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1957-04-18 第26回国会 参議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十八日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員異動 本日委員三浦義男君、近藤鶴代君及び 大野木秀次郎君辞任につき、その補欠 として新谷寅三郎君、手島栄君及び三 木與吉郎君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            野本 品吉君            矢嶋 三義君    委員            川口爲之助君            左藤 義詮君            新谷寅三郎君            関根 久藏君            手島  栄君            林田 正治君            三木與吉郎君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   証人    愛媛教育委員    会委員長    竹葉 秀雄君    愛媛教育委員    会教育長    大西  忠君    愛媛周桑郡三    芳町教育委員会    教育長     芥川一郎君    愛媛周桑郡小    松中学校長   渡部  薫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (愛媛県における勤務評定に伴う小  中学校長懲戒処分に関する件)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。本日三浦義男君、近藤鶴代君及び大野木秀次郎君が辞任され、補欠として新谷寅三郎君、手島栄君及び三木與吉郎君が選任されました。以上であります。   —————————————
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま開かれました委員長理事打合会の結果を報告いたします。本日の証人喚問の件につきましては、証言順序公報記載順序でございます。証人証言時間は二十分、午前中は証言を行なってもらって、昼食後午後一時から午後五時までを目途として質疑を行います。本日の件は以上であります。  次に内閣委員会に付託されておる一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、連合審査会を行う必要があると存じまして、これを内閣委員会申し入れるということを決定いたしました。  次に来週火曜日、二十三日ですね、録沿岸漁業の不振が学童の長期欠席に及ぼす影響の実地調査三浦半島に行います。この件は理事会決定いたしました。  以上であります。  この際お諮りいたします。ただいま報告いたしました内閣委員会との連合審査を行う件について、さよう決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 本日は、本委員会においては、御存じのように、四名の証人の方をお呼びいたしまして、愛媛県下における勤務評定に伴う小中学校長懲戒処分に関する件について、調査の必要上四名の方の御出席を求めたわけでありますが、証人の方々は本件について、二十分程度要点をつかんで御証言を願いたいと思います。特に勤務評定を実施した経緯並びにそれに伴う懲戒処分に関する問題を中心にお願いしたいと思います。  その前に一言証人の方に御注意申し上げておきます。もしこの証言に虚偽の陳述をされたというような場合は、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第六条によりまして、三月以上十年以下の懲役に処する罰則があります。また正当な理由なくして、宣誓もしくは証言を拒んだときは、同法第七条によりまして、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられることになっておりますから、この点十分に御注意をお願いいたします。ただし民事訴訟法二百八十条のうち、第三号及び第二百八十一条のうち第一項第一号及び第三号の場合を除き、これらの規定に該当する場合に限り、宣誓または証言、もしくは書類提出を拒むことができます。念のため民事訴訟法第二百八十条の該当部分を朗読いたします。「第二百八十条証言カ証人ハ左掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ処罰招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証人ハ証言拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥辱二帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ。一証人配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等親族関係アリタル者。二証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者」次に民事訴訟法第二百八十一条の該当部分を朗読いたします。「第二百八十一条左ノ場合二於テハ証人ハ証言拒ムコトヲ得医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教又ハ祷祀ノ職ニル者ハ此等ノ職二在リタル者カ職務知リタル事実ニシテ黙秘スヘキモノニ付訊問受クルトキ。前項ノ規定ハ証人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス」以上であります。それでは証人宣誓に入りますから、全員起立を願います。それでは証人宣誓書朗読を行います。まず最初に愛媛教育委員会委員長竹葉秀雄君。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なった〕     宣誓書 良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。         証人 竹葉 秀雄
  6. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に愛媛教育委員会教育長大西忠君    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なった〕     宣 誓 書 良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 大西  忠
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に愛媛周桑三芳教育委員会教育長芥川一郎君。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なった〕     宣 誓 書 良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 芥川一郎
  8. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に愛媛周桑小松中学校長渡部薫君。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なった〕    宣 誓 書 良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 渡部  薫
  9. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御着席願います。議事進行上先ほど申し上げました通りに、午前中は各証人から二十分程度で、本問題の実態について、それぞれの立場から御証言を願い、質疑は午後一括してこれを行うことにいたします。右御了承願います。  それではまず初めに愛媛教育委員会委員長竹葉秀雄君に御証言をお願いいたします。
  10. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) いずれ詳しいことは教育長そのほかからお話があろうと思いますが、委員会といたしましての大要を、経過を述べたいと考えます。  勤務評定は法にも示されておりますし、人事管理の上からもこれを行わなければならないものであります。なおこの昇給昇格参考としますことは条例からしましても適当でありますので、愛媛県教育委員会といたしましては、これを行うておる次第でございます。これを行いますのには、県が計画したものを地教委がこれを行いますので、これにつきましては県の教育委員会といたしましてはよく地教委意見を聞き緊密な連携をはかって行なっておるわけでございます。  なお学校長に対しましてはこれを第一評定者として評定をしてもらうのは当然なことでありますので、地教委を通じ、または直接にも十分お話をいたしまして周知徹底するように努力して参ったのであります。その結果、ほとんどの郡市は期日までに提出はされたのでありますが、ただひとり周桑郡におきましてはこの県の計画したものが提出されません。再三地教委を通じまして勧告もしていただくし、努力もしていただいたのでございますが、ついに提出を見なかったのでありまして、まことに遺憾でありましたけれども、県の教育委員会としては万やむを得ないと、教育行政確立のために地教委内申に基きまして周桑郡の三十四名の小中学校の校長に対しまして懲戒処分を行なった次第であります。  簡単でありますが、大要以上述べまして、なお詳しいことはそのほかからお話があろうと思いますので以上で絞りたいと思います。
  11. 岡三郎

  12. 大西忠

    証人大西忠君) それではただいま委員長が申し述べましたことにつけ加えまして前後のいきさつを詳細にお話を申し上げたいと思います。  まず昨年の十一月一日でございますが、勤務評定参考として同年の四月以降の昇給昇格を行うということを県の教育委員会で正式に決定をいたしたのでございます。そうして同日全県の教育長会を開催をいたしまして協力を要請いたしますとともに、第一次の素案を配付いたしまして御意見を求め、またこれに対する考え方を御説明をしたのでございます。  そうして十一月十日に勤務評定参考として昇給昇格を行うことに決定した趣旨と申しまするか、説明全学校長PTA代表、その他等に配付をいたしたのでございます。  次に十一月の十日、十二日、十三日であったと思うのでございますが、県下ブロック別教育長会を開催いたしまして、第一次案に対する意見の聴取をいたしたのでございます。  そうして次に十二月三日に勤務評定要領を全県教育長会説明及び十二月二十七日までにこれを提出するように通達を発送いたしたのでございます。  この十二月三日に要領教育長会議説明いたしますとともに校長会、それから市町村委員長PTA会長等にもこの問題を説明する必要を認めまして十二月の五、六、七、八、九日を休みまして十日とやはり各ブロック別説明会をいたしたのでございますが、この際には松山市を除き校長先生方全員出席をせられなかったという事件が発生をいたしたのでございます。  次に十二月十五日ごろだったと思いますが、郡の連絡協議会長、それから市の委員長等が寄りまして各郡、市別説明会を行い、校長出席せしめるから県の方で説明をしてもらいたいという御決定がございまして、年末も押し詰まりました二十三、二十四、二十五、二十六、二十七、二十八、さらに年を越えまして一月の四、五、六と県下郡、市別校長会説明をいたし、そうして全市町村委員さん方も御出席を願ったのでございます。  なおこのごろまでも、やはり勤務評定内容につきましていろいろ御意見がありまして、そうしてこの勤務評定を始めます際に予算が七割であったものでございますから、何か三割というものを故意に成績の不良な評定をつけるのだというような誤解がありまして、これが非常にこの仕事をいたす妨げになっておったのでございますが、十二月の県会ごろから予算についてもできるだけ多く出そう、また出る見込みもつきまして、そういう点もだんだんわかってきて下すったような情勢が芽ばえ始めたのでございます。  次に一月の中ごろであったのでございますが、全県の教育長会、それから委員長会で県の原案でもって勤務評定を実施するということを決定をしていただきまして、一月十七日付で、一月二十八日までに勤務評定提出するよう通知を発したのでございます。すなわち先に十二月に行うということがほぼ一カ月間おくれまして、一月二十八日までに提出通知をしたのでございます。そうしましてさらに同じく一月二十八日付で三十一年度の四、六、七月の定期昇給内申書及び臨時評定について出張所長より各郡で説明会を持ち、この内申書を二月七日までに提出をするように、また一月二十四日付で二十八日までに校長提出しなかった場合、再度文書の命令を出すよう指示をいたしたのでございます。二月二十五日までにまたさらに十月、一月の昇給内申書及び臨時評定書を出すよう指示をいたしております。この三月の県議会におきましては、ほほ全昇給予算の九割程度に該当する追加予算が計上されまして、この際周桑郡は提出がなかったものでありますから予算を計上せず、周桑郡を除いたその他の郡市につきましては、三月二十六日に予算の範囲内において全員発令をする手続をとったのでございます。それで周桑郡につきましてはこの一月二十八日の提出期限以後地教委を通じまして、校長評定を出すよう要請いたしますとともに、また地教委も再三再四提出を命じて参ったのでございます。三月も押し迫りました二十六日に地教委協議会を開きまして、予算措置をどうしても年度内にいたさなければならぬ関係もございまするので、最後努力をしてみることを相談いたしまして、そうして地教委としては努力はしてみるがどうしても命令を聞かない場合には、処罰もやむを得ないということで、その程度等につきましても協議をいたしたのでございます。ところが三月二十九日に至りまして事態を憂慮されました県議会中正クラブというのがございますが、そのクラブの佐々木、都築両議員等から議長調停申し入れがあったのでございます。そして自民党の方の側も幹部が集まりまして国村委員長ほか教組幹部折衝協議をいたしたのでございますが、まず懲罰は全然しないこと、それから勤務評定は三十二年度においては根本的に検討してほしい、第三に昇給差別をつけないで先に提出しておる他郡市並みにしてほしい、これが聞き入れますなれば、県教委指示する勤務評定提出いたさせますということであったのでございます。これに対しまして調停者の方は懲戒処分は行わないように県教委に伝える。ただし今日まで事態を遷延せしめた責任を問うような場合には県教委地教委が独自の判断でやるのだ、それから勤務評定内容県教委自主性において将来考慮するものであるが、文部省におかれても案があるかもしれないので、これらとにらみ合せてよく検討するよう、申し入れをしよう。第三には、昇給予算は他郡市と同様の取扱いはするが、ある程度の差のあることはやむを得ない、そうしてこの三カ条も解決の条件としては受け入れられないが、お互い善処をしようではないかということを申したのでございます。また調停者の中の一人は、こんな要求やこまごました希望を一切白紙に返して県教組が謙虚な気持で本県の教育に熱情を傾けるのであるならば、純真な気持に立ち帰ってただいま提訴をいたしておりまする行政訴訟、これは昇給延伸条例に反対して提訴をいたしておるのでございますが、その行政訴訟を取り下げてはどうか、そうしてみんなが責任を持ち合って円満な解決をしようではないかということを提案をいたしたのでございますが、県教組としても協議の必要があるので三十日の午後七時から郡市代表会を開きまして夜の七時に御回答をいたしましょうということでその日は別れたのでございます。翌日の夜また一堂に集まりまして、行政訴訟の問題は大会議決でもあり、今これを取り消すことはできないが、できるだけそういうふうな状態にお互いにもっていきたいものだと思う。そうして今日としては周桑郡のみの問題に限り解決をしていきたいと思うので、三カ条は了承するとの回答であったのであります。それで三十一日の十二時までに出してほしいと時間を制限して約束をし、教組、それから先ほど申しました中正クラブ代表自民党代表の方が感謝と喜びのあいさつをかわして別れたのでございます。この調停の線は、私どもは直接この会議に参加をいたしておらなかったのでございますけれども交渉経過とともに県教委に対しましても、知事側に対しましても逐一詳細な連絡がございました。従って私たちは、これが誠意をもって実行ができますように十分打ち合せがなされておったのでございます。また、この先ほど申しました三カ条の言葉使い等でございますが、今も申しましたように、私たち交渉の場の正式の言葉を存じておらないのでございますが、党の幹部折衝の過程の説明において私等に伝えてくれましたものを書きとめておいたものでございます。そうして三月三十一日は日曜であるにかかわりませず、この調停実行に当つて教組側も現地に出かけ、真剣に骨を折つてくれたと聞いておるのでございます。また知事側の方といたしましても、委員会側の方といたしましても同日は登庁をいたしまして、深更まで周桑の成り行きを心配し、午後八時ごろ評定書が出るということが決定されましたので、非常に安心もし、また予算につきましても、年度内措置を完了いたしたのでございます。ところが四月一日の午後になりまして、私たちの耳に、県の指示するような正式な評定書が出ていないといううわさが入ったのでございます。そうして二日の日が、ちょうど教員異動委員会を開催いたしておったのでございますが、とのことが問題となりまして、急遽周桑郡の四教育長を招致いたしましたところが、これから申し述べますようなことが明らかになったのでございます。それは、この県で調停をいたしましたよりまた別の線で、郡の教組と、郡の地教委とが協定をしておることが判明をいたしたのでございます。その内容は、三月三十一日までに勤務評定提出すれば、処罰は中止する。それから勤務評定に関連する教員異動は考えていない、ただし、定期異動は行う、昭和三十二年度の勤務評定内容については、改訂されるよう努力をする、次に、差別昇給地教委責任において行わないよう努力する、こういうことが話されておったのでございます。  それで三月三十一日に提出されました勤務評定は、県の計画に従わず、全員の氏名と、全員勤務成績優良とのみ記入されておりまして、地教委はこれをなじり、そうして県教委指示するものに修正せしめるために、この書類を受理せず、直ちに訂正するよう校長に返却をいたしたという報告を受けたのであります。それでその善後措置につきまして、直ちに先の調停者等とも連絡をとりまして、急遽同日御集合を願い、またこの間、県議会議長も個人の資格におきまして、四人の教育長、それから県の委員会等の間に立ちまして、この善後措置協議をいたしたのでございます。すでに先に県の段階で話しました、三月三十一日の十二時という線は切れておるのでございますが、地教委も四月三日の九時まで待とうと言っておりますいきさつもありますので、これを全然破棄してしまうことは、せっかくここまできた話をぶちこわしにしてしまうということを非常に心配され、いろいろ協議をいたしたのでございますが、調停者のうちで、自民党幹部はこの措置に対して非常な憤りがございまして、議長もこの間に立ちまして非常に苦しんだのでございます。そして最後に、三月三十一日に校長提出した書類は、県の指示した、県教委指示した勤務評定通り補完をせしめる、その書類をさらに追完をしてやらすということにしようではないか。やはり三月三十一日ということが予算の執行から言っても非常に重要なことであるので、その日は地教委も一度言っておるのだから、補完をせしめるという意味で待とう、それで次には事後の処理はそういう空気もございましたので、県議会議長白紙一任をしてもらいたいということで、その次にはこういう大きい問題が、県と郡とで二つになった話が行われるということは、この解決に非常な混乱を生ぜしめるおそれがありますし、この郡でいたしました協定につきましても、県でいたしましたものにつきましても、大きい精神においては変つていないので、両方を一つにすることが適当と思われるから、三月三十一日になされた勤務評定提出に関する周桑地教委と同郡の教組との間に約束した事項は、無効になったことを確認しようではないかということ、それから校長が正式な書類を添付しない限り、その具申は取り扱わないということをきめておく方がよかろうという意味で、校長県教委指示した勤務評定を行わない限り、全教員昇給内申提出しないということをきめたのでございます。これは議長は党に持ち帰って諮りましたところ、党の方でも非常なふんまんがあったのだそうでございますが、もうそういうことになっておればいたし方がないから、四月三日の午前九時までは待ちましょう。しかし指示するものが出たら考慮をしよう——これは善処という言葉使つてはならない、考慮をしようという言葉使つてほしいというふうに言われたそうでございますが、そういう話がございまして、地教委の四教育長もこれを了としまして、同日の午後十一時過ぎの汽車で帰郡をいたし、校長に、県の指示する勤務評定書提出せしめるよう、最後努力をしたのでございます。  ところが四月三日に再提出されました勤務評定は、三月三十一日に提出されたものに、さらにA、B、C、またはイ、ロ、ハの三段階しか記入をされておらなかったのでございます。一部には順位がございました。そうして地教委といたしましては、この書類は正式なものでなく、これではいけないということは、県の教育委員会とも協議をいたしたのでございますが、同感であり、従って受理はいたしていない、ゆえに九時現在、正式な書類提出されなかったことを確認するとともに、この書類学校長あてに返却することに決定をいたしたのでございます。四月四日、こういうような事態に直面いたしまして県教委周桑地教委と今後の処置につきまして協議をいたしました結果、地教委はあらためて懲戒処分内申を行うこととなり、また県教委もこれを了といたしまして四月目日付内申、同日付の懲戒処分を発令し、全校長三十四名に対し減給四カ月間、十分の一の処分を行なったような次第でございます。これがこの周桑郡における校長懲戒処分にしました前後のいきさつでございます。
  13. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に愛媛周桑三芳教育委員会教育長芥川一郎君の証言をお願いします。
  14. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) この勤務評定つきましては、半歳にまたがりまして極力誠意を尽して校長提出方を懇願したのであります。これはただいま大西教育長からお述べになりましたから繰り返しませんが、各種の会合を尽されし尽して説得をいたしたのでありますが、ついにこれはいれられなかったのであります。この点につきまして私の方はともかく教育立場から申しまするならば、いずれにしても教育の根本に今日やや薄れつつありまするところの順法精神というものはあくまでも私は守りたいといろ感じを持っておったのであります。この順法精神というものが破れるならば、おそらく教育の根底はこわれてしまうのではないか、こういうような考えをもちましてこの乱れつつある今日の現状で、ぜひ校長諸君はこの順法精神にのっとって勤務評定決定した以上は出すようにということを考えておったのでありますが、いれられなかった。最後にはいま一つ校長立場を私どもは非常に重視しておったのであります。公立学校校長としての立場と、組合運動におけるところの校長立場と二つあるが、願わくば校長諸君組合の中にあって校長職務が行われることは行われるが、こういうような重大な段階になった場合には、ぜひ公立学校校長職として勤務評定提出するように私は希望したのであります。なおさらにこの勤務評定について根本的に意見の違っておりまするところの周桑郡の校長諸君におかれましては、苦しかっただろうと思うのでありますが、私は背後に四百五十人の教職員がおるのだから、この背後の四百五十人の教職員昇格昇給ということは、校長勤務評定を出すか出さぬかによって決定されるのだからしのんで勤務評定提出してもらいたいということを懇願したのでありますが、これもいれられなかったので、万策尽きましてついに地方教育委員会の面目上処罰の問題に賛意を表さなければならぬようになりましたので、その理由を簡単に申し上げたいと思います。  この処罰をいたしました事柄は、地方教育行政の組織及び運営に関するところの法律の第四十六条によりまして勤務評定県教育委員会計画のもとに地方教育委員会がこれを行うこととなっておりますので、この勤務評定はかかって地方教育委員会の使命になってきておるわけであります。また地方公務員法の第四十条におきましては、任命権者は教員の執務については定期的に勤務成績評定を行なって、そうしてその評定の結果については措置を行うということになっておりまするから、この公務員法の四十条に基きましても、また地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりましても、当然勤務評定というものは提出しなければならぬと私は考えておるのであります。しかるにこれが行われぬ場合に地方教育委員会といたしましては、非常に重大な関心を持ちますので、これは地方教育委員会の性格によるわけでありますが、これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十三条に基きまして、市町村教育委員会は、県費負担の教職員の服務を監督するということになっておるのであります。今日教職員の監督は地方教育委員会しかないのであります。従ってこれを監督する以上は、その監督をどこまでも徹底さすように行なっていかなければ、教育行政の組織はうまくいかないのでありますから、こういう根拠に基きまして、この処罰につきまして考慮したのでございますが、さらに地方公務員法の二十九条の第一項の二号に基きまするというと、職務上の義務に違反して、そうして職務を怠った場合はこの二十九条に基きまして当然処罰をしなければならぬ、この勤務評定というものが当然教育上の義務に違反しておる、意見の違ったところはまた他日意見は修正するように努力するが、決定した以上は、最後にはそれに従っていかなければならぬところの義務があると思う。その義務を違反した場合、あるいはその義務をどうしても提出しないで怠った場合は、当然そこに私は処罰を免れないと思うのであります。さような観点からこれを処罰決定をいたしましたのでありますが、しかし処罰ということはしのびない、地方教育委員会としてはしのびない事項である、しかも三十四名の学校長処分するというような事柄は、およそ教育の上におきましてあるべき姿でないのでありますが、しかるに一方では決定した勤務評定を出さぬということもあるべき姿でないと思うのであります。かような観点からどうしてもその処罰というような事柄に立ち至りましたので、教育上重大な問題を惹起して、処罰しながら非常な苦慮をしておるのであります。しかしながら処罰をいたしましても、受けました学校が、どういうように職場の混乱が起るかと、静かに苦慮しておりましたが、何にも現場におきましては、そういう動揺がなくしてきわめて冷静によく職務を遂行し教育に当つておる。その姿は、これが果してその処罰に該当するかどうかということを疑うぐらい、教育の実際は行われておるにかかわらず、勤務評定だけは断固として提出しないのであります。ここに私はこの問題を扱いまする根底があるんではないか、その根底はいずれにあるかというような事柄は考慮すべき問題でありますが、私はぜひ公立小学校長校長職というものは厳然として確立する必要が今日の教育の上にあるということを強く信ずるものであります。簡単でございますが以上で終ります。
  15. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に愛媛周桑小松中学校長渡部薫君の証言をお願いいたします。
  16. 渡部薫

    証人渡部薫君) 私は愛媛周桑郡小松町小松町立小松中学校長渡部薫でございます。昭和三十一年度愛媛県教育委員会計画いたしました教職員勤務評定と、これに基きます昇給及び校長処分の問題につきまして証言いたしたいと思います。  昭和三十一年度の教員昇給実施をめぐりまして、県教育委員会成績主義をとるという方針から、勤務評定を出して参りましたのでございます。この勤務評定の実施要領なるものは、評定要素というものが十項目ございますが、これにつきまして、教員個々にその評定要素ごとに百点満点の点数をつけまして、さらに序列をつけるというものでございます。これは教育上まことに不合理であり、不可能なるものであると考えられるのでございます。私ども校長はもちろん、周桑郡の四百五十名の教師も、また地教委の方々も、ほとんどが反対をしてこられたのでございます。すなわち、各学校ごとに教員の数は違いますし、経験年数というものも、新卒から始まりまして、三十余年の勤続者もございますし、それらの先生方がそれぞれの個性、特技を、経験に応じまして、小学校におきましては低学年の受け持ちから高学年の受け持ちまで、また中学校におきましては、一教科の担任のものから、僻地の少数教員の組織の学校に至りましては、免許状のない、以外の教科も受け持たなければならず、それらを含めて五教科も受け持っておるというのがただいまの現状なんでございます。このように、教員職務というものは非常に特殊性がありまして、毎日生きていく、伸びていくところの児童生徒というものを育てるのが御承知のように教員でございまして、その職務の態様というものはきわめて複雑で、把握しがたいものでございまして、私たちどの教員を見ましても、あの教員成績が一番で、あの先生が本校では十何番目であるというようなことは、その判定はきわめて困難なのでございます。また各評定要素ごとに、たとえば信頼度という項目がございますが、この教員が九十五点で、あの教員が八十三点であるということは、私たちはとてもこれならば間違いがないという確信を持って判定はできないのでございます。しかも、各学校ごとに、平均点は七百点未満に評定しなければならないということは、なおさら問題のあるところであると思うのでございます。  さらに重大なことは、この勤務評定の結果が教員の定期の昇給昇格に作用いたしまして、昇給しないものが多くできるということにつきましては、実にゆゆしい問題であると考えておるものでございます。このような勤務評定要領に基いてかりにこれを実施いたしますと、必ずそこに校長のきげんとりの教員が生まれ、二重人格を持つところの教員ができ、また教員の間に不和を生じたり、民主的な明るい学校経営は極度に侵されていくものであるということを信じておるものでございます。従いまして、勤務評定教員の能率増進のために定めるのだという説明でありますが、このような勤務評定の結果は、逆に学校、職場の教育活動の意欲を阻害し、能率を低下するものであると考えます。このことは、現に評定周桑郡以外他郡市、十市十郡行われまして、ここに昇給発令が差別的になされているのでございますが、そうした学校におきまして現われておるのでございます。たとえば、隣郡市のある学校の校長の述べられた気持の中に、評定書提出してから校長とその所属職員との間に無言の対立ができ、このままでは校長としてはとうていこの学校経営がスムーズに行われない、来年度はどうしても転任をさしてもらわなければならぬと思うているというようなことも聞いたことがございます。またある学校では、発令を見なかった教員が、ししとして朝学校の掃除などをしている姿を見て、校長として自分は、しまった、あの教員にあの点を自分はつけた、誤まつていたということを反省して、毎日その自責の念にたえられないという気持がしているということも聞いたのでございます。またある学校では、校長派と教頭派というものに職員室が分れて、非常に毎日暗い陰気な職員室である、お昼時間にそこでお弁当を食べるのが非常に苦しいというようなことを聞いたこともございます。こういったような職員室のその空気というものは、必ず私は子供の教育の上に影響を及ぼすものであると考えておるのでございます。  ところで、県の教育委員会は、これが実施に当りましては、先ほど大西教育長さんがお述べになられたように、各界の意見を聞くということで、地教委の集会、あるいは校長の集会を持たれて参りました。周桑郡におきましては、本年の一月五日、地方教育委員会の主催によりまして、全校長三十余名出まして、県の教育委員会からは委員長竹葉先生、事務局の仙波主事さんが出られて説明がございましたが、その説明に、私たち校長が、この評定は無理である、不合理だからどうか修正して下さい、地教委の方々も同意見で、これに対しましては修正を願うということを言われたのでございます。竹葉委員長先生もよろしい。よくわかった、納得のいくように修正するからと言明されたのでございます。一月十六日に、県の教育委員会の招集によりまして、郡市の校長代表が集まりました。そして、そのときに、私は、必ずや修正をされて下さっているんだろうと期待を持って参ったのでございますが、期待に反しまして、一点の修正もございませんでした。がっかりいたしたのでございます。私は、一番先に、あのように言われたのだから、この修正されると言われた点を追及したのでございます。他の郡市代表校長も、口々に反対の意見を述べ、不満を表しました。竹葉委員長さんは、各地を回って反対が多かったことを十分認めるが、各面より検討してこれにかわるものはない、済まないがやってくれ、無理ではあってもやって下さい、やってみて悪ければまた考える、こういうふうに言われたことを今記憶しておるのでございます。その日に県下地教委の方々にも、これで実施するというふうに指示せられたと聞いております。一月の下旬に、周桑郡では、地教委が各学校長を招集されまして、この勤務評定を依頼せられた、そういった会が再々持たれたのでございますが、その際、校長から、勤務評定は業務命令でしょうらかということを質問したのでございますが、委員長教育長さんも、これは命令ではなくて、どこまでも協議の上でお願いしていくんだ、今後書類が出ても、そういうものではないから、よく考えてやつて下さいということでございました。ところが、三月二十六日に地教委から校長に達せられた文書は、三月三十日までに勤務評定提出せよという通達でございました。そこで、三月三十日、私たち校長代表、また組合代表は、地教委と——地教委教育長委員長会を持たれておりましたが、話し合いをいたしました結果、芥川教育長会長さんからできる限りの評定をして出していただきたいということになりました。私たちも緊急校長会協議をいたしまして、三月三十一日に提出したわけでございます。しかし、四月一日になって、地教委から、これでは評定になっていないから、A、B、Cの段階でもつけてくれということになったのでございます。そこで、私たちは、四月二日急いでまた校長会協議をいたしまして、四月の三日朝、これでは受け取れないといって返されたその評定書に、A、B、Cの段階による評定をいたして再び提出したのでございます。地教委は、これを受け取って下さいまして、同日午後県に参上したようでございます。ところが、意外にも、四月四日付で、郡内三十四名の全校長に対しましては減俸一割、四カ月という懲戒処分指令が送られて来たのでございます。私たち校長は、まさに青天のへきれきの感がありました。また、その日、心配して下さって、緊急に郡のPTA連合会会長会も開かれておりましたが、そこでも、きわめて意外なことであるということで、直ちに地教委の方々に対して文書を発送しております。  私ども校長といたしましては、最初にも申し上げましたように、県の計画通りのものは教育上どうしても書けない、どう考えても書けないと信じてきたのでございます。さきに触れましたように、この勤務評定提出については、終始地教委の方々と話し合いを進めて参ったのであります。その結果、先ほども申しましたように、三十一日に提出したのでありまして、処分理由書にあるように、職務に違反したというようなことは、毛頭考えていないのでございます。特に私たち学校長として重大に思いますことは、郡内四百五十人の優良な先生が全員昇給ストップされたことは、まことに耐えられないのでございます。私ども校長といたしましては、地教委の求めに従いまして、所属職員の勤務成績の証明書というものは、すでに昨年七月地教委内申をいたしておるのでございます。地教委は、これに基く昇給内申書を再度県に提出したと承わっておるのでございますが、県はこの様式は違式のものであると言われて内申を受理しなかったということでございます。私たちにも、地教委の方から、そのような通知がございました。私たち校長処分はさておきましても、一般教員昇給が全然ストップになったということは、とうてい納得ができないととろでございます。民主教育の本質に対しまして、私たちは学校教育責任者として、伸びていく子供の教育の向上のために、全教員が一致一丸となって教育活動に従事しておるのでございます。校長処分がありましても、また、全教員昇給ストップをされていましても、先ほど芥川先生から言われましたが、周桑教育は、明るい雰囲気の中で協力一致して入学式もりっぱに挙行して、父母と私たち教師とのあたたかい愛情に結ばれまして子供たち教育はのびのびと行われておりますことを確信をもって申し上げておきたいと思います。戦後十余年、このような民主教育の発展のために、あるいは教育環境を整備する、あるいは教員の能率増進のために、ともに力を合せて今日までできる限りの努力を私たち捧げて参つたつもりでございます。このことは、文部省におかれましても、また、県の教育委員会におかれましても、ともに力を入れて御指導下さったことであると存じておるのでございます。私どもは、こういう教育を推し進めるととこそ校長職職務の第一義であろうと考えておるのでございます。正直に私たちが忠実に考えてきたことが、校長処分となりましたし、全教員昇給ストップという結果になりましたことは、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。  以上、経過をたどりまして証言申し上げました。
  17. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 以上で四人の方々の証言は終了いたしました。ちょっと速記をストップして下さい。    〔速記中止〕
  18. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。それでは時間が約二十分間ございますので一応証言が終ったわけですが、なおお気づきの点、落した点等がありましたならば補足的に証言なされてもけっこうと思う次第ですが、ございましたならばそのようにしていただきたいと思います。……それでは特段にないようでありまするから、時間が少々早いのですけれども、これにて午前中の証言を終了し、午後は正確に一時より再開いたしまするので、定刻に委員の方並びに証人の方も御参集をお願いいたします。それではただいまから休憩に入ります。    午前十一時四十二分休憩    —————・—————    午後一時八分開会
  19. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 午前中に引き続き委員会を再開いたします。午前中各証人から本問題の事態についてそれぞれのお立場から証言を願ったわけでありますが、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  20. 林田正治

    ○林田正治君 私は午前中各証人の方々の御意見を十分に拝聴いたしました。ただここに芥川証人に対して質問いたしたいと思います。証人順法精神ということをしきりに尊重されまして、われわれもごもっともであると思います。今回の事件はいわゆる順法精神に基いてこの処置をなさったと、こういうふうに解釈をいたしておるのでありまするが、ところが一方渡部証人の陳述によりますると、いわゆる今回の問題となった勤務評定は、これは命令ではないと、そういうようなことを芥川証人がしきりに言われたと、いうようなことがありましたが、この点私は一応伺ってみたいと思いまするが、芥川証人はそういうような表現をされましたが、私はおそらくこれは法律に定めるところの当然業務命令であるけれども、ただ事柄をスムーズに民主的の立場から解決せんがために、一応はそういうような協定で、できるだけ相談でいこうというような線でお進めになったと、こういう……しかしながら最後はあくまでこれは命令であるということのその信念はあくまで持っておやりになったものであると、こういうふうに一応は解釈いたしておるのでありますけれども、お二人の証言の間に非常な食い違いがあるように思いまするが、その点は芥川証人の御意見を承わりたいと思います。
  21. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) ごもっともの点であります。この点はどうかして勤務評定というものを提出せしめたいという希望からA、B、Cという五段階のものでも第一次評定者が記入するならば他は第二次評定者でこれに対する評定を加えて、そして完全なる勤務評定を作成してそうしてこれを提出したいという希望のもとに、やはり渡部校長が言われました通りにそういうことはかなりな日子続いたのであります。従って渡部校長の言われました点も誤まりはないのであります。ないのでありますが、最後に三月三十日に団体交渉をいたしました際に、もはやA、B、Cという段階がいかないので、明らかに第一カ条に三月の三十一日までに正式の勤務評定提出せなければならぬと、こういうことに申しまして、この三月三十日の期限から以後はそういうことはないので、地教はいずれの地教におきましても正式の勤務評定をどこまでも提出するべく決定をいたしまして、以前には口頭をもってやりましたが、文書で三月三十一日までには正式の勤務評定を出すようにということを文書で出しておるのであります。なおさらに電話をもちまして各地域に、四つの町に、教育委員会に正式の勤務評定提出しなければこれは四百五十名の教員昇格はできないようになるから、ぜひ正式に出せということを十分に伝えてありますが、一方は口頭でもってやりましたが、一方は文書ではっきりそういうことを書いてありますのでありまするが、渡部校長の言われました点もこれは間違いのないところでありますが、最後ははっきりと打ち出しておりますので私の申しましたことも誤まりはないのでありますが、その経過から申しましたならば矛盾しておるようでありますが、決して矛盾しておりませんのであります。この最後のところの受け取り方は渡部校長の心境にあるわけでありますから、私は誤まりはないと思います。
  22. 林田正治

    ○林田正治君 もう一度お伺いいたしまするが、心境には誤まりないという御回答でございましたが、私が承わりたいことは、委員長はこの勤務評定をどういうふうにお考えになっておるかということ、いわゆるそれは法律に定むるところの命令であるかどうか、そいつをお伺いしたいのです。ただあくまで協定であるか、あるいは命令であるかということを、その点を一つもう一度お伺いいたします。
  23. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十六条には先ほども申したようなふうに、勤務評定は県の企画のもとに地方教育委員会がこれを行うということになっておりますので、この点からはっきりとこれは業務命令であると思います。また業務命令として文書をもって命令を下しておるわけであります。県会におきましてもはっきり業務命令として打ち出しております。
  24. 林田正治

    ○林田正治君 もう一つ。ただいまはっきり命令である、従って文書をもってこれを通達した、こういうふうに命令——文書をもって通達いたしたのは結局命令であるから、そういうふうな形をとったと、こういうふうに解釈して差しつかえありませんですか。
  25. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 問題の点は四十六条の解釈と思いますのでございますが、四十六条の解釈の、企画のもとに地方教育委員会がこれを行ういうことに、実施の主体は地方教育委員会であることももちろんでありますが、この法文化というものが四十六条には県教育委員会の企画のもとに地方教育委員会がこれを行うということになっておるのでありまして、これが法文化はその四十六条の中に私は業務命令は当然含まっておるという解釈のもとにこれを行なったわけなのであります。
  26. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は、この問題は新しい教育委員会制度の基本的な重要な問題を幾つも含んでおると、こういう観点から基本的な幾つかの問題についてお尋ねいたしたいと思います。で、教育委員会は当然この民主的な運営がなされなければならない、それから委員会自主性が確保されなければならない、その他いろいろな問題がありますけれども、具体的に表われた今回の問題を通してこれらの問題について若干お尋ねいたしたいと思うわけでございます。  そこでまずこの県の教育委員長さん及び教育長さんにお尋ねいたしたいと思います。それは勤務評定というものについての認識でございますけれども、すでに御説明になりましたように、この本法、つまりただいま芥川証人の言われた法四十六条による勤務評定、これは地公法の四十条も同じように国家公務員法の第七十二条を継承して立てられたものである。そこでその基本になるところの国家公務員法を見ますと、勤務評定というのは能率の発揮増進のために行うものである、こういうことが明確に示されております。従ってこの勤務の優秀な者に対する表彰の措置も考えなければならない。それからこの悪い者についての教育訓練、あるいはその結果に基く保健、安全、厚生、元気回復、そういった計画も立てなければならないと、こういうことが示されておるわけでございます。従って勤務評定というそういう行為だけを取り上げて今回論じるのではなくて、勤務評定を行うということの前提として、それらのことに対する、つまり優秀な者に対する表彰、さらにこの評定の結果によっての教育訓練、保健、安全、厚生その他の総合的な計画というものがなければならないと思います。そこで、今回の場合、そういうような計画が立てられておってそういう説明をなされたのかどうか。そういうことでなければ、ただ単に勤務を評定するんだ、これは命令だということになれば、これは明らかに法の精神を逸脱して、ただそういう形だけの強制ということになると私は思いますので、そういう点についての計画ができておったかどうか、これを県教委のお二人にお尋ねする。  それから地教委芥川証人、それから渡部証人には、その点について、こういう計画でこういうふうにするんだという、今私がお尋ねしたような点についての説明が十分なされたかどうか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  27. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 今湯山委員さんからのお話でございますが、私などが委員になりましたそのときには、予算関係においての勤務評定ということが第一の問題であったのでありますが、この問題は、委員会といたしましても十分検討いたしまして、今言われたようなあらゆることに勤務評定は用いられなけりゃいけない、また、今後これを用いていかなければいけないという考えのもとに、その結果による研修の問題、または人事管理の問題、そういう点につきましてはいろいろ計画も立てていこうと考えて相談いたしておりますし、また、今度の三月末の異動におきましても、この勤務評定参考にしての、基礎資料としての異動を行うたわけであります。これから後、順次そういう計画のもとに進めていきたいと考えておるわけでございます。
  28. 大西忠

    証人大西忠君) 今委員長からもお答えをいたしましたごとくでございます。先般調査にお見えになりました際にも、私から、上へ二号積むということが最も私たちとして早くとらなければならぬことで、これを悲願としているという意味のことを申し上げたのでございますが、こういうふうに、決して、何といいますか、予算の執行ということだけをめどとしたものでなくつて、この勤務評定がそういう職員の能率の発揮に有効に使われることを早くいたしたいと思っておるのでございます。ただ、問題は、今日愛媛県が赤字の財政に悩んでおりますので、それが多少達成をいたしがたいという財政の事情があるわけでございます。それから、教育訓練等につきましても、三十二年度におきまして、県は教育研究大会等を独自の力で持ちたいというような考えで、ただいま計画を進め、予算の要求をいたそうといたしておる状況でございます。
  29. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 地方公務員法の四十条に基きまするところの、結果については措置を講ぜなきゃならぬということもごもっともな点で、私などはぜひそれをやらなければならず、やるようにせなけりゃならぬものと思いますが、優秀者に対するところの措置、あるいは優秀でない者に対する措置というようなものは、多方面に向って措置を講ぜなかったら、形式的な勤務評定になりまして、そのやった事柄が生きてこないと思います。どうしても、措置を相当に強く要求しなきゃならぬと思いますし、また、地方の教育委員会におきましても、当然自己の責任においてそういう措置は講じていかなけりゃならぬと思っておりますが、現状といたしましては、そこまでいっておりません。
  30. 渡部薫

    証人渡部薫君) 勤務評定は、教員人事管理のために重要であるとか、昇給参考に供するのであるとか、また、勤務評定を出してくれればこれによって昇給予算原資獲得のために非常に都合がよいというような御説明は承わりましたが、その他について、勤務評定を広範に活用、利用するための方途といったものについては、承わったことがございません。
  31. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいまの各証人の御答弁によって明確になりましたことは、当初この勤務評定予算関係から出発したということ、その後いろいろ検討した結果、本法の基礎になる国家公務員法に示された教育訓練、保健、元気回復、安全保持、あるいは厚生、こういうものに対する計画はまだ十分に立っていない、現在検討中である、こういうことが大体明瞭になったと思います。そこで、命令とか規則とかいうものは、やはりその内容がよく理解されるということが必要ではないかと思います。こういうふうに勤務評定をやることが教育の能率向上の上に非常に役に立つんだ、こういうことが実施の責任者である地教委にも十分理解され、そうして現場の教育者にも校長にも理解されて、初めて意義もあるし、目的も達せられるし、また、教育委員会の最も重要な要素である民主的な運営ということもできると思うのでございますが、そういう点について県の教育委員長さんにお尋ねいたしたいのですが、この勤務評定がそういうふうにほんとうに役に立つんだということの理解を地教委にも校長さんにも十分得られたと、こう御判断になられるでしょうか。先ほどの御証言の中に、無理でも今度はやってくれとか、無理でも今回はやるんだとかいうようなことを御発言になったというようなこともございましたので、その点を伺いたいと思います。  それから芥川証人にお尋ねいたしたいのは、今申しましたような点について、なるほど県の計画したこの勤務評定はほんとうに教職員の勤務能率の向上のために非常に役に立つ、どうしてもこれがなければならないというようなそういう納得が得られたかどうか、これを実施の責任者である立場芥川証人にお尋ねいたしたいと思います。  それから渡部証人は、先ほどの御証言でその点については十分批判的な御証言がありましたが、もしそれについてなおお考えがあれば伺いたいと思います。
  32. 岡三郎

    委員長岡三郎君) まずそれでは最初に竹葉秀雄君。
  33. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) ついでに述べさしていただきたいと思いますのは、先ほどの渡部証人から私が周桑郡の説明会に行った際に、その席上で校長及び地教委の御意見を聞いて、そのときに考えておる勤務評定を修正すると確約したという証言があったわけでございますが、そのとき私たちは各郡市を歩いて説明会を持っておったのであります。十分に地教委の方にも理解していただき、校長にも理解していただくと、説明して回っておつたわけでございます。十分それについて地教委及び校長意見は尊重して、これを再検討するという心がまえを持って説明会はしておったのでございますが、他の郡市につきましては地教委の方は大体県の案に賛成してもらっておったわけであります。周桑郡におきましては、地教委もこれを多少修正してはどうかという御意見もあったのでございますが、これにつきましては私は修正すると確約はいたしておりません。これを検討いたしてできるだけみんなの意思に沿いたいとは思うが、とは申しましたが、確約はいたしておりません。それから後の校長会におきまして、無理だが一つやってくれという証言だったのですけれども、私は無理とは、これは発表の仕方によると思うのですが、非常に困難かもしれない、しかしすでに地教委においても決定した問題であるし、困難であっても今年のところはこれでとにかくやっていただいて、その結果改めるべきものがあるならば来年度改めるようにしたい、このようにお話をしておったのでございます。  それで今湯山委員さんの御質問でございますが、先ほど私が申しましたのは発生的なことを申したのであって、私たち委員になったそのときは勤務評定というものが前の委員さんから引き継いでおった問題でありまして、直ちにこれと取り組んだわけでございますが、これについてはどこまでも勤務評定はあらゆることの資料にすべきものであるし、そこにほんとうの勤務評定の価値があるということは、直ちにこれはわかったのでございまして、そのときの問題としては、教組も毎日のようにこの問題でわれわれ県の委員の方に交渉に見えておりましたので、そういう次の計画を立てるとか、これと取り組んでいろいろやるというような余裕はなかったのでございますけれども勤務評定というものが、そういう人事管理その他のあらゆることの資料としてこれが用いられなければいけないということは、十分に委員会にもわかっておりますので、これについては各地方を回る際にもよく説明をして回っております。これがどのように地教委校長の方に徹底しておるかということは判断しにくい点もあろうとは考えますけれども説明することは説明しております。ちょうどその当時今のこの問題でこのように皆さんが一生懸命になっておりました際でしたから、地教委校長も県の考えております勤務評定に対する考え方がどのように受け取られておったかということに対しては十分な判定は下し得ない、このように考えております。
  34. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に芥川君。
  35. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 地教委が納得をしたかというお尋ねでございますが、地教委は、一月十九日までは、この勤務評定につきましては難点があるということを指摘しまして、全体は一致した意見は得られなかったのであります。要するに百点法は非常に困難であるから、A、B、Cというような段階で十項目におけるところの評定はその方が妥当であるというような点や、序列もことごとくに序列をつけていくということは非常に難点があるであろう、あるいは勤務評定そのものは作成委員会でも作ってやったらほんとうにスムーズにいくのじゃないかというようなことを申し上げておったのでありますが、一月十九日地教委並びに教育長の総会におきまして、この問題は議論は多少ありましたが決定いたしましたので、決定した以上は無理でもこれに服従していかなければならぬ責任が生じてくるわけでありますから、それ以後におきまして、また先ほどのお話のように周桑に出向いてこられた際にもこの難点を指摘したのでありますが、ただ決定した以上これに従わなければならぬということと、それから十市十二郡が、十市が全部提出しておりますし、十二郡のうち十一郡が提出しております県下の情勢を判断いたしまして、もはや周桑郡一郡であるからしてこの点は勤務評定を出さなければならぬということで、地教委ではよく検討いたしました結果、これは、それ以後におきましては地教委は納得をしておるのでございまして、従って納得をしなければ処分というようなことは行われぬわけでございます。納得の上で処分をいたしたわけでございます。多少地教委におきましては前半、後半におきまして意見のそごがあったことは事実でございます。御指摘の通りでございます。
  36. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に渡部薫君。
  37. 渡部薫

    証人渡部薫君) 先ほど竹葉委員長さんから反論がありましたので、私は一月五日のあの周桑郡の校長会地教委の総会の場におきまして先生が言われたということについて真実を述べたつもりでございますので申し上げたいと思うのですが、あの会、あの場におきまして委員長さんは、明らかによくわかりました、皆さんの御納得のいくように修正をいたしますと言われたと私は記憶しておるのでございまして、しかも県の委員長さんの言われることでございましたので、私たちは非常に期待を持っておったのでございます。なおさらに一月十六日の郡市代表校長会におきまして無理と思う、困難だと思うがやつて下さいということも明らかに申されたのでございます。  さらに先ほど湯山先生のお尋ねになられた点でございますが、私はこの勤務評定というものは校長が確信を持って書けるものであり、それがほんとうに学校の民主的な職員の秩序というものも破らないで、一致団結して先生が教育に邁進できる、そのために、また勤務評定がほんとうに教員の健康だとか、真の教育の能率増進だとか、そういう方面に使われるものであればけっこうである、こういうように考えております。
  38. 湯山勇

    ○湯山勇君 芥川先生に重ねてお尋ねして大へん恐縮でございますけれども、先生のただいまの御答弁は、勤務評定についてはいろいろ問題があるけれども、きまった以上はやはりこれを守るべきだ、こういう御論旨であったと思います。で、私がお尋ねしたい点は、そのことよりも勤務評定実施の責任者として、なるほどこの勤務評定を実施すれば教員の勤務の能率は非常に向上する、まあ能率を発揮し増進できるという積極的な意味での御了解があったかどうか。先生の先ほどの御答弁から判断しますと、問題はあるけれども、きまった以上仕方がないという非常に消極的な賛成のように受け取られたわけでございますが、そうではなくて、私がお尋ねしたいのは、今きめられたやり方で勤務評定を実施して果して、先生の関係しておる周桑郡だけに限つてもけっこうですが、教職員の能率が非常に発揮され増進されるという御判断に立たれたかどうか、この点を重ねて承わりたいと思うわけでございます。
  39. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) これはまだ実施の上におきましての答えはできませんのでありますが、要するに勤務評定人事管理の上に最も活用しなければならぬと思いますので、単なる昇格昇給のためでなくして、人事を校長に管理していきまする校長の職責の上におきまして、これを活用していくということが最も大切な点だと思います。ただしかし、私は先ほど御指摘の通りにきわめて消極的な立場におりまして、ということは当初この問題につきましてのいろいろ議論もあるし意見もあったのでありますが、最後の結論といたしまして、これを全体会議決定したのでありますから、その以後は進んで地教委におきましてはこの取扱いにいたしましたので、御指摘の通りに根本精神におきましては消極的な点は免れませんと思います。
  40. 湯山勇

    ○湯山勇君 なお細部についてはあとで質問いたしたいと思いますが、四人の証人の方の御証言を承わっておりますと、こいいうことが懸念されると思います。一つは県の教育委員会の意図するものが必ずしも地教委によく伝わっていないのではないか、また評定責任者である地教委が全く県の教育委員会と同じ立場に立って、その必要性を認め協力の態勢がとれていなかったのではないか、さらにこの勤務評定の結果、このことについてはこういうことをやるんだと、この評定の結果こういうふうになったものについてはこういう指導の措置を考えているというような具体的なプランが不十分であったために、地教委校長に対して、それを十分納得させるということにも欠けていたのではないか、こういうことが感じられます。そこで全般を通じて、県教委地教委間の連絡調整に不十分な点がなかっただろうか、どうだろうか、この点を県教委地教委立場で御答弁願いたいのと、それから最終段階においての地教委の御説明あるいは県教委の御説明を聞きますと、何となく、この法律ができるときに問題になりましたが、県教委自主性地教委自主性、そういうものが果して本問題において確立されておったかどうか、こういう点について私は若干の疑義を持ちますので、そういう点についての県教委委員長さん、地教委委員長さんの御証言をいただきたいと思います。  これで一応私は概括的な質問を終つて、あと細部にわたっての質問を留保さしていただきたいと思います。
  41. 岡三郎

    委員長岡三郎君) まず先に県教育委員長の竹葉秀雄君からお願いいたします。
  42. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 県教委地教委が十分了解ができておったかというお話でございますが、他の郡市におきましては県の考えがかなり徹底しておったように考えます。周桑郡におきましては先ほど芥川教育長さんも言われたように、県の勤務評定というものに対しても多少修正の余地があるように考えておられました結果、それが校長先生に徹底しにくい点もあったと思いますが、他の郡市におきましては県教育委員会の趣旨がかなり徹底しておったと、このように考えます。これも限度の問題ですから、十分徹底しておらなかったとも言えるかと思いますが、私たちはかなり他の地教委におきましては徹底しておった、このように考えております。  それから県教委自主性の問題ですが、われわれはいろいろなことをそのときになって学ぶことが多いのでありまして、教育委員となりましても、いろいろ他の人の言を聞き、いろいろなことに出会いまして自己の考えというものが確立されていくという点もあったりいたしますので、あるときには一方の方に片寄っておったのではないかと一方の側から見えるときもあろうかと思いますが、われわれ委員会精神としてはどこまでも委員会自主性をもってやるべきものである、またそのようにして進んできております。以上の答弁で終ります。
  43. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に芥川一郎君。
  44. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 連絡の問題でありますが、これはもうとられる連絡はとっておったのであります。実に会合の回数も多いし、説明会も多かったのでありますが、どうしても百点法の問題だけは得心がいくように納得ができなかったのは事実でございます。  それから自主性の問題でございますが、いかにも自主性のないという——私は今度できましたところの地方教育行政の組織及び運営に関する法律でありますが、この法律そのものが自主性のないようなふうになっているのです。すなわち監督権は地教委にありまするけれどもが、処罰権は地教委にありません。県にあります。内申権はありますが、前のように任命権はないということになっている。私は法そのものが自主性のないような法に作つてある、それをわれわれが守つていくのであります。きわめて小範囲にしか自主性が保つていけません。これは実に苦しい立場にありますのです、地教委は。
  45. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まずお伺いいたしたい点は、県教委勤務評定を企画するに当つて愛媛県の教育の振興を願つてやられたことと思うのでございますが、しかしながら結果としては先ほど芥川証人がみずから述べられておりますように、教育界にあるべき姿でないという形において前古未曽有にも三十四人の校長処分並びに四百五十人の教職員に対する昇給ストップという形になって、愛媛県民の非常な関心事と相なった。こういう事態に相なったことについて現在愛媛教育行政の最高責任者である竹葉証人並びに周桑郡の責任立場にある芥川証人は現在どういう反省をされておられるか、さらに今後いかように現在の状況を打開していこうという決意に燃えられておられるか、その点をまず伺いたいと思います。
  46. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) どのように反省しておるかというお話でございますが、私たちは一つの道を行う上に、できればそれがスムーズに進むことを望むのでありますけれども、時には一つの道を確立する上にはそこに多少の変動があってもやむを得ないと考えるわけでございます。今度の勤務評定の問題につきましては、これは法に示されて、そうしてわれわれがこれは愛媛県の教育の刷新向上の上に必要だと考えまして勤務評定を行なっておるのでありまして、このために周桑郡が現在のような状態になったことは非常に遺憾とは思うておりますけれども、これも地教委の方にも御努力を願い、期間も延べるだけは延べまして、われわれとしては最上の努力をした考えでおります。これにつきまして遺憾なことはまことに遺憾なのでありますけれども県教委としてはやむを得なかった。が、今後は一日も早く周桑郡もわれわれのまた考えるところをよく理解していただいて各県下同一の歩調において進んでいただきたいし、もし県教委のやっていくところに誤まりがあるならば一度郡、県全体で決定したものは一応従っていただいて、次の問題としてこれを取り上げて改めていく、こういう方途に出ていただきたいと考えておるわけでありまして、遺憾には存じておりますが、一日も早くわれわれの考えを了承していただきまして現在の様子が解消されますことを願つておるわけでございます。
  47. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に芥川一郎君に……。
  48. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 問題の焦点は、私は勤務評定そのものはいいのでありますが、勤務評定を行いまする取扱い要綱というこの要綱が問題になるのでありますから、この要綱は県の企画の意図するところもありますが、地教委の考えもこれに加えていかなければならないと思いますので、問題は今度の対策の方針といたしましては勤務評定取扱い要綱というものを、これを納得のいくように是正するか、そのようにいくことがかかっておる問題と思っておりますので、さように考えております。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいまの芥川証人証言は、私はきわめて重大にしてピントが合った答弁だと思うわけです。それは勤務評定愛媛県で考えられるに当つて、私はスタートを誤まられたのではないかという感じがしてなりません。それは先般来からもお話が出ておりますように、勤務評定なるものは人事院規則、あるいは国家公務員法、地方公務員法に基いてこれをながめましても、公務員の能率増進をもたらす、こういう立場から勤務評定をなすことになっているのでありまして、かつて委員会で人事院当局にわれわれが勤務評定そのものについて、あらゆる角度からただした場合に、勤務評定そのものと、公務員の給与の問題、具体的には昇給昇格というものが直接的に結びつく性質のものじゃない。勤務評定というものはそういう立場においてなさるべく公務員法あるいは人事院規則に定められたものでない、こういう明確なる答弁を人事院当局は本委員会でなしているのでございます。ところが愛媛県当局におかれましては、当初からこの線からはずれて七割の予算に重点を置かれてスタートされたところに私は若干反省されるべき点があるのではないか。特に県教育委員会に対しまして起案——草案を起す立場にある大西教育長としては、私は事前に勤務評定を第一線においてなすところの地教委と十分の連絡をとり、納得の上で、さらにこの学校長を納得さしてやられるような勤務評定要領をこしらえるというところに最も力こぶを入れねばならなかったのにかかわらず、その点不十分であったところに愛媛県の勤務評定の問題がかように重大化した私は最も根本的原因があるのではないかと思う次第であります。と申しますことは、去る二月十二日に私ども委員会から派遣されて愛媛県におじやまをいたした当時、相当数の方々からいろいろとお聞かせいただいたわけでございますが、その当時芥川証人もその席上においで下さったと記憶しております。そうしてそのときのお言葉にも、これほどの勤務評定を県がやられるに当つては、案を作る前にこの作成責任者であるところの地教委にもう少し連絡をとつてほしかった。何にも相談がなくて、こういう案を出されたのでは地教委としては困る。また出されたこの案なるものは、われわれとしてはどうしても納得ができない、かような御発言を私は今想起する次第でございまして、こういう点に私は県教委当局として若干反省さるべき点があるのではないか、かように私は考える次第でございますが、大西証人のお答えをいただきたいと思います。
  50. 大西忠

    証人大西忠君) この点でございますが、私たち勤務評定の問題につきましては、先ほどもお話を申し上げたのでございますけれども、十一月の十日にこれを参考として昇給昇格を行うことを決定した趣旨説明書を配付いたしておるのでございますが、その中にもこれは法に示すものであるという、それから「教員は常に教育の意義を感じ、その志気が高揚する状態に置かれなければなりません。そのためには、職務責任をどのように果したかが明らかにされて勤務成績優秀な教員に対しては優遇して、その志気を高めるように努めたり、或は指導研修の実施、職務の吟味等適当な措置がとられなければなりません。このためには勤務評定が必要であります。」ということをうたって、繰り返し繰り返しこの点も強調をいたしておるのでございます。ところがおっしゃいますように、予算が七割であたかもこれを執行するためにのみ勤務評定を行うというような疑いのために、非常な当初私たちが誤解を受けまして、こういう私たち勤務評定を行うという意義が十分地教委、また教員の方々のお耳に入らなかった。何か私たちはこういうことは言いながら、それをするのは趣旨でないのだというふうに誤解を受けておったと思うのでございます。その点は、先般御調査をいただきました場合にも、その誤解はだんだん晴れていくということも申し上げたのでございますし、またその説明をなしました際にも、私たちはこれで満足をするのでないのであって、一人でも多く昇給昇格ができるように、その面でも努力をしなければならぬということも訴えて気持を申し述べておるのでございます。決して、どう言いますか、昇給昇格のためにのみ使うというようなことから出発をいたしたのではありませんので、やはり勤務評定そのものの趣旨、また給与法から申しましても、こういうことを参考にして昇給昇格が行われなければならないという建前は当初から変つていないのでございます。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 このお宅で考えられました勤務評定が給与の問題と直接的に結びついておるということは、これは私は間違いないことと考えるのでございますが、その点いかがでございますか。その点が、私は人事院当局が考えておられる勤務評定なるものの考え方と、愛媛当局が考えられたのとの差が、これが誤まりであったと、しかもその内容が。芥川証人が最終段階に至るまでこれでは無理だ、こういう先ほども発言がございましたが、評定基準要領というものは適当でないということを、本日もまあそう考えたというお言葉があったわけですが、それだけに問題が大きくなった大きな原因だ、こら私伺つておるわけです。かつて委員会でこの問題を取り扱った場合に、人事院の中村一成君は、昇給を切るために勤務評定を使うということはこの勤務評定の趣旨ではございませんので云々ということを明確に答弁されておるわけです。その点御当県では勤務評定そのものに対する考え方が若干私は間違っておるのじゃないか、将来この点基本的なお考え方を是正されるとともに、その評定基準要領そのものを地教委の方々が十分納得し、また学校長もそれに納得できるような形でやらなければ、力をもってこういうものをやろうとしても、事教育の場であれば私は成果を上げ得ないのではないか、かように将来をおもんばかるがゆえにあえてお伺いいたしておる次第です。先ほどから、あるいは私どもが二月十二日お伺いした当時の芥川証人のお言葉を今私が想起するときに、芥川証人はやむを得ず同調されたわけで、現在といえども私はこの要領なるものに心服をされていない、かように私は思う次第でございまして、そういう立場から重ねて大西証人の御回答をいただきたいと思います。
  52. 大西忠

    証人大西忠君) 私は、芥川証人がさっきお答えになりましたように、勤務評定ということはやらなければならぬことで、またこれには勤務評定をやる意義があり、けっこうなことだが、点数で評価をしたりすることがいろいろ論議があるという意味のことをおっしゃっているのだと了解をいたしているのでございます。この点数でございますが、これは決して私たちは百点が五十点の二倍だとか、六十点は四十点の一倍半の力があるという意味で言っているのではございませんのです。それは別といたしまして、この勤務評定でございますが、まことに遺憾なことなのでございますけれども、多数の中には、給与法でいいます「良好な成績」ということがあげられない人々もあろうかと思うのでございます。私たちは、全部の人がべた昇給をするということについて大きい疑いを持っているのでございまして、今再建整備法というもので、やむを得ず昇給予算がございませんので、またこれを参考にする度合いというものが強いために、そういう疑いも受けるわけでございますが、決して、繰り返して申しますように、そういう予算を制限するという意味から勤務評定を出発さしたのではない、その考え方は終始変つておらないのでございます。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一応その点はそこにとどめておきまして、これに関連して芥川証人にお伺いいたしたいと思いますが、第一点は、先ほどのあなたの証言の中に、地方公務員法第四十条で評定をやつて、その評定の結果に応じた措置を講じなければならぬ、かようになっているので、やむを得ず地教委として責任を持ってやられたのだ、かような証言がございました。従って私は、遺憾ながら、三十四人の校長先生方処分し、並びに四百五十名の先先方の昇給ストップがここから出たものだ、かように証言されたと聞いたわけでございますが、そう了承してよろしいかどうかというのが一点、それから第二点といたしまして、いわゆる新教育委員会法は、地教委自主性を持てないように法そのものがなっている。従って地教委としてはいろいろ苦しい場合があるのだ、かような証言がございましたが、今回の処罰に当って地教委から内申が出され、それに基いて県教委処罰するように法がなっているわけでございますが、証言を承わつておりますというと、処罰の範囲並びにその内容というものは地教委みずからの発案ではなくて、県教委の方から助言と指導を仰いで、そうして内申がなされたということが時間的にも考えられるわけでございまして、かようにあなたの証言を了承してよろしいのか、それが第二点でございます。  第三点として承わりたい点は、地教委としては、県の企画された勤務評定要領なるものは納得できなかった、しかし最終的には三月の月末ごろに一応これで出していただくという決意をした、その段階において学校長さんに対しては出してほしいというように懇願をしてきた、かような証言があったわけでございます。最終的にはぜひとも出してほしいという、林田委員の質問に対しては、業務命令であるかのごとき発言がございましたが、そういうものは文書として残つておるのかどうか。かりにあった場合におきましても、それに基いて最終的に学校長はA、B、C三段階内申をなしております。その内申責任者である地教委委員長は受け取つて、そうしてこれを県の教育委員会に持ってきた。ところが県の教育委員会は、これでは気に食わぬ、納得できぬといって突き返えされて、責任者である地教委の方々は持ってかえされた。こういう経過から考える場合に、果してこれが地公法二十九条の一項の二号の職務違反、従わなかったということになるかどうか。ともかくあなた方の指示に基いて地教委の満足する、不十分ながらも満足するA、B、C三段階内申を書かれた。その内容県教委の十分満足するところとはならなかった事態はありますけれども、ともかく出されたということは、これは十分なものを書けないから、それだけ校長が無能だということはいえるかもしれないが、そのこと自体が職務違反したというて懲罰の対象となり得るかどうか。この点は私は非常に疑問に思っておる次第でございまして、責任当局である地教委の方々としては、法律的にはどういう解釈をとられたか、これが第三点でございます。  もう一点お伺いいたしたい点は、それは地公法第四十条によって任命権者は評定の結果に応じて措置をしなければならない、かように証言されておりますが、今後なお何らかの措置をなさろうと考えておられるのかどうか。その措置の中には三十四人の保留されている校長の、あるいは人事異動とか、あるいは昇給ストップされている四百五十人の教職員の方々の昇給昇格というような問題が今後の措置の中に入っておるのかどうか、そういう将来の考え方を持っておられるのかどうか、以上四点についてお伺いいたしたいと思います。
  54. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) お答えが当つておるかおらぬか心配しておるのですか、逆に最後の点から申します。第一の点は、ちょっと十分頭につかめないのですが、要するにこの将来の問題でありますが、処罰の問題は、これは撤回せよというような意見PTAの方面から盛んに起つておりますが、そういう意図を持っておりません。将来それについてどういう措置を講ずるかという問題でありますが、これは三十一年度の勤務評定は終ったのであります。従って三十二年度に入っておりますから、三十二年度の勤務評定、いかに学校長がこれに対して応ずるか応じないかということはかかって今後の問題になると思うのであります。この点につきましては、先決問題としては勤務評定そのものを納得のいくようなふうに要綱が一部改正になるということになるならば、これはスムーズにいくものだと私は信じております。それがいかぬ場合にどうなるかということになりますが、いかぬ場合には、やはり紛糾が繰り返されるものと思っておりますので、非常に残念に思いますのですが、そういうような結果になるかと思います。  それから四十条の問題でお尋ねになったのですが、処罰をしたというその根底は、午前中に申し上げまして、四カ条ほど申し上げたのでございますが、そのうちのもっとも感じておりまする点は四十三条の問題でありまして、これには、県費負担の教職員の服務は地方教育委員会が監督するということになっているのであります。しかし自分の気にいるものは実行するが、自分の気にいらないものは実行しないというようなことの場合に、これで服務の監督ができるかということ、この問題がひっかかってくるのでありまして、私は好むと好まざるとにかかわらず、いやしくもきまった以上はこれを順法するというような考えを持っておりますので、従ってそういう主張が通れば実行するが、主張が通らなければ実行しないというようなことになりまするというと、これは非常な問題でありますので、その服務の監督の上に立ちましても、当然これを守らぬ場合には処罰をして行く。これは服務を実行させなければならない、地方教育委員会自主性に基いてやらなければならぬ立場におりますので、そういうように考えております。  それから失礼でありますが、もう一度第一項のお尋ねを……。
  55. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第一項ですか、第一の質問は、先ほどあなたの証言が、やや私に受け取りにくかったので、重ねて伺ったわけですが、それは地公法四十条の「評定の結果に応じた措置を講じなければならない。」ということと、学校長並びに教職員の減給、あるいは昇給ストップとの関係はどうなのですか、この点を伺つているわけです。
  56. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) それは、措置の問題は、先ほど申し上げました通りなんでありますが、今後におけるところの勤務評定の活用の問題その他におきましては予算が伴いますので、ここでプランが立っておりませんので申し上げるわけに行きませんのでございます。  それから今後におけるところの昇給昇格の問題でありますが、これは三月三十一日までに勤務評定ができてなかった場合には、当然昇給昇格はストップするという県の方針でありますから、地教委でこれはどうにもならないのであります。内申をいたしますることも、県の正式な勤務評定によらない限りは内申ができないのであります。従ってその正式な勤務評定というものは学校長提出しないのでありますから、地方教育委員会といたしましては、取扱いの方法がないのでございますから、従って今後は三十二年度の勤務評定を納得して提出せしめるように努力をして、そうして昇給昇格の問題を解決するよりほかに方法がございませんので、相当の難点はあろうと考えております。
  57. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと申し上げますが、連続的な質問だと混乱しますので、できるだけ一つずつ答弁を求める方が、証人の方も答えいいと思いますので、一つそのようにやつて下さい。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 重ねて伺いますが、あなたの先ほどの証言は私は次のように聞えたので、それは念のために確かめているわけなんです。それは地公法四十条で勤務評定をやり、その評定の結果に応じて措置を講じなければならぬとなっているので、勤務評定をわれわれが思う通りに出さずに、この問題をこじらせた学校長に対して遺憾ながら減給の処分をした。また勤務評定が出なかったので、その結果に応じた措置として万やむを得ず四百五十人の昇給昇格をストップした、かように証言されましたので、念のためにそれを伺つているわけです。
  59. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 失念いたしましたので失礼いたしました。二十九条の問題でありますが、二十九条には義務に違反し、怠ッたものの場合の処分方法が御承知のように免職、あるいは停職、減給、戒告ということになっておりますので、地教におきましては戒告程度にとどめたい方針を初めによく地教委協議会で案を練りまして、その後さらにどうもこの問題の性質やら、またこの問題の取扱いの過程におきましてどうしてもこれをといても出さないというような程度が重なっておりますので、やむを得ず減給三カ月というような点を地教委で打ち出しまして、そうして県の方に内申することに決定したのでありますが、これもやッぱり中に六ヵ月というような説がありましたし、いろいろいたしましたりしたものですから、考慮いたしました結果四ヵ月ということにしておりますので、なおさらに命令をしたところの書類を携帯しておるかということですが、命令にした文書を持っております。提出いたしてよければ提出いたします。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 重ねて伺いますが、地教委としては戒告程度でよかろう、こう考えたが最終的には減給三ヵ月というのを決定内申した。ところが結果は公表されておる通りである、かように証言せられたと思うのですが、その通りでございますね。
  61. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 業務命令内申も、それから処罰内申も携帯しておりますので、読み上げてよければ、読み上げます。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三ヵ月の内申されたわけですね。
  63. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 期間は切っておりません。減給に処分するというので、期間は文書に書くことをやめまして、口頭で申し上げております。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 口頭で申したのは三カ月ですか。
  65. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 三カ月に近い線で処分してもらいたいということを申し上げたのです。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その処罰内申書の写しをいずれ後ほど委員長の方から証人からいただいておいていただきたいと思います。  先にお答えいただけなかった点について伺いますが、私は第三点で伺った点は、あなたもごく最近まで納得ができなかった勤務評定、それを最終的にあなたの方は出していただきたいと校長に要請した。校長良心的にかような勤務評定は不可能だ、できない、だから私どものできる範囲内で出しますといって約束通りの時間までにA、B、C三段階勤務評定を出されたですね。だから自分は気に食わないから指示を全部やらないというのじゃなくて、校長の持っている良心と能力の最大限度の範囲内においてともかくあなた方に出された。しかもその出されたのを勤務評定を作成する責任者である地教委のあなた方はそれを受け取られて、そうしてこれを県の教育委員会にもっていかれた、こういう経過をたどっているわけです。そこであなたが先ほど証言された二十九条の一項の二ですね。「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」そのように認定したというのですが、そういう認定がその経過からできるかどうか、その法的解釈を地教委の方々としていかにされたのでございますかということを伺ったわけでございます。
  67. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) それはA、B、Cでよろしいということを申し上げました。ところが十項目にわたる評定につきましては、何も入っておらないのです。最後の評価というところにただA、B・Cというのが入っておっただけなのです。それから総評のところに成績優良というものを、教頭以下順次席次の順に書いて、そこへもってきて成績優良という判をずっとついておる。しかも成績優良というのが全郡一致しておる。それから最後の総評のところにただA・B、Cと入っておりますので、これがもしその他のところにおきましても、そのように評定してかりにA、B、Cというものが入っておりましたならば、これはそれではいけないのでありますけれども地教委におきましては第二次評定ができ得るのであります。何もない、白紙で持ってきて、地教委校長提出しないものを勤務評定をやるということは、地教委それ自体の教育における実態の把握上なかなか不可能な問題である。やれないことはないのでありますが、非常に不可能な問題である。それは地教委におきましても、教育に精通するものもおりますし、しろうともおりますので、教育長だって、そういうことをしいたとてできないのでありますから、従って最後に出しましたものが、きわめて成績優良と書いてあり、最後にA、B、Cが入っておるから、白紙とは言えませんが、白紙に近いところの勤務評定なのであります。それを出したにもかかわらず地教委はこれを受理したかどうかということですが、それは四月三日の日に校長会が開かれておりますから、これは重大な問題だから、地教委は持ち寄って検討いたしましたが、校長代表及び組合代表というようなものを呼びまして、これは勤務評定にならないではないか、もう少し誠意を持って、しかも団体協約で正式に勤務評定を出すと言ったにもかかわらず、かようなものを提出されたのでは受理ができないというので、相当その点につきましても、校長にそのことを個人的にも話をしましたし、団体的にも話をしておるのであります。しかし結果は、それは改訂を見なかった。全部を埋めることができなかった。そういう判断のもとに、これは勤務評定でないという断定を下さざるを得ないことに立ち至りましたので、御了承願いたいと思います。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは受理して教育委員会に持って行かれたではございませんか。
  69. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 持って参りました。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点は……。
  71. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 持って参りました。持って参りましたが、教育委員会の方にもそれは検討した結果これは勤務評定ではないというようなことで返却をされました。直ちに学校長にこれを帰りまして返却をいたしました。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 校長に出されたのはともかく一応受理された、そして県の教育委員会に持っていかれたわけですね。だから、あなた方それいけないというのならば企画は県の教育委員会で、実際評定するのは地教委ですから拒否されるのならそのときにこれではいけないといって受理されないのが私は筋だと思うのですが、受理されて県の教育委員会に持っていったら県の教育委員会が気に食わないから、それじゃ処分するぞ、職務違反だぞと、この法的解釈はいかようにされたのでございますか、これは私は非常に重要な点だと思いますので伺ったわけです。
  73. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 受理とか何とかいう問題になりますと、なかなかむずかしいことになりますのですが、ともかく預かりました。(笑声)ということは、これが県の教育委員会地教委連絡協議会におきまして、最後決定を下さなきゃいけませんから、一応預かって参りまして、そして委員会にこの問題を両方の連絡協議会にかけたわけなのです。かけましたが、いずれにしましてもこれは勤務評定として現在受理することはできないという断定を下されまして、全会一致で断定いたしまして、すでにその預かって持っていきます場合にも明らかにこれは承認ができないということは通告してありますので、ありますのですが、重要な問題でありますからこれはやはり持っていってそしてそれを明らかに断定を下してもらわなければならない、また十分下さなければいけませんので持って参りましたが、それは受理したものではございません。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つだけ……、ほかにも問題がありますが、ほかの質問はあとにしまして、もう一点だけ先ほどの答弁を明確にしていただいて一応終ります。確かに証人が先ほどから申し述べられているように、地教委が非常に自主性堅持に悩まれ、そこに問題点があったということを私も今さら確認したわけですが、先ほどお話しになった点もう一度明確にしたい点は、この勤務評定の問題についての今後の措置について地教委でなくて県教委が満足されるような勤務評定を今後出される学校長が出すか出さないかによって今後の問題が実際方向づけられる。こういうようなお答えがあったわけですが、かような勤務評定が出るまでは教職員四百五十人の昇給昇格ストップ並びに年度末に行われていない周桑郡の校長異動人事の問題もそれまでは一切動かないと、かように先ほどの証言を聞き取ったわけでございますが、念のために伺っておきたい。
  75. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) ただいまのお説の通りでございます。
  76. 左藤義詮

    左藤義詮君 渡部証人にお伺いをいたしますが、先ほどの御証言でこの勤務評定というものが不合理である、とても校長としては不可能であるという御発言があったのですが、念のために、勤務評定自身が不合理なものであるとおっしゃるか、十項目もそれをいろいろ指示してきた、県のきめてきたものは不合理、不可能とおっしゃるのか、勤務評定そのものを御否定になるのか。そこを伺つておきたい。
  77. 渡部薫

    証人渡部薫君) 先ほどちょっと触れましたのですが、私たちが考えまして勤務評定がほんとうに教育を前進させるために確信を持って校長として書けというものであれば、やはり勤務評定そのものを拒否はいたしておりません。先ほど来申し上げておりますことは、昨年県が示しました勤務評定要領、特に点数をつけ、序列をつけるという点、それからこれを昇給にからませるという点、その点が納得いかないということを申し上げたわけでございます。
  78. 左藤義詮

    左藤義詮君 よくわかりました。そういたしますと周桑郡はその御信念のためにあくまで拒否なさった、そしてこういう問題が起ったのですが、周桑郡以外の十市十一郡でございますか、校長さんたちはこれを受理して要求の通りお出しになった。そのために先ほどお話のようにいろいろ職場に混乱が起り、先生が同じ部屋で弁当も食べられないという御証言がありましたが、そうしますとあなたのように、あるいは周桑郡の方々のようにあくまでこれを拒否したのが正しいのであって、他の郡のこれを受け入れたものは教育者の立場として間違っていると……。不合理、不可能を圧力に押えられて、あえてしたものだというようなお考えでございますか。
  79. 渡部薫

    証人渡部薫君) 他の郡市は私の知る範囲では二月の十日ごろまでに出したように聞いております。校長はこれについて若干他の郡市が出されたことにつきまして、私経過をたどって推定を私なりにさせていただきたいと思うのですが、十一月の十八日に県下の小中学校、高等学校の校長も一部おられたと思いますが、八百六十ほどの会が松山の工業高等学校で持たれたのでございますが、その時分にその校長集会といたしまして県の示された勤務評定はやはり不合理であり、無理である、やれないということを決議いたしまして、そういう声明を出されましたし、また十二月の十二日に郡市の校長代表が松山に寄ったこともございますが、このときにもやはりどうしてもその点校長として点数序列という点は無理であるからやれないというふうに申しました。先ほど申し上げました一月十六日の県の教育委員会最後にと言われるので、校長に協力をせよと言われたこの会におきましても、私今思い起すのでございますが、他の郡市の校長代表はだれもけっこうでございますと申した者はなかったのでございます。  さらに二月の下旬、日はちょっと忘れましたけれども、八幡浜市あるいは喜多郡あたりの校長会では、これは確信をもって自分ら書いたものではないというような意味の声明を出されておったのでございます。こういうふうなことを考えてみますと、私はこの勤務評定なるものが、真に民主教育を向上さすためにというので、確信をもって書いたかどうか。そう簡単に他郡市におきましても書いたものではなかろうと、このようにまあ私は推定するのでございまして、決して他の郡市は、それは教育のためにならないことをやつたといって、ここで私が断定することはできませんけれども経過的に考えまして、そのように、実に困難の中において書かれたのであろう、圧力云々ということも今いわれましたけれども、具体的に私は知りませんけれども、まあこれも聞いたのでありますけれども、越智郡の校長会では、私の郡の隣でありますけれども、最終的に校長は二晩ほど徹夜をして、ともかくやらなければならないのだというので、校長としても非常に苦しんだということも伝え聞いておるのでございます。そういうふうに考えまして、そう簡単に書けたものではなかろう、このように私は考えます。
  80. 左藤義詮

    左藤義詮君 教育者という立場でありますので、特にそういう信念ということについては、私ども重きを置きたいと思うのですが、そうしますと、いろいろ経過はございましたでしょう。最初のうちは十分理解ができないで判定しかねた。しかしだんだん折衝をし、あるいは検討をした結果、他の郡市でお出しになった方は、それは責任を持ってお出しになったと思いますが、ただいまのあなたの御推定でありますと、これはどこまでも圧力だとか、二晩も徹夜をして、やはり教育者としての良心に反し、あるいは公務員としてやむを得ずそういうことをしたものだ。自分たちはこういう不合理、不可能は決してしなかったのだ、こういうふうな先ほどからの御発言、先ほどの御証言も、あくまで不合理、不可能ということをお認めになったのですが、そういうお立場の違った、十市十一郡とは、なすったことが違ったわけであります。他の人たちは何らかの理由によって、不可能、不合理をあえてしたものだというふうに、あなたの御信念において御判断になっておると、そのように了承してよろしゅうございますか。
  81. 渡部薫

    証人渡部薫君) 先に申し上げました推定が当つておるかどうかはわかりませんけれども、具体的な、これも先に申しましたけれども、確信を持って書いたのではない。どうも仕方なしにやったので、これ以上はもうできませといって県教委提出をしたと、こういうふうにいわれる人もございますので、私は今ここで他の郡市を断言してきめつけるというようなことは、まあできかねますけれども経過的に、先の推定によってまあ御判断いただきたいと思います。
  82. 湯山勇

    ○湯山勇君 大西証人にお尋ねいたします。今の左藤委員の質問に関連いたしまして、他の郡市ですね、これは第一回で全部県教委の要求するような評定書が出たかどうか。私もいろいろ聞いておる点もありますので、それらの消息について一つ伺いたいと思います。
  83. 大西忠

    証人大西忠君) 私もその点は現場のことをつまびらかにいたしておりませんので、明確に事実を指摘してお答えすることができませんことは遺憾に思いますが、おそらくやはりあれこれで、一度でお出しになった所は少なかったんじゃないかと思います。それから先ほどの連関でお答えいたしたいと思うのでございますけれども、これは決して、どう言いますか、出した郡が圧力とかいうようなもので、二晩ばかり徹夜をされたようなお話もございましたけれども、そういうような状態のもとに圧力を加えて書かしたということでございませんと私は信じておるのでございます。この勤務評定をするということは、先刻も芥川証人からもお話がありましたように、校長職というものでございますね、これを考えるかどうか、校長職を考えて自分の仕事を行うかどうかということを、非常に何というか、今までこういう大きい問題に際会して、なれなかった点がいろいろ悩みが多かった点であろうとも私は思うのでございます。そういう意味からいって、校長先生方がこれをお出しいただく踏み切りにおいて、非常に心配をされた事実はあろうと思うのでございますけれども、決して圧力とか何とかいうことはないと信じておるのでございます。
  84. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常にくどいようで恐縮でございますが、教育者の信念という問題でございますので、もう一ぺん念のために渡部証人にお尋ねをいたしますが、あなたは、この県の要領による評定は、教育者の良心として、不合理、不可能である、こういう証言をなさつて、たとえ処罰を受けようとも、あくまでその立場をお守りになる、非常に御信念として筋が通つておると思いますが、そういたしますと、同じ同僚である、同じ教員組合で、教育のために戦っていらっしやる他の郡市の方々は、あなたと不幸にして信念を異にしておる。いろいろ御推定はありました。経過についてはいろいろ悩みもありましようけれども、やはり校長責任において勤務評定をお出しになっておるということに対しては、不合理、不可能をあえてしたものだ、私は圧力とか何とか申しませんけれども、とにかくあなたとは全く立場の違った、信念が変つておるというふうに、あなたは出した者とはっきり違うのでございますから、出した人に対して、そういうようなあなたは確信をお持ちになるかどうか、念のためにもう一ぺんはっきり伺っておきたい。
  85. 渡部薫

    証人渡部薫君) 他の郡市の校長が、不合理、不可能をはねのけた、私の差しからはかると、教育的な信念がなかったのであろうというふうに私は断言はできないんです。さっき申しましたように、やって後に苦しまれておるという校長さんも実際にありますので、やはり部下の先生のことを思い、教育を思わない先生はいないと思います。しかしやられて、職場がさっき申しましたように、一例あげましたように、混乱といいますか、不愉快な職員室の空気になったりしていることを見かねて、やはりこういうような勤務評定は無理であったというふうに反省はされているだろうと私は考えます。
  86. 左藤義詮

    左藤義詮君 どうも私のお尋ねしていることに対する御答弁がはっきりしないのですが、心理小説に出てくるいろいろな心理分析とかいうことは別でございますが、公人としてこういう問題に対処されたときに、同じ教育者であって、一方は不合理、不可能だというので敢然としてこれを拒否しておいでになる、他の方々はこれに応ぜられた、内面的ないろいろな悩み等についてはこれは別でございます。私がお尋ねすることは、立場が全く違つているのだ、そうすればあなたは今でも不合理、不可能と確信していらっしやる、不合理、不可能なことをした人たちはやはり法に従って、不合理、不可能をしたものだと、教育者としての信念に基いて……お互いに心理的な食い違いは別として、そのやった行動は不合理、不可能なことをあえてしたものだというふうに、あなたの立場が全然反対なんですから、そういうふうに教育者としてあなたは御判断になっているかどうか、こういうことについてイエスかノーかはっきりして下さい。
  87. 渡部薫

    証人渡部薫君) その点は私表現もまずいし、わかりにくいかと思うのですけれども、先ほどから申し上げておるような域を出ないのでございます。
  88. 左藤義詮

    左藤義詮君 その問題はそれじゃあまり表現ができにくいとおっしゃいますから……。そういたしますと、県の出した要領によるというと、勤務評定は不合理、不可能といって最後まで戦つてきた、それまでにいろいろな機会があったようですが、そういう機会に県に対して、十分その御意見を、県なり地教委に対して反映するように努力を尽されたかどうか。特に今お話がございましたが、ブロック別会議があったときに、周桑郡の全校長が御出席になっておらない。私は民主主義というものはお互い立場が違っても十分に論議を尽して共通な立場を求めることが民主主義の根本だと思うのでありますが、そういう点について、初めから、極端な言葉を使えばボイコットといいますか、ブロック校長会議にも全然御出席になっていないというふうに先ほど竹葉証人から伺ったのですが、その点についてあなたに、その勤務評定の要綱に対して、もっと教育的にすべきだという信念を十分徹底するように最善の努力をなすったかどうか、その点を伺いたい。
  89. 渡部薫

    証人渡部薫君) 最初県の委員長さんが申されましたように、何でしたか、最初に校長ブロック会議が招集せられたときには私たち出席いたしませんでした。松山市の校長以外のどの郡市の校長もしなかったと聞いております。  次に周桑においては一月の五日でございましたが、その前に地教委の方々から今度はともにその説明を聞こうではないかというので、私たちもともに全員地教委出席して聞いたのでございます。それからその勤務評定内容要領の不合理な点につきましては、地教委の方々、ここにおいでになります芥川先生その他の方々と機会あるごとに私たちは私たち意見を申し上げまして、芥川先生も先ほど来言われるように、点数表示というようなことは無理であるから、A、B、Cということは自分の持論である、自分は来年度は、つまり本年度でありますが、昭和三十二年度は、県下地教委連絡協議会という組織もできましたし、実は周桑地教委が反対をしてきた、その時分、一月六、七日ころ最高潮であったかと思います。何分個人的であってできなかったが、連絡協議会という県下の組織もできたし、すでに南宇和、西宇和あたりからの地教委の方々からも先生のところに、芥川先生は県の連絡協議会副会長をせられていると思うのですが、そういう話もあるので、ともに手を携えてやつていこうと思う、こういうことを先生は、この点真剣に私たちにも言って下さっておりますので、今御質問下さいました点、機会あるごとにこの点是正をしていただくように申し上げてきているわけであります。
  90. 左藤義詮

    左藤義詮君 いろいろ県の方にも手落ちがございましょうが、私は、民主主義というものは、多数が決して押しつけたり、横暴をして、少数の意見というものを、十分発言の機会を与えず……しかし一たん決定いたしました以上は、これに敢然として従うことが民主主義の、法治国家の私は基礎だと思うのですが、法治国家の国民教育に携わる渡部証人といたしまして、業務命令として命令があった、これに対して最後までお出しにならなかったということは、やはりあなたは、教育者としての信念は今までも正しかった、自分としてはどんな法律があろうとも、あるいはそれが法を執行すべき機関の決定として、業務命令があっても、自分の良心に納得できない、不合理、不可能なことだということになったら従わないという信念をお持ちになっておるか、またそういうような信念で児童たち教育なさるおつもりであるか。
  91. 渡部薫

    証人渡部薫君) 先ほど芥川先生も順法精神を言われましたが、教育者としてその通りでなければならないと考えております。この勤務評定につきましては、先ほども申し上げましたのですが、周桑郡の地教委の先生方と私たちは終始話し合い、協議といいますか、その中でお互いに円満にいこうじゃないかという、余談になるようでございますけれども、いろいろな教育上大きな、昨年度は教育研究大会などを初めて周桑郡では催しましたが、このような行事につきましても、いつも地教委の方々の御指導、了解の上にやつてきておりますので、一体的になっていると思います。この点は。そういう中でありますので、最後まで地教委と話し合いで参ったのでございまして、三十日、私たち校長代表組合代表地教委の方々との約束のときにも、やはり実はその約束といいますか、先の条件が出ましたが、ああいう約束ができましたのが三十日の午後十時ごろであったと思いますが、勤務評定を書くということについては、やはりこの相談を四教育長の先生方と校長代表組合代表とで相談をしてやるということもそのときに約束しておったのでございます。実はまあ私たちは業務命令で——最初から私たちは業務命令であるかいなかというようなことを問うような間柄でもないし、そういうようなことを最初から問うためのではございません。念のため法に基いての命令であるかどうかということをお尋ねしたわけなんで、過程において。それで進んで参りまして最後のぎりぎりまで勤務評定を書くということについて書き方についてまでも相談をやはりやろうということまで約束をしておったのでございまして、それはその私は命令にその点違反はしていないと、まあこういうふうに考えておるのでございます。
  92. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほどから渡部証人お話は、勤務評定そのものには御反対になっていない。県の出したこの要領による勤務評定に御反対である。しかしそれにもかかわらず業務命令として出たと、まあ業務命令だということを御承知なかったというお話でありますが、これは刑法を引き合いに出しては失礼ですが、法はその知ると知らざるとにかかわらずその効力が及ぶのでありまして、これが業務命令であったかなかったかということの十分な御判断ができなかったからということは私は理由にならないと思うのでありますが、いずれにしてもですね、こういう国家公務員法を基礎にした一連の法によって要請された、いろいろまあそれを十分精神を理解するために——お互いにわからぬものじゃない、教育者なんですから、十分話し合われたことは今お話しになったのですが、最後にはやはりその業務命令というか、県の要求する、任命権者の要求する評定をお出しにならなかったということは私はまあ事実だと思うのでありますが、しかしそれではですね、自分たちとしては教育者としてそういうことはできないんだと、国家の法律が間違っておればわれわれはそれに従わないのだというような御意思であるのかどうかですね、またそういうような信念をもって国民教育をなさるのであるか、その点を最後に伺っておきたいということであります。
  93. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 左藤君に申し上げますが、誘導質問的な質問はやめた方がいいと思うんだがな、そういうように言っていないのだから。
  94. 左藤義詮

    左藤義詮君 いやいやそれは誘導質問では……私は教育者の信念を尋ねているのです。
  95. 岡三郎

    委員長岡三郎君) いや信念じやなくて、同じことを何べんでも何べんでも言うことは……。
  96. 左藤義詮

    左藤義詮君 いや何べんでもない。
  97. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 野本さんの方からけさそういうふうなやり方はやめようと言われたのです。
  98. 左藤義詮

    左藤義詮君 伺っておりません。これはどういうわけで誘導質問でしょうか。答えが明確を欠くから何べんもお尋ねしている。簡単なことなんです。(「いや、それはおかしいよ。」と呼ぶ者あり)
  99. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 渡部証人、願います。(左藤義詮君「これは私は誘導……」と述ぶ)委員長委員長の職権でやつております。
  100. 渡部薫

    証人渡部薫君) 私は勤務評定の制度というものははっきりこの法に示されてあると思っております。十分この法のことは研究ができておりませんので知りません。しかし新しいあの教育委員会法四十六条にも県の計画に基いて法的にはこれは地教委勤務評定責任があるのであると、私どもは考えているのでございますが、で、まあ最後的には、地教委代表者の方々の言われる通り、まあ最後的には私たちもこの教育界にこうした問題で郡のPTAあたりその他からいろいろな心配を受けておりますので、この問題がやはりこの長い長期にわたって、まあ極端に言えば白か黒かというような争いになるということはもう好まない。そういうふうにならないように早くこの問題を解決をしていただきたいと、なければならぬという気持最後的には私たちこの先生も言われましたが、A、B、C段階ぐらいはというようなことで書いて、最後的には提出を申し上げたのでございます。
  101. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと私がこれから進行上申し上げますが、先ほどからまあ左藤さんの方から質問があって、質問を私はとめているわけじゃないが、法に対して証人の方はとにかく従ってやろうと思っているという証言があったのです。それを法に従わないでもいいかどうかというふうな点に対して再三言われるということは、やはりこれは証人が言っていることを、まあさらにそうでないのだという意思のもとに尋ねるということもけっこうですが、再三にわたったらこれはやはりいかぬと思うので、この点については一つ十分御質問していただくことにしても、同じ一つの回答が明確に出されたならば……。
  102. 左藤義詮

    左藤義詮君 回答が出ておりません、お答えになっている発言……。
  103. 岡三郎

    委員長岡三郎君) いや委員長の方としては証人の方から一応の答弁がはっきりなされておると思うのです。それから自分の思うような答弁が得られないからといって、それを再三再四にわたって言われるということは、進行上やはり思わしくないと思います。
  104. 左藤義詮

    左藤義詮君 委員長、私の尋ねることに証人のちっともお答えが出ていないと思うのです。それで申しているだけです。
  105. 岡三郎

    委員長岡三郎君) だから左藤さんの今質問したことに対してそのままお答えしなくても……。
  106. 左藤義詮

    左藤義詮君 いえいえ、反対でもいいのです。
  107. 岡三郎

    委員長岡三郎君) だからその点については答弁が一応なされておると委員長は判断をしております。
  108. 左藤義詮

    左藤義詮君 私は自分のちっとも質問に対する満足な答弁がないのです。大へん私の非常に質問の仕方が下手で、委員長のおしかりを受けて御迷惑をおかけしたのですが、私のお尋ねしたいことは、いろいろ勤務評定内容等について、あるいは経過等についてのお話がございましたが、いずれにいたしましてもこの勤務評定は出せという責任者の業務命令、それに対してそれに該当するもの、A、B、Cとおっしやいましたけれども、それは県の要求とは違うのでありますが、それが出されなかったということに対して処分を受けた。たとえ悪法といえども法でありまして、一たん法というものがある以上は私どもはそれに従うべきものだと思うのですが、これに対して法に従ったとお考えになるのか、あるいは法には従わなかったとお考えになるのか、またもしどうしても自分に納得できないならば、他の郡市の人のようにこれを不可能としないで、どこまでも処分を受けても自分の信念を通すことが正しいのだというような考え方で、法治国家の国民教育をなさるのであるかどうか、その教育についての信念を一つ私はお伺いしたい、こういうことです。
  109. 渡部薫

    証人渡部薫君) 私は頭がよくないので、実は一週間ほど寝ておりましたのをまあやつてきたのですが、十分この満足いくようなお答えができぬことをおそれますが、法には従わなくてはならないと考えております。順法精神は十分持っておるつもりでございます。
  110. 高田なほ子

    高田なほ子君 今のことに関連してお尋ねをいたしますが、今、最後まで拒否されておられたような印象を受けるような質問があるんですが、それで確かめたいのですが、三月の二十六日に、地教委は、三月三十日までに評定提出しなさいと校長さんの方に通達されたわけですね。それで、校長さんは三月の三十一日に提出をされたわけですね、そこで、その提出されたものを受理なすったのは芥川さんが受理なすつているわけですね。ところが、その受理されたものが不備であったために、さらに校長さん方に対してA、B、Cの段階でもつけて下さいと、こういうふうに地教委側としては校長さん側の方に不備であったものをお返しになって、A、B、Cの段階をつけるように要請をされた。そこで、四月の三日に校長さんは評定書を再提出をされた。芥川さんは、これをごらんになって受理されて、これを県の委員会の方に提出をせられたと、こういう順序に間違いはないか、御両者から御答弁願います。
  111. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 再提出ではありませんのです。三月三十一日までに提出をするようにと申しましたけれども、それから四月三日までは、これを提出せしめるためのいろんな団体交渉がありまして、そうして、提出いたしましたのは正式には四月三日になっておりますのです。ただし、町によりましては四月二日の日に受け取っておるものもございましたが、それは四月三日にそれを持って来て、その材料をもって検討を加えたのであります。再提出はいたしておりません。一回しか提出いたしておりませんから、その点間違いでございます。
  112. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりましたが、関連してその次にお尋ねしますが、四月三日に提出されたA、B、Cの段階をつけたものを受理された法的な根拠は、多分県の方でおきめになった第二次評定者の第四項に基く考えで私は受理されたと思うんです。念のため読みますが、その他評定表について誤まりを発見した場合は第一次評定者に是正を求める義務を第二次評定者は持っているはずであります。第二次評定者である芥川さんが受理されたということは、誤まりを発見しない、妥当なものであるという見解の上に立たれてこれを受理されて県教育委員会提出されたものと認めるわけであります。従って、校長側が法を無視して最後まで拒否していたとか、こういう見解には私は立ち得ないと思うのです。むしろ、地教委側がこの第二次評定者としての果さなければならない第四項の義務を見誤まったのではないかという、こういう見解に私は立つのであります。これについて、芥川さんの御見解を求めたい。
  113. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 決して見誤まりはございません。それが受理したというのですが、受理をしないということは、代表者を呼びまして、これは正式のものじゃないから、これではだめだから返却をする、従って、ちょうど校長を招集しておるわけだから、校長によく諮って、そしてこれを正式なものに直してくれということを申しておるのであります。正式なものでないものを受理したということはございません。
  114. 高田なほ子

    高田なほ子君 しからば、ただいまの芥川さんの御証言から察しまして、校長さんから出された最終的の評定書は正しいものと思って受理され、これを県教委にお出しになった、こういう結論が出るわけでございますが、間違いございませんね。
  115. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) デリケートなところでありますが、決して受理をしておりません。受理をしていないということを明言しておりますのですが、ただし、これが県の意図する勤務評定であるかないかということにつきましては、検討を要する問題でありますから、それを携えて全部松山に持って参つたわけであります。そうしてその最後に断を下したときに、これは正式じゃないから受理しないということに地方教育委員会県教育委員会決定いたしまして返却に決定したのでありますが、そこのところを松山まで持って行ったのだから受理したのじゃないかとおっしゃるのですが、そのことはあらかじめ話してありますから、決して受理したものでないと私は思うております。
  116. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、第二次評定者の義務というのは幾多の項目があるわけでありますが、この評定表は非常に重要であるから、第二次評定者は第一次評定者評定を十分に検討せられてこれを上部機関に回してやる規定があるわけです。その規定の中に、評定表について誤まりを発見した場合は第一次評定者に是正を求めなければならない。もしあなたが誤まつているにもかかわらず是正を求めないでそのまま校長会には何にも言わずにそれを松山へ持って行ってしまったということになると、第二次評定者としての執行の義務がそこで中断されているというふうに私は把握いたしますが、そういう略式な処分が一体許されていいものかどうか、大へん私は疑問に考ますので、なぜさらにあなたが誤まつていると確認をなすったならば是正を求められなかったのか、この間の消息について承わりたい。
  117. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) ごもっともな点でございますが、かりにA、B、Cという評定が全部入っておる場合には、これを百点法に訂正することを第二次評定者はできますのです。しかしながら、何にも書いてないのでございます、十項目には。第一次評定者が何にも書いてないものを第二次評定者でそれに書き入れるということは、不可能なことなんであります。それも可能の点もないでないのでありまするが、先ほど御答弁申したようなふうに、新しく十月一日から発足いたしました地方教育委員会におきましては、教育行政に携わっておらなかった者も教育長になっておって、それが地方教育委員会のそういう仕事をしていきまする場合に、評定が可能であるか不可能であるか、おそらく不可能な所が多い。あるいは教育委員もしろうとの人が皆出ておるのでありますのであって、精通しておらないから書けない。大体第一次評定者がやったことについて、これにある偶然なる意思が入っておったか入っていないかとか、あるいは故意なる評定があったかないかというようなことを見定めた時分には、第一次評定者に返却をしてその点を是正することは第二次評定者としてでき得るのであります。ところが、何にも書いてない場合にこれはでき得ないのであって、その点御了解願いたいと思います。(発言の許可を求むる者多し)
  118. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それだからちょっと芥川さんに申し上げますが、今高田委員の質問は、第一次評定者がつまり地教委に——評定者という意味はどういう意味か知りませんが、地教委に出したというときに、それを形式的にお尋ねになっていると思うのですが、それを一応形がどうにせよ一応持って行ったということに対して、その場合に、それが要件を備えてなければ、校長にその場で返して、これでは工合が悪いからというふうに評定の書き直しを求めるようになぜしなかったのかということについて御質問があったと思う。だから、その点についてお答えになればいいんじゃないかと思うのですが……。
  119. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) それは四月三日の午前九時だと思いますが、全地教委が寄りまして、そうしてそれに検討を加えて、これはとてもいけない、先ほどこの点を申し上げたと思いますが、学校長代表を呼びまして、そうしてこれは勤務評定として受理できないから、これを書き直すようにということは全地教委が声を高くして述べております。なおその間に、今校長が集まつておりますから、各教育長がそれぞれの地域の校長にその事情を述べて、正式に書き直すべくこれは要求したのであります。松山に持っていきますまでには、十二時四十一分の汽車に乗るのでありますからそこに三、四時間の時間がありますわけです。それは十分直し得る時間があったわけなんです。
  120. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 関連。この問題は長い間の抗争になっておる問題でありますのと、また将来との問題が全国的に波及するおそれのある重大なる問題であつて、一地方の問題でないと私は考えます。従って私は、この問題についてやはり相当な質問をしたいと思いますが、蛇足になるおそれもありますし、私はもう時間も大へん経過してきたので、簡単に一言だけ渡部さんに対してお伺いしたいと思います。  それは、渡部さんはたびたび順法精神というものはよくわきまえておる、また双方とも良識ある方々の抗争でありますことによって、順法精神くらいのことは十分了承しておられるし、問題というものに対する理解というものも十分できていると思う。ところが芥川さんの先ほどの御答弁によりますと、今日との問題において、自己の信ずるところにおいてわれわれは処決したものである。従って将来の昇給昇格というようなものも、この問題が解決せなければやれないということもはっきり明言しておられる。従って私は、芥川さんはこの問題にして終始せられるということであったならば、昇給昇格というものに対する、私は非常な将来に対する重大問題が残されると思うのでありまして、これは非常に教員諸君に対してもお気の毒だと思います。ところが渡部さんの御答弁によりますと、その点がはっきりしておりません。従って渡部さんは、現状において自己の信ずるところが最も純正なものであり、この問題については一歩も譲ることはできないというような観点から、将来においても、やはり現在の心境をもってお続けになるのかどうか。この問題に対して、あなたの信念に基いて終始せられるということだったら、これは並行線であつて解決がつき得ないものだと私は考える。結果から私は考えまして、あなたはこの問題について、やはりあなた個人の問題か、あるいは代表としてのお考えかは存じませんけれども、将来においてもやはり現状をもって終始せられるかどうかということだけ一言承わつておきたいと思います。
  121. 渡部薫

    証人渡部薫君) 勤務評定教員の能率増進のために、福利厚生のために十分妥当な、合理的なそういうものができることを期待しておるのでございまして、今のやはり採点主義、厳密な序列というような勤務評定につきましてはとうていでき得ない、このように思っております。
  122. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 簡単に。そうすると、ただいまの御答弁によって、やはり自己の信念に基いて行動する。問題が自分どもの納得のいかない場合においてはこの問題を続けると解釈してよろしゅうございますか。
  123. 渡部薫

    証人渡部薫君) 私は地教委の方々とよく話し合えば正しい道は見出せるのじゃないかというふうに考えているのでございます。必ず正しい、くどいようでありますけれども、りっぱな勤務評定ができることを望んでいるのでございまして、ちょっとこの際つけ加えさしていただきたいと思うのですけれども、私たち最後には、三十一日に可能な限りのものを出しまして、それから紙を返されたのは四月三日の十時ごろだったと思うのです。本日の九時までにこれは完全なものを出さなければいけないのだと言われて、その前の四月二日に、芥川先生は県へ行かれる前に四月二日の日に……(吉田萬次君「私の質問に簡単に答えていただければよろしい、道行きは聞く必要ありません」と述ぶ)ちょっと関連して言わしていただきたい。A、B、Cで約束せられて先生は行かれたということをちょっと付言さしていただきたい。
  124. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私の質問に対して顧みて他を言うというような御答弁でありまして、私はそうじゃありません。簡単に言うと現在のままで御進行になるかどうかというあなたの心境を承わればそれでよろしいのです。
  125. 渡部薫

    証人渡部薫君) 私はやはり教育者の良心に照らして守らなければならないはっきりとした順法の精神をもちまして進んでいきたいと考えます。
  126. 松永忠二

    ○松永忠二君 今の問題について私ども聞いておりまして、勤務評定を尊重して、その勤務評定に近づくために、それを出し得るために県教委地教委努力を重ねているということであって順法の精神に欠けているものではないというように私たちは考えるわけであります。なお、あるいは地教委におきましても、最終段階においてもなおかつA、B、Cの評定を受理するという言葉でなくても、受け取ってとにかく県に持って行ったということは、最終の段階まで何とかしてこれで処理をしていきたいという気持もそこに表われているわけでありますので、これが業務命令であって、しかも最終的に拒否をしている、全く勤務評定の法をじゅうりんしようというような気持校長がおられたのではないということは今の答弁の中からわかったわけであります。私は教育長にお尋ねをしたいのでありますけれども、三月県会追加予算をするに当つて、四百五十名の周桑郡の先生だけを除外して予算を要求されたというお話でありますが、それは一体……(「松永さん、その前に」と呼ぶ者あり、発言を求むる者多し)
  127. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 今の問題続けて下さい。
  128. 松永忠二

    ○松永忠二君 その問題について、一体どういうお考えで四百五十名の人を除外して予算を要求なさったのか。今後またそれをどういうふうに処理していくつもりなのか、その辺をお尋ねしたいわけであります。
  129. 大西忠

    証人大西忠君) お答をいたします。私たち勤務評定参考として昇給昇格を行う。すなわち給与法にもございますように、勤務成績が良好であるという証明を得て予算の執行をいたす義務があると考えておるのでございます。従いまして、これを幾ら説得をいたしましても、この勤務評定並びに内申というものが出てきませんという場合には予算の執行ができませず、またその予算を要求するということも、今日非常に財政の面で困っております際には不必要であろうかと思ってそういう措置をしたのでございます。しかしながら、決して、これで出ました場合に、周桑昇給昇格を停止するという考え方のございませんことは先ほどから申し上げましたごとく、三月の終りに至りまして、年度内予算措置もありますので、なお種々これが出るのか出ないのかということも地教委とも相談をし、さらに命令をせしめて提出するよう努力をせしめたのでございます。そういういきさつでございます。そうしてまたこの事態を憂慮されました議会方面の方々のお骨折りによりまして、ただいま予算措置知事側ではいたしておるのでございますが、今日なお内申が出ておりませず、勤務評定が出ておりません関係上、これを執行するという方法がございませんわけでございます。
  130. 松永忠二

    ○松永忠二君 それはまあ三月県会追加予算をずる際は、予算要求をされる際は、まだ問題が未解決段階であったと思うわけです。従ってその後において、年度内にこの申請が出てくるとか、あるいは処理ができるとかいう具体的解決の方法もあろうかと思うわけであります。そういう問題解決の方向に進んでおるそのさなかに、そういう周桑郡だけに除外をして追加予算をするというようなことについては、全く、四百五十名の教職員は何らこの問題について関与されていないわけです。関係がないわけです。そういう人たちの権利を尊重するというふうな意味から言うならば、予算を要求しておいてその予算の執行はできないとかいうことならば、そこにおのずから理解できるわけでございますけれども予算要求からはずして予算を要求していくということについては、全くその四百五十名の昇給昇格の権限を持つ者の権限は一方的に剥奪したというような感じすら受けるわけでありまして、こういう点について、これは妥当なことであるかどうかという点をまあお伺いをしたわけです、御意見を。
  131. 大西忠

    証人大西忠君) これは予算に対する御見解の相違であろうかと思います。私たちは今日県の財政が非常に困っておりますので、そういう余分なものを計上する必要がなくて、できるだけ他に回すということ、給与費の中に回していくということも考えてみる必要があろうかと思うのでございます。そうしてこの予算を計上しなかったということは、今日周桑教員昇給ができないという原因にはなっておりませんのであります、全然。これは三月三十一日の調停によりまして、そういう措置も講じておりますし、ただこれを議会にかけましたか、知事の専決処分にしたかという相違でございまして、この点については決して、どういいますか、周桑の他の教員の方々の昇給には影響がなかった点でございます。
  132. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点は少し私は御答弁では理解ができかねるわけなんで、四百五十名の人というのは、校長勤務評定を出す出さぬということは関連なしに、定期の昇給昇格に該当されておる方であるから、この方については別途また別の方法を考えたにいたしましても、これが昇給でき得るところの予算を他と同じように計上しておくということによって、周桑差別的に取り扱っていないという一つの確実な証拠ともなることと私は思うわけなんです。ところが未解決であるからこれを除外をしていくというふうなことについては、定期昇給というものの教職員の権利というものについて、それを尊重するということについてやや欠けておるではないかというふうに私は思うわけなんです。これはやはり当然予算を確保しておいて、そうしてしかる後にその処理によっては執行がどうなるというような場合もあり得ると思うわけなんであります。この点について私はやはり定期昇給そのものの考え方に相当大きな影響があるというふうに思うわけなんであります。  私はもう一点これに関連した点でありますけれども定期昇給というものが地方の裁判所等でも裁判をされたことによると、法律上の保護に値する利益であって、基準該当者であると認定した場合には昇給せしめる義務があるというふうに判定等でも言われておるわけなんです。当然のつまり権利なんであります。その権利が、別に懲戒処分とか何とかということとは関連なしにその権利を認めておるわけなんでありますから、私はその意味で先ほど申し上げたようなことも考えられるわけでありますが、特にこの周桑郡の先生方のとめられた定期昇給昇格というのは、新しい教育委員会が発足する前の権利であるわけです。昇給昇格の、四月であるとか、六月であるとか、七月についてはそういう事前の、新しい教育委員会が発足する以前にもうすでに権利を持っておるし、そういうものであるわけです。しかもその事前の、公選制であった教育委員のときに定期昇給昇格をするべき資料としては、従前の資料は校長地教委を通じて出してあるわけです。そういうことになると、従前の四月、六月、七月については、従前の成績良好である証明書も出ておるわけなんであります。従ってそれによって認定して、四、六、七についてはやり得る資料もそろっておるわけなんです。それをいわゆる事後における任命制の教育委員会決定した勤務評定が出されていないからといって、事前に権利をもっていた者までもその勤務評定によってこれをなさない、しかも予算も計上しないというようなことは、私はやはり定期昇給に対する権利の剥奪だというふうに考えるわけなんです。まあ百歩譲って、かりに勤務評定に基いてこれを実施するとしても、たとえば、A、B、Cの三段階のものが出ておる。実施しておるものは九割のものが大体他の地域で実施されておるということから見るならば、この資料についても、その後の判定の資料についても一応資料は整つておるわけです。校長内申評定を出す、出さぬということとは切り離して四百五十名の昇給昇格については処理をして、しかる後にその校長の問題とは切り離して処理をするということが私は定期昇給に対する一つの教育委員会のあるべき形だと思うわけなんです。そういう点についてあなたはどういう御見解を持っておられるのか、その点をお聞きしたいわけです。
  133. 大西忠

    証人大西忠君) お答えをいたしたいと思います。予算の組み方につきましては、先ほど申しますように、見解の相違と申し上げるよりほかには仕方がなかろうと思うのであります。今日県の財政が非常に困っておりまして、昇給予算も満足に組めないという状況でございますので、ただ技術的にそういうふうにしたということにとどまるのでございます。それから七月ごろでございます、まだ昇給予算が組まれておらない、九月の県会昇給予算が組まれたのですが、七月ごろに三、四郡から従来のような方法で内申書が出たのは事実でございますが、十一月の初めでございますが、勤務評定のああいう表を使ってそれを参考にして昇給昇格をするということにきまりまして、直ちにこの内申書はだめだからというので、各郡へお返しをいたしたのでございます。そうしましたら、重ねて周桑郡から、校長から要請があったから、この旧の方法による内申書を受け取ってくれぬかというお話があったのでございます。その際に地教委校長先生方に対してはこの内申書県教委では受け取ってくれないと思うけれども、せっかくだから県の方へ出そうというお話だったそうでございますが、県におきましても、これは一月の五、六日ごろだったと思うのでございますけれども、さらにお返しをして、県の指示したような方法の内申書を出してもらいたいということをいたしたのでございます。それで他の十一郡がこの勤務評定参考として昇給昇格を行うということをやつております以上は、ひとり周桑郡のみそういうような方法で昇給昇格を行うことはとうてい均衡から申しましてもできないことでございますので、私たちは他の郡と同様なものを地教委に求めたわけでございます。それでお出しになったのを四月の初めに見たのでございますけれども、名前が書いてございまして勤務成績優良というのが全部に通ずる標語で、そうしてA、B、Cとか、イ、ロ、ハというような標語でございまして、私たちはこれをもって昇給の詮議をすることはとうていできない資料であるというふうに考えておるのでございます。それから新しい教育委員会がなるほど十月に発足いたしましたけれども、四月なり六月なりの昇給は古い委員会に付着した権利だというふうには私たちは必ずしも考えておらないのでございます。
  134. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 質問は簡明に一つ……。
  135. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の質問しましたのは、古い教育委員会のときに上げるところの、権利を持っているところの者についての昇給を上げる資料、成績の報告書というものは従前のものが出でいて、それによって判定ができないということはなかろうと思うわけなんです。それから一体校長勤務評定を出さないからといって今申し上げましかような資料が、判定の資料が一応そろっているのに、その校長勤務評定を出さないということと関連をさせて、この中には当然勤務の優秀な者もあるのに、それらの者までも含めて昇給をさせない、そういうこととは切り離して処置をすべきではなかろうかということについて、あなたはどういう御意見を持っておられるのですか。それについて切り離して私は処置をすべきものであると考える。それについてあわせて地教委の一つ委員長さんにも、それとこれとは区別をしてやるべき性質のものであるし、それを事前にやることについての資料はそろっているのであるから、そういうことから考えてもでき得るのであるのに、それをやらなかった、しかも予算にも組まないということについて私は妥当ではないと思うのですが、それは妥当だという御意見は、どういうところからあなたはそういうことを御主張なさるのか。
  136. 大西忠

    証人大西忠君) おっしやいますでき得る、でき得ないの程度の問題でございますが、これは教育委員会の方針が決定される以前の問題であろうと思います。決定されますれば私たち決定された方法によってやりますことが、これが正しいと思いますが、これはやはり校長先生のそういう勤務評定をつけて下さった具申の方法でやるべきが私たちの務めじゃないかと思うのでございます。またそういう具申なり内申がありませなければ、実際に詮議をする方法もありませんので、校長先生方に対してはそういうことも十分考えて、早く他の郡でもそういう方法ができておるのであるからそれを出してもらいたいということは、るる地教委を通じて話をいたしておる次第でございます。
  137. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 御指摘の点は、私は繰り返し主張してきたものであります。四月、六月、七月の定期昇給は切り離してぜひやってもらいたい。新教育委員会は十月一日だから、十月一日以降は新しい勤務評定によってやるのが当然であって、それ以前のはぜひ何とかして一つ昇給の道を講じてもらいたいということは非常に要求したのでありますが、どういうものか、この点は県会でいれられなかった。御指摘のところと意思が一致しておるのであります。非常に遺憾な点と思います。
  138. 松永忠二

    ○松永忠二君 もう一度、一つ県の教育長にお聞きしたいのですが、それは私は理由にはなっていないと思うわけなんです。勤務評定が出なければ昇給はできないのだと、そうすると、昇給参考にするということじゃなくて、昇給の標準にするし、それがなければ昇給がやれないということになると思う。それではあなたが先ほど御説明なさったように、勤務評定昇給参考にするのだ、それでしかも評定自身は学校の能率を高めるためにやるのだという御説明からするならば、かりに権限の問題について一歩を譲ったにしても、四、六、七、あるいはその後についても昇給参考になるべきものはあるわけなんです。出ておるわけです。特に旧教育委員会発足当時の既得権として持っているものについて従前のような成績の優良であるという従前成績報告書として出ているものはすでに出ている、それでもなおかつ県のきめた勤務評定を出さない限りは、全部やらせないぞということは、私は明らかに勤務評定参考とするのではなくて、勤務評定に基いて昇給は実施したのだというふうに考えられるわけなんです。それで誤まりありませんか。
  139. 大西忠

    証人大西忠君) 参考にするのでございます。その参考にすることを県の教育委員会で四月からの昇給について、そういう方法を、参考にしてやろうということをきめたのでございますから、他の資料をもって参考にして、これを、昇給昇格を行うということは、私は正しくないと考えるのでございます。
  140. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは、私はやはり、その辺がしゃくし定木なお考えだと思うわけです。教育委員会において、むしろ教育長はそういう点の助言をして、その勤務評定自身の性格から考えてみても、あるいはそれが能率を高め参考にするという趣旨から考えてみても、これについてはとにかく一応の資料もあることであるので、むしろそれを参考として実施をする。しかしそれだからといって、措置の問題は私が否定をしておるとか、いろいろしておるわけではない、それは別の問題なんです。何ら関係のない四百五十名のこの人たち、この中には法で守られている。当然定期昇給として勤務成績のいい者は、法で守られて昇給をすべきしかも権利を持っておる者もあると思う。一体どういう法的根拠から、一体事前のものまでもこれを実施できないというふうに考えられるのか、その点を一つお聞かせをいただきたいと思う。
  141. 大西忠

    証人大西忠君) その点は繰り返して申し上げますように、昇給昇格参考勤務評定をしたい。その書類を書きつけて出していただいて、それによってしようということでございます。ので、それが出ません限りは、私たちはこれを参考にして昇給昇格処分を行うというすべがないわけでございます。そういう考え方に立っておるのであります。
  142. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  143. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を始めて下さい。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私さっき追及しませんでしたが、芥川証人は私の質問に対して、きわめて重大な証言をされておるのです。そこの問題と関連して参るわけです。それは芥川証人に私は非常に不明確だったものですから、重ねて三回も伺ったら、そういう意味の答弁をされたのですが、三回とも……。それは周桑郡の校長さんが、県教育委員会が納得するような勤務評定を出すまでは、四百五十人の昇給昇格はさわらない、三十四人の校長異動問題もあたらないというように、証言を明確に二皮繰り返えされた。そうすると内申がなければ県教委としてはこれに手つかんわけです。地教委内申しないわけです、よろしゅうございますか。そうすると結果論としては、四百五十人の教職員の中には、松永委員が指摘いたした通りに、いろいろ優秀な人もいるでしょう。そういう人たち昇給昇格問題は、半永久的に解決しないわけです。それでは学校長に一喝を喰らわしたから、学校長を全面的にわれわれの思う通りになし、そうすれば解決するじゃないか、こういう御意見から質問がありましたけれども渡部校長のとつている態度は、われわれ教育者が良心的に考えて、可能な範囲内の人事院規則、国家公務員法、地方公務員法に適したような勤務評定なら出せるが、この内容自体が、今後本委員会において妥当かどうかということが調査対象になるわけですが、これではやれない、自分らの能力と良識で、可能な範囲内で出したわけです。今後も私はこの信念は貫ぬかれるだろうと思う。人によっては、この見解は違うかもしれないが、私はこれは肯定できます。それには、評定内容それ自体が本委員会で、ここでも質疑され、またさらに、今後調査の対象にならなければならぬでしょうが、そういう関係にあるわけなんです。そうなりますと、両者の証言を聞きますと、松永委員の言われた四百五十人の昇給昇格問題は半永久的に解決しない、その点問題が起ってくる。そういう問題が、これは法廷に持ち込まれたような場合、これは私は、出てくる結論というものは、おのずから明確だと思う。あまりにもこの問題については、初めから教育行政であるにもかかわらず、どうも決戦態勢というか、力の教育政策というか、外部からの力が加わったのじゃないかと、聞いておって邪推されるわけです。たとえば三月の予算を、聞くところによると、周桑郡の校長は、四月になっても勤務評定なんか出さぬだろうから、そんな予算は組まぬでもいいでしょうといって、教育長さんが議会側にも発言されたのだということも、伝え聞いているわけなんですが、そういうことが事実だとすれば、今後この問題を解決するに当つては、今ここで主張されておるようなことは、教育の伸展に対しても許されないし、また法的に争うような場合になったら、私はゆゆしき問題が起ってくると思う。何ですか、ききに私に答弁された芥川証人証言ですね、それから今松永委員にあなたが答弁された、それで県教育委員会は押し切っていくつもりでございますか、まず教育委員長のお答えをいただきたい。
  145. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) この昇給問題は、勤務評定の問題は、私らが十月に委員になる前からの問題で、この四月には問題が解決しておらなければいけない問題じゃないかと思うのであります。私たちもこの問題と取り組んで、そうして委員会決定としては、とにかく予算問題もこの当時はからんでおりましたので、四月にさかのぼって、この勤務評定によって、勤務評定参考にした昇給昇格をしようというふうに、委員会において決定したわけなんであります。いろいろな問題につきましては、教育長及び事務局の方におまかせして、そうして取り扱っていこう、こんなふうに考えておるのであります。
  146. 大西忠

    証人大西忠君) その問題でございますが、私たちは将来の問題を今論じているのではございませんので、渡部証人から、教育良心というようなお言葉もございましたのですが、この勤務評定あるいは定期評定でございますけれども、人名が書いてございまして、総合所見欄に一様に勤務成績優良と書いてございまして、それから評定欄にA、B、Cというような用語がありますことが、私たちはこれから人事管理を行い、また教員のいろいろ長短をとらえて配置を考えたり、研修をしたり、またひいては、昇給予算を執行したりするような場合にこれが役立ち、またりっぱな勤務評定だとは考えないのでございます。この勤務評定のやり方は、県の職員の方にもほぼ同様なものを実施いたしておりますし、また県教委指示いたしておるものが、ほとんど九十数パーセントまで実施をされているような状況でございます。そういうことから考えてみましても、私たちはやはり他の郡市の教員の方々をそういう基準で昇給をおさせいたしましたことから考えてみましても、やはりそれにならって作っていただくということがよいと、こういうふうに強く考えておる次第であります。
  147. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと委員長から質問がありますが、勤務評定の問題についていろいろと言われておりますが、百点満点で先生方を点数づけなければいかぬ、それから三十人いたら一番から三十番までつけなければいかぬ、こういうことを固執してなおやろうというわけですかね、これは大西君に聞きたい。そういうものは人事院規則にないのですから、その点は念のために言っておきますが。
  148. 大西忠

    証人大西忠君) 先ほどもお答えいたしましたように、将来の問題はなお検討してみなければならぬと……。
  149. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 今の点についての見解はどうですか、点数制と序列制というものがなければ、昇給昇格はできぬという考え方について、将来の問題ではなくて、現在四月になっているわけですから、その点についての御回答、御見解ですね、その点を明確にしておいてもらいたいと思う。
  150. 大西忠

    証人大西忠君) 現在とおっしゃいますと三十二年度でございますか。
  151. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 現在今……、いや現在今いろいろな問題がこんがらがつておりますが、その勤務評定というものについては、それぞれの法に書いてあります。ただし序列をつけるとか、点数をつけるなんていうことは、これは必須条件ではないわけです。ところが、それを非常に固執しておるようにうかがえますから、そういうことではないのじゃないかと委員長は思って聞いておつたわけですが、その点どうもはっきりしないのでお伺いしておるわけですが、点数制と序列制については将来考えたいということは、一応今言われているわけですが、それに対しては、どう考えておりますか。
  152. 大西忠

    証人大西忠君) 点数をつけるとかいうようなことは、先ほどもちょっと触れたのでございますけれども、百点が五十点の二倍の力があるとか、六十点が四十点の一・五倍の力があるとかいう意味の評点ではないのでございます。これは当委員会が私の方の県へおいでいただきまして、校長代表からも事情をお聞き下すったと思うのでございますけれども、これはなかなかむずかしいことであるけれども、比較評点の問題であるからできないことはないというようなことを校長代表も申しておるのでございます。また、この要素につきましても、今日これ以上のものを直ちに言ってみよといっても、言うことができない、大体よく研究をしておるというようなことを言っておったと思うのでございます。私たち勤務評定というものは、お互いの勤務の差というものを、間隔とか順序をつけてみるのが勤務評定だと思いますしするので、とりあえずこういうことが、私たちのそういう意味から言って今日考えられる重点であったと思うのでございます。しかし、これが日本一よいとかなんとかいうことは、私たちはそういう不遜な考え方は持っておりませんので、さらによくこの問題については検討も加え、文部省においても、この問題について研究をせられておるようでございますから、さらにそういうことにつきまして、研究はしなければならぬと思うのでございますけれども、今日私たちはそういう観念から言って、今のそういう間隔と序列を見るというような方法で、ああいう点をとつておるということは、私たちが考えておる最高のものだと、今は信じておるのでございます。
  153. 岡三郎

    委員長岡三郎君) もう一ぺん伺いますが、つまり先生方に点数をつけて、そして番号をふって、一番、二番三番、四番というふうに序列というものをやることが、最高のものだと思っておるという頭は、私はどうかと思うのですが、これは見解の相違でありましょうが、まあ序列というものをどの程度にじや考えておられるのですか。
  154. 大西忠

    証人大西忠君) 序列でございますが、私たちは必ずしも百人おりますのを一番から百番までに決して序列をつけるということは申しておらないのでございます。その序列の間隔は、これくらいの間隔もございましょうし、紙一重の間隔もございましょうし、そういうものなんで、そういうことはABCDEの表示では明確にならないのでございます。百と八十、八十と七十九、こういうような間隔を見たいという考え方が私たちにあるのでございます。それですから、そういう序列や間隔を見る方法が他にございますれば、私たちは今の点数とかというようなことに、決して固執をいたしておるわけではございません。
  155. 松永忠二

    ○松永忠二君 最後に、教育長さんにお尋ねするわけですが、大体あなたのお話を聞きますと、県のきめた勤務評定を出さなければ、周桑郡の人たち成績優秀の者があっても、それは上げることはできないのだ、それは校長責任であって、われわれの責任じゃないというふうに御判断になっておるわけでありますか。
  156. 大西忠

    証人大西忠君) この問題は、私たち周桑教員の中に成績優良な人、給与法でいう良好な成績をおさめている人がないというふうには考えないのでございます。今日そういう問題で予算の執行ができませんけれども、これはもし将来どういうようなことをしなければならぬかということは、考えなければならぬ大きい問題だろうと思っております。決して何といいますか、当りまえだというようなそういう考え方でないことを申し上げます。
  157. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は今のお話を聞くわけでありますが、もし、今のようなお話しのようであるとすれば、現実にその権利を持っている人たちで優秀であるという判定をすべき者も出ているということから考えてみて、その者についてその権利を確保しておく、しかも予算的にもその権利を尊重する意味からいっても、予算要求はする、しかし処理はできないから執行は延ばしておるということならば、まだわかるわけであります。そうすると私は、一体この四百五十名の権利を持っている人たちが、先ほどお話しによると昇給は他郡市同様にするか、少しは差があってもやむを得ないというようなことを言われておるようでございますけれども、この権利を持っている人たちが、現にもうすでに今後処理するとしても、現実に権利を侵害されておるわけです。その責任は私はあくまで追及されていくべきだと思うわけなんであります。そういうことについては、私はやはりその責任を追及さるべきであるし、また、その責任を感ずるとすれば、処理すべき方法が幾多あったということを、きょうのお話しの中から私は知るわけであります。また、地教委委員長さんも、内申権を持っておられる委員長さんも、それについてはそういういわゆる意見を持ち、ある意味では口頭においてそういう内申をしておるわけです。それからなおかつ、県の勤務評定はいささかもそうしたものを出さなければ、そういう権利をも侵害をしてそれを行わないということについては、私は重大な権利侵害があるというふうに判断をするわけであります。この点については、いずれまたそういうことについていろいろな方法で話があると思うわけでありますけれども、私はそういう考え方を持つわけであります。特に私はそういう意味からいって、そういうやかましいことは別として、とにかく定期昇給というものが、特別昇給とは違って、とにかく一つの権利として守られべきものであって、しかも、四百五十名という多数の人の中には、まじめに、優秀な成績をおさめ、何らこの内申の問題について関与しない、全く責任のない人たちまでこういう不利な立場に陥れたということについては、私はやはり妥当な処置ではなかったではないか。まだほかの処置がありはしないかというふうに考えられるわけでありまして、この四百五十名の人の権利の尊重については、今後十分に一つ御配意をいただきたいということを添えて、私の意見を申し述べる次第であります。
  158. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと今の点について関連して……。
  159. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 松澤君、ありますか。
  160. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ただいままでのいろいろのお話を伺つておりますと、私は教育の振興といいますか、向上というものに対しまして非常に寒い心を——寒心を持たざるを得ないのであります。あなたのおっしゃることが、すなわち、ただ単に愛媛県の問題だけでないと私は考えております。そのおっしゃる答弁にいたしましても、ほんとうに国の教育を思い、県の教育を思った精神を表わすべきじゃないかと私は考えておるのですが、しかし、私はごもっともな意見であったならば、何も御質問を申し上げまいと考えておりました。教育長は、教育長としての教育の信念に基いておやりになつたのではないか、あるいは教育委員長は、教育委員長としての教育の信念に基いておやりになつたのではないかということで、好意的な立場から私は拝聴しておったのです。ところが、ただいままでの、お述べになつたその事柄によりますと、はなはだ私はあなたに対して抗議を申し上げざるを得ない立場に立つことを非常に悲しむものであります。すなわち、先ほどの問題にいきまして、あなたはこの今度の勤務評定というものは、いわゆる点数表示には拘泥しておらない。すなわち序列というものに対して、そのいわゆる百人かおつたならば、一番から百番までということではない、すなわち、百人のうちにおつたならば、五十番ということもあり得るのではないかというような、さようなことを申されました。しからば、今回勤務評定として周桑郡において校長先生がお出しになつた一つのものであつても、私は科学的であるならば、その理論は成り立つと思うのです。最良という一つの表示があったならば、それをもっていかんという表示は、どういう工合にあなたはそれを悪いとおっしゃるのか。あるいはまた、芥川委員長がそれを決定なざつたならば、芥川委員長にお聞きしますが、その序列というものは、百人だったならば、百番までなくともいいということ、百人のうちの二人でもいい、一番と二番に二つに分れてもいいじゃないか、それなら一番だけであつても可能の線が出るのじゃないか。私はそういう意味において、最良という一つの判定が出てきたならば、一つでもそれでもう十分ではないか。それに対して、あなた方のやつたことが間違いであるのではないという理論がどこにあるのか、私は御説明をお聞きします。
  161. 大西忠

    証人大西忠君) その点でございますが、私が申し上げましたことを極端におとりになり過ぎていらっしゃるように思えるのですが……。
  162. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 いや、私はあると思う。
  163. 大西忠

    証人大西忠君) 私たちは無理なことをして、点数や序列を——点数といいますか、序列ですね、こういうものをつけさしめることが本意でないということを申しておるのであります。ただ現場の姿というものが正しく表われるということを、これを念願いたしておるのでありまして、一つの学校で十人いらっしゃる学校も、それから二十人いらっしゃるところも、三十五人いらっしゃるところも、周桑郡の全体の学校が、勤務成績優良という一つの総合所見で勤務評定がなされるということは、私は納得をいたしかねておる点でございます。
  164. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ことに、教員としての勤務評定の序列をつけるということは、非常に至難であるということは、だれしもが申されておることと思います。大西教育長さんは——あるいは証人といいますか、大西証人は、さようなことはやすやすとできるかとお考えになっておられると思いますが、大体の多数の人々は、教育者のいわゆる点数表示というような勤務評定のやり方は不可能に近いということは、これは申されておるのであります。それにもかかわらず、あなたの関係者だけが、非常にいわゆる序列をつけ得るということを、易々たるものであるということをお考えになっておるのか。そしてそれに従わない者は順法精神に欠けているということを……、先ほど順法精神論が出たようですが、私は順法精神というこの論を聞きましても、はなはだおかしい論議をなさつておる。私ははなはだ頭が悪いからわかりませんが、順法精神というものは……、法というものも、法によっては守るものもあります。あるいは法によっても守り得ないものもたくさんあります。それによって順法精神がなかったら国民でないようなことの議論というのは、私ははなはだ不可解であります。佐藤さんのようなああいろ頭のいい方も……しからばたとえば食管法なんてものも、あの法律はあっても守られない人は相当あります。あるいは左側通行なんてものもありますが、あれをほとんどの人が守り得ない状態じゃないでしょうか。順法精神というものは、法というものは、国民が守れるようなことにしておってこそ、初めて順法精神というものを説くのが私は本義だと思います。守り得ないような法律を作り、そしてそれにお前方は従わなきゃけしからぬというようなことであったならば、民主主義の世の中じゃないと私は考えております。順法精神論をするなんてことは————。
  165. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御質問を願います。
  166. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 いずれにいたしましても、順法精神ということを——私はさようなことをはなはだおそれるものでありますが、いずれにいたしましても、あなたはその勤務評定というものは、ほんとうにだれでもが守り得る、実行される、こうお考えになっておるのかどうか、それをお聞きします。
  167. 大西忠

    証人大西忠君) 先ほどもお答えをいたしましたことを繰り返しますが、他の校長たちも、比較評定のやり方であるから、できないことはないと、現に申してもおりますし、他の郡市ではほとんど九〇%以上のものがやつていただいておるのでございますので、私はひとり周桑のみがこれをできないということはないのじゃないかと考えておるものでございます。    〔松澤靖介君、発言の許可を求む〕
  168. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 質問に逸脱しないようにお願いしますよ。
  169. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 それからなお聞きますが、大西証人は、私は今回の問題は、将来の問題には関係ないのだというようなことを申されておりますが、私は将来の問題が、ここに希望をもって解決される見通しがあったならば、将来のことも大いに話し合つて、そうしてやるべきじゃないかと思いますが、ただ単に一時しのぎの、事をごまかすような、かようなことであったならば、私はここにおいでになった、いわゆる証人としての意義がないかと考えますので、この問題につきましても、ほんとうに将来の問題に対しましては、何らか御関心を持っておられるのかどうか、それをお聞きします。
  170. 大西忠

    証人大西忠君) 委員長さんからお尋ねになりました現在の問題ということでございましたので、そういう言葉を使ったのでございますが、先ほど経過の際にも申し上げましたように、この勤務評定というものは、私たちはこれを最高最上のものと考える不遜な考え方は初めから持っておらぬのでございます。絶えず検討をし、また、教師の方にも、校長先生方にも、よりよく書いていただくような、また私たちが企図をいたしております勧告と順序、またこういうものによりまして、人事管理の上に非常に役立つようなものがだんだんできますことを研究をしなければならぬというふうに強く考えておるのでございます。
  171. 岡三郎

    委員長岡三郎君) この際一言申し上げますが、先ほどの松澤君の発言中に、やや不適当な点があると委員長は判断いたしました。これは速記録を見なければ明確にはわかりませんが、そういうふうに感じましたので、松澤君に了解を求めますが、そのような点があった場合には、委員長においてこれを適当に処理するということでよろしゅうございますか。
  172. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 けっこうです。私の不穏の言葉があったとすれば、それは私の言い方が悪いかと思いますので、よろしくお取り計らい願います。
  173. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それからもう一点。これは厳密には言えない問題ですが、他の委員が質問した点について批判、検討というのですか、そういう点については、万やむを得ないという点を除いてお控えいただきたいというふうに進行上思います。
  174. 野本品吉

    ○野本品吉君 議事進行、ただいまの松澤さんの御発言は、私も伺つておりまして、かつての吉田さんのばかやろう……(「それはいいじゃないか、今済んだんだから」と呼ぶ者あり)わかりました。それで他人の意見についての批判的なことも委員長から注意がありましたが、同時にこの委員会は私の考えるところでは、証人から現地における真相を聞くことによって、われわれの今後の勤務評定の問題についての研究のとうとい資料を得ることが目的でありますので、従って私といたしましては、事実を聞くことは問題はありませんけれども、法に基いて教育委員会あるいは県の教委、地教委のなさったことに対して非違を究明するというような考え方も、あわせてこの際慎しむべきであると、かように考えるわけです。
  175. 湯山勇

    ○湯山勇君 議事進行。今そういう御発言がありましたので、私もこの際申し上げておかねばならない問題があると思うのです。それは先ほどの御質問の中に、たとえば法律を守るのか守らぬのかとか、ずいぶん突き詰めた御質問がありました。もしそういう質問が許されるとすれば、これはどんな無理なことでも、権力と威嚇をもってやるのかどうかというような、また逆な質問もできるので、野本委員の言われるように、そういう点は私はやはり言うべきでもないし、やるべきでもないと思うのです。で、そういう観点はよくわかりますけれども、しかし、具体的な問題をはずしてこの問題の質問ということはできない。ですから具体的な事実については、やはり十分お聞きしなければならないと思いますので、その点は抽象的なことではなくて、やはり質問を委員長において許されたい、こう思います。
  176. 岡三郎

    委員長岡三郎君) そこで、ちょっと申し上げますが、私は質問を制限する意思はさらさらないですよ。ただ問題は、質問に対して答えが出てくる、一応その答えが整つておれば、私はやはりその答えで一応不満足ながらも了承してもらわねばならぬと思う。ただ、質問の焦点に合った答えがどの程度かという問題は、これはなかなか問題ですが、これは委員長の方で進行する以外にはないと思います。それで質問にそれた答弁のみというふうに委員長が考える場合には、それは継続した質問を許しておるわけです。ただ問題は、答えがあった場合に、その答えが完全に満足しないというふうな点について、さらに幾へんもやるということになると、議事進行上一応さばかなければならぬ。こういう見解ですから、委員の質問については、質問の趣旨そのものについては、何ら制御をしていく意思はありません。従って証人の方においても、その点は十分お考えの上で証言していただきたいと思うのですが、この際一言申し上げておきますが、これはけさの委員長理事打合会においても、いわゆる証人としてお呼びいたしましたが、被告者を取扱うというふうな態度ではいかぬ、これは委員長の本来の考え方です。従ってここへ出てきた方々は、それぞれの当事者でありますから、十分この経緯についてお述べ願いたいということは、委員長はもうその通り要求して参っておるつもりですが、願わくはそういうふうな教育的な問題は、今後どう改善するのかどうかという点が一番問題だと思うわけです。その点については県当局、地教委、またその周桑郡の学校長及び教職員一体となって、どう打開していくのかという点については、お互い立場というものもそれぞれあるけれども教育的に見た場合に、これがどういうふうに改善されていかなければならぬかという結論を、私は実は出したいというふうに念願しておったわけですが、そのような点でこれは双方においてこういうふうな舞台を組むと、それぞれ立場を固執されるということはよくわかるけれども、わかるわけなんですが、このいわゆる証人喚問の問題を通して一つ建設的に、愛媛なら愛媛の問題というものを処理していただきたい、こういうふうな念願で委員長会議を主宰しているつもりなんです。そういう点で問題によっては、やはり対立する場合もあると思いますが、願くばそのような方向で議事を進行していきたいと思いますので、御協力をいただきたいと、こう考えます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  177. 野本品吉

    ○野本品吉君 それでは先ほども申し上げましたように、私は、この委員会お互いに拘束とか圧迫とかを感ぜずに、聞きたいことを聞き、ただしたいことをただして、そうして将来の勤務評定の問題の検討の素材を求める、なお、それが間接には愛媛県の問題の円満な解決のためにも役立つというようにということを念願しておること。それからもう一つは、お互いの、ここで論議検討しますことは、これも先ほども申したのでありますけれども地教委のやつたことの当否について、私としましては深く論及をしたくないと思います。要するに問題は将来この委員会と政府の問題になり、この委員会と文部省の問題になるというふうに私は考えておるわけです。そこで、大へん急がれますから、きわめて簡潔に申します。その第一点は、これは大体はっきりしたことですが、はっきりしておりませんから、私はあらためてお聞きするんですが、勤務評定の実施の要領のところの目的に、人事管理の適正を期するためにということがはっきり掲げられておる。ところが、一方では、これは人事管理の適正ということ以上に昇給昇格に直結したものではないか、こういう疑いがある。私は県の教育委員会責任ある、お二人のどちらからでもけつこうですから、勤務評定本来の使命である人事管理の円滑適正を期するためのものである、なお、それが勤務評定にある種の関連を持ってくる、こういうふうな考えでありますか、どうですか。その点を明確にお答え願いたい。
  178. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 今の御質問の通りです、そのように考えております。
  179. 野本品吉

    ○野本品吉君 それから先ほど来、序列の問題がいろいろと問題になっておりますが、この序列は、校内における序列は一応これくらいの序列が私はつけらるべきだと考えております。そこで、校内の序列は別といたしまして、隣接の学校、郡内の序列というようなことについて、横の調整については、どういうふうなお考えでありますか。教育長に……。
  180. 大西忠

    証人大西忠君) これはこのようにいたしております。各校から出ましたのを、この甘い辛いの点数もございますしするから、地教委においてよくにらみ合せまして、それを調整をいたしまして一本にいたしてしまうのでございます。そうして甘い辛いがなくて、ずっと一村内の順序をつける、そういうふうにいたしてやつていきたいと、こう考えて実施をいたしておるのでございます。
  181. 野本品吉

    ○野本品吉君 芥川さんも、それから県の教育委員会の当局の方も、校長処分、それからして四百五十名の教員昇給昇格のストップにつきましては非常に苦心され、また、現在心を痛めておられます御心境は、私は先ほど来の御証言でよくわかっております。従って地教委、それからして県教委におきましては、これらの点について将来どうするかということについて、謙虚に話し合ってみる心の用意がありますかどうかを、県の教育長さんにお伺いいたします。
  182. 大西忠

    証人大西忠君) その問題につきましては、校長にも、地教委を通じて、教員昇給昇格のことにも連関があるのであるから、よく考えて早く出してもらいたいということを、周桑郡のみならず他の郡でも申しておるのでございます。今日このような状態になりましたのを、私はひとり周桑郡の校長のみの責めに帰したくないのでございます。県教委も、地教委も、校長も、この問題を将来三十一年度に教員昇給できなかったという事実に、どう対応していくかという問題は、大きい問題であろうと思いますので、よく一緒になって研究をしていきたいものと思っておるのでございます。
  183. 野本品吉

    ○野本品吉君 渡部先生にお伺いいたします。それは、周桑郡の校長さんは、この勤務評定には応じられないということで終始一貫して参っておる。それから、先ほどの御証言を承わっておりますというと、今後もその方針に変りがないらしい。そのことはただいまも申し、また皆さんも御心配下さっております。四百数十名のあなた方のほんとうにたよりにしております先生方に大きな影響を持っておる。そこでこの点について私はお伺いしたいのは、全郡の先生たちもこの校長先生の処置に対して全員が満足し、納得しておるのでございますか。この点については渡部さんと芥川さんの両名からお答えいただきたい。
  184. 渡部薫

    証人渡部薫君) 四百五十の先生たちは、こういう内容勤務評定は、教育のためにならないから、どうかその点数とかというものはつけないでくれと全員一致で言われて、たびたび来ておりますので、校長意見も一致してこのようにやつてきて、最後的にはあそこまでつけたわけなんですが、校長処分の問題につきましては、非常に遺憾であるというふうに言っております。
  185. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 私の見解では、周桑郡の校長以外の教員は、事件の起った初めのころは、勤務評定提出せずということは、ほとんど大多数であったと思うのですが、私立会うたのじゃないのですが、自分の仄聞するところでは、そういうことになっておるようであります。これは渡部校長に聞けばよくわかるのでありますが、最後の三月三十一日のときの大体教員の意向というものは、これも大体大多数は、以前は反対であったけれども、そのときには提出してもよいということになっておったのでありますが、その内部の説明は県の規定する勤務評定に賛成したのか、ともかくも出せということに賛成したのかそれはわからない。しかし、大勢は、私は教員は出せというところに向いていたので、しかも一日かかってそれに説得をざれたのでありますから、そうなっておったと思う。従って、最後に、もう校長が思い切ったならば、この問題はこうなっていなかったのじゃないかということを思うておるのでありますが、将来といえども、よく校長及び教員を説得いたしまして、この問題については、善処していきたいと思うております。
  186. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで、さらに渡部先生にお願いいたします。あなたからだの工合が悪いそうですから、お疲れでしたら、そのままでお答え願いたい。それでは、あなたは現在周桑郡の教員組合の支部長と申しますか、委員長をなさつておりますか。そのままでどうぞ。
  187. 渡部薫

    証人渡部薫君) やっております。
  188. 野本品吉

    ○野本品吉君 やっております……。
  189. 渡部薫

    証人渡部薫君) はい。
  190. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで、私はお伺いいたしたいのでありますが、ただいまの周桑郡の先生方の気持は、各学校のいわゆる一教員としての気持の現われであって、組合という一つの組織といたしましての現われと、そこに食い違いがございますか。その点を渡部さんにお伺いしたい。
  191. 渡部薫

    証人渡部薫君) 食い違いはございません。
  192. 野本品吉

    ○野本品吉君 食い違いはない……。
  193. 渡部薫

    証人渡部薫君) はい。
  194. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこでさらにお伺いいたします。それは先ほどもどなたか触れられたと思いますが、私は校長さんが、管理職であります校長さんが、組合委員長をなすつておる、このことの当否につきましては、議論は別にあろうと思いますから、ここでは私はあまり深く入りません。ただ、ここで教員一般つまり組合としての立場と、あなたの校長としての立場はときに一致し、ときに一致せず、両立しない場合が予想されるんです、私には。その場合に、あなたはいずれの立場をおとりになりますか、事、教員に関する場合に。
  195. 渡部薫

    証人渡部薫君) お答えします。さきに申しましたように、私も組合をやっておりますが、従って、周桑教員組合責任者として、いわゆる教員組合運動責任者としての立場にありますが、私は教員組合運動も、子供の教育の向上ということが基本となりまして、そこに判断を置いて私は考えているつもりでございまして、あまり長いことやっておるわけじゃございませんけれども、私、校長職としてこの教育をどう進めるかということと、その組合責任者としての立場にある考えとの間に矛盾を私は経験したことがございません。
  196. 野本品吉

    ○野本品吉君 私がその点をただしましたのは、教員組合組合本来の目的といいますか、要求に従って団体的に行動されることに対しましては、私は何らの異存を差しはさむものではありません。しかし、たとえば、これは例が刺激的であるかもしれませんけれども、悪意で申すんでありませんから、あらかじめ釈明いたしておきますが、教員組合は、教員のある組織運動の必要上、一斉早退を指令した。ところが、教育委員会からは、一斉早退は好ましくないからやめるようにということを校長に示達してきた。この場合は、校長であるあなたと部下教員との関係と、それから、組合委員長としてのあなたと組合員との関係というものは、私は一致してこないと思う。そういう場合なんです。    〔湯山勇君「委員長、今のは答える必要ないでしょう。さっきの話と違う」と述ぶ〕
  197. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  198. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは速記を起して。
  199. 野本品吉

    ○野本品吉君 その次にお伺いしたいと思いますことは、本日の委員会の表題が懲戒処分についてといったような表題で、実は私としては非常に暗い気持になったのでありますが、これは先ほどどなたかも触れましたけれども、あなたが、懲戒処分を受けても、自分は悪いことをしたことはないということを言われたということが、ある新聞に報道されておる。これは事実ですか。
  200. 渡部薫

    証人渡部薫君) どの新聞にそういうことが出たか知りませんけれども、私は所属職員の勤務成績の証明書というようなものにつきましては、さっき申し上げましたように、出してもおりますし、それから今回の勤務評定につきましても、これはくどくなるんでございますが、最後まで教育委員さんと話し合いして、最後的に、この際はここまではいかなければならぬという気になって、あのABC階段をつけるようになったのでございまして、できるだけのことをやつてきたと、このように考えておるわけでございます。
  201. 野本品吉

    ○野本品吉君 時間を急ぎますから、具体的な今の新聞の記事その他につきましては省略いたします。そこで、あなたの今までの証言のうちで、私も一応納得のいく点もありますし、それから、なおあなたの考え方をお伺いしておきたいと思うんです。これは、先ほども松澤委員から御発言のありましたように、私も経験のあることでありますから、教員に点数で序列をつけるということは、これは非常に困難ではあることは、よくわかっております。よくわかっておりますけれども、かりに、あなたの学校に何名職員がおられるかわかりませんけれども、総合的に見て、その教員の持っておる長所短所、それから素質、能不能、こういうものについて確実に把握できないところには、それぞれの教員に適応する短所の矯正も、長所の助長もできないのであります。かような意味において、私は、学校の人事管理の上からいきまして、絶対にこの教員序列がつけられないという考え方は、そのこと自体が学校管理ができないということになってくるんじゃないか、そういうふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
  202. 渡部薫

    証人渡部薫君) 先生おっしやいましたように、私の学校は小さい学校でして、十三人の学校でございますが、この十三人の教員につきまして、私は決して万能ではないのであって、身に誤まることもありましょうししますけれども校長として所属職員の特性、また、毎日どのように授業に臨んでおるかといったような、そういうことを個人個人についてとらえるということはしなくちゃならないことであるし、当然また、そのことによって校長自身がやはり勉強しなくちゃならん、自分の校長としての資質といいますかを向上さすために、自分の反省のためにも、これはやらなくちゃならんと私も考えておりまして、教育委員会から年度末に人事管理のために、主として人事異動でございますが、これに使うための教員調書を提出せよと言われるわけでありますが、これにつきましては、私自身相当詳くし個人々々の教員につきまして、そういう点を述べてあるわけでございます。私だけではない、どの校長もそういう点につきましては述べてあると思うので、それをもとにしていただいて、まず周桑郡であれば、周桑郡の教育を高めるための効率的な人事配置とか、あるいは職員組織とかいう面についてやつていただきたい、こういう念願を持っております。そういう意味のあれはやつておるわけであります。
  203. 野本品吉

    ○野本品吉君 大西さんにお伺いいたします。あなたがお作りになりました勤務評定評定上の注意事項というのを、私はしさいに目を通してみました。で、かなり細心にお考えになられておることも、実は敬意を表しておるわけであります。あの項目のうちで、私は今日のこの問題と関連があると思いますのでお伺いしたいのですが、つまり、前に悪くても、その人間が今でも悪いというような考えにとらわれはいけない、それから、ある特定な素質が非常に優秀だからといって、全部が優秀であるというような錯覚にとらわれてはいけない、こういう注意書きがある。この注意の趣旨は大体わかっておりますが、特にその二点につきまして、立案者であり実施の責任者でありますあなたの解明をいただきたい。
  204. 大西忠

    証人大西忠君) ただ簡単に勤務成績が優だとか秀だとかいうような要素を考えないでいいますと、えて人間の長所と短所というものは裏履になっておる関係もございますので、憎しと思う者には、その長所が短所に見え、また、かわいいと思う者には、短所が長所に見えるのが、これが人間の欠点だろうと思うのであります。従いまして、ああいうような要素を考えまして、あらゆる方面からこれを吟味いたしますれば、主観で評定をすることでございますけれども、やはりそれが客観性のあるものになって真実に迫り得ようかと思いますので、そういう意味からいって、思い誤まられやすくないようにいたしたいという考えで、そういう点もよく吟味をするようにあの項目も入れたのでございます。  それから当該職員の従前の評定結果によってというのは、えてして評定が安易に流れる、前のを引っぱり出してきて、さらにもう一ぺん見ようというような場合に、新しい目で職員をよく見て長短を考える、その後の勤務というものの伸び、この教員が進歩をしているのか、退歩をしているのか、同じに歩んでいるのかということを、さらに吟味をしなければならないことでもございますので、そういう点も考えまして、そういうような留意事項を入れたわけでございます。
  205. 野本品吉

    ○野本品吉君 私が最初にお尋ねしましたのは、今度教員昇給昇格等と勤務評定とが、ある程度の関連性を持ってくる。そこで、最近の現実を正確に把握するためには、古いそれにとらわれてはいかぬというお気持であるかどうか、そうであったのではないかというふうに考えるのですが、その点はっきりしたい。つまり、前によかったからといって、それが今でもいいような考え方をしてはいかぬ、悪かったからといって、今でも悪いような考え方をしてはいかぬということは、最近の事実に基いての措置をしたいと、そういうお気持であったのではないかと推定するわけなんですが、その点はどうですか。
  206. 大西忠

    証人大西忠君) これは臨時評定と、それから定期評定でございますが、定期評定は一年に一回で四月から十二月までの期間のことを考えて、その間の勤務を評定いたすわけでございます。それから臨時評定は年に四回分けまして、それぞれその教員昇給に必要な期間、たとえば六ヵ月、九カ月、これをさかのぼって評定をするような方法をいたしておるのでございます。仰せのようにその期間におけるものをさらに更新して新しい目で見ようと、こういう趣旨でございます。
  207. 野本品吉

    ○野本品吉君 それからこれは渡部さんにお伺いいたしたいと思います。あなたは先ほど来、何と申しますか教育的な勤務評定ならばとか、あるいは正しい評定ならばというような言葉を使われて、あなたの考え方を表明されたのでありますが、あなたの意図されております教育的な評定あるいは正しい評定ということについての、あなたのお考えがおありになるに相違ないのでございますが、県で示された勤務評定に対して一貫して反対されるあなたとすれば、それに対するあなたの言われる正しい評定、あるいは教育的な評定というものに対して、おそらく具体的な構想をお持ちであろうと私は想像するわけです。そこで、先ほど来申しますように、今後の評定の問題についての有力な参考にしていかなければならぬ。こう考えますので、あなたの構想を具体的に、ここで御発表願えれば大へん仕合せだと思います。
  208. 渡部薫

    証人渡部薫君) 最初に申し上げますが、そういう具体的な構想を持っておりません。ただ、さっきもちょっと申しましたように、その教員個人々々の特性とか、特技とか、あるいは欠点とか、そういったものを絶対評価の立場に立ちましてとらえる、しかもそれが将来教員がやはり伸びていくように使用せられるもの、それからこれならやれると、みんなが校長が自信を持って書かなければならぬし書ける、そういうようなものを件つていただきたい、こういうふうに考えておるだけでございます。
  209. 野本品吉

    ○野本品吉君 言葉じりをつかまえて、どうということではございませんし、あなたと議論するつもりでもございませんが、私の言おうとするところは、終始一貫県の示された勤務評定の問題に対しまして反対の立場をとられたあなたとすれば、これに反対するだけの具体的な一つの解決策を持って臨まなければ、先ほど私の申しました四百五十人の問題も、なかなか解決できないのじゃないか。私は本日実はあなた方のお考えになる勤務評定についての具体的な解決策が伺えると思って、期待をしておったのでございますが、この点の御回答が伺えないことを私はさびしく思う。  もう時間もだいぶ迫りましたから、最後に一点確かめておきたいと思いますことは、要するに人事管理の適正、円満な運営のためには、勤務評定は必要であるというお考えであるように私は了解いたしました。そうしてその適正な勤務評定というものがどういうものであるかについては、あなたにはまだ具体的に発表するまでのものがないと、こういうように把握してよろしゅうございますか。
  210. 渡部薫

    証人渡部薫君) そのように了解していただいてけっこうでございます。つけ加えさしていただきますけれども、三月三十日に芥川先生を代表とする地教委の方たちと私たち校長代表組合代表などが約束した際にも、将来つまり本年度になりますが、勤務評定については根本的に検討をし直す、その一例として、勤務評定については、県の教育委員会それから地方教育委員会、それから教職員その他学者、なおPTA等も入れて、そういうような組織を作つて、これは重要問題であるから慎重に検討をしていただきたい、組織としては今のは一例でありますが、そのようにやっていこういうふうに先生とも約束をしたことによりましても、私が現在具体案が直ちに示せないという点、御了解いただきたいと思います。
  211. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の渡部さんのお言葉で、将来県教委地教委あるいはPTA等にと相談していろいろ検討を加えたいということであります。私は、そのうちのPTAというものは、そういう問題についての検討に参加すべきものであるか、すべからざるものであるか、させるがいいか悪いかということは私は疑問を持っておりますが、それは別として、地教委それから県教委の方々のこの点についてのお考えをさらに確かめておきたいと思います。
  212. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 私は、PTAというものは、そういう問題に関与しない方がよいと思います。やはりPTAの性格の本質からいきますると、少し逸脱するのではないかと、私はそういう考えを持っております。
  213. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 今の質問はPTAの問題についてしているのでなくして、つまり昭和三十二年度として今後こういうような重要問題については、いろいろと検討しなくちゃならぬという点で、地教委の方としてもこういう問題についてどのようにお考えになっているかという点の質問をしたと思うのですが、その点について、こういういわゆる勤務評定についてどういうふうに今後検討されるか、そのことをお聞きになったと思うのです。
  214. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) それはさきに渡部校長から申し上げました点で、PTAを除きましたならば、同様な意見を持っておりますので、県の教育委員会、それから地教委委員会、学者、経験者というようなものをもって委員会を組織して、この勤務評定の審査委員会といいますか、そういうようなかりの名前でありますが、そういうものを組織して、そこで検討を加えましたら、今日の問題はおそらく起らなかったのじゃないかと思います。ぜひそれを進めたいと思っております。
  215. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 大いにこれは検討したいと考えておりますが、今審議会の話も出ましたが、これもよほど考えなければいかぬと考えております。審議会の性格をどのようにするか、やはりこれは県教委が主体となって諮問的にこれを聞いて、県教委できめるというような姿、または審議会というものに全部権利をまかして、そこで決定したものを取り上げるというようなこと、はっきりわかっておらぬわけですが、この問題は私一個人が答えるわけにはいきませず、県の委員会ともよく相談をして、よく検討してみたいと考えておりますので、ここではっきりした御返事をするわけにはいかぬと思います。
  216. 野本品吉

    ○野本品吉君 よろしゅうございます。
  217. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は事実の認定だけを数点についてお伺いしたいと思いますので、結論的に簡単にお答え願いたいと思います。大西証人に伺いますが、勤務評定要領というのは、条例あるいは規則等でお考えになっておられるのか、そうでないのか、その点をまず伺います。
  218. 大西忠

    証人大西忠君) 条例、規則を必要としないと考えております。
  219. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 要領条例でもなければ規則でもない、こういう解釈ですね。
  220. 大西忠

    証人大西忠君) その通りでございます。
  221. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に、四月三日周桑郡の校長さんから出されたのは、大部分は三段階であったが、一部には順位をつけておったのがあったという証言があったのですが、すなわち周桑郡の校長の四月三日出された中の一部には、他郡の校長が出されたものと同じものがあった、こういうことですね。
  222. 大西忠

    証人大西忠君) 違っております。一部といいますのは、一部分という意味でなくして一枚の一でございます。それから他の郡が出しておるような評定の方法ではございません。どう言いますか、要素の中の書き込み方が、県の指示するものではなかったのでございます。
  223. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 周桑郡が地教委に対して処罰内申をしてほしいと要請されたのは、いつでございますか。
  224. 大西忠

    証人大西忠君) 初めの方が三月二十六日でございますから、それからあとの方は四月の三日でございます。四月三日、これは朝三時まで時間が続きましたので、三日といいますか四日といいますか、そういう時間の経過の問題でございます。
  225. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 処分する場合には、地教委内申をもって県教委責任処分すると法律でなっているわけですが、あなたの法律解釈は、処分するに当つては、地教委処分の要請をして、そうして内申を待って処分すると、こういうふうに法律を解釈されているわけでございますね。
  226. 大西忠

    証人大西忠君) 要請をいたしたのではございません。処分ということは、もうすでに三月にきまっておったのでございます、出さない場合には……。それでその後の状況も考えまして、その程度をどうするかという問題について、地教委協議をいたしたのでございます。
  227. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあ、私はさっき要請の時期を伺ったわけですが、これはまあこれで次に参ります。  処罰内申はいつ受け取られましたか、その形式はどういうものでございましたでしょうか。
  228. 大西忠

    証人大西忠君) 四月の四日に受け取っております。その様式はただいま持って参っておりません。
  229. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 処分内申を受け取ると同時に、直ちに処分の発令をしたということに時間的になっているわけですね。
  230. 大西忠

    証人大西忠君) さようでございます。
  231. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 教育者を処分する場合に、その取扱い方に問題点があると思いますが、意見になるといけませんから、その点は触れません。  次に伺いたい点は、前愛媛県教組の書記長はかつて校長であった。そうして許可を得て専従組合員となって書記長の職にあった。従来愛媛県では前職が校長であった人は、現場に復帰する場合に全部が全部校長に復帰していると了承しているのですが、その点は相違ないですか。しかし、このたびはこの書記長は校長から格下げになっていると承わっているのですが、それが事実かどうか。そういう取扱いをされたのは、どういう御見解に立たれたのか、簡単にお答え願いたい。
  232. 大西忠

    証人大西忠君) 従来は校長職にあった方が、組合の専従に出ましてまた帰ります際には、校長職に帰っていくということが例であったようでございます。しかしながら、これは校長職から組合の専従になっておりませんので、教諭でございますから、時と場合によって教諭で帰り、時と場合によって校長で帰ることはあり得ることだと思っているのでございます。別に不利益処分だというふうには考えていないのでございます。それから本人が宇和島の学校に籍があるということですが……。(矢嶋三義君「書記長の問題です」と述ぶ)その通りでございます。
  233. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に伺いたい点は、二月十二日、私ども期限をお伺いした場合に、この勤務評定をやられるに当つて、文部省の方に何かの指導助言を受けられましたかと私がお等ねしたときに、所管局長である内藤局長はこれに反対であるという表明をされたということを、教育長お答えいただいたと思うのですが、それに相違ございませんね。
  234. 大西忠

    証人大西忠君) 私その際に時間も迫っておりましたので、詳しいことを申し上げなかったのを、はなはだ遺憾と思います。法律上の指導助言ということが、どういうことかは別といたしまして、私たち文部省へもたびたび顔を出しますし、こういうやり方について遺漏がないか、また、よりよいものを求めるために、いろいろ御相談もしていただいておりまして、六、七項については文部省の方からも御注意もあり、私たちもさよう考えているという点の一致した点もございます。それから点数表示の点でございますが、そのときも、簡単にそういうことを申し上げたのでございまするけれども、局長さんは何かその間隔と序列を見るという方法は、教育委員会の考え方としてはよくわかるけれども、なかなか評点をつけるということはむずかしいので、他に方法はないか、自分は教師に点をつけるということは反対であるとおっしゃったのでございます。その評点をつけるというその考え方が、先ほどから私がるる申しておりますように、評点ではなくて、序列と間隔を見るということについて多少誤解があられるのじゃないかという意味のことを、その際に申し上げたのであります。それはそれといたしまして、初中局長さんは何かよい方法はないか、必ずしもそういうような方法をしないでも、A、B、C、D、Eとかいうことで誤まりなく教育委員会が考えておるような評定校長から得られるんじゃないか。少しお前たちは物を心配し過ぎているのじゃないかというような意味の御発言があったと記憶をいたしておるのでございます。その際、私といたしましては、県庁の職員の方もそういうようにやつておりますし、これができないということもあながち考えられないと思いますし、また、どうしてもそういうような方法で間隔と順序を見ることでなければ、真実に迫る意味でのA、B、C、D、Eという評価も出て参りませんし、また、人事管理の上からいたしましても、全部が勤務成績優良だとか、ただ単に秀だとか、優だとかいうようなことでは将来使えませんので、はなはだ固執するようで申しわけありませんけれども、そういうような方法をしたいということを申し上げたのであります。今日周桑郡の評定の出し方等を見ましても、やはり私たちが杞憂をいたしておりましたことが、若干当つておるように思っておりますので、この数字でどうというようなことは、これはもう非常に研究をせなければいかぬのでありますけれども、そういう間隔と順序を見る方法につきましては、私は将来よく研究をして、やはりそれを持っていくべきだというように考えておるのでございます。
  235. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 竹葉証人にお伺いしますが、この勤務評定の問題は、愛媛県に関する限り、政争の争いの渦巻の中に巻き込まれたというような反省を、お持ちになりませんか。
  236. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 持っておりません。
  237. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 新しい教育委員会法の立法精神並びに政府の当時における国会における提案理由においては、教育委員会自主性確保ということが、第一重大な提案理由と相なっておるわけでございますが、本問題の起る前から、この問題の紛糾した過程を通じて、県教育委員会は完全にあなたが満足されるように自主性が保持されたとお考えになっていらっしゃいますかどうか。その点お答え願いたいと思います。
  238. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 保持されたと考えております。
  239. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで、私は非常にこの点心配しているわけなんです。で、お伺いしますが、実は二月十二日貴県にお伺いしたときに、あの席で皆様方といろいろ質疑応答をして、その打ち合せが終ったあと、教育長さん記憶があると思いますが、文教記者クラブの方々が八人議員調査団だけと懇談したいと言って、教育長のあなたの部下が二、三人残ろうとしたが、いつも君らは秘密会、秘密会と言って僕らを追い出すじゃないか、きょうは君らは出て行け、そういう表現で何して、われわれ議員とだけ話をした。そのときに非常に心配する言葉を承わったからこういうことを伺うわけです、これはあえて大事なところだから……。そのときに八人の新聞記者諸君が異口同音に、主として私の方に向いて言ったのですが、あなた方ここへ来てこういうことを質疑応答しているが、この問題は簡単だ。これは愛媛県の自民党県連が愛媛県教組の組織弱体化のためにやつている以外の何ものでもないのですよと言って、わざわざ調査に来た君らは何だといって嘲笑するような態度で、新聞記者諸君が異口同音に言った。このことを一人の新聞記者が言われたならば、それほど気にかけずに帰るかもしれませんけれども、八人の人が異口同音に話された点、さらにあの愛媛新聞を見ますと、この点申し上げておいた方がいいと思いますが、お読みになったと思いますが、県教育委員会とは自主性なきものの代名詞だというようなことが書かれているのですが、そういうふうになっておるわけです。くだけた言葉にしても、少くとも活字になって、二百万の愛媛県民の眼に映ずるということは、これは私は非常に重大なことだと考えるわけです。この勤務評定については、今大西教育長から説明されておりましたが、私あのとき調査に参ったときに承わったときに、かなり教育長さん心配されて、やはり苦悩されておったと思うのです。局長もこういうのじゃどうかなあと反対されておるけれども愛媛県としては、ともかくやるということになったからやるので、まあ非常に心配だ。それからまた、芥川委員長さんも、ともかく県教が十分連絡をとつてくれないで、県内へこういう案を持ち出してこういう形でいくので、うちの方では県でまとまらぬので心配だという、非常に苦悩の色が見えておったのですが、私は従って、そのあとで何らか円満解決するだろうと思って帰って来たが、事は最悪事態になって、一郡の校長全員三十四人処罰される。それが処罰内申があって、その直後にすぐ間髪を入れず三十四人の校長全部の処分がされ、あるいは一郡の中の四百五十人の教員全部に昇給昇格をストップされる。これは民事損害賠償のなにが成立するだろうと心配しておるのですが、あなたが困るだろうと思って心配していますが、それをもあえて押し切つてここまでやられたのは、これは私はちょっと良識で考えれば、新しい教育委員会法を考えるときの自主性確保、一番大事だと考えられたその点懸念される点があるのじゃないかと推測せざるを得ないわけですね。従って、あえてこの点を承わったわけですが、重ねてこの点をお答え願いたいとともに、今後この問題を解決していくに当つて、そういうような自主性を県民に疑わせるようなことは、これは十分、お願いですが、注意していただきたい。そうして今後の問題を処理していただきたい、かように念願すると同時に、お伺いを申し上げるわけでして、この点については、一つ委員長さんと、それから大西教育長さんからお答え願いたい。愛媛には私はそうむちやばかり言う、むちやばかり書く新聞記者はおられないのじゃないかと思いますが、その点いささかの反省も、御心配になる点も、あなた方はないと、あえてここで証言できるかどうか、伺いたいと思います。
  240. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) いろいろそのように見られる点があるかもしれぬと思いますが、われわれとしては、今言いましたように、どこまでも自主性を持ってやつておると考えるのであります。互いに委員会も相戒めて努力しておる考えでおります。今後もその点、そういう誤解があるとするならば、十分に解いて、県民にも真に教育委員会自主性を持ってやつておるという認識を高めるようにしなければいけないと考えます。
  241. 大西忠

    証人大西忠君) 処罰の問題でございますが、これは地教委と三日の夕方から四日の朝三時ころまでかかりまして、双方が熟議をして、慎重の上にも慎重を期してきめたものでございます。そうして教育委員会といたしましても、地教委内申を待って、この程度処罰をしよう、こういうことを議決をいたして、そうしてその内申に基いて直ちに実施をいたしたわけでございます。これは教員異動も迫っておりましたので、早く教員異動もいたしたいと、一たん異動しますと、いろいろ命令その他の関係で、むずかしい問題もあるしするから、急いだ方がよかろうということであったのでありますが、現実、その異動はまだ行われておらないので、そういう関係もあって急いだので、この点は地教委委員会を開催してきめております。県教委も開催をいたしてきめております。その程度等も、熟議に熟議を重ねたものでございますので、誤まりはないわけでございます。  それから昇給の問題でございますが、先ほどから、るる申し上げましたように、これは予算を執行し、法律の上からいかんともしがたいことでございますので、今日こういう状況なのでございますけれども、繰り返しますように、校長が悪いのだから当りまえだというような考え方は持っておりませんので、これはやはり三十一年度はこのようになりましたけれども、将来どういうふうにしてこれを解決するかということは、私たちの心痛事でございます。
  242. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に。教育委員会自主性について竹葉証人は自信を持ってお答えになったわけですが、そうだとすれば、少くとも私どもは国会を代表して正式に貴県に調査に参ったものでございます。その者に対して新聞記者諸君がさっき私が申したようなことを言われるということは、教育委員会としては、さぞかし私は心外だろうと思うのです。従って、私は、先ほど竹葉証人証言からするならば、お帰りになったならば、あの当時われわれ調査団に会った新聞記者のそういう発言に対して、抗議を申し入れられる用意があるのではないかと思いますが、この点と、それから愛媛新聞が、県教育委員会としては自主性なきものの代名詞だというようなことを活字にされているわけですが、そういう点についても訂正の申し入れをされる御用意があるのではないかと思うのですが、いかがでございますか。それをされないと、新聞記者諸君は、やっぱり僕らが言ったのは正しかったのだと、県の教育委員会は何も反駁してこないと言って、あなた方をなめてくると思うのですが、どうですか。
  243. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 今のお話初めて耳にしたので、帰りましたら、こんな話を聞いたがと言って、新聞記者にも一つ聞いてみる考えでおります。それから新聞の論説、私はちょうどその論説は読まなかったのですが、そういうような記事だろうと思うのですが、ときにはあの新聞の論説も、そういうような論説を書くときもあるし、また県の教育委員会のやった態度に対して賛成して書いている場合もあるし……。
  244. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、勤務成績内容じゃなくて、自主性がないということを盛んに書いているのです、愛媛新聞に。それを非常に心配しているわけです。
  245. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) これは、とにかくものの見方が二つになっていると思うのです。一方の道を通ると、一方の方から一方の方に片寄って、自主性がないと言われるし、もし、これが一方の方と同じようなわれわれが考えになってその道を行うとしたら、また一方からはそのように見られるのじゃないかというようなふうにも考えております。そういうふうな誤解を生んだ点もあろうかとは考えますが、また、新聞記者などもよくものの真相を見た記事を書いてもらいたいというような考えを持っておるわけでして、愛媛新聞社の論説委員も知っておりますから、なお私もよく話してみようと考えます。
  246. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  247. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  248. 高田なほ子

    高田なほ子君 二、三点お伺いいたします。評定について人事委員会は勧告する権利を持っているわけでありますが、愛媛県の出された評定についての素案については、人事委員会からは相当の勧告があったように考えられますが、勧告の内容及びその内容がどういうふうに結果として尊重せられたか、詳細にこの間の事情を承わりたい。
  249. 大西忠

    証人大西忠君) 一般職員につきましては勧告はございますが、教職員については勧告はございません。それから私たち勤務評定をやろうということをきめました際に、人事委員会は口頭で三つの問題を申して参りました。その一つは、評定者を複数にしてほしい。評定の公正を期するために複数にしてほしいということでございます。それから予算の七割ということとD、Eとを結びつけてはならないということを言って参りました。それから学校間の調整をはかってほしいということを言って参りました。この三カ条でございます。  それで第一の問題につきましては、地教委校長、それから県立学校については校長と県の教育委員会というふうに複数制をとりました。それから七割とD、Eを結びつけるというやり方はいたしておりません。それから学校間の調整は、先ほどお答えを申しましたように、一度各町村をほどきまして、そうして調整をとるというようなやり方をいたしておるわけであります。いずれも勧告は万度に尊重いたしております。
  250. 高田なほ子

    高田なほ子君 尊重したかしないかという事実については、ここで詳しくお聞きいたしませんが、これは若干の異論を持っておるということだけ保留しておきます。  次に、お尋ねをしたいことは、先ほどから繰り返された問題ですが、最終的に私は確認したい問題が一つあります。それは、評定は単に昇給昇格のみではないということが、繰り返し大西証人から言われておりました。ところが、そのあとで芥川証人は、三月三十一日までに評定を出さなければ昇給をストッする、これが県の方針である、こういうふうに証言されたわけであります。言いようによっては、同じようにとれるかもしれませんが、考えようによっては、大西さんと同じような考え方にとれるかもしれませんが、勤務評定昇給昇格の絶対的な条件となるために、ここにストップという県の方針が出ておるように考えられますが、芥川さんのおっしゃったことが正しいのか、また大西証人が言われたことが正しいのか、まことにこれは去就に迷う重大点であります。明確に答えていただきたい。
  251. 大西忠

    証人大西忠君) その点についてお答えをいたします。私たち周桑のこ  の評定が最終まで出ないといようなことは、三月の終りくらいになるまで信ずることはできなかったのです。地教委が非常に努力をし、命じて下さつているから出るというふうに考えておったのでございます。従いましてそれを参考にして昇給昇格をやられるものだ、年度内に出て参るということが明確になりますれば、これは私が委員長や、委員にもお諮りをして、知事の方へも、いかなる困難を排してでも、予算措置をとつてもらわなければ私たち責任が立たないというふうに考えておったのでございますが、ちょうど調停者が出まして、予算措置ができたわけでございますので、この点非常に喜びもし、安堵もいたしておったのでございますが、最終、ああいうふうなことになりまして、こと志と違いまして、昇給法律の上でも、予算の執行の面でもできないことに、結果的になりましたのをはなはだ遺憾に思うのでございます。決してこうなりましたことを趣旨といたしておるというわけではございませんので、その点誤解のありませんように、お願いをいたしたいと思うのであります。
  252. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、三月三十一日までに出さなかった場合には、県側はストップする意思は毛頭なかったのだ、そういう方針ではなかったのだ、芥川証人証言は違うのだという結論になりますが、その通りですか。
  253. 大西忠

    証人大西忠君) その意味の反対でございます。私たちは出ると思っておったのでありますが、出ませんので、突然こういうどうにもしようのない事態を惹起をいたしたのであります。
  254. 高田なほ子

    高田なほ子君 折衝の不手際だというふうに私は解釈をいたしますが、これは追及いたしません。  次に、お尋ねをいたしたいことは、先ほどの大西証人の御発言の中で、四月三日までに地教委評定を出してもらいたいというきわめて幅のある解釈方をしておったような腹もあるが、自民党の議員が非常に怒ったというふうな証言があったわけであります。なぜ、自民党の議員が怒ったことだけが、ここにあげられなければならなかったか。そのときに、その怒ったことが原因で、議長に対して解決のための白紙委任状を渡したのか、その間の事情と、もう一つは、議長に対して解決について白紙委任状を渡したということは、教育委員会また教育長としての責任放棄ではないか、こういう見解を持っております。この間の事情について、もう一度説明していただきたいと思います。
  255. 大西忠

    証人大西忠君) それはもう三月三十一日までに評定が出なかったのでございますから、議長が前に調停をいたしたことは、県の段階においては無効になったのでございます。それを心配いたしまして、議長が、地教委が四月三日まで持とうという、そういう約束もいたしておることも考えまして、白紙でまかしてくれということで議長が党の幹部に相談をしない前に、地教委との間にそういう話をいたしたのであります。で、その白紙内容でございますが、できるだけ地教委も郡の教組と話し、また県の段階でも話したことをかみ合せて処理をして、両方がまずいことにならないようにということの意味が含まっておったと、私ははたから見て感じておったのでございます。それが党の幹部の方へとってかえって、こうこうこういうことでいたしたいということでございましたから、党の幹部が非常に激怒をしたそうであります。そうしてまかすとか、まかさぬとかいうようなものじゃない、とにかく四月三日まで待つから、あとの措置はまかせてくれというように言いなさいということだった、という報告を議長から聞いたのでございます。私たちは決して自主性の放棄と思っておりません。その調停内容、県の段階におきます調停内容等については、逐一私ども委員会の方にも連絡がございまして、適正な執行ということが考えられておるわけでございまして、自主性の放棄というふうには考えておらぬのでございます。
  256. 高田なほ子

    高田なほ子君 愛媛県の県会自民党ばかりなんですか、社会党や無所属党の議員等についての動静とか、またそれらに対して自民党に頼まれたなら、当然他党に対してもお話し合いがあってしかるべきではないかというふうに考えられます。それからもう一つは、どうもお疲れになったせいですか、大へんに私には今の御答弁にも矛盾が感じられるわけです。三月三十一日までに出さなければ、もう県では懲罰することにきめておったのかと言えば、議長あっせんの内容は四月三日まで待つ腹であったというように、どうも矛盾撞着が感じられてならない。一貫してない。はなはだくどいようでありますが、その矛盾した点をどういうふうに考えておられますか。
  257. 大西忠

    証人大西忠君) お答えいたします。その問題はさきの経過でも申し上げましたように中正クラブの佐々木、都築という両議員が、これはもう初めから、一人は教員の出身の方でございますが、御心配になって下すつて、私たちにもいろいろお話をして下さるし、非常な御心配になって下すっておったのでございます。この方が自民党の方へ申し込まれましてなされたことでございまして、私たちがこの調停を依頼したとか、このことに参画したとかという問題ではございません。社会党の方もおられるのですが、社会党の方がその調停の中に加っておったということは聞いておらぬのでございます。聞いておらぬということは、いないという意味ではございませんで、私がつまびらかにいたしておらないという意味でございます。  それから三月三十一日というのは、どこでも、予算等を執行します期限でございますが、こういう点は、地教委の方もまた法律に不なれな御関係もあったので、はなはだ失礼な言い方ですが、そういうことがございますし、また、この問題を必ずしも時間切れでどうということを地教委として御心配になっておられたのじゃないかと思うのですが、四月三日までというようにお話になったという事実を聞きまして、やはり三月三十一日ということを法律上も生かすためには、三月三十一日に受けた書類ということにして、それを追完せしめようという、親心でございます。どうかその点御了承を願いたいと思います。
  258. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に一点だけ伺いますが、これは明確にしておいていただきたい。校長処分に至るまでの日時的な経過、これは間違いなくここで言って下さい。いつごろからこの懲罰を決定したか。具体的に言うならば、懲罰をしないという約束をしたその以前から、懲罰の問題はすでに県当局で出ていたはずです。いつごろから、出さなければ懲罰するというようなこの脅迫的な基本方針を、県教委で持っておったのか、日時の推移を追って明確に答えて下さい。
  259. 大西忠

    証人大西忠君) 私たちは、いろいろ他からも質問があって、そのつど答えておりますから、そういうことの証拠について、御必要であれば、お調べをいただきたいと思うのでありますけれども、出さなかったら校長処罰するのじゃないかというような問題が、たびたび、一月ごろか私たち聞かれておったのでございます。私はこれが出ないということをどうしても信ずることができませんので、議会等におきましても、また私自身が周桑郡へ出かけました際にも、地教委の方々等にも、この処罰という問題は考えられない……、それよりも出すだろうと、また出さすのが、教育の本義ではないかということを言っておったのでございます。また、この出さなかった場合には、秩序の確保の意味から申しましても処罰ということは当然考えられることでございますけれども、こういうことを申して校長に出さなかったら、処罰をするぞというような意味のことを言って書かすべきが、勤務評定の本筋ではないということを強く信じておりましたので、処罰の問題は考えもいたしませんし、またそういう問題を研究したこともなかったのでございます。三月二十六日に至りまして、いよいよ年度も迫りますし、出すということになれば予算を執行しなければならぬ。予算がありませんのですから、知事に要請をしなければならぬという段階が起きまして、地教委の方をお呼びして御協議をいたすときに、地教委としては、とうていこれは出ないだろうというお話し、もう万策尽きておるというお話しでございましたから、その際に処罰の問題も御相談をいたしたのでございます。処罰の問題を考えた最初は、三月二十六日でございます。
  260. 高田なほ子

    高田なほ子君 処罰するまでの……そのあとはどうなったのですか。そのあとはどうなったのですか。三月二十六日から処罰するまでと質問したでしょう。
  261. 大西忠

    証人大西忠君) 三月二十六日に見えまして、三月三十日までにさらに出すように督促もして、そうして出してくれるだろうと、もし出さない場合には、三月三十一日付で処罰をしようという考え方に立っておったのでございます。それが最初のときの経過でございます。
  262. 湯山勇

    ○湯山勇君 もうおそくなりましたから、簡単に主として事実についてお尋ねいたしたいと思います。第一は、この懲戒処分説明の中に、再三にわたって命令をしたと、こういうことでございますが、これについては芥川証人のおっしゃるのは、まあ渡部証人が言うように、命令をしたと言えばしたとも言えるし、しないというふうにとるのもこれも間違いのないことだと、こういうまあお話しでございました。だとすると、その地教委命令をしたとも言えるし、まあしなかったとも言えると、こういう段階で、県の方で再三の命令にもかかわらず職務を遂行しなかったと、こういう判断をざれたのは、一体どういうことでしょうか。そのときに本委員会でただいままでに明らかになったような事実をよく御存じの上でやられたのかどうか、これを伺いたいと思います。
  263. 大西忠

    証人大西忠君) 三月二十六日に私たち地教委教育長、それから委員等と御相談をいたしました際に、地教委の方からそういうお話がございまして、これは再三命令をしておるのに相違ないかと、相違ないと、そういう記録もあるし、証拠もあるからというお話しでございますし、内申にもそういう意味のことを書かれておりますので、私たちは再三命令をしたけれども出なかったということを、そのときのお話を信じておるわけでございます。
  264. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは、まあ先ほど芥川証人が最初に御発言になったように、渡部校長命令ひなかったのだというふうに取るのも、それは決して間違いとは言えないというような、事情はおわかりになっておらなかったと、こう判断していいわけでございますか。
  265. 大西忠

    証人大西忠君) 私たち地教委はどういう言葉づかいをいたしたか承知をいたしておりませんけれども校長に出すのを、同僚が催促をしたり、下の者が上の者に頼んだりする関係ではないと思っておるのでございます。言葉づかいや何かは別といたしましても、それは命令だと解しておるのでございます。
  266. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一点、今の点非常に重要な点だと思いますから、お許しを願ってお聞きしたいと思います。つまり本委員会芥川証人が言われたようなことは、当時はこの県の教育委員会の方へはおわかりになっていないでですね、そうしてとにかく命令をしたのだと、こういうことから処罰をされたと、こういうふうに先ほどからの御答弁では受け取れるのですけれども、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  267. 大西忠

    証人大西忠君) これは経過等の様子も、私ども教育事務所等から通じて承知をいたしました点から申しましても、ただ三べん言って、その三べんのうちが懇請だとか懇談だとかいうような問題じゃなくて、もう一月以来たびたびにわたって校長とは、地教委とは折衝をいたしておるのでございます。そういう点も含みまして、私たちはこれが地教委のとった行動が命令であると解しておるのでございます。
  268. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは地教委のとった行動が命令だという解釈に立って処分をされたと、こういうことであって、地教委のとった行動が命令であったかどうかということの確めですね、それはなさらなかったわけですね。
  269. 大西忠

    証人大西忠君) 先ほど申しておりますように、確めておるのでございます。三月二十六日に確めておるのでございます。
  270. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、今度はこの芥川証人にお尋ねをいたしたいのですが、ただいまの点について、先ほどの御答弁の中で命令をしたというふうに言えばそれは言える。けれども渡部証人の言うように、命令を受けていないと言えばそれもまたそういうふうにも言えるという、両方肯定された御発言がありまして、この点非常に微妙だということでございましたが、私はここでまあもし御記憶ならば、はっきり業務命令としておやりになったのは、いついつであるということがわかれば、一つお知らせ願いたいと思います。
  271. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 校長、教頭を呼ぶとか、あるいは——いうような簡単なことでなくて、一月の二十六日には町の教育委員会を開催いたしまして、そうして町内の校長を召集いたしました。その席上で勤務評定が一月の十九日に決定したから、これを提出せよということを改めてはっきり申したのでありますから、公けの席でありまして、決してこれが業務命令でないというようなことはございませんのです。さらにこえて、二月二十二日も再び校長を召集いたしまして、重ねて勤務評定提出方を催促しておりますので、そういうようにたびたび正式に、個人を呼び出したようなことでなくして、校長全員教育委員会全員委員会に召集いたしまして勧奨に努めております。しかし、それはどこまでもこの道義的に、圧迫を加えるというようなことは避けまして、この勤務評定の必要なこと、勤務評定がここまで至るまでの経過をよく報告して、納得してこれを出すようにということを勧奨したわけなんで、明らかにこれは業務命令でありまして、さらにそれではいかないというので、三月二十六日には、今までそういう場合に勧奨にとどめておりましたが、三月二十六日は公文をもちまして勤務評定提出するように命令を下しております。
  272. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじゃ公文をもって命令したというのは、三月二十六日一回でございますか。
  273. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 一回です。
  274. 湯山勇

    ○湯山勇君 あとの場合は、これは先ほどの渡部証人の発言の中にもあったように、必ずしもこれは命令だというようなことではなくて、たとえばお願いだとか、今のお言葉で言えば勧奨というような御表現がありましたけれども、業務命令というのには、私はやはり相当重要な法律的な要素、根拠がなければならないと思うわけです。で、ずいぶん、一緒に県の方へも、この勤務評定には無理な点があるというようなこともおっしゃっておる事実も考え合せてみますと、それからまあ先ほどのように、校長側はそれは必ずしも命令とはとらなかったのかもしれないというような点から考えてみますと、その辺若干あいまいな点があったのではないかというように考えますが、そういう点はなかったのでございましょうか。
  275. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 委員会に招集いたしましてそうして勧奨に努めたときにも、業務命令であるかどうかという質問があったわけなんです。明らかに業務命令であるから、これはよほど慎重に考えて出してもらわなければならぬということは申しておりますので、業務命令であるということは、校長では業務命令はできぬのだというようなことを解釈する者はありましたけれども、事実上これは業務命令で、口頭でもよく、文章でもよろしいのだから、口頭でお伝えするから提出するようにということをはっきり申したわけであります。
  276. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっとこれは食い違いがありまして、少し時間がかかりますけれども、お許し願いたいと思うのですが、さっき渡部証人から、業務命令かということをお尋ねしたときに、これは業務命令ではないというような地教委からの御発言があったという証言もあったわけでございます。それについては、最初のところではそれを肯定されたような証人の御発言があったわけでございますが、その点いかがなんでしょうか。
  277. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) これは経過でありますが、初めの方にはそういうような経過もありましたので、地教委によっては、あるいはそういうことはあったかもわかりませんが、私の関係しておりまする地教委におきましては、はっきり明瞭になっておりますので、余地をはさむところはございません。
  278. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじゃ周桑の中の他の地教委には、そういう所もあったかもしれないと、これはやはり調査しないとわからないと思いますが、まあそれについては私はお尋ねしないことにしまして、大西教育長さんにお尋ねしたいのは、給与法で言う成績良好ということと、それから勤務評定での成績の良好、これとは同じだとお考えになっておりますか、違うとお考えになっておられますか、これ一つ伺いたい。
  279. 大西忠

    証人大西忠君) この点につきましては、人事院の見解と私たちの見解とは、多少違うところがあろうかと思います。というのは、人事院の見解は、直接聞いたのではございませんが、当院における速記録等でお伺いしたのでございます。ただ、私が違うと申したいのは、この四十条でしたか、条文は違つておるかもしれません、この条文における勤務評定というものは年に一回やりますが、また給与におきまするのは、年に四回行うわけでございます。私の方ではそういうふうに明確に区分をいたしておるのでございます。従いまして定期評定で評点をつけられた人が、臨時評定でどのようになるかということは、期間のとり方が違いますから、おのずから変つてくることと思います。それからまた、臨時評定におきましては、期間のことも考えて、成績のことも考えてやらなければならぬという立場もあろうかと思います。それで、定期評定におけるA、B、C、D、Eと臨時評定におけるA、B、C、D、Eが一致ずるものとは思っておらないのでございます。従いまして、私の方でも定期評定の方ではA、B、C、D、Eという評語をとらないで、イ、ロ、ハ、ニ、ホという表現をとつておりまして、それが明確に違う場合があり得るのだという態度をとつておるのでございます。
  280. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか、臨時評定における勤務成績の良好ということと、それから給与法でいう成績良好なものについてはという、この成績良好ということとは同じだ、こういうことになるわけでございますか、お答えいただきたいと思います。
  281. 大西忠

    証人大西忠君) さよう考えております。
  282. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、これは明らかに定期評定は別として、臨時評定は給与法でいう良好な成績で勤務したということにかわるものですから、参考ではなくて昇給の資料である。定期評定のことについては申しません。臨時評定は、明らかに昇給昇格参考ではなくて資料である、基礎資料である、こういうふうにならなければ、今のようなことにならないと思いますが、これはそう解釈してよろしゅうございましょうか。
  283. 大西忠

    証人大西忠君) その点で私はちょっと見解が違うのでございます。臨時評定におきましては、どこまでを、良というのを普通という成績にとりますか……。
  284. 湯山勇

    ○湯山勇君 良好です。
  285. 大西忠

    証人大西忠君) それは私はCで普通の成績というふうに考えておるのでございますが、臨時評定においてD、Eというものを、評点をつけられましたものが、期間ということを考えてそのDを昇給せられ得る場合はあり得ると思うのでございます。従いまして、そういうことから考えて、また予算というものがこのように制約をされます場合におきまして、Cというものが全員昇給ができない場合があります。従いまして、それをどういうふうにとるかという問題等も考えなければならぬと思いますので、そういう意味からいって、私たち勤務評定参考としてという言葉を使っておるのでございます。
  286. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで問題になりますのは、給与法では明らかに良好、その期間を良好な成績で勤務したという証明がなければならない。これは二つあってはならないと思うのです、その証明は。ところが、今の教育長さんの御説明によれば、Dであったからといって、勤務成績が悪いということにはならない。同じDであっても、勤務成績が悪いということにもなる。これでは証明ということにはならない。そうすると、臨時評定の今おっしゃったような形のものを給与法でいう成績の証明にかえるということは、これは理論の上からいって不可能なことになるわけですが、それはどういうことになりましょうか。
  287. 大西忠

    証人大西忠君) 私はただいま申しましたような考え方を持っておるのでございます。しかしながら、今回の給与の措置につきましては、期間も考えてDを昇給せしめるというところまでは実はいっておらぬのでございます。将来この問題はよく研究をいたしてみます。
  288. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではこの点では御確認願いたいのは、勤務評定では今の評語で出て参りますから、で、良好な成績で勤務したという証明はない、つまりABCDEございましょう、評語が。そうすると、そのDがときによれば上るし、ときによれば上らないというのですから、Dという評語が良好な成績で勤務したという証明のかわりはできない、もちろんEという評語もできない、Eもできない。A、Bこれはおそらくだれが考えても、その証明になると思いますけれども、結局問題になるのはC以下だと思いますから、そうすると、給与法でいう良好な成績で勤務したということの証明は、勤務評定では明確にはできないと、今お考えになっておるものではこういうことになると思いますが……、言葉です、つまり良好な成績で勤務したということの証明というものはこの中からは得られない、こういうことになると思いますが、いかがでしょうか。そのときそのときの委員会の判断でとるだけであって、監督権者からの証明だと、こういうことにはならないと思いますけれども、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  289. 大西忠

    証人大西忠君) その問題、先ほどから申しますように、私は研究不十分であるのかもしれませんが、そういうふうに解しておったのでございますが、具体の事実に逢着をいたしておりませんので、よく研究をいたします。
  290. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではその問題はそれだけにいたしまして、竹葉教育委員長さんにお尋ねしたいのは、最初はやはり予算の問題から出発したと、こういう御証言がございました。ところが、途中から必ずしもそういうことでもないというように変ったということについて、まあ教育長さんの方は誤解があったというように、非常に幅のある御証言をなさったわけですが、教育委員長さんの言われる勤務成績予算との関連において出発したものが、いつごろからどういう動機で、そうでない、必ずしも予算から出発したのだけれども、それ第一ではないということになったか、このいきさつを少し御説明いただきたいと思います。
  291. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) これはすぐでして、実は私が委員の任命を受けることが大体きまった九月の二十七日ですか、県の教組から見えて、大体あなたらが委員になりそう、きまりそうだが、勤務評定の問題が今あるが、これはもう絶対にやらないようにしてくれというような話があったので、一番初めにわれわれの頭にきたのは、この問題だったわけなんです。そのときの様子では予算の問題がからんでおつたわけでして、その方面から考えておつたわけですが、いよいよ委員になって、それから勤務評定というものについて研究をして法文なり、条例なりというものを読んで参りますと、これが単にそれだけの問題ではない、昇給昇格の問題だけではないという点が、すぐにこれはわかる問題でもあるし、わかったのであります。先ほど言いましたのは、順序的に言うたのであって、期間的にはごく短い問題です、事実がわかったのは、そういうふうに考えたのは……。
  292. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは次にお尋ねいたしたいのは、芥川先生にお尋ねいたしたいのですが、処罰書類が不備だというので処罰をなさったのか。処罰内申を、勤務評定提出しなかったということを処罰の対象になさったのか。この点はやはり先ほどの御証言をずっと通じて聞いておりまして、どうも不明確でございます。で、出さなかったというように県の方では主としておっしゃった点があったと思うのですが、芥川教育長さんの御証言では、それよりも出されたものがABCであった。そこでこの書類が不備だ、記載が不備であるということを強調されたように私ども受け取っております。そこでこの出さなかったことが処罰の対象になったのか、書類が不備であったことが処罰の対象になったのか、この点は一つもう一度内申を待って処罰を受けるわけですから、内申書立場において一つ明確にしていただきたいと思います。
  293. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) ABCで提出をしたというようなことは、さきにも申し上げましたように、決してABCで提出したようになっておらないのです。きわめて最後の線を、ちょっとABCが総評のところに書いてあるだけで、なかったものですから。それから根本的には正式の勤務評定提出しなかった、それゆえにどうしても処罰を免かれないということに決定したわけなんでございます。
  294. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは表現が非常にむずかしいと思うのですが、つまり正式なものを出さなかったという言い方もありますし、出されたものが不備であったということもやはりあると思います。そこで処罰するときには、そういうところはやはり明確にしないと、ものが処罰でございますから、そこで処罰されたことは、つまり書類が不備であったということなのか、出さなかったということなのか。これはもう一度一つ、大へん恐縮ですけれども願いたいと思います。
  295. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 非常に重要なことでありますために、三月三十日の日に周桑教組教育委員会とで団体交渉をやったのであります。その席上で、団体交渉責任に私が立ちましたわけです。従って代表の者が三、四十名来られました。その席上では、はっきりと県の指定する勤務評定を三月三十一日には出せということを明確に申しておるのでございます。それから三日の日の九時に、先ほど申したようなふうに、出された勤務評定は正式なものでないから、直ちに改訂をするようにということを申しておるのでございます。さらに松山から夜間に周桑の出張所の分室に向いまして、正式の勤務評定でなければ通過しないから、これは各町村に移送して、そうして正式の勤務評定を出すように校長に通達をしてくれということで、各地教委を通じまして申しております。でありますから、私といたしましては、初めにはいろいろ何とかして出すために手段や方法を講じたのでありますが、最後には、はっきりと打ち出しておるのであります。あいまいな点は決してございません。
  296. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、これは芥川先生のあるいは個人的な御見解を聞くようなことになるかもしれませんが、先ほどの御証言の中にも、順位をつけると、それから点数評価はむずかしい、できればABCくらいにしたらばいいじゃないかという御見解がありましたが、個人的な御見解からいえば、最後に出されたものは、先生のお考えになっておるものと一番近いものではないかというようなことも言えると思うのですけれども、それはどんなものでございましょうか。
  297. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 確かに私は、最後は申しませんが、終始一貫してABCの評価でよろしいということを常に主張し、それから三月三十日の日に周桑の全教員が集まった時分に、私が説明したときにも、さらに、何とかして勤務評定を出してそうして周桑郡の教育者の昇給昇格だけは救ってくれということを申したことは、事実でございます。しかし、最後段階になって、団体交渉になりました時分には、明らかに正式の勤務評定でなければならぬということを打ち出しております。そのABCでいいということは常に考えておりまするし、また、そういうことを申しておりましたのであります。従いまして、私の前言をとりますれば、それはABCでいいから出した、しかるに、それが正式なものでないからというので突っ返したということは、無法でないかということに解されるのでありますが、それは前の段階で申しましたら、そういうことが言えます。かりに、ABCでよかったといっても、先ほど申したように、全部、十項目にABCがついておったならば、別に方法はあったと思います。書いてないんです。白紙なんです。それでいかんともしようがないので、さらにそういう手順をとりましたわけでございます。
  298. 湯山勇

    ○湯山勇君 よくわかりましたが、非常に失礼なお尋ねで恐縮ですが、一つお答えいただきたいと思いますのは、評定責任地教委にある。それから、校長には評定責任が果してあるかどうか。県の方でおきめになっておる委員会規則でございますか、それで見ますと、これは高等学校の分でございますが、それにおいても、校長勤務評定について具申することができるというようになっておるようでございますから、そうすると、との委員会規則のお考えから言えば、校長には必ずしもその責任はないんじゃないか。しかし、まあ校長に一応この実施要領責任が持たされたとしても、より大きい責任地教委にあると、こういうふうに私はこの要領並びに委員会規則を見まして考えるわけでございますが、これについては大西教育長さんの御所見を承わって、そのあと芥川先生にお尋ねしたいと思います。
  299. 大西忠

    証人大西忠君) 私は、あの条文の校長の具申権というものは、校長地教委から命ぜられなくても、部下の身上等については絶えず地教委へ言うことができる具申権だというふうに解しておるのでございます。そうして、県の人事委員会からも勧告がございましたように、調停者を複数にするという建前を考えますれば、どうしても地教委とそれから校務をつかさどり、部下を監督する責任がある校長とを評定者にせざるを得ないのでございます。校長地教委が指揮監督します以上は、校長に第一次評定を書けという命令をいたしますことは、何ら不都合でないと考えておりますので、この処分は適法かつ適当なるものと思っておるのでございます。
  300. 湯山勇

    ○湯山勇君 それで、校長の場合は、評定者にすることの当否を私は申し上げておるんじゃないんで、地教委の方がより大きい責任と権限を持っておるということではないかということをお尋ねしたんですが、これは間違いであれば、御訂正を願いたいと思います。そういう観点に立って見ますと、この校長から出たものが不備であるという場合には、この要領によって、地教委はそれを完備する責任を持たされておる、規則の上で。これは事実だと思います。ところが、実際においては、そういうことがなされていない。で、これについては芥川先生の先ほどの御証言では、実際はもうABCと書いてあるだけで中になんにも書いてないものを地教委としてはどうにもしようがない、やらなければならないし、どうしてもやれと言えば、それはできないとは言えないかもしれないけれども、不可能だと、こういう御証言があったわけでございます。これは裏返して言えば、芥川先生のおっしゃったのは事務的にできないという意味のことをおっしゃったし、それから渡部証人が言ったのは、事務的にはそれはできると思います。けれども、今度は良心的にできない。地教委は事務的にできない。校長さんは良心的にできない。地教委がみずから事務的に不可能だということをおっしゃったように、校長良心的にできないということも、私は、非常に教育の経験者であり、また、県下で尊敬されておる芥川先生としては、十分おわかりじゃないかというように考えるわけでございますが、たいへん失礼なお尋ねかもしれませんけれども芥川先生から一つ御答弁いただきたいと思います。
  301. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 非常に苦しい答弁で困っておるのですが、私は県の企画のもとに地方教育委員会が行うというその意味におきましては、県が企画いたしましても、地方教育委員会が地方の実情を十分に察知して、そうしてその計画に検討を加えることをしたならばよかったと思うのでありまするが、その際に、地教委連絡協議会は、県下のはまだできておりませなんだ。個人心々が集まりましてそうしてやつたために、きわめてデリケートな場合に、それは採決になったのであります。もしその時分に教育長会議とか、あるいは地方の教育委員会というものが正式に成立しておりましたならば、それに諮って十分検討を加え、そうして最後の良案ができたのじゃないかと思うのでありますが、私は返す返すも……、県の企画が悪いとかいいとかいう問題よりも、その問題に検討を十分地教委が加えなかったということは、私は地教委責任が重大であると思います。これはもう明らかに思うておりますが、しかし、この企画のもとにおけるところの勤務評定学校長に命ずることは差しつかえないことでありまして、当然これはでき得ることなんであります。ただ、遺憾な点は、そこが遺憾と思います。
  302. 野本品吉

    ○野本品吉君 関連して。今の、ちょっとこれは私は渡部さんにお伺いしたい。それは、湯山さんの非常にレイサイな頭で論理的に言われましたけれども……。    〔矢嶋三義君「レイサイな頭か、レイサイはいかんね」と述ぶ。笑声〕    〔湯山勇君「レイサイでいいです」と述ぶ〕
  303. 野本品吉

    ○野本品吉君 あとで取り消す。これは非常に重大な点なんで、あえて立つた。と申しますのは、湯山さんの意見を批判するのじゃありませんが、地教委教員勤務評定責任者である、これはまさに形においてそうだけれども、それだからといって、その地教委の管理下、管轄下にあります教員評定地教委にまかせるというようなことは、校長の、部下を愛し、部下を育てていく点から、絶対に許されないことだと思う。この点について、私は、渡部校長の所信をお伺いしたい。
  304. 渡部薫

    証人渡部薫君) 校長ができる限りの評定をいたしまして、それに基いて地教委が十分御判断をいただきたいと、このように考えております。
  305. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで、従って私は勤務評定内容のいかんにかかわらず、やはり地教委から求められた評定に対しては、一応それを受け入れようとする努力があってしかるべきだと思う。それをあなた方の主観といいますか、主観によってという印象を私は持つのですよ。それによってこれを拒否するとか、排撃するとかいうことに対しては、もう少し慎重であるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  306. 渡部薫

    証人渡部薫君) 非常に私たちは慎重にやつてきたと思っております。地教委最後的に求められるABC、先ほども申し上げたのですが、四月二日の正午ですが、ABCというぐらいであれば、僕の持論だから、地教委として処理をするつもりだと先生も言われたし、十分この点私たち慎重に、ただこれをとにかく拒否というような一本やりじゃなくてやってきたのです。これはもう事実でございます。
  307. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでこの規則とかそれから勤務評定要領が、やはり法的な根拠を持っておるという芥川先生のお話しでございましたが、それでもし校長を今のように法に従わない、命に従わないというようなことで処分されるとすれば、地教委もまたこの要領には従っていない、これに違反しておる、第二次評定者としての責任を尽してない、何もお書きにならなかったわけですから、調整も何もなさらないということになると、その点では地教委もまた同じじゃないか、ただ一方は事務的、一方は良心的という違いだけで、その間に命令なり規則なり、そういうものに対する態度としては、私は区別はつけられないんじゃないかというふうに思いますけれども竹葉教育委員長さんの御所見を伺いたいと思います。
  308. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) ちょっとどう判断していいかわからぬですが、よく考えてみなければいかぬと思います。
  309. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは教育長さんでもけっこうです。
  310. 大西忠

    証人大西忠君) 私も突然の御質問で、行政執行者というものがそういうものかどうか、直ちにお答えがむずかしいと思います。
  311. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは芥川先生、端的にお尋ねしますけれども周桑の全郡の地教委は、第二次評定者としての職務を果しておられるかどうか、先生はどういうふうに御判断になられますか。
  312. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 一般教員勤務評定は、先ほど申したように地教委がやろうと思ってもできません状態だから、これはやっておりません。しかしながら、その情勢判断は検討してこれが勤務評定であるかないかということにつきましても、相当検討いたしたつもりであります。それから校長勤務評定提出しております。ただ、臨時評定提出しておりません。だから一般定期的の勤務評定は、全部校長のは提出しております。責任問題では地教委としての責任は非常に痛感しております。
  313. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 竹葉証人大西証人の湯山さんへの答弁は、そのまま聞きおくわけにはいかぬと思うのです。湯山さんはやはり愛媛県出身なので非常に御遠慮なさつているようですが、私どもおいで願って承わっているものとして、いやしくもこの人事権を最終的に責任をもって持っておられる県の委員長さんと教育長さんの答弁は問題があると思う。それは学校長は自分の能力の及ぶ範囲内において、ともかく県教委が気に入らなかったかもしれないが、自分らは良心に誓って書けるだけの評定を出したわけですね。それから地教委の方は、第二次評定者としての責任はあるが、自分らには十分その評定をする能力がないから、書いて出さないでそのまま持っていった。県教はそれを気にくわないから戻した。地教委校長に持っていって、お前はそれだけの能力しかなかった、その書き方は不十分だというので、処罰内申までして処分しておる。そうしたら県の教育委員長あるいは教育長としては、地教委内申を受け付けたときは、一言あってしかるべきで、あなた方処罰権があるならば、これは地教委をも処罰しなければおかしいですよ、その点よく考えなければ答弁できないというその考え方は……。竹葉さん、ここで遺憾であったら、遺憾であったと御答弁願いたいと思います。これはあまり考えないでも答弁できると思う。
  314. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) ちょっと考えないと答弁できないと答えたのは、地教委処罰するようにというようなことを言われたから……。私は地教委がとにかく最終の段階にせよ、県の基準の何を出せということは校長の方に強く言われて、いろいろ一回、二回と期日も延ばして、それの出ることを信じて待つたがそれが出なかった。地教委は十分に努力をされておるものと私は信じております。それに今のように地教委責任があるのではないかというようなことに対しては、私の考えておることと、今の話とに違いがあるから、すぐに返事ができないと言ったので……。
  315. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長さんに……。委員長さんは、地教委は、県教委、自分らの意を体して努力した、しかし学校長努力しなかったという前提で論じられておるのですね。この認定は私はつかないと思う。学校長としては教育者の良心として、あの十項目の百点満点、一人について、一人の学校について、平均七百点以下という評価はできない。しかしいろいろと関係者と話し合った結果、ABC三段階くらいならいいから、そのくらいでやってくれぬかといわれたから、最後にそうして出された。これは私は学校長としては大きな努力だと思う。ずいぶん努力されておると思う。そうして出されたその行為というものは認めてしかるべきものだと思う。これを全然学校長努力しなかったのだ、それから地教委は第二次評定者責任は尽さなかったが、努力したようだからこれは落度はなかった、こういう認定は私はつかないと思う。しかも、その地教委が、これは芥川さんに対しては少し過酷かもしれぬが、その地教委があなた方の要請に基いて処罰内申をして、そうして学校長処罰したということは、しかも、それが子供の前に立つ教育者である、いまだ日本の教育史上にない、一郡の学校長三十四人全部を処罰したということは、私は良識をもってとても納得ができかねるところで、そこのところは、やはり筋を通さないと、私は問題だと思うのですが、どうでしょうか。
  316. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 先ほど言いましたように、この基準の問題は、たびたび地教委とも相談をして最後的には地教委も、周桑郡は今言ったような修正の話も出たのですが、他の郡は全部これに賛成してこれを行うということをきめたわけでするそうしてこれをもって校長と話をして、それが出たのでありますから、私はやはり周桑郡も大勢がきまった以上、それに従ってそれを出さすという努力をされたのだから、私は周桑校長としても、他のすべての郡市の校長が出しているものが出ないことはない、その考えに何か踏み切りをつけてもらえば出ないことはないので、それがもしやつて悪ければ、来年三十二年度にでも強くこれを要求していただいて、改正するという態度に出てもらいたいと考えて、最後まで出ることを信じて地教委最後まで努力をして参った、このように考えておったわけです。
  317. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  318. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。一つ簡単明瞭に御質疑を続行していただきます。
  319. 湯山勇

    ○湯山勇君 簡単明瞭にと言われましたので、質問が非常に端的になるかと思いますが、お許しをいただいて……。この四百五十名の予算を除外したという問題ですが、これは予算を除外した、けれども昇給はやるということは私はこれは理由にならない。予算というものは政策が具体化されたものが予算ですから、予算から除外しておいてやるといっても、それは信憑性はあまりないと思うのです。そこでこのことについてお尋ねしたいのですが、教育長さんも、先ほどの御証言によれば、勤務評定が出ないから予算措置ができないのだと、こういうことでございました。しかし、そういうことになりますと三十二年度の昇給予算はお組みになっておるか存じませんけれども、これはまだどこでもおそらく勤務評定は出ていないと思います。三十二年度は。従って三十二年度の昇給予算というものは全然組まれていない、こういうことになると思うので、これは予算に最も通暁しておられる教育長さんの御答弁としては、ちょっと私疑問を持つわけで、この点はどういうことなのか、三十二年度の昇給予算はどうなっておるか、伺いたいと思います。
  320. 大西忠

    証人大西忠君) 三十二年度の予算につきましては、今べース・アップの問題や、それから学歴是正の問題等もございますので、これからそういう面についても予算追加をしなければならないという状況になっておりますしいたしますので、当初予算におきまして三十一年度に昇給ができました程度昇給原資というものは組み込んでないのでございます。しかし、これはもう最近に方針をきめまして、おそらく三十一年度の昇給原資程度のものが組まれるのだろうと思います。私たちはなおこの勤務評定を将来運用いたしていくにつきましても、できるだけ多くの予算を要求いたしたいというふうに考えているのでございます。
  321. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のは昇給予算というものは、勤務評定がなければ組めないという、そういうお考えは最も通暁された教育長さんの言としては、少し違っているのじゃないかというように思いますのでお尋ねしているわけです。
  322. 大西忠

    証人大西忠君) あとの方の御質問だけにお答えをしましたから、何だかへんてこになりました。初めの分は三十一年度はそういうことでございましたので、何も原則とかどうとかいうことでなくて、非常に予算も少いときでございましたので、そんなふうにたまたまなったのであります。原則というふうには考えておらぬのであります。
  323. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでよくわかりました。で、まあ委員長左藤さんもずいぶん急いでおられますから、最後にこれは少し意見にわたりますけれども一つお聞きを願いたいと思います。  勤務評定というのをよく調べてみますと、あの中には勤務評定によって優遇するということは書いてございます。これは優遇するということは、やはり勤務能率の増進になるからでございます。ところが、冷遇するという言葉は全然ありません。勤務評定というものが能率の向上に最もつながっているということは、これからもわかるわけでございます。しかし、勤務評定昇給のストップに影響するということになれば、これは確かに優遇ではなくて冷遇だと思います。この辺は委員会が出発された当時予算問題から出て十分その点についての御検討がなくて出発されたところから、誤解があったかと思いますけれども、やはり御検討も足らなかったのじゃないか、率直に言わしていただきますが。で、勤務評定という以上は、やはりこうすれば勤務能率が上っていく、しかし昇給を足踏みさすことによって、果して勤務能率が上るかどうか、逆のことも考えられます。そういうものは法の建前からして勤務評定ではとるべき態度ではないということが前提になると思います。  そこで周桑の問題が起ったことですが、これについては私は簡単に言うことをきかなかったというのではなくて、本日の御証言によっていろいろ思い当る点が出て参りますのは、一つは今お尋ねした予算措置がなされなかった、これは予算措置がなされないということは公表されますから、そのことは周桑校長なりあるいは地教委の方たちに決していい影響は与えない、刺激を与えたのじゃないか、こういうことが一つ考えられます。  それからもう一つは、これは竹葉委員長さんも一月何日かの説明会で、よくわかった、できるだけ一つ希望に沿うようにしようという御発言、これもこのことは悪い希望じゃなくて、いい希望を地教委並びに校長諸君に与えたというふうに、これは当然判断できると思います。  それからもう一つは、やはり私は非常に尊敬おくあたわざる周桑地教委の態度だと思います。最終段階に至るまでの態度は、あくまでも校長と話し合つて、しかも是は是とし、非は非として校長との話し合いを進められた。こういうことも私は新しい教育委員会の運営としては非常にとうといことだ。そういうことなくして、だた県教委命令だからやれという押しつけでは、教育の民主化はできないし、職場の民主化ということもできない。そういうことをやればやるほど、せっかく県の意図した勤務評定によって能率を向上しようというその大前提もくずれてくると思います。しかしながら、結果的には、やはりそのことも確かに周桑勤務評定を出すことをいざぎよくしなかった要素になると、私は本日の御証言から受け取るわけであります。で、そういうふうに考えて参りますと、予算措置の問題、それから竹葉委員長さんの御発言等は県教委関係があり、それから地教委の方は地教委関係があり、校長さんの方は校長さんの方でまたいろいろ問題があると思います。従って今日のこの事態責任といいますか、そういうものは必ずしもこれを校長にかぶせるべきものでもなければ、また特定の地教委にかぶせるものでもない。県教委地教委、それから校長さん一体になって、この事態についての責任は、私は処罰とかそういう問題じゃなくて、みずからの反省において責任を感じなくちゃならぬというように私は思うわけでございます。まして四百五十名の教員には私は何らこれは罪はないと思う。今のような言い方を許していただけるとすれば、県教委地教委、それから校長、この三者の飛ばっちりを受けて、今日の事態に追い込まれておる、こういうことも決してこれは私は否定できないと思うのです。そういうことがもし教育の能率向上の上に何らかの影響を与える、こういうことになれば、私は勤務評定の様式がいい悪いということよりも、もっと大きい責任県教委地教委校長さんの上にかかってくるということを大へん心配いたします。  それから第二は、この措置によって今の子供の教育に与える影響と同時に、教職員の生活に与える影響、決して小さくないと思う。おそらく各校長さんたちは、四ヵ月という根拠もお聞きしたいのですけれども、これはまあ別にして、四ヵ月一割といえば、一万円以上の減俸になると思います。そのために自分たちの生活の切り下げをしなくちゃならぬ、こういうことになると、現在の給与体系は御承知のように生活給を主とした体系をとつております。それに成績を加味していこうというのが県のお考えだと思うのですが、そのことが生活に影響する、実生活に影響してくるということになると、これもまた私は別な観点から大きい問題じゃないか、また昇給すべきものがしないということによって、これも若い教員で給与の低い者は非常に大きい影響を受けるのじゃないかというようなことも考えられます。そこで、ただいま申しましたような観点から、この問題については私は感情的になってはならぬと思うのです。(「質問じゃなくて意見だな」と呼ぶ者あり)残念だけれども、それはお許し願うと言ったのだから……
  324. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 続けて下さい。
  325. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、感情問題を離れて冷静にこの問題を改めて解決する御熱意をお持ちかどうか、私は持っていただかなければならぬと思うのですが、一つ教育委員長さん、教育長さん、それから芥川教育長さん、それから渡部さん、その四人の方の御意見を伺いたいと思います。
  326. 竹葉秀雄

    証人竹葉秀雄君) 先ほども申したと思いますが、こういう事態はいい事態ではないのでありまして、できるだけこういう事態が早く解消するように努力いたしたい、このように考えております。
  327. 大西忠

    証人大西忠君) 委員長と全く同感であります。
  328. 芥川準一郎

    証人芥川一郎君) 竹葉県の委員長のおっしゃった通り同感でございまして、その線に向いたいと思います。
  329. 渡部薫

    証人渡部薫君) 私もこういう問題が長らく続くということは、絶対好まないところでございまして、三十日最後的に地教委の方々と御相談ができて、職員たちにもよく納得をさして、できる限りのことをやったのも、そこまで踏み切ったのも、そういう気持から私どもとしては誠意を持ってやつたつもりでございまして、この校長処罰の問題、教員昇給ストップ、そういうことにつきましては、冒頭にも申し上げました、最初に申し上げましたように、私どもは何ら動揺することなく、一生懸命教育に精進しておるのでございまして、私ら自身、十分誠意をもって、これについては解決をしていくように、また、皆様の御尽力によりまして解決もしていただきたい、こういうふうに思っておりまする
  330. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 以上で本日の議題でありまする愛媛県における勤務評定に伴う小中校長懲戒処分に関する件の証言に対する質疑を終ります。  終りに臨みまして、着席のまま失礼いたしますが、長い間各証人の方々においては、委員会の審議に益するように御証言をいただいたことを厚く御礼申し上げます。  私が先ほども申し上げました通りに、本委員会としては、なかなかこれは教育上重要問題であるという点で取り上げ、しかも、今後において急速にこの問題については何らかの結論を得るように、われわれとしてはお願いをしたいというふうな観点によって、こういうふうな会を持つたわけでありまして、その真意を了とせられ、十分御検証の上、現場の職員を含めて、皆で一ついいものができるように今後の御精進、御努力をお願いいたしまして、本日の会を終りたいと思います。  これにて散会いたします。    午後六時四十分散会