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1957-05-14 第26回国会 参議院 文教委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員高田なほ子君辞任につき、そ の補欠として藤原道子君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            林田 正治君            矢嶋 三義君            常岡 一郎君    委員            近藤 鶴代君            左藤 義詮君            関根 久藏君            谷口弥三郎君            吉田 萬次君            安部 清美君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君   衆議院議員    永山 忠則君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    文部政務次官  稻葉  修君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○学校教育法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○市町村立学校職員給与負担法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○国立及び公立学校事務職員の休  職の特例に関する法律案衆議院提  出) ○公立小学校正常授業解消促進臨時  措置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教科書検定に関する件)  (公立学校学校医公務災害補償  に関する件)  (児童生徒災害補償に関する件)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  委員の変更を報告いたします。  高田なほ子君が本日辞任され、藤原通子君が選任されました。   —————————————
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) まず、学校教育法の一部を改正する法律案議題といたします。本案についてはすでに質疑を終局しておりまするので、直ちに討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  学校教育法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     有馬 英二  林田 正治     左藤 義詮  吉田 萬次     近藤 鶴代  常岡 一郎     湯山  勇  松澤 靖介     安部 清美  松永 忠二     矢嶋 三義   —————————————
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案衆議院修正送付案であります。  本案についてもすでに質疑を終局しておりますので、これより直ちに討論に入ります。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法律案は、養護学校に関連するものでございますが、先刻本委員会で議決されました学校教育法の一部を改正する法律案において、養護学校における就学就学義務の履行とみなすということに相なったことはまことに時宜に選したことと考える次第でございます。  御承知通り、小中学並びに盲ろう学校義務制が完成されているわけでございますが、ただ養護学校のみいまだに義務制が実施されていない次第でございまして、審議の過程に承わりますと、大体養護学校就学すべき生徒児童は五万人程度と推定される。そのうちで、本年度養護学校教育が推進して、なおかつわずかに二千三百人程度就学機会に恵まれているという惨たんたる状況でございます。私は本法律案の成立を機会大臣にも質疑段階において要望いたしましたように、養護学校義務制が一日も早く実現されるよう政府においては格段努力をすることを強く要請をいたす次第でございます。  なお、本法律案において市町村立養護学校教職員市町村立学校職員給与負担法第一条に規定する教職員とすることによって勤続年数その他に優遇措置が講ぜられたことは、まことに適切なことと考える次第でございますが、と同時に、この養護学校、さらに特殊学級等特殊教育現状は、なおきわめて不十分な状況にありまするので、各委員から大臣にいろいろと質疑をされたわけでございますが、大臣特殊教育振興について格段の熱意を示されました。今後憲法第二十六条に規定するところの教育機会均等並びに義務教育無償の建前からすれば、教員定数の確保、そのほか、さらには施設設備充実格段なる努力をすべきものと考えます。  なお、わが参議院における原案は、内閣提出法律案衆議院において修正可決されまして送付された原案でございまするが、この修正案において事務職員の時間外勤務手当を都道府県負担といたし、その二分の一を国庫負担とする修正をなしたこと、これまた賛成する次第でございまして、事務職員の問題については、本委員会においても過去数カ年間にわたっていろいろと調査して参ったことでございますが、その一部がこのたび解決することは同僚諸君とともに喜びたいと思います。しかし、この質疑段階において明確になりましたように、事務職員の格づけ、あるいは人事交流質的向上の問題、さらには待遇の適正なる向上をはからねばならぬという点については何人も異論のないところでございまして、これらの点については内藤初等中等局長から適切なる答弁がなされております。その答弁の線に沿って一日も早く実現されることを強く要望するとともに、その動向を今後私は見守っていくことをここに申し上げておきたいと思います。  最後に、これまた昨日の委員会において衆議院において修正案を出しました小牧代議士質疑をいたし、政府委員にも伺ったところでありますが、寮母勤務状況特殊性からして、当然私が時間外勤務手当が支給されるべきであると考えるにもかかわらず、このたびの修正寮母という活字が入っていないのでございます。私はミス・プリントではないかと伺ったのでございますが、そうでない、その必要は認めるが予算その他の関係上、このたびは寮母という活字を同時に入れることはできなかったということでございます。また政府委員に伺いますというと、その業務特殊性は認める、特殊性を認めて時間外勤務手当を出さないかわりに本俸を調整しているということでございます。それではどの程度調整しているかと伺いますと、わずかに調整号俸号俸であるという御答弁でございました。従って寮母業務の責任の度合い並びにその勤務時間等の業務質的内容から申しましても、その給与を適正化することが必要であるということは、政府委員みずから認めたところでございまして、次の機会にはぜひともこの寮母給与改善をはかっていただくよう強く要望するともに、最後にこれに関しまして付帯決議案提案いたしたいと思います。  案文を朗読いたします。    附帯決議   市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を可決するに際し、本委員会は、政府に対し次の通り要望する。   盲学校聾学校及び養護学校において特殊教育に携わる寮母については、その勤務特殊性に鑑み、これに対し時間外勤務手当等を支給すること、及びその経費地方負担義務教育費国庫負担法対象とすることについて、速かに適切な措置を講ずること。  以上であります。  私の原案に対する賛成演説は、社会党を代表するものであり、付帯決議案は、各会派共同提案を代表して提案いたした次第でございます。
  9. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  11. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定にいたします。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     有馬 英二  林田 正治     佐藤 義詮  吉田 萬次     近藤 鶴代  常岡 一郎     湯山  勇  松澤 靖介     安部 清美  松永 忠二     矢嶋 三義
  13. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、討論矢嶋君から提出されました付帯決議案議題といたします。  本付帯決議案を本委員会付帯決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よって本付帯決議案を本委員会決議とすることに決定いたしました。   —————————————
  15. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、国立及び公立学校事務職員休職特例に関する法律案議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 永山提案者に伺いますが、この法律公布の日から施行することに相なるわけでございますが、今休職している該当事務職員は、この法の施行後においては、現行法において八割支給されているところの給与教員並みの支給に変ってくるわけですが、療養期間はいかように認定されることになるのでございましょうか。
  17. 永山忠則

    衆議院議員永山忠則君) 三年にいたしまして、従前の期間を通算することになっております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それに書いてありますが、そうすると念のために伺いますが、今まで休職した期間を通算して、そうして休養のできる期間教員並み休養期間が与えられる、こういうことですね。
  19. 永山忠則

    衆議院議員永山忠則君) さようでございます。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点伺いますが、この法律案内容については、衆参の文教委員会において多年にわたっていろいろと検討をされたことでございまして、このたび衆議院側で議がまとまりまして提案になったことを私は非常に敬意を表するとともに感謝するものでございますが、しかし、この多年にわたってお互いの間で問題に相なっておりました事務職員の問題のごく一部だけが取り上げられたわけでございまして、高等学校以下中小学校事務職員身分の問題ですね、こういう点についていろいろと衆議院の個々の文教委員の間で、提出者の間で御協議なさったと思われるのでありますが、その点についてはどういうお話し合いがなされて、今後その方面はいかように将来解決されようというお考えであるか、提出者を代表して一つお聞かせいただきたいと思います。
  21. 永山忠則

    衆議院議員永山忠則君) この点に関しましては、実質的に文部省の方から行政指導によりまして待遇改善に資するように相談はいたしておりますので、文部当局の方から一応その点を説明をしていただきたいと思います。
  22. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいま永山議員からもお話がございましたので、事務職員身分について教育公務員にするようにというお話がございましたのですが、いろいろと研究いたした結果、教育公務員にしたからといって直ちに優遇されるかどうかというようないろいろと疑問があるわけでございます。現に寮母や、あるいは実習助手教育公務員に準じておるわけであります。ですから教育公務員に準ずるような扱いをする点においていかなる点が問題になるかという点を研究いたしました結果、教育公務員になってすぐに適用になるのか、ただいま永山議員から御提案になりました休職期間の三年、この点だけが実質的に準用規定適用を受けるわけであります。この点を解決することが第一点。それから第二点は、昨日でしたか、社会党小牧委員からも御提案になりました事務職員超過勤務手当府県費負担に移して国庫が半額をこれを負担する、こういうことによりまして事務職員優遇考え、さらに昨日も申しましたように、事務職員の格づけの問題、人事交流研修等の問題を実質的に解消いたしまして、総合的に事務職員優遇対策考えるのが現下の情勢には最も適したやり方ではなかろうか。もちろん今後の実施の状況を見まして、さらに不徹底の点があれば私どもは検討するにやぶさかでございませんけれども現状法規から考えまする最大の処置を講じたい、かような考えでございます。
  23. 湯山勇

    湯山勇君 最初提案者の方へお尋ねいたしますが、付則2の適用になる人員の数の見込みと、それに伴う予算措置は大体どのようにお考えでございましょうか。
  24. 永山忠則

    衆議院議員永山忠則君) 文部当局よりちょっと説明をさせていただきたいと思います。
  25. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この案により私ども事務的に検討した結果、結核休職教職員と同じように下五%、比率は見込んでおります。その結果五十八人が対象になる計算でございます。そこで負担金経費総額といたしましては二千二百六十八万六千円、で二分の一が一千百三十四万三千円というのが国庫負担対象になるわけでございまして財源措置は遺憾ながら積算の基礎負担法の中にはございません。従って政府側意見としては趣旨には賛成であるが、その予算的な準備がございませんので賛成いたしかねるという以外には申しかねますが、しかしこの法案が通った場合には、義務教育費国庫負担法は御承知通り実績主義法案でございますので、何とか既定予算の中でやり繰りをいたしまして、不足額が出ればこれは補正予算なり予備費なりで適当な措置を講じたい、かように考えております。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 それから公布の日からということですけれども、大体いつごろ公布の御予定でしょうか、会期中にこの法律が上るものとして。
  27. 永山忠則

    衆議院議員永山忠則君) 直ちに公布するということでございます。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 次は、政府の方へお尋ねいたしたいと思うのですが、これは主として県費負担事務職員対象になると思うのですけれども、それ以外に市町村費負担事務職員が、国立にはあまりないと思うし、もちろんこれは対象にはなりませんが、公立学校における県費負担以外の事務職員の数、それからそれ以外の公費負担でない事務職員の数、これは相当数になると思いますので、全国的に本法適用者である県費負担事務職員の数と、それから市町村費負担事務職員の数、それからそれ以外の事務職員の数、そういう資料がおありであれば一つお示し願いたいと思います。
  29. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ちょっと手元に詳細な資料がございませんが、県費負担職員の方が約九千名ございます。で、市町村費負担というのは、これは本来認むべき筋合じゃございませんので、私どもはこういうものとか、あるいはPTAがかりに雇っておるような、こういう事務職員はすみやかに県費負担職員に切りかえるように自治庁とも交渉をして、今度われわれが研究しておりまする標準定数の中には織り込んで、ぜひ最近の機会にこれは県費負担に切りかえたい、こういう考え方でございます。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 おそらく高校あたりでは県費負担事務職員と、それからPTA等負担、そういう事務職員が一緒にいる場合が多いと思います。そういう場合に、一方は本法適用者であるし、一方は同じ条件で何ら恩典を受けない、場合によっては共済組合はもちろんですけれども、少数のために健康保険にも入っていないという状態が多いのではないかと思うわけです。そこで、実際に県費負担事務職員の九千名というのは、現在の日本の学校の数、児童生徒の数からいってあまりにも少な過ぎる。これは政府はもとより、提案者としてもお認めのことと思います。そうすると、今まあ局長の御答弁にありましたように、市町村負担事務職員、それから、やみという言葉が適当かどうかは別として、そういう事務職員についてはすみやかに解消するという方法は、これは相当強力な、しかも具体的な方法手段を講じなければならないと思うし、こういういい法律ができた機会に、ますますその差が開くというようなことも、これも片手落ちのことだと思いますので、それについてより強力な具体的な手段をおとりになる御用意があるかどうか、これは大臣にぜひお伺いしたいと思うのですけれども、幸い政務次官がお見えになっておりますから、そういう点についての御所見を伺いたいと思います。
  31. 稻葉修

    政府委員(稻葉修君) 御意見はきわめてごもっともと存じますが、強力な手段をとりたいと存じます。具体的な処置につきましては、初中局長から詳細御答弁を申し上げます。
  32. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいま政務次官が申しましたように、事務当局といたしましても、こういういわゆる湯山さんのおっしゃったような意味やみ職員法定外給与にも当りますので好ましくない、こういう見解で自治庁ともしばしば交渉しておるわけであります。具体的には文部省で目下作業しております標準定数を決定したいと思いますので、この標準定数の中に事務職員を否めて標準定数をきめたい。この標準定数の中で従来市町村なり、あるいはPTA負担しておったものを県費負担に組み入れるという構想を持っているわけです。で、これをできれば基準財政需要額の算定の基礎にもいたしたい、こういうことでただいま自治庁とも交渉しておりますので、できますれば昭和三十三年度の基準財政需要額にはそういう趣旨で織り込みたい、かような考えを持っております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっきの質問を返しますがね、教育公務員特例法では、免許所有ということが非常な大事な要素になっているのですね。その考え方は変える私は必要があるのじゃないかと思うのですがね、教育の場で働いている人が教育公務員でないというこの規定の仕方ですね、それを具体的に考えて、小学校、中学校高等学校学園教育の場を考えた場合に、その事務職員の方々が教育公務員でないという考え方は、どうしても私はぴったりこないのですがね。で、あなたが先ほど事務職員教育公務員になったからといって特に優遇されるわけでない、個別的に実質的には近づけつつあると、こういう御答弁ですがね、であったら、この際教育公務員に準じて扱うというような扱い方をしているのならば、法を改正して、教育公務員の範疇に入るようにされたらいかがですか。僕はそうした方がいいんじゃないかと思うのですがね、どういう方向で進まれるつもりでありましょうか、お伺いしたい。
  34. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教育公務員という考え方につきましては、文部省としては、従来、研究なり、教育自体を扱っておるこの線で切っておるわけです。ですから、この場合、もちろん免許状なり、高等学校以下の場合には免許状が必要です。大学の場合には免許状は要りませんが、一定の資格が要望されているわけであります。そこで、この範囲で教育なり研究、あるいは生徒児童訓育に携わる、こういう点から、私ども考え方では、これをせいぜい伸ばしましても、寮母実習助手、ここまでは直接訓育に携わる、こういう点で寮母実習助手は認めている。これは両者とも免許状がなくても特別に認めまして、教員法規を用い、さらに調整号俸をして優遇をしていることは昨日申し上げた通りであります。で、事務職員は、これはその学校に、職場は同じでございますけれども勤務の実体は違うし、勤務内容も違うわけであります。で、どちらかと申しますならば、教育委員会、あるいは文部省、あるいは大学事務当局、こういうものとの一連の関係がございますので、たとえば小中学校にいるからという理由だけで、教育公務員とすることは、かえって私ども身分の混淆を来たす、かような考え方でございまして、事務職員待遇等の実情につきましては十分同情しなければならぬ余地もあると思いますが、それをもって直ちに教育公務員であるというような見方には必ずしも私どうも賛成いたしかねているのでございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省の長きにわたって一貫したお考えは変っていないようでありますが、時間かかりますから、それはそのままにしておきましょう。しかし、きのう国立及び公立学校事務職員休職特例に関する法律案並びに市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案で御答弁なさった趣旨に沿って、事務職員量的充実には教育振興のために格段努力をすることが必要であると思いますので、その点について湯山委員も指摘された通りでございまして、この点についてはぜひとも努力していただきたいと思います。先ほどあなたの答弁されておりました寮母実習助手は直接の教育に携わっているから、これは教育公務員として扱っているというようなことですが、これはやはり準用で、明文には、条文には明記していないわけですね、私は明記すべきだと思いますがね。
  36. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 施行令の方で準用しております。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って、教育公務員規定の仕方からいって、先ほどあなたの御答弁の中にもありましたように、はっきりと直接教育に携わっているわけですからね、教育公務員として施行令準用というような形でなくて、本法に私は明記されるべきものと思うんですがね、いかがですか。
  38. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そこはちょっと私違うのじゃなかろうかと思うので、純然たる教育研究に従事している教育職員と、それに近いのですけれども、その近いけれども、広範囲に、広義の意味においては教育なり訓育に携わっておりますけれども、直接教科あるいは教科外の活動という学校教育プロパーをやっているわけではないのでございまして、その辺が教育公務員特例法が定めてあるゆえんでございまして、教育公務員特例法施行令三条に基きまして、これはもちろん特例法を引いているわけでございますが、特例法明文があって、それを受けて、施行令の三条で実習助手寮母は入っているのでございますから、特例法上の明文がある、こう申し上げても差しつかえないと思います。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終りますがね、局長、御答弁はそこは苦しいところだと思うんですよ。先ほどあなたの御答弁からいって、助手とか寮母というのは直接教育に携わっているのですからね。施行令準用というような形になっているわけですが、直接教育に携わっているのと、携わっていないのと云々というようなことで、なかなか苦しい答弁をされているのですが、現実に工業学校とか農業学校助手生徒に対する教育に関与する度合いと、普通の教室で普通科の先生が教壇に立って生徒教育に関与するのと、区別しようとしても区別されぬと思う。工業学校農業学校では、助手がいなかったら教育はストップしますよ、できませんよ。だから、子供教育に関与しているという点では、その子供に教える内容は違うでしょうけれども、私は差別はつかぬと思う。従って、こういう人たちはりっぱな教育公務員で、特別扱いにして準用するというような規定をなされるということは、私は問題だと思うのですがね。これはあえて答弁を求めません。
  40. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 私は日本社会党を代表して本案賛成いたします。  なお、賛成に当りまして、二点の強い要望をいたしたいと思います。  第一点は、現在事務職員の配置状況はきわめて不十分であると思います。従って、すみやかに事務職員の配置状況改善をはかること、これが第一点でございます。  第二点は、市町村費負担、あるいはPTA負担等の事務職員相当数現在ございますが、これらについては、これらをすみやかに県費負担に切りかえるように、政府において格段の、しかも早急な措置を強く要望いたしたいと思います。  以上であります。
  43. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  国立及び公立学校事務職員休職特例に関する法律案を問題に供しします。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  45. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内向、第七十二条により議長に提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     有馬 英二  林田 正治     吉田 萬次  近藤 鶴代     関根 久藏  常岡 一郎     湯山  勇  松澤 靖介     安部 清美  松永 忠二     矢嶋 三義   —————————————
  47. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  次に、公立小学校正常授業解消促進臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より本案についての提案理由を聞きます。
  49. 稻葉修

    政府委員(稻葉修君) 公立小学校正常授業解消促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。  御承知通り、との法律は、戦後の急激な小学校児童数の増加によって発生した二部授業、詰め込み授業、あるいは講堂、屋内運動場の間仕切り教室や、仮校舎等で行われている授業など、いわゆる不正常授業の解消を促進するために制定されたのであります。  しかしながら、この法律も他のこれと同種の法令と同様に、国の補助金算定の基準日を当該年度の五月一日としているため、従来五月二日以降に発生する不正常授業につきましては、当該年度中にこの法律に基く国庫補助金を交付することができなかったのであります。  近年、国、地方公共団体及び日本住宅公団等の行う住宅の建設により、一つのまとまった地域に相当多数の住宅が集団的に建築される例が多くなって参りましたが、このような地域では、一時的にかつ多数の児童が増加しますので、その近隣の学校では極度の校舎不足に陥り、校舎の増築を必要とする例が多くなったのであります。  以上御説明申し上げましたような事情から、集団住宅の建設に伴い発生する不正常授業のうち、毎年度五月二日以降に発生するものにつきましても国庫補助金を交付することができるようにし、小学校教育の円滑な運営を期したいと考えるのでございます。これがこの改正案を提案する理由でございます。  法案内容といたしましては、国地方公共団体、日本住宅公団等が建設する集団的な住宅の建設に伴い発生する公立小学校の不正常授業のすみやかな解消をはかるため、補助金算定の基礎として、当該年度の五月一日現在の児童数をとる現行法の建前に対しまして、五月二日以降の日における児童数をとり得るよう特別の規定を設けるものであります。  以上がこの法律案提案の理由と内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  50. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 本案に対する質疑は次回に譲ります。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  51. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  次に、教科書検定に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日松永委員並びに私から、提出されていない資料を提出するよう委員長を通じて再要求したわけですが、本日まだ提出されておりません。承わると、いろいろ事情があって提出されないということですが、どういう事情があるのか、御説明いただきたいと思う。
  53. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 昨日お話の調査官の資料は本日提出いたしておると思います。その昨日お話がございました分につきましては、松永委員からお話があった特定の著者の特定会社の分につきましてその理由を明らかに、不合格にした理由書を提出するように、こういうようなお尋ねがあったわけであります。  そこで、その前に私二点ほど申し上げたいと思うのですが、教科書行政のうちで最も大事な点は、一つは検定の公正を期するということが第一点でありまして、一つはその検定された教科書を公正に採択する、この二つの点が教科書行政上私一番重要な点だと考えたのであります。そこで昨年度からこの教科書の検定を公正にするという点でいろいろと御批判もあり、文部省でもいろいろ検討した結果、昨年は調査官をとりあえず二十名増置いたしまして、お手元に配付したような経歴の者がそれぞれ専門に当っているわけでございます。ところで、その調査官は下調べをするわけでございまして、その調査官に配するに現場の実情がわかるようにというので現場の先生それぞれ小中高等学校の現場側の先生を非常勤の調査員に委嘱しているのであります。同時に、非常に専門的な学識経験の分も要るのでこの点は大学の専門の教授たちに御委嘱しまして非常勤の調査員をお願いしておる。そういう方々が資料を作りまして、その資料に基きまして教科書の検定審議会でそれぞれ審議される。その検定審議会のメンバー及びメンバーの職歴についてはこれも本委員会に提出したわけでございます。この審議会の委員が今までは十六人で非常に手薄であったのですが、今回八十名にこれを増員したわけであります。各教科には非常に専門的な方方がいらっしゃるわけであります。お手元にあるのをごらんいただけばおわかりになると思いますが、その道の権威の方がいらっしゃる。ただこの方々は教科書に執筆した者でない、教科書を書いてないという点に特色があるわけであります。その範囲で選んだわけであります。その会長をしていらっしゃるのが天野貞祐氏であります。天野貞祐氏が昨日の読売新聞にこういう寄稿をされておるのでちょっと御参考までに読んでみますと、「教科書の検定について官僚の統制を憂える向きもあるが、それは全く事情のわからぬことから起る杞憂である。教科書の合否を決定するのは審議委員会であって、各方面から選ばれた識者が官僚の指図に従うなどということはありえない。審査に当っては著者名、出版者名は知らされず、番号審査であるから個人的関心の入る余地は全く存しない。なお漱石の機知に富む言表をかりれば、自分に損のゆかぬ限り親切をしたがるのが人情である。自分になんの得るところもないのに、好んで業者に損害を与え、著者のうらみを買う危険をおかす人などは容易にありえない。不合格の断定をするのは本人としてはまことに苦しい止むをえざる義務なのである。  その際一般的思想の自由は教科書に関する思想の自由とは合致しない。いかに優れた著述でも教科書としては不適格ということも可能なことは論を要しないところである。」これはずっと前に前文がございますが、これは最後の一節であります。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと答弁中ですが、私が伺ったのは、昨日教科別のあの合否の統計表と、松永委員から不合格になったと新聞に報ぜられている一、二の教科書の会社側に渡した不合格理由書を出してほしいというのに対して、出せないという御答弁で本日まだ出ていないわけです。それについて、あなた何か釈明したいというので発言を要求したわけで、非常に何を言わんとするのか、少し……あまりに広範に答弁し過ぎているようですからしぼって……。
  55. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これからその理由を申し上げます。そこでこれから具体的に申し上げますことは、こういう理由でやっておりますので、文部大臣といえどもこの審議会に何ら圧力を加えておりませんから、審議会自体の御判断によってきめられ、それの結果を尊重して文部省は合否の判定をしているわけであります。そこで、昨日松永委員からのお話でございますが、実は不合格理由書については、従来はこの不合格について理由を文書では出していないのであります。口頭でしか出していない。ところが、私どもとしてはできるだけ親切に文書にした方がいい、また文書にしてくれという著者からの要望があったわけであります。何かやみへ葬られるということは困る、こういうことでございますから文書に出した。こういうわけでございますが、こういう文書はあくまでも従来口頭で伝達していたものを便宜上書類にしたものであって、業者に対して与えたものであって、一般に公開するように作成されたものではないのであります。従って不合格理由書をごらんになっても検定原稿と対比しなければこれは理解しがたいと思います。そういう一般にわかるような理由書ではございませんので、検定原稿が手元に一部しかございませんので、これは両者あわせてやらないと意味がない。それからいま一つは、これを公表すると、特定の教科書についてその教科書の発行者、著者が一般にマークされることになって採択に不当の影響を与えるおそれがある。今回出した原稿の中で四分の一以上改訂したものはこれは新規原稿として取り扱っておるのであります。不合格図書の中には同一著者で同一発行者が発行している現に使用中の教科書が相当あるわけです。ですからこれが発表になりますと、採択の公正を害して現場教育に混乱を起おそれもある。さらに最近常時検定にしたわけであります。落ちた教科書を五月の初めから再審査で受け付けているわけです。そうすると、この中に受け付けて今現在審査中の分があるわけであります。これをここでいろいろと論議されることは私審査中の事案にも関係するので、これもいかがかと思っておるのであります。そういうわけでございまして、この原稿について異論がありますれば、私どもの不合格理由書に御異論がありますれば、この御異論についてはもう一度審議会に諮ることになっておりまして、業者から当然に意見が出るはずなんです。ところが、いまだに業者からは正式に抗議書が出ていないのです。われわれとの見解が相違するならば当然に著者なり業者から出て来るはずなんです。私どもそれを待っているのですが、それがまだ出ない最中に私どもここでこういう問題を御論議いただくのもこれもいかがかと思っております。向うから出て来ればまた別でございますけれども、しかも今常時検定で五月の検定が審査中になっております、おっこったものが。審査中の事案でもありますし、私はこの際は差し控えていただきたいと思います。  それから今のは松永委員の分でありますが、矢嶋委員お話の分は、採択時期前に教科別に発表するということは従来から行なっていない。これは数が少い教科書になりますと、どういう発行者のだれが著者でやったかということが大体推定される、そこで業者間においていろいろと宣伝の具に供された過去の例もございますが、不公正な取引をさせたくない、なお採択の公正を期するという意味から、採択前にはお許しを願いたい、もちろん採択の結果が済みましたら私どもの方から公表させていただきます。この時期まで待っていただきたい。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では何ですね、私の党では、教科書検定というのは、きわめて重大だから徹底的に掘り下げて調査する党議を決定いたしているわけです。時期が来れば、不合格理由だけ見ただけでは十分わからないわけだから、検定原稿まで入手して、その検定原稿と不合格理由とを対照することによって検定状況というものが十分わかるわけですから、それまでの調査をしたいと考えているわけです。で、時期が来ればそういうものを国会に提出することは差しつかえない、こういう答弁と了承してよろしいですか。
  57. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 時期の点は、私、矢嶋委員からお話のあった教科別の点については、時期を待っていただきたい、これは本年度の採択が大体八月一ばいで済むと思いますが、九月以降になったら教科別の分はこれはお示しできると思います。  それから先ほどの松永委員の、この個々の分についての不合格理由については、私ちょっとこれはお約束いたしかねると思うのです。今あなたのお話のように、一つは再審査の請求中であるということ、一つは現在その会社のものが相当広範囲に同じ著者のものが使われておる、四分の一以上の改訂ということで申請が来ておりますけれども、これを公表することは非常に現在の採択に重大なる影響があると私ども考えるので、その点も私今公表することは少しいかがかと思います。これも時期が相当先へ行って採択に影響がないということが明瞭ならこれはけっこうだと思いますが、私どもとしては今自信がないのであります。
  58. 松永忠二

    松永忠二君 今のお話は、私の要求した資料について提出できない理由をいろいろお話があったわけで、私はそれらの点について納得ができかねるわけであります。まず、最初に検定に当っては、検定の公正を期するということと、採択の公正をはかるということが非常に大切なことだというお話だった、私は検定の公正を期するという意味から今のその検定が果して正しく行われているかどうかということについての検討の資料を要求しているのであって、そういう意味からいって、私の考えている基本的な態度は誤まりではないと思うのです。検定の公正を期するという意味で検定が行われた結果についての検討する資料を出していただきたいことを申し上げておる。それから私は調査官が審議会に資料を出して、そうしてその審議会が審議中において資料を提出してほしいということを言っておるわけでなくて、すでに大臣が検定の許可、不許可を決定した後である、これはある意味から言うと、一つの行政の措置がなされているわけなんです、立法の一つ法律に基き、あるいは規則に基いての行政措置がなされた結果なんで、しかもその理由書を出すことそれ自身が行政措置だから、その措置をされているものについてその事実を示してくれということなんであって、そういう意味からいっても私はこれは決して検定の権利を侵害したり、審議会の権利を侵害するものではないと思うわけです。しかもこれは、とにかく従前口頭でしておったといっても文書で出されておるわけなんです。そのこと自体一つの行政措置であります。しかもそれは立法に基いて行われた行政措置であるから、その措置されたもの自体を出してくれということなんだから何ら私は違法にはならないと思います。それから不合格の理由書を明確にしていくということが教育の混乱を起すというようなお話が出た、現場の職員どうこうというお話があったが、私はたとえば同一著者の人がある他の教科書を作っているとすれば、その検定不合格の理由が明確になることによってその人の著書、あるいは著作のものを利用している教科書について、どういう点を考慮していかなければならないかというようなことについても事実がはっきりくるので、むしろその教科書を取り扱っている教育者というものはその事実に基いてやはり相当考慮をして教育に当っていかなければならないという点において、むしろ教育にプラスを来たすのじゃないのか、決してその執筆者が不合格になったからといって、その教科者に対して不信を持つものじゃない、その教科書を使うに当って教育的な考慮をする一つ機会を与えるわけでありまして、決して混乱を起すことにはならない。  その次には常時検定というお話が出てきているのでありますが、今度常時検定といって文部省は出されておりますが、これはあくまでも昭和三十四年度の教科書の検定についてのことであります。現在検定の不合格になったものについてはこれはもうすでに終了したものであります。この教科書が、また再び同じものが出ていくということではないのでありまして、この教科書自体についてどういう点が一体工合が悪いのか、どういう理由書が出ているのかということを調べていくということであって、これも常時検定だからそれがどうのこうのという、常時検定ということは、昭和三十四年度の使用教科書についてであるので、何ら常時検定との関連が出てくる性質のものではないと私は思うのであります。  それからもう一つの点で、異議があれば申し立てができ、あるいは審議をし直すかのようなお話があったが、そういうことは何ら発行者、著作者にも通じておらないし、事実またそういうことができるということは……具体的に不合格になった教科書を再度出してきて、そうしてこれを三十三年度の使用教科書として察議会が決定し直すということがあるならば、事実そういうことが行われるということならばそれをはっきり言っていただきたい。私はそういうことはないと思うわけです。ただ、その理由書について異議があれば説明機会を持つということであって、あらためて再度これを審議し直して、昭和三十三年度の教科書として審議をし直すということではなかろうと思います。そういうことであるならばわれわれがこれをとやかく言うことは、検定そのものに対するわれわれの侵害であるので、そういうことを私は要求しているのじゃない。もうすでにこの教科書がいかなる異議申し立てがあるにしても、審議会としては、文部大臣としては再度これを検定合格とすることはあり得ないのである、ないことなんです。従ってこれが異議申し立てがあり、それを何か今度の教科書として、本年度また許可するかのごときような考えを持つような御発言をなさっているけれども、そういう事実はない。もうすでに行政措置として不合格検定がなされたものだ。そのものについてはわれわれはあくまでも検定の公正をはかるためにこれを要求することは何ら不当ではない。あるいは昨日の御説明では、これをやることは教科書会社のいろいろな採択に影響を及ぼすというお話であったのです。教科書会社の不利益とか、採択いかんをわれわれは問題にするよりも、あくまで検定が公正妥当に行われておるかどうかということを問題にする以上、そういうことを考慮する必要はないと思う。また、教科書会社の理解を得て希望に沿う、許せばするということでのお話だったけれども、むしろそういうことではなくて、教科書会社の理解を得て資料を提出いたしたいということであるなら、またそこに話もわかるのに、教科書会社が許せば私はお出しすることをまた考えてみたい……きょうのお話では、そういうことも飛びぬけて、本質的に提出すること自体が、何か検定の公正を破壊し、あるいは公正な採択を破壊するかのごとき印象を与えることを言われ、なおかつ、現場の教育に混乱を来たすようなお話をされておることについては私は納得がいきかねるわけです。もうすでにこうして日本読書新聞等にも、これのおよその項目が書かれ、しかも執筆者自身は、抽象的であって、私としては納得できない、というようなことも言われておる。著者の方から異議が出てきておりませんとか、発行者のところから異議が出てこないということなんかについては私は納得がいきかねるのであります。  以上の理由を述べて、やはり積極的に私は、もし教科書会社の理解が必要であれば、それを得て積極的にお出しをいただき、また文部大臣と御相談いただいて資料をお出しいただいて、そして私たちはあくまで審議会の審議をよく検討し、妥当に行われたであろう審議の状況をよく把握をして、そして教科書の公正妥当な検定の行なえることを願っておるわけであります。そういう意味から、私は今の御説明は納得ができかねる。とにかく、私の要求したものについて資料の御提出をしていただきたい。それだけではなくて、私の申し上げたのは、やはり思想的な面に触れるものが多いように思うので、他の委員から、あるいは理科、英語等のものについてやはりそういう要求があれば、やはりそういうものを出して行って、誤解を解いて行くということは、私は事務当局のやられる措置であろうと思う。
  59. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  60. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。ただいま教科書検定に関する資料の提出について論議されているわけですが、先日の委員会から本日の委員会まで、こんな程度で、資料提出について出す出さぬで時間を空費している点非常に遺憾に思います。しかし、今の段階で、松永委員、あるいは私の要求している資料を出せといっても、結局時間を空費するだけだと思う。従って、私は今後の進行としては、具体的に審議、調査を進めて行って、そうしていよいよその必要な段階になったときにあらためてこの問題を取り上げるし、またそのときに本委員会の意思がきまれば、内藤初中局長が百万言を尽くそうとも、立法府としてその資料を入手することができるわけですから、われわれとしては政府委員答弁は全く納得できないわけですが、一応論議はここで切って、実質的な審議に入るようにしてはいかがかと、かように私は議事進行を提案いたします。
  62. 松永忠二

    松永忠二君 今矢嶋議員からお話がありましたけれども、私はやはり提出を要求する理由、しなければできない理由を明確にしたわけです。ただしかし、そんなことであるなら、私はとにかく理由書として他のいろいろな雑誌等から見たものについて、これはどうであるか、真実であるかどうかということを、この文章は正しいかどうかということについて、やはりこの席上で確認をしていただくという方法によって、統一ある資料については、また時期を追っていろいろな討議を経て、必要だということで皆さん御判定いただけば決定として出していただくこととし、私はそういう状況であるならば、私が把握した理由書に基いて、これが真であるか偽であるかということについてやはり御返事をいただいて、そうして審議を進めて行くということについては私は賛成であります。
  63. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  ただいま教科書の検定に関して松永委員、それから矢嶋委員から質疑があったわけですが、文部当局からもそれに対するいろいろの答弁がありました。しかし、この問題については、先ほど矢嶋委員松永委員から逐次本問題に対する質疑を続けた中において、さらに要求すべきものは要求するという形で進行していってもよろしいということが言われましたので、次回にその方向で御検討願って、委員長の方からもその趣旨をよく文部当局に伝えて、資料提出については善処いたしまするので、御了解願いたいと思います。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次回では了承できません。再開後本日ぜひやらしてもらいたい。次々に送っていったから、会期末にいってやる機会はないのです。きょうはぜひ午後再開して、一日じゃ済まぬでしようが、あの程度やらしていただきたい。もちろんおそくなっても、まとまった法律案の審議については、委員長の言われる通りにやります。
  66. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは、そのように本日休憩いたしますが、再開後に教科書問題についての質疑を継続することを御了承願いたいと思います。  それでは、これから休憩に入りますが、再開後において学校医に関する法律について御検討いただきまするので、一つ御出席方をお願いしたいと思います。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩    —————・—————    午後五時六分開会
  67. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を再開いたします。  まず、公立学校学校医公務災害補償に関する件を議題といたします。  本件につきましては、各会派の御了解が得られれば、本委員会から法律案を提出することに、すでに理事会及び委員会の決定を見ておるわけでありますが、今日各会派の意見も一致いたしました。その案文はお手元にお配りしてある通りであります。本案をもって、公立学校学校医公務災害補償に関する法律案の草案とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  この際、国会法第五十七条の三の規定に基き、本案に対する内閣の意見を聴取することにいたします。
  69. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) この法律案内容につきましては、種々検討を要する問題もございますし、予算上の措置もとられていないのでございますので、政府といたしましては、今、にわかに賛成の意を表しかねるのであります。
  70. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま本案に対する内閣の意見が表明されたわけでありますが、御質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は質疑でなくて、本法律案の議決をするに当りまして、特に委員長の、本会議に本法律案が上程される場合の報告内容の中に、本法成立後において、この運用上においては公務上の災害の認定、これを厳密に運用するよう、特に報告の中に入れておいていただきたいと思います。と申しますわけは、私はこの法律では、この法の運用に当って、認定の問題についていろいろと問題が起ってきやしないかと心配するものでございまして、拡大解釈等が不適正に行われるようなことがあってはならないと考えます。もちろん当事者にとって不利益な取扱いをされたような場合には、人事委員会に審査を請求することはできることになっているわけですが、災害の認定に適正を得ない場合はいろいろと種々問題が起ってくるかと予想される点がありますので、法成立後、運用の場合には、その点に特に注意するよう、報告内容に入れていただきたいことを要望いたします。
  72. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまの矢嶋委員の要望につきましては、本会議において提案する場合に、その意が提案理由の中に十分申し述べられるように、御要望に沿いたいと思います。  別に御発言もなければ、お諮りいたします。  本草案を公立学校学校医公務災害補償に関する法律案として、本委員会から提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   —————————————
  74. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、児童生徒災害補償に関する決議案を議題といたします。  本件につきましては、法律案衆議院から提出され、現在継続案件として衆議院において審査されておりますが、ただいま提出を決定いたしました公立学校学校医公務災害補償に関する法律案とも関連がありまするので、この際本委員会としても一応意思の表明を行うことを適切と考え、この点については昨日の委員会ですでに御了承を得ているところであります。  案文を朗読いたします。    児童生徒災害補償に関する決   議   近時、義務教育学校児童生徒が、修学旅行、遠足、或いは学校給食等、学校管理下の教育活動において、種々の災害を被っていることは、まことに遺憾に堪えない。しかも、これらの災害の対応措置が、すべて父兄の犠牲と負担において行われていることは、義務教育趣旨からも絶対に見のがし得ないことである。   国は、このような災害から、児童生徒を守るとともに、不幸にして、災害を受けた場合は、公正な補償を 行うよう速かに適切な措置を講ずべきである。   右決議する。  本決議案を本委員会決議とすることに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  75. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致であります。よって本決議案を本委員会決議とすることに全会一致をもって決定いたたしました。  なお、自後の取扱いについては委員長に御一任願います。  ちょっと速記を停止して。    〔速記中止〕
  76. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  教科書検定に関する件は明日に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会