運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-11 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十一日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            下條 康麿君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            鈴木  一君            羽生 三七君            上林 忠次君            島村 軍次君            千田  正君   衆議院議員            芳賀  貢君            村松 久義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 井出一太郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    農林大臣官房長 永野 正二君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省農地局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   ————————————— 本日の会議に付した案件 ○農林漁業組合再建整備法の一部を改  正する法律案衆議院提出)(第二  十五回国会継続) ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農業委員会等に関する法律の一部を  改正する法律案衆議院提出)(第  二十五回国会継続)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  前回に引き続いて、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案議題にいたします。  農林大臣そのほか関係当局が見えておりますが、間もなく大蔵大臣も見えることになっております、  どうぞ、前回に引き続いて、御質疑をお願い申し上げます。
  3. 島村軍次

    島村軍次君 再建整備の今回の衆議院における修正案につきましては、昨年の十一月二十六日の衆議院における農林水産委員会会議録によりますと、本日御列席の村松さんが委員長として会議を進行されまして、その席において、制定当時の経過について参考人を呼んでいろいろ御横田になっておりますが、その当時の経過について、幸い御提案者であります村松委員長はよく御記憶であろうと思うので、その点に対する経過報告をお願いいたしたいと思います。
  4. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 参考人として、本案に直接関係のありまする方々の意見を聴取いたしたのでございます。その際、最も問題になりましたのは、再建整備制定当時の事情に関する問題と、さらに、その事情に基いて、農民層あるいは労働組合関係においては、その債務を初めより利益金に計上いたしておる、そういう指導をしたというような点がだいぶ問題になっておりました。そういう点に関する意見を発表せられた方もあったのでございます。大体、中心問題は、当時の指導方針として、これは最初より償還を要しないというさような指導が行なわれておった、かような点が重点として強調せられ、かつその点が一番質疑応答の対象にもなったのでございます。その他の点に関しましては、私の記憶も薄れておって今はっきりしたことを申し上げられませんが、重点は要するにその点に集中いたしておった、かように記憶いたしておりますので、記憶のまま申し上げました。
  5. 島村軍次

    島村軍次君 そうしますると、占領下であったので、GHQの関係等から、問題になっておりまするこの奨励金返還等については、連合軍等関係もあるので、やむを得ずこういう法律を作っておるけれども、指導方針としては返還をせしめないということの指導をとってきた、こういう証言と了解してよろしゅうございますか。
  6. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) さようでございます。
  7. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、農林大臣もこの問題については経過十分御存じであろうと思うのでありますが、衆議院の今回の修正によりまして、すなわち、その後の経営情勢が相当変っては参っておりまするけれども、なお町村段階におきましては、この奨励金返還しないというような指導のもとに、しかも単位農協においてはそれぞれ返還しないという試算表といいますか、そういうふうな心組みで計画を立て、かつまた今日の経理を取り扱っておると考えられると思うのでありますが、そういう点から考えて、衆議院の今回の修正については政令で、十分大蔵省と御協議の上で、返還せしめないような措置を講ずる、こういうお考えの上に立たれて善処されますかどうか、その点を農林大臣の御所見を承わりたいと思います。
  8. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 本法の成立をいたしました当時の事情、あるいはその後の経緯につきましては、ただいま村松議員からお答えがあった通り承知をしております。ただ、すでに五、六年を経過しておりまする事柄でございまして、当時の指導方針というふうなものについての明確な記録のようなものははっきりいたしておらないのでありますが、衆議院において修正をせられましたその御趣旨に沿いまするように、配慮をいたして参りたいと存じております。
  9. 島村軍次

    島村軍次君 衆議院におきましても、この問題は相当突っ込んで御論議があったようでありまするが、ざっくばらんに、今日までの経過から考えまして、大体多くの組合といいますか、単協におきましては、ほとんど希望決議になりました積立金の四分の一の額に達するというものは少いと思いますし、また県段階においてもさような考え方で経理を実行して参っておるので、多くの単協なり県段階においてはいまだ、多少の黒字はできましても、もしこの奨励金を還付するような措置になりますと、非常に経理再建の実があがらないということが考えられると思うのでありまして、この際、農林大臣としてはこの政令に当りまして、大蔵省折衝段階においてなお十分にはっきりしていないようなことがうかがわれるので、従って、この希望決議の第二項によるその措置をおとりになるとしての今日までの交渉経過等が、もし伺われたら、一つお話を願いたいと思います。
  10. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この問題につきましては、大蔵省との間に鋭意折衝をして参っておるのでございますが、まだ最終的には、問題が完全につまるというところまでは参っておりません。しかし、衆議院の方におきまして本法を可決いたしまする際に、政府当局から御答弁を申し上げておりまするような立場に立って、なおかつ付帯決議の御趣旨にもかんがみまして、できるだけその線に沿うように、なお一段の努力を払いたいと考えております。
  11. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  12. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょうど農林大臣がおられるので幸いですが、先般予算委員会において千田君が質問した中で、これは千田君が質問した方がいいと思うが、予算委員会において千田君の、インドネシアにおきまする漁民を救済した漁民が、いまだインドネシアから補償をもらえない。そのことについて農林大臣総理大臣外務大臣に質問をした際に、外務大臣は、御事情よくわかりましたので、農林大臣相談して、そうして善処しますと、こういうお答えをなさったように記憶しておりますが、それだとするならば、総理大臣から何か具体的な農林大臣に御相談がありまして、そして具体的な問題の解決に入っておられるのかどうか、その点が一点と、  それからいま一つは、私はなぜそういうことを申し上げるかというと、今インドネシアにおいては政変が起きている。非常に混乱しているので、通常の外交交渉等ではなかなか片づかないのじゃないかと思う、混乱の中で、だから、ひとの国が混乱しておるからといって、現に道義的な一つの、あれだけりっぱな取扱いをした日本漁民が、国民が、これに対して何らの補償ができないで、現在数百万円の損害を受けて、そして生業も失おうとしている状態である。こういうことを放置するならば、人間自体の道義、正義というようなものはすたる、消滅するということになりはしないか。これは一つ団体であるとか、個人の利害に関することではなくて、やはり人間生活における重大な問題ではないかと思う。あれだけりっぱなことをしておって、相手方革命等で混乱しておる、そこから損害補償の出る目安はない、国もかまってくれない。しかも船舶協定によれば、大体協定国間においては救援義務を持っている。事実における救命の義務を負うことになっている。現実の中に、インドネシアとは取りきめがあるかないかわかりませんが、危険を冒して救援をやり抜いた人たちに対して、まだ国が何もかまわぬということでは、ばかばかしい、こういうことになりますから、ただ単なる一部の抗議をするという問題でなく、国民世道人心に及ぼす影響はとうていはかり知れない。最近やくざなんていうのが騒いでいたり、いろいろなことをして、日本の国情もまだ安定したとは考えておりません。そういう状態の中で、そういう道義的なものをいま少し本気で扱っていただきたい、こう思いますのでお伺いするのですが、御相談がありましたかどうか。
  14. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先般予算委員会において、ただいまの問題が提起せられまして、総理からも今おっしゃいますような御答弁申し上げたはずであります。その後私も、ただいまの漁業関係というものは多分に外交的な問題を各方面にかもし出しておりまするのにかんがみまして、総理にはこれが促進方をお願いをいたしてあるわけであります。総理外務大臣とされまして、東南アジアの諸問題については非常に関心を払っておられるのでございまして、この問題についても、相手方の政情という問題もございましょうが、総理自身東南アジアへ出向かれるというふうな気持も持たれておるわけでございまして、誠意をもって本問題の解決にも当られると、かように考えておる次第であります。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは当然とられる方法ですし、アジア局長もこの委員会におきましては、すぐ役人を派遣して、そうして何らかの方針をとる。とるくらいのことをやっても、わしらはなかなかうまくいかぬのじゃないかと思っておったが、御報告のないところをみると、それも無効であったと思うのです。そういう中で、これから行って総理がするというのは、六月ごろの様子に新聞では承知しておりますが、これじゃ、実際やった人間はもう干上って、一足先に冥途へ行っているかもしれない。それほど窮迫している人を投げておくということは、これはちとおかしいと思うのです。従って、何か農林漁業金融公庫の金でもすぐ回しておいて、そして一応それでもって息抜きがせられるようにして、そのあと行って来て、取れたら取るし、取れなかったらまた考えてもいいと思うのです。これは何とか、方法は幾らでもあるだろうと思うのです。それはインドネシアとあれしたのだし、お前、よけいなことをしたんだぞ、国は知らぬというのは、これはちと違うのじゃないかと思う。国際的に見て、公海上におけるそういった救難救助という問題は、それで損害をこうむった国内の人がほんとうにおったとするならば、これは国がもっと責任をもって助けていかなくては、ばかばかしい、そんなら見捨てておけ、こんな—人間がみな干上ったらどうなる。これは一つ、この前も、一カ月前くらいのこの委員会でも、何か考えましょう、融資でも考えましょうなどということは、水産庁次長がはっきり言うておるのだ、言うておるだけで、何もしていない、いつまでたっても。何とか一つ農林大臣責任をもって解決をしていただきたいと思うのですが、やれますか。一つ、御返事をお伺いしたい。
  16. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) お話を承わりました線に沿いまして、さらに水産庁を督励をして、御趣旨に沿うような方向に問題の解決をはかりたいと、こう考えております。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 この機会に、農業委員会並びに農業会議改正案ですね、これにつきまして、提案者並びに農林大臣から御説明を伺いたいと思う。  それは、御承知のように、現行農業団体法ですね、それは故人になられた金子与重郎さん初め大臣提案者でなかったかと思うのですが、その当時の提案者の御説明は、暫定的措置であって、根本的な農業団体の再編成というものは、引き続き斯界の権威者等を集めて審議会でも作って、そうして再提出するという、きわめて短期間の暫定的のものであるからお認め願いたいというような御説明を、当時たびたび聞いたのです。これには間違いないと思う。  ところで、今回ここに改正案が出ましたのは、提案者の方としては、これは当時現行団体法を作られた人たちが、引き続き十分な検討を加えて根本的な改正案を出すと言われた、それに該当するつもりで提案者は出されたのか、それとも、また重ねてこれもとりあえずの処置として出されて、根本的の対策はまだ今後に残されておるというお気持なのか、またこの提案を受け取られた農林大臣は、この程度の改正案を根本的な改正案として受け取られておられるのか、それとも、大臣大臣責任において、引き続き十分な検討を加えて、近い将来に根本的な改正案を出すと、こういうのか、これを私は伺いたい。
  18. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 農業団体編成は、河野委員おっしゃる通り、非常に長い経過をたどっております。その長い経過のあとに、河野さんが農林大臣になられまして、さらに団体編成に関する論議が非常に旺盛になって参りました。その際に、その論議終着点となったかどうかはわかりませんが、政府として農業委員会の一部改正法律案提案があったのでございまして、従って、私どもとしては、その農業団体編成論議におそらく一応の終止符を打つつもりでこの法案は提出せられたのではないかと、推測かつ了承をいたしつつ、政府提案審議をいたしておったのでございます。  たまたまその審議の過程において、自由民主党及び社会党の両党の間で、この法案共同修正意見が持ち上って参りまして、私がそのあっせん役としてあっせんの労をとったのでございますが、その際においても、別に、これによって農業団体編成論議が将来ともに終止符を打つといったような別に御発言もなかったのでございまして、政府案修正という点においてのみ共同論議をいたしておりまして、その結果としてこの修正案ができ上ったのでございます。  従って、その修正経過を通じて見て、果してこれが団体編成終止符を打つものかどうか、これは私自身としては個人考えはございますけれども、その両党の話し合いの中には、さような発言はなかったのでございます。しかしながら、団体編成の中心問題は何といっても、御承知のように、町村、また農業委員会、さらに協同組合の権限、事業事項等に関する問題が中心問題でございまして、従って、この修正案の作成の共同話し合いの際においても、その分野に関する問題が非常に重要点をもってお互い論議せられまして、従って、この修正案には従来と違った内容を持つ事項がそれぞれ修正に相なっております。従って、中心問題がさように論議せられて、しかも当時の重要課題として論議一致いたしたのでありますからして、この修正案をもって、一応これによって団体編成の問題がどうも終止符を打ったような感じを、私は持っておるのでございます。しかしながら、これによって団体編成の問題の論議お互いにやめようといったような話し合いはもちろんございませんで、ただ私の感じとしてはさようでございます。経過としましては、重要課題について大いに論議をいたした結果、かような修正案にまとまったのでございまするので、私の感じとしましては一応終止符を打ったものと、かように考えておるのでございます。
  19. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) それじゃ、私からもお答え申し上げますが、この農業団体制度は、もとより社会的あるいは経済的事情に応じまして定めらるべきものでございましょうが、今日御討議願っております農業委員会法改正でもって、農業団体制度のこれが恒久的な、普遍的な最終案であるというふうには考えてはおりません。ただ、今、村松衆議院農林水産委員長からお話がありましたように、過去三年間にわたって非常に論議されて参りましたいわゆる団体編成問題の一応の結論であろうかと、こういうふうに了解いたしまするので、この農業あるいは農村を取り巻く社会、経済的条件に大きな変化というふうなものがございません限りは、ここ当分はこのあたりでもっておさめまして、むしろ団体問題で同じ農民あるいは農村が対立をするというふうなことでなく、むしろ根本的な農業生産の問題に励んでいただく方が、ここしばらくはいいのではないかと、こういうふうに考えております。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 大蔵大臣見えましたから、私はこの問題は後刻またもう二、三お尋ねさしてもらいますが、ただ、今、私はこの根本的な対策だということで言い切られるのだったら、こんな不徹底なもので根本的な農業団体対策ができたとは、村松先生にしろ井出先生にしろ、末端事情をよく知っておられるだけに、そういうことは腹に考えておられないと思うのです。農業共済農業委員会農業協同組合、それからまた今後生まれる新農村を取り巻くところの両団体分野、こういうものについて、末端でこういうことで完全な分野がきまって、しかも、その各団体が相協力して一つ農村のために働くというようなことには私はならないと。私だけでなく、両先生もそういうことはおわかりになっていると思うのです。だから、ただそういうことをいって、根本問題のみ触れて、あまりに今のままでほおっておいてもいけないから、取りあえずここでせっかくまとまったからということなら、わかります。ですけれども、これを一応現段階においては最終的な一つ団体編成だというお説明なら、これは私は、はなはだ失礼ですが、両先生の良心に少し恥じるところがあるのじゃないか、この問題は、私は後刻またもっと詳細に検討さしてもらいたいと思います。
  21. 島村軍次

    島村軍次君 大蔵大臣がおいでになりましたから、二、三お伺いいたしたいと思います。  それは、ただいま議題になっておりまする再建整備法の一部改正法律案についてでございまして、衆議院において修正改正案提案されまして、付帯決議を付して可決になって、こちらに回ってきたようでありますが、問題になっておりまする中心点は、すでに大蔵大臣も御承知であろうと思うのでありますが、付帯決議によりますと、いわゆる再建整備法の十四条のただし書きの規定に基いて定める政令は左記のものを含むものとして奨励金の納付を免除するよう同条を運用すべきである、ということが付帯決議になっております。  そこで、この内容については、大蔵大臣制定当時の大蔵大臣としての責任者で、いろいろ御折衝になり、御努力になった結果、この法律案のできましたことは、あらためてお礼を申し上げるとともに、その経緯について十分御承知であろうと思うのであります。そこで、従来の経過のいきさつを詳しく申し上げることは差し控えまして、昨年の十一月二十八日の衆議院農林水産委員会において、参考人をお呼びになって、当時の経過をお聞きになっております。その参考人証言といいますか、意見によりましても、当時の広川農林大臣池田大蔵大臣等の非常な御尽力を得まして云々と、こうあります。それからなお進みまして、占領下であったので、荷見参考人は、当時の一節を読んでみますと、「池田大蔵大臣個人的にたずねまして、ひざ詰め談判をして、当時の湯川中金理事長と二人でまかせられて立案したというような経過がございまして、最初に申し上げましたように、そのときには奨励金を出して再建をしてやるのだということが重点でありまして、それを返すというようなことは話にも出ておりませんし、私はそういうふうに考えておらなかったのであります。」、こういうことが証言で出ております。これは参考人意見としてでありますが、そこで、はなはだうがったことをお聞きするようでありますが、この証言を御記憶であろうと思うのでありまして、もし当時のことを御記憶であれば、制定当時の経過について、その奨励金を返すか返さないかという問題に関するお考え一つお聞かせ願えば、非常にありがたいと思うのです。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) だいぶん前のことで、はっきりした記憶がございませんが、この問題の起りは、参議院の予算委員会か何かで、そこにいらっしゃいます藤野さんが非常に御熱心に質疑応答をせられまして、私も及ばずながら、あの敗戦後の農業協同組合経理もある程度知っておりましたから、再建に関する法律案を出したわけでございます。これは、こういう組合ばかりでなしに、御承知通り金融機関保険会社等、みな再建整備法にかかりまして、いろいろ政府の援助で再建をはかってきたのでございます。農業協同組合も、こういう線によりまして再建の方途を講じた方がいいと考えまして、法案を出した次第でございます。そのときに、もちろん進駐軍関係はございましたが、私は進駐軍関係はそう困難であったという記憶はございません。まあいろいろの仕事をいたしますときに、進駐軍に一々相談しておったのですが、この問題で特に苦しんだというような記憶はない。私は当然やるべきこととしてやったのであります。  ただ、何分にも、国民の税金によってこれを再建しようとするのでございまするから、その締めくくりははっきりつけておかなければならぬということは、これは大蔵大臣としての立場でございます。従いまして、金融機関再建整備法等精神にも、これが再建できたならば返すと、こういうことに相なっておるのであります。従いまして、御承知通り、三十一年度の補正予算の財源にも、保険会社からの再建整備完了後における政府への返還金十三億円ばかりが入って参りますし、また三十年度におきましても、相当の金額が入ってきておるのであります。農業協同組合の方の問題が、昨年の夏ごろでございましたか、いつか、ある衆議院議員から聞かれまして、どういう気持だったのか、これは何だかあのとき返すという法律になっちゃいなかったかと、私は、去年大蔵大臣になるずっと前にひょっと聞かれまして、多分返すという規定があったと思うと言ったら、それはその通りあります、それじゃ返させますかと言うから、おれは政府当局じゃないけれども、返せるようになったらやっぱり返してもらうのが至当だろう、返せるようになったかと言ったら、いやまだまだ返せぬ組合も多いようだと。それならば、返せるようになるまで待つのがほんとうじゃないか、こういう電話の話をしたことがございます。  その後、大蔵大臣になりまして、いろいろ問題があることを聞いたのでございますが、要は、この組合が今後健全な運営をし、そうして発展していくことをとめてはいけません。これを再建整備精神によってどんどんよくなることを、われわれは期待いたしておるのであります。従いまして、当時、補助金でこれは返さないということは、私ははっきり言ってはおらぬと思います。また、これはどうしても全部取り上げてしまうのだということも、私は考えていなかったと思います。そういう点は、やはり法律法律建前で一応片をつけておきまして、そして再建の状況によりまして、政治的に実情に沿ったような方法を講じていくのがいいやり方ではないかと思います。全国的の地盤を持っておるところは相当黒字になって、実際において返せるというふうなところは、これは返してもらった方が、他の金融機関その他法の建前からいって、私は返してもらうのが至当じゃないか。しかし、返せるだけの能力がない。まだまだ赤字を続けているというふうな問題につきましては、これはやはり適当な区切りをつけるということも一つ方法かと思います。従いまして、いろいろ事務当局、政務次官の方で、農林省とお話し合いになり、御苦労なすったようでございまするが、私の気持は、返しても再建に何ら支障のないほどよくなったものは返してもらう、しかし返せぬものはこれは区切りをつけるより仕方がない。じゃ、返せるか返せぬかなかなかむずかしいというものにつきましては、個々について農林省がお考えになり、そして大蔵省相談していただきまして、できるだけ早い機会に区切りをつけることが政治じゃないかという気持を持っておるのであります。  いずれにいたしましても、再建整備法で全部がよくなったとは申しませんが、ここまで再建に向って進んでいるということは、今から考えて、あの法律を出したことはよかったかと、自分では喜んでおるような次第でございます。  で、衆議院の決議につきましても、十分実態も調べまして、決議の趣旨を尊重して、農林省と相談の上処置いたしたいと、こう考えております。
  23. 島村軍次

    島村軍次君 当時の事情をよく御承知大蔵大臣でありますから、ただいま御答弁いただいたようなお考えであるということは一応わかりましたが、事情はお聞きになっておることだと思うのでありますが、当時から指導方針としては、大体端的に、まあGHQがむずかしかったからとかどうとかということもあったのだろうと思うのですが、返さないものだというような指導方針をとられ、そして単協でもやはりそういう考えのもとに経理を進めてきておる。今日では、奨励金をもらったために、再建はある程度まで進行してきた。しかし、まだまだ再建途上で、もしこの奨励金を返すことによって、さらに再建が延びるのみならず、困難を来たすというような実情にあるのが、町村単位農協の実際であると思う。これもよく御承知であろうと思うのでありまして、この際、政令でいろいろ御検討になることだと思いまするが、従来の経緯で、指導方針がそういうことで一般にさように考えておったということと、それから再建の実情が必ずしも、他の金融機関と違いまして、単協なりあるいは府県の段階においては、まだまだその途上にあって、非常に再建が他と違って進んでいない。しかも経理面においては、ただいま申し上げるように、返還せないという建前でやっておるという実情でありますので、この点を一つよく御承知を願って、この付帯決議なりあるいは付帯決議に伴う衆議院経緯をよく御承知を願って、ぜひとも衆議院修正案を円滑に進行するように、特段の御配慮をお願い申し上げたいと思うのです。  ただいまの御答弁で、できるだけ衆議院における付帯決議を尊重し、農林省と協議の上で善処するという御答弁であったようでありまするので、重ねて私はお伺いをいたしませんから、ぜひこの措置を講じていただくようにお願い申し上げて、私の質問を終ります。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 再建整備法が成立の当時の大蔵大臣であって、いろいろな事情を御承知の現大蔵大臣から、さっきいろいろと含みのある答弁をしていただいたことは、まことに喜びにたえないのであります。ただし、そのうちで、再建整備ができたところのものについてはというのがありますが、これが問題であるのであります。現在の再建整備ができたところの単協及び府県区域の連合会でありましてでも、奨励金をいただいたから再建整備ができたのであって、もらったところの再建整備の金をもし返すというようなことであったならば、その金を他から見つけてこなければ、できないのであります。他から見つけてくるということは、別な言葉で言ったならば、一方の方で借入金をしなければできないこういうような段階にも入ってくるのであります。でありますから、政令を定められる場合においての考え方でありますが、また衆議院付帯決議の問題にも関係があるのでありますが、付帯決議趣旨を尊重して、農林大臣と協議をして善処する、こういうような話であるのでありますが、この四分の一に達しておるというようなことであっても、さっき申し上げるようなことであるならば、再建整備ができたところのものからはちょうだいすると、こういうようなことになるというと、ようやくでき上ったところの再建整備組合が、また赤字にならぬとも限らないのであります。そういうようなことでありますから、付帯決議で書いてありますように、県以下の協同組合に対しては全部、現在のそろばんでは黒字になっても奨励金は免除するのである、こういうようなことを実現していかなかったならば、せっかく再建整備ができ上ったところのものがまた赤字になる、こういうようなことであるのでありますから、この点一つ、現在の帳簿上には黒字になっていても、さらに将来において赤字になるおそれのあるところのものは、この際思い切ってすべてそれは取り消してしまって、ほんとう再建整備ができるようにするのだ、こういうふうにしていただいて、全国区域のものだったならば、付帯決議の後段に書いてあるような措置を講じていただく、こういうように都道府県以下の組合と都道府県をこえた全国の組合とを明らかに区別をして、都道府県以下の組合は、現在のところは黒字になっていても、将来においてこれを返還させることによって赤字になるおそれがあるということであれば、再建整備の目的を達したところのものがまた逆戻りになるのでありますから、そういうようなことのないように、一つ一そう御尽力を仰ぎたいと思うのであります。これに対する大蔵大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 数多い組合でございますので、いろいろあると思います。また四分の一をうんとこえておるところがあるでしょうし、少しもこえていない、四分の一ちょっと足らぬところがある。四分の一ばかりでは、なかなか区切りがつかないと思うのです。その辺はよく実態を調査いたしまして、善処いたしたいと思います。
  26. 堀末治

    委員長堀末治君) この法案について、大蔵大臣に対する他に御質疑はございませんか。
  27. 千田正

    千田正君 この法案ではないのですが、なかなか大蔵大臣は農林委員会にお見えにならぬので、この際ちょっとお伺いしておきたいことがあるのです
  28. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  29. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  それでは、本法案は暫時これを中止いたします。   —————————————
  30. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、土地改良法の一部を改正する法律案議題にいたします。  この法律案は、すでに二回にわたって予備審査が行われておりましたところ、去る四月九日衆議院会議において可決され、当院に送付、同日本委員会に付託されました。  ただいま大蔵大臣及び農林大臣御出席をされておりますので、この法律案について、これまでの質疑において残された事項について、両大臣に御質疑の向きは御質疑をお願いいたします。
  31. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 土地改良は、御承知通り、現在戦前からまだ工事が完了しないものが非常に数多くあるのであります。これは土地の灌漑排水並びに開拓事業等、いわゆるそういう意味において世の指弾を受けているのでありますが、この際土地改良法改正し、特定土地改良特別会計を設置して、そうして年限を短縮して工事を完了する、それについて農民の負担協力を得てやろう、こういうことだろうと思うのですが、そういう意味においては、私ども全く一歩前進した措置であろうと考えているのであります。しかし、そうなってくると、農民の負担協力するという、その農民の負担ということが重大な問題になってくる。大ざっぱに申しまして、結局農民が安んじて営農できる範囲における、限度における負担、こういうことに私はなってくるだろうと思うのです。そういうことになってきますと、農民の負担の部分に対しては、大体この土地改良の政令に属してある。だから、その政令のきめようによって、いわゆるこれは重大な農民の負担の問題になってくるのであります。そういう意味におきますれば、結局完成年度の問題とか、あるいはその利子の問題とか、あるいはまた償還年限の期間の問題とかいうようなことが、きわめて重大になるのでございまして、その点について大蔵大臣考え方をお伺いいたしたいと思います。  第一に、利子の問題でありますが、現在農地関係の融資をしております償還条件を見てみまするのに、開拓者の営農資金にあっては年三分六厘五毛、こういう利子になっております。そうしてこれを五カ年据置で十五カ年の償還となっている。また自作農創設資金にあっては、年利五分五厘で、一年据置の二十四カ年償還ということになっております。ところが、事務当局から聞くところによると、特定土地改良工事特別会計における利子はこれは六分ということになっているのでございまして、これは全体的な農業関係の均衡を考えてみても、また農民の負担を考えてみても、これは高過ぎるのじゃないかというような考えを持つのでございます。  私は、年限を短縮して利益を受けるのは、農民のみじゃない。国も、今まで十五年も十六年もかかったものを七年で短縮して竣工するということになると、国も利益を受ける。そういう意味からいうと、国が利子補給をしてもいいんじゃないか。また電源開発には、いわゆる無利子の資金が投入してあります。これも方法によっては、無利子の資金を投入して、全体的に考えてその利率を下げるという方法をとってもいいんではないか、こういうふうに考えられるのでございますが、大蔵大臣の御所見…。また、さしむき農民が来年度からすぐこの利子の負担をするということにはなっておらぬのでございますが、そういう意味において、将来この利子を下げて農民の負担を軽からしむる必要がある、こういうように考えるのですが、大蔵大臣のお考え方をお伺いいたします。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回新たに設けました特定土地改良特別会計は、多年問題になっておった事柄でございます。御承知通り、干拓、あるいは土地改良等につきましても、重政君のお話通りに、着手いたしまして十年あるいは十五年たっても、なおかつ完成しないというのが多い。これでは、農地に対して非常に不足を感じております今の現状としては、よくない。自分は、いろいろの反対がございましたけれども、村作り、土地作りということが国の政策の重要なものの一つでありますので、思い切って特別会計を作って、そうしてこれを早急にやりたいという考えで進んでおるのであります。もちろん、特別会計を作ります以上は、これは独立採算制という建前をどうしてもなくするわけにはいきません。従いまして、われわれといたしましては、ただいまのところ、現在資金運用部の資金が大体六分と、地方に貸しておるのは六分五厘でございますが、六分五厘を六分二、三厘に下げたいと思っております。しかし、この土地改良につきましても、六分程度のものは一応負担していただかないと、こういう特別会計に利子補給という制度を入れ込みますと、われわれは大へんなことになる。で、一応六分ときめておるのでございます。将来金利が下って参りますれば、もちろんこの方面につきましては第一に金利の低下をいたしたいと思います。  なお、特別会計を設けますると、われわれの方のやりくりで、政府の余裕金というものも使い得る場合もあると思います。従いまして、今回のこの措置につきましては、干拓あるいは土地改良を早急にやるための方法でございますので金利の六分ということは、ただいまのところは一つがまん願いたい、こういう考えでおる次第でございます。
  33. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 その点なんですがね。理論的にこうなるのです。十五年かかったものを、早く七年でやってやる。それから特別会計で金は貸してやる。ところが、その金は、君らが早くやっていわゆるもうけになるのだから、君らが負担せい。これでは何ら農業政策を加味しておらないと、私はこう思う。だから、今申し上げましたように、利子補給ということになると、いろいろな面から考えられて、これはちょっとむずかしいという面があれば、電源開発に持っていっておるような何かそういう特殊な金を、これに何割か入れて、そうして前に申し上げましたような開拓営農の資金とか、あるいは自作農の資金とかというようなものと総体的の利率になる、利率が低下してくるというような方法を将来講じていただかねばと、こう私は考えておるのです。その点どうですか。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 電源開発ばかりではございませんが、農林漁業金融公庫には、今回は九十億ぐらいでございましたか、利子のつかない金を出しております。これは一般の事業資金でございまして、そういうふうな場合と、今回のような特別会計を作りまして、そうして今後大々的にやっていこう。これは干拓なら干拓それだけの問題でございまするから、電源とか、あるいは農林漁業への出資とはおもむきを異にするので、他の土地改良等を考えまして、こういうふうに特別会計でやることになれば早急に仕事が完了するのでございますから、六分程度の金利を負担していただいても、農民の方々に非常にそれが損害を来たすというふうなことは起らないと思います。長い目で見て、やはりこれの方が得策じゃないかと、農民の方々にも喜ばれ、国も早く土地、農地ができる、こういうことになると考えているのであります。
  35. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そこが問題なのでしてね。とにかくこういう施設を作ってやる、それで金は特別会計で貸してやるから、それは百姓が全部負担せいと。これでは私はほんとう農業政策じゃないというような感じがする。それからまた農民の負担は、いわゆる営農が安んじてできる範囲において私は負担を縮めねばならぬのが、これは原則だろうと思う。もちろん、これから少しの間やってみれば、その結果があるいはわかるかもしれない。これは農地農地によって、場所々々によってその負担の能力も違ってくるだろうと、こう思うのですが、しかし、それでは私は農業政策じゃないというような感じがするのですが。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いや、そこが問題でありまして、今までのように十五万円とか、二十万円かかります干拓を、あるいは二十五万円かかる所もございまするが、これを非常な安い値段で払い下げる。これはまあいろんな事情もあったのでございましょう。安い値段で払い下げるということになりますると、やはり農地は早く作りたいんだが、いろんな点で早期の造成ができない、こういう今までの実情から考えまして、今回は特に大干拓、あるいは大きい土地改良についてはこういう制度でいこうといたしているのであります。決して今までのようなこそくとは申しませんが、あまりはかどらないようなやり方よりも、やはり私は、先ほど重政委員仰せの通り、一歩前進だと思う。その場合に、これも安くしろ、これもこうしろということは、これはほかとの権衡もございますので、なかなかそうはいきませんので、この程度なら、私は全体として一歩進んだことになると、こう考えているのであります。
  37. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは幾らの価格になるかわかりませんが、おそらく一反歩五万円というような価格も出てくるだろうと思う。そういうことになると、大体東京を中心といたしまして、東の方がまあ高いことになる。大体自作農として一町五反の面積を所持することになりますが、そうすると、七十五万円という負担が生じてくる。私は決して農地法で、平均二十三万円もかかる干拓を、一万二千円でやるのが至当であるというようには考えません。将来日本はどうしても耕地を広げていかねばならない。将来の事業推進という面からしても、農民もできるだけの負担はせにゃならぬというような意味で、この法案を歓迎いたしているのでございますが、まあ利子の点に至っては、いかにも私はこれでは農業政策として非常な負担になると、こういうように考えているのでありますが、その点はどうも大蔵大臣のお考えに、その利子の点は私は納得はできないのであります。  第二番目に、年限の延長でありますが、大体、国柄は違いますが、オランダ等は五十年、まあアメリカも大がい農業資金は五十年くらいですね。日本も、もとは三十年です。今までやっておった、現在でも二十四年。それを今度は非常に短縮してあるのでございますが、私は、これはやはりこの年限の延長を相当、少くとも二十五年以上に延長をしていただかねば、これもおかしい、こういうように考えるのですが、大蔵大臣のお気持をお伺いしたい。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 償還年限は、工事の種類によっていろいろ違っておるようでございます。私は、この償還期限の問題につきましては、十分実情に沿うように考慮いたしたいと思います。直轄及び代行の干拓事業は、完了後二十年ということになっておるようでございまするが、この分につきましては、二十年はある程度延ばし得るのではないかという気持を持っております。
  39. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 次に、工事竣工期間ですが、事務当局では七カ年で竣工する建前で特別会計はやっておるのだという、こういう説明だったのですが、これが最も重要な問題になってくるのです、利子の問題から。これはやはり今年度の予算を見ましても、今年度の予算で、特別会計の予算で計算してみると、七カ年でいくのだろうが、もちろんまだあとに六カ年もありますが、これはあくまでそういう目途でおやりになるというお考えですか、大蔵大臣の御決心をお伺いいたしたいと思います。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは実際の工事の問題でございまするから、私は金融が許せば、できるだけ早くやる方がいい、建設利息の関係も少くて済みますが、早いにこしたことはございません。しかし、権利金とか、いろいろの問題もございましょうから、努力いたしましても、これには物理的ないろいろのものがあると思いますから、早いにこしたことはないと思います。
  41. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 物理的な問題とか、不可抗力の問題とか、いろいろな非常に問題が多いのですが、この干拓とか、こういう事業に対しては、しかし大蔵省としては、やはりそういうやむを得ざるものはさておいて、予算とかというような面においては、七カ年でやるという御決心ですか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まあその干拓なら干拓につきましても、どこの土地を選ぶかということによりまして、物理的な問題もございます。それから物理的には非常にあれなんだけれども、一々金を出すわけにもいかぬ、こういう問題もあると思います。しかし、それは目的地のいかんによりまして、また財政金融の事情によりまして、違いがあると思いまするが、趣旨としては、こういうものはできるだけ早く完了することにした方がけっこうだと思います。
  43. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 趣旨は、早くできるだけ完了して、その経済効果をあげるのが最も今度の制度のねらいである、こういう当然なことでありますが、次にお伺いいたしたいことは、今年度からは、いわゆる干拓は大体国営に属する。国が金を出して、全額出しておる。国営に属するもので、継続事業であるものは大体特別会計で施行するという建前になっておりますが、国営の海潮排水改良事業に対しては、新しい今年度から着手する事業のみが入っておるのですが、これはもちろん当然入れれば入れる法律になっておりますが、これもやはり事務当局では、その時間の余裕がなかったというような御答弁であるから、これは時々やはりそういう早期完成の目的に沿って、もちろん地元が同意をせねばこれは不可能ですけれども、時々特別会計に入れて工事を進捗するというお考えでありますかどうですか。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り、この特別会計は、早急に私決断して設けたのでございまして、干拓につきましてはあまり問題はございませんが、土地改良につきましては、いろいろ今までの関係がございますので、そうして新規の分ということでスタートしたわけでございます。しかし、特別会計を設けた趣旨から申しましても、なるべく既往の分でも、これによってやった方がいいと官民同意なされば、この特別会計でやっていくのが順序だと、私は考えるのであります。
  45. 東隆

    ○東隆君 私は、大蔵大臣がおいでになりますから、お聞きをいたしたいのでありますが、この特別会計によって、私は、ある程度継続的に国の出すべき分その他は確立をしていくと、こう考えますが、継続的に進めていくことができると思うのですが、それに対して、大蔵省の方はそのように考えておられますか。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国内におきまする適当な土地を選びまして、継続的に積極的にやっていきたいという気持でございます。
  47. 東隆

    ○東隆君 そこで私は、実は心配をしていることがあるわけであります。八日の本会議の席上で大蔵大臣は、これまで農林関係には非常に助成を厚くしてきた、そこでそれを削って、中小企業方面にやるのだ、こういうふうな意味のことを発言をされたわけであります。そこで私は、これに何もそれをくっつけるわけでありませんけれども、土地改良関係の事業費その他を考えてみますと、実はそうふえて参っておりません。そこで、一つの方は確立をいたしますけれども、今度は他の方面において、都道府県営あるいは団体営その他によってやる方面にだいぶ、あの言葉を正直に解釈をいたしますと、減っていくおそれが多分にあるわけであります。私は農林水産委員の常任委員の一人として、あの発言はちょっとどうもぴんと響いてくるわけで、そこでそれについて、ほんとうにそういうお考えなのか、とするとだいぶ響いて参りますが、その点を一つ。ああいうことは時の関係で御発言になったのだ、こういう釈明があれば、私は安心をしてお話を進めることができるのですが、その点一つお答えを願いたい。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はあのとき、決して農林漁業を削って中小企業方面に持っていくとは言っていないと思います。ここに速記があるようでありますが、ちょっと読んでみます。私は記憶だけだったのですが…。「なお、今後の問題におきまして、政府は従来、原始産業、ことに農業、漁業の方面に相当力を入れたのでございますが、今後は、その力を中小企業振興の方に持って行きたい、こういう気持を持っていることをまず申し添えておきます。」、農林漁業に持っていった力、その同じような力を、こっちへ持っていこう、こういうことであります。決して片一方やるというのではないので、だから、今回の予算をごらん下さいましても、農林漁業に対しまする力の入れ方は、従来と決して劣っておりません。昨年よりも以上に出しているのであります。それから中小企業の方につきましては、私はそういう気持を持っておりますが、なおまだまだ十分ではございません。今まで農林漁業の方に持っていったあの力を、中小企業の方にも持っていこう、こういうことでございまして、今までやっておったのを取ってやるのだったら、これは何も能力がない。両方ともふやすところに能力があるということを、御承知願いたい。
  49. 東隆

    ○東隆君 実は今の答弁で安心をすべきでありますけれども、あのときの実は質問は、大企業の方に非常に手厚い助成をし、力を注いでおるのだから、今回は中小企業者の方をも大きく育成をする覚悟があるか、というような意味の質問をしておるわけです。従って、非常に誤解を生ずるような発言でありましたから、私はただしたわけでありますけれども、今のお答えで多少私は了解をしたのですけれども、しかし、大蔵大臣は以前、中小企業者のどうも五人や十人くらい死んでも仕方がないのだというようなことでもって、だいぶひどい目にあわれましたから、あつものにこりてなますをふくような発言をされたのじゃないかと、こういうふうに私も考えておったわけであります。私は皮肉のようなことを言うようですけれども、今後における土地改良を初めとする農林漁業関係のものは、私は大きく国が助成をしなければ、育成をしなければ、決してりっぱな成果は上らないと、こういうふうに考えまするので、この点を一つ十分お考えを願いたいと、こう思います。
  50. 千田正

    千田正君 関連して。今、東委員のお尋ねに対して、池田蔵相はなかなか政治家ですから、そこはなかなかうまいことをおっしゃっていますけれども、非常に聞きようによっては誤解を受ける御答弁だったろうと思うのです。そこで、先ほど御答弁の内容をお読みになりましたが、その通りでありまして、政府は従来とも原始産業、ことに農林漁業方面に相当力を入れた、その力を今後は中小企業の方へ向けていくということになるのだと、いかにも農林漁業の方はこの程度にして、将来は中小企業の方へ持っていくのだ。私はむしろ農林委員立場からいいますと、大蔵大臣にその言葉を変えていただきたい。原始産業じゃなくて、近代産業に力を向けるべき熱意を、むしろ中小企業にも向けていくのだと、こういうふうな、力関係からいえば、言葉の対照的な考えからいえば、まことにわれわれにとっては誤解を生みやすい御答弁であったので、むしろどの方面にも御熱意を傾けられるのでありましょうけれども、原始産業を対象としておっしゃられたことに対して、いささかわれわれは不満を感ずるのでありますから、この際誤解のないように、もう一ぺんはっきりしたことをお伺いしたいわけであります。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今まで農林関係の予算と通産関係の予算、ことに中小企業に対する予算を比較して、常にわれわれ陳情を受けるのでございます。中小企業の方のいろいろな組合もございます。先ほど来問題になりまして農業協同組合等もあります。その再建整備には相当、六十数億円の金を出している。しかし、中小企業の方の組合には、ほとんどこれという金は出ていないというふうなことは、よく聞くのでございます。しかし、これは何と申しましても、今までの関係で、食糧増産その他農民の方々に対していろいろな施策をやっているわけでございます。明治時代からこれはやっているわけでございます。中小企業は何と申しましても、事業所得としても、原始産業とは違いまして、相当のでこぼこがあります。えてして、いい方が目に見えるというので、おくれておるのであります。私は今回の予算につきましても、農林漁業方面には従来に劣らぬ努力をいたしております。しかし、片一方中小企業の方にも、何と申しまするか、中小企業金融公庫とか国民金融公庫にも、従来よりうんと力を入れております。ことに信用保証協会、これは五、六年前からできておるのでありますが、今ちょうど、何と申しますか、ある程度まで行ったけれども、これ以上伸びぬ、こういうような状況でございますので、これは実を言ったら、通産省からの要求がなかったのでございますが、自分で信用保証協会の方に十億円とりあえず出す、こういうふうにしておるわけでございます。大蔵省といたしましては、どこがどうこういうことはございません。とにかくできるだけ各方面に力を入れたい。農林漁業の方には非常に力を今まで入れて参りました。  また予算の作成なんかにおきましては、農林漁業の要求が一番強い。そうして通産省の方は割にさっぱりしておられるのが実情でございます。ことに、そういう点からいたしまして、農林漁業の方はもちろん、国からいって、しなければならぬ、そうして中小企業の方はおくれておるから、そういう力を中小企業にも持っていかなければならぬ、こういう気持でございまして、とにかく民間の創意工夫でできない場合を政府が財政的にやっていくということが、これは国の本来の仕事でございますので、私は、もちろん農林漁業は十分とは思いません。十分とは思いませんが、多年、数年懸案になった特定土地改良特別会計、こういうものも、私は事務当局を押えて、どうしてもやるのだというので自分でやってきたので、農林漁業の方の熱意が従来と同じだとお考えにならないように、従来よりももっと私は強い力を入れていっておるのが、この特別会計であるのであります。そうして片一方の方の中小企業の方にも、やはり組合化、共同化を促進いたしまするが、それには何としても、やはり金融の裏づけがなければならぬので、そういうような方法をとっておるのでございます。同じ力を分け合うというのでなしに、力を倍加して持っていこうというのが、私の健全な積極政策でございます。
  52. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 たまたま大蔵大臣が去る八日の本会議において言明されました問題になりまして、ただいま大蔵大臣からいろいろ御答弁がありまして、幾分納得したかのような感じでございますが、もう少しこの際、日本の将来の農業政策について基本的な考え方をなさっていただきたいという考えのもとに、私は質問をするわけなんですが、由来農林省の予算というものは、最高は千七百億からあります。これはもちろん災害も含んでありますから、一般の予算と内容検討してどうだということにはなりませんが、次々と予算が減額されまして、昭和三十一年度などは八百七十何億でありまして、今年はようやく十七億が増額された予算であります。もちろん予算内容をしさいに検討すれば、大蔵大臣が言われるように、相当力を用いられた内容も含んでおるわけでございますが、しかし、今日まで予算がかように次々と年々減額されております日本内容というものに、ほんとうに私らは痛憤せざるを得ないのです。  年々人口は百万人ずつもふえていく、しかも土地は、工場や学校敷地あるいは住宅等に、耕作農地というものが年々二万数千町歩、三万町歩も減らされておるのです。こういう事情において、もちろん、食糧は海外において安い食糧が買えるから安いものを買ってくればいいというような、一般の新聞や雑誌あるいは商工業者等の考え方が、最近ちらほら見えるわけでありますが、将来の百万人ずつもふえる人口増殖に対する食糧の確保、また一方においては年々三万町歩も耕地がつぶされつつある現状において、どうしても農地の造成をしなければならぬ。それから、まあ由来日本農民というものが保護政策から脱却することのできないような営農状態にありますことは、今さら申し上げるまでもありません。しかも、農地法によって小農分化されました今日においては、どうしても非常な保護政策を加えなければ私はできないと思うんです。  そういう意味から、諸般の事情から見ても、農林予算というものを大幅に増額していっていただきたいとわれわれ考えておるんです。もちろん、中小商工業者の現在の窮状を何とかせねばならぬということにつきましては、決してこれをやめて農林予算をふやせという意味ではございませんが、もっと深刻な問題点がこの農林省の予算の内部には含んでいることを、十分考えてもらわなければならぬと思うのですが、来年度の予算において相当増額していただけるかどうか、一つ(笑声)この点について御答弁願いたいと思うんですが、いかがですか。
  53. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は長い間大蔵省の仕事をいたしまして、この前四年ほどやっておりますときには、やはり私は高米価政策をとるべきだと、国際価格にさや寄せしろと、こういうのでやったわけでございます。昭和二十年、二十一年には三百円、五百円の一石の米が、私が初めて予算を作りましたときは四千五百円、しかし、それからどんどん上げていきまして、国際価格にさや寄せして、そして農村も大体安定したと申しまするが、やみ時代ほどに所得は伸びませんけれども、大体安定したところである。そうして参りますると、今はこの逆に、日本の米の方が外米よりも高くなっている。そこで、あるいは外米や外麦を買ってくればいいじゃないかという考え方も起るんじゃないかと思いますが、私はそういう気持は持っておりません。で、今回の予算につきましても、それは減るべき理由があっての予算は、どうしても減らさなければなりません。しかし、ふやすべき理由があるときは、これはふやさなければなりません。農林省の予算が五、六年前に比べて数百億円減っておるということは、これは減るべき理由があるのでございます。これはやはり財政当局といたしましては、しさいに検討してやっておる。そして伸ばすべきものは伸ばしていこうという考え方でいっておるのであります。で、一応米価の方も安定いたしましたが、しかし、何としても食糧は足りないのでございまするから、先ほど来申し上げまするように、村作りをしていかなければならぬという私の考え方が、そうしてまた農林大臣考え方が、今度の予算において出たわけでございます。  来年度の予算をどうするかということは、予算をふやす、ふやさぬということは、ほんとうにしなければならぬ仕事があり、そしてまたそれをやっていくだけの経済力がついてこなければいけません。私は、過去数年間の国民の非常な努力によりまして、経済力も伸びて参りました。この伸びがずっと進んでいくのならば、食糧増産に、また中小企業振興に、国の経済の全体の伸びをはかり、拡充していくようにやっていきたいと考えております。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 二点ほどお伺いしたいんですが、この特別融資の取扱いについてですが、干拓地の負担金を二〇%に限って持たせることに今度改正案ではなりましたが、これを実施しますと、ちょっと、この間農林省からちょうだいした資料などを見ましても、一番安い地方では一万二千四百三十七円、熊本県金剛地区、一番高いのが六万四千三百四十八円、これは鹿児島県の大浦潟、まあこういう工合に、同じ日本国民であり、しかも、こういう入植地に入りまする人は、農村における二、三男の無資本の者か、でなければ、引揚者等がいろいろなことをやって、どうもうまく食えないから、百姓にでもなろうというような者か、はなはだしい零細農で、もうその土地を見限って一つ開拓入植でもしようかというような、ほとんど無資産者が入るのであります。こういった場合に、一方においては一万二千円のような非常に安いもので入植ができ、一方においては非常に高い、それの五倍くらいな価格のものを払って入植しなければならぬ。その上家屋を作らんけりゃならぬ等、いろいろな施設が要る。これが干拓地などでありますれば、大体舟の一つぐらいも入り用になる。そういうようなことでも—そのほかに資本金もたくさん要る中に、こういう不均衡のことをやる負担金の考え方というものは、私は大きな間違いを持っていないかと思う。私は憲法学者でないから、よくはわかりませんけれども、日本国民は法のもとに平等である。食われない人間が入りまするときに、一方は一万二千円でよろしい、一方は六万何千円持て、これは不平等限りないものだろうと思います。こういうようなのは一つ相当考えていただかなければならぬ問題だと思いますので、この点の御質問を申し上げます。  第二番目は、いろいろ農村に対する施策について大蔵省はいろいろ考えてきたと。なるほどいろいろ考えておられるようでありまするが、国の要請として国内自給生産が必要でありまするから、従って、戦時体制以来、食糧の確保のためには特段の努力を払われたと思う。その特別な例としましては、今新潟県におきまして問題になっている豪雪状態が、十九年より二十年に、いわゆる終戦の年に起きました際には、国としまして、新潟県だけに豪雪の処置として百五十三万円という大金が出ている。これを大体今日の貨幣価値に対照してみまするならば、約七億円から十億円だけ出している。こういうものを出してやるのだ。その惰性が最近まで続いているのです。続いておることがはっきりしております。しかるに、まあいろいろのことが言われておりますが、ただ農民ばかりの問題じゃないと思う。そこで、国としましては経済五カ年計画を樹立せられて、その五カ年計画の三カ年の成績を見ますと、大体食糧におきましては、昭和三十五年の末期までに、三十一年度を基準として、六百八十八万石を造成せんければならぬ。しかも、これは国民の需要の八一%の配給率を標準にしてもっておられるので、一〇〇%じゃありません。しかるに、三十一年を基準にしてわずかに百七万石ですかが、三十一年から三十三年までで達せられる目安がある。あとの四年、五年で—これはちょうど、六百八十八万石に対しまして四七%になる。三カ年かかって四七%、あとのニカ年で全部が果して、五三%ですかが達成するというのには、よほどの努力が要る。従って、入植者などを取り扱いまする際には、思い切った施策でやはり取り扱うことが、国の上にも私はいいのじゃないかと思う。  しかも、農民の率直な感情を申し上げますと、これは戦争中には、何のことはない、あるいは武装警官を引き連れてきて、たんすの引き出しから天井裏から、積みわらの中まで探して強奪していったのだ。そうやって、その後の食糧の窮迫時代には、食糧確保緊急勅令などという特例を出して、そうして無理に持って行った。少しよくなれば、ほうりつけられるではないか。現在におきまする農村の実情というものは、現実においては、なるほど一部にはいいのがあります。だんだん富農化しつつあるものがあります。だが、反面においては、だんだん没落しておる農民がたくさん出てきております。農村は階層の細分化を来たそうとしておる、農村は混乱を来たそうとしておる。こういうときにおきまして、日本の経済がよくなったからなんということで安心をせられたら、重大な問題が出やせぬかと思う。私はそう考える。そういう点について、大蔵大臣は一体どう考えていただくことができるのでありますか。  同時に、この食糧増産ですが、確信がありますか。今のままでもって、三十五年までに全くやれるという確信があるのかどうか。同時に、今のようなやり方で参りますならば、だんだんと農村におきますところの情勢は、階層分化が激しくなってきて、そうして大混乱に入る。これらに対する御見解を一つよく伺っておきたいと思う。
  55. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 最初の御質問でありました干拓地の場所によっての負担のアンバランスという問題でありますが、これに関連してお答えを申し上げたいと思います。これは土地の立地条件であるとか、あるいは工事の種類、事業の規模等によりまして、確かに場所によって反当りの負担が違って参るということは、これはまあ、けだしやむを得ない点ではなかろうかと思うのであります。これにつきましては、政令等においてできるだけそのアンバランスをなくすような努力もいたしまするが、これは大体国の工事費のよけいかかる所に対しては多額の負担をいたしておるという関係もございまして、そういう地帯におけるおそらく増産量というふうな見合いも考えるべきであろうかと思うのであります。まあそんな次第でございまして、現地の入植農民諸君の御納得を十分に得られるものであろうかと、このように考えておる次第でございます。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 干拓におきましての地方によりまする差につきましては、農林大臣お答えになった通りでございます。  なお、今後の食糧増産の問題につきまして、いろいろ気候その他の事情があると思うのでございますが、われわれとしては、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ農地の改良増設を企画いたしておるのでございます。もちろん五カ年計画で一千万石余りを増産しようと、この目的のために、先ほどから申し上げますように、農地の改良をやっていきますが、農産物の増強ということはやっぱり、河川改修とか防災工事とか、いろいろな予算から来ることでございますが、特に最近のあれは、農業技術の進歩と申しますか、農業技術の進歩とかあるいは種の改良とか、あるいは農薬とか、あるいは肥料等によりまして、農民の方々が増産の意欲に燃えておられる結果であるのでございます。私は、農業技術あるいは農業の非常な進歩であると考えております。従いまして、政府といたしましては、増産の基盤をつちかいますと同時に、農民の方々の御努力によりまして、私は今後も相当農産物の増強はできることと期待いたしておるのであります。その意味におきまして、政府はできるだけのことを努めたい。決して日本の経済が、私は、手放しで楽観できる状態であるとは毛頭思っておりません。国民努力によってこれを築き上げるのだという心がまえで進んでおるのであります。
  57. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 農林大臣に、今清澤委員からの質問に対する農林大臣の御答弁に対して御質問申し上げますが、あまり簡単に考えてもらっては困るので、今清澤委員が言うたように、これからやるものは負担を納得して入植するんで、七万円かかる。しかし七万円でここは価値がある、だから工事を施行してもらいたい、こういうことで、新事業に対してはそういうこともないんだが、干拓の継続事業、これは農地法によって、価格をいえば一万二千円で、自分がもらえるものだと思うてやっておる。それでやって下さいということで、やっておる。ところが、そういうものの中に、今の基準で計算すると、これは非常にたくさんはないだろうと思いますが、特に中国、四国、九州地方にそういうものがあるだろうと思う。七万円とかいう計算が出てくる。ところが、農林大臣が御答弁になったように、そこでそういう生産の、七万円の負担が一町五反ですから百五万円、自作農とすると一町五反もらうのであるから—百五万円の農業生産があがるというような所はありゃしませんよ。だから、これはそういう特異なものに対しては、結局、私は、限度を設けてやらなければ、農民の負担の限度というものがあるのだから、そういう意味から限度を設けてもらわなければいかぬ、特例を設けてもらわなければいかぬ、こう思うんで、そういう意味でよく運用をやってもらいたいと思うのです。この点について御答弁をお願いいたします。
  58. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) これは一つ、重政委員の御造詣深い御意見等十分参考に供して、やって参りたいと思います。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の農林大臣大蔵大臣の御答弁をお伺いしましたが、どうも納得しないのです、わしは。今現に食糧増産ということは国策としてとらんけりゃならぬ、五カ年計画の中に入っておるんだ、これをやられるのだ。また一方においては、やはり国策として、経済五カ年計画の主要目的の一つは、経済自立を達成すると同時に、五カ年後にはぜひ失業者をなくして完全雇用態勢を整える、これが二大眼目だと思う。そういった場合に処しまするならば、まだ日本の国の開墾、干拓等の入植の事業は、その線に沿ってやるべきがほんとうじゃないか。力のないものに不均衡な負担金を負わして、そうして非常なばらばらな不均衡の状態に置かれるということは、何とも。農林大臣はそういう点は十分考えて処置する、こう言われるが、それ自身が私はもう根本において考え方の間違いがあると思う。しかも、それをやっていく。開墾、干拓、その他のことを、国の要請に従って土地改良をし、農民努力によって食糧を増産していくんだ、こういうこと自身は、法律は要求しておられるのだが、同時に、これは国の要請だと思う。それに対して完全な助成をして、国がまたこれを達成してやることは、当然の義務じゃないかと思うのです。少し力ができてきたから、工事を進める上に都合がいいのだから、財政上の関係でどうだからというて、そうして今までやってきたことを根本的に変える時期じゃないと思う。全く時期じゃないと思う。それをあえて強行せられるところに、大きな私は間違いを持たれるのじゃないかと、こう考えるのでありまして、これは御答弁下さるならば御答弁頂戴しますし、していただけなければ、どちらでもよろしい。大蔵大臣からこの点を、いま一度お伺いしたいと、こう思っております、心境を。  それから農林大臣は、いろいろそういうアンバランスがあるから、それはいろいろの方法をとって何とか緩和するようにすると、こう言われるが、そう言われるからには、何か少しぐらいな具体的な考えがあるのでありますか。どういう具体策をもって、このアンバランスを改良しようという御研究が、どの程度まで進んでいるのか、要点だけでもよろしいです。こういうところをこうやったらアンバランスがうまくいくのじゃないか、こういうようなことがあると思うが、そういう点について、もしありましたならば、お伺いする。それがないとすれば、ただ思いつきの御答弁だと、こう解釈するより仕方がないですから、言質を重んじて、次の機会なり何なりに、やはりわれわれにその点を示していただきたい。
  60. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 食糧増産五カ年計画、またその他の経済五カ年計画等の国策の線によりまして、今後も十分努めていきたいと考えております。
  61. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 詳しくはまたあとの機会もございましょうが、御承知のように、負担率におきまして、従来のものについては五%という比率を適用するということなども勘案いたしまして、先ほど申し上げましたようなアンバランスの緩和をはかる、こういう所存であります。
  62. 島村軍次

    島村軍次君 大体、皆さんの御質問と同じようなことなんですが、土地改良の特別会計をお設けになったことに対しては非常に敬意を表するのですが、ただ、干拓はどうも、計算の基礎が農業の実態よりずっと離れたような感じがするのです。それは金融の面からいえばこういう結論も出るのですが、ところが、ほかの国の例から申しましても、利率は四分五厘とか、三分とかにして、しかも償還年限は三十年とか五十年、こういうのが普通の建前なんです。それへもってきて、食糧増産の計画を進めるのには、やはり干拓をもっと進められる上に、どうしてもこれは家を建てていかなければならぬですから、増反の場合は別としても、実を建てる、設備を作る、井戸も作らなければならない、水道設備も電燈設備も作らなければならない、こんな費用が相当かかってくる、だからして、今の一万二千円そのものには問題があるかもしれぬけれども、ちょっとその考え方をもう少し、今年は初めておやりになったのですが、やはり干拓に関してはもっと、今のような見地から、再検討を私は願いたいと思うのです。  それから、同時に、今の財政法ではいかぬと思うのですが、継続費についてのお考えは、大蔵大臣、いかがですか。前段と両方で、一つ継続費、道路の問題とかあるいは土地改良等の問題は、むしろ全体の計画を作って継続にするという考え方はどんなものですか。
  63. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来の土地改良、干拓というものは、そう大規模のものはなくて、今まで居住しておる人がそこを耕すというふうなのが多いのであります。今回計画しております八郎潟等におきましては、島村さんのおっしゃるようなことが出てくると思います。だから、土地を作ること、その次には住む家を作る、これが出てくることは当然でございます。その点は、われわれとしても十分考えていきたいと思います。  それから継続費というお言葉が、ちょっと私にははっきりしないのでございますが、今度の特別会計によりますのは、特定地域だけについてやるのでございますから、当然その工事は継続的に出てくるように相なると思うのであります。
  64. 鈴木一

    ○鈴木一君 先ほど佐藤委員の質問に際して、大蔵大臣が、国際価格にさや寄せするというようなお答えがあったと思うのですが、確かに今の日本の農産物の価格は、米にしろ、麦にしろ、また酪農製品にしろ、国際価格から見たら相当高いということは、周知の事実でありますけれども、これを、どういうふうにしてこの高いコストを引き下げていくかということについて、本来ならば、これは当然農林大臣にお伺いするところでしょうけれども、あえて大蔵大臣にお伺いするのは、大蔵大臣の手腕力量からしても、当然近き将来総理になられる方でもあるし、現内閣においても副総理級の人と確信しておりますので、大蔵大臣から、どういうふうにしたならばこの原始的な産業である日本農業が近代化されて、コストも国際価格並みになるかということを、一つお伺いしたいと思います。
  65. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私が先ほど国際価格にさや寄せするということを申し上げたのは、過去のことでございます。昭和二十三年ごろは一石三千九百円だった。しかし、外米を輸入いたしますと、これが六千円程度になる。その差額の二千百円というものは、税金によってやったわけであります。だから、御承知と思いますが、昭和二十四年の当初予算につきましては、価格補給金というものを予算の三分の一組んでおった。三千億円組んだ。こういうことはよくない。米の値を上げて輸入補給金の要らぬようにしなければいかぬというので、あの当時は私どもは米の値上げ論者だった。これがいわゆる国際価格にさや寄せしろというあれであったので、現に今、日本の農産物を国際価格にさや寄せしろという政策はとっておりません。  それは、自然に増産があり、合理化せられて、農民の所得を減らさずにだんだん安くなるということは願わしいことでございますが、ただいま国際価格にさや寄せしなければならぬという政策はとっていないのであります。別な意味で、大量にできて、そうして価格が下ってくる、しかもそれが農民の生活を上げつつ下ってくるということは、私は望ましいことであると思いますが、国際価格にさや寄せしろということは、昭和二十七、八年までの私の政策であったのでございます。誤解のないようにお願いいたします。今の農産物を国際価格と同様にしろという努力は、ほかの方面からやっていかなければならぬ問題でございます。また、それにはたとえば輸入関税等の問題もございまして、一度に今米の高いのを安くしろという政策はとられない。昔の話は、とったわけでございます。
  66. 千田正

    千田正君 最後に一点だけ。先ほど重政委員から、土地改良の特別会計の利子の六分は高いじゃないか。われわれも非常にそう思うので、大蔵大臣はそこが一つ考えどころだとおっしゃっておりましたが、食糧特別会計の点から見ましても、外国から輸入した輸入米は、あの通り、ちっとも国民の真の要求にマッチしないような状態に眠っておる。そういう赤字会計のことは大した補てんもできないような、動きのとれないような状況にしておきながら、国内における増産対策、あるいは人口の増加に基くところの土地改良に対するところの特別会計に、六分の利子は少し高いじゃないか。何かもう少しそれは研究する余地はないのですか。あくまで六分でなければいかぬというお考えですか。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど島村さんから、各国の干拓の例等のお話がございました。この金利の問題は、各国その事情を異にしておる。たとえばイギリスは中央銀行の割引歩合は五分、アメリカは三分、ドイツは五分、こういう工合になっていて、日本の銀行の割引歩合は、御承知通り、二銭一厘がもとになっておる。七分六、七厘、こういうことでございまして、金利を直ちに外国のそれ並みにするというわけにはいかない。  そうして、しからば日本状態において六分の金利が高いか安いか、こういうことになりますと、今までは、地方公共団体に資金運用部から出しております貸付金利というものは、昨年度までは六分五厘でございます。今度六分二厘あるいは三厘に下げますが、そういう点から考えまして、六分というのは金利としては安いのじゃないか。これでがまんできるのじゃないか。しかし、あのとき申しておきましたが、こういう特別会計におきましては、政府の余裕金、金利のかからないものを一時的に回し得るのであります。たとえば食管会計におきましては食糧証券を出しますが、政府に余裕金がございましたら、無利子の金を食管会計に回して、食糧証券の発行を少くして、そうして金利負担を安くする。この金は多分千億円、千五百億円くらいに、きのう、きょうはそのくらいは出しております。そういうような関係で、一応建前としは六分にいたしておきまして、今後金利が全般的に下れば、これを下げていこう、またいろいろな負担を考えまして、国庫の余裕金を使い得る場合には私は使っていきたい、こういうふうな考えでおるのであります。  やはり補給金を出すということになると、これはまたいろいろなところに影響いたしまして、これは船舶の補給金も出しましたが、採算がいいようだったらこれをやめてしまう、こういうわけで、大蔵省といたしましては、独立採算制の立場から、これはなかなか、金利というものは非常に重要な財政の根本になっておるものでございますから、ただいま申し上げた程度で一つ御了承願いたいと思います。
  68. 仲原善一

    ○仲原善一君 一点だけお伺いしたいと思います。農林当局にお願いいたします。これは法律の施行の期日の問題でございますが、この付則に、この法律は公布の日から施行し、昭和三十二年度の予算から適用するということになっておりますが、継続事業が実はあろうと思います。そうなると、四月一日からこの法律が施行するまでの期間の予算的措置と申しますか、この支出はどういうふうにおやりになるのでございますか、その点をお尋ねいたします。
  69. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) かわってお答えいたします。  特別会計予算は三月三十一日をもちまして御審議可決をいただきましたが、土地改良法の一部改正法律案と特定土地改良特別会計法案とは、まだ参議院を含めまして、国会の御審議御可決をいただきません。特別会計予算は、この両法の施行の日、すなわち法律によりますと、公布の日以後しか動きができない。できる限り早く御可決をお願いしたいと思うわけであります。
  70. 仲原善一

    ○仲原善一君 施行の期日を四月一日からするというように、さかのぼってやるような前例があるかどうか。法律でそういうものがあるかどうか。もしあれば、四月一日に施行の日にちが切れると、この辺非常にスムーズにいくのじゃないかという気がしますので、お伺いいたしましたのですが。
  71. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 法律案改正すればそういうことがあると思いますが、それだけまた御審議が長くなるかと思いまするので、一刻も早く御可決をお願いいたしたいと思います。継続事業でありましても、事業そのものは十数日、日を私から申し上げるのは失礼でございますが、急いでやりますれば、工事費の支出の点からしても、ほとんど支障はないと思います。
  72. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  73. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ速記をつけて。  本法案に関しての大蔵大臣に対する質疑は、終了したものと認めてお差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃさよう決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————    午後二時三十九分開会
  75. 堀末治

    委員長堀末治君) これより委員会を再開いたします。  前回に引き続いて、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑の向きは、順次御質疑をお願いいたします。
  76. 千田正

    千田正君 前回の御答弁を伺って、なお私が多少の疑点がありますので、お伺いたいしますが、この法案をずっと通覧しまして考えますときに、この法案内容に盛っておるところにおいて、どうもすっきりしない点がある。というのは、農業委員会の中に、やはり農地部会を必要欠くべからざる部会として設けて、さらにその他の農業振興その他に対する計画等に対する部会を別に設けることができると。そうして農地部会に重点を置いておることは、先般の御答弁でもよくわかりましたが、農業委員会そのものの性格が農地部会で左右される、農業委員会なるものの総会というものはつんぼさじきに置かれるという懸念があるのですね。この点ほどういうふうに考えられますか。
  77. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 法律の、今度の改正案で新しく入りました第二十二条におきまして、部会と総会との関係規定されておるのであります。第一項は、「第十九条の二の規定により部会の所掌に属させられた事項については、部会の議決をもって当該農業委員会の決定とする。」、こういうふうになっております。それから第二項では、ただいま御心配のあるような点を、総会の方で取り上げておるのであります。すなわち、「総会は、部会に対し、何時でも、その所掌に属する事項について報告を求めることができる。」、こういうふうにしておりますし、また第三項においては、部会に所属しない委員もこの部会の決定について関与できる、すなわち「部会の委員以外の委員は、部会長の許可を受けて、部会に出席して意見を述べることができる。」、こういうふうに規定いたしておりますので、ただいまの御心配の点は解消できると、こういうふうになっております。さらに、この十九条の二の部会設置に際しましては、もちろん総会で部会長をきめる。その前に、部会の委員そのものはもちろん総会できめることになりますし、部会長も総会できめる。部会長は、やり方が悪ければ、総会でこれを解任することができるということを、第十九条の二の九項において規定しておるのであります。御心配の点は、制度的にすでにこういう仕組みを考えておるのであります。
  78. 千田正

    千田正君 農地部会の決定議決した事項農業委員会の総会において否決されるようなことがあった場合は、どちらが農業委員会の決定事項となりますか。
  79. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 二十二条の第一項の規定によりまして、「部会の議決をもって当該農業委員会の決定とする。」、こういうことになっておりますから、農業委員会の決定としてほこれが最終になると思います。その後は、それに対する争いの問題になってくるのですから、こういうふうに解釈します。
  80. 千田正

    千田正君 だから、私はさっきから言っているのは、農業委員会会議というものは、今お話があったように、内容検討するというと、農地部会が決定したことが、総会において別な決議が行われた場合においても、農地部会において議決されたものが最終の決定だとするならば、農業委員会の総会というものはあってもなくてもいいということではないですか。農地部会にそれほどの権限を持たせているということでしょう。農業委員会の総会の議決というものに対しては、権限が、ほとんどここにおいてはある程度、農地部会と比較した場合においては、根本であるべきところの農業委員会の議決というものは、抹消されてしまうということになるのじゃないですか。だから、会議の中心はどこに重点を置いて、基本をどこに置くのか、農地部会という農業委員会の一部分に重点を置くのか、農業委員会の総会の議決というものに重点を置くのか、この点ですよ。
  81. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは農業委員会の所掌事務、第六条の規定と、農業委員会の部会制度との関係を、一緒にお考え願いたいのです。農地部会で処理されますのは農地事務だけでありまして、主として行政的な事務が取り扱われることになっておるのであります。行政的事務でありますので、件数も多くなりますし、しばしば開かなければならない。そういたしますと、今回の改正によりまして委員の定数が相当ふえる場合がありますが、市町村によりまして一々それを全部の総会を開きましてやることは、その行政事務を遅滞せしめるおそれがあるということで、第十九条の二におきまして、第六条第一項第一号及び第二号並びに同条第二項第一号及び第二号の事務は農地部会で処理させる、しかしてこの二十二条で、農地部会の決定が委員会の決定になる、こういうふうになっておりますので、その決定が、ただいま申し上げました農地に関する部分については、農業委員会の最終決定になる、こういうことになるわけであります。
  82. 千田正

    千田正君 農地部会のそれはわかりました。それに重点に置きますが、この農業委員のうちのおそらく過半数は農地部会の担当委員になっておりますね。どうなんですか。で、そうじゃなくて、農地部会の委員と、農地部会以外の部会の委員というものがあるというのは、二つのバランスの上からいいまして、非常にこれは運営しにくいのじゃないか、こういう点を考える。
  83. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 農地部会は十九条の二の第二項におきまして、選挙による委員が互選した者十人から十五人、それからその他の委員はそれの三分の一以内、こういうふうになっております。従って、農業委員会は、それを逆に考えますと十三人ないし二十人、こういうことになります。  それからもう一つ、選挙による委員の定員が二十人以下である場合には、部会を置かないということになっておりますから、委員の総数が三十人以上の場合に、逆にいえば置けるということになるかと思いますが、そういたしますと、部会を置く場合は、大体何といいますか、半数ぐらいが農地部会になる、半数以上がそのほかの部会になる、あるいは部会を置かない場合は、部会に属さない委員ということになるのじゃないかと思います。でありますから、御心配のような点は起らないのじゃないか、こういう気がするのですが…。
  84. 千田正

    千田正君 われわれは非常に心配ですよ。互選されて農地部会の委員になった人は、おそらく部落でいえばボス的な勢力を持った者がなりますよ。そしていわゆる部会の中心からはずれた、農地部会に属せざるところの委員というものは、一年に一回総会が開かれるか、開かれないかもしれないし、農地部会以外の部会なんというものは、重要でないような部会が多かったということになれば、おのずからそこに差等が生じてきて、農地部会に属する委員発言権が相当重大になってきますよ。あなたは——御心配ないということは、それは農村の部落の実情をよく知らないからです。そういうおそれを多分に含んでおると私は思う。
  85. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 農地部会は、今の部会に属する人だけで農地問題を処理しますから、農地問題につきましては、農地部会に属する人が非常に権限を持っておる、そのほかの委員の人は部会に出て意見を述べることができるだけの権限しかありませんから、決定権がありませんから、そういうことは考えられると思いますが、農地問題以外の問題につきましては、あるいは農地部会のメンバーと兼ねる場合があるかもしれません。あるいは人数がたくさんあれば、農地部会に属した人は他の部会には属さない、そういうきめ方をする委員会もあるかもしれません。いずれにしましても、農地部会の所掌事務と、そのほかの農業委員会に属せられたる所掌事務とは、質を異にする仕事でありますから、そういう意味で、農業委員会全体といたしましては、農地部会がリードをしていくと、こういうふうなことはないのじゃないかと。ただ、村によりましては、農地問題だけがほとんど問題であって、農村振興計画とか、そのほかの問題が取り上げられない村が、これはあると思います。そういう場合には、お話のようなことがあるいは出るかもしれませんと思いますけれども、それはその村全体の農業に対する村民の熱意なり、あるいはその村の経済状態なり、あるいはその他の理由で、農業委員会の活動が非常に不活発である、こういうことでないかと、こういうふうに考えます。
  86. 千田正

    千田正君 どうも法の目的がはっきりしませんね、そうなってくるというと。農地の問題だけを農業委員会が取り上げるのじゃないでしよう。農村の振興計画をやらなくちゃならないし、万般にわたっての農業に関する問題を統一して農業委員会はやるために、この法律はできたのでしょう。農地問題だけなら、農地法だけでたくさんですよ。農業委員会を置いた理由というものは、あなた方御説明なさった通りに、農地の問題、土地改良の問題、振興の問題いろいろなものを含んで、そうして統一した総合的な計画をさせるために、農業委員会というものが、新しくこの法律ができたのであって、それを農地問題だけがいわゆる最終決定をするだけの権限を持って、あとの問題のようなものは、これはもうつけたりなんだという考えであるならば、なおさら、私は、農業委員会の総会というものに、ある程度の力を持たせなかったならば、不公平である、アンバランスであると言わざるを得ないと思うんですが、その点はどうです。
  87. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 私の説明がまずいのか、農業委員会の目的は仰せの通りであります。それが、この農業委員会法規定される通り、どの村でもすぐ動くものであれば、何も問題はないのでありまして、先ほど御説明申し上げましたように、村の経済状態なり村民の熱意なり、村の何といいますか、生活水準なり知識水準なり、いろいろな村の状態委員会状態が出てくるだろうと、こういうことを申し上げるのでありまして、それでいいということを申し上げているんではなくて、この法律規定しておるような運営をやるように、これは行政府指導もさることながら、農業委員会のメンバー、あるいは農業会議なり農業会議所の強力な指導で、そこへ持っていかなければならない。しかし、現象的に現われる場合には、御指摘されるように、農地部会だけが非常に活発に動いて、ほかの部会なり農地事務以外の仕事が活発に動かないことがあり得る、そういう現象が起ることはあり得るといいますけれども、この法律建前がそういうことを目途としてできているんではなくして、そういうことが起らないように、今申し上げましたように、二十二条の規定等で全体がうまく動くようにやっていこう、こういうのであります。
  88. 千田正

    千田正君 それは、ずっと見ますというと、非常に地方自治団体の長に大きな権限を与えておる。市町村長あるいは都道府県知事、むしろこれは地方自治法の一端としての役割を果す法案じゃないかと思いますが、その点はどうです。
  89. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 市町村農業委員会は、市町村の付属機関でありますから、あくまでも市町村長の手助けをする、こういうことが言えると思います。都道府県会議は法人でありますので、多少ニュアンスが変ってくるかと思いますが、やはり県内の農業に関する諸般の事項を処理するということでありますから、府県自治体の裏表、農業に関する裏表の機関ということが言えるだろうと思います。
  90. 千田正

    千田正君 これは公職選挙法を適用することになっているんですが、選挙法の適用に際しまして、区域の指定というものが、これは都道府県知事に権限を与えておるでしょう。公職選挙法とのこの間の問題は、どういうふうにお考えになっておりますか。
  91. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 本件は衆議院において修正されたのでありまして、私どもの承わるところでは、みだりに選挙事務を繁雑にするということも困るのじゃないか、従って、地方長官の承認を、府県知事の承認を受けた方がいいんじゃないか、こういうふうになっておると承知しております。公職選挙法との関係においては、そういうことは要らないんじゃないかという説もあるようでありますが、あっても支障はないんじゃないか、こういう説もあるようであります。
  92. 千田正

    千田正君 支障がないとおっしゃるけれども、全国の選挙管理委員会からは、こういうことは公職選挙法に対してのある意味におけるところの侵害であると、日本法律の中で公職選挙法というものは選挙に関する限りは全部を含んだ法律であるにもかかわらず、農業委員会だけがその区域の指定をですよ、みずからそれを都道府県知事にまかせるということはだね、反対であるという陳情が来ていますが、こういう点についてはどう考えておりますか。
  93. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) その点は私の方からは説明できないので、国会でおきめ願ったのでありますから、私の方はそれに従うよりほかないわけであります。
  94. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 町村の合併のただいま進行の段階でありますので、従って、選挙区の設定をいたしまする場合に、農業委員会の設置してある区域と、さらに合併したる新市町村の区域というものが、非常なその食い違いをいたしておるのは事実でございます。同時に、その食い違いに対してはあらためて、進行中でありまするので、あるものについては委員会の合併がまた別に進行をしておる所もある。しかるに、全国においては、たとえば十カ町村区域が新市町村になっておるものもありますし、その十カ町村が、うち数カ町村農業委員会が合併をし他のものは合併をしない特殊の事情のあるのもありまするので、従って、これを全国一律に、この進行過程における合併の段階において、一律に一つ選挙区にするということの実情に沿わざることのありますことを、委員の各位が指摘をせられまして、こういう場合にはどうするか、なるほどそれは事情やむを得ないこともある、で、その場合においては都道府県知事の承認のもとにおいて特例として認めようではないか、原則は一市町村の区域、その特例としてさような方法にしたらどうだろうか、かような意味において意見が合致いたしましたので、その通り修正をいたしたのであります。問題は、合併の進行の段階にあるという、そういう点が特に指摘せられましたので、さようなことに意見が合致をいたしたのでございます。
  95. 千田正

    千田正君 これはむしろ、今、村松さんのおっしゃる通りであるとするならば、事実そういう面もわれわれは心配しておるのはわかります。わかりますが、公職選挙法の建前からいって、これはその区域を設定し得ない実情にある場合は、特に都道府県知事はその区域を設定するというふうになった方が、むしろ法的には完全じゃないでしょうか。そうなっていますか。
  96. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) いろいろなまあ実情がありまするですから、そこでその場合には、特に必要があるということの条件を付してございます。その特に必要のあるという場合は、これは政令に譲ってありまするが、その政令内容に関しても多少の議論がございましたので、まあ中心は、特に必要のある場合に限ろうと、原則は一市町村一単位、かような考え方で進んで参ったわけであります。
  97. 千田正

    千田正君 もう一点だけ。この前の委員会では、この主事の処遇ということに対して、主事を定めて—職員ですね、職員の処遇について限定した案がこの中に盛られておりますが、これはこの主事の不確定なことを守ると、こういう意味合いの御答弁でした。それはけっこうなことでありますが、しかし主事一人だけを守るのじゃなくて、私はある程度もう少し広範囲にこの職務に従事する人たちの処遇のことを考えておくべきじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  98. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは特に農地事務につきましては、農地に関する利害関係が非常に複雑でありまして、まあ鋭く対立する場合も事例が多いのでありまして、そういう際に不偏不党で、いろいろなデータを集めるなり議案を整理するなりということができるために、特に農地問題に関する場合についてだけこういうふうな規定を置いておるのであります。これはその仕事の性質からそういうことをしておるのでありまして、一般のその他の委員会の職員と待遇その他について区別すると、こういう趣旨は含んでおらないわけであります。今までの実績からいたしまして、この条項も特に国会の方において御心配をいただいて入ったのであります。私の方もそれに異議はないと、こういうわけであります。
  99. 河野謙三

    河野謙三君 この際、提案者村松先生にお願いしますが、私は、この現在の農業会議なり農業委員会の活動状況から見るなら、今予定されている予算というものは非常に膨大だと思うのですよ、現在のような活動状態ならですね。これをほんとうに、この法文に書いてあるように、与えられた使命を農業委員会が自主的に処理していくということであるなら、これは逆にまた、非常に予算は少いと思うのです。で、私はこの際私見を加えますが、末端農業委員会の活動状況を私は見ておりまして、現在のような農業委員会の活動なら、農地の執行事務だけは書記の一、二名をつけて、町村役場に委譲してしまったらいいじゃないかと。あとの残り、農業委員会に与えられた使命は、現に末端では農協なり、もっと下の下部の実行組合なんかが、処理しておるのですよ。これが末端事情です。全国、そう大して変りないと思う。というのは、そういう飛躍的なことを申し上げるのは、現在の農業委員会末端の活動状況からいって、そういう実態がそこに行っておるのです。だけれども、さればといって、私は農業委員会を全部否定するものじゃありません。過去は過去として、将来この法律案改正を機として、自主的に与えられたすべての使命を果すということになるのかならないのか。そうするなら、これは予算が少な過ぎるじゃないか、こう思うのですがね。それらの点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  100. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 農業委員会改正案において羅列いたしましたる事業全体を行いまするのに、予算の足りないことは、これは私どもは痛感いたしておるのでございます。それから、従って、その予算の範囲内で、これをなるべく地方の実情に応じて、重点一つ採用して解決をしてもらいたいということなのでございます。ただ、この場合に、一種の町村事務としてこれを解決すればよろしいかどうか。まあ現在の民主的の空気をこれに入れつつやって参ろうとしますと、直ちに委員会制度あるいはその他職員制度が相当に、組織自体の中に膨大になって参りまするので、その点において確かに予算の不足を痛感をいたすのでございますが、民主的の空気をこれに注入いたします場合においては、この程度の、公職選挙法における委員もこれに参与いたしまして、事件の解決に当りますことは、これまた当然のことのようにも思うのでございます。ただ、羅列いたしましたる仕事の割合に予算のはなはだ少いことは、これは遺憾に思うておるのでございまして、これは政府当局にも、一つ今後の予算の増額を頼まなければならないという気持にもなっておるのでございます。  ただ、今回の改正案提案せられましたときには、すでにもう、農業委員会に対する再編成の空気からでございましょうが、予算は前年度よりも半減いたしております。さらに、また半減するような傾向も、私、見当ったのでございますが、何とかかんとか、この制度の実現によってその予算の確保ができたようにも感じておりますので、事情のやむを得ざるものもあるように考えられておるのでございます。ただ、仕事の非常に多いことに対する、これはまた完全にやり通しまするためには、国家の負担、地方町村のみずからの負担、これは考えますと、その点の機構さえもどうかと考えておるのでございます。今日の場合、やむを得ざる感じがいたしますので、とりあえずわれわれは、法案及び組織の修正に関して、かような同意したる意見を提出いたしたような次第であります。
  101. 河野謙三

    河野謙三君 本改正案によりますと、活動の重点というのは、これは各部会に非常にかかっておるように思います。ところが、先ほど来農地部会だけの問題が特に問題になっておりますのは、私は、この使命を果すためには、四つも五つもの部会を設けて、それによって、しかも各部会が活発な活動をしなければいかぬ、こう思うのですがね。部会を設けることができるということは、四つも五つもの部会が生まれるということを想定されておるのだと思いますが、そうじゃございませんか。
  102. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 農地部会は、これは必置でございます。その他の部会は、その農村農業経済活動の実情に応じまして、部会をこしらえるのでございまするから、おそらく二つ以上ということになると思います。ただし、職員に対する国家の補助はきわめて少いのでありまして、さような新しい部会が設置せられました場合には、おそらく町村の負担、それ以外に道がないのではないか。そういうことを見合いの上に、部会が新たに設置せられるかどうかということにもなるかと思いますが、そういう点に対してはなかなか心もとない感じがいたしております。予算措置においてもっと国家的な補助もあってしかるべきだ、こう考えております。
  103. 河野謙三

    河野謙三君 村松先生がおっしゃったように、二つ以上の部会を設けることができるということになっておるけれども、予算的の措置からいけば、設けてはいけないということになっていると同じことなんです。そうしておいて、われわれこの委員会農村建設に向っての活発な活動を期待しろといっても、これは足を縛っておいて走れというようなものですね。提案者はその点はお認めになっておるのですね。
  104. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) その点、もう十分に知り尽しておるのでありますが、何分にも政府予算全体との関連であるということ、さような点で、われわれもあきらめたような次第であります。従って、この改正案の施行を実地にいたして参りますると、次年度においては明らかにこれの不合理が実証されるんじゃないか。その場合に、あらためて政府一つ強い要求をいたしたいという感じを持っております。
  105. 河野謙三

    河野謙三君 そこで、この機会に大臣に伺いたいのですが、受け身に立たれた大臣は、予算一つを見ましても、これがかりに成立しましても、活動ができないような予算なんです。しかし、できました以上は、これは活発な活動を大いにさせなければいかぬ。させることが、農林大臣責任だと思う。今提案者村松先生がおっしゃったように、たとえば来年度においては、本制度が成立した以上は、大臣はそれに向って、十分な予算的の裏づけについて責任を持つということをおっしゃらなくてもいいですが、大いに一つ努力するというようなことは、必要は認める、従って努力するというようなことは、はっきりおっしゃっていただけますか。
  106. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 本年度の予算策定の時期におきまして、実はこの改正法律が片がついておらなかったというような関係もございまして、本年度の予算要求に際しましては、ただいま来御問答がおありになったような実情が存在したと思います。従いまして、一たびこの改正案が成立いたしました以上は、明年度においては予算の面において大いに獲得方努力をいたす所存でございます。
  107. 河野謙三

    河野謙三君 それからもう一つ、午前中ちょっとお尋ねしました問題ですが、根本的な農業団体のあり方の問題ですがね。お立場上これが暫定措置と言うわけにはいかない、しかし腹じゃ暫定措置と思っておるというようなふうに、わしは顔色読んだのですがね。そこで、私はこの機会に申し上げますが、農業団体の再編成というのは非常にむずかしいですよ。しかし、終局するところ、農業団体という以上は、いずれも農民を基盤にした団体ですね。この団体お互いに相助けていくんなら、四つあったって五つあったっていいと思う。しかし、今のように農業団体お互いに相反目して相争っているという形は、農業団体の数が多いことによって、農民勢力を大いに減殺しているわけですね。だから、農業団体の再編成によって、もし理想のものが生まれるとするならば、それが一つの建物になって、お互いに親類づき合いといいますか、兄弟のつき合いをしていくという形のものができることが、私は一番理想だと思うのですよ。ところが、今度のあれは、改正によって一歩前進したことを私は認めますけれども、これによって、たとえば具体的にいうと、協同組合なり、農業委員会なり、農業共済なり、その他もろもろの団体が、今度こそ一体となって相助けていくということに、私はなっていないと思う。今までのお互いに相争う形というものは、少しも解消されていないと思うのですよ。そうすると、根本的な対策じゃないということになると思う。私は何もあえて押しつけませんけれども、これが少くとも根本的な対策を立てて、これによって事終れりというふうにはお考えになっていないということは、両先生も異存はないと思うのですが、どうですか、その点は。
  108. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) どうも、私も一種の理想家の部類に属しておるようでありますので、その見地から考えますと、もちろんこれで満足をいたしておるものではございません。ただ、午前中にも申し上げましたように、従来の経過がかようなところにつづまって参ります。また、それを政府提案をいたして参りますその提案の範囲内において、その修正案のまとめ方のあっせんをいたしたのでございます。個人意見としては、理想家としての一つ意見があることを御承知をいただいて、この場合においては一応、この提案及びこれの修正の同意によりまして、事実上、例の試案というのがたくさんございましたが、さようなものも収束したように思うておりますので、あるいは一応この点に終止符を打ったんじゃないだろうか、こういうふうな推測、観測をいたしておる、こういう点で一つ御了承をいただきたいと思うのであります。
  109. 河野謙三

    河野謙三君 村松先生が各種の試案というものを調整されて、一応ここに終止符を打って、ここに具体化されるところまで来たということについては、非常に敬意を表する、その意味においてわれわれも賛成であります。しかし、それで事が終ったというふうにお考えになっていないということは、今お述べになった通り村松先生自身もまだこれからやることはあるのだということは、くどいようでありますけれども、私と同様でありますね。
  110. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 全く同意見でございます。
  111. 河野謙三

    河野謙三君 大臣は一体、どうお考えになりますか。
  112. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 午前中にお答え申し上げましたところで、ほぼ御了承をいただけたかと思うのでありますが、まあ私としましても、現在の農業団体のあり方というものを見ますると、これはこのままでもはや十分だとは決して思っておりません。まあ農業協同組合にしても、ただいま嵐の中に立っておるということは事実でございます。共済組合にいたしましても、今回改正案を提出しておるような次第でございまして、今の各団体のあり方が、これをもってまず恒久的によろしかろうというふうな断定は、これはもうしがたいところだと思うのであります。ただ、村松委員長も言われましたように、ここ当面の沿革の結論というような意味におきましては、今回御審議をいただいておるものをもってまあ一応の結着だ、こういうふうに存ずるのでございまして、なお問題の所在をわれわれとしては十分に検討をしつつ、今後に残された問題が、もうこれは時間的にいつということを明示するわけにはいきますまいけれども、やはり検討を続けていかなければいかぬのではないか、こういうふうに感じております。
  113. 河野謙三

    河野謙三君 はなはだくどいようでありますけれども、大臣、そういたしますと、これはこれとして、農業団体のあり方については、さらに検討を重ねて、近い将来に成案を得たいものだという強い希望と熱意を持っておられるというふうに、私たちは今受け取りましたが、そういうことですか。
  114. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあ、いわゆる再編成とか再々編成とかいう言葉が、これは世間に妙な伝えられ方をしておりますけれども、こういう問題は、この間じゅう話題になった限りにおいては、ここで一段落をいたしまして、基本的な問題についてはなお十分に検討をすべき余地があるであろう、こういうふうに考えております。
  115. 東隆

    ○東隆君 私は、今河野氏の質問にお答えになった農林大臣の場合には、やはり政府の原案が修正をされておりますから、そこで河野氏に答えられたような答えが出ると思うのです、一応。しかし、私は、今回の修正案そのものの中に、実は日本の農政の上において非常に大切なことが修正をされておると思う。それは、農地開放の成果をやはりずっと続けていこうという意思が、あの中に盛られておると思う。従って、この心持ちというものは、今後においても、農業委員会に関する限り、これをなくしては意味をなさぬと思う。そういう意味で修正は非常に重要な意義を持っておる、こういうふうに解釈をしておるのです。  それで、この点を修正をされたからと、こういうわけで、政府の方でいつか機会を見て、一つもう一回また前の政府案を出すんだと、こんなふうになると、これはかえって問題を退歩さすのじゃないか、こういうような考え方を持ちますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  116. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) もちろん、現行のあり方と申しますか、今回修正案が出ましてこれにきまる、そういう場合、この中においてよき部分というものは、これはもう当然維持存続しなければならぬ次第でありまして、私の農地制度に関する考え方というものは、先般来しばしば申し上げましたので、おわかりをいただいておることと思います。そういう点は、これはもちろん維持存続をすべき部分である、こう考えております。
  117. 島村軍次

    島村軍次君 だいぶ昨日来御質疑が出ているようですが、基本的な問題については、午前中及び午後にわたっていろいろ御論議がありましたが、私は、この改正案におきまして、昨日来申し上げておりますように、農地問題を強く扱われるということに対しては賛成をいたすものでありますが、同時に、農業委員会制定当時の経緯からかんがみて、従来のやっておったいわゆる振興計画、あるいは農業技術の改良の問題、その他農業経営全体に関する問題が、ややもすると軽視されるというような形になりがちだということを憂え、職員の身分の問題においても、農地主事を重要視せられたことには、これも賛成でありますが、ただそれと当時に、政府が必要に応じて、必要と認められて、その他の職員にも相当の補助を出しておられる、それがどうも陰に隠れたような感じを持たせることは、農業委員会の全体の活動からいって、思わしくないと思う。そこで、差別待遇は受けないというようなことは当然なければならぬと思うのですが、職員をして農業委員会本来の使命達成のために積極的に活動せしめるためには、やはり政府は予算面において相当考えられると同時に、現在入っておられる職員については、農地主事以上にやはりこの問題を重要視される必要があると思うのですが、そういうような総合的な活動について誤解があっては困ると思うのでありまして、身分の保障の問題については、他の職員についても同様な見解を持って進むべきだということに対してのお考えを、一つ承わりたいと思います。
  118. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 農業委員会におきまする農地主事と、その他の職員とにつきまして、待遇上の差別をつけるというつもりは毛頭ないのでございます。ただ、農地関係の事務は利害の対立が先鋭化するというような場合が多いのでありまして、そういう観点から、事務の円滑化を期するために、農地主事を置くということにいたしておるわけでございます。お説の点は、予算の面における不足の部分もございまするけれども、それは先ほど河野委員お答えいたしましたような次第で、今後においては漸次これを増額をするというようなことにしまして、当面は、行政指導の上におきまして、御指摘の差別的なことがないように計らいたいと、こう考えております。
  119. 島村軍次

    島村軍次君 単位の農業委員会におきましては、実際に従事しておる職員の間に、そういうような考えがなきにしもあらずだと思うのです。そこで、私は、ただいまの大臣の御答弁によって、おおよそ心配すべきものでないということを了解するとともに、この運営に当って誤解のないように、行政上の措置一つ、何らかの形式で、末端に透徹するようにやっていただきたいことを希望いたしたいと思いますが、本法施行と同時に、さような措置を講ぜられることをお約束願いたいと思うんですが、いかがでございましょう。
  120. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御趣旨の線に沿いまして措置いたすべく、これを末端に浸透せしめる考えでございます。
  121. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑ございませんか。
  122. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今度の改正で大きい問題は、農地主事であるのであります。この農地主事がどういうふうな資格を有するかということは、政令にゆだねられるということになっておるのであります。それで、みんなは、どういうふうな政令が出るだろうかということを心配しているだろうと思うのでありますが、政府政令案によって見まするというと、1、2、3、4というようなことに政令案の内容が出ておるのであります。そして、その政令案の4のしまいには、各方面に応用ができるように、「又は農林大臣が指定した講習会の課程を修了し、かつ、」何々と、こういうふうなことになるのでありますから、現在の農業委員会また県の農業会議の事務をとっている者で、そのうちから直ちに農地主事に任命される考えであるか、あるいは、現在の農業委員会あるいは農業会議の職員のうちで、この農地主事に、政令で定むる者に該当せないような者が生ずるようなことはありはしないか、これが農業委員会及び農業会議の職員の心配する点であるのであります。でありますから、現在の職員のうちでこれに該当せないような者がおるかおらないか、もしおるとしたならば、それらの農業委員会及び農業会議ではどういうふうな対策をとられるお考えであるか、この点、伺いたいと思うのであります。
  123. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ただいま御指摘になった点は、従来農業委員会で働いておった農地に関する職員が、今度の法律改正で職を去らなければならぬ、資格がなくなるというようなことがあっては、かえって事務の従来の経験を生かす、事務の運営を円滑にするゆえんでない、こういうふうに考えまして、ただいま御指摘になりましたような四号を掲げておるのであります。御心配の点がないように処置したいと思います。
  124. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから、これは今まで質疑の間に出たのでありますが、御配付になった「農業委員会制度改正現行法との対比」、この表によって見まするというと、農業委員会では予算的には十七人、農業会議では予算的には農地部会は十七人、その他の部会は二十六人、こういうふうなことが書いてあるのでありますが、農業委員会及び農業会議の者のうちで、どの部会にも属せないものがおるかおらないか、あるいは両方の部会にまたがる者がおるようにするのであるかしないのであるか、もしどの部会にも属せないというようなことだったらば、農業会議では総会に出席して発言するのみである、こういうふうなことになり、農業委員会でも同様なことになるのでありますが、その関係一つ説明を願いたいと思うのであります。
  125. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは、お話のように、部会の設置は、農地部会以外は任意でありますから、市町村あるいは都道府県のそれぞれ定むるところによって、部会の数が決まると思います。従って、御指摘のように、ある部会に属せない人ができる場合もあるし、両方の部会に属するような場合もできてくると思います。それは、それぞれの市町村なりそれぞれの都道府県の実情に応じてきまることと考えております。従って、もし、かりにいずれの部会にも属せない、あるいはある部会に属せなくて他の部会に属する人でも、他の部会に出席して意見を述べる、こういうふうなことをいたしまして、委員会なり会議の全体の運営がうまくいくように、こういうことを考えておるのであります。
  126. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま一つは、農業会議及び農業会議所は、法人であるのであります。法人が決議その他のものを第三者に示すためには、登記の方法によらなくちゃできないのであります。いかに決議したかということは、登記をやって公告をせなくちゃできないと思っておるのでありますがこの法律で登記の規定がないのは、なぜであるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  127. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 農業会議は、それぞれ都道府県を区域といたしまして一個を作り、さらに都道府県会議という名称は僣称禁止の規定があります。全国農業会議所は全国で一本で、全国農業会議所でない者が全国農業会議所とか、またはそれにまぎらわしい名称を用いてはならぬということも規定しております。さらに、これらの府県会議なり全国農業会議所は法人でありますけれども、財産権の取得を業務とするということが一つもないのでありまして、従いまして、そういう二面から、普通法人に成立要件として登記を掲げ、さらにそれを第三者に対する対抗要件、こういうふうにしておる、その手続を省いておるのであります。
  128. 島村軍次

    島村軍次君 本法案質疑も尽きたようですから、一つ直ちに討論採決に入られんことの動議を提出いたします。
  129. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  130. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  先ほど島村委員の発議で、質疑終局の動議が出されたのでございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  132. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、本法案衆議院修正法案でありまして、根本的には非常に不満の多いことは、われわれのみでなく、審議過程でも明らかだと思いますが、衆議院において、社会党としましては、最小限の希望が通りました法案として通過して参りましたのですから、この意味において、その範囲において私は賛成したいと思うのです。  そこで、ただ一言、本案通過に際して、私の、というよりも、社会党の考えている意見を少しばかり付加しておきたい、こう思います。ということは、大体農業委員会法というものができまするときに、すでにわれわれは、この法案の構成に対しましては反対の意向を持っておったのです。ということは、御承知農業改良委員会、食糧調整委員会、農地委員会、この三つの委員会がおのおのその使命を果したから、大体一本にして、別な段階に進んで、そうして組織を改めて農業委員会法として出発したのであります。当時われわれは、農地事務、いわゆる解放後の土地を収拾する上において、人によって非常に関心の度が違うのだし、あるいは土地改良の能力も、また米の調整委員の選出の場合には、おのおのの能力においてみな違ったものを出しておった。この三つの相違った能力、あるいは詳しくいいますならば、貧農と富農におきましては供米等において非常な食い違いを持っておる。その点で利害得失も部落内にある中で、おのおのの委員を出しておった。そういうものを一本にしてみて、三つのものを一つでやると、どんなことになるか。ことに農地委員のごときは、現に農地法並びに土地改良法等におきましては、全く、今の審議の過程にも現われておる通り一つの行政機関であります。そういうものと、供米が済みますれば調整委員は要らない、こういうもの、あるいは農業改良委員というようなものができまして、普及委員というものができて、今まであった農業改良委員会のような使命が全く終ったようなものを、一緒にしてやることはこれは間違いだ。しかも、この法案の中心となりまする目的は、御承知通り農業委員会法の目的は、この法律農業生産力の発展及び農業経営の合理化をはかる、農民の地位の向上を普及するため。その農民の地位の向上というのは何かといいますと、これは一つの農政運動をする機関でもある、こういうようなことも言われております。非常な混同した形において作られたものでありますから、今日審議しておる真最中にいろいろな問題が出て、不合理性がはっきり出ておる。これは当然ある一つの姿だと思う。  従って、われわれは現在の農村におきまするところの姿を見まするならば、土地の解放は済んだといいましても、まだ農村におきましては明らかに封建的な勢力が残っております。そういう慣行もあります。情勢もあります。またそういうものにならされた、まだ訓練を受けておらない農民もたくさん残されている。日本農村行政で一番大事なものは、私はやはり土地改良、土地改良を行なったこの自作農の精神、そうして農業が安定し得るという基礎、と同時に、各種農業団体等を通じて農民は自主的に、自由に彼らが伸展していくという、これが少くとも農村における、あるいは日本の民主化における中心だと思う。こういうものに対して、改正せられる農業団体法はいずれも、だんだん、この間も農林大臣にその点を質問いたしました通り、だんだんと民主的な訓練をなすべきところの重要な要件を、このたびの改正政府案で見ましても、約七割ぐらいのものが選挙をやっておらないからもう選挙はやらないのだ、農村の実情だというようなことにして、選挙等をやらせぬようにして、それがかえって農村の振興に役立つがごとく考えられている。これはとんでもない間違いだ。自分の重要な問題を行いまする上に、選挙をもって適当な者を出すという訓練を行わしめるようにすることが、私はほんとうじゃないかと思う。それが出てくる法案、出てくる法案農業団体の中からだんだんとそういうものをなくして、昔の部落の推薦だとか何だとか—その部落自身が、私が先ほど指摘した通り、まだ一番封建性を持っておったり、習慣を持っておったり、農民はそこまで成長していない。こういうような中で、あと戻りしているようなことだったら、日本の農政などは農民自身の手をもってまた逆転していくだろうというようなことが考えられると同時に、あるいは農地法の取扱い等が、一つ間違いを起しましたならば、どんなものが出てくるかわからない。現に、まあここに下條さんおられるのにあまり強いことを言うては同僚に対して申しわけありませんですが、現に地主勢力として土地補償連盟というものができて、なるほど十万円の補償がほしいというようなことを言っているが、われわれの知っている範囲の大部分は、補償などはあるいは取れないかもしれない、取れないが、農地法だけは改正して土地が自由に手に入るようにしたい、あれはどうもおもしろくない、こういう空気の方が強いのです。逆転しようとしている条件になっている。だから、私どもとしましては、この農地法の改正に対して部落代表等を排する、これを選挙でやらないというようなことに対しましては、必死の反対をいたしました理由は、そこにある。私は少くとも、今、河野さんが言われる通り、いろいろの農業団体全体を通じて見まするならば、根本的に改革するものが非常に多いと思う。従って、この次の改正をせられるときには、少しぐらい時間は長くかかってもよろしいが、最も慎重に検討して、そうしてその検討の上に立って、いろいろ今言われている悪いところがありましたならば、それは勇断をもって徹底的に排除して、すっきりした農民のための法案を作っていただきたい、再編成をしてもらいたいということを念願するのでございます。  だから、今の農業委員会などというこのものを、農民はこういうことを言っている。これは、なに、政府がもう要らないところの昔の農業委員会を整理しようと思ったところが、職員が残っている、職員の始末に困るから、ちょっとこんなものを作って、そうして職員の首つなぎをやっているのだ、そうして逐次こうだんだんと整理していこう、こういう腹がまえのものだから、だんだんと予算は減ってきて、だんだんとすぼめてきて、数年の後にはこれをなくしよう、こういうのじゃないか。まことに熱意のないこと、これは限りがないのです。現に進んでいる情勢はこんなんです。河野さんが指摘せられる通りです。だから、この次に農業委員会法改正等がありまするならば、少くとも本来の性質に帰って、そうして農地委員会というものと他の委員会というものはすっきり分ければ、こういう問題は出ない。分けられるのがほんとうじゃないかと思います。来年くらいまでには、少くともぜひ分けてもらいたい、私はそういうような希望を—私じゃなく、日本社会党の全員は持っております。  こういうことを付加いたしまして本案に賛成いたします。
  133. 河野謙三

    河野謙三君 私は、付帯決議を付しまして本案に賛成するものであります。付帯決議の案を朗読します。   農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案    附帯決議(案)   農業団体の在り方如何は、今後わが国農政上極めて重要な課題であるにかんがみ、この法律案による措置にかかわらず、政府は、農業団体の在り方について、根本的な検討を加えその結果に基いて遺憾なく措置すべきである。   右決議する。  私は本改正案によりまして、果していくばくの活動ができるかということに非常に疑問を持っております。それは、その一つを申し上げれば、質疑の際にも申し上げましたが、予算的の裏づけがないのです。これは予算的の裏づけは次年度に譲る。来年度、予算的の裏づけを十分いたしまして、本委員会の活発な活動をさせるということを、かりに私が真実だったとします。予算的の裏づけが来年できた、活発な活動を始めるということになった場合は、次に私たちが想像される問題は、農業団体間の問題であります。たとえば農協と農業委員会関係考えましても、私が申すまでもなく、農協本来の使命は経済行為ではありません。経営指導、経営改善をやるのが農協本来の使命であります。本委員会も、総合計画を樹立する、経営指導をやるということが使命になっておりますが、農協またそれを大きな使命にしておるわけです。そうしますと、本委員会と農協との関係がまた、そこにいろいろ複雑な問題が起って参ります。また新農村建設計画を取り巻くところの諸問題につきましても、この農業団体間にいろいろな紛争が私は予想されてならない。そういうことを考えますと、活動しなければしなくてもいいが、本改正案によって、予算の裏づけを伴って、将来大いに活発な活動をさせるのだという提案者の御趣旨がそこにあるならば、引き続いて起るところの農業団体相互間の問題も、これは今から政府が適当な準備をして根本的な対策を立てなければ、本改正案の意義というものは生まれてこない、こういうふうに思うのです。  そういうことを考えまして、私は本案に賛成すると同時に、これには前段に申し上げたような付帯決議を付しまして、政府が将来農業団体のあり方について根本的な検討を加えるということが、どうしても条件にならなければならない、かように思うのでありまして、以上付帯決議を付しまして、私は賛成するものであります。
  134. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今議題となっております農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、審議の過程でも明らかなように、この法案はいかにも、農地部会を設けて、農地部会がこの法案の主になるというような感じを受くる。ややもすると、農地部会の部員がこの委員会を牛耳るような感じを私どもは受くるのでございます。農地部会だけ特殊な取扱いをする必要はない。なお、選挙区の問題にいたしましても、地方長官の同意を得る、これはいわゆる選挙管理委員会関係も実に疑わしい点を残しておるのでございます。なおまた、農地主事の問題にいたしましても、これは町村長のいわゆる自主性を侵害するとも言えるのでございます。  この点は、いかにも、この法案を総体的に考えますと、農地部会を主にした考え方を持っているように私どもは考えられるので、しかし、両党とも、きわめて遺憾に思うのでありますが、これで意見が一致したということで、やむを得ず本案に賛成するものでございます。
  135. 千田正

    千田正君 本法案は、農民諸君の自主的な希望と、またこの法案を通じて流れるところの法理の一貫性がないという点に、非常に私は疑点を持つものであります。先ほど同僚委員の諸君からいろいろ要望を付して御賛成になったように、私もこれに対しては、将来、せっかく法案が通過した後に、どういうふうに運営されるか。幸いにこの法案の目的が達せられるならばいいですが、もし達せられないような状況に立ち至ったならば、直ちにこれを改正するか、あるいは廃案にするかというようなことまで考えて、せっかく他院でありますところの衆議院の諸君が全会一致をもって修正可決をして参りました法案でありまするから、はなはだ疑点がありますけれども、また不満でありまするけれども、一応賛成の意を表しておきます。
  136. 堀末治

    委員長堀末治君) 別に御意見もないようでございますが、討論を終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中述べられました河野君提出の付帯決議案を議題といたします。河野君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  139. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致と認めます。よって河野君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次、御署名願います。   多数意見者署名     重政 庸徳  藤野 繁雄     東   隆  清澤 俊英     島村 軍次  青山 正一     秋山俊一郎  佐藤清一郎     柴田  栄  下條 康麿     仲原 善一  堀本 宜実     羽生 三七  上林 忠次     河野 謙三  千田  正   —————————————
  141. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  142. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて。  次に、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案議題に供します。  他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  144. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 再建整備の適用を受けた農林漁業協同組合が、政府の適切なる指導と奨励の結果、おおむね再建整備を完了することになったのは、まことに喜びにたえないのであります。しかし、現在再建整備が完了した農林漁業組合も、奨励金返還するだけの余裕はないのであります。奨励金返還するようなことがあれば、せっかく政府指導奨励で立ち上りつつある組合が、再び赤字の組合に転落することが明らかであります。  そこで、私は、自民党を代表して、次のような付帯決議をして本案に賛成するものであります。
  145. 東隆

    ○東隆君 私は、本案に賛成の意を表します。  理由は、この農林漁業組合再建整備法そのものは、戦争の惨禍によって、農林漁業協同組合のような利潤を追求しない協同組合が、非常な傷手を受けておったわけで、同時に、戦後におけるいろいろな食糧その他各般のものを強制的に供出をするというような、そういうような使命を負わされて、そうしてその困難な状態の中に進んできたにかかわらず、資本の蓄積等がインフレのために非常に少くなってしまった、こういうような状態の場合に施されたところの注射であります。一度注射をしたところのものを、もう一度ひっぱり出そうという、返えさせようというようなやり方を、この際する必要はないと思う。明らかに、国が大きく力を注いだものを、将来に向っても力を合せるようにするやり方が正しいやり方だと、こういうふうに考えるわけであります。従って、多少あいまいなところもありますが、それを藤野氏が付帯決議案によって強化をしておるのでありますから、私は付帯決議案にも賛成をいたします。そうして本案に賛成をするものであります。
  146. 島村軍次

    島村軍次君 私も本法案に賛成をいたし、かつ藤野提案にかかる付帯決議、あわせて賛成の意を表する次第であります。  戦後のわが国の経済の中にあって、特に農村の経済の混乱はまことに著しいものがあり、その間に処して、協同組合が農林、漁業を通じて非常な貢献をしたにもかかわらず、インフレの波に乗って、その経営が必ずしも順調でなかったことはまことに遺憾であったのでありますが、幸いに本法案のいわゆる原案におきまして、奨励金の交付によってその急場をしのぎ、その奨励金によって再建が着々進んで参ったことは、まことにこれらの再建努力されましたる協同組合関係の各位に対して深く敬意を表するとともに、今日ややその緒につかんとする際に、先に加付されました奨励金が還付されるというようなことになりますれば、ただいま藤野委員お話しになりましたような結果に陥って、再建は再び逆戻りをするというようなことは、弱い環境におきましては、ほとんど全部と申し上げて差しつかえないのでありまして、私は先般当委員会の視察団に加わりまして、各地の単位農業協同組合あるいは府県段階協同組合の実態を承わってみますというと、相当の実績を上げておるとは申しますものの、前段申し上げたように、いまだその実績は必ずしも十分とは言えないのみならず、すでにこの制定の当時の経緯から考えまして、この奨励金を還付するようなことになりますれば、指導方針にも反し、かつまた再建の方途が中絶するということに相なることは、火を見るよりも明らかであると思うのであります。  かような理由をもちまして、本法案に賛成をいたし、かつ付帯決議に賛成をいたすものでございます。
  147. 千田正

    千田正君 今朝は大蔵大臣も見えられまして、日本のいわゆる現段階における原始産業に対する大蔵省の所信をただしたのであります。岸内閣の方針としては、自然増収その他によるところの財政の大きな方針一つとして、大部分は近代産業に投融資をして、原始産業は相変らず、われわれがかような再建整備法などというこういう命題をつけなければ、原始産業の農民諸君を救えないという段階にあることを、非常に悲しむものであります。むしろ、こういう命題を付しなくても、日本農民はゆうゆう生きていけるような政策を掲げていただきたい。とにかくこういう命題を付して、どうやら農業協同組合農民の階層であるところの農業協同組合が、再建する方に一歩前進しておるということに対して敬意を表して、賛成いたします。
  148. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  150. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられた藤野君提出の付帯決議案を議題といたします。藤野君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致と認めます。よって藤野君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたします。  なお、本案を可とせられた方は順次、御署名を願います。   多数意見者署名     重政 庸徳 藤野 茂雄     東   隆 清澤 俊英     島村 軍次 青山 正一     秋山俊一郎 佐藤清一郎     柴田  栄 下條 康麿     仲原 善一 堀本 宜貫     羽生 三七 上林 忠次     河野 謙三 千田  正
  153. 堀末治

    委員長堀末治君) なお、ただいまの両法律案に対する付帯決議について、この際、農林大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  154. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま御可決をいただきました両法案に対する政府考え方は、午前中申し述べた通りでございます。  なお、ただいま御決議になりました付帯決議につきましても、御決議の御趣意を尊重いたしまして、その線に沿って善処いたしたいと存じます。
  155. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  156. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会