○森八三一君 第六九州班は、安井、中田、私の三理事をもって組織され、佐賀、長崎、熊本の三県を
視察いたしました。当初、六月下旬出発の
予定でありましたが、都合で延期いたしましたところ、たまたま七月二十五、六日の大水害が発生いたしましたので、日程の一部変更により、つぶさに今回の
被害地域を
視察して参りました。
今回の
現地視察につきまして、以下、主として災害の問題について申し上げます。その詳細な説明は省きますが、
被害のうち、たっとい人命が長崎県で七百六十名、熊
本県百七十九名、佐賀県一名、計九百四十名が死亡または行方不明となって失われており、また経済的
被害の見積額は、
県当局の数字で、長崎県で二百四十九億円、熊
本県が六十六億円、佐賀県五億円で、合計三百二十億に上る膨大な損害が出ております。今回の水害の特色は、有明湾を
中心に局地的に豪雨が降りそそいだため、各地に河川はんらん、がけくずれ、山津波等が起り、甚大な
被害をもたらしたのであります。
被害を受けた県及び
市町村当局からは、今後の
復旧について多くの御
要望がございましたが、そのおもなるものを申し上げますれば次の通りでございます。
第一は、災害応急
対策費や災害に伴う収入減によります
地方団体の
財政負担の
増加を国においてカバーしてほしいという
要望であります。長崎県の例で申し上げますと、
対策費と収入減の合計は、概算で七億五千万円の多きに達しております。これらは現行制度では特別交付税で考慮されることになっておりますが、特別交付税にはワクがあって、災害地に優先的に回る期待は薄いのが、
昭和二十八年災害の先例でも明らかでございますから、全額特別債の発行許可と
元利補給を認めていただきたいというのであります。また、国民健康保険をやっている
被害市町村では、国保の
財政がこのため悪化するので、特別助成金の増額を希望しております。
第二は、
補助対象外の小災害の
復旧についてでございます。今回の災害は、現行法では
補助対象にならない小災害が多いため、災害
復旧工事を県及び
市町村の単独事業で行いますと、貧弱な
地方団体の
財政負担能力を越えるのみならず、
復旧の着手がおくれることになるのであります。従って現行の十万円の限度を三万円ないし五万円まで引き下げられたいという
要望がございました。
現地の御
要望は御無理のないことと存じますが、国の
補助工事対象をむやみに引き下げて、その結果、査定等に時間を空費し、
復旧がおくれることはないかどうか、単独事業としてこれに百パーセント起債をつける方がよいか、いずれがまさるかはさらに検討を要するものと存じます。
第三は、商
工業関係の
復旧金融の問題でございます。資金の手当は、政府並びに県の努力で早目に行われ、融資は円滑に行われておりますが、特に貸出金利の点、信用保証料等の点につきまして、経済力の極度に低下した被災者の負担軽減に特別の考慮を加えることを強く
要望されました。
次に、地すべり
対策についてでございます。この地すべりについては、
視察三県ともに強い関心を持ち、国の早急な
対策を
要望されました。この地すべりは、その地形、土質からきておりますが、降雨はその危険を促進させたもので、今回も熊
本県金明山系の一部が地すべりを起しております。その
対策としましては、地すべり危険地域における防止
措置と危険地域の住民の退避
措置、地すべりあとの
復旧並びに地すべりの原因についての基礎
調査と恒久
対策が必要なわけであります。今回も伊万里市に起きた地すべりのごとく危険を予告され、退避を再三勧告したにかかわらず、立ちのきについての強制力と、移転に伴う
財政措置を欠いたため、たっとい人命を失っております。今後かかる悲劇が起らないよう、地元行政
当局は早急に危険地域の指定、危険地区内住民の強制立ちのき等を行い得る立法
措置と、これに必要な
財政措置を講じてもらいたいということを
要望しておりました。
すでに
地方条例でこれらの
措置をとることをきめた県もありますが、われわれとしましても、地すべり現象の基本的科学的
調査をもっと徹底せしめること、その防止
対策及びその
復旧についても将来の危険度並びに
復旧費の経済効果をもあわせ検討する必要があることを痛感いたしました次第でございます。
以上、災害
関係を主として簡単に御
報告申し上げましたが、詳細は、別に
報告書を
委員長のお手元へ提出しておきましたから、
委員長において
会議録に掲載の
措置を取り計らわれるようお願いいたします。