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1957-04-12 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十二日(金曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            下條 康麿君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            羽生 三七君            上林 忠次君            島村 軍次君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 井出一太郎君   政府委員    農林大臣官房長 永野 正二君    農林省農地局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査の件  (日ソ漁業交渉に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  前回に引き続いて、土地改良法の一部を改正する法律案を議題に供します。  御質疑の向きは順次、御質疑を願います。
  3. 清澤俊英

    清澤俊英君 質問要点は、本案を修正せられるに当りまして、数点の理由を述べられておりますが、その中で技術運営面にわたっての連合組織による指導態勢の確立を望まれておるのであります、とこういうふうに言うて、決算等における土地改良事業等も含んだ農林省のいろいろの工事に対する不当事項指摘せられておるのであります。私どもが県内におきましても、ほとんど十日に一ぺんは、何かしらん土地改良事業に対する不正、あるいは脱退、紛糾というようなものが、集め出してみましたら、毎日くらいに集まってくる。そこで、その内容をつまびらかにはこれはまだできませんが、私の見ましたところでは、あながち全部が、これだけ出る全部が悪質な指導者とでもいいますか、責任者とでもいいますかによって、悪意をもって行われたものばかりでないと考えておるのであります。  その一つは、小団地等における、ごく小さい改良事業等を見ますと、実際において農民負担しきれないような、零細農規模等におきましては、補助金等を流用して農民負担金を免除する、こういう方法でなければ実際できないので、非常な善意をもってそういうことをやったやつが、不当事項になり、あるいは工事簡略化して、そうしてそういうものを出そうとして、それが批難事項になったりするものも相当あるように私どもは考えておるのであります、見ておるのでありますが、また大きな地方に参りましても、やはりそういうことで出て参りますまあ善意犯罪というようなものと、大体うかがわれる毛のが相当あると思う。  それから第二番目には、やはりこれも補助金等を獲得するために、三百町歩以上にすれば県営になる、従って補助金率も違ってくるということで、無理に改良地区を拡大して、どういう手続でそういうようなことが行われるかということは、まだはっきりつかむことはできませんですが、とにかくも本年内に入りましてからも、せっかくでき上った改良工事区に対しまして、いよいよ負担金賦課が出てくる。そうすると、これは初めの約束と違うんだ、われわれはそういう負担金などというような問題があれば入らんかったのだというようなことで、脱退する者が、今問題になっておりまするものでも、数件ここに出ております。局長ももう御存じだと思いますが、三面川、あるいは佐渡の羽茂の問題というようなものが出ております。そのほかに、一たん入りましたが、とにかく内方だけで一部脱退をする等、要望にかなって脱退している、これがために数カ月の紛争等起きてくるのもたくさんある。こういうような状態、それに一つは、工事金不当支出といいますか、刑事事件を起しておるものも三件ほど、十二月以降あります。こうしたことが出てきて、これはどういうところから出ておるかということは、これははっきりつかむことはできませんが、そういう問題も出ている。  それからいま一つは、どうもそういう不正事件の起きる一番前提をなすものは、一般の人に納得させ得られる、気候上によるどうしても仕越し事業をしなければならないというようなことが、犯罪を多くしているのじゃないかと、こう思うのであります。というのが、大体工事決定が、認可が八月ごろでございまして、それからぼつぼつ仕事にかかるということになりますれば、新潟県のような豪雪地帯はほとんど仕事が何もできない。従って、せきまする関係上、認可もない前に仕事を始めたというようなことから、これは一応気候情勢等によりまして、そういうふうにしなければ、この工事もうまくいかぬじゃないかというようなことになりますれば、まあ納得もして、そういう無理も納得の上に行われ、合意の上に行われるというようなことで、非常に事件が多く増大しているのじゃないかと思うのであります。従って、こういう点をこの改正案の上にどういうふうに盛られているか、どういうふうにそれを改良——この改正によって補っていこうとしている個所がどう現われておるか、私はなはだ不勉強で、そこまで突きとめるわけにいきませんでしたので、そういう点もいろいろあるから、中央に全国農業改良事業団体を作って、あるいは地方地方団体を作って、これを通じて技術運営面、いわゆるそういったような刑事上の問題等をなからしめるだけでは、私は問題にならない。それをもっと具体的にそういうものを解決した上で、どういうところにそういう問題が、解決しようとする努力がどこに現われているのか。ただ連合会だけでは、私はこれだけの問題はなかなか解決し得ない問題だと思うのでありますので、その点をはっきり一つ指摘願いたい。
  4. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 清澤先生から、われわれも平素気をつけておりますが、なお行政運用上、なおまた土地改良区の運営上遺憾なことが多いことを中心にいたしまして、本法案はこれに対してどうこたえるものを持っているかということを御質問いただきました。私、その点につきましては、御指摘通りと思っております。特に最近は農林省は、気をつけて自分自身行政を行い、地方指導もいたしたいと思っておりますが、本法案に即しまして申し上げますというと、現行法では、すなわち改正法案でない現在の法律におきましては、土地改良区は事業地域ごとに一区を設けまして、その二つが地域関係ある場合には土地改良連合を設けることになっているわけであります。本法案は、これに県及び全国に、土地改良区及び土地改良事業を行いまする市町村農業協同組合の加入、脱退は自由でございますが、指導機関を設けまして、第一には、土地改良ごと技術員がおりまして、施設管理に万全を期しようと思いましても、経費が多くかかる。従いまして、事業が終れば解散することもある。土地改良区などについては、負担の問題が重いのでございます。連合会を設けまして、数土地改良区に対して連合会指導をするということにしますれば、経費も少くなりますし、また技能も高くなるのであります。その他の広く他地方調査研究等も行えるようになるので、連合会を県及び全国に設けたいと思っているのが第一点であります。  なお、現在の土地改良協会はそのまま存続しても。いい建前ですが、法律面では、連合会が設けられれば自然その方へ変っていって、今の民法による社団法人土地改良協会、またその県の数で申しますると半分が任意団体である土地改良協会でありますが、法的根拠を持たぬ団体になっておりますが、これを法的根拠を持つようにいたしたい。土地改良関係団体であるから土地改良法に基いて設けたい、こう思っておるわけであります。これによりまして農林省監督指導が、われわれの行政に的確さを得ますれば得て、やりたいと思っておりますが、監督が従来以上にしっかりいくわけです。また連合会を作りまして、自主監査運営指導もしていただきたいと思っておるのであります。地区について、御指摘になりましたような地区等の自主的な指導、あるいは経費節約もねらっておるわけであります。  また土地改良区の運営につきましても、土地改良事業経費につきましても、数多くの批難事項がございますが、これは都道府県の長及び土地改良区の関係者が、土地改良事業設計に当りまして、技能が不熟でありまして、見積りが過大でありましたり、工事途中の監査がうまくいかないので不足工事がありましたり、またその後施設管理がうまくいっておりませんだったりすることに伴うものが約半分あります。あと地元負担節約しよう、経費をごまかしてやろうというのがあと半分と大体見ておるのでありますが、その設計実施管理等に対しまする研修は、農林省農業土木研修所、これで年に予算も計上いたしまして、県庁の職員、本省の事務局職員、こういうものを年々研修せしめて、遺憾なきを期したいと思っておるわけであります。  また土地改良区の運営につきましては、いろいろの御意見がございますが、何と申しましても、事務費節減をはかることは最も重要なことで、農民に対しても必要なことであると思うのでありますが、これに対しまして、本法案総代会を民主的に運営されることを阻害しない程度において、総代会の定数を減少しまして、多数であれば経費がかかって招集しにくいということを避けて、組合員総代がよく総代会を開き得るという態勢を作りたいと思っているわけです。また土地改良区の技術員ばかりがしっかりしておりましても、その役員事業採択から、設計から、実施事業管理経理まで、土地改良区の運営並びに経理に熱心に責任をもってやっていただく必要がございますので、総代会任期に合せまして、役員任期を二年以内というのを四年以内に改めまして、経費節減責任体制をはっきりとっていただきたい。しかし、四年で長いという意見もございますので、四年以内において土地改良区が定款地区ごとに定める、こういうように改正をいたしておるのであります。また関係農民のお方々が、事業開始手続が複雑過ぎまして、簡素であればよくわかることが複雑過ぎるから、とかく土地改良区の理事だけで処理して判だけをとる、こういうようなことをして、あとに問題を残すことがございまする点にかんがみまして、今回は土地改良事業を始め出す手続簡略化したのが、一つ法案要点でございます。これによりまして、一そう土地改良区の以上申し上げましたこととあわせまして、農家のお方々納得をより徹底できるように指導もいたしたい、手続もそういうふうに改正いたしたいと思っているのであります。  また、最近御指摘のように、賦課金の不納入とか、賦課金が高いというので脱退のことがあり、また自分のところはあまり受益をしない地域であるから、ほかの方と平等に賦課金を持つのは困るという紛争相当あるようでございますが、これに関しましても、受益がない所は現行法によりましてその地区を除くという規定がございますので、その指導をいたしたいと思っております。最近事業が完了することが前よりは多くなって参りましたので、賦課金問題が具体的になって、事業を採用してもらうときは非常に熱心であるが、賦課金のときに不平が出るというのは、趣旨の徹底がいけない点もありますので、その点に運営上努力をいたしたいと思っております。  もう一つは、土地改良特別会計を作りまして、工事を早く完成をするのが農民の御納得もいただける一助になる、こういう意味で、その点の改正をいたしておるわけであります。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体わかりましたが、その範囲のことは書いてありますが、ただいまも農民納得しないやつを、たとえば納得させないで判だけとってやるために、あとで問題を残して脱退するというような、利益を受けない地区などがごまかされて加入させられているというようなこともあると、こう指摘せられておるが、この事件が一番多いのです。そういうことをやるために、手続簡略化して、そういうことのないように一つやるんだ、こう御説明がありましたが、どう手続簡略化してそういうことをなくするかというのが、これが一番大事なのです。ただ手続簡略化しただけじゃ、私どもはわからぬので、そこをいま少し具体的にしていただきたいことと、それからいま一つは、いろいろ工事の進行中に目に余る行動が起きる。賦課金の問題における大体の原因を、私どもがこれは自分で直接調べてあるのじゃないからわかりませんが、いろいろの事件の起きた前後などを推察してみますと、大体土地改良区の責任者技術者、あるいは土木業者等が同じ村内にあって、農民の目の前で連日連夜盛宴を張って、まあ大した盛宴でもありますまいが、とにかく飲み回って、そしてだらしのない格好をして、自転車を抱いて寝たというような姿を見せる。ああいう金がどこにあるのかというようなことで、非常に疑惑の目を持っている。そこに負担金が急にふえてきたというようなことで、負担金の問題が中心になって紛争がたくさん起きている。これは未解決になっているのがたくさんありますが、そういった点で問題が起きている。そういうような点をもっと具体的に、どうして直すんだ、こういうことが私は重要じゃないかと思うが、時間の関係上、意地の悪いような質問をしないで、清澤らしい質問で申し上げまするならば、自分意見になりますので、はなはだこれは局長に対して工合が悪いと思うのだけれども、これも時間の関係上勘弁してもらいますが、この規定の中に、そういう点等ほんとうに考慮して考えられるならば、農民にある程度の監察権を与えたらいいのじゃないか。  御説明によりますれば、農林省は上から指導するんだ、こういって機関を定めてこういうふうにやる。こういうふうにしてただ上からだけの指導と同時に、この組織のほかに、一つ農民の中から選ばれた監察機関があって、それに相当の強力な権限を与えて、会計がおかしいからというので会計検査しようとしまするならば会計検査組合はいつでもできると規定してあるようでありますが、常に拒否せられて、それらのものを見ることができない、こういうような実情でありまするから、そういうものを農民自身自分のものを自分で行うんだということを意識づけるために、一つ監察制度等をとって、これらをまた特別の運営とでも申しましょうか、指導とでも申しましょうか、して、こういう行為をやるようなことがこの中に規定せられることが、私は非常な重要性を持つのじゃないかと思うのでございますが、そういうものが一つもなくて、ただ連合会に切りかえただけで、今までのようないろいろな不当批難事項その他の組織上の不合理、そういうようなものが是正せられるだろうかどうか、これは農林大臣一つ答弁願いたいと思います。  それと同時に、御答弁を願いたいことは、一番初めに御質問申し上げました通り、現に起きているこの批難事項のように、一番先に申し上げた通り、ごく零細農中心とする小団地等においては、全く負担金を出してやる力を失っておるのだ。これをやってやらなければ仕方がないというので、村長さんも、農協の会長さんも、県の役人も、あるいは私は農林省の皆さんも、黙ってまあ今まで過ごされたというのがほんとうじゃないかと思うのであります。親心であったのじゃないかと、こう思うのであります。そういう一つの習慣もあったのじゃないかと思う。それが批難事項で、どんどん会計検査であげられる。出す力のない者に出せということは、私は無理だと思うのだ。だから、こういう批難事項をもっと根本的に調べて、実際に即したもっと改良が私が必要じゃないかと思う。ところが、この法案改正と同時に、国営事業等における特別土地改良法案においては、かえって負担金が多くなり、期限は縮まり、しかもでき上ったものは不均衡きわまる値段で与えられるというような、それと逆行した形が法案全体の上にずっと出てきておる。私はこれはどうもその点において、本法案納得しきれないものがある。その点一つ農林大臣局長からはっきりした御答弁をお願いしておきます。
  6. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まず、事務的に最初にお答え申し上げます。手続簡略化をどうしたかというのは、法案に詳細に出ておりますが、団体におきましては、最終的に知事審査を行い、利害関係人異議申し立て機会を与えれば、あとは簡単にすればいいという意味で、重複して似たようなことを、知事計画の申請とか、その異議の認定があって、また土地改良区に戻して、それから事業計画を立てさせるということなどの点が、省略した点であります。  国営経営におきましては、知事審査予備審査、本審査と分れまして、公告縦覧意見申し立てが二重になっておりますので、これも予備審査公告縦覧意見申し立てを、二重になっておりました最初の分について省略したことであります。  第二の点は、土地改良区の経理厳正のことでございますが、国、県の補助金地元負担によりまして事業が行われるわけでございますが、事業費に充てる以外、土地改良区の事務費についても、賦課金についていろいろそういうことが起るかと思うのであります。これにつきましては、補助事業国営事業負担金というものについての明確な周知徹底をはかりますることが第一点。また農林省でもよく研究をいたしまして、研究とともに努力をいたしまして、今後土地改良区の団体連合会ができますれば、その自主的活動に待ちまするとともに、標準的な経費賦課の原則、基準というものなどを立てて示して、自主的に運営がうまくいくように、経理厳正が期せられまするように、努力をしたいと思うのであります。  御指摘農民監察権の問題は、総会総代会がこれを行うものでありまして、今まで招集しにくいほどの多くの総代の数を持っていたので、開きやすい形にしたいというのが法案のねらいでありますが、そのほか会計事業関係、その他の帳簿を常時備えつけて縦覧に供する、こういう制度法律案の中には規定してありますので、それの励行をはからしめたいと思います。また監事を置くことは、先生もおっしゃるある意味農民監察権でもございます。総代会の全関係者批判とともに、監事活動を待ちたい、連合会その他の自主的な活動によりたい、こう思っております。二十九条にその他の規定が定めてあります。  小団地負担金等が重いのではないかという話につきましては、農林漁業公庫補助の残りの融資、また割合に消化されませんのでありますが、公庫融資資金が最近十分に使われておらぬ点がありますが、これなどを活用いたしまして、補助金の確保のほか、その制度によりまして、いきなり、農民事業はしたいけれども、金を出すということはむずかしいときの運用をうまくやりたいと思っておりますが、なお目下検討中でございますが、将来成案を見ましたら行いたいと思っておりますことは、土地改良団体がみずから基金を作り、そうして基金に対して、これはあらかじめ土地改良用のための貯金のようなものでありますが、国で税その他に恩典を与える、あるいは助成を与える、こういう制度も設けたいと思っておりますが、いまだ成案を得ませんので、この次に成案を得ましたときにまた御批判をいただきたいと思っております。  土地改良は、土地ごとに、地域ごとに違いますので、負担の不均衡が、工事の種類その他によりまして起りますが、農民負担範囲内においてできれば、そういうものを事業採択基準にして、今後励行をいたしたいと思っております。今の御指摘の点については、土地改良法運営よろしきを得るようにいたします。会計検査院の批難事項等につきましては、誓って従来よりも減少せしめる措置を私はとりたいと思っております。
  7. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 大体は局長からお答えした通りでありますので、簡単に二点について申し上げたいと思います。  農民側からの一つ監察機構のようなものを作ったらどうかというお話でございますが、これも一つの考え方でありましょうが、現在の土地改良区が真に民主的に動いておりまする限りにおきましては、その信任を得ての監事というふうな役割もあるわけでございますから、これでいけるであろう、またわれわれとしてはさような指導をいたしたいと考えておるのであります。  さらに、小団地の問題にお触れになりましたが、これらも関係農民の不なれの点もございましょう、あるいは豪雪地帯等におきましては、気候関係から、いろいろ工事を執行する予算が流れて参る時期が非常におくれてくるというふうな欠陥も、従来は確かにあったと思います。そういう点は十分に改め、指導徹底を期して、批難事項の少くなるようにしたい、こう考えております。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、大体ごちゃごちゃした質問はやめまして、次に、県段階並びに全国段階連合会組織役員選出等について、定款規定がないように見えますが、これはいずれ何かの内示かあるいは政令できめられるだろうと思うが、第百十一条の十六に「連合会定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」と、こうなっておりますが、役員選任に関することが、この「役員に関する事項」、ここがそういうふうになっておるのかもしれませんが、役員資格は、どういうものを連合会資格を与える、それから同時に、その選任はどういう形で行われるのか、これを一つお伺いしたいと思います。
  9. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第百十一条の十六の九が、選任を含めました役員に関する事項でありまして、また百十一条の十九には「連合会に、役員として理事五人以上、監事二人以上」、その他「役員は、定款の定めるところにより、総会において選任する。」というのが、関係規定でございます。その内容は、土地改良区に準じてやっていただくように指導したいと思います。
  10. 雨森常夫

    雨森常夫君 土地改良事業事業期間特別会計を設定して短縮するという効果は、食糧の生産物の増産が一年でも早くできれば地元農民が非常に得であるということは、これはもうはっきりしておるわけですが、そのほかに事務費事業を運行する事務費が非常に節約になるということは、見のがせないことであろうと思います。現在大体工事費の五%、あるいは六、七%であろうと思いますかの事務費がかかっておるように考えますが、たとえば三年でできるものが十年かかる、五年かかるものを十年かかってやっておるような現状でありまするので、これを五%の事務費とすれば一〇%、一割の事務費になってくるわけであります。今度の特別会計の仕組みでは、地元負担が四割であったものが二分ふえるようでありますけれども、二分くらいのことではないと私は思う。こういうことを考えますと、現在やっておる国営事業と、特別会計でやらんとする新規の国営事業とでは、その点においても相当の差がつくだろうと私は思うのであります。こういう意味合いから申しましても、先日私が農林大臣質問いたしましたように、なるべく早い機会に現在継続してやっております国営事業特別会計の方に繰り入れて、しかもなお特別会計事業資金を豊富にいたして、事業年度を一年でも短縮するようにやっていただきたいというのであります。なお、でき得れば、県営事業の中でも、国営に匹敵する大きな事業があります。これもやはり現在の状態では、五年でできるものが十年、十五年かかるというような状態でありますから、この点も考慮をしていただきたいと思うのでありますが、農林省の方の、農林大臣のお考えを伺いたいと思います。
  11. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先般もお答えをいたしました通り、この新しい特別会計の設置によりまして、一は事業量が増大をし、一は工事がスピード・アップされる、こういうことでございまして、ただいま雨森委員の御指摘のように、もっとさらにワクを拡大すべきである、こういう御意見でございますが、本年はその当初、スタートの年でございまするので、とりあえずは干拓並びに新規の海潮排水をこの中に入れたわけでございまして、まず初年度実施をいたし、さらにその結果を見ましては、ただいま御要望の線にも沿って参りたいと、こう考えております。
  12. 東隆

    ○東隆君 土地改良関係団体を民主的な機構をもってやられるということについては、賛成なんですが、そうなって参りますると、私は、土地改良事業関係でもっていろいろ紛議が非常に起きてくると思う。現にたくさん紛議が起きておるのですが、そういうような問題を解決するために、何か私は審議をするような、調停をするような機構が内部に、あるいは外にあってしかるべきじゃないか、こういうような点を考えるのですが、この点はどういうようなお考えでおやりになるのですか。
  13. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 紛議が起きました場合は、土地改良区の中でまず第一に解決の努力をしていただきまして、第二には、連合会指導及びこれに関連する業務として努力をしていただきたいと思いますが、地元負担とか、設計とか、利益とか、いろいろの調整をどうするかというようなことについては、やはり本来、土地改良事業が国、県の経費負担補助において行われることが多いでありましょう。いろいろ大所高所から見る点もありましょうから、土地改良関係職員を督励しましてやって参りたいと思います。
  14. 東隆

    ○東隆君 私は、そういう点では、何か審議会のようなものをお考えになった方がいいんじゃないか、こういうことを考えますが、それは別として、その次に、監査関係でもって監事を置かれることになっておりますけれども、この監事の職権が、実は農業協同組合と比べますと、だいぶ弱いように感じられます。特に監事監査その他をやって、総会等を招集をする権限を与えられておらないのですね。これは何か特別に意図があってそういうふうにされたのか、その点を承わりたいと思います。
  15. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今回は、総会を開くべきときに開けない状態がある法律の穴がありましたので、都道府県知事が仮理事選任しまして、まず正常な形で、仮理事であっても総会を開いて議事を開き得る、そういう規定の補足をしたいと思って改正案を出したのが第一点。第二点としましては、第二十七条に、監事が、理事がその職務を行うことを怠る場合、正当な事由がないのに総会を招集しないときには、監事が招集できる、そういう規定がございます。
  16. 東隆

    ○東隆君 改良区の方はないのですね。
  17. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 土地改良区にあります。
  18. 東隆

    ○東隆君 その次に、役員任期をこれは延ばしておりますが、私はこれは延ばさない方が、かえっていいんじゃないかと、こういう考え方を持つのです。それは、こういうような仕事は、やはり組合員の全面的な信任のもとにやっていかなければならぬ。従って、選挙に当って選ばれる役員というものは、信任を受けてやるのですから、りっぱな仕事をやっておれば十分にやれるわけです。ところが、四年間という期間は、これは事業を完成する期間なんかもお考えになっていると思うのですけれども、しかし、その間にでもいろいろ問題が起きてくるのです。従って、前の法を改正をする必要はないと思う。それを四年というふうに改正をして、そうして前の役員がいろいろ不平があるにもかかわらず、そのままそれを存置しなければならぬというのは、かえって運営の上においてもまずいのじゃないか、そういう考え方を持つわけなんです。  それと同時に、もう一つ総代数ですね。これも、何も人数を前よりも減らして、そうして総代が集まりいいようにするとか何とかいう理由は、かえって問題だろうと思う。それよりも、前の通りにしておいて、かえって総代を適宜にかえる、そうしてみんなの意向を十分に反映をさせる。こういうような機会を作る場合に、総代の数が、少数の人を代表すればするほど私はいいと思っておる。そういうような意味で、できるだけそういう方向に進むべきじゃないかと思う。これは逆を行っておる。  その点二点、これを一つお伺いいたしたい。
  19. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 役員任期を延ばすのは、延ばす必要があって、そのほか選任等の経費がかかるので、節減したい。また事業採択から、設計実施管理に至りますまで、相当の期間役員事業を見届けて、組合員に対して責任を持つという意味において、四年にした方がいいところは四年にして、そのほかは民主的に総会できめていただきたい。定款できめていただきたい。二年以上でよろしいというところを、とどめるということにしなくてもいいんじゃないか。また農民方々土地改良区のお方々がそういうふうにして、四年以内において定款で定める……。
  20. 東隆

    ○東隆君 重任を妨げずの方がいいんじゃないですかね。
  21. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) いろいろ御議論がありますが、要するに、かわるチャンスがあった方がいいじゃないか。ということは、悪いときのことばかり考えておりますが、そのときには総会において、任期中といえども組合員批判すべきでありまして、その措置は当然とれるので、長くやってもらいたいというときに、わざわざ多額の経費をかけて役員選任をさせるのを避けた。短かくももちろんできる、こういう制度にしたいと思います。  総代の数につきましても、現実の多くの要望は、私どもが判断いたしましたところ、民主化を妨げるのではなしに、民主化の趣旨が徹底できる範囲において数を減らした方が、みな出てくれて、よく趣旨が徹底でき、経費節減もできる、そういう考えでございます。
  22. 東隆

    ○東隆君 今の説明では私は納得できませんが、しかしこれはこの程度にしますが、連合会の場合ですね、任意加入にした理由。私は、かえって一定の条件を備えた者は強制加入にした方が、そういう土地改良仕事なんかにはいいんじゃないかという考え方を持ちます。これを任意加入にされた理由ですね。
  23. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 土地改良事業そのものを行いますのは土地改良区でありますし、あるいはその土地改良連合であります。これはお話のように、強制加入、公共事業の性質を持っておるのでそうすべきだと思いますが、この事業指導する、調査研究をする、自主的な監査納得ずくでまたやるというようなことは、任意で集まったものがやるのが、やはり日本の憲法の精神からいってもいい。そういうような事業について強制加入するのは、新憲法から不可能に近いと思います。
  24. 東隆

    ○東隆君 そうすると、その次に私は、強制加入をするのが憲法の違反になるというのは、あれですか、団結の自由だの、それからその他の結社の自由とか何とか、そういうような面からですか。
  25. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 法案に定記しました事業について行うのは、そうするよりほかないという点が第一点。憲法違反と直ちにこの場では断じませんけれども、それに近いくらいのことじゃないかと思います。
  26. 東隆

    ○東隆君 その次に私は、もし任意加入だとすると、実はいろいろな形でもって、役員その他が非常に曲った形でもって選ばれる可能性がたくさんあると思う。それで、そういうような場合に、できるだけ省きたいというような場合がたくさん出てくるのじゃないかと思いますが、たとえば各級議員の兼職の問題ですね。兼職の問題だとか、この連合会だとか、それからその他の議員になるというようなそういうような、それが役員になるか、そういう問題が出てくると思う。それで、そういう点でどういうふうに取り扱われておるか、考えられておるか。
  27. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 任意団体だと、兼職その他の問題が出てくるという意味が実は私はわかりませんけれども、任意加入という団体であれば兼職ができることは……。
  28. 東隆

    ○東隆君 可能なんです。
  29. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 可能だろうと思いますが……。
  30. 東隆

    ○東隆君 ええ、可能なんですが、私……。
  31. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) しかし、この事業の性質にかんがみまして、役職員が逸脱した行為がありますれば、過料その他の罰を加えまして、そういう罰則規定を設けておるわけであります。
  32. 東隆

    ○東隆君 実のところを申しますとね、こういう連合会ができることによって、その道のいろいろなすぐれた人が役員になるということが、これは適当なことだと思うのです。そういうような場合に、各級の議員がこれに入る、こういうようなことは、任意加入の場合においては非常にやりやすいわけですね。ところが、強制加入の公法人のような場合においては、私はある程度そいつを排除することができると思います。そしてそういう政治家だの何だのが間に入らないというような形でもって、この仕事もやっていける、こういう形ができると思うのです。その点はどうですか。
  33. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) それは連合会の方で縛らないで、国会議員、その他の議員、あるいは公務員、そっちの方から縛るのでいいと思います。
  34. 島村軍次

    ○島村軍次君 今度の土地改良事業連合会等の場合の資料を、前回に要求しておきましたが、大体出て参ったようでありますが、その一例を見まして、全国土地改良協会の場合の会費、八百四万六千円、これは何を基準にして、どういう賦課徴収をやっておられるか。それから地方協会におきましては二百三十四万。これは一つのAの例ですが、二百三十四万三千の会費は、何を基準にして現在の協会がやっているのか。それからAの場合には、人件費が六十六万一千、それからBの場合には四百十九万七千と、こうなっていますが、そこで私がお聞きしたいと思いますることは、大体この土地改良仕事は、府県においても土地改良区の仕事設計、その他の仕事は、事業費全体のうちからいわゆる工事雑費といいますか、それで何%かを計上して、そうしてそれでほとんどやっているのがまあ現状じゃないかと思うのです。従いまして、この土地改良区の事業の、土地改良協会地方の協会の人件費はどういう内容を持っているのか、御説明を願いたい。
  35. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 全国土地改良協会地方協会Aは群馬であります。地方協会Bは宮崎でありますが、関東と九州の代表的なところを、標準的なところを実情を出したものでございまして、経費賦課と申しますのは、これは会費でありますが、社団法人でありますから、あるいは任意団体でありますから、会費はいずれも最近ではその県の耕地面積、加入したところの耕地面積と農民数、農家数、それできめておるようであります。それに単位当り幾らというのは、多少違うと思います。本改正法案によりまして連合会を作ります場合は、先ほど清澤委員に対してお答え申し上げましたように、特別法に基く特別の団体になるわけでありますから、これにはよりいい基準研究いたしまして、指導監督に遺憾のないようにいたしたいと思っております。  人件費もその賦課金の中から、会費の中から出るわけでありますが、全国について申し上げますと、各県について申し上げますと、事務職員が四百五十四名おりまして、技術職員が六百十二名今おります。その人件費に当っているわけであります。
  36. 島村軍次

    ○島村軍次君 私の聞きたいと思いますのは、会費の徴収に当ってですね、耕地面積とか、農家戸数というようなものを現在基準にしているというお話なんですが、そうでなくして、——それもあるかもしれぬけれども、たとえば灌排水の仕事をやる、この事業費について何ぼとか、あるいは補助金の額を基準にして徴収していると、こういうのじゃないかと思うのですが。
  37. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 三年前にやめました。
  38. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると、現在ではそういうものはないと、こういうのですね。
  39. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 一つもないとまでは……。社団法人任意団体が半分でありますから、監督的統計を持っておりませんが、ないことになっております。ないのが原則であります。
  40. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、先ほどお話にありましたように、経費賦課徴収方法については、まあこれから研究をして、そうしてそういうふうな工事費とか、補助金基準にした賦課徴収をやらない、こういう建前で指導をやっていかれるか、こういうことなのです。
  41. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) その通りでございます。
  42. 島村軍次

    ○島村軍次君 それからなお続いてお聞きいたしたいと考えますることは、現在は事務職員の人が四百幾人、技術職員が六百幾らおられるようであります。そこでこの土地改良、今度は法律によってできた場合におきまする事業内容については、現在のAの案にしてもBの案にいたしましても、Aが三百二十万に対して事業費が百二十万であって、その内容機関誌の発行、講習等が仕事になっているようであります。それからBの場合におきましても、七百五十八万に対して事業費がわずかに六十一万三千円、この形は考え方によれば、事業そのものの、つまり工事設計、あるいはその他の監督等は、これは主として団体でなくして、県の職員でやっておるというのが普通じゃないかと思うのです。だから、ねらいというものは、これを法人化してどういう仕事をやらせるということか、実質的に。抽象的にはわかりますけれども、この事業内容について考えてみるというと、どういうことをねらいにして考えておられるのか。
  43. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 地方協会自身について、例を島村委員の御質問に即してお答え申し上げますと、会員の受託事業収入で設計をする、各会員の各土地改良区から委託を受けて、経費を少く多くの仕事をしろ、それは歳入の方では、人件費の方に入ってしまうわけであります。人による頭脳的、技術仕事でありますので、従って、先ほど御指摘になりました事業費が少いというのは、実は人件費、事務費事業費になりますので、特別法に基く団体では監督もしやすいと同時に、そういう事業もやりやすい。受託もできる、とかく土地改良区の団体事業は、県が手を抜かざるを得ない実情にあることは事実であります。団体事業でこの分は賦課していく、また県から収入がある場合でも、民法法人や任意団体ではいたしかねる今の諸法制及び実情でございます。それを適正に事業をしやすくしたいと思うのであります。
  44. 島村軍次

    ○島村軍次君 土地改良仕事をやりますと、土地の交換分合といいますか、所有権の移転が相当多く、それから道路を作り、水路を作っていきますというと、いわゆる土地に関連を持つ登記事務というものが非常に多い。そこで現在協会でやっておる一番重要な仕事は、重要といえばおかしいのですが、登記事務なんかが、相当重点的に考えますと、非常なウエートからいえば大きいのじゃないかと思うのです。大体そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  45. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 島村先生は非常にお詳しいのでございますので、その通りでございますが、設計自身を受託してやることと、設計指導、登記、施設管理というようなことがおもでございます。
  46. 島村軍次

    ○島村軍次君 午前中はだいぶ過ぎましたから、もう一つ一点だけ。それは、この従来の協会をも、結局法人化することになろうと思うのですが、農林省では、このために特に監督の増員をされるかどうか、監督機関事業内容なり、予算の執行につきまして……。そのために予算をどう考えるか。それから、現在のたとえば課の問題についても、相当仕事それ自身を技術的な問題ではありましょうが、なお連合会が法人化した場合に、監督行政というものは、相当私は厳密を期せなければならぬ。その場合における機構の内容です。  それから、府県ではどういう仕事をやらせるか、その監督等について、それの構想があったら、一つお聞かせ願いたいと思います。予算とあわせて。
  47. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 連合会県段階及び市段階のものができ、法制に伴いましての新規予算の計上はございません。ただ、こういう段階に、適切な事業の委託をし得ることはごく若干、百四十万円くらいございます。  土地改良区の監督指導監査につきましては、従来通りでございます。農地局管理部の管理課の職員と、これに照応する事務局及び県の系統でやっておるわけであります。これは従前通り予算でございます。  清澤委員からも御指摘がありましたような行政、あるいは公共事業、食糧増産費の経費問題もありますので、最近は監査官の設置もいたします。また、積極面としての技術研修制度予算は、昨年度よりも相当増しております。ここで土地改良区の運営に関する講習等を、先ほど申しました年には六百名は訓練をする。それも半年、一カ月という期間においてもやる、こういうふうに考えておるのでございます。県及び全国連合会は本省の関係……。
  48. 島村軍次

    ○島村軍次君 だいぶ時間も経過したようですから、質問はこれで私は打ち切りたいと思いますが、一つお諮りを願います。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 百十一条の十の、「地方連合会の会員たる資格を有する者は、地方連合会地区内において土地改良事業を行う者であって定款で定める」、この定款の大体構想はどうなっておりますか。  それから、「全国連合会の会員たる資格を有する者は」やはり「その施行に係る地域が二以上の都道府県の区域にわたる土地改良事業その他その施行に係る地域内の土地の面積が省令で定める面積をこえる土地改良事業を行う者」、その行う者というのは、これは……。
  50. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第四章百十一条の二に、「土地改良事業団体連合会は、土地改良事業を行う者(国、都道府県及び第九十五条第一項の規定により数人共同して土地改良事業を行う者を除く。)」ということに対しまして、その協同組織でございますので、土地改良事業を行います市町村、土地改良事業を行います農業協同組合でございます。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは代表者ですか。その会員ですから、会員になれば実際の……。
  52. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 法人格を持っておるものは入れます。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 入れますが、出てくるときは、だれが出てきてもいいのですか。
  54. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) それは会員になる団体が決定します代表者になると思います。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 一度ごとに代表して出る者が……。
  56. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) その通りでございます。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから地方連合会定款で定める、やはり同じですか。
  58. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 同様であります。
  59. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  60. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して下さい。
  61. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 一点だけですが、全国連合会資格の問題が、定款で定めるということですが、これはどういうのですか。
  62. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第百十一条の十、二項でありますが、「次に掲げる者であって定款で定める」ということがありますが……。
  63. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 次に掲げる者であって、そうすると、「その施行に係る地域が二以上の都府県の区域にわたる土地改良事業その他」としてありますが、二都道府県にまたがる土地改良事業を行うものでなければ会員になれないというのですか、これは。
  64. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これは全国連合会の会員でございまして、原則は、各県にできまする第二項の第二号に書いてある地方連合会が、全部がなり得るわけであります。そのほかに単独に土地改良区でなるのは、土地改良区は県連合会に入るのが——それで一応済みなのが大半でありますけれども、二府県にまたがったら、直接に入ってもよろしいと、こういうことです。
  65. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 わかりました。
  66. 千田正

    ○千田正君 農林大臣にお尋ねするのですが、さっき雨森委員からも御質問あったようですが、土地改良の中に特別会計を今度設置しまして、遅々として進まない大きな面は、それによって救っていこう、こういうお考えのようですが、今までの一般会計から支出しておったところの、いわゆる土地改良の問題ですね。今もって、すでに農民からは土地を買い上げておって、さらに三年たっても仕事ができないと、こういうネックのあるものに対しては、今後はあれですか、特別会計にそういうものは編入して、即刻に工事の進捗を期すというようなことに考えておられるのですか、どうなんですか。  そしてもう一つは、特別会計にあるところの、いわゆる改良事業事業量が、一般会計から出ておるところの土地改良事業量と対比しまして、どのぐらいの量になるのですか。どれぐらいのものをやろうとするのですか。
  67. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど雨森委員にお答えいたしましたように、土地改良につきましては、新規のものを採用をいたしまして、特別会計で進めるわけでございますが、まあ、従来一般会計でやりましたものも、これは同時並行的にやはりやって参るのであって、決して特別会計ができたから、片一方がおろそかにされたり、あるいは従来よりも一そう進度が遅滞するというふうなことはないと考えております。
  68. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第二の御質問は、御配付申し上げました資料十二ページでございます。
  69. 千田正

    ○千田正君 それで従来一般会計からの支出を目標とした土地改良で、各県から要請しておったんですが、農林当局及び各県との技術的な調査の結果、農民の反当の負担額が大きくなるというので、申し入れがあったやつを、今までそれに注目しなかった。農民はやりたいんだが、農林省は許可してくれないんだ、こういう問題が方々にありますね。これが今度はいわゆる法人組織におけるところの土地改良のメンバーが、たとえ自分らが多くの負担を受けたとしても、ぜひやりたいんだというような場合は、これは特別会計によってなされるところの土地改良事業の中に編入してやらせますか、どうなんですか。
  70. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 非常にむずかしい問題を含んでおると思いますが、国の事業、また補助事業として考えますときには、やはり国家資金の効率性ということも考えなくてはいけないと思います。地元に要望があるからといって、負担が高くてもいいという御要望に、極力地方の御希望を尊重して採択するように、今でも努めておりますし、今後もいたしたいと思っておりますが、清澤委員からも御指摘のありましたように、事業が完了後負担金がかかる段階になると、あとで非常に紛争が起るようなことは、それがほんとうの声である場合もありましょうが、よく留意しまして、かたがた国費、県費の六割負担、あるいは五割負担、四割負担という程度の負担もございまするので、そこは予算範囲内で、事業を採択するときに経済効果の多いもの、投資効果のいいもの、増産効果のいいものをねらって優先させる、こういうことはやむを得ないかと思います。
  71. 千田正

    ○千田正君 今の局長のお答えを逆に、今度はヴァイスヴァーサの考え方からいけば、国の援助がなければほんとう土地改良ができないんだ、経済効果がないんだと。たとえ多くの負担をわれわれがしても、やせた土地なりあるいは困っておるあれをやっていかなければならないんだ。そういうような意思で任意加入して、いわゆる会が組織されてその要請があった場合に、あなた方はそれでも県負担が高くなるからやめろというんですか。
  72. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御質問意味がちょっと私間違えておりましたですが、やはり国の事業及び国費を使うことには、国全体としての計画性を持たなければいかぬと思います。特に農業では、くどく申し上げるまでもなしに、北海道から九州、四国まで考えなければいけませんので、全国的見地に立ちまして、全国的にも増産量が多い、経営的にも合理化できる、同時に、その地方の土地の開発に資するという見地も当然加えるべきでありまして、地方別、地区別、県別、市町村別、水系別に、おのおの総花ではなしに、計画性を持った総合的な開発をねらいまして、その中で、先ほど申しましたような事業効果の多いものをとるべきだと、そういうふうにいたしております。今後は一そう、そうあるべきだと考えておるわけであります。ただ、北海道とか、今回東北について、あるいは補助率に差をつけましたり、あるいは地方財政再建交付金の方で増加を、東北なんかいたしまして、実質的の地元負担を軽くする措置を講じまして、御指摘のような事業を採択してやっていくべきだと思っております。
  73. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  74. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  それじゃ、他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  76. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 わが国の国情に照らして、土地改良事業を拡大し、その実施を効率的にすることは、きわめて必要なことでありまして、その一環として、今回政府から提出され、ただいま問題になっております土地改良法の一部を改正する法律案は、おおむね妥当な措置と認めて、この法律案に賛成するものであります。  しかし、この法律案が成立、実施される運びとなりました場合に、その運用を一そう効果的ならしめるため、また農民負担を軽減し、安んじて営農を可能ならしめるために、次の付帯決議をつけることを提案いたします。付帯決議案を朗読いたします。     土地改良法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   この法律案が成立し、これが施行に当り、政府は、次の通り措置すべきである。  一、独り埋立又は干拓に限らず、継続施行中のかんがい排水施設及びその附帯事業についても、速かに、これを特定土地改良工事特別会計で行うことができることとなし、その工事の完了を促進すること。  一、特定土地改良工事の建設利息については、受益者の負担を極力軽減すること。  一、事業費地元負担分の徴収期間を極力延期し、特に埋立干拓事業については事業完了後二十五年以上とすること。  一、特定土地改良工事について、その完了を極力促進し、七ケ年以内において必ずこれを竣工させること。   右決議する。
  77. 東隆

    ○東隆君 私は社会党を代表して本案に反対をいたします。  理由は、農政の根本的な条件というものは、やはり土地問題に関連をいたしておるものであります。この土地改良法の一部改正を通じて新たに特別会計を設定をすることになるのでありまするが、それのやり方において、農地法を運用しないようなやり方によって、わが国の農地制度の方面において非常に遺憾な形が将来起きてくるのではないかと、こういうことを予想するのであります。  従って、その点から反対の意思を表明するわけでありますが、さらに、この法律はその法律改正中心にして、いろいろ民主的な運営をなさなければならない改良区、あるいはその他事業を行うところの団体等におけるところの総代数であるとか、役員任期であるとか、そういうようなものについて、決していい改正をしておらないと思うのであります。改悪をしておるのじゃないか、こういう点であります。さらに、連合会を設立をするというような問題については、もう少し十分に考えた上でやるべきでなかろうかと、こういうことも考えるわけであります。一部改正をやることに便乗をして、いろいろな問題を取り上げてきて、そうしてこの問題を非常にむずかしいものにしておるわけであります。そういうような点で私は反対の意思を表明するものであります。  そこで、付帯決議の問題でありまするが、との問題については、基礎法について反対をいたすのでありますので、実はもとがなくなっておりまするから、いかんとも意思の表明のしょうがないわけであります。そこで私どもは、この点についてはそれ以上申しませんので、この点を一つ御了解を願いたいと思います。以上であります。
  78. 島村軍次

    ○島村軍次君 私はただいま上程されております土地改良法の一部改正法律案について賛成の意を表し、かつ、重政委員から提案になりましたこの本法施行に伴う付帯決議案にも、あわせて賛成をいたすものでございます。ただ、ここに二、三の希望を申し上げまして、将来の運営について十分の御考慮を願いたいと思うのであります。  第一は、特別会計設定によりまして、土地改良事業が促進されることに関しましては、われわれ双手を上げて賛成をいたすのでありますが、この法案全部を通じて考えますというと、予算編成の最後において、にわかに特別会計が設定されたという点から考えまして、どうも土地改良そのもの、すなわち干拓事業であるとか、大規模の開墾等に対する政府の大蔵省との間の交渉が、必ずしも私は満足すべきものでないということを痛切に感ずるのであります。すなわち、昨日の大蔵大臣及び農林大臣質疑を通じて考えますというと、もっと、干拓事業にしても、あるいは開墾事業についても、全体を通じて農業の特質から、しかも新しく干拓し、新しく開墾していく場合における農業経営の立場から考えますというと、もっと総合的に、国みずからが食増産の立場から、あるいは土地のみならず営農に関する住宅、あるいは営農の設備等に関しても、施設を手厚く施していくという前提に立って、しかも償還年限は長くし、かつまた、ここに付帯決議にありますように、受益者の負担を軽減するという措置が強く考究されなければならぬと思うのでありまして、本年度における創設の場合においては、やむを得ずこの一歩前進という意味におきまして私は賛成するのでありますが、以上の点を農林省においても積極的御考究の上で、将来さらにこの土地改良事業が進展するように御措置あらんことを希望し、  第二には、土地改良事業の執行に当りまして、土地改良法土地改良区というものの手続の煩瑣なことは、これは天下周知の事実でありまして、多少の改正が行われておりますが、農民の立場から申しますと、この手続の煩瑣というものには、もううんざりするくらい手続の煩瑣を非常にきらっておるのでありまして、もっと手続上の問題は簡素化をすることを、今後においても十分の御検討をお願い申し上げたいということが第二であります。  さらに、今回の土地改良事業連合会の設置につきましては、従来の全国土地改良協会、あるいは地方土地改良協会相当多年にわたって土地改良事業のために貢献された事実については、認めることにやぶさかでないのでありまするけれども、なお社団法人になっていない組織のものが半数以上あり、しかも、事業内容たるや、きわめて貧弱でありまして、それらの基礎に立った土地改良連合会あるいは全国連合会等は、今後事業運営についてさらに一だんの工夫をこらすとともに、まだ私は連合会については、たくさんないろんな問題を残しておると思うのでありまして、本法律案が成立の暁におきましては、土地改良事業連合会仕事を、真に農民の立場からの連合会とし、かつまた、その活動が十分になし得るように、また経費賦課等に当りましては、従来の土地改良協会等のやっておる賦課の方法については、各地でいろいろな問題のあったこともあるのでありまするがゆえに、将来農林省はこの連合会に関する指導監督については、十分の措置を講ぜられるとともに、さらに事業促進のためにはこれらの団体がもっと活動するように、あるいはまた、監督上の措置を十分にするために、予算的措置も裏づけるということを強く希望いたしまして、本案並びに付帯決議に賛成の意を表する次第であります。
  79. 千田正

    ○千田正君 私は大体島村委員と同じような考えを持っておりまして、この案に対しては相当疑義がありますけれども、一応不満ながら賛意を表します。  ただし、私も注文つけたいと思いますのは、昨日も大蔵大臣をこの席に呼んで質疑したのでありますが、その際に、大蔵大臣の考え方、日本の大蔵大臣の考え方として、農林漁業等の日本の原始産業に対する金の使い方、この点について、しかも土地改良については特別会計を設けてその金利が六分、これは市中銀行における一般の金融措置に対して大差のないやり方に対しては、私は非常に不満を持っております。原始産業であればあるだけに、しかも基礎産業であればあるだけに、こういう問題に対してはそうした利率はかけられるべきじゃない。むしろもっと低金利をもって、そうして日本の国土の開発と食糧増産の対策を練るべきである、私はこの点において、将来これは一そう改正さるべきものであるという考えを持っております。農林大臣といたしましては、この点も十分御考慮願いまして、真に日本の増産対策ということを考え、あるいは農民の意欲を考えた場合におきましては、外国から買い入れた外米がそのまま眠っておるというようなときに、多大な金をつけるくらいならば、農民のこうした改良事業に対しては、ずっと安い金で、あるいは助成金をうんと出すというくらいにして土地改良を行わなかったならば、十分に日本のこの農民の意欲というものを反映するような政策ができないのではないか。将来においてこの金利の問題については、なお問題を残しておると思いますので、特段のこれは大蔵省との間の折衝を農林大臣に望んでやみません。  第二の問題は、島村委員指摘しておられましたが、地方におきますところの土地改良協会土地改良区が設定されて、それに伴うところのこの事業団体が幾多の問題を残しております。最近の会計検査院の当院の決算委員会に報告しておるように、幾多の犯罪等が行われておる。こういうことを再び繰り返さないように、農林省としましては十分なる注意と指導とをもってこの法案の真の目的を達成するように望んでやみません。  この二つだけを特に希望いたしまして、ただいま提案されておりました案と、重政君の提出されました付帯決議、ともに賛成の意を表するものであります七
  80. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。土地改良法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  82. 堀末治

    委員長堀末治君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  次に、討論中に述べられました重政君提出の付帯決議案を議題といたします。重政君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  84. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって重政君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、よって、さよう決定いたしました。  なお、本案を可とせられた方は順次、御署名を願います。   多数意見者署名     重政 庸徳  藤野 繁雄     島村 軍次  青山 正一     秋山俊一郎  雨森 常夫     佐藤清一郎  柴田  栄     下條 康麿  田中 啓一     仲原 善一  堀本 宜実     上林 忠次  千田  正
  86. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまの付帯決議について、この際農林大臣の御所見を承わりたいと存じます。
  87. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま土地改良法の一部を改正する法律案が可決せられまして、それに対する付帯決議が全会一致をもって御可決に相なりました。政府といたしましては、この御趣旨を十分に尊重をいたしまして、善処する所存でございます。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 本案は私ども反対はしておりましたが、いよいよ通過して施行せられることになりますについて、その立場で少しばかり御注文申し上げたいと思うのであります。  先ほど、質問の中に意は尽されておりますが、第一の強い要望は、気候現象による地区といたしまして、八月末に事業認可が出てくる。それから工事の請負者をきめたり、資料を集めておりますうちに、もう降雪期に入る。従って、工事は約六カ月以上おくれることになりますので、しかも、農繁期等にさしかかりますと、とうてい工事が行われない、一年以上おくれる。こういうようなことから、どうしても事をせきます結果、許されておらない仕越をやったり、あるいは認可前に事業を開始しまして、いろいろな紛糾を起しておる例も、農林省御存じの通りなんです。これは結局しますれば、気象状況の違った特殊の地帯でありますので、従って、こういう地帯に対してはなるべく早く事業決定をしていただいて、同時に、予算等の関係がありまするならば、これに対して仕越しを許すというような方法を将来において考えていただかなかったならば、非常なそういう地区の人たちが工事の施行上迷惑する、ということよりは、困難な立場に立つことでありますので、この点は一つ十分お考えになって、工事がスムーズに行われるような方法を考えていただきたい。  それからその次は、国営灌排水等を通じまして、国も負担を負います。同時に、国営の灌排水工事等がありますれば、必ずそこには付帯工事としまして、耕地整理がまた自己負担において行われてくる。それには小さくない相当の金額の要る用排水の整備等がありまして、非常な負担がここに重加してくる。その結果、でき上りました灌排水工事あとには、灌排水の、用排水機械が大型のものが据え付けられる。特に数百万円の電気料を要するようなものも、維持を恒久的に持っていかなければならぬ。こういうような関係から、せっかくでき上りました耕地を、非常な耕地面積の少い貧農者におきましては、持ち切れないで手放す者も出ておるのが実情であります。従って、こういう点は一つ国の政治として親心を持って、せっかく土地改良を行われたが、その土地を手放さなければならない、あるいは維持費に困難を来たすというようなもののないように、一つ十分な御研究をしていただいて、そういうことのないように、そういうものを消滅するように一つ努力をお願いしたい。たとえてみまするならば、電気料等の相当額の減額をさして維持管理が楽になるように、あるいはその維持管理のために、少しくらいの助成金等の処置も考えられると思いますが、それぞれの方法はここで一々こまかしく申し上げませんが、そうした実情を中心にして、特段の本法施行に対して御処置をお願いしたいと、こう思っております。   —————————————
  89. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、日ソ漁業交渉に関する件を議題にいたします。  この件については、去る四月四日農林大臣から一応御報告をいただきましたが、これに対して特に御発言を求められておる向きもありますので、この際御発言を願います。  なお、大臣はあと十四分より時間がないそうでございますので、おそれ入りますが、なるべく簡便に一つ……。
  90. 千田正

    ○千田正君 どうも、私は非常に委員長運営に不満を感ずるのであります。ということは、日ソ漁業は当委員会において全会一致をもって、日ソ漁業問題に対して漁民の声を反映すべく、われわれは決議案を出そうとまでした問題であり、しかも国際問題をはらんだ問題である。それが十二万トンという漁獲量が決定した今日において、漁民はもう明日からでも、すぐに操業にかからなければならぬ。こういう段階に立ち至った今日において、この問題を遷延するということは、われわれとしては許されない。そういう考えから、私はたとえ大臣が十分であろうと十五分であろうとも、誠意を持って当委員会において、その後におけるところの農林省としてやらなくちゃならないことを明確にしておくべきであると、私は思うのであります。  先ず第一、十二万トンという漁獲量の決定した結果、あの制限区域内において、本年出漁するところの船団の数並びに独航船、あるいは流し網、こういうような方面におけるところの計画はどうなっているのか。しかも、ある場合においては、減船されなければならないかもしれぬ。減船される場合におけるところのその対策は、どうするのか。こういう問題について焦眉の急に迫った今日、大臣としてのお考えがあると思いますから、この際はっきりしていただきたいと思います。
  91. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御承知のように、日ソ漁業交渉につきましては、不十分ながらも、そのつど、あるいは御質問にお答えをいたす、あるいは中間的にお知らせを、申し上げるということにいたしつつ、推移をいたしました。去る四月六日に漁業委員会の決定を見た次第でございます。
  92. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  93. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  94. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) それでは、漁業交渉のてんまつについて、大体のところを御報告申し上げたいと思います。  日ソ漁業委員会第一回会議は、二月の十四日から開かれまして、北西太平洋における漁業の多くの問題について審議を続けて参りましたが、そのうち最も重要な一九五七年度の総漁獲量については、当初わが方より十六万五千トンを要求いたしましたところ、先方は昨年のモスクワにおける交渉においてすでに決定済みであると称して、凶漁年八万、豊漁年十万トンの数字を固執し、わが方はこれを反駁し、委員会は激しい応酬を重ねてきたわけでございます。  そこで、私はしばしばソ連側クーテレフ代表と折衝を重ね、さらに、三月の十五日には岸外務大臣をわずらわしまして、テヴォシャン在京ソ連大使を招致して、本件の解決について、大局的見地から配慮ありたい旨を要請いたしたのでございます。三月の二十一日に至り、一九五七年度の総漁獲量は「例外措置として」十二万トンまで認めると同時に、オホーツク海におけるサケ・マス漁獲は「将来全く中止されるべく、本年度は著しく削減する」、こういうことを条件として回答をして参ったわけであります。しかしながら、わが国としましては、右の二条件に同意することはできないので、その後も双方の代表間において交渉を継続し、四月の二日、岸外務大臣は再度テヴォシャン大使を招致し、「例外措置として」の表現を変更すること、オホーツク海における出漁を二船団、漁獲量を一万三千トンとすることを申し入れましたところ、同大使は、四月四日に至り、わが方の要請に同意すること、並びにオホーツク海におけるサケ・マス漁獲は、「将来全く中止されるべく、本年度は著しく削減する」との条件については、本年は論議しないことに同意する旨を回答して参りました。よって同日、右の了解に基きまして、私とクーテレフ代表との間においてさらに細目について折衝を重ね、四日深更に及びまして、実質上の合意が成立いたし、六日午前、議事録に両国委員の署名を了した次第であります。  なお、右のほか、委員会において決定されました事項は、左の通りでございます。  第一に、ベニザケの資源保護と漁業規制の問題でございますが、北緯五十二度以北、東経百七十度二十五分以西のカムチャッカ半島の東方海域におけるサケ・マス漁業を、一九五七年において七月二十日以降停止する。一九五八年以降におけるサケ・マス漁業停止については、委員会において再検討をする。これが第一点でございます。  第二といたしましては、小ニシンの混獲許容限度の問題でございますが、一漁船一航海につき、尾数にして全漁獲量の一〇%をこえない範囲とする。一〇%をこえたときは、当該漁船による当該場所における操業は中止されるか、または大きな網目の漁具に変えなければならない。  第三点、雌ガニ、子ガニの混獲許容限度及びカニ網の設置についての問題でございます。揚網一反当りの平均一尾をこえない混獲率とする。オリュートル区域では〇・五尾ということであります。漁獲が停止される混獲限度は、協同調査によって今後決定されることに相なります。カニ網の配列の長さは千七百メートル以内、配列間の間隔は百メートル以上、一九五七年においては三十メートル以上、ということにいたしまして、配列の線の間の距離は二百五十メートル以上とするということに相なっております。  第四に、距岸四十海里のサケ・マス禁漁区域についての問題でありますが、科学的資料に基いて一九五八年の会期において再検討することとし、一九五七年においては北緯四十八度以南については距岸二十海里、これ以外の区域については距岸四十海里の禁漁区域を設けることとする。かように相なっております。  第五、科学的調査の調整の問題。科学的調査研究の基本方針を定め、一九五七年度の協同調査計画をきめたのでございます。なお、漁業資源及び漁業規制の研究に関する経験を相互に交換するため、一九五七年に漁業使節団の交換を実現するよう、両締約国に対して勧告することといたしました。  第六、統計その他の資料の交換に関する問題は、両国が委員会に提出する統計及び資料の範囲内容を調整、決定をいたしました。  以上の通りでございます。  そこで、ただいま千田委員の御質問でございますが、現在のところ、問題は国内措置に移って参ったわけでありますが、ただいま十二万トンの配分について検討中でございまして、近くお示しをすることができょうかと考えております。さらに、現状は、母船において十六、独航船五百、流し網約五百二十と、こういう昨年の実数でございますが、これを変更するということは、ただいまは考えておらないのでございます。従いまして、この十二万トンの配分をいかようにするかということを、ただいま鋭意検討をしておるさなかでございます。
  95. 千田正

    ○千田正君 これは、水産行政にとっては非常に重大な問題であります。というのは、母船式によって漁獲したものは、ある意味において国際マーケットにおいてソ連と競争しなければならないという面があると同時に、国内的においては、今度は流し網その他の小漁民がやっておるところの中小企業的性格を持っておるものを、やはり国内的な意味において育成をやらなければならない。そこで、資本漁業と、さにあらざるものとの対立を深めるような行き方でやっていったんでは、将来に禍根を残すおそれが十分にある。大臣にしましても、水産庁にしましても、これは真剣にかつ慎重に考えてもらわなければ、今後の北洋漁業というものに大きな影響を与えると、かように考えますので、その配分あるいは配分に伴うところの、場合によっては昨年と同じような結果になれば、なかなか漁獲経営はむずかしいのじゃないかという点等を、あらゆる角度から研究されまして、紛争の起らないように一つやっていただきたい。  それで、最も近い機会に、一応の対策ができ上ったとするならば、当委員会において大臣なり長官から詳細な御説明を承わりたいということと、それに伴うところの科学的な配分の方式並びに対策についての資料がございますならば、あるいはこれからお作りになると思いますが、そういうものも配付していただきたい。特に漁期が近づいてきて出漁しなければならない、ごたごたしているうちに、まだ漁獲が十分できないというようなことにならないように、一つ特にこの点を留意していただきたいということを要請いたします。
  96. 東隆

    ○東隆君 私も今千田君のお話しの通りでありますが、実は私ども社会党として、農林大臣のところに以前陳情を申し上げておるわけです。それでそのときの数字は十二万トンを基礎にして、国内における配分の問題について陳情を申し上げておりますが、それは昨年の実績を四十八度線以北は九万三千トン、それから以南の方は三万四千トン、こういうふうに踏みまして、これは合計十二万七千トンになりますが、端数の方、両方の千トン以下を切りましてやりますと、九万トンと三万トンですから合計十二万トンになるわけです。それで、この配分が、先ほど千田君が言ったような問題に対しても、私は非常に合理的な配分になるのではないか、こういう考え方を持ちますので、これは前からわが党としても陳情をいたしておる中身でございますから、私どもこの点も留意願いたい、そしてすみやかに決定していただきたいと、こう思うのでございます。御意見がございましたら、伺いたいと思います。
  97. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ごろ日本社会党としての御意見は承わりました。ただいま東委員の御発言につきまして、数字その他について十分な検討をいたしまして、善処したいと考えております。
  98. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私もただいま千田委員の述べられました意見と同じような意見を持っておるのですが、この北洋の漁業は、日本の沿岸において行き詰った漁業をある程度緩和するという点、それから海外市場において外貨を獲得するといったような面で、日本の経済の上にも産業の上にも、また食糧問題の上にも非常に大きな関係を持ち、重要な産業であることは申すまでもございません。従って、今回の日ソ交渉におきましても、国民がひとしく非常な関心をもってこれを見ておったし、われわれも今度の妥結については、当初日本が主張したものと相当の開きができてきたことを、非常に残念に思いますけれども、相手のあることでありまして、とにかく今年十二万トンときまったことの御努力に対しては、非常に感謝と敬意を表する次第でありますが、この結果といたしまして、資源保護の面からいろいろさらに規制を受けた点があります。たとえばベニザケの資源保護のために、従来の制限区域がさらに制限されてきたといったような面があり、また一隻とは申しながら、許可のおくれた点からとり残しも出てきたといったような、昨年と相当違った面が出てきております。そういうような意味合いにおいて、おそらくはこの配分は非常に問題だと思います。しかし、この配分をいかにすべきかということは、私は行政権に立ち入り過ぎると思いますので、幾らにしろということは、私どもは申しませんが、この問題は日本の漁業の何といいますか、維持といいますか、漁民の経済を維持していくためにも、非常に考慮を払わなければならぬ問題です。  昨年はアリューシャン方面における出漁船の独航船はおおむね赤字を出した。これらが本年引き続き赤字を出すということになると、とんでもないことになりますので、かような点は少くとも赤字を出さないという程度までに御考慮を払って、そうしてどうかこの漁業が衰退しないように、維持できるような方途によって配分をきめていただきたい。これは特にただいまお話しのように、減船なり整理の問題をお考えになっていないとおっしゃいましたが、現在の状況において、十二万トンを基礎にしていった場合に、果して現在の独航船五百そうというものが満足にいけるかということは、数字的に考えると、配分がきまらないから具体的には申せませんけれども、非常に困難だと思います。そういう点を考慮せられまして、この漁業がつぶれないように一つ御配慮いただきたい。この点を特に私は大臣に、この問題近々にきめるそうでありますから、十分御注意なさってやっていただきたい。この点をお願い申し上げます。
  99. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御趣旨を尊重いたしまして、公正、妥当なきめ方をいたしたいと考えております。
  100. 千田正

    ○千田正君 時間がないようですから、一つだけ。ラッコとオットセイの問題が批准を求められておるようですが、大蔵省との間の話し合いはついたのでしょうか。それによって、当委員会としましても、あらためて委員会を開いて、農林省意見なり外務省なり大蔵省の意見をただしたいと思いますので、あなたの方で十分に話し合いがついておるかどうか、一つ
  101. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 大蔵省との話し合いは、事務当局間において進めておりまして、大体の了解はついておる模様でございます。
  102. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  103. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時十一分散会