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1957-05-07 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月七日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小笠原二三男君辞任につき、 その補欠として大和与一君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            下條 康麿君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君            北村  暢君            小林 孝平君            羽生 三七君            上林 忠次君            島村 軍次君            北條 雋八君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局農業保険課長 丹羽雅次郎君    農林省振興局総    務課長     酒折 武弘君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (豪雪対策に関する件)  (国土調査農業に関する件) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○農業災害補償法臨時特例法を廃止す  る法律案内閣送付予備審査) ○農業災害補償法第百七条第四項の共  済掛金標準率改訂臨時特例に関  する法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、豪雪対策の件を議題といたします。  政府委員報告をいただきます。
  3. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 新潟県の豪雪対策について御報告いたします。  これにつきましては、先月下旬に閣議でもちまして、対策基本方針決定いたしました。その内容は、重点だけ申し上げますと、第一番目が、消雪促進をはかるための共同土取場設置等に伴い現金支出を要する場合において、農家の負担を軽減することによって必要な助成を行う、これが第一点。それから第二点は、水稲予備苗しろの増設に対し助成するとともに、保温折衷苗しろ及び水稲水口被害防止施設について、特にその普及がおくれている地域に対し、その普及をはかるために必要な助成を行うということが第二点。それからそのほかさらに、稲の病害虫防除対策としては、その発生予想状況に即して、国有及び県有防除機具等の動員及び病害虫防除機具購入費補助金支出等を行い、また災害予防対策指導に遺憾なきを期するとともに、所要の試験研究の強化をはかる。そういう趣旨閣議決定が行われまして、これに基きまして、農林大蔵両省協議の結果、五月一日付で農林次官通牒でその細目を決定したのでございます。  考え方といたしましては、とにかくこの対策は緊急を要するものでありますから、まず補助方式をきめる。こういう事業をやった者にはこういう補助を出すという方式をきめて、これを流して、具体的な金額決定につきましては、これに基く現地の事業実績に応じてきめましょう、そういう話し合いになったのでございます。  従いまして、この対策としても、予算計上についはてまだ決定しておらないわけでありますが、やり方といたしましては、まず、地域は、四月一日現在の積雪数量がおおむね一メートル五〇以上の旧市町村区域、それから補助要領といたしましては、  まず、共同土取場設置市町村または農業団体共同土取場設置して現金を支払った場合に、その代金に対して二分の一以内の補助を行う。  それから消雪促進につきましては、農家が田畑及び苗しろの予定地の消雪を促進するため、土をまいたり、あるいは苗しろの除雪を行うための現金支出は、雇用労務費、これに対して二分の一以内の補助をする。ただし、零細補助を排除する意味におきまして、最低金額を四百円程度で押えていこうという考えであります。  その次は、健苗育成施設に対する補助でございます。保温折衷苗しろの普及実績が、三十一年度において三〇%以下の旧市町村区域においては、三十二年度初めて保温折衷苗しろを設置する農家温床紙購入費、これの補助率は三割以内とする。これも零細補助を避ける意味におきまして、一農家当り苗しろ面積は十坪以上ということを最低限としております。  それから、その次は、水稲予備苗しろ設置豪雪のための苗不足を来たすおそれがある農家に対して、予備苗しろ設置のための市町村または農業団体支出する資材費及び管理費、これに対して二分の一以内の補助を行う。  それから水口被害防止施設費でございますが、例のビニール板設置を行う場合に、これの三割以内の補助を行う。  大体以上のような実施方針をきめまして、五月一日付で県の方に通達してあるのでございます。これによりまして、県の方で具体的な実施計画を作りまして、農林省協議をしてきめる、それに基きまして予備費要求をするというふうな段取りで、現在考えておるのであります。  簡単でございましたが、御報告にかえます。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 御質疑ございませんか。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 この散土消雪の雇用労務費というやつが非常にめんどうなんですね。非常に幅のある解釈をしていただかぬと、非常に紛糾が出てくると思うのです。ということは、部分的な散土消雪はできない関係上、大体先般も申し上げました通り共同作業をする場合に、労力のある者は、これは奉仕的に、農村の美風ですか、奉仕的にあるだけのものが出ていくが、ない家はだれも出なくても全部やられると、こういうふうなことを習慣でやっているのですが、これだけの災害ですから、個人などということは言うておられないので、そういう状態で続くので、それをだれがどう雇用したということは、なかなか非常にめんどうな面が出てくると思いますので、それらの点も、適当な幅のある解釈をしていただきたいということと、  それからいま一つは、たとえばある地域で、たくさんはないだろうと思う例ですが、土地改良工事をしかけている。そうすると、消雪をやって工事にかかりますと、全然作付できないほどおくれてしまう。そこで、これを進めるために、広い区域を、全部落が出て、関係者が全部出て、これはもう徹底的に掘り上げる、こういうわけです。そうして、もう工事をどんどん進めていく、こういうような場合は、それはこれに該当しないというようなことは、これは非常に無理な解釈になろうと思います。少くとも完全な収穫を得るという目的からいえば、こういうものは当然対象にしていただく方が妥当じゃないかと思いまして、まあそれでやってみたらどうだという解釈でございまして、こういうものが出て参りましたら、一つ伸びのある御解釈を願いたいと思います。
  6. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 第一点につきましては、御趣旨に沿って、できるだけ実情に即するようにやっていきたいと思います。  それから土地改良地区除雪の問題につきましては、なお新潟等具体的事情をよく協議いたしまして、やはりこれも実情に即しましてやっていきたいと考えております。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 僕はこういうことを考えているのだ。農林大臣が出て来てくれれば一番いいと思うのだけれども、毎年こうやって、この霜害対策も二十七年以来毎年なんです。そうして、これが群馬、埼玉、茨城、栃木というようなことになりますれば、数十億の金を使うのじゃないかと思うのです。新潟県における豪雪の場合でもそうでありますし、あらかじめ予期せられる災害に対して、恒久的な対策一つも私は講じてないと思う。これは経済局の取り扱う問題じゃないと思いますから、私はきょうはこのくらいでやめておくけれども、これは農林大臣はもっと考えなければいけないことじゃないかと思う。  何か聞きますと、この間の新聞では、霜害対策に、ドイツにおいては水をまいてこれを防止することを考えているというように、新聞などに出ている。もう原子力時代——しばしば私は言うのですが、原子力時代にですね、毎年これだけの損害をしているなら、その一割でも向う十年間使って、やってみたらどうなんだろう。一億五、六千万円ぐらいかかるか、二億ぐらいかかるか知らないが、もっと徹底的な科学主義でやることがどうして考えられないのだ。これは経済局に幾ら言ってみても問題にならないが、機会がありましたら、農林大臣とそれから技術関係一つ出てもらって、いつ一体こういうことをするのか——私は、今年の二月現在における豪雪について、散土なんというくだらない、神武以来のことをやらないで、原子力時代のやはり方法を考えたらいい。ヘリコプターとか飛行機でまくような方法、このくらいのことはもう考えるべき時期に到達しているのに、毎年災害だけに何億の金を出して——出しもしないが、農民に損害をかけて、それがちっとも考えられないというのは、ばかげた話だと思うのです。これだけは一つ、しっかり話するために、どうしても農林大臣と何か技術陣がおいでになるよう、一ぺん一つ計画してもらいたい。
  8. 堀末治

    委員長堀末治君) ようございます。せっかくのあなたの御意見ですから、至急農林大臣あるいは技術関係に出てもらって、あらためて検討することにいたしましょう。
  9. 小林孝平

    小林孝平君 本年はこれで助成されることになりましたが、雪は毎年降るのですが、来年以降大体こういう金が出ると考えていいのですか。
  10. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 恒久対策といたしましては、閣議決定にもございますように、試験研究を強化いたしまして、その予防をやるということは必要なんでございまして、現在考えておりますることは、すでに本年度予算もきまっておりますことでございますから、現在の会計上予算範囲内におきまして、東北試験場、あるいは新潟試験場を使いまして、試験の……。
  11. 小林孝平

    小林孝平君 いや、私の質問しているのは違うのです。今年はこれで、この対策として、この金は幾らだったか聞いておりませんが、一億数千万円ですか、この豪雪対策費が出たのですが、来年度の予算にも大体この程度の金は計上されるのですか、される見込みかどうか。
  12. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 続けて申し上げますが、それを申し上げようと思ったのですが……。  そういうことで、恒久的な試験研究につきましては、今後技術会議等とも相談いたしまして、対策を立てていきたいと思っております。  なお、緊急的に本年行なった措置につきましては、閣議にもこれは特に今回限りの措置としてという言葉が入っておるわけでございまして、これは必ずしも来年以降絶対に、いかなる状況があってもやらないという趣旨ではないと考えておりますが、できるだけこういうことは、弥縫策的なことはやりたくない。もっと根本的なことに力を入れてやっていきたいというふうなつもりではおります。
  13. 小林孝平

    小林孝平君 閣議決定は何を決定されたか、資料がちょっと手元にないからわかりませんが、農林省は来年度の予算計上する際に、この程度の金は大蔵省要求されますかどうか、こういうわけです。また大蔵省もそれを認める見通しがあるのかどうかということです。
  14. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 今年度のこの措置は、今年の特殊の豪雪対策として出たことでございまして、毎年これがあるというふうにはわれわれも考えておらないわけでございます。従来の例から申しましても、昭和二十年に一回この程度の、これは最近の例としてあるのでありまして、約十年ぶりに今年あった。毎年あるとは実は考えておらないわけでございます。
  15. 小林孝平

    小林孝平君 こんなにひどいことはめったにないかもしらぬけれども、相当毎年被害を受けているのですが、そういうものについては全然考えないのですか
  16. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) その点につきましては、先ほど申しましたように、基本的に試験研究を強化いたしまして、消雪促進のための技術方式であるとか、そういう地帯における作付方式等につきましての根本的な解決を促進したいと考えております。
  17. 小林孝平

    小林孝平君 消雪の研究といったって、来年には間に合わぬでしょう。根本の問題、それはいかに何を研究されるかわかりませんけれども、現に来年も降るのです。それをもう来年は知らないということになるのですか、どうですかということを聞いているのです。あらかじめ予算を組んだらどうですか。少くとも、今年と同じほど組まなくても、その何割かというものを組んだらどうですか。また、今年はこれで十分というわけじゃないでしょう。今年はもう手おくれだったから、一億数千万円だということでがまんしたけれども、ほんとうなら、もっと金が要るはずだったかもしらぬ。だから、初めから組んだらどうですか。その基本的な消雪対策といったって、すぐ間に合わぬでしょう。
  18. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) ちょっとお断わりしておきますけれども、金額の点につきましては、先ほど御説明いたしましたように、とりあえず事業をやってもらって、金額はその実績に応じてあとからきめていこうという考え方で、この一億五千万円というのはわれわれの要求でございまして、決定しておるわけじゃございませんから、さよう御了承願います。  それから来年度の予算計上の問題につきましては、何度も同じことを申し上げるようでございますけれども、状況がまだ来年どういうふうになるかわからない。通常の状態におきましては、現在までは予算が組まれておらなかったのですけれども、しかし、これはわれわれとしても対策的に取っておいてもいいと考えておりますので、そういう基本的なことを、また来年特殊な事情があれば、その事態に応じて考えなければならないと思いますが、今の段階では予測がむずかしいと思います。
  19. 小林孝平

    小林孝平君 今も、今年は特殊だ特殊だと言うけれども、今までだって相当ひどいのです。今年はあまりにひど過ぎた。だから、当然組んでもいいと思うのです。  そこで、局長一つお尋ねしますが、どうですか、来年組まれたらどうでしょうか、これは。
  20. 堀末治

    委員長堀末治君) 今、振興局長は見えておりません。
  21. 小林孝平

    小林孝平君 これは、しかし、一度局長を呼んで確かめておく必要があると思うのです。
  22. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  23. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  それじゃ、次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案閣法第百三十一号)、農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案閣法第百三十二号)及び農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率改訂臨時特例に関する法律案閣法第百三十三号)(いずれも内閣提出予備審査)を一括して議題にいたします。  これらの法律案につきましては、去る四月五日に提案理由説明を聞いたのでありますが、本日は農林当局から、法律案内容その他について補足説明を聞き、続いて審査に入ることにいたします。  まず、農林当局説明を求めます。
  24. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お手元災害補償法の一部を改正する法律案趣旨及び概要の説明、それと、農業災害補償法改正案新旧対照表をお配りしておりますから、それを一緒にごらん願いながら、お聞き取りを願いたいと思います。  農業災害補償法の一部を改正する法律案提案理由は、先ごろ政務次官から御説明を申し上げたのでありますが、本日はそれにつきまして補足説明を申し上げます。  農業災害補償制度は、現行農業災害補償法の第一条の規定にありますように、農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を補填して、農業経営の安定をはかり、農業生産力の発展に資することを目的としておる制度であります。最近におきましては、年々百億以上の国費の支出を行なって参っておるのであります。  しかし本制度は、いろいろな理由があるのでありますが、農家の側からいって、そのすべてにより、また地方地方すべての地方によって、必ずしも歓迎せられておらない部面がありますことは、御承知の通りであります。また会計検査院等の指摘によりましても、事業運営実態は必ずしも法律規定通りに運用されていないという、まことに遺憾な事態となっているのであります。このような事態のよって来たるところはきわめて深く、その改正の方策につきましても、いろいろ複雑かつ困難な問題がありまして、この制度改正は慎重な考慮を要することはもちろんでありますが、事業運営の現況から考えまして、制度改正の時日をこれ以上遷延することは、かえって事態をいよいよ悪化させるゆえんと考えたのであります。  この問題につきましては、昭和二十八年以来各方面において、いろいろな案が論議されました。ことに衆参両院におきましては、農林委員会に小委員会を設け、また衆参両院の議員その他学識経験者を入れまして、農業災害補償制度協議会というものを農林省で作りまして、それぞれ、最終的な結論は出ておりませんが、中間報告が出ております。これらの趣旨を取り入れ、またその後関係方面意見も努めて取り入れることにいたしますととも、また最近における事態の推移もあわせ考えまして、改正案をただいま提出いたしておりまするように立案したのであります。  次に、法案の内容について御説明申し上げます。  第一の骨子は、制度内容合理化であります。さきに申しましたように、現在のごとく事業運営実態法律規定とかなり遊離しておりますことは、一方には、行政庁指導監督及び事業実施主体の側に不十分、不徹底な点が多かったことはもちろんでありますが、他面、大部分農家及びその他のこの事業関係いたします者の納得と協力を得られるように、法律制度自体農業の現実、農家実態に即応したものに改める必要を感じておるのであります。その趣旨におきまして、従来農家から要望のあった諸点をできるだけ今次改正に織り込むようにしたのでありまして、まず第一は、引き受けの方法及び共済金の支払いについてであります。第百六条、第百九条、対比表でごらんいただきたいと思います。  従来はいわゆる一筆反建制でありまして、組合ごとに反当共済金額を定めることになっておりましたのです。同一組合では、その地域内では、二石とれる水田でも三石とれる水田でも、被害程度、すなわち各筆の田について定められた基準数量に対する減収割合を算定しまして、その被害割合同一であれば、すなわち、たとえば全損とか、五割であるとか、六割減産、そういうふうなその被害割合に応じて、いずれの筆の田についても、その田の収量基準収量が変っておっても、一律に被害割合に応じて同一金額が支払われるということになっておりまして、その点が不合理であるというので、今度は第百六条及び第百九条を改正いたしまして、一筆石建制を採用したのであります。すなわち、各筆の生産力に応じましてそれぞれ異なる量を引き受ける、前は面積で引き受けたのを今度は各たんぼ収量で引き受ける、すなわちそれは当該耕地の平年作における収量の百分の七十、つまり各たんぼの七割分を引き受けることとする。そうして、それは各組合定款で定める一定石当り共済金額を右の引受石数に乗じたものを、当該筆共済金額といたしております。この点は、別途資料を配付いたしておりますから、もう一ぺん少し詳しく御説明申し上げたいと思います。そういたしまして、支払共済金額につきましては、実収量がこの引受石数を下回った場合、その下回った石数、すなわち引受石数実収量との差額に右に述べました石当り共済金額を乗じた額を、共済金額として支払うということにいたしております。そういたしますと、補償が実損に応じて支払われるということになっておるのであります。また石当り共済金額選択範囲につきましても、従来は収量区分、すなわち組合ごとにそれぞれの、その組合の中の組合全体としての収量平均を出しまして、組合ごと定款で、二石以上の収量である、二石未満一石五斗以上、一石五斗未満、こういう三つの収量区分をとり、さらに危険階級区分に応じて選択が行われておった。そういう制限があったのであります。今回はそのいずれの制限も廃しまして、各組合でそれぞれ石当り金額の七割、五割、三割、二割ということを、そのどれかを定款で定めるというふうにしております。すなわち現在は大体米価は一万円でありますから、組合はその組合定款でその地域内の被害状況に応じて、石当り七千円をかけるか、五千円をかけるか、三千円をかけるか、二千円をかけるか、それぞれ組合で定めるというふうにしたのであります。  次に第二でありますが、第二は料率の設定についてであります。これは第百七条に関係するのでありますが、従来は同一市町村内は同一料率でやっておったのであります。これは申すまでもなく、市町村区域の中には山麓地帯平場地帯があるのがまあ大部分であろうと思います。そうしますと、その被害の態様が著しく違うという場合があります。そういう場合に、いかに共済精神でこの共済組合はできていると申しましても、おのずから限度がありますので、連年山麓地帯平場地帯との被害の受け方が違うという状況でありますと、低被害地農家自発的協力を期待することは困難になるのであります。それが現在までの経過であります。今回第百七条を改正いたしまして、過去の被害実績をもとといたしまして、組合等区域をさらに幾つかに区分して料率を定めることとしました。すなわち簡単に申し上げますと、平場地帯山場地帯との料率を変える。一つ組合の中で二つの料率をきめることができる、こういうふうにいたすのであります。なお、在来都道府県別農林大臣の示す共済掛金標準を、都道府県知事の手を経て最高十二段階、これは四階級で一階級を甲乙丙の三段階に分けております。従いまして、県内の市町村はこの十二の危険階級のいずれかに属することとなっておりましたが、今度はこの危険階級の数を増して十八段階、すなわち六階級で一階級を甲乙丙と分けることにいたしまして、前段申しました料率の区分けをこまかくすると同時に、掛金率をなるべく被害率実態に合うように、危険階級を少しくふやすことにいたしました。これは第百七条関係であります。    〔委員長退席理事重政庸徳君着席〕  次に第三としまして、組合への当然加入に関する問題であります。従来は農業災害という特殊な災害に対する農家相互共済制度であるので、当然加入の原則を非常に厳密にやっておったのであります。すなわち、これに伴う関係法令によりまして、耕作規模一反以上——内地においては一反以上の農地を耕作する者は当然組合加入するということになっております。従って、米麦はわずか作って蔬菜をたくさん作っておりましても、耕地一反以上あるという農家は必ず組合員になっておったのであります。そこで組合運営について、現在の共済対象では米麦が主になっておりますので、米麦以外の作を重点に置いている一定規模米麦作農家、いわゆる零細農家についていろいろ問題がありましたので、今回は一定規模以下の零細農家について加入脱退の自由の道を開いております。すなわち、現行法組合員資格を有する者——法律第十五条、政令第一条によって、一反歩以上の土地耕作者または年間掃立卵量十グラム以上の養蚕者は、法律上当然に組合員となっております。同時に、組合組合員の間には当然に、米麦についての農作物共済及び蚕繭共済共済関係が成立することになっておりましたが、今度はこれを改めまして、組合員資格のある者でも定款で定める規模、すなわち大体米麦作の耕作面積の合計が二反未満、蚕繭にあっては年間掃立卵量十五グラム未満の場合は、加入脱退の自由を認めることにいたしました。これは第十六条ただし書き、第百四条の二というもので規定いたしました。そうしてその者の申し込みによって共済関係の発生をみるということにいたしております。また同様の趣旨から、第百四条の五におきましては、当然加入組合員であるといなとにかかわらず、共済目的の種類別、すなわち米麦あるいは蚕繭、その種類別に見ましてきわめて僅少なものについての共済関係だけを停止することができることにいたしております。たとえば水稲について、一町歩以上という大規模農家でも、裏作麦の耕作が一反歩以下というような場合には、その麦についての共済関係を停止することができることにいたしております。市町村の行う共済事業の場合も組合の場合に準ずるのであります。  第四といたしまして、損害評価であります。損害評価は本制度のかなめをなす重要な問題でありまして、それだけにその改善策もきわめて困難であることは申すまでもありません。この改正法律案におきましては、第九十八条の二、第九十八条の三、それから第百四十三条を新たに設けました。そうして第百四十三条におきましては、損害評価会及び損害評価委員というものを法定の機関として、今までは行政指導でやっておったものを法定の機関として設けまして、損害評価の衝に当るこれらの人々の権限を明らかにするとともに、その責任の自覚を促すことにいたしました。同時に、また第九十八条の二におきましては、組合が支払う共済金にかかる損害額の認定につきましては、損害評価の時期、方法などにつきまして主務大臣が準則を定めまして、その準則に基かなければ損害評価はやってはいけない、こういうことにいたしました。それからまた第九十八条の三におきましては、組合が支払うべき共済金にかかる損害の額を認定するに当りましては、あらかじめ損害評価会の意見を聞かなければいけないことといたしまして、損害評価の適確、厳正な実行を期することといたしております。  そうしまして、その運用に当りましては、従来農家の要望のあったいわゆる一律削減ということを認めまして、当初組合が適格者と認めた組合員に対しましては、共済金を支払い得るような措置を講ずることにいたしました。それと同時に、損害評価事務の迅速化をはかりまして、水稲等についてはおそくとも早場地方では、年内、おそ場地帯でも旧正月までには共済金の支払いを実現し得るようにいたしたいと思っております。  次に、改正案の第二の骨子は、農家負担の軽減であります。現行法の掛金負担方式によりますと、農家と国の負担割合は、低被害県ほど農家の負担割合が大となることになっております。そこで、今回これらの問題を解決いたしますために、法第十二条を改めまして、通常共済掛金標準率に対応する共済掛金につきましても、国の負担割合を引き上げて二分の一といたしたのであります。  その結果、超異常共済掛金標準率に対応するものにつきましては全額——これは従来通りであります。通常及び異常共済掛金標準率に対応するものについては二分の一を全都道府県一律に負担することにいたしております。で、この改正案によって国の負担すべき金額の増加は約年間四億七千万円程度を予定しております。  次に、改正案の骨子の第三であります。これは事業主体の特例を認めることにいたしたのであります。農業災害補償制度の実施主体は、現行法では、市町村段階では農業共済組合、県段階では共済組合連合会及び政府の特別会計、こういう三段階になっておるのであります。この制度農家のための相互共済制度であるという趣旨から、現行法では農家の自主的団体である共済団体でこれを行うことが適当であるという建前になっておるのであります。しかし、現在の農業共済組合運営実態を見ますと、事業運営の面からしましても、また農家の立場からいたしましても、事業主体を変更することがより適切である場合がないわけではないのであります。たとえば共済対象の田畑面積が非常にその区域内で少い組合にあっても、現在の建前では独立の法人である組合を作ります以上、総会あるいは理事者を要し、また専従職員も置かなければならないのであります。従って、その所要経費を負担する組合員数はきわめて少いのでありまして、組合員一人当りあるいは農地単位面積当りの負担額は相当重いという場合があるのであります。この負担の重いということが掛金及び賦課金の徴収困難の原因となりまして、ひいては事業運営の渋滞を来たすということになっている場合もあるのであります。このような事例は山間地帯組合のみならず、全国にその例は少くないのであります。かような場合におきまして現実に行なわれておりますのは、役職員の兼任あるいは事務所の併置でありまして、現に三十年度末現在では、市町村長と組合長の兼任が全組合の中で約一〇%、市町村役場と組合事務所を一緒にしておるものが約二〇%、こういうような状況であります。こういうような実態のもとにおきましては、共済事業の適正な執行と農家負担の軽減がはかられる限りにおいては、農家から自発的な要望がある場合には、農業共済事業市町村で行うということにつきまして、しいてこれを拒むべき理由はないと考えるのであります。従いまして、共済組合の行う共済事業規模一定の基準に達しない場合、その他政令で定める特別な理由のある場合におきましては、事業主体の変更を認めることといたしたのであります。その他政令で定める理由というものにつきましては、市町村でやらした方がより有利であるというようなことにつきまして、各方面意見を十分伺った上で検討したいと考えておりますが、以上述べましたところからいたしまして、事業主体の変更によって事業運営が適正化ないし効率化せられて、しかも農民負担が軽減されるということが、事業計画なり共済事業実施に関する条例——市町村の定める条例から十分明らかであるということが、不可欠な要件であると考えておるのであります。  事業主体変更に関します手続につきましても、さきに述べた趣旨から、慎重な取扱いをいたしておるのであります。組合の申し出と市町村の合意によって初めて都道府県知事に許可の申請をし得ることにしております。また組合が申し出の意思決定をするに当りましては、個々の組合員の意思を十分反映せしめる意味におきまして、総会の特別決議を要することとしております。  さらに、市町村が行いまする共済事業の種類につきましては、地方公共団体としての性格その他から見まして、公共的な事業に限る趣旨で、農作物共済蚕繭共済及び家畜共済に限定をいたしまして、任意共済事業につきましてはこれを行わないこととしておるのであります。なお、これに伴いまして、これらの地域農家の建物共済その他の任意共済の取扱いについては、第百三十二条の二を改正いたしまして、連合会が直接にこれらの農家と任意共済関係を結ぶことができるようにいたしてあります。  市町村共済事業を行う場合において、当然に共済組合連合会の会員になること、あるいは掛金及び賦課金を徴収し得ること、その他事業運営につきましては、それぞれ関係規定を改めまして、組合の場合に準じて取扱いをいたしております。  次に、改正案の骨子の第四は、指導監督の強化であります。共済事業運営が必ずしも適正に行われていないということは、会計検査院、行政管理庁の指摘にもある通りであります。これにつきましては、指導監督の衝にあるわれわれは責任を痛感しておるのであります。こういうふうな事態を生じました原因を深く反省いたしますと、まず、戦後の混乱時代に準備態勢が不十分なまま発足した当時の混乱が、今なお惰性として残存いたしまして、法律を守る意識に欠けておりはしないか。この点は、昭和二十二年の十二月に法律を施行しましたが、二十二年の水稲にさかのぼって法律を実施した。さらに、当初出発において法律通り行われておらなかった点が反省されるのであります。次には、役職員その他に対する訓練が足りなかったのではないか。これは別途お配りいたしております資料でごらん願いますように、先ほどちょっと市町村長と組合長の兼任の例を申し上げましたが、協同組合の長と共済組合の長の兼任はもっと多いので、六、七割になっておるかと思います。そういうようなあれがありまして、必ずしも共済制度運営なりあるいは趣旨について、どうやったらいいかという訓練が足りなかったということが一つありはしないか。それからまた行政庁の監督権限が不十分であった。そういう点があげられるのであります。従いまして、今次改正法案が幸いにして成立いたしますならば、拙速を尊ばずに、過去十年の今まで申し上げましたいろいろな点、あるいはそのほかいろいろ理由があると思いますが、それらを十分反省いたしまして、行政庁あるいは共済団体等の役職員はもちろん、個々の農家に至るまで、改正趣旨を徹底的に認識していただきまして、この法律の施行に対処する観念を根本的に改めたい所存であります。そのために、この法律の施行期日を昭和三十三年一月、すなわち約一年間の準備期間を置きまして、施行を急がなかったのも、いろいろな技術的な事情もありますが、十分な準備と啓蒙を行いまして、農業共済制度のほんとうの効果ができるような十分な準備をいたしたいと、こういう考えからであります。  次に、監督権限の強化の点でありますが、もちろんいたずらに権限強化のみを考えることは厳に慎むべきことと考えておるのでありますが、この際最小限必要な規定を整備する必要があると考えまして、第九十九条の二におきまして、組合段階の会計経理を法律上明確にいたしますとともに、第百四十二条の五におきまして、報告徴収に基く必要措置命令と事業の適正かつ効率化のための監督命令の規定を置いたのであります。すなわち現行では、必要措置命令につきましては、共済団体の業務または会計が法令に基いてする行政庁の処分または定款に違反すると認められる場合においても、第七十九条による検査を行なった後でなければ、必要措置命令が出せなかったのであります。報告を徴収した結果右の事実が明らかであれば、今度はあらためて検査終了まで待つ必要なく、またそれまで待っては時期を失することも考えられますから、検査を待たないで必要措置命令ができる、こういうふうに改めておるのであります。  次に、監督命令でありますが、現在必要措置命令は、さきに述べたごとく、法令または定款違反の場合に発動できるのであって、特に必要であっても不適当な行為については発動できないわけであります。たとえば当然免責すべき事由があるにかかわらず、組合理事者が免責を行わない場合、その他について、今回は監督命令を発し得ることとなるのであります。また従来の必要措置命令と異なって、あらかじめ検査手続を要しないで、不当な共済金支払いの一時停止もしくは支払方法の変更、その他緊急措置をとることも可能となるのであります。なお、この監督命令に農業共済団体が違反した場合には、行政庁は当該団体の役員の一部または全部の改選を命じ、当該団体が右の改選命令に違反したときは、当該役員を解任することができることといたしております。  以上で農業災害補償法改正案の概要と趣旨補足説明を終ります。  次に、農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率改訂臨時特例に関する法律案についての概要を御説明申し上げます。  これは、農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率につきましては、五年ごとに改訂することになっておるのであります。水稲及び麦につきましては本年がちょうど改訂期になっておるのでありますが、本来ならば、本年度におきまして共済掛金標準率改訂を行わなければならないのであります。しかし、先ほど来御説明申し上げましたように、農業災害補償法の一部を改正することになりまして、昭和三十三年度から引き受けの方式の変更、すなわち一筆反建から一筆石建に改める、そういうことにいたしますので、従来同一市町村には同一共済掛金標準率を適用いたしておりましたのを、より個別化いたしますと、さらに市町村の中の区域を幾つかの区域に区分いたしまして、その実態に即応した共済掛金率の設定を行うようなことといたしております。従って、制度改正が実現いたしますれば、新しく共済掛金率を設定いたさなければならないのであります。そこで、本年度改訂を行いましても、また来年度において新しい共済掛金率を設定いたさなければならないことになります上に、料率の個別化の作業等は、できれば法律成立早々、五、六月ごろから着手いたさなければならないというのでありますので、事務が非常に末端で複雑混乱をいたすおそれもありますので、その混乱を避ける必要もありますので、この際は料率改訂を一年延長いたすことにいたしたいのであります。  次に、もう一つ法律農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案について申し上げます。  臨時特例法は昭和二十七年六月に制定せられまして、これに基きまして、五カ年間を試験期間としまして、水稲と麦について全国から総組合の五%程度組合を選定いたしまして、農家単位の共済事業を行なってきたのであります。この農家単位共済につきましては、事業発足当時は全面的にこの方式に移行したらどうかというふうな考えもあったのでありますが、四カ年の実績を集計いたしますれば、その結果は共済金支払い対象農家が現在に比較しまして非常に減ってくる。また経営規模の大きい農家に対しましては、料率の面から、あるいは払い戻しの面から、今まで試験をやっておった通り方法では工合が悪い。何らかの工夫検討を要する。それからまた農家単位の方式の場合の料率の算定については資料が不十分であって、さらに検討を要する。それらの理由から、これを全然新しくやるとすれば、まあ利点を生み出すことがないわけではないのでありますが、従来の制度を直ちに農単に変えるということにつきましては、今申し述べました今までの農家に対する災害補償法に基くいろいろな受益の程度が変ってきますので、今直ちにこの方式に移行するということは無理かと存じますので、予定試験期間が満了されましたに伴いまして、この法律の附則第二項及び第三項によって、法律を廃止するとともに、必要な善後措置の経過措置をきめておるのであります。  以上三つの法律につきまして補足説明を終ります。
  25. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) それでは、お手元に「農業災害補償に関する新旧制度対比表」というのがございます。左側に改正案と書いてございまして、右側に現行と書いてございます。この表はただいまの局長補足説明をわかりやすく対比表に整理をいたしたものでございます。  簡単に御説明いたしますと、まず、共済なり保険なりを引き受けますその関係におきます分でございますが、それは第一点は、現在は一筆反建と申しまして、耕地の一筆ごとに、その耕地を基準にして引き受けておるわけでございます。従いまして、共済金額も反当りできめてございまして、各筆の収穫量と関係なく、組合内は各筆とも単位面積は一筆当りでは同一金額ということに相なっております。従いまして、今度は支払います支払共済金額は、(ロ)でございますが、被害程度が同じである、五割被害であるという場合には、どのたんぼでも、実際の減収石数が三石でありましょうと二石でありましょうと、五割という割合で、同一面積についてはもらう金は同じでございます。カッコ内といたしまして、支払共済金額は反当り共済金額かけることの被害程度別の支払割合、三割被害のときは共済金の一割を払うというふうにきめてございますので、その割合で払って参る制度でございます。それから(イ)の反当り共済金額を選びます場合には、農業共済組合収量区分及び危険階級ごとに制限がございました。ある組合の平均反収が二石以上でございますれば、その組合はAランクにくぎづけされまして、その組合の危険の度合いが第一階級に属します場合には、一万円から七千六百円までの中で組合で選べるという道が開かれておりましたが、一・五石未満で第四階級に属します組合につきましては、六千二百円から三千二百円の幅の中でしか選べない、こういう制度であったわけでございます。  それが改正案におきましては、一筆反建が一筆ごとの石建に変りました。従いまして、筆当りの共済金額というものは各筆ごとにその引受石数に比例して増減をいたすわけでございます。カッコの中で、筆当りの共済金額は、そのたんぼ石当り共済金額かけることのそのたんぼ引受石数でございます。従いまして、払われる場合の共済金額は、被害程度同一でありましても、減収の石数の絶対量の多少に比例をいたしまして各筆ごとに支払われることになります。従いまして、「実績」と書いてございますが、「実損」でございます。実損のミスプリントでございますが、実損に対しまする補償割合がバランスがとれて参る。こういう点が在来と変るわけでございます。もう一度申しますと、支払共済金額石当り共済金額かける引受石数から実収高を引きました共済上の減収石数に応じまして、石七千円なり五千円なりの割合で支払われるという関係に相なります。  そこで、(ハ)のたんぼ当りの共済金額はどうやって選ぶかという問題につきましては、数種類の石当り共済金額のうちから選択することになりまして、水稲の例で米価一万円と仮定いたしますれば、私どもの案といたしましては、七千円、五千円、三千円、二千円のうちいずれかを選ぶ、こういう制度にいたしまして、在来の収量区分とか危険階級とかという面から選択制限をしておりましたのが、全部とっ払うという点が在来との違いであります。  第二は料率関係でございますが、今までは危険階級は県の中を十二の区分にいたしております。それからその組合内の危険階級区域市町村ごとに一定危険階級に属せしめる、こういう建前をとっております。それから料率は五年ごとに過去二十年の被害率に応じて算定するという建前をとっております。それから国庫負担につきましては、通常共済掛金標準率のうちで全国の最低の県の平均被害率、水稲の場合ではただいまでは鳥取県がそれになっておりますが、鳥取県の右にならいまして、そこまでの線は国は全部三分の一を補助する、こういう建前になっておったわけでございます。  これに対しまして、先ほど御説明いたしました通り、危険の階級を十二から十八程度に広げまして、危険の多い所と危険のない所に料率実態を合せて参る。それから危険階級に属する単位といたしましては、市町村一括ということを、市町村の中を分けまして、被害の態様に応じて若干の区分をする道を開くということでございます。それから一筆石建ということは新しい試みでございますので、料率の面の検討等もなお必要でございますので、当分の間三年間ごとに更新をする、こういう考え方でございます。それから国庫負担の割合につきましては、その最低部分も一律に国が半分持つというふうに変えた点でございます。  その次は損害評価の関係でございますが、在来は全部行政措置でやって参ったわけでございますが、先ほど御説明いたしました通り損害評価を法制化いたしまして、それから農林大臣が定める準則に従いまして組合損害評価を行わなければならないということが、法律上の問題でございます。法律運用上の考え方は(3)に若干書いてございます。  それから第四は零細農家に対する関係でございますが、在来は組合員資格は経営耕地が基準でございまして、現在の省令では耕地一反歩以上ありまして米麦を作っておりますれば、当然組合員資格が発生いたすわけでございます。組合員資格が発生いたしました者は当然組合員と、(2)でなります。(3)で、組合員となりました者は、その意思いかんにかかわらず、自動的にそこに共済関係が発生する、個人の意思は入らない、こういう建前に相なっておったわけでございます。  この点を左のごとく改めまして、まず組合員資格の問題では、経営耕地という観念を米麦の耕作面積という観念に、第一点、切りかえます。それから第二点は、組合員資格がありましても、一定規模に達しない者につきましては、任意加入及び任意の共済関係の遮断を認める関係でございます。それから三番目に、当然加入、任意加入いたしましても、とにかく組合員になってはおるわけでございますが、特定の東北地方における裏作麦のような例でございますが、そういう場合には、麦だけを取り出しまして、そこで共済関係一定の基準以下の場合はとれる、かように零細農家につきましては若干の在来の画一的取扱いから緩和をいたしたわけでございます。  それから事業主体は、現在は全部組合でございますが、今度は、先ほど御説明いたしました通り、特別な事由がある場合には、市町村協議いたしまして、市町村にその事業をやってもらうことを申し出ることができる。市町村が、議会でやろうということをきめましたならば、知事の認可を受けた場合にやれる。こういうふうに事業主体に特例を認めました。  第六は省略いたしまして、第七は検査の関係でございます。これは先ほどの局長の御説明で詳しく申し上げましたので一応省略さしていただきます。  以上でございます。
  26. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) これにて休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩    —————・—————    午後一時三十二分開会
  27. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。  この際、委員の変更について御報告いたします。本日小笠原二三男君が辞任され、大和与一君が選任されました。   —————————————
  28. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続き、農業災害補償制度関係法律案議題にいたします。  まず、政府当局から本法律案に対する政令について御説明を願います。
  29. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お手元に「農業災害補償法の一部を改正する法律案の政令及び省令事項の概要」、こういう資料を差し上げております。これを御説明申し上げます。それと改正案新旧対照表をごらん願います。  まず、第十五条関係であります。十五条に組合員たる資格を有する者をきめておるのでございます。その中で、第十五条ただし書きに「命令の定めるところにより、定款で特別の定をしたときは、その定による。」、こういうふうにありまして、その命令の定めるところによるというのが、まず最初に出てくるわけであります。これは、原則はこの法律に書いてありますように、たとえば農作物共済では十五条の一号。新旧対照表の六ページを見ていただきます。その上の欄の十五条第一号で「水稲、麦その他第八十四条第一項第一号に規定する食糧農作物」——これは陸稲をさしております。「の耕作又はは養蚕の業務を営む者」、こういうふうに総括的になっておりますが、ただし書きで、定款で特別の定めをなす、その定款で特別の定めをなす場合の省令であります。それは今の政令及び省令事項の一になっております。これは農業共済組合は、水稲、陸稲及び麦の耕作面積が合計一反未満、北海道では三反歩未満、かつ年間の掃立卵量が十グラム未満のものに対しては、定款組合員の資格のない旨を定めることができる。従来は省令の第一条で、一反未満土地耕作者、北海道にあっては四反歩未満、そういうふうになっておったのであります。すなわち、先ほど御説明申し上げましたように、果樹であろうが、蔬菜であろうが、何であろうが、一反歩以上を作っておる者は、いかに米麦の作付が小さくても、組合に強制加入ということになっておったのでありますが、今度は、それぞれ水稲、陸稲、麦の耕作面積の合計が一反未満、すなわち合計一反歩以上であるものが組合員になる、こういうふうに直したのであります。耕作面積で押えたのであります。  それから、その次は第十六条関係であります。これは任意加入者の資格基準について定めております。対照表の七ページの上の方、終りから三行目をお願いいたします。これは八ページの二行目に「但し、その営む同号の業務の規模が省令で定める基準に達していない者については、この限りでない。」、十五条の資格者の中で、今十五条の省令で除かれたものの中で、農業共済組合定款で、水稲、陸稲及び麦の合計面積が二反歩未満、北海道は五反歩未満、かつ一年間の掃立卵量が十五グラム未満のものを任意加入資格者とすることができる。すなわち一反歩以上の耕作者で二反歩未満のものは任意加入の資格者になる、こういうことであります。  それから、その次はずっと飛びまして、八十五条の二の関係であります。四十六ページをごらん願います。上の欄の中ほどにあります。これは事業実施主体の変更の申し出ができる場合の規定であります。八十五条の二では「農業共済組合は、その行う共済事業規模が主務大臣の定める基準に達しない場合その他政令で定める特別の事由がある場合には、あらかじめその区域を管轄する市町村協議し、総会の議決を経て、当該市町村に対し、当該市町村が本章の規定により共済事業を行うことにつき申出をすることができる。」、こういうふうになっております。そのまず前段の、主務大臣の定める基準に達しない共済事業規模というものを(一)で書いております。それは只事業実施主体の変更の申出ができる場合の主務大臣が定める基準)市町村共済事業を行うことについて農業共済組合が申出をすることができる場合は、当該組合の総共済金額が当該都道府県内の一組合当り共済金額の二分の一に達しない場合とする」、こういうふうに一応きめております。これは大体現在の調べですと、三十一年の組合数、約六千三百ばかりありますが、それの二割七、八分が都道府県内一組合当り共済金額の二分の一に達しない組合に該当します。大ざっぱにいって、全体の組合の三分の一ということになっておりますが、六千三百というのは、市町村合併に伴って共済組合の合併がまだ進行途中でありますから、市町村合併が進んできますと、この共済金額は、平均の二分の一に達しない割合というものが変ってくると思いますが、大体二割六、七、八分が主務大臣の定める基準、すなわち事業実施主体の変更を申し出る資格のある組合、その中でうまくいっている組合もあるはずでありますから、必ずしも全部が申し出るというわけではありません。それから、第二段の「その他政令で定める特別の事由がある場合」、これは(二)に書いてあります。「市町村共済事業を行うことについて農業共済組合が申出をすることができる場合は、(一)の場合の外、次のとおりとすること。一 事業運営又は業務の執行が著しく円滑を欠いている場合。二 事業実施主体の変更により、事業運営又は業務の執行が効率的に行われ、当該組合組合員の負担が軽減されることが明らかである場合」、こういうことを予想しておるのであります。たとえば会計検査あるいは行政庁のいろいろな指導がありまして、不当の指摘を受けて、それをなかなか直さないというような場合は、組合員の中から組合にそういうことを申し出ることができるというふうになると思います。  それから、その次は、八十五条の三の関係であります。これは、八十五条の三は、「市町村は、前条第一項の申出があった場合において、その申出に基き共済事業を行うことを必要且つ適当と認めるときは、都道府県知事の認可を受け、当該申出に係る農業共済組合区域に相当する区域において、本章の規定により共済事業を行うことができる。」、こういうふうになっております。そこで、それの第四項にいろいろなずっと手続があるわけでありますが、「都道府県知事は、第二項の規定による申請書の提出を受けたときは、これを受理した日から二箇月以内に、省令の定めるところにより、当該市町村に対し書面で認可又は不認可の通知を発するとともに、その旨を当該申請の原因となった前条第一項の申出をした農業共済組合に対し書面で通知し、且つ、認可処分に係る場合にあっては共済事業の実施区域を明らかにして公示しなければならない。」、ここの省令があります。これは、市町村共済事業を行うことについて、認可等の通知あるいは公示に関する様式とか、そのほかの手続規定を書くことになっております。  それから、その次は八十五条の四でありまして、八十五条の四は、組合市町村事業の移譲を頼んで、その市町村が認可を受けた場合に、経過的な共済事業が残るわけであります。その関係のことを規定しておるのでありまして、権利義務を一切市町村で引き継ぐのでなしに、一応従来のものは組合で引き継いで収束し、新しい共済事業から市町村に移譲する、こういう建前をとっておるのであります。そのことが八十五条の四に書いてあるのであります。そこの中で、五十一ページの第四項にありますが、家畜保険に関することでありまして、そこで「前項後段の規定により政府が払いもどすべき家畜共済に係る再保険料は、農業共済組合連合会が払い込むべき家畜共済に係る再保険料で省令で定めるものと相殺することができる。」、このことは「政府が払い戻すべき家畜共済の未経過再保険料と相殺できる連合会の支払うべき再保険料は、事業実施主体の変更の後引声続いて市町村の家畜共済に付された家畜に係る再保険料とすること。」、そういうことを規定をいたしておるのであります。  それから、次は八十五条の五でありまして、五十二ページのちょうどまん中辺であります。これは事業実施主体の変更に伴う経過規定に関する政令であります。これは経過規定の、事業実施主体の変更の場合における組合の申し出、市町村共済事業の開始、組合共済事業の結了等に関するいろいろなこまかい手続規定を政令で定めようとするものであります。  その次、第七は八十五条の六でありまして、これは都道府県知事共済事業実施区域の拡張認可につき行う通知及び公示に関する規定でありまして、これは四に準ずるのでありますが、様式その他手続であります。  それから、その次は九十九条の二でありまして、六十四ページをごらん願います。政令事項の四ページの八、法第九十九条の二関係であります。これは一項は従来通りでありますが、二項の関係が新しく入るわけであります。「共済事業を行う市町村は、当該共済事業の経理については、政令の定めるところにより特別会計を設けてこれを行い、その経費は、当該共済事業による収入をもって充てなければならない。」、こういう規定を入れております。その勘定区分の規定であります。九十九条の第一項の省令の分は従来と同じでありまして、(一)で書いておりますが、「農業共済組合は、その会計を農作物共済勘定、蚕繭共済勘定、家畜共済勘定、任意共済勘定、業務勘定の別に区分して経理しなければならない」、これは従来通りであります。それから(二)、今度は、今の新しく入りました市町村が行う場合も、特別会計を設ける場合、右と同じ勘定区分を設定しなければならない、こういうことを政令できめようとしておるのであります。  それから、その次は百四条関係であります。これは組合員の資格になった場合、「第一号資格者が農業共済組合員の組合員となったときは、命令で定める場合を除いて、その時に、その者と農業共済組合との間に農作物共済及び蚕繭共済共済関係が成立するものとする。」、こういうことでありますが、命令でいっている場合は除いております。これは従来からあるのでありまして、大体開拓者等を除くということであります。一定の期間が経過しない開拓者、大体四年を経過しない開拓者は除くと、こういうことになっております。百四条第一項の「命令で定める場合を除いて、」と、こういうことであります。これは従来の施行規則第二十七条に、「共済事故の発生すること又は発生しないことが確実であると認められる場合その他特別の事由に因って著しく公平又は厳正を欠く虞があると認められる場合には、農業共済組合は、あらかじめ都道府県知事の認可を受けて、当該共済目的につき共済を行わないことができる。この場合には、法第百四条の規定による共済関係は成立しない。」、この適用があるのは、今開拓関係が適用がありますから、この二十七条の規定をそのまま将来も置くことになります。それから第二点は、農作物共済等の資格者について条例を特別に定める場合についての命令であります。第三項、六十七ページの終りから二行目にあります。「第八十五条の三第四項若しくは第六項又は第八十五条の六第三項の公示があったときは、命令で定める場合を除いて、その時に、当該公示に係る共済事業の実施区域内に住所を有する第十五条第一項第一号に掲げる者と当該公示に係る市町村との間に農作物共済及び蚕繭共済共済関係が成立するものとする。」、これは文章が非常に法律を引いているから、簡単に申し上げますと、これは八十五条の三によって二以下で市町村共済を行う場合には組合の場合と同じ関係が起るということを書いているにすぎないのでありますが、法律をでかでかと引いておるから、こういうふうな書き方になりますが、そういう場合にも、この(一)の場合と同じように、特別の場合を条例で定めることができる、従って(一)に準ずる。それからそのただし書きに、「その営む同号の業務の規模が命令で定める基準に達していない者については、この限りでない。」、これもやはり任意加入範囲市町村と同じにやるわけでありまして、まあ市町村がやる場合を繰り返しているにすぎないのであります。  それから、その次は百四条の五の関係でありまして、七十一ページをごらん願います。これは農作物、蚕繭共済関係を停止することができる場合の基準に関する省令でありまして、これは先ほど来説明がありますように、米なら米については大きい規模の耕作をやっておるけれども、裏作の麦の耕作が非常に少いというふうな関係で、その非常に少いものは共済関係をはずすことができる、こういう規定を置いておるのであります。これはちょっと読んでみますと、「組合等との間に農作物共済及び蚕繭共済共済関係の存する者は、左に掲げる共済目的の区分ごとに、」——次のページを見ていただきます。一、二、三、四、五と共済目的の基準があります。「そのいずれかの区分の共済目的についてのその者の営む第十五条第一項第一号の業務の規模が省令で定める基準に達しないときは、省令の定めるところにより、組合等に対し、その達しない年ごとに、当該区分の共済目的について農作物共済及び蚕繭共済共済関係の停止の申出をすることができる。」、すなわち毎年米は一町作っておるけれども、麦はここに規定いたしますように一反未満しか作っていないという場合には、麦の分だけを共済を停止するということができる、すなわちその基準を書いておるのであります。それからそこに「省令で定める基準に達しないとき」、そのときには省令の定めるところによると、こういうことがありますが、そのあとの「省令の定めるところにより、」が(二)であります。これが申し出をする手続規定でありまして、「農作物共済及び蚕繭共済共済関係の停止の申出は、共済目的共済責任期間が開始する時期の一定期間前までに書面で行わなければならない」、こういう手続を書こうとするのであります。  それから、その次は百五条関係でありまして、これは共済の約束を農家組合がする場合の規定でありまして、百五条の第一項に、「組合員等は、命令の定めるところにより定款等で特別の定をした場合を除いては、毎年農作物共済又は蚕繭共済に係る共済責任期間の開始する時までに組合等に、共済目的を明かにすべき事項を記載した共済細目書を提出し、且つ、共済掛金を払い込まなければならない。」、すなわち共済責任の開始する原則として、植付、稲についてはいわば田植えの前でありますから、その前に共済細目書を出して掛金を払い込まなければならない、しかし命令の定めるところによって定款で特別の定めをした場合は、共済責任開始後でもいい、こういうことを書こうとするのでありまして、政令案の方の十一を見ていただきますと、「組合等は、共済掛金の払込の時期につき、定款等で特別の定をする場合には、その時期は、共済責任期間開始後二箇月以内でなければならない」、すなわち田植えが六月ならば八月までは定款で掛金の払い込み等の猶予を定めることができる、こういう規定をしようというのであります。  それから百六条関係であります。法律の七十三ページであります。これは共済金額を定めることについてのことであります。第百六条第一項では、「農作物共済共済金額は、共済目的の種類ごと及び共済目的である農作物の耕作を行う耕地ごとに、単位当り共済金額に、当該耕地に係る平年における当該共済目的の収穫量の百分の七十に相当する数を乗じて得た金額とする。」、それから第二項もついでに申し上げます。「前項の単位当り共済金額は、共済目的の種類ごとに、当該共済目的に係る収穫物の単位当り価格の百分の七十に相当する額を標準として主務大臣が定める最高額と最低額の範囲内において省令の定めるところにより組合等定款等で定める金額とする。」、これが先ほど説明いたしました最高額、最低額——石当り七千円、五千円、三千円、二千円という説明をしましたが、最高は単位当り価格の百分の七十に相当する、すなわち単位当り価格、米で一石当り一万円とすれば、七千円、それを標準としまして、最高額と最低額の範囲内において定めるということであります。  それから十三、第百九条の関係であります。七十八ページをごらん願います。百九条の二号、「蚕繭共済にあっては、第百六条第三項の共済金額に、被害程度に応じて省令で定める率を乗じて得た金額」、こういうのであります。これは従来の省令と同じでありまして、念のためにここへ掲げておるのであります。  それから十四は、第百十一条の規定であります。これも家畜共済関係でありまして、従来と同じであります。ちょっと長いのですが、その中ごろに、「議決をしたときは、省令で定める場合を除き、」というのがあります。たとえば短期間の肥育牛のような場合は除くというのでありますが、これは従来と同じでありますから、説明を省略いたします。  その次は十五、第百十三条の関係でありまして、家畜共済について、死廃病傷共済に付し得る家畜の年令制限の例外に関する省令であります。これは「死廃病傷共済に付し得る家畜の年令制限規定は、共済事業実施主体の変更の後引き続いて市町村の家畜共済に付される家畜について適用しない」、こういうことであります。  それから、その次は十六、第百十八条、これも家畜関係のやつでありまして、これは共済責任期間開始直後に生じた事故についての免責の規定は、十五の家畜について適用しない、すなわち市町村以上の家畜については適用しないと、こういうことを書こうとするものであります。  それから、その次は十七、第百三十条、九十二ページであります。これは共済組合連合会の勘定区分に関する省令でありますが、これは従来通りであります。  それから、その次は十八、第百四十三条、百一ページであります。これは損害評価会に関する規定でありまして、「組合等及び農業共済組合連合会に、損害評価会を置く。」、「損害評価会は、定款等の定めるところにより、共済事故に係る損害の防止及び認定に関する重要事項について調査審議する。」、それから「損害評価会は、前項に規定する事項に関し学識経験を有する者のうちから、定款等の定めるところにより当該農業共済団体の理事又は共済事業を行う市町村の長が選任した委員をもって組織する。」、この損害評価会につきまして、第四項で、「前三項に規定するものの外、損害評価会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」、こういうのでありまして、損害評価会の委員の任期なり、部会なり、議事の運営等について規定しようとするものであります。  それから十九は、付則第六項でございます。百七ページであります。共済基金法の改正に関するところでありまして、共済基金法第四十五条第一項に、連合会はその基金に対する出資金のために、醵出金を会員から徴収することができるということでありまして、その第二項に、「前項の規定によるきよ出金の各会員への配分は、各会員の農作物共済蚕繭共済及び家畜共済のうち省令で定める家畜に係るものについて、共済目的の種類別に省令の定めるところにより」と、ここのところに出てくるわけでありますが、その特別醵出金を市町村に納付する場合によるべき省令、「共済事業を行う市町村との間に共済関係が成立した者が納付すべき特別きよ出金の額は、その市町村共済事業を移した農業共済組合区域ごとに、農業共済基金法施行規則第十四条と同様の算式により算出された金額とする」というのでありまして、これは従来の組合と同じことを市町村の場合にも算定すると、そういうことをきめようとするものであります。  以上が政令、省令、その他主務大臣が定める基準等の内容であります。
  30. 堀末治

    委員長堀末治君) 御質疑のある向きは順次、御質疑を願います。
  31. 島村軍次

    ○島村軍次君 それでは、漸次承わります。  一筆石建にやることに対して、ここに概要の説明書によりますと、七千円、五千円、三千円、二千円、こういうふうになっております。そこで普通の場合における負担の金額がどう減るか、つまり平たく、さきの表の方に出ておったのかもしれませんが、たとえば二石なら二石という普通の収量の場合においては、どういうふうに負担が減ってくるかということを、端的に。
  32. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは資料の一にお配りしている、「筆石建制度について」という、こういうふうな表があります。三枚つづりでありますから……。
  33. 島村軍次

    ○島村軍次君 これで一つ説明を願いますか。
  34. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 資料一「一筆石建制度について」、その表をごらん願います。  「一、一筆石建制度とは。(イ)耕地一筆毎に」、これは農家が耕作する全耕地の一筆ごとにという意味でありまして、今の臨時特例法を廃止する法律農家単位ごとというのとは違うということが、カッコ内の説明になっております。その耕地から収穫される米麦収量石数を基準としまして保険に、あるいは共済に付する制度であります。これはカッコの中で、耕地被害割合に応じて共済金が支払われるのは反建制であります。耕地の一筆ごとにというのは反建制でも同じでありますが、収量に応じて払われるのと、面積に応じて払われるのと、各筆の被害割合に応じて払われるのとは違う。  二は、一筆反建制においては、三割未満被害割合は保険に付さない、こういうことになっておりますが、これは、対照表の七十七ページをごらん願います。百九条で、従来の下の欄を見ていただきますと、「農業共済組合は、左の場合において、被害程度に応じて、共済金額に命令で定める率を乗じて得た金額に相当する共済金組合員に支払うものとする。」、その中で一は、「農作物共済にあっては、共済事故による減収が平年における当該耕地の収穫量の百分の三十を超える場合」、つまり三割以上の被害の場合に、三割から四割までは何ぼ払う、四割から五割までは何ぼ払う、こういうふうになっておるのを、上段のようにきめるのでありまして、「組合等は、農作物共済にあっては共済事故による共済目的の減収量当該耕地の平年における収穫量の百分の三十をこえた場合」と、こうきめておるのでありまして、これは一筆石建制でも、三割以上の被害の場合に共済または保険の対象にする、こういうことにきめておるのであります。  そこで、三のところを見ていただきます。「収穫期におけるこの筆の実収量が確立した場合、その実収量が保険(共済)にかけた量以下である場合、その差額の石数共済金額を乗じた金額共済金として支払われる」、すなわち基準数量が二石二斗のたんぼであったとします。その場合には、それの七割を共済にかけると、すなわち百分の三十をこえる場合においてだけが対象になりますから、つまり七割の分が引き受けになる。そうすると、二石二斗の七がけでありますから、一石五斗四升になります。そのときの収量が五斗四升しかとれなかったといたします。そうしますと、引受石数と実収高の差額について共済金額を乗じた金額共済金額として支払われることになりますから、一石分について共済金額を支払われる。共済金額組合ごとに七、五、三できめますが、たとえば七の最高の金額を選んでおる組合とすれば、この場合は一石に七千をかけて七千円の共済金がもらえる、こういうことになるのであります。  その次のBを見ていただきますと、一筆石建の場合でありますと、収量でいきますから、一番左の欄にたんぼによって三石から一石、こういう例があるといたします。そうしますと、それぞれ七がけが引受石数になるわけであります。その石数基準収量が同じたんぼならば、同じであります。石当り共済金額を幾らにするかというのは、組合選択を認めようと。それが上の欄の七千円、五千円、三千円、二千円、こういうことになるわけであります。それぞれに応じて、かりに全村の場合であるといたしますならば、三石の場合で、二石一斗が損害になる。そうして石当り共済金を七千円を選んだとすれば、一万四千七百円がもらえる。最低の二千円を選んでおるとすれば、四千二百円がもらえる、こういうふうになるわけであります。それが石数が減るにつれて、たとえば一石の場合であれば、七斗が引受石数になって、七千円の場合は、これは最初かけた四千九百円が共済金額になる。その場合二千円をかけたとすれば、千四百円がもらえるということになるわけであります。  現行の場合が、「現行反当共済金額」と、こういう欄でありますが、先ほど来の説明にありますように、市町村の平均基準収量によって、市町村組合別に共済金額をきめております。すなわち(二石以上)Aの分、(二石未満一・五石以上)Bの分、(一石五斗米満)C、こういう三つの選び方に組合ごとにさしておるわけであります。従いまして、これは全損の場合の金額をそれぞれ比較しておるわけでありますが、二石以上の地域では、一万円から六千四百円までの組合単位で選択制が認められておったのであります。  これは、その次のページを見ていただきますと、今の全損の場合の現行のA、B、Cの分け方、これがAの分について被害程度に応じまして……。ちょっとミスプリントがありますが、収量区分、「各陸階級区分」とあるのを「危険階級区分」と御訂正を願います。危険の程度に応じて、危険の多い村は高い金額を選び、危険の少い村は低いものを選べるというふうにやっておったのでございます。これは、しかし町村の中では一律であります、一反当りの金額でありますから。こういうふうな分け方になっておるのを、今の表の現行の欄の左の欄に集約して載せておりますが、実際の内容は、こういうふうに分れて、A(二石以上)の分でも、さらにその組合の属する危険階級区分によって実際はさらに選択範囲制限されることになっておるのを、一応一万円から六千円、八千円、四千八百円である、こういうふうにこの表では区分けしておるのでありますが、危険の度合いの多い所で、最高の石当り共済金額を付しますれば、収量の多い田では、その収量の多い共済金額はもらえると。危険の非常に少い場合は、共済金額をもらうチャンスが少いわけでありますから、共済金額を多くすれば、共済掛金が高いのでございますから、準備をしないでもいいというならば、安い共済金額をかけるということになるかと思います。安くなければこれはもらう金額も安くなる、こういうふうになってくるのであります。  すなわち、一筆石建と反建では、各筆の実際収量に応じて共済金額がきめられ、共済金の支払いを受け得る制度になっているのであります。  これが一筆石建の大体概要であります。
  35. 島村軍次

    ○島村軍次君 百姓にわかるように説明をしてもらいたいと思います。それはですね、今までは私のたんぼは二石五斗なら二石五斗、いいですか、二石五斗であった。そうして反建の場合に、被害がかりに五割なら五割という場合におきましては、今までは何ぼもらっておったけれども、今度は何ぼもらうのか。それから掛金もどうなるのですか。こういうことを端的にわかりよく一つ局長でなくてもけっこうですから。
  36. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) もっと詳しい資料は、この「農業災害補償制度に関する資料」の十六ページをごらん願います。これはB表に反当農家負担掛金の比額表をつけているだけであります。ここで申し上げますと、現行で二石以上の階級に属する組合でですね、最高の共済金額を選んでいるといたしますれば、反当二百四十三円の掛金をかけているわけであります。それは三石とりのたんぼでも二石とりのたんぼでも、あるいはこれは平均二石以上の組合ということになっておりますから、その中には実際には一石五斗なりあるいは一石のたんぼもあり得るわけであります。しかし、それらはかりに一万円の共済金を、これは組合一本で選んでおりますから、やれば、一律で反当二百四十三円、収量いかんにかかわらず払っておった。そうしてもらう金は、全損の場合には一万円をもらえるということになっておったのです。これはやはり収量いかんにかかわらず、一万円であった。  今度の場合には、左の方で見ていただきますように、三石とりのたんぼであれば、最高の七千円の共済金額を選んだ組合でありますれば、三石の場合は一万四千七百円、全損の場合もらえる。そのかわり、掛金は三百三十四円になりまして、約九十円の増加になるわけであります。しかし、その村で現実に一石しかとれない、あるいは一石五斗しかとれないというたんぼがあるとすれば、そのたんぼの掛金は、一石五斗の場合であれば百六十五円、一石の場合であれば百十一円、そうして一石五斗の場合であれば、全損の場合ならば七千三百五十円、一石の場合であれば四千九百円をもらえる、こういうふうになるのであります。これは損害程度によって、五割被害とか六割被害とか、一割ごとに金額のもらい方は違うのでありますが、それは少し複雑になりますから表に出ておりません。全損の場合の比較は以上の通りであります。
  37. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると、私の結論的に聞きたいのは、たとえば二石五斗の場合は、二石五斗を一つ基準にとってみて、そうして七千円の場合には一万二千二百五十円、そうして二百七十八円と、こうなります。掛金が。そこで、その村が従来一万円であったとすれば、共済掛金も二百四十三円であったものが、七千円の何というか、区分に従えば、これは高くなる、こういう結論になる。そうして同時に、これを五千円にすれば百九十九円で済み、反当二百四十三円に対して百九十九円で済む。こういうことになるのですが、そこでたとえばその判断はこれは各組合ごとにやるだろうと思いますが、端的にいって、ある一つの村の例をとって、こういう計算をした表が出ませんか。例として……。これで大体のことはわかりますが、しかし掛金が一体減るのか減らぬのかという場合の、たとえば島村なら島村という村に対して、従来一万円であったか、あるいは八千四百円であったか。一つの事例をキャッチして、それを今度の改正・案の一筆石建にすれば、まあ村によって違いますよ、それは。村によって区分が違うんだからして、等級の場合には、二布五斗なら二石五斗の場合においてはどうなる、こういうものが、簡単に出る表はありませんか。これは高等数学でないと出ないのですか。
  38. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは何といいますか、従来の実績はわかるわけですね。今度はそれににらみ合して、今までの災害の頻度、それからもらった共済金、掛けた金額とあわせて、そして七千円を選んだらいいか、五千円を選んだらいいか、逆算的に今度は新しい選び方が出てくるのではないかと思います。ただ、おっしゃる比較でありますれば、今度どれを選ぶかという認定が……。
  39. 島村軍次

    ○島村軍次君 だから、一万円の場合に、これは普通常識で、一万円の場合には普通なら七千円をとるべきだ、あるいは五千円をとるべきだということが、おおよそ常識的に考えられはせぬかと思うのです。そこで、七千円にすればこうだ、しかしそれはどうも、ちっと掛金が、これでいけばちょうど三石五斗の場合でも二百四十三円が二百七十八円になり、高くなる。だからして、五千円をとれば減ってくる、こういう計算になってくる。しかし、果して五千円というものが一万円の場合に比して、五千円が適当であるかどうかということは、これは組合で判断する問題ですけれども、百姓からいえば、まああなたはよけいもらおうと思えばよけい掛けたらいいじゃないか、こういう結論で、組合の方は指導するでしょうが、しかし常識的に、おおよそこのぐらいの程度に考えられるんだということが出ませんか。まああとで……。ちっとこまか過ぎますから、あとでその表があれば、できたら承わってもいいのですが、しかし、これは一つ指導方針としてはやっぱり、なぜ一体石建にしたらいいかということには、今までのお話で大体のことはわかりますよ。説明でわかりますが、一体私の今までやっておったやつを、これはどうしたらいいですかという質問に対しては、これは今度の方がこういうふうに安くなるのだ、しかしあなたは、七千円だと高くなるから、五千円にしたらいいといって説明するでしょうが、その場合に、それじゃ高くなる……。しかし石建のありがたみというものは一体どうなんですか、こういうことになってくれば。各農家については、もっと簡明に説明し得る数字というものが出わしませんか。
  40. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) あと工夫してみますが、結局何といいますか、災害の多い所はやはり災害対策として、掛金が多くてももらう金額の方を先に考えますから、高いところを選ぶ。その高いところを選ぶ場合に、村の中で収穫量の違うたんぼがずっとあるわけですから、どの村でもおそらく、全国平均が二石何ぼというものですから、まあほんとうの均一の平坦地のたんぼなら、平均収量産額が三石何ほ、四石というものになって、そう変らないと思いますが、日本の村ではやはり山間地、平地が相当ある。そこで、その村のそういう実態に対して、災害がどう起ったかということで、その一番大きい災害を防止するところが勢力を占めて、従来のものであれば、反当一万円を選ぶか六千円を選ぶかであったと思うのですが、ところが、今度は反当でなしに、石当に開かれますから、もう一ぺん考慮の余地が出てくるわけであります。石当に開かれますから、危険が何といいますか、持っているたんぼに比例してもらえるということになるのでありますから、従って、選ぶ金額災害の多い所はおそらく最高を選ぶ。これは間違いないと思いますが、その中間の所は、できるだけ下の方を選ぶ。それからほんとうに五年に一ぺんとか、七年に一回とかいう所は、最低を選ぶのではないか。概して低いところを選ぶのではないかと、こういうふうに考えます。しかし、今の比較表のものは、もう少し工夫して、わかりやすく考えてみたいと思います。
  41. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連して。この掛金率改訂が五年ごとに行われることになっておるのですが、この掛金率改訂した場合におけるこれは何ですか、危険率の改訂をどれくらいの計算で……。どこの県にも通ずるような標準なんですか。この掛金の何は、全国一律に同じなんですか。
  42. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この表は、これは例示をしておりますから、これは従来通り県によって掛金率はみな違ってきます。
  43. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 従って、個々の農家も全部違うというわけですか。
  44. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 県ごとに違います。しかし、令度は県の中の階級を細分しますから、これは何というか、サンプルで、わかりやすくしたものです。
  45. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 了承しました。
  46. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、一筆石建にすることは実情に合うようにという意味はわかりますが、総体的にいって、掛金が、国庫負担の割合が違っていたでしよう。通常災害の場合でも、国庫負担をする、こういうことになったのだから、そういう全体を通じての掛金と、一筆といってはおかしいが、ある一つの例をとって、そうして国庫負担ではこうふえ、こういうふうに掛金が減るのだ、一つの基準を取った場合には減るのだという表が、一つの例示として出るべきじゃないかと、私はこう思うのです。それは何かありますか。
  47. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 資料の三十一ページをごらん願います。こういう図面があります。これが掛金の農家負担と国庫負担の図面でありまして、従来は一番下の分が三分の一が国庫負担で、三分の二が農家負担であった。今度は一番右の欄のように、全部通常、異常の分は二分の一を国庫負担にすると、こういうふうになっておるのであります。これは一番左の鳥取県の例があるわけで、鳥取県が災害が一番低いわけでありますから、鳥取県といたしましては、これは二十九ページを見ていただきます。共済掛金標準率、これは二十七ページの水稲の場合を見ていただきますと、鳥取県が一番低くて、通常共済掛金標準率は一・三八一であります。それが三十一ページの図面の一番下の分になるわけであります。ところが、そのまん中の図面はそのほかのある県であります。で、その分は通常掛金標準率というものはもっと大きいわけでありますが、鳥取県に相当する分だけは一律に三分の一を農家が負担するということになっておったのであります。そこで、さらに今度は異常共済掛金標準率というのが、県によって非常にまちまちになってくるわけであります。さらに超異常共済掛金標準率共済掛金標準率というものが違うわけであります。たとえば北海道のごときは、超異常共済掛金標準率が非常に大きいのであります。青森等も大きいのであります。そのかわり、たとえば山梨、長野、岐阜というような所は、超異常共済、つまり異常な災害が起る率が少い、こういうことであります。従いまして、今度は全部がこの一番下まで二分の一になりますから、通常部分と異常部分との比率が、異常の分が大きいほど、掛金負担を、国を二分の一にすることによって、受ける影響が少くなってくるわけであります。すなわち一番下の鳥取県の分だけを三分の一にするのでありますから、その増加する比率が、全体に占める割合が、異常の分が大きければ大きいほど少い、こういう結果になってくるのであります。  これは掛金国庫負担分だけでありますが、お話の端的に農家の掛金がどれだけ安くなるかということは、何といいますか、いろいろな仮定を置いてでないと、すぐは出てこないと思います。結局、今までの実績に基いて、危険の頻度と、それから今度こういうふうに何といいますか、A、B、Cの階級で組合ごとに分けられる、そういう制限を撤廃されて、どの村でも石数に応じて払う、それから国庫負担共済金額を七・五・三・二のどれを選ぶか、それの相関関係と、従来の被害が起った頻度との関係、それから今の従来払った掛金と、今度の新しい制度によってどの石当り金額を選ぶか、それから出てくる掛金の額、それの比較によって出てくると思うのでありますが、おそらく今までは、この制限があるということによって、もっと掛金を安く、反当共済金は低くても掛金は安くしたいと思っても、できなかったのが、今度の制限撤廃されることによって、低く選べるということができてきまして、これは一方からいうと逆選択といって、保険の計算からいうと非常にむずかしい問題が出てくるのでありますが、実際は安い共済金石当り共済金を選ぶ組合がふえてくるのじゃないか、こういうふうに想像しております。
  48. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、従来のAのたとえば数字が、全国的に作ってきたのだろうけれども、Aの一万円から六千四百円のうちで、中間なら中間というのがとられておったのだといえば、それを基準にして、今度の場合の二石ごとなら二石ごとというものを基準にとって、その場合には五千円にするか、七千円にするか、選択するのでありますが、逆に七千円の場合にはどう、五千円の場合にはどうという数字ができそうなものじゃないか。それは今御答弁ならないでもよろしいから、もしできるようだったら、あとで一つ見せていただきたい。
  49. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 見てみます。
  50. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、この一筆石建にするということは、つまり三十三年の一月に施行するまでの間に準備していたのだろうと思うのですが、ところが、従来会計検査院とか、それから行政管理庁あたりでやった例からいって、われわれ毛決算委員会でちょいちょい見て歩きましたが、とにかくその村の共済の職員というものは、端的にいえば、もう今まではとにかく一律に一応計算する、めんどうな計算を出してやるけれども、共済金がきまってくれば、実際はもう一律に、次郎兵衛も太郎兵衛も同じように、反当何ぼでやってしまう。被害程度なんかというものは、ほんとうは考えるべきだけれども、そういうことはなしにやってしまったという例が、非常にたくさんあった。そこを突っ込まれておるのだろうと思う。そこで、今度はそういう点が、今度の改正によって完全に払拭できるかどうかということが、説明し得ますかどうか。
  51. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、今までのやつは、何といいますか、被害割合に応じて一筆ごとに、このたんぼ基準収量に対して何割の被害であるから、何割の金額を払うということになっております。一方、それを査定いたしますのには、三割以上の被害面積、それから区分の被害面積を、連合会なりあるいは統計調査部でやりまして、単位組合でやったのとは違う面積が出てきます。そうしますと、被害程度の高い方から払っていきますから、被害程度の低いところには払えないということが起ったわけです。そうしますと、組合としましては、当事者としましては、せっかくお前の田は三割以上の被害を認定したにもかかわらず、払えないというところから、仰せのような一筆反建にするとかいうことがあったのでありますが、今度はそういう面積でなしに、被害石数に応じて払っていくということになってくるわけです。先ほど一筆石建ということを申し上げたのですが、基準収量をもとにして、その七掛が引受収量になりますから、引受収量と実収穫収量との差額、それが減収量になりますから、それに対して石数に応じて払うということになりますから、その石数に応じて払うと同時に、十石の被害として組合報告したのが査定を四石に受けた場合には、四石に一律に按分して削減して払う、こういう制度を認めることになります。そうしますと、今までのように、会計検査院で対象耕地に配ったという批難はなくなるわけであります。でありますから、今までたとえば会計検査院の三十年度の決算で、六百九十八組合の中で、今の三割未満耕地を含めて配分したものが二百十八という数字が、会計検査院の指摘で出ているのですが、その分は問題はなくなるわけであります。ですから、相当大きい部分が、一筆石建にすると同時に一筆削限の制度を認めることによって、解消できるわけであります。反建では一筆削減ということができないわけで、一筆石建にすることによってそれができるわけであります。
  52. 島村軍次

    ○島村軍次君 さっきの例で、一石五斗四升ですか、あれでいけば、差し引いたことで、それがこの表のうちへ当てはまっていくわけですね。そこで結局問題は、損害の、つまり被害程度の問題になってきますね。それは先ほどお話しのように、かりは十石の申請をした農家にとって考えれば、それが十石であって、そうして引き受けが七石ということになれば、なったものを査定の結果四石だ、そういうことになっていくと、その比率に応じて配分していく、こういうお話でしょう。そこで、それはわかりますが、四石の査定というものは、これは法的に損害評価委員というものがあるでしょうけれども、その査定というものがまず非常に問題になってくる、そこで、その査定それ自身は損害評価委員の査定を基準にするのが建前でしょうが、それで農林省なり府県がこの査定をするのは、どこの数字が基準になってくるのですか。統計調査部では一律にはわからない。だから、たとえば村で、村の減収量というものはわかっておる、その一筆石建にしたその内容というものは、これはやっぱり損害評価委員で分けにゃならぬでしょう。そういうことはうまくいきますかね。その点はどうです。
  53. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはその損害評価の方法自体の問題と基準収量決定との、その相関関係で問題が出てくるわけなんです。すなわち基準収量と言いますのは、私の方では昭和元年からの米の収穫高の趨勢値をとって、全国の県のやつをきめておるわけです。それを今度は県内で町村別に配分する場合には、過去七カ年間の実績をもとにしまして、そのうちの最高、最低を引いて、残りで按分しておるわけです。で、全国の平均としましては、昭和三十一年度の引受石数を出しますと、十七ページを見ていただくと出ておりますが)それの一番右の下の欄を見ていただきますと、六千六百八十八万石というのが三十一年度に出ておるわけです。これは今の趨勢値を出してきておるわけです。それを今申しましたように町村に配分する場合には、過去の七カ年で中五カ年の平均価で按分しておるわけであります。従って、六千六百万石といいますと、そう少い数字ではないわけであります。  ところがこの三十年、三十一年度、相当収量が多いわけであります。三十年では水稲が七千六百万石、それから三十一年は六千八百万石ぐらいになっておると思います。従いまして、本来ならば相当豊作であるから共済金は少くて済むはずであるが、案外減らないのであります。それはなぜかといいますと、その年にとれた周囲の収穫高をもとにして、この年なら、わしのたんぼも、水害をこうむらなければこれだけとれたはずだという期待があるわけであります。そこで、実際の共済引き受けは、今言った配当したやつを、今度は各村の中で各筆に応じて配っていきますから、具体的に一筆ごとの収量はその年の比較で、災害を受けないたんぼに比べて非常に低いわけですね。しかし、引き受けは低いのでありますが、災害を受けたときは、周囲のあるべきたんぼと比較して、おれのたんぼはこれだけとれたはずだというので、被害率は大きく出てくるわけです。これが供出のやかましい時代は、共済の方でやかましく言えば供出の方にはね返ってきますから、そうやかましい声でなかったのでありますが、予約制度になってからその心配がなくなったので、非常に大きい声になってきまして、やかましい問題になってきておるわけでありまして、ことしなんぞも非常に、何といいますか、共済金の国に対する再保険金額要求というものが多く出てきております。  そこで、その問題をまず解消しなければならないのでありますが、これについてはなかなかむずかしい問題がありますので、今直ちに基準収量決定方法を変えるというところまでは参りません。もうしばらく研究をいたしたいと思っておりますが、しかし、現在は反建でありますから、一律削減ができないから、どうしても足切りといいますか、三割未満として脱落するものが多いから、非常にやかましい問題になる。今度はそういう場合でも、基準収量とその実際の期待収量との開きは、村では大体一律に出てきますから、按分すればその問題は一律削減にすれば減ってくる、こういう期待もあります。
  54. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、一筆ごとの調査は、これは損害評価委員というか、そこでやるのですか。
  55. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そうです。
  56. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると、ずいぶん手数を要するわけですね。事務費なんかについては何か考えておりますか。
  57. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 現在一組合当り五万円程度委員手当を出しております。
  58. 島村軍次

    ○島村軍次君 現在はまあ五万円ですね。今度は内容が変るのじゃないですか。だから、それに対して特別の予算を考えておられるかどうか。
  59. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは三十三年度でありますから、三十三年度の予算ではぜひ考えたいと思っております。
  60. 島村軍次

    ○島村軍次君 しかし、三十三年度はお考えになるとしても、調査そのものは今からやっておかなければいかぬでしょう。そういう意味で、準備期間をおくのではないですか。
  61. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 準備の費用としましては、三千万円今年計上しております。
  62. 島村軍次

    ○島村軍次君 三千万円といえば、一体市町村当り何ぼになるのですか。
  63. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 一市町村当りにしますと、まあ今約四千町村余になっておると思いますから、わずかであります。(「一万円」と呼ぶ者あり)
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは全農家対象にして、加入、脱退の自由というものをなぜ根本的にやらなかったのですか。
  65. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 共済制度としたのは、結局今の加入、脱退を自由にしますと、農業保険として成り立たないという議論になったわけです、そもそもが。これは、これだけ何といいますか、徹底した保険をやっているのは日本だけでありまして、たとえばアメリカでは任意加入。これは経営規模が相当大きいのでありますから、そこで郡単位にきめまして、郡単位で一定数以上の加入者ができないとやらないという仕組みを作っております。ヨーロッパではこれはずっと古い。一七〇〇年のナポレオン時代に傷害保険というものができましたが、その傷害保険だけしかないわけであります。ところが、日本では何といいますか、台風圏にありますので、災害が必ずあるということでありまして、特殊な地域を除きましては、三年に一ぺんなり五年に一ぺんなり、あるいは十年に一ぺんなり必ずある。従って、農家全員を入れても無理でない。そのことが災害対策としては何といいますか、確実に実施できるのじゃないかと、そういうような建前から、共済制度にして、そしてその共済を上級で保険すると、こういう二段がまえにした。それが今の制度趣旨であります。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 前々からこのお話を、農林省というより、むしろ共済の当事者から聞いておるのですが、それは私は主客転倒だと思います。強制加入にしなければ共済制度が成り立たない、自由にすると農家が大多数入ってこない……。農家はいやだから入ってこないのです。そうすると、共済制度を盛り立てるために農家を縛り上げると、こういうことになるのですが、これは非常に主客転倒な意見だと思うのですよ。だから、もし強制加入にしてやるなら、農家が入りいいような形、進んで農家が入るように任意にいたしまして、農家がもう進んで入ってくるような制度に切りかえることが根本だと思います。それはやはり掛金の問題と補償の問題だと思います。掛金は今度いろいろ、これをずっとたくさんの幅を広げましたが、安い掛金の人は補償も安いでしょう。そうでしょう。安い掛金であって、しかも従来の統計上被害の非常に少い所は、掛金は安くても補償が同じだということでなければならないと思います。ちょうど火災保険や何かと同じように、周囲が三万あいている、四方あいている、掛金は少い、しかし一たん火災になった場合は、五百万円でも一千万円でもやはり保険金はとれるのだ、こういうことになれば入ると思いますが、そこまでどうして踏み込めないのか。ただ掛金を安くしたといっても、安くして補償金額が下ってくれば、これは同じことですわ、と私は思うのですがな。
  67. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 任意加入制度だとその選択が比較的容易にできるのでありますが、何といいますか、組合単位で共済をやるというそもそもの仕組みになっておりますから、どうしてもやはり組合単位で共済金をきめなければいかぬ……。いかぬという理由はこれはないのですよ。ただ筆数は多くなるし、農家の数が多くなる、計算が間に合わない。これは衆議院の方でも、足鹿委員なども、もう一筆ごとに分解して、先生方の言われるところまでいかなくても、少くとも一筆ごとに共済金額選択するところまでやれ、そのぐらいできぬことはないじゃないかということを……。私どもも、ずいぶんそこまで持っていくために、計算方法とか、いわゆる私どもの方では保険設計といっておりますが、やってみたのでありますが、どうしてもできないのであります。そこで、今一町村を一単位でやっているのを、一町村の中を危険程度に応じて数単位に区分する、そこまではこれは最低やらなければいかぬのじゃないかというところまで来ているわけであります。それ以上進めますのには、何といいますか、今のような組織では、事務能力等からいって無理じゃないか。もしやるならば、もっと何といいますか、機構的にはっきりして、農家の団体でやるというような、建前を変えるところまで踏み切らなければいかぬのじゃないか。しかし、それはもっと保険設計の面から実施可能であるかどうかまで研究する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。理論的にはできないことはないと思います。
  68. 河野謙三

    ○河野謙三君 渡部さんの方で提案されましたこの程度改正で、農家が今度は好んで、進んで共済協力するというふうになると、こういう確信がありますか。私は依然として……。渡部さんの口からそういう答弁を求めるのは無理かもわからぬが、これは共済組合のための制度であって、農家のための制度であるということは断じて私は言うことはできないと思う。農村の経済を守っていく立場の農林省が、そういうことを、もしわかっていて、なおかつ、一共済制度の、共済組合のために、こういうものに相変らずとらわれておることはおかしいと思うのですが、渡部さんとしては農家のためにとおっしゃらざるを得ないと思いますけれども、そうおっしゃるなら、この制度改正によって、農家が今度積極的に今までと違って共済協力するという確信があるかどうか。
  69. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 私の方では、今一筆石建にするとか、あるいは適該地がこの制度協力できるように、共済金額、それによる共済掛金を軽減するとか、先生のおっしゃるように、共済金額一定して掛金だけ軽減すると、そこまで行っておりませんけれども、それに一歩近づけたようなこと。それから組合加入する限度を、近郊蔬菜地帯あるいは果樹地帯等で法律対象にならない作物を作っておるものでも、今までは強制加入になっておりますが、そういうものを一定規模で任意加入にすること。あるいは農地面積が比較的狭いような場合、あるいはそのほかの理由で今までうまくいかなかった場合を、市町村事業を移譲するというような道を開くことによって、もう一ぺん努力してみようと思うのであります。私どもが、この日本のように、常習災害地帯災害対策をどうするかと考えた場合に、やはり自動的に、程度は少いけれども、災害対策農家に対して講ぜられるという制度が絶対に必要じゃないかと思うのであります。たとえば、昨年の北海道の冷害の場合を考えてみましても、共済金を正月前に配付したことによって、人心の安定を得られた効果は非常に大きいのじゃないかと思います。救農土木事業そのほかのことをやるにしましても、受益するところとしないところが出てきますから、一本で災害対策はできないので、やはり災害対策の大きい一つの柱じゃないかと思いますので、最後の努力をやってみたいと思っております。この法律改正によって、おっしゃるように、果してうまくいくかいかないか、いろいろな見方があるのでありますが、私の方としては、最善の努力を尽して、やはりその目的に沿う効果を出していきたいと思っております。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は渡部さんと勝負しようと思わないし、渡部さんも私と勝負する勇気はないと思うが、こんな程度のことをやったって、農家は喜んで協力しませんよ。協力しないということは、この制度におきまして監督規定ができたり、それから損害評価を法制化したり、いろいろしておりますけれども、幾ら制度を作ったって、農家がこれに対して進んで協力しなければ、この制度は生きるものじゃないです。従って、私はだめだと思います。思いますが、別の角度から伺いますが、農家に対して、この制度協力させるためには、もう少しこの制度運営について経費を私は節減しなければいかぬと思う。この制度運用に当って、経費は一体何。パーセントくらいかかりますか。この組合の連合会並びに地方の本部から末端に至るまでの、本制度運用に対して、国なりまたは農家が負担する金、これは全体の収入に対して経費は一体何。パーセントくらいかかりますか。たしか私が数年前に調べたときには、三十何%経費にかかった。
  71. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは資料の三十五ページ以下を見ていただきます。これは現実に農家が受け取った共済金であります。その中で、総額、農家負担、国庫負担となっております。三十年の場合を見ていただきます。一番右の欄でありますが、農作物では総額百三十億を受け取っております。そのうち農家が掛金として出した分が五十二億になっております。三十年度の分の下の欄に出ております。これは農家負担でありますが、国庫の負担額の実績が、三十年度全総額としまして百三十億、そのうち農家負担が五十二億、これは農家が出しておるのであります。国庫が出したものが七十七億になっております。それからその次の表を見ていただきますと、農業共済団体事務費農家負担額、三十六ページでありますが、これが三十年度で三十八億になっております。そのうち連合会の分が十億で、組合の分が三十億になっております。今の共済団体事務費農家負担に見合う、国庫からこの事業のために出しておる経費は、三十二ページであります。その中の一般会計(農業共済実施経費)の事務費等が、三十年、二十四億九千万円、つまり二十八億と二十四億で共済事業が行われておるわけであります。三十年度は二十四億九千万円、それに対して三十年度に農家が出したのは三十八億になっております。従って、約六十三億ばかりの費用をかけてこの共済制度は行われておるのであります。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 その経費というものは、今度のこの改正によって幾らか合理化するような結果を生みますか。
  73. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは町村合併に伴いまして組合の合併が行われると同時に、今まで何といいますか、組合が独立することによって費用のかかったものを、市町村に移譲するような場合で節約される分があると思いますが、当分はそう変らないと思います。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 農家にすれば、これだけ国が補助してですよ、それでこういう制度をやって、普通だったら喜ばなきゃならぬはずなんですよ。ところが、それを喜んでいないということは、こういうふうに、ざるに水を盛ったように、途中で経費がほかへ事務費や何か流れちゃって、ほんとうの農家の台所に行くものがないのですよ。だから、私たちは、これについて何とか考えなけりゃいかぬと思うのです。それで、この共済制度については細部にわたって一々お尋ねしたいことがありますが、もう一つちょっとお伺いしたいことは、損害評価について、これは依然として立毛を対象ですか。
  75. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そうであります。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 損害評価の場合に、この収穫ですね、質とか量とかいうものを含めた収穫を対象にしないと非常に矛盾があると思うが、立毛を対象損害評価ということは事実上私は困難だと思いますがね。たとえば、ちょうど麦刈りの時期に麦の被害があった。ところが、それをほうっておけば芽が出てしまう。たんぼに置けない、納屋へ持っていって置く。場合によっては、調製もしなきゃならない。ところが、立毛が対象だということになれば、畑から納屋へ持っていくこともできない。俵にすることもできない。理屈からいえば、そうでしょう。それが、量だけじゃいかぬと思う。いかに量だけが減収にならなくても、そういう被害を受けたものは、質が当然悪いのですよ。等外の分にきまっている。そうすると、それが非常に収入に大きな影響がある。これまで損害評価の対象にしなければ、農家としては、ほんとうにこの災害補償をするところの共済制度というものには、私はならないと思うのですが、これは一応建前は立毛であるけれども、運用においてそれだけの幅をもってやると、こういうことなのでしょうか。
  77. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはいつでも問題になるのですが、納屋に入れた稲が水害で流れた場合にどうするかということですね。この法律の建前からいえば、しかく厳格には書いてないわけです。ただ、納屋に入れた場合に、幾らあったかどうかということの判定がむずかしいところから、立毛ということを限界にしておるわけです。一ぺん立毛で押えて、それがお話のように長雨で調整ができなくて芽が出た場合は、立毛で押えた量がわかっている。その品質の落ちた分は評価できないわけはないじゃないかと、こういう議論が当然出てくるわけでありますが、こういう点は今後の研究問題として、十分実情に沿うようにいたしたいと思っております。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 それからもう一つ、ちょっとついでにこの損害評価でこまかいことを伺いますが、損害の評価委員がありますね。それに対する手当と、それからこの会合費ですね、こういうものは、予算に、この事務費に入っておりますか。
  79. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど島村委員からありましたように、委員の費用としては、組合当り約五万円程度見ております。
  80. 河野謙三

    ○河野謙三君 それがそもそも一文惜しみの百失いというか、五万円程度のことをやっているから、それじゃ実際にこの組合長が損害評価委員を動かせないということですよ。他の費目を流用して、そうしてやはり年に一回、二回、手当も出さないのだから、一ぱい出さなきゃいかぬじゃないか、一ぱい出す金がないということから、共済組合の費目の流用というものが出てくると思う。私は、こういう費用というものは形式的に盛った方がいいのじゃないか。これは現状において、会計検査院の人がいるかいないか知らぬが、末端においてそういうことが必ず起るのです。これは全く一文惜しみの何とか失いというやつですよ。
  81. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは何といいますか、災害が起きて忙しければ忙しいほど、費用が少いということになって、ちょっと矛盾した事態が起っているわけです。これを解決するのには、県なら県でそういうプール・ファンドを作りまして、そうしてその災害の態様に応じてやる。あるいは国で最初に交付するやつのほかに、リザーブしておいて、災害のときにおいてやるということが、当然であってしかるべきなんですが、今までないわけなんです。私も去年回りまして、変なことになっているというので、今研究しておりますが、三十二年度の予算ではまだそれは解決しておりません。これはどうしても解決しなければいかぬ問題じゃないかと思っております。
  82. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 先ほどからも問題になっていましたが、結局農家負担の問題ですがね。それは、農家負担というものは掛金というものと賦課金というものと、二つから成り立っている。そこで賦課金というものは、掛金に比例した賦課率をきめるのか、あるいは賦課というものは、大体の事務分量その他によってきめられようとしているのか、その点どうなんです。
  83. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは模範定款例で、水稲共済割、陸稲共済割、蚕繭共済割、家畜共済割等々、賦課総額あるいは賦課単価は総会できめる、こういうふうになっております。しかし、賦課金の問題についてはいろいろ問題がありますので、今度の改正に当りましては承認制をとりたいと、こういうふうに考えております。
  84. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは、この農家負担の割合で掛金というものは案外少いのですが、賦課金という名目で非常にたくさんとるのですがね。たとえば今度問題になります石建共済金額というもので、七千円から二千円の幅を持っているわけですが、おそらく、先ほどだれかから御質問がございましたが、非常に好まない傾向にある場合に、これが強制されるために、安い二千円の共済金額を選ぶ地域が相当多いと思うのですよ、実際問題として。そして、また二反未満というものは、あるいはその他裏作等の関係から脱落する者が出てくる。そういうことになりますと、取扱金額は非常に少く、また、さようなことになりますと、反別も整理されてくる。従って、掛金率よりも賦課金額が多くなるということになるわけです。現実にそういう問題を町村に移譲しようとしても、町村が受け取らない現実の場合が出てくると思う。従って、これを調整するといっても、その調整の仕方によっては、この問題だけで混乱をするようなおそれがあると私は思うのでありますが、そういう場合には一体どういうふうにお考えになりますか。
  85. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お話のように、現実の問題として、掛金に近い賦課金、あるいは掛金より多い賦課金をとっておるという例を承知しております。しかし、これはどっかに欠陥があるのじゃないかと思います。まあ組合員の数が非常に少い、あるいは耕地面積が非常に少い、そういう場合にも、組合を設け、理事者を置き、職員を置かなければいかぬという建前になれば、一組合当り、あるいは単位面積当りの賦課金が高くなるのであります。そういう場合には、要するに、何といいますか、組合事業分量に応ずる以上の事業をかかえているということになりますから、こういう場合には市町村に移譲することによって、人員の手を彼此流用することによって、経費が省ける理屈になるわけでありますが、しかし、どうしてもそういうことができないという場合には、これはまた別途の措置を考えなければいかぬと思いますが、私の方で今までの考えでは、そういう場合は町村で見てもらうという考え方でおるわけであります。町村で見れないという場合は、また考え直さなければならない。
  86. 堀末治

    堀末治君 本日は、この件についてはこの程度でやめていただきます。   —————————————
  87. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、議題をかえて、国土調査農業に関する件を議題といたしまして、国土調査法の一部を改正する法律案を問題といたします。  この件につきましては、小林委員から御質疑を求められておりますので、この際御質疑を願います。  なお、本件について、ただいま政府からは経済企画庁開発部長の植田君と、自治庁の税務部長の奥野君、農林省の振興局の振興課長の庵原君が見えております。
  88. 小林孝平

    小林孝平君 ただいま建設委員会で審議をされております国土調査法の一部を改正する法律案のうち、ちょっと農業に非常に関係ある点がありますから、御質問をいたします。  今回の改正によりまして土地の実測をやりまして、その結果、今までは土地台帳だけ変えておったのを、耕地面積も変える、こういうことになるわけであります。そこで、これが固定資産税と非常に関係がありますのでお伺いいたしますが、大体この国土調査法によって、これは二十六年から施行されましたが、大体今までにどのくらい面積を調べましたか。そうして三十二年度はどれだけ調べる予定になっておりますか。
  89. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 今回の改正によりまして、国土調査の成果を不動産登記簿にまで反映させる、従って職権登記をするということにいたしたわけでございます。職権登記にいたしました理由は、従来は地籍調査の成果はそのまま土地台帳の変更になっておりました。ところが、不動産登記簿におきましては、不動産登記簿の表示と土地台帳法の表示とが違っております場合におきましては、土地台帳に合うように不動産登記簿の表示を変更しなければ、所有権の得喪変更に関する登記ができないということに相なっております。そういう関係で、地籍調査はけっこうであるけれども、その土地について売買しようと思えば、登記法上の手続をするのを個人でやらなければならない。これが非常にめんどうだということになりまして、これが一つの地籍調査の進捗しない理由になっておりましたので、こういう点を簡単にいたしたわけでございます。  第二の点で、お話のございました固定資産税との関係でございますが、固定資産税は、御承知の通り土地台帳の副本が市町村にございまして、これを参考資料といたしまして固定資産税が課税されておるわけでございまして、その点につきましては従来との変りはないわけでございます。  それから第三点の従来の実績でございますが、三十一年度までに三千二百八十万キロの地籍調査を実施いたしております。一方キロは百町歩でございます。三十二年度におきましては、八百方キロを予定しております。
  90. 小林孝平

    小林孝平君 これによりこの調査をやりますと、それなら従来からも、この新たに調査をしまして、大体農地では歩延びがある所が多いですから、土地台帳面積が大きく変更になるわけです。そうすると、それに基いて固定資産税が大体大きくとられておるわけですね。その点、どういうことになっておるのか。
  91. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 従来は地籍調査をいたしますと、なわ延びが若干ございますのが普通でございます。場合によっては面積の減る場合もございますが、大体水田でも畑でも、山林におきましても、なわ延びがございます。  なわ延びがございますと、すぐにそれが固定資産税に反映してくるのではないかということが、地籍調査はけっこうであるけれども、何だか気が進まないというふうな理由一つであったかと考えます。しかしながら、現実にそれが固定資産税に反映したかと申しますと、現在の市町村の財政事情、あるいはこれに従事いたします職員の都合等からいたしまして、今までは一町村で全部でき上ってしまっておるというところは比較的少いわけでございまして、一町村がやるといたしましても、一年に三万キロから五万キロ程度でございますので、ただいままでに一町村が全部でき上ったという所はほとんどないわけでございます。しかも、今まで全町村ができましても、最近の町村合併によりまして、その町村が一つ市町村の一部になったりしております関係で、実際に固定資産税に反映してくる例は、あるにいたしましても、きわめてまれかと思うわけでございます。しかしながら、なわ延びがありました場合に、それをすぐに税金に反映させるということは適当でもございませんので、自治庁とも相談いたしまして、一つ市町村の全体の地籍調査が済むまでは、これを固定資産税の課税標準としてとらないように指導いたしております。
  92. 小林孝平

    小林孝平君 それは今度の職権登記の規定によって、非常に調査が進捗するわけなんですね。そうすれば、非常にそういう一町村全部やるという場合が出てくると思うのですね。それで今度は非常に問題になってくる。従来はよかったけれども、今度問題になってくる。  それからもう一つは、この自治庁と相談して指導しているというけれども、その指導というのはどの程度なんですか。ただ、なるべくやらないようにというような程度で、やろうと思えばやるんでしょう。はっきり何か文書か何かでやっているのですか。
  93. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまの点は、企画庁の方から通牒をもって各県知事にそういう指示をしております。  また一つ市町村といたしましても、市町村の一部分だけ地籍調査をいたしまして、その成果が土地台帳に反映いたしたといたしましても、なわ延びのありますのはどこの地域にもあることでございますので、町村の全地域の地籍調査が済むまでは、これを課税標準に使うことはあるまいと考えております。
  94. 小林孝平

    小林孝平君 その全部終れば、かりに町村全部終れば、固定資産税の標準が変って、高くなるわけですね。高くなる場合もあり得るわけですね。
  95. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) その後の問題といたしますれば、これは市町村の固定資産税の賦課の方針に関する問題でございます。町村がそうしたいということでありますれば、できないわけでもございません。
  96. 小林孝平

    小林孝平君 そうすると、大体この前段の場合でも、通牒をやっている程度であって、やろうと思えばやり得るわけですね。全部やった場合は、今度は、なおあなたの方の指導でも、全部済むまではなるべくやるな、こういう通牒だから、全部済めばやるわけだ。そうすると、ある町村は高くなり、ある町村はそのまま、こういうふうに非常に不均衡になると思うのです。だから、これは全部のこの調査が終るまで、固定資産税の課税標準を変えないということにでもしたらどうですか。
  97. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 地籍調査目的はいろいろございますが、その一番大きなものは、地籍を、明治初年に調査しました後全然調査をしていないという現在の地籍を、できるだけ実際に合わす、それに基いて各所の国土開発事業が行われるのに便にしようという目的でございますが、しかし、その一つ目的としまして、やはり課税の公平化ということも一つ目的でもございますので、市町村がそれによるという態度をとります場合に、それは市町村の判断に待つ問題でございますが、それをとめるまでの必要はあるまいかと存じております。
  98. 小林孝平

    小林孝平君 課税の公平化ということなら、きわめてあなたのおやりになっていることは不公平です。それなら、一町村やったら、そのやった所だけ今度税金が高くなるということなら、非常に不公平なんで、これは全部正確に調べるという点には異議はないです。ある町村だけぽつんと固定資産税が高くなるということならば、非常にこれは不公平です。ちっとも公平じゃないです。どうなんですか。
  99. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 一市町村におきまして、その市町村に対しての市町村の固定資産税の収入がございますが、その固定資産税を町村内の土地の所有者にこれを分担せしめるわけでございます。その分担につきまして、これは土地によりましてはなわ延びのない所もございますし、また持主の土地によりましては非常になわ延びのある所もございますから、これをなわ延び率をすべて明確にいたしますれば、一つの町村内における公平化ということがはかり得るのじゃないかと考えております。
  100. 小林孝平

    小林孝平君 その町村と他の町村との個々の農家の負担が、従来とバランスが破れて、不均衡になるじゃないですか。
  101. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 固定資産の税率は市町村ごとにきまっているわけでございまして、その率は、ある程度の標準税率はきまっておりますけれども、市町村が独自に変え得る性格のものでございますので、一市町村のなわ延び率が非常に高いということでございまして、隣村の方々との不均衡ということになりますれば、あるいは税率を下げるという道もあり得るのじゃないかと考えております。
  102. 小林孝平

    小林孝平君 そういうふうに考えればいいけれども、今赤字でみんな困っておりますから、町村としては高くする方を喜ぶだろうと思いますね。だから、あなたのような場合はほとんどないだろうと思うのです。それなら非常に不均衡、正確にするということによってかえって不公平が出てくるのです。
  103. 島村軍次

    ○島村軍次君 関連して。そういう場合に自治庁で、当分のうち全国が済むまでは、つまり特定の町村でたとえば二割なら二割の地籍がふえた、こういう場合には、その二割については全国ができるまではその村は課税率を下げるというふうなことを考えておられるかどうか。そういうことになれば、小林さんの質問も自然解消することになると思うのですが、そういう問題についての御研究がありますか。
  104. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 土地の評価につきまして、自治庁の方から市町村に評価基準を示しております。その際に、台帳面では田になっておりましても、現実には宅地であるというような場合もずいぶんございまして、こういう場合には現況にのっとって評価をしていく、こういう方針を示しております。また地籍につきましても、今御指摘のございましたように、なわ延びの問題がたくさんあるわけでございます。しかし、実際問題として台帳面と現実の地籍とには、かなり食い違いのあるのが一般でもございますので、この点につきましてはむしろ台帳主義によって評価していく、現状にはよらない、こういう方針を示しているわけでございます。従いまして、今度調査の結果、ある程度のなわ延びがわかってきたからといいまして、直ちにそれによって評価を変えることはないという方式をとっているわけでございます。  御指摘の市町村間の均衡問題でございますが、実測をした結果、一様に二割なら二割、一割なら一割ずつ延びていくということになるならば、解決は簡単でございますけれども、現況が非常にまた区々になっているわけでございます。現況がむしろ不均衡だという場合もあり得ると思うのであります。実測しましても、なわ延びはごくわずかしかない、あるいはまた非常に出てくるという、そういうことにもなってきますので、ただ台帳が変ってきたのに、従来通りの評価でなければならないという指示もいたしかねるのじゃないだろうかというふうにも思っております。ことに台帳につきましては、分筆でありますとか、合筆でありますとか、そういうこともたえず行われるわけでありますので、変った場合に、それじゃ一体その評価をどうするのか、こういう議論にもなりかねない、こう思うわけでございます。ただ、理論的にいいますと、坪当りの価格に面積を乗じて評価をするということよりも、一筆ごとに評価をしているわけでございまして、その一筆があるいは道路に面していれば、比較的坪当り価格は高いわけでしょうけれども、そうでない所は坪当り価格は低い、こういうことになるわけでありまして、一筆ごとに全体として幾ら、こういう評価をいたしているわけでございまして、なわ延びがあったから直ちに評価が上ったということになるかといいますと、むしろ地勢その他を勘案して、やはりその土地の価値は従来と変りはないのだ、こういう結論も出てくるわけでございますので、台帳地籍が変った場合でも、それによって評価を動かしてはいけないのだ、こういうことはどうもいかがなものであろうかという感じがするのであります。そこはやはり市町村の良識によって運営してもらうより仕方がないのではないか、こう思っておるのであります。
  105. 小林孝平

    小林孝平君 その最初に言われたように、今の台帳面積が不正確だから、むしろ実際のものが正確だから、それによって課税をやっている、こうおっしゃったのですが、ところが、今の台帳面積というものが非常に不正確だから、それによらないで現状でやっている。ところが、今度は台帳面積が正確になるのです。正確になるから、あなたの今までの方針からいけば、正確のものを使うということになるわけです。だから、困る。あなたがそういうふうに、またあとに言われたように、正確に調べても、土地の価値というものは、帳面の上では大きくなったけれども、価値はちっとも変らない、こういうことであれば、当分の間、全国の調査が終るまで、課税標準を変えないということにしたらどうですか。あなたが先ほどから説明されていることを実際にやろうと思えば、当分の間このままにしておく、従来通りのやり方をやる、こういうことにすればいいと思うのですが。
  106. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、なわ延びの事情土地によりまして非常に区々になっているわけでございます。極端な不公平が発見された、その場合であっても、全国全部済むまでいささかも動かしてはならないんだ、これは少し、負担の均衡から考えました場合に、問題があるように存じます。しかしながら、実測で少しわかったから、直ちにそれによって評価を変える、これも私たちとしては差しとめるべき性質のものでなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、先ほど来経済企画庁の方からお話のありましたような指導をいたしているわけでございます。  ことに据え置くという問題になって参りますと、道路のあり方も絶えず変ってくる問題でございますし、また土地の価格も、評価を三年ごとに改訂を全体的にしていかなければならぬということにもなって参りますので、かなり無理のある御注文じゃないかという感じがしておるわけであります。ただ、先ほど来申し上げますように、一筆一筆が実測の結果出てきたから、直ちに評価を変える、こういうようなやり方はいたさないように指導して参りたいというように存じております。
  107. 小林孝平

    小林孝平君 従来だって、それは少しずつ手入れをしていたわけなんです。だから、今後といえども、それはやられることについては何も差しつかえありませんが、この調査の結果、全面的に変えるということは困ると思うのです。そこで、あなたのおっしゃったことを実際に、もっと、ここで言われるだけでなくて、十分徹底させるように、はっきりした通牒か何か出される必要があるんじゃないか。そういうものをお出しになったらどうですか。
  108. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 経済企画庁とよく相談をいたしまして、問題の起らないように十分措置をとりたいと思います。
  109. 安部キミ子

    安部キミ子君 今の答弁ですけれどもね、小林委員がおっしゃるのは、たとえば一カ町村あるいは一市に調査が完了して、そうして、まあ延びたか縮んだか、その結果は大体延びるだろうという想定の方が強いわけですね。それで、土地の評価も変ってくるというわけですね。そうすると、資産税が高くなるという考え方に立って、今質問しておられるのですよ。それでね、全国何百町村とあるのが、全部終らなければ、その済んだ所からそれを上げていくというふうなことは不均衡だ、不公平だ、全国済んでから時期を見て税制改革するなら改革するということになればいいんじゃないかという、こういう問いなんですよね。それで、あなたの御答弁は一体どうなんですか。そこの点が、私ども聞いていてはっきりしないのですよ。何だかややこしいことをおっしゃるけれども、今質問していることはそれなんです。
  110. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 土地の評価は三年ごとに改訂をいたしております。その間に、このなわ延びの問題だけによって評価が変ってくるわけじゃございませんで、地勢あるいは道路その他の問題においても、いろいろ変ってくるわけでございます。それと、もう一つは、実測の結果変ってきたので、それを使った方がよろしいという場合もたくさんあるだろうと思うのであります。そういう意味で、一律に全部済むまで使っちゃいけないのだと、こういう指示はいたしかねる。しかしながら、おっしゃったような御心配、よくわかるというわけでございます。ですから、御心配の起るような問題につきましては、先ほど来経済企画庁からお話しになっていますように、一筆一筆が変ったからといって、直ちにそれを評価の上に反映させるようなことはいたさない。そのほかに、さらにいろいろ問題もございましょうから、よく経済企画庁と話し合いをいたしまして、適正な指導方針を考えていきたい、かように申し上げているわけであります。
  111. 安部キミ子

    安部キミ子君 こうなんですよ。それは。私は、この調査をすることは悪いという意味じゃないですよ。そしてまた、価値というものの変化があることは、これは当りまえのことなんです。昔は山であった所が今度は町になって、工場ができて、土地の値が上るということは、これは、ただ土地の延びるとか何とかいうのじゃなしに、そういう価値というものも変ってきていいと思うのです。けれども、それが早く調査したのが終ったからといって、それで、その早く調査した順からどんどんその課税を改められていったのじゃ、全体的に見て不公平だしするから、全国済むまでそのままにして、一応調査が全国が終るまでそっとしておいたらどうかと、こういう考え方なんです。
  112. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話はわかっておるのであります。お話はわかっておるのですが、現況がそれでそのまま公平なのだというお立場にお立ちになっておられるのじゃないかと思うのです。実測した結果が、ほとんど延びない所があるし、二割、三割延びる所がある。そういうふうなものがあるほかに、今私が申し上げたような事情による、むしろ改訂を適当とする場合もあるわけですから、お話はよくわかるのですが、それをそのまま使ってはいけないのだという指示をすることについては、むしろ困るような事態がるのじゃないかと、かように答えておるのであります。そこで、個々に具体的の問題につきまして、さらにしさいに検討をして、御心配な点を少くするように努力したいと、かように答えておるわけであります。
  113. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうすると、一番おしまいに調査に当った所は一番得をするわけなんじゃないですか、もし延びたという前提に立っていえば。早くした所は損じゃないですか、それはいいですか。
  114. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先ほどもちょっとお話しになりましたように、実測をした結果、逆に減る所も例外的にあるのだと、こうおっしゃっておる。また同時に、ちょっとしか延びない所もあれば、非常に延びる所もあるのだろうと思うのです。従いまして、現状を公平だという基礎の上に立ってお考えになれば、おっしゃっている通りだと思います。しかしながら、現状は必ずしもそうじゃないし、そのほかにいろいろの事情による評価の改訂をする必要がある場合が出ると思います。私はお気持ちはよくわかるのですが、その通りに指示することについては非常に疑義があります。そこで、個々に具体的の点についての指示をした方がいいのじゃないか、その点については経済企画庁とお話しした方がいいのじゃないか、こう申し上げておるわけです。
  115. 小林孝平

    小林孝平君 それでよろしい。
  116. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合、こういう問題が出てきたら、どうです。農地の解放、台帳によってかりに三反なら三反解放した。調べてみたところが、四反二畝あった、一反二畝は解放しないのだからよこしてくれ、こういう問題が現に起きているのです。そして盛んにそれを実施して、それの紛争が今起きているのですが、そういう場合には、旧台帳をして行なったものそれ自身が、ちゃんと生きてくるかどうか。これははっきりしてもらわぬと、非常に将来問題があると思う。今現にそういうことを故意に行なって、紛争が起きつつあるのですから……。
  117. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまの問題は、農林省あるいは法務省でお答え願うのが一番適当かと存じますけれども、ただいまおられませんので、私の感じだけで申しますと、そういう具体的な問題につきまして、私は具体的な意見を申そうというわけではございませんけれども、現在の不動産登記簿というものが、厳密に申しますれば、実際の実測面積とは違っているわけです。そういうことでございますと、土地の売買がすべてそういう紛争の問題になるわけでございまして、そういう紛争をなくすのも今回の地籍調査目的でございます。具体的な問題に対する直接のお答えではないかと存じますけれども、やはり土地の売買というものは一筆の土地としての売買じゃないかと、かように考えておる次第でございます。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、これは解放した土地でなく、かりに売買したとするのだ。売買して数年を経過した、この調査によってある数が出た、そこで紛争が起きたとしたら、これは法務省でなければ解決できないのですか。
  119. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 個々の事例に当るようなことはお答えできませんが、私、常識的にお答え申し上げますれば、一筆の土地を売ったという場合と、一筆の土地の中の何坪売ったという、こういう場合によっても、やはり法律上は違って参るのじゃないかと考えております。
  120. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは、何坪売ったというので出てくれば、わかっているのですから、これは問題はない。何坪分筆で売るというのは、ちゃんとわかっておるから。けれども、台帳面積何町何反で売った場合、こういう場合、今までの習慣でいけば、これは問題でなかったのでしょう。だから、問題でなかったと解釈するのがほんとうじゃないか。国がやったら、出たから、それは返さなければならぬとか、わからぬという考え方は、全くそれはおかしい考え方だと思う。そういう常識で解釈していくのが私はほんとうじゃないかと思います。
  121. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私の法律的常識をもっていたしますれば、土地の売買は一筆単位に行われますから、その一筆の土地についての所有権の移動が土地登記簿に表示されるわけでございます。お話の通りでいいかと存じます。ただ、法務省でございませんので、あまり明確にお答えするのもどうかと思いますが。
  122. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私詳しいことは存じませんが、今度のこの法律で地籍調査をやる。そうすると、その区域内の田が幾ら、畑が幾ら、宅地が幾ら、こういうふうな台帳の面積があり、それで今度新たに調査した結果、また面積が出る。出るということは、その面積が延びておっても縮んでおっても、過去の反別に按分して所有者に渡すということじゃないんですか。
  123. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまのとは若干違っております。と申しますのは、この地籍調査市町村が実施いたしますのでございますが、これは公示いたしまして、一切の境界等につきましては、地元の所有者が全部立ち会いいたしまして、境界を決定いたしますので、そういう不明確の形で土地台帳が修正されるということはございません。いずれにいたしましても、所有権を明確にいたしまして、そうして公有地でございましたら、はっきりと公有地ということを明確にいたしまして、私有地につきましては、従来の所有権の実態に合いましたような面積を確認いたしまして、土地台帳の修正をいたすわけでございます。
  124. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 実績に応じてということは、たとえば甲という者は一町持っておった、乙という者は二町持っておった。そうすると、合せて三町ですね。しかし、実際の結果は三町三反であったというようなことだったらば、おのおのが二町と一町だから、三反ふえているんだから、一町の者には一反、二町の者には二反、こういうふうにして土地台帳の整理をやるんじゃないですか。
  125. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) よほどの無開墾地の所でございますれば、あるいは境界が不明確だということで、ただいまのような措置が地元の人の話し合いでやることがないとも申せませんけれども、私ども現在考えております地籍調査対象になります所におきましては、土地の境界というものは、これは当事者間に紛争のある場合もございますが、地籍調査を終るまでに必ず解決つけなければならない問題でございまして、従いまして、一筆ごとの境界は必ず何らかの方法で認めるわけでございまして、かりに三反歩ふえましても、それはどの筆のなわ延びであるということが明確になるわけでございまして、按分比例で分けるということは行わないのじゃないかと考えております。
  126. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この法律を作るときの経過から、またあなた方がやったところの調査した結果を、実地に当って話を聞いたのは、私の言う通りなんです。そういうふうな立法の当時の方針と現在の方針とが違っているかどうか、それが伺いたいところなんです。
  127. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 立法当時と現在の方針とは何ら変っておりません。従いまして、土地関係者が立ち会いまして、境界の確認に努めるということについても変っておりません。
  128. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうするというと、私などが茨城県で実際に調査した結果は、今あなたのお話になっておるようじゃないのです。もしそういうふうなことが、あなたのお話の通りであるということであったならば、茨城県でやっておるのは間違いであるという確認を与えますか。
  129. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 茨城県の具体的の例でございますが、所有権の明確でないものがありまして、それが私有地だというようなことで、そういうような措置をとった所があるいはあるかもしれませんが、私はただいま承知いたしておりません。
  130. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それは、もとの台帳の反別で按分して渡してある。これが将来におけるやり方だということで、経済安定委員会でもそういうふうな説明を聞いて、それならば一つ実地調査をしようということで、実地調査した結果がそうなんです。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 委員長、関連して。これはちょっと広い範囲の、全耕地の実反別を調べますと、無籍地が必ずあります。どこかに無籍地がある。それの処理は今どうなっておる。これはしばしばわれわれ実例にぶつかって、非常にそれが紛争になった例を幾つも持っております。少くとも二十町歩くらいの反別の争いがあって、それを実地にやると、無籍の二反や三反、必ずどっかの部落に出てきます。
  132. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまのお話のように、無籍地の起る場合が出てくる場合もあろうかと思いますが、そういう場合におきましては、できるだけ所有権の確認をいたしまして、それができない場合には、それは国有ということになろうかと思います。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合、耕作を知らぬで続けておりました場合、やはりこれは耕作所有権者として登記せられるわけですか。まあ大体今までの実例だとそういう解釈をしておるのですが、それはどうなんですか。
  134. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) その問題は所有権の問題でございますので、民法の所有権の法則によりまして、そういうことができる場合には、あるいはそういう形で所有権が確認される場合があろうかと存じます。
  135. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件につきましては、ただいまの委員会の経過にかんがみて、関係各省庁十分連絡して、遺憾なき処置をとられることを希望いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五分散会