運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-09 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月九日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員の異動 四月六日委員千田正辞任につき、そ の補欠として白木義一郎君を議長にお いて指名した。 本日委員白木義一郎辞任につき、そ の補欠として千田正君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            下條 康麿君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            北村  暢君            小林 孝平君            鈴木  一君            羽生 三七君            島村 軍次君            上林 忠次君            千田  正君            北條 雋八君   衆議院議員    村松 久義君   国務大臣    農 林 大 臣 井出一太郎君   政府委員    農林大臣官房長 永野 正二君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省振興局長 大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局金融課長   和田 正明君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業委員会等に関する法律の一部を  改正する法律案衆議院提出)(第  二十五回国会継続) ○農林漁業組合再建整備法の一部を改  正する法律案衆議院提出)(第二  十五回国会継続) ○派遣委員の報告   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。去る六日千田正君が辞任され、白木義一郎君が選任され、本日また白木義一郎君が辞任され、千田正君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案村松久義君外七名提出、第二十五国会、衆第七号)を議題にいたします。  この法律案は、昨年十二月五日、第二十五国会において衆議院から送付、同日当委員会において予備付託となり、十二月十一日提案理由説明を聞き、その後、継続審査となって今日に至っておりましたところ、去る四月五日の衆議院会議において、全会一致原案通り可決、当院に送付、同日当委員会に付託されたものであります。  この法律につきましては、すでに提案理由説明を聞いてありますが、その後今日までだいぶ時日がたっておりますので、今日あらためて説明を聞いて、続いて審議に入ることにいたします。  なお、この法律案と別に、第二十四回国会に内閣から、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案予備審査のため提出され、当委員会予備付託、今日まで継続審査になっておりましたが、この方は、去る四月五日の衆議院農林水産委員会において、議決を要しないものと決定されておりますので、御承知願います。  では、これから説明を求めます。
  4. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 村松久義外七名の提案にかかる農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、前国会において相当詳細に提案理由を御説明申し上げたのでありますが、その後かなり時日も経過いたしていることでございますので、なるべく提案理由との重複を避けまして、第二十四国会政府より提案されました法案との対比という点に重点を置きまして、補足的な説明を申し上げます。  改正の第一点は、農業委員会設置に関する第三条の規定改正であります。これは提案理由で御説明申し上げましたように、農業委員会原則として一市町村委員会として統合を行わせることを目的として、統合に関する規定を整備したものであります。  すなわち、現行法においては全国的な町村合併というような事態を予想しなかったため、委員会統合については、これが手続についての明文規定を欠いておりますので、委員会統合は、一市町村内に二以上の委員会設置する場合の手続規定すなわち現行法第三条第二項を類推解釈して、これに準じた手続統合を行なって参ったのでありますが、この点を統合に関する明文規定を設けまして明確化したのであります。次に、現行法第三条第三項には、一定規模以上の農地面積及び農家戸数を有する市町村にあっては、二以上の委員会を置くことをあたかも原則とするごとき規定がございまして、これは今後統合を進めて参る上の障害となると考えられますので、これは削除いたしているのであります。以上の改正点政府提出法案と全く同様の内容でございます。  改正の第二点は、農業委員会組織に関する改正であります。政府案においては、現行法において公職選挙法を準用して農民選挙いたしております選挙委員を、選挙を行わずして部落ごと農民より推薦させることとし、その推薦された者を市町村長が任命する制度にいたしているのであります。この点、選挙制をやめるべきかいなかについては、衆議院農林水産委員会審議において最も熱心に検討されたところでありまして、その結果、選挙制は存続することといたしたのであります。しかしながら、農業委員会合併に伴いその地域を拡大するため、委員会農民との結びつきが稀薄化するのを防止しようとする政府案考え方はこれを取り入れまして、選挙委員定数最高限度現行法の十五人から四十人に引き上げることとし、さらに必要がある場合には市町村条例により選挙区を設け得ることといたしたのであります。次に、選挙委員以外の委員につきましては、政府案農業団体推薦及び市町村議会推薦委員定数を拡大し、農業委員会とこれら農業団体及び機関との結びつきを強化しようとしているのでありますが、本案はこれをそのまま取り入れたのであります。さらに政府案においては、委員の数の拡大に伴い、委員会運営実情に即して円滑にするため、常任委員制度を設け、農地関係事務その他の恒常的所掌事務は、すべて常任委員会議運営することといたしているのでありますが、この点について検討の結果、常任委員制度をやめまして、委員会の恒常的な所掌事務中最も基幹となる農地関係事務について農地部会を設けまして、農地部会に全責任をもって運営せしめることとし、さらにその他の所掌事務については、必要によりその他の部会を設け得る制度といたしたのであります。  改正の第三点は農業委員会所掌事務に関する改正であります。すなわち、政府案においては、農地法土地改良法その他の法令に基き権限として行う事務は従来通りとするほか、農業委員会をして農業及び農村振興に寄与せしめるため、農業農村振興計画樹立及び推進その他各般にわたりその所掌事務を拡充いたしているのでありますが、本案においても若干の字句の修正を除きこれをそのまま取り入れているのであります。  改正の第四点は、農業委員会職員に関する規定改正であります。これは政府案にはなかった規定でありますが、提案理由で御説明申し上げましたように、農業委員会職員資質向上身分の安定をはかるため、農業委員会職員中に農地主事を置き、農地主事には政令で定める一定資格を求めるとともに、任免について都道府県知事同意を必要とするとともに、身分上不利な取扱いを受けたときは農林大臣にその旨を申し述べる道を開いたのであります。  改正の第五点は、都道府県農業会議組織に関する改正であります。都道府県農業会議を構成する会議員は、その根幹となるいわゆる第一号会議員について、現行法では、都道府県区域をおおむね郡別に十から十五に分け、その区域ごと知事の招集する代表者会議において互選された農業委員会委員農業協同組合農業共済組合理事が一人ずつ合計十人ないし十五人が会議員となることとなっております。政府案では、農業団体代表学識経験者等の第二号以下の会議員については現行法通りとし、第一号会議員については、農業会議農業委員会の連係を強化する目的をもって、右に述べた制度を改めて各農業委員会ごとにその会長を会議員とする制度といたしているのでありますが、本案では各市町村ごとに一名の農業委員会委員委員会より推薦させて第一号会議員とすることにいたしております。さらに、政府案では会議員の数の増加に伴い、都道府県農業会議運営上農業委員会同様常任会議員制度をとっているのでありますが、本案でもまた農業委員会同様必置部会としての農地部会任意設置部会としてのその他の部会という制度により運営を行わせることといたしているのであります。  最後に、この法律の施行についてでありますが、農業委員会が本法案によって付与される新しい組織所掌事務をもって発足するには、現在の農業委員の大部分がその任期を満了するとき、すなわち本年七月十九日が適切であると考えまして、原則として七月二十日といたしたのであります。ただし、新委員の選出は、統合された農業委員会について、新法の定数選挙区によりて選挙されることが望ましいので、農業委員会統合に関する規定は公布の日から施行し、選挙委員定数及び選挙区域に関する改正規定は、七月十九日の任期満了に伴う選挙に通用することといたしているのであります。  以上で、簡単でございますが、補足説明を終ることといたします。
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから本法律案審議に入ります。御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  6. 島村軍次

    島村軍次君 政府案が相当変っておりますが、これに関して政府の方ではどういうお考えをお持ちになっていますか。それからなお、この政府案修正と申しますか、今回の補足説明によりまして、予算関係がどうなりますか、各内容ごとに御説明をこまかくお願いします。
  7. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいま御説明がありました案につきましては、昨年から政府案衆議院各党共同提案とを衆議院におきまして御審議願いまして、結局審議の結果、各党で協議決定されました、ただいま村松久義君外七名の提案になりました案が衆議院を通過したのであります。この通過に際しまして、政府といたしましてはこれに同意をいたしておるのであります。  さらに、予算の問題でありますが、予算につきましては、もうすでに昨年年内におきまして、三十二年度の予算編成前に各党の御意向がまとまっておりまして、農林大臣もすでに修正案に対して各条項について同意する旨御答弁がありましたので、ただいま提案になっている案に従いまして予算編成をいたしております。ただいまお手元にお配りしておりますが、四月から七月までは従来の制度によりまして、八月以降この法律に基きまして予算編成しておるのであります。
  8. 島村軍次

    島村軍次君 政府の方で御同意されたということでありますが、そこでまず第一にお伺いいたしたいのは、改正の第二点の農業委員会組織に関する規定を、選挙委員定数最高限度を、現行法の十五人から四十人に引き上げるということにされたようでありますが、それの引き上げられましたる根拠といいますか、お考えを承わっておきたいと思います。
  9. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御承知のように、市町村合併に伴いまして、委員会市町村単位合併するということを原則にいたしておりますので、市町村合併状況を勘案いたしまして、従来は十人から十五人ということであったのでありますが、これを十人から四十人というふうな定数にきめたのであります。これは全く、市町村合併に伴いまして市町村地域が広範になるという点から、さようにいたしたのであります。  なお、お手元政令事項をお配りしておりますが、それをごらんになっていただきたいと思います。法律第七条の改正案で、第七条第一項、「「十人から十五人まで」を「政令で定める基準に従い、十人から四十人まで」に改める。」、こういうことになっておりますが、この政令の定める基準というものを、一応私どもの方でかようにきめたらどうだろうという案をお配りしております。耕地面積あるいは農家戸数、それに応じましてそれぞれの委員定数をきめたらいいじゃないか、こういうふうに考えております。
  10. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、現在の選挙制におきましても、農業委員会選挙は他の選挙と違いまして、いわゆる農民意思地方ごとに反映せしむるということから、地域を定めて、いわゆる部落ごと農民より推薦される者について市町村長の任命がいいか悪いかということは別問題といたしまして、従来の選挙制度におきましても、ほとんど無投票当選が行われたように私は記憶いたしておるのでありますが、その現在までの無投票当選の、つまり無投票で行われたというその実績はどういうふうでありますか。
  11. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農業委員会選挙が行われましたのは昭和二十六年の七月二十日に第一回、二十九年の七月十六日に第二回、こういうふうになっております。第一回には、委員会の数が一万一千八委員会であります。その中で無投票委員会の数が八千五百六十三、投票をいたしました委員会の数が二千四百四十五、そういうふうになっております。第二回の二十九年の七月十六日では、委員会の数が九千八百三十九、その中で無投票委員会の数が七千五百十一、投票をいたしました委員会の数が二千三百二十八。無投票委員会パーセンテージを両回の選挙で比較いたしますと、第一回の場合が無投票委員会の数の占めるパーセンテージは七七・九%、第二回は七六・三%、大差はありません。
  12. 島村軍次

    島村軍次君 さらに、この委員会選挙に要する費用は現在予算に計上されておりますか、あるいはまた、ただいまの説明によりますと、選挙後における七月以降における予算はこの改正案で計上されておるようでありますが、選挙費については、内容がこの中にあるかもしれませんが、どういうふうに。
  13. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、御承知のように、公職選挙法によります場合は地方交付税交付金で計上することになっておりまして、そちらの方にあるのでありまして、私の方でお配りしている資料の中には入っておりません。
  14. 島村軍次

    島村軍次君 この選挙費用は、前二回の費用公職選挙法によって全国で総額幾ら要ったか、それを一つお示しを願いたい。
  15. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 大体三億五千万円であります。
  16. 島村軍次

    島村軍次君 政府案提案の際は、この選挙費用——投票当選実績にかんがみて、選挙費用の節減ということも考えられておったと思うのでありますが、地方におきましては、選挙をやるがいいかあるいは推薦制によるがいいかは別問題といたしまして、煩瑣な手数をなるべく省いて、かつまた選挙費用を節減したいという考え方から、実質的には無投票でやる方が実態に合うという考え方から、さような措置を講ぜられたかと私は思うのでありますが、従いまして、地方に参りますというと、こういう問題については論議二つに分れておる。そこで今回の選挙費用についての交付金の算定の基礎には、やはり今度の修正案による選挙費用交付金の計算の基礎のうちに入っているのですか、どうですか。
  17. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 入っております。
  18. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、今回の改正について順次伺って参りますが、常任委員会制度を今度は、従来の制度と同じように、部会制度に改められたということに対しては、これもまたいろいろ議論があろうかと思うのでありますが、従来の農業委員会活動実績から考えて、むしろ各部会をもってやるというよりは、常任委員会において真剣に常設的に取り扱った方が適当であろうということで改正されたと思うのでありますが、これに対して部会制政府の方で同意されましたその根拠は、どういうところですか。
  19. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農業委員会仕事行政事務諮問的事項と、そういう二つに分れております。行政的事項をやるためには、やはりそれを執行する体制というものは法的にはっきりしていることが必要である、こういう点から、部会という説が出てきたのであります。すなわち、農地事務執行するための部会については、農地事務がおおむね行政事務であるから、その執行について法的に明確にしなければならない。で、この仕事農業委員会のそのほかの仕事と、奨励的、あるいは諮問的、あるいは指導的事務とは違うのであります。別にしたらいいだろうという考えから、部会制度提案されたのであります。私どもの方で当初、常任委員会というものを作りましたときには、そういう法律的な問題よりも、農業委員会の実際的な活動というものを主眼にしてやっておったのであります。法律的に検討を加え、法律的に論議をされますと、やはり農業委員会行政事務執行という場合の法的関係を明確にするために部会を作るということについては、その方がいいんじゃないか、こういう点で同意を与えたのであります。  そうしますと、その上に常任委員会を存置するか、あるいは任意部会を置くか、こういう問題になるのであります。常任委員会の当初考えられましたおもな項目の農地事務が、農地部会ということで切り離されますれば、残りの仕事については、その委員会の具体的な事情に応じまして、必要な部会を置いて農業委員会の事業の円滑を期したらいいじゃないか、こういうことで、他の事項につきましてはその委員会意思によって任意部会を置くことができる、こういうふうに考え直したのであります。
  20. 島村軍次

    島村軍次君 部会制度というものは現行法でもなし得ることでありまして、農業委員会設置農業委員会法が制定されました当時の考え方から申しますると、各従来あった三つの委員会、すなわち、何と申しましたか、改良普及に関する事務、あるいは食料の供出等を取り扱う制度等をすべてを一括して、調整部会と申しましたか、そういうものを一括して、有機的にその町村内における農業全般に関する措置を講ずべきであるという意味の改正であったと思うのでありますが、特に農地部会だけを取り上げて、新しくさらに農地部会だけが法律上の必要設置部会であると、こういうふうに改められました理由と、それからさらに総合的に検討を加える場合には、やはり他の部会も置き得ることにはなっておりますが、他の所管事務についてはまあ必要に応じというので、少しウエートの上で差があるように考えられるきらいがないかと思うのでありますが、その点に対しては、政府並びに提案者の方から、これを修正されましたる理由について御説明願いたい。
  21. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 農地部会常置のことに至りましたのは、農業委員会の今日の所掌事務のうち最も重大なものがこの農地制度に関する点でありますので、それを特に取り出しまして常置制度にしたらよろしいではないかということに話し合いがまとまったのでございまして、農業委員会所掌事務の変遷に伴うてこれが適当であろうと、こういうふうに意見がまとまったのでございます。その他の部会に関しましては、必要に応じということは、結局地域ごとに、また農業の態様によって、おのおの任意部会設置できることにする、その方が実情に適するのではないかと、こういうようなふうに意見がまとまりましたので、さようにいたしたのでございます。
  22. 島村軍次

    島村軍次君 政府の方の意見は……。
  23. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいまお話がありましたように、法律の第六条の第一項第一号、第二号の農地関係事務がいわゆる行政事務になっておるのであります。この事務を処理するためには農地部会を置いた方がいい、こういうふうに私どもの方は同意したのであります。その理由は、農地関係事務は、何といいますか、農地権利の取得、あるいは譲渡、あるいは交換分合等業務といたしましては、これは村によって多少違うかもしれませんが、おおむね、何といいますか、いわゆる毎日々々やる業務ということになっております。従いまして、農業委員会の、従来のような小規模の農業委員会でありますれば、月に一回なら一回農業委員会を開き、全員会議で事を処理いたしましてもよかったのでありますが、市町村合併によりまして農業委員会の範囲、区域が広くなりますと、全員の会合によって処理するというわけにもいきませんし、選挙委員は、これは農民意思によって選挙されておるので、そのほかの団体代表者というようなものとは違って、農地関係については責任を持っていただけるということもありますので、それを主にいたしまして農地部会というものを作っておるので、これはお配りいたしておる資料、厚い参考資料、これの十九ページをごらん願います。これに農業委員会所掌事務を書いております。これはブロック別に県を選びまして、その県の委員会から実態調査をやった例であります。一委員会当り会議開催数が十八・五の中で——これは二十九年でありますが、大体七・七が農地関係になっております。これから取り扱い件数の中で、二百二十一件の中、終りの方の計画樹立三・五、建議一・八、答申一・四、それを除きました件数は大体農地関係件数でありまして、件数といたしましては農地関係が圧倒的に多い、こういうふうになっておるのであります。それから次のページの、農地事務処理統計買収売り渡し実績、潰廃の統制農地移動統制、そういうものについて資料を差し上げております。
  24. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、農地事務重要性に関する考え方については、ただいま御説明があったのでありますが、一体農業委員会というものの今後のあり方については、別途農林省でやっておられまする農業振興計画というものを積極的に取り上げるということが、農業委員会の大きな所掌事務になり、かつまた農業改良発達をはかる点から、適地適作主義をとっていく関係から申しましても、農地に関する事務だけを特に農地主事というものだけを取り上げて、他の職員に対する身分の問題については別途何にもこの法案の上に取り上げていないのでありますが、この点はどうも農業委員会設置の経緯から考えますというと、片手落ちの感じになるようなきらいがないではないと思うのでありますが、この点についてはどういうふうな考えをお持ちになっておりますか。
  25. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この点は、私の方では、農地事務農業計画樹立、そういうものとを区別してやっておる、重要性を区別するというわけではありません。仕事の性質によって分けておるのであります。ことに御指摘のありましたように、新農村建設計画が進みますと、その町村における計画樹立なり推進の原動力としては、その他の団体あるいは機関と同様、農業委員会が非常なウエートを持ってきているのは御承知通りであります。ただ、農地関係事務をいたしますのは、権利移動等に関しまして、最近の状況は相当むずかしい問題が出てきております。地方によりましては土地集団取り上げとか、そういうふうな関係も出ております。やはり農地関係の適正を期するためには、これを担当する職員資格なり素質をよくするとともに、それらの身分についても安定性を与えることが必要ではないか、こういうことで、農地主事という名前を出して、それに相応する資質向上なり身分の安定というものを法定いたした次第であります。
  26. 千田正

    千田正君 今の、主事は大体一人置くのが原則ですか。それとも、数はきめておらないのですか。部会において一人ずつという場合もあり得るだろうが、農地委員会においては一人置くという原則ですか、どうなんですか。
  27. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 最低一人、こういう考えでおります。
  28. 千田正

    千田正君 最低一人であれば、それは最低なのでしょうから、二人置いても三人置いてもいいわけですか。
  29. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは市町村の規模によりまして人数は決定されることになっております。しかし、少くとも一人は置かなければ農地事務が処理できませんから、一人以上、こういうことであります。
  30. 千田正

    千田正君 人数において、何かそこに制限を設けなくてもいいのですか。
  31. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、私の方から職員設置補助が出ておりますから、よけい置く所は自己負担で置かなければならぬことになりますので、実際問題としては、設置について相当の制約があることになっております。
  32. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、部会の問題と、それから職員の問題に関連をして、修正案の意味はわかりましたが、たとえば部会については、必要な場合には置くことができるということであり、職員の場合にもそういうことであろうと思うのです。村により、あるいは市により、町村によって、その取扱い事項によって、たとえば部会二つ置くとか、あるいは三つ置くとか、あるいは主事の方も、農地部会の方も重要であるけれども農地主事以外に、他の仕事はきわめて重要であるからそういうものを置こうという場合に対する予算措置というようなものは、まあ補助の方では裏づけがしてないようでありますが、これは村の事情によっては何人置いても、また必要によっては、農地主事以外に、あるいは振興計画を扱う主事を置くとかいうことに対して、村の自由意思によってそれが変更できるというようなことは考えられぬですか。
  33. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第二十一条、二十二条、二十三条におきまして、部会と総会との関係規定されております。総会で決定いたしますものは、第十九条の二の三項です。逆に読むことになるのですが、「農業委員会に第六条第二項第三号(基本的な方針の決定を除く。)」それからその次に「第六号までに掲げる事務及び同条第三項に規定する事務(行政庁の諮問に関する答申を除く。)を処理するため、一又は二以上の部会を置くことができる。」、こういうふうになっております。すなわち総会で基本的な事項、あるいは諮問、建議に対する答申等、あるいは予算決算というものは総会にかけられますが、それは部会では処理することができないことにいたしております。そのほかの事項につきましては、部会を設けて処理することができることにいたしておるのであります。そしてその部会で決定いたしたことが総会の決定にかわるということにいたしておるのであります。従いまして、部会の数等は市町村のそれぞれの事情におきまして設置していただいたらいいと思います。  それからまた、もう一つ、第十九条の二の第十項、「選挙による委員定数が二十人以下である農業委員会にあっては、農地部会及び第三項の部会を置かない。」、こういうふうになりまして、小規模の市町村では部会を置いてはいけない、こういうふうに制限も課しておるのであります。
  34. 島村軍次

    島村軍次君 もとに戻りますが、先ほど委員長説明によりますと、政府案の方は、一応予備審査で来たが、そのものは廃案になったということですか。
  35. 堀末治

    委員長堀末治君) 議決を要せずという決定になったのです。
  36. 島村軍次

    島村軍次君 形式の問題を一つはっきりしておいていただきたいのですがね。われわれの扱ったのは、お配りになったのかしらぬが、政府案の最初の案ですね。それから村松さんの提案は、去年の十二月の案は、政府案に対する修正で、全文でなくて修正案が出ておるように思うのですが、審査を要せずということは、どういうことなんですか。それは政府委員の方ではっきり一つ答弁して下さい。
  37. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは私の方で答弁すべきでないと思うのでありますが、私の承知しておるところを申し上げますと、衆議院政府案が出まして、修正案が出たのであります。その審議の結果、修正案が通過いたしまして、政府案審議を要せずという結果になったのであります。衆議院では国会側から提案された修正案が成立したのであります。それが正式に衆議院から参議院の方に回ってきたのでありますので、私の方で出した、予備付託になっておったのは、衆議院でもう実際問題として廃案になっておるのであります。正式に参議院に回ってきたのは、国会側で御提案になった案が正式付託になったと、こういうふうに私は了解しております。
  38. 島村軍次

    島村軍次君 その御説明はわかりますが、条文の改正というものは、具体的にいえば、三十一年十二月五日の衆議院の議員提案による修正案は、そのままが、このものだけで、農業委員会法改正衆議院で議決されました案で、こちらの方の初めの部分は廃案ということで、これだけを見れば全部の改正案がわかると、こういうふうにしろうとわかりで、わかりいいように考えていいのですか。
  39. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その通りだと思います。
  40. 島村軍次

    島村軍次君 何条でしたか、全国の農業会議所の役員の資格の問題について、団体が役員になるというふうな規定になっておったと思うのですがね。この点に対しては政府の方の解釈はどうなんですか。団体ということは、団体代表者という意味ですか。
  41. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは修正になっておりませんが、現行法の最初の第六十条に、「全国農業会議所の会員たる資格を有する者は、左に掲げるものとする。」と、こういうことになりまして、一号が「都道府県農業会議」、それから第二号が「全国農業協同組合中央会及び全国の区域を地区とする農業協同組合連合会」、第三号に「前二号に掲げる者の外、農業改良発達を図ることを目的とする団体であって定款で定めるもの」と、団体が法人のメンバーになっておるようであります。そこで、今度役員の事項となりますと、第六十七条であります。「全国農業会議所に、役員として理事十四人以内及び監事二人以内を置く」ということになっております。さらに、第六十九条には「役員は、定款の定めるところにより、第六十条第一号から第四号までの会員が総会開催のときにそれぞれ当該会員のうちから選任する。」、こういうふうになっておるのであります。従いまして、役員は会員ということになっております。従って、会員は法人でありますから、法人の代表者が自然人として事実問題として役員になっておる、こういうふうになっております。
  42. 島村軍次

    島村軍次君 そうしますと、たとえば、会長に差しつかえがあれば、副会長、会長及び副会長がともに差しつかえる場合には総会等できめた理事がやるというような規定があったかどうか知りませんが、そういうきめ方をしておるとすれば、この六十八条の規定は、はっきりだれが出てもいい——だれが出てもいいということはおかしいですが、今申し上げた三者のうちだれでもいいというように解釈していいのですか。
  43. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 別段の定めがなければ、会員がそれぞれ役員になっておるのでありますから、その会員の代表者がだれでも出ていいと、こういうふうに一応法律上は解釈できます。しかし、それでは運用がうまくいきませんから、現在は、会員の中の代表者である自然人を会議所の役員というふうにしております。その点は、会議所の性格からいたしまして、会議所の運営をいたしますためには、やはり自然人をつかまえて、実際上の運営を行なった方がよろしい、こういう観点からそういたしておるのであります。
  44. 島村軍次

    島村軍次君 たとえば、そういうことになりますと、法人たる会というものが会員だ。そうして、総会の場合には、その法人である都道府県農業会議以下第六十条の各号に掲げておる事項のうちで、会長が出る。これは普通の場合でしょうが、会長が差しつかえる場合には、その会の規則で代理者というものが出ても差しつかえないという規定があるとすれば、代理者でもいいということに私はなると思う。そこで議決権の問題になってきますと、その点がちょっとわかりにくいという点があると思うのですが、これはどうですか。
  45. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 会員はあくまでメンバーである先ほど掲示いたしました人であります。その会員の代表者が、実際問題として会議所の役員、それはあくまで会員たる会議なりそれぞれの団体を代表する権限を持っておるものとして出てきておるのであります。従いまして、はっきりその自然人を、実際問題として、役員としてつかまえて、実際の活動をさしておるのを、会員たる会議あるいは団体に重点を置いて、その会員たる都道府県会議なりその他の団体から出ておるそれぞれの団体を代表する自然人が都合が悪い場合には、それにかわるそれぞれの団体の自然人をかえるのだというきめ方もできると思います。現在はそういうことをいたしておりませんが、会議の代表である自然人を役員というふうに、事実上の運用として重点を置いて実施をいたしておるのであります。
  46. 島村軍次

    島村軍次君 大体の御説明を聞けばわかるようでありますが、ところが、事実問題としてはなかなか——たとえば委任を受けねば資格がないとかいうようなことも考えられましょうし、それから代表者ということをはっきりしておけば、これは当然そのいわゆる会員たるの資格で総会での議決権等を執行する場合の権限がはっきりしてくると思うのですが、何かこれらについては、その内容はこうだというようなことで、私はむしろ本来ならば修正等をした方がいいのじゃないかと思いますが、もし修正が不可能であるとか、あるいは解釈上疑義があるとかいうような場合には、こういう点については農林省からはっきりした通牒等を出して、全国農業会議所の会員たるのメンバーに周知徹底せしむる必要があると思うのですが、その点はどうですか。
  47. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農業会議所の議決権の行使なり役員の選任権の行使につきましては、第六十一条に規定があるのであります。これはそれぞれ会員が一個の議決権あるいは役員の選任権を持っておるということになっておるのであります。従いまして、役員に選任される場合に、メンバーである農業会議なり団体そのものを理事にする場合は、その中の代表である自然人が農業会議の役員になっておりますが、事実問題として、団体であるメンバーの代表者である自然人を役員に選任しておるという格好になっておるのであります。従いまして、法律的にはあるいは疑問が出てくるとも考えられます。今まで私の方では、数も少いわけでありまして、そういう問題も起っておりませんでしたが、御注意の点はごもっともと存じます。従いまして、これを周知徹底する方法はぜひ考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  48. 島村軍次

    島村軍次君 六十一条の議決権は、大体これは四項の「代理人は、二以上の会員を代理することができない。」とか、代理権というものも認めておるということは、これはすなわち、会員というものは団体そのものが会員であるからということから規定されたと思うのでありますがやはり会員である者の代表者というものは、すなわちこういうものであるということをやっぱりはっきりする必要があると思うので、その点を、ただいま御説明があったように、はっきりと周知徹底せしむる方法を講ずる必要があるということを、さらに念を押しまして、通牒をお出しになりますか。
  49. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御趣旨に従って通牒を出したいと思います。ただ、今の六十一条の代理人は、これは、ある特定の会員たる団体または会議を代表するための代理人ということではなくして、会員を代理するための代理であります。その点はちょっと御訂正願いたいと思います。御趣旨に従って通牒を出すようにいたしたいと思います。
  50. 島村軍次

    島村軍次君 農業委員会の全般については、前回以来継続審議になっておりまして、相当検討を加えられた問題であると思うのでありますが、私は、先ほど来質問を申し上げましたように、まず第一に、選挙についてですが、実際問題としては七〇何%も選挙の手数を省いておるということについては、無投票でやっておるということについては、農業実態からいって、私は当然であると思うのです。当然と言えば語弊があるかもしれませんが、部落ごとに選ぶのには、やはり部落の総意をもって代表するということの方が適当であると私は思っております。どうも選挙になりますというと、たとえば農地の問題にしても、全く事情を知らない他の人が立候補して、そうしてその人が非常に選挙運動をやるというと、その結果は、その地方農地問題なりあるいは農業振興全体についての意見を代表をすることが、事実問題として困難であるというようなことが間間あるということが、現実問題として行われておったのであるし、また今後においてもそういう問題についてはおそらく、非常な大競争をやらぬで、部落の実質的の代表者というものが選ばれてくるのではないかと思うのです。あるいは論者いわく、ボスが今まで出ておったのだと。それで公平なる選挙制度をやるということに対するお考えもあったであろうと思うのですが、しかし、似て非なる選挙の行われるというような、選挙そのものは公正であっても、選出された者が必ずしも公正な人が出ない、というような弊害が必ずしもないのではないと私は思うのであります。この問題については、衆議院の方で御修正になったことの意味はわからぬでもありませんけれども、運用等については、地方の百姓の意思がほんとうにそのまま農業委員会に反映するような方法を、行政指導として今後大いにやらねばならぬし、またそれで、やがて農業委員会のほんとうの姿が出てくるのじゃないかと私は思うのであります。これは意見にわたるかもしれませんが、特に政府なり府県の指導の際に、特にそういう問題については御注意を願いたいと思うんです。  それから、ただいま御提案になっておる問題で、御質疑を申し上げましたところの、農地部についての重要性のために、農地部だけを特に法律規定し、さらに農地主事というものに対する意味もわからぬではありません。ししかし、農業委員会全体を通じては、地方によっては農地の問題も重要になって参ってはおりまするけれども、しかし、なおかつ農業委員会本来の使命からいって、これは総合的にやっぱり農業全体についての振興計画なんかを審議する場合には、どうしてもこの農地主事というものだけに別格官幣社のような感じを持たせることは、よろしくないと私は思う。それは必要に応じて他の職員も入れたらいいじゃないかと、こう言われるかもしれぬが、それは補助はないのだ、こういうことになれば、これは地方としては画一的に農地主事はできるが、他の職員は下積みになるというような弊が起きやすいと思うのです。今後これらの運用に当っても、よほど慎重に考慮を払ってもらって、特に農業委員会職員は、機動的にだれでも活動できるということがやはりほんとうの姿であろうと思うのであります。この点なりあるいは部会設置等についても、さらに運用よろしきを得るように行政指導をやられることを希望いたしまして、一応質問を打ち切ります。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 この農地部会の構成人員等は、別に考えておられるのですか。事務局の問題、また人員等は、どれぐらいを限度としておられますか。
  52. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農地部会は、法律の第十九条の二の第二項「農地部会は、次の各号に掲げる委員をもって構成する。」「選挙による委員が互選した者十人から十五人」、それから「第十二条第一号の委員が互選した者」、第十二条第一号の委員と申しますのは、協同組合等の団体代表です。それから「第十二条第二号の委員が互選した者」、これは市町村議会が選出した学識経験者です。そうして同条の第六号に、第二項第二号及び第三号の委員定数の合計は、一号の委員、すなわち十人ないし十五人の三分の一をこえてはならない、こういうことになっておりますから、最高二十人、最低は十三人ぐらい。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 僕は、第七条の、政令で定めるところで、この三番目「農地面積及び農家戸数が前二欄に定める要件の何れにも該当しない場合、三十一人から四十人まで」と、こうなっている。かりに八百町歩までであって、戸数が逆に非常にふえていく、零細農が多いということになると、この一、二の表だけではいかない場合があるんですが、そういう場合でも「三十一人から四十人」というと、非常に不合理なものができ上ると思うんですが、やはり「二十人から四十人」としておいた方がいいんじゃないですか。
  54. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今の、ちょっとわかりませんが、第二項では「八百町歩をこえ二千町歩以下であるか」、これが一つの要件、今度はまた別な要件で戸数の方でございまして、「千戸をこえ二千戸以下であるか」、いずれかの場合であります。今の場合は戸数だけ多い場合であります。戸数が二千戸以下ならば面積が小さくても「二十一人から三十人」、もっと簡単に言えば、あるいは——。これで大体全部網羅できるんじゃないかと思います。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 面積と戸数が食い違った場合がある、これは仮定ですけれども。そうした場合には、この戸数だけでは考えられない。たとえば面積が八百町歩であって戸数が二千戸と、こういった場合にはどっちかを基準にしなければならぬ。そうすると、一方は二千戸で押えられ、一方は八百町歩に押えられる。こういうワクを出た場合に、「三十一人から四十人」という数字だけを用いられない場合が出てきやしないか、こういうことなんです。もっと極端にいいますと、面積は八百町歩であるが、戸数は三千戸だと、こうなった場合……。
  56. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そういう場合はもう二千戸をこえる場合でありますから、戸数が非常に多い場合は、一戸当りの経営面積が小さくても、定数は多くしたらどうかという考え方であります。まん中の欄は「又は」で縛っておりますから、どちらでも都合のいいところをとれると、こういうことであります。
  57. 千田正

    千田正君 農業会議の方は法人であるのですが、それに総会は年に一回開かなければならないという規定で見ておりますが、農業委員会の方は国の予算がある程度補助をされておりながら、会議を開く最低回数を決定しておかないというのはどういうわけですか。
  58. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農業委員会では、たとえば農地事務なら農地事務、あるいは建議、請願、あるいは計画の樹立、そういうものは、相当しばしば回数を開かねばいかぬことになるので、従いまして、最低回数を定める必要がない。普通、何といいますか、法律で必ずかようかようの事項は総会の議決——今度部会が出てきますが、部会の議決を経なければならない、こういうことになりますれば、仕事の分量が、一定部会を招集するに、あるいは総会を招集するに必要な段階に達した場合に、総会を開くということになっておりますから、そういう関係規定をしておらない、こういうことです。
  59. 千田正

    千田正君 なまけていれば、開かなくてもいいということになる。総会のことを言っているんです。部会は、それは随時にいろいろな計画をして調査もしなければならない、いろいろな事業があるんだから、しょっちゅう開かなければならないんだが、農業委員会の総会というものは開かなくてもいいわけですか。
  60. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 最低限度必要なのは、予算、決算はかけたがいいと思います。従って、通常の常識に従いまして総会を開けると思います。ただ、二十二条の第四項でありますが、「都道府県知事が第六条第一項に掲げる事項を処理させる緊急の必要があると認めたときは、農地部会会議を開くことができる。」、最低の必要な限度においては、こういうふうに何といいますか、監督規定最低線は保証しておるのであります。そのほかは、農業委員会仕事に応じて総会または部会を開けばよろしい、こういうふうな建前になっておるのであります。
  61. 千田正

    千田正君 それでは、はなはだ明確でない。総会のことを聞いておるんです。そういう部会は、これは随時開かなければならないようにできておるでしょう。総会は一体どうするのかということを聞いておるんです。少くとも農業会議の方は年一回総会を必ず開かなければならないということを、これはちゃんと法律でうたっておって、そうして農業委員会の方では常識的にしかるべく云々というのは、おかしいじゃないですか。部会は開いてもいいが、総会はある場合には開かなくてもいいというんですか。
  62. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど申し上げましたように、予算、決算なり、あるいは今度の改正規定では、六条二項の三号で、振興計画樹立、実施に関する事項で、基本的な方針、あるいは第六条の三項にあります行政庁に対しまして建議し、あるいは行政庁の諮問に応じて答申する、こういう場合には必ず総会にかけ、部会では処理できない。その反対解釈からいきまして、総会を開く場合はそれぞれ出てくるのであります。しかし、その年に、今申し上げましたような建議もないし、あるいは振興計画をやらないということになれば、その点では必ずしも総会を開かなければならないと、こういうふうにはなっておらないのであります。法律の各条項によって総会を要する事項はそのつど総会を開く、こういう建前になっておるのであります。これはなぜかと申しますと、農業委員会の方は法人でないわけであります。農業会議機構は法人になっておるわけでありますから、そこの仕組みは違うのであります。
  63. 島村軍次

    島村軍次君 関連質問。体系としてちょっとおかしいのじゃないですか。総会というものが意思の決定というか——決定でしょう。この規定によりますと、農業委員会というものは総会を、今千田さんのお話しになったように、事項によっては開かぬと、こういう。今度の部会を重視されたということの関連をもって、部会の決定が総会にかわるというようなことは、体系としてはおかしいのじゃないですか。
  64. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農業委員会が、何といいますか、行政機関である委員会の性格と諮問機関である委員会の性格を持っておるのであります。それから都道府県会議は、そういう性格を持っておる委員会のメンバー、それからそのほかの団体が、今度は法人格を持った会議組織しておるのである。そこにこの農業委員会議の性格、末端における市町村委員会の性格というものが、何といいますか、普通の委員会とも違うし、それからまた法人格を持っておらない、こういうふうな性格を持っております。従って、その委員会で決定する事項については、法人組織規定そのままを適用してないのであります。ただ、ここに総会とか部会とか、こういうふうに書いておりますけれども、ほかにいい言葉がないから、委員会としての意思決定の寄り合いの名前としてこういうのを作っておるのであります。千田先生がおっしゃるように、法人でありますと、はっきりしたそういうきめをそれぞれきめなければ、民法その他の法人に関する規定が適用になりますけれども、これは全然別でありますから、その委員会の本来の使命に応じて、必要な場合に全体が寄り合い、あるいはその一部分が寄り合うと、こういうきめになっておるのであります。
  65. 千田正

    千田正君 私はその法文解釈はよくわかりませんよ。しかし、厳重に選挙はやらせておいて、そしてしかも国の予算がある程度これにはついておって、それの収支決算なりをはっきりある程度監督しなければならない立場にあるのでしょうが、その議決する機関がただ部会なら部会で、その議決したままを、政府がそれを認承するという格好になるのですか。私は、少くとも国の予算をつけてやったものであったならば、少くとも農業委員会の最終議決というものは、国に対するところの答申にならなければならないと思う。それだったら、ある程度それを義務づけなければならないのじゃないかと私は思うのですよ。総会というものを開いて、やはり農業委員会の総意をはっきりさせなければならないと私は思うのだが、どうですか。
  66. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど申し上げましたように、予算、決算の責任は、これは市町村の一つの機関になっておりますから、市町村にあるわけであります。補助金もやはり市町村に交付しておりまして、その使い方について委員会として委員会意見をきめるために総会にかけております。従いまして、委員会が、独立の団体なら団体、あるいは独立の機関でなくて、市町村の付属機関でありますから、独立の団体のように、予算、決算等についても、法律上やかましく言うことはかえっておかしいことになるわけであります、付属機関でありますから。ですから、最終の責任市町村に負わせておるわけであります。  しかし、先ほど申し上げましたように、行政機関なりあるいは委員会なり、ある程度運用としては独立な動きをなしておりますから、その寄り合いについて法人的な性格は、何といいますか、にじみ出ておるわけでありますから、この法律規定をそのままごらん願いますと、すっきりしていないという点が出てくるのじゃないかと思うのであります。法律の性格はそういうふうに私どもの方では解釈しております。
  67. 千田正

    千田正君 それでは、市町村会において、この農業委員会の収支その他に対しては、市町村会その他において議決した場合において、国はそれを認めるというわけですね。
  68. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そういうことになります。
  69. 千田正

    千田正君 もう一点。それでは、農業会議所の方は、これは法人組織ですね。法人であって、しかも事業は、事業年度計画して事業をやることになっておるでしょう。これは課税の対象になりますか、どうですか。
  70. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 法人税は免除されております。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 資料の点で。すぐ、手元資料がないと思いますが、もし資料がなくてお答え願えればけっこうですが、本制度運用のために、国なり、県なり、市町村なり、あるいは農民なり、本制度運用のためにどのくらいの予算を要求されておりますか。わかりますか。
  72. 千田正

    千田正君 今の免税されておるということは……。
  73. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 配付資料の中に、二十五ページですか、二十五ページ以下に、予算とそれから委員会当り国庫補助、市町村負担総額、あるいは都道府県会議予算、全国会議所の予算、これを掲げております。これはしかしセンサスで、トータルになっておりません。一応集計のトータルを出しておるのであります。昭和二十九年に法人税法を改正いたしまして、第五条第一項第四号の中に都道府県農業会議、全国農業会議所を加えまして、免税をいたしております。
  74. 千田正

    千田正君 それは二十九年であって、昭和三十二年の三月における法人税の改正によって、法人に対しては全部かけるのですね。この通過した今度の法律はそれに適用になっているのかどうかです。事業を行う法人に対しては全部かけることになったのです。今度の改正法案で。
  75. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それをかけないことになっております。
  76. 堀末治

    委員長堀末治君) これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後一時四十五分開会
  77. 堀末治

    委員長堀末治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。  御質疑の向きは順次、御発言をお願いいたします。
  78. 千田正

    千田正君 午前中島村委員からの御質問がありましたが、知事の権限ですね、非常にその地位は守られているわけです。特に守らなくちゃならなかったという理由はどこにあるのですか。最後において不服があった場合には農林大臣の決裁を仰ぐまで持っていかなければならないほど、知事の処遇をそうした意味において特に守らなくちゃならなかったという意味は、どういうわけですか。
  79. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは衆議院における修正で入ったのであります。そのときの修正理由は、農地問題等は非常に複雑な問題になっておりまして、最近では各地で農地の取り上げ等がありまして、農地の担当の職員身分を保障する必要がある、こういう趣旨で入ったのであります。
  80. 島村軍次

    島村軍次君 ただいまの問題は、修正で入ったということですが、農地部会というものは農業委員会組織から離れて直ちに知事に直属するような感じがするのですが、しかも総会というものを認めて、総会が一体農業委員会意思の決定機関でなければならないものが、農地部会に限っては総会の決定とみなすというような規定があったと思うのですが、そういう関連はどう説明をしたらいいのですか。
  81. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいま御指摘の点は第二十二条でありまして、二十二条の一項で「第十九条の二の規定により部会の所掌に属させられた事項については、部会の議決をもって当該農業委員会の決定とする。」、こういうふうにあります。さらに二項におきましては、「総会は、部会に対し、何時でも、その所掌に属する事項について報告を求めることができる。」また第三項に至りましては、「部会委員以外の委員は、部会長の許可を受けて、部会に出席して意見を述べることができる。」、こういうふうになっておりまして、部会農地問題の事務を処理するが、これは必ずしも、全体を集める煩を避けることにはしておるのでありますが、部会に属しない委員も発言の機会なり、あるいは必要において総会は報告を聴取する、そういうことにいたしまして、その間の調整をとっておるのであります。
  82. 千田正

    千田正君 今、この知事の問題で非常に法的に疑義があるのですよ。ということは、農業委員会というのは農業に対するもろもろの事務執行する機関ですか。そして主事という役目はどういうことなのです、一体。こういう農業委員会において雇用したところの使用人なんですか。一体どういうことなんですか。
  83. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第六条の第一項におきまして、先ほど御説明いたしましたように、農地法によってその権限に属させた農地等の利用関係の調整及び自作農創設維持に関する事項、その他この第一項の事項農業委員会は処理するのであります。これは、その処理はあくまでも農業委員会として権限に属せられておるのであります。で、農地主事はその農業委員会職員でありまして、それが委員会にかける事項を準備いたすのであります。さようでありますから、農地に関する紛議の実際の資料とか、あるいは法律上のいろいろな問題につきまして下調べをいたす、そうして委員会にそれを案として上げまして、委員会として決定をしてもらう、こういうことになっておるものでありますから、法律的には外に向って権限があるというわけではありませんが、しかし、実際縁の下の力持ちといいますか、準備をする毎日々々仕事をしておる職員でありますから、農地問題、土地取り上げ問題等については、委員会にかける議案の整理等について現実的に農家と接触する機会が非常に多いのじゃないかと、かように考えております。
  84. 千田正

    千田正君 私、まことに不敏不学にして、いまだそういう例を私は知りませんがね。こういう職員が一つの執行議決機関よりも重い立場において権力を持っているということは、私はまだ知りませんが、何かほかにありますか。職員の権限が最高のいわゆる長官である直属長官の決裁まで持っていかなくちゃならない、しかも地方的な性格を帯びたものが、最終的にはその最高の行政機関の長に決裁を持っていかなくちゃならないという、そういう職掌がほかの何かにありますか。
  85. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ちょっと御質問がよくわからないのですが、農地主事委員会職員でありまして、権限は何もないわけであります。事実行為として、たとえば農業委員会が、一定規模以下の農地を宅地に転用するとか、あるいは小作人の持っている農地をその所有者に返還するとか、そういうことに関しての農地委員会に対する申請が出てきた場合に、それが申請通りであるかどうかということを下調べいたしまして、それを議案として委員会に対して出して、それで委員会で決定されるのであります。ですから、下調べをやるだけでありますが、実際問題としては、その下調べをする際に現地に行く。実際上農家についていろいろなことを聞かなければなりませんから、そういう意味において農家と接触が出てくると思うのであります。  それから、このただいまお話があった第二十条の第七項の問題で、農林大臣に直結するとかいう……。
  86. 千田正

    千田正君 ちょっと感違いしているのじゃないですか。この「農地主事は、その意に反して、その職務を免ぜられ、他の職務に転ぜしめられ、又は身分上不利な取扱をされた場合には、農林大臣にその事情を述べることができる。」というのがあったのですが、それで第七項において、「前項の場合には、農林大臣は、その事情を審査し、これに対する意見都道府県知事及び農業委員会に述べることができる。」、この農地主事はですね、この身分の保障をですよ、身分の保障を、その行政機関の最高の長であるところの農林大臣にまで、免ぜられたり何かした場合は不服の訴えができることになっておるんじゃないですか。これはそういうふうに修正されたんでしょう。だから、一主事身分をそこまで保障しなければならないということは、どこにあるのかと……
  87. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは第二十条の六項、七項の問題、私ども事務の方で議論いたしますと、いろいろ議論があるわけでありますが、これは国会修正されたものですから、説明の何がないのですが、地方公務員では地方公平委員会なり地方人事委員会なりがありまして、それぞれ同じような救済規定があるわけであります。ただこれと同じような規定がありますのは、たしか統計の主事にこういう規定があるように承知しております。
  88. 千田正

    千田正君 統計の主事というのは、農林省の統計主事でなく、地方のこういう委員会のですか。
  89. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは地方庁における地方職員としての統計主事であります。
  90. 島村軍次

    島村軍次君 もう少しはっきりしておいてもらわぬといかぬと思うのだな。この問題は、農林省事務的に考えればというお話があったのですが、これは同意されたんでしょう。同意されたということに対しては、結局同意者も責任がある。そこでその同意されたということに対する解釈が、そういう場合に農地主事がほかに例のない権限を持っておるということに対しては、何か重要性があるか、あるいは何かそれを認めねばならぬという理由があったと思う。  それと、修正の段階においては、どういう理由でこのことをお置きになったかということ。これは提案者の方がいいかもしれませんが……。
  91. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 修正の経過を簡単に御説明申し上げて、御納得を得たいと思います。  農地部会を特に独立性を持たしていこうという気持は、当時の話し合いのうちに、農地問題といえば多かれ少なかれ紛争に関連がある。まあ少くとも感情のもつれというものが大部分の農地問題にはあるんであるからして、その事務の主任をやる者に対してはできるだけ、検察庁とかあるいは裁判官という程度でなくとも、地位の保障をいたしたい。身分の安定の上に、この紛争にかかわる問題を処理せしめるのが適当であるという、そういう皆の了解に達したもんですから、そこで特に主事身分の安定ということを大きい題目に掲げまして、話し合いの結果こういう結論を得たのでございます。  後に考えてみますとですね、確かにあるいは、地方公務員でありますれば、その身分の保障に関するいろいろな委員会もあるようでございます。しかしながら、これは特に他の例とは違っての紛争問題に関与するということでありますので、重大にこれを処理しようではないか。あるいは屋上屋を重ねるようなきらいもなきにしもあらずでありまするけれども、現在の農地関係の紛争の特に大きいものを対象にいたして考えた場合には、この辺までも一つ保護しなければならぬではないか。一般の場合にはさような程度でなくともいいかもしれぬけれども、極端な場合に対応するためには、特にやろうではないか。ことに農地問題は農林大臣の所管の事項であるからして、それに関連して農林大臣意見を述べる機会を与えるということが必要ではないか、そういう話し合いの結論になったのであります。行政上あるいは他の法令の関係上の問題に関しては、これはまあ一つ農林当局が、それで大丈夫だろうという同意もあったものですから、気持はそこにありまして、単なる屋上屋といったような、そんなような気持ではなしに、特に一つ保護しよう、こういうところにあったのでございます。  なお、また農地部会というものを特別に重要視したことになっておりますが、これは現行法との関連もありまするし、ことにその当時いろいろ問題になった点がございます。それはただいま御質疑のうちに現われておりましたように、どうもこれは、こういうやり方じゃすっきりしないじゃないかということも、もちろん問題になりました。考えてみますと、法人格を持たないというようなこと、あるいはまた行政機関であるというようなこと、こういうような間にあって農地部会というものをこしらえて参りますと、形式的に見ますと、確かにすっきりしないものを感じたのであります。そこで寄り寄り協議いたしまして、それじゃ、その農地部会に対しては、委員全員が、いつ何どきでも参加し得る体制をとろうじゃないかということになって、参加したいといえばそこに参加のできるような体制をとる。ことに総会は、随時これを開いて、その総会において農地部会の報告を常に求め得るという体制をこしらえていこうじゃないかというようなことで、お互いに話し合いの結論を得たのでございます。なお、農地部会は、おそらくいわゆる農地に関する専門の方をこの中に入れるのでありまするから、それ自体、非常に権威のあるものであろう、そういうものになるべく一つ行政指導をもってやっていきたいんだというような気持もそこに加わっておりますので、従って、農地部会の専門的の立場の方をすべてこれに吸収のできる人数にして、そうしてそれにおいて一つ専門にやってもらう、こういった気持が織り込まれておりますので、形式的にはすっきりしないものをわれわれも感じております。しかしながら、実質的には、総員が常に参加し得る、また総員の意向が、専門的な知識を通じて現われてくるようにといったような実質的の効果をねらっておりまするので、あとのこまかい技術上の問題は私わかりませんけれども、話し合いはそういうようなところに落ちついてかような規定になったのでございます。どうか一つ御了承をいただきたいと思います。
  92. 千田正

    千田正君 まあ村松さんはその方の権威であるから、私がこう言ってもだめだが、今お話の農地主事身分の問題ですね、これは単なる身分の保障という問題であれば、あなたの今おっしゃる通りでありましょう。ところが、法の目的は、農業委員会をスムーズに運営する立場に立った場合に、非常に疑点をそこに残す。というのは、これだけの主事にこれだけの力を与えるということは、ある場合においては、チェック・オブ・バランス、農業委員会というものに一応のチェックをする力を与えるというふうに、われわれはそういう危惧を生ずるおそれがあると思うのです。幸いにして、そういうことなくして、節度を守ってうまく運営されればいいのですけれども、一方においては、十分に身分が保障され、不平不満があって、あるいは免ぜられるようなことがあっても、堂々と農林大臣にこれを申告できる。一方においては、十分に、かりに農地部会なら農地部会において決定して、この人間は当委員会運営上おもしろくない、だから免ずるというようなことが起きても、免ずることができないというようなふうな感を与えるほど強くわれわれには響くのですけれども、問題は将来の運営にいって、ある程度委員会の行動なり議決なりというものに、多少制限するという目的があったとすれば、私は考えなければならないのじゃないか、そう思いますので、その点を私はただしたかったんです。
  93. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 職員身分保障の問題でありまして、農業委員会の権限を縮小し、あるいは干渉するような結果にはならないという、そういう理解のもとにかようにいたしたのでございます。
  94. 千田正

    千田正君 しかし、第六項には「農地主事は、その意に反して、その職務を免ぜられ、他の職務に転ぜしめられ、又は身分上不利な取扱をされた場合には」ということになると、身分の保障のみならず、その委員会の議決に対しても当人が服さなかった場合には、こういうことをするというのですから、一応やはり農業委員会の議決に対しても、多少のこれはチェックになると私は思います。それはもう、おのおの見方によって違いますけれども……。
  95. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) まあ職員でありまして、委員会あるいは部会の決定に対しては、何らこれをチェックするものでないという理解のもとに、いたしたのでございます。
  96. 千田正

    千田正君 そうあってほしいと私は望んでおりますが、法は全きを求むるのが立法の第一根本義ですから、その点を一応ただしておいたわけです。
  97. 小林孝平

    ○小林孝平君 ちょっと速記をとめて下さい。
  98. 堀末治

    委員長堀末治君) では、ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  99. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ、速記を起して。  この法律案については、本日はこの程度で質疑を打ち切って、次回の委員会に再び審議をすることにいたします。   —————————————
  100. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案村松久義君外一名提出、第二十五回国会、衆第九号)を議題にいたします。  本法律案は、昨年十二月六日衆議院から送付、同日当委員会予備付託となって、十二月十一日提案理由説明を聞き、その後、継続審査となって今日に至っておりましたところ、去る四月五日の衆議院会議において、全会一致原案通り可決、同日当委員会に付託されたものであります。  この法律案につきましては、すでに提案理由説明を聞いてありますが、その後今日までだいぶ時日がたちましたので、あらためて説明を聞き、続いて審議に入ることにいたします。  なお、この法律案と別に、第二十四回国会衆議院議員芳賀貢君外十二名から、また第二十五回国会衆議院議員小枝一雄君から、それぞれ農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案予備審査のため提出され、いずれも当委員会予備付託となって今日まで継続審議になって一おりましたが、これらの法律案はいずれも、去る四月五日の衆議院農林水産委員会において、議決を要しないものと決定されておりますので、御承知願います。  では、これから説明を求めます。
  101. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案について、昨年度において提案理由は御説明を申し上げましたが、その後時日を経過いたしておりまするので、あらためて補足的に御説明を申し上げたいと思うのであります。  昭和二十六年四月、農林漁業組合再建整備法が制定され、これに基いて今日まで組合の整備強化がはかられて参ったのでありますが、この法律による再建整備期間は五年であって、おおむね昨年三月末をもって終了をいたしたのであります。  同法の適用を受けました二千四百八十の農業協同組合、五百十九の漁業協同組合、六百四の森林組合、合計三千六百三の単位組合、及び百四十二の農業協同組合連合会、三十五の漁業協同組合連合会、三十九の森林組合連合会、合計二百十六の連合会につき、法定目標である増資についての実績を見まするに、三十年度末現在までに、農協六十三億円、漁協三十七億円、森林組合四億円、合計して単位組合については百四億円、連合会については農協連百十五億円、漁連十三億円、森連三億円、合計百三十一億円の増資が達成されているのであります。  このように同法の適用を受けた農林漁業組合の大半は計画通り増資が進捗したのでありますが、次の二点が問題となるのであります。第一は災害その他の原因によって、昨年三月末までに再建整備の目標を達成できない組合もなお相当数存在していること、第二に、再建整備の目標を達成した農林漁業組合は法十四条に基き、再建整備の目標を達成してから一年の後、利息を付して奨励金を償還しなければならないのでありますが、目標を達成した組合の現実は、本法による再建整備措置によりようやく健全な経営の基礎ができあがったにすぎなく、十分に経営の基礎が確立できたものと見ることは困難でありますので、法の規定通り償還を命ずるならば再びその経営を危くするおそれがあると思うのであります。  本法案は、前者についての対策として、再建整備期間を二カ年延長して、再建整備措置を続行させ、これらの組合の増資等に対する今日までの努力を無にすることなく、目標達成を可能ならしめますとともに、後者についての対策として、政令で定められた場合には、農林大臣が大蔵大臣と協議して再建整備組合の健全な経営を持続するため必要であると認めまするときは、その納付を免除し得ることといたしておるのでございます。  ところで、その政令で定めることがその内容をなしまするので、衆議院におきましては、政令内容及び政令運営の方針に関しまして、次のような付帯決議をいたしまして、原案を通過せしめておるのでございます。御参考までに付帯決議を朗読いたしてみたいと思います。   農林漁業組合の今後における再建整備を促進するため、この法律制定後、同法第十四条ただし書の規定に基いて定める政令は左記の内容を含むものとし、農林漁業組合がこれに該当する場合は、政府においてすみやかに奨励金の納付を免除するよう同条を運用すべきである。      記  第十四条ただし書の規定に基き政令で定める場合は、当該農林漁業組合が全国の区域未満の区域を地区とするものである場合及び全国の区域を地区とする農林漁業組合にあっては第四条第一項各号に掲げる再建整備の条件をみたすに至ってから一年を経過した日の属する事業年度の終了の日における第二条第二項に規定する準備金の額が同日における出資金の額の四分の一に達しない場合とするものとすること。  右決議する。   昭和三十二年四月五日       衆議院農林水産委員会  かような付帯決議を付しまして、去る五日、衆議院を通過いたしておるのでございます。  以上御説明を申し上げました。
  102. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから本法律案の審査に入ります。御質疑の向きは順次、御質疑願います。
  103. 島村軍次

    島村軍次君 協同組合関係の部長おいでになっておらぬようですが……。まあ局長がおいでになればいいですな。  それでは、ただいま衆議院において付帯決議がされたようでありますが、この付帯決議は従来の付帯決議と違いまして、相当内容に入ってのことのような決議であると思います。免除すべきであるとか、あるいは全国の云々、四分の一云々まで及んでおられるようですから、その付帯決議になるまでに至る経過なり、それから大蔵大臣との協議になりますから、政令の問題はこれは大蔵省との間の了解が十分できなければだめです。大蔵省との間の了解が十分できておるかどうか、付帯決議だけでははなはだ不十分だと思うのです。その点を一つ御説明を願いたいと思います。
  104. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) この付帯決議は、政令内容及び政令の運用の方針を委員会意思を表示したのでございまして、これに対して農林省及び大蔵省各政務次官が、いずれも内閣を代表いたしまして、この趣旨を尊重してその趣旨の実現のために努力する。特に農林次官よりは、農林省としてはその趣旨を誠実かつ責任をもってその内容を実現いたしますということの言明がございました。以上御報告を申し上げます。
  105. 島村軍次

    島村軍次君 仄聞するところによりますと、この問題に関しては大蔵省はなかなか難色を事務的には示しておる、しかもその最後の積立金、出資金とかという四分の一のその事項については、全購連だけを除外するんだというような意味のことも承わったんですが、第二項についてはもう一ぺんはっきり説明を願って、しかもその内容についてもう少し詳しく御説明を願います。
  106. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 先ほど補足説明で申し上げた通りでございますが、全購連ほか全国を地域とするもののうちに数連合会が、あるいは四分の一の線に達したるものがあると思うのでございます。そういうものは……全国連にないというまあ話もございまするが、これはもう経理の考えようによると思うのでございまして、まあ大蔵省はいろいろな点から、全国連にあるような解釈もいたしておると聞いております。しかしながら、われわれとしましては、全購連はこれはもう特殊な現状であるというので、期せずして全購連だけはこれはとって差しつかえないというようなことに一致をいたしたのでございますので、そこで大体において全購連のみを目的としてこれは免除をしない、その他のものについてはその努力を無にしてはいけないからして、かつまた基礎が十分できないというので、数え上げればあるいは百幾つというものがあるらしいのでございますけれども、これを一つおしなべて免除をしようではないかと、こういうのが今の政治的の解決に相なったのでございます。  その点に関しては、大蔵省も確かに事務的の反対の意見も聞いております。また、それに対して妥協案も示されておるのでございまするが、何と申しましても、必要であるというわれわれの認識は、ついに大蔵省の事務的の話を超越いたしまして、かような決定にいたしたような次第でございまするが、本日、先ほどの大蔵省としての言明に対して、大蔵政務次官に私直接、その意味はどうなんだと言ったら、それは必ずやるつもりでございますと、こういうその委員会外の答弁もございましたので、あわせて御報告を申し上げておきたいと思うのでございます。
  107. 島村軍次

    島村軍次君 ちょっと、付帯決議の第二項をもう一ぺん読んでみて下さい。刷ったのがあればいただきます。
  108. 堀末治

    委員長堀末治君) 配ってありませんか。(「配ってある」と呼ぶ者あり)
  109. 島村軍次

    島村軍次君 それじゃ、よろしゅうございます。  そうしますと、「準備金の額が同日における出資金の額の四分の一」というのは、これは読めばわかるのですが、結局事業年度の終了日の属する年度と、こういうことで、具体的にいえば、昭和三十二年三月三十一日までと、こういうふうな解釈になりますかの現在と、こういうことになりますか。
  110. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) その通りでございます。
  111. 島村軍次

    島村軍次君 それから、この法律によりますと、施行期日はどうなるのですか、衆議院修正された関係からいって。
  112. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 適用は昭和三十二年三月三十一日でございまして、施行は公布の日でございます。
  113. 島村軍次

    島村軍次君 そうすると、具体的にいえば、遡及してやると、こういうことですね。
  114. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 遡及適用になるのでございます。
  115. 島村軍次

    島村軍次君 衆議院のせっかくのお骨折りに対しては、非常に敬意を表しますが、どうも付帯決議では少しもの足りないような気もするのですが……。少しでなしに、大いにもの足りないと思うのですが、これは何か特に修正でもされるという御意向があったのですか。付帯決議にとどめたそのいきさつを、もう少し、ちょっと詳しく……。
  116. 村松久義

    衆議院議員村松久義君) 特段のいきさつはないようでございますが、付帯決議を付し、これに対して政府同意をするというのでありますので、その実現は必ずできるものと、こういう点から、付帯決議にいたしたのでございます。これを十四条の本文に掲げますることは、最も強いのでございます。いわゆるいきさつといわれますることには、もともとこの案は、十四条を全面的の削除をするというその案と、とるべきものはとろうじゃないかといったような法律的の原則との調和を求めまして、かような点に落ちついたのでございますので、従って、本文にこれを掲げることをせずして、付帯決議により、政府意思表示を待ってその実現を期したい、こういうところにまとまったのでございます。特段の理由があったわけでもないのでございます。私どもは結局その目的が達成されるという見通しのもとに、各党が一致をいたしたのでございます。
  117. 島村軍次

    島村軍次君 私は、この際明らかにしておきたいと思います。それは、農林漁業再建整備法の法律は、制定当時は占領下にあったわけです。そうしてその当時のGHQの意見としては、やはりこの第十四条の規定を、返還せしめるという規定を強く主張したことを記憶いたしております。同時に、大蔵省内部におきましても、GHQの指図があったんだから、これはまあ法律に入れると、しかし実際問題としては、将来返還を命ぜられることはないという了解があったやに承わるのです。同時に、農林省の指導方針としては、これは公然と返還をせしめないということを指導方針とされて、そうして各地の会合等においては、そのことを公けの席において発表されておることは、これは周知の事実なんです。その点から考えますというと、今日この数年を経過して、協同組合が基礎の堅実になったことは認めると同時に、その経過から考えますというと、十四条に明らかにされておりますように、基礎の「健全な経営を持続するため必要があると認める」ということは、究極するところ、提案理由にありますような理由から出ておるのだとは考えまするが、しかし町村内容なり府県の連合会等においては、返還せざるものということは、これはもう常識になっている。その今日までの経緯もよく知っておるけれども、その常識的な経緯をはずして、この際まだはっきりせぬということに対しては、これは政治の要諦では私はないと思う。  そういう点から考えて、農林省はこの問題に対して、さきに指導方針を公けの席で発表されたことに対して、局長もかわり、大臣もかわっておられますが、お認めになると同時に、この問題に対してははっきりと、経営内容を調べた上で、大よその府県段階及び町村段階の協同組合に対しては返還を命じないという措置を講ずる責任を、十分に事務的にもお持ちになるかどうか。これは局長から一つ御答弁をいただきたい。
  118. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 改正案あるいは付帯決議の趣旨、審議の経過、十分承知いたしますので、その趣旨に従って善処したいと思います。
  119. 島村軍次

    島村軍次君 私が申し上げた経過は、間違いないでしょう。
  120. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この法案審議の経過は間違いありません。過去のことはつまびらかにいたしません。
  121. 島村軍次

    島村軍次君 再建整備法の制定当時の指導方針なり、それから各会合等において、農林省がそういう指導方針をおとりになったことに対しては、肯定されますか。
  122. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) つまびらかにいたしません。
  123. 島村軍次

    島村軍次君 それはちょっとおかしいと思うのですがね。これは公けの席で、委員会において私がそういうことを、とことんまではっきりと、当時のことを言明せよということは、あるいは無理であるかもしれませんが、しかし、これは公然の秘密と言えば語弊があるかもしれませんが、ほとんどこれは常識になっている。これはむしろ、今後は政令の施行に当って、これは農林当局と大蔵当局の間に相当な事務的な折衝が重ねられたと思うのです。その場合、この問題はさかのぼって、今の大蔵大臣池田さんの時分ですから、これは速記録に明らかにとどめてもらいたいと思うのです。これは池田さんもそういう言明を当時されたということを、われわれも承わっております。そういう問題は、この際むしろ、つまびらかにせぬと言わずして、そういうふうなことの経過があるということは承知しておると、こういう御答弁であるべきだと思うのです。どうですか。
  124. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 衆議院審議の際に、参考人の意見を聴取した際に、そういうお話が出たのです。そういう経過も、この改正案審議の過程において一応、いろいろな方面の意見はつまびらかにしておりますけれども農林省が、何といいますか、正式の文書、あるいは正式の手続を経て、どうこうと言った、こういう点になりますと、これははっきりいたしませんから、ありのままを申し上げておるのでございます。
  125. 島村軍次

    島村軍次君 きょうは、大蔵省関係は御出席になりませんか。
  126. 堀末治

    委員長堀末治君) 来ていません。
  127. 島村軍次

    島村軍次君 それじゃ、次回でもけっこうですから、当委員会としてもその点は、衆議院において相当御審議にもなったことでありましょうが、ぜひ御出席を願って、確めた上で態度を決定いたしたいと思います。
  128. 堀末治

    委員長堀末治君) 次回の委員会にはぜひ両省の政務次官にも出ていただくことにいたしたい、かように考えます。
  129. 島村軍次

    島村軍次君 大臣にも出ていただきたい。
  130. 堀末治

    委員長堀末治君) かしこまりました。大臣にもできるだけ出ていただくように取り計らいます。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは、大臣にぜひ出てもらって下さい。これは提案者の方にも私は次回に伺おうと思うのだが、農業委員会法改正にしろ、団体の問題は、今度出されたものが最終的のものとして出されたのか。これも現行の団体法と同じように、暫定的の措置として出されたのか、そういうことについて伺わなければいかぬと思うのですね。そういう根本問題について伺わないと、この根本問題が解けてきませんと、一応この木曜日にやるそうですが、この農業委員会法にしても審議の仕方が違ってくるのですよ。とりあえず、ここで現行の団体法と同じように、次回において適当な機会に根本的に団体についての再編成法案を出すのだということで、とりあえず出したというのか、それとも、これを最終的な改正案として出したのか、ここらのところをちょっと私は提案者の先生にも伺いますが、大臣にも一つ御意見を伺わなければいかぬと思う。大臣はぜひ一つ出て下さい。
  132. 堀末治

    委員長堀末治君) かしこまりました。さように取り計らいましょう。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  133. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて。  本法案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  速記をとめて。    午後二時四十六分速記中止    —————・—————    午後三時四分速記開始
  134. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  委員派遣の件を議題にいたします。  去る四月四日から六日まで三日間、積雪寒冷地帯の実情調査のため、新潟県に委員派遣が決定され、お出向きいただきました各位におかれましては、御遠路御足労をわずらわし、ありがとうございました。  ただいまから御報告を伺うことにいたします。
  135. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいま委員長からお話のありました、新潟県における積雪寒冷地帯の実情調査のために参りまして、一昨夕帰ってきたわけでございますが、その大要を御報告いたします。  派遣議員は河野委員と鈴木委員と私の三名で、四月四日から六日まで三日間にわたって、第一日に長岡市、次に小出町、十日町市、最後に高田市を視察調査いたしました。  以上各地のうち、長岡市の市街地は特に除雪機を運転して除雪し、高田市は自衛隊により、また小出町の一部では流雪溝による除雪等のため、比較的積雪量は少かったのでありますが、同じく市街地でも、十日町市のごときは積雪が人家の二階に達するほどであり、なお各地とも一歩市街地を離れた周辺の耕作地帯は、まだ深い雪におおわれて、いわゆる近年まれな豪雪であることが痛切に感じられました。  第一日の長岡市においては、県及び市当局、その他農業団体代表者等から実情を聴取したのでありますが、要するに、本年の積雪は昭和九年、昭和二十年の豪雪に次ぐものであって、積雪量は三メートルから四メートルに達するほどであり、その量が多いばかりでなく、初雪から根雪となり、融雪の時期までがきわめて長期にわたることが特徴でありまして、例年ならば三月中に消えるのが、今なお積雪は深く、おそらく五月初旬でなければ消えないものと予想されておるのであります。  従って、稲作において、播種、田植がそれぞれ十五日、二十日のズレを来たし、勢い病虫害の多発等も予想され、その他の農作物の被害についても憂慮すべき状態にあり、すみやかに適切な施策の手を打たなければ、農業生産は適期を逸して、はなはだしく減産を来たし、容易ならぬ事態を招来するおそれがあるのであります。  地元県としては事態を憂慮し、消雪応急対策隊を組織して、また農協等の指導組織を動員し、末端の農家に対し警告を発し、消雪、改良苗代の造成、適期の田植に備える技術指導面に万遺憾なきを期しておるものの、減産を極力防止し、農家経済の破壊を阻止するためには、国の適切かつ強力な施策と援助を要望いたしておるのであります。  次いで、長岡市にある積雪科学館を視察し、雪に関する各般の資料を参観した後、県立の農事試験場を視察しました。試験場では、積雪による被害対策等につき、その所見をただしたのでありますが、冬季作物において麦類のさび病による被害が予想され、今年の麦作は全滅の状態にあり、その他レンゲ、菜種、桑等の被害、それに対する施肥、稲の品種の選択等、各般にわたり十分な考慮が払われなければならないこと、及び雪どけと同時に、各種の農作業が集中するための労力の問題等につま、意見の開陳がありました。  第二日目の五日には、小出町の蚕業試験場支所におもむき、付近の町村長及び農業関係者多数と会同、それぞれの代表者からの陳情を聴取いたしました。すなわち。多雪地帯では、作業場、畜舎等を本屋内に入れるため敷地面積が大きくなり、あるいは積雪の被害に対し、家屋の構造をがんじょうにしなければならないのみならず、雪おろし等の家屋倒壊の防止のため奔命しておる状態でありますが、かかる特殊事情にあることが考慮されず、いたずらに高額の固定資産税が課せられておるので、軽減されたいとの要望があり、また試験場長からは、春蚕の掃き立てがおくれ、耕作との労力の競合問題、及び桑の胴枯病の発生、ネズミの繁殖による桑の急速な被害が起り得ること、融雪がおそいため、桑の急速な伸び方によりやわらかい葉を食う蚕の膿病発生のおそれがあり、例年よりも多い施肥が必要とせられること等が述べられました。それから金融等も返還期間の延長を考慮してもらいたい旨、また政府の施策として、補助から金融政策に転換せられたが、これは当地方のごとき特殊な所では、両方でやってもらわなければ困るので、その特殊事情を無視した全国一律の方策では適切でないという陳情もなされたのであります。  次は、十日町市におきましては、農林省の森林試験地を視察し、多雪地の立木の被害状況、林業対策等につき研究結果の発表を聞き、次いで市役所におもむき、参集した数十名の豪雪対策協議会に臨み、陳情を受け、またわれわれ委員からも意見を述べて、対策につき質疑をかわしました。  第三日の高田市におきましては、国立の北陸農業試験場を訪れ、本年のごとき豪雪に対する米作に関しての対策を聴取し、その他参集の町村代表者から、農民は消雪に大わらわになってはいるが、国としても適切な方法をとられたい旨の陳情を受けました。  各地の視察調査の概要は以上の通りでありますが、県におきましては、各地の実情を総合勘案して次のごとき各種の施設を計画し、その総事業費四億八千余万円を予定し、これに対し国庫の助成金二億三千余万円を要望いたしておるのであります。その内容は、第一、耕地に散土して消雪を促進することが根本的施策であり、苗しろ用地の除雪とともに、自家労力以外の雇用労働力に依存すべき事業費の八千百八十二万円。第二には、健苗育成促進施設で、昨秋から始めた保温折衷苗しろの普及をはかり、本年新しく増加する保温折衷苗しろ設置のため五千四百七十六万八千円。第三に、予備苗しろの設置に九百七十万二千円。第四は、水稲水口被害防止施設として、水口の青立ち被害防止のため、ビニール分散板による水温の上昇をはかるための費用六千九十万円。第五には、農作業促進対策として、水田の整地作業の促進をはかるため、動力耕転機を徹底的に活用しようとするもので、その移動、燃料、及び修理費として三千百五十万円。第六は、病虫害防除対策で薬剤、機具の購入費一億九千百三十万円。第七に、桑園樹勢回復施設として、平年施肥量の二割増施の費用として三千百八十四万六千円。第八に、桑園の改補植施設として、桑苗、肥料等の購入費千九百二十八万八千円。最後に、緊急対策指導のための経費五百万円等。  地元の要請は以上の通りでありますが、これらに対する施策は一刻を争うものでありますので、緊急に救援の手を差し伸べなければならないものと感じたのであります。政府においては、予備費支出その他によりまして、補助政策なり、天災融資法等による金融の方途なり、急いでこれが対策を樹立されて救援策を講ぜられるように、要望いたしたいのであります。  以上御報告申し上げます。
  136. 堀末治

    委員長堀末治君) ありがとうございました。  ただいまの御報告に対して御質疑の向きは、順次御質疑を願います。  なお、農林省から大臣初め、官房一長、振興局長、経済局長、その他お見えになっておりまするから、農林省に対しての御質疑もあわせてお願い申し上げます。
  137. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も秋山委員と同道して現地の調査に参ったものでありますが、今秋山委員から調査報告を申し上げた通りでございまして、ただ県当局、地元からの要求につきましては、多少数字的に検討の余地もあるかと思います。また、その緊急の度合いも多少あると思います。しかし、前後して農林省からも現地の調査に行かれたはずでありますから、農林省から現地の調査に行かれました結果、まだ大臣の手元まで行かなくても、局長手元では少くとも調査報告がまとまっていると思います。それによって現在までどういう手を打たれましたか、また打とうとしているか、これを一つ政府の方から伺いたい。
  138. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま秋山先生より豪雪に対しまする現地の実情の御報告を伺いました。また、ただいま河野先生よりも御意見を承わったのでございまするが、私の方も、本年は昭和九年及び二十年に次ぐ、またそれに匹敵する大雪害である、こういうような実情を了承いたしましので、四月の二日より五日間にわたりまして、技術官を五名ほど派遣いたしたのでございます。  その報告によりますというと、ただいま秋山先生より御報告になりました大体の事情と、そっくりそのままの事情であるのでございまして、私の方といたしましては、現地におきまして農業協同組合市町村長並びに県、並びに国の試験研究機関及び改良普及員を動員いたしまして、まず雪の解消、散土解消を、これはまっ先にやらなければならない、こういうようなことで、現地の指導をいたして参ったのであります。  ただいま秋山先生よりお話のありました補助施策につきましては、本日の朝私ども手元に参っておりますので、今後の現地の、県の施策の実施状況とにらみ合せて討検することにいたして参りたい、かように考えております。
  139. 河野謙三

    ○河野謙三君 調査の報告にもあると思いますが、事は非常に時間的に急がなければならぬ問題です。それは私の想像では、この十日間にすべての手を打たなければ、せっかく手を打っても意味のないことになると思うのです。そういうことについて、時間的に局長のところで、いつまでに対策をまとめてわれわれのところに御報告がいただけるか、大体の時間的のめどはどうなっておりますか。
  140. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これは直ちに実施いたしまする問題といたしましては、苗しろ及び本田の散土消雪ではなかろうかと思うのでございます。ただいまお話のありましたように、麦その他冬作物のいわゆる施肥の問題、桑の施肥並びに病虫害対策ではなかろうかと思うのでございます。その後は、いわゆるできるだけすみかに、本田の植付を時期におくらさぬように実施すること。同時に、もう一つは、いわゆる予備苗しろと申しますか、委託苗しろと申しまするか、少し時期がおくれまするので、いわゆる本田植付の本数が増加する傾向にございますので、予備苗しろを直ちに設置せしめる、こういうようなことがさしあたりの対策ではないか、かように考えております。
  141. 河野謙三

    ○河野謙三君 それらの対策を現地の農民なり自治体が積極的にやるためには、ここにまず政府の態度ということがはっきりしませんと、積極的には出てこれないわけなんです。現在でも散土消雪をどんどんやっております。しかし、これは一部の限られた農民、一部の限られた地区だけがやっておるのであって、全面的にやるためには、あまりにも経済的に恵まれないのですね。そこで、そういう散土消雪を積極的にやれ、その他の緊急対策をやれというのには、その裏づけとして、政府が、現地が要望するようなたっぷりというわけにはいかぬでしょうけれども、ある程度のこれこれの保護助成はしてやるという態度を、ここで早くきめてもらわなければいけないと思うのです。打つべき手はわかっているのです。盛る薬はわかっているのです。熱をさますために、アスピリンさえ飲めばいいということはわかっている。ただ、そのアスピリンを買う金がないのです。その金をどうしてやるかという、そのことをきめてやればいいと思うのです。金はあとでもいいと思うのです。そういう点について、局長がもしまずければ、大臣から、一体これを補助するのかしないのか、それを大体聞かしてもらいたいと思う。
  142. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) ただいまつぶさに現地の報告を承わりまして、豪雪の被害がきわめて甚大であることを承知した次第でございます。本年の異常気象はそのほかにもいろいろと憂慮すべきものがございましょうが、この豪雪地帯、これはあるいは非常に局地的であるかもしれませんが、いろいろ資料を拝見いたしまして、非常な甚大な被害のように察せられるのであります。そこで、まあ問題は、端的にこれを救済する道いかんということに相なりますが、実は私も局長ないし現地を踏査した者からのごく概略的な報告をきょう聞いたのでございまして、これから鋭意対策を立てたいと考えております。御承知のように、たとえば農薬散布の問題でありますとか、あるいは保温折衷苗しろの温床紙の問題等は、これを助成から改良資金の方に切りかえて処置をしているわけでございまして、まあそういった金融措置では非常になまぬるいというお考えでございましょうが、従いまして、これを補助対象として政府の助成をする、こういうことが御要望される点だろうと思うのでございます。これらにつきましては、最近としての例は、こういう豪雪の救済措置は例としてはないのでございまして、新しい機軸を開くということでもありまするので、御趣旨の線に沿いまして、私ども鋭意これから取り急いで、これは政府部内でもいろいろ相談をしなければなりませんので、なるべくすみやかに一つ当委員会政府考え方を申し上げたい、かように考える次第でございます。
  143. 河野謙三

    ○河野謙三君 くどいようでありますけれども、この対策を立てていただいても、それが時期を失しますと——私は十日間だと思うのです。ここの十日間のところだと思うのです。きまらなければ何も意味がないということと、もう一つは、急いでいただかなければならぬことは、えてしてこういう問題は、政府がゆっくりと取り上げておりますと、その間にいわゆる便乗派が出てきて、対象地域が広がるのですよ。それは大臣よく御存じだと思います。そういう面から、私ども政府の財政事情も知っておりますから、何でもかでも出せというわけにはいきませんから、ほんとうに今度問題になったような、実際に実害を受けている地区だけに限ってやればいいと思うのです。それをやるためには、やはり急がなければ便乗派も出てくる。  余談になるかもしれませんが、現地に行きまして、各地でいろいろ説明を聞きますと、昭和九年が大雪であったとか、二十年が大雪であった、そのときこうであった、ああであったという説明が非常に多かったのです。そこでわれわれの方では、そういう過去の経験を聞きに来たんじゃないんだ、それはちょうど病理学を聞いているようなものであって、われわれは病理学を聞いているんじゃなくて、その病理学に基いて、臨床医学としてどうしたらいいかということを聞いているのだから、早くこれをやらなければいかんじゃないかということで、実は今お手元に行っております、われわれの手元に来ております新潟県の要望というものは、たしか午前三時か四時まで徹夜をして作ったはずです。こういうお答えを出したはずです。ですから、これは多少農林省としても検討する余地はあるのじゃないかと、私は思うのです。思いますけれども、ともかくさっきから、るる申し上げておりますように、時間的に一つ、対策がずれた場合には、意味がないということだけは、十分一つ大臣御承知願って、特にわれわれのような暖かい土地の生まれと違って、大臣は、新潟ほどじゃないけれども、長野というと雪の多い所で、やはり雪に対しては非常にお察しもあると思うので、事務当局もうんと督励されまして、至急対策を立てて、われわれは金額は幾らでなければいかぬということまでの検討はまだ済んでおりません。しかし、至急当委員会にも御報告を願いたい。それを重ねてお願いしておきます。
  144. 東隆

    ○東隆君 ただいまの話を伺いまして、早く対策を講じなければ、早場米地帯としての新潟の水稲作は非常に危険に瀕しておると思うのです。そういう意味で、ぜひ早急に対策を立てていただきたい、こう考えるわけであります。  で、河野さんは、便乗組が出ると、こういうふうに今言われましたが、実は私、北海道の方を、昨日道の方に言って調べさせたわけです。で、無電でみな来ておりますが、それによりますと、裏日本側の方は全部雪が多いのです。ことに昨年の暮れに根雪になったときに非常に早かったもんですから、今年は雪が非常に多いわけです。で、北海道で一番おくれておる、これは宗谷線あるいは道南の方です。十日から二十日というのが、これは一般におくれておると思う。そうして二十日以上何日になるか、見当がつかないというような所が出てきておる。そんなような状態で、今年の雪はおそらく裏日本ずっと通して、早場米地帯ですね、そういうような地帯というのは大ていこれは、そういう目に会っておる。  それで、もちろん北海道では以前から、温床苗しろであるとか、あるいは土をまいて早く雪を消す方法なんというものは、ずっと昔からやっておりますけれども、特に今まであまりおそくならなかった所は、まだなれておらないと思う。そんなような関係で、国が大きくこの際、裏日本ずっとかけてやはり呼びかけて、そうして対策を講じなければ、今年は大へんなことになる、こういう心配があるのです。それで、今当面の問題と同時に、これから関連をしていろいろな病害だの何だのは、これは当然起きて参りますから、一つそういうような面もあわせて、これはあとでもいいですから、お考えに一なって、そうして周到な一つ策を立てていただきたい、こう考えるのです。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 私、雪害地の関係者でありますから、せっかく見えていただいたお方のお話を、先に聞いていただいた方がいいと思いまして、かけ引きなしの現地の状態をお聞き下さって、何とかしてやろうという考え方も出て参りますことは、非常に期待するところであります。  そこで、本年の雷が、先ほどの秋山さんの御報告にあります通り昭和九年、十九年、今年、これはほとんどほぼ同じであります。そこで昭和九年の積雪量は一二百八十四センチメートル、二十年が四百二十五センチメートル、こういうようなふうで、二十年の方は雪の量が多いのであります。そして積雪期間は、九年が百四十四日、二十年が百五十七日、こういうように、二十年の方が大体、雪の量としましても、積雪期間にしましても、多くなっておるのでありますが、昭和九年の年は何ら政府の施策でかまわれないで、自然にまかした、こういう状態でありまして、従って、少し年をとった人はすぐわかりますが、九年の年は東北においては飢饉が起きて、松の皮まで食べた。われわれ北陸方面の人は、農林省へ半鐘をたたいて、そうして農民が集まって救援米の要請に出てきた。そこにはいろいろの悲劇も起きたりして、救援を願ったというような大惨事を招来したことは、少し年をとった人ならすぐわかるのであります。  ところが、二十年の年になりまして、戦争の末期でもありますし、食糧事情の窮迫から、国が思い切って、新潟県におきましては二百五十三万円という金を投じてくれたのです。これを今のレートになおすと、大体七億円から十億円くらいになりはしないか、こう言われておるのですが、これを出しました結果がどういうことになるかといいますと、収穫において昭和九年が一石、昭和二十年が一石二斗六升、二斗六升の増産を見ておるわけであります。条件が悪くても増産を見ておるのであります。しかも二十年の年におきましては、御承知通り、農薬もないのであります。若い者は全部兵隊にとられて、労働力もない。肥料もない。ないないずくしの中で、土地はずいぶん手放された、こういう悪条件の中で増産しておるのであります。これは、国がここで思い切って二十年のごとく施策をしていただきますならば、おそらくかまわぬでおいたら五割減くらいの凶作になるやつを、二割くらいの凶作にとめられるのではないか。  この数字は農業共済等、この条件を調べてみましても、昭和九年におきまするところの共済の被害率ですが、これが五・二五%になっている。二十年が四・六%になっている。二十年の年は被害率が非常に下っております。その結果、国が負担して払いました保険金が、二十年におきましては一億二千万円、それから九年の年には約二億円を支払ったのであります。今、秋山さんの言われる通り、せいてここで共済金で散土消雪とそれから保温苗代、その他苗代の手当を今すぐやってもらいたい。そしてこれを十日間くらい早めて、ふやすことができますれば、これは少くとも半減する。二割くらいでとまるのじゃないか。共済金を全部投げ出すならば、ほかのものが全部助かるのじゃないか。そういう建前に立って計算してみますと、米の減産率において九億八千万円くらい減産するのじゃないか。その上及ぼす影響が直ちに地方税の方へ響いて参りまして、そして地方税はこれもとうてい徴収ができませんから、交付金でもらわなければならぬ。要保護世帯家族はだんだんふえてくる。まだそういう状態のうちはいいですけれども、道徳的に人心が頽廃して、売春がだんだんふえてきますとか、子供を遠い所へ売りますとか、犯罪が起きるとか、及ぼすところの影響は重大なものが考えられると思う。そういうことは考えられないことはない。今までもたくさんある。山形県でも、この間の凶作のあとには、子供を売ったというので、大騒ぎしている。こういうことを考えましたならば、私は少くとも国がここで思い切って、今一億五千万円の金があればよろしい。  そうして局長などのお話を聞きますと、こういう指導をしてというのですが、指導はもう要らないのです。これは最近の新聞を読みますと、農林省振興局農産課の鈴木技官、同局研究部橘高技官は、田辺県議、石井県農業改良課長とともに五日、南魚等を回られた。そしていろいろそういうものを研究して帰られたが、「なお北部改良普及所では事務所内に豪雪対策本部を設け各農協に農業関係相談所を開設して相談に当っているほか、地元中学生徒の協力で消雪運動を展開、また有線放送、チラシなどで豪雪克服に大わらわとなっている。」、大わらわになっているが、まだ足りないものは金だけなんです。実際問題として金だけなんです、もうあとは。この上金を出してもらえば、何も指導することもなく、一丸となってこれをやり通すことは明瞭なんです。  そうしてこれだけの国の損害、あるいはその上、ただ米だけの問題じゃありません、もしこれを放置しておいて、一朝南風とともに暖かい雨でも降って参りましたならば、これは急激に、一時に水がふえます。従って、ある地区におきましては、川を全部この通り数千人の人間が出て、数キロにわたって掘るわけです。何のために掘るかといいますと、そういう水が出て参りますれば、直ちに雪の上を水が走って、そうしてこれは停車場です、地上から見ますれば六尺も高い所にある停車場が、この通りの水になっている。水は下からだけ流れてくるのではありません。この降雪の中に出て参りまする水害は、天窓の一番上から水が入ってくる。寝ているところに、顔からばしゃばしゃ水が入ってくるので、縁の下から来るのじゃないのです。こういう水が落ちてきて、あらゆる被害を耕地にも与えるであろうし、堤防にも与えるであろうし、家屋にも与えるであろう。あらゆるものに与える。これはまあとうていその災害の被害があったものは、なまぬるい五億や十億、二十億の金でおさまるべき問題でないと思う。これを散土消雪することによって一時に十日間くらい消雪しますれば、その損害もまた取り除かれると思う。  こういうことを考えてみますれば、国が、少くともすぐ閣議でも開いて、あすにも一つ一億三千万円、五千万円くらいのものを持って、農林大臣が先頭に立って飛んで行ってもらいたい。この前われわれの所で災害のありましたときに、廣川さんが来てくれた、河野さんがきてくれた。ちゃんと見ていって帰りますと、すぐ出してくれる。これくらいのやっぱり機敏さをもって、一番年の若い井出農相は一つ、朝の「佐渡」で行って晩の「越路」で帰ってきても間に合いますから、ちゃちゃっと行って、ちゃちゃっと帰ってきて、ちゃっとやって、この二、三日の間に対策を立てていただきたい。御決心がつきませんか。  ただいまの場合でありますると、出す金がないとかどうとかいうことになりまして、ぐずぐずしている間に、みんな干上って死んでしまう。一体、大体このまま放置して過ぎましたあと、この貧農地帯におきますところの農業経営をどうしていくつもりなのか、これだけでも等閑に付せられない重要な問題である。すべてが山間地であります。五反百姓地域であります。これは一つ新潟県の問題だとか何とかということを忘れて、徹底的な方策をあすにも——あすではおそいと思う。これから一つやってもらいたいと思います。  農林大臣はけさ聞いたなんて言っておられますけれども、ちょっと私は不満なんです。なぜ不満かというと、先日、くにの方で新聞を見ておりますと、農林大臣は、石田君の陳情を受けて、ちゃんと善処しますというから、もう善処できたんだろうと思ったら、けさ聞いた、これからだ。これでは、全く現地のことがよくおわかりにならないから、そういうことになるんじゃないかと思う。現地を実際に見ていただいて、これを始末しなかったならば、あとは重大な問題が出る。やれば、今申します通り、九年と二十年を比較したがごとく、はっきりと効果が現われる。いま一度、一つ農林大臣のほんとうの決心を聞かしていただきたい。
  146. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 清澤さんから、現地の実情に即した実況を伺いました。非常に重大な問題と考えております。先ほど申し上げましたように、鋭意取り急ぎまして、これが対策に遺憾なきを期したい、こう考えております。
  147. 島村軍次

    島村軍次君 だいぶ皆さんから御意見が出たようですが、積雪に対して、災害と同じように取り扱った例は過去にあったと思います。農林大臣も御記憶があろうと思います。そこで、経済局長はお留守かもしれませんが、天災融資法の関係で、積雪に対する対策ですね、具体案ができたら、それに対する融資の道も考えられるんじゃないかと思いますが、天災融資法で考え得るかどうかということはどうですか。これは前例があると思います。
  148. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいまお尋ねの問題は、一昨年でございましたか、凍霜害の災害に対して法律を作りますとき、北海道で融雪によりまして水が出まして、農協の倉庫にありました肥料でありますとか、農家が買い入れた肥料等が流れましたために、それをもう一度買いますための資金の貸付をいたしました例がございますが、先ほど来のお話を伺っておりますと、この法律では、減収が起ったときに初めて指定をいたす建前にこの法律がなっておりますので、もしも先ほどの清澤さんのお話のように、雪どけがおくれたために、秋になりまして六分作でありますとか半作になりました場合に、それを補填するための指定は可能であろうと思いますが、今直ちに指定する  ことは困難ではなかろうかと思います。
  149. 島村軍次

    島村軍次君 大体、まあ天災法の考え方というものはそういうことであることは知っておりますが、そこで今の法律なり、それから補助対象というようなものから考えますと、実際問題として、なかなか農林大臣も頭を悩まされると私は思う。そこで、結局改良基金ですか、こういう問題が一番早く考えられるんじゃないかと思います。手を打つことは、経験を持っておられる新潟であるし、ただいまお話しのように、一口もほおっておけぬというのが実情だと思いますから、利子補給の道を講ずるということになれば、予算措置も要るかもしれないが、究極するところ、金を出して、災害の場合のつまりつなぎ資金というようなものがあったんですが、そういうものに結びつけるというようなことが、もう一つの考え方じゃないかと私は思う。同時に、県が金を借りる、それに対する利子補給をやるというようなことになれば、よほど、手を打つとしては、早道になるのではないかと思われるのです。今直ちに御回答もないでしょうが、これこそ早急に一つ対策を立ててもらって、どうしてくれるのかという考えでみんなおられるようですから、それだけ希望を申し上げておきます。
  150. 東隆

    ○東隆君 今の天災融資そのものが、災害が起きた結果でなければ出せないような、そういうことなんですけれども、積雪そのものは、すでに精神的にもいろいろな災害を及ぼしておるので、拡張解釈一向差しつかえないのじゃないですか。どうなんですか。その結果を見てというようなことになれば、あらゆるものは、みんな終末を見なければならぬ。そうじゃなくて、もうすでに始まっておるのだから、従って、何もそんなにちゅうちょする必要はないんじゃないですか。ことに雪害の起きると予想される地帯は、もうはっきりわかってきているのですし、何もそんなに遠慮する必要はないと思います。
  151. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほど島村委員の御質問にお答え申し上げましたように、数年前に、雪害でございますか、金融をいたした例がございますが、それは先ほど申し上げましたように、種を一たんまいた畑に、山から急に雪がとけて参りまして、まいた種が流れてしまって、ほおっておけば当然収穫皆無になりますので、もう一度まき直すための種代を貸す、そういうことが考えられたけれども、現在この法律では、農作物または繭の減収量が云々という規定がございます。損失があったら初めて、それに対して一定の割合で貸すという規定になっておりますから、秋になってみて収穫が減収をしておるという事実がございますれば、当然翌年の再生産の資金に不足を来たしますから、その時期に、融雪害あるいは雪害を天災として指定をして金融を受けるという方法は、現行法では可能でありますが、今すぐに指定をいたしますことは、法律の解釈上、ちょっと無理じゃないかと思います。
  152. 東隆

    ○東隆君 法律を作るときに、そういうことを予想をしていなかったのですから、そういう解釈をされるのは無理ないと思うのですけれども、しかし、すでに雪害が起きる地帯がきまってきておるわけです。だから、この際融雪その他を促進しなければ災害が起きる、こういうことは、これは種を腐らしたからとか、肥料を流したというような、そんなような問題と同じように、播種期をおくらしたら、当然成育期間も短くなるし、収量も減る、そういう結果は完全に予想される、そういうことです。初めから予想されることなんですから、どんなことになっていくかというような、そういう問題じゃないのですから、未然に防ぐために融資をする場合に、拡張解釈をされて、そうして指定ができないというのじゃなくて、もうこれははっきりと場所はもう指定ができるのですから……。問題になるのは、天災融資の中でもって、政令でもって地区を指定するときの問題に問題があると思うのですが、それは災害が起きた所、こういうのですが、今度の場合は、もう災害が起きるだろうと予想される所がはっきりしておりますから、これは何もそんなにまでむずかしく解釈される必要はないと思うのです。
  153. 清澤俊英

    清澤俊英君 委員長、関連して。現実において十七万町歩の農地のうち、五万町歩が現に適期が来ても播種ができないと、こういうのです。それ自身が雪害じゃないですか。播種ができない。本田の植付もできない。それ自身が、これほどの大きな害はないだろうと思うのだ。種が流れたのでも、金が渡っておるのでしょう。耕作ができないというのですから、これほど重大な害はないのだ。これはどうなのですか。
  154. 和田正明

    説明員(和田正明君) 私が今申し上げておりますことは、おっしゃるような事態が災害でないとか、あるとかということではなくて、天災法の第二条の規定によりますと、「被害農業者」ということに定義が書いてございまして、「被害農業者」として、市町村長の認定を受けたものに天災の法律による融資が行けば、それに利子補給をすると、こういう規定になっておるわけでございますが、その規定のところに、「農作物又は繭の減収量がその者の平年における収穫量の百分の三十以上であり、かつ、天災による農作物及び繭の減収による損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の十以上である旨の市町村長の認定」という規定が書いてございます。そういう者に初めて、六分五厘の金を利子補給して貸すのだということになっておりますから、少くともこの現行法の第二条の規定から読みますと、現実に減収が発生いたしませんと、この法律による措置は、金融措置はできないのじゃないかと思います。ただ別に、それに必要な資金は農林中金等から貸し付けるように、あっせんはいたしたいと思います。
  155. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  156. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  先ほど来問題になっておりましたこの雪害対策の問題でありますが、いろいろ御懇談の結果、政府でもなるべく早急に今週内くらいに結論を得て、そうして当委員会に報告をしてもらう、こういうことで、本日はこの委員会を閉じたいと思いますが、御異議ございませんか。
  157. 千田正

    千田正君 大臣がおいでになるから、きのう大蔵大臣の本会議の発言中において、農林関係に非常な重大な問題を大蔵大臣が発言されておりますので、ちょっと農林大臣にお伺いしておきたいと思います。  昨日の本会議におきまして、中小企業対策における大蔵大臣の発言中、大蔵大臣は、中小企業に対するところの財政出資面における処置を、農林関係に対する予算のうちから削っても、中小企業の方に対して対策を講ずる。これはわれわれとしましては看過することのできない重大な問題でありまして、そのときほかの議員から、今度の財政投融資の対策面が、大きな資本あるいは近代産業等に対するところに非常に大きな投資をすると。むしろそれを削って、中小企業育成の対策を立てるべきじゃないかという質問に対しましては、大蔵大臣はそちらの方から削る考えは毛頭ありません。農林、漁業に対する対策のうちから削って中小企業対策を行うということを、明言したはずでありまするが、なお速記録をお読み下さいまして、もしそうだとするならば、この基礎産業であるところの農林漁業というものは、大蔵省の当初の考えからは次第々々にその対策が失われていく、こういう杞憂を持ちますので、この際農林大臣としては、強くこの点を大蔵大臣にただすべきであろうと私は思います。こういう点が昨日の本会議において大蔵大臣から発言されてありますから、なお速記録をお読み下さいまして、今後における農林省予算というものが中小企業対策のために削られるということであれば、非常に重大な問題であろうと私は思いますので、一言この点を要請しておきます。
  158. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。これは意外の大蔵大臣の発言を聞きまして、驚きましたが、予算委員会において田村委員が、予想せられる雪害に対して、大臣と大蔵大臣にこれを要請した。その際に、それに対しては井出農林大臣は、大いにそういう場合には考えて善処する、こう言われると同時に、大蔵大臣も、予算処置に対しては十分考えて御期待に沿う、こういうて、はっきり言うておられるんだそうでありますが、これははなはだしい答弁——答弁というか、物の考え方の食い違いだと思いますので、今千田さんが言われるようなばかなことのないよう、こんなものがだめになるようなことのないように、一つがんばっていただきた  い。
  159. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 今清澤委員の言われます予算委員会の答弁、私と大蔵大臣と全く変らない答弁だと、私はその場におりましたので承知をしております。今の千田委員の御発言の点は、私その場に居合せませんでしたし、また承知をしておりませんけれども、これは速記録もございましょうから、つぶさに検討いたしまして、さようなことがあっては、われわれの承服しかねる点でございますから、十分に対処いたす所存でございます。
  160. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時十三分散会