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1957-04-02 第26回国会 参議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)    午前十一時二十五分開会   ―――――――――――――   委員異動 本日委員大野木秀次郎君辞任につき、 その補欠として近藤鶴代君を議長にお いて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            野本 品吉君            矢嶋 三義君            常岡 一郎君    委員            川口爲之助君            近藤 鶴代君            左藤 義詮君            田中 茂穂君            林田 正治君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    運輸政務次官  福永 一臣君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    運輸省自動車局    業務部長    国友 弘康君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (中学生に対する国鉄運賃割引に関  する件)  (盲・聾学校幼稚部及び高等部にお  ける学校給食に関する件)  (公立の盲・聾学校幼稚部及び高等  部の整備に関する件)  (盲・聾学校及び養護学校への就学奨  励に関する件)  (公立小学校及び中学校特殊学  級における教育振興に関する件)  (高等学校定時制教育及び通信教  育の振興に関する件)  (へき地教育振興に関する件)   ―――――――――――――
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。本日大野木秀次郎君が辞任され、近藤鶴代君が選任されました。 ―――――――――――――――――――――
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 先刻開きました委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。まず中学生に対する国鉄運賃割引に関する件でありますが、これに関連して学生バス運賃割引について質疑の通告がなされておりまするので、これをあわせて許可することといたしました。  盲ろう学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する件外四件は、その後懇談会を行うことといたしました。  なお来週火曜日九日午後一時、神田周辺学校における騒音防止の件について現地視察を行うことといたしました。  なおコマ劇場の見学を十日午後一時に行うことにいたしました。  なお四日の木曜日に都留重人君についての件について文部省外務省上り事情を聴取すること及びあわせて茨城県の焚書事件について文部省の報告を求めることをきめました。  以上であります。   ―――――――――――――
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまより中学生に対する国鉄運賃割引に関する件を議題に供します、質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 運輸政務次官に伺いますが、鉄道運賃法の一部改正法律案はすでに国会で成立し、昨日から施行されることに相なったわけですけれども、この運賃改正案を作成する段階において、現行学生割引率五割を引き下げるかどうかということはずいぶん部内で問題になったと聞いているわけですが、このたびの改正案では現行学生割引の五割というものは現状維持と相なっておりますが、今後これは変更することなく、この五割割引というものを堅持されて参る方針だと考えますが、念のために伺っておきたいと思います。
  6. 福永一臣

    政府委員福永一臣君) 説明員より詳細に一つ説明いたします。
  7. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 今回の運賃改正原案を作るに当りまして、現在の学生割引、俗に学割と称しております学割の五割、これは御承知のように、国鉄線五割、私鉄線二割のこの割引率の変更についていろいろ論議がなされたというお話でございますが、国鉄当局といたしましても、この点については今回の運賃値上げにつきましては、初めから現行のまま据え置くことにいたしておりまして、この際こういう原案を持ったこともございませんし、まだ審議の御過程において問題になったこともございません、なお今後この割引率を縮小することはあるかないかというお尋ねでございますが、ただいまのところ私どもはそのようなことは考えておりません。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねて石井理事に伺いますが、昨年運賃改正の問題が起った当時――当時は現在の岸内閣でなかったわけですけれども、その当時われわれが質疑をし強く要望したことは、法律事項でなくて処理される中学生小人扱い乗車賃の問題、すなわち十二才まで個人が乗車する場合に半額子供扱いになっておりますが、同じ義務制中学校生徒諸君は、百一キロ以上の場合には割引証を受領して、割引恩典に浴するわけですけれども、それ以下の旅行をする場合には、全部大人並み運賃を払っているわけです。当時私どもは、義務教育が九カ年になったのであるから、義務教育学校生徒児童子供並みと、半額とすべきである、かような改正を一日も早くやってほしいということを強く要望し、当時、まあ検討するという御答弁をいただいておったわけでございますが、この点は、この運賃改正等に伴ってかように処理されるお考えがあるのかどうか、お伺いいたしたいと思うのです。  なお文部省お答え願いたい点は、私は義務教育が三カ年延長になったあの当時から、当然小学生中学生を同じような扱いにするために、文部省としては教育的な立場から努力をされるべきであったと思います。今さらここでちょうちょうと申し上げる必要はございませんが、新教育は、軽減した率を認めるというのが必須条件でございますので、近距離列車利用あるいはハス利用というものは、新教育の面ではずいぶん必要であり、行われているわけでございますから、その精神からいっても、小学校中学校を同じ扱いにさるべあものと、かように私は考えるわけですが、文部省としてはどういう御見解を持ち、過去においてどういう御努力をされたのか、また今後の見通しをどういうふうに持っておられるのか。かつてもお伺いしたことがあるわけですが、なかなか実現いたしませんので、この際重ねて伺いたいと思うのです。まず石井理事さんの方から御答弁願います。
  9. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 中学校生徒小人扱いとするという御要望でございます。学校義務教育制度という点とあわせてお考えになれば、一応そういう御議論、御意見も十分あるということを私どもも了承いたすのでございまするが、現在私どもの方で、小人運賃制度の建前をとっておりますのは、必ずしも義務教育ということと直接関連を持っているものではございません、御承知通り戦前におきましては、満十歳までを小人といたしておったわけでございますが、この当時でも、小学校は六年までが義務教育になっておりました。いわゆる小学校の上級生五年、六年生になりますと、大人運賃を収受して、いただいておったのでございます。しかしこの点につきましては、いろいろ取扱い上、小学生に対して、一々お前は何歳か、お前は何年生可かというようなことを、非常にトラブルも多かったのでございまして、まあこの点考えまして、これは小学生義務教育だからということでなくして、満十二歳以下の方々を小人扱いにする、これは学校にお通いになっているといないと関係なく、そういうふうに定めたわけでございます。  そこで、今回の御要望でございまするが、そういうわけでございますし、またいろいろの観点から、私どもの方の旅客扱い観点から見ますると、これはやはり現状以上拡張することは、取扱い上の面からも、また収入という観点から見ましても、困難ではなかろうかと考えております。また諸外国鉄道の例を見ましても、大体満十歳というのが例でございまして、わが国の場合は、さらに一段とその制限を多くしているというような状況でございます。もちろん学生各位に対しまして、私どもといたしましてできるだけの御便宜をおはかりすることは、これは当然でございます。御承知のように、学校にお通いになる方につきましては、最低七割六分七厘から最高九割八厘、これは一ヵ月定期でございます。さらに三カ月、六ヵ月になりますと、これよりも一割引以上またいたしているわけでございます、そういうことで、最高九割二分二厘までの同額の割引をいたしております。それからまた、先ほどお話にもございましたように、学習上の便宜のため、あるいはこれは中学生にはあまりないことでございましょうが、それ以上の学校生徒のいろいろの研究上の旅行、あるいは帰省というような点につきましても、戦前は二割引しかいたしておりません学制を、先ほど説明いたしましたように、五割引をしているというわけでございます。これは百一キロという制限があるために、近距離の場合は大人並みだということはまことにごもっともでございます。私どもといたしましては、百キロ程度ならばなるほど割引は申し上げないけれども額自体としてはそれほど絶対額は多額なものにならないのじゃしないかと、こういうふうに考ているわけでございますし、また取扱い上の便宜上も考えまして、一応ただいまのようにやっているわけでございますが、いろいろ学生各位に対しましては、私どもとしては諸外国と比較いたしまして、まあ率直に申しますれば、例のないほど御便宜をおはかり申しておりまして、先ほど申し上げましたように、小人運賃ということは、あくまで小人という体位その他の状況から見て判断いたしてきめておりますし、また鉄道運輸規程にも定められているのでございますので、現在のところ御要望の御趣旨も私どもとしては理解できないこともございままんが、しかし、一面それは文教政策、あるいは社会政策というお立場であろうかと思います。国鉄といたしましては、現在の程度の御便宜を差し上げておりますので、御了承願いたいと思っている次第でございます。
  10. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいま国鉄の側から御意見が出ましたように、義務教育の面から考えますと、確かに小学校中学校に分けられておりますのは、はなはだ好ましくないと思うのであります。そういう意味で、文部省小学校並み中学校もしていただきたいということを国鉄当局に再三お願いをして参ったわけでございますが、ただいま石井理事からお話しのように、義務教育という線で切っているのではなくて、子供という点から制限しているのです、このことは、他の一般の社会通念と申しますか、ふろ屋その他の場合にも大体十二歳で切っているようでございます。またお話にもございましたように、戦前及び戦後におきましても、この点は義務教育とは必ずしも関係なしにきたのだ、こういうような御主張でございまして、これも一つのお考えだと思うのでございます。  そこで、今後この問題について学習支障のないようにするということが必要ではないかと考えるものであります。今のように、これを子供の年令を十五歳までに引き上げるという行き方よりも、むしろ学習支障のないようにするという方が筋ではなかろうかと考えているのであります。たとえば修学旅行その他につきまして、負担のなるべくかからないような方法を御研究願えないかどうか、こういう点も国鉄の方にも申し入れをしているわけであります。たとえばお話にございましたように、百キロ未満の場合をどうするかという点が、今は中学校の場合にはあまり遠距離ではないので、この点は多少お考え願えないかどうか。御承知通り国鉄さんも独立採算制立場をとっていらっしやるので、私どもいろいろな面において御迷惑をかけておりますので、何らか修学上に支障のないように努力をいたしたいと考えております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねて伺いますが、私は、申すまでもなくこの憲法に義務教育の無償という条文がはっきりあるわけです。また今の中学校教育考えた場合に、観察等にあるいは、バスを利用し、あるいは近距離列車を利用して行くとか、あるいはスポーツ試合に行くとか、ともかく教育一環として大きな団体、あるいは小さなグループとしてバスなり汽車を利用する場合というものは今の新教育中学生の面では非常に多いわけです、さらに相当時日をかけての修学旅行というものは、学校内における教育延長としてこの修学旅行というものはなされているわけです。従って私はこの義務教育学校中学校の面についてはもう少し汽車バス等交通機関運賃についてはいま少しあたたかい気持を持つ必要があるのでないか、かように私は考えます。もちろん先ほど石井理事お答えになったように、近距離に一々割引を出すということになると、大へん手数がかかる、それらを考えて百一キロ以上が適当だと考えるとの言葉もわからないこともないけれども、しかし小中学校生徒を見た場合に、弁当を持っていけないような子供もたくさんいるのですからね、教科書も買えない子供もいるわけですから、そういう生徒を少しでも救いたいというので政府としては法律をこしらえ、あるいはささやかながら予算化しているわけです。また何十万という長欠生徒もいます。それから今の学校教育法では夜間中学というのは認められていないのだけれども、経済的な理由から昼間の中学校にいけなくて、法をくぐって夜間中学校に通って、夜間中学を設けざるを得ないという、こういう諸情勢があるわけです。従って先ほど文部省内藤局長からもちょっと出ましたが、たとえば五人、十人という小さなグループ理科等観察に、バス汽車を利用していくとか、あるいは隣の村、隣の町とスポーツ交歓試合をするに当って教師が引率して行くとか、こういう場合に学校長の証明によって割引をするとか、また現行法では三十人以上が団体として割引恩典に浴しているわけですが、三十人以上の団体修学旅行に行く場合に、現行では小学校生徒おとな半額料金に対して三割引なんですね、中学生おとな料金に対して五割引ということになっているわけですが、こういう一年に一度あるれっきとした学校内の教育延長として行われる修学旅行に対しては、個人は別として、少くとも修学旅行団体の場合だけでも小学校と同じ扱いにするという程度の私はあたたかい思いやりというものは国鉄当局として持たれてしかるべきじゃないかと思う。またそのことは国鉄収入にさほどこの面は影響はしないと、せいぜい影響して年間一億か一億四、五千万円程度のものではないかと、そういう直感がいたします。それらの点について石井理事から御見解を承わりたいと思います。
  12. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 私がこれからお答え申し上げますことがあるいは皆様方の御感情を損ずるような言辞を弄することに相なるかもしれませぬが、一つ私の考え方を率直に聞いてやろうというおぼしめしでお聞き願えたら仕合せだと思うのであります。ただいま矢嶋先生の御意見私もまことに理屈としてわからないことはないと、ごもっともな御議論だと思います。また私どもの方の取扱い実情につきましては詳細に御存じでございまして御説明のあった通りでございます。ただ私どもの方といたしましては、いろいろの具体的な例をお取り上げになって、これはもっともだが、どうだと言われますと、まことにごもっともだと思うのでございます。その反面一応やはり制度でございますので、制度的なやり方をいたしますと、具体的の実情にそぐわないようなものもいろいろあるわけでございます。たとえば学割の問題でございまするが、私どもといたしましてはほんとうに学生諸君研究のため、あるいは帰省のためということはまことにけっこうでございます、しかしただいま御承知のように各種学校という制度各種学校の方には全部学割を差し上げておる、そういたしますと、中には芸者学校までこれに含まれておる、これは事実でございまして、やはり文部省で御認定になった以上私どもとしては画一的に各種学校としてお取り扱いしなければならない、私どもといたしましてはこういうものまで学割を差し上げなければならぬのかという不合理性もやはり感じておるわけでございます。そういう点につきまして、文部当局の方で、そういうものについてはこういうふうに不合理性をなくさすから、中学生についてはこういうふうにしたらどうだというような御提案でもあれば私どももいろいろ御相談申し上げる余地もあるかと思います。一方そういう各種学校だからしょうがないというようなお話で、それはそれとして、こういうことになりますと、合理的なと申しますか、まことにうなずけるものも一応制度としては三十人まではできる、三十人まではおまとまり願いたいというようなことを申し上げざるを得ないんじゃないかと思うのでございまして、私どもの申し上げたことは皆様方であるいは大へんお気にさわることを申し上げて失礼かと思いますけれども、具体的な合理性につきましてはそれほど制度として――一つ制度をとります以上、御納得いかないものもあるかもしれませぬ。まあこの点はできるだけ私どもとしては具体的に合理的なものに近づけてやっていくことにつきましては、幾らも御協力申し上げることもありますので、私どもの方の言い分もかたがた聞いていただいて、両々相待って御趣旨に沿ってやっていきたいのが、私の念願でございます。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 石井理事から芸者学校で反撃されると、私もちょっと困るんですが、これは芸者学校が出たので聞きますがね、指定学校として割引券を交付するのにはたしか一年以上の修学期間がなければならぬというような私は条件がついておったと思んです。文部省として指定する場合は修学期間一年とか、あるいは一年の授業時間が何時間という程度の私はものさしはあるんだと思うのですが、その点内藤局長から承わりたいと思うんですが、ときどき三味のけいこをする芸者学校生徒割引券で隣の町へ桜を見に実習なんかに行く、これば確かにおかしいと思うんですが、石井理事はそういうことを指摘しているのかどうか知らぬが、それだとすればそういうものに私は割引券を交付するのはおかしいと思うんですね、実際内藤局長指定にはどういう基準があり、どういう取扱いをしているのか、この際お答え願いたい。かような問題と、先ほど私が申し上げた中学校生徒取扱い、また五、六人、十人のグループ教育活動一環として、バス汽車を利用する場合は小学校生徒も全く同じようになるわけで、かような場合と差し違えられてはこれは僕は大へんなことだと思いますので、一応芸者学校が出ましたから、その指定基準取扱い方はいかようにされているのか、相当数割引証を交付されているわけですから、やはり文部省としては適正に逆用され、また監督する責任も私はあると思いますので、その点を伺いたい。
  14. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実は今国鉄石井理事からお話しになった点は私もどうも反省しなければならぬ点だと思っておるのであります。私これらの実は運賃割引関係所管ではございませんですけれども、この前青年学級につきまして大体年間三百時間以上やっておる青年学級につきましては、特別に運賃割引のお認めをいただいたわけです。そのときにも国鉄当局からの御要望として各種学校その他についてもう少し検討願えないかということで、実は文部省内でも寄り寄り検討はしておるのでございます。ただ現在のところ、各種学校はたしか私の記憶では年間六百五十時間以上だったと記憶しているのですが、それだけの時間をし、一年以上、こういう点で制限がありまして、もちろん各種学校だからといって無制限割引が出ているわけではないと思うのであります。で、ただいまの御趣旨で私ども自身国鉄当局のお考えもよくわかっておりますので、できるだけ、もちろん必要なものに重点的に考慮しなければならない、その場合に多少乱費されているようなものがあれば、もう少し締め直して、そして筋の通った要求にいたしたい、かように考え文部省内でもいろいろと検討しているところでございます。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題をあまり論ずると時間がかかりますので、これを多く論じませんが、各種学校に対していろいろの恩典を与えるに際しては、文部省としは今後各種学校の規模ですね、生徒数は何名以上とか、それから建物は何坪以上であり、それから時間数は幾らとか、教職員が何人以上とかいうやはり確たる基準がなければ、学校教育法の第一条に規定してある学校と同じような取扱いをするというのは問題が起ってくると思うのです。その一つが、この割引芸者学校に及んでいるのでありますが、ただあなたの御答弁を了としますが、その点締めるべき点はしっかり締めていただきたい、適正なる運営をやっていただきたい。そこで問題をもとに返して石井理事さんに伺いたのですが、小中学校を通じて学校長が証明し、保証する教育活動一環としてのバス利用、あるいは列車利用に対しては必ずしも三十人を欠けても義務教育学校生徒としての割引取扱い方をする、あるいはもう一点としては中学校生徒修学旅行、これは三十人以上になりますが、そういうことはもう教育一環としてやるわけですから個人々々の子供扱いにしないでも、教育一環として行う修学旅行団体割引については義務教育という立場から小中学校並みという、この際御検討お願いすることは私はそう無理でないと思うのですが、これを御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 石井昭正

    説明員石井昭正君) お話の御趣旨はよくわかりますのですが、私どもといたしましてもやはり御承知のようにこれによって政府から御補助をいただくというわけには現在なっておりません。いろいろ収入の問題、取扱手続等の問題もございますので、そういう点もいろいろあわせ考え研究いたすことはこれはお約束いたして差しつかえないと思いますが、今ここでやるかやらぬか言えというようなお答えは御容赦願いたいと思います。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 福永政務次官にお伺いしますが、政治家として今運輸行政をあなた担当しておられるわけですが、先ほど小中学校生徒運賃取扱いについては私の伺っている点、趣旨をいかようにお考えになりますか。おそらく政務次官としてはぜひそういうものは実現するように努力したいというようなお気持になっておられるのじやないかと思いますが、念のために伺いたいと思います。
  18. 福永一臣

    政府委員福永一臣君) 矢嶋委員の御見解、御意見私もよくわかるわけでございます。ごもっともなのでございますが、先ほどから国鉄石井理事答弁いたしておりますように、何分にも制度というものは必ずしも社会実情やいろいろな社会的な諸問題ともマッチしないところがあることはまことに遺憾でございますが、これもまた一つの法則として国鉄基準をとって運営していかなければなりませぬ関係で、まことにどうも遺憾千万でございますけれども、御意見通り満足な御期待に沿うことができないのはまことに遺憾でございます。しかしながら、これはまたいろいろ御相談申し上げ折衝の過程において何か方法を見出してできるだけのことをこちらも処理いたしまして、そうしていろいろ御期待に沿うように国鉄当局も督励いたしまして研究をさせたい、こう思います。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については、当事者である石井理事から御答弁がありましたように、一つ誠意をもって御研究、御検討いただき、できるだけ早い機会に実現するように御配慮いただきたいとお願いを申し上げておきます。  次に承わりたい点は、同じ国鉄所管内においても列車と、バス割引というか、隔たりがあり過ぎる、それからまた国鉄私鉄の場合、割引率隔たりがあり過ぎる、これを国鉄列車割引率にもう少し私は接近せしめてしかるべきではないかと、かように常々考えておるのですが、この点については国鉄当局としては列車、バズの割引率の差についてどういうふうにお考えになっておられるか、またこの私鉄運賃の許可をするような場合に、どういう態度でこの御指導、対処をされておられるのか、承わりたいと思います。
  20. 石井昭正

    説明員石井昭正君) バス運賃の副引率は列車に比較して少いと、御指摘の通りでございます。これはまあいわゆる輸送機関としての採算のあり方を見ますると、何と申しましても鉄道の方は大量な輸送ができますもので、ある程度こういうまあ社会政策的と申しますか、文教政策的な割引を申し上げてもまあそれにたえ得る力を持っておる。しかしながらバスの方は輸送単位も少く、一車当りまあせいぜい百人というような程度で運行しております企業形態から見ますと、どうしても、ここに割引率の差が出るということは私やむを得ないんじゃないかと考えておりまするが、バス運賃につきましては、これはひとり国鉄だけではなくして、国鉄がやっておりますのはごく小部分でございまして、結局民間バスが大部分を占めております。やはりこの運賃調整という観点考えてあわせて行わなければならぬと思うのでございます。しかしこの私鉄あるいは私バス運賃につきましては、私どもの方は単に国鉄並びに国鉄バスの運営をいたしておるだけで、行政官庁でもございませんので、行政官庁である運輸省の方から御答弁お願い申し上げるようにいたしたいと思います。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 運輸省のお答え願います。
  22. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) お答え申し上げます。今石井務理事から、まあ国鉄の運営いたしておりますばスは全国的には部分が割合少くて、民間バスとの運賃についての調整を考えねばならない、こうこうようなお答えがありましたのですが、国鉄バスにつきましても民間のバスと同じような運賃体系をとるということにいたしております。で、この点は国鉄バスと民間バスとが同じ路線を走っておるところも相当ございまして、まあそういう場合には違った運賃をとるわけには参りませんので、大体全部国鉄と私バスとの運賃は――民間ハスとの運賃は調整をとって、統一運賃をとるという形にいたしております。割引率につきまして申し上げますと、大体学生定期につきましては十二歳を基準にいたしますことは国鉄と同じでございますが、十二歳以上のおとなにつきましては、通学につきましてはおとな普通運賃の三割引にいたしております。それから十二歳未満の子供につきましてはおとな普通運賃に対しまして六割五分引きということにいたして、大体これが基準でございます。これを基準にいたしまして、現在実施しておりますのは一ヵ月につきまして三割引以上、三カ月の定期につきましては四割引以上ということになっておりまして、大体現在各業者が実施しております学生定期につきましては、四割引から六割引程度の線で個々の業者の申請によりまして運輸省で認可をする、こういう建前をとっております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その割引率国鉄の線にもう少し近づけるような指導はできないものでしょうか。
  24. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) ただいま申し上げましたように、まあバス運賃につきましては個々の会社の認可申請を待ちまして、原価計算をいたしまして運賃を認可するわけでございますが、原価のその運賃の計算に、運賃を認可する場合に、道路運送法の第八条に運賃の認可の基準が書いてございますが、その基準の五つばかり要件があるのでありますが、一、二を申し上げてみますと、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」「特定の旅客又は荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。」まあその他要件があるのでありますが、この適正価格を計算いたしまして、それに適正な利潤を付加するという形で認可の場合の申請をいたしておるわけでございますが、現在その原価構成要素を考えてみますと、間接費でありますところの車両償却費とか、諸税とか、備消品費とか、事故賠償金とか、支払い利子とか、まあそういうたぐいの間接費が大体五割あるいはそれ以上かかっております。その他直接費として燃料油脂費とか、タイヤ、チューブ費とか、車両修理費とか運転関係の人件費というようなものがございますが、ここでその割引をいたしますとやはりその割引による減収がございますが、減収率を見ましてこれは普通運賃を支払う旅客に付加して取るわけになるのでございます。それで直接費にまで食い込んで一般の普通旅客から取るというのも、非常に一般の負担を重くするのではないかということも考えられますので、まあ大体現在のところでは先ほども申し上げましたような三割引基準にいたしまして、三割引ないし四割引ということで個々の業者の申請によりまして認可をする、まあこういう建前をとっておるわけでございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの国鉄列車バス、さらにこの国鉄と民間の電車、バスとの割引率の非常にこの開きのある点、遺憾に思うわけですが、それでまあ伺ったわけですけれども、相当困難性があるように私答弁を聞きました。しかしまあ今後これらの問題を取り扱う際には、できるだけその幅を縮めるように可能な範囲内で努力していただきたいことを要望いたしておきます。  で、最後に伺いたい点は、最近この修学修行を行う学生は客車の配車に非常にこの隘路があるということを聞いております。まさかこの国鉄当局では修学旅行よりは他の一般の団体に配車を優先的にするというようなことは私は行われていないことと思いますけれども、配車がないために、一人々々が五割引きの切符を買って、そうして普通列車の一般旅客の中に乗車するという場合が最近相当多いようです。これでは修学旅行の目的からいって芳ばしくないし、また事故の誘発の原因にもなると思いますので、最優先的に客車の配車ができるように御配慮願わなくちゃならぬと思うのですけれども現状はいかようになり、また見通しはどう立てられておられるのか、また修学旅行の時期等についてもいろいろと御指導される方途もあるかと思うのですけれども、それらの点はいかように取り扱われておられるかということと、それから他の委員からも質問があると思いますが、文部省としてはこの義務教育が九カ年に延長になったのですから、さらに政府の方針として学校の統廃合というのも文教政策として取り上げているのですから、学生の毎日の通学費の問題、また教育一環としての旅行におけるバス賃、汽車賃、これらの問題については真剣に取り組まなくちゃならぬと思いますのでそれらの点について基本的にどういう考えを持っておられるのか、それだけを承わって私の質疑を終りたいと思います。
  26. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 修学旅行が非常に盛んになりましてまことにけっこうなことと思っておるわけでございますが、遺憾ながら私どもの方の客車が不足のために、御要望に十分応ぜられないということも事実でございまして、まことに申しわけないと思っております。御承知のように、最近の旅客の輻湊というものは、非常に著しいものでございまして、私どもの方では何と申しますか、あらゆる手を打ってやって、客車の総動員までやっておるわけでございます。一般のお客さんも非常に多いために、この方に対しても最盛期には定員の二倍もすし詰めで、お小言をちょうだいするというような状態になっております。一般旅行ということも、私どもとしては決して等閑に付するわけには参らないと思っております。ただ修学旅行学生諸君に対してできるだけの御便宜をはかろうという気持は、ただいま先生おっしゃった気持は、もちろん私どもは十分持っております。ところが御承知のように、季節的に何といたしましても一般のお客さんの多い季節にやはり修学旅行が集中する、これはごもっともなことで、これをどうのこうのというわけには参りかねると思うのでありますが、ただいま本年予定されております大体中学校以上の修学旅行の実際の人員も二百三十三万人ぐらいかとただいま私ども計算しておりますが、そのうち春に百六十万人、夏が二十五万人、秋が四十八万人で、冬の方は全然ない、こういう見込みでございます。こういうふうにまあ春――特に春でございますが、春と秋に集中いたしますので、私どもの方は現在持っております車の余裕というのは、弾力性はせいぜいしぼりにしぼって四百五十両ぐらいしか客車が出てこない、これは普通予備車で検査その他の車のかわりに充てるやつでございますが、そういうものを一時繰り上げたり繰り下げたりして弾力をつけまして、大体四百両から四百五十両程度しかないのであります。で、これにつきましてこの程度のうちから三百六十両を私ども修学旅行用に使用いたしまして、主要幹線にいわゆる修学旅行用、団体用の臨時列車を運転しております。ところがまあ春のような……こう殺到いたしますと、どうしても無理な計画になって、私どもとしては決してお断わりするわけでありませんが、あまり御無理なんで何か時期をお繰り合せ願えないかという御相談をいたしましても、結局まあどうしてもこの時期でなければならぬという御要望が多いために、定員の一五〇%――五割増し程度はどうしても、まあそれでもいいからというようなお話で、してしまうので、まことに申しわけないと思っておりますが、ただまあ五〇%までならば、五割増し程度ならば三人がけというようなこと、少し窮屈で長途の旅行にはお気の毒だと思うのでありまするが、何とかそれを三人がけというようなことをやっていただければ、まあ御疲労はもちろんあると思いまするが、ひどい御疲労にならぬでやっていけるのじゃないかと思っ、て、私どもの計画は、すべてこの最高のときでも、一番悪い場合でも五割増し以内でとどめるように指示はいたしておるわけであります。  なお昨年の秋からは東海道線の夜行に対しましては補助椅子を設けまして、これでまあ何とか御便宜をはかる方法を講じておりますが、大体この補助椅子も非常な御好評をいただいておるようであります。これを増配いたしたいと考えております。東海道線、山陽線という長距離を走ります団体用の臨時列車には全部取りつけるように進めて参りたいと思っております。私どもは一般団体の方がもうかるから、修学旅行の方はあと回しにするという考え方は毛頭ございません。むしろ逆でありまして、修学旅行は一番多いと思われます三月二十一日から五月二十日、それから九月二十一日から十月末日までは臨時列車修学旅行だけに限定いたしまして、一般団体の臨時列車は、これは原則として受け付けないことにいたしておるわけであります。しかし、そういうふうにいたしまして、一般団体の方には御迷惑をかけてはおるのでありまするが、何と申しましても輸送力が不足のため御迷惑をかけていることは事実でございます。  私ども今回国会で御審議いただきまして、運賃改正も御決定いただきましたので、これを機会に客車あるいは動力車というものも今までとは違ったスピードでこれを増加することもできますので、今までは、率直に申しますと、廃車補充していくだけがやっとで、純然たる増加というふうになって参りませんでした。今後はおかげさまでそういう点について輸送力拡充の諸設備に対して相当の資金を予算で認めていただきましたので、できるだけ努力をいたしまして、一日も早くこういう状態を切り抜けて、御要望のときにできるだけ楽な旅行をして差し上げられるように努力いたしたいと思いますので、しばらく御しんぼう願いたいと存じておる次第でございます。
  27. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校統合等によりまして通学をいかにするかというお尋ねでございますが、この点はまことに私どもも重要な問題と考えておりまして、各県によっていろいろやっておりますが、一つはスクール・バス普及でございますが、これを県で購入いたしまして、民間との契約で特別運賃を設定すると、こういうような行き方がありますので、なお僻地のスクール・バス等の問題もあり、今後できるだけスクール・バスとか、スクール・ボートに対する助成をいたしまして、義務教育の通学の負担を軽減するように努力して参りたいと考えております。
  28. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいまの矢嶋委員の質問に関連をして、特に私は民間バスの問題についてお尋ねいたしたいと思います。  まあ今年度特に学校統合の予算が昨年の倍額に増加されておりますから、町村合併に伴う学校統合というものはさらに促進するというように考えております。ところがそのことは一面、特に中学校においてですけれども、通学距離が非常に長くなるということもこれはやむを得ないことだと思います。で、私が調べたところによりましても四カ町村が合併いたしまして、そのために今までは徒歩通学の範囲にあったものが二里以上の通学をしなければならない、これが百名をこえておる、こういう事実も起っております。ところが御承知のように、そういうようなところであっても、最近民営バスといいますか、民間バスが非常に発達して、バスの路線は渓谷々々になっておりますから利用ができるわけでございます。ところがこの料金ですけれども、これはさっき御答弁の中に申請によって認可するということでございますが、実際は通学割引制度をとっていないところもあるやに聞いておりますし、それから私の調べたところでは、ここからここまでは通学割引をするけれども、これを越えた分についてはしないというように距離制限をしておるのもございます。これはたとえて言えば、埼玉の方から来るのに東京までは通学割引をするけれども、東京を越えた横浜までは割引をしない、こういうことなのです。いなかですからそういうことをやっておるところもあります。で、こうなりますと学校統合はできる、それによってバスのお客さんはふえるのにもかかわらず、結局学校統合の影響は父兄にだけに負担増になって参りますから、その金額は月二、三百円、はなはだしいのはもっと多いのもあるようでございます。これは非常な負担になっておるので、特に僻地教育振興会等においても通学費の補助を出してもらいたい。こういう要望もかなり強く出ておると思います。今内藤局長からはスクール・バスということも考えるということでございますけれども文部省はずいぶん僻地の通学バスについては努力をなさったのにかかわらず、昨年も今年も、また来年度もこれは実現を見てはおりません。そういたしますと結局、この学校統合の被害は父兄だけにかかってくる。このことは、なるほど形態としてはよくなったように見えますけれども教育の機会均等、こういうような点から言えば必ずしも学校統合ということが所期の効果を上げ得ないというようなことになるわけで、これは解決の方法としては、やはり政府からこういう場合の通学費に対する補助をすることが一つあると思います。  それから第二は、局長の言われたように、スクール・バス、これをまあ政府として積極的に補助をして設けさせると、それから第三は、スクール・バスでさっき言われたように、ただ町村とバス会社の契約でなくして、運輸省なり政府なり、直接関係しておられる運輸省、文部省が積極的にこの問題を取り上げて、実現の方向に努力をするということでなければ、現地まかせではとてもこれは実現しないと思うわけです。  最後に残された問題は、特に運輸省の方でお計らい願って、そういう通学のバス料金については、そのことによって乗るものがふえたということですから、さっきの御説明のように、現在のワクの中で割引率をふやすというのでしたらこれは減収になりますけれども、そのことによって数十人、数百人の乗客がふえるわけですから、この分については相当割引をしましても、とにかくぎりぎりのところまで割引をしていただいてもさしあたって経営に支障があるという要素は出てこないと思いますので、そういう方面からの割引の措置を講じていただく、これらの方法しか私はないのじゃないかと思いますけれども、残念ながらそのどの一つも現在とられてはいないわけです。このままほおっておくということは、町村合併も政府の施策としてこれは文部省は責任ないとは言えないし、運輸省もまた政府の施策として相当強制的にやられたわけですから、運輸省も責任はおれたちにはないのだというわけのものでもこれはないと思います。また学校の統合にいたしましても政府の施策としてやってこられた以上、そのしわ寄せを父兄にだけ寄せてそれで知らぬ顔しておけるというものでもないと思いますので、私はただいまの矢嶋委員の御質問に関連して、これについて一体どうされるのか、将来その点についてはどうしても適切な対策を立てなければならないというようにお考えになっておられるか、それらの点について文部省及び運輸省の御所見を伺いたいと思うわけでございます。
  29. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいまの湯山委員のお説まことにごもっともでありまして、実はアメリカでも学校統合が非常に盛んに行われておりましてアメリカの教育界における一大問題になっていることは皆さんも御承知通りだと思うのです。この場合にやはり一番中心になるのがスクール・バスの問題でございまして、そのスクール・バスをどういうふうに教育委員会が運用するかという点で、私も実はこの点を調べたのですが、いろいろございまして、スクール・バス自体を教育委員会が購入して運転までしていくというのもありますれば、あるいは民間にこれを委託経営をするというような事例もあるのであります。日本におきましては町村合併が最近急速に起りましたので、私どもはまだ今御指摘のような事態が各所に起きているということを十分調査もいたさなかった点は申しわけないのでございますが、今まで僻地教育という点で御承知通りスクール・バス、スクール・ボート、あるいは発電装置というようなものを要求して参ったのであります。本年とりあえず視聴覚教育、特にスライド、あるいは映画、放送というような、そういう面による学習効果を上げるために発電用装置を約一千万ほど予算を、僅少ではございますが、予算を計上したわけでございます。で、町村合併につきましては昨年ごろからそろそろ校舎の統合を始めた程度でございまして本年は前年よりも倍額の予算を計上することができましたけれども、今後町村合併に伴う通学の問題というものを私どもは真剣に考えなければならぬと思っているのであります。で、この僻地の場合に、いつも予算上問題になりますのは交通がバスにたえないのじゃないかという点が従来指摘されておったのであります。今後町村合併及び僻地教育という点から通学上の問題として、私どもはスクール・バスの助成等につきまして一そう努力をいたしまして一つ期待に沿うようにいたしたいと思います。
  30. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 最近学生、児童の通学距離が延びているという事実は確かに認められると思うのでありますが、先生のおっしゃいました通学割引制度をとっておらないところがあるというようなお話もございましたが、現在はその制度をとっておらないバス会社はないと思っております。これは社会政策的見地もございましたので、昭和二十六年からは学生割引については必ずやるということになりましたので、そのことはないと考えております。  それから距離によって制限をする点につきましても、最近にはその例はないと考えております。前にはあるいはそういう制度をとっておったところがあるかもしれませぬが、大体現在におきましてはもうないと考えておるのであります。あるいはそれがございますとすれば、バス会社が違っておるのではないか――バス会社が違っておる場合には、同一の会社ではありませんので、違うのではないか、そういうふうに考えられます。私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたような原価の計算をいたします場合に、間接費と直接費とを考えておりまして、先生のおっしゃいますように、それだけの人員は増加にはなるのでありますが、その増加されました人員につきましても、やはりバスに乗ることは、乗られるお客さんではあるので、それだけ人数がふえますれば、やはりバスの増発をしなければならない場合もあり得る、そういう場合には直接費まで食い込ませることは、民間バス会社も企業としてやっておりますので、いかがかと思われますので、先ほど申し上げましたような、三割ないし四割の線を基準にいたしまして、個々の業者の申請を待って六割くらいまで認めておる、こういう形になっておるわけでございます。
  31. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは政務次官から一つ答弁いただきたいのですが、今のように遠距離、特に義務教育の児童生徒の遠距離通学がだんだん多ぐなった。しかし実際にこれらの状態は、電車のある所とか、あるいは鉄道のある所とかいうよりも、僻地めいた所、そういう所の唯一の交通機関というものはほとんどが民営バスです。その民営バスが、ただいまの御答弁のように、なるほど乗る人がふえてもその経費もふえるんだということですけれども、これは考え方であって、それに必要な最小限度の経費最小限度の利潤ということになれば、私はこれらについては最大限の割引が適用されてしかるべきではないか、損をするということではなくて、そういう考え方に立てばもっと大幅な割引が適用されていいのじゃないかということを申し上げておるわけです。そこで運輸省としても今のような割引の点について、今後一つ積極的に努力をしてみるというお考えかどうかということが一点と、それから第二点は、今のようにそれらのバス会社に対して市町村の教育委員会から、特に通学のためのバスの配置、こういうことの申請があった場合には特に協力するというような措置をおとり願えるものかどうなのか。  それから文部省にもう一点お尋ねしたいのは、僻地のスクール・バスが三十三年度から実現するかどうかは別として、こういう状態に対して、今のような状態から起る通学費に対して補助をするというようなことについて検討の用意があるかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
  32. 福永一臣

    政府委員福永一臣君) なお、ただいまのお説は十分に運輸省としても検討いたしまして、民営バスの指導に当りましてまだ検討すべきところがございましたならば、十分に検討いたしましてサービスの改善、あるいはまた料金等の調整について、一そうの一つ研究をさせるように指導いたします。  それから第二点のサービスの点でございましたね――これはもちろん、運輸省といたしまして路線の許可をいたしました以上は、そういうサービスの点でも十分責任を負わせることになっておりますが、いろいろ利用される方方の苦情などはどしどし言ってもらって、そうして自動車業者のサービスが十分に行き届くように指導いたしたいと思います。
  33. 湯山勇

    ○湯山勇君 業務部長からも一つ、もう少し具体的に何か……。
  34. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 第一の点でございますが、政務次官から今お答え申し上げましたように、できるだけ実情について検討いたすつもりでおります。ただいまのところガソリン税の値上げの関係、あるいはその他の運賃構成の要素の騰貴というようなものがございまして、運賃の額につきまして改訂をしたいという希望が、各民間バス業者から出てきつつある状態でございまして、四、五の県につきまして運賃値上げになりますが、それを認可いたしました所もございますが、まあその際におきましても、定期運賃等につきましてもわれわれとしては検討をいたしておりますので、それらの原価構成要素につきましても詳細にわたって検討いたしておりますので、まあどの程度まで割引ができるかというようなことについても十分に研究をいたしたいと考えております。  それから通学等におきまする教育委員会からの要望について等のことにつきましても、そういう御要望がございましたら、その該当の民間バス業者に指導、改善するように、まあ指導するということはいたしたいと考えております。ただこれでわれわれはその原価の計算を申し上げるので、はなはだくどくなりますが、山間僻地の地域におきましてバスを運転いたしますと、やはりその乗車効率が低くなりまして、簡単にお考えになりましても、満員でバスが走ります場合には運賃収入も非常に多いものでございますから、これは相当にペイするのでありますが、三十人乗りのバスを運転いたしまして十人しかお客さんが乗りませんと、それは相当に収入が少いものでございますから、あるいは原価にまで食い込んでしまう。それはよその地域の運賃収入から補てんするというような形になりまして、そのバス会社の総合的な経理をわれわれとしては見ておるわけでございますが、そういう点もございまして、その配車の実情と、それから一般の学童の輸送難の要請とを両々にらみ合せまして、できるだけ各地方の御要望に沿うように努力いたしたいと考えております。
  35. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 町村合併に伴う学校統合による通学費の問題でございますが、二つの考え方が成り立つと思うのです。一つは、通学費に対する直接補助の考え方、もう一つは、スクール・バス購入費に要する国の補助この二つの考え方があり得ると思うのですが、この場合通学費に対する面接補助の形はますます困難ではなかろうか、むしろ現在都道府県で相当実績をおさめておりますスクール・バス、この方に助成する方がより効果的ではなかろうか、また国の予算の支出の面から申しましても適切ではないかと考えておりますので、スクール・バスの購入費に対する助成という点で三十三年度予算では十分検討してみたいと考えております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に伺いますが、それは今まで私どもは学区内から小中学校に通う生徒、児童の足賃並びにさらに大学、高等学校学生生徒を含んで、彼らの足賃をできるだけ安くすべきだという立場から質疑をしたわけです。皆様方考え方もわかって、善処を確約していただいたわけですが、この際一言私は文部省にただし、また御善処いただきたい点は、それだけでは解決できないと思うのです。日本の学生生徒、児童の交通難の問題、それから足賃の問題というものはそれだけでは解決できない。ということは、大学から小学校に至るまでの学校差の問題、これに対してわが国の文教政策として文部省はあまりにも私は消極的だと思うのです。大学においてはいつも言われるように大学予算の傾斜配当というので、どうしても特定大学に重点を置いてだんだんと大学差というものを縮めるどころでなくて、ひどくなるばかり、さらに高等学校の段階では学区制堅持と言いながら、近ごろの全国の高等学校状況はどうですか、学区制はほとんどこわれつつある。そうしてバス汽車を利用して遠方から通っている。まことに私は寒心すべき状態だと思う。さらになお嘆かわしいことは義務教育小中学校の段階について、東京都内なんか特にひどい。子供だけどこかに名義上だけ寄留して、そうしてもぐり入学をしている。これは教育委員会もさることながら、やはり国の一つ文教政策として大きな筋金を入れて適正なる指導を私は文部省はやるべきだと思う。あの小さな小学校生徒が満員電車にもまれて、そうしていわゆる有名校に通っている姿というものはますますひどくなりつつある。これは国あるいは地方公共団体の財政との関係で、施設、設備の問題が均等化されない、そういう面もありましょう。しかし方針を堅持して決意さえすれば、施設、設備の面とともに、他面、先生がたくさんいらっしゃる、先生の中でも人の顔が違うように、優劣も若干あるわけですから、その職員構成だけでも若干の手心をすれば、学校差というものはなくなっていき、少しずつでもそういう傾向は是正されていくと思います。ところが大学から小学校に至る教育行政を見てみますと、むしろ油をそそぐ方向にいっている。そういう点について私は文部大臣の出席を要望したわけですが、文部大臣おいでになっていないのは非常に残念に思うのですが、そういう点も考えていかなければ、前段においてわれわれが質疑応答をしただけでは、学生生徒、児童の足賃と交通緩和の問題は解決できないと思います。その点について終戦直後新学区制が発足した当時のことを想起されて、文部当局としては私は筋金を入れていただかなければならないと、かように考えているのですが、大臣はおられませんので、初中局長は義務制の担当者でもありますから、お答え願いたいと思います。なお私からこういう質問があったということは、大臣にお伝え願いたい。次の適当な機会に大臣の御所見を伺うことをあなたからお伝え願いたい。
  37. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今お尋ねの点は私まことにごもっともだと思うのでございますが、やはり学区制の問題にいたしましても、義務教育の問題でも教育の機会均等という点に重点を置いてやって参ったわけであります。ただ現実に学校差があるということも、これも事実だと思う。私どもはできるだけ学校差をなくすようにいたしたいと、努力しておるところでございますが、何といいましても、学校差というものは根本は人にあると思う。校舎の美しさを誇っておるわけでなく、教師あるいは校長先生の識見に待つところが非常に多い。有名校というのは教職員の組織がりっぱであるということに尽きると思う。こういう考えから教職員の適正配置ということを盛んに私は言っておるのですが、なかなかそう思うように先生方の異動ということもできないわけでございまして、しかしできないからといってほうっておくこともできませんので、できるだけ機会均等になるように適正な配置をいたしまして、学校差をなくするように努力したい。もう一つの問題は、私は父兄が何か一つの狂信的と申しますか、有名校ばかりに集まるという父兄のみえもあるのではなかろうか。最近都立の高等学校におきましても、相当各学校が整備されてきたにもかかわらず特定の有名校に走る傾向は父兄側も私は慎しんでいただきたいと思う。双方の努力によりまして教育の機会均等の実を上げることを私どもは念願しておるわけであります。ただここで従来の歴史なり伝統のある学校は、これは歴史や伝統をますますみがくような方向に、そして悪いところを引き立て、いいところを引き下さないように、こういうような配慮はやはり必要ではなかろうかと考えておるのでありまして、御趣旨の点はまことに同感でございますので、今後そういう方面に一そう指導を強化したいと思います。
  38. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 本日鉄道関係の方がおいでになったこの機会において、バス料金、あるいは鉄道料金割引の問題が論議されたのでありますが、あるいは要望があったのでありますが、私はなお別の観点から、この運行時間ということから、いわゆる授業時間ということに関連しまして、非常に授業時間が運行時間によって左右されるということの意味において、関係当局におきまして、この授業時間に支障を来たさないようにしていただきたいということを私は申し上げたいと思います。たとえば八時半から授業を始めたいというのにバスなり、あるいは汽車の時間がそれに間に合うように発着しないということのために九時にしなくちゃならぬ、あるいはまた終業時間を五時でやめたいというのに、バスの運行があとなくなるということのために、早くやめなければならないというようなことになるので、その意味において何時間授業をすべきであるというのを、たとえば六時間やるのを、五時間とか、四時間と繰り上げなければ、非常に支障を来たすことが、これは現実的に起っておる問題であるので、これらの点に関しまして、バスの運行、あるいは汽車の時間、こういうことも実情に合うように、現実面に合うようにしていただきたい。この点に関しまして関係当局の御意見を承わりたいと思います。
  39. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今御質問のございました運行時間の点でございますが、バスにつきましては一日三往復ないし四往復というようなところもございまして、実際の場合には、そういう場合でも通勤通学等には支障を来たさないように考えておるわけでございますが、この三往復ないし四往復のようなところもあると申し上げましたのは、先ほども申し上げましたように、旅客の数によりまして、そこを利用されます旅客数が割合少い場合には、やはりその旅客数から申しまして、それに該当するような、一日三往復ないし四往復というような場合もあるのでありますが、それでも先ほど申しましたような通学、通勤には支障を来たさないように指導をいたしておりますが、具体的にこういうところがこういうふうに不便であるというような場合には、まずその地元において、会社に御交渉願いますことも必要でございますが、われわれといたしましては、できるだけそういうことには支障がないように指導をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  40. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 実はその問題に対して、地元において、相当会社なり、あるいは鉄道当局にお願いを申し上げるのですが、なかなかいざ実際面になりますと、やってくれないというのが現実の姿であるので、監督の立場にいらっしゃる皆さん方におきましても、さような場合には事実に沿うように、また現実の面において、地域の要望に沿うように、一つ御指導下さるようお願いいたしまして、この席からなお一そうの御関心をお願いいたします。
  41. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 最後に時間もありませんが、先ほど運賃の問題について、芸者学校のことを言われたのですが、各種学校について文部省検討してくれるならば、義務制の通学についても検討する余地があると、こういうふうな石井君から答弁があったと思うのですがね。これは相当重要な問題と思うのですよ。というのは、今言ったように、国の政策で通学距離がだんだん延びて、スクール・バスの方の補助を出すといってもなかなかそうはいかぬ、こういうことで、万やむを得ず乗物を使わざるを得ないというような、一方において政策を進めて、片一方においては何としても、国として義務を課している教育制度に、何とかそれも処置してやらなくちゃならぬというものに対して、それは何ともできないということで手をこまぬいて、片一方において芸者学校割引をしてやるということが、私は芸者学校割引をしてはいかぬということは言わないが、義務制を差し置いて、そういうことを言っておるのは理屈が通らんと思う。要するに、そういう点が合理的に、制度の問題があるけれども実情に即して運輸当局の方は割引をすれば、結局どれだけの損になりマイナスになる。こういう計算上の私お考えだと思うので、そういう点もあると思うが、全体的に制度というものとの実情に即して一つ検討して、文部省としても、はっきりした態度をお示し願いたいし、それに即応して、運輸省の方でも、あまりかたくなに、十二才とか何とかということではなくして、もう少し実情に即するように、国の政策が一方において進められているのだから、そういう場合において、スポーツとか何とかというよりも、私は一番問題は通学だと思う、通学の場合はスクール・バスという問題が解決されればいいが、それまで、スクール・バスによって解決されれば利用者が減るのだから、国鉄の損害という面が、マイナス面は少くなるのですから、そういうことを前提としても、まず一番先に通学の者に対しては、もぐりなんかではだめですよ、もぐりではなくして、学校統廃合によって、バスなり電車なり汽車なりを使わざるを得ない、こういうような場合は私はそうないと思う。まず第一に手始めとして、義務制学生が統廃合その他の事情に上って、万やむを得ず、学業のために学校に通う者については、この際特段の英断をもって、私はやるということでなければ、これは子供に義務をさしておる建前からいって、国が一方において広範囲な統合を進めるということの観点からいって、どうしても私は理屈に合わぬので、この点は一つ運輸当局、文部当局においても、特段の御配慮を願いたいと思う。そうたくさんはないと思う。それから、一つずつ検討して、その他の問題に及ぼしてもらいたい。まず私は通学問題についてのみは、緊急にお取り上げ願いたいと思う。それから矢嶋さんの言ったような点も同感だと思うが、そのほかに団体三十人の問題についても、もう少し十五人なり二十人に下す方法はないか、そういう点と合せて、一つ特殊学校、各種学校の問題についても、御検討願いたいと、こういうふうに考えます。  それでは時間がありませんので、以上で午前中の質疑を終りまして、暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩    ――――・――――    午後二時二十六分開会
  42. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  盲ろう学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する件外四件を一括して議題といたします。  本件についてはまず懇談で取扱いを協議することにいたします。  速記中止。    午後二時二十七分速記中止    ――――・――――    午後四時四十二分速記開始
  43. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会    ――――・――――