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1957-03-30 第26回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月三十日(土曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      内村 清次君    副主査     佐藤清一郎君    委員            迫水 久常君            柴田  栄君            仲原 善一君            林田 正治君            小林 孝平君            中村 正雄君            梶原 茂嘉君            千田  正君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸大臣官房会    計課長     佐藤 充夫君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正男君    運輸省船員局長 森  巖夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    運輸省航空局長 林   坦君    捕獲審検審査   委員会事務局長  辻  章男君    海上保安庁長官 鳥居辰次郎君    気象庁長官   和達 清夫君    建設政務次官  小沢久太郎君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設大臣官房会    計課長     關盛 吉雄君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長    事務取扱    鬼丸 勝之君    建設省営繕局長 小島 新吾君   説明員    海上保安庁経理    補給部長    安井 正己君    建設省河川局次    長       美馬 郁夫君    建設省河川局治    水課長     川村 満雄君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     小林 重国君    日本国有鉄道経    理局長     久保 亀夫君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   参考人    日本道路公団副    総裁      井尻 芳郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十二年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十二年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十二年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 内村清次

    主査内村清次君) それでは、ただいまから第三分科会を開きます。  本日は建設省所管について審査を行います。  まず建設省関係予算についてその概要説明を願います。
  3. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 建設省関係昭和三十二年度歳入歳出予算案について概略を御説明申し上げます。  まず総額について申し上げますと、建設省所管一般会計予算といたしましては、歳入六億二千四百余万円、歳出一千百五十八億二千八百余万円でありますが、このほかに、予算計上所管は異っておりますが、予算執行の際、建設省に移し替えまして、建設省所管事業として実施されます予定経費が、別途総理府に北海道開発関係のものとして百二十三億千百余万円、労働省特別失業対策事業として二十八億八千二百万円が計上されておりますので、これらを合算して前年度に比較いたしますと、昭和三十一年度一千九十六億三千七百余万円に対しまして、昭和三十二年度一千三百十億二千二百余万円でありまして、差し引き二百十三億八千四百余万円の増加となっております。  次に、個々の事業予算について御説明申し上げます。まづ治山治水事業につきましては、総額といたしましては、二百九十九億六千四百余万円でありまして、前度年二百八十四億一千二百余万円に比較して十五億五千二百余万円の増額となっておりますが、このほか労働省所管計上の上、移しかえて使用いたします特別失業対策事業費のうち、前年度と同額の七億三千五百万円を治山治水事業に充当することとしておりますので、実質上の治山治水予算は三百六億九千九百余万円となります。  その内訳といたしましては、河川改修及び海岸保全に百五十六億九千四百水万円、河川総合開発に七十七億二千八百余万円、砂防に五十二億九千万口、機械整備費に六億八千余万円、地方財政再建団体補助率差額に五億七千口万円でありまして、このほかに特別失業対策事業費として河川改修及び海千保全に六億三千五百万円、砂防に一億円を予定しております。治山治水事業実施につきましては、治山治水緊急五カ年計画基本方針にのっとり、重要な河川改修促進重点をおくとともに、施行効率化関連事業との総合化をはかり、経済効果の確保を期することといたしておりますが、本年度においては特に最近における電力及び工業用水の不足を充足し、経済基盤を拡充するため治水に根幹とする多目的ダム早期完成をはかり、かつ事業を合理的に実施するため、新たに特別会計を設置し、その推進をはかるほか、特に直轄事業及び海岸保全事業促進重点をおくことといたしております。  次に、おもなる事業内容を申し上りますと、河川改修につきましては、直轄河川としては継続施行中の利根川ほか九十河川のほか、北海道における開拓事業に関連する特殊河川十一河川合計百二河川改修を行い、補助事未としては前年度より継続施行中の中小河川二百八十二河川重点をおいて、特に災害防除及び土地改良等関連事業との調整をはかりつつ実施いたしたいと考えております。  砂防事業につきましては、直轄事業として施行いたしております利根川ほか二十四水系継続実施いたしますほか、補助事業につきましては、特に直轄河川等重要水系工事促進重点をおいて参りたいと考えております。  河川総合開発事業につきましては、さきに御説明申し上げました通り昭和三十二年度より直轄事業の大部分を特別会計をもって施行することとしましたので、河川総合開発関係予算七丁八億八百余万円のうち、四十六億三丁余万円は特別会計への繰入金でありまして、従って一般会計において実施されます事業直轄事業十四億六千三百万円、補助事業十七億一千五百余万円、合計三十一億七千八百余万円となっております。一般会計に残されました直轄事業は、昭和三十二年度完成する予定利根川ほか四ダムであり、補助事業としましては継続中の一迫川ほか五ダムのほか、新規に小瀬川ほか一ダム合計ダムについて事業施行し、鮫川ほか二ダムについては実施司画調査実施する予定であります。  次に災害復旧関係事業でありますが、災害復旧関係予算といたしましては、総額二百六十八億九千二百余万円で、うち災害復旧事業費二百三十一億七千六百余万円、災害関連事業費三十七億一千六百余万円を計上いたしておりますが、ほかに特別失業対策事業費として災害関連事業に四千二百万円が予定されております。  その内容を申し上げますと、災害復旧事業につきましては、直轄事業残事業の全部を完了する予定でありますが、補助事業につきましては、二十六年ないし二十九年の発生災害にかかるものは残事業のおおむね四割程度復旧をはかるものとし、三十年及び三十一年の発生災害につきましては、国庫負担法改正の趣旨に則り、緊要事業については災害発生年を含め三カ年で復旧することを目途とし、三十二年度中に三十年発生災害は全体額の八六%、三十一年災は六五%までの復旧をはかりたいと考えております。  次に道路整備について御説明申し上げます。道路整備につきましては、昭和二十九年度以降道路整備五カ年計画実施して参ったのでありますが、その後の経済力の拡大に伴いまして、道路輸送は飛躍的に増加し、現在ではわが国経済発展の隘路となっておりますので、昭和三十二年度におきましては、既定計画を再検討し、これを拡充して産業発展に対応する新たな道路整備計画を樹立することを目途として画期的な道路整備促進をはかることといたしまして、予算も前年度に比し大幅に増額することといたしております。すなわち昭和三十二年度道路整備費は五百三十二億三千六百余万円でありまして、昭和三十一年度の三百三十三億三千余万円に対しまして百九十九億六百余万円の増加となっておりますが、このほかに労働省所管計上されております特別失業対策事業費のうち十五億二千万円を道路整備に充当することになっておりますので、これを加えますと、五百四十七億五千六百余万円となり、前年度三百四十七億三千余万円に対しまして二百億二千六百余万円の増となるわけであります。  右のうち、建設機械に二十億六千三百余万円、災害関連として一億三千八百余万円、道路公団補助金として三十億円、地方財政再建団体補助率差額として八億七千四百余万円を充てております。積雪寒冷特別地域に対する経費としては機械費をあわせ十億百万円声予定いたしております。なお前年度に引き続き、臨時就労対策事業として七十四億円を計上いたしまして、失業者の吸収をはかることとしております。以上御説明申し上げました道路整備費道路事業関係のほか、都市計画関係街路事業を含むものでありまして、その内訳道路事業関係として四百七十五億三千余万円、都市計画関係街路事業として七十二億二千六百万円下あります。  なお、道路整備費財源について一言申し上げますと、昭和三十二年度けがソリ税を一キロリットル当り四手八百円引き上げまして、収入見込額五百三億九千四百万円のほか、一般財源を四十三億六千二百余万円充当いたしております。  次に、一般公共事業のほか、有料道路関係につきましては、御承知通り年度より日本道路公団を設立いたしまして、民間資金を導入し、有料道路整備促進をはかっているのでありますが、昭和三十二年度における日本道路公団資金といたしましては、一般会計からの補助金三十億円に加えまして、資金運用部資金より四十億円の融資を受けるほか、一般民間資金六十億円の導入を予定いたしまして、総計百三十億円の資金によりまして、関門国道等十一カ所の有料道路完成せしめる等、既定継続事業促進をはかるほか、新規事業として名古屋・神戸間の高速自動車道路新設等にも着手いたしまして、わが国道路網整備促進して参りたいと考えております。  次に都市計画事業費について御説明申し上げます。  都市計画事業費は、総額七十六億千五百余万円を計上いたしておりますが、労働省所管特別失業対策事業費のうち十億八千五百万円を都市計画事業費に充当いたしますので、これを合せますと、八十七億余万円の予算となり、前年度五十四億二千七百余万円に比し三十二億七千二百余万円の増となっております。この中には、昭和三十二年度より下水道事業建設省所管となりましたので、その関係予算として、一億円、外に特別失業対策事業費四億五千万円、計五億五千万円が含まれております。  都市計画事業につきましては、都市における産業基盤を確立するため、都市施設特に街路整備重点的に施行するとともに、戦災復興事業等土地区画整理事業を推進いたしたいと考えております。  また東北興業株式会社を改組して、東北開発株式会社とし、新たなる構想のもとに東北地方開発に当らせるため、産業投資特別会計よりの出資金五億円及び社債二十億円を予定いたしております。  次に住宅対策について御説明申し上げます。昭和三十二年度住宅建設につきましては、現下の住宅難をできるだけ早期に解消することを目途として政府施策による住宅につきましては、前年度より二万三千戸を増加し、十九万九千戸の住宅建設計画いたしております。また民間自力によって建設される住宅につきましては、最近の実績より見まして、約三十万戸程度建設が見込まれますので、これらを合せて昭和三十二年度においては約五十万戸の住宅建設目標といたしております。  政府施策によって建設する十九万九千戸の内訳は、公営住宅四万六千戸、住宅金融公庫融資住宅八万八千戸、日本住宅公団建設する住宅三万五千戸及び厚生年金融資住宅公務員住宅等三万戸、計十九万九千戸といたしております。これに対する予算措置は、公営住宅に対しましては、一般会計予算として百六億五千一百万円を予定いたしておりまして、第一種住宅二万一千戸、第二種住宅二万五千戸、計四万六千戸の建設に対し、補助いたすことといたしております。住宅金融公庫に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金三十億円と、政府低利資金二百三十五億円、総計二百六十五億円を予定いたしておりまして、住宅新築六万三千戸、増築二万五千戸及び住宅用地の取得、造成を行うほか、新規に市街地の不燃高層化をはかるため、住宅店舗等の併存する中高層耐火建築物に対する融資を行い、また、災害による被災住宅の補修に対しまして、所要の資金の貸付を行うことといたしております。日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金九十五億冊に加えまして、政府低利資金百二十億円と一般民間資金百五十億円を予定いたしまして、総計三百六十五億円の資金によりまして、賃貸住宅二万四千戸、分譲住宅一万一千戸、計三万五千戸の住宅建設、並びに土地区画整理及び埋め立てによる宅地の造成計画いたしております。  また、都市における耐火建築物建築促進し、防火建築帯造成し、火災その他の災害の防止をはかるため、その助成金として、一般会計より一億五千余万円を計上し、防火帯造成事業促進をはかりたいと考えております。  次に、官庁営繕について御説明申し上げますと、官公庁施設建設等に関する法律の規定により、建設省実施する官庁営繕費といたしましては、二十一億九千三百余万円が計上されておりまして、前年度の十三億六千六百余万円に比し八億二千六百余万円の増額となっております。  以上をもって一般会計予算説明を終りまして、次に、特定多目的ダム建設工事特別会計について概要を御説明申し上げます。本特別会計昭和三十二年度予算総額は六十八億七千六百万円でありまして、この資金内訳は、  一般会計よりの繰入金四十六億三千余万円、資金運用部資金の借り入れ九億七千八百余万円、電気事業者等工事負担金十一億一千余万円、その他一億五千六百余万円となっております。  次に、昭和三十二年度における事業内容を申し上げますと、前年度まで  一般会計において実施しておりました継続事業のうち、昭和三十三年度以降に完成予定される天龍川ほか六ダムを本特別会計において実施することとしたほか、新規に名取川、淀川を加え、合計ダム建設を行うこととし、その他に雄物川ほか二ダム実施設計調査実施する予定であります。  実施方針といたしましては、工事実施中のものについては、その経済的施行をはかり、重点的に実施するとともに、その他のダムについては特に用地補償等促進に努める所存であります。  なお、本特別会計の設置によりまして、従来の方式による場合よりも昭和三十二年度において約十億円の事業規模が拡大され、事業早期完成がはかられるほか、資金一元的経理によって事業実施が合理化せられまして、多目的ダム建設は一そうの促進が期待されるものと考えております。  以上で昭和三十二年度建設省関係一般会計及び特別会計予算説明を終ります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 内村清次

    主査内村清次君) ただいまの建設省関係予算につきまして、御質疑のある方は順次御質疑をお願いしたいと存じます。
  5. 林田正治

    林田正治君 私は、今の大臣の御説明に対しまして、道路問題治水の問題、その関連性につきまして御質問申し上げてみたいと思います。今回の予算によりまして、治水事業の一端として多目的ダムのことを考えられた。これは、非常にわれわれとしましては当然なことであり、これによって、灌漑あるいは発電、そういうような日本の包括的な治水事業が進められることは同慶にたえませんが、また、一方におきましては、道路整備に対して、いわゆるガソリン税あるいは揮発油税、こういうものによって画期的な計画をされましたことも、同様非常に政府の英断と喜んでおるところでありまするが、これにつきまして、せっかく多目的ダムによるところ治水事業が進められ、また一面、道路開発のことが非常に進められておるにかかわらず、半面におきまして、この治水事業、いわゆる河川改修という方面で、多目的ダム適用を受けない一般河川改修事業につきましては、どういうふうになっておりまするか。前年度に比べまして、果してどのくらいの増額になっているかということを一応お伺いしたいと思います。
  6. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) ただいまのお尋ねの中で、ダムを除く治水関係予算がどうなっておるかという点につきましてお答えを申し上げます。河川関係におきましては、特別失対というようなものも加えまして、実質上、治水関係河川を総合いたしまして十一億の増加になっております。海岸そのほか砂防等、いろいろございますけれども、合計いたしまして、治水関係といたしましては、十五億五千二百万の増加に相なっております。このほかに、ダムを除いてというお尋ねでございましたが、ダムにつきましては、三十二年から特別会計法実施いたしますので、特別会計におきまする明年度の分を一般会計の分と合せまして、前年度一般会計だけでやっておったダム実質上の比較をいたしました場合におきまして、約十億弱、九億六千百万円の増がダム関係においてございます。都合いたしまして、約二十三、四億の増ということに治水関係におきましては相なっておる次第でございます。
  7. 林田正治

    林田正治君 ただいまダム関係を除いて一般に大体十五億というお話でございましたが、その中には、新しくいわゆる直轄河川に編入せられましたるものがあるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。先ほど大臣の御説明にございました北海道関係河川のようなものは、これは新しく編入されたものであると思いまするが、そういうものも含んでおると仮定いたしまするならば、いわゆる今日まで直轄河川として適用を受けて現在施工中の河川に対するところ費用が、どのくらい増額されておるかということを一応承わりたいと思います。
  8. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 河川関係におきまする新規事業の分といたしましては、実地調査関係で、静岡県の大井川と佐賀県の六角川、この二本が入っております。そのほか本数は定まっておりませんけれども、中小河川におきましてのいわゆる補助事業におきまして、若干の新規河川事業実施できるようなことに相なっております。
  9. 林田正治

    林田正治君 そういうふうになりますると、ほんとうに今まで工事施工中の全体の河川に対するところ予算がどのくらい増加いたしたかということをお聞きしたい。
  10. 川村満雄

    説明員川村満雄君) それでは直轄河川改修費継続の点について申し上げますと、三十一年が九十億九千九百万円でありましたのが、三十二年に九十七億三千八百万円、これだけになってふえております。
  11. 林田正治

    林田正治君 そうすると、それではどのくらいでありますか。
  12. 川村満雄

    説明員川村満雄君) それは約六億ちょっとでございます。
  13. 林田正治

    林田正治君 今大体の実数が純増加というのは六億程度ということに相なると伺いました。そうしますると、全国の直轄河川たしか先説明で九十河川かあると仮定しますると、平均いたしますると、一河川に対する増加というものはわずかなものであると、こういうふうに考えていいと思います。  私ども先般東北地方に参りまして、北上川の河川改修の状況を視察いたしましたが、あの大河川におきましても、やはり計画は二十年以上かかるというようなことを承わっておりまするが、いわんやあれだけの大河川でない、いわゆる直轄河川のうちでも中小河川あたりに該当するようなところにおきましては、それはその改修計画というものは実に長い年限を要するものである。私の関係するところの熊本県の白川のごときにおきましては、今の計画通りに参るといたしますれば、六十何年以上を要するという計画なので、そういうような長期間にわたる計画によってなさるとするならば、その間あるいは不時の水害がないということは、これは絶対に保証のできないことでございまして、せっかく改修いたしましても、途中において大災害を受ければ、再びもとのもくあみに相なり、またより以上の災害を受けるということに相なることはこれは当然でございます。これは白川だけの問題ではございません。全体の河川がそういうふうに相なるわけでございまして、私はそういうような点からも考えまして、また今回の道路計画から考えましても、せっかくりっぱな道路ができましても、その河川改修がそれに伴わない限りにおきましては、せっかくの高級の道路舗装のごときも、一夜にしてまた災害のために葬られるということは、これは理の当然でございまして、そういうような観点から考えまして、私は道路に対して二十九年から五カ年計画のが今回は変更されまして、これは何年の計画によって大体道路計画ができておるかということを、まず一応承わってみたいと思います。
  14. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) 先ほど大臣から御説明がございましたように、三十二年度予算は五カ年計画の遂行ということで組まれておりますけれども、道路整備構想につきましては、新たな構想に基いて立てられておるわけでございます。ただいまのところでは十カ年ぐらいを目標にする計画を立てたいということで検討を進めておるわけでございますが、十カ年計画を立てて三十三年度から実施することにできれば、幸いと考えておるわけでございます。この十カ年計画の中では一級国道は全部舗装まで完成いたしたいというような構想で進める考えでございます。
  15. 林田正治

    林田正治君 今の計画では十カ年ということを承わりましたが、私は実はこの道路整備計画河川改修というものは並行して行うことが理想であり、またそうすべきものではないかという、こういう考えのもとに大臣の御意見を承わりたいと思いまするが、十カ年以上かかるとすればなかなか困難でありますけれども、大臣は結局道路整備河川改修というものは、もう少しく並行して行うというところの御意思はないのですか。その点をちょっと承わっておきたい。
  16. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) お尋ねの点はごもっともなことでございますが、河川改修は御承知通り、国の財源関係でなかなか長期計画でありますために、はかどらないことは非常に遺憾とするのであります、しかしながら、道路整備につきましては、直接国民の経済産業発展に影響するところが多いのでありまして、最近の事情から申しましても、この輸送力の増強ということは、あらゆる角度から要望されておりまするので、とりあえず、この財源を手当てして、今までの五カ年計画を改訂して、さらに十カ年計画と申しますか、その年度以内においてでも、少くとも一級国道だけでも完全舗装したいというような要請に応じまして、その計画を進めておるような次第でございます。
  17. 林田正治

    林田正治君 それは大臣の御答弁の通り、私は道路の必要なることは痛感するのでございまするが、しかしながらやはり河川改修ということも日本産業のため、交通のために、あらゆる点からしてこれは根本的な問題である。こういうふうに考えるのでございまして、これは大臣も御同感であると思いまするが、そのような意味合いからいたしまして、いわゆる多目的ダムというようなものに対して、国家の一般会計からの融通も行われまして、あるいは今度はガソリン税とかというようなものによって英断的に道路改修にもそういう費用が持ち込まれましたので、そういうような考えをもう一歩進めて、河川改修にも私はこれを持ち込む必要があるのではないかと思います。その点について御意見を承わりたいと思います。
  18. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) まことにごもっともな御意見でありまして、この河川改修は、直轄河川中小河川、その他合せますと、相当な数に上ることでございます。ことに北海道特殊河川等も合せますと、北海道のごときは原始河川が多いのでありまするから、かようなものを整備するということは、なかなか十カ年くらいで道路と同じようにこれを完成しますということについては、莫大な国費がかかるというようなことでございますので、一般日本の財政等もにらみ合せて、財源等のにらみ合せが可能な場合においては、できるだけ建設省といたしましてはこれを要求いたしまして、促進をはかりたいということについてはもう何ら異存がないところでございます。ぜひ予算の規模の拡大に伴いまして、その実現を一日も早く実現したいと考えております。
  19. 林田正治

    林田正治君 私は別に道路と同じように、日本河川を十カ年の間に改修していただきたいという、そういうことを希望しましても、それはとうてい不可能であることは十分に承知いたしておりまするが、とにかく現在のように早くとも二十年、あるいはおそいのになると六十年以上もかかるような状況では、どうもこれでは実情に沿わないのであって、やはり道路ダムというような方面に勇断的なお考えのもとに着手されましたる政府におきましても、やはりもう少しく治水の方面にも画期的な財源の獲得をやられて、そういう方面のことに手をつけていただきたいということを希望として申し上げて、この質問を終りまするが、最後にもう一つ私は質問したいことは、去る十九国会におきまして、土地区画整理法の第三条四項を改正されまして、どうやら「国の利害に重大なる関係がある土地区画整理事業災害の発生その他特殊の事状に因り急施を要すると認められるものを、都市計画事業として、都道府県知事又は市町村長に施行させることができる。この場合において、建設大臣は、これらの事業が、その施行する公共施設に関する工事とあわせて施行することが必要であると認められるとき、又は都道府県知事若しくは市町村長に施行させることが著しく困難若しくは不適当であると認められるときは自らこれを施行することができる。」、こういうように法律が改正されたことを承わっておりまするが、こういう法律の今まで適用されたる地域がありますでしょうか、こういう係の方に一つお尋ねしたいと思います。
  20. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 土地区画整理法におきまして、ただいまお話のございましたような法律の改訂になっておるわけでございますが、この規定を適用いたしまして、いわゆる区画整理の行政庁施行をいたしました事例は、ほとんど現在までのところないのでございます。ただ阪神地域におきまして、第二阪神国道の区画整理をいたしております。その関係だけがたしか行政庁施行になっておるかと思います。他にはそういう事例はございません。
  21. 林田正治

    林田正治君 ただいま御説明になりました阪神国道の問題は、おそらくこの災害の問題ではないと思いまするが、ほんとうに災害の発生に伴いまして行われた例はまだありませんでしょうか。
  22. 町田稔

    政府委員(町田稔君) ただいままでのところございません。
  23. 林田正治

    林田正治君 これはないとすれば、それは今までなかったかもしれませんが、私はこの法律の適用を受くるものとしましては、私先ほど申しました熊本市を流るるところ白川災害に伴いまするところのいわゆる河川改修に関連する事業として当然行われなければならない区画整理のようなものが、これの法律の適用を受くべき最も適当な事例であると、こういうふうに考えまするが、建設当局はどういうふうにお考えになりますか。
  24. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 白川改修につきまして、所要の敷地を区画整理によって生み出すかどうかということにつきましても、まだ実は現在検討中でございます。なお、これを行政庁施行にすべきかどうか、条文上行政庁施行にいたします場合には条件がございますので、その条件に該当するかどうかにつきましても目下慎重検討中でございます。
  25. 林田正治

    林田正治君 それは慎重に検討なさいますことはけっこうでございまするけれども、おそらく私はこの法律が災害による場合のやはり関連事業としての区画整理事業がこの法律の適用を受くることができるとするならば、白川災害のごときが最もこれが何らちゅうちょすることなく当然適用を受くべきものである、こういうふうに私は考えるのでありまするが、もう一度その点をお考えを願いたいと思います。
  26. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 災害を受けた場合が一つの条件になっておりまするが、それ以外に国の利害と非常に関係が深いということがなお他の条件として必要でございます。それらにつきまして、白川の場合が直ちに該当するか、なお検討いたしまして、決定をいたしたいと思うのでございまして、御意見も十分参酌いたしまして、なお研究さしていただきたいと思います。
  27. 千田正

    ○千田正君 建設大臣に質問いたしますが、災害復旧の問題ですがね、災害復旧が法律できめられており、三、五、二の割合で三カ年かからなければ復旧しない。しかしながらその復旧の途上において再び災害を受けておる。こういうことはよく九州、東北各地に行われておりますが、それであの法律の改正とする必要があるのじゃないかとわれわれは思うのですが、たとえば三年かからなければ洪水の跡始末ができない。こんなことでは話にならぬのであって、その間にまた災害が起る。前の災害とあとの災害を加えるというと、六年たたなければ災害復旧ができない。こういうことであっては私は日本建設というものは決して進んでおらないのじゃないか、大臣としましては、この災害復旧の応急処置というものは三年なんという長い年月を要せず、それはまあ調査とかいろいろな点があるにしましても、初年度は四とか、次年度においては六とか、あるいは初年度三にすれば次年度七というような割合で、二年ぐらいでこの復旧をやるとかいうようなことを考えないというと、復旧の最中にまた災害がやってくる。あとから来た災害のことを考えるというと、六年も五年もかからなければ復旧ができない。こんなことでは日本の真の建設というものは成り立たないと思うのですが、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  28. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまのお尋ねはごもっともなことなんでございますが、日本災害は毎年定期的に相当ございますので、実は二十六年の災害の分もまだ処理できないというような日本の財政状態でございます。そこで三十年度以降につきましては、特にこれを緊急にその災害完成せしめるという法律もできまして、それによるのでありますが、しかしお説のように、それでも三年もかかるようではいかぬ、その間に災害があったらどうするというようなお尋ねでございますけれども、さような場合においてはとりあえず要重な部分だけを復旧いたしまして、そうしてその応急手当をするということにしてあるのでございます。九州の佐賀県の有明湾のごときはその事例としていたしたような次第でございますが、まあこの法律を施行しまして二年でございますが、お尋ねのような要旨は十分考慮いたしまして、さような処置をしたいと思います。
  29. 千田正

    ○千田正君 私の言うのは、根本的に災害復旧の法律を変える意思はないかということをお伺いしておるのです。あれは三年になっておるのですがね。災害復旧に対してはそれを二カ年ぐらい、たとえば三、五、二の割合の予算計上を、それを二カ年ぐらいでやるというようなお考えをお持ちにならぬというと、今あなたのおっしゃるように、三年たってもなかなか復旧できないということになるのですが、大臣としてこの際あなたの最も力をこの内閣において発揮する意味におきまして、それぐらいの画期的なことをお考えになったらどうかということを私は伺っているわけです。
  30. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ごもっともな御意見でございますが、まだこの法律は施行後この三十年、三十一年、二年でございます。そこで幸い昨年は災害が少なかったようなことでございますので、この点は国の財政の内容等も勘案いたしまして、お説の点はごもっともなことでございますから、十分考慮してみたいと思います。
  31. 千田正

    ○千田正君 そういう災害復旧に際してわれわれが常に考えるのは、年々同じようなことをやられておる。たとえば河川にしましても、大体あなた方すでに長年の経験によって、九州においてはどことどこの河川、関東においてどこどこ、東北においてはどこと、一応の毎年襲われるだろうと予定されるところ河川にしましても道路にしましても、一応はすでに建設省としては十分な調査を遂げられておると思う。それに対して災害復旧という程度で、原形復旧であれば同じことを何回も繰り返す。プラス・アルフアの何ものかを、強固な一つ大自然の災害に対してそれを防ぐということはあなた方の最大の職務なんですから、ただ今までのこわれたのを復旧すればいいのだということではなく、プラス・アルフアにして、そうしてその次にこれ以上の雨や風が来ても防げるという技術的な何ものかの権威を持たなければならない。その点についてはどうお考えですか。
  32. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 毎年大体日本の国土が災害を受ける個所が特定しておるではないかという点については、ある程度そういう面もございます。そこでそれに対する対策も十分いたすのでありますが、何と申しましても予算関係がありますので、できるだけこれはプラス・アルフアにするような方法を考えておるわけでありますが、たとえば川などにつきましては、災害がありました一昨年などは相当川もやられておりますが、木橋のためにすぐその災害にあった、木橋を原状に復旧いたしますと、すぐまた次に災害にあって、それがやられるというようなこともございますので、こういうようなものはできるだけ永久橋に直しまして、将来は災害があっても橋の流失がないようにということを考えに入れまして、そういう方途をとっておるわけであります。また多目的ダムにいたしましても、この災害防除ということが河川における洪水を防ぐ大事なことであるという考え方から、この多目的ダムを特に促進をいたしまして、今度特別会計にもいたしてこの促進をはかるということも、この河川のはんらんを防ぎ、これを根本的に解決する道だとも考えて、かようなふうにも積極的に進めているようなわけでありまして、予算が許す範囲内におきましては、できるだけお説のように将来は方向を考えていきたいと思っております。
  33. 千田正

    ○千田正君 私は災害のあるたびに、その地方に予算委員会その他から出張いたしますが、そのたびに痛感するのは、徳川時代あるいは元亀、天正の戦国時代に修理したところ河川が、このような暴風や何かがあってもこわれないで、建設省監督のもとで作った工事が五年前に災害復旧したものが再びこわれるという実に皮肉な、いわゆる近代科学の粋というものを私は見せつけられるのですが、それはどういうところに根拠があるのですか。決算委員会にいわゆる建設の会計検査院から批難事項が相当ありますが、その中にずいぶん不正工事をやっておる。これは要するにあなた方の監督の不行き届きじゃないか、そうして国費がむだに費されておるという点があるのじゃないかと思いますが、それに対してどういうお考えをとられますか。
  34. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 公共事業費の災害復旧につきまして、ことに二十八年災の災害復旧について特にさような不正行為の工事が多かったというようなことが指摘されまして、これは相当問題になったのでありますが、この点につきましてはいろいろな監督の不行き届き、あらゆる問題が摘発されまして、十分この建設省関係における監督をすべきものについては将来について十分警告を与えまして、その後につきましては、さような事態の起らないようにいたしておるわけでございまして、幸い三十一年度のごときは、ほとんどこの建設省関係においてはさような事態が起らなかったというふうに注意いたしておるわけでありますが、将来ともこの点については大事な国民の公共事業費をこれに向けるのでありますので、十分に厳重に注意いたしまして、御趣意に沿うようにしたいと思います。
  35. 千田正

    ○千田正君 そういう原因の一つに、私は予算の決定した後に実施施行が、非常に官庁の仕事がおくれておるのではないか、たとえば東北などは十一月になってから施行をやれと言われても、もう雪が降ってくる、みぞれがやってくる、コンクリートの施工をやっても工事が十分進んでいかない。大体東北、北海道はおそらく一年のうちにほんとうに仕事のできるのは七カ月かてこらしかない。全国を見渡して、そういうようないわゆる工事の実況というものを勘案して予算施行面においし緩急よろしきを得なかったならば、やはり技術がいかにうまくても、現実においてそうした自然の脅威に対抗するところの立場からいって、予算施行面において相当勘案すべき問題があるんじゃないかと思いますが、その点大臣はどう考えますか。
  36. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 実は私自身か北海道出身なものですから、ただいまの御質疑に対しては全く同感な点が多いのでございます。そこで私どもも東北よりも北海道のような寒冷地における建設関係事業というものは、河川改修でも道路にいたしましても早く寒さが来ますから、どうしても気候のいいときに着手しなければ工事の量がおくれる、また予算が暫定予算でも組んだ場合にはことに激しいというような影響もありまして、そこでできるならば、三月の年度をこういう寒冷地においては繰り上げて、何とか大体予算のめどがついたならば、事前にこれを施行するような方法はないかというようなことも考えて進言していた時代もありますが、なかなか官庁というところは会計年度の繰り上げのようなことは、会計検査院が法理上きびしいのでありまして、これを実施するということは容易でないというような問題もありますので、実際の問題としては日本のこの会計年度というものをある程度暦年に、月に合せるような方法も、まあ三月を十二月の年度末に繰り上げるというような方法でもしてもらうならば、寒冷地帯の方は相当助かるんではないかというようなことも考えておりますが、これはただいま申し上げました通り、いろいろ法理上の関係もあり、各省との関係もありますので、簡単には実現はいたしませんけれども、できるだけこの寒冷地帯における施行につきましては、そういう気持で実際の面に当るような指導方針をとってゆきたいと考えておるのであります。
  37. 千田正

    ○千田正君 最後に住宅問題ですが、今大臣の御説明によるというと、三十二年度は五十万戸建設する、まことにけっこうですが、ただしこれは建設であって、毎年火災その他の災害によって損失するところ住宅も相当大きい、これを差し引いたらほんとうの新しく建設する点というのはどれだけになるんですか。
  38. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 大体年間焼失、新規要求その他を合せますと、破損等を二十万戸くらいに見ておる、従来の経験からゆきまして。でありますから五十五戸三十二年度かりに建設いたしましても、プラスは三十万戸ということになるわけでございます。で二百四十万戸の三十一年度のうちで不足があるといたしますれば、これを完成するためにはどうしても毎年六十五万戸、かりに五カ年といたしますと、二十万戸ずつ一年に滅失分があるとすれば五カ年で百万戸、それが二百四十万戸現在足りない、三百四十万戸を五カ年間に作らねばならぬということですから、年々そうしますと三十二年度は五十万戸でありますが、三十三年度になりますと六十万戸、逐次国民経済が所得が伸びるに応じまして、これが六十万戸、六十五万戸というふうに五カ年間には民間での建設も伸びますし、政府出資による援助の建設もふやすことにいたしまして、五カ年には三百五十万戸くらいは目標にして、その建設を進めなければ現在の約二百四十万戸の不足を補うことができないというような計算に立っておるわけでございます。
  39. 千田正

    ○千田正君 そこで三十一年度の火災は相当大火災がありましたんですがね、それに対するやはり新しい建設の方向としましては、建設省所管としましては、都市計画あるいは水道、そういう問題にある程度相当指導よろしきを得ないと、同じことをまた繰り返すおそれがあるのだ。これはある意味においては何分にも人間の欲望ですから、土地を大きく削られたりなんかすることはどうしても耐えられないかもしれないけれども、将来のほんとうの火災を防ぐという意味から狭隘な道路というものは拡張するとか、あるいは排水とかあるいは水道とかというものは万全を期して、たびたび起る火災地に対しては相当強い指導力を持たなければならないと思うのですが、そういう方向に向って何か実施しておりますかどうですか。
  40. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) この点につきましては、防火地帯を毎年予算の上で増加いたしまして、できるだけ耐火、防火建築を積極的にこれをふやす、で今年度のごときは特に高層建築の防火耐火建築をふやし、それから防火地帯についての都市計画予算も、今年もまあ些少でありますけれども、増額を認められまして、こういう方向によって都市計画予算につきましても、各地の都市計画をできるだけ積極的に計画を進めておるようなわけであります。そういうことによりまして、積極的に火災を防止する方向に向いたい、こう思っておるのであります。
  41. 千田正

    ○千田正君 最後に私は、この道路公団でありますが、道路公団が設立されて、いろいろ国の財政で建設省でなかなかやれない範囲をどんどん道路公団でやるというそういう理想はよろしいのですが、計画内容をみるというと、いわゆる関東以南、関西、関東、特にまあ日本の何といいますか、最も繁栄の地を中心とした道路公団の本年の計画のようであります。これらは私も道路公団はある一面においてはそれによって投資したものを吸収しなければならないという面もあるでしょうが、それに見合いまして、東北、北海道であるとか、九州であるとかという遠隔の地に対して、早く言えば後進県、こういうようなものに対しては片方においては道路公団において重点を置くとすれば、そういう方の建設省計画重点的に考えなくちゃならないと思うのですが、そういう割り振りをやっているのですか、どうなんです。
  42. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) お話のように優良道路が東北の方には少いのでございますが、しかし建設省道路整備計画といたしましては、東北の総合開発ともにらみ合せまして、東北は重点的に三十二年度考えております。
  43. 千田正

    ○千田正君 まあ富樫さん、よく地方に御視察になっておわかりのようでありますが、私どもの県などは国道というのは名のみであって、トラックもハイヤーも通らないという道路があるのですが、一体ああいう国道はいつごろまでに一体完成する見込みなんですか。
  44. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) 先ほども申し上げたことでございますが、ただいま十カ年計画を立てまして、実施いたしたく準備をいたしておるわけでございますが、その十カ年計画では、十カ年において一級国道は部全舗装まで完了いたしたい、こういう計画にいたしておるわけでございます。
  45. 千田正

    ○千田正君 道路公団から井尻副総裁お見えになっておりますか。
  46. 内村清次

    主査内村清次君) それではちょっとお諮りいたしますが、建設省関係予算審査のために、日本道路公団総裁井尻君を参考人として、その説明を聽取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 内村清次

    主査内村清次君) 異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  48. 千田正

    ○千田正君 井尻さんから三十二年度の御計画を一つお願いしたいと思います。……今、大臣に御質問の方もあると思いますから、私のはあとでよろしゅうございます。
  49. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 簡単に大臣にお伺いをいたします。私、実は建設関係にはきわめて不案内なんでありまして、あるいは見当はずれのことがあるかもしれませんが、御了承を願います。  予算を拝見すると、北海道はずっと別ワクになっている、大臣北海道の事情にはきわめて精通されていると思うが、別ワクになっていることはこれは北海道の特殊事情から見て理由があると思う。これは内容を見てみますと、大体北海道は内地における施策と形の上においても内容においても同じなんですね、ただワクが別になっているという感じを与えるだけなんです。北海道のいろいろな事情から見て、北海道における建設事業というものは、相当内容においても違ってしかるべきじゃないか、こういう感じを私は持つのですが、あまりに同じ形のもの、内容も同じでこれが別ワクになっている感じを印象づけられるのですが、その点の一つお考えを伺いたいと思います。    〔主査退席、副主査着席〕
  50. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) まことにごもっともな御意見でありまして、私どもは北海道のような特別な寒冷地帯における行政のやり方というものは、本州方面の行政とは別な角度からこれを考究すべきではないかという強い意見を持っている一人であります。そこで、従来北海道の行政につきましても、戦前は拓殖計画というようなものがありましたが、戦後においては行政がもと、北海道北海道長官というような別な考え方であったが、その後一般の公選知事というようなことになりましたために、とかく、これが本州の行政の延長主義のようになりましたので、その特殊性というものが失われたことを私ども非常に遺憾に思っているのでございまして、そこで北海道開発庁というものができまして、その行政が多少とも本州の行政と変った施設をされますので、北海道というものに対する考え方も相当変っていると思うのであります。そこで機会あるごとに今のお話のようなことにおいて、北海道施策を本州の施策とは別な角度から研究をしてもらっているのでありまして、建設省関係道路とか河川、あるいは住宅につきましても、表面を見ますと、本州のままを持っているようにお感じのようでありますが、道路などは国道の補助などにつきましては、全部直轄で全然地元負担はない、北海道はみな国費でまかなう。本州においてに国道においても府県の負担を伴う。こういうようなことで、かなり異なっている道路行政をやっております。だから河川においてもそうであります。大体それは全部国費でまかなう場合が多いのであります。それから住宅につきましても、まあこれは三、四年になりますが、特に北海道でもって、この北海道の寒冷地住宅はブロック建築で木造はいかぬということにいたしまして、現在は全部ブロック建築の耐火建築にいたしているようなわけであります。その他道路施工につきましても、本州の道路施工とは変って、寒冷地向きの完全な舗装をするような方向にまあいっているのでありまして、橋梁のごときもここ数年来、まあ大きな橋はほとんどと言ってもいいくらい永久橋にこれはかけかえました、そうして災害の被害を受けないような方向にもっていくというようなわけでありまして、この開発道路にいたしましても、特別北海道開発に役立つものについては国費でもって道路開発する。これは森林の開発にも役立ち、あるいは地下資源の開発にも役立つというようなことを目ざしてやっておるわけでありますから、一がいに予算の面から見れば、本州と同じではないかということも当らないのでありますが、しかし、なおまだまだこの特殊性を発揮するには十分でないと思いますので、私どもはその点については、日本の国全体の国土総合開発の面から見まして、北海道というものの重要性を考えておるのでありますから、機会あるごとにそういう方向に御理解を願いたいと思います。
  51. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 お話しの点は理解できるのであります。ただ、たとえば補助率の関係でありますとか、あるいは寒冷地に適応した建築様式であるとかいうことは、これは必ずしも北海道だけの問題ではない。東北地方においてもたぶんに共通面があるのじゃないか。従ってそういう点についてはむしろこのまま内外といいますか、北海道、内地共通の面がある。ほんとうに北海道の特殊性というものがはっきり見えないんですが、いろいろ御検討を願って別ワクでいく以上は、できる限り北海道の特殊性に即した事態が実現するようにお考えを願いたい。  それからいま一つ伺いたいのは、これも私十分知識がないのですが、最近非常にダム建設というものが各地で行われております。ことに今回特別会計で多目的のダムができる。電源開発その他に関連して相当その点に重点が置かれているわけです。それ自体はきわめて適切なことだと思います。ただそのダム建設というものと河川との関係ダムが相当でき上ってくれば、従来の河川改修等に必然的に関連性が出てくるのじゃないかと思うのですが、そういう点は予算面その他でどういうふうに考えておるか。それは別段関係ないのか。相当関係があって、そのことは河川改修の方の観点からも取り入れているのか、そういう点についての事情を一つお伺いしたい。
  52. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 説明員から答えさせます。
  53. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 説明員でけっこうです。
  54. 川村満雄

    説明員川村満雄君) ただいまの御質問にお答えいたしたいと思いますが、いろいろ河川計画につきましては、ダム砂防河川改修と一貫した水系計画をもちまして、改修計画を立てておる現状でございますので、ダムだけができるために下の方の河川改修計画に変更があるかという仰せでございますが、そういう点は十分にダム砂防河川改修とは連絡を十分にとっておりまして、ダム計画を、多目的ダムをやりましたために下流の方の流量が低減してくる。その低減した流量によりまして河道改修計画を立てて仕事をしております現状でございますから、不合理は全然ないような現状でございます。
  55. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 不合理はもちろんないわけで、おそらくお話のような考え方で、調整した計画が立てられ、実行されると思いますが、常識で考えますると、従来の河川改修のやり方といいますか、分量といいますか、それが軽減されると、言いかえればダムを作るということは、大きい意味での河川改修の大きな効果を出すのだというふうな点は相当あるのじゃないかと思いますけれども、それはどういうことなんでしょうか。
  56. 川村満雄

    説明員川村満雄君) お答えいたします。ただいま仰せのように、ダムによりまして非常に流量が低減されましたために、下流の河道改修が楽になりまして、非常に効果を上げておる現状でございます。
  57. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 先ほど砂防関係にお触れになりましたけれども、よく最近聞かされるのですが、果してそれが実際であるかどうか、私実態を知らないのですが、砂防関係ですね。砂防関係が全体の計画からいって、どうかするとウエートが比較的軽い。その結果ダムができるけれども、ダムとしての効率が年がたつにつれて非常に軽減されていくという批判を聞くのですが、実際はどうなのでしょうか。もしそうだとすれば非常に重要なことであって、相当ダムを作る場合における砂防計画というものを再検討して、相当の重点を置いていかなければならないという感じがするのですが、実際はどうなのでしょうか。
  58. 川村満雄

    説明員川村満雄君) お答えいたします。ダムの埋没することにつきまして、数年前から非常に問題になりましたのでありますが、実際の直轄の多目的ダムにつきましては、その点を十分に警戒しておりまして、関連のある砂防事業を推進しておりまして、ダムの埋没を少くするように努力しておりますから、そういう弊害の点はなくなっておる現状でございます。均衡したバランスをもって事業をやっておるような状況でございます。
  59. 千田正

    ○千田正君 大臣に一点だけ聞きます。今度の東北開発の法案のうちに、建設省関係としてただいまの中に入っておりますが、東北開発株式会社が今度引き受ける、従来の東北興業株式会社の改組であるということを理由にしておりますが、御承知通り東北興業株式会社というのは戦時中非常な赤字を出して、どうにも収拾がつかなくなった。その後における収支バランスもはなはだ残念ながら十分でないように見受けられるのですが、そういうマイナスの面は今後どうなるのか。改組によって今度の東北開発株式会社に今までの事業を一切吸収してやるのか。それとも切り離して、今までの赤字は赤字で解消して新たにスタートするのか、どっちなのですか。
  60. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 従来は実は東北興業株式会社所管建設省でございましたが、この国会中に今度の東北興業株式会社の改組案を出すに当って、内容が各省にまたがるものでありますので、むしろ建設省所管するよりも経済企画庁がこれを所管することが妥当だということで、政府におきましては今度所管経済企画庁に移したわけであります。従いまして、建設省所管ではありませんから、今の御質問については直接私の方で御答弁申し上げることがどうかと思いますけれども、今まで私は建設省に入りまして東北興業株式会社に接触し、また聴取したことから参考までに申し上げますと、戦後は相当赤字でありましたが、その後大分整理いたしまして、最近においては相当債務を返還し、立て直る状態に相なっておるという事情を私は認めております。ただ塩竈ドックのようなものにつきまして相当こげつきの債務が地方銀行にあります。こういうものが今後どういうふうに整理するかということでございます。今度の政府で出しました予算の中には、塩竈ドックを強化するために五億円ぐらい計上しておりますが、こういうようなことによってこれを積極的にこれらの赤字を解消し、そうして事業を遂行しようという計画のようであります。御承知の岩手県におけるセメント工業のごときは今年大体機械は据え付けられ、来年から事業開始になります。これは直営でやっておるようでありますが、大体今やっておる事業内容は、そう赤字になっておるというような内容でないと聞いておるのであります。
  61. 千田正

    ○千田正君 今大臣が、これは経済企画庁の所管であるとおっしゃったけれども、まだ決定しないじゃないですか。あなた方の方から出された予算説明内訳書には、建設省として予算説明がついてわれわれに配付されております。これはどういうことですか。
  62. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) これは、先ほど申しましたような事情で、経済企画庁の方に所管がえしてあるわけでございまして、従って、東北興業株式会社法等の質疑応答は、総合開発特別委員会の方でいたされておるわけであります。
  63. 千田正

    ○千田正君 それは衆議院においての話でありまして、ただいまわれわれ議運で、この問題はどちらへ一体審議をさせようか、あなた方の方へお願いしようか、参議院では、あなた方の方の与党側は、建設省所管にしてくれと、今問題を起してやっておるのであります。あなたの方でちゃんと建設省として内訳をわれわれに配付していて、われわれの方じゃないというのはおかしいじゃないのですか。
  64. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 東北興業株式会社の法律改正につきましては、現在参議院では商工委員会で御審議になっておられるわけでありますが、この案が成立いたしましたときには、所管経済企画庁に移ることになっております。
  65. 千田正

    ○千田正君 あなたは実態を知らぬですよ。今議運の理事会で問題にしているのだから……。まだ商工委員会にかけようなんて一つも言っていませんよ。参議院は建設委員会でやらせるか、商工委員会か、内閣かと今もんでいる最中だから、あなた方の方で断わるというなら問題ありませんよ。しかし、与党側は、ぜひ建設委員会にかけてくれと言っているんです。それは、政府と与党の間にちっとも連絡がとれてないという証拠だな。また内容だけ説明して下さい。
  66. 町田稔

    政府委員(町田稔君) ただいま申し上げました政府提案をいたしております改正案におきましては、これが成立いたしますと、現在建設省所管いたしておりますのが経済企画庁に移るように設置法の改正の条文がございまして、そういうふうになるわけでございます。なお、それまでは建設省所管でございますので、予算なんかも資料といたしましては建設省分の説明事項が中に入っておるわけであります。  会社の業務の状況でございますが、ただいま御指摘のございましたように、終戦後は大へん事業も縮小いたしましたし、投資をいたしておりました会社等もあるいは解散をいたしたり、事業が不振になりまして、非常に赤字を出しましたものも多くございまして、ただ終戦後東北興業株式会社におきましては、これらの会社をかなり整理をいたしまして、ごく直轄の事業等も二、三に限りまして、現在やっておりますのは、木友に亜炭を採掘いたしております。それから福島で石灰窒素とカーバイト等を製造いたしておりますが、幸いに直轄といたしまして残しましたこれらの事業は、三十一年度等におきましても多少の利益を上げておるという状況にございます。ただ、投資会社等におきましては、なお今後かなり会社におきましてめんどうを見てやりませんと、立ち直らないものもございますこれらにつきましては東北興業株式会社自体を今後なるべく健全に育てて行こう、余力ができましたら、これらの会社には整理の手を延べるというようにして行くべきものではないかと考えております。
  67. 千田正

    ○千田正君 そうしますと、今大臣、あなたがおっしゃったように、東北振興に関する少くともこの株式会社の所管は通産省ということですか。
  68. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 所管経済企画庁ということになります。
  69. 千田正

    ○千田正君 今度の東北振興三法の中で、建設省実施に当って引き受ける分野は何と何ですか。
  70. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 今後東北開発につきまして、建設省が担当いたします部門は、建設省所管の公共事業関係が中心になると思います。それからなお、国土総合開発法で特定地域等の指定をいたしまして、東北にも特定地域がございますが、これに関しましては、建設省も企画庁とともに所管を持っております。この部面から計画の推進等に当る役割を持っておるわけでございます。
  71. 千田正

    ○千田正君 そうしますと、従来の各県と同じように、建設省プロパーの仕事プラス東北振興とか、あるいは総合開発とかいう法律に基いた予算を別につけるというのですか。
  72. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 東北ばかりじゃなく、特定地域につきましては、東北につきましても他の地域と同様に特定地域の予算が別に計上されております。それによって東北の振興をはかって行くということであります。
  73. 千田正

    ○千田正君 いずれ、これは法案が出てくれば、三省との間にいろいろ審査することになりますから、そのときにお伺いいたしますが、とにかく、あなた方の方ではこういう内訳書をわれわれの方に配付しておったからお尋ねしたのですが、今参議院としましては、あなたの方へつけようか、内閣にするか、商工にするかという問題なんですよ。あなたの方で敬遠しておるとするならば、ほかにつけなければならないですが、その辺はどうですか。いやだというのをつけようというわけではないのですから。
  74. 町田稔

    政府委員(町田稔君) この点は、政府としてそういうふうにきめまして、政府提案の法律の中に所管のことも書いてございます。私個人として今申し上げるのはどうかと思います。
  75. 千田正

    ○千田正君 道路公団の方の問題でありますが、副総裁がお見えになっておられますのでお尋ねいたしますが、日本道路行政の一環として公団を作られて、その発展をわれわれも大いに祈ってやまないのでありますが、これのいろいろな収入調書等を拝見いたしますと、今までやっておることと、それからこれからやろうとするものは大体において観光地あるいは道路を利用するのに頻繁であって人口の稠密した所、あるいは道路を利用する面において非常に煩項な所を特に重点的に考えておやりになっておるようでありますが、道路公団の目的といたしましては、大体国で十分やれないところをやるのか、それとも十分やれない所は国の方でやるのであって、むしろ国の予算はようつけられない。しかしながら非常に国民が利用度の高いところをピックアップして道路公団がやるこういうのですか。どちらが道路公団の事業の主たる目的なのか。その辺をお伺いしたいと思います。
  76. 井尻芳郎

    参考人(井尻芳郎君) 私は井尻でございますが、御質問の点をお答え申し上げます。その前に、道路公団は昨年の四月十六日に発足いたしまして現在まで至っておりますが、各方面から非常に御指導、御支援をいただきまして、清々とその任務を遂行いたしております。この点につきましては、非常に各方面に感謝いたしておるのであります。この席上こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、その点につきまして、各方面の御支援を心からお礼を申し上げたいと思います。それから今後も御支援をいただかなければなりませんが、今のお話しにつきましては、御質問につきましては、これが観光ばかりを目的とするというようなことは考えておりません。ただし観光とそれからその地方の産業と非常に関係がありまするからして、主といたしまして全体のその産業開発に資するところ道路、そういうものもこれは第一にいたさなければならぬ。その点は一つお含みおきを願いたいと思います。  それから政府の金をいろいろ使わしていただいておりますのでありまするが、採算に合わないものとか、あるいはそういうものをやるとかやらないとかいうことは考えておりませんで、場合によりますれば、経済的な効果を考えまして、どうしてもやらなければならないというときには、政府当局に御相談申し上げて、そうしてやりたいと存じております、ただ、今申し上げました御質問の点でありまするが、一体根本はどこにおいてあるかというところのお話しでありまするが、私どもといたしましては、政府の方ではなかなか手が回りかねる、そうしてしかもやらなければならないもの、そういうものにつきまして、政府の金を私どもは使わしていただきますると同時に、民間の金をここに入れまして、そうして時間的により早くこれを完成いたしたい。そういう意味におきまして両方の資金をもちまして、重要と思いまするのは、私どもの方の道路公団といたしまして施行さしていただくものにつきましては、十分なるところの努力をいたします。こういうふうに考えております。
  77. 千田正

    ○千田正君 民間の資本もある程度導入しておりますから、一応それに対する利子その他を払わなくちゃならない、あるいは償還もしなければならないと思いますが、そういう方面に対処する方法としては、今の有料道路をある程度やらなければならない。ほとんど全部有料道路に切りかえようというお考えですか。それともどうなんです、予定は。全部が有料道路でありますか。
  78. 井尻芳郎

    参考人(井尻芳郎君) 公団といたしましての性質上、仕事をいたしまするものは有料道路に限る。こういうふうに考えております。
  79. 千田正

    ○千田正君 政府以外の金はどれくらい資本構成の中に導入しておられますか。
  80. 井尻芳郎

    参考人(井尻芳郎君) 現在におきましては、この三十一年度は五十億のワクをいただいております。それから三十二年度におきましては、それが六十億のワクをいただいております。これは政府保証のもとにおきまするところ道路公債の発行の限度でございます。
  81. 千田正

    ○千田正君 これは日本の銀行その他の金融だけですか。あるいは世界銀行その他からは全然借り入ればないのですか。
  82. 井尻芳郎

    参考人(井尻芳郎君) 現在におきましては国内だけでございます。ことに道路債は金融機関にお願いをいたしまして、全部滞りなく発行いたすべきものは消化いたしております。これは非常に幸いといたしております。
  83. 千田正

    ○千田正君 道路公団の料金収入の調書や何か拝見いたしますというと、やはり関東、関西方面が多いのですが、東北とか北海道とかいう方面にも将来そういう計画がおありなんですか。
  84. 井尻芳郎

    参考人(井尻芳郎君) ことに私どもといたしますれば、いわゆる公団といたしましても、東北の方面とか、あるいは北海道の方はこれは北海道開発の御関係もございましょうから、これといろいろな関連がございますからして、その方面のことは政府当局に御相談いたさなければなりません。また東北の方面につきましても十分に考えております。
  85. 千田正

    ○千田正君 一応私の質問は終りたいのですが、大臣もおらなくなったから、どなたがお答えいただくのかわかりませんが、この多目的ダムその他に対して、ダムを作るために水没する人たちに対する移転補償の問題、これがダムを作る際に必ず起きてきます。そうして、それがまたなかなか実行を遷延するその一つの理由にもなると思う。次官がちょうどおみえになっておりますから、次官からお答え願ってもよろしいのですが、今までの補償規程は非常に何といいますか、今の移転の人たちを満足1まあ満足といってもきりがありませんけれども、ある限界の程度が非常に低いのじゃないか。そういうために多目的ダム建設する際になかなかその移転がはかどらない。そういう点をわれわれはしょっちゅう見るのであります。そうしてまたわれわれが出張するたびに、そういう対象になった住民から移転補償に対する陳情を何回となく繰り返されて、聞けばなかなか無理もないところもあるし、また欲の皮の突っぱったところもあります。その調整上からいいましても、一応今までの基準は少し低いのじゃないか、これをある程度調整して改正する必要があるのじゃないかと思いますが、この点を一つお伺いしたいと思いますが。
  86. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) このダムの補償の問題につきましては、昔はただ補償金だけ渡せばいいというような思想でやっておりましたが、まあ最近になりますと、金を渡すということばかりではございませんで代替地を与えるとか、あるいは職業指導をするというふうにいたしまして、単に金を与えるということでなくて、将来ともこの生活がりっぱにやっていけるという方針を加味してやっておるわけでございます。  それからそのダムの補償の問題でございますけれども、これは一応各省間に基準がございまして、それによってやっておるわけでございますが、情勢がまあだんだん変るに従いまして、いろいろ研究いたしまして、その基準額をどうするかというようなことも研究してやっていきたい。まあ地方の被害を農民にだけしわ寄せをさせるというようなことはわれわれは絶対に避けたい。そういうふうにしているわけでございます。
  87. 千田正

    ○千田正君 この間多目的ダム審査する際に、まあ農民やなんかであれば将来開拓方面をやらせる、土地が十分でないときは林野庁から土地を払い下げてということを言うのですけれども、やはり農林省の中にもおのおのセクショナリズムもありまして、独立採算制をとっている林野庁あたりなかなかうんと言わない。それで適当なところへ適地を探そうと思ってもどうもうまくいかない。そういう点が相当ありますので、今度多目的ダムがようやく法案化して実行に移った場合に、これは関係官庁間にお互いにそれを十分に徹底するような方式を一応基準を掲げて、そうしてやっていただかなければ済まないのじゃないかと思いますので、この点特に要望しておきます。    〔副主査退席、主査着席〕
  88. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) ただいま千田さんのおっしゃったことは、まことにごもっともでありまして、われわれもそういう方針で基本計画を作るときには、ダムの補償の問題をよく調査し、そしてその代替地の問題、あるいは林野庁の林野を開放してもらうという問題等につきましては、基本方針を協議する際によく協議してやっていきたい、そういうふうに思います。
  89. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 二、三点お伺いしたいんですが、今多目的ダム関係で、先ほど御説明によると約十億円ふえたという話ですが、その十億円というふえた資金源ですね、これはどこでふえてるんですか。
  90. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 特別会計を作ります際に、従来は一般会計の直轄ダムにおきまして、電気事業者等事業者と一緒になって工事をやる受託事業としてやっておったのを、今度は特別会計で一元的に国がやるということに相なるわけでございます。それと今度は、従来地方団体から負担金をとっておりますわけでございますが、直轄事業でございますから、その事業内で負担金をとっておりましたのを、特別会計におきましてはあらかじめ低利資金で借りておきまして、特別会計が借入金をいたしまして、その分だけ事業として実施をよけいすることができるということに相なりまして、あとから地方団体から分担金として特別会計へ入れてもらう、こういう仕組みにいたしておりますので、九億六千ばかりの増の原因は、従来と比較いたします場合におきましては、地方団体の負担金に当る部分を、あらかじめ特別会計が別に低利資金として特別会計で借りていけるという分だけよけい事業をやれることになっております。それだけ事業量がふえ、ひいてはダム建設促進になると、こういう勘定で申し上げた次第でございます。
  91. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ちょっと私まだ理解ができないんですがね。今お話の地方の負担すべき分約十億分を借入金として特別会計に受け入れるという御説明ですけれども、従来は地方で負担すべき十億見当の金というものが一般会計においてあらかじめ何といいますか、立てかえといいますか、という形で事業には使っていたわけじゃないんですか。
  92. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 従来は直轄事業の負担金といたしまして、府県等が交付公債で今年度納めるということに相なっていたものでございます。
  93. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今年度納めますけれども、建設事業としましては、一般会計の負担においてその九億なり十億の需要額というものはまかなっていたんじゃないですか。
  94. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) その通りでございます。
  95. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうすると、特別会計にしたから十億分よけいに事業分量がふえるということは出てこないんじゃないでしょうか。
  96. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これも比較の問題でございますので、一つの仮定があるわけでございまして、同じ額がある年度とある年度一般会計につぐということにいたしました場合におきまして、一方の方におきましては一般会計直轄事業でやりますけれども、その額の中におきまして分担金が支払われるわけでございます。一方におきましては、それ以外に特別会計におきましては、その額を一般会計から特別会計に繰り入れまして、その同じ額か繰り入れました上に低利資金としてよけいあらかじめ借りるということになりますので、分担金に当る部分がそのある年度とある年度一般会計で見ておる額が同じである場合におきましては、それに加えてよけいに事業がやれる、こういう意味におきましての増でございまして、お説のように一つの仮定があるわけでございます。
  97. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 おそらくそうだろうと思います。その仮定というものは別にこれには特別会計に関連して確定しておるわけではないのです。従って一般会計が必ずその分だけプラスして出して、それがダムの数がふえるとかいう方向にいけば、なるほど全体としてプラスだということは言えるけれども、かりにダムの数を限定して考えると、どうもそれだけプラスされてくる余地というものはないような感じがするのです。これは多目的だけではなくて、例の農林省関係の特定土地の場合にも同じである。結局見方によりましては、一般会計の荷を軽くして、荷を軽くするという結果になるのであって、しきりにこれによって事業量を増してどうこういうことが言われておるのですけれども、私は今のお話の仮定というものがはっきり確立しておれば、これは大いにそれを主張されて宣伝されてもいいけれども、これが確立されておらない限りにおいては、一見そういう形はしておるけれども、実際はそうではないということになりはしないかと実は思うのでお尋ねしたのです。それからもしそういうことでいくとすれば、これは必ずしも多目的ダムだけに限らず、ほかの道路の場合におきましても、あるいは河川改修等におきましても、特別会計考えるということになるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  98. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) たしかにお話の通りでございまして、一つの仮定があって、わかりやすく実質上の比較として申し上げておるだけでございまして、ダム特別会計を作る一番の理由としては、むしろ従来二元的にやつておったものを、一元的に特別会計としてやることによって合理化をし、かつ経理の正確を期するということに主たる目的があると思います。従いまして、ただ一般会計の負担を軽くするというだけの意味においてならば、なかなかこの特別会計というものも、今日の特別会計のあり方として適当であったかどうかは疑問の点もございます。従いまして、この方式を一般の普通の公共事業に直ちに当てはめられるかどうかということにつきましては、お説の通りなお検討を要する問題であろうかと考える次第であります。
  99. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それからほかのことですが、大阪でも御承知のように非常な問題で、私は東京でもそういう現象が起っておると思うのでありますけれども、土地の沈下ですね、これに対して東京では災害に関連する高潮に対する対策が立てられておって、それに対する補助が計上されておるようですけれども、路面の、路面といいますか土地の沈下について何か建設省の方で検討されたり対策があるのでしょうか。
  100. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) ただいまの御質問でございますが、私ども河川局の仕事といたしましては、災害の関連の高潮対策といたしまして、東京、大阪、兵庫県の尼崎地区におきまして、地盤沈下で低くなったところに対してこれを高くいたしまして、そういう災害を防除するような対策を三十二年度予算として計上いたしております。
  101. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 災害に対する対策としてはお話のようなことがあると思うのです。大阪等における全体の沈下ですね、ちょっとこういう段階になるというと、大阪あたりでも簡単に手がつかない、全体の河川の水利の関係とかすべてから一つ計画をやりかえないというと防げないような感じがする。東京におきましても、江東地区あたりというか、川の向うあたりは沈下しつつあるような気がするのですけれども、今のところそれは建設省としては別段の施策がないと、こういう状況なんですね。
  102. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) この大阪地区、東京地区あるいは尼崎地区の地盤沈下の問題でございますけれども、これは一番の問題はやはり工業用水のくみ取りだと思うのであります。そこであそこら辺はデルタ地区でございまして、ずっと土地が河川のしりの方にたまったところでございまして、水をくみ上げることによりまして地盤が収縮する、それがために地盤が沈下するということでございまして、基本問題といたしましては、工業用水をくみ取らないということが一番の基本問題になると思います。それで終戦後しばらく大阪で工場がストップいたしまして、その際水のくみ上げが行われませんために沈下がとまったというような、こういう問題でいろいろ学説がございますが、一応今のところ工業用水のくみ上げということになっておりますので、これは政府といたしましては通産省あたりと連絡をとりまして、工業用水を持ってくる、それからまたくみ上げを禁止をするというような方向にだんだん持っていかなければならないと、そういうふうに思っております。
  103. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今度の予算に初めて下水道の施設が計上される。金額を拝見しますときわめて少ないのです。各地の下水道の問題というものは、これは積極的な建設事業という面からみれば日陰者みたいな立場にあるわけですけれども、いろいろの意味で私非常に重大な施策じゃないかと思うのです。初年度としては金額がわずかでやむを得ないと思うのですけれども、将来一つやはり全国的に主要都市における下水道の整備というようなことをやはり建設省として計画的にお立てになる必要がありはしないか、こういう施策をやはり早めにやらないというと、都市の膨張とか、いろいろな方が先行して、あとでは非常にやりづらくなると思う。そういうふうな点についてのお考えを一つ承わりたい。
  104. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) お説の通りでございまして、実は上下水道と一口に申しますが、これまでは上水の方の整備を急ぐというわけ合いでございまして、その陰に隠れまして下水道の発達がおくれたわけでございますが、上水もだんだんと整備されてきましたので、今後の重点といたしましては下水道の発展といいますか、下水道の整備にわれわれとしては力を尽したい、そういうように考えます。
  105. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 最後に私住宅のことでありますが、中高層といいますか、の建築に対して、それがまあ計画に入って、それで土地の関係とかいろいろの点から、これまでの日本住宅というものが若干中高層的な建築に移行していくということは常識的にも考えられるわけですね。もちろん住宅だけじゃなしに、店舗に活用するということも入っておるわけですが、しかしこの施策を国として取り上げていく以上は、相当やはりその基準といいますかね、考え方といいますか、そういうものも慎重に検討したその上でのプランでないというと、また中途半端になるような懸念がするのでありますが、中高層建造に対する一つの考え方ですね、これはどういうところに置いておられるのですか。
  106. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 中高層耐火建築物促進につきましては、ただいまお話がございましたようにいろいろ施策を講じておりまするが、特に今回は新らしい制度として住宅金融公庫法の改正を提案いたしまして、すでに御承知かと思いまするが、中高層耐火建築物に対する特別な融資の道を開くことといたしたのでございます。これは大体大都市の都心部、それから中都市では防火という重要な地帯というような所に重点的に三階以上の耐火建築物を建てることを促進するために融資をしようということでございまして、原則は三階以上の耐火建築物を建てるものに対しまして、その住宅部分が原則として半分、一むねのうち半分でありますものに対して、住宅部分とそれと同じ面積の店舗等の部分に対しまして建築費の七割五分というものを公庫から融資しよう、こういう構想でございます。で、お尋ねにございましたように、この運用はいろいろ具体的には慎重に検討しなければならぬ面もございます。で、私どもといたしましては、目下具体的な運用方針を公庫側といろいろ相談をいたしておるところでありまするが、運用の基本的な考え方といたしましては、新年度は四十八億これについて融資のワクが計上されておりまするが、これを合理的に適正に消化いたしますために、関係の地方公共団体の積極的な協力を求めるということが第一点でございます。  すなわち適当な場所に都市計画的な配慮も加えまして、この中高層耐火建築物が建ちまするように、関係の市なり府県の指導援助というものが相当必要なわけでございます。そういう意味において協力を求めたい。それから、これは当然と言えば当然でございまするが、公庫法の目的趣旨から考えまして、資金の融通を必要としない向きに金が流れるようなことにはならぬように、資金の融通を困難とする者に対しまして融通するということで、ある程度建設費あるいは住宅部分のこれを貸します場合には、家賃を規制するとかいうようなことを考えております。  それからこれも当然でありまするが、償還能力をやはり慎重に判定しなければならぬ。ことに住宅だけでなくいろいろな用途に使われる店舗、事務所等がございまするから、償還能力を慎重に考えていく。  それからその次に用途でございまするが、どんな用途にでも、店舗部分に使われるものに融資するというのは国の資金融資する上に不適当でございますから、用途につきましてもある程度の規制を加えて参りたい、こういうような方針を確立いたしまして、しかも積極的に中高層耐火建築物が建ちまするように努力をして参りたい、かように考えております。
  107. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 御説明の趣旨はよくわかるのでありますが、考え方によりますというと、何といいますかね、現実の施策としては非常に無理がいくと、三階以上として半分ですか、それが四階とか五階になってくればまた非常に事態が変ってくると思います。それから住宅といいますか、住居といいますか、そういう観点に非常に重点が、住宅公団なりあるいは政策目標住宅だということからくる制約が、今度は別の観点から見れば非常にそれが不合理な結果を出すということも考えられる。むしろ、まあ住宅の観点を加味するということはもちろんでしょうけれども、都市計画都市における建造物といいますかね、そういう観点からのもっと検討ということが必要じゃないか。現在東京にしても大阪にしても一面において非常に高いビルディングがどんどん建って、一面においては土地の利用の面からいえばきわめて不合理な平家がある。こういう一つの都市の姿、従って住宅の観点をあまり強く入れていくというと、そこからゆがんだみたいな、都市全体のプランからいえば悪いようになってくるのです。今お話のように五十億近い財政投融資が行われる。しかもその対象がいろいろ問題を包蔵しておるとすれば、やはりこういうのは若干規模を初めは小さくしても——テスト的なものもありましょう、小さくして、現実に一つ十年、二十年先を考えられてやっていくということが好ましいのでして、本年は財政投融資のワクは急にふえて住宅重点を置かれて、その結果多額の財政資金が投下され、その対象がいろいろ問題を将来残す問題だということでは災いを残すから、これは慎重に一つ建設省としてもお取扱いを願いたいということを希望として申し上げます。
  108. 柴田栄

    柴田栄君 簡単に二、三お伺いいたしたいと思いますが、第一番にこの治山治水事業に関しましては、治山治水緊急五カ年計画の基本にのっとると、かように御説明になっておりますが、この緊急五カ年計画というものは、さきに二十八年度内閣で確定いたしました治山治水の基本対策要綱で、建設省等から御数字を出していただいて決定せられました計画に照応しまして、どういう程度を緊急としてお取り上げになっているわけでしょうか。
  109. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 実は私どもの方の治山治水関係事業でございますが、これは根本的にはただいま柴田先生からお話がありましたように、二十八年の内閣できめました治山治水の基本対策、これは治山治水を入れまして事業費として約一兆八千億の数字になっておる根本的な対策でございますが、これは何と申しましても相当膨大な予算なり事業費を要しますので、毎年毎年の事業予算の問題としましては、私どもこれを基礎といたしまして、その中で治山治水基本対策の考え方といたしましては、大体十カ年間にこの一兆八千億の事業をやるという考え方をとっておるのでありますが、なかなかこう申しましてもそう簡単にも参りませんから、この中から河川海岸ダム砂防等を選びまして、特に緊急を要する河川というものを各種類別に選びまして、それを五カ年間にやるという計画を立てております。で、この私どもの治水緊急五カ年対策と申しますのは、それと大体同時に立てられました、企画庁の方で立てられました経済五カ年計画という根本方針に歩調を合わせまして、治山治水の分としてもこの経済安定五カ年計画に歩調を合わして計上してあるわけであります。特にこの治山の点につきましては、農林省で行なっておりまする治山の関係もございますから、そういう点とは十分連絡をとった上で五カ年計画として策定しておるわけであります。
  110. 柴田栄

    柴田栄君 規模は大体どれくらいになるわけですか、概略でけっこうでございますよ。
  111. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 治山治水五カ年計画事業費で申しますと、五カ年間で約三千二百億、国費にいたしますと二千六百億、こういう数字になっております。
  112. 柴田栄

    柴田栄君 そうしますと、たとえば各主要河川、あるいは特殊河川、重要中小河川等で継続的にお仕事を進めていただいておると思うのですが、これについては相当効果をお考えになって、徹底的に緊急度に応じてセレクトされておるというふうに考えて差しつかえないのですか。
  113. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 御説の通りでございます。
  114. 柴田栄

    柴田栄君 そういたしますと、各河川につきましては、改修その他が従来のごとくまあ先ほど林田先生あたりからも三十年だ六十年だという長い期間をだらだらとやって参ったらなかなか効果が上らないのじゃないか、またその間に危険が出てくるというお話があったのですが、緊急とすればまず問題が解決されなければならないと思うのですが、それぞれについて着手していただいておる緊急河川では、最長どのくらいで一応上から下まで統一されて計画が完了できるお見込みですか。
  115. 川村満雄

    説明員川村満雄君) お答えいたします。たとえば利根川を例にとってみますれば、総事業費でいきますと、三十二年度事業費で割りますと、大体最後の竣工までには、先ほど林田先生からお話がありましたように三十年くらいかかりますが、そのうち利根川としまして、緊急的に大体計画高水流量で申しますと、河道の中は一万四千立方メートル毎秒の河道改修計画でありますが、それに対しまして緊急五カ年計画にとりましたのは、一応河道計画としては流量を毎秒一万立方メートルにして全川を同じ程度にしていきたいと、こういうように思いまして、その点が大体われわれのところでできますれば、現状ではその計画予算関係上約十年近くかかるのじゃないかと、こういうように考えております。
  116. 柴田栄

    柴田栄君 大体御計画の御趣旨は了承いたしますが、全体計画を推し進める場合に、ややもすると全体を整備したいというお考え方から、一部の部面に非常に手厚くやられて、河川全体が緊急に統一されないというために、せっかく工事をたとえば上流で全体計画をお進めいただいても、下流までその方針が及ぶのに時間がかかり過ぎるということのために、洪水時において流水をどっかで阻害するというようなために、かえって途中で災害をよけい激発するというような事例がしばしば見られたと、こう思っているのですが、それらの点については特に緊急五カ年計画ということでお進めをいただいておるとすれば、従来の総花ではなく、一川々々について効果を特にお取り上げいただいて、誤まりないように工事施行を願いたい、かように希望を申し上げます。  なお続いてこの多目的ダムの特別施行によってさらに手おくれを取り戻していきたいというお考え、非常にけっこうだと、こう思っております。ややもするとこの多目的ダム、あるいは電源、灌漑等それぞれにも関連いたしますが、ダム建設に当りましては、ダム建設によって受ける利益、利用という面についてのみ強く計画が押し進められて、ダム建設することによって犠牲をこうむる地域、すなわち集水区域に対する並行した何といいますか、再建計画というものが非常に置き去りにされているという点が多いような気がいたします。そういうことが十分に計画されてないために、実際に建設に当面いたしまして、いろいろなトラブルが多く起り過ぎる、そのことがかえってこの建設事業をむやみにおくらせるという事態を生ずる。この計画自体としても、私はまあそういう点が不十分だと考えておりますが、この特別会計による特定の多目的ダム建設計画に当っての建設省、担当省としてのお心がまえを一つ十分に承わっておきたいと思います。
  117. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) ただいま柴田委員から仰せのありましたその被害区域に対する現状といいますか、それは非常に大事なことでございまして、先ほどからのこの委員さんの中からいろいろそういう問題が起きましたけれども、昔は金で解決すればよかったというような時代もございましたが、今後そういうことはできませんので、やはり被害を受けた方の生業を安泰にするというようなことも考えなければなりません。それがためには代替地の問題とか、あるいは国有林野の特別払い下げの問題とか、いろんな問題がありまして、被害を受けました方が今後も十分に生活のできるような方途を講じたいというふうにわれわれは思っております。それにつきましては、この基本計画を作りますときに各省協議をいたしまして、その利益を受ける方の計画を十分にするということは、これは当然でございますが、その被害者の方をどういうふうに救済するということも十分研究をいたしまして、それで万遺漏のないようにやっていきたい、そういうふうに思います。
  118. 柴田栄

    柴田栄君 御計画に対しては十分了承いたしまするが、ややもいたしますと、お話の通り一片の金で補償すればというような考え方が従来多かったような気がいたしますが、これは特に一時に現金をもって補償されるということは、上流地域の人たちが不当な金を要求するという面と、一時に法外な金をつかんでかえって直ちに生活の基盤を失うというような事例が非常にたくさんあるわけでございまして、あくまでも総合計画としては生業を維持し、下流が受ける利益とほとんど並行してダム建設されることによって将来安定して生業ができるということのために、総合計画ダム建設計画樹立に当って各省関係、いろいろ御関係がございますれば、十分お打ち合せの上で樹立していただきまするように特段のお願いを申し上げておきます。  それからこれは簡単な問題でございますが、道路に関連いたしまして、主要幹線道路の補修の問題、先ほど十カ年をもって順次舗装を完了したいというようなお話もございましたが、先ほど千田委員もお話になりましたが、私ども東北を歩いてみますと、雪解け時期、特に先ほども具体的な話が出ましたが、岩手県の幹線国道というものは、名前は国道かもしれませんが、どろ田とさえいいたいくらいで、人間の歩行も困難なのが国道だというふうに、極端にいえば放置されているという気がいたしますが、今日まあ経済発展しまして、貨物、人等が非常に交通が輻湊する、とりわけ貨物の滞貨は未曾有だということで、ひいては国鉄の補強、増強等から運賃値上げ案という問題にも参りまして、交通運輸全体が総合的に十分な計画が立てられていないのじゃないかというような声さへあるくらいですから、幹線道路の一部分がどろ田になっておりまして、ほとんど使えないというふうになると、近距離のものでさえ国鉄に依存しなければならぬ、こういう場合は十カ年でまあ舗装その他補修を完了するというその点について、順序はどんなふうにお考えになっているか、一つはっきりと承わっておきたいと思います。
  119. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) お話のように、一級国道におきましても維持が十分でなくて、雪解け等には通行できないような状態にあることは承知いたしているわけでございます。この一級国道は国の大幹線の道路でありますので、これは年中通行が可能なように維持すべきでございますが、現在維持されておりますのは、おのおの道路管理者の責任になっておりまして、県ごとに県知事がその道路の管理をいたし維持をいたしているわけでございます。従いまして、県の事情によりまして統一的な維持ができませんので、実は一級国道につきましては国が維持すべきものと考え、この十カ年計画にはそういう筋で計画を立てたいと思っているわけでございますが、そのようにいたしませんと、一級国道の維持が保たないと考えております。また改良の順位はどういう順位で改修を進めていくか、十カ年計画にいたしましても、最初の年にやるのと十年目にやるのと間はございますが、この順位につきましては、交通の需要量に応じまして、一定の計画に基いて実施していくという考え方にいたしているわけでございます。一級国道におきましては、やはり東京・大阪・下関というようなものがまず取り上げられ、その次に北九州の道路でありますとか、あるいは東京から仙台、青森に行きます道路、こういった道路の重要性に応じまして順位をつけ、それぞれの地点から改良を進めていく考えでいるわけでございますか、根本的には交通需要の量に応じまして順序を定めていきたいと思っております。
  120. 柴田栄

    柴田栄君 お話の総括的な態度はそれでいいと思っておりますが、交通量によって順位をきめていくんだということになりますと、まあほとんど完全に使えなくなるというようなところでも、交通量が少いということであと回しになるということであれば、縦貫される国道というものの役を果さないというような場合も出てくると思いますが、そういう場合に対しても、やはり総体の輸送量の順位でおやりになるというお考えでございますか。
  121. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) そのほかに、きわめて維持が困難で交通ができなくなるという状態はこれは捨てておけませんので、そうした所は早急に着手するようにいたしたいと考えております。
  122. 柴田栄

    柴田栄君 現実の問題として、私も数回歩いてみたのですが、岩手県の県北地域のあのロームですか、火山灰のような地質の全くひどいところ国道が開さくされておることは局長も御存じだと思うのです。あそこへ毎年割栗をわずかばかり入れて、乾燥するのを待っておって、そのまま極端にいえば、ごまかしているのです。毎年あそこは雪解けには、一時トラック輸送をとめるのだということは、お話しのごとく縦貫される一級の国道としては全然機能を発揮しないのだということになると思います。こういう所を、しかもあんな地質の所を通らなければならぬという事実であったか。現実においてほとんど今のままでは処置がつかないというようなものを国道として、しかも輸送量によって順位をきめるのだということになりますと、全く国道としての役をなさないのだという気がするのですが、そういう部分については何か特別順位を繰り上げてでも、一応の目的を達するのだというお考えはございませんか。
  123. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) お話しの盛岡から青森までの、この部分は非常に地質が悪い所がございまして、ことに雪解けのときに、交通が不可能になる事態が毎年起っております。盛岡から北につきましては、年々直轄で改良を進めておりますけれども、思うような進度が出ていないような現状でございますが、われわれといたしましても、東北におきましては、あの区域を重点的に考えておりまして、改装を進めたい考えでございます。ただ改装がすっかり終りませんと、目的が達せられませんので、やはり一級国道は直轄で管理するというような考え方をもっていかなければなるまいかと考えておるのでございますが、お話しの地点につきましては、以上のような考え方で進めておるわけでございます。
  124. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) ただいま柴田さんからお話しがありまして、富樫局長からお話しがありましたが、交通量でやるというようなことを先ほど申し上げましたが、それも一つの方法でございます。しかしこれは国道網としてやはり完備しなければなりませんから、ただ柴田さんの申されましたように、交通量は割合少いけれども、非常に地質が悪くて交通が途絶するというような点、あらゆる面を考えまして、国道網として整備したいと考えております。
  125. 仲原善一

    ○仲原善一君 時間があまりないようですから、簡単に一、二点お伺いしてみたいと思います。  その一つは失業対策の問題と建設省事業との問題の関連でございますが、と申しますのは、膨大な予算があるわけでございまして、事業量も相当の事業量になると思います。従って労務者を事業に関連して雇れわる場合がずいぶんあるわけでございますが、多くは土建業者の請負等の形で事業施工されて、土建業者の確保している労務者がだいぶ使われると思いますけれでも、完全雇用というような立場をうたっている政府のことでもありまするし、日雇い労務者の方の労務をこの建設省関係事業に投入するような、そういう措置が何か講じられるかどうか。そういうことをお考えになっておるかどうかということをお伺いいたします。
  126. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 建設省関係道路を中心として、その他の事業もございますが、特別失業対策事業労働省予算計上いたしておりまする特別失業対策の移しかえによりまして実施しておるものと、それから建設省予算計上いたしまして、これは主として道路でございますが、失業対策の目的を達しておりまする臨時就労対策事業、両方がございます。この両失業対策事業予算計上省は違っておりますけれども、建設省といたしまして臨時就労対策事業におきまして七十四億、それから特別失業対策事業におきまして二十八億八千万、これを実施いたしておりまして、その多くのものは府県公共団体が実施する事業主体としてやる場合が多うございますが、中にはやはり建設省が直接、直轄事業でこれらの失業対策に当っておるわけであります。直轄事業建設省がやります場合におきましては、いわゆる職業安定所の窓口から紹介されるところの特別適格者と申します、まあ失業者だけれども、相当高度の労働力を持った屈強の者を窓口からの紹介によりまして、公共事業に雇い入れまして、失業対策に貢献する、かようにやっておる次第であります。
  127. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は具体的な地域的な問題になりますけれども、河川の問題で特に山陰であるとか、北陸方面の秋から冬にかけて西北の風の非常に強い地帯に漂砂の問題がありまして、河口が詰まる問題があります。いろいろな研究はやっておいでになるようでございますけれども、なかなか実績が上っておらぬようでありまして、特に洪水なんかの場合には河口に砂がたまってしまうのと合せて非常な災害が起る実例がたくさんございますが、予算の中でそういう漂砂に関する研究なり、あるいはそういう実際問題としての対策というようなことはお考えになっておるかどうか、お伺いいたします。
  128. 川村満雄

    説明員川村満雄君) ただいまの御質問に対してお答えいたします。具体的に申し上げますと、東北の方でございますが、直轄河川に岩木川という川がございますが、その河口については、導流堤の関係でいろいろ調査しながら処置をしております。それから新潟の問題でございますが、これにつきましては、いろいろ運輸省の港湾局とあわせましていろいろ研究し、海岸の問題とあわせて研究しております。それからそのほかに皆生海岸というのがあって、これについて漂砂については、例の原子力の関係でいろいろその点研究しながら処置をしておる現状でございます。
  129. 内村清次

    主査内村清次君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、建設省関係予算質疑はこれにて終了することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 内村清次

    主査内村清次君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それでは二時まで休憩をいたします。    午後零時五十八分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  131. 内村清次

    主査内村清次君) ただいまから第三分科会を再開いたします。  まず、運輸省関係予算について、その概要説明を願います。
  132. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 昭和三十二年度運輸省予算について御説明申し上ります。  まず、歳入予算でありますが、昭和三十二年度運輸省主管歳入予算総額は、十三億三千二十六万四千円でありまして、前年度予算額六億三千七百八十六万二千円に比較いたしますと、六億九千二百四十万二千円の増加となっております。このなおも理由は、三十二年度におきましては、日本国有鉄道に対する政府貸付金の一部償還を見込み、六億五千二百三十六万三千円を計上したことによるのであります。  次に、歳出予算について御説明いたします、三十二年度の運輸省所管一般会計歳出予算総額は、二百五十三億三千六百二十一万二千円でありまして、これを前年度予算額二百四十四億四千百五十四万五千円に比較いたしますと、八億九千四百六十六万七千円の増加となっております。この他、他省所管予算として計上されておりますもので、当省に関係あるものといたしまして、北海道港湾事業北海道空港整備事業費等三十億二千五百六十三万九千円がございます。  以下歳出予算のおもな点につき、御説明申し上げたいと存じます。  まず、国際収支の改善を目的とした施策に関連した経費でございますが、第一に、国際観光事業の振興に必要な経費として、一億五千万円を計上しております。これは前年度予算額に比べ、七千万円の増額となっておりますが、海外からの観光客は年々増加の傾向にある現状より見まして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることがきわめて必要と考えられますので、三十二年度においては、財団法人国際観光協会に対する補助金を大幅に増額するとともに、観光事業振興に必要な諸調査を実施し、もってわが国国際観光事業の飛躍的進展をはかろうとするものであります。  第二は、国際航空事業に対する助成措置でありますが、これに要する経費といたしましては、大蔵省所管産業投資特別会計中に、前年度と同額の十億円が計上されております。国際航空事業の振興については、各国とも積極的助成策をとっているのにかんがみ、日本航空株式会社に対し、昭和二十八年度以来四カ年にわたって、四十億円の政府出資をなしてきたのでございますが、さらに健全な発展をはかるため、三十二年度においても、十億円の政府出資をいたしたいと考えているのでございます。  なお、日本航空株式会社に対する補助金は、同社の営業状態の改善にかんがみ、三十二年度は、これを打ち切る方針でございますが、同社に対する融資の円滑化をはかるため、社債の政府保証は、三十二年度も行いたいと存じます。  第三に、船舶車両等の輸出振興に必要な経費でありますが、これは、船舶、舶用機関、車両及びこれらの部品等の輸出の増進をはかるため、関係団体の行う海外市場の開拓、維持のための諸施策に要する経費の一部を、補助しようとするものでありまして、通産省所管の貿易振興費の中に含まれて計上されております。  以上は、国際収支の改善に関する経費でございますが、これに関連いたしまして、外航船舶建造融資利子補給につきまして、一言御説明いたしたいと存じます。御承知のように、目下のところ海運界は、好況に恵まれ、海運会社の経理内容は好転いたしております。従って、第十三次計画造船につきましては、利子補給を行わないこととするほか、第十二次船以前分の利子補給についても、円満に辞退していただくことといたしました。しかしながら、海運の国際競争力保持は、きわめて重要な問題でございますので、将来、もし海運界が不況に陥るような際にはまた利子補給を行うようにいたしたいと存じております。また、わが国の経済規模の拡大に即応し、貿易の振興と国際収支の均衡をはかるためには、引き続き、積極的に外航船腹の拡充をはかることが必要と考えられますので、計画造船のための日本開発銀行よりの融資につきましては、これを重点的に拡充し、百八十億円をこれに充てることとし、さらに同銀行の「その他」のワクより二十億円を加え、合計二百億円の資金をもって、約四十万トンの建造を遂行いたしたいと考えております。  次に、輸送力整備に関する経費について申し上げますと、第四に、港湾の整備に要する経費として、運輸省所管に八十六億三千五百九十六万五千円を計上いたしておりますが、このほか、総理府所管北海道港湾事業費十一億六千六百五十万円が計上されており、また、労働省所管特別失業対策事業費補助のうち、四億五千七百万円が港湾事業に充てられることとされております。従いまして、三十二年度の港湾整備のための経費は、総額百二億五千九百四十六万五千円となり、前年度に比べ約二十七億円の増加となっております。港湾整備事業内容といたしまては、外国貿易港、工業原材料の輸送、特に石油輸入に関係のある港湾、地方中小港湾、離島、僻地の港湾及び避難港の整備海岸保全事業、港湾災害復旧事業等がおもなものでございます。  第五に、離島航路整備補助に必要な経費として五千五十四万三千円を計上しておりますが、これは離島航路整備法に基きまして、民生の安定と向上をはかるため、国が特に維持を必要と認める離島航路事業に航路補助金を交付するに要する経費及び離島航路用船舶の建造または改造資金融資に対し、利子補給を行うための経費であります。なお、三十二年度において締結する新規の利子補給契約の限度額は二千万円といたしたいと考えております。  第六に、地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として、二千五十二万円を計上いたしておりますが、これは地方鉄道軌道整備法によりまして、天然資源の開発等のため特に重要な新線及びその運輸が継続されなければ、国民生活に著しい障害を生ずるおそれのある老朽線に対し、補助金を交付するために必要な経費であります。第七に、高速自動車道整備計画樹立のための調査に要する経費として五百万一千円を計上いたしておりますが、高速自動車道の建設は、多額の経費を要するものであり、かつ陸上輸送体系の根本的革新をもたらすものでありまして、その整備計画の樹立に当っては、十分な調査を行わなければならないと考えられますので、三十二年度においては、高速自動車道に関する経済調査を、東京—神戸間について実施しようとするものであります。  第八に、空港整備事業に必要な経費として、運輸省所管に六億一千二万円を計上いたしておりますが、このほか、総理府所管北海道空港整備事業費一億二百五十万四千円が計上されております。従いまして空港整備のための経費は、総額七億一千二百五十二万四千円となり、前年度に比べ、約五億五千万円の増加となっております。  三十二年度事業といたしましては、東京国際空港に関しては、昭和三十五年度よりのジェット輸送機の就航に即応するため、一万フィート滑走路の新設工事に着手することとし、ローカル空港に関しては、三十一年度に着工した稚内、高松、大村、熊本、鹿児島の五空港の整備をさらに進めるとともに、釧路、函館、広島、松山、高知の五空港を新規に着工いたしたいと考えております。  次に、交通安全確保と災害防止に関する経費について申し上げますと、第九に、自動車検査施設の整備に要する経費として、四千二十八万三千円を計上いたしております。これは最近における自動車数の激増に対処するため、所要の地に車検場を新設するとともに、既設車検場における検査の合理化、能率化をはかるため、機械、器具等を充足整備するに必要な経費であります。  第十に、海上保安態勢の整備に要する経費として、七億四千八百四十五万三千円を計上いたしておりますが、これは海難救助、海上犯罪の捜査の態勢を強化するため、巡視船艇、航空機及び諸施設等を整備するとともに、海上航行の、安全と能率化をはかるため、水路業務、燈台業務を強化するに要する経費でありまして、このうちおもなものは、巡視船艇の代替建造に要する濫費二億三千二百七十五万八千円、航空機の増強に要する経費二千五百九十三万三千円、航路標識の整備に要する濫費四億二千八百六十六万六千円等であります。  第十一に、気象業務の整備に要する経費といたしまして、三億六百十二万四千円を計上いたしておりますが、これは、気象観測、通信、予報の態勢を独化し、もってその的確化と迅速化をはかり、災害の防止、産業発展、国民副利の増進に資するため、施設の整備等をはかりますのに必要な経費でありまして、そのおもな内容は、無線模写放送の実施に要する経費五千三百三二八万三千円、水理水害気象業務の整備に要する経費一億二千二百八十五万七千円、測候所新設に要する経費一千四十七万円等であります。  なお、このほか、数値予報の実施に必要な電子計算機の借入契約をあらかじめ締結するため、国庫債務負担行為一億円を計上いたしております。次に、第十二といたしまして、科学技術の振興に要する経費一億四千四百六十五万八千円を計上しておりますが、これは運輸関係の科学技術の向上、振興をはかるために必要な経費でありまして、運輸技術研究所及び気象研究所の整備に要する経費、原子力の利用に必要な経費並びに民間の科学研究を促進、奨励するための科学研究補助金守がその内容であります。  第十三に、船員教育の充実に必要な経費として一億五千八百三十四万一千円を計上いたしておりますが、これは船員教育の重要性にかんがみ、その充実をはからんとするものでありまして、その内容は、海技専門学院、航海訓練所及び海員学校における施設の整備等をはかるに要する経費並びに小型船舶職員の養成に対する補助金であります。  以上が、昭和三十二年度の運輸省予算概要でございますが、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に、昭和三十二年度日本国有鉄道予算概要について御説明申し上げます。  来年度予算編成に当りまして、まず収入につきましては、今年度経済情勢がそのまま来年度も持続するものと想定いたしまして相当の増収を予定し、一方支出におきましては、避けられない経費増加もありますが、極力経営の合理化に努めることといたしております。最近の国内経済の活況を反映いたしまして、国鉄に対する輸送需要は急激に増加し、これに対応いたします輸送力はその限界に達しており、一方累積する老朽施設の取りかえを行い、輸送の安全を期しますことは、これまた遷延を許さないまでになっております、しかしながら、これらに要します資金は莫大なものがありまして、とうてい従来の運賃率ではまかないきれないものでありますので、極力外部資金を調達いたしますほかに、最小限度の運賃改訂を行うことによりまして収支の均衡丘はることにいたしたわけであります。  次に、収入、支出予算について、損益、資本、工事の各勘定別に御説明申  まず損益勘定の収入について申し上げますと、旅客輸送人員は対前年度増一一%四十五億六百万人、人キロでは一千三十九億一千万人キロといたし、旅客収入一千七百三十六億円を見込み、また貨物輸送トン数は対前年度増一〇、七%で一億八千七百万トンといたし、貨物収入一千五百五十七億円を見込んでおります、これら旅客、貨物輸送に要します列車キロは四億二千万キロで対前年度一一%の増加となっております。以上の旅客、貨物収入のほか、雑収入等を合せまして三千三百八十二億円の収入を見込んでおります。  次に、経営費について見ますと、人件費につきましては、昭和三十二年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに期末手当一、五カ月分、奨励手当半カ月分、休職者給与等を見込んでおりまして給与の額は一千百八億円となっております。  また物件費関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として、二百九十五億円、修繕費として四百九十二億円、その他、業務費等あわせまして経営費総額二千三百八十七億円であります。以上の諸経費のほかに、資本勘定への繰り入れ八百二十八億円、利子百三十七億円、予備費三十億円をあわせまして損益勘定の支出合計は三千三百八十二億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げますし先ほど申し上げました損益勘定より受け入れます八百二十八億円、資金運用部よりの借入金八十億円、鉄道債券の発行による二百三十五億円、不用資産等売却による四億円、合計一千百四十七億円を収入として計上いたし、このうち一千六十九億円を工事勘定に繰り入れることにしております。このほか借入金等償還七十五億円は、資金運用部よりの借入金の年賦償還額並びに既発行の鉄道債券の一部償還金及び政府会計よりの借入金の一部償還金であり、出資としての三億円は、帝都高速度交通営団の増資に伴うものであります。  次に、工事勘定について申し上げます、輸送力増強を主たる目的とする国鉄五カ年計画の初年度といたしまして、総額において前年比四百八十五億円の増加となっております。  まず新線建設費についてでありますが、前年に引き続き、さらに十五億円を増額し七十億円を計上いたしております。  電化設備費につきましては、現在施行中の山陽本線、東北線、北陸線の電化工事を引き続いて行うため、六十一億八千万円を計上いたしておりますほか、これに伴う電気機関車八十三両、電車九十七両、その他の工事費等合計百二十三億円を計上しております。  また、通勤輸送の緩和対策として東京付近五十三億円、大阪付近十三億円、電車増備二百八十三両、四十四億円合計百十一億円を計上しております。以上のほか幹線輸送強化対策、車両増備諸施設等の取かえ工事、総掛り費等を含めまして支出の合計は一千六十九億円となっております。これらに要します財源としましては、さきに資本勘定の御説明の際申し上げました通り、資本勘定より一千六十九億円を受け入れてこれに充てることにいたしております。  なお、以上の諸計画実施に要しまでありまして給与の総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千三百二十四億円を計上いたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入を上げ、工事計画を完遂するには、格段の努力が必要であらうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済発展に資するよう指導監督をいたして参りたい所存でございます。  以上昭和三十二年日本国有鉄道予算の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
  133. 内村清次

    主査内村清次君) これより質疑をしていただくわけでございますが、議事の整理上、最初に鉄道関係を除いた運輸省一般会計予算につきまして質疑をしていただき、最後に鉄道関係について質疑をしていただくように運営を行いたいと存じます。では順次御発言を願います。
  134. 千田正

    ○千田正君 最近航空事業が非常に発達して参りましたが、終戦後国際線はおもに外国人。パイロットによってほとんど占められておったんですけれども、日本のパイロットが相当勉強してようやくやっていけるようになった。ところが、今度はジェット機のような科学的な新しいまた航空機が現われてくる、なかなか追っついていけない。一体いつになったならば、日本独特の技術者によって、また操縦者によって日本の航空事業日本の自主的な立場でやってゆける日がいつになったら来るかということを考えると、非常に遠いような感じをいたすんですが、今度の予算のうちでも、そうした日本人の将来パイロットあるいは航空技術に関する技術者の養成という面におきまして、運輸省の予算はこれじゃ少いんじゃないでしょうか。
  135. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) ただいまの外国パイロットは、今の計画ですと二十九人か三十人おりますが、三十六年反で一応日本人に全部転換することになっております。ところが、今お話しのように三十六年からですか、ジェット機が参りますと、このジェット機の操縦士はまた別に外人によらなければならない、こういうようなことになっております。それから操縦士は補助金は今年度から打ち切ることにしましたが、航空大学の方面に一つ三十三年度から増員をいたす予定で、それによってつまり補充の道を開いてゆこう、ただいまのところは、そういう程度になっております。
  136. 千田正

    ○千田正君 国際観光費とそれから今の航空に関する予算の面の調整はどういうふうになっておりますか、全然観光費とは関係なく航空事業は航空事業と、切り離して予算には盛っておるわけでありますか。
  137. 林坦

    政府委員(林坦君) お答え申し上げます。観光の関係につきましても、航空とは密接な関連をもちまして、ともに観光の計画の中に飛行場の整備でありますとか、あるいは国内の各飛行機の取得の計画とかいうようなことも、今打ち合せをなしつつ予算を組んでおります。
  138. 千田正

    ○千田正君 防衛費との関係はどうですか。基地、たとえば東京空港などは一応かつては駐留軍の管理下において、相当その点において競合する点があったわけですが、現在の状況はどういうふうになっておりますか。
  139. 林坦

    政府委員(林坦君) 現在羽田の東京国際空港のごときは、今民間の方に返還を受けて、民間航空の予算をもって整備をいたしております。ただ、現在全国にございます各飛行場のうちで、まだ相当数米軍の接収中の飛行場を民間航空に使うということもやっております、これらの飛行場につきましては、その整備は民間航空側の予算では整備いたしておりません。それを使わしてもらっておる、共同に使用しておるとこういう関係でございます。それから自衛隊の飛行場につきましても、現実に自衛隊のそのおもなる滑走路その他についても、自衛隊の予算整備しておって、そのためにそこをたまたま民航に使うというような場合には、それも民航の地域を設けるなり、あるいは民航の施設をその中に設けるなりして、これはあわせて使用しておる、こういう状態でございます。
  140. 千田正

    ○千田正君 三十二年度において、新規の航空機を購入する予定としましては、どれだけあるのですか。
  141. 林坦

    政府委員(林坦君) 海上保安庁のもの、その他を除きまして、民間航空の航空機の取得につきましては、日本航空の新規の飛行機をただいま発注いたしておりますのが、BC7Cという型の飛行機を本年度末から四機取得することになっております。それから三十五年末から三十六年にかけまして、BC8というただいま説明のございましたジェット航空機を四機購入することになっております、それらを購入する資金につきましては合計して約百五十億円ほどの資金が要るわけであります。これにつきましては、現在借入金等によってまかなうべき手配がついておりまして、これの将来の償還、その他の関係で、日本航空の資本金をだんだん増加し、またその払込の支払の一部に充てる等のために十五億円の社債を発行する、こういう計画がございます。それで来年度予算の中には日航の増資に関連して新規政府出資分といたしまして十億円、及びこれは債務の保証の面でございますけれども、十五億円ほどの社債の保証を計上してございます。
  142. 千田正

    ○千田正君 二十九年、三十年におけるところのこの航空事業の収支のバランスはどういうふうになっておりますか。
  143. 林坦

    政府委員(林坦君) ちょっと概略をもって……。
  144. 千田正

    ○千田正君 概略でいい、黒字になっているか赤字になっているか。
  145. 林坦

    政府委員(林坦君) 大体、日本航空の収支は昭和三十年度末におきまして十四億の赤字になっております。繰越欠損になっております。それが三十一年度の上期におきましてたしか四億三千万円程度の、その年度における黒を出しまして、大体本年度、三十一年度下期におきましては約九億円の繰り越しの黒をもって下期に入る、この下期における決算がまだ出ておりませんが、これが大体この下期が二億円以上の黒が出るのじゃないかと現在見込んでおりますので、償却等の不足分をどういうふうに措置いたしますか、それらを考えまして、まあその半数程度ぐらいまで補助金等も入れまして消すことになるのじゃないかと考えるのであります。
  146. 千田正

    ○千田正君 国内の航空に対してはどういう計画を持っているのですか。
  147. 林坦

    政府委員(林坦君) 国内の航空につきましては、現在、日本航空がいわゆる幹線の航空というものを担当いたしておりまして、九州の板付から大阪伊丹及び東京羽田を経まして札幌までの間を担当いたしております。これは現在DC4というダグラスの飛行機をもってこれに当っております。このほかにローカルの航空事業といたしましては、現在日ペリ航空という航空会社と極東航空という航空会社が、大体旅客の輸送を担当いたしております。これらの会社は現在のところ極東航空が大阪から西の方を大体担当して、日ペリが大阪から東の方を大体担当するということで、おおむね担当分野を分けてただいままでやって参りました。しかしながら飛行場の整備等が今後だんだん進んで参りますと、いろいろとその間に錯綜した事情も発生いたしますし、また、事業をだんだん育成していきます上には、これが一本になって伸びていくことが一番望ましいのじゃなないかというふうに考えられまして、過去一年の間にこの合併問題が取り上げられて参っておりまして、おおむねそれを話し合いがつきまして、明年度以降はまず運航を一元化していきたいという方針のもとに、ただいま協議をいたしております。こういたしますと、最も有利な路線に経済的な飛行機の使用もできるということによりまして、各地のローカルの航空事業も、円滑に進むようになるのではないかと考えられます。ただ、これがために政府といたしましても、いろいろと助成的な方面の方途を講ずる必要があるのでありますが、たとえば通行税の減税でありますとか、あるいは開銀の融資のあっせんでありますとか、あるいはその他ガソリン税の免税措置でありますとか、そういったような方法により、これを助成して、現在空港整備法によって各地に今空港の整備をいたしておりますのでそれができますれば、ここ数年後には非常に各地にローカル空港の網を張ることができるのではないかと考えております。
  148. 千田正

    ○千田正君 運輸省所管の空港整備費の総額が七億千二百五十二万円ですが、内訳を見るというと、北海道空港整備事業費としては一億二百五十万、これはどういうわけで同じ運輸省の予算でありながら総理府所管にしたのでありますか。
  149. 林坦

    政府委員(林坦君) 北海道につきましては、北海道開発の趣旨によりまして、こういう公共事業費の費目につきましては、北海道開発関係を一括して内閣予算として計上するのが政府の方針でございますので、それに従いまして北海道関係を総括してそちらに計上することになったのでございます。
  150. 千田正

    ○千田正君 この東京の空港ですね、東京空港の整備事業に当りまして、この整備に関しては、アメリカ側は例にこれに対しては、何らの要望はなかったのですか。
  151. 林坦

    政府委員(林坦君) 東京国際空港の滑走路を延長するとか、あそこの施設を拡充するということについては、米国の方からの注文というものは別にございません。ただ、国際的に申しまして、いわゆる民間航空の国際機関というものがございます。これは本部をカナダのモントリオールに置いてあります、われわれはICAOと申しておりますが、そういう所から、あそこの設備を整備してもらいたいというような勧告といいますか、そういったようなものは参っております。
  152. 千田正

    ○千田正君 現在、羽田の空港に隣接してあるところのアメリカの軍事施設ですか、この間までは、あそこから軍用飛行機が発着しておったのですが、空港整備をしてくると、あれとは切り離して別なところに埋立地かなんか利用しなければ、これだけの拡張工事はできないと思いますが、それはあの軍事施設とは全然関係ありませんか。
  153. 林坦

    政府委員(林坦君) 羽田の整備につきましては、現在の機能を落さないで整備していくように、注意を払いつつ施工していくつもりでございます。詳しく申し上げますと、現在の滑走路が八千四百フィートでございます。これに先の方を埋立てをいたしまして並行した滑走路を作る。そうして二本の滑走路を並行いたしまして逐次それを整備していく、こういうやり方をいたしたいと考えております。
  154. 千田正

    ○千田正君 今の埋立ては運輸省所管の港湾整備計画の中に入れるのですか、それとも建設省の方の建設事業のうちに入るのですか、どちらですか。
  155. 林坦

    政府委員(林坦君) 運輸省の空港整備の方でやることになっております。ただ、あそこの場所の埋立てにつきましては、東京都の港湾局方面におきましてすでに埋立権を持ち、埋立ての計画を持っておるのでございます。それらの方面と十分に打合せをいたしまして、運輸省の所管をもってこれを行うつもりでございます。
  156. 千田正

    ○千田正君 東京空港の現在の事務所並びにいろいろ航空旅客に対する設備として、りっぱなビルディングが立っておりますがあれは民間の会社がやっているようにも感ぜられるし、あるいはあなたの方の所管であるようにも感じられるのですが、その区分はどういうふうになっていますか。
  157. 林坦

    政府委員(林坦君) あの空港のビルにつきましては、政府においてあれの全体を整備する予算がございませんでしたために、民間会社が特別にあれを作るためにできまして、それがあの施設をまず建設いたしまして、政府は自分の必要なる部分、たとえば税関の部分でありますとか、あるいは空港管理の事務所の場所でありますとか、その他の政府関係の施設の部分を買い上げる、こういう方式によって、あの建物は共有関係になっております。
  158. 千田正

    ○千田正君 それは共有関係というと、パーセテージはどうなっておりますか。
  159. 林坦

    政府委員(林坦君) 全体の九億の中の二億でございますから、大体二割程度でございます。
  160. 千田正

    ○千田正君 あのビルディングの管理権というのは、あなたの方にはないわけですね。今のいわゆる税関であるとか、そういうものを除いては……。
  161. 林坦

    政府委員(林坦君) 建物の所有につきましては、ただいま申し上げましたように区域を分けてございまして、政府の使用しております部分は政府の管理するところとなっております。羽田空港全体につきましては、空港管理規則というものがありまして、運輸省の方でやっているわけでございます。
  162. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 三十二年度は出ているわけですけれども、羽田の四カ年計画ですか、全体の工事費というのはどの程度なのですか。
  163. 林坦

    政府委員(林坦君) 二十五億ないし二十九億を予定いたしております。
  164. 柴田栄

    柴田栄君 経済の異常な進展に伴って、今輸送貨物が非常にふえてきたということで、国鉄があちらにもこちらにも滞貨で、未曾有の滞貨というようなことになっているようでありますが、その一つの原因として、遠距離貨物の輸送のごときものは、船舶によって処理せらるべきものがスムースにいってないというようなお話を承わるわけでございますが、それに関しては、一体これは大量の遠距離輸送に海上を使うことが一番有利であるということは、概念的にわかるわけですが、それが行われなかったという理由は、どういうところにあるわけですか、
  165. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 沿革的に申しましても、大体今お話しのように、長距離のかさ高もののようなものは、海運が適していることは、申すまでもないのでありますが、戦争中等において、相当海送が陸送に変じたというような沿革もございまして、元来海送であるべき貨物が陸送に回ったというようなこともあります。その後、国鉄の運賃が、御承知通り、長距離逓減制におきまして、政策的な運賃をとられたということが続けられましたために、現状におきましては、大体普通のコストから考えて、海上輸送運賃よりも、相当鉄道の運賃の方が安い、そのほかにもいろいろな便宜がございまして、本来であれば、海送の方が適しておるような貨物まで、なお陸送の方に残っておるというようなことが、現状としてあるわけでございます。
  166. 柴田栄

    柴田栄君 戦争中における輸送の切りかえ等が、大きな原因となっているという御説明でございますが、そのほかに、あるいは船の建造の形式の変更、大型への切りかえ、あるいは港湾施設等に対する不備、また荷扱いに対する施設の不備のために、荷扱い費というか、中間経費がかかり過ぎる等の関係、さらには、実は、多くの小口貨物につきましては、戦前はいろいろな取引の関係で問屋業というものが相当取りまとめて輸送するということのために船を使いやすいという形式が非常にあったのが、戦後は小さな直接需要というように、取引の形式が大へん変ってきているというようなことによって、まとめて輸送するという船舶輸送というものが、このままではちょっと扱いにくいというような原因が相当重なっていはしないかと思うのですが、そういうことに対してはどんなような御見解でございますか、
  167. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 前段の港湾の諸設備その他におきまして、設備等の合理化が進んでおらないために、現在なお割高の港湾経費がかかるという点については、御指摘の通りでございまして、私どもも、そういう点、できるだけ今後なお機械化その他の合理化を進めまして、港湾経費というものの軽減によって、海上輸送経費の減額をはかるということが必要であると考えて、港湾局の方にもお願いをいたしております。  それから後段の分につきましても、確かにお話しのようなことがあると存ずるのでございますが、これにつきましては、やはり、通産省あるいは農林省あたりの荷主関係の官庁ともいろいろお打ち合せいたしまして、なるべく海送にして、陸送の貨物を減ずるということは、今後も私ども進めたいとこういうふうに存じます。
  168. 柴田栄

    柴田栄君 その点を御認識いただいてお進めいただいておるとすれば、大へんけっこうだと存じます。さらにまた、日本経済進展の将来等を予見いたしますれば、おそらくそう急激に輸送が国鉄一本で緩和されるとは思われると思うのでございます。特に、滞貨という事態を招来いたしますると、ほとんどいつの場合でも、滞貨が非常に集積してくる場所はきまっておるのじゃないかと思います。そういうことに対して、総合的な輸送計画というものが、もう少し真剣に取り上げられなければならない、たとえば、北陸線、東北線、奥羽線等を考えてみましても、これを複線にするということは、そんなに簡単ではないとすれば、いつでも滞貨するところはさまってくるのである。それに対して、いつまで過ぎても仕方がないのだというような態度をとっておることは、輸送の総合的な責任として不十分じゃないかという気がいたします。そこで、海上に移行すべきものは、ネックをもう少し迅速に解明して、こういう問題に対処していただくということを急がなければならぬと私は考えるわけですが、それに対して運輸大臣はどんなふうにお考えですか。
  169. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お話しのような線で、私どももさように考えておりますが、昨年から、日本経済拡大に沿いまして、国鉄なりその他の諸般の計画も、この予算に盛っております遡り、ぼつぼつは進めておりまするけれども、全体としては、もう少しこれから経済拡大に沿うように、これに調子を合せるように、これから進めて行きたいと思います。
  170. 柴田栄

    柴田栄君 ごもっともなお答えではございますが、当面する問題に対しまして、総合的にお考えをいただかなければ、実はいつまで過ぎても解決しないじゃないかと思うのですがね。海上輸送に関して船は十分にありますか。
  171. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 計画上のところでは、国内輸送のための船舶というものは、決して逼迫しておりません、まだ余力はある、こういうふうに申し上げていいと思います。
  172. 柴田栄

    柴田栄君 船腹の余力はあっても、それが十分に活用できないという面での主たる原因は、どういうところにあるのですか。
  173. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) やっぱり先ほど来お話しのあります運賃の鉄道との差というようなことも、一部ありますけれども、大体港湾の施設とか、それから陸上との連絡その他が割合に費用が高くかかるというような点で、これからだんだんその点は調整されなければならぬ部分が、非常に多いと思うのであります。鉄道の方をなるべく海上輸送の方に移していかなければならぬ。今もお話しのように、品物がみな鉄道によって運ばれておる。これは、どうしても全体的にやはりもう少し海運の方の連絡を円滑にして、国内では、御承知のように、定期船というようなものが非常に少くなっておる、そういうような点をもっと政府で腰を入れて、今の点は助成していくようなことも、相当考えなければいかぬと思うのすが、そこまで行っておらない。
  174. 柴田栄

    柴田栄君 まあ御趣旨については御了解をいただいて十分お進めいただいておると了解いたしますが、先刻も申し上げましたように、滞貨を一掃しなければならぬ、輸送も増強しなければいかぬということで、国鉄の施設の増強をしていただく、そのために、旅客あるいは荷主に、一部負担をかけてもやらなければならぬということでお進めをいただいておる際に、それでもなお早急には解決しないという地域につきまして、何か特別な総合的な手を打っていただくということで、これが不公平にならぬように、総合輸送の計画をお進めいただくという御決意はございましょうか。
  175. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) そういう点は、それぞれ調査の方は相当に一応進んで、どういう点がネックでどうだというようなことはありますが、やっぱり費用の点と、それから仕事がそういうふうにみなそろって行かないというような点がありまして、これはやっぱりお話しのような点を相当にこれから経済の拡大と国鉄の輸送力の増強とを見合って、自動車、船舶その他と総合的にもう少しこまかく手を打っていかなければならない。そういう点で連絡その他欠けているようなところもありますので、これからそういう点に、国会でも済みましたら、新たに考え直していかなければいけないかと、こう考えております。
  176. 千田正

    ○千田正君 海上交通の面でお伺いしたいのですが、離島航路の補助は、あまりこれでは少いのじゃないのですか、むしろ、一番気の毒だと思うのは、かりに収支のバランスが合わないとしましても、本土と遠く離れた離島の同じ日本国民に対しての文化の向上の面から見ましても、もう少し出してやって、もっと親切に離島の人たちの便宜をはかってやる必要があると思いますが、この点どうですか。
  177. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私どもも、この補助金で十分とは思っておりませんので、毎年相当の金額を要求するわけでありますが、いろいろな事情がございまして、大体こういうところに落ちついております。ただ昨年よりは今年は、むしろ一般補助金の整理にかかわらず増額されたという点で、この重要性はある程度認められたというふうにお考え願いたいと思います。なお、決してこれだけでは満足いたしておりません。相当離島の住民のためには、重要な橋になる機関でございますので、今後とも政府機関の融資あっせんその他の方法を講じまして、船舶も相当改善させ、今後の輸送に対処していきたい、こういうふうに思っております。なお、一般的に申し上げまして……。
  178. 千田正

    ○千田正君 昨年よりも本年は増強した分は、どことどこの地点が、今度のこの予算によって恵まれるのですか。
  179. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 具体的にこの航路、この航路というのは、まだ確定的にはきまっておりませんが、大体数で申し上げますと、昨年度は、全国で約三十八航路補助金を出しております。今年は大体大蔵省とも申し合せまして、六航路を新しく追加できるというふうに考えております。
  180. 千田正

    ○千田正君 もう一つは、海上保安の設備ですが、全国でローラの設備をしておるのは、どれだけありますか。
  181. 安井正巳

    説明員(安井正己君) ただいま日本として持っておりまするものはないのでありまして、三十一年度と三十二年年度年度にかけまして一応予算がついたわけで、しかし、これは二カ年だけで完成するわけではありませんで、まだ、三十三年度にもあと、糸を引きまして、結局今の見込みでは、三十一、三十二、三十三、三カ年で完成するのではないかと思いますが、大体、北海道東北地方と、それから銚子の付近、この三カ所に、主局を一つと、従の局を二つ、三局一群のローランを作ることに一応予算はなっておる。それ以外には日本政府のものはありません。
  182. 千田正

    ○千田正君 駐留軍の設置しておるところのローラン設備は、北海道と東北地区にありますか。
  183. 安井正巳

    説明員(安井正己君) 日本海側は松前と新潟と美保とにやはり三局一群の米軍のものがあります。
  184. 千田正

    ○千田正君 この運輸省の予算の中で、今年の新営費として二億五千四百万組んであるんですね。これはことしは全然手をつけないが、三年ぐらいたたなければやれない、こういうお話しですが、三十一年度予算の分と三十二年度、三十三年度、三カ年において一応のしかし目標がなければ、予算を組まないだろうと思いますが、どことどことのつもりで作ったのですか。
  185. 安井正巳

    説明員(安井正己君) 先ほど申しましたように、東北は宮古の近くでございますし、それから北海道は根室、それから、犬吠岬、この三局を作るわけでありまして、大体三十二年度でそのうち二局はできます。三十三年度にあとの一局を作って完全なものになるわけでありまして、一応三十二年度に二局ができますと、二局だけでも完全とは言えませんけれども、ある程度の機能は発揮するようには考えております。
  186. 千田正

    ○千田正君 これと相待って、海上の定点観測としての観測船の予算は、今度はどれぐらいついていますか。
  187. 安井正巳

    説明員(安井正己君) 私どもの関係では、海上観測船としては三十二年度には予算がございませんが、三十一年度から作っておりましたやつが最近一ぱい竣工しました。これは主として海流とか、そういったような海洋の調査をする船であります。
  188. 千田正

    ○千田正君 海上の観測が不十分なために、台風のようなものの予測ができない結果損害を受けるところの、そうした災害の予防の十分な予報ができなかったということは、過去二、三年あったわけです。駐留軍において日本政府と共同で観測しておったころは、比較的正確な暴風、台風の来ることが予知できた。ところが、向う側が廃止するということについて、日本側も廃止してしまった。その結果、海上における気象の把握が十分にできないというのが、一昨年あたりの実際の状況だったと思うのですがね。これはやはり日本はしょっちゆ暴風に見舞われ、そうして天災をこうむっておるのだから、国民の生活あるいは産業等に対する影響は非常に甚大でありますが、当然これは運輸省として十分見てやらなければいかぬじゃないか、ことに、ただいま問題になっておりますところの北洋漁業のような問題が、いずれソ連との間に約束ができて、そうしてやるということになれば、当然北洋の気象なんというものが重大な問題になってくる。さらに、原子爆弾の実験等によって、南太平洋その他におけるところのそうした問題が、直接に日本の国民の生命財産に影響するということにはってくるというと、やはりあなた方の使命というものは、非常に重大であろうと私は考えるので、この辺の予算はどういうふうに考えておりますか。
  189. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 定点観測のことから申し上げます。定点観測は、お話しのように昭和二十八年の暮れに、アメリカの予算縮減に伴いまして縮減されまして、そのときまで北方に一点、南方に一点観測をいたしておりましたのが、現在は北方は中止、南方は夏季半年の観測のみになったわけであります。台風は御承知のように南から参りますので、南方の定点は、この雪風のために備えたものであります。しかし、それが北上いたしてきますと、しばしば本邦の東方海上を通って花の方へ参りますが、その際に北方の定点がありますれば、さらに一そうの正確なる実況を得ることができるのでございます。今年は北方定点の復活の要求はいたしておりません。その理由は、昭和二十九年以来非常にその復活を努力して参りましたが、何分にも気象事業に比較しまして非常に大きな経費を要します点、また一方におきまして、気象事業がなお整備しなければならぬものをたくさんに持っておりまして、その整備の方が優先いたしましたために、今年度は北方定点の予算計上しなかったのであります。もちろん、北方定点がありますれば、仰せのような場合には非常に有力ではございます。その実現を機会を見て努力したいのであります。まあ、補いとなりますのは、島の観測を充実をいたすこと、及び海上の船舶からの気象資料の活用であります。その二はできるだけ気象庁におきましても、その整備には努力して参っております次第でありますので、海難防止につきましては、北方定点のないのは残念ではありますが、それの補いをできるだけ活用いたしまして、海難防止について万全を尽したしいと考えております。
  190. 千田正

    ○千田正君 北方定点が二十八年以来ないために、その結果として現われた遭難事故が相当あると思います。たとえば北洋漁業において操業しておった漁船が、昨年も一昨年もある程度の遭難を受けておる。かりにそれらの設備が北海道、東北等にあって、一応の連絡で気象の結論が得られるとしましても、十分なあれがないとすると、やはりそこに何らかの欠点が出てくる。これはどうしても北方の定点観測は、日本としてはやはりやらなくちやならぬ問題だ。アメリカが手を引いたから日本もやらないのだということは、僕はふに落ちないのでしてね、これは大臣に一つお伺いするのですが、今あなたの内閣として、日本の岸内閣が最大の外交政策として打ち出しておるところの日ソ漁業条約に基くところの北洋漁業の進出というものは、非常な今議題になっております。それをかりに本年は漁獲量が何万トンになるか知らぬけれども、昨年と同様の出漁をするとするならば、少くとも七船団、五百隻の船が動かなけばいかんのです。そういう場合に対して、十分なる漁船の保護そういう面に当らなくちゃならないのですが、その重点になるべきところの定点観測が、今のところやっておらない、こういうことは、やはり運輸大臣所管であるだけに、海上の航行の安全を保証する意味からいって、これはやはり来年度予算に盛るべきじゃなかったかと私は思うのです。来年度予算には計上しておりませんけれども、運輸大臣が職におられる間に、この問題はぜひ解決していただきたい。  さらにまた、この問題に付随いたしまして、海上保安庁にお尋ねするのですが、大体燈台の問題ですがね、相当予定されてはいるようですけれども、予算の都合上相当の設備費が要るというので、霧笛信号などは盛んに要請されている霧の非常に発生するところの北洋海岸、あるいは九州その他において、霧笛信号の必要を痛感して、現地住民から相当要望されていると思います。ところがなかなかこれも予算があまり今まではなかったようでありますが、三十二年度予算の中において、どれだけつけておって、そうしてどれだけ一体整備できるものか、その点をお尋ねいたします。
  191. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 御承知のように、霧笛信号は必要だと思うのでございますが、実はああいう霧笛信号などというのも、ずっと昔からのやり来たりでありまして、もっと機械力を利用した進んだ、科学の進歩をとり入れたものはないかと思いまして、あれにかわるべきようなものを実は研究いたしているのでありまして、実は二年前紫雲丸事件がございまして、あのときのレーダーその他のものを補足するような意味、また霧笛信号にかわるべきような意味におきまして、赤外線を利用したようなものを、燈台につけたらいいかというので、二年ばかり研究を私どもでもやりましたし、民間の方でもやってもらってみまして、実は昨晩芝浦の沖でやりましたのですが、電力の強度にもよるわけでございますが、現在のところまず二キロ程度までしかいきませんので、もっともっとこれを科学的に研究し発展さしたならば、こういう昔のような霧笛信号より高度に進んでゆくのじゃないかと、こういうふうに考えているわけであります。そこでそういうものを一方でやっていると同時に、霧笛信号についても考えているのでありますが、来年度予算の中には、霧笛信号は一応のつかってないような次第でございます。
  192. 千田正

    ○千田正君 どうも霧笛信号にかわるべきようなものを作ろうという理想はいいけれども、二キロぐらいしか響かないと、それで来年度予算にはのっておらないと、これじゃあまり感心しませんね。一体それで来年度予算で、昨年と比較して何パーセントくらい新しい燈台をふやすのですか。
  193. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 実は去年の燈台予算全般が非常に少くなったのでありますが、今年はいろいろの御配慮によりまして、これが去年の二倍ぐらいになりまして、従いまして燈台そのものにつきましても、霧笛信号以上にいろいろ方々から要求がございます。去年は十三基だったのでございますが、ことしはその三倍の三十七、八基ぐらいを予定しているようなわけでございます。
  194. 千田正

    ○千田正君 今度岸内閣になってから、イギリスのクリスマス島におけるところの原爆実験禁止の要請を三回イギリスに申し込んで、三回とも拒絶された。やがて拒絶した以上は、イギリスとしまして、原爆実験を実行するでありましょうが、それに対しては、当方においては相当航行の安全を期さなければならない。あるいは退避計画を作らなければならない。あるいは場合によっては原子爆弾によるところの海洋の潮流にしろ、あるいは空気の問題にしろ、気流の問題にしろ、相当研究しなければならないと思います。こうした突如として起るであろうところの国際的な問題に対して、海上保安庁並びに運輸省としましては、航行の安全を期する意味からいっても、将来の研究の資料獲得の意味からいっても、何かこれに対処する方針を立てておられますか、あるいはその点について予算計上しておられるかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  195. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在では人工放射能の観測ということが非常に大切なことになっております。気象庁におきましては現在約十五カ所の地点におきまして、雨の水、あるいは大気中の放射能を観測いたしております。なお、世界中どこかに大爆発がありますと、その気圧の波が観測されるに十分な程度の大きさで伝わってきた場合には、それを観測することができるようになっております。従ってそのような大きな爆発があれば、その爆発の起った場所及び時間を推定することができるようになっております。本年度の原子力関係に新しく計上されておりまする予算は、調査観測五百四十四万一千円、研究分析費に四百八十八万円、海水放射能観測に約二百万円でございます。これは総理府の科学技術庁の方についておりますので、運輸省だけの所管の観測だけではございません。
  196. 千田正

    ○千田正君 今の御説明を聞いておるというと、世界のどこかでそういう爆発があった場合には、それは気象庁としての仕事でしょうがね、科学技術庁としての予算はこれはついておるだろうが、運輸省としまして、もうすでに航行に対して一応の危険信号をやっておるのでしょう。農林省は私が調べたときは、すでにもう漁船は待避しなきゃならぬ、待避のために受けた損害というものは相当の額に上っております。たとえばクリスマス島の近くに航行しておった漁船が待避しなきゃならぬ。いつイギリスが実行するかしれぬ。三月から八月の間に実行するとなれば、その間にもう操業はできない。そこで迂回しなければならない。油が要る。あるいは相当の日数をかけて迂回するために食糧も相当要る。そういうような問題でもう数億を超過しておりますよ。こういう意味において、運輸省としてはあそこを航行するところのいわゆる日本船舶に対するところの損害の予防というようなものに対して、何らか対処しなければならないはずですが、あなたの方のお話を聞いておるというと、気象の方も、科学技術庁に予算がついておるのならいいじゃないかというような考えでは、とうてい問題にならないではないですか。
  197. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 海上保安庁といたしましては、水路部というのがございますが、これは世界各国で水路告示というのを出しておりまして、それで一例をあげますと、どこかのところに危険なものがあるときには、自分の国でやったときには、他国に連絡することになっておるが、そういうので連絡がありますので、私の方としてはそのつど一般の船舶並びに漁船につきましては漁業組合その他を通じまして連絡はしております。
  198. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまのお話しに関係がございますが、この前の原水爆の実験の折には、それが推定されました場合には、気象の放送の中に、その付近の気象状態、上層の風等を特に入れて放送いたしました。今回もそれに準じたようなことは行われると思います。
  199. 千田正

    ○千田正君 これは私はもう非常に、私ばかりでなくて、おそらく同僚委員の諸君もそうだろうと思うが、イギリスが日本の要請を拒絶した場合においては、必ずクリスマス島において実験する。実験するという場合に、外交問題として出てくるのは損害賠償の請求ですよ。国と国との要求という問題になってきて、そのときに日本政府提出するところの資料が不完全であった場合においては、相手の国はそれに対して応じてこない。この前のビキニの損害の補償に対しましても、当時の岡崎外務大臣が一切の損害を含めて三十億要求したのにかかわらず、わずか毛億五千万円しかアメリカは見舞金としてよこさなかったしこれは岸内閣としては内閣の生命をかけてもこの問題の解決をはからなければならぬ。それかけに所管の官庁としてそうした問題に対するところの資料を確保しなければならないと思う。それはあなた方の責任ではないかと私は思うのでありますから、運輸省としましても、航行の安全あるいは漁船その他に対して通達をするばかりでなく、将来もこうした問題が起るであろうことを予測された場合の十分なる準備をする必要があると思うから、私はお尋ねしておるのであって、それに対して特別の予算を組むという考えはないかどうか、その件に対して大臣のお考えを伺いたい。
  200. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 今のあなたの御質問に対する各関係方面の答弁を私も実は聞いておったので、一通りのことはやっておりますが、しかし、今のお話しのような点については、政府としてもう少しこれは総合的に考えなければいかぬと、私もあなたの御質問によってそういうことを感じたようなわけであります。これはさっそくその点については考慮して打ち合せを進めたいと思います。
  201. 千田正

    ○千田正君 一応この問題は終りますが、ただ灯台の方は霧笛信号は試験中とのことでありまするが、実際に必要なものですから、これは一つ実施するように要望しておきます。
  202. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 これは新聞の報道だけではっきりしませんけれども、御承知のように、今ロンドンで軍備縮小の小委員会が開かれております。そこで原水爆の実験の問題が、問題として取り上げられて、英米側といいますが、主としてアメリカでしょうが、現在の科学技術の状況では、あらかじめ予告がないというと、すべての原水爆の実際についてこれを捕捉することができないのじゃないかという意見を出しております。それに対していや、そんなことはないという反駁の論もあるようですけれども、日本の今の技術なり設備の水準で、たとえばソビエトの行う……ソビエトだけに限りませんけれども、原水爆の実験等を大体捕捉できるのか。よくよく大きいやつだけが捉捉できるのか、そこら辺のところは、どうわれわれ考えてよろしいのですか、一つお教えを願いたい。
  203. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほども申し上げましたが、原水爆実験が行われたかどうかを、そのあとすぐ——すぐと申しますのは、数時間とか半日のうちに、これを推定いたしますのは、強い気圧の波が観測されなければわかりません。しかし、人工放射能が大量に大気中に散布されたかということは、一週間あるいは二週間の時間に、それらの灰が大気中から、一部は雨にまじって落ち、一部は空気中を自然落下するというようなことを多くの国が観測しておりますから、異常な人工放射能の量の増加は観測されますので、それらから推定されるわけであります、
  204. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 異常な場合はもちろんキャッチはできるだろうと思うのです。その程度といいますか、言いかえれば、これまで無警告でソビエトあたりでずいぶん実験が行われたりそのデータを出せということを、アメリカ側は言っているようですが、そういう現在の日本における科学技術なりそれの設備の水準から見て、相当ミスしているのか、大体つかんでいるのかということなんですがね。
  205. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 放射能の観測は、毎日相当精密に各所でいたしております。ですから、現在大気中に放射能がどのくらいたまっているか、毎日どのくらい落下しているかということは観測できます。それですから、かなり大きなものを一度に放射能をまき散らせば、どこでいつごろやったということはわかりますが、小出しにもしそういうものを出しておれば、全体として地球の放射能は増したということはわかりますが、いつどこでやったかということを、的確につかむことはできません。
  206. 仲原善一

    ○仲原善一君 海上保安庁の関係ですが、ちょっとお伺いたいします。李ラインの問題で、漁船が付近でよく紛争を起すのですが、以西底引の漁船がその付近を一の漁場といたしまして操業するわけでございますが、その場合に、拿捕される問題がずいぶんたくさんあります。そういう場合に海上保安庁とされましては、どういう手でこれを保護されつつあるのか、具体的にその点をちょっとお答え願いたいと思います。
  207. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 最近はおかげさまで拿捕が少いのでありますが、私どもの巡視船を常時二隻または三隻向うの方へ哨戒に出しまして、そうして実際の場合に、拿捕されそうな場合には、そこにかけつけまして、向うとの交渉に当っているわけであります。ずっと前の場合におきましては、その現場交渉でそれをまぬがれたことがあるわけであります。最近はそういうこともなかなかきかなくなったようなわけでありまして、根本的にはこれは外交交渉によってやっていただく方が一番いいかと思うのでありますが、それにしても現場においてできるだけの、そういう単なる情報の伝達のみならず救難関係もございますので、二隻または三隻をその現場に哨戒させているようなわけでございます。
  208. 仲原善一

    ○仲原善一君 特にそういう危険地域については、予算的な措置といいますか、今三隻ばかりというお話がございましたが、そういう問題の起るつどに、予算の面では十分働けるような態勢になっているかどうか。
  209. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 向うの方へ行く乗組員につきましては、手当を出しております。また、船については別に出しているわけではございませんが、九州管内の船だけでは足りませんので、ほかの管内の船を応援に出して、かわるがわるでもって哨戒に当らしているようなわけであります。
  210. 千田正

    ○千田正君 関連。この前李承晩ライを私は視察しましたけれども、日本の海上保安庁の方は、船足が少しおそいような感じがするのですが、とてもあれではどろぼうをつかまえようとしようが、向うから攻撃をされようが、逃げるにも逃げもできないのではないかと思うので、もう少し快速の船でも作って増強しない限りは、ああいうところの安全を期せられないのではないかと思うのですが、どうですか。
  211. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) まことに御配慮は感謝するわけですけれども、講和条約のできるまで、実は十五ノットに制限されておりましたので、その当時の船もありまして、十五ノット前後で快速でないものもありますが、最近できる船はそれよりもスピード・アップしております。また、今後はいろいろ皆様方の御援助によりまして、もっといい船を作りたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
  212. 仲原善一

    ○仲原善一君 海難救助に関係しまして、地方に海難救助の協会みたいなものがたぶん作られていると思いますが、これはやはり運輸省なり海上保安庁の方の指導でやっておられるのかどうか。水難救助か何か……。
  213. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 今おっしゃったのは、昔の水難救済会のことかと思いますが、これはずっと明治時代からの古いものでございまして、これは民間の船で急場に応じて出ていく、何といいますか、平時は漁業なんかしていて、いざという場合にそのほんの附近の人命の救助に当るという、こういう団体のことかと思いますが、もしそれならば、全国的に残っているところもあります。それでもう自分の方ではやっていけないから、海上保安庁さんこの船を買ってくれないかというので、私の方で引き継いだ船もございます。
  214. 仲原善一

    ○仲原善一君 そういう救難を要する場合には、やはり保安庁だけの力では不十分なことがたくさんあるように見受けております。従って多くの県でもやはり残っている今のお話しの協会ですか、民間の力で、相当協力していると思いますけれども、それについての御指導なり、あるいは助成金といいますか、そういうものは御考慮になっておりますか。
  215. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 海上保安官に協力したものについての措置というのがございまして、海上保安庁から援助を求めまして、それに応じて出てくれたような場合には、それに相当な費用を見るような措置ができているわけでございます。
  216. 仲原善一

    ○仲原善一君 もう一つ小さな問題でございますが、地元で相当問題になっている問題がありますので、お伺いしたいと思うのですが、今年は、先ほどのお話しで灯台は相当ふえるようでございますが、この灯台を作るような場合に、土地なんかもやはり運輸省の経費でおやりになるのかどうか、この点をお伺いしたい。土地の買収費、そういうものを計上してありますか。
  217. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) 民間の土地を政府の方で買う場合もございます。
  218. 仲原善一

    ○仲原善一君 昨年は非常に予算が少かったというお話しでございましたが、地元の寄付ということを相当強要をされると申しますか、地元では灯台がほしいけれども、やはり相当の地元負担がかかるというような話をまま聞くことがあるわけでございますが、予算の執行において、やはり施設といたしましては国の費用でやっていただくというような方針、そういう点についての事情をお伺いしたいと思います。
  219. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) ごもっともでございまして、私どもの方といたしましては、もちろんできるだけ政府費用で、政府の施設でやっていきたい、こういうような方針でやっていっております。ことに灯台を建てますような場所というものは、あまり高いところではないのが多いのでございますが、できるだけ私どもの費用でやつでいくような方針をとっております。
  220. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 大臣にちょっと造船関係の御見解を聞きたいのですが、第十三次ですか、利子補給がやめられる、これは常識的に考えまして当然であろうと思います。それから十二次までの分も一つ御遠慮を願いたいというお議しのようでありますが、もともと造船知子補給の制度ができて、船舶建造の用としての奨励施策をとったのには、私は造船のコストを下げる、日本の造船のコストが欧米に比べて非常に高い。特に金利が高い、鉄鋼関係が高いということが一つの理由で、それで利子補給の制度が、まあそれだけではありませんけれども、一つの大きな理由として実行されたと思います。ところが、最近の造船のコストというものは相当急激に上りつつあるように伝えられておるので、どういうふうな実態か私よく知りませんが、あるいは三割増であるとか、あるいは二割増であるとかと言われている一面において、利子補給はやめられる、ちょっと何かそこに割り切れないものを感ずるのであります。利子補給をやめること自体は必要であり、適当なことかもわかりませんけれども、半面コストがどうも高くなるということは、これまた遠からず行き詰りが来るように感ぜられます。利子補給の制度をこれまで持ってきて、相当の成果をあげてきて、なお今後も造船は進めていかなければならない。ことに輸出面においても重要な役割を持っているわけであります。で、コストがどんどん上っていくという実態になってきておる。これは一体このままでいいのかということなのですが、それについてのお考えを一つ承わりたいと思います。
  221. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) この利子補給はつまり造船資金に対する、外国と日本との金利の差がはなはだしいので、それが非常に負担になる、その点で補給をするという建前できたわけでありますが、造船業界がよくなって参りましたので、一応これはやめる、ただいまの船価の値上りは、金額としては非常に莫大なものであります。これはやはり世界的に造船資材その他の、平均して値上りがきておるわけでありまして、そのために特に日本の高い場合もありますけれども、鉄綱その他そういう影響で来ておりますから、これを利子補給の面で補ってやるというわけにはなかなかいきかねるかと思うので、この問題がさらに世界の造船界の造船単価の上に非常な差が開くということになれば、それはその方面から一つこれは何とか解決しなければならぬと思います。ただもう一つは、利子補給も国家の補助政策であります。そのほかに今後の海運について、ドイツでもどこでも非常な助成をしております。それらと見合って別個に、これは対抗できなくなるというなら、これは将来考慮しなければならぬ、問題は別である、こう考えております。
  222. 鳥居辰次郎

    政府委員鳥居辰次郎君) ちょっと言葉が足りませんでしたから、海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律というのがありますが、ちょっとそこの言葉が足りませんでしたので、救助に要した費用を負担することになっていると今申しましたが、それは救助に従事した者に災害があった場合に給付する、こういう災害があった場合というのが付帯しております。
  223. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 一応大臣のお話はごもっともだと思います。ただ、最近の状況は、例のスエズ問題等から特殊の運賃の高騰とかというふうなことに関連して、やや造船景気というか、ブームが出ていることもあろうと思うのであります。まあ金利だけがもちろんコストの要素ではありませんけれども、せっかく船価というものについての安定感を与えて今日まできたのを、やめることはけっこうだけれども、景気がいいからということで、日本の造船のコストが上っていくのをそのままにしていくということは、やはり将来どうかと思うのです。やはり造船に対して政府施策というものが相当浸透してきているのですから、コストの上っていく点について、適当な施策というものをおとりになる必要がありはしないか、こう考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  224. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) ごもっともで、実はこの造船コストが上りっ放しになるということは、非常に重大なことですから、これはただ押えていくというだけでなくて、その基本的な問題をもう少し考えなければならんと思うのであります。ことに御承知通りプラント輸出のうちのほとんど九九%を占めているというような、貿易の上でも非常に大きな役割を果している、国際収支の上で果しているのですから、これらも相当に考えなければならんと思うのですが、今まだこのごろ起っていることで、もう少し何か対策をと慎重に考えております。
  225. 千田正

    ○千田正君 今の船価の問題ですが、それは今梶原委員からのお尋ねに対してお答えがあったのですが、今度は船舶運賃の問題ですが、昨年の下半期から今年当初に当っては、スエズ運河や何かの問題があったから、ある程度のあれが相当高くついているのですけれども、この三月に入ってから一応下回ってきている。これは外国電報や何か一応そういうことが書いてありますけれども、どうなんですか、今のような行き方で。この船舶運営の面においてアメリカなりあるいはイギリスなり、海上におけるところの競争に今のままで耐えていけるかということに対して、私は非常に杞憂を持っております。利子補給しないことはけっこうですが、このまま野放しでどんどん景気が上昇するのだろうという考え方には、僕は非常に危惧がある。たとえばタンカーの面におきましての運賃や何かにいたしましても、昨年の暮れあたりとはまた違ったあれが出てきている。これに対してどういうふうに考えておりますか。それから海上運賃の規制に対しては、かつては船舶運営会その他においてあなた方の方と協力して一応運賃のレートをきめておったのですが、最近の情勢はどういうふうに運賃のレートをきめておりますか。
  226. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 運賃につきましては、むしろ上昇して参りましたのは、一昨年あたりから上昇して参っておりまして、ただいまのお話しの点は、スエズ運河問題が起りましてから特に一段と上ってきたという点を御指摘になったと、こう考えるのでありますが、この点につきましては、ただいまのお話しのようにことしに入りましてから二月、三月とスエズの問題の見通しがつきますと同時に、ある程度低下を見せております。ただ、現状ではスエズの問題が起る前、あるいはそれより若干上回っているという程度でありまして、一般にも大体スエズ問題というものが非常に特殊な問題でございまして、これが海運運賃に非常に大きな影響を及ぼすだろうということは予想されます。事実その通り影響したのであります。大体この問題は時期の問題でありまして、遠からずスエズ運河再開ということが予想されるのでありますが、その再開の場合には、スエズ問題が起る以前まで大体運賃も下って平静になるだろうという見通しを一般に持っております。私どもも大体そういうことではないかと思っておったのでございます。今後も若干何と申しますか、ある程度の勢いで上り下りということもあり得ると思いますが、一般の見通しでは、大体スエズ運河問題の以前の程度を上下しながら、ある程度安定していくのではないかというふうに予想されております。また、現実に業界の動きを、国内だけでなく世界的に見ましても、御承知のように造船ブームという動きのある情勢が出ておりまして、これがしかも三年、四年先の注文がある、あるいは長期の契約がなおある程度のレベルで行われておりまして、これがやはり一般に業界は相当強気の見通しであるということの実証であるかと思います。私どもも、仰せの通りにいつまでもこの景気が続くというふうなことは申し上げられないかと思いますが、先行き近い将来において、これががたっと落ちるというような材料はむしろ現在のところないということが言えるかと存じております。
  227. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今度の予算で輸出関係で船と車両を特に運輸省では力を入れておやりになる、これは非常にけっこうだと思います。造船の方のコストも上っておるでしょうけれども、車両の方もこれは相当上っておると思いますけれども、これはあとの方の国鉄関係に触れる問題になりますが、車両の方のコストはどうでしょうか、どういう状況に現在あるか。
  228. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 鉄道車両工業のコストも、最近では若干上りぎみでございます。これもやはり御指摘のように、主としてその材料の鉄関係から来ておるものと思われますけれども、まあ、今後の見込みからいきますれば、御承知通り現在鉄道車両工業は稼動能力に対しても、まだ現在の国内輸出用の生産実績を見ましても、非常に実績がこれを下回っておりますから、今後まあ国鉄関係の注文の伸び、私鉄の伸び、輸出の伸びで相当の稼動能力に対する実績の割合が上って参りますので、この点においては工業関係としては、きまった大量のコンスタント・ベースが出ますれば、ここにまた合理化の余地が出て参ると思いますが、最近では御指摘のように若干上りぎみであることは事実でございます。
  229. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 若干上りぎみであるという程度ならば、私はそれでけっこうだと思います。ただ、輸出が相当、運輸省は馬力をかけて車両運送を計画されておる。一面国鉄の五カ年計画における車両の増産といいますか、これは相当のことになる、お話しのように現在の、私も車両工業の能率ということは、全然しろうとでしりませんが、そういうことを両方あわせても余裕があるということは、反面において相当余っておるといいますか、それほどこういう特殊のものの生産設備が余裕があったのかどうか、ちょっと不思議に思うんですけれども、別に支障なしにこなし得るということであれば、もちろん何にも言うことはないのであります。  それから運賃の話が出たのでありますが、どうも貿易外の収支で一等大きなウエイトを占めておるのは運賃関係であろう。お話しのようにスエズの見通しもついて、運賃が若干下って安定してゆく反面、貿易の規模が拡大されているところから来る運賃の支払いというものも、これはまあふえるわけです。見合ってどうなりましょうか。来年度においてはやはり運賃関係では相当赤字といいますか、持ち出しにやはりなると見ていいんでしょうかね、どの程度外貨として持ち出しになりますかね。なかなか外貨事情が窮屈になるといいますか、めんどうになってきて、運賃関係が三十二年度においてはどういうふうに見ていったらいいのかということを、お考えを一つ承わりたい。
  230. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) お話しのように戦前におきましては、海上運賃収入が国際収支のバランスをとるために非常に大きなウエイトを占めておりまして、私の方も目標としては当然そういうことを常に頭に置きながら海運関係の仕事をやっておるわけですが、現状におきましては、遺憾ながらそれがまだ収支比較いたしましてマイナスという状況になっております。少し詳しく申し上げますと、日本の海運の運賃収入をドルに換算してみまして、大体今年度四億ドル余りの運賃収入になるわけでございます。これが来年度に参りますと約五億ドル余りというふうに大体現在の見通しでは増収になる見込みでございます。これは特に御承知のように船舶の増強を大いに努めておりますので、そういうことで少し増収になる。あるいは貿易の伸びがただいま話しのように将来輸送貨物の増量を来たして参りますので、そういう増収になるという状況でございまするが、にもかかわらず現在の輸出入貨物を日本船が輸送いたしております比率を見ますと、大体輸入物資におきまして、貨物においても、油においても約五〇%程度しか日本船では運ばれておりません。それがさらに輸出貨物になりますと、現在の船腹ではなお四五%程度日本船で輸送し得るという状況でございまして、これは戦前におきましては大体七〇%程度まで日本の船が日本の輸出貨物を運んでおりました。当然のことかと思うのでありますが、私どももすみやかにそういう状態に持ってゆきたいと念願しておるわけでございますが、遺憾ながら敗戦以来の船腹の不足、あるいは戦時補償を打ち切られまして船主に建造資金がなかったというふうな状態から始まり、さらに数年の間占領政策で大きな外航船は認められなかったというふうな状況もございまして、その後計画造船によりまして相当の資金政府融資いたしまして、外航船の建造に努めて参ったんでございますが、残念ながらなお現在の船腹では、先ほど申し上げました程度の輸送の比率でございます。従いまして運賃面におきましてもいろいろ見方があるのでございますが、大体国際通貨基金で国際的に行われております算定の方式によりますと、輸出貨物の邦船による輸送の運賃と、それから日本船による第三国間の輸送の運賃を収入に立てまして、輸入貨物は外国船によりましたものを支出に立てるという方式を大体最近とっておりますが、この方式によりましてなお日本の海上運賃収支では一億ドル以上の赤字というのが現状でございます。結局この対策はどういうふうにするかと申しますと、何分にもまず日本船を充実いたしまして、日本船による輸送の比率をもっと上げるということが第一というふうに考えるのでありますが、そのために昨年並びに本年におきましても、御承知のように大量な日本船の建造を進めて参っておるわけであります。大体以上でございます。
  231. 千田正

    ○千田正君 関連して。今の運賃の問題に関連しまして、海上保険ですね、マリーン・インシュアランスの面において、収入は相当あると思うんですが、外国の、まあ、アメリカならアメリカが自分の方の荷物を日本船で運ぶときでも、アメリカ側の保険をかけなければ運べないということも一時あったのですが、現在でもそういう状況にあるのかどうか。マリーン・インシュアランスから入ってくるところ日本側の収入というのは、大体どのくらいに見ておりますか。
  232. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 申しわけございませんが、その数字ちょっと失念いたしておりますので、あとで調べて申し上げたいと思います。
  233. 千田正

    ○千田正君 船舶運賃とともに、貨物を運ぶときにそういうものをやはり考えてみなければ、完全なる赤字とばかりは言えないのであって、やはり日本の船舶が各地に進出すると同時に、イギリスのロイドのように、やはりその裏づけとして海上保険というようなものは、一つのマーケットを獲得する理由になるのですから、そういう点も一つ調べておいてお知らせ願いたい。
  234. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 一点だけ、これは別のことですが、予算に、高速自動車道路ですか、この調査で五百万円計上されている。五百万円の調査費としても、何といいますか、きわめて内輪目の数字でと思います。建設省関係で、名古屋、神戸間ですか、これで四億五千万円やはり調査費として計上してある。これはその調査する対象が違うのだろうと思いますけれども、相当この調査をしっかりやらないというといかぬだろうと思います。五百万円で一体十分なものができるのかということと、建設省の四億五千万円ですか、それとの関係はどういうふうになっているのですか。
  235. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 国土開発縦貫自動車道路関係の分がおもであると思いますが、実は運輸省で本年度五百万円で経済調査をやろうといたしております。経済調査は、三十年、三十一年、二年度すでに経済調査を継続しております。それで、来年度におきまして、さらにその精密な調査をしようとするものでございます。  次に、建設省との関係におきましては、運輸省は御承知通り交通担当省でございまして、そのなさんといたしますところは、交通調査、いわゆる経済調査をしようといたしておるわけであります。建設省におきましては、具体的な測量調査その他でございまして、ただその間、目的は一応掲げておりますが、非常に関連性が強いのでございまして、建設、運輸におきまして、この調査につきましては密接に連絡をとりまして、国費の使用がダブラないようにということは十分考えておりまして、調査の計画その他におきましても、大蔵省とも十分連絡をとりまして、むだのない調査をするような予定でやっております。
  236. 内村清次

    主査内村清次君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  237. 内村清次

    主査内村清次君) 速記をつけて下さい。
  238. 中村正雄

    ○中村正雄君 監督局長お尋ねしたいのですが、国鉄の運賃は、一応本日本会議が通過いたしたわけなんですが、衆議院の運輸委員会なり、あるいは参議院の予算委員会で、運輸大臣がしばしば言明されているわけですが、私鉄の運賃について政府としては一律に上げる考えは持っておらない、その会社々々の状態を調べて、必要な最小限度に値上げをする場合もある、要約すればこういう御答弁なわけですが、現在運輸省に対して、私鉄から運賃値上げの申請がすでに意思表示されておるものが何社ぐらいあるか、お尋ねしたい。
  239. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 十五社ございます。これはいずれも、何と申しますか、地方の中小私鉄がその大部分でございます。
  240. 中村正雄

    ○中村正雄君 東京、大阪付近のいわゆる大私鉄と申しますか、私鉄の代表的なものも、それぞれ運賃値上げの申請をする気がまえがあるわけなんですが、現在ありまする私鉄のうちで、どの程度の会社が申請をしてくるような見込みか、お見込みがあれば御答弁願いたい。
  241. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は、実はただいまのところでは、まだちょっと情報でございますので、確実につかみ得ないので、御案内のように申請主義になっておりますので、御指摘のような大会社が、どの程度いつ出してくるだろうか、実はまだ私どもの方には連絡はございません。
  242. 中村正雄

    ○中村正雄君 新聞によりますと、何か運輸省の方で私鉄に対して運賃の値上げについては事前の折衝をやり、指導いたしておるというようなことが、新聞に載ったことがあるわけなんですが、その真相はどうですか。
  243. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) これは年々私鉄の状態につきましては、決算状況、その他営業報告、会計報告、損益計算書、貸借対照表等をすべて取っております。従いまして、大電鉄につきましても、その経営状態、これは監督の必要もございまするので、今日までの状態、それの使われた方向というようなことは、経理内容は個々の会社について調べております。
  244. 中村正雄

    ○中村正雄君 私のお尋ねしましたのは、経理内容の監督じゃなくて、運賃の値上げについて運輸省が指導いたしておるというようなことが新聞に載っておったわけなんですが、そういう点についてどうお考えになっているかという質問です。
  245. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) お答え申し上げますが、その点は、ただいま申し上げましたように、経理の内容を詳細に調べておりまして、こちらでは大体前回に運賃値上げをいたしました結果をトレースしておりまするので、これが当時の標準単価に対して一体どう使われておるか、人件費がどうなっておるか、動力費がどうなっておるか、修繕費がどうなっておるか、物件費、補修費がどうなっておるか、これは各社各社で非常に違った方へ、決算された内容が各社の特色に応じてそれぞれ違っておりまするから、経理的な面、財務的な面から、原価との見合い方等も計算して調べておる、これが実情でございます。
  246. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうすると、調べた上において、こういう経理状態では困る、従って運賃値上げの必要があるというようなことで指導しておる事実があるわけなんですか。
  247. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は、分社々々の内容について、それぞれ減価償却費なり、支払利子なり、補修費なり、ただいま申し上げましたように各項目別に、何と申しすまか、調査検討いたしておりまして、その結果原価に見合わないものも、中にはございます。これ以降においてその社が運賃値上げを申請するかしないか、そこから、あとはその社の自主的判断にまかしてあるわけです。
  248. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますると、各私鉄に対しては、運輸省の方で経理上の監督をやっておるわけでありますから、大体今回運賃の値上げを申請し得る範囲内の私鉄のことは、大体おわかりのはずなんです。従って、どの程度の数の私鉄が運賃値上げを申請してくるかという予想はつき得ると思うのですが、つきませんか。
  249. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) まあ私鉄全体で申し上げますと、これは一般論になってしまいまするけれども、いろいろ原価の関係を見ておりますと、ただいまのところでは、大体人件費が五五、動力費が一〇、部品費が一五、その他経費が五、利子、償却が一五というような配分になっておりますが、二百数十社の私鉄の全体計算においては、やはり現在私どもの経理調査では、ある程度の赤字が出ております。その内容一般的に申し上げますと、人件費、電力量減価償却費、支払利子、特に補修費、これにおいて不足しておるというのが、まあ大体の傾向でございますが、これはその社その社によって一律には出て参りませんが、一般論としては、そういうことが今経理的な目で見て言えるのじゃないかと思います。そのうち今申請しておりますのは、比較的地方における中小私鉄の十五社でございまして、大電鉄と申しますと、大体東京、名古屋、大阪、北九州で十三社くらいの数になるかと思います。が、これらのものも、今申した意味の経理検討は、年一ぺんぐらいやっておりますから、これは各社々々で非常に事情が違います。これらのものが申請を出せば出すのじゃないか、こういうふうに見通しておるわけでありますが、しかし、これはいつ出すか、また全部そろって出すか、その点は先ほどお答え申し上げましたように、今のところ、私どものところでは見通しがついておらないのであります。
  250. 中村正雄

    ○中村正雄君 運賃値上げの申請をするかしないか、これは会社の自主性で、これはわからないと思いますが、各会社、会社の経理について監督なさっておる運輸省の立場から見て、運賃値上げの申請をしてくるという可能性のあるような会社の数をお聞きしているわけなんです。現実に出るか出ないかは別として、経理上の面から二百数十社ある会社のうち、どの程度の会社は運賃値上げの申請をしてくる可能性があるかという数字の見通しを聞いているわけです。
  251. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は今申し上げましたように、ただいま出ているものは十五社、残りました中でいわゆる大手筋と申しますか、そういったような大電鉄に属するものは十三社ぐらい、その他地方については、これはちょっとつかみにくいのでございますが、大体昨年中——三十一年の一月から二十二社ぐらいばらばら申請のつど、それぞれ率が違いますが、査定してやっておりますので、これに見合って小さいものがどれくらい出て参りますか、この点ちょっと数がつかみかねるのでございます。
  252. 中村正雄

    ○中村正雄君 今政府委員のおっしゃった大手十三社、これは出てくる可能性があるかないか、特に運賃値上げで問題になりますのは、地方の中小私鉄でなくして、大手十三社といわれるその会社が、一番社会的には問題になると思うのです。その十三社が、時期は別でありますが、経理面であなたの方で見られた関係において、値上げの申請をしてくる可能性があるかないか、これを聞いているわけです。
  253. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は大手十三社について、時期は別でありますが、可能性はあると私も思います。
  254. 中村正雄

    ○中村正雄君 運輸大臣お尋ねしたいのですが、国鉄の運賃が上ったからといって、私鉄の運賃も一律に上げるわけじゃない、こういう今御答弁があったわけなんですが、私鉄全部の問題でなくして、社会的に一番問題になるのは、今、監督局長のお話しになった大手十三社と思うのです。大手十三社はどういう理由かわかりませんが、経理面から見て値上げ申請の可能性がある、こういうわけなんですが、これが出てきまして、まあ理由はどちらでもつくと思いますが、もしこれが値上げを決定されるということになりますると、世論的には国鉄の運賃値げに便乗して私鉄が全部値上げをした、こういう私は印象を与えると思うのです。従って大手十三社が値上げの申請をした場合でも、運輸省としてはその内容自体を十分に審査して、値上げを認めるべき会社と、値上げを許可しない会社と作るというふうに持っていかれるかどうか、結果的にもし十三社全部の申請が認められると、世論的には運輸大臣の国会の答弁と違った感じが出てくると思うのですが、いかがですか。
  255. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お話しの通りだと思うのであります。そこで経理……これは先のことになりますが、私の、今この問題は相当重大な問題ですから、別に事務当局と相談したのではありませんけれども、私だけの心がまえはこう考えております。ここで私鉄の値上げを全部やりますと、心理的な影響もなかなか大きいと思う。大きな会社は……、鉄道は、何といっても……、今幾らか赤字だと言っても配当もしておる。赤字で配当しておるのはおかしいと思うのですけれども、これは資本の関係で、先に行ってこれは相当の見込みがあるという目標で、みんなやっておるのだと思います。私鉄は全部長い生命で光を見ておるのですから、先はいいにきまっておる、こういう一般考えでいっておりますから、会社の基礎も強固なものですから、従って一つ一つの会社を見て、どうしてもこれは上げてやらなければ、経理上工合が悪いという場合でも、私は一年とか一年半とかがまんをしてもらいたいと思うのです、実際、そうしてこの国鉄の運賃の値上げが世間にどう響くかという見通しをつけなければ、またそのくらいならば今日までやってきたのであるから、がまんのできないことはない。もう一つの問題は、いわゆる大手十三社というものは都市交通に面しておりますから、都市交通発達の上について一つの役目がある。それにその会社が積極的にこれからどういう計画を持っておるか。ちょうど国鉄の五カ年計画のような、輸送力に対して相当な大幅な建設的な考えを持ってこれの案を作ってくるというところは、またこれは考慮してもいいのじゃないか、それは先に行って、つまり交通が便利になって開けていくのですから。そういうようなごくばく然とした考えを持っております。
  256. 中村正雄

    ○中村正雄君 運輸大臣の、国鉄の運賃値上げに関する世論的な影響、こういうことを十分御勘案になった今の方針について敬意を払うわけですが、相当いろいろ政治的な問題も出てくると思いますけれども、でき得れば今の方針を堅持されたいということを希望するわけです。  政府委員に続けてお尋ねしたいのですが、今運輸大臣から、私のこれから質問しようとする点にちょっと触れられたわけですが、現在私鉄で株主に配当しておる会社が相当あるわけですが、この経理の点については、運輸省も監督なさっておる。利益がなければ配当はできないと思うわけなんですが、もちろん私鉄は総合経営で、鉄道面においては黒字でなくても、付帯事業が黒字になっておるという面もあると思います。しかしながら、何といっても基本的なものは、私鉄であれば鉄道面であると思いますが、その面で赤字でありながら配当するというようなことは、経理上おかしい点もあると思うし、また今、監督局長のおっしゃるように、補修費が満足にいっておらないとか、償却費が満足にいっておらない、こういうことをしておきながら、配当するというのは、私は健全な経営でないと思うのです。そういう観点から現在配当いたしておる会社、大手十三社はほとんど配当しておると思いますが、そういう会社が現在ではまかなえないから値上げを申請するということは、われわれとしてはふに落ちないわけなんですが、こういう点については、監督官庁としてどうお考えになっておりますか。
  257. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) これは配当の問題でありますが、御案内のように、現在の大体私鉄は自動車、あるいはまたその他の付帯事業と申しますか、相当大きな兼業をやっております。全体として商法上の会社でございますので、利益金を生じて配当しておるわけでありますが、私どもの方は、法律的に申しますと、鉄道部門を監督するという建前でやっておりますので、先ほど鉄道部門から見た点を申し上げたのでありますが、戦争中は例の資金統制令その他によりまして、そういうものも一切何と申しますか、統制経済で押えておったのでありますが、現在そういう他の兼業部門について、あるいは商法上のいろいろな決算について、いろいろこれを直接法律的に監管する根拠及び権限は有しておりません。しかし、社会常識的に考えて、この鉄道部門の整備、拡充を怠るようなことがあっては遺憾でありますので、その点から事実上のある程度の指導はいたしておるわけでありますが、配当につきましては、資本との関係、あるいはいろいろな経済界の関係、あるいはいろいろな設備資金関係等、先行きの関係もございますし、これはやはり民間企業でございまするので、私どの方も、ある程度の配当はやむを得ないのじゃないか、大体一割前後の配当というものは、これはやはり資本という点から見ても、将来の企業を発展させるいろいろな設備投資の面から見ましても、また金融界の状況、産業経済の状況から見ましても、こういう公共的な使命を持った私企業としても、そうむやみに高い配当ではない、ある程度やはりこういうものは認めることはやむを得ないと、こういう考えであります。
  258. 中村正雄

    ○中村正雄君 ただ、電鉄会社につきましては、一割程度の配当これは世間並みの利子に相当する金額ですから、どうしてもやむを得ないという議論がありますが、反対に、一般の生産事業の会社と違いまして、電鉄会社は、おそらくどの会社でも、と思うわけでありますが、株主に対しては、一定の限度はありますけれども、私鉄の優待券を発行しておると思うのです。これを金額に換算すれば、これは相当な配当になると思う。たとえ無配でありましても、優待券の関係で、相当な配当になると思うのです。従って、そういうものがあれば、一割の配当が世間並みの配当とは言えないと思うのです。そういう点については、監督官庁はどうお考えになっておりますか。
  259. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 相当何と申しますか、大株主には、これはまあ各社各社で実情が違うようでありますけれども、以前よりはだいぶ株数に対するそういう乗車証の手配は株高が上っておるようでございまするが、これらも株主に対する一種の利益配当と申しますか、便宜供与でありまして、これらも実際そういう経済界の状況としてやむを得ないのではないか、まあ、配当については、先ほど申し上げましたけれども、今これは実は正規な監督権と申しますか、法律上の監督権の事項ではこれはないのでありまして、事実上こういうような公共的な使命を持った私企業であるから、ある程度のことを私どもの方でも見ておるのでありますが、やはりこの輸送力整備増強していくという建前、あるいはまた、そういうものに対する設備投資、あるいは資金のいろいろな経済界の状況という面から見ますると、この程度の配当金というものはやむを得ないものじゃないかということは、私どもは認めておる次第でございます。
  260. 中村正雄

    ○中村正雄君 私の今言いますのは、配当が全然ない私鉄という場合でも、今言ったような実際上の配当に相当する優待券というものを出しておる。しかも、現在はその限度を引き上げていっておりますが、引き上げたのは、大体株券を持っておりまする個人個人の平均のものが上ったから、それは経済上の趨勢で引き上げているわけです。特に、私鉄なんかの株を持とうというのは、会社の利害関係者以外の一般の国民とすれば、優待券が目的で持っているわけです。その証拠には、一時、戦後無配の時代もありましたけれども、ほとんど大手十三社その他いわゆる私鉄であれば無配であっても、株式の相場は額面を割った例はないのです。それはやはり優待券というものが、一つの大きな配当的な形を持っておったから、そういう価格が出てきているのです。そういう専門的なことは別として、一般の世論的に考えまして、配当している会社が経営がいかないから運賃を上げるということは、納得できないと思うのですが、そういう点については、どういうふうにお考えになっていますか。
  261. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今の御質問の問題は、どうも直接私どもの監督権の範囲として申し上げる点からは、少し逸脱しておりますので、私見にわたりますれば恐縮でございまするけれども、そういうことを含めて、今の程度の配当というものはやむを得ないのじゃないか、特に電鉄については、今後これは通勤、通学輸送の問題等、例のラッシュアワーの問題におきましても、相当の資金を要するるものと考えております。大体これは、国鉄の運賃関係のときにも、若干御説明いたしましたですが、私どもとしても、土木関係、電気関係、車両関係、建物関係等においては、特に東京、大阪、名古屋、北九州というような大都市にある私鉄については、何と申しますか、一応国鉄の計画にあわせて、これに見合った計画をしなければならぬ。大体これで私ども今こまかく詰めておるところでありますけれども、急速なる輸送力整備増強を行うためには、やはり五年間で今後大約千三十億ばかりの資金が要るんじゃないか、こういうように考えておりまするし、また、こういうことは、ある程度こちらが相当強い態度でやらせないと、交通機関としての使命にももとりますので、こういう点、将来の見通し等も考えますると、やはりいろいろな財政状態、経済状態、金融状態からしてみて、資金吸収ということも相当大きな問題になって参りまするので、私は、今のところ、この程度のものはまあ妥当ではないかと、こう思っておる次第であります。
  262. 中村正雄

    ○中村正雄君 さっきお尋ねしました、現在中小私鉄から十幾社申請が出ておる。これは全部旅客運賃だと思うのです。大手十三社のうちの大部分は、旅客運賃だろうと思いまするが、貨物運賃についてはどういう状態になっておりますか。
  263. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 御指摘のように、実は私鉄で問題になりますのは旅客運賃でございまして、従って、今まで申し上げていることは、すべて旅客運賃でございまして、貨物運賃につきましては、御案内のように、私鉄の貨物の輸送量というものは、国鉄に比べますと非常に微々たるものでありまして、多分全体の国内輸送量の中でも〇・八ぐらいで、トンキロにいたしましても、一、二%じゃないかと思うのです。ちょっと記憶で申し上げて恐縮でありますが、しかしながら、貨物の輸送は、御承知のように、貨車が直通しておりまして、連絡運輸を行なっております。従いまして、一本運賃制を昔からとっておりまして、大体私鉄は、貨物については、国鉄の等級表、国鉄の賃率表、これを適用いたしましてやっております。また、このことが、経済界におきましても、貨物運賃制度としては非常にこれは便利な方法であり、また、運賃というものの安定した要素となりまするので、従いまして、今御指摘の貨物につきましては、今回の国鉄の改正された賃率表が適用に相なることに相なります。
  264. 中村正雄

    ○中村正雄君 いや、私のお尋ねしているのは、国鉄の賃率表と同じものを、ほとんどの連絡運輸の会社は採用しておるわけですが、これは私鉄の運賃ですから、それぞれ許可認可ということは、監督官庁でおやりになってるんじゃないかと思うのです。言いかえますと、国鉄の運賃が値上げされれば、それにスライドして法律的に私鉄の運賃も値上げされる、こういうものじゃないかと思うのですが、その間どういう会社が申請しているか、その状況をお聞かせ願いたいという質問なんです。
  265. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今申し上げましたように、これはすべての私鉄が国鉄の等級表、国鉄の賃率表、それでキロ程によってやっておるわけであります。しかし、これは国鉄が上ったからといって、自動的にスライドして上るものではございません。これは、やはり形式上は、地方鉄道法、軌道法によりまして、運輸省の認可になっております。このことは、運賃の申請がありまするとこれを認可いたしまするが、運輸審議会等の関係は、これは在来とも軽微事項の扱いになっております。従いまして、運輸審議会には諮問いたしません。しかも、この権限は地方陸運局長に落してございまして、今回も各社からそれぞれ国鉄の賃率表と同じものの申請がございまして、これがすでに各地方局ごとに認可に相なりまして、四月一日から実施される、こういうことでございます。
  266. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、私鉄の貨物運賃につきましては、国鉄の貨物運賃が決定される前に、監督官庁としてすでに認可済みである、こういう御答弁ですか。
  267. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 私鉄の貨物料金については、さようでございます、  それから、今の中村先生のお答えに、国鉄の営業キロ程を使ったと申しましたのは、私の間違いでございまして、私鉄には私鉄の貨物の営業キロ程がございますので、国鉄の等級表、国鉄の賃率表を、私鉄の営業キロ程と国鉄の営業キロ程で連絡運輸のあるものは計算する、こういうことであります。
  268. 内村清次

    主査内村清次君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  269. 内村清次

    主査内村清次君) 速記を始めて、この程度で国有鉄道関係質疑に入りたいと存じますが、いかがでございますかし    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 内村清次

    主査内村清次君) それではここで十分はかり休憩いたします。    午後四時五十二分休憩    —————・—————    午後五時二十一分開会
  271. 内村清次

    主査内村清次君) これより開会いたします、休憩前に引き続き質疑を行い逃す。  日本国有鉄道関係について御質疑を願います。
  272. 小林孝平

    小林孝平君 お伺いいたしますが、国鉄の職員の方に列車のボーイというのは何人くらいあるのですか。特二あるいは寝台に乗車されるいわゆるボーイというものは。
  273. 小林重国

    説明員小林重国君) ただいま手元に資料を持っておりませんので、直ちに取り調べます。
  274. 小林孝平

    小林孝平君 このボーイの給与ですね、列車ボーイの給与というのはどういうふうになってるんですか。一般の職員と特別に何か考慮が払われておりますか。
  275. 小林重国

    説明員小林重国君) 給与につきましては、御承知通り初任給でございまして、その初任給に基きましてきめておりまして、別に列車ボーイについては、ほかの職員等の均衡を考えまして給与をきめておるようなわけでございまして、特別の考慮はいたしておりません。なお、乗務をいたしております関係上、乗務旅費等は支給いたしておるはずでございます。
  276. 小林孝平

    小林孝平君 特別の考慮を払われておらないそうですが、払う必要はないと考えているわけですか。
  277. 小林重国

    説明員小林重国君) 職務の内容によりまして、国鉄の職員の給与をきめておりまして、その職務の内容に応じまして多少差はございますが、大体列車ボーイクラスでございますと、駅の駅手と申しますか、そういった者より多少いい程度になっておるんじゃないかと思っております。
  278. 小林孝平

    小林孝平君 多少というのはどのくらいですか。
  279. 小林重国

    説明員小林重国君) 今手元に具体的な資料を持っておりませんが、多少と申しましても百円なり二百円程度じゃないかと思います。
  280. 小林孝平

    小林孝平君 月にですか。
  281. 小林重国

    説明員小林重国君) 月にでございます。
  282. 小林孝平

    小林孝平君 この列車ボーイは最近三等寝台が復活しましたけれども、二等あるいは一等あるいは特二というものに乗車させて、比較的経済的余裕のある人が利用される、そうしてその身辺をいろいろ世話を見られるということで、そのボーイは、何もおそらく国鉄の方でどういう服装をしなけりやならぬという規則はないと思いますが、本人から進んで他の駅手の人の服装よりもきちんとされてると思うのです。ことに洋服などもきちんとされておる、そういうことを考えまして、特別の給与の上に考慮を払う必要があるんじゃないですか、そういうことは勝手にやってるんだからいいと、こういうふうにお考えになってるんですか。
  283. 小林重国

    説明員小林重国君) 列車ボーイの服装につきましては、他の職員と多少区別いたしましてラシャ地の洋服を与えるとか、また、乗務中におきまして白い上っ張りを与える、そういうような配慮はいたしておる次第でございます。
  284. 小林孝平

    小林孝平君 たとえばくつなどは給与しておりますか。
  285. 小林重国

    説明員小林重国君) くつは給与いたしておりません。
  286. 小林孝平

    小林孝平君 いない……。やはり服はいい服を着たって、それに見合うくつとか何とかがやはり……、私らはめつたに利用しませんけれども、いいくつをはいておられると思うのです。くつ下も……従ってそれに合うような、そういう配慮は全然……あまりそういうことは、まあよろしくやっておれというあれですか、国鉄は非常に一致してやっておいでに……、国鉄一家というようなことも言われておりますが、そういうところ考えると、あまりそういうことは、下の方はあまり考えないのですか。
  287. 小林重国

    説明員小林重国君) 列車ボーイの服装につきましては、われわれといたしましても、接客に従事いたします職員でございますから、注意はいたしておりますが、白い服とか、そういったものの洗たくは国鉄におきまして直接やっておるような次第でございます。
  288. 小林孝平

    小林孝平君 私は、白い方はわかりましたが、くつとか、くつ下とか、あるいはシャツだとか、まあ普通働いておれば汗くさくてもいいけれども、人に接するのですから、あれですか、下着の洗たくなどは国鉄でやっているのですか。
  289. 小林重国

    説明員小林重国君) 下着の洗たくはやっておりません。
  290. 小林孝平

    小林孝平君 外ばかりきれいにしたって、下をやはりきれいにしなければ、ほんとうの接客されるあれにはならぬと思うのです。そこで、おそらくあなた方は、非常に最近はサービスに努められておるわけですから、当然そういうことをその人たちに求められていると思うのです、おっしゃらないけれども。ところが、実際の給与の面からいえば、そういうことはできない。そこで昔からこのチップは行われておるわけです。それであなた方チップをもらっているんだからいいではないかと、こういうふうにお考えになって、そうは言われないけれども、そう思っておられるのではないかと思うのです。それはどうですか、そういうこと考えておられるのではないですか。
  291. 小林重国

    説明員小林重国君) 列車ボーイに対しまして、慣例的にチップを受け取っております事例もございますが、当局といたしましては、別にチップの点は考慮いたしませんで給与等を考えておるような次第でございます。なお、営業局長から補足的に御説明申し上げます。
  292. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 列車ボーイのチップの点につきましては、実は昔からいろいろ問題がございまして、過般三等寝台を作りましたときにいろいろ検討いたしました結果、現在では、ただいまの御質問に少しはずれるお答えになるかもしれませんが、現在では三等寝台車に乗務する場合には、チップをお受け取りするなということにいたしております。ただし、二等寝台については、実は従来から非常に一種の慣例的なことになっておりまして、すぐ業務上の規則でもってお受け取りしてはいかぬというふうにすることも、なかなか困難な点もございますので、実は二等寝台の場合には主として洋服のごみを払う、くつの泥を取るといったようなサービスを中心にして、その際にチップをいただいておるような状況だと存じますが、そういうことのなるべくないように、各二等寝台車にくつのブラシと洋服のはけを備えつけまして、そうしてお客様の方が御自分でなさりたいときはなさっていただくような措置を講じまして、徐々にチップをいただく習慣を実はやめたいというふうに考えております。
  293. 小林孝平

    小林孝平君 私は何も意地悪い質問をしようと思っておるわけではないのですから、あまり用心しておっしゃっていただく必要はないのです。意地悪いことを言おうと思えば幾らでもありますから、だから必要なことだけ言っていただけばいいのです。それで当局の方で客に接するから清潔な服装を要求される、これは当然だろうと思うのです。そうすればそのために服あるいは上っ張りの洗たくをやってやっている、こう言って求られますけれども、今申し上げたように人に接するためには、下着もちゃんと洗たくしたものでなければならない、くつもきれいにしなければならない。さらに頭にはポマードもつけてちゃんとしていなければならない、ひげもはえていてはいかぬ、これは当然だろうと思う。そうなれば、相当そういう金は必要なんですよ、当然国鉄として見られる必要があると思うのです。これを見ないから、そういうものを十分見てやれば、今あすからでもチップの制度を廃止してもいいのです。あなた方は自分でやる方のことをやらないでおいて弊害があるとか何とか、弊害というのはあなた方がやらないから弊害があるだけの話しで、あすから月に幾らか必要な金を出されればいいのですよ。  それからさらに申し上げたいのは、サービスで洋服のごみを払う、こんなものは二等寝台を利用するような人は、みんなブラシをつけアイロンのかかった服を着ているのです、寝台車に一晩乗ってほこりのつくようなそういう不潔な寝台車では困るのです。そんなことは必要のないことなんです。あるいはくつをみがくのも同じことなんです。僕らなんかは泥のついたくつで乗りますが、大部分の人はみんなくつなんかみがく必要もないくつで乗っているのです。それをあえてやるというのもおかしいし、それからやらせる方も、これは国鉄として国鉄の職員に客のくつをみがかせるなんということは、これは不見識ですよ。これはサービスの域を越えたものです。その点どう考えられますか。
  294. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点はまあお客様の方のくつが、必ずしも今先生のおっしゃったようにいつもきれいになっているというわけでもございませんし、また、寝台車は非常にごみが立ちますので、特に黒い洋服をお召しになる方は一晩休まれると、相当ごみがたかる。また毛布のごみ等でくつにもほこりがつく。それをボーイがサービスの一端としてきれいにしてやりたいという気持を出してくるということに対しては、これはいけないということは非常に申しにくい点があるのではないかと存じます。
  295. 小林孝平

    小林孝平君 私は先ほど申し上げましたように、あなた方のあげ足をとるというような、そういうつもりで質問をしているわけではないのです。あなたがそういう答弁をされるなら私もそのつもりでお聞きします。私らはあなた方のためを思って、どうすれば国鉄がみんなに愛され、また利用者が愉快に旅行ができるかと思って考えておる。私この質問は四年前からしょうと思っておったのです。四年間考えて、した方がいいか、しない方がいいか、さらに本日は数人の人に意見を徴して聞いているのです。そんな当座の思いつきで返事をされては困ります。それで、もしそういうことをボーイが個人的に、たとえばあなたはごみが多いと言われたら、みんなそれを全部の者にやってやったらいいのです。そのために特別の手当を出されたらどうです。僕は寝台車というものはそんなにほこりのないところと思って乗っておったのですが、今のお話しのようにそんなに不潔なんですか。もっと電気掃除機でも備えてやったらどうですか。おやりになる意思はないのですか。
  296. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 不潔と申しますよりは、床をとりますときにごみが非常に立つということを申し上げたので、衛生的に不潔だからどうこうということを申し上げたわけではございません。
  297. 小林孝平

    小林孝平君 あなたはそういう逃げるようなことを言っては困ります。ごみにもいろいろある。無機質のごみというものはからだに、笑っておりますけれども、僕はごくまじめにやっているのですよ。ごみにも無機質のごみは呼吸器に大して影響がない。有機質のごみは、ほんとうに吸うと、これは呼吸器に非常に害がある。だから直ちに電気掃除機でも備えてちゃんと掃除したらどうです。そういう言いのがれの答弁は、国会で開く必要はない。あなたがそういうことを言うならもうやりません。建設的なお話し合いをしようとしてやっているのです。そこで、そういうふうに実際にごみが立つとか、よごれたくつで入ってくるということであれば、それがみがく程度にほんとうに舞い込んでみがかなければならないようなくつなら、どうにもボーイの手に及ばぬじゃありませんか。ボーイがなでるくらいじゃない。私はそういうことを国鉄の職員にくつをみがかせるというようなことは、これはサービスの行き過ぎだと思うのですよ。それでもしみんなにやつてやるというなら、給与を増したらどうかと思う。増したらどうですか。国鉄のボーイの品位、国鉄の職員としての品位を害さないように、特別の手当を出したらどうですか。簡単じゃないですか。あなたはいろいろ弊害があるから直ちにやめることはできないと言われたが、弊害というのは、あなたたちがやらないということが弊害なんですよ。これは副総裁に………。
  298. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ボーイのサービスにつきましては、いろいろ接客上非常に問題のある点でございまして、実は先生がお話しのように、くつまでみがくというのは、過剰サービスではないか、こういうふうな意見もございます。しかしまた、他方面よごれたくつをしているなら、ボーイとしてその旅行中お客様のお世話をするということであれば、くつあたりはぬぐってあげた方がいいのではないか。これは答弁のためのお話しでなく、実際にそういう声があるのでございます。それからたとえば国鉄にはいろいろな方が乗られますものですから、その御意見も区区まちまちでございまして、たとえば食堂車などは、少しぐらい落ちてもいいから安いものを出せとおっしゃる方もありますし、少しぐらい高くても、いいものを食べさしてもらった方がいいとおっしゃる方もありますし、いろいろな角度から御批判を受けるものでありますから、私ども始終いつも頭を悩ましているのでございます。そこで、列車ボーイの給与の点でございまするが、ただいま御答弁申し上げましたように、普通の職種よりは服装その他につきまして、注意いたしておるつもりでございます。ただ給与の格差と申しますと、それがまた非常にむずかしい問題になりまして、また、それでは特に服をいためる職種にはどうのなんのといういろいろな均衡問題が起って参りまするので、簡単に参らないことではございますが、なおよくそういう点を研究さしていただきます。
  299. 小林孝平

    小林孝平君 僕はこれは相当長い間の問題であって、そうして非常にいろいろなこれに対しては意見を持っておるのですが、それで今研究をされるとおっしゃいましたが、こんなことくらいもっと研究されてしかるべきだと思うのです。思いつきで御答弁されておりますけれども、そういうことじゃ困ると思う。たとえば弊害がある、またむずかしい。むずかしいということは、チップによって調節しているということですね。自分たちの方でむずかしいからチップでよろしくやれ、こういうことなのです。先ほどここで直ちにやめることは弊害があるからしばらくの間まあと、こういうことなんです。そこで現にこういうことが行われているのですから、これはやはり当然特別の手当を与える。チップというものは1日本ではチップというものが外国ほど一般的になっておらぬわけです。外国ならば、ホテルのボーイ、それからエレベーター・ボーイ、部屋のボーイ、食堂のボーイ、みんなチップをやる、フランスに行けば劇場の席に案内した女にまでチップをやらなければなぬ、便所にも人がいてそれにチップをやらなければならない、こういうことでチップというものは生活の中に溶け込んでいる場合はいいのですよ。日本ではチップというものは、宿屋の女中のチップぐらいのものがいわゆるチップとして一般の人にだれも納得されたチップなんです。そういうときに、列車の国鉄の職員に対して、こういう制度が行われておるのは、これは国鉄職員に対する一種の——国鉄職員ばかりでなく、国鉄それ自身に対する一種の侮辱のような、極端にいえば感じがするのです。こういうことはやめるべきです。私は、わずかの金ですから、とやかく言うのじゃない。こういうものの考え方、こういう一つの考え方が全部に通ずるのです。今チップの例をあげて、国鉄の経営についてお話し申し上げておるのですけれどもその点どうお考えになりますか。外国の場合と違います、日本では。
  300. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 先ほど営業局長からお話し申し上げましたが、靴をみがいてチップをいただくのがいいか悪いかということは、私昨年参りましたが、はっきり記憶いたしまして、相当なディスカッションをいたしました、それでチップは原則として廃止をして、車両の中にチップはいただきませんということを掲示するのがいいか、またそれはせっかくのお客様の御好意を無にすることだから、そこまでしない方がいいじゃないかというふうな説がとりどりでございました。それでそのチップにつきましては、額の問題もございますし、またあまりたくさんいただくようなことになりますれば、耳かえって非常な弊害が出ますが、またほんのお志を辞退するというのも非礼ではないかというふうなことで、意見がまちまちでございました。そこで私の感じといたしましては、お客様に過剰にわたらないサービスをして、それから目に立たないようにほんのお志を出して下さればすなおにお受け取りする方がいいのではないか、これは私個人の気持でございまするが、しかし、そういう点につきましては、ただいまいろいろの旅客サービスということにつきまして、モニター制をしいております、そしてそのモニターには、始終長距離の旅行をなさる方、評論家、社会的な方をお願いしまして、一年間に数回お集まり願って、鉄道の旅客接遇上のいろいろ御注意をいただいておりますので、そういうところにも、ただいまの御注意があった点をかけまして広く御意見を徴して、過剰サービスにならぬ、しかし、お客様が富んで下さるというところの限度を研究いたして参りたいと思います。
  301. 小林孝平

    小林孝平君 それはそういうふうにお答えになるでしょう。しかしさっきどなたでしたか、今廃止するのは非常に困る、それほど現在給与の中のもう予定された額になっているのです。それをもらわなければ困る程度になっているとおっしゃったように、今やめては困る、心づけぐらいでも、やめたら困るわけです。そういうものをもらうということで生活が営まれている。だからこれは客の方の意見なんか聞いてもだめなんです。客の方の意見だけを今副総裁はおっしゃった。これは工合が悪くならないように、直ちにあなたの方で、今度は運賃の値上げをされるのだから、おやりになったらどうです、その特別の手当を。さらに私は、場合によれば特二券あるいは寝台券を高くされてもいいと思うのです。そのチップの代金だけ、特別にそれだけ高くしてもいいのです。こういう不公平な、あるものは百円出し、あるものは二百円出し——これはサービスだけではない、私が申し上げるまでもなく御承知のことだと思うが、列車の内部において寝台券を購入する場合あるいは特二券を購入する場合に、特別に心づけを出されています。そういう場合があるのです。それはサービスには違いない、初めに買ってくればいいものを迷惑な話です。しかしそういうものに対するチップというものは、常識的に考えられるわけですが、さらにチップそれ自身が日本においては一般に行われていないのに、この国鉄職員に対してだけこういうことが行われている。それは日本人というのは、これは外国へ行っても、金のないくせにチップをよけい出したがって、そうしてチップの単価を上げて困らしているのは御存じの通りです。そういう金もないくせに出したがる癖を大体持っている人間です。チップを出して弄んでいる人間もあるのです。しかしそういうことでは困るのです。やはり国鉄は、そういうチップなどはあれしないで、必要なら従来のチップに相当するような金額を特別手当として出されたらいいじゃないか。これをモニター制で聞いたりなんかしてもだめです。これはあなた方の、出すか出さぬかという心がまえだけの問題だろうと思います。どうですか。
  302. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 非常にむずかしい問題でございまして、あるいはまた給与を多少上げましたとしても、チップを出される方もございましょうし、受け取る者もございましょうし、そういう点、しかしまたそれと同時に、先ほど申しましたように、職種別の給与というのは、国鉄に非常にたくさんの職種がございますので、一部を簡単にいじくるわけにも参りませんのですが、いろいろ御意見を拝聴いたしましたので、この点はまた十分研究いたしたいと思います。
  303. 小林孝平

    小林孝平君 それは従来のおざなりの御答弁です。私はこれは数年間考えて御質問しているので、おそらく国会で、ここでそういう答弁をしてそれきりということになるだろうと思いますが、これはむずかしいとか何とかいうけれども、現実に、今もおっしゃいましたように、今やめれば非常に困る、こういう程度の金なんです。これは特別のものです、ほかの場合と違います。そうしてそういうことがきちんと行われるならば、それはチップ特別に病人とかあるいは老人とか、特別なめんどうをかけたという場合は違いますけれども、一般の寝台に乗ってのサービスというのは、普通みな一般と同じですよ。それから列車の内部における乗車券の購入、特二券あるいは寝台券の購入というような問題ね、これはそう長い間検討される必要はないと思うのです。じゃ、いつまでに大体この結論をお出しになりますか、一月も御研究になればできるじゃありませんか、この国会中には御返事をいただけますか、研究の結果を。
  304. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私の答弁も決して思いつきではございませんで、実は先ほど来申し上げましたように、旅客に接する職種はどれだけのサービスをしなければならぬかということは、ずっと国鉄始まって以来(笑声)いろいろ研究いたしておるところでございます。あるときには行き過ぎになったり、あるときには引っ込み過ぎたり、いろいろな時代があったわけでございます。それからまた、この旅客サービス業は、単にボーイばかりでごいませんので、車掌もやはりきちんとした身なりをしなければなりませんし、さらに駅の出改札もこれは接客の業務に携わっておりまするので、そういうふうないろいろ比較も考えなければなりませんので、これは慎重に考慮はいたしますけれども、すぐに結論を出せと、こうおつしゃいましても、研究の結果、時間がかかるかもしれませんですし、お約束のほどは御遠慮申したい、こう思っております。
  305. 小林孝平

    小林孝平君 私はこれは一つの例ですが、こういうこと、すべていずれ研究いたしましてなんということは、国会の政府委員の御答弁なんです。私はそういうことで満足しないのです。こんなものは真剣にやられれば、一週間も研究すれば出ますよ。私は一週間とは言いません。少くとも一月ぐらいでこの国会開会中に結論は出ませんか。有能な方がたくさんおられて、そんなことで、毎日一秒の狂いもなく国鉄を連行されているのに、これぐらいのことが結論が出ないでどうしますか。
  306. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) それでは至急研究しまして、国会中に先生まで御返事に参ります。
  307. 小林孝平

    小林孝平君 これは私個人でやっているのじゃないから、私は委員会に、運輸委員会か何かで正式にこのお答えをいただきたいと思います。
  308. 千田正

    ○千田正君 関連質問で聞きますが、それは、私はおそく来たから前に小林君からお尋ねしたと思うのですが、私どもは出張その他に対して、急を要するために、まあたとえば交通公社あるいは駅の窓口へ行ってももう売り切れで、ありません。寝台車もなければ、特二もありません。こういうわけでどうにも手に入らない。われわれには特に皆さんから特別待遇で特例乗車券の表を持っていますが、行きますというとがらあきなんですね。がらあきである。そしてほかの乗客が乗るまで待って下さい、席を占めるまで待って下さいというし汽笛一声出てみれば、さっぱり特二も何も満員になりはしない。どういうところに欠陥があるか。この小林君も質問したであろうと思うが、国鉄の給与体制というものはああいうボーイさんたちも、国鉄の職員として生活の基準に沿うて給与を与えておるというのであれば、それ相当のことを考えるべきであろうと思うが、たとえば十枚なら十枚分は特別にボーイに、これはボーイの給料が少いからこの分はお前たちが勝手に売って、それからお礼をもらってそれで生活の足しにしろという意味で、あれば切符の車内販売は許しておるのですかどうですか。
  309. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在私の方で前売りいたしております切符は、特二券と特急券とそれから寝台券でございます。それらにつきましては、大体、たとえば東京発の下り列車で申しますれば、東京駅に何枚、新橋に何枚、横浜に何枚と各駅に一応割当をいたしております。また交通公社にも何枚かの割当をやっております。そうしてそれが自分のところで売り切れてしまいまして、さらにお客さんの御要望がございますれば、主として東京駅なら東京駅に連絡いたしまして、もらうわけでございます。実はそういう制度を相当厳重にやっておりますが、やはり事務の手違い上、二重に発売する場合が全然皆無とは申せません。ことに最近のように一つの寝台車を二晩続けて使うような場合がございます。そうなりますと電話その他の関係で、どうしても二重発売ということが間々起りまして、その際に非常にお客様に御迷惑をおかけいたしますので、その二重発売のために万が一にもそういう場合があったときに困りますので、車掌に原則として一枚の手持ちだけを与えておるわけでございます。
  310. 千田正

    ○千田正君 どうもそれは実態とは合わない。私は方々へ旅していてしょっちゅうそういう問題にあうのですがね。で、入ってみるというと三分の一はがらあきだ。いいですか。同時に、われわれはいろいろな業者の諸君から聞くというと、いや、国鉄はそんなこと言ったって先生そんなこと言ったって無理ですよ。五百円もチップをやればちゃんと席はとれるのですから、われわれはその日に行ったって乗れますよ。あなたは知っておるかどうかしらぬけれども、現実はそうなんですよ。それはあなたもそういうふうにおっしゃるように、一枚しか持っていないと、こう言うけれども、それなら試みにあすの急行に御同行してもらいましょうか。五枚も十枚も残っていますよ。あそこのがらあきなのは一そうして次の二等車なら二等車に待たせて、そうして順次にそれならば指定券を差し上げましよう、そういう現実をあなた方知らぬはずはないじゃないですか。
  311. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私が先ほど申しましたのは割当のことを申しましたのであります。今先生のお話しになりましたのは、東京駅で売りましたものを、必ずしも売り切れましてもそのお客様が実は全部東京駅においでになるとは限らないのでありまして、途中で棄権をなさる方もございますれば、急に旅行をおやめになるという方もございまして、たとえば東京駅を発車いたしましてから、東京駅に割り当てました分が何号、何号、何号ときまっています。たまたま、大体三十分ないし一時間待ちましてお乗りになりませんと、このお客様は見えないものというように解釈いたしまして、そうしてその分をお売りするということになるわけでございます。
  312. 千田正

    ○千田正君 まあ東京駅の方はあなた方は厳重に取り締っておるかもしれないが、地方の主要駅、各県の県庁駅と称せられておる所、そういう所でわれわれは途中で乗ろうとしたって手に入りませんよ。そうして入ってみるとがらあきだ。みんな売り切れておる。ボーイに二百円か三百円つかませなければ席がもらえない。うそだと思ったら聞いてごらんなさいよ。現実にわれわれは何回も経験している。私はそういうことは国鉄の給与の問題に関連してあるのじゃないか。ボーイにあなた方は十分の給料を与えていないのじゃないか、最低賃金でも何でも。だからお客さんからコミッションをもらわなければ乗せないといった古い考え方をもっているのじゃないか。そうじゃないですか。そうじゃないとするならば、平等のサービスをすべきであるし、あなた方の規則は正しく守られるはずだ。
  313. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 中間の地方の方に参りましても、建前はやはり同じようにいたしておるのでございますが、今先生のおっしゃったように、それでもってそれを飯の種にしろというようなことは毛頭考えておりませんが、ただ実際問題といたしましていろいろ発売上の手違い、あるいは二重発売等の問題がございまして、ときどきお客様に御迷惑をおかけいたしておることは非常に申しわけないと思っておりますが、そうい点につきましては、今後もできるだけ間違いのないようにいたしたいと思っております。  また最近、非常に何と申しますか、リザーべーションセンタと申しまして、できるだけそれを一カ所に集めまして、そして各駅に割当を配して、たとえば東京駅なら東京駅一カ所で全部がわかるようなシステムを今方々徐々にとりつつございます。そういう場合には、たとえば一駅にいらっしゃってその場合にないときにすぐよそからあいているものを回すというような、空席になったものをすぐ利用できるような方法を考えております。現在飛行機その他で利用しておりますようなああいう、まあ飛行機は数が非常に少いものでございますから、ああいう非常に遠い国相互間でも席の融通をやっておりますが、私どもの方でも、できるだけそれができるような制度をいたしたいと思っておりまして、今東京と大阪等にはそういうセンターを作ってやっておりますが、今後ともそういうことをいたしまして、できるだけ今のようなお話のないように心がけて参りたいと存じます。
  314. 千田正

    ○千田正君 あなたがここで証言したことが間違いでなければ、今度私が旅行してそういうことがあったらどしどし注意しますが、あのやろううるさいやつだからスペースも持たせてやらないと言ったらとんでもないことだ。
  315. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点はぜひお願いします。
  316. 小林孝平

    小林孝平君 副総裁に特にお願いしておきたいのは、研究したけれどもなかなかむずかしい、一番簡単なのはチップをもらわないことにするのが一番簡単だから、車内にそれを張り出して、今後はチップはもらわないことにします、ということを新聞にでも出してそれで片づけよう、そういうことは御研究になった結果——そういうことをおやりになるくらいなら御研究は要らないのです。そういう安易なことならね。それが一番簡単なんです。おそらく副総裁、非常にまじめな方ですから、そういうことをおやりにならぬと思いますが、そのことは、とることがいつも国会でやかましいことを言われるから、チップはまあもらわないことにしよう、車内にも張り出しますし、新聞にも広告いたします。そういうことでは私はさっから申し上げているように解決にならないのです。私はまだはかに申し上げたいことがあるけれども、言わないだけなんです。  それから営業局長に申し上げますが、サービスの点ですね、いろいろあなたいわゆる国会答弁式な答弁は要らないのですよ。そういうことをやったってちっともこっちは満足しませんからね。たとえば今のボーイなんかのそういうことからどういうことが出てくるかと申しますと、過剰サービスが出てくる。靴みがきのことを独特な、あなたは非常に頭が回られますから、理屈をいろいろ言われましたがね、たとえば荷物もそうなんですよ。荷物なんかたとえば荷物を網だなからとってくれる。これは上と下と逆にされると困る荷物があるのです。自分でおろしたいのを非常に親切でおろしてくれる。その結果は荷物が逆になって非常に困る場合がある。それから特にこの委員会の中の今ここで委員になっている方が被害者です。特に名前を言わないでくれと言うから申し上げませんけれども、ボーイが、新橋だったか品川です、自分で持っていこうと思っている荷物を持っていってデッキの所に置いて、また戻って人の荷物を運ぶ、その間に盗難にかかっている新しい洋服一着取られているのです。これなども普通の荷物などはこれは自分で持つべきものなんです。これを過剰サービスしてそういうことをやられる結果、何でも荷物を持たないで出るのが何か汽車に乗るエチケットか何かのような気持を国民に与えるだけでも、これは重大な影響です。これは考えてもらわなければ困りますよ。それよりも盗難にかからないように、ちゃんとこの汽車の出入りのときに、乗車のとき、停車の時間は厳に見ててくれた方がよほどサービスなんです。それぞれ力があるのですから、自分で持てないような荷物はめったに持ってこないのです。そういう点はサービスでないのです。  それからついでに申し上げますが、これも私は前から申し上げているたとえば扇風機をつけている、非常にありがたい。ところが、寝るときはこれは扇風機は消すのがからだのためになるのですよ。寝るとき扇風機をつけっぱなしにしている。日本人は大体鼻が悪いから口を開けて寝ている。一晩じゅう夏でも扇風機をかけているからかぜを引いてしまうのですよ。ところ日本人は衛生思想の発違していないのがいるから、つけたがるのがいるのです。こういうものこそ、国鉄は十二時になったら扇風機はとめる、こういうのを掲示したらいいのです。あのために夏でもどれくらいかぜを引いている人がいるかしれません。それこそあなた方がおっしゃるべきだ。扇風機がバーバー回っているが、あまり涼しくないのですよ。冷房車を今度お作りになるようにお願いしますけれども、そういうことを、これは営業局長の管轄かどうかしれないが、そういうこともお考えになったらどうですか。あの少くとも扇風機は直ちにやっていただきたい。それから今度は暖房、これはあなたたちは大体一等車にお乗りになるから御存じないかもしれませんが、われわれは信越線のあの間に乗ります。冬などは二等はついていませんから三等に乗ると、暑くて暑くてみんなオーバーから上衣からぬがなければ入れないような所へ、われわれは何時間も入って通っている。ところがこれも人前で上衣をぬぐわけにはいかないから、暑いのをがまんして、その結果はみんなかぜを引いてしまうことは大へんなことなんです、このためにかぜを引く人間は。あなたたちもたまには三等にお乗りになって、一つサービスの点を研究されたらいいと思うのですよ。一等車のサービスだけではだめなんです。ぜひこれも御研究下さいまして、まあ一、二の例を申し上げたのですが、まだいろいろ申し上げたいことがありますけれども、時間の関係がありますからやめておきます。
  317. 千田正

    ○千田正君 どうも文句ばっかり言うようだけれども、せっかく運賃が上ったのだから、改造してサービスすることを考えて下さい。それは食堂の問題ですよ。列車食堂です。なるほど東海道線は特急が、帝国ホテルとか新大阪ホテルとか一流のホテルや何かが引き受けてやっておりますが、地方に行くと、東北本線あるいは奥羽線もしくはその他のローカル・ラインに至っては、実にひどいお粗末なものを食わせるし、不潔なことおびただしい。僕は憤慨して、まるでせったの裏皮みたいなカツを食わせるが、歯に合わないのです。一体これで料金をとることは不都合だと言ったことがある。あなた方は一体監督しているのですか。食堂はただまかせているのじゃないですか、すべて。
  318. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 食堂車につきましては、実は皆さんからずいぶんそういうお叱りを受けておりまして、非常に監督も厳重にいたしておりますが、なるべく今度はお互いに競争ということでもって自発的にいいものを安く売るようなこともさせようと思って、なるべく複数制を現在考えております。具体的な一車々々のあれにつきましては、私どももまた私どもの係の者ももちろん一旅客として乗りまして、そうして自分で食べてみまして、具体的な例を示しては、すぐ関係者を呼びましていろいろなことを言っておりますが、なかなかやはり目の届かない点がございまして、今おっしゃったようなことが間々あるようでございます。その点は十分監督していかなければならないと考えております。なかなか台所が狭いその他の関係で、どちらかと申しますと、少し手の込み過ぎたことをやり過ぎるようなきらいもございますので、その他の点につきましても、やはり設備に即した料理をお出しするようなことも考えて、そうしてなるべく値段にふさわしいものを提供するというふうに監督して参りたいというふうに考えております。
  319. 千田正

    ○千田正君 とにかく一ぺんお供しましょうや。国会議員でもなく、国鉄のお偉方でもない、普通の三等客として一度一つ味を見てごらんなさいよ。私は、水牛の肉だか馬の肉だかわからないようなものをやはりポーク・カツなんといって食わされて、とても歯に合わぬ。十分にあなた方食料衛生上からいっても研究していただきたい。やはりそれは値段の問題もあるでしょう。あるのでしょうけれども、あまりにひどい。ああいう食料を食わせるのはよほど考えてもらわなければいけませんよ。  それからさっき途中で小林先生が言われたのですが、やみのいわゆる切符のブローカーですが、いまだなお跡を断たないのですが、あれは何か取締りやっておるのですか。
  320. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実はダフ屋と申しますやみのブローカーには私どももほとほと手を焼いておりますが、最近は非常に厳重にやっておりまして、東京駅あたりでも、大体発売する時間等がきまっておりますので、その時間には公安官等を動員いたしまして、できるだけ追っ払って実はおるのでございますが、服装その他の関係で見分けのつくものはよろしいのでございますけれども、なかなか近頃は見分けのつかない普通のお客さんのような格好をして買うというようなこともいたしておりますし、またそれらの防止のために、たとえば乗車券と一緒でなければ売らないというようなことも実はやってみたのであります。また一々申込票をお書き願ったりしてやってみましたが、いずれもかえってそのためにほかのお客さんに非常に御迷惑をおかけするというようなこともございまして、結局あそこに集まってくるものを迫っ払う以外にないということになって、今できるだけ公安官その他を使ってやっておりますが、警察の方でもずいぶん協力をしてくれておりますが、なかなかそれらの目をかすめまして跳梁いたしておりまして、非常に困惑いたしておりますが、できるだけ今後そういう取締りは厳重にやって参りたいと思います。
  321. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 一点、三十二年度の国鉄の予算の中の借入金の関係をちょっと伺いたいのですが、資料を見ますと、一般の借入金が若干減りまして、資金部の金が若干ふえて、大体とんとん、ここに「利用」とありますが、それが十億ほどふえているのですが、結局全般から見るというと、借入金が三十一年度に比べますと減った勘定になっておるようですが、そう見ていいのかどうか、ちょっと御説明願いたい。
  322. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 私から御説明いたします。三十二年度の借入金は、資金運用部から、ここにございますように八十億、鉄道債券、ただしこれは公募の分が二百十五億それから利用債、地元で持ってもらうのでございますが、これが二十億ということで、三百十五億ということになっております。そしてこれは三十一年度、本年度と比べますと、本年度資金運用部から五十五億、それから鉄道債券の公募の分が二百四十億、利用債が十億ということになっておりまして、利用債は少し性格が違いますから一応別といたしますと、資金運用部の借り入れとそれから債券の公募分を合せますと、本年度と来年度とは同額ということになっておりまして、このうち内容的に申しますと、資金運用部より借入金が二十五億ふえまして、鉄道債券の公募の分が二十五億減りまして、総額としては同額と、かようなことに相なっております。
  323. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 鉄道債券の利子は幾らですか。
  324. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 現在発行いたしております鉄道債券の利子は、七分の利子で百円のパーで出しております。
  325. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 なお支出の方を見ますると、借入金等の償還が、三十二年度で七十四億五千万円とありますね。それで三十一年度においては二十四億五千万円、結局ここで三十二年度においては四十九億、約五十億ほど償還するわけですね。そうしますと三十一年度と三十二年度と比べて、来年度は借り入れの残高といいますかね、平均残高というものが下廻わるわけなんですね。結局三十一年度、三十二年度の借入金は、内容は変りますが、大体とんとん、償還の方はつまり三十一年度よりは五十億多く返す、こうなりますね。そうすると結局、その三十二年度における借り入れの全体の額は五十億見当減る、こうなるのですね、計算上。
  326. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 借り入れ残高の点につきましては、来年度約三百億ふえまして、それから今先生おっしゃるように、五十億減るわけでございますから、残高としては二百五十億、帳じりはふえるわけでございます。
  327. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうですか。結局借り入れの額は三十一年度と三十二年度と同じですね、それから返す額は、三十二年度において五十億ふえるんじゃないですか。
  328. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) その点はこういうことに相なるかと思います。三十一年度中につきましては、これは概数で申しますと、三百億新たに借りまして二十五億返すと、こういうことで二百七十五億三十一年度中にはふえる。それをもとにいたしまして三十二年度では、新たに三百億借りましてそして七十五億返すと、こういうことで二百二十五億ふえる。ですからふえ方は、三十一年度に対して五十億は少い、しかし帳じりとしては二百二十五億ふえる、かようなことに相なるかと思います。
  329. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうですかね。私もよく計算してみないと……。ところで、かりに平均残高が同じだとしますと、私の計算じゃ、しろうとの計算じゃ危ないのですが、若干減るように思うのですけれども、残高が同じだとして、利子の方相当ふえるのですね、利子及び債務取扱諸費というやつ。これは大部分利子だと思うのですけれども、鉄道公債の方は預金部に若干振りかえて、しかし、御説明によれば平均残高では大体同じだ、私は若干減ると思うのですけれども、それで利子が十五億ふえる、これはどういうことなんですか。
  330. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) ちょっと私の御説明が不十分であったかと思いますが、端的に申しますと、三十年度末に借金の残高、いろいろ内容は違いますが、約千六百九十億、これは三十年中末でございます。それから三十一年中末が、確定しておりませんが、約二千億をちょっと割ります。それから三十二年度末は、先ほど申し上げた二百二十五億がふえるわけでございます。そして二千二百二十億程度に三十二年度末はなるわけでございます。ですから年度間のでこぼこは別といたしまして、差額の二百二十五億がふえる分がそこに出ております。約十五億、大体六分五厘ないし七分の利子になりますから、約十五億ふえる、さような計算に相なるわけでございます。
  331. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうしますと、三十二年度予算はこれだけで見ますと、三十一年度で新しく預金部から借り入れるのが五十五億、それからそれが三十二年度で二十五億ふえる、債券が二十五億減って、新しく借り入れる分がとんとんなんですね。それから返す方を三十二年度と三十一年度と比較するというと、五十億ふえる、三十年度から引き続いたもとのやつは一応変らぬとすれば、どうも計算上借入金の残高は減るような気がする、それがふえるのですかね。
  332. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 繰り返し申し上げるようでございますが、こういうことになるかと思います。つまり三十一年度中にふえるものは、三百億から二十五億引いた二百七十五億がふえる、三十二年度中にふえるものは、同じく三百億から七十五億減った二百二十五億だ、ですから、その当該年度におけるふえる分を比較しますと、ふえ方は五十億少い、しかしそれがふえるのは二百二十五億は帳じりとしてはふえることになります。もう一度繰り返して申しますと、今年度、三十一年度の残高が三月三十一日では二千億ちょうどになります。それが三十二年度、来年の三月三十一日には、それに二百二十五億加わった二千二百二十五億になるということでございまして、大体そのふえた分の利子がちょうど十五億くらいふえる、こういう計算になるわけでございます。
  333. 内村清次

    主査内村清次君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  334. 内村清次

    主査内村清次君) 速記を始めて。
  335. 千田正

    ○千田正君 今度の新線に対する予算は、十五億三十二年度は見ておりますが、新線の要求が非常に多いと、多いが国鉄の審議会にかけて、その答申を待って運輸大臣は処置されておるようでありますが、国鉄本来の姿からいって、いわゆる独立採算制をとっている、まあ要請しておるところの新線というものは大体において採算には乗らないようなところの方が多い、しかし国鉄の使命というものは、むしろそうした不便な所をある程度のラインまで乗せてやるというのが、私は国有鉄道の使命であると思うのです。ところが一方においては独立採算制というもので締め上げられてきておるから、採算のとれない新線というものはなかなか始めようとしない、これが私は現在の状況だろうと思う。はなはだしいのは、戦時中にレールをはずして、そうしてほかへ転用したものが今日に至っても復旧していない。非常に国民は不便を感じておる。しかしながら現実においてはそれが採算がとれないからという理由のもとにやっておらない。国家の必要なときはレールまではずしてやっておって、終戦になってからすでに十二年たっても、今もって復旧しておらない、こういう線の復活要求はたくさんあるはずです。にもかかわらず、今もってやらない。今年度予算を見ると、十五億しか見積っておらない。これでは私は国民が国鉄に信頼し、期待しておることに対して対処できないんじゃないか。それで国鉄本来のいわゆる独立採算制でまかない切れないものは運輸省でその補助なり、助成なりを十分見てやって、そうして新線の要望に対して、ことに適当と認めることに対しては許可してやるべきじゃないか、私はかように思うのですが、運輸大臣はどうお考えになりますか。
  336. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) つまり今の、去年が五十五億ですか、ことし合せて七十億ですが、その新線建設費用が非常に少いと思うんですね。それですから、これを今お話のように、もう少し国鉄の公共性にかんがみて、国家のたにめもっと広くやる、私はやっぱりやらなきゃいけない部分があると思うのです。今百五十線があるそうですが、今どうしてもやらなければならぬ今の十一線の調査線のほかに、まあ三、四十線やれば大体いくんじゃないかと言っておりますが、それはもう別問題として、それにはもう少しよけい使うようにして、そうしてやはり政府がせめて利子の補給をやり、今あまりわずかですから、そればかりの金を利子補給をやらなくてもというような——まあいわゆる全体としては二千億でありますけれども、新線の方、ふえていくのがわずかですから、そういう気持もありますが、しかし大体この五カ年の増強計画、ことに三十二年度がまたそんなことはないと思うのです。これだけ数字をふくらましてありますから、ないと思いますが、またばかに忙しくなって収入が多くなっていくなんということがあればですけれども、そういうことはまあないと思うのです。去年は百四十五億ですか、よけい出たのですが、私もしろうとですから、よけい出るかと思って、この間の給与の問題にからんで、来年八十億や百億は出るからいいじゃないかと言ったところが、事務当局からとてもそんなことはありません。今の計画では十億か十五億出るか出ないかというような窮屈さだというのですから、そういうことであるとすれば、新線をやれば今度はやはりせめて利子の補給という問題はもう出てこざるを得ないと思います。今度の運賃値上げがこの三、四年言って出てきたのですが、今度は利子の補給の問題も出てこざるか得ないと、こう思っておるのであります従って、皆さんの方から、公共的な使命にかんがみて、国家が運賃の値上げだけによらないでもっと持ったらいいじゃないかという考えは、私どもも根本においてはそれは反対じゃないのであります。ただ私がいつも言うように、今日の段階においては、国鉄が相当まだ力があるのですから、ほかの経済の方は私企業だというのですが、今日はもう公企業でも私企業でも、日本経済に寄与する点は、船にしても何にしても同じだと思うのであります。実際は、それですから私企業なら私企業でやっておるのですが、必要なら国家の方でもその公共性が同じな見てやる、そういうような意味で必ずしも国家の助成を回避しておるという意味じゃないのでありますが、そのときの状況によって、これは順次やつていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  337. 千田正

    ○千田正君 まあ運輸省も国鉄もそうですが、一応の予定線を作ってあるはずですよ。そうして戦時中においては、戦争という名前のもとにいろいろ急速に敷設した所もあるし、すでに敷設したものを撤去した所もある。私は今日の平和の状態において、そうしていやしくも国有鉄道という名前を打って国民の公共のため、足のために働いて、そうしてやっておるという国有鉄道としては、まかない切れる、利益の上ることだけを一生懸命やろうと、われわれ辺陬の地にある者としては、中にひとしからざるものを憂えるのであります。東京と神戸、あるいは東京と下関のあの間だけはどんどん復線から復々線、あるいは電化、そうして九州であるとかあるいは北海道とかあるいは東北であるとか、あるいは北陸であるとかいうような所は、相も変らずもう新線も十分にできない。さっき私は旅客関係局長に失礼なことを言いましたけれども、飯を食うおかずからすでに違っておる。東海道線の列車食堂と東北や北陸や九州は大体食べるものから違っておるではないですか。ひとしからざるをわれわれ憂うるのです。いやしくも国有鉄道と名乗ったら、収支バランスが足りなかったらこれは国の予算の中か見てやる、そして均衡のとれた、いわゆる国民生活に公共事業として提供するだけの国家に奉仕する考えがなかったならば、国有鉄道という名前が泣きますよ。来年度からもっとふやしなさい、この予算を。運輸大臣はせっかくわれわれの大先輩として運輸行政の最高の責任者に立ったのですから、あなたの腕のふるいどころはここだと思うのですがいかがですか。次の予算には修正して予算をふやしなさい。
  338. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) ただいまのお話は、この三十二年度予算でもう少しふやして修正しろというお話、まあそれは実際……。
  339. 千田正

    ○千田正君 そういうわけではない。三十二年度はきまっておるのだから、あなたが途中でおやめになるか、そのままずっと岸内閣が存続する限り運輸大臣としておられるならば、少くとも三十三年の予算には飛躍的にそういう問題を解決しなかったならば、私は国有鉄道の、しかも最高の運輸省責任者として、これはこのくらいの腕をふるって下さい。宮澤運輸大臣の一つ仕事としてやって下さい。
  340. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 私は、さっき中村さんにそういう答弁をしたら、迫水さんからどうも少し言い過ぎるぞといってしかられましたが、私の夢を語らしていただけば、この次のやるべき段階は、新線にもう少し多くやる、それからもう一つ、鉄道に関しては青函線と四国の問題を一つ別の資金において今年一つその途を立てたい、四、五年間で。これは鉄道に関することであります。その他は港湾の整備をする、何とかもう少し、今年は二十七億ふやしましたけれども、もう少し幅の広い線で港湾の整備をやって、海陸の、ことに国内の外航、内航ともに一つもう少し整備して、国鉄だけに負担をかけないでももう少し大きくなるようにやりたい。それからもう一つ、観光と航空とを一体として世界のレベルに——レベルにはとても乗りませんが、近づいていくようにやりたい。せめてこの三つだけを今あなたのお話のように短い在職の期間でも基礎だけは定めていきたい、こういうように考え
  341. 千田正

    ○千田正君 その御答弁、まことにその通り実行して下さい、一つ。
  342. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 千田委員の質問に関連して、私は違った考え方もある。それは今日バスやトラックというものによって、近県ばかりではなく遠い所は宮城県あるいはそれ以北からもどんどん列車と競争して今日東京に入り込んできておりますことは隠れもない事実です。まあ審議会にかかった新線の建設につきましては、私は云々するわけではありませんが、少くとも今日の自動車の発達した現段階において、鉄道によって日本の交通網を整備するというような経済線というものはそうざらにあるものではなくて、むしろ鉄道の建設に使うところ費用をもって道路整備して、そして彼此相待って日本経済、交通の地盤を作るべきであると私は考える。それはもちろん選挙民にはここに鉄道を作ってやる、こうだ、ああだといえば、それは喜び、また相当に地盤獲得にはなるでありましょうけれども、ほんとうに日本の将来を考えるならば、私は汽車だけしか通らない鉄道を作るよりは、人間でも自動車でも通れるようなものに総合的に力を入れるべきだと思うのです。まあ運輸大臣の非常な心がまえというものが、きわめてまあ千田委員に率直なお答えのようでございますが、私はそういう考えも持っておることを運輸大臣はどうお考えになりますか。違った意見ですか。
  343. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) これはもう全然同感でありますが、ただ仕事としては、御承知通り、バスその他の問題は建設省が十年計画をとっておる。私も、まあ先ほどから問題になっている中央道を初め、これには非常に個人的に力を注いできた、それから今お話の日本の交通がバス、それからトラックなんというものは、非常に大きな使命を果していますが、鉄道の新線は、私はこれから後乗客はバスの方へ移っていくと、こう思うのであります。鉄道の新線は、やっぱり国土開発の、資源開発の方面で貨物の輸送というものは鉄道がやっぱり陸上で相当負っていかなければならぬ、むしろ乗客も。その貨物の輸送を自動車と鉄道とどう連絡するか、この問題に——この四月にできるのですが、一つ興味のあるものは、鉄道の線路をはずして、はずした所へ今度自動車道路を作るのが四月か五月、今年度内に完成する、それでどうすれば——これも港湾と同じことで、鉄道の荷物をトラックに積みかえて、また持っていって鉄道の方へ積みかえるのでなくて、もう少し知恵のある方法で連絡ができることになるか、これは非常に今のお話も、鉄道の新線建設をやめて、荷物もそれでやっていけるということになると、よほど様相が変ると思いますが、なかなかそこまで——あの貨車がそこまで通って、歩いて、貨物を送る、この点に新線建設の大きな使命があると思う。乗客の点では私は今のお話の通りの方へ移っていかねばとても間に合わない、こう思っております。
  344. 柴田栄

    柴田栄君 ただいま運輸大臣の大へん御抱負をお聞きして非常に心強く思っておりますが、本年度、三十二年度予算についても、御抱負の一部として新線建造には相当力を入れていただくというふうにも見えますが、それと関連しまして、これはよくわからぬのでお教えをいただきたいのですが、修繕経費というのが前年度よりも減っている理由は、もう修繕については相当整備できたということでございますか。
  345. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) お話の通り、修繕費は前年度予算に対して相当減じております。この理由は二つ三つございまして、一つには、できるだけ工事の単価、ことに請負工事の単価をできるだけ切り下げていくことに努力をする。もう一点は、今先生のおっしゃったこととも関連してですが、終戦前後酷使されました車両のいわば特別修繕と申しますか、そういった費用をある程度ここ数年の予算の中に見積って参ったのであります。そういったものをある程度減じていくことができる、こういったような理由で修繕費を減少いたしたわけであります。
  346. 柴田栄

    柴田栄君 それは大へんけっこうなことだと思うのだが、一時はまあ生命の危険も保障しないに近いようなひどい状況で汽車を走らせていっておったのが、大へん早い機会にほんとうに安心できる程度まで修理ができておる、それはけっこうだと思いますが、あまり大臣の御抱負を強く言い過ぎたために、平衡を失しないように一つお願いしたいと思います。そこでこまかい話ですが、資材計画の中に、まくら大というのは六百八万丁くらいと、こう見ておりますが、これは従来から比較いたしますと、つけかえその他の関係、これは新線の建設に要するものよ入っておるのではないかと思うのだが、相当急激に減っておるようでありますが、これはもうこんな程度にまで進んできたということが言えるのですか。
  347. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 数字については担当の方から申し上げますが、線路の強化につきましては、非常に努力はいたしておりますが、近年資金が不足いたしたために、この線路その他の資産の維持に投ずる資金が非常に不足して参りました。かたがたには、資産の維持に充てます、つまり減価償却費でございますが、これを十分に使えませんでしたし、またかたがた新規輸送力増強ということも、これまた使えませんでした。しかし、今回五カ年計画を立てましたにつきましては、線路の強化ということも、これも一つの目標といたしまして、線路の強化をいたしていきたいと、それには減価償却費を引き当てるのもございます。と申しますのは、従来レールは取りかえ資産といたしまして、取りかえてやって参りました。しかし、線路の強化は、どうしても重軌条にかえなければならぬ、それから、長尺のレールにかえなければならぬ、そういうふうな資産の増加になりますものは、工事費を充てることもできます。まくら木につきましては、今回はコンクリートまくら木をできるだけ多く使って参りたい、こういたしますと修繕費も安くなると、こういうことでございます。
  348. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) ちょっと補足して数字を申し上げます。三十年度に大体使いましたまくら木が、補修用と工事用と合せて四百七十三万八千丁でございます。従いまして、今年度に六百八万丁でございますので、相当数量輸送量増その他施設保守について、工事用も含んでおりまするが、増加を見込んで、妥当な数字だと思っております。
  349. 柴田栄

    柴田栄君 もう少しお聞きしたいところもありますが、まあやめますが、ただ、非常に取りかえ数量がふえて、しかもコンクリートまくら木にされるとすれば、単価は従来の木製まらく木に比較すればかなり高いはずだと思う。高いまくら木を相当数量数多くして、修繕費は少くなるということが、どうもちょっとはっきりわからぬのですがね、
  350. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) この修繕経費について、先ほどの国鉄の説明にいささか加えたい点がございます。それは、先ほどの理由以外に、実はこれは修繕費というものの組み方が戦後ずっと、いろいろな関係がありまして、実は決算主義によっていないのであります。従って、結局年度末において流用でもって他の費目に流用して参りましたずっと予算編成の戦後の歴史がございます。これについて、経営調査会、あるいは行政管理庁の報告によりまして、この関係を次第に是正して参っておりますし今回の三十二年度予算編成に当りましては、三十一年の決算見込みが大体立っておりまするが、その決算額に対して、業務量増がございまするから、業務量増の修繕費を加算いたしまして、それに先ほど国鉄の経理局長の申しました点を引きまして、これが約三分で十六億くらいになるわけでありますが、それで見たのであります。従って、修繕費としては見合っておりまして、結局それが現実にはどこに行っておるかと申しますと、今回は退職手当がふえておりますが、在来はそれは修繕費から流用されておったので、そういうようなのは格好としてもおもしろくありませんので、決算主義によって査定を加え、そのかわりに他の費目でふやすべきものは、退職手当等ではふやしております。従って、そういう関係で数字の上で急に大きく減ったような印象になっております。
  351. 柴田栄

    柴田栄君 大体了解いたしました。ところで、一つだけお教えをいただきたいのは、先ほどコンクリートまらく木に振りかえて耐用年数を伸ばし、あるいは修繕費を節約すると、大へんいい傾向だと思うのでありますが、大体どんな御計画でコンクリートまくら木に置きかけてやるのでございますか。
  352. 小林重国

    説明員小林重国君) 従来木まくら木を相当使っておったわけでございますが、国内の森林資源もだいぶ枯渇してきましたし、また最近はパルプ用の木材の需要が非常に多くなっております。パルプとまくら木の用材とはとかく競合する傾向がございまして、木の方の需給も非常に困難になってきております。そういう面からいたしまして、一方コンクリートまくら木についても、数年来研究を進めて参りましたが、ほぼ見通しもつきましたので、本年度十万丁ばかり使ったのでございますが、来年度はこれを約倍にいたしまして、二十五万丁ほど使いたいと考えております、それから使う場所といたしましては、従来は割に試験的に各線区でばらばらに使っておった傾向がございますが、大体見通しもついて参りましたので、ある線区に思い切って投入すると、こういうような方法も講じて参りたいと存じております。
  353. 中村正雄

    ○中村正雄君 副総裁お尋ねするわけですが、たしか二十八日の運輸委員会であったと思います。同僚柴谷君が質問しました二十三日の国鉄の混乱について、副総裁から御答弁があったわけでございますが、その後私の調査しましたことと、幾分時間的その他で食い違いがあるように考えるのですが、あのときの答弁の通りの事実であったかどうか、もう一度お聞きしたいと思います。
  354. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 実は当日相当混乱をいたしておりましたので、いささか記憶も明確でない点もございました。で、事実を調査いたしまして、時間的に多少ズレがあったことを私も発見いたしましたので、この際明確にいたしておきたいと存じます。  二十二日に団交いたしましたのは、夜八時ごろから始めまして、私が出席して説得に努めたのでございます。それから翌日の二十三日には、私は二度説得に国労本部をたずねまして、その第一回は十二時半ごろでございました。それから第二回は二時半ごろであったかと存じます。それからまたその前後に、支払いは五時ごろまでには開始できる見通しである旨の電話の通知を本部にいたしました。それから三時四十分に当方で支払いを開始した旨の正式の通告を国労の本部に通知をいたした次第であります。  それで、以上訂正いたしますと同時に、私の説得力の不足もありまして、大方に御迷惑をかけたことを重ねておわびする次第でございます。
  355. 中村正雄

    ○中村正雄君 それで大体事実は了解いたしましたが、この点につきましては、またあらためて総括質問のときでも御質問するといたしまして、経理局長と常務理事にちょっと数字の点について具体的に、時間がありませんので、一点だけお聞きしたいわけなのですが、歳出予算のうちで、本年度が五カ年計画の初年度に当っているわけでありますが、五カ年計画説明によりますると、施設の関係経費は一割削減して、そうして九百五十億の修正五カ年計画財源に充てる、こういうふうになっているわけで、その間の大まかな質問は本会議やあるいは運輸委員会で質問をいたしましたが、ただ施設工事関係の面については、節約できるものも相当ありますけれども、車両等については、休憩前のこの委員会で權田政府委員からも、鉄鋼等は相当値上りの傾向にある、従って車両等も幾分値上りになるのじゃないか、こういうお話があったわけなんですが、具体的な数字についてお聞きしたい点は、三十二年度予算が成立し、予算を実行する前に、車両等につきましては、御承知の債務負担契約をやっておりますが、この債務負担行為ですでに発注しているものが相当あるわけなんです。貨車だけを一つ例にとって御質問いたしますと、本年度注文いたしました貨車の単価と、債務負担行為で発注いたしました貨車の単価とどういうふうに違っておるか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
  356. 小林重国

    説明員小林重国君) ただいま具体的に、七月ごろ契約いたしました貨車の価格と最近国庫債務で契約いたしました価格を数字的には覚えておりませんが、たしか七月に対しまして、国庫債務で契約いたしましたときには、三、四%程度の値上りになっておったんではないかと記憶いたしております。
  357. 中村正雄

    ○中村正雄君 それからもう一つ、債務負担行為ですでに発注したものと、来年度予算通りまして、この予算で発注する単価、予算に見積られている単価と同じような単価で注文できる見通しがあるかどうか。それと本年度予算の基礎になっておりまするこの車両の数と、それを基礎にして計上されておりまする予算の金額でまかない得るかどうか、この点をお尋ねします。
  358. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 車両につきましては、三十二年度の発注も急速にいたさなければならないので、ただいま研究中でございますが、やはり諸材料が上っておりますので、多少の値上りはやむを得ないのではないかというふうに考えておりまするが、また他方、非常に従前よりも多量に注文をいたすことになりますので、そういう多量注文という点で、極力単価の値上りを防止していきたい。今後そういう点で、せっかく業者と折衝をいたしたいと、こう考えております。
  359. 中村正雄

    ○中村正雄君 非常に私奇異な感じを受けるのですが、来年度予算説明のときには、車両の新造関係も含んだこの費用を一割削減する、このうち車両がどれだけで、あるいは工事関係がどれだけか知りませんが、一割削減する、これで修正五カ年計画をおやりになる、こういう御説明になっておるわけなんです。そうしますと、平均的に一割削減になるとすれば、三十一年席の車両の単価よりも、一割本年度は安くならなければ、この九百五十億浮き出す一割削減という理由は成り立たぬわけです。現実に私、もらっておる数字だけ見ましても、三十一年度で注かなさった車両の単価と、今度債務負担行為で来年度の分に入りまする発注しておるものを見ましても、先ほど理事から御説明ありましたように、三、四%単価は高くなっておると思うのです。そうすると、そのつじつまがどうにも合わないと思うのです。もしこのつじつまを合わすとすれば、五カ年計画の金のうち、車両関係なんかは一割削減することはできない、ということはもちろん値上りになる。そうしますと、全体の経費のうちでは、車両以外の施設工事関係は一割も二割も削減しなければ、これだけの金は浮いてこない、こういう結果になると思うのです。従って車両新造関係以外の経費は一割以上の削減を計画するものでなければ、この数字はつじつまは合わぬと思う。そんなことが実際上可能になるかどうか、数字の上では可能なりと御説明になるかもわかりませんが、常識として私はむずかしいのではないか。もしこれが可能なんであれば、運輸委員会でも意見を述べましたが、今までは非常に業者にもうけさせておった、むだな金を使っておった、こういう結論になると思いますのですが、この点どうですか。
  360. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 工事費は仰せの通り非常に窮屈でございます。しかしながら、いかなる予算でも甘いという予算はございませんで、きまりました以上は、それを完成するのに努力いたさなければならぬと思っております。ただいまの車両の点でございまするが、先ほど諸材料が上ったと申しましたが、集中発注することによりまして、できるだけ値段を押えていきたい。それからまたこの設計その他も簡素化する方法もございまするし、また安全度を害しない範囲でアローアンスを縮めるとか、いろいろ専門的な技術的なことは私はよくわかりませんが、できるだけそういうふうな工夫もさせまして、工事費全体としてその内容を達成するように極力全能力をあげて努力して参りたい、こう考えております。
  361. 中村正雄

    ○中村正雄君 もう一つ、これに関連してお尋ねするわけですが、債務負担契約によって発注するものも、あるいは来年度発注なさるものも、相当なメーカーがあるわけなんですが、各メーカーで同じ車種のものは単価は同じなんですか。メーカーによって単価が違う場合があり得るのですか。
  362. 小林重国

    説明員小林重国君) 車両につきましては、大体当方におきましていろいろ設計、材料、そういったものの単価も計算いたしまして、予定価格を作るのでございます。それで従来の契約におきましては、大体われわれの考えております予定価格より高い見積書が出てくるのが通例でございます。従いまして、われわれといたしましては、車両メーカーと折衝いたしまして、われわれの積算いたしました予定価格内におさまるように折衝いたすわけでございます。そういった結果から、大体各メーカーとも、こちらの予定価格に合わせます関係上、同一の価格になるのが今までの実例でございます。しかし場合によっては、われわれの考えております予定価格よりも内輪の見積りを出す場合もございますので、そういう場合にはその予定価格より内輪の見積りを出しましたメーカーの車につきましては、予定価格よりも安い価格になるということで、二重の価格になり得る場合があるわけでございます。
  363. 中村正雄

    ○中村正雄君 もらっております資料によりますと、これはまあ両数だけ書いてありますので、車種が書いてありませんから、一車当りの単価もみな違っていると思いますが、ただ常識上考えまして、かりに十トンの無蓋車はAの会社に作らそうと、Bの会社に作らそうと、同じ単価で作らせるのが常識ですね。Aの会社に作らした場合とBの会社に作らした場合と、同じ車で格差があると、こういうのであれば、やはり国鉄の企業性からいけば、少しでも安い会社に作らす方がこれは当然だと思うので、その格差があるということは私納得できないわけなんですが、どうなんです。しかも相当な数量ですから、一社では、安く請負う会社でも製造能力がないと、こういう場合があるかもしれませんが、今までの御説明によると、各車両メーカーは五割程度しか施設が動いておらないと、これをやはり七割にし、百パーセント動くようにすれば価格も安くなる、こういうふうであれば、二十何社かのメーカーに発注せずに、集中的に発注すればもっと割安にできると、こう思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  364. 小林重国

    説明員小林重国君) 先ほども御説明申し上げましたように、同一形式の車につきましては、従来大体同一価格でございます。先ほども申し上げましたように、当局の予定いたしております価格より、さらに安く見積ってきましたものは、その価格を採用することにいたしております。しかし、そういうメーカーにつきましても技術上のいろいろな観点から検討してみる必要がございますし、そういう検討をいたしまして、価格とにらみ合せまして、妥当でございます場合にはそれをとる場合があるわけでございます。しかし、そういう事例はきわめてまれでございまして、大体同一形式のものは同一価格で契約されているのが実情でございます。しかしながら、できるだけ車両の価格を安くいたしますためには、今中村先生のお話もございましたように、同一形式のものをできるだけマス・プロにいたしまして価格を引き下げることが適当だと思いますので、ここ二、三年来そういうような方針で進めて参っております。
  365. 中村正雄

    ○中村正雄君 ところが、まあ実際もらった資料を見ますと、各車両会社とも公平にと言っては語弊があるかしりませんが、できるだけまんべんなく発注しておると、こういうような傾向が見えるわけなんですがね。まあそれはいろいろ御事情があると思いますので深く追及いたしませんが、もう一つ、メーカーによりまして発注の形式が違うのじゃないか。言いかえれば、資材につきましても、同じ方法で、同じ条件で資材を提供してやらしているのか。ある会社においては資材は自分の所で持ってやり、あるメーカーに対しては資材を供与するという、条件に善があるかどうか、この点もう一度お聞きしたいのですが。
  366. 小林重国

    説明員小林重国君) 同じ形式の車につきましては、別に条件に差がございません。交付材料等も一様に交付いたしております。しかし業者の方で手持ち材料があるからということで交付材料を辞退する場合がございます。その場合には材料の内容を調べまして、メーカーの手持ちの材料を使用いたしても差しつかえないというようなことを認めました場合には、交付材料を交付しないというような方法をとって参っております。
  367. 内村清次

    主査内村清次君) それでは明日は午前十時から第三分科会を開き、日本国有鉄道について残余の質疑を続けることにいたします。  なお、明日は午前中に主査の報告をることになっておりますから、右の点お含みの上、質疑終をお願いいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時十五分散会