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政府委員(
河野通一君) 百円の
銀貨がいいかどうかの問題は
あとで申し上げますが、百円の補助貨といいますか、コインはぜひ作りたいと
考えております。この点につきましては、いろいろな機会で申し上げております
通り、すでに
日本の
経済の
実情から申し上げますと、大体コインで
——百円
程度のものがコインであることは、もう
経済の
取引からいって便宜の面が非常に多い
——あらゆる人がすべて便宜とするかどうかは別といたしましても、便宜の面が非常に多いことは明らかであります。しかも
日本全体の
経済的かどうかという点から
考えましても、今の百円の
銀行券のコストと百円の
硬貨のコストということを比較いたしますならば、その耐用年数と
考えあわせて
考えますならば、全く比較にならないほど
経済的である。各国の
例等をごらんいただきましても、また戦前におきます通貨の組み合せの
状況等と比較してお
考え願っても、今の
日本の
経済の
実情からいっても、百円
程度が
硬貨であることが高額に過ぎるということは万ないと確信いたしておる次第であります。
しからば百円をコインにするといたしました場合に、一体その素材は何がいいかという問題であります。外国の最近の例を見ますると、
日本における百円
程度の補助貨は大体銀は使っておらぬようです。最近はニッケルとかそういったものを使っておるものが多いようでありますが、わが国におきましては、やはり百円という
硬貨は相当高額の補助貨ということに相なります。しかも
一般の国民の気持からいいましても、やはり銀というものは非常に
硬貨の重みをつける意味においても、非常にまだ愛着心が強いという点がございますので、できるだけ
銀貨を使って参りたい。たまたま今御指摘がありましたが、接収金属の
関係で約二千トン近くの銀がいずれは国のものと相なるべき性質のものがございます。これを活用して参るということは決して悪いことではないと
考えております。
なお品位をどの
程度にするかの点につきましては、まだ的確にきめておりません。きめておりませんが、その点は大ききをどの
程度にするか、重さをどの
程度にするかという問題と関連をいたして参ります。今の流通いたしておりまする五十円、十円の大きさ、重さ等とにらみ合せまして、これと見間違えることのないように、大きさ、重さを
考えて参りたいと
考えておりますが、大体今のところでは、品位は千分の五百以上にはしたいというふうに
考えております。外国等の
銀貨の例を見ましても、千分の五百というものはないわけじゃない、千分の五百
程度の
銀貨がイギリスにもございますし、その他一、二の国にもその
程度の
銀貨は流通を現にいたしておるような次第でございます。国内の
一般の生産用の銀の需給は、今
湯山さん御指摘のように、ここ最近は需給が必ずしもゆるやかではない。数年前までは輸出いたしておったわけでありますが、最近は輸出まではいかないばかりか、相当
程度需要が強いということはございます。また世界的にも今銀は非常に需要が強い状態でございます。従いまして銀の需給が非常に緩和して、余っておるからこれを
銀貨に使うのだという感覚では必ずしも
考えておりません。しかし今のところで、この接収貴金属
関係の銀を
銀貨として使うことは、非常に生産用の銀の需給を不当に圧迫するというような事態までは来ておらぬというふうに私
ども考えております。