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1957-04-04 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月四日(木曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————   委員の異動 四月三日委員北村暢君及び小笠原二三 男君辞任につき、その補欠として荒木 正三郎君及び大和与一君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君    委員            青山 正一君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            羽生 三七君            島村 軍次君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  八木 一郎君    農林省農地局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君    農林省農地局管    理部入植営農課    長       安藤文一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○開拓営農振興臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員変更について御報告いたします。昨日小笠原二三男君及び北村暢君が辞任されて、大和与一君及び荒木正三郎君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日は、開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び開拓営農振興臨時措置法案を一括して議題にいたします。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案は去る三月二十九日、また開拓営農振興臨時措置法案は三月三十日、いずれも衆議院会議において全会一致原案通り可決、当院に送付、当委員会に付託されました。なお、開拓営農振興臨時措置法案は、お配りいたしておきましたような付帯決議が行われております。  これらの法律案についてはすでに提案理由説明を聞いてありますが、本日は、まず農林当局から法律案内容その他について説明を聞き、続いて審議に入ることにいたします。  本件については、政府からは八木政務次官安田農地局長立川農地局管理部長が見えております。まず説明を聞きます。
  4. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 先般予備審査をいただきまして、政務次官から両法案にわたりまして提案理由の御説明をいたしましたが、本審査に当りまして、これを補足いたしまする説明を簡明に申し上げたいと思います。  簡単な法律の方の、開拓融資保証法の一部を改正する法律案について、まず申し上げます。  この法案は、三十二年度の予算に一設会計から、中央開拓融資保証協会に対しまして出資金を三千万円従来より増加いたしまして、その結果といたしまして、従来の二億五千万円が二億八千万円となりますることをお願いしたい法律でございます。  趣旨は、提案理由にも申し上げた通りでありますが、その内容を申し上げますと、開拓農家の営業の振興一助といたしまして、特に要望の多い中小家畜導入資金につきまして、その導入資金一億八千万円を予定しておりますが、この一億八千万円の融資金農協資金から開拓者に向いまして確保いたしまするための保証協会信用保証債務保証をいたすためのものでございます。  御承知通り信用保証協会開拓者資金融通特別会計等と相待ちまして、開拓者資金融通に伴いまする政府開拓者資金融通特別会計におきましては、入植をいたしまする直後の基本営農資金全国県別に平均いたしまして、二戸当り十七万八千円でございますが、それを供給いたしますとともに、さらに中期資金と申しておりまする大家畜の役畜及び乳牛導入資金を扱っております。また三十二年度には、畜産局計上でありますが、国有貸付乳牛、役牛の、寒冷地中心事業を新たに実施することにいたしまして、その開拓者開拓地におきまする部分相当にございまするが、中央開拓融資保証協会は、各県別にございまするが、地方開拓融資保証協会を通じまして、営農用短期資金及び中期資金によりまして供給することを目的としまして、その債務保証をすることが役目でございます。従来対象となっておりましたものは肥料飼料種苗等がおもでございまして、今川中小家畜までを開拓融資保証協会債務保証することによりまして、資金導入を容易ならしめようと思っておるのであります。  大家畜は、繰り返して申し上げますと、政府開拓者資金融資特別会計資金供給と、一般会計によりまする国有貸付、さらに一つ加えて申しますると、世界銀行から機械開発公団を通じまして供給いたしまするジャージーの外資導入による供給とがございます。それ以外の中小家畜導入資金でございますが、この事業政府が三千万円を出資増いたしますると、従来通りの扱いといたしまして、その六倍の資金供給することが農林中央金庫と契約がいたしてありまするから、一億八千万円の資金がここで使われるわけでございます。これを五年計画として、ほぼ若干後年次が増加になりますが、三十二年度以降大体同じくらいに供給したいと思っておるわけでございまして、三十二年度におきましては、すなわちこの三千万円で六倍の資金供給しまするものといたしましては、綿羊七千六百頭、豚三万八千三百頭、鶏が十一万羽を予定いたしておるのでございます。  以上の趣旨でございます。  なお、つけ加えまして申し上げますと、従来の資金を含めまして、肥料では十七億円、えさの飼料としまして一億九千万円、種苗農薬といたしまして一億八千三百万円、それに今回の中小家畜としまして三千万円出資増で一億八千万円の出資金になりますると、資金供給ができることになるわけでございます。  次に、開拓営農振興臨時措置法案につきまして補足説明をさせていただきたいと思います。  開拓営農振興臨時措置法案は、提案理由にも申し上げましたように、終戦直後の緊急開拓計画実施以後年々予算をもちまして、また政府において営農類型ブロック別に設けまして、現在は全国機械開発公団機械開墾を別途の。パイロット式、パイロット的なものとして別にいたしまするというと、五地区営農類型を設けまして、これを基準にいたしまして開墾、干拓におきまする入植者を入れまして、各種政府補助金及び政府資金、今申し上げましたような農林中金の資金債務保証をすることによりまして、中央地方開拓者融資保証協会活動等によりまして、政府援助の手を設けて参りたのでございます。  第一には、適地調査をいたしまして、適地政府は購入いたしまして、ここに地区計画を立てまして、開墾建設計画国費全国負担をもちまして行います。開墾建設工事には道路水路等がございます。その他発電とか営農資金開墾作業費等においては助成制度を設けまして、補助制度を設けまして、資金といたしましては、先ほど申し上げました開拓者資金特別会計による営農資金基本的営農資金、また住宅の補助その他を行なっておるわけでございます。  現状を申し上げますと、開墾面積五十八万町歩、入植農家終戦後約二十三万入りまして、八万離脱をいたしまして、現在十五万五千戸ございます。増反戸数は約八十二万戸ございます。その生産額も約三百億に近く、各種畑作物中心といたしまして、水稲もあり、畜産生産物もありまして、相当生産額を達成しておるのでありますが、現在入植戸数約十五万五千戸おりまするものの配分が済んでおりまする開墾予定地につきまして、開墾進度を申し上げますと、全部の平均で六九%でございます。終戦後年々入植しましたので、入植の時期は差がありますので、開墾の進み方の成績も開拓地区開拓農家情勢に応じまして差がございますが、平均しますと以上でございます。  政府開拓者とともに相協力して、できる限りの努力をいたして参りましたけれども、終戦直後から二十三年までの入植のお方々は、あの当時の社会情勢食糧事情引揚者その他の事情、他産業がほとんどつぶれてしまって、都会地戦災を受けていた等の事情がありまして、しっかりした地区計画を立てまして、開墾建設工事、すなわち道路とか水道とかいうものをしっかりつけまして入れることの前に、入植者戦災者引揚者等中心といたしまして、また他産業がつぶれたために入植した方などで、先に開拓地にお入りになった方が相当あったのでございます。二十五年以降におきましては、離脱者はそれほど多くはございません。特に二十六年には営農類型も一部改訂いたしまして、各種資金供給補助制度にわたりまして、一部変更をいたしたこともございますが、その時期以降におきましては、地区計画を立ててから計画的に入植をいたしておりますので、その前とそのあととは、時期を画しまして、かなり開拓者の実情が違うのであります。これに応じまして、開拓者営農状況も、また施設等状況も、経済立地条件、従いまして気象とか土性とか、こういういろいろの関係も、自然条件が違います。開墾建設工事も中途で打ち切られたり、初めからついていない所もある。こういう事情からいたしまして、営農振興予期通り進んでいない所が相当あるわけでございます。  特に三十年度からは、農林省では開拓営農不振地区と認められまするもの一千地区につきまして、と申しますのは、開拓地区は約一万あるわけでありますが、三年計画をもちまして営農診断地区開拓農家について個々にいたしております。すでに二年を経過いたしまして、三十二年度で一千地区診断が終るのでございますが、その不振地区はもちろんのこと、その他におきましても、間もなく所期目的営農類型が、営農を成り立たせるということがかなりおくれておるお方について申し上げますと、十五万五千戸の入植者について見ますと、約七割がそうでございます。  しかるところ、山手の方に開拓地がかなりの部分ございますので、平素の普通の気象条件においても農業上かなり困難なものがあるのと、冷害、風水害等いろいろ災害がございまして、その結果としまして、農業収入予期のごとく進まないのに反しまして、負債相当たまって参りまして、天災が起きるつどにおきまして、一般農家よりも有利な条件で、天災等に伴います営農資金供給に関しまする法律によりまして、特に被害甚大なる場合は金利が三分五厘、普通の場合開拓者は五分五厘、その法律法律に基く政令によりまして、災害がきまるごとに、償還期間は三年ないし五年の営農資金災害資金供給になります。しかし、そのほかに、不良債務というわけではございませんが、先ほど私が申し上げたことで触れましたり、皆様方承知開拓者資金融通法による基本営農資金がございます。一部には農林漁業金融公庫融資金もございます。また親兄弟、その他の方々から個人債務とでも申しましょうか、そういう債務がございます。客観しまして、開拓者資金特別会計による債務生産用資金でございますが、百二十億をこえるものがございます。天災資金では、現在四十三億の負債がございます。その他の個人債務、あるいは親元からの債務債務には優良不良の性質がございますが、約二十三億ございます。そのうち公庫融資は約二億のようでございます。  一方において営農振興が進まず、他方において債務が重なりまして、このままでは開拓者につきまして、進んで営農基礎を固め、自作農として、りっぱな農家として育つ気がある方につきましても、今申し上げますような諸条件のもとに、営農振興予期のごとく進まないという事情がございますので、三十二年度から新たに開拓営農振興臨時措置法を設けまして、すでに入植された開拓者について、営農基礎不安定の方々が共同をして自主的に、その営農改善を計ろうとする場合に、これに対して積極的と消極的と両面にわたりましての助成措置を、第一は国、第二は県、また融資機関等にも援助をお願いをいたしまして、営農基礎を確立させ、健全な開拓地農業の発展を期せようとするものであります。  法案の要点を申し上げますと、三点ありまして、その第一点は、開拓地区には地区ごと開拓農協がございます。北海道等は普通の農協である場合もあります。この開拓農協につきまして、その組合員営農不振の開拓者がございまする場合、組合員の半分または二十名以上の方々が協力しまして、みずから営農改善計画を立てられまして、この営農改善計画をもとにして、その開拓農協組合としても振興計画を立てようではないか、こういうお申し出を願いまするというと、その組合でもって振興計画を立てていただくようにいたしておるのであります。この場合の開拓農協を本法案開拓営農振興組合と申しておるわけでございます。開拓者状況について、営農不振の方々がみずから営農振興計画を立て、それによりて組合としても振興計画を立てていただこうとする仕組みをお願いしたいと思っておるのであります。  その振興計画は、まず第一には、地区計画を立て、開墾建設工事で国が行うべきものがついておらない場合、また途中で打ち切りになっておる場合、現在では新たに工事を完成しようといたしますと、普通のルールでも補助事業性質を持つものが相当出て参ります。今後この法案の執行に当りまして、三十二年度以降予算計上いたしまして、当初からの開墾建設工事を国が国費で行いますると同様に、十割の経費負担で国営でいたすこととしておりまして、三十二年度予算には一億円余の計上をいたしております。まず自然条件の劣悪と、営農及び生活のために開墾建設工事の遅滞の取り戻し、補完をいたしたいと思っております。  また開墾作業費補助制度がございますが、これは土地配分開拓者について行いまするというと、予定開墾面積の八割につきまして、四割五分の補助率でもって、開墾作業を行うための補助を行うことになっております。この趣旨手開墾中心にするものでございますが、開墾当初においては生活費を確保せしめる要がございますので、みずからの開墾労力中心にいたしまして、政府補助金を出しまするというと、その補助金分につきましては、相当額生活費に充てられることをもあわせて、開墾作業を進めることを目的といたしておるのであります。これは農地法によりまして当初は、入植されてから五年間の間に、予定開墾面積の八割は補助をもって開墾していただく予定になっております。最近では成功検査と言っておりまするが、開拓地開墾その他営農条件がほぼ達成しておると認められるときに検査をしまして、それまでに八割の予定開墾面積開墾をしていただくことになっておりますが、開墾がおくれておる状況をにらみ合せまして、補助金打ち切りまたは入植営農の不成功という断定を下します前に、各種のやむを得ざる事情がございましたから、農地法規定を、本法案あとの方に出て参りまするが、三年間延長しまして、開墾作業費の支給も所定条件によりまして三年間延長しまして、補助し得る規定を持ちたいと思っておるのであります。  そういたしまして、それらの条件整備をいたしたいと思っておりますが、まず開拓者営農改善計画をお立てになります場合の内容としましては、今申しました開墾建設工事開墾作業費等農業生産基礎条件整備に関する事項を自主的に立てていただく。そのほかに、家畜導入をどうしよう、酪農をどうしようということなど、政府資金援助が、あるいは開拓者資金特別会計におきまして、あるいは畜産局予算計上してありますものの寒冷地対策国有貸付牛導入方式によりまして、また先ほど申し上げました信用保証協会による中小家畜導入等によりまして、営農高度化もはかっていただきたいと思っておるのでございまするので、その事項計画を立てていただきたいと思っておるわけでございます。作物の作り方等においても当然起ることでございますが、既入植者営農不振、従って生活の困難という場合を解決するときには、土地配分は一応終っておるわけでございまするので、立ちのかれた人がやむを得ずあったという、そういう場合に補充入植をいたしましたり、あるいはその地区の他のともに入植をせられた方に土地配分を行う、こういうことがございまするが、一般的には土地の拡張はむずかしいことが原則でございまするので、政府融資しまして供与できまする防風林とか付帯林とかいうものの措置は今後もできる限りはいたしたいと思いまするが、原則としましては、営農高度化をはかることが重点になるかと思うのであります。  以上の開墾建設工事開墾作業補助期間を延長しまして続けること、また申し忘れましたが、この法案の終りの方にございまするが、耕土培養法土壌改善をいたしまする炭カル溶性燐肥等補助金についても、同様法律所定期間を三年延長していただきたいということを予定いたしておりまするが、これも、営農がおくれておるがもう少し援助をすれば開拓者営農を成り立たせ得る、こういう建前から、それらの条件を整備したいと思っておるのであります。  それが積極的営農改善をする面の事項でございまするが、さらには、負債重荷になりまして、営農生活所期の水準まで到達できないという事態を招来いたしておりますので、負債につきましての償還延期、その他条件緩和、またある場合には負債整理をいたしますることについての事項を、自分らで営農改善計画一助として、一事項としまして、立てていただきたいと思っておるわけであります。これにつきましては、開拓者資金特別会計によりまする基本的営農資金中期営農資金事情が明瞭で、手を打つべきものにつきましては、開拓者資金融通法に従いまして必要な償還延期措置を講じたい。また入植するときに一地区につきまして入植者連帯債務を負うておられるのでございますが、この連帯債務重荷が、自後の営農資金、あるいは生活資金を獲得するのに障害になっておることもございます。離脱農家ができますによりまして、またその連帯債務重荷がかさんで参りますので、政府資金に関しましては、法案に出ておりませんが、別に三十二年度からは国の債権管理等に関する法律が出まして——国債権管理法と通称申し上げておりますが、これによりまして、その運用を農林省にまかせてもらいまして、債務が支払われない状況連帯債務を受けた人々の行方不明の状況、こういうような点に重点を置きまして、残りの営農にいそしんでおられる開拓地区開拓者が、その方々のための連帯債務に苦労しておられる場合には、十年間の償還延期をいたしまして、その後なお離脱されたり支払えなかったりする方が出ます場合は、同法に基きまして債務を免除する、切り捨ててしまう、そういう措置を講ずるつもりでございますが、なお基本営農資金開拓者会計による中期資金生産資金でございまして、債務があるから必ずしも不良な経営であったり、債務そのものが不良であることはございませんけれども、天災法によります資金は低利の資金になっておりますが、短期間営農資金性質を持っておるわけでございまして、これが一年の償還金があまり多くなりまするというと、一年の開拓地農業収入、あるいは兼業収入におきましては、生活費がはなはだしく苦しくなったり、開拓営農振興させることをはばむということになりまするので、今回、従来行なっておりまする天災法に基く利子補給のほかに予算計上いたしまして、利率を五分五厘、災害がひどかったときは三分五厘で借りておりますが、それをそのまま金利に引き継ぎまして、ねらいは償還金を年々については半分にする。言いかえますると、償還期限を倍にする。法文に即して申し上げますというと、償還金を十年以内において引き延ばすということでございますが、そういう措置をとりまして、その間の利子補給をいたしたい、また損失補償はともに行うということにいたしたいと思っておるのでございます。  そういう援助を期待しながら、開拓者営農計画改善計画を立てられましたならば、それをまとめて開拓営農振興組合が、すなわち、その地区開拓農協でございますが、自己の組合としての計画を、個人についても、組合の行うべき事業についても、立てましたならば、これは都道府県知事承認を受けることになりまして、都道府県知事は、農林省より、別途政府援助し得ること、その他の行政措置についての心がまえを指示を受けておるようにいたしたいと思っておりますが、その知事承認を受けたものについて、国や都道府県振興計画の達成に必要な援助をするようにいたしたいと思っておるのでございます。  以上のことが骨子でございますが、衆議院農林委員会中心にした御審議もありまして、その際に、個人債務等は、額が比較的少いようだけれども、高金利のものも中にあろう、こういうこともございまして、その措置は、本法案規定を別に設けておりませんが、先ほど申し上げました開墾作業費補助が終った場合の農家について、すでに土地は売り渡してありまして、自作農になっておるわけでございまするから、自作農資金を適切に供給することによりまして、また農林漁業公庫につきましては、業務方法書を一部変更することによりまして償還延期をする。自作農資金の新しい供給と、公庫資金償還延期と、ともに行うことを、付帯決議に応じまして政府はお約束をいたしておるわけでございます。  以上が本法案骨子でございます。すなわち、営農改善計画を立てていただいて、次いで振興計画を立てていただくのが第一点。負債整理に関しまする負債償還条件を緩和する、こういうことが第二点。第三点は、途中で援助を打ち切られがちな営農進度であるから、農地法耕土培養法について援助を続ける意味の期限の延長、こういうことでございます。  以上が概略の趣旨説明でございまして、政令及び省令に記載します事項は、第二条第一項、第三条第一項、同条第二項、第八条につきまして、お手元まで配付をいたしました規定見込み事項を書いております。  省令については、第二条第一項本文につき、またその同条第一項の第一号及び第二号につきまして、また第二条第二項第四号、第七条第一項の関係につきまして、お手元配付をいたしておる通りでございます。
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、御質疑をお願いいたします。
  6. 千田正

    千田正君 まず第一にお伺いしたいのは、この終戦後の入植者、当時二十三万戸あったのが、どういうわけで現在は十五万五千に減ったのかということ。それから十五万五千に減ったその十五万五千のうちでも、実際に自作農できるまでに自立態勢が立った戸数がどれくらいあるのか、その点をまず第一にお伺いいたします。
  7. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 二十三万戸のお方々が、終戦後、農林省の行いまする開拓入植をされたのでありますが、その年次別のお方々が八万戸離脱されたのは、資料で御配付を申し上げたのであります。その大部分は二十三年までに、戦災引揚あるいは他産業がつぶれたこと等によりまして、まあ食糧危機もその情勢に照応しておると思いますが、お入りになった方でありまして、これを二十四年までで計をいたしまするというと、二十四年までに、入植農家が八戸万のうち、七万戸離脱しております。その他は、現状におきまして、十五万五千戸のうち、一般農家並みないしは一般農家以上にその成果をあげておられる方は約三割でございます。
  8. 千田正

    千田正君 私はその原因はいろいろあると思いますが、まあ当時の終戦あとに外地から引き揚げて来た人、あるいは戦災を受けて疎開した人、当時の食糧事情から、どうしても農業ということによって食糧の確保をしなければならないという、そういう個人々々の一つの事情にもよるでしょうが、当時のことは、とにかく終戦後に残った日本の五つの島に住んでおるわれわれが、どうして食っていくかという、重大な日本国民全体の食糧政策に関連した立場に立っての増産対策として、農林省としてはいろいろ施策をやったようでありますが、それにもかかわらず、やっていけなかったということは、十二年経た今日、今なお三割程度しか自立態勢ができない。  今度はそれを、何とかして一日も早く自立態勢のできるようにという法律が今度できるようでありますけれども、その内容を見ますというと、私この点を非常に不安に思っている点は、たとえば機械開墾によって、北海道であるとか、あるいは上北地区とかいう地区入植するところの入植者は、北海道一戸当り大体二百五十万、青森地区は百十七万という、一つの入植者に対する融資方法を考えておられるようでありますけれども、一方、終戦後に入って今残っている十五万五千の既入植者の諸君に対しては、借金にまた借金、融資法といえば、要するに金を貸してやるという、自立精神を助成しながら営農政策を立てていこうという考えでありましょうけれども、ほとんど全部は融資々々でまかなっていかなければならない。しかも、それに引き続いて、いい土地でありませんから、とかく天災に襲われがちであり、償還期限が到来して返さなくちゃならないと思っているうちに、天災災害をこうむる。いつまでたっても自立ができないというのが現状じゃないだろうかと、こういうふうに考えるので、私は特に既入植者である十五万五千戸に対する、この法律によってどれだけ救われるか。そのうち多少私はお伺いしておきたいのは、償還期になって償還された金額と見合わして、それにプラス何ものかを出しておるとすれば、三十二年度は三千万円程度しか出していない。この計画によるとそうなんでしょう。償還額に対してプラスどれだけ出すかというと、新しく予算計上したのは三千万円でしかない。
  9. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 負債災害資金につきましての利子補給額は、天災法に基いてやっておりますものを三十二年度一億六千万円、さらにこの法律で年限を倍に引き延ばしまして償還元本を半分にしようとするための、初年度分のものが千四百八十八万六千円、その総計を使うわけです。
  10. 千田正

    千田正君 再融資額は何%ぐらい見ておるのです、償還額の。
  11. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 対象といたしまする償還残が四十三億でございますので、これを新規に借りかえさせるつもりでございますから、同額になります。
  12. 千田正

    千田正君 これを見るというと、あれじゃないですか、特別会計から出すのは、開拓の諸君から入ってくるところの償還金の中から、その徴収工合を見て貸しておるというだけであって、新しくプラスするという面があまり出ていないのじゃないですか。
  13. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 開拓者資金特別会計から、基本営農資金全国平均一戸当り十七万八千円のものにつきましては、これは政府資金、また特別会計から、大家畜供給しておるものは中期資金と普通いっております。これはそう不良債務ではなくて、また利率もきわめて、安く三三分六厘五毛が基本営農資金中期資金は五分五厘でございますが、これは開拓者の経済の状況によりまして支払いにくいものがありまして、政府が手をかけて償還延期するものも、営農改善計画振興計画において判別したいと思いますが、これは資金を新たに借りかえせしめないでそのまま償還延期措置でいきたい。ところが、原則は——原則と申しますより全部でありますが、天災法による災害資金は中金の資金でございまして、性質は、日本の農民が預金を信用組合農協にされたものが原資でございますが、性質は短期の資金を使っておりますので、天災法によりまする同資金は、その法律によって短期でございます。三年または五年でありますが、これはまあ十年に延ばしたい。従って、これを全部この分は借りかえをしてしまいたい。従いまして、すでに借りておるものは、まあある場合は五分の一年分と、三年のものは三分の一年分が、三十二年に返ってくる予定です。従いまして、これを全部借りかえると、まあ簡単に四十三億を五年分と申しますと、八億。平均しまして、三年と五年とありますから、三年ちょっと余でございます。十一億。十一億のものと、三十二年度償還期に当っておるものの処理を含めて、残りの債務額全部について申しますと、三十数億の——総計四十三億の借りかえ資金が余分に要るわけでございます。
  14. 千田正

    千田正君 そうすると、そういうようなのが、合しますというと、一戸当りどれくらいになりますか。
  15. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 個人債務を除きまして、平均すると一戸一万五千円。
  16. 千田正

    千田正君 それ以上は何かの方法はできないですか。まあ貸すというよりも、私はさっき言いましたけれども、北海道、それから青森地区等における機械開墾に対する政府の助成政策は、すこぶる有利なように考える。有利である。そうあってしかるべきであって、その標準に近いところまで既入植者の、十五万五千戸あるというものの対策を考えてやらないと、僕は十五万五千戸というものは、現在のところでは三割程度しかりっぱに育ってきていない、こういう状況ですから、これを少くともあと六割なり五割なり、引き上げていくには、もう少し何か考えなければ、十五万五千戸の諸君だけは相も変らず、自作営農者と新しく機械開墾によって来た開拓者の間の暗い谷間になって、いつまでたっても標準レベルまで上っていけない。これはもう少し何か考えなければいかぬじゃないかと私は考えるんですが、どうなんです。
  17. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 先ほどの補足を、千田先生の御意見に即しまして、もう少し全貌を示すように申し上げたいと思います。  今回の法案の実行によって、五年間で十五万五千戸の約七割を、もう少し援助を続け、補助等の打ち切り措置などを講じないで、特に一千の不振開拓地区中心にして、七割の営農がまだ所期のように進んでおらない既入植者の方の営農振興をはかろうとするのでございますが、三十二年度の予算計上しました措置をさらに来年度以降は強化いたしまして、そのラインに沿いながら実行いたしたいと思っておりますが、第一には、営農類型の改訂をする問題がございます。それに即しまして、機械開墾地域のパイロット地域を御指摘になりましたが、農業開発機械公団の地域は、根釧、上北を今中心にしまして、三年以上続けてパイロット的にやりたいと思っておりますが、その成果を見ては、将来これを参考にして、営農類型上に反映せしめることが必要と思いますが、何と申しましても、営農類型を改訂いたしまして、当初からの計画及び国の補助、国の援助的な政府資金供給等、開拓者をりっぱに早く成功せしめるには、入植の直後、最初の方に補助資金をたくさん供給することが、りっぱな営農の類型を作って、営農の姿を作ってから出発することとともに重要でございますが、新規入植のこれから開墾して入植を新たにしていただく場合に適用するのが、原則でもありやさしくあるわけです。  ところが、この法案で対象にいたしておりますのは、一応不十分ながら地区計画を立てまして、最近はかなりよくなっておりますが、特に終戦直後、先ほど申し上げましたような二十四年までの入植のお方は、地区計画を立てず乱雑に、援助も少く入られた方が多いのであります。かつまた、土地配分が終っておるわけでございますので、開墾建設工事とか、電気の施設とか、水の施設等を新たにつけ加えたり補充することがございます。主としては営農高度化によることが多いのであります。しかし、可能ならば、政府のすでに買って持っております土地の、今大体調べてありますが、八百町歩以上予定を持っておりますが、利用し得るものならば、つけ加えて売り渡したい。その中には耕地もあれば、付帯林防風林等についてでもつけ加えるようにいたしたいと思っておりますが、土地に限定がありまして、既入植地区について二戸ないし三戸のうちから一戸を間引きしてしまいまして、他の地区に移す際は、政府が従来とりました施策とか、また開拓者営農生活の実情とかについて、そこまでを目下は意図できませんので、現在入植された状況のもとに営農振興をはかっていただくのを原則として、これを補足強化したいと思っておるのであります。そこで既入植の方については、ある制限が施策において出て参りますが、今までは全国を五類型に分けてやっておりましたものを、七類型に実情に即するようにしまして、経営規模も大きい方の類型に引き上げ得る場合については引き上げまして、実施できる状況においては、その類型が五年間にでき上りますようにしたいと思います。すなわち、その類型におおむねのっとった農業粗収入があり、負債整理されて農家余剰ができて、自後は自力をもって成り立っていただきたい。特にそういう関係でございまするから、予定開墾面積開墾をすみやかにされまして、一部は機械開墾政府が実施上援助しまして、特に役牛、乳牛その他の中小家畜供給しまして、既類型では西日本には酪農を入れる予定を持っておりませんが、全国にわたりまして乳牛供給する計画を立てておるのであります。  それらの考えをもちまして、三十二年度はすでに御審議をいただいたことでございますが、繰り返して細目的にこの法案に則しまして、予算事項資金事項を申し上げますと、非公共事業費で農地局計上の五億九千万円、経済局関係の一億六千万円を使いまして、これは補助、あるいは国有貸付の大家畜を特に不振寒冷地帯の開拓地用に使いたいと思っておりますが、開拓者資金特別会計では本年度八億五千二百万円の資金を用意いたしておりますので、特にこれは前年度に比して約一億増しておりますが、牛をねらいまして特にその導入を強化したいと思っております。  また、本法案に則するものといたしましては、法案の末尾にございますが、末尾及び振興計画の部にございますが、開墾建設工事が完了してない所を早く完了せしめるという費用その他でございますが、一億四千七百万円、約一億五千万円を計上いたしまして、国が、自分で工事をする費用の補助を行いまするものと、政府資金を三分六厘五毛と五分五厘の家畜資金供給するものの十二億一千八百万円を使ってやりたいと思います。これは全部との法案関係ではございませんが、大部分を出したいと思っております。  そういう内容の中の措置でございまするが、第一には、組合振興計画を樹立して知事が認定をする場合に指導費が要りますので、この指導費二千八百万円、農業予算の範囲内において行いたいと思っております。また農林中央金庫資金の貸付金を供給した天災法による災害資金に対する利子補給は、一億六千万円と千四百万円余・千五百万円との合計一億七千五百万円の予算計上しております。これは開拓信用保証協会による保証契約等でもちまして、特に天災関係債務を一年分の償還額を、現在定まっている額の半分にする措置をとりたいと思っておるわけであります。また昨年からも実は持っておりましたが、不振開拓地区だけの営農資金は、経営診断が終りますというと、経営診断と申しますと平均でございますが、すでに二年やりまして三年で終るわけですが、二百三十戸、二百五十戸ばかりを従来やりました。本年二百八十戸余をやりますと、その三カ年で一千地区は終るわけでありますが、これについての営農資金を追加供給することを考えておりますが、これに関しまする事業補助金八百七十七万五千円を計上いたしておるのであります。さてまた、その一千地区不振地区につき振興計画を特に立てる調査費が、すなわち振興計画立案費が要りますので、その補助は百七十万円を計上いたしておりまして、なお土地配分既入植者についてはなかなかむずかしいと思いますが、可能な所はこれを行うことにいたしまして、二百九十一万五千円、約三百万円の土地配分是正に要する経費の交付金を計上いたしております。また家畜が非常に重要でございますので、寒冷地振興政策を農林省が立てるに当りましては、開拓地重点を置いて行うことを予定いたしまして、開拓地には乳牛三千頭と和牛二千頭、計五千頭を国有貸付事業として開拓者に特に区分をいたしまして、特別分けまして、要するにこれを貸付するのでございます。三十二年度であります。また開拓者資金特別会計の中で、これは逐年強化いたしておりますが、今の国有牛の貸付事業のほかに、導入資金といたしまして、政府資金の長期のものでございますが、役牛三千四百頭、馬一千頭、乳牛六千頭、計一万頭余でございますが、この資金を四億九千五百八十八万円、先ほど申しましたように西日本の方には、営農類型の方には入っておりませんが、供給するつもりであります。先ほど申しました中小家畜は、これにさらにつけ加わるわけでございます。政府出資三千万円と、一億八千万円の系統資金を利用して供給しようと思っておるわけであります。  なお、不振地区の非常に大きな不振原因の一つとしまして、開墾道路、水路その他計画立てがうまくいっておりませんから、全額国費で追加工事を急いでやることにいたしまして、三十二年度は一億一百五十七万円余を計上して、これに充てたいと思っておるのであります。これは計画及び建設事業費でありまして、直接に開墾建設事業を行う分がそのうち七千九百五十四万円、また開拓事業補助で行いまする付帯工事に当りますもので一千二百五十万円を計上いたして、今後五年間で仕上げたいと思います。さらにまた開墾作業費入植施設の作業費、耕土培養事業補助金、それぞれの三つの補助金につきましては、四千五百八十一万八千円を計上いたしまして、本法案農地法改正、耕土培養法の改正、いずれも期限開拓者について延長しまして、補助期間を長くして差し上げまして、入植当時の補助予定はおくれまして打ち切りになってはいけないのだ、おくれても最終まで補助しよう、こういう制度をとっておるのであります。最後の要諦は土壌改善開墾作業、医療の施設が中心でございます。
  18. 千田正

    千田正君 詳しく御説明願いましたが、私は国もどこも同じだろうと思うのですが、今残った十五万五千戸というのは、軍隊でいえば、いわゆる脱落者を除いた最後に優秀な最精鋭が残った、こういうふうな考え方を持っている。最精鋭をいかにしたらばさらに日本の農家水準まで持っていくかというのが、農林省としての今の案だろうと思うのですが、それで、そのうちから、今までの類型のものを、大体一千地区について類型を七類型にやってみた。そうするというと、この七類型にした結果、一町五反以下の開拓戸数が過半数じゃありませんか。どうです、そうでしょう。
  19. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 関係課長の方から数字は申し上げたいと思いますが、一町二反の類型が最低でございまして、あとは全部二町以上の類型でございます。
  20. 安藤文一郎

    説明員安藤文一郎君) ただいまの千田先生の御質問の一町五反以下というお話でございますが、全国で平均いたしますと、経営面積は二町九反五畝になっております。ただし一町五反未満の方が過半数を占めているというのが事実でございます。これは西日本の方に相当入植者がございまして、そのためでございます。
  21. 千田正

    千田正君 そこで、これに対する今の融資の対象としての粗収入を、どこを起点として考えておられますか。どのくらいを予定いたして考えておりますか。
  22. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この法案によりまして各種助成資金供給措置を講じまして、一町二反類型、これは一町二反じゃなしに、他の類型でいえば二町、二町五反、三町、四町、六町、七町、八町、十町と、東北の方に行くほど大きくなっておりますが、二十二万七千六百円くらいを予定いたしております。
  23. 千田正

    千田正君 これで脱落者を防げますか。
  24. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 西日本は、御承知通り、経営規模が多角化しまするけれども、平坦部一般農家についても非常に少いのでございますので、営農上の工夫をこらして、酪農、中小家畜、役牛を入れてやりますれば、もともとこの営農類型は、耕地面積の配分及び耕地予定面積の先ほど申しました町歩は、その地区の農村の農家の中堅層を押えているわけであります。最低ラインじゃありませんで、一般古い農家の中堅がせめて到達する、こういうことでございますので、西日本は遺憾ながら類型規模が小さいのでありますが、日本の実情としては、このくらいのところで目下はやむを得ないのではないか。特に既入植者土地配分を終っておりますから、やむを得ないのではないかと思いますが、将来にわたりましては、北の方、パイロット調査は北の地域において大いに参考にしまして、土地の取得配分に当りましては、新日本のこれからの新規の入植者については、率直に申しまして、もっと大きい規模で、経営内容も多角的にこれに応じまして、補助資金もそれに応ずる、こういうふうに持っていきたいと思っております。新規開拓地、新規入植者にしか適用されないので、既入植者営農安定は一応今申し上げました程度でやっていきたいと思っております。
  25. 千田正

    千田正君 あなた方のとの案でいけば、既入植者が一応自作自営できるというところまで行くには、何年かかるのですか。
  26. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 一番長い方で五年と思いますが、何しろ終戦後入っている方が多いから、債務負担を申し上げましたように軽減すれば、三年をこえたところで大体到達できるようにいたしたいと思っております。
  27. 千田正

    千田正君 それは局長、あれじゃないですか、テーブル・プランかあなたのブレインから出てくる案だろうと思うが、本当ですか。もし三年で、あるいは五年で達成しない場合は、開拓融資法その他によって、こうしたものは全部徳政をしいても御破算にするだけの考えを持っておりますか。
  28. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 政府援助は、援助しましただけは渡しっ放しでありますが、政府資金供給しましたのは、原資が原資でございまして、郵便貯金とかその他の簡保資金でありますから、返していただくことが本来のものであるというので、徳政をしくのを今からは言えませんけれども、他人のために債務の連帯保証をし、それから全然支払えない人が出た場合に、国の債権管理等に関する法律の適用を勇敢にやろうと思います。
  29. 千田正

    千田正君 まあ、局長は数年たったら次官か大臣になるだろうが、私はどうも、三年ないし五年の間に十五万五千戸の諸君が自営態勢になって、国のそうした融資やあるいは補助金をもらわなくてもいけるような立場になるのは理想だけれども、現在の段階から見まして、私はどうもそういうふうにうなずかれないのですよ。
  30. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ほんとうのことを申し上げますと、先ほど申し上げたのはうそじゃありませんが、農家が経営を安定させる、これを通じて所期目的生活水準に達するということの根本は、やはり営農の進み方が、まず第一に営農類型まで行く。かたがた、経営の合理化は一般農家と同じように行くということとともに、農産物の価格安定というのが非常な要素だろうと思うのです。購入資材の価格もそれに相応して、適正な価格でなければならぬと思いますが、特に山手の開拓地経済立地条件が、売るものは不利で、買うものもまた不利であるわけでございます。積極的に営農振興をはかり、負債重荷を軽減することをいたしましても、一般農村において自作農の維持資金が、資金供給の形にしろ、今言っておりますように、全部そう成り立つことはむずかしい場合も生ずると思いますが、本法案予算資金措置をとりましたほか、開拓者に配慮を加えました農産物の価格対策、資材対策、税金対策、租税公課の対策等をやはり十分にいたしまして、さらに営農類型の完成まぎわになりましたら、農業協同組合の共同組織、共同事業がうまくできる、農民組織というのですか、そういう諸般の情勢が必要になろうと思うのであります。  時たまたま、外国農業と日本農業とが、一般的に申しましても、その両者が非常に重要なときでございますので、一応開拓関係は、国内の一般農家との関係をまず考えて、それを到達せしめる。それを含めまして、日本の農業と外国の農業農業と他産業との関係の調整は、より大きな命題として、どうしても解決しなければならぬと思っております。
  31. 千田正

    千田正君 ほかの諸君も御質疑があると思います。私、研究して、後ほどまたお伺いいたしますから……。
  32. 堀末治

    委員長堀末治君) 安田局長、先ほど長々と説明した数字が多いので、見やすい表にして出していただきたいと思います。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後二時十六分開会
  33. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、午前に引き続いて、開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び開拓営農振興臨時措置法案を、一括して議題にいたします。  御質疑の方は順次、御質疑をお願いいたします。
  34. 千田正

    千田正君 午前の、累計のときの問題でですね、局長のお返事は、粗収入大体二十三万円以上はこの法の適用を受けないというふうに考えておられたようでありますが、実際に見て、先ほどのお話では、開拓者の一戸当りの負担、月額ですか、年額ですか、一万五千円と、こういうお話でありましたけれども、私は、それはそのほかの借金、開拓農協あるいはその他から借りておる分が入ってのことかと思って聞いておるのですけれども、あれは違うのですか。
  35. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 一万五千円と申し上げますのは、一つは政府会計の資金、それから第二は災害資金、第三は公庫資金、以上三つでございます。
  36. 千田正

    千田正君 大体平均して、それ以外の農協その他を通じて借りておる資金等を合わせると、相当多額の負債になっておるのじゃありませんか。そういう見当はつきませんか。
  37. 立川宗保

    説明員立川宗保君) そのほかに、非常に短期の肥料資金が大宗でございまして、そのほかといたしましては、親戚、知己等から借りております個人債務というものがございますが、肥料資金として融資保証制度で借りておりますものが、年間一万円程度のものでございます。
  38. 千田正

    千田正君 大体農林省のものの考え方は、粗収入の計算をする場合におけるところの開拓農家一戸当りの経費をどれくらい見ているんですか。生活基準の経費ですよ。
  39. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 生活費といたしまして、これは開拓地の現況の調査から押えておりますけれども、二千四、五百円ないし三千円ぐらいが、大体開拓地の現況でございます、一カ月一人当り。
  40. 千田正

    千田正君 そうしますというと、たとえば一家五人平均あるいは四人平均とした場合においては、この粗収入は二十三万というところに限定しておくのは、少し無理じゃないでしょうか。
  41. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 粗収入において二十三万円と申しますのは、これはそこで終りというものではないのでありまして、われわれの振興の対象といたしましては、年数は若干かかりますけれども、一戸当り、農業だけの粗収入を五十万、七十万というようなことを目標にいたしております。ただ、施策といたしましては、その五カ年間に集中をしてこの振興を一気に盛り上げるということでございますから、五カ年のところをとりますと、大きなところでは五十万になる所もございますし、所によりましては二十五万程度にしか達しないという所もございます。しかし、その後はいろいろ楽しみがあるわけでございます。
  42. 千田正

    千田正君 なかなか農林省はうまいことを言って、あとの楽しみを目標にして考えておるようだけれども、ほんとうにさっき言うように、五カ年を目標として、三年のうちにしかも達成すればなおけっこうなんだが、私は、これはまあ本年はこういう計画を出しておるけれども、もう少し現地その他われわれも研究しまして、これはある程度来年あたり場合によっては改革する必要もあると思いますから、その点は農林省も、ほんとうにあなた方は五カ年で、そういうさっき約束したように、開拓の諸君がですよ、初めて日本の国民として生まれたという、その憲法にあるような文化国民としてのあれを摂取できるような立場に、農林省は真剣になってやってもらいたいと思いますが、なお他の諸君からも御質問があると思いますので、私は一応これで……。また後ほどお伺いいたします。
  43. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大体千田委員からお話があったので、少し変ったところでお願いなり意見なりを聞いてみたいと思うんですが、東北地方のこの開拓営農の経営規模その他については、十分に承知をいたしておりませんが、われわれ西日本方面における営農者は、非常に規模が零細であって、特に根本的に非常に弱いんですね。引揚者とか戦災者だとかいうような人たちを収容して、しかもそれが、申し上げるまでもないことなのですけれども、当初やはり穀類といいますか、つまり主食というものに中心を置いた政策経営に指導したというところに、一つのあやまちがあったのではなかろうか。しかし、あの当時としてはやむを得なかったであろうとわれわれも考えておるのであります。それで最近はこの国際農産物価の下落に伴いまして、畑作物が非常に悪い。特にカンショ、麦等を作りましても、これは経営に出合わないような所が非常にあるんです。で、特にカンショ等は、あのような山地でできますものは澱粉量が非常に少いために、高価に売れないというようなことで、そのために非常に痛手をこうむっておる。それに加えて、例の災害が参りましたために、ペしゃんこになってしまった、こういうことなんです。  ここに提案されております改正法の一案につきましても、私はこういうような、しょせんコップの中の水を動かすだけで救い得る問題ではないと思う。この法案自体の研究をするということよりも、もっと根本的な問題があるのではなかろうかと私は思うのでありますが、少くとも、まあ政務次官がおいでになっておられますが、この問題は、こういう枝葉末節の問題をとらえて問題にするのではなくして、あの弱い人たちが根本的に救えない状況に、状態に立っておる、基礎的なこの状況を考えて、今まで貸しておる金ですわ、これを償還して、そして償還を若干延期してやるというような問題ではだめなのじゃないかと思う。で、少くともこれはモラトリアムみたいなものでもしいて、まあ長期に延長するか、少くとも二十五年以前の当初の入植者の経営状態を調査をいたしまして、そしてもうすでに切り捨てて、心の負担をなくしてやって、そうしてつまり経営診断から科学的に合理的に建て直して、営農指導へ連れていってやるというような親切さがなければ、私は立ち上れないのじゃないかというふうに根本的な考え方を持っている。で、この点が非常にこういう枝葉末節にとらわれて、こんなことをやること自体が間違いだと。少くともそういう根本的な問題に触れる意思があるかどうか。  で、もしそれをやるということならば、私は調査会だとか審議会だとかいうようなものを設けて——今現にわれわれも審議委員をやっておりますが、それはこれから以上まだこの開墾を増反するのだとか、あるいは入植者を決定するだとか、あるいはそれに対するところの資金の融通をいかにするだとかいうようなことを審議する審議機関なんです。そうではなくして、政策の根本に立って、今までのことを反省し、かつこれらをいかにするかという、一つすみやかに審議会などのようなものを作って、根本的なこの審議を進めるべきだと私は思う。そうでなければ、こういうつぎはぎのものでいろいろ重なり合った、こんなような小さいものでは、とうていこの弱い人は救えない。実にみじめなものです。ほんとうに気の毒に思います。そういうことについて、将来一つお考えを願いたいと思う。御意見を伺います。
  44. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) きわめて問題の核心を突いたお尋ねでございます。農林省の当局といたしましても、戦後十年、開拓行政、開拓政策を通じまして、苦心をして参った跡を顧みて、将来に明るく開拓農民に生きる道をと考えますと、やはりただいま御指摘の点に突き当るのであります。われわれも本法律案の立案過程におきまして、今申し上げましたような観点に立ち、開拓の諸問題に何は捨てておいてもまず手をつけなければならないというような課題をとらえまして、法律に、予算に盛り合せておるのであります。ただいまお聞きの点はきわめて核心を突く問題といたしまして、尊重をし、当局としても善処をしなければならぬ問題だと考えております。
  45. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私も今の堀本委員の意見に全幅の賛成をするものでありますが、しかしながら、この法案も半歩従来より前進した点もあるのであります。この法律はこの政策金融による負債の過大な開拓者営農改善を意図したものでありまして、しかし、その内容を見ますと、具体的にはこの災害融資の肩がわりにすぎぬような感じが強い。このねらいで、私は、この前に掲げた政策金融による負債の過大な開拓者営農改善というものができるかどうかということを、非常に疑うのですが、その点はどうでしょうか。
  46. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 二つの点を考えたのでございますが、一つは、その開拓者現状を押えまして、それから今後どうやって伸びていくかということを具体的に分析をいたしました。そうしてそれに応じてどの程度のこの借金の償還ができるかということを、これはは振興計画でございますが、こういう意味で計画的につかまえるということを、この法律で一つ考えたのであります。  その次に、借金の問題でありますが、これはただいま御指摘のように、借金はいろいろありますが、この法律では災害資金だけを規定をしております。ところが、この法律規定をいたしません政府資金開拓者資金、これは別の法律によりまして、国の債権管理等に関する法律、これは本年の一月から施行になりましたが、この法律に基きまして、この支払うことができない債務者、あるいは災害を受けた債務者については、償還の延期ないし猶予ができるという規定がございます。それを運用をして、この法律災害資金を同じような趣旨で運用ができるということが一つ。それから第二に、農林公庫から借りております資金。これにつきましては、農林公庫業務方法書規定によりまして、償還の能力がその年はないという人に対しては猶予ないし延期ができると、こういう規定がございますが、それも発動いたしまして、つまり開拓者の借りておりますこのような資金につきましては、法律の根拠はいろいろ違いますけれども、同じような趣旨で、振興計画に従いまして無理のない範囲で返していくと、こういう工合に運用するつもりでございます。
  47. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 まず、災害融資を受けたものは、この法律規定しておるんだから、問題はない。その次に、災害融資のワクには入っておらぬが災害を受けたものについてはという御回答があったんですが、これはどういう所で1実際問題は、たとえば寒冷地の開拓地を見ましても、積寒の指定の区域を見ても、結局北海道とか東北とかいう所がこの災害融資を受けた。あるいは、九州の水害というようなものが受けておる。実際は、例をとれば、中国地方の中国山脈地帯ですが、これはやはり積寒地帯として指定を受けておる、全県ではないが。ところが、そういう所は災害があっても災害融資を受けておらない。だから、そういう地帯は、いわゆる冷害等を受けておる。これはやはり災害を受けたものと、この融資のワクには入っておらぬが、災害を受けた開拓地として取り扱うんですか。
  48. 立川宗保

    説明員立川宗保君) ただいまのお話のような場合には、災害資金は借りていないけれども、しかし災害を受けておるということでございますが、開拓者のふところの勘定は、金は糸目がつかないわけでございますので、災害を受けているんだが災害資金は借りておりませんでも、災害の痛手のために何かが返せなくなる。つまり、しりがどこかに出てくるわけです。そこで、そのしりを、たとえば政府資金で見るということも方法でありましょう。あるいは、そのほかの資金の償還の猶予を見るということも、その方法でございましょう。要は、その開拓者の具体的な経済状態を押えまして、この経営状態で来年はこれしか返せない。それならば、その返せない分をどこでしりをぬぐうかということを計画をすればよろしいと存じます。それは十分に方法があると存じます。
  49. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この点は最も重大な点だろうと私は思うのであります。災害を受けて災害資金を借りなかったというんだが、借りなかったじゃなくて、貸さなかった。幾ら言うても、貸さなかった。これは、その当時の災害地域として指定しておるわけです。全県がいわゆる積寒地帯というような県は指定するというようなことで、当時政府がワクに入れなかった。あるいは二郡とか三郡とかいう寒冷地帯は、寒冷地帯としての指定には入っておるが、そういう取扱いが当時根本的に間違っている。それが今、この案件についてもやはり糸を引いて、非常な影響を及ぼして、特別な取扱いを受けるようになっている実情なんですから、その点は十分、この法律による災害資金融資を受けておる開拓地と、振興計画を立てた場合に、やはり地域指定という決定が立てば、同じ条件において、資金はもちろんどの資金でもいいんですよ、政府はこの救済に当らねばならぬと私は思っておるんですが、そういうような取扱いを農林省はするかどうかということを、はっきり言っておいてもらわなければ、こんな部分的なものを、ああそうですかというわけにはいかぬと思うのです。
  50. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 十分に御注意のところに従いまして、運用を間違いなくやっていきたいと思います。
  51. 千田正

    千田正君 関連して。今の重政さんのお聞きになった点は非常に重大な問題だと思う。天災の対象を従来、大きな郡単位とかあるいは県単位というようなものにして見ておる。ところが、この開拓団地は相当小団地に分れておる所がある。そうして小団地に分れて、高冷地におればおるほど、災害の被害が非常に深く、深い割合に今の天災その他の災害に基く法律の恩恵に浴さないことがたびたびある。さらにまた、浴しても、それがたび重なって毎年累増していった際に、とても償還期限に返せないという実情に遭遇することがたびたびある。これは何かこの法律で救われますか。
  52. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この法律趣旨が、その開拓者の現況から出発いたしまして、どういう経営状態に今後二年、三年、四年、年次的に発展をし得るか、そうすればその毎年上りました収入によってどれだけのものが払えるかということを押えまして、つまりその計画に基いて、ここにおいてはどういう工合に償還延期をしなければならないかという措置をいたすわけでありますから、その計画を十分に総合して実態に沿う計画を立てて出発をいたしますならば、その経営もこわさない、むしろ経営を伸ばすような災害その他の資金の償還の処置ができると考えております。
  53. 千田正

    千田正君 もう一点だけ。そこで償還の処置はそれでできるというのだが、私はこの法律と同時に、開拓者の収入の源であり償還の源であるところの農作物の価格の安定というものを農林省が考えなかったならば、これだけでは一方的な措置だと思う。たとえば大豆の問題あるいはバレイショの問題、そういう問題に対しての価格維持の方法を考えなければならない。しかも、大豆の問題などは今度の国会でも相当論議の対象になって、ようやく価格維持の中に入れた。しかし、ことしあたりはおそらく、通産省の考え方で、秋の収穫期を前にしてAA制度なんかでどんどん外国からそういうものを入れてきたならば、たちまちにして開拓地におけるところの営農形態がくずれていく。そういう杞憂さえわれわれは持っておるのですが、これは政務次官もおられますが、局長からでもよろしいから、この法律の施行と同時に、その対策として、償還ができるような農作物の開拓地における価格の維持というものに対してどういう方法をとるか、考えを持っておられるか、今からお伺いしておきたいと思います。
  54. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) ごもっともな点でございまして、農産物価格安定の法律は、このために御決議になり、施行いたしております。そこで対象とする農産物の中に、ただいま御指摘の大豆、それからバレイショ、澱粉等の線で、価格維持に行政の手を伸ばしておることは、御存じの通りであります。この農産物価格維持を建前といたしまする行政を強化する一面、ただいまお述べになりましたような考えに立つ、たとえば貿易自由化の問題で、来れば、一たまりもなく日本の農業は、特に条件の悪い大豆作農民のごときは参ってしまう。こういうことにならないように、もし諸般の事情から貿易自由化の線でいくとすれば、それにかわるだけの手厚い価格支持政策及び畑作振興政策に助成費を積み上げていく、こういうことを従来の方針としておりますし、現にその問題も出ておりますけれども、農林省といたしましては、かわるべき畑作振興対策の手厚い保護助成の道がない限り、直ちに貿易自由化の線がいかに大きく大局的に述べられても、同調いたしかねますというような態度で、本年の外貨予算等にも対処して参ったのも御案内のことだと存じます。考えは全く御指摘の通りでございまして、われわれは今申しましたような強い保護と助長の行政を行いつつ、この開拓の悪条件下におられます農民の心に沿うように努めて参りたいと、こう考えております。
  55. 千田正

    千田正君 まことに御答弁はりっぱで理想的でありますが、農民よりも商人の方は非常に市場に敏感である。しかも、世界市場に敏感であるだけに、またわれわれはいつでも、価格が下ってからあわてるのですから、その前にいろいろな指導方法を考えていただきまして、ことにこれは多少関税でうまくしても、ほうはいとして入ってくるところのそういう輸入製品に対して対抗し得べくもないほど、農民の力は弱いのですから、その点を十分お考え置き願って、私は十分にこの問題に対処していただきたいということを申し上げておきます。
  56. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 少しやにっこいようですが、今この法律には、御承知のように、災害資金の借りかえだけを受け持つほかに、営農資金とかあるいはこれに類する資金とかあるというようにお伺いをいたしたのですが、それはやはりこの災害資金と同じ条件でやるのですか。
  57. 立川宗保

    説明員立川宗保君) たとえば政府資金の場合を例にとってみますと、国の債権管理等に関する法律の二十四条の規定でやるわけでございます。その場合は、開拓者であります債務者が無資力とか、これに近い状態であるとか、あるいは債務全部を履行することが困難な、あるいは今持っておる財産状態ではもう少し徴収延期をしなければならない、あるいは災害とか盗難とか、そのほかにいろいろな事故が生じまして、その債務者が債務を払い得ない、こういったような場合に履行の延期をする、あるいは猶予するというようなことができるわけでございます。従って、この法律を運用いたしまして、先ほどの災害資金のこの法律によります措置と平仄をあわせましてやりたいと思います。
  58. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 利子の点とか何とかというのは、やはり同じですか。
  59. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは利子は、開拓者資金は三分六厘五毛でございますから、履行延期をいたしますと、これはやはり同一の率で、三分六厘の利子で払うわけでございます。
  60. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、まあ大体その資金の借りかえの点はわかりましたが、この法律で第六条の「国及び都道府県援助」の具体的の内容は、どういうところまで手を伸ばすのか、御説明願います。あるいは予算措置はどうやっているか。
  61. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この第六条に、援助に努めなければならないと、こうありますが、この援助は、三十二年度の予算に具体化したものとして今年考えておりますことは——将来それ以上にいろいろ考えたいと思っておりますが、さしあたって今年出発の年に考えておりますことは、大きく四つございまして、第一には、生産拡大の資金導入をするということでございますが、その一つは、開拓者資金特別会計によりまして、家畜導入をいたします。この会計で今年予定をしておりますところでは、乳牛を六千頭、馬を一千頭、役牛を三千四百頭、この大部分がやはりこの振興地区に入るわけでございます。それからこれに伴いますサイロですとか、畜舎ですとか、あるいは堆肥盤とか、そういうものは農林漁業金融公庫のワクの中で開拓者のワクを特別に作ってございます。それで貸し付けていくということでございます。そのほかに、これは本年度から始まりました寒冷地に対します国有貸付でございますが、畜産局予算計上しておりますが、その大半を開拓地向けに導入をするという農林省の方針でございます。ただいま予定をしておりますところでは、乳牛について二千二百頭、それから和牛を千三百頭、これは国が現物で貸し付けるわけでございます。  それから第二に、同じく家畜でございますが、これは今回御審議をいただいております開拓者融資保証法の一部を改正する法律によりまして、中央開拓融資保証協会に対しまして三千万円の出資増をいたしまして、これが開拓者に対しては六倍に回りますから、一億八千万円の資金力としてつきますが、これは主として開拓者に対する中小家畜——綿羊、豚、鶏というようなものを導入する、こういうことに使いたい。そういう意味で大家畜中小家畜導入をともどもにはかっていくという考えでございます。  第三は、この振興を要します開拓地の中でいろいろ条件の悪い所があります。そういう所に基本的な施設をやりまして、たとえば道路をつけることでありますとか、排水路を掘りますとか、あるいは防風林を設置することでありますとか、あるいは飲料水に非常に困るという所には飲料水の施設を作るというような、こういうようなつまり基礎条件をよくするということに、全額国庫の補助でこれをやっていく、こういうことにいたしております。で、このためには、地区開拓計画も改訂をいたしまして、これを実行するという予定でございます。  それから第四番目には、いろいろ開拓地では経営面積が非常に狭い、あるいは採草放牧地等が足らないというような所が、初期の開拓地には多いのでございます。それらのものにつきまして、近傍に政府開拓財産に属します土地があります場合には、それをその開拓者に対して分けまして、経営面積を広げる、牧草畑を広げるというようなことをやる、それの開墾の費用、酸土改良の費用、こういうようなものを補助をいたすということにいたします。それから飲料水、これはまた飲料水が非常に不備で、奥さんの、婦人の労働を朝晩非常にとりますが、さような所に対しては特別に飲料水施設を拡充する、こういうようなことを考えておりまして、これの補助及び融資、それから政府が直接やります開墾建設工事、こういうものを合せまして、約十二億の費用を三十二年度の予算計上しておるわけでございます。
  62. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それははなはだけっこうですがね。この開拓地の不振というのは、建設工事の遅延ということが非常に大きな原因をなしておる。ところが、この建設工事予算というものは、御承知通りに、なかなか計上しない。ところが、今度その建設工事不振地区に対しては優先的にどんどんやる。どんどんやるのはけっこうだけれども、こういう不振地区に対する建設工事費としてこれは別途に政府がとっておるものであるのか、あるいは従来ある少い建設工事費を予算の中で優先的にそれへ持っていくのか、その点はどういうのですか。
  63. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 従来の地区開拓計画予定をしておりません工事道路、これは振興を要します地区であるがゆえに、どうしてもそこに計画変更をして追加をしてやるというものは、新規に計上をいたしました。しかし、従来も地区開拓計画の中に入っておりまして継続地区であるというものは、現在の開墾建設事業費の中でそういう振興を要する所を優先的に実行する、こういう運営をやっていきたい、こういう考えでございます。
  64. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、また、第一点は振興計画ができておらぬのだから、新しく建設工事に必要な建設工事予算というものはまだ組んでいないと思うのだが……。それからなお非常に少い建設工事費で、これを優先的にやるといっても、これは机上の考え方である。そうすると、片方をふくらませば片方がへこむというようなことになると私は思うのです。数年たたずして、また一方の方に不良地区が建設工事の遅延のために生じてくるということになる、理論上も、それから実質においても……だからね、これは一つ区分して、今までよりもこぶをつけてやる。総体的に考えても建設工事費用が足らぬ、工事が遅延する、従って主として建設道路が遅延すれば、農産物を作っても価格がないというようなことが、その不振の主なる原因と私は思う。だから、そこをはっきり区分して、建設工事にこういう不振地区に持っていくのは、予算的にこぶをつけて、別途に要求して、そうしてやらねば、これはただ同胞、同じ兄弟がおれの方に先に寄こせ、こういう結果になると思う、これは内部的に……。その点はどうでしょう。
  65. 立川宗保

    説明員立川宗保君) お話のようなことはまさにその通りでありまして、昭和三十二年度の開拓建設工事予算自身につきまして、正直に申しまして、私どもは非常に残念な結果だと存じております。ぜひ、ただいまおっしゃったようなことを、来年度予算以降においてはぜひともこれは実現しなくちゃならないと強く考えております。それにつけましても、この法律が御可決になりまして成立するというようなこと、これはやはり非常に重要な基礎になるというようにも考えます。
  66. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は、前にも申し上げましたように、半歩前進したと。一歩前進とは言わない、半歩前進したとこう思っているので、現在のこの法律に対してはどうこう申さぬが、そこが最も重要な点で、予算もこうやってありますということになれば、一歩前進したということになる。だから、その点、法律は通ったけれども、やはり肉身相はむ、取り合いっこをするというような予算にならぬようにやることを、一つ約束していただきたい。これは政務次官、一つ責任ある答弁を……。
  67. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) 御指摘の点ごもっともと考えますので、ぜひとも実現を期するように最善の努力をいたします。
  68. 東隆

    ○東隆君 私が質問いたそうと思ったものにだいぶ触れられているのでありますが、私は、少くとも農林省が手をかけられてからの開発計画、それに関連した仕事、これはあまり成功していると思わない。それで百五十万町歩の可耕地のうち、北海道に七十五万町歩くらいあるのですが、これの開拓を考えてみますときに、今取り残されている土地というのはほとんど特殊土壌地帯ばかりだと思う。酸性土壌、あるいは泥炭地、あるいは重粘土地帯、こういうようなものでもってほとんど占められている。そうして成功した農家というのは、どういうような農家成功しているかというと、これはみんな条件を備えている農家成功しているのであって、それは第一番目は非常に条件の整ったところに入ったことということなんです。たとえば軍用地の跡地に入った者、あるいは入った者が満州から帰ってきた者、あるいは樺太から帰ってきた者、こういうような人たちは開拓ということについて十分に経験を持っておりますし、従って、そういうような人たちが一度土地を見たとき、これなら十分やっていける、こういうふうに考えた人たちがその土地を選んで入って行った。従って、そういうような人は割合に成功しているわけなんです。ことに満州なんかでもって匪賊からやられたりなんかして帰ってきた人たちは、団結をして、そうしてあのときを思い出して、困難にぶつかったときにはやっている。そういうような所が成功しているのですが、戦争中災害や何かの関係でもって、緊急開拓とかで、ことに東京でもって焼き払われて、そうして向うに行った農家なんていうものは、これはもうみじめなもので、それがほとんど脱落をしている農家で、残ったものも多少ございますが、これはもう実にみじめなもので、こういうような人に対して、私は国に大きな責任があると思うのですが、そういう状態なんです。  それで、昔の開発のときには、まだ文化施設も何にもなかったときです。ですから、開拓地に入って行って、そうして不便をしのんでやったかもしれないけれども、今の開拓をする人たちのは、みんな府県であって、電燈のない所はないし、交通網、通信網が備わって、学校もございますし、お医者さんもいるし、産婆もいるし、こういうような条件がみな備わっておる所から、子供の学校の教育のこと、宗教関係の年寄りだの何だのを満足させるようなお寺もない、みんな条件の整っている所はないのです。そういうような所に入って行って、しかも無資力な人が入って行くのですから、これは成功するはずがない。そこで、それに対しては、これからの開発というものは、先ほど言った全面的な環境、条件ですね、開発する拓植をやるための条件を完全に国でもってやってしまって、そして中に入っても営農がすぐできる、こういうような条件を備えてやらなければ、これはうまくいくはずがないのです。従って、十五万五千戸残っておるといううちで、それの半分はどうやらこうやらまあ成功した、こういうのは、私は先ほど言ったような人たちが成功している、辛うじて維持しているという者、この中には没落もしなければならないというのがたくさんある。そういう形でもって計算をしたらいいのじゃないかと思うのですが、  そこで、先ほど国の債権管理等に関する法律、この二十四条でもって借金の年限を延期をしたり、金利を下げたりすることができるということなんですが、私はもう一歩進んで、ことに脱落した農家の分を、開拓農が作っておる協同組合がそれを負わなければならぬ、こんなようなことになったりしているようなものは、たださえ困っておるのですから、この際それを帳消しにしてしまって、それから与えられた耕地面積が、今はだいぶ経営面積が適正になっておるようですけれども、以前のやつは面積が非常に少いのです。従って、そういうような面積は当然分けて適正に配置がえをする。今ならば私はそう困難じゃないと思います。これはもうだいぶ長いことたつと非常に困難でありますから、それで今配置がえをする。その場合に住宅であるとか、そういうようなものを建てたりなんかする者に対しては、当然やはり国の失敗した拓殖政策なんでありますから、国が当然新規に補助財源だの何だのを与えてやる、こういうようなところまでやっていかなければならぬと思います。それから今持っておるところの借金の大部分というのは、これは食ってしまった。食べてしまったものが農業資本として有効に動くはずがないのですから、そういうような種類になっておるところの資本からは償還の財源の出るはずがありませんから、そういうようなものは十分に調べてもらって、それを何とか棚上げしてしまう。それこそ百年ぐらいでもって払うとか、九十九年ぐらいでもってやるというぐらいの英断をやらなければ、今までの誤まった開発の政策を取り戻すわけにいかないと思うのです。それで、非常に開発地に入った人も気の毒ですし、それから入られた人も気の毒な状態なんです。いろいろ批評を受けて、そしてそんな経済効果が上らないところは開発をしない方がいいという、何だのかんだの勝手なことを言っているようですけれども、しかし、それはやり方が間違っておったので、率直にやり方が間違っておったということを認めて、新規まき直しということがありますけれども、それをやらなければならぬのじゃないか、こういう考え方を持つわけです。  そこで、私は一体どれくらい借金があるかという問題です。先ほどの二百億あるとこういうわけです。それは普通公庫やその他の金融機関を通して出たものが二百億ある。個人負債その他のものを加えてくると、これは相当なものに、プラスになってくるだろうと思う。そうすると、一戸当り二十万くらいな借金はこれは負債になっておるのじゃないか。北海道の既存の農家は昨年の災害でもってざっと三十万以上になっております、平均が。だから、開拓農家といえども二十万になっておるのではないか、こう思うのですが、そうすると、そいつを、それだけのもののうちそれくらいのものはほんとうに長期なものにしなければ、これから営農を進めていくといってもできっこない。五年や三年でもって開拓するなんて、そんなことはてんでもう想像も及ばないことです。そこで、これは十年なら十年据え置き、棚上げにしてしまって、そして新しく計画を立て直す、そんなような方途も講ずるか、あるいは長い期間にする、こういうような形をとらなければならないと思うのですが、やはり相当詳しい借金の調べをすると同時に、先ほどの二十四条のこれをもう少し拡張解釈をして、そしてやるような方途をまず第一番目に講じていかなければ、今後の開拓は容易ではないと思う。ことに新規のものを考えないで、今までのものについて重点が置かれるというならば、特にそういう点を考えなければならないと私は思うのですが、この点、一度どの程度までお覚悟がおありになるのか、それをお聞きしておきたいわけです。
  69. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 開拓者の経済状態をいろいろこまかく調べておりますが、なるほど開拓者は片っ方に非常に負債は持っております。ところが、その資産を調べてみますと、資産もやはりいろいろあるわけでございまして、開拓農民は入植の初期に比べますと、土地が熟地化しているとか、家畜も入ってきているとか、家や畜舎や、それは粗末なものかもしれませんが、そういうものができておるとか、今借金を払いなさいというと、なかなか苦しいけれども、資産そのものはやはり、平均で押えますと、全然ないということではないのでございまして、かなり今後生産を伸ばしていく基礎は、平均的に申せばいろいろあると、これに追加投資あるいは借金の償還の猶予ということをいたせば、十分見込みがあるということを前提にして、開拓現状を判断をしているわけでございます。  そこで、今お話のございましたように、開拓者はいろいろ苦しんでおりますが、この法律に従いまして、まず現状から出発して振興計画を立てていく。で、その振興のテンポに応じて償還できるように、資金の償還猶予その他の措置をやっていくということでございますので、私はこの法律並びに債権管理の法律、その他の法律の運用によりまして、間違いのない処置が十分できる、そういう工合にやらなければならないと判断をしているわけでございます。
  70. 東隆

    ○東隆君 今もちょっと申し上げましたけれども、脱落してしまって離農をしたもの、そういうようなものはおそらく、借金をしておったもの、こんなものはみんな一応は開拓農協が形式上おそらく背負わされておると思います。こんなものはこの際はっきりと切り捨てられた方がいいと思いますが、それはどうなりますか。
  71. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは従来そういう措置をいたしておりませんでしたが、今度、今年から、ただいまお話のような趣旨に大体近いことを実行いたすつもりでございます。具体的に申し上げますれば、この脱落者でその債務だけ残っておる、こういうふうな人の借金につきましては、国の債権管理等に関する法律によりまして、まず履行期限を延期をいたしまして、取り立てないでおきます。それで一定期間置きまして、どうもやはりこれは徴収ができないし、これは無理だというものは、債権の免除をするという措置をとります。
  72. 東隆

    ○東隆君 農家の適正規模ということは非常にむずかしいのですが、私はせめて開拓農家に対しては、その地方に相当した適正規模というものを、面積を与えることが必要だろうと思うのですが、それに今まで間違いを起しておると思うものもだいぶあると思う。そういうようなものは、この際再配分する。それには離農したものであるとか、そういうようなものはもちろんのこと、それからさっき言った近傍にある放牧地等を、これは積極的に与えるというようなことを考慮しなければならぬと思うのですが、再配分その他は、先ほどの午前中の局長の話では、だいぶ困難なようなお話もあったようですが、それはどういうことになりますか。
  73. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 再配分の問題は、その再配分を受ける開拓者方々にまず同意をしていただかなければなりませんから、頭から一方的に押しつけるわけにも参りませんが、皆さんの御同意、大多数の御同意を得るならば、交換分合その他の措置でもって、再配分をいたしまして、あるいはお話のような離農者の土地を与えるといったことも可能でございましょう。それから、そこで土地が足らないからよそに移転をするという者に対しては、新しく住宅を建てる費用、それからそこで新しく経営を成り立たせる費用、そういうものを援助補助ないし融資をいたしまして、みんなが適当な経営の成り立つ面積を得ていくように、具体的に地区ごとに活用していきたいと考えております。
  74. 東隆

    ○東隆君 五階級ですか、類型が五つあったものを七つにされて、そうしてそれに適当した経営で進められるようなお話をちょっと伺ったのです。それで、その平均面積が二町九反五畝というようなお話ですが、こんなになりますか、平均が。
  75. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは一つの予定を考えておるわけでございまして、北海道でございますと十町歩から四町歩、それから内地、府県で申しますと、四町歩から一町二反というような大体のタイプに分けて、経営面積を考えておりますが、所によりましては、先ほどお話にもございましたように、終戦直後の入植で、非常に経営面積が少い、そういう所は、再配分あるいは土地を追加するような新しい措置を講じなければならないというような所もございます。
  76. 東隆

    ○東隆君 北海道の土地は十町から四町というようなお話ですが、これでやれる所は、おそらく上川、北海道中部地帯の石狩川の沿岸なんかを考えたときに言えることで、これからの開拓地帯に、この範囲でもって営農ができるような、特殊なもので、もっと大きな面積を与えなければだめだと考えますが、そこで間違っているのじゃないかと思うのですが、どうなんですか、すでにそれ以上十五町歩ぐらいやっている所もあるんじゃないですか。
  77. 立川宗保

    説明員立川宗保君) ただいま申し上げましたものは、すでに二十一年以降現在まで入りました開拓地現状から出発をするということを申し上げましたので、それには、北海道で申しますと、十町歩の所もあり、六町歩の所もあり、四町歩の所もある、こういうことでございます。従って、根釧等で今後新しく経営を始めるというような場合には、農耕地だけで十四町歩、そのほかに付帯地を合せると相当な面積になりますが、そういうことで出発をいたしますので、従来の初期の経営面積で非常に面積の足りないという所は、それを補うためにいろいろな充実の措置を、面積を広げることのほかに、あわせて考えていくつもりでございます。
  78. 東隆

    ○東隆君 面積を広げるほかに、充実の措置を講ずるというのですが、これは動物その他の、あるいは経営の形態を変えることに対して、国が力を注ぐ、そういうようなことを意味するのですか。
  79. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは単位面積当りの生産量を増大するということが、結局広さをカバーするゆえんであると考えますので、家畜を入れまして、そのほかに地力を増進させる措置をいろいろ考えていきたい、こういうことでございます。
  80. 東隆

    ○東隆君 私は、開拓地帯におけるところの考え方というものが、反当の収入を上げるという考え方に立つと、非常に間違いを起すのじゃないかと思う。それで、やはり労働に対する報酬が多くなるようにしなければ問題にならない。エーカー・エコノミーでなく、マン・エコノミーでもっていかなければ、開拓地の考え方は進まぬと思う。そこで土地の生産力を上げるというようなことも、結局労働に対する生産力が上れば、労働に対する報酬がふえれば、結局土地そのものは収入がよくなる、こういうことになるので、そのための措置を講じなければ、本格でないと思う。というのは、反収を幾ら上げてみたって、農家生活をよくするわけには参りません。やはり労働に対する報酬が多くなったことによって、初めてそれが生活費に充当されるのであって、何ぼ総収入が上っても、経費がたくさんかかっておったのでは、労働に対する報酬になりません。従って、私はその考え方が少くとも開拓を進めるという場合の大きな間違いじゃないかと思う。国家という立場から立って、そして食糧を増産するというそういう考え方からいえば、私は、それが正当の何かもしれませんけれども、農民はそのためにひどい目にあわされますから、そんな考え方でなくて、やはり労働に対する報酬が多いようなそういう措置を講じなければ、立って参りません。そういう考え方に一つ切りかえて、ものを一つ見ていただきたいと、こう思うのですが、その点はどうですか。
  81. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この開拓振興法律その他当面の開拓農家に対するわれわれの考え方といたしまして、今もお話もございましたが、開拓農家の所得を上げて経営を発展させ、生活を向上させる、こういうことがねらいでございますので、今お話しのように、農家の総所得を上げるためにその一手段として土地の生産力は向上させるわけでありますから、もちろん労働生産性を向上させるということは不可欠なことでございます。
  82. 東隆

    ○東隆君 開拓条件を備えられるお話が先ほどあったのですが、これは機械開発公団等におけるものについても、まだ足りないものがたくさんあるわけです。いわんやこれからの、そういう形でない所へ入って行く者は、先ほども私が申しました通りに、文化生活を営んでおった者が不便な所に入って行くのですから、非常に困難を感じる。そこで無水地帯毛あるでしょうし、電灯のない所はもちろんだし、ラジオも聞けない。何もない所に入ってやるのですから、そういう方面にどういうような施策を講じられておるのか、講じようとされておるのか。これとは、この法律とは関係がないようなことですけれども、今後の開発という問題はもちろんのこと、既存の入植者が苦しんでいるのに、それをやり直していかなければいかぬわけです。その点はどういうふうにお考えですか。
  83. 立川宗保

    説明員立川宗保君) そういう開拓農家生活の問題、あるいは文化の問題と申しますか、そういう点につきましては、第一に電気を導入をする施設をやっておりまして、これは国と都道府県の両方の補助によりまして、開拓者も一部負担を願いますけれども、電気を開拓地にすみやかに入れるということが一つ実行いたしておりますが。それから第二には、やはり水の問題が非常に大切でありまして、奥さんたちが朝に晩に水汲みに労働力を非常に消耗するということのために、飲料水の施設を、これは場合によっては全額で、場合によっては半額補助で、施設をするということを実行いたしております。  それから第三に、お医者さんの問題、衛生の問題が非常に大切でございまして、これにつきましては、全国に保健婦を配置をいたしまして、お医者さんの遠い開拓地において巡回してもらいまして、場合によれば産婆さん、場合によれば医者の手先になってめんどうを見てあげる、こういうようなことをやって非常活躍をしております。それから北海道につきましては、開拓医を嘱託をいたしまして、この人方に衛生方面をやってもらう。それから第四に、小さな子供さんのことでありますが、非常にへんぴな開拓地でありまして、学校に通学するのに非常に困る、場合によりますと、雪の中に吹雪に埋まって死んでしまうというような不幸なこともございますので、分教場、小学校——北海道は小学校と中学校でありますが、分教場を農林省予算で設置をいたしまして、どうぞ子供さんたちに少しでも楽を、苦しいのを少しでも緩和をするというような措置を講じております。  以上のようなことでございますが、まだまだ非常に不十分であると思いますので、今後もそういう方面の充実にうんと努力をして参りたい。  しかし、やはりもっと大切なことは、開拓地の経営状態を一日も早くよくして、経済状態を向上させるということが、やはりそういった問題を基本的に解決する根本的な方法であると考えまして、その一つの手段といたしまして、今回の法律案というものを御提案申し上げておるような次第でございます。
  84. 東隆

    ○東隆君 私は、今開拓地の教育の問題で、分教場を農林省で調べておるようですが、それよりも私は、道路なんかをよくして、スクール・バスを作るとか、あるいは寮をこしらえるとか、寄宿舎生活にする。冬期間の寄宿舎制度、こういうようなものをやることが将来のルーラル・プランニングではないか、一番大切なことではないかと思う。そういう面に一つ方針をお変えになった方がいいのじゃないか。  これは少し話が外にそれますけれども、村の予算を見ましても、結局教育費と土木費というのが一番大きな金額になって参っております。従って、小さいものだけを差っ引いてやってみたところで、それは問題にならないんで、非常に大きな金額になっておるものを有無相通じまして効果を上げる、こういうようなことから考えて、今の分教場をこしらえる、そして設備の悪い所で教育をするよりは、それから先生の、変な言葉でしょうけれども、上等でない先生をお願いをするよりも、私はやはり統合して教育をする、こういう形をとっていく方がいいと、こう思いますし、従って、道路もよくなる、生産物も有利にさばくことができる、こういうようないろいろな問題が関連して参りますから、そういう方向にこれは変えていかなければならぬ、こう思うのです。  それで、無水地帯がだいぶ取り残されておると思う。絶対条件である酪農を進めるのに、水のない所に、人間も住めませんけれども、動物を養うあれがありませんから、それで成り立つわけはない。そこで、以前あったものなんかもこわれたりなんかして、そのために離農をしておる。そんなような地帯もだいぶあると思います。そういうような地帯を一つこの際、一番先にそういう点について考えを進めなければ、問題にならぬ。私はそういう地帯は多少知っておりますから、一つ申し込みますから、すばやく計画を進めていただきたい、こう思うわけです。
  85. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 政府案の御説明によりますというと、開拓地区約一万地区のうち、大体一人前に営農が行われているのが三分の一、それから少し援助をしていけば確実に更生していくという見込みのものが三分の一、残りの三分の一が、非常に更生するのに困難である地区、というふうに大体承わっておるのでありますが、三十一年度から三カ年間で、振興計画を立てるのに取り上げられた一千地区ですか、一千地区というものは、第三類型に入るものだろうと私は想像いたすのでありますが、三十一年度に、昨年度に取り上げられて調査された地区の中で、調査して見た結果、どうしてもこの不振地区を一人前に立て直すのには困難である、困難というよりも、むしろ不可能であるというふうに考えられる地区が出るのかどうか。また出ておるのかどうか。まだそこまで集計が出ておらないのか。それをちょっと伺いたいと思います。
  86. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この法律で対象にいたしますのは、全体の中で、ただいまお話の一番上の三分の一を除きました七割を対象にいたしますが、ただいまお話しのように、一番まあむずかしい所、一番病気の重い所につきましては、すでに昨年度から一地区ごとに経営診断をやりまして、そこの振興対策にすでに手をつけておるわけでございます。それで初年度、昨年一カ年診断をやりまして、ほぼその処方せんを作りました所は、ことしこの法律予算通りますならば、さっそくその地区から実行に入るというつもりでございますが、その中で、ただいまお尋ねの、これはどうしてもいかぬという地区、これは実は非常に少い量であります。と申しますのは、開拓者がほんとうに、何とかしてやろうという限りでは、できるだけの立ち上りの御援助をする、こういうつもりでございまして、そこの開拓者自身が、もうこの土地はだめだ、われわれはほかの土地に移りたいというような所は、これはやむを得ませんけれども、そこでがんばるという所では、できるだけ何とかごめんどうを見たいと、こう思っております。そこで、この地区はだめだ、山を降りてどこか別な開拓地に移ろうという地区が、全国で二百ほど診断をいたしましたうちで、二、三カ所ございます。そういう地区は、やはりあきらめるというほかはないかと思っております。
  87. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 今の点、わかりました。全日本開拓者連盟から、今回の開拓営農振興臨時措置法案について陳情があるのでありますが、もちろんこれは農林大臣にもお願いしておることと思いますが、その項目が三つありまして、一つは、振興計画の実現が可能であるように法的に義務づけること。第二は、災害資金の償還緩和だけでなく、各種資金にわたって振興計画に即して処理すること。第三に、振興基準に再検討を加えること。この三つを主にしまして、その理由を掲げて陳情をしておられるのでありますが、農林省の方では、これについての御意見は、私ちょっと委員会に欠席している場合もありますので、すでに他の委員からこの三つの事柄についての御質疑があったかもしれぬと思いますが、農林省の方の御意見を、概略ちょっと御説明を願いたい。
  88. 立川宗保

    説明員立川宗保君) まず第一点の、振興計画の実現が可能であるようにすることということでありますが、これは先ほども申し上げましたように、振興計画内容で二つの点が問題になると思います。一つは、大きく申しまして、生産を拡大をする資金その他の施策をするということが一つ。それからもう一つ、今度は再生産を食つちまおうとする借金の重圧を除くということ、この二つがまあ問題だろうと思います。それで後段の方の問題は、この法律ないしその他の法律措置ができます。それから前段の方は、これはいわば法律事項では必ずしもないわけでございまして、いろいろ予算事項でございますから、これは今後振興計画を十分判断をいたしまして、この法律が実効を上げるように、必ず予算を実現をしていくという決意でございます。  それから第二点、災害資金その他の各種資金につきましては、先ほども申し上げたことでございますが、災害資金のほかの政府資金につきましては、国の債権管理等に関する法律で運用いたしまして十分目的が達し得る。それから農林漁業金融公庫資金につきましては、公庫業務方法書で、困難な人については償還猶予をするという処置が規定をしてございますので、この振興計画でこういう猶予をすればこうなるぞという工合に、具体的に判断ができますれば、その公庫資金の猶予の措置が講じられる、こういう工合に考えております。それから最後に、個人債務その他の債務が残るわけでございますが、これは本日局長が午前中に申し上げましたように、できるだけ開拓者の皆さんにも努力を願うわけでありますが、政府の側の処置といたしまして、自作農創設維持資金その他の運用で、できるだけその辺の手当はしていくという工合にいたしたいと考えております。  それから第三の問題でありますが、これは御懸念は実はないと考えておりますが、それはわれわれが今かりに現状を押えまして、四年間ほどの間の計算をしたわけであります。しかし私どもは、開拓農家は将来いよいよ発展をして、ますます年々伸びていってもらわなければならないのでありまして、この法律が施行されまして、計画ができまして、その後五カ年間に予算あるいは融資の施策を集中をいたします。それで五カ年間に基礎をつちかって、あとは通常の制度でだんだん年々伸びていくところまで基礎をつちかいたい。あとは毎年普通の援助の仕方で発展をする。特別の援助は五カ年間に集約したい。そこで、かりに四カ年の農業粗収入の目標が、ある所では五十万と計算され、ある所では三十万と計算されておりますけれども、それにとどまるわけではないのでありまして、五十万のところに四年目に到達する所は、六年目には六十万にもなりましょうし、十年目には百万にもなりましょうし、そういう工合に毎年発展をしていくわけであります。また発展し得る基礎まで持っていって上げるということが、この施策を短期に集中するねらいでございます。そういう意味では、この第三の点に御心配をいただいておりますが、御懸念はない、そういうことをさらに乗り越えて、りっぱなところまで持っていくというつもりでございます。
  89. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 第三の問題についてでありますが、開拓者連盟の方で言っておるのは、農林省の方で考えておられるのでは、開拓者の大部分振興到達目標二十七万以下と考えておられるようだが、これは低きに失するのじゃないかということでありますので、四年から五年六年とだんだん伸びることはけっこうでありますが、当初の到達目標というものが低いからもう少し上げてもらえないか、こういうことのように思いますが、その点、もう一度……。
  90. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは農業粗収入が二十七万でございまして、そのほかに農外収入等がやはり加わるわけでございます。それで一般の日本の農家経済調査の現状等から推しまして、農業だけで二十七万の収入があるという農家は非常に低い最下層の農家ではないのでございまして、日本全体の農家のレベルからいって著しく低いとは申せないのでございます。しかし、私どもはこれでもとうてい満足しないのでありまして、日本の開拓農家農業粗収入で五十万も七十万も、あるいは百万も年間に収入があるところまでぜひ持っていかなければならない、そのための基礎的な措置をこの法律で一部打っていこう、こういうわけでございます。二十七万のこの目標で、短期を目標にしておりますけれども、それは中間目標でありまして、これはそのときにはすでに家畜乳牛も二頭入るとか、豚も十頭以上も持っておるとか、そういうそれぞれの生産条件を持ちながら、二十七万というところに到達するわけでございます。
  91. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 ちょっと念のために、もう一度、重複するようでありますが、二十七万というのは中間目標であって、1そこでもってもう農林省の方は、一人前に立ち直ったから、あとに伸びるやつはもうお前たちだけでやれと、こういうふうな考え方にならないということに承知してよろしいですか。
  92. 立川宗保

    説明員立川宗保君) もちろんその通りでございまして、その後といえども、政府開拓者資金公庫資金、あるいは融資保証制度というようなもの、その他また今後いろいろ考えて新しい方法を編み出すかもしれませんが、いろいろな方法で突っかい棒をして御援助をしていくというつもりでございます。
  93. 仲原善一

    ○仲原善一君 もう大体皆さんの御意見を聞いて質問も尽きたと思いますので、時間があまりないようですから、簡単に御質問いたしますが、基本になる考え方は、先ほど堀本議員なりあるいは重政議員から質問がありまして、全く同感でありますが、また政務次官からも御答弁がありまして、非常にいい御答弁で、われわれ非常にありがたく思っているわけですが、ただ若干もう少しお伺いしてみたいのは、最初は、これも抽象的なことになるかもしれませんけれども、農林省開拓政策をやる場合に、食糧増産か人口収容力を高めるかどっちかというので、ずいぶん議論になったことがありますが、現在はどういうお心持でやっておられるのかというのを一点……。
  94. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) 最初敗戦のあのどさくさのときにスタートいたしましたときを今顧みますというと、少くも十年もたったらばいわゆる開拓農民、開拓者開拓政策というような、これがいつまでも続いて、こういう苦しい悲惨な状態におられる農民諸君に接触しておるということは、実は私も関係の一人として、非常に考えさせられておる課題でありますが、農林省の態度、方針といたしましては、これは農政の基本にございますように、農家の経営を安定をして、農民生活を正常な形に守っていくという上においては、それが苦心を払って非常に努力をしていただいたいわゆる開拓関係者のことでありますから、一そうそのレベルまでは持って参らなければならぬ。そのためには必要な資金的、予算的な、法律的な措置は、今部長も言われたように、創意工夫をめぐらして、どんどん力を入れて参りたい、こういう態度でおる次第でございます。
  95. 仲原善一

    ○仲原善一君 大体先ほどの東委員の質問にも関連しておるわけでございますが、経営の安定ということは、結局人口の収容力をうんとふやしていこうという方が重く見られるように考えますので、私もそういうふうにお願いしたいということでありますが、それから、その次の問題は、振興計画の問題ですが、これは立てられて、都道府県知事なり、あるいは農林省承認されていくわけですが、その場合に非常に特権がいろいろ出てくる。先ほどのお話のように、いろいろ開拓者の利益になることが出てきますが、義務づけと申しますか、政府がそれに承認されれば、いわゆる開拓者側から申しますと、特権なりが得られるような義務づけがあるかどうかということですね。ただ幾ら計画を立てても、たとえば新農村建設なんかを計画して立てましても、なかなかその番が回ってこない、二年も三年も引きずられていくということがありますが、今度の振興計画が立ちました場合には、ことしからでもすぐ実施に移していただけるかどうか、事務的に。そういう点はどういうふうにお考えであるか、伺いたい。
  96. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは多少この法律を作ります間に当りまして、苦心をいたしたのでございますが、空文にならないようにということが一番問題だと思います。そこで、今お話しのように、この計画を達成するに必要な予算措置、これをぜひ実現していきたいつもりですが、そのためにはやはり緻密な、一つの地区ごとに、ここはこういう工合にすればこうなるのだという目標が出ますことによりまして、その裏づけの基礎が、非常に予算措置が容易になる、こういう工合に私はいろいろな仕事を通じて具体的に判断をしております。政府の内部で実はその点が非常に問題になりまして、結局、ざっくばらんに申し上げますと、こういう計画を立てると、予算をこれは当然支出せざるを得ないのじゃないかという財政的な意見もあったわけでございますが、いろいろ研究の結果、ここまで踏み切ろうじゃないかということに実はなったわけでございます。
  97. 仲原善一

    ○仲原善一君 今の問題は、単なる予算措置だけであれば、あえて法律は要らないと思いますが、条文化されたところを見ますと、そういう配慮が背後にあるだろうということを考えていますが、今のお話の通りに、空文にならないように、非常に労力をかけて開拓民は作る振興計画ですから、その点は一つよくお考え願いたいと思います。  それからもう一点だけ、それは都道府県援助の問題ですが、その計画にいろいろ政府なりが補助金なりを出されて、たとえば耕土培養の問題にしても、国が半分、府県庁が半分、開拓民は一文も払わないでいい仕組みになっておりますが、そのほか、先ほどお話がありました基金の造成の問題にいたしましても、多分都道府県の負担もあろうと思います。そういう場合に、県によって、余力のある県は幾らでもそれにこたえることができますが、窮乏しているような県におきましては、せっかくの国の配慮が、地方庁の裏づけができないために、開拓民に恩恵が浴しないという問題が多々あります。そういう問題に関連して、都道府県の負担のふえる分について、地方交付税とか何とか、そういうもので大蔵省なり自治庁とよく御相談になったり、配慮がしてあるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  98. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この法律を作るにつきまして、自治庁とその点に関しましてもいろいろ相談をいたしました。方向としては自治庁も了としてもらっているわけでございますが、具体的な問題は今後具体的に相談をしていかなければならないものと存じますが、ただいまの御指摘の通りのことをぜひ今実行して参りたいと、当省としては考えております。
  99. 仲原善一

    ○仲原善一君 これは実際問題として、県ではなかなか予算が取れにくい問題でして、これは相当強力に、その場合になってはこれはとても大へんな問題になりますので、事前によく通牒でも出していただいて、地方当局の特に財務当局とよく了解をしていただいておかないと、せっかくの予算がほとんど執行できないじゃないかという懸念がありますので、特にお願い申し上げておきます。
  100. 柴田栄

    ○柴田栄君 実は、まあ十年の経験に徴して、今度は必ず振興できるという自信もできて、こういう法律措置もとられたというふうに了解するわけですが、そうすると、経営振興のための五カ年計画を立てられるということには、ただ計画がいつもなりがちな空文の計画にならないで、実行可能な経済的な、技術的な裏づけの自信があるというふうに了解していいかどうかということを、はっきりお聞きしておきたい。というのは、従来非常に、まあ特に開拓地等、ことさら東北、北海道のごとき寒冷地では、従来の指導方針が不徹底なために、もう冷害でもあれば必ず苛酷に災害を受けるというような状態を繰り返してきておるわけですが、これは今のようなやり方をやってきているとすれば、これはほとんど宿命に近いもので、災害ではない。これは経営の中に当然入ってこなければならぬような性格のものじゃないかと思う。それを、この際は何とか災害の復旧の資金を特にめんどう見るんだということを言われても、それは貸してもらうんではどうにもならないというものになりゃせぬかと思うんだね。本来からいえば、そういう立地に、そういろ経営を知らぬ顔してやらしておいて、冷害をこうむったんだということで、自分で復旧しろ、資金は貸してやるというのでは、経営にならないと私は思うんです。ですから、まあその処置はとってやるかわりに、今後は計画を立てる場合に十分指導して、そういう危険は繰り返さぬでも済むんだという自信のある計画が立つということでないと、これは実は空文になるばかりか、また、だますというような結果になる危険があると思うんですが、その辺に対しては十分な自信がおありになる、こういうふうに解釈していいんですか。
  101. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) ただいま実務を担当しております部長からも、空文にならないよう苦心と努力を払ってここに至ったと明言しておるような次第でございまして、当省といたしましては、誠意をもって、過去の苦労して参りましたことを繰り返さないように、最善を尽す決意を持っております。
  102. 柴田栄

    ○柴田栄君 まあ繰り返してお願い申し上げておきますが、振興計画には、たとえば寒冷地等において従来通りのことをやらせないで、冷害等があっても、冷害をこうむらないような経営内容を責任をもって御相談を願うということをぜひともお願いし、冷害では、より多くの冷害を当然こうむる宿命というやつから脱却させていただきたいということを、大きく期待して、了承いたします。
  103. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて下さい。    午後三時五十六分速記中止    —————・—————    午後四時十一分速記開始
  104. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明かにしてお述べを願います。
  106. 田中啓一

    ○田中啓一君 自由民主党を代表いたしまして、申し上げます。  本法案については賛成でございます。しかし、この法案は今日非常に窮状に陥っておりますところの開拓者は、一日も放置すべからずということで、とりあえずの一つの積極的な安定政策を講じられたにすぎないものとしか考えられないのでございます。この点は、同僚各位の御質問と政府の御答弁によって明らかでございます。従って、私どもはこれはこれとして、一つこの期間内にこれだけの目的は十分に達するように財政措置は十分に講じ、かつまた今回とかく財政的に不如意でありますところの地方公共団体に対しても督励を加え、また何らかの措置も講ぜられまして、相ともに国と地方公共団体との力によりまして、少くともこれだけのことは確実にこの期間内に実現をされるように、強く要望するのであります。  それと同時に、この法律は、前にも申し上げたように、いわばわらぶき小屋を何ぼか補強して、とりあえずとにかく雨の漏れないようにというような行き方でありまして、とうてい、今日日本の国民経済発展の見地から見まして、農業、ことに開拓地をこのようなわらぶき小屋で置いておけるわけのものではないのであります。どうしてもしっかりした本建築になすべきものと考えるのでございますから、当委員会におきましても、この問題はきわめて重要であると思いますので、当委員会みずからこの基本的問題の解決に乗り出すという熱意を示すとともに、従って、ぜひ同僚委員諸君の御賛成を得て、当委員会において基本的問題の解決に進むということにしていただきたいことと、同時に、また政府もこのことにつきましては、政府の全力を傾けて、一つ基本政策の確立と実行に向われるように、強くこれは要望をいたす次第でございます。  以上、委員会に対しましては、皆様の御賛同をお願いをすると同時に、政府に対しましても、この案の実行と、さらに基本政策の確立とに向って、格段の努力を払われんことを要望いたしまして、本法案に賛成をいたすものでございます。
  107. 東隆

    ○東隆君 私は社会党を代表して、ただいま上程されておりまする開拓営農振興臨時措置法案及び開拓融資保証法の一部を改正する法律案について賛成をいたします。  ただし、この法案は、戦後における日本の開拓農政が必ずしもりっぱな政策でなかったために、いろいろな問題を起しておるわけであります。従って、それらに対するところの糊塗的な救済以上に出ておらないのであります。そういう意味で非常に残念なのでありますけれども、今の段階として私は賛成を表するわけであります。  そこで、このままで放置をいたしますると、私はこれこそ日本の農業政策のうちの開拓政策が最も弱点となって現われると、こう考えるわけであります。ちょうどゴム風船でも、一番薄いところが一番先に大きくなっていくような形で、ここに農業政策そのものの私は一番欠点が現われてくると思うのであります。それが現に現われておるんじゃないか、こう考えるわけであります。従って、あらゆる力を注いで補強工作をしなきゃならぬわけでありますが、そのために、やはり今まで分散されたいろいろな方途を講ぜられておるわけでありますけれども、そういうようなものを一つ開拓の一点に集中をして、そうして総合的な政策を確立する必要があろうと思います。そういう意味で、農林省はそういうことをすみやかに進めていかれることを私は要請をするわけでありますが、同時に、われわれもまた、先ほど田中委員が言われたように、一つ力を注いで参りたい、こういうふうに考えるわけであります。  以上述べまして、この法案に賛成の意を表します。
  108. 島村軍次

    ○島村軍次君 私もただいまの案に賛成をいたします。  そこで、先ほど来積極的な御意見が出ておったようでありますが、この法案開拓営農振興臨時措置法案としてありますが、既設の開拓者に対するむしろ救済的な考えとも見ることができると思うのでありまして、将来の営農経営にはある程度の安定性を持つことはできると思うのでありますが、さらに根本的に開拓政策そのものについては、抜本的な対策が必要だと思うのであります。何となれば、戦後の開拓政策はむしろ戦後対策としてのにおいが多分にあったのでありますが、われわれの考えるところによりますと、さらに全体のわが国の経済の安定した上に立つわが国の農業政策の見地から、むしろ百尺竿頭一歩を進める以上の開拓政策が、農業政策の一環として考えられなければならぬと、かように思うのでありまして、その意味におきまして、今後の国の総合的な政策と申しますか、単に農林省の一部門としてだけでなくして、国策の自民党における基本政策のうちにも十分こういう問題を取り入れていただきまして、相待ってその進展を期すとともに、さらに国会に与えられましたる権限内において、われわれはこれを大いに推進するの措置を講ずる必要があると考える次第であります。  以上の意見を申し述べまして、本案に賛成いたします。
  109. 千田正

    千田正君 私は、はなはだ不満ながら、賛成の意を表せざるを得ないのであります。  午前中討論いたしましたが、世をあげて神武以来の景気である、こう言っております。また政府は財政投融資が、近代産業に対しては大幅な投融資をしておるにもかかわらず、日本の基礎産業、かつまた原始産業である農業であり、ことに戦後において敗戦の痛苦からようやく大地にみずからの生命をなげうって、日本祖国再建のために戦いつつあるととろのこの多くの開拓農民の諸君、しかも自作農と新たに創設されるところの機械化農民との間の暗い谷間の中に、営々として戦っておるところのこうした農民諸君に対して、救済のような、あるいは補強工作のような、こういう政策に対して私ははなはだ感心しないのであります。真に生命を捨てて戦い続けた十数年の間のこの人たちの忍苦にこたえるためには、もっと積極的に抜本的な政策をもってその士気を鼓舞して、日本国民のほんとうの大自然の中に戦っていくところの姿を形成するように、政府はもっと力強い政策をなすべきものであると私は考えますが、しかしながら、竿頭一歩を進めて、不満でありますけれども、一応ここで一段階としてのこうした方策をやられるということでありますので、賛成の意を表する次第であります。
  110. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。まず、開拓融資保証法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、開拓営農振興臨時措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、両案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     重政 庸徳  藤野 繁雄     東   隆  島村 軍次     青山 正一  雨森 常夫     佐藤清一郎  柴田  栄     田中 啓一  仲原 善一     堀本 宜実  羽生 三七     千田  正
  115. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会