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1957-04-23 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十三日(火曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   委員の異動 四月十九日委員塩見俊二君辞任につ き、その補欠として秋山俊一郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            佐藤清一郎君            下條 康麿君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君            北村  暢君            小林 孝平君            鈴木  一君            羽生 三七君            上林 忠次君            島村 軍次君            千田  正君   政府委員    農林大臣官房長 永野 正二君    農林省振興局長 大坪 藤市君    食糧庁長官   小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君    食糧庁業務第二    部長      斉藤  誠君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○農林水産政策に関する調査の件  (寒冷地農業振興に関する件)  (豪雪対策に関する件)  (食糧管理に関する件)  (澱粉対策に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開催いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。去る十九日塩見俊二君が辞任され、秋山俊一郎君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、連合審査に関する件についてお諮りいたします。  本院規則第三十六条に基き、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求める件について、外務委員会連合審査会を開催することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ただいまの決定に基き、委員長外務委員会に申し入れることといたします。  それでは、午前中は暫時これにて休憩いたします。午後は一時から開会いたします。    午前十一時四分休憩    ——————————    午後一時五十三分開会
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、午前に引き続き、委員会を再開いたします。  寒冷地農業振興対策に関する件を議題にいたします。  この件については、農林省において協議会等を設けて対策の樹立をはかられることになったように伝えられておりますので、これらの事情について説明を聞くことにいたします。
  6. 永野正二

    政府委員永野正二君) 寒冷地農業対策につきましては、三十二年度予算の御説明を申し上げました際にも、一応御説明をいたしたのでございますが、その後の進行状況等につきまして御報告を申し上げたいと思うのでございます。  本年度予算に計上いたしました寒冷地農業対策といたしましては、大体大きく分けて四つの項目があるのでございます。  寒冷地農業対策につきましては、これは根本的に恒久対策を立てなければならないのでございまするが、そのためには、各地帯につきまして、その土地の自然的な条件気象条件でありますとか、あるいは土壌の関係であるとかいうような、自然的な条件につきましても、詳細なデータをそろえまして、その土地においてどういう形の農業経営が適当であるかという問題を、根本的に掘り下げる必要があるように思うのでございます。そのために、私の方といたしましては、まず、とりあえず三十二年度におきましては、一千万円を計上いたしまして、寒冷地農業確立のための調査研究試験研究をやっていくということにしたのが、その第一でございます。  次に、同じく寒冷地農業地帯におきます土地条件を改良いたしますために、公共事業費その他をもちまして、明渠並びに暗渠の排水事業及び客土事業を行いまして、土地条件改善をいたしたいと思うのでございます。これが第二の項目でございまして、公共事業費関係に約三億を計上いたしておるわけでございます。  次に、当面の営農改善施策といたしまして、畜産導入及び農業機械導入をいたしたいと考えたのでございます。寒冷地農業確立いたしますためには、従来のような穀物の農業から、草地をある程度取り入れ、飼料作物を取り入れました畜産経営へ転換していく必要があるのでございます。そのために、そういう地帯に対しまして、乳牛及び役牛導入し、また労力の調整のために、相当大型農業機械導入する必要があると考えておるのでございます。このために、家畜導入につきまして二億五千二百万円、機械導入に二億一千二百万円を計上いたしまして、全部の寒冷地に一斉に行うことができませんので、とりあえず試験的な地域を選びまして、これらの対策実施したいということで考えておったのでございます。  予算を編成いたしました当時におきます考え方は、大体以上のようなことであったのでございます。  そこで、その後の進行状況について申し上げますが、第一に、農林省機構に、寒冷地農業対策室設置したのでございます。これは寒冷地農業対策が従来、機械関係あるいは品種の関係等振興局土地改良関係農地局畜産改善になりますと畜産局、あるいは一部林野庁、あるいは試験研究機関につきましては技術会議というふうに、各局に所管がまたがっておりました。これらの各局仕事を、総合的に寒冷地振興のために動かしますためには、特別な機構が必要であろうと考えましたので、これは正式な農林省設置法の改正をいたしませんで、寒冷地農業対策室官房に置いたのでございます。  なお、先ほど申し上げました寒冷地農業確立についての根本対策を樹立いたしますためには、相当、農林省だけでなく、たとえば北海道その他の地方におきます試験研究機関、あるいは官民のいろいろな研究機関、あるいは学校の先生方というふうな、各方面知識経験を集めまして、この非常に困難な問題である寒冷地農業経営はどういうふうな形が適当であるかという問題を、科学的に資料に基きましてまとめ上げていくという仕事がございますので、このために、農林省寒冷地農業調査協議会というものを置くことにいたしたのでございます。本日その第一回の会議をやっておるわけでございますが、これは、農林省技術会議事務局長を会長にいたしまして、先ほど申し上げましたような各方面方々、大体三十人以内くらいになっておりますが、そういう方々委員をお願いいたしまして、寒冷地農業対策を樹立するため必要な基本調査に関する事項を調査審議していただくことにいたしているわけでございます。一部には、この協議会でもって早急に三十三年度予算に間に合うような対策を考究しなければならぬというような御意向もあるようでございまするが、私どもといたしましては、この寒冷地農業形態という問題は、非常に各般の問題を含んだ困難な問題でございます。しかし、現在の日本の農業の問題といたしましては、非常に大きなウエートを持った重要問題だというふうに考えておりまするので、これらの方々の御意見を十分伺いまして、また必要な調査資料等も十分に整えまして、しかも、相なるべくは早急に、この寒冷地農業のあり方というものを作り出して参りたいと、こう思っているわけでございます。とりあえずは、この調査会におきましては、いろいろな自然的な条件基礎資料割合に整備されております北海道対象にいたしまして、この各種の条件を持っております地域につきまして、この自然的条件あるいは経済的条件を分析をいたしまして、その地域別に、いわゆる営農形態と申しますか、そういうものをきめていく仕事をしてもらいたいと思ったのでございます。なお、それ以外の寒冷地帯につきましても、基礎資料を整えながら、同様の方向へ向って作業していきたいと考えているわけでございます。  次に、先ほど予算項目について御説明いたしました、畜産導入農業機械導入でございますが、この施策がそれぞればらばら実施をされることは、非常に不経済であり、これらの、合計いたしますと約四億六千万円になります国費を、なるべく効率的に、しかもこれ以外の施策、たとえば土地改良事業でありますとか、農地交換分合等事業でありますとか、あるいは新農村建設総合計画でございますとか、そういう他の諸般の施策と十分足並みをそろえて、総合的な効果を上げるようにこれを実施したいということで、省内でいろいろ協議を続けて参ったのでございまするが、とりあえず、最近農林省予定をいたしております道府県農林主務部長会議までに間に合わせるために、大体この畜産及び機械導入について、どういう地域対象にしてやっていくかということの、農林省内としての思想統一をいたしたわけでございます。  御承知の通り寒冷地につきましては、すでに積雪寒冷地帯法律があるわけでございまして、その法律適用地域がきまっているわけでございまするが、私どもといたしましては、この三十二年度から始まりました寒冷地農業対策といたしましては、一方その積寒法適用地帯、これは全県指定だけでなくて、一部指定地域も当然対象に入れたいと考えておりますが、単にその条件だけでなくて、もっとほかのいろいろな、畑作農業についての条件をも加味して、この対策を適用していきたい、こう考えておるわけでございます。  そこで、その対象地域といたしまして現在考えておりますのは、まず第一に、ただいま申し上げましたように、積雪寒冷地単作地帯指定を受けておる地域のうち、主要畑作地帯であって、原則として一年一作、あるいは二年三作というような条件地帯、あるいは夏作雑穀を作っておる地帯、こういう地帯をまず一つ条件にいたしたいと思っております。それから次に、これらの対策が、寒冷地におきます畑作安定振興ということを目的といたしておりますので、畑地帯が相当な割合を占めるということを条件にいたしたいと思っております。この畑地帯が相当な割合を占める条件というのは、このものさしといたしましては、例の新農村建設農林漁業地域というものを一つ標準にとりたいと考えるものでございます。これはすでに計画の立ちました地域、あるいは今後の予定地域というものがあるわけでございます。予算上は四千五百を予定をいたしておるのでございますが、実際やってみますと、多少この四千五百よりもふえると思います。この農林漁業地域につきまして、畑地割合がおおむね四割以上の地帯を選びたいと思うのでございます。これはこの率をあまり下げますと、この施策目的といたします寒冷地対策という趣旨が非常にぼけて参ります。平坦部の相当な富農層が利用するような結果になりはしないかと憂えておりますので、畑作割合が四割以上ということにいたしたいと思うのでございます。そういたしますと、この対策対象になる地域は、たとえば開拓地というような方面相当ウエートがいくであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、和牛導入につきましては、必ずしもこの畑作地帯割合だけでなしに、裏作可能の水田の面積が相当な割合を占めるというような地帯は、この和牛導入対象にいたしたい、こう思っております。それからもう一つは、大型農業機械を入れるわけでございますので、圃場の面積があまりに小さな地帯は、これは機械耕耘も困難でございますので、そういう地帯は除きたいと考えておるのでございます。  大体こういう地帯対象にいたしまして、牛の導入の方は、国の持っております乳牛及び和牛を、農家群指定いたしまして、これに対して貸付を行うという方法をとりたいと考えるのでございます。そういたしまして、その営農確立いたしましてから、乳牛については五年以内、和牛につきましては三年以内ということを原則といたしまして、牛で、現物で返してもらうという考え方でございます。また機械の場合は、国から道府県にホイール・トラクターでございますが、これを貸し付けまして、道府県の方で、さきの乳牛及び和牛貸付をいたしました指定農家群というものを重点に置きまして、その地域内の農家に対しまして賃耕をやるという形をとりたいと思っておるのでございます。そういたしまして、その場合には貸付料をとるという建前になるわけでございますが、機械減価償却に相当する額を、使用時間で割りまして定めるという原則をとることは、やむを得ないと考えておりますが、なお、できるだけ道府県の方の負担等も願いまして、農民の方の負担はできるだけ下げていくというふうの運営をいたして参りたい、こう考えておるわけでございます。  これらにつきまして、大体農林省内の意見が一致いたしましたので、近く開かれます道府県主務部長等意見も聞きまして、道府県別の大体の一応の割当というようなことを連絡して参りまして、各県の方でこれが実施計画を立てた上で、最終的な予算の配分というものをやっていきたい、こう考えておるわけでございます。  現在までに寒冷地農業対策といたしまして進行しております模様を、御報告を申し上げた次第でございます。
  7. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまの説明に対して御質疑の向きは、御質疑をお願いいたします。
  8. 島村軍次

    島村軍次君 地域は、説明があったかもしれませんが、どう考えるのですか。
  9. 永野正二

    政府委員永野正二君) どの地域に適用するかということが現在までの一番問題になりました点でございます。それにつきましては、第一に、積雪寒冷地帯指定地域のうちで、大体その地帯農業が一年一作または二年三作をやっておる地帯、また夏作雑穀を作っておる地帯という地帯を、一つ標準とする。次に、農林漁業地域単位にいたしまして、その地帯の中で畑地割合が四割以上の地帯を選んで参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  10. 島村軍次

    島村軍次君 この前予算説明で、またただいまの説明で、大体了解をされると思うんですが、従来の施設の上にさらにプラスになるということですか。予算はむろんわかっていないと思うんですが、そういう点についてはどうですか。
  11. 永野正二

    政府委員永野正二君) 家畜導入については、従来融資の方法ですでに導入が行われておるものもある。また機械につきましても、従前の心土耕関係での機械導入が行われておるわけでございますが、本年とりました先ほど申し上げました牛についての二億五千万、トラクターについての二億一千万の経費を使う地帯は、今申し上げた地帯にしたいと。ですから、この場合は国有貸与になっておりまして、いろいろ使用条件等も異なっておりますので、これについては特にこういう標準をはっきりと定めて、畑作畜産への転換ということを主眼にした地帯に、対策をやって参りたいということでございます。
  12. 島村軍次

    島村軍次君 地域の問題でね、たとえば今まで寒冷地、いわゆる積雪寒冷単作地帯区域へ入っておるうちで、しかも今お話しになったような条件であれば、たとえば九州においてもその施設を県から出してきて、可能だと認めれば、条件さえかなえば、どこの地帯でも認めるということになりますか。
  13. 永野正二

    政府委員永野正二君) 積雪寒冷地帯指定地域が、全県指定のものと一部指定のものがありますが、右のいずれについても、私が申し上げましたような条件が全部かなっておる場合には、認めて参りたい。なお、こまかいことでちょっと落しましたのは、もう一つ条件といたしましては、この対象集団農家を選びます場合に、畑地があまりばらばらに散らばっておる所では困りますのでおおむね二百町歩程度畑地がまとまっているという地帯を選びたいと思いますが、それらの条件を全部満たしておれば、一応対象にはなり得るわけでございます。ただ、全体の金額もそう多くはないわけでございますので、なるべくこの趣旨を最も濃く実現できるような地帯を、県と相談をしながら選んでいきたい、こういうふうに考えております。
  14. 島村軍次

    島村軍次君 一体、この予算考えられたことは、北海道冷害をどう——と言っちゃおかしいが、適用区域北海道を主体に考えておられるのか、あるいは今お話しのように、条件さえあれば、そういうわけにいかぬから、九州まで及ぶのだと、地域さえよければ。そういうふうな考え方ですか。その点がちょっとはっきりせぬ方がいいのか、どうなのか。
  15. 永野正二

    政府委員永野正二君) 必ずしも北海道冷害対策ということで、それだけで始めたわけではございませんので、寒冷地農業を今後確立していくということが、非常に農業全体の振興のために必要だという意味でこれをやって参るのでございますが、ただ、先ほども冒頭に申し上げましたように、寒冷地農業がどうあったらいいかということにつきましては、地帯別にいろいろ条件が異なっておりますので、これらの条件を、いわばこれらの施設でもって模索していくと申しますか、今後の施策を生み出すためのテスト的な意味でやって参るわけでございます。従いまして、必ずしも北海道だけというふうに考えておるわけではございません。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、畑地中心にしてだね、それで畑地中心にして、畜産導入と、二百町歩以上の集団地区として機械取り入れと、この三つの条件中心にした総合的な調査協議会あるいは対策室設置と、こういうことになりますか。
  17. 永野正二

    政府委員永野正二君) 私は、今地帯についてこまかく御説明をいたしましたのは、寒冷地対策のうち、三十二年度予算家畜導入及び機械導入をやる対象地域説明でございます。そのほかに、寒冷地帯農業対策をやっていきますための機構として、官房には寒冷地対策室等設置したと。及び寒冷地における営農基準というものをきめていくために、とりあえず北海道中心にいたしまして各地域別営農基準というものを設定するための調査会を置いたと、こういうことでございます。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 それなんですね。だから、調査する寒冷地対策室ですか、室を官房に置き、それから寒冷地対策調査協議会を設けられることは、前提条件として、三十二年度予算に組まれた範囲のものを中心にしてやられるのであって、それだけの範囲のものをやられるのでしょう。そういうことですね。
  19. 永野正二

    政府委員永野正二君) そうでございます。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、たとえば今、まあわしらの新潟県等で問題になっている積雪の問題と、これをまあどういう木を切らしているとか、あるいは雪の消えたあとに当然出てくるいろいろの問題があります。腐敗とか、あるいは胴枯病とか、いろいろな問題が出て参りますが、そういうものもやはりこのたびのこの機構で総合的に調査せられる、こういうことになるのですか。そうすると、ちょっと違うように私は見ているのですが。
  21. 永野正二

    政府委員永野正二君) 農林省に置きました協議会の当面の仕事といたしましては、先ほど申し上げましたように、その地帯別自然的条件及び経済的条件を勘案して、どういう営農形態が適切であるかという営農基準の設定ということを、当面の目標としてやりたいと、こういうことでございます。従いまして、年々のあるいは冷害、あるいは雪害等の災害の対策の問題、あるいは冷害防止の問題、年々の問題につきましては、また別な仕事として取り扱っていきたい、こう考えております。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでわかりました。
  23. 仲原善一

    仲原善一君 地域指定の問題と予算との関係でございますが、予算の方で四億四、五千万しかない。先ほど島村先生質問で、この地域指定条件というものはおよそわかりましたけれども、あの条件に該当する所はずいぶんたくさんあろうと思います。そうなりますと、現在の予算でほんの一部分しか行き渡らぬと思いますけれども、将来ずっとこれは継続して、何カ年の後にはそういう地帯を全部こなしていくというような考えであるのか、ことしきりで打ち切って、あとはまあどうなるかわからぬというような考え方か、ずっと待っておれば順次回ってくるのかどうか、その辺のいきさつをちょっとお伺いしたいと思います。
  24. 永野正二

    政府委員永野正二君) それは、もちろん、本年度予算実施いたしまして、その成績を見るという要素もあると思いまするが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような条件地域をしぼって参りましても、全国の五千足らずの農業地域のうち、相当な部分が、おそらく一千以上の農業地域が該当する場合があるのじゃないかと、こう考えておりますが、そのうちのほんの一部につきまして、三十二年度限りテスト的にやったからこの仕事目的が達せられるとは、実は考えておらないのでございます。当然、実施をいたしました上で、適当な改善を加えながら、必要な地帯全部に対しましてこういう施策をやって参りたいということを、農林当局といたしましては考えておるわけでございます。
  25. 仲原善一

    仲原善一君 およその見通しですが、先ほど島村さんの御質問にもありましたけれども見通しとしては、この条件に合う所には大体指定になる場所ができる見込みでしょうか、それとも大体北海道東北方面に限られちゃって、そのほかの地帯はほとんどないというような結果になりそうなんですか、その辺の見込みはどうなんですか。
  26. 永野正二

    政府委員永野正二君) 当面この予算考えております規模は、乳牛役牛について五千頭、トラクターが六十四台という程度でございますので、このペースでいきますると、先ほど標準地域全部について施策をするには、相当な時間がかかることと考えております。しかしながら、この施策実施いたして参りまして、非常に適切な事業であるということになりますれば、当然この事業のスケールというものも広げていけるものであるというふうに私どもは信じておるわけでございます。ただ初年度事業といたしましては、これはテスト的に実施をして参るという考え方でございましたので、今後の実績によることである、こういうふうに考えております。
  27. 仲原善一

    仲原善一君 先ほどの御説明の中に農家群という言葉があったのですが、これはどういう形のものですか、何人ぐらいになるのか。あるいはその農業協同組合との関係だとか、申し合せ組合関係だとか、そういう問題についてはどういうふうにお考えになっているのですか。
  28. 永野正二

    政府委員永野正二君) 結局どの地域対象にするかということがきまってくるわけでございますが、その単位地域と申しますか、市町村と申しますか、その中から適当な農家群——約大体二十戸ぐらいに考えております。そういうものを選んで、それを一つ実施単位としてやって参りたい、こう考えております。
  29. 仲原善一

    仲原善一君 これは法人格も何もなくて、ただ申し合せでそういう組合を作れば、それでいいわけですか。
  30. 永野正二

    政府委員永野正二君) できるだけそれらの農民がまとまった自主的な協同組織を持っておるということが、私どもとしては適当であろうと、こう思っておりますが、必ずしも農協自体対象にするとか何とか、そういう考え方ではございません。
  31. 仲原善一

    仲原善一君 今の問題で、手続なんかは相当繁雑に……。従来の経験から申しますと、そういうものが非常に繁雑になって、連帯保証だとか、あるいは保証人がなければどうとかいうので、非常に運営上設立がむずかしい問題がたくさんあったのですが、そういう点は相当簡便に、即座にでもできるような形に御指導願いたいという気持がありますが、その点はよろしく一つお願いいたします。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 寒冷地帯の問題に限らないのですが、この機会に官房長にお尋ねするのは適当でないかもしれませんけれども、この新しい農村の問題になると、必ず家畜導入機械化、こういう問題が出るのだね。ところが、農林省の方で家畜導入なり機械化を奨励をされるのはいいけれども、一体どちらを優先的に考えておられるのか、どちらに重点を置いておられるのか。と申しますのは、農家経済から出発して、家畜導入の方が私は経済的だと思うのですよ。それで、なおかつ足らぬ点を機械化をするということだと思うのですがね。ただ農家に、その選択は自由である、両方とも世話してやるからどっちでもやれ、こういうことじゃ私はいかぬと思うのだが、そういう点は一体どうなんですか。
  33. 永野正二

    政府委員永野正二君) ただいまの御指摘のように、農林省家畜導入対策、それから機械導入対策は、いろいろな考え方から、数個の制度と申しますか、いろいろな制度で実はやっておるわけでございます。融資の方法によるもの、あるいは県がそういう施策をして貸付方法によるもの、それから今度の寒冷地のように、国有で家畜なり機械を持ってそれを貸し付けるもの、いろいろな制度があるわけでございまするが、これらを総合的に摩擦のないように運用していかなければならないという問題は、一方もちろんあるわけでございますが、今回考えております寒冷地帯対策としてのこれらの施設は、一般的にいいます寒冷地が非常に収益的にも収益が低い、それから作業期間がそういう気候の関係で非常に短かくて、労力的にもいろいろ問題があって、これがなかなか適当な有畜経営に切りかわっていかないというような、いろいろなことを考えまして、特に国有の形で、なるべく農家負担を少なくしながら、従来の粗笨なと申しますか、いわば略奪的な経営を、家畜機械を入れた畜産農業に転換さしていきたい。そのためには、相当国として直接家畜を持ち、機械を持って、農家負担を軽くしていきたいという趣旨でございますので、これは対象をできるだけまあ限る。限っていく。そうしてそのほかに一般の農民に対しましては、融資その他の方法によります家畜導入ができるだけ伸びていくということを並行してやって参りたい、こうまあ考えておるわけであります。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 私が伺っておるのは、国の負担においてあるいは機械を貸すとか、家畜を貸すとかいうことじゃなくてね。農業経営家畜導入し、機械導入——現にしておりますね。その場合に、農林省の方で調査が私はあると思うんですがね。私がごく大ざっぱに見ますと、家畜導入をやり、機械導入したために、農家の経営が非常に、経済的じゃないですよ、肉体的に非常に楽になったという点はあります。その反面、非常に経済的にこれらを導入することによって負担が軽くなった、農産物の原価が低下したということでなければならぬわけですね。ところが、それが逆じゃないですか。私がそれを断定するのは、たとえば家畜導入をやり役牛を使う。ところが、その役牛が一体一年にどのくらい使われているか。大体一カ年六十日か七十日くらいしか使われていない、一般にこの付近ですと……。せっかく家畜導入をしましても、その役牛が子を生むだけに使われて、一般農業の管理までに使われていない。一部の篤農家を除いてはね。そういうことであるから、非常に家畜導入というのは、楽にはなったけれども、農産物の原価の上においては決していい作用をしていない、こういうことなんですね。だから、農林省家畜導入をやり、さらに足らぬ点は機械を入れるという以上は、それによって農家が肉体的に楽になると同時に、経済的なコストが下ったというところをねらわなければいかぬわけです。そういう、私は、農林省で科学的な基礎を持った調査のもとに家畜導入なり、機械化を指導しなければいかぬと思うんですがね、そういう点についてはどうなんですか。
  35. 永野正二

    政府委員永野正二君) ただいまの御指摘は、実は私どもも非常にその必要があると考えておるわけでございます。本来でございますれば、先ほど申し上げました調査会で、おのおのの地域につきまして、自然的条件、あるいは経営の規模、労力の関係、あるいは市場との距離、その他の経済的な条件というようなものを地域別に調べまして、そこでの経営はどういう規模で、家畜がどういうふうに入って、どういう畑作の輪作をしたらいいかという、その営農基準というものがあって、その営農基準に基いて、この地帯には家畜はこれだけ入れる、機械はこれが必要だ、こういう機械が何台必要だという設計をした上で、導入をしていくのが理想的なわけでございます。ただ、今その設計をいたしますためには、相当これは基礎的なデータも必要でございますし、本年直ちにこれは間に合わないのでございます。従いまして、われわれといたしましては、一方モデル的に、こういう地帯ならば家畜機械を入れることが適当であろうというような地域に、モデル的に今相当の金を出してやっております。一方、調査研究いたしまして営農基準を作って、将来はその営農基準に従って最も経済的に、つまり農家の生産費の下るような地帯に、下るような形で入れていく。両方の施策を組み合せていくということが将来はできると思いますが、本年はまだそこまで行っておらないのでございます。
  36. 河野謙三

    河野謙三君 私がそういうお尋ねをするのは、先ほど、今度寒冷地対策の何とか室を作って、各局に分れているものを一つの所でやる。これは非常にいいことだと思うのです。今まではそうじゃないですね。たとえば畜産局振興局か、どこか知りませんけれども機械関係の人は機械の宣伝をやる、まるで農機具の宣伝みたいに。それから畜産局の方では牛や馬を宣伝する。同じ農林省がですよ。農家経済に立脚して、かくすることが農家経済のためになるのではないかというので、与えられた職場において、おれは機械をどんどんふやせばいい、おれはどんどん牛を使わせればいいのだと……。それはお認めになると思うのです。だから、農家にすれば、からだは楽になったけれども、ふところの方は苦しくなったというのが、今までの農業家畜導入であり、機械化の奨励であったと、極端にいえばそういうことです。でも、まだ農林省の方は係りが分れているから、機械と畜力と別々に人がいるからいいですが、府県に行ってごらんなさい。同じ人が、きょうは機械化の方へ行く、あすは畜力の方に行く、こういうナンセンスのことがあるのですよ。だから、僕は意見になりますけれども、せっかく対策室ができたのだから、それらを総合して、両者のどちらが経済効果があるのだということで、よく取捨選択されて、やはりどこまでも農産物の原価を下げるためには、ここは畜力でいくべきである、ここは初めから機械でいくべきだ、こういうことは私はぜひとも対策室ができたときにやってもらわなければ、農家が、今まで自転車に乗ったのがオートバイになって大へん楽になったけれども、費用がかかる、借金がふえたというのと同じ程度のことなんです。これはぜひ改めていただきたい。これははなはだ意見になりますけれども……。
  37. 東隆

    ○東隆君 私は、寒冷地農業対策として官房に一室をこしらえられ、そして生産方面条件を整備されるについていろいろな調査を進められる、そういうようなことは非常に大切なことだと考えますし、かえっておそきに失しておったのではないかと、こう考えるのです。そこで問題は、私は、やはりこれの効果を上げるためには、経営形態なんかの問題ももちろんありますが、現実の問題としては、非常に農家が負債をしょい込んでおる。それでこの負債をたな上げするとか、その他の方法を講じなければ、おそらく開拓農家にしても、帰農家にしても、なかなか更生ができないと思う。負債整理の関係の問題が一つ前提条件としてある。  それからもう一つ、金融の面において考えなければならないのは、全国一律に融資をされる場合に、同じような期間を考えられる。それで寒冷地帯は、これはもう必ず凶作だの何だのがやってくるのですから、そういうような場合に、本来ならば払えるようなものでも、凶作になりますと逆の作用をするのですから、従って、そういうような面から考えても、長期に償還をする。こういう融資においては、普通の地帯におけるものの約倍くらいの期間を当然設定をしなければ、融資をすることは無理じゃないか。そういう前提がなければ融資はすべきじゃない、こういう考え方を持つのです。それで、今後いろいろの施策が講ぜられて、融資の面もありましょうし、補助の面もありましょう。いろいろな面があるでしょうが、さしずめ融資という形で出てきた場合に、今までと同じように短期の融資、期間を非常に短かく切ってそうして融資をする、こういうことは、今までの例でもってもうはっきり出ておるのですから、もっと違った考え、変った形で考えられなければ、ものにならぬ。この点はまだまだお変えにならぬと思いますけれども、お考えになっていただかなければならぬ。土地の基本的な条件を整備するというような問題、さしずめこれに関連した融資は、これはよほど長期のものを融資をする、そういう考え方を持つべきである、こう考えるのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  38. 永野正二

    政府委員永野正二君) 寒冷地域の農業の実態からして、負債償還能力その他が、非常に普通の平地の農業経営の場合よりも悪い条件にあるということは、お示しの通りだろうと思います。また、それに加うるに、しばしば冷害というような問題が起りましたために、現実において相当な負債の累積がされておるということも、私ども承知をいたしておるわけでありますが、これの解決策といたしまして、いろいろ問題になっておりますが、やはり根本的には、借りた金が返せるような状態に持っていくことが必要なんでありまして、そのために、不十分ながら本年から施策に手をつけたわけでありまして、これらの施策が実を結びますれば、一定の条件ならば借りたものが返せるという形が、はっきり出てくると思うのであります。ただいま御要望がございました北海道その他につきまして、特別な償還期限あるいは特別な利率と申しますか、こういう御要望は非常にもっともな点もあるのでございますけれども、私どもといたしましては、要はそれらの地帯における農業経営をもっと強くする。やりようによっては、相当な面積の経営をいたしておるわけでございますから、必ずしも平地の農業とそうひけをとらないような経営形態もあり得るわけでございます。しかも、相当現金収入のあるような経営形態もでき得るわけであります。ただ、そう申しましても、一挙にそういうことにはなかなかならないのでございますけれども、これらの対策にできるだけ努力をいたしまして、そういう方向に一日も早く行くということを主眼にして参りたいと思います。
  39. 東隆

    ○東隆君 北海道その他の開発関係の開拓に関連をして、今現われておる状況というものは、これはわれわれにいろいろなことを教えるのですが、そのうちで、私は、やはり金融という面が非常に不合理なものであるということがはっきりしておる。それで、土地に投入をした資金というものは、これはもうできるだけ長期に支払って差しつかえないものである。それから、その土地の上に建てられた不動産も、これも農業経営を続ける限り十分に役立っていくのですから、従って、恒久的なものを建て、そうしてそれには、従って、たくさんの金がかかるのですから、そういうようなものもやはり長期に償還をさせる。これで初めて健康なからだで農業経営をやっていける、こういう条件が備わる。そこで、資金を長期に融通をするということが確立されるならば、私は、少しばかりの補助金を出すよりも、融資によって計画を立てて、そうしてやっていく方がかえって安全な計画ができるのじゃないかと思う。それで、出された金を、かりに償還期限が短かければ、二割も三割も元金を入れなければならぬ。それと金利と合せると、それはもう決して償還ができないようなことになる。そこで、できるだけ期限を長くして、償還の元金を少くして、そうして経営から上ったものでそれが払える態勢、これをどうしても確立しなければ、今後の私は、寒冷地帯ばかりではなくて、開拓をする方面なんかにおいても、その点を考えなければいけないのではないか、こう思うわけでございます。それで、この点一つ考え下すって、それから負債の問題とあわせて、一つ金融の面でいい案をお考え願いたいと思う。
  40. 永野正二

    政府委員永野正二君) 十分検討いたしたいと思います。
  41. 上林忠次

    ○上林忠次君 これは何ですか、機械化、畜力の導入というようなことから考えますと、共同経営とか、作業の共同化というようなことも考えておられると思います。土地の併合、そういうような部落一まとめにして土地を有効に利用していく、そのための畜力の導入というようなことになると思いますが、それの共同化というのはどの程度考えになっておりますか。
  42. 永野正二

    政府委員永野正二君) 実は、経営自体の共同化というところまでは、直接この対策考えておるのではございませんので、もちろん大型トラクター等は、相当な面積対象にしなければ経営が成り立たないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、畑地帯で相当な機械が効率的に動くという条件一つ条件にして、地域をきめたい、こういう考えでおりますので、理想といたしますれば、将来経営面積の零細な農家そのものが共同化したために、これらの施策が受け入れられるというようなことになることが理想でございますけれども、当面の施設をつぎ込みます地帯といたしましては、現状のままでこれが経済的な効果をできるだけ発揮するという地帯を選んでいきたい、こういうふうに考えております。
  43. 上林忠次

    ○上林忠次君 小さい問題になりますけれども、アメリカあたりの話を聞いておりまいすと、耕作面積、経営面積の小さい所は畜力を使う、役畜を一頭、二頭入れる。大きい所はそれじゃとてもつぐなわない、飼料その他管理のために畜力は損だ、みんな機械化されつつある。そういう点から、いろいろ、あなたの方は畜力を入れる、機械力を入れるとおっしゃいますけれども、どういうふうな所には畜力を入れるのか、そういうような研究はありませんのですか。この程度行ったら機械力にしようじゃないか、あるいは機械力にする。そのところは、今の共同化に関係しますけれども、前には農家の経営の実態調査というものをやりました。二年間、三年間かかって、農林省が大きな金を出しましてやりましたのですが、あの実績のデータをどういう工合に利用されておりますか。私はあのデータは相当利用できるのじゃないか。各地方、各作物の種類別ですね、労力の配置を計算してある。こういうふうなデータをどういう工合に使われておりますか。この際相当利用する余地があるかと思うのですが、これに対する……。
  44. 永野正二

    政府委員永野正二君) この寒冷地対策として考えております家畜は、乳牛和牛でございまして、従いまして、これはこういう地帯では、穀物を主体にした農業から、飼料作物、あるいは草地を取り入れた畜産農業に転換するというための家畜導入でございます。そのうちの一部和牛につきましては、たとえば水田の裏作の関係で、もちろん役畜としても相当なウエート、価値があるわけでございますが、主眼としてねらっておりますのは、そういう畑作地帯についての飼料作物への転換ということでありまして、ただいま御指摘の農作業関係におきましての役畜についての調査、これはただいま私ちょっと詳細な記憶がないのでございまするが、もちろん農作業の中におきます役畜の取り入れ方というものについては、そういう調査を十分参酌して参らなければならぬ、こう思います。
  45. 上林忠次

    ○上林忠次君 前に一ぺん申し上げたことがあるのですが、日本の大体の経営の状態、実態を見て、まず一町なら一町の耕作面積に対して、山何%、畑が何%、水田が何%、これは各地方によって、また作物の種類が違いますから、労力の分担が違いますし、いろいろに経営が変ってくる。一町なら一町のうちで最も金がとれるような経営方法というものを考えてもらわなくちゃならない。経営試験場というものは日本にはないのですけれども、そういうような経営試験場がほしいのですね、ほんとうは。日本の農家としては、どういう地帯のどこそこの所は、こういうような実態だ。その実態から、最も金がとれるようにするには、これには労力はこういう工合にしたらよかろう、役畜何んぼ、和牛は幾らというような方式が出ると思うのですが、これはまあむずかしい問題であると思いますけれども、そういうような、前の経営の実態調査をもとにして、机の上で、そういうような大体の指導方針ができるのじゃないか。それを頭に入れて、今度の試験的なやつをやっていただきたい。今のところ五里霧中で、指導方針も何もない。ただ、でたらめに、いろいろな作物を作っているという程度で、農村としては、どういうようなふうにわれわれが土地を作ったら一番いいのだというようなところが見つからない。だれも知らない。そういうような方面に、今回の試験的な実施をうまくやってもらいたいと思うのです。
  46. 永野正二

    政府委員永野正二君) おそらく、一定の経営面積を前提にいたしまして、どういう作物をどこへ作ったらいいかということにつきましては、その農民自体が一番のこれは経験を集めた、またそれらの判断を身近かにやっておるわけでありまして、これらについて、役所が一つ営農基準を、ものさしを作って、これを頭から押しつけていくというようなことには、また一方非常に問題があろうかと思います。ただ、非常に経営のおくれておりますこういう寒冷地とか畑作地帯とかいうようなものにつきましては、これは別途、どういうボリュームの資金をどういうふうに入れて、それをどういう形で持っていったらば、経営が一番よくいくかという問題については、これは別途やはり国として相当調査をし、研究していかなければならない問題だと思うわけです。そういう点につきまして、先ほど申し上げました寒冷地農業協議会、そういうようなものでいろいろなデータを集めて、試験研究機関を動員して、国として模索すべきものは模索していくという考え方でやっております。
  47. 上林忠次

    ○上林忠次君 まあ農民がおのおの経験で実態と即応した耕作をやっていると言いますけれども、この家畜導入、酪農の導入、また機械導入ということになりますと、労力の分配も変ってきますから、うんと経営方式が変ってくるのじゃないか。農民のやっているままじゃなしに、私は、農林省としては相当な基本フォーミュラ、それを作っていただかなければならぬじゃないかと思っているのです。これからの農林省のやる仕事としては、どこの地帯はこういうふうな方式でやるのが一番よろしかろうというようなところを一つ模索していただいて、そういうような方面にこの資金を、そのおつもりで有効に使ってもらいたい。
  48. 仲原善一

    仲原善一君 家畜を現物で貸付するというお話ですが、これは農民と契約を結ばれることになろうと思いますけれども一つお伺いしたい点は、府県を経由して転貸されるのか、直接国が農家に貸されるのかということが一つ。それを返す場合には、現物で返す場合には子供を返すのだろうと思いますが、その点、子供であるかどうか。その場合にいろいろ問題が起ってきまして、実際やる場合には雌雄によってずいぶん値段が違うわけです。そういう場合に、現物で返すということでなしに、一ぺん換価して貨幣価値に換算して返すような制度をあわせて考えておられるのかどうか、そういう点を一つお伺いしたいと思います。
  49. 永野正二

    政府委員永野正二君) 貸付は国から道府県を経由いたしまして、国が道府県に貸し付け、県から農家に対しての貸付をするという形を考えております。それから返還につきましては、いろいろ問題は実はあろうと思っておりますが、もう少し、時間もあることでありますので、今お話しのような点はよく考えまして、返還の形を考えていきたいと思います。
  50. 堀末治

    委員長堀末治君) この件はこの程度にとどめます。   —————————————
  51. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、豪雪対策に関する件を議題といたします。  この件はかねて委員会で問題になっておりましたが、緊急を要するものでありますので、重ねて問題として、政府の処置について説明を聞くことにいたします。
  52. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 豪雪対策問題につきましては、当委員会におきまして、農林大臣御出席のもとに、すみやかに対策を立てて報告をせよと、当委員会の御要望があったのでございます。それから衆議院の方におかれましても、現地調査並びに指導が行われたのでございます。同時に、私の方もさらに、現地に係官を派遣いたしまして、いろいろ現地指導をいたしますと同時に、対策を県当局とも協議をいたしたのでございます。それで、当委員会並びに衆議院方面の御報告、並びに私どもの方の現地調査、県のいろいろな要望等も参酌いたしまして、私どもの方で一応の案を作りまして、大蔵当局に折衝を、予算の予備費の支出につきまして折衝をいたしたのでございますが、なかなか本問題につきましての結論を得ないで、今日まで来たのでございますが、その間、政府首脳部並びに政調会等におかれましても、本問題をきわめて重視されまして、おおむねの線につきまして、本日一応の了解点に達せられた。これが私どもの方に返って参りまして、目下細目の点につきまして、大蔵省当局と事務的な折衝をいたしているのでございます。おおむねの線としてきまりました点を、一応この際御報告申し上げたいと、かように考えておるのでございまするが、  まず第一には、もう私が申し上げるまでもなく、まず雪を消すことでございまするが、これにつきましては、もう現に実施されておりまするし、また現在もその実行中でございまするが、これらの消雪に要しまする土取場の設置費、これは町村あるいは農業協同組合等で土取場を設置いたしまして、消雪をいたしたいと存じますが、農家が自由にその土取場から土を取って、自分のたんぼに持って参りまして、土をまくという、土取場の設置でございまするが、これにつきましては補助をする、こういうことでございます。  同時に、苗しろ並びに本田につきましての消雪に要しました労賃でございまするが、そのうち、自家労力はこれは補助の対象にいたしませんが、雇用労力として雇い入れましたもので、それがはっきりしておりまするものにつきましては、これも助成の対象にする。つまり、新潟県等におきまして要望いたしておりました、消雪促進に必要なる現金支出につきましては、全面的に助成をいたす、こういうような方針がおおむねまとまったのでございます。  次に、一番問題になりますのは、苗しろの問題でございまするが、まず豪雪のために苗しろの造成がおくれると同時に、これは本田植付にも関係してくるのでございまするが、これを、豪雪関係からの災害をできるだけ防止する。このためには一番、私どももずっと以前から奨励しておりまするいわゆる温床苗しろの設置の助成をする。一応私どもの方といたしましては、保温折衷苗しろのいわゆる油紙代の費用と、まだそれにも行きません簡易苗しろと申しまするか、防鳥網を設置するこの簡易的なものと、二つを対象といたしておりましたが、防鳥網の方の簡易苗しろの方は、これは改良資金の方で何とかするということが本筋でありますので、この際保温折衷苗しろを全面的に一つ奨励して参る。そのために必要な温床紙の問題につきましては、これは補助の対象にする、こういうことで話が一応まとまっているのでございます。  次に、予備苗しろと申しましょうか、どうしても本田の植付がおくれる傾向にございまするので、本田植付の本数、本田に移植しまする場合に少し苗がよけい要る、そのために予備苗しろを設置する必要がございまするが、これらにつきましては、一応全面的に補助の対象にする、こういうことに話がまとまったのでございます。  次に、豪雪のために雪どけがおそくなりまするし、本田に冷水が入るおそれがある。この冷水を防止するために、水稲の水口被害を防止するためにビニール板の助成をする。それによりまして直接冷水が水田に入って参るのを防止する施設でございまするが、これも補助の対象にする。こういうふうに話がまとまったのでございます。  次に、豪雪並びに冷害の場合には必然的に、いもち等の病虫害が発生することは必然でありまするが、これに対応いたしまするために、動力噴霧器等の防除機械を助成すると同時に、少くとも一回ぐらいは、こういう豪雪の年には、平年以上の防除をせねばならない。従って、その一回分だけの農薬代を補助する。こういう二本建の私どもとしましては構想でおりましたが、病虫害の問題、従ってそれに必要な農薬の点につきましては、これは今直ちに決定する必要はない、そういうことが現実に参った場合にこれは対象にすべきものであろう。ただ防除機具の方は、これはどうしてもあらかじめやっておく必要がございますので、これは一つ補助の対象にしようということで、農薬代の方の補助はこの際見合わせる、ただし機械の方はこの際補助の対象にする、こういうふうな格好に相なったのでございます。ただ、御承知のように、県有並びに国有の防除機具がございますので、こいつを一応、今年の水稲期間中想定され得る病虫害に対応する動員態勢をとりまして、その方の不足分を補助の対象にする、こういうふうに一応の了解がいったわけであります。  これで、大体におきまして、新潟県等から要望のありました分のうち、農薬代を除きまして、全面的に一応補助の対象にする、かような格好に相なったのであります。そのほかに一応事務的な経費といたしまして、今後の豪雪対策に対処いたします試験研究費と、現に指導奨励いたしておりまする府県並びに本省の職員の指導旅費、これを若干認める、かような格好で一応の話が落ちついたのでございます。  ただ、本対策は非常に急ぎますので、政府の態度というものを一日もすみやかに発表する必要がある、こういうようなわけで、細目の点を目下大蔵省と鋭意折衝いたしております。ただ、これは閣議了解のもとにやる必要がございますので、一応事務的にこの点を積み上げまして、閣議了解を経まして、直ちに県の方に通知をいたす。もちろんこれは現にやっておることでございまするし、金額の点につきましては、一応方針を政府の方で流しまして、県がそれを受けまして、県の予算を、一応の事業計画を定めまして、それを現地で実行いたしまして、その報告を受けまして、現実の金とそれを精査いたしまして、現実の予備金は計上いたしたい。従いまして、それが大体わかりますのは、五月の中、下旬じゃないかと思っておりまするので、方針をこの際はっきり明示いたしまして、こういうことをやった場合には助成をする、こういうふうな経費につきましてはこういう割合で助成をするということを、できるだけすみやかに決定する。大体今申し上げましたような方針が決定いたしましたので、金曜日の閣議になるかと思いますが、できることなら持ち回り閣議等でも一つ決定していただきまして、それで県の方にこれを正式に通達をしまして、その県の実績をもちまして、現実に補助金をやるというような格好にいたしたいと思っております。  ただ、現実の指導といたしましては、常時新潟県から私どもの方に係員が来ておりますので、大体こういうような格好になるから、すみやかに一つそのつもりで現地の方を督励せいということで、全部電話連絡いたしておるのでございます、時々刻々。これは非常に急ぐのでありますので、その点につきましては、遺憾のないようにやって参りたいと考えております。それが現在の段階でございます。
  53. 河野謙三

    河野謙三君 御報告漏れがあったのか、それとも論議の対象にならなかったのか、実は被害の中に、現在雪をかぶっている麦、菜種、桑、その他の蔬菜類があるわけです。非常に大きな被害を受けておる。これらにつきましては、もうほとんど全滅に近いものもありますし、雪解けと同時に、いろいろ成育の促進のために、肥料を特別にやるとかということによって、ある程度回復の見込みもあるわけです。こういう今申し上げたような、現在作付けされており、そうして被害を受けておる作物の問題についての補助というような問題は、出ませんでしたか。
  54. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その問題は、当然論議の対象になったわけでございます。これは桑の問題にいたしましても、麦その他の蔬菜につきましても、まあ問題になったのでございますが、これにつきましては、まず消雪をやることが先決問題ではないか。この点につきまして、まあ現地の報告を係官が見ておりますと、一生懸命やっておるのでございますので、その方の助成をまず取り上げる。その上で、たとえば桑でありますとか、非常に芽立ちがおくれる場合に、今後の肥料問題をどうするとか、農薬問題をどうするということは、第二段の対策として考慮しよう。一応消雪促進ということを、今回の対策としては一番先にとって、差し迫っておりまする苗しろの問題を、まず一番先に取り上げる、こういうような格好になっております。
  55. 河野謙三

    河野謙三君 よくわかりました。森の石松じゃないけれどもあとから出てくるということになっておれば、けっこうであります。  もう一つ尋ねたいのは、自家労力は補助の対象にしない、雇い入れ労力については補助の対象にする、こういうことなんですが、これはあなたに文句言ったってしょうがないのですが、一応公平のようだけれども、これくらい不公平なものはない。積極的に、自家労力以外の雇い入れ労力を使って、積極的に増産に大いに寄与した人は、これは補助の対象になる。これも積極的にやって、まことにいいことでありますけれども、たまたま家族がたくさんいて、人が五時間働くところを十時間働いて、そうしてしかも自家労力だけでやったというのは、これは勤勉なるがゆえに対象にならない、こういう結果も出ますね。この点は、一応こういうふうにおきめになったけれども農林省で、実際は坪当り幾らとか、反当幾らということで、実際にははじき出されるという、県と農林省との間で、大体目つきか顔つきか知らぬけれども、そういうところで話が落ちつくのか。それとも、どこまでも今おっしゃるような、文字に現われた通り厳格にやられるのか。もし厳格にやられると、非常に私は不公平だと思う。それはどうなんですか。
  56. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 実はその点につきましては、先生御指摘の通り、あるいは非常に割り切れない問題があろうと思います。自分の労力がたまたまあったような場合、これは何も補助の対象にならない、雇用労力を使った場合に補助の対象になるということは、場合によっては非常な矛盾の場合もありましょうが、政府といたしまして特にその助成金を出すわけ6ございまするから、その場合に一応まあある程度はっきりした、農業経営に積極的に雇用労力まで使って農業の増産をやってもらったと、こういうものを一応補助の対象に取り上げる、その限度に落ちつく以外に、実際問題として、まあそれ以上のことはできないのじゃなかろうか。もちろん、先生のお話のありましたように、非常に割り切れないような点がございまするので、これをもし予算が許すならば、自家労力も含めてやった方が、これはまあ農家経営のためにはあるいは公平であり、いいかと思いまするが、そこまでは現実としては行きかねる。従って、一応建前といたしましては、雇用労力、現金支出までしてそういう農業生産に協力してもらっている、こういうような対象だけを取り上げて、一つ補助の対象にする、まあこの辺でわれわれといたしましても、この段階といたしましては、まあがまんせざるを得ないのじゃないか、かように考えております。
  57. 河野謙三

    河野謙三君 大坪さんのことですから、腹芸で大体やられると思うが、私はくどく言う必要はないと思うけれども、ただ、私も現地に行きまして、特に信用のできる新潟の試験場でいろいろ話を聞きますと、いろいろの対策の中で一番心配しておられるのは労力対策なんですよ。これが雪どけの前後になると、何もかも一緒になってしまって、新潟県の農家が全部集まったってこれは始末がつかない。労力不足で大体参つちまうのじゃないか、こういうことを言っておられる。われわれも大体想像がつくのですよ。そのときに、結局その対策は何かというと、雇い入れ労力じゃなくて、自家労力を百パーセント、百二十パーセント使うということ以外には、対策がないのですね。それをきっと使うでしょう。それを使った場合、その自家労力は補助の対象にならぬということになると、およそ現地の現実の問題としては、大蔵省が自家労力は対象にしないというのとは現実離れしているのですよ。しかし、まあ書いたものに表わす以上は、こういう形でなきゃいかぬというのは、あと一つ大坪さんの腹芸に期待して、現実はそういうところにあるのだと。自家労力は百二十パーセントに使う以外には手はないのだ。従って、自家労力を百二十パーセントに使わせるような政治をやるのがこの豪雪対策である、こういうことは一つ御了解願えると思いますがね。そういうことでよろしいですね。労力はないのですよ、第一。労力対策が一番大きな問題だ。金の問題より、労力対策がもっと大きな問題だ。
  58. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 先生からおしかりを受けたわけでございますが、これは数字で、きちっとした数字が出てくるはずでございますから、それによりましてお答えいたします。
  59. 河野謙三

    河野謙三君 時間をとる問題だと思うね、それは。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体、これはちょっとめんどうになると思うのですがね。自家労力ということになると、大体が共同作業ですよ。もう労力はないから……。そうして、これには指導費が全部とれている。そうして村で、部落で、これを部落全体をふやそうというて指導する人は、朝から晩まで寝ずに指導している。この指導費がとられている。そういうやつが自家労力になるのかどうか。それから大体が、手があくころは、全部出てきてやるのです。それで足らなければ、新聞にこの間出ていた通り、学校の生徒まで加わってやるのですからね、自家労力で。雇い入れ労力というのは、金がないですから雇われませんから、そういう無理をやる。結局は、長く働く。片方においては、若い手合いは全部、山へ入って行って、たきぎ切りをやっている。こいつがなければ、ここで切って雪のあるうちに持ってきておかんければ、仕方ないから、たきぎ切りに入って行く。ほとんど労力がないから、共同作業でやる。これを全部、そうすると、雇い労力と見てくれるかどうか。形においては、雇い労力をふやすという意味においては、区別がつかないのですよ、実際のやり方が。
  61. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 私は、その辺は非常にむずかしい問題でございます。現在でも、たとえば平坦地におります親戚の者を呼んできて、これは散土をやっている。それには飯も食わせなければならぬ。帰りには、みやげを持たせなければならぬ。そういうものが現金支出であるのかどうか。また共同作業をやった場合に、いろんな経費がプラス・アルファとして出る場合に、これが現金支出であるかどうかという問題は、非常にむずかしい問題であるかと思うのでございます。これらの点につきましては、確かに実際の問題といたしまして、現金支出とほんとうに認められる事情のものは、これは確かに補助の対象にする、こういうように一つ考えたい。いろいろこれは具体的の問題といたしましては問題があろうかと思うのでございますが、いやしくも補助金でございまするので、一応まあ厳格なる態度で一つ臨んだ上で、われわれは実情に沿って処置する、かように考えます。
  62. 島村軍次

    島村軍次君 いずれこの問題については基礎資料が配られて、県でも、あるいは農業者の実地の御調査になって、そうして県の方はその資料に従って、相当こまかい数字が出ている。それから、そのこまかい数字の中から、今お話のあったような各項目をキャッチしてくれば、おおよそ総額が現在のところでどのくらいの概算になるか。これは大蔵省とじゅんじゅん折衝中でありますが、自民党の政調会でお扱いになっているような、いずれそういう問題が論議の対象になると思う。だから、それをこの際一つお聞かせ願うことと、  それからもう一つは、補助率の問題。補助の対象にするというが、各項目を六項、七項をお上げになったが、補助の率の問題は一体、およそ何割こういうふうな考えを持っている、その点。  それからもう一つ。今お話のあったのは、私はやはり一番問題になるのは、作業の実態だと思うのです。青年団を動員したとか、あるいは消防組を動員した、共同作業の方がよっぽど仕事がやりいい、散土の問題だって、共同作業の方が非常にいい。こういうことが私はすぐ考えられる。それはやはり現金支出。普通ならば雇い入れてやるべきだけれども、指導者が号令をかけて、昔の型でいえば命令一下でというような、兵隊が出てくると同じような形で出る場合が、私は相当考えられると思うのです。そういう場合の共同作業については、まあ現実に即したというお話ですが、大体そういう共同作業のようなものも、つまり現金支出がはっきりしてくれば、あるいはまたかりに領収書を持ってくれば、それは補助の対象になるということを、やはりちょっと、もう少し一つ突っ込んで御答弁が願いたい。
  63. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) まず第一点は、補助率でございまするが、これは原則として二分の一でございます。ただ温床紙と、それからこれは実は改良資金に切りかえましたので、その以前は三分の一の補助であったのでございまするが、温床紙につきまして二分の一にするか、三分の一にするか。目下大蔵省と私どもの方で折衝をいたしております。それからもう一点、実は農機具の助成金でございまするが、これは現在四分の一の補助でございますので、この補助金額を何ぼにするかという点も折衝中でございまするが、この二点を除きましては、ほかの問題につきましては、全部二分の一ということに一応了解がついております。
  64. 島村軍次

    島村軍次君 総額概算幾らぐらいになるんです。
  65. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) それから概算の問題でございまするが、それは現に実行中でございまするし、県も鋭意指導いたしておりますので、もうしばらく待たなければ、実は現実の結果が出て参らない、こういうような事情でございます。一応私どもが大蔵省に、先週木曜日に提出いたしました材料といたしましては、ごく大ざっぱな腰だめの数字ではございまするが、これはあくまで腰だめでございまして、従って、この点につきましては、もうしばらく県の指導の結果、並びに現実に町村あるいは農家で実行されました結果によりまして、数字を出したい、実はかように考えているわけであります。  それから共同作業等の場合の問題でございまするが、趣旨といたしましては、あくまで一つ現実に現金支出を要したと認められるものを対象にして金を出す、かように考えておりますので、共同作業の実態を見まして、現金支出を要した場合には、これはそれに必要な金を出す、こういうようなことになるのじゃないかと考えております。
  66. 島村軍次

    島村軍次君 腰だめはわかりますが、けれども、百億要るのか、あるいは十億で済むのか、(河野謙三君「一億だよ」と述ぶ)一億の程度かということになると、これはやはり大蔵省が御査定になる場合にも大よそ見当があろうと思うのです。だから、予算要求をされた時分の概算額は、まずたとえば災害の時分には被害額何百億というのはすぐ発表になる。それを査定されるというと、まあ半分になったり、三分の一になる、こういうことは現実に、もうたくさん農林省関係にもあるわけです。そこで、たとえば五億以内とか、あるいは三億以内とか、一億ぐらいで済むのか、あるいは十億ぐらいを要するのか、こういうことについて、これは速記で言いにくければとめてもらって、まあ懇談のつもりで、大よそ何ぼぐらい要求しましたということを、一つ速記をとめてよろしい、簡単に……。大蔵省がお見えになっておりますから、そう隠されて……。われわれこそ初めて承わるのだけれども、政調の方々の御折衝の段階もあろうと思いますから、一つ……。
  67. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 実はその点が論議の対象になったのでございまして、私どもの方といたしましては、一定の金額と項目を、大蔵省に、こうやってほしいという請求をいたしたのでありますが、大蔵省の方といたしましても、今回の災害の趣旨にかんがみまして、特に特別に一つ助成金は対象項目としては大幅にふんばろう、しかしこれはやってみなければわからぬ問題じゃないか、こういうようなことになりまして、まず政府の方針を県に明示する、その結果によって一つ話をきめよう、こういうふうになっておりますために、実は金額の点につきましては、実は私どもの方といたしましては、河野先生は一億以内というお話でございましたが、まあそのくらいのものはと、こういうような気はございますが、その点につきましては、この際は一つ触れない。触れないということで、そのかわり政府の施政をはっきりして、一つ指導する。  実は、本日来ておりました課長も直ちに帰しました。帰しまして、特に地域農業試験場長にも電話をかげまして、今回は一つ、国会の非常な御好意によって特別の予算ができたのだから、地域農業試験場としても、県の試験場にしても、県の復旧事業に携わる人間も総動員態制をせよ、知事に一つその点をお前ははっきり言えということで、即時帰したのでございまして、おそらく私どもの方といたしましても、一応総動員態制をとることになっておりますから、その結果相当のものが出てくる、かように考えておるわけでございます。その結果によりまして、できるだけ一つ必要な予算は確保したい。
  68. 島村軍次

    島村軍次君 河野さんが一億というお話になったから、そのくらいのところを基準にすると、こういうふうな御答弁じゃないのだけれども、まあわかったようなわからぬようなことで、そのくらいのところが、何となしに、基準になりそうだというふうに、私が了解いたしておきましょう。まあ、あとは答弁はよろしい。このくらいにいたします。
  69. 東隆

    ○東隆君 先ほどのお話では、予備苗しろの問題がありました。私は、この年のような年は、委託苗しろを相当やるべきじゃないかと思います。これが一番効果を上げるのじゃないか。平地の方に委託をして苗しろをやる。それがお話はなかったのですから、どこかに入れて数字を計算してみられた方がいいのじゃないかと思いますが、その点はどうなりますか。
  70. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 実は予備苗しろの作り方が、当該町村内に作るか、あるいはその平坦地に作りますか、それは町村にまかしております。これは当然にその中に含まってしまう。つまり、町村がみずから、あるいは農業協同組合みずからが、自分の所でやるか、あるいは平坦地等に委託いたしましてやりますか、これはどちらでもよろしい。つまり、まあ農家個々にあります一応従来の苗しろ以上に、面積を共同に増設いたしました場合に、その増設が委託の形式をとりますか、あるいは自分自身がやるか、これはどちらでもよろしい。それは当然、先生御疑問の点はこの中に含まっておる。
  71. 東隆

    ○東隆君 予備苗しろの中に入っておるわけですか。
  72. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) そうでございます。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 委員長、ちょっと速記をとめて下さい。
  74. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  75. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて下さい。
  76. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ある特定の農家は、そういうところがあるかもしれませんが、一応助成の対象といたしまする場合には、相当まあ広範囲かつ深刻な被害を受けておる、こういう大体一つの線がございまするので、そういうようなことに、条件に該当する所は、現在までのところ、新潟県の一部以外には、私どもの方ではこれは認定いたしておりません。
  77. 千田正

    ○千田正君 それは、その地方からの要求がなければ調査に行かないというような行き方じゃなくて、実際においてあなた方はそういう深雪な地帯調査に行っておりますか。深い雪のある所に行っておりますか。行っていないではないですか。
  78. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、一応私どもといたしましては、県の部長あるいは係長と常時大体接触がございまするので、一応そういう責任者に聞いております。どうかという点は聞いておりまするが、その点につきましては、まあまあということでございまして、特に補助対象としてくれというようなことは、まあ向うからも言ってこない。今までのところございません。しかし、一応まあ大体の見当はついておりますので、当該県の部長なんかには一つ話しております。もちろん、これは口頭でございます。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 大蔵省にもう一度聞くことは、大体これが幾らかの補助が出るというと、これは今出かせぎに来ているやつを、みんな引き揚げさせるのですか。何もしないで食べておる余力を持たないのですから、今年はまたひどいと思うから、外で働けるだけ働くのです。相当の地区は残りますよ。それはみんな冷害にかかります。これを幾らか呼び水してくれというのは、それなんだ。幾らかそれを出してもらえば、村の常にボス階級というのは、こういうときはほんとうに裸になっております。そうして熱でもって指導して、中心になって共同作業をしておる。これがみんな、自分のところへ来る分までも、そっちへ出してやっても、呼んでそして供出しておりますから、百パーセントいくわけです。それをしなければ、百パーセントいきません、できないのだもの。そういう能力がないのだから、力がないのだから、どうしたら全体がそれがやっていけるかということを考えてもらわなくちゃ……。それは自分の頭で、自分で払われないものですから、ここに出てきているのですから、それを払われないものを払わしてやるような方法を講じてもらわなければ、払っていけないのが現実なんです。今で二メーターありますよ。東京の町のまん中では想像ができない。まだ道があかないという場所が相当たくさんある、自動車の。それを少しでもそういうものが出てきたといえば、すぐとって、どっとあけて、そういうものをとって、一本とったら別になってしまうのです。
  80. 堀末治

    委員長堀末治君) その問題は、本日はこの程度にとどめておきまして、また細目等ができましたら、あらためて御報告を受けることにいたしたいと存じます。  それでは、この問題は本日はこの程度にいたします。   —————————————
  81. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、食糧管理に関する件を議題にいたします。  この件について、臨時食糧管理調査会のその後の模様等について、この際農林当局から説明を求めることにいたします。
  82. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 臨時食糧管理調査会設置以来の経過を、概略御説明を申し上げます。  三月に第一回の会合を持ちまして、その後最近まで四回に都合相なっております。調査会で配付いたしました資料は本委員会にも御配付していると思いますが、調査会でのおもなる検討事項、今後の見通し等につきまして申し上げます。  第一回におきましては、調査会の論議の範囲といったようなことが主として議論になりました。たとえば、生産者米価に触れていいのかどうか、あるいは統制撤廃といったような問題に触れていいのかどうか、そういったようなことが主たる内容でございまして、それにつきましては、本調査会設置の経過もありまするけれども、特に範囲は限定をしない、おのずから論議されていくうちから論点なり中心議題が明瞭になるだろうということで、特に限定はしない、こういったような調査会といたしましての大体の方針のように承わったのであります。この第一回の会合におきましては、食糧庁といたしましては、食糧管理のごくアウト・ライン、概要を御説明いたしております。  第二回におきましては、主として損益の関係、三十二年度予算中心にいたしまして、損益の関係がどうなろうか、特にその部門別にどういう損益の状態になるかということを、御説明をいたしたのであります。主たる論議といたしましては、一つは二重価格の問題、二重価格制をとれば当然に赤字は出るではないか、そういった御意見。あるいは食糧管理費等につきましてのいわゆる中間経費の節約ということを考えなくてはならぬけれども、それでなおかつ足りない、こういった場合は消費者価格引き上げになるのかどうか、そういったような問題。あるいは議論の前提といたしまして、三十二年度の赤字というものはどの程度を頭に置いて議論をしたらよいのか。これにつきましては、三十二年度の赤字は、一応予算の損益の関係では明らかになっておりますが、今後のいろいろの事情の変化ということによりまして、確定的にどうということは申し上げにくい。ただ、三十二年度予算、それからさかのぼりまして三十一年度見込み、あるいは三十年度の決算ということについての赤字の額も、ほぼ明らかになっておるわけでございまするので、そういう赤字を頭に置いていただいて議論をしていただいたらどうか。そういうふうな御議論がございました。それから、食糧管理あるいはその特別会計を健全にしていくというのは、一体本年度の損益ということだけを頭に置いてやっていくのか、あるいは長期的な見地からやっていくのか、どちらがいいかといったような事柄につきましての御議論もございました。  次は第三回でございますが、第三回におきましては、主として価格決定方式につきまして、前回資料の要求がございましたので、各物資別の価格決定方式について資料を配付いたしたのでありますが、御議論といたしましては、今後一体どういうふうな段取りで議事を進めていくかといったようなことが中心になりまして、次の回からは中間経費の問題を取り上げようということに相なったのであります。  そこで、最近は十八日でございましたが、十八日におきまして、食糧管理、それから販売業者のマージンまで含めました中間経費について質疑がございました。この中間経費の審議の状況でございますが、運賃の問題、あるいは保管料の問題等につきましては、運輸省の官房長等からも説明がございました。なお、検査費用、米その他農産物の検査費用というものについては、その検査の仕方について理論的にどういうことを研究をしておるかというような御質問がございましたが、これについては、なお十分理論的にその点を研究していくという段階ではないということになったのであります。なお、一般には米価の中に含めて考えられておりますが、過去においてございました各種の奨励金、その他米価を算定いたしました上でさらに価格にプラスしていくものにつきましては、やはり個々の中間経費の検討において、あわせて検討すべきだということで、検討の範囲はこういうものも入れようということに相なったのであります。もっとも、これは生産者価格にも関係をいたしまするので、そういう場面においても御議論が出るかと思います。  そこで、この中間の経費につきましては、個々の経費の項目につきまして合理化をはかっていくということについては、これはできる限り当然やるべきであるが、まずこの調査会としては中間経費の性格——体各種の中間経費について、消費者が持ってしかるべきもの、あるいは政府が持ってしかるべきもの、といったような意味での性格というふうなことが重点にまずなりまして、そういう点を審議したらどうかと、こういう御議論もあったのであります。中間経費は、御承知の通り、いろいろ項目もございまするし、範囲も広いので、この検討には小委員会を置くということに相なりまして、この四回目の会合におきまして小委員会設置の方針がきまりまして、この二十六日に中間経費に関しまする小委員会を開く、こういう段取りに相なっております。  ごく概略でございますが、経過は以上のようなことであります。
  83. 堀末治

    委員長堀末治君) 以上の説明について御質問ございませんか。
  84. 河野謙三

    河野謙三君 この委員会は速記をとっておりますか。
  85. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 完全ではないかと思いますが、一応とっております。
  86. 河野謙三

    河野謙三君 その速記をわれわれにも見せていただけますか。
  87. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは私一存でちょっとお答えいたしかねますが、調査会の議長に諮りまして、お許しを得ますれば、ごらんいただくということにいたしたらいかがなものかと考えます。
  88. 河野謙三

    河野謙三君 議会の権限で要求するとか何とか、そういうことでなしに、参考に一つ見せていただきたいという希望もありますから、これは長官に、この次の委員会にぜひ一つ見せていただけるように、お運び願いたいと思いますが……。
  89. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 御趣旨に沿うように、議長に取次いたします。
  90. 河野謙三

    河野謙三君 それから、これは大体いつごろまでに結論を出すつもりで運んでおられるのですか。
  91. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 先ほど説明のときに申し忘れましたが、調査会といたしましては、御承知の通り、七月末までの一応存続期間になっておりますが、価格の問題は麦、米の生産者価格等にも関係をいたしまするので、できるだけ取り急いでいただいて、おそくとも六月には必要な範囲の答申と申しますか、回答をいただきまして、なお時間的に余裕あるものにつきましては、六月からまた七月にかけてやっていただくといったようなことに、お願いしたらどうかという私もつもりをしております。しかし、調査会としてのはっきりした段取りといったようなものは、まだおきめになっておりません。
  92. 河野謙三

    河野謙三君 いずれにしても、七月末にはとにかく出るわけですね。というのは、今までのこの委員会開会等も非常に何か間隔があって、速記を見なければわかりませんけれども、まだ具体的には何ら進んでおりませんね。今御説明いただいたところでは、何もまだ……。これからいよいよ始めるといっていいくらいなんです。それを、今までのように、半月に一回か十日に一回開いてたんでは、七月までに何回もできないので、これだけの重大な問題の結論は出ないと思うんです。できてもできなくても、七月末にやめるのか、結論が七月までに出なかったら、この委員会は延長できるんですか。
  93. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) あとの方からお答えいたしますと、もちろんこれはいわば行政措置でできておる委員会でございますので、必要があれば延期するということは、政府内の形式的な取扱いでできるわけでございますが、そういうことは実は予想しておりません。お話のように、七月末で所要のことにつきましての御検討を了していただく、こういうつもりでやっております。今のところ、お話のような、あまり具体的な問題を検討するという段階にまだ至っておりませんが、以上これまでの四回をもちまして、ほぼ食糧管理につきましての全貌は、大体のところは御説明を実はいたしておりまするし、ほぼそれについてのフリー・トーキング、そういうことも一応これで済んでおりますので、今後は具体的な問題について個々に審議していただく、こういうことができると思いまするし、そう時間がかかるということもなかろうと思います。まして、七月の期限と申しますか、そういうことを延ばさなければならぬといったようなことはなかろうと思っております。
  94. 島村軍次

    島村軍次君 公聴会を開きますか。そうして開かれるとすれば、どういう範囲の人を。国会でいう公聴会、調査会でいえばどういうことになりますか。つまり参考人の意見調査会として聞かれるという程度になりますか。政府の内部機関のようですが、一般の関係者の意見を徴するということは、今の調査会考えておられるかどうか、それを一つ
  95. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) まだ、お話のような公聴会類似のことについて、具体的にやる、そういうものを催すという計画はないようでございますが、先ほどもお話をいたしましたような具体的な事項についての審疑に入りますると、あるいはそういう特別の事項についての関係者等においでを願って、御意見なり事情の御陳述を願うということがあり得るかと思います。私どもも、そういうことが場合によってはむしろ必要じゃないかというふうに存じております。
  96. 千田正

    ○千田正君 井出農林大臣が新聞に発表している、本年度の生産者からの買上価格が一万百円と言っておるのが、新聞に出ていますがね。それは、あなた方の方で理想としてそういうことを言ってるのか、あるいは長官あたりからの進言が一つ考え方として、井出農相がそう発表してるのか、そういう点はどういうことなんです。
  97. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 大臣がそういうことを御発表になっているということはないと存じますが、それからまた、私どもが米価につきましてどうこうということを申し上げているようなこともございません。新聞記事はどういう事情か知りませんけれども、ありようを申しますれば、そういうことであります。
  98. 千田正

    ○千田正君 これは非常に私は反響を呼ぶ問題だろうと思うので、あなた方は新聞を見ていないということは、私は言わせないと思うんだね。朝日、毎日、東京新聞のいずれかにありますから、よくごらんなさい。本年度の買上価格は一万百円にしたい。きのうの新聞か、けさの新聞でしたか、あれをごらん下さって、これはどういうところから来ておるのか、私ははなはだ不敏にして、そこまでの集計ができて発表するだけの段階になっているかどうかということを、あらためて農林大臣に伺いたいと思ったんですが、少くとも食糧関係を担当する長官であるあなたが、知らないはずはないと思って、お尋ねしたわけなんです。一応、一つ御研究になって下さい。新聞には発表になっています。
  99. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 何かその辺は、私もどういうソースからそういう記事が出たのか知りませんが、全く出所がわかりません。大臣が発表された、あるいは話されるといったようなことも、これはその点大臣に確めておるわけでございませんが、万々あるまいと思いまするし、あらかじめこれを、大臣がそれに関したようなことを御発言になるといったようなことを察知するようなふしもございませんし、またそれに類するようなことを申し上げたようなこともございません。
  100. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと質問残ってるんですが……。そうしますと、この調査会の結論が出るまでは、食糧庁としては何もかも現在のままで、何らの改善、改革も、かりに意図されておりましてもそれに手をつけずに、全部調査会の結論を待つということでいかれるのですか。たとえば、もっと率直に申します。日本中で一番高い運賃を払っているのは食糧庁ですよ。一番高い麻袋を買っているのは、食糧庁ですよ。それからね、だれが考えても、じゃまにこそなれ、ちっとも役に立たぬところの中間機関が、三つも四つもごろごろしているのが食糧庁ですよ。こういう問題は、何も調査会の結論とか何とかいうのじゃなしに、直ちにおやりになったらいいと思うのです。だけど、たまたま調査会ができたから、調査会の結論が出るまで、それらの問題が調査会のいろいろ議に供されて調査会の結論が出るまで、あなた方の方では手をこまぬいて待っておると、こういうのか。調査会の結論とは別に、長官のところで検討されて、お気づきの点は順次直していかれるというのか、どうなんです。
  101. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 万事調査会の結論待ちで、その間手をこまぬいておるというようなことではございません。これはまあ事柄によりまするけれども調査会の、私どもとしてこうしたらばどうかと思っておることにつきましても、事柄によりましては、調査会の御答申を得てやった方がよろしいというようなこともあり得るかと思いますが、私どもの方で調査会とは別にと申しますか、特に調査会にお諮りをせずにやってしかるべきことも、御指摘のように、あると思います。これは、私ども気づいておる点については多少ずつ検討いたしておりますし、なおいろいろ御示唆によりましてそういう点については検討したい、こう思っております。
  102. 河野謙三

    河野謙三君 それなら伺いますが、一番高い運賃を払っていることは事実なんです。そう言えば、あなたの方では、運輸省のきめた認可料金を払っていると言われるかもしれませんけれども、世の中に認可料金で通用しているところなんてないのですよ。認可料金というのは、最高でも最低でもないというのが認可料金であるけれども、実際はあれは最高運賃です。それを、とにかく一年に百億円にもなるというような運賃を、平気で払っておられるのです。事実です。これを直されたらいいと思う。直すにはどうしたらいいか。あなたの方で運送をやっているから、同じ政府の機関で、運輸省がきめた運賃を払っている。あなたの方で運送をやらなければいいのです。それぞれの商社なり何なりに運賃ぐるみ請け負わしてやったら、あなたの方は運賃から手を引けるのです。こういうことはすぐできると思うのです。なぜおやりにならぬか。小倉さんほお気づきになっていると思う。それをやられますか。それでも、私の言う一番高い運賃を払っていないとおっしゃいますか。これ一つとらえたって、すぐに三億や五億や七億は出てくると思う。その他いろいろありますよ、数限りなく。だから、私は委員長に、食糧庁の問題は一週間か十日ゆっくりやらしてもらいたいと、げたを預けてあるのです。会期もあまりありませんから、委員長、忘れてはいけませんよ。
  103. 堀末治

    委員長堀末治君) わかりました。
  104. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 運賃の問題は、もちろん節約すべき合理化の対象として重要事項でございますので、調査会でも御審議を願うことにおそらくなると思いますけれども、私どもでできるものにつきましては、もちろん処置をすべきものだと思います。今のちょっと御示唆のありました方法は、私、その方がいいかどうかなお少し研究さしていただきますが、そういうことが食糧の配給等になおかつ便宜であるということでありますれば、十分一つ研究さしていただきたい、かように思います。
  105. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑がなければ、この問題は本日はこの程度でとめたいと思います。   —————————————
  106. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、澱粉対策に関する件を議題にいたします。  この件につきましては、先ほども陳情をお聞きの通りでありますので、この際御質疑の向きは、長官に御質疑をお願いいたします。
  107. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいま委員長からお話があったように、午前に鹿児島県の経済連の会長からいろいろと陳情を受けたのでありますが、まず最初にお尋ねしたいのは、第一次の買い入れの際に、私などはこの委員会で、カンショ澱粉七百万貫、バレイショ澱粉百万貫、こういうふうに買い上げてもらいたい、あとでバレイショ澱粉は二百万貫、こういうふうなことになったのでありますが、政府の方では第一回の買い入れを、カンショ澱粉が五百万貫、バレイショ澱粉が百万貫、こういうふうに買い上げていただいたのであります。しこうして、その買い上げについては、昨年のこの委員会で私なども希望しておいた下見検査をしておいていただいた関係上、契約が成立すると同時に、すみやかに受け渡しが完了したということは、まことに喜びにたえないのであります。また、その買い上げによってある程度澱粉の価格が維持せられるようになったのでありますが、最近の情勢はどういうふうになっておるか、最近の情勢をまず承わりたいと思うのであります。
  108. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 価格の点だと思いますが、政府が買い上げました五百万貫、百万貫、その時期におきましては、支持価格を若干下回っておるような状況であったのであります。その後多少回復いたしております。いたしておりますが、なお十分な回復を見せていない、こういう状況であります。
  109. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在カンショ澱粉及びバレイショ澱粉はどのくらいの在庫数量があり、また今後どのくらいの生産見込みがあり、また需要見込みがどういうふうであるか、こういうふうなことを、ある程度数字をもって御説明を願いたいと思うのであります。
  110. 斉藤誠

    説明員(斉藤誠君) 澱粉の在庫状況につきまして御質問がございましたので、御説明いたしたいと思います。先般食糧庁におきまして澱粉の買い上げを行なったのでありますが、その当時の在庫状況を申し上げて御説明いたしたいと思います。政府の買い上げは、三月の二十日ごろから交渉が始まったのでありますが、三月中におきましても、まだ明確に在庫量がその当時はっきりしておりませんでした。従いまして、その当時の二月までの在庫状況を基礎におきまして、カンショ澱粉の五百万貫、バレイショ澱粉の百万貫の買い上げをいたしたのでありますが、二月の在庫状況について御説明いたしますと、御承知のように、全販連並びに全国澱粉連合協同組合、これが澱粉の自主調整を行い、一方マーケットに出すかたわら、必要なものを在庫としておるわけでありますが、二月末におきましては、カンショ澱粉につきまして九百六十四万九千貫というのが、全国団体の調整数量であります。その内訳を申しますと、全販連系統が六百三十五万五千貫、全澱粉系統三百二十九万四千貫、これがその当時の状況であったわけであります。その後、その数量のうち、政府が買い上げましたほかに、三月中に庫入れされたものもありまして、現在確定数量としてわかっておるものは、三月末で、政府の買い上げ澱粉以外に、全販、全澱で在庫しておるものが六百二万六千貫という数字になっておるわけであります。  今後どの程度入ってくるかということにつきましては、それぞれの団体の見込みによる以外にはないのでありますが、これらの団体の一応の見込みを現在において調査いたしました結論を申し上げますと、五月末で六百二万六千貫に加えまして、六百十一万貫が入庫されるだろう。従って、合計いたしますと、千二百十三万六千貫に相なるわけであります。このうちどれだけが市中にさばかれることになるだろうかという点によって、五月末の在庫が確定いたすわけであります。これにつきましては、全くの見通しでありますので、今からどの程度のものが市販にさばけ、どの程度のものが在庫になるかということについては、確たる見当もつきかねる状況にありますが、先ほど食糧庁長官からもお話がありましたように、三月の買い進めによりまして、政府の買い上げによりまして、甘澱でありますと二、三十円やや上向きになり、馬澱でありますと六十円程度上向きになるという状況であります。甘澱、馬澱の利用につきましては、御承知のように、水あめが大部分でありますので、最近の糖価高の環境のもとにおきましては、これらの入庫見込み中、ある程度の数量は当然市販に流れてゆくものであろうと考えているわけであります。従って、千二百十三万六千貫のうち、現実に在庫になるのは、それから相当差し引かれたものがおそらく在庫になるということになろうかと思います。従いまして、今から大体今後需要がどれだけ、五月末の在庫がどの程度になるかということについては、確たる数字を申し上げるわけには参らない状況でありますが、しかし、われわれといたしましては、最近の好環境の中におきまして、できるだけ市販に向けてこれをさばいてゆくことを期待いたしておりますけれども、何と申しましても、昨年以来の政府手持約三千万貫がある上に、昨年に次ぐ澱粉の生産を見たのでありますので、ある程度の供給過剰気味の傾向というものは、これはまぬがれないことだろうと考えているのであります。従いまして、今後の市況如何というものによりまして、これに対する措置を考えて参らなければならぬというふうに考えております。
  111. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうしますというと、大体の見当において、甘澱において今後の生産されるものの見込みを立てなければならないし、消費の見込みを立てなければならないが、双方勘案すると、少くとも約一千万貫ぐらいはカンショ澱粉が供給過剰になり、またバレイショでは三百万貫くらいの過剰になる、こういうふうなのが大体の数字じゃなかろうかと思うのでありますが、この数字について、当っているか、当っていないか、大体の御見当をお伺いしたいのであります。
  112. 斉藤誠

    説明員(斉藤誠君) 今申し上げました数量につきまして、ちょっと馬澱の方を申し上げなかったのでありますが、つけ加えて申し上げます。バレイショ澱粉の方も、三月末に約百万貫だけありまして、その後に入庫されるだろうと思われる数字が約二百万貫、従って、今お話しありましたように、約三百万貫ということになりますが、このうちのやはり一部は当然市販に流れてゆくことになろうと思うのであります。とりわけ馬澱につきましては、今の政府の支持価格よりも、小樽における市況を見ますというと、若干それよりも上回っているというような傾向も見せておりますので、一部は当然市販にさばかれるものであろうと思うのであります。  そこで、今御質問のございましたこれらのうち、どれだけが一体在庫になるか、一千万貫と押えていいのかどうか、こういう御質問がございましたけれども先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、すでに相当の在庫を持っておりますので、これが市況の圧迫になっておることもあろうと思いますけれども、せっかくの好況の砂糖高のときにおきまして、なおかつ入庫されるものがほとんど大部分政府の在庫になる、こういうこともいかがかと思われますので、本年の市況というものについては、なかなか見通しが実際問題として非常にむずかしい状況にあるのであります。従いまして、今大体確たる数字はこのくらいだと言うこと自身が非常に危険だと思いますので、今それに対してお答えする用意を持ち合せておりません。
  113. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 昭和三十二年度予算を見てみまするというと、カンショ澱粉の方は九百三十一万貫、バレイショ澱粉の方は三百八十五万貫、こういうふうな予算が成立しておるようであるのであります。そういたしますと、現在甘澱においてもう生産過剰といいますか、カンショ澱粉の出回りが多いために圧迫されて、市価が政府の支持価格というものを下回っておる、こういうふうな状況であるのであります。また馬澱については、小樽市場の状況からすれば、支持価格をある程度上回っておるというようなお話でありますけれども、これも自然下回るようなことになるのではないだろうか、こう考えられるのであります。従いまして、農産物価格安定法の成立のことから考えてみても、この際予算があるのでありますから、少くとも今月中に甘澱において七百万貫、馬澱について二百万貫ぐらい買うて、そして価格の安定をはかる、支持価格がほんとうに生きるような政策を施さなくちゃいけないじゃないか、こう考えるのでありますが、この点について政府のお考えをお伺いしたいと思うのであります。
  114. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 第一回と申しますか、本会計年度になりましてからのことでありますが、お話のようなことでございまするので、価格安定のために第二回の買い上げを実施するということが必要であるというふうに存じております。少し検討させていただきまして、その実施の段取りにこぎつけたいと、かように存じておる次第でございます。
  115. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今検討されるというお話でありましたが、バレイショの在庫数量が多くなって困っている、またこれが澱粉の価格にもいろいろ関係がある、こういうふうなことであるのでありますが、私などは、今後日本の甘味料を調整するためには、どうしたって精製ブドウ糖を作って、この精製ブドウ糖によって澱粉の消化をはかっていかなくちゃいけない、こういうふうなことで、一方において政府がある程度甘澱を保管されても、将来において精製ブドウ糖に力を入れるというようなことだったらば、政府の保管というものは自然解消されていく、こういうふうな段取りになるのじゃなかろうかと思うのであります。また解消するように精製ブドウ糖に対する対策考えていかなくちゃならない、こう考えるのであります。また本委員会といたしましてでも、あすはある程度のお方が千葉県の三松の工場を視察して、どうやって政府買い上げの澱粉、あるいは将来澱粉の対策として精製ブドウ糖対策を講ずるかというようなことに、検討を進めていきたいと思うのでありますから、この点もお考え願いたいと思うのでありますが、政府は現在精製ブドウ糖に対する考えをどの程度まで持っておられるか、お伺いしたいと思うのであります。
  116. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 澱粉の消費促進と申しますか、需要増大ということから考えましてかねて本委員会でもたびたびこういう御議論がございまして、御意見もございましたように、精製ブドウ糖の工業を育成するということが非常に有力な手段であるということにつきましては、私どもも全くさように考えておる次第でございます。ただ、そうは申しましても、なかなか御期待と申しますか、御意見のように実は取り運びかねておりますので、いつも御鞭撻をいただいておるわけでありますが、できるだけ精製ブドウ糖工業を育成いたしまして、澱粉の消化ということに努めて参りたいという、そういう方針は変りございませんので、微力でございますが、今後もそういう方向でできるだけの措置をいたしたい、かように存じておるのであります。ただ、新規の事業でございまするので、なかなか思うにまかせないのでありますが、砂糖の消費量等から考えまして、その幾分は食い込めるのではないかというふうな見通しをもちまして、精製ブドウ糖の工業を興したい。こういうことにつきましての技術的な援助でありまするとか、あるいは金融上のあっせんといったようなことについては今後とも進めまするが、なお、その他の方法等につきまして、部内でもいろいろ検討をさせていただいております。
  117. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは、最後に、食糧庁長官のさっきのお話を承わって、三十二年度予算で相当数量の甘澱及び馬澱購入の方針だというようなことであるのでありますから、ぜひ現在の市価を圧迫せず、カンショ澱粉及びバレイショ澱粉の、少くとも甘澱では七百万貫、バレイショ澱粉では二百万貫の購入ができるような方面に、最善の努力を払っていただく。かつまた、政府手持ちの澱粉に支障がないように、精製ブドウ糖の育成強化に一段の御尽力を願いまして、私の質問を終ります。
  118. 上林忠次

    ○上林忠次君 澱粉の話から少しそれるのですけれども、四年前に、私は盛んに農林委員会で、砂糖が不当に騰貴している……。在庫がないためにああいうふうに騰貴しているのじゃないかと思うのですが、その際に、日本の澱粉工業のそのときの状態、また澱粉生産者としても、またひいてはカンショ、バレイショの農民としても、新しい澱粉の用途として、ちょうどそのとき砂糖のないときだから、砂糖にまぜたらいいじゃないか。五%でも何%でもまぜて、日本で澱粉からブドウ糖を作ってまぜたらいいじゃないか、十分に砂糖も入らないなら、一部自給したらいいじゃないかということを盛んに申し上げたのですが、当時農林省は知らぬ顔しておった。また、そのとき私は言ったのだが、ソルガムという、すなわち中国の盧粟ですな、あれの砂糖の。パーセントが高いやつができておる。戦争中にアメリカでも品種改良をしまして、相当な糖度のやつができておる。それを栽培すると、温帯地方でも砂糖ができておる。それも考えたらどうか。富士の裾野あたりを開拓してやるなら、相当できるぞ。また世界の状況を見ても、あの北欧の方でも相当量砂糖を自給している。これはシュガー・ビートあるいはメープル・シュガー等で自給しておる。かような状態を考えると、なぜ日本は、従来の台湾をはずしてから、自給する道を講じないか。北海道であるとか、富士の裾野があるじゃないか。どうして、この日本で少しでも砂糖を自給しないか。当時、買えないなら、特にそこに農林省が力をいたすべきじゃないかと言ったのに、この問題に対しまして、鼻もひっかけないような話であります。今こういうようなブドウ糖の話が出まして、私、なぜもっと早いことやっておかぬか。バレイショ、カンショの生産者から見ましても、新しい安定した産業がこれで成り立つのだ。北海道あるいは鹿児島あたりの澱粉産地が、これで安定するのだ。なぜもっと早くやらぬか。私、今こういうふうなブドウ糖の話を聞きまして、少しおそかったじゃないか。まあわれわれも官庁に関係しておった経験がありますけれども、官庁の仕事は実におそいものだということを、つくづく私、今考えておるのであります。あのとき鼻もひっかけなかったあの農林省の意向は、あの当時どういうことを考えておったのか。漫然とその日を送ったんじゃないか。その結果は、今でも残っております砂糖のあの混入の問題、いろいろな問題が、騒いだ問題が起ったのでありますが、どうしてああいうようなことをあのとき考えなかったか。まあ小倉さんは当時、今の地位じゃなかったけれども、どういう工合にお考えになっておりますか。将来澱粉を糖化する仕事に対しまして、どういう工合にお考えになっておりますか。まあ御気分だけでも漏らしていただきたいと思います。
  119. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) ブドウ糖の消費の促進というお説、これは私どもも異論はない。異論はないと申しますより、お説の通りでありますので、そういう方法でだいぶ前から、農林省といたしましても検討を実は重ねてきておったのであります。その中の一つ方法といたしまして、お話のように、砂糖にまぜて甘味料として用いる、こういうことも各方面から御意見がございまして、それも確かに一つ方法だろうと存じますが、ただいまのところといたしましては、砂糖とまぜるということにつきましては、いろいろ難点があるようでございます。これは御承知のことだと存じますが、砂糖というような、いわばいろいろの加工部門等に用いられるものであります。またブドウ糖の関係から申しますと、水分の問題等もございまするので、強制混入するということについては多少むずかしい点があるのであります。そういう強制混入をしなくても、ブドウ糖の特性を生かすような用途が相当ございますので、さしあたり、そういう用途を目ざして市場を開拓する。そういうことと相あわせて、工場の育成をはかっていくといったようなことが適切ではないか、そういうつもりでおるのであります。
  120. 東隆

    ○東隆君 先ほど藤野氏の質問されたことを、一つ実現をしていただきたいのであります。それに関連をして、北海道の馬澱は月々平均売りをやっておる。従って、過剰になっておる部分というものは、常に市場を圧迫しておる。そうしてその過剰のものははっきりしておりますので、その分についてぜひ買い上げをしてほしい、こう考えるわけであります。それで平均売りその他をやる場合に、最も参考になるのは、やはり受検数量あるいは出回り数量、こういうようなものが月々はっきりしなければならぬ。そうして、これによっていろいろな問題が解決をしていくのですが、食糧庁の方ではこの数字を発表しないようになっておるのじゃないかと思いますが、なぜ発表しないようになっておるか、はっきりしていただきたい。
  121. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 御承知のように、政府の買い入れの関係、それから受検業務の準備等の必要から、お話のような調査を食糧庁としてやっております。これの発表の可否の問題でございますが、本来内部の業務運営上の資料でございまして、これを他に発表するという性質のものとして作っておらないのでございまして、原則としては発表しないというふうにいたした方がいいのではないかというようなつもりで、最近さような措置を講じておるのであります。と申しますのは、不用意に食糧事務所等で発表いたしますと、特に北海道におきましては、御承知の通り、いろいろ商業作物が多うございまして、いろいろ投機的に悪用される、その発表の時期等によって損したり得したりする人が場合によってはできてきやしないかというようなことをおそれて、実はやっておりますので、そういうようなことに関係のないときなり、あるいはそういう関係のないようなものにつきまして、適宜に必要な発表をするということまでやめるというつもりではございませんけれども、その辺の関係をどういうふうに考えたらいいかということについて、事務所限りでやることはいかがかと思いまして、発表は、事務所限りで発表することは差しとめておいておるのでございます。
  122. 東隆

    ○東隆君 カンショ澱粉の方は上場されておらないのですが、今名古屋は上場されておると思いますが、澱粉の方はもうだいぶ前から上場されておりまして、そうして受検数量あるいは出回り数量というようなものは、これは正確な条件であって、その他の何といいますか、賭博的な、射倖的な、そういうようなものとは違うわけです。従って、こういうようなものは当然発表すべきじゃないか、こういうふうに考えるのです。それで一つ、これはおとめになるようですけれども、少くとも上場されたものを、そういうようなものについては発表するのが当然だ、こう私は考えるのですが、その点、今食い違っておりますけれども、もう一回再考してほしいと思いますが。
  123. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お話のように再考いたしますが、事情は先ほど申し述べましたような事情でありますので、御了承願いたいと思います。統計調査部でやっております統計は、国としてと申しますか、農林省といたしまして設計をいたし、そうしてまた、いつそれを発表するということが事前に明瞭になっておりまして、公明正大に発表ができる仕組みになっておりますが、私どもの方は部内の業務上の必要な資料というようなことで、いつ発表するとか、そういうような段取りは実はついていないのであります。そこで発表の時期等につきましても、やはり定期的にやるということが、関係者に前もって発表しておくということでないと、発表したことによって損を受けるというようなことの影響もあり得ると存じますので、さように計画的にいくかどうか、あるいはまた、ものによりますけれども、澱粉といったようなものでございますれば、比較的そういう心配が少いのじゃないかと思いますので、御趣旨に沿い得るかどうかわかりませんけれども、できるだけ御趣旨に沿いますような意味での検討をさせていただきたいと思います。
  124. 東隆

    ○東隆君 もう一つ、価格形成で重要なことは、バレイショ澱粉の支持価格ですが、これをカンショ澱粉と同様に、十月の末までに発表されておる。それで、少くともバレイショ澱粉は、九月の終りにはもう商品として出ておるのであります。従って、十月末ごろに支持価格を出されても、これはジャガイモを作っておる農家にはかえって害があるくらいで、好影響を与えないと思う。そこで、どうしても九月末までに一カ月早く支持価格を発表していただきたい、こういうわけで、たびたび私はその点を申しておりますが、ことしは一つ万般の準備をして、九月三十日以前に発表をしていただきたいと思う。そのためには、九月一日の作況ですか、実収の予想をとってやれば、ジャガイモはもちろんのこと、カンショといえども、私はある程度わかるのじゃないか、こういうふうに想定をいたしますが、その点、また延びる可能性がどうもありそうですから、はっきり一つお答えを願っておきたい。
  125. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お話のように、もう少し、バレイショ等は特にそうでございますが、カンショ等につきましても、価格決定を早くしろということの御要望は、かねて承わっております。まあ昨年度の事情も非常にまずかったと申しますか、価格決定がさらに早ければ、幾ばくかは生産者の利益になっているということは当然考えられますので、から約束になっては申しわけがございませんが、これもことしからできるだけ早めまして、御要望に沿うように一つきめたいというつもりで、今おります。そういうふうにいろいろ努めております。これは統計調査の上での作況予想が、今年分がいつできるかということと関連いたしますけれども、できるだけ早めてやるという私どもも必要性を感じております。そういうことのための実施について、今からそういう意気込みで仕事を進めて参りたいと思っております。
  126. 東隆

    ○東隆君 もう一つ、それに関係して。実はバレイショ澱粉になるジャガイモの品種はおのずから決定をいたしているようですが、従って、実収その他についての調査項目は用途別にお調べになっておいた方がいいのじゃないか、こういうふうに考えますので、そのことも一つあわせてお考え願いたいと思います。
  127. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑がなければ、本件はこの程度にとめて、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会