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1957-03-30 第26回国会 参議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月三十日(土曜日)    午前十時五十八分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十号   昭和三十二年三月三十日    午前十時開議  第一 資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 学校給食法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 港湾法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案  日程第二、中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案  日程第三、関税定率法の一部を改正する法律案  日程第四、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長廣瀬久忠君。    〔廣瀬久忠登壇拍手
  5. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 ただいま議題となりました資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案外三法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、郵便貯金特別会計収支の不均衡緩和するため、昭和二十七年四月、資金運用部預託金利率特例に関する法律を制定いたしまして、郵便貯金特別会計から資金運用部に預託される資金に対し、利率の特例を設け、これを適用して今日に至ったのでありますが、今回の改正においては、約定期間五年以上七年未満のものと、約定期間七年以上のものとの金利の権衡を保たせるために、三十二年度以降における特別金利の定め方を改めようとするものであります。すなわち約定期間五年以上七年未満のものは、年五厘以下の範囲で毎年逓減するような特別利子を付することとし、約定期間七年以上のものについては特別利子を付さないことにいたそうとするものであります。  委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと思います。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  中小企業金融円滑化をはかるために、信用保証協会に国から低利資金を貸し付けるための信用保証協会法の一部を改正する法律が、さきに本国会において可決されましたが、本案は、その貸付の経理を中小企業信用保険特別会計で行うために、この会計融資勘定を設け、その貸付原資は、一般会計から繰り入れることとするほか、歳入歳出事項等について必要な規定を整備しようとするものであります。  委員会審議におきましては、何ゆえにこれを出資とせずに貸付にしたかとか、あるいは貸付金原資を三十二年度十億円としたその根拠はどうであるかとか、またその金利は、年三分五厘では高いではないかというような、いろいろ熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと思います。  質疑を終り、討論採決の結果、全会一致をもって、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案のおもなる改正点について申し上げますと、第一点は、関税減免追加品目といたしまして、飼料製造用原料大豆及び脱脂大豆国際連合寄贈教育宣伝用物品養殖真珠の再輸出品国際見本市で消費される物品等を追加規定しようとするものであります。第二点は、輸入税表改正して、国産品保護の見地より、セラック無税より一割五分に、DDTを二割から三割に、硫酸ニコチン無税から二割にする等、九つの品目税率引上措置を講ずるとともに、電子工業育成のために、二酸化ゲルマニウムを二割から五分に引き下げようとしております。その他、課税原材料による製品輸出の場合の戻し税新設輸入違約品について返送の場合の戻し税の整備等所要改正をしようとするものであります。  委員会審議におきましては、関税定率法改正を二つの案に分つという立法形式についての質疑もございました。外国人引っ越し荷物中に自動車関税免除の問題があるが、これらについての質疑応答もありました。その他詳細は、会議録によって御承知願いたいと思います。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案の、改正内容の概略を申し上げますと、第一点は、最近における経済状況等にかんがみ、昭和三十二年三月三十一日に期限が到来する重要機械類給食用ミルク等免税措置別表甲による小麦、A重油等免税措置別表乙による原油、カーボンブラック等軽減措置昭和三十三年三月三十一日まで一年間延長しようとするものであります。第二点は、今回新しく別表丙を新設し、鉄鋼特殊鋼について、その需要が逼迫し、かつ本邦の生産価格より高価である場合には、政令をもって昭和三十五年三月三十一日までに輸入されるものに限り、その関税軽減または免除することができることとしようとするものであります。その他、重要機械類用途外使用制限期間の短縮、放射性元素及びその化合物免税品目追加等所要改正をしようとするものであります。  委員会審議におきましては、鉄鋼減免期限を三年間とした理由石油会社収益状況等について、質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入り、平林委員より、「本法は、関税定率法特別措置とも言えるものであり、実情から見て適当でないものに減免を行なっているものもあり、不適当な利潤をもたらしている状況であるから、賛成し得ない」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。  まず、資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案  中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案  関税定率法の一部を改正する法律案  以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。    ——————————
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ——————————
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案  日程第六、学校給食法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。文教委員長岡三郎君。     〔岡三郎登壇拍手
  12. 岡三郎

    岡三郎君 ただいま議題となりました文教関係の二法案につきまして、委員会における審議経過と結果を御報告申し上げます。  まず、就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案提案趣旨は、現行法におきまして、市町村が就学困難な小学校児童のため教科用図書給与した場合には、国が予算範囲内で所要経費補助する制度が設けられておりますが、本制度の給付の対象を拡大して、中学校生徒にも及ぼし、義務教育の円滑な実施を期そうとするものでありまして、改正内容は、法律の題名及び関係条文所要の整理を行うものであります。  委員会審議の過程におきまして、補助率の低下、補助対象人員増加等各般にわたり熱心に質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  質疑を終り、討論を省略して、直ちに採決をいたしましたところ、本法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、学校給食法の一部を改正する法律案について御報告いたします。  まず、本法律案提案理由とその内容を簡単に申し上げます。  現在の学校給食においては、学校給食費負担が困難な小学校児童保護者に対し、国が予算範囲内で所要経費の二分の一を補助する制度が設けられておりますが、本改正によって、学校給食に関する国の補助範囲を、公立中学校生徒で同様の事情にある者にまで拡大しようとするものであります。  委員会におきまして、各委員より熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。  かくして、討論に入りましたところ、野本委員より、本案賛成意見が述べられた上、各派を代表して、次の付帯決議を付すべき旨の提案がありました。付帯決議案を朗読いたします。   本委員会は、学校給食法の一部を改正する法律案を可決するに際し、左の付帯決議を付し、政府に対して、そのすみやかな実施を要望する。   一、学校給食趣旨達成し、そのすみやかな普及をはかるため、十分にして適切な予算措置を講ずること。   一、学校給食重要性にかんがみ、義務教育学校並びに夜間課程を置く高等学校に、栄養士を置くよう所要措置を講ずるとともに、学校給食に従事する職員の身分の確立とその給与費国庫補助の方途を講ずること。   以上であります。  かくて、採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお付帯決議も、全会一致、これを可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。    ——————————
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第七、自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長松澤兼人君。    〔松澤兼人登壇拍手
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま議題となりました自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本改正案は、昭和二十九年に成立いたしました自転車競技法等臨時特例に関する法律が、本年三月三十一日をもって失効いたしますので、これを半年間、すなわち本年九月三十日まで延長することを内容とするものであります。なお、競輪、オート・レースの根本的改正の問題につきましては、別途自転車競技法小型自動車競走法のおのおの一部改正法案提案されております。  次に、本改正案委員会における審議でございますが、その詳細は会議録に譲るといたしまして、他の二改正案との関連において、競輪等一連射幸的行為に対する政府の考え方並びに将来の対策、あるいは現行競輪運営審議会運用上の問題等につき、政府との間に活発な論議がありましたことを申し添えておきます。  かくて、質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表いたしまして阿具根委員より、「本改正案には一応賛成であるが、その賛成意味は、たとえ地方財政に寄与する等の利益があるとは言え、戦後の荒廃が着々復興し、安定を見ている現在、いつまでもこのような賭博的行為を許しておくべきでなく、われわれは競輪その他一連賭博的法律は、昭和三十四年四月一日を目途として廃止する法律案を提出する用意があるので、暫定的に臨時特例法の六カ月延長に賛成する」との意見開陳がありました。  以上で討論を終り、採決いたしましたところ、本改正案は、全会一致をもりて可決すべきものと決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ——————————
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案  日程第九、港湾法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)    〔戸叶武登壇拍手
  20. 戸叶武

    戸叶武君 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  本法律案につきましては、三月六日の本会議で、提案趣旨説明を受けておりますので、繰り返し申し上げる必要もないかと思いますが、ごく簡単に申しますと、すなわち国鉄では、累積した老朽施設の取りかえをすみやかに行い、輸送安全度の向上をはかるとともに、最近激増してきた輸送需要に応ずるため、輸送力増強を行い、あわせて電化その他鉄道近代化を推進して経営合理化をはかるため、昭和三十二年度を初年度とする五カ年計画を立て、これに要する資金のうち、輸送力増強電化その他鉄道近代化に充当するものは、その性格から見て、極力外部資金に依存するよう努力するが、必ずしもすべてが採算のとれるものばかりでもなく、また外部資金調達にも、おのずから限度があるので、老朽資産の取りかえを可能ならしめる減価償却費と、採算のとれない輸送力増強施設のための経費に充当すべき自己資金捻出のため、現行運賃収入を一三%程度引き上げ、並びに料金の改訂を行おうとするものであります。  次に改正のおもな点を申し上げます。まず、旅客について申し上げますと、第一点は、普通旅客運賃の三等の賃率をおおむね一三%程度引き上げたことであります。次は、法律別表第一の航路普通旅客運賃、同別表第二の急行料金、準急行料金を右に準じて引き上げております。また、特別急行料金については、料金地帯を改訂しました結果、乗車距離によっては、若干変更が生じて参ることになります。次に、貨物につきましては、法律別表第三の車扱い貨物賃率改正を行い、これをおおむね一三%程度引き上げましたが、この改正に当って、海陸輸送調整及び鉄道輸送原価を加味し、遠距離逓減率逓減の停止を八百キロから五百キロに改めました。その他、国鉄においては、この法律改正に際し、定期券割引率の引き下げを行なっていますが、通学定期割引率現行据え置きになっております。なお、青函並び関門航路貨物営業キロ程の修正や、貨物取扱い制度につき、重量減トン制度改正等利用者の利便をはかることといたしております。  委員会におきましては、国鉄運賃改正が、国の産業経済及び国民生活に及ぼす影響の大なる点にかんがみまして、三月十九日に公聴会を開き、各界代表意見を徴しました。公聴会における意見を簡単に申し上げますと、国鉄の五カ年計画に要する資金調達のためには、ある程度運賃値上げもやむを得ないとする意見と、五カ年計画実施賛成であるが、その資金調達は、運賃値上げによらず、国が負担すべきであるという意見がありました。すなわち国鉄老朽施設は、戦時中の酷使によるもので、その取りかえは政府の責任においてなすべきであり、また、国鉄公共的性格による新線建設並びに政策運賃のごときは、国家政策によるものであるから、これまた国家負担すべきであるとなすものであります。なお、国鉄に課せられている納付金のごときは、間接税的なもので国民にとっては一種の増税であり、廃止すべきであるとの意見、その他、貨物特別割引制度の是正、経営合理化等により、その必要資金捻出をはかるべきであるとの意見もありました。なお、本法律案に関しては、農林水産委員会より、「農林水産物資実情にかんがみ、遠距離逓減北海道物資に対する割引、その他の各種特定割引等軽減措置は、すべてこれを強化し、農林水産業発展と民生の安定に寄与すべきであるから、特に考慮方を要望する」旨の申し入れがありました。  委員会におきましては、本法律案について、三月二十日より連日熱心に審議が行われましたが、質疑におけるおもな事項は次の通りであります。  まず第一は、運賃値上げ目的及びその効果についてであり、次は、今回の運賃値上げ基調をなす五カ年計画の検討、なかんずく要員充足資材の手当、資金調達に関する事項であります。次は、政府自立経済五カ年計画国鉄の五カ年計画との関係、並びに日本経済現状に対応すべき交通政策のあり方についてであります。  次は、運賃値上げ物価並びに国民生活に及ぼす影響についてであります。  これらの質疑の詳細は会議録に譲り、そのおもなる点を申し上げますと、その目的について、政府答弁は、「国鉄の累積した老朽施設の取りかえと輸送力増強並びに鉄道近代化の推進をはかるための五カ年計画達成にあり」とのことでありましたが、これに対し、要員資材並びに資金調達についての懸念から、各委員より、こもごも熱心な質疑が行われましたが、要員の点に関しては、政府並びに国鉄当局より、「経営合理化及び配置転換等により、その充足に努力する」との答弁でありました。次に、国鉄五カ年計画自立経済計画とにつきましては、宇田国務大臣より詳細な答弁がありましたが、国鉄五カ年計画の年率の伸びを四・五%と見た点、その他、国鉄以外の輸送機関との間の輸送配分等につき質疑が行われ、この点に関しては、関係大臣及び国鉄当局より、それぞれ本計画樹立に至る経過について答弁がありましたが、国鉄貨物輸送配分は、「計画完成時に、ほぼ全輸送機関の五二・六%の輸送の分担を受け持つ計画である」とのことでありました。なお、五カ年計画が完成したときの輸送伸びについての答弁としては、「旅客は一三九%、貨物は一三四%になり、現状より輸送緩和される」とのことでありましたが、これらの点については、各委員より、相当の質疑が行われました。次は、物価に関する点でありますが、これにつきましては、大蔵大臣より、「自由経済のもとにおいて、各産業伸びがある場合には、中間で吸収されるのが普通である」との趣旨答弁がありました。最後に、「国鉄はその公共的性格にかんがみ、収支を度外視して施行すべき性質のものもあるので、老朽施設の取りかえ、新線建設等施設の拡充に要する資金は、運賃値上げによらず、国の財政的助成によるべきではないか」との質疑に対して、運輸大蔵大臣より、「全額国出資である公共企業体としての国鉄現状においては、今日の段階において、この程度収支の不足は財政的投融資によるよりも、これを利用する者の負担によることを適当と認めた」との答弁がありました。その他、国鉄経営合理化に関し、財産管理、車両の新造計画電化燃料問題等国鉄経営各般事項に関し、詳細にわたり質疑が行われましたが、これらは会議録により御承知願います。なお、このたびの運賃値上げによる農林水産物資影響について質疑を行いましたところ、これらの物資については、時制の措置を講ずることにいたす旨詳細な答弁がありましたが、この点も会議録につき御承知を願います。  以上で質疑を終り、直ちに討論に入りましたところ、相澤委員より、日本社会党の立場から反対意見開陳せられ、その理由として、まず、「政府運賃法改正目的として、老朽施設の取りかえ、輸送力増強並びに経営合理化をうたっているが、輸送緩和ができるかいなか疑問であり、また値上げによる物価の上昇は、国民生活をますます圧迫してくることは必至であるという点、政府交通政策一貫性なきこと、及び政府国鉄公共不在業体としての性格を考えず、財政投融資の道を選ばず、利用者負担及び従業員労働強化により五カ年計画実施せんとしておる点、また、この計画により増加する工事量並びに業務量増加に対し、要員措置がなされていない」ことが、そのおもな反対理由の項目であります。次に、自由民主党を代表して木島委員より、賛成の旨述べられ、その理由として、「今日の経済発展の隘路の一つである国鉄輸送力を打開し、拡大することは、日本経済のために緊急を要することであり、五カ年計画資金の一部を利用者負担として運賃値上げに求めることは適切な措置であり、また、この措置によって輸送調整がはかられていることも妥当な措置である。なお、五カ年計画実施により輸送が円滑となり、物資の流通がひんぱんになることは、インフレのおそれもなくなると思うので、この改正案には賛成である」との意見開陳がありました。さらに、これに加えて、政府並びに国鉄に対して、「経営合理化を一そう強化し、あわせて五カ年計画をさらに拡大することを要望する」旨述べられました。次に、日本共産党を代表して岩間委員より、「政府並びに国鉄は、経済発展のための隘路打開のため五カ年計画を樹立したと言うが、この計画は、机上のプランでその言うところの輸送緩和も微々たるものであり、また、その隘路打開と称するのは、独占資本隘路打開の感がある。また「五カ年計画実施に当っては、倍加する工事量について、要員充足には何らの施策もなく、資材入手計画も確立せられておらず、要するに、五カ年計画動揺性のある非科学的根拠に立っている。かつ総合的交通政策も考慮されておらない。かくのごとき五カ年計画により、運賃値上げをなさんとするがごときは、大衆に奉仕するものでなく、大衆負担労働強化によって行わるるものであり、かかる運賃値上げには反対である」との趣旨意見開陳がありました。最後に、緑風会の多数意見に基き、加賀山委員より、「法律改正基調となった五カ年計画は、経済発展に欠くべからざるものであり、また鉄道運賃は、私経済的観点に立ち、輸送原価を償うことが必要であって、また、他の交通機関との輸送調整の上からも均衡のとれた運賃であることを要するが、今回の法律改正は、その意味からも賛成である」との趣旨意見開陳があり、続いて、「経営合理化に、さらに一段と努力をなし、五カ年計画実施に当っては、十分に実施計画を練り、その達成にそごを来たさざるよう」、また、労働関係についての正常な運営方について、強く要望がありました。  以上で討論を終り、採決に入りましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。  次に、港湾法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  船舶の大型化は、世界的な傾向でありまして、わが国の港湾につきましても、これに即応して整備をはかる必要があるのであります。しかしながら、財政上の理由によりまして、これに追随し得ない事情にありますので、この際、産業関連港湾施設を急速に整備いたすために、企業合理化促進法に定める受益事業者負担制度を活用することとし、この場合においては、国と港湾管理者の負担均衡をはかりますために、港湾法における港湾工事費の負担割合の改正を行おうというのが、この法案提案理由の要旨であります。  次に、そのおもなる要旨について申し上げますと、次の通りであります。すなわち現行港湾法は、重要港湾の基本的施設の工事費用につきましては、国と港湾管理者がそれぞれ五割ずつ負担することを定めておりますが、この改正案におきましては、企業者が五割を負担する場合は、国と港湾管理者の負担割合を二割五分ずつにすることを原則にしたものであります。しかしながら、地方財政の再建に資するため、その財政負担軽減をはかるための臨時立法である地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律が効力を有する間は、国が三割、港湾管理者が二割の負担離合としようとするものであります。  質疑に入りましたところ、この改正法律案運用に関し、事業者の申請と工事の実施等につきまして種々質疑が行われたのでありますが、これらの質疑に対し、政府委員より、「事業者より改正法律案による申請があった場合は、当該工事が、事業者の企業合理化に役立ち、また一般公衆の利益にもなる場合には実施することとしたい」という趣旨答弁がありましたほか、改正法律案運用に関する事項につき若干の答弁がありました。  次に、討論に入りましたところ、松浦委員より、「船舶の大型化は海運界の趨勢であって、特にタンカーにおいて顕著であり、港湾の整備は焦眉の急務である。政府の港湾整備計画をもってしては、かかる海運界の趨勢に追随し得ない状態にあるから、さらに港湾の整備を強化することを要望して、本法律案賛成する」との趣旨意見が述べられたのであります。  採決に入りましたところ、本法律案は、原案通り可決すべきものと全会一致をもって決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。柴谷要君。    〔柴谷要君登壇拍手
  22. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は日本社会党を代表して、ただいま上程になりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行わんとするものであります。  思うに、国鉄の消長がわが国の産業経済に重大なる影響を持っておることは、今さら贅言を要しないところであります。それゆえにこそ、政府は、今回の運賃法改正に当って、国鉄輸送力を飛躍的に増大し、いわゆる輸送の隘路を打開して、国家産業経済活動、特に国民生活に、より大なる貢献をいたしたいと申しているのも、これがためであろうと信じます。過去数年来、わが党は同様の見地から、国鉄経営合理化近代化について政府並びに国鉄当局に対し、しばしば警告を発して参ったのであります。政府は、基幹産業の重点施策と称して、一方においては、他の基幹産案に対し莫大なる資金資材を、いわば傾斜的につぎ込み、たとえば造船のごときは、必要以上の援助さえ与えながら、他方、全産業の基盤となるべき陸運、ことにその基幹たるべき国鉄には、何らの対策を講ずることなく、これを放置し、従来、合理化と言えば、ただいたずらに国鉄職員の努力、血のにじむような労働強化にのみ依存するというのがその実情であって、ついに今日の輸送の大混乱を招来するに至ったことは、私の最も遺憾とするところあります。(拍手)しかも、国際経済の好転を契機としてもたらされた最近のわが国産業経済の飛躍的な膨張発展のために、輸送需要の画期的増大が起り、さらに二年連続の農産物の豊作等々により、輸送の隘路はいよいよ増大をし、それがために豊作貧乏という、泣くにも泣けない悲劇が全国至るところに続出する現象を呈したことは、諸君のひとしく承知されるところであります。交通政策に対する政府の無為無策は断じて許さるべきものではありません。しかして、おくればせながら、ここにようやく気のついた政府は、国鉄再建五カ年計画なるものを発表して、国民の目をごまかそうといたしておるのであります。しかしそれと同時に、これに便乗し、その財源と称して国鉄運賃値上げを打ち出して参ったのであります。しかしながら、今回の国鉄運賃値上げは、その理由に乏しく、合理性を欠き、しかも他の適切なる方策をもってすれば、運賃値上げを行うことなく、その再建計画を遂行し得るのでありまするから、国民のとうてい承服し得るところではないのであります。すなわち政府運賃引き上げの理由は、第一に、累積する老朽施設の取りかえを行なって輸送の安全を確保し、第二に、電化、ディーゼル化等によって国鉄経営近代化をはからんとするものでありますが、いやしくも国鉄の累積した老朽施設は、一朝にして起ったものではありません。長い戦争によって極度の酷使を行いながら、補強の道は断たれ、加うるに耐用命数を無視した無計画使用、さらに戦後混乱したインフレ経済の犠牲によるものであって、その復旧をもっぱら運賃にしわ寄せすべき性質のものにあらざることは明白であります。換言すれば、戦時、国家の無謀なる酷使の結果で、その責任はあげて国すなわち政府が負うべきであります。  かかる事例に備えるためにこそ、日本国有鉄道法は、その第五条第二項に、「政府は、必要があると認めるときは、予算に定める金額の範囲内において、日本国有鉄道に追加して、出資することができる。」と規定しているのであります。しかるに政府は、今日までこれを顧みることなく放置いたしておったことは、明らかに政府の怠慢というも過言ではないと思います。政府は、みずからの責任を回避するため、今回国鉄運賃値上げを行い、値上げ率一三%中、五%をもって老朽施設の取りかえに充当するというに至っては、全く言語道断と言わざるを得ないのであります。(拍手)何ゆえならば、国有鉄道運賃法第一条に、運賃策定の基礎基準に、運賃及び料金は原則として原価をまかなうものであることと定めております。運賃策定の基礎として原価主義をとっていることは明らかであって、戦時中及び戦後の償却不足を、あすの国鉄利用者運賃として負担を負わしめることは、明らかにこの原価主義を逸脱せるものと言わなければなりません。その復旧は、運賃値上げによるにあらずして、当然、政府自身みずから負担すべきものでありましょう。従ってわれわれは、この観点より、今回の国鉄運賃値上げには絶対賛成することができないのでございます。(拍手)  第二点として、国鉄電化、ディーゼル化等による設備施設近代化でありまするが、宮澤運輸大臣提案理由の説明において、政府は、さきに臨時日本国有鉄道経営調査会を設置して、広く民間有識者の意見を聴取いたしたと申し、運輸当局は、あたかも運賃値上げ経営調査会の至上命令であるかのごとく宣伝これ努めておりまするが、経営調査会はその答申の中で、工事経費の必要規模及びその資金調達方法の項で、国鉄近代化のため、電化にディーゼル化、客貨車の増備などのごとき、将来、収益の増加が見込まれ、少くとも収益の増加の裏づけのあるものについては、外部資金によることを明確に規定しているのであります。換言すれば、建設工事はもちろん、改良工事といえども、採算上収益増加可能なるものは、外部より資金を導入することが企業会計の立場から適当であると申しておるのであります。しかるに、本年度国鉄予算は、経営調査会答申の原則を無視し、将来、収益の存否いかんにかかわらず、そのすべてを運賃値上げ案に依存せしめていることは、明らかに経営調査会への挑戦といっても過言でないと思うのであります。現に政府提案によれば、現在施行中の山陽本線、東北線、北陸線の電化工事六十一億八千万円、これに伴う電気機関車、電車等の百二十三億円、さらに通勤輸送緩和対策の東京、大阪付近の六十六億円、電車増備の四十四億円等、すなわち運賃値上げ一三%中の五%をここに計上いたしているのでありまするが、これは明らかに経営調査会の意見に違反をし、運賃原則の原価主義を乱るものと言わなければなりません。さらに七十五億円、すなわち残りの三%の固定資産に基く地方公共団体への納付金、端的に申せば、明らかに政府地方財政政策の貧困に基因するものであって、これこそ当然政府がその責任において解決すべきものであるにもかかわらず、国鉄利用者にその負担をあえて押しつけるがごときは、私どもの断じて了解し得ざるところであります。  第三点として、国鉄をめぐる醜悪の数々であります。国鉄当局の言をかりて申しまするならば、血のにじむような努力をいたしておるにかかわらず、次から次へと国民をして、またかの感を抱かしめているのであります。汚職汚職の連続であり、本国会においても問題になっている高架下又貸し事件を初め、鉄友会問題その他多数の外郭団体の不当利得、固定資産売却等にからむ不正事件等々、幾多の醜事実は、あげて国民国鉄に対する怒りとなり、国鉄の信用は、もはや地を払っていると申すも過言ではないのであります。(拍手)かかる内部の不正を徹底的に究明することなく、輸送力増強の美名に名をかりて、運賃値上げを断行するがごときは、まことに思わざるもはなはだしきものと言わなければなりません。しかも、今回の運賃値上げ内容が、旅客運賃値上げ、特に百五十キロ以内の通勤者、勤労者大衆値上げに重点が置かれ、ために、中には十割値上げに達する部分も存在するのであって、かかる無謀なる値上げは、われわれの断じて許し得ないところであります。(拍手)勤労大衆のふところに直接響く三等旅客運賃は、元来、従来の運賃率をもってするも、すでに黒字であり、反対に、独占資本の独占物資と言われる貨物運賃は、ほとんど大多数が運賃原価主義を著しく下回るものであります。かくのごとく、独占資本物資輸送は犠牲運賃をもってし、そのために生じたる赤字を勤労大衆の近距離運賃の黒字をもってカバーするという運賃制度を、今回の値上げをもって、さらにその不合理を拡大せんとしているので、われわれは、かかる無謀なる法律案を断じて許し得ないのであります。(拍手)いわんや、国鉄運賃値上げが、直接間接インフレを助長する要因となり、国民生活に多大の悪影響を及ぼし、なかんずく低収入大衆に重大なる犠牲を強要するものであるから、この際、わが党はこれを許すことができないのであります。  以上、運賃値上げ反対理由の大要を申し述べましたが、他方、国鉄輸送力増強は、目下焦眉の急を要することは言を待ちません。ゆえに、この際、私は以下これが対策の大綱について申し述べ、わが党の立場を明らかにいたしたいと存ずるのであります。  今回の値上げ額三百六十五億円の見返り財源として、第一に、政府はさきに、昭和三十二年度、税の自然増収は二千億円近くあると申しているのでありまするから、まず、政府の借入金五百八十五億円を、日本国有鉄道法第五条の規定に基いて資本金に繰り入れることによって、返済金五十五億円を節減をし、さらに、資金運用部からの借入金八十億円を百二十四億円とし、公募債二百十五億円を三百十五億円に増加をし、利子補給五億円を加えて、政府原案よりも計二百四億円増加計上、この金額と値上げ額三百六十五億円との差、百六十一億円については、固定資産による納付金七十五億円中、昨年と同額の三十七億円を納付することといたし、さらに三十八億円を浮かし、他方、本年度は五カ年計画の初年度であるから、物資調達の困難、要員不足、その他諸般の情勢を考慮して、工事勘定一千六十九億円中、百億円程度減額することが適当なりと考えられるのであります。かくのごとくするならば、運賃値上げを取りやめても、なおかつ、国鉄のいわゆる五カ年計画はりっぱに遂行できるではありませんか。従って、運賃値上げを用いずして、適切なる五カ年計画初年度の事業は、これを遂行し得るはずであります。さらに、国鉄当局において解決すべき高架下問題を初め、国鉄資産の適正な管理運営により、決算委員会で指摘された幾多の事件を大胆に勇敢に、しかも誠実に履行することによって、国鉄の財政基礎は一段と強化されるのでありましょう。私はここに国民の名において、強く要望してやまないところであります。政府は、わが国経済発展国民生活安定のために、すみやかにかかる無謀なる国鉄運賃値上げ案を撤回し、社会党修正意見によって、目的達成すべきであると信じます。  これに対し、諸君の御賛成、御協力を望み、私の反対討論を終る次第であります。(拍手)   —————————————
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 市川房枝君。    〔市川房枝君登壇拍手
  24. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、ただいま議題となっております国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、すなわち鉄道運賃値上げ反対でございます。(拍手)  今度の汽車賃の値上げに対して、国民の各層が強く反対していることは皆様御承知通りでございますが、家庭の財布を預かっております主婦たちも反対をいたしております。(拍手)家庭の主婦で組織されております東京の主婦連合会を初め、大阪の関西主婦連合会、大阪主婦の会及び全国に七百万の会員を持っております全国地域婦人団体連絡協議会の四団体が、国会、政府国鉄当局反対の陳情をいたしております。それらの文書によりますと、婦人たちは、洞爺丸、紫雲丸、参宮線等の事故や、朝夕のラッシュ時における殺人的な混雑、サービスの低下等を初め、いわゆる鉄道会館問題、外郭団体、トンネル会社の問題、国鉄従業員家族パスの問題等経営上のルーズなことを非難しております。また、運賃値上げによる諸物価の騰貴が家庭に及ぼす影響を心配しております。危険なトンネルや鉄橋、車両等は早く直してもらいたい。あの混雑を少しでも緩和してもらいたい。そのために金が必要なことはわかりますが、その金は、もっと国鉄経営を上手にし、節約すれば出てくるだろうと婦人たちは考えております。  国鉄は約二兆一千億円の資産を持ち、一年の収支が約五千億円、職員が四十四万七千七百二十五人という膨大な企業でありまして、私のような数字に暗いしろうとには、なかなかわかりません。運輸委員会は、国鉄の幹部だった方々、国鉄労組の幹部だった方々が半数ぐらいおいでになりまして、そういう中で質問をするのは、ちょっと勇気が要りますが、しかし、大衆の立場に立って、素朴な質問を運輸当局並びに国鉄当局にいたしました。そして私としては、次のような結論に達したのであります。  第一に、婦人団体が取り上げておりまする国鉄経営のルーズな点については、運輸大臣が任命されました国鉄経営調査会の七カ月にわたっての調査の結果、国鉄に対し、血のにじむような経営合理化の要望が行われ、それがある程度実行されておるようであります。しかし、まだまだ合理化する余地が多分にあるとの印象を受けました。それは、たまたま衆議院決算委員会で摘発されましたガード下の鉄道用地の問題なんかが、それを明らかに示しております。もっとも、この合理化並びに節約で、国鉄が今度の平均一割三分の運賃値上げで予定しております収入の三百六十五億円全部を生み出すことは無理かもしれません。  第二に、国鉄経営現状を見ますると、旅客の収入は黒字であるのに、貨物が赤字となっております。貨物には、いろいろな割引制度があり、大企業の資材等の運賃が相当安くなっているようであります。旅客運賃は、その九一%までが三等旅客であります。従ってその大衆負担が大企業を助ける結果になり、不合理だと思います。それで、赤字の貨物運賃だけを値上げしたらよいのではないかという意見が出てくるのではないかと思います。  第三に、国鉄経営状態を路線で見ますると、二百二十七線のうち、黒字はわずか十四線、すなわち一七%だけで、あとの八三%が赤字となっております。黒字で一番もうかっているのは、定員の三倍も乗せている山手線でありまして、その次が東海道線であります。どうしてこんなに赤字線が多いのかとの質問に対しまして、当局は、国鉄公共企業体として、日本の産業経済の発達のために、また国民の利便をはかるために、やむを得ないという答弁でありました。なお、新しく十四線が目下建設中でありまして、三十二年度には、そのため七十億円の予算を計上しておりますが、それらの新線ができましても、営業収支の予定は、約半額、すなわち三、四十億持ち出しの赤字となっております。新線の建設は、政府に設置されておりまする鉄道建設審議会で決定されるわけでありますが、初めから赤字を承知で新線を建設しておるのであります。そうして、その赤字の穴埋めを一般旅客運賃値上げで埋めることになることは、私どもはどうしても納得ができません。ことに、そうした赤字線の中には、いわゆる選挙地盤の擁護のためのものが相当あると言われております。これでは、国鉄の独立採算制、原価主義というものは、私は成り立たないと思います。  国鉄が、日本の経済産業発展の立場から、また国民の利便を考えて建設され、運営されることは当然だと思います。しかし、それであれば、政府はそのための資金出資するなり、利子補給等をなすべきだと思います。池田大蔵大臣は、国民の税金だから同じことだと言われましたが、政府は、その税金を電源開発会社に出資しておりますし、また船会社に利子補給として多額に出しておるのであります。また、一部の国民しか乗らない日本航空会社に対し、毎年出資をしておるではありませんか。しかるに、国鉄に対しては、昨年とほとんど同額の三百十五億円——鉄道債券によるもの二百三十五億、資金運用部よりの借り入れ八十億円——を認めただけでありまして、その点に私は不満を持つものであります。五カ年計画の第一年度に生ずる赤字の全額を、運賃値上げによることとしておるのは賛成できません。すなわち私は、輸送力増強の必要は認めますが、その費用は、国鉄経営合理化によって支弁すべきである。それでも足りない場合には、政府出資すべきで、運賃値上げによるべきではないというのが、私の反対理由であり、婦人団体初め、大衆の言わんとするところだと私は思います。  なお、鉄道運賃値上げが、家計及び物価に及ぼす影響については、大蔵大臣運輸大臣国鉄当局とも、大したことはないと、数字をあげて説明をしておられますが、サラリーマン、勤労者、学生のある家庭では、相当の負担増となります。物価へのはね返りも、これに便乗するものが起って参りますので、主婦たちは、それをおそれております。汽車賃も上った、電気料もやがて上る、次にはいろいろな品物も上るのではないかということで、買いだめをするということになれば、物価をつり上げ、インフレに導いて参ります。その点を政府は特に御注意を願いたいと思います。  最後に、去る三月二十三日に行われました国鉄労組の抜き打ちストについて、一言つけ加えたいと思います。あのストは、全国の国民大衆に非常な迷惑を及ぼしました。それが運賃値上げとからんで、いまだに大衆を憤激させていることは、ラジオの街頭録音その他がよく示しております。どうしてああいう事態が起ったかについて、委員会で当局から弁明がございました。しかし、私は第一番に、国鉄労組の方々に対して、理由がいかがであろうと、味方であるべき国民大衆、勤労大衆を敵に回すようなああしたストを再び起さないよう、この際、深く反省していただきたいと思います。第二に、運輸省当局及び国鉄当局も、ああいう事態を引き起したことについて、国民に対して当然その責任を痛感していただきたいと思います。労組、運輸省、国鉄三者でよく話し合い、将来ああした事態の起らないようにしていただきたい。また国鉄に対しての国民の信頼を取り戻すよう、努力されんことを切望しまして、私の討論を終ります。(拍手
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。  まず、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ——————————
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、港湾法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時七分散会    —————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第二 中小全業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第三 関税定率法の一部を改正する法律案  一、日程第四 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  一、日程第五 就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第六 学校給食法の一部を改正する法律案  一、日程第七 自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第八 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案  一、日程第九 港湾法の一部を改正する法律案