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1957-04-11 第26回国会 参議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十一日(木曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            野本 品吉君    委員            川口爲之助君            左藤 義詮君            林田 正治君            三浦 義男君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            湯山  勇君   政府委員    調達庁不動産部    長       松木 豐馬君    法務省人権擁護    局長      鈴木 才藏君    文部政務次官  稻葉  修君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省管理局長 小林 行雄君    運輸省航空局長 林   坦君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (茨城県における焚書事件に関する  件)  (羽田飛行場周辺学校における騒  音防止に関する件)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  茨城県における焚書事件に関する件を議題といたします。まず文部当局より、先日要求いたしておきました焚書事件に関する調査報告を聴取することにいたします。
  3. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この前高田委員からその後の教育委員会のとった措置と、それから人権擁護局関係及び警察署関係について、さらに調査を進めるようにということでございましたので、最近までわかった事情をこの前の調査報告に追加して申し上げたいと思います。  最近の児童状況につきましては、学校内での児童への影響でございますが、これは大した悪影響があるとは感じられない、多少二、三の児童山方町立西金小学校に転校したという事実があるわけであります。教員間につきましては、表面的には特別の影響は見られない。職員会議においても感情的な対立は見られない。多少気まずい空気はあるということでございます。父兄間には大体了解がついて平静に戻っております。しかし一部には石澤助教諭にいてほしくないという気持がある模様だが、今のところ特に強く現われてはいない。それから石澤助教諭につきましては、町の教育委員会勧告注意あとは、無断欠勤とか、遅刻早退等の不良好な勤務状態は見られなくなった。石澤助教諭は、この前もお話しましたように、勤務成績がはなはだ芳ばしくなかったということは事実でございます。学校内では必要なこと以外は、最近は非常に無口になった。これに対しまして、教育委員会がこの前申し上げましたように、双方注意を与えたわけでございます。そうしてその点もございまして別に処分というものは双方いたしておりません。しかし勤務成績双方とも良好でないということで今期の昇給は見送った、これは校長石澤助教諭ともにでございます。双方とも定期昇給を見送ったというのでございます。  それから警察側の点でございますが、これは現地を管理する大宮警察署では朝日新聞の報道によって初めてこの事件を知ったので、ただ報道の中に失火事件があったので、その調査を行なった、しかしながらこれは小事件なので調査を打ち切った。石澤助教諭思想調査などを行なった事実はない。この前木村安明氏の宅を訪れたというお話がございましたけれども、これは別にそういう意味ではないのでございまして、たまたま何か農協の大宮出張所長のところに行ったことがある、その主任をしていらっしゃるのが木村安明氏だということで、これはそういう関係ではございませんということを言っておりました。それから部落民に、警察側から石澤助教諭をかばうなというように働きかけたというお話もあったのですが、そういう事実もない。この点については警察側からいっても御質問があれば警察側の方から詳細に御説明申し上げますと、こういうことでございます。  それから人権擁護局の方の調査によりますと、これは水戸法務局校長及び石澤助教諭双方呼んで事情調査したと、しかし両者陳述が相当食い違っておる。そこでまあそれほど大きな事件ではないというふうな解釈をして、一応調査を打ち切ったと、しかし最近高田委員からの御要望もあったので、法務省人権擁護局では四月の十一日に現地実情調査を行う予定であります。本日たしか地教委の方に水戸法務局一緒現地に行っているはずでございます。そういう意味で、人権擁護局見解は、との調査結果を待たなければ、詳細な御報告はいたしかねますと、こういうことでございます。
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまの報告に質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部省からの再調査について御報告を承わりましたが、人権擁護局の方でもただいま調査中であるという文部省側からの御報告でありましたが、局の方からもお見えになっておられますか、御報告を一応承わって、総合的な質問をさしていただきたいと思います。
  6. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。  それでは今高田委員から要請がありましたので、これから法務省人権擁護局長鈴木才藏君より焚書事件についての説明を求めます。
  8. 鈴木才藏

    政府委員鈴木才藏君) 本件につきまして、先ほど文部省の方より御説明があったと思いますが、水戸地方法務局人権擁護課で一応調べたのでございますが、それからこちらの方に報告がございましたのですが、校長助教諭陳述が、またその申し分が一致いたしませんで、真相が把握できません。それで昨日本省の二名と東京法務局の二名、四名を現地に派遣いたしました。徹底的に真相を把握したいと思っております。何分非常に交通の不便なへんぴな所にございますので、相当十分な調査をいたすには二、三日かかるのじゃないかと、こう思っております。で、その調査の結果またあらためて御報告いたしたいと存じております。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 水戸地方局から報告があったそうですが、どうも両者言い分が食い違って、真相把握に困難であるために再度調査に行って下すった、大へん御苦労様なことでございますが、一応今ここにお持ち合せになっておられますか、水戸地方局中間報告というものは。これは中間報告になるでしょうが、ありましたら一応それを御披露願いたいと思います。
  10. 鈴木才藏

    政府委員鈴木才藏君) 一応報告がございましたが、満足できませんので、その記録は一応持って帰らせました。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではお尋ねいたしますが、文部省は最近島根校長が出れさた公式声明書、こういったようなものについてお調べになってこられたのでしょうか。
  12. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 公式な声明書というのを私まだ見ていないのでございますけれども…。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうですが。これは別に声明書だからといって文部省にお出ししたのではないわけですが、しかしこの問題に関連してはかなり重要なポイントとなる公式な文書なのでありまして、今回の調査の中にこの問題が出てこなかったために、問題の真相究明に若干の手不足があるように考えられますが、要約すると、石澤助教諭は、すべてのことは自発的にやったのだ、その自発的なやり方は、本人自分の今まで持っていた思想、あるいは行動とかいうものが全面的に間違っておった。幸い私は入党しておらないから—これは共産党に入党ということでありましょう、この文書からいえば。入党していなかったのでやめるのに非常に都合がいいから、さっぱりこの際やめるといって真心から述懐をして、すべて自発的に誓約書も書いた。それから誓約書内容について職員会でも自発的におわびをした。また絶交状も自発的に書いて、自発的に投函しておる。私は、そのすべてのものは何も検閲したこともないし、本を焼けと命じたこともないし、すべてこれは事実無根だ、こういうふうにして、まあこの声明書を拝見いたしますと、将来のある自分部下石澤助教諭の立ち行かないような内容にまでわたった公式声明がされておる。しかもこの末尾にこういう事実を全文一切省略せず、改ざんぜず、そのまま「茨城教育」といわれております茨城県の教員組合機関紙でありますが、これを通して県下全組合員に周知せしめることを要請するというような相当思い切った公式な文書声明書として出されておる。こういう問題については今度の御調査には何ら触れられておらなかったものかどうか。せっかく昇給問題等についても御調査になったようでありますのに、相当ポイントになると思われるようなこの文書が御調査の中に入らなかったということですね、大へん遺憾だと思うのです。全然御存じございませんか。
  14. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 茨城県の教育委員会がこの山方町の教育委員会の協力を得て校長言い分石澤助教諭言い分というものを双方調査し、さらに下宿主人言い分をつけ加えて報告をして参ったわけであります。これは先般御報告通りでございますが、今の声明書につきましては県の教育委員会からも別に御連絡なかったもので私どもそういう事実があったことを存じなかったことは遺憾に存じます。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つ調査内容についてお尋ねしたいことは、進歩的な書物と言われておる書物はどういったような書物調査の結果あげられておりますか。
  16. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) アカハタが入っていることは事実でございますが、これも表現が非常に違っておりまして、本人言い分では焼いた本は、昭和史社会主義講座女工哀史、世界、中央公論、人民中国人民中国画報等ということを言うておるのです。下宿の主への話ではアカハタ等がおもで、単行本は二、三冊程度ではなかったか、庭先で焼いた現場は見なかったが、焼いた時間が十五分ないし二十分程度で、灰の分量も大したことはなかった、こういうふうに言っておるので、焼いてしまったのですからどういう本ですか私ども明瞭に把握できないわけでございますけれども、まあここにも食い違いがありまして、どの程度の本が事実焼けたのか多少本人は、単行本並びに雑誌類約八十冊と言っていますが、雑誌の中にはアカハタがおもでございます。これは事実のようでございます。ですからその辺のところがどうも私どもも的確にはつかみかねております。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 石澤助教諭勤務状況についてお調べになったようでありますが、どういうふうにしてお調べになったのですか。  それからもう一つは、二、三の者がこの問題で転校したというふうに私は受け取れるのですが、二、三の児童が転校したというその理由というものは本問題に関連して転校しているのかどうか、これは転校したとなれば教育上に影響がないとは言い切れないので、これは慎重に御答弁願いたいと思います。
  18. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この石澤助教諭の証言を県の教育委員会がとったわけでございまして、これには作為はないと思います。  それから児童への影響でございますけれども、大した悪影響があったとは感ぜられないというのが県の教育委員会連一緒でございます。二、三の児童が転校したというのはどういうことなのか、私どもも、この本件が好ましくない影響を与えたのかもしれませぬが、この辺については的確に把握していないのでございます。直接関連があったかもしれませぬし、あるいは間接的な関係かもしれませぬし…。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部省もこの転校したということをここで私が質問しないで聞きっ放しにしてしまうと、あたかもこの問題のために転校したという印象を受けて、教育上やはり非常な影響があったというふうに曲解されやすいのですが、今重ねてお尋ねしたところが別にこの問題に関係したことではなさそうだというように受け取れるのですが、何で御報告の中にこの転校問題を特に入れられたのですか。
  20. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私も先ほど申し上げたように、悪影響があったとは感ぜられないという茨城県の教育委員会報告なのであります。しかし二、三の児童が転校したということも事実なんです。この事実が直接関連があるのか、あるいはないのか、そこまでを究明いたしませんでした。こういう意味です。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 じゃ、この転校問題については、まあデリケートな問題も含まれておるようでありますから、この原因などについても、まあこの委員会は公式な席でありますから、特に関係がないものか、関係あるような印象を受けるということは好ましくないことでありますから、この点についても何らかの方法で一つはっきりさしていただきたいということ。  それから昇給問題についてでありますが、双方とも昇給を見送ったということになっておるようでありますが、この理由はどういう理由でございましょうか。勤務成績が芳ばしくなかったという、ただそれだけの理由であったのでございましょうか。
  22. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 石澤助教諭についてはかねてから申しましたように、平素無断欠勤とか、遅刻早退が非常に多いということでございますから、これは当然ではないかと思うのであります。校長については平素指導が足りなかった。しかもこういうような遺憾な事例が起きたのでございますから、双方の、石澤助教諭及び校長平素教育指導という点に欠くものがあったということで注意しておりますので、その結果だと思います。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは実際調べてみなければわかりませぬが、本人の申し立てるところによると、この問題が起ってそのために学校へ出ることができなくなったような事情もあった。で、ふだんは別に無断で休んだり、あるいはまた無断教育目的以外のために飛んで行ったということはないのだ。私は自分の力は足りないかもしれないけれども、まじめにやってきたつもりであるということを再三私には言っておるので、これは本人言い分だけを聞くわけには参りますまいけれども、本問題が起ってからの出勤状態が、今度の昇給に大きな影響をもたらしているのではないかというふうに私は考えるのですが、この点はどんなふうでございますか。
  24. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私ども調査ではともかく平素から勤務成績がよくなかったということが事実のようでございます。ぼやをすでに二回も起しておりまして、そういう点で校長もかねてから心配をしておったわけであります。二度目のぼやのときに校長が行ったわけであります。その下宿主人もそういうような表現をしておるのであります。むしろ石津助教諭につきましては、最近はむしろ非常に勤務成績がよくなった。本人が十分反省して、勤務成績が良好になったと、こう言っておるのですから、この事件が起きてからのことが動機になって、昇給の停止を受けたと、こういうことはなさそうでございます。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 たまたま今このぼや問題に入ったのですが、ぼや問題について深く調査されてきませんでしたでしょうか。私は今ぼや問題には触れないつもりであったんですが、このぼや事件にもかなり含みのある問題が入っているわけなんです。つまりランプをつるしておったかぎはそのままである。そして自分が出るときには危ないから消して出た。ところが、いつの間にか爆発してぼやになったというけれども、実際はガラスでこさえたランプのほやはそのままころがっている。ジュラルミン製ランプのかさだけはめちゃくちゃになっている。まことに不思議にたえないというようなことで、このぼや問題それ自体にも、かなり含みのある内容があるわけであります。この問題に関連した調査をした場合には、必ずこのランプの爆発問題が、含みのある問題として、非常にいやな印象として残っておるのでありますが、この問題については別に調査の中に触れられておらなかったか。もう一つは、大家さんは非常に石澤助教諭に対しては、出ていってもらいたいという、そういう内在的な気持を深く持っておったように思われますが、その理由等について、どういうふうにつかんで来られたか。これはぼや問題と非常に関連のあることなんです。いわゆるでっち上げ事件ということで、いろいろな問題を今日なおかもしておりますが、私はこのぼや問題が、そういう一つ作為的な意図も含まれておるとしたならば、まことにこれはお気の毒にたえないという見方も一部しながら質問しているわけです。
  26. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) このぼやについて、石澤助教諭は、十一月五日の晩六時ごろ、ある所に出かけた。場所は黙して語らず。ランプは消したつもりだと、こういっているのです。場所を黙して語らずというのですが、その主人の方の小野さんの言によれば、木村安明氏の宅の会合に行ったというふうにとっていらっしゃるようであります。それで島根校長は、本人の不注意から石油ランプが爆発してぼやを起したと、こういうふうに言うておるのであります。私は作為ではないと思うのですが、なぜかと申しますと、約一年前にも手ランプからぼやを起しておる。そしてこのランプ庭先へほうり出してやっと消したということを主人が言っているのです。ですから石澤助教諭追い出しというようなことから主人が言っているのでは私はないと思う。で、校長も、ぼやの起きたあとに、主人によく話して、今後も置いていただくようにということで、主人もよく了承しておるので、そういう作為があったとは見受けられないのでございます。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 ここでこの問題をつまびらかにするためには、幾ら質問を繰り返しても際限がありませんから、結論的にいうと、御報告のごとくに、石澤助教諭の言うことと、それから校長公式声明書というものは、これはもう全く相反対立場に立っている。こういうことは、私はあり得べからざることのように考えます。特に最近教育中立性を確立するというために、政府は次々といろいろな法律を出して、教育中立確保のためにまあ努力をされておるようで、私ども教育中立維持ということについては、人後に落ちない熱心さを持っておるのであります。しかし教育中立を維持するということのために、特に校長の権力を増して、部下教典員に対して取締り方式で臨むというような態度を文部省指導している限りでは、幾らでも部下教員の、弱い者のいう立場などというものは圧殺される危険性を多分に持ってくると思う。私は今日の、いわゆる教育界に底流している暗い陰を考えて、校長の言うことが全面的に正しいなどということは私も考えない。また石澤助教諭の言うことが全部これは真実だとも即断し得ない。文部省は、この全く相反対なこの口述そのものに対して、どういうふうな一体見解をもってこの報告を聴取され、またこれをどういうふうな方向に指導しようとするか。報告そのものについての、文部省見解というものについて承わっておきたいと思います。
  28. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは先般も申しましたし、きょうも申し上げておるんですが、報告が食い違っておって、事件真相を把握しかねるという点は、私どもも遺憾に思っておるのであります。もちろんこの中に第三者が介入しておりますれば、比較的事態の判明が容易でございますけれども、この二人だけのことだし、他人を交えておりませんので、この報告書自体がそういう形になっておることは、私はやむを得ないと思っております。しかし、いずれにいたしましても、こういう事件は、私どもとしては、はなはだ遺憾な事件だと思っております。ですから、平素校長は、部下職員に対して、所属職員監督し、指導する責任があるわけであります。こういうことのないように、未然に十分指導されるのが校長の建前ではなかろうか。また教職員にいたしましても、職務に精励いたしまして、父兄及び児童の信頼をかち得ることが必要であると思います。そういう意味において、この両者の間に意思が疎通していなかったということが今回の現われだと思いますので、今後一そう石澤助教諭職務に専念され、さらに校長が、不断の努力によって、部下職員指導監督よろしきを得て、教育の成果が上ることを私どもは期待し、念願しておるのであります。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 校長指導監督の足りない面が、ここに文部省見解として発表せられましたが、そうなって参りますと、これはもっと突っ込んで、この監督という問題について私は触れたいと思うんです。私から見れば、ある意味では、それは監督の足りなかったという面も考えられましょうが、ある意味でいえば、校長監督権を逸脱しておるほどの監督が、この問題を通して行われたのではないかという、いわゆる監督権の乱用という問題が非常に強く浮き彫りにされるわけです。そこで、文部省がこの問題を通して、校長監督が足りなかったということでありますが、私はこれは監督行き過ぎであるというふうな見解のもとに、以下一つずつ私は文部省見解をただしていきたい。これは、事件の全貌は、すでに御承知でありますから、申し上げる必要はないと思いますが、ぼや問題があったために、校長は、直接本人に、このぼやについて注意をしないで、大家さんの家に、いろいろとおわびかたがた行かれたということは、これは当を得ておることでありましょうが、本人がこのことを知って、校長の住宅を訪れて、大へんに申しわけなかったということで訪ねましたところ、それじゃ、まあ上れということになって、その晩校長と、それから石澤助教諭の間で取り交された会話というものが、これは校長監督権を逸脱して、憲法に保障する学問の自由、あるいは思想の自由という、基本的な人権を侵害するまでに至っておるのではないかという疑いを持つのであります。監督権が足りないということであれば、こういう事実を通して監督権を強化するということになると、これはとんでもないことになりますが、次の問題はどういうふうにお考えになっておるでしょうか。教育中立を保つために、進歩的な研究はやめなさい。そうしてあなたはそういう研究をするために、いろいろの人とつき合っているらしいが、どういう人とあなたはつき合いをしておるのだという、いわゆる校長交友関係について、思想的な方面からただしていったというこの問題はこれは当然だと考えますか、あまり当然でもなさそうだというふうに考えられますか、この点について。
  30. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私ども調査では、そういうことは校長は言うてないと、こう言っておるのです。校長は、ひざを交えて話し合ったときに、しっかり勤務をやってくれと、職務に専念するように、ということは言うたと、しかもそれは誓約書に書けと言うたと、あとの進歩的な研究はいたしませんとか、進歩的な会合には出席しませんというようなことは、校長は言うてないのだと、こういうふうに言うておる。私はそうであってほしいし、そうあるべきものだと思います。かりに、先生のお話のように、そういう思想の自由に立ち至るようなことは監督権行き過ぎだと思います。もしかりにそういうことがあるとすれば。しかしここでは校長ははっきりこれを否定しておりますので、そういうことがなかったものと私どもは信じております。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 もちろんそれは校長立場から、あとでもって大騒ぎになりましたから、ありましたなどとは、よもや言わないでしょう。これは口が腐ってもそういうことは言わないでしょう。しかし今見解が表明されましたが、こういう問題については監督権行き過ぎであると、こういうことに結論が出てくるようです。第二番目の問題としては、あなたは口でもって、校長の言うことはわかった、というけれども、それは証拠がなければ何にもならないじゃないかと、証拠というのはやっぱりちゃんと紙に書いてそしてあとあとまでもそれがちゃんと残るように文書でもって書くべきであると、こう言った、それではどういうふうな文書で書くのですか、それは始末書でも書かなければならないのですか、ということで、始末書本人は紙に書き始めたというのです。ところが、始末書ではだめだと、それは違うと、誓約書とそれは書かなければならないということで、御承知のように、私は進歩的な研究はいたしませんと、それから進歩的な友だちとも交際はいたしませんと、以下、常識で考えられないような誓約書を書かせられたと言っておりますが、一体校長さんはそれを書くときに、まず誓約書と書かせて、その次の行にはお前の名前を書けと、こう言う、石澤さんは、校長さんが大家におわびをしに行ったわけですから、おそろしくて名前を石澤と、こう書いた、そしてその次には記と書きなさい、記と書かせて、今度は一つと書きなさいと言って、私は進歩的な研究はいたしません、また一つと書きなさい、その次は、私は進歩的な友だちとは交際をいたしません、絶交いたしますという工合に、次々校長が一々指導をされて、まことに懇切丁寧な指導をされて、それで誓約書の原文ができ上った、今晩これを清書して来なさい。もう一つは、木村さんというその友だちに書く絶交状も今晩のうちに書きなさいということで、とにかく彼は深夜までかかってこの誓約書を清書し、また木村氏に対する絶交状も書いたのだと述べておる。しかし報告によればそんなことはなかったのだと、こう言っておりますが、あるなしは今後また調べなければわかりませんが、一体校長は、監督をする場合に口で言ってはわからないから誓約書を書かせるというようなこと、こういうようなことはどういう法律に基いてこういうことをさせるものか、私には法律を見てもさっぱりこれに適用するものがなかったのですが、どういうものに基いて部下教職員に研究の自由を拘束するような誓約書を書かせたのか、この点の見解を承わっておきたい。
  32. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 誓約書というものは、本人が出すものでありまして、他の者の強制によるものでは私はないと思います。で、ここでもちろんその誓約書云々に法的根拠があるはずはないわけであります。これは上司と部下との関係のものでございます。こういう意味校長言い分は、そういうことは命じてないと、こう言うし、本人は今先生のお話のように、口うつしに書いたのだと、こう言っておるのですが、どうも私もこの点については非常に理解しかねるのでありますが、しかし少くとも一人前の人格を持った者があまりにまた不見識な点ではなかろうかと思う。それは口うつしにそのまま書くんだというのは、やはり私は少しどうかと思う。その辺になると私どももこれはわからない。校長はそうしたことはないと言うし、本人は口うつしだと言うし、いずれにしましても私は双方に——いかに監督者の立場にある者でも思想の自由を奪うようなことは私は命ずべきものじゃないと思うし、本人もそれは拒否すべきじゃなかろうかと思う。この辺がどうもはっきりいたしかねる。本人は書いたあと非常に晴れ晴れとしておったと、こうも言っておるんだし、少くともそういう気持になったことも事実じゃないかと思うし、どうも私どもとしてはこの事情が的確に把握できないという以外に申し上げようがないわけです。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 やはりこういうようなことは行き過ぎだというふうにお認めになっているようでありますが、本人が晴れ晴れしたというような御報告はどうもふに落ちない。それほど晴れ晴れするものでしたら何もこんなことで大貫県会議員のところにまで行ったり、あるいは教員組合の方へ行って訴えたりすることはないはずです。こんなことでそんな晴れ晴れするものなら黙っていたらいいんで、本人の晴れ晴れしたということは、虚構の事実を証明づけるためにする私は捏造みたいな気がしてならない。しかしこれに対して文部省見解はただしませんけれども、もう少し慎重な私は御答弁がほしいと思う、全体の事実をつかんで。これは非常にまずいんです。  時間の関係上省いて、見解の相違になりますから、次をお尋ねしますが、文部省は社会主義とかの展望とか、あるいは資本主義の研究とか、あるいはアカハタを読んだなどということは、言うところの進歩的な研究をし過ぎているという見解をとっておりますか、いかがでしょうか。
  34. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) どういうものを読まれても一向に私は差しつかえないと思います。ただここで教育者は御承知の通り教育の政治的中立性を守らなければならぬことは明瞭でございますので、これは教育基本法及び先般の法律にもございますので、教育の場にそういうものを持ち込まれなければ差しつかえないと、少くとも特定の政党を支持し反対するための政治教育及び政治活動をしてはならないということでありますが、そこにはっきり限界がありますならば、個人の自由でございまするので、いかなる研究をされても支障はないと思います。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 特定の政治的な目的をもって特定な政党を支持し、または反対するための政治的な行為、そういうものは、これは政治活動でありますから、当然これは禁止せられなければならないんですが、しかし学問の自由という建前からいえば今文部省見解のごとくに、どんな本を読んでも一向差しつかえないことであって、その本を読んだからどうだこうだというようなことは、これは非常な間違いであるということがはっきりしてきたようでありますが、その通りに解釈していいでしょうか。
  36. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その通りでございます。ただ私どもはおそらくこの校長が心配いたしましたのは、年が若い方はそういうものが得てして教育面に、あるいは実際教育の面に現われて、その結果、父兄児童からいろいろと御非難を受けてはならぬというような気持が動いておったのかもしれませぬし、その辺のところ私よくわかりません。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 学問の自由についてはお認めになったようでありますが、校長が心配する、それはまあ先輩でありますから当然心配されるのは当りまえでしょうが、その心配が行き過ぎになった場合には、これは自由権の侵犯ということになってきますが、校長は、この晩帰りがけに石澤助教諭が、大へんおじゃまをいたしましたということで、腰を上げて帰ろうとしたそのとき、彼はふろしき包みを持っておった。校長は、そのふろしき包みの中には何が入っているのか、あけなさい、と言った。助教諭は、校長さんの前に、従順に上司の命令に服してあけたわけです。そうしたら、その中から二、三冊本が出て来た。校長は、その本をばらばらと検閲をして、どうもこの本はふに落ちないと言うて、一冊の本を、これは校長にしばらく貸しておきなさい、と言って、「学級革命」といわれる本を取り上げられたんだそうです。こういう監督の仕方というものは、一体ありましょうか。こういう事実が、もし、かりにほんとうだとすれば、文部当局はどういう見解をこれに持っておられますか。行き過ぎではないか。
  38. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その事実は、私どもも存じておりませんし、今までの調査では、そういうことは認めません。校長はそういうことをしたということは、一言も言っておりませんし、私どもはそういう事実がないということを思っております。しかし、お話のような事実がありますれば、それは行き過ぎであると思います。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 まことに、機微な問題に触れると、全然調査もできておらない。また、校長校長で、自分の方に有利になるようなことだけが地教委に報告されて、それが文部省見解になってくると、非常にまずいように考えられますが、こういうことは明らかに行き過ぎであるという見解がここで表明されたわけであります。  その次にお尋ねをしたいことは、誓約書の趣旨について、次の朝、職員会でもって全職員に対して誓いを立てさせられたというのであります。一体、一人の教員校長さんからいろいろな指導監督を受けた場合に、自分のまずかった、至らなかった点を、一々職員会におわびをしたり、誓約をさせられたりする義務というものはどこにあるか。また、そういうことをしいる権利というものは校長にあるのか。職員会議における謝罪や誓約書の条文についての誓いという問題について、どういうふうに文部省として考えておられますか。
  40. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私ども調査では、本人が自発的に口頭で全職員におわびをしたということは聞いております。自発的にすることは、私一向差しつかえないと思います。ただ、どういう意図か、ともかく教員間にいろいろな誤解なり摩擦が生じては困るから、そういう機会があることは差しつかえないと思います。ただ、これが校長が命令したというふうには私どもは聞いていないわけです。もし、そういうことを命令するようなことがありますれば、これも行き過ぎだと思います。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 命令したしないの、これまた水かけ論になるんですが、内藤さんはもう文部省のほんとうに偉い方ですから、下部末端の若い教員の心理なんというものはわからないわけですね。かつて、私が十八才のときに師範を出たときに、酒盛りの席で、私の上司の責任ある方が、酒の飲み過ぎで、私にからかい、学校じゅう追い回して、私をつかまえにかかった。便所のすみまで追い込まれた。やむを得ず、正当防衛で突き飛ばした。その先生はよろけて、腰を打って腰を抜かした。結局、私は暴力を行使したというかどで、大へんなおしかりをこうむった。そのときに、心の中では、自分が正しいんだと思ったけれども、頭からがんがん言われてしまうと、何とももう口がきけない。これは学校勤務したての若い教員の心理ではないかと思う。私はあえて石澤助教諭の肩だけを持とうとは思いませんけれども、そういう力のまだ足りない未完成な若い教員校長との立場というものは、非常に格差があるんです。まだまだ格差がある。こういうよう立場も考えたときに、命令しなかったと校長は言っているかもしらないが、石澤君、きのうのことについてあなたは発言をなさいということになれば、これは命令だと言われても仕方がない。校長は命令の意思はないと言っても、受ける方がそういうふうな感じをとった場合には、これはデリケートな問題でありますから、これをどうこうとあなたには御質問いたしませんけれども、そういう微妙な上下の職場での関係などについても相当お考えの上にこの問題というものが処理されることは当然ではないかというふうに思いますが、この点はいかがか。なぜ私がこういうことを質問するかというと、これと同類の問題がたくさん起ってきています。文部省教員組合の悪いことをよく指摘して、行き過ぎを指摘されますけれども、行き足りたところについては一ぺんも指摘したり、また、手を伸べようとわざとしない。教研大会などは、これは日本の文化に関係のある方々は、わが国の教育者の教研活動というものについて注目もし、また、重視もしておりますが、その教研大会の中でも、こうした部下教員からの、あの本を読んではならないと言われた、この人と交際してはならないと言われたというような、実に哀れな、聞くも涙ぐましいような訴えが起ってきている。教育中立性ということはいいのですけれども、誤まった考え方の中立性指導のために教員研究の自由が権力という形において奪われていくということについては、私は耐え切れない思いがする。こういう点についてたびたび文部省は全国校長会あたりでも御指導になっておるようでありますが、何か特にこの問題を契機にして校長会等に御指導になった面はないのか、部下教員監督という問題に対してどういうような方針をとってきておられるのか、この問題を通して詳細に御説明を承わりたい。
  42. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 校長が校務を掌理し、所属職員監督するということは、学校教育法が命じているところであります。私どもは、校長が職場における規則、秩序、そういうものを当然守らなければならぬと思いますが、同時に、校長教員諸君に愛情を持って、そうして平素から個々の教員のいろいろな問題について常によく指導して、そうしてあやまちのないように愛情をもって指導していただきたいと思います。本件については、特に平素からの指導が足らなかったのじゃなかろうか。平素から部下職員校長の間が非常に親しい間であり、そうして愛情がありますれば、こういうような形式的な誓約書を書かんでもその目的は十分達せられるのではなかろうかと考えております。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 校長指導が足りなかったということでありますが、私に言わせれば、この事実がもし事実であったとすれば、これはすべて人権じゅうりんです。指導行き過ぎであります。監督権のこれは乱用であります。指導という問題については、私はかなり重要な部面が含まれているのではないかと思うのですね。この校長は、部下教員指導する能力がありますか。どういうふうにごらんになっておられますか。
  44. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 部下職員指導するに欠くる点があると、こういうふうに教育委員会は認定して昇給をストップした。ですから、十全ではなかったと思います。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうしてその指導に欠くるような者を指導的な最も重要な責任のある場所に据えるか、ここらあたりにも私は問題があると思います。聞くところによれば、これは個人的な問題にわたるから申し上げることははばかりたいと思いますけれども、やはり相当の、言うところの前歴を持ってこの学校にこられた校長が道徳的に見てかなりよろしからざることをした場合、これはどうもうまくないから、なるたけ僻地の方にやってしまおうという、そういう弊風が人事交流の面にまだ教育界では残っている。特に婦人関係のような問題を起した場合には、これは大体僻地にやられることが定石のようなことになっている。だから、そういう前歴を部下職員が知っていた場合に、そんなことは口では言わないけれども、心の中ではみな軽べつしていますよ。そういう軽べつしたような校長をそこに置いておいて、これに指導監督をさせて、人権じゅうりんまでさせて、そうして便々としてこれに学校の運営をまかせているというような、こういう事態については、私は遺憾にたえない。教育界に清新の気風を養うということは、もちろんすべての教員の責任で、これはおのおの向上しながら行わなければならない問題ですけれども、こういう指導力もないような、無能な校長を、校長の籍に置いておくということについて、私は納得がいかないのです。校長さんの指導というものについては、もちろん地教育委あたりがされるのでありましょうが、文部省も相当本腰を入れておられるようでありますが、こういう欠格校長については今後どういうふうになさるのですか。
  46. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この校長が多少高田委員のおっしゃる前歴があったというようなことも私聞いております。しかし、その程度にもよると思うのでございまして、教育委員会としては、おそらく転任という形で処理したと思うのです。今後十分注意することというような点で、教育委員会の私はとられた措置は妥当だと思うのでございますが、単に程度の問題でございますが、理想的には、高田委員お話のように、校長部下職員の師表になるというようなりっぱな人格でなければならないことは、これは当然でございまして、いやしくも他人から指弾されるようなふるまいがある場合には、部下職員指導に欠くるということも認められるのであります。この場合、教育委員会の判断では本人が反省し、今後の注意を十分厳重にして転任されるということも、ただそれだけの事実によってこの校長が直ちに今後校長として不適格であるという烙印を押すのは、私はまだその時期ではないと思うのであります。今後の事態を見なければ何とも言えないのではなかろうかと思います。
  47. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  48. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま委員長からも再度やはり事実問題に突っ込んで人権擁護局の方からの御報告を待って質問を続行したらということでありますから、私もそれでけっこうだと思います。  ただここにせっかく政務次官もお見えになっておることでありますから一つだけお伺いしておきたいことは、教育中立性を維持するということは実にこれは容易ならざる問題だと思う。けれどもどもに言わせれば非常に容易な問題なので、本来の意味教育中立は権力の支配を排除していくという、ここに尽きると私は思うのですが、最近は校長が非常に職場の権力者になりつつある。民主的な空気から、また支配命令的な形になりつつある。そういうような傾向の中でこういう問題がはからずも生まれてきた。また全国にもこういう傾向がぼつぼつとして起りつつある。従って、この際やはり文部当局としては、教育中立性を維持しようとするならば、もっと親切な指導があってしかるべきだ。支配や命令や取締りや、それから教育中立という名のもとに、政治的に関係があるなと思われることに対して無関心であったり、逃げ回ったりするようなことで、これが中立の維持に役立つとは私は考えられない。特にこの間朝日ニュースを見ましたところが、自衛隊の図書館の本をずらっとニュースは見せてくれましたが、この中にはマルクスの研究だとか、資本主義の研究だとか、社会主義講座だとか、いわゆるこの校長が進歩的だといって焼かせたといわれるような書類が自衛隊すらも今は自由に見せておる。しかるにもかかわらず、教育界ではマルクスだとか、アカハタのアの字でもつけば、あるいは社会主義の研究なんということになっていると、目の色を変えている校長がざらに出てきている。あるいは地方の教育委員会だってそうです。警察もそんな傾向が出てきている。これは教育中立や学問の研究の自由、こういうものを剥奪するおそろしい流れが今出てきている、こういうふうに私は把握する。こういう暗流に対して、文部当局はどういうふうな措置をとって、真の意味教育中立確保のために邁進されようとするのか、本問題を通して私は特に政務次官の御見解、御指導の方針というものを承わっておきたい。
  50. 稻葉修

    政府委員(稻葉修君) 教育の政治的中立についてのお尋ねの中に、思想の自由と研究の自由ということと混合されて御質問になっているようでありますけれども、私ども教育の政治的中立ということ、教育の場は政治権力から中立でなければならない、同時に、教育者が個人的にせよ集団的にせよ、政治への中立を守っていかなければならない二つの内容を考えておる次第でございまして、戦前におきましては、教育行政権の極端な中央集権化の行き過ぎから、教育の政治からの中立が非常に阻害された、弊害を引き起したのでありますが、戦後におきましては教育の政治からの中立は非常に保たれているというふうに私どもは感じております。地方分権になっている。しかも文部省教育行政権というのは非常に狭められている。すべては教育委員会指導ですから、今度のような場合にも調査文部省の方でしっかり把握できていないということが当然なんであって、それはすべて地方教育委員会の掌握すべき任務で、その報告に基いて把握する程度であってしかるべきだ、文部省はですね、一々具体的な事件について直接調査をし、それこそ権力的な職権調査をやるというふうな方向にいくことを私どもは慎しみたい。今日の教育界の情勢が高田委員の御指摘のような読書の自由等を奪うような傾向にあるということがもし事実だとすれば、それは全く文部省の考えていることと逆行する非常な反動勢力の台頭をおそれるわけでありまして、もしそういうふうな傾向がありとすれば、文部大臣の与えられている権限の範囲内において、都道府県教育委員会の方に連絡いたしまして、指導、勧告、助言等をやって真に思想の自由、学問の自由が保たれて、教育者が自由、はつらつにそういう点については拘束を受けない方向に指導するつもりでございます。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の稲葉政務次官の御発言はきわめて重大な内容を含んでいる。研究の自由と学問の自由を混同して質問していると言うのですが、その自由に一体そんな差別というものがあるものなのかどうか。それから教育の政治からの中立は戦前よりも今の方が中立だ、こう言われておりますが、私は全くこの見解は違う。これは研究しなければならない点じゃないか。明治維新から日本の教育行政はこれは中立でした。政党は関与していない。教育の法令は国会の審議を通さないで、枢密院から勅令とかいう形になって出て来ている。政党人はこれに関与しなかった。今は文部大臣はちゃんと自由党員、政務次官もその通りである。私は、教育が今政治的には中立だということは、この事実から見てもそうじゃなくなって来ていると思う。ほんとうに政治的の中立を保とうとするならば、私はしかるべき制度化が必要だ。それを何にもしないでおいて、御自分の方はそういうことをやっておって、あたかも政治的に中立だということが正しいのだ、今のやり方が非常に正しいのだというようなことについては、これは議論のあるところです。しかし時間がありませんから、この問題は後日いろいろお話し合いをしたい、論議ではなく、お話し合いをしたい。  それからもう一つ文部省がちゃらんぽらんの調査をするのが当りまえだというような意味の御答弁、まことにもって遺憾なことです。文部省の権限というものは、これは取締りや監督を強化する機関じゃないのです。戦後文部省の使命というものは全くサービス機関なんです。そのサービス機関が人権侵害の疑いのある問題に対して先頭切ってこれを守る態勢をしかないで、だれがしきますか。教員組合を弾圧したり、教員をいじめたりすることには地教委を一生懸命指導しておるが、これを守るための指導というものは、私は欠けておると思う。はなはだ極端な言い方をして申しわけありませんですけれども、極論すれば、そういう傾向が最近ある。文部省というものは日教組対策には目の色を変えるけれども、しかし老朽校舎の対策には目の色を変えない。こういうようなやり方については、私はいろいろお話したいが、きょうは時間がありませんから、あとに問題を残させていただいて、これをもって終りといたします。
  52. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは茨城県における焚書事件については次回に譲ります。   —————————————
  53. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に羽田飛行場周辺学校における騒音防止に関する件を議題といたします。ちょっと経過を委員長の方から申し上げておきますが、一昨日当委員会として羽田飛行場の周辺にある大森一中を中心として関係者の意向を聴取し、実地調査をしたのですが、今後旅客機並びに軍用機の機数の増加並びにジェット機の登場というものを予想するというと、これは学校としても容易でない立場に立っておる。こういう事情が判明して、急速に本問題についての対策を考究せざるを得ない立場にあると思う。そこで文教委員会として本日本問題についての解決のための質疑をしていただきたいと思って、本問題を議題として取り上げたわけですから、一つその点に焦点を合せた御質疑をしていただきたいと考えます。  それから現在お見えになっておる方は、運輸省航空局長林君、調達庁不動産部長松木君、文部省の方は管理局長の小林君がお見えになっております。御質疑を願います。
  54. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 文部省の方にお伺いいたしますが、今回の飛行場周辺地区の騒音の問題につきましては、羽田だけが、私は問題点であるとは考えておりません。自分の方を言ってはなはだ失礼ですが、私の方の山形県の神町における自衛隊の飛行場の問題につきましても非常な問題が起りまして、防音装置といいますか、防止といいますか、かような点で、その防止会といいますか、隊を作りまして何とかしていただかなければ、学校教育振興にならないというような意図のもとに相当問題になっておるのでありますが、これらの点につきまして、文部省として今までメイファーズというような意味において、何ら御関心を持っていなかったのかどうか、かような点をちょっとお伺いいたします。
  55. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 駐留軍の基地関係の航空機の騒音についての防音対策につきましては、御承知のように従来特別損失補償法という法律によりまして、調達庁のお骨折りで、基地の周辺の学校の防音対策は二十八年以来実施していただいて参っておるわけでございまして、現在まだ十数校残っておりますが、しかし六十数校については大体完了しておる状況でございます。自衛隊の基地につきましては、駐留軍の損失補償といったものはございませんけれども、防衛庁の方で被害のひどいものにつきましては、駐留軍の防音対策と同じような措置をとってもらっておる事例がございます。なお文部省といたしましては、これに、こうしたことが調達庁あるいは防衛庁で実施していただいておるということで、無関心になっておるということではございませんで、実は現在の特損法あるいは自衛隊のそういった防音措置、これは必ずしも私どもとしては教育立場から申しますと完全とは思われませんので、実はこの三十二年度の予算にある程度の何らかの対策をしたいというので全国的な調査を実施いたしました。それに基いて事務的な予算を編成いたしまして財政当局とも折衝いたしたのでございますが、三十二年度の予算にはこれは盛り込むことができませんでしたけれども、私どもといたしましては相当努力をいたしたつもりでございます。今後とも関係官庁とも落し合いましてこういった防音指貫、あるいは教育効果の減少をできるだけ最小限度にするための措置をとっていきたいと考えております。
  56. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ただいま申されたことにつきまして、やはり駐留軍のあの飛行場の防音に対しましての方策というものはできておるということは私らも了承しております。しかし問題は、やはり自衛隊、あるいはまた民間の飛行場、そういうようなことかと思いますが、ことに羽田飛行場のごとき民間でもありまた軍用機も使われておるというような、ああいうややこしい状態にある所においては、これはやはりほんとうに学校教育のために相当の障害になるという意味合いにおいて、まあお世話の役といいますか、ほんとうに指導立場に立つのは私は文部省当局ではないかと思うのでありますが、これらの点につきまして、その羽田の飛行場に対しまして、文部省として何らかの今まで対策を講じられておったかどうか、それをお聞きします。
  57. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 羽田空港の周辺の学校の問題でございますが、実は従来駐留軍の関係、それから自衛隊の関係についてのいろいろ陳情等が相当ありまして、私どももそれをよく頭に入れていろいろ対策を講じてきたつもりでございますが、この羽田空港の問題につきましては、私どもとしてはこれは一面気がつかなかったということは非常に遺憾でありますが、最近まで実は状況を知らなかったのでございます。従って現在までのところ文部省としては特別なこの防音のための措置はとっておりません。ただ最近になりましてその空港周辺の学校から陳情を受けましたので、文部省としてもとりあえずその中の数校を選んで騒音の強度、それから頻度ということを一応調査をいたしました。
  58. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 この問題は、やはり相当重要な意義があるのじゃないのですか。ことに文化といいますか、文明といいますか、進むに従って非常に飛行機の使用度というものが高くなる。そうなりますときにおいて、この学校というその建築そのものについても、また監理局といたしましても非常に重大な関係があるのじゃないか、そういう場合において、視察のときにも問題になったのですが、高田委員でしたか、学校の建て方が当を得ていないじゃないかというようなお話もあったのですが、そういうことからいたしましても、やはり建築そのものについての建て方といいますか、位置といいますか、そういう方面までも非常に注意するといいますか、御関心を持つべきではないかと思うのですが、いずれにしても、われわれといたしましても非常に騒音そのものの障害というものは、やはり学業のためのみならず、あるいは身体方面にも影響があるというようにも考えられますので、この点について今後十二分にいろいろの御研究をして、そうして対策を講じられるように、それにつきましてもやはり地元の、あるいは都なら都の教育委員会とか、あるいは区の教育委員会という、そういう方面と密接な連絡をとって、そうしてこれもできるだけ早急に、あるいは場合によっては追加予算くらいもお願いして、そうしてやらなければならぬと考えられますが、それらの点について追加予算までもしてやる御意思があるかどうか、これをお聞きしたい。
  59. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) ただいまお話のございました通り、防音の措置をいたしますにつきましても、この防音工事を施します建築そのものにもいろいろ問題があるわけでございます。たとえば相当程度この老朽度が進捗しておるようなものについては簡単に防音工事もできないというようなものもあるわけでございます。そういったものについては従来もいろいろと研究はいたしておりますが、やはり今後もその点については、文部省にも研究対策協議会等もございますので、そういった面とも連絡をとりまして進めて参りたいと思います。  それからお話のございましたように、学校の位置がこれは非常に関係する問題でございまして、たとえば滑走路の延長上の直下にあるというようなものは、これは防音工事を施しましても実はなかなかそのフォンの数を減らすことができないようなものもございます。そういうような場合には、できればこれを移転するというようなことも従来行なっておったわけでございます。ただその町村内の学区の関係、あるいはその部落の散在の状況等から適切な位置が発見できないというようなものもございまして、いろいろ困難な問題も出てきますが、文部省といたしましてもそういった面で従来指導をした例もございます。羽田の問題につきましても、これは十分研究をいたしたいと思っております。お話のございましたように、文部省といたしましては、関係のある官庁とも十分連絡をいたしまして措置をいたしたいと思っております。また東京都、あるいは大田区でございますか、大田区とも連絡をとって十分努力をするつもりでございます。
  60. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっとあらかじめ…。時間がありませんから端的に言って、航空局長、それから不動産部長さん来ておりますから、本問題に対しての所見を聞いて、実際この問題を早急にどう解決するということを聞いた方がいいと思う。御了解願いたいと思います。  それではまず、先に運輸省の航空局長の林君から一つ見解を披瀝してもらいたいと思います。
  61. 林坦

    政府委員(林坦君) 羽田の飛行場におきまして、飛行機のエンジンの音が学校の授業等に差しつかえることになっているかどうかという問題につきまして、実は私どもといたしましてはだいぶ前に飛行場の北の端にありますエンジン・テスト場の音が問題になっているということを聞いておりました。それでその後音の問題は非常にわれわれとしても神経を使っておることでございますので、大型のエンジンのテストをやる場所を飛行場の南の端に一つ設けまして、現在はその場所におきまして日本航空その他の大型の飛行機はそういうところでやっております。それでそういう関係で、その北端の場所におきましては小型のものを回数少くそれも行なっておる現状でありますので、最近は大体おさまっていると実は思っておりました。いろいろ最近またこの問題が、将来の問題等ともからみ合せて、問題になってきておるということを承わっておりましたので、私どもといたしましても、できるだけこの問題については努力をいたしまして、円満な解決をはかりたいと思っております。現在あすこの飛行場につきましては、米軍の使用機が、数におきましては、離発着としまして三分の一程度、民間機は三分の二程度、だんだん民間機が多くなっては参っております。ただ軍用機は、そのほとんどが大型でありますのに対しまして、民間機は、まあ半分以下ぐらいが大体国際線に使える、あるいは比較的大きな型の飛行機であろうかと思います。従ってこの問題につきましては、米軍の飛行機の問題、それから民間機の問題と、両方あるわけで、米軍の飛行機の問題につきましては、実はできるだけ早い機会に羽田の場所からどいてもらいたいといいますか、ほかの場所に移ってもらいたいということは、私ども民間航空に携わっておる者も考えており、またそれぞれあらゆる機会に申し入れ等を行なっておることでございます。ただ現在の状態において、種々の関係上、早急にこれの実現ができない状態でございますけれども、いずれはそういうことになることを期待いたしております。民間の飛行機は、現在使っております型の飛行機は、今後だんだん大型化し、あるいはジェット機が数年後にはやってくるという状態になることが予想されております。しかしながら、だんだん大型になって参りますれば、滑走路も長く要りますし、現在の滑走路をもってしては不十分でもございます。従って私どもといたしましては、本年度以降、四年間ほどの計画のもとに羽田の飛行場の拡張を計画いたしております。従ってジェット機がくることが予想されますので、その場合に、ジェットの滑走路といいますか、長い滑走路をあれよりも海の方に約千フィートほど出しまして、そうして滑走路としても、ある程度あの付近のそういう所から遠くなるように措置したいと思っております。もちろんジェットの航空機になりますれば、だいぶん騒音の問題等について御危惧があることと存じます。この問題は世界的にも非常に問題でございますし、特に製造業者の面におきましても、非常に関心を持ってとの問題の対策を考えております。また世界におきます民間航空の国際的な機関におきまして、騒音の問題等に対しまして、ジェットの対策の委員会において特別に研究等をし、またその製造業者の方にも、いろいろと勧告その他を行うように、ただいま研究を続けてやっております。製造業者の方も、この点については大いに研究をして、その騒音を少くするという方向に、目下盛んに努力しておると聞いております。私どもといたしましても、これが将来の問題として、いろいろ問題になることも考えられますのですが、まあ何を申しましても、結果的にどの程度の音がどういう状況になるかということにつきまして、だんだん少くなる方向では研究してはおりますけれども、結論を得ておりませんので、その模様によりまして、いろいろと対策を立てなければならないと考えておる次第でございます。
  62. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 調達庁不動産部長の松木さんから一つ報告を願います。
  63. 松木豐馬

    政府委員(松木豐馬君) 米駐留軍の羽田飛行場を使っておりまする関係は御承知の通りでございまして、これに対しまして、先ほど文部省、運輸省の方の政府委員からお話がありましたように、調達庁といたしましては、安保条約に定められて駐留しておる駐留軍の行為によりまして、そういう騒音が発生するという事態がありまする場合には、この法律に基きまして、政府が防音工事をやっていく、こういう法律のあれになっております。でありまするから、結論の方から申しますると、羽田の米軍の飛行機の発着、飛行のために周囲に騒音が生じておって、学校教育上被害があるという場合には、その点だけからでも、防音工事の施行ができるということになるわけでございます。これは法制上さようになっておりまして、調達庁で担当いたしておりまするので、やれるわけでございます。ところが、実際の問題といたしまして、実はこの騒音が非常に激しいということが私どもの方にわかりましたのが、つい最近のことでございます。ほんとうに疑うわけではございませんけれども、どの程度学校の授業に被害を与えておるかということを調べてみなければなりませぬ。この点が一つございます。  それからもう一つの点は、先ほども運輸省の航空局から言われましたように、米駐留軍は、羽田においては、あそこを撤退するということになっておるわけなんでございます。それは御承知と思いますが、調達庁担当で、米駐留軍の飛行場滑走路拡張という問題がございまして、東京周辺でも、立川とか横田とかやっておりますが、あれが完成しましたらば、羽田は完全に日本側に返してしまう、米軍は使わないようにするんだ、こういうようになっておる関係がございまして、実際問題上、今後どれくらいあそこを駐留軍が使うかという、こういう問題がひっかかってくるわけでございまして、現在その問題につきまして、アメリカの方にただしておる段階でございます。そういうことからいたしまして、もう一ぺん駐留軍飛行機だけが非常に騒音があって、ほかの民間機の方はそう大したことはないということになりますと、非常に話ははっきりして参りまするけれども、実際問題といたしまして、何分にも米駐留軍の行為という制約がございますものですから、そこのところの民間側との見分けといいますか、区分の問題が若干ひっかかると思います。いずれにいたしましても、結論的には、今調査をやっておりますが、その調査の結果を待ちましてやらなければならぬということで、確信のあるデータが出て参りまするならば、当然やる考えでおります。ただし、実は三十二年度の予算におきましては、羽田空港における防音工事というものを見込んでございません。そこで大蔵省とも協議をいたしまして、本年度内にやるということになりましても、その予算の面から、すぐさっそく右左にできるか、こういう問題が一つございます。しかし、これも調査の結果を待ちまして、大蔵省とも、何らか予算の操作というものができるかどうかということについて交渉してみたい、こういうふうに考えております。  大体以上であります。
  64. 岡三郎

    委員長岡三郎君) そこでちょっと私の方から、時間がありませんから、まとめてお尋ねしますが、今調達庁、運輸省、文部省のそれぞれの責任ある態度の御開陳があって、われわれとしても意を強くしたわけですが、まあ民間飛行場と軍用飛行場と兼用されているような形の本飛行場については、自治体としての東京都並びに大田区というものが全面的に経費をもってやるということには非常に疑問を持っておるらしい。またその力も財政不如意でない。そこでまあひとえに政府関係省庁の善処を要望して当委員会にも相当来ておるわけです。急速に文部省、運輸省、調達庁で話し合いを進めていただいて、データも文部省の方としてはお作りになっておると思いますので、そういう点を検討せられてやっていただけると思うのですが、特にあの場所は風の向きによって非常に騒音が違ってくる、特に浜風が吹いて、北風が吹いてくる冬季には非常に強い。海の方へ、風が南の方へ吹いていくときは飛行機の音が海の方へ逃げるから割合にいいのだが、という話もあったわけですが、各般の調査を年間を通して向うの方ではいろいろとデータを出しておるらしいですが、そのような基礎調査をさらに完備せられて、一つ三十二年度中にどうしても手がつかなかったら、予算の面で、三十三年度においては必ずこれはやってやるというふうにお願いしたいと思うのですが、早急に必要としているところは大森中と大森五小、二校です。将来もジェット・エンジンの関係で他の七夜というものが相当脅威を感じておる、こういうふうなことになっておるようですから、さしあたっては大森一中、五小という問題を対象にしていろいろと工事計画、その他どういうふうな企画にしてやったらば将来効果があるかどうか、まあいろいろとテスト・ケースにもなると思いますので、全部一括してやるということになると相当経費がかかると思うのですが、逐次最も被害を受けているところから解消していただければ子供は非常に喜ぶのじゃないかというふうにも考えるわけで、そういうふうな面について詳細にお打ち合せを願って、来週あたりまでに、非常に御迷惑でしょうが、何らかの一つの結論を、どういう形にしてやったらいいのかというふうな御検討の結果を、最終結論が出なかったならば、中間報告をお願いしたいし、この国会において、一つ明確な形をしておきたいと、こう思っておりますから、その点御協力をお願いしたいと思うのですが、文部省の小林管理局長から一つ御答弁を願いたい。
  65. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 先ほどお答の中に申し上げましたように、私どもといたしましてはとりあえずの調査を、ただいま御指摘のありました大森一中、大森第五小学校について実施いたしたわけでございます。これは早急にやりましたために必ずしも完全なものとは思いませんけれども、一応その結果によりますと、これは駐留軍の場合の防音措置を実施する基準にまで達しておるようでございます。駐留軍機の騒音であれば防音工事を行うという一応の基準があるわけでございますが、それ以上になっておるように私どもとしては考えております。しかしまだこれは完全なものとも思われませんので、今後もできるだけこの調査を行いまして、またそれ以外の学校につきましても、強度なり頻度なりを調査してデータを完全にしたいと思っております。また調達庁なりあるいは航空局ともお話をいたしまして、できるだけ早い機会にこの対策が樹立されるように文部省としても十分の努力をいたしたいと思っております。
  66. 岡三郎

    委員長岡三郎君) で、時間がありませんので、なおお聞きしたいんですが、一つ航空局の方も調達庁の方も、ここであらためてなお私の方から申し上げたいんですが、調達庁の方としては全面的に経費を持つかどうかという問題は別にしても、とにかく軍用機というものが将来横田なり立川に移転するとしても、やはり、まあ教育というものは日々行われるわけですから、そういう点では一つ誠意をもって、将来移転するとしても、その間において相当影響があるということをお考えの上、何とかこれに対する御協力ですね、これをお願いしたいと思うわけです。航空局の方においても一つ文部省とタイアップして、特にこれは半面民間飛行場としては雄なるものでありますから、こういう点についても一つ御協力を願いたいと思うのですが、一つ所見をもう一ぺん申し述べていただいて終りたいと思うのです。
  67. 林坦

    政府委員(林坦君) ただいま委員長からお話のございました点、私どもも非常に関心を持っております。ただ調達庁の方と違いまして、私どもの方には現在のところただ法律もございませんし、これに対するやり方としまして、われわれの方は運営上できるだけ被害を少なからしめることについては、直ちにいろいろと考慮いたしたいと思っております。また今後立てられますいろいろの対策につきましては、十分文部省なりその他のほかの関係省と十分連絡をとりまして、できるだけこの問題に対して誠意をもって当りたいと考えております。
  68. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは調達庁の不動産部長の松木さんからもう一ぺん…。
  69. 松木豐馬

    政府委員(松木豐馬君) 委員長のただいまのお話でございますが、先ほどちょっと申し上げましたようなわけ合いがございまするので、対米軍関係はもちろんのこと、ある程度の見通しをはっきりつかみまして、同時に現場の実情というものを正確に一つ調査をいたしまして、現在の法律に当てはまるということを確認した上で処置を直ちにとりたいという考えを持っております。もちろん予算の制約はございますが、予算の都合のつく限り努力いたしたいと考えます。
  70. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  71. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を始めて。  以上で、時間が非常にありませんので質疑を打ち切りますが、できるだけ早く関係当局においてもいろいろと対策を立てていただくということになっておりまするので、その機会にさらに御質疑をいただくということにして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会