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1957-03-25 第26回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十五日(月曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員田中茂穂君、佐野廣君及び海 野三朗君辞任につき、その補欠として 小山邦太郎君、前田佳都男君及び久保 等君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     苫米地義三君    理事            迫水 久常君            左藤 義詮君            小林 武治君            堀木 鎌三君            吉田 萬次君            天田 勝正君            中田 吉雄君            吉田 法晴君            森 八三一君    委員            青柳 秀夫君            石坂 豊一君            泉山 三六君            木村篤太郎君            小山邦太郎君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            高橋進太郎君            土田國太郎君            苫米地英俊君            仲原 善一君            野村吉三郎君            野本 品吉君            林田 正治君            前田佳都男君            武藤 常介君            内村 清次君            岡田 宗司君            久保  等君            栗山 良夫君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            中村 正雄君            羽生 三七君            松浦 清一君            山田 節男君            湯山  勇君            加賀山之雄君            梶原 茂嘉君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 岸  信介君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    厚 生 大 臣 神田  博君    農 林 大 臣 井出一太郎君    通商産業大臣  水田三喜男君    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君    労 働 大 臣 松浦周太郎君    国 務 大 臣 宇田 耕一君    国 務 大 臣 小滝  彬君    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    法制局長官   林  修三君    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    外務参事官   法眼 晋作君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君    厚生省社会局長 安田  巌君    農林大臣官房長 永野 正一君    農林省農地局長 安田善一郎君    食糧庁長官   小倉 武一君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    労働省労政局長 中西  實君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十二年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十二年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十二年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動について申し上げます。  三月二十三日小山邦太郎君が、三月二十五日海野三朗君が辞任され、その補欠として田中茂穂君及び久保等君がそれぞれ指名されました。   —————————————
  3. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) これより昭和三十二年度一般会計予算外二件を議題といたします。  前回に引さ続き質疑を続行いたします。
  4. 千田正

    千田正君 総理大臣にお伺いいたしますが、第一番に、問題になっております一昨日二十三日、突如として国鉄労組の抜さ打ちストがあって、国民諸君が非常に迷惑をこうむった、これは両方言い分がおのおのあるようでありますが、国鉄当局あるいは労働組合言い分がおのおのあるようでありますけれども、当委員会には労組代表者がおりませんので、労組諸君に開くわけにはいきませんが、政府側言い分一つ承わっておきたいと思います。あの抜き打ちストは、御承知通り業績手当を団交の話し合いの結果、二十三日の午前までに政府側話し合いをして、国鉄側から労働組合諸君の方にその支払いを決定するという話し合いがついておるにもかかわらず、再三の要求にも応ぜずに、ついに突如として抜き打ちストをやった。これは政府側責任があるのだと、かように労働組合諸君は言うておるわけであります。いずれにしましても迷惑をこうむったのは乗客であり、国民一般でありまするが、われわれ国民的感情からいえば、両方にわれわれは抗議を申し込みたいほどの一応の不満を感ずるわけであります。ただいまのところ労組諸君代表者もいませんので、一方政府側最高責任者でありますところ総理大臣に伺っておくのでありますが、業績手当の支給という問題は、国鉄側労働組合との間に折衝されて、すでにきまっておった。支払うべき日も大体の時間もきまっておったにもかかわらず、これは国鉄オンリーの権限ではなし得ない、大蔵省並び運輸省との話し合いがついたのちに支給しなければならない一つの法規があるので、それに基いて国鉄は実行しなきゃならなかったのであるが、大蔵省並び運輸省側との話し合いがつかないために支給できなかった、かように国鉄当局は言うておるのであります。かような少くとも国民の足に関係する、しかもおのおのの職場を持っておる国鉄以外の各俸給者並びに一般国民がかようなことによって迷惑をこうむることは非常に遺憾きわまりないことでありまして、今後ともこういう問題のないようなことを考えなくちゃならないと思いますので、この際何ゆえにそうした手違いが生じ、しかもそのためにかような抜き打ちストが行われて国民が迷惑をこうむったということに対しては、その一半においては政府においても責任を負うべきではないか、かように考えられますので、政府最高責任者としての総理大臣の御所信を承わっておきたいと思うのであります。
  5. 岸信介

    國務大臣岸信介君) この抜き打ちストに対しましては私どもも非常に遺憾と思います。業績手当の問題に関しての支払い額期日等につきましては、両者の間に、また政府部内において検討をし、具体的の方法がきまるということになっておりまして、それを当日には大体終る、最後の結論を出すなにのもとにそれぞれ研究をし、話し合いを進めておつたのであります。その間において突如ああいうことが抜き打ち的に行われたということは、私は返えす返えすも遺憾でありまして、この間におきまして多少両者考えの間に行き違いもあったようでありますけれども、しかし問題はすべて話し合いできまる段階にすでになっておって、そうしてしかも実力行使を突如やって国民に迷惑をかけるということは、私は何としてもその間における事情はなお検討いたしまして、私は責任の所在を明らかして、これに対する処置を講じたいと、かように考えております。
  6. 千田正

    千田正君 これはただいまの総理お答えがありましたが、十分にこの問題については政府並びに、労働組合側と今後の折衝が望ましいことであり、しかも事給与問題等に関する問題であるだけに、将来に禍根を残さないように、双方に十分に留意されて善処あれたいということを希望しておきます。  いずれ社会党の諸君その他の請君からもこの問題については各関係大臣に御質問があると思いますので、私はこの問題にはこれ以上触れませんで、次の問題に進すでいきたいと思います。
  7. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) それでは、暫時休憩いたします。    午前十時四十六分休憩    ——————————    午後一時三十五分開会
  8. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ただいまから委員会を再開いたします。  まず、委員異動について申し上げます。  本日、田中茂穂君及び佐野廣君が辞任され、その補欠として小山邦太郎君及び前田佳都男君がそれぞれ指名されました。   —————————————
  9. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) これより質疑を続行いたします。
  10. 千田正

    千田正君 この際、総理に特にお尋ねしておきたい点があるのでありますが、バミューダ会談の結果、自由共産両陣営の冷戦に対して、自由国家群の新たなる強化が始まりつっあるということは私が申し上げるまでもありませんが、その一環として、NATOの強化という問題が一つの成果として上げられているように承知しております。一昨日の衆議院委員会で、総理SEATOに加入を勧められるような場合があったとしましても、それに対しては承諾しない、いわゆる日本はそうした東洋におけるところ防衛体制の中には参加しないという意味の御発言があったようであります。これは、一つの、将来の日本立場というものを明らかにする意味において非常に重大な御発言だと思うのでありますが、総理大臣といたしましては、岸内閣が存続する限りにおいては、SEATOには参加しない、かような腹がまえであるようにわれわれには聞えるのでありますが、そういう意味でおっしゃっておるのでありまするか、それとも現段階においては、それに参加する段階ではない、かような意味においておっしゃっておるのですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  11. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 過般衆議院外務委員会質問におきまして、私がその所信を述べたのでありますが、もちろん国際情勢あるいはいろいろな各種の事情の変化もあることでありますから、永久にどうだというようなことは、これは申し上げることができないことは言うを待たないのであります。私は今日の段階においてそういう申し出があったならば、私はそれに入る意思はないということを明瞭に申して、そういうものには参加しないということを申したわけであります。
  12. 千田正

    千田正君 SEATOに参加しないという現段階のお考えでありますが、参加しないことによって日本防衛計画その他には何ら影響しない、かように総理はお考えでございますか。
  13. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日本としては、日米共同防衛により日本安全保障を確保するという考えを持っておりまして、従ってSEATO等の何に参加しなくとも、日本安全保障はできる、こういう考えであります。
  14. 千田正

    千田正君 新聞の報ずるところによりますというと、日本政府英国政府に向って、原子爆弾、核兵器の実験等に関する禁止の要請を、三たび申し入れて、三たびとも拒否されたように報じておるのであります。拒否されたとしましたならば、何らかそこに、ただ拒否したのでなくて、日本が将来被爆をした場合におけるところ条件がつかなければ、ただ拒否しただけであっては、自主外交立場から言いましても、われわれは納得いかない。それで、何かしら日本国民の今受けておる脅威、不安に対して、精神的にもあるいは物質的にも、やがて受けるであろうと想像されるようなこうした焦慮の状況にある日本に対しまして、英国側としては、その裏づけとしても何か条件を付さない限りにおいては、単なる拒否としては国際信義にもとると思いますので、その点はどういうふうに向う側考えておられるか、お考えを伺いたいと思います。
  15. 岸信介

    国務大臣岸信介君) イギリス側からわが方の三回目の申し入れに対する回答をよこしております。相当委曲を尽した回答でございますが、その発表イギリス側と打ち合して明日の五時ということになっておりますので、それまではちょっと内容を申し上げかねますが、イギリス側としては、イギリス側立場並びにわが方の申し入れに対して相当に慎重に考慮した結果が各般の問題に触れて回答をよこしております。
  16. 千田正

    千田正君 農林大臣にお伺いいたしますが、先般来クリスマス島における原子爆弾実験英国側が声明して以来、日本側の漁船としましても、あの地区においては将来をおもんぱかって操業をただいまのところはできない状況にある。迂回をしたりあるいは現実においてはあの禁止区域には今入れないような状況にありますが、そうだとするならば、おそらく相当のもう漁獲高においても、あるいは迂回する航路等においての損害が、ある程度もうすでに生じておるはずでありますが、この点の消息はどうなっておりまするか、農林大臣が御存じであるならば、その点を御報告願いたいと思います。
  17. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御指摘のような事態もあろうかと存じまして、目下水産当局に命じまして、鋭意その間の事情を取り調べておるやさきでございます。
  18. 千田正

    千田正君 ただいま政府国会に対しましてラツコ、オットセイ国際条約に基く批准を要求されておるようであります。われわれは今内容承知は、しておりませんが、このラッコオットセイ等に対するところ国際条約は、言いかえれば、この国際条約が生じたために、国内漁民相当の打撃をこうむる。私から言いますれば、たびたびこの委員会あるいは本会議において、当時吉田内閣あるいは鳩山内閣時代におききしても、この日本国内にただいま施行されておりますところラッコオットセイ禁止法漁獲禁止法、これはかつてのマッカーサー元帥日本に進駐中に日本の領土に属しておらないところラッコオットセイ日本漁民が取ってはいけない。言いかえれば、他国の動物をとってはいけないというような意味にもとらるるような国辱的ないわゆる国内法である。これは吉田ダレス書簡に基くところのやむを得ない処置であったにしましても、かようなためにラッコオットセイをとるイルカ業者は、この禁止法が生まれたために、ついに自分らの魚族が、日本に生息しないところラッコオットセイによってしばしば食い荒らされるにもかかわらず、それを漁獲すると国内法において罰せられるという、まことに矛盾した法律であります。この法律のために何もできない。しかしこのたび国際信義に基いてラッコオットセイ漁獲禁止され、そうして本日国会批准提出された。内容を見るというと、大体想像できますのは、日米、カナダ、ソビエトあるいはイギリス、この参加国におきまして、参加された各国がラッコオットセイをとった皮の分け前を一応清算すると、日本は一五%この贈与にあずかる、こういうおそらく条約のはずであります。そうすれば、この皮の分け前が当然日本に入ってくる、その入てっくるのは、一体大蔵省当局にお伺いしたいのですが、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、これは特別会計の中に繰り入れるものであるのか、またかりに繰り入れたとしましても、この日本国内においてこれによって禁止されるところ漁民生活転換には、ある程度相当のことを考えてやらない限りにおいては、やがてまた密猟というような問題が起きて、せっかく国際条約を結んでも、国内的において十分処置ができなかった、あるいは国際信義にもとるような結果を生ずるおそれがありますので、この皮の分け前分け前によって生ずるところ収入、その収入をやむなく禁止しなくちゃならない漁業者のために、何らかの処置を講ずるという、その方法等につきましてただいま批准を要求されておるラッコオットセイ漁業条約に対するところ国内的処置に対してのお考えを承わっておきたいと思います。大蔵大臣からその問題と、それから国内に関する問題としましては農林大臣から、その所信を承わっておきたいと思います。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) オットセイ国際条約に基きまする日本の割前につきましては、大体十年間で時価見積り三十億程度のものがくることになっております。しかしこれを売ります場合におきましての必要経費が大体十五億円ばかりかかりまして十年間に残りの十五億円が歳入になる見込みでございます。昭和三十二年度では四千八百万円程度歳入にみておる。しこうしてイルカ業者の今後の措置につきましては、農林省とよく事態の推移を見まして考慮いたしたいと思います。
  20. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先般千田委員農林水産委員会の席上お答えを申し上げましたオットセイの皮の配分につきまして、ただいま大蔵大臣から答えられたような仕組で入って参ります。従いましてイルカ漁業者転換に当りましては、十分これが指導をいたし、あるいは金融措置ないしはただいまの問題等をも絡み合せて善処をいたしたいと考えております。
  21. 千田正

    千田正君 これは私は大蔵当局並びに農林当局にもお願いしておくのでありまするが、せっかくそうした犠牲のもとに一応皮の分配がくる、それによって密猟のようなことが起きて国際的信義を破るようなことのないような善処を十分にしていただきたいということを要望いたします。  次に、日ソ漁業条約に関する漁業委員会においての問題でありまするが、二十一日ソ連テボシャン大使から日本側に対しまして漁獲量十二万トンの話し合いを進めようという回答があったようでありまするが、この内容につきましては新聞紙あるいはラジオで報じておりますように非常にいろいろな示唆を含んでおる。たとえば将来においてオホーツク海に進出するという問題については、この承認いかんによってはある程度限定されてくる。同時にまたこれが一つ暫定処置とはいうものの、将来においてこの量をのみ込めばソ連側の言うておるようないわゆる豊漁年におけるところ一つ処置であるということを主張するとするならば、豊漁年においては十二万トン以上超してはとれないという既定事実が生ずるおそれがあるということと、もう一点はこの十二万トンという量はソ連が指定しておるところ制限区域内におけるところ漁獲量であるのか、区域外におけるところの、はえなわ、あるいは流し網等におけるところ漁獲量をこれに含んでおるのか、そういう点についてやや私は疑問がありますので、こういう点を、向う側の提示しておりますところの十二万トンの内容はどういう含みを含んでおるのかという点について御説明を願いたいと思います。
  22. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 後段にお述べになりました十二万トンという数字が条約制限海域内か、あるいはそれ以外をも含むのかという問題についてお答えを申し上げますが、これは漁業条約制限海域内と、こういうことでございます。  なお前段にお触れになりましたようなソ連側の出方と申しましょうか、若干問題になる点もあるのでございまして、これらはただいま折衝段階でございますので、御心配になるような点は十分配慮をして当っておる次第でございます。
  23. 千田正

    千田正君 八万トン、十万トンというかっての河野全権ソ連イシコフ漁業相との間に話し合いがついたと称せられる、この問題の八万トン、十万トンは、これはあくまで本年だけの暫定処置としての基方本針であるのか、それとも将来八万トン・十万トンというものは、漁業条約のある限りにおいては一つ既定の原則として約束してきたのか、その辺はなはだわれわれは明確じゃないと思うのであります。それは前の内閣のときにおきましても、河野——当時の農相質問いたしましても、これはあくまで暫定処置であって、この範囲内を越すような場合もあり得ると、いろいろな問題があり得るが、とりあえずこの線で本年はまとめてきたんだという意味の御答弁があったのでありますが、これは将来のこの日ソ漁業漁獲量をめぐって相当の波乱を呼ぶ問題であると私は思いますので、この際、それはある程度漁業条約が実行されておる期間中は、この線があくまでも基本方針になるのか、あるいはことしの一応の最初の取りきめにおけるところ一つ方針としてこの点を打ち出したのか、その点は、はなはだ不明瞭でありますので、一応農林大臣が前の河野農林大臣との受け渡しについて、その面についてはっきりした面があったとするならば、ここでお答えを願いたいと思うのであります。
  24. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この点は昨年、千田委員自身河野農相質疑応答をかわしておられまするが、私の承知しておりまする点も大体それと同様でございまして、先般も申し述べましたごとく、昨年のあの条約があるいはまとまらないというような事態に際しまして、一応の基準量という形で約束されたものだと、従って両国の漁獲量計画量に見合って漁業委員会で決定をされるべきものだと、こういうふうに解釈いたしております。
  25. 千田正

    千田正君 大体、ただいまのところまだはっきりしておらないのでありますが、一応十二万トンという線が出てくれば、相当この問題は軌道に乗りかかったような感がするのでありますけれども、なかなかわれわれから考えるというと、相当含みを持ってきておる外交のように見えますので、一体操業開始期間までには一応はっきりした線が出ると、こういうお見込みでやっておるのでありますか。そうだとするならばまことにけっこうな話でありますけれども、相変らず停頓しておるとするならば、これの国内的の措置相当考えなければならない。時期はだんだん差し迫ってきておる。外交関係からいえば、はなはだ不利な状況に入っていくおそれがありますので、たとえば今月中なら今月中に会談がまとまるという見通しのもとに進んでおられるのか、その点はどうでありますか。
  26. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 向うが二十一日にただいまのような線を出して参りましたことは、これは一歩前進であると考えてよろしかろうと思うのであります。従いまして、鋭意急速に打開をはかるということで取り運んでおるような次第でございます。
  27. 千田正

    千田正君 外務大臣としての総理にお伺いするのでありますが、総理施政方針の中にも、また常に日本国内青年諸君の士気を鼓舞する意味からいきましても、海外進出はやはり日本国策一つとして取り上げなければならない、かように仰せられておりますが、私も非常にその点は賛成でありますけれども、今の状況では、どうも外務省当局と、たとえば移民の大宗は農民である、農漁民を主体としておるようでありますが、この間において、過去においてはお互いに外務省農林省とにおいてセクショナリズムを発揮して、なかなか話がうまく進まなかった。今でも私は国内人口調節の問題からいたしましても、いろいろの点からいたしましても、日本国民はどんどん海外発展すべさである。それには明年度の、今度発表になられました予算は、決して十分な予算ではないのじゃないか。外務省とそれから農林省予算等にいたしましても、もう少し農地あるいは農業の関係に明るい人をどしどし一応の候補地に派遣して調査させる、そういうことも考えなければならないだろうし、国内におけるところ海外移民に対する教育指導という点からも考えなくてはならないだろうと思いますが、外務省予算は一応とれたといたしましても、農林省予算があまりない。これではどうも表裏一体として、日本国策一つとして海外に進出するにはあまり貧弱すぎるのではないか。この点についてもう少し海外発展のために予算も組むし、あらゆる万般の調査も済まして、諸外国の移民行政と比較して劣らないだけのことをやらなくては、日本海外発展は望めない、私はかように考えますが、この点について具体的な何か方法がありますれば伺っておきたいと思います。
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 海外移民の問題につきましては、本年度予算をもって私どもも決して満足しておるわけではございません。ただこの問題は、申すまでもなく、移住する移住先の国の事情に適応して進めなければならぬことでございます。また同時に国内において優秀な農民、また向うに、海外に移住するのに適格を持っておる人を選んで、相当な訓練をして、当該地国に移住した場合における当該地国の事情にも適応し、十分移民の成果を発揮するようにしていかなければならぬと思います。こういう意味において、外務省農林省なり、あるいは労働省、通産省等と十分緊密な連絡をとる、そしてその目的に向って進まなければならぬと思いますが、従来の経緯に見まするというと、私は予算の点でも十分でない。またこれらの機関の各省の間の連絡においても決して十分だとは思わないのであります。なおまた、この移民船の建造等の問題もございますし、そういうものを一つ総合的に考えまして、より一そうこれを進めて参りたいと、予算の点につきましても、もう少し具体的な計画を立てて、これに必要な予算を計上して参りたい、かように考えております。
  29. 千田正

    千田正君 最後に一点だけ。これは農林大臣と、それからあとから東北開発については経企の長官にお伺いしたいのですが、最近、総理大臣を初め下の公務員に至るまで、ゴルフが非常にはやってきまして、大いにゴルフ熱が普遍しております。普遍しておりますが、スポーツそのものの発展のためにはけっこうなことでありますけれども、そのためにつぶされる耕地が最近非常に多くなっておる。たとえば十八ホールのゴルフ場を作るためには、二十万坪の土地が要る。これは荒蕪地であったり、あるいは河川敷地であったという場合は、直ちにどうというわけでもありませんけれども、東京の近郊におけるところ農地相当つぶされておる。ゴルフ協会の発表によると、毎月五千人ずつゴルフのファンがふえている、会員がふえていく。十八ホールのゴルフ場を作るためには二十万坪の土地が要る。半分の九ホールにしましても十万坪、こういうような土地がつぶされていく。一方においては東北、北海道のいわゆる荒蕪地に対するところの開拓行政にしても十分に行き届いておらない。このような矛盾した面がありますので、私は農林大臣に一体、都会の近郊にあるところの耕地が次から次へとゴルフ場につぶされていくようなことに対して、農林省としてはどう考えているのですか、そうして今まで一年間にこういうことにつぶされるところの農耕地がどれだけあるか、これに対しての御所信を承わっておきたい。  経企長官にお伺いするのは、東北開発ということは、北海道開発と並んで日本の戦後におけるところの未開発資源の開発の大宗であると私は考えておりますが、従来政治力の貧弱なためか、あるいはいろいろな理由から遅々として進んでおらない。そうして行き方においても、総合的な計画は声ばかりであって、予算のつけ方にしましても、各省分割してわずかずつつけておるというような状況では、いつまでたっても東北開発というものはその最後の目的が達しられないのではないか。この際一つの総合的な計画を作って、そうして経済五カ年計画の発展の寄与のためにも、抜本的に具体的政策を行うべきではないか、私はさような意見を持っておりますが、明年度予算並びに今後におけるところの東北開発に対するところ所信と具体的方針を伺っておきたいと思うのであります。
  30. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 農地の転用でございますが、これは公用あるいは公共用というものに限定をいたし、ゴルフ場というような娯楽施設には許可をしないという方針をとっておるのでありまして、このことば農地法施行の際の農林次官通牒として、都道府県知事にも厳に指令を発しておるわけであります。従いまして、直接農地をゴルフ場に転用したというのはただいまのところございません。
  31. 千田正

    千田正君 これは農林大臣、いささかその御答弁は、十分に御調査になっておらないのじゃないか、もしそういう表があなたのお手元にあるとするならば、その農地の転用というものは、一つの欺瞞した方法によってやられている、どこかに抜け道があるのじゃないか。かりにあなたにお供して、千葉県なり埼玉県なり、あるいは神奈川県なりの農耕地のまん中に、どしどし二十万坪あるいは十万坪というゴルフ場が毎月のように生れ出ておる。これはことごとくほとんど農地ですよ。きのうまでは麦とか大麦のいわゆる青々と生えていたところが今日は芝生に変っておる、これは現実の姿であります。ただいま農林大臣お答えのようなことが、全然そういうことばないということは、私は言い切れないのじゃないか。きょうは時間もありませんから、私はもしもこの問題について今の農林大臣の御答弁のような、農地はつぶされていない、農耕地がつぶされておらないというようなお考えであるならば、これは当を得ておらない。いずれ農林委員会その他においてもう一度この問題についてはお話を承わりたいと思います。
  32. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 東北開発につきましては、基本法の促進法を今明日中に関係方面の了解を得て出すつもりであります。そうしてそれは東北の莫大な未利用資源を開発するために、特に東北のような蓄積資本の少いところ、また東北——新潟を含めて七県のうち、六県は再建法にかかっているというふうな実情もありますから、そういうふうな資本蓄積の少いところの資源の開発方法といたしましては、ただいまお説にありましたような基本法によりまして、計画的にこれを総合的に開発をする、こういうことにいたさなくてはならないと考えます。そうして基本法には審議会が設けられることになりますから、審議会を中心といたしまして、新しい総合計画を立てていくということになるはずであります。そうしてこれを実施いたしまする官庁は経済企画庁の開発部を中心として新しく組織を作りたい、行政組織の中心を作りたいと考ております。また金融関係は、取りあえずは北海道東北開発公庫の中で、四十五億を本年度——三十二年度に計上して、そうして東北のみにこれを金融の道をはかるようにいたしております。また経済の開発の方法といたしましては、東北開発株式会社法を改正いたしまして、合計三十七億、本年度は二十五億を開発会社を通じて東北の経済開発の方面に活用できるように配慮いたしております。三月四日の当委員会における林田委員の報告等に関連をいたしまして、お説のような方法を、ただいま申し上げましたような三つの大体母体を中心として進みたいと考えております。
  33. 内村清次

    ○内村清次君 関連。ただいま千田君の質問に対しまして、農林大臣は、国土総合開発の見地から農地の転用その他においてあまり支障ないと、はっきり断言されたようなお言葉がありました。先般私が総括質問の際に総合開発の問題について、あるいは趣旨として、電源開発を主体としてその他農地あるいはまた宅地、それから道路、こういうような総合的な開発の点が等閑視されてはおらないか、同時にもちろん機構としても一元化しておらない、各省が予算措置についてもばらばらに要求しておるというふうなことで、総合開発が総合開発になっておらぬじゃないかという点を指摘したわけです。その際に農林大臣は、出席要求をしておりましたけれどもおいでにならないということで、あなたの答弁だけが残っておったのです。そこで具体的に申しますると、この北上川の水系に対しても、現に五千町歩という農地関係が用水が足らず、あるいはまたそういうような農地の問題で困っておる。あるいはまた現に熊本県の市房ダム——多目的ダムの問題に対しても、電力会社と政府とはけんかをしておるというような状況で、灌漑用水やあるいはまた排水の問題、その他が支障をきたしておる現実的な具体的な問題があるわけです。これを農林大臣は具体的に御検討なさっておるかどうかという点を私は指摘しておるわけですが、これに対して御調査が十分であるかどうか、あるいはまた総合開発の関係においてあなたの所管事項が非常に支障を来たしておるというような事態がありはしないかということも、一っあわせて御答弁を願いたいと思います。
  34. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいまの御質問でございますが、この前私欠席をいたしまして、まことに相済まぬことをしました。今の御指摘のこと等につきまして、もう少し調査の余裕をお与えいただきまして、後刻答弁を申し上げたいと思います。  それから千田委員の御質問であります、あるいは千葉その他例がおありになるというふうに言われました。私の報告を受けておる限りでは、あるいは河川敷でございますとか、農地以外のものである、こういうように報告を受けております。しかし、これらは私の方もよく調べまして、いずれかの機会に申し上げたいと思います。
  35. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 農林大臣に米の統制の問題についてお伺いいたします。  第一は、食管会計をなぜ維持せねばならぬか、その積極的の理由を伺いたいのであります。御承知通り農民保護の立場から、米は生産費より高く買う、政府が損をして消費者にはこれを安く売る、そこに問題があるわけでありますが、ところが米を買って利益するのは農村全体かといえば、供出農家であって、零細農家は必ずしもこの恩典には浴さない。一方消費者の立場でありますが、中産以下の人が米を安く買えるというなら、一般会計からこれを補ってもいいわけでありますけれども、千万長者でもやはり税金の金で安い米を食っている。たばこや酒をのんでいる日雇い労働者の払う結局税金からも、これを補助してもらって千万長者が米の配給を受けているという点に、非常に私は納得のいかない点がある。なぜこれを積極的に維持しなければならぬかという点をまず伺います。
  36. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御質問は非常に基本的な問題にわたるわけでありますが、私の考えを申し述べさせていただきますならば、今日、日本における米の生産量というものは、国民の需要をまかなうのには相当まだ足りない状況でございます。従いまして、相当の外国食糧を輸入をしなければならぬ、こういう状況下にあるのでありまして、米の場合には、ことに内地米に対する特殊の嗜好というものは、麦の場合と著しく異なるのではなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。もちろん、現在の食糧管理のあり方については、いろいろとゆるんだ点も出てきておりますることは、先般八木さん総理にお尋ねになった点に徴しましても、そういう点は確かにあろうかと思うのであります。けれども、この直接統制がやはり国民に対して安心感を与えておる。もしもこれをはずすというふうな場合には、何か非常に激変と申しますか、一種の不安なものを感ぜざるを得ない。こういう観点に立っておるのでございまして、今後さらに食糧の増産が期待せられ、国内の需給のバランスというふうなものが緩和をされるという時期までは、もうしばらく慎重を期したい、こういう考え方に立っておるわけであります。
  37. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先般食糧庁からいただきました資料によりますと、米の生産費が、販売農家で反当一万一千百九十二円、副産物価額二千二百六十九円を差し引き反当第二次生産費一万四千九百二十三円、反収が二石七斗九升でありますから、石当第二次生産費が五千九百七十二円、こういう資料をいただいたのでありますが、この生産費で大体農家の何割くらいをカバーしているか、こういうお見込みありますか。
  38. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この生産費の調査でございますが、これはいわばピンからキリまであるわけでありまして、いわゆる平均生産費と申しまする考え方と、それから限界生産費と申しまする考え方とがあるわけでありますが、やはり理論から申しますると、限界生産費をとりませんと、農家全体をカバーするわけには参りません。今私その御提示の資料が、何割をカバーするかは、調べさせまして、後ほどお答えをいたしまするが、生産者米価を決定いたしまするに当っては、やはり所得保障という考え方に立っておるわけでありまして、それが生産費の大きな部分を構成する労賃問題になって参りまするときに、農村労賃というものが都会に比べて著しくアン・バランスであってはならぬ、こういう見解に立っておるわけでございまして、そういうふうなもろもろの要素を合せて参りまするときに、今のおよそ一万円米価というようなところが常識的に出てくる、こう考えておる次第でございます。
  39. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次は、間接統制にしたらどうかという点を伺いたいのですが、先ほど農相は不安という言葉をお使いになりましたが、結局農村では統制をはずしたら米は安くなりはせぬか、都会では米が高くなりはせぬかという点が、両方通じての不安であり、従って統制撤廃に対する反対論の根拠であると思うのですが、そういたしますならば、最低と最高に一つの線を引いて両方の不安を除けば、間接統制に移行できるのではないか、こう思いますが、いかがですか。
  40. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 間接統制に移行をしたならばどうかというお話でありますが、過去において間接統制の方式を採用しておった時代がございます。おっしゃるように最高と最低をきめまして、その間で操作をいたしたことがあるのでありますが、その当時の計数を検討いたしてみますると、やはり年によって三割から五割近くフラクチュエィションがあったようでございます。今日の消費者家計というものを考えまするときに、それほどの値幅の上下というものに耐えられるかどうか、ここにも相当に不安があろうかと思うのでございます。さらにまた、間接統制をやりました結果は、年々相当の金額を政府がしよい込みになっておった、こういうことも明らかでございまして、今日の貨幣価値に換算をいたしますると、これはやはり直接統制をやっておりまする赤字に比べまして、著しく少いというものではないようでございます。さらに先ほども申し上げましたが、米の場合は、外米というものを持ってきて、そして内地米の代替品として操作ができるかどうかというところに、最近のわれわれの経験をもっていたしますると、なかなか外米が内地米の役を務め得ないというあたりも考えあわせまするときに、まだ間接統制はよほど慎重に研究しなければならない、こういう考えでございます。
  41. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 昭和二十六年の秋に供出後の自由販売を閣議で決定されたことがございます。そのときの数字を拾ってみますと、昭和二十六年度は繰越米が外米を含めて百八十七万石、推定実収高が六千四百三十万石、供出高二千五百万石、ところ昭和三十一年度は古米の在庫高が五百二万石、外米が四百十八万石、合せて繰越米が九百二十万石、推定実収高が六千九百七十五万石、供出高が二月末買い入れ高で三千百五十万石、すでに繰越米で七百三十三万石、推定実収で五百四十五万石、供出高で六百五十万石増加しておって、米の需給の状態はよくなっておるのであります。あのときのことを考えてみれば、もう統制撤廃の準備をしていい時代ではないかと、こう思うのですが、いかがですか。
  42. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 昭和二十六年、たしかあれは根本農林大臣のときだったと思いますが、そういう考え方が採用されまして、供出後の自由販売という計画がなされたことがございます。けれども、供出米以外の自由米というものをどういう形で認定するか、そこが混同されるおそれが相当にあろうというようなことが支障になったと記憶をいたしておるのでありまするが、私も御指摘のように、当時に比べますると、諸般の情勢というものは確かによくなっておるということは言えるだろうと思うのでございます。しかし、先ほど来申し上げまするような慎重な立場に立ちまして、たとえば昭和三十二年度の、今年の秋の作柄というふうなものが、天候の支配にもよりますことながら、近代農業技術というものが、過去二年相当な増産を示したように、さらに本年もその実証が現われ、まず国内の増産態勢は安心ができるというような要素が出てくる。あるいは食生活改善というような問題からして、米以外の食糧である程度まかない得るのだという目安がつくとか、もう少し諸般の条件を検討してからでありませんと、麦は間接統制に移して一応成功いたしましたけれども、麦の場合とは私はどうもかなり違うんじゃないかという考え方で、慎重を期しておるわけでございます。
  43. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次は、逆の方面から、米の統制は完全に行われておらないんじゃないか、こういうことを申し上げたいのでありますが、まず配給の面から申しましても、やみ米は最近三カ年間の推定流通高が、二十九年は九百十五万石、三十年が一千二百八十万石、三十一年が一千七百八十一万石、これが今度政府からいただいた資料に基くやみの流通高であります。最近におきましてはすでに一千七八百万石もやみ米が流通しておると、一応推定ができるような状態でありますし、都市の各世帯のやみ米依存高は家計調査でいえば三十年が四〇・七%である。また家庭一人当りで調べますれば、三十一年が一年一人当り二斗九升一合、三十年が二斗一升八合、二十九年が一斗九升二合これほどやみ米を買っておるというのが、これが農林省からいただいた資料に基いての数字であります。次に、配給の日はどうかといえば、基本配給が十日で、希望配給が十日、三十三年度からは、予算では希望配給が五日に減らされる、つまり一月のうちで二十日しか配給しないということであれば、これは完全統制はすでにもうくずれてしまっておる、こう申さなければならぬと思いますが、いかにお考えになりますか。
  44. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 確かにやみ米が横行しておるということは、遺憾な次第でございますが、われわれといたしましては、余剰米をどうして集めるかということにつきまして、系統集荷機関を動員いたしまするなり、あるいは先般も申し述べましたような代表者売り渡し制であるとか、臨時匿名集荷制度というようなものもあわせ用いて、集荷には努力いたしておるわけであります。しかしながら、ただいま御指摘のようなやみ米のはんらんという事情に、これは目をおおうわけには参りませんから、ただ、先ほど来申し上げまする通り、希望配給、基本配給をあわせまして月二十日、あとの十日は、これはまあパンなりうどんなりというような、麦についての統制はしておらないのでございますから、そういうものをもってまかなうことができるのではなかろうか、こう考えますときに、やはり月二十日であっても、政府責任において消費者の台所へ届けられるということは、やはり大きなレーゾン・デートルではないかというように思われるのでございます。たとえば、北海道あたりが昨年の秋非常な凶作であった。これがもしも統制というあり方がなかったといたしましたならば、局所的な相当の混乱が生まれたかもしれません。そういうような意味において、やはり非常に御指摘のようなやみ米の横行という遺憾な点はございますけれども、これにはこれで一つ別個な手を打つということで対処しなければならぬと思うのでございますが、先般来も申し上げましたごとく、やはり食管制度自体に対して一つの検討を要すべき時期にきておる、こういう考え方に立って、諸般の情勢をも検討いたしてみたいと思うのでございます。
  45. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 やみ米の問題を価格の面から申し上げますと、全国のやみ価格の総平均は、昭和三十一年十一月から三十二年の一月までの十五カ月間の算術平均の生産地のやみ価格は百八円で、基本配給より安い、消費地の総平均は百十八円七十銭で、これは幾らか希望配給より高いというくらいな程度でありますから、すでに価格の面から申しましても、もう統制の制度は私は全くくずれておると、かように思うのであります。ただいまパン食その他の代用食のことについてもお話がございましたけれども昭和十八年の国民一人当りの米の消費は、一石〇二五であります。ところが最近では七斗五升になっておりますけれども、先ほども申しました通り三十一年度の一人当りのやみ米を買っているのが三斗近いというのですから、やはり平均大体それを合せますと一石内外の消費はあるんだ。そうすれば、パンやその他の代用食も幾らかありましょうけれども、そのかわり農村の米消費がふえて、国民全体の年間につぶす米の量はあまり一変っておらぬと思う。もはや米の統制は実態的にはくずれておるんだ。こういうことを私は重ねて申し上げて次の質問に移りたいと思います。  臨時食糧管理調査会を今度お作りになるんですが、この調査の対象として統制の撤廃ということも論議なさるのですか、なさらないのですか。
  46. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 臨時食糧管理調査会に対しましては、先般もここで申し上げましたごとく、まあ価格の問題を中心にいたしまして食管会計の経理の内容というふうなことが主たる議題になろうかと思いますが、しかしこの間第一回の顔合せをいたしました際にも、今御指摘のような問題が出ました。従いましてそういった広範な問題も論及されるであろう、こういうふうに考えております。
  47. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 調査会の米価の決定が、米価審議会と結論が違った場合はどうされますか。
  48. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 順序といたしまして調査会で検討をいただきました結論が政府へ出て参ります。そこで政府はそれを受け取ってまた十分にこれを尊重して政府の腹がまえを作るわけでございます。そうしてその上これを米価審議会へ諮問を申し上げると、こういう順序に相なるわけでございまして、その間の調整はとれるであろうとこう考えております。
  49. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 需給問題をお調べになるそうでありますけれども、現在の配給日のワク内ですか、それとも全般の食糧という見地から御検討になりますか。配給日をたとえば二十日以内で米の操作をするということでなしに、やみ米の横行ということも考えの中に入れて、そうして国民に三十日どう食わすかという点で御審議になりますか。今の配給なら配給を二十日ぐらいの程度でどうしようというふうに御研究になりますか。
  50. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま政府の持っておりまする手持ち在庫量、さらに本年の収穫量というものを見通しまして、およそどれくらいの三十二年度産米が入手できるであろうか、こういうことを中心にして配給日数等は勘案をする予定でございます。
  51. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次は食管会計の中間経費について伺いますが、食糧事務所並びに食糧庁使用の土地、建物の評価は幾らくらいになるんですか。
  52. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 昭和三十年度末に再評価をいたしまして、それが帳簿価額と相なっておりますがおよそ四十億、かように御了承を願いたいと思います。
  53. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そういたしますと固定資産税をかければ幾らくらいになりますか。
  54. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあこれが固定資産税の対象となるというのは現在としてはあり得ないわけでございます。多分御質問の趣旨はこういうものが払い下げでもされたという場合だと思います。それを計算いたさしてみましたところ五千万円内外ではなかろうかと、こう見ております。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に食糧事務所の人件費の問題で伺いますが、御承知通り今定員は二万五千名、それから常勤労務者が約五千人計三万人でありますが、この人件費は年額幾らになりますか。    〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕
  56. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) このぎりぎりの数字ではございませんが、大よそで申し上げますと、年に百億近い数字だと思います。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それには常勤労務者も入っておりますか。
  58. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) さように了解しております。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次にこれらの人たちの現在員の平均勤続年数と在職年数は幾らくらいになりますか。
  60. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) これもやはり大ざっぱでございますが、在職年数はおよそ十五年くらいというふうに考えます。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 勤続は。
  62. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあ御質問の趣旨の勤続というお考え方と在職というお考え方をどう区分をいたしたらよろしいのですか、私は勤続も在職も同じように考えて十五年と、こう申し上げたのであります。
  63. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私の伺うのは、過去の平均在職年数の実績から、現在員の勤続年数を引けば今後何年勤めるかという数字が出てくるわけですね。そこでその人が退職する場合の退職金と恩給金を今後の勤続の年数で割ると、一年当りの普通の人件費のほかにその人に関する退職、恩給の経費が出てくる、その経費が幾らか、こういう質問なんです。
  64. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ちょっと計算がややこしくなると思いますので、もし御必要なら追って八木先生に申し上げたいと思います。
  65. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで私、中間経費のもとの問題に移るのですが、三十二年度国内米の中間経費がここに集荷手数料、運賃保官料、事務費、金利等で約三百億冊出ております。それから販売のマージンが百九十億円、合計で四百九十億円余が出ておるのですが、このほかに米のロスの費用があると思います。それからもう一つは今申します人心費がこのほかだと私は思うのですが、そういたしますと大体六百億円内外が中間経費になるわけであります。そこで米の買い入れは今年は幾ら御予定になっておるかしりませんが、それに対する六百億円は大体何%になるか、こういうことを伺ってみたいのであります。
  66. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 本年の買い入れはおよそ二千七百万石と、こういう見込みでございますから、まあ一万円米価といたしますると六百億円というものはおのずから数字が出ると思います。
  67. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこでこの間より、これも農林省でやはり調べていただいたのですが、戦前の中間経費は大正十四年が二割二分三厘、昭和六年は二割八分、昭和八年が二割四分、昭和九年が二割一分、平均で二割四分ぐらいになっています。そういたしますと、私は大体この民間と政府との比較はまずこの表の上から言えば、大体似たり寄ったりで一応計算ができる。しかしこう言つちゃ何ですけれども政府の仕事の方が能率が悪いとこう私は思って、それが私の申し上げたい結論なんです。  次に伺いたいのは食管会計の赤字の問題なんですが、三十一年度末の赤字は幾らで、三十二年度末の赤字は幾らということをまづ伺ってみたいと思います。
  68. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先般来申し上げましたように、三十一年度の赤字というものはおよそ百六十一億内外、三十二年度は現行価格で参りまする場合に、百四十二億でございますかその程度に予想されるわけであります。
  69. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで伺いたいのですが、この米価の決定いかんが三十一年度末の赤字に影響するかのような、せざるかのようなお話が農相、蔵相、両方からおありになったのですが、影響するという方の議論がどうも納得できないのです。影響するというのであればその理由をお伺いしてみたいと思います。
  70. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この三十二年度の消費者米価をどの程度の幅に上げるか、これは万一上げるという場合であります。あるいはその時期をいうにするかという問題によって違っては参りまするが、今、食糧管理特別会計でとっておりまする在庫評価の方法は、修正売価主義という建前をとっておるものでございまするから、もしも消費者米価が動きますれば、三十一年度の決算が確定をいたしますれば別でございますが、それまではその時期と値幅とによって、三十一年三月末の手持ち在庫量の評価に影響がくる、こういう考え方でございます。
  71. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私、もう一つよくわからないのは、三十一年三月末現在で評価するから、かりに七月に消費者米価が上っても関係ないと思うのですがどうか。七月以後に評価を確定するのであれば関係があるが、三月末で確定するのなら関係ないと思う。民間の会社等の決算は期末のあとの在庫品の値段の上り下りは棚下しに影響することは考えられないのですが、その点もうちょっと御説明願いたい。
  72. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 食管の現在の評価につきましては、昭和二十九年以来、修正売価主義をいたしております。従いまして、これは仮定の問題でございまするが、五月の十日に米の値段を万が一上げるということにいたします。そういたしますと三月三十一日の在庫量は動きませんが、三十一年産米の米は十月ないし十一月まで配給するわけであります。従いまして、五月の十日に決定すれば、七月三十一日に三十一年度の決算におきまして、五月十日に上げるとかあるいは六月一日から上げるということになると、それまでの二カ月分は前の安い値段で売りまするが、それ以後の分は今度は高い値段で売りまするから、十一月まで売る米の値段は三月三十一日にさかのぼって高い値段で評価する。そういたしますると、損益計算が動くわけでございます。それがもし農林大臣の言われたように、調査会の方で七月三十一日の決算までに上げるとも上げないともきめない場合におきましては、これは七月三十一日現在の値段できめまするから決算には影響ございません。決算確定の以前に米の値をもし上げるとすれば、その後におきまする売り値は変ってくるわけであります。その分の分量だけが決算に影響してくるのであります。
  73. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は修正売価主義ということをつまびらかにしておりませんが、三月三十一日現在の在庫米は今の評価でたなおろしして決定してしまう。その後に入庫してきたものはそのつどそのつどの値段で決定する、こういう民間のやり方とは少し違うように思いますが、そうですが。
  74. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 民間のやり方はたとえば三月三十一日を事業年度とすれば、大がい四月の末か五月の初めにきまりますから、そうしてあまり時価は動かない、動いた場合におきましてはそれを三月三十一日の時価によるか、あるいはそれ以後の様子でかげんするかということは、会社の重役できめる問題でございますが、一応三月三十一日の時価できめるのが原則でございましょう。しかしこの食管制度におきましては、昭和二十八年までは三月三十一日現在の値段できめているわけであります。それを修正売価主義にしまして、決算確定のときの状況によって、実際の売り値段に合ったような適正な方法がいいということになりまして、二十九年から修正売価主義にしたわけであります。で、三月三十一日の値段よりも高く売れるような場合におきましては、それだけ高く売れる分だけは損が少くなってくるから、利益が多くなってくる。こういうふうにいたしておりますので、米の値段のきめようによりましては、三十一年度の決算の赤字見込みが動くことになります。こういうことです。
  75. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ぼんやりわかったような気がいたしますが、この問題はこの程度にいたしまして……。
  76. 小林孝平

    小林孝平君 関連。ちょっと今の問題、大蔵大臣が修正売価主義で決定する、こうおっしゃった際に、この決定の時期によってそれ以後のものだけその上った価格で、たとえば八月から米価を上げるということになれば、八月以後に配給する予定数量だけこれで評価し、その前は今までの価格で評価する。こうおっしゃいましたけれども、そういうように理解してよろしいのですか。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 値段が上るまでは今までの分でおりますから三月三十一日で動きません。しかし三月三十一日の現在量の値段が、それよりも高く売れる場合におきましては動くわけであります。
  78. 小林孝平

    小林孝平君 具体的に申しますと、かりに消費者価格が八月から上げるということになりましたら、八月以降の配給予定数量だけ、新しい消費者価格で計算されるのですか。
  79. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りでございます。
  80. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次は病変米のことを伺いますが、二十八年に病変米を買い入れまして今日まで相当損が出ておりますが、金利、保管料、損失、並びにその総額と、年次決算で消した額とをお知らせ下さい。
  81. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) かような数字になっております。昭和二十九年度までに二十六億四千八百万円、それから三十年度で五億八千五百万円、三十一年度見込みでございますが、八億三千三百万円、それを合わせますると四十億六千六百万円、こういう数字であります。
  82. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そのうちで一般会計と申しますか、もう欠損を補てんしたものは幾らございますか。
  83. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 三十一年度は別としまして、三十年度までの分は食管全体の計算によって処理しておりますから、食管の全体の赤字の中にもこれは織り込んで、織り込み済みだ、こういうふうなわけであります。
  84. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで現在はつまり三十一年度末で幾らの損が見込まれておって、また現在の在庫米は幾らに評価しておるわけですか。
  85. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 在庫量は、三月末までに若干処分の予定がございますが、年度末およそ十万トン内外、かように御了承をいただきまして、値段の点は、上中下それぞれ評価が違っておりますので、もし御必要ならば、資料として申し上げます。
  86. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 平均単価でけっこうですから、資料として御提出願います。  将来の目標について伺いますが、河野前農林大臣は、統制撤廃を目標に置いて、そのために事前売り渡しをやったと、こういうふうなお話があったのですが、現農相は、将来の目標を自由販売、専売もしくは現行制度、この三つのうちで、どれを指向なさいますか。
  87. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 本年は、引き続いて予約集荷制度を実施をいたす所存でございます。将来の展望でありまするが、まあ私は、少し慎重に物を考えておるのでありまして、当面の制度についても、これは改善すべき点は多々あろうと思いますから、これは十分に、調査会その他の機能を活用して、検討を加えますることはもちろんでありますが、専売か自由販売か、こういうすっきりした結論を出すのには、もう少々諸般の条件を検討いたしたい、こう考えております。
  88. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 河野農相よりは少し自由販売が遠のいたような感じがいたしますが、それはその程度にしておきまして、最後に、法律関係でありますが、この間、遵法精神の建前から、私、総理に伺いましたら、食糧管理調査会でその辺も一つ合理的に考えるというふうな御答弁がありました。しかし、調査会がどんなに勉強されましても、千数百万石に及ぶこのやみ米の横行は、とうてい防ぎ切れるものではない。そこで、私は真剣に考えて、この朝、昼、晩と三百六十五日、国民の大多数が法律に違反して生活をしておるという、この現実を一体、憂慮なさるのがあたりまえだと思うのですが、その点を、農相立場を離れて、国務大臣として、一体どういうふうにお考えになるかということを最後に伺って、私、農相への質問はこれで終りたいと思います。
  89. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この問題は、総理からお答えもあったはずでありますが、たしかに御指摘のごとく、これは制度の面において、あるいは経済の分野において解決をいたすというだけでなく、ただいまのような精神面の問題でございますが、私も決してこれをネグレクトして考えておるのじゃない。これもあわせて、食管制度合理化の問題に取り組んで参りたい。こう考えております。
  90. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次は、自治庁長官にきわめて簡単なことを伺いたいのですが、それは、芸者の花代の話なんですけれども昭和十九年に三〇〇%、二十一年に一五〇%、それから二十五年に一〇〇%、三十年の十一月には三〇%、今度はまた一五%。あまりこの減税のカーブが激しすぎると思うのですが、その点を一つ、納得のいくように伺いたい。
  91. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 地方制度の改正方針をどこにとるかということでありましたが、これを一つの税目の相互間における不均衡を是正しよう、こういう考え方で事業税を考え、遊興飲食税を考えました結果の改正が、芸者の花代を三〇%を一五%にするということになったわけであります。もうちょっとこれを具体的に申し上げますと、花代制度をとっておりますものにつきましては三割となっておる、お説の通りであります。ところが、いわゆるこの花代の方式をとっていない、芸者以外の類似業者というものが非常にたくさんな数に及ぶわけであります。これは一割五分でございます。そのやっていることはどんなことかといいますと、芸者も芸者以外の類似行為をしておりますものも、やっておることは少しも変りはない。そういうようなことを漸次考えてみると、やはりこれを上げて均衡をとるか、下げて均衡をとるか、二つの道があるわけであります。やはりこれは、下げて均衡をとる以外に道はない、こういうふうに考えたその根拠は、なぜ一体、上げないで下げたのかという根拠は、あまりにも数が多過ぎるからという、そのことが一つの原因でございます。
  92. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 類似業者の数が多くても、私は芸者の方にはあまり縁がありませんけれども、これを利用するのはまあ公用族、社用族、汚職族、遊蕩族というのが大部分なんです。今も社会党の方からお話がありましたが、類似の方も、私上げたらいいと思うのが一つと、均衡論からいえば。それからもう一つは、非常に累年下げるこのカーブが非常に急であるという点が、私はどうも納得がいかないのであります。次に、たとえば、デパートで食事をすると、免税点は前は百円であったのが今回は百五十円に上った、それは非常にけつこうですけれども、しかし、税率は百分の五か百分の十に上りました。だから、中産階級以下の人がたまに子供を連れて、日曜にでもデパートで百五十一円の食事をしても、一割の税を取られる。非常に豪華な宴会をしても、芸者は一割五分、こういうことでは、国民は納得しないと思うのです。  この間、岸総理は、衆議院での御答弁で、芸者の花代と政治の根本とは関係がないのだというふうなお話がありましたけれども、大衆の納得のいく政治というのは、こういうところに私はあるのじゃないかと、こう思いますので、もう一ぺん御答弁いただきたい。
  93. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 家族連れの食事というと、大衆飲食の点でございますが、これは、一人一食の飲食の料金は三百円、現行は二百円でございます。一人一品の場合は、いわゆるチケットの先売りをするような場合ですね、そういう場合は百五十円となっている。そのかわり、一品百五十円という場合は、これは、一品が百五十円であります限りは、何品分か求めましても、百五十円として扱うわけでございます。たとえば、一品百五十円のものを三枚買いましても、これは、税はかからないという方式で取扱いをしておるわけであります。そこで、御心配のようなことは実際においては出ておりませんことと、それから、大体現行の二百円という食事は、これは免税点といたしましても僅少すぎる、こういうことで、これは三百円に引き上げようというわけでございます。従って、三百円の大衆飲食でございますと、ほとんど全国ともに無税で食事をすることができる、こういう見通しのもとに、三百円ということに免税点の引き上げを行いました。
  94. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 デパートで百六十円のウナギどんぶりを食って、芸者とわずか五%しか税金が違わんということには、私は納得いきませんけれども、時間がございませんから、この程度にしておきます。  次に、大蔵大臣にお伺いいたします。国有財産審議会の答申の要領と、これに対する政府の所見を伺います。
  95. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国有財産審議会の答申は、今から十日ほど前に出たのであります。国有財産制度のあり方、また、管理処分についての方針等、各般にわたりまして、非常に有益な答申を得たのであります。われわれは、今後これによりまして、国有財産の制度の円滑な運用をはかっていきたいと思います。その一つの点といたしましては、特別会計を設けまして、高層住宅を建てると同時に、官庁の建物の整理をしよう、また各地にわたります国有財産の確認等、いろいろ万般にわたっての答申がいたされております。これによりまして、今後運営をやっていこうと考えます。
  96. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 行管が、二十九年の九月三十日現在で、国有財産のうちで、軍用財産と大蔵省の雑種財産との総額五十四億円を調査したときに、その中の未利用財産が十五億九千万円ある、この十五億九千万円のうち、五%七、二千四百二十二件を調べましたところが、存否のあいまいなものが四割、無断使用が四割、実態把握が三割しかできてなくて、七割は実態把握ができておらなかった、こういう報告があります。もう少し詳しく言えば、財産管理では、台帳によって現実になかったものが二割四分、存否あいまい、あるいは一部滅失のものが一割六分、それから土地の調査八百五十万坪調査した中で、無断使用が百五十九万坪、存否不明とか一部滅失等が百四十七万坪、こういうことになっておるわけなんですが、現在の未利用財産は再評価されたそうですが、幾らくらいですか。
  97. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先年の行管の調査は、抽出調査でございまして、八木委員のお話のような点が言われております。そういうこと等に基きまして、今回国有財産審議会の答申を得て、これから整理にかかろうとしておるのであります。こまかい点につきましては、政府委員より答弁いたさせます。
  98. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ややこまかい数字的な点になりますので、お許しをいただきましてお答えを申し上げます。  ただいま大臣からお答えになりましたように、行政管理庁の調査は、八木委員の御指摘のように、抽出調査でございまして、私の方は、先般国有財産審議会の御意見もございましたので、全般にわたりまして台帳から拾っております。その数字は、従いまして相当大きくなりまして、大体四百数十億になっております。これのうち、土地と建物につきまして、大体三年計画で実態調査をいたすことにいたしまして、大臣もお述べになりましたように、これに必要な経費等を昭和三十二年度予算においてお願いをいたしておる次第でございます。
  99. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、大蔵大臣に伺いますが、手形に対する印紙税の税率を階級別定額にお改めになりました事由を……。
  100. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 手形につきましては、その金額のいかんを問わず、十円均一でございます。しかし、手形自体は相当借入金等に使われるのでございますが、片一方の借用証書につきましては、最高一万円までということになっておりますので、これと均衡をとりまして、階級定額制にいたしたのであります。ヨーロッパ諸国を見ましても、大体手形につきましても、階級定額制とか、あるいは比例制になっております。各国の制度も参酌いたしまして、十円ないし千円の階級定額制にいたした。しかし、やはり手形の書きかえによる期間の長短等を考えまして、借用証書よりも四分の一とか三分の一のように定額にいたしております。
  101. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 現在の定額制は、大正十二年から三十五年間も続いておったのが、今度お改めになったのですが、最高は、極端な例では百倍になっています。これは信用取引を圧迫するんじゃないかと、こういう思うのですがいかがですか。
  102. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 千円の印紙税は、多分千万円以上の分だったと思います。しかし、千万円に対しまして万分の一以下でございます。千万円をこゆるものでございますから、万分の一ということになりますと、印紙税もやはり流通税の性質を持っております、万分の一、二千万円だったら二万分の一でございますから、私はこの程度で適当じゃないかと思います。
  103. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この印紙税増収見込額二十億円の算出の基礎になった一記載高別の階層別の算出の根拠を承わりたいと思います。
  104. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なかなか調査が厄介なものでございますから、国税庁の方を指導いたしまして、あるいは証券会社あるいは貿易商あるいは銀行等、基本になるような業態につきまして一応調べて算出いたしたのでございます。
  105. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 実際について、たとえば商社等、どれくらいお調べになりましたか。
  106. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 商社によってよほど違って参っております。これは、千万円以上、五百万円以上、百万円以上、こう四段階に初め分けておったのでありますが、先般、私、関西に参りまして、いろいろ実情を聞いてみますと、あの税制調査会の答申よりももっとこまかくして下げた方が実態に適合すると考えまして、その後におきましても調査を重ねまして、当初の考え方よりも緩和いたしたのでございますが、大体この程度ならばそう激増することはないと思います。前の四段階の分では、印紙税の納入が十五倍、二十倍になるというふうな話も聞いたのであります。その後五十万円を置きまして、よほどよくなったと思います。
  107. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先般、予算委員が大阪の商工会議所に参りましたときに、業者から資料が出たのであります。それによりますと、大阪綿糸商組合五十八社ですが、現行税額七百九十万円、改正後の税収が一億六千万円で、約二十倍、それから大阪綿糸布織物懇話会百三十一社の調べが、現行法で一千万円、改正後が一億四百八十万円。それから日本絹人絹織物商組合、これは八百七社、東京、京都、大阪、名古屋、福井、金沢、神戸が現行で二千四百万円、改正後一億八千七百万円で、これが七分七厘と、こういうふうになっておりまして、大蔵省の方では四倍、二十億円増と見ておられるのでありますが、一千商社の総平均から考えますと、まず二十倍から八倍になって、六十億円くらいには増徴になるだろう、この大阪綿糸商組合のようなものだと、これは明らかに二十倍になるのであります。こういったような、非常な増率になるわけでありますが、そこで、大蔵大臣に伺いたいのですけれども、こういう信用取引を圧迫するような印紙税の改正をなさらずに、印紙税を定額から累進にお変えになるのならば、むしろ株券や債券の方が順位としては先じゃないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  108. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り、従来、手形はあなたのようなお考えで手をつけていなかったのでございます。しかし先ほど申しましたような理由によりまして、この際流通税的の性質を持つものについて、万分の一あるいは二万分の一くらいな程度はいいんじゃないか、問題は二十万円をこえて百万円程度のものは非常にお困りじゃないか、あるいは五百万円、こういうふうな考え方で当初の考え方を少し緩和いたしたのでございます。私が先般大阪に参りましたときには、八木委員のようなお話を聞きました。しかしその後相当緩和いたしましたので、私はその数字はよほど変ってくるのではないかと思います。また国税庁の方で会社を一千社ほど調べました。それによって見ますると、今正確な数字は覚えておりませんが、そう二十倍とか十倍とかいうようなことは出ないつもりでおるのでございます。
  109. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 芸者の花代を減税する考え方と、こういったような信用取引を圧迫する増税の考え方とは、非常に私は考え方として納得のできないのでありますが、この程度にいたしておきます。かりに見込み通りの総収入があって、来年五十億も六十億にもなれば、今の大蔵省のお考えになっている二十七、八億ぐらいまで税率をお下げになるだけの確信がおありになるかどうか、最後に伺っておきたいと思います。
  110. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り、印紙税がどこから上ってくるかということはなかなかむずかしいのでございます。おそらくデパートの領収書が一番多いと思われますが、一般の領収書、借用証書あるいは判取帳、いろんな点があるのでございまして、大体二百五、六十億円の印紙税収入を六十億ばかりの増を見ております。そのうち手形の方で三十億程度と見ておるのでございます。これが、手形の増税によってこれだけ上ったんだということはなかなか困難でございます。今まで非常に安かったので、もしこの収入が予定の三百一、二十億円よりもふえたら、手形だけをまけようということはなかなか出てこないのじゃないかと思います。
  111. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 初めの出し方が非常に少なそうで、あとは取っても返さぬという考え方はよくないと思いますけれども、この程度にして。以下はまた分科会で伺うとして、次は運輸大臣にお尋ねいたします。  国鉄運賃の値上げの問題でありますが、現在二百二十七路線の中で黒字が十二線、収支とんとんが二線、赤字が二百十三線約九三%と思いますが、路線の長さにして黒字と赤字の比はどれくらいになりますか。
  112. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 赤字の方が八〇%ぐらいだと思います。
  113. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 黒字路線の中で東海道、山陽、山手、高崎、常盤線だけで二百三十八億黒字になっておりますが、こういったような幹線が二百六十三億円の黒字の大半をせおっておるのですけれども、運賃は公正でありかつ原価を償うという点からいえば、黒字線に赤字線の欠損を全部といってもいいくらい持たしてしまう、ということは不公正だと思いますが、いかがでしょう。
  114. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) これは、黒字線が収入の状態においてはお話の通り赤字をまかなっておるわけですけれども、企業的の面でなくやっぱり日本国鉄の全産業の輸送という面から考えますと、赤字線というものも、その場合は赤字でありますけれども、これは産業全体としての輸送力という問題からこれを重要視しなければなりません。またこの赤字の線からずっと品物が集まってきて黒字になるわけであります。赤字の線を切り離してしまえば黒字の線も非常に少くなる。こういうこともあり得るわけですから、これはやっぱり国鉄が陸上輸送の根幹をなしている点から、この赤字を軽視するわけにはいかないと思います。
  115. 内村清次

    ○内村清次君 関連して。ただいまの運輸大臣の言われました、赤字線からの輸送が黒字線の方に来て経営が成り立つのだと、こういう論法は本会議でも他の委員会でもしょっちゅう運輸大臣は言っていらっしゃいますが、気になっておるのです。先ほど言われたように赤字線は八〇%でしょう。そうして赤字線の駅で積み込んだ荷物にいたしましても、あるいはまた旅客の切符にいたしましても、収入は赤字線だけで収支計算がなされておるのですよ。そこで旅客が九州の幹線から東京へ来るというその旅客の輸送量ということは、これは連続的になっておるのでしょうが、赤字線はその線で収支がちゃんと計算されて、結局赤字線であると同時に、運輸大臣が言われたように、たしかに文化の交流その他の地域的な利益はあるでしょう。あるでしょうけれどもその問題と収支の問題というのは別問題でありまするから、この点はいま少し運輸大臣が御研究なさって、今まであまりこういうような点には関心がなかったかもしれませんが、監督官庁の所管大臣でありますならばよくその点を御理解になって、そうして赤字線対策というものをどうするかという根本的な問題を、この運賃値上げの問題と関連して御研究なさっていかないといかない。これは将来の国鉄経営の上にも問題でございますから、この点に対しましては、私たちの考えでは、もちろんこれは独立採算制だから、すべて黒字線から赤字線を補えという論法ばかりではいかない。やはり国家的な見地がありますからその見地に立って、何とか国家の方でこれは大蔵大臣一つこの点は答弁していただきたいと思いますけれども、何とかこれに対してはやっぱり政府の方で、赤字を出しておるところ国鉄全体に対しては、めんどうを見てやるというような、基本的な考え方があるかどうか、この点を一つあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
  116. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 赤字線がそれでいいのだと、こういうわけでは決してありません。御趣旨の通り、赤字線に対しては十分赤字を解消するような経営の方法は、これはやっていかなければならぬのでそれは努めております。しかし赤字線に対して直ちに国家がこれを負担していくということは、よほどの場合でない限り、国鉄全体の日本の経済に持つ立場からして、やっぱり黒字線の方でも負担をしてもらうということはやむを得ないのじゃないか、こう考えております。
  117. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 運輸大臣にお伺いいたしますが、このたびの運賃の値上げ一割三分でございますが、これを行いますと赤字線がどのくらい減るのでございますか。これは運賃値上げと関連して大きな問題だろうと思いますが、その点に対するお答えをお願いしたい。それから国鉄の五ケ年計画を遂行いたしますと、赤字線がどのくらい減ってくるか。この二点をお伺いしたい。
  118. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 運賃の値上げ並びに五カ年計画、両方とも赤字線の、赤字の分量が減って参りますけれども、そのうちどのくらい減るかということは数字で申し上げられませんが、政府委員から申し上げてわからなければあとで計算して申し上げます。
  119. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 補足して御説明申し上げます。今回の一割三分の値上げによりまして、赤字線が理論的には非常に少くなるというふうに考えられるわけでございますが、しかし実際問題といたしますと、現在の黒字線が実は約二〇%でございまして、これが輸送量は非常に大きいわけでございます。従いまして、営業係数と私ども申しておりますが、現在の営業係数は一〇〇少し出ておる。そのために赤字になっておるという線区がわずかばかり黒字になる。これは各線区の長さだけでは参りませんので、運輸数量を考えなければいけません。わずかばかりのものが黒字線に転化する、かように考えておる次第でございます。
  120. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 新設の十四線もやはり営業係数が一九〇、ざっと赤字が二倍になっています。そこで、今の赤字問答は禅問答のようで私よくわかりませんけれども、将来ともに、昔はよくなべづる線といわれましたが、政党等の圧迫によって赤字線ばかりふやしておることでは、将来ますます鉄道の経営は苦しくなる、かように考えておるんでありますが、そこで競争になるべき自動車運送をどういうふうにお考えですか。
  121. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 新線を建設いたします場合に、ただいまお話のように今百五十線から新線は予定されております。そのうちから十線とか十二線とかを順次着手しております。これが情実によって着手を選定するなんということは、実際百五十線のうちからでき得ません、ほんとうに必要な部面でなければ。その必要な部面のものは十なり九つなりのうちどれをとるかというような場合に、それはいろいろな考慮は費やされますけれども、そんな不合理な党略とか運動によってこれが左右されるなんということを超越した、非常な真剣な検討によってこれはなされております。そこで今お話の問題新線を建設するよりも自動車というものをもって間に合うじゃないかというようなお話であろうと思いますがそれは間に合う部分だけはやはり自動車道でいかなければいけないと思うのであります。しかしだんだんこれから後はやはり乗客よりも荷物の輸送ということが、国鉄においては大きな使命を持って参ります。御承知通り日本のように乗客ばかりたくさん乗せている鉄道はない。だんだんしかし日本においても貨物の方へ移って参ります。貨物の点になりますと、やっぱり資源の開発とか国土開発とか、あるいは農業上の開拓とか、いろいろな面やらやむを得ずやっぱり鉄道の輸送によらなければならぬ。それから大体日本の鉄道は北の方から南に向って縦にずっと建設してきておる。それを少し横をつなげば非常に効果的になる。そういう面で今、主として新線の分では横をつなげば連絡がとれる。こういう面をやっておりますので、やはり新線の問題は将来私は軽視できない。日本の産業をできるだけこまかく一つ集約的に産業開発をやっていこう、資源の開発をやろうという上には、やはり鉄道の新線というものは国鉄の経営の力によって、耐え得る範囲において順次やっていく、それがどうしても耐え得ないで必要な所は、国家の助成によってやるとか、国家の力をこれに貸していくということは必要であろうと思うのでありまするけれども、そこまでいかない範囲で、やはり国鉄自体の力に待ってできるだけやっていくと、こういうふうに考えるほかないんじゃないか、こう考えております。しかしそれば決して自動車輸送の問題は軽視するべきではなくて、自動車輸送はますます一つ、補助的というよりも対立した相互的な立場において、これは扱っていかなければならない、こう考えております。
  122. 内村清次

    ○内村清次君 関連して。この建設審議会で予定線は法律できまって、帝国議会からずっと引き続いた予定線が二百数十線ある。八木さんの質問のように自動車の輸送量が非常に発達してきておりまするから、この自動車道への転換運輸省としてはお考えになったことがあるかどうか、予定線をですよ。その問題に一つも取り組んでおられないような感じがいたしますが、それと取り組んで、そうしてやはり長い間地方の方々が、やはり鉄道をつけてくれというような希望もあるが、しかしこういった進展度が非常に変ってきているから、鉄道はできないけれども自動車でこれはまかないましょうということが、真剣に研究されてきているかどうか、その点をお伺いしたい。
  123. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) それはもう十分その点は考慮いたしてやっております。
  124. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 最後に項目だけを私、時間の関係上あげますから、それをお答え願いたいと思います。  第一は建設投資と政府の態度でありますが、御承知通り今度はこの財政投融資の金が六百七十三億もふえているのに、建設資金四百八十三億のうちで七割六分までは運賃値上げに頼っている。これはどういうわけか、これが第一点。  それから金に困っているのに、三億地下鉄に出資しているのはこれはどういうわけか、これが第二点。  それから貨物の運賃の値上げは中間で吸収されるから、必ずしも物価に影響しない、こういうふうに政府じゃ御説明になりますが、この議論は別にいたしまして、旅客運賃を上げるということは、これは生計費の増加をきたしてひいてはベースアップの一要素になる。これは賃金並びに物価の安定を期するという運賃法の規則に反するのではないか、これが第三点。  それから離収入八十八億円では予算面では一億、実際は恩給納付金七億があるから、一割増加になっていますけれども、一千億の資材を購入したり、また構内売り上げ評価が低いと会計検査院から指摘されたり、外郭団体の整理もありますし、地下鉄のガード下の問題もありますし、それから二十万平方メートルといったものが無断で使用されているといった問題もありますし、洞爺丸が沈没しているのに一億二千万円の評価を逆に六億一千万円高くして、実際は六千四百万円ぐらいにしか売れなかったというふうにずさんな経理の問題。  それから最後に、二十三日の国鉄労働組合の抜き打ち的の実力行使と、公共企業体労働関係法の第十七条の業務の「正常な運営を阻害する一切の行為」、という規定との関係を一体どういうふうに政府はみていらっしゃるか。  これだけの点を御答弁をいただきたいと思います。
  125. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 第一が運賃の値上げに対する分量が、この今度の輸送力増強計画のうちで大きな分を占めているという点でありますが、これはこのたびの輸送力増強についての資金は、まず第一に経営の合理化から、それからこの投融資の方面は大体昨年の状態と同じような線できめます。やはり一般経済の上からみましてこの程度、ことに国鉄は、運賃値上げをするからでありますけれども、やはり自己の立場で、あれだけの二兆一千億の国家資産を預けてあるのでありまして、その上において、経営のできる範囲というので、新線建設には少し増したけれども、増したのも、これは借入金で、政府の出資というわけじゃありませんが、そういうわけで、やはり国鉄自体の持っておる今日までの運賃の程度、それから経営の合理化、それから、これからの実情に照らして、このたびの一割三分が三百六十億、今お話になった何割かに当るわけですけれども、その程度は、大体において国鉄のあり方として合理的ではないか、こういう考えでこれをきめたわけであります。  それから第二の、地下鉄の問題ですが、これは、東京都の都市交通の面からいたしまして、都市交通審議会が昨年非常な努力によって、なお現在も継続しておりますが、その大体の結論として、東京都の増加するこの交通の事態に対しては、約二十カ年の計画を立てました。しかし、それを立てて道を開いていくのは、やはり国鉄輸送力というものが根幹をなしております。どうしてもその大きな部分は、やはり省線電車というものが負担しておる。都電とか、その他自動車というものは、まだなかなか大きな力になりませんので、これにマッチしては、地下鉄の線路というものを、御承知通り五線選びまして、これを完成することによって、つまり国鉄と地下鉄と一体となって、都市交通の道を開いていこう、こういうようにいたしましたから、営団のごときは国鉄事業の一部というような見方、東京都も同等の立場でこれに投資はしております。そういう意味からいたしまして、国鉄も三億円の出資というもの、東京都も三億円、そういうふうにした次第であります。  それから、旅客運賃の問題でありますが、旅客運賃の占める分量は、これは、通信、交通費まで入れまして、御承知通り、生計費のうちで一・八%都市においても二・六%か七%というようなもので、それは通信費まで、郵便、電信代まで入れてであります。そのうち鉄道運賃がはっきり幾らになるかわかりませんが、およそ一・八%のうちの一コンマぐらいだろうと思います。それに対して、今度一割三分の値上げをするわけであります。これは、むろん生計費に響きますけれども、私どもは、その響くのは非常に軽微で、この国鉄輸送力の増強とマッチする日本経済の拡大という面から、生活費の向上という面を見ますと、御承知通り、生活費の向上は、近年非常に大きなテンポをもって上ってきております。それに比べていくとコンマ一%くらいな値上げというものは、その生計費の方がずっと上回っていけば、これは、極端な言い方かもしれませんが、二、三年たっと運賃は下っていく、こういうようにも考えられると思うのです。  それから次に、雑収入の面でありますが、雑収入の面は、御承知通り、問題になっております。これは申しわけないと思うのであります。しかし、まずガード下の問題を第一着手としまして、各方面の、今までの学識経験者で委員会を開くなどということをやめまして、実際家を五、六人集めまして、端からぴしぴしと、高架下刷新調査会というのを今人選中で、人選もややできました。そして連日働いてもらって、数カの間に一通りの結論を出すまでやりたい、こういうような考えをもってやっております。  次に、無断使用の点、これは今訴訟をやっているそうであります。
  126. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 二十万平方メートルが無断使用されているという問題があるのです、全国で。
  127. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) それはよく知りませんが、あとで政府委員からお答えいたします。  それから、二十三日の実力行使の問題、これはもう単に何ではない、国鉄従業員の組合として、まことに行き過ぎたことであり、それから一体、この実力行使ということは、あなたの今のお話の通り、公労法にもう正面からこれは違反しているのであります。違反していることをなぜやらしているか、これは、やらせはしないけれども、やっているのであります。こちらはやらせばしないのですけれども、事実上やるのであります。これは、政府が本式に力を入れてやめさせなければいかんと思います。やめさせることについては、これはいろいろありますけれども、今日のこの事態から見まして、この実力行使というものをやめてゆく本式の手段を一つこれから講じていきたい。それは決して言葉の上でなく、この内閣としても、こういうことを捨てておくという手はない、こう考えまして、これはもう、正面から法規の違反であります。遵法闘争だとか言いますけれども、そんな理由は一つもありません。正面から法規の違反であります。この法規の違反をこのまま見逃していくというようなことは、これは、この憲法法治国治下において、あり得べからざることであります。これは、徹底的に一つただしていかなければいかん、こう考えます。
  128. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 洞爺丸の評価問題。
  129. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) これは一つ政府委員から。
  130. 内村清次

    ○内村清次君 運輸大臣にちょっとお尋ねしますが、先ほどの御答弁では、これは全く現象面だけを論じていられるのです。私の聞きましたところにおきましても、どういう対策をして、その実力行使をやめさせるかという点に対しましても、まだ具体的でない。その点も明確に御答弁をお願いしたいのと、それから、なぜああいう現象が起ったかという問題について、一言も触れておられない。この点をもう少し詳しくお話願いたい。これは、大蔵大臣ももちろん御答弁になる点がありはせぬかと思うのです。その点について、この原因に対しまして、これは一つ両方からはっきりと御答弁願いたい。
  131. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 二十三日の問題ですね。二十三日の問題に関する限りは、私からお答えいたしますが、大蔵大臣は大して何も関するところはないと思います。この二十三日の問題は、これは、十六日のいわゆる臨時第四波といいますか、三・半といいますか、このときに、国鉄当局者と組合との間にすでに話がついている問題であります。しかるに、そのついている問題を、二十三日に業績手当をやるというので、やらないとはちっとも言わないのであります。やるということははっきりしているのであります。そのやることについて、朝やるか、晩やるか、午後三時五十分にやるか、この一日の話し合いが待てないで、やりそうもないという猜疑必から、ああいう行動を起したということは非常に不届きだと思う。(「非常に違うよ、それは」と呼ぶ者あり)違っておりません。これは私が全部知っております。従って、新聞には、一カ月や二カ月どこでも待つ——そんなことは言いません。一日や二日業績手当がおくれたからといって、ああいう騒動を起さなければならぬということは、私どもの常識をもっては、組合当事者の考えは、どうしても判断のつかないことであります。ですから、大蔵省は何もこれに関係はありません。
  132. 左藤義詮

    ○理事(左藤義詮君) 簡単に願います。
  133. 内村清次

    ○内村清次君 この問題は、答弁次第では簡単にはいかない問題ですけれども、大きに違った答弁をしていらっしゃるのです。そうして一日、二日、三日待て、こういうような問題も、これは政府の違約です。大体二十三日の日に支払いをするということは、これは約束です。総理大臣責任省との間にも約束された。あるいはまた、その後に行われたところの団体交渉でもはっきり約束された。それを国鉄総裁が途中において——これは大蔵大臣の言葉ですよ、私たちが聞いておるところでは。によって、運輸大臣を通じて、そうして国鉄総裁から拒否されておるのです。こういうような違約の問題をはっきりとされておるのだから、そこで、労働組合としては、そういう、この間きめたことを守らないということは、これはいけないというところで、その対抗手段をとったことは明らかでしよう。そういうような内在された、その間非常に逼迫した、内在されたことが、運輸大臣もそうでしたよ、運輸大臣も、大蔵大臣一つぜひこれは頼んで来なくちゃならぬというようなことで、あなたも働きかけたに相違ない、あなたの方の部下は。と同時に、あなたの方では、これはぜひ実行したいという気持のあったことは、これは事実でしょう。しかし、やはり日にちの違約という問題が重なり、政府の今までのやり口からして、一つも実行してくれない完全に実行してくれないという猜疑心が、すなわち労働組合をしてこの問題に取り組ましたことは、私は当然な話であろうと思うのですが、そういうような問題をなぜお隠しになっておりますか。
  134. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。私は少しも隠しておりません。それから、今あなたのお話にも、事実に全然相違するところがあります。二十三日に業績手当を払うというようなことは、総理大臣もだれも、そんな約束はしておりません。国鉄の当局者が組合に向って、二十三日には、給料とともにその日に払うという約束はして……(「それは当然監督者のあなたが聞いておかなくちゃどうするのだ」と呼ぶ者あり)払うという約束をしておったそうです。私の方は、業績手当を出すには、大蔵大臣とも協議しなければ、もちろん私一人では出ません。従って協議は続けておりました。協議は続けておりましたけれども、二十三日の朝になりまして、きょう出していいかと言うから、私は、きょう午後五時まで待て、出してよろしい、はっきり国鉄総裁に申しておるのであります。午後五時まで待ちなさい、出してよろしい、それは疑う余地がありません。午後五時まで、しかしながら、それは三時四十分に出しました。それですから、それははっきり、そういうことのいきさつに、少しも疑いを差しはさむ余地がない、それが、朝出ないから、夕方出たからけしからぬ、ああいう事態を起したということは、私は、ほとんどあり得べからざることをやった、こういうふうに思っております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  135. 木村篤太郎

    木村篤太郎君 関連質問。この際、労働大臣にお尋ねいたしたいと思います。職場大会は、私は一種の職場放棄と考えておるのですが、どういうふうに考えておりますか。
  136. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お答えいたします。公労法に規定してありますように、職場大会そのものは、法に許されておりません。違反行為であります。
  137. 左藤義詮

    ○理事(左藤義詮君) 内村君、簡単に願います。
  138. 内村清次

    ○内村清次君 運輸大臣、国鉄の当局者の意向も、これは、北海道から九州の果てまである、その果てに、給料袋の中に業績手当というものが入るまでには、どれぐらいの時間がかかると思うのですか。一たん政府の方で、あなた知らないとかの、あるいは五時半まで待てとかいう、五時半にははっきり命令を出したのだと、こうおっしゃるのですけれども、実際それを支給するまでに、どれぐらいの時間がかかるか、あなた御承知ですか。そうして途中でそういう、五時半に支給しなさいという命令を出したならば、なぜ団交できまったような、二十三日の日には各当局側の出納責任者が給料袋に入れるような時間を十分おとりになって、途中で支給は一たんやめて、大蔵省は半分だけ、十七億だけは出すけれども、あとは出さないというような、そういう政府間の連絡の不徹底をなぜなさるのですか。これが原因でしよう。この点が一番原因ですよ、あなた方の。この点を明確にせずして、ただ末端の現象だけをあなた方が、また自民党の諸君たちも見ている。こういう当局者の約束不履行という問題が重大な関係のあるということを、あなたはまだ認識をせられておらない。その点はどうですか。
  139. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 二十三日は、聞いてみると給料日なんです。それで、大体給料日に渡すということに話をしてありますということを聞いた。私といえども、午後五時にやって、それが銀行から土曜日に金を出してきてやれないということは承知しております。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それは承知しております。しかしながら、二十三日に渡すという約束をしたのですから、事務上の手続でもって一日ぐらいおくれるというようなことは、常識的に差しつかえないことだと思っております。(「翌日は日曜日ですよ」と呼ぶ者あり)日曜日だから、月曜日にやればいい。それは普通常識で、何でもないことです。特に給料がおくれたというのじゃない。手当が一日、二日延びた。出すということをきめてさえおけば、一日、二日争って、それがいけないということは常識上ないと、私はこう考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  140. 左藤義詮

    ○理事(左藤義詮君) もう時間がありませんから、簡単に願います。
  141. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 まだ答弁のうちで不満足な点があり、伺いたい点もありますけれども、時間が参りましたから、他の機会に譲ります。
  142. 久保等

    久保等君 私は、国鉄の今回運賃が値上げになろうといたしておりますが、これに当って、特に五カ年計画の内容について若干お尋ねをいたしたいと思います。  従来から、非常に国鉄の妥当を欠く問題といたしまして指摘せられております問題に、駅舎の新築問題があるわけでありまして、すでに鉄道会館問題、あるいは最近問題になっておりまする池袋の駅舎問題、これらの問題は、考えてみますると、要するに民間資本を、しかも非常に不明朗な形で導入をしようとするところに問題があるわけでありまするが、今回、大幅な運賃値上げを断行するに当って、駅舎問題について、一体どういう計画をお持ちになっておるか。運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  143. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。駅舎問題というような、民衆駅という問題、民衆駅という問題は、池袋に関することが非常に問題になっておりまするが、今日においては、こういう問題を引き起さないようにしております。それで、なお今後も、地方その他において民衆駅というものも、これは、その利用の範囲ですが、公共的な意味において、その地方における話し合いがつけば別ですけれども、われわれの方からどうしろこうしろというようなことはもうやらない、こう考えております。
  144. 久保等

    久保等君 私は、この駅舎問題の解決は、やはり政府そのものが駅舎の建築に当って、資金的な面についての考慮を払う必要がある、実はかように考えるわけで、具体的に五カ年計画の中で、私は、民衆駅と称せられる駅、これらの問題について、一体運輸当局として、どういう具体的な方針をもって国鉄に対しての指導なり、あるいは指示を行なっているか。また、五カ年計画の中に、この民衆駅問題等を中心にした予算的な措置がどう具体的に織り込まれているか、この問題をお尋ねしているわけなんです。
  145. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 現在においても、また、五カ年計画においても、民衆駅というものをその中に考慮に加えておりません。
  146. 久保等

    久保等君 そういたしますると、民衆駅と称する駅の建築に当って、五カ年計画では、全然この予算の中に計上しておらない、一銭も駅舎の建築については予算を編成しておらないということでしょうか。
  147. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えします。民衆駅を建てるという場合には、やはり民間か公共団体で出すので、国鉄で一部分話し合いで出すという場合も起るかもしれませんが、駅舎の建築、それを今五カ年計画のうちに組んでおるということはありません。
  148. 久保等

    久保等君 私のお尋ねしておりますことは、民衆駅という大体構想で始められた駅舎の建築施策というものが、非常に問題だと実は考えるわけなんです。もちろんきわめて明朗に、しかも非常に地元その他国民の納得できる形の民衆駅のできることについては、私もこれに反対をするものではないのですが、非常に政治問題化し、社会問題化するような駅舎の建築については、むしろ私は国鉄そのものの予算を使って、政府資金を使って駅舎の建築に当るべきだ、こういうように実は考えるわけでありまして、そういう点から、五カ年計画もせっかく樹立せられたこの機会に、私は、民衆駅で当初は計画しておったが、これを計画変更といいますか、資金面の方針を変更して、若干でも国家予算を使って民衆駅を作るという方向に五カ年計画の中で取り入れられた面があるかどうかという点をお尋ねしたのです。それに対してもう一回。全然そういった問題については五カ年計画で考慮を払っておらないということだと思いますが、その点を確認したいと思います。
  149. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 政府委員からお答えいたします。
  150. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいまの問題にお答えいたします。民衆駅という名前の駅は、実は民間から資金を出されましてこれに、例外はありますが、若干の国鉄の資金を加えまして駅を建築するのが民衆駅であります。従いまして、民間から金が出ないで国鉄だけで作るものは民衆駅ではないと考えております。そこで、ただいまお尋ねのように、問題は民衆駅に対する考え方と、もう一つは駅舎自体をどうするか、こういう御質問かと思うわけであります。駅舎につきましては、これは前々からも国会でも御議論がございます。輸送力の増強ということのためには車両を作るとか、線路をよくするということが、これは先でございまして、駅舎は輸送力増強からいいますと、まああとになるというのが通常でありますので、五カ年計画といたしましては、いわゆる車両の増強、それから線路の増強、あるいは電化、ディーゼル化こういう方面に重点を置いているわけでありますが、しかし駅舎は全然作らないでいいかと申しますと、これはそうは参りません。従いまして、今回の約六千億の中には、当然駅舎も入っておると思います。入っております。入っておりますが、非常なウエイトを置いて大きな予算をこれに見込んではおらないということを申し上げることはできると思います。それから民衆駅につきましては、実は御承知と思いますが、民衆駅等運営委員会というものを通りまして、ここで民衆駅に対する基本方針が、一応国鉄総裁あてに答申が出ております。で、一番問題は、対象となる駅をどう選ぶかということと、だれを契約の相手方とするかということでございまして、こまかくは省略いたしますが、原則的には地方公共団体を承認の相手方にする、こういう原則でございますが、ただ、これに準ずるような、何と申しますか、非常に信用ができるという団体を相手方として選ぶということになっておるわけでございまして、運輸省といたしましては、積極的に民衆駅を作るという考え方は持っておりません。ただ、ここにそういうものが地方の御要望が出まして、相手方も地方公共団体ならばもとよりでございますが、そうでなくても、非常に信用がある場合につきましては、一件々々これを精査いたす、こういうふうな方針をもっていたしておる次第でございます。
  151. 久保等

    久保等君 民衆駅の問題は別にして、駅舎の建設費が三十二年度予算に幾ら、それから五カ年の全体の計画の中にどの程度ですか。政府委員でもけっこうですから。
  152. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 駅舎の新築そのものにつきましては、今ちょっと数字を持っておりませんので、さつそく調べまして、三十二年度についてはお答えいたしたいと思います。
  153. 久保等

    久保等君 それでは次にやはり問題になっておりまする請負工事の関係について御質問を申し上げたいと思うのですが、前々から各年度決算報告書を見て、非常に私ども重大な関心を持ちましたことは、請負工事がとかく非常に不明朗になされておりますことについてであります。この点については、いろいろと改善の方途が講ぜられておるようでありまするが、しかしなお今日に至るも数年間、毎年会計検査院等から指摘を受けておりまするが是正をされておらない。このことについて、運輸大臣としてどういう御所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  154. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。会計検査院等から指摘されまして、まことに申しわけないと思っております。会計検査院が指摘される裏には、指摘されない分もまだあるかと思いまして、そういう点はどうしても粛正していかなければならぬ。しかし、まあ件数はこれは会計検査院のなにだけでも減った面もあり、種類によってはふえた面もありますけれども、それはどこまでも、ことにこのたびの工事量などは、今年度は昨年の倍額にこれからなっていくのでありますから、これに対しては十分な一つ注意を払って、この運賃値上げに対する国民の犠牲に対しても、これはなおざり一にできない問題でありますから、十分注意を払ってやっていきたいと思います。
  155. 久保等

    久保等君 ただいまの問題は、会計検査院の決算報告書を見ましても、すでに二十九年度さらに引き続いて最近出されて参りました三十年度の決算報告書にも同じような形で指摘をせられておるわけです。従って、私はもう少し具体的に今の問題についての改善策についての御答弁を実は伺いたいと思います。
  156. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 政府委員から答えていただきます。
  157. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) お答え申し上げます。国有鉄道の工事の請負制度あるいは請負の単価等につきましては、前々から運輸委員会あるいは決算委員会等でも問題になっておりますし、会計検査院、行政管理庁等からも御指摘のあったところであります。そこで、昨年の一月に請負業者資格及び指名審議会というものを作りました。まず国鉄の請負は随意契約は非常に例外でございまして、指名競争が非常に多いわけでございますが、この資格をどうするか、それから指名の範囲をどうするかということにつきまして諮問をいたしまして、これにつきましてそれぞれ外部の方々もお入りいただきまして公正に指名が行われるように、また資格審査が行われるように、いろいろ御指摘をいただいておりまして、これに基きまして指名委員会というものを設けて正確を期したいと、こう考えておるわけであります。それから請負工事予定価格積算基準委員会というものを作りました。これは積算が甘いのじゃないか。国鉄の工事は高過ぎるのじゃないかというようなことに対しまして、工事予定単価の積算基準をどうするか、こういうことでございます。これにつきましてもいろいろ技術的にこまかく検討していただいた結論を得て、これで正確を期していきたい。高くないようにしていきたいということで、せっかく国鉄で努力をしていただいておるわけでございます。なおそのほかに、随意契約は事故でございますとか、災害の場合でございますとかという特別な場合以外は行わない。随意契約というのが非常に誤解を招きましたり、いろいろな問題になりますので、原則的にはこれをやめる。それからこれもしばしば問題になっておりまするが、一括下請をするある業者が受けまして、これをトンネルで下へ流して、実際はほかの人がやると、こういうことも在来ままありまして、御指摘を受けた例があるわけでございますが、それを一切厳禁することにいたしました。それから部内組織につきましても、部内監察機構の強化をいたしますほかに、契約等の苦情処理委員会を設けますとか、あるいは契約に当りまして、契約官、あるいは契約審査員というものを設けまして、部内の別の所でその契約をチェックするというシステムをとる、こういったようなことをいろいろ具体的にやっておるのであります。先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、本年度からまた非常に工事費がふえますので、こういう点はさらに一そう私どもとしては強化して、請負の点につきまして間違いのないように指導いたしたいと考えておる次第でございます。
  158. 久保等

    久保等君 まあ構想は非常にけっこうなんですが、最後の結論のところがはっきりしないのですが、すでに出されておりまする三十年度の決算報告に関する国会に対する説明書という、この説明書の中には、ただいまの二点の問題について具体的な措置がなされておるような報告になっておるのですが、これで間違いないのでしょうか。
  159. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 間違いがないと思っております。
  160. 久保等

    久保等君 そうしますと、今度はこのフジ色の修正国鉄五カ年計画というものがあるのですが、フジ色でなくて、この白い方ですが、経営改善の経過という中に、これはいつごろといっても二月に出した印刷物なんですが、この印刷物によりますと、それぞれ請負業者資格及び指名審議会の場合、それからさらに予定価格の積算基準についてそれぞれ委員会なり審議会を設けておるのですが、しかし、この審議会なり委員で出た結論について、その結論は出ておるでしょうが、その結論について、これを実施に移すことについては、目下準備中ということで、具体的になかなかまだスタートを切るに至っておらないという実は説明書の文書があるのですが、これは少くとも私は決算報告書と両方突き合わせて見ますると、非常に大きな食い違いが出ておるのですが、これに対してどうお考えになりますか。(「はっきりしなさいよ」と呼ぶ者あり)
  161. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 決算報告書の具体的な事項、私ただいま見ておりませんので、その点につきましては精査いたしたいと思いますが、昭和三十年度中にできたということではございません。その点は間違いないと思います。
  162. 久保等

    久保等君 今部長の御答弁は、決算報告書に対する政府説明書というものについては、これはその通りだと、要するに具体的に実施をしておるという御答弁だったんです。間違いないということで、私確認いたしましたから、そういう御答弁だったんです。ですから、そうだとすると、実は経営改善の経過の方には目下準備中ということになっているから、一体いずれがほんとうかということになると思う。従って、経営改善の経過ということの方がうそなのか、決算報告書に対する政府説明書の方がうそなのか、どっちがうそなのか。これば一つ責任者の方から御答弁願いたい。
  163. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 今私よくそういうことを承知いたしておりませんので、調べさせて御返事申し上げます。
  164. 久保等

    久保等君 私、時間がないからあまり実は説明的な質問はいたさないことにいたしておるのですが、しかし、請負業者の問題は、先ほども御答弁があったように、特に明年度から六千億前後の非常に莫大な実は建設工事をやろうとしておるわけなんです。ところが、すでに今日までの三百億前後の工事勘定の施行に当っても、これはもう毎年会計検査院から指摘をせられ、しかもそのことはまことにその通りだということで審議会なり委員会なりを設けられた。そして、それに対して具体的な結論が出次第実施に移していくのでありましょうが、少くとも国会に対する御説明の中で、会計検査院の指摘事項の中で、現に実施をいたしておる、その委員会なり審議会なりの結論に基いて実施をしておるというふうに、まず報告書が出ているわけです。これは会計検査院の決算報告に対する説明書でしょうから、昭和三十年度の決算報告書に対する説明書の説明として、そういう説明がなされている。これは、きのう、きょうの問題でありませんだけに、その点を明確にしていただく必要があろうと思いますし、私は単に三十年度、三十一年度の問題でなくして、これからの二倍に上る大きな建設工事に対して一体今後どう対処していくかという問題にも関連してくると思うんです。
  165. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) さっそく調べまして、明日でも詳しくお答えいたします。
  166. 久保等

    久保等君 非常に重要な問題について、即答がいただけないことを非常に実は残念に思うわけなんですが、それは一応ただいまの御答弁は保留をして……。次にやはり建設工事の問題について、この政府関係機関のところにも出ている問題なんですが、非常に莫大な工事をやられる予定ですが、三十二年度予算書の中で、改良工事等の契約及び調査監督等に必要な人件費、事務費、これらのところで計上せられておりまする予算が、全く前年度の、あるいは前々年度の人数の点で、全く同じ基礎の上に立って予算が計上せられているんですが、これはどういう御趣旨なんでしょうか。
  167. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) お答え申し上げます。工事経費の関係の人間につきましては、実は何と申しますか、実人員が予算人員に対しまして若干の欠員を持っておったのでございますが、これらの増強とそれから外注をふやすというようなこと、それから工事の設計にいろいろ新しい方法を取り入れること、こういったようなことで、その人数でまかないたいと、また国鉄としてもまかない得る、こういうことで、さようにいたしたわけでございます。
  168. 久保等

    久保等君 まあそれでは何か欠員があったりなんかするというようなことだそうですが、それぞれの数字を明らかにしていただいて、少くとも三十二年度から工事量が約倍程度にふえるわけですから、それに伴う従って監督その他の事務も非常にふえるわけでありますから、そのいったことに対して、一体どの程度の人数をどこからはじき出してきて、結局その約倍に上る工事の、今言ったような仕事に対してまかない得るか、数字的な根拠で一つ明らかにしていただきたいと思います。しかもそれは三十二年度のみならず、五カ年計画、五年間にわたって一つのそういった点の根拠を明らかにしていただきたいと思います。
  169. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 承知いたしました。先ほどのとともにそれを調べてお答えいたします。
  170. 久保等

    久保等君 これはまあいずれも私から質問を申し上げて、それに対してその場における単なる答弁という問題ではないと思うんです。非常に実は基本的な私は問題だと思うんです。六千億というトータルのとにかく予算というものは、一応まあやられているんですが、果してそれは年度別にどういう形で使われていくのか、またそれはどういう積算根拠に基いてそれが計上せられているのか、早い話が三十二年度は一体どういう数字的な根拠によってそれが計上せられているのか、これらの問題は、ここで御答弁を願えないということになりますと、どうも質問を次々続けていくことも非常に困難になって参るわけなんですが、一体どういうことに相なりまするか。
  171. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) ただいま後段にお話の分は、もう明らかになっておりますから、政府委員から御答弁いたします。
  172. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) お答え申し上げます。五カ年計画の収支の見込みにつきましては、ここに表がございますので、表をごらん願った方がいいかと思いますが、もしなんでしたら一つ説明申し上げてよろしいと思います。  それから工事につきましても、三十二年度以降三十六年度までの工事を、項目別に金額を割り振ってございます。ここに持っておりますのですが、お答えいたす方がよろしければお答え申し上げたいと思います。
  173. 久保等

    久保等君 わかる程度の概括説明をして下さい。
  174. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) それでは御説明申し上げます。  まず、収支の方でございますが、事業収入といたしましては、昭和三十二年度三千三百八十三億のものが逐年上って参りまして、三十六年度に三千八百四十一億円となっておりまして、合計で一兆八千三十八億の計画の見通しにいたしております。経費につきましては、経常費、利子、それから固定資産税相当の納付金がございます。これは経常費につきましては予算にございます通りでありまして、三十二年度が二千三百四十五億でございますが、これが三十六年度二千五百六十六億、五カ年間合計で一兆二千二百六十七億ということになっております。利子並びに固定資産税相当額は、借金がふえ、あるいは固定資産がふえますにつれまして増加いたしまして、五カ年間で利子が八百二十億、固定資産税相当納付金が約四百億ということになっております。で、これを差し引きましたものが借入金の返還と資本勘定へ繰り入れに充てられるわけでございまして、この資本勘定の繰り入れに外部資金をある程度見込みまして、これを合せましたものを工事経費にいたしておるわけでございまして、初年度の三十二年度は一千六十九億、建設費を含めまして、そういう計画でございますが、これが三十六年度には一千二百七十億、五カ年間のトータルにおきまして五千九百八十六億という計画をいたしております。で、これの内訳といたしましては、運転保安の対策といたしまして、五カ年間で約一千億、これも年々でございます。それから輸送力増強といたしまして三千三百七十億、このうち線路増設、複線化というようなものに千四百億、電化、電車化に約一千億、ディーゼル機関車化に約三百億、なお支線のディーゼル・カーというものに三百四十億程度、それから通勤輸送、これは大都市が中心でございますが、これにつきましては五カ年間でおおむね四百億。その他いろいろな工事で四百八十二億ございまして、これの内訳につきましても年次別に、たとえば電化については大体三十二年度ではどの辺、三十三年度ではどの辺までという一応の計画は樹立いたしておるわけでございます。
  175. 久保等

    久保等君 私のお尋ねいたしておりますのは、もう少し具体的にお尋ねしているのです。特に工事勘定の中で三十二年度の分ですが、計上せられておりまする実は総がかり費というのがございます。これは改良工事の計画並びに監督、調査、これらに対する人員の実は積算が一万九百人という形になっておるのです。これが三十一年度の場合もそうであったし、三十年度もそうであったという形で、同じものがまた三十二年度で計上せられておるのですが、工事幅が約倍になろうというのに、一体三十年度、三十一年度と全く同じ人員、これで工事の計画なり、あるいは監督、調査がやれるかどうかということです。
  176. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) その点に関しまして、先ほど申し上げましたように、三十二年度においては実施できるということでございまして、じやあ、具体的に何に対してどうするかというお話でございますので、その点については国有鉄道の側からお答え申し上げませんと、私ではそれ以上こまかいことはわかりませんので、追って先ほど申し上げましたように資料でお答え申し上げるということでお願い申します。
  177. 内村清次

    ○内村清次君 議事進行。ただいま質疑者と当局との質疑応答を開いておりましても、重大な問題です。しかも今回の運賃値上げに対しまして、基本計画としての五カ年計画というような基礎、その基礎、こられを予算委員会で審議するということは、資金の問題と関係がありますから、これば重要な問題です。それが具体的に実数が示されない、資料も配られておらない、こういうようなことで質疑者は次の質疑に入っていかれるはずがないのですよ。そうしますと委員長は、この審議日程については理事会において大よその見当はつけていらっしゃると思う。そういうふうな質疑をいっの時期になさろうとするのか、この点を明確にしてもらわないと、これは予算の審議は円滑に行きません。だからして、もしも円滑にされようとするならば、そういう実数を明確にするような資料の提出を早くして、そうして質疑者の了解のいくような手続をここにせられなくちゃならぬと思う、そういたしましたならば、委員長におきましては、これは暫時、資料の提出を終るまで、また答弁者が明確に答弁が済むまで、これは休憩をされまして、そうして委員会に資料を配付してもらうように私は要求いたします。
  178. 左藤義詮

    ○理事(左藤義詮君) ただいま御要求の資料は、政府がすみやかに整えて提出するように政府に要求いたしますが、もし久保君が、これが資料がなければ御質問できぬということでございますれば、この時間を次の機会に保留いたしまして、日程も迫っておりまするので、休憩をせずに委員会を進めたいと思うのであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)もし久保君においてそれ以外のことの質問がございますれば、質問をお進め願いたいと思います。速記をとめて。    〔速記中止〕
  179. 左藤義詮

    ○理事(左藤義詮君) 速記を始めて。
  180. 久保等

    久保等君 国鉄の運賃値上げに関係した問題は、入口のところで実は御答弁がいただけないので、別の機会に譲りまして、防衛庁の関係について若干実はお尋ねをいたしたいと思います。  最初に防衛庁長官にお伺いをいたしたいと思うのですが、それは自衛隊の基本的な問題に触れる点でありますが、自衛隊の政治活動の問題について一言お伺いをいたしたいと思うわけです。長崎の自衛隊におきまして、昨年の暮、大村の市長選挙に関連をいたしまして、自衛隊の発行いたしておりまする「ながさき」という機関紙に市長の候補でありまする大村候補、保守系の候補でございまするが、この候補の写真入りの、本人のいわば略歴その他の市長紹介を行なった記事を載せておるわけなんですが、さらにその同じ機関紙の中に、特にこれは明らかに革新政党をやゆ、ないしは非常に非難をするような記事を載せておる問題がありまするが、これについて防衛庁長官御存じのことと存じまするが、どういう御見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  181. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 長崎市でこの事件を起しましたことは、私承知いたしております。ただよく調べてみまするというと、決して政治的目的でそういうことをしたのではなく、ずっと長崎県内の各市長の写真を掲げ略歴を書いて紹介をしておったところが偶然これが選挙前になって、大村市長のことが出たというので、私はその取扱い方に十二分の配慮をしなかった点は遺憾であると思いまするが、自衛隊の施行令などに規定する政治行動をやったものとは認めがたいと考えるのであります。なおこれに掲げました解説的な点は、あるいは言葉が足りないために不十分な点があったかとも存じまするから、今後こういうことがないように、十分人事局並びに教育局等をして、これらの部隊にそういう疑いを起すようなことのないよう警告を発し、こうしたことの再発を防ぎたいと考えております。
  182. 久保等

    久保等君 まあこれは事が「ながさき」という機関紙を——これはもちろん国家予算を使って発行しておりまする機附紙だと思いまするが、自衛隊の事もあろうに機関紙に、特定政党を少くともやゆ的な形で、また反対するがごとき論説を掲げることは、これは明らかに私は政治活動であり、自衛隊のまことに触れるべからざる点に触れておると思うわけでありまして、明らかに防衛庁法にも自衛隊法にも実は触れる問題だと思います。ただいま防衛庁長官の御説明によりますると、何か見方によってはという程度意味で言われておりますが、この「ながさき」の内容を御存じでしょうか。
  183. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 承知いたしております。これは隊員の募集のために、特にこの自衛隊の任務というものについて説明をしようとする意図に出たものであろうと考えます。なお自衛隊法施行令の八十七条に言うところのこの政治的行為の定義とかいろいろこれは出ておりまするが、これらと対照いたしまして、この自衛隊法に掲げるところの政治活動をしたものというようには断じがたいのであります。そういう誤解を起したことは遺憾でありまするから、十分注意いたします。
  184. 久保等

    久保等君 事がはっきりしないといけませんので、念のためにちょっと読み上げますが、  世界の平和維持の機構である国際連合といえども、大国の武力行使によって作為せられた既成事実に対してはきわめて無力である。たとえ何らかの手を打つとしても早急のうちに間に合わず、見殺しにせねばならないことの教えであった。これは例のエジプト等の問題に関連しての論説でありますが、そうして次に、  これを要するに、横暴な大国がまだ横車を押しておる二十世紀の現代において九千万の生命を擁する日本民族だけが手放しで無防備を礼讃し、民族の平和と独立と幸福を他国まかせにするほどおめでたくあってはならないのであるというようなことが一部言われておるのであります。そうしてさらに、強国の侵略と弾圧に対しては国をあげて交戦が続けられ国際連合の紛争解決に乗り出してくる時期まで少くとも一カ月間は地球から消えてなくならないだけの軍備と交戦力が必要なことを教えてくれたのである云々というような内容になっております。  これは今日申し上げるまでもなく、二大政党の実現しておりまする今日、平和問題、あるいは戦争といった問題、これらの問題は、もちろん基本的問題でありますだけに、私はこの論説というものがきわめて片寄った、いわばこれは政府並びに自民党の諸君の機関紙でありますならば、政府立場から、そういう政党の機関紙に対する答弁でありまするならば理解できるのでありますけれども、中立性を最も厳守しなければならない自衛隊の中における機関紙の論説で、こういう点が具体的にあげられておりますことは、これは明らかに私は自衛隊法違反であると実は思うのであります。特に自衛隊法の六十一条に規定されております政治行為の制限、さらにこれを受けて作られたところの自衛隊法の施行令第八十六条の第五項目には「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」ということが明らかに規定されているわけであります。ただいま私が読み上げました内容等につきましては、明らかに八十六条第五項の「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」ということに、私ははっきりと断定がつく明々白々の事実だと思うわけであります。従って、単なる誤解を招く云々の問題でなくて、非常に重要なこういう事実が起きているわけでありまして、防衛庁長官として私ははっきりとした態度を一つさらに表明を願いたい、かように考えるわけであります。
  185. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これは先ほど説明いたしましたように、隊員募集のために防衛の必要性を説いた、ただその説き方において多少遺憾な点があったかもしれませんが、しかし八十六条の第五項に言う政治の方向に影響を与える意図でやったものではなく、ただ、こういう募集の目的のためにやったものと私どもは解しますが、さらに第八十七条をごらんになれば「政治的行為の定義」が出ておりますが、これらに当てはまるものとは考えておりません。
  186. 久保等

    久保等君 あまり並行的な答弁の得られるような御質問は申し上げませんが、一つよくお考えを願いたい点は、「ながさき」というこの半ぺらの一枚の機関紙の表には、市長選挙の候補者が写真入りで本人の自己紹介という形で載せているわけです。その裏側には今言った論説めいたものの中に、今私が指摘したようなことが掲載されているわけです。従ってあなたの言われたような、時と場所と違うわけじゃない、同じ一枚の場所だ、裏と表の違いはあっても、とにかく一枚の「ながさき」の裏表にそういうことが掲載されている事実は、これはかりにそういう意図で出されたとしても、客観的に見た場合に、これは明らかに政治活動である、こう断定せざるを得ないと思う。そこで政治活動の問題について防衛庁として今まで各地方の現地部隊等に対して、政治活動の問題について指示せられたことがあるかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。    〔理事左藤義詮君退席、委員長着席〕
  187. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) もちろんそういうことはございません。
  188. 久保等

    久保等君 それでは私は非常に今後の一つの方向を決定する上からも、こういうことが地方において現に行われているという状態の自衛隊だとするならば、これは非常に国民全体といたしもましても遺憾な問題であるし、特に政治的な中立性の確保の問題は、これも特に自衛隊であればこそ、私はいかに強調せられても強調せられ過ぎることはないと思うわけなんです。先ほど何らかの指示を与えたいというお話もございましたが、ぜひとも私は一つこういうことが今後絶対にふたたび繰り返されないように、また誤解を招くようなことのないように、一つ厳たる御指示を願いたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  189. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 先ほど申し上げた通りでありまして、こういうふうに見られるおそれのある行動があったことは遺憾でありますので、それについては、出そうとしておるのではなくて、すでに注意を与えております。なお、一週間前の日曜にも各地方から総監が参りました際にも、特に、これは世間から非難されるおそれを作るものであるから、十分注意するように申し渡しております。
  190. 久保等

    久保等君 次に、予算の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、防衛庁は従来から非常に国家予算のむだ使いの多い所であり、また非常に会計検査院からも厳しく指摘をせられておる所でございまするが、そういう点で、明年度の、昭和三十二年度予算の編成に当って、私はどういう考慮が払われたか、その点を最初にまずお伺いしたいと思います。
  191. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) いろいろ会計検査院から指摘せられるような事件があったことは遺憾でありますが、だんだん改善の跡は出てきておるのでありまして、件数等も減っておりますが、しかし久保さんの御指摘は、おそらく繰り越しが非常に多い、これについて何か措置を取ったのだろうかというのだろうと思いますが、従来こういう繰り越しになります費目は器材費、それから施設整備費、艦船の建造費というようなものでございますので、これらは、たとえば器材の点を取りまするというと、市販のものと違って一々設計しなければなりませんが、戦後空白がございましたので、なかなかうまくいかない。また、この技術研究所で試作をして見たが、うまくいかないので、もう少し設計を直すというようなことによりまして非常におくれる、あるいは外国から購入するものについては、生産国の事情とか、あるいは輸入手続で、思ったより時間がかかるというような点があり、またアメリカから供与を受ける品物と一緒にして製作しなければならないという場合に、向うから来るものがおくれたために存外時間がかかるような点で、器材の面でなかなか思うように進まなかったこともあります。また施設整備費については、もう久保さん御承知のように、なかなか民有地の買収というようなものには時間がかかりまして、ぜひ本年はやろうと思ってもできないという場合が……、アメリカから接収解除になるのも予定通りに進まないというようなこともございます。艦船についても同様でありまして、戦後の空白があるために設計など非常に時間がかかる。また一部の装備品はアメリカから供与を受けたものだから、そうすると、細部の設計が存外に時間がかかるという点がありましたので、三十二年度はこういう後年度に繰り越されるおそれのあるものはできるだけ国庫債務負担行為あるいは継続費にしようという配慮をいたしまして、今申しました三費目では大体七十億円ばかり昨年より減少いたしております。ただ、この器材費の中で、国内でのジェット生産がだんだん順調に進んでおりますので、これは繰り越しになるおそれはない。これを除いての三項目について国庫債務負担行為の方に回したのは百二十八億円にもわたっておりますので、これにつきましては大体二百億程度も繰り越しが出ましたけれども、この三十二年度予算は、さいわいにして御承認賜わりますならば、三十二年度末におきましては、ずっとこの繰り越しは減少する見込みでございます。
  192. 久保等

    久保等君 ただいま繰り越しが減少するというような御答弁であったのですが、私は建前のみならず、実際問題としても、繰り越し、ないしは不用額等は起らない、また起さないという建前で予算というものは編成されなければならぬと思うのです。ところが、今の御答弁だと、何かやはり最後の御答弁のところが気になるのですが、繰り越しが減少するという程度考え方では非常に私は問題があると思うのです。どの程度なお繰り越しがやはり三十二年度予算についても後年度に繰り越されるという一体お見込みなのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  193. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 遠慮して答弁したのですが、なお、われわれとしては絶対に繰り越しがないように最善の努力をいたそうと思っております。しかし施設問題などで、御承知のように、いろいろ紛糾したこともございます。でありますから、私は絶対に繰り越しがないということは保証できませんけれども、ずっと、これまでの何分の一に減るだろうということを私確信を持って期待しておる次第でございます。
  194. 久保等

    久保等君 何分の一といっても、実は繰り越し、不用額等が二十九年度、三十年度、三十一年度はもちろんまだわかりませんが、とにかく約三百億近い繰り越し並びに不用額の合計はなっておるわけです。もう少し正確に言えば、約二百八十億という莫大な金額なんです。私はそれの何分の一か程度という程度だと、これは非常に問題がやはりあると思うのです。それが一銭一厘も繰り越すなということに、これは私申し上げようとは思わない。しかし約三百億近い繰り越しと不用額の何分の一ということになりますと、やはり数十億、やはり百億以上に上る危険が十分考えられるのですが、その数字は、防衛庁長官どんなふうにお考えになりますか。
  195. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 年々こういう問題がふえて参りましたので、それにしましては、この繰り越し額は予算総額から申しますと、だんだん減ってきておるのでありますが、しかしこれはぜひよく改善しなければならぬと思いまして、今年度予算においても、たとえば調達本部においては、輸入課であるとかあるいは原価計算課というようなものを増設する、また内部の監査を厳重にして、そうして絶対必要なものだけを要求するように取り計らいをし、特に内局の方でも経理局とかあるいは装備局で十分目をみはって、非常に延びるようなものを急いで要求するというようなことのないように取り計らっておりますので、私は今年度予算の執行においては、非常に相貌を変じまして、私自身の気持では、あるいは十億二十億の程度は出るかもしれませんが、とにかく最小限度にとどめようと思っております。なぜ場合によっては十億も二十億も出るかもしれないと私がおそれておるかとおっしゃるかもしれませんが、今申し上げましたように、普通の市販品を購入する場合と違いまして、いろいろの事情等で思わないこともございますし、施設の関係もございますので、私は率直にお答えしておる次第であります。
  196. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 関連して。三十一年度の繰り越し額はどのくらいか、そうしてただいまの御説明によりますと、繰り越しにもいろいろ理由があります。三十一年度の繰り越し額のうちで、どういうような理由で、どのくらいが繰り越しになるかを御説明願いたい。
  197. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 理由は先ほど久保さんにお答えしたような理由でございます。今まだ締め切っておりませんので何とも申し上げかねますが、大体の見込みは残念ながらあるいは二百億に近いものになるのではなかろうかということを私はおそれておるのであります。
  198. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 何が一番繰り越しになっているのですか。
  199. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。目下まだ年度の途中でございまして、しっかりした見通しはつかないのでございますが、大体ただいま長官がお答えになりました通り、二百億円程度にはなろうかと考えます。その内訳は、ただいまのところ器材費で約百億円、それから施設整備費と艦船建造費でおのおの五十億円見当か、こういうふうにふんでおります。
  200. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 器材費の百億の見通し、これはどういう理由でそういうふうになっておるのですか。艦船は先ほどの説明で大体わかっておりますが、器材費の方は……。
  201. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 器材費につきましても先ほど長官から御答弁がございました。要するに防衛庁で購入いたします調達品は一般の市販品とは趣きを異にするものでございまして、従いましてその調達する場合におきまして、特別な使用をしなければならない。しかも戦後相当の空白期間がございますために、各省のように、毎年同じような物資を調達するのと違って、相当納入するまで時間がかかるということが大きな理由であります。また、あるものにつきましては、外国から輸入しなければなりません。輸入しましても、相手国の生産事情あるいは輸入手続等に時間がかかりまして、調達がおくれることがございます。そういったような関係で、器材費につきましての繰り越しが多いわけでございます。
  202. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それをお聞きしておるのではない。それは先ほど防衛庁長官のお話でわかっておるのです。あなたからお聞きしようと思ったのは、その器材費の繰り越しのうちで、どういう品目についてそうなっておるのか、そのおもなもの、たとえば、今外国から輸入するのがおくれておる云々ということ、たとえば、エリコンの輸入がおくれておるのか、あるいは他の器材費については一体どういう器材の調達がおくれておるのかという点についての大体の説明をお伺いしておるのであって、長官の答弁を繰り返して答えろということを私は要求しておるのではない。
  203. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 一口に器材費と申しましても、その内容はきわめて広範なものでございまして、たとえば、航空機の部品であるとか車両でとか、あるいは編成装備品その他燃料もございますし、各般の装備関係の経費が器材費として一括されております。具体的にどういう品目に繰り越しが多いかというお尋ねに対しては、現在まで数字的にはっきりしておりませんけれども、大体におきまして、新装備系統、たとえば、新らしく編成装備品として国産化しようというものにつきましては、これはどうしてもおくれがちでございます。それから、特に毎年……。
  204. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どういうものですか、内容はそれを言わなきゃしようがない。
  205. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 種々雑多でございます。ただいま手元にございませんですが、(「そんなことではだめだ」と呼ぶ者あり)内容的には、ただいま申しましたように種々雑多、たとえば、航空機部品、あるいは艦船需品、編成装備品、こういった品目でございます。(「もう少し誠意ある答弁をしろ」と呼ぶ者あり)
  206. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) なるべく簡単に……。
  207. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 先ほど私は、たとえばという例をあげて、エリコンのごときについての購入がおくれておるのではないかということを聞いたのですが、そういうことはちっともお触れにならぬ。ただ、ずらっと、いろいろ並べておられる。そういう抽象的にたくさんの品目がおくれているのだといったら、それは、計画が初めから非常に悪いということを意味する。そうすると、防衛庁長官の言ったような、そういう特殊事情をもっておくれたということは認められない。ずさんな計画で、これはアメリカの方の要求があったか何かで、金額を大づかみに昨年度の三十一年度予算に要求をして計上せられたということになる。私は、おくれたには特殊の理由があるということを言われるのだから、その特殊の理由並びにそれに基いてどういう品目がそういうふうにおくれておるかということをお聞きしておるわけです。それにも答えないなんということは、これは全くもってのほかだと思うのです。経理局長ともあろうものがそんな答えでどうするのですか。
  208. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 特に、例をおあげになりまして、エリコンのことについて御質問がございましたが、エリコンにつきましては、総額三億六千二百万円でございまして、その半分が三十一年度において歳出化され、あとの後半が三十二年度において歳出化されたということでございます。三十一年度におきまして、これは発注いたしまして、その分については繰り越しはないのでございます。それから具体的にどういうものについて繰り越しが多いかということでございますが、ただいま昭和三十年度の二百二十八億円を繰り越しました、その内容につきまして、原因別に分けたのがございます。一応御紹介いたしますと、これを見ましておおむね全貌がおわかり願えるのじゃないかと思います。昭和三十年度の繰り越し額が二百二十八億円でございましたが、この繰り越し事由をしさいに検討いたしてみますと、規格の決定、仕様書作成の遅延によるものが約五十五億円、それからMDAP供与の遅延によるものが約七億円、輸入の遅延によるものが約二十一億円、試作の遅延によるものが七億円、これが大体器材費でございますが、あと、施設整備費につきましては、接収解除の遅延によるものが約六億円、用地取得の遅延によるものが約三十四億円、工事の施行の遅延によるものが十一億円、艦船の基本設計の遅延によるものが約六十三億、大体こんなふうな内訳になっております。
  209. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうしますと……。
  210. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 関連質問ですから簡単に一つ……。
  211. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いやいや、もちろんですが、どうもはっきりしない。そうすると、全面的に遅延が多いということです。これは予算を組む際に、非常にずさんなんじゃないかということを思わしめる。しかも、それから三十一年度の繰り越しを類推せよということになりますと、三十一年度予算も非常にずさんでなかったか、繰り越しが多いということは、やはり相当な特殊の事情に基くものでなければならぬ、かように全面的にあるということは、どうも予算を組むときに少しずさんではなかったか。少しどころじゃない。私は防衛庁の予算については非常に大きなずさんがあるじゃないか、こういう気がするのですが、その点については、防衛庁長官は、まあ新しくおなりになったのですから、昨年度予算についてはあるいは責任はないかもしれませんけれども、どういう所見を持っておられるか。
  212. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 自衛隊の増強計画からいたしまして、この程度ぐらいのものは最小限必要であるという計画のもとにやったものでありまするが、先ほどから説明しておるような関係で遅延いたしました。しかし、少くともこういう結果を出したことははなはだ遺憾でございまするので、さっき久保さんにも説明いたしましたように、本年度に至りましては、大いに過去をも考えまして、そういうことのないように最善を尽すつもりで新しい編成をいたしたのであります。
  213. 久保等

    久保等君 繰り越しが多いと同時に、不当の事項も非常に多いし、また金額も多いのですが、先ほど防衛庁長官がだいぶ非常によくなったと言われておるのですが、それはどういう点がよくなっておるでしょう。
  214. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 非常によくなったとは言ったつもりではございませんが、前に比べればだんだん改善しつつあるということは認めていただきたいという趣旨で申し上げたのであります。たとえば、会計検査院の指摘件数にいたしましても、二十八年には二十六件、二十九年には二十五件、三十年には十六件、(「一件じゃないか」と呼ぶ者あり)昨年は、二十九年の二十五件に比しましては十六件というように減っております。しかし、まだまだ努力いたしまして、こういう事件が絶対にないようにいたさなければならないと考えまして、先ほどもちょっと申しましたように、部内のいろいろの取り扱いについても改善を加えております。
  215. 久保等

    久保等君 金額の面ではどういうようになります。
  216. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 金額を統括的に申し上げることは非常にむずかしいですが、いろいろ私どものその後の処置につきましては、今お持ちの書面にも出ておる通りでありまして、もちろん事件に関係した総額といえば相当な額になりまするし、また問題になった部分品ということになれば限られますし、国家に与えた損害という点になれば、さらにその金額は減って参りまするのでもし詳細な数字でございましたら、後ほど書面でも差し上げたいと思います。
  217. 久保等

    久保等君 私のお尋ねしておるのは、きわめて確たる書類、すなわち決算報告書に基いての実は答弁をお願いしておるのです。だから、決算報告書での傾向はどういうふうに御把握になっておられますか。
  218. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。会計検査院の検査報告には、必ずしも最終的に国家に損害を与えた金額がいくらという指摘はございません。これは一つ一つごらんいただくとわかるのでありますが、ものによましては、本件についてはさらに設計を変えるならば四百五十万円節約できたであろうというような指摘がございます。中を見ますと、全体の工事がいくらいくらだが、しかし、検収が必ずしも十分に行われていなくて、その目的を達しているとは考えておらないというような指摘もございまするし、それからまた、あるいは場合によっては、国家に損を与えてはおらないけれども会計の手続を間違ったというような指摘もございまするので、その金額につきましては私どもにもわかりません。(「関連々々」「もう一言」と呼ぶ者あり)
  219. 天田勝正

    ○天田勝正君 会計検査院で明確に金額を全部が全部の問題について指摘しないにいたしましても、当該監督に当っておる、ここに来ておられる政府委員諸君は、当然そういうことを部内において十分調べて、その十分調べた上に立って、次のさような不正不当の行為が起らないように施策するのが当然でありまして、会計検査院の指摘がないからそれは自分らの方もわからない——さような態度で一体責任が持っていけるかどうか。このことがきわめて私は大切だろうと思うのです。そういうことを調べない状態において、どうしてあなたたちは今後責任を遂行して参りますか。この点を伺っておきます。
  220. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これについては、一々問題になりましたようなことも詳細検討いたしまして、その簡単な報告は印刷物でも出しておるところでございます。たとえば、このガソリン・タンクに漏れるところがあったというのについては手直しさせるというような場合に、特別に国家が損をしなければ、それを一体ゼロと見るのかどうかという問題もある、飛行機の部分品について三十八品目は不適当だといっても、手直して全部それが使用にたえたといえば、それは幾らに見積るべきかというような問題もございまして、事実問題といたしまして、金額的に幾らということは、ことに私どもの取り扱っておりまするいろんな器材について、その部分品について品物を入れかえて使う、そしてそれについては国家としては別段費用はかけていないというような場合もございまするので、実際問題として相当困難がございますが、しかし、今御指摘のような点についてはもちろん十分検討いたしまして、こういうことのないように取り計らいたいと考えております。
  221. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 簡単に願います。
  222. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうもただいまの御答弁でははっきりしないのですが、防衛庁は今までずいぶんいろいろな問題を起しております。そこで外から指摘されてだいぶ問題になったわけでありまするけれども、一体内部で、その予算の執行についてあるいは物品の購入だとかいろいろ支払い問題等についてどういう監察機構を持っておりますか。それはだんだんに整備されているのかどうか。一体何人ぐらいの人間でやっているのか。その報告はどういうように提出されているのか。その点についてお伺いしたい。
  223. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 防衛庁の監察機構といたしましては、まず各幕僚監部及び付属機関にそれぞれございます。たとえば陸上自衛隊でございますれば、会計監査隊というのが中央にございまして、たしかこの人員は百名ちょっとこえた程度の人員かと思います。それから海上幕僚監部におきましては、海上幕僚監部の経理補給部に監査課という課がございまして、これが二十数人の人員でやっております。それから航空自衛隊におきましては、航空幕僚監部の監理部監査班という班がございます。なお、付属機関におきましては、調達実施本部に監査室というのがございます。これが十四、五人おりましょうか。それと、建設本部におきましては、建設本部の会計に監査係がございます。なおそのほか、内局におきましては、これをその基本につきまして統合する機関といたしまして経理局監査課という課がございまして、これが各幕僚監部付属機関と連絡をとりまして会計の監査に努めておる次第でございます。
  224. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もう一つ。それでは、そういうような機関が活動いたしまして、会計検査院に指摘される前に未然にそういうような欠陥をちゃんと監査してそちらへ報告して防いでおりますか。(「委員長発言を整理しろ」と呼ぶ者あり)
  225. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 監査いたしました結果は、私の方の経理局監査課に報告が参っております。たとえば、陸上自衛隊におきましては、ただいま申しました会計監査隊によりまして、昭和三十一年度の一月末までに百二十三カ所で延べ三百七十三日検査いたしまして約七百八十件程度のものを改善指示を行なっております。その他、各幕僚監部におきましても監査いたしましたその結果を経理局監査課に報告して参るわけでございます。
  226. 久保等

    久保等君 私、お尋ねしておる点についての実は具体的な数字での御答弁がないのですが、二十九年度、三十年度についても、これはやはり会計検査院の報告書を見ても、私は数学的に計算がはっきりできると思う。できない面もありまするが、はっきりできる面もあるのです。それが何か数字的にはじき出せないのだというような御答弁なんですが、その点をもしはっきりできないならできない面が幾ら、はっきりできるならできる面が幾らと、その傾向を一つはっきり長官の方から御答弁を願います。
  227. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 私が先ほど申し上げましたように、もちろんものによりましてはわかるものもございますし、金銭的に計算のむずかしいものもございます。それは取りまとめまして後ほど報告いたします。
  228. 久保等

    久保等君 先ほど減っておるという、傾向として減っておるというお話だったのですから、金額的には減っておる、こういうふうに判断をしておられるのかどうか。その点は非常に大きな問題ですから長官御答弁を一つ願いたいと思います。数字だけの問題でなく握把の仕方。
  229. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これは少くとも二十九年に比しまして三十年は減少しておると考えております。
  230. 久保等

    久保等君 どうも実は今の御答弁も事実に私は相違する面があるのじゃないかと思っているのです。二十九年度が約四億七千万円程度、それから三十年度が四億約四百万円程度にプラス二億数千万円に上る、これがつまり幾らに評価していいかわからないという金額であるのです。従って、私は減っているという傾向は、金額の面からいって実は言えないから、そういう把握の仕方が事実と違った形で把握せられるということは、件数だけ減っているだけで問題が解決するのじゃなくて、予算は金が大事なんです。お金が減っておるとすれば減っておるという把握の仕方がこれは非常に問題だと私は思うのですがいかがでしょうか。
  231. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) その数字につきましては、さらに検討いたしたいと思いますが、なかなか四億、二億とかいうように申しましても実質的の損害とかいうような点についてはさらに検討いたしまして御報告いたします。
  232. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと議事進行。久保君が質問をいたしておりまするけれども、この問題についても、とにかく数字を上げて御説明が願えない。減っておるというけれども……。そこで、先ほど国鉄の問題について久保君が資料を得て質問いたしたいと申しておりましたので、あわせて別に時間をお与えいただいて、個々の数字をもって質問願えるようにお取り計らいを願いたいと思います。そういたしませんと、これは数字なしで質問できませんから……。
  233. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) それでは持ち時間が終りになりましたから、社会党の持ち時間を調整してやったらどうですか。
  234. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど国鉄問題については御了承をいただいたわけですね、資料を持ってきて答弁を……。なお、久保君について別に資料が出て質問する云々ということだったわけなんですが、久保君の今の質問にいたしましても、減少傾向にあるということだけれども、それじゃ金額についてはこういうことならばどうなんだと、こういうことを申し上げたところが、その数字は後ほど調べて云々と、こういうことですから、今の質疑のやりとりは資料がありませんから、多少むだだ、これ以上、残ってる時間をやりましても久保君に実に気の毒ですから、先ほど与党の理事もお認めいただいて、資料をそろえて、別に質疑の時間をお与えいただくということですから、それに譲っていただくということにして、きょうはこの程度久保君の質問は終って、別に質問の時間をお与え下さい、そういうことをお願いします。(「異議なし」「社会党の持ち時間でやればいい」と呼ぶ者あり)
  235. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) それではその点は理事会で相談してなおきめたいと思います。
  236. 吉田法晴

    吉田法晴君 与えるということだけははっきりしておりますから……。
  237. 久保等

    久保等君 そうしてもらわなければ、御答弁をいただいてないんだから、ぜひ一つ願います。
  238. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) それではその次は安井謙君。
  239. 安井謙

    ○安井謙君 私、運輸大臣にまず御質問をいたしたいと思うのでありますが、運輸省では今般運賃の値上げというようなことをやられまして、国民の生活権が大いに影響があると同時に、一面運輸行政の面で、あるいは鉄道の方面から国民に大いにサービスをやるんだ、こういう御方針のように伺っております。一方国鉄従事員の勤務状況というものについて考えますと、私どもは必ずしも納得のいかない点がたくさんあるのであります。特にいわゆる定時退庁であるとか、あるいは順法闘争その他に名をかりまして、定期的に官公労、あるいは公共企業体の従事員がいろいろなサボ類似行為、あるいはスト類似行為というものをやっておる向きがあります。これについては国民は非常に割り切れない感じを持っておると思うのであります。  しかしそういった一般問題は別にいたしまして、一昨日行われましたあの交通の混乱の状況につきまして、一応運輸大臣からあの当時の模様、いわゆる混乱の規模、あるいは実際の損害の状況、そういった点について御説明願いたいと思います。
  240. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。一昨日起りましたあのいろいろな政治的な問題は私からお答えいたしますが、それの前に実際起った故障の状況国鉄当局者から申し上げます。(「なるべく簡単に」と呼ぶ者あり)
  241. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 御報告申し上げます。運休列車の数は、いわゆる運休と申しまして、取りやめた列車でございまするが、旅客が六百五十一本、貨物が二百八十三本、それからおくれました列車の数が、旅客が四百八十六本で、おくれました分数が二万五百分でございます。それから貨物列車は二百七十四本で、二万五千七百分でございます。  それから東京付近の電車の運休状態は約五百五十本がとまりまして、これは京浜が七十本、山手が九十本、横須賀が四十本、東海道が二十本、常磐が三十本、青梅線が十本、中央線が百八十本、総武線が五十本、小計いたしまして四百九十本で、大体三千本動くべきところが、以上の四百九十本が消えたということでございます。
  242. 安井謙

    ○安井謙君 今伺いますと、大へん膨大な運輸障害になったようでありまするが、これらのいわゆる抜き打ち的な実力行使——鉄道従事員の実力行使というものは、闘争本部の命令一下で起ったものでありますか、それとも各職場の勝手な自主的な判断によってこういう混乱が生じたのでありますか、その点を一つ
  243. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答え申し上げます。ただいま副総裁からお答えいたしましたような非常な大きな故障の起きましたことは、まことに残念であります。国鉄の従業員が日常の勤務におきましては、今日のこの輸送の増大に対して非常な努力を払って昨年来業績を上げてきたことは御承知通りであります。この点に関しては、私ども国鉄従業員の非常な努力と勤勉に対しては敬意を払っておる。しかしながら、組合の指導という面に至りますと、全く様相を一変いたしまして、一昨日のような事態を惹起いたしました。これに対しましては非常に遺憾でありまして、今後組合のあり方につきましては、政府といたしましては重大な考慮を加えなければならぬと考えております。(「責任はどうした」「責任はどこにある」と呼ぶ者あり)
  244. 安井謙

    ○安井謙君 そこで今私のお伺いしたいのは、これは国鉄の組合のいわゆる闘争本部というものが、あるいは労組の幹部が、国鉄の経営者当局といろいろな団体交渉をやられたその結果が不満で指令のもとに行われたのか、あるいはその不満が自然的に爆発して、各職場で勝手に行われたのか、その点についてはどうですか。
  245. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 組合の指令がいつ出たかは、これははっきりは私どもにはわかっておりませんが、二時過ぎに——一番ひどかったのは二時過ぎでございまして、そのときには組合の指令が出ていたものと承知いたしております。ただ午前中にも多少の乱れは出ておりました。
  246. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと、今のでは団体交渉の結果に不満で、この指令のもとに行われると同時に、そういったものに対する指令以外にも不規則なそういった混乱が起っておる、こういうように、いわゆるかつてあった雨だれ闘争であるとか、山ネコ闘争といったものが今度の闘争の中に含まれていたというふうに解釈していいだろうと思いますが、その起りました直接の原因が、巷間伝えられるところによると、いわゆる一—三の業績手当、これの支給日あるいは支給時間をめぐって起ったというふうに伺っておりますが、この業績手当というのは、われわれが聞いておる範囲内では、まあ他の公共企業体にはない、あるいはこの最近行われました調停案あるいはまた仲裁裁定といったようなものには掲示されてなかったというふうに伺っておりますが、この業績手当の実体なるものはどういうふうにできておるものですか。
  247. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 業績手当と申しまするのは、その年度の業績を勘案して手当をして出すものでございまして、これは他の公社にもあると承知しております。それで、それにつきましての手続きは、総裁から申請いたしまして運輸大臣の許可を得なければならないものであります。なお、運輸大臣は大蔵大臣と協議せられることになっております。
  248. 安井謙

    ○安井謙君 その点運輸省ではこの業績手当についてははっきりとした承認を与えておったのかどうか。それを与えておったとすると予算措置はどういうふうに扱われておったのか。
  249. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。業績手当は与えるように私ども了解しております。予算措置につきましては、これは三十一年度内の予算でありまして、三十一年度におきましては百四十五億円という予算外の収益が上っております。従ってその範囲内において行うことでありますから、これは大蔵大臣と協議をしてできるのであります。大体今日の諸般の情勢からしてこれはやらなければならない、こういう建前を私どもはとっておりましたから、ただその数字のつき合せについては、これは大蔵省と相談し、また最後的には大蔵大臣の承認を得なきやいけない部分と、承認を得ないで運輸大臣だけでできる部分とありますので、それらの手続きについては、時間はとりましたけれども、これはまあ当然のことであります。しかし二十三日にこれを支給するという約束を国鉄当局が組合としておったということを承知しておりましたから、私は二十三日中には必ず出すから、組合をしてよくその誤りのないようにするようにということは、二十三日の朝においても重ねて国鉄の当局者に通告をしております。
  250. 安井謙

    ○安井謙君 その点で、大蔵省は……きょう大臣御用事のようですから事務当局でけっこうですが、どういうような……。
  251. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 業績賞与の制度は昭和二十九年でございましたか、から三公社五現業について設けられておる制度でございまして、三十一年度予算国鉄予算——予算総則第十七条に規定がございます。ただいま運輸大臣から御説明がございましたように、企業体の努力によりまして収入が増加し、あるいは経費が少くて済んだという場合に、給与総額以外に大蔵大臣と運輸大臣が相談をいたしましてきめました金額の範囲内で特別の手当を支給することができる、その規定の運用といたしまして、今回の問題につきましても、業績賞与をどのくらいにしたらいいかという御相談は受けております。ただこれは年間を通じました国鉄の業績にどの程度の業績賞与がふさわしいかという問題でございまして、直接この年度末に幾ら手当が出されるかという問題を協議してきめるものではございません。年末に期末、勤勉手当以外にも業績手当を先食いいたしております。さような年度間を通じました給与の財源としての業績手当のめどはどのくらいかと、そういう問題について大蔵省が相談を受けて御相談をいたす、さような実情に相なっております。
  252. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと、政府当局の間には大きな意見の食い違いはなかった、ただ支給の方法、時間等について若干調整の必要があったので、あるいは政府としては運輸大臣が責任をもって二十三日には払う、こういう言明をしておいたにもかかわらず、ああいった抜き打ち的なる実力行使が起った、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  253. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。政府部内における話し合いは当然のことであります。しかしながらその結論を出すために交渉をいたしましたけれども、大体において一昨日出しました程度のものは出そうという腹をもって私は国鉄の当局者に話をしてあります。
  254. 内村清次

    ○内村清次君 関連。副総裁にちょっとお尋ねいたします。副総裁の方でこの問題について大蔵省の意見あるいは運輸省の意見というものが、最初の団交せられました組合との約束が履行できないような状態になって組合に御通知をなさった時間は一体いつごろでございますか。
  255. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 実は十六日に今回の春季闘争につきまして妥結をいたしております。そのいろいろな解釈はございましょうが、私の方では一応春闘は妥結して打ち切りということでございますので、これで春闘は全部打ち切りだと考えておりました。ところが二十六日に闘争の指令を出したということにつきまして、また労組の方を呼びまして、これは協定違反ではないかというような話をしたのでございますが、その点については不幸にして意見の一致は見なかったのでございますが、とにかく私の方では、それにかかわらず、出すということで運輸省にもお願いし、さらに当日におきましても業績手当は出すのだから、しかしこれには手続きが要るから、少しおくれるかもしれないが、必ず払うと、こういうことで私が再三再四会いまして国労間で出かけて説得いたしましたが、私どもの説得力の不足で、とうとう聞き入れられずに、ああいう事態になったのでございます。
  256. 内村清次

    ○内村清次君 最初十六日の団交の約束、その後においてのスト指令に対しては、これは別個な問題ですね、いわゆる春期闘争が終りと思われたのは、あなた方の判断であって、これは最低賃金法に関するところの二十六日の加盟組合としての態度である、これは明確です。そういうお話もあったと思う、明確に。それにひっかけてこの業績手当の問題を、支給すると言ってらっしゃるけれども、それはストップするという問題で、組合の方で相当ろうばいをしたというのが真実である、ただ手続き上においてちょっと待ってくれ、ちょっと待ってくれという問題よりも、それをストップするというような当日の、すなわちストップするというような問題が今日その直接の原因になったというようなこと、それからもちろん当局の方でも運輸省及び大蔵省には相当働きかけたという事態はありますけれども、そういうような事態がここに介在をしておるという事実は、これは副総裁としては認められておるかどうか。この点をお伺いいたします。
  257. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほども申し上げました通りに団交の途次におきましては、それはいろいろなことも申しますが、しかし二十三日の前日、二十二日にはとにかく支払うのだから、それとこれとは別で、支払うのだから明日は平静にするようにと、こういうことは申し入れました。それからその翌朝の運輸省の方の御意向も伺い、これは支払うから、当然支払うものであるから騒がないようにということをはっきり申し入れてございます。さらに私が出かけましたのが、国労に参りましたのが一時ごろだったと思いまするが、行きまして、少くとも本日の夕刻までには、はっきり出すという指令が出るはずだから、その闘争はやめてほしいということをはっきり通告いたしてございます。
  258. 安井謙

    ○安井謙君 そこで、いろいろ御説明がありましたが、どうも世間や新聞なんかの報じておるところによりますと、あの業績手当というものは、何か割り切れない、不明朗なものがあるようなんです。それがために非常に紛争の種を深刻化しておるというふうに受け取れる向きがありますが、今後私は、国鉄の経営としては、ああいったものをもっと明瞭に、予算上の措置なりあるいは制度上の措置なりを明らかにしていただきたい。まあこれを一つ要望いたしておきます。  そうしてこれによって起ったあの紛争事件でありますが、新聞なんかによりましても、世界の交通労働運動史上にもいまだかつて例のなかったような実力行使の発動のしぶりである、こういうような論評までが昨日の新聞では出ております。こういったことは、はなはだ遺憾なことでありまして、ことに私は公労法の十七条を今読み上げるまでもありませんが、スト、サボ、そういった類似行為によってこの正常な業務の進行に差しさわるような行為を厳重に禁止しておるにもかかわらず、ああいったような行為がひんぴんとして起きておる、こういう問題につきましては、運輸大臣あるいは労働大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。(「はっきりして」と呼ぶ者あり)
  259. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 先ほどもお答え申し上げました通り、この事態法律に規定された範囲を逸脱した違反の行為であるということは、はっきりいたしております。
  260. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お答えいたします。今回の春闘におけるいわゆる実力行使の名のもとににおいて公労法の禁止規定に違反する行為が行われ、特に一昨二十三日の国鉄事態のごときことを惹起いたいましたことはきわめて遺憾千万であります。かかる事態を将来二度と繰り返さないようにするためには、労働行政の面においてもこの際真剣に考える必要があると私は考えております。その場合においては、ひとり公労法の限定するところばかりでなく、公社制度そのものの事業のあり方等についても、全般的にかつ根本的に再検討する必要があると私は考えております。(「それが労働大臣の答えか」と呼ぶ者あり)
  261. 安井謙

    ○安井謙君 その根本的に再検討なさることもけっこうでごいましょうが、公労法の十七条というものはもう明らかにこういった行為を禁じておる。しかも十八条に、これに違反したら解雇する、こういうことをうたっておるわけでございまして、最近こういったことが何度か起ったにもかかわらずこの円熟した労使の慣行を作るという政府当局の非常に温情のある態度によって、今日までいわば事なかれに過ぎてきておると思うのでありますが、一体このままでこれが推移した場合には、先ほども申しましたようにだんだんとこれは激化して、しかも非常に危険化していく。ことに今度の場合には職場大会という名目を使って実情は完公なストライキをやっておるというようなことから見て、個別にさしあたっては職場大会というようなものに一種の規定を設けて、そういったことのできないような、国民に大きな迷惑を与えないような措置をなさる考えは具体的にあるかどうか、その点についてお答え願います。
  262. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 御質問のような趣旨について、慎重にしかも固い決意をもって考慮しております。
  263. 安井謙

    ○安井謙君 政府のその固い御決意はよくわかるのでありますが、われわれはこう考えてみましても、たとえば私鉄の企業においてはストライキ権は認められておる。しかし私鉄の企業に認められておるストライキ権でさえもこれは労調法の関係によっていろいろな調整手段がある。たとえば争議の予告をやる、あるいは非常に国民に対して緊急な事態を生ずる場合には、緊急調整を出す、こういった手段が現在備わっておるにもかかわらず、公労法にはそのもう一つ前の、そういった行為になる問題を、全般的に禁止しているのを、ただこれから厳重に考えられるということだけでは国民はどうも納得できなかろうと思うのでありますが、労働大臣の御意見を伺いたい。
  264. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 御質問の問題はほんとうに真剣に考えなければならぬ問題であると思うのです。けさの新聞にもありましたけれども、あの抜き打ち行動的な、許されていない者が、あの抜き打ち行動的な行動をとったということは、明治維新の状況と同じものなんです。(笑声、「明治維新か……」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そういうことは私は明治維新に行われた抜き打ち的な武士行動と同じなんです。そういうことば私は今後ほんとうに考えなければならぬと思うのです。でありますから、私の考えておるところは、そういう行動をとった者はやはり厳罰主義でやるよりほかに道はない。(「政府責任はどうなんだ」と呼ぶ者あり)政府は当然やるべき道をやってきた。ところ政府のやることに対して彼らが反抗してやっておる。これはあくまでも私は法に従って処断すべきである、そう考える。しかしながら一面において、二万数千あるいは三万の人が群集心理によって心にもないことによって動いたことには、情状酌量する点があろうと思いますけれども、この指導者に対しては峻厳な態度で臨むべきであると思います。
  265. 安井謙

    ○安井謙君 私は労働大臣が、今のああいった大問題を起された責任者に対して厳重な処分をされる、こういう方針であるという御言明に対しましては、ごもっともしごくであると思います。今までもなかなか言われておってそういうものが履行されたためしが非常に少い、特に今度新聞等で伝えますところによると、当局と労組の幹部との間である程度慎重にやるといったような話し合いがもうすでにできておるようにも承わるのでありますが、その点は国鉄当局はいかがですか。(「アベックじゃだめだ」と呼ぶ者あり)
  266. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 今回第一波からずっと連続して争議類似行為をいたしておりまして、こういうことにつきましては、いかなることがあろうとも、天下の公器をかようなことで乱用するということにつきましては、これは許しがたいことでありますので、(「国鉄責任はどうだ」と呼ぶ者あり)これはもちろん処分すべきものだと考えております。
  267. 安井謙

    ○安井謙君 経営当局の責任者の御言明があるのでありますから、国民はその処置をあくまで監視を続けて待っておるであろうと思うのです。ただ職員局長でありますか、そういった人との間にかなりニュアンスのある応答が新聞等で伝えられておりますので、これは私はその真偽はよく存じませんが、そういった点につきましては、これは国民としても重大な問題であって、成り行きを見ていると思いますので、その点間違いのないよう、ことにこれから新しいいろいろな法律や、制度を検討いたします前に、すでに、れっきとした十七条、十八条というものがあるということを、政府なり、国鉄当局は十分に勘案していただきたいと思います。念のためにそれを読みますと、「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」「公共企業等は、作業所閉鎖をしてはならない。」 右の条項に違反した場合には、「前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする。」としてありますので、この点十分御勘案を願いたい。  その上で、私はさらに申し上げたいと思うのは、そういったような問題いろいろありますが、同時に私は、今日の公社の機構自体の機構自体が相当欠点があるのじゃなかろうか、こういう気がしてならないのであります。ことに業績手当といったようなものの出し方につきましてなかなかいろいろな問題が多い。そういう点について今後何か新しい改革の方法といったようなものをお考えになっておるかどうか。その点について、労働大臣と運輸大臣にお伺いをいたします。
  268. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 今御指摘になりました公共企業体の経営及び賃金の問題に対しましては、今までの事態にかんがみまして、これを再検討する必要があると私は存じます。ただ単に近々の問題だけではなしに、この経営の内容、それに伴った賃金、生産性向上を伴った賃金というような方向に考えて、こういうような争議が起らないような状況に持っていくことが、日本の現在としては最も必要であると思います。これなくして日本の産業は動脈を失いますから、発展はないと思います。でありますから、政府といたしましても、近く関係閣僚が集まりまして、公共体に対する再検討の審議会について検討をいたそうと思っておる次第であります。
  269. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 御承知通り国鉄の経営調査会というものがありまして、検討をしてきたのでありますけれども、このたびの業績手当を初めとして、新しくできた諸般の経営内容その他につきましては、やはりこの際検討を加えなければいけない、こう考えております。
  270. 安井謙

    ○安井謙君 まあ運輸当局、所管大臣の非常に明確な責任論のお答えがありましたので、この点については私はここでの追及はいたしませんが、もう一つ、簡単にお伺いしたいことは、この二十六日、明日でありますか、いわゆる最低賃金の実施をめぐって総評傘下の組合が同じくストライキ行為に移る、こういう説があります。これに対しまして、過日政府は、こういったストライキはいわゆる政治ストである、こういう声明を出された。政治ストであるならば、このストライキはやはり禁止されるべきものであるように思うのでありますが、この点につきまして、当局はどういうふうなお考えでありますか。
  271. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 去る二十二日におきましても、この問題について総評幹部との間にわれわれはいろいろ議論をいたしました。そのときいろいろ議論に花が咲きまして、その日には結論を得なかったのであります。で、再度本朝訪問されるということでございましたから、われわれは本朝十時からこの問題に対しまするわれわれ政府側の方の回答をいたすことにいたしました。その回答内容に対しましては、いずれ夕刊に出るでありましょうが、大局的に申し上げますならば、われわれはこの最低賃金の問題については、近代産業国家の日本としては、国際情勢にかんがみましても最低賃金制を検討してこれを設ける必要はあると存じますが、今日の情勢においては直ちに一律の最低賃金制を設けることは時期尚早であるという見解のもとに、労働問題懇談会というものを作りまして、これには労使双方の全国の代表者が入っております。そこの答申を待ったのであります。その答申は、取りあえず業種別の協定賃金を作ってその協定賃金を実施すべし、こういう内容でございます。それには業種別の協定賃金を作るということだけではできないのでありまして、労働基準法の中に定められておりますところの中央賃金審議会にこれを諮問しなければなりません。従って私どもは、この四月中に開店休業の状況にありました中央賃金審議会というものの再開をいたします。それを第一に約束いたしました。第二におきましては、業種間の協定賃金ができて参りましたならば、これを基礎にして、その実施に近づけるように調査、研究を始めるということにいたしました。第三といたしましては、やはりこの基準法の中にありますところの中央に賃金審議会を作ったならば、地方にも作るというようなことになっておりますから、それは諸種の状況の変化に応じて地方の賃金審議会も作るが、現在は一応中央賃金審議会を作ろう、こういうことをきょうは発表いたしたのであります。これについていろいろな議論はございましたけれども、一応了承して帰られまして、二時から何か向うの方の総評の会議をお開きになって、そこで御決定になりまして御発表になりました内容は、明日の実力行使はしない、休憩時間もしくは時間外において職場大会を開く。特に国鉄においては一切現業員の方は時間外の職場大会もやらない、ただ非現業において時間外に職場大会をやりまして、今までの経過の報告をするということの発表をせられましたので、私どももこれに対しまして、今後今までのような間違いを再び起さないようにという意味における私の談話として新聞に発表いたしました次第でございます。それが明日の状況でございます。
  272. 安井謙

    ○安井謙君 今労働大臣からのお話をいろいろ伺いまして、この最低賃金に対して政府も非常な決意をもってこれの対策については大いに措置をなさろうとしていらっしゃる。そうしてそれに対して労組もおとなになって、それじゃその成り行きを見守ろう、こういうお考えになっておるようでありまして、これはまことにけっこうだと思うのであります。しかし伝えられるようなストがもし行われるならば、これはあくまで政治ストであろうと思いますし、同時にこの問題を国会でもすでに社会党の方から提案もされており、国会の中で十分論議され、政治的にこれはきめられるべき性質のものであろうと思うのであります。これに対して、もしそういった先ほどの労働大臣の御説明以外に、もっと外部から国会に対しても圧力を加えるような式の一種の政治ストが行われるというようなことがありました場合には、政府はどういうふうに措置なさろうとするお考えでありますか。
  273. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 国会の行動は国会の中の自由の意思によって行われるものでありますから、この意思を阻害するような外部の圧力が政治的にストライキの形において講じられるような場合は、断固たる処置をとるつもりであります。
  274. 安井謙

    ○安井謙君 そのストライキを認められておる労働組合でありましても、政治ストに類するものについては今のように禁止をされる、そこで、それに対しては政府は十分な措置をする、こういう御言明がありましたので、私は了承いたしますが、さらに総評というのは、御承知通りに三分の二に近い人が官公労あるいは官公協というのですか、そういったこの公共企業体の従業員をもって占められておる。こういう方々はストライキ権は法律によって明らかに禁止されておる。しかもそういった人々が総評にあり、あるいは指導するかしないか知りませんが、大きな勢力になって、この運動を展開するということがありましては、これは法治国家として許しておけないと思いますので、政府として十分な断固たる態度と、これに対する対策をお立て下さらんことを私は希望いたしまして、私は質問を終ります。(「議事進行」「関連」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  275. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 議事進行を許します。
  276. 小林孝平

    小林孝平君 私は先ほど安井君の質問に対しまして、労働大臣が御答弁になりましたことに関連いたしまして発言をいたします。労働大臣は、先般来所管事項で非常に心労されておられることについては、私といえども敬意を払うにやぶさかでございません。ところで労働大臣は心労のあまり、当委員会において不必要に声を荒げたり、あるいは答弁を必要としないような言辞を弄され、いたずらに議事の遷延をはかれ、(笑声)われわれ委員といたしましても非常に迷惑に思っている次第でございます。ところで本日また安井君の質問に対しまして、一昨日の実力行使は明治維新と同様であるという御答弁があったのでございます。これは単なる心労の結果発せられた言葉として、われわれは聞きのがすわけにはいかないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)明治維新は、わが国の歴史の上に重大なるできごとであります。その内容は実に広範囲多岐にわたっております。(笑声)この明治維新が一昨日行われました実力行使と同様であるというような発言は、私は常識ある人の発言とは思われないのであります。労働大臣に対しまして非常に恐縮ではございますが、私はそういうような態度でもって労使間の紛争を解決するというようなことは私はできないと思うのです。極言すれば、労働大臣としてその席にとどまられることは不適当ではないかと思いますけれども(「その通り」「精神鑑定を要するよ」と呼ぶ者あり)私はそこまでは申し上げないことにいたします。なぜ明治維新と同じであるか。私はこういうことを単に訂正されたり、あるいは間違えました、あるいは明治維新のある一局部をとらえてそれと同じであったというような御答弁でこれは済ますわけにはいかないと思うのです。大体委員長は、そのような発言があった際に、なぜそれを黙っておられるのか、委員長はただ名前を言って、発言をさせればいいというだけのものではないと思うのです。賢明なる委員長は、かくのごとき発言があった際は、委員長として当然これは注意あってしかるべきだ思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)あわせて委員長の御所見も承わりたい。
  277. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大へんおしかりを受けたのでありますが、私は今もそう思っているのです。明治維新の時代における、法治国としてほんとうに考えられないような抜き打ちごめん、こういう行き方のことを言っておるのです。(「その通り」「維新以前」と呼ぶ者あり)しかも安井さんのお問いの中には、私鉄は十日以前に届け出すことになっているのだ、しかも抜き打ちごめんということは一体、どういうことなのかということです。これを延長するならば、明治維新と同じなんです。明治維新のときのこの抜き打ちごめんが許されておったときの姿のことを私は言っておるのであります。(「維新以前だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ですから、人を殺すよりもっとひどかったのです。だから私はそのことを言ったのです。
  278. 小林孝平

    小林孝平君 委員長の所見を承わりたい。
  279. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 委員長はできるだけ自由な発言を許しておるつもりでありますが、もし非常な不穏当なことがありますれば、私から注意いたします。(「議事進行」「それは間違いだ」「明治維新と同じだというような発言は、委員長そんなことは冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  先ほどの労働大臣の説明について、あらためてまた御発言があります。
  280. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 明治維新以前の無秩序の時代における状況と思って言ったのですが、抜き打ちという言葉が非常に不穏当ということでございますから、これを取り消します。(「それだけじゃない」「人殺し以上とはどういうことだ、人殺し以上ということは」と呼ぶ者あり)
  281. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の御答弁は、抜き打ち云々という点だけを言われましたけれども、先ほどは人殺し以上のとにかく行為である、こういう断定をされましたから、人殺し以上のことだということは何だ、その点についてその釈明かあるいは取り消しがあるかと思いましたが、そうでもないようであります。(「取り消しているのだ」と呼ぶ者あり)もう少しはっきり言わなければいけない。
  282. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 簡単に申し上げます。今御指摘になりました点もあわせて、取り消しをいたします。
  283. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ関連をして、もう少し明らかにさしてもらいたいのだけれども、明治維新以前の無秩序の時代に人殺しが行われた、抜き打ちに、抜き打ちごめんで人殺しが行われた、それ以上のことだ、こういう御説明でございますし、先ほどもそういう意味の御発言だと、こういうことだ。(「取り消した」と呼ぶ者あり)それは、それ全部取り消したのですか、(笑声)その前はそうじゃない。いや、明治維新以前の無秩序の時代、こういう意味だ、こういうお話だ、それならどういう意味だということをお尋ねをする。もう根本的な主張の中に、どういう原因によって事態が起ろうとも、その起った事態について、それを政府において無秩序云々というように、法の精神にやるのだというふうに断定をすれば、それに対して政府としても弾圧をしていく、こういう方針を先ほどは私はお示しになったのだと思うのです。今度の問題について業績手当を支給をする、支給をしなければならぬということは、先ほど国鉄副総裁も運輸大臣も認められました。しかしどういう業績手当をいつ支給するかということははっきりしなかった。そうして大蔵省と相談をしなければ具体的には出てこないという状態で、話がつかないでああいう事態が起ったのだと私どもは思うのでありますが、それについての国鉄当局なりあるいは政府責任というものは明らかにしないで、ただ起ってきた事態について政府の一方的な判断をもって、それで弾圧をしようというならば、私は政府のこれは機能と申しますか、使命というものはどこにもないと思うのです。あるいは人事院を設け、あるいは国鉄等を企業体にして、公共企業体にして今日の制度ができ上って参っておりますけれども、そのスト禁止あるいは制限、団体交渉の制限等については、それぞれこれは仲裁の措置があります。その仲裁の措置について、あるいは国鉄にいたしましても、あるいは政府にいたしましても、今までほとんどそのまま実施せられてこなかったというのが実情だと思います。そういう実績の上に立って幾らの業績手当をいつ支給するかわからぬという場合に起って参ります事態については、それは双方に責任があると思います。国鉄の起った事態について責任を追及するということでありますけれども国鉄当局責任については何ら追及せられない。あるいは政府の従来のこの欠陥については何らの反省がない。あるいは最低賃金の問題についてストが行われるとするならば、それは政治ストだ、こう一方的な断定をされますけれども、政治スト禁止されておる根拠がどこにございますか。あるいは抜き打ちごめん云々という点が、明治維新以前の無秩序の時代に、人殺し以上のことだと言われますけれども、これは非合法だという問題だろうと思います。そういうたとえを出されるほどの、(「取り消しました、それは」と呼ぶ者あり)一方的な判断が、何を根拠にして行われておるか、どういう法律を根拠にして行われておるか、この場合には公務員法なりあるいは公企労法なり、そういうものが根拠であるとも考えるのでありますが、それについての政府責任、そして政府が労使双方のよき慣行を作っていこうという問題から、あるいは最低賃金の問題についてはすでに基準法ができたときに、その責を負わされておるわけであります。そういう問題について一方的な見解を押しつけ、それを押しつけるために弾圧をするというのでなくて、国鉄の場合においても双方の責任というものがこれは論ぜられなければならぬだろうと思いますれども政府責任としては、よき労使の慣行を作るという方向にお動きになるのが私はその責任だと思うのです。その責任の上に立って判断されるとすれば、先ほどのような失言も出てこなければ、あるいは一方的な見解を押しつけるための弾圧的態度も出てこないと思うのですが、それに対して政府のあるべき答弁、あるいは方針というものは、どういうものか、それを伺いたい。(「それはさっき聞いた、関連で聞いた」と呼ぶ者あり)
  284. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 先ほど御指摘になった点については、抜き打ち、人殺しということについては取り消した。それで無秩序な、法律があっても、その法律が守れないという社会は、これは私は賛成できない。(「その通り」「その原因は」と呼ぶ者あり)その法律をどこまでも守つてもらう。しかし原因がどうあろうと、この一昨日行われたようなことは、国民大衆はどう判断しているか、このことを私は思いますので、ついにああいう言葉を使ったのでありますけれども、私はやはり労使の関係がほんとうによい姿にいくことを望んでやまない。けれどもこの間のようなことが行われましたら、ますますこの労使の関係のことをやるために、この仕事その自体の根拠というものが国民から離反されてしまう。何のためにこれが行われているか、国家のため、国民のため行われている交通機関か、何かわからないのですよ。(「その通り」と呼び者あり)そういうことが、私は胸に余ったものですから申し上げたのでありますが、今申し上げましたような点は、法治国としてはどこまでも、どうあろうとも法は守ってもらうというのが私の念願とするところであります。(「了解」「進行」と呼ぶ者あり)
  285. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) もういいでしょう。(「簡単に」と呼ぶ者あり)それじゃ簡単に。
  286. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは労働大臣に、失言の点については取り消されたと申しますが、この態度についてもお取り消しにならなければいかぬと思う。感情的に何を言うたかわからんような、そういう感情が問題です。政府として冷静に、労使のよき慣行を望まれるなら冷静に、声を大にしてもいいというのではない。あるいはかようなことを言えばそれで済むという問題ではない。そういう態度については、政府なり労働大臣のそういう態度については十分の反省をし、失言を来たしたような心境については完全にこれを反省してやっていく、こういう全般的な態度について取り消しがあるかどうか、重ねて明確に願いたい。
  287. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) まあいろいろお問がありますけれども、それは私も感情にかられたかもしれませんけれども、先ほど国鉄副総裁が述べられましたような、全国的にかようなことが行われたという、この感情的な態度も、やはり反省すべきではないかということを考えるのです。私は別に声を大きくして、私は地声が大きいのです。(「それはどうか」と呼ぶ者あり、笑声)いや、ところが真剣なことを言う場合に大きくなるのです。ですから私は態度を改めろと言われれば、悪い点があれば改めます。修養もします。けれどもこの間のようなことが再び繰り返されるということは、これは何としても忍びないところであります。これはやはり両方考え方を直していかなければならぬと思います。(「了承」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  288. 森八三一

    ○森八三一君 農林大臣は漁業交渉でお忙がしいようでありますので、農林大臣関係の問題をまず御質問を申し上げたいと思います。  それはしばしば歴代の内閣が言っておりますように、日本の経済自立を達成しまするために、どうしても日本の食糧問題を解決せにやならぬ。そこで政府におきましては、その食糧問題の解決という一点をながめて、ただ単に米麦に依存するというだけのことでは、この問題の根本的解決、対策の問題にはなりませんので、酪農の問題を非常に強く取り上げてきまして、そして議会もその趣旨に即応いたしまして、かねて政府が提案いたしました酪農振興法を議決をいたしまして、これが実施の段階にあることは御案内の通りであります。そこでこの酪農振興法に基きまして、政府は各地方知事の意見をも徴しまして、指定地というものを決定されております。酪農事業の本質上、生産農民がその農民の自由な意思に従って生産した乳を処分するということは、すらっと考えますと、もっともらしくは見えるのでありますが、酪農事業というものの本質上、その将来に向っての発展を企図して参りまするためには、どうしても残乳ができた場合における処理の問題まで考えておかなければならないという問題から、中心工場というものをこの法律に基いて指定される。それには地方知事の意見をよく聞いておやりになっておるということでありますが、このことが私的独占の問題とのからみ合わせにおいて、いろいろの問題を巻き起しておるということは、大臣御承知通りと思うのです。そこで、公正取引委員会との間のこういう問題のトラブルについて、どういうように折衝が行われてきておりまするのか、まずそのことをお伺いいたしたいと思うのでございます。
  289. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 最近急速に酪農が各地に盛り上って参りまして、これが日本の農業の一つの新しい方向であろうということは、森委員も御同感いただけるところであろうと思うのであります。そこで、酪農振興法に基きまして、これが対策を実施をしておるのでありますが、その場合には、やはり中心工場というものを設定をいたしまして、乳の処理を合理的にして参るということは、やはりどうしても必要であろうと思うのでございます。まあ各地に若干のトラブルがございましたが、われわれとしては地元の県当局の意見を十分に聞き、かつは地元民の意思を察知して処理をして参っておるのでございまして、公正取引委員会から、そういう問題の起りました際には十分連絡をいたしまして、事の真相を説明を申し上げておると、こういうことでございます。
  290. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの大臣の御答弁のように、問題の取り扱いに関しまして、実施官庁である農林省と、私的独占禁止に関して取り締りをし、その行方を見きわめて行く立場にある公正取引委員会との間に、十分緊密な連絡がとられておるということでありますれば、おそらく農民自身が迷惑いたしまするような、いろいろな問題が巻き起るということはないはずであります。ところが各地にそういう問題が巻き起ってきておる。そこで具体的に一つの例をあげますれば、青森県における酪農に関する中心工場の指定の問題でありますが、これにつきまして、公正取引委員会委員長もお出ましを願っておるのですが、公正取引委員会は、実施官庁である農林省が、地方の知事なり、あるいはこれに関連する生産者の団体、もしくは農民諸君の意見を聞いて、酪農というものの本質上、どうしてもこれは中心工場というものを設けて行かなければ、そうしてその結果が、あるいは見方によっては独占というような姿になるといたしましても、そうでなければならぬと確信を持って処置をしておる。そのことがいかぬというような判定をされる、しかもそれが審判の対象にまで進められておるということでありますが、十分打ち合せがあるといたしますれば、そういう問題は巻き起らないはずでありますが、公正取引委員会では、農林省との間にどういうような打ち合せをしていらっしゃいますのか、これは多数の零細な酪農農民としては迷惑しごくな題題だろうと思うのです。その今までの公正取引委員会の態度についてお伺いをいたします。
  291. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 酪農問題につきましては、酪農振興法が制定されまする際に、農林省公正取引委員会とは相当よく御連絡をいたしまして、結局この酪農の問題、ことに生乳の取引につきましては、やはり独占禁止法の基本的な精神でございまする公正な取引を促進するという、この原則が適用されてよろしいという建前であの法律ができておるのでございます。たまたま三、八の集約酪農地区の指定にからみまして、公正取引委員会立場からいたしますると、独占禁止法違反の疑いのある事例がございましたので、この調査の段階におきまして、農林省にも時々結果を報告いたし、密接なる連絡をとって参りまして、公取といたしましては、ただいまお話のいわゆる集約酪農地帯の指定あるいは中心工場の指定そのものを、特に独禁法違反として問題にしておるわけではございません。結局指定に至りまするまでの段階におきまして、この具体的の場合におきましては、雪印乳業株式会社でございますが、この会社のやりました行為が独占禁止法のいわゆる疑いがあるということで取り上げておるわけでございまして、この点は農林省と私どもの方とでは別に見解上の食い違いはないのでございます。
  292. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、重ねてお伺いをいたしますが、酪農事業というものの発展を、ただいまの日本の食糧問題の解決として取り進めて行かなければならぬという基本的な問題の御理解はある、その結果として、ある地区に形の上では独占のような形態が生れることも、その性質上やむを得ないという認識に立っていらっしゃると理解してよろしいかどうか。
  293. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) この指定の意味が必ずしもはっきりいたしませんが、指定をいたしますれば、その工場に百五十石というふうに承わっておりますが、少くともそれだけの乳を集めるということが、農林省方針として上っておるようでございます。従いまして、この指定の結果、自然にそこへ乳が集まるということは、これはもちろん独禁法の問題にはならないのでございます。ただ指定いたしましたそのあとで、いろいろな無理なことをいたしまして、そこへ乳を集める、農民の意思を無視してそこへ乳を集めるというような場合がございますると、それが場合によりまして独占禁止法の問題となり得るのでございます。
  294. 森八三一

    ○森八三一君 今の答弁ではまだはっきりいたしませんが、農林省の奨励上の行政措置として、特定な中心工場というものが指定されると、そこへ生産農民の諸君の乳が集まってくる。これはまあ当然の帰結であろうと思います。それが指定が一つである場合には一つの工場へ集まるのです。そのことが独占禁止法に違反するとお考えになるのか、そういう場合があっても、それは独占禁止法の違反ではないというようにお考えになるのか、前段の御説明によりますれば、そういう指定をするにいたるまでの段階において問題があった場合には、独占禁止法の違反になるというお話でしたが、その前段に申し上げましたような、指定したということによって一工場に集まるということが独占という形態を示しても、それは独占禁止法に抵触するものではない、こう理解してよろしいのか。
  295. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 指定の結果、そこに乳が自然に集りまして、その地区において、お言葉を使わしていただきますれば、いわゆる独占、非常に集中をしてくる、こういう結果が出ましても、そのこと自体が独占禁止法違反とは考えておりません。
  296. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、今具体的に例を出しておりまする事例の場合には、地方の第一線で直接の衝に当っておる知事が、諸般の情勢を勘案して法務大臣に申請をしたと、このことが決せられるまでにいろいろの問題があったといたしましても、そういうような答申があったといたしますれば、あるいはそういうような連絡があったとすれば、そういう連絡をした知事が独占禁止法に違反する行為をしておるということであって、指定されたものがそういうことではないはずでなければならぬ、こう思うのですが、そうはなりませんでしょうか。
  297. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) この指定は知事の申請に基きまして農林大臣がなさることでございます。その結果、先ほど申しましたような事態が生じましても、これは別に問題にはならないのでございます。結局、御承知のように知事も農林大臣も、これは独占禁止法の取り締の対象にはもちろん法律でなっておりませんのでございまして、結局そういう指定そのものにつきましては、私どもこれをかれこれ言っておるわけではございません。乳業会社である雪印がやりました一連の行為そのものだけを取り上げておるわけでございます。
  298. 森八三一

    ○森八三一君 私の質問に対してぴったりしたお答えがないようですが、酪農振興法によって農林大臣措置をするということにつきましては、農林大臣は会社や何かの意見を聞くわけじゃないんです。これは当然地方の知事の意見を聞いて、さらに直接にお調べになる場合もあるでしょう、けれども法律上、知事の意見というものを聞いて農林大臣措置をするという建前になっておる。そこで知事が誤まった申請をしたということでありますれば、あるいは知事が独占禁止法に違反するような何らかの行為を加えて、そういう結果を導き出したというような行為がありすとれば、違反をしておる者は知事でなければならぬ、こう思うのですが、そういうことについて、法律的にはそうなりませんでしょうか。違反をしておるのはこの場合には知事だ、そういうことを導き出したのは知事である、指定をされた者がそういうような違反の行為に問われるということは、これはおかしいことなんです。私がこんなことをしつこく承わっておりますのは、私も私的独占禁止をして、公正な取引をするようにしなければならぬと思うのです。思いますが、ややともいたしますると、公正取引委員会の態度が一業者のためにわずらわされておるというようなことを感ずるからであります。もっとほんとうに公正な立場でものを考えなければいかぬ。この問題につきましては、委員長の部下の職員の諸君の意見も聞いたのでありますが、多数の農民諸君が知事の決定に反対の意思を表示しておる、だからそういうようなことを取り進めておるんだと、こうおっしゃる。そこで多数の農民というのはどういうことですかと聞いてみますと、さっぱり要領を得ないんです。一部の人々の言に耳をかして、公正取引委員会が公正でなきゃならぬのに、特定な者のために働いておるというような印象を非常に強く受けるんです。
  299. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 私どもがいたしておりますることにつきまして、そういうお疑いをお抱かせするようなことにつきましては、まことに遺憾に存ずるのでございますが、しかし先ほどから申し上げておりまするように、これは何も私ども特定の乳業会社のためとかいうようなことはもちろん考えているわけではございません。不当に押えつけられておると思われまする酪農民の立場考えまして、独占禁止法に違反しておりまする面を特に取り上げておるだけでございます。これは先ほどから申しまする特定の会社を問題にしておるのではございません。
  300. 森八三一

    ○森八三一君 この問題は、まだいろいろ私は詳細に意見を申し上げて尋ねたいんでありますが、私に与えられている時間の制約がありますのでこれ以上申し上げませんが、とにかく酪農を振興しなきゃならぬことは、畑作の問題と関連し、食糧問題とも関連して、ほんとうに大切な重要事項であろうと思う。そのことについて、農林大臣が地方の知事の意見を聞いて指定されておるということでありますので、そういう点については公正取引委員会としてはほんとうに慎重な態度で臨んでいただきませんと、この問題の振興には非常な障害が将来とも私は巻き起ると思うのです。この問題につきましては、いずれ時がありますれば直接お伺いをいたしまして、具体的にもっと意見を聞いてみたいと思いますが、あくまでも厳正公正な立場で処理をされるように希望を申し上げておきます。  次にお伺いいたしたいのは、農林大臣関係で、先日、水田通産大臣が同僚議員の質問に答えられまして、国内の生産物資と海外から入ってくる物との競合に関連をして、基本的な態度としては、どこまでも国内の生産というものを考えながら措置をする。であるから、海外から入れようとする場合には国内生産物に支障を来たさないというだけの手当をしておいて、その上で海外の物資の輸入ということを考えて行くんだという基本的な態度の表明がございました。特にそのときには大豆の輸入に関するAA制の問題に関連して、具体的な質疑からそういう答弁がございました。私はその基本的な態度については一応の了承をいたしておるものであり、そうでなければならぬと思うのであります。ところが、そういうようにおっしゃっておりましても、具体的な事例というものは必ずしもそういうようには参っておりません。そこでそういうような政府方針を具現して参りますためには、何といたしましても一々の具体的な例にぶつかって、事実にぶつかって、関係者の意見を聞いて間違いなく処理をして行くということでなければならぬと思うのです。そのために数年前から問題になっておりました韓国のノリの輸入に関連いたしましては、通産当局の方の御尽力で、需給調整協議会というようなものができまして、ここで円満に話をまとめて政府に申請をし、政府もその意見を最大の参考資料として御勘案になって、年々の数量を決定するというような措置をとられておる。こういう措置はひとりノリに限りません、その他の問題にも拡大をして行くということは、水田通産大臣の御説明によるその基本的な態度を伸ばして行くための非常な私は適切な行き方であろうと思うのです。でございますので、そういうようなことについて、各物資別に将来も十分考えて行こうとする御意思がございますのか、そういう御意思があるという場合に、そういうようないろいろな協議会的の存在なんというものは、何らかの法的根拠を示しておりませんければ、これはたよりにならぬような変な姿になりまするので、そういうことが是認される限りにおいては、そういうものには何らかの法的な根拠を与えて、これを育成して行くというお考えはお持ち願えますかどうか、そういうような基本的な問題についての御意見を伺いたい。
  301. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 国内農産物と競合関係にありまする外国農産物の輸入に当りましては、ただいま御指摘のように十分慎重にやらなければならぬと思うのでございます。ただいま韓国ノリの例をお引きになりましたが、これは一つ委員会のような機構をもって調整をはかっておるのでありまするが、かようなアイデアというものも確かに一つの構想であろうと思うのでございます。従いまして、当面は、われわれとしていかにして国際競争力を増すかという施策を一方に講じまするとともに、急激なる外国農業の圧力をなるべく緩和する、こういう方向への努力をいたしておるのでございます。今お示しのノリの事例なども、まあ一つの構想としましては他にも拡大する価値は十分にあろうと、このように考えます。
  302. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの問題に関して、通産大臣の御所見もあわせて伺いたいと思います。
  303. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私も同じでございまして、ノリの問題につきまても消費者側の要望は急速に多量に入れろという御意見もございますが、農林省関係の方からは日本の生産者の保護という立場から非常に今消極的になっておりますので、この点の両者の折り合いがついてから許可をしようというようなことで、私の方はそういう点を考えて抑制しておるという状態になっておりますので、今後もそういう調整をはかった上でやっていきたいと思っております。
  304. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの調整をはかることについて農林大臣は何らかのそういう機関というもので、法的な根拠を与えるというなことも考えてみたいというような御意見の開陳があったのですが、当面の責任官庁としては通産省でありますので、通産当局としてそういうような構想について御同意願えるのかどうか。もちろんそれは政府を拘束するものではありませんけれども、そういうような措置をとるというようなことが好ましいとお考えになるのかどうかという、基本的な態度についての御意見を伺いたいと思います。
  305. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう構想については別に反対ではございません。
  306. 森八三一

    ○森八三一君 その次にだいぶ問題になりました鉄道運賃の改訂の問題についてお伺いしたいと思うのです。このことは総理に対する総括質問のときに私、問題として取り上げましたが、時間が、ございませんので私の考えておる要点だけを多少、しろうとでありますので当らぬことがあったと思いますが、自分の考えだけを数字的にも申し上げたのであります。おそらく運輸大臣はその後御検討を願っておると思いますが、今回のこの鉄道建設の仕事をやっていくことについて、私は何も反対を持っておる者ではありません。これは急速に拡充をしていただきたい。そこでその六千億に達する五カ年計画が完了しました暁、一体国鉄の輸送力というものはどれくらい増強されるのか。それは三十一年度の実績に対してであります。事務当局の御説明では三〇%ぐらいは増強になりますということを申されておるのでありますが、果して三〇%ぐらいを考えられるのかどうか。その三〇%の増強が期せられるという場合に、量的な改善、増強としては三十一年度対比どれぐらいになるのか、このお見込みがなければならぬはずだと思うのですが、そのお見込みはいかがでございますかをまずお伺いをいたします。
  307. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。今お話の通り三十二年度から六年度までの五年計画が完成いたしますれば、旅客において約四割近く、それから貨物において約三割、こういう今の輸送量からそれだけふえる能力を持つようになるとこういうことでございます。
  308. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、その結論として五カ年先、完成後に運輸収入として昭和三十一年度予算上の見積りに比べまして、どれくらい金額的には今申された輸送量の増加に伴う成果が上ってくるか、ということを数字的にお示しをいだきたいと思うのでございます。
  309. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 三十一年度収入は約三千二百万、それが三千八百万円ぐらいの収入にふえます、六年度において。
  310. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの数字は三千二百万と三千八百万ですか。
  311. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 三千二百億と三千八百億でございます。
  312. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、この建設事業の完成後における年間の諸利益の増加は、六百億ということに推定されるのであります。それに対しましてもちろん今回の建設事業というものは近代化、合理化が行われることでありますから、比例的に経費の増高を期し得ようとは存じませんけれども、ともかくそういうことで輸送力増強による結果といたしましては、職員の数もふやさなければならぬでありましょうし、諸般の経営費が増高すると思いますが、その増高する経常費の増加は三十一年度対比幾ばくになるか、その数のお示しをいただきたいのであります。
  313. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 収入において三割とか四割とかがふえないということは、今日は百%一ぱいに輸送力を使っているわけです。むしろそれ以上を使っておる。ところが輸送力の三割四割の増加強でありますから、そのときにおいてまた完全に一ぱいに使うということになれば、それはよほど数字がふえてきますけれども、その点で収入割合が三割四割という割合にはふえていかない、そういう意味であります。
  314. 森八三一

    ○森八三一君 そのことは今伺ったことで、今私がお伺いするのは、三十一年の三千二百億に対して、三千八百億になるのですから、これははっきり具体的にお示しを願ったのですが、それに対応する経営費の増加は幾ばくと見込んでおられるかということなんです。
  315. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 経費の点は今二千三百億が二千五百億くらいにふえるわけであります。これは大体人員もそんなにふえないでよくそういうことができるかと言いますが、これは設備の近代化経営の合理化等によりましてそういう多くの人員をふやさないで、それの配置転換をしたり、いろいろな方法によってこれだけの輸送能力を持つ、こういうことになるわけであります。
  316. 森八三一

    ○森八三一君 さらにお伺いいたしますが、そういうような建設事業が完成した暁、その国鉄の輸送力というものを維持して参りますために、昭和三十一年度におきましては、はっきりいたしませんけれども維持の費用として三百億近いものが投入されておるかと思います。昭和二十九年度におきましては二百七、八十億であったかと思います。というように鉄道の現在の施設というものを維持して参りますために、当然腐朽していく部分は取りかえていかなければならぬわけでありますので、完成後における年間の維持費はおおむね幾ばくと御計算になっているのか。
  317. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 今のは前の二十九年度三十年度、三十一年度の数字からいきまして、固定資産の償却だと思うのでありますが、それは五百五十億くらいに一二十六年度においてなります。
  318. 森八三一

    ○森八三一君 そうしまするとどういうことになりましょうか、五百五十億の年々償却をしなければならぬ、それにもってきて今度の建設事業では六千億を投入して最後に六百億の諸利益が上って、そうして二百億の経費がふえる。ネット四百億の増収になりまして、そこで約五百五十億ずつ年間設備の償却をしなければならぬということになりますと、鉄道事業というものは永久に赤字を保持していかなければならぬということになるわけでありますが、その赤字を穴埋めするために今回の三百六十億の運賃値上げというものを考えるとおっしゃれば、一応意味は通ずると思うのです。私に言わしていただくなれば先日も申し上げましたように、現在の負債は二千億であると、それに今回の新しい投資が六千億でありますが、六千億中全部が建設事業に使われるわけではございませんけれども、一応六千億全部建設事業に使われるといたしましても、八千億という鉄道の負債が残ると、その残る鉄道の負債というものを償却をしていくということであれば、一般の企業体なり会社の経営とは違いますので、当面は乗り切っていけるのじゃないか、こういう感じが持てるのです。そこでそういうように考えて参りますれば、五カ年後に残る負債八千億というものを何年間に償却していくということを考えたらいいのじゃないかと、こう思うのですが、これはむしろこういうような予算について御承認になりました、数字に明るい大蔵大臣の、査定なさったときの模様を承わりますればはっきりするかと思いますが、大蔵大臣どう取り組んでこのことを御決定になったのか。
  319. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 今の二千億の負債がありますが、これは五カ年後において約千九百億ばかりふえるだけでありまして、八千億というのは、これは事業計画をする自己資金及び今度の運賃値上げ、それから借入金等の全体の、つまり所要経費というか広い意味の所要経費、それが六千億の新しいつまり計画を立ったと、こういうことでありまして、その六千億のうちただいま約五百億ばかり工事をやっておるけれども、倍額の千百億、千二百億工事をやると、こういうので、その資金というのは全部借入金でなく収入が大部分でありまして、借入金は三百億程度でありますから、借入金の増加していくのは年額三百億ないし三百五、六十億円、こういう数字になってきますから、今の二千億とそれから新しい計画の六千億が全部借金になると、こういうわけではないのであります。
  320. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 森さんの御質問の趣旨ははっきりとりにくいのでありまするが、いずれにいたしましても、五カ年計画で六千億円を使うと、そのときにどういうふうな考え方でいったかという問題だと思います。その経費は、私はやはり借入金もするが合理化資金として料金も上げる、両方の方でいくのが至当じゃないか。料金を上げずに借入金でずっといくということにいたしますると、利子負担が高くなりまして、なかなかその点は将来の計画上困ると思いますから両方を使っていくべきじゃないか、こういうことでございます。なお借入金につきましても、民間資金を借り入れるときはかなりの苦労があるのでございます。この際従来の借入限度にとどめて新規のあれは料金の値上げでいくべきだ、こう考えて参りました。
  321. 森八三一

    ○森八三一君 私の尋ね方が悪いからピントの合った御答弁が願えないのかと思うのですが、三十二年度のこの予算を拝見いたしますと、八百二十八億というものを資本繰り入れということに計画をされておる。もちろん八百二十八億というのは、生まれてくる前には三百六十五億という運賃値上げが見込まれておりますから、三百六十五億というものを控除いたしますと約四百五十億ほどの資本繰り入れというものが、昭和三十二年度予算においても一応予見されておるのです。現状においてもそういうものが資本の繰り入れになる。そこへもってきて五カ年先には年間六百億の一応の諸利益が上ってくる。しかしその諸利益が上るためには二百億の経営費というものがふえるのだ、だから差し引きいたしますれば四百億の増収になると。昭和三十二年度においても資本繰り入れに予算上出ておりまする四百五十億ほどのものを見越していくと、プラス八百五十億ぐらいになる。それから年々の維持費というものを五百億ぐらい引けば残りが三百五十億か四百億ぐらいになるといたしますれば、かりにまるまる八千億の負債というものが五カ年先に残っておったといたしましても、ただ金融市場でその金を調達することができるかできんかというような、全体の金融との関係はあります、ありますが、その八千億というものを、十五年なり二十年間に償還し得るという見通しがつけば、さなきだに心配しているインフレに多少でも影響すると、もちろん運輸大臣は、運賃の値上げというものが家計費に及ぼす影響というものは幾らかというそう大したことはないとおっしゃっておりますが、確かにこのことが心配の種子になっていることなんですから、そうしてその心配というものが経済上に非常に大きな心配を持ってきたと考えなければならんと思うのです。経済上はわずかなものですが、その場合ずっと影響してくるということになると物価に非常に影響を持ってくる。現に物価は非常にはね上ってきているということも、そういうことも作用していると思わざるを得ないのであります。でありますから、私はそういう観点から申し上げますと、運賃の値上げ率というのは、まだまだ考慮すべき余地があるのではないかということを感ずるわけですが、その点についてはどういうふうにお考えになるか。
  322. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) この運賃値上げをしないで借入金でやったらどうかと、こういうようなお話と思いますが、借入金もやはり今日の金融状況におきまして限度がありまして、昨年よりも全体で借入金は十億ふえておりまするけれども、しかしながらこれも預金部の金の方をふやして、外からの借入金は減らすと、やはり金融情勢からいたしまして、国鉄だけにおいて、そういう莫大な借入金をしてゆくということもなかなか困難であります。なお国鉄が独立企業体といたしまして、運賃の面からも、借入金の面からも、それから自己資金を増大する面からも、合理的な立場においてこれをやっていかなければならん、かように考えまして、借入金だけに依存するということは、やはり経営の不健全というか、もちろん今日値上げをしないでいけば、それはなるほど物価その他生活に及ぼす影響というものは少いと、こういうわけでありますけれども、やはり国鉄というものが二兆一千億という国家の資産を預かって、これだけの大きな企業をやっているのでありますから、企業の建前からいって、自己資金もやり収入の増加もはかり、借入金も適当な限度にしてやってゆくと、こういう形の方法をとったわけであります。
  323. 森八三一

    ○森八三一君 借入金ができるかできんかというのは一般金融市場の関係もございますので、それについては別に検討しなければならんと思いますが、運輸大臣は、しろうとの私が計算いたしました計算によって、全部可能であるとすれば借入金でやっていって、その借金を完成後十五年なり二十年で償還をしてゆくというような建前をとり、それによって運賃値上げをしてでもやろうとすればやれるのだということは、肯定になりますかどうか。その借金ができる、できんということば別問題なんです。
  324. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) この国鉄のあり方並びに日本経済というものが現状においてとまって、もうこれ以上発展しないと、わずかのことだという見通しならば、あるいは今のようなお話も一種の議論としては成り立つかもしれませんが、しかしながら日本経済がだんだん大きくなって、そうして国鉄もまた健全な経営によって、国鉄の使命を果すということからいきますと、際限なく借入金に依存してゆくということは、国鉄、この企業体のあり方として慎しむべきじゃないか。ことに運賃の問題も、御承知通り、やはりこれは運賃を初めから一文も取らないで、ただ国家の費用でやるということになれば、これは別問題でありますけれども、運賃というものを取って、これが物価及び生活に今日までもそれ相当立場を持ってきておるのですから、それならば、特に他物価にも比較して、非常に安い程度にある運賃を、ある程度、今日の経済なり産業の状況において引き上げていくということは、それほど大きな影響をもたらすものじゃない、借金一本でもってやっていくという状態と比較して、やはり国鉄の健全なあり方というものは考えていかなきゃならぬと、こう思うのです。
  325. 森八三一

    ○森八三一君 どうも、私の申し上げておることが下手で、御理解が願えないのですが、私は、決して国鉄の経理を不健全化しようなんていう大それた考えを持っておるのじゃないのです。健全化していこう、それは、行われる借金というものを年賦償還するんですから、それで事業としてはいいんです、と私は思う。また、五カ年間先に新しい建設事業が必要になれば、その事業をまたそういう方法でおやりになるということで、私の基本的に考えておる五カ年先、完成した暁に、運輸収入がどういように増高する、それに対応するために必要な経費がどうふえると、そうして、その限度を維持していくためには、年々どれくらいの維持費というものが入り用なのか、それを全部ひっくるめてみて、そうして昭和三十二年度予算で計算をやってみると、昭和三十二年度においても、なおかつ八百二十八億の資本繰り入れというもの、これは、われわれいただいた資料に出ておるのです。これに間違いがあるなら別です。これが正しいものだとすれば、それに運賃値上げの三百六十五億を引いたものが現在でも資本に繰り入れするという可能性がある。それに、今申し上げましたように、五カ年間先における増高されるべき運賃収入というものを見て、それから経営費の増加を見る。その施設の保管に要する維持費というものを考えて、差し引き残った金で借金を返していきさえすれば、決して鉄道の経理というものは不健全になろうはずはありません。
  326. 宮澤胤勇

    国務大臣(宮澤胤勇君) 現在におきまして、やはり固定資産の償却ができないで、百八十億という赤字を持っておるんであります。今年度において、その赤字がだんだん累積していきまして、固定資産の償却も、特別償却も千八百億も残っておるというような次第でありまして、国鉄自体が、現在ももう健全な経営をやっておるというわけにいかない、赤字の経営をやっております。これをまず、三百六十億というものは、その赤字の今日の経営をなくするとともに、さらに、その増収の一部によって、今後の経営費、人件費というものも全部ふえていきます。ですから、これは、大体の建前は原価、国鉄の賃金を定める原価をまかなうという線を多く逸脱してはおらない。ですから、大体その線によってこの経営をやっても、原価だけは持っていく、収入によって一つまかなっていくという線を今日において守っていける額であります。
  327. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、運輸大臣の考え方は、現在二兆に達する見積り資産というものがある。その二兆の見積り資産というものを、年々償却という形において積み立てていこうとするお考えをお立てになっておるのですか。私の言ってるのは、年々の維持費は見る、維持費だけは見るということですから、どうもピントが合わぬようなふうに感じますが……。
  328. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私が中へ入るのはどうかと思いまするが、森さんのお考えでは、運賃値上げなしで、ずっといった場合、借入金が六千億になります。その利子の計算はなすっていらっしゃるそうですから、その利子の計算をなさいますと、五年後におきましては六千億になりますが、そのうちから今の分を引きますにしても、やはり三、四百億円の利子が毎年要るようになります。そしてまた、それまでに借りまして、五、六千億の償還ということも考えなきゃなりません。一応はこういうもので、借入金であったらどうか、たとえば、会社なんかにいたしましても、設備の増強、改善には、払い込み資本ということがあります。借入金ということもございます。こういう場合に、いろいろ考えてみまして、五年計画を早急にやるとすれば、国鉄の収支の状況を見まして、やはり借り入れは、今までの二百八十億あるいは三百億円くらいが適当だ、その他は運賃の引き上げでまかなわないと、借入金の減債基金も置けないのだ、利子も払えないのだ、こういう計算になったので、先ほどお答えしたように、両方でやっていこう、こういう結論になったのでございます。
  329. 森八三一

    ○森八三一君 これは、大蔵大臣質問する筋ではございませんかもしれませんが、私の計算いたしましたのは、五年先に集積される結論的な鉄道の負債というものが、大体七千億程度になるのではないか、それは、五カ年間は年々維持費としての償却していくのでございますから、三百億ずつやっていけば、五カ年間に千五百億というものは一応返済ができる。そこで、最後のトータルとしては、七千億くらいでやろう。その七千億くらいの負債というものを、二十年の六分なら六分の均等償還で考えていけば、年間の償還元利金というものは、五百億前後で済むのではあるまいか。これは、私の金利表の見方が違っておれば、これは修正しなければなりませんが、そういう計算になると思うのです。といたしますと、運輸大臣の御説明になりましたように、六百億の収益がふえて、二百億の経費がふえる。差引四百億は残るのだ。ところが、昭和三十二年でも、ここにちょうだいしておる資料によると、八百二十八億の資本繰り入れというものが計画されておる。そのうちから三百六十五億の運賃値上げを引いてしまう。そのネット四百五十億くらいの資本繰り入れがあるのではないか。昭和三十二年度ですらある。それを加えて考えるとその後における維持費というものを考えましても、大体やっていけるのではないかと、私しろうと考えで浮かぶのです。決して鉄道運賃を値上げしていかぬとかなんとかいう議論ではなしに、鉄道運賃の値上げを求めずしてやっていけるなら、今この際、鉄道運賃値上げについて、国民の非常に心配しておる、大蔵大臣も気に痛められておるインフレを少しでも回避していくというような心がまえを国民に支えていくということが、今の時期としては非常に大切ではないか、こう思うので、しつこく質問しておるのです。そういう計算にはならぬでしょうか。
  330. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和三十二年度から値上げをいたしませんと、三百数十億の分が不足するわけでございます。これを借り入れをいたします。そうして五年間三百五十億が、相当ふえて参りますが、これをずっと借入金でまかなって参りますと、その借入金の利子がかさみまして、減価償却もできなくなるような計算に相なるのでございます。従いまして、先ほど申し上げましたように、長い計画では、減価償却はしていかなければいかぬ。現在見込んでおります三百億円程度の借入金の利子並びに償還も考えなければならない。これが大体の限度ではないかと思いまして、運賃の引き上げで半分程度はまかなおう、こういう考え方でございます。
  331. 森八三一

    ○森八三一君 だいぶ時間がおそくなって、こういうこまかい数字の議論をしておりましてはいかがかと思いますので、一応分科会等において、さらに詳細に私は——私が間違っておりますれば、その点を指摘されるような質問をいたしたいと思いますが、とにかく私の計算では、三十二年度国鉄予算、ちょうだいしておるその予算から考えますると、八百二十八億の資本繰り入れというものがあります。その資本繰り入れの中には、三百六十五億の運賃値上げ金額というものが見込まれておりますので、これを引いた金額は、一応現状においては、計算上出ておる資金と見てよろしいのではないかと考えます。それに、五カ年先における増強の結果として、運賃収入が六百億程度は増加し得ると、これも検討いたしますれば、さらにいろいろ問題がありましょうけれども、これは、運輸当局の六百億というものをそのまま信頼すると、それから、二百億程度の経営費が場加するということもそのまま認めていくということにいたしまして、計算をして参りますると、建設された結果の設備というものを何年間に償却をするかということについての見込みについては、いろいろ論議もありましょうけれども、私は、投入された資本とそれから、今までに投入されておる残額の二千億というものを三十年ぐらいで償還をしていくというように考えますれば、必ずしも一三%の引き上げをしなくとも、鉄道の経営の健全化というような方針のもとに処理し得るのではないかという感じを持つのであります。でございますので、今申し上げた数字のどこが間違っておるのかという点について、分科会の際までに、十分一つ当局において御検討をちょうだいしておきたいと思うのです。いずれその際にこの問題については、数字的に具体的に、さらにお伺いをいたすことにいたします。で、この問題に関連いたしましては、時間がございませんので、この程度にいたします。
  332. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 関連して。  今度の計画では、運賃の引き上げに依存する度合が非常に強くなる。外部に依存する面が非常に少い。ところが、来年度以降も、来年度の財政投融資を見れば、相当大幅な増額が行われておる。しかも、政府方針としては、当面しておる隘路に重点的にそれを投下するのだ。電源のごときは、昨年に比べて、相当大幅な増が行われておるのであります。そういうところから見れば、私は、運賃の引き上げに相当程度依存することこれ自体は、どうこう言うわけではありませんけれども、もっぱらそれに依存して、そして外部からの資金にはほとんど依存しないというところ一つの問題がありはしないか、なぜ財政投融資面においてあれほど拡充をされていって、しかも、隘路産業に重点的に投下するという方針をとりながら、当面しておるほんとうの隘路は輸送である、その中心が国鉄であるという場合に、運賃の増加におんぶするといいますか、ディペンドするというところに、若干割り切れない感じがするのであります。運賃値上げは、若干はけっこうであります。半面において、やはり預金部資金にしても、そういうものをやはり従来以上に増加して、その隘路を打開するという考え方が根本じゃないかと思う。言いかえれば、運賃の増強にあまり依存し過ぎやしないか、なぜもっと外部資金を持ってこないのか、しかもそれには余裕がある。政府としては、隘路産業に重点的に出すという方針を立てておるのであります。なぜ国鉄方面にもっと出さないのかという疑問であります。運輸大臣なり大蔵大臣から御説明を伺いたいと思います。
  333. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資金計画に関係しておりますので、一応私から先にお答えさしていただきます。  借入金に幾ら依存し、運賃引き上げに幾ら依存するか、こういう御質問のようでございます。もちろん、お話のように、国鉄の隘路打開ということは非常に急務でございます。財政投融資の関係をごらん下さいましても、中小企業関係庶民関係あるいは住宅関係、あるいは電気関係、これはほかに財源の持っていきようがございま億ん。電電公社は問題がございませんが、そう急激な拡張は要りません。国鉄には、やはり運賃引き上げということが財源の調達の方法として考えられますので、そうして、考えられまするから運賃の引き上げをしたのでございまするが、五年間を見ますると、大体借入金によるものが千五、六百億、そうして運賃引き上げによるものが千九百億円程度でございます。同じようだとは言いませんが、借入金にも千五、六百億円よっておるのでありますが、運賃の引き上げが千九百億円程度、大体この程度でよいのではないかと思っておるわけでございます。
  334. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの問題につきましては、申し上げましたように、さらに数字的に、他の機会に十分御答弁をいただくようなことに運びたいと思うのであります。
  335. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっとその問題に関連して、一言。  どうも今までの御説明がよくわからないのですが、それじゃ、国鉄五カ年計画収支見込みというのをいただいておりますが、この三十二年度の諸勘定と、予算説明による政府事業建設投資国有鉄道三十二年度の分、その諸数字とはどういうふうに照応するのですか、ちょっと御説明下さい。
  336. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算でお願い申し上げておりますのは、三十二年度だけでございますが、この数字……予算説明の数字と合っておるはずでございます。外部資金のところが三百十五億とございますが、これは七十億がカッコ内の新線建設の関係の七十億、これが合された三百十五億、そのほかに利用債が入っておりませんでしたが、合せて三百十五億ということで、合っておるはずでございます。
  337. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちっとも合っていないのだ。三十二年度が外部資金二百四十五億、ちっとも数字が合っていない。三百十五億というのは、三十三年度以降の数字でしょう。
  338. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 借入金の三十二年度の金額は、予算説明の四十九ページにもございますように、三百十五億でございます。その内訳が書いてございますが、資金運用部八十億、利用債二十億、公募債二百十五億ということでございまして、カッコの中の数字を合せた三百十五億、この数字が説明の方には出ておるわけでございます。
  339. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いいたしたいのは、終戦直後の混乱時代には、いいことではなかったにしても、やむを得なかったと思うでありますが、漸次経済界が安定をしてくる。民心の安定に伴いまして、いろいろ考えていかなければならぬことがたくさんあると思うのであります。ことに私は、そのことによって生ずる社会悪の矯正という点については、格別に留意をしていくべきときがもう来ておる。こういうような観点から、さきに、本院といたしましても、競輪とか競艇とかいうものについては、少くともああいうふうな付帯決議を提案いたしました私どもの気持といたしましては、これはもう早急に取りやめるべきであるというような感覚に立って、付帯決議をいたしたと考たておるのであります。そこで、通産大臣にお伺いいたしたいのですが、自転車競技のようなものは、今後もこれを続けていくというお考えなのか、どういう態度で取り組んでいらっしゃるのか、まず基本的な態度をお伺いいたします。
  340. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 三十年の五月に、当参議院の商工委員会でああいう決議がなされましたので、それに基きまして、政府では、官民からなる競輪運営審議会というものにこれをかけましていろいろ審議を願いましたところが、御承知のように昨年の五月に最初の答申が出て参りまして、その答申によりますというと、競馬、競輪、小型自動車競走というような、いろいろな射幸的娯楽のうちで、競輪が最も大衆性を持っており、愛好者も多いので、従って弊害の及ぶ範囲も広いのだ、そういうことを考えて、競輪を今のままに放置しておくことは非常に適当でない、しかし、ここで一挙に、全面的にこれを廃止するということも、事実上困難である、他のいろいろな射幸的な娯楽との均衡とか、あるいは地方財政に対する影響というようなものを考えて、やはりこれを全面的に廃止することは困難であるから、政府はそこからくる弊害を最小限度にとどめるように、そうして健全化と監督の強化というものを考えて、競輪法の改正を行うべきである。大体こういうことに審議会の意見が一致しましたので、私どもとしましても、大体この答申を基礎にしまして、今全面的に競輪を廃止するということは困難でもあり、適当でない、しかも、終戦直後のような社会状態のときと違いまして、非常に落ちついてきまして、いろいろ心配された問題がだんだんに減ってきて、健全化している現状でございますから、この弊害をできるだけ少くするための立法をこの際すべきである、こういう私ども考えをもって競輪の健全化のための監督強化というようなものを中心とした改正案をただいま準備している、こういうところでございます。
  341. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、重ねてお伺いしますが、競輪とかああいうような種類の娯楽といいますか、このことは、そのやり方についていろいろ考えてはいくが、これはやっぱり日本として将来に存続せしめておくべきものであるというようにお考えになっておると了解してよろしいのか。ただ、地方財政の問題云々でありまするが、私はああいうような収益によって学校が建つとかということは好ましい姿ではないと思うのです。少くとも、あるいは過般のメルボルンの大会なんかに競輪の収益が相当当てがわれたということで問題を起したことのあると承知をいたしておりますが、神聖なスポーツなんかにそういう金が振り向けられるという姿は、少くとも私は歓迎すべきものではないと思うのです。学校の充実なり教育の発展のためには、もう少し考えを新たにしていくべきではなかろうかと思うのでありますが、地方財政に影響するという意味は、地方の公共団体が施設をしておるその施設を、ぱっととめてしまったら困ってしまうということで、地方財政云々ということなら理解できます。できますが、この収益を求めて公共団体の各種の施設を進めていくことが好ましい姿とはお考えにはよもやなっておるまいとは思いますが、地方公共団体の経営の上に非常に大きな影響があるというのは、どういう意味なのか。これは基本的に進めていくというようにお考えになっておるかどうかという点。  それから地方に影響を及ぼすということは、財政上の問題であると思いますが、その財政上の問題は、これがなければ困るというようにお考えになるのか。その二点です。
  342. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 競輪をなくすれば地方財政が困るということは、現状においては言えますが、なくしようという方針をとるならば、この地方財政を強化する方法は、別個に講ぜられるはずでございますので、地方財政のためにこれは廃止できないということは言い得ないと思いますが、しかし、もう競輪というものが許可され、今日までになってくるには相当の歴史を持っておりますので、これがあまり今では特別の弊害を伴わない一つの大衆的娯楽になっているというような点を考慮しまして、官庁側及び民間側で前後十一回この問題を審議しましたが、全体として弊害を最小限になくして、そうしてまた全面的に廃止しなくてもいいじゃないかという方向に、大体の意見がきまっておりますので、私どもも大体この方向で一応弊害を少くさせて存続させるという考えを持っておる次第でございます。
  343. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの御答弁は、少くとも先年本院で行われました付帯決議の趣旨とは、相当私は隔たりがあるというふうに思うのであります。弊害がだんだん少くなってきているとおっしゃいますけれども、とにかく非常に大切な昼日なかああいうことをやっている、競輪の競技方法については、いろいろなことについて矯正し得るといたしましても、あれによって生じておるいろいろな問題というものは、ひんぴんとして新聞紙上にも伝えられておるのでありまして、これはもう少し考え直していただかぬと、私はいかぬのじゃないかと思うのです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ただ一時にこれをやめてしまうということになると問題だ。しかし今のやり方について考えさえすれば、継続していくという方針については、私は意見になりますから、これは申しませんが、必らずしも賛成しかねると同時に、これは院の決議というものを無視している態度であるというようにも言わなければならぬと思うのであります。その点についてはもう少し実際に競輪のもち来たしている社会悪なりいろいろな問題について再認識をしていただきたい。そうして院の決議というものについても、その文字に盛られているという形だけを見れば、それはお考えになるようなことであったかもしれませんが、底を流れている精神というものは、これはやめるべきである。あの際にも、少くとも私の所属している緑風会におきましては、これは競輪を即座に廃止すべきだという議論が相当あったのです。がしかし、そのことを強行いたしますれば、お話にあったような施設をしている地方団体ても悪影響を及ぼすということでございますので、これは政府に一刻も早く地方団体に経済的な負担をかけないということを考えていただきまして、そのことのできるときにはこれをやめるということが、少くとも基本的な態度であったはずなんです。それを、やり方さえ変えれば、それを続けていくということにつきましては、さらに十分一つ御考慮をいただきたいと思うのであります。こんなものに資金を求めて学校を建設するとか、それからよくおっしゃいますが、大切な日本の輸出貿易をこういうことによってつちかっていこうという考え方は、私はまさに邪道であろうと思うのです。大切な輸出貿易をやろうというなら、堂々と予算を組むべきであって、こんなことによって出てくる金でやるべきでない。  さらに、これに関連してお伺いいたしたいのは、あの法律改正までは、これによって収益の一部というものを政府が取って予算に組んで、この経理をされてきた。ところがこれを民間の団体に行わしめて、これは通産大臣がそれを監督していくという立場をおとりになっております。なっておりますが、とかくの議論のあるこの事業についての収益というものを民間団体に、監督すると申しましても、まかしておくという姿は、いかがかと思います。むしろ堂々と政府が取り上げて、そうして一刻も早くこのことをやめるという方向に向ってこの資金を使っていくということが好ましいのではないか。極端な表現をいたしますれば、通産関係の事業の振興について、予算のときに幾ら折衝しても、大蔵大臣が固いのでなかなかくれない。だから抜け穴をここに求めて、通産行政の発展を求められているのではないか。これは非常に卑怯な態度であると思われる。これは邪推かもしれませんが、大蔵大臣の目の届かないところで、しかるべく仕事が一つできるのだ、こんなけちな考えで競輪の問題を扱っていただいては困る。これは私のひが目だと思いますが、そういうふうに見えるのですよ。これはそう見えるのです。大蔵大臣の目の届かないところで、通産行政の発展を期しておられる、この点については十分一つ考え直していただきたい。今回の法律改正について強化する、強化するとおっしゃっておりますが、これはまさに恒久的な事業として育成していくという方向が非常に強く感ぜられるのであります。非常に残念なことと思いますので、再検討をしていただきたい。  車の問題が出ましたので、ついでにお伺いいたしますが、近ごろ町を歩きますると、外貨の割当で正規なルートを通してこんなに外国の車がたくさん入ってくるというはずはないというように、私は常識的に考えます。もちろん駐留軍の諸君や、バイヤーの諸君が、国法の規定に基きまして入れておるものもあると思いますが、これはもうそれぞれナンバーの標識なりその他がはっきりいたしておりますので、区別がありますので、そういうものを除外して考えましても、何と考えても、町を走っておる車に、こんなにりっぱな外車があろうかということは、外貨の面からいって、どうしても想像できぬ。これにはかなりやみの外車が入っておるというようにしか考えられませんのでございますが、通産大臣そういうふうにお考えになりませんかどうか。あるいは全部が正規なルートを通してきているというようにごらんかどうか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  344. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 現在では外車を入れる許可については、非常に厳重にやっておりまして、もう日常事務に私どもがたえないくらいで、これは向うで使用しておったのをそのまま持ってきたのだから入れろ、あるいは向うに住んでいる人がこちらの親に対する贈りものだからというので、あらゆるところからこの許可をせい、この許可をするようにというので、私ども煩にたえないくらいこの要望は強うございますが、役所は、この点で非常にただいま憎まれておりますが、憎まれても、基準は厳重に守るという方針で今やっておりますので、やみの車がそうたくさん日本に入ってくるということは、事実上できないようになっていると私どもは確信しております。
  345. 森八三一

    ○森八三一君 建前上はそういうことに確信を持っておやりになっておると思いますが、実際上は、現実はそうでないということは、その専門の諸君がしばしばそういうことをおっしゃるのでありまして、そこで、大蔵大臣一つお伺いいたしますが、税法上向うの連中が持ってきて、こっちで使うという車は、一応関税の関係がなくなっておるという特別の措置が講ぜられておる。これは一つ、とにかく入れる車については全部正規の関税をかけてしまう、そうして、今度はそのものを持ち帰るとき、そのときに返してやる、こういうように措置をしたら、その点がもう少し整理されていくのじゃないか、こう思うのです。その特典を今剥奪するというのじゃなしに、一応関税はかける、そうして今度は持って帰るときにそれを返してやると、こういう格好にすれば、世間でとやかくいわれておる姿というものは解消できるのじゃないか、こういうようなことも考えるのですが、何か、通産大臣は厳重にやっておるからそんなことはないと思っておると、こう言うのですが、思っていらっしゃるだけで、実際は相当あることは、これはもう常識的な問題で、間違いないと思うのです。専門家もそう言っているのですから。だからそういうことをためていく一つ方法でもあり、そうしてまた、日本の税法というものが完全に守られるという、しばしばここでも議論される順法精神を強めていくという点からいっても、特別な、ある一部の連中だけが、一度車を商えば百万円もうけたなんという変な姿を見ないようにしたいと思いますが、そういうことはいかがでございましょうか。
  346. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来からいろいろ議論の的になっているのでありますが、大体は、やはり関税を納めなければナンバーを渡さぬと、こういうふうにいたしております。関税の納付証明書がなければナンバーを渡さない。それからまた、駐留軍が自分で使っておったものを売却いたしますときも、これは関税並びに物品税を取っております。それから、従来おおむね外国から来る人、あるいは日本人で外国で使っておったという車を入れる場合があるのでございまするが、これはいわゆる引っ越し荷物、これにつきましては最近特にきつくいたしまして、一年以上使っておった証明がなければ認めない、いろいろな手を尽して取締りはいたしているのでございます。
  347. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連質問。今の自動車のことですが、私は森委員のお尋ねに対して、まことに同感を禁じ得ないのでありますが、特にこの際関連してお尋ねしておきます。  それは、かつて鳩山内閣ができました早々において、鳩山内閣は、いろいろ国民の気持に触れるような、まあいわば善政の政策を発表せられたことがあります。たとえば役所の寮、官邸等の整理から始まりまして、役所においては輸入車は使わない、国産車を使用する、こういう方針をきめられたことがございます。この方針は、今度の石橋内閣並びに岸内閣も同じように踏襲しておやりになるかどうか、この点を伺いたいと思うのであります。  それから第二点としまして、実はあの閣議決定で政策がきめられた以後におきまして、政府並びに政府機関として新しく設けられたものが相当あります。何々公団でありますとか何々株式会社であるとか、要するに政府並びに政府機関の内部において、外車が依然として購入をせられております。こういうことは内閣の政策に反することが行われていると思いますが、これについては、通産省は十分に調査をされているか、あるいは大蔵省におきましてそういう調査をせられているか。この二点について伺いたいと思います。
  348. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国産車を官庁が率先して使用したいという考えは、十分ございますが、この問題については、そのやり方についていろいろ部内で相談しましたが、現に使っている車がまだ使用にたえるのに、ここで一斉に国産車を使うということは、やはり非常に経費の乱費に流れるような傾向がございますので、現在使用の車が使えなくなるときに、漸次国産車に置きかえていこうという大体方針で、無理に国産車を政府が使っていくということは、道義的ないろいろ効果はあるかもしれませんが、結局現在の車以上に新しい車を買って、乱費する結果になると思いますので、その方を私どもはおそれて、逐次国産車に賢きかえていくという方針をとっております。(「方針は変らないのか」と呼ぶ者あり)この方針は変りございません。  それからそのあとの質問の方は、私自身まだよく実態を知っておりません。
  349. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算の作成に当りましては、国産車を基準にして予算を作っております。事務当局に聞きますと、事業官庁の方で、一、二外車を買った例もあるそうでございます。詳しくは、各官庁でどうこうしたということは、主計局長からお答えいたします。
  350. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 昭和三十二年度の乗用自動車に関する予算でございますが、原則として、年、式の古い外車を国産車にかえる、その交換差金を認めるということで、百十六台分の交換を予定いたしております。積算の単価等は国産車でいたしております。ただし、昨年実態調査をいたしました結果、新たに購入を要するものが若干ございます。たとえば外務省の在外公館等におけるもの十八台等々でございますが、これらにつきましては、購入を認めました数量五十三台ございますが、いずれも国産車で積算をいたしております。実際の運用に当りましても、できるだけ国産車ということで各省とも努力をいたしておりますが、事業官庁等におきまして、事業費を流用いたしまして、外車を買いました例が、昨年行管で行われました実態調査の結果、判明いたしまして、この点につきましては、今後さようなことのないように、政府部内におきましても申し合せをいたしているような次第でございます。
  351. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はその事業官庁と……あるいは事業官庁というよりも、もう少しワクを広げまして、政府機関の、政府が出資あるいは投資をしておる会社、公団、そういうものに、現実に鳩山内閣でそういうふうに政策を決定し、具体的な実施の内容までも、これは当時の通産大臣から私は伺っております。そういうことがきめられておるにかかわらず、買われておるという実例を知っておりますから、森委員質問に対して私は関連して申し上げたのであります。この点は、今も主計局長お認めになっておりますから、さらに厳重な実施ができるように配慮を願いたい。  それからもう一つは、今日自治庁の長官がお見えになっておりませんが、赤字財政に悩んでおる地方庁、こういう所においても依然として外車の購入、あるいは買いかえ等が行われておると思うのであります。こういうものについては、政府はどういうふうなお考えで処理せられようとしておるか、これをまず伺いたい。それからさらに政府が財政的にめんどうをみておるいろいろな外郭団体のようなものがあります、農業関係の組合やら、いろいろなものがありますが、そういうような所にもあるのではないか。従って、要するに外車を漸次やめていく、この基本方針にのっとって、格段の措置政府があらためてとられるべきである、こういうふうに私は強く要請をしたいと思うのであります。  それから先ほどの競輪の問題でありますが、私もずいぶん長く通商産業委員をつとめましたが、川崎のあの競輪騒擾事件がありました以後、競輪の廃止については強い意思を持っているのであります森委員の言われた通りであります。これに対して参議院の院議もきまっておるわけでありますが、水田通商産業大臣の先ほどの御答弁はきわめて中途半端であります。私はやはりこの席上において、政府方針として競輪をやめる方針である、こういうことをはっきりしてもらいたい。そうしてその善後措置として、いろいろおとりになるところの手続については、われわれも了承するにやぶさかでありません。ありませんが、内閣基本方針としては、競輪はやめる方針である、こういうことをはっきりおっしゃっていただかないと、これは将来いろいろ参議院においても議論しなければならぬ、この点は一つ重ねてお答えいただきたい。
  352. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いろいろ御意見はございますが、それをどうきめるか、この検討をせよというのが参議院の御決議でございました。むろんその裏には、できるだけやめろというお考えがあったことは承知しております。大ぜいで審議して、十何回やった結果、一応全面的にやめるということじゃなくて、弊害を少くして存置するのが適当だという答申になりましたので、私自身はその答申に基いて、これを継続するという考えでおります。ただし、先ほど森さんからお話がございましたように、最初は納付金が国家の収入だった。それが今はそうでなくなったのですが、これは裏で通産省がいろいろやろうという考えじゃございませんで、もういきさつは御承知だと思いますが、こういう射幸的な娯楽から生ずる収入というものは、国家収入にしなくてもいいのだ、施行者の地方団体から一定の機関に渡して、これが機械工業とか、自転車工業の振興になるようにすればよいという措置は、こちらから要求したものじゃございませんで、むしろ予算編成のとき、大蔵当局の希望をいれて、特別な立法ができた、こういういきさつになっておりますが、しかし、この問題については十分検討の余地があろうかと思いますので、今私ども考えております今度の改正案におきましては、三年一応今の形でいって、そのかわりこの受け入れ機関とか、この補助金の出し方というものについては、政府責任を持った監督のできるだけの体制にする、そうして三年ぐらいたったあとで、こういうやり方がいいか悪いかは検討するというようなことにして、とりあえず三年現行のような形でやっていきたいというのが私ども考えでございますので、これを永久問題として強化するとか何とかいうことではない。改正案を私ども考えているつもりであります。
  353. 森八三一

    ○森八三一君 時間がなくなりましたので、私の質問はまだだいぶ残っておりますが打ち切ります。打ち切りますが、今の競輪の問題につきましては、院の決議というものの受け取り方にかなり認識の相違があると思うのです。あのときに私どもは少くとも経過的に考えなければならぬことだから、五カ年間というような期間を付して時限法にかえてしまえという、そういう論議をしたこともありますが、そこまで縛るということはいかがかということで、やめるということを前提にして、政府善処を求めたといういきさつでございますので、そのいきさつをさらに十分一つ考えをいただきまして、今後の方針について再検討を願いたいと思います。  最後に、大蔵大臣に一点お伺いいたしたいと思いますのは、二十四国会でありましたか、農地開発機械公団とか愛知用水公団ができるときに、その事業の資金を余剰農産物に依存をしているというような姿でございましたので、アメリカからの農産物が将来にわたって長く入ってくるということにはならぬ場合も考えられるだろう。そういう場合に、この問題の措置をどうするかということについて、しばしば論議を尽し、外務委員会農林水産委員会との間の連合委員会を開くとか、あるいは高碕経審長官の出席を求めて、計画上どういうように考えているかとかいうような、いろいろの議論をやりまして、この仕事についてはいかなる事態の変遷があろうとも、計画の年次中に所期の成果をあげることにはっきりと政府は腹をきめております、こういうような御答弁がありましたので、そこで画期的なこの仕事のために、われわれは法律の通過なりその他に賛成をいたして参ってきているのでありますが、政府内部におけるいろいろの調査なり研究なりが十分でなかっよというようなことから、国会に示されました事業計画の予算というものに、ある程度の変更を加えなければならぬというような事態に直面をいたしておりまするために、計画上考えられておりました世界銀行からの借り入れ等も遅々として進まないというようなことのために、この事業が停頓をしている。そのために、いろいろと新聞紙なんかにも、もうこの仕事はやめてしまうのではないかというような誤まった認識のもとに報道がせられているというようなことから、関係の人々は非常な焦燥の念にかられているということでありますが、世銀の借り入れあるいは本年度の事業計画、将来に向っての事業計画に要する資金の調達については、高碕経審長官なり当時の河野農林大臣国会で表明されました趣旨というものとは、いささかも変更がないということを確信するのでありますが、それについての御意向を承りたい。これが一点であります。  それから厚生大臣に一点お伺いいたしますが、現在恵まれない盲ろうあ者等については、十分ではありませんが、国といたしましてもいろいろの手が差し伸べられているということであり、さらにこういう点については十分拡充をしていかなければならぬと思いますが、一つ忘れられているのは、吃音者の問題が十分国としては考慮されておらぬ。これは判定が非常にむずかしいではありましょうけれども、おしの人ほど難儀はしておらぬではありましょうけれども、やはり身体障害者として、何らかの措置をしてやる。私専門家じゃございませんからよくわかりませんが、承りますと、ごく簡単な矯正をすれば救済し得るという道が開かれるということであります。こういうことについては、将来国として厚生事業の一環として取り上げていくという御意思がございますかどうか。その点をお伺いいたします。
  354. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 余剰農産物の第三次の分を受け入れないことになりましたので、二十四国会におきまして御審議願いました愛知用水の問題が、今後どうなるかという御質問だと思います。御質問の要点は、安い金利の金がふんだんに来ないじゃないか、こういう問題と、計画通りに事業が進まぬじゃないか、こういうことだと思います。  で、第一の低金利の金がふんだんにこないということにつきましては、将来余剰農産物というものは全然ないということを前提にいたしました場合におきましても、資金運用部の金をこれに注ぎ込みたい。そうしてそれは金利が点い。従って四分か四分五厘で借りておったのが、六分二、三厘、五厘になっては負担が違う。こういう問題につきましては、安い金利の分の償還を延ばすという方法を今考えておるのであります。また、愛知公団の負担を少くしますために、事務費を国の負担を多くしよう、こういうことも考えておるのであります。ただいま余剰農産物が将来永久にないのだとも断定できませんが、ない場合におきましても、当初の計画が遂行できるように、政府としては措置をとっていきたい。第二の事業計画が実際にいっていない、物理的に少しおくれたのじゃないか、こういうことは、やはりああいう事業の施行に当りましては、初めの一、二年はおくれやすいのでございます。われわれは、できるだけ隘路を排除しまして、事業を進めていきたいと考えております。
  355. 神田博

    国務大臣(神田博君) 吃音矯正につきましては、お説の通りほとんど今まで手をかけておらないようでございます。今度のこの予算の中に、国立ろうあ者更生指導所、これを計上されておりまして、ここで一つ取り上げまして検討いたしたいと、こういう考えでございます。この吃音の原因につきましては、いろいろ複雑なようでございます。よく一つ、御趣旨私ども同感でございますので、今度できます指導所で、十分検討いたしまして、とり上げて参りたいと、こういう方針でございます。御了承願います。
  356. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 本日は、これにて散会いたします。    午後七時三十四分散会