○
政府委員(
渡部伍良君) お
手元に
災害補償法の一部を
改正する
法律案の
趣旨及び概要の
説明、それと、
農業災害補償法改正案新旧対照表をお配りしておりますから、それを一緒にごらん願いながら、お聞き取りを願いたいと思います。
農業災害補償法の一部を
改正する
法律案の
提案理由は、先ごろ政務次官から御
説明を申し上げたのでありますが、本日はそれにつきまして
補足説明を申し上げます。
農業災害補償制度は、
現行農業災害補償法の第一条の
規定にありますように、
農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を補填して、
農業経営の安定をはかり、
農業生産力の発展に資することを
目的としておる
制度であります。最近におきましては、年々百億以上の国費の
支出を行なって参っておるのであります。
しかし本
制度は、いろいろな
理由があるのでありますが、
農家の側からいって、そのすべてにより、また
地方地方すべての
地方によって、必ずしも歓迎せられておらない部面がありますことは、御承知の
通りであります。また
会計検査院等の指摘によりましても、
事業運営の
実態は必ずしも
法律の
規定通りに運用されていないという、まことに遺憾な
事態となっているのであります。このような
事態のよって来たるところはきわめて深く、その
改正の方策につきましても、いろいろ複雑かつ困難な問題がありまして、この
制度の
改正は慎重な考慮を要することはもちろんでありますが、
事業の
運営の現況から考えまして、
制度の
改正の時日をこれ以上遷延することは、かえって
事態をいよいよ悪化させるゆえんと考えたのであります。
この問題につきましては、
昭和二十八年以来各
方面において、いろいろな案が論議されました。ことに
衆参両院におきましては、
農林委員会に小
委員会を設け、また
衆参両院の議員その他
学識経験者を入れまして、
農業災害補償制度協議会というものを
農林省で作りまして、それぞれ、最終的な結論は出ておりませんが、
中間報告が出ております。これらの
趣旨を取り入れ、またその後
関係方面の
意見も努めて取り入れることにいたしますととも、また最近における
事態の推移もあわせ考えまして、
改正案をただいま提出いたしておりまするように立案したのであります。
次に、法案の
内容について御
説明申し上げます。
第一の骨子は、
制度内容の
合理化であります。さきに申しましたように、現在のごとく
事業運営の
実態が
法律の
規定とかなり遊離しておりますことは、一方には、
行政庁の
指導監督及び
事業実施主体の側に不十分、不徹底な点が多かったことはもちろんでありますが、他面、大
部分の
農家及びその他のこの
事業に
関係いたします者の納得と
協力を得られるように、
法律制度自体も
農業の現実、
農家の
実態に即応したものに改める必要を感じておるのであります。その
趣旨におきまして、従来
農家から要望のあった諸点をできるだけ今次
改正に織り込むようにしたのでありまして、まず第一は、引き受けの
方法及び
共済金の支払いについてであります。第百六条、第百九条、
対比表でごらんいただきたいと思います。
従来はいわゆる一筆反
建制でありまして、
組合ごとに反当
共済金額を定めることになっておりましたのです。
同一組合では、その
地域内では、二石とれる
水田でも三石とれる
水田でも、
被害の
程度、すなわち各筆の田について定められた
基準数量に対する
減収割合を算定しまして、その
被害割合が
同一であれば、すなわち、たとえば全損とか、五割であるとか、六割減産、そういうふうなその
被害の
割合に応じて、いずれの筆の田についても、その田の
収量が
基準収量が変っておっても、一律に
被害割合に応じて
同一の
金額が支払われるということになっておりまして、その点が不合理であるというので、今度は第百六条及び第百九条を
改正いたしまして、
一筆石建制を採用したのであります。すなわち、各筆の
生産力に応じましてそれぞれ異なる量を引き受ける、前は
面積で引き受けたのを今度は各
たんぼの
収量で引き受ける、すなわちそれは
当該耕地の平年作における
収量の百分の七十、つまり各
たんぼの七割分を引き受けることとする。そうして、それは各
組合の
定款で定める
一定の
石当り共済金額を右の
引受石数に乗じたものを、
当該筆の
共済金額といたしております。この点は、別途
資料を配付いたしておりますから、もう一ぺん少し詳しく御
説明申し上げたいと思います。そういたしまして、
支払共済金額につきましては、
実収量がこの
引受石数を下回った場合、その下回った
石数、すなわち
引受石数と
実収量との差額に右に述べました
石当り共済金額を乗じた額を、
共済金額として支払うということにいたしております。そういたしますと、
補償が実損に応じて支払われるということになっておるのであります。また
石当り共済金額の
選択範囲につきましても、従来は
収量区分、すなわち
組合ごとにそれぞれの、その
組合の中の
組合全体としての
収量平均を出しまして、
組合ごとに
定款で、二石以上の
収量である、二石
未満一石五斗以上、一石五斗
未満、こういう三つの
収量区分をとり、さらに
危険階級区分に応じて
選択が行われておった。そういう
制限があったのであります。今回はそのいずれの
制限も廃しまして、各
組合でそれぞれ
石当り金額の七割、五割、三割、二割ということを、そのどれかを
定款で定めるというふうにしております。すなわち現在は大体米価は一万円でありますから、
組合はその
組合の
定款でその
地域内の
被害の
状況に応じて、
石当り七千円をかけるか、五千円をかけるか、三千円をかけるか、二千円をかけるか、それぞれ
組合で定めるというふうにしたのであります。
次に第二でありますが、第二は
料率の設定についてであります。これは第百七条に
関係するのでありますが、従来は
同一市町村内は
同一の
料率でやっておったのであります。これは申すまでもなく、
市町村の
区域の中には
山麓地帯と
平場地帯があるのがまあ大
部分であろうと思います。そうしますと、その
被害の態様が著しく違うという場合があります。そういう場合に、いかに
共済精神でこの
共済組合はできていると申しましても、おのずから限度がありますので、
連年山麓地帯と
平場地帯との
被害の受け方が違うという
状況でありますと、低
被害地の
農家の
自発的協力を期待することは困難になるのであります。それが現在までの経過であります。今回第百七条を
改正いたしまして、過去の
被害実績をもとといたしまして、
組合等の
区域をさらに幾つかに区分して
料率を定めることとしました。すなわち簡単に申し上げますと、
平場地帯と
山場地帯との
料率を変える。
一つの
組合の中で二つの
料率をきめることができる、こういうふうにいたすのであります。なお、
在来都道府県別に
農林大臣の示す
共済掛金標準を、
都道府県知事の手を経て最高十二
段階、これは四階級で一階級を
甲乙丙の三
段階に分けております。従いまして、県内の
市町村はこの十二の
危険階級のいずれかに属することとなっておりましたが、今度はこの
危険階級の数を増して十八
段階、すなわち六階級で一階級を
甲乙丙と分けることにいたしまして、前段申しました
料率の区分けをこまかくすると同時に、
掛金率をなるべく
被害率の
実態に合うように、
危険階級を少しくふやすことにいたしました。これは第百七条
関係であります。
〔
委員長退席、
理事重政庸徳君着席〕
次に第三としまして、
組合への当然
加入に関する問題であります。従来は
農業災害という特殊な
災害に対する
農家相互の
共済制度であるので、当然
加入の原則を非常に厳密にやっておったのであります。すなわち、これに伴う
関係法令によりまして、
耕作規模一反以上
——内地においては
一反以上の農地を耕作する者は当然
組合に
加入するということになっております。従って、
米麦はわずか作って蔬菜をたくさん作っておりましても、
耕地が
一反以上あるという
農家は必ず
組合員になっておったのであります。そこで
組合の
運営について、現在の
共済の
対象では
米麦が主になっておりますので、
米麦以外の作を
重点に置いている
一定規模の
米麦作農家、いわゆる
零細農家についていろいろ問題がありましたので、今回は
一定規模以下の
零細農家について
加入脱退の自由の道を開いております。すなわち、
現行法で
組合員資格を有する者
——法律第十五条、政令第一条によって、
一反歩以上の
土地の
耕作者または
年間掃立卵量十グラム以上の
養蚕者は、
法律上当然に
組合員となっております。同時に、
組合と
組合員の間には当然に、
米麦についての
農作物共済及び
蚕繭共済の
共済関係が成立することになっておりましたが、今度はこれを改めまして、
組合員資格のある者でも
定款で定める
規模、すなわち大体
米麦作の耕作
面積の合計が二反
未満、蚕繭にあっては
年間掃立卵量十五グラム
未満の場合は、
加入脱退の自由を認めることにいたしました。これは第十六条ただし書き、第百四条の二というもので
規定いたしました。そうしてその者の申し込みによって
共済関係の発生をみるということにいたしております。また同様の
趣旨から、第百四条の五におきましては、当然
加入の
組合員であるといなとにかかわらず、
共済目的の種類別、すなわち
米麦あるいは蚕繭、その種類別に見ましてきわめて僅少なものについての
共済関係だけを停止することができることにいたしております。たとえば水稲について、一町歩以上という大
規模の
農家でも、裏作麦の耕作が
一反歩以下というような場合には、その麦についての
共済関係を停止することができることにいたしております。
市町村の行う
共済事業の場合も
組合の場合に準ずるのであります。
第四といたしまして、
損害評価であります。
損害評価は本
制度のかなめをなす重要な問題でありまして、それだけにその改善策もきわめて困難であることは申すまでもありません。この
改正法律案におきましては、第九十八条の二、第九十八条の三、それから第百四十三条を新たに設けました。そうして第百四十三条におきましては、
損害評価会及び
損害評価
委員というものを法定の機関として、今までは行政
指導でやっておったものを法定の機関として設けまして、
損害評価の衝に当るこれらの人々の権限を明らかにするとともに、その責任の自覚を促すことにいたしました。同時に、また第九十八条の二におきましては、
組合が支払う
共済金にかかる
損害額の認定につきましては、
損害評価の時期、
方法などにつきまして主務大臣が準則を定めまして、その準則に基かなければ
損害評価はやってはいけない、こういうことにいたしました。それからまた第九十八条の三におきましては、
組合が支払うべき
共済金にかかる
損害の額を認定するに当りましては、あらかじめ
損害評価会の
意見を聞かなければいけないことといたしまして、
損害評価の適確、厳正な実行を期することといたしております。
そうしまして、その運用に当りましては、従来
農家の要望のあったいわゆる一律削減ということを認めまして、当初
組合が適格者と認めた
組合員に対しましては、
共済金を支払い得るような
措置を講ずることにいたしました。それと同時に、
損害評価事務の迅速化をはかりまして、水稲等についてはおそくとも早場
地方では、年内、おそ場
地帯でも旧正月までには
共済金の支払いを実現し得るようにいたしたいと思っております。
次に、
改正案の第二の骨子は、
農家負担の軽減であります。
現行法の掛金負担
方式によりますと、
農家と国の負担
割合は、低
被害県ほど
農家の負担
割合が大となることになっております。そこで、今回これらの問題を解決いたしますために、法第十二条を改めまして、通常
共済掛金標準率に対応する
共済掛金につきましても、国の負担
割合を引き上げて二分の一といたしたのであります。
その結果、超異常
共済掛金標準率に対応するものにつきましては全額
——これは従来
通りであります。通常及び異常
共済掛金標準率に対応するものについては二分の一を全都道府県一律に負担することにいたしております。で、この
改正案によって国の負担すべき
金額の増加は約年間四億七千万円
程度を予定しております。
次に、
改正案の骨子の第三であります。これは
事業主体の特例を認めることにいたしたのであります。
農業災害補償制度の実施主体は、
現行法では、
市町村段階では
農業共済組合、県
段階では
共済組合連合会及び政府の特別会計、こういう三
段階になっておるのであります。この
制度が
農家のための相互
共済の
制度であるという
趣旨から、
現行法では
農家の自主的団体である
共済団体でこれを行うことが適当であるという建前になっておるのであります。しかし、現在の
農業共済組合の
運営の
実態を見ますと、
事業の
運営の面からしましても、また
農家の立場からいたしましても、
事業主体を変更することがより適切である場合がないわけではないのであります。たとえば
共済対象の田畑
面積が非常にその
区域内で少い
組合にあっても、現在の建前では独立の法人である
組合を作ります以上、総会あるいは
理事者を要し、また専従職員も置かなければならないのであります。従って、その所要経費を負担する
組合員数はきわめて少いのでありまして、
組合員一人当りあるいは農地単位
面積当りの負担額は相当重いという場合があるのであります。この負担の重いということが掛金及び賦課金の徴収困難の原因となりまして、ひいては
事業運営の渋滞を来たすということになっている場合もあるのであります。このような事例は山間
地帯組合のみならず、全国にその例は少くないのであります。かような場合におきまして現実に行なわれておりますのは、役職員の兼任あるいは事務所の併置でありまして、現に三十年度末現在では、
市町村長と
組合長の兼任が全
組合の中で約一〇%、
市町村役場と
組合事務所を一緒にしておるものが約二〇%、こういうような
状況であります。こういうような
実態のもとにおきましては、
共済事業の適正な執行と
農家負担の軽減がはかられる限りにおいては、
農家から自発的な要望がある場合には、
農業共済事業を
市町村で行うということにつきまして、しいてこれを拒むべき
理由はないと考えるのであります。従いまして、
共済組合の行う
共済事業の
規模が
一定の基準に達しない場合、その他政令で定める特別な
理由のある場合におきましては、
事業主体の変更を認めることといたしたのであります。その他政令で定める
理由というものにつきましては、
市町村でやらした方がより有利であるというようなことにつきまして、各
方面の
意見を十分伺った上で検討したいと考えておりますが、以上述べましたところからいたしまして、
事業主体の変更によって
事業運営が適正化ないし効率化せられて、しかも農民負担が軽減されるということが、
事業計画なり
共済事業実施に関する条例
——市町村の定める条例から十分明らかであるということが、不可欠な要件であると考えておるのであります。
事業主体変更に関します手続につきましても、さきに述べた
趣旨から、慎重な取扱いをいたしておるのであります。
組合の申し出と
市町村の合意によって初めて
都道府県知事に許可の申請をし得ることにしております。また
組合が申し出の意思
決定をするに当りましては、個々の
組合員の意思を十分反映せしめる
意味におきまして、総会の特別決議を要することとしております。
さらに、
市町村が行いまする
共済事業の種類につきましては、
地方公共団体としての性格その他から見まして、公共的な
事業に限る
趣旨で、
農作物共済、
蚕繭共済及び家畜
共済に限定をいたしまして、任意
共済事業につきましてはこれを行わないこととしておるのであります。なお、これに伴いまして、これらの
地域の
農家の建物
共済その他の任意
共済の取扱いについては、第百三十二条の二を
改正いたしまして、連合会が直接にこれらの
農家と任意
共済関係を結ぶことができるようにいたしてあります。
市町村が
共済事業を行う場合において、当然に
共済組合連合会の会員になること、あるいは掛金及び賦課金を徴収し得ること、その他
事業の
運営につきましては、それぞれ
関係規定を改めまして、
組合の場合に準じて取扱いをいたしております。
次に、
改正案の骨子の第四は、
指導監督の強化であります。
共済事業の
運営が必ずしも適正に行われていないということは、会計検査院、行政管理庁の指摘にもある
通りであります。これにつきましては、
指導監督の衝にあるわれわれは責任を痛感しておるのであります。こういうふうな
事態を生じました原因を深く反省いたしますと、まず、戦後の混乱時代に準備態勢が不十分なまま発足した当時の混乱が、今なお惰性として残存いたしまして、
法律を守る意識に欠けておりはしないか。この点は、
昭和二十二年の十二月に
法律を施行しましたが、二十二年の水稲にさかのぼって
法律を実施した。さらに、当初出発において
法律通り行われておらなかった点が反省されるのであります。次には、役職員その他に対する訓練が足りなかったのではないか。これは別途お配りいたしております
資料でごらん願いますように、先ほどちょっと
市町村長と
組合長の兼任の例を申し上げましたが、協同
組合の長と
共済組合の長の兼任はもっと多いので、六、七割になっておるかと思います。そういうようなあれがありまして、必ずしも
共済制度の
運営なりあるいは
趣旨について、どうやったらいいかという訓練が足りなかったということが
一つありはしないか。それからまた
行政庁の監督権限が不十分であった。そういう点があげられるのであります。従いまして、今次
改正法案が幸いにして成立いたしますならば、拙速を尊ばずに、過去十年の今まで申し上げましたいろいろな点、あるいはそのほかいろいろ
理由があると思いますが、それらを十分反省いたしまして、
行政庁あるいは
共済団体等の役職員はもちろん、個々の
農家に至るまで、
改正の
趣旨を徹底的に認識していただきまして、この
法律の施行に対処する観念を根本的に改めたい所存であります。そのために、この
法律の施行期日を
昭和三十三年一月、すなわち約一年間の準備期間を置きまして、施行を急がなかったのも、いろいろな技術的な
事情もありますが、十分な準備と啓蒙を行いまして、
農業共済制度のほんとうの効果ができるような十分な準備をいたしたいと、こういう考えからであります。
次に、監督権限の強化の点でありますが、もちろんいたずらに権限強化のみを考えることは厳に慎むべきことと考えておるのでありますが、この際最小限必要な
規定を整備する必要があると考えまして、第九十九条の二におきまして、
組合段階の会計経理を
法律上明確にいたしますとともに、第百四十二条の五におきまして、
報告徴収に基く必要
措置命令と
事業の適正かつ効率化のための監督命令の
規定を置いたのであります。すなわち現行では、必要
措置命令につきましては、
共済団体の業務または会計が法令に基いてする
行政庁の処分または
定款に違反すると認められる場合においても、第七十九条による検査を行なった後でなければ、必要
措置命令が出せなかったのであります。
報告を徴収した結果右の事実が明らかであれば、今度はあらためて検査終了まで待つ必要なく、またそれまで待っては時期を失することも考えられますから、検査を待たないで必要
措置命令ができる、こういうふうに改めておるのであります。
次に、監督命令でありますが、現在必要
措置命令は、さきに述べたごとく、法令または
定款違反の場合に発動できるのであって、特に必要であっても不適当な行為については発動できないわけであります。たとえば当然免責すべき事由があるにかかわらず、
組合の
理事者が免責を行わない場合、その他について、今回は監督命令を発し得ることとなるのであります。また従来の必要
措置命令と異なって、あらかじめ検査手続を要しないで、不当な
共済金支払いの一時停止もしくは支払
方法の変更、その他緊急
措置をとることも可能となるのであります。なお、この監督命令に
農業共済団体が違反した場合には、
行政庁は当該団体の役員の一部または全部の改選を命じ、当該団体が右の改選命令に違反したときは、当該役員を解任することができることといたしております。
以上で
農業災害補償法の
改正案の概要と
趣旨の
補足説明を終ります。
次に、
農業災害補償法第百七条第四項の
共済掛金標準率の
改訂の
臨時特例に関する
法律案についての概要を御
説明申し上げます。
これは、
農業災害補償法第百七条第四項の
共済掛金標準率につきましては、五年ごとに
改訂することになっておるのであります。水稲及び麦につきましては本年がちょうど
改訂期になっておるのでありますが、本来ならば、本年度におきまして
共済掛金標準率の
改訂を行わなければならないのであります。しかし、先ほど来御
説明申し上げましたように、
農業災害補償法の一部を
改正することになりまして、
昭和三十三年度から引き受けの
方式の変更、すなわち一筆反建から一筆石建に改める、そういうことにいたしますので、従来
同一市町村には
同一の
共済掛金標準率を適用いたしておりましたのを、より個別化いたしますと、さらに
市町村の中の
区域を幾つかの
区域に区分いたしまして、その
実態に即応した
共済掛金率の設定を行うようなことといたしております。従って、
制度の
改正が実現いたしますれば、新しく
共済掛金率を設定いたさなければならないのであります。そこで、本年度
改訂を行いましても、また来年度において新しい
共済掛金率を設定いたさなければならないことになります上に、
料率の個別化の作業等は、できれば
法律成立早々、五、六月ごろから着手いたさなければならないというのでありますので、事務が非常に末端で複雑混乱をいたすおそれもありますので、その混乱を避ける必要もありますので、この際は
料率の
改訂を一年延長いたすことにいたしたいのであります。
次に、もう
一つの
法律、
農業災害補償法臨時特例法を廃止する
法律案について申し上げます。
臨時特例法は
昭和二十七年六月に制定せられまして、これに基きまして、五カ年間を
試験期間としまして、水稲と麦について全国から総
組合の五%
程度の
組合を選定いたしまして、
農家単位の
共済事業を行なってきたのであります。この
農家単位
共済につきましては、
事業発足当時は全面的にこの
方式に移行したらどうかというふうな考えもあったのでありますが、四カ年の
実績を集計いたしますれば、その結果は
共済金支払い
対象農家が現在に比較しまして非常に減ってくる。また経営
規模の大きい
農家に対しましては、
料率の面から、あるいは払い戻しの面から、今まで
試験をやっておった
通りの
方法では工合が悪い。何らかの工夫検討を要する。それからまた
農家単位の
方式の場合の
料率の算定については
資料が不十分であって、さらに検討を要する。それらの
理由から、これを全然新しくやるとすれば、まあ利点を生み出すことがないわけではないのでありますが、従来の
制度を直ちに農単に変えるということにつきましては、今申し述べました今までの
農家に対する
災害補償法に基くいろいろな受益の
程度が変ってきますので、今直ちにこの
方式に移行するということは無理かと存じますので、予定
試験期間が満了されましたに伴いまして、この
法律の附則第二項及び第三項によって、
法律を廃止するとともに、必要な善後
措置の経過
措置をきめておるのであります。
以上三つの
法律につきまして
補足説明を終ります。