運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-05-13 第26回国会 参議院 本会議 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十三日(月曜日)    午後三時五十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十三号   昭和三十二年五月十三日    午前十時開議  第一 建築士法の一部を改正する法律案田中一君外二名発議)(委員長報告)  第二 駐車場法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第六 技術士法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、漁港審議会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、漁港法第九条第一項の規定により、鮫島茂君、井出正孝君、小田賢郎君、今津繁蔵君、堀部虎猪君、渡辺喜三郎君、尾形六郎兵衞君、金沢藤吉君を漁港審議会委員任命することについて本院の同意を得たい旨の要求がございました。本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、原子力委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、原子力委員会設置法第八条第一項の規定により、兼重寛九郎君を原子力委員会委員任命することについて本院の同意を得たい旨の要求がございました。本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、建築士法の一部を改正する法律案田中一君外二名発議)  日程第二、駐車場濫案内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。建設委員長中山福藏君。    〔中山福藏登壇拍手
  11. 中山福藏

    中山福藏君 ただいま議題となりました建築士法の一部を改正する法律案並び駐車場法案につきまして、建設委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、建築士法の一部を改正する法律案について申し上げます。  建築士法は、建築物設計工事監理等を行う技術者資格を定めて、業務と責任の範囲を明らかにし、建築物の質の向上をはかる目的をもって昭和二十五年に制定されたものであります。  本改正案は、同法施行の実情にかんがみ、建築士業務範囲拡張と、新たに建築士会に関する規定等を設けようとするものであります。その内容を申し上げますと、第一は、現在、建築士でなければ設計または工事監理をしてはならない建築物範囲がきめられておりまして、木造については、延べ面積が百五十平方メートルをこえる建築物となっておりますが、今回これを百平方メートルに下げ、建築物の質の向上と確保をはかるようにしたことであります。第二は、建築士会に関する規定についてでありまして、これまでは、建築士の有志が任意に会を設けて、会員相互の親睦、協調等を行なってきておりましたが、これを法文に明記し、建築士都道府県区域ごと建築士会、または全国を単位として建築士会連合会を設立することができることとし、建築士品位保持業務進歩改善をはかることにしております。第三は、本改正による建築士業務範囲拡張に伴い、木造物設計監理等需要に対し渋滞を来たさないよう、特例として、二級建築士の免許に関し、選考による臨時措置をとっております。  委員会における質疑のおもなる点は、建築士設計監理によるべき木造建物規模を百平方メートルに引き下げることによって生ずる影響、二級建築士選考具体的方法並びに建築士会性格等に関するものでありますが、詳細については会議録で御承知を願います。  かく質疑を終了、討論を省略して、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、駐車場法案について申し上げます。  本法案は、最近の都市における自動車交通量の激増に対処するため、自動車駐車のための施設について総合的施策を講じ、もって道路交通円滑化をはかり、都市の機能の維持及び増進に寄与しようとするものであります。その内容のおもなる点について申し上げますと、第一に、駐車場整備地区制度を設けたことであります。すなわち建設大臣は、商業地域内の自動車交通が混雑する地区について、都市計画法の定める手続によって、都市計画施設として駐車場整備地区を指定できることといたしております。第二に、建設大臣は、駐車場整備地区内の路外駐車場配置及び規模都市計画として決定し、地方公共団体は、これに従って路外駐車場整備に努めなければならないことといたしております。また、一定規模以上の路外駐車場構造及び設備は、政令で定める基準によることとし、さらに料金を徴収するものについては、その設置管理及び業務運営について所要の規定を設けるとともに、これが違反に関する措置を定めております。第三は、都道府県知事は、駐車場整備地区について、その地区内の路外駐車場によっては満たされない駐車需要に応ずるため、路上駐車場設置計画を定めて建設大臣の承認を受けることとし、道路管理者である地方公共団体は、この計画に基いて路上駐車場設置することといたしております。なお、その利用者から駐車料金を徴収することができることとし、料金の使途その他必要な事項を定めております。第四に、地方公共団体は、駐車場整備地区及びその周辺において三千平方メートル以上の建築物新築、増築されるに際して、その建築物駐車施設設置義務づける条例を制定できるようにいたしております。  本法案審議に当っては、運輸委員会連合審査会を開会する等、きわめて慎重な態度をとったのであります。委員会における質疑のおもなる点を申し上げますと、路上駐車場及び路外駐車場配置構造設備等基準政令内容、また、大規模建築物における駐車施設の付置を既存の建物に及ぼさなかった理由及び新築増築ともに三千平方メートル以上とした理由、その他駐車場管理者注意義務料金徴収方法等でありましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かく質疑を終り、討論には発言者なく、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案  日程第四、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長本多市郎君。    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕    〔本多市郎登壇拍手
  16. 本多市郎

    本多市郎君 ただいま議題となりました国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案並び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査経過並びに結果について御報告いたします。  まず、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案について申し上げますと、本法案の大体の内容は、第一に、地方財政の現状にかんがみ、国は、その所有する固定資産のうち、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う国有の財産の管理に関する法律第二条の規定により使用させている固定資産並びに自衛隊が使用する飛行場及び演習場の用に供する固定資産政令で定めるものが所在する市町村に対し、毎年度予算範囲内で助成交付金交付することといたしまして、その予算は、本年度五億円計上されております。第二に、助成交付金交付基準政令で定めるものとし、交付に関する事務は、これまた政令の定めるところにより自治庁長官が行うものとし、その他必要な事項政令の定めるところに譲っております。  次に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法建の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案の大体の内容、すなわち改正要点を申し上げますと、その第一は、大規模償却資産に係る市町村交付金算定標準額または納付金算定標準額限度額の引き上げであります。すなわち大規模償却資産に対する固定資産税について、所在市町村課税限度額が、さきの地方税法改正に際し引き上げられたのに対応して、人口段階ごとに定められた該当資産価格限度額を引き上げるとともに、これらの制度を適用した結果、当該市町村基準財政収入見込額が、基準財政需要額一定割合に相当する額を下回ることとなる場合の財源保障率を引き上げ、また、新設規模償却資産については、右の財源保障率を最初の五年間に限り特に引き上げることにいたしております。なお、公社が所有する償却資産で、鉄道または電気通信の用に供するもののうち、総理府令で定めるものについては、大規模償却資産にかかる納付金算定標準額限度を定める規定は適用しないものといたしております。第二は、日本国有鉄道が、直接その本来の事業の用に供するために借り受けている車両で、政令で定めるものについては、これを日本国有鉄道が所有する償却資産とみなして、市町村納付金の対象とするものといたしております。第三は、自治庁長官が、公社の所有する固定資産価格等を決定し、これを当該固定資産所在市町村に配分した後において、その配分した価格等に錯誤があることを発見した場合には、翌年度においてこれを修正するものとし、また、交付金または納付金算定標準額及び交付金額または納付金額端数計算方法を改め、その他、規定整備をはかることといたしております。  地方行政委員会におきましては、四月二十三日、両法案について田中国務大臣より提案理由説明を聞いた後、当局との間に質疑応答を重ね、慎重審査を行いましたが、その詳細については会議録によってごらんを願います。  五月十一日、まず、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案について討論に入りましたところ、大沢委員は、本法案は多年の懸案の解決へ一歩進め、地方制度調査会の答申の趣旨にも沿うものであるから、百パーセント満足とまでは行かないが、本法案賛成する」旨を述べられ、次のような付帯決議案提出されました。すなわちその内容は、    付帯決議案   本法実施に当り政府はその運用の適正を期するとともに、左の諸点につき改善の必要があるものと認める。   一、助成交付金固定資産税にかわる性格のものであるから、なるべくすみやかに国有資産等所在市町村交付金及び納付金制度に併合すること。   一、助成交付金予算計上額は過少であるから、少くとも当該資産に対する固定資産税相当額まで増額すること。  右決議する。というものであります。  加瀬委員は、「(一)本法案による助成交付金は、固定資産相当額より下回るものであっては、配分に当って当該市町村財政状況等を考慮する余地がなくなるから、予算を増額すること。(二)当該市町村に対るす現行の財源措置本法案によって低下減殺せしめないこと。目大沢委員付帯決議案趣旨を、来年度から実現すること等について、政府が十分留意することを希望して、本法案賛成」の旨を述べられました。  かく採決の結果、本法案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、大沢提出付帯決議案は、全会一致をもって、これを本委員会決議とすることに決した次第であります。  次いで、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六、技術士法案内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長松澤兼人君。    〔松澤兼人登壇拍手
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま議題となりました輸出入取引法の一部を改正する法律案並び技術士法案について、商工委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、輸出入取引法の一部を改正する法律案について申し上げます。  輸出入取引法は、不公正な輸出取引を防止し、輸出取引輸入取引秩序を確立して、外国貿易の健全な発達をはかることを目的としておりますが、輸出輸入とも過当競争がなお依然として行われており、ひとりわが国貿易の健全な発展をはかるためだけでなく、国際貿易の円滑に寄与するためにも、このような過当競争を排除して、輸出取引輸入取引秩序の確立をはかろうとするものであります。  その改正点の第一は、輸入協定締結事由の制限の緩和であり、第二は、アウトサイダー規制命令にかかる事務処理であり、第三は、指定機関制度新設であります。その内容を申し上げますと、第一点は、国内の関係事業者等に不利益を及ぼさない限りにおいて、相手国輸出取引における競争を制限し、わが国輸入取引過当競争になっている等の原因によって、一般国際的取引条件に比べて不利な輸入取引条件を課せられる場合に、今後、協定締結を認めることとし、なお、外国における資源の開発に資するための協定も新たに認めることであります。第二点は、アウトサイダー規制命令にかかる事務の一部を輸出組合輸入組合輸出入組合処理させることができることとするとともに、この事務処理をする組合役員が不当に事務処理した等の場合には、通産大臣がこれを解任することができることであります。第三点は、輸出業者生産業者または販売業者との中間に共同買い取り機関か、販売機関があって、なお、一定の要件を備えておる場合に、特に必要があれば、政令でその買い取り機関等を指定しまして、輸出業者は、この指定機関から購入したものでなければ輸出ができないことにするのであります。この指定機関運営は、通産大臣とその貨物の主務大臣が共管で監督し、業務方法事業計画認可制とする等の規定を設けてあります。  以上が本改正案概要でありますが、質疑におきましては、本法施行によって中小商社中小企業者に悪い影響はないかどうか、アウトサイダー規制命令に関する事務を行う組合役員解任権官僚統制にならないかという点、指定機関制度についての本法運用の方針はどうか、あるいはまた、全般的に官僚統制強化危険性はないか等について、各委員から熱心な質疑が行われるとともに、特に参考人を招いて意見を聴取する等、慎重に審議を行いましたが、その詳細は会議録に譲ることにいたします。  質疑が終って討論に入りましたところ、まず近藤委員から、古池近藤豊田大竹各派委員からなる共同修正案及び同じく共同提案になる付帯決議案提出されました。  まず、修正案要点を申し上げますと、第一点は、アウトサイダー規制命令にかかる事務処理する組合役員が、この事務を不当に処理した等の場合に、その役員解任することができることになっているのを、その役員解任を勧告する程度に改め、実際の解任組合の総会によるが、正当の理由がない限り組合解任しなければならないこととするのであります。第二点は、アウトサイダー規制命令にかかる事務処理させる場合の政令の制定、改廃については、輸出入取引審議会に諮問することとしようとするものであります。  次に、付帯決議案を申し上げます。   政府は、本法施行に当っては特に次の諸点に注意すべきである。   一、特定機関の乱立を防止するとともに、該機関並びに規制事務処理を行う組合運営については、大企業に偏することなく、中小企業利益を十分に尊重するよう配慮すること。   二、本法を、政府によって貿易が統制される相手国との貿易等に適用することは、真に必要やむを得ざる場合に限ることとし、その運用に慎重を期すること。  以上であります。なお、近藤委員から、それぞれの趣旨説明がなされ、あわせて「本法案官僚統制強化組合公団化、大商社利益聖断等の心配もあるが、過当競争による弊害を除去することも、やむを得ざる措置として必要であることを認める」旨の意見を開陳され、修正を行い、付帯決議を付することを条件として賛成の意を表明されました。次いで古池豊田大竹の各委員から、それぞれ修正案及び付帯決議案に対する賛成意見が述べられました。  かく討論を終り、採決に入り、まず、近藤委員外三名の共同修正案採決しましたところ、全会一致をもって可決いたしました。次いで修正部分を除く原案採決いたしましたが、同様、全会一致をもって可決いたしました。よって本改正案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定した次第であります。  最後に、近藤委員提案になる共同付帯決議案採決いたしましたところ、全会一致商工委員会決議とすることに決定いたしました。  次に、技術士法案について申し上げます。  本法案は、わが国科学技術向上に資するため、すでに欧米において顕著な発達を遂げておりますコンサルティング・エンジニアの制度、すなわち他人の依頼に応じ、報酬を得て、科学技術に関する相談、指導をする職業である技術士制度を法制化することによって、当該制度の育成、助長をはかろうとするものでありまして、このため、技術士定義技術士資格、さらに技術士業務適正化に必要な措置規定しているのであります。  以下、順次本法案内容について概略申し上げます。その第一点は、技術士定義でありますが、技術士とは、技術士名称を用いて、人文科学以外の科学技術に関し、高等な、専門的応用能力を必要とする事項について、計画、研究、分析等指導業務を行う者を言うのであります。ただし、建築士法その他の法律で規制しております業務は、技術士業務範囲より除いております。第二点は、技術士資格でありまして、技術士となるためには、科学技術庁長官実施する本試験に合格し、さらに登録を受けなければならぬことになっておりますが、特定行政処分または刑事罰を受けた後、一定の年数を経過していない者等は、欠格事項該当者として初めから技術士となる資格はございません。なお試験は、本試験予備試験とに分れ、本試験大学卒業程度の基礎的な学力を持ち、これに加えて、実務経験が七年以上の者を受験資格者としております。試験内容は、おのおの専門技術部冊ごとに高度の実務能力を判定するものであります。予備試験は、本試験受験資格のない者に実施いたしまして、これに合格して初めて本試験を受けられることになっております。第三点は、技術士の守るべき義務でありまして、技術士業務とその性格よりみて、社会的信用を高める必要から、信用失墜行為や秘密の漏洩を禁止し、さらに報酬公正化規定しているのであります。第四点は、名称独占でありまして、本法案による技術士でなければ、技術士名称を用いてはならないことになっております。  ついでに申し上げておきますが、技術士独占的業務は、本法案には認められておらないのであります。その他、技術士審議会及び技術士試験委員を置いて、本法運用並びに試験施行に万全を期しているのであります。  以上が本法案概要でありますが、委員会におきましては、第一に技術士独占的業務を認めないで、果して技術士制度の健全な運営が可能かどうか、第二に、科学者技術者、特に官庁関係技術者をもっと優遇すべきではないか等の問題を中心に、政府との間に質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。なおこの際、本法案と同名、同趣旨法案議員立法の形で去る第十九国会に提案され、当時大いに論議されましたことを申し添えておきます。  質疑を終り、討論に入りましたところ、まず白井委員より、白井近藤豊田大竹各派委員よりなる共同修正案提出されたのであります。修正案要点は、技術士品位保持業務進歩改善をはかるため、全国一本の公益法人日本技術士会設置できることにしたのであります。  次いで同じぐ白井委員より、修正理由説明とともに、「技術士制度の健全な発展のために、本法は今後、漸次改正整備すべきである」との意見の開陳があり、次に豊田委員より、「将来、技術士特権的業務を付与する等の強力な措置を講ずべきである」との発言があり、また、阿具根委員より、「技術士名称独占のみでなく、業務独占等の特典を与えるとともに、一般科学者技術者優遇措置についても十分政府は対処すべきである」との意見の陳述があり、さらに大竹委員よりも発言がありまして、それぞれ修正案及び修正部分を除く原案について賛成の意を表明されたのであります。  かく討論を終了し、採決を行いましたところ、白井委員外三名よりなる提案修正案並び修正部分を除く原案は、それぞれ全会一致をもって可決せられたのであります。よって本法案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定した次第であります。  右、二法案について以上の通り御報告申し上げます。(拍手
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、輸出入取引法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、技術士法案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通じ議決せられました。      ─────・─────
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の議案を提出した。  盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案(文教委員長提出)本日委員長から左の報告書を提出した。  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案可決報告書  船舶職員法の一部を改正する法律案可決報告書  昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)可決報告書      ─────・─────
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長廣瀬久忠君。     —————————————    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕    〔廣瀬久忠君登壇拍手
  29. 廣瀬久忠

    ○廣瀬久忠君 ただいま議題となりました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、わが国の海外輸出入市場の開拓、確保及び外国との経済交流の促進をはかるため、その業務範囲を海外投資金融を中心として拡張するとともに、融資の期限、借入金及び債務保証の限度等について所要の改正をいたそうとするものであります。  次に、改正内容概要を申し上げますれば、第一に、技術の提供に対する金融については、設備等輸出を直接伴わない技術、たとえば開発事業の調査、設計等の技術の提供に必要な資金を融資の対象に加えることといたしております。第二に、海外投資金融及び海外事業金融については、設備等輸出が直接伴わない場合においても貸付の対象とするほか、融資の対象となる海外投資の形態、海外事業範囲等を拡張しようとするものであります。第三に、外国政府等の行う開発事業で、開発物資が本邦経済にとって重要であり、その大部分が本邦に輸入される場合、または開発事業のための設備等の大部分が本邦より輸出される場合には、その開発事業に必要な資金を融資の対象に加えることといたしております。第四に、償還期限について原則は現行通りとし、特別の事由のある場合については法律上の制限を設けないことといたしております。第五に、借入金の限度を自己資本の二倍とし、貸付と債務保証の合計額は自己資本と借入金の限度額の合計額をこえないことといたしております。第六に、以上の業務範囲の拡充に伴い、日本輸出入銀行の目的その他につき所要の改正を加えたほか、理事の定員を二名増員することといたしております。  委員会審議におきましては、借入金及び債務保証の限度額、水産業に対する投融資等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かく質疑を終了し、討論に入り、椿委員より、「理事が二名増員されることになっているが、特に人的な官僚統制を露骨に強化することのないように十分な注意を促して、消極的に賛成する」旨の意見が述べられ、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案(文教委員長提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、提出者の趣旨説明を求めます。文教委員長岡三郎君。    〔岡三郎君登壇拍手
  34. 岡三郎

    ○岡三郎君 ただいま議題となりました文教委員会提出の盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  昭和二十九年に学校給食法が制定されまして、盲学校及び聾学校の小学部に学校給食が実施され、さらにまた去る第二十四回国会におきまして、学校給食法の一部改正が行われまして以来、盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部に学校給食が実施されることになりました。これらの諸学校における学校給食実施の状況を見まするに、盲学校、聾学校及び養護学校等には、小学部、中学部のほかに幼稚部、高等部を併設しているものが相当数に上っており、一種の総合学園として一貫した教育を実施することにより、その教育効果を高めているのでありまして、幼稚部における早期教育の開始と、高等部における職業教育の実施とを必要不可決とする特殊の事情にあるのであります。しかるに、学校給食法が制定されましたとき、学校給食の対象が小学部と中学部に局限されることとなり、また盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律に基く学校給食費の国の負担も、小学部と中学部に対してのみ行われております関係上、これらの学校におきましては、同じ校地内にあって一貫した教育が実施されておりまするにもかかわらず、学校給食については、義務課程の小、中学部にだけそれが実施され、これらの法律の適用を受けない幼稚部、高等部は除外される結果となっております。このような現状にありますることは、さきに述べましたごとく、これらの学校における教育の特殊事情から申しましても、また、これらの諸学校に学ぶ幼児及び生徒の心身の健全な発達を期する上からも、まことに不適切であり、かつ、はなはだ遺憾なことと申さなければなりません。  以上の理由によりまして、これらの諸学校の幼稚部及び高等部に学ぶ幼児及び生徒を学校給食の対象とし、その心身の健全な発達に資するとともに、国民の食生活の改善に寄与し、かつ、その普及充実をはかる目的をもって、さしあたり給食用の小麦及び脱脂粉乳を低廉な価格をもって供給できるよ今にするため、ここに本法律案提案いたした次第であります。  本法律案の骨子といたしますところは、ほぼ現在行われておりまする学校給食法にのっとり、学校給食の目標及び定義を明らかにし、学校給食に関し盲学校、聾学校及び養護学校の設置者、地方公共団体及び国の任務について所要の規定を設けたことであります。すなわち盲学校、聾学校及び養護学校の設置者は、当該学校において学校給食が実施されるように努めなければならないものとし、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち、政令で定めるもの、すなわち主として人件費はこれらの学校の設置者の負担とし、これら以外の学校給食に要する経費は、給食を受ける幼児及び生徒の保護者の負担といたし、一応その負担区分を明確にいたしたのであります。  次に、国及び地方公共団体の任務は、学校給食の普及と健全な発達をはかるように努めなければならないのでありまして、国は食糧管理特別会計の負担において、学校給食用小麦等の代金を特別低廉に定めるとともに、関税定率法の適用により低廉な脱脂粉乳を供給することによって、給食を受ける幼児及び生徒の保護者の負担である給食費の軽減をはかることといたしました。以上のほか、学校給食用小麦等の用途外使用の禁止、報告の徴取等について規定を設け、学校給食の実施に関し、その管理の適正を期しておるのであります。なお、本法施行期日は公布の日からといたしております。  以上、簡単ながら本案提出理由とその内容の概略を御説明申し上げました。  文教委員会におきましては、慎重に協議検討いたしました上、政府意見をただしましたところ、文部大臣より、「この法案趣旨には反対ではないが、学校給食物資に関する国の財政措置を必要とする等の問題があるので、にわかに賛成できない」旨の意見が開陳されましたけれども、文教委員会といたしましては、この際きわめて適切な措置であると思量いたしましたので、全会一致をもちまして、ここに委員会提案乏して発議いたし光次第であります。  何とぞすみやかに御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。(拍手
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、船舶職員法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長戸叶武君。    〔戸叶武君登壇拍手
  39. 戸叶武

    ○戸叶武君 ただいま議題となりました船舶職員法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。  船舶職員法は、船舶職員、すなわち船長、機関長、一等、二等、三等の航海士、機関士及び船舶通信士の職務を行う者の資格定員を定め、もって船舶の航行の安全をはかることを目的としたものでありまして、昭和二十六年第十国会において制定されたものでありますが、最近における海運業及び遠洋漁業の急激な発展に伴いまして、実情に適しない点が生じて参りましたので、この改正法律案は、かかる点を是正するとともに、海上航行の安全を確保しようとするもので濁ります。  この改正法律案のおもなる内容を簡単に申し上げますと、次の通りであります。すなわち、第一は、船舶職員の資格定員表を実情に即応させるよう全面的に改正することで護ります。第二は、現行法は、船舶職員になるためには海技従事者の免許を必要とし、この免許については五年の有効期間を設け、五年ごとの更新制を定めておりますが、改正法律案では、この免許の有効期間及びその更新制を廃止することであります。第三は、船舶職員の資格定員の緩和に伴い、海上航行の安全を確保するため運輸大臣の監督規定を強化することであります。すなわち、船舶が航海中に欠員を生じた場合、補充命令をなし得ることとし、またこの命令及び船舶職員の資格定員の規定に違反した場合は、当該船舶の航行の差しとめをなし得ることであります。第四は、通信長の制度新設いたしまして、従来の一等船舶通信士を通信長に改めることであります。第五は、乙種及び丙種の船舶通信士の資格の最低免許年令を、暫定的に二年間、二十才より十八才に引き下げることであります。  さて、質疑に入りましたところ、松浦委員より、「この法律案は、官民の関係専門家より構成されている海上航行安全審議会において十分慎重審議の上まとめられた答申に基いて立案の上提出されたものであるから、この際、質疑及び討論を省略されたい」との趣旨の動議が提出されたのであります。この動議につきましては、別に異論もありませんでしたので、質疑討論省略の上、直ちに採決に入りましたところ、本法律案は、原案通り可決すべきものと全会一致をもって決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます(拍手
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)  昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長苫米地義三君    〔苫米地義三君登壇拍手
  44. 苫米地義三

    ○苫米地義三君 ただいま議題となりました昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)の予算委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この予算補正は「いずれも仲裁裁定実施に伴うものであります。今回、公共企業体等労働委員会から出された仲裁裁定につきましては、政府はこれを尊重実施することにしておりますが、その予算上、資金上の措置については、専売、国鉄、電電の三公社及び郵政事業特別会計は、予算の補正により、また造幣局、印刷局、国有林野事業及びアルコール専売事業の四特別会計については、予算総則の規定による移用流用等によって措置することにしております。従って、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)は、郵政事業特別会計予算とそれに関連する資金運用部、郵便貯金、簡易生命保険及郵便年金の三特別会計予算の補正を内容とし、昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)は、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社予算の補正を内容とするものであります。  裁定実施のための財源措置といたしましては、実員に対して基準内給与予算単価につき、おおむね千二百円を増額した金額及びこれに伴う基準外給与の所要額を計上することにし、それに対する財源は、まず既定給与総額内の財源を充当して、なお不足する額については、事業遂行に支障を来たさない範囲内において、物件費その他の既定経費から捻出充当する方針になっております。すなわち、日本専売公社については、所要額七億八千二百万円のうち、四億余万円を既定給与総額内から充当し、残りを予備費から二億余万円及び物件費、退官退職手当等の削減によってまかない、日本国有鉄道については、所要額九十億五千五百万円のうち、約三十六億余万円を既定給与総額内から充当し、残りを三十一年度の自然増収分から三十四億余万円及び予備費、退官退職手当からおのおの十億円によってまかない、また日本電信電話公社については、所要額三十五億六千二百万円のうち、十八億余万円は既定給与総額内から充当し、残りを三十一年度の自然増収分から十一億余万円及び予備費、退官退職手当の削減によってまかない、郵政事業特別会計については、所要額五十億三千二百万円のうち、約十億円を給与総額内から充当し、残りを予備費、退官退職手当、物件費等の削減による十九億余万円及び郵便貯金、簡易生命保険及郵便年金の二特別会計及び日本電信電話公社からの受け入れ二十一億余万円によってまかなうことになっております。以上の結果、予算総則に定められる給与総額は、それぞれ増額されることになりましたが、今回から給与総額を基準内給与と基準外給与とに区分し、基準内給与総額の変更は、主務大臣が大蔵大臣と協議して承認を与えた場合に限ることとなりました。  以上が本予算補正の大体の内容であります。  予算委員会におきましては、去る七日、本予算補正について池田大蔵大臣から提案理由説明を聞いた後、同日より本十三日まで五日間にわたり、岸内閣総理大臣並びに関係大臣に対し質疑を行いました。また、本日午前には、藤林仲裁委員長参考人として出席を求め、裁定についての疑点をただす等、審査に慎重を期して参りました。  以下、これらの質疑のうち、予算に直接関連する若干の事項について簡単に御報告申し上げます。  すなわち、「今回の補正予算は、公労法第十六条第二項に基く議決案と同時に出されているが、予算が先に成立した場合には、議決案は流れ、国会の審議権が無視される結果になる。議決案に対する国会の議決があった後に出す方が筋ではないか、また補正予算の総則で給与総額を基準内と基準外に区分し、その流用は財政当局の承認を要することにしたのは、労使の紛争の自主的解決の能力を、さらに喪失させるものではないか、また予算単価と実行単価との格差は、労使の合理的な協定あるいは調停によりできたものであるから、その三分の一を削減することは裁定の完全実施にならないのではないか、残りの三分の二の部分は、来年度予算編成の際は基準内賃金として積算の基礎にするのか、また財源の捻出に当っては、超勤手当等他の費目の削減によって捻出しているが、このため、今後の給与問題の解決ないしは事業の遂行に支障を来たさないか、また、これによって予算の健全性を貫き得ると思うか」等の質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、「公労法第十六条第二項は、予算上、資金上不可能な場合は、十日以内に国会に議決を求むべきことを規定しているが、その後において移流用により可能となったのが四現業の場合であり、補正予算の成立により可能となるのが三公社一現業の場合である。いずれの場合においても、予算上、資金上可能な状態が発生すれば、議決案の方は議決の必要がなくなるので、自然削減の取扱いを願うのが妥当であり、従来にもこれに似た例がある。議決の対象がなくなるのであるから、審議権を無視することにはならない。三公社の給与総額を基準内と基準外に区分したのは、従来、三公社については給与総額だけを定め、その範囲内で、ある程度自由を認めていた結果、予算単価と実行単価との格差を生ずる結果になったので、このようなことを今後生じないようにするためにとった措置である。三分の一を削減したのは、これまでの格差は将来においてなくするようにという裁定の趣旨に沿ったものであり、裁定の趣旨の第一は、千二百円を予算単価に加えることであり、しかも相当な給与改善でなければいけないというのであるから、三分の二を残したのである。しからば、この基準内給与に入れない分は、来年度はどうするかと言えば、裁定の趣旨から、漸減して行くが、職員の新陳代謝、昇給財源等の操作でベース・ダウンにならない方法で解消させて行くつもりである。また財源捻出に伴う影響については、超勤手当等の削減は、昨年度の実績に基いて行なったものであり、さらに業績手当は、このワクとは別に出せるのであるから心配はないと思う。その他の削減分についても、経費の節減、企業努力等によってカバーするから、事業遂行に支障はない。予備費の削減は、予算執行上の弾力性をそれだけなくするということは言えるが、予算全体の健全性をそこなうものではない」等の答弁がありました。  また藤林参考人に対しては、「裁定の趣旨は、主文第一項の予算単価に千二百円を加えることにあって、実行単価については、相当額の増額になるようにということは、政府にまかせていると解してよいか、実行単価と予算単価の格差を将来なくするという裁定の趣旨は、今日即時にやれという意味ではないのではないか、格差の三分の一を引いて予算措置をした政府の今回の態度は、裁定の完全実施でもなく、誠意をもって尊重したことではないのではないか」などの質疑がありました。これに対して藤林参考人は、「実行単価を幾ら上げようとは仲裁裁定は指示していない、格差については将来解消さるべきだということで、今年からという意味ではない、主文第一項が実現されていれば裁定を実施したことにはなるが、三分の一を引いたことは、労働問題を処理するという立場からは、必ずしも委員会の期待に沿うたものとは考えられない」旨の答弁がありました。  このほか委員会における質疑は、本予算成立後の財政経済事情を初め、春闘処分問題等、広く内外の諸問題に及びましたが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。  かくて、本十三日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して内村委員が反対、自由民主党を代表して安井委員賛成、緑風会を代表して森委員賛成、第十七控室の八木委員賛成討論を、それぞれ行われました。  討論を終局し、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)は、多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。永岡光治君。    〔永岡光治君登壇拍手
  46. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となわました仲裁裁定に関する昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)に対し、反対討論を行わんとするものであります。(拍手)  去る三月十五日夜、鈴木・岸会談におきまして、今次仲裁裁定は、政府においてこれを完全に実施するよう措置するということを約束をいたしたのであります。それにもかかわらず、岸内閣提出されましたこの補正予算案は、裁定の不完全実施内容とするものでありまして、われわれの断じて承認することのできないものであります。同時に、今次調停ないしは仲裁裁定の取扱いに関する政府の不誠意きわまりない態度に対しまして、抗議のためにとられました関係労組の団体行動に対してとられた解雇を初めといたしまする約九百名に及ぶところの大量処分は、これまた鈴木・岸会談の公約に反する政府の一方的な不当処分でありまして、岸内閣の反動性をみずから暴露したものとして、われわれの断じて許すことのできないものであることを、まず冒頭に明確にいたしまして、討論を進めたいと思うものであります。(拍手)  そもそも三公社五現業の職員に対する給与改訂は、国家公務員同様、昭和二十九年以来ほとんど見るべきものがないのでありまして、政府が言うごとく、神武以来の好況という昨今のこの状況にもかかわりまぜず、これら労働者諸君の生活はかえって苦しくなって参ったのであります。従いまして、生活権擁護の立場から、これら労働組合諸君が、月額二千円のベース・アップを要求いたしまして立ち上ったことは、理の当然と言わなければならぬのであります。しかるに、政府及び公社当局は、誠意をもってこれが解決に努力をすることを怠りまして、ベース改訂の要求が出ますや間もなく、政府におきましては、公社当局におきましても、調停委員会にその解決を移しまして、責任の回避の態度に出て参ったのであります。調停委員会は、去る三月九日、三公社五現業の間に若干の相違はありましたが、大体におきまして月額千二百円の給与改訂を行うべきである、こういう調停案が労使双方に提示されたのであります。もとよりこの調停案の内容には、労使双方月額千二百円をもって円満に解決をいたしなさい、こういうことが明確にうたわれておるのであります。従いまして、組合側におきましては、調停案を検討の結果、この調停案には、多くの不満なところがあるのでありますけれども、この際、忍びがたきを忍びましてこれを受諾するという、きわめて譲歩した態度に出て参ったのであります。わが党もまた、その態度を支持いたしまして、政府及び公社当局に対しまして、すみやかに調停案を受諾し、予算措置を講ずるように強く申し入れて参ったのであります。しかるに政府は、この調停案は、文書による理由書をつけてない、口頭理由では納得できないというのであります。文書に書かなければ、それが理由になっていないという言いがかりをつけて参りました。同時に、三公社五現業に対しまして、大体において千二百円の金額、それは一律であるから、企業内容において相違するから、一律に提示されるということについては、ふに落ちない、こういう二つの理由で受諾を拒否して参りました。しかして、仲裁委員会の裁定に待つという態度に相なったわけであります。  こうして、政府みずからが紛争を拡大させるという不幸な結果に相なったのでありまするが、この間わが党は、紛争の円満なる解決をはかるために、再三再四にわたりまして、政府及び公社当局に対しまして善処を要望いたしまして、ついには、三月十六日の国鉄を中心にいたしますところの紛争を回避するために、鈴木・岸会談にまで発展いたさしたのであります。しかして、仲裁裁定は完全に実施するように措置をする、こういうことと、処分は慎重に取り扱うと、こういう二つの公約を取りつけることによりまして、十六日の事態は一応収拾することができたのであります。  この際、この問題に関連いたしまして明らかにしなければなりませんのは、今次の不当な大量処分についてであります。前に述べましたような事情で、岸総理との間に、処分は慎重に取り扱うという公約がなされておったにもかかわらず、国鉄の二十八名の首切りを初めといたしまして、停職、減俸、戒告等々約九百名に及ぶところの大量処分を行うということは、一体何事でございますか。政府みずからが調停について誠意を示さず、政府みずからが紛争を拡大しておいて、みずからの責任ばたなに上げ、しかも、処分をいやがる公社当局に対しまして、政府がこれに政治介入をして参りましたことは、歴然たる事実があるものと考えるのであります。すなわち、処分の数のワクをきめまして、これを公社当局に押しつけて参りましたがために、それぞれの機関におきましては、そのワク内に当てはまるリストを作ることに大わらわであった形跡が濃厚であります。明らかに政府がこの不当なる処分に対しまして、政治介入をした事実が濃厚と断ぜざるを得ないのであります。このような労働運動弾圧政策でありましては、われわれは断じて許すことができないのであります。処分という恐喝をもって労働運動を押えようとするがごとき労働政策では、正常の労働慣行は決して芽ばえてきもしないのでありますし、また、育ちもしないのであ冷ます。岸内閣には欠けたものが数々ございまするが、中でも労働政策に至っては、もはや国の内外を通じての周知の事実に相なっておる次第であります。猛省を促すゆえんでございます。  さて、こうして三公社五現業の間に、それぞれ異なった仲裁裁定の金額が提示されることを政府は期待いたしまして、かつ、努力をいたしましたにかかわらず、四月九日の仲裁委員会より提示されました裁定は、さきの調停案同様、すべて月額千二百万円のベース・アップをしろという内容であったわけであります。そこで、面目丸つぶれの政府は、たまたま裁定の文書の中に、給与の実行単極と予算単価は、将来これを解消するようにしなさいという要望の字句が書かれておったのに言いがかりをつけまして、給与の実行単価はやみ給与であるから、この際認めないという建前に立ちまして、昭和二十九年ないし昭和三十年度に労使双方において協約によって決定を見ましたところの給与改訂額の三分の一を、裁定額の千二百円より減額をいたしまして、この補正予算案の提出をして参ったのであります。この予算案は、従いまして仲裁裁定を完全に実施をしておるものではございません。これが私たちが、この予算案に反対する第一の理由であるわけであります。政府は、給与の過去の分をやみ給与ということで宣伝をいたしておりますが、労使双方の団体交渉が長引いて、給与改訂の協約の調印が真夜中に及んだから、これをやみ給与というのであるならば、これは別でありますが、公労法に指示するところに従いまして、団体交渉の結果によりまして妥結をいたしまして、しかも、労使相互間に協約調印をされました協定の給与が、何でやみでありましょうか、断じてやみではないのであります。しかも、労働大臣や、運輸大臣が、みずから予算委員会において認めておりますように、この過去の給与については、労使双方には問題はないと言っておるのであります。公社当局と大蔵当局に責任がある、こういうことを言っております。その通りだと思うのであります。従いまして、過去の労使間の協定給与については、今日まで予算化していなかった責任は、あげて大蔵当局にあると言わねばならないのであります。従いまして、政府当局の職務怠慢こそ、この際徹底的に追及をされなければならない問題と考えておる次第でございます。(拍手)ところが政府は、みずからの責任をたなに上げまして実行給与をやみ給与として取り扱うことは、これは私たちとして断じて承認することができない問題であるわけであります。裁定に言うところの給与の実行単価と、それから予算単価を解消するという方法につきましても、団体交渉によって妥結を見た実行給与をそのままにしておいて、予算単価を引き上げて近づけるというのが、これが筋であるわけであります。ところが政府の方は、すでにきまって実際払われているその給与額を引き下げて予算単価に近づけるという、こういう無謀なる態度に出てきたことは、これまた公労法の精神に反すると言わなければならぬのであります。従いまして、現在実行されております実行給与に、裁定額の千二百円をそっくり積み重ねて、そういう予算を組むのが当然であると考えられるにもかかわらず、過去の改訂分の三分の一を減額するがごときは、全くみみっちい不当なる補正予算案と断ぜざるを得ないし、私たちの絶対に承認できないものであります。  政府は、本予算案は裁定を完全に実施するものと独断いたしたようでありますけれども、政府の照会に対する藤林仲裁委員長の回答、あるいはまた、予算委員会における藤林委員長の答弁にも明らかなように、政府みずからがこれを照会いたしまして、予算委員会でも、これが完全に実施されたのか、完全に実施していないと、はっきり答弁いたしておる事実を見ましても、完全に実施したものとは考えられない予算案と見なければならぬのであります。なお、政府が期待しておりましたその仲裁委員会の答弁も、この前の予算委員会で岸総理も答弁をいたしておりましたが、相当尊重した、こういう答弁であります。相当は、どこまでも相当でありまして、相当の意味するものは、ある部分でありまして、完全を意味するものではないのであります。従いまして、過去の給与改訂分の減額も、将来かりに政府が考慮することがあったといたしましても、この際この減額を行うべきでは断じてないのであります。このような政府予算措置は、仲裁裁定を完全に実施することを怠った独善的、一方的不当措置と言わなければなりません。  それから反対の第二の理由は、政府予算案は、きわめてずさんなものであって、信頼のできないものであるということであります。すなわち、昭和三十二年度予算案は、去る三月三十一日に成立を見たばかりでございます。にもかかわらず、成立の日より数日を出ずいたしまして、仲裁裁定、これを行う所要額は約百九十億に及ぶのでありますが、その予算の成立をされました予算費目の中から組みかえられて、それぞれ措置をされておるということであります。三十二年度予算案は、そのようなずさんきわまるものであることを証明いたしておることにほかならないのであります。わが日本社会党は、この三十二年度予算案に反対をいたしましたが、これに賛成をいたしました諸君は、どう考えるのでありますか、まさに政府に一ぱい食わされたと考えなければなりません。あいた口がふさがらないというのは、このことを指すものと思うのであります。しかも、これを国鉄の場合に例をとって見ますならば、裁定の実施に必要な財源は九十億であります。その中の三十六億は三十二年度、先般の三月三十一日に成立をいたしましたその給与予算の総額の中から捻出をすることになっております。国鉄の財源がないということで運賃値上げまで実施をしながら、しかも三月三十一日に成立したばかりの給与総額内に、三十六億という余裕財源があるという、この三十二年度予算案は、まことにずさんきわまりないものと断じても差しつかえないのであります。(拍手)このような国会を侮辱するもはなはだしい岸内閣予算案は、絶対に承認することができません。三十二年度予算案に賛成した諸君も、再びこの補正予算案に賛成することはよもやないと思うのでありまするけれども、わが日本社会党は、この不正きわまる予算案に対しまして、三十二年度の本予算を含めまして、もっとまじめな、了解できる予算を、信頼の置ける予算を再提出をするよう要求してやまないものであります。(拍手)  反対の第三の理由は、第一の反対の理由の中にも述べましたけれども、政府は、過去の労使双方の協約に基く給与改訂分のうち、その三分の一を減額をいたしまして、三分の二をさしむき認めるということになっているのでありますが、その三分の二の相当額の給与予算基準内給与予算額に計上していないという政府の自己矛盾をこの際指摘しておきたいと思うのであります。政府の言う、やみ給与を認めないというのであれば、この際補正予算において、前述の三分の二の相当額の基準予算の増額を行うのが、私は最も妥当だと考えなければならぬと思うのであります。しかも実行単価と予算単価を一致させることに政府は努力するというのでありまするから、この際、なぜその三分の二の認めたところの予算基準予算の中に増額計上しないのでありましょう。これこそ自己矛盾もはなはだしいのであります。(「してあるよ」と呼ぶ者あり)してあるという諸君がありますが、これは一部であります。一部であり、全部ではないのであります。いかに不勉強であるか、これをもっても明確であるわけでございますが、こういう状況に相なっておるので、私たちは絶対に承認することができないのであります。  反対の第四の理由は、予算総則の第十六条の改正でありますが、この改正は、公労法の精神に反するものでありまして、実際問題としても労使の紛争解決には役に立たず、むしろ支障になるという点であるわけであります。従来は、予算総則におきまして、基準内、基準外を合わせまして一本の給与総額として、運用の妙味を発揮して参ったのでありますが、今回これを改悪いたしまして、給与予算基準内と基準外とに分けまして、流用を必要とする場合には、たとえばこれを国鉄の場合に例をとって申し上げますならば、運輸大臣と大蔵大臣とが協議をいたしまして、その協議を経て運輸大臣が承認をする、国鉄当局から出されましたそれを承認する、そういうことで初めて流用ができるということに改正をされているのであります。これでは紛争の解決を遷延せしめるばかりでありまして、ほとんど解決は困難になるといっても、私は従来の実績から申し上げまして、言い過ぎではないと思うのであります。国鉄、電電等を公社にいたしました意図は、やはり企業体といたしまして効率的な運営をはかるにあったはずでありまして、公社当局の自主的かつ適切な企業運営に期待する方が望ましいのでありまして、企業運営の実情に適するごとき労働条件を決定するに当りまして、政府は一々干渉がましいことを介入して参るということは、決して策を得たものではございません。政府の企図は、労使双方の団交に大きな制限を加えるものでありまして、公企労法の精神にも反するので、紛争解決を困難ならしめる、このような政府改正案に対しましては、これまた絶対に承認することのできないものであるわけであります。  最後に、公労法のこれまでの運用の経験に徴しまして、われわれはこの際、三公社五現業の諸君に対しましてはもとより、一般公務員に対しましても、罷業権を復活さすべきことを強く主張するものであります。罷業権を奪えば労働組合は何もできないのだ、騒げば首切りをもって臨めば万事片づくという考え方で、公企労法の上にあぐらをかいだ政府の態度が、実は真剣に労働問題に取り組むことから逃避いたしまして、結局は紛争の解決を困難にならしめておるのでありまして、これはだれもが認めるのでありまして、これこそが、今度の紛争を通じまして、私たちがいやというほど味わわされました尊い体験であるわけであります。三公社五現業の諸君に、民間同様、罷業権がもし与えられておったといたしましたならば、政府公社当局は、果してこのようなのんべんだらりとした怠慢な態度であるはずはないのであります。もっともっと真剣に、この問題の解決に私は取り組んだものと考えるものであります。組合もまた、予告なしに実力行使に突入せざるを得ないような、そういうところまで追い込まれずに済んだと私は考えるものであります。罷業権を与えた中で、労使双方がよりよき労働慣行を作り上げて行くべきだ、これは今次仲裁裁定をめぐっての尊い教訓であったと思うのであります。今朝来、新聞紙上に報道されるところによりますると、政府は近く公企労法を改悪いたしまして、いよいよ労働運動に弾圧を加えようという改悪の方向が打ち出されつつあるわけでありますが、これこそ、明らかに憲法で保障されておりまする団体行動権、団体交渉権、団結権の否認を意味するものでありまして、この際、この紛争をめぐって得ました尊い経験に基きまして、これを無意味に終らせることなん、三公社五現業あるいは公務員等につきましても、罷業権を復活させるよう、次期国会に提案されんことを強く要望いたしまして、私の反対討論を終るものであります。(拍手
  47. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 左藤義詮君。    〔左藤義詮君登壇拍手
  48. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 自由民主党を代表して、本年度特別会計予算補正(特第2号)及び政府関係機関予算補正(機第1号)に対し、賛成討論をいたします。そもそも仲裁制度というものは、公正なる第三者の判定によって労使間の紛争を最終的に解決するために設けられた制度であり、特に三公社五現業にあっては、各企業の有する公共性にかんがみ、一切の争議行為を禁止されておる労働者の権利保全という面を持っておるのでありますから、仲裁の結果出された裁定を当事者双方が尊重し、これに最終的に服従すべきであることばもちろん、政府においても、公労法第三十五条の規定を待つまでもな又これを尊重し、裁定が完全に実施されるように努力すべきであることは申すまでもありません。この点と関連して、今回の仲裁裁定の実施をめぐり、予算委員会においても、ただいま議題となっております両補正予算につき、これによって仲裁裁定が果して完全に実施されることになるのかどうかということが最も問題とされたのであります。私は詳細に仲裁裁定及び補正予算内容を検討いたしました結果、今回の両補正予算は、公共企業体等労働委員会の仲裁裁定の趣旨を十分に尊重し、これを完全に実施するために必要にして十分な所要経費を計上しておるものと認めるものであります。(拍手)  すなわち今回の仲裁裁定は、すでにしばしば指摘されておりますように、その内容において不分明な点があり、その解釈に苦しむ点も多いのでありまして、紛争の最終的解決のための裁定が、かかるものであってよいのかどうかということにつきましては、非常に疑問を持つのであります。この点は別にいたしまして、今回の仲裁裁定の趣旨とするところが、その主文第一項にあることに、議論の余地のないところであります。これに従えば、両院の予算委員会において、藤林仲裁委員長も言明しておられますように、予算単価に千二百円を積み上げるという予算措置がとられればよいこととなるのであります。国鉄を例にとりますと、昭和三十一年二月の調停案に基く、いわゆる第一項確定分の六百円がこの中に含まれることはもちろん、この確定分以外の予算単価と実行単価との格差五百二十円も千二百円の中に含まれることとなり、かくては実質的には八十円のベース・アップとなってもいたし方がないということになるのであります。これが主文の趣旨であります。しかしながら、一方、今回の仲裁裁定は、その理由第三において、予算単価と実行単価との格差については、将来これが合理的に縮小されるよう制度上、実行上、関係当局において留意する必要がある旨を述べており、これと主文第一項及び理由第一との関係が問題になるのであります。この点について政府から委員会になした質問に対し、同委員会は、千二百円がそのまま実行単価に積み上げられるものではないが、相当程度の現実的給与改善措置を企図している旨回答しております。藤林委員長は、衆議院において、政府がこの格差縮小を今回の給与改訂から行うことについて、裁定に反するとは考えない旨の発言をしておる。本日重ねて本院予算委員会においても、政府措置は、裁定書の趣旨に対し、不満を述べる点は少しもないと言明をされておるのであります。(拍手)  以上の諸点について、今回の両補正予算を見ますと、政府においては、この公労委の回答及び仲裁裁定の趣旨を十分尊重して、基準予算単価に千二百円を積み上げるとともに、右五百二十円をまるまる千二百円の中に含めることなく、従来この五百二十円に充てられていた原資の約三分の一に相当する額を、千二百円増額の財源に充当するという措置をとっておるのでありまして、以上によっても明らかなごとく、今回の両補正予算により、仲裁裁定は完全に実施されるものと考えるのであります。(拍手)  次に、この両補正予算審議をめぐり、三公社について、予算総則において、今回新たに基準内と基準外とを流用するときは主務大臣の承認を要する  こととしたことに関し、かかる措置は団体交渉権を不当に制限するものであると、ただいま永岡君が申されましたが、三公社は、申すまでもなく、全額国の出資にかかる完全国有法人であり、国民の血税によって運営されておるものでありまして、公共の福祉を増進するよう、適正かつ合理的に運営さるべきであるということについては、何人も異論のないところと思うのであります。(拍手)もちろん、巷間、俗にやみ給与と言われている予算単価と実行単価との格差は、裁定理由にもありますように、出づるべき一定の根拠があって出てきたものでありまして、また従来、給与総額内においては、基準内外の流用が三公社限りで行い得ることとされていたことによって生じたものでありまして、これを指して違法なものであるということはできませんが、他面、公共企業体等は国会によって議決された予算によって運営されておるものであり、この予算において一定の単価に定められておるにもかかわらず、これと実行単価との間に、通常考えられるより以上の大きな格差のあることは、各企業の公共事業としての性格及び企業経理の本質から申しましても、きわめて不合理かつ不適当と考えるのでありまして、かかる格差はなるべくすみやかに縮小され、より合理的な、だれが見てもすぐわかるような、すっきりとした給与制度が打ち立てられることが特に必要であると考えられるのであります。政府において、今回仲裁裁定の趣旨を尊重して、従来あった格差の約三分の一を縮小するよう財源措置をするとともに、予算総則において、基準内外の流用について、一定の制限を設けることとしましたのも、かかる観点に立ってのことと考えられるのでありまして、きわめて適切な措置であると信ずるのであります。  右のごとく、政府が誠意をもって仲裁裁定を実施せんとしておるにもかかわらず、明らかに法の禁ずる実力行使が大規模に行われ、善良な国民が多大の迷惑をこうむったことは、私の最も遺憾とするところであります。あれは職場大会であってストではないと言われますが、現実に客車や貨車の正常運転が阻害せられ、郵便や電信電話が遅延した事態は否定することができますまい。罷業権の認められております私鉄でさえも、乗客のためにストの予告をしておりますのに、国民の財産たる国鉄が抜き打ちストをやられた。そのためにこうむった損害と混乱に対する国民の憤激がいかに激しかったか。その直後に行われた大阪の参議院選挙の勝敗は、まさにこの一挙によって決せられたというも過言ではありますまい。きのう、おとといのいわゆる報復闘争においても、まず大阪を中心とする現場の諸君が、よくこの世論を体して、あえて中闘の指令を返上して、公共の福祉を守られた良心的勇気に対して深く敬意を表する次第であります。(拍手)  先般、本予算討論において申し述べましたごとく、私は二大政党が議会を共通の広場として交互に政局を担当することを理想とするものであります。日本社会党が社会主義の実現を理想として、労働階級の利益を代表する政党であることは申すまでもありませんが、その目的の達成には、あくまで民主主義、議会主義によることを表明しておられます。従って労働階級の利益を代表、擁護するにいたしましても、その手段方法においては、あくまで合法的立場をとるべきでありまして、非合法的実力行使は、絶対にこれを慎しまなければなりません。今回のごとき非合法の結果として生じました責任者の処分は、情においては忍びがたくとも、あえてこれを肯定して、労組の行き過ぎを是正するだけの権威を持たなければなりません。イギリスの労働党ならば、諸君が支持せられますイギリスの労働党ならば、必ずこれを肯定するだけの権威と良識を貫くに違いありません。(拍手)明日にも、……(「それはファショだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お聞きなさい。明日にも、諸君の攻撃によって自民党内閣が倒れましたら、社会党は直ちにかわって政権を担当すべき立場にあり、またそれを自負しておられるでありましょう。しからば、鈴木内閣のもとにおいて、非合法的実力行使が行われた場合において、社会党は、あえてこれを容認あるいは激励せられるでありましょうか、それとも実力行使などの起ることのないように、労組の要求はことごとくこれをうのみにされるのでありましょうか。そのいずれにいたしましても、とうてい国民の信頼を得ることはできず、たちまち政権を失うこと火を見るよりも明らかであります。(拍手、「予算の問題をやれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)歯に衣を着せず、率直過ぎて礼を失したことはおわびいたしますが、この段階において、一日も早く現実に給与の改善を待望しておられる三公社五現業の方々のためにも、私はすみやかに本案の成立を希望いたすものであります。(拍手)ただ、今回の仲裁裁定とも関連して、公共企業体等の制度上、運営上に多くの問題のあることが露呈されたのでありまするから、これらの点につきましては、政府及び関係当局において今後十分検討を尽され、公共企業体等の有する本来の目的が完全に発揮され得るように努力されることを強く要望するとともに、三公社五現業の労使関係が、わが国の労働運動及び国民経済に占める重要性にかんがみ、一日も早く健全にして合理的な労働慣行が確立されますよう、政府並びに労使当事者において尽力されんことを特に切望をいたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手、「議事進行」「委員長報告と違うじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。(「取消し取消し」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)    〔藤田進君発言の許可を求む〕
  50. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 藤田進君。
  51. 藤田進

    ○藤田進君 議事進行に関する発言を求めます。
  52. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 発言を許します。(「登壇々々」「自席発言だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  53. 藤田進

    ○藤田進君 ただいまの左藤義詮君賛成討論の中に、日本社会党を、事実に反して誹謗した個所が多々あります。(「その通り」と呼ぶ者あり。その他発言する者多し)議場の神聖を汚すものであり、議長において、これが速記録等取り消しなど善処されんことを……。(「必要なし」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、聴取不能、拍手
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 議長は、速記録を調査いたしまして、御指摘のような個所があれば善処いたします。  これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案の表決は、記名投票をもって行います。両案に賛成諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    [参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百九十七票   白色票   百十九票   青色票   七十八票  よって、両案は可決せられました。(拍手)      ─────・─────    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名 百十九名   森 八三一君  早川 愼一君   中山 福藏君  豊田 雅孝君   常岡 一郎君  田村 文吉君   大川 光三君  竹下 豐次君   村上 義一君  廣瀬 久忠君   武藤 常介君  島村 軍次君   鹿島守之助君  石井  桂君   松岡 平市君  伊能繁次郎君   加藤 正人君  梶原 茂嘉君   加賀山之雄君  堀  末治君   有馬 英二君  苫米地英俊君   上林 忠次君  河野 謙三君   佐藤 尚武君  井野 碩哉君   藤野 繁雄君  谷口弥三郎君   新谷寅三郎君  森田 義衞君   杉山 昌作君  後藤 文夫君   石黒 忠篤君  一松 定吉君   本多 市郎君  仲原 善一君   成田 一郎君  堀本 宜実君   前田佳都男君  松村 秀逸君   手島  栄君  柴田  栄君   塩見 俊二君  大谷藤之助君   大沢 雄一君  西川彌平治君   高橋  衛君  土田國太郎君   斎藤  昇君  雨森 常夫君   迫水 久常君  三木與吉郎君   田中 啓一君  横川 信夫君   木島 虎藏君  安井  謙君   秋山俊一郎君  最上 英子君   岩沢 忠恭君  三浦 義男君   高野 一夫君  宮田 重文君   小柳 牧衞君  木内 四郎君   青山 正一君  堀木 鎌三君   左藤 義詮君  植竹 春彦君   石原幹市郎君  黒川 武雄君   重宗 雄三君  苫米地義三君   中山 詳彦君  泉山 三六君   平井 太郎君 大野木秀次郎君   寺尾  豊君  伊能 芳雄君   小沢久太郎君  西田 信一君   稲浦 鹿藏君  吉江 勝保君   平島 敏夫君  後藤 義隆君   勝俣  稔君  小西 英雄君   佐藤清一郎君  宮澤 喜一君   吉田 萬次君  横山 フク君   榊原  亨君  佐野  廣君   青柳 秀夫君  高橋進太郎君   山本 米治君  寺本 広作君   剱木 亨弘君  館  哲二君   上原 正吉君  小幡 治和君   郡  祐一君  西郷吉之助君    小林 武治君  紅露 みつ君    小山邦太郎君  木暮武太夫君    石坂 豊一君  下條 康麿君    野村吉三郎君  笹森 順造君    杉原 荒太君  青木 一男君    木村篤太郎君  吉野 信次君    江藤  智君  田中 茂穂君    林田 正治君  中野 文門君    八木 幸吉君     —————————————  反対者(青色票)氏名  七十八名    大矢  正君  森中 守義君    北村  暢君  鈴木  強君    藤田藤太郎君  相澤 重明君    松永 忠二君  占部 秀男君    森 元治郎君  木下 表敬君    平林  剛君  山本 經勝君    岡  三郎君  亀田 得治君    秋山 長造君  久保  等君    柴谷  要君  大和 与一君    安部キミ子君  近藤 信一君    千葉  信君  戸叶  武君    大倉 精一君  田畑 金光君    吉田 法晴君  中田 吉雄君    松澤 兼人君  河合 義一君    小笠原二三男君 成瀬幡 治君    藤田  進君  島   清君    田中  一君  加藤シヅエ君    赤松 常子君  三木 治朗君    江田 三郎君  東   隆君    荒太正三郎君  市川 房枝君    岩間 正男君  横川 正市君    長谷部ひろ君  鈴木  壽君    大河原一次君  伊藤 顕道君    北條 雋八君  天坊 裕彦君    千田  正君  光村 甚助君    湯山  勇君  加瀬  完君    坂本  昭君  阿部 竹松君    安部 清美君  松澤 靖介君    椿  繁夫君  阿具根 登君    海野 三朗君  中村 正雄君    矢嶋 三義君  小林 孝平君    小酒井義男君  永岡 光治君    松浦 清一君  天田 勝正君    高田なほ子君  片岡 文重君    重盛 壽治君  羽生 三七君    岡田 宗司君  佐多 忠隆君    栗山 良夫君  山下 義信君    清澤 俊英君  棚橋 小虎君    内村 清次君  山田 節男君
  58. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十八分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した案件  一、漁港審議会委員任命に関する件  一、原子力委員会委員任命に関する件  一、日程第一 建築士法の一部を改正する法律案  一、日程第二 駐車場法案  一、日程第三 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案  一、日程第四 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第五 輸出入取引法の一部を改正する法律案  一、日程第六 技術士法案  一、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案  一、盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案  一、船舶職員法の一部を改圧する法律案  一、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)  一、昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)