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1957-10-31 第26回国会 参議院 予算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月三十一日(木曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員異動 五月十八日委員小林孝平君及び海野三朗辞任につき、その補欠として加瀬完君及び北村暢君を議長において指名した。 五月二十日委員内村清次君、天田勝正君、羽生三七君、加瀬完君及び松浦清一辞任につき、その補欠として秋山長造君、矢嶋三義君、松永忠二君、松澤靖介君及び安部清美君を議長において指名した。 五月二十一日委員関根久藏君、森田豊壽君、石坂豊一君、青柳秀夫君及び小山邦太郎辞任につき、その補欠として、下條康麿君、有馬英二君、大野木秀次郎君、野本品吉君及び小沢久太郎君を議長において指名した。 月二十二日委員小沢久太郎辞任に つき、その補欠として小山邦太郎君を議長において指名した。 五月二十七日委員前田佳都男君辞任につき、その補欠として関根久藏君を議長において指名した。 六月二十四日委員矢嶋三義辞任につき、その補欠として相澤重明君を議長において指名した。 六月二十六日委員相澤重明辞任につき、その補欠として赤松常子君を議長において指名した。 八月六日委員堀木鎌三君及び吉田萬次辞任につき、その補欠として前田佳都男君及び最上英子君を議長において指名した。 九月九日委員赤松常子辞任につき、その補欠として片岡文重君を議長において指名した。 九月十一日委員片岡文重辞任につ き、その補欠として阿具根登君を議長において指名した。 九月十二日委員山田節男君及び阿具根登辞任につき、その補欠として羽生三七君及び赤松常子君を議長において指名した。 十月二十九日委員秋山長造君、松澤靖介君、松永忠二君、安部清美君及び赤松常子辞任につき、その補欠として千葉信君、内村清次君、松浦清一君、山田節男君及び加瀬完君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     苫米地義三君    理事            迫水 久常君            左藤 義詮君            安井  謙君            中田 吉雄君            森 八三一君    委員            大川 光三君            木村篤太郎君            小林 武治君            小山邦太郎君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            土田國太郎君            苫米地英俊君            仲原 善一君            野本 品吉君            林田 正治君            前田佳都男君            北村  暢君            栗山 良夫君            千葉  信君            中村 正雄君            羽生 三七君            山田 節男君            湯山  勇君            田村 文吉君            千田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告予算執行状況に関する調査の件  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動について申し上げます。閉会中だいぶ委員異動がありましたので、これを刷りものにしてお手元に配付いたしました。それによりましてどうぞ御了承を願いたいと思います。   —————————————
  3. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 次に、派遣委員報告を議題といたします。  第一班から順次御報告を願います。第一班と第二班、ともに小山邦太郎君。
  4. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 私は北海道視察について報告申し上げたいと思います。  北海道班は、第一班及び第二班の二つに分れて行くことに予定しておりましたが、現地事情等、諸般の都合によりまして、吉田仲原、岡田、佐多、小山の五委員が合流してこれを調査することといたしました。期間は六月十二日から二十二日にわたる十一日間でございましたが、北海道に滞在いたしました日数は九日間でございます。北海道はちょうど御承知の総合開発の第一次五カ年計画がこの三月をもって終ったばかりでありまして、その成果をめぐって公共事業調査特別委員会の答申あるいは産業計画会議の勧告、また北大教授中谷宇吉郎氏が「文芸春秋」に発表いたしました「北海道開発に消えた八百億円」という論文等によりまして、いろいろな批判が加えられておりました直後でありましたので、私たちは、特にこの北海道総合開発重点を置いて視察をいたして参りました。批判は、人口吸収食糧増産港湾等、いろいろな問題にわたっておりますが、要は、北海道開発のねらいとした人口吸収食糧増産も全然成果が上っていないんじゃないか、極端に言えば、北海道開発に今まで使われた金はどぶに捨てたと同じだというようなことが言われておったのであります。国の予算を審査する立場から、これが事実であるとすればゆゆしき問題だと思いまして、これらの批判点を、関係当局の提出による資料、これに基く質疑、あるいは直接現地を見る等のことによりまして調査を進めたのであります。  しかし、私どもの調査しました限りにおきましては、やはり第一次五カ年計画相当成果を上げておることを確認いたしました。詳細なことは、別に報告書を作ってありますから、それを見ていただくことにいたしまして、開発事業費実績でございまするが、開発計画額一千三百億円に対しまして、その実施額は七百七十七億円で、その実施率は約六〇%に達しております。特に道路のごときは七〇%の実施率を示しておりました。また第一次五カ年計画に掲げられておりました開発目標は、耕地において五七%、乳牛におきましては七二%、主食におきまして六〇%、水産におきまして八〇%、電力におきまして実に一〇五%、人口におきまして三四%という達成率を示しておりました。しかしながら、全体計画から見ればまだまだという状況であったことは事実であります。これも北海道開発の歴史が浅いことからきたるやむを得ない過程ではないかと感じたのであります。しかしながら、北海道資源の豊富さ、面積の広さから申しまして、北海道開発は洋々たる未来が約束されているもので、さらに強力に開発を推進すべきものであると感じたのでございます。  次に、地方財政でございまするが、道の財政は、三十一年度は単年度一億五千万円の黒字でございまして、前年度からの繰り越し赤字を一億五千万円解消しておりました。また三十二年度財政規模は四百四十八億円で、大体前年度と横ばいであります。歳出面で目立ちますのは公債費であり、二十四億四千万円の多額に上っておりまして、起債額の十五億円をはるかにこえておりました。  道の三十二年度財政見通しといたしましては、約六億円の赤字が見込まれているというありさまであります。市町村財政は、やはり全体の収支で見ました場合は、単年度黒字でありまして、前年度からの繰り越し赤字を約十二億円解消しておりました。また、三十二年度市町村財政全体としての規模は約三百三十六億円でありまして、前年度より二十一億円の減少となっております。また北海道は、昨年度冷害によって地方財政の受けた影響も大きいのでありまして、これに伴う歳出増税収入減の合計は、道においては四億九千七百万円、市町村においては実に十七億六千四百万円となっておりました。従って冷害がなかったならばさらに黒字が出ていたわけであります。しかしながら、この地方財政健全化も、公債費累増状況、あるいは冷害等対策を放置しておくならば、また赤字に転落するのではないかという印象を受けた次第でございます。一般経済情勢は、好景気による明るい面と、凶作、不漁による暗い面と、二つの面がありますが、好景気が暗い面をカバーしているというような印象でございます。  電力は、北海道は昨年度も本年度も需給はバランスしておりますが、料金関西方面より約一割高くなっております。  鉄道は、輸送の成績をあげておりますが、青函が非常な隘路をなしておりまして、青函連絡船貨物運賃は、普通の三倍高く擬制料金を取っており、これが電力料金の高いのと相待ちまして、北海道開発鉱工業の発展を妨げていると言わなければなりますまい。三十一年度北海道支社の損益は四十三億円の赤字の状態であります。全国の六分の一の貨物を運ばなければならない状況にある北海道鉄道の悩みもまた深刻なものであります。そこで青函トンネルがどうしても必要になるわけですが、七百億円の事業費が必要と言われておりまするので、大いに研究をすべきものであると痛感をいたしました。  その他の詳細は、別冊報告書に譲りまして、委員長におかれては会議録に掲載の措置をとられるようお願いをいたしまして、御報告を終ります。
  5. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) それでは第三班の山田節男君にお願いいたします。
  6. 山田節男

    山田節男君 第三班の御報告を申し上げます。  第三班は、北村議員関根議員及び私の三委員でありましたが、六月二十五日から七日間にわたり青森秋田新潟の三県について、地方財政及び公共事業現状並びに各関係鉄道監理局管内輸送状況調査いたしましたほか、青森県においては、農業及び林檎試験場並びに酪農関係事業秋田県においては、八郎潟干拓及び秋田港改修事業、帝国石油八橋油田開発事業新潟県においては、佐渡離島振興対策事業新潟港改修及び海岸侵蝕対策並びに旧信濃川改修事業及び新郷川用水事業等実情について現地調査いたしましたが、以下、その概要について御報告申し上げます。  まず、地方財政状況につきましては、三県における昭和三十一年度決算見込は、青森県約二億円、秋田県約一億三千六百万円、新潟県約一億一千百万円の実質黒字であり、同年度中の県税収納額も、青森県約十八億三千三百万円、秋田県約十二億七千三百万円、新潟県約三十四億四百万円で、各県とも自然増収のほか、法定税の一部税率引き上げ法定外普通税新設等により、それぞれ前年度に比し三億二千四百万円、二億二百万円、五億七千万円の増収となり、収納歩合もかなり好転している状況であります。一方、歳出面においても、従来より各県とも極力消費的経費を節約し、いずれも地方事務所を全廃するとともに、行政機構を簡素化し、相当数行政整理自然淘汰臨時職員の正職員切りかえによる縮減等を行い、また定期昇給についても、中間給の設定、昇給差額の一部返納、請求権の放棄、昇給延伸等措置をとっている状況であります。しかしながら、従来からの実質赤字累積額は、昭和三十年度末で、青森県四億七千三百万円、秋田県十六億四千五百万円、新潟県二十二億一千九百万円に達しているため、秋田新潟両県においては法の適用を受け、昭和三十一年度よりそれぞれ十カ年、九カ年計画再建に入っており、青森県においても昭和三十一年度より自主再建計画中のところ、東北開発促進法施行に伴い、他県並み高率長期補助を受けるため、法準用団体に切りかえるべく申請中でありました。また、公債費につきましては、昭和三十一年度末の県債額は、青森県では三十六億九千四百万円、同年度中の元利償還額は五億九千七百万円で、一般財源に対し一〇・三%、秋田県では県債額二十一億九千四百万円、同年度中の元利償還額は六億九千八百万円で、一般財源に対し一四%、新潟県では県債額百三十八億九千二百万円、同年度中の元利償還額は十三億九千二百万円で、一般財源に対し一六・七%であり、公債費の今後の見通しも、青森県では毎年累増して、昭和三十五年度以降は八億円台となり、秋田県では毎年十億ないし十二億円、新潟県では十五億ないし十九億円台となる見込みであります。  かかる地方財政現状の上、今後の給与改訂東北開発施行に伴う諸経費増高が予想されますために、各県においては、国庫補助率引き上げ、特に国庫補助職員人件費補助率引き上げること、地方交付税率引き上げ及び配分の合理化をはかり、特に後進県に対する財政調整金制度を考慮すること、公債費対策として、特別措置債元利補給公共事業失業対策事業国直轄事業負担金分公債については、過去の借り入れ分を含め、国が元利補給すること、その他、農業県税収財源として、府県民税たばこ消費税税率引き上げ府県償却資産税の創設、木材取引税鉱産税府県税に改めること、遊興飲食税地方譲与税とすること、道路譲与税算定基礎に未改良分のウエートを重くすること等のほか、特に単作農業県のために、政府買い上げ米について石当り百円程度を、国有林野所在県のために、その収益の一〇%程度当該県に還元するよう強く要望せられておりました。  次に、公共事業関係につきましては、各県総合開発計画進捗状況は、青森県は、昭和三十年度末で二五・六%、秋田新潟両県は、昭和三十一年度末でそれぞれ一五%、二〇・一%であり、各県とも国庫負担率引き上げ、特に未開発後進県については、政令指定事業の基準を引き上げるとともに、実施に当っては、各省事業間の調整、国と県市町村民間計画との連絡緊密化をはかるよう強く要望せられており、一方、災害復旧事業昭和三十一年度末までの進捗状況は、青森県六五%、秋田県八八・一%、新潟県六三・七%で、依然として復旧に数年を要している実情から、これが急速なる復旧を希望し、特に仕越工事について立てかえ債を認めること、後進県施設については、国の高率補助による改良修築をはかること、また、最近国際収支の悪化に伴う外貨対策の一還として、公共事業費繰り延べ計画せられておりますが、後進県についてはこれが例外を認めるよう特段の配慮方要望せられておりました。  そのほか寒冷地については、会計年度暦年制にするとともに、補助金等適正化法の運用の合理化が強く要請せられておりました。なお、本年に入って新潟県では、冷害、雪害、凍霜害等により約七億二千万円の被害があり、農地、農業用施設早期復旧、建設省の緊急査定実施要望せられておりました。一方、冷害に関しては、青森農事試験場では、藤坂五号等耐冷品種保温折衷ビニール畑苗代普及奨励等により、前年度冷害を局地的にとどめ、県内平均ではかえって豊作であったことからも、これら冷害予防対策とともに、稲作中心経営から酪農兼営に切りかえるよう研究試験の充実を期待し、また、青森林檎試験場草生栽培による酪農兼営に今後の指導重点を置いており、これら試験研究に対する国の予算の裏づけを強く要望しておりました。また、青森営農指導農場酪農指導所においても、酪農導入により、冷害時においても経営の安定をはかり得たものとして、今後の計画を進めており、特に国営、または国有林野開放等による共同放牧地設置世銀借款導入牛継続実施事故牛に対する補償制度確立建設用機動力強化等についての国の助成が強く要望されておりました。  その他、現地視察したもののうち、おもなものの概要について申し上げたいと思います。八郎潟干拓事業につきましては、総事業費百八十億円、干拓計画面積一万七千ヘクタール、入植及び増反戸数八千七百戸、増産予定量水稲換算三十四万石の計画で、特定土地改良特別会計新設に伴い本年度より着工の予定でありますが、三十億円に達する漁民の補償要求早期解決が期待せられるとともに、事業効果等から予算重点的配賦による早期完成要望し、特に農林省八郎潟干拓事業所の定員の確保、地元負担軽減等が要請せられておりました。  次に新潟港においては、海岸侵蝕と、港の将来計画としての旧信濃川分水計画との関係地盤沈下の問題が最も緊急な問題となっておりますが、海岸侵蝕につきましては、西海岸では七キロにわたり二百六十ないし三百六十メートルの決壊で、三列の砂丘のうち、最後砂丘のわずか三分の一を残すのみで、すでに民家まで三十メートルの間近に迫っており、東海岸では約三キロ二百五十メートルの汀線の後退を生じ、昭和二十年以降現実に相当被害を生ずるに至ったため、昭和二十六年度以降、災害復旧費三億七千万円、災害対策工事費十億円等により、昭和三十三年度完成予定潜堤縦堤護岸工事等実施中であります。  運輸省現地当局では、今後の海底侵蝕による既設構造物の補強及び今後決壊の移行を予想せられる東海岸防護工事継続要望するとともに、新潟港の将来計画についても、従来の総事業費約十二億円の大河津河口分水計画継続実施により、西海岸では港内浚渫土砂東海岸では河口流送土砂により、既設侵蝕対策構造物の安全が期待し得るものとし、河口分水計画を強く主張しておりますが、一方、県当局においては、総事業費約四十三億円により、旧信濃川関屋分水計画を立て、港内埋立防止排水の便をはかるとともに、三十万坪の土地を造成し、各種工場誘致を期待し、その経済的効果からも国家的価値があるものとして、大乗的解決を期待しており、その間の意見の調整が緊要な問題であると認められます。また最近新たな問題として、港内で七十五ないし百三十センチの沈盤地下を生じており、焦眉の問題として、これが対策をあわせて強く要望せられておりました。  次に、佐渡における離島振興対策事業につきましては、昭和三十一年度末まで四カ年間の進捗率は、計画事業費六十億四千百万円に対し二六%でありますが、県当局地元関係者においては、環状線等道路整備港湾漁港整備統合国仲平野排水工事国府川改修工事等について重点的に早期完成するよう要望するとともに、さしあたりの問題として、県営新穂用水改良工事及び国府川改修工事計画変更のためそれぞれ二百万円、三千七百万円の調整費追加総額が強く要望せられておりました。  最後に、輸送状況について御報告いたしますと、各管内とも前年度に比し、輸送実績、滞貨もふえ、貨車の所要車、対使用車の割合も全国平均を下回っており、特に冬期間が窮屈化している状況でありましたが、かかる現状にかんがみ、輸送力増強五カ年計画により、各国鉄監理局においては、それぞれ操車場新設拡張、主要駅の移改築有効長延伸行き違い設備信号場設置、新線設置等計画されておりますが、外貨対策の一環として、財政投融資繰り延べに伴い、これら計画繰り延べされることを深く憂慮しており、特別の配慮が要望されております。なお、長期計画として発電、工場誘致計画との総合的調整のもとに、裏日本縦貫鉄道全線電化複線化とともに、東北北海道開発進行状況に応じ、五カ年計画についても再検討を加えること、建設計画に伴う一般経費の充足について特に考慮をせられたいとの要望がございました。  以上、簡単でありますが、概略を御報告申し上げ、詳細は、別冊報告書を作成しておきましたから、会議録にともに掲載することをお願いいたします。  以上をもって報告を終ります。(拍手)
  7. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 次に第四班、土田國太郎君。
  8. 土田國太郎

    土田國太郎君 第四班は、苫米地英俊君、田村文吉君と私の三名で、七月一日から七日まで七日間にわたり調査いたしました。三重県、和歌山県及び奈良県の実情をこれより簡単に御報告申し上げます。まず、三重県の財政事情について申し上げます。本県は、昭和二十八年度以降三十一年度まで赤字でありましたが、昭和三十二年度においてこれを解消し、歳入歳出とも百四十六億円余の収支均衡予算が組まれることになったのであります。そのうち、公債費償還費は約九億円となっております。  和歌山県の昭和三十二年度予算は、赤字なしで、歳入歳出とも百三十五億円余、そのうち公債費償還費は八億円余となっております。  次に、奈良県でありまするが、本県昭和三十二年度予算は、歳入歳出とも七十一億円余の均衡予算で、公債費償還額は五億円余に上り、この金額は、本県県税収入の実に四九%に相当いたしております。  このように三県とも形式上は均衡財政の姿をとっておりまするが、これはいずれも職員整理並びに公共事業費の抑制、削減による結果であります。地方財政のガンは言うまでもなく、年々累増いたしまする地方債償還費でありまするので、これに対し地方財政確立のため、国といたしまして根本的に財源的措置を講ぜられたいとの要望が三県当局よりそれぞれございました。また、地方交付税交付率の二六%を最低二七・五%は確保してほしいとの要望がございました。  次に、産業経済事情について申し上げます。三重県の昭和三十一年度工業生産総額は、大よそ千六百億円でありまして、前年度に比べて一六%増加となっております。すなわち、これを繊維工業について見ますと、毛糸は二二%、毛織物は三三%、綿糸は一六%、綿織物は七%と、それぞれ増加を示しております。漁網は、北伊勢地方工場が分布しておりますが、昭和三十一年度は三十億円余で、前年度に比べて三二%増加しております。石油化学工業並びに肥料工業は、四日市地方中心として目ざましい躍進ぶりで、昭和三十一年度は、硫安は十五億円と、前年の約二倍半以上の増産をとげ、石油精製高は百四十四億円余と、三一%の増加を示しております。ここ数年間における石油化学関連工場建設促進に伴いまして、これらの工場が稼動した暁には、県下の主要工業となる日も遠くないことであろうと思われるのであります。機械器具工業鋳物工業も、いずれも昭和三十一年度は前年度に比べて生産増となっておりまするが、これらは、中小規模企業が大部分であって、その設備は老朽化しており、設備機械近代化が要請されているような状況であります。三重県の代表的産業と申すべき養殖真珠は、海外市況の好調に恵まれて、昭和二十八年度以降は戦前の水準を上回り、昭和三十一年度浜揚げ量は四千二百貫と、戦後の最高を示し、全国生産量の七二%を占めております。このように現在は好況に恵まれて、一応の価格の安定が見られておりまするが、品質の向上並びに生産計画化については緊急にその対策を樹立しなければならないと思われる様相を呈しているのであります。  次に、和歌山県の産業経済事情について申し上げまするが、和歌山県の代表的産業と申すべきメリヤス業界は、不況に見舞われ、現在操短を行なっておりまするが、パイル織物昭和三十一年度輸出高は四百四十万ヤール、九億八千万円と活況を示し、ネルの生産量は五百万反、約五億円で、前年度に比べて一八%の増となっております。木材市況活況を呈しております。ミカンの栽培面積は五千百町歩で、戦前及び戦時中盛んであった皮革は、現在月産二百三十万坪と、戦前を凌駕している状況でございます。石油精製事業は、下津港を中心として盛んになっております。下津港並びに丸善石油会社下津製油所視察いたしましたが、下津港の改修とともに、今後ますますこの地方中心として石油精製事業は発展するものと思われます。  次に、奈良県について申し上げます。当県は、その面積の七六%が山林でおおわれ、鉱工業資源も乏しく、水利も悪いため、いわゆる工業立地条件に恵まれておりませんので、大企業はほとんど見るべきものはなく、林業を除けば、かやメリヤスくつ下売薬等中小規模企業であります。すなわち、くつ下製造は、家内工業的小規模経営で行われておりまするが、ナイロンを原料とする新製品の需要増加に伴って活況を示し、昭和三十一年度生産高は八十八億円で、全国生産額の三〇%も占めている状況であります。かや生産は、昭和三十年度、同じく三十一年度も百六十万張りであります。木材市場も、和歌山県と同様に活況を呈し、昭和三十一年度は三百十一万石取引されております。  以上が三重和歌山奈良の三県の産業経済事情概要でありまするが、公定歩合引き上げに伴う金融引き締め影響は、われわれが調査いたしましたる当時においては、いまだ顕著にその影響は末端まで及ぼしていないように見受けられた次第であります。  なお、われわれは、吉野、熊野地区総合開発の見地から、電源開発実情、紀川灌漑排水事業の実情及び日本国有鉄道紀勢線の未成線の工事の進行状況調査いたしました。すなわち、電源開発につきましては、竜の谷発電所予定地を視察するとともに、椋呂発電所の工事の進行状況について、現地において電源開発株式会社当局から説明を聴取いたした次第であります。  紀川灌漑排水事業については、奈良県当局の案内で、現地視察して参りました。県当局からは、農業水利事業の工事が遷延いたしておるので、極力これを推進されたいという要望がありました。紀勢線の未成区間の状況については、本工事を担当しております岐阜工事事務所当局から説明を聴取いたしました。未成区間は尾鷲—木本間三十四キロで、すこぶる難工事でありまして、建設工事費は、一般通常は一キロ当り七千万円となっておりまするが、本工事は、隧道、橋梁が多いため、一キロ当り一億五千万円となっております。異常な巨額な工事費の点から見ましても、との工事がいかに難工事であるかが想像されることと存じます。本工事は昭和三十五年度に完成する予定になっておりまするが、これが完成されますと、待望の紀南循環線が完成することとなるわけでありますので、吉野、熊野地区総合開発のため、一日も早くすみやかに本工事が進行されんことを念願いたす次第であります。  簡単ながらこれをもって報告を終ります。
  9. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 次に第五班、栗山良夫君にお願いいたします。
  10. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 第五班の視察につきまして御報告を申し上げます。  第五班は、佐藤清一郎、林田正治両委員と私の三名をもちまして、六月の十七日から九日間にわたり、広島、山口、福岡の三県下を視察いたしました。  まず、日程を申し上げますと、六月十七日夜、東京を立ち、十八日の午前中、広島県庁知事室において県当局並びに中国財務局及び広島通産局の各担当係官より、それぞれ県の財政事情及び管内一般経済状況の説明を聞き、午後は広島鉄道監理局におもむいて、管内輸送状況を聴取したあと、キリンビール工場と東洋工業府中工場視察し、さらに太田川、元安川改修工事の現地調査をいたしました。次いで十九日は、三菱レーヨン大竹工場視察して、山口県に入り、山陽パルプと帝国人絹の岩国工場視察し、翌二十日には、出光興産徳山工場視察したあと、佐波川ダム工事の現場を視察、二十一日は、山口県庁において県財政事情の説明を聞き、次いで県立農業試験場と宇部興産の鉄工、硫安、セメント各工場視察した上、関門国道トンネルを、現地当局の特別配慮によるジープに乗って通過し、その間工事現場の要所々々を調査して、福岡に入りました。次いで二十二日は、午前中福岡県庁において県及び北九州財務局、福岡通産局の各関係部課長より、県財政並びに管内における一般財政経済状況の説明を聞き、午後は安川電機黒崎工場及び旭ガラス牧山工場視察し、こえて翌二十三日は、日曜日でもありましたので、貝島炭鉱大之浦鉱業所の視察のみにとどめ、二十四日には、三井鉱山三池鉱業所と三井化学三池染料工業所を視察したあと、三池干拓工事を現地について調査し、ここにおいて全日程を終了して、二十五日帰京いたした次第であります。  以下、右調査の結果を御報告申し上げるのでありますが、時間の関係もございますので、ここではごく簡単に、重要な点を二、三申し上げるにとどめ、詳しい御報告は、別に報告書をもって提出いたしたいと存じますから、御了承願います。  まず、中国地区並びに北九州地区の一般経済状況でありますが、両地区とも昨年来の好景気を反映して、現在までのところ比較的順調に進んでおります。これを鉱工業生産で見ますと、中国地区では、本年三月の鉱工業生産指数は四一一、北九州地区のそれは、四月の指数でありますが、二八五・七となっており、ともに戦後最高の上昇ぶりを記録しております。ただしかし、最近の上昇のテンポを、過去一カ年余りのそれと比較しますと、やはり全般的傾向として、いわゆる高水準の横ばいぎみにあることが認められるのでありまして、この生産上昇の鈍化原因が何であるかにつきましては、広島通産局においても割切って説明することはむずかしいが、たとえば、鉄鋼、造船、セメント、石炭等の業種につきましては、設備の増設がない限り、これ以上の増産は望めなくなった反面、スフ、その他の繊維工業部では、需給関係から在庫増の傾向が見られ、すでに操短に入っているといった工合で、業種によって事情を異にしている点を注目しておるということでありました。北九州地区においても、生産拡大を反映して、設備投資計画を延ばしておるのは大手企業でありまして、下請企業では、最近の資金事情を反映して、むしろ縮小策をとっておる状況でありました。  次に、広島、山口、福岡各県の財政状況について申し上げますと、広島県の財政は、昭和二十八年度までは赤字を出さずにきたのでありますが、二十九年度に七億三千万円、三十年度は五億四千万円と、実質赤字を生じたのであります。三十一年度におきましては、租税の増徴と諸経費の節約に努めました結果、単年度黒字見込額として三億六千万円を生じましたため、現在の赤字累計見込額は一億八千万円ということになっております。広島県では、現在、地方財政再建促進特別措置法の適用を受けておりませんが、何とか本年度末までには現在の赤字を解消する考えで、鋭意、財政再建計画を検討中でありました。  山口県は、昭和二十九年度に六億四千万円の赤字を出し、三十年度に九億六千万円の累積赤字を生じたため、地財再建法に頼ることとし、現在その適用を受けておりまして、三十一年度の一般会計歳入歳出決算見込みでは約九百万円と、わずかながら単年度黒字を出しておりました。県当局の説明によりますと、おそらく三十四年度までは赤字財政で苦しいが、三十五年度から八年間にかけて、完全に黒字団体に戻すということで、財政再建長期計画に真剣な努力を払っておりました。  福岡県の財政状況は、昭和三十年度における実質収支がわずかに三千二百万円の黒字にとどまり、これに事業繰り越し等、財源操作によって翌年度に繰り越したものを差し引きますと、一億三千万円の赤字でありましたが、三十一年度決算見込みでは、純繰り越し見込額として九千九百万円の黒字ということになっております。財政規模においては、全国四十六都道府県中、東京、大阪、北海道に次いで全国第四位にあるような大福岡県として、これではまことに心細い話でありますが、県当局の語るところによりますと、歳入中に占める一般財源の割合が四二・九%で、他の類似府県に比べて著しく低いため、現年度の歳入をもって現年度の支出をまかない切れないということでありました。  まだまだ申し上げたい点があり、なお視察個所の調査の結果についても御報告をいたさなければならぬのでありますが、詳細は、別冊報告書に譲りたいと存じます。委員長においてよろしく会議録に掲載の措置をとられるようにお願いをいたしまして報告を終る次第であります。
  11. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 次に、第六班森八三一君お願いいたします。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 第六九州班は、安井、中田、私の三理事をもって組織され、佐賀、長崎、熊本の三県を視察いたしました。当初、六月下旬出発の予定でありましたが、都合で延期いたしましたところ、たまたま七月二十五、六日の大水害が発生いたしましたので、日程の一部変更により、つぶさに今回の被害地域を視察して参りました。  今回の現地視察につきまして、以下、主として災害の問題について申し上げます。その詳細な説明は省きますが、被害のうち、たっとい人命が長崎県で七百六十名、熊本県百七十九名、佐賀県一名、計九百四十名が死亡または行方不明となって失われており、また経済的被害の見積額は、県当局の数字で、長崎県で二百四十九億円、熊本県が六十六億円、佐賀県五億円で、合計三百二十億に上る膨大な損害が出ております。今回の水害の特色は、有明湾を中心に局地的に豪雨が降りそそいだため、各地に河川はんらん、がけくずれ、山津波等が起り、甚大な被害をもたらしたのであります。被害を受けた県及び市町村当局からは、今後の復旧について多くの御要望がございましたが、そのおもなるものを申し上げますれば次の通りでございます。  第一は、災害応急対策費や災害に伴う収入減によります地方団体の財政負担の増加を国においてカバーしてほしいという要望であります。長崎県の例で申し上げますと、対策費と収入減の合計は、概算で七億五千万円の多きに達しております。これらは現行制度では特別交付税で考慮されることになっておりますが、特別交付税にはワクがあって、災害地に優先的に回る期待は薄いのが、昭和二十八年災害の先例でも明らかでございますから、全額特別債の発行許可と元利補給を認めていただきたいというのであります。また、国民健康保険をやっている被害市町村では、国保の財政がこのため悪化するので、特別助成金の増額を希望しております。  第二は、補助対象外の小災害の復旧についてでございます。今回の災害は、現行法では補助対象にならない小災害が多いため、災害復旧工事を県及び市町村の単独事業で行いますと、貧弱な地方団体の財政負担能力を越えるのみならず、復旧の着手がおくれることになるのであります。従って現行の十万円の限度を三万円ないし五万円まで引き下げられたいという要望がございました。現地の御要望は御無理のないことと存じますが、国の補助工事対象をむやみに引き下げて、その結果、査定等に時間を空費し、復旧がおくれることはないかどうか、単独事業としてこれに百パーセント起債をつける方がよいか、いずれがまさるかはさらに検討を要するものと存じます。  第三は、商工業関係復旧金融の問題でございます。資金の手当は、政府並びに県の努力で早目に行われ、融資は円滑に行われておりますが、特に貸出金利の点、信用保証料等の点につきまして、経済力の極度に低下した被災者の負担軽減に特別の考慮を加えることを強く要望されました。  次に、地すべり対策についてでございます。この地すべりについては、視察三県ともに強い関心を持ち、国の早急な対策要望されました。この地すべりは、その地形、土質からきておりますが、降雨はその危険を促進させたもので、今回も熊本県金明山系の一部が地すべりを起しております。その対策としましては、地すべり危険地域における防止措置と危険地域の住民の退避措置、地すべりあとの復旧並びに地すべりの原因についての基礎調査と恒久対策が必要なわけであります。今回も伊万里市に起きた地すべりのごとく危険を予告され、退避を再三勧告したにかかわらず、立ちのきについての強制力と、移転に伴う財政措置を欠いたため、たっとい人命を失っております。今後かかる悲劇が起らないよう、地元行政当局は早急に危険地域の指定、危険地区内住民の強制立ちのき等を行い得る立法措置と、これに必要な財政措置を講じてもらいたいということを要望しておりました。  すでに地方条例でこれらの措置をとることをきめた県もありますが、われわれとしましても、地すべり現象の基本的科学的調査をもっと徹底せしめること、その防止対策及びその復旧についても将来の危険度並びに復旧費の経済効果をもあわせ検討する必要があることを痛感いたしました次第でございます。  以上、災害関係を主として簡単に御報告申し上げましたが、詳細は、別に報告書委員長のお手元へ提出しておきましたから、委員長において会議録に掲載の措置を取り計らわれるようお願いいたします。
  13. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) これにて派遣委員報告は終りました。   —————————————
  14. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) この際、お諮りをいたします。予算執行状況に関する調査でございますが、調査未了の旨の報告書議長に提出いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 御異議ないと認めます。  なお、報告書の内容及びその手続き等は委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 苫米地義三

    委員長苫米地義三君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。本日は、これにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会