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1957-05-16 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十六日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員前田久吉君及び小笠原二三男 君辞任につき、その補欠として島村軍 次君及び山口重彦君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            下條 康麿君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君            北村  暢君            小林 孝平君            鈴木  一君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林省畜産局長 谷垣 專一君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○蚕糸業法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○生糸製造設備臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○農業災害補償制度改正に関する請願  (第一八六八号)(第一八八八号) ○水源林造成事業官行造林切替反対  に関する請願(第一八七二号) ○水産資源保護のため水質汚濁防止に  関する法律制定促進に関する請願  (第一八八九号) ○水源林造林事業予算増額に関する請  願(第一八九五号) ○特別第三種漁港規定追加制定に関  する請願(第一八九九号) ○漁港行政機構強化拡充に関する請  願(第一九〇〇号) ○太平洋岸十トン未満さけます流網漁  業の合理的操業に関する請願(第一  九三八号) ○中型機船底びき網漁業にしん漁獲  禁止に関する請願(第一九三九号) ○自作農貯蓄組合法制化に関する請  願(第一九五三号) ○熊本県を昭和三十三年春季全国緑化  大会開催地に指定するの請願(第一  九八五号) ○農業改良資金助成法の一部改正に関  する請願(第一九九〇号) ○簡易潜水器使用者登録制実施に関  する請願(第一九九四号) ○漁業共済制度確立に関する請願(第  一九九五号) ○水産業協同組合法の一部改正に関す  る請願(第一九九六号) ○昭和三十年十二月の暴風浪被害復旧  資金償還期限延長に関する請願  (第一九九七号) ○漁業法の一部改正に関する請願(第  一九九八号) ○さめはえなわ漁業中型かつおまぐ  ろ漁業取締規則から分離するの請願  (第一九九九号) ○中小漁業融資保証保険料逓減に関す  る請願(第二〇〇〇号) ○水産物価格安定措置に関する請願  (第二〇〇一号) ○沿岸漁船整備促進要綱に基く農林漁  業資金借入条件緩和請願(第二〇  〇二号) ○農業改良資金施設資金利子補給金  国庫補助等に関する請願(第二〇三  二号) ○地方競馬制度審議会設置に関する請  願(第二一〇一号) ○桑園等の凍霜害対策に関する請願  (第二一〇九号)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開催いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。本日、前田久吉君が辞任されて、島村軍次君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 蚕糸業法の一部を改正する法律案及び生糸製造設備臨時措置法案(いずれも内閣提出)を議題にいたします。  これらの法律案のうち、前者は原案通り、また後者は、お手元にお配りいたしておきましたように、若干修正されて、昨十五日、衆議院において、全会一致をもって可決され、当院に送付、即日当委員会に付託されました。  これらの法律案につきましては、去る三月十二日提案理由について、また五月十日法案内容その他について説明を聞いておりますが、さらに農林当局から、衆議院における修正に対する政府の見解その他について補足説明を求め、続いて審議に入ることにいたします。
  4. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 今回御審議をお願いいたしておりまする両法律案につきまして、昨日衆議院の本会議を通過いたしたわけであります。蚕糸業法の一部改正につきましては原案通りでございますが、生糸製造設備臨時措置法案につきましては、三点につきまして修正の上、御可決をいただいております。  修正部分は、一つは、第三条の表現を少し改めたのでございまするが、これは原案によりますと、過剰設備の全部を整理してしまうようなふうにも解釈をされる場合がありまして、繭の生産者等に対する影響等も、十分考慮してやらなければなりません建前からいたしまして、過剰設備相当部分を整理をするということに改めたのでございます。  それから第十二条の第二項第三号のところにおきまして、政府におきまして設備処理規程認可をいたします場合の判断の基準がきめてあるのでございまするが、この第三号では、一般消費者及び関連事業者に対する影響を十分考えてやるということになっておるのでございます。第十二条の二項でございますが、農林大臣は、設備処理規程認可をいたします場合におきまして、「当該設備処理規程内容が次の各号の一に該当すると認めるときは、認可をしてはならない。」、これの第三号の「一般消費者及び関連事業者利益を不当に害すること。」、逆に申し上げますと、一般消費者及び関連事業者利益を不当に害するような設備処理規程認可をしてはならないということでございますが、この場合の関連事業者は、具体的には繭の生産者、いわゆる養蚕農家が最もその関係が大きいわけでございまするので、ここに「養蚕業者」ということを特記いたしまして、関連事業者内容を、より明確にした方がけっこうであるという考え方によりまして、「関連事業者」という字句を、「養蚕業者その他の関連事業者」に改めたのでございます。  それから修正の第三点は、本法の施行期日でございますが、これは原案では、「この法律施行期日は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内で政令で定める。」ということになっておったのでございます。この法律時限立法でございまして、現在の製糸設備が過剰であるという現実の事態に即しまして立法をお願いしておるのでございます。従いまして、公布の日から六カ月をこえない範囲内で、政府政令で定めるということで、施行期日の定め方につきまして、政府を拘束するような表現になっておったのでございまするが、この点につきましては、「昭和三十二年十一月一日から施行する。」ということに改められたわけでございます。具体的に施行期日を明確にいたしたのでございます。  なお、十一月一日という日取りをとりましたのは、この法律公布をされました直後から実際の準備に取りかかるわけでございまするが、その準備期間も、ある程度必要でありまするし、また一方、蚕糸業法の一部改正案によりましてお願いをいたしておりまする蚕糸業振興審議会におきまして、この法律を運営いたして参りまする基本的な事項については、十分審議をお願いすることにもいたしておるのでございます。そちらの方の審議期間の時間的余裕等も考慮いたしまして、十一月一日から施行をするということに改められたわけでございます。  なお、両法案につきまして、付帯決議がついておりまするが、この付帯決議内容に盛られておりまする事柄は、衆議院におきまして両法案を御審議をいただきました過程におきまして、それぞれ問題になりました点につきまして御意向をとりまとめられたわけでございます。  以上でございます。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 蚕糸業の問題のまず一番土台である、もとになるところのものは繭の問題であるのであります。今政府から提案されたところの繭の代金について調べてみまするというと、昭和三十一年の生繭一貫当り生産費は千八百十二円であります。しかるに繭の値段は千五百七十円であって、差引赤字が二百四十二円であるのであります。こう考えてきてみまするというと、養蚕農家養蚕をすることによって一貫当り二百四十二円の赤字になる。農家赤字をするために養蚕をやっておるのじゃなかろうと思うのであります。ある程度収益があるようにと思って、養蚕をやっておるのだろうと思っているのであります。しかし、一方の方において、政府資料によって見まするというと、年々桑園面積増加し、繭の産額はまた増加しておるのであります。養蚕農家の繭一貫目の値段は、赤字であるのにもかかわらず、面積及び産繭額が年々増加傾向があるというのは、どういうふうな理由であるか、まずこれをお尋ねしたいと思うのであります。
  6. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) ただいまのお尋ねの点でございまするが、桑園面積にいたしましても、産繭量にいたしましても、徐々ではありまするが、近年上昇並びに増加傾向をたどっておるわけでございまして、最近の養蚕の実際の様子を見てみまするというと、戦前相当立地関係等も異なって参りまして、大体主要生産県は関東、東山、東北の一部、そこらの地帯集中をいたしておるのでございます。西の方、四国、九州、近畿等戦前におきましては相当生産がありました地帯におきましても、はなはだしく減少いたしまして、非常に養蚕立地状況変化をいたしております。現在集中的に生産をいたしておりまする地帯は、他の作物との関係その他から見まして、養蚕によりまして主たる現金収入を得まする以外に適当な作物が選択をされないというような地帯に、集中をして参っておるように見受けられるのでございます。従いまして、それらの地帯につきましては、相当積極的な増産意欲を見せておるわけでございまして、実際の需要を開拓する努力を続けて参りまするなれば、それらの地帯につきましては、なおかなり増産する余地があると考えられるわけでございます。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいまのお話によって、現金収入を得るためにある程度の赤字をがまんしてやっている、こういうふうに簡単にいえば解釈していいと思っているのであります。しかし、何といっても、現金収入を得るために赤字の経営をやるということはおもしろくないのでありますから、この赤字を解消するためにはどんな方法があるかといえば、まず反対収繭量増加するということによって赤字の解消をしなければできないと、こう考えるのであります。そこで、もしも反当収量を増して赤字を解消しようということであれば、この赤字を解消するような目的をもって反当収量を増すような方法を講じなくちゃできない。こう考えて見ると、政府施策といたしましては、反当収量を増す方法助成策としてやらなくちゃできないと思っているのであります。それで、現在において反当収量は、全国で平均したところによれば、これも資料によって見まするというと、十四貫九百六十匁と、こうなっておりますが、優秀な成績のところはどのくらいの反当収量をあげておるか、それを承わりたいと思うのであります。
  8. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 現在の繭の反当収量につきましては、全国地区によりまして非常な差がございまして、平均では、ただいまお話のありましたように十四貫幾ら、まあ昨年あたりは凍霜害等関係もありまして少し減っておりまするが、大体の基準になっておりまするベースは十六貫強くらいの、今生産水準になっておるのでございます。しかし、地区別には非常な差がございまして、低いところでは反当十貫そこそこ、多いところでは、これは具体的に申し上げますと、山梨県が一番反当収量が多いのでございまするが、六十貫ないし七十貫くらいまでの記録を出しておる例もあるのでございます。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連で……。今五十貫、六十貫というのはほんの特殊でしょう。全体から見たら、どれくらいですか。
  10. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 山梨県の例をとりますると、山梨県自体の生産水準相当高いのでございまして、山梨では六十貫くらいとっておられる農家相当数ございます。きわめて特殊の例というほどのものではないのでございます。    〔委員長退席理事重政庸徳君着席〕
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今のお話によってみまするというと、山梨県の例では普通というわけにはいかないけれども、六十貫くらいのものがある、こういうふうなことであれば、従来の反当収量が十六貫であれば赤字であるけれども、六十貫もとれば赤字が解消すると思うのであります。従って、農家経済もよくなって、養蚕意欲が自然に惹起せられるということになってくると思うのであります。そういたしますというと、政府養蚕奨励方法といたしましては、反当収量を、繭の反当収量を増させるということが最も重要な施策でなくちゃできないのであります。もし、今私が言うように、反当収量を増すことが、養蚕農家のためにも国家のためにも、一番いいような方法であるといたしましたらば、政府はこの方面に向って相当指導奨励をやっていかなくちゃできないと思うのでありますが、現在の指導奨励方法及びこれに対する予算状況はどうであるかということを承わりたいと思うのであります。
  12. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) われわれのふだん考えておりまする考え方からいたしましても、これからの養蚕農家に対しまする指導重点は、反収をどのようにして引き上げて参るかというところにしぼって考えておるのでございます。従いまして、現在の予算措置等につきましても、その点に重点を置いて考えておるのでございますが、ここ数年来、増産奨励のために、全国モデル組合を、養蚕農協モデル組合を千組合作りまして、三年にわたりまして重点的に補助、育成をして参ったのでございます。それが昭和三十一年で一応事業が一段落をいたしましたことになっておりまするので、昭和三十二年度予算は、前年度に比較いたしますると、やや減少いたしておりまするが、昭和三十二年度養蚕対策として私どもが掲げておりまするのは、一つ桑園能率増進補助金でございまして、これが一千五百三十五万円でございます。これは桑園有機質を増投いたすのでございまして、有機質分桑園に補給いたしますために、緑肥作物を混播いたしますためのものでございます。それから補助ではございませんが、農業改良資金融資といたしまして、桑園改植に非常に力を入れておるわけでございまして、これは事業量九千四百万円相当分に対しまして融資をいたすことにいたしてございます。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 政府では反当収繭高を増すために、いろいろ施策を講じておられるということなのでありますが、わが国の輸出貿易関係からいたしましてでも、繭は増産しなくちゃできないということであれば、この点については一そうの一つ指導奨励、助長をやっていかなくちゃできないと考えるのであります。また最近では年々凍霜害が起っておるのであります。本年も害が発生して、その対策を練らなくちゃできないというようなことになっておるのでありますが、一体桑園の凍霜害未然防止するような対策について、何か考えておられることがあるか、また考えておられることがあるとしたならば、それらの対策を実施せられたことがあるか、この点、お伺いしたいと思うのであります。
  14. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 凍霜害につきましては、蚕糸関係での最大の被害でございまするので、これに対する対策につきまして年々いろいろ努力をいたしておるのでございまするが、必ずしも十分に徹底をいたしておりませんことは、私どもも非常に遺憾に考えておるのでございます。しかしながら、この未然防止という問題につきましては、いろいろ技術的な工夫検討をされておりまするが、経費その他の関係との見合いにおきまして、必ずしも十分でないのでございます。本年あたり重油燃焼が非常に群馬県あたりで顕著な効果を示したのでございまするが、これもある程度の温度降下までは防止効果が非常にはっきりいたしておりまするが、それをこえますと、十分でない、しかも経費相当かかるというようなことで、なかなか全体に普及しかねておるわけでございます。それで、昨年から凍霜害対策のいわゆる事前防止対策といたしまして、凍霜害対策用の稚蚕共同桑園設置補助することにいたしまして、昭和三十一年度予備金支出によりまするものから、これは開始いたしたのでございます。本年度は、三十二年度の本予算に二千万円程度計上いたしまして、凍霜害対策用の稚蚕共同桑園設置することを助成いたしておるのでございます。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私が申し上げるまでもなく、凍霜害を受けたらば農業災害補償法によって補償していかなくちゃできない。その補償金額は、御承知通り、莫大な金額であるのであります。でありますから、もしも事前予防対策を講じたならば、災害補償法に基いて支出するところの義務づけられた支出が少くなってくるのでありますから、こういう方面においては、現在稚蚕共同飼育桑園を作って、これが二千万円の補助金を出してやっておるというようなことであるのでありますが、この金額は、災害を受けた結果災害補償金を出す金額に比較すれば、非常に僅少な金額になってくるのでありますから、将来においてはこういうふうなことについてはなお一そうの検討を進められて、事前防止対策に万全を期してもらいたいと思うのであります。  それから次は、日本生糸輸出状況を見てみまするというと、日本生糸生産額輸出額との割合は、年々割合が減少しておるのであります。たとえてみますれば、政府資料によってみますると、昭和二十九生糸年度では四一・二%である、三十年度は四〇・四%である、三十一年度は三五・四%であるというようなふうに、日本生糸は年々輸出のパーセントが減少しつつあるのであります。しかるに、これと反対に、中国生糸は年々輸出の量が増加しておるのであります。日本生糸が減少しておるのに、中国生糸増加すると、こういうふうなのはいかなる理由によるか。日本生糸輸出が伸びない、中国生糸輸出増加する、こういうふうな理由について承わりたいと思うのであります。
  16. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 中共生糸が非常に進出をしておるのは事実でございまして、われわれといたしましても、今後中共生糸に対する問題というものは十分考えて参らなければならないのでございます。現在、日本生糸中共生糸が、現実市場の競合いたしておりまするのは、ヨーロッパでございまして、ヨーロッパにおきまする中共生糸進出状況はどういうところに理由があるかという点でございまするが、これは一般に考えられておりまする理由といたしまして、一つ価格の問題、一つ品質の問題があるように考えます。  価格の問題は、中共糸生産費その他は、的確にわれわれとしてもつかみかねておるのでございまするが、現実中共ヨーロッパ市場生糸を出します場合の模様を見てみますると、日本生糸値段を十分注意して見ておりまして、それから若干、わずか安いところの値段で売るというようなことになっておるようでございます。中共生糸は、申し上げるまでもなく、国営貿易でありまするので、そのような価格操作現実に行い得るのであろうと考えるのでございます。それから、品質の点につきましては、これは生糸の持っておりまする一つ欠点でございまするが、ラウジネスと申しまして、生糸を用いて作りました製品の種類によりまして、ちょっとけば立ったものが目につく欠点があるのでございます。これは、日本生糸も、昔のように比較的歩どまりの低い繭を作っておりました当時は、その問題は比較的少かったのでございまするが、現在は非常に歩どまりの高い繭に品種が変っておりまする関係で、若干その欠点が目につく場合があるのでございます。これが、中共生糸にはその欠点が比較的少いというようなことも言われておるのでございまするが、それらの点がいろいろからみ合いまして、中共生糸ヨーロッパ相当進出をしてきておるというような状況になっておるのでございます。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういたしますというと、日本生糸の将来における輸出促進対策としては、政府はどういうふうに考えておられるのでありますか。また、その生糸は、生糸として輸出されるところの方針であるか、あるいは、絹織物あるいは絹製品というような形で輸出される方針であるのであるかどうか。資料によって見まするというと、生糸輸出よりも、自然々々と絹織物あるいは絹製品というようなものが増加傾向があるようにも考えられるのでありますが、これらの点についてお伺いしたいと思うのであります。
  18. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 生糸輸出増進につきましては、年来海外宣伝等相当積極的にやっておりまするし、また業界自身としても、資金を醵出いたしまして、年間二百三十万ドルの資金を醵出いたしまして、海外における消費促進事業をやっておるわけでございます。今後、特に三十二年度におきましては、政府予算も従来の予算を二千万円増額をいたしまして、アメリカにおきまして、さらに積極的な活動を進めて参りたいと考えておるのでございます。しかしながら、そのようないわゆる商業宣伝重点を置きました仕事だけでは、将来継続的に需要増加していくという効果が十分でありませんので、さらに技術的な問題、技術的ないろいろな点につきまして、急速に工夫研究をいたしまして、生糸海外の機屋さんなり織物屋さんに使われやすいような商品にすることに、さらに力を入れて参りたいと考えておるのでございます。  生糸は、御承知のように、現在でも昔ながらのかせにして送っておるのでございまするが、最近アメリカあたり生糸使用者意向等をいろいろ聞いてみますると、あるいは交織の面等生糸消費をふやしていくのには、アメリカ織機施設にすぐマッチするような、適合するような包装形態のものを工夫して考えなければならない、そのような要請もありまするので、これらの技術的な工夫も急速に取り進めるようにいたしたいと思っておるのでございます。なお、糸に対する実際の需要傾向等も、いろいろ、こういう高級繊維でございまするから、いろいろ嗜好等もときによって変化をいたして参るのでございまして、それらの需要傾向等につきましても、十分それをすみやかに把握いたすような工夫をいたしまして、実需をさらに開拓いたして参りたい、さように考えております。  絹製品生糸輸出はどちらを選択していくか、重点を置いていくかという問題は、非常に慎重に考えなければならない問題でございます。最近の傾向といたしましては、生糸そのままの消費生糸そのままの輸出によりますものよりも、織物に加工いたしましたものがふえて参る傾向があるのでございまして、国の貿易の立場からいたしますると、加工いたしまして外貨の手取率をさらに高くするということは、経済的には非常に望ましいことでありまするし、生糸織物としての輸出をさらに増加して参るという方向で参りたいと考えておるのでございます。しかしながら、これを実際に進めて参りまするにつきましては、十分業界並びに政府においても注意をしなければならないのでございまするが、それは、日本絹織物がいわゆる高級絹織物として、しかも相当価格で、適正な価格輸出をされておりまする場合には問題は少いのでございまするが、非常に高級品まがいのものが不当に安い価格輸出をされるという事例が、昨年あたりからぼつぼつ出ておるのでございます。これが海外織物業者を非常に刺激をいたしまして、日本絹製品輸出の将来につきまして非常に複雑な反応が出て参っておるような事情もございまするので、織物輸出につきましては、十分注意を払わなければならないのでございまするが、方針として申し上げますと、生糸絹織物、両方並行いたしまして、量的に輸出がふえて参るようにしたいと考えております。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は繭価の問題であります。これも資料によってみますと、昭和二十九生糸年度でな千二百三十三円の赤字である、三十年度は九千四百八十一円の赤字である、こういうふうな資料が出ているのであります。三十一年度、本年度は大体どのくらいの赤字になる見込みであるか、まずそれをお尋ねしたいと思うのであります。
  20. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 三十一年度の糸価が大体、各月平均いたしまして、二十万円強くらいに推移いたしておったのでございまするが、一方生産費の方も、いろいろ技術の改良等に伴いまして、わずかでありまするが、低下をする傾向を辿っておりまするので、三十一年の赤字は二千円程度と見込んでおります。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいまの御説明によって、三十一年度生糸赤字は二千円に減少したということは、まことに喜びにたえないのであります。しかしながら、赤字であるというようなことは、これは製糸業者が将来に増産意欲を増す手段ではないのであります。そこで、政府においても考えられて、今度の生糸製造設備臨時措置法案というようなものを出されたと思うのでありますが、この生糸製造設備臨時措置法案によって製造設備の整理をやったならば、一方においては生産費が低下し、一方の方においては製造者の利益が多くなる、こういうふうな見込みがなくちゃできないのであります。それでこの法律が通過して実施せられたならば、生産費はどのくらい減少するのであるか、また生糸製造業者の収益はどのくらい収益が増加するのであるか、これらの点をお伺いしたいと思うのであります。    〔理事重政庸徳君退席、委員長着席〕
  22. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この法律によりまして設備の整理をいたしました暁は、このお手元の資料にもございますように、大体現在の操業率が平均をいたしますと五割三分、五三%程度の操業率でございますが、これが数年後には八〇%程度の操業率に上昇をするものと考えておるのでございます。従いまして、設備一台当りの生産性が相当上って参るわけでございまするので、加工販売費はかなり合理化をはかれる。これはどのくらい生産費が低下をするかということは、工場の規模、また原料等の裏づけ、操業の状況等によって、一概に申し上げかねるのでございますけれども、私どもが中どころの規模の工場につきまして一応試算をいたしました結果によりますと、大体現在の一俵当りの生産費は五万三千円程度でございますが、これの一割程度が加工販売費の合理化が行われるものと期待をいたしておるのでございます。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私一人で長くやっても何ですので、あと二、三点でやめます。  そういうことによって整理をする。そうすると、整理せられたものに無理な注文をするわけにはいかないと思います。整理せられるものも喜んで整理に応ずるような方法を講じなければいけないのであります。その点については、臨時措置法の第二十四条第一項第三号において、相当の対価をもってというようなことになっておるのでありますが、一体どのくらいの対価でやられようと思っておるのであるか、その点を伺いたいと思うのであります。
  24. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 相当の対価をもちまして設備の買い上げをいたすわけでございまして、それに対しては相当の補償をいたすわけでございます。例によりまして御説明申し上げますと、現在最も一般的に使われておりまする多条繰糸機という種類のものでございますが、この機種によりまして考えてみますと、この機械の新調価格は大体一台当り十二万円ぐらいでございます。現在の製糸工場にあります機械は、おおむね設置後十年程度を経過いたしておりますので、その経過年数に応じまして、残存価額を計算いたしますと、約二万五千九百四十五円になるのでございます。これにスクラップとして収入に入ってくる分、それから処分をいたしますための経費等を差引計算をいたしますと、補償額は二万二千円程度になるわけでございます。これに対しまして、現在考えておりまする整理の最大のワクは、いわゆる機械製糸と称するものにつきましては、これは輸出生糸をひく製糸業でございますが、機械製糸につきましては一万五千台を予定しておるわけでございます。一万五千台に対しまして、平均二万二千円という計算をするわけでございますが、なお休んでおりますもの等に対する補償額は、衆議院付帯決議にもありますように、ある程度の評価の加減をいたしますと、平均いたしましては、それより若干下って参る計算に結果的になると考えております。この補償額に対しまして、政府では三十二年度に五千万円の予算補助金として計上いたしております。なお、三十三年度にも計上を予定しておりまして、三十二年と三十三年の二カ年にわたりまして、この経費の一部を補助することにいたしておるわけでございます。その政府補助いたしまする残りの分につきましては、現実には残りの方が多くなるわけでございますが、今回の整理に参加をいたしまする業者によって共助金の形において積立支出をいたすのでございます。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 組合の運営の円滑をはかるためには、議決権及び選挙権の平等ということが必要であるのであります。しかるに、第二十一条によって見ますというと、「農林省令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、二個以上の議決権又は選挙権を与えることができる。」、これは特例中の特例でなくちゃできないのであります。また日本生糸製造設備の現況から考えて、二個以上の決議権及び選挙権を与えなくちゃできないという何か根本的の基礎があるかどうか、これを承わりたいと思うのであります。
  26. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 今回の処理組合につきましては、議決権は一組合員一票という原則を立てておるのでございますが、ただいま御指摘がありましたように、座繰の業者によって結成をいたしまする座繰製糸業者の処理組合の連合会の場合だけにつきまして、特例を設けておるのでございます。これは、ただいまお手元に数字の資料を差し上げてありまするが、現在の座繰業者の府県別の数字は非常な差がございまして、長野県のごときは三百四十六の業者があるのでございますが、四国、九州あたりでは、四国一円で九十業者、九州一円で五十一業者といったように、非常にその地区別に大きな差があるのでございます。それで、座繰業者につきまして連合会を結成いたします場合に、なお、つけ加えて申し上げますが、今回の処理組合は機械製糸につきましては全国一本、それから玉糸につきましては全国一本、それから座繰の場合だけは、今お手元にあります、差し上げました地域割りによりまして、この業者数の二段目にありまするのがこの地域分でございますが、岩手、宮城で一組合を結成する、それに加入しているものが十五組合、それから秋田、山形で一組合を結成する、これに加入予定しておりますものが二十九と、そういうふうに、こういうブロック別で組合ができることを予想しておるのでございます。そういたしますと、組合員の数が組合によりまして非常な差が出て参りまする関係で、長野の場合のごときを考えますると、全県で三百四十六の業者があるのでございまするが、それで一組合を結成いたしました場合に、連合会に加入した場合の議決権が一票しかないということになりますと、長野のような事例につきましては、組合を長野県内でたくさん作るようなおそれもあるわけでございます。また現実に議決権一票という方針で私ども当初考えました関係上、そのような動きもあったのでございまするが、そうなりますると、実際に仕事を進めて参りますにつきましても、いろいろ支障も出て参りまするし、また地方庁の行政上の便宜等もありまするので、なるべく県単位以下の地域で組合が結成されることは避けたいという考え方をもちまして、業者数に応じまして議決権の数にある程度の調整を加えるようにして、その問題を解決したいと考えたわけでございます。  それで、ただいま考えておりまするのは、議決権を三十人基準で一票に考えます場合と、五十人基準で一票に考えます場合と、二つの場合を一応想定いたしまして計算をしてみたのでございまするが、三十人基準で考えます場合は、長野の場合のごときは十二個の議決権を持ち、五十人で考えます場合には七個の議決権を持つ。こういう形によって組合の細分、こういうことを防いで参りたい。原則といたしましては、一組合一票という建前をとっておるのでございまするが、この座繰の連合会の場合だけに限定をいたしまして、定款でそういうことをきめなければどうしてもうまくいかないというような事態、こういう場合はその道を開いておきたいと考えておる次第でございます。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 二、三点お聞きしたい。この長い表の一番けつについている「整備前後の一台当繭消費量」、この表ですが、この表で見ますと、大体整理せられたあとの操業率が五三%から八〇%と上っております。この上るということは、結局操業率が上るのでありますから、これだけ糸を作る上に生産費が下る、この下る大体割合は糸価の一割くらいだろうと、こう藤野さんに言われたと思いますが、一割間違いありませんか。
  28. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 先ほど私が御説明申し上げましたのは、現在の生産費が大体一俵当り五万三千円くらいかかっておるのでございまするが、これの一割程度節約されることを一応想定しておるわけです。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 この八〇%は、これは最終段階の数字になりますか。
  30. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 繭が三千四百二十六万貫程度生産の裏づけがありますことを前提といたしまして、操業率が八〇%に上昇いたすわけでございまして、大体五カ年計画できめておりまする生産目標は、昭和三十五年がこの水準になるように一応考えられておるわけでございます。従いまして、三十五年の段階における操業率が八〇%、今回の整理をやりまして、一応繭の方もある程度増産をされた時期の姿と考えておるわけでございます。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、その下りました分は、これは全部製糸家の利益になるかどうか。
  32. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 生産費の節約、合理化をされましたものが、どういうふうに循環をして参るかということでございますが、これはまあ企業自体の問題でありまするので、われわれが強制的にそれをどうするというわけではないのでありまするが、私ども考えておりまするのは、当然設備の改良等もいろいろ手を加えませんと、今後の生糸需要についていけないというような点もありまするから、そういう面にも企業としては当然努力をいたすわけでございまするが、さらに、より根本的な問題といたしましては、原料入手につきまして、確実な基礎を固めて参るということが、製糸企業としては最も根本的な問題でありまするので、製糸経営が安定して参り、収益性が向上して参るということでありますれば、原料入手の見通しを確実にいたしますために、養蚕農家等に対しましても、積極的に、さらに生産助長の方途をとるものと考えておるのでございます。  なお、現在最も強く指摘をされておりまする事柄でありますが、現在の製糸労務者の賃金水準は非常に低いのでございまして、紡績あたりと比較いたしてみますると、現在の機械製糸の賃金水準自体が、大体紡績あたりの六割ないし七割ぐらいのところにしかないわけでございます。一般製造業と比較いたしますと、約半分ぐらいの水準にあるわけでございまして、こういう低い賃金水準でやっておりまするのは、収益性の低いことに基くものであります。従いまして、製糸の収益性が上って参りますれば、ただいま申し上げましたような部面に、当然循環をして参ると考えておるわけでございまして、われわれといたしましても、政府がある程度予算的な措置等も講じましてやります仕事でありまするので、そういう角度から、製糸の企業担当者に対しても、十分指導して参りたい、かように考えております。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、この表を見ましても、蚕繭の処理量数が、ただいまから申しますと、約四百万貫多くなりまして、台数は減っていますから、従って、操業率は高まると思う。その高まる率は、大体最終段階でどれくらいですか。
  34. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 操業率の高まる率は、現在の五三%が八〇%になるのでございまするから、約三〇%は上ります。六割程度上る勘定でございます。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、それだけ労働者は労働が加重してくると、こう見なければなりませんね。
  36. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 現在の製糸の実際の操業の姿は、繭がありません関係で、あれだけの固定施設を一応持っておりましても、大部分一交代の八時間操業というような操業しかやっておらないわけであります。それから操業日数等も現在、平均いたしてみますると、三百日強くらいでございまして、あとは相当休みを多くとっております。そういう状況になるわけであります。今後八〇%に操業率が上りました場合の姿といたしましては、操業日数も現在よりは相当延長される。それから操業時間の関係は、二交代制度を織り込みまして延長して参る、あるいは若干の延長で一交代でやるという場合もあるかもしれませんが、本格的には二交代操業に変ってくるというのが、今後の行き方であろうと考えております。
  37. 千田正

    ○千田正君 関連して。今、清澤委員の質問に対して、労務者の問題が出ましたが、この法案の中に、これは過剰設備の整理というのが一つの主題になっているんですが、過剰設備の整理と同時に、これは今あなたの御答弁にありました通り、稼働日数の点については、非常に今までのところは減殺されておる。当然これは人員の整理というものが伴ってくるだろうということを、われわれは予想される。人員整理に対するところの政策というものは、この問題には盛られておらない。今までの御答弁を聞いていても、たとえば設備の台数、整理されるものに対する対価の問題はきめてあるが、それに伴った過剰人員の整理に対するところの補償という問題は、何ら出ておらない。これは相当大きな問題になってくる。で、この問題については、大体今度の過剰施設の整理に伴うところの人員の整理というものはどれだけなのか、そうしてその人員が整理されるのに対して、政府はどういう考えを持っておるのか、この点をはっきりしてもらいたい。
  38. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この整理に関連いたしまして、現在の製糸労務者に対する対策でございますが、先ほど御説明を申し上げました際に、大体整理の目標といたしましては、機械製糸、いわゆる輸出生糸をひいておりますような、比較的規模の大きい種類の工場でございますが、これについては三割程度整理するということを申し上げたのでございますが、三割といたしますと、設備台数では一万五千台に当るわけでございます。一万五千台に対しまして、これについておりまする労務者は約一万五千人、大体一台一人というような格好になっておるのでございまするが、一万五千人になるわけでございます。しかしながら、一万五千台整理をいたしまするものの中には、現実に繭が十分でありませんために、部分的に現実に機械をとめておりますようなものもあるわけでございまして、それが現在最近の段階では、約六千台くらいあるわけでございます。従いまして、一万五千台の中に、現実に労務者のついておるものは九千台くらいと推察をされるわけでございます。まるまるこれによって労務者が整理をされるということになれば、九千台相当の労務者が影響を受けるということでございます。  しかしながら、この問題につきましては、この整理を企画いたしました当初から最も注意をして参った問題でございまして、現在われわれが業界といろいろ話し合いをいたしておりまするところも、まだ全蚕労連、いわゆる製糸業者の労務者で結成いたしておりまする労組等が企業の責任者と相談をいたしておりますところ等によりましても、この製糸労務者のほとんど大部分が女子労務者でありまする関係上、自然の更新率が非常に高い。実績で見ますると、年間三割、三〇%自然更新をいたしております。従いまして、今回の整理に伴いまして必要でなくなる人員につきましては、当分新たな補充を差し控えることによって自然更新で処理をされるようにして参りたい。これは製糸界の労務対策一つのしきたりになっておるような部分もありまして、たとえばその多条操糸機を自動操糸機に変えましたような場合におきましては、労務者がある程度数を減らせられるわけでございますが、それらの場合も直ちに首切りをやりませんで、自然更新によりまして、ある程度時間をかけて必要な姿に整えるというようなやり方をやっておるわけでございます。それからここ一、二年の間に大製糸業者等におきまして、工場を集中をいたしたような例もございまするが、それらの場合等におきましても、閉鎖した工場の労務者対策は、ほかの工場へ一応全部移しまして、自然更新によって徐々に落ちつかしていくようにやっておるわけでございます。この点につきましては、今申し上げましたような方針で、業界、また労組等も、いろいろ処置をいたしておりまするし、私どもそういう方針指導をして参りたい、急速に首切りをやるというようなことはさせないようにいたしたいと考えております。
  39. 千田正

    ○千田正君 今の御答弁だというと、自然に淘汰されていく、あるいは残ったものを整理統合していくから、そういう問題は起らないとおっしゃるのですが、私は地方を旅行するというと、蚕糸製造業に従事しているところの労働団体の諸君から、こういうことがやがてくるだろうというもとに、陳情を受けておる。ところが、今あなたがおっしゃったのは、女子従業員は自然淘汰する。なるほど女子従業員が多いけれども、必ずしも女子従業員ばかりではなくて、その中に男子従業員も相当おる。これはあなたの方では、組合まかせにそういう問題は解決させるという考えですか。それとも、何か指導的な目標というものがあるのかどうか、これをはっきりしてもらいたい。
  40. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 私の方では、組合と企業責任者の交渉だけで今私が申し上げましたようなふうにやらせる、そこへまかしておくという考え方ではないのでございまして、今申し上げましたようなことで、労務者対策は急激な動揺影響等がないようにやって参りたいということを、私の方から直接企業責任者とも話し合いをしておるようなわけでございます。
  41. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の首切りの問題が出ましたが、ついでにそのあとを伺っておきます。かりに今言われたような工合で、自然でいくというが、もし整理の上で人員整理をしなければならぬような場合が出てさましたら、この補助金を幾らかでもさいて国が出すような方針を、政令等で入れることはできないのですか。
  42. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この補助金は、先ほども申し上げましたように、現実にありまする設備の買い上げ、廃棄に対する補償金の一部を補助をする、いわゆる設備の残存価額を評価いたしまして、それを基礎として出て参る経済価値に対する補償をするという考え方に立っておりまするので、今の労務者対策等の問題、具体的にはいわゆる首切りをやるような問題が起きた場合に、その退職金というような問題になると考えるのでありますが、それに対して政府補助をするということは、これは困難だと考えます。しかし、この問題につきましては、業界の共助金の方の措置で、実際に退職を求めるような事例が起きました場合の措置は、そちらの方で十分相談をしてもらおうと考えております。
  43. 清澤俊英

    清澤俊英君 だが、考えてごらんなさいよ。とにかくに国が整理をするために補助をしなければやっていけない、こういうかりに建前をとっているものに、いよいよ首を切られるというときになってから、それができるだろうかということなんです。問題が出てくる場合には、ある程度くらいは国がちゃんと押えておいて、そっちの方に回す、これくらいのことはやられることが正当だろうと思うのです。生糸機械を整理して、その方へは補償してもらって生きるのだ。将来において整理によって生きることができる。整理によって首を切られていく人は、死んでしまう。こういう人たちはこれはもう何ら見すごして、労使の間で話し合いをしてというのは、ちょっとおかしい。わしは全く片手落ちじゃないかと思う。人権無視だと思う。
  44. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 首切り問題が現実に起きると、予想される事例が、かりにあるといたしますれば、これは工場をまるごと閉鎖をしてしまうというような事例が出ますれば、首切りの問題が発生をする可能性もその場合におきましては考えられるわけでございます。従いまして、工場まるごと整理の場合につきましては、これは業界自体でも、いろいろ相談の過程におきましては、その場合の扱い方に対する考え方が若干出ておるのでございますが、共助金を配分をいたしまする場合の措置として、そういう場合につきましては、工場をまるごと閉鎖という実態に応じたような配慮の仕方を考えるというようなことも、これから逐次検討して参りたいと考えております。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで約一万五千台のうち、休業の機数が六千、実質整理は九千台、そうして一台について女子工員は一人。男子工員は、何台くらいに一人の割合ですか。整備員とかあるいは機械調整員とかいう、相当男工並びに事務員等がつくだろうと思うのです。
  46. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 現在機械製糸の労務者総数は、五万二千八百三十八人でございますが、このうち男子職員は六千八百四十七名でございます。しかも、その六千八百四十七名の中で、直接現場で繰糸の仕事に携わっておると見られます者は、二千七百十四人でございまして、その他の四千百三十三人というものは、これはいわゆる管理職員でございます。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 いずれにしましても、各府県一割以上、それから現場に携わっておる者は五分、そうすると、九千人の五分というと、四百五十人というものが現に出てくるということがはっきりわかる。それが、他の、工場に直接携わっておらぬ職員でも相当の整理が出る。総計千や二千出る、半分ぐらい出ると思う。最小に見て、一割以上出ると見ていいのじゃないか。こうなりましたとき、それが何ら対象にならないで法律に載っていないということは、実におかしいと思うので、何らかの言明をしてもらいたい。この法律施行していくとき、一応整理組合が補償金のうちから何割というものを積み立てて整理人員の補償に充てるいうぐらいのことは、やっぱり規定せられるのが私はいいのじゃないかと思う。これは私の意見だから、あとで伺いますが。  その次に、大体今お伺いしますと、労働者の労働強化というものもある程度見られるが、従って、それに対しては相当額の賃金の、現在も悪いのだから、値上りを見る。そのほか、大体一俵について五千円程度のものが、ここに載っておるやつのうち、大体どれくらいのものを労働賃金の方に回されるようになるのか、五千円のうち。
  48. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 幾ら節約されまして、それが幾ら労賃へ回るかということにつきましては、これはいずれにいたしましても、企業の実際の経営の問題でありまするので、私の方で幾ら賃金に回せというふうな指図をするようなことにはなっておりませんが、極力、低賃金という問題は、これはもう製糸につきましては何人も認めております問題でありますので、この仕事の効果の上りました暁におきましては、労務者に対する措置は積極的に勧奨して参りたいと考えております。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、設備を直し、労働者へ回すというと、農民の手に返ってくるのはほとんどわずかなものしか返らない。そういうことは今ここで仮定できますが、それと同時に、この表を見ますと、約四百万貫が増産せられていかなければなりませんが、これは先般お伺いしておりますと、反収の増大をはかるという考え方が非常に強いようでありますが、これは現在の繭一反歩当りの収穫の十四貫から見ますれば、約二割の増産を全体に行わなければならぬと、こう思いますが、その増産に対する措置としては、先ほど藤野さんからも言うておられましたが、具体的にどういう処置で、どれくらいの予算を見て増産を完成せられるのか。それと、増反を見込まないで、反収の増大をはかって繭価の引き下げをねらっている。これはもちろんであろうと思う。そういう方向に行くのが当りまえだと思いますから、これには異論はないが、その増反を押えるにはどうするか、どういう方法を考えておられるか。この二つを一つ……。
  50. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) われわれは、指導方針といたしましては、桑園面積をさらに拡大をしていくことによって繭の増産をはかるという考え方はとっておらないのでございまして、反当収量を引き上げますことによりまして繭の増産されますことを期待し、またその方面から指導いたしておるわけでございます。しかしながら、現実には若干ずつ面積の方もふえておるわけでありますので、お手元にあります資料からごらんいただきましても、三十年から三十一年にかけまして、約四千町歩ばかりふえておるわけでございます。これは、私の方といたしましては、面積がふえては困るというところまでの態度はとっておりませんが、現実面積もふえまして、この面からも増産になって参っておるのでございますが、基本的には、反収を引き上げるということによって措置して参りたい。  それで、昨年あたりまでは、この反収を引き上げますために、年間約一億くらいの金をつぎ込んでおったのでありますが、ことしは一応それが三カ年計画でやりますことに一段落いたしたのでございまするから、本年度におきましては直接のいわゆる補助金として出ますものは相当減っております。これは桑園能率増進事業といたしまして、桑園緑肥作物を混播いたしまするための補助でございまして、これは、昭和三十二年度は一千五百万円くらいであります。前年度は約五千万円つぎ込んでおりましたが、だんだん仕事が一段落してきておりますので、ことしは一千五百万円、それから桑の改植をいたしますのが桑園能率を上げまする非常に有効な手段でございまして、相当老朽いたしておりまするのを、新しい木に若返らせますことによりまして、桑園生産量を上げていくわけでございますが、これは現在の予算編成の建前が、この種のものにつきましては直接補助の形で出すことが困難になって参りまして、農業改良資金によりまする融資に振りかわってきておりまするが、これは九千四百万円程度の所要資金に対して融資をするようにいたしておるわけでございます。なお、その他にも繭質改善、いわゆる最近の優良なまぶしを導入いたしますための融資でありまして、あるいは共同飼育所の建設融資、それぞれそういう面につきましても改良資金を引き当てておるわけでございます。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の第三の表を見ますと、養蚕戸数は減ってきまして、桑園面積がふえて、そうして繭の生産額が反収において三十一年のごときは減っておる、こういう順序をとっておりますものを見ると、大体これは二十六年、七年、八年と繭価格は非常によかったので、一応養蚕戸数もふえましたが、九年、三十年が繭があまりおもしろくない価格を持っておりますので、従って、こういうような減少が出てきたのじゃないかと思う。そういう減少の中を、これから先反収でだけ上げるということになりますと、よほど馬力をかけた増産対策をおくれた方面でやっていただかなければ、問題にならぬと思う。これは、そうしますと、今のことをやりつつ、こういう減少が出ているのですから、もっとこれを増大していかなかったら、問題にならない、こういうように考えられまするが、その点ほどうなんですか。
  52. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) このお手元の資料で、三十一年が反当収量が減少しておりますのは、これは去年の春に非常に規模の大きい凍霜害がございまして、統計調査部で調べました数字に基きましても、約三百万貫程度減収をしたのでございます。それがありまするので、三十一年の繭生産量が下っておりまするが、これが平年の収量があったと仮定いたしますれば、十六貫を上回る数字になるわけでございます。それで、養蚕戸数が少し減って、桑園面積が逆にふえているという傾向は、これは最近の傾向といたしまして、特に西日本あたり地区につきましては、さらに現在よりもなお養蚕を減していくというような傾向がありまする反面に、主要生産地になっておりまする群馬でありますとか、埼玉、山梨といったような地区におきましては、増反をしていく、いわゆる二月あたり収繭量をふやしていくというような傾向になっておりまするので、主要生産地において集約的な生産をするような傾向が出てきておるように考えておるわけでございます。われわれの今後の指導方法といたしましても、桑園能率を上げまするような仕事に積極的に力を入れてくれる農家というものは、やはり繭収入に対する依存度の非常に高い、いわゆる専業的な色彩を持った農家であるわけでございますので、そういうような農家生産手段に対しましては、十分指導助長をして参りたいと考えております。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、問題になるのは、大規模経営農家だけがだんだんと高度の増産をしていく。山梨が五十貫か六十貫の平均反収を持つ——平均反収でないと思うのですが、とにかくそういう所ではある反別までは増反いたしまして、このような地区はますます増反していくと思います。このような地区はうんと増反していきます。そのような地区地区として、また現金収入の少い地方におきましては、現に価格が合わないという現在を見ても、生産費に対して繭の価格が合わないでも作っている、これが現実であります。そうしますと、それはそれなりで、だんだんいろいろの生活が苦しくなればなるほど、そういう傾向が強くなると思います。一方には生糸台数だけが整理されていくということになると、繭が自然的に市場に溢れてくる形が出やせぬかと思う。そういう心配もあります。こういう場合の対策はどこにあるのですか。
  54. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この設備を処理いたしました暁におきまする繭と設備の関係でございますが、これはお手元の表にもございまするように、三千四百万貫の生産がありまして、なお八〇%というような操業率でございます。また同時に、生糸業はああいう単純な加工業ではございまするが、いろいろやはり技術的に工夫をいたしまして、能率を上げて参るような工夫もいたしておりまするし、また設備の改良等も、やれる限りにおいてはやっておるわけでございます。従いまして、今回の措置によりまして、繭の現在、言葉は悪いのでございますけれども、売手市場になっておるものが買手市場に変るというような、そのような急激な変化が出るというような事態は、この程度の措置によっては考えられないと思っております。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の言うのは、繭だけの方をほうっておけば、だんだんと値段もよくなるでしょう。さきの言うた通り、もうけのうち幾らかでも要るのですから、五千円のうち、かりに千円要ったとすれば、千円上るわけになる。これが一俵売ったら反当り幾らか知らぬけれども、だんだん上ってくる。こういうものになりましたら、間に合ってくれば、だんだん作っていくんじゃないか。こう思われますことは、大体二十七年が生産費を上回った繭価で買われているのじゃないか。これは、あなたのところで表で出ていますが、あとは大体二十六、七、八年ですか、これ三カ年だけが上回っているだけで、生産費を一〇〇として売価対比を見ますと、二十六年が二二一%、二十七年が一二一%、二十八年が一一三・八%、二十九年が八六・一%、三十年が九二・四%、三十一年が八六・六%、こういった繭価格に対する比率をもって損をしておる。三十一年のごとき一割六分という欠損をしておる。それでも増産の形をとられつつある、こういうものがありますから……。これはほかの方の資料です。それですけれども、これは農林省統計調査部、販売価格は蚕糸局調べ平均繭価、こうなっておる。これを資料にして作ったのですが、そうなりますと、幾らかでもよくなれば、やはり増産するということが考えられる。そこへもってきて、反別増収が上昇してくるというと、予想外のものが出て参りまして、そうして繭がダブつくだろう、このことは考えられる。このことに対する対策は大体どこでとられるか、こういう場合には。
  56. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) これに対する対策といたしましては、基本的には蚕糸業について価格支持の政策を非常に強力にとってきまして、糸を通じての価格安定だけでなしに、さらに繭価そのものに対しましても価格支持を直接とり得るようなふうにいたしておるわけでございます。従いまして、価格支持の面から十分その要請に対応して参るつもりでございます。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 あまり一人でやっておりますから、じきやめますから……。それで、まあたくさん聞きたいことがあるけれども、一点でやめますが、大体この整理をしていかれるやつが免許の、許可のという文句がここにありますね、提案説明に免許、許可、の形式、こういうことになっておりますが、免許、許可以外のものはないのですか。
  58. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 坐繰生糸につきまして、いわゆるやみがまと称されまする免許を受けていないものがあるのでございます。これは現在相当それがふえて参りまして、免許を受けている施設と同数、あるいは若干それを上回る程度のものが現実にできておるわけでございまして、これは今の生糸業のガンになっておるわけでございます。それで、先般来その方面の業者ともいろいろ連絡をとり、また私どもの方としても考え方を出しまして、免許施設が過剰のために、免許を受けている施設であってさえ過剰なために、こういうものが出ておるのでございまするから、この法律に基きまして免許設備の整理をいたしますと同時に、片方のやみの方は製糸業法違反、こういう製糸業法に違反をいたしております施設でありますので、製糸業法によりまして措置をいたすのでございますが、現在考えておりますのは、今のやみ釜の三割程度をこの際整理をいたしまして、あとの残りのものは次にいたすような形においてこれを整理をいたしまして、その後は調整組合を結成いたしまして、調整組合に全部加入をしてもらいまして、調整組合で設備の登録をいたしまして、それで公式に認められておる施設というものははっきりいたしますので、調整組合の相互監視、府県当局との指導等によりまして、今後新たにそういう種類のものが出て参ることを防止しよう、さように考えております。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 あと相当ありますが、別の機会に譲ります。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は簡単に一、二伺いたいのですが、今手元へ衆議院から参りました付帯決議を拝見しますと、非常に適切な私は付帯決議がついておると思うのです。なかんずく第一の、生糸製造設備の処理に当って必要限度をこえないように十分注意しろというのですが、これについて私ちょっと伺いたいのですが、先ほど伺いますと、現在の稼働率が五三%程度のものを、本措置を行うことによって八〇数%に引き上げることが可能である。一般の企業のフル運転というのは、八〇%以上になったものは大体それがフル運転なんですよ。政府が今度のこの措置によって八〇数%に稼働率を上げるということは、フル運転、フル操業を意味しておるのですか。
  61. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 八〇%の操業率というものは、おそらく経済的に考えますれば、ほぼフル運転に近いことと思います。しかしながら、この場合八〇%になりますのは、繭が今より一割以上増産をされまして、ようやく八〇%になるわけでございまして、繭が三千四百万貫の生産がございませんと、ここまで参らないわけでございます。従いまして、整理をいたすといたしましても、直ちにここまで上げることには現実の問題としてはなりにくいと思います。
  62. 河野謙三

    ○河野謙三君 しかし、一応この目標である企業整理をして八〇数%になるまでには、整理の実績が上るまでには、やはり多少の年次を要するわけですね。それまでには、政府の計画としては、現在よりも生産量は一割程度上ることを一応の、目的の貫徹の可否は別として、そういうことをやはり生産面においては企図しておられるのでしょう。
  63. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 生産面におきまして一応政府が長期的に考えておりますのは、三十五年において三千四百五十万貫になることを期待しておるわけです。一方整理の方は、三十三年度の終りまでにこの姿にもっていくようにしたいと思います。
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 政府は三十五年までに一割ということを企図しておられるようですけれども、しかし本措置によって製糸業界が非常に安定することになれば、養蚕農家の採算というものは今よりも改善されるのですか。今のような赤字の経営であっても多少の増産を見ておったのだから、政府の企図するような効果をおさめれば、従来の生産量の進度率は一段と私は高くなって、もっとこの法案の企図しておる効果が出れば、三十五年度を待たずに、一割の増産は実現できるということを一応考えなければいけませんね。そうだとすれば、生産量がふえて、今回の企業設備によって製糸業者がフル運転になった。そうすると、需給関係からいけば、完全に現在と違って買手市場になっておるのですね。言葉をかえれば、売手の農家が非常に不利な立場になる。そういうことになりませんか。実際は生産と設備というものが完全にバランスをとるということは困難です。設備と生産量をバランスさせるということは、これは実際困難である。えてしてそういう場合には、生産過剰になって買手市場になる危険があると思うのですが。そこで、そういうことを考えて、衆議院の方では、付帯決議の第一項に、特に慎重を期せよと書いておる。私も同様に、その点、非常に危惧があるのですが、その点についての特別の考慮を払っておりますか。
  65. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) これは整理の具体的な計画をきめます場合に、何割を整理することとするか、それは数年先を予想いたしまして、農家にどのような影響を与えるかというような点が、ただいま御指摘のように非常に重要な問題でありまして、一応私どもの方で繭生産の将来の見通しと設備との関係を総合いたしまして、三十五年において八〇%の操業率になるような形で想定いたしておりますが、この問題は、実際に整理の具体的な取り進めをいたす段階におきましては、基本的な問題といたしまして、蚕糸振興審議会において十分御検討願うことになっておるわけでございます。従いまして、ただいま御指摘のような点も十分考えまして、審議会の場においても、そういうような角度からも十分審議していただきまして、整理の基本計画をきめて参りたい、かように考えております。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 その問題は、もう少し突っ込んで伺いたいのですが、時間の関係もあるようですから、このくらいにして、次に、衆議院付帯決議の第二項に、中小製糸業者が適正規模の操業が維持できるように特に注意しろ、こういうことでありますが、私もこれは同感であります。ただ、そこで伺いたいのは、一体大企業と中小企業の生産コストはどのくらいの開きがありますか。
  67. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 現在私どもが調べております生産費調査によりますと、必ずしも大中という差によりまして、生産費が高い、安いの開きが出てくるというような関係にもなっておりませんのでありまして、中のものでもかなり高いものもあり、大のものでも安いものもあるというような関係でございますが、一般的に申し上げられるのは、特に大製糸につきましては、本社経費等が中小製糸に比べましてかさんでおりまして、その面で結果的には生産費がやや高くなっておるようでございます。しかし、その他の要素によりまする差異は、あるいは原料の入手関係でありますとか、工場の立地関係でありますとか、その他いろいろ違っておりまするので、必ずしも規模によりまして、それ相応に生産費が上ってくるというような関係にはなっておらないのでございます。
  68. 河野謙三

    ○河野謙三君 伺いますと、現在までのこの五〇何%の操業度のもとにおいては、大企業と中小企業との問にコストの開きがあまりない、こういうことですね。しかし、今後この今おっしゃるような企業整備をしてフル運転の状態にまで持っていったときには、これはわれわれの常識からすれば、大企業が中小企業に対して非常なコスト安になる、こういうことを私は言えると思うのです。ある場合には一割安になり、ある場合には二割安になるということがあると思う。そういうことは何か計算上出てきませんか。
  69. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 実際に差がついて参りますのは、設備の内容をどういうふうに改良していくかということによりまして、いわゆる生産性の高い設備を導入いたす企業につきましては、生産費が順次低下して参る可能性が出て参ると思うのでありますが、そういう実際の力は大製糸にあるか、中小製糸にあるかという問題でありますが、現在の経営の状況を見ておりますと、大製糸必ずしも大製糸としての力を十分に出しておるというようなことにもなっておりませんのでありますが、設備の改良が伴いますれば、その企業につきましては、かなり生産費は低下してくるものと考えておるのであります。現に自動繰糸機と多条繰糸機との間におきましては、われわれがとっております材料によりましても、数千円の生産費の開きが出ております。
  70. 堀末治

    委員長堀末治君) この辺でどうですか。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあ、委員長から重ねて注意がありましたから、今の問題はもう重ねて答弁を私は求めませんけれども一般の企業からいけば、この操業度が低い場合は、大企業は間接費と申しますか、管理費と申しますか、こういうものによって影響を受けて非常にコストが高くなる。しかし、これを逆にフル運転に持っていきますと、大企業というのは非常にコストが下るわけです。従って、今のような五〇何%の程度のときに、中小と大企業の間の生産費のバランスが大体とれているというようなことなら、フル運転において大企業が非常に安くなり、逆に中小企業は比較的高くなるということになると思う。そうなった場合に、ただ中小企業の適正規模の操業ができるようにということだけで、それだけにとらわれておりますと、結局日本の製糸の工業全体を安くできるものを、高く持っていくということになるわけです。これはまあ国の産業全体の面からいって、私は十分考慮しなければいかぬじゃないかと、こう思うのです。その問題はよろしゅうございます。  あと、私が伺いたいのは、今までの製糸業界の不振によって、養蚕農家が製糸業者の非常に不良債権をたくさんかかえていると思う。県の養連なり、または養蚕組合なり、そういうものが非常に不良債権を持っておると思いますが、それは一体どのくらい現在ありますか。また、その不良債権が、製糸業界のこういうような安定策をとることによって、その補償された金がそれらの養蚕農家の不良債権の方へ回ることを保証しておるのかどうか、これを私は伺いたいと思います。
  72. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 製糸業者が養蚕農家に対しまして繭代金の不払いをいたしておりますものがありますことは、われわれも聞いておりますが、これは現実に出ておりますのは、いわゆる最近愛知あたりでだいぶ工場がつぶれたのでございますが、このつぶれたことによりまして、繭代金が事実上不良債権となってしまった。また繭買い入れの過当競争のために、いろいろ掛目協定には織り込まれていないような種類の約束をいたしまして、それが必ずしも十分に守られておらないというような事実によるものでございます。このつぶれた分につきましては、これはもう取引の通常の形といたしまして、事実上なかなか処理が困難でございまするが、あとのいろいろ過度の買付競争をいたしておりますために、いろいろ契約条件の中に入っておりますものの不履行になっておりますものは、私どもとしてもなかなかこれは実態の把握が困難でありますけれども、順次経営等も安定をして参るに伴いまして、さようなことのないように、十分業界についても指導をして参りたい、こういうふうに考えております。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 その点は、私は少しはっきりしておかなければいかぬと思うのですよ。操業が停止した、また停止一歩手前にある、そういう工場も今度の企業整備の対象にはなるんでしょう。企業整備の対象になって、それらの不良な工場も一応救済されるわけですね。それによって全部救済されないとしても、とにかく救済策ですね、そういう救済を受けた以上は、そのために背後にある善良な養蚕農民の債権というものはそれによってある程度補償してやらなければ、また補償するというような何らかの約束がなければ私はいかぬと思うのですがね、何もないんですか。それは単に債権者と債務者の間の問題であって、政府としては何らのそれに対しての指導方針は立っていないのですか。
  74. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この問題は、今後の実施過程において十分、業界関係の直接当事者ともよく打ち合せをしていかなければならないと考えておりますが、具体的には、今回の整理が実際に当てはめられますと、その種類の工場に対しましてどういう処置がとられ、また補償額がどのくらいになるかというようなことも明確になって参りまするから、その段階におきまして、債権者でありまする生産者側の団体等に対しても十分注意を促しまして、補償金の交付されました結果によって、そういう不払い等の残っておりまするものに対しても手当ができますように、直接両方の、製糸業者、養蚕団体、養連の方へ私どもとして注意を促していきたい、かように出与えております。
  75. 千田正

    ○千田正君 関連して。今の答えを聞いているというと、大体この法案そのものが、あなたは通産省の局長みたいな感じを受けるのですが、これは中小企業体とか、大企業体の一つの整備計画というような、一貫したものに乗った計画のようにしか見えないので、われわれの委員会としては、むしろ背後におけるところの養蚕農民というものの今後の行き方というものをあわせ考えてもらわないというと、これだけというのでは、われわれ審議の対象としてあまり感心しないのです。そういうことを今、たとえば河野君からあなたにお伺いしているのですが、それを明確にして下さい。設備や何かに対しては一応のことはして上げる、しかしそれと同時に、養蚕農民が債権を持っているなら、それをあわせて整理するようなことをこの中に織り込まなければ、われわれとしては納得いきませんね。それに対してもう少し明快に、何か具体的な方針を言ってくれませんか。むしろこれは通産省あたりでやることですよ。
  76. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の養蚕農家の債権の問題ね、製糸業者に対する。これについてはその処置をどうするかということは、今度できます審議会の諮問事項にすることはできませんかということと。  まあ時間がありませんから、もう一つ私が伺いたいことは、この企業整備の対象は、いわゆるやみ設備ですね、これも対象になっておるのですか。私は、従来この製糸の設備というものは認可制度でしょう、事業許可制度でしょう。そういう制度が確立しておるにかかわらず、その陰に隠れてやみでできた設備に対しても、国家が法律を出してそのやみの設備まで補償の対象にするというようなことは、非常に私はこれは将来のために戒めなければいかぬと思うのですが、その点一つ伺います。
  79. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 養蚕農家の不良債権の問題は、これは非常に重要な問題でありまするので、この措置に伴いまして、養蚕農家に対する措置として十分検討をしていかなければならぬのでありまするから、振興審議会で整備の基本的な計画と方針審議いたします際に、あわせて御検討いただいてけっこうだと考えております。  それから、やみの整理の問題は、この法律の適用対象には考えておりません。これは免許設備だけの整理でありまして、やみの整理は製糸業法によってやるわけでございます。製糸業法違反の事実として、製糸業法によってやるわけでございます。従いまして、やみを整理いたしますものにつきましては、補償をするということはもちろん全然考えておりません。
  80. 河野謙三

    ○河野謙三君 今、審議会の諮問事項にしてもよろしいということですが、はなはだしつこいのですけれども、諮問いたしますと、諮問事項として考えておりますという御答弁はいただけませんか。
  81. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) そのように考えております。
  82. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  午前は、これにて暫時休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。    午後零時五十一分休憩    —————・—————    午後二時七分開会
  84. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続いて、委員会を開催いたします。  この際、委員の変更について御報告いたします。本日、小笠原二三男君が辞任され、山口重彦君が選任されました。   —————————————
  85. 堀末治

    委員長堀末治君) 蚕糸業法の一部を改正する法律案及び生糸製造設備臨時措置法案を議題にいたします。  御質疑のある方は、御質疑を願います。
  86. 島村軍次

    島村軍次君 私は、簡単に一点だけお聞きしておきたい。今度蚕糸業法の一部を改正する法律案中に、審議会を設置されることが唯一の目標であったようでありますが、きわめて重要な問題になってくると思いますが、従って、委員会の構成が三十人になっておりますが、その三十人は学識経験者という一本の姿に法律案がなっております。その内容につきましては、あるいは他の委員から御質疑があったかと思いますが、どういう構想でおられますか、その構想について承わりたいと思います。
  87. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 審議会の構成につきましては、法律でもうたっておりまするように、学識経験者三十人以内をもって構成をする考えでございまするが、目下、法律施行されました場合の準備といたしまして、われわれの方で準備を進めておりまするのは、三十人のうち十名程度は、製糸、養蚕の業界の方々から選びました学識経験者と考えております。それから今回の審議会の構成につきましては、できるだけ広い視野から御検討、御示唆をいただきまして、とかく従来の蚕糸対策に対する考え方が業界の分野の中だけでいろいろ議論されておりましたのを改めまして、広い角度から、日本の今後の蚕糸業の行き方というようなものを検討していただきたいと考えておるわけでございます。それで、残りの二十人の構成はできるだけ広い範囲の方の御参加を願いたいと思っておりますが、そのうちまだ人数は確定いたしておりませんが、国会の方からも御参加をお願いいたしまして、いろいろ御協力をいただきたいと思っておるわけであります。従いまして、業界を代表する学識経験者、学識経験者としての国会議員の先生方と、その残りを関連業界、経済問題に非常に詳しい人、あるいは学者、言論界等あたりからもお願いをしたいと考えておるわけでございます。
  88. 島村軍次

    島村軍次君 その二十人のうち、国会からの予定人員はどのくらいですか。
  89. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 国会から御参加を願いまする方々につきましては、目下上局の方で国会の方と御折衝いただいておるわけでございまして、大体従来国会から御参加を願っておりまする前例等もよく検討いたしまして、人数を取りきめたいと考えておるわけでございます。はっきりまだ何人ということまで実は御相談が進んでおらないようでありますが、相当数の御参加を願いたいと考えております。
  90. 仲原善一

    ○仲原善一君 二、三お伺いしてみたいと思うのでありますが、最初は、今度の製糸施設の整備によって操業能率を上げて、そうして生糸生産費を安くしょうというねらいが多分にあると思いますけれども、まず第一に、生糸生産費の中で繭の値段が占める割合は大体どれくらいになっておりますか。
  91. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 最近繭糸価格安定審議会を開きました際に、昨年度生糸生産費を計算いたしたのでございまするが、生糸生産費は大体二十一万円でございますが、そのうち加工販売費が五万三千円でございまするので、原料繭代は大体生糸生産費の七割五分くらいに当っておると考えております。
  92. 仲原善一

    ○仲原善一君 生糸生産費の大部分が繭価であると思いますが、今度の製糸施設の整備によって繭の値段の方にはね返りがくるというような、そういう繭の値段を押える意味の働きがあるかどうか、その点心配ないかどうかという点、お伺いいたします。
  93. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 現在の蚕糸業界の考え方といたしましては、生糸につきまして原料高の製品安ということがよく言われるのでありまするが、これは今の二十一万円の生産費に対しまして、非常に高い割合の原料代支出になっておりまするりで、製糸家の目で見ますると、原料代が非常に高いような勘定になるのでありまするが、私どもといたしましては、現在の繭価水準千五百円ないし千六百円くらいで取引をされておるわけでございまするが、この水準は決して高過ぎるものではない。けさほども申し上げましたように、平均の反収が十六貫くらいでありまするし、また一応養蚕をやっておる、養蚕にかなり依存度の高い農家におきましても、二十貫ぐらいをとっておるのが普通の場合でございますので、反当り収入といたしましては三万数千円のものにしかなっておらないわけであります。他作物との関係におきましても、現在の繭価水準は私どもこれを維持しなければならないし、またできれば製糸の収益性の上ること等と伴いまして、繭代の支払いをさらに引き上げていくように考えて参りたいと思っておるのでございます。  さような考え方でございまして、今回の整備によって実際に繭価に影響があるかどうかという問題でございますが、この点につきましては、けさほども申し上げましたように、整備をいたしましても、この整備が完全に行われました前提に立ちまして、しかも繭が現在よりも一割以上増産されて、ようやく八割程度ということになっておりますので、実際に繭代の引き下げというような影響があるところまで事態が進むということは、一応予想しておらないのでございます。  それから製糸業者の立場で考えましても、原料繭の入手ということが企業の経営を維持しますための最大の眼目でございまして、繭代に対して正常な支出をしていくということは、現在の製糸の考え方としては十分そのつもりでおるわけでございまして、いろいろ繭入手のために必要以上にむだな経費を使っておりますようなところは、十分今後合理化をして参らなければならないわけでございますが、繭代金そのものを切り下げるというようなことにはいたさないように、私どもとしても極力指導して参りたいと考えております。
  94. 仲原善一

    ○仲原善一君 施設の整備について、現在の操業率が、資料によって拝見しますと、五三%程度の操業率を、整理の暁には大体八〇%程度の操業率にするというのが出ておりますが、この整理のやり方について、実は企業体が非常に大きなのもあれば小さな企業体もあろうと思いますが、そういうのを大体比率によって一律に整理をされるのか、あるいは大きな所と小さな企業主とによっていろいろな勘案をしながら整理されるのか、その辺の御方針を承わりたいと思います。
  95. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 整理の企業別に当てはめて参ります率の問題でございますが、これは具体的には、処理規程を立案いたします際に具体的に固まって参りまする問題でございます。しかしながら、非常に重要な問題でございますので、今回この法案の御審議をお願いするに先立ちまして、われわれも業界側とこの問題について種々打ち合せばいたしたのでございますが、現在基本的な考え方といたしておりますのは、整理の率の当てはめ方は企業単位に考えて参りたいと思っておるのでございます。これはやや、お話し申し上げますことがこまかくなりまして恐縮でございますが、企業単位に考えますのと、工場単位に考えますのとでは、大企業と中小企業の間におきまして相当の差がついてくるのでございます。一例を申し上げますと、大製糸では三十ばかりの工場を持っておるのが一番大きいのでありまするが、この場合に工場別に考えまするのと、それを合算して考えまするのとでは、結果においてかなりの差がついて参ります。と申しますのは、われわれは適当数の台数を基礎控除いたしまして、その基礎控除をいたしました残りの台数に対して、一定の整理率をかけて参りたいというふうに考えておりますので、これを工場別に計算いたしますのと、企業別に計算いたしますのと、非常に差があるわけでございまして、現在考えております企業別に計算をいたしますと、大きなところでは大体三割まるまるくらいの整理になりまするし、ごく小さい百台から二百台くらいのところへ入りまする企業につきましては、整理率が著しく少くなってくる。中小企業の適正規模としての操業を維持するように、実際の率の当てはめ方は考えていきたいと考えております。
  96. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で基礎控除があるというのですが、基礎控除の基準をどの辺に見当を置いておられますか。
  97. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 基礎控除は、総体を一万五千台整理するという前提に立ちまして、任意の申し出によりまして、いわゆる、もうこの機会に製糸業から手を引くというような建前で廃業されまする方がどのくらいあるかによりまして、基礎控除をいたしまする数字にもある程度の幅が出てくるわけでございまするが、ただいままでに検討いたしておりまするのでは、五十台から七十五台くらいの幅の台数で考えてみたいと思っておるわけでございます。
  98. 仲原善一

    ○仲原善一君 今度の整理で八〇%の操業能率程度になるわけでありますが、結局操業能率がよくなりますと、もうかるという形になろうと思います。そうなると、いわゆるやみがまというのがさらに出てくるおそれがあると思いますが、やみがまに対する対策と申しますか、取締りと申しますか、そういうものについての研究なりをしておいでになれば、承わりたいと思います。
  99. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) やみがまの取締りに関連をいたしまして、自後の発生防止ということが非常に大事な問題でございます。これにつきまして有効な手が打たれませんと、幾ら整理をいたしましても、同じことを繰り返すことになるわけでありますから、この問題は私どもとしてもいろいろ研究をいたしたわけでございます。現在考えております方法は、やみがまは、御承知のように、座繰業者の社会にあるものでございますが、今回やみがまの整理をいたしますと同時に、座繰業者の調整組合を中小企業安定法によりまして結成をいたすつもりでおります。これは具体的に相当その準備が進んでおりまして、大体全国で二十くらいの調整組合ができる予定でございます。調整組合ができますと、その調整組合の調整規程によりまして認められておりまする台数を、これは免許を今回整理をしましてやり直すわけでございますが、その免許いたしました台数だけを登録をいたすわけでございます。その際に、機械別に登録をいたしたことを明確にするような表示の方法等も考えまして、一見してこれがやみのものであるか正規のものであるかということがわかるようにいたしたいと考えております。そういたしまして、調整組合でも必要な監視の方法をとりますし、またこの実際の取締りは、製糸業法に基きまして、府県当局がやるわけでございますが、府県当局に対しましても、十分取締り方を要請いたしまして、今後新たにそういうものができて参るようなことのないように、よく措置をして参りたいと考えております。
  100. 仲原善一

    ○仲原善一君 現在のかま数の中に、資料を拝見しますとやみがまを含むという注が入っておりましたが、どのくらい現在やみがまがあるのですか。
  101. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) そこにございまする座繰機一万三千七百五台の中には、免許のものが七千八百五十四台ございまして、やみのものが五千八百五十一台になっております。
  102. 仲原善一

    ○仲原善一君 今度の整理の対象に五千八百五十一台というやみのは除いてあるのですか、それとも含めて計算してあるのですか。
  103. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) ここで計算いたしましたのは、七千八百五十四台の方には一応手をつけませんで、やみの五千八百五十一台の三割を整理いたしまして、合せて一万一千九百五十台ということにいたしてございます。しかしこれは現在の座繰関係の業界の準備の段階が、この業界におきましては、やみがま整理という問題が先行いたしております非常に大きな問題でありますので、まずやみを一ぺんここで始末をつけて、それから免許のものについても、もう一度全体の態勢を考えていきたいということになっておりますので、一応やみの三割を整理いたしましたものをここに掲げたわけでございますが、なお、その問題が一段落をいたしますと、座繰関係につきまして、もう一回整備計画を検討するという段取りになると考えているわけでございます。
  104. 仲原善一

    ○仲原善一君 施設の中に、二一中を作るのと一四中を作るのと、二つ種類があると思いますが、これを整理する場合には、政府の方で指定をしながら整理させていくのか、あるいはそれは自主的に、全く企業体の自主性によって整理していくのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  105. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 二一中をひきますのと一四中をひきますのと、繰式そのものは変りないわけでございまして、同じ設備で、実際の注文ないし需要の動向を見まして、二一中をひき、また一四中をひいているわけでございます。現在は一四中に対する需要は非常に減少いたしておりまして、特殊の注文によります場合か、あるいは製糸業者のいろいろ経営の都合で原料を引き延ばして、食い延ばしをやるような場合に、一四中をひくというようなこともあるようでございまするが、機種といたしましてば、同じように考えておるわけでございます。
  106. 重政庸徳

    重政庸徳君 今やみがまの問題が出ましたが、従来はやみがまに対しては農林省はあまり関心を持たずに、自由に放置しておったように思えるのですが、相当取締りをやっておったのですか。
  107. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) これはまことに申し上げにくいことになっておるわけでございまするが、事実の通り申し上げますと、数年前、昭和二十九年でございますか、やみがまを整理する計画を立てまして、その実施の準備を進めたのでございまするが、いろいろな事情によりまして、実施に入らずそのままになったわけでございます。その後やみがまが、そういうようなことがありましたようなことも手伝いまして、漸次増加をして参ったのでございまするが、一度そういうような経過を踏んでおりまするような関係もありまして、これだけを単独に取り締るということが、実際問題といたしまして、なかなか手がつけられなかったというような状況にありましたわけでございます。今回は免許がまの方につきまして、法的な裏づけをもって整理をするというようなことになるわけでございまするし、やみがまを持っておりまする業界といたしましても、その考え方といたしましても、免許がまの方の整理が、免許がまの方さえもこのような措置によって整理をされる以上、やみがまに対してもこの際きまりをつけざるを得ないという考え方になって参っておりますので、免許がまの方の整理と相伴いまして、そのような環境の中で、一つ今回はきまりをつけたい、さように考えております。
  108. 重政庸徳

    重政庸徳君 どうも私はふに落ちないのですが、この際やみがまの整理に対しては、私はそう簡単にはいかぬだろうと思いますが、やみがま制度といいますか、やみがまというものを将来とも許すのですか。私はこの際、やみがまは、相当免許がまを整理するのですから、やみがまも一緒にして、この際整理したあとのものはやはり免許がまとして、それはどういう名称か知らぬけれども、公認のかまとして、そして将来はやみがまは一切取り締るというのでなければ、将来二年たったら、もうこの法律がなくなる。その後はやはりもとの状態に返るのじゃないかという懸念が非常にするのですよ。その点、どうですか。
  109. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) これは、私の申し上げようが不十分でございまして、まことに申しわけないのでございますが、今重政先生がおっしゃる通りのことをいたすわけでありまして、現在のやみがまの三割だけは、これは設備を撤去させる、あとの七割につきましては、免許をここで新たに与えるわけでございまして、従いまして、その免許を与えましたあとは、やみはやみでなくなるわけでございます。その後の発生の防止が非常に重要でありますから、先ほど申し上げましたような措置によりまして、今後は新しいやみが出てこないように極力取り締りをして参る、さような考えでおります。
  110. 重政庸徳

    重政庸徳君 その新しいやみの防止の方策も、ちょっと聞いたのですが、私はそれで防止できるか。方法はちょっと今御説明になりましたが、あるいは従来より新しく強い防止の政策とか罰則とか、あるいはそういうようなものもお考えですか。
  111. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 新しくやみができまするというと、今回の場合は、それが無免許でそういうものが設備されたということになるわけでありますから、その機会に、これは製糸業法違反になりまして、罰金刑でありますが、必要な罰則も一応は用意をしてあるわけであります。従いまして、今までは事実上はそういうものが一般的に横行いたしておりました事情にありまするので、一般的な問題として、法務当局にも、それを突然やみがまのことを取り締れということをお願いすることも、事実問題としてはむずかしかったのでございますが、今回は整理をここで一ぺんいたしまして、それからあとの新しく出るものに対する問題でございまするから、法務省の方に対しましても、この整理の計画がはっきりいたしましたところで、よくお願いをいたしまして、そちらの方の協力も得たいと考えております。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとお伺いしますが、ちょっと残したのですが、さっき、大体生糸においては一万五千台を中心にして、五千万円の予算で整理する、これはわかりました。その第二のものは、それらのものをして整理金を積む、こう仰せられましたが、整理金を積ましてそれで整理しよう、こういうようなお話でしたが、これは補償金としてもらった二万何千円かの額から、それを積ませるのですか。
  113. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この種の整理をいたします場合の一般的なやり方といたしまして、調整規程できめまして、生産数量に応じて幾らという共助金を積ませる。おそらく今回の場合は、処理組合ができました場合に処理組合で相談するのでございますが、生糸生産一俵について幾らという共助金を出しまして、それを処理組合で全部集結をいたしまして、それから実際に機械を廃棄したものに対しまして、一台幾らという形において、政府補助金も一緒にしましたもので、廃棄をしました分野にその金を渡すということになります。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体わかりましたが、今一応詳しく申しますと、先ほどの御説明でありますと、製糸機械一万五千台を整理するものについて、大体少し違ったところもありますが、一台二万五千円くらいのものが出る。こう言われたのですが、それは整理せられる機械製糸だけではなく、その割合で一応五千万円くらいのものを予定せられて、それと整理せられる台数によって、全業種別ですか、製造別ですか、そのものの整理をする。一俵について何がしかのものを積んだものを合算したもので、全体を整理する、こういう意味ですか。
  115. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) もう一度御説明の仕方を変えて申し上げてみますと、今機械製糸の場合についてだけにしぼって申し上げますが、機械製糸の場合、一万五千台を整理するといたします。そういたしますと、一台当りの単価をかりに二万円と見ますると、三億の金が買上げ資金として要るわけであります。そのうち政府から補助で行きますものが幾らになりますか、これは確定をいたしておりませんが、来年度関係がありますので、まだ出ておりませんので、かりに一億政府補助金から出るとしますと、あとの二億は業者が自分でそれを調達しなければならない。その二億を調達する方法といたしまして、二億の金を四年間で、業者が生糸生産一俵当り幾らという計算をしまして、四年間かかって積み立てるわけであります。それで、補償は、初めに撤去いたしますときに一時に補償してしまいますから、積み立ての方は四年間かかる、その時間的な穴埋めをいたさなければいけませんので、これは適当な金融機関から処理組合が融資を受ける、そうしてその金利の分も積立金の中へ含めて積み立てる、そういうような格好になっております。
  116. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、今の説明、またあとへもどりますが、機械製糸には補助金が出るが、機械製糸以外のものには補助金が出ない、こういった形になりますか。
  117. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 座繰につきましても、やみがまの整理は全然これは補助の対象になっておりませんが、免許がまの整理をいたします場合には、やはり補助金の対象になります。それから玉糸につきましても、これは玉糸はやみはございませんから、当然、これも免許がまでございますが、補助いたします。ただ座繰と玉糸は、機械設備そのものが非常に簡単でございまして、機械製糸の場合とは評価額に相当の差が出て参りますことは、これはやむを得ないのでありますが、補助をいたしますことは同じであります。従いまして、実際の蚕業、製糸を通ずる整理計画の大体の輪廓が出て参りませんと、政府から出る金も確定いたしませんし、またこれも来年度予算折衝の場合に幾らの金がつくということも、現段階では確定いたしておりませんから、その総額と見合って、蚕業、製糸の整理計画と見合って、それぞれの補助はして参る、かように考えております。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 今度ははっきりしました。先ほど藤野さんが聞かれたときは、さっき誤解したようなふうに、おそらく藤野さんも解せられたと思う。  それから次にお伺いしますのは、お伺いというよりは注文になりますが、審議会の取り扱いまする範囲は、この整理に対してだけが法律上から見ますと審議の対象になっていくのですか、これはどうなのですか、この法案からいくと……。
  119. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この法案では、この審議会はむしろ蚕糸業の振興に関する重要事項を調査審議することを、まあ第一次的な任務と考えておるわけでございまして、それにこの生糸製造設備臨時措置法で定めておりまする必要な諮問事項の審議をする機能を一緒につけ加えたわけでございまして、むしろ本来のあれは、蚕糸業の振興に関する重要事項を調査審議することを建前としております。
  120. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  121. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて。  それじゃ、他に御質疑がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。討論は両案を一括してお願いいたします。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  123. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は、自由民主党を代表して、次のような希望を付して賛成いたします。  一、生繭の反当収量増加するよう指導奨励施策を講ずること。二、画期的なる桑の凍霜害対策検討し、すみやかにこれを実施し、災害未然防止すること。三、生糸及び絹製品輸出につき積極的対策を講ずること。以上。
  124. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、日本社会党を代表しまして、本案並びに関係法案に対して賛成をいたします。  ただし、本案によりまして整理統合を進めて参られますとき、衆議院から決議として出て参りました要点は、非常に適切なものであると同時に、その心配は非常に多いのであります。ということは、これを整理していく場合に、大資本が中小資本を圧迫することの懸念を持ち、または製糸機械を整備することによって繭の増産等が場合によると見込まれるような情勢にありますとき、従って、そのしわ寄せが農民に来はせぬかと、こういう心配も非常に多いのでありますが、従って、これは糸価安定法による審議会等によって、繭価協定等によって十分な議を尽して、それを安全ならしめるために、できまするならば、地方の各県段階において設けられておる繭価協定等の際には、ぜひ単独な農民団体等が推薦する純養蚕農民を数名参加せしめて、これらの不平が農民の中から起きないように、一つ努力して万全を期されるよう、なお衆議院付帯決議に付加して申し上げると同時に、先ほど申し上げました通り、労働者の首切り等の出ました場合には、法律の中に、もしくは政令の中に繰り入れていくことはできないかもしれませんが、これからちょっとむずかしいかもしれませんが、その点は十分注意して、せっかく蚕糸業振興のための審議会ができたのでありますから、それらとも相談をして、無理な首切り等が行われないように、十分な注意をして認可せられんことを付加しまして、賛成いたしたいと思います。
  125. 島村軍次

    島村軍次君 私は両案に対し、左の希望を付して賛成をいたします。  蚕糸業法の一部を改正する法律案につきましては、将来、蚕糸業の今後の拡大強化のためにもっと積極的に、農林省はどうも消極的に過ぎる感が、御遠慮になっておるという感じが非常に強いと思うのでありまして、蚕糸業振興審議会を通じて、堂々と、うんと施策を進め得るような措置を講ずるとともに、審議会におきましては、十分養蚕農家あるいは中小製糸業者の意見が反映するように措置せられんことを希望いたします。  生糸製造設備臨時措置法案につきましては、今後の設備の処理に当りまして、これまた養蚕農家に不利を招くことのないよう、万全の注意をしていただくこと。あわせて、設備買い上げの補償につきましては、現に稼働しておるものと休止しておるものとによって、評価額に相当の差等をつけるような、補償に公平なる措置をやること。  以上の点を付加いたしまして、本案に賛成いたします。
  126. 千田正

    ○千田正君 私は、きわめて消極的に、以下述べますところの理由を付して、賛成をいたします。  というのは、蚕糸業海外のマーケットとともに、国際マーケットと国内マーケットが相関連して、さらに生産農家影響することが非常に甚大であるという点からかんがみまして、これは一に製糸業者のみならず、養蚕農家との間の関連は、ちょうど羽織のひものように両方から結び合わなければ、完全な一つの製糸業の発達というものは成り立たないという観点から私は申し上げるのでありまして、ただいま議題となっておりますところの両法案ともに、これをわれわれ農林水産委員会の立場から見まするというと、生産農家の面にうるおす点がはなはだ明確でないという点であります。法理論的からいいますというと、こうした一つの条文を掲げていった以上は、その整備の対象は、単に製糸業者のみにとどまらず、これによって影響を受けるところのたとえば従業員、もしくは、あるいは繭代の請求権を有するところの生産農家、これに及ぼすところの補償の面等を考えなければ、真に全き法案としてわれわれは納得できない。この点について、午前中に各委員から種々御質問がありましたが、それに局長からのお答えもあったわけでありますが、特に私はこの際要請しておきたいのは、かまの補償その他に対しては十分な価格査定をなされているけれども、整理に伴うところの、従業員の整理に対するところの問題、さらにつぶれていくところの、あるいは操業不能となったために繭の代金を回収できないところの生産農家に対するところの補償の面等に対しては、十分でない。でありますから、整理に対する整理金の中に、優先的にこの方面を救うという観点に立って、農林省はあくまで生産農家の立場を考慮して十分な指導をなすように、特に留意を求めて、私は賛成の意を表する次第であります。
  127. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、生糸製造設備臨時措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  129. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、蚕糸業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  130. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  なお、両案を可とされた方は順次、御署名を願います。   多数意見者署名     重政 庸徳  佐藤清一郎     秋山俊一郎  仲原 善一     堀本 宜実  北村  暢     小林 孝平  千田  正     北條 雋八  東   隆     島村 軍次  河野 謙三     清澤 俊英  藤野 繁雄     青山 正一  下條 康麿     雨森 常夫  柴田  栄
  132. 堀末治

    委員長堀末治君) これにて、暫時休憩いたします。    午後二時五十七分休憩    —————・—————    午後五時十三分開会
  133. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから委員会を再開いたします。  第千八百六十八号、農業災害補償制度改正に関する請願外二十三件を議題といたします。  速記をとめて審査いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめて。    午後五時十四分速記中止    —————・—————    午後五時四十分速記開始
  135. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  それでは、ただいままで御審議願いました、請願第千八百七十二号外十九件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、報告書については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十一分散会