運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-08 第26回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月八日(金曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     苫米地義三君    理事            迫水 久常君            左藤 義詮君            堀木 鎌三君            安井  謙君            天田 勝正君            森 八三一君    委員            青木 一男君            石坂 豊一君            泉山 三六君            木村篤太郎君            小林 武治君            関根 久藏君            土田國太郎君            成田 一郎君            野本 品吉君            林田 正治君            一松 定吉君            前田佳都男君            内村 清次君            小林 孝平君            中村 正雄君            山田 節男君            湯山  勇君            梶原 茂嘉君            田村 文吉君            千田  正君            八木 幸吉君   政府委員    農林大臣官房長 永野 正二君    農林大臣官房予    算課長     昌谷  孝君    食糧庁長官   小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君    食糧庁総務部長 武田 誠三君   ————————————— 本日の会議に付した案件 ○昭和三十二年度一般会計予算内閣  送付予備審査) ○昭和三十二年度特別会計予算内閣  送付予備審査) ○昭和三十二年度政府関係機関予算  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ただいまより委員会を開会いたします。  昭和三十二年度一般会計予算  昭和三十二年度特別会計予算  昭和三十二年度政府関係機関予算を議題といたします。  まず、農林省関係予算について説明を求めたいと思います。
  3. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 昭和三十二年度農林関係予算案について、その概要を御説明申し上げたいと思います。  まず、一般会計における農林関係予算案の全体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、八百十二億一千四百万円となっております。これに総理府所管農林関係公共事業費七十九億四千九百万円及び原子力平和利用に要する経費九千三百万円、労働省所管農林関係公共事業費一億六千百万円並びに建設省所管農林関係営繕費六千七百万円を加えました農林関係予算の合計は、八百九十四億八千三百万円となり、前年度に対し十七億二千百万円の増となっております。  次に本予算案編成の重点について申し上げますと、第一は、生産基盤の拡充と生産性の向上でございます。第二は、新農山漁村建設の推進と農林漁業経営安定対策であります。第三は、農林漁業団体関係及び農業災害補償制度等であります。  以下、この重点に従いまして、主要経費について簡単な説明を申し上げたいと存じます。  まず、第一に生産基盤の拡充と生産性の向上でありますが、そのうち第(一)は食糧増産対策経費についてであります。  1 土地改良開拓事業等の農地の拡張改良による食糧増産関係予算としましては、二百七十億八千三百万円を計上しております。  (イ)土地改良事業に百二十四億四千三百万円を計上いたしておりますが、このうち新規国営灌漑排水事業につきましては、国営及び代行の干拓事業とあわせてその国庫負担分を新しく設けますところの「特定土地改良工事特別会計」に繰り入れまして、地元負担分は同特別会計において別途財政資金の借り入れによることとして、短期かつ計画的に工事の促進をはかることといたしました。またその他の灌漑排水事業につきましては、相互に関連を持たせて実施するほか、他事業との関連工事については特に重点的に工事を推進することといたしました。  また防災事業につきましても、前年より増額いたしまして、早期完成に努めております。  (ロ)開拓事業につきましては七十八億三千二百万円を計上いたしました。このうち国営、代行の干拓事業につきましては、その国庫負担分を前述の特別会計に繰り入れて実施することといたしております。  開墾建設工事等につきましては、入植者の開墾進度に逐次あわせるよう工事の進度を考慮いたしました。  (ハ)次に耕地整備事業につきましては二十二億七百万円を計上いたしております。特に寒冷地対策として暗渠排水、客土等の工事の促進をはかることといたしております。  (ニ)開拓実施費につきましては、新規に四千戸の入植を予定いたしまして二十二億二千六百万円を計上いたしました。  (ホ)農業機械整備費は、二億九千四百万円を計上いたしております。  (ヘ)以上のほか、外資関係事業としましては、愛知用水事業に四億円、上北、根igetaの両地区に六億四千万円、篠津開発のための経費として八億五千万円をそれぞれ計上いたしております。  2 災害関係事業費といたしましては、災害復旧事業費七十二億三百万円、災害関連事業費七億六千六百万円及び鉱害復旧事業費三億五千七百万円を計上いたしました。  3 なお、公共事業の行われにくい農山村後進地域を対象とする小団地開発整備事業につきましては、引き続き計画的に実施いたすことといたしまして、これに要する経費三億円を計上いたしております。  4 次に耕種改善による各種農産物の生産の増強対策について御説明申し上げます。  (イ)まず主要農作物種子対策につきましては、その種目、事業量等についてはほぼ前年度同様でありまして、これがため二億七千六百万円を計上いたしました。  (ロ)次に耕土生産力増強対策につきましては、低位生産地の調査費として五千九百万円を計上するとともに、大豆作地帯等畑作地帯耕土改良のため三千二百万円を計上いたしております。  (ハ)次に、植物防疫事業につきましては、農薬備蓄制度とあわせまして、病害虫発生予察事業及び防除組織の整備、特に市町村における防除器具の計画的整備に努めることとし、二億九千六百万円を計上しております。  (ニ)以上のほか、耕種改善事業として特殊農作物及び園芸農作物生産改善の経費として八百万円を計上しております。  第(二)に治山治水事業林業振興に要する経費についてであります。  1、先ず山林公共事業費につきましては、治山事業に四十二億九千六百万円、造林事業に二十九億六千八百万円、林道事業に十九億千五百万円及び災害復旧等に五億九千万円を計上いたしております。  特に林道事業につきましては、未開発林の開発とも関連いたしまして、その整備拡充に努めましたほか、造林事業については本年より林種転換及び新伐造林に重点を置いて推進することといたしました。  また、森林開発公団につきましては、前年実施した林道事業に対する国庫補助一億円を別途計上いたしました。  2、林業振興に要する経費につきましては、その事業の必要性に応じ、保安林整備計画実施に二千八百万円、森林病害虫等防除に一億九千二百万円、有益鳥獣増殖に七百万円を計上いたしますとともに、森林計画に新たに公有林経営計画を加えて三億三千五百万円を、毬果採取等優良種苗確保のため四千三百万円をそれぞれ計上いたしましたほか、新たに林木品種改良事業に千八百万円を計上いたしました。  第(三)に水産振興に要する経費についてであります。  1、新漁場の開発並びに水産生物資源の調査につきましては、沖合未開発漁場の積極的開発を行うため五百万円及び国際漁場の開発のため三千四百万円、中南米漁業調査のため一千九百万円を計上いたしておりますほか、国際漁業生物調査関係等に六千七百万円を計上しております。  2、沿岸及び内水面漁場の維持及び増殖につきましては、二億一千五百万円を計上いたし、漁場の維持培養沿岸漁業の振興に特段の努力をはかりますとともに漁業調整に一億二千六百万円、漁業取締指導に八千九百万円を計上いたしました。  3、なお、国際漁業関係取締り指導について三億三千七百万円を計上いたしております。  4、漁港施設の整備拡充につきましては、三十一億二千五百万円と大幅に増額いたしましたほか、災害復旧事業費等に十五億七千万円を計上いたしております。  第(四)に畜産振興に要する経費についてであります。  1、家畜の導入及び改良増殖について二億九千二百万円を計上いたし、都道府県に対する種畜購入補助世界銀行資金によるジャージー種乳牛二千五百頭の導入及び有畜農家創設事業による家畜の導入を実施して参る所存であります。  2、次に自給飼料対策でありますが、まず、牧野改良対策として草地改良に一億七千二百万円、牧野改良センターに一千七百万円を計上いたしましたほか、飼料自給度向上対策といたしまして、三千六百万円を計上し、飼料自給経営施設補助及び飼料作物原採種圃等の事業を実施することといたしております。  第(五)に蚕糸業の振興に要する経費についてであります。  1、まず、生糸の需要増産につきましては、九千万円を計上し、従前の海外宣伝事業を強化拡充するほか、ニューヨークにシルクファッションセンターを設けることを予定しております。  2、これと相待って、国内における繭の合理的増産と養蚕経営の合理化の措置として、前年に引き続き技術改良対策及び桑園能率増進対策を講ずるとともに、新たに千九百万円を計上して、凍霜害対策用の稚蚕共同桑園の設置補助を行うことといたしております。  3、次に、生糸設備の処理に要する経費として、新たに五千百万円を計上いたしております。  第(六)に農林水産関係調査研究並びに技術の向上に要する経費についてであります。  1、農林水産業発展の基盤となる試験研究につきましては、農林水産技術会議を中心として、中央・地方を通ずる試験研究機関の活動の強化と施設の拡充整備をはかるため、国の試験研究機関の諸経費三十一億七千七百万円、都道府県の補助費二億九千五百万円、民間試験研究の助成九千万円を計上いたしておりますが、特に前年度に引き続き、技術会議に、新規研究費一億五千六百万円、施設費二億五千六百万円を一括計上いたしました。なお、原子力関係予算につきましては、九千三百万円を別途総理府所管に計上いたしております。  2、試験研究の成果を急速に浸透するためには、農業、畜産業、養蚕業、林業及び水産業における技術改良普及事業の強化をはかることが緊要でありますので、これがため二十七億三千三百万円を計上いたしております。  3、農林漁業関係の統計、調査に要する経費といたしましては、四十一億五千三百万円を計上いたしましたが、新たに緊急畜産センサス等を行うことといたしております。  第二の重点として新農山漁村建設の推進と農林漁業経営安定対策について御説明申し上げます。  第(一)に、新農山漁村建設総合対策に要する経費についてであります。  新農山漁村建設総合対策につきましては、前年度に引き続きその事業を計画的に拡充いたすこととし、計画樹立地域数を新規九百地域、事業実施地域を継続五百三十四地域、新規九百六十六地域、計一千五百地域とするため特別助成費二十七億六千八百万円を計上いたしております。  第(二)に、農山漁村青年総合対策に要する経費についてであります。  農山漁村振興の中核となる青年を対象として、各種の実践活動及び、研修への参加や内外先進農業地域への留学等を行わせるため八千七百万円を計上いたしております。  第(三)に、寒冷地農業振興対策についてであります。  北海道、東北等寒冷地帯農業の安定とその振興をはかることが急務でありますので、土地条件の整備と並行いたしまして、有畜経営への転換を促進する目的で、展示農家群に対する乳牛及び役肉牛の国有貸付制度を創設するとともに、これら農家群を中心として畑作経営の合理化と畑地土壌の維持培養をはかるため、国有トラクターの貸付を行い、寒冷地道県農業機械化センターを設置せしめるほか、寒冷地特用作物生産振興及び寒冷地試験研究の強化等の措置を講ずることとし、これに要する経費四億九千万円を計上いたしております。このほか冷害恒久対策として北海道を中心に公共事業費三億円が計上してありますことは、先ほど述べました通りであります。  第(四)に、農地制度の維持発展と中小農家の経営安定の経費であります。  1、まず農地制度については新たに転用基準を設定し、農地壊廃防止の徹底を期するほか、自作農創設維持に要する経費として、五億二千六百万円を計上いたしますとともに、農林漁業金融公庫自作農維持資金を増額して、五十億円といたしたのであります。  2、なお新たに中小農家振興対策といたしまして、和牛、豚、めん羊等の家畜の導入を奨励するための経費として、二千八百万円を計上しました。  第(五)に、開拓営農の安定に要する経費であります。  開拓地営農指導等に七千三百万円、開拓融通保証協会の出資増加に三千万円、開拓者資金融資特別会計への繰り入れに九千八百万円等を計上いたしたのでありますが、このうち特に開拓者営農特別振興対策として、旧債の借りかえを行うための利子補給の助成として一千五百万円を見込んでいるのであります。  第丙に、農林水産物及び生産資材の流通改善と価格安定に要する経費についてであります。  1、まず化学肥料については、臨時肥料需給安定法に基く需給調整のため七千五百万円を、農薬については、中央段階の保管に重点を置いて、所要経費六千七百万円をそれぞれ計上しておりますほか、購入肥料、テンサイ糖及び農産物価格安定法に定める各種農産物につきましては、食糧管理特別会計において価格の安定をはかることといたしております。  2、乳製品につきましては、国内産脱脂粉乳及びバターの学童給食等特定用途向けの利用を奨励することとし、これに必要な経費一千万円を計上いたしております。  3、農林水産物輸出振興に要する経費としては、先に生糸の需要増進で申しました九千万円のほか、前年度に引き続いて通産省に計上された予算をもって、まぐろ、みかん等農林水産物の市場開拓の事業を行うこととしております。  第(七)として、農林漁業経営のための所要資金の確保に要する経費についてであります。  1、三十一年度に発足した農業改良資金制度につきましては、技術導入資金の貸付額を十二億八千四百万円、施設資金の融資額を二十二億七千八百万円といたしますため必要な資金の造成に努めますとともに、新たに施設資金についての利子補給に対する助成を行うことといたし、これらに必要な経費五億七千五百万円を計上いたしております。  2、農林漁業金融公庫につきましては、産業投資特別会計よりの出資七十億円、借入金百八十億円、回収金等百億円、合計三百五十億円の原資をもって融資を行う予定にいたしております。  3、(イ)農林水産業における組合系統資金積極的活用に関する措置といたしましては、中小漁業融資保証保険特別会計において年間百億の保証を予定しておりますほか、農業改良資金制度により二十二億七千八百万円、開拓融資保証協会出資三千万円により、従来の資金量に加えて一億八千万円、有畜農家創設特別措置により十二億八千三百万円、開拓営農振興特別措置により約四億円が予定されております。  (ロ)なお、一般会計による利子補給金といたしましては、以上述べましたほか、過年度における各種災害のための営農資金に対する利子補給及び昭和三十一年度北海道冷害による概算金返納措置に伴う利子補給金等合せて十二億六百万円を計上いたしております。  第三の重点として、農林漁業団体関係の経費及び農業災害補償制度等について御説明申し上げます。  第(一)に、農業委員会関係に要する経費についてであります。  全国農業会議所配道府県農業会議に対する事業活動促進に必要な助成費を前年と同様一億一千万円計上しておりますほか、市町村農業委員会費補助につきましては、新制度の発足が予定される昭和三十二年八月以降は、新制度に基く農地関係事務処理等の実情を考慮して、従来は職員三分の二人に相当する分を負担していたのに対し職員一人に相当する分を負担することといたし、他方、町村合併による委員会数の減少等を考慮して九億八千五百万円を計上いたしております。  第(二)に、農業協同組合等農林漁業関係組合に要する経費についてであります。  農業協同組合中央会の、事業活動促進補助のため、前年同様六千万円、農林漁業組合の検査指導のため一億四千百万円を計上いたしますほか、農林漁業組合連合会整備促進事業費として、五億七千七百万円を計上いたしております。また、不振農協の整備強化対策といたしまして、一億七千百万円を計上しております。  第(三)に農業保険等に要する経費についてであります。  1、農業災害補償制度につきましては、かねてから制度改正につき鋭意検討を続けて参りまして、本国会に農業災害補償法の一部改正法律案を提出いたす予定でありますが、昭和三十二年度予算案におきましては、現行制度に基き、農業災害補償制度に必要な経費百七億二千六百万円を計上いたしております。  2、なお、漁業共済制度につきましては、自然的条件に左右されるところの多い漁業の実態にかんがみまして、なお慎重に検討すべき事項も残されておりますが、昭和三十二年度においては一部試験的に実施いたさせることとし、これに要する経費七百万円を新たに計上いたしております。  次に、昭和三十二年度の農林関係特別会計予算案について御説明申し上げます。  第(一)に、食糧管理特別会計につき申し上げます。  この会計の歳入、歳出は、ともに八千六百四十三億二千二百万円となっております。  この会計の予算の編成に際しましては、種々論議のあったところでありますが、今後の運営方針、特にその合理化につきまして、新たに特別調査会を設けまして、十分に有識者の御論議をいただいた上善処いたすことといたしました。  (イ)米及び麦類につきましては、従来の方針を継続して参りますが、三十二年産米の集荷数量は二千七百万石、国内産麦の買い入れ数量は百二十二万トンと予定いたしております。外国食糧の輸入については、需給上必要な限度で、良質廉価なものの確保に努めることといたしました。  (ロ)食生活の改善につきましては、学童給食用小麦廉価払い下げに伴う損失補てん金として、十三億円を一般会計より受入れることといたしております。  (ハ)米麦以外の農産物等につきましても、前年に引き続きでん粉、テンサイ糖甘藷生切干、なたね、飼料の買い入れ費を計上しております。  第(二)に、農業共済保険特別会計について申し上げます。  この会計の各勘定を通じまして、歳入歳出ともに百七十一億四千四百万円となっております。  このうちまず基金勘定につきましては、その歳入、歳出はともに二十九億三千九百万円を計上しております。  次に農業勘定でありますが、歳入歳出ともに、百十四億千九百万円を予定しておりまして、七十八億二千五百万円を一般会計から受け入れることとしております。  次に家畜勘定につきましては、歳入歳出ともに二十七億八百万円でありまして、五億四千四百万円を一般会計より、受け入れることとしております。  第(三)に、森林火災保険特別会計について申し上げます。  この会計の歳入歳出は、ともに四億六千八百万円でありまして、前年同様の事業を実施することといたしております。  第(四)に、漁船再保険特別会計について申し上げます。まず普通勘定につきましては、歳入歳出ともに十六億四千三百万円と前年に比し増加をいたしておりますが、これは加入漁船数の増加によるものでありまして、このため国庫負担分三億七百万円を一般会計より受け入れることといたしております。  特殊保険勘定歳入歳出ともに四億二千七百万円を計上いたし、再保険金の支払に充てることといたしております。  また、給与保険勘定につきましては、歳入歳出ともに一億二千百万円を予定いたしております。  第(五)に、自作農創設特別措置特別会計につき申し上げます。この会計の歳入歳出は十三億八百万円でありまして、開拓用地等の買収及び売り渡しにつき必要な経費を計上いたしております。  第(六)に、開拓者資金融通特別会計につき申し上げます。  この会計の歳入、歳出は二十五億三千百万円でありまして、新規入植戸数、四千戸を予定して、営農資金及び共同施設資金八億八千百万円を貸付けることといたしております。  また、開拓者に対する家畜資金として四億九千六百万円を計上いたしております。  このほか、営農不振の地区に対しましては、その振興対策資金として一億六千百万円、累年の災害を受けた入植者に対しては、農機具購入等営農改善資金として一億九千六百万円を計上いたしております。  次に、国有林野事業特別会計につき申しあげます。  この赤い計の歳入、歳出は四百二十九億八千八百万円であります。  本会計においては、木材の需給計画に基く国有林よりの必要供給量はこれを確保し得るよう措置することとし、北海道の風倒木については三十二年度をもって処分を完了することといたしました。また、従来一般会計で実施していた水源林造成事業を、都道府県における既契約地を除き、官行造林事業として実施するほか、一般造林事業費については、北海道風倒木の跡地造林に主力を注ぎ、林道事業については既設林道の改良に重点を置いてそれぞれ実施することといたしました。治山のための民有林買い上げについては、前年同様十億円を予定しております。  なお、林木品種改良事業として一般会計と相応した計画のもとに、育種場を設けることといたしました次第であります。  次に、糸価安定特別会計につき申し上げます。  この会計の歳入、歳出は、五十四億九千二百万円でありますが、これにより最低価格による生糸の買い入れ量を一万俵、輸出適格生糸特別買い入れ量四千俵、及び繭の保管数量百万貫を予定し、これらに要する経費については前年度剰余金のほか、糸価安定特別会計法の運用により、三十億円を限度とすることといたす方針であります。  次に、中小漁業融資保証保険特別会計について申し上げます。  この会計の歳入、歳出は、七億二千九百万円でありますが、これにより三十二年度は保証額を百億円、これに伴う保険金支払いは三億三千四百万円を予定しております。  最後に新たに創設いたしました特定土地改良工事特別会計につき御説明申し上げます。  この会計は歳入歳出四十二億四千四百万円をもって、国営灌漑排水事業のうち、新規着工分と、国営、代行の干拓事業を経済速度をもって実施いたすこととし、従来は地元負担も含め、全額国費でまかなってきたのを改めて、一般会計支出は国の負担分相当額にとどめ、地元負担額は借入金をもって調達することとし、これにより事業の早期完成と、施行の効率化をはかることといたしました。  以上をもちまして、農林関係一般会計予算及び特別会計予算案の概要の御説明を終えます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ただいまの説明に対して御質疑がございましたら……。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 まず、用排水等に対する、地方公共団体なす用排水整備等については、どの費目から出しますか、食糧増産対策費の中からだと思うのだけれども一。
  6. 永野正二

    政府委員永野正二君) 地方公共団体がいたします土地改良事業としての用排水事業普通灌漑排水事業、こういっておるわけでございますが、それが結局最初の食糧増産対策経費二百七十億八千三百万円という中から、補助金として出ておるわけでございます。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 大まかにはさようでございましょうが、区分した中からはどこから出て参りましょうか、(イ)ですか。
  8. 永野正二

    政府委員永野正二君) (イ)でございます。実際この予算の中から、国営事業、それから県営、団体営等に、どういう区分をして出すかということについては、一応の目安がございますけれども、これはなお今後事業の実際に伴って決定して参るわけでございます。
  9. 天田勝正

    天田勝正君 そうしますと、今度の土地改良事業百二十四億四千三百万円、「このうち、新規国営灌漑排水事業につきましては」、以下云々という説明がしてありますが、今回は「特定土地改良工事特別会計」、こういう特別会計ができるという前提に立って、この特別会計からそうした補助金も何も支出していく、こういう予定でございますか。
  10. 永野正二

    政府委員永野正二君) この百二十四億四千三百万円の中で、ここに書いてございます新規国営灌漑排水事業以下、その特別会計でやる事業につきましては、特別会計の方に一般会計から繰り入れまして、特別会計の方は、この一般会計の繰入金と、それから別途借入金と両方合せまして、先ほど御説明をいたしました四十二億の基金を作りまして、これをもって事業を実施いたすわけでございます。
  11. 天田勝正

    天田勝正君 先にお答えになりましたこまかい実施方法等については、これから決定していくというお話でしたが、さっそく田植え時期も迫って参るわけですが、早く決定してもらわないと困りますが、その準備はもうすぐできるようにはなっておりますか、まず灌漑が初めですからね。
  12. 永野正二

    政府委員永野正二君) この土地改良事業につきましては、御承知の通り事前の調査及び設計を、数年にわたってやっているわけで、ございまして、三十二年度から事業費が新規につくという地区は、きわめて数は少いのでございます。大部分の地区については、従来事業が継続しておったものを、継続的に施行して参るものでございます。
  13. 天田勝正

    天田勝正君 ちょっとあまりこまかすぎるからやめましょう。そうでない例があるからお聞きしようと思ったのですが。  それから耕土生産力増強対策という項目がありますが、これはすでに低位生産地というものは、たとえば田でいえば秋落ちだとか、各府県庁においても、試験研究機関においても、ほとんど私は捉えられているだろうと思うのですが、ここに新たにまた調査費というのは、つまり全体的に調査するとすればまた少いという、こういうことになるので、中途半端な数字ですが、どういうところを調査するのですか。
  14. 永野正二

    政府委員永野正二君) ただいま御指摘のように、火山灰地帯、その他いろいろな特殊土壌で、低位生産地として考えられている地帯がございますので、それらにつきましての調査費として、五千九百万円を計上いたしておるわけであります。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 そういたしますと、すでに私が指摘した、多分わかっておるだろう、私落田とか、そういうところはもう調査するのではない。これは地方公共団体としても、すでに研究機関でも農林省としてもなさっておるから、さようなことは全然別だ、こういうふうに解釈していいんですね。つまり補足しますが、私が聞くのは、全体的に調査をするということなら、いかに腰だめの数字でも五千九百万円などでは幾ら初年度であってもとうていできない。ですからごく私は小部分を調査される数字だと、こういうことを頭に置いてお聞きをしているわけです。しかし低位生産地と言えば普通に言えば、まず食糧の大宗である米、この米ということになれば、すぐ考えられることは秋落田である、こういうことが考えてこられるわけですね。そうすれば、そういうものを調査するのだったらこれはえらい膨大な計画になってくるだろう。それでは中途半端な数字であるから、ごく限られたところを調査するのだろう、こういうまあ回った前提に立って質問しているわけです。
  16. 永野正二

    政府委員永野正二君) ただいま御指摘のございますように、日本の耕地全般につきましての生産力がどうであるかという実質的なと申しますか、土壌的な調査を網羅的にやるということに相なりますと、これは非常に経費がこういうものではとてもできないのでございます。ただ、従来すでに特殊土壌地帯で生産力が悪いというような地帯が大体常識的にございまするので、それらの各地帯におきまして、どういう方法によってその土地の生産力を上げていけるか、どういう作物をどういうふうに栽培して経営していったらいいかというような点につきましての、各地帯別の調査をこの経費をもって行なっていくわけでございます。
  17. 天田勝正

    天田勝正君 次に、畜産振興の方をお聞きします。  自給飼料対策という項がありますが、問題は、私は日本の草地を改良しなければ、いかに畜産振興と言うてもとうてい目的は達せられない。秋になって木が枯れ紅葉するということになれば、下の草もとに枯れていくというような野草であっては、これは安定した牧畜などできるはずはないので、野も山も雪におおわれたり紅葉しても、その下の草というものはやはり青青と茂っている、こういう野草即牧草というところまでいかなければこの狭い国土で牧畜の振興などは実際は不可能である、こういうふうな考えを持っております。現実に世界においてもそれに成功しているところはたくさんあるのだから、日本でもそういう道を進まなければならぬ。そういたしますと、牧野改良センターに一千七百万円などというのは、これは一体どういう規模でやるのか。何としてもちゃちだと思うのですが、これは一カ所くらい作ろうというのですか。それとも補助金で何カ所かへそういうところを作って、他は地方団体の負担によって事業量をふやしていく、こういうことですか。
  18. 永野正二

    政府委員永野正二君) ただいま御指摘のように日本の国土を高度に利用するという意味からいきまして、草資源と申しますか、草地の改良ということは、近来農林省としても非常に重点を置いておる事項でございますが、この牧野改良センターというのは、すでに既設の場所が八カ所ございまして、そこにおきます継続的な事業経費でございます。  なお、農林省といたしましては、来年度から特に寒冷地帯とその畑地の畜産の振興ということを結びつけまして、先ほども御説明を申し上げましたように、まず土地条件を変えていくこと、それから変えられた土地条件によって草と家畜導入すること、これによって、従来の米麦中心農業からこういう気象的な悪条件に耐えられるような寒地農業を確立したいと思って新しい経費も計上いたしておるのでございまするが、問題は、どういう草を植えて、どういう家畜をどういうふうに導入した場合に、農家の経営がどうなるか、労力の関係はどうなるか、あるいは機械に対するコスト等はどういうふうにまかなっていけるかという経営の問題に触れる問題でございますので、なかなか短日月でいきなり結論にいくかどうかは問題があると思うのでございます。いろいろな意味での試験研究をあわせてやっていかなければならない重大な問題だと考えておりますが、そういう方向でできるだけ努力をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  19. 天田勝正

    天田勝正君 あまりこまいことを聞いて他の委員諸君にも迷惑になりますから、私は資料を一つ要求しておきたいと存じます。  それは、今の問題もそうでありますし、次に聞こうと思っておりました桑園能率増進対策、この問題も同様でありますが、こうしたものについて、額は少いけれども、使い方によっては非常に効果を上げるこれは項目なんです。下手に使えばまことにただ捨てたという結果にもなる。で、まあ技術関係の人に私は聞いてもらいたいと思うわけですが、たとえば、凍霜害対策用の稚蚕共同桑園、こういうことで力を入れられるのは大へんけっこうであります。ただし、これが共同桑園といたしましても、要するに桑というものは用途別の桑といいますか、金肥を用いない桑をくれなければ、大きくなって軟化病にかかる率が多い。学者が何と言おうと事実がそうなんです。これは小さいときは天然生のような桑をくれ、大きくなればふさふさとした桑をくれればさして病気にはならないというようなことで、これは一例をあげたわけですが、そういう向きにやれば非常に効果が上るのだ、私はそういう意見を持っているわけです。ですから、さっき聞きました畜産関係とか、あるいは蚕糸業の関係とかについてはどういう面に使うのか、これは簡単ですから一つ次までに資料として私はちょうだいできれば幸いだと思うので希望しておきます。
  20. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 天田君の希望するような資料を用意して下さい。
  21. 永野正二

    政府委員永野正二君) ちょっと御説明してみましょう。ただいま御指摘の、ございました資料、は早急に整えましてお手元へ届けることといたしますが、後段のお尋ねの凍霜害対策の方の稚蚕共同桑園でございますが、これは、昨年の春非常にひどい凍霜害がございました。その後の経験として、こういうことをやったらよかろうという要望が非常に強かったのでございます。要するに霜道と申しますか、非常な低温が襲っても割合安全な地帯に桑園があるような、これは特別な場合だと思いますが、その特別の場合に、そこに共同の桑園を設置いたしておきまして、凍霜害があっても、稚蚕の間だけはそこの桑でもって飼える。もう少し齢が進みますと、今度は一般の桑園が芽を吹いて参りますので、最初から養蚕はあきらめなくても済む。特別な場合にこういう桑園が設置されるということになります。なおこれは年度計画をもって実施したいと思いますので、金額はこの程度になっているわけでございます。
  22. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 他に御質疑がございましたら御発言を願います。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 質問ではありませんが、資料としてこういうものがまとまるかどうか、お伺いしたいと思います。それは農業災害補償法に基く関係でありますが、昭和二十六年からになりますか、三十年まで、最近五カ年間の政府の予算に組まれた、もちろん補正も命めます一般会計特別会計、それも合計でけっこうです。予算額は幾ばくであったか、これはもうわかりますわね。
  24. 永野正二

    政府委員永野正二君) はい。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 それが一つ。  それからこの事業のため、法律に基く共済組合なり連合会があるわけでありますが、そういうような組織に対して農家が負担した負担金の合計は、各年次別に幾らであったか、その内訳として、事務費の負担分が幾らで、保険料の払い込みが幾らかという区分がほしいのであります。  それから第三に、年次別災害に対して補償保険料として給付せられた総額は幾らであったか、その金額、それからその給付せられた額が全額被災者に形の上では及んでおりましても、それがさらにいろいろな名目で寄付金その他の形で吸い上げられておるといったような事態があるといたしますれば、そういうようなことで吸い上げられた額が幾ばくであったか、これは非常にむずかしいと思いますが、そういうような資料がございましたら、そういう資料をちゃうだいいたしたいと思いますが、できますかできませんか。
  26. 永野正二

    政府委員永野正二君) 政府が特別会計をもって運用しておりますその収入支出の関係でございますと、これは正確な数字が出るかと思うのでございます。ただ末端の最末端の組合と組合員の間におきますと、どういう形でどういう金額が出ておるかということでございますが、この点につきましては、掛金等、明瞭なものもあるかと思いまするが、なかなか事務費の負担等につきまして正確な数字を出すことは実はちょっと困難ではないかと、こういう感じもいたすのでございますが、なお御趣旨によりまして、十分になるべく御希望に近いような資料を整えまして差し出したいと、こう存じます。
  27. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 農林統計調査の費用は四十一億五千二百万円と出ていますが、これは統計調査事務所の人件費等も皆入っていますか。
  28. 永野正二

    政府委員永野正二君) お説の通りでございまして、人件費約三十億をこの中に含んでおります。
  29. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、食糧事務所の費用はどれくらいでございますか。
  30. 永野正二

    政府委員永野正二君) 食糧管理特別会計に計上されております人件費、及びこれに付帯いたしました経費がございますがこれが大体百億と御承知いただきたいと思います。このほかに食糧庁には一般会計職員もおるわけでございますが、この方は数が非常に少うございます。
  31. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、やみ米を大体昨年どれくらい流れておるとお考えになりますか。
  32. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 八木君にちょっと御相談申し上げますが、このあとですね、食糧庁の予算説明を聞くつもりでございますが、その方の関係が強いのじゃないですか。
  33. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私の質問はそれが大部分でございますから、食糧庁の説明を伺ってから伺っていいと思います。
  34. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) それじゃ御質問がございませんでしたら、食糧庁関係の予算説明お伺いしたいと思います。今、食糧庁の総務部長武田説明員が来ておりますから、説明を願います。
  35. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 食糧庁関係の食管特別会計に関します予算概要を御説明申し上げます。  食糧庁の食管特別会計予算歳入歳出につきましては、先ほど官房長から概略を御説明を申し上げておるわけでございますが、この食管特別会計予算編成いたしました際の前提条件として、国内の米の買い入れ、その他買却等につきましての数量等の概略の前提を申し上げます。  最初に買い入れ数量でございますが、買い入れ数量につきまして、内地米につきましては、本年産米について二千七百万石の一応集荷を前提にいたしております。で、昨年産米の四月以降に買い入れます分と、それから三十二年産米、本年の秋にとれます米の買い入れ数量と両方合せまして、両方の数字を二千七百万石というように押えておるのであります。  それから内麦、(「何ページですか」「資料はないのか」と呼ぶ者あり)資料は差し上げてないようです。(「資料をこしらえて出して、それからやるといいんだ、君一人わかってもこっちはわからぬ」と呼ぶ者あり)まことにどうも申しわけありませんでした、簡単な資料でありますが、今お配りいたしまして、その上で御説明いたします。きわめて簡単な資料でございまして、申しわけありませんが、これに基きまして御説明を申し上げます。  これの三枚目のところが三十二会計年度におきます歳入歳出予算概要でございます。で、右側の歳出関係、食糧の買い入れ費四千百七十七億という数字が計上をいたしてございますが、これが先ほどちょっと申し上げました内地米の買い入れ、それから内地麦の買い入れ、さらに輸入食糧の買い入れ費の総額に相なっておるわけでございます。この中で内地米の占めておりますウエートが、先ほど申し上げましたように二千七百万石の買い入れを前提にいたしまして、計上をいたしてございます。それから内麦につきましては、おおむね前年程度の買い入れということを前提にいたしまして、大麦、裸麦、小麦合せまして約百二十万トンの買い入れを前提にいたしております。それから輸入食糧でありますが、これにつきましては昨年並びに一昨年の豊作、それに伴います国内の供給力の増、かつまた従来の外米の手持ちが現在相当大量に残っておりますので、それらも勘案いたしまして、買付数量はできるだけ減らすということで、外米につきましては総計で三十八万トン程度、それからそのほかに砕米、ブロークンでありますが、これを二万五千トン程度、合計いたしまして、四十万七千トン程度の買い入れを前提にいたしております。なお、三十一会計年度におきます外米の輸入の見込みは、約七十万トン程度でございます。それから大麦小麦いわゆる外麦の輸入でありますが、これはおおむね大麦につきましては、平年程度ということで、八十七万トン程度、さらに小麦につきましてはこれも平年程度の二百二十万トン程度のものを予定をいたしておるのであります。で、それらのものを買付をいたしますのに必要な経費といたしまして四千百七十七億を計上をいたしております。  その次に、農産物等買い入れ費でありますが、これは農産物価格安定法に基きますカンショ、澱粉、バレイショ澱粉、それからカンショなま切りぼし、菜種、大豆、こういったものの買い入れ、それからテンサイの生産振興法に基くテンサイ糖の買い入れ、さらに飼料需給安定法に基きます輸入飼料の買い入れに必要な経費を計上いたしております。これらはそれぞれの生産見込み並びに需給の関係から割り出しました数量を前提にいたしまして、それに必要な買い入れ措置として二百四十四億のものを計上いたしております。  それからその次に、食糧管理費でありますが、これは二百六十三億になっております。これのおもな内訳といたしましては、保管料と運搬賃が大部分でございますが、食糧の米麦並びに外国食糧、これらの保管料並びに運搬賃は、それぞれ約百億程度のものを見込んでおります。それからそのほかに米麦の買い入れをいたします際の集荷指定業者に支払っております手数料の経費、それからそのほかに予約集荷の奨励費といったものがこの中のおもな経費でございます。  それからさらに、農産物等管理費に十一億計上してございますが、これは先ほど申し上げました澱粉なり、えさなり、そういったものの主として保管経費でございます。  それからその次の事務費九十九億、これは人件費、旅費、庁費、食管特別会計に属します職員関係の事務費でございます。  それからサイロ及び倉庫運営費一億一千万円が計上してございますが、これは横浜と名古屋にございます政府サイロ、それから東京、大阪、名古屋、門司、あるいは山形の酒田そのほかの産地にございます政府倉庫を運営して参りますための事務、人件費を計上をいたしております。  以上が大体歳出のおもな点でありますが、他会計への繰り入れば、これは三千五百四十五億、これは食糧証券の返還並びにそれに伴う金利の国債整理基金特別会計への繰り入れであります。  そのほか予備費三百億を見込みまして、八千六百四十三億という歳出規模に相なっております。  これに見合います歳入といたしましては、食糧の売払代四千八百七十七億、これは米と麦の売払代の見込みでありますが、米の売り払いにつきましては、この十月まで三十一米穀年度におきましては、基本配給といたしまして、消費県におきましては内地米を八日、準内地米を二日、それから中間県におきましては、内地米を九日、準内地米を一日、それから生産県におきましては、内地米を十日の配給計画といたし、またそのほかに希望配給といたしまして、全国一率に十日の希望配給を行う。そのほかに普通外米につきましては、これも一率に月一人当り五キロの範囲まで希望があれば、これを売り渡しをするという前提のもとに、米の所要量を有効需要等から算出をいたしまして、それの売払代、それから麦につきましては、大体例年の、ベースによりまして需要量を見込みまして、それの売払代というものをおもな収入源にいたしております。そのほかに加工用といたしましての酒米あるいはみそ、その他に対します原材料用の売り払いというものが加わるわけでございます。  それから農産物等の売払代につきましては、これは澱粉、えさ、テンサイ等の売り払い代でございます。  それからその次にございます一般会計よりの受入十三億、これは学童給食のための小麦粉の安売りをいたしておりますので、それに関します一般会計からの繰入金でございます。  それから検査印紙収入四億二千万円、これは政府の買い入れます米麦以外の農産物につきまして、国営検査を実施をいたしておりますが、その検査に伴います検査手数料の収入でございます。  それからその次の雑収入二十六億がございますが、これの大部分は米麦の延納をいたしておりますが、その延納金利の収入でございます。  で、そのほか運用の資金として、食糧証券及借入金収入三千四百六十七億、合計いたしまして、八千六百四十三億という歳入を見積っておるわけでございます。  で、その結果といたしまして、年度末の糧券残高は、本年の三十一年度末は三千四百二十億でありますが、三十二会計年度末におきましては、四十七億ふえまして、三千四百六十七億というように予定をいたしております。  大体の食管特別会計歳入歳出の規模は以上の通りでございますが、来会計年度におきまして、今申し上げましたような買い入れ、売り渡しを行い、また消費者価格につきまして、現行ベースをそのままということで損益を計算をいたしますると、一ページ目の利益の方の一番下にございます百四十一億八千数百万円という赤字が出るという見込みを立てておるわけであります。  大体きわめて大ざっぱでありますが、食管特別会計概要は以上の通りでございます。
  36. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ただいまの説明に対して、御質疑がございましたら御発言を願います。
  37. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先ほど言われたのですが、この事務費の九十九億、これは先ほどお話のあった食糧事務所の経費は約百億、その意味でございますか。
  38. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 先ほど官房長から約百億と申し上げましたものが九十九億という数字でございます。
  39. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次にやみに流れる米は、大体どれくらいのお見込みでありますか。
  40. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) やみに流れております数量の推定は、これは実はなかなかむずかしいので、的確な数量ということはちょっと申し上げられませんが、大体いろいろな統計から推定をいたしまして、八百万石ないし一千万石程度ではないかというように考えております。
  41. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 政府が発表されておる収穫高に、この八百万石ないし千万石というものをプラスしたものがほんとうの実収高と、こう見ていいのですか。
  42. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 私の方は実はそうは必ずしも考えておりませんので、たとえば三十年産米で申しますと、七千九百万石余りの実収統計が出ております。それに対しまして、政府の買い入れました数量が、約三千二百万石足らずでございます。で、それを差し引きいたしますと、四千七百万石余りのものが農家の手元に残ったと、こういうことに相なるわけでありますが、農家の消費量は必ずしもそこまで達しておりません。従いまして生産統計に出ております数量のうちで、相当量のものが農家の余剰の手持ちになっておるそれがやみに流出しておるというのが大部分ではないかというように考えております。
  43. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうしますと、農林統計以外、ほんとうの実収ですね、大体どれくらいに見ていらっしゃいますか。
  44. 永野正二

    政府委員永野正二君) 供出割当制度当時この統計に出て参ります生産高と実際の生産高とには相当差があるんではないかという御議論が、しばしばあったのでございますが、当時は確かにそういうこともあったと思うのでございます。しかし最近この制度も、予約制度というような制度に切りかえましたし、また統計調査の方も、その後逐次精密を加えてきておると申しますか、努力をいたしておりますので、私どもといたしましては、政府の収穫統計に出てくる以外に千万石もあるとか、七、八百万石もあるとかというふうに大きなものとは考えておりません。ただこれが幾らあるかということは、ちょっと私ども一としては、これは何万石くらいであろうということを申し上げることは非常にむずかしいのでございまして、御了承いただきたいと思います。
  45. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 総理府の統計局の世帯調査の調べによると、三十年度で、都市においてやみ米への依存度が約四〇・〇七%、こういう数字が出ておるんですが、その辺から逆算して、大体のお見込みはついておるんじゃないですか。
  46. 永野正二

    政府委員永野正二君) 総理府の消費者家計調査その他は、確かに一つの算定のスタートにはなるかと思いまするが、これ自体にも全国の消費者をほんとうに代表できるかどうかという点の議論もございましょうし、また先ほど申し上げましたように、農家という、非常に大きな、何と申しますか、数量の上の緩衝地帯があるわけでございまして、消費の側から全体の供給量を推算するということは、非常にむしろ困難なことじゃないか。やはり全国の水稲、陸稲の作付けられております面積から、その反収というものを調査いたしまして計算をいたしております農林省の生産統計というものが、やはり基礎になるんじゃないか、こういうふうに考えるのでございます。
  47. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この間岐阜の食糧事務所へ伺ったときに聞いたんですけれども、食糧事務所の推定収穫高、実収高と、統計調査事務所の、同じく予想並びに実収高の統計には、相当な開きがあるわけであります。そこで農林省にきておるのは、むろん統計調査事務所の報告だろうと思いますが、食糧事務所の方からの統計と、全国的に見てどれくらいの、何パーセントくらいの開きがございますか。
  48. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 食糧事務所を通じましての実収高の見込みというものは、実は私どもの方は、食糧庁としては取っておりません。で、もしありといたしますれば、食糧事務所におきまして、各検査員の見込みの数量を単に集計をしたというものがあればあるのであろうと思います。そういうことで今お尋ねのような実は比較もいたしておりませんし、また食糧事務所を通じまして実収を調査するというようなことも実はやっておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  49. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 三十一年度の十一月一日現在の在庫高は、古米、新米、外米、この三つを合せてどれくらいでございますか。各別におっしゃって下さい。
  50. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 十月末現在の古米の政府の持ち越しでございますが、これは実はまだ確定を……全部の突き合せを終っておりませんが、大体の概数で、三十年産米の政府の手持ちは約七十万トン程度と考えております。
  51. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 二十九年度の分がまだあるでしょう。
  52. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 二十九年産米ですか。二十九年のものはございません。
  53. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 新米は……。
  54. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 新米は約百五十万トンないし百五十五万トンくらいになっていると思います。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 外米は……。
  56. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 外米につきましては、全部で約六十万トン程度でございます。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に伺いたいのは、この間いただきましたこの食糧庁の予算要求の提出資料についてでありますが、この中に、生産費をお調べをいただいたのでありますけれどもこれによりますと、三十年度の全国の総生産、第二次の生産費は、反当が五千九百七十二円ということになっているわけなんですが、これで平均していって、全部生産費をまかない得るということに見ていいのでございますか。
  58. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) これはまことに申しわけないのでありますが、一番下の反当第二次生産費と書いてありますのは、石当り第二次生産費の間違いでございますので、御訂正いただければ幸いでございます。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこでこの石当り五千九百七十二円なんですが、かりに八千円で区切ってみれば、全国農家の何パーセントくらい生産費が償うということができるのですか。
  60. 永野正二

    政府委員永野正二君) この生産費が農家の個々の経営における生産費をどういうふうに償っているかという点は、実はいろいろむずかしい問題があるわけであります。と申しますのは、この生産費自体が数字の連続性という意味におきまして一つの約束をずっとそのまま据え置いたままで参っております。たとえば、農家の自家労力の評価をどういうふうにやるかという点につきましても、この付近の日雇い労賃というようなものを基礎にいたしております。そういういろいろな約束から申しまして、これを、米価をきめます際の、いわゆる生産費を償っているかどうかという議論と直接結びつけるためには、たとえば労賃をもっとほかの標準で見るべきではないかというようないろいろな問題があるのでございましてこれはあくまでもこの生産調査の約束に基いて計算すると、こういう数字が出るというふうに御理角をいただきたいのでございます。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の御説明よくわかりましたが、そうすると、つまり食糧庁が妥当と見る生産費というのは、一体これではないということになりますか。もしくはこれに対して何割くらい増せば、それがまず常識的に言って生産費と見なせるか。農林省が見たその主観的な、妥当性を持った生産費というのは、一体どれくらいということになりますか。
  62. 永野正二

    政府委員永野正二君) この点はよく御承知のところであると思いまするが、この平均の生産費が出ます元のデータというものは、非常に低いところから非常に高いところまで幅があるわけでございます。それに対しまして、現在のような米の統制の制度で、政府としてはその生産費のどこまでを償った点で米価をきめるかという点は、これは毎年非常に論争の、議論のあるところでございます。農林省といたしましては、そういう点の意見をどうこうというよりは、やはり従来の政府としての米価決定の方式と申しますか、従来の実現された米価に、パリティー指数をもって代表される農家の支出の上り下りという係数を基礎といたしまして米価をきめるという方式を、従来はとっておるわけでございます。本年産米についてどういう方式をとるかということは、これはまだ実はいろいろ検討をいたしておりますが、決定いたしておりませんので農林省としてどの点ならば生産費が償えるというお答えを申し上げることは、ちょっとただいまの段階では控えさせていただきたい、こう思います。
  63. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 生産費の問題はなかなかデリケートですから、その程度にして、今度は今の表の六ページ目にロス石当り六十三円、こういう数字が出ているのですが、このロスの内容はどういうのですか。
  64. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) この六十三円のロスは、政府の保管輸送途中等におきます、政府段階におきますロスでございます。
  65. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 あまり私ばかり質問して恐縮でございますが、この古米、外米等の保管料は、年間を通じて幾らくらいになりますか。
  66. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 保管料についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げました食糧管理費の中に、約百億入っておるというふうに申し上げたのでございますが、総額で百十一億になるのでございます。で、このうち、産地におきます保管料が約五十七億、消費地におきます保管料が約五十四億円を要しております。そのうちで内地米の保管料といたしましては、産地、消費地、両方合せまして約六十八億程度に相なっております。
  67. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 病変米の保管料はずっと累積して幾らになっているのです。
  68. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 病変米につきましての保管料は、現在手持ちをいたしておりますものが、発生いたしましてから約十億七千万円程度に相なっております。
  69. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 資料の要求をして私の質問を終りますが、この三十二年度の食糧売仏代、四千八百七十七億三千八百万円、これの配給日数、単価、数量、希望配給、すべてを詳細に内容を書いてある資料を一つお出しいただきたいと思います。これで終ります。
  70. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ほかに御質問ございませんか。
  71. 湯山勇

    ○湯山勇君 この学校給食に充当する一般会計からの受け入れですが、これは一昨年、昨年、ことしとだんだん該当児童生徒はふえておるのに、予算はだんだん減っておりますが、これはどういうわけでございますか。
  72. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 従来学校給食関係の一般会計からの繰り入れば、小麦粉に対します安売りの分と、それから脱脂粉乳の分と両方入っておったわけでございます。本年度の予算におきましては、脱脂粉乳の関係は畜産局の方についております。食糧管理特別会計の方の受け入れにつきましては小麦粉関係だけでございます。それから従来からの予算上繰入額に比べまして実績は下回っておりますので、来年度は十三億ということの繰り入れで計算をいたしておりますが、本年度の実績よりもさらに学校給食は伸びるということを前提にいたしまして、十三億程度で十分であるという計算をいたしております。
  73. 湯山勇

    ○湯山勇君 では従来は粉乳もこの中に入っておったのが、今度はそれは抜けておるということと、それから実績からいってこれで十分だというお話ですけれども、子供の数がふえれば、ふえるはずなんで、これは昨年あたりは十七億くらいあったと思うのです。それよりもずいぶんふえたにもかかわらず、十三億になったというのは、これはどういうわけでしょう。
  74. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 私ちょっと思い違いをいたしておりました。説脂粉乳の関係は別でございます。従来から小麦の関係だけで十六億なり何なりの数字が計上されております。これにつきましては、学校給食の粉につきまして、例の余剰農産物のプラン等、その他との関係もございまして、学童に対して百グラム一円ということで繰り入れをするということに方式を文部省の方ともお打ち合せをいたしまして、昨年からそういう方式をとっております。従いまして来年度の所要量というものを、そういうことを基礎にいたしまして算定をいたしておる、で、本年が大体十二万トンあまりの需要になっておりますが、来年は十三万トン前後ということに予定をいたして算定をいたしておるわけであります。
  75. 湯山勇

    ○湯山勇君 昨年からこの繰り入れのやり方が変ったと言われるのですが、それまではどういう方式でやっておられて、昨年からどういうふうに変えたか、その点もう少し御説明願いたいと思います。
  76. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 大蔵省でございますが、かわりに答弁さしていただきます。昨年度の食管特別会計の繰り入れば、十五億四千万円、三十二年度は十三億円でございます。これが減りました原因は、一つは、三十一年度予算に実は繰り入れ不足が約八千五十万円計上してございましたのが、それが今年度はそういう不足がないということであります。逆に前年度の金で手当をする分が約九千万円別にございますので、そこで一億七千万円ほどが違って参ります。  それから保育所の関係の給食人員が約五十七万人程度と推定いたしまして、二千六百万円を前年度計上いたしておりましたが、これが実は厚生省関係の保育所につきましては、アメリカの宗教団体等から無償の贈与が予定されておりますので、その分が計上いたしてございません。  それともう一つは、三十一年度の小中学校の給食人員の予定人員は、約七百六十万人くらいと予定されておりますが、実績はそれほどいっておりませんので、本年度は実績に基いて算定いたしまして、六百七十万人程度と見込んでおります。そういう関係で全体として減っているわけです。
  77. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の点、大綱は大体わかりましたのですが、それよりも前の三十年度ですか、それと、それから昨年、今年とやり方が変ったのでございますか。何か十七億近く組んだことがありましたね、三十年度ですか、二十九年度か……。それでまだ足りないというようなときもあったはずです。で、余剰農産物の贈与の関係でそうなったというのなら、それは話はわかりますけれども、こんなに減るというのは、その時代からずいぶんふえたわけですから……。
  78. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 従来からの経緯につきまして、詳細に取り調べまして、別途にまた資料を差し上げるなりいたしたいと思います。
  79. 湯山勇

    ○湯山勇君 けっこうです。
  80. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ほかに御質疑ございませんでしたら、本日はこれにて閉会いたします。    午後三時十八分散会