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1957-05-08 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月八日(水曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員大和与一君辞任につき、その 補欠として小笠原二三男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君    委員            青山 正一君            雨森 常夫君            柴田  栄君            下條 康麿君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            北村  暢君            小林 孝平君            上林 忠次君            島村 軍次君            北條 雋八君   政府委員    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局調査官    立川  基君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○農業災害補償法臨時特例法を廃止す  る法律案内閣送付予備審査) ○農業災害補償法第百七条第四項の共  済掛金標準率の改訂の臨時特例に関  する法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。本日大和与一君が辞任されて、小笠原二三男君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 昨日に引き続いて、農業災害補償制度関係法律案を議題にいたします。  御質疑のある方は順次、御発言を願います。
  4. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 総論的なことは今までいろいろお話があったから、条文の解釈その他過去における実例について、逐条的にお尋ねしたいと思うのであります。  最初は三十二条の二、これによって見まするというと「役員は、法令法令に基いてする行政庁処分定款及び総会の議決を遵守し、農業共済団体のため忠実にその職務を遂行しなければならない。」、二項では「役員がその任務を怠ったときは、その役員は、組合に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。」、三項にも大体同様なことが書いてあるわけでありますが、過去において損害賠償の責に任じた実例があるかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
  5. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 最近起った例では、奈良県の共済組合連合会検査いたしまして、そこに非違がありましたので、現行法の八十条に基きまして——四十ページです。「行政庁は、前条の規定による検査を行った場合において、当該団体の業務又は会計が法令法令に基いてする行政庁処分又は定款に違反すると認めるときは、当該団体に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。」、こういうふうにありまして、その行政庁命令を出しまして、その行政庁命令の中一で、組合に対して与えた損害役員が賠償せい、こういうことを命じたのが最近あります。そのほか町村組合のそういう例は、ただいま手元資料がありませんのでわかりませんが、そう多くないと、こういうふうに思います。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、会計検査院やその他からいろいろ指摘せられたところのものであって、行政庁検査の結果、第三十二条の二の第二項に該当するようなものはなかったと信じて差しつかえないのでありますか。
  7. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいま申し上げましたように、ただいま手元資料がないからわからないのでありますが、この組合の金を目的以外に使ったというような場合は、当然賠償責任が起っていると思います。ただ、手元資料がありませんので、何件ぐらいあったかということが今申し上げられないのであります。しかし、そう多くはない。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第八十四条の第三項「農業共済組合は、任意共済にあっては、第一項第一号に掲げる食糧農作物以外の農作物農産物建物農機具その他命令で定める物について」と、こうありますが、ここに書いてあるものについて、具体的に一つ説明を願いたいと思うのであります。
  9. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) いわゆる任意共済の問題でありますが、任意共済の一番大きいのでは建物共済であります。その次には、数県で菜種共済を行なっておるのであります。昭和二十一年当時におきましては、任意共済の数が相当——菜種建物のほかに、くだものでありますとか、あるいは県によっては、お茶というようなものをやっておった県もありますが、現在では建物菜種、こういうようになっております。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますと、第三項に書いてある「食糧農作物以外の農作物」というものは、現在においては菜種だと、それから「農機具その他命令で定める物」と、こうあるが、農機具その他命令で定める物は現在はやっていないのだ、こう考えてよろしゅうございますか。
  11. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その通りでございます。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますと、菜種であるとか何とかであるとかということを任意共済でやった結果、再保険がないために非常に損害を及ぼした例があるように考えるのでありますが、将来においても、そういうふうなものは任意共済でやられる考えであるか、あるいは再保険がないところのそういうふうなものは、将来においては任意共済ではやられない考えであるか、その点お伺いしたいと思います。
  13. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) いわゆる米麦以外の農作物につきましても、任意共済の、ただいま御指摘の規定がありますので、それをやることが農業災害に対する一つの大きい対策であるということは、各方面からの要望があるのでありますが、昭和二十八年度に大災害がありまして、その際、菜種あるいは建物につきましても、再保険制度がないために、たとえば福岡あるいは和歌山等連合会におきましては、非常に困窮をいたしているのであります。従って、どうしても任意共済をやりましても、再保険制度を受ける制度考えなければ、目的は達せられないということで、現在任意共済をやった場合に再保険を行うとすれば、どういうふうにすればいいかということを検討いたしておりまして、まだ結論に達しておりません。この点は私の方といたしましても早急に解決いたしたい、こういうふうに考えております。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、現在では第三項に掲げているようなものはやっていない。建物はやっているけれども、農作物及び農産物についてはやっておらない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  15. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 菜種以外は、農作物につきましてやっているのは建物だけであります。建物菜種だけをやっていると、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 菜種をやっているということであれば、これは再保険がないのでありますから、またどんな重大問題が起らないとも限らない、非常な災害損害を与えるようなことがないとも限らないのでありますが、そういうふうなことは、大災害があったらば、大損害を与えてでもなお任意共済でやりたいということであればやらせるというようなことは、行政庁としては、ちょっと危険を冒してでもやらせるというようなことであるから、おもしろくないやり方じゃないかと、こう考えられるのでありますが、いかがでありますか。
  17. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お話通り、どうしても再保険と結びつけなければ、現在のように県別連合会最終的責任を負うということはむずかしいと思いますので、私の方でも非常に研究をいたしているのであります。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は八十七条の第二項「前項の規定による賦課金賦課については、命令の定めるところによる。」と、こう書いてあるのでありますが、現在命令でいろいろと規定があることと信ずるのでありますが、今後市町村がこれを経営するというようなことになるといたしますというと、従来の賦課方法をある程度変更しなくちゃできないような、あるいは変更してもいいような点が自然発生するのじゃなかろうかと思うのでありますが、賦課方法は、従来の命令を改めるようなお考えはないかどうか、お伺いしたいのであります。
  19. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御説のように、今度は単位組合賦課金を課す場合も、現在連合会で課す場合に賦課金の額、賦課方法については、農林大臣承認を受けなければならない、これは政令施行令の第二条に規定してあります。それから単位組合につきましても、都道府県知事承認を取けなければならない、こういうふうに規定をいたしてあると考えております。
  20. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、今のところは、現在では、きのうの質問でも賦課金が非常に多くて困っているというようなことであったのでありますが、その賦課金賦課方法をどう改めようというまだ具体的の案はありませんか。
  21. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 賦課金を課す方法といたしましては、昨日御説明いたしましたように、水稲割とか陸稲割とか、結局そういう割付以外にはないと思います。しかし、それの割付方あるいはこの賦課金の額、そういうものについて、やはり組合事業運営とにらみ合せて、無用な費用賦課することがないように、十分都道府県知事の方でよく指導をしていきたい、そのために承認制にいたしたい、こういうのであります。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと今のに関連して。今の点で何か非常に負担金掛金より多いという話があるのでありますが、だから、そういうのを標準にして何かもっとはっきりしたものを書けないですか。
  23. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはきのうお話が出たと思いますが、何というか、組合の規模が小さくて組合員の数が少いか、耕作面積が少いか、そういう場合に組合を作りますと、どうしても役員費用なり職員費用一定限度最低要りますから、そうしますと、その最低限度はどうしても取らなければならない。そうしますと、実際それだけの人がいなくても済むのだけれども、最低限の仕事をするための最低職員なり施設をやるためには、これはしなければならない。それが耕地面積が少いとか農家数が少いということになりますと、掛金に比べて非常に率が高くなる、お話のように掛金より高くなることもあるようであります。そこでその場合には、この事業の執行の人員なり施設をもっと節約しなければならない、そのためには今度市町村事業移譲すれば、市町村施設なり市町村人員との彼此需要ができまして、おのずから経費が節約できる、そういうことになるのでありまして、そのほか、まあ相当何といいますか、経営がルーズであるというようなところもありますが、そういうところは今後指導しなければならない、こういうに考えております。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 結局、現実において掛金より負担金の方が多くなって問題が起きたとすれば、そういうふうに交付金をふやすとか補助金をふやしてやるとかいうことにすればわかるのですが、運営のできるように補助金をふやしてやるとか、もしくは町村移譲の場合の規定を直して、この範囲を、こういうような負担金になる場合には、自動的に町村運営にするような方法に書きかえたらどうなんですか。そういう修正は考えられないのですか。今の局長答弁だというと、実質によって上ることもやむを得ないという御答弁のような状態になっていると思うのです。そうすると、実際因っている問題が解決するところが出てこないと思うのですがね。だれが調べてみても当然かかるものはかかるのだから、認可せざるを得ない、都道府県知事がやってみても、農林大臣がやってみてもかかるものはかかる、その処置が別に講じられない限りにおいては、よけいかかることはこれはどうするわけにもいかないと思うのだが、そこは何とか考えられないのですか。
  25. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは先ほど御説明いたしますように、この組合事業を執行するための必要最小限度施設なり、人員を維持するための経費と、それの経費賦課を受ける農家の数なり、筆数ですね、耕地面積その他の比例で出てくるわけでございます。簡単に申しますと、その農地面積なり、農家戸数が少い所は独立の組合で経営するということに無理がある。それに対して、無理があっても組合を作らなければいけない、こういうのが今までの建前であったのであります。しかし、今まではまだ協同組合と事務所を一緒にするとか、あるいは町村一緒にするとか、こういうことである程度便法を講じておったが、今度は町村合併に伴いまして共済組合は合併するのですけれども、協同組合は合併できないということになると、どうしても新しい事務所なり、職員を独立しなければならない、そうしますと、組合負担が、組合員に対する割付額が多くなります。そういう場合には、今度は市町村移譲になりまして市町村施設の、市町村人員彼此需要によって、組合員に対する割付の額の軽減をはかっていきたい、こういうように考える。それで問題が解決するのであります。お話のように、そういう組合には補助金を増したらいいじゃないかという、それも一つの案でありますけれども、そういうことよりは、今のように市町村移譲した方がいいじゃないか、こういうふうに考えます。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると負担が、今の認可の申請があった場合に、移譲していかなければ移譲していけという勧告をするわけになるのですか。認可のあった場合には、それは過重な負担になるのでこういう方法でいったらよかろうと、こういう勧告をするわけですか。勧告によって町村移譲になる、こういうことですか。
  27. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 勧告をするまでもなく、こういう方法を開きますれば、当然そういう議論組合の中から出てくるのではないか、現に出てきておるので、今度の改正案市町村移譲の、農林大臣が定める基準以下の組合その他政令で定める場合に、組合から市町村に相談を持ちかけられる、こういうふうになっておりますので、そういう実態をもとにして改正案を立てておるのであります。勧告を待つまでもなく、そういうことは行われておると思いますが、しかし、実際問題としてはある程度指導が行われることになると思います。
  28. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は九十二条、これはこの規定によって、共済掛金をやっておるのは一定の算出したところの共済金をもらうと、こういうふうな約束のもとに成立するのであります。しかるに、共済金支払いが不足したために、命令の定めるところによって、初めから定まっているところの金額を削減するということは、ちょっとおもしろくないような結果を生ずるのでありますが、いかなる場合に共済金額の削減をやられるのであるか、それをお伺いしたいと思うのであります。
  29. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、この制度建前が、共済掛金の一割を組合に残しまして、九割は保険料として連合会にあげる、そういうふうな建前になっております。ですから、一割分だけが組合準備金として積まれているわけであります。そこで、災害が起った場合には、その計算によって払うことになるのでありますが、保険金のものは計算通り来ます。準備金の額が足りない場合には、その手持ち準備金限度まで払えばよろしい、こういう規定でありまして、これは施行規則の十九条にその点を規定いたしておるのであります。つまり、手持ち保留共済金の額が、共済掛金準備金、積み立てている額が共済金支払いに足りないと、こういう場合だけであります。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そこはとにかく、共済のこの組合というものはただ時限組合ではない。そうするというと、現在においては足らなくても次の年には余ってくるかもわからない。またそういうふうなことによって初めて共済保険も再保険目的を達成する。であるから、そのときに足らないからといって打ち切るということは共済組合の本旨にもとるのじゃないかと、こういうふうに想像されるのでありますが、現在金が足らないから、足らないものは渡されないということで打ち切るということはおかしいじゃないか、そういうふうな場合こそ、ある一定金額借入金でやってでも、あとでその借入金は次の掛金の積み立てた方の金で払うというようなことで、約束金額は支払うべきじゃないかと、こういうふうに考えるのでありますが、いかがですか。
  31. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 少し私の説明が足りなかったのでありまして、その通りであります。原則は、足りなくてもどこかから借り入れて払うのが建前なんであります。そこで、それをあとで埋める、しかし、まあ何らかの関係でどうしてもそういうことができない場合には、準備金、この規則の十九条にありますが、準備金で足らない場合には払わなくてもよろしい、そういう能力を与えているだけでありまして、払っちゃいかぬ、こういう建前じゃないのであります。これはおそらく非常に、何といいますか、災害が非常に多くて、借入金の額などが多額になって困難な場合でなければ予想できないのじゃないかと思います。普通はそういうことは起らないのじゃないかと思います。少々の金ならば、簡単に村でやっているごとでありますから、協同組合なら協同組合で借りて処置できるわけであります。その限度をこえるような場合に、この規定の何といいますか、発動ができる、こういうふうに考えます。
  32. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしたならば、過去においてそういうふうな組合がどのくらいあるか、その実績を一つ承わりたいと思います。
  33. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 組合の数等は正確に調査しておりませんが、いろんな資料から推定いたしますと、二、三%程度が総支払い共済金のそういうものに該当するのがあるのじゃないかと、そういうふうな推定を下しております。
  34. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 九十六条、これでは「損害防止のため必要な施設」ということでありますが、どんな施設を現在やっているか、実例について承わりたいと思うのであります。
  35. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは主として病虫害防除施設でありまして、動力噴霧器を備えつけるとか、そういうことがおもな仕事になっておると思います。県によりましては、県負担相当こういう事業に補助いたす、あるいは町村共済組合——これは埼玉県の例で現実に見たのでありますが、相当村から補助金を出してそういう施設をやらせる、こういう例が相当あります。
  36. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、損害防止のための必要な施設というのは、病虫害の駆除の施設のみでありますか、あるいはそのほかに何か施設がありますか。
  37. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはもちろん家畜共済等についてもあります。その地方々々の実情に応じて、それからまた損害防止に対する県の指導程度によって、いろいろな態様がありますが、病虫害防除だけではございませんです。
  38. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 病虫害以外の施設があったらば、一つどういうようなものか、具体的にわかっておったらば承わりたいと思います。
  39. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは家畜診療所に併置してブタの消毒施設、そういうものがある例を知っております。なお、詳細は、要すれば調べまして御報告したいと思います。
  40. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は九十九条、九十九条では「左の場合には、農業共済組合は、共済金の全部又は一部につき、支払の責を免かれることができる。」ということで一から六まで例が載っている。そのうちのたとえば一つをとってみまするというと、組合員払い込みを怠ったというような場合でも、共済金は全部または一部を支払わなくてもいいというようなことになると考えられるのであります。しかるに、現在の共済組合の実際の状況から考えてみまするというと、定款で定めた期日にほとんど払っていないのが多いんじゃなかろうかと思うのです。そうするというと、九十九条の規定によって、支払いの責めを免かれることができるのでありますが、実際はどういうふうなことであるか、その実情を承わりたいと思うのであります。
  41. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 具体的に今の掛金払い込み共済金支払い免責との関係でありますが、結論的に申し上げますと、掛金がおくれているから払わないという例はほとんどありません。しかし、そこが一つのこの制度運用の何といいますか、不当経理会計検査院あるいは行政管理庁で指摘されている点になっているのでありまして、今度の改正案を作る場合にも非常な問題になりまして、もっとこの規定を厳重にして「免かれることができる」じゃなしに「支払ってはならない」というふうな規定に直せというような意見が相当関係方面から出てきておったくらいであります。実際この点は免責を受けている例はほとんどないと思いますが、今後の運用については、当然組合員の果すべき義務は果していただくように指導いたしたいと、こういうふうに考えます。
  42. 島村軍次

    島村軍次君 昨日来御質問がありました点はですね、要するに、今の共済制度については百姓は掛金をかけたくない、かけても出し切りだと、こういう考え方が非常に強い。そのことは局長もよく御存じだと思うのです。そこで、実際を見ますると、要するに災害のあったときに国庫の保険金、あるいは県の保険金の来た分を差し引くと、こういうことが問題の中心だと思うのですが、そこで、ちょっと今度の改正ではどうもそういう点についてですね、これは運用の問題だといえばそれだけのことですが、何か考えることができたのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですかね。
  43. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ちょっとその前に、先ほどの藤野先生の御質問に関連するところから入っていきたいと思います。それで島村先生共済金掛金と相殺するのじゃないかと、こういうのですが、そうでないのです。これは大体何といいますか、二割くらいは今までの報告によります相殺しているのじゃないか、ここで今調べましたところで、約七九%は年内に掛金を納めておるわけであります。十二月末だと、もう損害評価なんか済んでからの分が相当ありますから、相殺に近いのじゃないかという議論も出てくるかと思いますが、何といいますか、そう喧伝されるほど掛金が悪いというわけではないのです。そこで、その点はしかし実際の運用といたしましては、あまりおもしろくないわけでありますから、この法律建前は、何条ですか、百五条で共済細目書を出したときに払い込まなければならないということになっておるわけでありますから、百五条でですね、当然そのときに払うべきである、しかし、それは多少無理がありますから、先ほど御説明申し上げましたように、一定命令の定めるところにより、定款で特別の定めをした場合、これは大体二カ月くらいの猶予を法律できめている、払い込み期日よりも二カ月くらいの余裕を置こう、そうすることによって掛金払い込みの適正を期していきたいと、こういうふうに考えております。そのほかの点では、制度全体についての、これは制度全体というのは、掛金を払ってもらう共済金との相関関係でありますから、早く期待しているものが早くということさえできれば掛金が出てくるわけでありますから、一筆石建そのほか今度の改正案はそういう点を全体的に直していこう、こういう考えであります。なお、こまかい点でいきますならば、運用方針といたしましては、米の概算金の中から、予約契約をする場合、概算金をもらいますから、その中から掛金を払ってもらう、こういうようなことも運用方針としてやってみたい、食糧庁とも打ち合せをいたしまして、そういう方針をとりたいと、こう考えております。
  44. 島村軍次

    島村軍次君 局長もだいぶ実地をごらんになって裏も表も御存じだろうと思うのですけれども、実際はこの掛金を集めるのに実はきゅうきゅうとしている。たとえばある県のごときは、つまり期間を指定して、そうして期日から一カ月以内に納める者には、割増金というか、奨励金のような形のものを出している。あるいは二カ月おくれたらそれを何ぼ出す、それでやっとお話のような七九%、こういうことになっている、少くとも最近の実例がね。最近改まったのかもしれないけれども、そういうことが実際問題だと私は思うのです。そこで、せっかく法律改正されるならば、そういう点を、今の概算払い、米の予約金の問題というようなことでやるというよりほかに、何か方法をお考えになったかどうかですね、御承知の通りに公営論というものがあって、どうも掛金に困るから公営にしてもらって、という意見も相当末端には強い、こういう問題が一つ、それからもう一つは、昨日承わった表によってみましても、今掛金の総額が農家負担になっておるのは、事務費関係三十八億ですか、これは最初の表の五十四億というのとどうなりますかね。そこで、こういうことをあわせてお聞きしたいのですが、国庫で今補助費をお出しになっておりますね、人件費について二人ですか、一人半でしたか、そこで、農家掛金相当する額ですね、その経費は今ではほとんど事務費ととんとんだと思う。つまり掛金でとったやつは事務費と同じだ、それに対して国庫が補助を出している。だから、むしろ保険そのものは国が再保険をしていくならば、それに相当する額はどうせお出しになるのだから、むしろその事務費に相当する額を、賦課金をやめてしまって、これは保険の精神に反するかもしれないが、計算上からいうと、保険賦課金相当するだけの金はとることをやめて、そうして事務費の国庫の補助でやる、あるいは町村負担か何かでやらせる、こういうような計算が立たないものか、こういう説があるのですがね、そういうことは御計算になったことがあるか、またそれに対する御意見はいかがですかね。
  45. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ちょっと御説明申し上げますが、きのう説明いたしましたように、三十六ページの一番上の欄を見ていただきますと、農業共済団体事務費の農家負担額があり、三十年度で三十八億になっておるわけであります。それから、それに見合う事務費等の国庫負担ですね、それが三十二ページの二十四億九千万であります。この中に、一部は本省の経費等もありますから、あるいは府県の経費等もありますから、全部がこの組合関係ということではありません、大体二十億余りになっておると思いますが。それで三十八億と、事務費国庫負担の二十億余りとで、町村共済組合及び府県の連合会運営をいたしておるわけであります。  それから三十五ページを見ていただきますと、共済掛金の国庫あるいは農家負担の額の実績が出ております。三十年度を見ていただきますと、総額では百六十四億の共済掛金になっておるわけであります。そのうち、農作物が百三十億、蚕繭が十億、家畜二十三億、その中で七十五億が農家負担になっておる。約四割内外になっておると思いますが、そういうふうになっておるわけであります。従いまして、今度は農家負担の割合を少し減しますから、通常部門を二分の一に変えますから、もう少し農家負担の部分は減ると思いますが、掛金の分はそういうふうになりまして、事務費の分は先ほど申し上げる通りであります。この農家負担の分をですね、どこか、農家でなしに、ほかの方で負担さしたらどうか、こういうお話かと思いますが、三十八億でありますから、これを府県あるいは市町村に分担さすとすれば、これは相当な問題になるわけであります。結局、交付税交付金で見るか、あるいは特別な、国がこれだけの分をプラスして補助金を出す、こういうことにならざるを得ぬと思うのであります。そうすることは、今の組合制度及び連合会制度による現在の法律建前をもとから変えるところまで議論が発展して、この共済制度の公営というところまで議論が発展していくのではないか。そういう議論は中では相当活発にやっておりますけれども、現在のところではまだ案になっておりません。そういう次第であります。
  46. 島村軍次

    島村軍次君 藤野さん、ちょっともう少し……。
  47. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ええ、どうぞ。
  48. 島村軍次

    島村軍次君 結局、きのう河野委員お話になったようにですね、農家が喜ぶ共済制度——喜ぶという問題になれば、いろいろ論点もあろうと思うのです。問題は、その公営を末端では望んでおる。これは御承知の通りです。そこで、全体を通じて、この共済制度というものを全体を通じて考えて、しかも、現在国庫補助を出して、相当の額を出しておる。この場合におきましては、今町村へ配属しておる人の問題ですね、この問題を解決すれば、案外楽に共済制度も、いわゆる公営制度と同時に、まあ国がこれで百何十億を出しておるという点からいけば、それに相当する額を、予算技術の関係なり、あるいは農林政策全体を通じて考えれば、それで、その方で吸収する。それからまあ統計調査部長もお見えになっているようですが、統計調査を一部分は拡充して、損害評価というものはもう国へ大体まかせるということであれば、今の職員を統計調査部に吸収すれば、ある一部分を……。それからある一部分は、かねて農林省で御計画になっておった改良普及員の一部分に吸収する。そして今では専門技術員が主体ですから、町村へ駐在する制度をもう少し拡充してやるということになれば、人件費に相当する額は吸収できるのじゃないか、まあこういう議論はお聞きになったこともあろうし、また御研究になっていると思うのですがね。それをなし得ないという問題については、まあ経過的にはあなたの説明は、御苦心の点はわかると思うのですけれども、率直に一つ研究をされました経過を一つお話を願いたい。
  49. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 端的に申しますと、これは大蔵省等の一部にも、会計検査院等によって、共済組合運営の不当、あるいは不正の指摘が非常に多い。それならばいっそのこと公営、あるいは国営ですね——によってやってしまった方がいいじゃないか、こういう議論がある一部で相当強くあります。大蔵省のみならず、ほかの方でもそういう議論相当あるわけであります。大蔵省の方の中で議論をする場合には、それならば結局、先ほど申し上げました三十八億の負担をどうするかという問題で、すぐそこで議論がとまってしまうわけです。この分を、先ほど申し上げましたように公営にすれば、国が直接補助金市町村に持たすか、あるいは平衡交付金の中に——あの地方交付税交付金の中にそれだけ見込んでいくか、どっちかしなきゃいかぬわけです。そこで、今までの議論は立ち消えになっておるわけであります。  それからもう一つ、この共済当事者の中におきましても、掛金の問題とか、あるいは制度運営の問題等から、市町村営にした方がいいじゃないかという議論相当強くあるのであります。しかし、その問題は、とにもかくにも昭和二十二年から組合制度でこの制度運営されてきておるわけでありまして、組合の全部が悪いと、こういうわけでもない。それから全県が悪いというわけでもない。非常にうまくいっている県も数県あるわけでありますからして、今一挙にこの公営制度に移っていくことは反対である、こういう意見が片一方に相当強くあるわけであります。そこで、この問題は、むしろ経過的に申し上げますと、農林省としましては、組合営と、市町村営とを並立してやっていったら一番いいのじゃないかという案を出したのであります。しかし、それも無条件には認めるわけにはいかない。従って、もう一ぺん農家の自主的な組織という面を強調して、組合運営がうまくいくか、いかぬか、反省した上で、いかぬ分を市町村営に移す、そういう仕組みにしたらいいのじゃないかというので、現在の案になっておるのであります。これはまあ考え方といたしまして、従来のいきさつがなければ、公営制度というものも一挙にいけるかもしれないと思うのであります。しかし、実際は十年間の経験を経て、公営という議論が出るので、その経験がなければ、すぐ公営というところにあるいは出ないかもしれぬのであります。まあそういう歴史的、あるいは経過的な問題を経て、ただいま御提案いたしておりますような案になったわけであります。
  50. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、人の吸収の問題についての御研究はどうですか。
  51. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 人の吸収の問題は、私の方では、これはむしろ職員の方の関係といたしましては、最近のように貨幣価値が下落いたしまして、小さい地方では昇給がほかの団体あるいは市町村に比べて非常におくれておるわけです。ですから、もっと大きいふところでかかえてもらいたい、こういう議論相当強いわけであります。それからまたこの制度をやるといたしましても、たとえば公営になりましても、必要最低限は職員が要るわけであります。そうしてこの十年間に職員といたしましても相当訓練を経てきておるわけでありますから、職員の措置につきましては、そう大きい問題はないのじゃないか、どっちにころびましても。そういうふうに私どもは見ております。
  52. 島村軍次

    島村軍次君 さらに進んで端的にお聞きするようですがね、統計事務所の制度相当拡充されてきた、そこで、損害評価という問題が一番問題でしょう。それが評価委員を置かれることは理論的には成り立っても事実はなかなか困難でしょう。そこで、だれか公平な見方をする人がいなければいかぬというので、それはむしろ現在の職員は、今申し上げましたように、一部分はその統計事務所の拡充に充て、そうして損害はこれは公営か国営の観念も入るわけですがね、そこで、拡充すればこれはもう公平なものであって、しかも、確実な基礎を持った上に立って損害の支出ができる、村では非常な事務に追われておるということから、それへ吸収する。それから同時に、一部はこの改良普及員の末端機関に、あるいは農業協同組合等へ駐在せしめて、そうして自動的な予防措置も、共済の予防措置もあわせて技術的な見地からやるなり、技術員の今の共済職員には、技術出身といってはおかしいが、技術関係の下に人が相当おるわけでありますから、そういう方へ吸収したらいいじゃないか。だからして農林省全体として、振興計画の上に立って、全体としてそういう問題を考えれば、人の問題は、現在出しておる国庫補助の人件費に関する金額は、そういう方面に吸収したら、むしろかえって、この運営も非常にスムーズにいくのじゃないかということは御研究になったことはありませんか。
  53. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そういう点については研究いたしております。しかし、いずれにしましても、ともかく農家負担で事務費を三十八億三十年度に持っているわけでありますから、これの措置というものが簡単にやれませんから、今の人の配置の問題は、これはいずれにしても、との制度を継続するとすれば大きい問題にならないと思うのです。費用負担をどこで負担するかという問題で、今までの研究されている議論は行き詰まってしまっているわけです。それともう一つ、今までの経過で団体というものが十何年おるわけです。これを一挙に変えるということに対しては、相当の問題である、こういうことであります。
  54. 島村軍次

    島村軍次君 まだほかにありますけれども、今、重政さんの質問があるので、この辺でお譲りをいたします。
  55. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 低災害地域については、局長の案として、任意加入という案があったように私は承知いたしておるのですが、今の御答弁で、任意加入にすれば、共済組合が成り立たぬというような御答弁であった。それはさておいて、あるいはこの資料にあるかもわかりませんけれども、例を一つとると、低災害地において二布を対象にして、その三割の掛金をかける、こう仮定した場合に、旧法と新法で掛金にどのくらいな差ができてくるのですか、数字的に。何ぼ安くなるかという説明一つお願いしておきます。今の二布の三割を一つ例で説明して下さい。
  56. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 資料の十六ページに出ております。総括でない方です。これは現行の案と、それから今度の新しい案が出ているわけですが、そうして現行の案では、町村ごとに一筆で二石以上の町村、一石から一石五斗の町村、一石以下の町村、こういうふうに仕分けてしまう、そうしますと、一石以上の平均収量がある町村組合は……
  57. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 二石の場合を一つ
  58. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 二石の場合に関連するわけなんです。そうしますと、その所では二石とれようが、四石とれようが、一石とれようが、一律にこれではかっておるわけです。そうしますと反当共済金を個々に組合で一万円を選ぶか、六千円を選ぶか、組合できめてしまう、どれか選ぶわけです。何か……
  59. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 三割、今の例は……。僕の質問したのは……。
  60. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 三割減収……。
  61. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 三割減収じゃない。三割の掛金の対象とする金額です、七、五、三にやるのでしょう。
  62. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それは今度新しい制度ですか。
  63. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 ええ、それをとった場合に……。
  64. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 三千円の場合……。
  65. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 もとは三割の中から……。
  66. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) わかりました。今度左の方を見ていただきますと、三石、二石、こういう欄が出てきます。これは一筆五斗の反収です。一石とれる所であれば、その七掛を保険にかける。そうすると一石四斗……
  67. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 七掛じゃない。三割の……。
  68. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それでその三割というのは、石当り共済金額をきめる場合に、七掛、五掛、三掛、二掛とあります。それは一万円の場合であれば、七掛だから七千円、三掛というのは、一万円であれば三千円、それからその上の欄で七、五、三と出ています。それから一石とれる田で三千円かけているならば、二石とれる田はその石数に応じて七割をかけるわけですから一石四斗かける、そうするとその共済金額は一石四斗に三千円をかけて四千二百円になる。カッコの中に入っております。そうしますとその掛金は九十五円になります。こういうことになります。
  69. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それは現行法
  70. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) いや、今度改正になったものです。それに対応しまして、今の二石とれる田であっても、現行法のABCとあります、二石以上、二百未満、かりにその人が二石以上とれた田であるとすれば、これはそのときの共済金額最高一万円の二百四十三円払わなければならない。六千四百円とっている組合員であっても百五十六円を払わなければならない、こういうふうになるわけであります。ですから、かえって低災害地で石当り共済掛金の安いのを選べば、掛金はうんと減ってきます。そのかわりもらう金額は今のように四千二百円になりますから、三千円選ぶとすれば……
  71. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それはわかるんだ。そうすると現行法では今言うた二石を——一筆二石の所ですね、そうして九十五円——三千円をとれば九十五円掛金をすればいいと、これからの改正では。現行では百五十六円ということになる、四千二百円とって。
  72. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) いや、四千二百円というのはないわけですから、逆に——委員長から御注意がありましたが、その上の二石二斗の欄を見ていただきます。そうしますと、それの五千円のところ、二石二斗で五千円の石当金額を払うといたしますれば百七十五円を払うことになりますね、そうするとその手取りが七千七百円になる。そうしますと現行法では七千二百円を選んでいるところで百七十五円をかけると、こういうことになるわけです。掛金の方だけから対照しますとそういうことになるわけです。少し有利になっているわけです。
  73. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは有利でもないね。
  74. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それじゃあ引き続いて、掛金を期限内に払わせるために、政府は期限を経過したならば、経過したものについては利息をとっていけと、こういうふうな指示をやられたかと考えております。そういうふうなことで通牒を出されたが、果して金利をとっておるところの組合がどのくらいあるか。
  75. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは模範定款例の十六条の三で、一カ月を経過した日から納入の日までの日数によって、納入金額百円につき一日三銭の割合をもって計算した延滞金を徴収するものとする、と模範定款例できめております。しかし、実際の例はそういうものはほとんどないと承知しております。
  76. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 模範定款例ではそうなっておって、つまり、それを励行するように、という通牒を出されたんじゃないですか。それが各地方にだいぶん悪影響を及ぼして、金利までとられるのであったらば、いっそ払い込まないということで納入割合が悪くなったというようなことも聞いているが、そういうようなことはありませんか。
  77. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ここ一、二年前から掛金完納運動というのをやっておりますから、そういう通牒——今ちょっと手元にありませんからはっきりいたしませんが、出ておると思います。これはあらゆる面からですね、あらゆる手段を講じて掛金完納をやれと、こういうことを強くやっておりますから、それがある地区でそういうふうな無用の反響を呼んでいるという場合もないではないと、こういうふうに考えます。
  78. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それについては、罰則の関係もありますが、それはあと回しにして、次は百二条、百二条によってみるというと、かけたところの掛金が、災害がなかったために共済金をもらえないというときには、共済金の一部に相当する金額を払い戻すことができるということになっているのでありますが、こういうふうなことを実際にやっているところの例があるか。やっていないということであったらば、将来においてそういうふうなことをやらせる方針であるかどうか、承わりたいと思うのであります。
  79. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは施行規則の二十四条に「農業共済組合組合員が、引き続き三年以上自己の責に帰すべき事由がなくて、共済金の支払を受けず、又は支払を受けた金額定款で定める金額に満たない場合には、当該農業共済組合は、定款の定めるところにより、その組合員が同期間中に払い込んだ共済掛金の一割に相当する金額限度として前条第一項の準備金の範囲内において、法第百二条の規定による払戻をすることができる。」、こういうふうになっておるのであります。すなわち、一つは、準備金があるということ、それから払い込んだ共済掛金の一割に相当する金額、こういう限定になっておるのであります。現在までのところは、この規定を適用しておる組合はほとんどない、こういう状況であります。すなわち、準備金がないということであります。しかし、この点は今度の改正案におきまして、せっかくこの規定があるのだから、この規定運用できるようにやったらいいじゃないか、そういう観点から無事戻しのための特別醵出金というものを積んで、そうしてこのファンドにしたらいいじゃないか、こういう議論がずいぶん議論されたのでありますが、しかし、それにいたしましても、また新たな点で負担金が多くなるから、かなりに私の方で最初考えた案は、二分の一国庫補助でやろうというふうな考えを出したのでありますが、それでも負担が増すということになるから、今度は見送ろうということで各方面の意見がまとまったのであります。この点は少し将来に向って考えていかなければならないのじゃないかと思うております。
  80. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これはこの法律を審議するときに、いろいろ無事戻しの問題は検討されたのでありますから、今後この百一条に該当するようなことがあって払い戻す場合においては、ある一定金額は条件を緩和してでも払い戻すことがあるように運営をしていかなくては、かえって共済組合の発展を阻止するというようなことになりはせないかと思うのでありますから、十分に今局長の話のように、検討をされて善処をお願いしたいと思うのであります。  次は百二十条の二、これは任意共済共済金額の最高限度でありますが、現在の最高限度は幾らであって、将来幾らに増額されようと思うのであるか、増額の考えはないのであるかどうか、衆議院を上った中小企業団体法の中にも、今度は火災共済というようなものがあって、その中には、いろいろと最高限度のことも規定せられておるようなことであるのでありますが、それとこれとは直接関係はないにしても、現在最高限度を定めておられるのは、いろいろの条件の違ったことによって、ある程度増加しなくちゃできないのじゃないかと、こういうふうに考えられるのでありますが、その貫通しをお願いしたいと思うのであります。
  81. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 現在は、建物につきましては五十万円を最高限度にいたしております。これは、お話のように、物価の趨勢値等を考えまして、改めた方がいいと、こういうので研究いたしております。現在、農業共済組合連合会の方の関係のやつは、一応案がまとまっておりますので、それに準じて適用いたしたいと、こういうふうに考えております。
  82. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は百二十三条、これは保険金額でありますが、第一項では、一号、二号、三号と、こういう区別があります。第一項の第一号は「百分の九十」、第三号も「百分の九十」、第二号は「共済金額相当する金額」と、こういうふうに、一号、二号、三号で差があるのでありますが、どういうふうな理由で、一号と三号とは百分の九十、二号は全額と、こういうふうなことに決定されたのであるか、その経緯を伺いたいと思うのであります。
  83. 立川基

    説明員(立川基君) 私から御説明いたしますが、百二十三条の第一号は、農作物と蚕繭共済でございます。第二号の方は家畜共済でございまするが、家畜共済の方の関係は、御存じと思いますが、一定数、五百頭なりそれ以上のある程度まとまりました頭数で初めて危険分散が可能になるということに一応なっておるわけであります。そういう関係上から、ある程度の、一割もあるいは二割でも、市町村段階の組合段階で危険負担させることは、必ずしも適当じゃなかろう。従いまして、原則としまして、連合会家畜関係は危険負担をするという建前にしております。しかしながら、特別に事情があります場合には、第二項によりまして、例外規定を設けることができることになっております。従いまして、北海道あたりのように、村の単位がある程度大きいような所では、一部、この第二項の適用によりまして、組合段階でこの負担をしておるような実情でございます。
  84. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第百二十九条も連合会の問題でありますが、組合員が正当の理由がないのに保険金払い込みを遅延したために保険金支払いの責めを免れた例があるかどうか、御説明をお願いしたいと思うのであります。
  85. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これも、組合の場合と同じように、そういう例はありませんです。
  86. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 百四十条、これも同じですね。ありませんね。
  87. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) はあ。
  88. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 百四十二条の三、これは行政庁の毎年一回の常例検査でありますが、組合または農業共済連合会は自治的に間違いがないようにせなくちゃできないのでありますけれども、往々にして事務に不なれのために間違いがないとも限らないのであります。そういうふうなためには、どうしたって行政庁の監督が必要であるのであります。それであるから、法律の百四十二条の三では毎年一回常例として検査せなくちゃできないと、こういうふうになっているのでありますが、毎年一回常例として検査するだけの人員が整うておるか、それに伴うところの予算の計上ができているかどうか、これをお伺いしたいと思うのであります。また過去においてはそういうふうなことを、これは旧法にもありますが、やったことがあるのかないのか。
  89. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この点は、非常に残念なのでありますが、連合会検査は農林省でやり、組合検査は都道府県でやると、こういうふうになっておりますが、実際の検査の成績は、二十八年度十二件、二十九年度十八件、三十年度十六件、三十一年度十二件、こういうふうになっております。それから都道府県の検査は、三十一年度で五千七百五十四と、こういうふうになっております。そうして現在の職員といたしましては、予算上認められている人員は、本省で八人でありまして、この程度では全連合会毎年一回やるということにはとても間に合わないのであります。協同組合の場合でありますと、もう少し件数が多くできますけれども、共済組合の場合は、ただいま申し上げた程度でありまして、毎年この検査の充実について大蔵省とかけ合っておりますが、現在までのところは、以上申し述べたような状態なのであります。
  90. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今の説明のようだったらば、百四十二条の三は結局空文に属する。法律をこう書いておいたならば、検査せないということだったらば、行政庁の責任になる。万一不正事件が起ったらば、行政庁は自分方の監督不行届の結果だという責任をとられますか。そういうふうなことは問題になるから、法律をこういうふうに書く以上は、できるだけ人員を整備し予算を伴わせて、初めてこの法律が生きることになると思うのでありますが、その点ももう一度お尋ねしたいと思うのであります。  それから百四十二条の四には、今度は総組合員の十分の一以上の同意を得て行政庁検査の要求をしたときには検査しなくちゃならない、こういうふうなことを書いてある。そうするというと、これは予定の検査じゃない。であるから、これは臨時の検査である。臨時の検査であるということであれば、予定の予算以外にこれだけの金が要るということなんです。要るということであれば、それは現在の予算のほかに予備費から流用してやるというのが、百四十二条の四の規定をこの法律に入れられた理由であるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  91. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 前段の場合は、これは私の方で大蔵省とかけ合う場合には、お説のように、予算をつけなければとにかく勤まらない、法律をそのままに解釈すれば勤まらないということになるのだから、金をつけろ、こういうようにかけ合っておるのでありますが、またそれに対する解釈論といたしましては、予算がつかなければ、ここの法律検査の義務違反を問われることはないのだという反対解釈が出てくるんだと、こういう解釈をすると、議論が果てしないわけでありまして、従いまして、私の方の見解と大蔵省の法文の解釈が違っておるわけなのであります。その点は、何といいますか、私の方でももう少し努力をして、大蔵省とかけ合わなければならない、こういうように考えております。  第百四十二条の四の方は、もし金が足りなければ当然予備費から取ってやるべきである、こういうように考えます。
  92. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 人員及び旅費が現在においては足らないから、徹底的に検査すべきものであるのを、便法な方法検査をして、そうして検査を済ましたのだということで報告が来ているのが多いのではなかろうかと想像しているのです。たとえてみれば、一定の場所に集めて、そうして持ってきたところの書類だけで検査をする、弥縫策の検査をしているから、一方の方においては会計検査院その他から指摘をされるというような結果になってくるのです。問題は、最近においては農業共済事業は徹底的に検査をして育成していかなければならないということであるのでありますから、そういうような弥縫の検査方法でなくて、実際にやってみたところの結果はこれだけだ、これだけの旅費が足りないのだ、これだけの人員が足りないのだというようなことをさらに一層強調せられて、第百四十二条の三の目的を達成されるように、希望をして、この点はおきます。  それから次は百四十二条の七、これはこういうようなことが書いてあります。「行政庁は、組合員が総組合員の十分の一の同意を得て、総会若しくは総代会の招集手続若しくは議決の方法又は役員若しくは総代の選挙が法令法令に基いてする行政庁処分又は定款に違反することを理由として、その議決又は選挙若しくは当選の決定の日から一箇月以内に当該決議又は選挙若しくは当選の取消を請求した場合において、その違反の事実があると認めるときは、当該決議又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。」、こう書いてある。こういうふうなことをやられた実例がありますか。
  93. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 数は、ただいま手元資料を持っておりませんが、例はないことはありません。
  94. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、ここに問題は、理事、監事の選任登記が出てくるのであります。理事、監事が選任せられたなら二週間以内に登記せなくちゃならない——あるいは三週間になっているかわからぬが、普通の場合には二週間以内に登記せなければならない。一カ月以上経過したならば、もう登記が結了している。結了しているというと、登記によって第三者に対抗することができる。それを取り消したならば、理事、監事もおらない。理事も監事もおらなかったならば、今度はその後の仕事をだれがするか。取り消したならば、解任の登記をせなくちゃならない。解任の登記は職権登記でもいいでしょうが、総会の招集もせなくちゃできない。一体その後はどうするのであるか。まず私が尋ねたいのは、そういうふうな場合に、登記済みであうたらば、解任の登記はだれがするのであるか。官庁がやるのであるかどうか、こういうふうなことなんです。  また取り消したのであるから、理事も監事もおらないが、そのときにはだれが組合の責任者あるいは監査であるか、それは前任者であるか、だれか、こういうふうなことなんです。問題は二つです。
  95. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ちょっと調べまして、あとで御返事します。
  96. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから補則、補則は第百四十三条の第二項「損害評価会は、定款等の定めるところにより、共済事故に係る損害の防止及び認定に関する重要事項について調査審議する。と、こう書いてある。損害防止についてはどういうふうなことを調査審議されるのであるか。
  97. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、たとえば病虫害の防除等でありますれば、農林省で示しております病虫害の防除要綱がありますから、それの運用について、本年の水稲についてはいつからいつまでにどういうふうなことをやる、そのためには関係団体あるいは市町村とどういう連絡をやるか、そういうふうなことを具体的に協議することになります。あるいはこの組合病虫害防除の機具をどう設置するか、防除一班の配置をどうするか、そういうふうなことを調査審議することになるというふうに考えております。
  98. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第三項の、学識経験を有する者のうちから選任すると、こう書いてあるが、一体どういうふうなものを損害評価会の委員に選任せられる予定であるか、その予定を承わりたいと思うのであります。
  99. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは少し「学識経験」の「学識」の方を軽く読んでいただきたいのであります。まあ法律用語でありますから、こういう字句になりましたのでありますが、結局損害評価について、今まで損害評価委員とあります、あるいはそういうふうな非常に勘の鋭い人、そういう人とか、あるいは農学校の先生でありますとか、あるいは町村の団体の中でそういう面に明るい、こういう者をぜひ……
  100. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただ問題は、連合会であったらばいろいろとあるだろうと思うのでありますが、組合の場合には一体、具体的にどういうふうな者を選任されようと思っておるのであるか。その郡内、付近の者であったらば、今お話しの通り方面の広範な方面から委員を選任せられる予定であるか、村内あるいは市町村内の者をこれにされようとするのであるか、その点なんです。
  101. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは原則として、町村組合でありますれば町村の中で、そういう経験なり、あるいは能力のある人を選びたい、こういう建前にしてございます。  先ほどの百四十二条の七でありますが、これは法律の四十二条によりまして、民法の条文が準用されておりまして、民法の第五十六条の準用になっております。「理事ノ欠ケタル場合二於テ遅滞ノ為メ損害ヲ生スル虞アルトキハ裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求二因リ仮理事ヲ選任ス」、この条項の適用によって処置しなければならない、こういうふうになるだろうと思います。
  102. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は罰則、百四十六条です。これはもとの法律によれば「千円以下の罰金に処する。」、こうなっておる。しかるに、今度はそれを「三万円以下の罰金に処する。」、こうなっておるのであります。しかるに、百四十七条を見てみるというと、旧法も「一万円以下」、新法も「一万円以下」。それから百四十八条を見てみまするというと、旧法も「千円以下」、新法も「千円以下」、こういうふうなことで、一つ法律の中に比較検討がおかしい。また付則の五十三条を見てみても、「連合会役員を三万円」が「三万円」、これも一つも変っていない。こういうふうに同じ法律の中に四カ所、罰金あるいは過料というようなものが出ておるが、三カ所は動かさずして、一カ所だけ動かしたという理由がどこにあるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  103. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは百四十六条の場合におきましては、監督規定相当強化しておるわけであります。従いまして、その強化に応じて、他の法令との関連をにらみまして、三万円というところに上げたのであります。そのほかの百四十七条、百四十八条、これは過料でありますので、その点は従来通り法令を踏襲しておるのであります。
  104. 上林忠次

    ○上林忠次君 きのうもお話がありましたけれども、今の共済規定では、どうもみなが喜んでこれに加入しないのであります。しかしながら、主食作物については、これは強制加入になっておる、そこに無理があるんじゃないか。おそらく、これを手放しで自由に入りたい者だけが入れるというなら、二割あるいは二割以下になるのじゃないか。加入者がふえるくらいになるのじゃないか。どこに無理があるかというと、先ほども一万円のときの計算例が出ましたけれども、数字をずっと見てみますと、余計もらおうとすると、掛金をまた余計出さなければならぬ。少いなら掛金も少い。その掛金共済金との割合ですな、それは掛金が多いときは共済金も多い。この共済金掛金との割合ですな、これは上も下も同じような割合でいっているのじゃないか。ちょっと数字を見ましたので、こまかいバランスはどうなっておるかわかりませんけれども、そこが無理なんじゃないか。危険率の多いということ——ほとんど十年くらいは災害もないというような場所もある。そこで災害のない所は、おそらくこれは少い掛金でいきたい。ところが、また危険地域、災害地域は上の方にやる。そういうようなことで、危険区域、常習災害の地域という、そのウエートがちっともかかっておらぬ。掛金共済金の間に、ちっとも見られておらぬじゃないか。それなら、安全地帯の分は、もし五年間も被害がなかったときは戻してやらなければならぬじゃないか。ところが、先ほど例が引かれましたように、何年間かの間に被害がないときは、一割とか、その程度掛金を返すと、そういうようなことではまだついてこないのじゃないか。そこらの仕組みが悪いのじゃないか、今。そこまで十分考えなければならぬ。きのうも河野さんが言っておられましたけれども、火災保険式にやったらどうか。それに対してはまあ政府の方で、なかなかこまかい調査ができないのだというようなお話でありましたけれども、そこを何とか按配して、掛金の低い所は共済金は割合に多いのだと、そういう工合にするなら、安全地域の連中も入られるのじゃないか、また危険地域の人は上の方に入る。ところが、上の方に入っても、掛金の割合は相当高い。ところが、それは災害地域で、常習災害地だというようなことになりまするので、どこかで間を見てやらぬと、掛金共済金との振り合いから考えて、安全な地域の連中が喜んで入るということにならぬと思うのであります。それがどうも、こまかい計算を私見ておりませんけれども、その点が共済に入るのをいやがるという点じゃないか、これが共済制度の一番の死活を制する点じゃないかと思うのでありますが、どういう工合にお考えになっておるか。
  105. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この点は根本論に触れるわけであります。つまり保険制度に徹底すれば、お話通りなんです。けれども、保険制度に徹底していないわけです。共済という制度でできてきているわけです。その共済——村でやった共済を上級で共済する、それ以上は保険になっておるのであります。その共済の分のやり方に無理がありはしないか。無理があるわけなんです。これはもう無理を承知でやっているのです。そこを得心していただかなければ、この制度は成り立たないわけでありまして、この制度運営について、あるいは指導について、非常に困難を感じておるわけです。  その問題は、なぜかといいますと、日本のように災害が常習的に起る所では、こういう強制加入といえども、農家が組織した団体で、それを共済することが果していいのかどうか、そういう問題は国で全部見るべきじゃないか、こういう議論にまで発展するところを、今は共済組合というものでしょわしておるのである。その限界は、今のところは、その限界の範囲内での合理化をやっておるだけでありますから、私どもの方でもその点は十分承知しておるわけでありまして、昨日申し上げましたように、もう一ぺんこれで農家の納得を努力してみよう、いかなければやはり、とにかく日本の国でありますから、災害が起るたびに国が補助金を出すというようなことでは大へんでありますが、これでありますれば、一定の計算によって自動的に、こまかい点ではいろいろトラブルがありますけれども、大局的には大きな柱になっているから、まだやっぱりあった方がいいじゃないかというところで、そのワク内で合理化をやっておるのでありますから、今の問題は、私の方でも常にぶつかる壁になっておるわけです。
  106. 上林忠次

    ○上林忠次君 任意加入か強制的な加入かというところで、問題が出ておりますが、任意にしているならそれでいい。片一方強制的に加入させておいて、しかも危険率を全然考えておらぬ。そこが一番問題ですから、そこを改めていただかないとならぬ。今のやり方では、どうも不賛成の連中を無理に引き入れるというふうになると考えますので、このままでいくなら、その掛金共済金の割合を、下の方がもっと有利になるように、下に入るのは災害が少い所の連中が多いのですから、強制的に入れるなら、それくらいは考えてやらなければいかぬ。戻し金額が多かったらいいけれども、戻すということもできない。特に基金が不足勝ちで戻した例もないというようなことを聞きますと、このままじゃ、どうもこれは無理に入れるわけですから、強制的なわけだから、このままでいかぬじゃないか。これは今からでも、この率を変えられませんか。
  107. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、現在までのところで、議論の末なんです。もっと逆の議論も出てくるわけです。今度一筆石建で石数に応じて共済する、それはやめて、最低まで補償したらいいじゃないか、四石とろうが、二石とろうが、一石分だけは補償してやったらいいじゃないか、こういう議論もまた逆に出てくるのでありますが、そこのところはやはり、何といいますか、災害程度、それからたんぼの収量に応じたところまで一筆石建にするのが、このワク内の私どもの研究の結果では限度であります。それでもいかなければ、今度は建て方を変えなければいかぬ、そういう結論にわれわれは到達しているわけです。
  108. 上林忠次

    ○上林忠次君 これで十分とは思っておらぬという結論を持っているようでありますが、先ほども藤野さんが言っておりましたように、前から今ごろの経済情勢を見ていますと、すでに米の統制も管理制度になってしまう、こういうことを考えますと、食糧庁の人員ですね、今二万五千名です。あれはあれだけの人間ですから、いつかは困ることがあるのじゃないか、農林省が。これについては十分、先ほども考えているということをおっしゃいましたが、あの連中を最末端の技術の方に回すとか、あるいは共済組合の方に回して、できるだけ……。共済というのはエスチメーションが問題になるのですからね。エスチメーションは毎年地方の調査とは食い違う、統計調査関係の報告とも違う。これがやはり公平な目で評価してもらわなければならない。地方の連中の顔色を見てやるのじゃないということで、公平な立場で見ることになると、直属の農林省の連中を配置する。それには、今人間が余りそうな食糧庁のあのメンバーがあるのだから、それをずっと回すということを真剣に考えてもらわなければいかぬ。まあとにかく、ああいうようなエスチメーションでなしに、公平な立場でやるのだという組織にならないと、またこれ共済制度の弱点がそこに出てくると考えるのであります。この点も十分考えていただきたい。
  109. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お話通りでありまして、私の方でも今度、ただいま藤野委員から御質問がありましたように、百四十三条に損害評価会を置くとか、損害評価会のやり方を農林大臣の定める準則によってやるとか、統計調査部の機能をその準則の中で活用する、こういうことを考えております。そういたしまして、この制度がより合理的に運営され、ひいては農業政策全体との関係等につきましても、いろいろ構想を考えておりますが、現在の段階では、この程度考えております。
  110. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これも根本問題ですが、地方ではこういう声がある。それは、病虫害等に対しては、農薬の進歩、技術の改良等によって、被害をこうむる程度が非常に少くなった。従って、天災によるだけの災害共済保険というものに切りかえていったらどうか、こういう問題があるのですが、これについて研究されたことがありますか。
  111. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、そういう声はたくさんありますが、それについて検討いたしました結果、病虫害だけの損害というものはほとんどない。それは風水害、あるいは冷害に伴う病虫害、こういうことになっております。しからば、こういう場合、風水害、冷害が原因であったやつを、病虫害に加算されたものを冷害の損害と認めるかどうか、こういう問題になるわけでありますから、病虫害だけはずしていっても、ちょっと無意味なのでありまして、その点はやはり今まで通り病虫害も入れて置いた方がいいのではないかという結論に到達しております。
  112. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 次に、これは事業主体の変更を行う場合、自治庁あたりの同意、協議した結果であろうと思うのですが、自治庁の見解についてはここで承わるわけに参りますまいが、この法案作成についての自治庁の意見等が、かりにどういうような意見であったか、もしわかっておれば、聞かしてほしいと思う。  これは仮定の問題だから、非常にデリケートな問題なのですが、共済区分が四段階になって、おそらく西日本のような低被害地については、最低金額を選ぶことになるだろう。そういうようなことで、実は一部を除外するというような制度ができた関係上、その取扱い金額というものも少いし、仕事の率というものも一つも下らない。仕事は以前と同じようにある。取扱い金額とか、その規模においては、非常に小さい運営事業内容である、こういうことになると思います。そういう場合、組合がこれを経営していくのに耐えられない。そこで農家から自発的の要請があった場合に、事業主体の変更を申し入れするわけですが、その申し入れをしたときに、町村が応じませんという場合が起ると思う。最低経費で最大の能率を上げてすら、組合は自主的にいかんともすることのできぬ組合経営を、町村に移したからとて、それによって経費が軽減されるというふうに考えておることは、非常に甘い考えだと私は思う。それは事業内容についても、また最近の町村人員内容から比べてみても、決して過剰人員を持っておらぬ。そうすると、現在の組合に従事しておるところの職員を全部吸収しなければほとんどやっていけないだろうと私は思う。こういう場合に町村が拒み、いやだというようなことが起ってきたときの処置は、どういうふうに考えておられるか。
  113. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第一点の自治庁の意見でありますが、これは二つの意見があるわけであります。一つは、全面的に市町村にやらしたらいいじゃないか、これは行政部方面の意見。財政部方面の意見は、これをしょい込むことによって、町村の赤字がふえはしないか、こういう心配があったのであります。そこで、財政部方面の意見に対しましては、法律の九十九条の二に「共済事業を行う市町村は、当該共済事業の経理については、政令の定めるところにより特別会計を設けてこれを行い、その経費は、当該共済事業による収入をもって充てなければならない。」、それからこの「共済事業を行う市町村は、特別の事由により必要があるときは予算の定めるところにより、一般会計又は他の特別会計から繰入金による収入をもって当該共済事業経費に充てることができる。」、四項で、「前項の規定による繰入金に相当する金額は、翌年度以降において、予算の定めるところにより、当該繰入金を繰入れた一般会計又は他の特別会計に繰りもどさなければならない。」こういう規定を置くことによりまして、この事業によって過当の、何といいますか、市町村の赤字の造成ということにはならないということをはっきりしょうということで、話をつけたのであります。  それから第二点の、果して市町村にやらすことによって合理化ができるかどうかという問題でありますが、これは何といいますか、市町村当局としては、市町村全般のことを扱うのでありまして、何といいますか、市町村の当局になれば、共済事業は要らないという、そういう議論はこれはなかなかできないのである。でありますから、何とかして措置しなければならないのでありまして、それをどうなってもいいわいというような議論には発展しないのであります。これは第三者、あるいは中に景気のいい議論をする人がありまして、個人的な意見としては相当、こんなものはやめてしまえという議論がありますが、それじゃそれにかわる制度が何かいいのがあるのか、あるいはそれがなくなって、かりに君の村に災害が起った場合にどうするか、簡単に災害補助金をくれといっても、くれるわけにはいかない、こういう議論をしてみれば、これは例外といたしまして、都市近郊、神奈川県なんか多いのですが、横須賀とか平塚の近辺では、どうなったってかまわない。それからほんとうにこの制度始まって以来災害がない、この鳥取県では欽明天皇以来災害がない、そういうのはどうやっても、今度の改正ができましても、やろうとは言わないと思う。そういう特別の例外を除いては、やはり制度が必要であろうということになると思います。そうなりますと、組合で行うか、市町村で行うかということになると思うのであります。そこで、議論が果てしないということになる場合が出てくると思います。そういう場合には、私の方では八十五条の五におきまして、八十五条の二で、組合から市町村に申し出て、八十五条の三で市町村側がこれに応ずる手続をする。それに関連しまして、話ができないような場合には、この八十五条の五の「必要な事項は、政令で定める。」と。この政令の中に都道府県知事があっせん——当事者の申し出によってあっせんをすることができる、こういう規定を入れようと思っております。そういうことによって最終的の解決ということにはなりませんが、そこで県が乗り出して双方の調整をやっていく、こういう考えでおります。
  114. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大体、私は想像するのに、非常に困難な、現に知事の許可を受けて強制執行をして掛金をとっておる所があるのであります。そういうところの農村は、その町村を形成する議会人もまた組合員である。でありまするから、従って、喜んで町村が、いかに公共的事業といえども、理想としては非常にいいと考えても、経営の実態が運営ができない場合には、そういう現象が起ってくる。そこで知事がこれにあっせんをする等のごときものがありましても、経済のことなのでありますから、その点を今後なお一そう私は考えるということが、各委員から出る言葉の中に、そういう意味が包含されているのではなかろうかというふうに了解をしているのであります。これは私の意見でありますが……。  次に、関連して伺いたいと思いますのは、この事業主体の変更について、一定の基準あるいは政令に定める事由というふうなものが、補足説明の中にあるのでありますが、これは事業主体の変更をするときの一定の基準というもの、その基準というものは一体どういう基準によるのか、非常にむずかしい問題だと思うのですが、それと、また政令によって事由を定めるということが、どういうお考えか、伺いたいと思うのであります。
  115. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはお手元に配付いたしております「災害補償法の一部を改正する法律案政令及び省令事項の概要」、この中の二ページにお示しいたしてあります。  まず第一の、農林大臣の定める基準というものは、「市町村共済事業を行うことについて農業共済組合が申出をすることができる場合は、当該組合の総共済金額が当該都道府県内の一組合当り共済金額の二分の一に達しない場合」、こういうふうなことを予想しております。  それから、その他政令で定める場合ということにつきましては、一として、「事業運営又は業務の執行が著しく円滑を欠いている場合」、二として「事業実施主体の変更により、事業運営又は業務の執行が効率的に行われ、当該組合組合員負担が軽減されることが明らかである場合」、こういうふうな規定をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  116. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それでは次に、損害評価会ですね、この問題は法定機関化して今後作ろうということになっているようでありますが、これについてさらに伺いたいのは、損害評価というものを、どういう方法によってきめるかということについて伺いたいと思います。
  117. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 損害評価につきましては、九十八条の二及び九十八条の三によりまして、九十八条の二では、「組合等が支払うべき共済金に係る損害の額の認定は、主務大臣が定める準則に従ってこれをしなければならない。」、九十八条の三では、「組合等は、その支払うべき共済金に係る損害の額を認定するに当っては、定款等の定めるところにより、あらかじめ当該組合等の損害評価会の意見を聞かなければならない。」、こういうことでございまして、その損害評価会の調査審議内容とか、あるいは組織等の規定を、百四十三条できめているのであります。この準則をきめることが一つのポイントになっているのでありまして、これは、まず損害評価を部落別にやりたい、こういうふうに考えております。そうして組合でまとめまして、その部落別にやったやつは損害評価会にかけて決定する。で、組合の決定とする、こういうふうに考えておりますが、その際に、従来はやはり損害評価委員というものがあったのでありますが、それは組合独自で損害評価のこまかい規定はありますけれども、何といいますか、こういうこまかい規定があるわけでありますが、しかし、それが必ずしもこの規定通り行われていなかったわけです。といいますととは、やはり何といいますか、非常に専門的になるわけでありますから、相当のまあ技術なり相当の経験というものがなければ、個人々々の、損害評価委員個人の損害評価の何といいますか、特性が出てくるわけですね。それと同時に、客観的な基準というものが統一されなければ、どうしても、自分の田の損害評価でありますから、上目々々に損害が出てくるわけです。そういうところに問題があったわけでありますので、このたびは、との組合損害評価に当りましては、統計調査部の助力を大いに活用しよう。  そこで、まず大体の考え方といたしましては、組合損害評価を開始する場合には、評価委員を集めてもらって、組合の中の代表的な損害田、評価田というものをきめまして、そこで坪刈りなら坪刈りをやって、そこでこの程度ならばどの程度という基準を先に作りまして、その際に坪刈りの方法なり、あるいは算定の方法等について統計調査部で、何といいますか、統一的な方針損害評価委員の頭を整理する、そういうことにいたしまして、それに基きまして損害評価委員が一筆左右を調べますれば、今までみたように各個人の癖といいますか、個人による偏差、あるいは方法の相違による偏差というものがなくなりますから、従来のような農林省の査定と連合会組合が集まった連合会の申請との開きが少くなってくる。それと同時に、組合間の偏差というものがなくなってバランスがとれてくる、こういうふうになるのじゃないかと考えまして、ただいまのところでは、準則をそういう点に重点を置いてきめたいと考えております。
  118. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 その場合に、統計調査部の資料が従来は基礎になっておったのでありますが、それより前は、御承知のように、各人、各組合ごとに調査したもので、各組合間のバランスだとか、あるいは各県のバランス等が非常に不公平であるというために、不平が出ておる。そこで、統計調査部の調査というものを基準にして、その以上上回る損害を認めないというようなふうにされたと思うのでありますが、どうもこの準則がまだはっきり文章になって現われておりませんし、実際にこれを応用しないのだからわからないが、相当国においても、あるいは府県においても、統計調査部の意見が尊重されるであろう、こういうふうに考えるのですがね。その場合に、一筆石建というようなふうになって、それぞれの収穫量が違ってきた今日、今度の改正によりますと、一筆々々やはり調査をしなければ答えが出ないということになると思うのです。それを評価会が一筆一筆やるのか、あるいは統計調査部は、これは穂数だとかあるいは粒数であるとか、あるいは重量であるとかいうことによって、坪刈りによって全体を律していこうとするところの方法だと私は思っている。抜き取りの、つまりある地域を限っての検査である。そういうことが全体の数量を見る場合には非常に公平な役立つ統計トータルが出てくると思うのですけれども、こういう一筆石建の部分々々の損害評価をきめていこうとする場合には、統計調査部というものが全体を見るのでなしに、個々にこれを検査するという場合に、相当の開きがあると思う。それを調整する方法を、どういうふうに考えておられるか。
  119. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お説の通り、統計調査部は、何といいますか、この全筆につきまして、六千何百万筆ありますそれを、県で区切って、県の中でランダムに標本圃を選んで、それについては今の坪刈りなり粒数計算をやりまして、それを県でまとめて、県全体の数字を出しているわけです。今度統計を利用するというのは、これはこれで一つやるわけです。損害評価はあくまでも組合でやっていただくわけです。そうして組合損害評価連合会でまた査定して、それとこの統計の対比になるわけですね。で、今までは、その基礎の調査に統計が何ら関与していないわけです。簡単に申しますと、統計で標本田を調査する場合にですね、坪刈りなり粒数計算なり、そういうものをそっくりそのまま、この損害評価委員が一筆々々を見回って調査するのでありますが、その調査をする損害評価はたくさんありますから、それに共通する基準を、その村の中で、災害内容に応じて標本田を作るなり、統計調査部の人に立ち会ってもらって、統計調査部が——私の方は統計調査部の坪刈りなら坪刈りの方法が一番正確だと、こう思っておりますので、これも改善するところはあるかもしれませんが、一応その建前では、そのやつで標本田を評価委員立ち会いのもとに評価して、われわれの評価でやればこうだ——それについてはいろいろ議論があると思います。そこで一応目を合せまして、そこでその合った目で一筆々々評価委員に調べてもらって、いろいろと集計すれば、基準が、ものさしが一つになっておりますから、そう狂いがなくなってきやしないか。それはどうしたって、自分の田をやるのでありますから、第三者が評価するのに比べれば、それは水増しが出てくると思います。しかし、基準が一つになれば、そうひどい開きはない。それから他の町村とのバランスもとれてくる。こういうところをねらっておるのであります。  その損害評価建前論としましては、自分が評価したものをそのままのんで、再保険金を払ってくれというのが、一つ建前。もう一つ建前は、いろいろ関係なしに第三者が評価して、統計調査部なら統計調査部が評価してやる。そうでなければ、今言ったように、その両者のコンビネーションでやる、こういうことになります。で、自由に組合で評価するとすれば、これはどうしたってふえなければおかしいのであります。人情の自然でありますから……。そのふえ方は、その人その人によって違います。これも人情の自然であります。そうかといって、今度は統計調査部でそういうものをのけにしてやるとすれば、現在の統計調査の方法ではだめなのでありまして、やはり統計調査部が一筆々々を調べなければいかぬことになります。それは現在の統計調査部の機構では、事務的にもう絶対に不可能なのであります。そこで、今言ったように、統計調査部の調査方法ですね、技術的の調査方法組合の評価委員に与えることによって、その間を縫っていこう、こういう仕組みを考えていこうと思っておるわけであります。
  120. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大体わかりますが、今度の石建になりますと、それぞれの収穫量が違ってくる。従って、組合ではそれぞれ一筆ごとの細部の集計をしていかなければならぬと思う。ところが、統計調査部がいかにそのものさしを与えて、こういう方法でやりましょうといって、その方法は同じでも、片一方は抜き取りで個所が限定されている。たとえば豊作競争、つまり競作田というのがありますね、競作田に指定されたたんぼに当っているというような場合もあります。たとえば統計調査部が指定している田が……。それだから、その結果というものは、これまたそれぞれの組合が一筆ごとに集計した数字と、統計調査部の数字と、必ず私は合わないものがまた出てくると思う。しかし、今の方が比較的近い、こういうことだろうと思う。最後は一体、どうされるつもりですか。
  121. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今のところは、ちょっと誤解があると思います。統計調査部がやるのは、これは統計調査部独自で標本を選んでやります。組合が評価する場合は、その統計調査部が選んだサンプルをもとにしてやるというのではなくて……。
  122. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 方法なんでしょう。
  123. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 組合組合の中で見て、被害程度別に、このたんぼを模範にしよう、このたんぼを模範にしようと組合で選んで、その選んだところの調査方法、統計の方法を用いてもらう、こういうことになるわけです。ですから、全然別個の調査になるのです。統計は大局をつかむ、県全体の損害をつかむ。町村は、そういった方法は同じだけれども、一筆々々ごとに調べていく。そうすると、その組合の集計と、それから統計でやったランダムの全体のやつの開きは、どうしても出てきます。それはもちろん組合連合会で再査定を受けますが、その結果出てきた組合損害評価額に按分して割れば、今までのような——これはざっくばらんに申し上げますと、われわれのところに府県から上ってくるものが、この分とこの分は違うのだが、どうしても処置ができないからというふうな注釈がついてくるのもあるわけなんでありまして、それが実態なんでありますが、そういうことが少くともなくなってきて、按分してもずっと下っていって、今までのようなトラブルはなくなってくる。全然すぐ最初からなくなるということは、言い切れないと思いますけれども、だんだん少くなってくる。なれるに従って、統計と町村の開きがなくなってくるのではないか、こういうふうに考えております。
  124. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 従来国では、統計調査部の調査が全く公正なものであるということにおいて、これを基礎にして、いかに現実損害があり、被害があったものですら、押えられておる。これは過去にあった実例なのであります。そこで、損害評価というものをいかにするかということが問題になってきている。やはりそのものさしが、こういう粒数のはかり方、こういう坪刈りの仕方、そういう規格は統計調査部とかりに同一であっても、それは一筆ごとに調べたそれぞれの集計というものは、また違ってくる。そうして上ってきたところで、やはり統計調査部というものをせいにして、そうして片一方をものさしでこれをはかって、これはだめだということで落すなら、何も下の方で、かえってめんどうくさい、複雑なことをやるに及ばぬということになるのだが、その点は、下から上ってきたものの正確度をどういうふうに考えておらるるかどうかということについて、一つお伺いいたしたい。
  125. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、ちょっと想像に絶するだろうと思います。たとえば三十一年度のもので、四十六府県のうち、八県は統計調査部の数字になっておるわけです。ところが、ひどい所になりますと、山梨なんぞは二十倍です。それから倍、三倍というのはざらなんであります。そこで、私どもの方では、統計の数字そのままを使うということについては、これはやはり自信がありませんから、取ったサンプルの数等によって、一定の公式に当てはめて表わしまして、大体五割から倍、統計に出てきた。これ一に比べましても、まだ倍、三倍というのが残るわけであります。これはどういいましても……。それで、一方私の方でおかしいというわけで、たとえば米の予約の状況、それから現実の供出の状況、それから県全体の生産指数、そういうものを見てみますと、そんな損害が出るわけがない。こういうところでも、そういうことになっておるわけであります。それはなぜかというと、もとの調査がやはりまちまちになっておるところに起因するんじゃないか。  それからもう一つは、先日来話がありましたように、全体を集計指数でかけてみますと、六千六百万石で、三十一年度の収量では六千八百万石、二百万石しか違わない。ところが、組合に一入ってみますと、先ほど申し上げましたように、二石以上なら二石以上の田ということで、一律にやっておりますから、そこで今度は基準収量をきめる場合に、四石とれる田については、比較的基準数をわざと低くしておる。ということは、そうしないと、今度は災害の起ったときに、たんぼ当りのバランスがとれないからと、こういうことになっておる。その点は、一筆石建に完全になりますから、一つはそういう基準収量と損害評価との、何といいますか、加重されて結果に食い違いが出てきておるところもあるが、そういう点はずっと直っていきますから、私の方では、相当今までの不平というものははっきりわかっていただけるんじゃないかと、こういうふうに考えておるのであります。
  126. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 最後に、希望だけ申し上げておきますが、せっかく評価会というものを法定機関化して、そうしてそういう、従来よりももう一歩進んだ減収歩合の調査を行なってできる貴重な数字だと私は思う。それを従来のように、統計調査部だけというか、それに非常なウエートを置いて、損害評価の最後の決定をされるということならば、全く無意味だと私は思う。故意にやったという事例があれば別ですけれども、現在、面積においても、総計調査部と地方の面積というものは、若干の違いを持っておる。そういうような根本の違った数字を持っておる相互の間において出てくるものでありますから、これは当然違ったものが出てくるだろうと思うのでありますが、そういう場合には、地方の意見を、この評価会というものができて、公正な学識経験者というものを加えての評価をしようというのでありまするから、一つ慎重な態度で、地方から上ってくる組合損害評価額というものを尊重していくという考え方を持っていただきたい、こういうことを希望します。
  127. 東隆

    ○東隆君 今のに関連して。こういうことが非常にいつも問題になっておる。それは、平年作あるいは豊年の場合には、完全粒が非常に多いわけです。それから冷害あるいは凶作等の場合には、砕け米や青米が非常に多くて、商品にならないものが非常に多い。しかも、そういうようなものも生産数量の中に、冷害の年には常に入れられておる。従って、許容量はこれは問題でないんですけれども、それ以上のものが生産量の中に入れられて計算をされた場合に、これは不当な評価が起きてくるわけです。それで立毛を中心にして、そうして抜き取りでもって坪刈りをやる。それは必ずそういうような結果になるのですね。その場合に、常に何%かを将来を予測をして計算をしておるのです。そしてその上に坪刈りの数量を出していますからね。これは非常に問題なんですが、これをどういうふうにお考えになっておりますか。
  128. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その点は、われわれの方でも十分、何といいますか、干害評価の場合には入れておるわけであります。その見方が多いか少いか、こういう問題が出てくると思います。それからもう一つは、共済に関連しましては、何といいますか、今の基準収量の取り方が違うところに大きな問題があって、それにその今の、何といいますか、質の問題がおっかぶせられた議論になってきておるものが非常に多いと思うのであります。この点はまあ前からやかましい問題がありますので、私どもでは統計調査部の方に非常に慎重にやってくれということを頼んでおるわけであります。それだけの問題と、ほかの問題とからんできておりますので、なかなか問題の解明がむずかしい、こういう状態でございます。しかし、今後より気をつけてやっていきたいと、こういうふうに考えます。
  129. 東隆

    ○東隆君 その点は、目方でもって計算をする場合に、これはもうはっきりしておるのですが、四斗で一俵になるものが、四斗五升とかあるいは五斗に近い数字、こういうようなものがはっきり出てくるのですから。そうすると、一割も二割も出てくる。そうすると、これはもうそれを基準にされて、そうして計算をされたら、これは、えらい問題になります。そこで米のようなものは価格が一定をしておりますから、そういうようなものでもってある程度等級その他を考えて、そうしてできるだけそこの誤差を少くするような方法考えられませんか。米のようなものは価格がきまっておるのですからね。従って、等級その他によってもうはっきり出てきますから、そうすると、おのずからそこに誤差がはっきり出てくるわけですね。そういうようなものを基準にしないと、どうせ凶作などのときに完全粒のものなんか出てきませんから、等級が必ず下ってくる。そういうような面で少くて、しかも等級が下げられて、そうして出てくるのですから、これを何とか補正をしなければ、農林省の統計調査部でお調べになった数字を心から心服して、そうしてそれによってやるのはいなくなってしまう、事実。これは供出なんかの場合は、そういう問題がはっきり出てくるわけです。  出回りの数量だの、それから受検の数量ですね、そういうようなものを基礎にした、かえって食糧事務所の方の数字の方がはっきり生産のあれをつかんでいる、こういうようなことが言えて、作報によって出てきた場合、これは平年作がそういうような場合には、これはそう違いがないんですけれども、凶作の場合には実に冷酷なほど大きな数字になって出てきている。これは今までの数字がはっきり示しているんです。私ども経験を持っております。三つおよそ数字が出てくる、凶作の場合には。食糧事務所の方の数字と、それから統計の数字と、それからもう一つ町村で出る数字。町村から出てくる数字は、これはポリティカルな意味がたくさんある。それから統計事務所は、これはサンプルの取り方が非常に少いですから、その点で非常に周密にやるかもしれぬけれども、全体をつかんでおらない、こういう問題があります。それから食糧事務所でやるのは、出回り数量は将来どれだけ出るか、それから受検の数量がどれだけというのが後にはっきり出て参りますから、従って、その方面において相当経験を持っている者が想定をして、そうして数字を出している。この数字がほぼいつも合致するんですね。それは冷害だの何だのにしょっちゅう経験を持っているものだから、いよいよもってそっちの方の数字の方がはっきりしているわけです。そういうようなことがありますので、そこで統計の数字を信じないというわけじゃないけれども、事実商品として出てきたものを基礎にして生産量を考えた場合に、そういう問題が出てくる、こういうことなんです。
  130. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その点は、われわれの方でも非常に苦心しているところでありまして、きのうもちょっと河野委員か何かの質問とも関連があると思うのでありますが、立毛で検査する、それを損害共済金を支払うまでに間があるものだから、その収穫で今のような質の補正を加味できないかという問題、そういうやり方で解決できる方法がありはしないか、こう考えます。これは、少くとも今までの供出自体では、とてもそういうことはできなかったと思うのでありますが、だんだん世の中が落ちついてきていますから、今のような場合、立毛で将来を見越してやると、これはまた昭和二十八年みたいなとんでもない状況——うんとよくなる場合がある、また逆の場合も起り得るのでありますから、実際収穫したところを見て、もう一ぺん補正することができるか、できないか、こういう問題で私どもの方でも十分研究いたしたいと思います。これはなかなかむずかしい問題でありますが、やはり一ぺんに全部を解決しようと思いますと、非常に保険の設定がむずかしくなりますから、できるところから取り上げていきたいと思います。
  131. 上林忠次

    ○上林忠次君 標準の取り方がむずかしい。また標準といいますが、平年作、これがわからぬのが一番根本の問題でありますけれども、統計事務所ではどういうふうな調査をしているのか。アトランダムで、年々畑も違うし、それがいつでも出てこない。食糧事務所の調査はどういう工合になっているのか。大体地方別に——地方別といっても相当こまかいところまで、その辺の上、中、下田の平年作というものはわかっているのじゃないか。どの程度平年作がわかっているのか。今の調査ですね、いろいろな調査を個々にやっているような格好で、どこもやっておらぬということになりますと、これは検討がつかないぬですよ。
  132. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 平年作は、国全体の量をきめるときには、昭和元年からの年々の収穫高の趨勢値を出して、その平年作を出しているわけです。それを村に配るときに、各七カ年の統計で最高、最低を除き、五カ年の平均で按分している、それをまた一筆ごとにそういう方法で按分する、村は——ということになるわけです。従って、趨勢値をとっているのでありますから、うまくやればそう違うわけはないんです。ところが、今の建前が反建になっておりますから、そこに操作が入ってくるわけです。これは私ども、村で見て、どうしてこんなにやかましいのかということになれば、やはり大きいところの収穫の高いところは、基準数量を下げておりますから、それを組合当事者は組合運営をある程度妥協的に運営するためには、やむを得ない部面があるかもしれません。ところが、災害のときには、そういうところの声がやかましい、こういう結果になってくるわけです。その点は第一に、今度は石建にすることによって、非常に緩和されると思います。  それから今の税務署の関係との比較、これはしょっちゅう出るのでありますが、これは一つごかんべんを願いたいと思います。税務署のやつは、これは私どももよく知っておりますが、アプリオリにふりつけるのですから、聞かなくても聞いても取り上げるのですから……。今度のやつはこれはそうでなくして、こっちから渡すのですから、そこに問題がむずかしさがあるわけです。そして税務署の方は、聞かなければ、とにかく巻き上げるわけなんです。それをやられれば、とにかくほかのお百姓さんも難儀をすると、こういうことでありますので、しょっちゅうその例を出されて、私の方閉口するのですが、非常にむずかしいところがあるわけです。
  133. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほどの私の質問は、統計事務所、食糧事務所もあると。おのおの数字が出る。しかし、自主的な調査もやっておる。やっていますけれども、ほんとうの上、中、下田に分けますと、それを十ぐらいに分けるかしりませんが、この畑では今年は幾ら、去年は何ぼと、三年前は幾らと。そうすると、平均この畑は上田として何ぼとれるぞと。これに従って、田も畑もこれぐらいとれるだろうというような尺度がなければいけませんね。そういうことをやっておる事務所か何か、機関があるでしょうね。各地方の大体の大分けした、この畑ならこの地方ではどの程度とれるぞ、大体この基準、標準量に相当する数字ですか、それがわかっておるのでしょうな。わかっていなかったら、三割以上の被害があろうがなかろうが、三割といっても、もとがわからなければ、問題にならぬ。どの程度までやっておるのですか。
  134. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはもう、一筆ごとにその統計をちゃんと出して、たとえば明細書に書かなければ比較にならないわけです。これはもうちゃんとやっておるわけです。
  135. 上林忠次

    ○上林忠次君 だれが調査しておるのです。
  136. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは組合でやっておるわけです。一筆ごとにやっておるわけです。ですから、その際に一筆ごとの基準数で割り振るときに、その組合の中である程度操作が行われておるのじゃないか、そこにまた不満がある。低く出たときは、それでだまっておるのですよ。これだけとれるのですけれども、これだけの掛金で済むと。ところが、もらうときには、自分が掛金が少なかったことを忘れて、多くを要求すると、こういうことになるのです。そこのところがちょっと……。
  137. 上林忠次

    ○上林忠次君 けれども、それは個人からいっても、はっきりした数字は出ないのでしょうね。向うは少い方がいい、あるいは多い方がいいというのですから……。それをどこかの機関で、年々この畑ならこれはどれぐらいとるのだ、平年はどれぐらいだ、だからこの村は大体この程度だという、もとの試験田ですか、標準田、そういうものができておるのですか。
  138. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはそういう立て方ではだめなんです。一筆ごとのとにかく、何というか、引受石数という基準収量をきめなければいかぬわけです。試験田を出してきて、そこの地帯の税務署でいっておる上田、下田というわけにはいかない。一筆ごとにきめてしまうわけですから……。
  139. 上林忠次

    ○上林忠次君 それは、一応地方でそういうことをやるのはどこです。共済組合の中でやるのですか。
  140. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そうです。
  141. 上林忠次

    ○上林忠次君 それがほんとうによくやられておるなら、標準があいまいだということはないはずですが、個人が申請して、おれのところは平年はこれだけだということが信頼できるような数字が出るなら、何でもないじゃないですか。簡単なことだと思うが。
  142. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはそう簡単ではありません。お考え願えばはっきりするんですが、どれだけとりたいという農家の希望、それから雨がよけい降った、天気が悪かったから、どれだけしかできなかった。それが災害とみなすか災害とみなさないか、それはもう結局過去の、申し上げましたように、七カ年なら七カ年の最高最低をとって、そこで平均する以外に、客観的な数字は出てこないわけです。ところが、それをやる場合に、一方では全国的な趨勢値で出てきますから、それを県に割って、県は町村に割って、町村は今度は一筆ごとに割るわけですから、そのときにぴしっと平均の数字に合う場合と合わない場合とある。私の方は五%のアローアンスを認めておりますけれども、そこに多少の食い違いが出てくる。それからまた組合運営上、意識的に、一筆ごとに割るときに、各農家から明細書の出てきたやつを、今度組合で査定します。そのときに多少の操作が出てきておるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  143. 上林忠次

    ○上林忠次君 その数字が私ちょうど、昔の農林当局みたいに、年々石数は一反歩三石三升になったり五升になったり、戦後のあの苦しい資材の足らぬときでも、二石一斗ぐらいとっておる。一斗になるかならぬか……。平常だって、三石一斗ぐらいの数字は出ておる。あんなはずはないと思うけれども、今度町村の勧業係あたりで認めておる数字は、そういうような大ざっぱな数字しか出ておらない。それが農林統計に載っておる数字ですが、だから、その後その数字もだいぶ訂正されましたけれども、最近は相当信頼性のある数字が出ておると思いますけれども、地元に行きますと、この標準がわからぬというようなことで、これはひっかかっておる点があると思うけれども、標準さえはっきりしていれば、これは僕は簡単な運営ができるんじゃないかと思いますがね。
  144. 堀末治

    委員長堀末治君) どうですか、この辺で……。  本件は、本日はこの程度にとどめて、これにて散会いたします。    午後四時三十四分散会