運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-26 第26回国会 参議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十六日(金曜日)    午後二時三十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十九号   昭和三十二年四月二十六日    午後一時開議  第一 滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 旅館業法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第三 北海道開発公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)  第五 防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第十一番、地方選出議員、大阪府選出大川光三君。    〔大川光三起立拍手〕      ―――――・―――――
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 議長は、本院規則第三十条により、大川光三君を法務委員に指名いたします。      ―――――・―――――
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  本院において指名する委員の数は、五名でございます。
  7. 宮田重文

    宮田重文君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 光村甚助

    光村甚助君 私は、宮田君の動議賛成いたします。
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員に、青木一男君、伊能繁次郎君、岩沢忠恭君、羽生三七君、村上義一君を指名いたします。      ―――――・―――――
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、特派大使任命につき議決を求める件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、日本国ポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定の批准書交換のための特派大使衆議院議員園田直君を任命することについて、外務公務員法第八条第三項の規定により、本院の議決を求めて参りました。  内閣同君特派大使に任命することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって、内閣同君特派大使に任命することができると議決されました。      ―――――・―――――
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長山本米治君。    〔山本米治登壇拍手
  15. 山本米治

    山本米治君 ただいま議題になりました滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案につきまして、委員会における審査経過及び結果を御報告いたします。  この法律案は、国税徴収法に基く滞納処分民事上の強制執行等の差し押えは、同一の財産に対しては重複して行うことができないという現行制度建前上、種々不合理な結果を見ている現状にかんがみ、一定財産について、右の両手続相互に重複して行うことができるようにするとともに、手続競合の場合の調整をはかる目的をもって提出せられたものであります。  その内容のおもな点を申し上げますと、第一に、滞納処分による差し押えと強制執行または競売の手続による差し押えとは、民事訴訟法にいう有体動産、不動産及び登記される船舶に限り相互に重複して行うことができることとし、現在の租税徴収確保の原則内で、さきに行われた差し押え手続のみが進行することを建前とするとともに、これを相当としないような特定の場合においては、あとから行われた差し押え手続裁判所決定によって、逆に優先して進行させる例外を設けること。第二に、先行の差し押え手続を解除する場合には、その差し押え財産債務者に返還しないで、あとの差し押え機関に引き渡すこと。第三は、滞納処分による公売代金残余金は、これを債務者に返還しないで、執行裁判所または執行吏に交付することなど、手続調整規定を設けたことであります。なお、具体的な細目につきましては、一政令及び最高裁判所規則にゆだね、今後の準備期間を見込んで、本年十月一日から施行することとなっております。  以上が本法律案提案理由並びに内容の概略であります。  さて本法律案は、三月七日、中村法務大臣より提案理由を聴取し、その後五回にわたっで慎重に審議いたし、その間、各委員から熱心な質疑が行われました。さらに、本法律案は、登録された自動車等には適用が除外されているため、四月四日には、参考人として、日本小型自動車販売協会全国小型自動車整備振興会連合会顧問弁護士鈴木多人君及び弁護士江川六兵衛君を招いて意見を聴取し、審議参考にいたしましたが、これらの内容につきましては、会議録を御参照願うことといたします。  かくて、四月二十五日討論に入りましたところ、一松委員より賛成意見の開陳があり、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、この決定に引き続き、委員会は、一松委員動議により、さらに、次のような付帯決議を付することを、全会一致をもつ七可決いたしました。すなわち、   本法制定目的及び趣旨の徹底をはかるため、政府は、すみやかに、最高裁判所とも協議提携の上、国税徴収法その他関係法規改正につき全面的検討を加え、民事訴訟法以外の強制執行手続による自動車等、特にその必要あるものにつき、滞納処分強制執行等との手続調整し、私債権行使の保護に遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  これに対し、法務当局より、「この決議趣旨に沿うべく努力する」旨の意思の表明がありました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。  よって本案は、全会一致をもって可決せられました。     ―――――――――――――
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、旅館業法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長千葉信君。    〔千葉信登壇拍手
  19. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審議経過並びにその結果について御報告申し上げます。  旅館業に対する規制は、従来単に施設面についてのみ、しかも主として公衆衛生上の見地から行なってきたのでありますが、旅館業法の本来の性格から考え、特に最近は、一部の地域におきまして、教育上からも種々批判されるような事例も生じ、かたがた家庭の延長としての利用者の静穏なる宿泊をはかる上から、また、快適な生活環境を造成する上からも、旅館業に対しては、風俗的見地をも加味した規制を加える必要が生じたというのが、この法律案提案理由であります。  改正案要点を申し上げますと、第一点は、善良風俗が害されることがないように法目的を改めたこと。第二点は、施設構造設備基準向上をはかる意味において、これを政令規定することに改めたこと。第三点は、施設使用方法広告方法等、その利用方法基準政令で定めること。第四点は、物的施設面のみならず、人的要件をも加えて営業者質的向上をはかること。第五点は、営業者関係法令に違反したときは、営業許可の取り消し、停止等行政処分を行い得るようにしたこと。第六点は、学校の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内では、教育環境清浄化を確保するように措置したこと、以上であります。  委員会におきましては、最近の社会情勢に基く本改正案重要性にかんがみまして、特に法務委員会連合審査を行い、また参考人を招致して意見を聴取する等、慎重審議を行なったのであります。  委員会及び連合審査会において、最も論議の中心となりました問題を申し上げますと、善良風俗はいかにして維持するか、臨検制度を復活するおそれはないか、旅館業教育環境清浄化の問題、旅館業風俗営業との兼業禁止の問題、いわゆる赤線業者旅館業への転業問題及び旅館業従業員待遇改善問題等でありまして、その詳細は会議録により御了承を願いたいと存じます。  かく質疑を終りましたところ、本案について榊原亨君外四名より修正案が提出せられ、その趣旨説明がありました。  その要旨は、第一に、事実上の下宿営業を包括せしめるため、宿泊の定義を、寝具を使用して施設を利用することに改めること。第二は、立ち入り検査に際し、その検査を行う関係書類は、構造設備に関する書類に限る旨を明確にしたこと等であります。  次いで討論に入りましたところ、自由民主党を代表いたしまして、高野委員より、また、日本社会党を代表して藤田委員より、それぞれ希望意見を述べて、修正案並び修正部分を除く原案に対し賛意を表明されました。  討論を終り、修正案及び修正部分を除く原案について、順次採決いたしました結果、本案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。      ―――――・―――――
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、北海道開発公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長廣瀬久忠君。    〔廣瀬久忠登壇拍手
  23. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 ただいま議題となりました北海道開発公庫法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  北海道開発公庫は、北海道における産業振興をはかるため、資本金十億円をもって昨年六月設立せられたのでありますが、今回さらに東北地方における産業振興開発を促進し、かつ北海道における産業開発を一そう促進するため、北海道開発公庫北海道東北開発公庫に改組し、資本金の増額、業務範囲拡大等所要改正をいたそうとするものであります。  本案改正のおもな点を申し上げますれば、第一点は、東北地方産業振興開発を促進せしめるため、本公庫目的及び業務範囲東北地方を加え、その名称を北海道東北開発公庫に変更いたそうとするものであります。第二点は、公庫資本金は現在十億円でありますが、今回、業務範囲拡大と一そうの開発を促進するため、産業投資特別会計から十五億円を出資せしめ、資本金を二十五億円に増額いたそうとするものであります。第三点は、現在、公庫運用資金を確保するため、資本金の二十倍まで債券を発行することができることになっておりますが、今回、債券発行の遅延の場合における資金繰りを容易にするため、債券発行による調達資金の前借として、政府から短期借入金をなすことができることとし、その返済は債券発行により調達した資金をもって充てなければならないことといたそうとするものであります。第四点は、公庫投融資対象事業のうち、石炭または可燃性天然ガス利用度の高い工業を、石炭可燃性天然ガスその他未開発鉱物資源利用度の高い工業に改めようとするものであります。第五点は、公庫理事長を総裁とし、理事一名を増員すること、公庫の本店を札幌市から東京都に移転せしめ、札幌市、仙台市にそれぞれ支店を設置すること、北海道開発債券北海道東北開発債券に改めること、経済企画庁を東北地方にかかる業務監督官庁として加える等、所要改正をいたそうとするものであります。  本案審議においては、北海道開発計画を推進するための基礎的調査及び計画そのものが非常に従来不備であり、かつ開発方式が適切でなかったため、北海道総合開発第一次五カ年計画に膨大なる国費を使ったのにかかわらず、その達成率が非常に悪いと言われておるが、その実情はどうであるのか、また、今回東北地方を加え北海道東北開発公庫として、未開発地域開発一貫性を保たせるように見えるが、実情は、北海道東北地方という別々な開発計画に基いて投融資を行い、産業開発を促進するということであって、こんなことで果して所期の開発目的を達成し得るやいなや、また衆議院における付帯決議について、政府はどのような態度で臨むつもりか、北海道開発には北海道開発庁があるのに、東北地方開発にはなぜ開発庁を設けてこれを行わせないのであるか、その理由はどういうところにあるかというような質問、東北地方にかかわる投融資対象事業と、その貸付資金計画等はどうなっておるかというようなことについて論議がなされたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かく質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林剛委員より、「一、すみやかに北海道総合開発第二次五カ年計画及び未開発促進計画を策定して、開発公庫対象となるべき投融資計画を明確にする必要がある、二、政府国土総合開発計画が、特定地域のみが先行して、順序が逆になっているようなことがあるばかりでなく、その計画を担当すべき行政機構に対する考え方には、大きな矛盾があり、統一した構想が欠けているから、総合開発計画行政機構矛盾については十分に検討し、開発事業党利党略に利用されるような印象を与えることがないように努力すべきである、三、北海道開発第一次五カ年計画実施状況からして、その目的達成が十分でないことは、すでに周知のことで、その効果に対する批判は、今後一そう強まると思われる、そこで政府は、公庫投融資対象に対しても十分慎重を期するとともに、役員の選任及び人的機構等についても十分に反省し、今後の事業運営には責任をもって当られたいことを要望して賛成する」旨の意見が述べられました。次いで高橋進太郎委員より、「東北地方開発が叫ばれて、すでに何十年にもなるが、その間、開発の実績は一向上っておらない。冷害の起った場合のみに問題となって、救済措置が講ぜられておるにすぎない。しかるに今回、終戦後の新しい視野に立って、わが国再建の根幹として東北開発が取り上げられ、その総合開発の一環として本案提案せられたのであるが、今度こそは、本案の意図するところをすみやかに実現さしてもらいたい。しかし、東北地方産業開発のために、公庫貸出資金量が四十五億円にすぎないが、東北地方開発をなすには、はなはだ足らないので、後年度において資金量を増大してもらいたい。また、少い資金量開発を行うのであるから、東北諸県に機械的に割り当てるのではなく、重点的に東北開発に役立つ産業投融資すること等を特に要望する」旨の賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長本多市郎君。    〔本多市郎登壇拍手
  27. 本多市郎

    本多市郎君 ただいま議題となりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は、健康保険法及び国家公務員共済組合法改正が行われるに伴い、これに照応し、また組合運営実情にかんがみ、若干の改正を行おうとするものであります。  改正要点の第一は、医療給付について、健康保険の例にならい、組合員にその費用の一部を負担さぜるものとし、この場合、組合は当分の間、これにより生じた余裕財源範囲内で、一部負担金の払い戻しその他の措置をとることができるものとすることであります。第二には、退職一時金を受けた者が再び組合員となり再退職した場合の期間の通算、退職年金を受ける権利を有する者の再就職による年金改定額廃疾一時金を受けた者の廃疾の程度が増進した場合等について、必要な改正を加えようとするものであります。第三に、組合規約の変更のうち軽易な事項については、自治庁長官の認可を要しないものとし、組合福祉事業を行うに当っては、事業が総合的に行われるように努めなければならないものとし、組合を組織している市町村とその他の市町村とが合併した場合における組合健康保険組合との関係調整に関する規定を整えんとするものであります。また第四には、組合を組織しない市町村の団体から受ける長期給付に相当する給付についても、組合から受ける給付と同様に、非課税の措置をとるものとする等であります。  以上の内容を有する政府原案に対し、衆議院においては、本法施行期日及び二、三の経過措置等に関する規定修正を加えて本院に送付してきたったのであります。  地方行政委員会におきましては、三月二十九日、政府委員より提案理由説明を聞いた後、当局との間に質疑応答を重ねましたが、その詳細は会議録によってごらんを願います。  四月二十五日、討論に入りましたところ、大沢委員は、「本法案は、健康保険法改正に伴って、これに照応し、また組合運営実情にかんがみ、必要な改正を行うものであるから、これに賛成する」旨を述べられ、同君より、健康保険法改正に伴う規定施行期日修正を加えるとともに、一部負担金に関する健康保険法規定は、五月一日から施行されるが、六月三十日までの間の一部負担金は従来通りとされたことに伴い、市町村職員共済組合員負担する一部負担金についても、その例によるものとする旨の修正案が提出されました。加瀬委員は、日本社会党を代表して、「本案内容は、部分的には賛成にやぶさかでない点もあるが、医療給付について、組合員費用の一部を負担させることは、保険制度基本にもとるのみならず、一部負担によって医療給付高度化は望めない等の理由によって、本法案に反対」の旨を述べられました。森委員は、「修正案を含めて本法案賛成し、この場合、組合員負担が過重にならぬよう、改正法実施上最善の留意を望む」旨を述べられました。  かく討論を終り、採決の結果、修正案及び修正部分を除く衆議院送付原案、いずれも多数をもって可決すべきものと決定いたしました。よって本法案は、修正議決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      ―――――・―――――
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、防衛庁設置法の一部を改正する法律案  日程第六、自衛隊法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長亀田得治君。    〔亀田得治登壇拍手
  32. 亀田得治

    亀田得治君 ただいま議題となりました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議経過並びに結果を一括して御報告いたします。  まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案改正要点を申し上げますと、その第一点は、防衛庁職員定員を八千四百九十八入増加して、現在の定員二十一万五千三人を二十二万三千五百一人に改正せんとする点であります。この八千四百九十八人の増加分の内訳を申し上げますと、六千九百二十三人が自衛官で、残りの千五百七十五人が自衛官以外の職員でありまして、自衛官増加分ば、千四百三十人が海上自衛官、五千四百九十一人が航空自衛官、であって、海上自衛官増員は、新造され、または米国政府から引き渡される予定の艦艇の就役及び航空部隊整備充実等のため必要な要員であり、また航空自衛官増員は、航空集団司令部新設、二航空団増設等のため必要な要員であります。その第二点は、防衛庁付属機関技術研究所が、その事務に支障のない場合においては、部外からの委託を受け、技術的調査研究、設計、試作及び試験を行い得ることとした点であります。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案改正要点を申し上げますと、その第一点は、海上自衛隊に、乗艦訓練のため練習隊群新設するとともに、警戒隊群を廃止して、これを自衛艦隊編成から除くこととして、その編成を改めるほか、航空防衛力整備増強のため、航空自衛隊に二航空団を基幹とする航空集団新設するとともに、二航空団を増設せんとする点であります。なお、この航空集団新設に伴い、長官は、必要があると認める場合には、航空集団司令に、補給処長または病院長指揮監督させることができることといたしております。その第二点は、現行法におきましては、防衛出動または治安出動を命ぜられた場合、または海上における警備行動災害派遣訓練その他の事由により必要がある場合には、特別の部隊編成することができるごととなっておりますが、今回、さらにこれらの場合において、特別の部隊新設するまでの措置をとることなく、所要部隊をその隷属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に置くことができることとし、事態に即応した自衛隊の一体的かっ能率的運用をはかることに改正せんとする点であります。なお、この措置により、特別に編成される部隊または同一指揮官のもとに置かれる部隊が、陸上自衛隊部隊海上自衛隊部隊または航空自衛隊部隊のいずれか二以上から成る場合、その部隊に対して行う長官指揮監督について、陸上海上、または航空の各幕僚長の行う職務に関しては、長官の定めるところによることといたしております。その第三点は、長官は、当分の間、自衛隊任務遂行支障を生じない限度で、自衛隊以外においては、その養成または教育訓練を行う施設がないと認められる一定技術者養成または教育訓練委託を受けて、これを実施することができることとした点であります。  内閣委員会は、前後五回にわたり委員会を開き、この間、岸内閣総理大臣、小瀧防衛庁長官、その他関係政府委員の出席を求めまして、この二法案審議に当りましたが、その審議の結果明らかになったおもな点を申し上げますと、その第一点は、国防の基本方針並びに長期防衛計画の策定と、これに関連して総理の訪米の目的がただされましたのに対し、岸総理より、「訪米の目的は、日米間の正常な友好関係、協力関係を作るため、日米間の基本問題について話し合い、完全な理解を作り上げる点にあるが、国防の基本方針並びに長期防衛計画は、国防会議決定される問題でありて、訪米までに早急にこれを策定し、成案を得れば、当然国民の前に明らかに示したい考えである。なお、国防の根本方針は、外国の不当侵略に備えて、わが国力、国情に応じた自主的防衛体制を作るという点にあって、これをいかに具体化するかが国防会議の任務である」旨、所見が明らかにされました。その第二点は、日米安全保障条約並びに日米行政協定の改訂に関する点でありまして、「岸総理は、訪米の際、安保条約並びに行政協定の改訂を米側と話し合う考えであるか、また、現在の日米共同防衛体制のもとでは、米国の戦略的要請によっては、原子力部隊の駐留、原子兵器の日本への持ち込みも考えられるが、これを拒否する根拠を安保条約並びに行政協定の中に盛り込む必要はないか」との質問に対して、「わが国の安全保障をいかなる形で行うかについては、国際連合の集団安全保障の強化によることが将来の理想ではあるが、これは現在では望めないことであり、また、わが国がSEATOのような地域的集団安全保障方式に加わる考えもない現在では、日米安全保障条約を廃棄して、共同防衛体制をなくすることは不適当であるから、現在の日米共同防衛体制は依然として堅持する考えである。ただ、これをいかに合理化し、日米両国民の納得する形にするかが現下の問題である。原子兵器の日本への持ち込み、原子部隊のわが国内への配置の問題については、米側は、わが方の意思を無視して実施した例はこれまでもなく、また将来もあり得ないが、しかし、日米安全保障条約並びに行政協定の規定は、表面上は、いかなる部隊を駐留さすかは、米側が一方的になし得る建前になっており、この点不適当と考えるし、また、他面、現在においては、わが国は、安全保障条約締結当時に比し、ある程度防衛力が増加し、また国連にも加盟するなど、情勢は大きな変化を来たしているので、安保条約等は全面的に再検討すべき時期にきていると考えるので、訪米の際は、日米共同防衛体制のあり方の根本について、米側首脳と話し合い、実情に沿った改訂をすることが、日米友好関係を堅持する上から見て必要と考える。なお、改訂に当っては、双務主義とか、不平等条約を平等にするとかの抽象論で行くと、わが方の海外派兵などの問題も派生してくるので、そういう観念論にとらわれず、現実的な立場から話し合いたい」旨、岸総理より答弁がありました。  その第三点は、核兵器と防衛力増強との関係に関する点でありまして、この問題につき、岸総理及び小瀧防衛庁長官より、「新兵器及び技術の発達に対応して、新時代に処する部隊編成と装備の改善を考慮し、質的強化をはからんとするのが自衛力増強の根本方針であるが、核兵器については、他国と異なる立場にあるわが国としては、国民感情と国情を無視しては、日本の国防ばあり得ないと考えるがゆえに、核兵器の国内への持ち込み及び使用は、強く拒否する方針である」旨、所見が述べられました。  その第四点は、自衛力の増強と憲法第九条との関係の点でありまして、「長期防衛計画に基く自衛力の強化は、憲法第九条との関係において、合法的でありとする根拠いかん」との質問に対し、「憲法第九条は、自衛権それ自体を否定するものでないことは通説となっており、政府もまたこれと同様に解釈しておるが、この自衛権に基いて、わが国が他国より急迫不正の侵略を受けた場合、これを防止するに必要な最小限度の自衛力を持つことは違憲ではなく、政府の考えておる自衛力の増強計画も、自衛のための必要最小限度のものであるから、憲法第九条に禁止されている戦力には該当しない」旨、岸総理より所見が述べられました。なお、昨日の委員会において、「核兵器の保有と憲法第九条との関係いかん」との点につきまして、「現在、核兵器と言われておるものは、原水爆が代表的なものであるが、その他のものも、伝えられるところによれば、多分に攻撃的性質を持つもののようである。そうとすれば、この種の核兵器も、わが国がみずから持つことは憲法の容認するところではないと考えられる」旨、小瀧防衛庁長官を通じて、政府の統一的見解が明らかにされました。この点に関し、さらに秋山、田畑、八木の各委員より、政府の見解のあいまいな部分について質疑を重ねたのであります。  なお、このほか、本年度陸上自衛官増員なき理由と、来年度以降における自衛隊の増強方針、防衛庁において従来作られた防衛六カ年計画試案と、今回、国防会議に諮問せんとする長期防衛計画案との関係、原子兵器に対処するわが国の防衛方針、米国より域外調達にかかる駆逐艦二隻の供与に伴う諸問題、防衛庁費の繰越金の状況、在日米軍の兵力とその配置状況、中共との国交回復に関する政府基本方針、総理の東南アジア訪問の目的、誘導兵器の受け入れに伴う秘密保護法制定の要否、米駐留軍の引き揚げと米軍基地との関係等の諸問題につきましても、質疑応答が重ねられましたが、その詳細は委員会会議録に譲ることといたします。  昨日の委員会におきまして、質疑を終り、次いで討論に入りましたところ、日本社会党を代表して田畑委員より、「本二法案に対し反対」の旨、次いで緑風会を代表して竹下委員及び自由民主党を代表して大谷委員より、「本二法案賛成」の旨、それぞれ討論がなされました。  かくて、討論を終り、直ちに本二法案につき採決いたしましたところ、本二法案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。田畑金光君。    〔田畑金光君登壇拍手
  34. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は日本社会党を代表し、ただいま議題となりました防衛二法案について反対の意見を述べたいと思います。  岸総理は、近く渡米するに当り、国防の基本方針長期防衛計画を携行する手はずになっておりますが、今回の二法案は、これら長期計画における年次計画にほかなりません。編成装備の質的改善をはかる、これがため誘導弾の研究開発を行うというのが法改正並びに本年度防衛予算の内容でありますが、研究開発はやがて利用に至る前提であり、原子力体制に第一歩を踏み出したものと言わなければなりません。委員会における質疑応答を通じ明らかにされましたことは、攻撃的核兵器は憲法の認めるところでないが、防御的核兵器――小型核兵器保有は、憲法に違反しない。また、核兵器と言われるものがすべて憲法違反とは思われないというような、憲法の戦力解釈に新たな内容を付加し始めてきたのであります。戦力なき軍隊という吉田理論から、急迫不正の侵害があった場合は、敵基地をも攻撃することができるとする鳩山理論を経て、戦術的原子兵器の保有も可能であるとする岸理論の展開は、いずれ時間の問題であると予見いたします。目的のために手段を選ばず、これが歴代保守内閣の権力政治の実体でありました。労働者に法の順守を説き、公務員に法の尊重を求める前に、政府みずから憲法を守ることこそ、政治に折り目を正す上において、緊急の課題であると考えます。政府は、近く憲法調査会を発足せしめると言いますが、野党の参加なく、改正反対の立場に立つ第三者の参加なき調査会に何を求め、いかなる権威を求めようとするのか、およそ無意味と言わなければなりません。岸総理は、民主政治家として深く反省し、過去の罪跡を消滅したいというのでありますが、真に反省するならば、侵略戦争の廃墟の中から生まれた憲法を守り、教育本法を尊重し、民主的公務員制度を堅持することこそ、反省の具体的立証であると思います。(拍手)岸総理は、過去の閲歴から見ても、いずれ岸体制の整備が内外にわたり実現した暁には、いよいよ腹をすえて憲法改悪に乗り出してくると思います。こういう背景の中に、平和憲法の精神をふみにじり、憲法を空文化する自衛隊の増強は断じて許すことはできません。(拍手)  第二の反対の理由は、日米安保条約、行政協定のもとにおける自衛隊の強化は、決して国家の安全を保障するものでもなく、アメリカのアジア政策、極東戦略に奉仕するにすぎないものであります。今日、政治家も、国民も、政府も心を用うべきは、自衛隊の強化拡大ではない。国民をして、守るに値する国土を建設することであり、従って不平等条約の解消をかちとることが第一の任務であると考えます。日米安保条約は、第一に基地貸与、駐留軍協定であり、アメリカ側は駐留権のみを保持し、日本防衛の義務は負っておりません。行政協定によりますれば、米軍の必要とする限り日本国全土、全水域、いずれの場所にも基地設定は認めなければならなくなっております。砂川、相馬ケ原事件は、こういう屈辱的条約の中から生まれたのであります。裁判管轄権の制限条項、MSA協定に基く防衛秘密保護法による自由と人権に対する制限、土地収用法によらず、より強権的な特別措置法による土地接収、基地労務者に対する米軍の一方的な解雇措置等は、不平等条約の具体的内容であり、今日、これが行われておるという事実であります。行政協定によりますると、日本国は合衆国に対し、施設、区域の使用を許すことに同意するということになっておりますが、みずからの自由と権利を大幅に制限する協定に対し、日本国民はいつ同意を与えたでありましょうか。主権者国民の代表である国会がいつ承認を与えたのでありましょうか。しかも安保条約は不特定期限、無期限に存続し得るようになっております。アメリカが極東の緊張いまだ緩和せずと認定する限り永久に存続しなければなりません。沖縄の施政権の返還も望めないのであります。わが国は旧臘、ようやくにして日ソ国交を回復し、国連に加盟することができたのであります。今こそ完全独立へ、不平等条約解消に、民族的な足並みをそろえる時期であると考えます。この基本的戦いの目標を忘れて、傭兵的軍備強化に奔走することは、事理の曲直をわきまえず、事の本末を転倒するものと評さなければなりません。(拍手)  第三の反対の理由は、保守内閣の防衛政策を今のままに放任いたしますならば、民族を三たび原水爆の悲劇に突き落す危険があるということであります。最近の世界情勢は、戦略的に大きな方向転換を遂げようとしております。わが国の再々の禁止要請にもかかわらず、クリスマス島における英国の核兵器実験がそれであり、過般、西独のアデナウアー首相も、西独は原子兵器武装に進むことを宣言いたしました。欧州諸国の大部分、NATO加盟諸国は、好むと好まざるとにかかわらず、やがて米国の戦術的原子兵器によって武装されるという運命の前に立たされております。一方、シベリアのかなたにおきまして、ソ連は、しばしば無警告の核兵器実験を繰り返し、これまた、粗手方がやめないうちはこちらもやめない、こういうような態度であり、世界の世論に背を向けております。このような国際情勢の中におきまして、日米安全保障条約に縛られた日本が、原子兵器は持ち込まない、原子力支援部隊の駐留申し込みは拒否するなどといって、いつまでも、そのような態度が続けられるでありましょうか。対米従属の姿を清算しない限り、自衛隊の原子兵器武装も、時間の問題にすぎないとわれわれは考えます。去る四月の十四日に、十八名の西独原子科学者たちは、アデナウアーの原子力武装宣言に対し、警告的な声明を発しております。いわく、「将来の原子戦で国民をその破壊力から守る方法は、現在の科学の力をもってしては不可能である。世界に二つの大きな原子兵器国家が現存する今日、西独のような小国が原子兵器で武装しても無意味である。むしろ、原子兵器による武装を断念することこそが西独の安全をはかる道である。」、こういう宣言であります。私は、この警告をこのまま岸内閣と与党に贈呈したいと考えております。(拍手)世界の良心にそむいて岸内閣の防衛政策はぐんぐん進められようといたしておりまするが、こういう世界の動きを見まして、私は断固反対しなければならないのであります。  岸総理は、国会終了後、訪米の前に東南アジア諸国を歴訪されるということであります。話し合いの外交、巨頭外交の今日、総理のこれら企ては、それ自体は大いにけっこうなことであります。しかし問題は、総理の心がまえいかん、現内閣の外交方針いかんが、東南アジアの旅行の成果を左右するものと考えます。これら諸国、ことにコロンボ・グループ諸国は、中立平和主義の外交の国であります。経済自立のために、資本、技術援助を強く求めておることは事実でありますが、しかし、どこまでも、ひもつき援助を排し、外国資本の国有化、植民地主義の排撃、民族独立運動の熾烈な国々であるのであります。これら諸国の多くは、また、すでに国内的には社会主義建設の方向に大きく踏み切っております。セイロンのバンダラナイケ政権、ネールの国民会議派の政治、ビルマの反ファシスト自由人民連盟の政治等、すべてそうであります。岸外交ほ、経済外交を重視し、特に東南アジアに対しては、アメリカの資本と日本の技術による開発を主張しておりまするが、もし今回の旅行が、アメリカの意を受けた、特にひもつき援助を排除するこれら諸国をドル資本によって縛ろうとする底意でもあるといたしますならば、日本はみずから大きな負債を近く背負わなければならなくなるでありましょう。特にこれら諸国は、外に対しましては平和中立政策により、内、国内建設、国民生活安定に、全精力を傾けております。また、これら諸国は、いずれも、かつて日本の侵略を受けた国々であります。日本の軍国主義復活を極度に恐れている国々であります。また、お隣の中国はどうでありましょう。これまた第二次五カ年建設の初期の段階に入り、経済建設、社会主義建設に国力を集中しておる体制であって、日中国交正常化については、両国政府間において正式かつ全面的に国交回復の段階に来ているということは、わが党使節団との共同コミュニケによって明らかであります。かかるアジア、極東の情勢に照らしまして、今日、日本政府のやるべき政策は、国民生活の安定、経済建設、社会福祉の強化であって、断じて自衛力の強化であってはなりません。(拍手)  願わくは、政府、自民党が、占領以来のアメリカ依存、対米従属の態度から脱却され、アジアの日本、アジアとともに立つ日本の姿を直視されることを強く要請いたしまして、私の反対討論を終ることにいたします。(拍手
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて、討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案の表決ば記名投票をもって行います。両案に賛成諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数  百五十六票   白色票      百票   青色票    五十六票  よって両案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名    百名    森 八三一君  前田 久吉君    早川 愼一君  豊田 雅孝君    大川 光三君  竹下 豐次君    村上 義一君  廣瀬 久忠君    武藤 常介君  川口鳥之助君    島村 軍次君  北 勝太郎君    鹿島守之助君  石井  桂君    松岡 平市君  伊能繁次郎君    梶原 茂嘉君  加賀山之雄君    堀  末治君  有馬 英二君    近藤 鶴代君  上林 忠次君    藤野 繁雄君  谷口弥三郎君    森田 義衞君  後藤 文夫君    一松 定吉君  鶴見 祐輔君    草葉 隆圓君  仲原 善一君    堀本 宜実君  松村 秀逸君    手島  栄君  鈴木 万卒君    柴田  栄君  塩見 俊二君    大谷藤之助君  大沢 雄一君    西川彌平治君  重政 庸徳君    土田國太郎君  雨森 常夫君    迫水 久常君  三木與吉郎君    横川 信夫君  野本 品吉君    秋山俊一郎君  最上 英子君    岩沢 忠恭君  高野 一夫君    宮田 重文君  小柳 牧衞君    青山 正一君  堀木 鎌三君    左藤 義詮君  植竹 春彦君    黒川 武雄君  苫米地義三君    中山 詳彦君  泉山 三六君    小林 英三君 大野木秀次郎君    寺尾  豊君  松平 勇雄君    井上 清一君  西田 信一君    中島 敏夫君  後藤 義隆君    勝俣  稔君  小西 英雄君    佐藤清一郎君  西岡 ハル君    吉田 萬次君  横山 フク君    榊原  亨君  佐野  廣君    青柳 秀夫君  高橋進太郎君    大谷 瑩潤君  寺本 広作君    剱木 亨弘君  小幡 治和君    上原 正吉君  小滝  彬君    郡  祐一君  西郷吉之助君    小林 武治君  小山邦太郎君    石坂 豊一君  下條 康麿君    笹森 順造君  林屋亀次郎君    杉原 荒太君  吉野 信次君    江藤  智君  田中 茂穂君    林田 正治君  辻  武壽君    北條 雋八君  天坊 裕彦君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名  五十六名    大矢  正君  森中 守義君    鈴木  強君  藤田藤太郎君    相澤 重明君  松永 忠二君    平林  剛君  山本 經勝君    岡  三郎君  亀田 得治君    秋山 長造君  久保  等君    柴谷  要君  安部キミ子君    近藤 信一君  千葉  信君    大倉 精一君  田畑 金光君    藤原 道子君  吉田 法晴君    中田 吉雄君  河合 義一君    小笠原二三男君  成瀬 幡治君    島   清君  加藤シヅエ君    松本治一郎君  三木 治朗君    東   隆君  荒木正三郎君    岩間 正男君  横川 正市君    長谷部ひろ君  鈴木  詳君    大河原一次君  伊藤 顕道君    光村 甚助君  湯山  勇君    加瀬  完君  阿部 竹松君    安部 清美君  椿  繁夫君    阿具根 登君  矢嶋 三義君    小林 孝平君  小酒井義男君    永岡 光治君  高田なほ子君    片岡 文重君  羽生 三七君    岡田 宗司君  栗山 良夫君    清浄 俊英君  棚橋 小虎君    内村 清次君  山田 節男君
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)可決報告書  臨時受託調達特別会計法案可決報告書  国有財産法の一部を改正する法律案可決報告書  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案可決報告書  電子工業振興臨時措置法案可決報告書  社会教育法の一部を改正する法律案可決報告書      ―――――・―――――
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長苫米地義三君。    〔苫米地義三君登壇拍手
  42. 苫米地義三

    ○苫米地義三君 ただいま議題となりました昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)の予算委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  この予算補正は、新たに設置される臨時受託調達特別会計の予算に関するものであります。すなわち日米相互防衛援助協定に基き、日本国政府に無償で譲渡される予定の二千三百トン級艦船二隻について、米国政府による直接調達方式によることなく、日本国政府との間に契約を締結し、日本国政府が国内においてこれを調達することとなりましたので、その経理を一般会計と区分して行うため特別会計を設け、所要の予算措置を講じようとするものであります。右、艦船二隻の建造所要経費は約六十七億円と見積られておりますが、この予算補正におきましては、その総額につきまして、昭和三十二年度以降三カ年度内において国庫の負担となる契約を昭和三十二年度において結ぶことができるまろ、国庫債務負担行為につき議決を求めておじますとともに、艦船の出来高に応じて米国政府から支払いを受ける金額を受け入れ、これをそのつど直ちに支払いに充てるために、昭和三十二年度においては、十二億七千万円の歳入歳出が予定されておるのであります。以上が、本補正予算の大体の内容であります。  予算委員会におきましては、四月二十四日、本予算補正について池田大蔵大臣及び小瀧防衛庁長官から説明を聞いた後、同日及び二十五日の二日間にわたり、岸内閣総理大臣並びに関係閣僚に対し質疑を行いましたが、以下、これら質疑のうち、予算に直接関連する若干の事項について簡単に御報告を申し上げます。  すなわち、「岸総理は、安保条約その他日米両国間の基本的な諸問題について話し合いを行うため、近く訪米されるのであるから、今回の駆逐艦受託調達のごときは、その話し合いによって日米関係調整された後に行うべきではないか、この駆逐艦のほかにも、わが国にはすでに二十八隻の駆逐艦があるのであるが、これらの駆逐艦は戦力ではないか、今回建造される駆逐艦には、原子兵器や誘導弾など装備しないか、米国政府委託を受けて日本政府が調達することとなっておるが、日米両国政府間の取りきめであるにもかかわらず、なぜ条約または協定の形式をとらないのであるか、また、このような間接調達方式によって日本側にどのような利益があるか、資材の値上り等で六十七億円では不足する場合どうするか、また、この駆逐艦の国内調達によって造船その他平和産業を圧迫するおそれはないか、防衛生産に対する政府基本的方針を明らかにしてもらいたい」などの質疑がございました。これに対しまして、岸内閣総理大臣から、「MSA協定に基き供与を受ける駆逐艦を国内において調達することは、かねてから日米双方の間に協議を重ねてきたことで、私の訪米と直接関係のある問題ではない、わが国に現在ある駆逐艦等は、自衛のため必要な限度内のものであって、憲法第九条に言う戦力ではない、原水爆を中心とするいわゆる核兵器を持つことは、憲法上適当ではないと思う」などの答弁があり、関係閣僚及び政府委員から、「今回建造しようとする駆逐艦の装備は、対潜装置に重点を置いて、原子兵器はもちろん、誘導兵器も取りつけない。米国政府との契約は公法的なものではなく、私法上の契約であるから、条約または協定によることを必要としない。間接調達方式は、将来わが国で使用する艦船について、その設計、監督、検査等すべて日本側でやれるので便宜が多いこと、日本の技術水準の向上に役立つこと等の利益がある。建造に必要な経費は、最高限を見込んでおるものであるから、不足を生ずるおそれはない。また、艦船の建造能力や機器の製造能力は十分あるので、産業上の圧迫となるような心配はない。今後の防衛生産については、防衛計画の正式決定を待ち、それに即応してわが国防衛産業の育成をはかる方針である」などの答弁がございました。このほか委員会における質疑は、きわめて広範囲にわたっておりましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、四月二十五日をもちまして質疑を終了し、二十六日、討論を行いましたところ、日本社会党を代表して、中田委員が反対討論をされました。これをもって討論を終り、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告を終ります。(拍手
  43. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。中田吉雄君。    〔中田吉雄君登壇拍手
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、ただいま議題となりました昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)に関しまして、日本社会党を代表し、反対討論を行わんとするものであります。  まず、反対をします第一の理由は、本予算補正によりまする駆逐艦二隻の建造は、わが国の独立と平和に対しまするわが党の基本方針と全く相いれないからであります。本予算補正は、新設されまする臨時受託調達特別会計に関するものであり、この会計は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基き、米国より無償で譲渡される予定の艦船二隻を日本国内で調達するため、新たに設けられるものであります。すなわち、これによっても明らかなように、これは日米間に取りきめられていますMSA協定に基くものであり、さらに日米安全保障条約に由来するものであります。これら安全保障条約、MSA協定については、わが党はその成立の当初より、かえってわが国の独立と平和を脅かし、民主主義をそこなうものとして、全党をあげて反対をしてきたところであります。自来両条約を締結いたしましてから、それぞれ安保条約は五年、MSA協定は生年を経過いたして参りましたが、安保体制、MSA体制が、わが国の独立を妨げ、いかに平和を脅かしているかは、九千万同胞ひとしく身をもって、いやというほど体験しているところであります。すなわち、終戦以来十二カ年間を経過いたしました現在においても、なお防衛分担金四百余億円をてことして、予算に対するアメリカの強い内政干渉を受け、また予算は軍事的な性格を与えられ、わが国経済の正常なる発展と国民生活の安定が著しく阻害されているのであります。若干の経済の好況をもって、この事態に目をおおうことはできません。また米軍は、今なお数百カ所の基地を保有するばかりでなく、その拡大さえ要請し、ために内灘、砂川、相馬ケ原と、同胞相争い、国論は完全に分裂を来たしているのであります。かかる事態をこのままとし、幾ら再軍備をいたしましても、何ら安全保障とならないことは明白であります。従って、かような国民的悲劇の根源である安保条約、行政協定、MSA協定等の改廃ほど今日急務とするものはありません。不平等条約改廃のわが党の提唱が、一国民のほうはいたる共感を呼び起しておりますのは、這般の消息を物語るものと言わなくてはなりません。従って、わが国が今なすべきことは、本予算補正により、艦船の譲渡を目的とし、艦船を建造し、安保、MSAの体制の矛盾をさらにこの上拡大することでは断じてありません。何よりも、安保体制を再検討し、これが改廃によって、新しいベースの上に日米百年の友好と真の平和のための措置を確立すべきであります。しかるに、安保条約、行政協定を結ばれた当時、これを礼賛された自由民主党におかれてすら、その矛盾を認め、岸総理自身、安保条約の再検討と岸政権てこ入れのための訪米計画をされておりながら、ただでもらうのだからと防衛を安易に考えられて、依然として旧套を脱することのできないことを見ますると、岸内閣の眼界もきわめて狭いと言わなくてはなりません。(拍手)  そもそも、今回の米国よりわが国に対して、わずか二隻の艦船の譲渡とはいえ、これはアメリカの大きい世界戦略の一環としてのものであって、決して慈善事業ではないのであります。すなわち、アメリカは一九四七年三月のトルーマン宣言以来、一九四九年四月のNATO、一九五二年四月のわが安保条約、一九五五年二月のSEATOを初めとし、ギリシャ、トルコの援助をきっかけとしてなされておりますところの一連の措置であります。このアメリカの対ソ封じ込め政策に協力することに対する代償として、わが国へのこの艦船の援助が、果してわが国の防衛や平和について日米の利害の完全な一致があるでしょうか、まことに疑わしいと言わなくてはなりません。これは最近におけるアメリカの与国の動向を見れば明瞭であります。特に原子兵器や誘導弾兵器の出現とその発達は、安全保障条約の前提でありますアメリカの世界戦略と外交の一大転換と修正が迫られております。すなわち、一九五五年においては、西欧同盟諸国は、人口において三〇・四%、共産主義諸国は三八・五%、中立主義諸国は二四・六%、面積においては、西欧同盟諸国はわずか三三%にすぎず、共産主義諸国は二七%、中立主義諸国は実に四〇%の多きに達しているのであります。すなわち米ソそのいずれにも属さない諸国が全世界の三分の一を占めているのであります。すなわち米ソ両勢力の間にはさまれた諸国で、わが国のような大国でありながら、米ソそのいずれかと割り切って、今なお対米一辺倒の外交政策をとっている国は、わが日本保守党のみと言わなくてはならぬのは、まことに遺憾と言わなくてはなりません。(拍手)すなわち原子兵器の前には、勝利者はなん、原子兵器に防衛がないと言われている現在においては、現行の集団安全保障体制より、もっと次元の違った別な安全保障体制を探求すべきであります。ヨーロッパにおいてNATO、ワルシャワ両条約を包摂する新体制が熱心に求められています。アジアにおいても、自由民主党内閣のごとく、一九四二、三年ごろの廃品同様の輸送機や哨戒機をアメリカからいただき、やがて原子力部隊の駐留を求められ、中ソ両国を仮想敵国とするような方策が、断じてわが国の安全保障にならぬことは明らかであります。すなわちアメリカに偏せず、思想や制度は違っても、中ソ両国を敵にしない自主独立の、日本、米国、中国、ソ連を含むわが党の相互安全不可侵体制こそ、最良の安全保障と言わなくてはなりません。(拍手)元来独立の十分でない国が作る軍備は、いかなる原因によりましょうとも、自国のだめでなく、強国の手段に利用されているのが落ちであることは歴史がこれを実証するところであります。今なすべきことは、艦艇の供与を受けたり、軍備を増強したりすることではなく、アメリカからの完全な独立であり、基地の撤退であります。防衛力の充実が基地撤退の前提であってはならぬのであります。完全に独立してから、再軍備をなすべきかどうかは、国民の自由な意思によって決定しても決しておそくないのであります。またインド、パキスタン、ビルマ、インドネシア、セイロン等、主要なアジアの諸国は、中共政権をいち早く承認しているにもかかわりませず、アメリカの意向をそんたくし、対中共政策をきめかねているようなことで、独立国の外交の面目はどこにありやと言わなくてはなりません。中国と国交を調整しないことが日米外交であっては、それは協力ではなくて、対米従属と言わなくてはなりません。従って、わが国において大切なことは、繰り返して申しますが、米国からの独立の完成であり、外交自主権を確立し、積極的に対中共政策を確立すべきであります。しかるに岸総理は、安全保障条約の改訂を唱えられながら、また外交や防衛について、わが党と平仄を合わせ、世論を刺激しないような慎重な配慮を使われながら、その実、今回の措置を見ても、徹底した対米追随の外交である点は断じて看過してはならぬと思うわけであります。鳩山、石橋内閣の外交より、大きく後退している点は遺憾と言わなくてはなりません。本予算補正は単に駆逐艦二隻に関するものではなく、その日米の本質に触れる一端として、わが党は基本的に反対するものであります。  第二に反対しまする理由は、財政法上、憲法上等の立場からであります。  まず臨時受託調達特別会計の設置であります。特別会計は逐年増加の一途をたどり、本特別会計の設置をもって昭和三十二年度には、実にその数は合計四十二の多きに達しています。これを、台湾、朝鮮等の特別会計を含んだ、そうして最も多かった大東亜戦争時代の昭和十七年の五十一にはなお及ばないといたしましても、整理検討もせず、見さかいもなく特別会計を設置いたしますことは、財政法第十三条による単一予算主義の原則の例外として特別会計を認めた根本原則に反するものといたしまして、断固反対するものであります。次に、国庫債務負担行為を三年間といたしたことは長きに失するものと言わなくてはなりません。債務負担行為は、歳出予算とは違って、本来、後年度にわたるものであり、従来非常に長期にわたるものが多かったのであります。そこで、現行財政法においては、議会の議決を経たものといえども、あまり長期にわたりますことは避くべきであるとしているのであります。それは時の経過につれ、また議会の解散等で、その構成も変り、また経済界の情勢等の変化にかんがみて、財政法第十五条の三項は、これを三カ年以内と限っていたのであります。しかるに、本債務負担行為を三カ年の限度ぎりぎりまでとったことは妥当の措置ということはできません。国内におけるものならともかく、外国と、しかも、現在をもって明年を予測することのできない、ネコの目の玉のごとく変るアメリカの国防計画対象とするものであっては、後年必ずや予算単価その他をめぐり紛争なきを保しがたいのであります。また、安保条約再検討の必要な現在、本予算補正を通じ、あるいは、これが本契約の真のねちいであったかもしれませんが、MSA体制に今後三カ年の長きにわたってわが国を縛りつけ、国民の要望であるところの安全保障体制の改廃を著しく困難にすることは断じて許すことができない点であります。(拍手)  次に、丙号としての繰越明許費についても同様であります。繰越明許費が、本予算補正のごとく、軍事費を目的にするものにあっては、かつての臨時軍事費がわが国財政に与えましたおそるべき悪夢を想起いたしていただきますならば、本予算補正によって、かかる治外法権的特権を与えることはできないのであります。  次に、受託契約に対して政府が私契約としておる点であります。予算委員会におけるわが党議員の質問に対し、岸総理を初め関係閣僚の答弁でも明らかなように、本予算補正による受託契約は、日米相互防衛援助協定に基くものであり、単なる私契約にすぎないとして、事態の重大性に目をおわさんとしていますが、しかし決してこれを軽く見ることはできないのであります。ことに一国の国防に関するものであり、しかも一木契約によって譲渡を予定されています二千三百トン型のこの種艦船は、米国においてはすでに誘導弾フリゲートまたは駆逐艦として、誘導弾発射装置が据えつけられつつある現状にかんがみ、防衛の本質に重要な質的転換を与えるものであり、国の権利義務を制約するものであって、今回の政府措置のごとく、私契約同様の取扱いをすることは、決して当を得たものでないと言わざるを得ません。国の権利義務に関し、国防と外交の本質にかかわる重要事項が、ほとんど日米安全保障条約からこれを除き、あげて行政協定に譲られ、現在、そのことが日米協力にかえって抜きがたい障害を与えていることをもってみましても明らかであって、当然政府は、憲法第七十三条第三項に基き、日米間の条約もしくは協定を結び、国会にその承認を求めるべきであると存ずるものであります。しかるに今回、政府はあえてこれをなさず、閣議の了解事項として事態を糊塗せんとすることは、憲法の規定に違反するのそしりを免れないと言わなくてはなりません。……
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 中田君、時間が参りました。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君(続) これを要しまするに、わが国の当面の最も大切な点は、安保体制の再検討であって、艦船の建造契約ではないのであります。艦船二隻とは言え、日米、日中、核兵器など、広範囲な関連において取り上げるべきであります。政府のごとく、これらの問題と……
  47. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 中田君、時間が参りました。
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君(続) 切り離し、艦船を建造し、革新と保守の二大政党の対立下、両者の外交と防衛政策の懸隔をますます大にする措置をとられたことは、はなはだ遺憾と言わなくてはなりません。  最後に、討論を終るに当り、私は、昭和二十九年九月二十六日を想起せざるを得ないわけであります。当日、吉田総理は、わが国外交の進路をアメリカに求めて訪米されました。またわが党も同じ日に鈴木委員長以下、中国訪問の旅に立たれ、わが党は、その後堅実な発展をいたしましたが、吉田総理は、あえなく退陣のやむなきに至りました。三年後の現在、わが党が淺沼書記長を中国に送り、岸総理は、やがて米国を訪問されます。吉田総理の轍を踏まれないことを切に祈ってやまないものであります。私は、両党が互いに他党を批判することではなしに、……
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 中田君、時間です。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君(続) これを契機に、米、中の関係が日本を媒体として共通の広場になることを期待しつつ、本予算補正に対して反対討論といたすものであります。(拍手
  51. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  52. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、御紹介いたします。  国賓として来日されておられますパキスタン内閣総理大臣フセイン・シャヒード・スラワルディ氏は、多忙な日程を割かれて本院に来訪され、ただいま貴賓席に見えられました。このことは、本院としてまことに喜びにたえません。ここに諸君とともに、心からなる歓迎の意を表します。    〔拍手起る〕     ―――――――――――――
  53. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、臨時受託調達特別会計法案内閣提出衆議院送付)  国有財産法の一部を改正する法律案  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長廣瀬久忠君。    〔廣瀬久忠登壇拍手
  57. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、臨時受託調達特別会計法案について申し上げます。  本案は、アメリカ合衆国との相互防衛援助条約に基いて、わが国に無償で譲渡される予定となっておる艦船二隻を、アメリカ合衆国の負担においてわが国内で調達するための受託調達契約の締結を防衛庁に行わせるとともに、その契約の実施に関する経理の適正をはかるため、臨時受託調達特別会計を設けようとするものであります。  内容を申し上げますと、第一に、この会計は、アメリカ合衆国からの収入金で政府から調達契約に基いて国内業者に支払われるもの、精算金等の国内業者からの収入金でアメリカ合衆国政府へ支払われるもの等を歳入とし、これらの収入をもってする国内業者への支払金及びアメリカ合衆国政府への支払金を歳出とするほか、特別会計として必要な事項を規定しようとするものであります。第二に、附則において、受託調達契約の締結及びこの会計の経理等を防衛庁に行わせるため、防衛庁設置法の一部を改正しようとするものであります。  委員会審議におきましては、今回の域外調達について特別会計を必要とするに至った理由いかん、立法形式の問題、今後の域外調達の考え方等について熱心に質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、大矢委員より、「元来、再軍備計画自衛隊の設置自体憲法上の疑義がある。今回の措置実施上日本政府に拘束を加えるものである。立法形式についても納得できない。以上の点から本案には反対する」との意見が述べられ、採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、国有財産法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案改正点を申し上げますと、第一は、国有財産制度及び管理、処分の適正を期するため、昨年四月の閣議決定をもって、大蔵本省及び財務局に設けられた国有財産審議会を法制化しようとすることであります。第二は、普通財産計画的な管理、処分をするために、各省、各庁の長は、大蔵大臣に対し、その管理及び処分に関する計画を毎年度通知することとし、また行政財産を国以外のものに使用、収益せしめる場合は、大蔵大臣に協議せしめようとするものであります。第三は、各省、各庁の長は、国有財産の調査または測量のため、やむを得ない必要があるときは、所属職員を他人の占有地に立ち入らせることができることとし、その境界が不明で管理上支障ある場合は、その確定について隣接地所有者に対し協議せしめることにする等、その手続について必要な規定を設けようとするものであります。  委員会審議におきましては、国有財産の管理、処分の実情いかん、国有財産審議会と旧軍港市国有財産処理審議会との関係いかん、国有財産審議会の委員の選任と運用の公正化の問題等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願います。    〔議長退席、副議長着席〕  質疑を終り、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、現在住宅として使用させている普通財産で、保安上危険なもの等の建物の整理を促進し、あわせて宅地を造成して住宅対策の推進に資するため、地方公共団体がその建物を取りこわして、その敷地に第二種公営住宅を建て、もとの居住者を収容しようとする場合には、地方公共団体に対して取りこわす建物を譲与するほか、公営住宅の敷地について、減額して譲渡できるようにしようとするものであります。  委員会においては、普通財産を住宅として使用せしめている実情について現地を視察し、審議を慎重にいたしたのでありまして、危険住宅居住者を第二種公営住宅にいかにして収容するか、収容されない者の住宅対策をいかにするか等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終り、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  58. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  まず、臨時受託調達特別会計法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  59. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  60. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 次に、国有財産法の一部を改正する法律案  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  以上、両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  61. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  62. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) この際、日程に追加して、電子工業振興臨時措置法案内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。商工委員会理事近藤信一君。    〔近藤信一君登壇拍手
  64. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいま議題となりました電子工業振興臨時措置法案につきまして、商工委員会における審議経過並びに結果について、御報告申し上げます。  電子工業は、最近において急速な発展を見つつある近代産業の一つであり、関連各産業部門への影響も大きく、世界各国ともその発展に重大なる関心を払っている産業でありまして、将来性についても、原子力とともに最も期待を持たれておるのでありますが、遺憾ながら、わが国においては欧米諸国に比して、きわめてその進歩の度合いがおくれている状態にあるのであります。  本法案は、このようなわが国電子工業の実態に対応して、当該工業における製造技術の向上、新規製品の工業化及び生産の合理化を促進し、総合的に電子工業の振興をはかることにより一般産業の近代化を助長し、国民経済の健全なる発展に寄与しようとするものでありまして、七カ年の時限法として、次の諸施策を実施しようとするものであります。  すなわちその第一点は、振興計画の策定であります。これは、電子機器のうち、第一に、試験研究促進の必要なもの、第二に、新たに工業生産に移す必要があるもの及び生産数量を増大する必要があるもの、第三に、合理化の必要なものをそれぞれ政令で定め、各電子機器ごとに振興計画を策定することといたしております。  第二点として、この振興計画を達成するために政府のとるべき主要な措置として、設備近代化のための所要資金を確保し、合理化カルテルを実施する必要あるときは、これを指示し、品質管理確保のための検査設備基準を公表する等の措置を行うことを規定しているのであります。  まず、設備資金の確保につきましては、特に合理化機種に関して、政府は、日本開発銀行の特別融資を予定し、さしあたり三十二年度は五億円を要求牛でありまして、これは機械工業振興臨時措置法と同様、一般開銀融資より低利、かつ長期とし、担保条件を緩和するなど特別措置を講ずることになっております。その他の機種につきましくも、同銀行の通常の融資条件による資金のあっせんを行うことになっております。  次に、合理化カルテルの指示につきましては、現行独占禁止法の適用を除外して、生産品種及び使用する部品の規格の統一、生産品種別の製造数量の制限、部品または原材料の共同購入などについて、通産大臣の指示により積極的にカルテルを締結させることにしております。さらに、品質管理確保のための検査設備基準の公表につきましては、企業が具備すべき検査設備とその維持に関する具体的な基準を定めて公表し、各企業における電子機器の品質管理の励行を期待しようとするものであります。なお、本法案全体の運用に当っては、電子工業審議会を設置して、通産大臣の諮問に応じ、本法実施の適正をはかっておるのであります。  商工委員会としては、本法案対象業種である電子工業の実態把握のために、関係工場を視察する等、審査に慎重を期したのであります。なお、委員会における審議の詳細は会議録に譲りたいと存じますが、特に質疑の中心となりました点について申し上げますと、その第一は、本法案が機械工業振興臨時措置法と何ゆえに別個に立法されたかという問題、第二に、一技術提携にからんで電子工業内における大企業と中小企業の関係、さらにこれに付随して下請代金支払いの問題、第三に、電子工業振興対策費として三十二年度予算に計上してある予算の使途に対する政府の見解、特に中小企業に対する研究の助成方策についての政府の考え方、第四として、本法運用に際して科学技術庁と通産省との調整をいかにするかという点でございます。その他、電子工業と防衛需要との関係とか、電子技術者養成対策、あるいは独禁法と本法案との関係が問題となったのであります。  かく質疑を終了し、討論に入りましたところ、豊田委員より、「本法運用に当っては、施策の対象を大企業に偏することなく、下請企業、中小企業の振興、育成に留意するとともに、特に下請代金支払いには十二分に意を用いることを希望して賛成する」との意見の開陳があり、次いで、日本社会党を代表して阿具根委員より、「本法のごとく、科学技術振興対策に関係ある法律は、科学技術行政の一元化といろ見地から、本来は、科学技術庁に運用させるべきと思うが、本法に限らず、科学技術に関する一連の対策は、運用及び予算の面において、各省間のセクト主義によりて技術向上と研究の成果が阻害される危惧のあるのにかんがみ、政府は、かかる事態の起らぬよう、本法の運用に当り万全を期されたい」との希望を付して、賛成意見の開陳がありました。  以上で討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  65. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  66. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案ば可決せられました。      ―――――・―――――
  67. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) この際、日程に追加して、社会教育法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。文教委員長岡三郎君。    〔岡三郎君登壇拍手
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 ただいま議題となじました社会教育法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案提案理由と、その骨子を申し上げます。  昭和二十四年に制定されました社会教育法には、社会教育関係団体が自主的組織による民間団体であることにかんがみまして、国及び地方公共団体は、これらの社会教育関係団体に対し、補助金を与えてはならない規定が設けられているのであります。しかしながら、この規定は現在では、必ずしも実情に即さないのであります。特に運動競技に関して、全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする団体におきましては、当該団体のみの自主的活動にすべてを依存してしまうことは、ほとんど不可能な状態であります。  このような理由から、本法案によりまして、社会教育関係団体のうちで、運動競技に関する全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする団体に対しましては、当分の間、国は、その事業遂行に必要な経費について助成できる道を開こうとするものであります。  ここに桂会教育団体と申しますのは、社会教育法第十条に規定する団体、たとえば日本体育協会であります。このような団体の事業に関して行う国の補助につきまして、社会教育法第十三条の適用を緩和するというのが、この法律案内容であります。  委員会における審議の過程におきましては、各委員から、諸外国の例に照らし、スポーツ振興のための経費の積極的増額をはかってはどうか、学校体育と社会体育を総合的に取り扱うための行政機構が必要ではないか、補助対象を競技本位、選手本位の体育に限らず、社会教育法の原則に従って、レクリエーション的な体育面にも拡大する意思はないか、本法を当分の間の特例とした理由等に関して、きわめて熱心な質疑がなされましたが、これらの質疑及び政府の応答の詳細については会議録に譲ることといたします。  次いで討論に入りましたところ、野本委員より、まず本案に賛意を表し、かつ各派を代表して、次の付帯決議を付すべき旨の提案がなされ、矢嶋、加賀山の両委員から、本法律案並びに付帯決議案に対し賛成討論がありました。  付帯決議案を朗読いたします。   国民の体位向上と国際親善をはかるため、政府は、次の事項に関し特段の措置を講じ、その実現を期すべきである。  一、体育行政機構を整備充実すること。  一、国民体育大会の地方持ち回り制を維持すること。  一、第三回アジア競技大会の成果を十分に高めるよう必要な措置を講ずること。  一、国際オリンピック大会を東京に招致すること。   右決議する。  以上であります。  かく採決の結果、本法律案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。また、野本委員提出の付帯決議案は、全会一致をもって委員会決議とすることに決定いたしました。なお、文部大臣から、右の付帯決議趣旨内容を十分尊重すべき旨の発言がありました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  70. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  71. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  次会の議事日程ば、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十四分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員選挙  一、特派大使任命につき議決を求める件  一、日程第一 滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案  一、日程第二 旅館業法の一部を改正する法律案  一、日程第三 北海道開発公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第四 市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案  一、日程第五 防衛庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第六 自衛隊法の一部を改正する法律案  一、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)  一、臨時受託調達特別会計法案  一、国有財産法の一部を改正する法律案  一、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  一、電子工業振興臨時措置法案  一、社会教育法の一部を改正する法律案