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1957-02-21 第26回国会 参議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十一日(木曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            野本 品吉君            矢嶋 三義君    委員            川口爲之助君            田中 茂穂君            林田 正治君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    文部大臣官房会    計参事官    天城  勳君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査の  件  (当面の文教政策に関する件)  (昭和三十二年度文教予算に関する  件)  (鹿児島川内隈之城小学校天井  落下事件に関する件)  (高崎市立経済大学設置に関する件)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会開会いたします。  まず十九日に開会いたしました委員長及び理事打合会経過について報告いたします。本日の委員会は、当面の文教政策について文部大臣から説明を聴取し、先日説明を受けております昭和三十二年度文教予算とあわせて質疑を行うことといたしました。  なお高田委員から立正大学教員免許法認定講習会における無効証明書の問題及び鹿児島川内隈之城小学校における床板の墜落事件について緊急質問の申し出がありましたが、これは審議の過程において適宜御質疑を願うということにいたしました。  本日の委員会は一応午後三時まで行うこととし、もし質疑が終了しない場合はあすの委員会開会について御協議いただくということになっております。来週の委員会は火曜二十六日午前十時とし、委員派遣報告及び、本院先議法律案が一件ありまするので、これの提案理由説明を聴取することといたしました。以上報告通り取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 当面の文教政策に関する件を議題といたします。  まず、文部大臣から説明を聴取いたします。
  5. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 当面の文教政策についての御説明でございますが、昭和三十二年度の予算の大綱につきまして先般御説明を申し上げたのでございまするが、その中におきまして、いかなる点に私が重点を置いたかというようなことを申し上げますれば、大体今日私の考えております点の御了承をいただけるかと思うのでございます。申すまでもなく、これは古い言葉でございまするけれども文教の問題を考えます場合に、私は知育徳育体育、この三点についてバランスのとれた、いずれもその向上発展を期して参らなければならないかと存ずるのでございます。  今日青少年の問題がとかく世上問題となっておりますことは、まことに遺憾に存じておる次第でございますが、さような点から考えましても、特にこの徳育という問題につきましては、重点を置いて考えて参らなければならないかと存ずる次第であります。もっとも徳育というようなことにつきましては、これは必ずしも予算の問題ではないと考えるのでございます。予算上どこに徳育予算があるかと申されますというと、特別取り立てて申し上げるほどのこともございませんけれども学校教育内容につきまして、また平素あらゆる機会、あらゆる場所において、この道徳教育ということは徹底しなければならない問題と考えまして、さような点については特に留意して参るつもりでございます。  今度の予算を通じてごらんをいただけますように、特にこの科学教育科学水準向上ということにつきましては、特別に力を入れたつもりでございます。日本の今日の科学水準というものが、まだまだ高まって参らなければならぬということは、諸外国に比較いたしまして当然考えられることでございます。だいぶ立ちおくれをいたしておるような点も少くないようでございますが、われわれといたしましては、諸外国に伍して遜色のない科学水準に到達することをすみやかにやって参らなければならぬ、そういう考え方をいたしておりますので、今度の予算におきましても、日本科学水準を高めるために必要ないわゆる科学教育方面につきましては、それぞれ配意をいたしたつもりでございます。同時にまた、産業経済界等実情から申しましても、科学技術に関する教養を身につけた者を非常に要望いたしておるわけでございます。さような意味合いからいたしましても、この方面につきましては重点を置いて参らなければならないと存じまして、特に国立大学の諸施設整備する、あるいは国立大学研究に幾らかでも便宜を与えますために、教官の研究費増額いたしますとか、学生経費増額をはかるというようなことにも留意して参りましたつもりでございます。私学方面につきましても、やはり理科教育方面を伸ばす必要があると考えますので、不十分ではございますけれども理科教育設備等につきましては若干の予算増額をはかりましたような次第でございまして、今日国立大学方面におきましては、理科系統学生の数が法文科系統学生の数よりもだいぶ多くなっておりますが、私学系統におきましては、まだまだ理科系統の方がおくれておりますので、漸次この方面に力を入れて参りたいと考えておる次第でございます。  また、公立文教施設等につきましては、これが整備充実をはからなければならないことは、申すまでもないことでございます。年来やって参っておることでございまするが、今年の予算におきましても、新町村の育成というようなこととも関連いたしまして、学校の統合、あるいは不正常授業解消等につきまして留意いたしたつもりでございます。  さらにまた、体育でございますが、スポーツ振興ということに今後力を入れて参りたいと考えております。今日青少年の状況を見ておりましても、また国民生活全体の状態から考えましても、私はこのスポーツを奨励することによりまして健全明朗な社会を実現するその一助といたしたいと考えまして、できるだけこの方面には力を注いで参りたいと考えております。今度の予算におきましては、御承知通り、きわめてわずかでございますけれども、このスポーツ振興のために経費を計上いたしておりますような次第でございます。そのほか、国立競技場設置に要する経費でありますとか、あるいは体育団体に対する助成の道を開くというようなことも考えておりますようなわけであります。  また、これらと相並びまして、今日日本の置かれておりますところの国際的地位、ことに国際連合に加盟いたしました今後の日本といたしましては、国際間のいろいろな交流というものが行われて参りまするし、またわが国民国際的な理解を高めますというようなことも必要であろうかと考えますので、国際文化交流ということにつきましては、今後とも力を入れて参りたいと存ずる次第であります。これは国際文化交流ということとは必ずしも直接の関係はないかもしれませんけれども、従来外国に対して派遣いたしますところの留学生の数がきわめて少いのでありまして、戦前に比べますというと、比較にならないような状態でございますが、一時にというわけにも参りませんけれども、漸次海外に対する留学生もふやして参りたいと考えております。同時にまた、外国からの学者の招聘でありますとか、あるいはまた特に外国からの留学生の招致、なかんずく東南アジア方面からの留学生というような問題につきましては、一そう力を入れて参りたいと思うのでありまして、これがあたたかい受け入れ態勢整備すると同時に、留学生の数を漸次増して参りたいというような意味合いにおきまして、予算を計上いたしましたような次第でございます。  いずれにいたしましても、この知育徳育体育、これをあわせて奨励をするということが私の考え根本でございますが、戦後いろいろと新しい制度のもとに関係者が苦労して今日まで参っております。制度の問題もようやく整ったかと思うのでありますが、同時に新しい制度に対するいろいろな経験からいたしまして、これにつきましてさらにまた改善を要望する声も少くないのでございまして、制度根本につきましては慎重に検討を進めて参りたいと思いますけれども、とりあえずの当面の措置といたしましては、いろいろ新しく実施せられております制度内容充実内容整備ということにまずもって力を入れて参りたいと思うのであります。いろいろたくさんの大学があると、大学が多過ぎるというような声もしばしば聞くのでございますけれども、私といたしましては、これらの大学につきまして、それぞれ内容整備充実いたしまして、世間の需要にこたえたいと思っておるような次第でございます。問題はまさに内容検討に入るべき時期ではないかと思うのでございまして、教科内容につきましても、またいわゆる職業教育でありますとか、そういう点につきましても十分実情検討いたしまして、漸次改善の実を上げて参りたい、かように考えておるような次第であります。  以上まことに簡単でございますけれども、一応私の考えております点を申し上げた次第であります。
  6. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまの文部大臣説明に、昭和三十二年度文教予算を合せて質疑のある方は順次御発言を願います。  なおこの際申し上げておきますが、政府委員としては、文部大臣官房会計参事官天城君、文部省初等中等教育局長内藤君、文部省大学学術局長緒方君、文部省管理局長小林君、その他説明員が出席しておりまするので御了承を願いたいと思います。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま文相から、当面の文教政策に関する点について、るる御説明がございました。御説明によると学校施設整備等についても、相当重点的な御方針をお持ちになっていることを拝承いたしまして、私は国民とともにこの方策に対して心から敬意を表し、またともにこの方針が完全に実施されることを期待してやまないのです。こういう意味で、私は先般の理事会にも緊急問題として提案しておったことがございますので、特に老朽校舎に関する問題として大臣の御所見を承わっておきたいと思うのです。御承知かと存じますが、去る二月十二日に、鹿児島県の川内隈之城小学校、この学校校舎の一部が、四十八人の児童が集まって学芸会の練習中に突然に床のはりが折れて下におっこった。階下の一年三組の教室にも子供が残っておったために、重軽傷を負った者二十三人、あるいはまた十何人というふうに、相当数子供たち被害を負った事件新聞に出ております。新聞の取り上げ方も、小さい欄で取り上げたものもあれば、かなり写真も入って大きく取り上げたところもあったようですが、私はこの種の問題は、一つの単に施設の問題というのみではなく、ほんとうに児童の生命を守っていかなければならない人道的な立場に立っている問題であるというふうにも把握いたしまして、特にきょうこの問題を出したわけであります。そこで今日まで文部当局としても施設の問題には相当に骨を折られた跡も見えるようでありますけれども、実際には予算関係としてなかなか実情には即さない面もあったように考えられるわけであります。一応私はこの問題に対して、文部省当局としてこの問題をどういうふうに把握し、今後こういう問題に即してどのような方向にこれを持っていこうとされるのか、一応文部省の全体の把握を知った上で、細部にわたって御質問を申し上げたいと思うのですが、特に老朽校舎の問題に対しての本事件を通して大臣はいかなる御所感をお持ちになっておられますか、概括的な御所感を承わりたいと思います。
  8. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) せんだっての川内市の小学校校舎の問題につきましては、まことに遺憾に存ずる次第であります。老朽校舎と申しますか、危険校舎と申しますか、この全体の問題につきましては、もちろん従来同様に私といたしましては整備をいたして参りたいと考えておる次第でございます。同時にまた新しい建築等につきましては、よほど気をつけて間違いのないように堅実な建築の仕方をしてもらいたいと念願しておる次第であります。詳細は政府委員からお答え申し上げます。
  9. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この川内市の隈之城小学校の二階のはり落下、この事件につきましては、事件がニュースに載せられました直後に、私どもの方から、この鹿児島県の教育委員会にも長距離電話で照会をいたしました。その後鹿児島県の教育長の方から事故報告書が参っております。それによりますと、この川内市の隈之城小学校という学校校舎——今度の事故の起きた校舎は、比較的建築年度としては新しい建物でございます。昭和十四年の建物でございまして、従って現在までの経過年数からみますと、大体十六、七年程度でありますので、耐用年数からいいますと、特にこれが危険な状態にあるべきものではなかったようであります。従って文部省といたしましては、従来二十九年度以来、危険校舎調査、それから校舎耐力度調査をするようにということにつきましては、しばしば府県に連絡をいたしまして、実施をして参ってきておるものでございますが、この事故建物につきましては、設置者の方でも思い違いをしておったのでありましょうか、耐力度調査も全然しておらなかったという実情でございます。幸い学童の事故というものは、新聞に報道されたほどひどくはありませんで、二十五、六人の児童のかすり傷程度のもの、それから三人ばかりは打撲傷を負ったものがある程度だという事故報告書を受けておりますが、しかしこれは幸い、このはり落下の仕方が比較的緩慢であったということから、こういった、まあ負傷が少かったという比較的喜ぶべき結果が出たのだと思っております。しかし事態といたしましては、これはよほど今後も慎重に、危険校舎の解消なり、あるいは耐力度調査というものを従来以上に取り扱っていかなければならぬ、慎重に考え措置していかなければならぬものと私どもとしては考えておる次第であります。
  10. 高田なほ子

    高田なほ君 文部省調査の御報告がありましたが、さほど危険な状態にあるべきではなかったという調査報告があったようであります。これは非常に重大な私は問題だと思うのです。さほど危険な状態ではなかったにもかかわらず、実際はおっこっている。この問題はまた掘り下げてここで検討さしていただきたいと思います。  その次は、新聞に出たほどひどい被害ではなかった、まあかすり傷程度でよかったという安心感からそういう報告があったと思うのですが、これはやはり大へんな考え方相違といいましょうか、非常にこれは危険な文部当局としての考え方のように思うのであります。ちょうどこれは重軽傷者が少かったというのは、階下子供たちがおらなかったからよかったようなものでありまして、下の一年の子供教室授業中で一ぱいであったとしたならば、上から四十名もの子供が落っこってきたならば、これは阿鼻叫喚のちまたになったのではないか。幸いにしてはり落下が緩慢でありたけれども、もしこれが緩慢でなかった場合は、これは容易ならざる問題が起ってきただろうと私は把握する。従って文部当局のただいまの御報告は、私に言わせればひどくのんきな御報告である。また、考え方としても非常にのんきな考え方のように思うのでありますが、しかし、これは考え方相違でありますから、あとでまた御意見があれば伺わしていただきたいと思います。そこで、大臣にお伺いをしたいのでありますが、従来と同様の角度でもってこの老朽校舎の改築または整備のために処理をしていきたい、こういうような御意見でありますが、従来と同様であるということについては、私は相当問題があるのではないかと思うのです。それは、特にこの問題を私が取り上げたのは、鹿児島県は、これは毎年台風通過地域になっております。このために、校舎老朽度合いというのが、全国的な平均は大体八・五%だと言われておりますが、鹿児島県下の老朽校舎平均度合いは、小学校においては一六%、高等学校も一六%のようです。中学校の場合は若干率は減っておるようであります。全国平均率から比べると、鹿児島県は全国の倍率の危険校舎の数の多さの度合いを持っている。これは、今申し上げたように、台風通過地域であるということが一つであります。それから、特に湿地帯におけるシロアリ等の侵害による腐朽度合いというものが校舎を危険にさらしている。こういうふうに地域的に見て特定地域であるように私は考えられる。ところが、従来の方針で参りますと、国庫三分の一補助というものが、こういう特定地域に対しては、特異の方法というものがあまりおもだって取り上げておられなかったとしたならば、やはりこういう特定地域における危険校舎といろ問題については特定措置というものが早急に講じられなければならないのではないか、特にこの鹿児島県の問題は、新聞の報道するところによると、現在危険にさらされている校舎が約三分の二に及んでいると明細に坪数をあげております。私はこの坪数をここで御紹介をする時間を惜しむものであります。そうしたような特定の問題に対して、あまり御報告がのんき過ぎやしないか。私は、ここに今度起った学校隈之城小学校シロアリで腐朽された新聞写真を見て、実はりつ然としているのです。これは後ほど大臣にもお目にかけたいと思いますが、こういうふうに、シロアリが巣食いまして、はりも床下も腐り果てている。こういうものがたまたま学芸会の運動で飛んだかはねたかしりませんけれども、そういう事態で、たまたま午後二時半、下の子供がおらなかったときに、不幸中の幸いに、子供のけがが少くて済んだのでありますが、特殊な地区の問題は特殊な考え方が必要ではないかということに対して、従来通りということではなくして、大臣の御所見というもの、また、考え方というものについて特に承わらしておいていただきたいと思います。
  11. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私が従来通りと申しましたのは、全般についての危険老朽校舎に対する考え方を申し上げたわけでございますが、今大へんお教えを受けたような心持ちになっておるのでございますが、さような特殊な事情のある所につきましては、今後これをどうするかという問題について一つ研究さしていただきたいと思います。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねて御要望申し上げたいのでありますが、特にこの鹿児島県だけは小、中学校だけで四万一千坪以上の危険校舎、先ほど申し上げた膨大な危険校舎をかかえておるというような悲しいありさまなのでございますが、当の隈之城小学校は、危険校舎にも申請されていなかった、なぜ危険校舎に申請されていなかったかというこの原因というものについては、相当これは大臣にもお考え願わなければならない。御承知のように、鹿児島県は、新聞の報道によれば、相当貧困県であって、地方財源は極度に逼迫しておる。国の三分の一の補助だけではなかなか理想に到達することができない。そこで、文部当局は、三十一年度には約十八億ばかりの老朽校舎費が組まれておるようでありますが、これを計算してみると、鹿児島県の危険校舎整備するためには十年の計画を要することになる。そうすると、この危険校舎整備するだけでも、現在の予算では十年の時間を経過しなければ直らないということになると、これは一体どういうふうにしたならばこういう問題を未然に防ぎ得るかということについて、これは相当地方財政とのにらみ合せにおいて考究しなければならないように考えられるのでありますが、この地方財源貧困と、それから国の補助との関連ということについて大臣は特異のお考えを現在お持ちにたっていないかどうか、この点を重ねてお尋ねしたい。
  13. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この問題と直接関連して特別な考え方を実は今まではいたしておりません。ただ、教育行政を進めます上におきまして、ことに学校校舎等の問題を考えます場合において、地方財政の問題が非常に重要な問題であるということはお話通りでございます。地方財政充実して参りませんというと、いろいろ考えて参りましても、なかなか事はうまく進んで参りません。そういう意味におきまして、教育に関する地方財政充実ということにつきましては、及ばずながら今後努力して参りたいと考えております。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 さらにお尋ねしたいことは、この危険校舎において事故の起ったときの児童の数は四十八名であったわけです。ところが、最近定員条例が各府県にしかれまして、大体五十七名とか六十名をこえるところが非常にふえてきておる。そうだとすると、四十八名の児童の重みに耐えられないで、落下するような校舎定員を六十名以上にふやすということに対する危険率というものについては、文部当局としては、相当これは考えなければならない問題だと思うのであります。特に、私は自分の多年の教壇生活経験から言いますと、大ていは低学年は二階に上げませんで下に置きます。そうして上学年子供、大きい子供は上の方に上げてやります。そうすると、定員数を、老朽あるいは危険校舎ということとはらち外に、無鉄砲に、こういう一片の定数条例でふやした場合における危険度というものが非常にかさまってくるように私には考えられるのであります。一般の定員増と現在ある老朽危険校舎との関連における取扱い方というものは、大臣としては、事の起らない先にこういう問題は考究されなければならない問題ではないか、事が起ってからではおそいのであります。こういう問題をどういうふうに一体把握していられるのか、私は肌にアワの生ずるような思いで実は質問しておるわけであります。先般小野田に参りましたときにも聞いたのでありますが、小野田は、あすこはセメントの出る所であります。また、かつて兵隊さんが入って、校舎の下をどんどん掘って、ほら穴があいている。そうして、風が吹けばギーギー音をたてるというような校舎であります。だがしかし、老朽校舎に対する基準率が、今までの基準率よりは引き上げられたために、危険校舎に該当しない状態になっている。私ども教育者としては、こういうところに六十名もの子供を入れるということについて、特に階上に多くの子供を入れるということについて、実は日ごとに心配でならないという素朴な先生のお訴えを聞いたわけであります。定員増老朽校舎危険校舎、これに対する処置をどういうふうにしようとするのか、私は一応大臣の確信ある御見解というものを承わっておきたいと思います。
  15. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 定員の問題につきましては、文部省といたしましては、何とか適当な基準定数と申しますか、さようなものを一つ案出いたしたいと、せっかく努力をいたしておるところでございます。  なお建物の問題と定員増お話でございますが、私は定員が少々超過いたしましても、それによって直ちに影響を生ずるような程度のひ弱な建物じゃ困ると思います。今後、先ほどちょっと申しましたが、建築するに当りましては、よほど気をつけて、しっかりした建築を建ててもらうように一つ関係当局者を督励して参りたいと考えております。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも大臣はかなり楽観的にお答、えになっておるようであります。実情はそんなものではないのであります。各県をごらんになればおわかりになると思いますが、危険校舎に入らないという部面のものでも、つっかい棒をしているような校舎はたくさんあるのです。しかるにもかかわらず、一方では地方財源が不足しているという理由でどんどん定員がふえていっている。それが直ちに落っこちないからいいのだというのではなくて、そういう危険もありはしないかという私の危惧に対してもう少し親身のある御答弁が私はほしかったのです。いかにもどうも血のない御答弁を承わって、実は非常に私は大臣の初の答弁に失望を感じているのでございます。もう少し私を失望させないような——私を失望させるということは、これは国民を失望させることになっているのだと思うのです。定員の増と老朽校舎の基準の引き上げという問題については、これは事務当局からもあとで承わりたいのですが、どうぞ一つ、もう少し血のある、安定のある見解、そういったようなものがほしかったと思うのです。しかし、大臣はそれ以上の御答弁を要求してもお答え頂けないかと思いますから、私はこれはやめます。  次にお尋ねしたいのでありますが、幸いにして子供の負傷者は数が少かった。そうしてその傷の度合いもかすり傷、多少の骨折という程度で大へん軽かった。そこで治療費は隈之城小学校の直接責任を持っている川内市でもってこの治療費は全額負担することに決定をした模様であります。むしろこれは非常に被害が僅少でありましたから、全額市負担ということが一挙にできたかもしれませんが、この四十数名の子供が、あるいはそれ以上の子供がこれ以上の被害をこうむった場合における治療費の市全額負担ということについては、相当に私は困難な点があるように考えられるのであります。一般問題として児童のこうした場合における災害に対する補償の問題について私どもは国がその一端を負うべきであるという考え方を持って、今までも党派をこえて先生方にも御心配をいただくようにお願いをしつつ参ったわけでありますが、今度の災害補償の問題等に対して灘尾文相はどういうようなお考え方をお持ちになっておられるものか、この際この点を明らかにしていただきたいと思います。
  17. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) かような性質の児童の災害につきましての補償の問題でございますが、なかなか大切な問題と考えております。ことに社会党の皆さんの方からすでに法律案として提案をせられておるように承知いたしておるのでありまして、私どもといたしましては、今日まで格別この問題についての検討はいたしておりませんが、十分に検討さしていただきたい問題と考えておるのであります。
  18. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を始めて。
  20. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは二、三疑問の点を事務当局に伺わせてもらいます。  これが危険校舎に申請されなかった理由について文部省はどういう調査をされておりますか。
  21. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 昭和二十九年に法律ができましたときに、危険校舎と認められる学校について報告をしてもらいたいというので、全国的な報告をとっておるわけでございます。しかしその当時は最初のことでありますので、中には報告漏れであったというようなことで、だんだん申し出があったものでございますので、三十年度に至りまして、報告漏れのものについてはすみやかに調査をして、報告してもらいたい、報告漏れのないようにしてもらいたいということを重ねて指示をいたしました。私どもといたしましては、二回にわたって調査をいたしたのでございますので、一応当時の現在の状況においては報告漏れがほとんどなかったのではなかろうかというふうに考えておったわけでございます。大体御承知のように、義務教育学校校舎の状況につきましては、設置者なり、あるいは管理者が当然注意をしておるべきものでありますので、設置者の方から県と連絡をいたしまして、県の建築技師に来てもらって、耐力度調査を行う、そうして耐力度調査によって、危険であるというふうに認められた場合は、文部省の方に報告するということになっております。この隈之城小学校につきましては、管理者の方で、あるいは設置者の方の不注意であったせいか、県の方に連絡がありませんし、県の方から文部省の方には全然これが危険校舎であるという報告は現在まで参っておらないのでございます。
  22. 高田なほ子

    高田なほ子君 老朽校舎の、行政面で基準点を引き上げたということをしばしば聞くのですが、従来からどういうふうに基準点を引き上げていったのですか。そういう原因でこの報告ができなかったのではないですか。その点はどうなんですか。
  23. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、耐力度調査によりますと、一万点から零点までの間に学校建物が位置づけられてくるわけでございます。文部省といたしましては、二十九年の発足以来、大体四千五百点以下のものが危険校舎であるというふうに認めて、これに対して補助金を交付して参っております。発足以来この基準を引き上げたという事実は全然ございません。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 現場で聞きましたら、基準が引き上げられたという説明があったのですが、そうすると、それは市町村で勝手に基準を引き上げてみるのだというふうに解釈していいのですか。
  25. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほどお答え申しましたように、発足当初から四千五百点以下のものを特に危険であるというふうに認めて、その改築をする場合に補助金を出すということでやっておりまして、現在までこの方針を動かしておりません。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは年数と、それからどういうことが基準になっておるのですか。特に鹿児島県は危険校舎の三分の一がシロアリでやられているということになってくると、これは危険校舎の測定が年数だけではかられるということは非常に危険なことがあるのじゃないか、そうすると危険校舎の場合のシロアリの問題を特にどういうふうな関係でもって承認基準として考えているのか、これを伺っておきたいのです。
  27. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この耐力度調査は、現在耐力度調査表というものをはっきり示して、それによって構造上の耐力を測定してもらうということになっております。構造上の耐力は、第一に建物自体の構造の耐力、それから第二番に保存の度合、それから第三に建物以外の外部からの条件というものを勘案することになっております。第一の構造上の耐力につきましては、その建物の基礎構造、あるいは土台、柱、それから壁、それから筋かいとか、控え柱といったようなものをすべて勘案して点数をとることになっております。それから第二番の保存度につきましては、建物経過年数、それから土台の腐朽工合、柱の腐朽工合、それから二階はり及び小屋はりの腐朽工合、柱の傾斜、それから横にかけておる横架材の傾斜の度合というようなものをそれぞれ勘案することになっております。それから外部からの条件でございますが、これはたとえば風圧がどのくらいあるところであるとか、あるいは地震がどのくらいあるとか、あるいは海岸からどのくらい離れておって、湿気がどうであるかというようなことをそれぞれ勘案して、点数を出すことになっております。従って、ただいまお尋ねの建物経過年数でございますが、これは三つの要件の保存度の中の一つの要件、一部分の要件でありまして、従って全然これが要素になっておらんということではないのでありますけれども、この建物経過年数が非常に強いファクターになっているということではございません。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点伺いたいのですが、この外部条件ということで、鹿児島県ではその外部条件を特に考慮されているわけなんでしょうか。特にここは先ほど申し上げたような台風通過地域である、シロアリの発生地域である、こういうような外部条件について特に考慮されているものでしょうか。なぜならば、これは川内市の教育委員会で発表した数字によりますと、非常に危険校舎だというのが軒並みに並んでいる。実にこれは危ないわけなんです。危険校舎であるということが軒並みに並んでおって、なおかつこれの整備に着手し得ないということについては、相当これは親の立場になった場合に、皆が一緒に考えなければならない問題だと思うのです。特に外部条件というものが左右しているのではないかというふうに考えられますが、川内市の場合は、外部条件にどういうものを考慮されているのでしょうか。
  29. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 外部的な条件の中に、一つの条件といたしまして風圧力という問題がございます。風圧力の強さを三段階くらいに分けて、それぞれ点数を加算することになっております。ただいま問題のこの川内市がどの程度の風圧力の地域であるかということは私つまびらかではございませんが、しかし大体において台風が常襲する地帯というものに入るのではないかと思っております。こういうものにつきましては、その風圧力の関係から、かなり高い点数がついていくというふうに考えられるわけでございます。ただこの隈之城小学校ばかりでなく、川内市内の小学校につきましては、比較的従来この危険校舎ということに関心が薄かったのではなかろうかと思われますのは、この災害が起ってから緊急に予算をとりまして、全市内の小学校耐力度調査をやるというようになっているように承わっている点からも考えられるのでございます。まあ川内市の風圧力がどの程度であるかわかりませんけれども、これが台風の常襲地帯であればその点はかなり加算されることになると思います。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの御答弁は、大へんこれは重大な御答弁ですね。こういう問題が起ったために教育委員会調査した結果そんなにふえたのではないかという御答弁ですが、そうすると今までの調査というものはかなりいいかげんな調査であったのだ、本気になってまじめにやるというと、とたんに老朽危険に該当する、また準老朽危険校舎というものがふえてきたのだというふうに受け取られるのですが、大臣の先ほどの御答弁では調査もしっかりやって云々というようなことがありましたけれども、これは文部当局はもう少しこの調査というものについては親切な指導が必要なのではないかというふうに考えておりますが、ただ問題が起ったからあわてて調査したからふえちゃったというのじゃなくて、もう少し文部省としてこういう問題を起さないために熱意のある指導というものが必要なのじゃないかというふうに私は思うのですが、どうですか。
  31. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほどもお話がございましたが、被害が少かったから、それで文部省が安心しているのだということは絶対にございません。これは先ほど来御説明申しましたように、文部省調査上の危険校舎に入っていないものからこういうものが出たということにつきましては、今後この危険校舎調査というものをさらに厳密に、慎重にやってあやまちなきを期していきたいというふうに考えているわけでございます。文部省といたしましてはこれからも、毎年度五月一日現在で公立学校施設の実態調査をやっておるのでございますが、その実態調査のもとに十分県と緊密な連絡をとりまして、できるだけ一つ漏れないように調査をしてもらうように努力をしたいと思います。なお各県とも、県とそれぞれ県下の市町村と十分連絡をとりまして、漏れることのないような調査というものを行うように文部省としては指導して参りたいと思っております。
  32. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 関連……。この問題は、私は地方にもその罪がある、政府だけに罪をきせるべきものではないと思います。地方も怠慢の結果かようなことが生じてきたので、ことに鹿児島県は山林の非常に多いところであり、木材というものの調達も私は十分にできると思う。事前にこれを防ぐということに対する方策というものは考えられるということはこの間私も調査に行きまして見て参りました。従って文部省としてこれの調査に出かけられたかどうかまず承わりたいと思います。
  33. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 文部省としては県との電話連絡、それから書面の事後報告だけ受けておりますが、文部省の者が現在までこの事故のために川内市へ出かけておるということはございません。
  34. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私はこういう問題が起き、ことに先ほど高田委員から詳細なるお話がありましたのを勘案してみますると、重大な問題だ、従ってただ単に川内市の問題として取り扱うべきものではない、いわゆる台風常襲に当るところの地方に対しては十分に考慮すべきものである、特にシロアリの発生というものが相当被害があるというふうなことは明らかなことであるという点から考えましても、私はぜひ文部省の方からも出張して、そうして親しく現状を視察し、そしてその地方の人とよく懇談を遂げ、万遺憾なきように将来の方針を講じてもらいたいという希望を述べます。
  35. 松永忠二

    ○松永忠二君 天城参事官一つ今の関連で……。前に少しお話が出ましたときに校舎の改築、危険校舎についてもその補助については年次計画を立てて実施しているのだというお話があったのであります。この前の予算要求に対して実際の、今度の三十二年度の予算があるわけでありますが、これでもって一体どういうふうな危険校舎を改築をしていく予算措置が、年次計画が実施できるのかということを一つ明らかにしていただきたいと思います。
  36. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 危険校舎解消の予算のことでございますが、これにつきましては二十九年度に一応の実態調査をいたしましたものをまず解消するという計画を立てたわけでございます。当時の危険校舎の総坪数がたしか約三百万坪であったと思いますが、そのうち基準までのものが大体半分の百五十万坪であったわけでございます。これを年々解消いたして参りました。もっとも補助金ばかりでなく、これは起債による建築または市町村の自力による建築もあるわけでございまして、現在までにこの二十九年五月一日現在の危険校舎坪数というものは、三十七万坪程度残っておる計算でございまして、これを私どもといたしましては二年程度で今後解消してしまいたいということで、予算の折衝をいたしましたが、私どもの予想よりは多少金額は下回ったのでありますけれども、大体四〇%程度の金額が本年度としてはとれておるわけでございます。これでいきますと、二十九年五月一日現在の危険校舎坪数は三十二年、三十三年、それから伸びても多少一年伸びる程度で解消できるのではないかというふうに考えております。
  37. 松永忠二

    ○松永忠二君 老朽校舎危険校舎になる、自然の危険校舎に入ってくる度合というものは、やはり大体二五、六%程度はそういうふうな率でもって増加をされていくということが考えられるわけなんで、そうなってくると今のお話によれば、二十九年の五月に調査したものが三十二年、三十三年において解消されるというようなことになるわけでありますので、自然に増加する危険校舎の改築というものについては、全く放置されざるを得ないという現在の予算の状況であるというふうなことだけは考えられると思うわけなんです。なお特にこの危険校舎についても相当補助金というものが危険校舎の改築の基盤になるという点は、これはもう当然なことだと思う。現在地方財政状況が非常に逼迫している状況の中で、とにかく補助金を得ることによって、それをもとにして危険校舎の改築が非常に進められるということを考えてみたときに、今のこの予算では自然に増加する危険校舎についてはほとんど何らの配慮も得られないというのが現状であるというふうに考えられるわけなんですが、そういう点はいかがですか。
  38. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 予算も積算上は一応先ほど御説明申しましたように、二十九年五月一日現在の危険校舎坪数というものを根拠にしておりますけれども、実際このお認めいただいた予算の配分に当りましては、その後調査いたしまして危険度の高いものというものが出た場合には、この四千五百点以下の危険校舎については、それも補助の対象として解消するということにいたしておりますので、全然それらについて配慮を加えてないということはございません。  なお文部省といたしましては、この二十九年五月一日現在の坪数が一応解消されましたあとにつきましても、これは年々当然二十万坪ないし三十万坪の老朽度の進捗というものがあるわけでございますので、こういうものについての制度的な配慮もしなければならぬと思います。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと納得がいきませんね。現在の国庫補助で三十四年度で解消ができるというような話、しかし実際問題にしてみると、どうもそうではないらしい。これは鹿児島県の例でありますが、八千九百十三坪の危険校舎としての改築申請が出ているわけなんです。ところが本年度の予算編成から見るというと、大体五千坪くらいきり改築できないだろうという見通しを持っている。ところが鹿児島県の危険校舎の総坪数が四万五千坪という数字があげられているのですが、とすればあなたの言うように三十四年度で皆危険校舎が改築できるという考え方は甘過ぎる。これは国庫補助増額しなければそんな芸当はできない。これは鹿児島県は特例かもしれませんが、だから私はこういう特例のものに対してはどうするのかとい丁のです。これは鹿児島県は数字から言うとあと十年かかりますよ。しかし今の御説明では三十四年度で解消できますと答弁している。そういう矛盾がこういう悲劇を生んでいるのです。ですから再度お伺いしたいことは現在の国庫補助で完璧に三十四年度で現在危険校舎と言われているこのものが解消できるのか、こういう質問を私はしたい。
  40. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在の予算の積算の基礎は、二十九年五月一日現在で調査をいたしましたその教字を解消するための予算を組んでおるわけでございます。その後年々危険度の進捗していきますものについては、これは一応予算の積算の基礎の数字からははずしておりますけれども、しかしそういったものもこれは実質上危険校舎であればそれを改築しないわけにいきませんので、そういうものについても予算の配分はいたしております。ただ先ほども申しましたように、木造校舎につきましては、これは耐用年数四十年ないし五十年で必ず改築しなければならぬものでございますので、どれだけ坪数を解消いたしましても、年々二十万坪程度危険校舎の改築というものは起ってくるわけでございます。全部が一時にきれいさっぱり日本の国内から危険校舎というものがなくなるという状態は私どもはちょっと理屈の上では考えられないことだと思っております。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へんな御答弁ですね。私は何もきれいさっぱりあすから危険校舎をなくして下さいというそんなばかなこといっているのじゃないのですよ。そういう答弁をされちゃ困る。それじゃなぜこの隈之城小学校のこの危険校舎整備するときに、隣の教室まで前年度は整備していた、なぜこのおっこった教室はやらなかったのです。これは結局財源の問題だと思う。そういうことがあるからこれは国庫補助というものをやらなければやはり完璧な——というよりは危険を防ぎ得る程度のことがやれないのではないか。だから国庫補助という問題については、文部当局としてはもっと研究してそして考慮しなければならないのではないか、こういうような意味なんですよ。何も幾ら私が、あんた、急進的だからといって、あすからなくしようなんぞばかなこと聞いているのじゃないのですよ。もっと真剣ですよ。あなたは全国学校へ行って老朽校舎がどんなものだかよくごらんになったことありますか。私は自分で私用のときでも必ず近くの学校へ寄って、頼まれないけれども見てきておりますよ。そしてこれは老朽であるか、危険でないか、どういうところがどうなっているか、これは体験の上から出て、むしろ私は憤りをもって今質問しているのです。にもかかわらずきれいさっぱりとは何事ですか。もう少し誠意のある、国庫補助の問題についてはあなたの考え方をもう一ぺん言って下さい。
  42. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) まあ予算の積算の基礎から申しますと、先ほど申しましたように二十九年五月一日現在の危険校舎坪数を解消するということで予算は組まれておるわけでございますけれども、これは木造校舎につきましては年々危険度の進捗というものがあるわけでございまして、実際四千五百点以下になったもの、二十九年五月一日では報告されておりませんでも、その後の危険度の進捗で危険校舎になったものにつきましては改築の場合に国庫の補助をいたしておるわけでございます。  なお先ほど来お話のございました危険度の進捗率というものはこれは木造校舎の常識的に考えられる数字があるわけでございまして、こういうものの解消につきましては文部省としても予算上できるだけの努力を払っていきたいというふうに考えております。
  43. 湯山勇

    ○湯山勇君 局長にお尋ねいたしますが、二十九年五月一日を積算の基礎にするというのは何か根拠があるのでございますか。それはもしそれだけにこだわっておりますと、今言ったような誤解もできてくるし、あるいは実情に合わないんじゃないかというような批判も出てくると思います。で、毎年指定統計では、三十年、三十一年と五月一日の実態は出てくるわけでございますから、そうするとそのときに出てきた現在の危険校舎、そういうものを予算を組むときの基礎にして要求していけばわれわれとしても審議する場合にその見通しもよくつくと思いますし、また御説明を受けてもよくわかると思うのですが、それについては何か理由があるのかどうかということと、今後はやはりできれば今のように最近の資料によって予算要求をし、そしてそれによってその中のどれだけが来年度の予算では新しくなるんだというような説明をしていただきたいと思うのですが、その辺いかがでしょう。
  44. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この二十九年五月一日現在の調査坪数を基礎にいたしておりますのは、制度発足当時の最近の数字をとりまして、それをここ数年使ってきておるわけであります。これが法律上に基く根拠のある数字ということではございません。ただここ数年やっておりますので、文部省としては少くともここ一、二年の間はこの数字をとにかく解消するという努力をして参りまして、大体その解消の線に近づいたときに切りかえるべきである、年々の数字をとっていくのがよかろうというふうな一応従来考えでやってきたわけでございます。ですからもし将来その数字が大体終りに近づきましたときには、私どもといたしましては年々の五月一日現在の危険坪数というものを予算の基礎にしていくことができれば非常に都合がいいのではないかという考えでおります。
  45. 湯山勇

    ○湯山勇君 私はまあ今の局長お話のようにむしろもう二十九年五月というものにこだわらないで、実際の運営においても新しくできたものをお入れになっておるのですから、そういうようにぜひ来年度といいますか、次回からしていただきたいと思います。  それからもう一つ高田委員の御質問関連してですけれども、確かに局長のおっしゃったように昭和十四年の建築のものがシロアリにしても何にしてもこわれるということについてはやはり相当常識で考えられない問題があるんじゃないかと思います。そこでその設計とか、それからその資材とかそういうものについての検討はただこの学校だけの検討ではなくて、そういう特殊なケースの一つの重要な資料になるのじゃないか、こういう例はほかにはあまりないのじゃないかと思います。私どもの県ではもう四十年以上たったのがまだ建てかえてもらえないで残っているのがたくさんありますので、何か私はこれには基礎工事に欠陥があったか、あるいは塗料とかそのほかのところに何かあったか、何かあるに違いないというような感じがしてなりません。そこでそれらの点、やはり十分御調査願って対策をお立て願いたいと思います。これは要望でございますから御答弁要りません。
  46. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それと今の点で委員長の方から、ほかに御質問がないようですからちょっとお聞きしたいのですが、一万点のうちで四千五百点以下が危険校舎になるという御判定ですが、その四千五百点とかいう点数をつけたのはだれにつけさしたのですか。
  47. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは文部省の役人がすべてを調査することができませんので、県に委嘱をいたしまして、県の一級建築士または二級建築士の方が二人以上グループになって調査を厳密にやってもらう、その結果出た点数が四千五百点以下のものを文部省の方に危険校舎として報告してもらう、こういう制度にいたしております。
  48. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それからもう一点は、二十九年五月を基礎にして順次危険校舎の改築に当ってきたというのは、危険校舎というからには、これはすぐやってもらわにゃ困るものだと思うのですが、予算の方から制約されてなかなかそうはいかぬということですが、その点数が悪いところが実際には改築をされているかどうか、その点どうですか。
  49. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 当初は必ずしもそういう最も危険度のはなはだしいものが優先されるというようなことではなかったのじゃないかと思いますが、三十年度から文部省の方から厳重にその点を指示いたしまして、危険度の高いものからできるだけ補助予算をつけて改築を促進していってくれということにいたしております。申請書につきましてもできるだけ危険度の高い、すなわち点数の低いものを優先させるという方針でやっておりますので、ただいまお尋ねのございました点は、大体の全体の状況としてはまあお尋ねの御趣旨のようにいっていると私ども考えております。
  50. 岡三郎

    委員長岡三郎君) もう一点お聞きしますが、どうもいっておると思いますがねという答えは、私は管理局長の答えとしてはおかしいと思います。確信がないのじゃないかと思うのです。危険校舎というのは危険でしょう、だから点数をつけさせてそうしてそれを改築しなければならぬということで、そのために補助金を作っているのに、何のために点数をつけさせておるのか、これじゃ私はわからないと思う。これは厳密に精査して、そうして特に危険であるというふうな観点に立つものは順次その度合いからやっていくと、確信をもってそうお答えいたしますというならいいけれども、点数はつけさしたが、三十年度からは大体そうなっていますねじゃ私はちょっと情ないと思うのです。危険に対するところの文部省考え方は甘いといわれても私はやむを得ぬと思う、この点どうなんですか。
  51. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは御承知のように各府県教育委員会を通じて申請をしてもらうことに従来いたしております。その各府県からの申請を相当文部省としては重んじてまあ予算の配分をいたしておるわけでございますが、ただこの危険度につきましてはできるだけ危険度の高いものを優先させるという方針を強調しております。ただ特別の事情が各県下にあるような場合は別でございますが、これ以外の場合は危険度をまず第一に考え予算の配分を行なっているわけでございます。ですからこの予算の配分状況から申しましても大体において危険度の高いものが優先して国庫補助の配分を受けておるということがいえると思います。
  52. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと念を押しておきますが、結局二十九年五月の調査のものを基礎にして予算要求をしておる、それに対しては危険度合いを点数制で出させておる、そうすると文部省の方としては都道府県危険校舎の実態というものは現在把握しておるわけですね。そうするとどこの県のどれは、これは優先してやらにゃいかぬ、ところが地方財政の問題とも関連するのでなかなかそうはいかぬということはわかる。しかしとにかくこの補助金の対象としてはこれを直さなければいかぬじゃないかというふうくらいの強い示唆と指導を教育委員会にそれこそしなければ、地方財政の状況によって危険校舎のうちの危険の率の多いものがおいていかれて、比較的そうでないものが建てられるという矛盾が私はどうしても今後とも繰り返されると思うので、それについてはそういうふうに指導したことがあるのか、それをちょっとお伺いいたします。
  53. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ここ三、四年のこの国庫補助のお金によりまして最近では大体三千五百点以下のものは少くなってきておる状況でございます。中にはございますけれども、概観的に申せば三千五百点以下のものが少くなっている、三千五百点から四千五百点の間のものを改築するという状況になっております。なお昨年から特に厳重に教育委員会からの申請については文部省方針に合致しているかどうかということを厳密に審査をすることにいたしております。危険校舎につきましてもその点はほかの制度その他と同じでございます。ただ中にはこの危険校舎をかかえておりましても、まあ県内の特別の事情等から今それができないというものを文部省として強制してやらせるということはちょっとむずかしいと思いますが、できるだけ県の教育委員会とはその点について話し合いをいたしております。
  54. 岡三郎

    委員長岡三郎君) もう一つさらに念を押しておきたいことは、ほかの不正常授業とか、これは大きな問題だけれども、まずこの危険校舎というのはけがをしてから問題をどうしようかというのでは間に合わないと思う。だからこの危険校舎だけについては——ほかの問題もそうだが、これは文部省としてはよほど科学的データを持った積極指導によって、地方財政の方が相当苦しくともこれだけはやらなければいかぬという場合に、危険校舎の部面だけは強制するくらいにやらせなければ私は国の教育に対する責任というものはもてぬと思う、この点だけは。不正常授業というのは、二部授業とか三部授業というものは、それは大きな問題だけれども、これはすぐ命にどうという問題じゃないかもしれない。しかしこれは当面の問題として大きい教育の問題ですから、これはやらなければいかぬとしても、危険校舎の方はまだ三千五百点以下のものがあるようなお言葉ですが、どの程度あるのですか。三千五百点以下がありそうなお言葉だったが、ちょっと聞いておきます。
  55. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 今手元にその資料を持っておりませんのではっきりしたお答えはできませんが、最近は三千五百点以下のものは私はほとんどないというふうに考えております。大体三千五百点から四千五百点の間のものを三十一年度あたりはやっておったように記憶をいたしております。
  56. 岡三郎

    委員長岡三郎君) どうもはっきりしないが、まあそれでは要望として三千五百点以下があったらそれは一つ出してもらいたいと思うのだが、その点だけをお願いいたします。
  57. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について。ただいま緊急質問中ですが、緊急質問が終りましたら、この前の委員会のときに次期委員会まで高崎市立大の問題について文部省調査して報告しようという、げたを預けてあったわけですが、できれば午前中に委員会でその報告を求めたいのですが、それで施設関係でさらに質疑がありましたら予算の審議と続いて参りますので、そのときにできれば回していただいて、報告を聞きたいと思いますが、お諮り願います。
  58. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま矢嶋委員の方から前回の文教委員会において高崎市立大学の問題について文部省報告を求めておったのですが、できるならばそれを午前中にやりたい、こういうふうに御発言があったわけですが、よろしゅうございますか。
  59. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ちょっと今の、管理局長に……。
  60. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは今の点について松澤委員の方からありますから、それをちょっとやって矢嶋委員の方に移ってよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それではそのようにいたします。
  62. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 管理局長に聞きますが、ただいまの危険校舎調査というものは、二十九年の五月においてなさったということで、それにのっとって補助を出したという話ですが、三十年になったときにおいてそれの調査の順位というものは変ってくるのじゃないか。あるいは三十一年になったときには二十九年度の危険度の順位というものは変ってくるのじゃないか。そういうところに非常に矛盾があり、またいろいろな事故が発生する原因にもなるのじゃないかと思うのですが、何ゆえに二十九年度の五月のみに拘泥して毎年是正するような調査をやらないのか、その点お伺いします。
  63. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この予算の積算の基礎といたしましては、二十九年五月一日現在の危険校舎坪数をとっておりますが、先ほど来いろいろな御質問にお答え申し上げましたように、三十年度にも追加の調査をやっております。それからその後も随時再調査等も行なっておりますが、ただ予算の積算の基礎としてはこの二十九年五月一日のものをとりあえず対象としていくということで積算の基礎としているわけでございまして、実際の老朽校舎の改築及び国庫補助につきましては、その後の調査の結果老朽校舎になったものにつきましても国庫補助を出しておるわけであります。
  64. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ちょっと……、その調査というのは追加じゃなくて全部おやりにならないのかどうか。
  65. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 文部省では年々五月一日現在で公立学校の実態調査というものは行なっております。そのときにやはり危険校舎坪数というものを年々報告をしてもらっております。   —————————————
  66. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは先ほど申し上げました通りに、矢嶋委員の要請の高崎短大の件についての報告緒方大学学術局長から聴取したいと思います。
  67. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 高崎経済大学設置認可の問題でございますが、当初十月一日に設置認可申請書が文部省に提出されました。文部省としてはこれを受理いたしました。これは御承知のように大学設置につきましては、学校教育法の規定によりまして、大学設置審議会に諮問をすることになっておりますので、諮問をいたして審査を進めておるのでございます。そこでその途中で若干変動と申しますか、その設置申請書に対しまする訂正等の問題が起って参ったのであります。十二月一日だと思いますが、さらにまあ詳しく申し上げなければなりませぬが、設置者はこれは高崎市長でございます。高崎市長からそういう申請書が出て参って、さらに十二月一日になりまして、その市長——設置者から特に教員組織の点につきまして修正の申請書が出て参りました。これに対しまして文部省としては従来も例がございますのでこれを受理いたしまして、なおこれを設置審議会に諮っておる状態でございます。その後審議会といたしましては、ほかの案件と同様に書面審査あるいは実地審査を進めて今日に至っておりまして、ごく近々のうちにその結論が出る予定になっております。文部省としましてはこの設置審議会の答申を待って、設置の認可の可否を決定いたすということに相なります。そこでその間にただいま申しましたように書類の申請等もございましたが、なおその後教員組織の面におきまして第一回の提出されました申請書におきましては、現在の高崎市立短期大学というのがございますが、この高崎市立の短期大学の教員の中から、新しい大学相当数の教員が採用されるという予定であったのが、少しその教員の入れかえがございまして減ったのでございます。そういうこともございましたし、それからまた校地や校舎等建物あるいは施設につきまして現在の短期大学の校地、校舎を新しくできまする経済大学施設として用いるという問題がございまして、この点につきまして現在の高崎市立短期大学の教授会あるいは評議会におきまして異議がございまして、これに対して反対する旨の決議等がございまして、そういうことによりましてこれらの意向はあるいは説明書とかあるいはどういう形でございますか、陳情書なり出てくると思いますが設置審議会等にも伝えられて参りました。これに対しまして設置者でありまする市長の側におきましては、その後これは初めからそういう計画でございましたけれども、二月一日に市の議会を招集いたしまして、市立の短期大学は三十二年三月三十一日限りこれを廃止する、学生募集は三十二年度からは行わない、学年進行を廃止する、こういうことを明らかにし、あるいはその市の議会の議決によりまして現在市立短期大学において使用しておりまする施設等は、これを高崎に新しくできまする経済大学施設として使用するということを、これは管理者の、市の財産でございますが、その管理者の立場からこういうことを市の議決を経てきめた、かようなことが起って参ったわけであります。さような状態がございまして、市の方からも設置審議会等からもこういうことを申し入れ、そのまあ両方から申し入れがあった。こういう経緯がございましたけれども、今申しましたように、書面審査あるいは実地審査、これは二月九日に行なっておりますが、審議会においていたしました。そして近々のうちに最後の結論が出る、かような状態でございます。現在文部省といたしましてはこれをこの審議会に諮問をいたしまして、審議会におきまして審査をしてもらっている段階でございますので、この内容等につきましてもすべて審議会におまかせしてお願いしておるということでございます。何分の答申がありました上で文部省の態度をきめたい、かように考えております。以上概略でございますが、なお御質問がございましたら御質問に従ってお答え申し上げたいと思います。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大学設置審議会に、この第二条の第三項において関係官庁の職員が五人委員となることになっているのですが、どういう人がなっておりますか。ほかの官庁はいいです、文部省だけで。
  69. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 文部省から大学学術局長でございます。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは局長に伺いますが、局長大学設置審議会に出席する場合には、文部省大学制度全般に関する方針をもって、審議会に委員として臨むものと考えますがどうですか。
  71. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは諮問機関でございますけれども、こういう政府の諮問機関に対しまして、関係官庁の委員が入ります場合は、やはりその担当しまする事務につきましていろんな観点から意見を述べることができるのでありますので入っているわけでございます。ただこれは一般の委員と違います。立場は若干違いまするけれども、しかし制度としましては一般の委員と同じでございますから聞かれました場合にはそういうことも述べることがあると思います。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一般論として、ある学校を昇格させるとか、あるいは廃止して新設する、そういうことを審議会で審議する場合に非常にその学園が紛争混乱した状態で結論を出すということは私は一般論として非常にまずいことと考えますが、文部行政官としてどうお考えになりますか。
  73. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは今度の問題、一般論としてのお話でございますけれども、それは一般論としましてはまさに円滑に進むことが望ましいと思います。今度の問題といたしましては、今審査をいたしておりますのは、四年制の高崎市立経済大学設置認可の問題でございまして、先ほど申しましたようないろんな経緯がございましたけれども、まあその後スムーズに審査は進んでいる、かように考えております。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ほど文部大臣のあいさつの中に、今後のわが国の大学制度に対する見解もちらほら出たように私は聴取しました。まあその骨子は七十二、国立大学があるが、これを大学の数にしても、あるいは学科に、講座にいたしましても、軽率にはこれはどうこうはしない、現状を内容的に充実さしていく方針だという発言があったわけですが、こういう方針というものは、大学設置審議会としてはやはり一応は了承してやっているんでしょうね。
  75. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 現在相当数大学がございまして、その内容は必ずしも充実しておりませんので、既設の大学内容充実につきまして文部省として十分力を入れなければならない、これは一般論でございます。この予算等におきましても、その通り進めたつもりでございます。ただしかしこの大学設置につきましては、これは何と申しますか、自由設立主義と申しますか、一定の基準がございまして、基準にかなっておればこれは設立の認可を出すという建前になっておりますが、その基準をいかようにきめるかという問題がございます。従いまして従来は大学設置の基準というものも法制化されていなかったのでございますけれども、特に昨年省令でこの基準をきめ残して、その基準に照らして厳正にやっていく、かような態度でやっておるのであります。
  76. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 後半のあなたの発言は了解できますが、ただこの高崎の場合は若干特殊な問題をはらんでくると思うのです。それは今の短期大学を、当初は昇格させる——あとで廃止となりましたが、そして四年制の大学ができて、これは国立に移管するという将来に対する見通しのもとにこれを設立しようとしておる。今ここで申し上げるまでもなく、地方財政と公立大学の運営とは密接な関係にあるわけですが、私が承わるところでは、将来国立移管ということを頭に描いて、そういう構想のもとに申請しているということを承わり、また一部には文部省でそういうことを内々に了承を与えているやに承わるのですが、その点はどうですか。
  77. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 将来国立に移管するという問題は聞いておりません。それからまた内々了承を与えるという事実は、これはないと思います。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは審議会で審議する場合に、高崎市立大学でありまするから、その地方財政との関連も十分検討しているものと思いますが、それはどういうふうに審議されておりますか。
  79. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは設立者が市長でございます。市長はこれは申すまでもございませんが、市長がその市の議会の議決を経て大学設置しようというわけでございますから、その市の財政計画にのっとってこういう申請が出ておりますから、それはそれを信頼するほかはないと存じます。公選による市長が住民の意向を代表して設立する、かような建前であろうと存じます。従いましてその申請書の経済計画、財政計画等につきましてもいろいろ説明は求めたと存じますけれども、私は一々これは承知しておりませんけれども、この建前で審議会は進んでおると了承しております。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最近政治的に次々に大学が生まれて、そして充実ができないで困っているというのが今のわが国の大学実情だと思うのです。従って高崎の問題を審議するに当っては、地方財政との関係、それから設立者である市側に、四年制に昇格した後に国立に移管しようというような考えが持たれていると承わっているのですが、そういう点十分私は慎重に審議会で審議すべきものと考えます。で、ちょっと角度をかえて伺いますが、先ほどあなたの報告では、十二月一日に申請書の修正が出て、そうしてその中で現在の短大の教授のうちで採用するようになっておったのを、採用しないように修正書が出された。それがきっかけとなって、先般学生は期末試験も拒否したというような新聞記事も出ておったわけですが、大幅に教授を修正したのはどういう説明がなされているのですか。
  81. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは今審議会で審議をいたしておりまするのは、先ほど申し上げましたように、新しい経済大学の職員構成が妥当であるかどうかこういう観点から審査いたしております。従いましてその職員の中に、前の——前のと申しますか、現在の短期大学の教授が何人入っておるかということは必ずしも条件にはならないわけであります。出て参りました職員構成が大学設置基準に従いまして、公正妥当、適正かどうかということをやっておるわけであります。その理由等につきまして、私、いかなる説明があったか聞いておりません。ただ設置者といたしまして、一部の教員はこれを参加——採用すると申しましょうか、どっちの方のことか、よくわかりません。一部の先生は新しい大学に参加する、一部の先生は、これは採用しないと申しましょうか、参加しないと申しましょうか、新しい教員構成に入っていない、こういうわけでございます。審議会は——繰り返して申し上げますが、新しい大学の職員構成を大学設置基準に照らして審査を進めておる、かようなわけであります。
  82. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと矢嶋君待って下さい。緒方局長に申し上げますが、先般の本文教委員会委員派遣をしました際に、林田委員の方から新潟、群馬の調査報告書に、高崎市の短期大学について言及してありまするが、高崎市の短大は非常に市といたしましては、経営に要するところの財政負担で相当の困難を感じておる模様であって、これはむしろ積極的に商科の四年制の大学に発展させて、しかる後に国立群馬大学に移管する方向へ進むべきものとしまして、目下この方面に画策中であるということでありました、こういうふうに報告がなされておるわけであります。ちょっと視察に行って、こういうふうな点がわかるのに、大学学術局長として、こういうことはわからぬということは、私はこれは怠慢というか、食言というか、私はこれは明確にしてもらわにゃならぬが、市の方で財政が苦しいのに、審議会の委員としての緒方君が、これは単に内容……設立認可に値するかどうかということだけで、そういうものは知っていないとか、聞いていないとかいうことは私は怠慢だと思う、この点どうですか。
  83. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 先ほど私、国立移管については聞いていないと申しましたのは、それは確かめてそういうことはないということを申し上げたわけであります。私、市長自身に確かめて——設立者自身に確かめて、将来国立移管ということは困難な問題であるということを私十分確かめて、そういうことを考えていないということを私が間きましたので、ないということを申し上げたわけであります。
  84. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それはいつ聞いたのですか。
  85. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 設立者が文部省説明に見えたときでございますが、ちょっと日ははっきり記憶いたしておりませんが……。
  86. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 大体いつごろですか。
  87. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 二月になってからだと存じます。
  88. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その教授のメンバーの変更が大幅になされた、その理由をあなたは承知していないという、しかもその学園は相当の紛争混乱を起しておるのですが、その理由を知らないというのはおかしいですね。説明があったでしょう、なければ一応あなたの方から——現在学園は紛争混乱を起しておるわけですが、それとこれと関連あるわけですから、事情を聞くべきだと思うのですが。
  89. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 先ほど申しましたように、これは短期大学を廃止して新制の大学制度設置するということでありまして、設立の申請を今出しておるのであります。でありますから、新しい大学の教員組織を基準に照らして審査をしておるのが今の審議会の段階でございますので、ただ審議会に対しましてはいろいろ説明があったかもわかりませんが、私はそれを詳しく聞いていないということでございます。
  90. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 当初これは昇格の手続をしておったのですが、それを下げて、廃止して新設、こう変った。それで当初出された教授メンバーと、あとの教授メンバーと変ってきておる。関連性があるわけですね。そういう点を私は審議会としては当然十分審議の対象にしなければならぬことだと思いますね。これから調査をしますか。
  91. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) お言葉でございますが、初め昇格で、あと変ったということでございますけれども、これは法制的に申しますと、昇格ということを通俗に申しましても、事実上何か前にありました学校を土台にして新しい学校を作るということを、それをまあ通常昇格といっております。制度上から申しますと、やはり廃止、新設、新設という部分について今審査している、こういうことになりますので、そういう意味で申し上げました。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 当初短大の先生方に、四年制の大学にするからぜひ教授になってほしいという要望があって、それに対して応諾したわけですね。その書類が文部省に出て、その後教授本人の了承を得ることなく、十七人のうちから十三人の名前を落して、新しく出しかえて、短大の先生方はこれが四年制の大学になったなら、ここに採用されるものと思って、安心して、別に就職口など探さずに、平穏に大学で教授生活をやっておった。ところが知らん間に本人の承諾を求めることなく入れかわったというのは、何か理由があるものと考えますね。そのために大学は混乱を生じて、先般は学生の期末試験拒否ということにまで発展しているわけですから、文部省なり、さらに審議会の一員としても、その点十分私は解明するところの義務があると思いますがね。
  93. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 何べんもお言葉を返すようでありますけれどもこれはやはり設立者がこういう先生でもって大学を組織したい、こういう先生を採用したいというこの意思はやはりあるだろうと思います。でございますから、今の市立の大学の先生の中でこれだけは採用するということを決定して、その申請が出てくるものといたしますならば、これはやはりその意思を尊重して審査を進めるということが私は手続として妥当じゃないかと思います。そこの説明につきましてはこれはあったと存じます。私も審議会の委員でございますけれども、これは一面文部省の担当者としての立場がありますので、審査の過程ごとに私がそれを十分承知していたわけではございませんので、これはなお確かめてみてよろしゅうございますけれども、私は事務の進め方、審査の手続の進め方としまては、今申しましたようなことで、新しい大学の教員組織が妥当であるかどうかということをやっておる。こういうふうで適当であろうと思います。
  94. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 設立者の出された書類を尊重して審議する。それは正しい。それはそれでよろしいと思います。しかし当初出された教授メンバーと、あとで出されたメンバーが大幅に変って、私が間接に聞くところによると、若干私情関係も入っているということを伝え聞いているんですがね。市長の近親者を大学に入れるときに、それに賛成したとか反対したとかいうようなことが尾を引いて、そういうことが関連しているやに聞くのですが、いやしくも四年制の大学になるという場合に、そういうようなことがいささかもあっては私はならぬと思うのですよ。従ってあなたの方としては、一応不審に思われるのじゃないかと思うのですね。どういうわけでこんなに変ってきたのか。従ってそれを申請者に対しては一応お聞きになるのが私は常識じゃないかと思うのですよ。それが原因で学校が非常に平和が乱れ、混乱しているとなると、大学設置審議会に対して文部大臣は監督権を持っているわけですが、その点十分私は究明し、慎重に申請書を審議してもらいたい。次の委員会までその点一つお調べいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  95. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) はあ。
  96. 湯山勇

    ○湯山勇君 審議会の方で結論が出て、これは適当であると認められても文部省の方で諸般の事情を考慮して、今そうすべきでないというような結論を出す場合もありますか、あるいはそういう例がありますか。
  97. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは建前といたしましては、御承知のように設立認可に当りましては設置審議会に諮問をしなければならぬということであります。明らかに諮問機関でございます。しかし文部省の役人だけでこういう大学の設立といったような問題を審査をいたしますことは、技術的にも非常にむずかしい問題であります。従いまして従来のやり方といたしましては設置審議会のそれを十分尊重いたしまして、結論が出ましたならば、その方向に文部省もその結論を取り上げて決定をしていく、かようなことでやって参っております。特に今お話がございましたような職員組織等につきましては、これはそれぞれの分野の専門の先生にやはり見てもらわなければわかりません。従いましてその結論が出ましたならば私どもといたしましてはそれを尊重して、おそらくはその結論通りに決定していく、かようなことに相なると思います。
  98. 湯山勇

    ○湯山勇君 従来の例で、その結論がかりに出た場合においても、しばらく待つとか、あるいはその通りしないでやってきたというような例はありませんか。
  99. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 大学学術局長に就任しましてから日も浅うございますから従来の例は存じませんけれども、そうなかったのじゃなかろうかと考えます。今申しましたような事情がございますと、おそらくは専門的に審査をいたしました結果を尊重していくことに相なるのじゃないかと、かように考えております。
  100. 湯山勇

    ○湯山勇君 いずれ次回にまた御報告があるそうですから、特にその際御留意願いたい点をお願いしておきたいと思います。  それはやはり今の局長お話では、昇格というのもあるいは新設というのもそれはただその場で使う言葉の違いだけであって、実質は同じたというようなお話がありましたけれども、普通、短期大学がそのままの形態で四年制の大学になる場合には、昇格という言葉を使うのが常識だと思います。そうして、法律的にはあるいは差はないにしても、その内部操作においては、新設の場合と昇格という場合とは、今の教員の人事にしても、あるいは施設その他の収容の状況においても若干の相違があるということはこれは常識であろうと思います。そこで、当初昇格という言葉を使っておったのを、あえて、二年制の短大を廃止して四年制にするということをあらためて打ち出したのは何か私は理由がなければならないと思うので、これらの点についてはやはり調査願うべきではないか。それは、そういう形ではなくして、今言ったような、なぜ昇格と言わないで新設というのかという意味ではなくして、それとの関連において、今の申請書の修正とか、そういう問題に関連があると思われますから、それらの点の御調査を願いたいという点。  それから、いま一つは、新しくできるものは、主として書面と、若干の実地ですから、それだけでもって大丈夫という保証がある意味ではできにくい点があると思います。そこで、今日までの運営、あるいは経営というものがどういうふうに行われてきたか、それは私は非常に問題点があると思うのです。たとえば、学生の年度末試験を教授会にかけないで勝手にやったというような点、それから、そういうことがもとになって、結局学生が試験を拒否したというような事例、その他この問題との関連において、今日までのあり方については十分調査しなければならないし、そうしてそのことが、今の昇格とか、あるいは新設という問題とのからみ合いにおいて考えられる点もあると思いますけれども、今後の行き方について十分考えなければならない要素をなしてくると思いますので、そういう点一つ十分お調べになって、これは相当慎重に一つ検討願はなければならないのじゃないかと思いますので、ぜひそういう点をお願いしたいと思います。
  101. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今お述べになりました御趣旨につきましては、私拝聴いたしましたが、ただ、先ほどから申し上げますように、文部省といたしましては、設置審議会にこれを諮問いたしまして、設置審議会が十分にこれを慎重に審査せられておることと存じております。先ほどから申しますように、いろいろな方面からの意見書等も出ておりますから、それらのことも十分に、おそらくほかの事案よりも慎重に審査をされておると存じております。ただ——ただと申しますか、高崎市が、その運営につきましての財政の事情等もございましょうけれども、あえて四年制大学を作ろうというのは、私どもが聞いておりますところでは、やはり短期大学では不十分である、もっと教育内容充実していきたい、そのためには四年制の大学を土地において作りたい、かような熱意が私はあると存じます。でございますから、そういう意味からいたしまして、教員組織等におきましても、設立者としましては、十分その内容充実していきたいという観点から、おそらくはさような措置をとられたと、かように私は存じております。
  102. 松永忠二

    ○松永忠二君 今のお話の点で、調査に参りましたので、御調査いただくとすれば、この点を一つはりお調べをいただきたい。それは、高崎の先生から話があり、なお市会議員の方も、そこに出ておられた。教育委員関係の人が、その席で、市会においてはやはりこの問題が非常に問題になった、そうして、特に高崎の短大については非常に市の財政上負担になっているので、この問題よりも、あるいは高等学校とか、小、中学校財政的な面に対する方面への予算の使い方というようなことが問題になったけれども、市会においては、これが四年制の大学に昇格をし、そうして今後群馬の大学の経済学部としてこれを移管させるというようなことであるので、そういう意味で、われわれは財政負担を解消する意味で、この問題を審議をして決定をしたということを当時市会議員が言っておりましたので、その点やはり市においても、あるいは正式の議会においてこれが討議をされ、議事録に載っているのではないかというふうに私は考えるわけであります。こういう点あわせて御調査をいただきたいということを希望しておきます。
  103. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 今矢嶋委員、湯山委員、それから松永委員、松永委員は実地調査に行かれた方ですが、いろいろと要望なり意見が出たわけですが、聞くところによると、大学設置審議会は明日結論を出すやに聞いておりますが、しかし、次回までに調査して報告をしてもらいたい、こういうような要望があり、これに対しては、局長の方からそのようにいたしますと言っております関係から、あしたのこの審議会における決定というものは、当然延期されると思うのですが、その点どうですか。
  104. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 調査につきましては、ただいま松永委員からおっしゃいました点につきましては、すぐあしたというふうにはそれは参らないと思います。ただ、それと審議会の審査というものとは、これは関係なしに進んでいくものと私は存じております。これは、諮問機関でございますけれども一つの審査機関でございまして、その審査機関の審査につきましては、文部省が諮問いたしました上は、十分尊重していくという建前で進んできておりますので、その審査の日程に従って行われた審査につきましては、文部省としましては、制肘を加えるということは避けるべきだと思います。従いまして、明日総会の予定になっておりますが、おそらくそのまま進んでいくものと私は存じております。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点は緒方さん少し私はおかしいと思うのですよ。審議会が結論を出して、そうして大臣の諮問に応じた場合に、文部省側がいかようにそれを採択するかという点は、きわめて慎重にやってもらわなければならぬのですが、その前に、あなたは審議会の委員ですから、ここでこういう質疑が出て、国立大学移管をするというような点も不明確である。それから移管しないとすれば、地方財政との関係がある。また、教授のメムバーを入れかえたという点についても、非常に不明朗なものが伏在しているようです。いやしくも、新しい大学が生まれるということはおめでたいことなんですからね。しかも教育文化に関することですから、それが、今のような高崎大学実情で結論を出すということは、さっきあなたもさらに調査すると言われたように、調査をしてやらるべきものだと私は思う。従って、委員としては、審議会においてそういう発言があってしかるべきだと思うのですよ。それは、大臣の諮問機関といっても、そういうふうな諮問機関にはほとんど文部省から資料を出して、文部省から出た委員説明をして、そうして審議を進めていくんだから、あなたは、今日は学術局長としておいでになっておるけれども学術局長なるがゆえに審議会の委員としてやはり慎重に審議して諮問に答えるように発言され、努力されてしかるべきだと思う。私はそういうように要望いたします。
  106. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私調査をいたしますと申し上げましたのは、ここに資料がございませんから、審議会に聞けばすぐ資料があることと思いますから、それで次の委員会で御報告できる、こういう意味で申し上げたわけでありまして、審議会といたしましては、先ほどから申しますように、それぞれ専門の学者が相当数集まって審議をされてきておりますから、これはやはり尊重していくべきだと思います。この基準でございますが、この基準に照らしてどうかという審査の問題でございますから、これは私が御説明申し上げますことと、それから審査というものは別にお考えになっていただきたい、かように考えます。
  107. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の審議会に関するいろいろな質問や答弁があったのですが、私は文部省大学設置審議会以外の数多くの諮問機関をお持ちになっていると思う。そこで文部省として一番注意しなければならないことは、諮問答申の結果をどう処理するかということは、文部省自体の責任と権限に属することと思うけれども、ある意図を含めての諮問をしたり、審議の途上において審議会の委員の良心の自由に影響を及ぼすような行動があってはならぬ、かように私は考えますが、いかがですか。
  108. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまおっしゃいましたように、諮問が出ましたあとにいかようにこれを処理していくか、これは問題によっていろいろ変ってくると思います。これは慎重にしなければなりませぬが、このたびのこの大学設置審査といったような問題は先ほどから繰り返し申し上げますように、非常に専門的な事項でございまして、各専門の大学の学長あるいは教授そのほか学識経験者等を網羅いたしまして、それぞれ専門的に調べる、こういう建前でございますので、しかも審査事務ということでございますから、おそらくは、従来もさようでございますが、十分それを尊重していく、かようなことに相なるかと存じます。そこで今仰せになりましたような過程におきましても、もちろん文部省としまして何か予定された意図をもってこれに意見を述べるということはやっておりませんし、特にこの問題では先ほどお話がございましたような、きわめて事務的に出て参りました申請書をそのままの形で各部門に分れて審査しておる、かようなことをやっております。それは諮問機関でございますから、この運営につきましては、事柄によってはいろいろなことが出てくるかと思いますが、このたびの大学設置設置審議会におきましては、ただいまおっしゃったような気持で私どもは参りたいと存じます。
  109. 岡三郎

    委員長岡三郎君) そこでちょっと私の方から局長に申し上げておきたいことがあるのですが、やはりこの委員派遣の報告書というものは、これはうそのことを書いているわけではないので、これをわれわれとしてはこれを今後検討するという委員会の決定にもなっておるわけです。ということになるというと、その後高崎市の方の考え方が変ったのかどうか。それは状況を考えてそういうふうに変えたのかどうか。これは私たちがそんたくする点ではございませぬが、しかし現在の学校をどうするかという制度の問題については、先ほど灘尾文相が言ったように、文科系統の方面を拡充するということよりも、理工科というふうな方面の拡充というものが日本の急務だというふうに言われておるわけなんです。そうするというと、大学設置審議会で一応事務的に処理することは私もその通りだと思うのですが、これが地方財政が困難なときに四年制にするということは、これは一高崎市の財政としては、私は常識的に考えて、特に現状においてはこれは非常に無理だということを私は考える、常識的に考えて。これが将来りっぱな大学になれるかどうかということについての判断は緒方君も考えられると思うのですが、私の見解からいえば、現行の地方財政の状況にかんがみたらば、これはなかなか大きな問題である。そこでやはり当事者としては私は当初考えたように、報告書にもあったように国立移管というものを考えるのが私は常識だと思う。ところが国立移管するということを考えた場合に、文相の意見にもあるように、私は文科系統を拡充するということは反対なんだ。今のところは現在の国立大学においても内容充実できない、こういうことを言っているわけですね。そのために非常に苦労している。そういうふうなことを考えているときに、また新しく将来国立のこういうふうな大学を作るということでますますその数をふやすということは現状に逆行するようになるではないかという心配を実は持つわけです。危惧の念を持つわけです。だからこれはあくまでも高崎市が市立としての経済大学の運営をしていくのだということならば、これはまたわれわれは何をか言わんやで、まことにけっこうであって、われわれは賛意を表するにやぶさかではないが、四年制に昇格したとたんに、またそろそろ今度は考え方が変りましたから国立でございますといったときに、大学学術局の方でまことにそれはけっこうでございますというがごとく言ったならば、私は大学学術局長の、これは責任追求を文部大臣の言明からも通して私はせにゃならぬと思う。これは重要なる問題で、今後の国立大学の運営という問題とからんでおります施設内容充実という問題にからんでおります。現状の状態はそのような大学を個々ばらばらに世話していくということでなくて、既存の大学を現状においてこれをどうして充実するか、今あるものをどうするかということで、頭が一ぱいの上に、さらに将來そういうことになるということならば、これは非常に重要だと思うわけで、これは私の危惧に終ればこれに越したことがないと思う。それならば高崎市会に私は敬意を表するということになると思うのですが、なかなか私はそうはいかんと思うので、こういう点は一つ慎重に御検討を、私は高所から一つ考えを願いたいと思う。これは日本学校教育制度全般の中からかりにこれが国立移管というような形になって、さらに大学をふやして、内容充実するということが軽視されるということがあったらば私は大きな問題であるということを、ここへ私の意見として申し述べておきたいと思う。
  110. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 国立移管という問題は、これは文部省だけでもちろん決定できる問題じゃございませんで、予算の面におきましても、法律の面におきましても国会の御審議がなければできない問題でございます。さようなことでございますからわれわれは軽々にそういうことを決定するということは絶対にないと考えます。
  111. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは先ほど文部大臣の出席をいろいろと交渉しておきましたが、大臣は二時から一時間程度ならばという、それは内容としては、体の工合が、きのうまで悪かったので、長期には耐えられない、私の方もやはりその点は生理的な問題ですからあまりどうということにいかぬので、二時から一時間程度というので、ちょうどお昼休みをとればいいと思うのですから御了承願いたいと思うのです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)よろしゅうございますか。——それでは午前中はこれをもって一応打ち切りまして、午後二時から再開いたしますからよろしくお願いいたします。    午後一時八分休憩    —————・—————    午後二時十三分開会
  112. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  議題は当面の文教政策及び昭和三十二年度文教予算であります。質疑のある方は順次発言を願います。
  113. 林田正治

    ○林田正治君 午前の文部大臣の大体の方針を承わりまして、それを要約すると知育徳育体育を均衡的に発達せしむる、こういうふうに私は承わったのであります。まことにけっこうな御意見でありまするが、それについて関連して三点私は質問いたしたいと思います。  第一は徳育の問題に大きくこれは関連するものでありますが、昨日あるいは本日あたりの新聞によりますると、一斉に報道いたしましたるところは、御承知通りいわゆる総評を中心とするところの春季闘争において、その一環として日教組の運動方針も掲げておったのでありますが、それについてどうやらやはり昨年の十二月の五日に行われたように一斉早退と申しまするか、職場放棄と申しまするか、そういうふうな運動の方針が掲げられているように私は新聞承知いたしたのでございますが、以前の十二月五日の際には、前文部大臣清瀬さんは、事前にこれに対していろいろの対策を、対策と言うとあるいは語弊があるかもしれませんが、方法を講ぜられまして若干指導的の立場をとられたようでありますが、私はあのような立場をとられることは今回のこの総評を中心の運動においても私は必要でないかと、こういうふうに考えるのであります。これに対するところの文部大臣がどういう御処置をおとりになる今日お考えをお持ちになっているかということを第一に承わってみたいと思います。第二、第三はあとでまた質問いたします。
  114. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回のいわゆる春季闘争に関連いたしまして日教組の行動方針と申しますか、さようなものを新聞によって承知いたしておるわけでございます。私は日教組の行動があくまでも合法的に行われるように切に念願いたしておる次第であります。万一にも間違ったことになりますとはなはだ遺憾なことと存じますので、私といたしましては念のために地方教育委員会等に連絡いたしまして間違いの起らないようにお願いいたしたいと考えております。
  115. 林田正治

    ○林田正治君 第一問は大体の御意見で、答弁で、一応了承いたします。  第二の点は、先ほど体育の問題が論議されましたので、これについて一つ質問いたしたいと思います。それは、私は体育というものはあくまでこれは普遍的に、都市中心であるとか、あるいは学校中心であるということでなくして、あくまで普遍的に全国民に私は体育が普及するようにしなければならぬ。こういう観点を持っております。これは文部大臣もたしかそういうような御意見であったと思いまするが、それにつきましてやはり日本スポーツを普遍化せしめるためには今日まで長い間行われましたところのいわゆる国民体育大会、いわゆる国体そのものをできるだけこれを各地方に普遍的に行うというようなことが、私は日本スポーツの普遍化のために最も必要である、こういうふうに以前から考えているのでありますが、それについて鳩山前内閣におきましては、御承知通り、いわゆる地方財政の点をあまりに重要視したために、静岡の地方大会を終った後には地方におけるところの国体の開催はこれを禁止するというような方針を閣議で決定されましたのでありまするが、私はあのような閣議の決定というのはこれは非常に誤まりであって、地方財政という点だけを考えて、最も重要なるスポーツの普遍化ということを私は無視した誤まったる閣議決定であると、こういうふうに考えるのであります。幸い内閣もかわりましたので、私は新文部大臣はこの点についてどういうお考えを持っておいでになりますか。必ずしもいわゆるスポーツ国民体育、国体というものが必ずしも地方財政に脅威を与えるものではないのであって、これも相当以前から計画いたしますならば私は必ずしも地方財政に脅威を与えることなくして行う方法はおのずからそのあたりに発見されるものであると、こういうふうに考えております。これは自分のいろいろな経験から申しましてもそういうことは言えると思います。そういうような点から考えまして、ああいうように一律に、たしか昭和三十三年以後でしたかはそれは地方に持ち回りは禁止するというのは、これは非常に大きな誤まりであると思いますので、せっかく文部大臣スポーツの普遍化ということを先ほども言われました通りでありますが、私は閣議決定というものは内閣がかわりましたならばおそらく無効なものであると思いますが、新内閣においても相変らずこういう方針をおとりになりますか、少くとも文部大臣としてはそういうような誤まったる閣議決定のないように、あったのは誤まりでありまして、おそらくこれは無効になっておると思いますけれども、新内閣においてああいうような誤まったる政策をおとりになるかどうかということについて一言御意見を承わりたいと思います。
  116. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 体育の問題につきましては、お話通りに私はこれを全国民的な動きとしたい、全国民的に体育の普及をはかって参りたい、こういうような考え方をいたしております点はお話通りでございます。そこでこの国民体育大会の開催地の問題でございますが、その意味におきまして、私はやはりお話通りに各地方に普遍的にこれは開催地を認めるというのが適当であろうと考えております。昨年の鳩山内閣当時の決定は、お話にもございましたが、自今の地方財政の状況からいたしまして、かなり地方によりましては体育大会を開催することに無理がある、そういうふうなことからしばらくこの地方における体育大会の開催は見合わした方がよろしいということで話がきまったものと承知いたしているのでございまして、現在の地方財政状況から申しますれば、ある程度これまたやむを得ないものがあるように私も考えるのでありますが、しかし基本の考え方といたしましては、やはり全国各地で行われるようにした方がよろしいかと考えますので、私は財政の状況等にらみ合せつつこの問題については少し再検討をしてみたいと考えております。
  117. 林田正治

    ○林田正治君 今のお話からしますと、鳩山内閣の際の閣議そのものはまだ効力のあるようにもお考えになるようであります。その点は法律的に考えて効力があるかどうかということについて一つ意見を承わりたいと思います。
  118. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 法律的に効力があるかないかというようなことになりますと私もはっきりいたしませんけれども、一応前内閣できめましたことにつきましては当然これが内閣がかわることによって打ち消されるというふうにも考えておりません。一応その方針というものはあるものと考えておる次第でございます。しかし、あるものと前提をいたしまして今後これをどうするかということについて再検討したいと申し上げましたような次第でございます。
  119. 林田正治

    ○林田正治君 あるものとしての前提のもとにスポーツの普遍化をはかるということと、それから閣議そのものは前内閣の時代の閣議であるからそれは無効であるというような白紙の状態にもどしてこの問題を考えることにつきましては、これは非常な私は大きなその間に差異を生ずると思いますので、私はせっかく文部大臣スポーツの普遍化ということをお考えになる以上はそういう前内閣の時代の閣議というものはこれはないものとして白紙の状態になってやはりこの問題をもう一度考えていただきたいということを私は希望いたします。  なおこの地方財政の問題も、これはやはり来年やるのをことしにきめて、そうして一年間に全部を完了するというような場合、あるいは三年も四年も前からその国体の開催の場所を決定するということは、これは非常にその間に違いが生ずるのであります。やはり相当の期間をおいて準備ができるように相なりまするならば、私は決して地方財政そのものに脅威を及ぼすことはないと思います。一例を申しまするならば、私の出身県であるところの熊本の例を申しまするならば、これは大体一応は三十四年に国体が熊本に開催されるということに相なっておるのであります。それでわれわれといたしましてはその線に拾うて既設のものの補修改善からまた新しきものの設置ということにも相当長い期間にわたってこれを計画いたしておるのであります。従いまして、今日までに私の出身の熊本でやったことを申しまするならば、ただ大きな施設でまだ残っておるのは、いわゆるほとんど完了いたしまして、プールだけがまだ今日残っておるのであります。しかしながらプールのような問題でも、これはいわゆる富裕なる県で行なったようなああいうような完全なるところのスタンドなんかをやめてしまって、臨時的なスタンドを設けることによってがまんするならば、私はプールのような問題なんかだってそうたくさん金は要らずに済むのじゃないかと思っております。そういうような観点かも考えて一律に地方財政に脅威を与えるから、これは地方の開催は相ならぬというような線を今から相変らず堅持されて、その前提のもとに将来お考えになるということは、私は、大臣の先ほどの御意見からすると、非常にこれは差があると思いまするが、どうかぜひそういうようにお考え願って、いわゆる地方財政の脅威にならない方法も私はおのずからあると思いますので、もう一度大所高所からその問題をお考え願いたいと、こう思います。これは私の希望でありまするから、もはや質問でないから……。  第三に、もう一つ質問したいことは大臣が先ほど教育内容充実ということを言われておるのでありまするが、そのうちに教科書の内容充実というような御意見もあったように私は拝聴いたしました。まことにけっこうな御意見であると思いまするが、これについて端的に一つ申し上げたいことは、いわゆる国史の教育というものについてどういうお考えをお持ちになりまするか。現在のいわゆる社会科の教育の中に国史の教育が包含されておる。われわれ日本国民として民族の歴史をほとんど没却されておるというような今日の状態は、これは私どものように保守政党に属するものはもちろん、それ以外の良識のあるところの国民の忍びがたきところであると思いまするが、この国史教育というものに対して文部大臣はどういうふうにお考えになっておりまするか、これを復活いたして……あるいはそういうようなお考えがあるかどうか。少なくともこの国史教育に対するところの御意見を承わってみたいと思います。
  120. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) まず、先ほどの国体についての私の答えがだいぶ足りなかったと思いますので補足させていただきます。  私は従来の方針を堅持するというような気持でお答えを申し上げておるのじゃありません。従来の方針について再検討を加えたいということを申し上げておるわけであります。なおさしあたっての問題といたしましては、本年の国体につきましては、これは静岡で開催することに予定をされておると思います。その後どこでやるかという問題が出てくるわけであります。これにつきましては先ほども申しましたように適当な機関にも諮りまして十分検討していきたいと考えておる次第であります。  それからただいまのお尋ねの国史の教育でございますが、国史教育につきましては、もう少し十分にやった方がよろしいのではないかと考えております。専門家でございませんので、これをどうするかというようなことにつきましては、もちろん専門の方々の御検討に待たなければなりませぬけれども、国史教育が不十分ではなかろうかという心配をいたしておりますのでその方向に向って、つまり国史教育充実という方向に向って進んで参りたいと考えておる次第でございます。先般の社会科の改訂によりましても、歴史教育を系統的にいたしたというような事実がございますので、この方面につきましては、十分私は検討さしていただきたいと考えておる次第であります。
  121. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 先ほど文相から文教政策の大綱を拝聴いたしたのでありますが、われわれといたしましても、その人を得たものと考えまして大いに敬意を表するものであります。しかし私具体的に質問を申し上げる前に、一応文相からお聞きしたいことは、大体の方針というものは清瀬文相の方針を踏襲したものかとも考えられるのでありまして、先ほど林田委員から御質問になったことと反対に、私は清瀬文相はあるいは私自身から考えてみまするならば少しくゆがめられたるお考えをお持ちでなかったかと考えられるのであります。それはどういうことかと申しますと、私考えますときにおきましては、文教の行政に当る者も、あるいは第一線に教育をする者も、ともに手を携えて協力一致の態勢のもとにおいて、そうして教育振興をはかるべきではないかと、かく考えるものであります。しかしながら清瀬前文相のお考えは少しく偏狭的であって、あるいはまた一つの圧迫的といいますか、ことさらに色目などをもって、自分の部下であるところの第一線に立って教育する人々に対しまして敵視するがごとく何らかの意図をもってそれを見るがごとき態度があったように私は考えられるのでありまして、この点非常に遺憾に存ずるものでありまして、これに対しまして灘尾文相は、私その人となり、御人格なりを信じまするので、清瀬文相のその前の方針を踏襲なさっておるということであったならば、その点において非常な危惧の念を抱かざるを得ない。その点に対しまして文相はたとえば日教組に対するところのお考えなり態度なりというものは、いかなる御方針でなさらんとなさるのか、それを一応拝聴いたしたいと考えるものであります。もちろんこれは愚問であるかもしれません、杞憂であるかもしれません。これだったならば幸いと存ずるのでありますが、これに対するところのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  122. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今度の予算につきましては、先般も申し上げた通りでございますが、清瀬前文相の計画せられました予算を踏襲いたしまして要求いたしておるような次第でございます。私と清瀬前文相との間に私はそれほどの差異はないと思います。どちらも同じ党に属し同じ党の政策を実行する立場にございますので清瀬前文相と私との間に大きな差異があるとは私は考えておりません。今お尋ねの第一線の関係者との間の協力関係、これはもう当然のことでございます。幾ら文部大臣が力みましたところで第一線の方々から真に協力していただくのでなければその実績を上げるわけには参りません。また第一線の研究努力なくしては文教の実を上げ得ないことはこれは当りまえのことであります。私といたしましてはできるだけ協力いたしまして、ともども日本文教の成果を上げて参りたいと念願いたしておる次第であります。日教組に対する態度いかんという、こういうようなお尋ねでありましたが、これにつきましても、私は一つの先入観と申しますか、というようなものを持って臨むつもりはございません。要は日教組の諸君のなさることがどういうことであるかということによって考えなければならぬと考えております。一口に申しますれば是々非々の態度、公正なる態度をもって臨みたいと思っておる次第であります。
  123. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 私は部下といってははなはだ失礼がしれませんが、第一線に活躍しておる教育者に対しましての文相としての態度は、やはり愛情をもってやるべきではないか、それがすなわち一つのモラルじゃないか、清瀬文相は道徳教育の必要性を強調いたもました、しかしながら私は一方において部下に対する愛情というものの欠除しておるような者が、道徳教育の必要性を説くということは、あるいは一方的ではないか、ほんとうに筋のはいった道徳教育の必要ということには相ならぬじゃないか、私はかく考えたがゆえに灘尾文相におかれましても、あるいはそれらの点をお考え下さって、部下に対する愛情の精神をもって今後おやりになる御意志があるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  124. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 愛情という言葉が適当かどうか私は存じませんけれども、ただいま申しましたように地方において、第一線において教育の責任を担当しておられる諸君というものは、私どもと一体でなければならぬ、お互いの気持を通じてお互いに助け合って、この文教向上をはかって参らななければならぬわけでありますけれども、もちろん学校の教職員の方々のことにつきましてはだれが心配するかといえば文部省が心配する、これは文部省の責任である、その意味におきましてどこまでも学校の教職員の方々の事情につきまして十分配慮して参り、ともども手を携えて日本文教の刷新向上をはかって参りたいという考えに立っておるわけであります。
  125. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 私は文教向上というものに対しましてはすべて超党派的にやれるのじゃないか、超党派的に努力すべきではないかという、さような観点から申し上げるのでありまして、お聞きするのでありまして、そうでなかったならば文教向上とかいうものが成り立たない、かように考えておるのであります。一方的のいわゆる偏向といいましても一方的の偏向という事実のみを吐露いたしまして、自分の方の偏向的のものを差し置いて私は論ずるということははなはだおもしろくないというような見地から、この委員会におきましても、あるいはすべての行政をなす場合においても、超党派的に考え文教向上をはかるべきじゃないかという、そういうような考えをもっておるのでありまして、灘尾文相も御同感と思いますが、この点についてのお考えをお聞きいたします。
  126. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 超党派という言葉のようですが、私はこの文教のことをやりますにおいて、どちらにも偏向があっちゃならぬ、あくまでも中正な道をたどって進んで参らなければならぬかと考えております。
  127. 安部清美

    ○安部清美君 文部大臣に二、三御質問申し上げたいと存じます。先ほど文教施策の態度として、知育徳育体育のバランスのとれた教育施策をやりたいという文部大臣の基本的態度については、私ども賛成でございますが、それにつきまして特に最近の問題から考えて、道徳教育と申しますか、徳育を特に考えたいというお話でございますが、その点の一つとして最近大臣すでに御承知通り定員の問題、あるいは昇給昇格の問題で、全国的に各地に問題を生じておる現状であります。ことにこの道徳教育をほんとうにやろうとする場合に私は必要以上のいわゆる限界を越えた定数を持っておる学級を担任する先生が一人々々の子供の人格的な教育をやるということについては支障があると思うのであります。ほんとうに人間を人間として育成する場合の教育には、定数の限度があると思うのでありまするが、この現状に対してそういうお立場にそういうお考えを持っておられる大臣として定員の問題についてどうお考えになり、どうなさろうとお思いになっておるのか。なお昇給昇格の問題につきましても御承知のようなささやかな昇給を生活の一つの希望として喜びとしてやっております教職員に対してあるいはこれを延伸したり、ストップしたり、欠格条項によって昇給をやらなかったりするような、こういう状態において、私はほんとうに子供に感化を与える教育が先生方にできるであろうかというような心配を持つものであります。こういう点から真に徳育を徹底させるためには、振興させるためには私はこの問題が一つの基底であると思うのでありますが、この点についての大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  128. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お尋ねの御趣旨につきましては私は同感であります。あまり先生に無理なお願いをするということは、ひいてはただいまお話になりましたようなことになろうかと思いますが、その意味合いにおきましては私は同感の意を表するものであります。現実の今日の定員がどうであるか、あるいはまた昇給昇格の状態がどうであるかということになりますれば、これは現実に制約せられるわけでありますので、必ずしも私どもの満足するところまでは至っておらないと思いますが、私どもの努力の方向といたしましては、今お話にありましたような教育の趣旨が徹底する程度定員でなければならぬ、あるいはまた昇給昇格につきましてもあまり無理なことをしてはいけない、やはりその生活に楽しみを持ち、希望を持つようにしなければならぬという方角に向って進めて参りたいと思っております。残念ながら、ただいまの財政の状況から申しまして、意に満たない点はございますけれども、方向といたしましてはそのように努力して参るべきものである、さように考えておる次第であります。
  129. 安部清美

    ○安部清美君 この問題につきましては前清瀬大臣のときから、ずっと続いて来ておる文部省一つ研究課題であり、またいろいろそれについての御努力をなさっておられると思うのでありますし、なお、さらに時間をかえてこの問題について私はお伺いもし、施策について具体的にお聞きしたいと思うのでありますが、時間があまりないようでございますので、第二点として、私は今日のこの教育のうちで、学校教育というものの真の徹底をはかるためには日本教育では非常に社会的支柱が弱いという感じを持っておる一人であります。そういう点からこの予算をずっと見てみますると、その社会的支柱の基盤になる社会教育費と申しますか、これについて私ははなはだ軽少である、また、ことに社会教育のうちで私ども地方におって一番大きく関心を持ちますのは青年教育あるいは中年級の男の教育、いわゆる成人教育のうちの男子の中年級の教育、こういうところに非常に大きな今欠陥がある、社会教育の上で。で、婦人層についてはそれぞれの段階における社会教育施設というものができているようでありますが、こういう点について非常に弱いところがあると思うのでありますが、こういう施設充実しないで青少年教育をやろうとしたところで、そうした支柱のないところには私は徹底したものはできないのではないかと思っておるのであります。これにつきまして、社会教育考え方につきまして、文部大臣は先ほどいろいろこれの重点的なことをお話になりましたが、社会教育の点についてはあまりお触れにならなかったように思うのでありますが、これについてのお考えを承わりたいと思うのであります。
  130. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) まことにごもっともなお尋ねと考えます。社会教育振興をはからなければならぬということにつきましては私は全く同感でございます。今回の予算に計上せられたものをもっていたしますれば、決してこれをもって私は十分と考えておりません。昨年に比べますれば多少ゆとりのある予算になったかと思うのでありますけれども、決して十分ではございません。ただこの社会教育をいかにして充実するか、いろいろな設備を整えるというようなことにつきましては、これはもう予算をふやして行くということに尽きると思うのでございますが、そのほかどういうふうな仕組みで社会教育というものは振興すべきであるかというような事柄につきましては、私といたしましてはまだまことに経験の浅いところでございますので、さらに検討をいたしまして、何とか早く社会教育振興に関する一つの具体的な構想を得たいものと考えておるような次第でございます。
  131. 安部清美

    ○安部清美君 社会教育の問題につきましては、私は文部省としてもいろいろやっておられると思うのでありますけれども、われわれ地方におりましてそういう点を強く感ずるのでありますし、またその点が非常に大きな問題として考えられる点でありますので、早急にそういうものをはっきりして充実をはかられるように希望を申し上げて、第三点、いま一つお伺いしたいと思いますのは、今日の教育界で非常に大きな面を占めております問題点は入学試験の問題だと思うのであります。これはことに地方におきましては、地方財政のために高等学校の学級増とか増設とかというようなことは非常に困難でございます。志願者の数はどんどんふえて参りますし、高等学校の数がふえないというために試験地獄を各所において作り出していると思うのでありますが、それの救済策と言っては語弊があると思いますが、そうしてだんだん成長して参りましたもの、まただんだん増加して参りましたものが私立学校だと思うのであります。この私立学校につきましての文部省の育成の態度と申しまするか、これについてお伺いしたいと思うのであります。  私立学校につきましては、個々の予算面には私立学校振興法によります補助というのがあるようでありますが、たとえば理科教育振興法によりますると、理科の施設補助でありますが、こういうものについては公立学校だけしかないのでありますし、私立学校についても公立同様に私は育成の手を差し伸べてやることが今日の状態としては大切なことであろうと思っているのであります。同時に、私立学校のいろいろな面について私は問題点が今日私立学校にあると思うのであります。私も私立学校を経営してきた経験を持っておりますが、私立学校法自体の中にも私は問題点があると思う。こういう点につきましての文部大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  132. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私立学校の役割というものがきわめて今日大きくなってきているということはお話通り考えます。従いまして、私どもとしましては私立学校がほんとうに充実し、りっぱな内容を持った学校であってほしいということを念願いたすわけでございます。政府といたしましてもこれまでいろいろな面において助成をして参りました。今回はまた理科教育振興法の改正をいたしまして、私立学校方面にも助成の道を開きたいと考えているような次第でございまするが、必ずしもこれをもって十分と言うわけには参らぬと思いますが、事情の許す限り私は理科教育の現実に内容のある発展を遂げてもらうように、できるだけの努力をして参りたいと考えております。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣はけさのあいさつの中で、教育制度根本的な検討については慎重な態度で臨みたいと、こういう発言をされておりました。これはいかなる部面においてもそうでございますが、特に文教のことについては私は人間教育であるだけにきわめて慎重でなければならない。そういう意味大臣の言葉を了とするものですが、過去数カ年間を私振り返って見ますと、各内閣の大臣が政党意識が非常に強くて、政党人としての意識が強くて、特定政党の政策を、党色をあまりも露骨に現わして政策面に打ち出してくる、しかも大臣がひんぴんとかわって教育界に朝令暮改式のものが行われているということは今後反省されなければならぬ。たとえば具体的に文部大臣というものはそうしょっちゅうかわらないで、国家百年の大計のもとに一国の文教政策を進めていく、こういう心がけが私は大切ではないかと思いますが、それに対する御所見を伺いたいと思います。
  134. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 教育の問題はきわめて重要でございまするので、これが制度の改廃というようなことにつきましては、よほど慎重な研究を要すると思います。またしょっちゅうかえては教育の実績は上らないと思いまして、できるだけ慎重に考究をいたしまして、どうしても改正しなければならぬというものがございました場合においては、そう簡単に将来かわらないというだけの案を持って進んで参らなければならないかと思うのであります。従いまして、大臣がしょっちゅうかわっておる、始終研究が中途で放擲されるといっては語弊がありましょうけれども、とだえてくるというようなことになりましては、これはいけないと思います。私自身のことはしばらくおきまして、お話通りに、私は文教行政は相当持続的にやっていかなければならぬと思いますので、始終大臣が更迭するような状態は望ましいこととは考えておりません。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 教育の成果というものは、なかなか一朝一夕に私は現われてこないと思うのです。大体お互いに日本人は、どちらかといえばせっかちな性ですが、たとえば教科の社会科の問題にしても、あるいは男女共学にしろ、あるいは定時制高等学校、あるいは通信教育、これらのものからもたらされる成果というものは、そう気短かにちょっとやってみて、悪いからすぐ変えるというようなことであってはならぬと思う。相当な期間を経なければ教育の成果は現われてこないわけですから、この点にその考え方は必要だと思う。その意味大臣が慎重と申されたことは私は了とするわけですが、そこで私は具体的に伺いますが、たとえば学制の六・三・三・四というこの制度は、今の制度のワク内において、午前中大臣が述べられましたように、内容充実をはかっていく、さらに具体的に言うならば、たとえば短期大学の性格とか、定時制高等学校の性格というようなもの、こういうようなものはそう簡単にやらない、今の制度の性格のもとにおいてその充実をはかっていくと、かように了承してよろしゅうございましょうか。
  136. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今日の六・三・三・四の問題につきましては、私経験きわめて浅いのでございますけれども、いろいろこれが批評を聞くのであります。従いまして、この六・三・三・四の問題につきましても、十分検討はいたしたいと考えておりますけれども、しかしそう簡単にこれは結論の出る問題じゃない、また出すべき問題でもないと思います。十分に各方面の専門家の意見等を伺いまして、その上で結論は出すべき問題だと考えておりますので、この制度の基本に関する態度といたしましては、あくまでも私は慎重を期して参りたいと考えております。なおこれに関連いたしまして、短期大学の問題、あるいは定時制高校の問題がございましたが、短期大学につきましては、すでに皆さんも御承知通りに、文部省といたしましては中央教育審議会に諮問をいたしまして、その結論が出ておるわけでございます。これを採用するかどうかというようなことにつきまして、目下検討中でございます。定時制高校につきましても、御本人の境遇の問題もございまするし、社会の需要という関係もございますので、いろいろ検討を要する問題はございましょうけれども、ただいま私はこの定時制高校の基本的な性格を変更するというような考えは持っておりません。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 午前中の大臣のお言葉からして、私はこの短期大学の問題とか、あるいは教科書制度等の問題についてこの国会で根本的に検討するような、かような提案はないものと、かように考えますが、さように了承してよろしゅうございますか。
  138. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 短期大学関係した法律案をこの国会に提出するかどうかということになりますれば、ただいまのお答えといたしましては、目下検討をしておると申し上げるわけでございますけれども、おそらくこの国会に提出するという運びにはならないだろうと思います。教科書法案につきましては目下慎重に検討をいたしおる次第でございます。その点を御了承願いたいと思います。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に予算の詳細につきましては、いずれ次回の委員会からさらに審議いたしたいと思いますが、確かにこの予算編成に当って大臣が努力された点は認めます。しかし私は今のわが国の経済状況下においてたくましさが足りないと思うのです。今までの日本の経済基盤が今よりも以上に弱く浅かったその当時の文教政策にちょちょっとアルファをつけた程度であって、たくましさはなく、アクセントはなく総花的だと、かように私は批判をしていいのじゃないかと思います。と申しますことは、一般会計予算で一兆一千三百七十四億という千二十五億もふえて、しかも財政投融資にあっては六百七十三億と、かようにふえておる。さらには昭和三十一年度の自然増収を財政法に違反しながらも、産業投資特別会計に入れて三十二年度に使う、こういう金融財政状況だと政府与党は判断し、これに対処しておるにかかわらず、先ほどちょちょっと一部に話が出ましたが、地方財政の窮迫という面から、ことに義務教育の面においては、各都道府県ですし詰め教室が増加する、定員減ということで、来年度の予算編成期を控えててんやわんやして、わが国の義務教育界というものは非常に混乱しておると、かように私は言えると思うのですが、こういう角度から見た場合、私は国政全般の予算の中に占める教育予算の面からはやはり軽視されておる——教育軽視という批判がされるのではないか。確かにこの科学技術振興方面に若干予算が組まれておる。しかし先進国のそれに比べればはるかに劣っていると思う。比較的英米ソにおくれているフランスあたりでも、十分この科学技術振興文部大臣が職を賭して非常に馬力をかけておるように、私かつて調査して参ったわけですが、そういう点とか、あるいは国際社会に復帰いたしたといたしましても、清瀬文部大臣がかつて委員会に述べられました予算要求したのから相当下っております。文化アタッシェにいたしましても、科学アタッシェにいたしましても予算は通っておりませんし、またこういう状況下に義務教育の無償とか、教育の機会均等、そういう面は私は推し進めるべき絶好のチャンスだと考えますけれども、ほんの給食費とか、あるいは教科書代として、合せて一億程度ふやした程度で、単にちょっと尾ひれをつけたという程度で、全般の予算規模等から考えました場合に、私は先ほど申し上げましたように、アクセントがなく、ほんの尾ひれをつけた程度であって、積極性がない、かような私は感じがするわけでありますが、この点大臣はどう考えておられるか。この点と、大臣地方行政官としてかつて経験があられるわけで、地方財政地方自治行政におけるエキスパートでございますが、義務教育の面を取り上げた場合に、地方財政教育というものはきわめて密接な関係にあると思うのですが、神武景気といいながら、地方財政貧困ということから地方自治体における義務教育というものは非常な危機にありますから、こういうものに対してどのように判断され、その打開策をいかように考えておられるか、その点を伺いたいと思います。
  140. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今度の予算についての御批判でございますが、あるいは私に対する御鞭撻の御趣旨の御質問かと存ずるかと思うのでありますが、私といたしましてもこの予算が決して満足するほど十分なものとも考えておりませんが、国全体の財政の状況からいたしまして、今年度はこの程度でしんぼうせざるを得なかったものと御了承をいただきたいと思うのであります。今後ともに文教予算の獲得につきましてはできるだけの努力をいたして参りたいと考えております。  なお地方財政についてのお尋ねでございますが、皆さんも御承知通りに、今日の地方財政というものはまだ決して完全に健全化したとは申されないと思うのであります。これは一日もすみやかに地方財政が健全化いたしまして、その上に乗って地方の各種の施策が行われるようにいたさなければならぬと思います。私といたしましては、従来地方行政に若干の関係もございましたので、その方面には努力して参ったつもりではございますが、今後も特にこの教育予算とは非常に密接な関係がございますので、地方財政の健全化、地方財政充実という問題については、どこまでも努力を続けて参りたいと考えておる次第であります。何さまいろいろな面におきましてまだまだ地方財政が貧弱であります。ひよわな財政ということにもなっております。今後教育内容を十分充実し、地方における教育行政の発展をはかりまするためには、何といたしましても地方財政という面につきまして政府総がかりで努力いたさなければならぬ問題だと考えておりますので、御質問の御趣旨に沿うようにできるだけの努力をしていきたいと考えております。
  141. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記待って下さい。    〔速記中止〕
  142. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。  それではただいま各委員の御要請によって、集約的に文部大臣に御質疑をするという必要性もありまするので、明日十時から開会するということにして異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは異議ないようですからそのように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会