技術の発展と待って、このようなものを作って行くと、こういうことはもちろん考えております。
  378. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の誘導弾の供与の申請は、これは購入ですか、それともやはり向うから供与してもらうということですか。
  379. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 研究用として向うから供与していただくように要請しております。
  380. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは陸海空、それぞれで使うつもりでその供与を受けるわけですか。
  381. 林一夫

    政府委員(林一夫君) これは研究用でございますから、技術研究所において分解して研究をするということになると思います。
  382. 岡田宗司

    岡田宗司君 研究はもちろんですが、研究してこれを作り出すということになると、やはり非常な金もかかるし、また時間もかかる。こういうことになってくると、まあなかなかこれは使えないということになるわけなんですが、そういうような点から見て、まあそれができるまで相当長くかかるとすれば、その間にはアメリカの方でもどんどん大量生産されてくるわけですから、これをやはり受けるというおつもりじゃないですか。
  383. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 今度要請いたしましたのは研究用として要請をいたしたものであります。技術研究所において分解して研究して行くというものでございます。今後それを研究して技術の習得をやって行くという目的のものでございます。
  384. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはわかっているのですが、日本でなかなかできないとすれば、そのできるまでの間は、日本としてはアメリカ側から、アメリカの方でも大量生産ができておるのだから、ほかの艦船や何かと同じように受けるつもりがあるのじゃないかということです。
  385. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) こういうものは、向うからこういうものがあるから使わないかというのでなくして、日本側から要請するものでありまして、今までこういう誘導弾をすぐ使うという意味で要請したこともないのでありますが、今後の考え方によりますけれども、現在そういうことは考えておらない次第であります。
  386. 岡田宗司

    岡田宗司君 防衛庁予算全体を見ますというと、今度は海軍、空軍が非常に大きくなっているわけです。まあ、いつものことながら防衛庁予算は毎年繰り越しが非常に多い。三十一年度もおそらく二百億以上の繰り越しになるだろうと思いますが、これはまあ施設等がおくれたり、それから艦船の建造の時間がかかり過ぎたりといった、いろいろの事情がある、こういうことですが、大体においてそればかりじゃないのじゃないかを僕らは思うのですがね。前々からいろいろ防衛庁予算の使い方を見ていますと、これはまあ会計検査院の報告にもあるように、年度末になってむやみに買い込んだり、要らない品物をだいぶ買い込んだということを指摘されている。これは本来ならもっと予算が少くて済むところ、まあアメリカとの関係もあって、予算はやはりこの程度のものを組んでおかなければならぬということから、だいぶ物の購入なんかについて予算が余ってしょうがないもので、年度末になってむやみに買い込むというきらいがあるのじゃないのですか。
  387. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 防衛庁といたしましては、あくまでも当該年度の防衛計画を遂行いたしますために、これだけ必要であるというように大蔵省要求いたしまして、最後に大蔵省の認められた数字で、ただいままでやっておるわけでございます。ただ繰り越しの点につきましては、はなはだ遺憾でございますが、実を申しますと、二十六、七年ごろの繰り越しが非常にやはりあとを引いているようでありまして、毎年その繰り越しのため次から次へと押されてくるという状況でありまして、ただ当該年度だけについて考えた場合、当該年度におきましては、当該年度の成立予算程度のものは毎年度やはり実行しているわけであります。御承知の通り、繰り越し金と申しますのは、当該年度ですぐ消えてしまうものではなくて、それが翌年、度へ回りまして、翌年度の成立予算と合わせて予算が執行されるのであります。昭和二十七年度におきまして二百八十九億というような大きな繰り越しが出まして、そういうようなものが、押され押されて毎年度の繰り越しになってきた、こういうような状態でございます。
  388. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはまあ表向きの御説明なんですが、会計検査院の報告を見ますと、とにかくいつもつつき出されているものの双璧は農林省防衛庁なんですよ。防衛庁はずいぶんむやみに物を買い込んでいるということが指摘されているのですけれども、あれはどうしてああいうことが起るのですか、これは調達については本部があって、きちっとやっているわけなんでしょうけれど、それでいてどうしてああいうことが行われているのですか。
  389. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 調達関係につきましては、調達実施本部ができましたのは、二十九年の七月でございます。それまでは当時の第一幕僚監部、今の陸上監部がやっておったのであります。調達実施本部が二十九年にできましても、何と申しましても、二十九年度、三十年度あたりのところは創立早々でありまして、職員もまだ十分な修練を積んでおらない面もございます。それからその幕僚監部におきましても、やはり経理局長として考えますと、担当職員の不足面も多分に私はあったと思います。そのために十分な検討がなされないままに、往々にして調達要求されて、それが実行に移されて会計検査院の批難を受けた。こういう面が多分にあると思います。こういう点につきましては、防衛庁予算の執行上、従来からも実は予算を示達いたしますのは経理局でございます。経理局が一応検討して、調達実施本部とか、幕僚監部の要求に基いて示達するのでありますが、それだけでは実は検討が不十分であるという反省を加えまして、昨年の七月ごろから、内局におきまして、経理局が予算示達する前に十分に装備局の審査を得まして、その各幕僚監部の調達要求が過大な要求ではないか、あるいは各幕僚監部ことに物資の彼此融通ができないかというような点をしさいに検討いたしまして、その上で予算の示達をし、なお示達いたしましても、状況の変化により、調達を取りやめるのがよいと思う場合におきましては、装備局、経理局におきまして連絡をとって中止してもらうようにいたしております。昨年の中ごろからは、だいぶその面でチェックされて参りまして、従来ならば、そのまま実行したならば検査院の御指摘を受けるであろうというようなものをだいぶとどめております。こういう点につきましては、私どもなお一そう今後努力しなければならぬと思いますが、三十二年度におきましても、さらにそういう面におきまして、内局の再検討の機会を十分に得たい、こう思っております。
  390. 岡田宗司

    岡田宗司君 本部の方では、一件どのくらいの金額を限度として本部で買ったり調達しているか、それからその下の方のやつではどのぐらいの金額か、その境ですね、それはどのくらいになっておりますか。
  391. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 装備品につきましては、中央調達をいたしますものと、地方調達をいたしますものと、訓令によりまして規定をいたしまして、中央調達品目につきましては、調達実施本部が調達いたしまして、中央調達品目以外のものは地方の補給廠であるとか、あるいは部隊において調達をする、こういう関係になっておるわけでございまして、おもなる装備品等につきましては、ほとんど中央調達でございまして、全体の調達のうちで七五%強というものは中央調達という形になっております。
  392. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、金額については中央調達と地方調達で違いがあるんですか、限度があるんですか、この地方調達は一件について幾ら幾らというような限度があるんですか。
  393. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 地方におきましては、原則といたしまして、修理用とか、あるいは部品とかというようなものが地方調達になっておりますが、そういう規定をいたしますと、あるものにつきましては、ごく少量のものを部隊において調達できないというような格好になりますので、一四半期に三十万円に達しないというようなものは地方で調達してよろしい、こういうふうに規定しております。三十万円という数字は、今具体的な数字を持っておりませんが、たしか三十万円程度のものと、こういうふうに記憶いたしております。
  394. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、これは防衛長官にお伺いするのですが、この間、死の行軍のような事態が起りまして、それでまあ跡始末はだいぶ苦心されたようですが、あの結果、今後訓練方法等について直して行かなければならぬというような事態が起ったんじゃないかと思いますが、それについて、どういうふうな方法で、ああいうようなことの起らないように、そしてまた新しい教育、訓練なりをされようとしているのか、それをお伺いしたい。
  395. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) あのような遺憾な事件が起らないようにというので、防衛庁としてもいろいろ措置を考え、またすでにいろいろ指示もいたしておるのであります。これまでの教育局からの指示あるいは幕僚監部からの指示などを見ましても、相当念入りに、この人命尊重などの点はうたってありますけれども、しかしさらにもっと詳細に指示するようにいたしまして、これらの点も検討いたしております。もちろんこうした訓練は必要でありまするが、しかし行き過ぎのないようにするのには、ただこうした行進という特殊の訓練方法についての指示だけでは足りないので、各部隊の責任者が良識をもって指導して行く必要があり、またいろいろ施設、環境をよくするというような点も考えまして、あまり殺風景な雰囲気を作らないように、教育の面も、またいろいろな施設の面についても十分留意いたしたいと考えまするし、特に責任者に私ども考えておる気持をよくわかってもらう必要がございますので、それについては、東京の方にも各部隊から上って来てもらいまして、そうして私からも直接指示して、絶対にこういうことを今後起すことのないように注意いたしております。何分多数のことでありまして、ときに下の方に十分徹底しないこともあろうかと思いますが、私は相当、上の階級の連中には十分わかっておっても、直接部隊に接するところの昔で、言えば大尉とか、中尉、今の一尉、二尉、三尉という方面の人が、特にこれは留意しなければならないところが多いと思いますので、そうした面の充実、指導、教育ということにも十分留意いたしたいと考えております。
  396. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の自衛隊には旧軍人がたくさん入っておる。それから今言った、一、二、三尉もそうですが、一佐、二佐、三佐ぐらいのところで、戦争前に青年士官だった人がたくさんおるわけですが、この連中の頭はなかなか現在になっても切りかえができておらぬ。従って昔の雰囲気をそのまま持ち込んで、軍隊らしくしようというような考え方がどうしても自然出てくる。この連中の再教育ということが行われないというと、いつまたああいう事態が起こるかわかりません。今度の処分問題についても、あとでいろいろあの連中の間には、あの連中の立場からなる批判もあるし、それからあの処分に対してのいろいろと動揺等もあるわけですが、そういうようなことから考えても、これは自衛隊にああいうことが二度と起らないようにするには、これらの連中の再教育ということが必要になってきておるのじゃないのですか、そういうような機関がないのですか。ほかの、外務省なら外務省には研修所というものがあるし、法務省にも研修所があるのですが、そういうような機関はないのですか、ああいう連中の頭をもう一ぺんたたき直す機関……。
  397. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) この教育の重要性は、最初、特に自衛隊以前にさかのぼっても、予備隊のころから重要視されたところでありまして、こういう幹部を掘り出すのには再教育と申しますか、いろいろ新しい精神を授ける必要があるというので、そういう措置をとってきておりますが、現在も幹部教育ということには相当力を入れておるのであります。ただ単に、幹部候補生のための学校だけでなしに、昔の佐官などが行きます幹部学校というようなものも非常に強化いたしておるつもりであります。防衛研究所であるとか、あるいは幹部学校という方面において、いやしくも隊員の中において、ことに隊の幹部にそうした間違った考えを起すことのないように注意をいたしておる次第であります。
  398. 安井謙

    主査代理(安井謙君) 岡田君、まだ相当ありましょうか、海野さんも……。
  399. 海野三朗

    海野三朗君 この間、私は二、三の一般質問の際に岸総理大臣に、どの程度まで防衛をやって行くのかということを問いました際に、国民の安心のできる程度という御返答でごまかされたんだけれども、それではこれは限度がないですよ。それでありますから、防衛庁長官としては、まずどの程度くらいまでやって行こうというお考えであるのか。これは実際際限のないことなんです。国民の安心する程度と言えば、もう日本が戦前の日本のような軍備にならなければ、それでも安心できないというのが実際じゃないかと思う。つまりいわれなくして国土を侵される際に、これを防衛することができる程度であると、こう言ってごまかしておるけれども、それはどの程度であるのか、飛行機は一体何台あればいいのか、陸上自衛隊はどれくらいおればいいのかという大体の目安を一つ承わりたい。防衛庁長官としてどうなんですか。
  400. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) もちろん日本がいかなる場合にも安心して独力で守るようにするということは、これは大へんなことであります。でありまするから、現在はまだ集団安全保障の機構が十分確立しておらないので、米国との共同防衛という建前をとっており、その基本的な考え方のもとにおいて、日本としては、日本の国力、国情に応じた最小限度の防衛をしようというのが、一応抽象的に申し上げ得る私ども考え方であります。きて、それでは数字的にいってどの程度のもので一応の自衛を達成し得るか。これはそのときの情勢にもよりまするし、またかりに、少くとも日本の国力から考えて、そこまで行かないというような関係もあります。そこで先ほど岡田君にお答えいたしましたように、はっきりと政府としての確定した考えはまだございませんので、今、海野さんの御指摘の、一応数字的に具体的な線を一日も早く決定いたしたいというので、近く国防会議も開こうとしているわけであります。防衛庁限りの従来の考えは、さっきも質疑応答の中に出ておりましたように、大体、昭和三十五年を目途として一応の防衛力を充実しよう。それには、たとえば陸は十八万程度、海は艦船が大体十二万四千トン、飛行機は千三百機ということを考えておったわけでございます。これにつきましても、その後兵器の進歩もありまするし、いろいろの情勢についても、さらに再検討しなければならぬ点もあるでありましょう。また経済六カ年計画というようなものについても、だいぶ修正を要するということになっておりまするから、これはそのまま直ちにこの案で、私どもは国防会議にかけようとしておるわけでございませんけれども、大体これまでの考え方は、そういう程度であるというふうに御承知願いたいと存じます。
  401. 海野三朗

    海野三朗君 ジェット機なんぞは、どのくらいまで持って行きますお考えですか。
  402. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま長官からお話がありました、三十五年度末のいわゆる長期計画の終りの年の目標でございますが、その目標数は、自衛隊の航空機は千三百機ということになっております。そのうち大体実用機は半分くらい程度というような目安を持っております。この実用機は今後ジェット機にだんだんして行くというような計画でございます。
  403. 岡田宗司

    岡田宗司君 ジェット機ですがね。まあジェット機をだんだん作って行くのですが、今一体ジェット機の耐用年数というのは、これはだんだん代替して行かなきゃならぬ。あれはどれくらいに見ているのですか。
  404. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 現在考えておりますのは、まあ八、九年と申してよろしいと思います。一二%くらいの、何というか、破損を見込んでおります。代替年数八年ないし九年と、こういうふうに考えております。
  405. 海野三朗

    海野三朗君 その滞空時間は何時間ですか。
  406. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 滞空時間は、これは速度によりましていろいろ違うのでございまして……滞空時間でございますか、空に上っておる時間……。
  407. 海野三朗

    海野三朗君 そうです。
  408. 林一夫

    政府委員(林一夫君) これはやはりスピードによりまして、速度でございますね。速度によっていろいろ違うのでございまして、ただいま生産しておりますF86というジェット機は大体時速千キロというふうに考えております。滞空時間は千キロ出せばほとんど一、二時間程度じゃないかと考えております。
  409. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、このジェット機が、たとえば千三百機のうちの半分くらいになってきたとして、そうすると、その飛行機のつまり代替する率ですね。だめになって使えなくなってくる、実際には役に立たなくなってくるという、それについてのお見込みはどうなんですか。
  410. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 大体この補充率でございましょうか、破損率、こういうものは一二%と、こういうふうに見ておりますが、二一%ずつあとは、補充して行くと、こういうようなことになるわけであります。
  411. 海野三朗

    海野三朗君 それから私お伺いしたいと思うのは、技術研究所ではどういうことをおやりになっておるのでありますか、技術研究所に十五億四千万円もお金をお使いになるようであるが、これはどういう試験をおもにおやりになるのか。
  412. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 技術研究所は、防衛庁設置法三十四条に規定されておりまして、その任務は「自衛隊の装備品等についての技術的調査研究、考案、設計、試作及び試験並びに自衛隊において必要とされる事項についての科学的調査研究を行う機関とする。」と、こういうふうになっておりまして、この責務上、各陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の必要とするところの装備品等につきまして、今申し上げたような研究をいたしております。組織といたしましては、総務部のほかに第一部から第九部に分れておりまして、それぞれの部門に分れて研究いたしております。
  413. 海野三朗

    海野三朗君 それは製作をやっていないのですね。
  414. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 自分で製作はいたしておりません。ただいまのところ、試作といたしまして、研究いたしましたものを会社に試作さしておるというのと、もう一つ内容は、技術調査研究委託ということで研究の委託をいたしております。
  415. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、十五億四千万円というのは委託料も入っておるわけなんですか。
  416. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございますが、技術研究所の七五億四千万円の大体の内訳を申し上げますと、器材費で八億九千四百万円、技術調査研究委託費で三千八百万円、工事費二億五千万円、あと不動産購入並びに調査費人件費等、合わせまして十五億四千万円でございます。
  417. 海野三朗

    海野三朗君 この研究費はべらぼうに私は多過ぎると思うのですがね。たとえば東北大学の金属材料研究所でも年間七千万円くらいのものです。そうして非常に有用な事柄をどんどん発明しておる。十五億四千万円も研究所で使うということは、何とすばらしい機械ばかりどんどん出て行くのじゃないかしらんと思う。ちょっと研究所としまして、私は多過ぎると思うのですが、どうなんですか。
  418. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) その点、単に数字だけごらんいただきますると、あるいはそういう御指摘もあるかと思いますが、内容的に申しますと、十五億四千万円のうち、純然たる研究費は一億二千四百万円だけでありまして、あとの大きな金額、たとえばジェットの中間練習機の試作をいたすというようなことになりますと、非常に大きな金額になるわけでございます。そういう試作関係の費用が多くなっておるわけでございます。純然たる研究費、他の研究所と同じような研究費というのは一億二千四百万円、こう考えております。
  419. 海野三朗

    海野三朗君 この官舎、これはやはり幹部の方が入る官舎ですか、隊員が一般に入る官舎ですか、官舎はどうなっておりますか。
  420. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お答え申し上げます。一般隊員は、御承知の通り、営舎または艦船に居住しておるわけでございますので、これは対象になっておりません。幹部自衛官及び事務官、技官、教官並びに営外に居住することを許しております陸海空の曹、昔の下士官でございますが、これらを対象といたしております。
  421. 海野三朗

    海野三朗君 どの程度まで官舎があるのですか。
  422. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在までにございます官舎が、総計で五千四百十戸でございます。
  423. 海野三朗

    海野三朗君 これは階級のどれくらい以上の人が官舎に入れることになっておりますか。
  424. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは先ほど申し上げましたようなものを対象といたしまして、上の階級の方でも家のあるものもございます。そういう方は入れませんで、必要度に応じて、それぞれの部隊に分けまして、それぞれの部隊の実情に応じて、官舎に入れるようにいたしております。
  425. 安井謙

    主査代理(安井謙君) 海野君、やられるのはけっこうですが、まだほかの人があるようですから、お含みの上で。
  426. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私はほんとうに簡単に一問か、二問ですから。
  427. 海野三朗

    海野三朗君 この官舎という、なぜこんなものを質問するかと言いますと、国鉄にしても、それから建設、農林にしても、幹部のものに官舎どろぼうが多いのです。私は官舎どろぼうとあえて言います。なぜかと言いますと、最高裁判所までそれがあったのだから。官舎に入るのですよ。ところが官舎というのは、自分が持っておる家を官舎にこれは貸したわけです。そうしてそれをさんざん直させておいて、自分がやめるときはどうかというと、別のところにボロ家を買っておいて、それを高く評価させて、それと交換させる。これがこの前から決算委員会での問題になって、とうとう結末を出さずに、実際調査しようというところまで行って幕切れになってしまいましたが、この防衛庁の方は、もうすでに御承知のように、靴の問題にいたしましても、実にこれは乱脈きわまりないところが防衛庁である。私はそう思っているんですよ。あるいは官舎の問題にしても、法規上間違いない。この前の、ボロエンジンを七万円そこそこで買ったものを一千二百万円で購入したというようなことは、あれは手続上は誤まりないでしょう。ちゃんと帳面ずらだけは順序を経てやりますから。帳面ずらで引っかかるようなことは決してしないのだけれども、実に不評判なる数々が多いのです。私がこの官舎のことを伺ったのは、そういうこともちらちら頭にあるもんですから、ほかの方で、官舎どろぼうがありますからね。官舎の数と、それからどういう人を入れておかれるのかというところを伺ったのであります。自分が家を持っている人は官舎には入れないのですか、どうなっていますか。
  428. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは必ずしもそうではございませんで、任地の関係と自分の持ち家とが地域的に離れておるようなところは、どうしても官舎に入れなければならないところもございます。
  429. 海野三朗

    海野三朗君 私は非常に疑問を持たれる数々がありますので、先ほど岡田委員も触れられました十二万トン幾らある砲弾の問題、聞くところによると、さびて使えないたまがだいぶあるという話じゃありませんか。もうしまい込んじゃってさびてしまった。そういうものはどうなんですか。
  430. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 米軍から供与を受けました弾薬は、ものによりましては非常に古くから米軍が持っておったものが多くあるので、そういうものにつきまして、ごく一部に機能を損じた銃弾があったことは事実でございます。これにつきましては、それぞれ内容につきまして検討いたしまして、処理をいたしつつあります。
  431. 海野三朗

    海野三朗君 それは米軍から、ただちょうだいしたんですか。
  432. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 米軍から相互防衛援助協定によりまして供与されたものでございます。
  433. 海野三朗

    海野三朗君 この間、飛行機が落ちました。あれは古いのを米軍から供与を受けたものでありましょうが、ああいうようなボロのやつをもらって、日本の防衛庁がうれしがっておるようでは困るじゃないかと思うのですね。あの飛行機は途中で墜落しましたが、あれはどうなんですか。
  434. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 御承知のように、飛行機は最近もいろいろなところで事故を起しておりますが、C47というのも最近二つ落ちました。日本がもらっておるのはC46で、一部には、これはよくないという議論もあるようでありますが、現にアメリカなんかもこれを使っておるようです。この前問題を起しましたのは、昭和二十九年にオーバーホールして、日本が三十年にもらったのでありまして、日本側ではいろいろ部分品などについて問題を起したこともございますけれども、とにかく常に整備を怠らず、飛行機の工合が悪くて落ちるというようなことでないように努めておるわけであります。不幸にして一度エンジンが焼けて落ちたために事故を起したこともございまするけれども、そういうことのために、この前はああいう事故が起ったというのでまないように私ども調査では結論を得ております。がしかし、そういうことのないように今後一そう努めなければならないのでありますけれども、しかしC46が使いものにならぬというのじゃなしに、一緒に作ったのをこっちで使っている。そうしてあの飛行機も、たとえば飛行時間は七千八百時間、ところが一万時間、二万時間くらい飛行したものもたくさん民間では使っておるのでありまして、特に古いとは言えないと考えます。しかしその点は、今後も研究はいたしまするけれども、現在のところは、一部の人が想像せられるように、支障があるとは言えませんので、さよう御承知願いたいと思います。    〔主査代理安井謙君退席、主査着席〕
  435. 海野三朗

    海野三朗君 それから軍事顧問団は  何人くらいおりますか。
  436. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 三百二十人で  あります。
  437. 海野三朗

    海野三朗君 それは向うから押しつけられたのですか、こちらから必要があって頼んだのですか。
  438. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 先ほども岡田君にお答えいたしましたように、この前の日米間の相互防衛援助協定によりまして、日本がいろいろの装備品、資材等をアメリカ側から提供を受ける。それについては、あるいは用途がはっきり日本側でもわからない、十分訓練を経ておらないので、そういうことを指導してもらう必要もあるし、また受け入れる場合には、こちらが要請していろいろなものの提供を受けるのですが、その際に、取り次ぎ役をしてくれる、いろいろ日本側の要求を仲へ立ってあっせんしてくれるというような役目を持ったものでありまして、そういう意味において、日本としては顧問団にいてもらっているという次第であります。
  439. 海野三朗

    海野三朗君 私の伺いたいのは、顧問団は何人お前の方にやると言われて押しつけられたのか、日本の方でこれだけ必要であるからよこしてくれといったのでありますか、三百二十人というのは、これはどうなんですか。
  440. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 当方で特に人数をどれだけと指定したわけではありませんけれども、必要な最小限度という意味において、最初はもっと多かったのですが、最近は三百名に減っておるというわけでありまして、今後そういう必要がなくなる、あるいは今後アメリカ計画によりまして、逐次日本に対する供与を減らすという傾向もございますので、そういうふうになれば、当然それに比例いたしまして、顧問団の人数も減って行くだろうということを期待いたしております。
  441. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の軍事顧問団のうち、人数は少いけれども、富士学校と防衛大学校におりましたね。これはさっき読まれました任務と、どうもちょっと違うように思うのですが、これは何か富士学校と防衛大学にお目付役のような格好でおるのじゃないのですか。
  442. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 防衛大学は私も参りましたが、これは教育などには全然関係いたしておりません。単なる連絡機関というような関係であります。富士学校は、前にはもう少しいたようでありますが、新しい日本の試みでありますので、新式の武器なども使わなけばならないというような関係でおったようでありまするが、今は一人になっておる、こういう関係でありまして、あるいは、考え方によっては、この第七条の規定から少し離れているというふうにお考えになるかもしれませんが、結局、相互協力関係を円滑にするという趣旨で配属されておるものであって、別段干渉など全然いたしておらないということを、私実際に見て参った次第であります。
  443. 海野三朗

    海野三朗君 今の顧問団についてもう一言お伺いしたいのですが、こちらで、お前は必要だからいてくれとか、お前必要でないからもうよろしいのだというようなことでなしに、向うから押しつけられたのを、ただ天下り式にこちらに受け入れておるのではないかというふうに私は見るのですがね。顧問団が果して三百何十名も要るものか、そんなに顧問団がいなければ日本の防衛庁は防衛できないのか、どうも実にふがいないと私は思うのですが、必要でない人間がたくさん来ている、日本を見たいと思って。私はそう思っておる。
  444. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 私は、必要のないものを、アメリカも結局納税者が金を払って月給も払っておるものでありまして、物見遊山にここによこしているとは考えません。ただ、何人が最低限の要員であるかということは、われわれの事務の取り方とアメリカの取り方と違うでありましょう。実際問題として、こういう事務的な取り計らいをいろいろ不要品が出たときにリストを作るとか、あるいはこっちから要請したものについて検討するとか、仕事もございますので、こちらの方ではっきり何人と指定することは非常にむずかしいと思います。現に、各国ともいわゆるMSA協定のあるところは出ておりますが、少くとも常識があるアメリカ人が、必要のないものを月給を払って、ここへ来て、下手をすれば反米感情をそそるようなことをしょうはずはない。これは先方としても最低必要限度のものを置いてあると私は考えております。
  445. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、顧問団の仕事というものは、仕事のアマウント、仕事の量というものはよくおわかりになっていないじゃないですか、どうですか。
  446. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) これまでのアメリカからの供与を五百億と見まして、大体それが全部渡っていないにしましても、先ほどの数字に出ましたように、多少供与のおくれがありましても、五百億に匹敵するだけのものを取り扱うといたしまするならば、商社といえども相当数を持っておる、おそらく商社だったならば、ほかの支払関係などが出て、事務が多くなるから多くなるのは当然でありましょうが、これだけのものを提供するという事務をとるとすれば、私は三百人の人間が非常に不当な膨大な数だというふうには考えないのであります。
  447. 岡田宗司

    岡田宗司君 この軍事顧団には、日本人の何というのですか、補佐というのですか、下働きですか、それがおるのですか。
  448. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 正式の補助員はみんな日本人の顔をしているが、二世でありまするが、下の方で事務的な取り計らいをいたす者はございます。
  449. 岡田宗司

    岡田宗司君 その軍事顧問団の事務をやっておる日本人ですね。それは何人ぐらいおって、その経費は、軍事顧問団の四億円の経費から出ておるのか、それとも防衛庁経費で払うのですか。
  450. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは防衛庁予算でないので、ちょっと詳しいことはわかりかねますが、人数といたしましては、日本人の労務者は現在約二百二十人見当でございます。そういたしまして、日本人の労務者の給与は大蔵省所管予算に計上されておりまする施設提供等諸費の中に六億一千万円、そのうちさらに軍事顧問団に直接交付する五億一千万円の中から労務者の給与がまかなわれておるようであります。
  451. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは純然たる労務者ですか。
  452. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) これは実は防衛庁所管でなしに、調達庁の分で、レボルヒング・ファンドを使って払ってやっておる。純然たる労務者でないものも含まれております。
  453. 海野三朗

    海野三朗君 防衛庁長官のお話では、相当仕事がある、商社も相当なものだというお話でありますが、商社とは全然違います。顧問団ですからね。仕事をしないたって、ちょっとしただけでも顧問団の仕事になる。顧問団のやっておる仕事があなたの方でよくおわかりになっておりますか、こういうことを交渉してくれとか、こういうことを指導してくれといって、顧問団のやっておるウオーカー・アマウソト、仕事ですね、それはどんなものですか、よくお調べになっておるのでありましょうか。ただ、顧問団として、わからないところは行って聞いてこい、使い方がわからないときに教えてもらえという程度の漫然たる軍事顧問団ではないかということを私は思いまするので、その点を私は伺っておる。顧問団は一日どれくらいの仕事をしておるか、これは大事なことですよ。私はそう思うのですが、どうですか。
  454. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 私どもの方の仕事で、アメリカとの関係におきましては、この顧問団は、こちらにおりまする限り大使館員の一部と見なされて、大使の監督は受けておりまするけれども、普通の外交案件を取り扱う場合と違いまして、私なども直接いろいろの折衝があるのでありまして、たえば、そこの一番上のビドルという少将のごときも、始終われわれの方へ来ていろいろ連絡しまするし、われわれの方の往復文書なども相当ございますので、詳細について一々隅まで調べたことはございませんが、みな忙しくあすこで働いておるのを直接見ておるのでございます。
  455. 海野三朗

    海野三朗君 防衛庁経費のところでちょっと伺いたいのですが、継続覇というものがありますね。この継続曲はどういう内容になっておるのでありますか。
  456. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 継続費としてただいま計上されておりますのは、昭和三十一年度において計画されました潜水艦の建造費、これが総額二十七億一千八百万円でございまして、これはすでに昭和三十一年度におきまして国会の御承認を得ておりますが、今回は、この潜水艦の建造費につきましては、昨年の昭和三十一年度から昭和三十三年度までの建造費でございまして、この年限を一年間延長いたしまして、三十四年度までに繰り延べてあるわけであります。これがために年割をもって会計は整理をいたしております。  もう一つの継続費は、昭和三十二年度甲型警備艦の二隻の建造計画であります。この総額は三十六億六千九百万円を、昭和三十二年度以降昭和三十四年度までの継続費として御承認をお願いいたしておる次第であります。
  457. 海野三朗

    海野三朗君 今度は潜水艦のことをお伺いしたいのでありますが、ノーチラス号、原子力潜水艦、あれは今もうアメリカで作って試験もしておるようでありますが、原子力潜水艦、あれを供与してもらうお考えはないのですか、どうなんですか。原子力潜水艦ノーチラス号を、この間私あれを見ましたが、りっぱな写真ができておるのです。これがあれば大へん便利です。どうなんですか、それに対しては。潜水艦については、日本のあの潜水艦ばかり考えていないで、ノーチラス号のような、そういう原子力潜水艦を供与してもらいたいというようなお考えはありませんか。
  458. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 向うでやっと一ぱいできただけのものでありまして、とても供与してもらうことは期待できませんので、要求しておりません。しかし原子力潜水艦は、海野さんの方が専門家でありますけれども、これは水上に浮ばなくともよろしい、そうしてほとんど無限の航続力を持つ、これは場合によっては非常に攻撃的な武器と見られる場合もあるかもしれませんが、私はいつも国会で申しておりますように、自衛力にも限界があるし、非常に長距離の、向うに出て行くというようなものを日本が持つべきものであるかどうか、私はそういうものは持つべきでないというような、この見解からいたしましても、今要求する気持は持っておらないのであります。
  459. 海野三朗

    海野三朗君 それでもう一つお伺いしたいのは、朝鮮の李承晩ラインのところで、日本の漁船が始終取っ捕まる。ああいう際には、防衛庁の方でどうですか、少し敢闘をしてくれたらどうかと思うのですが、どうですか。
  460. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 社会党の政策としては、社会党ではそういうふうにお考えになるかもしれませんが、私どもは、まあそういうことは平和外交によってできるだけ解決したい、こういうふうに考えております。
  461. 海野三朗

    海野三朗君 それは違います。漁船がたくさん出ておって、それが韓国の船に引っ張って行かれる、そういう際に防衛庁では、ちょっと待てというくらいのことができないのですか、それを一隻も、いわゆるつまり防衛できないようなことでは、これは非常に心細いと思うのですが、どうですか。
  462. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 私は非常に海野さんの激励を賜わりまして、よく社会党の海野さんからこういう御意見があったということを……。
  463. 海野三朗

    海野三朗君 私は、もう一つお伺いしたいのは、魚とりをしている船に、向うの船が近づいてきて、そうして鉄砲を擬して引っ張って行かれるときに、日本のもう少し、何と言いますか、この間フリゲート艦か何か、木村篤太郎さんが大いにやっておったのですがもう少し自衛力ですよ、それを無抵抗な漁船が引きずられて行くということに対しては、防衛庁はどういうお考えを持っていらっしゃるか、その御所見を承わりたいと思います。
  464. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) ただいまのところ、海上保安隊の方にも武装した船もございます。しかしそれが、そういう際において発砲するとか、あるいは海上自衛隊がそれの援助に行くべきかどうかということにつきましては、私どもは慎重に考えなければならぬところがあると思うのであります。まことにお考えはごもっともでありまするし、また、そういうように国家の世論というものが、全部与野党を通じて動くということになれば、さらに検討しなければならぬと思います。
  465. 海野三朗

    海野三朗君 私が伺うのは、そういうふうに、つまり罪なくして他国に侵されるときに云々と、この前言ったでしょう、岸総理大臣は。これはもう罪なくしてやっている、李ラインに入っていない船まで引きずって行かれておるのじゃないか。そういう際には、発砲せよというのではないのですよ。そういう際にはもう少し防衛庁が、たまを用いないで、これを引きずって行かれないようにしてくれなければいけないのじゃないかということを私は言う。何も発砲しろということを言うのじゃない、けんかしろということを言うのじゃない。つまり無抵抗の漁船が引きずって行かれることを考えると、もう少し……、防衛庁、何しておるかと私は思うのですがね。私は戦争しろというのじゃないのです。そこをもう一ぺんお伺いしたい。
  466. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 海野さんは、こういう不当行為は直ちに実力をもって排除しろというお考えのようでありますが……。
  467. 海野三朗

    海野三朗君 いや、そうじゃない。
  468. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) それも一つでありましょう。しかし外交交渉とか、あるいはそれもなかなかいかない場合には、司法裁判とか、いろいろございます。こういう事件が起ってくるということは、まことに遺憾なことでございまして、目下せつかく外務当局でも非常な努力をいたしておるようでございまして、こういうことが今後絶対ないように私ども希望し、そのために努力したいと考えております。
  469. 海野三朗

    海野三朗君 私は今重ねて私見を申し上げておきますが、何も武力に対するに武力をもって対抗せいと言うのじゃなくて、無辜の漁民が引きずられて行く際に、そういうふうなことこそよく警戒をしておって、引ずって行かれないように、武を用いないで、そういうところを世話されるのが防衛庁の本来の任務じゃないかということを私は思っておる。(「にらみをきかす」と呼ぶ者あり)うん、にらみをきかすということだ。
  470. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 海上保安庁の船舶が向うに出ておるのも、また水産庁の監視船が出ておるのも、そういう趣旨でございまして、決してそういうことの起らないようにいたしております。
  471. 海野三朗

    海野三朗君 そういう際に、防衛庁はかまわないのですか、そういうことに。どうなんですか。
  472. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 防衛庁の方では、自衛隊は自衛隊法で指定された任務を遂行するものと考えております。
  473. 海野三朗

    海野三朗君 しからば私がお伺いいたしたいのは、防衛庁のそもそも任務は何ですか、私はその任務を伺います。いわれなくしてわが国土を侵すとか、いわれなくして危害を与えられた際にこれを防衛するのだと、総理は言っておる。ところが今の漁船の場合、それじゃ防衛庁の目的にかなわないじゃないですか。私はそういうふうに思うのですが、どうかそこのところを一つ納得のいく御説明を願いたい。これは実際防衛庁の任務です。
  474. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) これは自衛隊法にもありますけれども防衛庁設置法の第四条を読みますと「防衛庁は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、これがため、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊……を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。」というので、その第五条に詳細な規定がございまして、直接間接の侵略に対し、わが国の国土を防衛するとか、あるいは災害派遣をするとか、あるいは土木関係のことについても、委託を受けてこれを実施するとか、詳細規定がいたしてございまするので、この規定に従って私どもは私どもの行動を律して行きたいと考えております。
  475. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの御説明は御説明と反するのじゃないかと思う。いわれなくしてわが国土を侵す。そういう際に国土の安全を保つのだということが今条文にごさいましょう。私はその漁船がいわれなくして引っぱって行かれる、李ラインに入っていなくとも。そういう際にちゃんとこれを防衛なさるのがあなたの御責任じゃないか。それは防衛庁防衛庁の任務であるからといって何が任務ですか。ただ鉄砲だけで、日本に上陸でもしてこようというようなときこそ防衛されるのかどうか、私は漁船を守ってやることも防衛ではないかと思うのですがね。あなたはどういうふうにお考えですか、海上保安隊は何のためにあるのですか。
  476. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいまお話のように、海上における漁船の保護というようなことは、第一義的には海上保安庁あるいは水産庁の監視船がこれを保護するという建前になっております。このように海上保安庁なり、あるいは水産庁の監視船、こういうようなものにおいてどうしてもこれを保護することができない。事態が収拾できないというような場合においては、これはその必要の場合においては自衛隊の派遣をあれすることもできるという規定はあるのです。第一義的には海上保安庁なり、これらの治安機関が保護をするという建前になっております。
  477. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ私は最後に伺いたいのは、その海上自衛隊というものがもう少しにらみをきかしさえすれば、一千何百人も朝鮮に引っぱられて、わが同胞がそんなふうになっておるということを聞いて、防衛庁としてはのほほんとしてはいられないじゃないか、これはそういうときこそ、わが国土を、いわれなくしてわれわれの同胞を引きずって行くというようなときには、もう少し本来の任務に立ち返ってお考えにならなければならないと私は思う。ただいま長官が読み上げなさったように、その条文をよく考えてみると、これは私は入ると思うのですよ。そういうことは一切かまわないというお考えでありますか、防衛庁長官どうなんですか。
  478. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 日本の領土に対して直接侵略があって、そうして国会の何があるというようなときには、そういう防衛出動をするということもできる。こういうことになっておるのであります。その際にはそのときの事情もよく考えなければなりません。ただいまの御趣旨はよくわかりましたので、拝聴をいたしておきます。
  479. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと一、二点簡単にお聞きしておきたいのですが、予算によりますと、去年千二億であったやつが今年は千十億、従って防衛庁経費は、この予算に関する限りは一応増勢がストップしていると見ていると思うのです。これはここ数年の過去の形勢から言えば、漸増の名のもとに相当多額に毎年増加してきた。百五十億とか、去年は百三十億くらいでしょうが、ずっと増勢をたどってきたにかかわらず、今年だけはストップした。そこでこのストップがどういう意味を持つかという問題を一つお聞きしたのいです。ということは、これはストップさして、今後とも大体このストップの傾向を続けて行くという方針なのかどうか。もしそうだとすれば、漸増方針が非常に変った、方針的に非常に変ったという問題になる。もしそうでなくて、いや漸増はなおやるのだ。ただ今年だけ一応この予算支出を見ればストップになっておるだけなんだというのならば、今度は、来年度以降は傾向としてどういうことになるのか。ということは、私はもし漸増の方針をさらに続けると言われるのならば、今年たまたまストップしたために、来年度からは非常に今度は増勢のカーブが高くなって、非常に大きな増勢を示して行くことになるのじゃないか、そこらの方向の見きわめその他はどういうふうにお考えになっておりますか。
  480. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 防衛庁予算は、御指摘のごとく昭和三十二年度は千十億円でございまして、三十一年度に比べまして、わずか八億円の増加にとどまっております。防衛庁としましては、昭和三十二年度におきましても、防衛力漸増の方針にのっとりまして一応概算要求いたしましたときは千二百七十六億円でございましたが、これが防衛庁の従来の繰り越し金の状況等から考えましても、できるだけ防衛庁予算消化能力の範囲内において防衛庁費を策定するという、こういう大きな方針に基きまして千十億円になったのでありますが、これがこのままの状態で今後も行くかどうか、こういうお尋ねに対しましては、これは今後の防衛力漸増方針に関係があるものでございます。ただいまの状況で申しますれば、やはりこのままにしておきますると、航空自衛隊、海上自衛隊におきまして  の当然航空機の増加、あるいは艦艇の竣工が出て参るわけであります。その関係におきまして、普通ならば当然昭和三十三年度は増加すべき筋合いにあると私は考えます。ただし、これは昭和三十三年度におきまする防衛計画がどうなるかということ、もう一つは国の財政規模がどうなるか、こういうことによっても決定されますが、ただいま私ごとき事務当局が申す柄ではございませんが、大体の感じから申しますれば、航空機、艦船増加等考えますと、普通におきますれば、これは増加すべき筋合いである、こういうふうに考えております。
  481. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だから傾向としては、これくらいの増勢が、今までこう伸ばされたやつが一つふえてくる、というのは、伝えられるところによると、アメリカの会計年度の三十三年四——六月の間に、今ストップされている増勢を戻す、そうして増加を見込む、陸上自衛隊に関する限りは、それからそれと、同時にこれまでの平年度の増加をさらに加えるということになると、増勢が二つこうダブってくるのみならず、今ちょっとお話しのように、このストップが、これは日本の戦略体制というか、軍編成を今までのやり方とは相当変えるということを予定しておられるのか、ということは、陸上の自衛隊の増勢ということから、むしろ海上、特に航空の自衛隊の増勢ということに重点を移して行くということを予定しておられるのではないか。それがたとえば、ことしあたりでも陸上自衛隊あるいは海上自衛隊は、前年度に比較して減額になっておるにかかわらず、航空自衛隊は、たとえば去年は二百億だったやつが二百五十五億という、ここだけは五十五億という非常な増勢を示している。これは増勢の芽であって、ここにうんと増勢をするということになれば、これは将来の傾向としては、方向としては非常に大きな増勢の芽が出てきているにすぎないような感じをわれわれは持つのですね。どうもそういうことになるのじゃないか、そういう私たちにすれば非常な危惧を持つのですが、そこらの方向の問題なり、戦略体系の問題なり、体制の問題などの方針はどういうふうに見ておられますか。
  482. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 今年度特にこの空の方がより多くふえたということは事実でございますが、これは空の方が比較的これまでおくれをとっておった。ところが航空機の国内生産というものも進んで参りましたので、その方面における質的増強をしなきゃならぬ。そうなると自然またそれに要するパイロットも必要です。陸とかなどになりますると、それほど長期に訓練する必要はないけれども、この操縦士などになりますると相当な訓練を要しまするので、それにはこの数の方も、募集する増員の方も特に早くしておかなければならぬ、こういう関係で本年は特に航空自衛隊の方が増強せられたということになるわけであります。もちろんわれわれとしては、できるだけ理想としてはこの三つの自衛力が均衡を保たなければならぬと思いまするが、しかしそうかといって、ただ、今まで一応防衛庁が立てておったプラン通りにやるかというと、実際の情勢に適応するようにしなければなりませんから、必ずしもそうは参りません。もちろん質的にも、この現在の実情に応じて質的増強ということにも十分力を注がなければならぬと、こういうように考えておるわけであります。
  483. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だからそういう点で、ことしは今お話しのように航空自衛隊の方の、金額にしては五十五億の増加ですが、人員からして、たとえば五千五百人程度の増になる。これは絶対数としては陸上のこれまでの一万人増加あたりに比べれば少いようですけれども、しかし、一万五千足らずの航空自衛隊の自衛官が、今度は五千五百もふえるのだから、これは倍率にすれば非常なふえ方だと思うのです。しかも、このふえ方は、ただ芽を出しているだけで、これは来年度以降はやはりそっちの方に重点を移すということになって、これがもっと増勢が増してくるのじゃないか。同時に、これは人員にしては五千五百の増加ですが、陸上自衛隊が一人ふえた場合と航空自衛隊が一人ふえた場合との、それに関連する装備その他の機材等々の経費の増というのは、これはもう比較にならないくらいに、その構成は高いものだと見なければならぬと思うのです。それに関連して予算考え始めると、これはもう非常な増勢を示す可能性を含んでいるものだとしかわれわれには思えないのですよ。そこらが非常に今度はストップしているようであるが、このストップは非常に大きな意味を来年度以降は持つのだという懸念を私たちは非常に持っておる。そこらはどうお考えになりますか。
  484. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 先ほども申し上げたように、この五千人がふえましても、それじゃすぐそれに比例するように航空機が急に多く要るかというと、そうでなしに、陸と違って相当訓練期間を要しまするので、これはその期間を置くためにも早く増員する必要があるということで、特に空の方の教育というものに力を入れたわけであります。がしかし、今後の防衛庁予算がどうなるかということは、これはまあ来年度、その後における予算編成方針にもよることでございます。しかし御承知のように、かりにわれわれの思う通りに、従来の防衛庁の試案から申しましても、まあ千三百、しかも本年度で大体八百機だということになれば、そう急にふやすということは、もちろん予算の面でも非常に困難でありまするし、ただ空だけを不均衡にふやすというようなことは、われわれの考えておるところでもございませんから、この五千、空の方にふえたからといってバランスのとれないような大きな金を空の方につぎ込むというようなことはあり得ないし、また、そういうことはやり得ないと考えております。
  485. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、今の見通しでは、戦略体制と言いますか、部隊編成の方針は、今までやった漸増のそれをそのままただ来年度以降も伸ばして行くにすぎないのだ。そして、ただ来年度問題になるのは、四——六の間においてストップされていたところの一万人の増員というようなものが、ただつけ加わる程度の増加にすぎないのだというふうに見ておいていいのか、いやそうじゃなくて、体制自体が相当変ることが予想されるのか、あるいは今はそういうことは見通しはつかぬけれども、どうもそこのところがはっきりしないから、ことしは一応この程度に置いたのだが、来年はそれらの点は検討されて、おそらく変るだろうというふうにお考えになっておるのか、そこらの見通しはどうですか。一つ一つ内容が幾らだとか、何だとかいうことを、今から来年度のことを聞こうとしておるのではない。ただ傾向として、趨勢を……。
  486. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) 本年度陸を増強しなかったことにつきましては、岡田君にも先ほど御答弁申し上げた通りであります。予算の一般編成方針で、とにかく防衛庁費というものを昨年度程度にしたので、比較的、より早くやらなければならぬ、より急を要する、またより訓練に時間を要する方に力を入れておるということでございます。今後どうなるかということにつきましては、私の考えといたしましては、もちろん今のところはわれわれの試案というものがあるけれども、しかしこれはその後の情勢によっても、また特に装備の点とか、あるいは兵器の発達に伴い、また最近のこういう部隊というものは機動性を持たなければならないし、さらに機械化をしなければならないというような点も考えて、今までの案はさらに検討する必要があると思います。がしかし、それは来年度のことをどうするかというその決定は、近く国防会議も開こうと思っておりまするし、なるべく早く、ある程度の長期と申しまするか、あるいは中期と申しまするか、もう少し継続性のある方針を立てて行く考えでございまするので、それをはっきり政府の決定といたしたいと考えておりますので、その方針に基いて予算の許す範囲内においてこれを実行して行く、こういう考え方をいたしております。
  487. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、現在の状態においては、来年度の増強ということはまだ具体的にはっきりしていない、従って来年度の日本会計年度における初頭においての特に陸上自衛隊の増というような問題は、何ら向うとの約束はしてないのだということはしばしば言明をしておられますが、それはそうだと受け取っていいんですか。
  488. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) この点は、再三岡田君からも本日の委員会において御質問がございましたので、はっきり申し上げた通り、そんな約束をしておる次第ではありません。
  489. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そしたら、それはしばしば言明をしておられることですから、どうも私たちはそこのところがまことにあれですが、どうも十分に信頼できないし、必ずしもそうでないのじゃないかという危惧を非常に持っておる。そこで後日もしそうでなかったのだ、いやどうも約束だけは何らかの形においてしていたんだということが明瞭になったならば、これはそうでなかったと繰り返しおっしゃっておる手前、これは完全に責任をとられるということはお約束願えますか。
  490. 小滝彬

    ○国務大臣(小滝彬君) もうさっきから申し上げておる通りであります。情報の交換をすることもあろうし、またわれわれの方で希望しておったことは別として、先ほど申し上げた、しかしそれをもって必ずやりますというような約束はしておりませんので、もちろん仰せの通りであります。
  491. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それだけは一応はっきり確言を得ておきます。  それから、さっきの問題にちょっと関連しまして、いただいておる昭和三十二年度防衛庁予算案の大要のあとから三枚目の(3)の航空自衛隊のところの(ニ)の、F86及びT33関係の表が次の枚数に出ておりますが、その一番上の表の三十三年度、三十四年度の第三次計画、それから(り)のT33関係の(i)の生産計画の表の三十三年度の第二次、第三次計画、これちょっとよくわからないんですが、御説明を願いたいと思います。
  492. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 御承知のようにF86及びT33につきましては、すでに第一次計画、第二次計画におきまして国庫債務負担行為及び歳出予算により御承認をいただいたのでございますが、今回これに引き続きまして、F86及びT33の第三次計画につきまして御承認を求めているわけでございます。そこでF86につきましては第一次計画七十機、第二次計画百十機でございましたので、第三次計画におきまして百二十機の計画を立てる。その生産見込みは昭和三十三年度六十機、三十四年度六十機、これにつきましては昭和三十二年度中に契約をいたしませんと、あとの段取りができませんので、国庫債務負担行為としてこれに関する承認をお願いいたしているわけでございます。T33につきましても同様でございまして、第一次計画九十七機、第二次計画八十三機のところ、今回第三次計画として三十機の国産化を計画いたしているのであります。
  493. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それとの関連においても、たとえば三十三年度は第二次、第三次計画で百二十機にふえ、それからT33の場合だと、これは三十三年度五十六機で、三十二年度に比較すると減っているという関係になりますか、第三次計画までの分だと。
  494. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ええ。
  495. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 他に御質疑はございませんか。
  496. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは経理局長にお伺いするんですが、陸上自衛隊十八万、それから艦船十二万四千トンですか、それから飛行機千三百機というのが大体の目標になってるんだが、これが実現されたときに、現在の大体計算で一体防衛庁の費用というのはどれくらいなんですか。
  497. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは長期防衛計画に関することでございますので、あるいは防衛局長の所管かとも考えますが、いろいろ計画につきましては、たとえばどういう飛行機、どういう船ということによりまして、それによって金額は非常に違って参りますので、ただいまのところ、これが完成の暁に幾らかかるかという具体的な数字につきましては、まだ申し上げる段階には達しておらないのでございます。
  498. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし現在の千四百億から見ると相当ふえるというふうに考えられますが、どうですか。
  499. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) いわゆる防衛庁試案なるものが実現いたしますれば、これはやはり予算としてはふえる筋合いにあると、こう考えております。ただ、防衛庁費がふえますれば、これに伴いまして、その反面、防衛分担金が減ってくるということにも相なるわけでございます。従いまして、防衛関係の総額としてはどの程度になりますか、各年度計画が精密にできて、そのつど御承認をいただくことになりませんと、はっきりしたことは申し上げられません。
  500. 岡田宗司

    岡田宗司君 大体非常にふえるということだけはお認めになったんですからそれはそれでいいんですが、今度予備自衛官というんですか、あれが設けられましてからあまり成績がよくない。三十二年度予算では八千人ですか、それに対して九千八百万円くらいの経費を計上してある。あれは初めの予定では幾人でしたか。
  501. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは御承知かと思いますが、法律では一万五千名となっております。それを予算的に毎年定めて参りまして、昭和三十一年度では八千人ということで予算を組んでおります。これが三十二年度末におきまして、九千五百名というふうに相なっております。
  502. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれはだいぶ評判が悪くて、なり手がないというのですが、現在では幾人ありますか。
  503. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 三月一日の調べで約六千八百人でございます。
  504. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはあれによりますと、毎年一回は招集されて訓練していることになっているんたが、今までにそれはやっておるんですか。
  505. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 昨年も一昨年も五日以内の訓練を実施いたしました。
  506. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれはなり手がありますか、また、たとえばことし除隊されるというようなものが何人おりますか、そのうちに何パーセントくらい一体志望しますか。
  507. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今までに警察予備隊以来退職しておりまするものが約十万名おるのでございます。そのうちで、われわれの方で大体において所在その他がわかっておりまするものが四万名くらいございます。その中から志願者をつのっておるわけでございます。まあ九千名か一万名くらいは私は採用できると思っております。
  508. 岡田宗司

    岡田宗司君 自衛隊の方から、これは陸海空ともに、だいぶアメリカの方で、留学というのか、招聘されたというのか知りませんが、向うに行っていろいろ訓練を受けておるものが現在どれくらい行っておりますか。
  509. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 昭和三十二年度におきましては、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を通じまして三百七十七名の米国留学を予定いたしております。それぞれ米国に参りまして、特定の学校、部隊等において短期視察を経るわけでございます。
  510. 岡田宗司

    岡田宗司君 その費用は防衛庁の方から支出するんですか、それともアメリカの方で負担しておるんですか。
  511. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 往復の旅費だけ日本政府の負担でございまして、あと滞在費等は米国政府の負担でございます。
  512. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは上の方はどれくらいの階級の人が行っておるんですか。
  513. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 米国の視察につきましては二つの種類がございまして、一つは上級の幹部がごく短期間に部隊を視察いたして参りますが、この場合におきましては、大体におきまして一佐以上、一佐、将というふうな人たちが行っております。それからこれに反しまして、学校におきまして教育を受けますものは、これはいろいろな階級がございまして、曹から佐官まであります。
  514. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 往復の旅費だけがこっちの負担で、あとは全部向うの負担だというのは、これは何か法律なり条約、あるいは協定の根拠があるんですか。
  515. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これはやはり相互防衛援助協定に基くものであります。米国におきましてはMSA法であります。
  516. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 他に御質疑はございませんか。……御質疑もないようでございますから、総理府のうち防衛庁所管についての質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  517. 豊田雅孝

    主査豊田雅孝君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十九分散会