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1957-04-02 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員江田三郎君辞任につき、その 補欠として小笠原二三男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            佐藤清一郎君            下條 康麿君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君           小笠原二三男君            北村  暢君            鈴木  一君            羽生 三七君            上林 忠次君            島村 軍次君            千田  正君   政府委員    大蔵省主計局法    規課長     中尾 博之君    農林政務次官  八木 一郎君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局金融課長   和田 正明君    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員長報告天災による被害農林漁業者等に対す  る資金融通に関する暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、御報告申し上げますが、去る三月二十九日の委員会におきまして、特定多目的ダム法案に関する問題点について建設委員会申し入れすることに御決定になり、その文案等委員長が御一任を受け、委員長は、理事諸君等の御意向も伺って、お手元にお配りいたしておきましたような申し入れをいたしましたところ、建設委員会におきましては、これまたお配りしておきましたような付帯決議が行われましたので、すでに御承知のことと存じますが、念のため御報告申し上げます。  なお、申し入れ及び付帯決議を朗読いたしますと、次のようであります。    「特定多目的ダム法案」に関する申入   今回政府から提案された「特定多目的ダム法案」について、多目的ダムの効用が治水は勿論、利水の面においてその重要性が増大しつつあるとき、農業に極めて重大な関係をもっておりますので、当委員会においては、この法案に深い関心を持ち、その審査に当っては、貴委員会連合審査をお願い致したい次第でありましたが、議事極めて輻輳の際でありますので、これを差控え、当委員会において、建設大臣農林政務次官及び建設省河川局長等政府関係首脳出席を求めて諸種の問題点について説明を求めたのであります。   当委員会において、この法案について特に問題となっております点は  一 この法案適用対象多目的ダム特定用途から農業用が除かれており、この結果、農業用が軽視され、不利な取り扱いを受けることになってはならないということ。  二 基本計画操作規則その他水利関係について、建設大臣農林大臣協議することになっているが、これは同意を必要とするように改めるべきであるということ。  三 法律規定協議するように定められている事項以外の事項でも、関係事項については右に準ずる取扱いとする必要があるということ。  四 この法案による多目的ダムについて、農業用としての利用を希望するものについては、その希望が容れられるようにすべきであるということ。  五 多目的ダムについて農業用のものは従来建設費負担を必要としなかったのであるが、今度法案第十条によって、新たに建設費負担しなければならないことになるのであるが、従来の経過にかんがみその負担額を極力軽減すべきであるということ。  六 右の建設費負担したものはダム使用権者として取扱い基本計画及び操作規則等意見を述べることができることとし、かつ、その権益が充分に保護されるようにすべきであるということ。  七 多目的ダム建設及び操作によって生ずる農林漁業者被害について、これがその時発生するものは勿論、事後において発生するものについても、国において完全に補償されるようにすべきであるということ  八 以上の諸問題を適正に処理するため、審議会等を設け、直接関係農業者意見を充分に反映せしめるべきであるということ。  等であります。   これらの諸問題について、建設大臣はじめ政府側出席者から、この法律によって農業を軽視し不利な取扱いをするようなことはしない。この法律運用に当っては、農林省協議し、協議が整った上で実施することとし、建設省において独断で行うようなことはしない。農業者意見都道府県知事及び農林大臣を通じて充分に反映せしめその権益保護について遺憾なきを期したい。被害補償及び紛争の処理については審議会を設ける等民主的な措置により関係農業者意見を反映させることについて検討したいという趣旨答弁がなされておるのであります。   当委員会におきましては、右の答弁を了としこれを信頼しておるのでありますが、貴委員会におかれましても、当委員会の意のあるところを御了承の上、政府関係当局が右の答弁に従って農業及び農業者保護のため遺憾なく措置されますよう格別の御配意を願いたく当委員会決定によって申入れます。   昭和三十二年三月二十九日      参議院農林      水産委員長 堀  末治    参議院建    設委員長  中山福藏殿    参議院建設委員会における「特定多目的ダム法案」に対する付帯決議      (昭和三二、三、三〇日)  一、多目的ダム建設及び管理に当つては、常に基本的に農業生産及び農業者の利害の存在することは自明であるから、建設大臣は、その基本計画操作規則水利関係等決定、策定に際して、農林大臣との協議を緊密に行い、いささかも農業生産及び農業者の利益を侵害することのないよう措置すること。  一、多目的ダム建設費のうち農業用負担部分については、その負担額を極力軽減すると共に、将来、これにダム使用権の設定に関し検討すること。  一、多目的ダム建設及び管理に当って生ずる農林漁業者への被害については、国において完全に補償すべきこと。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  この法律案は、去る三月三十日衆議院会議において全会一致修正議決され、そうして当日当院送付、当日当委員会に付託されました。  この法律案につきましては、すでに提案理由説明を聞いてありますが、本日は、まず農林当局から法律案内容その他について説明を聞いて、続いて質疑に入ることにいたします。ごらんの通り政府からも出席いたしております。  これからこの法律案審議に入ります。御説明を願います。
  4. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案につきましては、その改正趣旨並びに内容のおもな点につきましては、先般提案理由説明の際申し上げました通りであります。それに補足いたしまして、若干改正法案の各条につきまして御説明申し上げます。お手元新旧対照表をお配りいたしておりますから、御参照願います。  まず、第二条第一項の改正点を申し上げます。この改正点を申し上げますと、被害農業者被害林業者及び被害漁業者定義を明確に規定づけるために、字句を改めようとするものであります。すなわち、被害農業者につきましては、その表現をより的確なものに改めるものでありまして、被害林業者及び被害漁業者につきましては、現在単に「著しい被害を被った旨」という表現でありますけれども、あとに御説明いたしますように、三分五厘資金適用基準を定めますことと関連いたしまして、「著しい被害」という表現では、どの程度被害を受けたものが本法措置対象であるか不分明でありますので、この点を明確にしようとするものであります。すなわち、農業者林業者漁業者と統合して、年間収入の一割以上の被害をこうむったもの、被害のあったものについて、本法対象とすることをはっきり規定し、あわせて、林業者漁業者には施設被害本法対象となっておりますので、施設被害は従来からの実績に合せて、当該被害時における価額の五割母上の被害を受けたものを対象とすることをはっきり規定しておるのであります。なお、漁船及び漁具につきましては、政令でその範囲をきめようということを規定しておるのであります。  次に、新たに加わりました第二条第二項は、被害農林漁業者のうち特に被害の著しいものにつきまして、政令当該第二号及び第三号の規定によって、償還期限特例及び年三分五厘以内の低利率適用を行うために、その定義を設けようとするものであります。すなわち特別被害農業者という定義を加えております。それは「被害農業者であって、天災による農作物及び繭の減収による損失額が、その者の平年における農業による総収入額の百分の五十(開拓者にあっては百分の三十)以上である旨の市町村長認定を受けたもの」、特別被害林業者というのは、「被害林業者であって、天災による薪炭薪炭原木を含む。)、木材、林業用種苗その他の林産物の流失等による損失額がその者の平年における林業による総収入額の百分の五十以上である旨又は天災によるその所有する炭がましいたけほだ木、わさび育成施設若しくは樹苗育成施設流失損壊等による損失額当該施設被害時における価額の百分の七十以上である」、そのいずれかの被害程度以上であるという市町村長認定を受けたもの、それから特別被害漁業者というのは、「被害漁業者であって、天災による魚類、貝類及び海そう類の流失等による損失額がその者の平年における漁業による総収入額の百分の五十以上である旨又は天災によるその所有する漁船若しくは漁具の沈没、流失、滅失、損壊等による損失額当該施設被害時における価額の百分の七十以上である旨の市町村長認定を受けたもの」、こういうふうに規定しております。  次に、第二条の第四項であります、これは八ページになっております。対照表の八ページであります。第一号のうしろの方に横線を引いております、すなわち第一号中の牛馬所有農家借り入れ限度の引き上げの特例であります。従来は牛馬を所有しておる者はおしなべて、三万円以上を一般よりよけい借り入れることができるということになっておったのであります。乳牛所有者乳牛の特性からいって、借り入れ限度を五万円まで上げよう、こういうふうにしておるのであります。これは昨年の北海道の冷害の実情等から見まして、三万円ではその乳牛の飼育をまかなうのに不足をするおそれがあるというふうな点を考えて、この限度を上げておるのであります。  次に第二条の第四項第三号の利率の点であります。九ページを見ていただきます。これは年三分五厘以内に利率適用基準を明確にしようとするものであります。現行規定指定地域内の被害農林漁業者のすべてに適用するということになる方式は、いろいろ弊害がありましたので、今回は指定地域内の特別被害農林漁業者適用をする方式に改めるとともに、地域指定基準を新たに設けまして、適用の適正と公正をはかろうとするその趣旨であります。三分五厘以内という特に低利率資金融通を考慮いたしましたこの制度のねらいは、被害農林漁業者のうち特に著しい被害を受けた者、この法律形式では一般利率年三分五厘、開拓者は五分五厘そういう程度でありますが、利子負担能力を越える程度被害をよけいこうむっておる、著しい被害をこうむっておる者に対する処置であります。そういうものに対して特に三分五厘の融通をはかるものでありまして、改正案ではこの趣旨を一そう徹底するように規定しております。  次、第五号であります。第五号、十ページから十一ページに書いてあります。特別被害地域はそれぞれ農業者林業者漁業者というふうに区別して書いてありますが、農業者について見ますと、「政令で定める都道府県区域内の旧市町村区域の全部若しくは一部又はその都道府県区域内の耕地面積が十町歩以上である開拓地区区域であって、その区域内において農業を営む被害農業者中に含まれる当該天災に係る特別被害農業者の数が当該被害農業者の数の百分の十以上である区域」であって「都道府県知事農林大臣の承認を受けて指定する区域」、こういうふうに明確にいたしたのであります。林業の場合あるいは漁業の場合も、これに準じまして一定の基準を示しておるのであります。従来でありますと、この指定地域決定が、なかなか基準が不明確でありますので、進展できなかったのでありまして、今度の規定によりまして相当、何といいますか、明確に、迅速に指定ができることになると思います。  こまかく申し上げますと、二条の中で、この新しい条項が加わったことに関連いたしまして、それぞれの条項の中にある何項何号という、その条項修正されておるのであります。  次に、第三条の第一項であります。十五ページを見ていただきます。まず経営資金につきましては、現行規定では、単位協同組合自己資金をもって貸し付ける場合、それから連合会等から借り入れ資金をもって貸し付ける場合、こういうふうに二つに分けておりまして、後者につきましては連合会に対して利子補給及び損失補償をいたす形式となっております。現在は実際は、この連合会から借り入れ資金をもって貸し付ける場合が大部分であります。ところが、従来の貸付状況を見ますと、天災法に基く資金末端における運用が、法令の規定なり本来の制度趣旨から考えまして、いろいろな問題が起りました。二十八年度災害資金等会計検査院の検査結果からいたしましても、利子補給をした場合、その資金末端被害農林漁業者にまで確実に融通されないで、単位協同組合段階で他の目的に流用されたり、滞留したり、あるいは必要以上に多くの金が末端に流れたりするいろいろな事例が指摘されました。その原因を考えてみますと、現行規定によりまして、利子補給及び損失契約方式が県と連合会の間のものでありまして、連合会から単協への段階ですでに利子補給をされて低利になった金が流れるという形になっておりますので、この点がいろいろただいま指摘されましたような不当不正の理由になる、こういうふうに指摘されますので、今回この点を改めまして、利子補給及び損失補償を行う場合を、単位協同組合経営資金を貸し付ける段階に一木化ししようとするのであります。すなわち、第一号は、十五ページの第三条第一号であります。市町村単位協同組合の間の利子補給契約方式、それから十六ページの第三号は、その損失補償契約方式規定しておるのであります。市町村が特に弱小な場合を考慮いたしまして、都道府県単位協同組合契約する場合も考えまして、これを第二号及び第四号に規定しておるのであります。すなわち、市町村単協利子補給損失補償契約をするのを原則にしますが、市町村が弱い場合は、二号、四号で都道府県市町村にかわって契約をしておる、こういうふうになっております。  なお、第五号、第六号は、自己資金がない、あるいは著しく乏しい特定単位協同組合——特に開拓農協とか森林組合等に多いと思います——につきましては、その貸付のために上級機関から借り入れを受ける場合にも、県または市町村損失補償を行いまして、受信率の薄弱なこれらの特定単協受信率補給しまして、被害農林漁業経営資金を貸し付けることに当って不都合を生じないようにいたしております。第五号、第六号であります。  次に、七号以下十号までは、現行規定の九号から十二号までの規定に、条文上必要な訂正を加えたのでありまして、内容現行通りであります。  それから第四条の第二項、二十六ページを御説明申し上げます。これは三分五厘資金に対する利子補給に関する国の補助率についての規定を改めたのでありまして、ほかはいずれ第三条第一項の各号の変更に応ずる改正であります。すなわち、その三分五厘の資金につきましては国の補助率を改めることにいたしました趣旨は、現行規定によりますと、六分五厘並びに開拓の五分五厘の資金について、国の補助率はいずれも二分の一ということになっております。三分五厘の地区では利子補給の額がふえるのでありますが、利子補給の総額の中から二分五厘を控除した額ということになっておりまして、法律が制定されましてから金利がだんだん下ってきております。地方公共団体金利負担がそういうきめ方でありますと、一般金利低下にかかわらず、その金利低下恩恵を受けないということになりまして、逆にいえば、国だけが一般金利低下恩恵を受けている、国の補給額が減るということになっておったのであります。この点を改めまして、三分五厘の資金につきましての国の補助率を百分の六十五、逆に変えまして、利子低下に伴う負担を国と府県とそれぞれ按分して持ち寄りにしよう、こういうことにしているのであります。  それから第五条第二項——二十九ページ——及び第六条は他の規定に伴う字句修正であります。  それから新たに第八条——三十一ページ——加えましたが、これは先ほど申し上げましたように、災害資金融資につきまして、会計検査院指摘等によりますと、必ずしも適正に融資が行われているというわけじゃありませんので、都道府県知事農林大臣の権限の一部を与えまして、市町村単協契約を結ぶ場合の、都道府県知事市町村単協の指導、監督という点を入れておるのであります。その点につきましては、先般予算の説明を申し上げました通り、三十二年度では一千万円余りの都道府県に対する事務費を補助計上いたしております。  なお、付則におきまして、四月一日ということになっておりますが、この点につきましては衆議院の方で修正がありまして、その修正について申し上げますと、まず第一点は、施行期日原案で四月一日となっておったものを、本案審議進捗状況から見まして、公布の日からということに改めることにしました。それと同時に、付則を一項加えまして、三分五厘資金に関する国の補助率改正規定を、三十一年度発出災害についても適用しようとすることにいたしたのであります。原案では、三十一年度発生災害につきましては「なお従前の例による」ということになっておったのであります。三十一年度の発生災害被害及び地方公共団体負担実情から見まして、これについても適用を改めよう、こういうふうになったのであります。私の方で三十一年度の災害資金融資状況等から見まして、この付則の点はいろいろ検討を加えましたが、一応政府案としてはなっておらなかったのでありますが、衆議院の御審議の結果、やはり三十一年度災害についても見た方がいいだろう、こういうふうになったのであります。この修正に伴いまして、国の利子補給補助額がふえる金額は、昭和三十年度以降四年間におきまして約千九百五十万円という見込みであります。この修正案につきましては、政府といたしましては、国の財政の許す範囲内であり、かつ行政措置実施上も問題はないと考えられますので、同意をいたしております。  以上補足説明を終ります。
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) これからこの法律案審議に入ります。御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 被害状況市町村長認定することになっておりますが、その後県なり農林省はチェックしないのですか。市町村長認定最終のものですか。
  7. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは一応市町村長認定法律上は最終になっておりますが、事実上は、実情を照らしまして、一方で統計調査部被害報告等いろいろとありますから、大体適当であるかどうかを見合せまして、不審があれば再調査をいたします。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 今ちょっとお話がありました市町村長認定——まあそれに多少のチェックをしたにしても、この被害認定と、共済被害調査による最終決定というものは、どういう関係がございますか。
  9. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、この法律では、共済米麦蚕繭に限られておるのですが、そのほかの被害も一緒にとって、農作物についてはその者の平年収量の三割以上と、こういうふうにきめております。必ずしも共済とはぴしっとしないのであります。範囲が違いますから。しかし、被害状況はおのずから、地方によって大体どの程度被害であるということはわかりますから、私どもで県から申請が来たときにその模様で再調するか、あるいは県の方で来たのをそのままにするか、そういうふうに判定しております。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、共済対象になっておる米麦とか、繭とか、桑園とか、こういうものの被害最終決定案ですね、これは常に共済の方と一致すると、こういう前提に立っていいわけですね。
  11. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 結果的には一致することになると思います。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 私は、常にそれは理屈の上からいえば一致しなければおかしいと思うのですよ。そこで、市町村長認定ということが、さらにその点は農林省なら農林省最終的にチェックするということを、明記しておいた方がいいんじゃないか。そうしませんと、共済数字とこの種の数字というものは、常にちぐはぐになるおそれが私はあると思う。むしろ、ちぐはぐになることが原則であって、一致することはほとんどないのじゃないかと思うのですが、そうすると、また共済の方の被害調査の方でいろいろ問題が起ってくると思うのですが、そういう御懸念はございませんか。
  13. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 従来はこの規定がこういうふうに、何といいますか被害地区、それから被害農家の選定が明確でなくて、「著しい被害を被った」こういうふうなばく然たる規定でございましたので、その点で先ほど申し上げましたように、一例を申し上げますと、三分五厘の金を借りてそれを定期に預けるとか、ほかに回すとか、こういうふうなことが行われておったのであります。それらは会計検査院で指摘され、その後私の方でも、県の食糧の供出状況その他と対比して、会計検査院で指摘せられたような事例をあげまして府県に再調させまして、そういうものを何といいますか、再補正をさせておりますが、それは基準が不明確なところにそういう抜けがあったということはいなめないのでありまして、今度これをやりますれば、従来のようなことは起り得ないのであります。相当会計検査院等でいためつけられておりますから……。今までは基準がはっきりしないということにそういう抜けられる余地があったように考えますけれども、大体うまくいくのじゃないか、こういうふうに考えております。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 いや、私は従来よりも非常に改善されたと思うのですよ。また、私はその改善の効果は上ると思う。しかし、まだこの程度では徹底を欠くのじゃないか。特に市町村長被害認定なんというものは、これはもうほとんど情実によって認定されますよ。これ、今までの共済の苦い経験によっても、十分御経験済みだと思うのです。  ところで、さらにやはり県なり特に農林省がチェックするということは、これはもう初めからそういうことを規定して置かれた方がいいんじゃないかと私は思うのです。また、そうされませんと、共済との関係被害調査と符合しなくなってくるでしょう。そうじゃないですか。そういう点は御懸念ございませんか。
  15. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 共済の一応組合連合会で評価したものを、さらに統計でチェックする、こういうふうにしております。私の方では、やはりこの金を貸す場合には、統計の被害調査ですね、米麦以外のものを含めました総体を見まして、それをもとにしまして、それに対する現金収入の減が幾らぐらい、あるいはその地区災害があったにもかかわらず米の予約状況はどうであるか、そういういろいろなファクターを加味いたしまして、そうしてワクを与えて一応おろします。それにつきまして多いとか少いとか、こういう県との交渉がありまして、県の実情をよく聞いておろしますから、そう野放図に金が流れるようにはなっていない。これは私どもの方でも、二十八年の会計検査の指摘が相当チェックを受けておりますから、今のところは非常に慎重にやっておりますけれども、県の方でも相当慎重にやっておると思います。しかし、市町村長認定の上に、さらに知事の認定とかあるいは農林大臣認定というものを、承認というものをつけると、あまり複雑になりますから、まず地域の指定では、農林大臣の承認で地域の指定をやって、その中で今のような条件をやかましい……。地域がきまりますと、その地域の被害額、それに対する現金収入の不足額、被害額というものをうまくやれば、御心配のようなことは今度はないのではないかと、このように考えております。
  16. 島村軍次

    ○島村軍次君 関連して。今の場合は、非常に私も問題だと思うんです。何となれば、受ける方の側で、これは共済の場合でも、水増しというのがいつも問題なんです。それはなかなか市町村長なんかというのは、うまく水増ししますよ。そこでチェックの方法というものを、この法律上で市町村長認定権を与えるということは、どうも私は疑問があると思う。むしろ、せっかく統計事務所というものができて、そういうふうなことはそこらの認定によるというふうにはどうしてしなかったんですか。
  17. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 統計調査部の職員の能力では、そこまで責任をもって言い切る元気がないわけでございます。これは共済の場合にも、法律案のとき問題になるのでありますが、統計機構をいかに使ったらいいかというので検討しまして、統計の現在の能力の限度というものを考えますと、直接に認定者として統計の職員、機構を使うということはできない。統計の調査の結果は農林省で査定する場合の参考資料にすると、この程度が現在の限界じゃないかというふうに考えております。
  18. 島村軍次

    ○島村軍次君 私は、統計事務所に限るというわけじゃないけれども、弊害の一番多かったというのは、今申し上げたように水増しなんです。共済のごとき場合についても、この場合についても、やはり結局認定ということは、水増しをして出すということなんです。弊害は改まらぬじゃないかと思う。まあ水増しという言葉はちょっとこの場合は違うかもしれませんが、どうもチェックの方法が、ちょうど悪い事を追うていくようなものです。どうもそういうふうな感じがするんですが、何か法案立案の場合に、チェックの方法をほかに考えられる余地はなかったんですか。
  19. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、まずこの法律の建前が災害の応急の金を出すということです。その金も普通の金より安いと、災害であるから。さらに災害程度の多い所では、より低利の金を出すと、こういう二段階になっておるのであります。災害の金、低利資金でありますから、ほんとうに災害に使われるんであれば、金額について査定はあまり加えない方がいいと、こういう考えであります。  ただし、この低利の金で利子補給が多くなりますから、その補給を受ける種類の金の認定を誤まると、災害程度の違う農家の間に国の補助のアンバランスができる。それを防ぐために、今の市町村長認定ということを出しておるのであります。  私の方では金を借りられないということよりも、利子補給の額を三分五厘にするか六分五厘にするか、利子の支払いを三分五厘にするか六分五厘にするか、こういう区別をつけるということでありますので、市町村長に頼んでも不可能ではないんじゃないか。御心配のように、勢力のある市町村長は全部の、あるいはほとんど大部分のものを、三分五厘に認定するかもしれない、こういう御心配でありますけれども、従来の経過等から見まして、私の方で一応統計調査部の資料に基きまして、県別のワク、それから地域指定のワクをきめまして、それに対応する金額のワクをおろしてやりますれば、そうひどい結果は出てこないんじゃないか、こういうふうに考えるのであります。
  20. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、これは対象が、今までの地域指定というものが、今度は個人指定になるでしょう。そうしますと、隣合せで、この者は六分五厘、この者は三分五厘ということが出てくるわけですね。なかなかむずかしいと思われるんですよ。われわれ実際の被害を見まして、なかなかその認定というものは困難です。しかも、そこには非常な運動というようなことで、今は利子だけの問題だといえばそれだけの問題だけれども、受けた方からいうと、おれの方は六分五厘だ、おれの方は三分五厘だということになって、かえって混乱を来たす原因になるんじゃないかというふうに考えるんです。そこでこの問題はもう少し、市町村長認定でなしに、何か方法はないかというふうに、今思いつきませんけれども、何かほかの方法がとれるんじゃないか。非常に手続が煩瑣になっては困るかもしれぬけれども、そういうことが受ける方からいえば隣同士で問題だと、こういうふうになるんですから、その点はどうですか。
  21. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それは、もう一つの考え方としては、貸付者の認定というのがあります。貸付者の認定ということになりますと、これはやはり何といいますか、今までの実績を見ますと、協同組合等の貸付資金について、相当貸付側に対する非難が大きいわけであります。そこで私どもの方としては、やむを得ず第三者的なもので一番農家に近いものというので、市町村長というのを出しておるわけであります。でありますから、この市町村長認定する場合に、農業委員会とか貸付者である協同組合であるとか、そのほか町村の学識経験者等を入れて協会でも作ってやることにすれば、実際の運用はうまくいくんじゃないかと思います。法律形式としては、市町村のことを統べる市町村長が一応の責任者になって認定してもらうのが一番いいんじゃないか、こういう考え方をいたしております。
  22. 島村軍次

    ○島村軍次君 大体お話しになることはわかりますが、しかし逃げるウサギをどんどん追うていって、途中でチェックするのは、やはり同じですよ。市町村長で最後にチェックできるだろう、こういうことだろうと思うのですけれども、私はそれは相当研究を要すると思うのですがね。きょうはこの程度にしておきましょう。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 私はやっぱり島村さんと同じことなんですがね、結局この場合は金を貸すのですから、借りた方が返さなければいかぬのだから、従来の共済ほど変な、ずさんなものにはならぬ。ならぬと思うけれども、市町村長認定というようなことで、それで済ませますと非常に、島村さんのおっしゃるように、私がさっき申しましたように、やはりずさんな数字が出てくると思うのですよ。そこで出てきたその数字が、今度は共済の方に数字が悪用されるというか、利用されるという御疑念はございませんか。  とにかく共済の方の事務がおくれてきた、先にこちらの方の市町村長認定農林省から低利のものを借りた、そこで数字は固まってきたということになりますと、その地区において共済の問題が起きますと、市町村長認定でこういう数字が出ているのじゃないか、農林省も、県も認めているのじゃないかという、そういう心配があることになりませんか。
  24. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは共済の場合は、農家の貯金が何ぼあろうが、経営規模が何ぼあろうが、たんぼに災害があった場合にその災害程度によって請求権があるわけです。この経営資金の方は、それぞれの百姓の状況によりまして、それからまた米麦以外の作物の状況によりまして、借入額というものがきまっておるわけです。従いまして、先ほど御説明申しましたように、低利でありますから、これを借りてほかに回すとか、そういうことでない限り、無用な金——ちょっと語弊があるかもしれませんが、必要以上の金を借りようというものは、そうないのじゃないか、こういうのが実態じゃないか。従いまして、今は共済との関係は直接は出てきません。今の共済の方は共済の方で、共済組合の損害評価員の損害評定、あるいは被害の評価に対する統計調査部調査により農林省が査定する、こういうふうな格恰でいっておりますので、今までこれとの関連においてどうこうという問題は、私どものところに出てきておりませんし、ちょっと考えられないように思うのです。
  25. 河野謙三

    河野謙三君 私、まだよく理解していないかもしれませんけれども、それはまあ農家の経済全体を対象にしてやるわけですね。共済の方は米とか麦とかという問題ですね。しかし、農家の経済全体を対象にして被害状況調査するのですが、その被害状況調査の中のファクターは、米なり麦なりが入るわけでしょう。しかも、市町村長認定をする場合には、市町村長が自分でたんぼを歩くわけではない。農家を歩くわけではない。結局その村のやはり今の共済被害調査員といいますか、そういう機関とかそういう人をわずらわすことになると私は思う、市町村長認定をした場合には。そうすると、市町村長認定というのは、共済被害調査の方と村においてはつながっているのですよ、市町村においてはつながっている。あなたの方では事の性質は違うと言うけれども、村においてはつながっている。だから、こっちの方の認定農林省がよろしいということになった場合、今度は共済の方は共済の方で違うということは、私は言えなくなると思う。末端は一つなんですよ、被害認定が。
  26. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ところが、この融資の方は、何といいますか、私の方へ県なら県の団体の人が、金を貸せ貸せと、こういうわけですね。相当のワクを用意しておりましても、やはり返す必要があるものですから、必ずしも、その県の申請に応じて私の方はワクを与えても、そんなに出てこないのであります。ことにこの三十一年度等については、相当大きいワクが要求されましたけれども、なかなか出てこないのであります。これは何といいますか、ただでくれる金じゃなくて、返さなければならぬところに相違があるのじゃないかと思います。従いまして、今の水田単作の地帯であれば、お話のように、おそらく市町村長認定する場合でも、共済組合に相談なしにはやらないと思います。しかし、今の経営資金を貸りたいものと共済でもらうものとは相当、何といいますか、食い違いがあるのじゃないかと思いますから、この営農資金を借りたから、それが共済のもとになるというふうなことは、私の方では考えていないのであります。
  27. 河野謙三

    河野謙三君 私ももっと、二、三日いなかへ行って、実情に即して勉強して参りますから、そちらの方でもやはり末端のことをいろいろと思いを起して、御検討を願いたいと思います。
  28. 安部キミ子

    安部キミ子君 農業の方も審査認定被害認定ということが大へん困難だということはわかるのですが、私は漁業の方はなお困るのじゃないかと思うのです。それでも、漁業の方も被害認定市町村長認定で、最後の確定ということになるのですか。
  29. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) さようでございます。
  30. 安部キミ子

    安部キミ子君 暴風雨などで、沿岸だとか、あるいは港の近海で被害があったときには、調査もできましょうが、沖で被害があったときには、どういう方法で調査なさるのでしょうか。
  31. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それはここに、法律に書いておりますように、天災によりその生産する魚類、貝類及び海そう類の流失等による損失額ということでありまして、今の沖で、暴風雨で漁に出れなかったということは、これはなかなか判定がむずかしいだろうと思いますが、ですから、直接にこの暴風雨等によりまして被害をこうむった場合ということで、市町村長認定相当に幅が出てくるのじゃないかと思います。
  32. 安部キミ子

    安部キミ子君 漁に出てから途中で、たとえば暴風雨になったので、網を揚げるのをほおって帰ったというようなことがあるのですよ。そういうときには、どういう被害調査が確実に行われますか。
  33. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 非常にこまかい問題になりますが、網が流れた分は網が流れたものとして、被害施設になるわけであります。網が流れたことによって漁ができなくて収入が減った、それをどういうふうに認定するか。こういう二つの問題が出てくると思うわけであります。で、施設の分は、この被害漁業者というのは施設の価額が百分の五十以上の損失をこうむったもの、これは出てきます。それが流れたことによって水揚げが減るというものは、おそらくそれは流失、滅失、損壊等による損失の中にはちょっと見られないのじゃないかと思います。
  34. 島村軍次

    ○島村軍次君 今、安部さんの聞いておられるのは、五日災害で出られなんで五日間休んだ、そういうものも損害の見積りの金額の中に入れるかどうかと、こういうことをお聞きになっておられる。
  35. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうじゃないのです。
  36. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、そうでないとすれば、被害の金額の、平年の収穫高というか、漁獲高というか、そういうものの見積りの基礎になるものはどれかということを私はお聞きしたい。
  37. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは大体過去何カ年間のその人の収穫高というものをこしらえまして、天災等によって漁に出られないということ、あるいは魚類、貝類が流れたことによって収入が減った、その比較を出しておるわけであります。ですから、今のような場合は包括的に勘定されるんじゃないかと思います。
  38. 安部キミ子

    安部キミ子君 こういう問題は水産庁でないとわからないかと思いますけれども、今農林も漁業もすべて市町村長認定できまるということの原則に立って、あなたに質問したわけなんです。今島村さんが質問なさいましたこともあるし、それから被害をこうむった、たとえば漁業にもし出られなかった場合、あとの被害認定という問題もあるし、それから私がもっと具体的にお尋ねしたいことは、たとえば網を出して、網で何反、何反ということをいっているのですが、途中で刺し網なんかを五反ほど流したと思いましても、もしその持ち主が十反流したのだということを申請したときに、市町村長というふうな立場の人が、それを正しくどういうふうに調査するかというふうなことなど、大へんむずかしい問題だと思います。陸の上の被害でございますれば、まあいろいろの見方もありましょうけれども、一応ないものをあるということにはいかないけれども、海の何海里、何百海里という沖のできごとで、そういうふうな調査がなされるということは、的確な調査がなされるということは困難だろうと思いますので、この漁業の問題も含めての法律であれば、もう少し私は水産庁とも御相談下さいまして、明確な法律にしてもらいたい、こう思うわけなんです。それで、きょう今あなたにはこの漁業の問題を質問しましても、御無理かと思いますから、水産庁の方の方がおいでになりましてから、またお尋ねいたします。
  39. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは今の網が何ぼ持っておるとか、その問題は簡単なのであります、これは漁業組合なら漁業組合がありまして、それぞれみなわかっておりますから。ただもう一つの問題の、出て行って、しけになって途中で帰って来た、魚がとれなかった。この認定は、天災政府指定する場合、その場合どう該当するかと、こういう問題になります。それは結局、その人の年収入の百分の十以上である、被害が。これはその指定された天災の時期における収穫減が、トータルとして、この時期ならどのくらいとれただろう、この人の漁業では。ところが、指定された時期にとれなかった、それが何%であるとか、こういう推定を市町村長認定する以外にない。御承知のように、天災指定するのは、たとえば第何号台風とか、何月何日の冷害と、こういうふうに時期がきちんときめられるわけでありますから、御質問のような趣旨は非常にレア・ケースでありまして、台風の時期が三日続くか二日続くか知りませんが、その間の収穫減がどれだけになるか、こういう問題であります。従って、この法律に書いておりますのはそういうものでなしに、はっきり認定できるものを掲げております。たとえば魚類が流れた、貝類が流れた、そういうものが原則になりまして、お話のようなつりに行くとか、網でとりに行ったときに網が流れた方ははっきりわかります。御質問のような十統あったのか、二統あったのか、五統あったのか、これは市町村長認定するときにわからぬじゃないかと言われても、それは漁業組合の中でわかるわけでありますから、それ以上ごまかされたときには、あとでまた会計検査院なら会計検査院で指摘される、こういうことになりますので、私の方はそういうことをごまかすという前提では何も仕事ができないので、今の点で私の方で水産庁と十分打ち合せてやっておるわけであります。なお私の説明で不足があれば、水産庁から……。
  40. 千田正

    ○千田正君 今のに関連して。それは今、安部さんが質問しておる、その質問の答えにはなりませんよ。この法の根本は、損害があった場合に、陸上のことであれば調査ができる、海上に出漁中に損害があった場合にはどうするかということです。損害を受けたものが町村長なら町村長に申告した場合には、それを損害を受けたものとしてそのまま、海の上のことは調査ができないから、それを標準にして天災法適用するかどうかという問題です。農業であるとか林業であれば、直ちに調査員の派遣もできるし、あなた方の関係の下部組織の統計調査員も行って調査ができるけれども、海の上のあれは十分調査ができないじゃないか。それならば、帰ってきて申告をして、網を流した、あるいは漁業協同組合なり、あるいは町村長に向って、おれはこれだけの漁獲しかないのだ、網を流してしまった。そのまま申告を信じて天災法適用するかどうかという問題です。
  41. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ですから、申し上げておるのでございます。何ぼの損害があったから何ぼの金を借りたいということを、当然申告があるわけであります。その申告を市町村長認定する場合に、認定の何といいますか、能否、あるいは容易であるかむずかしいか、こういう問題じゃないかと思います。ですから、それがそれぞれの機関があるわけでありますから、当然漁村の市町村長ならばそれぞれの担当官もおるわけでありますから、そうお話のように、ごまかしが出るというふうには考えないのであります。
  42. 千田正

    ○千田正君 経済局長、そんなことを言うけれども、僕は十年も水産委員をやっていて、たとえばこういうことがあるのだ。こういう天災を受けたから、漁獲高が今まで一億あったのが、五千万円損をしたから、半額なら半額を何とか借りたいということ、そういうことを言っても、それならば、あなたの方でもまた調査するでしょう、農林省が……。ところが、納税申告のときはそういうことを申告していないのだ。だから、ほんとうに借りられる額は、あなたの方で調査をした場合は、お前、そんなことを言ってもうそじゃないか、今までの漁獲高は一億なんかありゃしない、五千万円しかないじゃないか、だから、政府が貸すときは、半額の二千五百万円しか貸せない、こういう問題がしょっちゅう起る。あなたの方は十分調査するというけれども、そういうような実際と違うことは、今まで多々あったわけだ。だから、そういうような問題は、この法律では相当救われるかどうかということだね。
  43. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今までのようなやつは、こういう規定もありませんし、市町村長認定というものについても、私の方で傍証を参考にとっておるだけであります。今度はこの法律市町村長認定してもらう、こういうことではっきりお願いするわけであります。そうしますれば、それを尊重せざるを得ない。そういうふうな法律の立て方に変えていって、運用をうまくやろう、こういう考えでありますから、むずかしい問題はあるだろうと思います。だから、その厳格的にやるのと、多少幅を持たして運用するのと、違いが出てくると思います。しかし、これは新しい制度の進行によって順次直していく以外にはないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  44. 千田正

    ○千田正君 なぜ何回もしつこく聞くかというと、会計検査院が精密に調査した場合の批難事項は、あなた方が受けなければならぬ。農林省の批難事項として出てくるわけです。もし町村長だけの申告だけでこういうことをやった場合において、それが正しくなかった場合には、だれが一体責任を負うかというと、監督不行き届きで、農林省は決算委員会でいじめられるということになってしまうわけです。だから、こういうものを出すにしても、真剣に対象になる問題、あるいは条件を備えることをはっきりしなきゃいかんじゃないか、私はそういうふうに思うんです。
  45. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは私どもが申し上げておるのは、先ほど申し上げましたように、三分五厘の金を借りて、それを農家に流さずに信連に定期で預けるとか、あるいはその金で学校を建てるとか、消防ポンプを買うとか、これはちょっと想像できないことをやられておるわけなんです。だから、そういうことは、これはこの法律で論議の対象があって、これは会計検査院なり、あるいは経営上の問題になるんじゃないかと思います。だから、ここで問題になる場合に、今の損失認定ですね、市町村長がやる場合に、過去三カ年の実績をとって平年収量をとるか、五年をとるか、これはいろいろのとり方があります。従って、幅があると思うのです。ですから、この資格を認定する場合には、その幅を認めていいんじゃないかと思います。その幅が、損害がないのにあると、こういうことをすれば、これはやっぱり会計検査院へひっかかる、これは法律違反しておることでありますから。その幅につきましては、今までは標準がなくて、それからまた終戦後は金がなかったですから、相当お話のように各県に按分する関係で、やかましく言った。でも、これは私もよく承知をしておりますが、それとこの基準の問題とは、ちょっと別の問題じゃないかと思うのです。
  46. 千田正

    ○千田正君 あまり言うては、せっかくわれわれがちょうだいするとき困るから、あまり追及しません。  もう一つ、天災法の中に病虫害は入りませんか。たとえば家畜であれば豚コレラであるとか、牛の結核だとか、あるいは林業であればマツクイムシの被害とか、あるいは海であれば、たとえばカキであれば大腸菌のために全部廃棄しなければならない、そういうようなことは天災の範疇に入るか入らぬかということです。
  47. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そういうのは入りませんです。それはそれぞれの家畜伝染病予防法なり森林の病虫害の駆除で、それぞれやっておりますから、ここでは……。
  48. 千田正

    ○千田正君 海の問題、どうですか、いわゆるカキに大腸菌や何か入った場合にどうですか。
  49. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それはまた別の問題でありまして、これには考えておりません。
  50. 千田正

    ○千田正君 別の問題として、別に救う法律がそれじゃありますか。
  51. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) カキの養殖場で大腸菌がカキの中に巣くって、それが人命に害を及ぼす……。
  52. 千田正

    ○千田正君 人命に及ぼすからというので、命令を受けて、廃棄しなければならないという場合……。
  53. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この天災法では考えておりません。
  54. 千田正

    ○千田正君 それじゃ、何で考えていますか。
  55. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 私よく存じませんが、(「だから困るというんだよ」と呼ぶ者あり)廃棄命令を出せば、これは公衆衛生法か何かの方で出てくるんじゃないかと思います。家畜の方では、そういう屠殺命令を出せば、国が損失補償することになっておりますから……
  56. 千田正

    ○千田正君 家畜のことはいいですがね。何かそういう方法があるかどうか。これもいわゆる何といいますか、なかなか自己の善良なる注意でのみ防げない場合があるのですね。いわゆる潮流その他によって、いろいろな問題が起きることがあるのですよ。たとえば真珠の貝なんかであれば赤潮の害であるとか、あるいは今のようなカキの大腸菌であるとか、結核菌であるとかいうような場合に、片方においてはそれを廃棄を命ぜられる。ところが、自己の善良なる注意の及ばない、むしろ蔓延する場合においては、ほとんど天災にひとしいことが起きてくる……。
  57. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今の潮流異変とか流氷とかいうものは、私は天災の中に入ると思いますが、ただいま御説明になりましたカキの大腸菌が巣くうのが天災になるのかどうか、よく研究させていただきたいと思いますが……。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。今の問題は僕は非常に重要な問題だと思うのだ。というのは、昨年あったウンカの問題、それから稲熱病の問題など、これはまあ天災からはずして取り扱っておられて、大蔵省の見解としては、これは人為的に予防ができるのだ、こういうことではずされておると思うのだ。ところが、おそらく渡部経済局長といえども、これが完全に人為でもって防ぎ得るということは、これはまだ農林省の技術陣としても言えないのじゃないかと思うのです。やはり一つの自然現象的なものの上からウンカが出てきたり、あるいは稲熱病が出てきたりするのであって、天災に非常に近い。ある程度までは克服はできるけれども、ある程度以上は克服できないと、こういうことは農林省の技術陣としては言われぬのじゃないかと思うのです、そういう場合。ただ大蔵省が常に、そういうものは人為的にやれるのだから天災じゃないのだと言う。まあ古い歴史からいえば、技術の進んでおらぬ時代からいえば、シナの蝗害というもの、いわゆるイナゴの害というものは大したものだ。あるいは病虫害のごときものも、これもその年の気象状況によっていろいろな伝染病が出る。それに対する実際の被害というものを等閑にしておかれて、それで農林省としては、技術的に確信をもって、これはこうやったならばやれるのだ。確かにそれは、あるいは経営経済等を考えないで、もう最高度の予防等をやるならば、あるいは防げるかもしれないが、これは経営の面からいったら、人力の及ばぬ仕事をしているわけだ。これは農林省と大蔵省の見解でもって、天災の中に入らぬということは、実質上において大きな間違いを起していると思うのだ、あなた方、これに対してどうお考えになっておるか。
  59. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今天災であるか人災かの区別は、なかなかむずかしい問題でありまして……。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 人災じゃない、人間が克服できるかできないか、こういうことなんです。
  61. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ですから、人力で防止し得ないもの、あるいは発生を未然に防ぐことができないもの、こういうものがまあ広い意味の天災になるのじゃないかと思います。そうしますと、今の稲熱なりウンカ、あるいはイナゴの発生……まあイナゴの大軍が来るやつは、これは人力で防止できないからといって、天災だと言えないこともないと思うのであります。ただ、今までの取扱いは、水稲の病虫害、あるいは麦の病虫害等では、台風なら台風、あるいは冷害なら冷害に伴うそういう病虫害は、当然被害の中に現われてきますから、含まれております。ただ、単独にウンカならウンカが起ったと。あるいはイナゴが来た、あるいは水産でお示しになりましたカキに大腸菌がついたと、そういうふうな場合を、まだ私どもこの法律ができてから経験しておりませんから、それを天災に入れたらいいのか、あるいは別の対策を考えなければいかぬのかということは、もう少し研究をしていかなければならぬと思います。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 この法律には第一条にはっきり出ているでしょう。これこれこれの場合と、こう書いてある。そう書いてあるものですから、昨年のようなウンカが出ておるとき、これは虫害なんだからといって補助金は出ない。共済でも出ない。何もウンカが出ても、共済金の交付なんか共済対象からはずされてしまったのです。そうして災害を受けたたくさんの場所ができておるのに、これは共済も来なければ何れも来ない。だから、これは農林省としてはもっとその点は、この改正をするならば、大蔵省と議論を尽して、これらのものはやはり限度をきめて入れることが正当だと思うのです。私はある程度までの天災的の要素を含むということは、十分言い得るのじゃないかと思うのです。  ということは、農林省のどなたか技術者でいいから来て、これは人力をもって防ぎ得るものなり、天災にあらず、こういうことをはっきり言ってもらうことと、その防ぎ方が経営経済の中の範囲内でもってやれるのだ、起きた場合でも克服できるのだ、起きるという危険性があるなら予防がその範囲でできるのだ、こういうことがはっきり言われるならば僕は承服するけれども、そうでなかったら承服できないわけなんです。昔は天災だった。昔の取扱いは確かに、古文書を調べてみれば、天災ですよ。大きな天災なんです。それが幾らか科学が進んだというので、天災からはずされたんではないか。これは場合によっては、農林省はうまくいきませんなら、技術陣に来てもらって、その証言とともに、大蔵省と一つみんなして話し合うよりほかに方法がないと思います。どうしてもこれをやらなければ、昨年のような場合では、全くわしら困っているんだ。
  63. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今のここに書いてあります「低温又は降ひよう等の天災によって損失を受けた」、その「等」で相当幅があるわけです。それからさらに第二条におきましては、天災は「政令指定する」ということになっておるわけですから、天災であるか人災であるかの幅は、運用によってきめ得ると思うのであります。今のような点は、もう少し研究させていただきたいと思うのです。
  64. 上林忠次

    ○上林忠次君 ちょっと、それに関連して。病虫害に対するこれが天災かどうかという問題、これはいろいろな将来重要な問題になろうかと思いますが、きのうも新聞に出ておりますが、熊本県の水俣という所で、ここの離れ小島に、この小島でとれる貝とか魚を食べると、最近、ちょうど日本脳炎のようなああいうような症状を呈する。熱が出て、しまいに神経麻痺を起して、死ぬ者が三〇%もある。この数年間のうちに百何十人の患者が出た。その原因は食物にあるらしい。その島の周囲でとれた海産物——貝あるいは魚の中毒だ。原因がはっきりしない。こういうような原因のはっきりしないのは——その原因がはっきりしているんなら、その防除ができているはずです。その防除を怠ったために被害をこうむったなら、しょうがないけれども、防除がはっきりしないのだ。こういうような問題が出てくる。また農産物におきましても、数年前から長崎県、それから広島県に、バレイショガというのが出ている。これは外地から入った、アメリカから入った新しい害虫でしょう。害虫です。これに対する防除法はない。アメリカでは、向うには自然にそれを滅ぼす天敵というものがあるが、日本には初めて入ってきたので、これがない。地方では防除法もわからないので、泣き寝入りで済ましている。こういうような新しい防除法がはっきりしないもの、またよその、フィリピンあたりに行きますと、バッタの害というものは大きい。これは防除法がわかっても、あまりに数が多いので、押えようがないのです。防除のしょうがないから、これも天災と同じじゃないか。  これに対する今の資金融通ですね、これはあなた方新しい頭で一つ考えてもらわないといけない。防除のはっきりしておるものは、もちろん防除のできるものはやる必要はないかもしれない。そういうものがちょいちょい入ってくる、新しい病気なり害虫なり、また今のまだ未知の病気——人間に対する病気、こういうものがある。将来相当例が出てくるのじゃないか。こういうようなことを救済できるように、この際十分考えておいてもらいたい。御参考のために申し上げます。
  65. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) いろいろ御指摘になった点は、この法律天災融資法で解決したらいいのか、あるいはそういう特異の例であるから、そういうものに対する対策がある程度きまるまでは、まさに今御指摘になった身の回りの例なんかは別の施策が必要になるのじゃないかというふうに私は考えるわけです。これに対応して、この融資が必要になれば融資も考えて、融資だけでは片づかない問題、そういう意味においてもっと研究さしてもらいたいということを申し上げておるのであります。
  66. 千田正

    ○千田正君 今のは重大な問題なんですよ。これは原子放射能のようなもので農作物がやられる。これはあなたの言う天災か人災かという問題が出てくる。これは政令で定めるとか、あるいは別個の法律で定めるかもしらぬが、現在の持っておる法律、今行われる法律には、規定はないわけです。そういう問題は将来は考えなければならぬ。できてから考えるというのでしょうね、あなた方の考えは。その心がまえで考えていただきたいと思います。
  67. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほども申し上げましたバレイショガ、これは将来蔓延の予想できる新しい害虫です。これに対して、これが日本全体にはびこるときのことを想像しますと、今のうちに何とかしなければならぬ。これは防疫課でかなりやっておりますけれども、十分徹底的に、今のうちに、全国に蔓延しないうちに、退治していかなければならない。被害地に対しては救済の方法も考えてもらいたい。これは天災です。防除法がわかるまでは天災ですから、天災の中にこういうような、今度の規定のような場合には含めて、入れてもらいたい。先ほど申し上げましたような趣旨によりまして、新しいこの改正の中に入れて、普通の病虫害と同じように考えて扱われては困る。特殊な天災としての扱いをしてもらいたい。こういうようなことを主張したい。
  68. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今のバレイショガのやつは、これは植物防疫法の方でこれより徹底した措置ができることによって、それに対する金が足りるか足りないかということは私記憶しておりません。それが足りなくて、この天災法による融資が必要であるかどうかという問題でありますが、もしそれによってこの融資が必要である、あるいはそういう事態が発生した場合に、どれだけの費用が要るか、県で措置できないか、そういう問題で考えたいと思います。この法律で何もかもやるというわけにはいかないのではないか、こういうふうに考える次第であります。
  69. 東隆

    ○東隆君 私はこの第一条、この場合に、病虫害、そういうようなものを入れることも、入れたって一向差しつかえないのじゃないかと思います。というのは、この資金融通するというのは、ただ問題は低利のものを融通する、そういう問題になると思います。それで、たとえば、ことしは雪が多くて、裏日本からずっとにかけて非常に雪が多い。融雪期に洪水の起る可能性がある。そういうものが入っていない。それで、そういうような問題を考えてくると、範囲もだいぶ広げてもいいのじゃないか、こういう考え方を持つわけですね。それで解釈をこの際相当広げておかれる必要があるのじゃないか、こういう点、この一点です。  それから問題は、国が利子補給をやる場合に、地方庁もまた利子補給をやるわけです。その場合に、今回の場合、先ほどのお話では、予算が千九百五十万円を増額した、こういうようなお話ですが、関連をして、地方庁の方でも負担をする分を計算をしなきゃならない。地方庁の財源その他の問題で、だいぶ困難を来たすのじゃないか。それをどういう——。たとえば交付金、そういうものの中に当然考えてもらうべきじゃないか、こう思うのですが、その関係はどういうふうになっておりますか。
  70. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第一点の、融雪による被害が起れば当然天災の中に入ると思います。  第二の点は、ちょっと私の説明がよくわからなかったのじゃないかと思いますが、千九百五十万円のやつは、この新しい改正案を三十一年度資金適用した場合にふえる部分でありまして、それで、この三分五厘の金になりますと、国が六五%を持ちますから、三五%が地方庁の負担になります。この地方庁の負担分は、特別交付税交付金の見方を、総理府令を直すことによって、現在の四七・五%を六五%まで上げるというふうな話し合いをいたしております。そういう運用をやろうと、こういうことで、自治庁長官が衆議院の農林委員会で言明をされて、了承を得たのであります。
  71. 上林忠次

    ○上林忠次君 渡部さんに一つ伺いますが、先ほどの話のように、被害が大きくなってから考えるというようなことでは、これはいかぬと思うのです。これは天災ですから。人力でコントロールできないものが天災なんだから。病害、虫害というのは、人力でコントロールできないから、天災ですよ。不測の、アン・ノウンのやつは天災ですよ。どうでもはっきりするまでの間に、コントロールのできないものは、この対象にしてもらわなければならぬ。病害のうちでも、これは今防除がはっきりしないものは含めるのだということにしてもらわないといけませんな。局地的な問題ではありますけれども、おそらくは、この熊本の島は漁撈ができないということになるのじゃないかと思います。あの島では大問題です。そういうような意味で、この中に含めてもらいたい。
  72. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今のそれぞれの実体的な対策をこの天災法では予想してないのでありまして、実体的な対策は、それぞれ実体的な問題を処理する部局でやってもらわなければならないのであります。これはよく帰ってお伝えしておきますけれども、それでなお足りないところを、これに適用するかどうかという問題でありますので、今のお話を伺うと、これで何もかもやれと、こういうふうに私責められても、この法律では無理と思います。ほかの制度でやらなければならぬということになるのじゃないかと思います。
  73. 上林忠次

    ○上林忠次君 ほかの制度でできますか。
  74. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それは、バレイショガの緊急防除というものは、ちゃんと法律でやらなければならぬことになっております。これはどうしてもやらなければならぬことになっております。それのやり方が十分であるとかないとかいうことで、ここ二、三年議論しております。
  75. 上林忠次

    ○上林忠次君 予算を今年は三千万円そこらしかとっておらぬ。あれじゃ、とてもできない。できないなら、何か救済の方法を講じてもらわなければならない。しょっちゅう新しいものが出ております。今の熊木の問題なんか、特殊なメタンの関係じゃないか。それが蓄積されて中毒を起すのだということも言われておるけれども、まだアン・ノウンです。こういう問題がたくさん出ますから、こういうものを救済する方法だけは考えておいてやらぬと、片手落ちじゃないかと考える。
  76. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それは、たとえば昭和二十三年から出たアメリカシロヒトリ、これはおそらく何億という金を使って、国も出しましたし、東京都庁も出しました。とにかく毎年、まだ春やっております。法律上どうしても絶滅をしなければならぬ緊急防除の事態はあるのでありまして、それはそれでやってもらったらいいと、こう思っております。  それから今の原因不明の病毒が出て影響を及ぼしておるということは、天災融資法では処置ないことでありまして、水産庁なら水産庁、あるいは厚生省なら厚生省で処置して、なお必要があれば、天災法適用する必要があるかどうかということを検討しなければならない問題じゃないかと思います。
  77. 上林忠次

    ○上林忠次君 処置のできない間は、天災ですよ、人力でいかんともしがたいわけですから。コントロールしにくいですから、これは天災ですよ。それに対して一条設けて、特殊な場合でやったらいいのです。十分お考え置き願います。
  78. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 今、病虫害が天災であるかどうかいうような基本的な問題で、農林省の方で何か、わしらから見ると、迷っているような感じがするのですが、一体病虫害というものは単に単独で出るものじゃないです。たとえば稲の穂首いもちなんというのは、風に吹かれて、穂が出たばかりに暴風にもまれて、大した暴風じゃなかったが、風にもまれたために、たちまち蔓延して穂首いもちが出た。あるいは、長い間曇っておって茎葉が非常に軟弱である、従って、細胞が非常に軟かくできておったところへ、たまたま風が吹いたから、大した風ではなかったんだが、たちまち病気が蔓延して、一せいに穂首いもちが出たというようなことが、ざらにある。そうして、ずいぶん薬品を使って予防をしておっても、どうにもならぬほど、防ぎ切れないほど、またたく間に出て来る。昨年の第十号台風でも、栃木県あたりでは、白葉枯病とか、あるいは穂首いもちなんというのが相当出た。これは私らから見ると、天災なんです。病虫害といっても、やはり病虫害そのものが単独に出てくるわけじゃなくて、天然自然の気候に支配されることが非常に多い。だから、どこで病虫害だという線を引くかということは、不可能なことに属すると思う。そういう意味において、いつも何かというときには、病虫害であるとか、これは人災だ天災だといって、云々するわけですが、農林省としては、一つ考え方を統制して、はっきりした物の見方をしてほしいと思う。やはりこういう場合は、天然自然の気候の支配を受けて来る病虫害というものは、多分に多い。これについていかがですか。
  79. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 私の方では、病虫害につきましては、台風とか、あるいは高温多湿の連続によって起ってくる、従って、今までは病虫害それ自身としての問題じゃなしに、台風害とかあるいは冷害その他の害に関連して、病虫害のものも一緒に見ております。ただ、病虫害が出ましても、単独に出て、そうしてそれが防除された場合に、収量が減らなかった、しかし農薬代をかけたからその金も貸してくれたらいいじゃないか、こういう問題が残るだろうと思います。その場合にどうするかという問題が残るだけで、あとは病虫害だけを単独にここへあげなくても、大体今までの経験では、政令指定することによって天災の解釈を広げることができるじゃないかと、こういうふうに思っております。
  80. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は、この天災法に病虫害をあげろという意味じゃない。また、農林省として、これは農業災害補償法の問題にも出てきますし、いろいろな面に出て出くる問題だが、考え方が、とかく病虫害はこれは人的に防ぎ得るものであるというような考え方から、冷眼視しているような感じを受けるものですから、これは基本的な考え方を統一してやっていただきたい。そういう意味から見ると、今局長が言われたような、やはり病虫害防除に努力したいろいろな資材その他についても、相当農林省では見るべきであろう。それでこそ初めて、食糧増産なり、農家の救済ができるわけだと考えているわけなんですが、これはこの法律には関係ありませんから申し上げませんが、一つ考えを統一して、やはりこういう救済の場合にも十分に見てやるべきであると私は考えます。
  81. 安部キミ子

    安部キミ子君 私の質問が大へんよそへ逃げちゃって残念ですが、さっきの漁業補償についてのお話ですが、李承晩のラインで拿捕されたり、あるいは漁具を朝鮮に取られたりして、大へん被害が多いんですが、これは当然天災じゃないわけですね。そうしますと、何か別にりっぱな法律でも、これを補償する法律ができておりますか。
  82. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは漁船保険の中の特殊保険の中で見ておられるんじゃないかと思います。それからなお、国の方で、拿捕されて代船を建造する場合は、農林漁業金融公庫の融資対象にいたしております。
  83. 安部キミ子

    安部キミ子君 それからもう一つ、鶏はこの中に対象になっていますか、家畜の中に。
  84. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これはおそらく牛の増額に関連しての御質問じゃないかと思いますが、それには入っておりません。これは大家畜だけであります。鶏の分は一般経営資金の中で見ていくと、こういうことでございます。
  85. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうすると、鶏はこの天災資金融資法の中には含まれないのですね。どうですか。
  86. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは一般的に経営資金、その他農林漁業経営に必要な資金というもので、その中で見ることになります。
  87. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうすると、これには適用されないですね、この法律には。
  88. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 当然適用されます。
  89. 安部キミ子

    安部キミ子君 わかりました。
  90. 仲原善一

    ○仲原善一君 二、三お伺いしてみたいと思います。  最初の問題は、災害認定で先ほどから問題になっておりますが、この問題で、従来市町村長にまかされておったわけですが、その申請した額とほんとうに査定した額との比率は、大よそどのくらいな見当になっておるか、お伺いしたいと思います。
  91. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは県によって非常に違うそうであります。多いのは五分の一ぐらいに査定しておるのもございます。その査定しておる査定額まで実際の申請が上ってこない、こういう場合もあります。
  92. 仲原善一

    ○仲原善一君 それで、今回の改正によって特別災害地域なり、特別災害の農家というものを指定して、はっきり認定基準と申しますか、そういうものができるので、先ほどどなたかの質問では、今回のそういう形を通ってきた認定については大部分この貸し付けができるようなお話でしたが、それはそういうことですか。申請が大体、今度の貸付で、百パーセントとまでいかなくても、大体要求にこたえられるかどうか、この点を……。
  93. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、御承知のように、最初に災害が起ったときに、災害を県から報告しますときは非常に大きい数字で出てきます。その後これを一月なり、一定の災害の状態がつかめる時期をとって考えますと、相当これは減少するのが、いつでも例であります。今度の場合は、特別被害地域というものを農林大臣の承認を受けて指定することになりますから、それに基いて、その地域内の特別被害農家はどのくらいあるか、それに対する耕作面積なり経営規模はどのくらいあるかということを算定しますと、おのずから当初の申請とは違った数字が出てくるんじゃないかと思います。そういった指定を受けた後に出した金額に対しては、そう吹っかけてくることは私どもは予想しておりませんから、あまり違いはないんじゃないかと思っております。
  94. 仲原善一

    ○仲原善一君 それから、今の認定市町村長は責任を分担するという意味かどうか、その点ちょっとお伺いしたいんですが、資金を返さない場合が予想されて、その場合、県なり市町村で返さない場合には、かわって払うという補償制度ですね、あれがあると思いますが、今度の改正法でも残っておりますか。
  95. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 従前と同様であります。
  96. 仲原善一

    ○仲原善一君 そうなりますと、市町村長が、何といいますか、水増しして非常にべらぼうな数字を吹っかけるのを、その点でチェックしたい、そういう意図もあるわけですか、その点をお伺いいたします。
  97. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 利子補給損失補償地方庁に分担させることにしたのは、そういう趣旨です。
  98. 仲原善一

    ○仲原善一君 それから先ほど東委員の質問でやや明らかになりましたが、利子補給の場合に地方庁で分担する金額があるわけですね。その点は地方財政の関係で、先ほど何か四七・五%から六〇%に交付税を引き上げたいというようなお話がありましたが、これはこの法律関係しただけの分をそういうふうに上げるわけですか。全体ですか。
  99. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) もちろんこの法律に関したことだけであります。
  100. 仲原善一

    ○仲原善一君 それから今の地方庁、特に府県庁の問題ですけれども、市町村でさらにこの利子補給をやっておるところがあると思いますが、これはやはり市町村についてもこの交付税の引き上げはありますか。
  101. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この法律に基くものについては同じでございます。プラス・アルファでしておるものは、また別の問題であります。市町村の財源がよけいなければできないのでありますから。
  102. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 簡単にちょっと伺いますが、先ほど災害についての見解についての御質問があり、お答えがあったように思いますが、千田委員の御質問の中に、潮流の異変等も災害の中に加えるべきであろうという御答弁があったと思いますが、間違いございませんか。
  103. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その通りであります。ただし、政令指定しなければいけませんから、政令指定する場合に、広がりその他について検討を加えます。
  104. 仲原善一

    ○仲原善一君 これはこの法律によりますと、三十一年度発生災害被害及び地方公共団体負担実情から見て、また追加して三十一年度の災害についてもこの法律適用をするというふうにありますが、昨年春起った潮流異変において、九州、四国等の沿岸漁業、特にイワシ漁業について非常な災害が起っておりますことは、御承知の通りであります。それにつきましては、市町村並びに県におきましては、それぞれ利子補給並びにこの債務の保証等をいたしまして、普通銀行あるいは中金等から金を借りて、またそのあっせんについては農林省から大へん御援助をいただいた地域がたくさんあると思いますが、これらの問題につきましても一般地方から災害援助金を公募し、あるいは救援物資を送りますとか、あるいは救農土木を開設するとか、いろいろの助成事業があるわけでありますが、そういうような被害沿岸漁民に対しての融資を、さかのぼってこの法の適用を受けて借りかえをすることは、よろしゅうございますか。
  105. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 法律の第二条にありますように、「天災当該天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令指定するものに限る。」と、こういう条項がありまして、天災認定天災の幅、広がりの認定の問題になるわけであります。従いまして、豊後水道の関係につきましては、この指定について検討を加えました結果、それについて議論をしておるよりも、県の方で負担ができればそれでやってもらった方が迅速で効果的であるんじゃないかと、こういうことでやったのでありまして、今の程度の広がりが、ここですぐ指定になるかどうかという問題の議論をしなくても片づいたのでありますから、それによってやっていただいた方がいいんじゃないかと思います。この天災指定いたしましても、やはり府県負担が出てくるわけでありますから、あの程度被害であれば県限りで処理してもらった方がいいんじゃないかと、こういうふうに考えられます。
  106. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は、だいぶ議論が出て、どうも錯覚を起したようなんだが、この災害融資法律は、たとえていえば、二十八年の災害でもああいう大災害が生じた場合に、年々融資法律を出してやっておったんだろうと、それを恒久化したもんだろうと思う。ところが、今聞くと、ジャガイモも出る、九州の例も出る、非常に拡大するような、私は錯覚に陥っておるんだが、もちろんそれはけっこうなんだが、そういうお考えですか。とにかく政令で逃げてしまっておるんだが、従来のそのような方針を非常に拡大して、農民のためにとにかく融資を拡大していくというような強い目的を持った法律であるかどうか、そこをはっきりしてもらえば、おのずからこのジャガイモも出てこぬ、何やかや出てこぬだろうと思うのですよ。そこを第一番に私ははっきりしてもらわねば、私は非常に錯覚を起してね、今度は農林省は非常な力を入れて、これはいいこっちゃというように思ってるんです。事実そういう意味で御答弁になってるんかどうか。  それから、そういう農林省は農民に対する融資に非常な拡大をして、かゆい所に手が届くまでやろうという腹か、この法律が。
  107. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは御承知のように、天災が起ったつど、その天災の態様に応じて特別法を出してやってきておったのを、三十年に、それも国会の開催を待って処置したんでは間に合わない場合があるだろうから、恒久法にしまして、その災害政令指定してやったらいいのじゃないかというのであります。従って、二十八年の天災法趣旨を踏襲しておるものと私どもでは解釈しております。ただ、先ほど来議論になっておりますのは、法律字句の解釈についていろいろお話がありまして、それについてお答えいたしておりましたので、今度運用の問題になってきますと、従来の経過、あるいは地方の財政負担、あるいは災害程度、こういうもので、一がいにどこまでの範囲ということはなかなかきめにくいのではないかと思います。この法律では「被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令指定する」、この「国民経済に及ぼす影響が大である」という見方ですね、これも相当幅があるのではないかと思います。従いまして、それを金額で、五億以上の被害が国民経済に影響を及ぼすのか、一億以上の被害が国民経済に影響を及ぼすのか、こういう問題が残ってくるのではないかと思います。従って、それらは相当幅の広い運用を行政庁としてはやらなければならない、こういうように考えております。
  108. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そこが問題で、従来の例を見ると、この関東の霜害、桑やお茶の霜害、相当の大きな霜害を起した。あれは二十九年ですから、そのときに、この法律融資をせねばならぬ、法律を出そうというので非常にもめたんだ。それはそこまでやらなくてもいいんだという大蔵省の意見で、それくらいの程度のものであった。しかし、農林省は、今おっしゃるように、できるだけこれは——従来は相当大きなもの、いわゆるここにも言っておる国民経済に影響を及ぼすと逃げておるが、とにかく大小国民経済に及ぼすのだから、農林省はできるだけ農民の立場に立って、この政令範囲をゆるめて、まあ従来よりも進んで融資をやるという方針で一つ頼みます。おそらくそういうことはやらぬだろうと思うけれども。
  109. 堀末治

    委員長堀末治君) どうです、時間も……。
  110. 千田正

    ○千田正君 今の重政さんの質問は重大ですよ。農林省に聞きますが、さっきから重政さんの発言は非常に重大なんです。災害補償執行と同じような見方をして、天災融資をやるかということです。たとえば、従来のあれは二県ないし三県にまたがった、いわゆる国民経済に及ぼす影響大なるものという見方です。この天災法を私はもっと拡大解釈して、たとえば一県のうちで一億なら一億の損害を受けた場合に対しても、これを適用するんだとか、この天災法適用する範囲を明確にして下さい。
  111. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ですから、この法律のできた趣旨は非常に大きな規模のものであったけれども、私の方の運用は幅を持って運用をいたさなければならぬと心得ておる、こういう答弁を申し上げたのです。それが一災害四億がいいか、五億がいいか、一億がいいか、しかし一市町村とか、小さい一つの川がいたんだとか、こういうと、ろまで及ぼしてもいいのかどうか、そこには問題があるのではないかと思います。それは一がいに災害被害金額だけで申し上げられないので、その県の財政の状況、あるいはその県の農業状況等もやはりあわせて考えなければいかぬのではないか、従って相当幅を持って運用したい、こういうふうに考えております。
  112. 千田正

    ○千田正君 これは非常に法律がこの法律を施行するに当って、あなた方考えなければならないこと、それからわれわれの考えなければならないことの、最大の重点はそこなんです。ということは、今の地方財政で、完全にいっている所がどこにありますか、赤字を出さぬと。ほとんど地方財政再建整備法にかからないものはないほど、農村漁村を主体とした県が多いのです。そして災害を受けて大蔵省に要求してきても、小さい一県くらいのあれは、小さいんだからお前たち単独で救えという声しか出てこない。それじゃ意味をなさぬのです。私は、この法律があなた方の言うようにりっぱな法律であるとするならば、少くとも地方財政の貧困な現況であるから、一郡くらいの被害対象として考えるくらいの幅を持たなければ、意味ないと思う。その適用範囲をはっきり——今明確にできないとしても、あなたの方の腹がまえはどの程度だということを伺わなければ、今まででも何回となくこういろ問題で大蔵省へ行ってけられ、あなたの方では返事をしない……。
  113. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御趣旨はよくわかるのでありますが、具体的にその災害の態様、広がり、地方財政等を考えて、幅の広い運用、こういう程度以上は、具体的に災害が起った場合に、地方庁、地方庁と相談していく以外にないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 御答弁は要りませんが、ただいまこの法律改正の要旨の一つとして、会計検査院の批難事項等が中心になって出てますので、批難事項はこれこれのことがあったということだろうと思う。われわれもあまりあれを勉強していなかったことは、まずお詑びせなければなりませんが、そういうものが起きる原因というものが、どこかにあるだろうと思う。そういうものについて批難事項が、同じようなケースで出てくる原因というようなものが、どういうところにあるかという点をこの次の機会に一つ大体教えてもらいたい。この次の機会に……。資料が出ておりますならば、示しておいていただきたい。
  115. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいまの御質問の問題点を申し上げますが、検査院から指摘を受けました融資総額は相当多額に上っておりますけれども、そのうちの大部分は、第一は、信連から金を借りました単協が、それを農家に貸しませんで、自分で信連に定期預金をしたり、ないしは自分の運転資金として使ってしまいましたケースでございます。そのケースは、もう一つ、単協が農家に貸しました場合にも、農家がそれを一銭も使いませんで、定期預金にして利ざやをかせいでおったものというものもございますが、大部分のものは、要するに、農家へ貸さないで、農協が自分で運転資金に使いましたり、決損の補てん金に充てましたり、場合によっては、市町村と話し合いまして、消防ポンプを買いますとか、部落の建物を建てますとか、そういうことをいたしたのであります。
  116. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の質問しているのは、そこまではわかる。だから、そういうことが行われることが、ただそういう当局者だけの行為でいくのか、その行為ということのその先に、何かまた段階があるはずじゃないか、こういうことなんです。これをお調べになったかどうか、こういうことです。そういうものに対して調べた……。そういう行為が一つあるでしょう。非常な不当な行為が行われるその先に、ま一つ何か原因がないか、こういうことなのです。  それを簡単に私は申し上げますが、われわれの知っておる範囲においては、町村が保証して一応金を貸す。貸すが、その支払いができない場合には、町村が支払い補償をするのです。それを国がまた補償しているのでしょう。こういう順序だと思う。ところが、それを隠してしまう。隠して、ほんとうに要りような人間に貸さないのです。貸したら、とれない。とるのがめんどうだ、こういうことになる。それが大体のもとになって、そういう横道の流用や、その力をもって一たん貸した形にするか、貯金の形にして、横へ逃げる、私はこう思っている。そこのところを何とかして直さなければ、法律を幾つか作ってみても横へ逃げてしまって、ほんとうのほしいところにいかないのじゃないか。これを何とかしてやらなければ、片がつかないのじゃないか、私はそう思っている。そこまでお調べになっておったのかどうか、こういうことなんです。
  117. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) まず事実どういうことをやっておるかということは、この前農林経済の資料を出しておりますので、これを見ていただきたいと思います。清澤先生が言われるのは、百姓に返す能力がないから貸さないのだろう、こう言われるかもしれないが、私は、そうでないのであって、組合の当局者が本気になって組合員のことを考えてないのじゃないかと思うのです、この指摘されている内容を見ますと。それから、たとえば旧債の借りかえというようなものも相当件数があります。これは手続が不十分であったという解釈もできると思います。どうせ借りなければいかぬわけですから、そういうものはあまりやかましく言わないので、今金融課長が申しましたように、末端まで流れていなくて、事業主体が使うとか、また信連に定期預金するというのは、許せないのじゃないかと思うのです。これはやはり組合の当局者の農業政策なり農業施策に対する考え方というものを考えていかなければならぬ。その末端にもう一つ、借り入れることができないような経営規模の農家を置いておくことがいかぬじゃないかという問題に発展するかと思います。議論をやれば。しかし、これはこの天災法では解決できない問題でありまして、また別の措置を考えなければならぬわけであります。この天災融資の面から見れば、私は組合の人がもう少し考えてくれなければ困ると思います。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体補償するのは五割まででしょう、国の補償するというのは。全額なんですか。不払いのものが出た場合には、全額補償してくれるのですか。何か、五割じゃないかと思いましたが。それで、僕が今まで聞いたり経験したところによると、五割まではあるのだが、それを十割貸す。しかし十割全部返さぬというやつはないだろうから、あとの五割ぐらいが、君らが出せないという観点に立っても、これは国が補償するのだからいいじゃないか、こういうことを僕はしばしば言うた覚えがあるのです。そういう場合に貸さないのです。お前には返す能力がないのだから、現に返せないのだからといって。それは問題にしばしばなるのです。それが村会議員とか農協の幹部とかに頭から、お前はだめだ、こういうふうに言われれば、それを押し切って出るだけの力を持ちません、現在の農村では。そういうところが、危険予防として、大体村に使ってみたり、農協で固めてみたり、いろいろの方法をとっている、実際の活用を妨げている、こういうことになるのです。
  119. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) しかしそれはやはり根本的な問題になるので、農業団体は何のためにあるのか、こういう問題になってくるのじゃないかと思います。農業団体は、協同組合は協同組合のメンバーのためにサービスするためにあるので、それがそういう理由でそういうことをするということは、私は協同組合の監督官庁として許せないと思います。それははっきり申し上げます。そればそうなると、何のためにやっているかということが了解できないのです。
  120. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたが許せないというてみても、そういう批難事項が出ているのです。その批難事項の原因がそういうものであったとすれば、組合自身がもっと生きてゆくような方法、同時に、もっと下の方まで徹底してゆくような方法を考えられることが、一番重要性を持つと思う。これは農業協同組合の本来の性格からいって、うそのものだと言うても、これは幾ら言うてみたところが、現実の批難事項は解消しないのだ、こういうことになる。そこが大事なところです。どうしたら下まで、末端まで通す方法がつけ得るか、これが問題なんで、これは土地改良法などは、よけいな話になりますが、問題として取り上げるべきものはそれなんだ。あのたくさんのいろいろの問題の起きているのを改善しないで、ただ連合会を作っただけで、頭の毛が長いから泥棒するのだが、連合会は頭をそったから仏様になるなんていうことは、これは絶対できないことです。その原因を直すだけのものをちゃんと備えなければならぬということを言っているのです。
  121. 河野謙三

    河野謙三君 そろそろ結論になったようだが、問題点は、今清澤さんが指摘された点ですが、どうしてこういう不正事件が起るのか。私は清浄さんとはちょっと事情が違うのです。私の申し上げることは、別の原因だと思うのです、私の知り得る範囲においては。というのは、この法律の一番の急所は認定の問題ですよ。従来そういう事件がなぜ起ったかという原因を追及すれば、認定が非常にずさんであったから、たとえば全然ない所に被害を作ったというようなことであるから、金を貸しても、農家自身は借りる必要ないですよ。借りる必要ない農家に判こだけ押さして、そうして申請してきた金を、だから、組合が使うのですよ。ほんとうに農家が必要で経営に困るなら、いかに人のいい農家でも、来た金を借りないというばかはない。黙っておるはずはない。村の中にはやかましいやつが必ずいるのだから……。問題は結局、空なものをいろいろ作るから、そこにそういう不正事件が起きておる。それが大部分の事件だと思う。  そこで私は、認定の問題は、今までの原因に徴して、認定の問題が少し甘過ぎやしないか。もう少し原因について突っ込んでいかないと、やはり今までのような不正な事件を起す。空な金を借りて、そうして農家の方じゃ借りたくないから、やっぱり三分五厘でも借りた金は利子を払わなければならぬから、返えせなくなるから、借りない方がいい。結局組合が使うということになる。私はそういうことだと思う。その点をもう少しよく探究してもらえば、私はこの法律については、私自身は問題はほかにないと思う。だから、午後の委員会に継続されるでしょうが、そういうところに問題をしぼって——私は各委員問題点もそこだと思う。そういうことに問題をしぼって、私は議事の進行をしてもらいたいと思います。
  122. 堀末治

    委員長堀末治君) では、これにて暫時休憩いたします。午後は二時から開会いたします。    午後零時五十二分休憩    —————・—————    午後二時三十五分開会
  123. 堀末治

    委員長堀末治君) これより委員会を開催いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。本日、江田三郎君が辞任され、小笠原二三男君が選任されました。   —————————————
  124. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続いて、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  午前の委員会の最後に、河野委員の御発言によって問題となり、当局の答弁が残されております被害認定の問題について、当局の答弁を求めます。
  125. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど河野委員の御質問にありました、市町村長融資に際しての被害認定について、もっと考えはないか、こういうお考えでありました。私の方では、従来は被害認定基準がはっきりいたしませんで、「著しい被害」のあるもの、こういうふうであったのを、今回はいろいろ書き分けておるのでありまして、この点では、不十分でありますが、災害を受けたときでありまして、農家は非常に困惑しておる時期でありまして、なるべく早く融資額を決定いたしてやらなければならないというふうな関係もありますので、「市町村長認定」ということにしておるのであります。しかし、実際の運用といたしましては、農業協同組合であるとか共済組合でありますとか、農業委員会等で、その意見も十分聞くようにいたさなければならないと思いますし、また行政方針としても、そういうことを強く指導していきたいと思っておるのであります。  さらに、もう一点改めました点は、従来は利子補給の補助を信連に対して出しておったのです。従って、直接農家と関係する単協は、信連で利子補給を受けて安くなった金を借りるということになっておったのであります。そういう関係で、御指摘のありましたように、単位組合の事業資金等の不足を、この営農資金に便乗して、悪用といいますか、目的とは違った工合に運用されておったということは事実でありますので、改正案では第三条第一項におきまして、利子補給の補助金は信連に出すことをやめまして、単協が農家に資金を貸し出したことを確認してから、直接単位協同組合に貸し出すように法律を変えるということにいたしました。従って、御指摘の点も相当防げる、会計検査院に指摘された点も半数はここで減るのではないか、こういうふうに考えます。  さらに第八条を置きまして、知事に検査あるいは指導の権限の一部を委譲することにしまして、三十二年度では約一千万円余りの金を交付することにいたしております。これはこの金は、検査指導のみならず、あるいは講習会でありますとか、県庁で融資の組合別のカードを作る、そういうふうな費用にも使うのであります。これは自後の補正といいますか、不当なことをやったのを自後から是正していくということも相当行います。初めの指導と自後の補正ということをやることにいたしますので、これらの点で御指摘になりましたような御心配のところは、私どもの方といたしましては、今後は、百パーセントとはいかないかもしれませんが、十分目的を達することができるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  126. 河野謙三

    河野謙三君 午前中も申し上げましたが、従来から見て非常に改善された案だという点は認めますけれども、市町村長認定をもって一応最終とするということは、何と申しましても、私は不徹底であると思う。そこで別の角度から認定する、市町村長認定によって最終とするけれども、実際に運用した場合運用のあとを常に、ほんとうに農家に行ったものか行かないものか、また農家に行ったとしても、その農家がほんとうに被害農家としての適格者であるかどうか、行った金が、農家がほんとうの被害の適格者でなければ、その金は別な方面の目的に使う場合がある。この場合は一つの不正ですよ。そういうことをあとから確認していくということによって、従来の弊害を私はある程度ためる方法はあると思う。その場合、確認の方法が今まで、信連に借しておったものを、補助金出しておったものを、今度は単位農協に出すのも一つの方法だと思いますが、そういう確認の仕方について、今二つの御説明がありましたね。そのほかにさらに何か確認の方法について具体的な方途をお持ちになっておりますか。たとえば今私が申し上げましたように、単協は確かに農家に貸した。これは確認する。その借りた農家が果して適格者であったかどうかというようなことについての認定はどういう方法でされますか。
  127. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) でありますから、先ほど申し上げましたように、権限を知事に委任すると同時に、補助金を出しまして、できるだけ、県によってどういうふうになっておるかわかりますから、そこへ係官が行きまして組合を検査してもらう、こういうふうに考えております。私の方でも今まで本省から数県行っておりますけれども、それじゃとてもだめでありますから、今度は知事にそれをやってもらう、こういうことにしております。不適正な場合があればびしびしといたすと、こういうことでやっていきたいと思っております。
  128. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、知事にそういうことを依頼するというふうになりますと、そこに予算上の措置が必要ですね、検査に要する。それは何か具体的に……。
  129. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど御説明いたしましたように、約一千万円余三十二年度からその費用を組んだのです。一県当り二十万円余組んだのであります。
  130. 島村軍次

    ○島村軍次君 人件費は……。
  131. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それは検査指導費……。
  132. 島村軍次

    ○島村軍次君 人は……。
  133. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 人は、県庁の役人を使います。
  134. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  135. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 堀末治

    委員長堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     重政 庸徳  秋山俊一郎     仲原 善一  柴田  栄     堀本 宜実  上林 忠次     鈴木  一  北村  暢     清澤 俊英  島村 軍次     河野 謙三  藤野 繁雄     田中 啓一  佐藤清一郎     千田  正  小笠原二三男     羽生 三七  下條康麿
  140. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    午後二時四十五分速記中止    —————・—————    午後三時二分速記開始
  141. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  それでは、これから土地改良法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  この法律案につきましては、すでに予備審査に入っておりますが、この法律案は間もなく衆議院を通過して送付される見通しのようでありますから、引き続いて予備審査を進めることにいたします。御質疑の向きは順次御質疑願います。
  142. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 先日委員会におきまして要求をしておいた特別土地改良工事の実施計画並びに経費負担等に関する資料が、農林省から配付されましたので、まず、この資料について説明を伺いたいと思いますが、委員長において適当に御取り計らいを御願い申し上げます。
  143. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) お手元土地改良法改正案関係資料という印刷物があると思いますが、これに基きまして御説明を申し上げます。  まず最初に、特定土地改良工事特別会計の関係の問題でございますが、この新しい特別会計で取り扱います工事は、まず第一に、灌漑排水施設の新設または変更の事業でございまして、これは法律規定では「かんがい排水施設の新設又は変更で政令で定めるもの」ということになっておるわけでございますが、その政令をもって規定をいたしますものを予定をいたしまして、内容はそこの(1)、(2)と書いてございますように、本年度から新規に着手をいたしますもの、それから現に施行中の灌漑排水工事でございまして、すみやかに工期を早めて完了をするということによって事業効率が高められるというもので、地元の希望等が非常にありまして、技術的にも判断をいたしまして適当だと認められるものを考えたい。いずれにいたしましても、この(1)、(2)につきましても国営事業を予定をしておるわけでございます。  次に第二番目といたしましては、埋め立てまたは干拓の工事でございます。これは土地改良法の第二条第二項第四号に規定をする工事でございます。これは干拓、埋め立てにつきまして、国営事業及び代行事業を含めまして、この特別会計で取り扱いたいと考えておりますが、新規事業はもちろん、従来からの継続事業もあわせてこの特別会計で取り扱う。でありますので、干拓事業は国営と代行の継続事業まで含めますから、ほぼ干拓の大部分、補助干拓を除きました事業はすべてこの特別会計で取り扱うと、こういうことになるわけでございます。次に、災害復旧でございますが、一の灌漑排水施設の新設、この特別会計で取り扱いますところの灌漑排水工事につきまして、その災害復旧をいたすという場合には、これをこの特別会計で取り扱う、かようにいたしたいと思うのでございます。干拓、埋め立てにつきましては、これは全額国費をもって一般会計でいたすということで、しばらくこの特別会計には含めておりません。  次に、この特別会計で取り扱います事業の負担——地元の負担率の徴収方法につきまして、現行制度と新制度とを比較して申し上げます。まず灌漑排水事業でございますが、この負担率は現在は事業費の四〇%を徴収をしております。特別会計におきましては、こうしたためにスピード・アップされるというようなことを考え合せまして、事業費の四二%を都道府県及び地元受益者に負担をしていただく。それから先般もちょっと申し上げたことでございますが、地元負担部分を従来と異なりまして、この特別会計ではまず借入金でもって金を借りまして、そうしてどんどんすみやかに事業を行うということになりますので、その借入金に相応する利子負担が出て参ります。これを建設利息、この建設利息を地元に持っていただく、かようになるわけでございます。それからその徴収の期間でございますが、負担金の徴収期間、これは都道府県におきましては、現行制度は事業に着目をいたしますと、その翌年から十三年間で納めていただくわけでございますが、その間据え置きの三年を含めまして、十三年間で納めていただくということになります。ところが、今回の特別会計では、事業が完了いたしまして後、十年間で都道府県から納めてもらう、こういう工合になります。それから地元の農民、受益者の分でございますが、これは現行制度も事業完了後十年間でございます。この特別会計でも同じく事業完了後十年間でございます。それから利子でございますが、その負担金の利子部分につきましては、現行では都道府県は六分五厘、受益者は五分ということになっておりますが、特別会計では都道府県及び地元受益者をあわせて六分という工合にいたしておるわけでございます。  次に、干拓事業でありますが、干拓事業について申し上げますと、負担率は現在やっておりますのは、農地法に基きましてその土地を売り渡すということにいたしております。そこで農地法に定められた価格によってやっておるわけでございますが、これは平均反当り一万二千円が大体基準でございます。今回はこの農地法によって従来処置をいたしておりましたのを、土地改良法によりまして新しい規定を設けまして、土地改良法負担金を徴収し、土地を処分をすると、こういう工合にいたしたのでございまして、土地改良法の九十条及び九十四条の関係におきまして、かような処置をいたしておりますが、その負担金は事業費の二〇%を徴収をいたします。ただし、これは三十二年度以降に要しました事業費についてでございまして、三十一年度以前に支出をいたしました事業費につきましては二〇%を徴しませんで五%、おおむね農地法によります売渡価格のことを勘案いたしまして、この率を二〇%よりだいぶ低下をいたさせたのでございます。それから、先ほどの灌排事業で御説明を申し上げましたところに相応しまして、建設利息を負担をしていただく、かようになります。それから徴収期間は、現行では農地法によって売り渡しますので、自作農特別会計の処理によりまして売り渡し後二十四カ年以内、もっとも事実上はもっと早く納入をされておりますが、規定をいたしまして二十四カ年以内に分割をして払っていただく、かようにいたしております。ところが、今回の特別会計におきましては、事業完了後二十カ年間、据置期間は三年を予定をいたしておりますので、以後十七年間で納めていただく、かようになります。利子率は現在の自作農特別会計にあります土地の売り渡しの場合の利率によりまして、五分五厘を徴しておったのでございますが、今回は土地改良特別会計の借入金の利率、つまり資金運用部特別会計から借りますので、その借入金の利率と合せまして、六分という工合にいたしたのでございます。  次に災害復旧事業ですが、これは灌排だけでございますことは先ほど申しました通りですが、その負担率は、現在は事業費の三五%を徴しております。その特別会計で参ります場合には、事業費は三五%、先ほど来御説明を申し上げた通り建設利息を合せて負担をしていただく、かようになります。それから、徴収の期間でございますが、これは現在のところは、先ほどの灌排事業のところと同じでございます。この特別会計になりました場合の徴収期間も、灌排本来の事業の特別会計のやり方、つまり都道府県、地元受益者分ともに事業完了後十年、こういう工合にいたしております。利子率も、先ほどの灌排のところと同じように、現行、特別会計ともに規定をいたしておる次第でございます。  注のところは、先ほど一言をいたしたところでございますが、干拓事業によって造成された施設についての災害がありました場合は、全額国庫負担として従来通り一般会計で処置をする、こういう工合にいたしております。  次に埋め立てまたは干拓地を処分をいたす場合に、従来は農地法の規定に従って処置をいたしておりましたが、今回は土地改良法に新たに規定を設けまして、処置をいたすという工合にいたしました。そこで、どこで切るかということでございますが、これは従来の方法によって、処置をいたしますものは、すでに工事が完了をいたしております地区の中にある土地、それから継続地区でありまするものは、大体もう干陸をいたしまして、干上りまして、土地配分計画を立てて希望のある人は申し出なさいと、こういうことを申すわけでありますが、その農地法の規定によって土地配分計画の公示があってもう希望者を募集しておる、こういうものにつきましては、従来の方法によって処置をいたす、こういう工合になっておるのでございます。  続いて御説明を続けますが、次に、現在あります土地改良協会の関係の資料の御要求がございましたが、現在ありますものは、全国の土地改良協会は一つ、都道府県の土地改良協会が四十六ございます。そのうち法人でありますものは、全国のものは法人でございますし、都道府県のうち法人でありますものは二十四、民法の法人でございます。それから法人格を持っておらないものが二十二ございます。これは任意団体でございます。  次に、各協会の経済の規模を書きましたが、次のページは全国土地改良協会歳入歳出、ごらんの通りでございまして、昭和三十年度決算によりますと、九百二十七万一千円という規模でございます。それから都道府県の土地改良協会は、次のページですが、これは県によっていろいろ規模が違います。これは報告がございます、三十の協会の平均数値でございますがごらんいただく通り、九百六十万円というものが大体平均規模になっておる、こういうことでございます。
  144. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今の説明によって、疑問の点を順次お尋ねいたしたいと思いますが、この特別会計で取り扱う工事の、第二の、「現に施行中の専業のうち速かに工事を完了することにより事業の効率が高められること等を勘案して適当と認められるもの。」とこう書いてありますが、しかもそれは国営事業のみを考えておると、こういう御説明であった。今継続事業についての規定だろうと思うのですが、すみやかに工事が完了して事業の効率が高められないものはないと私は思うのです。だから、これはきわめて抽象的なんです。大体今継続中の地区では、どういう限度で特別会計に入れる方針であるか、その点、ちょっとお伺いします。
  145. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 実は本年度の予算の予定といたしましては、灌排事業は本年度着工を予定いたします新規地区だけにしております。この(2)というのは、本年度の特別会計予算では予定をしておりませんが、将来の問題になると存じます。で、ただいまお尋ねのように、これは継続地区につきましても、一般的に申せば、すみやかに工事が完了すれば非常に経済的効率が上るということでございますが、ただ一つ、特別会計に入ることによって形式上の負担がふえるわけであります。そこで従来の、一般的に申せば工期が早くなれば、形式上の負担が四〇%から四二%にふえましても、建設利息を払うことになりましても、農民としては利益が上るとわれわれは判断いたしますけれども、その当該地区の農民が、いや、おれたちは従来通りでいいのだ、こういうものもございましょう。従って、これはその地区別に地元の意見も徴し、また予算も別途考えるということにしなければならないと思いますので、一般的にはかように考えておりまして、来年以降の予算で具体的に処置をいたしていきたい、かように考えております。
  146. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは、あるいは三十四年度までに完了の見込みのあるものは従来通り形式でやる、後年度にまだ事業が残るものはこの特別会計でやるとか、あるいは工事が今進捗しておって、何%まで進捗しておる、その限度においてこれを特別会計でやる、こういうはっきりした区分をつけねばいかぬ。予算の都合でやるとか、何とかするとかいうが、そういう性質のものでないと思う。干拓は全部入れてある、そういう方式のもとに。だから、それはちょっとおかしいのですよ。
  147. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 御指摘のようなことが確かにあろうかと思いますが、これはともあれ、三十二年度の予算としてはさしあたり予定をいたしておりませんので、今お話しのような点を十分考えまして、すみやかにこの(2)で処理をいたしますものの考え方を政府の内部で取りまとめたい、かように考えます。
  148. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は、三十二年度に国営事業の土地改良事業、灌漑排水事業を特別会計に入れなかったということが、非常に政府の手落ちだろうと思う。先般の委員会では、時間的にその余裕がなかったというような御答弁であったのでありますが、これは非常に農林省の手落ちだったろうと思うのです。もちろん、今三十二年度の特別会計にそれを入れるべき操作をせいと言うても、時間的にこれはだめだろうし、また当事者の意思を尊重せねばならぬ。だけれども、これはすみやかに三十三年度の予算に組み入れるといたしましても、その場合に、また時間的の余裕がないとか、何とかいうようなことを言わぬように、一つ即座にとりかかっていただきたい。  それから、なお、これは国営事業のみあれをやってもその効果が上るのじゃない、事業によったらばですよ。だから、国営事業に全部とは言いやしないが、国営事業による付帯事業を、やはりこれを入れて急速に工事をやらなければ、国営事業に投じた資本が能率を発揮せぬ、効果が上らぬというような顕著なものは、私は当然これはこの特別会計で取り扱うべきものだと思う。その例は、先般申し上げましたように、東京の近くの千葉県の両総用水を視察すればすぐわかる。国営事業は比較的進んでいる。ところが、それに付帯する県営事業が、しかもこれは相当大きな金になっておる。その事業は少しも進まない。だから、国営事業が進んでもその効果は発揮せぬ実情である。もちろん両総用水のみならず、そういう所がまだあるだろうと思う。だから、そういう特殊な所は国営事業のみというようなことでなしに、相当考えてもらわなければならぬ。これに対する御意見も承わりたい。
  149. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 御質疑の点は、実体的に見ましてきわめて重大な問題であると思います。国営事業がさらに県営、あるいは団体営にこれは密接な関係をしまして、それらを含めまして、全体が合理的な計画で進んで参らなければ効果も上りませんし、いわんや負担関係等においても妥当を欠く結果になるということは、考えられるところでございます。もちろん工事によりましては、国営事業の改良によりまして、効果が必然的に既存の施設にも及んでいくということもございますが、なべて申し上げますならば、これは全体の合理的な姿で計画され、実施されなければならぬものであるということは、当然だろうと思います。その点は、政府といたしましても考慮いたしておらなければならないところでございます。従いまして、今回のこの借入金の制度を開きまして、若干とも国営工事の一部が早くなるということになった場合においては、これに即応しまして、補助事業も早くやっていただかなければいかぬという関係が出て参ることは当然でございます。従いまして、補助事業の経費配分その他につきましては、十分にその点を考えまして、疎漏のないように努めていくべきであろう、こう考えます。  なお、その際に、これらの補助事業の補助金を、この特別会計を通すかどうかという問題につきましては、これは補助金の方につきましては借入金という関係もございません。補助金は補助金の制度に乗ってちゃんと施行されて参りますので、手続上はこの会計を通す必要はないかと存じます。この会計の事業というものは、この会計の事業計画というものを持ち、これによって行われるわけでございますが、大宗となりますところは、やはり一般会計よりの繰り入れでございます。結局は予算の全体の取り扱い、各年度におきまする予算編成の全体の取り扱いによって、この大宗がきまるものでございます。その際に適当な予算が組まれますならば、今の御懸念の点は解消するわけであります。かりに、逆にこれが不適当でございますというと、御懸念の問題が起るわけでございます。この点につきましては、実態はまさに御質疑のような問題を痛感いたす次第でございますが、この特別会計に入れるという点につきましては、技術的になお若干問題があろうと存じます。また特別会計に入れたからということで、自動的にさらりと解決されるという問題ではございませんで、要は、政府におきまして、そういう関連の事業に対しまして、適当な財政資金を割り当てるかいなかというところにかかっているものと考えます。これらの点につきましては、今後の取扱いといたしまして十分に疎漏のないようにやっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  150. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この点は、今の御説明を聞けば、これはいつでもそういう説明政府はしている。それから当然関連があるもので、いつ聞いても、今法規課長の御説明のような答弁です。だけれども、実際は一つの補助事業として一本になっている補助金を、これは国営に付帯するものだから、国営だけ優先的にもっていくということはなかなかむずかしいのです。もちろん十分な補助金を計上しておればいいけれども、そういう日本じゃなし、大蔵省でもなし、だから、これはある別な、別建な特殊なものとした補助金として計上するか、何かのそこで工夫をしてもらわなければならぬだろうと思います。  それからなお、私申し上げる趣旨は、いわゆる団体へまで、末端へまでやれば、これはこしたことはないのだけれども、そこまでは考えておらぬ。これは、こまかい事業になると、水がそこまで来れば、足もとまで来れば、不完全な、にわかにみぞを掘っても、この水は利用するというような農民の心理です。だから、せめて県営というものは、国営に付帯する県営事業、しかも特殊なそういう性質の、たくさん、大きな事業で十何ぼという県でやる、両総用水、そういう例をとってみても、そういうようなものは、やはりこの国営で、特別会計で事業を進行するものと自然にマッチして事業が進行するような何かを考えてもらわなければならぬ。私は特別会計に入れれば一番いいと思います。そんな大したものではないだろうと思います。だから、一応のありきたりなことでなしに、一つ将来——将来ではない、もう三十二年度、間近なんですから、これは十分考慮してもらわなければならぬということを申し上げておきます。  それからなお、第二番目には、灌漑排水の利子ですね、事業費の負担割合、もとはここに示してあるように、地元は四〇%である。ところが、四二%というのは、その二%の根拠を御説明を願いたいと思います。
  151. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 大蔵省から御説明申し上げる筋合いかどうか、私ちょっと意を尽しませんかもしれませぬが、私の方で承知をいたしております関係を申し上げます。なお足りません点は、農林省の方からお願いいたしたいと思います。  今回の特別会計の構想が出たわけですが、この構想の基礎になりまするのは、生産性の高い事業、こういうものを特に今後取り上げようではないか、さらにそれについては早期にこれを行いまして、ますますその生産性を高めようではないかというところから、借入金が考えられ、その結果、その経理のために特別会計を考えた次第でございます。そこで、この負担金の問題ですが、そのように生産性の高いものでございまするから、そこで受益と申しますか、その得られまする利益、これがもちろん食糧増産の広い見地から見ますれば、国民全体の利益であり、しかもそれは、当該受益を直接受けられる農村の方々の直接の収益にもこれがなるわけでございますが、これを見込みまして、取り急いだものにつきましては、そのためによけい必要とする金につきましては、そういう特別な得られる利益の範囲内でその新しい負担区分をきめて参りましょうというのが、原則であったわけであります。端的に申しまして、四〇%と四二%、こう比べますと、二%という差がございます。この二%とは何かということになりますというと、この二%だけでは、率直に申しまして、これは説明はございません。ただ、この四二%を基礎にいたしましたのは、これと建設中の利息でございますが、これと両方からみ合せまして、それによって農民の方々が御負担になるその負担額を考えまして、それが取り急ぎまして、特に生産性の高い事業を取り扱って参りまする場合の農民の方々の得られる利益を見たその一部分である、その範囲内のものである。その一部分のものであって、従来の負担区分の場合に農村の方々が負担をされておりましたその負担に比べまして、実質的に同じようなものになるようなものを考えたのでございます。その結果、事業費の四二%及び建設利息、こういうことになりましたのでございまして、四二%と四〇%だけの二%はどうかということになりますと、これは率直に申し上げまして、そこの説明は実は申し上げる何がございません。全体で一つ御比較になりまして、そして御理解を得たい、こういうふうに考えております。検討の経過はそういうことでございます。
  152. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは、全体を考えれば、ますます理解できぬようになるのですよ。とにかく七年で早くやってやろう。今まで予算が少いものですから十年もかかっておったのだが、それで借入金をして仕事を七年間でやってやろう。その七年春はっきり法律に書いてないのでわからないが、それでとにかく借入金をして早うやってやるから、その借入金の利子はみな出せ。ところが、七年早くなったから二%だけは農民はよけい出せと、こういうことですか。総合的に考えれば、そういう精神であるというよりほかに僕は考えられぬのですが、どうですか。
  153. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 大体私の申し上げたことは御理解があるのじゃないかと思うのでございますが、ただ、今の建設利息の分は、かかるからそれだけ出せ、それから二%を早くやるのだから出せということか、というお話でございます。形の上ではそういう形になっておりますが、決してこれは早くやるからその分だけ出せとか、それからほかはおそくてもよいとかいうような趣旨ではないのでありまして、早くやるやらないはこれは政府がきめたことで、早くやって事業効果がよけい上るような政策も、政府が作ったものでありまして、従いまして、結果として現われますのはその受益であります。その受益を予定いたしまして、その中でもって従来の負担区分とも考え合せまして妥当なる線を出したのが、これでございます。別に取引というような関係ではないのでございまして、税金的な考え方も持っておりません。あくまで受益ということを基礎にして考えてやっておる次第でございます。
  154. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は、きょうは法規課長と議論をしようという考えでなかったのです。これは大蔵大臣か、少くともそういう人の責任ある答弁をと思ったのだけれども、お見えにならないので、しようがなしに私はこういう議論をしているのですが、それはだれが聞いても、ちょっとふに落ちぬですよ。  まあそれはさておいて、ここで幾らやったところで結論つかぬのですが、ところが、その利息ですね。今まで利息は現行が五分五厘と六分五厘、それで、あと今度は特別会計で平均して六分と、こういう観念だろうと思うのだが、ところが、この五分五厘と六分五厘というものは、今まで補助をもらったその事業量の地元負担部分の借入金と、そうでしょう。現行はそうじゃないのですか。その点をまず第一に、農林省からでもいいですよ。
  155. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) お話の通り、現行の利子はまず……。
  156. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 簡単に一つ願います、時間がかかるから。
  157. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 現行の利息は、都道府県及び農民が負担をする部分についての金利でございます。
  158. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 ところが、今度の六分の対象になる元金は、それのみじゃないでしょう。早くやるために、補助金が少いから、少いところを借入金で埋めてやろうというものを加えた、負担金を加えた元金に対する六分でしょう。
  159. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) その点は、ちょっと御理解が違うのじゃないかと思いますが、別に補助金の振りかえの分じゃないのでございまして、従来はこれは国営事業でありますから国が全部行うのですが、その財源といたしましては、国が六割、それから都道府県を含みます地元受益者が四割、ただし、その四割というものは、終局においては、納税者の負担すべきものではございませんが、一応納税者の方でお立てかえをいたしておるその分を、あとで事業が終ってから返していただくという形になっておるわけです。従って、今までの国の予算の組み方で申しますと、元来納税者が負担すべき都分と、それから受益者の方に負担していただく部分とを合せて、予算をいたしておったわけです。今回は、その合せて予算をいたしておりました金額を、全部納税者負担の方の割合の分に充てまして、そのほかに、それに対応しますところの受益者負担の分につきましては、これは納税者の方の負担にそこまでかけるわけに参りませんから、そこで別途金融の道を開きまして、それでその分を借入金によってまかなう、それでつなぐという措置を講じたものでございます。  御質問の趣旨は、補助金の肩がわりというようなお話がございましたが、補助金じゃないのでありまして、一般会計におきまして納税者が負担すべきもののほかに、受益者が負担すべきものを一般会計の方につけまして、納税者が負担しておって、その分を今度は借入金に肩がわりしたのじゃないか、こういう御趣旨かと思いますが、実情はそうなっておりませんで、従来立てかえておりました分、これは合せてやはり一般会計からこの会計に繰り入れております。そのほかに、それを今度は国の方の負担部分と見まして、これに対応する受益者負担部分につきまして、納税者に御迷惑のかからないような金をほかから借りて参りまして、これでつなぐようにいたしまして、それによりまして新たな財政負担を加えることなく、しかも地元に特別御迷惑をかけることなく、仕事の方だけが進んでいくと、こういう、いささか手前みそですが、結果になったわけでございます。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  160. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 非常に御答弁がうまいので、こんがらかるのです。私は簡明に言いますと、現行は、今年度だけでいえば、一億の事業をやれば国が六割くれる、その四割の四千万円に対する地元の借り入れをやっておったのですがね。それが六分五厘と五分五厘、六分ですね。ところが、今度の特別会計に入ったのは、一般会計から特別会計へ入れたその事業の四割の負担分、その金とプラス・アルファでしょう。プラス・アルファに対する利子を全部とるのでしょう。プラス・アルファというのは、特別会計が事業を早うするために特別会計へ借入金したその借入金の利子ですよ。
  161. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) どうも御質問の趣旨がつかめないので、まことに恐縮なんですが、今の御質疑の点の二つのものは一つでございます。地元負担分と申しますか、都道府県を含めました受益者負担は、この分を従来は税金で立てかえておりましたのを、それを借入金でいたします。その分の利息でございます。なお、それじゃ納税者の方は立てかえの負担を免れたか、こう申しますと、それは免れませんで、その分は繰り上げて費用をこの事業に合せて投入いたしております。それには利息はつきません。
  162. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、来年度予算を考えてみると、一般会計から幾ら入れて、借入金を幾らする。どうなっていますか。大体来年度の特別会計予算、それは干拓も入っておりますね。僕が言うのはね、とにかく従来は六、四でいっておったのだ、六、四でね。六、四の四分のこの量は、借入金をやって仕事をしておった。ところが、特別会計とってもらうと、四分の負担金だけ借入金するというのじゃないでしょう、特別会計は。そんならば事業の進捗にはならぬのです。
  163. 羽生三七

    ○羽生三七君 その答弁のあるまで、ちょっと議事進行みたいな形で発言さしていただきたいのですが、前に御説明があれば重ねて御答弁要りませんが、なければ伺いたいことは、政府農業に関する助成は年々、農業政策一般ですよ、だんだん低くなっていくわけですが、ところが、たまたま本年は土地改良事業関係だけは若干増額になった。そこで土地改良に関する特別会計の改正案が出て、特別会計ができるわけです。ところが、その特別会計を設けなければならなくなった理由は、一体こうすることによって今までの土地改良よりもさらに一段この土地改良が促進されて、また農民の利益にもなるという積極的な根拠があるのかどうか。あるなら、どういう積極的な根拠があるかということを、明らかにしていただきたい。  そうでないと、従来の補助金政策が融資政策に変り、その融資でも比率が多くなり、予算総額では土地改良がふえておりますが、むしろ受益者負担が重くなってくるようなことになり、土地改良の事業がそのためにマイナスになるようなことなら、これは政府からいっても農民の立場からいっても、利益はない。だから、積極的に特別会計を設けることによって、土地改良が促進され、また農民の利益にもなるという、そういう積極的プラス面というものは一体どこにあるか。この点、前に御説明があったら格別ですが、なければ、具体的に御説明願いたいと思います。
  164. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 事柄は実体の問題でありますから、農林省の方から御説明あってしかるべきかと思いますが、特別会計の関連でございまする御質疑のようでございますから……。
  165. 羽生三七

    ○羽生三七君 必ずしも特別会計とはいいません。私、御答弁できなければ、責任ある方から、土地改良の全体についてこうすることの方が農民のためにも政府のためにもなるという、積極面を説明していただかぬと——法文の内容の個々のことなんかいつでもよろしゅうございます。
  166. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) それじゃ申し上げます。責任を持って申し上げますが、土地改良事業を、これを促進するということは、予算をよけい使えば、つければ、これは促進になるわけです。もちろん地元の負担との関係もあります。その御都合もありましょうから、当初の計画にあまりはずれていかぬでしょうが、しかし早くやった方がいいことは、これはさまっておるわけでございます。問題は財政負担との関係でございまして、その関係をどう調整するかというところに問題があるわけでございます。今回の考え方は、特別会計を設けまして、設けましたその趣旨は、借入金をいたしまして、これで地元負担金の肩がわりをする、肩がわりといいますか、つなぐわけでございます。最終的にはやはり地元負担はお願いするのでありますが、その分を借入金でつなぐというところにミソがございます。従来はこれを納税者につないでいただいたわけです。従って、当該年度の財政負担ということにどうしてもなります。これをその財政負担を避けまして、それで借入金でもってこれをつなぐということにいたしました。そういたしますと、事業がその意味でも進むわけであります。同時に、従来から最終的には納税者が負担すべきものでなかった分に立てかえておった分があったわけでございます。従来その分は、あげましてこれを事業促進のために納税者負担の分につけ加えまして、予算に計上することができたわけでございます。しかも、これを計上することによりまして、ほかの継続の地区の予算を侵食するわけでもありませんし、新しい納税者負担を加えるわけでもございません。従来の立てかえ予算を本来の分担の予算に切りかえるだけで、それが済んだわけでございます。そういう関係になっております。促進の関係と特別会計を設けましたいきさつはそういうことになっております。  それで、その結果、促進されて事業が行われまするならば、経済効果としましては、早期にこれが発生して参ります。そこで受益は農民の側にもございますし、国といたしましてもあるわけでございます。そういう関係でございます。
  167. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは干拓の場合の利息の問題を取り上げてみましても、干拓の場合はそういう利息を払っておった。土地改良の場合にはそういう何があった、負担金に対する借入金の五分五厘と六分五厘が、ここに出ている通り。ところが、干拓の場合には国が全部やっておった、国が。そうしてできたものをいわゆる農地として配分しておった。それは御承知の通りなんです。今度は早くやってやると。だから、金を借りて、予算が及ばざるところを金を借りて、そうして早くやってやろう、これは非常にけっこうなんです。またそれがねらいですね、早くやるということが。これは農民のみならず、国も非常な利益なんですね、この政策というものは。それを、その利子はお前らみな払え、早くやってやるから。お前ら農民が利益だろうが……。しかも農民の、こういうすぐ成果が上る仕事じゃないのだ、こういう仕事は。手数を農民からみなとる、こんな農民政策というものは僕はないと思う。それは農民も協力せねばならぬ。それはある部分早くできる。だから、そのある部分協力せねばならぬけれどもが、それを農民に、お前らみな出せ、こういう政策は僕は農業政策ではないと思う。そこに根本的な僕は考え方の間違いがある。企業とか何とかいうならそれでいいけれども……。電気のダムとかいうなら、それでいい。だけれども、農業政策としたら、こんな考え方は僕はないと思う。全部今まで、そういう国がやってくれておったものを、今度は早く年限を縮めてやるから、金を借りてやってやるから、簡単にいえば、その金の利子はお前ら払え、こういう政策なんですね。だから、この利子の点で農民も幾らか協力せねばならぬけれども、全部農民に出せというような政策はないと思う。その点、農林省、どうですか。政務次官としてどうですか、新しい農政として。
  168. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) 基本的な考えになりますと、つまり目的は国のためになる食糧増産、同時に、個人の利益にもなる土地条件の改善、この二つの目的のために、手段として、従来通りやって参りました土地改良政策ないしは干拓奨励のような形で、そのままでいいか、ここに工夫をして生まれて参りましたこれがいいかということの比較になると思います。私どもが検討いたして参りました経過と、今日御審議をわずらわしております考え方としては、同じ目的を達成するにはこの方が国の利益にもなるであろう、また受益者たる農家、農民の利益にもなる、こういう考えで御審議をお願いしておる次第でございます。
  169. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それは、全く政務次官は農政を知らぬのです。これは一歩前進ですよ。確かにこの特別会計は一歩前進なんだけれどもが、もっと根本的に考えてみれば、私は端的にいえば、そう思う。早くやってやるから、その利子をお前らみな払え。これはオランダなどは国柄も違うけれども、しかし富裕国じゃないのですよ。そうしてこれは五十年の年賦で払っておるのですよ。干拓に対する農民の償還は、五十年の年賦を持っておる。これではまあ二十年……。二十年はそれでいいとしても、利子をみなとるというのはないと思うのです、僕は。これは政務次官に、農政というものをもっと考えて僕はやってもらわねば困る。ほかの企業と同じように取り計らってもらっては困る。
  170. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) 先輩からおしかりをいただくと恐縮するのですけれども、実際に増産が早く期せられて、所得が増大して参るという計算の中の一部を、これに振りあて、納税——言葉でいうと納税者といいますが、要するに税金によってこの目的達成の手段に使っていく額は減らさないのですから、これは少しでも減ったならばちょっとそれは問題でございますけれども、減らさずにそういう操作がきくのならば、これは一つ謙虚に検討をしていただきたいと思いますが、私の承知いたしております考え方については間違いないと思います。
  171. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私はね、この六分という高い金を農民に全部支払わして、こういうことをやるべきじゃないと思う。ただこの点ですよ。これはね、国家が補給すべきなんだ。しれたものなんだ。たとえていえば、これはもう来年の問題じゃないのですね、根本的な問題なんで、今これを何ぼ補給するといったところが、来年農民の負担にかかってこないで、今年度かかってくるのだけれども、結局これに政府が幾ら補給してやるかということが、私は問題だろうと思う。六分の金で、そうしてこれは非常に高い金ですよ。しかも、まあつけ加えて言えば、七年にやってやろう、こう言われたけれども、法律に何にも言っておらぬし、これが八年になり、九年になるということになると、農民はいやいやながらその六分は、二年間の利子をまた含めて払わなければならぬ、前の計画よりも。そういうくらいなものですからね。やはり政府もこれを補給せねばならぬ。私は、それが根本的な農政であると思う。だから、農民も私は協力は必要だと、こう言うのだ。これはどうでしょうか。議論が通っておるでしょうが……。
  172. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) どうも……。こういう農政の基本として保護助長を必要とし、それがために特に国土の造成、つまり国土の造成、農地の保全というような意味に国が費して従来参りましたいわゆる税を、納税者の負担において費して参りましたその額に手をつけて、それを減らして、あるいは同額において、同じ効果であるといろならば、御指摘のようになる。より前進であり、効果が現われておるという見通しが立てば、これは実施していっていいのじゃないかということになると思いますから、技術的な計算がどこにあるかということを分析して、さらに御審議をお願い申し上げたい、こう申し上げたいのでございます。
  173. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは幾らやったって、私が期待しておる答弁はそこでは言えぬのかもしれないけれども、一度、大蔵省もおられるし、そこでまだたくさんこまかいことはあるのだけれども、私は最もそれが主要点だろうと思う。私だけ発言しても困るので、きょうはこのくらいでやめておきます。
  174. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は、重政委員の言ったことと政府委員答弁を聞いていると、一体非常に進歩しているかのようにも聞えるし、ただ問題は、従来と比べて農民の負担が軽減されているのかどうかということを、まずお聞きしたいと思います。  問題は、これはなるほどいいことには相違ないけれども、国土の開発ということは、年々百万以上の人口が増加しているようなこの日本の狭い国土においては、これは国家の大きな問題として、それは税金が出ようが何しようが、すべてあげて国土の開発に力を注がなければならぬと思う。問題は重大な問題であるが、国策として行うべきものが、受益者も利益になるのだからというので、従来の負担よりもさらに負担が重くなるということでは困る。これは絶対われわれは反対せざるを得ないのです。だから、そのことはどうなんですか、軽くなるのですか。
  175. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 御質問の点はほんとうはこまかいことになると思いますが、考え方の大綱を申し上げまするならば、借入金方式によりまして資金を打ち出す、さらに従来立てかえ資金になっておったその納税者資金を、さらにこれに加えてやるということになりまして、促進がされます。そうして経済効果といたしまして、これは非常に上るわけなんです。その経済効果として上りました分のうちから、その受益者負担というものを心配いたしまして出しておるので、これは従来に比べまして非常に下るかというお話でございますが、率の点だけで平らに比較はできません。その受益との関係によります。その関係におきましては、今回取り急いで行うということによって得られる利益のうちのほんの一部分を、利子負担なり何なりというのに充てておるわけでございます。  結論から言いますというと、総体的に見まして、負担は軽くなることはあっても、重くなることはございません。ただし、先ほどから御議論もありますように、これはやっぱり一定期間に早く行われる、完成するということが条件でありまして、これがおそくなれば、先ほどのような御議論もあると思います。それにつきましては、この会計の運用といたしまして、あるいは今後の予算の組み方といたしまして、これはその計画に沿うように組んでいこう、しかも、その計画を実施いたしますことは、現在並びに近い過去における財政の状況から見まして決して無理ではない。ことし土地改良の予算を組んでおるわけですから、これは決して異常なる無理をして組んだ予算ではございません。従来通りの努力によりまして、この程度の金が計上できているわけです。なお、これが増額されれば、これが促進されることはあっても、これが減額されるというような事態は通常の状況では考えられないわけです。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  176. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) ちょっと補足しますが、農民の負担は、これによってふえないんです。こういう考えに立っております。また、こまかいことになりますというと、事業資金投入というような考えをも織り込んであるわけです。それじゃ、そういう商工業用資金的な、商業的な考え、工業的な考えに農業政策を変えたのかと、こういう飛躍的な考えはどうもないんです。そういう飛躍的な考えはございませんが、いろいろ検討してみました結果、選択もきくのですから、静かに自分の農地を守りながら、いずれが負担が少くて利益が多いかということを検討されて、特別会計方式によりまするこの土地条件の改善を選択してやるという方はこれで進む、従来のものも全部これにみな乗りかえちまう、全部これに切りかえてしまうというところまでは踏み切りかねているんです、干拓以外の灌排事業のごとき。これらの点からも御勘案いただきまして、実施の面で農林省が期待しておりまするような成果が上げ得られるかどうか、これは十分掘り下げた御検討はいただきたいと思いますが、農林省としては一応そういう考え方ですから……。
  177. 河野謙三

    河野謙三君 政務次官、農民の負担はふえないとおっしゃるけれども、算術計算でいけばふえているんです、この資料によっても。ただ、早く事業ができる、その経済効果等をいろいろ勘案すると、農民の負担はふえない、こういう計算だと思うんです、そうでしょう。
  178. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) そうです。
  179. 河野謙三

    河野謙三君 そうだとするならば、今の御説明によると、農民は負担は一応算術計算ではふえるけれども、工事の促進によって利益を得る、そこでプラス・マイナスすれば農民の負担はふえないと、こういうんだが、とにかく農民の負担は、一応算術計算でいけばふえるわけだ。それならば、この特別会計で国が従来この事業に使っておる金が幾らかプラスになるんですか、ふえるんですか。農民は、経済効果があるからには負担をいたします。国は一体どうなんです。国が特別会計を設けることによって従来よりも負担はふえるんですか、ふえないんですか。
  180. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) それは、負担区分の面から申しますれば、全体がきまっておりますから、農民の分がふえた分だけ減るわけですが、(笑声)それでは財政負担の点からいくとどうかということを申しますと、従来投入しておりましたのは、本来納税者負担の分と、それから受益者の負担します分の立てかえがあったわけです。この立てかえ分が、借入金でいきますから、今度は必要がなくなるわけです。しかし、その分だけはつけ加えまして、国の負担の分として計上すべき分に加算いたしております。その意味において、財政負担はふえておるということが一つ言えると思います。もう一つは、これらの事業を実施いたします場合に、不用品の処分をいたします。仮設物の処分をいたします。それから過払い金の返納というようなものも出てきます。そういうような関係で、いろいろ歳入が出てきます。これらのものは、一般会計の方で経理いたしますと、雑収入かなんかへ入ってしまいまして、わけがわからなくなっちまう。これはもう一回さらい上げまして、本来の事業の事業費が幾らかということを明らかにするためにも、これをさらい上げることが必要なんでありますが、同時に、そのさらい上げた金は、この特別会計に残っておりますこれをさらに投入するという部分がございます。一般会計からの関係を申しますれば、大体そのような関係かと思います。
  181. 河野謙三

    河野謙三君 農民がこの特別会計によって負担がふえる分は、われわれもすぐ計算が出るんです。ところが、国がこの措置によって負担がふえるという点をもう少し計数を整理して出してもらいたいと思う。それは、われわれは、この土地改良というものは受益者は農民だけじゃないと思うんだ。受益者というものは、農民と国なんですよ。それが土地改良の本質ですよ。食糧増産は農民のためにもやる、国家のためにもやる。そこで、要するに多額の補助金が国から出るわけなんだ。だから、その土地改良の本質というものは変らないのだから、その本質をずっと伸ばしていけば、農民の負担がふえることによって工事が促進されるのだが、同時に、一方の受益者である国においてもやっぱり負担をふやして、半々がいいか、四分六がいいか、農民と国が両方が持ちつ持たれつで負担がふえて行くということでなければいかぬと思う。それを、あなたの方の考え方は、えてして、私誤解かもしれないけれども、受益者は農民だけで、農民のために食糧増産をやるという考えに立っている。農民の負担がふえても、それは農民のために早く工事が進むのだから、負担するのは当りまえだ、国は知ったことじゃない、こういうことではいかぬと思う。国がふえる負担というものは計数上どういうふうになっているか、整理して、しろうとにわかるように、われわれは重政さんのような専門家じゃないから、しろうとがわかるように出してもらいたい。
  182. 仲原善一

    ○仲原善一君 農民の負担がふえるかふえないかということが、ほんとうに重大な問題だと思いますが、一つお伺いしたいのは、早く工事をやるかどうかということが問題になります。これは、今の法律では何にも規定がないので、重政委員の御心配のようにだらだら幾らでも延びる可能性があるので、これを何か政令なり、あるいは法律の中に織り込んで何カ年でやるというようなやり方をお考えになっておるかどうかということ、これを一つお伺いしたい。
  183. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) その点は、法律政令ではちょっと技術的に不可能かと思います。形式的に考えますれば、そういう方法もないわけではございません。その方法は、まず継続費の予算を組むことが一つだと思います。これにつきましてはまた別途いろいろな問題がございまして、継続費に対する取扱いは、政府の従来の考え方、憲法関係その他から見まして、非常に消極的であります。まだ、従って、全面的に継続費の制度というものは広く行われておりません。今後検討してできるものなら持っていく、おいおい検討は十分に必要だろうと思います。それ以外の法律的な関係で予算を何ぼ組めという式の法律は、およそ予算と法律との効力の関係から申しまして無理でございましょうと思います。
  184. 仲原善一

    ○仲原善一君 その点は何か明確にしていただかないと、ほんとうにしり切れトンボみたいになってだらだらする心配があると思います。法律的に非常にむずかしいということであれば、何か適切な措置を講じてもらわにゃならぬと思いますが、もう一つの問題は、干拓事業なんかで土地が造成された場合に、売り渡すわけですね。そのときの価格で農民の負担相当軽減するような考慮が払われるかどうか。この点も従来の売り払いの価格というのは大体わかっておりますから、今度新しく特別会計でできたものについては、特にそういう点を考慮されて過当にならぬような用意があるかどうか、そういう点をお伺いしたい。
  185. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) お話しの点でございますが確かに一つの問題でございまして、いろいろ検討をいたしたのでございますが、干拓をいたしまして本年の農地以外に充てられる部分が出て参るわけです。これは地区によって偶然的に出てくるわけですが、その分につきましては、これを売却することになるわけです。その売却いたしました代金というものを何に充てるかという場合に、まずそれが農地であれば、これは農民の方の御負担というものがかかる。それに相当する部分だけはこの負担分の方に計算し、それによってそれが農地であった場合と同じ計算になるわけです。それを超過いたしました部分は、これを干拓事業の促進のために必要な干拓事業に向けていく。必ずしも当該工事ということに限らない方が適当であろう。と申しますのは、そういう工事をやりました場合に、そういう売り払いが出て参りますのは、多くの場合工事が終りに近づくか、あるいは建設としては終っているような事業が多いと思うんです。なお、その際に別途に促進すべき工事がございますとするならば、それの促進に充てて、これに向けよう、こういうふうに考えているわけでございます。
  186. 島村軍次

    ○島村軍次君 今までの議論を承わりますとね、究極するところは、この特別会計設定に当って、端的にいえば、農林省は特別会計をやるための負担区分については、大蔵省の商業ベース、財政ベースに屈伏したということに尽きると思うんです。その理由は、あまり詳しくは申し上げませんが、先ほど羽生委員のお話しになったように、この特別会計を作るということに対しまして、これが食糧増産というものの政策、あるいはまた農業政策全体について、普通の財政上の立場から、あるいは普通の金融の立場から、この特別会計を考えられている、こういうことを断定せざるを得ぬと、こう私は思う。  そこで、灌漑排水についての問題を、今重政委員との論争で、納得はしませんけれども、とにかくある程度まで考え方というのはわかりましたが、この干拓事業に至っては、これは非常な問題だと私は思う。話にならぬということですね。だれかから御意見があったが、結局今まで、現行においては、農地法による売り渡し価格は平均一万二千円であって、そうして徴収期限は二十四年の年賦だったと。二十四年年賦についても、これは今の干拓事業から見れば問題であるが、さらに今度は事業費の二〇%、ただし三十一年度以前のものは従来の負担率を、一万二千円を勘案して五%とるのだ。これこそ、これはごまかしと言うてさしつかえないと思うくらいに、非常にこれは干拓事業というものに対する基本的な考え方が間違っていると思う。その間の交渉の経過を一つ、管理部長から御説明願おう。
  187. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 干拓についての問題でございますが、この干拓事業につましては、全国の干拓地の農民の状態をずっと見て参りますと、おおむねこの干拓地はでき上りまして、農民がそこに入りまして、耕地の整備、塩抜きというようなことはございますが、水田でございますから、きわめて短期間に米麦の生産が行われまして、非常に早い期間に農業が安定をしている状態でございます。そこでその農民の経済状態を前提にして経済計算をいたしますと、その農民の経済負担能力、これが干拓地についてはみな、かなりある。かなり年限を見ますならばいい状態になる農民経済の状態だということを、判定できるわけであります。かたがた干拓の全国の状態を見て参りますと、これは工事が遅々として進みません。十年あるいは二十年というような年月がかかりまして、その付近においてはすみやかに耕地を拡張したり、あるいは新しい農家としてそこに入りたいという人がたくさんいるにもかかわらず、一向にして工事が進まぬ、こういうような状態でございます。そこで、これは農民の負担を越えるということでありますならばいけませんけれども、農民の妥当な負担の可能な範囲内でありますれば、事業に対する農民からの負担金を出していただきまして、そうしてすみやかに工事を進捗して、切望をしておる農民に早くその土地に入っていただくということが適当であろうという工合に考えておったのでございます。  すでに一年有半以前から、いろいろとこの干拓の特別会計の構想を練って参りました。政府の部内におきましてもいろいろの曲折はあったわけでございますが、私どもといたしましては、この事業費の二〇%というものでありますならば、しかも入植後三年は据え置いてその間は償還をしてもらわない、四年以降から十七年間にわたって割賦償還を一部ずつやってもらうというような状態であれば、一応の計算をしたものもございますが、十分に農民はその負担に耐え得るというふうに判断をいたした次第でございます。
  188. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、負担率というものは入植者のみと書いてありますね。だからして、この計算の基礎というものはいずれ堤防の費用も——私が断定するよりはお聞きした方がいいと思う。一体反当一万二千円という計算の基礎は、どういう費用を含んでおるのか。用水費と、それから溝を作らなければならぬし、農道も作らなければならぬ、もちろん堤防も作らなければならぬ。そういう場合の計算の基礎は、今度の二〇%においてはどういう基礎によって計算されたか、それから聞いていきましょうか。
  189. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ここに資料に提出してございます一万二千円というのは、現行の農地法に規定してございます、農地法による売渡価格でございまして、今後のものは事業費の二〇%を負担金として徴収をする次第でございます。そのほかに、ただいまお話しの、干拓地ができ上りましたその内部の付帯工事がございます。小さな水路でございますとか、道路でございますとか、そういう付帯工事がございます。これは半額補助をいたしますので、その半額分だけ農民が負担いたします。さらに、そのほかに、陸地になりましてそこを耕して耕地にいたしますので、その自分の農地を整地する費用は若干かかるわけでございます。以上の二〇%の負担金と付帯工事費と、それから整地費というようなものもかけて、自分の農地になります。先ほど私が御説明を申し上げました、農民がこの総負担に耐え得るという意味での、私どもがいろいろ計算をいたしました過程では、今申しましたすべての農民負担を考えまして、片っ方水田がだんだん造成されていくというようなことも考えまして、その負担を想定したわけでございます。
  190. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、事業費の二〇%の内訳を、計算を出されました基礎を、これは一つのモデル・ケースといいますか、基準というものがあろうと思いますから、大体基準事業費というもので負担をかける、その事業費の計算の基礎というものを、資料として一つ出していただきたい。それから同時に、ただいま御説明になった付帯工事に対しては半額の補助とかいうことを御説明になりましたが、従って、付帯工事に関するやはり一つの基礎があろうと思う。整地にはどれくらい要するだろうというような、そういうような基礎を出してもらう。  それが出ましてから検討を進めたいと思いますが、従来の一万二千円をさらに二〇%にやるということは、負担し得るという一つの断定のもとにやられたのでありますが、従来よりはこれは相当私は増額だと思うのです、従来の一万二千円としては。そこで、この二〇%というものの基礎を出してもらうと同時に、その増額分については負担し得るという前提でやられたのだろうと思うのですが、それはこの特別会計を設けたということに対する大蔵省のただいまの根本的な説明と合わないような気がするのですが、そう見えませぬか。
  191. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ただいま資料の御要求がございました。これは取りそろえて御提出申し上げますが、ただ、この二〇%の基礎をとおっしゃるのでございますが、これは負担が可能であって、そうしてやはりかなり——かなりと申しますか、この負担をいたしましても十分農業経営をやっていって、なお余剰が残るであろうということで判断いたしましたので、二〇%がどうかと、二二%ではいけないかとか、一八%ではいけないかとか、こういう問題になりますと、いろいろあるわけです。ただ一つのこれは判断のめどと、こういうことでございますので、この二〇%以外の。パーセントでは許されないというものではございませんので、さような意味において御承知願いたいと思います。私ども政府内部で判断いたしまして、二〇%が妥当であろう、これは農民が負担をしても十分やっていける、こういう判断をいたした次第でございます。  そこで、もう一つの問題点でございますが、この耕地に関する整理の費用、それから付帯工事費の関係、これは現行の場合にも、この特別会計の場合にも同様でございます。これもあわせて申し上げておきます。
  192. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、国の開拓政策というものに対して、事業費の計算の資料を御提出願ってから検討してもいいんですが、開拓をすれば家も建てなければならない、水道も作らなければならない、あるいは水道がいけない場合には井戸を作らなければならない。一つの営農として必要な資金というものを要するわけです。これは別に、開拓政策でやるんだからと言われるかもしれませぬが、これは外国の例を申し上げてはなはだ失礼ですが、これは一つの一貫した考え方でやっておるのが普通です。従って、たとえば家を建てる、農家が家を建てるというような場合には、政府みずから全額を出して、モデルの家を建て、そして長い間に、長いのは五十年くらいのもあろうと思いますが、その間に償還する、こういうこととあわせて、干拓政策なり開拓政策というものを考えられていく。ところが、開拓実情を見ると、貸付は幾分するが、先ほど開拓の方で御陳情もあったようですが、まあ小屋ぶきの家を建って、災害ごとにいつでも、風害だといえば吹き飛ぶ例が、干拓地なり開拓地の農家にある。こういうことから考えますと、これはもっと根本的に私は考える必要があろうと思う。従って、この事業費を、二〇%以外に私は相当負担を入植者というものは負担しなければならない。そういうことも計算のうちに入っておると思うのですが、それもあわせて一つ資料のうちへ出してもらいたい。まだいろいろ疑問はありますが、ほかにもずいぶん御質問があるようですから、私の方は、ただいまのところは、資料御提出まで質問を保留して、それだけにしておきます。
  193. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連で。大体今の開拓の問題ですが、二〇%の負担金を入植者が持つという考え方の基本は、大体国が干拓地を作って農地法によって売りさばくという、昔の考え方の方がいいんじゃないかと思う。農地法によって売りさばくという……。それをどういう理由で、何か入植者を先にきめて、それからそこに干拓事業を国営でやって、その事業費の二〇%を非常に不明確なものを持たなければならぬという、そういう危険の問題をなぜ提起したのか、われわれはそれを問いたいのだが、同時に、農地法によっては、国がこういうものを作り出した場合には、農地法の規定によればこれこれの条件で払い下げになるというふうになっているやつを、非常に不明確なもので負担さしていくということは、どうも全くおかしいのじゃないか。私は農地法の精神を全くじゅうりんするものじゃないかと思います。今までの考え方からいくと、その点はどうなるんです。
  194. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 従来は、お話の通り、農地法の規定措置をいたしておりました。ところが、これはまあ法律の問題でなくて、実体の問題でございますが、なかなか干拓の事業が遅々として進みません。それで、先ほど申し上げました通り、非常に干拓地をほしがっている農民はたくさんおられるわけでございまして、この事業を大いに進捗しなくちゃならないという理由が一つあるわけでございます。それからもう一つは、その干拓地に入りました農民の状態をずっと見て参りますと、これも先ほど申し上げましたことでありますが、割合早い期間に経営が安定をいたしまして、経済余力がだんだん生まれてくるというようなわけで、農民はある程度負担にはかなり耐えられるだろうという判断を、従来のいろいろな事情から見て、われわれは判断をいたすわけであります。  そこで、そういうようなものが相寄りまして、この特別会計の制度を設けまして、従来の国費部分のほかに借入金を追加しまして、総体の事業量を増しまして、すみやかに干拓事業を進捗さして、農民にも早くその土地を分けてあげる、譲ってあげるということにしたいという具合に考えたわけであります。それに伴って、可能な限度負担は出していただくと、こういう工合にしたわけであります。  そこで、今のお話の、従来は、御指摘の通り、農地法によって売り渡しをいたしたのでありますけれども、従来とも土地改良事業はその利益を受ける人から負担金を徴収できるということがあるわけでございます。で、今回この特別会計の設定をいたします際に、土地改良法を多少改正をいたしたわけでございますが、干拓地に入りますところの農民が、その事業によって利益を受ける。その農地を自分で耕作できますならば、そこでその人たちからも負担金を出していただきまして、土地改良法の考え方によって出していただきまして、出していただく人々に対しましてはその土地の所有権の取得をしてもらうと、こういう制度にいたしたわけであります。農地法の立て方、土地改良法の考え方というものは、これは今申し上げましたような考え方ででき上っているのでございまして、農地法そのものを非常に乱すとか、いろいろな危険な問題が生ずるということはないと考えます。
  195. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあこの問題はこれだけで質問はやめまして、あと保留をしておきますが、大体今の御答弁を聞いておりますと、他の開墾地帯、それらのものがあまりに結果がよくない、それから見れば、干拓地の入植は非常に成果がいい。こういうことになるんじゃないかと思います。今現に陳情者が出てきておる通り、既開拓地などに入っておる人たちの現実というものは、全く逃げ出さなければならぬ状態です。これはだれしも言えるだろうと思う。見ておられるだろうと思う。こういう状態から見れば、幾らかいいというだけです。しかしながら、われわれが両三年来、岡山県における干拓地帯を視察して見まして、数年たって、五年くらいたっても、まだ共済組合に入れないという実情の中を、収穫が皆無の中を、今年の営農資金をどうするのだというふうにして苦しんでいる。そういうものに、こういう負担までさして、他から見てよろしいという議論は成立しないだろうと思う。非常にそれよりひどい開墾地から見れば、率がいいというだけの話です。現にわしらは、ここに安楽城君もおるが、片柳さんと一緒に岡山の干拓地を見てきている。現にはいれません、農協にだってはいれていやしないじゃないか。そういうものにすぐ負担をさして土地を渡したという話は、これはおかしい話であります。一万二千円でも、私はこれはちょっと高いのではないかと思います。既成開墾地ではない、まだ未成開墾地なんです。その上道路をつける、水路をつける、整地をやります。こういうものには半額補助をするが、半額負担して、借金もなければ地所も払え、こういう話になりますれば、それはとうていやり切れるものではない。それを結局し遂げることは、行き場がないからし遂げるだけの話なんです、日本の農民は。涙をのんで、数人の犠牲者が病気やいろいろなもので倒れてし遂げたものを、みんな典型的にそういうようなものができ上るような考え方は、これはもう全くわれわれは受け入れるわけにはいかないということになる。この点、どうお考えになっておりますか。そんなにはっきりしたいい所はたくさんありますか。  少くともそういう立場で干拓地で喜ばれるものといたしますならば、私はこの間安田局長に言うように、信濃川の底水工事でもやって埋め立てでもすれば、これは明日から、翌日から最大の肥沃な土地になって、だれにかまってもらわないでも、どんどんやっていける。そういう所はかまわない。そういう所を、大蔵省あたりでも、建設省あたりでも、農林省と思い切って談判して、話し合いをして、河状整理をやって、底水工事でもやって、どっと埋めれば、三千町歩くらい見ているうちにできる。一銭ももらわぬでも、さっと作る。排水路も何もいらぬ。自分でやります。よければ、すぐにやってしまう。こういうことを考えれば、実際干拓地はそういう簡単なものではない。私は始終千葉県へ行っているが、これは重政さんだってよく知っておられる。そういう簡単なものではありません。
  196. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 干拓地の中には、ただいまお話のように、災害を受けまして、また現在の農業保険の制度では、三年間は、これはその所の保険の計数がはっきりいたしませんために、除外をいたしておるということ等のために、所によりましては、お気の毒な方があるということも御指摘の通りでございます。ただ、全体的に申してみますと、従来の干拓地の経営成績等を徴しまするのに、最初の一年、二年あたりはいろいろな関係でできが悪い。もっとも内水面の湖面干拓のような所は、当初の年から肥料が要らないで、既耕地以上に増産するというような所もございますけれども、まあ、それは内水面の湖面干拓の特例といたしまして、一般的に申しまして海面干拓は当初はなかなか普通通り参りませんけれども、二、三年たちまして注意をした管理をいたしますならば、普通の農家並みの状態になって参ると思います。  そこで、この二〇%の負担と申しますと、かりに反当二十万円の干拓工事であるといたしますと、四万円ということになります。それを二十カ年で償還をするというわけでございます。金利負担を入れましても、毎年の負担額はそう大した額にならないわけでございます。そこで、二石なら二石以上の収穫が反当りあるといたしますと、われわれのいろいろな計算をやってみましたところでは、十分償還の能力がある、こういう工合に判断をいたしました。またいろいろ現地の干拓の農民につきまして調査をいたしましたところでも、その辺は裏づけられる材料があるわけでございます。そのようなために、かなり償還期間も長期にしてございますので、それは大丈夫であろう、こういう工合に勘案をいたしております。  で、今のように災害があるというような場合におきましては、これは全額国庫で災害復旧はいたしますし、それから災害の年の償還というようなものは、もちろんこれは猶予をいたしまして、そうしてその間に営農資金等で立ち直るということの援助をすることは、もちろんでございます。  全体といたしまして、私どもはこの負担額でやっていけるという工合に考えておるわけでございます。
  197. 東隆

    ○東隆君 今の干拓事業の問題ですが、これは農地法による場合には平均反当一万二千円、これが事業費の五%に相当する。これで参りますと、約四倍ですから四万八千円ぐらいになるわけですね、一応。そうすると、一町歩でかりに五十万円ぐらいですから、金額は非常に少いようですけれども、この問題と、それから先ほど島村さんが言った、住宅を建てたりなんかしなければ健全な自作農家はできない。そういうような関係で、少くとも経営を始めるまでに相当な金を用意していく準備をしなければならぬ、また負担能力がなければならぬ、こういうような条件が当然参りまするから、入植者の選択ということは、これはどういうことになるかというと、もちろん能力のある者を選ぶということになりますると、ほんとうに土地がなくて農業をやりたい、こういうような者が除外をされてしまう、一番必要としているものが入れない、こんなようなことになるし、それから農地法によって、やらないために、私は、農地の所有関係その他の問題でも将来に問題が起きてくる可能性がある。そういうような点で非常に考えなければならぬ点があると思う。そこで私は、先の方の負担を非常に必要とするということから考えてきて、できるだけこれは長期にしなければならぬと思う。非常に経営がほかのところよりも楽だ、こういうような観測はこれは間違いであって、将来いろいろな問題を起す。従って、これはもうできるだけ年限を長くして、そうして金利をできるだけ安くしてそうしてやることによって、初めて干拓事業として成功するのであって、初めから非常に能力のあるものを入れて、そうして負担は十分に別な会計から払っていく、こういうようなものを入れていくならば、これは国が干拓事業を起して、そうして農業政策をやるというようなことにはならぬと思う。そんな意味で、なぜ自作農創設維持資金の二十五万円くらいのものをここに持ってこなかったか。二十年といっても三年据え置きで、十七年でもって支払う。それ以外に家を建てたり何かする。そういうようなものは、これは全然別な考え方に立っておる。そういうようなものをみんな含めますと、膨大なものになってきて、そうして先ほど、希望者が非常に多いのだから、入植をする者はそんなに心配はないのだと、こんなようなお話もあったけれども、そこへ、その網にひっかかって入ってくる人はそれは一向差しつかえない。そういうような人はよそに行ってもやることができる。だから、そこへ入り得ないような人を入れて、そうして計画的に農家を作っていくと、自作農を創設していくと、こういうような考え方に立ったときに、初めて国家の施策としての考え方が通る。そういうような意味で、どういうわけで遠慮をして、三年据え置き、十七年というようなそんな期間を作ったのか。  それから先ほど清澤君が聞いたような問題にかね合せて、農地法とか、そういうような点をもう少し詳しく御説明いただきたい。
  198. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 最近の全国の干拓地の入植者あるいは増反者というものを具体的に調べてみますと、これは、十年くらい前の状態と変りまして、やはり地元の農家の二、三男あるいはその付近の小農家が増反するという、中には大農家が増反したりするのもありますけれども、そういうようなことであります。そこで全く裸一貫の何にもないという人はほとんどないのでありまして、やはりまあ、かりに金がなくても、兄貴やおやじが労力で助けてくれる、あるいは食い扶持は一年間くれるとか、それから住宅は一緒に来て手伝ってくれると、こういうようなことであります。そこで私どもがこの二〇%の計算ということをいろいろ研究をいたしました際には、これはまあ三年間はほとんど払わないでよろしいのでありますから、ある程度収益を上げて、その上で払っていくという、非常に貧しい人が入りました場合にも、自分の力でやっていかれるという想定をいたしておるのであります。  で、先ほどの、入りまして、家を建てなければならぬ、いろいろ農具を買ったり、肥料を買ったりするというようなことにつきましても、当初三年間は国の特別会計で営農資金を供給いたします。それから住宅についても補助をいたします。それから先ほどのいろいろな付帯工事をやります際にも、これを援助する。こういうようなことで、まあいろいろな点で援助はいたしますが、それと、そういうことをにらみ合せまして、片方すみやかに生産が上るということを考えますと、これで非常に貧乏な人を全然締め出したということには、私はならぬと考えております。
  199. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと、時間がありますから、いま一口だけ……。干拓事業を国営でやる場合に、行われますところの基本的概念ですが、これは国営として干拓地を作られるのか、それとも、入植者を先に募集しておいて、それの委託工事として作られるのか。どっちの格好になるか、基本的な考え方は。
  200. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 返還金の関係かと思いますが、受益者負担と考えております。従って、工事は国営でいたします。その目的はいろいろございましょう、土地利用それから食糧増産というような関係がございますが、工事は国営としていたすわけでございます。それから今度は負担金をちょうだいいたします場合におきましては、それによって受益が出て参ります。その受益の範囲内におきまして、しかも現実に支払い得る条件によりましてそれを負担していただくと、こういう趣旨でございます。負担金をちょうだいいたしますと、その金で工事をするということではないと考えております。従って、委託ということは当らないと考えております。
  201. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、私は簡単に一つやってもらいたいのだ。国が干拓地を作って、開拓地の開墾をして、これを払い下げていくと、こういう考え方が基本になるのか、入植者を先に募集しておいて、それが開懇をしていく、干拓をやっていくという形でやっていかれるのか、こういうことなんです。基本的には、どこが中心になるか。だから、国でやってはいかれるが、それに対する受益の負担だとか何とかいうことではなくして、大体こういう土地があるから、これを国が開墾していく、開墾してそこへ入った者はこれこれのものを負担しろ、こういう考え方なのか、どっちなんだ。国が開墾していくのか、入植者が中心になって干拓をやっていくのか、どっちがどうなんです、どこが重点なのか。
  202. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは干拓の適地を判断いたしまして、国が直接あるいは代行で仕事をいたします。それに基いてでき上りますと、この土地に入植したい、あるいは増反したいという人の申し込みを受けまして、そういう人たちに土地を取得をしてもらう、こういうことであります。
  203. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと今……。私はあまり法律がわからぬことは御承知の通りです。そうしますと、農地法の対価売り払いからいうと、ちょっとおかしなものができ上りますね。国が持っている土地を農地法によって売り払う場合には、これこれこれによって対価を定める、こういうことになっておる。これとちょっと妙なものができますので、私もまあ研究はしてみますが、ちょっとそこに食い違いがあるんじゃないか、農地法が後退しているんじゃないかと思う。
  204. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは、先ほどもちょっと御説明をいたしたところでございまするが、土地改良法のものの考え方は、土地改良事業によって利益を受ける人に負担金を負担をしてもらうことができるという、これが一つの考え方。そこで、この干拓でもってでき上りました土地、この土地を耕作をするという人は、その仕事によって利益を受けること明らかでありますから、その負担可能な限度において負担をしてもらうということは、土地改良法の考え方で十分成り立つわけであります。で、どういう人たちにその土地を取得してもらうかという手続を土地改良法に定めまして、そういう人たちに取得をしてもらうということは、法律の考え方としておかしくはないと考えます。農地法がこのために非常にゆがめられるとか、あるいは農地改革の考え方が変ってくるとかいうようなことは、いささかもないと考えます。
  205. 清澤俊英

    清澤俊英君 その点保留しておきまして、わしらも研究しておきますが、これは重大問題だと思う。前にあなた方は、すでに現在のやり方は、農地法を見て、そうしてそれでちゃんと払い下げ価格というものをきめてやっておられる、幾らかかるか。だから、それが、金がなかなかうまくいかないからといって、負担金を出して早くやる。私はあとでいろいろお伺いしますが、結局今度の、私に悪口を言わせますならば、こういう法案を出して促進さして、農民の利益だとか何とかと言われるが、これは結局、廣川農政があまりに総花的な国営や何をやったんで、後始末ができないものだから、過去のものは三カ年で何とか始末はつけるが、それと並行してやるには、何とか、そうそう金も使わぬのだから、まあ一つこういうことをして農民に負担をさしてやれという悪い考え方が先になっているのだ。そういうことば確かに考えられるんですよ。だから、それが基本で私らは質問しますが、ちょっと意地の悪い研究をしてみます。
  206. 鈴木一

    ○鈴木一君 干拓に関してですけれども、早くやるようになったから、農民の負担も多少多くなってもいいじゃないかというような説明ですけれども、少くともこれは農林省としては早くやるのは当りまえで、従来おそかったのは悪いのだ。早くやるような努力をすべきである。しかも、農民の負担というものは従来よりも安くするか、やむを得なかったら従来通りにするというのが、私は建前だろうと思います。どうも財政関係からして、大蔵省にギリギリ押されて、やむを得ずこういったような言いわけをしているような感じがする。それならば、農林省は何も要らない。建設省なんかにやってもらう方がよほどいい。農林政務次官から一つ意見を聞きたいと思う。(「答弁答弁」と呼ぶ者あり)
  207. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは先ほどお尋ねしたように、いろいろ根本問題がある。それから島村委員からもお話ありましたが、私はちょっと理屈になるけれども、日本の農業政策はある程度保護政策というものが要る。それを、他の企業と同様のベースでものを考えようとしている。ところが、農業の場合は収益の回転率が非常におそいのです。もう一つは、公共事業に何か別の調査会がありましたね。そこでは、干拓事業なんか採算に合わないから、こんなことをやるのはやめてしまえと答申しているのです。それと関連して、今考えてみると、やはり先の収益を見込んだ部分を採算に入れても、必ずしも先ほどの御答弁とは一致しない。だから、それらをかれこれ勘案して、一体こういう国の農業政策のこういう問題について、農林省としては一体基本的にどう考えておるのか、それらの点もあわせてもう少しまとまった一つ答弁をされるように、今の鈴木委員との関連ですが、そういう機会を近いうちに一つ作っていただきたい。これは委員長に要望しておきます。
  208. 鈴木一

    ○鈴木一君 重ねて申し上げますけれども、農林省説明で、従来の干拓地の農家はかなり経済的に余裕のできているところがある、従って、平均一万二千円で売り渡したのは少し安過ぎるのだというような印象を、私たちは農林省説明から受けるのです。世の中は神武以来の景気だというけれども、農業関係には相変らず神武以来の生産様式をやって、一本々々植えて、一本一本刈っている。多少農業は機械化されたというけれども、農業経営そのものは従来通り、神武以来というけれども、天照大神以来だと言ってもいいくらいだ。このおくれた農業を少しでも近代化するというならば、どうしても、先ほど羽生さんも言われたように、国の財政投資というものをある程度しなければ、これはとても引き上るものでないと思う。だから、農村へ行って聞いてみますと、神武以来の景気だというけれども、農村にはさっぱり来ていない。来るわけがないのですよ。そういったような根本的な認識を怠っておるから、大蔵省から一方的に押されておる。こういう法案を出して、しかも、農林政務次官はこの問題に対して答弁もしないで、笑っているというような状態なんです。政務次官も私の言うことは認めたのですか。農林省、要らないのですか。
  209. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) 御指摘の農政の基本に触れました問題について、しかとした御説明を申し上げるためには、非常に御熱心な審議の過程において要求をいただきました資料をととのえまして、あらためて御説明をさせていただくことがいいと思います。御了承いただきたいと思います。
  210. 河野謙三

    河野謙三君 その資料は、私がさっきから申し上げているように、ぜひ一つもらいたいと思うのだが、この措置によって工事が促進するから、農民も負担がふえる、一方、この措置によって国家は幾ら負担が増加するか、この資料をもらいたい。出ますね。それが出れば、はっきりするのですよ。坊主の計算みたいに、取る勘定ばかりで、出す勘定がなければ、だめなんだ。その資料は出ますか。  私は、この機会に、せっかく資料をいただいておるので、土地改良協会について伺います。まず第一に、五ページの土地改良協会の歳出の部に事務費が二つあるのですが、これはミスプリントですか。
  211. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) はなはだ申しわけありませんが、第三段目は事業費でございます。
  212. 河野謙三

    河野謙三君 歳入の部で、雑収入が百十三万幾らと、パーセンテージが非常に高いのですが、これは主なものは何ですか。
  213. 島村軍次

    ○島村軍次君 ついでにあわせて伺いますが、都道府県土地改良協会の分の受益事業収入二百五十二万五千円とありますが、その内訳を一つ出していただきたい。それからもう一つは、都道府県の部で、土地改良協会の事務費が非常に多いのですが、この事務費の中に人件費はどのくらい含んでおるか、それらを、もしきょうわからなければ、あとから出していただきたい。
  214. 河野謙三

    河野謙三君 今私がお尋ねしたことも、きょう何でしたら、明日でも明後日でもいいですから、その資料を出していただきたい。  それから、その次に、都道府県土地改良協会というのが出ておりますが、これはどこの県の分ですか。
  215. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 報告のありましたのは三十の都道府県でございます。その平均でございます。
  216. 河野謙三

    河野謙三君 三十の都道府県の平均だというのですね。そうすると、大体三十の県というものは、こういう程度のわけなのですね。
  217. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは、規模は大小さまざまです。大きいもの、小さいもの、いろいろございます。
  218. 河野謙三

    河野謙三君 科目別のパーセンテージは、この三十の府県は大体大同小異ということですね。
  219. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これも県によって事業費の多いもの、少いものとございます。
  220. 河野謙三

    河野謙三君 はなはだ皮肉な質問ですが、この各府県の土地改良協会のこういうものをごらんになった立川さん、あなたの感想を伺いたい。これで一体健全なのかどうか、どういう感想を持っておられますか。
  221. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 各府県の土地改良協会の現在の状態を見ますと、所によりますと、非常に優秀な職員をそろえて、そしてよく活動して、おそらくその地方の土地改良区傘下の団体に非常にプラスになる仕事をやっておる、こういう工合に判断される所もございますが、一方では、事業もさっぱり進まない、こういう所もあるように見受けられます。
  222. 河野謙三

    河野謙三君 それでは、私が見た感じを申し上げます。歳出の部を見ても、九百六十万円の中で事業費が百二十七万円で、驚くなかれ一五%前後ですよ。これは政治団体なら、こういうことがありますよ。私がこの間から指摘しておるように、歳出の科目別を見たって、一五%の事業費で、あとは事務費とか何とかになっておる。これは健全な形ではないでしょう。政治団体ならわかりますよ。こういう点、あなたは不思議に思われたことがあるかどうかということを私は伺いたい。
  223. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは都道府県の土地改良協会の常といたしまして、いろいろ工事その他の非常な経費のかかる仕事はやらないわけでございます。で、その仕事は人が根幹になっておりまして、いろいろ職員を置きまして、それが耕地整備の仕事、換地処分の仕事を援助したり、あるいは設計等の指導をする、こういうようなことを、先ほど申しました大いに仕事をやっているという所でも、そういうような状態でありまして、いわばまあ人件費が中核になっておる。で、この事務費の中に人件費を含めて計算をしておりますので、そこは非常にふくれているように見えますが、さような状態であるということでございます。
  224. 河野謙三

    河野謙三君 非常に、あなたは今、土地改良協会のために苦しいお立場を御説明になった。それなら、私はあらためて府県の土地改良協会の歳入歳出についても、さっきと同様に、明細をいただきたいと思います。この事業費は一体内訳はどうなっているか、事務費は一体どういうふうな内訳になっているかということを、私は伺いたい。資料をいただけますか。もしあるなら、三十の府県の平均、——平均じゃなくても、どこかあなたの一番いいと思うやっと、一番悪いと思うやっと、二つ出していただきたい。これでは政治団体ですよ。従来土地改良のためのムーブメントをやる団体ですよ。それを改良するということが、あなたの方の前提でなければならないのです。こういう悪質なものをそのまま認めて、今度は法律にまでこれを連合会で認めるということになったら、これはいかぬですよ。(笑声)
  225. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私も資料をお願いします。昭和三十二年度のこの計画の各事業別の事業費の二〇%、ただし三十一年度以降支出事業費にあっては五%、こういうふうな負担をすれば、各事業別にはどういうふうな金額になるかという資料を出してもらいたいと思います。
  226. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  227. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  228. 清澤俊英

    清澤俊英君 土地改良協会は、これは都道府県だけしか出ていないのですよ。ところが、この下には郡単位の地区があるでしょう。その下には改良区のあれがあるし、その下にはまた自分のやつがある。こういうふうに四つということになるが、大体そういう形に全国的になっていますか。
  229. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは全国的には、都道府県に土地改良協会が、これは法人または申し合せ団体でありますが、それはこの土地改良法の一応らち外でございます。そのほかに事業ごとに、あるいは恒久的な施設を完備するために、土地改良区がありまして、先ほどのような郡段階、あるいは土地改良区の下にまあいろいろあるということが、各県ごとにあるというわけではございません。
  230. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと、私もわからぬから聞くのですが、この都道府県の資料の中で二つ聞きたいのですが、九百六十万というのは、単に三十都道府県の土地改良協会の報告だけをまとめたので、実態を調査したものではないのですね。
  231. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは、土地改良協会は大体民法の法人でありまして、さらに申し合せ団体も半分ぐらいございます。そこで、民法に基いて監督をしておりますものと、そういう申し合せ団体で直接の監督の処置がない、こういうものもございますので、こういうものは団体の決算あるいは予算等を報告をもらいまして、そういうものの集計でございます。
  232. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体この程度のものであると農林省もお考えですか。
  233. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは、先ほど申しました通り、その報告の、手元にありますものの平均した数字でございます。
  234. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この「会費」というのは、どういうふうに徴収しているのですか。
  235. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは会員から、定款で定めました徴収の規定と手続によりまして、徴収しております。これは会費は傘下の土地改良区等のものから、一定の基準に従って、徴収しております。
  236. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 会員というのは、土地改良区というような団体をさしていうのですか、受益者個人をいうのですか。またその会費徴収の方法は、定款等で定められている通りに、実際徴収されているのですか。
  237. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) この会員は、土地改良区が主体であります。府県によりましては、市町村がそのメンバーになっている所もございます。それから土地改良事業を行う農業協同組合が会員になっておる県もあります。  で、その徴収の規定でございますが、これは定款に定められておるもの、あるいは定款に基くところの会費の徴収規定と、こういうようなものが別にあるものがございます。
  238. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことはわかりましたが、あなたの方で、実態としては何が会費に充てられているかということを、御承知になっておられるのですか。実態は、どういうものを会費に充てておるのですか。
  239. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは先日もお話がございましたが、会費を負担する負担割合、これは総会なりあるいは定款なりと、こういうようなもので定められております。事業に比例したり、あるいはみんな均等に負担をしたり、あるいは会員の希望に応じたり、それぞれの県でいろいろ違っておるようでございます。
  240. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その例示せられました中で、事業費、事業量に比例して会費を徴収するというのはありますか。それは負担金なり分担金というような形式内容のものだと思うのですが……。それは補助金とかというようなものの出たものから、一定割合を徴収するという形式のものは、どこにもないのですか、あるならあると言って下さい。
  241. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 補助金から天引きしておると、これは先日もその問題が出たのでありますが、こういうようなものは、従来全然皆無であったということではないように私は思いますが、現在の問題といたしましては、補助金の適正化に関する法律等の規定にも照らしまして、そういうようなものは適切でございませんので、補助金から差っ引いて会費を徴収するというようなことは、認めないという考え方でおるわけでございます。
  242. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 建前はわかりましたが、そういうふうにもうなっておるのですか。
  243. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) さような指導をしております。
  244. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 指導はしておるが、そういうふうな状態になっておるのですか。
  245. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) なっておることを期待しております。(笑声)
  246. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後五時九分散会